主演の妻夫木聡をはじめ、安藤サクラ、窪田正孝ら日本を代表する豪華俳優陣が集結、『蜜蜂と遠雷』『愚行録』の石川慶がメガホンをとった『ある男』がついに公開。第79回ヴェネチア国際映画祭オリゾンティ・コンペティション部門への正式出品に続き、第27回釜山国際映画祭のクロージング作品として上映されるなど、世界から注目を集めている。芥川賞作家・平野啓一郎のミステリーをもとに本作で描かれるのは、アイデンティティの揺らぎ。本作と同様に「自分とは何か」という問いに鋭く切り込む作品を、ジェンダー、家族、そして国籍という切り口から4作ピックアップ。秋深まる季節、それぞれの作品が自らの心の深淵を覗くきっかけをくれそうだ。『ある男』公開中メガホンを取った監督・石川慶は、原作の「私とは何か」というテーマ性に惹かれたという。「ある家族をめぐるエモーショナルな物語が軸になっている」としながらも、「人の心に宿る変身願望のようなもの。アイデンティティの揺らぎ」がもう1つの重要な要素だと感じたと監督は語る。「ある男・X」の正体を追い“真実”に近づくにつれて、いつしか主人公の弁護士・城戸の心に別人として生きた男へ複雑な思いが生まれていく。そんな役どころを演じた主演の妻夫木さんも「石川監督の作品は『その人生でいいのか』『自分とは何なのか』と、作品を通して問いかけてくる」と明かす。石川監督自身も、「現実の中にシュールな異世界への扉がどこかに開いていることが実際にあり、それを描くのが映画」と話すように、本作の重要なテーマであるアイデンティティの揺らぎを、映像でも見事に魅せている。『FLEE フリー』(2020年公開)米国アカデミー賞において国際長編映画賞・長編ドキュメンタリー賞・長編アニメーションの3部門に同時ノミネートされるという史上初の快挙を達成した『FLEE フリー』。アフガニスタンからデンマークへ逃れたアミン。30代半ばとなり、研究者として成功を収め、恋人の男性と結婚を果たそうとしていたが、彼には恋人にも話していない20年以上も心に抱え続けていた秘密があった。彼の故郷には、同性愛という言葉すらも存在していなかった。故郷とアンデンティティを失った主人公アミンを通じて、「自らを生きる」という意味に迫る。『万引き家族』(2018年公開)家族ぐるみで犯罪を重ねる一家の姿を通して、人と人とのつながりを描いたヒューマンドラマ。東京の下町で、高層マンションの谷間に取り残されたように建つ古い平屋に、家主である初枝の年金を目当てに、治と信代の夫婦、息子の祥太、信代の妹の亜紀が暮らしていた。彼らは初枝の年金では足りない生活費を万引きで稼ぐという一家だったが、それでも笑いが絶えない日々を送っている。ある事件をきっかけに、その家族はバラバラとなり、それぞれが抱える秘密や願いが明らかになる。社会問題をベースにしながらも家族の形の意味、そして家族に属したことによって得られるアイデンティティについて問われる傑作。『GO』(2001年公開)金城一紀の同名小説を窪塚洋介主演、宮藤官九郎脚本、行定勲監督で映画化した。韓国の国籍を持つ普通高校3年の杉原は、元ボクサーの父に仕込まれたボクシングの腕前を武器にケンカや悪さに明け暮れる日々を送っている。ある日、杉原はヤクザの息子の同級生・加藤のバースディパーティで声をかけてきた少女・桜井に出会い少しずつお互いの気持ちが近づいていく。そんな時、性格も見た目も正反対であるが、何故か気が合う親友の正一が、日本人高校生に刺されて命を落とす。1人の青年の恋や友情に悩みながらアイデンティティに目覚めていく姿に、心を揺さぶられる。『グリーンブック』(2019公開)1962年、ニューヨークの一流ナイトクラブで用心棒を務めていたイタリア系のトニー・リップは、ひょんなことから天才黒人ピアニスト、ドクター・シャーリーが南部で行う演奏ツアーに運転手兼ボディガードとして雇われる。公共施設利用の禁止や制限など、人種差別が公然と行われ、命の危険さえ伴う黒人の南部の旅ガイドが「グリーンブック」。そんな中で、性格も生き方も異なる2人が、旅を通して互いのアイデンティティを認め合っていく。(text:cinemacafe.net)■関連作品:万引き家族 2018年6月8日よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開© 2018フジテレビジョンギャガAOI Pro.グリーンブック 2019年3月1日よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国にて公開© 2018 UNIVERSAL STUDIOS AND STORYTELLER DISTRIBUTION CO., LLC. All Rights Reserved.ある男 2022年11月18日より全国にて公開©2022「ある男」製作委員会FLEE フリー 2022年6月10日より新宿バルト9、グランドシネマサンシャイン池袋ほか全国にて公開© Final Cut for Real ApS, Sun Creature Studio, Vivement Lundi!, Mostfilm, Mer Film ARTE France, Copenhagen Film Fund, Ryot Films, Vice Studios, VPRO 2021 All rights reserved
2022年11月20日芥川賞作家・平野啓一郎の同名小説を映画化した妻夫木聡主演の映画『ある男』。11月18日(金)に公開されるこの作品の監督を務めたのが、『愚行録』『蜜蜂と遠雷』『Arc アーク』といった作品で、国内外から注目される石川慶監督だ。宮崎県にある山間部の町に現れた一人の男。離婚して実家のあるその町に戻っていた里枝は、谷口大祐と名乗るその男と再婚し、娘の花も生まれ、幸せな生活を送っていた。しかし、大祐が仕事中に事故死。疎遠だった大祐の兄が法要に訪れ、遺影を見て、意外な事実を口にする。「これ、大祐じゃないです」。果たして谷口大祐と名乗っていたこの男は誰なのか?里枝から依頼を受けた弁護士の城戸は、このある男<X>の正体を探すこととなる……。11月18日に公開される映画『ある男』。石川慶監督の最新作であるこの作品では、主人公を演じる妻夫木聡、里枝を演じる安藤サクラ、<X>を演じる窪田正孝ほか、仲野太賀、眞島秀和、柄本明ら日本映画に欠かせない俳優たちが登場し、物語を彩っている。この物語は<X>の正体を追うミステリーでもあり、<X>を愛した家族たちの物語でもあり、人間の変身願望をめぐる物語でもある。石川慶監督は、「アイデンティティとは何か」「自分とは何か」という抽象的な問題を、各登場人物の感情にフォーカスを当てながら、鮮やかに描き出してみせた。石川慶監督、その経歴この『ある男』を手掛けた石川慶監督は、1977年生まれ。東北大学で物理学を学んだ後、ポーランド国立ウッチ映画大学で映画製作を学んだという経歴を持つ映画監督だ。『ある男』以前の作品ではポーランド人のピオトル・ニエミイスキを撮影監督に起用し、映像のグレーディングなどはポーランドで実施。日本独自の湿度感を感じさせないクリアな映像で、ドメスティックな人間ドラマを描いてきた。愛知で生まれ、宮城で物理学を学び、ポーランドで映画製作を学んだ石川慶監督。映画だけでなく、物理学にも興味を持つという監督が持つ様々な視点が、彼の作品をこれまでの日本映画とはどこか違う、監督独自の色を付け加えていると言えるだろう。ここで、監督のフィルモグラフィを振り返ってみたい。人間の愚かさが招いた悲劇の真相を描く衝撃のデビュー作『愚行録』(2017年)2017年に製作された『愚行録』は、貫井徳郎のミステリー小説を映画化した物語だ。ストーリーの中心にあるのは、エリート一家が惨殺された未解決殺人事件。妻夫木聡演じる雑誌記者の主人公が、この事件の関係者への取材を進めるうちに、事件の背後にある嫉妬や羨望、格差や虐待といった事実が浮かび上がってくる。大手ディベロッパー男性社員による選民意識と女性差別。華やかなキャンパスライフの裏にある、格差社会やちょっとした悪意。目標のために人を利用しようとする人間の身勝手さ。家庭内にある愛憎や性的虐待。こういった、大小の“愚行”が積み重なり、大きな事件が引き起こされていくさまを、石川慶監督はどこまでもドライに描き出して見せた。主人公を演じた妻夫木聡と妹役の満島ひかりの演技もすばらしく、人間が抱える暗部をえぐり出すような作品となっている。第73回ベネチア国際映画祭にて『愚行録』フォトコールに登壇した石川慶監督、満島ひかり Photo by Andreas Rentz/Getty Images音楽家たちの成長と音楽愛を描いた『蜜蜂と遠雷』(2019年)長編映画2作目となった『蜜蜂と遠雷』は、直木賞と本屋大賞をダブル受賞作した恩田陸の小説を映画化した作品。前作とは全く毛色の違う、青春群像劇となっている。映画『蜜蜂と遠雷』完成披露イベントある国際ピアノコンクールの2週間にわたる審査を通じ、ピアニストたちの葛藤と成長を描く本作。神童と言われながらも長らく音楽界から離れていた元天才少女(松岡茉優)、ジュリアード音楽院在学中で優勝候補と言われるジュリアードの王子様(森崎ウィン)、働きながら「生活者としての音楽」を目指す28歳のサラリーマン(松坂桃李)、彗星のように音楽界に現れた16歳の天才異端児(鈴鹿央士)。音楽の愛と喜び、天才の才能とエゴイズム、音楽家たちの友情などを、細密な映像と圧倒的な音楽で描き出した。本作では石川監督が脚本も担当。映像やセリフと登場人物たちが奏でる音楽が調和し、ストーリーに深い余韻を与えている。不老不死の体を得た女性の選択を描くSF映画『Arc アーク』(2021年)中国系アメリカ人作家ケン・リュウによるSF小説「円弧(アーク)」を映画化した『Arc アーク』のテーマは、不老不死。この『Arc アーク』は石川監督自身で企画から参加したという意欲作だ。初日舞台挨拶『Arc アーク』(c)2021映画『Arc』製作委員会この作品で描かれているのは、不老不死の技術が開発された時代に、30歳で初めてその処置を受けた女性・リナの物語。リナを演じる芳根京子は、一人の女性の17歳から100歳以上までという、幅広い年代を演じてみせた。近未来を舞台にしたSF映画ながらもけっしてSF的ではないルックで、現代の地続きにある未来に生きる一人の女性の選択と愛情を、やさしく描いている。俳優の中からキャラクターを引き出す演出手法が深い人間ドラマを紡ぎだすヒューマンミステリー、音楽青春映画、SF映画……。一つのジャンルに囚われることなく、しかしどこか一貫した、ドライで澄んだ空気感を持つ石川慶監督の作品たち。物理学を学び、ポーランドで映画を学ぶという、日本映画界には珍しい出自が、これまでの日本映画界にはない感性を育み、その独特の空気感を作り上げたと言えるだろう。じっくりとリハーサルを行って、俳優たちの中に芽生えたキャラクターの感情をすくい上げていく演出方法で、石川監督は俳優たちからも厚い信頼を得ているという。俳優たちの感覚を研ぎ澄まし、キャラクターを育てて物語を織り上げていく石川監督の作品は、どれも人間ドラマとしても見応えのあるものばかりだ。まずは最新作『ある男』を観て、そのドラマと空気感を味わってみてほしい。(松弥々子)■関連作品:愚行録 2017年2月18日より全国にて公開© 2016「愚行録」製作委員会蜜蜂と遠雷 2019年10月4日より全国にて公開(C)2019 映画「蜜蜂と遠雷」製作委員会Arc アーク 2021年6月25日より全国にて公開©2021映画『Arc』製作委員会ある男 2022年11月18日より全国にて公開©2022「ある男」製作委員会
2022年11月18日女王蜂主催の対バンライブツアー「蜜蜂ナイト5」が、2022年6月11日(土)の宮城・仙台GIGSを皮切りに、神奈川・大阪・愛知で開催される。“約3年ぶり”女王蜂主催の対バンツアーボーカル・アヴちゃんが、平家物語を題材とする“能楽”ミュージカルアニメ映画『犬王』で主演を務めることも話題の女王蜂。2月には自身初のデジタルシングル「犬姫」のリリース、3月には日本武道館単独ライブ『犬姫』の開催と、その勢いはとどまるところを知らない。そんな女王蜂が、約3年ぶりとなる対バンツアー「蜜蜂ナイト5」を実施。2015年から不定期に開催している対バン企画となっており、ジャンルを問わず、女王蜂がリスペクトしているアーティストを招いて2マンライブを行う。ゲストとして、各会場に、氣志團、崎山蒼志、ZOC(ゾック)、UNISON SQUARE GARDEN(ユニゾン・スクエア・ガーデン)が出演する。【詳細】女王蜂主催対バンライブツアー「蜜蜂ナイト5」■宮城:仙台GIGS日程:2022年6月11日(土)時間:開場17:00/開演18:00ゲスト:崎山蒼志問い合わせ先TEL:022-222-9999(ジー・アイ・ピー)■神奈川:KT Zepp Yokohama日程:6月21日(火)時間:開場17:45/開演18:30ゲスト:氣志團問い合わせ先TEL:050-5533-0888(DISK GARAGE)■大阪:Zepp Osaka Bayside日程:6月24日(金)時間:開場17:45/開演18:30ゲスト:ZOC問い合わせ先TEL:06-6341-3525(YUMEBANCHI)■愛知:Zepp Nagoya日程:6月30日(木)時間:開場17:45/開演18:30ゲスト:UNISON SQUARE GARDEN問い合わせ先TEL:052-936-6041(JAILHOUSE)<チケット情報>料金:全席指定8,888円(別途要D代)※6歳以上チケット必要、6歳未満入場不可。FCチケット先行発売:3月3日(木)21:00~3月10日(木)23:59
