ミニアルバム『嬉しい声をほんのちょっと』をリリースした、藤川千愛さん。1曲目の「愛の歌」はアニメ『マイホームヒーロー』のオープニングテーマで、シリアスな世界観をエモーショナルに歌い上げた。“痛み”や“死”といったキーワードがちりばめられた歌詞も印象的だ。「もともと原作の漫画を夢中で読んでいたので主題歌に関われて嬉しかったですね。自分の一番大切なものを失ってしまいそうになることへの恐怖や怒りをリアルに書きたくて、それは自然と〈愛してるって何だろうね〉と考えることに繋がりました」今作には「愛の歌」のようなロックな曲もあれば、スイートな雰囲気のポップ・ナンバー「君の匂いは鎮静剤」も。この曲の歌詞は、彼女にまつわる「ある現象」がモチーフ。「私は何かの匂いを嗅ぐと記憶や感情が蘇ることがあって、プルースト現象といわれるものらしいんですけど。例えば高校時代の通学路や、田舎で暮らしていた景色を、何かの匂いで急に思い出したり。そんな香りにまつわる曲を書こうと、甘い匂いがしてくるような歌詞にしました」他にも「ちゃんとした人不適合者」や「面倒な女」など、自身を曝け出しながら聴き手も含めて全力で肯定してくれるような刺激的な楽曲が聴きどころ。そしてラストの「なにも忘れるわけじゃない」では、もう会えない人への愛情を真摯に歌った。「私が音楽を始めるきっかけになったおじいちゃんは演歌歌手をしながらカラオケ喫茶を経営していたんですけど、一昨年に亡くなって。ずっと受け入れられなかったんですが、私はおじいちゃんのことを忘れないから、私の中で生き続けるんだという想いを込めてこの曲を書きました。なので歌詞も自然と岡山弁になりましたね。私は歌うから、おじいちゃん見ててねっていう気持ちです」音声学も勉強して歌と向き合い、海外公演のために英語も始めたという。そんな藤川さん、休日には古着屋を巡るのが好きなのだとか。「’60年代から’80年代くらいの古着が好きで、家具もヴィンテージが好き。普段はベルボトムのデニムに、ちょっとダサいスウェットやジャージを合わせるスタイルが多いです。ライブではアドレナリンが出まくって、なかなか眠れなくなっちゃうほどなので、普段はめちゃくちゃリラックスしています(笑)」Mini Album『嬉しい声をほんのちょっと』。ロックなサウンドと独自の世界観を放つ歌詞が刺激的。「リゲル」など含む全7曲。【初回限定盤(CD+BD)】¥5,000【通常盤(CD)】¥2,000(日本コロムビア)ふじかわ・ちあい1995年6月6日生まれ、岡山県出身。2018年11月に開催されたライブでデビュー。千鳥・ノブさんとのコラボやBUCK-TICKトリビュートアルバムへの参加など幅広く活躍中のシンガー。※『anan』2023年4月19日号より。写真・小笠原真紀取材、文・上野三樹(by anan編集部)
2023年04月17日「月刊デザート」(講談社)にて連載中の漫画の映画化『なのに、千輝くんが甘すぎる。』より、主演・高橋恭平が演じる千輝くんが自宅で過ごす場面写真が公開された。千輝くんは学校一のモテ男子で、高橋さんはそれをクールに、時にあま~く演じている。高橋さんは先日行われたバレンタインイベントで都内の高校をサプライズ訪問した際には、場内からは割れんばかりの悲鳴が上がるほどいま人気急上昇中。そんな高橋さん23回目の誕生日となる本日公開されたのは、千輝くんの自宅で過ごす風景・メガネ姿のリラックスした姿を写した場面写真。学校ではクールな千輝くんだが、自宅では黒縁メガネにパーカー姿と、リラックスした表情が印象的。年の離れた妹の頭を撫でる何気ない姿には、千輝くんのうちに秘めた優しさが溢れている。『なのに、千輝くんが甘すぎる。』は3月3日(金)より全国にて公開。(cinemacafe.net)■関連作品:なのに、千輝くんが甘すぎる。 2023年3⽉3⽇より全国にて公開©2023「なのに、千輝くんが⽢すぎる。」製作委員会 ©亜南くじら/講談社
2023年02月28日「月刊デザート」(講談社)にて連載中の漫画を、「なにわ男子」の高橋恭平が主演し実写化する映画『なのに、千輝くんが甘すぎる。』。この度、高橋さん演じる千輝くんの幼少期を、映画初出演となるジャニーズJr.の末永光(すえなが・こう)が務めることが分かった。2008年生まれの14歳、2021年にジャニーズ事務所に入所したばかりの末永さん。高橋さんが演じる千輝くんは、周囲には塩対応な陸上部のエースで、人生初の告白に玉砕した真綾(畑芽育)に“片想いごっこ”を提案する人物。千輝くんがふり返る、幼少期の記憶。“いま”の千輝くんに繋がる重要なエピソードを、繊細に、そして堂々と演じている。末永さんは「実際に演じてみて、感情を表情で表現することの難しさを実感し、その中で演じることの楽しさも知ることができました。また現場で高橋恭平くんとお会いすることができ、あまりの格好良さに緊張してしまいましたが、とても心強かったです」とコメントしている。プロデューサーは「はにかんだ優しい笑顔がとても魅力的な末永くんですが、たまにのぞかせる愁いを帯びた少し大人っぽい表情が、そんな大事なシーンにぴったりだと思い、出演をお願いしました」と末永さんの起用理由を語り、「撮影当日はとても緊張している様子でしたが、カメラが回ると集中して、監督の演出に応え、堂々と千輝くんを演じていました。撮影の合間には、妹の恋ちゃん役の女の子とお話したり、遊んであげたり、リアルないいお兄ちゃんぶりを発揮していました」と撮影の様子を明かしている。『なのに、千輝くんが甘すぎる。』は3月3日(金)より全国にて公開。(cinemacafe.net)■関連作品:なのに、千輝くんが甘すぎる。 2023年3⽉3⽇より全国にて公開©2023「なのに、千輝くんが⽢すぎる。」製作委員会 ©亜南くじら/講談社
2023年01月20日株式会社インフィオラータ・アソシエイツは、コロナ禍で海外での活動が止まっていた花絵師 藤川靖彦の海外活動再始動にあたり、「花絵師 藤川靖彦 花絵巡礼記/ベルギー・スペイン2022」を、12月3日(土)~14日(水)まで、東京都中央区の「Saf Gallery(GINZA SIX 5階)」にて開催します。Brussels Flower Carpet 2022世界的な花絵師として、2012年から20ヶ国地域で作品を創作してきた藤川靖彦。しかし世界中に感染拡大したコロナ禍で、2020年から海外での活動が休止、東京で開催を予定していたフラワーカーペットの世界大会「ワールドフラワーカーペット」も中止となりました。そんな中、今年8月にベルギーの「ブリュッセルフラワーカーペット」が、4年ぶりにグランプラスで開催、約1,800m2にも及ぶ巨大なフラワーカーペットの制作には、世界6ヶ国から花絵師達が招かれ、アジアからは藤川が代表として参加、海外活動のリスタートとなりました。また9月にはスペインのサロー(カタルーニャ州)で、フラワーカーペットの国際大会が開催され、イタリア・スペイン・メキシコ等14ヶ国地域が参加、アジアからは藤川が代表として参加しました。UN MAR DE FLORS A LA COSTA CATALANA 2022今回の展覧会では、花絵師 藤川靖彦の海外活動リスタートとなる、ベルギーとスペインでの創作ドキュメントを写真や映像等で紹介していきます。また会場には、藤川が2018年にブリュッセルで創作した、グランプラス世界遺産20周年記念作品「東大寺南大門金剛力士像」の花絵も展示します。さらに期間中はゲストを招いてのギャラリートークも開催、展覧会を通じて、多くの方々に花絵の魅力を伝えていきます。東大寺南大門金剛力士像原画デザイン<開催概要>■開催名称 :花絵師 藤川靖彦 花絵巡礼記/ベルギー・スペイン2022■開催期間 :2022年12月3日(土)~12月14日(水) 10:30~20:30※12月3日(土)は、17:00オープンとなります。■開催会場 :Saf Gallery(東京都中央区銀座 GINZA SIX 5階)■展示内容 :2022年8月と9月、花絵師 藤川靖彦がベルギーとスペインで創作した、フラワーカーペットの創作ドキュメントを写真と映像で紹介。また2018年にベルギーで創作した花絵作品「東大寺南大門金剛力士像」も展示します。■入場費用 :無料■主催 :株式会社インフィオラータ・アソシエイツ■協力 :一般財団法人Synchro Art Foundation/株式会社アース■協賛 :一般社団法人ONE福島※文化庁「ARTS for the future! 2」補助対象事業<ギャラリートーク>現在、藤川靖彦が番組DJを務めるinterfm897レギュラー番組「Flower’s YELL」の公開ライブトークを行います。ゲストには藤川がスペインで創作した作品の原画をデザインした画家の桂川桃子さんと、TOKYO LIGHTS大会総合プロデューサーの石多未知行さんをお迎えします。●12月4日(日) 14:00~ ゲスト:桂川桃子(画家)●12月11日(日) 14:00~ ゲスト:石多未知行(クリエイティブディレクター)桂川桃子石多未知行<藤川靖彦プロフィール>藤川靖彦花絵師/フラワースケープ・アーティスト一般社団法人花絵文化協会 代表理事株式会社インフィオラータ・アソシエイツ 代表取締役社長藤川靖彦1961年東京生まれ。日本大学芸術学部演劇学科卒業。限りある命=Ephemeral をテーマに、国内外において花やキャンドル等を使ったエフェメラル・アートを創作。大地をキャンバスに花びらで描く花絵「インフィオラータ」の日本の第一人者で、現在まで21年間に国内外約400ヵ所で1500を超える作品を創作・プロデュースした。海外では歌舞伎絵を花で再現する「花歌舞伎」は、世界20ヶ国地域で創作されている。2015年6月、スペインでの創作を、毎日放送「情熱大陸」が密着取材を行い大反響を呼んだ。これを機にテレビ・ラジオ・新聞・雑誌・WEB等に数多く出演中。また現在在京FM局interfm897にて番組DJも行う。(毎週土曜日16:43~16:58放送「Flower’s YELL」)エンジン01文化戦略会議会員/エフェメラル・アート国際連盟理事/一般財団法人Synchro Art Foundation所属 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2022年12月01日千總(ちそう)が京都に展開する千總ギャラリーでは、展覧会「千總の屏風祭─明治の屏風祭ふたたび」を、2022年8月22日(月)まで開催する。120年前に千總が屏風祭で公開した作品を展示京都の夏の風物詩である、祇園祭。その宵山の期間には、京都の旧家や商家が秘蔵の名品を公開して祭りを盛り上げる、屏風祭を行っている。千總ギャラリーでも、この時期に合わせて、屏風をはじめとする所蔵品を紹介してきた。2022年は、今からちょうど120年前、千總が屏風祭で公開した作品を展示。『京都新聞』の前身である『京都日出新聞』は、1902年の屏風祭でどのような作品が陳列されたかを報じており、そこから当時公開された屏風5点がわかっている。本展「千總の屏風祭─明治の屏風祭ふたたび」では、岸竹堂《牛馬図》や山口素絢《やすらい祭図》など、明治の屏風祭を彩った作品を目にすることができる。展覧会概要展覧会「千總の屏風祭─明治の屏風祭ふたたび」会期:2022年5月28日(土)〜8月22日(月)会場:千總ギャラリー ギャラリー1住所:京都市中京区三条通烏丸西入御倉町80 千總本店開館時間:11:00〜18:00休館日:火・水曜日※開館日や開館時間は千總本店の営業時間に準ずる※入場無料【問い合わせ先】千總本店TEL:075-253-1555
2022年06月04日この恋は幸せになれない?好きになってしまったのは、奥さんのいる人。(最終話)【これまでのあらすじ】綾香に不倫がバレて仕事も辞めることになった千紗。『必ず連絡する』と言った悠真さんからの連絡も途絶えた。仕事を退職してから2週間くらいが経った頃、カウンセラーの赤城さんが悠真さんからの手紙を持って訪ねてきた…前回はこちら▼この恋は幸せになれない?好きになってしまったのは、奥さんのいる人。(第9話)1話から読む▼この恋は幸せになれない?好きになってしまったのは、奥さんのいる人。(第1話)故郷「千紗ちゃん、それ終わったらあがっていいよ」母屋から聞こえてきた声に、「はい」と返事をする。庭の掃き掃除を終えて道具を片付けていると、渡り廊下にいた女将さんに手招きをされた。「はい、これ。臨時ボーナス」「え、いいんですか?」「お客様からチップを頂いたのよ。千紗ちゃんにずいぶん良くしてもらったっておっしゃっていたわ。帰りに美味しいケーキでも買いなさい」「ありがとうございます。お先に失礼します」「ご苦労様。また明日ね」女将さんにお辞儀をしてから、離れにある更衣室へと向かう。その途中、窓の外に広がる青く穏やかな空を見上げ愛しい人の顔を思い浮かべた。今頃、どうしているかな……?あれから故郷に帰った私は、祖母の伝手を頼って温泉旅館で働き始めた。初めは慣れないことばかりで大変だったけど、良い同僚に恵まれて何とか上手くやっている。祖母も退院して元気を取り戻し、心穏やかに慎ましく暮らす毎日だ。「千紗ちゃん、お疲れ!これからランチに行かない?」更衣室に入ると、先輩の明美(あけみ)さんが笑顔で声をかけてくれた。「えーと、今日は……」「たまにはいいでしょ?支配人がね、千紗ちゃんに気があるみたいなの。1回だけ、チャンスをあげてくれないかな」「そういうのは、ちょっと」「どうして~?なかなかイケメンだし、良い人なのは知ってるでしょ?千紗ちゃんとお似合いだと思うけどなぁ」「ごめんなさい、本当に」「もしかして好きな人がいるの?」「え?」「何となくだけど、そんな気がしたから。違う?」なかなか鋭い質問に、心の中で苦笑する。「いませんよ、そんな人」「そうなの~?もったいなぁ、その歳ならまだまだいくらでも恋愛できるのに。支配人はバツ1だけど、かなりの優良物件なのよ」明美さんは納得していない様子だったけど、それ以上追及してくることはなく、「気が向いたらデートしてあげてね」と私に念を押してから更衣室を後にした。「……いくらでも恋愛できる、ね」1人になって、ポツリと呟く。恋愛はもうこりごり。やっぱり私は恋愛に向いていなかった。だけど、ひとりの人を心の底から好きになれることを知った。