東西文化の交差が導いた絵画史、今ここにエドガー・ドガ《踊り子たち、ピンクと緑》1894 年 パステル、紙(ボード裏打))吉野石膏株式会社(山形美術 館寄託)19世紀後半に西洋美術界を席巻したジャポニスム。その立役者に浮世絵師・葛飾北斎の姿がありました。そんな葛飾北斎の描いた作品と、彼にインスパイアされた西洋美術の対比を愉しめる企画展「北斎とジャポニスム」が上野・国立西洋美術館で開催されています。会期は2017年10月21日(土)〜2018年1月28日(日)まで。貴重な北斎の錦絵を約40点と版本約70冊、合計おおよそ110点、さらには西洋芸術の名作約220点が一堂に会する“東西・夢の共演”の舞台を見逃すことなかれ。根底に流れる“北斎”をその目で確かめて(左)葛飾北斎《牡丹に蝶》1831-33(天保2-4)年頃ミネアポリス美術館(中央)クロード・モネ《黄色いアイリス》1914-17年頃国立西洋美術館(右)フィンセント・ファン・ゴッホ《ばら》1889年国立西洋美術館(松方コレクション)江戸時代後期を代表する浮世絵師・葛飾北斎。鋭い観察眼とユニークな発想で『北斎漫画』や「冨嶽三十六景」などの代表作を次々と残しました。そんな彼の作品は海を渡り、19世紀後半の西洋芸術に多大な影響を及ぼすこととなります。新しい視点として多くの美術家を熱狂の渦に巻き込んだジャポニスムは、印象派のモネやドガ、セザンヌやゴーガンといった有名な作家の作品にも色濃く姿を現しました。モネの《陽を浴びるポプラ並木》は、北斎の《冨嶽三十六景東海道程ヶ谷》に描かれた松の木の構図と呼応するように、絵の中でリズミカルに躍動します。さらに「踊り子の画家」として名高いドガの作品は、『北斎漫画』での人物の捉え方と類似しているようにさえ感じることでしょう。今までになかった“北斎とジャポニスム”という観点で、身近にあった近代西洋芸術を見つめてみれば、知られざる一面が見えてくるかもしれません。じっくり鑑賞して、比較して、自分だけの発見を愉しんで。文/おゝしろ実結イベント情報イベント名:北斎とジャポニスムHOKUSAIが西洋に与えた衝撃催行期間:2017年10月21日 〜 2018年01月28日住所:東京都台東区上野公園7-7電話番号:03-5777-8600(ハローダイヤル)
2017年12月26日すみだ北斎美術館は開館一周年記念展として、「めでたい北斎~まるっとまるごと福づくし~」を、2017年11月21日(火)から2018年1月21日(日)の期間で開催する。すみだ北斎美術館が開館から一周年の感謝を込めて贈るのは、招福や開運にちなんだ北斎一門の作品たち。1章から4章の4部構成で展開される本展では、各章ごとに異なるテーマで北斎一門の作品を紹介していく。1章では「めでたい神様」をテーマに、「七福神オールスターズ」と「神様オンパレード」の2節を展開。江戸時代の新年に無病息災、豊年満作を祈る風習を元に、北斎をはじめとする門人たちが描いた神様の図像などを展示する。企画展の目玉作品の1つである葛飾北斎の「布袋図」もこの1章で展示。七福神の一人、「布袋」が気持ちよさそうに笛を吹く、今にも音色が聞こえてきそうな構図からは、北斎ならではの大胆な発想と遊び心を感じることができる。2章から4章にかけても「めでたい」ものにフォーカスしたテーマで、ユニークな作品を多数ラインナップするほか、展示以外にも観光ガイドや学芸員による講演会などのイベントも開催。会期は年末から年始にかけての約2か月。残りの2017年の運気を高めるも良し、新たな一年の始まりの験担ぎにも良しの、"福づくし"な展示会に是非足を運んでみて。【詳細】すみだ北斎美術館「開館一周年記念 めでたい北斎~まるっとまるごと福づくし~」会期:2017年11月21日(火)~2018年1月21日(日)※前期 2017年11月21日(火)~12月17日(日)、後期 2017年12月19日(火)~2018年1月21日(日) ※各期で一部展示替えあり。場所:すみだ北斎美術館住所:東京都墨田区亀沢2丁目7−2開館時間:9:30~17:30(入館は17:00まで)休館日:毎週月曜日※月曜日が祝日または振り替え休日の場合は、その翌平日※年末年始の休館日は2017年12月29日(金)~2018年1月1日(月)観覧料:一般 1,000円、高校生・大学生 700円、65歳以上 700円、中学生 300円、障がい者 300円※小学生以下は無料。※学生は要生徒手帳または学生証。※65歳以上は年齢証明が出来るものの提示が必要。※障がい者手帳保持者の付添1名まで障がい者料金適用可能。【問い合わせ先】すみだ北斎美術館TEL:03-5777-8600(ハローダイヤル)
2017年11月18日正解は…葛飾北斎です! 後に詳しくご説明しますが、北斎といえば、日本では知らない人がいないほどメジャーな存在。ですが、実は欧米でも人気で、今から150年も前に、モネやドガなど超有名な巨匠たちにも影響を与えていたのです。そんな事実をリアルなアートで見せてくれる注目の展覧会『北斎とジャポニスム』展を取材してきました!西洋の名作約220点が集結!【女子的アートナビ】vol. 89『北斎とジャポニスムHOKUSAIが西洋に与えた衝撃』では、葛飾北斎の作品と欧米の芸術家たちの作品が一堂に集結。有名な浮世絵や『北斎漫画』と並んで、モネやドガ、セザンヌなどの名画約220点が展示されています。タイトルにある “ジャポニスム” とは、19世紀後半に欧米で起こった日本美術をヒントにした新しい創造活動のこと。印象派の画家をはじめ、あらゆる分野の西洋の芸術家たちに影響を与えたといわれています。そんなジャポニスムのアートと北斎の “夢の共演” が実現!今期注目の展覧会です。ざっくり北斎葛飾北斎(1760~1849)は江戸時代後期に活躍した浮世絵師。東京の葛飾区出身と思いきや出生地は墨田区。ただ、現在の墨田区あたりは昔、武蔵国葛飾郡だったので「葛飾」と名のった…という説もあるようです。代表作は「冨嶽三十六景」。ほかにも木版・肉筆の浮世絵や『北斎漫画』などの絵手本、挿絵、春画などあらゆるジャンルの作品を残しています。彼は世界的にも有名で、1998年にアメリカの雑誌『ライフ』で「この1000年でもっとも重要な功績を残した世界の人物100人」にただひとりだけ選ばれた日本人が北斎だったそうですよ。オクサイ?!それでは、展示室に入ってみます。最初の部屋では、北斎がどんなふうに欧米で広まっていったのか、その流れがわかる資料や図版などを見ることができます。初期のころは、「オクサイ」とか「ホフクサイ」などと呼ばれていたとのこと。世界のHOKUSAIが西洋で浸透していく過程を見られておもしろいです。そして、いよいよ北斎とジャポニスムのコラボ展示コーナーへ。北斎の作品と、それを参考にしたと思われる絵画が並んで紹介されています。例えば、上の写真は右がポスト印象派の巨匠、ポール・ゴーガンの作品《水浴の女たち》で、左に見えるのは『北斎漫画』六編。ゴーガン作品に描かれている女性たちの姿が、北斎の人物像に着想を得ているかもしれない…と推測して展示されています。ホントにそっくり?!展示作品のなかでも特に北斎の絵と似ているのが、ドガの《踊り子たち、ピンクと緑》。『北斎漫画』に描かれている力士のポーズとそっくりです!この絵を参考にしたという確証はないようですが、北斎作品を収集していたドガが自分の絵に取り込んだのではないかと考えられているそうです。また、モネの作品《陽を浴びるポプラ並木》と北斎の風景画を比較した展示もありました。モネも北斎の絵を所有していたそうですよ。このように構図や描き方などがそっくりな例もあれば、「ちょっと似てないかも…」とツッコミを入れたくなる展示もあり、作品そのものだけでなく比較するという楽しみを味わえるのも同展の魅力です。絵画だけでなく工芸作品とのコラボも見逃せません。例えば、北斎の《冨嶽三十六景神奈川沖浪裏》で表わされている大波をイメージした《波型鉢》はフォルムがとてもユニーク。西洋の芸術家たちにさまざまなインスピレーションを与えた北斎のすごさが伝わってきました。いつも欧米のアートを展示している国立西洋美術館で北斎を楽しめるなんて、なかなか貴重なチャンスです。ジャポニスムの魅力をたっぷり味わえる展覧会、ぜひ一度足を運んでみてくださいね。Information会期:~2018年1月28日(日)休館日:月曜日(ただし1月8日は開館)、12月28日〜1月1日、1月9日時間:9:30〜17:30(金・土曜日は20:00まで。ただし11月18日は17:30まで)入館は閉館の30分前まで会場:国立西洋美術館料金:一般 1,600円/大学生1,200円/高校生 800円/中学生以下無料(C)ferlistockphoto/Gettyimages
2017年11月17日建築家・妹島和世が手掛けた「すみだ北斎美術館」にて、葛飾北斎と妹島和世の企画展「妹島和世 SANAA × 北斎」が10月31日から11月12日まで開催中。常に最新の画法を追求しながらも、どこか温かみのある人間を描き続けた葛飾北斎と、クールでスタイリッシュでありながら人や街をつなぐ設計を生みだす妹島和世。本展では、同美術館の模型やドローイング、現在進行中の妹島和世建築ユニット・SANAAのプロジェクトの模型や写真の展示、また『北斎漫画』のレプリカなどを公開し、江戸と現代で共に人々を惹きつけてやまない、革新的な二人を感じることができる。すみだ北斎美術館は葛飾北斎の貴重な作品の展示とともに、妹島和世の近未来的な建築も魅力。この地に生まれ、生涯のほとんどを墨田区で過ごした世界的にも有名な北斎は、まちの伝統を受け継ぐソフトなアイデンティティーであり、また地域と調和しつつも目を引く美術館の建物自体は、まちのハードな新しいアイデンティティーでもある。そんな要素を併せ持つすみだ北斎美術館は、地域の人をつなぐコミュニティーを生み、そのコミュニティーが作り出す文化が、未来を変えてゆくのだろう。【展覧会情報】妹島和世 SANAA × 北斎会期:10月31日~11月12日会場:すみだ北斎美術館住所:東京都墨田区亀沢2-7-2時間:9:30~17:30(入館は17:00まで)料金:一般600円 高校生・大学生450円 65歳以上450円 中学生200円 障がい者200円(団体料金は一般480円 高校生・大学生360円 65歳以上360円 中学生160円 障がい者160円)休館日:毎週月曜日
