映画『藁の楯 わらのたて』の完成報告記者会見が3月13日(水)に都内で行われ、主演の大沢たかおを始め、松嶋菜々子、藤原竜也、三池崇史監督が出席した。日本国内および台湾でのロケ撮影により木内一裕の同名小説をこれまでにないスケールで映画化。卑劣な犯罪で孫娘を殺害された大富豪が、犯人の首に10億円の懸賞を懸けたことで日本中がパニックに!要人警護のスペシャリストがチームが結成され、九州から東京まで犯人の移送を試みるが…。高速道路や官庁街の封鎖。さらには台湾で本物の新幹線を走らせての撮影など、これまでの日本映画の規格を遥かに超える規模での撮影に、主演の大沢さんは「日本の映画でここまでやれるのかと心が震えました」と述懐。ある事件で家族を失った過去があり、警護する対象である犯人に複雑な心境を抱きつつも任務を遂行するSP・銘苅(めかり)という役柄についても、言葉ではなく表情で語る部分が多く「これほど手足を縛られたような感覚で芝居をするのは初めての経験。役者冥利に尽きます」と感慨深げに語る。初めての三池監督との仕事に関しては「監督は演出のときに自分で芝居をして見せるんですが、それが異常に上手くてプレッシャーでした(笑)。ずっとお仕事させていただく機会を待っていましたが、全幅の信頼を置いてできたと思います」と語った。松嶋さんは、銘苅と共に警護チーム加わる白岩を演じたが、唯一の女性SPということで「屈強な男性に混じったときに、男性に見えるようにと動きやしゃべり方も意識しました」と明かす。白岩は、松嶋さん同様に子育てをしながら仕事にも全力で取り組んでいく女性。「共感したのは『仕事は仕事』と集中力で(仕事とプライベートを)分けている部分。演じる上ではやはり、同じ子持ちの身として『自分には守るべきものがある』という気持ち。彼女はそれを表に出しませんが、深い部分で役作りになったと思います」と語った。そして藤原さんは、自らの犯罪をなんら反省することのない犯人の清丸を演じた。警護されながらもふてぶてしい態度で銘苅や白岩への挑発的な言動を繰り返すが「あの松嶋さんに数々の失礼な発言をし、あの大沢さんに悪態をつきまして、日本全国民に嫌われました」と苦笑する。「松嶋さんには謝りながら撮影してました」と明かしたが、当の松嶋さんは「藤原さんに対して気分を害するようなことは全くなかったですよ」とニッコリ。そして、反対側の三池監督を見やり「現場でセリフを変えたりして、『これ言ってみて』と指示するのは監督ですから」と爽やかな笑みの中に恨みを覗かせる…?三池監督は慌てて「仕事ですからね(笑)」と釈明しつつ、真夏の撮影をふり返り「あの状態で(松嶋さんに)アスファルトに寝転んでもらわなくちゃいけなくなったんですが、『テストではいいので本番で』と言ったら、『大丈夫です。仕事しながら岩盤浴している感じです』と仰ってました」と感服しきり。松嶋さんは「『暑い』と言っても涼しくはならないので、いつも受け入れてます」と“家政婦のミタ”ばりのクールさで答えていた。原作のスケール感に報道陣からは「もしもハリウッド・リメイクのオファーが来たら?」という質問も飛んだが、三池監督は「ハリウッドで監督をしたいって気持ちはない。まあ、でもお金がもらえるらしいから、1回してもいいかな」と淡々とした様子。大沢さんは「ハリウッドでとなったら銘苅役は来ないでしょうから、清丸あたりを狙っていきたい。そうしたら世界中から嫌われますね」といたずらっぽい笑みを浮かべていた。『藁の楯 わらのたて』は4月26日(金)より公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:藁の楯 わらのたて 2013年4月26日より新宿ピカデリーほか全国にて公開(C) 木内一裕/講談社 (C) 2013映画「藁の楯」製作委員会
2013年03月13日今夏、三重県四日市港で行われた映画『藁の楯 わらのたて』のロケ現場取材に潜入!暑さ厳しい9月某日の現場の模様を直撃レポート。この日は、日本テレビプロデューサーの北島直明さんが共に行動し、作品についての意気込みを語ってくれた。本作は8月19日(日)にクランクイン、10月上旬クランクアップ。配給のワーナー・ブラザース映画によると、構想から8年がかりでの映画化となる。本作は、木内一裕の同名小説を原作に、全国民を巻き込んだ壮大なスリル&サスペンスが展開する。この日、報道陣に披露されたのは、四日市港での犯人護送車でのシーン。連日の猛暑の中、主演の大沢たかおを始め、松嶋菜々子、藤原竜也、岸谷五朗らが顔を揃えており、小麦色に日焼けした三池監督の姿も見える。現場にはパトカー、救急車、輸送車、警備対象車など本物の車両、さらに警察官に扮した多数のエキストラも参加しており、2つのシーンの撮影が行われた。前日には名古屋市内にて地元警察の協力の下、大通りを封鎖しての大掛かりな撮影も行われたことを明かした北島プロデューサーは、撮影が順調に進んでいることに満足気だ。猛暑で汗だくのキャストについても「この熱が映像に伝わって、緊迫感がより伝わってくる」とコメント、とにかく心身ともに“アツい”現場であることを強調した。作品すべてが大掛かりなものになっており、10億円の懸賞金のついた犯罪者・清丸を国民すべてが捉えようとするストーリーであるため、延べ1万人ものエキストラを大々的に募集。ほかにも見どころの一つになっている新幹線の車中ロケは、本物を使用するために台湾で撮影が行われたのだとか。もちろん、キャストも一人一人こだわってキャスティングされた。大沢さんが演じるのは、警視庁警備部SP・銘苅一基(めかりかずき)。同作では、銘苅の目線を通して正義とは何かを描いており、「優しい、いい人のイメージの強い大沢さんにシビアな役を振り当てた」と説明。「SPのプロフェッショナルとして凶悪犯でも守る、という強い信念を持ち、その正義にブレが無く、絶対的にクリーンな銘刈のイメージが大沢さんに合致している」ときっぱり。元SPを監修につけるという徹底ぶりだ。そんな銘苅に対峙する凶悪な殺人犯・清丸国秀については、「気持ち悪さが際立つモンスターでなければならない。それには藤原さんしかいない」と考え、藤原さんなら「観客の清丸への感情を0から100にイッキに持っていけると確信した」と、藤原さんの俳優としての才能に大きな期待を込めたようだ。そして銘苅のバディ(相棒)、白岩篤子を演じている松嶋さんについても「任務遂行のために殺人犯・清丸という“人間のクズ”を護衛する、そんなときの精神的な葛藤をきちんと演じられる人」と太鼓判を押した。この日、北島プロデューサーの口調はずっと熱く、雄弁だった。最後に、ラストシーンでは三池監督の「希望を描きたい…」という想いが込められていることを伝えた。撮影現場からは、キャスト・スタッフの、一丸となって「いい作品を作るんだ」という並々ならぬ情熱が感じられ、期待度は最高、傑作の誕生を予感させた。映画『藁の楯 わらのたて』は2013年4月26日(金)より全国にて公開。■関連作品:藁の楯 わらのたて 2013年4月26日より新宿ピカデリーほか全国にて公開© 木内一裕/講談社 © 2013映画「藁の楯」製作委員会
2012年11月29日『愛と誠』『悪の教典』といった問題作を次々に発表する三池崇史監督と大沢たかお、松嶋菜々子が初めてタッグを組み、藤原竜也が『SABU~さぶ~』以来10年ぶりに三池組に帰還した話題のアクション・サスペンス『藁の楯 わらのたて』の撮影現場が遂に解禁になった。その他の画像本作は漫画家、監督でもある木内一裕の小説を原作に、少女殺しの凶悪犯・清丸(藤原)を福岡から東京の警視庁まで護送するSPの銘苅(大沢)と白岩(松嶋)の活躍と葛藤を描いた物語。孫娘を清丸に惨殺された資産家・蜷川(山崎努)が「この男を殺してください。御礼として10億円お支払いします」という新聞広告を出すことから、陸路を移動する彼らに全国1億2000万人の殺意が向けられるという設定に注目が集まっている。9月6日に三重県の四日市港で公開されたのは、清丸を狙った大型トレーラーの激突を辛くも逃れた警護対象車内のシーン。銘苅と白石がネットで移送の情報が漏れていることに気づくくだりで、車内は張りつめた空気に。しかも大沢、松嶋、藤原のほかに刑事役の岸谷五朗や伊武雅刀、スタッフも乗り込んでいるため、とにかく暑い。だが、俳優陣のリアルな汗が一瞬たりとも気が抜けないギリギリの状況により説得力を加えていた。「小説は“エンタテイメントとはこういうものだ”という木内さんの想いに満ちている」と三池監督。それを視覚化するためにリアリティを追及し、名古屋市内の道路を封鎖して劇用のパトカーや警護対象車などを激走させたり、台湾新幹線を使った列車内でのアクションや、愛知県庁舎を警視庁に見立てて約800人のエキストラを導入したクライマックスなど大掛かりな撮影も敢行したという。「ハリウッド映画のように始まり、最後はSPを職業としている人間のそれまで抑えていた感情がドッと出せればいいなと思っています」。大沢は「SPは決められた形や規制が多い。清丸と対峙したときに心の中はすごく揺れるけど、表面的には揺れちゃいけないので、毎日そこのところで戦っています」とコメント。本作に自ら髪を切って臨んだ松嶋も「SPという役自体が挑戦でした」と真剣な表情を見せる。「真っ先に手が出せる状況なのに、SPだからこらえなければいけない。その代わり、銘苅さんが要所要所でいいセリフを言ってくれる。『殺さない程度になら殴っていいってわけじゃないんだ』というのが、今日のいちばん好きなセリフです(笑)」。それに対して藤原は「清丸のセリフと行間、その世界観を監督のイメージと合わせて作り上げていくことだけに集中しています」と多くを語らず、逆にそれが原作以上に凶悪なモンスターを彼がどう体現させたのか? という興味を増幅させる。果たして、この濃密なコラボがどんな未知の化学反応を見せるのか? 来春の公開がいまから楽しみだ。『藁の楯わらのたて』2013年4月26日(金)新宿ピカデリーほか全国ロードショー※山崎努の「崎」の右上は「立」になります。取材・文:イソガイ マサト