それを教えてくれた彼には感謝している。着替えを済ませた私は、いつも鞄の中に入れている手紙を取り出し、開いた。◆手紙この手紙を読んでくれることを信じて、筆を執ります。千紗が初めて僕を調査したあの日、尾行がバレていたと知った千紗の顔を今でもはっきり覚えているよ。真面目で律儀で責任感があるこの人なら信頼できると思ったんだ。少しだけど、僕自身の話をするね。僕の両親は僕が物心ついた頃から不仲で、僕は祖父母に預けられて育ったんだ。家には常にお金がなくたくさん苦労をしたから、僕は安定した生活を夢見て綾香と結婚したんだ。だけど「安定した生活」というのは、必ずしもお金じゃないことを知ったよ。千紗が家庭の悩みを打ち明けてくれた時、自分と同じように苦労したんだと共感した。そして悩みを抱えながらも一生懸命に生きている千紗に興味を持った。真っすぐなところや優しいところ、思いやりのある人柄にどんどん惹かれて、気が付いたらいつも千紗のことを考えていたよ。心の底から好きだと思える人は、千紗が初めてだった。全てを捨ててでも一緒にいたいと、強く願った。その願いはすぐに叶えることができなかったけど、どうか待っていて欲しい。―――――――……「いつか必ず迎えに行くから」最後の一行を読み上げたあと、自然と息が漏れた。幾度も幾度も読んでボロボロになった手紙を、鞄の中に戻す。初めてこれを読んだ日は、目が腫れあがるくらい泣いた。彼が恋しくて、こうなってしまった運命が切なくて、会えなくなることが悲しくて、心の底から想ってくれたことが嬉しくて泣いた。故郷に戻ったあとも、折に触れては手紙を読んで涙を流した。そうして涙も出なくなった頃、待ち望んだ「いつか」は来ないと理解した。いや、来ない方が良いと願うようになっていた。だって、私にはもう……。「あ、千紗ちゃん。まだここにいた」不意に更衣室のドアが開いたかと思ったら、帰ったはずの明美さんが顔を覗かせた。「千紗ちゃんに会いたいって人が来ているけど」「え?」まさか……。◆再会その姿を見つけた瞬間、涙が溢れそうになった。品のある佇まい、穏やかな雰囲気、優しい笑顔。最後に会った時から少しも変わっていない。恋しくて、何度も夢で見た彼だ。「悠真さん」「千紗、久しぶりだね」「どうしてここに?」「迎えに来るって言ったでしょ。5年もかかっちゃったけど……遅くなってごめんね」「あ、あの、とりあえず外に……」まさか「いつか」が来るなんて。本当に迎えに来てくれるなんて……。夢を見ている気分で悠真さんの顔を眺めた。「千紗が言っていた通り、自然が多くて本当に綺麗なところだね」「どうして場所が分かったの?」「自分で教えてくれたじゃないか、『地図で言うとくびれているところ』だって」あ……そういえば、言ったような気がする。2人で旅行した時だったかな、覚えていてくれたんだ。旅館を出た私たちは、近くの公園へと向かった。ベンチに腰を下ろした悠真さんが、私の手を取り優しく微笑む。「会いたかった」「……私も」「あれから、どうしてた?」「必死に生きてた」そう、必死だった。今でこそ慎ましく平凡に生きているけど、故郷に帰って来た当時は、何もかもを失って息をするのも苦しかった。どうして私だけがこんな思いをしなきゃいけないのかと、悠真さんを恨めしく思ったこともある。だけど、それでも彼のことが好きな気持ちは変わらず会いたかった。ずっと。「やっと離婚が成立したんだ」会いたかったけど、もう会わない方が良いと思っていた。私たちの想いを貫くには、あまりにも困難が多く、たくさんの人を傷つけた。不倫の代償はもう十分払ったつもりだけど、そう簡単に許されるものではない。「随分長く待たせてしまったけど、やっと一緒になれるよ」一緒になれるなら地獄に落ちても良い、全てを捨てても良いと思っていた。だけど、だけどね……。捨てられない大切なものが私にはできたの。「ごめんなさい」「どうして謝るの?」「一緒にはなれない。いえ、ならない」「どうして……」その時、公園の向こう側に小さなシルエットが見えた。私の祖母に連れられて、ゆっくりこちらに向かって来る。「私ね、やっと今幸せになれたの」「それは……僕以外に良い人がいるってこと……?」小さなシルエットが、私に気が付いて、大きく手を振る。買ったばかりの赤いコートは、汚すなって言ったのにもう泥だらけだ。「うん。良い人がいるの。今はその人が大切だから、元に戻ることはしない」「千紗、」「会いに来てくれて嬉しかった。ありがとう。さよなら」たくさんの愛をありがとう。たくさんの思い出をありがとう。好きになってくれてありがとう。人を愛する気持ちを教えてくれてありがとう。鞄の中の手紙は、これからもずっとお守り代わりに持っているね。さよなら、お元気で。◆私なりの幸せ「光莉(ひかり)」「ママー!」満面の笑みで飛びついてきた小さな体を抱きしめると、それだけで心が満たされる。何よりも、誰よりも、大切な私の天使。「さっきのひと、だぁれ?」「んー誰だろうね」「ママのかれしでしょ~」「違うよ、ママは彼氏なんかつくらないもん」「どうして~?」「だって、ママは光莉だけのママだから」光莉を妊娠しているのが分かったのは、故郷に戻ってすぐのことだった。初めは戸惑ったけれど、産まれた我が子を抱いた瞬間、女ではなく母として生きることを決めた。この子の父親がいつか会いに来てくれたら?その時は3人で暮らす?何もなかったかのように生きていける?いいえ、できない。何度も自問自答した。昔のようにまた流されてしまうかもしれないと不安だったけど、自分で思っていたよりもずっと私は強くなっていたらしい。もう誰かに依存する生き方はしない。「そうだ、今からケーキを買いに行こうか」「ケーキ?やったー!」未婚の母であることを、不倫の末に産まれた子であることを、いつか誰かに非難されるかもしれない。それでも私は私なりの幸せを、私らしく生きていく。
2021年11月16日この恋は幸せになれない?好きになってしまったのは、奥さんのいる人。(第9話)【これまでのあらすじ】悠真さんとは別れ日常に戻っていた千紗は、寝不足からか、失恋のせいか体調を崩し寝込んでしまう。看病に来た母の、「一緒に不幸になっても良い人」こそ人生に必要という言葉に、悠真さんを思い浮かべる…別れてから2カ月たったある日、悠真さんから連絡があり千紗は再び会うことに。ホテルで会っているところに綾香が現れ…前回はこちら▼この恋は幸せになれない?好きになってしまったのは、奥さんのいる人。(第8話)1話から読む▼この恋は幸せになれない?好きになってしまったのは、奥さんのいる人。(第1話)修羅場綾香が、どうしてここに……?突然のことに頭が真っ白になる。彼女は両サイドに体格の良い男性2人を従えて、仁王立ちしていた。事の状況が理解できたのは、綾香からの強烈なビンタを食らった後だった。「友達の旦那と不倫するなんてぇ、最低!」「……」「何とか言いなさいよぉ、このっ!」「綾香」もう一発叩かれそうになったところで、悠真さんが綾香の腕を掴んだ。「待ってくれ、僕と彼女は、」「しらばっくれないでよぉ、全部調べたんだから」調べた? それってまさか……。思わず息を飲んだ私に、綾香の鋭い視線が刺さる。こんな日が来ることを全く予測していなかったわけじゃない。それでも体が小刻みに震え出した。「別の探偵を雇ったのか?」悠真さんが綾香に尋ねた。ただ事ではない雰囲気を醸し出す私たちを、ロビーにいた人たちが好奇の目で見ている。「そうよ、気付かなかった?あなたたち随分、油断していたものねぇ」油断していたのかな。でもまさか私に調査を依頼しておきながら、別の探偵も雇うなんて考えもしなかった。それに、SNSを見る限り私と悠真さんとの関係に気が付いている素振りなんて……あ、もしかして……。「わざとSNSに呑気な投稿をしてたの?」「やっと分かったぁ?私が疑ってないと過信して、2人で旅行に行ったのも知ってるんだからね」「そっか……」じゃぁ、もう言い訳の余地もないね。「ごめん、綾香」「謝って済むことじゃないよねぇ」「分かってる。分かってるけど、悠真さんと別れて」「はぁ? 冗談じゃない! 離婚は絶対にしない」「お願い、悠真さんを自由にしてあげて」「ちょっと何言ってんのか分かんないんだけどぉ。自分の立場ってのを考えなさいよ」ドンッ、と肩を強く押される。衝撃で体が一歩後ろに下がった。「千紗、あんたは相手が既婚者と知ってて関係をもつ最低な女」綾香が距離を詰める。「親にもご近所にも、もちろん職場にも言いふらしてあげる。慰謝料もたっぷり取るから覚悟してて」綾香はそう宣言すると、踵を返してホテルを後にする。悠真さんは、綾香が従えていた男性2人に両脇をガッチリ掴まれた。「何をする、離せ!」「悠真さん!?」抵抗も虚しく悠真さんは、男性2人によってホテルの出入り口へと引っ張られて行った。その様子を私はただ茫然と見送るしかなく、彼が口パクで言った『あとで必ず連絡する』は、永遠に叶わないことのように感じた。◆代償「覚悟していて」といった綾香の本気を知るのは、そう時間のかかることじゃなかった。まずは私が住むマンションの掲示板や私の部屋のドアに『〇〇号室の藤川千紗は不倫女』と書いたビラを貼られた。さらに共有スペースの外廊下に生ごみを撒かれており、他の住民から連絡を受けた管理人さんがすっ飛んで来た。当然それらは私が片づけることとなり、その対応に1日以上を費やすことになる。SNSでも名指しで非難され、コメント欄は共通の友達からの「そんな人だとは思わなかった」という言葉で溢れていた。またリーダー的存在だった玲子からは、友達をやめるという旨のメッセージが直接私のところに送られた。母にも連絡が入ったらしい。『もしもし、千紗? なんかあんたの知り合いという子から電話があったんだけど』「うん……綾香でしょ」『そうそう、そんな名前だった』「ごめんね、綾香は何て?」『旦那を横取りされたとか、どうとか。あんた友達の旦那と不倫したの?』「……うん」親にも言うって宣言していたもんね。ただ、うちの母は私なんかよりもずっと多くの修羅場を経験しているから驚きもしないだろう。予想通り、母は怒るよりも呆れた声でこう言った。『馬鹿だねぇ。1番面倒くさいところに手をつけて。ま、自分で蒔いた種なんだから自分で何とかしなさいよ』「分かってる」『何を言われても私は知らないって言うから、こっちのことは気にしなくていいよ』「うん……ありがとう」『それより、あんたまだ風邪が治ってないの? 酷い声だけど』「大丈夫だよ。ごめん、切るね」1番のダメージは職場だった。所長室に呼び出された私は、苦い顔をした所長にこれまでのことを説明した。重々しい雰囲気と緊張からめまいと吐き気が催してくる。「大変なことをやってくれたね……」呟くように言った所長は、目の前にある内容証明郵便に視線を落とし溜息を吐く。「申し訳ありません」「こうなってしまった以上、うちも厳しく対処しなくてはならない」「……クビですか」「調査員が対象者に手を出すなんて前代未聞だよ。自分がやったことを分かってるよね」「はい。すみませんでした。お世話になりました」当然といえば、当然だ。つい先日まで冗談を言い合いながら一緒に働いていた同僚からも、冷たい視線を向けられる。所長室を出て、自分の荷物をまとめる間も空気が重い。去り際、みんなに向けて一礼をしたけど、赤城さんは最後まで視線を合わせてくれなかった。「藤川」エレベーターでビルの1階まで降りると、咥え煙草の仲西さんが立っていた。「仲西さん……ご迷惑をおかけしてすみませんでした」「やめろよ、お前らしくない」「そうだよね、ごめん。じゃぁ、行くね」「待て、これを持っていけ」仲西さんが私に渡したのは、名刺だった。「不倫問題に強い弁護士さんだから、相談しな」「ありがとう。でも、」「でもじゃねぇよ、持ってて損はないだろ。返品すんな」「うん……」「顔色悪いな、家まで送ってやろうか」仲西さんの優しさに、ちょっと泣きそうになった。「大丈夫、1人で帰れるから」「気を付けろよ。それから、」「それから?」「その、なんだ、確かにお前は悪いことをしたかもしれないけど、だからってお前の価値が下がるわけじゃないから。堂々と胸を張れ」「うん……ありがとう」堂々と、か。自分がしたことに胸を張れる日なんてこない気がする。いや、こない方がいいだろう。でもじゃぁ、どうやってこれから生きていけばいいのだろう。恋人、友達、仕事、信用、信頼、自業自得とはいえ何もかもを無くして、一体どうすれば……。◆涙悠真さんからの連絡は、やっぱりこなかった。きっともう、何もかもが終わってしまったのだろう。彼と一緒なら例え地獄に落ちても良いと思ったけど、結局は1人ぼっちになってしまった。「(それもこれも、自分で蒔いた種だよね)」仕事を退職してから2週間くらいが経ったある日、家のインターフォンが鳴った。平日の昼間に誰だろう?恐る恐る玄関のドアを開けると、赤城さんが立っていた。「突然ごめんね、今いいかな?」「あっ、はい。でも部屋の中は散らかっているので、外で……」びっくりした。まさか赤城さんが訪ねて来てくれるなんて……。天気が良いので駅前のカフェでドリンクとサンドイッチをテイクアウトして、近くの公園へ移動した。手頃なベンチを見つけて腰を下ろしたところで、赤城さんが私に尋ねる。「部屋の中を片付けているみたいだったけど、引っ越しでもするの?」「……はい。祖母がいる田舎に帰ろうと思いまして」「あのことが原因?」「それもあるけど、実はずっと体調を崩してて。田舎でゆっくりしたいなって」「そっか」うん、と頷いた赤城さんは、私の手を握った。「藤川さんが退社したとき、あまりにびっくりして。冷たい態度を取ってごめんね」「いえ、私の方こそ嘘を吐いていて、ごめんなさい」「正直、ガッカリしたけどね……。でも、それでこれまでの信用が変わるわけじゃないしね」「ありがとうございます。わざわざそれを言いに来てくれたんですか?」「実はね、もう1つあるの」赤城さんはそう言うと鞄の中から白い封筒を取り出し、私に手渡した。何だろう? シンプルなデザインのそれには、宛名が書いていない。「伊野さんから預かってきた」「え?」「郵送したら読んでくれない気がするから、私から読むように言って渡してくれって。初対面なのによくそんなこと頼むわよね」「……人の懐に入り込むのが上手い人なんです」「そうみたいね。とにかく、渡したからね」「はい……」悠真さんからの手紙。赤城さんが帰ったあと、その手紙を読んだ私は周りの目を気にすることなく涙を流した。最終話は、11月16日(火)公開予定!