2017年11月09日ユナイテッド トウキョウ(UNITED TOKYO)の2018年春夏コレクションが、2017年10月21日(土)に東京・表参道ヒルズで発表された。今シーズンが「Amazon Fashion Week TOKYO」初参加となるユナイテッド トウキョウ。ショーのテーマは、”Japanese Identity”だ。日本伝統の控えめながらも情緒的で時にダイナミックな美学。そして、それを裏打ちする綿密で丁寧なものづくりの技術。そんな”日本らしさ”を取り入れた。国内の技術を駆使した、繊細でうっとりするようなレースや刺繍が印象的。さらに、和柄や浮世絵をフィーチャーした模様が取り入れられ、初のコレクションを華やかに彩る。それでいて、あくまでもトゥーマッチになりすぎずスマートに。シックなカラーリングやカジュアルな素材をバランス良くミックスし、ブランドらしいシティライクで洗練されたスタイルを作り出した。ベージュのトレンチコートは、背中に施された金糸の刺繍に思わず目が奪われる。足元には、肌が透けるクリアヒールのショートブーツを。全身をベージュカラーで統一し、無駄のない洗練されたルックに仕上げた。幾何学的な刺繍をびっしり施したスーツも登場。スリーブ部分のみコーチジャケットのようなスポーティな袖を合わせ、かっちりとしたスーツとのミックス感覚を楽しんでいる。真っ赤なチュールのトップスには、あえてショート丈のダウンを合わせた。葛飾北斎の作品を取り入れたアイテムも多く登場した。《富嶽三十六景》の大波をプリントしたニットは、視線を惹きつけるような個性がありながらも、スリーブにボリュームを持たせたモダンなシルエットで他のアイテムにもしっくり馴染む。浮世絵を全面に配したスカートは、帯のように黒いベルトで腰元を絞って。アシンメトリーかつ立体的なシルエットで、古典的な柄を見事にモードに昇華した。
2017年10月24日合同展「神の手●ニッポン展III」がホテル雅叙園東京にて開催される。会期は2017年12月1日(金)から12月24日(日)まで。「神の手●ニッポン展III」は、日本人ならではの感性と手先の器用さを活かした、まさに“神の手”のような技巧を持つアーティストたちの作品が集合する合同巡回展。第3弾となる今回の展示では、海外でも高い評価を受ける「シャドーボックス」をはじめ「立体切り文字」「現代切絵アート」などの紙のスペシャリストや、「組み木絵」「ペットボトルアート」など素材に新たな命を吹き込む新たなアーティストを中心に、過去2回の参加アーティストの人気作品も見ることができる。日本人の感性や手先の器用さを堪能できる作品約80点が集結する。芥川龍之介の世界を立体で表現立体切り文字アーティスト・笹尾 真は、文学作品の名文を切り取り、本来二次元である文字の世界を立体化する。芥川龍之介の『地獄変』の冒頭文章を題材とし、数百枚もの紙を重ねた立体文字が生み出す世界を是非会場で体験してはいかがだろうか。端材や資源ゴミで葛飾北斎を表現一切着色をしていない数十種類の木材を、厚さ5.5mmの板材に揃え、色味や木目の違いを活かしながら絵として組み込んでいく組み木絵アート。展示される中村 道雄の作品は、半年以上の時間をかけて素材を探し抜き、葛飾北斎をカバーしたものだ。「源氏物語」の原画を再現、平面の絵に命を吹き込むシャドーボックスは、ヨーロッパ各国をはじめ、近年では日本でも芸術として高い評価を受けているハンドクラフト作品だ。日本におけるシャドーボックスの第一人者、大橋 禾苗は、7~8枚の原画を使い、絵を忠実に再現し立体化。本展では、会場である「百段階段」からインスピレーションを受けた「源氏物語」を初公開する。詳細神の手●ニッポン展III開催期間: 2017年12月1日(金)~12月24日(日) ※会期中無休。開催時間:10:00~18:00(最終入館17:30)会場:ホテル雅叙園東京 東京都指定有形文化財「百段階段」住所: 東京都目黒区下目黒1-8-1入場料: 当日 1,500円、前売 1,200円(学生800円※要学生証呈示※小学生以下無料)チケット販売窓口: ホテル雅叙園東京内、ローソンチケット、セブンチケット、JTB各店、JTBレジャーチケット、イープラスTEL:03-5434-3140(10:00~18:00)
2017年10月23日フォーチュナトウキョウ(FORTUNA Tokyo)の2018年春夏コレクションが、2017年10月20日(金)に表参道ヒルズで発表された。Amazon Fashion Week TOKYO初登場の同ブランドは、日本の伝統工芸「西陣織」を取り入れた「和モダン・クラシック」スタイルを提案している。デザイナー・木場 彰子がイギリス在住経験があることから「英国調のトラディショナル」と「和」を掛け合わせたデザインが特徴だ。フォーチュナトウキョウの看板アイテムである西陣織のネクタイ。ランウェイには桜や武士、葛飾北斎の作品など「和」をモチーフにした様々な柄が登場した。こだわりのあるネクタイの柄は、ポロシャツの襟や袖、そしてショートパンツの裾にも取り入れられ、ウェアを引き立てる。「和」がさらに顕著に現れたのは、着物型のコートやアクセサリーに取り入れられた雪下駄。下駄の鼻緒には、ネクタイと同様の柄が採用されている。そこに合わせられたのは、イギリスの伝統的なウェアだ。ネイビーのトレンチコートや、シングル・3ピースのスーツ、そしてチェック柄をあしらったノーカラージャケットがランウェイに現れ、イングランドの風を運ぶ。「和」と「英国」、2つの魅力が融合したコレクションに仕上がっている。
2017年10月23日ウンベルト・レオン(Humberto Leon)とキャロル・リム(Carol Lim)によるケンゾー“ラ コレクション メメント(KENZO - LA COLLECTION MEMENTO)が、パリの劇場トリアノンを会場にショーを開催した。ウィメンズコレクション中に発表されるコレクション「メメント」は、メンズコレクション中に発表されるプレタポルテ(高級既製服)とは異なり、高田賢三の功績を讃える内容となっている。今シーズンは広島神楽を招聘し、演奏と共に服を見せた。イメージソースは、1986年にスタートした「KENZOジーンズ」。当時発表されたデニムから着想を得て、タグをそのまま意匠として使用しているのが特徴で、葛飾北斎の神奈川沖浪裏や、竹林の中の虎の意匠が散りばめられ、ハワイアンのイメージも新たにプラスしている。カラーは藍とサムライレッドと名付けられた茶がかった赤の2色を基本にし、ジーンズ類はハイウエスト&ワイドなカッティングでアップデート。また、キモノスリーブ、キモノ身頃のトップスが多く見られ、サンハットを合わせて独自のスタイリングを見せていた。高田賢三のクリエーションを参照しながらも、新たな解釈を加えてモダンでフレッシュに仕上げ、プレタポルテのコレクションよりもさらに若々しさを漂わせる内容となっていた。
2017年10月08日ジャポニズムを読み解く世界初の展覧会19世紀後半、西洋の人々を魅了した浮世絵師・葛飾北斎(1760-1849)。その出会いからジャポニスムを読み解く、世界初の展覧会です。モネ、ドガ、セザンヌ、ゴーガンをはじめ、西洋美術の名作約200点と、北斎の錦絵約30点、版本約60冊の計90点が一堂に会する、"東西・夢の共演"。西洋の芸術家たちは北斎をどう受けとめ、新たな造形表現を生み出したのか―北斎が西洋に与えた衝撃を、あなたも実感してみませんか。ジャポニズムとは19世紀後半に、日本美術からヒントを得て、西洋の美術家や建築、音楽、文学、演劇など携わる人びとが作り上げた新しい創作活動を意味します。日本が17世紀初めから19世紀半ばまで鎖国体制を取っていたため、西洋世界と交流は限られており、西洋では日本についての情報知識が極めて少なかったため、開国とともにやってきた多くの西洋人が日本の品物を持ち帰ったり、その様子を紀行文に書いたりしました。そのことで、日本に対する関心が急速に高まったのです。同じころ、ロンドン、パリ、ウィーンなどで万国博覧会が開かれ、日本の展示が人気を博したのです。結果として、新しい表現技法を模索していた美術家たちが、日本の表現手法を取り入れ、自分たちの芸術に発展させたのだが、ジャポニズムです。葛飾北斎とは宝暦10年~嘉永2年(1760~1849)。江戸時代後期を代表する浮世絵師。『北斎漫画』に代表される絵手本などの版本、錦絵版画、肉筆画を手がける。『富嶽三十六景』は、代表作で、歌川広重と並び、江戸時代後期に、浮世絵における風景画のジャンルを確立させた。浮世絵師のなかでもとりわけ北斎が評価されたのか?西洋の人びとが見た北斎はどんな画家だったのか。彼から学んだ人びとはどんな点に注目し、どんな作品をのこしたのか。それによって西洋はどういう変化を遂げたのか。西洋の作品と北斎の作品を比べることにより、北斎の魅力を再発見し、西洋の作品のエネルギーを感じることにしましょう。共演する西洋の作家たちエドゥアール・マネ、アンリ・ランベール、クロード・モネ、エドガー・ドガ、ポール・セザンヌ、フィンセント・ファン・ゴッホ、カミーユ・ピサロ、メアリー・カサット、ポール・ゴーガン、オディロン・ルドン、ギュスターヴ・モロー、パウル・クレー、ジョルジュ・スーラ、エミール・ガレ、ピエール・ボナール、カミーユ・クローデル、クリストファー・ドレッサー、ブロンシア・コラー=ピネル。「北斎とジャポニズム」展開催概要会期:2017年10月21日(土)~2018年1月28日(日)会場:国立西洋美術館 [東京・上野公園]〒110-0007 東京都台東区上野公園7-7開館時間:午前9時30分~午後5時30分(金、土曜日は午後8時。ただし 11/18は午後5時30分まで)※入館は閉館の30分前まで休館日:月曜日(ただし1/8は開館)、12/28~1/1、1/9主催:国立西洋美術館、読売新聞社、日本テレビ放送網、BS日テレ特別協賛:キヤノン協賛:花王、損保ジャパン日本興亜、大日本印刷、トヨタ自動車、みずほ銀行、三菱商事お問合せ:TEL.03-5777-8600 (ハローダイヤル)ペアチケットを5組10名様にプレゼント!
