芸能人・一般人問わず、「この人になら抱かれてもいい!」なんて思ったこと、一度や二度はあるんじゃないでしょうか?たとえ彼氏や旦那さんがいても、妄想は自由ですからね。男性の何気ないしぐさにキュンとしたり、勝手にベッドシーンを想像しちゃったこと、ほとんどの女子はあるんじゃないかなと思います。そこで今回は誰のどんなところに「抱かれてもいい!」と思ったのか、女子たちの意見と妄想をまとめてみました。【芸能人編】・「特にファン、というわけではないけれど、福山雅治さんのあの声で、耳元で囁かれてみたい。ベッドではどんな声を出すんだろう、と妄想してしまう。」(27歳・Yさん)・「西島秀俊さんの独特のセクシーな雰囲気に、コロッとやられてしまいました。」(34歳・Kさん)・「松潤の唇が猛烈にエロい!」(25歳・Sさん)・「生田斗真さん。甘い顔と出来上がった体のアンバランスさがたまりません。」(28歳・Rさん)とまぁ、出るわ出るわ。ここには書ききれないくらい、女子たちの妄想はどこまでも続くのですが…。男性脳は視覚的な情報で女性の魅力を判断している、とよく言われていますが、女性だって負けていませんね!抱かれたい芸能人ランキングもその年によって傾向は若干変わりますが、やっぱり不動の人気があるのはほどよく筋肉質で引き締まった肉体の持ち主。その強くしなやかな腕に抱かれてみたい、という気持ち、同感です!【身近な人編】・「男友達に仕事の愚痴をさんざん聞いてもらい、最後に頭をなでられて『お前は良く頑張ってるよ!』と言われたとき。お酒が入っていたとはいえ、クラッときた!冷静に考えると、何かあっても困るのですが…。」(30歳・Aさん)・「外回りから帰ってきた同僚が、ネクタイを緩めている姿を見たとき。普段は意識したことないのに、勝手にエロな想像をしてドキドキ(笑)。」(24歳・Yさん)・「誰、ということもないけど、ごつごつした男らしい手を見ると、なんだかムラムラしてきます。顔は多少好みでなくても、手がタイプの人だったら『抱かれてもいい』って思っちゃうかも…。」(25歳・Tさん)友人や職場関係など、実際には関係を持つことなどあり得ないと思い込んでいる相手でも、何かのきっかけで理性が吹っ飛んで「抱かれてもいい!」って思えちゃうこと、みなさんにもあるんじゃないでしょうか?前出の芸能人同様に視覚的な刺激もありますが、近くにいることで感じられる絶妙な雰囲気だったり、そこはかとなくいい匂いだったり、落ち込んでいるときに優しい言葉をかけられたりすると、ふっと「もし求められたら、応じても…」「この人とならいいかな」なんて考えちゃうのかもしれませんね。現実に抱かれちゃうかどうかは別として、ね。そうそう、Tさん同様、男性の手にそそられると言う人も結構多いようです。その手で、その指で、ベッドではどんなことを…?と妄想しちゃうんだとか。これは女性の想像力の賜物で、ビジュアルから直接性的な興奮を得る男性には「なぜ手が?」と、まったく理解できない感覚なのだそう。余談ですが、男性の手は生殖器の象徴といわれています。また、指の長い男性はイチモツも長いとか、そうでないとか…???私も手の大きな男性にキュンとしてしまう方なのですが、無意識とはいえソッチを想像していたんかい!と、なんだか自分に恥じらいを覚えてしまいます。さて、ここまでは女子の「抱かれてもいい!」というあくまでも受け身な妄想を考察してきましたが、「この男を抱きたい!」という男前で肉食系な女子については、世間ではなかなかおおっぴらに語られませんね。そういう願望を持ってる人だっているはずなんですけどねぇ。「気に入った年下くんを半ば無理矢理組み伏せて、彼氏にしちゃった☆」みたいなすがすがしいまでの武勇伝を聞いてみたいな、と思うのは私だけでしょうか?(文=石村佐和子)
2013年09月05日6月に開催された「フランス映画祭2013」で、観客投票によって最優秀賞にあたる「観客賞」に輝いた『タイピスト!』。女性の社会進出が始まったばかりの1950年代のフランスで、“タイプライター早打ち”の才能を開花させ、自由な世界へと羽ばたいていく健気なヒロインをキュートに演じたのがデボラ・フランソワだ。「ローズは、現代なら共感を得やすいけれど、50年代当時は変わり者と受け取られたタイプ。父親に反抗して就職する、自由に生きようとする、というのは難しいことだったのよ。女性を取り巻く状況は少しずつ変化していたけど、女性は男性の言うことに従うという風潮で、特に子どもを抱えて仕事をするなんて選択肢はない時代だった」。デボラ自身の親族の女性たちは、そんな時代に逆らうように生きてきた。役作りのうえで、大いに影響を受けたという。「私の親族の女性は戦前、戦中、戦後と、ずっと働いていたの。美容師をしたり工場に勤めたり。祖母は私の母を女手ひとつで育てたんだけど、曾祖母も働きながら娘(=デボラの祖母)の子育てを手伝っていた。世間からは必ずしも受け入れられはしなかったけど、一所懸命に生きていたの。ローズは仕事も愛する人もちゃんと掴むことができた。それって、とても素晴らしいことだと思うわ」。ローズは「タイプライター早打ち大会」の地方大会からフランス大会へ、そしてついにニューヨークで開催の世界大会へ出場し、優勝を目指す。その過程で、ロマン・デュリス扮する鬼コーチのルイとの間に愛が芽生えるが、波乱含みで順調には進まない。「心に傷を負っても、最後まで突き進もうとするローズには共感するわ。ルイだって、自分のために彼女が何かを犠牲にするようなことは望まない。それが2人の愛なのよ」。ローズや大会出場者の女性たちが持つ競う精神は、女優という仕事にも通ずるものがあるのでは?と聞いてみると、「“俳優という仕事は、オリンピック選手とは違う”という言葉があるの」という答えが返ってきた。「一つしかない役を勝ち取らなかった人に銀メダルはない。意味がないの。2番目でも200番目でも同じ。そういう意味では、私自身もすごく勝ち気なところはあると思う」。50年代のスター女優のようなシックな装いに、ガッツあふれる女優魂。ギャップが新鮮だ。それにしても、50年代のフランスは完全に男性優位の社会。やや息苦しいその雰囲気は日本に暮らす女性には馴染みあるものかも…と伝えると、「すごく分かる!私も何週間か日本に滞在したことがあるから」と大きく頷く。フランスの女性監督が全編日本ロケで撮り、阿部寛や西島秀俊が出演した『メモリーズ・コーナー』でも主演を務めたのだ。「でも、彼らは家に帰るとちょっと違うみたいね(笑)。外では威張ってるけど、家庭での主導権は女性が握ってる」と笑う。目下の望みの一つは、日本で日本の映画監督の作品に出演すること。日本映画も好きで、「最近観たのは『歩いても歩いても』。素晴らしかった!」と、共演した阿部さんの作品を挙げる。もう1本、挙がったタイトルはなんと『バトルロワイヤル』。「フランスでは絶対に作られないタイプの映画だと思う。すごく暴力的だけど、消費社会への問題提起があったり、深遠な内容で。何度も観たわ。ああいう、日本ならではの作品に出演したい。オファー待ってます!」と快活な笑顔で目を輝かせた。(photo:Mana Kikuta/text:Yuki Tominaga)■関連作品:タイピスト! 2013年8月17日よりヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国にて公開(C) 2012 - copyright : Les Productions du Trésor - France 3 Cinéma - France 2 Cinéma - Mars Films - Wild Bunch - Panache Productions - La Cie Cinématographique - RTBF (Télévision belge)(C) Photos - Jaïr Sfez
2013年08月13日人気刑事ドラマの劇場版『ストロベリーナイト』で、警視庁捜査一課の刑事として姫川班を率いる主人公・姫川玲子を演じた竹内結子と、その部下・菊田和男を演じた西島秀俊が、ファン待望の劇場版を迎えた心境を明かすとともに、“孤独”な姫川の魅力について語った。その他の写真誉田哲也の原作「インビジブルレイン」をベースにした今作では、姫川班の管轄で発生する連続殺人事件を追う。捜査に乗り出す姫川だが、上層部は関係者との接触を禁じる不可解な命令を出す。これに納得しない姫川は単独捜査を決意するが、今作はコピーにあるように“姫川班、最後の事件”。衝撃の展開と結末にファンの注目が集まっており、竹内自身も、「3年近く過ごした時間が終わってしまうことは寂しかったので今回、劇場版として延長時間をいただけたようでうれしかったです」と語った。“姫川班、最後の事件”を描く一方、事件に関係するヤクザ・牧田勲(大沢たかお)が新たに登場する今作は姫川と菊田、牧田のトライアングルで物語が進み、揺れ動く男女の感情も映し出す。「今回、姫川が女性として男性を見ます」(竹内)、「今回、菊田は牧田の挑発を徹底的に受けます。佐藤(祐市)監督とも相談しましたが、気持ちがコントロールできないシーンも多々あって。牧田との対決シーンは見ものです」(西島)と恋愛ドラマとしての側面も少なくないという。しかし、それは一般的な恋愛ではなく、「彼女の“傷”に塗り重ねるような痛みを伴いますよね。“「玲子」と「恋愛」ってタブーなのかなあ”って、改めて孤独な人だと思いました」(竹内)。姫川の心の“傷”や“闇”にまで迫るシリアスな恋愛描写は、ふたりの恋愛ストーリーを熱望していたファンにとっては見逃せない展開と言えそうだ。そして今回、姫川班、捜査一課全体が最大の“試練”に直面することも劇場版の特色だろう。「上司の暴走で姫川班、捜査一課全体が岐路に立ちますが(笑)、この先も皆が前を向いて歩いて行ければいいなと願っています」(竹内)、「姫川の心の“闇”そのものが今回のヤマに関係しているので、“姫川班、最後の事件”としてはこれしかないかなと思いますね」(西島)と一抹の寂しさを感じながらも、姫川の過去や性格に照らして考えれば、劇場版は自然な帰結と受け止めているふたり。「3年分の集大成」(竹内)を映画館で堪能したい。『ストロベリーナイト』公開中取材・文・写真:鴇田 崇
