太郎が自宅で過ごす場所ASD(自閉スペクトラム症)の太郎は、主に2つの部屋で過ごしている。1つは学習用品を置く場所で、ばあばと共同の部屋。もう1つは完全に太郎専用の部屋で、太郎の好きな物がたくさん置かれている部屋だ。そこに、勉強机とパソコンも設置されている。ちなみに太郎の寝室はまた別の部屋であり、完全に1人の寝室である。Upload By まゆん太郎専用の部屋を用意した理由太郎専用の部屋は、プライベートを大切にさせたいと思い、太郎が9歳の頃に用意をした。最初の頃、太郎はあまり利用していなかったが、徐々にブロックや駒で遊ぶ場所として、思考が停止した時などの切り替え部屋として利用する時間が長くなっていった。ばあばと共同の部屋は6畳の小さな部屋であり、テレビも置かれている。なので広いリビングよりも家族全員がそこに集まってテレビを観ることもある。太郎はそこで宿題をする日もあれば、もっと集中力を高めたい時などはもう1つの太郎専用の部屋に移動して宿題をしている。太郎専用の部屋は5畳と狭いが、逆にその閉塞感が太郎には落ち着くのではないかと推測している。長い時では1日の半分をその部屋で過ごし駒を回したり宿題をしたりねんどで何かを作成したりして過ごしている。環境調整には第三者が必要太郎は集中しすぎてお腹がすいていることに気づかないことがあるので、私から声かけを行うことも多い。また、寒い日でも遊びに集中しすぎてエアコンもつけずに半袖で数時間遊んでいることが何回もあった。身体は冷たくなっていたが本人は鈍感なのか「寒くない」と言っていた。逆に夏の暑い日も集中しすぎてエアコンをつけずに汗だくで遊んでいたので、私がこまめに気をつかい、エアコンの状況を見に行くようにしている。環境や服装の調整も難しいのだなあと感じる日々だ。Upload By まゆん小学校の頃、太郎は特別支援学級に通っていて、教室の中には切り替えの場所が設けられていた。教室の隅にパーテーションで狭く区切られた2~3畳ほどの広さの空間には、ブロックや跳躍器具、本などが置かれていた。そして机は、一人ひとり隣が見えないように仕切りが立て付けられていた。Upload By まゆんわが家はそれを意図していたわけではなく、たまたま部屋があっただけだが、太郎には良い環境になっているのではないかと思えている。以前は分からない宿題があればすぐに私や祖母にヘルプを出しに来ていたが、最近はそういうことが減った。部屋に引きこもってなにやら集中力を高めている(のか、何をしているのか……)。空調の調整は、温度計と湿度計を部屋に置き、それを確認しつつ太郎の感覚と意見を確認しながら行っています。太郎はだいたいが「NO」とは言わないため、結果的に私の判断で調整することが多いです。いまだに、自分で時と場合に応じた服選びも行いません。したくないから行わないのではなく、環境に応じた服選びというものが難しいようです。寒いから厚手の服を着る、暑いから冷房をつけるなど物事と物事を結びつけることも苦手としているようです。以前、専門家の方から受けた社会的年齢の低さの指摘はこういう日常生活を1人で行えるのか?というところからの指摘でもありました。4月からは中学3年生。先のことをいろいろ考えています。(執筆:まゆん)(監修:鈴木先生より)温度環境に応じた服選びが難しい場合、温度帯ごとに服を並べてその中から選ばせるという支援方法があります。例えば室温が17℃なら15℃から20℃の間にある服を着て、外が8℃なら外出するときは5℃から10℃の間にある服を選ぶということです。気温の数字を見える化し、視覚的に訴える方法です。また、知的障害のあるお子さんには感覚鈍麻の傾向がみられることもあります。もし気になる保護者の方がいらっしゃいましたら、IQ検査を受けてみるのもよいと思います。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年03月28日毎日の通学、クラスメイト、教壇に立つ先生、ぜーんぶなし!17歳のわが家の娘いっちゃんが通っているのは、生徒数が多いことで有名なある通信制の高校です。登校して授業を受けることもできますが、いっちゃんは、ASD(自閉スペクトラム症)に加え、非24時間性睡眠覚醒症候群と呼ばれる睡眠障害もあるため、日中登校することが難しく「通信コース」と呼ばれる完全在宅のコースに在籍しています。在宅なので、通学・クラスみんなで一斉に座る机・目の前にいる先生……など、学校と言われて思い浮かべる光景は当然ありません。「さーて、やるかあ」と言って、パソコンの前に座るだけです。Upload By 寺島ヒロオンラインでのリアルタイム授業やメタバースHRも!普段の授業は、録画ビデオを見てレポートを提出する形式で行われますが、週に1~2回程度、オンラインやメタバースを使ったリアルタイムの授業やHRもあります。その日に授業を受けられない場合は、あとでアーカイブを見ることもできます。アーカイブは大体動画サイトにアップロードされるのですが、視聴可能な人を生徒用アカウントに制限し、アクセスを管理しています。この柔軟な授業形式は、いっちゃんにとっては良い環境のようで、今のところ大したつまずきもなく、着々と単位を取得しています。予定変更に弱い特性のある子には意外と良い!?録画授業録画ビデオでの授業は、すでに用意された授業を公開するシステムなので、予定は早めに(1学期の分が2月中には!)全て提示されます。余程のことがなければ時間通りに実施されるため、急な予定変更に不安を感じやすい娘には大変都合がいいみたいです。Upload By 寺島ヒロゲームのクエストのように次の課題を教えてくれるまた娘の学校では、生徒用アカウントと共に「マイページ」と呼ばれるシステムがWeb上にあり、まるでシミュレーションゲームのホーム画面のような分かりやすいUI(ユーザーインターフェース)で、取得した単位や授業内容をいつでも確認できるようになっています。それはまるでロールプレイングゲームで次のクエストを確認するような感覚。「次に何をやればいいのかな?」と迷いがちな娘には大変うれしいシステムなのです。イベントは数多く、課外授業も充実しているけれど……娘の通っている高校は生徒数がとにかく多いので、さまざまなイベントや課外授業が毎日のように開催されています。学校が主催するものはもちろん、生徒会、部活、生徒の有志が主催になるものもあります。いっちゃんは、イラストやデザインの課外授業やイベントに積極的に参加しています。ただ実際は、こういうイベントが好きでいろいろ参加しているという人は、生徒さんの中では少数派なのではないかと思います。課外学習とか、学校全体で2万人も生徒がいるのに30人とかの募集ですしね……。そのあたりは、やはりどこかに集まって何かをするということが難しい通信制の一面が表れているのかもしれません。同調圧力をかけられるのも、かけるのもキライ!な娘しかし、いっちゃんは「集まらないからこそ、クラスメイトの『やりたくない』という雰囲気に巻き込まれることなく、自分の好きなことに好きなだけチャレンジできるから良い」と言います。「逆になんか私がやる気になって、それほどでもない人が協力してくれるみたいになるのも嫌だ」「やっても良い、やらなくても良いって雰囲気だから楽」なのだそうです。人目があると伸びる人、縮む人人目があったほうが頑張れる、人目があるから勉強しなければいけないと思えるという人もいますが、人目があると遠慮してしまう、思うように行動できないという子もいます。うちでは娘がそうでした。Upload By 寺島ヒロ通信制高校というと、就職率が……とか、大学進学率は……とか、気になる方もいらっしゃるかもしれません。ですが、通信制の学校というものを、そういう「縮むタイプの子」が伸びる(かもしれない)場所として捉え直してみても良いのかもしれないと私は思います。執筆/寺島ヒロ(監修:室伏先生より)通信制高校の日常のリアルを共有してくださり、ありがとうございます。通信制高校を希望される方も増えていますので、通われている方の生の声はとても貴重な情報です!通信制高校は、基本的には遠隔で行われる授業を元に自身で学習を進め、レポートやスクーリング、テストなどにより単位を取得していくというスタイルをとっています。自分のペースで学習を進めることが苦手な方にとってはデメリットとなってしまう懸念もありますが、いっちゃんにとっては、人目を気にせずに自身の能力を伸ばす場所になっているだけでなく、自己管理能力をさらに鍛える機会になっているようにも思います。実際に登校すべき頻度や、イベントや課外活動の活発さなどは学校により異なりますので、ご自身の希望に合う学校を見つけられるとよいですね。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年03月27日母子共に強迫性障害(強迫症)私は23歳の時、強迫性障害(強迫症)を発症して入院していました。現在23歳の息子も23歳、ASD(自閉スペクトラム症)、知的障害(知的発達症)のほかに強迫性障害(強迫症)があり通院中です。私が実際に行った強迫性障害(強迫症)の治療には、薬物療法だったり、認知行動療法だったり、認知行動療法の中の暴露法だったり、森田療法などがあります。私は患者の会である自助グループに参加しているのですが、良い意味でとても凄く理屈っぽい議論が交わされ、多くの学びを得ています。ます。ただ、知的障害(知的発達症)のある息子には理解しにくい内容なので一緒には連れて行っていません。不安という感情を抱えながらなすべきことをなす私はある自助グループに通うようになり、このようなことを学びました。不安があったとき、みなさんはどのように考えますか?例えば飛び込み台から飛び込まなくてはならない状況の時、A.飛び込むのを止めるB.「怖くない、怖くない」と不安をかき消す言葉をかけながら飛び込むC.「怖い」と思いながらも、行動する。飛び込こんでみる飛び込み台の例は極端ですけれども、A.飛び込むのを止めると、これ以降も飛び込むことができできなくなります。B.怖くないという感情に意識が行きすぎてしまうと、反対に「怖い」という感情が強化されてしまいます。不安をかき消そうと不安にスポットを当てれば当てるほど、不安が増大してしまうからです。C.のように自分の自然の感情に蓋をしないで、その思いを持ちつつもともかく行動してみます。すると飛び込めた事実によって自信がつきます。このことを他のケースに当てはめてみたいと思います。私は著者で講演依頼を受けることもあるのですが、依頼を受けた時、とても苦しく不安な気持ちになります。というのも、緊張しすぎてお腹が痛くなるからです。過敏性腸症候群です(身体的には病気ではないのに、腸がギュルギュルしてしまう)。これを先ほどの例に当てはめると3つの方法があります。人前でスピーチをしなくてはならない時、A.話をすることをやめて、依頼を断るB.「あがってはならない」「大丈夫、大丈夫」と言い聞かせてスピーチに臨むC.不安、恐怖を抱えながらなすべきスピーチを行う人は自分の感情を自分の気合や努力で何とかできると思ってしまいますが、心臓や胃の動きを自分でコントロールできないように、自然に沸き起こる恐怖を自分の力でなくすことはできません。不安という感情はそのままにして、なすべきこと(飛び込む、スピーチをする)に意識を向け、それを行う。飛び込めた、スピーチできたという体験を通して自信になり、そのことによって不安という感情を抱えながらなすべきことをなせるようになるのです。このように考えながら、強迫性障害(強迫症)とつきあっています。定型発達の子とわが子を比べてしまう“比べる病”もコントロールできない感情。自分を責めてはいけないこの考え方は、発達障害のある子どもの育児でも参考になります。パートナーがいない時結婚式に招かれて、幸せな友人を見て素直に喜んであげられない自分を責める。妊活仲間が妊娠しても、自分の不妊治療がうまくいかないと「おめでとう」と素直に喜べない。これらも自然な感情です。「こんな風に思ってしまう私はなんて器が狭いんだろう。ダメな人間だ」と自分を責めてはならないと思うのです。同様に定型発達の子を見ては比べてしまい、「羨ましい」と思う。これも自然な感情、自分ではコントロールはできません。抑えつけてしまい「他の子をうらやむ自分はなんてダメな母親なんだ」と自分を責めないでほしいと思います。責めれば責めるほど、ますます、自分を追い込んでしまうからです。強迫性障害(強迫症)での体験を通して、自分の心から湧き上がる感情はコントロールできないことを私は学んでます。自分を責めない……まずそこを前提として、発達障害があるわが子と向き合うことが大切だと思っています。執筆/立石美津子(監修:森先生より)「自分の感情を否定しない」ということは大切ですね。人間誰しも、時にネガティブな考えが頭に浮かぶことはあります。そんな時に自分の感情に蓋をしてしまうと、後々になって感情が爆発したり、うつ病や心身症などの問題となってしまうことがあります。また、つらい状況であることが周囲からもわかりにくく、周囲から手を差し伸べることが難しくなってしまいます。不安、恐怖、嫉妬などなど……ネガティブな感情も、自分自身の心を構成する要素のひとつです。立石さんのように、ネガティブな感情も含めて受け入れて、感情とうまく付き合っていく方法を探していけるといいですね。前の記事はこちらUpload By 立石美津子Upload By 立石美津子Upload By 立石美津子Upload By 立石美津子(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年03月25日新生児の頃、長男がおとなしかった理由は……長男は生後1ヶ月の頃、先天性甲状腺機能低下症と診断されました。成長に大切なホルモンが正常に出ていないと医師に話をされました。あまり泣かずよく寝ており、「おとなしい子だなぁ」と感じていましたが、それは先天性甲状腺機能低下症の影響であると説明を受けたのでした。治療を開始し症状は安定しましたが、発育について私はとても心配していました。しかし歩行や発語の遅れは特に感じず、身長や体重などの成長も順調でした。1番初めに覚えた違和感……同じ場所を行ったり来たり常同行動が始まった1歳半の頃心配をしながらも長男は順調に成長していきました。そのような日々のなかで、私が1番最初に長男の行動に違和感を覚えたのは、だいぶ走れるようになった1歳半過ぎの頃でした。「特定のお気に入りの物を持ち、同じ直線を行ったり来たり走る」という常同行動が目につくようになったのです。 男の子がよくヒーローの世界などに入り込み、走ったり戦ったりすることは聞いたことはありましたが、そんな要素もありつつ、でも何か違うような……。しかしまだ幼いこともあり、よくある子どもの行動かもしれないと様子を見ていました。 しかし、2歳になるとその常同行動を1日に何度もやり、多いときは1日の半分以上走っているということもよくありました。夫も若干何か感じていたようで、当時何度か夫婦で話をしましたが、本人がとても楽しそうなので、なんとなく「これは長男にとって大切な時間なのかもしれない」と、2人で納得していました。行ったり来たり走っている時も声をかければ切り替えもできていたし、特に誰かを傷つけたり迷惑をかけるということもなかったので深く考えすぎないように見守っていました。Upload By ねこじまいもみ2歳頃、保育園での息子の様子は長男は2歳で保育園に通い始めました。登園時に泣くこともありましたが、徐々にすんなりと通えるようになりました。保育園ではおままごとのフライ返しがお気に入りだったようで、お迎えに行くとそれを持って1人で部屋の隅をちょこちょこと走っている姿を毎日毎日見かけました。保育士さんに「1人でいつもよく走っていますか?この行動について何か感じたりしますか?」と尋ねたことがありました。保育士さんは「みんなで取り組む時はちゃんと参加していますよ。受け答えも切り替えもきちんとできてますし、問題行動もありませんよ。本人も楽しそうに過ごしているので、私からは特に何も感じないですよ」とおっしゃってくださいました。Upload By ねこじまいもみ集団行動が苦手なのかもしれない……。でも、発達障害と結びつけるのも……しかし後から思えば、集団行動の苦手さもあり、集団を避けていたのもあるのかなぁと感じています。なぜなら、 長男は3歳の時、2つ上の長女と一緒にダンスの習い事をしていたのですが、長男はあまり取り組むことはなく体育館の隅っこでずっと同じところを行ったり来たり走っていることが多く見られました。そして、私が声をかけても逃げてしまい、なかなか取り組むことができませんでした。その時もダンスの先生に「小さい子だと最初はやらないことも多いですよ。でも、だんだんとやるようになってくると思うから大丈夫!」と言われました。たしかに気分で取り組んだり、発表会などはきちんとできていたのですが、長男の様子を見ていた私は、ダンスの習い事を一旦辞める選択をしました。この習い事先での様子も、私の中ではずっと抱いて長男の違和感で、集団行動が苦手なのではないかと気づいてゆく出来事の一つでした。 しかし、園や習い事でも集団行動ができている時もあり、発達障害に結びつけて良いものか当時は本当に分かりませんでした。そしてこの常同行動が、就学後、長男にとって学校がつらい場所となっていく原因の一つとなるのですが、それは、また別の機会に詳しく書いていこうと思います。小学3年生なった長男、常同行動はどうなったかというと……小学3年生になった今も長男はこの常同行動をしますが、主に自宅だけです。 年齢が上がるとともにやってはいけない場面を自分なりに理解したり、人の目を気にしてやらなかったりと、変化しているようです。でも、この行ったり来たりする行動は、長男にとって楽しい時間であり、大切なんだと今は自分で言っています。また、トランポリンも好きで家で頻繁に跳んでいます。長男にはストレス発散になっているようで、 常同行動と同じくらいスッキリすることなのだと聞いて、私も長男にとっての常同行動がどのようなものなのか、理解できたような気持ちになりました。Upload By ねこじまいもみ執筆/ねこじまいもみ(監修:初川先生より)長男くん2歳の時に覚えた違和感、常同行動についてのエピソードをありがとうございます。違和感がありつつも常同行動をやめさせたり、集団活動が苦手そうだなと感じつつも集団活動にちゃんと参加しなさいと強く促したり、そうした働きかけをせずにいてくださったこと、長男くんにとってどれほど救われたかと思います。子育ての中で、「……あれ?」という違和感を感じることは多かれ少なかれあると思います。その際に、自分の思いや思い込み(○歳なら普通こうするもんでしょ!)でお子さんの言動を“変えよう”とするのではなく、お子さんの様子を観察し、どうしてこういう言動が出ているのか考えたり、園の先生方はじめ相談できる人に相談したり。そうした動きが初発であることがとても良いと感じます。集団行動自体は取れていても、あまり得意そうではないから、習い事として(つまり園生活プラスアルファとして)続けることを止められたという判断にもつながったのですね。苦手そうなことを日常生活にプラスしてまでやるかどうかはよく考えたいところです。特に、嫌だ、苦手だという表出が少なく、やろうとしたらできるけれどすごく疲れる、あるいはかなり時間が経ってからそのつらさが出てくるタイプのお子さんもいるので、そのあたりの細やかな見取りは長男くんにとってとても助かったと思います。常同行動のその後についてもありがとうございます。成長とともに出し方が変わってくる様子があるのですね。人によってはコンディションによって出方が変わったり、あるいは変わらなかったりということもあると思います。お子さんにとって常同行動によって得ているもの(安心、スッキリなど)は何か、あるいはどんなときにそれが出やすいか(不安、緊張など)をよく観察しておけると良いだろうと思います。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年03月22日癇癪、パニック……大変だった3~4歳現在小学2年生の長男けんとは、自閉スペクトラム症(ASD)と3歳の時に診断を受けました。赤ちゃんの時からとてもおとなしい子で、今も基本的にはおっとりした性格です。小さな頃から、家にいる時間、慣れた場所や環境の中では、穏やかに過ごせますが、慣れていない場所、初めての体験、感覚的に怖いと感じる時などは一変して大癇癪や、大号泣!私もどうしていいのか分からず、困り果ててしまうことがありました。