いつまでにいくらの資金が必要かわかっている場合は、それに向けて資金をためる必要があります。代表的な資金は、学資・住宅資金・老後の資金です。これらの資金をためる方法はいくつかありますが、将来必要になる資金は貯蓄や定期預金、生命保険などで用意することが多くあります。今回は生命保険の積立と、積立型生命保険と銀行預金の比較をご紹介します。積立型生命保険とは積立型生命保険とは、保険料としてお金を支払い資金をためつつ、契約期間中に保障がついている死亡保険のことです。積立型生命保険の代表的な商品には学資保険があります。学資保険は銀行に預けるよりも利率がいい場合があり、かつ、保険期間中は死亡保険がついているので、万一の場合は学資金が満額支払われます。このように、資金の積立を生命保険で行うと銀行に預けるよりもメリットがある場合があります。積立型の生命保険の種類は?ここでは積立型の生命保険の種類をご紹介します。資金の積立は目的と用途によっては銀行へ貯蓄するよりも生命保険で積立を行ったほうがいい場合があるので、ご自身がどういう目的で積立をされるのか考えながら読み進めてください。積立型の生命保険には4種類あります。終身死亡保険学資保険個人年金保険養老保険以下にこれらの積立型の生命保険をご紹介します。1. 終身死亡保険終身死亡保険は保障が一生続く死亡保険で、一定年数経過後は解約時に返ってくるお金が支払った保険料よりも多くなります。2. 学資保険学資保険は子どもの教育資金を準備するための保険です。毎月一定額の保険料を支払いながら、お子さまの入学や卒業に合わせてお祝い金や学資金を受け取れます。被保険者である親に万一のことがあった場合は、以後保険料を支払うことなくお祝い金や学資金を受け取れます。保険料の一括払いや、年払いを選択することで、月払いに比べて支払った保険料より多くの学資金を受け取れます。3. 個人年金保険個人年金保険は、契約時に定めた年齢になると年金を受け取れる保険です。年金の原資を保険料として支払っていき、年金開始前に死亡した場合は死亡給付金が支払われます。個人年金保険への加入は銀行預金と違い、使いたいときにすぐおろせるわけではありません。満期以前に解約する場合は支払った保険料よりも少ないお金しか戻ってきません。4. 養老保険養老保険は一定期間保険料を払込み、満期時に死亡保険と同額の満期保険金が支払われる保険です。満期時に死亡保険金と同額の満期保険金が受け取れます。現在、養老保険よりも返戻率の高い終身死亡保険が販売されているので、そちらに加入される方が多いです。積立型の生命保険と掛け捨て型の生命保険のメリット/デメリットをチェック積立型の生命保険の対義語として掛け捨て型の生命保険があります。掛け捨て型ですので保険期間が終わると保障がなくなり戻ってくるお金がありませんが、保険料は積立型に比べると安いです。メリットデメリット積立型生命保険保険料を支払えば一定期間で必要な資金をためることができる。契約期間は死亡保障ついている。積立てる資金が保険料に含まれるため保険料が割高。満期以前に解約すると支払った保険料よりも受け取るお金が少なくなる。たまったお金はすぐにはおろせない。掛け捨て型生命保険保険料が安い。保険期間が終わると保障がなくなり、戻ってくるお金がない。生命保険の積立と銀行預金はどう違うの?前項までで生命保険で行う資金の積立をみてきました。ここからは積立型の生命保険と銀行預金の違いをご紹介します。銀行預金にはどういうものがあるの?銀行で預金する場合、7つの預金があります。普通預金定期預金総合口座当座預金貯蓄預金大口定期預金積立定期預金1. 普通預金普通預金はみなさんが普段お使いの銀行口座のことで、預け入れや払い戻しが自由にできます。また、自動支払いや自動受け取りが可能です。2. 定期預金定期預金ではあらかじめ預入期間を決めてお金を預け、原則満期日まで引き出しができません。一定期間預けるので金利が高いです。3. 総合口座総合口座は普通預金と定期預金などを組み合わせた口座です。ためる、増やす、受け取る、支払う、借りるといった機能があります。4. 当座預金当座口座は手形や小切手の支払いに使われる預金です。利息は付きません。5. 貯蓄預金貯蓄預金は残高が一定以上あると普通預金より金利が高くなることが多い預金です。出し入れ自由ですが、自動支払い、自動受け取りができません。6. 大口定期預金大口定期預金は1,000万円以上の一括預け入れで利用可能な定期預金です。金額と期間に応じた金利が設定されます。7. 積立定期預金積立定期預金は、毎月決まった日に預金の積み立てを行う定期預金です。使用目的が決まっている資金の準備に利用されます。積立型の生命保険と銀行預金の比較積立型生命保険と銀行預金の共通点は「資金がたまる」点ですが、主な違いは3つあります。積立型生命保険は死亡保障がセットになっている貯まったお金を自由におろせるかどうか万一の場合の受取人を指定できる1.積立型生命保険は死亡保障がセットになっている積立型生命保険と銀行預金の大きな違いは、積立型生命保険は死亡保障がセットになっている点です。これは最大のメリットと言ってもいいです。学資保険を例にすると、満期学資金が300万円だった時、契約直後に被保険者である親に万一のことがあった場合その後も保障は続き、満期時には学資金が満額支払われます。一方で300万円銀行預金でためようとした場合、初回の入金後に親に万一のことがあったら口座に残っているお金しか残りません。2.貯まったお金を自由におろせるかどうかたまったお金を自由に使えるかどうかという点も積立型生命保険と銀行預金の違いとしてあげられます。銀行預金は普通預金の場合、いつでも口座のお金を出し入れできますが、積立型生命保険は銀行預金のようにたまった資金をすぐにおろすことはできません。積立型生命保険にもたまった資金を一定の利率で借りる契約者貸付という制度があります。ですが、契約者貸付はご自身がためた資金を保険会社に利子を払いながら借りることになります。そして請求をしてから口座へ振り込まれるまでに数日必要です(保険会社により異なります)。3.万一の場合の受取人を指定できる万一の場合の受取人を指定できる点も積立型生命保険と銀行預金の違いとしてあげられます。万一の場合に遺言などがないと預金口座は相続の対象としてみなされます。相続の対象になると相続権がある親族間で相続トラブルが起こる可能性があります。そうなってしまうと資金を残したい家族に全額渡せない場合が生じます。その場合、積立型生命保険で受取人を指定していれば相続トラブルを回避でき、資金を残したい家族にスムーズにお金を残すことができます。積立型生命保険のメリットと注意点積立型の生命保険と銀行預金を比較しましたが、ここからは積立型生命保険のメリットと注意点をあらためてご紹介します。積立型生命保険のメリット積立型生命保険のメリットは3つあります。死亡保険がセットになっている確実に資金がたまる受取人を指定できるので相続トラブルを回避できる積立型生命保険のメリットは保険商品であることを最大限に活用している点です。万一の場合は必要な資金を指定した受取人に残すことができ、保険料を支払えば確実に資金をためることができます。積立型生命保険の注意点積立型生命保険の注意点は2つあります。満期前に解約すると、払い込んだ保険料よりも戻ってくるお金が少ない場合がある貯蓄のように必要な時にすぐおろせない積立型生命保険の注意点は、満期以前に解約すると払い込んだ保険料よりも戻ってくるお金が少なく、たまったお金はすぐおろせない点です。緊急にお金が必要になった場合、期待していた解約返戻金(解約した時に戻ってくるお金)を受け取れないかもしれません。積立型の生命保険で資金を積み立てられる場合はこれらのことにご注意ください。生命保険の積立に関するまとめこれまで「生命保険でできる資金の積立」「生命保険の積立と銀行預金はどう違うの?」「積立型生命保険のメリットと注意点」をみてきました。目的がしっかりしていて保険料を支払っていける場合は、生命保険で資金の積立をおすすめします。保障と貯蓄の2本立てができる積立型の生命保険で資金の積立という目標を達成してください。
2019年02月06日人生100年時代ともいわれ、老後がますます長くなる一方、少子高齢化などの影響により、老後の生活を支える公的年金の支給額は今後減少すると予想されています。退職金と年金で悠々自適に暮らせる時代はすでに終わりを迎えており、老後に生活費が足りず家計が破綻する「老後破綻」は、決して他人事ではなくなっています。老後破綻に陥ることなく、ゆとりある老後を送るにはどうすればよいのか。この記事では、老後にいくら生活費が必要なのか、老後に備えて今から何ができるのかについて解説していきます。老後の生活費は毎月どれくらい必要?「平成29年(2017年) 家計調査結果」(総務省統計局)持ち家率は94.2%世帯主が65歳以上・二人以上の世帯においては持ち家率が94.2%と高いため、統計上は住宅費が少なくなっていますが、賃貸に住み続けるという選択をする場合には、家賃分だけ生活費を多く見積っておくべきといえます。公的年金だけでは毎月5万円以上の赤字同調査による無職世帯の毎月の平均収入は209,198円(うち公的年金等の社会保障給付が191,880円)であり、直接税や社会保険料を差し引いた後に残る、自由に使えるお金(可処分所得)は180,958円となっています。月235,477円の生活費を差し引くと、毎月54,519円の赤字。つまり、毎月貯蓄を切り崩さなければ生活できない状況であり、十分な貯蓄がなければ家計はすぐに破綻してしまいます。現時点でこのような状況であり、将来年金が減ると予想される若い世代にとっては、自助努力による備えがより重要になってきます。ゆとりある老後に必要な生活費は月35万円上記の月24万円というのは、平均的な生活を送るために必要な最低限の生活費といえるものです。生命保険文化センターの調査(※1)によると、老後のゆとりある生活に必要と考える生活費は平均34.9万円。つまり最低限の生活費プラス10万円がゆとりある老後に必要な生活費の目安であり、年金以外に月15万円必要となる計算です。ゆとりある老後には65歳時点で総額3600万円の貯蓄が必要65歳で退職し85歳までの20年間、年金と貯蓄を切り崩しながら生活する想定では、最低でも約1300万円(=月5.4万円×12カ月×20年)、ゆとりある老後には約3600万円(=月15万円×12カ月×20年)の貯蓄が必要となります。ただし、これは現時点の物価水準、年金水準で、65歳以降運用を行わないと仮定した場合の数字。将来年金支給額が減れば、より多くの貯蓄が必要となります。一方、老後に貯蓄を運用しながら切り崩していけば必要な貯蓄額は少なくて済みます。なにをもってゆとりと考えるかは価値観の問題であり、あなた自身が老後をどのように過ごしたいのかによって、必要な生活費も変わってきます。必要な貯蓄額は、実際に受け取れる年金額や、持ち家・賃貸の別、希望する老後のライフスタイルなどを踏まえ、個別に考えるべきです。この3600万円という数字も平均値に基づいて計算した結果であり、あくまで参考として捉えてください。老後に備え、20代から各年代でどれくらい貯めていけばいい?『The Automatic Millionaire』(David Bach)この基準は、60代以降お金の心配なく暮らすために必要な貯蓄を行う目安であり、希望するライフスタイルよっても変わります。実際にはこの基準を目安としながら、目標額とそのほかの資金(教育資金、住宅資金)とのバランス、家計の状況などを踏まえて、無理のない範囲で積立額を決める必要があります。運用によって効率よく貯める効率的に老後の生活費を貯めるには、運用しながら積み立てていくことも重要なポイントです。老後資金の運用では、運用期間が長くとれるため、利益が利益を生む「複利効果」が大きくなり、運用リスクの軽減効果も期待できます。複利効果とは?複利効果:元本に利益を加えた合計を新たな元本として継続的に運用されることで、雪だるま式に利益が増えていく効果たとえば月5万円(年間60万円)ずつ30年間積み立てる場合の積立総額は1800万円。同じ月5万円の積立でも、年3%の複利運用ができれば、30年後には2855万円、年5%では2倍以上の3986万円まで増やすことができます。Guide to the Markets・1Q 2019(J.P. Morgan Asset Management)老後資金を貯める方法は7種類自助努力によって老後資金を貯める方法としては、以下のようものがあります。預貯金普通預金、定期預金などの形で銀行にお金を預け、利息を受け取りながらお金を貯めていく方法。安全性の高さ(1金融機関あたり元本1000万円とその利息まで(当座預金など決済用預金は全額)の元本保証)と、すぐに現金化できる流動性の高さが特徴。現在は低金利状態が続いており、運用効果はほとんど期待できません。財形貯蓄(会社員・公務員)毎月の給与やボーナスからの天引きで貯蓄を行う方法。財形貯蓄制度を導入している企業に勤める55歳未満の会社員が利用できる制度で、財形一般貯蓄、財形住宅貯蓄、財形年金貯蓄の3種類があります。このうち老後資金準備を目的としているのが「財形年金貯蓄」です。財形年金貯蓄は、5年以上の期間、定期的(年1回以上)に給与天引きで積み立てを行い、積立金を60歳以降年金形式で受け取るもので、財形住宅貯蓄と合算して元利合計550万円(保険型は払込保険料385万円)までの利子が非課税となるメリットがあります。小規模企業共済(自営業)退職金や企業年金などがない自営業者などが、自助努力で退職金を準備する方法。掛金は月1,000〜70,000円まで500円単位で設定でき、全額が小規模企業共済等掛金控除の対象となるため、節税効果の高い制度です。個人向け国債個人を対象に国が発行する債券(個人向け国債)を購入していく方法。個人向け国債は1万円単位で購入でき、国が元本と利息の支払いを保証するもっとも安全性の高い金融商品。年0.05%(税引前)の金利が最低保証されており、預貯金よりも安全性・収益性が優れています。半年ごとに適用利率が変わる「変動10年」、発行時に設定された利率が満期まで変わらない「固定5年」「固定3年」の3タイプがあります。貯蓄性保険「終身保険」や「養老保険」「個人年金保険」など貯蓄性のある保険を利用する方法。終身保険や養老保険は、保険の対象者(被保険者)が死亡したり、高度障害状態となったりした場合に備える保障がメインの商品。支払った保険料は一定額まで生命保険料控除の対象となり、税金面でのメリットもあります。ただし、保障部分にかかるコストや、他の金融商品に比べて割高な手数料に加え、低金利による運用効率の低下もあり、運用商品としての魅力は薄れています。「保障+運用」が目的であれば、「掛け捨て型の保険」と「投資信託などの投資商品」を別々に購入したほうがよいといえます。個人型確定拠出年金(iDeCo)個人型確定拠出年金(iDeCo)は、どの商品にどのくらい割合で投資するかを自分で決め、毎月の掛金を積立投資して老後資金を準備する方法。積立時、運用中、受取時において税金面で優遇されるメリットがあります。日本国内に住む20歳以上60歳未満の方であれば、月5,000円から1,000円単位で加入可能(掛金の上限は月額1.2〜6.8万円。職業(加入する公的年金の種類)や企業年金の有無などにより決まる)。老後の資産形成を目的とした制度であるため、掛金や運用益は原則60歳まで引き出せないことに注意が必要です。NISA(少額投資非課税制度)NISAは一定額まで購入した株式や投資信託の運用益が非課税となる制度。3タイプあるNISAのうち、老後資金準備には「(一般)NISA」「つみたてNISA」が利用できます。途中で払い出しできないといった制約もなく税制優遇が受けられる制度であり、株式や投資信託を利用して老後資金を準備するのであれば、ぜひ利用したい制度です。どうやって貯めるのがよい?老後まで時間のある20代〜40代の間は、ほとんど利益を生まない貯蓄商品(預貯金や財形貯蓄など)の利用は最低限にとどめ、ふやすことを意識して、つみたてNISAなどを活用しながら、株式や投資信託への長期積立投資を行うとよいでしょう。投資先としては、S&P500や全世界の株式に連動した運用成果が期待できるインデックスファンド(投資信託・ETF)などがおすすめです。50代以降は、それまで積み上げた資産を守ることを意識し、貯蓄商品や個人向け国債などの割合を徐々に増やしていくとよいでしょう。老後の生活費まとめ夫婦2人の老後には平均で月24万円、ゆとりある老後を送るには月35万円の生活費が必要になります。現在年金を受け取っている世代でさえ、年金だけでは生活費できない状況であり、今後年金が減ると予想される世代は、老後の生活費は自分たちで貯めるという意識をより強く持たなければなりません。長期運用ができる老後資金のメリットを活かし、なるべく早い時期から積立投資をはじめ、効率的に老後の生活費を貯めていくことが大切です。
