ヒト幹細胞培養液を導入東京都渋谷区の高級エステティックサロン「シャンテリー」の最先端エイジングケア「ヒト幹細胞培養液導入コース」が人気だ。ソウル大学で研究がおこなわれた「ヒト幹細胞培養液」を導入するもので、日本では唯一。世界的にも注目されるエイジングケアだ。定価は43,200円(税込み)だが、現在キャンペーン中につき、10,800円(税込み)となっている。肌再生医療けがや病気で失った体の機能や組織を元通りにするためにうまれた再生医療。この再生医療を美容分野に応用したところ、飛躍的に効果が出ている。ヒト幹細胞培養液は、成長ホルモンがピークの脂肪細胞を培養したもので、失われた細胞を修復したり再生させたりする働きをもっているため、肌の再生を促進する。「ヒト幹細胞培養液導入コース」は、この培養液を導入することによって、シミやほうれい線が薄くなったり、傷跡が小さくなったりする効果が期待できるものだ。シャンテリー「シャンテリー」は、創業53年の完全個室形式の高級エステティックサロン。ヒト幹細胞を日本に初めて導入させた。現在までの施術は1,000人以上となっており、しわやシミ、たるみ、ニキビ跡や、傷跡などに対しての効果が出ている。(画像はプレスリリースより)【参考】・日本初!ヒト幹細胞培養液を導入したフェイシャルエステが人気急増中! 最先端アンチエイジングを提供する広尾のエステサロン『シャンテリー』
2016年02月13日京都大学iPS細胞研究所(京大CiRA)は2月9日、ヒトのiPS細胞から免疫細胞の一種であるiNKT細胞を作製することに成功したと発表した。同成果は京大CiRAの喜多山秀一 研究員、同 金子新 准教授、愛知県がんセンター研究所のRong Zhang 研究員(当時、現・国立がん研究センター)、同 植村靖史 主任研究員(当時、現・国立がん研究センター)らの研究グループによるもので、2月9日(現地時間)に米国科学誌「Stem Cell Reports」オンライン版に公開された。iKNT細胞は免疫反応を誘導し、がんへの免疫反応を高める上で重要な役割を果たしている。がん患者の多くでは体内のiNKT細胞の数や機能が低下していることが知られており、体内のiNKT細胞の数を増やすことで免疫機能を高め、がん治療につなげられると考えられている。今回の研究では、iNKT細胞からiPS細胞を作製し、再びiNKT細胞(re-iNKT細胞)へ分化させることを目指した。その結果、元のiNKT細胞よりも元気で他の免疫細胞の機能を高めてがん細胞への攻撃を促すre-iNKT細胞を作製することに成功。さらに、re-iNKT細胞自身もがん細胞を直接攻撃することが観察された。これにより、iPS細胞への初期化を介して機能が改善した大量のre-iNKT細胞を作製できることが示されたほか、iNKT細胞はがんだけではなく感染症や自己免疫疾患など幅広い疾患に関連する免疫応答を制御していると考えられており、今後細胞治療への応用が期待される。
2016年02月10日横浜市立大学(横市大)は1月20日、細胞質のタンパク質合成を制限することにより細胞老化を抑制するメカニズムを発見したと発表した。同成果は、横浜市立大学大学院 生命ナノシステム科学研究科 博士後期課程3年 高氏裕貴氏、藤井道彦 准教授、鮎澤大 名誉教授らの研究グループによるもので、1月5日付けの英科学誌「Scientific Reports」に掲載された。動物細胞においては、種々の老化ストレスにさらされると肥大化・扁平化をともないつつ細胞増殖を停止し、最終的に分裂能力を失う「細胞老化」と呼ばれる現象がある。近年、細胞老化は生物個体の老化の原因のひとつであることが明らかになりつつあり、たとえば、老化したマウスには老化した細胞が多く存在するが、老化細胞を選択的に除去することで、マウスの老化が遅くなることが報告されている。今回、同研究グループは、細胞老化の共通の特徴であるDNA複製の遅滞と細胞の肥大化・扁平化に着目し、「細胞老化の不均衡増殖モデル」を細胞老化の普遍的モデルとして提唱した。細胞はさまざまな障害を受けるとDNA複製を停止させるが、同モデルでは、この状態が長く続くと、タンパク質の過度な蓄積が起こり、細胞膨張と核膨張が起こる。次いで核膜とヘテロクロマチン複合体の崩壊が起こり、分裂能力の喪失や老化特異的遺伝子の発現が誘導される。同研究グループは、ヒト正常およびがん細胞を用いた解析から、細胞質タンパク質合成の制限が細胞の種類に関係なく不均衡増殖を解消し、細胞老化を抑制することを見出した。この制限はヒト正常細胞の分裂寿命を顕著に延長しただけではなく、細胞老化により分裂を停止した細胞の増殖を再開させることができたという。さらに、タンパク質合成の制限が個体の老化に及ぼす影響を、モデル生物である線虫C.elegansを用いて調べたところ、タンパク質合成の制限は、線虫の平均寿命および最大寿命を延長させ、個体レベルでの老化防止にも有効である可能性が示された。今後の課題は、細胞質タンパク質合成の制限により、ヒトなどの高等動物の老化防止を実現できるかどうかであり、そのためには細胞質タンパク質合成をターゲットとした老化抑制剤の探索や開発を進める必要があると同研究グループは説明している。
2016年01月21日国立医薬品食品衛生研究所(NIHS)はこのほど、日本医療研究開発機構(AMED)および先端医療振興財団との共同研究により、再生医療用の移植細胞の製造中に混入または発生するがん化のリスクを持つ悪性形質転換細胞(がん細胞)を超高度に検出する「デジタル軟寒天コロニー形成試験法」を開発したと発表した。同成果は同研究所再生・細胞医療製品部の佐藤陽治 部長とAMEDリサーチ・レジデントの草川森士 博士を中心としたグループによるもので、2015年12月8日に英国科学誌「Scientific Reports」に掲載された。再生医療に用いられる移植細胞の製造工程管理では、がん細胞が混入してしまった場合にそれを高感度で検知し、移植細胞の品質を確保する必要がある。がん細胞の特性である足場非依存性増殖を利用する従来の「軟寒天コロニー形成試験」は、正常細胞への混入を比較的短期間かつ簡便に評価することができるが、従来のアッセイ法におる検出感度は低く、正常細胞中に微量に混入したがん細胞から形成されるコロニーを検出することは困難だった。これに対し、同研究では画像解析によるコロニー検出に挑戦し、細胞の核、ミトコンドリアをそれぞれ青、赤に染める生細胞染色試薬を用いてコロニーを染色し、コロニーの形状、大きさ、蛍光輝度などを指標とすることで1個のコロニーを高精度に認識することが可能となった。また、画像解析のハイスループット化にも成功した。さらに、同技術を応用して、細胞試料をマルチウェルプレートに分割、播種して軟寒天培養を行い、各ウェル内での細胞コロニー形成を解析し、足場非依存的に増殖するがん細胞の混入を評価する「デジタル軟寒天コロニー形成試験」を考案。同試験法は大量の細胞からなる試料であっても、複数に分割したウェル毎にコロニー形成の有無を解析するため、高シグナル/ノイズ比が確保され、試料中に微量に存在するがん細胞を高感度に検出することが可能となる。同試験法を同グループが評価したところ、HeLa細胞相当のがん細胞が混入する細胞試料であれば0.00001%の感度で検出可能であることが示唆されたという。また、細胞試料を分画、播種するウェル数および培養細胞数を調節することで、検出感度を適宜向上させることが可能であることに加え、細胞数にかかわらず、高検出感度を保持する同試験法の適用が可能だと考えられている。同研究グループは今後、再生医療用の移植細胞の製造工程における品質評価のための標準的な試験系にすることを目指し、試験系の自動化などもふまえ、試験方法の最適化に向けた研究を進めていくとしている。