Upload By ゆきみこれまで、けんとのイヤイヤ期はいつだったのだろう?……というのは、あまり考えたことがなかったのですが、小学生になった今になってみると「3~4歳頃が一番大変だったな。あれがうちの子にとってのイヤイヤ期だったのかな」と思います。けんとは、1歳半健診で指摘を受けたことをきっかけに支援へと繋がっていき、年少の歳に市立の発達支援施設に通い始めました。この3~4歳頃のけんとは、やりたいことやこだわりが強まっていましたが、言葉が遅く、自分の気持ちをうまく伝えられなかった時期でもありました。今回は、この時期にけんとが大癇癪を起こしたり、私が困っていたりしたエピソードを振り返ってみます。見通し不安? 忘れ物を取りに引き返すと大号泣Upload By ゆきみけんとが3歳のある日、私が家に忘れ物をしてしまいました。車で出発してからすぐに忘れ物に気がついたので、取りに帰ることに。いつもと違う場所で曲がり、引き返した瞬間、けんとが大号泣し始めたのです。とにかく怒っている様子で、チカラの限り泣き叫んでいました。気持ちを切り替えることも難しかったようで、落ち着くまでとても時間がかかりました。ほかにも、帰り道に私が急に買い物をしようと思いたち、突然お店の駐車場に入った時や、お気に入りのショッピングモールの駐車場が混んでいたので、いつもとは違う駐車場にしようと道を変えた時に大号泣したことも。今、考えると、けんとが予想していた行動と、私がとった行動が違ったため、見通しが崩れたのが原因だったのではないかと思います。当時は、何故そんなに泣くのか、分かってあげられないことも多くありました。こだわり?大好きな場所から離れない息子Upload By ゆきみそして今でもよく思い出す、大変だった記憶のひとつとしては……そして今でもよく思い出す、大変だった記憶のひとつは……大好きなショッピングモールへ行った時に、お気に入りの駐車場やエレベーターから離れなくなることです。違う場所へ誘おうとしても、全く聞き入れず、手をひっぱって連れて行こうとしても大号泣。その場所から頑なに離れないので、とうとう夜になってしまいました。「さすがに、もう帰らないと」と思い、弟を抱っこ紐に入れた状態で、けんとも抱っこして移動。しかし途中で私の腕からけんとが抜け出し、ダッシュでお気に入りの場所へと戻ってしまうこともありました。私は体も心も疲弊してしまい、私も子どもたちも、みんなで泣きながら帰宅したこともありました。その後、視覚優位なけんとの特性を私が理解していき、視覚支援で行動の予定を示すようになると、嘘のように切り替えができるようになりました。感覚過敏?フォトスタジオで大号泣Upload By ゆきみ弟の1歳の誕生日記念にフォトスタジオへ(けんとは当時3歳)。けんとも一緒にと思い、襟のついた、いつもと違う洋服を準備しました。しかし、シャツを着た瞬間からずっとけんとは大号泣。いつもと違う場所。いつもと違う洋服。しかも首元まであるシャツ。今考えると、きっと感覚過敏も影響していたのだと思います。けんとは、シャツを脱ぎたそうに首元をグイグイやっていました。そして、あまりにもすごい大号泣で、記念フォトが、ほぼ泣き顔となりました。息子のイヤイヤ期、今考えると特性だった?「初めて体験すること」が多かった3~4歳頃のけんとは、今よりもさらに見通し不安や、こだわりが強く、感覚面が敏感だったように感じます。今となってみたら、「だからあんなに泣いてたのね」と分かることですが、当時の私は気づいてあげられませんでした。言葉が遅く、想いを上手く伝えられず、私の言葉を理解していなかったため、けんとにとって「嫌だ」「怖い」などの表現の仕方が、癇癪やパニックとなってしまっていたのだと思います。私は本当に少しずつ特性を理解していきました。けんとも、経験や歳を重ね、少しずつ理解力を深めていくにしたがって、気がつけば、本当に大変だった時期から抜け出していた……のだと、思います。今も昔も、その時期ならではの悩みごとは常に感じていますが、「3~4歳頃が大変だったな」と振り返って思うこの気持ち。この想いと同じように、さらなる未来のその先で、「今」のことを「あの頃は大変だったね」と、家族や友人、支えてくださる方たちと思い出しながら、話しができたらいいなと祈っています。執筆/ゆきみ(監修:初川先生より)けんとくん3~4歳の頃の大変だったエピソードをありがとうございます。「今、考えると」とあるように、当時は大変さの中で翻弄されていたように感じることも、まるで謎解きのようにこういうことだったんだろうなと理解できることがありますね。お子さんが言葉をまだ使いこなせる前だと、癇癪が起きやすかったり、こちらがいくら良かれと思って説明したところで伝わらずお互い苦しくなったり。そういう時期だと思います。またその頃はお子さんの特性(例えばけんとくんだと視覚的な情報処理が得意で言葉で説明されるよりも絵などで説明されたほうが入りやすい)などもまだつかめていない時期であることも多いです。子育て自体が手探りであることも多い幼児期、保護者の方お一人でお子さんの特性に気づき、その手立てまで分かってやってみるというところまでいくのはなかなかに難儀だと思います。園の先生や支援機関の方などと一緒にそのあたりつかんでいくことになることが多いですが、すぐにはつかみきれない面もあるので、本当に幼児期は大変だと感じることは多いと思います(お疲れ様でした!)。あの時は大変だったね、と一緒に子育てを進める方と笑って振り返ることができる日が来ることを祈っています。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年03月21日1歳からトイトレ開始Upload By ネコ山息子がトイトレ(トイレトレーニング)を始めたのは1歳頃でした。なぜなら、私自身がオムツが取れたのは、1歳過ぎだったと母から聞いていたので、「息子もできるだろう」と思ったからでした。息子の1歳の誕生日過ぎにおまるを購入、これからオムツではなくここで(おまるで)おしっこしようね!とおまるを渡してみました。すると息子はおまるを分解してしまいました……。「使い方が分からないのかな?」と思い、私が座って見本を見せましたが、息子はおまるの構造に興味津々。おまるに座る様子が見られなかったので、私は1歳でのトイトレを早々にあきらめました。2歳半の夏が来た。しかし、尿意を感じない息子時はすぎ、息子が2歳半の夏が来ました。いよいよ幼稚園入園を意識してトイトレに本腰を入れなければいけない、私は自分を奮い立たせました。「いきなりおまるを使うのは難しいのかな」と考え、息子に布でできたトレーニングパンツをはかせてみることに。何度かトレーニングパンツに漏らすことで尿意や漏らしたときの気持ち悪さを感じてもらうことが狙いだったのですが……。初め息子はおしっこが床に流れ落ちたことに驚いていた様子でしたが、次第になんとも思わなくなり、ついにはおしっこの水溜りで遊んでしまうように。尿意も感じていないようで、食事中でも気づいたら出てしまう有様。Upload By ネコ山「息子にはトレーニングパンツはまだ早かったのかな」と思い、濡れた感じが分かりやすいトイトレ用のオムツを着用し「出た」ことを教えてくれるようになるまで待つことにしました。しかし……。3歳、トイトレ絶望!しかも、幼稚園はオムツで登園できないと知りトイトレ用のオムツを着用して1ヶ月が経っても、息子は出たことを教えてくれる様子はなく、それどころかオシッコとうんちでタプタプになっても、気にも留めない様子でした。排泄予告も事後報告もできず、オムツが汚れても気にならない、もちろん便座やおまるに座っても出せたことはない……「トイトレ無理じゃない?」と私は絶望しました。「幼稚園はオムツで登園してもいいんだろうか?」気になった私は春から入園予定の幼稚園に問い合わせてみました。すると「失敗は大歓迎なので、布パンツで来てください。トイレトレーニングはできる限り終わらせておいてください」とのことで、ある程度トイレで排泄できるようにしておかなくてはいけないことが分かりました。入園まであと3ヶ月……私は心を鬼にすることを決意しました。尿意は分かるようになったものの、頑なにオムツでしかしない息子この頃息子は少し成長したのか、なんとなく尿意が分かるようになって来ていました。しかし、おまるやトイレで排泄することに不安があるようで、オムツ以外で出すことを頑なに拒みました。そんな息子の姿に私も根負けしてしまい、結局オムツを履かせてしまうことに。息子の気持ちになってみると「ずっとオムツで排泄して不自由なかったのに、おまるやトイレでするメリットないよな……」と、私はふと気がつきました。そこで、おまるやトイレで出すメリットを感じるように、仕方なくご褒美で釣ることに。トイレかおまるでオシッコができたら好きな車のおもちゃを買うことを、息子に提案しました。車が大好きな息子は、好きな車種の車のおもちゃを買ってもらえるならと、不安もありながらも割とあっさりおまるに座り、初めてオムツ以外にオシッコを出すことができました。入園2ヶ月前の出来事です。それ以降ほぼオムツを卒業し布パンツで過ごせるようになりました。そして尿意すら分からなかった息子が「オシッコでそう!」と教えてくれるように。新たな問題勃発!おまるでしかしなくなり……。ついに、トイトレ成功Upload By ネコ山しかし新たな問題が……。息子はおまるでしか排泄せず、トイレの便器を使うことを頑なに拒みました。「トイレでしたらかっこいいよ!」と声掛けしてみましたが、かっこいいとかに興味がない息子にその言葉は響かず、座ることすらしてくれません。入園まであと20日となり、ご褒美シールやトイレの仕掛け絵本を使ってみましたが、全く効果なし。もともと癇癪やこだわりが強い息子に一度定着したことを覆すことは至難の技でした。入園まであと5日、私はかなり焦っていました。「おまるがあるからおまるを使いたがるんだ……!」私はおまるに逆恨みし、おまるを撤去することに。オシッコがしたい息子がおまるがないことに気づき、私におまるはどこにあるのかと聞いてきました。私は「どこに行ったのかなー?」と、とぼけ「仕方ないからトイレでしてみる?」と誘うとやはりトイレでの排泄を拒否。しかしオシッコがしたいし漏らすのは嫌と思ったのか、息子は自分から「トイレ、座る」と言い便器に座りました。しかしいつもと違う状態での排泄は簡単にはいかず、便器に座っても出ません。息子は慣れないトイレでの不安と闘うように何度か座って降りてを繰り返し、やっとのことでオシッコを出すことができました。Upload By ネコ山3歳3ヶ月、幼稚園入園5日前の出来事でした。息子のトイレ成功を家族全員で喜び、ご褒美に特別に大きめのおもちゃを買ってあげ、息子の頑張りを褒めました。その後息子はおまるを1度も使うことなく、トイレでオシッコをするようになりました。(ちなみにこの時うんちはオムツでしかできず、トイレでうんちができるようになるのは年中になってからでした)。執筆/ネコ山(監修:新美先生より)トイレトレーニングが入園5日前にトイレ成功したエピソードを聞かせて下さりありがとうございます。劇的な展開にハラハラしました。さてさて、トイレトレーニングの時期や手順は個人差が非常に大きくて、どんなに頑張っても入園までに間に合うとは限りません。トイレトレーニングを始める準備段階として、膀胱にある程度尿が貯められるようになり、まとめて排泄できるようになっている、尿意を感じられる、ある程度コミュニケーションが取れ、まねをする、ほめられるとうれしいと思えるなどが育ちつつある時点で始めるとスムーズに行きやすいです。ASD(自閉スペクトラム症)などの発達の偏りがあるお子さんの中には、排泄の生理機能の発達がゆっくりだったり、尿意・便意などの内部感覚が鈍かったり、まねをする、コミュニケーションをとるなどのコミュニケーション・社会性の発達がゆっくりだったりする子も少なくないので、トイレトレーニングはややゆっくり進む子が多いかもしれません。またトイレを怖がったり、こだわり行動につながることも多いです。ネコ山さんも書かれていたような、排便はオムツを履いてするというのも、よく見られるこだわりですね。ネコ山さんに聞かせていただいたエピソードからは、息子さんが尿意を感じられるようになった時点で、本人にトイレで排泄するメリットがあるようにごほうびを設定してモチベーションを高めるのはポイントだったと思いました。ネコ山さんも息子さんもよく頑張りましたね。お疲れ様でした。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年03月18日認知症は高齢者がなるもの、というイメージを持っている人が多いですが、若い人でも認知症になるケースはあります。それが「若年性認知症」です。また、認知症自体も、原因によってもいくつかの種類があり、症状や対処法が異なります。今回、きくち総合診療クリニック理事長・院長の菊池大和先生に、認知症の種類と、認知症になりやすい人などについて聞きました。教えてくれたのは…監修/菊池大和先生(医療法人ONEきくち総合診療クリニック理事長・院長)地域密着の総合診療かかりつけ医として、内科から整形外科、アレルギー科や心療内科など、ほぼすべての診療科目を扱っている。日本の医療体制や課題についての書籍出版もしており、地上波メディアにも出演中。「4大認知症」の特徴と症状認知症は発症した原因によりいくつかの種類に分類されますが、その中でも多く見られる4つの認知症を「4大認知症」と呼びます。1、アルツハイマー型認知症日本人に最も多い認知症で、全体の70%弱を占め、女性に多く見られます。原因は、アミロイドβ(ベータ)などのたんぱく質が何らかの要因により、長い年月をかけて脳にたまってしまうこと。それにより、脳が萎縮し、認知症が引き起こされます。症状は、記憶障害(もの忘れ)から始まることが多く、少しずつ時間をかけて進行していきます。文字を読む・書く・話す・理解することが難しくなったり、物や人の顔などが認知できなくなったりして、日常生活に支障を来たします。認知症は病気の名前ではなく、病気によって引き起こされる症状の総称です。一方、アルツハイマー病は記憶や行動に問題を起こす脳の病気で、認知症を引き起こす代表的な病気の1つ。アルツハイマー病が原因で引き起こされた認知症を、「アルツハイマー型認知症」と呼びます。2、血管性認知症認知症の20%を占めるのが、血管性認知症です。脳梗塞や脳出血といった脳血管障害が原因で、脳の血液循環が悪くなり、脳細胞が破壊されることで引き起こされます。男性に多く見られます。症状は脳血管障害を起こした場所によって異なり、もの忘れや記憶障害、判断力障害、歩行障害など多岐に渡ります。手足のしびれや麻痺、感情のコントロールができないなどの症状を伴う場合もあります。症状には波があり、認知機能はまだらに低下していきます。3、レビー小体型認知症脳にレビー小体というタンパク質がたまることで、神経障害が引き起こされる認知症です。症状として、実際には存在しないものが見える「幻視」や、手足が震えて転びやすい、歩きにくいなどのパーキンソン症状、睡眠中に夢を見て大声を出すなどがあるのが特徴です。調子の良いときと悪いときを繰り返していたかと思うと、急速に進行することもあります。4、前頭側頭型認知症脳の約4割を占める前頭葉と側頭葉の神経細胞が変性し、徐々に進行する認知症です。認知症の中で唯一、指定難病(患者の医療負担を軽減するため、医療費助成制度の対象としている難病)を受けています。初期には、ぼんやりする時間が増えたり他人への興味がなくなったりします。進行すると、今までの人格とは著しく異なる行動を取ったり、同じ行動を繰り返したり、言語がしゃべれなくなるなど、さまざまな症状が見られます。65歳以下で発症する「若年性認知症」65歳未満で認知症を発症した場合、高齢者の認知症と区別して「若年性認知症」と呼びます。全国の若年性認知症の人の数は推計で3万5700人。人口10万人当たり50.9人となります。若年性認知症で一番多いのは血管性認知症で、次がアルツハイマー型認知症。前頭側頭型認知症も高齢者の場合に比べて割合が高くなっています。女性より男性に多く、その理由は、男性のほうが生活習慣病(高血圧、脂質異常、糖尿病)が多く、脳血管障害(脳出血、脳梗塞)が多いためと考えられます。若年性認知症の人の多くは現役で仕事や家事をしているため、認知症になるとそれらに支障が生じます。しかし、本人や配偶者はそれが認知症によるものだとは思わず、診断や治療が遅れて認知症が進行してしまうケースが少なくありません。年齢に関係なく誰でも認知症になる可能性はあると認識し、気になる症状があるときは、早めに適切な治療を受けること大切です。認知症になりやすい人ってどんな人?「認知症は遺伝するのでは?」と不安に思う人が多いですが、遺伝子が関係する認知症はたった10%以下。ほとんどの認知症は、遺伝とは関係なく誰でも発症します。近年の研究では、認知症は生活習慣や環境が関わっていることがわかっています。認知症を引き起こしやすい生活習慣・環境を知っておきましょう。NG習慣1:偏った食事が習慣になっている栄養バランスの悪い食事は、体調に大きく影響します。特に過剰な塩分や高脂質な食事は高血圧の原因になり、高血圧は脳梗塞や脳出血を引き起こしやすくなります。結果として、脳血管性認知症になりやすくなると言えます。また、過剰な糖分は糖尿病を引き起こすことがあります。糖尿病はアルツハイマー型認知症の原因となるアミロイドβの蓄積を進行させるので、脳血管性認知症になりやすくなります。適度にお酒を楽しむ程度なら問題はありませんが、過度の飲酒はアルコール依存症とともに「アルコール性認知症」を引き起こす原因になります。アルコールを過剰に摂取することで、栄養を吸収しにくくなり、脳の萎縮や機能低下を招いて認知症へとつながるのです。また、脳梗塞などの脳血管障害を引き起こして認知症へとつながる場合もあります。NG習慣2:運動不足が続いている運動不足になると、筋力が低下します。すると活動量が低下して脳への刺激が減り、認知症のリスクを高めます。ウォーキングやストレッチ、手足を動かすなど軽い運動でも十分脳への刺激になりますので、何歳になっても適度に体を動かすことを心がけることが大切です。NG習慣3:睡眠不足の日が多いアルツハイマー型認知症は、脳におけるアミロイドβなどのタンパク質の蓄積が原因で発症しますが、アミロイドβは夜間の睡眠中に脳から血液中に排泄され、肝臓に運ばれて無毒化されます。睡眠不足になると、この排泄が低下して蓄積しやすくなるため、アルツハイマー病になりやすいと考えられています。NG習慣4:たばこを吸うたばこを吸うと、ニコチンの血管収縮作用により血液の流れが悪くなります。すると脳への酸素が供給されなくなり、脳の神経細胞がダメージを受け、認知症を引き起こす恐れがあります。NG習慣5:人と会ったり話したりすることがほとんどない例えば、定年になって仕事を辞めたり、子どもが自立して夫婦2人だけになった後、家に引きこもって運動もせず、誰とも会わない生活をするようになった人が、認知症を発症するケースは珍しくありません。これは、こうした生活により脳への刺激が極端になくなり、脳が萎縮して認知症が引き起こされると考えられます。認知症は初期段階で適切な治療を受ければ元に戻れる!認知症の約70%を占めるアルツハイマー型認知症には、必ず2~3年ほどの前段階があります。それを「軽度認知障害」と言います。軽度認知障害の代表が「記憶力の低下」です。最初は本人がもの忘れを自覚することもありますが、徐々に自覚が薄れていきます。また、今まで興味のあったことに無関心になったり、情緒不安定になったりもしますが、日常生活は送れるのが特徴ですこの軽度認知障害の段階で生活習慣の改善や運動をすれば、50%の方が元に戻れます。その後の段階であっても、できるだけ早く治療を始めることで、進行のスピードを遅らせることができるのです。認知症は早期発見、早期治療することがとても大切。それによってその後の生活が大きく変わることを知っておきましょう。まとめアルツハイマー病型認知症は長い年月をかけて脳にタンパク質がたまって発症します。つまり「高齢者になってから気を付ける」のでは遅く、30〜40代のときから生活習慣を見直すことが予防に大きくつながるのです。上の「認知症になりやすい人」の生活習慣に1つでも心当たりがある人は、今から改めて、認知症になりにくい体を作っていきましょう。※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。取材・文/かきの木のりみ4つの編集プロダクションで紙媒体の編集をしつつWebの学校に通い、Webと紙両方の編集に携わるようになって約20年。スポーツは観るのもやるのも好きなのだけど、最近はすっかり観るほうに……。ウーマンカレンダー/シニアカレンダー編集室著者/監修/菊池 大和 先生医療法人ONE きくち総合診療クリニック 理事長・院長。地域密着の総合診療かかりつけ医として、内科から整形外科、アレルギー科や心療内科など、ほぼすべての診療科目を扱っている。日本の医療体制や課題についての書籍出版もしており、地上波メディアにも出演中。