2012年11月19日2013年4月に公開を控える話題作『藁の楯 わらのたて』で、撮影先のロケ地のホテルを直撃!大沢たかお、松嶋菜々子、藤原竜也の主要キャストに加え、監督を務める三池崇史に本作について熱く語ってもらった。本作は、木内一裕の「藁の楯」(講談社刊)を原作に、主演・大沢さんを始めとする豪華キャストを迎え、三池監督が映画化。全国民を巻き込んだスリル&サスペンスが壮大なスケールで描かれる。本作で殺人犯・清丸を護送する警視庁警備部SP・銘苅一基(めかりかずき)役を演じる大沢さんは、「最高ですよ。毎日ドキドキ、緊張しながら撮っている」と興奮気味に撮影現場を語る。今作で三池監督とは初タッグを組み、「納得のいく指示ばかり。役者冥利に尽きる」と清々しい表情で言い切る。同じく三池組初参加となる松嶋さんも「現場で監督の指示がどう来るか、いつも楽しみにやらせていただいています」と大沢の言葉に頷き、心地よい現場の緊張感を楽しんでいる様子。一方で、藤原さんは『SABU~さぶ~』(’02年)以来10年ぶりのタッグとなるが、「監督の力で現場を引っ張っているのを見ていると、カッコいいと思うし、どんどんついていって、いいカットを撮りたいと思う。豪華なメンバーの中、恵まれた環境で、激しい映画の現場を楽しんでいる」とその胸中を打ち明けた。そんなキャスト陣の絶大なる信頼を受け、三池監督は「我々が夢を見て、夢を実現しないと、観る人にニセモノの夢を見せることになる」と映画づくりについての持論を展開。作品については「悲惨なドラマなので、希望をもって観てもらえる作品に仕上がるかどうか…」と不安も覗かせつつ、「楽しい、いい作品になるんじゃないかな」と太鼓判を押した。すでに原作を読んでいたという大沢さんは、映画化を心待ちにしていたことを明かし、出演のオファーをもらい、「絶対に成功させたい。見えないものに向かって勝負をかけている監督やスタッフに喜んでもらいたい」と抱負を語った。大沢さん演じる銘苅のパートナーとなる白岩篤子役は、原作では男性、しかし同作ではキャリアウーマン役に変更されたが、この役を演じた松嶋さんは「常に新しいことに向かいたいと思っているし、深い役柄にしていただいて良かった」とコメント。三池監督が大人の女性を主要キャストに持ってくるのは初めてとのこと。松嶋さんは役作りのために自ら長い髪をバッサリと切り、ショートヘアで臨んだという。三池監督の手によってどんな女性として描かれているのかは、ぜひ劇場で確かめたいところだ。殺人犯・清丸を護衛するという任務遂行中に見せる、大沢さんと松嶋さん、2人の心の葛藤も見どころの一つとなっている。藤原さんは、出所してすぐに惨殺事件を起こす“人間のクズ”こと清丸国秀役を演じた。藤原さんが、ここまでの悪人を演じるのは初めて。脚本を読み、「生きる価値がないと容認された殺人犯。役への怖さを感じた」と素直な感想を述べながらも、「挑戦しがいがある役。頑張ろうかな」と語り、役者魂に火が付いた様子。藤原さんは三池監督の期待に沿うために全力を注ぎこむと誓っていた。この3人を迎え、思い通りのキャストが揃ったと語る三池監督。特にSPの銘苅役には「今回は守らなくていい人物を、仕事として守らなくてはならないという立場にいて、心の葛藤が常にある難しい役で『大沢たかお、この人しかいない!』」と確信したという。そして藤原さんについても「支離滅裂、理不尽、悪の権化、この人しか浮かばなかった」ときっぱり断言。さらに、三池監督は「映画はエンタテインメント。ハリウッド映画のように始まって、そこからどんどん削ぎ落としていって、最後は自主制作の映画のように、魂だけが残る…。突き詰めれば、“シンプルな方がいい”という大きな目標を持っている。それが原作からのメッセージと捉えている。スタッフ、キャストが一丸となって、みんなで同じ方向に向かっていく。ドラマチックだよね」と持論を展開して締めくくった。本作は、孫娘を殺された財界を牛耳る蜷川により、「この男を殺してください。清丸国秀。お礼として10億円お支払いします」と前代未聞の全面広告が掲載される。これを機に、国民の殺意が殺人犯・清丸の命を狙い、執拗に追いかける。1億2千万人の敵の中、護送距離1,200キロの5人の警察官の壮絶な戦いが始まる。凶悪犯を守り抜くことは果たして正義なのか。観終わった後に伝わってくるものとは、何を感じるのか、楽しみな作品だ。映画『藁の楯 わらのたて』は2013年4月26日(金)より全国にて公開。■関連作品:藁の楯 わらのたて 2013年4月26日より新宿ピカデリーほか全国にて公開© 木内一裕/講談社 © 2013映画「藁の楯」製作委員会
2012年11月19日漫画家、映画監督としても活躍する木内一裕の同名小説を、大沢たかお、松嶋菜々子、藤原竜也を迎え三池崇史監督が映画化するアクションサスペンス『藁の楯』のティザーポスター画像が公開された。その他の写真本作は、惨殺事件を繰り返す清丸(藤原)に孫娘を殺害された資産家が、「この男を殺してください。御礼に10億円差し上げます」と、清丸殺害を全国民に促す全面広告を新聞に出したことで、身の危険を感じ出頭してきた清丸を護送することとなった警視庁警備部SP・銘苅(大沢)と、そのパートナーの白岩(松嶋)が味わう人間の欲望、葛藤を描き出した作品。本日解禁となったポスターは、「この男を殺してください」と掲載された新聞広告をもとに、凶悪犯の清丸扮する藤原の写真を全面に使用。手錠をはめられ、移送される清丸の不気味な表情とキャッチコピーが相まって大きなインパクトを与える仕上がりとなっている。警視庁までの1200kmにおよぶ距離を、大型護送車や新幹線、救急車と手段を変え移送するも“キヨマルサイト”と名付けられたサイトに居場所がすぐアップされ、一般市民、警護に当たる警察官や機動隊員までもが清丸の命を狙う。裏切りや欲望が渦巻く緊迫感の中、護送にあたる5人と、国民1億2千万人の戦いが果たしてどんな顛末を迎えるのか、期待が高まる。また、ポスター画像公開とともに新たなキャストが発表され、大沢、松嶋演じるSPと清丸を護送する警察官役を岸谷五朗、伊武雅刀、永山絢斗、そして孫娘を殺害された資産家の蜷川役を山崎努が演じることがわかった。『藁の楯』2013年4月26日(金)新宿ピカデリーほか全国ロードショー文:滝島千尋
2012年11月09日年頭から始まった〈井上ひさし生誕77フェスティバル2012〉。第7弾は1978年の初演時に杉村春子がヒロインを演じた『日の浦姫物語』だ。幻の名作、その復活に相応しく日本を代表する二大スター・大竹しのぶと藤原竜也の初共演も実現。11月10日(土)の幕開けを控え、佳境を迎える稽古場を訪ねた。舞台は平安時代の奥州・米田庄。この地の棟梁・成親(辻萬長)の家に生まれた美しい双子の兄妹・稲若(藤原)と日の浦姫(大竹)は互いを愛おしむうち一線を越え、子供も生まれてしまう。父母亡き後の後見人・叔父の宗親(たかお鷹)はふたりを諌め、稲若は都へ武士の修行に出すが途上で客死。幼い息子に手紙と守りの鏡を持たせて海に流した後、日の浦姫が棟梁となる。時が流れ、成長した息子・魚名(藤原のふた役)がそれとは知らぬ姫たちの前に現れて……という波乱万丈な筋立て。舞台は近親相姦の宿命に翻弄されるふた組の男女の物語を、説教聖(木場勝己)と三味線女(立石涼子)の夫婦が語る形で進められていく。この日の稽古は姫と魚名が再会の後、夫婦となって以降の場面。15歳から30、50代と劇中で年を経る大竹は、その時々に異なる美しさを見せ思わず息を飲む。兄と子を失って以来、女を捨てた姫が再び愛する人と懐妊の兆しを得て、輝きを取り戻した様子を大竹が艶やかに演じれば、年上の美女に溺れる若武者・藤原が熱っぽく荒々しい愛撫の仕草で応える。初共演とは思えぬ息の合った演技に、演出・蜷川幸雄の止めも入らぬまま稽古は進む。愛の交歓は姫が魚名を生き別れた息子と疑い、確かめ始めるところから急転直下で愁嘆場へ。事実の符合を激しく驚き、哀しみながら受け入れ始めるふたりを、語り部の聖・木場が強烈な視線で物語の外から射抜く。姫が挙げる親子の証に動揺する魚名と、別世界にいるはずの聖の表情、動き、感情がいつしかシンクロし、倍増した哀しみが場の空気を満たすのだ。ギリシア悲劇のようなスケール感の戯曲を演出・蜷川は、歌舞伎の絵画的演出や邦楽と聖歌を交えた音楽など、ボーダレスな感性で魅せていく。ツワモノ俳優が居並ぶ稽古は、ほぼノンストップだが、俳優としての誕生の瞬間から知る藤原には蜷川も「恥知らず!」「ここで笑いが起きなきゃ本番でも止めるゾ!!」など愛ある檄を飛ばし、笑いが起こる一幕も。悲劇に加え人間の根源に迫るエロス、作家の真骨頂である言葉遊びや戯れ歌など魅力満載の今作は、終幕さらに、私たち誰もが内心に抱える後ろめたさに鋭い一突きまでを残す。古えの物語を現代人へのメッセージに、皮肉に反転させるラストは驚きとともに劇場で味わっていただきたい。東京・シアターコクーンにて11月10日(土)から12月2日(日)まで上演された後、宮城・イズミティ21 大ホール、大阪・シアターBRAVA!で公演を行う。なお、東京公演の中2階立見のチケットが、10月27日(土)より発売される。取材・文:尾上そら
2012年10月26日江戸初期、イギリス人でありながら徳川家康に仕え、侍として生涯を全うした実在の人物、三浦按針。2009年、彼の人生を描いて評判を呼んだ舞台『ANJIN イングリッシュサムライ』がこの12月、『家康と按針』として再演される。今回、宣教師ドメニコ役を演じる古川雄輝と小早川秀秋など数役を演じる小柳友に話を訊いた。宣教師ドメニコは家康と按針の間をつなぐ重要な人物。初演で藤原竜也が演じる姿を見て以来、古川にとってこの役は念願だったのだという。大学までカナダ、アメリカで過ごした古川だが、得意の英語が大きなハードルになっているのだとか。「僕が使うアメリカ英語とドメニコの話すイギリス英語は発音の仕方がかなり違う。そこを覚えるだけでもひと苦労です」。そう話す彼は、今年8月イギリスに飛び、10日間徹底的にイギリス英語を学んだ。イギリスでは演出のロイヤル・シェイクスピア・カンパニー新芸術監督、グレゴリー・ドーランとも話したそう。「生い立ちを訊かれ、"その部分はドメニコに活かせそうだね"と言われたり。稽古も刺激的なものになりそうな予感がしました」と古川は語った。一方の小柳は今回が初舞台。「ずっと舞台をやってみたかったので、やっと来た!といううれしさが大きい。とにかく楽しみたい」と語りながらも、「舞台に立った自分を想像するだけで足が震える」と緊張を隠さない。取材中も「準備はどうしたらいいんですか?」と古川に相談。古川が初演の台本を持ち歩き、すでにセリフを暗記していると聞くと刺激を受けた様子で「僕も今日から自主稽古を始めます!」と宣言し取材現場の笑いを誘った。この作品の魅力を「家康、按針、ドメニコ。この3人それぞれの関係性に面白さがある。若い人も楽しめると思います」と語る古川に、小柳も「映像を通して見ても、家康役の市村正親さんの迫力がすごかった。この迫力をぜひ生で感じてほしい」と加えた。今作は来年1~2月にロンドン公演も行われる予定だ。古川は「イギリスで舞台を観た時、観客が日本よりずっと感情を表に出していることに驚きました。そんな人たちの前でこの作品を演じたらどうなるのか、楽しみです」と期待に胸を膨らませていた。12月1日(土)・2日(日)にKAAT 神奈川芸術劇場 ホール、12月11日(火)から16日(日)に東京・青山劇場で上演した後、来年1月31日(木)から2月9日(土)までロンドンのサドラーズウェルズ劇場で公演を行う。なおチケットぴあでは、10月5日(金)より三浦按針に因んだオリジナルワイン「青い目のサムライ(赤ワイン)」特典付チケットを発売(東京公演)。取材・文:釣木文恵