2016年01月18日慶應義塾大学(慶大)は1月18日、ヒトiPS細胞から効率的にオリゴデンドロサイト前駆細胞へと分化誘導する方法を開発し、マウス損傷脊髄の再髄鞘化に成功したと発表した。同成果は同大医学部生理学教室(岡野栄之 教授)と同整形外科学教室(中村雅也 教授)によるもので、2015年12月24日に米科学誌「Stem Cell Reports」オンライン版に掲載された。オリゴデンドロサイトは中枢神経内に存在する細胞の1つで、細い神経の周囲を取り囲む髄鞘と呼ばれる脂質の層を形成し、神経の信号が伝わる速度を早める機能を持つ。脊髄損傷に対する神経幹細胞移植による機能回復メカニズムとして、移植細胞がオリゴデンドロサイトに分化して神経の再髄鞘化に寄与するという説が唱えられているが、ヒトiPS細胞由来神経幹細胞は主にニューロンに分化し、オリゴデンドロサイトにはあまり分化には分化しなかった。今回の研究では、同研究グループが2014年に開発したヒトiPS細胞から効率的にオリゴデンドロサイト前駆細胞を多く含む神経幹細胞(hiPS-OPC-enriched NS/PCs)へと分化誘導する方法を用いて、マウス脊髄損傷に対しhiPS-OPC-enriched NS/PCsを移植し、その有効性を検証した。その結果、hiPS-OPC-enriched NS/PCsが多くの神経栄養因子を分泌していることを確認。移植後12週のマウス脊髄内で、移植細胞はニューロン、アストロサイトに加え、成熟オリゴデンドロサイトに分化していた。さらに従来のヒトiPS細胞由来神経幹細胞の移植では見られなかった所見として、移植細胞由来オリゴデンドロサイトが残存軸索を再髄鞘化していた。また、移植細胞由来ニューロンは、ホストマウスのニューロンとシナプスを形成していた。その後、hiPS-OPC-enriched NS/PCsを移植したマウスの後肢運動機能評価を行った結果、明らかな運動機能の改善が認められた。また、電気生理学的評価として、運動誘発電位を計測したところ、明らかな改善が認められたことから、移植細胞由来のニューロンやオリゴデンドロサイトが、神経回路の再構築や神経伝達速度の回復に寄与していることが示唆された。脊髄損傷に対しては、従来の細胞移植でも有意な運動機能の回復が認められていたが、今回の成果によってさらなる機能回復を望める可能性が示されたことになる。
2016年01月18日理化学研究所(理研)と熊本大学は1月18日、エイズ(後天性免疫不全症候群)の原因ウイルスである「HIV-1」が細胞から細胞へと感染拡大する際の新たなメカニズムを解明したと発表した。同成果は、理化学研究所 統合生命医科学研究センター 粘膜システム研究グループの大野博司 グループディレクター、環境資源科学研究センター ケミカルバイオロジー研究グループの長田裕之 グループディレクターと熊本大学 エイズ学研究センター・国際先端医学研究拠点施設(鈴プロジェクト研究室)の鈴伸也 教授らの研究グループによるもので、1月15日付けの米科学誌「Journal of Immunology」に掲載された。免疫系細胞は、細胞膜が細長く伸びた細胞膜ナノチューブ(TNT:Tunneling NanoTube)を作り、離れた2つの細胞を物理的に連結して、細胞間で物質交換を素早く確実にやりとりする機能を持っているが、この性質を逆手に取り、エイズウイルスなどのウイルスやウイルスの病原タンパク質が細胞から細胞へと移動することで、感染を拡大させたり、免疫機能を抑制して病態を悪化させたりすることが知られている。HIV-1は、CD4という表面分子を持つTリンパ球(CD4+Tリンパ球)とマクロファージという2種類の免疫細胞に感染し、これらの免疫細胞の中で増殖。未感染のCD4+T細胞やマクロファージへと感染することで、免疫細胞の機能不全や減少を引き起こす。このようにHIV-1が感染拡大していく経路には、一度HIV-1が感染細胞の外に出て周囲の未感染細胞に感染する経路のほかに、TNTを介してHIV-1が感染細胞から未感染細胞に移る経路が知られていたが、そのメカニズムは明らかにされていなかった。今回の研究では、ヒト血液由来のマクロファージにHIV-1を感染させ、TNTの形成促進を観察した。この結果、ウイルスタンパク質であるNefを欠損した変異HIV-1を感染させるとTNTの形成促進は観察されなかった。一方、HIV-1をCD4+Tリンパ球に感染させても、このHIV-1によるTNTの形成促進は見られなかった。そこで同研究グループは、マクロファージには発現しているが、CD4+Tリンパ球には発現していないTNT形成因子「M-Sec」に着目。マクロファージ細胞株にNefを強制的に発現させるとTNTの形成促進が見られたが、M-Secの発現を抑制したマクロファージ細胞株では、Nefを強制的に発現させてもTNTの形成促進が見られなかったことから、NefによるTNTの形成にはM-Secが必要であることを明らかにした。同研究グループはさらに、理研の化合物バンクを用いて、6800の化合物の中から、M-SecによるTNT形成の抑制活性を指標として、TNT形成を可逆的に阻害する「NPD3064」という化合物を見いだした。この化合物を用いたTNT形成の抑制により、HIV-1の産生は約2分の1に減少したという。このメカニズムが解明されると、HIV-1の感染やそれによる病態形成の詳細がわかり、エイズの治療や発症予防に貢献すると考えられる。さらにTNTの形成阻害薬が、これまでの抗エイズ薬と異なる作用メカニズムにもとづく、新たなエイズの治療薬の開発につながる可能性があると同研究グループは説明している。