2024年03月17日診断書が県外では使えない!?想定外の事実が判明それまで私たちが住んでいた自治体では、受給者証がなくても発達支援センターで療育を受けることができていました。しかし、引っ越し先で療育に通うためには受給者証が必要、かつ受給者証発行には医師の診断書が必要とのことだったので、発達支援センターで医師の診断を受けた際に、診断書の発行をお願いしていました。診断書発行の依頼を済ませた私は、申請手続きを再度確認するため、引っ越し先の県の市役所に電話をかけました。受給者証の発行手続きは簡単だと思っていたら、想定外の事実が判明しました。なんと、「引っ越し先の市の病院で発行される診断書でないと受給者証は発行できない」というのです。つまり、私が用意している診断書は、引っ越し先での受給者証の申請には使えないということでした。これには驚きました……このやりとりの前に、市役所で受給者証の件を問い合わせた時には、そんなこと、ひとことも教えてもらえなかったからです。また、新しい病院で診断書を書いてもらうためには、初診を何ヶ月も待たなくてはならず……。せっかく療育に行き始めて娘への効果を感じていたのに、すぐ通えないなんて……と、私はとてもガッカリしてしまいました。落ち込む私に救世主が現れるUpload By マミヤそんな時、たまたま発達支援センターの担当の方から電話がきました。私は、せっかく書いてもらった診断書が引っ越し先で使えないことを伝えました。すると、担当の方は「では、こちらで受給者証を発行してから引っ越ししましょう!それならすぐに使えますから。引っ越し前に発行して受け取れるように私から市役所に連絡を入れておきます」と言ってくれたのです。受給者証を取得した後なら、変更手続きさえすれば、引っ越し先でもすぐに使えるとのことでした。私は翌日、発達支援センターに行って診断書を受け取り、その足で市役所へ行って、受給者証を申請することができました(受給者証は翌日手元に届きました)!担当の方には何度もお礼を伝えたいくらい感謝しています。準備を終えてホッとしていた引っ越し前日……動物園で事件発生!Upload By マミヤ受給者証問題が解決し、引っ越し前日。荷造りなどほぼやることが終わりホッとしていた私は、これが最後になるかもしれないと思い、娘と何度も訪れた動物園に行くことにしました。初めて訪れた時は、入り口すぐの場所にあるキャラクターが描いてある自動販売機の前から30分は動かず、動物に目もくれず走り回り、階段の登り降りを繰り返していた娘。そんな娘も動物をしっかり見て、小走りしつつもたまにこちらを振り返る姿に、成長を感じていました。その動物園の園内には、遊具がありました。娘はそこがお気に入りだったので、最後にそこで遊ぶことにしました。少し遊んで帰る、そんな気楽な気持ちで行ったことが、最大の誤算でした。引っ越し作業が続き、外へなかなか遊びに行けていなかったこともあり、久しぶりの遊具に娘は大興奮。私の声も届かないほどに夢中で遊んだ結果、娘は何かの拍子に遊具のロープから手を離し、顔から地面に滑り落ちてしまったのです。幸いすぐに泣き止みましたが、娘の顔は大きく擦りむけ、出血もしていました。急いで病院に連れて行くと、見た目は派手だけど深刻な怪我ではないと言われましたが……新天地へは顔に大きな傷をつけての出発となってしまいました。引っ越し作業中、多動の娘はどうする?実母のサポートに感謝Upload By マミヤ引っ越しには、私の実母が手伝いに来てくれることになっていました。夫と話し、「多動の娘が引っ越し作業中に部屋の中にいるのは危険だよね……」ということになったので、荷物の搬出の立ち合いなどは夫に任せ、私と娘はひと足先に引っ越し先の県に行き、近くのホテルに泊まることにしました。しかし、私1人では動きの予測できない娘との移動と宿泊に不安があったので、母も一緒にホテルに泊まってもらいました。翌日、3人で引っ越し先の家に向かいましたが、荷物が到着する前の掃除など、娘の面倒を見ながらではとても手が回らなかったので、母のサポートがあってとても助かりました。今思い出してもこの時期は本当に大変で、いろんな方に助けていただいてなんとか引っ越し作業が終わった気がします。わが家の引っ越し事情はこんな感じでした。執筆/マミヤ(監修:鈴木先生より)他県への引っ越しの場合、医療機関の選択も考慮する必要があります。私のクリニックでは全国に神経発達症を診られる仲間がいるので、名刺を見せて携帯で写真を撮ってもらい、後日電話してもらうことにしています。もちろんその名刺宛の紹介状も添えます。それがたとえ海外であっても同じです。逆に、海外や他県から私のクリニックがあるつくば市へ引っ越される方は、クリニックのWebサイトを通じて院長へのメール宛にまずは診られるかどうか相談が来ることも多いです。予約は基本的には受付に直接の来院が必要ですが、海外や他県の方は無理なので電話での予約方式をとっています。電話はなかなか繋がらないことがありますが、メールなら確実に繋がります。私のクリニックの例を紹介しましたが、皆さんの参考になればと思います。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年03月16日これが癇癪?分からなかった未就学の頃Upload By カタバミまちゃが2歳4ヶ月で自閉スペクトラム症と診断された時、まちゃには睡眠障害と偏食と感覚鈍麻に加えて言葉の理解と表出の遅れがありましたが、周りのママたちからよく聞いていた「酷い癇癪」はありませんでした。日中は比較的静かに遊んでくれる子どもだったので、私はまちゃに障害があるとそれほど実感してはいませんでした。まちゃには夕方からの黄昏泣きはありましたが、泣いている理由が分からないことはほとんどありませんでした。まちゃは2歳6ヶ月から発達センターでの療育に通い始めました。療育では、自分の気に入った活動を続けたくて引っくり返って怒り泣く事はありましたが、最後までずっと長く泣いているようなことはありませんでした。年中年長と手厚い児童発達支援事業所と療育園に通ったお陰なのか、そこでも酷い癇癪を報告されたことはなく、就学して2ヶ所の放課後等デイサービスに通っていても「そんなに不機嫌は続きませんね。気持ちの切り替えはできています」と言われていました。小1、もしや今さら癇癪・イヤイヤ期?Upload By カタバミ小1の終わり頃、絵の好きなまちゃは教室の黒板に絵を描きたがったことがありました。でもその時は、黒板は授業で使うので制止されたそうです。するとまちゃは30分ほど引っくり返って泣き喚いたと担任の先生から聞いて、私は驚きました。なぜなら、それほど長く怒り続けた事は今までなかったからです。つい先日も放課後等デイサービスの送迎車から降りた時、両目から涙を流し「あーあー!」と大きな声で泣き続けていました。私が職員さんに理由を聞くと「多分別の施設に異動になった職員さんが今日久しぶりに来ていて、まちゃくんと楽しく遊んでいたんです。帰る時間になって、その方との遊びが中断されたのが悲しいのかもしれません」言われました。家族と遊んでいて離れてもこんなに泣くことはないので「そんなに人に執着するとは!」と私は驚きました。そして、家に入ってからも好きな遊び(タブレットで動画を見る)を促しても、好物の焼き芋をすすめてみても突き返してきて長い時間怒り泣いているので、再び驚きました。私から見たまちゃの癇癪Upload By カタバミまちゃ自身も自分の意志が分からず、なんとなく不機嫌になっては忘れていた時期は終わり、意志がはっきりしてきたのかなと感じています。まちゃは月1で言語聴覚士さんの訓練にも通っているのですが、記憶を続ける訓練も少しずつ進んでいるので、何かをやりたかったのに叶わなかったというような、悔しい悲しい記憶も長く続くようになっているのかなと感じています。今までは携帯やタブレットで動画を見せたりお菓子を与えれば不機嫌もだいたい収まっていたのに、最近では怒って受け取らず突き返してくる事も多くなっています。また、声も体も順調に大きくなっているので、少しのイヤイヤも小2のパワーだと周りの目が気になるほど激しいものになっています。今のところ癇癪の内容は、大きな声で「ウワーン!」と喚きながら寝転がり、自分の両耳を両手でバタバタと叩いたり、自分の指を強めに噛んでできた歯の跡を見せてきたりしています。どこかに走り出す事もあります。これらが以前よりも長く続きます。たまに怒ってタブレットや携帯を乱暴に扱ったりするので注意が必要です。これからどんどんひどくなるかもしれない癇癪対策Upload By カタバミ今年の年始に神社へ家族でお参りに行った時も、夫が厄払いをすると急に言い出して人の多い所で長時間まちゃも待つことになってしまい、まちゃは機嫌が悪くなり何をしても収まらず、ヘトヘトになったこともありました。年始の混んだ神社で機嫌が悪くなった時にはすぐ脇に広い河原があったので、まちゃの癇癪に疲れて嫌になった私はまちゃをのびのびさせようと河原に行きました。しかし、まちゃは私の想定を超えてのびのびと遠くに走って行こうとしたので、慌てて追い掛けました。まちゃの不機嫌や癇癪で私もイライラしてくると、おおらかに構えることができなくなって間違った対応をしたり、普段より厳しく接してしまいかえって癇癪を加速させてしまいます。最近は外出のたびに癇癪が起きているので何が原因なのか考えるようにしています。車で出掛けた時には車に戻れば収まったりするので、やはり見通しがつかない外出が苦痛なのかなと思っています。去年私は、絵カードを使って言葉がなくても意思疎通を図れるようになる講座を受講して、発語がゆっくりなまちゃの気持ちを理解できるような工夫もはじめました。また、放課後等デイサービスでも、まちゃに癇癪があったと報告を受けた時には、原因を詳しく聞くことにしています。これからは一層、学校や放課後等デイサービスとも連携して、まちゃの癇癪の原因を探り、なんとか減らしたり軽くして行けたらと思っています。執筆/カタバミ(監修:新美先生)お子さんの癇癪について詳しく教えてくださりありがとうございます。幼児期はそこまで大きい癇癪を起したことのなかったまちゃくんが、小学生になってから激しい癇癪を出してくるようになったのですね。カタバミさんが観察、分析されていたように、まちゃくんの成長とともに、自分の意志が明確になり、記憶がつながるようになったということがありそうですね。また噛んだ歯形をお母さんに見せてくるというところからは、自分がいやだと思っていることを伝えたいというような、アピール的な意味もありそうです。カタバミさんは絵カードを使った意思疎通の仕方を学ばれているとのことなので、絵カードを使った表出の手段が増えると、癇癪でないかたちで、自分の意志を伝えてくれるようになることが期待できますね。また見通しや理由などを視覚支援なども使って伝えたり、癇癪が起きる前後の癇癪が起きやすいシチュエーションをみつけて、そういう場面が極力起きないようにする、代替行動を考えるということに取り組むことで、癇癪は減らしていけそうです。具体的な取り組みを始めておられるので、またいつかそれについても聞かせてもらえたらうれしいです。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年03月15日2歳半から早期療育!親子通園クラスで学んだことわが家の息子は1歳半健診の時点で指差しがなく、発語はほぼ喃語の単語のみ、 何事にも興味が薄い子どもでした。保健センターの発達教室に通い、1歳10ヶ月で受けた発達検査で「10ヶ月程度の発達年齢」と分かりました。その後、2歳半でASD(自閉スペクトラム症)と診断され、親子通園クラスがある療育園に通うことにしました。まだ0歳児だった娘と、喃語しか話せず意思疎通が難しい息子を連れての通園は、肉体的にも精神的にも本当ーーーーに大変でした。しかし、療育の専門家である先生が、息子へどのように関わっているのかを間近で見られたことは、大きな学びとなりました。療育園では、あの手この手で反応の少ない息子の気をひいて、"人と関わることはこんなに楽しいんだよ"ということを、遊びやプログラムの中でも教えてくれました。また、親子で一緒に活動する中で、家庭では気づかなかった息子のさまざまな面を知ることができました。例えば、息子が特にリトミックとミュージックケアという音楽療法が好きなことを知りました。逆に、スライム遊びはあまり得意ではないことも分かりました。苦手な活動でも息子なりに取り組み、克服していく姿を間近で見守れたことは、発達の遅れに闇雲に焦っていた私の心を落ち着かせてくれたように思います。Upload By 海乃けだま就学先を見据えての園選び息子は2歳9ヶ月になった頃、喃語から少しずつ2語文を話し始めましたが、まだまだ発音が不明瞭で、ママしか理解できないレベルでした。衣服の着脱はズボンを履けるのみ、食事はスプーンをなんとか握るように持つことはできましたがほぼ手づかみ、排泄に至っては尿意の訴えもなく完全にオムツ……。このように、言葉の発達も身辺自立も進んでいませんでした。私たちの住んでいる地域では、多くの子どもが3歳児から幼稚園の年少クラスに入りますが、その時点では、地域の幼稚園は息子には難しいと考えていました。そのため、年少の間は少人数で手厚くサポートしてくれる療育園の単独通園クラスに通うことを決めました。療育園の単独通園クラスで過ごした1年間で、息子はできることがかなり増えました。言葉については、まだ一方通行な会話でしたが、発音もしっかりしてきて、ママ以外の人にも聞き取れるようになりました。身辺の自立も、衣服は前後ろを間違えることはあれど、自分で着脱できるようになり……なんとオムツも外れました(療育園の先生方には感謝してもしきれません…(涙))!!自分でできることが増えてきたので、年中の年は地域の幼稚園に転園することも視野に入れ始めた時、療育園の先生との面談がありました。先生は「ひとでくんは、地域の小学校に行けると思います。なので、地域の小学校に通うなら、もう1年療育園の単独通園に通って、集団に対応する力をつけてから幼稚園に転園するほうが、ひとでくんにとっても良いと思います」と話してくれました。その頃の息子は、療育園で自信をたくさんつけてもらい、みんなの前で発表する時や当番などに俄然やる気を出していました。先生からのアドバイスを受け、今はまだ、より大きな集団で過ごすことを目指すよりも、少人数で手厚くサポートしてくれる環境のほうが息子にとってプラスが多いと感じました。その結果、年中の間は引き続き療育園に通い、年長から地域の幼稚園に転園することに決めました。Upload By 海乃けだま年長で療育園から幼稚園へ転園した息子は?そして小学校入学へ……さらに1年間療育園へ通った後、息子は地域の幼稚園の年長クラスに転園しました。息子が転園した幼稚園は、1クラス十数人ほどの比較的少人数の園です。1学期の間は、まるで息子専属のように、加配の先生がぴったりついていてくれました。転園してきて最初の2ヶ月ほどは、息子も新しい環境にすぐにはなじめず、幼稚園での活動に参加しないことや、家で不機嫌になったりすることもありました。今では、多少の登園しぶりをすることはあるものの(家でマイペースに遊びたいため)、幼稚園に着いてしまえば笑顔で「ママいってきます!」と言ってクラスに入っていきます。運動会・保育参観・展示作品の製作・音楽会・劇の発表……この1年間でさまざまな行事がありました。しかし、息子は自分の出番まできちんと椅子に座って待っていたり、セリフを言って役を演じたり、楽器をリズムに合わせて鳴らしたり……思わず目頭が熱くなる思いでした(涙)。加配の先生も、3学期の今では息子に付きっきりではなく、少し遠くからの見守りで対応してくれています。このように息子の成長を感じる一方で……当然ながら同級生のお友達も、年長の1年間でぐんぐん成長していきました。療育園の時にはあまり気にならなかった周囲との差に驚かされ、内心ショックを受けることも多々あります。しかし、小学校へ入学する際に顔見知りのお友達がいることは、息子にとって安心材料となっているようです。そして、1年間幼稚園で一緒に過ごしたお友達は、息子のことをよく分かってくれているので、息子が困っている時に声をかけるなど気を配ってくれて、とてもありがたく思っています。先日小学校の体験入学があり、息子がどんな感想を伝えてくるのかドキドキしていましたが、小学生のお兄ちゃんお姉ちゃんにも優しくしてもらい、とても楽しかったようでホッとしています。Upload By 海乃けだま今回は、発達ゆっくりマイペースなわが家の息子の、就学に向けた園選びの経験をお伝えしましたが、同じように悩んでいらっしゃる方の参考になれば幸いです。執筆/海乃けだま(監修:鈴木先生より)言葉の遅れがあるお子さんを診た時、小児科医がまず考えるのは「難聴」の有無です。2歳までに単語が、3歳までに2語文が出てくれば正常範囲内と考えます。聴性脳幹反応(ABR)という寝かせて行う検査で難聴の有無は判定可能です。もし難聴が判明すれば耳鼻科で補聴器などの相談に入ります。先天的な難聴は新生児期に産婦人科で行うスクリーニング検査でほぼ分かりますが、後天的には中耳炎後などが多いため、ABR検査が必要になります。言葉が出ていたとしても、一度はABR検査をすることをお勧めします。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年03月15日寝ない!とにかく寝ない2歳児!タケルは、乳児期はとても大人しい赤ちゃんでした。今思えば、ちょっと大人しすぎたかもしれないと感じるほど、手のかからない赤ちゃんで「なんて親孝行な良い子だろう!」と思っていました。しかし、生まれて5ヶ月が過ぎた頃、悪夢のような……いえ、夢を見ることができないほどの過酷な日々がやって来ました。……寝ない!とにかく寝ないのです!タケルはおっぱいを飲むとウトウトはするのですが、ベッドに下ろすと火のついたように泣き始めます。抱っこするか、おんぶしていれば、少しは長く寝るのですが、いったん布団に寝かせると振り返った瞬間もう起きているのです。Upload By 寺島ヒロそれでも、1歳ぐらいまでの間は、おっぱいを飲ませれば1~2時間は寝ていましたし、寝不足が続くとその辺で寝落ちしていました。しかし、2歳になる頃には体力がついたのか、タケルは寝ること自体に苦労するようになりました。眠くて眠くて寝ようとするのに眠れないのです。眠れなくて本人も真っ赤な顔になっているのですが、抱っこしようが、一緒に布団に入って本を読もうが、全く眠れない状態が続き、次第に体調が悪くなり、何かのきっかけで「ギャー」と泣きだし、最後はへとへとに疲れて寝落ちしてしまいます。この頃、唯一効いたのがドライブでした。チャイルドシートに乗せて、ぐるぐるドライブすると次第に落ち着いて眠りにつきます。チャイルドシートからおろす時に起きてしまう事もあるのですが、体も大きくなった2~3歳頃は、私が抱っこしてあやすのも体力の限界があり、車(とドライバー役の夫)の助けを借りて何とかする日々が続きました。何でもかんでも気にくわない!?3歳の頃3歳になっても眠れないのは相変わらずでしたが、体格はますます良くなりました。つまり、暴れると手が付けられなくなったということです。タケルは、普段は大変大人しく、ニコニコとひとり遊びをしているような幼児でしたが、赤ちゃんの頃と同じく、ひとたび何か嫌なことがあると大泣きして暴れ出し、止まりません。一旦おさまりかけても、「ブロックが赤い」「救急車が通った」と言っては、怒りを再燃させ、顔を真っ赤にして騒ぐのです。3歳頃になると流暢に喋るようになっていましたが、理由を聞いても原因らしきものは教えてくれませんでした。あとあと聞いてみると、「うるさかった」とか「何かやろうとしていたことを中断された」ということがきっかけだったようなのですが、その時は何をそんなに怒っているのか分かりませんでした。