2013年01月29日誉田哲也の小説「姫川玲子」シリーズを実写化し、高視聴率を獲得したドラマの待望の映画化作品にしてシリーズの完結編となる『ストロベリーナイト』が1月26日(土)に公開初日を迎え、主演の竹内結子を始め、西島秀俊、小出恵介、宇梶剛士、丸山隆平といった“姫川班”が集結。さらに、大沢たかお、高嶋政宏、生瀬勝久が揃い、舞台挨拶で有終の美を飾った。本作は、シリーズの中でも最高傑作の呼び声が高い「インビジブルレイン」を原作に、4件の殺人事件をめぐり、警察上層部と対立しながら犯人を追う姫川(竹内さん)が、捜査の過程で出会ったヤクザ・牧田(大沢さん)と禁断の恋に落ちるというストーリー。2010年のスペシャルドラマから3年にわたり姫川を演じてきた竹内さんは、「終わってしまえばあっという間。そりゃ、寂しいですよ。私としては、ちょっと監督とプロデューサーを恨みます(笑)」と、当たり役の卒業に恨み節を炸裂させる一幕も。しかし、姫川を慕い、支えてきた姫川班を演じてきた面々から、「ピリッとしたオーラが印象深くて、すごくカッコよかった。お疲れさまです」(小出さん)、「みんなが自然と姫川班のようになれたのは、ひとえに竹内さんの人柄のおかげ。感謝しています」(宇梶さん)、「これで最後と思いたくない。もしまた集まるときがきたら、呼んでほしいです」(丸山さん)と、口々に感謝と労いと再会を願う言葉が送られると笑顔に。さらに、西島さんから「最初に台本をいただいたとき、『本当にこれをテレビで、しかも竹内結子さんがやるの?』とマネージャーに聞いた。いまでは普通に思えるけど、それぐらいチャレンジなことの多い作品で、竹内さんは本当に大変だったと思う。姫川班がどうなるか分からないですけど、何があっても、オレたちは姫川班です!」と、演じたキャラクターの菊田さながらに宣言されると、「これで最後なんですよね…」と噛み締めつつ、「スペシャルドラマから始まって、連続ドラマ、そして今日、『映画が公開されるというこの日に、私は何を思うんだろう?』とずっと考えていました。十分寂しいなと思ってきたし、十分温めてきたし、これから観てくださるみなさまがまず楽しんでくだされば何より。私たちの3年分の想いがぎっしり詰まった2時間ちょっとの作品になっているので、みなさんどうぞ受け止めてやってください」と、最後は吹っ切れたような笑顔を見せていた。『ストロベリーナイト』は全国東宝系にて公開中。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ストロベリーナイト 2013年1月26日より全国東宝系にて公開(C) 2013フジテレビジョンS・D・P東宝共同テレビジョンFNS27社光文社
2013年01月27日竹内結子主演の刑事ドラマを映画化した『ストロベリーナイト』の公開記念イベントが15日深夜、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで開催された。映画本編をはじめ、新たに撮影・制作されたスペシャルドラマ「ストロベリーナイト アフター・ザ・インビジブルレイン」、「ストロベリーミッドナイト」を朝まで一挙上映する、その名も「ストロベリー“オール”ナイト」イベント。主人公の女刑事・姫川玲子を演じる竹内結子をはじめ、共演する西島秀俊、小出恵介、宇梶剛士、丸山隆平、高嶋政宏ら“姫川班”が顔を揃え、舞台あいさつに立った。その他の写真原作は誉田哲也氏の小説『インビジブルレイン』(姫川玲子シリーズ)。暴力団構成員の連続殺人事件を追う刑事・姫川(竹内)が、隠ぺいされた警察組織の秘密に気付き、その闇を暴こうとする。紅一点の竹内は本シリーズで刑事役に初挑戦し、“ノンキャリアながら20代で警部補に昇進した主人公・姫川玲子”が当り役に。それだけに「3年近く培ったものが映画になり、今はいろんな思いがこみあげますね。ぜひ皆さんにも良きサポーターになってもらえれば」とシリーズ完結に思いもひとしおだった。また、公開初日にテレビ放送される「ストロベリーナイト アフター・ザ・インビジブルレイン」については「これまでの経緯や歴史をたどっていく内容。映画とあわせて観てもらえれば、きっとガツンと残ると思う」とアピールした。一方、姫川班の面々も西島が「こういう言い方は申し訳ないけど、姫川はつらい目に遭えば、遭うほど魅力的に見えるんです」と語れば、小出は「ホシ(犯人)を追う姿がカッコいい」と姫川に惚れ惚れ。「背中で語る、はかなさの中にある強さがある」(丸山)、「カッコ良すぎて、吸い込まれてしまう。おかげで周りはよくNGを出した」(宇梶)、「メイクだけでは出せない、姫川ならではのまなざしがカッコいい」(高嶋)と存在感あふれる竹内の演技を絶賛していた。『ストロベリーナイト』1月26日(土)から全国東宝系にて公開
2013年01月16日東京国際フォーラムにて12月24日(月)に開催された「げんき咲かそう!ふくしま大交流フェア」に来年のNHK大河ドラマ「八重の桜」に出演する綾瀬はるか、西島秀俊、長谷川博己、玉山鉄二、綾野剛が出席。作品にちなんで新種の桜の命名式が行われ、綾瀬さんにより“はるか”と名付けられた。ドラマは戊辰戦争で賊軍となった会津出身で、日本で初めての篤志看護婦として日清、日露戦争にも従軍した新島八重の波乱の生涯を描く。この日のイベントは復興に向かう福島の姿を首都圏の人々にアピールすると共に地元から避難している人々の交流の場として開催されており、多くの人々が足を運んだ。およそ10年の年月をかけて開発された新種の桜はまだ苗木の状態で、現在は全国各地に植えるべく増殖させている状況で、10年ほどの時間をかけて成長していくことなる。冬を超えて温かくなったタイミングで福島県にも送られる予定だという。綾瀬さんは自分と同じ“はるか”という名前を付けたことに照れ笑いを浮かべ「自分の名前を付けようと思ったわけじゃないんです。最初は『頑固桜』にしようと思ったんですが…はるか遠く、未来にはばたくようにと思って“はるか”にしました」と明かした。本作で演じた八重について「歩むことを止めずに前を向いた人。あきらめない、前向きな気持ちや人の温かさを伝えてみなさんに『日曜が楽しみ』と思ってもらえるように頑張りたい」と語った。劇中、会津弁でのセリフが多いがこの日のトーク中も随所に「だべ」、「ありがとなし」などの方言を交え、会場を沸かせた綾瀬さん。「『んだ』とか『だべ』といった言葉が好きです。みんなでご飯に行って(食堂の)おかみさんに方言を教えていただいたりしてます。『なんかちげぇなぁ…』って言われますが(苦笑)」と福島ロケでの地元の人々との交流を明かす。兄役の西島さんとも現場で方言で会話をすることが多いよう。玉山さんは「綾瀬さんと西島さんは仲が良すぎて、現場で“兄妹ゲンカ”しているくらい」と証言。「お前」を意味する「にし」という方言があるが、玉山さんは「綾瀬さんが西島さんを“にし”と呼んでるので西島さんの“西”かと思った(笑)」と、当初は方言と知らずに綾瀬さんの大胆さに驚いたとか。その西島さんは現場の様子について「一丸となって向かっているのを肌で感じています。素晴らしい作品になる予感がしています」と手応えを明かした。大河ドラマ初出演の長谷川さんは放送開始を前に「ワクワクしています」と気合い十分。綾野さんは非業の会津藩主・松平容保を演じており、決して明るい雰囲気のシーンばかりとはいかないようで「(綾瀬さんや西島さんの)山本家はサザエさんのようで、撮影ですれ違ったりすると『いいな、まざれないかな』と思ったりもします」と羨ましそう。それでも「容保は愚直に生き、『義で死ねても不義では生きられぬ』という人物。その気持ちでやっていきたい」と強い思いを明かした。NHK大河ドラマ「八重の桜」は2013年1月6日(日)より放送開始。公式サイト:■関連作品:リアル~完全なる首長竜の日~ 2013年初夏、全国東宝系にて公開
2012年12月25日阪神・淡路大震災後の日本をテーマに、フランス人女性記者と2人の男性との不思議な出会いを描いたフランス映画『メモリーズ・コーナー』。西島秀俊と阿部寛がフランス語と英語のセリフで出演しており、早くも注目を集めている本作が来年2月、日本でも公開されることが明らかとなった。フランス人女性ジャーナリスト、アダ(デボラ・フランソワ)は、1995年に起きた阪神・淡路の震災を回顧する式典を取材するために神戸を訪れる。街は復興し、誰もがかつての悲劇と決別し、豊かな暮らしを楽しんでいるかのように見える。通訳の岡部(西島さん)を伴い、かつての被災者の家を訪ね歩くアダの前に、いまでも後遺症に悩まされている石田(阿部さん)が現れる。かたくなな態度をとる彼の心を開かせようとする彼女に、岡部は彼が現世の男ではないと忠告するのだが…。今作が初監督作となる、フランス気鋭新人監督オドレイ・フーシェが、日仏スタッフの共同製作によりさまざまな“愛”の形を描き出す本作。西島さんはフランス語の通訳者を演じ、阿部さんは神戸の震災以降に家族を亡くし、孤独死をしながらも愛を探し求めている謎のゴーストを演じている。2人の男性に想いを寄せるフランス人記者・アダには『ある子供』で鮮烈デビューを果たし、『譜めくりの女』などでセザール新人女優賞を2年連続受賞した、注目の新人女優デボラ・フランソワが扮する。さらに、國村隼、塩見三省、倍賞美津子ら日本を代表する演技派俳優陣が本作にさらなる深みを与えている。西島さんは「海外の俳優さんと並んで演技してみたいという気持ちはいつもありますが、デボラさんのようなヨーロッパの女優さんと同じフレームに入ったら、どう見えるんだろうか?というのは常にありました」とフランス映画での主演を楽しんだよう。一方の阿部さんは「初監督作品で、日本人キャストとスタッフ、日本を舞台にしようと思うフーシェ監督の強い想いが深く伝わってきました。すごくこだわりを持っている監督でした」と撮影をふり返る。そんなフーシェ監督は「被災者の方々は、家や故郷を失い、そして愛する人々がいない人生を歩むことになります。私はこの作品によって、被災者の絶望的な孤独感を知っていただき、少しでも社会のひずみを軽減する手助けになればと祈っております」と作品に込めた強い思いを明かす。豪華キャストで贈る日本を舞台にしたフランス映画『メモリーズ・コーナー』。フランス人女性監督が描く希望へのレクイエムは、私たち日本人の心にどのように響くのだろうか?『メモリーズ・コーナー』は2013年2月23日(土)よりシネマート六本木ほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:メモリーズ・コーナー 2013年2月23日(土)よりシネマート六本木ほか全国にて順次公開(C) NOODLES PRODUCTION, FILM ZINGARO 2 INC,FRANCE 3 CINEMA,2011