2019年02月04日女性が熟年離婚する場合には、老後の資金が足りなくなることに不安を感じるはずです。老後の資金になるものと言えば、主に年金と退職金。年金には離婚時年金分割の制度が用意されていますが、退職金の分割制度はありません。ただし、退職金は財産分与により分けてもらえる可能性があります。ここでは、離婚時に夫の退職金を財産分与してもらう方法について説明します。退職金は金額も大きいですから、老後の資金として忘れずに確保しておきましょう。離婚時に退職金を分割してもらえるケースとは?婚姻期間中に夫婦で築いた財産は、離婚の際に財産分与の請求ができます。夫が勤務先から退職金をもらう場合には、退職金も財産分与の対象となり、妻も退職金を分割してもらう権利があります。会社員や公務員と離婚するなら退職金も分けられる会社員や公務員は、勤務先を退職するときに、退職金をもらえることが多いでしょう。退職金は、給料の後払い的性質を持つものです。婚姻期間中に夫が受け取った給料には妻の貢献も入っているため、夫婦が共同で築いた財産と考えられます。退職金は、給料の一部を貯金しているようなものです。婚姻期間中に夫婦でした貯金が財産分与の対象となるのと同様に、退職金についても、婚姻期間中に貯金したと考えられる部分は、財産分与の対象になります。将来受け取る退職金も離婚時の財産分与の対象離婚時に夫が既に退職金を受け取っている場合、残っていれば当然分けてもらうよう請求できます。また、離婚時にまだ退職金を受け取っていない場合でも、退職金を分割してもらえる可能性があります。将来の退職金を分割してもらえるのは、退職まであと少しで、退職金をもらえるのがほぼ確実と思われる場合になります。この場合、退職後に離婚すれば退職金を分割してもらえるのに、退職前に離婚すると分割してもらえないとなると不合理だからです。離婚時に20代や30代の場合には、今の会社に定年まで勤めるかどうかはきわめて不明確です。定年まで勤めたとしても、必ず退職金をもらえるという保証もありません。このような場合には、退職金を分けてもらうことはできないことになります。何歳以降の離婚なら退職金を分けてもらえるのかなどの明確な基準はありません。判例では、退職まで概ね10年以内であれば、将来の退職金の財産分与が認められるケースが多くなっています。将来の退職金を分与する場合の支払時期夫が将来受け取る退職金の財産分与について合意をした場合、離婚時にその金額を前もって払ってもらってもかまいません。しかし、実際に退職金を受け取っていないので、夫側は払えるだけの現金を持っていないことが多いでしょう。離婚時に払えない場合には、将来退職金を受け取った時期に支払う旨の合意をしておきます。なお、将来受け取るはずのお金を前もって払ってもらう場合、本来の受け取り時までに生じる利息を差し引きし、現在の価値に直すという処理をします。これが「中間利息控除」と呼ばれるものです。将来の退職金を離婚時に受け取る場合、中間利息控除を行うため、受取金額が少なくなります。離婚後も2年以内なら財産分与請求が可能離婚時に退職金の財産分与について決めなかった場合、離婚後に退職金の分与を請求することも可能です。ただし、財産分与請求には、離婚後2年以内という期限がありますから、注意しておきましょう。なお、離婚後2年以内というのは、家庭裁判所に財産分与の調停や審判を申し立てる期限です。離婚後2年以内に申し立てさえしておけば、調停・審判中に離婚後2年が経過しても問題ありません。離婚時に分割する退職金はどうやって計算する?財産分与の割合は、原則として夫婦で2分の1ずつです。しかし、退職金の分与割合は、必ずしも半分ずつとは限りません。退職金のうち財産分与できるのは、婚姻期間中の給料に相当する部分のみです。既に退職金を受け取っている場合の計算方法離婚時に既に退職金が支払われている場合には、退職金額が確定していますから、計算も比較的簡単です。具体的には、次のようになります。結婚した後でその会社に就職した場合退職金の全部が婚姻期間中に築いた財産ということになります。退職金の全額が財産分与の対象となり、妻は退職金の半分の請求が可能です。結婚する前からその会社に勤務していた場合退職金の全部ではなく、勤務期間のうち婚姻期間が占める割合分が財産分与の対象になります。たとえば、勤務期間が30年で婚姻期間が20年の場合には、退職金の3分の2が財産分与の対象となり、妻は退職金の3分の1の請求が可能です。将来の退職金を財産分与する場合の計算方法将来の退職金については、金額が確定していません。分与額の計算について明確なルールが定まっているわけではありませんが、一般には次の2つのどちらかの考え方にもとづき計算します。1. 離婚時に退職したと仮定して算出される退職金を基準にする離婚時点で自己都合退職したと仮定して、就業規則や退職金規程を参考に、退職金を計算します。仮に算出された退職金のうち、婚姻期間に相当する部分の2分の1を分与額とします。2. 定年退職時に受け取りが予想される退職金を基準にする定年退職まで勤務したと仮定して受け取る退職金額を試算します。算出された退職金のうち、婚姻期間に相当する部分の2分の1を分与額とします。離婚するまで共働きだった場合の退職金の計算方法共働きの場合でも、夫の退職金の分与を請求できます。一方で、自分の退職金も夫に分与しなければならない可能性があります。夫婦双方の退職金が財産分与の対象になる場合、財産分与の対象となる額を合計して2分の1ずつ分ける形で調整することになります。離婚までに別居期間がある場合の退職金の計算方法離婚の前から別居している場合、財産分与については、原則として別居時の財産を基準にします。退職金も、婚姻期間のうち別居時までの期間に相当する部分が財産分与の対象となります。離婚後に退職金を払ってもらえないときに差押えはできる?将来の退職金の財産分与について離婚時に合意をしても、手元に現金がなければ、実際に受け取ったときの支払いにせざるを得ません。約束した退職金を将来必ず払ってもらうためには、差押えなどの強制執行が可能な形にしておくのが理想です。退職金の財産分与で差押えを可能にするには、次のような方法があります。離婚調停で退職金について取り決めする離婚時に退職金の財産分与を行う場合、分与額の計算は複雑です。計算方法によって分与額も変わってくるため、話し合いで簡単に合意できないことも多いでしょう。離婚自体に合意しているけれど離婚条件で合意できない場合にも、家庭裁判所の離婚調停で解決することが可能です。離婚調停では、裁判官・調停委員のアドバイスにもとづき、退職金の分与方法を決めることができます。調停が成立すれば、裁判所で調停調書を作成してもらえます。この場合、約束どおり退職金を払ってもらえない場合には、調停調書にもとづき差押えが可能です。協議離婚する場合には公正証書を作成金銭の支払いに関する約束を公正証書にしておけば、公正証書にもとづき差押えが可能になります。離婚時には、退職金の支払いや他の合意事項について、離婚公正証書を作成しておきましょう。なお、差押えを可能にするためには、支払金額が確定していなければなりません。「退職金の2分の1の金額を支払う」というだけの取り決めでは、具体的な金額が特定できず、そのままでは差押えができないことになります。協議離婚する場合でも、将来の退職金の財産分与については、専門家に相談した上で取り決めするのがおすすめです。離婚時に退職金を分割してもらう方法:まとめ退職金は財産分与の対象になります。夫が定年退職するまで概ね10年以内で退職金をもらえるのがほぼ確実なら、夫が将来受け取る退職金を分けてもらうことも可能です。退職金は金額も大きいため、どう分けるかで争いになりがちです。話し合いで合意できない場合には、調停を利用する方法もあります。老後の資金として重要なものの1つですから、安易に妥協しないようにしましょう。
2019年01月21日「今年こそは老後資金を貯める!」そんなあなたは、去年も同じことを言っていませんでしたか?同じ轍を踏まないために、お金の賢人に秘訣を聞きました。【今年は銀行の見直し元年!キャッシュレス社会に備えよ】経済評論家・加谷珪一/目標貯蓄額:収入の15%(本気で資産形成を狙うなら25%)「電子決済アプリ『PayPay』が話題を呼びましたが、今年は国民的にキャッシュレス化がますます進むでしょう。政府は10月の消費税10%引き上げに伴い『電子マネーやクレジットカード決済時のポイント還元』を実施する方向で動いています。また各金融機関は維持費がATMの数を大幅に削減していっています。この流れは止まらないでしょうから、電子マネーを使えないと損する時代になっていきます」経済評論家の加谷珪一さん(49)はこう警鐘を鳴らす。電子マネーのメリットの一つは利用明細が家計簿代わりに使えること。「毎日電卓をたたいて手書きする煩わしさを考えれば、1円単位で正確かつ自動的に記録され、いつでもネット上で見られる電子マネーの明細は“最高の家計簿”です」(加谷さん・以下同)さらに「今後、取引する銀行を見直すべき」だという。「従来の銀行は小口の客を切り捨て、一定以上の貯蓄がある人を囲い込みたいと思っている。一定以上の預金がある客を優遇する制度を用意しているので、資産を分散させると損してしまいます。電子マネーを多用するつもりなら、ネット専業銀行という選択肢も」そんな加谷さんが貯蓄額の目標にすべきと考えるのは。「収入の2割が理想ですが、賃金が上がらない今の状況では長期間継続するのは難しい。継続可能な数字は15%でしょう。本気で資産形成したい場合は25%を目標数値にすべきだと思います」
2019年01月21日「今年こそは老後資金を貯める!」そんなあなたは、去年も同じことを言っていませんでしたか?同じ轍を踏まないために、お金の賢人に秘訣を聞きました。【目標は夫婦で月13万円生活!老後に備え生活のダウンサイジングを!】経済アナリスト・森永卓郎/目標貯蓄額:生活費の3年分を目指す!「貯蓄目標は3年分の生活費です。年間100万円で生活できる夫婦の場合、300万円あれば、日々の不安を抱かずに生活できます」そう語るのは、経済アナリストの森永卓郎さん(61)。これだけの貯蓄を成功させるには、生活のダウンサイジングが必須。老後のためにもなる。「日本人女性の約20%が100歳まで生きる時代。一生分の貯蓄は事実上無理といえます。さらにこうした長寿社会となれば、将来的にもらえる年金総額は、今の60%ほどに減らされると考えています。モデル世帯夫婦の現在の年金額は月約23万円なので、13万円、14万円といったところ。貯蓄も大事ですが、少ない年金でも暮らせる術を身につける必要があるのです」(森永さん・以下同)だが、生活レベルを急に下げるのは難しい。フットワークの軽い今から準備する必要がある。「私がおすすめするのは“とかいなか”に住むことです。都心部から30~50キロメートルほどの、都会と田舎の中間地。家賃も都心に比べて半分から3分の1で済むケースも」郊外に行けば、スーパー物価も「劇的に下がる」という。「スーパーの買い物は、割引がある時間帯を狙えば、節約になります。食材から献立を考えましょう」また、月々の負担が大きい、スマホ通信費も見直そう。「月々3,000~4,000円かかっている人が平均的だと思いますが、私は格安スマホに乗り換えて1カ月1,250円です。大手通信会社に比べても、不便は全くありません」森永さんが提唱する引っ越しや、通信会社の乗り換えは、一度行えば恒久的に続く。「それだけで、あっという間に固定費が3分の1~4分の1も削減できるんです!」
2019年01月20日「今年こそは老後資金を貯める!」そんなあなたは、去年も同じことを言っていませんでしたか?同じ轍を踏まないために、お金の賢人に秘訣を聞きました。【保険とは損な賭け!徹底削減で貯金にお金を回そう】経済評論家・山崎元/目標貯蓄額:サラリーマン家庭は収入の2割、フリーランスは収入の3割「日本人は一般的に保険に入りすぎです。保険は必ず保険会社が儲かるように設計されている“決して勝てない賭け”なのです。ぜひ、今年こそ、見直しをしましょう」経済評論家の山崎元さん(60)はそうアドバイスする。毎月の保険料支払いに追われている“保険貧乏”に陥っている人は多いという。「最小限の保障内容で、最短の期間、最安値の保険料が基本です。たとえば経済的に余裕がない夫婦が生命保険に入る場合、なるべく特約はつけず、働き手の死亡保障のみで、子どもが成人するまでの期間、掛金の安いネット生命や共済にすることをすすめます」(山崎さん・以下同)すでに保険に加入している場合は、3つの方法がある。「不要な保険契約自体をやめる『解約』。主な契約を残して不要な特約を外す『部分解約』、そして保険の払い込みをやめて、これまでの払った金額の範囲内に保険内容を縮小させる『払い済み』です。どれかを行いましょう。いずれにせよ、街角の保険ショップの多くは、保険会社と契約して報酬を得ています。彼らのいう“保険のご提案”は中立の立場のものではないかもしれないので、注意することです」保険のスリム化で浮いた資金は、貯蓄や投資に回すのが正解だ。「形成した資金は将来さまざまな用途に使えますし、保険会社に手数料を取られることもありません。貯蓄の目安は、厚生年金に加入しているサラリーマン家庭は、手取りの2割、厚生年金に加入していない自営業、フリーランスは手取りの3割を目標にしましょう。そして、できれば一部を投資に回して、自分の老後の資金を増やしていきましょう」
2019年01月19日「今年こそは老後資金を貯める!」そんなあなたは、去年も同じことを言っていませんでしたか?同じ轍を踏まないために、お金の賢人に秘訣を聞きました。【「収入-支出=貯蓄」ではなく、「収入-貯蓄=支出」です!】ファイナンシャルプランナー・藤川太/目標貯蓄額:収入の1割から徐々に増やす「なんとなく貯蓄、とりあえず100万円という考えでも、貯められる人はいます。でも、節約生活という暗いトンネルの中で挫折することが多いのではないでしょうか。お金は、使うことも大事だということを忘れてはいけません」家計の見直し相談センター代表の藤川太さん(50)はこう話す。まず、何のために貯蓄するのか、自分自身のライフプランを掲げることが重要だという。「たとえば海外旅行に行きたい、子どもを私立大学に通わせたいなど、より明確で実現可能な目標を定めましょう。モチベーションが上がります」(藤川さん・以下同)目標を立てたら、収入の1割から貯蓄を始めよう。その際、大事なのは、余ったお金で貯蓄するという考えを捨てることだ。「お金は“貯まる”ではなく“貯める”もの。『収入-支出=貯蓄』ではなく、『収入-貯蓄=支出』。まず貯蓄するお金を分け、残ったお金で生活することが大事です。こうした生活を続けるうちに、家計の管理能力は上がっていきますので、2割、3割と可能な範囲で、毎月の貯蓄額を上げていきましょう」支出の調整では、お小遣いを減らしたり、食費を切り詰めるのは、最後の手段だ。「専業主婦の場合、夫に気持ちよく稼いでもらうためにも、お小遣いは現状維持が基本です。こうした日々の財布の中身をやりくりするより、住宅ローンや保険、通信費などを見直したり、電気やガスのセット割引を利用するほうが、ずっと節約効果が高くなります」年初は、新たな目標を立てるには、いい時期だ。「特に50代は、子どもが独立した段階から、人生最後の“貯めどき期間”に入ります。老後にやりたいこと、夢を家族で語り、明るい気持ちで貯蓄生活を送りましょう」
2019年01月18日「今年こそは老後資金を貯める!」そんなあなたは、去年も同じことを言っていませんでしたか?同じ轍を踏まないために、お金の賢人に秘訣を聞きました。【「家計財布」と「浪費財布」2つ持ちで家計管理を】家計再生コンサルタント・横山光昭/目標貯蓄額:収入の約17%(理想は2割だが、きついので……)家計再生コンサルタントの横山光昭さん(47)は、2つの財布を使い分けている。「まずは『家計財布』。食費や日用品などに使う、普段使いの財布です。週に1回、定額の生活費を入れます。わが家は毎週月曜日に2万円。同じ金額を同じ曜日に入れれば、残りの日数のやりくりを把握できます。よく使うスーパーのポイントカードも入れています」(横山さん・以下同)さらに、予備費2万円と保険証などを仕切りなどで分けてしまう。「医療費などの急で臨時の支払いに対応できます」もう1つが「浪費財布」だ。「家計を一生懸命切り詰めていると、節約疲れになってしまいます。時には今まで我慢したものを買ったり、あえて浪費するなど、“プチ贅沢”も必要。そのためのお金を貯める節約財布を作りましょう」浪費財布には余った生活費の一部を入れる。大切なのは家計財布から直接“浪費”とわかっている支出は出さないこと。逆に家計財布のお金で生活し、浪費財布から生活費を出さないこと。この2つの財布を、子どもも含めて家族全員で管理する。「妻が1人で節約を頑張っている家庭が多いですが、2つの財布を家族で管理することをきっかけに、一人ひとりが協力して、家計に関わることができます」財布に入れる予算は、月の平均貯蓄額をもとに、算出してみよう。「貯蓄目標は収入の20%といわれますが、それだと少しきつい人も。長く続けるためにも、少し甘くした17%くらいがベストでしょう」