また、一度泣きだすと1~2時間もワンワンと泣いているのですが、どうしてこんなに長いことつらい気持ちが続くのか、本人も不思議に思っていたようです。「もう大丈夫だって分かっているのに、悲しい気持ちが止まらないんだよ~」と言いながら泣いていることもしばしばでした。怒っている原因も分からず、泣き続けてる理由も分からず、抱きしめながら私もただ見ていることしかできなかったのでした。これってイヤイヤ期?それとも……ASD(自閉スペクトラム症)の子どもは、予測可能性や一貫性を求める傾向があるそうです。タケルも「何か」があって、自分の予定が変わると、それがとてもストレスになり泣いたり暴れたりしてしまいます。そして、自分が泣いていることで、その後の予定までどんどん変わってしまうことがまた耐えられないようなのです。Upload By 寺島ヒロ人に言えば「3歳でしょ?それってイヤイヤ期よ。来年ぐらいまでにはなくなるわよ」と、言われるのですが、なんだかちょっとほかの子とは違う感じがしました。結局、タケルの「イヤイヤ期?」は、小学校高学年まで続いたのでした。執筆/寺島ヒロ(監修:新美先生より)生後5ヶ月頃から始まり、小学校高学年まで続いた大泣き、癇癪のエピソードについて聞かせて下さりありがとうございます。寺島さんも「イヤイヤ期?」とはてなマークを付けていらっしゃるように、イヤイヤ期とはちょっとレベルが違いますよね。感覚の偏り、特に過敏さが強いと、乳児期早期から泣いたりぐずったり眠れなかったりが目立つことがあります。また自閉特性で行動・気持ちの切り替えがスムーズにいかず、一度嫌なことがあると、「ま、いっか」と切り替えることが行かなくて、頭では「しょうがない」などと分かっていたり、怒ることや泣くのを止めたいと思っていても、嫌な気持ちを引きずってしまいどうしても切り替えられないということが起きやすいです。気持ちの切り替えのコントロールは、段階的に練習したりして身に着けたり、なにかのきっかけで自分なりの切り替えスイッチを見つけておさめられたりするようになったりしていきます。成長してくると本人も切り替えたいと思っているのに切り替えられなくて本人自身が困っていることも多いので、その場合は、心理士などの先生に切り替え方の練習法などについて相談してみてもいいかもしれません。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年03月14日学校からの連絡がない日はない!問題行動が多かった息子現在高校1年生、16歳の息子は小学1年生の時にASD(自閉スペクトラム症)、中学1年生ででLD・SLD(限局性学習症)と診断されました。小学校1、2年生の時はとにかく問題行動が多かった息子。学校からの連絡がない日はない……というほどでした。息子はほかのクラスメイトと一緒に同じ行動ができませんでした。例えば、図工の課題の絵は描かず、自分の好きな車の絵を描いていました。また、息子は冬になると頬が赤くなりやすかったのですが、それをからかわれ、頬が丸く赤いキャラクターのあだ名をつけられました。息子はそれがいやでたまらず、その名で呼ばれると相手を追いかけ回し、殴りかかることも……。一旦落ち着いてもフラッシュバックで思い出してしまうと、その時お友達は何もしていないのに、再び殴りかかります。また、担任の先生が「静かにして」と言っているのにクラスメイトが静かにならないからと、相手に暴言を吐くことも。さらには、机や椅子を投げ飛ばしたといった連絡もありました。Upload By ユーザー体験談毎日毎日申し訳ないと謝罪し、どうすればいいのか先生と相談しました。そして通常学級に所属しつつも、特定の教科だけ特別支援学級に通うという特例を提案いただき、息子は算数と国語の時間だけ、特別支援学級に通うことになりました。そこで特別支援学級の先生からも見守っていただく形になりました。※通常学級在籍の場合、個別の支援は「特別支援教室」もしくは「通級指導教室」で行われます。もしくは特別支援学級に在籍し、特定の科目を交流級にて受ける形をとります。この体験談のお子さんについては、学校の判断により、通常学級に在籍しながら一部の科目について特別支援学級で受けています。「そんなに暴れて警察官になれるのかな?」特別支援学級の先生の言葉にハッとした息子2年生のある日の休み時間のことです。息子には聴覚過敏があり、休み時間などのガヤガヤする時間帯にはイヤーマフを使用しているのですが、クラスメイトが息子のイヤーマフを取り上げてからかってきたのだそうです。これに息子は怒り暴れ出し、そして手も足も出てしまい……。クラス担任だけでは抑えられなかったため、急ぎ特別支援学級の先生を応援に呼んで二人がかりで抑えたそうです。そこで特別支援学級の先生は息子にこういいました。「そんなに暴れて警察官になれるのかな……?お友達を『ぶっ飛ばす』なんて言う人が警察官だったら、困っている人が怖がっちゃうよね…?」Upload By ユーザー体験談実は息子のこの頃の夢は警察官でした。幼少期から働く車が大好きで、警察の24時間を追ったドキュメンタリー番組を熱心に見ていた息子。生真面目な性格で曲がったことが大嫌い、悪い人を捕まえるという正義に憧れていました。そして警察官は夜もみんなを守って、怒らず優しいイメージがあったようで、その姿は息子の目標だったのです。先生にそういわれた息子はハッとしたようでした。そしてその日の夜、私に「ぼくもみんなと同じように怒らないようになりたい」と何とも切ない表情で言い出したのです。変わりたいと思う息子の気持ちを聞いた私は、心の底から、何とかしてあげたいと思いました。そして学校の先生、主治医と相談しながら、3年生に上がる前から薬の内服を開始することにしたのです。Upload By ユーザー体験談「自己抑制ができるようにしたい」息子の憧れる「警察官」像に近づくために……それからの息子は、問題行動が全くなくなったとは言えませんが、薬のおかげもあり大分落ち着きました。よかったと思っていたのですが、5年生に上がる前のある日、息子が服薬をしなくても自己抑制ができるようになりたいと言い出したのです。薬を飲んでもいいんだよと言っても、息子に思い描く理想の警察官は薬は飲まないイメージだそうで、意志は固く……(こだわりの特性が出ていたのだと思います)。主治医の先生に相談すると、息子1人だけではどうにもならないことが多く周りの協力が必要不可欠であること、そして「小学生で自己抑制ができるようになるのは難しい。中学生でもできるかどうか……」と言われました。かなり難しいことだと分かりながらも、息子の思い、私の思い、主治医の先生の助言を学校の支援会議で相談しました。すると先生方は、大変なことだと分かりながらも息子の望みを叶えたいと言ってくださったのです。それから一致団結して息子に関わってくださいました。Upload By ユーザー体験談先生方の全力のサポート。そして息子の夢には変化が……特別支援学級の先生は特に率先して動いてくれました。息子がイライラしていたら”深呼吸してその場から離れる”という対応方法を根気強く指導してくれました。息子の通っていた小学校は、特別支援学級の在籍人数が4人だったこともあり、手厚くサポートしてもらえたのもよかったのだと思います。保健の先生や教頭先生は、姿を見かけたら声を掛けてくれ、「困っていることはないかい?」と気にかけてくれました。担任の先生や学年主任は、息子がクールダウンできるような一室を設けてくれ、落ち着きたいときは休んできていいよと言ってくれました。歴代の担任の先生方も声をかけてくれたり、息子の表情を見て察してくれたりと、息子にとってありがたい対応をしてくださいました。そして息子は少しずつですが、自己抑制ができるようになっていったのです。小学6年生になった息子は1年生の時とは比べものにならないくらい成長しました。それも先生方の支援のおかげです。そしてそんな素敵な環境下で成長し、高校生になった息子の現在の夢は、警察官ではなく発達障害児に関わる仕事に就く事、できるなら特別支援学級の先生に変わりました。今もその夢に向かって頑張っています。息子を支えてくれたみなさんに本当に感謝しています。イラスト/海乃けだまエピソード提供/しのっぺ(監修:鈴木先生より)自閉スペクトラム症に併存する易刺激性のあるお子さんは導火線が短いので、すぐカッとなりやすい特性があります。そういうお子さんには感情コントロールプログラムを当クリニックではお勧めしています。怒りを鎮める方法や不安を和らげる方法を学ぶプログラムです。また、SST(ソーシャルスキルトレーニング)も必要になります。SSTは一般のお子さんも勉強になるので、道徳やHRなどクラス全体で学ぶ方式がいいかと思います。先生方の全力サポートのできる、校内連携がしっかりとしている学校なら投薬なしでも行けるのですが、ほとんどの学校は連携が困難な状況です。教育だけでなく、医療とも連携してより良いサポートを追求し続けることが重要なのです。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2024年03月13日特化型の放課後等デイサービスって?わが家の次男Pは知的障害(知的発達症)を伴うASD(自閉スペクトラム症)です。Pは現在、2ヶ所の放課後等デイサービスへ通所しています。Pが通う放課後等デイサービスを探す際、私は療育的な支援をメインにしている、特化型の施設を候補に考えていました。専門的な知識を持った方に支援をしてもらうことで、少しでもPの発達を促したいという気持ちがありました。特化型とひとことでいっても、運動、アート、学習支援など、支援プログラムは施設によってさまざまなので、私はどこを選べば良いのか悩んでいました。でも私自身の希望より、本人が無理なく参加できて楽しめるところが1番なので、考えた結果、音楽療法に特化している施設を見学してみることにしました。Upload By みん音楽療法の内容は?重度知的障害のわが子も参加できる?音楽療法は、用意された支援プログラムに沿って進行されます。座って見るパネルシアターや、身体全体を使って行うリトミックなど、いろんな内容の設定がありました。見学してみると、重度の知的障害(知的発達症)のPには参加が難しそうな内容もあり、通うのは少し難しいかもしれないと思っていました。不安に思う点を施設長に直接相談してみると……実際、利用者の中にも、プログラムに参加できずに自由に動き回っているようなお子さんもいて、きっとPも同じように参加しないだろうとますます不安になりました。その気持ちを施設長に相談したところ、「プログラムに参加できていないお子さんに参加を促すことはあっても、無理に参加させることはしません。本人がやりたいと思わない場合は危険のないよう自由に過ごしてもらっています。」と話してくれました。私はそれを聞いて少し安心しましたが、それでは音楽療法の意味がないのではないか?とも思いました。しかし施設長によると「子どもたちは音楽や歌を聴いていないように見えても、しっかり聴いていたり歌詞を覚えていたりするので、全く参加していなかったお子さんがある日突然歌い出したり、自分からプログラムに参加したりすることもありますよ!」とのことでした。歌や音楽に興味を持ち始めたPにも、通い続けることで音楽療法の良い影響があるかもしれない……と期待した私は、こちらの施設を利用することに決めたのでした。Upload By みん音楽療法を受けて息子に起きた変化は?そして通い始めて数ヶ月後、施設での面談時に、音楽療法プログラムに参加するPの様子を見る機会がありました。一緒に参加するのは難しいのでは……?という私の予想に反して、Pは座って順番を待ち、プログラムの流れに沿うなど、次に何をするのか分かっているようで、自分から積極的に動いていました。見学していると、子どもの理解や発達を促す工夫が随所に見られました。例えば、パネルシアターでは、歌とともに動きのある出し物を見せることにより、歌詞の内容をよりイメージしやすくしていました。季節や行事をテーマにした曲を歌っていたのですが、これは季節に興味関心を持ち、親しみを感じられるようにするだけでなく、発音と発声の練習を通じて口腔内の筋力をアップする狙いもあるそうです。また、リトミックでは、音楽に合わせてお友達と体を動かすことで、社会性や協調性、音感やリズム感を養いながら、身体能力の発達も促しているということでした。特化型の放課後等デイサービスに通い3年が経過。大きく成長した息子音楽特化型の放課後等デイサービスに通ってもうすぐ3年になりますが、最初に施設長が話してくれたように、Pは音楽療法のプログラムに参加することができるようになり、言葉が増え、発音も少しずつ良くなってきています。家でも放課後等デイサービスで覚えた歌を口ずさむようになり、パネルシアターや絵本で見た絵を描くようにもなりました。Upload By みん通う前はプログラムに参加できるか?音楽療法に通うことでPに変化はあるのだろうか?と不安でしたが、特別支援学校のお友達だけでなく、ほかの学校のお友達とも触れ合いながら音楽療法を受けることで、たくさんの刺激をもらい、Pの成長を感じることができました。今では、音楽特化型の放課後等デイサービスへ通って本当に良かったと思っています。執筆/みん(監修:室伏先生より)みんさん、音楽特化型放課後等デイサービスについて、ご共有くださりありがとうございます。Pくんは、プログラムを楽しみ、歌を歌うことや絵を描くことへの興味にも繋がり、お友達からもたくさんの刺激を受け、充実した時間を過ごされているのですね。音楽を取り入れたプログラムの狙いとしては、・音楽を介して、お友達との関わりや、順番を意識するなどのソーシャルスキルにアプローチする・リトミックで粗大運動、楽器演奏で微細運動など、さまざまな体の動かし方を促す・歌を歌うことで、顔回りの筋肉の使い方などを楽しく練習するなどがあると思いますが、結果として子ども自身が楽しみながら、体も心も成長できる面があるといえますね。みんさんが教えてくださったように、放課後等デイサービスは、施設によって、プログラムの内容も雰囲気も全然違いますので、実際に親子で見学してみて、安心して楽しく通える施設を見つけることができるといいですね!前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年03月12日小学3年生の3学期、突然学校を行き渋るようになった息子息子が学校に行きづらくなってしまったのは、小学3年生の3学期。いつものように集団登校で出発したはずが、突然家に帰ってきてしまいました。私は、行き渋る息子を学校に半ば強引に連れて行き、校門で先生へ受け渡す日々。そんなある夜、息子が「先生がこわいから学校に行きたくない」と告白してくれました。Upload By 花森はな小4の春休み、初めて児童精神科を受診幸い3学期ということもあり、残りの期間は無理をせず何とか登校。春休みに児童精神科を受診してみることにしました。この時は息子に自閉スペクトラム症があることは分かりませんでした。医師から「不安を取り除くお薬を処方しますね」と言われ、「新学期からは学校に行けると思いますよ」とのことでした。私は「本当に行けるようになるのかなぁ?」と不安に思いつつ、息子の投薬生活が始まりました。Upload By 花森はないざ新学期になってみると……行けない。行けませんでした。学校では泣いて暴れて、手がつけられず。それまで反抗的な言動も特になく、クラスメイトと同じように教室で勉強をして、友達と楽しく遊んでいた息子とはまるで別人のようでした。そして、薬の副作用で朝起きられなくなり、ますます息子は学校へ行きづらくなりました。そもそも息子の心はギリギリ状態で新学期のストレスが大きすぎたのか、ほかにもいろいろな要因が絡み合っていたのか……当時の私は、一人で悩みを抱えこむことしかできませんでした。Upload By 花森はな小6でコロナ禍の一斉休校。学校にも、外にも行けなくなってしまったその後、息子は特別支援学級に転籍し、4年生の間は私が付き添いをして何とか登校。5年生になると、送迎は必須であるものの何とか一人で学校にいられるようになりました。しかし新型コロナウイルス流行による一斉休校をきっかけに、6年生から本格的な不登校に突入。とうとう外へ出ることもできなくなってしまいました。その後、息子は中1で自閉スペクトラム症と診断され、強度行動障害も判定されました。中学3年生になった現在は現在の息子は、特別支援学校の中等部3年生に籍を置いていますが、学校に通えるのは年に数回だけ。それでも、前を向いて通信制高校にチャレンジしようとしています。不登校や行き渋りをきっかけに、子どもの抱える困難さや特性に気づくこともあると思います。私ももっと早くに気づくべきでした。たくさんの後悔があります。それでも、不登校になったことで、濃密な親子の時間を過ごすことができたと思っているし、子どもたちとの仲も以前よりずっと深まった気がしています。そういったことをこれから書いていきたいと思います。どうぞよろしくお願いします!Upload By 花森はな執筆/花森はな(監修:初川先生より)初回のコラム(息子くんについての不登校の経過紹介)をありがとうございます。小学3年生で不登校になった際の学校側の環境調整はどうされたのかなとか、はなさんお一人で抱えることとなったと書かれていますが、そのあたり相談できる人がいなかったのはとても大変だったことと思います。そして息子くん本人が「怖くて行きたくない」と言っている中で、薬で不安を下げて登校させるアプローチを提案されたのは、はなさんからするとなかなか悩ましかったのではなかろうかなど感じます。どうにか登校が安定しつつあった小4、5を経て、コロナ禍……。そして中学校生活。「元気な不登校やっています」に至るまでさまざまなことがあったとお察しします。これからのコラムでこのあたりのいろいろも語られてゆくのかなというところで、今後のコラムを楽しみにしています。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年03月10日自閉スペクトラム症息子、1歳の頃は公民館の中の少数派スバルがヨチヨチ歩きを始めた1歳頃から、私たちは遊び場を求めて児童館や公民館へ足を運ぶようになりました。公民館には月に何度か、同じ年齢の子だけが集まる時間が設けてあり、そこへ行くとほぼ同学年の子どもしかおらず、この年齢特有の悩みを相談しあったり情報交換することができました。そして、それと同時に、成長過程の「多数派」と「少数派」を目の当たりにする機会になりました。3歳でASD(自閉スペクトラム症)と診断されたスバルですが、1歳当時はちょっと言葉が遅いかな?くらいで発達に気になるところはありませんでした。ただ、公民館の中では何かにつけて少数派でした。初めて公民館へ行った日。初めての場所、たくさんの人、ちょっと緊張気味の保護者に不安を感じて泣き出したりママの膝の上から離れられない子が多い中、スバルは私の元を離れ公民館の隅から隅までパトロールしていました。もちろん私は後ろにピッタリくっついて危なくないように見守っていましたが、スバルはまるで自分だけの世界にいるかのように周りを気にしない堂々たるパトロールぶりに「これは大物になるぞ」と思いました。そんなに広くない部屋の何がそんなに気になるのか分かりませんが、始まりから終わりまでスバルと私はウロウロと歩き回っていたので、あの頃公民館で一緒だった人たちは、私たち親子の残像しか覚えていないのではないでしょうか。公民館という場所に慣れてきた頃、パトロールは任務のように続けていましたが、スバルは空間のチェックと共に人もチェックするようにもなりました。いつも顔を合わせる親子にニコニコと近づき、近すぎる距離感で笑顔のご挨拶。初めましての職員さんの膝に座って休憩。人見知りする子が多数派の中、スバルは本当に変わった子だなと思いました。ほかの2歳児の「熱い自己主張」に母、驚愕2歳くらいになり、言葉が遅い少数派グループの子どもたちも次々話し始める中、スバルはまだ「バイ(バイバイ)」「ばあ(いないいないばあ)」「あー(Car)」の3語と宇宙語だけでコミュニケーションを取っていました。少数派どころか1人取り残されてしまいました。公民館では、言葉が増えできる事も増えた多数の子どもたちが集団イヤイヤ期に突入していました。保護者が靴を履かせれば「自分でやる」と泣き、うまく履けずにまた泣く……。話には聞いていたものの、初めて目の当たりにした『本物のイヤイヤ期』はなかなか壮絶でした。スバルはここでも少数派で、イヤイヤ期がまだ来ていませんでした。