2022年03月06日第70回読売文学賞を受賞し、累計19万部を超える平野啓一郎のベストセラー小説「ある男」を、豪華キャストにより映画化。監督は、『愚行録』『蜜蜂と遠雷』『Arc アーク』の石川慶が務める。原作は、2018年、芥川賞作家・平野氏により発表された渾身の文学作品。常に「現代」を直視してきた著者の小説家デビュー20年目の作品で、主人公である弁護士・城戸が“ある男”の真実に迫っていくヒューマンミステリー。城戸は、かつての依頼者である里枝から、里枝の亡くなった夫・「大祐」の身元調査の依頼という奇妙な相談を受ける。里枝は離婚を経験後、子どもを連れて故郷に戻り、やがて出会う「大祐」と再婚。新たに生まれた子どもと4人で幸せな家庭を築いていたが、ある日突然、夫が不慮の事故で命を落としてしまう。悲しみに暮れる中、大祐の法要の日、長年疎遠になっていた大祐の兄・恭一が訪れたが、遺影を見て「これ、大祐じゃないです」と言い放つ。愛したはずの夫「大祐」は、まったくの別人だったのだ...。「大祐」として生きた「ある男」は、いったい誰だったのか。何故別人として生きていたのか。城戸は、“ある男”の正体を追う中で様々な人物と出会い、衝撃の事実に近づいていくが、いつしか城戸の心にも他人として生きた男への複雑な思いが生まれていく――。主人公の弁護士・城戸章良を演じるのは、シリアスからコメディまで多種多様な役を演じ、邦画界に欠かせない存在として話題作へ出演する妻夫木聡。石川監督とは『愚行録』「イノセント・デイズ」に続き、本作で3度目のタッグ、今回は初の弁護士役に挑む。妻夫木聡城戸に夫の身元調査を依頼する谷口里枝役に、『0.5ミリ』『百円の恋』『万引き家族』など数々の作品で異彩を放ち、国内外で高い評価を得る安藤サクラ。映画への本格な出演は『万引き家族』以来、4年ぶり。安藤サクラ里枝の夫となる谷口大祐を演じるのは、映画だけでなく、NHK連続テレビ小説「エール」で主演を務めるなど幅広く活躍し、人気・実力とも兼ね備える俳優・窪田正孝。窪田正孝さらに、清野菜名、眞島秀和、小籔千豊、仲野太賀、真木よう子、そして柄本明といった日本を代表する豪華俳優陣が顔を揃えた。監督は、『愚行録』でヴェネチア国際映画祭オリゾンティ・コンペティション部門に選出され、『蜜蜂と遠雷』では、毎日映画コンクール日本映画大賞、日本アカデミー賞優秀作品賞など多くの賞を受賞し、国内外で高い評価を得る石川慶。石川慶監督脚本は、『リアリズムの宿』『リンダリンダリンダ』『マイ・バック・ページ』『聖の青春』など、数々の話題作を手掛けてきた向井康介。石川監督とは『愚行録』に続き2本目のタッグとなる。妻夫木聡:城戸章良/主人公・弁護士人間のアイデンティティとは何かを問い詰めるこの作品との出会いは、自分の人生を見つめ直す良いきっかけとなりました。人生に正解はない。かといって間違いもない。どんな答えであってもいいと思う。だから恐れずに向き合って欲しい。観てくださった方にとって、この作品が人生の道標のような存在になるのであれば僕は幸せです。安藤サクラ:谷口里枝/谷口大祐を名乗っていた“ある男”の妻わたし自身がこの作品がどんな映画なのか、なかなか想像ができません。ミステリーと一括りにしてしまうのは勿体ないなと思いつつラブストーリーなのかサスペンスなのか、、と問われるとこれまたわかりません。でも現場では、ジャンルにとらわれず人間模様をやさしく繊細に、且つ淡々とシンプルに描いていたように思います。久しぶりの映画、石川監督のもと、たくさん笑ってたくさん泣いて、苦しみながらも楽しく撮影させていただき、あ~わたしは現場が好きだ!と再確認しました。この作品だったからそう感じられたのだと思います。公開が楽しみです。窪田正孝:谷口大祐/谷口大祐を名乗っていた男。里枝の夫ある男の静寂な心の中に蠢く「悍ましいナニカ」をずっと感じながら演じてました。人の皮を被った怪物が身体の中からずっと自分だけをみている。そんな支配されて壊れきった空っぽの心を里枝が少しずつ溶かしていく。里枝役のサクラさんはやはりとても刺激的で芝居の面白さ、やりがい、その答えをどこまでも追求していきたい衝動に駆られました。ある男が観て頂く方々にどんな感情を残すのか今から楽しみでなりません。清野菜名:後藤美涼/「本物の」谷口大祐の元彼女今、日本映画を牽引する俳優陣の中に畏れ多くも入れていただき毎日が刺激的でした。完成した作品を観るのを、心待ちにしています。眞島秀和:谷口恭一/谷口大祐の兄大好きな石川組に再び参加することができて、大変嬉しく思っています。しかし、石川組では繊細な緩急が求められますので試練の場にもなりますが、その緊張感の心地よさが石川組の魅力でもあります。頂いた役がほんのちょっとでも映画のスパイスになってますように。小籔千豊:中北/城戸の同僚台本を読んで、撮影に入る前からビビり倒しておりましたが、撮影に入り改めてとても素晴らしい映画に参加させて頂いていると、恐縮しっぱなしでした。パッパと撮影していくものかと思いましたが、じっくり監督が向き合ってくださり、演出してもらえて助かりました。妻夫木さんはただの気のいい兄ちゃんで、撮影の合間では楽しくおしゃべりしていたんですが、本番はがっつり俳優オーラ全開出してくるので圧倒されました。素敵な映画のひとつのパーツになってしまった事を、ビビりながらも密かに光栄に思っております。仲野太賀:「本物の」谷口大祐/伊香保温泉の旅館の次男石川組「ある男」に参加できたこと、とても嬉しく思います。脚本を読んだ時、この役の人生を辿ってみたいと強烈に惹かれました。それは物珍しさではなく、心に共感めいたものが湧き上がったからだと思います。空白になってしまった時間に色を塗っていくように、実人生では経験できないような感情を手繰り寄せて、心を込めて演じました。真木よう子:城戸香織/城戸の妻台本を読んで「心憂い」そんな言葉が思い浮かびました。重く、深く、心が滲むような、、何と表現すれば良いのか、、でもどこかで、こんな映画を待っていた。とても素晴らしい作品に携われたことが大変光栄です。柄本明:小見浦憲男/戸籍交換ブローカー初めての石川組、妻夫木さんとの共演、楽しかったです。ぜひ劇場で、翻弄されながら観て欲しいです。石川慶監督シンプルなタイトルに惹かれて手に取った『ある男』。「これは誰もが映画化したがるに違いない」という思いと同時に「こんなに映画化が難しい小説もそうそうない」という、相反する感想を持ちました。でも、すでに『ある男』に強烈に共鳴してしまっていた自分には、手を挙げないという選択肢はありませんでした。この大きな挑戦に、妻夫木聡という役者が一緒に戦ってくれたことは、とても大きな意味を持っています。常に変わらず、そして常に新しく、底が見えずとも物語の深層へ、躊躇なく一緒に潜ってくれる、自分にとって唯一無二の存在です。そこに、安藤サクラさん、窪田正孝さん、清野菜名さん、眞島秀和さん、小籔千豊さん、仲野太賀さん、真木よう子さん、柄本明さんといった、日本映画界の最前線にいる俳優たちが集結してくれました。カメラの後ろで日々目撃した、あの奇跡のような瞬間の数々を、早くみなさんに届けたくてうずうずしています。原作:平野啓一郎『ある男』は、私の小説家生活20年目のタイミングで刊行された長篇です。前作『マチネの終わりに』で描いた「未来は過去を変える」という主題を、分人主義的に更に発展させ、「愛にとって過去は必要なのか」という切実な問いを追求しました。重層的に入り組んだ複雑な構成美が持ち味の小説なので、映像化はなかなか難しいだろうと思っていましたが、素晴らしい監督と俳優陣に恵まれ、強く胸を打つ映画となったことに感動し、また感謝の気持ちを抱いています。原作と映画、両方の世界を是非お楽しみください。『ある男』は2022年、全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ある男 2022年全国にて公開予定©2022「ある男」製作委員会
2021年08月31日6月25日(金)より公開される映画『Arc アーク』にて、夫婦役となった芳根京子&岡田将生。『蜜蜂と遠雷』、『愚行録』などで知られる石川慶監督が手掛けた初のSF作品は、人類初・永遠の命を得た芳根さん演じる、リナが主人公の物語。ストップエイジングの研究を完成させ、リナと共に終わりのない人生を選んだ黒田天音(岡田さん)。若い身体のままふたりで年を重ね、永遠の幸せを手に入れたかのように見えたが、残酷な運命が顔を出す。「不老不死」は、やはり禁断の果実なのか、それとも…。静かに迫る死生観、すべてを受け止めてくれるような壮大な画、豊かな映画体験が約束される本作では、浮かび上がったテーマや、身近な人を愛するということに、改めて思いを馳せることができる。出演した芳根さん&岡田さんは、本作をどう受け止めたのか?テーマから派生して、今思う様々なことをインタビューで聞いた。一筋縄ではいかぬ役に身を投じた芳根京子を岡田将生が絶賛「映画に覚悟が刻まれている」――非常に余韻が残る映画『Arc アーク』、ご出演の芳根さん、岡田さんは、完成作をご覧になって、どのように感じられましたか?撮影時に想像していた仕上がりとのギャップなどもあれば、教えていただきたいです。芳根:石川さんがどんな風に編集されるのかが楽しみだったので、撮影のときは何の予想も立てていませんでした!石川さんが撮る画を、「ああ、こういうのが必要なんだな」と受け止めながら、ずっと臨んでいたんです。完成作を観たときは、なんだか、すごくすっきりした気持ちになりました。新しいジャンルの映画が誕生したんだな、と思えたんです。そんな作品に参加させてもらえていることを、すごく嬉しく感じました。――「すっきりした」とは、とても面白い表現ですね。芳根:ほんとですか!岡田:芳根ちゃん、やりきったからね。完成作を観て、石川監督ならではの温かみのある画と、象徴的なラストシーンで「すごく包まれて終わったなあ」と思いました。生と死という壮大なテーマと、親と子の壮大な物語でもあるので、両方つきつけられて…なんか席を立てなくなりますよね。「うおお、すごいものを観せられた!」と。僕も参加できて、本当によかったです。この映画を観て、何より思うのは、芳根ちゃんのこの役をやる覚悟というか。おそらくどの俳優さんが見ても、「これは一筋縄じゃいかないよ」と感じられる台本だったので、やるにあたっての覚悟と、石川監督に身を任せ信じて戦っている姿が、この映画に刻まれていると思います。――もしも岡田さんがリナ役でオファーされることがあったら、やっていましたか?俳優としては惹かれる役どころでしょうか。岡田:絶対に行っていたと思います。でも、捧ぐにはものすごく覚悟がいるので、お返事の期限ぎりぎりまで「んー、どうしよう、どうしよう!」と、悩んでいるかも…。だからこそ、やっぱり芳根さんは本当に素晴らしいと思いました。芳根:そんな、ありがとうございます。――撮影現場では、お互いどのようにコミュニケーションを取っていらしたんですか?岡田:前も一緒にドラマをやっていたので、そのときと変わらなかったよね?芳根:そうですね!撮影中は、ずっと「まーさん」と呼んでいたんです。私、人と距離を近づけるのが下手なので、「呼び方から近づいていきます!」と言っていたんですが…現場で誰ひとり呼んでいませんでしたね(笑)。一向に浸透せず、今も「岡田さん」という気持ちです(笑)。岡田:石川監督だけ、低いいい声で、たまに呼んでくれてました(笑)。――香川でのロケと伺っていますが、おふたりならではの思い出も、ありますか?芳根:一緒にそうめんを買いに行きました。「どうしても、最後にそうめんだけは買って帰りたい!」と言って、開いているお店を調べて、慌てて買いに行った思い出があります。岡田:あと、小豆島で1回、石川監督と、寺島しのぶさんと一緒にごはんも食べたよね。今回、土地に助けられている部分もすごくあったなと思います。香川県庁の建造物も素晴らしかったし…あと、うどんもおいしいし(笑)。芳根:私、お昼休みや移動のときに抜け出して、うどんを食べてました(笑)。「せっかく香川にいるんだから、絶対に食べたい!」と思って、こっそり食べに行って何喰わぬ顔で現場に帰っていました、いい思い出です(笑)。もし永遠の命を授かったら…享受したい喜びとは?――本作において「不老不死」は、ユートピアでもディストピアでもないことが描かれています。永遠の命について、もしおふたりが授かったとしたら、享受したい喜びは何でしょう?芳根:わあ!その質問、新しいですね!でも、何だろう…どうしよう(悩)。岡田:ありきたりなことになっちゃいますが、生きていく中で限られたところにしか行けないから、せっかく不老不死なら、自分がまだ見ていない景色、行っていない土地とか、世界中全部回れたら面白いんだろうなって思います。その土地の人にお会いして知っていくことによって、自分の人生観も変わっていくだろうし、いいなあって。――ちなみに、岡田さんがこれまで行かれた国で印象的だった場所、もう一度行きたいところはどこですか?岡田:そんなにいろんな国に行っていないですが…スペインかな!街にアートが溢れているから、面白かったです。活気もあって、料理もおいしくて、美術館もいっぱいあるし。芳根ちゃんは、どこかある?芳根:ニセコ(北海道)です!実は、ニセコの近くに両親の実家があるので、しょっちゅう行っていたんです。本当に車も通らない、家もない、街灯もないような場所で、道にレジャーシートを敷いて、母とふたりで寝っ転がって、流れ星をずっと見ていたことがあって。岡田:いいね!芳根:「今、見た!?」、「見た!」みたいなのが、すっごく楽しくて。今、自由に外に出たりできなくなってしまったから、より一層、ああいうことをしたい!という願望が強いかもしれません。――すごく素敵なエピソードですね。芳根さんは、永遠の命を得たバージョンの喜び、ほかに何かありますか?芳根:えっと…皺ができない、とかは嬉しいかもしれない!と思います。言っても私は24歳なので、身体が老いていくことに、むしろまだちょっと喜びを感じているんですが。けど、もちろん、これから年齢があがったら、「うわー、年齢を止めたらこの皺がなかったのに!」とか、ポンポン出てくるんだろうなと思います。――そうですよね。ちなみに、岡田さんは老いを感じること、ありますか?岡田:やっぱりね…30超えると、ありますよ。芳根:え、あるんですか!?何が一番変わります?岡田:傷の治りが遅くなる(苦笑)。一同:(笑)。芳根京子&岡田将生の日々の幸せと喜び「最近、お芝居がすごく楽しい」――永遠の命とは逆に、限りある命だからこそ得られる喜びや幸せも、本作からは感じられます。おふたりの日々の中での喜び、俳優としての喜びを感じるときなどを、教えてください。芳根:私はこの作品に参加してというのもありますし、このご時世というのもあって、小さな幸せが、すごく大きな幸せに感じるようになりました。友達と会えるだけで、嬉しさが今までと違うんです。割と身近な、いろいろなところに幸せって落ちているんだなと気づけて、人生が豊かになった気がしました。だから、すごく得した気持ちになっています。美味しくご飯を食べられることも幸せだし、いろいろなことが大きな幸せに感じます。岡田:僕は、去年ぐらいから改めてお芝居が楽しくなりました。作品のめぐり合わせというか、素敵な監督や共演者の方々に恵まれたこともあるとは思うんですけど、最近、お芝居が以前に増してすごく楽しいんです。何だろうな。前よりテンション高くで現場に行くようになって(笑)。芳根:へぇー!岡田:仕事が充実していることもあるんでしょうけど、緊急事態宣言もあったので、より一層現場に行って、お芝居ができることのありがたみを感じているのかなと思います。例えば、「芳根さんとお芝居します」となって、芳根ちゃんとお芝居の呼吸が合ったりすると、「なんか今、良かったよね」みたいな。その空気は、その一瞬しか感じることが出来ないものなので、監督と一緒にカメラに収めていく作業や、そういう積み重ねで楽しく感じます。(text:赤山恭子/photo:Jumpei Yamada)■関連作品:Arc アーク 2021年6月25日より全国にて公開©2021映画『Arc』製作委員会