2012年10月03日豊田利晃監督の最新作『I’M FLASH』が9月1日(土)に公開を迎え、豊田監督に主演の藤原竜也、松田龍平、水原希子、仲野茂、永山絢斗、板尾創路、原田麻由、大楠道代の総勢9名が揃い。テアトル新宿にて舞台挨拶を行なった。あるスキャンダルで離島への逃避を余儀なくされた新興宗教のカリスマ教祖、彼を守るために派遣されたボディガードの交流を描き出す。念願の豊田作品への出演を果たした藤原さんは「多くのスタッフとキャストが集まって、短い期間に行なった過酷な撮影でした。思うところがすごくあります。形にできて良かった」としみじみ。豊田監督も「僕と竜也の2人で話したことにみなさんが乗ってくれたことがミラクルであり、フラッシュ!」と感慨深げに語った。松田さんにとっては9年ぶりの豊田作品となったが、「豊田さんと早くやりたいと思ってたので嬉しかった。藤原くんとは初めてだけど、台本を読んでイメージしていたルイ(藤原さん)といい意味で違って、一緒に芝居してて影響されました。僕も迷っていたところもあって、一緒にやることで分かったことがあって楽しかった」と語った。水原さんは「オファーの1週間前に(豊田監督の)『青い春』を観て、こんな素敵な監督に撮ってもらいたいと思っていたので運命を感じた」、永山さんも「僕は映画に興味がなかったけど、10代で『青い春』を観てこんな面白い作品があるのかと役者という仕事に興味を持った」とそれぞれに本作、そして豊田監督への特別な思いを明かしてくれた。大楠さんは藤原さんに持ちかけられた仰天の“相談”の内容を告白!「(撮影が)終わった途端に『相談があります』って言われて、『監督をぶっ殺したいんですが…』と言われました。普通なら『まあまあ』とでも言うところですが、私も『やれば?』と言ってしまいました(笑)。役者の代わりはいないけど、監督の代わりはいくらでもいるので。これで私は藤原くんが大好きになりました」とあっけらかんと明かした。監督はこのやりとりを大楠さんから聞かされたという。当の藤原さんは「結構、限界に来てて大楠さんが車で帰られるときに『ここしかない』と思って真面目な心の叫びを聞いていただきました」と、晴々とした表情で大楠さんへの感謝の思いを口にした。『I’M FLASH』はテアトル新宿、ユーロスペースほか全国にて公開中。■関連作品:I’M FLASH! 2012年9月1日よりテアトル新宿、ユーロスペースほか全国にて公開© 2012「I’M FLASH」製作委員会
2012年09月02日沖縄を舞台に人生の歯車が狂い始めた男たちの運命を描く、豊田利晃監督の最新作『アイム・フラッシュ!』。本作で初共演を果たした藤原竜也と松田龍平が、豊田組の現場と作品を回想するとともに、本作を観ることで豊田監督が込めたメッセージと挑戦の真意をすくい取ってほしいと口を揃えて語った。その他の写真藤原と松田が演じたキャラクターは、新興宗教のカリスマ教祖ルイと、彼を護るボディガードの新野。ルイはある晩出会った謎の美女、流美(水原希子)が事故で瀕死の重傷を負ったことを契機に教団を辞める決意をするが、それを認めない教団は新野に新たな指令を下す。生と死の狭間で奔走するルイを演じた藤原は、「ルイは孤独を抱え、ひとりで戦っている男。大変な人生を味わいますが、それに立ち向かう姿勢が好きでした」と魅力を説明。ルイと対峙する新野役の松田は「新野は感情を出す男ではないので、脚本の段階ではよく分からなかった」と戸惑ったものの、「現場に入って藤原君と一緒に演じて、新野とルイとの関係性がよく分かった。上手く出来ましたね」と現場でのシナジーに救われたことを明かした。また、数々の名匠と仕事を重ねた藤原だが、豊田組は初参戦。その体験を以前「憎悪と尊敬」と表現したが、「役者を追い込み、余計なモノをそぎ落とす斬新な演出をする監督は多くないので、貴重な出会いでした。自分の中で新しい発見もありましたね」と今では感謝の想いが勝っているという。一方、豊田監督とは旧知の仲である松田は久々の豊田組は「エンターテインメントを作ろうという豊田監督の挑戦を感じた」と言い、「視界を広げていいものを作りたいという想いを感じたから、自分でも意識しました。新野役を演じることでお手伝いになれば、いろいろな人が観て楽しめる作品になると思いました」と豊田監督の想いを感じ取ったことを告白。「映画を観れば分かると思います(笑)」と藤原も同調した。藤原と松田の会話を聞けば、国内外の映画ファンだけでなく「センスがよくて、鋭く物事を考えている人」(藤原)と映画人たちも強烈にリスペクトする豊田監督に対して、猛烈に興味が沸く。最後に人となりについて尋ねてみると「言葉にすることがちょっと難しくて」(松田)と返ってきた。「たとえば不器用な人って言ってしまうと、そういうイメージになってしまいますよね。本人としては違うかも知れないのに。自分を知ってもらうために映画を作っていることもあると思うから、そのためにも今回の映画を観てほしいですね(笑)」。『アイム・フラッシュ!』9月1日(土)より、テアトル新宿ほか全国ロードショー取材・文・写真:鴇田 崇
2012年08月30日互いの関係性について「言うほど仲良くはないですよ」と藤原竜也がさらりと言えば「表面的な付き合いですよね(笑)」と松田龍平がポツリと返す。演技や作品について語るのと全く変わらない口調に、冗談と知りつつ妙なリアリティとおかしみを感じてしまう。タイプは違えど同世代の俳優たちのトップを走る2人が念願の初共演を果たした『I’M FLASH!』がまもなく公開となる。世間からの逃避を余儀なくされた新興宗教のカリスマ教祖と金で雇われたそのボディガード。孤島で対峙し奇妙な関係性を紡いでいく男たちを演じながら、藤原さんと松田さんは何を感じ、何を築き上げたのか――?豊田利晃監督の魅力「とにかく俳優を揺さぶる」藤原さんは、以前より豊田利晃監督作品への出演を熱望していた。きっかけは松田さんも出演した『ナイン・ソウルズ』(’03)。これまでに何度かチャンスはあったものの最終的に実現に至らず、ようやく本作で10年近くの歳月を経て悲願を実現させた。藤原さんが感じていた豊田作品の魅力とは?「予想外というか、飽きさせないんですよね。人間の心の動き、揺れのようなものを表現するのが非常にうまい。僕は決して映画や監督という仕事の技術的な詳しいことが分かるわけじゃないけど、どこかすごく斬新で見入ってしまうんですよ。ひと目見たときに『カッコいいな。この人、才能あるな!』って思って、一緒にやってみたいぞと思ったんです」。だが実際に体験した豊田監督の現場は、これまで映画や舞台で数々の演出家のもとで作品作りを経験してきた藤原さんをして「毎日が地獄だった」と言わしめるほど過酷だった。映画が完成したとき、藤原さんは「憎悪と尊敬」という言葉で豊田監督への思いを表現している。「とにかく俳優を揺さぶるんですよ。僕は40~50回もテイクを重ねるのに、龍平がパッと芝居したら『はい、OK。いいね』って。そうやって揺さぶって俳優をイラつかせて、ひとりにして追い詰めていくというのが監督の手法なんだと思う。そうやって新しいものを引き出そうとする手法はアリだと思うし、揺さぶりはありがたいんだけど、こっちもそういう手法だろうって考えちゃうからね。『俺はまんまとそんな手に引っかからねぇぞ』とか考えてイライラしたり(笑)。それを踏まえて“尊敬と憎悪”ですね。でも感謝してますよ。ものづくりの原点のようなものを感じながら仕事させてもらいました」。一方の松田さんにとっては『青い春』、『ナイン・ソウルズ』に続く3度目の豊田作品。常連とはいえ9年という長い時間を空けての再会だったが、松田さんは「豊田さんは変わってなかった」とふり返る。「『豊田さんはこういう人です』と言えるキーワードが少ないんですよね。あえて言うなら不器用な人。というか、俺の中で『こういう人』と決めつけたところでやっているわけではなくて、作品を通して豊田さんという人を見せてもらい、認識していますね」。では、特に本作の中で松田さんが感じた豊田監督らしさとは?「台本に書いてある『こうなるだろうな』というシーンを現場で180度変えることができるんですよね。例えば砂浜でルイ(藤原さん)と新野(松田さん)が対峙して砂をかけるシーンがあるんですけど、最初は全然違ったし、そこでシーンのニュアンスごと変えてしまうんです。それは自分で脚本を書いているからというのもあるけど、何より現場第一で臨機応変に撮影できる方だから。俺は感覚でやって、あまり決めごとを作らずにやることが多いので、現場で柔軟にやってもらえると楽しいですね」。共演しての感想、特に現場で対峙してみての印象を聞いてみると、藤原さんは称賛を込めて現場で感じたこんな思いを明かしてくれた。「やっぱり龍平が抱えているものはすごく大きいと思います。そこには葛藤を含めいろんなものがあるんだろうし、それを表に出さずにやっていくって大変でしょう。そういう面を含めて、きちんと自分のスタイルを保っているなと感じましたね」。松田さんは「そんなことはないですよ(笑)」とかぶりを振る。一方で、新野という役を演じる上での藤原さんの存在の大きさについて語ってくれた。「『青い春』で演じた九條もそうだったけど、引いたところで見ている役なんですよね。周りに答えを求め、問い続けている役。新野は自分なりの決め事を作って生きている人物だけど、どこかでそれを壊してくれる人物を求めているんですよね。そういう意味で、最初に台本を読んだとき、ルイという男をすごく得体の知れない人物のように感じていたんです。でも、現場で藤原くんが演じたルイは、すごく人間臭くて感情的で自暴自棄にもなる気分屋の男だった。そこで新野が何を思ってルイと生活を共にしていたのか、というのが自分の中ですごくつじつまが合って理解できたんです。そういう意味で、藤原くんとやれたことにすごく意義があったと感じています」。過去はふり返らず、毎日の小さな変化を重ねていく“カリスマ”と崇められることに疲れを感じながら、ルイは「ふり返ってみて初めて気づくきっかけを見過ごしてきた」と漏らす。おそらくそれは彼だけでなく多くの人に当てはまる言葉だろう。藤原さんも松田さんも常に求められ、次から次へと新たな作品へと出演しているが、ふと立ち止まったときにルイのような感慨に襲われるようなことはないのだろうか?そんな問いに藤原さんは「僕はふり返らないですね。まだそこまで生きてないかな。まだふり返るほどのものはないですよ」と白い歯をのぞかせる。一方、松田さんは「オレも『あのときはこうだった』なんてふり返ることはないですね」とうなづきつつ、こんな思いを口にした。「実際には分かりやすいきっかけがあるものではないと思いますね。日々の中で小さすぎて自分では気づかないけど、そういう些細なことを繰り返して積み上げている感じはあります。この仕事をしていると、どうしても一つの作品の始まりと終わりという区切りがあって、周りは作品ごとの区切りに対してどう思うかって考えるかもしれないけど、実はそれはあまり関係ないし、それだけじゃない。仕事以前に自分が生きているってことも全部含めてなので。その中でいろんな人に出会って、酒飲んで、話して…そういう全てをひっくるめたところで少しずつ自分でも気づかない小さな変化を重ねていくんだろうと思います」。本作は新興宗教のカリスマ教祖を軸にした内容となったが、藤原さんは以前から「究極のエンターテインメントを書いてみたら?」と豊田監督に語っていたとか。「監督も『それもいいね』って言ってたんですよ。みんなでワイワイって感じのね(笑)。きっと豊田さんの中にはまだまだ引き出しがあると思う。それをどんどん開けさせるのも俳優の仕事だよね」。松田さんは藤原さんとの再共演について「今回も実は藤原くんとはそれほど一緒のシーンは多くなかったので、もっとしっかりやりたいよね」とラブコール。今回とはまた違った関係性で躍動する2人の姿をぜひ見てみたい。(photo/text:Naoki Kurozu)■関連作品:I’M FLASH! 2012年9月1日よりテアトル新宿、ユーロスペースほか全国にて公開© 2012「I’M FLASH」製作委員会