2019年01月18日「今年こそは老後資金を貯める!」そんなあなたは、去年も同じことを言っていませんでしたか?同じ轍を踏まないために、お金の賢人に秘訣を聞きました。【なぜその価格なの?“考えながらお買い物”でお金持ちの道を歩もう】投資家・村上世彰/目標貯蓄額:収入の2割「お金は寂しがり屋。ポツンと1人でいるのが嫌いで、仲間のいるところに行きたがります。そして仲間が集まると、一気に増える。そんな“習性”のあるお金と上手に付き合うには、まず“数字に強くなる”ことが重要です」『いま君に伝えたいお金の話』(幻冬舎)の著者でもある投資家の村上世彰さん(59)はそう語る。「たとえば、鍋料理に欠かせない白菜。毎年価格は変わりますが、豊作の年はよく育っておいしいけど、たくさんとれるから価格が安い。価格が高い場合は、その逆です。白菜に限らず、あらゆるモノには、価格の理由がある。値札だけで安い、高いと一喜一憂するのではなく、その理由は“なぜ”と読み解いてみましょう」(村上さん・以下同)このように考えるクセがつくと、自然とお買い得商品が見えてきて、逆に価格に見合わないものは買わなくなるという。「じつは、今でも世の中は“物々交換”です。払った分に見合う価値を得られるのか、支払う金額は何時間分の労働にあたるのか、それでも欲しいものなのか……。正しい判断で買い物ができれば、自然と無駄遣いが減って、お金が貯まるようになります」お金と仲よくできれば、まとまった資金もできるのだ。「何か予想もしない出来事が起きたときは、一定の貯蓄が助けてくれます。目安としては、収入の2割を貯蓄に回せるような暮らし方がいいと思います」ただし「目的をもってお金を貯めるのはいいけれど、目標なく貯め込むのはよくない」というように、一定の現金貯蓄ができたら、余剰資金は投資信託などに回して“増やす”ことをすすめる。「お金は社会にとって、人間でいうと血液のような役割があります。循環しなければ、健康を保つことができないように、投資したお金は、社会の中で循環し、好景気を生み出します。社会に貢献しながら、十数年先、大きな資産になって戻ってくることが期待できるのです」“貯める”と“増やす”の両輪で、お金と付き合おう。
2019年01月17日「今年こそは老後資金を貯める!」そんなあなたは、去年も同じことを言っていませんでしたか?同じ轍を踏まないために、お金の賢人に秘訣を聞きました。【まずはレシート収集で収入の“見える化”を!】ファイナンシャルプランナー・風呂内亜矢/目標貯蓄額:収入の2割(子どもが大学時代は収入の5%でも可)「家計簿をつけてもすぐに挫折する人は、クリアファイルなどにレシートを保存してみましょう。たったそれだけで、支出が“見える”ようになり、節約の足がかりができます」ファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢さん(40)が、ズボラな人のための貯蓄術を提唱してくれた。「長いレシートや、分厚いレシートの束を物理的に見ることで、自分がどれだけお金を使っているのか、わかるようになります。項目ごとに箱やファイルで分類できれば、さらにわかりやすいです」(風呂内さん・以下同)第2ステップは、1週間分のレシートの分析だ。「買い物の思考回路が見えやすいのは、不満足な買い物、偏ったお店のレシートです。惰性でコンビニに入って、なんとなく買ってしまったスイーツ、本当は断りたかったのに、付き合いで参加したランチ会なども、見えてくる。私の場合、特に悔しいのは、行きたくない飲み会で終電を逃したタクシー代のレシートですね(笑)」お気に入りのカフェや、好きなブランドショップのレシートがたくさんある人は……。「我慢ばかりでは、限界があります。そのお店のポイントを貯めたり、クーポンを利用する工夫も必要になります」無駄遣いを減らすことは、貯蓄のヒントになるはずだ。「目標は、子どもが保育園や大学などで教育費がかかる場合は、給料の手取りの5%、それ以外の期間は、20%。無理な場合は、定額で5,000円などでもいいです」まずは貯蓄用口座を作って、増える楽しみを実感することから始めよう。
2019年01月17日「へそくり」と聞くと、本に挟んでおく、タンス預金など、ちょっとお金を隠しておくというイメージがありますよね。しかし、シニア層のへそくり事情は、どうもイメージと違うようなんです。自分の欲しいものを買ったり、美味しいもの食べたりと、自分の楽しみに使うというよりは、もっとリアルな考えで貯めているみたいです。今回は、そんなシニア夫婦のへそくりについてのお話です。■ 平均額は436万円!シニア層の半数以上が「へそくり」アリ「株式会社ハルメク」は、60~79歳の婚姻関係のあるシニア男女437名を対象に「夫婦関係とへそくり」に関するアンケート調査を実施しました。まずは、シニア層のへそくり事情を見ていきましょう。なんと、シニアの半数以上である53.5%が「へそくりを貯めている」と回答しています。佐竹 美幸 / PIXTA(ピクスタ)そして驚きなのはその額。平均へそくり額は436万円。茶封筒にそれほど多くはない額のお金をこっそり隠しておく、という筆者のイメージとは別物でした。shu / PIXTA(ピクスタ)実は30代男性の大卒・中小企業勤務者の平均年収に相当するかなりの金額を貯めているようなんです。”へそくり”とは、パートナーに明かさない内緒にしているお金の存在として解釈すると、これだけの額を貯めているシニア層はかなりのやりくり上手といった印象を受けます。■ 男性は平均330万円、女性は514万円!「へそくり」の額は女性の方が圧倒的に多い次に、男女のへそくり額を比較してみましょう。男性は平均330万円、女性は514万円であり、女性は男性の1.6倍もへそくりを貯めているようなんです。Deja-vu / PIXTA(ピクスタ)ドラマなどでも、へそくりでブランドバッグを購入……など妻がよくやっているイメージもあり、やはり女性はへそくりを貯めるのが上手!と筆者は感じてしまいました。th1215 / PIXTA(ピクスタ)しかしシニア女性がへそくりを貯めるのは、”配偶者の財産管理に対する不信・不安”、そして”男性より長生きするリスクへの備え”などシビアでもっとリアリティのある理由があるようなんです。確かに、女性の方が平均寿命が長く、”残されるのは私”という思いが強い妻たち。xiangtao / PIXTA(ピクスタ)”へそくり=いざというときの安心材料”としての要素が強いことが分かりました。■ 不仲夫婦ほど「へそくり」の額は多い半数以上がへそくりがあり、その額は女性ほど多く、そして自分が生きていく上で困らないようにするためのお金としての性格を持つシニア夫婦のへそくり事情。なんと、このシニア夫婦のへそくり、不仲であるほどその額が多いようなんです。夫婦仲とへそくり額の傾向をグラフで見てみると、不仲夫婦の「妻」は平均で898万円もの「へそくり」を貯めている驚きの結果が明らかとなりました。仲良し夫婦の妻と比べると、その差は400万円。プラナ / PIXTA(ピクスタ)不仲夫婦の夫が「妻は一人では生活できない、離婚をいってこないだろう」と危機感が薄い一方、「妻」は「親としての責任は終わった……夫はなにもできない」など着実に「へそくり」を貯め、離婚などもしもの時に備えているようです。シニア夫婦の不仲、その延長にあるのは”熟年離婚”……。ちょっと心配してしまいましたが、回答者の意見を見てみると一度は離婚を考えても、実際は「離婚しない」人が大多数。何十年も生活を共にし、家族のいい時も悪い時も一緒に乗り切ってきた夫婦。もしもの時のへそくりはあっても、離婚という決断をされる人は少数派のよう。Rina / PIXTA(ピクスタ)へそくりと聞くと「隠し事!?」と思ってしまいますが、”備え”の要素が強いシニア夫婦のへそくり。自分が将来なるのであれば、”へそくりを貯める仲良し夫婦”でありたい、と思われた方も多いのでは?普段から良好なコミュニケーションを心がけること、相手のお金の遣い方に不安があれば改善策を一緒に考えることなど普段から風通しのいい夫婦関係を築くことが重要であると感じます。【参考】※【調査リリース】60代・70代のシニア男女に聞いた「夫婦関係とへそくり」に関する調査/不仲夫婦の方が「へそくり」額が多い結果に
2018年10月30日前回、ごく普通の家庭が「知らぬ間に陥りがちな2つの落とし穴」についてファイナンシャルプランナーの竹下さくらさんに教えていただきました。【「教育費どうしようかな?」と思ったら】 第1話 “情報格差”で、子どもの進路に影響が出る!? 第2話 普通の進路でも、老後破産する!? その落とし穴とは 第3話 児童手当が大学資金に! “いつの間にか貯まる”教育資金ワザ 第4話 「もらえる」教育費がトレンド! 充実の教育支援制度を活用するには -->落とし穴に落ちないためには、教育資金は、あらかじめ資金計画を立て、長い時間をかけてコツコツと計画的に準備する必要があります。今回は、具体的な教育資金づくりについてお話しを伺います。■児童手当が大学資金となる「教育資金づくりで大切なことは、子供が小さいころからコツコツと積み立てることです」(竹下さん)。そのための軍資金として心強いのが「児童手当」です。児童手当から受け取れる額は、次の表のとおりで、0歳から15歳までの総額は、198万円(※)にもなります。まさに、「ちりも積もれば山となる」ですね!大学進学に合わせて備えておきたい額は、国公立・自宅通いケースの学費総額をもとに200~300万円が一つの目安と言われていますが、児童手当を積み立てるだけで、この最低ラインは賄える計算となります。※児童手当の0~15歳までの総額198万円=15,000円×12ヶ月×3年+1万円×12ヶ月×12年:第1子、第2子の場合の例。一人あたり。▼児童手当の対象年齢と支給額■児童手当は、さかのぼってはもらえない!児童手当で覚えておいて欲しい注意点は、「申請が遅くなった際、その分をさかのぼってはもらえない」ということです。子どもが生まれた場合は、出生届が受理されて初めて、児童手当の申請を市区町村の役所が受理する流れになっています。ですから妊娠中に必要な書類などを役所の窓口やホームページなどで確認し、出産後は速やかに申請することが大切です。出産直後のママが動くことが厳しい場合も多いので、申請手続きの流れをパパと一緒に、シミュレーションしておくと良いですね。 ■「学資保険」はなぜおすすめなのか教育資金づくりの「はじめの一歩」は、児童手当を軍資金に、家計とは切り分けて積立てを始めることです。その手段として、おすすめしたいのが「学資保険(子ども保険)」です。「マイナス金利の影響もあり、最近お得度が下がり気味ではありますが、根強い人気が続いています。理由はおもに3つあります」(竹下さん)。▼学資保険の魅力3つ魅力その1確実に教育資金を準備できる安心感がある学資保険は、親の死亡時には以後の保険料支払いが免除になった上で満期金がうけとれる“保険ならでは”のしくみがあるプランが人気です魅力その2税制優遇がある満期などで受け取るお金は一時所得扱いになるので、増えて得した額が50万円を超えなければ実質的に非課税です。預貯金で積立した場合、得した額の約20%は税金として源泉徴収されます魅力その3子供のお金として色づけができる家計が苦しくなったり、住宅ローン返済が滞りそうになった時でも、学資保険は「取り崩しにくい心理が働く」と言われています出典: 「教育費をどうしようかな」と思ったときにまず読む本 より一部抜粋筆者としては、学資保険は保険商品ならではの「強制力」が大きな魅力だと感じています。有無を言わさず(←ここ、とても大事です)、自動的に指定口座から保険料が振り替えられているので、最初から「そのお金が無いこと」で生活する習慣がつきます。ですから、「いつの間にか貯まっている感」があるのです。■学資保険を選びときにチェックすることどの学資保険を選ぶか? というときに最初にチェックしたいのは、「返礼率」です。返礼率とは、支払った保険料に対して、受け取れる保険金の割合を示す率。たとえば、返礼率105%だったら、保険料を100万円支払えば、合計で105万円受け取れるということになります。ちなみに、これだけおすすめしておきながら、筆者の学資保険デビューは、長男を出産した1年後(汗)。初めての出産後、慣れない育児で手一杯になってしまい、教育費のことまで頭が回りませんでした。いまは、妊娠中から入ることができる学資保険も増えているので、プレママ時代に、学資保険のリサーチ&契約しておくのもアリだと思います。学資保険の注意点としては、途中で解約すると、ほぼ間違いなく損をする点。その時点の解約返戻金(解約することで戻ってくるお金)は、それまで支払った保険料より少なくなるのが通常です。確実に満期まで続けられるよう家計に無理のない保険料での利用が無難です。■「低解約返戻金型終身保険」vs「学資保険」最近は、保険ショップで「学資保保険に入りたいのですけれど」と相談すると、低解約返戻金型終身保険をすすめられることが多くなっています。低解約返戻金型終身保険とは、一生涯を保障する生命保険である「終身保険」の一種です。この終身保険を、適当な時期に解約して、解約返戻金を教育資金にあてるという使い方をします。この保険について、メリットとデメリットを整理しておきましょう。▼「低解約返戻金型終身保険」のメリット①教育資金として現金化できるタイミングを選べる「学資保険」が満期日(18歳の誕生日など)まで現金化できないのに対して、この保険であれば、保険料払込期間を経過していれば、いつ解約しても、ほぼ損をしません。たとえば、AO入試や推薦入試で合格すると、高校3年生の秋には入学金を支払う必要があり、お金の工面に困ることも考えられます。②親にもしものことがあった場合の死亡保障が大きい「親の死亡保障確保の点から言えば、同じ保険料の学資保険に入るよりも、死亡保障額が大きいので、費用対効果が高いです」(竹下さん)▼「低解約返戻金型終身保険」のデメリット保険料払込期間中に解約するとペナルティが大きい保険料払込期間とは、保険契約者が保険料を支払う義務がある期間で、保険契約を結ぶ時の条件として定められています。最初に取り決めをするので、あとから保険を見直すとペナルティが大きく、少ししか解約返戻金を受け取ることができません。「低解約返戻金型終身保険の利用は、家計に無理のない保険料水準が大前提で、しくみをしっかり理解できる保険中級者なら、視野にいれて検討するのも一策です」(竹下さん)■今回のお話を伺った竹下さくらさんのご著書 『「教育費をどうしようかな」と思ったときにまず読む本』 竹下さくら著/日本経済新聞出版社 ¥1,500(税別)竹下さくらさんファイナンシャル・プランナー(CFP)。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。慶応義塾大学商学部にて保険学を専攻。卒業後、損害保険会社・生命保険会社の本店業務部門等を経て、1998年よりFPとして独立、現在に至る。主に個人向けのコンサルティングに従事し、講師・執筆活動なども行っている。