2021年06月23日主演・芳根京子と『蜜蜂と遠雷』『愚行録』の石川慶監督のタッグで、人類史上初めて永遠の命を得た女性の出会いと別れを描く『Arc アーク』。予告映像と本ポスタービジュアルが解禁された。予告映像では、芳根さん演じる人類史上初めて永遠の命を得た女性・リナの長い長い人生の一部を垣間見ることができる。本作の舞台はそう遠くない未来、人類は必ず訪れる“死”への抵抗を試みていた…。自由を求めて生きていたリナは<プラスティネーション>という遺体を美しい姿のまま永久に保存する技術の第一人者であり、彼女の人生の師となるエマ(寺島しのぶ)と出会う。リナは彼女の元で初めて<プラスティネーション>の技術に触れ、次第に才能を発揮していく。一方、エマの弟である天音(岡田将生)はストップエイジングによる不老不死の技術を完成させた。この世紀の発明を世間に発表する記者会見で、不安を抱えるリナの手を優しく包み込む天音。やがて天音と恋に落ちたリナは彼と過ごす人生で一番幸せな瞬間で歳を重ねることを止め、永遠の若さと命を得る決心をする。「“死が2人を分かつまで”この一節はいずれ誓いの言葉から消えるだろう」と、リナにプロポーズする天音。しかし、このストップエイジングの技術は「持つ者」と「持たざる者」に世界を二分してしまうことを意味していた。賛否両論が巻き起こり社会は混乱に陥るが、リナは「これからは私が自分の生き方でそれを証明していきます」と力強く宣言する――。本作では不老不死というSFの王道テーマを描きながらも、映像からは普遍的な自然やレトロな建築物を存分に活かしたロケーションが広がり、むしろどこか懐かしいアナログな世界観が見てとれる。さらに挟み込まれるモノクロの映像では、風吹ジュン、小林薫といった名優たちが本作の鍵を握る老夫婦として登場し、リナの人生に大きな影響を与えていく。映像は「自由に生きなさい。罠にかからないように…」という気になるエマの台詞で締めくくられ、リナが経験する社会や生き様の変化、そして愛する人との出会いと別れが、コロナ禍で変化を余儀なくされ、日々新しい価値観に直面している現在の私たちの生活と地続きであるような未来を感じさせる仕上がりに。同時に解禁された本ポスタービジュアルでは、「私は世界に触れる」というキャッチコピーと共に、リナの決意に満ちた表情が今回は色彩豊かに表現され、本作で描かれる100年以上の月日を思い起こさせる壮大な世界観を持ったものとなっている。『Arc アーク』は6月25日(金)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:Arc アーク 2021年6月25日より全国にて公開©2021映画『Arc』製作委員会
2021年04月29日芳根京子が主演、『蜜蜂と遠雷』『愚行録』の石川慶監督の最新作となる『Arc アーク』が公開決定。特報映像とティザービジュアル、場面写真が解禁となった。本作の舞台は、そう遠くない未来。放浪生活を送っていたリナは、師となるエマと出会い、彼女の下で“ボディワークス”という仕事に就く。それは最愛の存在を亡くした人々のために、遺体を生きていた姿のまま保存できるように施術(プラスティネーション)する仕事であった。エマの弟・天音はこの技術を発展させ、ついに“不老不死”を完成させる。リナは不老不死の技術を受けた世界初の女性となり、30歳の姿のまま永遠の人生を生きていくことになるが…。原作は、ケン・リュウの傑作短編小説「円弧(アーク)」(ハヤカワ文庫刊)。ケン・リュウは2011年に発表した短編「紙の動物園」で、その年の最も優れたSF・ファンタジー作品に与えられるネビュラ賞、ヒューゴー賞、世界幻想文学大賞の3冠を制覇するという史上初の快挙を成し遂げた21世紀を代表するSF作家。人類で初めて永遠の命を得た女性リナに扮するのは、『累 -かさね-』と『散り椿』で日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞し、新作『ファーストラヴ』も話題の芳根京子。1人の女性の17歳から100歳以上を生き抜くという、キャリア史上最難関の役どころを繊細かつ大胆に演じきる。そのほかリナが勤めるエターニティ社の責任者エマに、寺島しのぶ。エマの弟で天才科学者である天音役に、岡田将生。さらに、物語の重要なカギを握る人物を倍賞千恵子、風吹ジュン、小林薫という日本映画界の至宝である3人が演じ、その全身から滲み出る人間味でスクリーンに情感を与えた。原作の斬新な不老不死のシチュエーションを引き継ぎながら、映像世界へと鮮やかに転生させたのは、石川慶監督。長編映画デビュー作の『愚行録』がヴェネチア国際映画祭オリゾンティ・コンペティション部門に選出されるなど海外においても熱い注目を浴び、続く『蜜蜂と遠雷』で毎日映画コンクール監督賞、報知映画賞作品賞、日本アカデミー賞優秀作品賞ほか多数の映画賞を受賞してきた。本作では『愛がなんだ』の澤井香織とともに脚本を手掛け、新たなオリジナルストーリーを融合させている。この度解禁された特報映像では、斬新な衣装に身を包んだリナ(芳根さん)が、舞うような美しさとキレのある動きでボディワークスに挑むシーンから始まる。そして、不老不死を現実のものとした天音(岡田さん)の会見の様子が描かれ、リナは人類初の永遠の命を得る女性に。そして美しい旋律に乗せ、リナの苦悩や彼女を取り巻く人々との幸せな様子も収められている。芳根京子「自分はどういう選択をするだろうかと」芳根さんは「あまりの難役にどうして石川監督は私にリナを託してくださるのか、嬉しさもありましたが、疑問、不安、恐怖が大きく即答することが出来ませんでした」と、当初は主演に自信を持てなかったことを告白。「監督は真っ直ぐ向き合ってくださり、私の不安を取り除き、そして『最高のスタッフを集めました』と言ってくださいました。監督から背中を押してもらい、この世界に飛び込ませてもらいたいと決意しました」とふり返る。「”生きている“ことに対して無意識、というか、当たり前、というか、それが日常になっていたものが、この作品と出逢って特別なものと思えるようになりました。タイトルの”Arc”からも、人生の始まりと終わりは一直線上の対極ではなく、弧を描いた隣同士だと感じました。もしも自分のこれからの人生の選択肢の中に“人生を終えない道”があるとしたら、自分はどういう選択をするだろうかと、この作品に出会わなければ出てこない発想・想像力をたくさん膨らまして、自分の人生をより一層濃いものにしてくれました」と、本作に関わったことで得た自信を滲ませる。寺島しのぶコメント台本を読んだ時、内容がよくわからないけれど全ては監督の頭の中にあるのだなと思いました。私はそこに飛び込み、ただ身を委ねました。不思議な作品になっていると思います。永遠に生きるとは…。そう遠くない未来、世界はそうなっているかもしれません。岡田将生コメント後悔のないように必死に生きる姿は、やはり尊くそして綺麗でした。生きること、死ぬこと。命とは何か。それくらい壮大なお話で、命がめぐるように僕たちもこの世界で必死に回っている感覚に陥りました。多分僕はこの脚本、この映画の本質を今も100%は理解出来ていません。この脚本を理解するのにとても苦労したことを覚えてます。しかし、石川監督なら絶対大丈夫。安心して身を任せられると思いました。石川監督の演出はとても独特で、監督とキャストだけで何度もリハーサルをし、撮影の仕方も他の現場と異なる感じで、カメラの前にいることを忘れるほど集中して現場に立っていた感覚でした。風吹ジュンコメント『Arc アーク』は近未来のお話ですが、死生観を問うような面白い脚本でしたので、石川監督にお会いするのを楽しみにしておりました。小林薫さんとの共演も…。監督に”Arc“ってなんですか? って聞いたことがありました。「弓のような形」と答えてくださいました。でも見えているのはもしかしたらほんの一部で、大きな丸が隠れて居るのでは。それはきっと亡くなっても、何かは続いていて円周を一回りしたら又”Arc”の線につながってる? そんなイメージが湧いてきました。見終えたときに幸せを受け取れる不思議な力がある作品です。小林薫コメント近未来の世界に不老不死。どんな映画になるのか、どんな仕上がりになるのか、全く見当がつきませんでした。ただワタシの役は自然に歳を取った老人でしたので、役にすんなり入ることができましたが、コロナがじんわりと広がりつつあった3月初頭の撮影で風邪をひいてしまいまして、ビビリましたね。共演の風吹さんから濃縮のビタミンをいただきましたらこれでケロっと治りまして、ホント風吹さんには感謝しております。石川慶監督コメント不老不死をテーマにした物語は古今東西あれど、ケン・リュウが提示するテーマは全く新しいものでした。そこにあるのはありきたりな不死への警笛ではなく、不死を得た新しいカラダに僕らの価値観がついていけるのかを強く問うてきます。アンチエイジングが発達した今、ストップエイジングは必ずしも遠い未来の話ではないのです。この大きなテーマを背負う主人公を、芳根京子さんがまさに体当たりで演じてくださいました。役とともに本当に生きることができる芳根さんと、この映画を作れたことは自分にとって大きな幸運です。他に寺島しのぶさん、岡田将生さん、倍賞千恵子さん、風吹ジュンさん、小林薫さんら名優たちが、一見荒唐無稽に見えるこの物語に大きな説得力を与えてくださいました。ぜひ劇場まで足を運んでいただけたら幸いです。『Arc アーク』は6月25日(金)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2021年02月09日2017年『愚行録』や2019年『蜜蜂と遠雷』で国内外から注目を集めている石川慶監督の新作映画『Arc アーク』が6月25日(金)に公開されることが決定。この度、芳根京子が主演を務めていることが明らかとなり、併せて特報映像とティザービジュアル、場面写真、共演陣のコメントが公開された。21世紀を代表するSF作家ケン・リュウの傑作短編小説『円弧(ルビ:アーク)』を原作とした本作。石川監督が『愛がなんだ』の澤井香織と共に脚本を手がけ、不老不死の技術を受けた世界初の女性・リナを主人公に壮大なストーリーを映像世界へと鮮やかに転生する。本作の舞台は、そう遠くない未来。放浪生活を送っていたリナは、師となるエマと出会い、彼女の下で<ボディワークス>という仕事に就く。それは最愛の存在を亡くした人々のために、遺体を生きていた姿のまま保存できるように施術(プラスティネーション)する仕事であった。エマの弟・天音はこの技術を発展させ、ついに「不老不死」を完成。リナは不老不死の技術を受けた世界初の女性となり、30歳の姿のまま永遠の人生を生きていくことになる。撮影は2020年2月〜3月にかけて主に香川県にて実施。リナに扮するのは、『累 -かさね-』と『散り椿』で日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞し、新作『ファーストラヴ』も話題の芳根。1人の女性の17歳から100歳以上を生き抜くという、キャリア史上最難関の役どころを繊細かつ大胆に演じきった。そのほか、リナが勤めるエターニティ社の責任者エマに寺島しのぶ、エマの弟で天才科学者である天音役に岡田将生。さらに、物語の重要なカギを握る人物を倍賞千恵子、風吹ジュン、小林薫が演じ、その全身から滲み出る人間味でスクリーンに情感を与える。今回公開された特報映像では、斬新な衣裳に身を包んだリナ(芳根)が、舞うような美しさとキレのある動きでボディワークスに挑むシーンから始まる。そして、不老不死を現実のものとした天音(岡田)の会見の様子が描かれ、リナは人類初の永遠の命を得る女性に。美しい旋律に乗せ、リナの苦悩や彼女を取り巻く人々との幸せな様子が圧倒的な映像美で収められている。また、後半部がモノクロ映像で表現されていることにも注目したい。石川慶監督は誰も見たことのない不老不死の世界をどう描くのか。「私は世界に触れる」というティザービジュアルも含め、謎に満ちた本作の世界観に期待が高まる。『Arc アーク』特報映像芳根京子コメントはじめにこのお話を聞いた時、あまりの難役にどうして石川監督は私にリナを託してくださるのか、嬉しさもありましたが、疑問、不安、恐怖が大きく即答することが出来ませんでした。お時間を頂き、正直に自分が思ってることをお伝えしました。監督は真っ直ぐ向き合ってくださり、私の不安を取り除き、そして「最高のスタッフを集めました」と言ってくださいました。監督から背中を押してもらい、この世界に飛び込ませてもらいたいと決意しました。”生きている“ことに対して無意識、というか、当たり前、というか、それが日常になっていたものが、この作品と出逢って特別なものと思えるようになりました。タイトルの”Arc”からも、人生の始まりと終わりは一直線上の対極ではなく、弧を描いた隣同士だと感じました。もしも自分のこれからの人生の選択肢の中に“人生を終えない道”があるとしたら、自分はどういう選択をするだろうかと、この作品に出会わなければ出てこない発想・想像力をたくさん膨らまして、自分の人生をより一層濃いものにしてくれました。観てくださった方も、自分の人生を今までとは少し違う角度の視点から感じられるような、新しい発見のきっかけになっていただけたら嬉しいです。たくさんの方に届きますように。寺島しのぶコメント台本を読んだ時、内容がよくわからないけれど全ては監督の頭の中にあるのだなと思いました。私はそこに飛び込み、ただ身を委ねました。不思議な作品になっていると思います。永遠に生きるとは・・・。そう遠くない未来、世界はそうなっているかもしれません。岡田将生コメント後悔のないように必死に生きる姿は、やはり尊くそして綺麗でした。生きること、死ぬこと。命とは何か。それくらい壮大なお話で、命がめぐるように僕たちもこの世界で必死に回っている感覚に陥りました。多分僕はこの脚本、この映画の本質を今も100%は理解出来ていません。この脚本を理解するのにとても苦労したことを覚えてます。しかし、石川監督なら絶対大丈夫。安心して身を任せられると思いました。石川監督の演出はとても独特で、監督とキャストだけで何度もリハーサルをし、撮影の仕方も他の現場と異なる感じで、カメラの前にいることを忘れるほど集中して現場に立っていた感覚でした。風吹ジュンコメント『Arc アーク』は近未来のお話ですが、死生観を問うような面白い脚本でしたので、石川監督にお会いするのを楽しみにしておりました。小林薫さんとの共演も・・・。監督に”Arc“ってなんですか?って聞いたことがありました。「弓のような形」と答えてくださいました。でも見えているのはもしかしたらほんの一部で、大きな丸が隠れて居るのでは。それはきっと亡くなっても、何かは続いていて円周を一回りしたら又”Arc”の線につながってる?そんなイメージが湧いてきました。見終えたときに幸せを受け取れる不思議な力がある作品です。小林薫コメント近未来の世界に不老不死。どんな映画になるのか、どんな仕上がりになるのか、全く見当がつきませんでした。ただワタシの役は自然に歳を取った老人でしたので、役にすんなり入ることができましたが、コロナがじんわりと広がりつつあった3月初頭の撮影で風邪をひいてしまいまして、ビビリましたね。共演の風吹さんから濃縮のビタミンをいただきましたらこれでケロっと治りまして、ホント風吹さんには感謝しております。石川慶監督コメント不老不死をテーマにした物語は古今東西あれど、ケン・リュウが提示するテーマは全く新しいものでした。そこにあるのはありきたりな不死への警笛ではなく、不死を得た新しいカラダに僕らの価値観がついていけるのかを強く問うてきます。アンチエイジングが発達した今、ストップエイジングは必ずしも遠い未来の話ではないのです。この大きなテーマを背負う主人公を、芳根京子さんがまさに体当たりで演じてくださいました。役とともに本当に生きることができる芳根さんと、この映画を作れたことは自分にとって大きな幸運です。他に寺島しのぶさん、岡田将生さん、倍賞千恵子さん、風吹ジュンさん、小林薫さんら名優たちが、一見荒唐無稽に見えるこの物語に大きな説得力を与えてくださいました。ぜひ劇場まで足を運んでいただけたら幸いです。『Arc アーク』6月25日(金)より公開