2017年10月02日9月17日、18日、演出家・宮本亜門が手がける朗読劇『画狂人北斎』の公演が曳舟文化センターで開催された。世界的に知られた江戸時代後期の浮世絵師・葛飾北斎。この作品はそんな「葛飾北斎」と宮本がタッグを組んだプロジェクトとなり、今年1月に「すみだ北斎美術館」で行われたリーディング公演を皮切りにスタートすることとなった。今年7月には北斎展「Hokusai:beyond the Great Wave」を開催中のイギリス・大英博物館でも上演され、好評を博したこの作品。今回の公演は、満を持しての凱旋公演となる。物語は、博物館の講演会場から始まる。北斎研究家・長谷川南斗(菊地創)が語る北斎への考えに、彼の研究を手伝う助手・峰岸凛(秋月三佳)は違和感を持つ。凛はかつて自身も画家を目指しながら、とある出来事がきっかけで今は筆を置いていた。一方、舞台は江戸時代へ。天保の大飢饉や出版統制など厳しい状況の中、絵を描き続ける晩年の葛飾北斎(志賀廣太郎)と、悪態をつきながらも彼を支える娘・お栄(中嶋朋子)。しかし親友である戯作者・柳亭種彦(池内万作)が幕府によって捉えられ、追い詰められた北斎は小布施へと居を移す。北斎の真実を追い求める現代のふたりの姿と、激動の時代を身を置く晩年の北斎の姿が交互に舞台上には立ち現れ、やがてクロスオーバーしてゆく。「朗読劇」とは銘打っているものの、舞台上の俳優たちは椅子から立って通常の公演のように演技を行う場面が多い。その分、1月のリーディング公演と比べてもよりストーリーや登場人物たちの心情がダイレクトに響いてくる。また、背景には映像を大胆に使用。実際の北斎の絵も多数表示され、北斎の絵に秘められた秘密や謎解きを知ることができるので、「北斎入門編」の役割も。時にそれらの絵がアニメーションのように動いていくことで、通常は“静”のイメージが強い朗読劇にもかかわらず、よりダイナミズムを感じさせる効果も生む。江戸時代の北斎たちと、凛という“現代に生きるアーティスト”を対比させ、そして交錯させてゆくことで、「ものを創りだす」ということ、そして創作者のその姿は今も昔も変わらないのではないか、ということを思わせてくれる。それだけに表現が次々と規制されてゆく北斎たちの生きた時代の様子は、今この作品を見ている私たちの現状とも無縁ではないのでは……と感じさせる一幕も。この先、舞台化などさらなる動きを見せてゆこうというこのプロジェクト。今後の展開が楽しみだ。取材・文:川口 有紀
2017年09月22日ギレルモ・デル・トロ最新作『シェイプ・オブ・ウォーター』が、2018年3月1日(木)より全国公開される。2017年度のヴェネツィア国際映画祭では、最高賞にあたる金獅子賞を受賞した作品だ。孤独な女性と不思議な生物の“愛”を描くファンタジー・ロマンス『シェイプ・オブ・ウォーター』は、過去のトラウマで声を出すことができない一人の孤独な女性と、水の中で生きる、それはまるで半魚人のような不思議な生物との言葉を超えた“愛”を描いたファンタジー・ロマンス作品だ。監督はギレルモ・デル・トロギレルモ・デル・トロはメキシコ出身の映画監督。特殊メイクから映画の世界に入った監督で、独特な世界観の作りこみに定評がある。代表作はスペイン内戦後を舞台に、悲しげな少女を描くダーク・ファンタジー『パンズ・ラビリンス』。菊地凛子が主演を務めた大作『パシフィック・リム』、アメコミ系の『ブレイド2』『ヘルボーイ』を手掛けていたり、最近の作品では、心霊屋敷が舞台にしたダークミステリー『クリムゾン・ピーク』を送り出した。『ホビット』シリーズでは脚本を担当している。彼が生み出してきた映像は美しくも独特であり、拘り抜いたもの。キャラクターはどこか憎めなく、そして魅力的。モンスターをはじめとする奇妙な物品を愛し、“荒涼館”と呼ばれる自宅に収集していることでも知られているギレルモ・デル・トロだが、『シェイプ・オブ・ウォーター』ではモンスター×人間のラブストーリーが題材。過去の多くの作品と同じで今とは違う時代、冷戦時代が舞台の世界が舞台だ。ギレルモ・デル・トロの作品の中でも珍しく今回はラブストーリーなのだ。さらに『パンズ・ラビリンス』を超えた?あるいは最高傑作ではないか?と言われている。主人公をサリー・ホーキンス極秘研究所に勤める主人公のイライザ。たまたま目撃した不思議な生物“彼”の魅惑的な姿に心を奪われていく。周囲の目を盗んで会いに行くようになる。子供の頃のトラウマで声が出せないイライザだったが、“彼”とのコミュニケーションに言葉は必要なかった…。そうして不思議な生き物と心を通わせていく。演じたのはサリー・ホーキンス。言葉を使わずに溢れんばかりの感情を表現する、渾身の演技を見せた。本作ではその演技が認められアカデミー主演女優賞にノミネートされている。2008年の『ハッピー・ゴー・ラッキー』で、ベルリン国際映画祭女優賞にあたる銀熊賞、ゴールデングローブ賞のミュージカル・コメディ主演女優賞を受賞。ウディ・アレン監督による『ブルージャスミン』でアカデミー助演女優賞にノミネートされ、近年ますます注目が集まる女優だ。ハリウッド版『GODZILLA ゴジラ』でも主要キャラを演じている。水の中で生きる謎の生物アメリカ政府の極秘研究所へ秘かに運び込まれた不思議な生きもの…。それはアマゾンで神のように崇められていたという。水の中で生きる半魚人のようおな謎の生き物“彼”は間もなく実験の犠牲になるという状況だが…隣人役に名優リチャード・ジェンキンス優しい隣人役ににリチャード・ジェンキンス。70歳を超えて未だ現役・名脇役と呼ばれる俳優だ。2001年にはじまったテレビドラマ「シックス・フィート・アンダー」で知られ、2009年には『扉をたたく人』ではアカデミー主演男優賞にノミネート。そして『シェイプ・オブ・ウォーター』でも助演男優賞にノミネートを果たした。同僚ゼルダをオクタヴィア・スペンサーイライザを暖かく支える同僚ゼルダを『ドリーム』のオクタヴィア・スペンサー。裁判映画『評決のとき』ではじめて映画に出演し、その後は地道に出演を続け、2011年、『ヘルプ 〜心がつなぐストーリー〜』でブレイク。アカデミー助演女優賞を受賞した。最近は『ドリーム』『gifted/ギフテッド』への出演や『ズートピア』では声優として活躍している。その他、イライザと恋に落ちる生き物の声は『パンズ・ラビリンス』をはじめデル・トロ監督作の常連ダグ・ジョーンズ、冷徹な政府調査官は『マン・オブ・スティール』のマイケル・シャノンが担当する。ヴェネツィアに留まらずアカデミー賞では13部門ノミネートヴェネツィア国際映画祭の金獅子だけではなく、『シェイプ・オブ・ウォーター』は、賞レース前哨戦でも既に16受賞、80ノミネートを果たし、特にアカデミー賞との親和性も高い放送映画批評家協会賞では、ぶっちきり史上最多となる14部門でのノミネートを果たしている。第75回ゴールデン・グローブ賞は、作品賞(ドラマ)、監督&脚本賞(ギレルモ・デル・トロ)、ドラマ部門主演女優賞(サリー・ホーキンス)、助演男優賞(リチャード・ジェンキンス) 、助演女優賞(オクタヴィア・スペンサー)、作曲賞(アレクサンドル・デスプラ)とノミネートされ、監督賞と作曲賞を受賞した。そしてアカデミー賞では、作品賞、監督賞(ギレルモ・デル・トロ)、主演女優賞(サリー・ホーキンス)、助演男優賞(リチャード・ジェンキンス)、助演女優賞(オクタヴィア・スペンサー)、脚本賞(ギレルモ・デル・トロ)、作曲賞、編集賞、衣裳デザイン賞、美術賞、撮影賞、音響編集賞、録音賞と、最多13部門のノミネートを果たした。『シェイプ・オブ・ウォーター』あらすじ舞台はアメリカとソビエトの冷戦時代の1962年。清掃員として政府の極秘研究所に勤務するイライザ(サリー・ホーキンス)は孤独な生活を送っていた。そんな彼女の生活だったが、ある出来事を機に永遠に変わってしまう。同僚のゼルダ(オクタヴィア・スペンサー)と一緒に極秘の実験を見てしまったのだ。人間ではない不思議な生き物との言葉を超えた愛。それを支える優しい隣人らの助けを借りてイライザと“彼”の愛はどこへ向かうのか…。【作品詳細 】『シェイプ・オブ・ウォーター』原題:The Shape of Water公開日:2018年3月1日(木)より全国ロードショー監督・脚本・プロデューサー:ギレルモ・デル・トロ音楽:アレクサンドル・デスプラ衣装 : ルイス・セケイラ美術 : ポール・オースタベリー撮影:ダン・ローストセン出演:サリー・ホーキンス、マイケル・シャノン、リチャード・ジェンキンス、オクタヴィア・スペンサー、ダグ・ジョーンズ、マイケル・スツールバーグ、ローレン・リー・スミス、ニック・サーシー、デヴィッド・ヒューレット配給:20世紀フォックス映画(C)2017 Twentieth Century Foxシェイプ・オブ・ウォーターのアートブックも発売なお、映画の公開前、2018年2月9日に、キャラクターや小道具のデザインから撮影に至るまでフィルムメイキングの過程を網羅するアートブックも発売される。『ギレルモ・デル・トロのシェイプ・オブ・ウォーター混沌の時代に贈るおとぎ話ジーナ・マクインタイア[著]阿部清美[訳]発売:2018年2月9日A4変型(予定)/並製/ 168 頁オールカラー予価:本体3,800円+税発行元:DU BOOKS内容:・登場人物はこんな過去を抱えていた。デル・トロ監督による人物設定詳細資料・セットの一部には葛飾北斎の神奈川沖浪裏が隠れている。・クリーチャー制作のヒントとなった日本画。・特殊メイクへのとてつもないこだわり。・主要俳優陣やアレクサンドル・デスプラ(音楽)をはじめとする制作スタッフの貴重なコメント大公開。・超貴重、デル・トロの創作ノートより、一部公開。
