平安時代の貴族恋愛は、現代とはまったく違う様式。でも、意外と現代と通ずるものがあるのはご存知ですか?実は、平安時代の和歌には現代の恋愛におけるヒントがたくさん隠されているんです。そこで今回は、現代の恋愛に悩む女子たちにヒントをくれる1000年前の和歌をご紹介しましょう。■1.筑波嶺のみねより落つるみなの川恋ぞつもりてふちとなりぬる (微かな想いでさえも積り積もって、今は貴女のことがとても愛おしく感じている)この和歌を詠んだのは、宮中において様々な問題を起こしたため、若くして天皇を引退させられたと伝えられている陽成院です。平安時代、貴族の間で恋愛結婚をするのは非常に珍しいことであり、陽成院も例にならって親に決められた相手との結婚をしました。最初は好きでもなんでもなかった相手といるうちに、いつの間にか相手のことが愛おしく感じられるようになった、という和歌です。同じ空間で同じ時間を共有していたり、度々目にする相手を意識し始めてしまうことってありますよね。陽成院もそんな気持ちになり、お嫁さんのことをいつしか愛するようになったのでしょう。片思いをしている方も、大切な人がいる方も、同じ時間や空間を多く共有することから仲を深めていってはいかがでしょうか?■2.なげきつつひとりぬる夜の 明くる間はいかに久しきものとかは知る (私が待つ間浮気してるあなたには、ひとりで寝る夜の長さも悲しさもわからないわ)この和歌を詠んだのは、超1流貴族と結婚したのにも関わらず、浮気ばかりされ嫉妬したという文や和歌を多く残す藤原道綱母です。平安時代では一夫多妻制であり、旦那さんは明くる夜も女の家に通うのが平安貴族の恋愛習慣でした。つまり、女は待っているだけ。浮気されていても文句は言えず、逆に何人とも関係を持つ男が素晴らしいとされた時代です。彼女は、旦那が自分の家に運ぶ足が遠のいていった末に、実の父とともに最愛の息子を育てたそうです。男女間に嫉妬や浮気、不倫の問題は現代にも尽きません。そういった問題に悩まされたら、道綱母のように子育てや和歌といったほかのことに集中することも立派な生き方と言えるでしょう。■3.音に聞く高師の浜のあだ波はかけじやそでのぬれもこそすれ (あなた本当浮気性らしいわね。本気じゃないのに、私はあなたなんかで泣きたくない)この和歌を詠んだのは、由緒正しい家柄に生まれながらもその生没年や詳しい家柄は不明と言われる、祐子内親王家紀伊です。多くの恋歌を残す彼女ですが、この和歌自体はいまでいうカラオケ大会のようなイベントで即興的に詠んだものであり、恋人にむけたものではないとされています。平安時代は男性からの通い婚でしたが、よっぽど身分の高い相手でない限り女性から拒むことも少なくなかったそうです。彼女のように、浮気がちな男に対しては強く出る姿勢があったほうが涙を流すような恋愛をしなくて済むのでしょう。強気と自立は似ていて非なるものですが、この心得は見習いたいですよね。■4.ながらへばまたこのごろやしのばれむうしと見し世ぞ今は恋しき (昔の悲しみが今は懐かしいと思えるように、この悲しみもいつか懐かしく思えるかな)この歌を詠んだのは、平安後期に歌人として一世を風靡した藤原清輔です。彼はかねてより父と不仲が続いており、優れた才能を持ちながらもその才能を開花させるのは様々な試練が立ちはだかりました。それを乗り越え、また試練にあたったとき、この和歌を詠んだとされています。この和歌自体は決して恋愛に関する和歌ではありませんが、失恋した痛みを感じている方はどこか救いのある和歌なのではないでしょうか。今が土砂降りの状況でも、必ず雨は止むといったこの和歌を支えに、次の恋愛に向けて気持ちを切り替えてみてはいかがでしょうか?■おわりにいかがでしたか?百人一首には、この他に様々な和歌があり、その他の勅撰集などにもたくさんの和歌が詠まれています。時代が違っても、人の恋する悩みは大きな差はないですよね。同じ苦しみを抱えていた故人の和歌からヒントをもらって、恋愛を楽しんじゃいましょう。(桃花/ライター)(ハウコレ編集部)(楠ろあ/モデル)(柳内良仁/カメラマン)
2016年02月18日