2021年02月09日中山優馬主演・シンフォニー音楽劇<「蜜蜂と遠雷」~ひかりを聴け~>が、2021年3月27日(土)から4月11日(日)まで横浜・KAAT神奈川芸術劇場<ホール>で、4月17日(土)から4月18日(日)まで大阪・新歌舞伎座で、5月1日(土)から5月3日(月・祝)まで福岡・博多座で開催される。恩田陸原作『蜜蜂と遠雷』がシンフォニー音楽劇に直木賞(第156回)・本屋大賞(2017年)に輝いた、恩田陸原作の人気小説『蜜蜂と遠雷』。世界的コンクールを舞台に、若きピアニストたちや彼らを取り巻く人々の心情を描いた物語で、超絶技巧を要するクラシックのピアノ曲演奏と共に、コンクールファイナルに向けてドラマが展開される。音楽をテーマとした小説としては珍しく、累計発行部数100万部を超えた作品であり、2019年10月には映画化もされた。そんな『蜜蜂と遠雷』の世界観を、歌・芝居・ピアノ・オーケストラで表現したシンフォニー音楽劇<「蜜蜂と遠雷」~ひかりを聴け~>が上演される。無頼派ピアニスト・風間塵に中山優馬物語の鍵となる登場人物で無頼派ピアニスト・風間塵(じん)を演じるのは、舞台やミュージカル、テレビドラマなどで活躍する中山優馬。本作では、これまでも舞台などでピアノ演奏を披露してきた中山優馬が、名曲『サティ:ジュ・トゥ・ヴ(あなたが欲しい)』をピアノで生演奏する。また、風間塵と同じくコンクールに出場し、圧巻のテクニックで観客を魅了するマサル・カルロス・レヴィ・アナトールや、幼いころから天才肌で将来を嘱望される女性ピアニスト・栄伝亜矢、最年長ピアニスト・高島明石にも実力派俳優が揃う予定だ。作詞・恩田陸&作曲・千住明の楽曲も作品のテーマ曲「ひかりを聴け」は、原作者・恩田陸が作詞を、音楽監督・千住明が作曲を担当。また、物語に登場するクラシックの名曲にのせる歌詞は、すべて恩田陸が作詞した。オーケストラやピアノによる壮大な音楽とともに、歌や芝居がドラマチックに展開されるシンフォニー音楽劇を堪能してみてはいかがだろう。【詳細】シンフォニー音楽劇<「蜜蜂と遠雷」~ひかりを聴け~><横浜公演>会場:KAAT神奈川芸術劇場<ホール>住所:神奈川県横浜市中区山下町281開催期間:2021年3月27日(土)~4月11日(日)<大阪公演>会場:新歌舞伎座住所:大阪府大阪市天王寺区上本町6-5-13開催期間:4月17日(土)~4月18日(日)<福岡公演>会場:博多座住所:福岡県福岡市博多区下川端町2-1開催期間:5月1日(土)~5月3日(月・祝)※各地の開演時間、チケット料金、チケット発売開始日などは、後日発表となる配役/出演:風間塵 中山優馬※ほか出演者は後日発表原作・作詞:恩田陸(『蜜蜂と遠雷』幻冬舎文庫)音楽監督:千住明脚本・演出:モトイキシゲキ演出:藤澤浩一
2021年01月18日俳優の中山優馬が、シンフォニー音楽劇『蜜蜂と遠雷 ~ひかりを聴け~』で主人公の風間塵を演じる。神奈川・KAAT 神奈川芸術劇場(3月27日~4月11日)、大阪・新歌舞伎座(4月17日・18日)、福岡・博多座(5月1日~3日)で上映され、チケットの詳細は後日発表される。2017年の年間ベストセラーとなった、恩田陸氏原作の『蜜蜂と遠雷』。直木賞・本屋大賞に輝き累計100万部を超えた大ヒット小説で2019年10月には映画化もされた。映画に先駆け、2018年1月以来リーディングとオーケストラを融合して上演していた本公演だが、今回はさらにバージョンアップ。歌と芝居とピアノ演奏をコラボレーションさせた新たな音楽劇として、『蜜蜂と遠雷』という音楽小説のリアルな世界観を舞台上で作り上げる。物語では、世界的コンクールに出場する若きピアニストたちや彼らを取り巻く人々の心情が描かれ、超絶技巧を要する数々のピアノ曲演奏と共にコンクールファイナルに向けてドラマが展開されていく。主人公・風間のほか、ピアノの貴公子マサル・カルロス・レヴィ・アナトール、将来を嘱望される女性ピアニスト栄伝亜矢、最年長ピアニスト高島明石についても実力派俳優が集結する予定。注目は、これまでも舞台などでピアノ演奏を披露してきた中山による、サティの名曲『ジュ・トゥ・ヴ(あなたが欲しい)』の生演奏。舞台上でオーケストラと共演するのは初となる。中山は「僕の中でのピアニストの印象は、孤高で神秘的です。それは音楽という目には見えない、正解のない答えを探して日々悩み情熱を注いで一瞬とも言える演奏のその時に全力をぶつける姿がとても美しいからです」とピアニストへの思いを語り、「この作品にはその情熱と神秘さがあふれている」と作品の魅力を述べる。続けて「歌と芝居とピアノ演奏。それとオーケストラが今回は融合する音楽劇という事で、初めての経験です。舞台も一期一会だと思っています。上演時間のその一緒とも言える時間に自分の全てをぶつけたい」と意気込み、「人とコミュニケーションをとる事が難しい今、音楽という不滅の力で繋がりましょう。同じ空間で共有できることを楽しみにしております。全力を尽くします」と宣言した。
2021年01月15日2019年の映画『蜜蜂と遠雷』の舞台として大きな話題となった「浜松国際ピアノコンクール」の次回2021年の開催概要が発表された。第11回目となる次回の開催期間は、2021年11月12日(金)〜11月29日(月)の18日間。1991年の浜松市市政80周年を記念してスタートしたこのコンクールは、楽器と音楽の街として世界的に名高い浜松市における文化事業として定着し、着実に進化を遂げているようだ。今や世界を目指す多くの若いピアニストにとっての登竜門。日頃の研鑽の成果を披露する重要なステージとなっている。2021年といえば延期された「東京オリンピック」の開催年。スポーツと文化の祭典が無事開催され、長く記憶に残る年となることを期待したい。●開催期日・オープニングコンサート:2021年11月7日(日)・出場者抽選会:2021年11月12日(金)・第1次予選:2021年11月13日(土)~ 11月17日(水)・第2次予選:2021年11月19日(金)~ 11月21日(日)・第3次予 選:2021年11月23日(火)~ 11月24日(水)・本選:2021年11月27日(土)~ 11月28日(日)・表彰式:2021年11月28日(日)・入賞者披露演奏会:2021年11月29日(月)●審査委員審査委員長:小川 典子(日本)審査委員:ダン・タイ・ソン(べトナム):イングリット・フリッター(アルゼンチン):アレクサンダー・ガブリリュク(オーストラリア): ポール・ヒューズ(イギリス): キム・ヨンホー(韓国):エヴァ・クピーク(ポーランド): ペジャ・ムジイェヴィッチ(アメリカ): ロナン・オホラ(イギリス): 迫 昭嘉(日本): ナターリア・トゥルーリ(ロシア)●出場資格1991年1月1日以降に出生した者●申込期間2021年2月1日(月)〜2021年3月31日(水)24:00(日本時間)
2020年07月03日国際ピアノコンクールに挑む4人の若きピアニストたちの姿を描いた恩田陸原作の映画『蜜蜂と遠雷』のヒットによって、ピアノ・コンクールへの注目度が大幅にアップしている。それは、映画に登場する主人公たちの演奏を担ったピアニストたちのコンサートにも影響があるらしい。今までコンサートに来たことがないような人たちまでがクラシックに興味を持ったのだとしたら、それは実に喜ばしいことだ。そしてその効果は、原作の舞台となった「浜松国際ピアノコンクール(浜コン)」自体にもありそうだ。同コンクールは、後に「ショパン国際ピアノコンクール」優勝者となるラファウ・ブレハッチ&チョ・ソンジン、そして「チャイコフスキー国際コンクール」を制した上原彩子などなど、過去に錚々たる優勝者や入賞者を排出してきたことにより、レベルの高さは折り紙付き。映画公開の1年前に開催された第10回「浜コン」の優勝者ジャン・チャクムルは、今まさに「優勝者ツアー」の真っ只中だ。2019年4月16日にスタートしたこのツアーは、日本国内22公演とドイツ&フランスの2公演を加えた24公演の長丁場。これは若きピアニストにとって、世に出るためのご褒美であるとともに、大きな負担のかかる課題でもあるに違いない。いよいよ終盤に差し掛かった優勝者ツアーは要チェック。「浜コン」を制した俊英の実力や如何に⁉ジャン・チャクムル photo:公益財団法人墨田区文化振興財団 2019/8/5すみだトリフォニーホール大ホール (c)三浦興一●公演概要1月31日(金)横浜みなとみらいホール大ホール「ジャン・チャクムルピアノリサイタル」●ジャン・チャクムル(ピアノ)トルコ人ピアニスト、ジャン・チャクムルは、2017年スコットランド国際ピアノコンクール、続く2018年第10回浜松国際ピアノコンクールで第1位となった。(公財)アルゲリッチ芸術振興財団賞受賞。1997年アンカラ生まれ。レイラ・ベケンシル、アイシェ・カプタンのもとで音楽を学び始め、菅野潤やエムレ・ シェンに多大な影響を受ける。2012年、アンカラの高校を卒業後、パリ・スコラ・カントルムにてマルセラ・クルデリに師事し、2014年首席で卒業。以来、アリエ・ヴァルディ、レスリー・ハワード、ロバート・レヴィン等多くの著名な音楽家との演奏機会に恵まれる。これまでに母国トルコの主なコンサートホールを始め、アッシャーホール(エディンバラ)、サルコルトー(パリ)、ムジークヘボウ(アイントホーフェン)等で演奏したほか、著名な国際音楽祭にも多数出演している。現在ヴァイマル音楽大学にてグルツマン教授の指導のもと研鑽を積んでいる。
2020年01月27日1946年(昭和21年)より開催されている、国内で最も権威と実績、歴史のある映画賞「第74回毎日映画コンクール」の受賞作品と受賞者が決定。『蜜蜂と遠雷』が日本映画大賞に輝いたほか、監督賞(石川慶)、スポニチグランプリ新人賞(鈴鹿央士)と合わせて最多3冠、さらに阪本順治監督の『半世界』も女優助演賞(池脇千鶴)、脚本賞、録音賞と最多3冠を獲得した。日本映画優秀賞には藤井道人監督の『新聞記者』が選出、女優主演賞に輝いたシム・ウンギョンと合わせて2部門で受賞。男優主演賞には『カツベン!』の成田凌が輝き、美術賞と合わせて同じく2部門の受賞となった。スポニチグランプリ新人賞が贈られるのは、『蜜蜂と遠雷』の鈴鹿央士と『町田くんの世界』の関水渚。大ヒット作『天気の子』を担当した「RADWIMPS」が音楽賞。また、一般の映画ファンが選ぶ「TSUTAYAプレミアム映画ファン賞」日本映画部門は『凪待ち』(白石和彌監督)、外国映画部門は『ジョーカー』(トッド・フィリップス監督)が獲得。『ジョーカー』は外国映画ベストワン賞にも選ばれている。表彰式は、ミューザ川崎シンフォニーホールで2月13日(木)に開催。今年から表彰式の模様は毎日映画コンクール公式ホームページ、および「TSUTAYAプレミアム無料ライブ配信」特設ページにてライブ配信と1週間見逃し配信が行われる。第74回毎日映画コンクール受賞結果日本映画大賞『蜜蜂と遠雷』(石川慶監督)日本映画優秀賞『新聞記者』(藤井道人監督)外国映画ベストワン賞『ジョーカー』(トッド・フィリップス監督)男優主演賞成田凌『カツベン!』女優主演賞シム・ウンギョン『新聞記者』男優助演賞吉澤健『凪待ち』女優助演賞池脇千鶴『半世界』スポニチグランプリ新人賞鈴鹿央士『蜜蜂と遠雷』スポニチグランプリ新人賞関水渚『町田くんの世界』田中絹代賞風吹ジュン監督賞石川慶『蜜蜂と遠雷』脚本賞阪本順治『半世界』撮影賞クリストファー・ドイル『ある船頭の話』美術賞磯田典宏『カツベン!』音楽賞RADWIMPS『天気の子』録音賞藤本賢一『半世界』アニメーション映画賞『海獣の子供』(渡辺歩監督)大藤信郎賞『ある日本の絵描き少年』(川尻将由監督)ドキュメンタリー映画賞『えんとこの歌寝たきり歌人・遠藤滋』(伊勢真一監督)TSUTAYAプレミアム映画ファン賞日本映画部門『凪待ち』TSUTAYAプレミアム映画ファン賞外国映画部門『ジョーカー』特別賞宮本まさ江(衣装)(text:cinemacafe.net)■関連作品:凪待ち 2019年6月28日よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開©2018「凪待ち」FILM PARTNERS半世界 2019年2月15日よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開Ⓒ2018「半世界」FILM PARTNERSカツベン! 2019年12月13日より全国にて公開©2019「カツベン!」製作委員会蜜蜂と遠雷 2019年10月4日より全国にて公開(C)2019 映画「蜜蜂と遠雷」製作委員会新聞記者 2019年6月28日より全国にて公開©2019『新聞記者』フィルムパートナーズジョーカー 2019年10月4日より全国にて公開© 2019 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved” “TM & © DC Comics”
2020年01月22日第74回毎日映画コンクール各賞の受賞作品と受賞者が22日、明らかになった。同賞は毎日新聞社とスポーツニッポン新聞社などが主催している映画賞。日本映画大賞に輝いたのは、石川慶監督の『蜜蜂と遠雷』で、同作は監督賞、スポニチグランプリ新人賞の鈴鹿央士と合わせて最多3冠を獲得。また『半世界』(阪本順治監督)も、女優助演賞、脚本賞、録音賞で、同じく最多3冠を獲得した。日本映画優秀賞には藤井道人監督の『新聞記者』が選ばれ、女優主演賞に輝いたシム・ウンギョンと合わせて2部門で受賞。男優主演賞には『カツベン!』の成田凌が輝き、美術賞と合わせて『カツベン!』も2部門の受賞となった。男優助演賞は『凪待ち』の吉澤健、女優助演賞は『半世界』の池脇千鶴がそれぞれ受賞。『蜜蜂と遠雷』の鈴鹿央士と『町田くんの世界』の関水渚にはスポニチグランプリ新人賞が贈られる。また、田中絹代賞は風吹ジュンが受賞した。映画ファンが選ぶ、TSUTAYAプレミアム映画ファン賞日本映画部門は『凪待ち』(白石和彌監督)、外国映画部門は『ジョーカー』(トッド・フィリップス監督)が受賞した。なお、表彰式は、ミューザ川崎シンフォニーホールで、2月13日に開催される。今年から表彰式の模様は毎日映画コンクール公式ホームページ、『TSUTAYAプレミアム無料ライブ配信』特設ページにてライブ配信と1週間見逃し配信を行う。○第74回毎日映画コンクール 受賞結果■作品部門日本映画大賞:『蜜蜂と遠雷』(石川慶監督)日本映画優秀賞:『新聞記者』(藤井道人監督)外国映画ベストワン賞:『ジョーカー』(トッド・フィリップス監督)■監督・脚本部門監督賞:石川慶『蜜蜂と遠雷』脚本賞:阪本順治『半世界』■俳優部門男優主演賞:成田凌『カツベン!』女優主演賞:シム・ウンギョン『新聞記者』男優助演賞:吉澤健『凪待ち』女優助演賞:池脇千鶴『半世界』スポニチグランプリ新人賞:鈴鹿央士『蜜蜂と遠雷』スポニチグランプリ新人賞:関水渚『町田くんの世界』田中絹代賞:風吹ジュン■スタッフ部門撮影賞:クリストファー・ドイル『ある船頭の話』美術賞:磯田典宏『カツベン!』音楽賞:RADWIMPS『天気の子』録音賞:藤本賢一『半世界』■アニメーション部門アニメーション映画賞:『海獣の子供 』(渡辺歩監督)大藤信郎賞:『ある日本の絵描き少年』(川尻将由監督)■ドキュメンタリー部門ドキュメンタリー映画賞:『えんとこの歌寝たきり歌人・遠藤滋』(伊勢真一監督)■TSUTAYAプレミアム映画ファン賞日本映画部門:『凪待ち』外国映画部門:『ジョーカー』■特別部門特別賞:宮本まさ江(衣装)