2017年09月16日直木賞作家・朝井まかての小説「眩」を4Kドラマ化した「眩(くらら)~北斎の娘~」の試写会が9月12日(火)、NHK局内にて行われ、出演する宮崎あおい、長塚京三、三宅弘城と脚本家の大森美香が会見に出席した。大河ドラマ「篤姫」以来、9年ぶりの共演となる宮崎さんと長塚さん。宮崎さんは、「『篤姫』でご一緒したときは、父親でもチャーミングで愛らしい印象でしたが、今回は『長塚さんは、こんなに大きな人だったっけ?』と、関係性がまったく違い、いろいろなことが新鮮で、お栄として『すげえなあ』って思っている1か月でした」と、長塚さん演じる北斎の迫力を口にしていた。「眩~北斎の娘~」は江戸の天才絵師である葛飾北斎(長塚さん)を陰で支えつつ、晩年には独自の画風にたどり着いた北斎の娘・お栄(宮崎さん)の半生にスポットを当てたドラマ。北斎の三女として生まれたお栄は、町絵師と夫婦になったものの、絵筆を持つことをやめられず、北斎の元に嫁ぎ先から出戻る。お栄は北斎の絵の手伝いを始めながら、北斎の門人である善次郎(松田龍平)との密かな恋心も紡いでいく。お栄を演じるにあたり、宮崎さんは「絵を描くことも、言葉遣いも、お着物をこんなふうに着ることも初めてで、お芝居をすることが純粋にすごく楽しくて幸せな1か月でした」と、いい作品を作りたい一心で取り組んだという充実した撮影を述懐。長塚さんも、「1か月、夢のようでした」と瞳を輝かせながら、「北斎という世界的にも日本人としてポピュラーな人を演じられて、大変光栄でした。NHKの美術さん、衣装もデザインもセットも小道具に至るまで素晴らしく、色にあふれていて美しい世界に感動しました」と心を込めた。本ドラマで宮崎さんは老けメイクを施すシーンにも挑戦している。「特殊メイクをしていただいたことはあるんですが、10年以上前で。自分がおばあちゃんの顔になれることなんてないので、すごい貴重な経験でした」とふり返った宮崎さんは、「撮影の何日か前に祖父に会ったときの肌の質感を覚えていて、まったく同じものだったのですごいと思いました」と自身の経験に重ね合わせた。さらに、宮崎さんは「しわは、その人の歴史を感じられると思うので、このしわを素敵だなと思える年の取り方をしたいです」と未来への抱負も語った。特集ドラマ「眩~北斎の娘~」はNHK総合にて9月18日(月)19時30分から放送。(cinamacafe.net)
2017年09月12日北斎生誕の地である墨田区とすみだ北斎美術館が、演出に宮本亜門を迎え、朗読劇『画狂人北斎』を9月17日(日)より曳舟文化センターで上演する。美術館から創造、発信する企画としては初の試みとなり、すでに1月にすみだ北斎美術館で、7月に北斎展開催中のロンドン・ 大英博物館内で上演されている本作。そこでロンドン公演から引き続きの出演となる志賀廣太郎、中嶋朋子に話を聞いた。【チケット情報はこちら】恐らく多くの日本人がそうであるように、北斎について「知ったような気になっていた」というふたり。だが本作から浮かび上がる天才絵師の姿に、「70歳にしてそれまでの自分をある意味否定するように、『俺の絵を、俺の表現を』とさらに探求していく。それはものすごいエネルギーだと思います」と、志賀は驚きを隠せない。さらに中嶋は、「年を重ねるごとに鎧を身につけるのではなく、どんどん脱ぎ去っていくことで自分をつくっていく。その信念は、今の私たちにも色濃いメッセージになると思います」と読み解く。志賀が演じるのは、まさに葛飾北斎その人。「確かにパワーが必要な役ですが、何もでかい声を出してうわーっとやるわけではない。胸の内にマグマのようなものを秘めていて、しかもそれがいつ爆発するのか分からない人なんです」と分析する。一方中嶋が演じるのは、北斎の娘で、自らも絵師として活躍したお栄。中嶋は「北斎を見つめる目が、憧れから敬意から憎しみから、いろんなものがないまぜになっている。女性としてなかなかやりがいのある役ですし、やれてよかったなと思います」と充実した表情を見せる。だが役者にとっては朗読劇ゆえの難しさも。まず志賀が「感情はあまり入れないで読んだ方がお客さんの想像力が働くことがままあるんです」と切り出すと、中嶋も「今回は“引き際”がすごく難しくて。エネルギーを溢れさせ演じきる部分、それを潔く手放す部分、その両方の表現が必要なんです。でも、空間から伝えられるものがたくさんあるので、それを信じて身を委ねればいいということも、たっぷり味わっていますと振り返る。舞台全体に北斎の作品を投影するなど、宮本ならではの大胆な演出も。それらを志賀は「決して難しくない、観て楽しめるリーディング」と表現。加えて中嶋は、「飛び出す絵本のすごい版みたいな(笑)、体感型朗読劇です」とアピール。どんな新しい北斎に出会えるのか、その答えは劇場で、目で、耳で感じて欲しい。朗読劇『画狂人北斎』は9月17日・18日(月・祝)東京・曳舟文化センター劇場ホールで上演。チケットは発売中。取材・文:野上瑠美子
2017年09月05日浮世絵を融合した新感覚のプリザーブドフラワー「凛 by ベル・フルール」が、フラワーデザインカンパニーのベル・フルールより登場。2017年8月23日(水)より日本橋三越で先行発売、その後9月1日(金)から一般発売される。浮世絵桐箱×プリザーブドフラワー「凛」は、プリザーブドフラワーと浮世絵の描かれた桐箱を組み合わせた、新感覚のフラワーアレンジメント。工房利八による「浮世絵桐箱」は、天然の桐に最先端のレーザー加工技術で絵画のような浮世絵を描いたもの。箱は半年かけて乾燥させた天然木を使用しており、一つ一つに素材の表情が異なる。ふたを開けると、細かい凹凸感や陰影などが表現された浮世絵に繋がる、瑞々しいプリザーブドフラワーが出現。ベースに希少な苔のプリザーブドを使用することで、「日本庭園」「わびさび」を彷彿とさせる日本らしさを表現した。ふたを箱の縁に立てることで、花と浮世絵が一体となり躍動感あふれるインテリアに。葛飾北斎による「滝」「赤富士」「波」を表現作品はそれぞれ、葛飾北斎による「滝」「赤富士」「波」をモチーフにした。中でも「滝」を表現した作品は、まるで滝の飛沫が飛び出てくるような立体感と迫力がある一品。レーザーで彫った滝の曲線やエッジを隠さず、力強い線を生かしたデザインとなっており、ダイナミックな景観に生き生きとした苔をアレンジしている。サイズはサイコロ型、ペントレー型、置き・壁掛け両用と3種類を用意。ぜひ空間を華やかにするインテリアとして、ギフトとして、チェックしてみてはいかがだろう。【詳細】凛 by ベル・フルール発売日:2017年9月1日(金)※日本橋三越では8月23日(水)より先行発売価格:・凛(M)・波、 凛(M)・青富士、 凛(M)・赤富士 25,000円+税・凛(W)・赤富士、凛(W)・波 25,000円+税・凛(L)・格子 60,000円+税・凛(XL)・滝 150,000円+税取り扱い:■ベル・フルール銀座本店住所:東京都中央区銀座1-20-17 押谷ビル1F/2F■ベル・フルール虎ノ門店住所:東京都港区西新橋1-15-6 内幸町企画ビル1F■公式オンラインストア■有名百貨店内の各店舗 ※順次販売スタート・伊勢丹新宿店 5F(リビングデコール)・日本橋三越本店 5F(インテリア)・銀座三越店 7F(ブライダル・ギフトサロン)・松屋銀座店 7F(ギフトサロン)・大丸神戸店 7F(ギフトサロン)・三越名古屋栄店 3F(婦人トレンドクローゼット) ※2017年9月2日(土)オープン■日本橋三越 越後屋オンラインストア【問い合わせ先】株式会社ベル・フルールTEL:03-3965-5805
2017年08月26日東京・目黒区のホテル雅叙園東京では8月26日(土)までの期間中、「五感で愉しむ体験+食事プラン」が実施されます。伝統芸能やコンサート鑑賞などの体験にレストランでの食事がセットになった、限定プランを満喫しませんか?おすすめのプランをご紹介します。和楽器体験+食事プラン●「HIDE×HIDE」2007年のCDデビュー以来、国内外で精力的に活動する和楽器ユニット「HIDE×HIDE」のコンサート鑑賞と、リストランテ「カノビアーノ」のディナーを堪能しましょう。「HIDE×HIDE」のメロディアスな尺八、エッジ感あふれる中棹三味線が織りなすサウンドに魅了されるはず。開催日時:7月19日(水)17:30~料金:大人1名8,500円 ※コンサート鑑賞+リストランテ「カノビアーノ」でのディナー●「AUN J CLASSIC ORCHESTRA」「AUN J CLASSIC ORCHESTRA」は、ふつうは同時に演奏されることがない和太鼓・三味線・筝・尺八・篠笛・鳴り物などの和楽器を再編成したユニットです。各楽器の一流プレイヤーが集結し、古典と新世代が融合したサウンドを響かせます。コンサート鑑賞後はリストランテ「カノビアーノ」のディナーとともに余韻を味わいましょう。開催日時:8月16日(水) 17:30~料金:1名11,000円 ※コンサート鑑賞+リストランテ「カノビアーノ」でのディナー●小三味線の制作&演奏レッスン東京マイスター指導で2/3サイズの三味線作りにチャレンジ!スタイリッシュな三味線は、弾くのはもちろん、インテリアにもおすすめです。三味線作りのあとは演奏レッスンも受けられます。開催日時:7月22日(土)11:00~、12:45~料金:1名5,400円(講習)+4,100円(ランチブッフェ食事代)伝統工芸+食事プラン●筒井時正玩具花火製造所日本にわずか3社しかない国産線香花火の老舗「筒井時正玩具花火製造所」で、線香花火を手作りします。筒井 良太さんと今日子さんがていねいに指導してくれますよ。昼の部は親子向け、夜の部はカップルや女子会など大人向けです。どちらも食事付き。開催日時:8月17日(木)昼10:00~、夜17:15~料金:昼・親子1組8,500円夜・1名6,500円 ※講習代+材料費+食事代+税サ●江戸木版画多色摺り和とじ帳製作親子で参加する、木版画和とじ帳のワークショップです。葛飾北斎や安藤広重が活躍した江戸末期からの歴史を誇る高橋工房の6代目が講師を務めます。柔らかな和紙の感触を楽しみながら作りましょう。食事もセットになっています。開催日時7月29日(土)11:00~、12:45~料金:親子1組2,160円(講習)+6,340円(食事代)●江戸木目込人形の技術で作る絵馬制作起源は江戸中期の伝統工芸、木目込み人形の技術に触れるワークショップです。絵馬型木目込み細工を親子で作ってみませんか?開催日時:8月5日(土)11:15~、12:30~料金:親子1組2,160円(講習)+6,340円(食事代)ホテル雅叙園東京では、ほかにも文化財「百花階段」と館内の美術品を見学する「美術品鑑賞ツアー~竜宮城タイムクルージング~」などを実施します。ぜひスケジュールをチェックしてくださいね。親子で参加できるプランは、夏休みの宿題や自由研究にぴったり。どれも事前予約が必要です。申込みはお早めに!スポット詳細ホテル雅叙園東京所在地:東京都目黒区下目黒1-8-1TEL:050-3188-7570 (9:00~20:00)URL:
2017年07月13日Photo by LUI ARAKI優しい声で「いらっしゃーい」と奥から顔を出すのは、「HATOS OUTSIDE」のオーナーの一人である望月 玲児郎(モチヅキ レイジロウ、以下Ragelow)氏。Photo by LUI ARAKI『100年先も評価される絵を描きたい』アーティストとして活動しているRagelow氏は、作品ごとに違うテーマを設定してから制作に取り掛かるという。2006年には、葛飾北斎にインスパイアされ制作したという 『Survival Drive』を発表した。これは、現代のツールを用い、日本一周記録の旅をするというもの。移動距離34033km、計131日間にもおよぶ車泊と野営によるスケッチと写真での記録の旅。まさに「Survival Drive」と呼ぶにふさわしい大作のアート作品である。同年“THE NORTH FACE”の協力にて、“PANORAMA”よりアートブックとしてリリース。Photo by SOICHIRO FUKUDAPhoto by LUI ARAKIPhoto by LUI ARAKIまた、これらに加え、Ragelow氏には現在取り組んでいる活動がある。それは、渋谷のスケッチだ。気ままに街を散歩しピンと来たらその場で風景を描く。それを持ち帰り、巨大な紙の上に書き写す。そこに暮らす事で感じる東京の街並みを空想で描くというもの。とことん細かく、細部まで描き込んだという大作である。現在製作中の巨大な東京のイラストレーションPhoto by HATOSなぜ彼はアーティストになり、どのような思い込めて「東京の街並み」を描いているのだろうか?自分ではアーティストだとは思っていません、好きなことをやってきた結果です。 感じた事を感じたままに表現したかった、街はそれ自体が大きなアート作品。どんなアート作品よりも圧倒的だと思っています。それは人の手でつくられているからこそです。スケッチでは要所要所に抽象的なモチーフを入れ込んでいます。自分が率直に感じたものを、具体的なものである「街の風景」に織り交ぜているんです。要はメッセージを忍ばせているということなのかな。Photo by SOICHIRO FUKUDAこれまでの人生で、一般的な「就職」をしてこなかったRagelow氏。彼は人生のテーマとして『Normalization(正常化)』、『Think Outside the System(体制の外側から考える)』という言葉を掲げている。前者に関しては、原来、障害を持つ方を隔離してしまうのではなく、就労や家庭環境などに、普通の人と平等に参加してもらうという意味を持つ医学用語だ。また、後者の「Think Outside the System」は、前述の『NEW TOKYO POST』のテーマでもあり、一般的な物の見方に囚われてしまうことなく、一歩引いた位置、つまり「第三者的目線」からモノやコトを見るのが大切だ、というメッセージである。これらは、彼がこれまでの人生において貫いてきた、いわば「普通ではないスタイル」に対するアンチテーゼとも取れるだろう。世間一般の普通に対して、彼は彼なりの“普通”を体現し、アートの形で社会に提唱しているのだ。例えば、就職活動。みんなが同じ黒のスーツに身を包み、同じような髪型をして、同じようなスタイルで行うことに関してRagelow氏はこう述べた。高校受験して、何となく大学に行かなきゃという普通。まずは親に感謝ですよね。でも、もしやりたいことが見つからないでそうしているなら、まずは飛び出す事。実家を出てなんでもいいから体使って働いて、そのお金で外国にでも旅にでたらいいと思う。若いときこそ、興味のある専門的な事を学ぶべきだし、学校じゃなくても実践的に働いて学べばいい。スーツ着て就職したから一生安心だなんて幻想だから。Photo by DAILY WORKERSインターネットの普及は、現代人の生活を一変させた。知らなかったことは、Googleがすべて教えてくれるし、インスタグラマーやユーチューバーになれば、素人でも多くの人に情報を発信できるインフルエンサーとして活動ができる。イラストだって、Adobeのイラストレーターやフォトショップなどを使えば手描きの作業なしで制作できる。しかし、彼はSNSを利用して、オンライン上で多くを語る訳ではなく、号外新聞(『NEW TOKYO POST』)を手配りする、というアナログな形で自分の考えや思想を社会に発信している。必要に応じてインスタグラムなどのSNSを活用しているため、インターネットを完全に排除するわけでもない。また、どんなに巨大で、精密な絵を描くときも必ず手描き(オフライン)だ。全てがオンライン化し、便利な時代になった今、彼のオフラインに比重を置くスタイルは時代に抗っていて、「変だ」と感じる人もいるかもしれない。しかし、これが彼にとってのスタンダードなのだ。「オンライン作業とオフライン作業」だけでなく、「コンサバティブとリベラル」「ハードコアとポップ」など、黒と白のどちらかに偏るのではなく、両者を知り、両者の良い部分を受け取ることのできる「自分のグレーゾーン」を彼は持っているのだ。情報過多で、目紛しくテクノロジーが発展する現代社会で、時には立ち止まり、じっくり物事を俯瞰して見ることで、「Outside the System(体制の外側)からの視点」、そして「自分のグレーゾーン」を持つことが、現代を生きる私たちに必要なのだと伝えるため、彼は今日もペンを握り、活動を続けている。***Ragelow
2017年07月12日浮世絵師・葛飾北斎の展覧会「世界が絶賛した浮世絵師北斎展 ~冨嶽三十六景・エッフェル塔三十六景の共演~」が、2017年6月30日(金)から7月17日(月・祝)まで、池袋パルコ・パルコミュージアムにて開催される。広重、歌麿、写楽などと並び、江戸時代後期に活躍した浮世絵の巨匠・北斎。北斎はその波乱万丈な約90年の生涯で、30数回の改号、93回もの引っ越しに加え、常に借金に追われる生活の中で、膨大な数の作品を世に遺した。彼の代表作である赤冨士、浪冨士は、日本人なら誰もがきっと目にしたことがあるだろう。巧みな線と北斎色ともいえる象徴的な色使いは、多くの絵師たちに大いなる影響を与えた。「世界が絶賛した浮世絵師北斎展 ~冨嶽三十六景・エッフェル塔三十六景の共演~」では、北斎の代表作「冨嶽三十六景」をはじめ、「東海道五十三次」などのシリーズもの、妖怪絵、戯画などの50作品を通して、葛飾北斎芸術の全貌を紹介。特に、海外から北斎が注目を集めるきっかけになった「北斎漫画」とともに、北斎の影響を強く受けたといわれるフランス人画家アンリ・リヴィエールの「エッフェル塔三十六景」を紹介する。なぜ北斎が高く評価されたのか、様々な角度からその人気の秘密に迫る。【イベント詳細】「世界が絶賛した浮世絵師北斎展 ~冨嶽三十六景・エッフェル塔三十六景の共演~」開催期間:2017年6月30日(金)~7月17日(月・祝)会場:パルコミュージアム住所:東京都豊島区南池袋1-28-2池袋パルコ 本館 7F時間:10:00〜21:00※入場は閉場の30分前まで、最終日18:00閉場。入場料 :一般700円、学生500円、小学生以下無料
2017年07月01日ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)が、日本で初めてのショーを開催。滋賀県のミホ・ミュージアム(MIHO MUSEUM)で、2018年リゾートコレクションが発表された。これまでパームスプリングスの砂漠、リオデジャネイロの海と、場所や環境を変え、コレクション発表の旅を続けてきたルイ・ヴィトン。今回は、パリの「グラン・ルーブル」や「ガラスのピラミッド」を手がけた建築家・I.M.ペイによる、”地上の楽園”ミホ・ミュージアム(MIHO MUSEUM)が旅の目的地となった。ショーの蓋を開けると、タイトスカート、パンツスーツ、スリムなパンツなど、アーバンを意識したニコラ・ジェスキエールらしい要素が溢れていた。しかし、舞台は日本。一見シティライクな現代スタイルにも、和のエッセンスが落としこまれ、新しいジャポニズムの誕生を予期させる。インスピレーションとなったのは、侍、武道の稽古着、式服、葛飾北斎など。世界で活躍する北野武、日本の名監督・黒澤明といった映画人たちの名もあった。ジャカードのドレスやジャケットには、松のような絵柄が描かれ、スタッズ付きのレザートップスは鎧のように設計され、和の心を彩る。特徴的なのは、帯のようなウエストマーク。また、レースなどで仕立てたイブニングドレスは黄金色を交えて、能舞台を想起させる輝きを持たせた。2018年リゾートコレクションのビジュアルは、デザイナー山本寛斎が手掛けた。デヴィッド・ボウイの衣装をデザインしていた、山本への敬意を称し、彼が手掛けたアイコン、キャラクターたちをルイ・ヴィトンのバッグ、アクセサリーに登場させた。モデルたちの顔には、歌舞伎役者を想起させる独特なメイクを。和顔へチェンジしたモデルたちの中には、2017-18年秋冬ウィメンズコレクションにてランウェイデビューした、日本人モデル江原美希の姿もあった。様々な場面で、我々日本人を喜ばせる演出がたくさん用意され、温かみのあるショーの完成に繋がっている。
2017年05月20日話題のスポットやニューオープンのお店を、本誌編集者・めた坊(42歳独身。食いしん坊生活が続き、身長170センチで体重はかろうじて0.1トンを切るメタボ体形に成長)が覆面取材。“勝手に対決”させるこの企画。今回は、「どうぶつの絵」展覧会対決だ! ■太田記念美術館「浮世絵動物園」 最初に向かったのは原宿近くにある太田記念美術館の「浮世絵動物園」。こちらは浮世絵専門の美術館で、現在、動物が描かれた浮世絵が160点前後展示されている。葛飾北斎、歌川広重、河鍋曉斎といった絵師たちが、その個性を動物の描写に発揮している。 展覧会のチラシなどに描かれた象は歌川芳豊の作品で、両国での見世物興行の際に制作されたものだそう。マラッカからやってきた日本初上陸の象は約10年ほど国内を巡回し、ご利益ある動物として愛されたのだとか。着物の柄などファッションに取り入れられた動物画も登場。4部構成と充実した内容に大満足だ。 ■世田谷美術館「エリック・カール展」 次に向かったのは砧公園にある世田谷美術館の「エリック・カール展」。エリックさんの名前は初耳でも、エリックさんの絵を、一度は見たことがある人も多いはず。鮮やかな緑のあおむしが印象的な代表作「はらぺこあおむし」は日本の出版社から世界へ発信されベストセラーになった。そういうことも説明されている本展は、2部構成となっており、原画や作品などが約160点公開されている。 パート1では、動物たちや自然をはじめとした作品、パート2では初期作品や素描が展示されている。鮮やかな色彩と愛らしい動物たちの姿かたちにほんわかとしたやさしい気持ちになっていく。ベビーカーで観覧できることもあって、家族連れが多かった。大人も楽しめる、癒され効果大野展覧会だった。 【めた坊ジャッジ】はらぺこあおむしは見たことがあったけど、これほど有名とは知らず。今回はエリックさんの勝利だ!