スバルは車が大好きで、毎日ミニカーを並べ、車のよく見える公園へ行き、車のカタログをボロボロになるほど読んでいました。私はこれらのこだわりを、スバルの自我の芽生えであると感じ「車を眺めて過ごしたい」という意志を表現しているのだと思っていました。しかしイヤイヤ期の子の内側から発せられる強く熱い意思や、爆発したかのような自我を目の当たりにし「スバルのは外に向けた自己主張というより、自分の中で趣味に没頭しているだけだな」と思いました。イヤイヤ期の子の姿を通して、2歳はこんなに高度な自己主張ができるのかと驚きました。スバルは言葉が遅いから自己主張できないだけ……というのとは、ちょっと違うなと思いました。Upload By 星あかり自己主張のないイエスマンこの頃のスバルはイエスマンで、「これするよ」「あそこへ行くよ」「これを着るよ」といった指示を理解し淡々と従いました。テレビで子ども番組を見ている途中で「時間だからおしまいね」と消されても、泣いたり騒いだりする事なく素直に別の遊びをはじめます。たまに「そろそろ寝るよ」と遊びを中断させようとした時に、まだ遊びたそうなリアクションをする事もありました。しかし、寝る時に着るスリーパーを羽織らせファスナーを閉めた途端、突然真顔になり布団に潜って行くのです。布団に入ってから寝るまではまた別の戦いになるのですが、とにかくファスナーを閉める事がスイッチになり、スバルは全ての遊びを中断し自ら布団に入るのです。今となっては自分のしたい事よりもルーティンを優先する特性だと分かるのですが、当時はまるでインプットされた事を実行するスイッチでも付いているのかと思いました。Upload By 星あかりあまりにも淡々と指示に従う姿を見て、少し焦った私は、スバルの意志を引き出そうと「どうしたい?」「何食べたい?」なんて曖昧な質問を投げかけたりしましたが、発語がないのに答えられるはずもなく、愛想笑いで流されてしまうのでした。とは言え日常の中にスバルの意志はちゃんとあるのです。「コレとコレどっちにする?」みたいな質問にはジェスチャーで「コレ」と選ぶことができるし、目の前に並んだおもちゃの中から今遊びたいおもちゃを選ぶことはできるのです。アレがしたい、コレで遊びたい、アレを食べたいといった強い主張はありませんでしたが、スバルの好きな遊び、好きな食べ物、好きな公園、好きな絵本を私は知っているのです。「今はこれで十分」だと思うようになりました。小学4年生の今は、自称「反抗期」中!?3歳になり言葉があふれて、4歳になり突然おしゃべりになり、5歳になり起きてから寝るまでしゃべりり続けるようになりました。自己主張も激しくなり、かなり遅れてイヤイヤ期が来てしまうのかと怯えて暮らしていましたが、特にイヤイヤ期も反抗期も来ないまま小学生になりました。小学4年生になったスバルは最近になって「僕は今、反抗期なんだよ。反抗期はね、成長の証なんだよ」だから夜更かししてゲームの続きをしたいと主張していましたが、いつも寝ている時間になったらソワソワし出して、自分でスリーパーを羽織って布団に潜って行きました。私はいまだにイヤイヤ期が遅れてやって来ることに怯えています。執筆/星あかり(監修:新美先生より)イヤイヤ期のなかったスバル君について詳しく聞かせて下さりありがとうございます。発達の経過は本来一人ひとり異なるものですが、いわゆる多数派の方の発達の経過を、育児書に書いてあったり一般常識としてインプットされています。イヤイヤ期もその一つで、多くの方が2~3歳ピークで自我が芽生えて自己主張が強まる時期とされていますが、イヤイヤ期がいつだか分からない、なかった、ずっとイヤイヤ期だったなどなど、さまざまなパターンがあっても不思議はありません。スバル君は自己主張がないわけではないけれど、興味の偏りやパターン化志向、コミュニケーションの受動的スタイルなどが重なり、一般的に言われるようなイヤイヤ期が分からないまま、小4の本人なりの「反抗期」に入っているのですね。そんな経過もスバル君の成長で、名前のつくようなイヤイヤ期はなくても、スバル君らしいスタイルで大きく成長して来ていますね。きっと反抗期も本人らしい表現になるのかもしれないですね。スバル君らしい反抗期を楽しみましょう。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年03月07日広汎性発達障害(自閉スペクトラム症)中1娘と5歳下の弟の関係は広汎性発達障害(自閉スペクトラム症)のある中学1年生の娘には、5歳下の弟がいます。長男が産まれた時、私は発達障害がある姉がいる長男のことを心配していました。私が娘にかかりきりになって寂しい思いをしないか……発達障害があることで一般的な姉弟と違う関係になってしまうのではないか……姉弟関係がうまくいくのか、不安でした。会話が上手くいかなかったり、娘がイヤイヤ長男の相手をするという時期もありましたが、成長を重ねていき、2人は、私が想像していた以上に良い関係を築いてくれました。Upload By SAKURAしかし、娘が中学校に入学してからは、勉強や部活に忙しくなり……娘と長男が過ごす時間は少なくなりました。そして、今まで赤ちゃんだった次男が成長し、長男と次男が一緒に遊ぶことが多くなりました。Upload By SAKURA同時に反抗期真っ盛りの娘と私がもめることも増え……長男は、そんな様子をただ黙って見ていました。Upload By SAKURA母親の私がいうのもなんですが……長男は察することが得意。今何をしたらいいかや、言わないほうがいいことを、説明しなくても理解しています。そのため、私はついついしっかりしている長男に頼ってしまいます。Upload By SAKURAもしかして長男は寂しい思いをしてるかも?空気の読むのが上手な長男ですが、実は、3姉弟の中で生粋のママっ子。口には出しませんが、もしかしたら姉と弟のことで忙しい私に気を使って遠慮し、寂しい思いをしているかもしれない……。Upload By SAKURA私は、少しでもフォローになればと、休日に長男と2人で、出かけることにしました。Upload By SAKURA「ママとカフェに行きたい」という長男のリクエストで、2人でカフェに行くことになりました。カフェでのんびり食事をし、外を散歩することにした私たち。歩きながら私は、長男に話をしました。Upload By SAKURA日頃の感謝と、私の反省を長男に伝えると日頃の感謝と、私の反省を伝えると、長男は「いいんだよ」「ママは頑張ってるよ」と言ってくれ、こんな怒りんぼうな私をちゃんと見ていてくれることが、うれしくてたまりませんでした。それから私は、娘の話をしました。Upload By SAKURA私は、長男が小さな頃から、娘のことは説明していました。まだちゃんと理解できるまで、専門的な用語は使いませんが、娘の苦手な部分に関しては、隠さず話してきました。Upload By SAKURA私が娘に対して、厳しいことを言うことが多くなってから、私の本当の気持ちは娘に届きにくくなりました。「あなたのことが大好き」と娘に伝えても、反抗期の娘は無言……。自分の思いが伝わらないまま、声かけをしていくことがしんどくもなってきていました。せめて長男には、私が思っていること、考えていることをちゃんと分かっていてほしいと思いがありました。私は、娘への思いをそのまま伝え、長男にしてほしいことを伝えました。ありがたいことに、長男は理解してくれました。Upload By SAKURAそれから私は、定期的に長男と出かけるようにしています。長男が好きなゲームセンターに行ったり、公園で鬼ごっこをしたり、長男の話をゆっくり聞くようにしました。長男はいつもお出かけを楽しみにしてくれていて、2人きりの時間はとても楽しそうです。長男は、いつも私やきょうだいたちをよく見ていて、空気を読んで動いてくれます。しかし、しっかりしていても、まだ小学1年生。長男に甘えすぎないで、ちゃんと向き合う時間をこれからもつくっていきたいと思います。執筆/SAKURA(監修:新美先生より)発達障害のあるお姉さんとその弟さんとの関係について、詳しく教えて下さりありがとうございます。あーさんと弟さんのやり取りがほほえましく、ほっこり読ませてもらいました。一般的に、病気や障害のある方の定型発達のきょうだいは「きょうだい児」と呼ばれることがあり、さまざまな場面で我慢を強いられやすく、きょうだい児ならではのストレスがかかると言われています。とは言え、ご家庭ごとに事情は異なります。大切にしていくことは、障害などがありケアに手がかかるお子さんも、そうでないお子さんのことも、一人ひとりの人格を尊重していくことかと思います。負担が大きい場合は、それぞれの個室をつくる、別々に活動する時間を増やすなど、障害や病気のないほうのお子さんも、自分らしく過ごせる時間を確保することも大切です。SAKURAさんのご家庭では、姉弟仲もよく、弟さんがとても良く気がつくタイプで、自然にフォローしてくれたりするのですね。頼りになる分、負担がかかっていないかな、無理をしていないかなと心配になることもあったのかもしれません。弟さんとお母さん二人の時間をつくり、気持ちを聞いたり、子どもらしく甘えられる楽しい時間をつくるというのはいいですね。弟さんの場合は、負担に思っていることはなかったようですが、それでも、こんなふうな特別な時間が過ごせることはうれしかったことでしょう。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年03月06日小1から行き渋り、小3で母子登校できるようになったけど現在小学6年生のわが家の長女『姉子』は、小学2年生の時にASD(自閉スペクトラム症)と母子分離不安と診断され、小学4年生の時に知的ボーダー、場面緘黙と医師から言われています。姉子は、赤ちゃんの頃から繊細なところはあったものの、幼稚園の時は楽しく園生活を送っていました。しかし、小学校へ入学するとすぐに、登校前に泣き出したり、腹痛や頭痛を訴えたりして、行き渋りをするように。そして、1年生の時の個人懇談で担任の先生から発達検査を受けることをすすめられ、すぐに発達支援センターへ相談に行き、2年生になってすぐWISCを受けました。結果はかなり凸凹があり、これまで相当しんどい思いをしてきたことが分かりました。でも、検査を受けたことで姉子の特性や困り事を知ることができたので、「上手にサポートできれば学校生活も楽しめるかもしれない」と、前向きにとらえていたところで、まさかの転勤。さらにコロナ禍で環境が大きく変わったことにより、転校先で姉子はまた行き渋るように……。転校先の学校では、別室登校や母子登校など姉子のペースでスモールステップを繰り返し、学校にいる時にも少しずつ笑顔が見えるようになってきました。しかし……。登校できるようになってきた矢先の転勤、転校姉子が3年生になり、転校先の学校にもやっと慣れてきたところで、またしても転勤!霧の中でなんとか小さな光を見出して進んでいた道の前に、まるで高い壁ができたような気分でした。当然と言えば当然ですが、姉子の心はスタートラインに戻ってしまいました。前の学校の時と同じように母子登校でスモールステップで……とやってみましたが、そう簡単には行かず、また家にこもるようになりました。そこで、私から姉子への登校刺激やアプローチを一旦全部ストップしてみました。学校には行かないけれど先生方や相談機関とは密に繋がり続けて、相談先はしっかり確保することを意識しました。学校の支援に関する情報は集めておいて、いつでも動ける状態を保ちつつ、「お母さんと一緒に好きなことをしようよ」という生活に変えてみることにしたのです。Upload By スパ山「お母さんと好きなことをしようよ」という生活にしてみると一緒にゲームをしたり、お菓子づくりをしたり、おしゃれなカフェに行ったり。そして、頃合いを見て、学校行事のお便りをさりげなく貼っておくなどして時々ほんの少~し匂わせていきました……(笑)。すると、姉子が給食の献立を見て「え~、おいしそう」と話したのです。学校について姉子から触れてくれたことに飛び上がるほどうれしかったのですが、そこは落ち着いて「ほんとだね~おいしそうだね~」とだけ答えました。姉子が完全に学校を拒否してるのではないと分かって私は安心しました。Upload By スパ山大きなきっかけは、弟の特別支援学級への入学その年の秋頃、ASD(自閉スペクトラム症)がある弟が新1年生として、姉子と同じ小学校の特別支援学級へ入学することが決まりました。そして、入学前に弟と私で特別支援学級を見学しに行くことになりました。しかし、当日、夫の仕事の都合がつかず、姉子とまだ小さい次女と2人だけで留守番をさせるのも心配だったので、結局姉子も次女も一緒に連れて行くことに。放課後の誰もいない時間に、私と子どもたち3人で見学に行きました。姉子にとっては数ヶ月ぶりの学校です。どうなるかとハラハラしていたら、「ここが靴箱だよ」「廊下は走らないんだよ」と弟と妹に教えてあげるなど、お姉さん風を吹かせ始めたのです。拍子抜けしてひっくり返りそうでした(笑)。特別支援学級の先生方もとても優しく、私たちが安心して見学できるように細やかな配慮をしてくださいました。最初は少し不安そうにしていた姉子ですが、帰る頃には先生とすっかり仲良くなって「また遊びに来てね」と言われ「うん!」と答えていました。その光景を見た時に、「姉子も特別支援学級の教室ならもしかして通えるのでは……?」と私は思ったのでした。Upload By スパ山不登校の娘、特別支援学級への転籍に向けて。母、動きます!私は、学校をお休みしていた間にもしっかり繋がっておいた相談機関に行き、見通しが立たないことを不安がる姉子に、しっかり伝えられるように特別支援学級の情報を集めました。学校にも相談に行き、特別支援学級への転籍について話し合いました。そして、弟の2回目の特別支援学級見学の時、姉子に「また一緒に行く?」と聞いてみたら、「うん!」と笑顔つきで返事が返ってきたのです。そこで、慎重に慎重を重ねてゆっくりと、明るい雰囲気を保ちつつ、希望すれば特別支援学級に姉子も弟と一緒に通うこともできると話しました。姉子の反応は「へ~」という感じでしたが、表情は明るかったです。Upload By スパ山小4への進級目前、娘が登校の意思を。そして、特別支援学級へと転籍弟の入学式の少し前、姉子が急に登校の意志を示しました。驚いた私は思わず「へ!?どこに!?」と聞いてしまいましたが、姉子は「○○学級(特別支援学級)に」とにっこりして答えてくれました。こうして、4年生に進級すると同時に姉子は特別支援学級へ転籍することになりました。霧がかかって壁に阻まれていた道がまた見えたようでした。そこからは以前培ったスモールステップで、焦らず諦めずゆっくりゆっくり、2年の母子登校を経ながら学校生活を取り戻していきました。Upload By スパ山6年生になった今は6年生になった現在は、母子分離不安の症状も落ち着いて、私がいなくてもほとんどの時間を特別支援学級の教室で過ごしています。また、通常学級へ交流に行ったり、調子の良い時は、3年生になった弟と1年生の妹と一緒に3人で下校したりすることもあります。委員会やクラブ活動に参加したり、下級生の面倒をみたりしているそうで、その成長っぷりに私は驚かされています。姉子のおかげで、私もたくさんの発見と学びがあり、めちゃくちゃ反省もしました……。姉子が疲れているときは「休もうよ、大丈夫だよ」と、必要以上の不安を感じることなくどっしり構えることができるようにもなりました。もしまた進む道が見えなくなっても、壁がドーンと現れたとしても、「想定内だ」と、心づもりしておき、いつでも子どもたちをサポートできるように見守っていきたいと思っています。執筆/スパ山(監修:藤井先生より)スパ山さんがお子さん3人を育てながら、転勤を繰り返し、試行錯誤されていた様子が伝わってきました。不登校のお子さんにどのように接したら良いか分からない、という方への希望のメッセージですね。読ませていただき、ありがとうございます。今では特別支援学級に行くことができるようなった姉子さんは、スパ山さんの母子登校2年のサポートがあり、弟さんの入学などをきっかけに、学校は行っても大丈夫かもという安心に繋がっていたのだと思います。これからまた環境の変化があるかとは思いますが、休んでも大丈夫だった今回の経験が、これからの姉子さんの成長を支えていくものになると思いました。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年03月04日お笑いコンビ・ココリコの遠藤章造の妻・まさみさんが3日に自身のアメブロを更新。花粉症による不調とともに感染症が現れたことを明かした。この日、まさみさんは次男・歌楽(うた)くんについて「先週、額をケガした」と明かしつつ「ケガをしたのを忘れたの!?ってくらい元気です」と様子を報告。「またケガされたら、、、って考えたら何をするにもヒヤヒヤしちゃう」と述べるも「今日みたいに天気が良い日は外に行きたがる」と悩ましい様子でつづった。続けて、自身について「花粉症のせいで抗アレルギー薬、ステロイド服用しても具合悪くて」と説明し「おまけに疲れや心配事からか?口唇ヘルペスまで発症」と告白。「我が家はパパ以外は子供たち2人も重度の花粉症」と息子達も花粉症を発症していることを明かし「薬を飲ませていても鼻水、くしゃみ、目が痒いと騒いでいます」とつづった。また「花粉がすごいからまたカユカユになっちゃう」といい「今日は室内で遊ぼうっていったら『こうやって公園に行ったら鼻痒くならないから大丈夫だよー』って」とティッシュを鼻に詰めた歌楽くんの姿を公開。「確かに!!気持ちは伝わるよ」と述べ「このまま公園に行く勇気を褒めたい」とお茶目にコメントし、ブログを締めくくった。