2021年11月09日この恋は幸せになれない?好きになってしまったのは、奥さんのいる人。(第8話)【これまでのあらすじ】千紗は綾香と自分、どっち付かずの悠真さんに不安が爆発し、母と同じようになってしまっていることに気付く…さらに、入院した祖母に「千紗が幸せになる姿を見るまで死ねない」と言われ、悠真さんとは幸せになれないと思った千紗は別れることを決めた…前回はこちら▼この恋は幸せになれない?好きになってしまったのは、奥さんのいる人。(第7話)1話から読む▼この恋は幸せになれない?好きになってしまったのは、奥さんのいる人。(第1話)別れ悠真さんと別れることを決意したものの、なかなか行動に移すことはできなかった。気持ちが揺らぐ前に今すぐ電話をしよう。いや、東京に戻ってから直接会って話をしようか?やっぱりダメ、顔を見たらきっと切り出せない。もう少し落ち着いてから電話した方が良いかな……。そんな風にぐじぐじしていたある日、悠真さんの方から電話がかかってきた。『もしもし千紗? 連絡が遅くなってごめんね』「……ううん」『あれからどうしてた? 僕はずっと千紗に会いたかったよ』私も会いたかった。でも、もう……。『様子が変だね。どうした? 何かあった?』「うん、あのね」迷ってないで、言わなきゃ。「もう別れようと思う」『え?』「終わりにしたいの」『千紗……』ふと、初めて名前で呼んでくれた時のことを思い出した。こんなにも苦しいなら深入りしなきゃ良かった?止められるうちに止めときゃ良かった?ううん、きっと出会ったばかりの頃に戻ったとしても、また彼を好きになると思う。「もう会わない」『何となく、そう言われると思っていたよ。ごめんね、苦しい思いをさせて』「悠真さんは悪くないよ。欲を出した私が悪いの」『そんな風に言わないで。千紗には感謝してる』「私も感謝してる……今までありがとう」『こちらこそ、ありがとう』切るねと言って通話終了ボタンを押した瞬間、やはり寂しさがこみあげてきた。私たちの関係はもうこれで終わり。自分で決めたことなのに、涙が溢れた。◆日常悠真さんとの関係を終わらせて日常に戻った私は、仕事に打ち込むことで寂しさを紛らわせた。その日も朝から尾行、張り込み業務をこなし、夕方からは綾香に提出する調査報告書を作成していた。「対象者・伊野悠真に不貞行為を思わせる動きは見られなかった」不意に赤城さんがパソコンを覗き込み、興味深そうに読み上げる。”ゆうま”という名前の響きに、胸がざわついた。失恋の傷は癒えるどころか、どんどん酷くなっている気がする。「友達の旦那はシロだったんだ」「はい」まさか自分自身のことを報告するわけにはいかず、嘘を吐くのは心苦しいけど。結果的に別れて、何もなくなったんだからいいよね……。「赤城さんの妹さんは、どうなりました?」「離婚することにしたみたい。やっぱり信用を失った人とはうまくいかないって」「そうですか……」「どうしたの? そんなしんみりした顔しちゃって」「いえ、別に」「怪しい。彼氏と何かあったでしょ~」からかうような口調で私のオデコを突いた赤城さんは、急に表情を変えた。「ねぇ、もしかして熱あるんじゃない?」「そうかな……」「絶対あるよ、しんどくないの?」言われてみれば、少しダルイような気がする。ここのところ寝不足だったからかな? それとも失恋のせいで熱が出たとか?私にもそんな繊細な一面があったんだ。「季節の変わり目で風邪を引いちゃったのかもね。今日はもう帰って休んだら?」「そうしようかな」「待って、仲西さんを探してくる。送ってもらうように頼むから」「そんな大丈夫ですよ」あ……もう呼びに行ってるし。結局この日は、仲西さんに車で家まで送ってもらい、そこから私は3日ほど寝込むことになってしまった。◆幸せの定義家で寝込んでいる間、ずっと夢を見ていた。隣に悠真さんがいて、笑っている夢。その夢の中では何の不安もなく、ただただ幸せだった。目が覚めて夢だと気付いた瞬間、絶望感に苛まれる。そんな中、何故か母が家にいて珍しく看病をしてくれた。「具合はどうだい?」「うん、ちょっとマシかな」「お粥を作ったから、食べなさい」「お母さんが作ったの?」「何よ、私だってそれくらいできるわよ」ベッドまで持って来てくれたお粥はお世辞にも美味しいと言えるものじゃなかったけど、その温かさに涙が滲んだ。弱っている時に優しくされるとダメだな……。「しっかりしなさいよ、たかが失恋したくらいで」「うん……。えっ!」一瞬頷いたものの、驚きのあまりご飯粒を喉に詰めそうになった。「どうしてそれを……」「見てれば分かるわよ、これでも一応、あんたの親なんだから」「お母さん」「というのは嘘。カマをかけてみただけだよ」「ええっ!」じゃぁ、まんまと引っかかってしまったってこと?やだな、恥ずかしい。「私も昔はよく失恋しては、熱を出して寝込んだんだよ。覚えてない?」「そういや、そうだったような」「その男とはどうして別れた?」どうしてって、それはもう……。「一緒にいても幸せになれないから」お母さんにこんな話をする日がくるなんて不思議だなって思っていると、母はもっと不思議そうな顔をして私にこう尋ねた。「幸せになれないなら、一緒にいる意味はないの?」「え……」「その男のことが好きなら、幸せじゃなくてもいいと私は思うけどね」「幸せにはなりたいよ。当たり前でしょ」「じゃぁ聞くけど幸せって何? 平和に暮らすこと? お金に困らないこと? それとも誰かに後ろ指を指されないこと?」お母さん、私が不倫してたことに気付いてるのかな。「そもそも人生において幸せだと思える時なんてほんのひと時だよ。そのひと時を一緒に過ごす相手が必要?私はそう思わない」「じゃぁ、どう思うの?」「必要なのは幸せになれる相手じゃない、不幸になっても良いと思える相手だ」「え……?」「この人とだったら例え地獄に落ちても構わない。苦しい時こそ手を握って一緒に頑張れる相手こそ、人生に必要なんだよ」「お母さんはそういう人がいたの?」「言っとくけど、私は昔も今もモテるんだよ。最悪な時に助けてくれる男は1人や2人じゃないよ」祖母はずっと母の事を不幸だと言っていた。だけど、それは間違いだったのかな?母は母なりの幸せを見つけて生きてきたんだね。今になってやっと、ちょっとだけ理解できた気がするよ。◆再愛母は私の体調が回復した頃、また家から出て行った。もう新しく良い人がいるらしい。今度こそ運命の人なんだと言っていた。私の運命の人は……悠真さんは私にとって「一緒に不幸になっても良い人」なのかな。考えれば考えるほど、分からなくなる。「(ま、考えたところで、もう別れちゃったんだけどね……)」失恋の傷はまだ癒えることがなく、時々こうして悠真さんのこと思い出しながら時間が過ぎ。別れてから2カ月がたったある日、悠真さんから電話がかかってきた。『もしもし、千紗?』「悠真さん」『良かった、電話に出てくれて』久しぶりに聞いた彼の声は、相変わらず優しくて涙が溢れた。そしてその瞬間、私にとって彼は一緒に不幸になっても良い人だと気が付いた。彼の全てが恋しい。『千紗に会いたい』「私も……」『本当に?』「会いたい、やっぱり今もまだ悠真さんのことが好きみたい」『金曜日の19時に、初めて一緒に食事をしたホテルで待ってる』「うん、分かった」お祖母ちゃん、ごめんね。私はやっぱり母に似て、世間一般的にいう幸せは手に入らないかもしれない。お祖母ちゃんが望む幸せな姿は、きっと見せてあげられない。それでも私は、自分なりの幸せをきっと見つけるから。心配しないで。金曜日、約束の時間よりも早くホテルに着いた私は、カフェに入り紅茶を飲んでいた。カフェといってもオープンな造りになっているので、ロビーの様子が良く分かる。少しすると、ネイビーのスーツを着た悠真さんが真っすぐこちらに向かって来るのが見えた。「お待たせ、久しぶりだね」「悠真さん」「元気だった?」「うん。悠真さんは?」「千紗に会いたくて気が狂いそうだったよ。行こう、部屋を取ったから」「うん」差し出してくれた手を握る。会えたことはもちろん、今も変わらず私を想っていてくれたことが嬉しくて。自然と綻ぶ顔を彼の背中で隠しながら、エレベーターホールへ向かう。――――と、不意に悠真さんが足を止めた。何事かと思い視線を上げると、そこには思いもよらない人物が立っていた。「やっぱり、2人で会ってたのね」「綾香……」第9話は、11月9日(火)公開予定!
2021年11月02日株式会社インフィオラータ・アソシエイツは、藤川靖彦の活動20周年を記念し、「花絵師 藤川靖彦×インフィオラータ 20年の軌跡展」を、11月6日(土)~14日(日)まで、芝浦のSOW CO.Galleryで開催します。公式ホームページ: キービジュアル世界的な花絵師として国内外で活動する藤川靖彦が、2001年10月、イタリア発祥のフラワーアート「インフィオラータ(花の絨毯)」を日本で初めて開催し今年20周年を迎えました。従来のスタイルにとらわれず、“伝統と革新”をテーマに新しいスタイルの作品を発表し続け、2012年には日本代表として世界大会に出場、その後アジア圏初の国際連盟理事となり、世界を舞台に活動が始まりました。2012年の世界大会で発表した、藤川のオリジナル作品「花歌舞伎(浮世絵の役者絵を花で描いた作品)」は、大きな話題を呼び、その後国内外の様々なメディアで紹介されています。今回の展覧会では、これまでの20年間の歴史を写真や原画、作品等で紹介していくとともに、花絵師 藤川靖彦の代表作である「花歌舞伎」や、水谷千恵子、谷口亮、白井貴子等、様々なアーティストとのコラボレーション作品も展示します。また、特別展を11月11日(木)~14日(日)まで、東京ミッドタウン日比谷1階アトリウムで開催します。2015年にスペインのガリシア州に招かれ創作し、「情熱大陸」でも紹介された歌川国貞作“今様押繪鑑 白拍子櫻子”を、10,000本の生花を使い巨大な花絵で再現します。さらに期間中はゲストを招いてのトークイベントやワークショップも開催、展覧会を通じて、多くの方々に花絵の魅力を伝えていきます。■開催概要<メイン会場>●開催会場 SOW CO.Gallery(東京都港区芝浦2-17-9)●開催日時 11月6日(土)~14日(日) 11:00~19:00 ※日曜日は17:00閉館●観覧費用 1,000円(税込) ※会場でも購入いただけます<特別展会場>●開催会場 東京ミッドタウン日比谷1階アトリウム(東京都千代田区有楽町1-1-2)●開催日時 11月11日(木)~14日(日)●観覧費用 無料<共通>●公式ホームページ ●主催 株式会社インフィオラータ・アソシエイツ●共催 一般社団法人花絵文化協会●後援 Coordinadora Internacional de Entidades de Alfombristas de Arte Efimero/InterFM897●会場協力 東京ミッドタウン日比谷●協賛 株式会社ポピー/株式会社アース※文化庁「ARTS for the future!」補助対象事業■みどころ<メイン会場>20年の軌跡を10のゾーンで紹介。●フラワードレス水谷千恵子さんがデザインしたドレスを、フラワードレスにして再現。フラワードレス●花衣雪だるま谷口亮さんがデザインした“ヌヌコ”のサンタクロースを、花の雪だるまで制作。背景にはペイントアーティスト さとうたけしさんが、フィンランドのクリスマスをペインティング。●花歌舞伎花絵師 藤川靖彦が海外で創作した「花歌舞伎」4作品をアーティフィシャルフラワーで創作。花歌舞伎●Flower's YELL東日本大震災の被災地に向け、白井貴子さんがデザインしたFlower's YELL作品「Try Try Again」を、アーティフィシャルフラワーで創作。●花mal藤川靖彦がアフリカのサバンナで撮影した野生の動物たちの写真と、街や旅先で撮った花の写真をコラージュさせた新作作品「花mal」。人間国宝の和紙職人 岩野市兵衛さんとコラボレーションした5枚の作品を展示。花mal●サンドアート平安時代から室町時代にかけて熱狂的に流行った“能楽”の一源流である「田楽」をモチーフに、花舞台で舞う田楽法師たちが、世界の平和を祈念した壮大なデザインを、130時間かけて創作したサンドアート。<特別展会場>2015年に「情熱大陸」で紹介された歌川国貞作“今様押繪鑑 白拍子櫻子”を、10,000本の生花で、30m2の巨大な花絵として創作。■ギャラリートークイベント現在、花絵師 藤川靖彦が番組DJを務めるInterFM897レギュラー番組「Flower's YELL」の公開ライブトークを、多彩なゲストを招いて行います。<メイン会場>●11月7日(日) 14:00~ ゲスト:ジェームス小野田(米米CLUB) ※ライブ演奏あり●11月13日(土) 17:00~ ゲスト:白井貴子(シンガーソングライター)●11月14日(日) 13:00~ ゲスト:杉野宣雄(押し花作家) ※作品公開制作あり<特別展会場>●11月11日(木) 17:00~ ゲスト:真戸原直人(アンダーグラフ)●11月13日(土) 13:00~ ゲスト:白井貴子(シンガーソングライター) ※ライブ演奏あり■ワークショップ期間中、メイン会場では、アーティフィシャルフラワーの小さなフラワービーズを並べて、箱の中に1枚の花絵を完成させるテーブルインフィオラータ「花の箱庭」のワークショップを随時開催します。ご購入いただいたキットを、会場内にて作品に作り上げることができます。●参加費用 3,000円(税込/花の箱庭キット購入費)■藤川靖彦 プロフィール藤川靖彦 YASU FUJIKAWA花絵師 / Flowerscape Artist株式会社インフィオラータ・アソシエイツ 代表取締役社長1961年東京生まれ。日本大学芸術学部演劇学科卒業。限りある命=Ephemeralをテーマに、国内外において花やキャンドル等を使ったエフェメラル・アートを創作。大地をキャンバスに花びらで描く花絵「インフィオラータ」の日本の第一人者で、現在まで国内外350ヵ所以上で作品を創作・プロデュースし年間150万人以上の集客をはかるアートイベントへと育て上げた。近年は海外で歌舞伎絵を花で再現する「花歌舞伎」の創作活動を積極的に行っており、世界各地から創作の依頼が殺到している。2015年6月スペインでの創作を、毎日放送「情熱大陸」が密着取材を行い、大反響を呼んだ。これを機にテレビ・ラジオ・新聞・雑誌・WEB等に数多く出演中。またローマ法王やベトナム共産党書記長等、VIPに捧げる作品も創作する。・一般社団法人花絵文化協会代表理事・エフェメラル・アート国際連盟理事・日本ディスプレイクリエイター協会 アンバサダー・エンジン01文化戦略会議会員 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2021年10月29日この恋は幸せになれない?好きになってしまったのは、奥さんのいる人。(第7話)【これまでのあらすじ】綾香の妊娠を知って、悠真さんとの関係を清算しようと思った千紗だったが、「離婚したい気持ちに変わりはないから待ってて」という言葉に流されてしまう。しかし綾香はすぐに流産していた。それ以来、悠真さんは綾香に付きっきりになってしまい、千紗は激しい嫉妬心に苛まれる…前回はこちら▼この恋は幸せになれない?好きになってしまったのは、奥さんのいる人。(第6話)1話から読む▼この恋は幸せになれない?好きになってしまったのは、奥さんのいる人。(第1話)彼しかいない行く当てもなく、ふらふらと歩く。衝動的に外へ出たものの、何がしたいかなんて自分でも分からない。