2017年05月15日特別展「北斎-富士を超えて-」が、大阪市阿倍野区のあべのハルカス美術館で、2017年10月6日(金)~11月19日(日)まで開催されます。葛飾北斎の晩年30年間に描いた作品と人生に焦点を当て、北斎が追い求めた美の世界に迫る展覧会です。また、近年注目度の高まっている北斎の娘・応為(おうい)の作品も登場するので、こちらも見逃せません。北斎の晩年にフォーカス!特別展「北斎-富士を超えて-」が大阪で開催!《富嶽三十六景 神奈川沖浪裏》 天保元~4年(1830~33)頃 大英博物館© The Trustees of the British Museum. Acquired with the assistance of the Art Fund.あべのハルカス16階にある美術館・あべのハルカス美術館で、江戸時代後期の浮世絵師として世界にその名が知られる葛飾北斎の展覧会「北斎―富士を超えて-」が開催されます。会期は、2017年10月6日(金)~11月19日(日)まで。本展はイギリス・大英博物館との国際共同プロジェクトによるもので、北斎研究の第一人者である、あべのハルカス美術館館長・浅野秀剛氏と、大英博物館の北斎研究者とが協力して実現した企画です。《雲龍図》 嘉永2年(1849) ギメ美術館 Photo ©Musée Guimet, Paris, Dist. RMN-Grand Palais / Thierry Ollivier / distributed by AMF稀代の浮世絵師・葛飾北斎。彼の作品「富嶽三十六景 神奈川沖浪裏」は、英名「Great Wave」として海外でも広く知られ、世界でもっとも有名な絵の1つに数えられています。このような作品を描いた北斎は、いったいどのような人物だったのか。今回は、これまで行われてきた画業全般を辿る北斎展とは異なり、晩年30年に焦点を当てているのが最大の特徴です。肉筆画を中心とした約200点を紹介すると共に、北斎の精神性や人物像に迫ります。本展の特徴《雨中の虎図》 嘉永2年(1849) 太田記念美術館●大英博物館国際共同プロジェクト大英博物館では、2017年5月25日(木)~8月13日(日)まで、70年ぶりとなる「Hokusai-beyond the Great Wave」が開催されます。世界各国で所蔵されている北斎の作品が、大英博物館とあべのハルカス美術館に集結。2020年に東京オリンピック、パラリンピックを控えた今、世界が日本の北斎に再び注目しています。●晩年の30年にフォーカス!北斎の人となりに迫る「70歳までに描いたものは取るに足らない」など、北斎が晩年に掛けた信念を伝える言葉は少なくありません。70歳を過ぎて「富嶽三十六景」を完成させた後、さらに精力的に作品を生み出しました。今回は、そんな北斎晩年の30年間に焦点を当て、神の領域に至るべく描き続けた、画狂老人・北斎の人となりに迫ります。●肉筆画約60点を中心に約200点が展示!北斎の妥協のない筆遣いがそのまま伝わるのは、やはり肉筆画です。版画とは異なり肉筆画は1点もの。北斎の技量や色彩感覚をそのまま感得できます。森羅万象を描き続けた北斎の1点1点をじっくりと鑑賞してください。見どころをご紹介!●代表作「富嶽三十六景」の展示《富嶽三十六景 凱風快晴》 天保元~4年(1830~33)頃 大英博物館 © The Trustees of the British Museum. 新たに日本のパスポートの顔となる北斎の代表作「富嶽三十六景」。北斎にとって富士山とは大自然の象徴でもあり、超絶なるのものの象徴でした。すなわち、崇高なる神であり、超えるべき目標でもあったのです。そして、いつしか北斎は、富士山に自分自身の人生を重ねていたように思われます。1820年後半、妻の死や、自身の病気、孫の逸脱行為による経済的困窮など、様々な苦境を乗り越えてきた北斎にとって、「富嶽三十六景」シリーズは、画家としてのキャリアを復活させるきっかけとなった大切な作品。その連作の中から、「Great Wave」として海外でも人気が高い「富嶽三十六景 神奈川沖浪裏」や、赤富士を描いた「富嶽三十六景 凱風快晴」、「凱風快晴」とペアになる「富嶽三十六景 山下白雨」などが展示されます。●神の領域への軌跡を辿る!《花見》 文政7~9年(1824~26)頃 ライデン国立民族学博物館 © Collection National Museum van Wereldculturen. RV-1-4482-m19歳で浮世絵師・勝川春章の門下となった北斎は、「春朗(しゅんろう)」という名を貰い、翌年、 役者絵「瀬川菊之丞 正宗娘おれん」でデビューしました。それから70年、神の領域を目指し、邁進する北斎の苦難の道を作品と共に辿ります。美人画、浮絵、黄表紙や洒落本などを発表して、一流絵師になろうと努力を重ねますが、春章の没後、俵屋宗理と改名し、勝川派を離脱。その後は、狩野派、琳派などの流派にはとどまらず、中国画や銅板、油彩、西洋画を積極的に取り入れていきました。その後、肉筆画にも力を入れるようになり、70歳になってからは、「富嶽三十六景」や「諸国滝廻り」に代表される風景版画シリーズを発表。そして、75歳で、画狂老人(がきょうろうじん)と改名。以降、90歳で没すまで、肉筆画、絵画、手絵本を中心に画業を展開しました。●北斎の波の集大成!「濤図」小布施北斎館から小布施の祭屋台の天井絵として描かれた「濤図」も展示されます。小布施の豪商・高井鴻山の招きで、娘・応為と共に小布施に旅行し、小布施の祭屋台の天井絵として一対の「濤図」を描きました。この時、北斎は実に86歳。北斎は「富嶽三十六景」を完成させる前から、波の描き方を研究しており、「濤図」は北斎の波の集大成とも言える作品です。この2枚を並べると、道教の陰陽を対比させた「太極図」が浮かび上がって見えます。道教の教えで、全ての根源を意味する「太極」。北斎は、波だけでなく、宇宙の成り立ちも描こうとしていたのではないでしょうか。●88歳から90歳までに描かれた数々の肉筆画が登場!北斎晩年の作品では、龍や獅子、鷹などの生き物、さらに、力強いエネルギーに溢れた伝説上の人物や聖人が生き生きと描き出されており、北斎が信仰と芸術の崇高な領域に達したことが今に伝えられています。また、北斎は亡くなる直前に、「天があと5年命をくれたなら、真正の絵師になれただろうに」という言葉を残したと言われています。死を目の前にしながらも、画家としての道を邁進し、理想を追求し続けた北斎。彼が目指した神の領域とは何だったのか、富士を越えて天へ昇っていく龍を描いた「富士越龍図」や「雪中虎図」など、晩年に手掛けられた肉筆画を通して、北斎の心象風景をじっくりと読み解いていきましょう。●北斎の娘・応為の作品にも注目!北斎に「美人画にかけては応為には敵わない」と言わせたほどの力量を持っていた伝えられる、北斎の三女・応為。応為の肉筆画は少なく、推定作を含めても10点も現存しない貴重な作品です。今回、この特別展のため、東京国立博物館の「月下砧打ち美人図」、クリーブランド美術館の「関羽割臂図」、太田記念美術館の「吉原格子先図」が展示されます。色彩の豊かさや鮮やかさ、女性ならではの細やかさを楽しんでみてください。北斎が追い求めた美の世界に迫る展覧会に、お出かけしてみてはいかがでしょうか。イベント詳細名称:大英博物館国際共同プロジェクト「北斎-富士を超えて-」会場:あべのハルカス美術館住所:大阪市阿倍野区阿倍野筋1-1-43 あべのハルカス16階会期:2017年10月6日(金)~11月19日(日)休館日:10月10日(火)、16日(月)、23日(月)、30日(月)、31日(火)開館時間:火~金 10:00~20:00、月・土・日・祝 10:00~18:00※いずれも入館は閉館の30分前まで。料金:一般 1,500(1,300)円、大学・高校生 1,000(800)円、中学・小学生 500(300)円※()内は前売りと15名以上の団体料金。※障がい者手帳を持つ方は、本人と付き添い1名まで当日料金の半額。※前売券は7月29日(土)~10月5日(木)まで販売予定。公式サイト:
2017年04月30日銀座 蔦屋書店が、スターバックス コーヒー(Starbucks Coffee)を併設し、銀座エリア最大の商業施設「ギンザ シックス(GINZA SIX)」に2017年4月20日(木)オープン。ファッションだけでなく、日本初上陸グルメや人気ブランドの旗艦店が揃うビューティーゾーンも設ける「ギンザ シックス」6階に店舗を構える。目指すのは「世界一のアート書店」”ライフスタイルを提案する書店”として、幅広い文化を発信し続けている蔦屋書店が次に挑むのは東京の中心地といえる銀座。アートと日本文化の2つのテーマに掲げ、「世界一のアート書店」を目指す。店内には、世界中から集めた6万冊のアートブックが揃う。希少価値の高いヴィンテージ本から新進作家の写真集、ファッションデザイナーの書籍まで、アートという切り口一つでもバリエーションは豊富だ。これらの書籍が収められた書棚は、仕切りが斜めになっていてユニーク。また中央には、櫓(やぐら)をモチーフにした高さ6メートルにも及ぶ書棚に囲まれたエリアも設けられ、空間そのもので”アート体験”を発信する。50種の大型本・BIG BOOKが集うのは日本でここだけ目玉となるのは「BIG BOOK」コーナーだ。50センチ×70センチ、重さ約40キロにも及ぶ「BIG BOOK」は、海外でSUMO BOOKの愛称で呼ばれるほどの重量級だ。銀座 蔦屋書店では50種の大型本を取り揃え、国内でここにしかない貴重な空間となる。アートを手に入れる「THE CLUB」銀座 蔦屋書店は、アートの展示・販売スペース「THE CLUB」も併設。店内にはギャラリーを設け、世界の現代アートと東洋の古美術を中心に展覧会が開かれる。もちろんこの上質なアートコレクションは購入も可能だ。日本文化を伝える文具&雑貨、日本刀コーナーもさらに、銀座 蔦屋書店には文具や雑貨、食品といった小物も揃っている。ストアテーマに基づき、和のエッセンスを投下し、葛飾北斎の作品をテーマにしたマスキングテープやクリアファイル、新潟の酒蔵と共同で作った日本酒、桃やリンゴの香りが漂う日本茶など。また店内では、400年続く刀匠一門による日本刀も販売。日本に根付く伝統文化をいまに伝える。「スターバックス リザーブ バー」でコーヒー片手に読書を銀座 蔦屋書店にはスターバックス コーヒーが併設。コーヒーを片手に銀座 蔦屋書店内の書籍・雑誌を楽しめる。また通常のバー以外に、店内奥には「スターバックス リザーブ バー」がオープン。ここでは「スターバックス リザーブ」と呼ばれる希少な豆を用いたコーヒーが味わえるのだが、その提供方法が斬新だ。ショップを担うのは、厳しい試験に合格したブラックエプロンのバリスタたち。来店者は彼らと相談の上、どの豆にするかを決定する。その後、好みのテイストに応じてさらに抽出方法も選択するのだ。クリアな味わいが好みなら、「プアオーバー」と呼ばれるハンドドリップがオススメ。セラミック制のドリッパーとペーパーフィルターのシンプルな道具のみを用いて1杯1杯作る。仕上がりはすっきり。深みのある味わいが好みなら「サイフォン」がぴったり。ランプの熱で温められたお湯に惹いたコーヒーを入れ抽出。ロートと呼ばれるガラスの中で、コーヒーが踊るように動く様はドラマティック。約90秒ほどで香り立ちのいいコーヒーが完成する。店舗詳細銀座 蔦屋書店 / スターバックス リザーブ バーオープン日:2017年4月20日(木)営業時間:9:00~23:30(不定休)※4月20日(木)~23日(日)の4日間は、10:30~23:30。住所:東京都中央区銀座6-10-1 ギンザ シックス 6FTEL:03-3575-7755