2012年08月29日互いの関係性について「言うほど仲良くはないですよ」と藤原竜也がさらりと言えば「まあ表面的な付き合いですね」と松田龍平がポツリと返す。演技や作品について語るのと全く変わらない口調に、冗談と知りつつ妙なリアリティとおかしみを感じてしまう。タイプは違えど同世代の俳優たちのトップを走る2人が念願の初共演を果たした『I’M FLASH!』がまもなく公開となる。世間からの逃避を余儀なくされた新興宗教のカリスマ教祖と金で雇われたそのボディガード。孤島で対峙し奇妙な関係性を紡いでいく男たちを演じながら、藤原さんと松田さんは何を感じ、何を築き上げたのか――?豊田利晃の魅力「とにかく俳優を揺さぶる」藤原さんは、以前より豊田利晃監督作品への出演を熱望していた。きっかけは松田さんも出演した『ナイン・ソウルズ』(’03)。これまでに何度かチャンスはあったものの最終的に実現に至らず、ようやく本作で10年近くの歳月を経て悲願を実現させた。藤原さんが感じていた豊田作品の魅力とは?「予想外というか、飽きさせないんですよね。人間の心の動き、揺れのようなものを表現するのが非常にうまい。僕は決して映画や監督という仕事の技術的な詳しいことが分かるわけじゃないけど、どこかすごく斬新で見入ってしまうんですよ。ひと目見たときに『カッコいいな。この人、才能あるな!』って思って、一緒にやってみたいぞと思ったんです」。だが実際に体験した豊田監督の現場は、これまで映画や舞台で数々の演出家のもとで作品作りを経験してきた藤原さんをして「毎日が地獄だった」と言わしめるほど過酷だった。映画が完成したとき、藤原さんは「憎悪と尊敬」という言葉で豊田監督への思いを表現している。「とにかく俳優を揺さぶるんですよ。僕は40~50回もテイクを重ねるのに、龍平がパッと芝居したら『はい、OK。いいね』って。そうやって揺さぶって俳優をイラつかせて、ひとりにして追い詰めていくというのが監督の手法なんだと思う。そうやって新しいものを引き出そうとする手法はアリだと思うし、揺さぶりはありがたいんだけど、こっちもそういう手法だろうって考えちゃうからね。『俺はまんまとそんな手に引っかからねぇぞ』とか考えてイライラしたり(笑)。それを踏まえて“尊敬と憎悪”ですね。でも感謝してますよ。ものづくりの原点のようなものを感じながら仕事させてもらいました」。一方の松田さんにとっては『青い春』、『ナイン・ソウルズ』に続く3度目の豊田作品。常連とはいえ9年という長い時間を空けての再会だったが、松田さんは「豊田さんは変わってなかった」とふり返る。「『豊田さんはこういう人です』と言えるキーワードが少ないんですよね。あえて言うなら不器用な人。というか、俺の中で『こういう人』と決めつけたところでやっているわけではなくて、作品という形で豊田さんという人を見せてもらい、認識してます」。では、特に本作の中で松田さんが感じた豊田監督らしさとは?「台本に書いてある『こうなるだろうな』というシーンを現場で180度変えることができるんですよね。例えば砂浜でルイ(藤原さん)と新野(松田さん)が対峙して砂をかけるシーンがあるけど、最初は全然違ったし、そこでシーンのニュアンスごと変えてしまうんです。それは自分で脚本を書いているからというのもあるけど、何より現場第一で臨機応変に撮影できる人だから。俺は感覚でやって、あまり決めごとを作らずにやることの方が多いので、現場で柔軟にやってもらえると楽しいですね」。共演しての感想、特に現場で対峙してみての印象を聞いてみると、藤原さんは称賛を込めて現場で感じたこんな思いを明かしてくれた。「やっぱり龍平が抱えているものはすごく大きいと思います。そこには葛藤を含めいろんなものがあるんだろうし、それを表に出さずにやっていくって大変でしょう。そういう面を含めて、きちんと自分のスタイルを保っているなと感じましたね」。松田さんは「そんなものはないですよ」とかぶりを振る。一方で、新野という役を演じる上での藤原さんの存在の大きさについて語ってくれた。「『青い春』で演じた九條もそうだったけど、引いたところで見ている役なんですよね。周りに答えを求め、問い続けている役。新野は自分なりの決め事を作って生きている人物だけど、どこかでそれを壊してくれる人物を求めてるんですよね。そういう意味で、最初に台本を読んだとき、ルイという男をすごく得体の知れない人物のように感じてたんです。藤原くんのこともほとんど知らなかったので。ところが藤原くんが演じたルイは、すごく人間臭くて感情的で自暴自棄にもなる気分屋の男だった。そこで新野が何を思ってルイと生活を共にしていたのか?というのが自分の中ですごくつじつまが合って理解できたんです。そういう意味で、藤原くんとやれたことにすごく意義があったと感じてます」。過去はふり返らず、毎日の小さな変化を重ねていく“カリスマ”と崇められることに疲れを感じながら、ルイは「ふり返ってみて初めて気づくきっかけを見過ごしてきた」と漏らす。おそらくそれは彼だけでなく多くの人に当てはまる言葉だろう。藤原さんも松田さんも常に求められ、次から次へと新たな作品へと出演しているが、ふと立ち止まったときにルイのような感慨に襲われるようなことはないのだろうか?そんな問いに藤原さんは「僕はふり返らないですね。まだそこまで生きてないかな。まだふり返るほどのものはないですよ」と白い歯をのぞかせる。一方、松田さんは「俺も『あのときはこうだった』なんてふり返ることはないけど」とうなづきつつ、こんな思いを口にした。「実際には分かりやすいきっかけがあるものではないんだろうなと思います。日々の中で小さすぎて自分では気づかないけど、そういう些細なことを繰り返して積み上げている感じはあります。この仕事をしていると、どうしても一つの作品の始まりと終わりという区切りがあって、周りは作品ごとの区切りに対してどう思うかって考えるかもしれないけど、実はそれはあまり関係ないし、それだけじゃない。仕事以前に自分が生きてるってことも全部含めてだから。その中でいろんな人に出会って、酒飲んで、話して…そういう全てをひっくるめたところで少しずつ自分でも気づかない小さな変化を重ねていくんだろうと思います」。本作は新興宗教のカリスマ教祖を軸にした内容となったが、藤原さんは以前から「究極のエンターテインメントを書いてみたら?」と豊田監督に語っていたとか。「監督も『それもいいね』って言ってたんですよ。みんなでワイワイって感じのね(笑)。きっと豊田さんの中にはまだまだ引き出しがあると思う。それをどんどん開けさせるのも俳優の仕事だよね」。松田さんは藤原さんとの再共演について「今回も実は藤原くんとはそんなに一緒のシーンは多くないし、もっとガッツリやりたいね。藤原くんは舞台の方が多いから舞台やろうか?」とラブコール。今回とはまた違った関係性で舞台上を躍動する2人の姿をぜひ見てみたい。(photo/text:Naoki Kurozu)■関連作品:I’M FLASH! 2012年9月1日よりテアトル新宿、ユーロスペースほか全国にて公開© 2012「I’M FLASH」製作委員会
2012年08月29日演劇界を牽引するふたりの怪優、生瀬勝久と古田新太が、“本気の劇団”立ち上げに挑んだドキュメンタリードラマ『勝・新(KATSUARA)』(現在WOWOWでシーズン2の第2回まで放送)。その最終回公開収録が、8月27日、東京・CBGKシブゲキ!!にて行われ、出演者の生瀬、古田、オーディションを勝ち抜いた12名の劇団員が囲み取材に応じた。シーズン2に入り、劇団として本格的なスタートを切った「勝・新」。旗揚げ公演としてふたりは、劇団名にちなみ、“勝新(かつしん)”こと勝新太郎の代表作『悪名』に挑戦すると決めた。本作は1961年から上映された人気任侠映画シリーズで、劇団「勝・新」ではその第1作を中心にしたダイジェスト版を上演する。演出を手がけるのは生瀬。「相手とちゃんと会話して」「起きている事象への芝居をしっかり」など、生瀬は舞台で演じる上での意識を若い劇団員たちに叩き込んでいく。そんな生瀬の演出に対し古田は、「非常に分かりやすい。ご本人も役者さんだから、その人が今どういう気持ちになっているのか細かく説明してくれます」と厚い信頼を寄せる。勝新太郎の当たり役、河内の暴れ者・八尾の朝吉に挑むのは古田。自身「オイラなりの朝吉を」と語る古田の芝居は、演出の生瀬から見ても「素晴らしい。やっぱり舞台での古田くんはピカ一です」と言わしめるほど。また時に古田は、劇団員たちのために手本を見せることも。そんな古田の芝居を見て、「完全にインプットしました!」と息巻くのは劇団員のイマニヤスヒサ。だがイマニの芝居を見た生瀬から、「全然出来てないじゃん!(笑)」とストップがかかると、スタッフや共演者からは爆笑が巻き起こっていた。また、WOWOW放送の『勝・新(KATSUARA)』では毎回豪華なゲストも話題で、シーズン1では伊勢谷友介、吉高由里子、藤原竜也などが登場。最終回にはなんとあの長澤まさみが出演しており、劇団「勝・新」の旗揚げを大いに盛り上げる。生瀬が「大人のバラエティって感覚で始まった番組ですが、みんなと稽古をしている今、真面目な気持ちでこの12人と向き合っていると自負しております」と語ると、その横では古田が力強く頷く。若い才能に触れ、舞台への思いを新たにしたふたり。今後、生瀬はケラリーノ・サンドロヴィッチ作・演出の『祈りと怪物~ウィルヴィルの三姉妹』(12月より東京・シアターコクーンにて上演)に、古田は自身が所属する劇団☆新感線の新作、SHINKANSEN☆RX『ZIPANG PUNK~五右衛門ロックⅢ』(12月より東京・東急シアターオーブにて上演)への出演が決まっている。映像から舞台へと、怪優ふたりの快進撃はまだまだ止まることを知らなそうだ。取材・文:野上瑠美子
2012年08月28日藤原竜也が主演する豊田利晃監督作『I’M FLASH!』の外国特派員協会主催記者会見が20日に都内で行なわれ、藤原と豊田監督が本作にかける熱い思いを語った。その他の写真映画『I’M FLASH!』は、新興宗教団体の若きカリスマ教祖(藤原)が、ある事件をきっかけに辿ることになる過酷な運命を描いたヒューマン・ドラマ。藤原のほか、松田龍平、水原希子、永山絢斗、北村有起哉、柄本佑、中村達也、大楠道代ら豪華キャストが出演する。豊田監督は「この映画は2011年に撮った映画なんです。3.11という出来事を撮るには早すぎる…。でもその影響下からは逃れられない…。そういう死の連鎖を断ち切ろうとした決意表明なんです」とコメント。雪山を舞台にした前作『モンスターズクラブ』から一転して、沖縄で撮影を行なった今作について「沖縄を選んだのは天国に近い気がするというか、日本固有の神道というんでしょうか、そういう死生観を感じさせたかったんです」と話した。5年前から熱望していたという豊田監督との初タッグを実現させた藤原は「撮影現場は30回、40回テイクを重ねてもOKが出なくて大変でした(笑)。僕が演じたルイは、やるべきチャンスやタイミングを逃さず、背負い這い上がっていく姿が監督と重なりました」と撮影を振り返った。また、記者から「敢えてこうした難しい役柄を選んだのは何故か」と質問されると、「確かに安全な役を選んだ方が良いのではないかという思いはありました。でも、僕は楽な方より挑戦し続ける仕事の方が自分にとって良いと思ったんです。今までもそういう環境で育ってきましたし、何かに反発するとか、人と違うことをやってみるだとか、そういう事の方がおもしろく感じてます。自分の選択に間違いはないかな」と語った。『I’M FLASH!』9月1日(土)テアトル新宿ほか 全国ロードショー