悠真さんと綾香が住む家に乗り込んで、秘密を暴露する勇気もない。駅前まで来ると急に寒さを感じて、24時間営業のカフェに入った。「いらっしゃいませ」カウンターでコーヒーを注文して、空いている席を探す。周りに人がいなくて、落ち着ける場所が良いなと考えていると、1人の男性と目が合った。すると、その男性はゆっくり立ち上がり、私のところに向かって来る。「なつみさん?」「え?」「たかあきです。ほらこれ、目印の帽子」もしかして、出会い系で待ち合わせしてる人と間違われた?たかあきと名乗った男性は、私が持っているトレイを持ち席へ誘導しようとする。「違うんです」と言いかけて、やめた。どうせ1人だし、話し相手ができるならいいか。そう思った瞬間だった。「すみません、彼女を返してもらいますね」私と男性の間に突然現れた人物に、我が目を疑った。嘘でしょ……。悠真さんが、どうして?有無を言わせないきっぱりとした口調でそう言った悠真さんは、私の腕を引いてカフェを出た。そのまま人気のない路地へと進んで行く。たまらず、声をかけた。「悠真さん、あの」「僕が来なかったら、あの男とどこか行く気だった?」足を止めた悠真さんは、私に背中を向けたまま質問をする。問いかけに答えられないでいると、「良かった、間に合って」大きなため息を漏らした悠真さんは、こちらに体を向けて私を抱きしめた。「危なっかしくて放っておけないよ」「ごめんなさい」「謝るのは僕の方だよ。ごめん、すぐに駆けつけられなくて」いいの……。こうして来てくれただけでも、嬉しい。「でもどうして、あそこにいるって分かったの?」「電話してもでないから取りあえず千紗が住んでる駅に来てみたら、偶然見つけたんだ」そうだったんだ。ガラス張りのお店に居て良かった。見つけてくれた嬉しさがこみ上げ胸の真ん中が温かくなる。「あれからまたインターフォンが鳴ったの? 警察に連絡した?」「それは……」嘘だったなんて、いまさら言えない。悠真さんの気を引くため咄嗟に嘘を吐いてしまったのだ。「ただの酔っ払いだったのかも。上の階の人が部屋を間違えたのかな」「だったらいいけど。念の為、管理人さんには話した方がいいよ」「分かった、そうする」ごめんね、悠真さん。私、平気で嘘を吐く最低な人間なの。最低だけど、あなたのことが好きすぎてどうにかなりそうなの。私には悠真さんしかいない……。「来てくれて、ありがとう」「お礼なんか言わなくていいよ。でも、約束して。僕以外の男に付いて行かないって」「うん、約束する」小指を立てて頷くと、悠真さんは優しいキスをくれた。◆どっちが大事?「本当に帰らなくていいの?」「うん、綾香には仕事のトラブルで朝まで帰れないと言ってきたから」「嬉しい」悠真さんの首筋に腕を回し、ギュッと抱きつく。綾香が流産してからあまり会えてなかったし、お泊りをするのも久しぶり。ホテルに行くことも考えたけど、私の家の方が近いので招待することにした。最近まで母が居たから、悠真さんがここに来るのは初めてだ。「へぇ、ここが千紗の部屋か。キレイにしてるね」「あんまりジロジロ見ないで適当に座ってて。今、コーヒー淹れる」「いや、コーヒーよりも……」背後からお腹の辺りに腕を回され、耳元にキスをされた。「千紗が欲しい」されるままに悠真さんのキスを受けていると、それだけで心が満たされていく。ベッドへ移動した私たちは、服を脱ぐ間ももどかしくお互いの体を密着させた。「悠真さん、愛してる」「僕も。ずっと一緒にいようね」唇を重ねようとした瞬間、悠真さんのスマホから着信音が鳴った。1度は無視したものの、しつこく何度もコールされる。「もしかして、綾香……?」「あぁ」苦い表情を浮かべた悠真さんは、スマホを取り耳に当てた。それから短い返事をいくつかしたあと、「すぐ帰る」と答え、通話を切った。「ごめん、帰らないと」「どうして? 朝まで一緒に居られるって言ったじゃない」「綾香が不安がっているんだ」「そんなの放っておけばいいでしょ!」不安なのは、私だって同じなのに。寂しくて苦しくて、爆発しそうな思いをいつも抱えて耐えているのに。「また時間を作るから」「またっていつ?」「千紗……」「綾香と私、どっちが大事なの!?」頭にカッと血が上って、思わず泣き叫ぶ。そんな私を、悠真さんは困ったように見つめていたけど、「あとで連絡する」と言い残して帰って行った。どうしてこんなことになってしまったのだろう?さっきまで、すごく幸せだったのに。それからしばらく泣きながら部屋で過ごして涙が枯れた頃、インターフォンが鳴った。もしかして、悠真さんが戻って来てくれた?慌てて玄関のドアを開けに行くと、そこに立っていたのは母だった。「お母さん、どうして?」「どうしたもこうしたもないよ。あの男……若い女と二股しやがって」「また振られたの」「うるさいわね、あんたまで私をバカにする気!?」噛みつかんばかりに勢いで喚き散らす母は、ずかずかと部屋に入り冷蔵庫からビールを取り出した。「ムカつく! ふざけんな!」「お母さん……」「うるさい!うるさい!」ヒステリックに叫ぶ母は、ビールを飲みながら嗚咽を漏らして泣き始めた。その姿が、数時間前の自分と重なりゾッとした。私、お母さんと同じようになってしまっている……。◆決意悠真さんからの連絡は、しばらく途絶えた。綾香のSNSには、「旦那くんがマッサージしてくれた」や「気晴らしに映画を観に連れて行ってくれた」などが書かれていて、私の心は荒れる一方だった。そんなある日、母方の従兄弟から祖母が入院したという連絡が入った。「お祖母ちゃん!」駆けつけた私に、祖母は目を丸くして「どこのお嬢さんかと思ったわ」と笑った。電話はよくしていたものの、祖母に会うのは10年振りくらいかな?祖母も随分老けていて、私の記憶にある祖母とは全然違う。「身体は大丈夫なの?」「検査入院みたいなものだから大丈夫よ」「本当に?」「本当、本当。わざわざ飛行機に乗って駆け付けてくれたのね。ありがとう」「当たり前でしょ、お祖母ちゃんに何かあったら私……生きていけないよ」「大げさね」私は幼い頃、お祖母ちゃんと一緒に暮らしていた。しつけには厳しかったけど、私の母とは違って優しくて笑顔の絶えない人。当時はたまにしか様子を見に来ない母のことを姉、祖母を本当の母だと思っていた。母が上京する際に私も連れて行くことに、最後まで反対してくれた人でもある。「千紗はどうなの? 元気にしてる?」「うん、元気だよ」「こんなにやつれているのに? 無理なダイエットをしているんじゃないでしょうね」祖母は心配そうに、私の頬を撫でた。実はここ最近、あんまり食欲がなく2キロ痩せてしまった。「違うよ」「千紗が幸せになる姿を見るまで、死ねないわ」「お祖母ちゃん……」「木綿子(ゆうこ)はね、どういうわけか幸せに縁のない子でね。千紗にも苦労をかけたでしょう」木綿子というのは、私の母だ。「私の育て方が間違っていたんだろうね。親として娘が不幸せなのは見ていて辛い。だからせめて、孫娘の千紗は幸せな姿を私に見せてね」「うん、分かった」胸が締め付けられるように痛い。幸せな姿なんて、いつになったら見せられるのだろう。そもそも悠真さんが私のところに来てくれたとして幸せになれるのだろうか。ううん、きっとなれない。綾香と私、どっち付かずの彼のことだ。幸せになんかなれるはずがない。「(もう終わりにしよう)」私は祖母の手を握りながら、悠真さんと別れることを決めた。第8話は、11月2日(火)公開予定!
2021年10月26日この恋は幸せになれない?好きになってしまったのは、奥さんのいる人。(第6話)【これまでのあらすじ】帰りの時間を気にせずに済むので、伊野さんと旅行を計画した千紗。旅行は楽しく、好きという気持ちも増したが、こんなことをしていて良いのかという後ろめたさも募った。そんな中、職場のカウンセラー赤城さんの妹が旦那に浮気された話を聞き、さらに罪悪感を感じていたところ、綾香から「私、妊娠したみたい」と電話が…前回はこちら▼この恋は幸せになれない?好きになってしまったのは、奥さんのいる人。(第5話)1話から読む▼この恋は幸せになれない?好きになってしまったのは、奥さんのいる人。(第1話)動揺綾香が妊娠……!?それって、当然のことながら悠真さんの子供だよね?スマホを持つ手が震える。動揺に気付かれないよう、そっと深呼吸をした。「そうなんだ、おめでとう」『ありがとう!』「お祝いしなきゃね」『気が早いよぉ。まだ、5週目だから』5週目ってことは、1カ月と少し。私と悠真さんが親密になった頃ってこと?綾香とのセックスが苦痛で仕方ないと打ち明けられた時には、もうできていたんだね。そう考えると、胸の奥にムカムカとした感情が渦巻いた。この感情って――――嫉妬?綾香の妊娠を知った日の夜、ホテルの一室で悠真さんと会った。複雑な心境だった私は、彼の顔をまともに見れない。「僕も驚いているんだ、まさかこのタイミングで子供ができるとは」「おめでとうって言うべきよね」「まだ実感が湧かないよ」「もう会うのは、やめた方がいいね」生まれてくる赤ん坊から、父親を奪うわけにはいかない。それくらいの良識は、まだ残っている。こうなってしまった以上、私たちの関係は清算して彼は家庭に戻った方が良い。頭では分かっているんだけど、涙が零れそうになる。泣き顔を見られたくなくて背中を向けたまま「じゃぁね」って部屋から出ようとした瞬間、抱きしめられた。「千紗」「離して。後腐れないようにしようよ」「そんなの無理だ」「じゃぁ、どうするの?」「離婚したい気持ちに変わりはない。だから、少しだけ待ってて」私はいつか、この時のことを後悔する。引き返せるはずだったのに、どうして流されてしまったの?って。だけど、それでも良いって思ってしまった。「分かった、待ってる」後悔しても良いから、この人が欲しい。◆まさかの「あれ、もしかして千紗」仕事帰りに立ち寄った雑貨店で声をかけられ振り向くと、大学時代の友人が立っていた。黒いツヤのある髪と大ぶりのピアスがよく似合う美人で、仲良しグループの中心的存在だった玲子(れいこ)だ。「わあ、久しぶりだね! 元気?」「元気元気! 千紗も元気してた? 今、何してるの? 仕事は? 住んでるのって、この辺り? 」「ちょ、ちょっと待って。そんな次々に聞かれても答えられないよ」「あはは、ごめんー」相変わらずだなぁ、玲子は。明るくて派手な性格の玲子は交友関係が広く、賑やかなのが苦手な私とは正反対。そのため、グループ以外で個人的に遊んだりすることはなくて大学を卒業後は連絡を取ってなかった。それでも久しぶりに会えたことが嬉しく、お互いに時間があるということで、近くにあるイタリアンレストランに入った。「千紗、何だか大人っぽくなったよね」「そう? 実際もう30歳だし。十分大人なんだけどね」「いや、そうじゃなくて色っぽくなったというか、魅力的になったって意味!」面と向かってそんなことを言われると、背中の辺りがくすぐったい。私自身そんな自覚はないけど、もし変わったことがあるとしたら、恋をしているからかな……。「千紗と話してたら皆にも会いたくなっちゃった。誰かと連絡とってる?」「今は……綾香くらいかな」「綾香!私も時々連絡するよ。って言ってもSNSで繋がってるだけだけどね」そう言ってスマホを手に取った玲子は、急に顔を曇らせた。「綾香は今、大変みたいだね」「あー、つわり?」綾香はSNSでも妊娠したことを報告していた。今時、安定期に入る前に公表する人は珍しいけど、それだけ嬉しかったのだろう。私はそれ以来、彼女のSNSは見ないようにしていた。大変なことと言えば、つわりくらいしか思いつかない。「綾香から聞いてないの?」「うん? 何が?」「あの子、流産したって」え、嘘……。「千紗も知らなかったかー。SNSであれだけ派手に報告したから、言い出しづらいんだろうね」「玲子はどうして知ったの?」「DMでやり取りしてて、その時に聞いたの」「そっか……」「落ち着いたら、綾香を励ます会をしようよ」「うん、そうだね」◆最低な人間綾香が流産したと聞いた時、正直ホッとした。その反面、命が1つなくなったというのに安堵するなんて最低だと自己嫌悪をする。私ってこんなにも自分勝手で冷たい人間だった……?「あ、丁度良いところに帰って来た」玲子と連絡先を交換してから別れ、家に帰ると部屋で母が荷物をまとめていた。家にいる間はずっとノーメイクにジャージ姿だったくせに、今日は水商売の女のように濃いメイクを施し、体のラインを強調した服を着ている。「お母さん、出て行くの?」「あぁ、世話になったね」「また男の人のところ?」「そうだよ、あんたなんかよりもずっと優しくて尽くしてくれる男のところに行くんだよ」悪びれることもなくそう言った母は、クローゼットの上にある私の腕時計やアクセサリーを鞄に投げ入れた。情けないやら悲しいやら、やるせない気持ちでいっぱいになる。「私だってお母さんに十分優しくしてるでしょう」「優しいもんかい、小遣いの1つもくれやしないで」「お母さんの言う優しさは、お金なの?」何かって言うと、いつもそう。私の存在を認めてくれたことなんて1度もない。母から愛情を感じたこともない。「馬鹿なこと言わないで。もう行くから」「待って!1つだけ教えて……。私がお腹にいると分かった時、お母さんはどう思った?」「は? そんなことを聞いてどうするの」「いいから答えて」「堕ろそうと思ったよ、でも子供を産んだらあの男を繋ぎとめられると思った。だから産んだんだ」最低、最低、最低。こんな最低な人から産まれたから、私も最低なんだ。◆嫉妬 残念なお知らせがあります私たちのべビはお空に帰りましたいつかまたパパとママに会いに来てね**旦那くんも辛いはずなのに、いっぱい励ましてくれる優しい旦那くん、ありがとう、大好き赤ちゃんを守れなくてごめんなさい#べビ # またね #流産#パパとママのところに来てくれてありがとう#旦那くん大好き何これ、悲劇のヒロインにでもなったつもり……?見なきゃいいのに、綾香のSNSを見てはイラつきを抑えられなくなる。流産してしまった綾香の体を心配するとか、メンタルは大丈夫なのかと思いやる気持ちはどこかに行ってしまった。悠真さんとの電話でも、聞き分けの言い女を演じられない。『もしもし、千紗』「悠真さん」『悪いけど、しばらく連絡できない』「どうして?」『綾香の具合が悪いんだ。それに、今は綾香の傍に居てやらないと』「夜に電話するくらいなら、」『ごめん!綾香が呼んでるから切るよ』悠真さんは、綾香が流産してから付きっきりで看病をしているらしい。そのことがさらに私の嫉妬心を煽った。連絡できないと言われていたのを無視して、電話をかける。「悠真さん、助けて!」『どうした?』「部屋に変な人が来たの」『変な人って?』「分からないけど、インターフォンを鳴らされて……。怖いから来てくれない?」『来てくれないって、家に? 今からは無理だよ』「お願い……」『僕が行くより警察を呼んだ方が良い。次にインターフォンが鳴ったら110番するんだ。いいね?』私がこんなにもお願いしているのに来てくれないんだ。離婚したい気持ちに変わりはないって言っていたくせに、嘘つき!やっぱり綾香の方が大切なんだね。メールで文句を言ってやろうかと思ったけど、やめた。「(自分がどんどん醜くなっていく気がする……)」本気で人を好きになるって、こういうことなの?欲ばかりが大きくなって抑えられず、ちょっとしたことで爆発しそうになる。気持ちが通じ合っているだけで幸せだと思った1秒後には、激しい嫉妬心に苛まれる。その繰り返し。やっぱり私は恋愛に向かなかったのかも……。だけど、もう遅い。スマホを片手に持った私は、上着も羽織らず家を出た。第7話は、10月26日(火)公開予定!