2012年12月21日TBSとWOWOWが局の垣根を越えて手を組み、香港発の人気映画『インファナル・アフェア』を日本人キャストでリメイクしたドラマ「ダブルフェイス」を製作。W主演を務める西島秀俊と香川照之に、監督の羽住英一郎が10月3日(水)に都内で記者会見を行なった。オリジナル版ではスパイとして刑事となったギャングと潜入捜査のためギャングとなった2人の男の命運が描かれるが、今回のドラマでは西島さんが実は潜入捜査官であるヤクザの幹部を、香川さんが実はヤクザであるエリート警察官を演じる。TBS版の「潜入捜査編」とWOWOW版の「偽装警察編」の2話に分けて放送され、いずれのエピソードも羽住監督がメガホンをとるという斬新なもの。元々、映画『インファナル・アフェア』の大ファンだったという西島さんは、オファーを受けたときを「夢のような話だった」とふり返る。特にオリジナルでトニー・レオンが演じたこの役が好きだったそうで「この役は日本では自分にしかできないと信じて全身全霊をかけてやりました」と語る。一方、香川さんは最初に話を聞いたとき「どっちがどっちの役をやるんだろう?と思った」と明かし、「西島さんは『自分にしか』と仰いましたが、役を交換して撮っても面白いと思う。僕もトニー・レオンがやりたいんだよ(笑)!」と羨ましそうに語り笑いを誘っていた。2人は二十年来の友人だが、本格的な共演は今回が初めて。西島さんは「香川さんのイメージは昔から一貫して“本気の役者”。徹底的に役を作って全力で演じる方と思ってましたが、現場でそれをより強く感じました」と述懐。香川さんも「西島さんに対しては“ストイックな方”というイメージを持ってましたが、その思いが倍加しました。肉体を含めて贅肉がない演技をする方」と称賛を込めて語った。互いに異なる立場で異なる組織に生きる男ということで、2人が直接絡むシーンは決して多くはない。西島さんは敵対する関係ということで「初めての共演は嬉しかったですが、あえて現場では距離を置いていました」と明かす。そんな中で訪れた共演シーンについて、香川さんは「こちらがゆらゆら揺れるとすれば、西島さんは小さな石を体の中にグッと抱えているような感じでした」とその印象を表現。羽住監督は「この2人をとにかくこれまでで一番カッコよく撮りたいという思いで臨みました。2人に引っ張っていただく形で全力で撮れました。手応えを感じています」と充実した表情を見せた。TBS版「ダブルフェイス 潜入捜査編」は10月15日(月)21:00より、WOWOW版「ダブルフェイス 偽装警察編」は10月27日(土)20:00より放送。TBS版「ダブルフェイス 潜入捜査編」版「ダブルフェイス 偽装警察編」(text:cinemacafe.net)■関連作品:鍵泥棒のメソッド 2012年9月15日よりシネクイントほか全国にて公開(C) 2012「鍵泥棒のメソッド」製作委員会任侠ヘルパー 2012年11月17日より全国東宝系にて公開(C) 2012「任侠ヘルパー」製作委員会ストロベリーナイト 2013年1月26日より全国東宝系にて公開(C) 2013フジテレビジョンS・D・P東宝共同テレビジョンFNS27社光文社
2012年10月03日2013年のNHK大河ドラマとして注目を集めている、綾瀬はるか主演で贈る「八重の桜」。クランクインから3日目となる9月13日(木)、ドラマの舞台となる福島県会津若松市の鶴ケ城で会見が行われ、主人公・山本八重役の綾瀬さんを始め、西島秀俊、長谷川博己、玉山鉄二が出席した。幕末の戊辰戦争で“賊軍”と呼ばれる会津出身であり、同志社を創設した新島襄の妻・八重。男尊女卑の時代の中、「幕末のジャンヌ・ダルク」と呼ばれた彼女の波乱に満ちた生涯を描く本作。共に出席した内藤愼介プロデューサーが「綾瀬さんも会津弁でお店の人に語りかけていたり、会津弁にも馴染んできています」明かす通り、綾瀬さんは会津の方言をマスターしすっかり地元民となった様子。クランクインを迎えた心境を聞かれると、「この物語の舞台である福島・会津若松でクランクインができて嬉しいです。1年ちょっとの撮影になりますが、一歩一歩噛みしめて大事に演じていきたいです」と語った。八重の兄・山本覚馬役の西島さんは、「美しい福島の自然の中で、すごく穏やかな気持ちで最高のスタートを切れたと思います。ドラマをご覧いただいた方に、明日からまたがんばろう、と感じていただけるようなエネルギーに満ちたドラマにしたいです」と作品に込める思いを明かす。さらに、八重の幼なじみ・山川大蔵役の玉山さんはこの日が撮影初日となったが、「昨日は綾瀬さん、西島さんと食事をして楽しい夜を過ごしたんですが、自然も、人も、お酒も素晴らしい、とてもいい街だと感じました。会津のためにも日本のためにも、一生懸命がんばって素晴らしい作品を丁寧に作っていきたいと思います」とこれから始まる長丁場の撮影に向けより一層気合を入れていた。八重の最初の夫となる川崎尚之助役の長谷川さんは、「会津に来ていろいろなところを見学して、会津の方々がたくさんの壮絶な思いをされたことを知りました。結果はどうなろうと志を持って突き進めば必ず報われる、ということを感じていただきたいと思います」と、昨年の東日本大震災の被災地でもある福島の地での撮影に心を痛めながらも、使命感が芽生えた様子。これに、綾瀬さんも「幕末は激動の時代だったと思いますが、その中で苦しいことを乗り越えて前向きに生きようとする八重の生きざまが、みなさんに力を与えられたらと思います」といまだ傷跡の残る東北の人々にエールを送っていた。撮影は今月15日(土)まで会津若松市内でのロケを敢行し、那須を始め栃木や茨城などでのロケを経て、10月半ばからスタジオに入る予定だという。大河ドラマ「八重の桜」2013年1月6日(日)より放送開始(※全50回)公式サイト:(text:cinemacafe.net)■関連作品:映画 ひみつのアッコちゃん 2012年9月1日より全国にて公開(C) 赤塚不二夫/2012「映画 ひみつのアッコちゃん」製作委員会リアル~完全なる首長竜の日~ 2013年初夏、全国東宝系にて公開
2012年09月13日“編集者が泣ける本”オールタイムベスト10に選ばれた、辻内智貴のベストセラー小説を映画化した『セイジ -陸の魚-』。監督・脚本を務めた伊勢谷友介が、東日本大震災を受けて主人公・セイジの行動の“意味”がより深く届いたことを回想するともに、『CASSHERN』(04)の続編などエンタメ色濃厚な新作構想を複数練っていることも明かした。その他の写真伊勢谷監督独自の思想と解釈で映画化された本作は、旧道沿いにあるドライブインの寡黙な店主セイジ(西島秀俊)、彼に惹かれ住み込みで働く“僕”(森山未來)が平和な日常を破壊する凄惨な事件に直面して、“人を助けるということが何を持って助けることになるのか?”という命題に衝撃的な回答を示す野心作だ。「宣伝に信じられないくらいの時間を割きました」と公開時を回想した伊勢谷監督は、構想段階以後に発生した東日本大震災を受け、主人公セイジの行動の“意味”がより深く届いたことを実感したという。「その命題に答えを出すセイジのアプローチは確かにとても極端でした。でも、震災以後、僕たちは次のアクションを考える必要があって、若い人を中心に深いレベルで理解していただけたようです」。広い世代に好評を得たものの、「西島さん、森山さんという映画が大好きな役者さんに集まっていただいて完成して、僕自身とても愛している作品なので多くの人に観てほしいと言っているけれど、その作品の入口がジェントルじゃない(笑)」と課題が残っているとも。「意外でしょうけれど、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(85)や『パルプ・フィクション』(94)みたいなエンターテインメント超大作が大好きと言っているわりに自分は…という事実があります(笑)。まだまだ僕には勉強や技術が必要」といったことも撮影中に考えていたという。「『セイジ -陸の魚-』を撮って気づいた事ですが、僕の中には巨大なバジェットでエンターテインメント作品を撮りたい気持ちもあるような気がしています」。実現の可能性の是非はともかく、すでにアイデアそのものはいくつもあるともいう。「第二次世界大戦がなかった日本の話や、『CASSHERN2』も考えています(笑)」と期待を煽るアイデアを温めている伊勢谷監督。『セイジ -陸の魚-』では、若い映画人が“次へつなぐ”ためにも奮闘したそうだが、伊勢谷監督の次回作がなによりも気になる!『セイジ -陸の魚-』2012年8月15日(水)、Blu-ray&DVDリリース
2012年08月15日2010年に単発ドラマとして人気を博し、今年1月から連続ドラマとして放送され、平均視聴率15.4%という好記録を打ち立てた竹内結子主演のミステリー・ドラマの映画化『ストロベリーナイト』が、6月30日(土)にクランクアップ!このほど竹内さん、共演の大沢たかおらキャスト陣からのコメントが到着した。原作は、累計180万部を売り上げる誉田哲也による「姫川玲子シリーズ」(光文社刊)。映画版では、シリーズ最高傑作と言われる「インビジブルレイン」を基に物語が展開する。高校時代に遭った犯罪被害からくる“殺意”と向き合いながら、刑事として奮闘する主人公・姫川玲子(竹内さん)は、暴力団員を狙う連続殺人事件のヤマを追う中、事件のカギを握ると思われる暴力団幹部・牧田(大沢さん)と出会い、立場を越えて徐々に惹かれあっていくが…。竹内さんが主演を続投するのに加え、西島秀俊、小出恵介らドラマからのレギュラー陣が再集結している本作。姫川と徐々に惹かれ合っていく暴力団幹部・牧田を大沢たかおが演じるほか、『ヒミズ』で一躍注目を集めた若手俳優・染谷将太が今回の物語の鍵を握る重要な役どころの柳井健斗役を演じることが明らかに。さらに、暴力団員役に金子賢、金子ノブアキら若手から石橋蓮司、田中哲司などベテラン勢まで豪華キャストが集結している。クランクアップ前には、ロケ地である名古屋市の協力により市街地を全面封鎖し、50トンにも及ぶ水の使用量、スタッフ総勢100人、エキストラ150人という大規模なセッティングの中、雨の中のクライマックスシーンが撮影された。竹内さんらがスタッフに歓声で迎えられながら、雨に濡れたままの格好で「やっと終わった~!」と叫ぶなど、キャスト・スタッフ共々、興奮冷めやらぬオールアップとなったようだ。今回、“喪失”というテーマのもと、ほぼ全編“雨”のシーンという異例の撮影が行われた本作だが、劇中のムードとは異なり竹内さんは「『ストロベリーナイト』全レギュラーキャストが再集結ということで、私にとってもかけがえのない仲間である姫川班や素晴らしい出演者の方々とまた同じ時間を過ごせるのは何かのご褒美のようで、毎日がとても楽しかったです」と満足感を感じさせる。また、映画版からの参加となった大沢さんについては「普段は気さくに相談事に乗ってくれる、かっこ良くて優しい兄のようでもあり、私個人にとって“王子様”的存在でもある方なのですが、牧田という役のフィルターを通すととても恐ろしい人なので関わりたくないです。早く撮影が終わらないかと内心では嘆いていました(笑)」とも。一方、大沢さんは全編が雨のシーンというところに惹かれたようで、「晴れていると撮影が中止ということもあって、いままでにない刺激を受け、そうした楽しみもある現場でした」と語る。さらに、「柳井を演じる染谷将太くんといった異彩を放つ役者さんとの撮影の日々だったので、一つ一つのシーンが刺激になって毎日すごく楽しかったです」と、若手競演陣との撮影も大いに楽しんだようだ。「捜査一課、姫川班、全登場人物がどんな結末を迎えるのか、みなさんがその“衝撃”に耐えてくださることを願っています」という意味深なコメントを寄せる竹内さん。映画版では、どのような捜査劇が繰り広げられるのか――?『ストロベリーナイト』は2013年、全国東宝系にて公開。『ストロベリーナイト』公式サイトstrawberrynight-movie.jp/■関連作品:ストロベリーナイト 2013年、全国東宝系にて公開© 2012「ストロベリーナイト」製作委員会