2018年09月28日「教育資金について、『情報格差』を感じます」とおっしゃるのは、教育資金の相談を数多く手掛けてきたファイナンシャルプランナーの竹下さくらさん。いまの時代、教育資金作りに必要なことのひとつとして、「情報力」があげられます。必要な情報を集め、「わが家のライフプラン」にそれを落とし込んでいく力が、情報力です。そのために、ママたちが本当に知っておくべき、教育資金づくりの「勘どころ」について教えていただきました。【「教育費どうしようかな?」と思ったら】 第1話 “情報格差”で、子どもの進路に影響が出る!? 第2話 普通の進路でも、老後破産する!? その落とし穴とは 第3話 児童手当が大学資金に! “いつの間にか貯まる”教育資金ワザ 第4話 「もらえる」教育費がトレンド! 充実の教育支援制度を活用するには -->■普通の家庭で普通の進路でも、老後破産する!?少し唐突ですが、「人生の三大資金」と呼ばれているお金について、ご存じでしょうか?答えは、「住居費」「教育費」「老後資金」です。毎日、子育てに追われているママたちにとって、「老後」なんて、はるか遠い話ですよね…。ただ、「年金がもらえない」「老後破綻」といった言葉は、何となく気にはなっているのではないでしょうか? 前回にも書いたとおり、「教育費」と「老後資金」は、綱引き関係にあります。たとえば、年収500万円のご家庭で、子供二人が平均的な進路を歩んだ場合を竹下さんに試算をしていただきました。結論からお伝えすると、次の設定条件では、83歳で貯蓄が枯渇してしまいました…。そう、老後破綻です。「一般的な家庭」で、「二人の子」が「平均な進路」を歩んだ場合でも、2つの落とし穴があるということ。「落とし穴」とは、何年も続いて赤字となってしまう期間をいいます。1つめは教育費のピーク時(夫50歳~56歳:「貯蓄残高の推移」図のAの部分)、そしてもう1つは60歳以降の期間です。Aの部分は教育費のピークが終わり退職金で補填されることで乗り切れますが、60歳以降は、貯蓄を切り崩すしか術がないので、Bの部分(「貯蓄残高の推移」図)である83歳で資金が枯渇してしまうのです。▼夫婦二人+子供二人のキャッシュフロー例<資産の前提条件>家族プロフィール:夫(30歳、会社員)、妻(27歳、専業主婦)年収:夫500万円~、年間の生活費:360万円、住まい:賃貸、現在の金融資産残高:200万円子ども1人目:私立幼稚園→公立小・中・高校→国立大学(自宅外)子ども2人目:私立幼稚園→公立小・中→私立高校→私立大学(文系・自宅)■老後破産しない教育資金の立て方とは竹下さんは言います。「金融庁のデータによれば、多重債務の一番の原因は、『生活費・教育費等』の不足です」。前述の「二つの落とし穴」に落ちてしまわないよう、教育費で大切なことは、「資金計画」をきちんと立てることです。大切なことなので、もう一度、書きますね。老後破綻にならないために大切なことは、教育費資金のかけすぎで、「二つの落とし穴」に落ちてしまわないよう、あらかじめ資金計画を立てておくことです。教育資金や老後資金は、巨額なお金。日常の生活費とは「金額」「スパン」が違いすぎて、つい「何となくなるだろう」と思考停止してしまいます。でも、本来は、きちんとしたライフプランニングが必要な種類のお金です。ライフプランニングとは、金銭面からの生活設計を考えてみること。筆者が「ライフプランニング」という言葉を最初に聞いたのは、いまから20年前、20代の後半の頃でした。そのときは、「人生なんて思うどおりにならないよね? そんなことをして、意味があるの?」と感じました。「計画どおりの人生なんて、つまんない!」とすら思っていた、当時の自分がまぶしい(笑)。あれから20年。子どもが生まれ、その子たちが中高生ともなれば、教育費はイヤでもかかってきます。そんな現実を生きている今、ライフプランニングの大切さを骨の髄まで感じているのも事実です。■教育費の総額はいくら?では、教育資金のライフプランニングをするための第1歩は、何なのでしょうか? それは、「どんなコースを歩むと、それくらいお金がどれくらいかかるのか?」ということをザックリと知っておくことです。次に、教育費の「コース別概算」を一覧表にしてみました。各ルートの教育費の中身については、今回の参考文献とさせていただいた竹下さんの著作に詳細があります。平均データを把握したら、「わが家の場合は、ここをもう少し多めにした方が良いな」など調整をしながら、より現実的な金額へと絞りこんでいきます。こういったことを、家庭運営のできるだけ早い時期に考えてみることが、「ライフプランニングをすること」なのです。▼教育費の総額(概算)■「学費」と「受験にかかる費用」が「教育資金」の2本柱教育資金のプランニングには、「学費」と並ぶ大きな柱として、「受験にかかる費用」があります。つまり、塾代、予備校代です。ウーマンエキサイトの読者世代の場合、「小学校受験」にかかる費用や、「中学校受験」の塾代の目安が気になるところですよね。▼小学校受験にかかる費用▼中学受験の塾代■中学受験塾に通い始めたら、私立中高を覚悟する中学受験のための塾代は、3年間の総額で200万円は超えると言われています。ちなみに、ファイナンシャル・プランニング的には、私立中学校・高校の学費水準について、「6年生の塾代を無理なく払えるご家庭なら、中高6年間の『学費』についてはクリアできそう」(竹下さん)という判断があります。 逆に、4年生から「なんとなく塾通いを始めた」ものの、5年生、6年生に上がるにつれて家計がキツキツというご家庭の場合、収入アップの手立て(専業主婦家庭であれば妻がパートにでるなど)は早めに検討することをおすすめします。なお、中学受験の勉強をスタートした頃は、「希望の中学校に受からなかったら公立へ」と考えているご家庭は多いものです。けれども、5年生、6年生、そして中学受験と、さまざまな「試練」を体験したことで、「ここまでがんばったのだから」と、すべり止めの私立中学校へ進学するご家庭も多いと思います。塾からの子どもへの刷り込みもあるので、「全部落ちた場合でなければ、公立には進学しない」くらいに思っておいた方が、現実に即していると筆者は感じます。竹下さんも、「いったん中学受験の塾に通ったら、中学校・高校の6年間は私立の学費で見積もっておいたほうが無難です」とのことでした。次回は、いよいよ教育資金づくりの具体的な方法についてお話しを伺います。■今回のお話を伺った竹下さくらさんのご著書 『「教育費をどうしようかな」と思ったときにまず読む本』 竹下さくら著/日本経済新聞出版社 ¥1,500(税別)竹下さくらさんファイナンシャル・プランナー(CFP)。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。慶応義塾大学商学部にて保険学を専攻。卒業後、損害保険会社・生命保険会社の本店業務部門等を経て、1998年よりFPとして独立、現在に至る。主に個人向けのコンサルティングに従事し、講師・執筆活動なども行っている。
2018年09月27日「教育資金は、まさに『聖域』。家計がどれだけ苦しくてもほかの支出を見直し、最優先で教育資金だけは死守するご家庭を、これまでたくさん見てきました」と言うのは、ファイナンシャルプランナーの竹下さくらさんです。竹下さんの事務所には、教育資金に関する相談がじわり、じわりと増加しているそう。お話しを聞いてきました。ファイナンシャルプランナー 竹下さくらさん自らの生活者としての経験を踏まえた、家計の運営や、教育資金設計のご相談のほか、講演、執筆活動などを行っている。■「教育資金」で夫婦ゲンカとなるケースが多い竹下さんは、言います。「教育費の話が発端で、大きなケンカになってしまうご夫婦、じつは多いんです。そのときの心の傷は、子育てが終わったあとの夫婦関係にまで、影響を及ぼしてしまう…。それが、現実です」。筆者の周りを見渡してみても、多くの夫婦ゲンカの要因は、「子どものこと」と「お金のこと」、そして「お互いの実家のこと」が多いのでは? と感じています。「教育資金」の問題は、これがミックスされた話なので、「そりゃ、夫婦関係の『綻び』になるよなぁ」と、妙に納得してしまいます。■教育費と老後資金は「綱引き」の関係一方で、子どもの教育にお金をかけすぎて老後資金が枯渇するケースも、じつは少なくないそうです。「実際に、『老後のやりくりが大変』というご家庭の相談を受けていると、いまのお金がない状況を招いた原因として、教育費をかけすぎたことをあげる方が少なくありません」(竹下さん)。会社員の場合、生涯年収は有限です。その「限りがあるお金」の中で、教育費と老後資金は、常に「綱引きの関係」にあります。遠い将来、お金で揉めない夫婦になるためには、「教育費のかけすぎ」にも注意しなければいけないんです。▼「教育費」と「老後資金」は“綱引き”関係こんな現状のいま、教育資金について、ママたちが「本当に知っておくべきこと」を、この連載では考えてみたいと思います。「教育資金に関して、『情報格差』を感じます」(竹下さん)。まずは、そんな「情報格差」の例を3つほど、教えてもらいましょう。■情報格差1、ママ友からの情報は正しいのか?一点目は、ママ友からの情報で焦る妻が増えているそうです。「『この地域、中学受験をする人が多いの』と妻が夫に相談しても、夫は考えすぎだと聞き流すばかりで、妻の『不安な気持ち』を受け止めて一緒に考えてくれる夫は少数派という実感があります」(竹下さん)。「中学受験をするかどうか?」。ママとしては、たしかに無関心ではいられない問題ですよね。でも、周りの「ママ友情報」だけに振り回されるのは、あまりおすすめできません。なぜなら、子どもの進路については、基本的に後戻りができないからです。あたり前のことながら、私立中学に合格すれば、その後6年間、「私立の学費」を払い続けなければなりません。「志望校名 + 学費」で検索してみると、学費に関する情報は、わりと簡単に出てきます。「その金額を、家計から6年間、きちんと支払い続けていけるのか?」を、まずはイメージしてみましょう。また、ママ友情報だけでなく、夫の職場の同僚、実際に進学希望の学校に通わせている人などにも話を聞き、幅広い範囲での情報を仕入れることも大切です。そういった情報を得つつ、夫婦でもしっかり「わが家の方針」を話し合い、中学受験にトライするかどうかの最終決定をしましょう。■夫婦の「子供の進路イメージのすり合わせ」は大変!この時点で、「子供の進路イメージ」が夫婦でまったく異なっていることに気がつく方も多いようです。竹下さんも、こんなふうにおっしゃいます。「教育資金の相談を受けていて頭を悩ますことが多いのは、夫婦で『子供の進路イメージ』がかけ離れている場合が多いという事実です」。じつは筆者自身、長男を中学受験させるかどうかで、夫と相当、揉めました。長男が小学校の2年生の秋、「中学受験させるかどうか?」を初めて話し合った日のことは、いまでも鮮明に覚えています。中高一貫校に通っていた夫は、「中学受験をして、俺の母校に行って欲しい」の一点張り。高校まで地方(京都)の公立育ちの私は、「中学受験!? 何のために必要なの?」。あのときの、「私、こんな人と結婚していたんだ」という驚きは、まさに青天の霹靂レベルでした。この話は語り出すと長くなるので割愛しますが、「夫婦で『子供の進路イメージのすり合わせ』をするのは、とても大変なこと」だと、自分自身の実感を込めて思います。でも、あの時点で、夫婦で何度も何度も、ときにはケンカになりながらも話し合いをしたので、長く厳しい(結果的に息子3人とも私立の中高一貫校に通っています)「教育費戦線」を、夫と「同志」として過ごすことができています。■情報格差2、低所得世帯は進学をあきらめざるをえない?「シングルマザー・シングルファザー、低所得世帯の場合、教育資金については充実したさまざまな施策があるのですが、そのことを知らず、『人並みの教育を受けさせてやれない』と嘆いている世帯が多いようです」(竹下さん)仕事も子育てもすべて一人で抱えていたり、生活や心身ともに余裕がないせいか、必要な情報をうまくキャッチできていない人が多いのかもしれませんね。本連載の後半では、公的助成・奨学金などについても整理しますので、それをキッカケにして情報のアンテナを今より少し立ててみてはいかがでしょうか?■情報格差3、親の時代の常識は、いまの時代に通じるのか?たとえば、「大学はとにかく国公立。授業料が私立の半額ですむから」という常識は遠い過去の話です。いまの国立の授業料は私立の3分の2程度。国公立にこだわって下宿になるより、自宅から私立に通うほうが総額は安くすみます。また、「給付型奨学金」や「授業料免除」が充実している私立大学の数が、本当に多くなってきました。ですから、こういった制度を利用して私立大学に通う方が、国公立に進学するよりも割安になる場合もあります。今回、竹下さんのところに取材に伺って、筆者が一番驚いたことは、この「私立大学の給付型奨学金」の充実ぶり。ただ、こういった奨学金は、「高校3年生の秋に予約が必要」など、さまざまな要件を満たさなければなりません。これらは、情報がアップデートされている分野なので、まさに「情報力」が必要ですね。「情報を知っているか否か?」。それが、「子どもの進路の幅の差」になる時代になってきているのです。次回は、教育資金。知らぬ間に陥りがちな2つの『落とし穴』についてお話しを伺います。■今回のお話を伺った竹下さくらさんのご著書 『「教育費をどうしようかな」と思ったときにまず読む本』 竹下さくら著/日本経済新聞出版社 ¥1,500(税別)竹下さくらさんファイナンシャル・プランナー(CFP)。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。慶応義塾大学商学部にて保険学を専攻。卒業後、損害保険会社・生命保険会社の本店業務部門等を経て、1998年よりFPとして独立、現在に至る。主に個人向けのコンサルティングに従事し、講師・執筆活動なども行っている。
2018年09月26日「私がだまされた1,100万円は、5年前に乳がんで亡くなった妻とコツコツと貯めた老後資金でした。教員をしていた妻の退職金も含まれているので、本当に申し訳なくて……。今回の件は、2人の子どもにはとても話せません」愛知県の笹村浩二さん(77・仮名)は、そう語ると天を仰いだ。負債1053億円、債権者数約3万4,000人――。3日に破産を申し立てた「ケフィア事業振興会」は、干し柿やヨーグルトなどの加工食品のオーナーになれば、約半年で8~10%の利息を支払うとして会員を募集。今回の破綻で、少なくとも340億円あまりの投資金が戻ってこない事態になっている。被害対策弁護団のひとりで、リンク総合法律事務所の中森麻由子弁護士が解説する。「仕組みは複雑ですが、典型的な会員制オーナー商法です。投資した人の8割は60歳以上の高齢者で、そのほとんどが“投資に慣れていない女性”という印象をもちました。5年以上にわたって金利が支払われてきたこともあり、銀行に預けているという感覚で信用していたようです。老後のために貯めておいたお金を投資した方が多く、被害額が1億円を超えた例も。みなさん長年にわたって出資してきたので、被害額の平均は100万円を超えていると思われます」’11年にはじまったケフィア事業振興会のオーナー制度。昨年11月から、会員への配当や元本の支払いが遅れ、訴訟問題に発展した。前出の笹村さんが続ける。「亡くなった妻が、6年前に新聞広告を見て、通販で干し柿を買ったことが始まりでした。その後、パンフレットが届き、1口5万円で干し柿のオーナーになれば、半年で5%の金利がつくという案内が書かれていました。金利の高さに戸惑いがありましたが、立派な社屋があったし、事業も手広くやっていた。さらに届けられる商品が思いのほか、おいしかったこともあって、軽い気持ちで2口10万円を申し込みました。その半年後には利息分が足されて10万2,500円が振り込まれたので、完全に信用してしまいました。その後も20万円、50万円と出資額を増やし、それにつれてプレミアムやゴールド会員に。金利も8~10%に上がりました。妻が亡くなり、“自分を見失っていた”のかもしれません」メープルシロップやジュースなど、18種類の商品のオーナーになったという笹村さんはこう嘆く。「太陽光やバイオマスなどの発電の“サポート制度”にも出資しました。今にして思えば、投資ではあるけど、健康をうたった食品や社会貢献など、自分がいいことをしていると錯覚してしまったのかもしれません。昨年11月ごろにシステム故障で、支払いが遅れていると連絡があったきり……。私と妻の1,000万円を返してください」同社の鏑木秀彌社長は、いまだ公の場に姿を現していない。
2018年09月13日安全で儲かる投資と思っていたのに、老後のためにコツコツ貯めたお金が消えてしまった――そんな悲劇を避けるにはどうすれば?専門家に聞いた。負債1,053億円、債権者数約3万4,000人――。3日に破産を申し立てた「ケフィア事業振興会」は、干し柿やヨーグルトなどの加工食品のオーナーになれば、約半年で8~10%の利息を支払うとして会員を募集。今回の破綻で、少なくとも340億円あまりの投資金が戻ってこない事態になっている。被害対策弁護団のひとりで、リンク総合法律事務所の中森麻由子弁護士が解説する。「仕組みは複雑ですが、典型的な会員制オーナー商法です。投資した人の8割は60歳以上の高齢者で、そのほとんどが“投資に慣れていない女性”という印象をもちました。5年以上にわたって金利が支払われてきたこともあり、銀行に預けているという感覚で信用していたようです。老後のために貯めておいたお金を投資した方が多く、被害額が1億円を超えた例も。みなさん長年にわたって出資してきたので、被害額の平均は100万円を超えていると思われます」’11年にはじまったケフィア事業振興会のオーナー制度。昨年11月から、会員への配当や元本の支払いが遅れ、訴訟問題に発展した。同社の鏑木秀彌社長は、いまだ公の場に姿を現していない。今回の事件は、これまでの高齢者を狙った詐欺事件と少し異なっているという。被害者の相談に乗っている名城法律事務所の正木健司弁護士が語る。「パンフレットを郵送するだけで直接対面しての勧誘があるわけでもなく、マルチ商法のように、人を紹介したら紹介料が入るというものではありません。金塊や健康器具、和牛などの高額商品ではなく、干し柿やジュースなどの加工食品の通販を入口にして、1口5万円からと、ハードルが低いことが特徴です。それに加え、約半年後に最大10%もの異常な高利を、長年支払い続けたことで出資者を安心させました。しかし、このビジネスの実態は、新規で集めた資金を、前に契約した人への金利に回している自転車操業のようなものです。とくに破たんが確実になった昨年11月以降も、商品数を増やしてさかんにダイレクトメールを送ったり、世界的なサーカスの貸切り公演や音楽祭の計画などで経営状況をよく見せたりして、会員からさらにお金を“搾り取ろう”としていた。支払いができないと認識しながら、出資を募っていた場合、詐欺罪に当たる可能性があります」超低金利のなか、退職金を資産運用しようとするシニアを狙った投資詐欺も急増している。上級ファイナンシャルプランナーの北川邦弘氏が警鐘を鳴らす。「60代のご夫婦には、退職金という、これまで手にしたことがない大金が入ることで、冷静な判断力を失う方がいることは確かです。まず提案をされた金融商品の金利に注意すべき。銀行の普通預金が0.05%という低金利の時代に、100倍となる年利5%の商品が存在するわけがありません。元本保証で高利回りなど、低リスク高リターンをうたうものほど、詐欺の可能性があります。また、なぜ金利が高いのか、なぜ儲かるのか、仕組みがわからないものには手を出さないほうがいいでしょう。勧誘のときに専門用語や難解な言葉が出てきますが、自分で理解できない話には乗ってはいけません。さらに、金融商品を扱う会社は、行政の監視下に置かれ、金融庁に登録する義務があります。契約を交わそうとしている会社の登録状況を確認することも大切です」最後に中森弁護士が語る。「『ケフィア事業振興会』は、詐欺目的で創立された会社ではないと見ています。しかし、オーナー制度による資金集めがうまくいったことから、事業を広げ、けっきょく、今回の悪質な投資トラブルを引き起こしました。そんなトラブルに巻き込まれないためには、“こんなにおいしい話があるわけない”と疑ってかかる心が大事。疑問があったら、家族や近くの消費生活センターなどに相談したほうがいいでしょう」虎の子を狙う投資詐欺。専門家の話をもとに、だまされないための10カ条を作成した。【1】「元本保証、金利5%超」などはすべて疑う【2】「少額でもできる」「1口◯万円~」に要注意【3】なぜ儲かるか理解できないものには手を出さない【4】コンサートへの招待や有名人を使った宣伝にだまされない【5】立派な社屋や施設を持っていても安心ではない【6】社会貢献や健康などのうたい文句に注意【7】5年以上金利が払われていても、突然破たんすることはある【8】急に勧誘が激しくなったり、商品数が増えたら危ない【9】業者が金融庁に登録しているか確認する【10】不安に思ったら、第三者にすぐに相談するこれを心に刻み、老後の資金計画を立てよう。