2024年03月04日話しかけてもほとんど無視。質問には答えてくれない。アニメのセリフや誰かの口癖ばかりを繰り返す。どれが息子の本当の言葉なの?1歳半のたーちゃんが話すことができる意味のある単語は「ワンワン」のみでした。そしてオウム返しやクレーン現象など気になる行動も増えていき、私はたーちゃんの発達やほかのお子さんとの違いに悩んでいました。たーちゃんは2歳になっても、人とのコミュニケーションへの興味が薄いようでした。私や夫が話しかけても無視して、黙々と玩具で遊び続けていることがほとんどでした。リアクションも何もないたーちゃんに話しかけ続けることを、虚しいと思ってしまうこともありました。Upload By みかみかん一方でひとりごとは多く、単語は少しずつ増えていきました。よく見ているアニメのキャラクターのセリフや、私や夫がよく言う言葉の一部を真似していました。しかし、これもエコラリアなのかなと思ってしまい、私はその様子を微笑ましく思うことができませんでした。無表情で機械的にぶつぶつと呟く様子を見ていると、たーちゃんが本当にしゃべりたいことは何なのだろうと考えてしまいました。当時の私は、そうした言葉はたーちゃんの本当にしゃべりたいことではないのではないかと感じていました。心のこもった言葉を聞きたい、そう思っていました。何を話しても無視して、感情がこもっていない言葉を繰り返すたーちゃんに、温かなコミュニケーションを感じられずに、焦りと不安ばかりが募っていきました。Upload By みかみかん3語文が出てうれしい!しかし、自分の気持ちを言葉にするのは難しく、トラブルも……たーちゃんは2歳半で初めて3語文が出ました。普段はほとんど単語しか話さないたーちゃんが屋根の雨どいを見て、「ここみずでてくる」と言って私を驚かせました。しかしこの頃も、自分の気持ちを表したり伝えたりすることは苦手なようでした。Upload By みかみかん例えば、見ていた動画を「おしまいだよ」と言って消すと、たーちゃんは怒って泣いて暴れて、パニックになることがありました。「いやだ」も「もっと」も「みたい」も言うことができないたーちゃんのことを、私はもどかしく思っていました。根気強く「おしまいだよ」と私が言うと、たーちゃんは「まい!」と手を叩いて、それでも泣き続けていました。今思えば、たーちゃん自身も、うまく気持ちを言葉にできない中、なんとか気持ちを落ち着かせようと頑張っていたのかもしれません。また、赤ちゃんの頃から教え続けてきたベビーサインをこの頃もまだ使っていました。「おいしい」時には頬をポンポンと掌で叩いてみたり、「ちょうだい」と言いたい時には掌の上にもうひとつの手を重ねてトントンと叩いて表してくれました。ですが、児童館や公園で会うお友達には通じないこともありました。「かして」のひとことがどうしても言えずに、結局玩具を横取りしてしまい、私が間に入る時もありました。Upload By みかみかんこういう時には「かして」と言うんだよと何度も教えても先に手が出てしまうので、夫と私は対応に困り果てていました。人の多い時間帯には公園に行かないようにしたり、よく会うお友達の保護者の方には発達が気になっていることを打ち明けたりしました。気になるところはあるけど、お話が上手になってきた3歳になったたーちゃんの課題は、「うん」「ううん」が言えないことでした。自分の気持ちを表すのがやはり難しいようで、思っていることと違うことを答えてしまうこともしばしばありました。それでも、無視ばかりだったたーちゃんが、何かリアクションをしようとしてくれることがうれしかったです。たーちゃんのおしゃべりの基本はエコラリアからでした。誰かの真似をそっくりそのままコピーするようにして覚えていきました。なので、しゃべり方に抑揚がなく感情がこもってないように聞こえたり、その場に合わない言い方だったり、やけに大人びた口調だったりします。これは4歳の今でも変わりません。ですが、たーちゃんが自分で努力して手に入れた大切な言葉なのだと思えば、そういった細かいことは気にならなくなってきました。どんな表現でも、たーちゃんとコミュニケーションができるというのは、これまでを振り返るとすごい成長だと思いました。4歳になった息子と会話できるのが楽しい!Upload By みかみかん現在、4歳のたーちゃんはとてもおしゃべりです。今日幼稚園であったことをたくさん話してくれますし、公園でお友達と楽しそうにお話もしています。たーちゃんの発達に対して悲観的だった昔の私に、今のたーちゃんの様子を見せてあげたいです。ゆっくりでも、ちょっと変わっていても、ちゃんとたーちゃんは自分のペースで成長しているんだよと教えてあげたいです。そして、周りのお子さんと比べずに、もっと穏やかにたーちゃんの成長を見守ってあげられたら……と思います。しかし、当時の自分も不安や心配で悩んでいる中、根気強くたーちゃんに声をかけ続けたと思います。頑張っていたね、と昔の自分を褒めてあげたいです。この記事が、発語について悩んでいる保護者の皆さんの応援になれば幸いです。執筆/みかみかん(監修:新美先生より)ことば・会話の成長に伴う変化について詳しくお聞かせくださりありがとうございます。発語がゆっくりだったり、独特だったりすると、保護者として心配になったり、言いたいことが伝えられないゆえの関わり方の難しさがあったりしますよね。たーちゃんの場合、3歳ぐらいまではしゃべれる言葉はあっても会話になりにくかったり、気持ちを伝えるのが難しかったりしたけれど、4歳になったらいろんなお話をしてくれるようになったのですね。ことば・コミュニケーションの発達は、言語面の発達と、対人面、他者と関わることへの興味が育ってくるかの影響を大きく受けます。このため他者と関わることの面白さに気づいて、他者への興味が育ってくると、それまで獲得していた語彙を使って急速にコミュニケーション自体が増えてくることがあります。本人にとって楽しいと思える関わりを増やしていくことが、コミュニケーション面にもよい影響を与えるかもしれません。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年03月04日自閉症小4長男と電車にのって買い物へUpload By taeko12月のある土曜日のことです。クリスマスプレゼントが決まらず、サンタさんへの手紙を書けずにいた長男のミミ(小学4年生)。おもちゃをたくさん扱っているお店に見に行けば、欲しいものが見つかると思い、翌日の日曜日に次男のふー(幼稚園年長)も一緒におもちゃ屋さんへ行かないかと誘いました。いつもならお出かけを嫌がる傾向があるミミですが、この時は「行くー!」とウキウキして珍しく誘いに乗って来てくれて、私もうれしい気持ちになりました。「座りたいのに!生きるのつらい!」電車移動中もミミからは小さな不満がたくさん出て……翌日は早めに身支度開始。思ったよりスムーズに支度できたため、早めに駅に着きました。10分ほど駅のホームで待つことになったのですが、ここでミミは「ヒマ」と早速マイナスモード。私も(もう文句が出た……)とがっくり。ですが、ここで次男のふーが「しりとりしよー」と提案してくれ、みんなでしりとりをしてなんとか雰囲気は良くなりました(ホッとしました)。到着した電車は混雑していたため座れませんでした。ミミは電車の中で読もうと図鑑を持ってきていたのですが、椅子に座れないと読めないと思ったのでしょう。悔しい気持ちが口から出てしまいました。「座りたいのに!生きるのつらい!」周りに聞こえるような大きな声だったので、私はびくっ!(なんでこんなことで怒るの……)と不満に思いつつも「あと2駅で乗り換えだよ。すぐ着くよ」、「(電車内モニターの天気予報を見て)ほら、今日晴れだって」とミミの気持ちが切り替えられるように、話をそらしました。Upload By taekoその後電車を乗り換えたのですが、そこでも椅子は空いていません。「本読もうと思ったのに!」と、またまた大きめの声で不満を言うミミに私は空いているドア前スペースを見つけ「ここに寄っ掛かれば読めるよ」と穏やかに提案、ミミは立ちながら本を見ることで、落ち着くことができました。Upload By taeko全てに対して文句が止まらない⁉私もイライラモヤモヤ……!Upload By taeko50分ほどで目的地に到着……したのですが、その日はおもちゃ屋さんでイベントがあったようで、入場整理をしていたためすぐに入れませんでした。Webサイトでもっと調べておけば良かった……!「もう最悪!何で入れないんだよ」とミミはまたまたマイナスモード。私も心の中では全てに対して文句ばかりいうミミにイライラモヤモヤ……。10分ほどでようやくお店に入れた時はホッとしました。お店ではお目当てのおもちゃが見つかり喜ぶミミ。「このおもちゃをサンタさんにお願いする!」と言う笑顔のミミを見ていると私も心がなごみます。ふーはミミとは別のおもちゃコーナーを見たいとのことで、ミミには「この場所にいてね、私とふーは、あっちの〇〇のコーナーにいるから」と伝え、ふーにつき添いました。ふーのお目当てのおもちゃがある場所からもミミがいる場所を見ることができるので、そばを離れても大丈夫だろうと思ったのです。ですが……。ミミがいない⁉シクシク泣き続けた50分の帰路しかし、少し目を離したらミミの姿が見えません!「迷子になった⁉」と私はふーを連れて店内をあちこち探しました。お店は広く、混雑しているのでなかなか見つかりません。「どうしよう!」不安になりながらお店のあちこちを探したところ、5分ほどでようやくミミを発見!「良かった!」と思わずミミを抱きしめました。その時、ふーがミミに対して「もー!どこ行ってたの?」とちょっと怒った口調で言いました。するとミミはふーを『どんっ!』と叩いてしまいました。ミミも私たちを探して不安な気持ちだったのに、ふーから責められたことが怒りにつながってしまったのでしょう。泣き出したふーに私は「『見つかって良かったね』っていうんだよ」、ミミには「叩いちゃダメだよ」と言うと、今度はミミも泣き出しました。お店で泣き続ける二人、私の心は疲れ果ててしまいました……。その後、ふーはおやつを食べて機嫌を直したのですが、ミミは帰宅するまでずーーっとシクシク……。歩いていても電車の中でもシクシク……、帰路の50分間ずっと涙をこぼしていました。私は(私の心が態度に出てしまっていて、それが子どもに伝わって不安にさせているのかもしれない……)とも反省しました。Upload By taeko「外出なんてしなきゃよかった!」とも思うけれど、いつか「お出かけは成長のもと」だったと言える日が来る!やっと帰宅しても、しばらくは座り込んでシクシク泣いていたミミ。それでも、30分ほど過ぎた頃にテレビを見だして、夕ごはんを食べたらすっかりいつも通りのミミになりました。夜、その日を思い返しながら「遠くに行くといつもケンカになるな……。本当に嫌だな……」、「本当に外出なんてしなきゃよかった……」と疲れ切った私。でも、少しずつ少しずつ「子どもなんだから揉めるのは当たり前」、「兄弟ゲンカしてもそこから学んで成長すればいい」と思えるようになり、「ミミがサンタさんに手紙を書けたし、お店に行って良かった!」と前向きにとらえることができました。今は外出してもトラブルばっかりですが、いつか「お出かけは成長のもと」だったと思えたらいいなと思います。執筆/taeko(監修:初川先生より)兄弟連れてのお出かけエピソードをありがとうございます。電車内の混雑、着いた先での待ちなど、お出かけはどう予想しても予想しきれない事柄がありますね。ふーくんのしりとり発案など、一緒だからいいことも、はぐれたあとの素直な一言(「どこ行ってたの?」)によるミミくんの涙も、いいこともそうでないことも起きますね。はぐれてしまったときは、お互いにとても心細かったことと思います。ミミくんからしたら、不安でいて(もしかしたら二人を探しに動いてしまったかもしれず)、さらに責められたら泣けてくるのも自然なことでしょう。ミミくんの気持ちもふーくんの気持ちも当然そうだろうというところで、挟まれた保護者はより慌ててしまうかもしれませんね。お出かけにしても、きょうだいのもめごとにしても、さまざま気持ちや事情が分かってしまうし、ましてやお出かけだと周囲の目も気になったりして、保護者としては緊張が高まるシーンですね。お疲れ様でした。子どもたちが成長してゆき、そしてお出かけ自体に慣れてゆき、「お出かけは成長のもと」と思える日はきっと来ることと思います。また、個人的にはミミくんがおもちゃ屋さんで欲しいものを見つけられたのがよかったなと感じました。選択肢がありすぎて(刺激がありすぎて)選べない・決められない子もいるだろう、そして、逆に欲しいものが見つからなくても大変だったろうと思うので、ミミくんは選べる子なんだなと感じました。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年03月03日認知症は現在、治療で進行を遅らせることはできても、治すことはできません。でも、初期の段階で適切な治療を受ければ、認知症に進まず元の状態に戻れることを知っていますか? 認知症にじょうずに対処するには、正しい知識を知って早期発見・早期治療をすることが最も効果的。きくち総合診療クリニック理事長・院長の菊池大和先生に、私たちが知っておくべき基本知識を聞きました。教えてくれたのは…監修/菊池大和先生(医療法人ONEきくち総合診療クリニック理事長・院長)地域密着の総合診療かかりつけ医として、内科から整形外科、アレルギー科や心療内科など、ほぼすべての診療科目を扱っている。日本の医療体制や課題についての書籍出版もしており、地上波メディアにも出演中。そもそも「認知症」とは?認知症とは病気の名前ではなく、症状の総称です。人は、何らかの原因で脳の神経細胞が死んでしまうと、物事を覚えたり判断したり、行動したりすることができなくなっていきます。そうして社会生活に支障をきたした状態を、「認知症」と呼びます。日本の認知症高齢者の数は、2012年で462万人と推計されており、2025年には約700 万人、65歳以上の高齢者の約5人に1人が認知症になると予想されています(※)。※出典:厚生労働省「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)~認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて~(概要)」認知症の原因原因によって大きく4つに分けられる認知症になる原因は300以上あると言われ、その原因によって4つの種類に分けられます。認知症の中で最も多いのが「アルツハイマー型認知症」で、全体の70%弱を占めます。原因は、脳内の老廃物であるアミロイドβ(ベータ)などのたんぱく質が、異常に蓄積してしまうこと。それが神経細胞を破壊し、脳が萎縮することで発症します。次に多いのが「血管性認知症」で全体の20%弱です。脳出血や脳梗塞などが原因で脳の組織が破壊され、引き起こされます。その他、脳にレビー小体というたんぱく質のかたまりができることで引き起こされる「レビー小体型認知症」と、前頭葉や側頭葉の神経細胞が変性するなどして進行する「前頭側頭型認知症」を加えた4つを「4大認知症」と呼びます。認知症の症状症状の現れ方には段階があります。ここでは、最も一般的なアルツハイマー認知症の症状について見ていきましょう。ポイント1:初期段階=軽度認知障害認知症というと、徘徊したり、家族の名前も憶えていないような状態を想像しますが、いきなりそうはなりません。認知症には必ず前段階があり、それを「軽度認知障害」と言います。この期間が2~3年あり、まず「記憶力の低下」が起こります。最初は本人がもの忘れを自覚することもあります。今まで興味のあったことに無関心になったり、情緒不安定になったりもしますが、日常生活は送れている状態です。人は誰でも年を取れば、もの忘れが増えます。思い出したいことがなかなか思い出せなかったり、記憶力が低下したりもします。すると「このまま認知症になるのでは?」と不安に思う人もいるでしょう。しかし、これらは加齢によるもので、認知症とは異なります。認知症のもの忘れは、食事したことそのものを忘れてしまう、駅から家に帰る道がわからなくなるなど、ある体験を丸ごと忘れてしまい、日常生活に支障を来たすのが特徴です。ポイント2:中期段階中期段階は4~5年あります。日常生活に支障が出てくる期間で、家族が一番介護が大変な時期になります。物の場所がわからない、食べたことを覚えていないということが起き、夕飯を何度も食べたり、買い物に行って帰って来られない、昼夜逆転して夜眠れない、徘徊(はいかい)、幻聴、幻覚、失禁などが見られます。ポイント3:後期段階後期段階は、何もできなくなります。食事、着替え、排泄、入浴は、やり方がわからないため本人は動けません。興味もなくなります。家族に「あなた、誰?」と言うのもこの時期です。もしかして認知症かも、と思ったら認知症は初期段階(軽度認知障害)で生活習慣の改善や運動などをすれば、50%の人が元に戻れます。つまり、早期発見・早期治療がとても大切なのです。家族の様子に少しでも違和感や不安を感じたら、迷わずかかりつけ医に相談しに行きましょう。認知症の検査をし、異常がなくても定期的に通院して、主治医に自分の状態を知ってもらうと安心です。内科などのかかりつけ医を持っていない場合は、脳神経内科や脳神経外科、認知症外来などで診てもらうと良いでしょう。認知症の治療方法は?認知症の治療には、「薬物治療」と「非薬物治療」があります。ただし、認知症を完治させる治療法はまだわかっていません。現在の治療は、あくまで症状を緩和したり、進行を遅らせたりすることが目的です。方法1:薬物治療薬を服用する治療です。症状によっては、抗精神病薬、抗うつ薬、抗てんかん薬、睡眠薬などが使われる場合もあります。2023年発売の最新治療薬「レカネマブ」とは、認知症の最大の原因であるアルツハイマー病の原因物質・アミロイドβに働きかけ、除去して減らす作用が認められ、進行を抑えるとされている世界初の治療薬です。2023年12月より発売され、保険適用になりました。この薬の対象となるのは、軽度認知障害や早期の認知症と診断された人で、専門的な検査などが受けられる医療機関でのみ投与が可能です。なお、体重によって投与量が変わるため、価格は個人で異なります。方法2:非薬物治療薬物を用いないアプローチで、ストレッチや簡単な運動をしたり、脳を活性化させる回想法や音楽療法など、症状などによってさまざまあります。理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などの専門家の指導のもとでおこないます。家族が認知症になったらときの対応は?できるだけ寄り添いましょうどのような症状が出ているかで対応は異なりますが、基本的な心構えは同じです。認知症になった家族の立場や気持ちに、できるだけ「寄り添う」ことがとても大切です。ポイント1:自尊心を傷つけない認知症による行動や発言を否定したり、何もできないからと赤ちゃん扱いしたりするのは、認知症の人の自尊心を大きく傷つけます。すると自信をなくしたり、心を閉ざしたりして、さらに症状が進行してしまう場合も。認知症になっても、プライドや自尊心は残っています。自尊心を傷つけず、尊重することが最も大切なポイントです。ポイント2:本人のペースに合わせる認知症になると、思考力や動作が遅くなるため、1つのことをするにも時間がかかります。それでも、ゆっくりやればできることが多くありますので、イライラして急かしたりせず、本人のペースに合わせましょう。ポイント3:つらくなったときは専門家を頼る認知症の症状によっては、介護者が身体的・精神的な負担を抱え、疲労してしまう場合もあります。家族が倒れてしまっては、元も子もありません。今はさまざまな介護支援サービスがありますので、じょうずに活用して介護の負担を減らしましょう。それでもつらくなったら、専門家や施設に頼ることも大切。距離を取ることで、認知症の方も介護者も気持ちが落ち着き、関係が良くなることもあります。まとめ認知症の基本知識を、菊池先生に教えてもらいました。認知症にも種類があるなど、意外と知らなかったことも多いのではないでしょうか。認知症を予防するためにも、また、認知症の家族と安心して暮らしていくためにも、正しい知識を身につけることが大切です。取材・文/かきの木のりみ4つの編集プロダクションで紙媒体の編集をしつつWebの学校に通い、Webと紙両方の編集に携わるようになって約20年。スポーツは観るのもやるのも好きなのだけど、最近はすっかり観るほうに……。ウーマンカレンダー/シニアカレンダー編集室著者/監修/菊池 大和 先生医療法人ONE きくち総合診療クリニック 理事長・院長。地域密着の総合診療かかりつけ医として、内科から整形外科、アレルギー科や心療内科など、ほぼすべての診療科目を扱っている。日本の医療体制や課題についての書籍出版もしており、地上波メディアにも出演中。