2012年07月02日部屋に入ってくるなり、明るくハキハキと挨拶する西島隆弘。パフォーマンスグループ「AAA」の一員として活躍する一方、園子温、蜷川幸雄といった錚々たる面々を惹きつける魅力を持った俳優である。人懐こい笑顔は『シグナル~月曜日のルカ~』で演じる心優しい青年・宮瀬恵介と同じ表情で、演じる役を自分に引き寄せていくタイプかと一瞬思うが、話を聞いていると、その第一印象は良い意味で裏切られていく。柔らかさの中にしっかりとした芯があるのだ。「僕の中に甘さとか弱さが無いんですよね、たぶん」西島さんが演じる恵介は夏休みに東京から帰省し、地元の古い映画館「銀映館」でアルバイトする大学生。そこで彼は映写技師のルカと出会う。ある事件をきっかけに3年間一歩も外に出ていない彼女と謎の男・レイジの存在によって、秘められた過去の全容が次第に明らかになる青春恋愛ミステリーを手がけたのは『時をかける少女』の谷口正晃監督だ。監督は西島さんの映画デビュー作、園子温監督の『愛のむきだし』を観て「恵介がいると思った」と語ったそうだが、本人は恵介と自分は似ていないという。「僕の中に甘さとか弱さが無いんですよね、たぶん」。それは今年1月に出演した舞台「下谷万年町物語」の演出家・蜷川幸雄にも指摘された。「蜷川さんに44公演中の中日辺りで『お前、芝居は完璧なんだけどさ、甘さが無いよね』って言われたんですよ。グサッと刺さりました。『男の甘さが無いと色気は無いよな』と(笑)。悔しくて、うち(AAA)のメンバーと飲んだときに聞いたんです。『俺、甘さ無いかな?』って。そしたら『無いっていうか、厳しいよね』と言われた。自分にも人にも厳しいって。僕の中ではそれが甘えなんです。自分が苦労してるとき、相手に同じ気持ち、僕のつらさを味わってほしい」と、むしろ高良健吾が演じたレイジのようなことを言い出す。「甘えですよね、完全に。人を許すキャパをもっと大きく持たなきゃ駄目ってこと。恵介にはそれがあるんでしょうね。自分の意見や感情よりも先に、ルカを尊重して許す。自分のエゴは相手に伝えない子です。そこが僕と違う」。谷口監督からはシンプルな芝居を求められ、そこに苦労したという。「『愛のむきだし』でも見受けられたと思うんですけど、僕、お芝居を始めたのは舞台からなので、演技が“濃い”というか。だから、シンプルってどういうことだろう?と。自分の中では壁というか、挑戦でした」。キャラクターとして強すぎない、フワッとした輪郭の恵介像を形にしていくために、東京の街を歩き回った。「カフェとか行って、学生服着てる子たちの会話を隣で聞いたりとか(笑)、その程度ですけど(笑)。勝手に自分で『あ、この人かな』とか思いながら観察してました」と笑う。既存の作品で誰かが演じた自然さではなく、現実の世界にあるリアルさを探した。「谷口さんもそこを求めていたので。変装ってわけじゃないですけど、目しか出てないみたいな格好で歩いていたので、何回か警察の人に職務質問されました」と苦笑する。撮影現場での「西島先生」の顔ヒロインのルカを演じた三根梓はこれがデビュー作。演技をするのも初めてという、正真正銘の新人だ。彼女は撮影現場で「西島先生」と呼んで、彼を頼りにしていた。「いや、芝居に関しては何も言ってないです、質問されない限りは。ただ、仕事をすること自体が初めてだったらしいので、現場での居方ですね。挨拶とか、スタッフに感謝することとか。自分のためにメイクしてくれて、衣裳を用意して、カメラを回してくれる。その人たちと1か月一緒にいるなら『おはようございます』、『ありがとうございました』、『お疲れさまでした』を言うのは人として当たり前のこと。それをまず学ぶべきものだと思うんです。彼女の根本にある優しさや、初々しさを失わないでほしいなと思ったので」。全く演技経験のない相手との共演は舞台で経験があり、「抵抗はなかったです」と言う。「ただ、映画は舞台と違って稽古がない。撮影前に谷口さんとリハーサルはしていたそうですが、現場に入ったらそれはまた違う話なので。本人もすごく苦戦してました。そこで多少のアドバイスというか、導くことはしてました」。撮影は去年の夏。AAAとして音楽フェスティバルへの出演もあり、新潟や長野の撮影現場とフェス会場を1日2往復する強行スケジュールの日もあったという。そんな多忙の中でも後輩を引っ張ってあげようと考えたのは『愛のむきだし』の現場が「戦場のようだったので(笑)」。誰の助けもなく、「もう我が道を行くしかなかった。逆にそれは僕の中でプラスになったんで、めちゃめちゃ楽しかったんです。でも、三根さんは女性だし、彼女にとって現場が楽しいものであることが作品の良さにつながるんじゃないかと思って、いろいろちょっかい出したりとか(笑)、なるべくコミュニケーションをとってあげました」。それでもやはり、慣れないうちは台詞を言うにも力んだり、あらぬ方向を見たりしていたという。「梓なのかルカなのかの違いだけであって、普段の会話とお芝居も変わらないんだよって話をして。彼女と恵介が成長していく姿を描くんだから、自分の中で思う純粋な動きをすればいいだけなんだよって話はしました」。完璧なアドバイス。思わず、「西島先生って呼んでいいですか?」と尋ねると、「いやいや」と照れて、「僕もそこはマスターしてないので。今後ずっと芝居をやっていくうえでの課題です。三根さんだけじゃなく、自分にも言い聞かせているんです」と謙虚に語る。「切り替えるというより、その世界に入るっていう感じかな」ルカをめぐって対決するレイジを演じた高良健吾との共演も「楽しかったです」とふり返る。「高良くんも『愛のむきだし』を観てくれていて、『共演したいと思ってたときにこの作品が決まって、すごい良かったです』と言ってくれました」。あるシーンを撮った後、2人でアイスを食べながら、こんな会話をしたという。「『西島さん、ドライ、テスト、本番、全部芝居違いますね』『ごめん。やりづらかった?』『いや、僕もそういう芝居の仕方なんで、すげー面白いし、楽しいっす』って。打ち上げのときも『いつか2人でバッチバチに対決する芝居したいね』って話してました」。撮影とライヴを往き来する目まぐるしい環境でも「気持ちが途切れることはない」と言う。「作品を問わず、撮影中に抱えたものをそのままAAAの現場に持ち込んじゃう。でも、ライヴが始まると、そっちのモードに入るんですよ。切り替えるというより、その世界に入るっていう感じかな」。その言葉に仕事への真摯な姿勢がうかがえる。共に歩んできたメンバーが言うように、自分に厳しい人なのだ。その厳しさから強さが生まれ、気後れするような大物との仕事にも物怖じしない度胸になる。「でも最初は手が震えますね。怖いです、やっぱり。でも、これほどの人と並ばなきゃいけないんだ、と思うと、もう何とも思わなくなります。この人たちと並んで芝居しないとバカにされる、と思った瞬間に震えが止まりますね」。緊張を糧に成長する。その強靱さがまぶしく、清々しい。(photo:Naoki Kurozu/text:Yuki Tominaga)■関連作品:シグナル~月曜日のルカ~ 2012年6月9日より新宿ピカデリーほか全国にて公開© 2012「シグナル」製作委員会
2012年06月06日竹内結子主演の刑事ドラマを映画化する『ストロベリーナイト』に、大沢たかお、三浦友和が新キャストとして出演することが発表された。その他の情報映画『ストロベリーナイト』は、誉田哲也の小説『インビジブルレイン』(姫川玲子シリーズ)が原作。暴力団構成員の連続殺人事件を追う刑事・姫川(竹内)が、隠ぺいされた警察組織の秘密に気付き、その闇を暴こうとする物語。大沢は、暴力団幹部の牧田勲役、三浦は物語のカギを握る、姫川班を含む捜査一課の課長・和田徹役を演じる。“ノンキャリアながら20代で警部補に昇進した智力と美貌を持つ主人公・姫川玲子”が当り役となった竹内は「今回の内容もなかなか手強いストーリーですので、いろんな意味で頑張っていきたいと思います。このヤマ、とれるか否か楽しみにして頂けると嬉しいです」と姫川流にコメント。映画は、連続殺人事件というサスペンスに加えて、姫川と牧田の関係性にも目が離せない展開になるという。大沢は「プロデューサーの方の熱意と原作の面白さに惹かれ、参加する事を決めました。“映画版”ではなく“映画”『ストロベリーナイト』と皆さんに言っていただけるように、素晴らしいキャスト、スタッフ達と作品を作っていければと思います」と意気込みを語っている。新キャストふたりのほか、竹内、西島秀俊、小出恵介ら“姫川班”を始めとしたドラマのレギュラー陣も総出演する映画『ストロベリーナイト』は、今月12日にクランクインし、7月にクランクアップする予定。2012年秋の完成を目指し、公開は2013年。『ストロベリーナイト』2013年 全国東宝系にて公開
2012年05月29日太宰治賞を受賞した辻内智貫の小説を、俳優としても活躍している伊勢谷友介が映画化した『セイジ-陸の魚-』のトークイベントが17日にテアトル新宿で行なわれ、森山未來、渋川清彦、滝藤賢一、伊勢谷監督が登壇。韓国公開の決定と台北で行われる第14回台北映画祭、ドイツで行われる第12回ニッポン・コネクションへの正式招待の決定が発表された。トークイベントの模様本作は、学生最後の夏休みを迎えた主人公(森山)が、一人自転車旅行に出かけた先で出会ったセイジ(西島秀俊)と、その個性的な仲間たちとの交流を通して成長していく姿を描く。映画の公開から、毎週末に伊勢谷監督のティーチ・インを実施したテアトル新宿では、リピーターが続出するほどのヒット記録をたたき出し、動員1万人を突破。最終回となるこの日のトークショーには森山と渋川が登壇し、伊勢谷監督とのトークショーを繰り広げた。森山は、今回監督としてメガホンを執った伊勢谷監督について「モノづくりでは、常にイメージを持って行動している人。何かあった時の対応もフレキシブル。受け皿が広い人ですね」と振り返り、渋川は「格好いい監督。瞬発力があるし、トラブルを結果うまく持っていく人」と、終始絶賛していた。また、この日発表された、韓国での上映決定、台北とドイツで行われる映画祭の正式招待について伊勢谷監督は、「海外で評価されて映画館に行くのではなく、みなさんがこの映画を支えてくれたから、他の方にも観なきゃいかんと伝わっていく映画になった。僕にとって一番嬉しい形になった」と、映画ファンへの感謝の気持ちを述べた。本作は29日(木)より、日本やヨーロッパの単館アート映画を韓国で多く配給する「SPONGE ENT」直営の映画館「SPONGE HOUSE」で公開。台北で行われる第14回台北映画祭は、6月29日(金)から7月21日(土)まで、ドイツで行われる第12回ニッポン・コネクションは、5月2日(水)から5月6日(日)まで開催される。『セイジ-陸の魚-』公開中