2018年09月13日定年が見えてくる50代。老後の資金が気になるころですよね。昔のように年金だけで生活できるとは言い切れず、また支給も後ろ倒しに。貯金がかなり重要になってきていると思います。では、50代の夫婦はどのくらい貯金しているのでしょうか。平均年収と貯金額を見ていきましょう。50代の平均年収は?50代の平均年収は661万円。男性は707万円、女性は445万円と、男女差は大きく開いています。年齢別に見てみると、50歳605万円、53歳637万円、56歳682万円、59歳790万円と50代のうちに大きく平均年収が伸びているようです。特に男性では50歳662万円、59歳811万円と、150万円ほどアップしていました。最後の昇進を迎え、昇給につながるケースも多いのでしょう。50代夫婦の世帯年収は?次に、夫婦としての世帯年収を見てみましょう。共働き共働き夫婦の平均年収は、男性・女性それぞれの平均年収を合わせた1,152万円です。パートタイム妻がパートタイムの場合、控除額の上限(103万円)まで働くと仮定します。その場合の世帯年収は810万円です。専業主婦妻が専業主婦家庭の場合、平均世帯年収は男性の707万円になります。 手取りから貯金に回すお金の割合は?50代が手取りから貯金に回す金額の割合のうち、もっとも多かったのは10~15%。14.9%の人がコツコツ貯金に回しているようです。5%未満6%5~10%未満9%10~15%未満14.9%15~20%未満5%20~25%未満8%25~30%未満2%30~35%未満8%35%以上9.5%貯蓄しなかった37.8%その他0% ただ、貯蓄していない層もいます。しかも、37.8%とかなり多い割合。これまでに十分な貯蓄があるのか、深く考えずにその日暮らしをしているのか、はたまた貯金とは別の資産があるのかもしれません。50代世帯の平均貯金額50代世帯の平均貯蓄額は1,026万円でした。全世帯の平均額が776万円なので、大きく上回っていることがわかります。ただし、この貯金額は平均年収より高い世帯から低い世帯までをひとまとめにして算出したもの。この額に届かない家庭も少なくないでしょう。50代世帯の投資・金融資産保有額現金での預貯金のほか、50代世帯が多く所有する資産には、生命保険・個人年金保険・株式・投資信託などがあります。個人年金保険は、国からの年金にプラスアルファできる個人資産。老後に必要となる貯蓄額を考えるときは、このお金も加算して考えましょう。金融資産保有額2431万円預貯金1026万円金銭信託・貸付信託8万円生命保険172万円損害保険20万円個人年金保険167万円債券88万円株式475万円投資信託215万円財形貯蓄38万円その他金融商品222万円 すべての金融資産の保有額は2,431万円。預貯金の倍以上となっています。 50代夫婦で貯金なしで大丈夫?先ほど、3割以上の人が「手取りから貯蓄に回していない」と答えたとご紹介しました。実際に、50代世帯で貯蓄が0円という家庭は、全体の31.8%にのぼります。現代は将来のお金の工面を子・孫に頼りにくい時代。今、もしも貯蓄が0円であるならば、早急に貯金を開始したほうが良いかもしれません。50代夫婦の貯金テクニックまとまった貯蓄を進めるには最終年代といっても良い50代夫婦。どのような気持ちをもって貯金を進めていけば良いのでしょうか。50代前半50代前半は、出産時期によっては子どもの教育費が貯め終わっていない・まだ子育てが終了しない夫婦もいるかもしれません。子育てに関わる費用と、自分たちの老後に必要となる費用とを、別で考えて貯蓄を進めていく必要がありますね。50代後半60歳や65歳で退職すると考えると、あまり時間がありません。その後も仕事を続ける人もいるでしょうが、そこはあてにせず貯蓄を進めておくのが安心でしょう。ただし、貯蓄一辺倒になってしまうのもつまらないものです。気力体力はどうしても衰えていきますから、夫婦が揃って元気なうちに旅行に出かけるなど、楽しむ出費も割きたいですね。 50代世帯の平均貯金額は1,026万円50代世帯の平均貯金額は1,026万円。多いと感じましたか?「こんなに貯められていない」と不安になったでしょうか。この額はあくまでも平均ですが、大きく下回っていたら不安ですよね。今からどうしていけばより多く貯蓄が進められるか、ファイナンシャルプランナーに相談してみることもおすすめします。 参考:平均年収ランキング2017(DODA)各種分類別データ(平成28年)(知るぽると)貯蓄0円世帯が約31%も!世代別の貯金なし率(AllAbout)
2018年08月29日子どもを作らず、2人で一生を過ごす選択をする夫婦も増えている現代。子どものいない夫婦の老後は、いったいどうなるのでしょうか。老後について考えなければいけないことと必要な貯金額についてまとめました。子なし夫婦の老後について子どもがいると、子どもや孫を通じて交友関係も広がりますが、いない場合はやはり夫婦ふたりでの生活がメインになると思います。老後で考えないといけないことは、たくさんあります。例えばどちらかが「介護」となった場合、老々介護となってしまうため外部へ委託する必要があります。また片方が大病を患ったときに、病院へのお見舞いやケアなどもひとりで手配しなければいけません。そういった不安な気持ちを共有する人が少ないために、一人で抱え込んでしまう可能性も。どちらかが亡くなったときやお墓の管理、遺産相続なども話し合っておく必要があります。いざというときにひとりで困らないためにも、さまざまな外部サービスや頼る先の確保が必要です。子なし夫婦の場合は子どもにかけるお金がない分、老後の資金も多く用意できている可能性が高いと思います。定年後は夫婦で旅行に行ったり趣味をしたりと、楽しみもたくさん用意されています。ただし、生活費が足りなくなっても仕送りをしてくれる人がいないので、計画的に使うようにしましょう。とにかく老後を楽しく暮らすためには「貯金」が大切です。 老後に必要な貯金額厚生労働省の「平成28年簡易生命表」によると、平均寿命は男性では80.98年、女性では 87.14 年です。定年が60歳だとすると、20年は年金や貯金を使っての生活になるでしょう。生命保険文化センターの「平成28年度 生活保障に関する調査(速報版)」によれば、「ゆとりある老後生活費」は月額34.9万円。これは、公的年金や個人年金で賄うのは難しい金額といえますね。そして、総務省統計局の「平成29年度家計調査報告世帯属性別の家計収支(二人以上の世帯)」のデータを見てみると、高齢夫婦の無職世帯は年金を受給していても収支のバランスとして毎月マイナスが出ているようです。マイナスの平均額は約50,000円ほど。年間では年間600,000円となりますから、20年で12,000,000円は不足すると予想できます。ただし、この金額はギリギリの数字。日々物価も上昇していて、もらえる年金額はこれから下がっていくと言われています。さらに子どもがいないため、困ったときや介護などは外部サービス、老人ホーム頼みになるので、生活資金以外のお金も必要になってきます。目安として3,000万円以上の貯金は必要なのではないでしょうか。老後に必要な金額について詳しくはこちらもご覧ください。> 貯金はいくら必要?子なし夫婦に必要な老後の資金 まとめ結婚したからといって、必ずしも子どもをつくらなければならないということはありません。子なしで夫婦2人の時間を時間を楽しむ選択もあります。ただし、楽しい老後を過ごすためにも、貯金は必ず用意しておくようにしてくださいね。 参考:厚生労働省離婚に対する統計厚生労働省「平成28年簡易生命表」国立社会保障・人口問題研究所:第15回出生動向基本調査
2018年08月25日厚生労働省が発表した、平成29年度の日本人の平均寿命は男性81.09歳、女性87.26歳。このデータを今からおよそ30年前の平成2年と比較すると、男女ともに5歳以上も平均寿命が延びているんです。長生きできる社会ほど素晴らしいものはありませんが、そのぶん気になるのが老後の生活資金のこと。皆さんどのように考えているのでしょうか?■ 世代別調査で分かる!60歳代・70歳代の生活資金の想定は?株式会社インテージリサーチが全国の16~79歳の男女1万1217人を対象に「老後の生活資金に関する意識調査」を実施。自身が60歳~70歳になったときの生活資金は”自分が稼いだ収入”、”貯金”、あるいは“公的年金”などどのような資金であると思うかについてアンケートをとりました(60歳以上の人は生活資金源は何だったか)。60歳代の生活資金の想定60歳代の想定を見てみると、「働いて稼いでいる収入」を生活資金源とする回答が47.5%。また、47.0%の人が「公的年金」と回答しています。Fast&Slow / PIXTA(ピクスタ)60歳代といえば定年退職を迎える世代ですが、この年齢ではまだまだ働いている(働かなければならない)と想定する人が多く、70歳代以降に定年をイメージされている方が多いのでしょうか。70歳代の生活資金の想定一方で70歳代の生活資金の想定を見てみると、「公的年金」が最も高く、67.7%。akiyoko / PIXTA(ピクスタ)さらに、60歳代のアンケートと比較すると「個人年金」の割合も増加しており、老後の資金源の想定は労働収入から年金へとシフトしていることが分かります。しかし、70歳代のアンケートでも39歳以下の若い世代は生活資金の想定を「公的年金」とする回答は4~5割台にとどまっています。一方で、「貯金」を資金と想定する割合は約半数超え。花火 / PIXTA(ピクスタ)少子高齢化社会を生きる若い世代は「年金だけをあてにしない」傾向が強いことがグラフから見て取れます。■ どれくらいを希望?定年退職後の「賃金」全世代で半数以上が”自分で稼いだ収入”を老後(60歳代)の生活資金と想定していることが明るみになった今回の調査。そこで気になるのは再雇用後の収入額。厚生労働省の「高年齢者の雇用・就業の現状と課題」によると、1000人以上の雇用者規模の企業において、定年後、継続雇用の際の給与水準が50%以上減少した、との回答が3割以上にのぼったというデータもあります。では、定年退職後の就労に関してみなさんどのくらいの時給を希望しているのでしょうか?定年退職後就労時の希望時給額回答者が60歳以上の場合、希望する時給額が低下する傾向があり、60~70歳代の半数が「1,000円未満、または1,300円未満の時給でも働き続けたい」と回答しています。SoutaBank / PIXTA(ピクスタ)確かに、定年後の給与は企業によってバラつきがあり、多くは正社員ではなく自社の正社員以外(嘱託社員・契約社員・パート)で雇用されることがほとんど。他社へ再就職も厳しいとなると、自分の希望の時給より低い場合でも働き続けたいと思う人が多いことが窺えます。■ 生涯現役社会の実現現在70歳以上まで働ける企業の状況は、全国の常時雇用する労働者が31人以上の企業156,113社中、35,276社、割合にして22.6%にも上ります。平均寿命が延びるに伴い、定年退職後の人生も延長。それにより公的年金のみで退職後の生活費を賄うことは、少子化も背景にあることから不安は拭えません。freeangle / PIXTA(ピクスタ)一方で定年後に働き続けることに対しポジティブな姿勢がうかがえ、昔と比べると多趣味で若々しいイメージの高齢者たち。kotoru / PIXTA(ピクスタ)今後は高齢者の能力や経験に見合った労働環境の整備、賃金形態の構築を推進していくことが急務であると考えられます。【参考】※老後の生活資金、「年金」より「労働」や「貯金」で!?10~20歳代は特に「公的年金だけをあてにしない」傾向全国1万人の意識調査※平成29年度簡易生命表の概況-厚生労働省※高年齢者の雇用・就業の現状と課題2 – 厚生労働省※平成29年「高年齢者の雇用状況」集計結果-厚生労働省
2018年08月24日老後の出費がどれくらいになるか、不透明な昨今。ある程度、保障内容をスリムにしてもいい家族構成になったら、保険で家計見直しをするチャンスかもしれない。 「家賃、通信費、食費、光熱費に並ぶ固定費として、家計を直撃するのが保険料。子どもの教育費がかかる時期は、働き手になにかあったときのために保障はある程度必要です。しかし、親が50歳くらいになって子どもの自立が見えてきたなら、死亡保障も減らして身軽になっていいでしょう。その際、選択肢に入ってくるのが共済です。50歳前後となれば、いざ見直しをしようと思っても保険料は高額。共済は年齢や性別の区別なく一律で、2,000〜5,000円程度の安価な掛金で、しかも幅広い保障が受けられるんです」 そう語るのは、All Aboutマネーガイドの平野敦之さん。年金減や消費税増税など負担増に備え、出費を減らしたい方には、家計の見直しの“切り札”にもなりうるのが共済だという。 「共済では、生保・損保会社の『保険料』を『掛金』、『保険金』を『共済金』というように表現の違いはありますが、相互扶助という仕組みの面では、どちらも違いはありません」 営利団体である生保や損保は全国から契約者を募ることができる。ただし、非営利団体である共済は、加入に際して居住地域や一部の企業の社員、組合員に限るなどといった制限がある。 「しかし都道府県民の共済は、その都道府県に居住していたり職場があれば加入できるし、佐賀県、高知県、福井県など一部存在しない所もありますが、多くの都道府県にあるので、対象者は多いはず。全労済やコープ共済は全国展開しており、それぞれ数百円の出資金を出して組合員となれば、加入することができます」 今回は加入者が多い都道府県民共済と、全労済(こくみん共済)、コープ共済について、平野さんとファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢さんに、解説してもらった。 「都民共済は、ブライダルの割引、こどもの日の兜やランドセルの割引など、付帯サービスがあります。全労済は自動車保険や火災保険、地震保険などに相当する共済があるなど、カバー範囲が広い。コープ共済は女性向けの商品や、100万円、200万円の一時金が出るがん特約があるのが特徴です」(風呂内さん) 風呂内さんは、これら各共済に共通するメリットがあるという。 ■高齢で加入しても、掛金は上がらない 「各共済によって多少の違いはありますが、一部商品を除き1カ月の掛金は2,000〜5,000円ほどです」(平野さん) 生命保険の場合は、医療保険でも死亡保険でも、5歳ごとに年齢を区切るなどして、加入時の年齢が上がるごとに保険料が高くなる構造になっているが……。 「共済は年齢群団方式といって、加入時の年齢や性別の区別なく、一律の掛金であることが大きな特徴です。20歳前後の若い人からすると“なんで50歳と同じ掛金なんだ”と不公平感を抱くかもしれません。