2016年01月18日名古屋大学(名大)と理化学研究所(理研)は1月15日、ヒトES細胞から下垂体ホルモン産生細胞を分化誘導することに成功したと発表した。同成果は同大大学院医学系研究科糖尿病・内分泌内科の須賀英隆 助教および、理研多細胞システム形成研究センター器官誘導研究チームの辻孝 チームリーダー、大曽根親文 リサーチアソシエイト、同センター立体組織形成研究チームの永樂元次 チームリーダーらの研究グループによるもの。1月14日(米国東部時間)の英科学誌「Nature Communicaitons」に掲載された。下垂体はさまざまなホルモンを分泌する器官で、成人で1cm程度と小さいが、全身の恒常性を保つために大きな役割を果たしていることで知られる。下垂体が機能しなくなると血圧低下や電解質異常、基礎代謝の低下、不妊など、欠乏したホルモンに応じて重い症状が発生する。同研究グループは2011年にマウスのES細胞から下垂体組織を作ることに成功しており、今回の研究ではその時に用いられた培養技術を改良・発展させることでヒトES細胞から、下垂体のもととなる下垂体原基を試験管内で作ることに成功した。さらに、数週間に渡る長期培養方法を開発し、成熟した下垂体ホルモン産生細胞を誘導することができた。作製したホルモン産生細胞は、生体内の下垂体細胞と同様にホルモンを分泌し、下垂体の機能を失ったマウスに移植すると生存率が著しく向上するなど、治療効果も確認された。同成果は今後、下垂体機能不全に対する再生医療への応用が期待されるとともに、ヒトの下垂体発生のモデルとしての利用や、疾患特異的iPS細胞を用いた下垂体疾患モデルとしての応用も見込まれており、新規薬剤の開発にも役立つと考えられている。
2016年01月16日理化学研究所や科学技術振興機構は1月12日、がんや細胞内病原体に対する免疫に重要な「樹状細胞」の働きを、生体内で可視化するイメージング解析技術の開発に成功したと発表した。今回開発された技術を用いて、感染症やがんの種類に応じ、最適な樹状細胞を効率的に活性化するワクチンの設計・開発に役立つ可能性があるという。同研究は、理化学研究所 統合生命医科学研究センター 組織動態研究チームの岡田峰陽チームリーダーや和歌山県立医科大学 医学部 先端医学研究所 生体調節機構研究部の改正恒康教授らが共同で実施した。体内に侵入した病原体や接種されたワクチンは、免疫細胞の一種である樹状細胞によって認識される。その樹状細胞がリンパ球の一種である「T細胞」を活性化すると体を守る獲得免疫が働くが、樹状細胞には多くの種類があり、病原体やワクチンの種類に応じて異なった役割を果たす。ウイルスやある種の細菌は、体内のさまざまな細胞の中に寄生するが、このような細胞内病原体やがんに対する免疫には、「キラーT細胞」による攻撃が重要となる。がん細胞やウイルスに感染した細胞を攻撃するキラーT細胞は、そのほとんどが「CD8陽性T細胞」と呼ばれる細胞が、樹状細胞に活性化されることで形成される。「CD8陽性T細胞」を活性化する能力の高い樹状細胞は2種類ある。1つはリンパ節やパイエル板、ひ臓などのリンパ組織に常在しており、もう1つは皮膚や腸、肺などさまざまな組織に存在し、そこからリンパ組織へと移動していく。それぞれの役割やその連携は、病原体やワクチンの種類や感染部位、接種方法などによって異なると考えられているものの、その詳細はわかっていなかった。研究グループは今回、2種類の樹状細胞だけが特定の波長の光を当てることで蛍光色が変化する光変換蛍光タンパク質KikGRを発現するマウスを作成。このマウスの体内に存在する2種類の樹状細胞は、もともとすべて緑色の蛍光を発する。このマウスの皮膚に青紫色の光を照射すると、皮膚にいる交差提示(一部の樹状細胞が細胞外の異物を取り込んで、その抗原を主要組織適合性複合体クラスI上に提示できること)能を持つ樹状細胞だけが、赤色の蛍光を発するようになったという。そして、赤色蛍光を発するようになった皮膚の樹状細胞が、時間とともにリンパ節へと移動してくる様子が観察できたとのこと。この成果により、これらの樹状細胞がリンパ節に移動してきた後の動きなどが判明。マウスにおいては、約3日間のうちにリンパ節内の一番深い部分まで移動する点、リンパ節内で約1週間生存する点などが明らかになったという。理研などは、キラーT細胞の分化に重要な2種類の樹状細胞を、生体内で区別することおよびイメージング解析をする技術の確立に成功したことは、今回が初としている。今回開発された技術を用い、さまざまな種類のワクチンや感染に対する免疫応答を解析することで、効果の強いワクチンが、どの種類の樹状細胞とCD8陽性T細胞の相互作用を最も強く誘導しているかを知ることが可能となる。理研などは「得られた知見を蓄積することにより、感染症の種類に応じて、最適の種類の樹状細胞をターゲットとする新しいワクチン設計・開発の道が開かれることが期待されます。こうした戦略は、感染症に対するワクチンだけでなく、さまざまな腫瘍に対するがん免疫応答を誘導するワクチンの設計・開発にも応用できると考えられます」としている。
2016年01月13日京都大学(京大)は1月6日、ヒト体細胞からiPS細胞へ再プログラム化される中間段階にあたる幹細胞株、ヒトiRS(intermediately Reprogrammed Stem)細胞を新たに樹立したと発表した。同成果は同大学 再生医科学研究所の多田高 准教授の研究グループによるもので、英科学誌「Development」の電子版で公開された。同研究グループが樹立に成功したヒトiRS細胞は、ヒト体細胞とiRS細胞の再プログラム化の中間段階にあり、培養条件を変えることでiPS細胞への再プログラム化を再開するほか、単一細胞からの増殖が可能で、ゲノム編集などの遺伝子操作技術の応用が容易であるなどの特性を持つ。研究ではさらに、ゲノム編集により、iPS細胞のマーカー遺伝子として知られるOCT4遺伝子の下流に蛍光照射によりグリーンに光るタンパク質を挿入することで、ヒトiRS細胞(OCT4発現オフ)がiPS細胞(OCT4発現オン)に変化する様子を生きた細胞で可視化する事に成功。また、OCT4の活性化はiPS細胞化に必要であるが十分ではない事も明らかにした。今回の研究成果によって、ゲノム編集を含む遺伝子改変されたiPS細胞の作製が簡易になり、遺伝性疾患の病因解明や創薬開発、iPS細胞の品質の安定化につながることが期待される。
2016年01月06日京都大学(京大)は12月25日、ヒトiPS細胞から気道上皮細胞を効率よく分化させる方法を確立したと発表した。同成果は、京都大学 医学研究科 三嶋理晃 教授、京都大学 医学部附属病院 呼吸器内科 後藤慎平 特定助教、大学院生 小西聡史氏らと、大阪大学生命機能研究科/医学系研究科 月田早智子 教授らの研究グループによるもので、12月24日付けの米科学誌「Stem Cell Reports」オンライン版に掲載された。肺の気管を覆う気道上皮細胞は粘液を分泌し繊毛の運動によって流れを作り出すことによって、異物や病原体を除去するのに重要な役割を果たしている。今回の研究では、ヒトiPS細胞を段階的に分化させ、表面蛋白質「Carboxypeptidase M(CPM)」を用いて肺のもととなる細胞を単離し、サイトカインや化合物などを加えながらさまざまな条件で三次元培養を試みた。この結果、繊毛上皮細胞、クラブ細胞、基底細胞、粘液産生細胞、神経内分泌細胞といったさまざまな気道上皮細胞の成分を含む嚢胞構造を作る方法が開発された。また、さまざまな発生のプロセスで分化に重要とされるNotchシグナルを抑制すると、気道繊毛上皮細胞や神経内分泌細胞が効率よく誘導されることがわかった。ヒトiPS細胞から作られた気道繊毛上皮細胞は、体の中と同じように規則正しく振動し粘液を動かす機能を持つことも確認されている。今回の成果により、COPD、気管支喘息、気管支拡張症、嚢胞性線維症、原発性繊毛機能不全症などといった呼吸器疾患の解明や創薬の研究が大きく前進することが期待されると同研究グループは説明している。