2012年08月21日俳優の藤原竜也が8月20日(月)、東京・有楽町の日本外国特派員協会で開催された主演最新作『I’M FLASH!』の記者会見に、初タッグを組んだ豊田利晃監督(『青い春』、『空中庭園』)と共に出席した。同日、英語字幕付きの上映会も行われ、外国人記者からは2人に対し、さまざまな質問が投げかけられた。以前から豊田監督と仕事がしたかったという藤原さんが、本作で演じるのは新興宗教の若きカリスマ教祖・ルイ。信者からの崇拝を受け、セレブとしてメディアからも注目を浴びる存在だったが、ある事件をきっかけに人生を再考。教団を辞める決意をするが、それを許さない教団側は暗殺者(演じるのは初共演を果たした松田龍平)を差し向ける。藤原さんは「監督と出会って5年ほど経ち、ようやく実現したので本当に嬉しかった。ルイというキャラクターは監督自身を投影していると思える人物で、その分やりがいも大きい役」と感激しきり。それでも「40回、50回とテイクを重ねてもOKが出ない過酷な現場でした」と苦労をふり返った。一方、豊田監督は「撮影したのは昨年の9月。いま映画を撮るという場合“3.11”の影響からは逃れられないし、僕自身の周りでも俳優の原田芳雄さんが亡くなったりした。死の連鎖を断ち切るという決意表明を込めた作品」と熱弁。テーマはあくまで死生観だと言い、「その上で宗教というのはいいモチーフだと考えた。宗教そのものを描きたかったわけではないし、例えば主人公はプロ野球球団のオーナーでも良かった」とコメント。主人公・ルイの人物造形には南インド生まれの宗教家で、“星の教団”を設立したクリシュナムルティという人物が影響を与えているそうで「若い頃の写真が、藤原竜也そっくりなんですよ」と明かした。ある外国人記者からは「日本の俳優は、所属事務所に守られていて、リスクのある仕事はしないというイメージがある」と指摘されると、藤原さんは「興味深い質問ですね。そういう思いは僕にもありますが、僕の場合は挑戦し続けられる環境にいるし、今回も僕のわがままを(所属事務所の)ホリプロのスタッフが聞いてくれたので」と真摯な発言。これに対し、豊田監督も「お金も集めてくれたし、本当にすばらしい会社です」と感謝を示した。『I’M FLASH!』は9月1日(土)より全国にて公開。■関連作品:I’M FLASH! 2012年9月1日よりテアトル新宿、ユーロスペースほか全国にて公開© 2012「I’M FLASH」製作委員会
2012年08月21日『青い春』や『空中庭園』の豊田利晃監督が藤原竜也を主演に迎えて贈る最新作『I’M FLASH!』の公開に先駆け、8月7日(火)、本作の完成披露試写会が行われ、主演の藤原さんを始め、松田龍平、水原希子、板尾創路、仲野茂、そして豊田監督が舞台挨拶に登壇。撮影裏話や共演の感想など赤裸々トークを繰り広げ、詰めかけた多くの女性ファンたちを沸かせた。藤原さんが本作で演じるのは新興宗教のカリスマ教祖・ルイ。交通事故で同乗していた女性・流美(水原さん)に瀕死の重傷を負わせてしまったことをきっかけに、教団を辞める決意をするが、それは同時に教団に背くことを意味しており…。舞台挨拶の前から会場は女性ファンの興奮で満たされており、元「ミシェル・ガン・エレファント」のチバユウスケを中心に結成されたバンド「I’M FLASH! BAND」の激しい音楽と共に、劇中のルイを意識したのかのような真っ白の衣裳の藤原さん、スーツでビシッと決めた松田さんを始めとするキャスト陣と豊田監督が登場すると、黄色い歓声が会場中を覆い尽くした。かねてより豊田監督作品への参加を熱望していた藤原さんは「5、6年前からずっと仕事を一緒にしたいと言っていて、ようやく1本完成させていただいた。長年の夢が叶いました」と挨拶。すると、すかさず豊田監督から「その割には、9月しか(スケジュール)空いてなかったよね」と鋭いツッコミが。それに応戦とばかりに藤原さんは「才能のある監督の下でやるというのはこんなに大変なんだなと思いました。まず、OKが出ない。龍平とか希子ちゃんなんかはパッと来てすぐOKが出て、僕はNGばかりで本当に憎しみのこもった現場でした(笑)。15日間の撮影の中で、平均睡眠時間45分くらいの本当に過酷な撮影でした…」と恨みのこもった(?)撮影裏話を明かした。一方、「龍平は寝てたけどね」と監督から暴露された松田さんは「豊田監督との思い出はあんまりないですけど(笑)、10年ぶりに監督と仕事ができて嬉しかったです」とマイペースな語りぶり。それに輪をかけて撮影を楽しくふり返るのは板尾さん。「みんな忙しくしているのに、沖縄でボーッとしてるだけだったのですごく楽しかったです」。豊田監督の『青い春』を観て撮影に臨んだという水原さんは藤原さんとの共演シーンがほとんどだったそうだが、「現場では、私も藤原さんもいっぱいいっぱいだったので、あんまり喋ってないです」と告白。どうやら片思いであった藤原さんは「えっ!?そうだった?」とショックを隠せずにいた。さらに、松田さんとの危険なシーンの撮影に話が及ぶと、「龍平だけ褒められてた…」といじける藤原さん。これには「いや…別にオレも褒められてないよ。被害妄想なんじゃ…」と松田さんが返せば、板尾さんも「沖縄に行って、あんなに嫌な思いする人もなかなかいないよな(笑)」とフォローする始末であった。『I’M FLASH!』は9月1日(土)より全国にて公開。■関連作品:I’M FLASH! 2012年9月1日よりテアトル新宿、ユーロスペースほか全国にて公開© 2012「I’M FLASH」製作委員会
2012年08月08日俳優の藤原竜也が8日、都内で行われた主演最新作『I’M FLASH!』の完成披露試写会に共演する松田龍平、水原希子、仲野茂、板尾創路、メガホンをとった豊田利晃監督とともに出席した。その他の写真藤原にとっては、念願だったという豊田監督(『青い春』『ナイン・ソウルズ』)との初タッグ作品。昨年9月、沖縄で15日間というタイトなスケジュールで撮影が行われ、「朝から晩までNGの連続で、なかなかOKが出ない。毎日平均45分くらいしか寝させてもらえず、憎しみにあふれた現場でした。今後、僕の中でずっと残る作品」(藤原)。それだけに壇上でのPRにも熱がこもったのか、終始汗が止まらない状態で、舞台挨拶中3度も中座し「どうもすみません。それくらい熱い映画です」と恐縮しきりだった。藤原が演じるのは新興宗教のカリスマ教祖・ルイ。愛する女性(水原)から衝撃的な事実を聞かされ、教団をやめる決意をするが、それを許さない教団側はルイのボディガードである新野(松田)に秘かに教祖暗殺を命じる。初共演となる藤原vs松田の壮絶な演技バトルも大きな見どころで「役へのアプローチはまるで対照的。龍平との出会いは大きな収穫」(藤原)、「共演できて良かった。楽しい撮影でした」(松田)と手応えは十分。松田は『ナイン・ソウルズ』以来9年ぶりの豊田作品で、藤原とは対照的に涼しい表情を見せていた。水原は「自分の世界に入り込んでいたのか、(藤原さんに)話しかけても返事がこないことがありました」と現場での藤原の様子を暴露。一方、豊田組の常連である板尾は「みんなが忙しくしている中、沖縄でぼーっとしてるのが楽しかった。居心地のいい喫茶店のおばちゃんと仲良くなって、メニューにないものを作ってもらったり(笑)」とこちらはのんびりモードで撮影に臨んだようだ。連続爆破犯にインスパイアされた『モンスターズクラブ』に続き、野心作を放った豊田監督は「去年の3.11の1週間後、竜也と下北で飲んで『年内に一緒に映画を撮ろう』と話していた。その約束を果たすことができた」と感無量の面持ち。映画には藤原ら登壇者に加えて、永山絢斗、北村有起哉、柄本佑、中村達也、大楠道代ら豪華なキャストが顔を揃える。『I’M FLASH!』9月1日(土)テアトル新宿ほか 全国ロードショー
2012年08月08日大沢たかお、松嶋菜々子、 藤原竜也が三池崇史監督の新作『藁の楯』で共演することが発表された。その他の写真本作は、漫画家、映画監督などマルチに活動する『BE-BOP-HIGHSCHOOL』のきうちかずひろが、木内一裕名義で書き下ろした同名小説が原作。物語は、孫娘を殺された資産家が、「この男を殺してください。清丸国秀(きよまるくにひで)。御礼として10億円お支払いします」と新聞に全面広告を出したことから始まる。大沢は、日本国民1億2千万人から命を狙われることになる殺人犯・清丸を護送する警視庁警備部SP・銘苅一基(めかりかずき)役を、松嶋は、そのパートナーである白岩篤子(しらいわあつこ)役を演じ、藤原は、惨殺事件を起こす凶悪犯・清丸国秀役で出演する。三池監督と初タッグを組む大沢は「この小説の映画化をずっと心待ちにしてました。大好きな三池監督と共にスタッフ、キャストと一丸となって撮影に挑みたいと思います」とコメント。共演者のふたりは「監督の世界観に染まれるよう、スタッフ、キャストの皆さんと共に、全力を注ぎたいと思っております。“生きる価値が無い”と容認された犯人を守り抜く事は、はたして“正義”なのか…。観終わった後に何かしらを感じて頂けるよう頑張ります」(松嶋)、「久々の三池組で、こういった特殊な悪役をやらせていただけるのは非常に光栄です。共演の方々も初顔合わせが多いので新鮮ですし、この夏どっぷり三池ワールドに浸からせていただきます」(藤原)と意欲的だ。三池監督は「最強のキャスト。空前のスケール。ハリケーンのような物語。…熱い夏になりますね」と語っている。撮影は8月19日(日)にクランクインし、10月上旬にクランクアップする予定。2013年のゴールデンウイークに公開される。『藁の楯』2013年GW全国公開