2020年01月22日1月15日、第43回日本アカデミー賞の優秀賞が発表され、優秀作品賞に『キングダム』『新聞記者』『翔んで埼玉』『閉鎖病棟—それぞれの朝—』『蜜蜂と遠雷』の5作品が選ばれた。正賞15部門のなかでは『翔んで埼玉』が最多12部門、『閉鎖病棟—それぞれの朝—』が11部門の優秀賞に輝いた。授賞式で司会を務めるのは、昨年『万引き家族』で最優秀主演女優賞を受賞した安藤サクラと、フリーアナウンサーの羽鳥慎一。羽鳥は、昨年まで6年連続で司会を務めていた西田敏行からバトンを受けるという大役だが「日本テレビに在籍時代、インタビューアとして何度か賞に参加したことはあったのですが、俳優さんに直接お話を聞く機会はなかったので、緊張しますね」と語っていたが「でも映画は大好きなので、機会をいただけて嬉しいです」と笑顔を見せる。さらに羽鳥は「日本アカデミー賞というのは、映画に携わる人が選ぶ大切な賞。作品に参加したスタッフやキャストたちが久々に再会する場でもあるので、たくさんの笑顔を引き出せるように務めたい」と意欲を見せた。一方、2度目の司会となる安藤は「前回『なんて特別な時間なんだ』と感じたことを思い出します。あのときの経験は大きな財産になりました。2回目だからといって気を緩めることなく、より緊張感を持って臨みたいです」と意気込む。また受賞者の一覧を見た安藤は「普段、俳優さんや女優さんにインタビューすることがないので、緊張しますし、先輩にお話を聞くのはおこがましいと思ってしまうかもしれませんが、せっかくのチャンスなので、一視聴者として、素直に聞きたいことをぶつけてみたいです」と抱負を語っていた。今年から日本アカデミー賞協会の会長に就任した島谷能成氏は、昨年まで司会を務めた西田に対して「西田さんの作品への愛や、受賞者への溢れる友情や思いのおかげで、温かい雰囲気の授賞式になりました」と感謝を述べると、興行成績が好調だった2019年の日本映画界を振り返り、「受賞リストを見ると『翔んで埼玉』など、新しい層の鑑賞者を開拓できた年だったなと思います」と総括していた。第43回日本アカデミー賞の主な受賞結果は以下の通り。■優秀作品賞『キングダム』『新聞記者』『翔んで埼玉』『閉鎖病棟—それぞれの朝—』『蜜蜂と遠雷』■優秀アニメーション作品賞『空の青さを知る人よ』『天気の子』『名探偵コナン 紺青の拳』『ルパン三世 THE FIRST』『ONE PIECE STAMPEDE』■優秀監督賞佐藤信介(『キングダム』)周防正行(『カツベン!』)武内英樹(『翔んで埼玉』)平山秀幸(『閉鎖病棟—それぞれの朝—』)藤井道人(『新聞記者』)■優秀主演男優賞笑福亭鶴瓶(『閉鎖病棟—それぞれの朝—』)菅田将暉(『アルキメデスの大戦』)中井貴一(『記憶にございません!』)松坂桃李(『新聞記者』)GACKT(『翔んで埼玉』)■優秀主演女優賞シム・ウンギョン(『新聞記者』)二階堂ふみ(『翔んで埼玉』)松岡茉優(『蜜蜂と遠雷』)宮沢りえ(『人間失格 太宰治と3人の女たち』)吉永小百合(『最高の人生の見つけ方』)■優秀助演男優賞伊勢谷友介(『翔んで埼玉』)柄本佑(『アルキメデスの大戦』)岡村隆史(『決算!忠臣蔵』)佐々木蔵之介(『空母いぶき』)吉沢亮(『キングダム』)■優秀助演女優賞天海祐希(『最高の人生の見つけ方』)小松菜奈(『閉鎖病棟—それぞれの朝—』)高畑充希(『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』)長澤まさみ(『キングダム』)二階堂ふみ(『人間失格 太宰治と3人の女たち』)■優秀脚本賞片島章三(『カツベン!』)詩森ろば/高石明彦/藤井道人(『新聞記者』)徳永友一(『翔んで埼玉』)平山秀幸(『閉鎖病棟—それぞれの朝—』)三谷幸喜(『記憶にございません!』)■新人俳優賞岸井ゆきの(『愛がなんだ』)黒島結菜(『カツベン!』)吉岡里帆(『見えない目撃者』『パラレルワールド・ラブストーリー』)鈴鹿央士(『蜜蜂と遠雷』)森崎ウィン(『蜜蜂と遠雷』)横浜流星(『愛唄—約束のナクビト—』『いなくなれ、群青』『チア男子!!』)取材・文・写真:磯部正和
2020年01月15日「第74回毎日映画コンクール」において、各賞のノミネート作品&ノミネート者が発表された。『火口のふたり』と『蜜蜂と遠雷』が最多8ノミネート、男優主演賞には池松壮亮、柄本佑、成田凌ら、女優主演賞には蒼井優、岸井ゆきの、シム・ウンギョンらが選ばれた。国内で最も歴史のある映画賞「毎日映画コンクール」。今回は、2019年1月1日から12月31日までに、国内で14日間以上劇場公開された映画(アニメーション、ドキュメンタリーは完成または上映した作品)が対象となっている。まず、「日本映画大賞・日本映画優秀賞」候補作にあがったのは、『火口のふたり』、『新聞記者』、『ひとよ』『蜜蜂と遠雷』、『宮本から君へ』の5作品。また「男優主演賞」には、池松壮亮(『宮本から君へ』)、稲垣吾郎(『半世界』)、柄本佑(『火口のふたり』)香取慎吾(『凪待ち』)、成田凌(『カツベン!』)。「女優主演賞」には、蒼井優(『宮本から君へ』)、岸井ゆきの(『愛がなんだ』)、シム・ウンギョン(『新聞記者』)、瀧内公美(『火口のふたり』)、筒井真理子(『よこがお』)、松岡茉優(『蜜蜂と遠雷』)。なお、成田さんは『愛がなんだ』と『さよならくちびる』で「男優助演賞」、シム・ウンギョンは『ブルーアワーにぶっ飛ばす』、松岡さんは『ひとよ』で「女優助演賞」にもノミネートしている。今回最多ノミネートとなったのは、『火口のふたり』と『蜜蜂と遠雷』。男優主演賞(柄本佑)、女優主演賞(瀧内公美、松岡茉優)、監督賞などで8ノミネートに。続く、男優主演賞(稲垣吾郎)など7ノミネートで『半世界』、『カツベン!』と『ひとよ』は5ノミネートとなった。ほかにも、「外国映画ベストワン賞」には『グリーンブック』や『ジョーカー』、『運び屋』など話題作が選ばれ、「アニメーション部門」では、『海獣の子供』『きみと、波にのれたら』『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』『天気の子』が選ばれている。なお、発表は来年1月下旬の毎日新聞・スポーツニッポン新聞紙上にて、表彰式は2月13日(木)にミューザ川崎で行われる予定だ。「第74回毎日映画コンクール」主なノミネート【作品部門】日本映画大賞・日本映画優秀賞『火口のふたり』『新聞記者』『ひとよ』『蜜蜂と遠雷』『宮本から君へ』外国映画ベストワン賞『グリーンブック』『ジョーカー』『象は静かに座っている』『運び屋』『バーニング劇場版』『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』【俳優部門】男優主演賞池松壮亮『宮本から君へ』、稲垣吾郎『半世界』、柄本佑『火口のふたり』、香取慎吾『凪待ち』、成田凌『カツベン!』女優主演賞蒼井優『宮本から君へ』、岸井ゆきの『愛がなんだ』、シム・ウンギョン『新聞記者』、瀧内公美『火口のふたり』、筒井真理子『よこがお』、松岡茉優『蜜蜂と遠雷』男優助演賞渋川清彦『半世界』、鈴木亮平『ひとよ』、成田凌『愛がなんだ』、成田凌『さよならくちびる』、長谷川博己『半世界』、吉澤健『凪待ち』女優助演賞池脇千鶴『半世界』、市川実日子『よこがお』、片岡礼子『楽園』、シム・ウンギョン『ブルーアワーにぶっ飛ばす』、松岡茉優『ひとよ』スポニチグランプリ新人賞(男性)佐藤結良『僕はイエス様が嫌い』、鈴鹿央士『蜜蜂と遠雷』、細田佳央太『町田くんの世界』、皆川暢二『メランコリック』、YOSHI『タロウのバカ』スポニチグランプリ新人賞(女性)秋田汐梨『惡の華』、佐久間由衣『“隠れビッチ”やってました。』、関水渚『町田くんの世界』、玉城ティナ『惡の華』、森七菜『地獄少女』(cinemacafe.net)■関連作品:蜜蜂と遠雷 2019年10月4日より全国にて公開(C)2019 映画「蜜蜂と遠雷」製作委員会新聞記者 2019年6月28日より全国にて公開©2019『新聞記者』フィルムパートナーズ火口のふたり 2019年8月23日より新宿武蔵野館ほかにて公開©2019「火口のふたり」製作委員会宮本から君へ 2019年9月27日より全国にて公開Ⓒ2019「宮本から君へ」製作委員会ひとよ 2019年11月8日より全国にて公開(c)2019「ひとよ」製作委員会
2019年12月26日第44回報知映画賞の受賞作・受賞者が28日に明らかになり、中井貴一が主演男優賞、長澤まさみが主演女優賞に輝いた。『記憶にございません!』の演技が評価された中井は、1994年(第19回)『四十七人の刺客』で助演男優賞を受賞して以来、25年振り2度目の報知映画賞受賞に。また『マスカレード・ホテル』『コンフィデンスマン JP-ロマンス編-』に出演した長澤は、2004年(第29回)に『深呼吸の必要』『世界の中心で、愛をさけぶ』で助演女優賞を受賞して以来、15年振り2度目の報知映画賞受賞となった。全体では『蜜蜂と遠雷』が作品賞・邦画部門、新人賞(=鈴鹿央士)の2冠に。今年社会現象を巻き起こした『翔んで埼玉』が特別賞を受賞した。○第44回報知映画賞 一覧作品賞・邦画部門:『蜜蜂と遠雷』(監督 石川慶)作品賞・海外部門:『ジョーカー』(監督 トッド・フィリップ)アニメ作品賞:『天気の子』 (監督 新海 誠 配給 東宝)主演男優賞:中井 貴一『記憶にございません!』の演技に対して主演女優賞:長澤まさみ 『マスカレード・ホテル』『コンフィデンスマン JP -ロマンス編-』の演技に対して助演男優賞:成田凌 『チワワちゃん』『愛がなんだ』『さよならくちびる』の演技に対して助演女優賞:小松 菜奈 『来る』『閉鎖病棟-それぞれの朝-』の演技に対して監督賞:佐藤信介 『キングダム』の演出に対して新人賞:鈴鹿央士 『蜜蜂と遠雷』の演技に対して新人賞:玉城ティナ 『Diner ダイナー』『惡の華』の演技に対して特別賞:『翔んで埼玉』 社会現象化した稀有な作品。(監督 武内英樹)
2019年11月28日国際ピアノコンクールを題材とした映画『蜜蜂と遠雷』の公開や、この夏ロシア・モスクワで開催された「チャイコフスキー国際コンクールピアノ部門」において日本期待の若手ピアニスト藤田真央が見事第2位入賞を果たしたことも相まって、音楽コンクールへの関心がにわかに高まっている。この機会に実際のコンクールに立ち会って、その緊張感を味わいたいと思った方にぴったりな「日本音楽コンクール」の本選が目前だ。日本国内で最も権威が高く、“若手音楽家の登竜門”に位置づけられる同コンクールのスタートは1932年。現在国内外で活躍する音楽家の多くがこの歴史あるコンクールから巣立っているだけに、未来の巨匠が世に出る瞬間を目のあたりにできる絶好の機会とも言えそうだ。特にオーケストラとの共演によって競われる本選の注目度は高く、コンサートとは一味違う緊張感や喜怒哀楽によって、会場全体が独特の雰囲気に包まれる。まさに映画『蜜蜂と遠雷』同様、予選を勝ち抜いてきた強者達のステージは、それ自体がドラマティックだ。●コンクール概要「2019年度 第88回日本音楽コンクール本選」東京オペラシティコンサートホール10月23日(水)17:00フルート部門10月24日(木)17:00オーボエ部門10月25日(金)17:00声楽部門(オペラ・アリア)10月26日(土)16:00ピアノ部門10月27日(日)15:00バイオリン部門※コンクール詳細:
2019年10月18日10月4日より全国公開中の『蜜蜂と遠雷』は、まったく異なる境遇にある4人の天才ピアニストたちが、国際ピアノコンクールでの熾烈な戦いを通して、お互いに刺激し合い葛藤し、そして成長を遂げ“覚醒”する物語だ。ブルゾンちえみ演じる仁科雅美は、4人の天才ピアニストのひとり、高島明石(松坂桃李)の元同級生で、ドキュメンタリー番組の撮影のため、コンクールに密着するジャーナリスト役だ。「原作も読んでいたので、この役をいただけてやっぱり嬉しいという気持ちがまずありました。石川監督から『音楽の事には詳しくないという目線から、4人の天才ピアニストを取材することで、観客が雅美を通してストーリーに入っていったり、ピアニストの心の内を知るきっかけになる役ですよ」と言われて、そんな重要な役を演じられるなんてと思いました」雅美は、明石の元同級生という立場から、明石を励まし応援するが、それが微妙な距離感で、「雅美は明石のことを好きなのでは?」と思う程、切ない演技が絶妙である。ブルゾンはどんな気持ちで演じたのだろうか?「幼馴染役なので、自分が今でも久しぶりに同級生の男子に会う感覚を思い出したりしていました。原作では、明石のことを昔好きだったとはどこにも書いていないんですけど、何かしら気になっていたんじゃないかと思うんです。クラスの中に天才がいて、また明石も天才をひけらかす性格じゃないから。人として好きだったのかな?って。同級生だからこそ知りえる、彼の姿とかもあったと思いますし、スクリーンに映る以外の明石も知っているよという特別感を持った、そういうポジションでいたいなというのはありました」劇中、天才ピアニスト4人にインタビューするシーンがあるが、監督から「ブルゾンさんが思いついたインタビューをしてみてください」と言われ、実際にインタビューをすることに。インタビューされる側から、インタビューする側になり、気が付いたことがあった。「私もインタビューされる時に、ちょっと意地悪な質問があると、よくそんな質問が出来るねって思ったりするんですけど、自分がインタビュアーになった時に、当たり障りのない答えが欲しいわけじゃないから、食い込んでいこうというという気持ちが出てきたんです。その時に、インタビュアーは、意地悪な人だったんじゃなくて、仕事のスイッチが入っていただけなんだなっていうのが分かりました。それは面白かったです」映画の見どころは、4人の種類の違う天才が自分の色で戦っているところで、それぞれの色の違いを感じてもらいたいとブルゾンは言う。4人各々違う良さがあって、「それぞれがいるからこそ影響し合うんだよ」というメッセージがこの映画には隠れており、ブルゾンの仕事に向かう姿勢とも通じるところがあったようだ。「私は人と比べないと言ったら嘘になりますけど、『アベンジャーズ』みたいな色んな種類の個性が大集合! というのが好きなんです。だから私も出来るだけ、私は私でいようという気持ちが強いかもしれません。もし悔しいなって思うことがあったら、その人に対して何かするというよりは、もっと自分を固めていこう、自分はどんな個性や得意があるんだろうっていう方にフォーカスしていくと思います。そういう風に考えるのは、私はずっと陸上をやっていて常に自分との戦いで、1位になったとしても、自己新記録じゃないと嬉しくなかったからかも。他者の評価よりも自分との戦いなんですよね」『蜜蜂と遠雷』全国公開中撮影/高橋那月、取材・文/若村幸江
2019年10月10日10月5日~6日の国内映画ランキング(全国週末興行成績・興行通信社提供)が発表され、松岡茉優(24)主演の映画「蜜蜂と遠雷」は初登場4位にランクインした。直木賞と本屋大賞をダブル受賞した恩田陸氏の同名小説を実写映画化。国際ピアノコンクールを舞台に、かつて天才少女と呼ばれた栄伝亜夜(松岡)をはじめ、若き4人のピアニストたちの挑戦・成長・運命を描く。4日より全国324スクリーンで公開され、土日2日間で動員9万6000人。興収1億2700万円の成績の成績を記録したが、関係者はその結果に胸をなで下ろしているという。「映画の公開直前当たりから、松岡さんに対する世間の“風当たり”が強くなっていました。そのため『映画の客入りに影響するのでは』と思われていましたが、集客できる作品の多いなかで4位に入ったのは上々の出だしといえるでしょう」(映画関係者)松岡に対する“風当たり”が強くなったのは、先月25日に都内で行われた出演映画「ひとよ」(11月8日公開)完成披露試写会での舞台あいさつだった。松岡は共演者を圧倒するほどしゃべり倒し、ある共演者からは「(司会の)仕事を取るんじゃない!」「しゃしゃるな!」と注意されたほどだったという。それがネットニュースになると《笑いも女優もできます感、出しすぎ》《最近、勘違いしてるような言動が多い》など、批判の声があがっていたのだ。「舞台挨拶での発言も、話題になればと思ってやってくれていること。松岡さんが気にしないよう、周囲も気を遣っているようです。松岡さん自身も、公開初日の舞台あいさつで再びしゃべり倒していました」(芸能記者)7日放送の「しゃべくり007」(日本テレビ系)では、自分が落ちたオーディションを受かった土屋太鳳(24)から神経を逆なでするようなKY電話があったと実名暴露していた。“舌好調”な松岡のおかげで、映画もさらに脚光を浴びそうだ。