2012年03月19日「良いとか間違っているとかをジャッジするのではなく、ただそこにあるものを理解しようとすること――」。それこそがアーティストである前に“人間”伊勢谷友介を貫く哲学であり、2作目の監督作となる映画『セイジ−陸の魚−』の主人公・セイジ(西島秀俊)に背負わせた生き方でもある。昨年公開された『あしたのジョー』ではおよそ10キロの減量を敢行し、文字通り身を削って力石徹に変身した伊勢谷さん。「今回は監督だけだったので全くもって楽でしたよ」と飄々と語るが、完成した作品を観ればひとつひとつのセリフ、そして沈黙に至るまで、まさに彼が“心血を注いで”を作り上げていったことが分かるはずだ。前作『カクト』から8年。俳優としての活動に加え、己の生き方を形にするべく数年前より自らが代表となって始めた「リバースプロジェクト」の活動を経て、彼はこの映画で何を表現しようとしたのか?舞台は寂れた山奥のドライブインという、ほぼワンシチュエーション。ひょんなことから自転車旅のさなかに旧道沿いに立つドライブイン“HOUSE475”に立ち寄った僕(森山未來)と雇われ店主のセイジ、そこに集う人々の交流が静かに描き出される。前作がオリジナル脚本だったのに対して、今回は辻内智貴の小説(「セイジ」光文社文庫刊)を原作としているが、伊勢谷さんは原作小説が内包するテーマに惹かれ、5年越しで映画化を実現させた。「地球上で人間が生きているということを考えること。個人として我々に何ができるのか?人が困っているときに何をすべきなのか?それは僕がその頃考えていたことでもあるんですけど、そうしたテーマを全てこの小説は内包していました」。それを映画として表現する上で「テーマを前面に押し出したり、説明過多の物語にすることはしたくありませんでした。映画の中にもいろんな立場の人が出てきますが、観る人の経験や感覚によって理解や解釈が変わってくる作品にしたかった」と明かす。この言葉にもあるように“観客”の存在を念頭に置いて作品に対峙するようになったことが8年前との大きな違いだという。「8年前は『映画監督になりたい』という自分のための意識が強かったと思います。監督になるということがどこかで目的になってたんです。それが今回、映画を作ろうってなったときに、絶対的に観る人の存在が中心にあったんです。お客さんに何を持って帰ってもらうのか?という点を考えた上でデザインしているというのはものすごく変わった部分です。ここ5年の間にセイジという人間に関わり、彼について咀嚼したことで僕自身がいつの間にか成長できたんだと思います」。伊勢谷さんをそれほどまでに変えたセイジという男。いったいどんな人物なのか?映画の中では決して多くを語ろうとしないが、たまに口を開くと心を捉える言葉を持つ男として不思議な魅力を放つ。「地球を遠くから見つめている男」とは伊勢谷さんの表現。さらに自身と「近いところがある」と認めつつこんな思いも…。「実は、この原作を映画にしようと動き始めた時点では“アンチ・セイジ”というのが僕自身の彼に対するスタンスでした。セイジは全てを感じ、理解しているけど自分からは決して行動しないと決めている。僕は最初、それは間違いなんじゃないかと思ったんです。感じることができるなら、そのために行動することが現代に生きる人にとって光になるんじゃないかって思いの方が強かった」。だが5年の歳月をかけて脚本を練り直し、30稿を超える書き換えを積み重ねていく過程で伊勢谷さんの思いは徐々にセイジに寄り添い、重なっていく。「原作ではセイジはある種の“神”として描かれています。だからこそ余計な説明なしに彼の生き方というのが成立している。だけど、僕は人間としてセイジを描きたかった。彼に人間味を持たせたかったし、人間だからこそできるというのを伝えたかったから、原作にはないセイジがHOUSE475に至るまでの物語を描きました。最後にセイジが取る行動に関しても、彼がそうするに至る衝動や彼の中での道理というのを観る人に感じてもらいたいです。正直、そこは西島さんなくして成立し得なかったところなんですが…。『もしかしたら、そうしちゃうかもしれない』というところまで感じてもらうことができたら、何をもってして“人を助ける”と言えるのか?ということを考えるきっかけになると思います」。西島さんの話が出たが、かつて『CASSHERN』でわずかに共演経験のある西島さんに対する伊勢谷さんのスタンスは“信頼”の一言に尽きる。先述のラストシーン近くでセイジが取るある行動についても「30稿書いて誰からも『納得できる』とは言ってもらえなかったけど、西島さん自身はそのシーンに全く疑問を持たず『できるでしょ?』と言ってくれました。それは本当に心強かったです」と感慨深げにふり返る。本作の撮影前にアミール・ナデリ監督の『CUT』に出演していた西島さんは体脂肪をギリギリまで落とした状態だったが「俳優の状況も含めて映画はナマモノなので」(伊勢谷さん)、ほとんどそのままのコンディションで本作の撮影に臨んでいる。「実は僕自身、西島さんに演出したという記憶がほとんどないんです。唯一、覚えてるのが“僕”がセイジのフィルムを盗み見たシーンについて。『イスに座ってほしい』とお願いしたら西島さんが『それはできないと思う』と言われて、話し合ったことぐらいかな。ただ、こないだ西島さんと話したんですが、僕は相当細かいタイプの監督らしいです…自分ではいまいち分かんないんですけど(笑)。僕から見て、西島さんがすごいと思うのは精神的な意味での立ち位置。隣に人が並んで立っていても、全く違うところにいるような不思議な感覚を与えてくれる。西島さんがそうした部分を意識しているのかどうかは知りませんが、少なくとも『持とう』と思って持てるものじゃないです。それはまさにセイジが持っているのと同じものでした」。一方でこれほど難しく、そして魅力的な役を自分以外の人間が演じることに対し、“俳優”伊勢谷友介として葛藤はなかったのだろうか?そう尋ねるとわずかに口元に笑みを浮かべ「監督をやらないのであれば、もし自分に来たら嬉しい役でしたね」と本音をチラリ。だがすぐに“監督”の顔になって、自身の中にあるモチベーションを語る。「それなりに年を取って(苦笑)、感じるのは昔のように『楽しいからやる』という以上にある種の使命感をもって表現に臨んでいるということ。そう言うと大げさで偉そうに受け取られるかもしれないけど、良い人間か悪い人間かどちらになりたいかと言われたら良い人間になりたいって思えるようになったんです。そのために現実の中で活動し、どうレベルアップしていくか?と考えるようになって、それがリバースプロジェクトにも繋がっていきました。俳優との違い?役を演じるときは与えられた環境の中で感情を全開にして爆発させようとしてます。でも、監督してるときは爆発しちゃヤバいですからね。そういう意味で精神的に使っている部分が全然違います」。伊勢谷友介が“大人”になった?いやいや案ずるなかれ。映画のあちこちで俳優のときとはまた一味違った“尖った”表現をしっかりと見せてくれている。インタビューの最後には、意味ありげな笑みを浮かべてこんな言葉を…。「こうあってほしいという理想を描くだけでなく、“アンチテーゼ”として描くこともまた重要な表現だと思ってます」。監督として俳優として、今後もスクリーンの中で大きな“爆発”を見せてほしい。(photo/text:Naoki Kurozu)■関連作品:セイジ−陸の魚− 2012年2月18日よりテアトル新宿ほか全国にて公開© 2011 Kino Films/Kinoshita Management Co.,Ltd■関連記事:伊勢谷友介「Hに大人の女性を見ていた」裕木奈江に大学生目線?西島秀俊×森山未來『セイジ』で共演、役柄へとたどり着く深遠なる旅路伊勢谷友介「いい子ちゃん役者は1人もいない」西島×森山タッグに自信たっぷり!伊勢谷友介は年上の女性好き?渋谷慶一郎の暴露にタジタジ!西島秀俊×森山未來登壇!『セイジ−陸の魚−』完成披露試写会に20組40名様ご招待
2012年02月23日俳優の伊勢谷友介が2月18日(土)、8年ぶり2度目のメガホンを取った『セイジ−陸の魚−』の初日舞台挨拶を東京・テアトル新宿で行い、主演の西島秀俊、共演する新井浩文と共に登壇した。完成までの約5年を費やした本作に「積年の思いが詰まっている」と伊勢谷監督。公開規模が決して大きくない中、「大作並みに宣伝を頑張った」と言うが、結果的に「twitterで『もっと上映しろ』って怒られた」とションボリする場面も。現在は「リバースプロジェクト」を立ち上げ、被災地となった東北の支援に奔走しており「いつか東北でも上映できるよう頑張りたい」と宣言した。辻内智貴の同名小説を映画化した本作。バブルの熱が冷め切らない時代を舞台に、夏休みを利用し自転車旅行に出かけた“僕”(森山未来)がひょんなことから訪ねたドライブインで、無口だが人を惹きつけてやまないセイジ(西島さん)や彼を取り巻く個性的な人々と交流し、“人は何のために生きるのか”という命題と向き合う姿が描かれる。西島さんにとっては「いろんな感じ方ができる作品」だと言い、「人間が生きる理由…。きっと、自分の中にある可能性を伸ばしていくことだと思います」と本作から得た思いを語った。一方、ドライブインの常連客を演じる新井さんは「夜、散歩したり、餃子祭りに行ったりした」と栃木県・日光でのロケを満喫した様子。散歩中には露天風呂を覗けるスポット(!?)も発見したと大はしゃぎだったが、「僕らも同じ場所にいたけど、見ていない」(伊勢谷監督)、「そもそも夜、散歩しない」(西島さん)と軽くあしらわれた。本作には裕木奈江が店のオーナー役で出演。実は伊勢谷監督、大学時代にドラマ「北の国から」を見て以来、裕木さんの大ファンだったのだとか。「ずっと憧れていたし、今回は大学生目線で、Hに大人の女性を見ていた」と恥じらうことなく、撮影時の“熱い思い”を告白していた。『セイジ−陸の魚−』はテアトル新宿ほか全国にて公開中。■関連作品:セイジ−陸の魚− 2012年2月18日よりテアトル新宿ほか全国にて公開© 2011 Kino Films/Kinoshita Management Co.,Ltd■関連記事:西島秀俊×森山未來『セイジ』で共演、役柄へとたどり着く深遠なる旅路伊勢谷友介「いい子ちゃん役者は1人もいない」西島×森山タッグに自信たっぷり!伊勢谷友介は年上の女性好き?渋谷慶一郎の暴露にタジタジ!西島秀俊×森山未來登壇!『セイジ−陸の魚−』完成披露試写会に20組40名様ご招待【TIFFレポート】西島秀俊、“力石”伊勢谷友介も認める体脂肪ゼロの役作り!