2017年04月17日東京・墨田区で生まれた世界的絵師・葛飾北斎の魅力を海外に向けて発信する「北斎ナイト」が4月7日に東京・日本外国特派員協会で開催され、山本亨墨田区長、菊田寛すみだ北斎美術館館長、日本外国特派員協会エンターテイメント コミッティー・Sandra Mori委員長、そして演出家・宮本亜門が登壇。そこで、今年1月に宮本が演出を手掛けたリーディング公演「画狂人 北斎」(「FANATIC ARTIST HOKUSAI」)のイギリス・大英博物館公演が発表された。開催日は7月27日(木)。2016年に墨田区の考案によりスタートした「葛飾北斎×宮本亜門」プロジェクト。その第一弾として1月に上演されたのが、「すみだ北斎美術館」でのリーディング公演(朗読劇)「画狂人 北斎」だった。宮本が江戸時代後期の浮世絵師・葛飾北斎の晩年の壮絶な生き方と真の芸術家としての姿に迫る本作を、今回はイギリスにて上演。葛飾北斎の特別展「Hokusai:beyond the Great Wave」開催期間中の大英博物館で、より進化したリーディング公演が実現する。会見で宮本は「正直に言いますと、私が北斎に興味を持ったのは、外国人の方の興味からです」と明かす。「北斎は、アメリカのライフ誌で『この1000年で最も重要な功績を残した世界の人物100人』に選ばれた唯一の日本人。海外で仕事をしたときにも『なぜ北斎はあれほどの絵が描けたのか』と聞かれることが度々ありました」と話し、「それでもう一回北斎を調べてみたら、想像を超えるものでした。まず引っ越しの数は93回、名前を30回変えている、部屋を片付けられなかった…だけではありませんけど(笑)、色々な面ですべてが記録づくし。そして彼は80歳になっても、自分は100歳、120歳までもっといい絵を描くために生きたいと言い続けていた。この“強欲”と言っていいのでしょうか、生きることを存分に楽しんでいた北斎。私はなぜここまでパワフルに、次々とスタイルを変えて、晩年まで描き続けていたのかを探りたく、舞台をつくる決意をしました」と本プロジェクトのきっかけを語った。今回の公演については「北斎の晩年の肉筆画を含め、貴重な展示が行われているときに、大英博物館のGreat Courtで、北斎とはなんぞやということをイギリスの皆さんと一緒に考えながら検証したいと考えています」と話した宮本。「(東京オリンピック・パラリンピックが開催される)2020年を前に日本から世界に、最も有名で最も魅力あふれる日本のアーティストを発信する。私もパフォーマンスという形をとりながら、今後もこれを世界中で展開していきたい。北斎の魅力を世界中に発信していけたらと心から思っています」と意気込みを述べた。プロジェクトの今後に期待していきたい。撮影・取材・文:中川實穗
2017年04月10日開館記念展III「てくてく東海道-北斎と旅する五十三次-」が、2017年4月18日(火)から6月11日(日)まで、東京・墨田区のすみだ北斎美術館で開催される。<東海道五十三次>と言えば歌川広重が有名だが、更にさかのぼること30年、実は葛飾北斎も、当時の絵師の中でも群を抜く、多数の<東海道五十三次>シリーズを手掛けている。風景を主とする広重とは違い、北斎は小さくてかわいらしいサイズの画面に、土地の風俗を多く描いた。本企画展では、北斎の<東海道五十三次>シリーズより、すみだ北斎美術館所蔵の「春興五十三駄之内」の貴重な初摺(※1)一揃いを初公開(前後期で半数ずつ展示)。北斎の描いた東海道五十三次の世界を、シリーズ毎だけではなくトピックス毎にも展示するなど、北斎と彼にまつわる作品群を様々な角度から紹介していく。※1初摺現代の出版物で言う初版のこと。摺られる際の版木の状態も一番良く、繊細に彫られた細かな表現まで摺り出される。色の指示など、下絵を描く絵師からの制作意図が一番反映されるといわれる。展示は「1章 旅立ちの前に」「2章 北斎の名品 東海道シリーズ」「3章 北斎と旅する東海道」「4章 北斎と羽ばたく東海道」「5章 その先の東海道」の5章構成。江戸の様々な浮世絵や文学作品を通して<東海道>が江戸の庶民に親しまれるようになったきっかけの紹介から、北斎の画風が影響を与えた作品の展示にいたるまで、北斎ならではの<東海道五十三次>の魅力が楽しめるものとなっている。【開催概要】開館記念展III「てくてく東海道-北斎と旅する五十三次-」期間:2017年4月18日(火)〜6月11日(日)<前期・4月18日(火)〜5月14日(日) 後期・5月16日(火)〜6月11日(日)>※作品保護のため、前後期で一部展示替えを行う。開館時間:9:30〜17:30(入館は17:00まで)休館日:毎週月曜日観覧料:一般 1,000(800)円、高校生・大学生・65歳以上 700(560)円、中学生・障がい者 300(240)円※()内は20名以上の団体料金。※小学生以下は無料。※中学生・高校生・大学生(高専、専門学校、専修学校生含む)は生徒手帳または学生証の提示が必要。※65歳以上は年齢を証明できるものの提示が必要。※身体障害者手帳、愛の手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳、被爆者健康手帳などの所持者及び付添人1名は障がい者料金で入館可能。(入場時に証明が必要)※本展のチケットで、会期中観覧日当日に限り常設展も観覧可能。【問い合わせ先】すみだ北斎美術館住所:東京都墨田区亀沢2-7-2TEL:03-5777-8600(ハローダイヤル)
2017年04月10日写真家・荒木経惟の書の個展「写狂老人A」が、伊勢丹新宿店本館5階のアートギャラリーにて、2017年4月5日(水)から4月11日(火)まで開催される。“アラーキー”の愛称で知られる日本の写真家、荒木経惟。写真以外にビデオ制作などの活動も行ってきたが、今回は墨筆を手に、「書」にフォーカスした新たな私的表現に挑んだ。荒木経惟の書の個展は国内で初となる。個展のタイトルは、葛飾北斎が晩年「画狂老人」と称したことにちなんで、荒木経惟が自らを「写狂老人A」と呼ぶことからつけられた。荒木は"書"について、「写真の究極の[白黒]に相通じるものがあるんだよね。 モノクロー夢、モノクロー無。ある意味[写真]という行為の頂点かもしれないな、書ってのは」とコメントしている。また、開催に伴ってグッズや書籍の販売も行われる予定だ。ダイナミックで自由方便なアラーキ―の世界を楽しんでみては。【詳細】「写狂老人A」アラーキ―@ISETAN -後期高齢書-会期:2017年4月5日(水)~4月11日(火)※最終日は18時終了。会場:伊勢丹新宿店本館5階=アートギャラリー住所:新宿区新宿3-14-1
2017年03月26日2017年4月2日まで開催されている、開館記念展「すみだ北斎美術館を支えるコレクターピーター・モースと楢﨑宗重二大コレクション」では、北斎画のコレクターとして知られる二人のコレクションを大公開しています。北斎コレクター珠玉のアート作品を鑑賞できるのは今だけ!繊細なため徹底した管理が必要な浮世絵。その品質を保護する目的から、期間を区切って作品を展示。そのため、現在企画展で展示されている作品を次回いつ一般向けに展示されるかは不明なのだとか。現在開催されている企画展では、世界有数の北斎作品コレクターとして知られるピーター・モース氏と、浮世絵研究の第一人者である楢﨑宗重氏のコレクションの一部を展示。なかでも、モース氏の「富嶽三十六景武州玉川」は、多摩川の川面が波打っている様子を、絵の具を付けずに摺る「空摺り」によって、凹凸感を出す技法が見て取れるレアな作品です。北斎画だけじゃない! 見逃せない名画がズラリもう一人のコレクターは楢﨑宗重氏。長年の研究活動のなかで集められた浮世絵をはじめとする、多くの作品を美術館に一括して寄贈しました。資料は美術史的に大変価値のあるもの。とりわけ肖像画「三宅康直像」は、明治期に日本人として近代の洋画を研究した高橋由一が手掛けた、美術史的にも貴重な作品です。日本が誇るアーティストの名画を間近で鑑賞できる貴重な機会をお見逃しなく!取材・文/末吉陽子スポット情報スポット名:すみだ北斎美術館住所:東京都墨田区亀沢2-7-2電話番号:03-5777-8600
2017年03月26日近未来的な美術館建築を手掛けたのは妹島和世氏江戸の情緒を残す、墨田区・両国。1760年、この地に生を受けたのが、天才画家・葛飾北斎です。その独特な画力で世界中にファンを持つ北斎の生涯を紹介するべく、2016年11月に「すみだ北斎美術館」が誕生しました。住宅街に突如現れるメタリックな外観が目を惹く「すみだ北斎美術館」。ルーブル美術館の別館や、金沢21世紀美術館の建築で知られる妹島和世氏の設計による建物で、空に溶け込むような淡い色のアルミの質感が訪れる人を驚かせます。北斎が生きた90年間の歴史をアートと辿る約1800点の北斎作品を保有する同美術館。常設展では、90歳という長寿で晩年まで筆を走らせていた北斎の足跡を、それぞれの年代の画風により、7つのエリアに分けて展示をしています。各期の代表作を実物大高精細レプリカで鑑賞できるだけではなく、絵の前に置かれたタッチパネルでは、詳しい解説を紹介。北斎の超技巧アートに酔いしれながら、画業についても学ぶことができます。北斎のアトリエを再現、そのリアルさにびっくり!その他にも、浮世絵に使用するモチーフを描きとめ、弟子に画風を伝えていたとされるコミカルな絵手本「北斎漫画」や、錦絵のタッチパネル画像で鑑賞できる錦絵の制作過程も見どころ。弟子が残した絵から忠実に再現した、北斎84歳の頃のアトリエもリアルです。知られざる北斎の生涯を覗き見ることができる美術館、ぜひご堪能あれ!取材・文/末吉陽子スポット情報スポット名:すみだ北斎美術館住所:東京都墨田区亀沢2-7-2電話番号:03-5777-8600