2021年10月19日この恋は幸せになれない?好きになってしまったのは、奥さんのいる人。(第5話)【これまでのあらすじ】不妊治療にプレッシャーを感じていた伊野さん。その苦しみを理解しようとしない綾香につい怒りを覚える。一度だけと気持ちに蓋をしていたのに、また伊野さんと体を重ねる千紗は、伊野さんのことを本気で好きになっていた…前回はこちら▼この恋は幸せになれない?好きになってしまったのは、奥さんのいる人。(第4話)1話から読む▼この恋は幸せになれない?好きになってしまったのは、奥さんのいる人。(第1話)私欲既婚者を好きになってしまった人たちは、よくこんなことを言う。『独占できないのが辛い』『1番になれないのが悲しい』と。私はそれを聞くたびに「不倫をしておいて何を寝ぼけたことを言ってるの?」と、呆れていた。まさか自分が同じようになるなんて思いもしなかった。「そろそろ帰らないと」伊野さんと体を重ねたあの日から、私たちは頻繁に会うようになっていた。場所はホテルだったり、カフェだったり色々で、この日はBARだった。「そうね」伊野さんの言葉に頷き、席を立つ。理解のある女性を演じているのは、まだこの人に「溺れていない」と思いたいから。いつでも止められる。いつでも元に戻れる。会うのは今日でお終いだと言われても、全然平気。だけど……。「やっぱり、もう1杯飲んでからにしようか?」本音を言うと、もう少し一緒に居たい。「また綾香に疑われるよ」「本当に煩わしいね。帰りの時間なんか気にしたくないのに」「まるでシンデレラね」「僕が?」可笑しそうに笑った伊野さんは、私の手を取り指を絡めた。それから急に思い立ったように「そうだ」と呟く。「旅行にいこうか」「どこに?」「どこにでも。そうすれば、周りの目を気にしなくていいし、深夜0時を過ぎても帰らなくていい」「本気で言ってるの?」「もちろん。近々、計画を立てよう」◆旅行 週末は旦那くんが出張(><)寂しいけど、お留守番頑張ります**お料理教室で習ったビーフストロガノフを作って待ってるね#旦那くん大好き #出張 #寂しい #お留守番#愛情たっぷりご飯 #楽しみにしててね伊野さんと旅行することに罪悪感が全くないわけではない。だけど、こんな能天気なSNSを見てると別にいいかと開き直りたくなる。待ち合わせ場所の羽田空港に着くと、先に到着していた伊野さんが手を振ってくれた。「迷わなかった? 大丈夫?」私の旅行鞄を持ってくれた伊野さんは、いつものスーツ姿とは違いカジュアルな格好をしている。それがとても新鮮で、ドキドキした。「じゃぁ、行こうか」「あ、伊野さん」振り向いた彼は、何故か渋い顔をして首を左右に振った。「”伊野さん”じゃなくて、”悠真”。堅苦しいのはやめよう」「あ、じゃぁ……悠真さん」「うん。何?」「旅のしおりを用意したんだけど……」言って後悔した。悠真さんは無くなるくらい目を細めたあと、私が作成したしおりを見てさらに笑った。恥ずかしさで顔が熱くなる。「もう返して」「どうして? すごく良くできているよ」「本当にもういいから」「ごめんごめん、虐め過ぎたね。だって、千紗が可愛いから」あ、今、名前で呼ばれた。そんな些細なことでさえ嬉しくて胸が温かくなるなんて……。羽田空港から目的地である福岡まで、2時間弱だった。空港に着いた瞬間、何とも言えない解放感と高揚感で自然と顔が綻ぶ。軽い足取りで歩く私に、悠真さんが尋ねた。「福岡は初めて?」「実は、子供の頃に少しだけ住んでいたの」「そうなの? 福岡のどの辺?」「南東部になるのかな。地図で言うと、ちょっとくびれているところなんだけど」「ここ?」悠真さんが、スマホを見せてきた。「うん、そう。自然が豊かで良いところなの」「行ってみたいなぁ、寄ってみる?」「行けなくもないけど、今回は予定通り博多周辺を観光しようよ」「そっか。じゃぁ、いつか行こうね」「うん、いつかね」そんな日が来るのかな?普通のカップルのように、「じゃぁ次は〇月にね」って、約束できないのが悲しい。彼のことを知れば知るほど、独占したい気持ちが膨らんでいく。切なくなって悠真さんの手を掴むと、彼は指を絡めるようにして繋ぎ直してくれた。この旅の間は、ネガティブなことを考えるのやめよう。「わっ、すごい」「思っていた以上だね」予約していた旅館に着くと、その豪華さに驚いた。着物を優雅に着こなした女将さんが、ロビーで出迎えてくれる。「ようこそ、いらっしゃいませ」「予約していた伊野です」チェックインを済ませた後は、仲居さんが部屋まで案内してくれるらしい。こんな格式の高そうな旅館に泊まるのは初めてだなぁとソワソワしていると、仲居さんと目が合った。「お客様はどちらからお越しですか?」「東京からです」「まぁ、東京ですか。私の娘も東京にいるんですよ」「そうですか」どうやらこの仲居さんはお喋り好きのようで、他愛のない世間話が部屋に入るまで続いた。「夕食は19時にお部屋へお持ちしますね。奥様、好き嫌いやアレルギー等はございますか?」「えっ!あ、大丈夫です」「旦那様は、いかがでしょう?」「僕も大丈夫です」『奥様』と呼ばれて、びっくりしちゃった。仲居さんが部屋から出て行った後、そのことを悠真さんに言うと、彼は私を抱き寄せた。「僕は離婚が成立したら、千紗と一緒になりたいと思ってるよ」「悠真さん、私は……」「千紗が結婚に対してマイナスな気持ちしかないことは分かってる。恋愛に対してもそう。だけど、1歩踏み出せたよね」それは、確かにそう。誰とも恋愛しないって決めていたけど、いつの間にか悠真さんを好きになっていた。これがいわゆる本気の恋なんだろうと自覚している。でも、だからってそれと結婚はイコールじゃない。第一、綾香との離婚が成立したからといって、すぐに私と結婚できるわけじゃないでしょう。「もちろん、すぐにとは言わない。でも、千紗と結婚したい気持ちがあることはちゃんと伝えたいと思って」「悠真さん……」「綾香と別れたいから、とか、現実逃避とかじゃなくて、純粋に千紗を好きになったんだ。それだけは、分かってね」「うん、ありがとう」福岡旅行は、とても楽しかった。一緒にいることで悠真さんのことが好きだという気持ちが増した。けれど、それと同時に、「こんなことをして本当に良いのかな?」と後ろめたさも募る。そんな旅でもあった。◆予想外の知らせ「結婚を仄めかす男なんて、ろくなやつじゃない!」グサッと胸に何かが刺さった。「それを本気にとる女もバカ!」痛い痛い、傷口をぐりぐりされてるみたいに痛い。思わず胸を押さえた私を見て、赤城さんが不思議そうに首を傾げた。「どうしたの? 具合悪いの?」「いえ、特には」自分のことを言われているようで胸が痛い、とは言えない。赤城さんが「ロクなやつじゃない」と怒っていたのは、妹さんの旦那のことだ。妹さんの旦那が職場の女と浮気して、その浮気相手が家に乗り込んで来たらしい。「それで、妹さんはどうするって言ってますか?」「どうするも何も。1日中泣いて、食事もろくにとらないし、塞ぎこんでる」「そうなんですか……」「ほんっとに、不倫するやつなんて最低よ」はい……ごもっともです。分かってはいるんです。奥さんがいる人を好きになってしまっただけだと、どれだけ自分を正当化しても不倫は不倫。人の幸せを壊しておいて、自分が幸せになれるはずない。例え、それが離婚しかけの夫婦であっても、許されるわけないよね。「ねぇ、本当に大丈夫? 顔色悪いけど」「あ、えっと。ちょっと食べすぎちゃったみたいで」「福岡って美味しいものが多いって言うよね。いいなぁ、旅行は彼氏と行ったんでしょ」「ええ、まぁ」罪悪感で胸がいっぱいになった。私が悠真さんと楽しんでいる間、綾香はどんな気持ちでいたのかな。気になって、綾香のSNSを見る。そこには、福岡土産の写真がアップされており、旦那が帰って来たことを喜ぶコメントが添えられていた。悠真さんの肩に体を寄せて仲良しアピールしている写真も出てきた。「(……全然、気が付いてないんだね)」ホッとしたと同時に、軽い苛立ちを感じる。出張じゃなくて旅行をしていたとは知らず、呑気な子。これなら少しくらい悠真さんを借りたって良いんじゃない……?別に奪おうとしてるんじゃない、借りるだけ。少しだけ幸せを分けてもらうだけ。それなら許される?そんな邪な考えが浮かんできたところで、電話がかかってきた。画面には「綾香」と文字が浮かんでいる。「もしもし……」「千紗! 聞いてぇ~!」「どうしたの?」「あのね、私、妊娠したみたい」第6話は、10月19日(火)公開予定!