2015年12月25日京都大学は12月18日、EPAやDHAを含む魚油の摂取が、脂肪燃焼細胞である「褐色脂肪細胞」の増加を促進し、体脂肪の減少や体温上昇をもたらすことを動物実験により証明したと発表した。同成果は、同大学 農学研究科 河田照雄 教授、金珉智 教務補佐員、後藤剛 准教授、自然科学研究機構 生理学研究所/総合研究大学院大学 富永真琴 教授、内田邦敏 助教らの研究グループによるもので、12月17日付けの英科学誌「Scientific Reports」オンライン版に掲載された。ヒトには、脂肪を貯めこむ「白色脂肪組織(White Adipose Tissue:WAT)」と脂肪を分解し熱を産生する「褐色脂肪組織(Brown Adipose Tissue:BAT)」が存在する。BATの作用はそのミトコンドリア内膜に特異的に存在する脱共役タンパク質1(UCP1)によるものであり、UCP1の発現を高めることが肥満や関連病態の発症対策に効果的であると考えられている。また最近、白色脂肪が褐色脂肪のような機能を有する褐色化が起こり「ベージュ細胞」と呼ばれる細胞となることがわかってきている。ベージュ細胞の退縮や減少が中年太りの主要因となり、逆に発現誘導や活性化することで成人の抗肥満につながると考えられている。今回、同研究グループは、過体重の抑制に効果があることが報告されている魚油がエネルギー代謝に及ぼす影響について食餌誘導性肥満マウスを用いて調べた。同マウスに高脂肪食または魚油添加食(高脂肪食に1.2%または2.4%魚油を添加)を103週間摂食させたところ、高脂肪食群に比べ、魚油添加食群では酸素消費量が増加し、体重増加および体脂肪蓄積が抑制された。また、褐色脂肪組織および白色脂肪組織でUCP1とβ3アドレナリン受容体の発現量が増加。さらに、魚油添加群において交感神経活動の指標となる尿中カテコールアミン分泌量のおだやかな増加が認められるとともに、迷走神経遮断手術を行ったマウスでは魚油投与による脂肪組織のUCP1発現誘導が認められなくなった。そこで、同研究グループは、魚油による交感神経活性化の作用点として、UCP1の誘導作用をもつトウガラシの辛味成分「カプサイシン」の受容体として知られているTRPV1(Transient Receptor Potential Vanilloid 1)に着目。TRPV1欠損マウスの魚油添加食群では、対照群で認められた魚油の作用が認められなったという。これらの結果から、魚油によるエネルギー代謝の向上は、胃や小腸に分布するTRPV1を介した交感神経活性化と、それにより引き起こされる褐色脂肪、特にベージュ細胞の発現促進によるものであることが示されたといえる。河田教授および後藤准教授は、今回の成果について「今回の魚油の健康機能性とそのメカニズムの解明は、油脂の健康特性の新たな一面を明らかにしました。今後は、健康な食生活に役立つ油脂やその他の食品成分について、特にメタボリックシンドロームの改善が深く関わる健康寿命の延伸への機能に着目して研究を発展させていく予定です」とコメントしている。
2015年12月18日理化学研究所(理研)は12月18日、呼吸器学者の間で40年近く謎とされていた、神経内分泌細胞(NE細胞)が気管支の分岐点に規則正しく配置され、塊を形成するメカニズムを解明したと発表した。同成果は、同研究所 多細胞システム形成研究センター呼吸器形成研究チーム 森本充 チームリーダー、野口雅史 研究員、同研究所 生命システム研究センター 細胞デザインコア 合成生物学研究グループ 高速ゲノム変異マウス作製支援ユニット 隅山健太 ユニットリーダーらの研究グループによるもので、12月17日付けの米科学誌「Cell Reports」オンライン版に掲載された。NE細胞は気管支の上皮細胞の一種で、気管から細気管支までの上皮組織に広く観察される。NE細胞は吸気の酸素濃度のセンサーであるとともに、組織の損傷時には組織修復に働く幹細胞のための幹細胞ニッチになることが知られている。また、気管支の分岐点に数個集まって小型のクラスター(塊)を形成する。この特徴的なNE細胞の分布パターンは40年近く前に報告されて以来、吸気の酸素濃度の感知に役立っていると考えられてきたが、NE細胞が気管支の分岐点に規則正しく配置されクラスターを形成するメカニズムは謎となっていた。また、NE細胞は肺がんの1種である小細胞肺がんの起源になることが知られており、同細胞種の制御メカニズムの解明が求められている。同研究グループはまず、肺の上皮細胞およびNE細胞が蛍光で光るマウス系統を作製。このマウス系統の胎児から光る肺を採取し、組織透明化試薬で透明化した後、共焦点顕微鏡と2光子励起顕微鏡で高解像度かつ広範に撮影した。この結果、気管支の立体構造を保ったまま、ひとつの肺葉のすべての上皮細胞とそのなかに存在するNE細胞の分布の観察に成功した。さらに、取得した3次元画像を用いてNE細胞の正確な位置とクラスターの大きさを定量的に解析し、気管支の分岐構造とNE細胞クラスターとの関係を幾何学的に理解することに成功した。画像解析の結果、NE細胞クラスターは気管支の分岐構造においてほぼ同じ位置に形成されること、および発生中に少しずつ大きくなることがわかった。また、より高解像度の画像を取得したところ、分岐点と関係なく単独で出現する「単独NE細胞」を多数発見したという。単独NE細胞は、Notch-Hes1シグナルによって出現数が制限されていることも明らかになった。さらに同研究グループは、NE細胞の分化とクラスター化をリアルタイムで撮影する技術を開発し、NE細胞の挙動の経時観察に成功。その結果、NE細胞は分化するときは単独NE細胞として出現し、その後、自ら歩いて分岐点に向かって移動し、クラスターを形成することがわかった。同細胞を起源とする小細胞肺がん細胞は転移能が高いことが知られているため、今後はNE細胞の移動を制御している因子の同定が課題となる。
2015年12月18日東京大学は12月2日、細胞の酸素代謝を、細胞を傷つけずに計測できる柔らかい光学式シート型センサを開発したと発表した。同成果は同大大学院工学系研究科の一木隆範 准教授らとニコンの共同研究グループによるもので、12月1日に米科学誌「PLOS ONE」に掲載された。iPS細胞などの細胞技術を産業化するには、研究に使う細胞を同じ品質で供給する方法や、細胞の状態を傷つけない「非侵襲・非破壊」で評価する技術が必要となる。細胞の品質を評価する指標の1つとして、細胞の呼吸による酸素消費量があるが、現在市販されている酸素センサでは、培養液中の酸素濃度を計ることはできても、個々の細胞の酸素消費量を計測することはできない。また、従来の方法では、細胞1つあたりの代謝活性を測定するには、細胞を培養シャーレから剥がして専用の装置の中に細胞を移す必要があり、細胞を傷つけてしまうという課題があった。同研究グループが開発したシート型センサは柔らかな透明ポリマーシートの表面に、マイクロチャンバーと呼ばれる直径90μmの小さなへこみが多数形成されており、その中に酸素濃度によって発光応答が変わるリン光発光性金属錯体のセンサを備えている。研究では、同シートを培養細胞や生体組織に載せ、自動光学計測システムと組み合わせて使うことで1分間に100カ所の自動計測を行い、がん細胞や脳組織中の神経細胞の酸素代謝を計測することに成功した。同センサは個々の細胞や細胞コロニー単位で代謝活性を計れるため、薬効の評価や治療に使用する細胞の品質管理に役立つと考えられているほか、これまで不可能だった生体組織の細かい部位ごとに挙動の変化を調べることができるため、医薬品の開発における新しいスクリーニングに道を拓く可能性があると考えられている。