2024年02月29日お小遣いは1年に1回ASD(自閉スペクトラム症)の太郎には、小学6年生の正月からお小遣いを渡しています。お小遣いを渡すタイミングは年に1度、お正月のタイミングのみです。その時に1年分のお小遣いをまとめて渡しています。今は中学2年生なので、今年の正月で3回目のお小遣いを渡しました。お小遣いを渡そうと思ったきっかけUpload By まゆん小学6年生の夏に太郎は初めて友達と外へ遊びにでかけました。遊びから帰宅した太郎が初めに口にした言葉が「お母さん!町で猫がカゴに入っていて、募金箱に千円を入れてきた!」でした。数千円しか渡していなかったうちの千円を太郎は募金に使ったのです。私はその行動に「なんて優しい子なんだろう」とは思わず、逆に不安感と危機感をおぼえました。それを募っていたのがどのような団体なのか分からないこと、小学6年生の太郎が千円という私からしたら大きな金額を募金に使ったこと。募金をする金額などの価値観は人それぞれではあるとは思いますが、私は募金に使用した金額を聞いて太郎の金銭感覚を養わなければと思いました。私は太郎にこう言いました。「今度から、募金をするときはお母さんがいる時にしよう」「千円という金額は、お母さんは大きすぎる気がする。太郎が自分で稼ぐようになったら、いくらでもしていいから、それまではお母さんと相談してから募金しよう」真剣な顔で私が言うと、太郎も少し固くなりながら「うん!分かった!もうしない!」と、どこまで真意を理解しているかどうかは分かりませんが、そう返事がありました。そして、金銭感覚を養うために、お小遣いを渡すことを決めました。1年に1回と決めた理由では次になぜ一年に一回のお小遣い制になったのか。主に3つの理由があります。Upload By まゆん理由その1:元同僚がお子さんにそうしていたと聞いて良いと思ったから元同僚のお小遣い事情について聞いた時に「年に1回まとまった現金を渡しているだけ」と答えがきて衝撃を受けました。私の中のお小遣いは毎月渡すものという考えがあったからです。そもそも年に1回にまとまったお金を渡して一気に使ってしまうのではないか?そういう考えもありました(私なら使いそう)。衝撃でしたが、よく考えてみると1年先までの使い道を考える力もつくのでは?というか太郎に使い方を教えるいい方法なのでは?と思った記憶があります。理由その2:お金の見える化が視覚優位な太郎にはピッタリだと考えたから太郎は視覚からの情報を得ることを得意としています。逆に目に見えないものの理解を不得意としています。そこを理解した上で現金が目の前にあった方が太郎も1年間の計画を立てやすいだろうと考えました。理由その3:お年玉のありがたさを感じ、使い道を考える機会になると考えたからまとまった現金の準備はお年玉のタイミングを利用しています。太郎は親戚が多く、ありがたいことにそれなりの金額になります(ここはあえて金額の詳細は伏せておきます)。そこに少し足した金額が太郎の1年間のお小遣いとなっています。環境に感謝です。お年玉が1年間のお小遣いと認識づけることで「お年玉」がどれだけありがたいものなのかを理解できるいい機会になるなとも思っています。太郎のお金の使い方についてさて、これで本人が管理できるのかというと完全にはできません。祖母と私と太郎で定期的に残金を数えています(お金を使うタイミングがある時もその都度)。そしてお金の使い方ですが、好きな物に惜しみなく利用しています。とはいえど、やはり残金が見えているため計算をしている太郎をよく見かけます。「えーと、1750円足す1750円はああ」という風に。Upload By まゆん好きな物が出てきたり物欲が出てきたりしたのがここ1年ほどの間だったので、お小遣い制度導入のタイミングはちょうど良かったと感じています。今のところ、お小遣いがなくなってきつくなることはなく、逆に余りが出て翌年に繰り越しできている状況です。次はキャッシュレス?現代社会はキャッシュレスの時代。現金でのお金の使い方を覚えたらキャッシュレスも試してみようかと考えています。視覚優位であるため恐らくキャッシュレスでの金銭管理は困難なのでは?と思う面もあるのですが、やってみないと分からないのでとにかくチャレンジです。急に本人にキャッシュレスでの管理を任せるのもリスクがあると思うので、ゆっくりとお試し期間を設けながら進めていきたいです。時代に合わせつつも、太郎の個性を活かしながら社会に適応していけたらと思っています。執筆/まゆん(監修:森先生より)お子さんの特性を理解されて、将来を見据えてしっかりとしたお考えで教育されていますね。実際、発達障害の傾向がある方では、お金の管理が苦手な方は少なくありません。欲しいものがあると衝動的に買ってしまったり、計画的に使うことが難しくて生活費が足りなくなってしまったり、ゲームやギャンブルにのめり込んでお金を使い切ってしまったり……ということがあります。自立する時までには、長期的なお金の管理を自分でできるようになることが必要です。一ヶ月ごと、一年ごとなど期間を決めて一定額のお小遣いを渡して、「計画的に使わないとあとで自分が困る」という経験をつむことに意味があります。また、視覚優位なタイプですと、「現金」や「残高」は管理できるけれどクレジットカードを打ち出の小槌のような感覚で使ってしまうというパターンもありますので、子どものうちにキャッシュレスも経験しておくのは重要ですね。今のうちにいろいろな経験をして自分の傾向を理解しておけば、自立してから「クレジットカードは使いすぎてしまいそうだから限度額を低くしておこう」といった工夫もできます。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年02月28日思いがけない難所にぶち当たるいよいよ3歳半健診を迎えた長男あー。関門は健診当日を迎える前にすでに用意されていた……それは視力検査と聴力検査!わが自治体では、時間短縮のためか当日の緊張による検査拒否回避のためか、「視力検査と聴力検査は自宅で済ませてきてください」というルールがあります。聴力検査は、一定の距離からささやき声で話しかける声が聞こえているか。視力検査は、あらかじめ配布されていた紙を見てこれまた一定の距離を空けて質問に答えられるか……というもの。まず聴力検査。多分聴こえてる……んだろうけど答えてくれない!どっか行っちゃう!待って!行かないで……(涙)!そんで視力検査、これまたどっか行っちゃう!ようやく引きつけても……聞かれている意味が分からない?のか答えてくれない……(白目)。というわけで戦う前からボロボロとなり、白紙で提出したのでした……(でもどうにかなった)。Upload By よいこ3歳半健診会場で、同年齢の子どもたちの落ち着きっぷりに衝撃3歳半健診の会場に行って驚いたのは、なんと言ってもほかの子どもたちの落ち着きです。幼稚園でも同年齢の子どもを見ているけれど、幼稚園は彼らにとっていわばホーム。思い思いのびのび過ごしているので、わんぱくだったり時に大人の言うことを聞かなかったり、そんなことはよくある光景……。 ということもあって、当時の幼稚園で、あーはそこまで目立っていなかったんですね。それがいつもと異なる空間に放り出されたら……。ほかの子どもはいつもと違うことに少し緊張しているし、社会性が芽生え始めている頃なのでかしこまりがちなんです。おとなしく、親御さんの隣で座って待っている。絵本なんか読んだりしてね。一方のあーは……いつもと違うところ、というのはあーにとってはパニックのトリガー。テンションマックスになりその辺を走り回る……。絵本やお絵かきでごまかそうとしても全然収まってくれない!やっと座ってくれたと思ったら、だらーんと椅子から崩れ落ち(体幹が弱い)、だらしなく見える……。もう……お母さん穴があったらダイブしたい……(号泣)Upload By よいこ健診はスムーズに進み、いよいよ小児科の先生の診察へ……そんなあーですが、意外と健診自体はこなせるタイプです。要は待つ、とかそういう「何もない時間」が耐えきれないわけで、3歳半健診で聞かれる「この色は何色ですか」みたいな問診には落ち着いて答えられるんですよね。内科系の診察も全部パスしていました……(注射など痛いことがなければ大丈夫なのです)。Upload By よいこ複雑な思いと全身疲労を抱え、最後に迎えた小児科の先生の診察。私は思い切って先生に言いました。「発達に不安があるんです」すると先生は、「なるほど。電車の名前とかいっぱい言ったりする?」とたずねてきました。電車……の名前は言わない……言わないぞ!言わない!これは……この子は違うのでは!?私の中にほんの一瞬、ほそーい光が差した次の瞬間のことでした。あーが壁に貼ってある大好きなアニメキャラクターのカレンダーに張り付いて、そこにいるキャラクターの名前をはじから全部言い出したのです(キャラクター多すぎアニメで、ぎっしりキャラクターが描かれているデザインだった……)!そんなあーを見て、先生はニコッと笑って「発達相談に回すね」とおっしゃったのでした。……そうですよね、知ってた!!!もろくも崩れ去った母の小さな希望はさておき……いよいよ、3歳児健診で絶対すると決めていた、発達相談に臨むことになったのでした。Upload By よいこ執筆/よいこ(監修:鈴木先生より)どの親御さんにとっても、ご自身のお子さんの障がい受容は難しいものです。「障がい者」というレッテルを貼られたくない気持ちがあります。私はASDを障がいではなく「特性」だと日頃から保護者の方にはお伝えしています。将来的に、その特性を生かした仕事ができればいいので今日から一緒に向き合っていきましょう、とお話しします。不安を持った親御さんにも、そしてお子さんにも寄り添って診察していくことが重要なのです。困っていることを一つひとつ解決へ導き、ストレスのない生活が親子で送れることを願っています。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年02月28日鼻や目などに症状が現れ、つらい花粉症。『季節性アレルギー性鼻炎』の一種で、人によって原因となる花粉の種類はさまざまです。スギやヒノキなどの花粉が飛散する、春に症状が現れる人が多く、対応に難渋しているでしょう。『よく想像される花粉症と実際の花粉症』イラストレーターの、遊ハち(@nemone_2)さんは、よく想像される花粉症の人の様子と、実際の姿についての比較をX(Twitter)に投稿しました。イメージされやすいのは、鼻水やクシャミなどが出る、こちらのような状態でしょう。薬を飲んだり、目薬を差したりする必要があり、対応が大変そうですね。…しかし!世の中には、この状態よりはるかに重症な人たちもいるのです!鼻水が滝のように流れ、虚無の目でティッシュを消費し続ける人の姿がありました…。4時間も何も手につかず、身体の水分が出ていくばかり。つらさの極みを描いたイラストに、「自分はこっちだ~!」と共感した人たちからの声が殺到しています。・誇張なしで後者の状態。やばくてシャレにならない。・花粉が少ない地域に住む人たちが、うらやましくなる時期だ!・1日にティッシュが5箱なくなる勢いです…。・生活の質が最低になるので、医療の力に頼るしかない。・いろいろな治療をしたのに、私は後者なんだよなぁ。花粉症の症状がない、または軽度の人たちは、2枚目のイラストの状態に驚いたことでしょう。花粉症は身近なアレルギーで、軽視されがちですが、『軽いもの』という認識は改める必要があるかもしれません![文・構成/grape編集部]
2024年02月27日赤ちゃんの頃から少し変わった子タケルに発達障害の可能性があることは、以前から私にはぼんやりと分かっていました。なぜなら、私は学生の時に心理学を受講していたので、少しは知識があったからです。「妙に大人びた仕草をしたり、音にすごく敏感だったり、些細なことで激しく泣くところは高機能障害とか自閉症に似ているな。でも1歳前後で言葉も出ているし障害というほどではないのかな?」と思っていました。Upload By 寺島ヒロタケルは2000年生まれ。『発達障害者支援法』の公布は2004年です。「喋れる自閉症」、その後しばらく「アスペルガー症候群」と呼ばれる自閉症のことを、私はまだ知らなかったのです。(※アスペルガー症候群は当時の名称です。現在ではASDに統合されています)。参考:発達障害者支援法とは幼稚園で強くなった違和感3歳で幼稚園の年少組に入ると、タケルが周囲の子どもたちと異なる行動や反応を示すことが目につくようになりました。常にそわそわと体を動かし、一時もじっとしていません。ほかの子どもたちの近くにはいますが、一緒に遊ぶことはなく、砂場で山をつくる、ボールプールを必ず3回潜る、滑り台も必ず3回すべる……などの自分の決めたルーティンを黙々とこなしていました。Upload By 寺島ヒロ先生の指示も聞いていないことが多く、しばしば「おうちでちゃんと、しつけしていますか?」というような事を言われていました。しかし、タケルはおうちでは普通……いえ、むしろとても良い子なのです。タケル自身は幼稚園でもちゃんとやりたいし、やっているつもりなのに、なぜか周囲とずれてしまう、私からはそういう感じに見えました。「しつけとか指導とかそういうことではないのではないか?」という思いが、また頭をもたげてきました。しかし、行政や保健所の子育て相談などに相談しても、はっきりとした診断やサポートを受けるには至りませんでした。3歳児健診で心配なところを訴えるも……幼稚園に通い始めて数ヶ月しかたっていませんでしたが、明らかにほかの子どもたちと様子が違うと感じていた私は、生まれてからこれまでの事をできる限り振り返って、詳細なイラスト入りの育児日記を書いて持参し、3歳健健診に臨みました。しかし、「高機能障害か自閉症では?」と言う私の言葉を受けての検査は、簡単なIQテストと「クレーン現象」などの顕著な行動のチェックに留まり……結局「特に異常は見られない」ということになりました。担当の医師からも「自分のしつけがうまくいかないことを障害のせいにしてるのでは?親がちゃんと教えてあげれば大丈夫」と言われました。その言葉に少し安心もしましたが、同時に強い不安も感じました。タケルは記憶力が非常に良く、教えられたことは本当によく覚えているのです。私は、タケルが23歳になる今に至るまで、何かを二度教えたことはありません。幼稚園でも先生の言ったことを全部聞いていないのではなく、一対一で言われたことは覚えているし、内容も理解しているのです。親の私たちが教えていることが「十分ではない」と言われれば否定はできません。ですが、やはり「そういうことではないんではないか?」と思えました。そして「医師や子育ての専門家にも分からない事例だとしたら何なんだ?」と不安は深まるいっぽうでした。診断を受けるきっかけは2007年の発達相談その後、6歳で受けた就学時健康診断でも「問題なし」とされ、タケルは小学校では通常学級に通うことになりました。しかし、そわそわと動き回るのは相変わらずで、クラスメートとも一方的に自分の話したいことを話すばかりで親しくなれません。そのうえ、大きな音がしたり、教室移動で取り残されたりすると、どうしていいか分からなくなって学校を脱走して帰って来てしまうのです。学校の周りの道は車通りも多いので、私はとっても心配でした!Upload By 寺島ヒロ転機になったのは2007年の発達相談会です。2004年に公布された『発達障害者支援法』を根拠として、私たちの住んでいた地域でも新体制での発達相談会が始まりました。その発達相談会に参加した結果は、私が感じていた違和感を裏づけるものでした。タケルにはアスペルガー症候群(当時の名称。現在はASD(自閉スペクトラム障害)に統合)の傾向があることがその場で告げられ、療育センターにも繋いでもらうことができました。分かってもらえた!という喜びもしかしたら、子どもが発達障害だと言われると、つらい、悲しい、ショックだ……と感じられる親御さんも多いのかもしれません。しかし、私の場合は「やっと分かってもらえた!」「これで一歩解決に近づいた!」という喜びのほうが大きかったような気がします。当時は妹のいっちゃんも生まれたばかり。抱っこの嫌いないっちゃんをベビーカーに乗せて、いつ泣き叫び始めるかとヒヤヒヤしながら、学校から居なくなったタケルを探し回るのが日常だったのです。発達障害の診断を受けて、通級指導教室に通えるようになったタケルは、それ以降「脱走」しなくなりました。執筆/寺島ヒロ(監修:藤井先生より)貴重な経験のコラムをありがとうございます。「親がちゃんと教えれば大丈夫」と言われ少しの安心と、強い不安を感じられ、その後発達相談に行かれたのですね。言葉の遅れはなく、個別では落ち着いてるように見え、集団生活が苦手、コミュニケーションが苦手である場合、3歳健診ではお子さんの困りごとが見えにくい場合があります。就学前健診も問題なしでも、学校に入学後、集団生活が苦手、こだわりが強い、友達関係がうまくいかないなどあれば、専門機関に相談することをおすすめいたします。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年02月26日アルツハイマー型認知症になった実母のことや、アラフィフ主婦の日常をあれこれ書き連ねるワフウフさん。自身の体験をマンガにしています。母・あーちゃんの認知症が進行していく中で迎えたお正月。ワフウフさんは、あーちゃんを連れて姉・なーにゃんの家に行き食事をしました。そこで、食事よりも先にデザートとして用意されているお菓子を、他人の分まで完食してしまったあーちゃんを見て、もう自分では食欲が制御できないことを悟りました……。お正月も終わり、新年最初の通院。あーちゃんが待ち合わせに遅れるというトラブルもありましたが、無事に終了。お茶をしようとお店に入ると、あーちゃんがケーキを選び始めました。持病の糖尿病も心配なので我慢するように言うと「甘い物は我慢している!」と言います。今まさに目の前でケーキを選んでいたのに……。この調子だと、甘い物の自制は難しそうです。 認知症といってもいろいろ… これまでに接してきた認知症は、家族の中で3人。いずれもアルツハイマー型認知症です。 祖母は、とにかく徘徊(はいかい)がすごくて、周りも大変でした……。 義父は、せん妄(せんもう:意識の混乱)がひどく、ビックリ発言も多かった……。 そんな3人にも、共通点があるような気がします。 つらいのは、皆一緒……。 あーちゃんは、私と通院したことをすっかり忘れていました。 そして、また病院帰りのお茶でケーキを食べようとして、姉に制止されると……。 追及する姉に向かって……。 と、反論していましたが……。 たんたん:あーちゃんの夫 結局、白状してしまっていました! 認知症といっても、いろいろな種類があります。私が今まで接したことがある認知症は、祖母とあーちゃんと義父の3人。いずれもアルツハイマー型認知症で、問題行動もそれぞれですが、「認知症を認めない」「言うことを聞かない」「お金への執着」は、共通点だと感じています。 もしかして、これらは認知症全体の「あるある」なのかもしれませんね。突然暴言を吐かれてしまうのも、同じ話がループするのもストレスですが、苦しんでいるのは皆同じだと思うと、少し救われます。皆さん頑張りましょう……! あーちゃんの認知症は、相変わらずです。新年最初の通院はすっかり忘れ、病院帰りにまたケーキを食べようとして今度は姉に注意されるも、甘い物は我慢しているとドヤ顔。でも、押入れに隠し持っていたお菓子を指摘されると、かわいく白状してしまったらしい。……このへんが、なんだか憎めないところです。 --------------認知症といっても、問題行動や進行の度合いも違うので、そのときにベストだと思う行動を取るしかできませんよね。手探りの毎日だからこそ、押入れにお菓子を隠していたことをうっかり白状しちゃうお茶目な姿を見られたりすると、ほっこりしてしまうのではないでしょうか。 ※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。>>次の話 シニアカレンダー編集部では、自宅介護や老々介護、みとりなど介護に関わる人やシニア世代のお悩みを解決する記事を配信中。介護者やシニア世代の毎日がハッピーになりますように! 著者:マンガ家・イラストレーター ワフウフ