2021年10月12日この恋は幸せになれない?好きになってしまったのは、奥さんのいる人。(第3話)【これまでのあらすじ】綾香と離婚したいと言う伊野さん。無自覚にシングルを見下す綾香には良い薬になるだろうと、千紗は伊野さんにアドバイスをすることに。離婚の件で話がしたいと会っていた伊野さんと別れ、駅に向かっていたところ、誰かに後ろから肩を掴まれ…前回はこちら▼この恋は幸せになれない?好きになってしまったのは、奥さんのいる人。(第2話)やましいことはない「おい」乱暴に肩を掴まれ振り返ると、マッチングアプリで知り合った男性が立っていた。何度も「また会おう」と、しつこく言ってきた例の人だ。「お前、俺のことブロックしただろ」「そっちがしつこいからでしょ」「ふざけんな、さっきの男は誰だよ!」まさか、私を付けていたの? いつから? 男の執念深さにぞっとする。「おい、答えろよ。さっきの男は何なんだよ」「あんたに関係ないでしょ」「こいつ!」殴られる……そう思って目を閉じたけど、予測した衝撃が襲ってこない。ゆっくり目を開けると、帰ったはずの伊野さんが男の腕を掴んでいた。「何してるんですか? 警察呼びますよ」「お前……さっき、こいつと一緒にいた奴だな。どういう関係だよ」「失礼な人ですね」不愉快そうに眉をひそめた伊野さんは、おもむろの私の肩を抱き寄せた。「彼女の恋人です」え……? 思わず伊野さんの顔を見上げると、「ね?」って目で合図を送られる。そうか、なるほど。「そう、この人は私の彼氏よ」「なっ、何だよ、彼氏がいたのかよ」「分かったなら、もう付きまとわないで」「言われなくても、嘘つき女なんかこっちから願い下げだ」男はそう言うと、毒づきながら帰って行った。男が完全に見えなくなってから、伊野さんが短い溜息を落す。「行きましたね」「ええ……あの、ありがとうございます」「いえ、諦めてくれて良かったです……あっ、すみません」伊野さんは慌てて、私の肩に回していた腕を下ろした。「助かりました。でも、どうして戻って来たんですか? 帰ったはずでは?」「あ、それはですね……」言いにくそうに頭を搔く。「夕食を一緒にどうかと思いまして」「え?」「あ、いや……今日は綾香の両親が家に来ているので。帰りたくないんです」そう訴える伊野さんは、捨てられた子犬のような目をしていた。「いいですよ、予定もないですし」「本当ですか! 良かった」「さっき助けてもらったお礼です」夕食時とあって近くのレストランはどこもいっぱいで、仕方なく少し離れたダイニングバーに入った。創作料理とそれに合ったお酒が楽しめるお店らしい。「藤川さん、お酒は?」「好きです」「よかった、僕も好きなんです」「食べ物の好き嫌いあります?」「魚介類はちょっと……。生臭くなければ食べられるんですけど」「分かります、私もです」伊野さんとは不思議なくらい好みが合い、美味しいお酒と共に会話が弾んだ。ラストオーダーの時間になり、名残惜しく感じる自分がいる。「今日は本当によく喋りました」「私もです」「藤川さん、来週も会ってくれますか?」「え?」「あ、その、離婚の相談をしたいので」「いいですよ」相談を受けるために会うだけ。やましいことはない。そうだよね?◆私の母ターミナル駅から徒歩5分のところにある私の家は、交通の便こそ良いものの築数が古くて狭いワンルーム。どうせ寝るためだけに帰るんだから、これと言って不満は感じていない。だけど、数年に1度、早ければ半年に1度の頻度でやって来るXデーだけは、部屋数のある家にすれば良かったと後悔する。「お帰り~千紗! 久しぶりね」「お母さん、来てたんだ」「母親が娘に会いに来て何が悪いの?」別に私に会いたかったわけじゃないでしょ、と、喉元まで出てきた言葉を飲み込む。これを言ってしまったら喧嘩になるだけだ。「2,3日、世話になるから」「はいはい」「何よ、その言い方。もっと歓迎しなさいよ」「してるよ。お腹空いてない? 何か作ろうか?」「適当に食べたから要らない。それより、千紗にお願いがあるんだけど」「何?」「お金貸してくれない? 家賃代の7万、いや5万でいいからお願い!」またか……。私に会いに来る時は、いつもそう。分かっていても今回は違うかもと思ってしまう自分にガッカリする。「言っとくけど、5万なんてすぐに出せる金額じゃないからね」「よく言うよ、正社員のくせに」「独り暮らしは何かとお金がかかるの。お母さんだって分かってるでしょ」「そうね、お金の苦しさは分かっているわよ。あんたを育てるのに私がどれだけ苦労したか」「またその話?」昔っから、何かというと自分の苦労話。そんなに大変だったなら、施設の前に捨ててくれれば良かったのに。「育ててもらった恩を忘れて口答えするんじゃないよ」「いい加減にしてよ! 恩を売るために、私を産んで育てたの!?」「その通りだよ、悪い?じゃなきゃ子供なんて邪魔なだけだよ!」売り言葉に買い言葉。母の本心でないことは分かっていても傷つく。いや、もはや本心なのかもしれない。こんな人でも親は親だと耐えてきたけど、もう限界かも……。◆この人に癒されたい「すみません、遅くなりました」カフェバーで待ち合わせをしていた伊野さんは、私の顔を見るなり頭を下げた。「大丈夫ですよ」「相談のお願いをした側が遅れるなんて、申し訳ない」律儀な人だなぁ。尚も申し訳なさそうにする伊野さんに座るよう促し、メニューを渡す。彼は私が飲んでいるものを聞いた後、「同じものを」と、注文した。ほどなくして、ブラッディー・マリーが運ばれてくる。「先日は助かりました。お陰で綾香の両親に会わずに済みました」「良かったです」綾香の親は、とても過保護なんだと彼女から聞いたことがある。だから綾香を心配して、旦那を注意しに来たのだろう。いい年をして親にチクる綾香もどうかと思うけど、親も親だ。だけど、いつだって味方になってくれる親がいて羨ましい。私の母なんて……。「何かありましたか?」突然、伊野さんがそう尋ねた。「え?」「今日はとても浮かない顔をしていますよ」「いえ、特には……」「話してください。いつも僕の話を聞いてもらっているんだから聞きますよ」「伊野さんの話を聞くために会ってるんだから、私のことはいいんです」「よくありません」真剣な瞳に見つめられて、心がざわつく。誰かに愚痴りたい、聞いて欲しい、そんな心の声を読まれたような気がした。「僕の相談は今度にして、今日は藤川さんの話をしてください」「でも、」「じゃぁ、こうしましょう」伊野さんはそう言って、店員さんを呼んだ。「今日はとことん飲みませんか? そうすれば話しやすいし、僕も聞きやすい。そして何より……」「何より?」「明日になったら2人とも覚えていない」フッと、思わず吹き出してしまった。伊野さんってやっぱり面白い人だなぁ。お酒の力もあり、私は母とのことを伊野さんに話した。お金の無心をされることや、この前、喧嘩した時に言われたこと。それから話は子供時代のことまで遡る。「母はシングルマザーだったんですけど、いわゆる恋多き女性で常に彼氏がいました」「そうですか」伊野さんは優しく相槌を打ってくれる。「でも長続きしないんです。いつも最後は男に裏切られて捨てられて、その度に泣いてヒステリーを起こして」「親のそんな姿を見るのは辛いですね」「はい……。だから、私は本気で人を好きになったりしない、恋人は作らないと決めました。母のようにはなりたくないので」「お母さんと同じようになるとは限りませんよ」そうかもしれない。だけど……、「本当は怖いんです。きっと私は恋愛に向いていない」「ずっと傷ついたままなんですね」「傷……?」「藤川さんは傷つけられたんですよ、お母さんを通して、お母さんを捨てた男たちに」「そんな自覚は全然……」「自覚がないから傷を癒すことなく大人になってしまったんでしょう」ふと、伊野さんの手が私の手に触れた。ドキドキするのは、お酒のせい……?「僕が傷を癒してあげましょうか?」「え……」「僕でよければ、ですけど」器用なのか不器用なのか、よく分からない口説き方。だけど、伊野さんの声が優しくて、眼差しが温かくて、この人に癒されたいと思ってしまった。「癒してください」「じゃぁ、2人っきりになれる場所へ行きましょうか」第4話は、10月5日(火)公開予定!
2021年09月28日この恋は幸せになれない?好きになってしまったのは、奥さんのいる人。(第2話)【これまでのあらすじ】友達の綾香に依頼され、綾香の旦那である伊野さんの浮気調査を開始した千紗は、伊野さんが女とホテルに入るところをあっさりと押さえられ拍子抜けする。しかし伊野さんは綾香が浮気調査を依頼することを分かっていてわざと尾行させていた…前回はこちら▼この恋は幸せになれない?好きになってしまったのは、奥さんのいる人。(第1話)切実な願い「綾香と離婚したいんです。僕に協力してくれませんか?」「えっと……」唐突なお願いに驚いてしまい、何も言葉が出てこない。これまでいくつもの不倫調査を担当したけど、対象者からこんなお願いをされたのは初めてだ。「変なことを言ってすみません」「いえ……びっくりしちゃいましたけど。あの、離婚したいというのは、」「本気です」「そうですか。それなら綾香と話し合ってください」「それが可能なら、あなたにお願いしません」懇願するような瞳で私を見つめる綾香の旦那は、「歩きながら話しませんか?」と駅の方を指さした。変なことになってしまったなぁ……。だけど、ホテル街で立ち話を続けるわけにもいかず承諾した。「あの、さっきの女性は?」「もう帰ったと思いますよ。ホテルに入るところまで同行する約束でしたから」「わざと尾行できるようにって言ってましたけど、浮気の証拠を私に撮らせるつもりだったんですか?」「そんなところです。でも、ホテルに入っただけじゃ証拠にならないですよね」確かに、ホテルに入っただけじゃ証拠として弱い。相手の具合が悪くなり休憩していただけとか、言い逃れができるからだ。「私が伊野さんの調査してるかどうか試したんですね」「試すようなことをしてすみません。綾香がどこまで本気で依頼をしたのか分からなかったので」「クライアントの情報は漏らしませんよ」「あなたが調査に失敗したことも、内密にするんですか?」私を脅す気……?思わず綾香の旦那を睨み付けると、彼は眉尻を下げて泣きそうな顔をした。「それだけ切実なんです」「そう言われても、困ります」「調査はこのまま続けてください。ただ、僕が気付いていることだけは綾香に黙ってて欲しい」「それで、どうするんですか?」「その先については……」駅に近づくにつれ、人の行き交いが増えていく。正面から酔っ払いの団体が歩いてきてぶつかりそうになった瞬間、肩を引き寄せられた。「大丈夫ですか?」「ええ、はい」「ノープランです」え?眉をひそめた私に、綾香の旦那はもう1度「ノープランです」と言い、困ったように笑った。◆痛い女平日のお昼。ランチをしながら話そうと綾香を誘い、事務所近くのカフェに入った。「どうだった、何か分かったぁ?」友達なら包み隠さず全て話して調査を中止するべきなんだろう。だけど、夫婦の間にどんな行き違いがあって関係がこじれてしまったのか、綾香の旦那は何を望んでいるのか、離婚を切り出された綾香はどうするのか?好奇心をそそられて、もう少し調べたいという気持ちを抑えられない。「まだ調査中」「そうなんだぁ」「綾香の方は? 何か怪しいと思うことがあった?」えー、どうかなぁって、頬に左手を当てる。薬指のダイヤモンドリングがキラリと光った。「その指輪って」「ん? あぁ、これぇ? 旦那くんからのプレゼント」「へぇ……」「前にチラッと指輪が欲しいって言ったのを覚えていたみたい。こういうことしてくれるとぉ、疑っちゃって悪いなって思っちゃうよねぇ」「じゃぁ、旦那さんのこと信じてあげれば?」「それができたら苦労しないよぉ」わざとらしく唇を尖らせた綾香は、「独身の千紗には分からないか」と呟いた。その言い方が癇に障った。「どういう意味?」「だって、そうでしょうぉ。結婚して家庭を守ってる女の気持ちなんて、分からないよねぇ?」「分からないけど、それと旦那を信じる云々の話は別だよね」「ほら、すぐそうやって論破しようとするー。そんなんだから千紗は、まともな彼氏ができないんだよぉ」目の前のおしぼりを投げてやろうかと思った。思い込みの持論を並べて、私のことを見下している。無自覚なんだろうけど、むかつくっ!◆面白い人「すみません、こんな場所に来てもらって」「いいえ、こちらこそ無理を言って」綾香の旦那こと、伊野さんから「先日の件で話がしたい」と連絡がきたのは、日曜日の夕方だった。その頃、私はお見合いパーティーに参加していたので、会場であるホテルまで来てもらった。ロビーで落ち合って、カフェに移動する。「パーティーには、よく参加するんですか?」「今回が初めてです。話のネタになるかと思って」冗談で言ったのに、伊野さんは感心したように頷く。「何事も経験をしておくのは良い事ですね。好奇心は猫をも殺すと言いますが、経験と知識は人生を豊かにしますから」「それ、うちの所長も言ってました」「ケビン・エドラーの名言です。僕は本で読みました」「そうなんですか? じゃぁ所長も同じ本を読んだのかも」「あと、こういう名言もあって……」伊野さんの話は、ミステリ小説のように引き寄せる力があって面白い。他愛のない雑談は、2杯目のコーヒーが無くなる頃まで続いた。「もうこんな時間か。すみません、本題ではない話をだらだらとしてしまって」「いえ、興味深かったです」「僕たち気が合うかもしれないですね」伊野さんはそう言って笑った後、思い直したかのように「すみません」と謝った。「失礼ですよね。でも……こんなに話しが弾む相手は久しぶりなので」「綾香とは話さないんですか?」「話しどころか、最近は顔も合わせていません」「避けているそうですね」「もう、うんざりしているんです。嫉妬深くて束縛が強いし、気に入らないことがあるとすぐ泣き喚いて実家に帰ると言うし、話し合おうとしても言葉がまるで通じない」最後のは、分かる気がする。綾香って住んでいる世界が人と違うというか、常識が通じないところがあるのよね。「離婚の意思は固いんですね」「ええ、それはもう」「でもだからといって浮気をしたら、自分が不利になるだけですよ」「ですよね……」「離婚する方法ならいくつかあります。焦らないでじっくり考えましょう」「それって協力してくれるってことですか!?」「アドバイスをするだけです」それくらいなら、良いよね。離婚を突き付けられた綾香がどうするかは分からないけど、世間知らずのお嬢様には良い薬になるはず。シングル女性の生き難さを思い知れば良い。伊野さんとはホテルのエントランスで別れ、駅を目指す。何だかんだ今日は楽しい1日だったな……。そんなことを考えていると――。「おい」不意に後ろから肩を掴まれた。第3話は、9月28日(火)公開予定!