2015年12月03日京都大学iPS細胞研究所(CiRA)は11月24日、細胞シートを簡便に多数積層化する手法を確立したと発表した。同成果は同大医学部附属病院心臓血管外科(当時)の松尾武彦氏(現同大学医学研究科 客員研究員、神戸市立医療センター中央市民病院医長)、CiRAの山下潤 教授、同大学医学部附属病院心臓血管外科(当時)の坂田隆造 元教授(現神戸市立医療センター中央市民病院院長)、同大学再生医科学研究所の田畑泰彦 教授らの研究グループによるもの。11月20日に英科学誌「Scientific Reports」で公開された。研究では、マウスES細胞から作製した心筋・血管などを含む心臓組織シートをゼラチンハイドロゲル粒子を挿み込みながら15枚積層化し、厚さ約1mmにすることに成功。また、ラット心筋梗塞モデルに心臓組織シートを5枚積層化したものを移植したところ、移植後12週間にわたり血管形成を伴った厚い心臓組織として生着すると同時に梗塞部の心機能を回復させていることが認められたという。今回の研究で確立された手法はほかの臓器や組織にも応用可能で、3次元の高次組織形成を容易にするものとなる。今後は、ヒトiPS細胞からも同様の積層化シートを形成すること、ブタなどヒトに近い動物モデルを含め有効性や安全性を確認することなどを行っていく。また、同研究グループは将来的には積層化したヒト心臓組織シートを製品化し、重症心不全治療に広く用いることを目指すとしている。
2015年11月25日冬は寒さで運動量が減り、つい身体が重くなってしまう……。身体のあちこちに余分な脂肪がついてしまうのを回避するには、適度な運動はもちろんですが、もっとも意識したいことは日々の食事を工夫することです。そのポイントは「酵素」!酵素不足ではどんどん痩せにくい身体になってしまうことが考えられます。年々減っていくものだからこそ、大人女子は意識して摂るべきでは?できるだけ酵素を含んだものを食べる習慣をつけることから始めましょう。野菜のなかでも酵素が多いのは青パパイヤやアボカド。大根、キャベツ、セロリ、ブロッコリスプラウトなども次いで酵素が豊富なため、サラダに積極的に取り入れるようにしましょう。生野菜のほかに海草類、発酵食品にも酵素は含まれています。たとえば、千切りにした大根に海苔と鰹節をかけただけでも立派な一品に。野菜スティックをアボカドディップでいただく方法もあります。チーズやキムチ、ぬか漬けといった発酵食品をサラダのトッピングにしても良いですね。また、フルーツも酵素がたっぷりと含まれています。生野菜だけでは食べにくいという場合には、グレープフルーツや柿、りんごなどを混ぜたり、ドライフルーツのレーズンやアプリコット、クランベリーを入れると甘酸っぱさが加わって食べやすくなります。サラダは毎食、なるべく食事の前半で食べることをおすすめします。“酵素を摂取する”ということを意識すれば、なんとなく食べていたサラダや野菜が、お好みのアレンジをすることでさらにおいしくいただけるのでは?賢く取り入れて、冬でも余分な脂肪を溜めない身体を目指しましょう!
2015年11月10日慶應義塾大学は11月6日、ES/iPS細胞から脳・脊髄にある任意の神経細胞を作製することができる技術を開発したと発表した。同成果は同大学医学部生理学教室の岡野栄之 教授、今泉研人氏、順天堂大学大学院医学研究科ゲノム・再生医療センターの赤松和土 特任教授らの共同研究グループによるもので、11月5日に米科学誌「Stem Cell Reports」オンライン版に掲載されたアルツハイマー病や筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの神経疾患では、脳・脊髄の特定の部位が障害されることが知られている。ヒトES/iPS細胞を用いてこれらの疾患を研究するためには、病変となる部位の神経細胞を選択的に作製する技術が必要となる。しかし、ヒトES/iPS細胞から任意の部位を自在に作り分ける手法は開発されておらず、これまで報告されている選択的に神経細胞を作製する方法はそれぞれが全く異なる手法を用いているため、異なる部位での症状を比較する研究は難しかった。今回の研究では、神経の発生過程における神経管の細分化を決定するシグナルを調整する薬剤の濃度を変化させることで、共通の作製法を用いて前脳から脊髄に至るあらゆる脳領域を作り分けることに成功。さらに、同技術を用いてアルツハイマー病とALSにおいて脳・脊髄の特定の部位の神経細胞で生じる症状を、患者iPS細胞から作製した神経細胞で再現することができたという。同技術により、特定の脳領域で起きる神経疾患の症状を正確に試験管内で再現することが可能になるほか、脳の複数の領域にまたがる神経難病では、iPS細胞を用いた研究の精度が向上し、新しい診断・治療方法の開発につながることが期待される。
2015年11月06日理化学研究所(理研)は10月23日、多能造血前駆細胞を生体外で増幅させる新しい培養法を開発したと発表した。同成果は理研統合生命医科学研究センター 融合領域リーダー育成(YCI)プログラムの伊川友活 上級研究員、京都大学再生医科学研究所 再生免疫学教室の河本宏 教授らの共同研究チームによるもので、10月22日付けの米科学誌「Stem Cell Reports」オンライン版に掲載された。伊川上級研究員らはこれまでの研究で、転写因子E2Aを欠損するとB細胞への分化が初期段階で停止し、B前駆細胞が多能性をもつ造血前駆細胞としての特長を示すことを明らかにしていた。今回の研究では、E2Aの阻害タンパクであるId3を導入したマウスの造血幹細胞群を、B細胞への分化を誘導する条件下で培養すると、前駆細胞段階で分化が停止し、多能造血前駆細胞が増幅することがわかった。この細胞は約1カ月で1万倍まで増殖し、培養を続ける限り増え続けた。また、この前駆細胞をマウスに移植したところ、リンパ球や顆粒球などの白血球を作り出したほか、同様の方法を用いてヒトの臍帯血の多能造血前駆細胞を増幅することにも成功した。同研究グループによって「iLS細胞」と名付けられた同細胞は、生体内では増えないため造血幹細胞とは異なるが、体外で無限に増やせる特性を利用すれば、がんに対する免疫細胞療法へ応用できると考えられている。同研究グループは今後、ヒトの造血幹細胞の増幅効果がマウスに比べて低いことや、遺伝子導入のためにレトロウイルスを用いている点などを克服することで、実用化につながることが期待できるとしている。。