2012年07月31日『一命』、『愛と誠』と2年連続でカンヌ国際映画祭への出品を果たし、精力的に映画を撮り続ける鬼才・三池崇史監督がこの夏、新たな異色作に挑む。木内一裕の人気小説「藁の楯」を原作に、国民的俳優の大沢たかおと松嶋菜々子、そして藤原竜也という強力キャストを得て、アクションサスペンス大作がいよいよ始動する!漫画「ビーバップ・ハイスクール」の原作者として知られる一方で、映画監督・小説家としても活躍する木内一裕の小説を原作とする本作。「この男を殺してください。清丸国秀。御礼として10億円お支払いします」という見出しが新聞に踊り、2人の少女を惨殺した殺人鬼・清丸は日本国民1億2,000人から命を狙われることに。いつ、どこで、誰が襲ってくるか予測のつかない中、身の危険を察知し自首してきた清丸を福岡から東京まで移送することを命じられた5人の警察官。命を懸けて“人間の屑”と呼ばれる男(=藁)の“楯”となることにどんな意味があるのか?警察官としての任務、一人の人間としての正義、その狭間で揺れる5人の警察官たちの葛藤と孤軍奮闘を描き出す。「この小説の映画化をずっと心待ちにしてました!」と、今回の映画化に心震わせるのは、殺人犯・清丸を護送する警視庁警備部SP・銘苅一基(めかりかずき)役に抜擢された、大沢たかお。現在、大ヒット中の『おおかみこどもの雨と雪』では声優として宮崎あおいと夫婦役で共演している大沢さんだが、本作ではパートナー・白岩篤子役の松嶋菜々子と共演を果たす。松嶋さんは今回が三池組初参加となるが、共に「大好きな三池監督と共にスタッフ、キャストと一丸となって撮影に挑みたいと思います」(大沢さん)、「三池監督とご一緒できることがとても楽しみです。この作品で初めて経験することもありますが、監督の世界観に染まれるよう、スタッフ、キャストのみなさんと共に全力を注ぎたいと思っております」(松嶋さん)と意気込みも充分。そして、常軌を逸した1億2,000万人に命を狙われる“人間の屑”こと殺人鬼・清丸国秀役に抜擢されたのが、藤原竜也。全日本国民の殺気を一身に背負うという難役だが、「久々の三池組で、こういった特殊な悪役をやらせていただけるのは非常に光栄です」と意気揚々といった様子。さらに、「この夏どっぷり三池ワールドに浸からせていただきます」と体当たりで挑む心構えを感じさせる。この頼もしい布陣に三池監督も「最強のキャスト。空前のスケール。ハリケーンのような物語…熱い夏になりますね」と並々ならぬ期待感を覗かせる。本作は8月19日(日)よりクランクインを予定しており、10月上旬にクランクアップ予定。この熱い戦いを見せてくれるメインキャストとなる残りの警察官たちの俳優陣、そして彼らを襲う敵の正体も気になるところだが、期待と共に続報を待ちたい。『藁の楯』は2013年GW、全国にて公開予定。■関連作品:I’M FLASH! 2012年9月1日よりテアトル新宿、ユーロスペースほか全国にて公開© 2012「I’M FLASH」製作委員会藁の楯 2013年GW、全国にて公開おおかみこどもの雨と雪 2012年7月21日より全国にて公開© 2012「おおかみこどもの雨と雪」製作委員会
2012年07月31日『バトル・ロワイアル』がアメリカでTVドラマ化される企画が進行中だ。高見広春の同名小説を基に、北野武、藤原竜也、栗山千明らが出演し2000年に公開された故・深作欣二監督作品『バトル・ロワイアル』を米CWテレビジョンネットワークがテレビドラマ化するために、同局の重役たちと同作の代表者らが現在交渉を行っているという。日本でも9月28日(金)から公開予定で、同様のストーリーラインを持つ『ハンガー・ゲーム』の全米での大ヒットを受けて同局がTVドラマ化に乗り出した模様だ。ただ同局でのドラマ化にはいくつか懸念材料もあるようだ。コンピューター管理された無人島で中学3年生同士が最後の1人になるまで殺し合う残虐性が話題を呼んだオリジナル作品を、いかにアメリカのTVドラマとして製作するのかという点に加え、さらにCW側は現在別の企画として同様のディストピア世界を描いたドラマ「The Selection」(原題)の制作を進めており、設定の似通った『バトル・ロワイアル』とのカニバライズが懸念されている。『バトル・ロワイアル』でも怪演を見せた北野武の最新作『アウトレイジビヨンド』は、来月29日に開催される第69回ベネチア国際映画祭のコンペティション部門に出品されることが27日(金)に決定している。『アウトレイジビヨンド』は10月6日(土)に公開予定だ。■関連作品:バトル・ロワイアル3D 2010年11月20日より公開© 2010「BR3D」製作委員会アウトレイジビヨンド 2012年10月6日より新宿バルト9、新宿ピカデリーほか全国にて公開© 2012 「アウトレイジ ビヨンド」製作委員会
2012年07月30日“闇金”という社会のタブーを通して人間が陥る穴を描いた映画『闇金ウシジマくん』でヒロイン・鈴木未來を演じる大島優子(「AKB48」)が、7月12日(木)より開幕中の北米最大の日本映画祭「JAPAN CUTS~ジャパン・カッツ!」にて輝く若い才能に与えられる「Cut Above Award for Outstanding Debut」を受賞することが決定した。10日(ト)で5(ゴ)割という法外な利息でカネを貸し付ける闇金業者・丑嶋(ウシジマ)の元に救いを求めにやってくる債務者たちの姿を通じて人々の欲望、社会の歪みを巧みに描き出す本作。大島さんは安易なバイトで泥沼にハマるフリーター・未來役で、どこにでもいる平凡な女の子の日常と非日常を見事に体現している。今年で第6回を迎える「JAPAN CUTS~ジャパン・カッツ!」では、過去には『愛のむきだし』や『ゆれる』などの日本映画が上映され、藤原竜也や荻上直子監督ら日本映画界を代表する俳優や監督が数多く出席してきた、まさに“旬な日本映画”が集結する映画祭。今回、大島さんの受賞が決定した「Cut Above Award for Outstanding Debut」は、映画人としての能力をより深く見出すため、俳優・女優だけではなく、監督、プロデューサーの中から一際輝く若い才能に与えられるもの。大島さんは“汚れ役”とも言える今回の役柄を演じる上で苦労も多かったようで「(未來は)光と闇を彷徨う難しいキャラクターで、演じる上で悩んだことも多かったですが、女優として賞をいただいたこともなかったですし、遠く離れたニューヨークの映画祭で評価をいただいたと聞いて、とても光栄に思っています!」と喜びもひとしお。ここ最近では内田けんじ監督作『鍵泥棒のメソッド』が第15回上海国際映画祭にて脚本賞を受賞、同映画祭にて森山未來主演作『苦役列車』も喝采を浴びるなど、日本映画の海外での評価が目覚しい。そんな中での大島さんの今回の快挙は、海外での日本映画への期待や注目をさらに高めてくれそうだ。『闇金ウシジマくん』は8月25日(土)より新宿バルト9ほか全国にて公開。■関連作品:闇金ウシジマくん 2012年8月25日より新宿バルト9ほか全国にて公開© 2012真鍋昌平・小学館/「闇金ウシジマくん」製作委員会
2012年07月12日藤原竜也と永作博美が初共演&W主演する劇団☆新感線の最新作「いのうえ歌舞伎『シレンとラギ』」。5月14日に千秋楽を迎えた大阪公演に続き、5月24日(木)より東京公演が始まる。前日23日には公開リハーサルが行われ、出演の藤原竜也、永作博美、高橋克実、古田新太が会見に応じた。『シレンとラギ』チケット情報いのうえ歌舞伎とは、いのうえひでのりが演出を手がける神話や史実などをモチーフとした新感線の時代活劇シリーズ。今回の物語は、南北朝のようなふたつの王朝がある時代背景。毒使いのシレン(永作)は、20年前に暗殺したはずの南の独裁者・ゴダイ(高橋)が生きていたことを知り、王宮警備にあたる若きラギ(藤原)とともに再びゴダイを殺しに南へと向かう。だが、ふたりを待ち受けていたのはふたつの王朝に渦巻く陰謀と因果。人々の愛憎に翻弄されるふたり。新感線作品には珍しくラブストーリーも盛り込まれており、任務の中でシレンとラギは互いに惹かれあっていくが、この恋がふたつの王国を大きく動かすことになってしまう。花道や見得を切っての決めポーズなど、歌舞伎を思わせる手法を使いながらも、劇中の音楽は重低音のロックナンバーが響き渡る。ロックバンドのコンサートのようなド派手な照明と音響、ダイナミックな殺陣、次から次へとテンポよく場面が移り変わっていく展開は、観客をまったく飽きさせない。サービス精神旺盛ないのうえならではの演出は、初心者にも観やすく、随所にある笑いも、絶妙なアクセントになっている。新感線の公演アンケートで「出てほしい俳優」として常に上位にランクインされながらも今回が初出演となる藤原は「劇団に客演として出演するのも初めて。今まで触れていなかった環境で、日々新たな発見があります。すでに大阪でやっているので、東京ではもっと完成されたものをお見せできたら」とコメント。19年ぶりに新感線の舞台に出演する永作は、「うれしい。本望です。この先の目標として次に何をたてようか、という感じ」と念願が叶った様子。同じく初参加の高橋は「キャストもスタッフも、受け入れる体制がパーフェクトなので、外から入っても気が楽ですね。ただ、新感線には減点制みたいなものがあって、大阪公演でズボンをはかずに(舞台に)出てしまい、かなり減点されました」と自らのミスを暴露する場面も。劇団内の雰囲気は良好のようで、古田は「うちの劇団は体力的にきついんですけど、あいかわらず和気あいあいとしています。和を乱すのは北村有起哉くらいですかね。よくわからないんですよね……いい役者なんだろうけど」と突き放し、笑いを誘った。他にも、新感線初参加の石橋杏奈や個性派俳優の三宅弘城と、古田を筆頭に橋本じゅん、高田聖子、粟根まことら劇団員が2年ぶりに勢ぞろいするのも楽しみ。新感線ワールドを存分に味わえそうだ。東京公演は5月24日(木)から7月2日(月)まで青山劇場にて上演。チケットは発売中。取材・文:大林計隆
2012年05月24日『青い春』、『空中庭園』の豊田利晃監督の最新作『I’M FLASH!』のマスコミ向け完成披露試写会が5月17日(木)に都内で開催され、上映前に豊田監督と主演の藤原竜也が舞台挨拶に立ち、映画さながらの愛と憎しみの交じった“舌戦”を繰り広げた。新興宗教のカリスマ教祖・ルイ(藤原さん)が、交通事故で同乗の女性に瀕死の重傷を負わせ、ほとぼりが冷めるまで孤島に逃れるが、そこでの日々が彼を少しずつ変えていく。やがてルイは教団を辞することを決意するが、それは教義に背くことを意味していた…。豊田作品への出演を以前より熱望していた藤原さんは「夢が叶った」と満足そう。2003年の『ナイン・ソウルズ』以降、ずっと監督にラブコールを送り続けており、実現しかけた企画もあったが結局なくなってしまったため、およそ10年の歳月を経て夢を結実させた。監督は「昨年の震災の後、藤原くんから電話がかかってきて『年内に1本撮ろう』という話になった。でも藤原くんは9月しか空いてなくて、GOサインが出たのは6月。『何を作ったらいいのか?』と思いましたが震災で多くの人が亡くなり、僕も身近な友人を3人亡くしました。“死”をテーマにエンターテイメントが作れないかと思った」と作品について語った。過酷なスケジュールも去ることながら、撮影自体もかなり厳しいものだったよう。藤原さんは「いまふり返っても、毎日地獄でした。『ここまでOK出ないか?』というくらい出ない」と監督の演出を述懐。「(松田)龍平なんてちょっと喋ったら『はいOK』ってなるのに。雨上がりにサンダルで水中銃を持って走るシーンがあって、滑るんですが監督に『もう少しスピード出せる?』と言われて、『やります』と猛ダッシュした。龍平は革靴で後ろから追いかけてくるんですが、終わった後、監督が近づいてきたので初めて褒められるのかと思ったら、僕はスルーして龍平に『よかったよ』って(苦笑)。僕は現場に対して真面目でいよう、挨拶とかもしっかりしようと思ってたけど、そのとき、この現場は勝手に来て勝手に帰ればいいって心に誓った。才能ある監督と仕事するのはここまで自己否定しなくちゃいけないものなのかと思った」と恨みつらみをぶちまけ、「憎悪と尊敬の念だけでやってきた」と明かした。当の監督は藤原さんの演技についてサラリと「最高でしたよ」と絶賛。「舞台で百人や千人の前で芝居するのと、映画でひとりの前で芝居するのは違う。藤原くんは“蜷川の呪い”が掛かり過ぎてるので、それを解くのが僕の仕事だった」と語った。藤原さんの恨み節はさらに続き「『蜷川の舞台じゃない』とか『カイジ』じゃないよ、とボソッとボディブローで攻めてくるんです」と告白。当然、そこまで追い詰められたからこそ充実感も感じているようで、特に松田さんとの共演については「面白かった。龍平との出会いはこの映画での大きな収穫」と語り、「久しぶりに一流の映画人に囲まれて、ドロドロにもまれて撮影できた」と晴れ晴れとした表情を見せていた。『I’M FLASH!』は9月1日(土)よりテアトル新宿、ユーロスペースほか全国にて公開。