2021年09月21日この恋は幸せになれない?好きになってしまったのは、奥さんのいる人。(第1話)複雑な家庭で育ち、結婚に夢も希望もない藤川 千紗、30歳独身。特定の恋人もつくる気がない千紗は、相手をころころ変え一時的な恋愛を楽しんでいる。そんなある日、探偵事務所の相談員として働いている千紗は、友人の旦那の浮気調査をすることになり…結婚や人生に悩む女性に贈る、オリジナル小説。前作「理想じゃない恋のはじめ方。」はこちら私の恋愛観「彼氏がいないなら、また会えるよね?」目の前でワイングラスを揺らす男が、期待を込めた瞳で私を見つめる。如何にも慣れてますって顔が、女性の扱いは心得ていますって態度が、正直うざい。こういう男は後腐れなさそうに見せかけて、粘着するタイプだ。「1回会った人とは、もう会わないことにしてるの」「どうして?」「どうしても」「理由を言ってくれないと納得できないな」ほら、しつこい。「一期一会を楽しみたいから」「1回会っただけじゃ、何も分からないだろ」あなたがハズレってことだけは、分かるけどね。がっかりした気分で1万円札をテーブルに置き、席を立つ。「先帰るね」「待てよ、俺の連絡先を渡すから。気が向いたら電話して」「要らない」「ったく、可愛くねぇーな。そんなんだから彼氏ができないだけじゃないの?」本当、うざったい。何様なの、こいつ……。彼氏?そんなの必要ない。私はその日、その時だけの相手と恋愛が楽しめたらいいの。誰かと真剣に付き合うなんて、真っ平御免よ。――――ずっとそう思っていた。彼に出会うまでは。探偵事務所「一体、いつまで待たせる気……?」自動車内で待機中の私は、思わず悪態をついた。運転席にいる仲西(ナカニシ)さんが眠そうにあくびをする。「3時間越えか。平日の昼間っからご苦労なこったな」「本当よ、さっさと出て来て、さっさと証拠を取らせて欲しいわ」「そう簡単にいくかよ」「あ、待って。出て来たかも」私たちが待機している車から、20メートルほど離れた先にラブホテルがある。そのホテルのエントランスから対象のカップルが現れた。気付かれないようにカメラを構える。「(決定的なのを、お願いよ……)」私の願いが通じたのか、ホテルから出て来た不倫カップルは白昼堂々のキスを始めた。「これで言い逃れできないね」「さすが、うちのエース・藤川千紗(ふじかわちさ)は、運が良いな」「効率が良いって言ってよ」都内でありながら自然の豊かさを感じられる場所に建つ商業ビル。その3階にある総合探偵事務所が、私の勤め先。尾行・張り込み・聞き込みなど調査に出るのは良いけど、クライアントに報告する時は少し気が重い。「調査報告をしますね。ご主人は〇月〇日の〇時から約3時間半に渡って女性とホテルで過ごし……」「嘘よ、信じないわ」「こちら、証拠の写真です」決定的な写真を見たクライアントは、体を震わせて泣きだした。「こんなの、酷い……」「裁判になった場合、証拠は多ければ多いほど有利になります。もう少し調査を続ける場合は、」「あなたね、こんな酷い写真を見せておいて、思いやりの言葉1つかけられないの!?」でた。八つ当たりパターン。怒りの矛先をこちらに向けられてもね……と、心の中で溜息を吐く。憎むべきなのは不貞をした夫、もしくはその相手であって、その2人を裁くための調査なのに。大体、浮気されたからって何だっていうのよ。婚姻関係にあるってだけなのに、自分が1番だって思い込むから傷つくんでしょ?「結婚なんてするから、そんな思いをするのよ……」「え?」やばい、つい口に出してしまった。作り笑顔を浮かべたところでタイミングよく電話がかかってきたので、後はカウンセラーに任せることにした。「はい」『もしもしぃ~千紗? 私、綾香(あやか)。ちょっと今から会えないかな?』◆友達の旦那指定されたカフェへ行くと、先に着いていた綾香が手をあげた。大学時代の友達で時々ランチをしたりする仲だけど、急に呼び出されるのは珍しい。「久しぶり、どうしたの?」「うん、実はねぇ……。旦那くんが、浮気してるみたいなの」あぁ、なるほど。そういう用件か。綾香の旦那とは、結婚式の時と家に遊びに行った時の2回会ったことがある。どちらかといえば綾香の方がベタ惚れで、仲は良かったはずなのに。「何か怪しいと思うことがあるの?」「ん~。帰って来るのが遅かったり、スマホにロックをかけるようになったり、」「それは怪しいね」「やっぱりそう思う?あとね、最近そっけなくなった気がするのぉ」悲しそうな表情を浮かべる綾香は、胸元まである髪の毛を指にクルクル巻きつけた。派手なストーンが付いたネイルが目立つ。「休日出勤や出張が増えたりは?」「んっ! そういえば、今月はもう3回も出張に行ってる」「見慣れない下着があったり、香水を変えたり、外見に気を遣うようになったりは?」「下着は、どうかなぁ……」綾香はいわゆるお嬢様ってやつで、実家はかなりの資産家らしい。ハウスキーパーが洗濯をするから、旦那の下着なんて知るわけないか。「あ、でも香水は変わったかも」「疑える要素は揃ってるね。どうする? 調べようか?」「お願い!費用はいくらでも出すから」「分かった。じゃぁ、後でまた事務所に来て」頷いた綾香は、私に話してホッとしたのか、デザートのメニューを開いた。いつもダイエット中と言いながら、甘い物に目が無い。「ところで、千紗は? 良い人できた?」「私のことはいいよ、聞かなくて」「またそんなこと言ってぇ。一生独身でいるつもり~?」「先のことはまだ考えてないよ」「考えなきゃダメだよぉ、私たちもう30歳なんだから」悪い子じゃないんだけど、綾香って時々お節介。女の幸せは好きな人と結婚して子供を産んで育てることだと信じて疑わないタイプ。その価値観はむしろ一般的だと思うけど、考えを押し付けないで欲しい。というか、私は非婚主義者なの。いい加減察して欲しいよ……。◆浮気調査開始「ビル、高っ」綾香の旦那が勤める会社は、外資系企業が多く集まるオフィス街にある。その中に紛れても違和感がないようパンツスーツに身を包んだ私は、綾香から聞き出した情報を頭に叩き込んだ。対象者は、伊野 悠真(いの ゆうま)32歳。身長は176㎝、体重74kgの中肉中背、髪型はやや癖のあるショートでおでこを出している。銀色の細フレーム眼鏡、濃紺のスーツ、茶色のカバン……。「(出て来た)」顔は元々知っていたので、ビルの入り口ですぐ見つけることができてホッとする。そのまま綾香の旦那が通り過ぎるのを待って、尾行を開始した。只今の時間、午後7時。綾香には今日も残業と言っていたらしいけど、会社に戻る様子がないからどこかへ行くのだろう。「(女と会うのかな? それとも人には言えない趣味があるとか?)」あれこれと想像しているうちに好奇心が芽生えてくる。何かしら綾香に内緒にしていることがあるのは、間違いなさそう。彼はカフェや本屋でしばらく時間を潰したあと、ホテル街へと向かった。「(やっぱり女か……)」思ったよりは、あっさりと尻尾を見せられて拍子抜けする。案の定、女性と合流した綾香の旦那はホテルの中へと入って行った。――――と。なぜかすぐにホテルから彼1人で出て来た。そして、まるでここに私がいることを知っていたかのように真っすぐ向かって来る。どうしよう? 尾行がバレてた?「綾香の友達ですよね?」想定外の動きに驚き、挙動不審になってしまう。「あっ、あの、私は……」「綾香に頼まれて僕の調査をしているんでしょう?」ダメだ、完全にバレている。調査員としてあるまじき失態を恥じていると、綾香の旦那は「違うんです」と手を振った。「綾香があなたに依頼するであろうことは初めから分かってました」「そうなんですか?」「えぇ、分かっててわざと尾行しやすいように歩きました」「あの、」それってどういうつもりで?そう聞こうとするよりも先に、彼は予想外のことを口にした。「綾香と離婚したいんです。僕に協力してくれませんか?」第2話は、9月21日(火)公開予定!
2021年09月14日昨季22年の現役生活に幕を下ろし、今年から阪神タイガースのスペシャルアシスタントとなった藤川球児氏のYouTube公式チャンネル『藤川球児の真向勝負』に、元プロ野球選手の清原和博氏がゲスト出演した。動画冒頭、藤川は緊張気味に「野球選手生活からは切っても切り離せない恩師」と紹介し、清原を出迎える。自身の引退セレモニーへメッセージを依頼したほど特別な存在である清原を目の前に「こんな日を迎えられたことに感動している」と感慨深げな表情を浮かべた。清原は藤川が引退する際「魂と魂がぶつかった投手がいなくなるな」と寂しい気持ちになったというが、初めて認識したのは2005年4月21日の巨人対阪神戦。2対10で迎えた7回、2死満塁で打席に立った清原が、フォークで三振を奪った藤川に激昂した因縁の試合は、野球ファンの間で「東京ドーム事件」と呼ばれている。清原は「絶対ストレートで来る場面でフォークで来たから、何で首振ってストレート投げないのかなって。これだけ真っ直ぐに投げられるのに」と“勝負”してこなかったことを改めて振り返った。対して藤川は「組織に飲まれてた自分がいるんですよ。自分という野球選手を輝かせるためではなく、阪神タイガースの教育で『チームのためにやりなさい』っていう」と当時を回顧し、「でもこれをきっかけに『自分がどうあるべきか』を考えるようになり、矢野監督もそこから『ピッチャーをどう輝かせるか』を考えるようになって、チームに一気に火がついた」と、自分だけではなく、当時キャッチャーを務めていた矢野燿大監督やチームにも影響を与えたきっかけとなったことを語る。合わせて「僕はアメリカに行って、個の意識が弱すぎて飲まれてしまった。会社員っぽくなってた」とメジャーでの苦い思い出も吐露した。そのほか動画では、再戦となった2006年サンマリンスタジアム宮崎でのオールスター戦についてや、「藤川投手をすごく研究してて」という清原が「何で急に球速くなったの?」と質問し、「誰にも話してなかったんですけど」と藤川が初めてその理由を明らかにするなど、秘話が連発。後編は、6日19時に配信される。
2021年02月02日「ビタミンC」×「乳酸菌」×「ビタミンD」のパワーハウスウェルネスフーズは、「C1000」×「乳酸菌」の力で健康管理をサポートとするレモン風味飲料「C1000ビタミンレモン乳酸菌L-137」を、9月14日から発売する。レモン50個分のビタミンCが入った人気のレモン風味飲料「C1000ビタミンレモン」シリーズの新たなラインナップ。手軽にビタミンCが補給できるのはもちんのこと、「乳酸菌L-137」を加えることで、今まで以上にパワーアップした。さらにビタミンDを8.5μg配合。ビタミンDは日光を浴びると体内でも作られる。しかし、テレワークなどの増加で、日光に当たる時間が不足する人が増えている。ビタミンD不足が気になる人にもおすすめだ。独自開発の「まもり高める乳酸菌L-137」で腸活効果「C1000ビタミンレモン乳酸菌L-137」には、ハウスの独自商品である「まもり高める乳酸菌L-137」が100億個入っている。乳酸菌は糖を発酵して「乳酸」を作る菌の総称で、その数は数千種類に及ぶ。ハウスウェルネスフーズが研究開発している「Lactobacillus plantarum L-137」は、東南アジアの伝統的な発酵保存食である「なれずし」から発見された。乳酸菌は熱を加えるなど加工や保存状態によって変化しやすいが、研究によって乳酸菌L-137は加熱処理で安定化することがわかった。常温・長期保存が可能で、買い置きや持ち運びにも便利。日々の暮らしに取り入れやすい、乳酸菌となっている。ビタミンC、乳酸菌、そして不足しがちなビタミンDが手軽に取れるレモン風味飲料。リフレッシュタイムの飲み物に、取り入れてみてはいかがだろうか。(画像はプレスリリースより)【参考】※ハウスウェルネスフーズ株式会社のプレスリリース
2020年09月13日8月15日放送の「テレビ千鳥」(テレビ朝日系)で実施された、千鳥・ノブ(39)の企画「Lemonを歌いたいんじゃ」が話題だ。番組では、ノブが大好きな米津玄師(28)の楽曲「Lemon」を1カ月間かけて練習。その成果をスタジオで披露するという内容だった。するとTwitterでは「ノブのLemon」がトレンド入りするほど、「笑った」という感想が続々とあがった。《ノブのLemonで過呼吸起こしそう》《軽い気持ちで見るんやなかったw ノブのLemonあかんwwww》《一晩明けてもノブのlemonが笑かしにくる 思い出し笑い いや、引きずり笑いかな 今年一番笑った番組にノミネート》《なんやかんやでノブさんの歌うLemonは最高でした。ボイトレ習うだけでここまで笑いを取れる芸人さんっていないんじゃないだろうか。爆笑しすぎて顔面筋痛い》ノブはボイストレーナーの今井マサキ氏(45)や相方・大悟(39)から厳しい指導を受けながらも毎日練習に励んだ。だが、ノブは本番で練習の成果を発揮できなかった。歌い出してすぐに共演の麒麟・川島明(40)や新川優愛(25)らに笑われ、途中で歌を止められるという事態に。最後は衣装を着替え、サビを歌って締めくくった。番組終了後、ノブはTwitterを更新。《ダメだこりゃ。米津さん、今井先生本当に失礼しました。歌を上手く歌う人は凄い!!本当に凄い!!》と感想をつづった。ノブを笑う声があがるいっぽうで、ノブの懸命さを称賛する声も続々とあがった。《Lemonをうまく唄おうとする千鳥ノブさんを見て笑っていたのが、練習する姿を見ているうちに、だんだん胸を動かされてきた。出来ないことを出来るようにすることって大変っていう当たり前のことを再確認》《ノブさんのLemonチャレンジに泣きそう 克服したくて毎日努力する人ってめちゃくちゃかっこいいし、美しいよね…》《ノブのlemon面白かったから、爆笑したけどもけどもけども、同じカラオケコンプレックス持ちとしては、1ヶ月頑張って普通に上手くなって欲しかった気もあるから、モヤリモヤリ。練習の感じとか歌ってるときのゲストの表情とかきつくて、甲子園より泣きそうなった。笑》《テレビ千鳥見てました、ノブさんのLemonにがんばりましたで賞あげたい。難しいよね…ピアスまで完璧にコスしてたのがこだわりが強いなって感じでした~》これまで音痴がコンプレックスで、カラオケを避けてきたというノブ。だがジャズ・ドラマーの映画「セッション」に感化されてドラムを始めるなど、音楽にも造詣が深い。他にも、シンガーソングライター・藤川千愛(24)の楽曲「あの日あの時」の作詞を担当したのも記憶に新しい。思い描くように歌えなかったが、音楽に対する真摯な思いと笑いで視聴者の心を掴んだのは確かだ。