2015年10月23日水分補給で中性脂肪対策株式会社伊藤園は、健康強調表示を指す中性脂肪のヘルスクレームで消費者庁より表示許可を得た特定保健用食品「スタイリーウォーターレモン」500mlペットボトル製品を、10月19日(月)より販売開始する。【製品概要】製品名スタイリーウォーターレモン品名清涼飲料水希望小売価格(税別)139円(プレスリリースより引用)「スタイリーウォーターレモン」は、1日1回、1本を飲用することで中性脂肪対策ができるカフェイン・カロリーゼロのトクホ飲料である。果実由来のポリフェノール“ヘスペリジン”は、主にみかんなど柑橘類の果実や皮・袋に含まれるポリフェノールの一種。水に溶けにくい性質があり、水に溶けやすくするためグルコースと結合させた成分が“モノグルコシルヘスペリジン”だ。“モノグルコシルヘスペリジン”は、血中の中性脂肪を減らす作用がある。そのメカニズムは、体内で余分となった糖や脂肪は肝臓内で「脂肪酸」となり、それが変化すると「中性脂肪」となり血液中に運ばれ、身体を動かすことで燃焼されるが、使用されない余分なものは体脂肪になるのだ。中性脂肪は、スイーツや、糖や脂肪の多い食事、アルコールなどの摂り過ぎだけでなく、年齢を重ねると肝機能も衰えてくるため加齢も中性脂肪増加の一因となっている。カフェインもカロリーもゼロ同製品は、1本当たり“モノグルコシルヘスペリジン”を340mg含有しているため、肝臓内で働き、中性脂肪を減少させる。美容や健康に気づかう人、中性脂肪が気になる人や、糖や脂肪の多い食事を摂りがちな人が毎日おいしく時間も場所も気にせず飲みやすい、ニアウォーター系のトクホ飲料となっている。(画像はニュースリリースより)【参考】・株式会社伊藤園ニュースリリース
2015年10月12日東北大学は10月5日、ヒト皮膚由来多能性幹細胞(Muse 細胞)を用いて脳梗塞動物モデルの失われた神経機能を回復することに成功したと発表した。同成果は東北大学大学院医学系研究科の出澤真理 教授と冨永悌二 教授らのグループによるもので、9月21日に米学術誌「Stem Cells」に掲載された。Muse細胞は骨髄・皮膚などに存在する腫瘍性を持たない多能性幹細胞で、肝細胞、筋肉、神経、グリア細胞、皮膚色素細胞、表皮、血管などへの分化が報告されている。同研究では、脳梗塞ラットにMuse細胞を移植した結果、梗塞部位に生着して自発的に神経細胞に分化し、大脳皮質から脊髄までの運動・知覚回路網を再構築した。また、脳梗塞で失われた運動・知覚機能の回復は約3カ月後も維持され、腫瘍形成は見られなかった。また、移植前にMuse細胞を神経に分化誘導する必要がなかったことから、脳梗塞に対して皮膚や骨髄などからMuse細胞を採取し移植することによって機能を回復する治療が実現する可能性があるという。今後、比較的小さな脳梗塞が単純構造の部位で生じ、かつ高度の症状を示すタイプの脳梗塞である「深部白質梗塞」に対してMuse細胞自家移植による「深部白質梗塞治療」に対してMuse細胞を用いた治療の開発を進め、3年以内に前臨床試験を終了し、臨床応用に移行することを目指すとしている。
2015年10月06日神奈川大学は9月30日、「何世代にもわたって細胞分裂できるモデル人工細胞」の構築に成功したと発表した。同成果は同大学理学部の菅原正 教授らの研究グループによるもので、9月29日の英国科学誌「Nature Communications」に掲載された。菅原教授らはこれまでの研究で、細胞膜に見立てたジャイアントベクシルという直径3~10μmの人工分子膜でできた袋が、外部から膜分子の原料を取り込み、膜内でその原料から膜分子を作り出すことで自らを成長・分裂させ、さらに内部で染色体のモデルであるDNAを増幅することを報告していた。しかし、分裂後はDNAの複製に必要な原料分子が枯渇し、親細胞と同様の効率よい分裂を行わせることができなかった。今回の研究では、DNA複製の原料を外部から摂取する方法を開発し、DNAが枯渇した子供細胞に、内部でのDNA複製能力を回復させ、孫細胞を作らせることに成功。さらに、この人工細胞では現実の細胞と同様に摂取期、複製期、成熟期、分裂期を巡回する周期性が存在することを確認した。今後、この人工細胞が繰り返し分裂していく中で優れた形質をもつ「変異種」が出現し「進化」するモデル人工細胞が誕生する可能性もあるという。同研究グループは今回の成果について「物質からどのようにして生命が誕生したかの謎の解明に通じる研究であり、原始地球での生命誕生や、原始生命からどのような形で萌芽的な進化の仕組みを備えるに至ったかを知る手がかりになる」としている。
2015年09月30日富士フイルムは9月29日、iPS細胞由来分化細胞の開発・製造・販売会社「セルラー・ダイナミクス・インターナショナル・ジャパン」を10月1日付けで設立すると発表した。まずは、富士フイルムが2015年5月に買収した米Cellular Dynamics Internationalが製造した創薬支援向けiPS細胞由来分化細胞を輸入し、国内の大学や研究機関、企業などに販売していく。今後、国家戦略特区および国際戦略総合特区に指定されている神奈川県川崎市の殿町地区に製造・研究開発拠点を設立する計画で、将来的には良質なiPS細胞由来分化細胞を大量生産し、国内に安定供給していくとしている。
2015年09月29日東京大学は9月11日、ヒトiPS細胞から肝細胞および胆管上皮細胞を簡便かつ効率的に作製する方法を開発したと発表した。同成果は同大学分子細胞生物学研究所の木戸丈友助教と宮島篤教授らの研究グループによるもので、9月10日に米科学誌「Stem Cell Reports」オンライン版に掲載された。近年、ヒトiPS細胞から肝細胞を誘導する試みが活発に行われているが、iPS細胞から肝細胞を誘導するには、さまざまなサイトカインによる多段階かつ長期間の分化誘導を必要とすること、また、全てのiPS細胞を均一な成熟肝細胞に分化させることが困難であるといった問題があった。今回の研究では、新たに肝前駆細胞のマーカーとしてCarboxypeptidase M(CPM)とうい物質を同定し、ヒトiPS細胞から肝細胞への分化誘導系からCPMの発現を指標にして自動磁気分離装置によって、簡便に効率よくヒトiPS細胞由来の肝前駆細胞を分取することに成功した。この肝前駆細胞は、肝細胞と胆管上皮細胞への分化能を維持したまま増幅することが可能だという。また、成熟肝細胞の性質を長期に渡って維持することから、薬物の毒性試験、新規薬物の探索、細胞治療などへの利用が期待できる。同研究グループが開発したヒトiPS細胞由来成熟肝細胞調製法は、迅速かつ低コストで肝細胞の大量調製を可能にするだけでなく、B型およびC型肝炎ウイルスやマラリアが感染する可能性もあるため、感染機構研究のツールとしての可能性もあるとしている。
