数々の映画賞を総なめにした『ゆれる』の西川美和監督の下、とある僻村で慕われる一人の医者の“嘘”を軸に、現代日本が抱える医療問題を浮き彫りにさせる『ディア・ドクター』。本作が6月27日(土)に公開初日を迎え、西川監督はじめ、本作で映画初主演を果たした笑福亭鶴瓶、瑛太、八千草薫が舞台挨拶に登壇した。映画に因み、客席には白衣を着た観客100人が集まった。この光景に西川監督は「すごく偉い人に迫られてる感じで緊張します」と圧倒され気味に挨拶、鶴瓶さんは「誰に着させられたんですか?」といきなりツッコミの挨拶でスタート。公開に先立ち、全国各地で映画のプロモーションを行ってきた鶴瓶さんだが、観客に向けて「まだ観てないから、憧れとかないでしょ?瑛太とか八千草さんは見たら“ハァ〜”という感じでしょうが、僕なんかはおっさんですからね。だけど観た後は“えっ?”と思いますよ」と鑑賞後のイメージのギャップをほのめかした。映画初主演という大役について聞くと、「監督に全部任せました。台詞も6割、いや4割しか覚えていかなったんですけど、逆にそれを生かしてもらって。(主演は)めちゃめちゃ楽しかったですね。僕が主役ですし、飲みに行くのとかも自由にやらせてもらって、一か月の長い旅行に行っているようで楽しかったです」と満足した表情でふり返った。八千草さんは「鶴瓶さんとご一緒してると台詞を全部忘れて、自然な雰囲気の中で芝居できました。ロケの現場も田んぼがずっと広がっていて、東京とは全然違うので、私たちは自分たちでだんだん住みにくい世界にしているんだと感じたのですが、その自然にみんなが溶け合って撮影できました」とふり返った。饒舌な鶴瓶さんにすっかり茶化されていたのは、シャイで口数の少ない瑛太さん。「初日を迎えられて嬉しいです。全国の人、世界の人、たくさんの人に観ていただきたいです」と挨拶すると、鶴瓶さんからは「リハビリを重ねてここまで喋れるようになりました」とのツッコミ。そんな鶴瓶さんにすっかり弟子入りした様子の瑛太さんは「クランクインしてから本当にずーっと一緒にいて、お酒飲んだりスイカ食べたり、サウナ行ったり…。鶴瓶さんと過ごした、2008年夏でした」と嬉しそうに撮影の様子を語った。するとまた、鶴瓶さんは「メイキングを見ると、そんなに笑うんだというくらいに瑛太がめちゃくちゃ笑ってますからね」と合いの手を入れ、会場を笑いで包んだ。そして、西川監督は「作品はひとかけらのアイディアを積み重ねていくようなものなので、こんな素敵なキャストといい雰囲気の現場で作れて、温かく初日を迎えられることは想像つかなかった」と語り、本作の完成を見ずに今年3月に急逝したプロデューサー、安田匡裕氏に向けて「大事に大事に育ててくださった方に、こうしていい初日を迎えられたことをきちんと報告できて、とても嬉しく思います」と深い感謝の言葉を贈った。最後に、白衣を着た観客と一緒に全員笑顔で記念撮影!『ディア・ドクター』はシネカノン有楽町1丁目ほか全国にて公開中。■関連作品:ディア・ドクター 2009年6月27日よりシネカノン有楽町1丁目ほか全国にて公開© 2009『Dear Doctor』製作委員会■関連記事:「本物の方が怖いかも(笑)」『ディア・ドクター』西川美和が描く、愛すべきニセモノ鶴瓶&瑛太が深酒で倒れた?余貴美子も病院送りの恐るべき『ディア・ドクター』誰しもが抱える“嘘”から見る人間の“揺れ”西川美和最新作『ディア・ドクター』初主演・笑福亭鶴瓶×瑛太!『ディア・ドクター』試写会に10組20名様ご招待西川美和監督最新作『ディア・ドクター』で鶴瓶が世界デビュー!いざモントリオールへ
2009年06月29日『ゆれる』が絶賛を呼んだ西川美和監督の元に、笑福亭鶴瓶、瑛太に香川照之、余貴美子、八千草薫ら芸達者、演技派の面々が集結!ある過疎の村を舞台に、一人の医者の存在、そして不在にまつわるドラマを通じて、現代社会が抱える様々な医療問題を浮かび上がらせる『Dear Doctorディア・ドクター』が、6月27日(土)より公開される。これに先駆け、本作の医療監修を務める太田祥一教授が在籍し、撮影も行われた東京医科大学病院にて、大学と大学病院の職員、ドクター、研修医、学生を招いての試写会が開催された。上映前には舞台挨拶が行われ、西川監督、鶴瓶さん、瑛太さん、余さんが登壇した。鶴瓶さんは満面の笑みを浮かべ、開口一番「ドクターの伊野でございます」と劇中と同じ自己紹介。今回、初主演となったが「(撮影の)2か月の間、医者になれて、手術のシーンも楽しかったです」とふり返った。報道陣から次はハリウッド進出?と問われると「それそれ!デ・ニーロやモーガン・フリーマンと共演したい」とニンマリと笑って答えた。今回の試写会について「僕はここから歩いて2分ぐらいのところに住んでるんです。ここで、こうして試写会が行われること、特にお医者さんや看護師さんに観てもらえるのが嬉しいです。(映画の中には)看護師のすごさが出てますから!」と猛アピール。