2019年10月10日10月4日より全国公開された映画『蜜蜂と遠雷』は、まったく異なる境遇にある4人の天才ピアニストたちが、国際ピアノコンクールでの熾烈な戦いを通して、お互いに刺激し合い葛藤し、そして成長を遂げ‘覚醒‘する物語。今は亡き世界最高のピアニストが遺した謎の少年・風間塵役を新人の鈴鹿央士が演じる。「風間塵、そのものだ」と評価の高い鈴鹿は、オーディションを受けて塵の役を獲得したという。「僕自身まだ何も経験がなくて、わからないままに全部で5回くらいオーディションを受けました。実はどう受けたらいいかとか、会場への入り方すらも知らなかったりしたので、最初のオーディションの時は挨拶もせずに入っちゃって(笑)。3回くらい受けたらオーディションってこういう感じかなっていうのが分かってきて。受かった時はすごく嬉しかったし、ビックリしました」鈴鹿は主役級の4人のひとりを演じるが、初めての映画出演だったので、実は役作りが出来なかったと言う。「撮影が始まる前に石川監督と話す機会があったんですけど、話している中で、今のその表情が風間塵なんだよって言われたので、頭で考え過ぎず、作り込み過ぎないようにしようと思ったら、そのままの自分で演じることが出来ました。でも正直に言うと、僕は演技自体が初めてだったので、役作りというものをしなかったというよりは出来なかったんです。石川監督から「それでいいんだよ」と言ってもらえたので、安心して演じられました」しかし、映画を観た人からは、「塵のイメージそのままだ」と評価が高い。その理由を鈴鹿はこう語った。「初めての映画出演だったので、自分では客観的に観られないし、完成した映画を観た時にこんな感じなんだって思ったんです。たくさんの人から『これが風間塵だって思った』と言われて、初めて、『僕は風間塵だったんだ』って思いました。天真爛漫なところや、ちょっと不思議なところとか、そういう雰囲気が一緒だって言われたりして。自分ではそんなに思わないんですけど(笑)」風間塵という天才を演じて、鈴鹿自身学ぶことが多かった。鈴鹿は塵を愛されている人と表現する。「塵は、嫌味なく僕の音楽ってこういうものなんだよというのを、音楽を通して素直に伝えるのがすごく素敵だなって。僕も演じる役の言葉を伝えていくのが俳優だと思っていて、塵を通して自分の想いを役に乗せて伝えることが出来たらなって思いました」鈴鹿のこの映画でお気に入りは、松岡演じる亜夜と月明かりの下で連弾するシーンだ。光も映像も音楽も、そしてセリフも美しく、見ている人の心を打つ。そんなシーンが多くある今作は、観終わった後の余韻をも楽しめるのが魅力だ。「クラシックというとちょっと敷居が高いというか、難しいイメージがあると思うんですけど、気楽に観に来て欲しいです。クラシックが分からない方でも本当に綺麗な音が流れるから、耳も癒されるし、この4人の戦いのストーリーもしっかりしているから、映画を観た後の余韻がすごいと思うんです。体感して欲しいですね、この映画を。本当に気楽に劇場にお越しください」『蜜蜂と遠雷』全国公開中撮影/杉映貴子、取材・文/若村幸江
2019年10月09日史上初の快挙となる直木賞(第156回)、本屋大賞(2017年)のW受賞を果たし、映像化不可能と言われた『蜜蜂と遠雷』が豪華キャスト、スタッフ陣により実写映画化。10月4日に全国公開された。国際ピアノコンクールでの熾烈な戦いを通して、お互いに刺激し合い葛藤し、そして成長を遂げ‘覚醒‘していく物語だ。音楽エリートとして超名門音楽院に在籍し、優勝候補最有力の重圧に挑むマサル役を森崎ウィンが熱演。ジャンルは違うが、同じアーティストとして活躍する森崎の目にマサルはどう映ったのだろうか?「マサルはすごく繊細だけど、責任感もあって、サービス精神がある。でもそれは人から見えているマサルで、内面は芯がとても強くて、自分で世界を切り開くんだ、自分で新しいものを作るんだ、というビジョンがとてもはっきりしている人。だから本番でも先生から言われた通りじゃなくて、自分流にやってしまうところがある。そこにはよし、いける!っていう絶対の自信があって迷わず突き進める強さがある。そういう感覚的なところは、僕と似ているなって思いましたね」森崎もマサル同様、端正な顔立ちと精悍なたたずまいで「王子」と呼ばれるのに相応しい。しかし本人は「王子」と言われるとプレッシャーに感じると言う。「僕とマサルは全然似てないというか(笑)。マサルが刻むリズムってすごくゆっくりなんですが、僕はすぐ反射的に返してしまうことが多くて。ゆっくりしゃべるとか、動作も静かに流れるようにするとか。マサルに寄り添うために、リズムを落とさないといけないのが、すごく難しかったです」森崎はアーティストとしても活躍しているが、クラシックはこれまで演奏したことがなかった。マサルを演じる上で、「ピアニストとしてのマサル」を知るために、音楽教室に通い、半年以上かけて弾けるようになったという。同時に、クラシックの難しさを痛感した。「クラシックって弾く指の番号まで決まっていて、決められたルールを守らないといけないんです。それはなかなか慣れなかったですね。どうしても自分が弾きやすいように手を動かしてしまって。あと指を広く開くこと。運よく僕は手が大きかったので届きましたが、それでも痛い!って思いながら、でもどんどん弾かないといけないし。レッスンが終わると本当に手が痛かったですね」『蜜蜂と遠雷』は「音楽の神様に愛された天才」の戦いの物語でもある。どんな世界でも、「天才」という人がいて、その中で神様に愛されるのは、「努力をする人」だと森崎は考える。「諦めずに前向きに、しっかりと自分の将来を見据えて、努力をする人が最終的には勝つと思います。人ってやっぱり見ているんですよ。そこは信じて、しっかり努力を続けていくことじゃないかなって思います。僕も他の仕事の合間でピアノの練習をしていたので、本当に大変でしたが、絶対に弾いてやるっていう気持ちで練習しましたし、本番では弾けるようになっていました。撮影後に石川監督から、感動したって言ってもらえて、本当に嬉しかったです。一つひとつを怠らず、積み重ねることだと思います」4人のライバルには、同世代で活躍している松岡茉優、松坂桃李、大型新人として鈴鹿央士との共演があった。現場ではライバル同士だったこともあり、和気あいあいとした雰囲気はなく、程よい緊張感があったという。「茉優ちゃんも、桃李君もキャリアは僕なんかより長いですし、場数も全然違うんで。もう一回違う作品で出会えるように頑張りたいなって思いました。鈴鹿君は初めてとは思えないくらい堂々としていて、人としても魅力的でした。現場で今日のお弁当は何を食べましたか?とか、昨日は何をしていたんですか?とか聞いてくれて、可愛かったです(笑)」『蜜蜂と遠雷』は4人の天才ピアニストの葛藤や人生の壁を乗り越えるヒントが見つかる作品でもあり、まるでアスリートの戦いを見ているような感覚になれる映画でもある。「クラッシックコンクールの話だから敷居が高くて、近寄りがたいイメージがあると思うんですけど、そんなことはないです!僕の言葉を信じて、一度劇場に足を運んでくださると、本当に画面の中でアスリートたちが、癒しの音楽と共に戦っているんで、ぜひその臨場感を劇場で味わっていただけたらと思います」『蜜蜂と遠雷』全国ロードショー中撮影/高橋那月、取材・文/若村幸江
2019年10月08日直木賞・本屋大賞を史上初めてW受賞した小説家・恩田陸の『蜜蜂と遠雷』が若手実力派キャストにより実写映画化され、10月4日より公開された。国際ピアノコンクールを舞台に、亜夜(松岡茉優)、明石(松坂桃李)、マサル(森崎ウィン)、塵(鈴鹿央士)という世界を目指す若き4人の天才ピアニストたちの挑戦、才能、運命、成長を描いた同作は、「小説なのに音楽が聴こえるようだ」と話題を呼び、映画でも一流ピアニストの音×吹き替えなしで演奏演技に挑む役者陣という驚くべき手法で数々のシーンが浮かび上がっている。今回は、原作者・恩田陸と、妻子を持ち楽器店に勤めながら、年齢制限最後のコンクールに挑む高島明石を演じた松坂桃李にインタビュー。原作者と俳優、それぞれの視点から見た同作の魅力や、表現者として向き合う"賞"について話を聞いた。○■「かっこよすぎる」キャストも演技に納得――先ほどお話を伺ったんですが、お二人は今日が初対面なんですね。恩田先生が撮影現場にいらしたときは、松坂さんの撮影がなかったとか。松坂:この瞬間が初です。恩田:お目にかかれて光栄でございます。松坂:こちらこそ! よろしくお願いいたします。――それでは、ぜひ松坂さんから見た原作の魅力と、恩田先生から見た映画の魅力をそれぞれ教えていただければ。松坂:オファーをいただいて『蜜蜂と遠雷』を読んだんですが、今までは小説を読んでめくるたびに音が聴こえる感じを経験したがことがなかったので、すごい本だと思いました。これを映画化するなんて、可能なのか? と、衝撃でした(笑)。小説が本当に面白いからこそ、我々にとってはハードルが高いと思っちゃうんです。仮に上手に置き換えられたとしても「小説の内容のまま表現されてるじゃん!」と思われてしまうので、今回は「実写化するからこそできること」はなんなのか、ものすごく意義を迫られた感覚がありました。恩田:よく映像化したなと思いました(笑)。私も「小説でなければできないことをやろう」と思って書いていたので、逆に皆さんが映画でしかできないことをやってくださったなと思って。映画として完成されていたので、嬉しかったです。松坂:そういう言葉を聞くと、ほっとします。恩田:松坂さんが、明石を演じると聞いて、「それはかっこよすぎるだろう」とは思っていたんですけど、映画を見たら本当に明石そのものでした。松坂:いやいや、とんでもないです!――原作で思い描いていた明石はどういうイメージだったんですか?恩田:もうちょっと、普通の人です(笑)。でも、2次予選の後に松坂さんが1人でカメラに向かってしゃべっているシーンはすごくリアルで、驚きました。松坂:実は、あのシーンが初日だったんですよ……。恩田:初日だったんですか! みなさん、意外なシーンが初日なんですよね。いきなりあのシーンだとは……すごいですね。松坂:とにかく、体の中にいろんな実感を入れるようにイメージして。すごく緊張しました。――ちなみに、明石じゃない松坂さんを目の前にされた感想はいかがでしたか?恩田:「やっぱりかっこいいわ!!」と思いました(笑)。――松坂さんは、そういうかっこよさをどうやって封印されてたんでしょうか?松坂:明石は他の3人に比べて、家族と過ごしたりと、生活を描写しているシーンが多かったので、そこはすごく大事にしたいなと思いました。たぶん、すごく不器用でめんどくさいやつだなと思ったんです。自分のことを天才とは思っていないけど、他人には言われたくない、という。恩田:その通りです。松坂:たとえば奥さんと少し口論になったシーンでも、明石のめんどくさい感じが出ている。すごく人間くさいけど、良いところでもあると思います。恩田:そういう役を演じるのは、珍しいんじゃないですか?松坂:そうなんです。これだけの不器用さと人間臭さを表す役はあまりやったことがなかったので、嬉しかったです。恩田:本当に松坂さんはキラキラしたイメージだったので、地に足をついた感じが出ていて、びっくりしました。松坂:嬉しいです。○■流れをつかむことが大切――今回はピアノコンクールが舞台となっていますが、作品自体も直木賞と本屋大賞を史上初めてW受賞されていて、松坂さんも昨年たくさんの賞に輝いていて。賞にかける思いについて、お二人はどう感じているのかなということも気になりました。恩田:結果としての賞なので、書いてる時にはもちろん考えていないです。でも、「流れが来てる」みたいな時って、あるじゃないですか。そういう意味では幸運な本だったと思います。こんなにハードルが高そうな作品がスムーズに映画化できたというのも、やっぱりいい流れがあったのかな、と。松坂:確かに、流れってありますよね。僕のマネージャーさんも「今年は流れ、来てますから」とよく言ってたんですよ。「じゃあ、信じます」と言ったら、ありがたいことに本当に賞をいただけたりしたので、実感しています。――松岡茉優さんも、同じように昨年いろいろな賞に輝かれて、全部の流れが『蜜蜂と遠雷』に集中しているようですね。松坂:授賞式で、松岡さんとは会うことが多かったです! 会うたびに『蜜蜂と遠雷』盛り上げましょう、という話をしていました。恩田:幸運な流れが来ていますね。実際にコンクールを見ていても、最初は目立てなかった方が2週間の間でどんどん良くなっていったりして、成長する人は本当に成長するし、順番の違いひとつでもまったく印象が違ってきてしまうんです。どんどん人が減っていくから、何番を掴むかという運もあって。本当に、流れを掴むことが大事なんだと思いました。――松坂さんは今回、ステージの上で演奏するシーンも多かったですが、音楽家を演じて、役者との共通点などは感じられたんですか?松坂:舞台上で、お客さんの前でお芝居をするときの緊張感や、稽古で失敗を繰り返しながら初日を迎える緊張感は共通すると思いました。演奏シーンは最後の方だったので、スタッフ・キャスト全員が「あと1週間だぞ!」「あと5日だぞ!」みたいに、プレッシャーがすごくて(笑)。だんだん音楽チームも顔がピリついてくるんです。だからこそ生々しくて、良い緊張感でした。エキストラの方もたくさん来てくださったので、入場シーンも本当のコンクールのような緊張感でした。怖いんですよ! でも演奏はお芝居と違って、お客さんの反応を見て動きを変えられるところは、羨ましくも思いました。恩田:私も演奏をしていた経験がありますが、自分があがっているかって、全然わからないですよね。絶好調と思ってもボロボロだったりとか。逆に「ダメだ」と思った時が良かったりする。松坂:それはあります! 自分がダメだと思っていても、周りから「良かったね!」と言われたりとか。恩田:意外とありますよね。それって、なぜなんだろう? 不思議ですね。小説でも、書いてる時には乗っていたけど、後で読むと「なんなんだろう」と思う時もありますし(笑)。○■小説家と役者、原動力は――せっかくなので、何か松坂さんから恩田先生に聞きたいことなどはありますか?松坂:これだけの作品を生み出す原動力がなんなのか、伺いたかったんです。続けるためのモチベーションを保つのは難しくはないんですか?恩田:きっと、なんでもそうですよね。役者さんも、毎回毎回違う役を演じると思うので、どういう原動力なのか、逆にお聞きしたいです。松坂:作品に入ってる時は辛いことの方が多いし、考えなきゃいけないことや不安要素がたくさんあるばかりなんですが、終わった瞬間が本当に楽しくて。スタッフやキャストの方と、「じゃあ、一杯いきますか!」という瞬間(笑)。その一瞬が、辛かったメーターを上回るんです。それが持続的にやってくるので、乗り越えられるというか、支えになっている感覚はあります。恩田:どこも同じですね(笑)。私も原稿を書いているときは全く楽しくなくて。――でも、これだけずっとコンスタントに作品を出されてる作家さんも、なかなかいらっしゃらないのではないかと思いました。恩田:続けていないと不安になってしまうんです。常に書いてないと「小説家」と名乗れないような気がして。縮小再生産になってしまうのが怖いし、「休んじゃうと戻れないんじゃないか」と思うので、そこが原動力なのかもしれません。松坂:「休みたい」と思ったことはないんですか?恩田:いつも、思ってはいるんですけどね(笑)――それでは、最後に作品を楽しみにしている方へのメッセージをいただけたら。恩田:原作ファンでも、原作を読んでない方でも楽しめると思います。音もすごく贅沢な作りになっているので、ぜひ、映画館でご覧ください。松坂:僕自身、クラシックからは縁遠い男だったので、この作品で初めて「クラシックって静かなだけじゃないんだ!」と思いました。まるで縦ノリのように心が踊る、前のめりになる感じが味わえたのはこの作品が初めてだったんです。僕のような、クラシック初心者ですという人でも、味わえる体験が待っていますので、ぜひ音響のいい劇場でご覧いただけたら嬉しいです。■恩田陸1964年生まれ、宮城県出身。1992年、『六番目の小夜子』でデビュー。『夜のピクニック』で吉川英治文学新人賞と本屋大賞を受賞。『中庭の出来事』で山本周五郎賞を受賞。『蜜蜂と遠雷』で直木三十五賞と二度目の本屋大賞を受賞(直木賞と本屋大賞のダブル受賞も、二度の本屋大賞も史上唯一)。著書多数。■松坂桃李1988年10月17日生まれ、神奈川県出身。近年の主な出演作は、映画『不能犯』(18/白石晃士監督)、『居眠り磐音』(19年)、『新聞記者』(19年)。2019年には『孤狼の血』(18年)で第42回日本アカデミー賞最優秀助演男優賞を受賞。現在、声の出演をしている映画『HELLO WORLD』が公開中。