2015年09月11日日立製作所(日立)と京都大学iPS細胞研究所(CiRA)は9月7日、健常人iPS細胞パネルの構築に向けた協力をすることで合意したと発表した。CiRAでは、さまざまな病気の患者の細胞からiPS細胞(疾患特異的iPS細胞)を樹立し、公的な細胞バンクに寄託することで、多くの研究者や企業が使用できる環境を整備している。研究を進める上では、疾患特異的iPS細胞やそれに付随する診療情報で構成された「疾患特異的iPS細胞パネル」に加えて、これらの疾患を持たない人の細胞から樹立したiPS細胞と健康に関するデータで構成された「健常人iPS細胞パネル」の整備も不可欠となる。今回の合意により、今後、日立が運営する日立健康管理センタで、健康診断に訪れる健常人からドナーを募り、CiRAにおける日立の健常人iPS細胞パネル(日立iPS細胞パネル)の構築を進めることになる。具体的には、9月以降から同センタで、ドナーから血液を採取し、匿名化した健診データとともに、CiRAに提供。その後、CiRAが血液細胞からiPS細胞を樹立し、さまざまな年齢、性別の人からなる100名程度の「日立iPS細胞パネル」の構築を目指す。なお、樹立したiPS細胞のうち、ドナーの同意を得たものは、公的な細胞バンクである理化学研究所バイオリソースセンターに寄託される。健常人iPS細胞パネルの構築には、多数の健常人ドナーを確保するとともに健診データと関連付ける必要があるが、日立健康管理センタは、長期にわたり継続的に健診データを収集・活用してきた実績をもち、有用性の高い「日立iPS細胞パネル」の構築に貢献できると考えられている。同合意について日立は「『日立iPS細胞パネル』の構築は、iPS細胞の医療応用に向けた重要なプラットフォームを構築するものとして、社会的意義も極めて高いと考えています。」とコメント。健常人iPS細胞パネルの構築や疾患特異的iPS細胞パネルとの比較研究を通じて、特定の病気の発症原因および進行過程など、これまでわからなかった病気の詳しい原因の解明や、新たな治療法・医薬品の開発などにつながることが期待される。
2015年09月07日京都大学(京大)iPS細胞研究所(CiRA)は8月20日、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)患者のiPS細胞から筋肉の細胞へと分化させることにより、細胞レベルで病気の初期病態を再現することに成功したと発表した。同成果は、京都大学CiRAの庄子栄美 特定研究員(元京大 再生医科学研究所大学院生)、同 櫻井英俊 講師らによるもの。詳細は英科学誌「Scientific Reports」に掲載された。DMDは男児に発症する疾患で、出生した男児の3000~3500人に1人の割合で発生すると言われている。幼少の頃から発症し、筋肉が萎縮することにより歩行や呼吸などが困難になる進行性の病気として知られ、細胞骨格の一部を構成するたんぱく質の中でも最も大きいジストロフィンタンパク質の欠損により発症することが分かっている。筋肉生検により、DMD患者の筋肉細胞を得られるが、そうして得られた筋芽細胞は、すでに体内で炎症を起こした状態にさらされているために、分化や増殖のスピードが遅くなるという現象が報告されているものの、発症の最初期にどのような変化が起きるのかはよく分かっていなかった。そこで今回の研究では、DMD患者の皮膚細胞からiPS細胞を作製し、筋管細胞を分化させることで炎症性の刺激を受けていない初期病態の調査を目指した取り組みが行われた。こうして得られた細胞株を培養していった結果、培養開始9日後、DMD患者ではジストロフィン遺伝子の発現が見られるのに対し、ジストロフィンたんぱく質が合成されていないことが確かめられたほか、電気刺激を加えて、細胞の収縮を観察したところ、細胞核が複数ある筋管細胞へと分化していることも確認したとする。また、ジストロフィンたんぱく質の発現を回復させる薬剤を導入し、カルシウムイオンの流入量を調べた結果、薬剤を加えた方が、加えていない場合よりも、カルシウムイオンの流入量が抑えられることを確認したほか、細胞が傷つくと、細胞外に漏れ出る酵素の活性割合を調べたところ、コントロール細胞に比べてDMD患者ではクレアチンキナーゼ活性が高まる傾向が認められたとする。なお研究グループでは、今回の手法では、ジストロフィンたんぱく質の発現を回復させる薬剤を用いることで、同一細胞株において病態の改善を確認することができたことから、今後、こうした評価系の活用が新たな創薬の研究に活用されることが期待されるとコメントしている。
2015年08月21日京都大学は8月20日、ウシ体細胞から生殖系列細胞を含む全ての組織・器官に分化するiPS細胞の作製に成功したと発表した。同成果は同大学大学院農学研究科の今井裕 教授と川口高正氏(現小野薬品工業研究員)、農業・食品産業技術総合研究機構畜産草地研究所の木村康二上席研究員(現岡山大学大学院環境生命科学研究科准教授)、同研究所の松山秀一 主任研員らの研究グループによるもの。8月19日(現地時間)に米科学誌「PLOS ONE」オンライン速報版に掲載された。iPS細胞などの多能性幹細胞から、生殖系列細胞や組織・器官形成へと細胞分化を誘導するには、ナイーブ型と呼ばれる細胞株が必要となる。これまで、マウスの体細胞ではナイーブ型多能性幹細胞の作製に成功していたが、マウス以外の哺乳類では生殖系列細胞への分化能力が低いプライム型と呼ばれる細胞しか作製することができていなかった。今回の研究では、ウシ妊娠胎仔から得られた羊膜細胞に、マウス由来の多能性関連転写遺伝子を4種類導入し、3種類の薬剤を添加した培養液で培養することによりナイーブ型のiPS細胞を樹立することができた。このナイーブ型iPS細胞を導入したキメラ胚を雌牛に移植し、妊娠90日目に胎仔を回収したところ、脳、心臓、生殖原基などを含むさまざまな組織にiPS細胞の寄与が認められた。また、このナイーブ型ウシiPS細胞は胚体外細胞系列へも分化しうることが示されたことから、体を構成するすべての細胞に分化する能力を有していると考えられるという。同研究グループは今後、ウシ以外の動物種でもナイーブ型のiPS細胞の樹立を試みていくとしている。
2015年08月20日カーブスジャパンはこのほど、第7回カーブス「サヨナラ脂肪川柳」の受賞作品を発表した。○およそ2万通の中から大賞決定!「サヨナラ脂肪川柳」は女性限定で"脂肪"に関する喜怒哀楽を詠んだ川柳を公募したもので、7回目となる今回は1万9,549通の作品が寄せられた。審査については、同社の川柳大賞実行委員会により都道府県賞47作品が選ばれ、その中からエリア賞8作品が選出されたほか、特別賞17作品も選考された。その後、全国のカーブス会員の投票によってエリア賞と特別賞の中から大賞が決定した。「大賞」「エリア賞」を受賞した作品は以下の通り(敬省略)。■大賞・「憧れの 壁ドンの前に 腹がドン」(富山県/うっちー/54歳)■エリア賞・「痩せなけりゃ もう後がない ベルト穴」(山形県/つや姫子/71歳)・「巻尺を 見ると腹部が 凹みだす」(千葉県/さっちゃん/64歳)・「せますぎる ゆずらないでね 気持ちだけ」(愛知県/りえこ/67歳)・「体重計 壊れていないか 米計る」(大阪府恋する乙女/65歳)・「痩せ祈願 出雲の神が 困り顔」(島根県/ぽん太/47歳)・「脂肪取れ お久しぶりね 膝小僧」(高知県/こむぎ/42歳)・「土偶見て 孫が『ばぁば!』と 騒ぎ出し」(佐賀県/金平糖/60歳)そのほか、特別賞の"ご当地編"では、「わんこそば 1位になっても 喜べぬ(岩手県)」「名古屋メシ でらうみゃーがね 肥えるがね(愛知県)」「見てみたい カープ優勝 私のくびれ(広島県)」など、その地方ならではの特色や名産、方言と絡められた個性豊かな作品が並んだ。入選した全作品は「第7回 サヨナラ脂肪川柳 2015」のサイトで確認できる。