ある程度の年齢、たとえば50歳くらいで新たに保障を受けたいというのなら、掛金は安く済みます」(平野さん) 高齢で加入するほどおトク感が増すということだ。 「都民共済の『総合保障型』の掛金2,000円の内容は、生保なら特約もありますので、50歳女性で1万円くらいになりますね」(風呂内さん) ■加入条件が緩和されている 自分では健康なつもりでいても50代ともなれば、だいぶ体にガタが来ている。血液検査の数値を見れば、自覚はなくとも、基準値をオーバーしている項目もあるはずだ。 「この年代で保険に入ろうとすると、血圧が高く、医師の診査を求められることもあります。保険は健康状態が重要で、契約に条件がついていて加入できないと、保険料が高い“緩和型”を選ばざるをえないケースもあります。いっぽう、共済は告知義務はありますが、医師の診査は不要で加入が簡素化されているケースが多いです」(平野さん) 全労済のホームページには「今まで高血圧の治療中を理由にご加入を諦めていた方も加入しやすくなりました!」とある。 「’16年10月に制度改定してから、一定の条件をもとにお引き受けできるようにしています」(全労済広報室) コープ共済の広報部もこう語る。 「高血圧の場合、高血圧が原因で過去5年間に入院していない、一定の数値でコントロールできているなどの加入条件を満たせば加入できる制度があります。商品やコースを問わず、加入できる間口を広げています」 都民共済担当者はーー。 「個々のお話をうかがって、相談しながら、条件をつけさせていただくこともあります」 いずれも加入となった場合、病気ではない人と同一の掛金となる。 さまざまなメリットのある共済。もちろん、共済にも注意点がある。 「掛金と同様に保障内容もずっと変わらないと考えている人が多いようです。しかし、注意が必要です」 と生活マネー相談室の八ツ井慶子さんは言う。確かに都民共済の「総合保障4型」を見ると、同じ掛金なのに、18〜65歳までの病気による病気入院保障額は1日あたり9,000円なのに対し、熟年4型に移行すると、65〜80歳で5,000円、80〜85歳では0円になる。 「高齢期になると保障内容が薄くなります。高齢になっても手厚い医療保障を求めるのなら、共済ではなく生命保険会社の終身の医療保険のほうが適しているでしょう」(八ツ井さん) 平野さんはこう語る。 「共済は掛金が安く、割戻金がある分、貯蓄に回すお金もできます。1カ月内で一定額を超えた医療費が返金される高額療養費制度という公的制度もあります。ある程度まとまった医療費を貯蓄できれば、80歳で保障が薄くなった共済を、継続する必要はなくなるかもしれません」(平野さん) 保障内容が薄くなる分は、安い“掛金”で浮いたお金でまかなう。貯蓄しておけば、老後のあらゆる出費にも回せるという。共済のメリット・デメリットを考慮して、今加入している保険の見直しを考えてみては。
2018年05月31日「お金がない」「損したくない」「よくわからない」という人は投資には向かない?そんなアナタのために、投資の“最終兵器”が存在していたーー! 「サービスを始めてから1年半ほどで、利用者は15万人を超えました」 そう話すのはクレディセゾンの美好琢磨さん。このサービスは、今話題の「ポイント投資」のひとつだ。ポイント投資とは、クレジットカードを利用するともらえるポイントで、投資信託を購入したり、投資の疑似体験をすること。現金がいらないので、投資が怖いと思う初心者にも、一歩を踏み出しやすいと注目されている。 最近は“貯蓄から投資へ”と言われる。とはいえ、日銀の調査にも、お金が減ることは避けて通りたいと思う人が多いことを示すデータがあった。元本を下回るかもしれないが、儲かる可能性も大きい金融商品を、持ちたくない人が80.8%もいたのだ。 だがファイナンシャルプランナーの山口京子さんは言う。 「人生100年時代ですから、投資は必要です。平均寿命が65歳なら、老後が短いので、定期預金でも間に合いました。ですが、女性の2人に1人は90歳まで生きる時代。投資しないと、人間より先に、お金の寿命が尽きてしまいます」(山口さん) 頭ではわかっても、投資が怖い気持ちは変わらない。そんな人は、ポイント投資でお試し投資してみよう。 ■投資信託ポイント買付サービス 楽天証券のポイント投資であり、本物の投資信託が買える。 「ポイント投資も、お金を使った通常の買い付けも、同じ手順です。あえて同じにすることで、実際の投資を経験してもらいたいのです」 そう話すのは楽天証券の服部由実さん。選べる投資商品は約2,500種類あるので、選ぶのがむずかしい人は、2〜3の質問に答えるだけであなたに合った投資商品をアドバイスしてくれる、ネット上のロボットアドバイザーやランキングを参考にするとよい。 楽天証券ではポイントのみ、現金とポイント、現金のみとさまざまな買い方ができる。 「今年3月に、初めて投資信託を買った人の約半数は、ポイントを使って購入しています。また、そのうちの90%がポイントだけ、現金なしでの買い付けです」(服部さん) 証券口座が必要だが、投資で得た儲けが非課税になる「NISA口座」の利用もできる。ポイント投資でNISAデビューもいいだろう。 ■トラノコ・ポイントで投資 TORANOTECが運営するトラノコのポイント投資は、スマホアプリをダウンロードすれば、簡単に始められる。ただ、月額利用料が300円かかる。利用料を払っても、利益が出るのかをよく計算してから使ってほしい。 ■ストックポイント ストックポイント社が運営するポイント投資は、株価と連動する。ストックポイント自体が、あらかじめ選んだ株価などに連動して価値を変えるので、株式投資の疑似体験ができる。さらにストックポイントが一定以上たまると、本物の株と交換できる。 これらのポイント投資で注意したいのは、投資のセオリーである長期、分散、継続を守ることだ。 「ポイントがたくさんあっても、一括ではなく毎月小分けで投資するほうが安全です。また、値下がりを恐れることはありません。値下がりは、投資商品をたくさん買えるチャンス。バーゲンセールです」(山口さん) また、ポイント活用に詳しい(株)ポイ探の菊地崇仁さんも注意を呼び掛ける。 「ポイント発行会社が倒産したときや、自分が亡くなったとき、ポイントには補償がないため、戻ってきません(一部のマイルは相続可能)。ですが、ポイントで金融商品を買えば、購入先の証券会社が倒産しても1,000万円までは保護されますし、相続もできます」(菊地さん) 50代からの投資は、早くはないが、まだ間に合う。20年後のちょっぴりリッチな生活を目指して、今すぐお試しから始めてみてはいかがーー。
2018年05月24日老後の生活と聞くと、まずイメージするのが「定年」、そして「年金」。現在の定年は65歳とされていますが、65歳を超えても現役で働いていらっしゃる方は珍しくありません。一方で引退後の暮らしを支える「年金制度」は、予測できない将来のリスクを社会全体で整え、生活を保障していくものであるとされています。しかし、その仕組みの複雑さから自分がいつから、いくら貰えるのか、分からない人も多いというのが現実。皆さんはこの引退年齢と年金についてどう捉えているのでしょうか?働く主婦にそれらの意識について聞いてみました。freeangle / PIXTA(ピクスタ)■ 理想の引退年齢は30%が65歳以上!まさに生涯現役社会の到来!?働く主婦層を対象にした「引退年齢と年金」のアンケートによると、自身の理想の引退年齢は、65歳以上が30.1%とトップ。cba / PIXTA(ピクスタ)次いで、70歳以上が27.7%。全回答者の平均は68.4歳という結果となりました。驚くことに80歳以上を理想の引退年齢と回答された方は10%に上り、高齢になっても働きたいとするポジティブな考え方が印象的です。■ 70歳以降の「年金受給開始年齢の選択可能案」に40%が反対!自身の理想の引退年齢について、全体的に“長く働きたい”という傾向がみられました。しかし、政府が検討している「年金受給開始年齢を70歳以降でも選択可能」という案について賛成か、反対かについての回答を見てみると……。反対派が40%にのぼり、賛成、分からないと回答した人はは3割という結果に。Rina / PIXTA(ピクスタ)反対派の理由としては定年年齢と支給受給年齢が同時でないと意味がない何歳まで生きられるか分からないなどが挙げられます。nonpii / PIXTA(ピクスタ)逆に賛成派・分からないと回答人たちは、昔の70歳より今の人は若いそうしないと年金制度が維持できない受給開始年齢が選択性であれば問題ない元気でいれば賛成、病気になれば反対生活の状況によって決めるべきという回答が挙がりました。自身の引退年齢の理想はポジティブな姿勢が感じられる反面、受給開始年齢については回答の内容から年金ついての不安が感じられる。ここに、大きなギャップが生じていることが分かります。■ 老後の蓄えを知るには、年金の見込額を確かめることが大事!ahirun / PIXTA(ピクスタ)なるべく長く働きたいが、高齢者が働く環境は整っているかが分からない。将来自分がどれくらい長生きできるのか分からないため、受給開始の年齢はいつがベストなのか今現在は不明。しかし、少子化が進む現在、年金制度を支える人口はこれからも減少していくのは事実です。ahirun / PIXTA(ピクスタ)老後の備えについての考え方は人それぞれですが、まずは生活基盤となる年金をいくら受け取ることができるか、見込額を知ることから始めてみてはいかがでしょうか。例えば、『日本年金機構』の「ねんきんネット」であれば現在の仕事状況や、今後の働き方なとの試算条件に回答すると、見込み額の把握が可能となります。ねんきんネット以外にも見込み額のシミュレーションなどはインターネットで可能です。見込額を把握することは、将来の幸せを考えるきっかけの1つになると言えるのではないでしょうか。いかがでしたか?筆者も高齢になっても、働き口があるのであれば少しでも働いていたい派です。高齢になっても働きたいと考える人が多い現代、この状況をプラスに捉え、近い将来高齢者が働くことができる場所や環境が整うことを期待したいですね。【しゅふJOB総研調べ】【参考】※<年金もらうなら65歳?68歳?70歳?>働く主婦に『引退年齢と年金』に関するアンケート/理想の引退年齢:平均値68.4歳※公的年金制度の概要-厚生労働省※年金見込額試算-日本年金機構
2018年05月16日子どものいない夫婦は、養育費や教育費といった子どもに関する費用が掛からないため、子あり夫婦に比べると生活に余裕が生まれそうなイメージ。ただ、気になるのが「老後のこと」ですよね。年々珍しくなくなっている子なし夫婦ですが、老後の生活費や貯金はどのくらいあれば良いのでしょうか。今回は子なし夫婦の老後にフォーカスを当ててみます。 老後の生活費はどのくらい?厚生労働省の「平成28年簡易生命表」によると、平均寿命は男性では80.98年、女性では 87.14 年となっています。定年が60歳だとすると、少なくとも20年はセカンドライフの期間があるということ。子どもがいないため夫婦でゆっくり暮らせる老後ですが、生活費などお金の面ではどうなってしまうのでしょうか。まず、基本的に定年となるのは60歳ですが、年金は65歳からの支給になります。その間のつなぎとして、65歳まで「再雇用」といった形で働くことができる企業が多数あります。収入は現役時代よりも少なくなりますが、子どもがいない夫婦は自分たちだけの収入で生活していく必要があるので、65歳まで働いたほうが安心です。それから年金生活となるのですが、総務省統計局の「平成29年度家計調査報告世帯属性別の家計収支(二人以上の世帯)」のデータを見てみると、高齢夫婦の無職世帯は毎月平均263,717円の支出があり、54,519円の赤字になっているそうです。生命保険文化センターの「平成28年度 生活保障に関する調査(速報版)」によると、「ゆとりある老後生活費」は月額34.9万円だそうです。公的年金や退職金だけでは、何年間も賄えそうにありませんね。 理想の貯金額それでは65歳になるまでに、老後資金はいくら必要なのでしょうか。先ほど平均寿命が男女共に80歳以上だとお話ししましたが、現在100歳の人も珍しくありません。95歳まで生きると仮定して、老年資金が30年間必要だとします。赤字が54,519円だったので、年間約65万円が30年だとすると、必要額は最低でも1950万円以上。ゆとりある老後生活を送りたいなら、赤字は139,802円になるので、年間約168万円が30年で5,000万円以上必要ということになります。また、夫が先に亡くなってしまったときのこともも考えておきましょう。妻は、夫が受給していた老齢厚生年金の一部を「遺族厚生年金」として、自分の老齢基礎年金に上乗せすることができますが、それでも何かあったときに不安ですよね。日々物価も上昇していて、もらえる年金額はこれから下がっていくと言われています。さらに子どもがいないため、困ったときや介護などは外部サービスや老人ホーム頼みになるので、生活資金以外のお金も必要になってきます。最低でも3,000万円以上貯金しましょう。ちなみに子ども1人育てるのに必要な額は3,000万円以上だと言われています。子どもがいないからといってその分お金を使っていると、老後になって慌てることになってしまうかも。今から老後資金を貯めておきましょう。 亡くなったときのことを考える考えたくはありませんが、考えなければならないのが亡くなったときのこと。その中でも気になる「相続」と「お墓」のことについてご紹介します。まず相続について。配偶者は常に相続人となり、次に子どもが優先されます。ただ、子どもがいない場合は複雑です。例えば子なし夫婦の夫が亡くなった場合、夫の直系尊属(父母や祖父母など)が相続人、直系尊属がいない場合は、夫の兄弟姉妹が相続人となります。取り分は以下のとおり。配偶者と直系尊属が相続人の場合配偶者2 / 3、直系尊属(2人以上のときは全員で)1 /3配偶者と兄弟姉妹が相続人の場合配偶者3 /4、兄弟姉妹(2人以上のときは全員で)1 /4夫の親族とお金の問題で関わることになるので大変です。夫が遺言で「全財産は妻に」という趣旨のことを記しておけば、相続で悩むことも少ないかもしれません。ただ、その後妻が亡くなった場合、夫婦の全財産が妻側の直系尊属か兄弟姉妹へいくことになるため、夫の親族からすれば不満につながることも。死後の揉めごとを避けるために、夫婦で遺言を残しておく必要がありそうです。そして死んだ後に入るお墓について。子どもがいないため、供養されないのではと不安になりますよね。将来的な管理も気になるところ。「永代供養墓」というものがあるのをご存知ですか。お寺や霊園が家族の代わりに供養や管理をしてくれるお墓です。一式の費用を支払うだけで良いので安心です。また、「樹木葬」というものもあります。許可を得た専用の敷地に遺骨を埋葬し、墓石の代わりに樹木を植えます。こちらも一式の費用を支払うだけ。ペットの骨と一緒に埋葬できるところもあるので、さまざまな家族の形に対応しています。 子どもがいないということで、老後はさまざまな不安があるかもしれません。とりあえずすべきことは、お金を貯めておくことと、夫婦で老後の過ごしかたを話し合い、相続やお墓についても決めておくこと。子どもがいる・いないに関わらず、いつなにが起こるかわからないので、準備はしっかりしておくといざというときに安心です。素敵な老後が過ごせるとよいですね。 参考:人生100年時代突入?老後の不安を軽くする3つの考え方平成28年簡易生命表の概況老後の生活費は年金プラス月5万円で安心家計調査報告(家計収支編)―平成29年(2017年)平均速報結果の概要―「平成28年度 生活保障に関する調査(速報版)」まとまる子ども1人にかかる費用は3000万円もかかるって本当?老後の生活費27万円、貯蓄額2080万円相続人の範囲と法定相続分永代供養墓とは樹木葬とは