2012年02月20日俳優の伊勢谷友介が8年ぶり2度目のメガホンを取った『セイジ−陸の魚−』。辻内智貴の同名小説を映画化した本作に西島秀俊、森山未來という人気・実力を兼ね備えた2人がW主演で顔を揃えた。映画ファンならば期待せずにはいられない監督×キャストの化学反応は事実、観客の想像をはるかに超えるものとなった。伊勢谷監督からの熱烈オファーに「本当に行動力がある人」(西島さん)、「他人の巻き込み方がすごいんです(笑)」(森山さん)と応えた2人は、いかに本作と向き合い、伊勢谷ワールドの住人となりえたのか。学生最後の夏休みを利用し、あてのない自転車旅行に出かけた“僕”(森山さん)は、山道で軽トラックと衝突。手当てを受けるため連れて行かれたドライブイン・HOUSE475には、雇われ店主のセイジ(西島さん)の姿があった。物静かだが、発する言葉は不思議な力を持ち、ドライブインに集う常連客からも慕われる存在だ。「普通の人とは違った視点で生きる人間を演じてみたかった。セイジは僕らより、はるかにいろんなものを達観している人物だと思います」と西島さん。あえて演じる役柄に対し、理解や共感できる要素は求めなかった。「例えば、僕は殺人犯じゃないです(笑)。でも演じることはできる。その人物の奥底に潜む“何か”に触れてみたいという気持ちがあれば、演じられると思います」。セイジという人物に関しては、「特に彼が抱える心の闇を捕まえたかった。いや、捕まえられるという確信がありました。根拠はないんですけどね(笑)」。根拠なき確信。これぞ俳優にしか分かりえない、芝居の不可思議な魅力だ。実は西島さん、本作撮影の前後にアミール・ナデリ監督の『CUT』にも出演していた。暴力にさらされながら、自らの映画愛を狂おしいほどに貫く映画監督・秀二を演じ、肉体的にも精神的にも追い詰められた状態だったという。「本来なら、絶対に時間を空けて取り組むべきなんですけど、今回は伊勢谷監督も『連続でやったほうがプラスなんじゃないか』と言ってくれて。設定は全然違いますが、何か自分よりも大きなもの、例えば罪といったものを背負ってしまった点はセイジも秀二も似ているかもしれない。確かに『CUT』で得た狂気のエネルギーを、そのまま『セイジ』に持ってきて、違う形で広げることができたと思います」(西島さん)。一方、森山さんが演じる“僕”は、セイジと彼を取り巻く人々や環境を見つめる傍観者という立ち位置。演技にもまた、共演者との微妙な距離感が求められた。「“僕”自身、セイジが抱える背景は知らないし、ちゃんと向き合うこともしない。それに斜に構えた性格だから、セイジさんに確信的なことを言われると、しゃくに障るというか、腑(ふ)に落ちない…でも、やっぱり気になっちゃうというグルグルした感じですね」(森山さん)。そこでたどり着いた答えは「もう、ただただセイジさんや周りの人たちに振り回されればいいやって」という達観。単なる師弟の関係性で、セイジを慕うような“僕”にはしたくなかったという。もちろん“僕”はただ振り回されるだけの存在ではない。森山さんは“僕”に近づく役作りの一環として、東京からロケ地となった栃木県・日光まで役柄そのままに一人自転車を走らせ、現場入りした。「まあ、そういうのはだいたい悪ノリですけどね」と森山さん(すぐさま、西島さんが「そんなことないでしょ」とツッコミを入れた)。「確かに自転車を走らせながら、“僕”を少しずつ作り上げた部分はありますね。正直、現場に行って“スイッチポン”で役に入れるタイプじゃないので、俳優である僕にとっては、必要なことだったと思います」。役柄へたどり着く旅路は、演じる俳優にとって千差万別。「正解はないんです」という森山さんの言葉が印象的だ。果たして伊勢谷ワールドの住人となった西島さんと森山さん。シンプルでどこか牧歌的な空気が流れる前半から一転、凄惨な事件によって、すべての歯車が狂い始めると、2人の演技はより深遠に、そして予想不可能なベクトルへと歩み始める。傷ついた魂の救済を目指すセイジ、もはや傍観者ではいられない“僕”が出した答えとは?決して言葉では説明できない決断が、俳優2人の演技によってのみスクリーンに結実する瞬間は、映画ファンに苦しくも至福の喜びを与えるはずだ。(photo / text:Ryo Uchida)■関連作品:セイジ-陸の魚- 2012年2月18日よりテアトル新宿ほか全国にて公開(C) 2011 Kino Films/Kinoshita Management Co.,Ltd
2012年02月16日辻内智貴の同名小説を映画化した『セイジ−陸の魚−』の完成披露試写会が2月10日(金)、都内で開催され、8年ぶり2度目のメガホンを取った伊勢谷友介監督、W主演を果たした西島秀俊と森山未來が舞台挨拶を行った。主演2人を直接口説き落とした伊勢谷監督は「いい子役者は1人もいない現場。遠慮せず、ちゃんとお芝居できる人が集まってくれた」と自信たっぷりにコメント。西島さんと森山さんがカメラ越しに見せる化学反応に毎回シビれていたと言い「本当たまらんです」とニンマリしていた。バブルの熱が冷め切らない時代を舞台に、夏休みを利用し自転車旅行に出かけた“僕”(森山さん)がひょんなことから訪ねたドライブインで、無口だが人を惹きつけてやまないセイジ(西島さん)や彼を取り巻く個性的な人々と交流し、“傷ついた魂の救済”という命題と向き合う姿が描かれる。撮影中は「だいたい70パーセントは雨で、本当にしんどかった」と言い、「俺のせいだと諦めた」と自虐的な伊勢谷監督。それでも現場に用意された食事のケータリングが「毎日毎日ずっとうまかった!こんなことはない」と楽しい思い出話も。ただ、西島さんが役作りのため、過酷なダイエットに挑んでいたため「西島さんは超かわいそうだった」と同情しきり。当の西島さんは「セイジは大自然に近い視点に立った男なので、余分なものをそぎ落とそうと。食事はかなり制限しましたが…」と涼しい表情でふり返った。“僕”を演じた森山さんは、役柄そのままになんと東京から撮影が行われた栃木県・日光まで自転車に乗って現場入りしたのだとか。「役作りの意味もあったが、ただ“旅人”と呼ばれたかっただけ」とあくまで自然体だ。企画から完成までには5年の歳月が費やされただけに、伊勢谷監督は「こうしてみなさんに観てもらえるのは、すっごく興奮する。5年間の思いがやっと結実した作品なので、生きるうえで何かを考える糧になれば。できれば5年後にもう1回観てください」と熱弁していた。『セイジ−陸の魚−』は2月18日(土)よりテアトル新宿ほか全国にて公開。■関連作品:セイジ−陸の魚− 2012年2月18日よりテアトル新宿ほか全国にて公開© 2011 Kino Films/Kinoshita Management Co.,Ltd■関連記事:伊勢谷友介は年上の女性好き?渋谷慶一郎の暴露にタジタジ!西島秀俊×森山未來登壇!『セイジ−陸の魚−』完成披露試写会に20組40名様ご招待【TIFFレポート】西島秀俊、“力石”伊勢谷友介も認める体脂肪ゼロの役作り!伊勢谷友介の監督第2作は「王様のブランチ」で絶賛のベストセラーの映画化!