2012年05月17日沢尻エリカの5年ぶりのスクリーン復帰作として注目を集める『ヘルタースケルター』。このたび本作のテーマソングが浜崎あゆみの代表曲「evolution」に決定!さらに、蜷川実花監督が沢尻さん扮するりりこを撮り下ろした本作のポスター・ビジュアルが公開された。カルト的人気を集める岡崎京子の同名コミックを、蜷川実花の指揮のもと、沢尻さんら豪華キャスト陣で映画化した本作。全身整形で作り上げた完璧な“美”を武器に、欲望渦巻く芸能界のトップに上り詰めたりりこが周りの人間を巻き込みながら疾走していくさまが描かれる。テーマソングに決まった「evolution」は2001年に発売され大ヒットを記録した浜崎さんの代表曲。「この映画のテーマは“東京”という街に消費されながらも、しなやかに立ち続ける女性を描くことでした。このテーマに合う日本のアーティストは浜崎あゆみしかいないと思います」と言い切る蜷川監督の、熱烈なラブコールにより今回のタッグが実現した。10年以上前の楽曲がテーマソングとなったことに、原作の大ファンだという浜崎さんは「最初はびっくりしましたが、監督たっての希望ということと、同じ事務所のエリカの大切な作品ということで喜んでお受けしました」とコメント。主演の沢尻さんも「あゆさんは昔から大好きなアーティストさんなので、大変喜んでいます。今作は、私も、原作に衝撃を受けて臨んだ作品。こうしてあゆさんの楽曲でさらに花を添えていただけたことで、より魅力的な作品になったと思います」と喜びを語っている。また、このたび公開されたポスターは、写真家として活躍する蜷川監督らしい色鮮やかで衝撃的なビジュアルに。物語の舞台となっているりりこの部屋で撮影されており、りりこの後ろには極彩色の唇、横には大森南朋、綾野剛、水原希子ら豪華共演陣の写真が収められている。美しさとは何か?若さとは何か?欲望とは?愛とは?「最高のショーを、見せてあげる」という挑発的なキャッチコピーにもあるように、りりこが私たちにどんな世界を見せてくれるのか、楽しみに待ちたい。『ヘルタースケルター』は7月14日(土)より丸の内ピカデリーほか全国にて公開。■関連作品:ヘルタースケルター 2012年7月14日より丸の内ピカデリーほか全国にて公開© 2012 映画『ヘルタースケルター』製作委員会■関連記事:水原希子「運命を感じました!」豊田利晃監督作で藤原竜也と競演!竹中直人&蜷川実花、フランス観光親善大使就任で熱い“フランス愛”を激白下着姿で佇むエリカ様、掟破りの過激さ!『ヘルタースケルター』特報映像が解禁蜷川実花撮り下ろし!肩出しエリカ様が挑戦的に見つめる『ヘルタースケルター』ポスター完成沢尻エリカ「私がいるのは、みんなのおかげ」周囲への感謝を語る
2012年04月26日俳優の瑛太が4月21日(土)、東京・渋谷のユーロスペースで行われた主演作『モンスターズクラブ』の初日舞台挨拶に、メガホンを取った豊田利晃監督、共演する草刈麻有、ピュ~ぴると共に舞台挨拶に立った。豊田監督が全米を震撼させた爆弾魔“ユナボマー”にインスパイアされ、オリジナルのシナリオを書き上げた本作。現代社会を捨て、雪山の小屋で自給自足の生活を送りながら、テレビ局や企業に爆弾を送り続けている良一(瑛太)はある日、森で出会った奇妙な“怪物”に導かれ、さらなる闇の世界へと誘われる。瑛太さんは豊田監督の『青い春』(’02)で映画デビューし、その後『ナイン・ソウルズ』(’03)、『空中庭園』(’05)と豊田作品に出演。今回、4度目のタッグにして満を持しての主演起用で、狂気と繊細さを持ち合わせる複雑な主人公を熱演した。「デビュー後、わりとドラマへの出演が増えたんですが、たまに豊田監督に会うと『お前、なんだよ』『そんなんでいいのか』って辛口の意見をいただいて…」と瑛太さん。自身にも「成長したい、変わりたいという気持ちがあった」と言い、「今回は自分の思いを全部さらけ出し、監督に見てもらいたいという気持ちだった」と作品に賭ける熱意は格別だ。「俳優としての原点を作ってくださった」と豊田監督への感謝も忘れなかった。豊田監督は「昨年2月に雪深い山形で撮影した。悲しいこと、楽しいこと、スリリングなことがたくさんあった撮影で、一言で言えば辛いものがあったが、こうして初日を迎えることができてありがたく思っている」。兄妹役で共演した草刈さんは「役作りのうちから、セットに泊まったり、すごく意識が高い方。私も見習いたい」と瑛太さんの役者魂に感服した様子。現代アートのパフォーマーとして活動し、今回、映画に初出演したピュ~ぴるさんは「普段はひとりで物作りしているので、大勢のスタッフや役者さんとの共同作業はすごく新鮮。自分自身が成長するための新たな要素をもらえた」と語った。『モンスターズクラブ』は公開中。■関連作品:モンスターズクラブ 2012年4月21日よりユーロスペースほか全国にて公開© GEEK PICTURES■関連記事:豊田利晃監督×瑛太×窪塚洋介インタビュー映画のほうからやって来る「風」水原希子「運命を感じました!」豊田利晃監督作で藤原竜也と競演!瑛太「辛いことあったけどずっと一緒にいてくれた」と窪塚洋介への感謝の思い明かす瑛太×窪塚洋介の競演!『モンスターズクラブ』完成披露試写会に10組20名様ご招待藤原竜也、念願の豊田利晃作品に主演で松田龍平と共演!
2012年04月23日「映画は作ろうと思って作るのではなくて、映画のほうからやってくるものだと思う」――。彼の作りだす映画には、予測不能でありながら常に「今」という時代を突く衝撃が伴う。『蘇りの血』で鮮烈なカムバックを果たしてから3年、豊田利晃監督が送り出す新たなる衝撃作『モンスターズクラブ』。その時を待っていたかのように、10年越し、4度目のタッグにして待望の初主演作を実現させた瑛太、そして豊田組初参加を果たした窪塚洋介と共に、本作について語ってもらった。どこまでも白く、奥深い雪山。社会と断絶した場所でひとり孤独に生きる主人公・良一(瑛太さん)。彼のモデルになっているのは、18年間全米を震撼させ続けた爆弾魔“ユナボマー”ことセオドア・ジョン・カジンスキーだ。産業の発達によって導き出された現代社会への憂いを、良一は爆弾にしたため告発している。だが、最後の目的を果たしたそのとき、彼のもとに自殺したはずの兄・ユキ(窪塚さん)が姿を現し――。社会に対して、絶望と怒りを抱えて生きる良一。そして彼に「生きる」ことを教える存在であり、越えられない絶対的な存在である兄・ユキ。兄弟以上に特別な絆で繋がれた2人に、瑛太さんと窪塚さんを抜擢した理由は?監督:「映画は作ろうと思って作るのではなくて、映画の方からやってくるものだと思うんです。そしてそのときにいい風が吹いてないと僕は映画を作れない。今回、この風の中に現れたのが瑛太であり、窪塚くん。これだけのキャストが揃ったら、喧嘩は絶対勝てそうですよね(笑)」豊田監督とは10年来の付き合いとなる瑛太さんは今回、自ら本作への参加を熱望。7年ぶりとなる豊田組の現場に対して並々ならぬ思いがあったようだ。また、初めての参加となる窪塚さんも、その独特の緊張感を語らずにはいられない。瑛太さん:「自分の映画デビュー作が豊田さんの作品だったということもあり、豊田組は自分の中のどこかで還ってくる場所だと思っていました。しっかり気を引き締めないと、すべてがバレてしまう場所。『青い春』(’01)で“オバケ”という原作にはない役をもらったときから、いつか豊田さんの作品のど真ん中に立って演じるんだと密かに思っていましたし、あとは反応していくだけだと。監督の『よーい、スタート』の掛け声はすごく迫力があっていつも緊張します。この緊張感は豊田組ならではだと思います」窪塚さん:「監督とは初めてでしたが、何も言わずに突然刺しそうな、通り魔的な狂気を感じました。それがこの作品にとって良い風に出たと思います。僕は3日間だけの撮影だったのですが、短い分、良い意味で、監督の霊気が際立っているように感じました」実際の撮影現場では、本読みや役作りについての話し合いもせず、脚本を読んだときの役者の“直感”に委ねるという豊田監督。一方、瑛太さんは今回の役作りにおける苦悩を明かす。瑛太さん:「ユナボマーについての本を読みましたが、正直、僕には分からないことがたくさんありました。彼の“ぶっ壊したい”気持ちは分かりますが、彼の起こした事件では実際に人が死んでいるんで…。頭だけでは理解できないところはありますね」全編オールロケで撮影が行われたのは山形・最上町の雪積もる山中。氷点下での撮影への挑戦は多大な苦労を伴ったようだが、瑛太さんはそれを超える恐怖を体験したとか…。瑛太さん:「撮影に入る前にセットの山小屋にひとりで一泊したのですが、夜が更けて、映画に出てくる『P』みたいな白塗りのオバケがいきなり現れたんです。それは、豊田監督に行けと言われた助監督だったのですが、それがすごく怖くて、事前の役作りなんか全然できなかったです(笑)」そんな恐怖(?)も経て、良一の絶望と怒りを通して「生きる意味」を見事に体現させた瑛太さん。本作の最後には、そんな良一の人生最大の“決別”が描かれている。そこに宿る、新たな感情とは――?3人は力強く言葉に込める。監督:「今の時代をどうやってサバイブしていくか、この作品を通して少しでも考えてもらえれば嬉しいです」窪塚さん:「自分がやりたいことを自分らしくやり続けるために何か邪魔なものがあるんだったら、それをぶっ壊すことのできる作品になればいいなと思います」瑛太さん:「自分の思い通りにいかないことは誰にでもあると思います。でも結局、道を切り拓いてくのは自分自身。行く道を決めあぐねているときに観てもらい、何か引っかかってくれれば嬉しいなと思います」(Interview:Yuka Kinbara)■関連作品:モンスターズクラブ 2012年4月21日よりユーロスペースほか全国にて公開© GEEK PICTURES■関連記事:水原希子「運命を感じました!」豊田利晃監督作で藤原竜也と競演!瑛太「辛いことあったけどずっと一緒にいてくれた」と窪塚洋介への感謝の思い明かす瑛太×窪塚洋介の競演!『モンスターズクラブ』完成披露試写会に10組20名様ご招待藤原竜也、念願の豊田利晃作品に主演で松田龍平と共演!瑛太が「おれを出せ」と直談判!豊田利晃監督が最新作の秘話を明かす