2019年10月06日今年もさまざまな小説が映画化されてきましたが、そのなかでも「映像化は不可能」と言われていた『蜜蜂と遠雷』の映画版がついに完成。史上初の快挙となる直木賞と本屋大賞のW受賞を果たした原作の世界観が見事に再現されている作品ですが、今回はそのなかで主要キャストを務めたこちらの方々にお話をうかがってきました。写真・大内香織(森崎ウィン、鈴鹿央士)森崎ウィンさん&鈴鹿央士さん!【映画、ときどき私】 vol. 263国際ピアノコンクールで世界を目指す4人の若き天才ピアニストたちの挑戦を描いた本作。ルックスと育ちの良さから「ジュリアード王子」と呼ばれるマサル役を演じたのは、スティーヴン・スピルバーグ監督作『レディ・プレイヤー1』で注目を集めた森崎ウィンさん(写真・左)。そして、ある現場でエキストラとして参加していたところを広瀬すずさんにスカウトされたことがきっかけでデビューを果たした新星・鈴鹿央士さん(写真・右)が、突如現れた異端児の風間塵を演じています。今回は、本作での共演を通じて意気投合した森崎さんと鈴鹿さんのおふたりに、お互いの印象や現場で感じた思いについて語っていただきました。クラシックが身近なものだと初めて知った―まずは、完成した作品をご覧になったときの感想を教えてください。森崎さん石川慶監督が「この作品は音楽映画」とおっしゃっていましたが、その言葉通り、まずは音の良さに驚きました。僕はいままであまりクラシック音楽を聴いてこなかったのですが、この作品のおかげで好きになれましたし、見方が大きく変わったと思います。クラシック音楽はこんなに身近なものだったんだと感じることができて新鮮でした。―鈴鹿さんにとってはデビュー作でありながら、森崎さんだけでなく、松岡茉優さんや松坂桃李さんといった豪華キャストと肩を並べていますが、ご覧になったときはいかがでしたか?鈴鹿さんまずは「あ、自分が出てる!」というのが最初の感想でした(笑)。今回は、共演者のみなさんが優しい方ばかりで助けていただきましたし、僕を受け入れてくださったのもありがたかったです。事務所の社長から「一流の人は、一流の心を持っているもの」と聞いてはいましたが、今回の現場を通して、本当にそうだなと実感しています。「僕もそうなれるようにがんばります!」とは言ったものの、みなさんを間近で見てしまうと、まだまだ遠いなと感じているところです。―そういう意味では、初めての現場で目標となるような先輩たちと出会えたんですね。鈴鹿さん本当にそうですね。目指すべき道が見えたので、そこを追いかけていけばいいんだというのがわかった気がしています。苦労はあっても心は楽しんでいた―劇中では、おふたりとも天才ピアニストとしての佇まいに説得力がありましたが、一番苦労したのはどのあたりですか?鈴鹿さん苦労しながらも、楽しかったのは「カデンツァ」と呼ばれる即興的な演奏をするシーン。激しい演奏が求められていたので、何回も撮り直しているうちに腕が疲れてしまったんですけど、好きなメロディのときは気持ちが乗っているのを感じることができました。なので、腕の苦労はありましたが、心は楽しんでいたと思います。森崎さん僕も苦労したのは、ピアノのシーンですね。今回は、短期間でピアニストの人生を自分に落とし込むのが難しかったので、ピアノとの向き合い方を知るために、自分でピアノ教室にも通ってみました。そういう描写があったわけではないですが、自分自身のバックボーンとしてやっておきたい気持ちが強かったです。あとは、原作のファンでもあったので、マサルを演じることもそうですが、「あそこまでジュリアード王子にはなれるだろうか」というプレッシャーを感じていました。―森崎さんの姿からは、マサルの“王子感”も十分に醸し出されていたと思いますが、鈴鹿さんから見た森崎さんの印象はいかがですか?王子っぽいなと感じたエピソードなどがあれば、教えてください。鈴鹿さん僕のオーディションのときに初めてお会いしましたが、部屋に入ったらウィンくんがいたんですよね。森崎さんそうそう。僕は先に決まっていて、マサルと塵の並びを見たいということで、呼ばれて行ったんです。鈴鹿さんそこで、なぜか「いままでにバレンタインのチョコを最高でいくつもらいましたか?」みたいな話になって、僕が「4、5個くらいかな」と答えたら、ウィンくんが「200個」と言っていて……。森崎さんじゃなくて、「うそでも『200個くらいもらった』と答えないとね」と言ったんだよ。だから、200個はもらってないです(笑)。鈴鹿さんでも、そういう受け答えとか、現場にいるときの佇まいとかもさまになっているし、挨拶するときに握手する姿を見ていると、「ああ、ハリウッドだ!」と思っていました(笑)。ウィンくんの持つ海外の雰囲気は、まさにマサルだと感じたところです。鈴鹿さんから見た森崎さんの印象とは?―ということは、憧れのお兄さん的な存在ですか?鈴鹿さんいや、というよりは僕からすると、カッコイイお兄さんという感じです。森崎さん「いや」って何?憧れではないということ(笑)?鈴鹿さんそういうことではなくて……。森崎さんいやいや、もう大丈夫。これ以上傷をえぐるのはやめておこうかな。鈴鹿さんとにかく、ひと言でまとめるとカッコイイお兄さんです!―(笑)。監督や原作者の恩田陸さんが鈴鹿さんの印象を「天然」とか「得体の知れない」という言葉を使って表現されていますが、その意味がわかってきました。実際に、森崎さんから見た鈴鹿さんはどんな人ですか?森崎さんまさにその通りですね。正直言って、彗星のごとく天才が現れるというのはこういうことなんだというのを感じました。「風間塵が本から出てきた」と思ったくらいなので、すごい人を見つけたなというのが僕の印象です。本人は謙遜しますけど、鈴鹿くんの持っているすごさを改めて実感しています。でも、裏ではけっこうギャップもあるので、いまは弟みたいですね。―おふたりの兄弟感は先ほどから伝わっていますが、森崎さんが知る鈴鹿さんの天然エピソードなどもありますか?森崎さん「ウィンくんって、彼女いるんですか?」とか僕だったら聞けないようなことをいきなり普通に聞いてくるんですよね(笑)。しかも、「僕、恋したいんですけど……」と言ってくるので、「僕もしてないから知らないよ!」みたいな絡みを現場でも2人でしていました。そういうお茶目で、いい意味で染まってない感じが鈴鹿くんの強みだと思います。すごく勉強になる現場だった―確かに、自然体なところがすごく魅力的ですね。現場での楽しい様子も目に浮かぶようですが、そのほかの共演者の方についてもおうかがいします。まずは、ライバルのひとりでもある松岡茉優さんとご一緒されてみていかがでしたか?森崎さん松岡さんは僕よりも経験豊富なので、現場での佇まいや空気の作り方など、リスペクトできる部分が本当にたくさんありました。なので、すごく勉強になりましたし、彼女と共演できたことは、僕にとって宝物になったと思います。やっぱりあれだけの表現力がある女優さんはなかなかいないですからね。―では、松坂桃李さんの印象はどうでしたか?鈴鹿さん僕は同じシーンがあまりなくて、ピアノのレッスンで入れ違いになるくらいでしたが、松坂さんの醸し出す優しいオーラはすごいなと思いました。人の良さというのはこんなにもにじみ出るものなんだという印象です。あとは、「まさに『芸能人』みたいな感じがカッコイイな」と思っていたりしていました(笑)。森崎さん(笑)。鈴鹿くんにはこのままでいて欲しいんですけど、1年後に会ったら変わっちゃうのかな。鈴鹿さんでも、僕は芸能界に染まりたいんですよ!いま、片足突っ込んだので、来年にはひざくらいまで行きたいですね(笑)。森崎さんいや、いまのままがすごくいいと思うよ。どちらにしても、年を取ったら勝手に変わっていくものだと思うから。鈴鹿さんじゃあ、それを待つことにします!これからもお互いに高め合っていきたい―(笑)。おふたりの関係性も楽しいですが、この作品で描かれている4人の関係は、ライバルでありながら、お互いを高め合う存在だったと思います。おふたりにも“よきライバル”はいますか?森崎さんいまはやめてしまったんですが、僕が音楽を続けているなかでパートナーと言っても過言ではないアメリカ人のハーフのボーカリストがいました。彼とは10代のときからの長い付き合いでしたし、ライバルだけどお互いを高め合える仲間だったと思います。鈴鹿さん僕は人を敵対視したことがないので、ライバルではないですが、いま男3人で寮に住んでいるので、彼らが僕にとってはそういう存在ですね。2人がドラマとか舞台とかCMに出るという話を聞くと、「僕もがんばらなきゃ」と思いますから。いまは一緒に台本を読んだり、映画を観たり、いろいろなものを共有しながら生活をしているので、すごくいい環境にいるなと感じています。いつか離れるときがきますが、これからもお互いを高め合えたらいいなと思っています。―どちらもステキな関係ですね。また、今回の作品ではおふたりとも天才ピアニストという役どころでしたが、いままでに「この人、天才だな」と圧倒された人がいれば教えてください。森崎さん僕は、やっぱりスティーヴン・スピルバーグ監督ですね。僕にはまったく想像できないことでも、監督の頭のなかには見えているものがあったんだなとあとで感じました。たとえば、現場で役者たちはポールに向かって演技していましたが、監督にはそれでさえも3D以上の何かに見えているんですよね。そういった構想があったうえでの演技指導や演出だったので、「天才だな」と思いました。撮影中は刺激しかない毎日でした。鈴鹿さん僕は、今回の作品で塵のピアノ演奏を担当してくださった藤田真央さんです。何回かお会いする機会もありましたが、本当にピアノを愛し、愛されている人だと感じました。「1日にどのくらいピアノを弾くんですか?」と聞いたら、「いつまででも弾いています」とおっしゃっていたのが印象的です。みんなにも認められている“ピアノの天才”だと思いました。忙しい毎日で癒しを感じる瞬間とは?―いまはお忙しい日々を過ごしていると思いますが、おふたりにとって癒しの時間を教えてください。鈴鹿さん息抜きに散歩をすることが多いですが、最近はあえて音楽を聴かずに、街の音を聞いています。というのも、僕は岡山県の田舎で育ったので、家の外からカエルの声が聞こえたりするのが好きでした。東京だと機械音とかが多いですが、僕は自然の音が聞きたいので、雨が降っているときは癒しになってうれしいです。でも、この前、雨の音が聞きたくて窓を開けっぱなしで寝たら、窓際がびしょびしょになっていて大変でした(笑)。森崎さん僕は夜にひとりでふらっとドライブに出たりします。目的地を決めないで走り出すんですけど、結局お台場のほうに行ってしまうんですよね。というのも、僕が大好きな飛行機が見える場所があるんです。なので、音楽を聞きながら、飛行機を見て、コーヒーを飲んで帰ってくる、という地味なことをしています(笑)。―それでは、女性ファンの多いおふたりから、読者に向けてメッセージをお願いします!鈴鹿さんこの作品を撮っているときは18歳だったんですけど、最近は背も伸びて、少しずつ顔が大人っぽくなってきたと言われるので、これからも僕のいろいろな成長を見ていただけるようにがんばります!森崎さんまずは「疲れたときは僕がいるから大丈夫だよ」って言いたいですね(笑)。あとは、映画はぜひ劇場で観てください!インタビューを終えてみて……。劇中の2人の関係とは違い、兄弟のような仲の良さを見せている森崎さんと鈴鹿さん。しっかり者の森崎さんと天然の鈴鹿さんとの絶妙なコンビネーションに、笑わされっぱなしの取材となりました。今後さらなる活躍が期待されるおふたりが、また新たな形で共演される日を楽しみにしたいと思います!心の琴線に触れる魂の音楽!コンクール会場ならではの独特な空気感と緊張感、そして音楽の迫力を体感できる本作。苦しみを抱えながらも目標に向かって成長していく4人のピアニストたちの姿にも、心が共鳴するのを感じられるはずです。ストーリー若手ピアニストの登竜門として、3年に1度開催されている芳ヶ江国際ピアノコンクール。かつて天才少女と言われながらも、母親の死をきっかけに表舞台から消えていた栄伝亜夜は、再起をかけて、コンクールに挑んでいた。そこで亜夜が出会ったのは、サラリーマン奏者の高島明石、人気実力を兼ね備えた優勝大本命のマサル・カルロス・レヴィ・アナトール、そして突如として現れた謎の少年・風間塵という3人のコンテスタントたち。熾烈な争いが繰り広げられるなか、最後に勝つのは一体誰なのか……。熱のこもった予告編はこちら!作品情報『蜜蜂と遠雷』10月4日(金)より全国公開出演:松岡茉優松坂桃李森崎ウィン鈴鹿央士(新人)臼田あさ美ブルゾンちえみ福島リラ / 眞島秀和片桐はいり光石 研平田 満アンジェイ・ヒラ斉藤由貴鹿賀丈史配給:東宝©2019 映画「蜜蜂と遠雷」製作委員会