2012年02月10日俳優としても活躍する伊勢谷友介が8年ぶりにメガホンを執った映画『セイジ -陸の魚-』の完成披露試写会が10日に都内で行われ、主演の西島秀俊、森山未來と伊勢谷監督が登壇した。その他の写真本作は、太宰治賞に輝く辻内智貫の同名小説を映画化。美しい自然を舞台に、大学最後の夏休みに自転車でひとり旅をしていた“僕”(森山)と、国道沿いのドライブインで純粋に生きる男セイジ(西島)とのひと夏の日々を描く。この日集まった350人以上の観客からの大歓声で迎えられた伊勢谷監督は「5年かけた作品をみんなに観てもらえると思うと嬉しい」とあいさつ。撮影現場の話題になると、伊勢谷監督は「とにかく西島さんの体がすごくて。俺、『明日のジョー』であんだけ頑張って鍛えたのに、彼に現場で全部持って行かれました!」とチクリ。西島は苦笑しながら「セイジの役に近づくために余分なものをそぎ落として、精神的にも研ぎ澄まされた感じで演じることができました」と話し、撮影中は食事を控えるなど減量に徹したようだ。また、伊勢谷監督は「今回、自分の好きな役者さんたちを集めました。僕のつたない脚本を120%、150%以上にと高めてくれる瞬間に立ち会えたことが、たまらなかった!」と出演者を賞賛。さらに西島は森山に対し「日本で一番エグい俳優」と語ると、伊勢谷監督は森山が西島を「こんなに映画狂いな役者いないよね(笑)」「この変態!」と言っていたことを明かすひと幕もあった。最後に伊勢谷監督は「年齢によって、さまざまな捉え方があると思うので、1回観たらまた5年後に観てほしい」と締めくくり、作品をPRした。『セイジ -陸の魚-』は18日(土)より公開。『セイジ -陸の魚-』2012年2月18日(土)より、テアトル新宿ほか全国順次ロードショー(C)2011 Kino Films. All rights reserved.写真:内田涼
2012年02月10日太宰治賞に輝く辻内智貫の小説を伊勢谷友介が映画化した『セイジ -陸の魚-』。伊勢谷、主演の西島秀俊、森山未來という映画愛に満ちた3人が個性を競い、「マイウェイで疾走した結果、危ういバランスの作品に仕上がった(森山)」という渾身作。西島、森山が語った。その他の写真本作は、国道沿いのドライブイン"HOUSE475"を舞台に、大学最後の夏休みに自転車でひとり旅をする"僕"が、ドライブインで純粋に生きる男"セイジ"と出会い、共同生活をおくる人間ドラマ。「"セイジ"のように自然と人間の境界にいるような存在を演じてみたかった(西島)」、「伊勢谷さんが監督で、西島さんがいて、そしてバックには自然が広がっていて、すごく危ういバランスを感じました。その雰囲気を想った時に、"僕"を演じてみたいと思いました(森山)」と出演理由を明かす2人。俳優でもある伊勢谷が『カクト』以来8年ぶりに監督を務めることも大きく、「このキャスティングは伊勢谷監督が化学反応を求めてのことだったと思う(西島)」とシナジーへの期待は3人の中で共通する想いだった。やがて"僕"は抗しがたい"セイジ"の魅力に惹き込まれ、人生の意味を自問自答しながらも、仲間たちと楽しく日々を過ごす。しかし、ある日、街で凄惨な事件が起きてしまい、"人生の本質"や"救い"というテーマがシリアスな色彩に変調しながら、危うい関係の登場人物たちの葛藤によって問い直されていく。その見事な映像表現は伊勢谷によるコントロールだけではなく、「伊勢谷監督も僕も森山君も、すごくマイペースのままでよかった。基本的に自分のやり方を貫くので、3人とも同じで(笑)。それがよかったと思います(西島)」、「マイペースというか、マイウェイ(笑)。伊勢谷監督は僕らのことを"とっぽい"と言っていましたが、映画を観て監督が一番"とっぽい"なと(笑)。それが相乗効果じゃないかなという気はしました(森山)」と三者の個性が競り合った現場を回想していた。「3人が全員同じ方向へ走っているというよりは、バラバラに走って散って行って、それが結果的に作品になっている(西島)」、「マイウェイで疾走した結果、危ういバランスの作品に仕上がった(森山)」と本作の手応えを実感する2人。映画愛に満ちあふれ映画に愛された伊勢谷、西島、森山の才能が激突した『セイジ -陸の魚-』。この化学反応を見逃すな!『セイジ -陸の魚-』2012年2月18日(土)より、テアトル新宿ほか全国順次ロードショー文:鴇田 崇
2012年02月01日伊勢谷友介の『カクト』以来となる監督作『セイジ−陸の魚−』が完成。1月24日(火)に試写会が行われ、上映前には伊勢谷監督と音楽監督を務めた渋谷慶一郎のトークセッションが行われた。西島秀俊、森山未來、裕木奈江らをキャストに迎え、辻村智貴の小説「セイジ」(筑摩書房/光文社文庫)を実写化した本作。自転車旅行で山奥のドライブインに立ち寄った僕(森山さん)は、普段は寡黙ながらも心を捉える言葉を持つ雇われ店長のセイジ(西島さん)や店に集まる常連客たちに惹かれて住み込みで働き始めるが、ある日街で凄惨な事件が起こり…。伊勢谷さんと渋谷さんは、学科は違うものの東京芸術大学の同窓生であり学生時代からの付き合い。伊勢谷さんは「渋谷さんが乗っけてくれた音が映画の世界観を高めてくれたし刺激的でした」と満足そうに作品をふり返る。だが、現場では衝突もあったようで渋谷さんが「一度、帰ろうとした」こともあったとか。「それは僕にひとつの意見があって、監督にもひとつの意見があって、それが全く違うものであるなら、そこで着地点を見つけてしまったらクオリティが下がる」と渋谷さんは互いの仕事に敬意を払いつつも妥協することのない現場について明かす。本作を含め、映像関係のオファーが続く渋谷さんだが「(監督の)言うこと聞かないから使いにくいと思うんだけどね」と笑いつつ「最初に話が来て、『こういう風にしよう』ってひらめくときは良い仕事ができるもの」と説明。複数のミュージシャンが参加した本作のサウンドについて「僕も参加した映画『告白』の音楽は、いろんな人が参加しているんだけど、それと同じようなことを電子音楽の人たちでできればと最初に思った」と最初から手応えをつかんでいたよう。伊勢谷さんも「改めて、渋谷さんと向き合えたことが嬉しい」と笑顔を見せた。劇中に使われている主題歌は、渋谷さんが作曲し、作詞を菊地成孔が担当、太田莉菜がボーカルを務める。渋谷さんは人から太田さんを紹介されて会って話をしてその声を耳にしたことで彼女をボーカルとすることを決めたそうだが、「話し声の方がその人の本質が出る」と語る。サウンドトラックのアルバムと共にシングル「サクリファイス」として2月15日(水)に発売されるが、「僕はこの映画を“自己犠牲”として読んでいる」と同曲のタイトルに込めた思いを語った。映画について渋谷さんは「かなりの数の人が出てくるし展開も多いけど、パーソナルな映画。彼(伊勢谷さん)が考えていることが分かると思います。年上の女性が好きなんだな、とかね(笑)」と語ったが、これに伊勢谷さんは「大学のときって年上の女性が好きだったりするじゃないですか(苦笑)」と慌てて言い訳。会場は笑いに包まれた。『セイジ−陸の魚−』は2月18日(土)よりテアトル新宿ほかにて公開。■関連作品:セイジ−陸の魚− 2012年2月18日よりテアトル新宿ほか全国にて公開© 2011 Kino Films/Kinoshita Management Co.,Ltd■関連記事:西島秀俊×森山未來登壇!『セイジ−陸の魚−』完成披露試写会に20組40名様ご招待【TIFFレポート】西島秀俊、“力石”伊勢谷友介も認める体脂肪ゼロの役作り!伊勢谷友介の監督第2作は「王様のブランチ」で絶賛のベストセラーの映画化!
2012年01月24日妻として、モデルとして、そして歌手へ俳優の松田龍平の妻でモデルとして活躍する太田莉菜が、2月18日に公開される伊勢谷友介監督の「セイジ陸の魚」でイメージソングを歌うことが分かった。今後本格的に歌手としての活動も始動することになりそうだ。「セイジ陸の魚」は西島秀俊と森山未來のダブル主演で注目されている映画。音楽は現代音楽からドラマ音楽などまで幅広く手掛けるアーティスト、ATAKで知られる渋谷慶一郎が担当する。ほのかな切なさ、やわらかな歌声が魅力!今後にも期待太田はこの渋谷音楽監督とコラボレーションし、「渋谷慶一郎feat.太田莉菜」名義で、映画のイメージソング「サクリファイス」を歌うという。楽曲の発売は2月15日を予定する。新しい電子音楽をベースにした作品を多く世に送り出している渋谷氏らしく、楽曲は彼が作曲したピアノソロのメインテーマに伴奏のメロディーが重なり、そこへ電子音で加工した声の太田莉菜が歌うスタイルに仕上がっているという。電子音でありながら、端々に表れる感情が、逆に際立ち、えもいわれぬ切なさと独特の温度感を生じさせるユニークな楽曲となっているようだ。太田のやさしい歌声もイメージに非常に合っているという。歌の経験はないけれど、新しい表現の場にトライできたことを喜んでいるという彼女。この楽曲の仕上がりが期待されるのはもちろん、仕事と育児・家事を両立しながらの、今後の活躍にも期待が集まるところだ。元の記事を読む
2012年01月11日俳優の西島秀俊が12月17日(土)、イラン出身の名匠アミール・ナデリ監督がメガホンをとる主演作『CUT』の初日舞台挨拶を東京・シネマート新宿で行った。西島さんは本作で、借金返済のために“殴られ屋”になる映画監督を演じ「撮影が進むうちに、どんどんハードになっていき『今日も無事にいいシーンが撮れますように』と祈る毎日だった」とふり返る。一方、ナデリ監督は「西島さんの勇気と才能、ハートがあったから完成できた作品。きっとみなさんが知らない西島さんが見られるはずです。ちなみに、いまは西島さんのボディガードをやっています(笑)」と、西島さんがボディガードを演じる主演ドラマ「僕とスターの99日」(フジテレビ)を引き合いに、客席を笑いに包んだ。ヤクザの世界で生きる兄からの資金援助を受け、前衛的なインディペンデント映画を撮る秀二(西島さん)は、兄の死をきっかけに、莫大な借金を返そうとヤクザ事務所で“殴られ屋”を始めることに。殴られる痛みを映画への愛に変え、試練に耐える秀二をめぐるヒューマンドラマが重厚なタッチで描かれる。西島さんとナデリ監督の出会いは、2005年の「東京フィルメックス」だと言い、「一目で常人ではないと分かる、ものすごいエネルギーを放っていた。運命的なものを感じた」(西島さん)、「会った瞬間、長い時間待ち望んでいた出会いだと直感した。私を信頼してくれた西島さんに感謝したい」(ナデリ監督)。それでも当初は、西島さんも「あまりに前衛的な内容なので、映画にするのは難しいと感じた」のだとか。後押ししたのは「不可能を可能にするんだ」という監督の言葉だったそうで、「僕自身も挑戦したかった。こうして初日を迎えたこの瞬間は一生忘れない」と誇らしげな表情を浮かべていた。映画、ひいては芸術を守るために命を賭ける男のドラマ。本編には映画史を彩る名作へのオマージュが約100作分含まれており、「これを機会に、過去の名作に触れてほしい。いまは、特に若い世代がハリウッド大作に洗脳されている傾向にあるが、それだけが映画じゃないと知ってほしいのです」(ナデリ監督)。さらに「観客の感情を操り、お金もうけするのは簡単なこと。私はもっと誠実な映画作りをし、観客との体験の共有を目指しています。インディペンデント映画が存続するためには、みなさんの応援が必要なのです」と主人公さながらに、熱っぽく訴え。名作タイトルが描かれたクッキー100枚をプレゼントされ、子供のように大はしゃぎだった(クッキーは監督の大好物なのだとか)。西島さんも「もっと上映館が増えて、いつかシネコンでこの作品の舞台挨拶をするのが一番の夢」とアピール。より多くの人に、アート映画やインディペンデント作品を観てほしいというナデリ監督の思いを援護し、同じ映画人として“共闘”を誓っていた。『CUT』はシネマート新宿、シネマート心斎橋ほか全国にて公開中。(text:cinemacafe.net)■関連作品:CUT 2011年12月17日、シネマート新宿、シネマート心斎橋ほか全国にて公開(C) CUT LLC2011