2015年08月20日「脂っこいものが食べたい!」脂肪がからだに悪いのは百も承知だとはいえ、無性に揚げものを食べたくなるときがありますよね。でも、脂肪が体に与える影響を本当に知っていますか?『Science Daily』によれば、たった5日間、脂肪分の多い食事を続けただけで、筋肉やからだのつくりが変わってしまうというのです。これは長期的には、体重増加、肥満など健康上の問題を引き起こすともいわれています。■食事の影響は意外と早く体に出る!「多くの人は、数日間不健康な食生活をしても、すぐもとに戻れると考えています」ヴァージニア工科大学で栄養学や運動について研究している、マット・ハルヴァー準教授はいいます。「しかし、たったの5日で筋肉のつくりは変わってしまうのです」この研究で初めて、人体はいままで考えられていたより、ずっと早く食事に影響されることがわかりました。5日くらい、食事が不規則になったり、からだに悪いものを食べてしまうことはよくあります。しかし、それも確実に、からだに悪影響を及ぼすというのです。■筋肉はいちばん多く糖分を使う場所食べものを食べると血糖値が上がります。そして筋肉は、血液中の糖分をいちばん多く消費している場所。筋肉は私たちの体重の、実に30%を占めています。エネルギー消費が大きく量も多い筋肉の代謝が変わると、当然、からだにも大きな影響を与えます。5日間の高脂肪の食事のあと、筋肉は糖を分解しにくくなり、血糖値を下げる働きをするインシュリンの働きが鈍り、糖尿病などのリスクが高まるのです。■体重に変化がなくても筋肉は変わる研究では、健康な大学生たちにソーセージビスケットやマカロニとチーズ、バターであえたものなど高脂肪の食事をしてもらいました。通常の食事の脂肪分はおよそ30%ですが、この食事は55%が脂肪になるようにつくられました。高脂肪ですが、摂取カロリーは前と同じになるように計算されています。その後、筋肉のサンプルが採取され、糖分の代謝がどのように行われたか調査されました。すると、筋肉の糖分の代謝の仕方は変わっていましたが、学生たちには体重の増加やインシュリンの働きの低下は見られませんでした。自分ですぐにわかる変化がなくても、からだは確実に影響を受けているのです。自覚がないだけに、より注意が必要です。ハルヴァー準教授たちは、今後、高脂肪の食事が長期的に人体に与える影響や、どれくらいの期間で筋肉の代謝がもとに戻るのかを研究するといいます。昔からいわれているとおり、健康な食事はからだの基本。知らないうちに体のつくりが変わってしまわないようにするためにも、「今日だけ……」は禁物。毎日健康な食事を摂るように心がけましょう。(文/スケルトンワークス)【参考】※Five days of eating fatty foods can alter how your body’s muscle processes food―Science Daily
2015年08月11日クレモリス菌FC株とオリゴ糖のW効果!フジッコ株式会社は、「カスピ海ヨーグルト」の機能性とおいしさとそのままに、脂肪分を取り除いた「脂肪ゼロ」のヨーグルト「カスピ海ヨーグルト脂肪ゼロ400g」(標準小売価格258円:税込み278円)を、2015年9月1日から全国で発売を開始する。健康や美容に意識の高いカスピ海ヨーグルトユーザーから「脂肪ゼロ」のラインアップに対するニーズに応え、このたび「脂肪ゼロ」タイプの「カスピ海ヨーグルト」を開発した。ダイエットや脂肪を気にする人に最適同品の特長は、北海道産生乳から脂肪分だけを自社工場で取り除いた無脂肪牛乳を使用し、独自の乳酸菌「クレモリス菌FC株」を使用した。従来の「カスピ海ヨーグルトプレーン400g」の乳酸菌や数も同等なので、「クレモリス菌FC株」の腸内ビフィズス菌増殖作用に加え、配合されたオリゴ糖自体のビフィズス菌増殖作用が加わった。同品も、なめらかな口当たりと、酸味が少なく濃厚な味わいをキープしており、気になるカロリーは、100g当たり40kcalと低カロリーを実現している。ダイエットや、脂肪分を気にしている人にも最適だ。2006年より毎年2桁伸長の支持「カスピ海ヨーグルトプレーン400g」は、2006年の発売以来、濃厚で酸味が少ないまろやかな味わいと、研究に裏づけられた整腸作用や免疫賦活機能などの健康効果が、老若男女問わず幅広い層に支持を受けている。長寿地域のコーカサス地方から持ち帰ったヨーグルトより、同社が分離・純粋培養した生きて腸まで届く乳酸菌「クレモリス菌FC株」を使用。その「クレモリス菌FC株」が発酵中に作り出す、穏やかな酸味とねばりのもととなる「ねばり成分EPS」によるとろりとした食感が特長のヨーグルトだ。(画像はプレスリリースより)
2015年08月10日カネカは7月30日、グループ会社であるバイオマスターが運営するセルポートクリニック横浜が、培養脂肪幹細胞を用いる乳房再建療法の臨床研究を9月より開始すると発表した。乳がんの手術で乳房を摘出した場合、精神的な苦痛や日常生活の不都合などが生じるため、乳房再建が試みられる。乳房再建では、自身の背中や腹部の組織を用いる筋皮弁法やシリコンなどの人工物を挿入するインプラント法、脂肪・ヒアルロン酸注入などが行われているが、安全面を含め満足度の高い再建が得られない場合がある。これに対し、臨床研究を開始する再建療法では、自身の少量の脂肪から取り出し培養で増やした幹細胞を脂肪と混ぜることによって乳房を再建する。取り出す脂肪量が従来の脂肪移植にくらべて少なく負担が小さいことに加え、自身の幹細胞と脂肪を用いるため、安全に元の乳房に近い状態への再建が期待できるという。
2015年07月30日タカラバイオは7月24日、歯髄細胞を用いた再生医療の開発について、再生医療推進機構と共同で行うことに合意したと発表した。歯髄細胞は、ヒトの乳歯や親知らずといった、これまで廃棄されていた脱落歯や抜去歯から容易に採取することができ、再生医療への利用が有望視されている。今回の合意にもとづいて両社は今後、歯髄細胞の拡大培養法や凍結保存法などについて研究および開発を進める。タカラバイオは、同共同研究開発を通じて、再生医療に利用可能な歯髄細胞の調製技術の開発や歯髄細胞の培養に適した培地など製品の開発を行い、同技術を応用した再生医療製品の製造開発受託サービスの提供や培地など製品の販売を目指すとしている。
2015年07月27日