2017年03月23日写真家である荒木経惟が4月5日から11日まで、国内初となる「書」の個展『「写狂老人A」アラーキー@ISETAN-後期高齢書-』を伊勢丹新宿店本館5階=アートギャラリーにて開催する。写真家の荒木がカメラではなく「墨筆」を手に、新たな私的表現に挑んだ同展。かつて葛飾北斎が晩年を「画狂老人」と称したことにちなんで、自らを『写狂老人A』と呼んだ。ダイナミックで自由方便なアラーキーの書の世界に浸ることができる展覧会となっている。また、同展の開催にあたり行われたインタビューがウェブサイト・三越伊勢丹 TOKYO ART LOUNGEの特別ページ()に掲載されている。【展覧会情報】『「写狂老人A」アラーキー@ISETAN-後期高齢書-』会期:4月5日~11日会場:伊勢丹新宿店本館5階=アートギャラリー時間:10:30~20:00(11日は18:00まで)
2017年03月22日神奈川の湯河原に位置する「The Ryokan Tokyo YUGAWARA(ザ リョカン トウキョウ 湯河原)」。は、「楽しい日本の入り口になるような旅館体験の提供」をコンセプトとした、日本の魅力を一度に味わえるニュータイプの旅館。外国人がイメージする“ザ・日本”を創出するだけでなく、日本人にも改めて本物の日本を感じてもらえる。そんな場所を目指している。本記事では、日本ならではのおもてなしが満載の「The Ryokan Tokyo YUGAWARA」がもつ魅力に迫る。日本人も“日本ファン”になる、気軽な旅館体験旅館としての和の雰囲気や 日本文化体験を充実させつつも、 食事と宿泊の分離提供といった合理的なサービスを導入。航空業界のLCCのように自由度が高く、食事も含めた好きなサービスを選択可能なので、宿泊客は安価ながらも快適な滞在ができる。そんな風に気軽に宿泊できることもあり、温泉旅行はもちろんのこと、バイク・自転車でのツーリング、釣り合宿、登山合宿など利用者の用途は多岐にわたる。伏見稲荷を思わせるエントランスエントランスから日本要素が満載。京都・伏見稲荷を思わせるゲートと枯山水の庭、漢字の提灯が宿泊客を出迎える。充実したレストランやバー2017年2月には“3時間は何も考えずくつろいで欲しい”をテーマにした温泉カフェ「Gensen Café(ゲンセンカフェ)」がオープンした。湯河原の大自然の山並みを見ながら100%源泉かけ流し天然温泉(室内温泉のみ)を楽しみ、好きな柄や帯や浴衣をまとい、そして風呂上がりには“人をダメにする”ソファ「ヨギボー(Yogibo)が全面導入されているカフェでゆったりとくつろぐ…。「Gensen Café」では、そんな究極の日帰りリラックスが楽しめる。また、日本らしい雰囲気が漂うバーでは日本酒の利き酒が楽しめる。のびのびした女子会も、お酒をたしなむ大人の時間も、丸一日ゆっくりできるのが嬉しい。浮世絵を楽しめる客室和室では、葛飾北斎の代表作である富嶽三十六景「神奈川沖浪裏」がデザインされ、部屋では躍動感たっぷりの伝統を味わえる。そのほか、120cm幅の広々としたドミトリーも用意。人数や予算に応じていろんな客室を楽しみたい。また、2017年8月からは、浴衣で和室にいながら芝生でクッションという、これまでにないフォトジェニックな和室が登場する。入口には富嶽三十六景が描かれた襖、床の間には掛け軸……視線を変えれば青々とした芝生がある。そんな斬新な空間には、Gensen Caféでも“人をダメにしている”ソファ「ヨギボー」の新型となるヨギボープロ(Yogibo Pro)が導入される。源泉かけ流しの天然温泉ここでは、古くから湯治場として栄えた湯河原の温泉を、100%源泉かけ流しで楽しめる。弱食塩泉・弱アルカリ性の、女性の肌に優しい理想的な泉質。また、品質にこだわったアメニティも充実している。旅の疲れを癒してくれる嬉しい場所だ。なお、館内には大浴場のほか、シャワーブースも用意。宗教上の理由や羞恥心で入浴できない宿泊客も、快適な滞在が楽しめる嬉しい設備が揃っている。コスプレ体験をしての写真スポット多数施設内には、観光名所の大きなフォトパネルが設置されている。さらにコスプレ体験なども用意されており、宿泊施設の中で日本プチ旅行に訪れたかのような気分になれる。その他、館内には、温泉気分をもっと盛り上げてくれる卓球台や、日本の伝統的な遊びを通じて文化を体験できる和玩具も用意。外国人観光客のみならず日本国内からの宿泊も、これまでの旅館とは一味違う楽しみを体験できるかもしれない。【詳細】The Ryokan Tokyo YUGAWARA住所:神奈川県足柄下郡湯河原町宮上742TEL:0465-63-3498客室:4人部屋×8室、6人部屋×3室、ドミトリー×1室14ベッド温泉:源泉かけ流し天然温泉 大浴場男女各1、シャワーブース4設備:レストラン、 バー、 多目的スペース、コスプレなど価格:和室2名1室利用1名5,800円~(朝食付き)、ドミトリー1名3,000円~アクセス:JR「湯河原」駅下車 箱根登山バス「藤木橋」より徒歩10分
2017年03月03日漫画界の巨匠・松本零士の世界を浮世絵で表現する「松本零士 浮世絵コレクション」企画の第一弾、全6タイトルを紹介する。2017年3月より、全6タイトル、各1,000枚限定で発売されている「松本零士 浮世絵コレクション」。同コレクションでは、松本零士の完全監修のもと『銀河鉄道999』や『宇宙戦艦ヤマト』、『宇宙海賊キャプテンハーロック』などの作品が、「松本零士 浮世絵コレクション」では浮世絵木版画として和のテイストで生まれ変わる。木版画を手掛けるのは、日本最高峰の手摺木版技術を誇る「竹笹堂」と、ベテランクリエーターを擁する「ひろた組」。さらに、人間国宝「九代目・岩野市兵衛」手漉き越前和紙や、美しすぎる書道家「涼風花」の題字によってその世界はさらに“伝統”の領域へと昇華される。和のテイストが効いた第1弾作品の数々全新作オリジナル6タイトルの中から、本記事では3タイトルを紹介。和テイストで蘇る作品は、画面から飛び出してきそうなほどの躍動感だ。「銀河鉄道テイクオフ」銀河鉄道999の、999をモチーフとした「銀河鉄道テイクオフ」は、今まさに宇宙へ飛び出す瞬間をとらえている。煙突の煙は舞う花びらとなり、希望の象徴として描かれた。敢えて人物を添えず、重量感たっぷりの1枚だ。「波上のアルカディア」「波上のアルカディア」は『宇宙海賊キャプテンハーロック』をモチーフとした葛飾北斎のオマージュ。アルカディア号はマッコウクジラ型ではなく、プレイコミックに連載された当時のオリジナル版を使用している。波の向こうに宇宙を描くことで新しい世界を開いた作品だ。「ヤマト幕末へ」通常、部署によってカラーリングされているヤマトの乗組員の制服を、新選組の時代へとタイムスリップさせた「ヤマト幕末へ」。さらに背景には花火を咲かせることで、さらに華やかな1枚へ。松本ならではの遊び心は、遠くに浮かぶ宇宙戦艦ヤマトに秘められている。期間限定エキシビジョン開催これら作品を展示する「松本零士 浮世絵コレクション エキシビジョン」が、日本橋三越にて2017年7月19日(水)から25日(火)まで開催される。販売は行われないが、各タイトルとも1,000枚限定という作品を目にすることが出来る貴重な機会となるだろう。【詳細】松本零士 浮世絵コレクション公式オンラインショップ:※光の加減により、商品の色合いが掲載画像と実際の商品と異なる場合あり。※100枚に1枚、松本零士直筆サイン入り。※全作シリアルナンバー入り(ナンバー指定不可)※この商品は予約商品。予約受付後約3カ月の発送猶予要。【限定エキシビジョン詳細】「松本零士 浮世絵コレクション エキシビジョン」会期:2017年7月19日(水)~25日(火)時間:10:30~19:30場所:日本橋三越本館3階 ライトウェル特設会場住所:東京都中央区日本橋室町1-4-1© 松本零士 © BROAD EXPERT/2017
2017年02月27日話題のスポットやニューオープンのお店を、本誌編集者・めた坊(41歳独身。食いしん坊生活が続き、身長170センチで体重はかろうじて0.1トンを切るメタボ体形に成長)が覆面取材。“勝手に対決”させるこの企画。今回は、浮世絵で楽しむ「江戸の絶景」対決だ! ■太田記念美術館「江戸の絶景〜雪月花」 最初に向かったのは、原宿駅近くにある太田記念美術館。こちらでいま「江戸の絶景〜雪月花」展が開催されている。もともと浮世絵に特化した美術館で、今回は、江戸時代に制作された日本各地の絶景を「雪」「月」「花」「山と水辺」「寺社」のテーマにわけ展示している。 歌川広重を中心に葛飾北斎、歌川国芳などの名作がずらりで、平日の午後というのに観覧者多くてびっくり。外国からの観光客の姿もちらほら。隅田川や浅草といった江戸の絶景を描いた作品をメインに全国各地の名所が浮世絵で堪能できる。江戸時代は浮世絵を通して人々は日本の名所を楽しみ、思いをはせていたのがわかる。 特にじっくりと見入ってしまったのは「山と水辺」の作品群。海や川を表現する青(藍)色がものすごく深くきれいな色で「これが世界を魅了したブルーか」と妙に納得してしまった。江戸時代の人も楽しんだ絶景をぜひ見に行ってほしい。 ■日本橋茅場町特設会場「スーパー浮世絵 江戸の秘密展」 つぎは茅場町で開催中の「スーパー浮世絵 江戸の秘密展」。「見る」ではなく「没入する」をコンセプトにしたデジタルアート展で、世界的に有名な絵師たちの描いた浮世絵約2万点を、最新の映像技術で立体表現した展覧会なのだ。浮世絵の世界に入り込んだような臨場感が楽しめる。「日本橋」「江戸のファッションショー」などいくつかのテーマに分かれており、じっさいに浮世絵が動くから面白い。 なかでも葛飾北斎の名画『富嶽三十六景・神奈川沖浪裏』が巨大サイズで登場し、荒れ狂う波がスクリーンに映し出されるさまは圧巻。撮影可能なので、思わず動画で撮影した。等身大の人物が動くきらびやかな吉原の様子も映し出されて、粋で華やかな江戸が体験できた展覧会だった。 【めた坊ジャッジ】どちらも浮世絵の魅力が伝わってきたけど、今回は新しい見方で楽しめたスーパー浮世絵の勝利だ!
2017年02月27日