2019年10月03日10月4日(金)に全国公開される『蜜蜂と遠雷』は、まったく異なる境遇にある4人の天才ピアニストたちが、国際ピアノコンクールでの熾烈な戦いを通して、お互いに刺激し合い葛藤し、そして成長を遂げ‘覚醒”する物語だ。「天才少女」と言われながらも母の死をきっかけにピアノを弾けなくなった栄伝亜夜役に松岡茉優。音大出身だか妻子持ちで楽器店勤務をしながらも夢を諦めきれない高島明石役を松坂桃李が演じる。今回初共演というふたりは、お互いのことをどう思ったのだろうか?「松岡さんは『空間把握認識能力』がめちゃくちゃ高いです。監督の言葉を飲み込んで理解した上で、そこのシーンで使われている場所を最大限利用するというか。例えば、亜夜がピアノを弾きたいと言ってピアノを探し回って、いくつか部屋を覗くシーンがあるんですが、撮影の時、実は部屋には何も無かったりするんですけど、松岡さんはあたかもちゃんと人が居るかのような演技をすぐにできるんです。頭の回転の速さが、見ていて純粋にすごいなって思いましたね」(松坂)「私もまさに同じシーンで、亜夜がピアノを探している時に明石がピアノのあるところ知っていますよって言うんですが、それに『ギャップ』を感じました。私は松坂さんにもギャップを感じていて、優しい行動なのに、その中に相反する感情があって。ライバル心ではなくて、ちょっとした野次馬心。昔から聞いていた元天才少女が困っているっていう野次馬心もあったと思うし、ピアニスト同士のエゴイズムがあるから、真っ直ぐじゃない感情。音で言うと倍音が存在しているような、ふたつ音が聞こえるようなすごいお芝居をなさるなって思っています」(松岡)今回の映画では、役者、ピアニスト、演奏指導者など、多くの人と関わりながらひとつのキャラクターを作り上げてきた。これまでにない経験をどう感じたのだろうか?「演奏の指導をしてくださる先生と最初にお会いした時に、明石のプロフィールをその方が作ってきてくださったんです。僕は役作りでそんなことをやったことがなかったので、すごく刺激的でした。面白かったのが、プロフィールとか凄く細かく書いてあるんですよね。明石のカバンの中身とか(笑)。 僕は明石をこう思いますって。驚きましたね。弾き方も体の構造から入るんですよ。筋肉がどうで、骨がどうでって説明されるから、あれ?これ、ピアノの練習の授業じゃなかったっけ?って。これがふたりで作っていく感じなのかなって思いましたね」(松坂)「実は松坂さんの先生が教え方が上手いっていうことが我々に伝搬していったので、最後の1~3週間は他の3人全員もその先生から教わっていました(笑)。ピアノに入る姿勢の本をコピーしてくださったりして。役作りは、十人くらいのサンプルからぎゅっとしてひとりを作るんですが、今回のようにふたりでの作業の時は、それぞれ感じ方も違ったりするので、それは違うとか、本音を言える関係性を築かせてくださって良かったです」(松岡)今作の見どころは「それぞれの演奏シーン」と松坂は言う。同じ曲を演奏するシーンでも、各々の葛藤だったり不安だったりが表れているので全く違う曲に聴こえる。そこをぜひ楽しんで欲しいと語った。「クラシックに縁遠い方でも、曲に乗れる作品だと思うんで、敷居が高いと思わずに、劇場まで足を運んでもらえると嬉しいです。きっとその意外さにビックリすると思いますんで、ぜひ楽しんでください」(松坂)「クラシック映画という枠組みではあるんですけど、演奏シーンとかは、アトラクションのような、かなりアグレッシブなアプローチをしている映画だと思っています。私も完成した映像を見て、新しい音楽映画が出来上がったなって思いましたので、デート中や、お仕事帰り、学校帰りにフラッと寄って、元気をもらっていただければ嬉しいなって思います。劇場でお待ちしています」(松岡)撮影/高橋那月、取材・文/若村幸江『蜜蜂と遠雷』10月4日(金)より全国ロードショー
2019年10月03日秋篠宮皇嗣妃殿下がご臨席された映画『蜜蜂と遠雷』(10月4日公開)の試写会が2日に都内で行われ、松岡茉優、森崎ウィン、鈴鹿央士、石川慶監督が取材に応じた。同作は、直木賞・本屋大賞を受賞した恩田陸の同名小説を実写映画化。国際ピアノコンクールを舞台に、亜夜(松岡茉優)、明石(松坂桃李)、マサル(森崎ウィン)、塵(鈴鹿央士)という世界を目指す若き4人のピアニストたちの挑戦、才能、運命、成長を描く。紀子様の隣で作品を鑑賞し、上映終了後に歓談したというキャストと監督。松岡は「大変、言葉にならないほど感動しました。常にこちらまで背筋が伸びるかのような佇まいで、とても貴重な体験をさせていただいたと思っています」と振り返る。森崎は「とても貴重な経験をすることができ、改てこの作品に携われたことに感謝の気持ち。初めてお目に掛かる妃殿下は言葉にできないくらい、見えない包容力で包み込んでくれたような感覚がしました」と感謝する。石川監督も「あまりにも緊張して映画の内容が全然入ってこなかったです。優しく声をかけていただいたりして、今もふわふわと夢の中にいる感じがしています」と夢見心地だった。松岡は「印象的だったのが、『この作品がクラシック音楽の映画ということで、演奏のシーンがたくさんあるんですけど、臨場感があって、会場にいるかのようでした』と言ってくださって。拍手がしたくなったんですけど、周りの私たちがあまりにも緊張していたので、『小さくぽんぽんぽんっと叩きました』と言っていただきました。音楽の映画として胸を晴れるお言葉をいただけたなと思っています」と語る。レポーターからの「震えましたか?」という質問には、「勝手に震えてました」と自身の代表作に絡めて答えた。ミャンマー出身の森崎は「ミャンマー人を代表して、一生に一度訪れるか訪れないかという経験」と感じ入り、松岡は「森崎くんについて、『国際的に活躍されてますね』というお言葉も」と紹介。「いつもおしゃべり」という森崎だが、「何も言えなかったです。『ああ、はい!』って。全然しゃべれなかった!」と反省していた。昨年まで普通の高校生だった鈴鹿は、「他の映画のこういう記事を予習で読んだんですけど、僕が出ていいのかなあって。ちょっとネガティブに考えてたんですけど、最後にお話の時間ですぱっと消してくださって、『これからに期待してます』って言葉をいただいて、もう頑張るしかないです」と意気込む。「次の作品頑張らないとな、とか、19歳なんですけど、人生100年と考えて、あと80年長いなと思って。80年どう生きようかなとか、そういうことをいろいろ考えました」とスパンの長い話で、周囲を和ませていた。「信じられないですね。夢みたい、と思った」という鈴鹿は、「東京に来ることも異世界に来るって感じだったんで、松岡さんと森崎さんおとなりにいるのもびっくり仰天で、ちょっとよくわからないですね」と苦笑。「誰にも言ってはいけない」と言われていたために、親にも報告していないというが、「『ニュース見た?』って言います。『見た』ってきたら、報告します。『見てない』って言われたら、『お楽しみに』って言います」とプランを明かした。
2019年10月02日今田耕司と女優・広瀬アリスが司会を務める「アナザースカイII」の9月27日(金)放送回に、女優の松岡茉優がゲスト出演。主演最新作『蜜蜂と遠雷』の公開を間近に控えた松岡さんは憧れの地・オランダを訪問する。2008年、「おはスタ」のおはガールとしてデビュー。その後2013年に連続テレビ小説「あまちゃん」で劇中に登場するご当地アイドルのメンバーを演じ大きな注目を集め、ドラマ「She」に主演、「コウノドリ」シリーズへの出演など活躍の場を広げていく。2016年には広瀬すず、野村周平、新田真剣佑らと共演した『ちはやふる』が公開され、「真田丸」で念願の大河ドラマ出演を果たすなど女優として躍進。昨年公開された『万引き家族』では第42回日本アカデミー賞優秀助演女優賞を獲得したほか、『勝手にふるえてろ』で優秀主演女優賞も受賞。『万引き家族』は第71回カンヌ国際映画祭でパルム・ドールを獲得するなど、いまや世界がその存在に注目しつつある松岡さん。今回は松岡さんが憧れのオランダで名物パンケーキに感動、運河ツアーで街を巡る恐怖のブランコを体験。そんな松岡さんがオランダを訪れたかった理由とは…?放送をお楽しみに。演技派若手女優として今後の活躍が期待される松岡さんが天才ピアニストの女性を演じる『蜜蜂と遠雷』は10月4日(金)より全国にて公開。同作は史上初となる「直木賞(第156回)」と「本屋大賞(2017年)」のW受賞を果たした恩田陸の原作を映画化。かつて国内外のジュニアコンクールを制覇するも13歳のときに母を亡くし、ピアニストになることから長らく逃げてきた元天才少女・栄伝亜夜を松岡さんが演じ、亜夜が20歳となったいま、再びコンクールへの出場を決心。音大出身で楽器店に勤務、コンクール年齢制限ギリギリのため最後の挑戦としてエントリーする高島明石(松坂桃李)。優勝候補と目される名門ジュリアード音楽院在籍中のマサル・C・レヴィ=アナトール(森崎ウィン)。フランスのパリで行われたオーディションに突如現れた謎の16歳の少年・風間塵(鈴鹿央士)といった若者たちと国際コンクールでの熾烈な戦いを通して互いに刺激し合い葛藤し、そして成長を遂げ“覚醒”していく姿を描く。11月には佐藤健、鈴木亮平らと共演した『ひとよ』も公開を控える松岡さんをゲストに迎える「アナザースカイII」は9月27日(金)23時~日本テレビ系で放送。(笠緒)
2019年09月27日4人のピアニストたちの挑戦と運命を描いた映画『蜜蜂と遠雷』完成披露イベントが9月16日(月)、都内にて行われ、出演する松岡茉優、松坂桃李、森崎ウィン、鈴鹿央士、そして石川慶監督が登壇した。松岡さんは、「日本映画離れした映像美。新しい音楽映画ができた自信があります。…大きなこと言っちゃった(笑)」と茶目っけたっぷりにコメントしつつも、完成作に胸を張った。数々の無茶ぶりに、松岡さん&松坂さんも苦戦!?天才ピアニストたちがコンクールを舞台に火花を散らすとあって、ピアノの練習はもちろん、高いレベルの技術が要求された。石川監督は、「(原作の)恩田先生の本、あんなに100%音楽を書ききった小説はなかなかなかったと思うので“音楽は妥協しません”から始まった。何といってもキャストの皆さんに、ものすごい無茶ぶりをいっぱいした。中でも音楽は、すごく頑張ってもらってよかった」と話し、各キャストの手元が映っている演奏シーンは吹替なしという完璧さを収めた。過去作でバイオリン経験はあれど、ピアノは初挑戦となった松坂さん。練習を振り返り、「なかなかのハードルで。ピアノを触ったことはほぼなくて、最初の練習で先生の一言目が『松坂さん、ドはどこですか?』だった(笑)」ここかなと押したところがファだったそうで「ファ~~って(笑)」と苦難の道が見えたという。そんな松坂さんの練習風景をちらりと見たという松岡さんが、「バンビみたいでした。小鹿みたいな…」と手元がガクガクしていたと明かすも、撮影の段になると、「まさかの明石(役名)だ!って。あのときのバンビは何だったんだ、俳優はすごいなって思った」と絶賛すると、照れ隠しか、松坂さんは「だましだましやっております」と恐縮していた。直木賞&本屋大賞W受賞を果たした恩田陸による同名小説を映画化した『蜜蜂と遠雷』は、『愚行録』で長編監督デビューを果たした新鋭・石川監督による最新作。芳ヶ江国際ピアノコンクールに集まった復活をかける元神童・亜夜(松岡さん)や、年齢制限ギリギリの挑戦となった不屈の努力家・明石(松坂さん)らピアニストたち。それぞれの想いをかけ、天才たちの戦いの幕が切って落とされるが、音楽の神様に愛されるのは誰なのか。「いま一番戦っていること、もの」個性豊かな回答に…イベントでは、葛藤と闘いながらコンクールに挑むピアニストにかけ、「いま一番戦っていること、もの」を聞かれた登壇陣。「飛行機のアプリ」(森崎さん)、「食費」(鈴鹿さん)、「初日まで寝れない」(石川監督)と答えが揃う中、松岡さんはInstagramのフォロワー数を嘆き出す。「宣伝で、いま流行りのInstagramを期間限定で開設したんですけど、フォロワー数が思わしくない…。いま7万人。若手女優群雄割拠のいい時代で、ちょっと足りないかな。2桁いきたい!」と松岡さんはマスコミにもアピール。一方、松坂さんは「事務所と戦い終わりました」と気になる発言。森崎さんが「赤裸々すぎて…」と言い、松岡さんも「フォロワー数の話、ふっとんだ」と言うも「10年間アウトプットの連続だったので、インプットの時間をくださいと言った結果、お許しが出た」と見事お休みを獲得したと伝え、平和な内容に観客からも拍手が巻き起こっていた。『蜜蜂と遠雷』は10月4日(金)より全国にて公開。(cinamacafe.net)■関連作品:蜜蜂と遠雷 2019年10月4日より全国にて公開(C)2019 映画「蜜蜂と遠雷」製作委員会
2019年09月16日映画『蜜蜂と遠雷』(10月4日公開)の完成披露試写会が16日に都内で行われ、松岡茉優、松坂桃李、森崎ウィン、鈴鹿央士、石川慶監督が登場した。同作は、直木賞・本屋大賞を受賞した恩田の同名小説を実写映画化。国際ピアノコンクールを舞台に、亜夜(松岡茉優)、明石(松坂桃李)、マサル(森崎ウィン)、塵(鈴鹿央士)という世界を目指す若き4人のピアニストたちの挑戦、才能、運命、成長を描く。作品にちなみ「今一番戦ってるもの」を聞かれたキャスト陣。松坂は「事務所と戦い終わりました」と告白し、松岡は「大丈夫ですか?」と苦笑、会場もざわつく事態に。松坂は「これは別に取り上げなくていいんですけど!」と慌てつつ、「お仕事させていただいて10年経ち、なかなかアウトプットすることの連続を10年でございまして。そこからなかなか一息つく間がなかった」と振り返る。さらに「それを事務所サイドとお話をして……」と言う松坂に、森崎も「赤裸々すぎて」とツッコミ。しかし松坂は「なんとか、どうにかできんものでござろうかと。ちょっと休みたいかな、インプットの時間くれよとした結果、ようやくお許しが出た」と結論を語ると、役者陣・会場も「おめでとうございます!」と拍手で祝福する。松岡から「アフリカでもブラジルでもいってらっしゃい!」と激励された松坂は、「行ってこようかな!」と嬉しそうにしていた。
2019年09月16日映画『蜜蜂と遠雷』(10月4日公開)の完成披露試写会が16日に都内で行われ、松岡茉優、松坂桃李、森崎ウィン、鈴鹿央士、石川慶監督が登場した。同作は、直木賞・本屋大賞を受賞した恩田の同名小説を実写映画化。国際ピアノコンクールを舞台に、亜夜(松岡茉優)、明石(松坂桃李)、マサル(森崎ウィン)、塵(鈴鹿央士)という世界を目指す若き4人のピアニストたちの挑戦、才能、運命、成長を描く。「言葉では言い表せないほど素晴らしい小説の実写映画化ということで、挑戦というより戦いの日々でした」と振り返る松岡。また女優・広瀬すずにスカウトされたという新人・鈴鹿は「こんなにフラッシュを焚かれるのは人生初なので、眩しいです」と初々しく話すが、松岡は「今回お芝居も初めて、映画初出演ということで、完成披露試写会も初めてなんですよ。どうですか?」と司会のように話しかける。「ホールでよかったなと思います。(今作の)撮影でホールに立ち慣れてるので」と答えた鈴鹿だが、松岡はそんな鈴鹿の蝶ネクタイを直し、森崎もチェックするなど、全員が鈴鹿を見守る体制となっていた。撮影では演奏シーンも全て本人たちが行ったが、松岡は「小さい頃にピアノを習っていたことがありまして、みなさんよりは楽な位置からスタートした」と振り返る。一方、初体験だった鈴鹿は「楽譜が読めないので、ノートに線を引いてドレミファソラシドを横に書いて、白鍵は白丸で黒鍵は黒丸で、音ゲーみたいな感じで……」と独特の覚え方をしていた様子。松坂は「本当に触ったこともなかったので、レッスンの先生の一言目が『じゃあ松坂さん、ドはどこですか〜』。ここかな……『それはファですね!』」と苦笑し、松岡も「練習がかぶることもあったので、松坂さんがひいてるのちらっとみてたんですけど、バンビかと思った」と震える松坂の様子を説明する。「成長がすごかった」という森崎は「役が決まって『本番は全部弾いてもらうから』ということをいきなりドーンとボールを投げられまして、自分も負けず嫌いなもので』」と振り返った。イベントではそれぞれが「戦っていること」についての質問も。期間限定でInstagramを始めた松岡は「思わしくない、フォロワー数が。ちょっと足りないかなあ。二桁行きたいですね」とアピール。シンプルに「食費」と答えた鈴鹿には全員が爆笑で、岡山から東京に出てきて「牛乳が高い」とこぼす鈴鹿に、ミャンマー生まれの森崎は「一番安いのはミャンマー」と紹介していた。
2019年09月16日