鶴瓶さんが「すごいですよ、あの人の看護師役」と絶賛するのが、余さんが演じた、伊野に付き従う看護師・大竹。余さんは「先生方に医療のお話を伺い、いろいろ教えていただいたおかげで役作りが出来ました。それから、私は5月に急性腸炎になって救急車でこちらに運ばれまして。いろいろとお世話になっております(笑)」と語り、会場は驚きに包まれたが、余さんはけろりとした表情で「救急車の中で『東京医科歯科大学病院!』と指定しました」と明かした。西川監督も「こちらの病院の先生方に映画のために全面的なご協力をいただきました」とお礼を述べ、「みなさん、この企画に対して非常に熱心に取り組んでくださりました。様々な医療の問題や患者さんとのコミュニケーションについて、医師と患者双方の視点で見て、理解し合うための橋渡しが出来ればという思いでこの映画を作りました」と映画に込めた思いを吐露した。瑛太さんは東京の大学出身の研修医・相馬を演じた。大ヒット公開中の『余命1ヶ月の花嫁』に続いて、生と死に関わる作品に出演して、命の尊さなどについて考えることは?と突然尋ねられ「そうですね…(事前の)段取りと違うんですが」と困惑した様子。これにすかさず鶴瓶さんが「考えとけ!」とツッコミを入れ、会場は笑いに包まれた。鶴瓶さんがそのままの勢いで「統計的に見て、お医者さんはすごく酒好きな人が多いんですよ。(瑛太さんを指し)そういう意味でもぴったりの役やな。めちゃめちゃ酒飲むんですよ。4〜5日目には2人とも飲みすぎて倒れたもんな」と瑛太さんの方ををふり返ったが、瑛太さんは「ダメです、明日の新聞(の見出し)が…」と慌てて制止する場面も。先ほど余さんが急性腸炎で倒れたという話が出たが、鶴瓶さんも、瑛太さんも別の時期に倒れたことがあるということで鶴瓶さんは「倒れトリオや」とおかしそうにふり返っていた。「それぞれの職業で、自分はホンマもんか?ということを問いかける作品。ラストシーンの八千草さんが素晴らしいんです!」と鶴瓶さんが胸を張って送り出す『Dear Doctorディア・ドクター』。6月27日(土)よりシネカノン有楽町1丁目ほか全国にて公開。■関連作品:Dear Doctorディア・ドクター 2009年6月27日よりシネカノン有楽町1丁目ほか全国にて公開© 2009『Dear Doctor』製作委員会余命1ヶ月の花嫁 2009年5月9日より全国東宝系にて公開©“April Bride”Projectガマの油 2009年6月6日より全国にて公開© 2008「ガマの油」製作委員会■関連記事:誰しもが抱える“嘘”から見る人間の“揺れ”西川美和最新作『ディア・ドクター』“父子”対談!監督・役所広司×俳優・瑛太『ガマの油』の効用やいかに?役所「クセがあるけど、かわいがってほしい」“願掛けカエル”で初監督作のヒット祈願初主演・笑福亭鶴瓶×瑛太!『ディア・ドクター』試写会に10組20名様ご招待西川美和監督最新作『ディア・ドクター』で鶴瓶が世界デビュー!いざモントリオールへ
2009年06月16日人は多かれ少なかれ嘘をついて生きている──。数々の映画賞を総なめにした『ゆれる』(’06)に続いて西川美和監督が描くのは、そんな誰もが生きていく上でひとつは抱えている“嘘”をテーマにした人間ドラマ。ある小さな村で起きた医師の失踪事件から物語は始まり、彼の素性が徐々に浮かび上がっていく。真実と嘘、善と悪、生と死の間で揺れ動く人々の心情がリアルに映し出されるが、結末に用意されているのは否定でも肯定でもない何ともあやふやなものだ。しかしながら、何故かほっとさせられるのは私たち自身があやふやな存在だからゆえ。境界線がないからこそ、白黒はっきりしない余韻が心地よく感じられる。そして、原作・脚本・監督の全てを手がける西川美和が本作の主役に選んだのは、その名前と顔を知らない日本人はいない男・笑福亭鶴瓶。芸歴37年目にして主役を張り、致命的な秘密を抱えながらも僻村の唯一の医師として人々に慕われる伊野を演じている。さらに、彼のもとに転がり込む研修医の相馬役の瑛太をはじめ、八千草薫、余貴美子、香川照之といった日本映画界屈指の実力派たちが顔を揃えているのも見どころ。ハリウッド超大作のように派手な映像も仕掛けもないが、現代に生きる人々の心の処方箋になりうる作品であることは確か。主人公の心の揺れを感じることで、自分自身の中にある揺れを受け入れられる…小さな感動を与えてくれる本作のような映画こそが悩める現代人にとって必要な映画と言える。また、原作ありきの映画が当たり前の昨今、これだけ興味深いオリジナル・ストーリーを観ないなんて損!(text:Rie Shintani)■関連作品:Dear Doctorディア・ドクター 2009年6月27日よりシネカノン有楽町1丁目ほか全国にて公開© 2009『Dear Doctor』製作委員会■関連記事:初主演・笑福亭鶴瓶×瑛太!『ディア・ドクター』試写会に10組20名様ご招待西川美和監督最新作『ディア・ドクター』で鶴瓶が世界デビュー!いざモントリオールへ
2009年06月10日