2018年05月15日住宅コンサルタント兼住宅セカンドオピニオンである、寺岡孝さん著の最新刊『学校では教えてくれない!一生役立つ「お金と住まい」の話』を読んで、今後のライフプランニングに役立ちそうな内容をご紹介しています。最終回は、「保険」と「老後資金」の話を交えながら、住宅、保険など大きな買い物の際に必ずと言っていいほど遭遇する「ポジショントーク」についてです。kuro3 / PIXTA(ピクスタ)「貯金がしたい」「資産運用がしたい」「マイホームが欲しい」「安心な老後を送りたい」……。本書では、誰もが今もこの先も安寧な暮らしを送るために不可欠な「お金と住まい」の話について具体的にかつ分かりやすく教えてくれます。■ 様々な場面で遭遇する「ポジショントーク」は知識を持って対処をみなさんは「ポジショントーク」ということばを聞いた事ありますか。意味深な和製英語ですが「自分の立場で自分に有利(有益)になる発言」という意味です。もとは金融用語として使われてきたのですが、今は多くのシーンで使われています。sasaki106 / PIXTA(ピクスタ)営業マンが自社の商品を売りたいがために本来比較すべきでない事例を引き合いに出して、論理立てて説明し、その論理に公平性がなくてもストーリーを成立させてしまいます。さもその商品が魅力的だ!お得だ!と勧めてくるのでついつい契約を結んでしまうのです。もちろん購入するのは自身の判断ですので、自分の選んだものに後悔なし!と胸を張れる人にはお節介な話に聞こえるかもしれませんが、自分にとって魅力ある商品はひとつではないこと。そしてどんな商品が自分にとって本当に魅力なのかは、家でも保険でも「仕組み」をきちんと知ることです。■ 「2人に1人はがんになる」のは80代以上の場合つい先日のことです。同世代で会社員の友人が「医療保険に入っていなかったから入った」というので、月額や詳細についてたずねてみました。ちなみに筆者は現在、掛け金の少ない医療共済保険に入っており月の支払額はとても少ないプランです。友人は筆者の2.5倍もの保険料を払っているので「結構高いね~」と言ったら「2人に1人はがんになる時代ですよ、言われて不安になって」と契約しました。Graphs / PIXTA(ピクスタ)寺岡さんも本書内でまさに同じ事例を述べていますが、正しくは80代以上の場合「2人に1人はがんになる」のが実状です。大事な主語を隠してのポジショントークだよ!と、思わず言ってしまいました。会社員の方は、万が一病気になった時、会社の制度を申請して給与補償や見舞金を受け取れます。自営業でも高額医療費制度などの社会保障を申請すれば医療費は一定額を超えないので、医療保険は保障でまかなえない分を補えばよいという事です。保険は自分や家族の日常活動に見合ったものを選ぶのが大切です。Graphs / PIXTA(ピクスタ)例えば高額のオーディオや家電を買って長く使いたいと強く思う場合は、家電は地震や火災保険で補償対象にならないため、「家財保険」に加入したり、筆者のように日々の移動は自転車が多いという方は「自転車保険」の加入をおすすめします。活発な男の子の母親である別の友人は、「お年寄りが多い街に住んでいるので、万が一息子が年配の通行人に自転車で怪我をさせてしまったら」という事態に備えて自転車保険に入ったと言います。心配性になると、あらゆるものに保険をかけたくなりますが、何が必要かを吟味し、保険に回す分を貯蓄するという手も有効だなと思いました。■ ポジショントークで加入してしまっても、ローン同様「保険も見直し」できる上記では友人の例を引き合いに出しましたが、筆者自身もポジショントークに乗ってしまったことがあります。親から「貯蓄保険」はお得ということを聞き、筆者は昨年、貯蓄型の保険に加入しました。親が現役時代に運用していた貯蓄保険は現在と金利がかなり違うので、運用に成功した方は多くいるようです。(しかし金利が高い時代に住宅ローンを組んだので、実際にはプラマイゼロなのかもしれませんが)Greyscale / PIXTA(ピクスタ)成功体験をもとに大きな買い物を我が子に勧める親のポジショントークというのもあります。筆者が入った保険は、加入後10年以降は、元金が割れずに年を重ねるたびに元金が増えていくという商品で、目的は老後資金を少しでも貯めることでした。普通預金に預けているよりはお金が増えますが、保険会社が万が一倒産してしまったら利率が減ることもあり得ます。メリットのことしか考えなかったのが今回の反省点です。もし寺岡さんの本を先に読んでいれば、老後資金を貯めるという目的なら個人型確定拠出年金(iDeCo)で長期運用することを選択していた気がします。しかし、ローンや保険は定期的に見直しが必要という事を本書で学んだので、昨年契約した貯蓄型保険を10年後に半分あるいは全額解約し、iDeCoで運用するという方法を知ることができ十分な収穫でした。iDeCoは60歳までなら加入できるので、今後もっと意欲的に学んで検討したいと思っています。SK Photo / PIXTA(ピクスタ)筆者は今すぐにローンを組んで持ち家を取得するぞ!とは行動に移せませんが、マイホームを持つことはメリットの方が多いということ、住宅ローンを組む際は、賢明な選択が大切ということを学びました。いち早く家を買いたい気持ちになりましたが、残念ながら十分な資金がありません。機が熟したら、寺岡さんが教えてくれたお金と住まいの話を念頭において行動に出ようと思います。(おわり)【参考】『学校では教えてくれない!一生役立つ「お金と住まい」の話』
2018年04月18日こんにちは、ファイナンシャル・プランナーでライターのyossyです。日本FP協会の調査(2016年)によれば、『老後の生活資金が不安』と考える人は、7割を超えるそうです。経済的に困窮する高齢者も増えており、生活が苦しくなったらどうすればいいのでしょうか。なかには、「年金の繰り上げ受給」を検討する人もいるでしょう。繰り上げ受給のメリットと注意点をご紹介します。●いつまでなら得?年金繰り上げで早くから年金を受給できる繰り上げ受給のメリットは、なんといっても“早くから年金を受け取れる”ことでしょう。しかし、年金は繰り上げる(早くから受給を開始する)ほど、支給額が減額されるという仕組みです。具体的には、1か月繰り上げるごとに0.5%減額されていきます。仮に60歳から年金繰り上げ受給した場合、5年間(60か月)繰り上げるわけですから、0.5(%)×60(か月)=30(%)となり、年金は3割減額されるというわけですね。しかし、月額・年額ではなく『総受給額』でみると、必ずしも繰り上げたからといって損をするわけではありません 。60歳から繰り上げ受給した場合、繰り上げせずに受給した場合と比べての総受給額は、76歳ごろに逆転 することになります。自分の寿命はわかりませんから、判断が難しいところですね。●年金額だけではない!繰り上げ受給の注意点ただし、繰り上げ受給に関してはほかにも注意点があります。主なものをご紹介しましょう。安易に結論を出すのではなく、しっかり理解したうえで決めることをおすすめします。●国民年金に任意加入できなくなる厚生年金や共済組合などに加入しておらず、まだ老齢基礎年金の受給資格期間を満たしていないような場合には、60歳以降に国民年金に加入することができます。老齢基礎年金の額を増やすことができるのですね。しかし、年金の繰り上げ受給を開始すると任意加入はできなくなる ので、注意しましょう。●障害基礎年金を請求できなくなる繰り上げ受給をした後に障害を抱えることになっても、障害基礎年金をもらうことができません 。ただし、初診日の時期等によっては可能な場合もありますので、確認しておきましょう。●寡婦年金が支給できなくなる『寡婦年金』というのは、一定の条件を満たした場合に、夫が亡くなった妻が60歳~65歳の間に支給される年金のこと。額は、夫の第1号被保険者期間で計算した老齢基礎年金額の4分の3となります。年金を繰り上げ受給した場合には、夫が亡くなったとしても寡婦年金は支払われません 。●65歳まで遺族厚生年金・遺族共済年金がとまる年金の繰り上げ受給と遺族厚生年金は併給できず、どちらかを選ばなくてはいけません。繰り上げ受給を選んだ場合には、65歳になるまで遺族厚生年金の支給が止まります 。----------なかには、「いつ死ぬかわからないなら、多少減額されても早くから受給したほうがいいのでは?」と考える人もいるかもしれません。でも、単純に年金額が減額されるだけではなく、さまざまな注意点があります。繰り上げ受給を考える場合は、それらをしっかり理解しておきましょう。一度繰り上げしてしまうと後に戻れないので、迷った場合には、専門家に相談したいですね。【参考リンク】・日本年金機構|老齢基礎年金の繰上げ受給・日本FP協会|貯蓄が 900 万円以上でも 「老後の生活資金が不安」7 割を超える・日本年金機構|障害基礎年金の受給要件・支給開始時期・計算方法・日本年金機構|任意加入制度・日本年金機構|寡婦年金●ライター/yossy●モデル/REIKO
2017年11月08日マイホーム購入は人生の中でも特に大きな買い物となり、資金計画がしっかりできていないと後々苦労したり、最悪の場合、せっかく購入したマイホームを手放さなくてはならなくなることも……。そのため、できるだけ多くの頭金や余裕資金を作ってから購入することが望ましいのですが、そのときに頼りになるのが“親”の存在です。女性のためのコミュニティサイト『ガールズちゃんねる』でも、『住宅購入の時に、親から援助受けましたか??』というトピックスが立てられ、親からの援助に対するさまざまな意見が飛び交っています。●住宅を購入するときに親からの援助はあった? なかった?トピ主さんは、友人がマンション購入の際に旦那さん側の両親から節税対策として2000万円もの援助を受けることについて、妬みがとまらないとのこと。そこでトピ主さんは、「住宅購入のときに親からの援助がありましたか?」と問いかけています。この問いかけについて、『私の親から300、旦那の親から500です』『私も1000万援助してもらいました』『私の両親から50万、主人の両親からは300万ほど援助してもらいました』『実親から500万、義理親から50万』など、さすがに2000万とはいかないまでも「援助があった」という声は多く挙がっていました。もらえる人はかなりの金額をもらっている ようで、羨ましい限りです。しかし一方で、『受けてません。親にちょこっと頭金の話したら、頭金すらも自分で払えないってことは身の丈に合わないものだからやめろって言われた』『1円も援助してもらってません』『ないよ。結婚したんだから金銭面は自分たちでがんばる。親にも、今まで手をかけてくれたんだから、自分のためにお金を使ってほしい』『1円ももらってない逆に援助してるから』など、「1円ももらっていない」とする声も多く挙がっています。それぞれのコメントをざっくり見てみると、資金援助があった派となかった派は半々くらい というところでしょうか……。ちなみに、わが家も住宅購入の際は親からの援助を一切受けていません。結婚して新しい家庭を持ったからには、自分たちでやりくりするべきだというプライドがあったためです。●住宅購入時の親からの資金贈与額は平均564万円!?不動産情報サイト『アットホーム』が2014年に、子供が住宅を購入した際に購入資金を贈与した親300名と、贈与していない親300名を対象に行った『住宅購入時の「親の資金贈与」実態調査』によると、購入資金を贈与した親の平均贈与額は564万円 だったということです。564万円あれば、自分たちで貯めた頭金がなくても十分な頭金になりそうですね。親の援助に頼れる家庭が羨ましくなる気持ちもわかります。また、親子の居住地域が同じであった場合には、違う居住地域であった場合に比べて平均贈与額が203万円も多かったという結果が出ています。子どもが自分たちと同じ居住地域(近所)に住んでくれるというのは親にとって大変嬉しいことですから、多く出したくなる気持ちもわかりますね。●親や祖父母からの住宅資金贈与には大きなメリットがある!?親や祖父母から住宅購入資金を贈与してもらうことには、住宅購入資金の一部として利用できるというメリット以外にも大きなメリットがあります。通常、親や祖父母から1年間で110万円を超える財産をもらう際には、『贈与税 』がかかります。しかし、住宅購入のための資金をもらう際には、一定額まで非課税になる『住宅取得等資金贈与の非課税 』という制度を利用できるのです。たとえば、一定基準を満たす消費税8%の住宅を購入する場合は最大1200万円まで(基礎控除額である110万円を足して1310万円まで)贈与税がかかりません。※『住宅取得等資金贈与の非課税』制度を受けるためにはいくつかの条件があります。一般的な財産贈与を受ければ多額の贈与税が発生してしまいますが、住宅購入の際に住宅資金贈与を受ければ贈与税を支払わなくてよいというわけです。そのため、子どもにゆくゆくは譲ろうと思っている財産がある家庭では、贈与税対策として住宅購入の際に贈与を行う というケースもあるということですね。●親から資金援助を受けても周りには言わないのがベターなお、住宅購入の際に親から援助(贈与)を受けたとしても、友達など周りにべらべらしゃべらないのが身のためです。お金の話はデリケートなものですし、誰もがみんな親から資金援助を受けられるわけではありません。「自分で努力もしていないのに親からもらったお金でいい家に住んで……」などと嫉妬されたり、自慢されているだけというように受け取られたりしてしまいます。いずれにしても、良い印象を与えないのは事実。自分たちで汗水垂らして貯めたお金で家を買った場合と、ほとんど親からもらったお金で家を買った場合では、印象が全然違います。友情にヒビを入れないためにも、親からの援助(贈与)は内緒にしておきましょう。【参考リンク】・住宅購入の贈与税と非課税枠お金・制度編マニュアル | SUUMO()・住宅購入時の「親の資金贈与」実態調査 | アットホーム()●文/パピマミ編集部●モデル/貴子(優くん、綾ちゃん)
2017年08月05日定年から生涯を終えるまでに、どのくらいの資金が必要かご存知ですか?退職後の主な収入源となる「年金」は先行きが不透明で、今後受給年齢の先延ばしや支給額の減少が見込まれます。その一方で高齢になると医療や介護に関する支出が増え、まとまった資金がなければ安心して生活することができません。そんな老後への経済的不安を解消するべく、必要な老後資金についてまとめてみました。実際に老後を迎えてから慌てることがないよう、今からできる準備を考えてみましょう。■老後資金とは?定年後に必要となる支出をチェック近年よく耳にする「老後資金」という言葉。高齢化社会が年々深刻化してきている中、年金など公的制度によって手厚く老後を保障してもらえる可能性は低くなってきています。そのため若いうちから老後を意識して資金を確保していく「老後資金」の重要性が問われています。しかし一口に老後資金と言っても漠然としていて、何のためのお金が必要なのかイメージしづらいですよね。まずは定年後に実際どのような支出が想定されるのか、具体的な内容や金額について知っておくことが大切です。【毎月かかる支出の内訳】・生活費(食費・光熱費・雑費):80,000~100,000円・医療費(外来):3割負担で20,000円程度、1割負担で10,000円程度・医療費(介護):要介護3、在宅介護の場合で40,000~50,000円程度・娯楽費:1人につき20,000~30,000円(夫婦で50,000円程度)・老人ホーム利用料:50,000~150,000円程度毎月このような使い道でお金が必要となりますが、もちろん年齢や健康度によって大きく異なります。娯楽費については「必要ない」と考える人がいるかもしれませんが、老後の生活を楽しむために準備しておくべき金額です。夫婦の場合、平均すると月に220,000円程度、住宅ローンが残っていたり娯楽への支出が多かったりする場合は250,000~350,000円程度必要になってきます。独身の場合も夫婦とさほど差はなく、150,000~250,000円程度は必要と言えるでしょう。【年間にかかる支出の内訳】・固定資産税など税制面における支出:50,000~200,000円程度・車関係の支出(ガソリン代・車検代):200,000円程度・旅行関係の支出:300,000円程度・子供や孫への支出や交際費:200,000円程度年間にかかるお金は住まいの状況や車の有無、人付き合いの程度などによって大きく変わります。平均すると夫婦2人の場合で、年間3,000,000~4,000,000円程度、独身の場合で2,000,000~3,000,000円程度見積もっておく必要があります。【特別なときの支出】・家のリフォーム費用:1,000,000~2,000,000円・入院時の医療費:3割負担で50,000~100,000円程度、1割負担で40,000~50,000円程度・介護サービスを利用するための費用(自己負担額):20,000円程度・老人ホームへの入居費用:入居一時金として200,000~10,000,000円住宅購入する人の平均年齢が30代後半~40代前半頃なので、ちょうど定年頃にリフォームやリノベーションの必要性が出てきます。また入院時や介護サービスの利用などまとまったお金が必要になるケースを想定し、特別なときの支出用に資金を確保しておくと安心です。夫婦2人で10,000,000円程度、独身の場合は7,000,000円程度見ておきましょう。■夫婦の場合に必要な老後資金はいくら?老後にかかる具体的な支出がわかったところで、実際にどのくらいの老後資金が必要なのか算出してみましょう。まずは夫婦2人で生活している場合に必要な老後資金を求めてみます。求め方は定年後に予想される年間支出から年間で得られる収入を引き、そこに残された寿命(年数)をかけて計算します。例えば65歳の夫婦の例を見てみましょう。まず年間支出としては毎月かかる費用が220,000円程度のため、年間で2,640,000円程度、その他医療や娯楽などにかかる特別な年間費用を1,000,000円と見積もると、年間支出は2人でおよそ3,600,000円となります。次に年間収入の見込みを考えてみましょう。