2012年04月20日『空中庭園』、『モンスターズクラブ』の豊田利晃監督が、藤原竜也を主演に迎えて贈る最新作『I’M FLASH!』。本作のキーマンとも言えるミステリアスな美女を、ファッションリーダーとして女性から圧倒的な人気を集めるモデルで女優の水原希子が演じることがこのほど明らかとなった。圧倒的なカリスマ性で連日マスコミに取り上げられる、新興宗教団体「ライフイズビューティフル」の若き3代目教祖・ルイ(藤原竜也)。そんな毎日に辟易した彼はミステリアスな美女・流美と出会い、ドライブに出かけるのだが、バイク事故を起こしてしまい、容疑者として追われる羽目に…。独特の世界観と演出力で絶大な人気を誇り、“映画界の異端児”と称される豊田監督。キャスティングにも相当のこだわりを持つ監督が今回ヒロインに抜擢したのが、水原希子。『ノルウェイの森』(’10)での瑞々しい演技が記憶に新しいが、7月公開予定の蜷川実花監督作『ヘルタースケルター』に続く大抜擢となった。水原さんが本作で演じるのは、藤原さん扮するルイに近づく謎の美女・流美。彼女の魅力に取りつかれたルイは予想だにしない運命に翻弄されていく。ミステリアスな魅力が必要とされる難役だが、豊田監督は水原さんのキャスティングについて「彼女はエレガントな野生の馬のような人なので、それを追いかけるような撮影方法を取りました。彼女の素晴らしさを捕まえることができたことに満足しています」と喜びのコメント。一方、水原さんは本作の出演に運命を感じたといい、というのも「このお話をいただく1週間くらい前に、たまたま『青い春』を観ていいな!と思っていました。豊田監督のほかの作品も観てみようと思っていた矢先に、出演のお話をいただき運命を感じました!」とのこと。また、初共演となる藤原さんについては「ジェントルマンで、リードしていただいたので、安心して身を置いて演じられました。ただそれだけでなく、緊張感もあってパートナーとしてとても良かったです」と、先輩俳優にすっかり身を委ねた様子。果たして、謎の美女・流美がストーリーにどんな影響をもたらすのか?女優・水原希子の今後の活躍にも注目したい。『I’M FLASH!』は9月、全国にて公開。■関連作品:モンスターズクラブ 2012年4月21日よりユーロスペースほか全国にて公開© GEEK PICTURESヘルタースケルター 2012年7月14日より丸の内ピカデリーほか全国にて公開© 2012 映画『ヘルタースケルター』製作委員会■関連記事:竹中直人&蜷川実花、フランス観光親善大使就任で熱い“フランス愛”を激白下着姿で佇むエリカ様、掟破りの過激さ!『ヘルタースケルター』特報映像が解禁瑛太「辛いことあったけどずっと一緒にいてくれた」と窪塚洋介への感謝の思い明かす蜷川実花撮り下ろし!肩出しエリカ様が挑戦的に見つめる『ヘルタースケルター』ポスター完成瑛太×窪塚洋介の競演!『モンスターズクラブ』完成披露試写会に10組20名様ご招待
2012年03月27日小惑星探査機“はやぶさ”の奇跡的な帰還を、オリジナルドラマで描いた映画『おかえり、はやぶさ』の着ぐるみ宣伝部長“はやぶさクン”が先ごろ弊社を訪れ、受付業務や宣伝活動を行った。その他の写真本作は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の協力のもと、『釣りバカ日誌』シリーズや『鴨川ホルモー』の本木克英監督が、昨年6月、小惑星イトカワのサンプルを採取するために7年間、60億キロの宇宙の旅を果たした“はやぶさ”の姿を全編3D映像で描いた作品。プロジェクト成功への険しい道のりと、その過程で生まれたチームメンバーの絆が描かれており、エンジニアの助手として働く主人公を藤原竜也が、理学博士役を杏が演じている。1月の完成披露試写会でデビューした“はやぶさクン”は、日本各地に出張し、テレビ番組に出演するなど精力的に宣伝活動を行ってきた。幅130センチ、奥行125センチとかなり大きい体だが、この日は弊社受付で業務をこなし来客を喜ばせ、オフィスでは持ち前の可愛い動きと愛嬌を見せて弊社社員を魅了。“はやぶさクン”をひと目見ようと彼の周りには多くの人が集まった。“はやぶさクン”は、記念撮影にも快く応じるなどサービス精神も旺盛で、温かい声援に包まれながら“任務”を終え、弊社を後にした。『おかえり、はやぶさ』<3D・2D>公開中(C)2012「おかえり、はやぶさ」製作委員会
2012年03月12日「ぴあ」調査による3月10日公開の映画・満足度ランキングは、ロバート・ダウニーJr.主演のシリーズ第2弾『シャーロック・ホームズ シャドウ ゲーム』がトップに輝いた。2位に探査機“はやぶさ”の偉業を描いた藤原竜也主演の人間ドラマ『おかえり、はやぶさ』が、3位に韓国の人気俳優カン・ドンウォンとコ・スの共演による『超能力者』が入った。その他の写真1位の『シャーロック・ホームズ…』は、前作に引き続きガイ・リッチーが監督を務め、ロバート・ダウニーJr.とジュード・ロウが名コンビ、ホームズとワトソンに扮するアクション・サスペンス。出口調査では「先の展開が読めないのでワクワクした。『3』が作られたらぜひ観たい!」「カット割りや盛り上げる演出などエンタテイメント性が高い。伏線が張られているので最後まで気が抜けない」「前作と比べてホームズのキャラが弾けていて変装し過ぎだけど、女装は最高!」「ジュード・ロウが活躍していてうれしい」「前作に引き続きスピード感のある展開がいい。ふたりの絆の深まりを感じた」「ホームズとモリアーティ教授との緊張感のある対決シーンがよかった」など、20代を中心に高い満足度を集め、前作『シャーロック・ホームズ』の満足度83.6点を上回った。2位の『おかえり、はやぶさ』は、オリジナルドラマを盛り込み“はやぶさ”の帰還に携わった人々の功績を全編3Dで描いた作品。アンケート調査では「仕事をするJAXAの人たちがとってもカッコよかった」(5歳)、「いろいろな惑星や宇宙のことを知ることができて楽しかった」(13歳)、「開発者たちの苦労や先人たちの夢、知識を伝承していく姿を鮮明に描いた心に響く作品」(58歳)、「宇宙を疑似体験できる映像がよかった」(73歳)など、家族連れから好評。中には「はやぶさの映画はすべて観たが、それぞれ視点が異なっていて違った見方ができる。3作全部観る価値がある」というコメントもあった。(本ランキングは、2012年3月10日(土)に公開された新作映画6本を対象に、ぴあ編集部による映画館前での出口調査によるもの)
2012年03月12日俳優の藤原竜也が3月10日(土)、東京・有楽町の丸の内ピカデリーで行われた主演作『おかえり、はやぶさ』の初日舞台挨拶に共演する杏、前田旺志郎(まえだまえだ)、三浦友和、本木克英監督と共に登壇。2014年に打ち上げが予定されている小惑星探査機はやぶさの後継機「はやぶさ2」について「ぜひ応援したい」とエールを送った。宇宙空間を孤独に航行し、ラッコ型の小惑星・イトカワのサンプル採取に成長したはやぶさの7年にわたる軌跡を、オリジナルストーリーで描く。翌3月11日は、小惑星の名前の由来にもなっている日本ロケット開発の父・糸川英夫博士が1955年、人類初のペンシルロケットの水平発射実験を行った、日本宇宙開発の第一歩となった歴史的な日だ。舞台挨拶には、そのペンシルロケットの手持ち模型が登場し、元々宇宙マニアだった藤原さんや、本作出演をきっかけに宇宙好きになったという旺志郎くんは興味津々。さらに現在、打ち上げ能力が最も高いとされる最新技術を搭載する最新ロケット「H-IIB」の25分の1のモデルのお披露目、同ロケット発射時の音を再現する音響実験など、映画の余韻をさらに深める“宇宙”イベントが行われた。藤原さんは、はやぶさのイオンエンジンを担当するJAXAのエンジニア助手を演じており「日本(の宇宙開発の予算)はNASAの10分の1の予算と聞いています。もっともっと国を挙げて日本の力を世界に見せつければ、盛り上がるはず」と熱弁。新米理学博士を演じた杏さんは「大人の方が観れば、童心に帰って夢や希望を感じられるし、子どもには夢を持ってもらえる作品になっています」とアピールしていた。『おかえり、はやぶさ』は全国にて公開中。■関連作品:おかえり、はやぶさ 2012年3月10日より全国にて公開© 2012「おかえり、はやぶさ」製作委員会■関連記事:『おかえり、はやぶさ』藤原竜也インタビュー立ち止まることのない、“勝負”のとき本木克英監督、3本の『はやぶさ』映画の中で「一番いいと自負」と対抗心あらわ藤原竜也、卒業を控えた中学生に「たくさん恋愛して!」とエール全編3D映像で贈る冒険の物語!『おかえり、はやぶさ』試写会に10組20名様ご招待「まえだまえだ」の旺志郎、杏の第一印象は「足長っ!」
2012年03月11日日本中を感動させた小惑星探査機“はやぶさ”の奇跡的な帰還を、オリジナルドラマで描く『おかえり、はやぶさ』に主演する藤原竜也が取材に応じ、作品への想いや撮影の裏話を語った。その他の写真藤原が演じるのは、はやぶさのイオンエンジンを担当するJAXA(宇宙航空研究開発機構)のエンジニア助手・大橋健人。役作りのため、実際のプロジェクトに関わったJAXA職員と対面し、「狭い部屋で日々、緻密で天才的な作業をこなしているのに、みなさん謙虚で(映画製作にも)協力的。そしてとても普通の方たちなんです」。一方で「実験や試運転ができない状況で“のるかそるか”の一発勝負にかける勢いも持っている」という。その両面が役作りに大いに反映された。もともと宇宙に対する関心は人一倍。「はやぶさの動向もリアルタイムで追ってましたからね。僕自身、この作品に参加できてとても光栄なんです」と胸を張る。はやぶさの旅路を軸に、さまざまな人間ドラマが繰り広げられる本作。なかでも藤原演じる主人公と、父親で失敗に終わった火星探査機“のぞみ”のプロジェクトマネージャー・伊佐夫(三浦友和)との確執と和解は、物語をけん引するエンジンとなった。「三浦さんは『かっこいい』のひと言。俳優として近づきたいけど、近づけない……。その距離感は劇中の父と息子に通じるので、僕自身、自然と役柄にリンクできましたね。現場ではどっしり構えて自然体。いつもまわりに気を配ってらっしゃった」と敬意を示した。数えきれない試行錯誤を経て、はやぶさを帰還に導いたJAXA職員の奮闘に、俳優として生きる自分自身の姿も重ね合わせたという。「他人の評価は気にしないと言いながら、実際には失敗や挫折と向き合うのはとても難しいこと。さっき言った“のるかそるか”じゃないですけど、この仕事は自分でコントロールできない面も大きいですし。大橋健人を演じられる俳優は、ごまんといる。そのなかで、オファーをいただいた奇跡的なチャンスや“出会い”と正面から向き合うしかないんですよね」。それでも、試練を乗り越えたはやぶさの奇跡を目の当たりにし「人間、思い続ければ、きっといろんなことを変えられる生き物だと思うんです」と力説。「どんな世代の方が観ても、きっと夢や未来に光を当ててくれる作品。たとえ挫折や失敗を味わっても、その先には“再生”があるというメッセージが込められているんじゃないかなと思います」と誇らしげに語った。『おかえり、はやぶさ』3月10日(土)全国公開<3D・2D同時公開>(C)2012「おかえり、はやぶさ」製作委員会
2012年03月08日