質問:転んで尻もちをついた母が腰の痛みを訴えるので受診、圧迫骨折と診断されました。先日、転んで尻もちをついた70歳の母が腰の痛みを訴えるので受診したところ、圧迫骨折と診断されました。幸い症状がひどくなかったことと、本人が拒んだため手術はせず、鎮痛剤を飲んで安静にすることになりました。けれど痛みが長引き、日常生活の中で痛みで思うように動けないこともあり、不安を感じているようです。やはり、手術をした方がよかったのでしょうか?神奈川県:もけーれさん(43)回答:「圧迫骨折」の治療法についてお答えします。――「圧迫骨折」の保存療法お母さまが圧迫骨折を受傷されたとのこと、大変でしたね。圧迫骨折はちょうどお母さまのように尻もちをついたりした際に、縦方向に強い力が働くことで起こりやすいといわれています。また、閉経後の女性はエストロゲンの減少などにより、骨がもろくなりがちですので、そういった影響もあったのかもしれませんね。圧迫骨折の治療については、お母さまが受けられたように保存的治療といって、症状が比較的軽く、痛みも我慢できる程度であった場合には安静にして様子を見ることもよくあります。コルセットなどで骨折した部分が不安定にならないようサポートし、痛み止めの飲み薬(多くはNSAIDsと呼ばれる非ステロイド性解熱鎮痛剤)を必要に応じて服用しながら、時間をかけて治癒していくのを見守る方法です。この場合、痛み止めによって胃潰瘍を起こしたりすることもありますから、胃を守るようなお薬と一緒に服用するように指導されることが多いでしょう。ただ、年単位で痛み止めを服用し続けると腎機能が低下したりすることがあるのでこちらも注意が必要です。<「圧迫骨折」の手術療法>症状が重かったり、骨折をした部位が脊髄を圧迫して、神経症状を起こしたりした場合には手術が考慮されます。圧迫骨折による神経症状として起こりやすいものとしては、筋力の低下や直腸膀胱症状(便失禁や尿失禁など)、知覚麻痺などが挙げられます。手術療法が選択された場合にはいくつかの術式があり、従来から行われている骨の移植をしたり金属製のねじや棒で固定したりする固定術のほかに、椎体形成術といって骨折した椎体に充填物を入れて痛みを低減する術式もあります。また、椎体形成術の一種で、BKP治療と呼ばれるバルーン(風船)のような器具を用いて行う、より効果的な手術も新しく導入されています。ただ、手術を行うとやはり、入院、全身麻酔ということになりますし、合併症の可能性もありますのでよく見通しを検討した上で行うことが大切です。保存療法と手術療法、結局どちらが圧迫骨折の治療によいのか、というはっきりした医学的な結論は今のところないのですが、もし、現在痛み以外に神経症状がなく、受傷されて間もないということでしたら、しばらく安静を保って様子を見ることも一つの選択かとは思います。早期に回復されますようお祈りしています。Doctors Me(ドクターズミー)が保証している医師が回答しています
2016年12月18日大阪府立大学とユーグレナは7月16日、微細藻類であるユーグレナ(和名:ミドリムシ)の粉末や、特有成分であるパラミロン粉末の継続摂取が胃潰瘍症状を緩和することを示唆する研究結果を確認したと発表した。同成果は同大学生命環境科学研究科の中野長久 客員教授とユーグレナの共同研究によるもので、6月5日に開催された日本ビタミン学会第67回大会で発表した。同研究では、ラットに通常の食事、ユーグレナ粉末を混ぜた食事、パラミロン粉末を混ぜた食事およびパラミロンを化学的に処理し結晶構造を壊したアモルファスパラミロンを混ぜた食事を2週間経口摂取させた。その後、ラットにストレスを与えることで胃潰瘍の形成を誘導した。各ラットの胃の状態を調べたところ、ユーグレナ粉末、パラミロン粉末およびアモルファスパラミロン粉末を混ぜた食事を摂取したラットでは、胃潰瘍の形成範囲が抑制される傾向にあることを確認。特にユーグレナ粉末の摂取が有意に胃潰瘍症状の緩和効果を持つ可能性が認められた。両者は今後も、ユーグレナおよびパラミロンの機能性に関する研究を進め、医療分野などへの利活用や食材としての付加価値向上を目指すとしている。
2015年07月16日大阪市立大学(大阪市立大)は4月15日、胃潰瘍治療薬であるレバミピドが低用量アスピリン製剤(LDA)による小腸傷害に有効であることを明らかにしたと発表した。同成果は同大学医学研究科消化器内科学の渡邉俊雄 准教授、大阪医科大学、京都府立医科大学、佐賀大学との共同研究によるもので、4月15日付(現地時間)の米科学誌「PLOS ONE」に掲載された。LDAは心筋梗塞や脳梗塞などの血栓症の予防に用いられる抗血小板薬で、日本では500万人前後が常用していると推定されている。同薬剤を用いた治療法は消化管傷害引き起こすことが知られており、近年の研究で、LDA常用者の半数以上で小腸にビランや潰瘍が認められることが報告された。このLDAによる小腸傷害の治療法は確立されておらず、重症化するとLDAを中止せざるを得ないことが問題となっている。今回の研究では、心筋梗塞や脳梗塞の予防目的にLDAを長期間服用していて、小腸に3個以上の粘膜欠損を有する患者をプラセボ群とレパミド群に分け、薬剤を8週間投与した後に内視鏡検査を施行して、投与前後での粘膜欠損の完全消失率を評価した。その結果、粘膜欠損数はプラセボ群では薬剤投与前後で差が無かったが、レバミピド群では投与後に有意に減少していたほか、粘膜欠損の完全消失率もレバミピド群がプラセボ群より約4倍高値だった。また、両群ともに薬剤投与による副作用の発症例は認められなかった。レバミピドは20年以上にわたり胃炎、胃潰瘍の治療薬として広く使用されている安価な薬剤であり、安全性も確立されている。今回使用したレバミピドの用量は通常の3倍量だったが重篤な副作用は認められず、高用量でも安全であると考えられる。今後は、最も重症であり臨床的にも重要とされるLDA起因性出血性小腸潰瘍に対する高用量レバミピドの治療効果を評価していくとしている。
2015年04月16日