2024年02月23日発達の遅れ……集団で受けたくない3歳児健診わが家の長男けんとは1歳半健診の時に、言葉が出ていませんでした。落ち着きがなく、気になるものを見つけては歩き回り、保健師さんとのやりとりも全くしない息子。私は周りの子たちとの違いに落ち込み、発達相談を受けることにしました。発達相談をきっかけに、市の保健センターで行われている親子教室へ通い始め、支援が繋がっていきました。年少からは地域の幼稚園ではなく、市が運営する発達支援施設への入園を決意。同じ頃に発達外来を受診し、ASD(自閉スペクトラム症)と診断を受けました。Upload By ゆきみけんとの特性を理解したい気持ちは大きいけれどなかなか難しく、頭を悩ませていた日々。そんな頃に3歳児健診がありました。正直、行きたくありません。なぜなら、2歳6ヶ月頃に行われた集団歯科健診で、けんとと周りの子たちとの違いに落ち込んだ記憶もまだ鮮明に残っていたからです。当時私たちが住んでいた地域の3歳児健診では、内科の健診項目は、保健センターにて集団で受けるか、市が指定する小児科で受けるかを自分で決められました(※お住まいの自治体によって制度は違います)。「集団では受けたくないな」と思い、わが家は小児科で受けることに。けんとのかかりつけ医が、健診を受けられる指定病院の中に入っていたので、けんとが慣れているかかりつけ医にて3歳児健診の予約を入れました。母子手帳の3歳児健診の項目を読んでみるとUpload By ゆきみ3歳児健診へ行く前に、母子手帳に書いてある3歳児健診前にするチェック項目を読んでビックリ!私が想像していたよりも、当時のけんとはチェックに〇がつけられないことに気がつきました。・自分の名前が言えますか・ままごと遊びができますか・手を使わずにひとりで階段をのぼれますか・衣服の着脱をひとりでしたがりますか……などと書いてありましたが、ほかの項目も含め、けんとはできないことが多かったのです。けんとはその頃、単語で話す程度。さらに構音障害があり、「あ・い・う・え・お」の母音のみでの発音だったので聞き取りづらく、母親の私には何を言っているか理解できていましたが、周りの人には理解できない状態でした。また、ひとり遊びが多く、身体を動かすのも苦手。3歳児健診でも、1歳半健診の時のようにできないことが多いのかなと想像し、憂鬱になってしまいました。3歳児健診のお知らせを読んでいくと、身体測定のほかに、聴覚検査や視力検査、検尿もあるとのこと。「できる気がしない……」と不安だらけでしたが、お知らせの中に、「C」の形がどっちを向いているかを指差しで答えるという視力検査の練習用紙が入っていたので、数日前から少し練習してから3歳児健診へと向かいました。予想通り、3歳児健診で引っかかったのはけんとは気になるものを見つけると、入ってはいけない場所へでも入ってしまい、触ってはいけないものでも触ってしまうので、気が抜けず、当時は一緒に外出するのがとにかく大変でした。けんとの3歳児健診の時、弟は1歳。けんと1人だけでも病院に連れていくのが大変だったのに、「弟もいたら無理だ……」と思い保育所の一時預かりを利用し、弟を預けました。Upload By ゆきみ3歳児健診を受ける場所は、いつも行き慣れているかかりつけ医を選んだため、けんとは警戒することなく、病院へ入ることができました。しかし、私が受付で提出物を出している間に、気になるものを見つけたけんとは、一直線に走り出し、制御不能状態に。提出物をすぐ出せるように準備してからのぞんだ受付でしたが、そういうわずかな数秒だけも気が抜けませんでした。名前を呼ばれ、身長などの計測が始まりました。しかし、どこかへ行こうとしたりして、まっすぐ立たないけんと。じっとしているのがイヤだったようで、とうとうグズりだしてしまいました。でも、看護師さんも一緒に頑張ってくださり、無事に身長体重を計ることができました。「C」の向きを指差しする視力検査は、家で練習した成果なのか、無事にできてホッとひと安心。結果的に、3歳児健診で指摘を受けたのは「身長(低身長で、成長曲線から下にはみ出していた)」、「言語面」、「運動面」など……。私の予想通りでした。1歳半健診と3歳児健診、両方指摘を受けたが当時、すでに低身長については総合病院を受診済みで、発達外来では自閉スペクトラム症と診断を受けていました。さらに市の発達支援施設に通っていることを医師に伝えていたので、3歳児健診を終えたあと、特に新たに何かをするということはありませんでした。3歳児健診はやはり大変でしたが、慣れているかかりつけ医で受けられたのは、けんとにとっては良かったなと感じました(※お住まいの地域によって異なります)。1歳半健診を終えたあとは、相談できる人が周りにおらず、どうしたらいいのか不安でいっぱいになりました。しかし3歳児健診を受けた時は、発達外来で医師、発達支援施設で保育士さん、言語療法士さん、作業療法士さんなど、専門職の方たちにも相談できる環境にいました。そして、私もけんとの特性を受け入れ始め、向き合っているところでした。1歳半健診、3歳児健診、どちらも発達の遅れがあり指摘を受けたけんとですが、私が感じた違いは「相談できる人」の存在。不安はもちろんたくさんありましたし、けんとが小学2年生となった現在もたくさんあります。でも、発達に関する相談ができる人が周りにいることは、昔も今も……私の心の支えになっています。Upload By ゆきみ執筆/ゆきみ(監修:室伏先生より)3歳児健診でのけんとくんのご様子や、ゆきみさんのお気持ちを共有くださりありがとうございました。ゆきみさんに相談できる人という心の支えがあること、私もうれしく思います。療育の意義というのは、ご本人へのアプローチももちろん大事なのですが、ご家族さんが困っていることを相談でき、ご家族さん・お子さん双方にとってよりよい関わり方を知ることができたり、孤独感や不安を抱きやすいご家族の心の拠り所としての側面も大きいと感じています。発達外来もそうですね。発達に関して不安に思っていることはあるけれど、個人差の範囲かもしれないし……、診断や検査結果を聞くのも怖いし……などなど、相談をためらわれることもあるかもしれません。そのようなお気持ちをご家族の方がお話ししてくださることも少なくありません。ご家族の方のお気持ちやご希望なども含めて、発達外来や発達支援センターなどに一度ご相談してみてくださいね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年02月23日わが家の3きょうだいをご紹介!はじめまして、「ねこじまいもみ」です。 わが家は3人の子どもたちと夫と私の5人家族です。ブログやSNSなどで、特に長女や長男のエピソードを描く活動をしています。発達ナビではブログやSNSで描いていないような、発達障害に関する内容も紹介していけたらと思っています。今回はわが家の子どもたちを紹介します。・2012年生まれ長女わっち(繊細)・2014年生まれ長男まっち(自閉スペクトラム症)・2020年生まれ次男おちび(言葉ゆっくり) 繊細な小5の長女「わっち」長女は本当に成長の早い子でした。月齢平均と比べて、歩行もおしゃべりも歯が抜けるのも、とにかく何もかもが早い。さらにおしゃべりも達者で、2~3歳ぐらいの頃には「大人っぽい考え方をするんだなぁ」と感じていました。そして、赤ちゃんの頃はよく泣き、あまり寝ない子でした。夜も何度も起きることがあり、それが年長まで続きました。11歳の今も夜中によく目を覚ましてしまうことがあります。そんな長女をとても繊細な子と、私が感じたのは幼稚園の年少ぐらいからでした。唇をかんだり、髪を抜いたり、チックがでたり……ストレスを感じると、そういった症状でよく表れることに気づきました。Upload By ねこじまいもみ長女が成長するにつれ、彼女の行動や言葉からも大人っぽさと同時に繊細な部分を、親としてより感じています。長女は人の気持ちがよく分かり、私が考えもしないところまでよく考えているんだと思います。自分に関係のない場面でまで傷ついてしまったり……。そして、長女自身もそんな自分のことをよく分かっているようです。疲れた時には一人で黙々と絵を描くことが自分を癒す時間だそうです。見守るところや手を貸すところを考えながら、スキンシップや話をたくさんすることなどを心がけています。Upload By ねこじまいもみ自閉スペクトラム症の小3長男「まっち」長男は現在小学3年生です。ASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けたのは3年生の夏でした。赤ちゃんの頃はあまり泣かず、声も小さくいつも寝ている……という静かな子でした。実はそれは先天性甲状腺機能低下症の影響だということが、生後1ヶ月ごろに分かったのです。現在経過は良好で投薬なしで年に一度検査に通っています。長男は言葉も歩行も月齢平均くらいの発達でしたが、2歳ぐらいからこだわりの強さを感じるようになりました。また、同じ直線を行ったり来たり走るという行動も始まりました。そして、人見知りで1人遊びが好きで、何かの世界に入り込みとても楽しそうという印象でした。しかし、長男の行動に私が困るといったことは特になく、こだわりや行ったり来たりなども少しは気になるけど「子どもならではの行動なのかな?」と思っていました。ホーム/23-小児の健康上の問題/小児における内分泌系の病気/新生児の甲状腺機能低下症参考:新生児の甲状腺機能低下症 | MSDマニュアル家庭版よりUpload By ねこじまいもみそんな手のかからないと思っていた長男に私が奮闘し始めたのは、年長になった頃に始まった、登園しぶりからでした。 とにかく激しくて……。担任の先生からの助言もあり、年長の時に初めて受診をして発達検査を受けました。その時は、診断名はつかず「様子を見る形で大丈夫」と言われ……私は「考えすぎだったのかな」と思いました。小学校に入学したあとも登校渋りがみられ、たびたび不登校に。語彙が発達してきたこともあって、長男が登校を渋る理由が小さい頃から感じていた常同行動やこだわり、感覚の敏感さ、集団行動の苦手さが関係してくることに明確に気づいていったのでした。そして、小学3年生になり、もう一度受診をして発達検査を受けたところ、自閉スペクトラム症と診断されました。今は長男のペースでいろんなことに取り組み、良いところが伸ばせるように試行錯誤の日々を過ごしています。Upload By ねこじまいもみ発語がゆっくりな年少の次男「おちび」末っ子次男は歩行も発語もきょうだいのなかで1番ゆっくりでした。そして1番社交的です。行動面については本当にしっかりしていて、周りをよく見て理解していました。発語はなくても上手に意思を伝えてくれていたので、特に私が困ると感じたことはありませんでした。しかし、1歳半から3歳目前まで、言葉の伸び代があまり感じられず療育へ行くことを決めました。Upload By ねこじまいもみ発達検査では問題なく、理解力もあるとのことでした。ただ、比較的マイペースな性格らしいので「こんな風に導いてあげるといいよ」と発達外来の先生に教えていただきました。 そしていろんな刺激をもらえるといいなと思い、3歳児クラスでの幼稚園入園を決めました。現在3歳10ヶ月。まだ質問に答えたり、長い会話が成立しないこともありますが、毎日少しずつ成長を感じています。失敗しても何度も挑戦する次男に私はいつも励まされています。Upload By ねこじまいもみこのように3人バラバラの個性で毎日楽しく刺激的な日々を送っています。今後のコラムでは、それぞれが乗り越えてきたこと、昔と今の違い、発達の特性や日常で私が感じたことなどを詳しく描いていけたらと思っています。 どうぞよろしくお願いします。執筆/ねこじまいもみ(監修:初川先生より)きょうだい3人それぞれのご紹介をありがとうございます。個性や得意不得意がそれぞれ違う3人の成長する中でのさまざまなエピソード、いもみさんの思いのシェアを楽しみにしています。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年02月20日新生児の頃から抱っこしないと寝られず、泣きっぱなしだった娘わが家の娘、しぇーちゃん(現在9歳)は2歳4ヶ月でASD(自閉スペクトラム症)と診断されました。娘は産院を退院したその日から、寝具に置いて1時間も寝ることができない子でした。生まれた瞬間から背中センサーが搭載されていたようで、ほぼ寝かせておくことができなかったのです。立って抱っこをして揺らしながら寝かしつけ、寝入るまで40分は泣き続けます。ようやく寝入ったと思い寝具に置くと、すぐに起きてしまうので、そうすると最初からまたやり直しです。怖くなって、私は娘を寝具に置けなくなっていました。幸い実家に帰省していたので、実母が抱っこを代わってくれることもありました。1人でお世話をしていたら、産後1週間足らずで産後うつになっていたかもしれないと思います。母乳もミルクも拒否!離乳食も食べてくれず、保健師さんに相談したけれどUpload By マミヤまた、娘は生まれてすぐから食欲がありませんでした。新生児の頃は哺乳力が弱く、母乳は拒否。ミルクにすれば飲んでくれるのかと思い、すぐに母乳からミルクに切り替えましたが、たった20cc飲むのに20分かかっていました。1歳児健診で離乳食を食べないことを保健師さんに相談したところ、卒乳を勧められました。アドバイス通りにやってみると、卒乳はすんなり終わりました。きっとミルクが好きではなかったのだと思います。しかし、卒乳しても離乳食を食べるようにはならず、悩む日々は続きました。普通食になっても偏食がひどく、食べられるものが限られていました。偏食や食の細さについては、9歳になった今も続く悩みです。歩き始めてから変化が!しかし、別の困り事が出てきて……Upload By マミヤ相変わらず寝るのが苦手で泣いてばかりいた娘ですが、1歳になる頃、自分で歩行できるようになってからは、寝る前に泣かないことが増えてきました。歩き疲れてコテンと寝てくれるようになったのです。私は「ならば公園デビューだ」と意気揚々とお出かけしました。しかし、娘は公園の手前のマンホールや砂利の場所で動かなくなってしまいました。なんとか公園へ連れて行けても次の課題が出てきました。娘は家に帰るとなると全力で泣いて嫌がるのです。今思えば切り替えの悪さからきていたのですが、毎回鮮魚のように暴れて泣く娘を脇に抱えて帰りました。「公園から帰りたくない」と言って嫌がり泣くのは5歳頃まで続きました。5歳になると大暴れすることはなくなり静かに泣くようになりましたが、同級生が素直に帰宅する中で娘の切り替えの悪さはピカイチでした……。しかも、その公園には週5回は行っているのにもかかわらずです。「生まれた時からイヤイヤ期」だった娘。9歳になった今振り返るとUpload By マミヤこうして娘のイヤイヤ期を考えてみると、「生まれた時からイヤイヤ期」がしっくりきます。きっと、とても苦手な感覚や、どうしようもなく我慢できないことがたくさんあって、それを赤ちゃんの頃から一生懸命伝えてくれていたのかもしれません。なので、成長するにつれて、徐々にイヤイヤが落ち着いていったのかなと思います。また、年中の終わり頃に切り替えの悪さで泣くことがなくなってから、育児がとても楽になりました。言葉が出てくる、信頼関係が成り立つ、コミュニケーションがきちんと成立する、交渉ができる……というスキルを得る度に、娘は泣いて怒ることはなくなりました。そう考えると、娘には育児書に書いてあるような普通のイヤイヤ期はきておらず、娘なりのペースで、情緒面の成長がすすんできたのだなと思います。執筆/マミヤ(監修:新美先生より)イヤイヤ期というと、一般的には2歳頃、自我が発達して自分がああしたい、こうしたいという意思が芽生えるも感情コントロールがまだ十分でない時期に出てきます。イヤイヤ期も個人差が大きいので、お子さんによっては時期や現れ方がまちまちで、目立たない方もいます。しぇーちゃんの場合は、イヤイヤ期というよりも、記事の最後にマミヤさんがとても分かりやすくまとめて下さったように、もともとの感覚の偏りやこだわりの強さ・許容幅の狭さから、「イヤ」と感じることが多かったのが、お子さんに適した環境整備や、見通し支援、お子さん自身の発達に伴い理解できること、伝えられる手段が増えて、適切にコミュニケーションが取れるようになり、泣いて怒らなくてもよくなったという過程ですね。これはマミヤさんや周囲の方々が、しぇーちゃんに合った関わりを十分していただいた経過だと思いました。生まれ持って泣かれることが頻繁で難易度の高い子育てといえるタイプだったかもしれませんが、適切な関わりをすることで、しぇーちゃんも健やかに成長し、「楽になった」と感じられるようになったのはすごいなぁと思いました。素敵なエピソードを聞かせていただきありがとうございました。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年02月16日手づかみ食べをしなかった離乳食期息子の離乳食開始は生後5ヶ月の頃でした。以前のコラムでも書きましたが、息子は産まれてからおもちゃなどを舐めたり口に入れたりすることが全くなかったので、ちゃんと食べてくれるか少し不安でした。しかし始めてみると、好き嫌いやアレルギーなどもなく、離乳食自体はとても順調に進みました。ドロドロ状の食事から少し形ある食事に進んだ頃、手づかみ食べしやすいように一口サイズにしてお皿に並べるようにしていました。しかし、息子は手がベタベタするのがとても苦手なようで、ほとんど手づかみをしてくれませんでした。おにぎりなどのご飯粒が手にくっつくととたんに不機嫌になり、手をブンブン振り回して米粒を部屋中に飛ばしてくれました(白目)。唯一手づかみで食べていたのは手が汚れない赤ちゃんせんべいだけでした(笑)。Upload By 海乃けだま手が汚れるのが嫌ならスプーンとフォークを使ってみよう!手がベタつくのが嫌で全く手づかみ食べが進まないので、「ならばスプーンとフォークを使ってもらおう!」と試してみましたが……握る力が弱い息子は自分で食べ物に刺したり、ごはんをすくったりすることはできませんでした。それどころか……スプーンなどに興味を示したり、ママの手を引き寄せて食べようとしたりすることすらなかったのです……。息子にスプーンを握らせて、その上から手を添えてお皿からすくって口へ運ぶなど、いろいろ試しましたが、全く上達せず……。試行錯誤をずーーーーーーっと続けた結果、私がフォークに食べ物を刺した状態で息子に渡して、なんとか自分で口に運べるようになったのは、息子が1歳半になった頃でした。娘の誕生、食事の時間が苦痛に……ようやく息子がスプーンやフォークを口に運べるようになって歓喜していた頃、娘が誕生しました。それまで息子につきっきりで1対1の食事ができていましたが、そうはいかなくなりました。第2子ということで育児の要領もつかめていたし、良く母乳を飲みよく寝てくれる娘だったので、かなり育児としては楽だったのですが、それでも息子の食事に常につきっきりでいることはできません。『娘を抱っこしながら息子の食事介助~寝不足の毎日を添えて~』の時間はだんだんとストレスになり、"早くこの時間を終わらせたい"という気持ちが勝り、スプーンを口に運ぶ動作がとてもゆっくりな息子を待っていられず、サッササッサと食べさせてしまっていました。娘の離乳食開始、2人揃って手づかみ食べ…。まさに毎食地獄絵図。そうしているうちに、今度は娘の離乳食を始める時期になりました。食に対して貪欲な娘は、9ヶ月になる頃にはママの手をグイグイと引っ張って食べていました(笑)。息子も2歳2ヶ月になり、手づかみなら自分で食べられるようになってきたので、2人揃って手づかみ食べをするように……テーブルの下、椅子、服、カーテン、壁……あらゆる場所が食べ物まみれになり、それはもう地獄絵図でした(白目)。Upload By 海乃けだまスプーンとフォークの練習を始めて……。その後娘が10ヶ月を過ぎた頃からスプーンを使いたがり、これが刺激になればと、息子もスプーンとフォークの練習を本格的に始めることにしました。……が、私一人では圧倒的に大人の手が足りない!!!両手両目を駆使して子どもたちの食事介助をしていましたが、心底千手観音様になりたい気分でした。Upload By 海乃けだま息子はスプーンとフォークを使い出したものの、思うようにいかないとすぐ手づかみ食べをしていました。そして食事が終わると案の定、テーブルの下は食べかすだらけでした。お箸デビューと、お友達の何気ないひとこと……3歳半で療育の単独通園に通い出した頃から、息子が嫌がらない程度に補助箸にもチャレンジしていましたが、しっかりと補助箸を使えるようになってきたのは4歳を過ぎた頃でした。6歳になった現在は、幼稚園では補助のついていない幼児箸で頑張って給食を食べています(箸でつまむのはまだ難しく、刺したり、かき込んだりしています)。家では断固として使ってくれず、基本はスプーンとフォーク、油断すると手づかみ、たまーーに補助箸の割合で食べています。さらに左手をお皿に添えることを常に忘れているので、「お皿持って!」と毎回声かけしています。先日、夫の趣味友達のご家族とお出かけした際に、みんなで食事をしたのですが……小学1年生のお子さんから「ひとでくんって本当に6歳?手で食べてるよ?」とごもっともなひとことを言われてしまいました(発達年齢は4歳前後と言われてるので、あながち間違いではない……)。4月から地元の小学校に入学する予定なのですが、勉強に限らず日常生活も不安だらけです(白目)。執筆/海乃けだま(監修:新美先生より)離乳食時期から就学前までの、食事にまつわるご苦労のエピソードを詳しく教えていただきありがとうございます。食事に関しては、お子さんによって、感覚の偏りや手先の器用さなどさまざまな特性が影響して、いろんな「育児書通りじゃない」が起き得ます。食育は子育ての基本と思っている保護者も多く、ここがうまく進まないと不安になりやすいかもしれません。こんなふうに、独特の反応をする子どももいるのだと、似た仲間を見つけるとほっとすることもあるので、こういった具体的なエピソードを聞かせてもらえるとうれしいですね。味覚の過敏さや、舌触りの敏感さ、慣れないものへの抵抗、嗅覚、触覚の問題などなどから、食べられないものが多いお子さんもいます。また食欲に鈍感だったり、食が細かったりでそもそも食べることが大変なお子さんもいます。そして、手先の不器用さ、触覚の過敏さ、多動、興味の偏り、こだわりなどから食事動作の自立に時間がかかるお子さんもいます。いろんなトラップがあってうまく行かないことはあるかもしれません。それでもそんな様子から、ご本人の特性を理解して、長い目で見てつき合っていくことが大事です。慌てなくても、食は一生続くので、無理をかけすぎず、お子さん自身が食べることを嫌にならないように見守っていただければと思います。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年02月15日