2019年08月16日リュック・ベッソン監督の最新作『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』がついに公開!個人的な「好きな映画ランキング」の上位に『フィフス・エレメント』がランクインしている筆者は、先日、編集部にお願いして一足早く試写を観てきました。主人公のヴァレリアンとローレリーヌは、フランスのSFコミックに登場する連邦捜査官。銀河をパトロールする美男美女コンビです。時空を超えて任務を遂行するカップルって設定なのだけど、その時代は遥か未来の28世紀。そんな未来、想像できますか?■「愛の救世主テスト」をお届けでも、この映画を観れば、始まって数分もしないうちに、地球よりもずっと美しい惑星ミュールやパール人に魅入られるはず!ちなみにオープニングでは、月面着陸した映像から宇宙ステーションでの条約や挨拶のシーンが続き、次々に登場する宇宙人の進化の様子がとってもユニークなんです。後半になっても、あちらこちらにリュック・ベッソンならではの笑いやセンスのいい小ネタが盛り込まれていて、本当に目を離せません。どうぞ最初から最後までお見逃しなく!今回は、映画の公開にちなんで、印象的なシーンや登場人物を絡めた「愛の救世主テスト」をご用意しました。やり方は、下記の中から答えを選ぶだけ。この春、あなたは本物の愛と出会えるのか…。ヴァレリアンとローレリーヌの恋の行方とともに、あなたの恋をチェックして!次の中から今のあなたにピッタリな質問を選んで、その番号へ進んでください。・好きな人がいる… [1] へ・相手が本気か知りたい… [2] へ・ワケアリな恋愛真っ最中… [3] へ・できれば復縁したい… [4] へ[1] ヴァレリアン主人公のヴァレリアンは仕事の才能はあるけど、プライベートではちゃらい今どきの男子。本命のローレリーヌに「愛している」と言いますが、相手にされません。Q. あなたがヴァレリアンなら、どうやってローレリーヌに愛を伝える?・絶対に譲れない場面でローレリーヌの考えを優先する → A・今までの恋愛は遊びで「本気はローレリーヌ、君だけだ」と告げる → B・休暇を取って「美しい島に旅行しよう」とローレリーヌを誘い出す → C・あの手この手で口説けば、ローレリーヌは何とかなると思う → D[2] ローレリーヌヒロインのローレリーヌはクールビューティ。恋愛よりも仕事優先。すねてもキュートな女子です。ヴァレリアンのちゃらい愛の告白にはいい加減ウンザリ。Q. あなたがローレリーヌなら、ちゃらそうな相手の気持ちにどう応える?・軽々しく愛を口にするヴァレリアンに「愛をわかってない」とハッキリ言う → A・「この子はどうかしら?」と、ヴァレリアンに別の女性を紹介する → B・仕事は仕事と割り切り、それ以外では2人きりを避けて行動する → C・周囲へ協力を根回し。ヴァレリアンを傷つけないように離れていく → D[3] ドーガン=ダギーズ5,000の言語を扱う愉快な情報屋トリオ。3匹はいつも一緒に行動し、ローレリーヌとも仲良し。耳にした情報を売って生活しています。情報料は3匹分。ちなみに、日本語吹き替え版で声優を務めたのはTHE ALFEE。Q. あなたが知りたい情報をドーガン=ダギーズは握っています。どう聞き出しますか?・今までのよしみで、何とかならないかとお願いしてみる → A・ボッコボコにして口を割るまで絶対に帰さない → B・教えてもらう代わりに、相手の要求に素直に応じる → C・情報の内容次第では「今後の対応を考えるけど」と脅す → D[4] バブル人気歌手リアーナが演じる、踊り子エイリアン。その素性を知る人はいません。特技はポールダンスと早着替え。ヴァレリアンとショーパブで知り合い、話すうちに、生まれ変わりたい気持ちが芽生えて…。日本語吹き替えで声を演じたのは、ゆりあんレトリィバァ。Q. あなたのところに、昔付き合っていた相手から「やり直さないか?」って連絡が。さて、どうする?・このチャンスにもう一度賭けてみる! → A・とりあえず、ヨリを戻すことにする → B・昔の恋は卒業しました → C・誰だか思い出せない → Dあなたの「愛の救世主」は?◎Aを選んだあなた…コンバーターミュール変換器あなたはかわいらしくてキュート!春は恋愛の可能性を秘めています。その想いは愛する人に届くでしょう。自分磨きを忘れず、うるツヤボディを目指して。あなたを心から愛する人のほか、一時の遊び相手にしようと近づく人の気配も…。恋は慎重に見極めつつ進めましょ。◎Bを選んだあなた…ブーラン・バソールあなたの恋には見境がなさそう。相手を自分のモノにしたいのでは?あなたは絶大なカリスマ性もあり、周りも協力的なので、食事に誘えば相手はイチコロです。でも春はもうそこ。このままでは、あなたの恋は闇雲に突っ走る感じで、一時は幸せでも満足せずに終わりそう。◎Cを選んだあなた…コータン・ダフークあなたの恋は進化中です。人の話に素直に耳を傾けるので、相手の良いところを見つけては吸収し、恋の成長が止まりません。春は出会いを繰り返しそう。今日より明日のほうが理想の相手が現れる可能性も。しばらくは男女年齢問わず、出会いを楽しんで。◎Dを選んだあなた…宇宙人ダあなたは恋に恋して、ぐずったり、泣いたり、わめいたり。でも、そんな子どものように無邪気なあなたを真剣に愛してくれる年上の異性が現れそうです。春のデートはアウトドアやゲームで楽しく過ごすと進展します。ただし、甘えてばかりではなく相手の都合もよく考えてね。■終わりに気になる結果はいかがでしたか?「愛の救世主」がわかったら、街へ、そして映画館へ繰り出して!背中を押してくれる救世主の存在を感じつつ、この春、本物の愛と出会えますように!!【STORY】西暦2740年。連邦捜査官のヴァレリアン(デイン・デハーン)とローレリーヌ(カーラ・デルヴィーニュ)は宇宙の平和を守る任務に就き、銀河をパトロールして回っている。ふたりは“アルファ宇宙ステーション”へと向かう。そこは長い年月を経て拡張を続け、あらゆる種族が共存する“千の惑星の都市”として銀河にその名を知られていた。しかし、その深部には邪悪な陰謀と、宇宙の歴史から抹殺されようとしていた“秘密”があった……。果たしてヴァレリアンとローレリーヌは“千の惑星の都市”と銀河の危機を救うことができるのか―!?『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』3月30日(金)より、全国ロードショー!監督・脚本:リュック・ベッソン製作:ヴィルジニー・ベッソン=シラ出演:デイン・デハーン、カーラ・デルヴィーニュ、クライヴ・オーウェン、リアーナ、イーサン・ホーク、クリス・ウー、ジョン・グッドマン、ハービー・ハンコック、ルトガー・ハウアー配給:キノフィルムズ原題:Valerian and the City of a Thousand Planets(C) 2017 VALERIAN S.A.S. - TF1 FILMS PRODUCTION
2018年03月29日あけましておめでとうございます。新しい年を迎え、皆さまいかがお過ごしでしょうか。お正月飾りや初詣、おせち料理に年賀状。新年は、1年のうちで最も「和」を感じる季節。そんな時期におすすめの本をご紹介します。■挿絵も美しい百人一首の本『千年後の百人一首』。タイトル通り、内容は百人一首です。ただ、「千年後の」とあるように、清川あさみさんが、布や糸・ビーズで描きおろした情景(挿絵)と、最果タヒさんの現代語訳で表現されているため、学生時代に学んだ百人一首とはひと味もふた味も違います。まず、清川あさみさんの挿絵が、本当に美しいのです。ひとつの歌につき、挿絵もひとつなので、当然、挿絵は百あります。歌の内容によって、挿絵の趣もそれぞれ異なり、月や水のような自然を感じるものから、季節を感じるもの、詠み人の切なさや寂しさ、恋心や情念のような感情を感じさせるものなどさまざまで、文章を読まずとも挿絵だけでも引き込まれるほどです。ページをぱらぱらとめくって、この百の挿絵を眺めるだけでも、美しいものに触れる時間を堪能でき、ある意味、芸術鑑賞といってもいいかもしれません。■不倫の歌でさえも情緒のある表現もちろん、最果タヒさんの現代語訳も素晴らしく、たとえ、恋心なんてとうの昔にどこかに置いてきてしまった、という人でも、グッとくるものがあるのではないかと思います。例えば、「なにはがた短き葦のふしの間も逢はでこの世を過ぐしてよとや」この、「なにわがた~」と読まれた瞬間に、札を取りにいこうと必死になってしまう歌が、かぼそく生えゆく葦の節と節の、このわずかな隙間ほどの時間も、あなたは私にくれないのだと、わかってしまう。わかってしまった。(19ページより引用)と、切なさを感じさせる訳になっているのです。単純に古文の授業のように直訳したのではなく、意訳であるために、「こういう気持ち、わかる」とか、「私も昔、こんなこと思っていたかも」と、日々の忙しさで忘れていた、さまざまな感情が湧いてくるので、さっと読み進めるのではなく、ひとつずつ、じっくりかみしめながら読みたくなります。また、現代語訳を読んで思いを馳せるだけでなく、巻末の解説を読むのも面白いです。詠まれている単語がどういう意味なのかはもちろん、どういう状況で詠んだのかや、詠み手と歌を送られた相手、また他の詠み手との関係性、そのほかの豆知識も興味深いです。「わびぬれば今はたおなじ難波なるみをつくしても逢はむとぞ思ふ」この歌は、元良親王が、皇后・京極御息所との密通が噂されたときに詠んだ歌で、「すべてが知られ、糾弾されても、身を滅ぼしてもあなたに会いたい」という内容なのですが、今でいうと、不倫発覚後に発表されたコメントということになるのかもしれないが、近頃の政治家や有名人とは雲泥の差である。(解説20から引用)と、書かれていて、クスッと笑えつつも、千年前は不倫すらもこんなに美しく、情緒のある表現をしていたんだな、と、日本語の奥深さを感じずにはいられません。■新年に、千年前の「和」に触れてみては?この本のもうひとつ面白い点は、「トノ」「ヒメ」「ボウズ」と、挿絵の横に詠み人が誰かが書かれていること。切なくて胸が締めつけられるような歌を「トノ」が読んでいたり、恨みますと言わんばかりのドロドロとした歌を「ヒメ」が読んでいたりして、これを見ていると、千年前も男性はロマンチストで、女性は怒らせると怖かったりしたのかな、と、長い時を経ても、人の思いというのは変わらないのだなと感じさせられます。意識的であろうとなかろうと、気分が「和」に向きやすい新年のこのタイミングで、学生のとき以来の百人一首に触れてみては。昔は勉強に必死で感じ取れなかった、歌に込められた思いも、今なら新鮮な気持ちで感じ取ることができるかもしれませんよ。
2018年01月02日アイドルたちが日々ひたむきに努力する姿を追っていくフジテレビのドキュメンタリー番組『アイドリアル ~アイドルの今を切り取る~』が、13日(深夜2:55~)からスタートする(レギュラーは毎週金曜深夜2:00~2:30)。この番組は、全国に3,000組いるというアイドルたちの輝く場所と、裏側の努力であるリアルを見せていくことで、1人1人にある思いを描き、彼女たちへの共感や認知向上を目指していくというもの。初回に登場するのは、まねきケチャの藤川千愛で、インタビューと年末年始の大会場でのライブに密着しながら、なぜこの世界に入り、今の自分やグループをどう感じ、将来をどう見据えているのかに迫っていく。また、大阪☆春夏秋冬のMAINAにも密着。コーラスに選ばれてマイクを持つことができるのは5人中3人というグループで、MV撮影、ライブイベントでの新曲衣装初披露などの様子を追いかける。同番組では今後、チームしゃちほこなどのグループが登場する予定となっている。
2017年01月09日俳優のマイケル・ケイン(83)は、セリフを1,000回も練習するようだ。過去115本以上の映画に出演し、オスカー賞に6度ノミネートされているマイケルは、セリフを完璧に覚えるためにどこにいようと練習時間をもうけるそうで「1人で練習するよ。撮影前までに最低1,000回はセリフを復唱するようにしているんだ」「鏡は使わず、ただ復唱しているよ。座って練習しているんだ」と話す。また、撮影当日に初めて共演者のセリフを聞きたいというこだわりがあることから、台本を覚える時に人に協力を求めることはないという。「会話だからね。他の俳優たちがセリフを発した時、私はそのセリフを初めて聞くってわけさ。それがうまくいくコツなんだ」「相手がなにを言うのか知っている状況にはしたくないんだよ」「自分の受け答えはそりゃ知っているさ。1,000回言っているからね。だから相手が言うことを聞いて、そうすることで、変化が生まれるんだ」「その点と、自分はセリフを忘れないと自覚している自信を持つこと(が大事なんだよ)」と『60ミニッツ』の番組内で説明している。そんなセリフを徹底的に覚えるというマイケルだが、台本を覚えるのにかつてより苦労しているといい、「年をとるとどうなるか想像がつくと思うけど、私の場合、セリフは忘れないけど覚えるのに倍の時間がかかるよ。とても長い時間がね」と続けた。そして、仕事以外の時間も練習を続けるマイケルに妻のシャキーラは理解を示しており、「彼は練習に練習を重ねているわ。どこにいてもセリフことを考えているの」「映画が2週間かかるものでも2カ月かかるものでも彼は同じ努力をしているわ。セリフを何度も何度も練習するの」「マイアミで浜辺を歩いたり、南仏でボートに乗ったり、自宅の庭を歩いたり、池のアヒルに餌をやったり、孫と過ごしたりしながらね。彼はセリフを繰り返し練習しそれが彼の生き方になったの」「もう慣れたわ。でも私も彼も彼の偉業は懸命な努力があってこそだって気づいているの」と語る。(C)BANG Media International
2016年07月11日博報堂DYミュージック&ピクチャーズとゲームゲートは、「App Store」と「Google Play」において、「ごちうさアラーム~千夜編~」(以下、千夜アラーム)の配信を開始した。価格は720円(税込)。「千夜アラーム」は、TVアニメ『ご注文はうさぎですか?』の登場キャラ「千夜」が時間を知らせてくれる、目覚ましアプリ「ごちうさアラーム」の第4弾。70種類以上用意されたボイスの中から好きなボイスを最大3つまで組み合わせてセットすることが可能で、自分の好みのシチュエーションで千夜に時間を知らせてもらうことができる。そのほか、毎週・毎日設定やスヌーズ機能も用意されている。今回ももちろん「千夜」役の声優・佐藤聡美による録り下ろしで、「千夜アラーム」限定のオリジナルボイスを楽しむことができる。(C)Koi・芳文社/ご注文は製作委員会ですか?
2015年12月15日横浜シーサイドラインと京浜急行電鉄は11月30日、横浜シーサイドライン開業25周年記念企画「シーサイドライン×京急 1000型&旧1000形見学ツアー」を開催する。ともに引退したシーサイドライン1000型と京急旧1000形を間近に見学・撮影できるツアーだ。このツアーではまず、シーサイドライン車両基地(最寄り駅は並木中央駅)を訪問。同基地に1編成のみ保存されている1000型を見学するほか、同社社員による新交通システムや車両の解説を聞く。1000型は1989年のシーサイドライン開業時に導入され、2000型投入にともなって順次廃車に。今年になって最後の編成が引退した。午後は京急ファインテック久里浜事業所を訪問し、同所に2両のみ保存されている京急旧1000形を見学する。旧1000形は1959年から1978年までの約20年間、マイナーチェンジを重ねながら製造されたかつての主力車両。通勤通学や海水浴輸送に活躍したほか、都営浅草線・京成線・北総線への乗入れ車両としても幅広く運用され、2010年6月に引退した。シーサイドライン1000型と京急旧1000形はともに通常は公開していないため、鉄道ファンにとって貴重な機会となりそうだ。とくに、京急旧1000形の撮影会は引退後初だという。シーサイドラインと京急の名物社員によるガイドが聞けるのも、このツアーならではのポイントだ。旅行代金は昼食付きで1名4,000円。オプションとして、軽食・ワンドリンク付きのファンミーティングも設定されている(3,000円)。定員40名。参加申込みは京急観光各旅行センター、京急観光営業企画部にて受け付ける。
2014年11月13日愛コン実行委員会(愛媛県松山市)は2013年3月9日に、愛媛県松山市の道後温泉周辺で、第5回愛コン「道後de愛コン」を開催する。愛コンとは、愛媛の独身男女の新しい出会いの場を創設するためのイベント。今回は大和屋本店、ふなやなど、道後の人気ホテルを会場に、男性・女性それぞれ500名が集まる大きな出会いパーティーとなる(会場のホテルは事務局で事前に指定)。会場では固定席は用意せず、気に入った人と気軽に話せるように立食・ビュッフェ形式で料理を提供。立食スタイルが基本だが、ゆっくり話したい人向けにはイスも用意している。また、後日にホテルで食事ができる利用券などが当たるプレゼント抽選会も予定している。同イベントは3月9日の18時30分から開始。1次会は20時まで、2次会は20時30分~22時。参加資格は、20歳以上の独身男女。参加費用は男性8,000円、女性7,000円。1月31日までの申し込みは、早割として1,000円割引になる。申し込みは、愛コン公式サイトで受け付ける。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年12月28日