会社員の夫と専業主婦の妻の場合、夫が月に147,000円の厚生年金、妻が54,000円の国民年金を受け取ることができると想定でき、年間収入はおよそ2,400,000円となります。残された寿命を割り出すには、現在の平均寿命を使います。日本人の場合は男性が80歳、女性が86歳となっています。よって現時点で65歳ですから、残りおよそ20年間分の資金を蓄えておくと安心であることがわかります。上記を参考に、夫婦2人に必要な貯金額を算出してみましょう。【夫婦2人(どちらも65歳)の場合に必要な老後資金額の例】年間支出3,600,000円-年間収入2,400,000円×残りの寿命20年=およそ24,000,000円また老人ホームに入居した場合など特別な支出が増えるケースを考慮すると、さらに資金はプラスされます。そう考えると、最低でも夫婦で30,000,000円程度の資金を貯蓄しておく必要があると言えるでしょう。ただし人によって収入や支出の額が異なるため、自分たち夫婦のライフスタイルを念頭に置いて老後資金を考えてみましょう。■独身の場合に必要な老後資金はいくら?続いては独身のケースを考えてみます。夫婦の場合と同様に、年間で必要な支出や得られる収入、残された年数から老後資金の平均的な必要額を算出してみましょう。同じように65歳の例で考えてみると、支出が毎月180,000円程度かかったと仮定して、年間で2,160,000円、そこに固定資産税や車検といった年間支出を足して2,860,000円程度となります。また老人ホームや介護サービスを利用した場合の特別な支出は7,000,000円程度で見ておきます。次に年間収入ですが、仮に会社員とした場合は厚生年金として月に147,000円支給されるため、年間で1,760,000円が見込まれます。残された年数については、夫婦の場合と同様に20年、85歳まで生きると仮定して計算してみましょう。【65歳の独身者の場合に必要な老後資金額の例】年間支出2,860,000円-年間収入1,760,000円×20年=22,000,000円+特別な支出7,000,000円=29,000,000円仮に退職金が10,000,000円程度ある場合は、最低でも19,000,000円程度貯金から切り崩す必要があることになります。ゆとりある生活を送るためにはさらに大きな資金が必要となるでしょう。必要貯蓄額は求める生活レベルや必要となる医療・介護費用によって異なるため、自分自身のケースに当てはめて算出しておくと安心です。■老後資金はこうやって貯めておこうこうして見てみると、老後資金の想像以上の額にびっくりした人も多いでしょう。老後は収入が減ってしまうにもかかわらず、支出は増える一方であることがわかってもらえたと思います。もし老後までに必要な資金を準備できなかったら、どのような生活をすることになるのでしょうか。家賃が払えなくなったり、病気になっても医療機関を受診できなかったりなど、さまざまなリスクが予想されます。そういった生活苦に見舞われてしまうと、健全で楽しい老後生活を送ることができないだけでなく、長生きすることも難しくなってしまうでしょう。このような心配がないように、今から老後のことをしっかりと考えて備えておく必要があります。実際どのように老後資金を増やせばいいのか、今からできることをまとめてみました。【貯蓄方法1】貯蓄まずは、日々の貯蓄に対する意識を高めることが大切です。例えば30代の場合は子育てへの支出が多い時期ですが、収入のほとんどを子育てに注ぎ込んでしまうと老後資金を増やすことができません。収入から「子育て+老後資金」の両方を差し引き、それ以外のお金で生活費を賄うことが理想的です。銀行に定期預金をしたり、保険を利用したり、自分たちに合う方法でコツコツと老後資金を確保していきましょう。40代になると子供の入園や入学などで子育てが一段落、妻がパートあるいはフルタイムで働くことで、それまで以上の収入が確保できるようになります。一方で子供の受験・進学によって養育費がかさみ、支出が増えることも事実です。子供が成人するまでにかかる養育費を算出した上で、月々にかかる生活費や保険内容を見直してみましょう。節約と貯蓄をバランスよくやりくりすることが大切です。50代になると子供の独立によって子育てにかけるお金がグンと減るため、老後資金を増やす大きなチャンスです。ただし生活習慣病や持病のリスクが増える時期でもあり、健康面における大きな支出が懸念されます。定期検診をしっかり受けて健康に留意しつつ、これまで以上に貯蓄に回す額をプラスして、着実に老後資金を増やしていきましょう。【貯蓄方法2】資産運用資産運用はうまく行けば一気に資産を増やせますが、一方で元本割れのリスクもあります。運用期間や商品によっては手数料が高額になる場合もあるため、慎重に検討する必要があるでしょう。ローリスクでできる資産運用としては、個人向け国債がおすすめです。個人向け国債は国が発行する債券のため、国が破綻しない限りは安全です。商品は固定金利3年・5年と変動金利10年があり、1年を経過すれば中途解約できます。債権は10,000円から購入できるため、始めやすいでしょう。銀行に預けておくよりも利率が高いため、使う予定のない貯金がある場合にお得に資産運用できます。また2014年からスタートした少額投資非課税制度(NISA)もおすすめの資産運用です。投資によって出た利益がまるまる非課税になるというお得な運用法で、年間100万円を限度として自由に投資金額を決めることができます。投資期限は5年間ですが「ロールオーバー」という非課税の期間が延長されるシステムを利用すると、最長10年まで非課税扱いになります。こういったローリスクの資産運用法を実践し、長期間コツコツと老後資金を増やしていきましょう。初めは右も左もわからず不安かもしれませんが、知識と経験を積むほどにコツが掴めてきます。資産運用の仕方に不安がある場合は、資産運用のプロに相談する方法もあります。身近なのはファイナンシャルプランナーでしょう。現時点での貯蓄額や資産運用の目的などを考慮し、1人1人に合った運用方法をアドバイスしてもらうことができます。まずは少額から始めて、ローリスクの投資商品や非課税扱いの投資商品を利用し、焦らずじっくりお金を増やしていきましょう。【貯蓄方法3】保険の見直し今加入している保険をよく見直してみることも大切です。見直しすることで、月に数千円安くなる場合があります。ほんの少しの違いでも、年間あるいは長期間で考えると大きな金額。今契約している保険に無駄がないかどうか確認しましょう。【貯蓄方法4】定年後も働く健康状態がよければ、再雇用などを利用して引き続き働くという選択肢もあります。今まで働いていた会社でなくても、ハローワークなどで新しく職を探すことは可能です。これまでに得た資格や特技を活かせる職を探してみると、意外と見つけやすいでしょう。働くことで貯蓄に頼らずに済むのと同時に、生活にメリハリが生まれるといったメリットもあります。実際に定年後に働いている人はたくさんいるため「定年=隠居生活」と決めつけずに生き生きした生活を目指すことをおすすめします。■おわりにいかがでしたか?老後は意外と必要なお金が多いことがわかりましたね。また老後に求める生活水準やそのときの健康状態によっても必要資金は大きく変わるため、今からある程度シミュレーションをして、気持ち的にも物理的にも備えておくことが必要です。確実に言えることは、健全な老後生活のためには今からコツコツ貯蓄しておくことが大切だということ。理想としては老後を迎えるまでに30,000,000円は貯めておきたいところでしょう。年金だけをあてにして今の生活を楽しむのではなく、老後のことを考えて日々の生活やお金のやりくりを見直すことから始めましょう。
2017年05月12日「13年間も続いた年金保険料の段階的引き上げですが、やっと今年で終わります。国民年金は当初予定の1万6,900円、厚生年金は保険料率18.3%で固定。つまり、これ以上は上げないと法律に明記されています」 そう語るのは、経済ジャーナリストの荻原博子さん。また、’18年度からは年金額の改定ルールが変わる。昨年12月に成立した“年金カット法”によるもので、変更点は2つ。1つ目は「マクロ経済スライド」の強化だ。 「マクロ経済スライドとは、支え手である現役世代の減少と受給世代の寿命の伸びを加味して、物価が上がったときに年金額の上昇幅を抑えるものです。ただ、逆に物価が下がった場合に発動すると年金受給額は減ってしまうため、実際に実施されたのは’15年度だけです。来年度からは、物価下落時には減額分をためておき、物価が上がった年にまとめて年金の上昇分から差し引くことになります」(荻原さん・以下同) 2つ目は「物価・賃金スライド」の見直し。 「現行では、物価も現役世代の賃金も下がった場合、物価に合わせて年金額が決まります。しかし’21年度以降は、年金額は賃金の動きに合わせます。たとえ物価が上がっても賃金が減ると、年金は減額されるのです。もう年金は増えない時代になったといえるでしょう」 年金財政のひっ迫が叫ばれてから、政府は主に4つの策、『年金保険料の引き上げ』、『年金カット法などによる年金額の抑制』、『年収106万円以上のパートを社会保険に加入させるなど支え手を増やすこと』、『支給年齢の引き上げ』を講じてきた。 最近は、国民年金未納者への徴収も強化されている。強制徴収の対象は、’14年度には年所得400万円以上で13カ月以上の未納者だったが、’16年度には年所得350万円以上で7カ月以上の未納者になり、さらに今年度からは、年所得300万円以上で13カ月以上の未納者へと広げる方針だ。 「こうした性急な取り立て強化にもかかわらず、『これ以上保険料を上げない』という説明は、たいへん疑わしいものです。いずれ支給年齢の引き上げも議論されるでしょう」 それほど年金資金が苦しいなら、「年金資金をもっと大切に扱ってほしいものです。積立金をリスクの大きな株で運用するなどもってのほか」と荻原さん。 「ですが、すでに株式市場は多大な年金資金が流入しています。これをやめると、日本株の大暴落につながる恐れもあり、年金の株運用は残念ながら引き返せません。年金そのものは、破綻することはないでしょう。ただ、安心できる老後を約束してはくれません。現在の年金額は、現役世代の賃金の約60%です。政府は安定的な年金制度を継続するために、50%水準を目指していますが、今の30〜40代の方の年金は40%程度になるかもしれません」 ’18年度の年金保険料は今年度より150円引き上げられる。物価下落、デフレの影響だ。 「ならば現金第一、コツコツ貯金に励みましょう。私たちは自助努力で、老後資金を作るしかありません」
2017年04月13日「子どもの教育費も老後資金も貯めたいと、10円でも安いものを買い、支出を減らそうとしました。はじめはなかなか貯まりませんでした。でも、家計簿のつけ方を変えただけで、2年間で350万円貯めることができたんです」 都内在住の専業主婦あきさん(38)の家計簿管理ブログが、アクセス453万超えの反響を呼んでいる。2月25日に、初めての著書『1日1行! 2年で350万円貯めた あきのズボラ家計簿』(ベストセラーズ)も発売。3人の子どもと夫と、5人暮らしのあきさん。2人目の子どもが生まれ、帰省用にと車を買ったとき貯金が底をつき、危機を感じて家計を見直したという。 「支出は、必ずかかるものと、抑えようと思えば抑えられるものの2種類に分かれています。それまでもよくあるような家計簿をつけてはいましたが、そのことに気づいたときに、その2つの項目に分けて家計簿をつけてみようと思ったんです」 貯蓄が増えた項目分けとはどういうものか、あきさんが解説してくれた。 「食費やトイレットペーパー、子どものおむつなど、生活のうえで欠かせない出費は1.『必ずいるもの支出』欄に。外食などの抑えようと思えば抑えられる出費を2.『余計なもの支出』欄に分けます。1は、基本的に『食費』と『日用品費』を設けます。2には、『娯楽費』と『特別費』の2つを設定します。基本的には、毎日この4種類の出費と、支出計、残高を書き込んでいきます」 そして月末、「2の『余計なもの支出』欄に注目してほしい」とあきさん。 「この家計簿の目的は、抑えられる出費を“見える化”すること。日ごろムダ遣いをしていないつもりでも、アイス代、外食、ゲームと、“ちょっと500円だけ”でも積み重なって、月に計算すると、1万円超えの出費になっていることも。これなら『こんなに使ってる!』と、一目でわかりますよね」 余計な出費を見える化することで、「ムダを抑えよう」という意識が働き、支出を削りやすくなるという。 「家計管理で大切なのは、お金の収支と残高を把握して、使いすぎ、ムダな支出はないかを常に見直すことです。この2の『余計なもの支出』を見直すことで、『アイスの2回を1回に。カフェは月に1度に減らす』『外食を減らそう』と、具体的に削る方法がわかります。その結果、決めた予算を守りやすくなるんです」 家計簿をつけていても、なぜか予算がオーバーしてしまう、そんな経験をした人は多いはず。 「ありがちなのが、“家族みんなでおすし!”など、奮発した外食費も『食費』に入れてしまうこと。そうすると自分がいくら使ったか、必要最低限はいくらなのか把握しづらく、月ごとにもバラつきが出て予算オーバーになりがち。『娯楽費』と『特別費』を設定することで、毎日財布から取り出す食費や日用品の、平均支出金額が明確になり、予算も守りやすくなります」 しっかりとムダな支出は抑えながらも、それまでのケチケチした節約とは決別し、家族でグアム旅行に行ったり、映画を見に行ったりするなど、レジャーは切り詰めすぎないというあきさん。1円でも出費を抑えることにこだわって家計簿をつけているあなた!本当のムダ遣いに気をつけていますか?
2017年03月01日「老後」。この言葉を聞いて、明るい気持ちになる人は、まずいないだろう。ほぼすべての人がが、「なんとなく、ブルーな気分」になるのでは?連載の冒頭から結論をいってしまうと、「お金に困らない老後生活を送りたい」と思うのなら、30代~40代の過ごし方(心がけ)が大事になってくる。それでは30代の人はどうすればいいのか? その不安から抜け出す対策について考えてみたい。■なぜ、30代から「老後」を考える必要があるの?ファイナンシャル・プランナーで、「 確定拠出年金相談ねっと 」代表の山中伸枝さんは言う。「老後はだれにでも必ず訪れる『事実』です」と。マネー分野では、よく「人生の3大資金」という言葉が使われる。人生の3大資金とは、「住宅ローン」「教育費」「老後資金」。このうち「住宅ローン」と「教育費」は、必要ない人もいる。けれども、「老後資金」だけは、だれもが「当事者になるお金」だ。この大金を準備するために、「自分がお金を稼げる時期」が終わるまでにやっておかなければならないことがいくつかある。「『なんとかなる』と思って、やるべきことをやらなければ、『老後貧乏』という形でツケを払うことになるかもしれません」(山中さん)■幸せの老後には、収入が多い・少ないは関係ない「老後の準備」というと、「できるだけお金をためておくこと」と思う人も多いだろう。けれども、山中さんは言う。「『老後のためのお金』を考えるとき、(現役時代の)収入が多い・少ないよりも、計画を立てて準備していないことの方が命取りになります。」幸せな老後は、計画を立てて準備を始めることから。だからこそ、30代から、「老後」についてのイメージトレーニングを始めることに意味があるのだ。 ■現在、年金をもらっている人の平均額は?老後のイメージトレーニングとして、「いま、実際に老後を迎えている人」がもらっている平均的な年金額を知ることから始めてみよう。 年金額280万円=夫(年額200万円)+妻(年額80万円)「会社員だった夫と専業主婦だった妻の年金額の平均は、280万円といわれています」(山中さん)年収280万円といえば、月収22万円くらい。ここから税金や社会保険料が差し引かれ、手取りは18万円程度となる。もっとも、この数字は、「いま、実際に老後を迎えている人」がもらっている金額であり、いわゆる「もらえる年金額的には『裕福』な人」といわれている層がもらえる年金となる。■30代の人が「老後」になったときもらえる年金額では、年金制度が先細りになるといわれている、私たち30代~40代の年金額面はどれくらいになるのだろう? 年金額240万円=夫(年額160万円)+妻(年額80万円)「会社員だった夫の年金は160万円(年額)くらいに下がるといわれています。専業主婦だった妻の年金を現状のままもらえると考えて、240万円くらいが良いところでしょう」(山中さん)夫の年金額が下がるのだから、妻の年金額も下がることが予想される。つまり、年額240万円よりも年金額は低くなると考えておいた方が良さそうだ。次回は、「いま、30代の人が「老後」に足りなくなる具体的な金額」です。※この記事は2016年11月の取材に基づいて書いています。■今回取材にご協力いただいた山中伸枝さんの著書 ど素人が始めるiDeCoの本 (山中伸枝/翔泳社 本体1,500円+税)
2016年12月16日