2011年12月19日“役者バカ”なんて野暮ったい響きの言葉はクールでスタイリッシュなこの男にそぐわない気もするが、話を聞けば聞くほどそれがぴったりにも思えてくる。もしも、これまでに役作りのために増減した体重の量を競うコンテストがあったら、香川照之あたりと日本代表の座を争いそうだ。イランが誇る名匠アミール・ナデリ監督とタッグを組んだ本作『CUT』でもギリギリまで体脂肪を落とした。監督からの口説き文句は「お前はおれと一緒に映画を作る運命にある」。そう言われて西島秀俊が燃えないはずはなかった――。“俳優部”のひとりとして臨んだ撮影西島さんが演じたのは、兄が残した借金を返済するため、兄が死んだ場所でやくざを相手に殴られ屋となった映画監督の秀二。これまで数多くの映画やドラマに参加してきた西島さんだが、本作ではこれまでとは全く異なる作品へのアプローチ、いち俳優という存在を超えてこの作品に携わることを監督から求められたという。「僕はこれまで、どちらかというと“俳優部”のひとりとして現場にいて、映画が生まれてくる瞬間にみんなで立ち会うというスタンスでやってきたんですが、この作品に関してはナデリ監督から『限界まで体脂肪を落とせ。現場では誰とも挨拶を交わすな。そうやってお前が全身全霊をかけて役に関わる姿を示すことで、みんながこの映画に携わるというのが分かって一緒に進んで行くんだ』と“特別な存在”になるように言われました。周りにどう思われようが、狂ってると思われようが、そんなことはどうでもいい。とにかく良い演技をすることだけを考えろ、と。監督に『全てを出せ』と言われてストレートに出せたというのはすごく大きなことでした」。撮影中からこの作品が自身のキャリアの中でも特別なものになると西島さんは感じていたそうだが、映画の完成後に監督が漏らしたある言葉でその思いは決定的なものとなる。「釜山映画祭の会見で監督が『この映画は(映画監督のジョン・)カサヴェテスの映画なんだ』とおっしゃったんです。ナデリ監督は(カサヴェテスの最後の作品である)『ラヴ・ストリームス』の現場にスタッフとしていらしたそうで。『ずっと撮ろうとしていたけど、どうしても撮れなかった。西島と会って日本で撮ることを決めた』と。僕にとってカサヴェテスは、彼の映画を観て人生が始まったと思えるくらい大きな存在。その人自身を演じていたと撮影が終わった後で知って何だか妙に腑に落ちました。撮影のときから『この映画は自分にとって岐路になる映画だ』と感じていたので、やはりそうだったんだ、という思いですね」。「どんなに頑張っても撮れないようなカット。そこに近づきたい」秀二にとって“生きる”ということと“映画を作る”ということは同義。殴られるたびに敬愛する映画監督たちが作った作品を思い浮かべ、アート系の映画の発表の場がどんどん失われていくことを嘆き、商業主義第一の映画界の現状を舌鋒鋭く批判する。西島さん自身、秀二の生き方や思いに共感する部分は?「僕はドラマも大きなバジェットの映画もやるし、それこそ秀二が批判しているような作品にもたくさん出ます。ただ俳優である以前に、僕自身が最も大切にしているのはアート系のインディペンデント映画です。そういう作品に出ることが自分の目標であり、そのために生きてるというのはあります。実際、すごい作品というのは本当にすごくて、どうやって撮ってるのかが分からない。どんなに頑張っても撮れないと思えるようなカットを平然と――おそらく平然とではなく死ぬ思いで撮ってるんでしょうが――撮っている人たちがいる。自分もそこに近づきたいという思いがあります」。秀二も娯楽作品を全て否定しているわけではない。西島さんは「秀二は、エンターテイメント作品が悪いということではなく、アート映画の場がなくなることが問題だと言ってるわけで、それは僕も同じ思いです」と秀二の思いを代弁する。「僕自身、香港映画やエンタメ作品で好きな映画はたくさんあるし、おそらくナデリ監督にもあると思う。ただ、アート系のスクリーンが減っていくこと、オリジナル脚本の作品が少なくなっていくことには愕然としています」とも。自ら選ばない、流れに身を任せることここであえて、逆方向から質問してみた。現在もドラマ「僕とスターの99日」に出演中だが、西島さんにとってアート作品ではなく、こうしたエンターテイメント作品に出演することの楽しみ、やりがいは?「自分が昔、見ていたドラマ――もしかしたら僕がこの仕事を始める以前の作品かもしれないし、そういうのは映画監督が撮ってたりするんですが――『ドラマって面白いな』と思えた作品に近づきたい、そういう作品を作ってみたいっていう思いがあります」。ちなみに、驚くべきことだが西島さん自身はドラマであれ映画であれ、自ら出演作品の選定にタッチすることはほとんどないという。そこにも俳優・西島秀俊の生き方が見え隠れする。「そこは100%、マネージャーに任せてます。もちろん、マネージャーが『この台本どう思う?』って聞いてくることはあるし、僕が興味を持っているものについて話をすることはありますが、彼がやると言って僕が『NO』と言ったことは一度もないです。信頼もしてますし、そこで(マネージャーの意見と西島さんのやりたいことが)重ならなくてもいいと思っています。多分、僕がやりたいことだけをやってたらすぐに手詰まりになって終わります(笑)。マネージャーと俳優の視点というのは間違いなく違うもの。だからこそ、そこは合わなかったとしてもやります」。彼の言葉からも生き方からも計算というものが感じられない。冒頭に紹介したナデリ監督の言葉ではないが、運命や流れに身を任せ、自分で制御することのできない舟を楽しんでいるかのような…。『CUT』という岐路を経て、舟はどこに向かうのか――?(photo/text:Naoki Kurozu)■関連作品:CUT 2011年12月17日、シネマート新宿、シネマート心斎橋ほか全国にて公開© CUT LLC2011■関連記事:西島秀俊が最新作『CUT』で受けた「人生で最大の衝撃」を告白ヴェネチア、モントリオールにトロント…世界の映画祭での邦画の奮闘に期待!常盤貴子&筒井道隆が急接近!?「圭史くんに言いつける」とベテラン女優が釘をさす?西島秀俊、主演作『CUT』監督との出会いの場で「本性見せろと言われた(笑)」西島秀俊、イランの巨匠作品主演!共演の常盤貴子は13年ぶりショートヘア
2011年12月14日イラン出身で米国在住のアミール・ナデリ監督が西島秀俊を主演に日本で撮りあげた新作『CUT』が17日(土)から公開される前に、西島がインタビューに応じた。その他の写真『CUT』は、兄から借金を続けて活動を続けるも成功しない映画監督の秀二が、死んだ兄の残した借金を返済するために“殴られ屋”を始め、自身のこれまでの人生と愛する映画のために全身全霊で立ち向かっていく姿を描いた作品。日本映画界で活躍する西島と、米国を拠点に新作を発表し続けるナデリ監督が出会ったのは、毎秋に開催されている映画祭「東京フィルメックス」の会場。人の紹介で出会ったというふたりは、すぐに意気投合したという。「出会ってすぐに監督とは心が通じ合って。好きな映画やシーンも合うんです。だから監督が日本に来た時には一緒に散歩して、最近観た映画の話とか、自分がどこで生まれ、どういう道のりを経てここにいるのかなんて話もしましたね」。そんなナデリ監督は、西島と出会って間もなくして本作の話をしていたそうだ。「監督は『お前は俺と映画を撮る運命にある』って言ってくれてました」。しかし、過去の作品を観賞すればわかるが、ナデリ映画の主人公は極限まで追いつめられる。もちろん、監督の作品を観ていた西島にとって、そのことは百も承知だ。「最初に監督からは『お前は確実に地獄を見る。俺のことを本当に嫌いになる。でも出来上がりを観たら俺のことを好きになる』って言われて。実際の撮影現場は僕だけじゃなくて、関わった人全員が“限界以上”を出さないと監督のOKが出ない。撮影中、監督からは『一切、喋るな』って言われました。俳優が役以外の話をするなんてとんでもないって。でも、世界の本気の監督たちはここまで要求するよな、って。そういう場が自分に与えられたことは本当に幸せでしたね」。ナデリ監督の現場がいかに過酷で、主演を務めた西島がどれだけ追いつめられたかは、完成した映画を観れば嫌というほど伝わるだろう。主人公の秀二は、ひたすら殴られ、傷を負い、血まみれになりながら、自身と愛する映画のために立ち続ける。その姿は、西島自身と重なる部分がある。「才能ある監督が自分の撮りたいものを撮りたいように撮るべきだと思うし、そういう映画をたくさん観たいというのが僕の願い。だから、微力ですけれどもできることは全部やろうと思っています。たまに『これから映画のために闘っていきたいですか?』って聞かれるんですけど『僕も映画に関わっている人もずっと闘っています』ってお答えしているんです。だからこの映画によって仲間が増えて、才能ある監督が自由に撮れる環境になるといいなと思います」。『CUT』12月17日(土)よりシネマート新宿、シネマート心斎橋ほか全国順次公開
2011年12月14日西島秀俊主演でイランの名匠アミール・ナデリがメガホンを取った『CUT』のジャパン・プレミアが第12回東京フィルメックスにおいて11月23日(水・祝)に開催。ナデリ監督に西島さん、ヒロインを演じた常盤貴子が舞台挨拶と上映後のQ&Aに出席した。共に2005年のフィルメックスの審査員を務めた関係で知り合い、意気投合したナデリ監督と西島さんが念願かなって作り上げた本作。自分のために借金を重ねて命を落とした兄の残した借金を返すために、やくざを相手に殴られ屋を始めた映画監督の男の姿を描く。監督は「6年かけてこの場に至りました」と感慨深げ。「西島さんに常盤さん、菅田俊さんに笹野高史さん、でんでんさんら多くの素晴らしいキャスト、クルーと一緒に仕事をすることができました」と感謝の思いを伝えた。さらに「西島さんや常盤さんのこれまでの演技を一切忘れて、新しい目、新しい心で彼らの演技を見てほしい」と訴えた。西島さんは「2006年に監督と『一緒に作ろう』と話をしてからこの日、この時をずっと待ってました」と晴れ晴れとした表情。客席を見渡し「この700人のみなさんに観ていただくことで何か大きな流れが生まれること、『我こそは秀二(※西島さんが演じた主人公)だ!』という方が現れることを願っています」と呼びかけた。常盤さんは「いろんな挑戦が詰まっている作品です。ナデリ監督だからこそできた、新しい挑戦でした。ある意味、映画界に殴り込みをかけるような作品です」と期待を口にした。上映後、西島さんらは改めて大きな拍手で迎えられニッコリ。映画では、数々の過去の名作に対するオマージュに加え、行き過ぎた商業主義に対する厳しい批判が展開されるが、ナデリ監督は「映画の中でも言ってますが、かつて娯楽映画と芸術映画は一致していました。その中でインディペンデント映画を作る余裕が必要なんですが、いまでは高い技術が金儲けの道具になっている。シネコンの席巻で優秀な監督たちの作品を上映する機会がなくなってしまうというのは恥ずべき状況だと思います」と改めて訴えた。最後に「これだけは観ておくべきと思う映画は?」という質問を投げられると、一同「難しいですね」と思案顔。西島さんは、本作『CUT』が、ナデリ監督が敬愛する名監督ジョン・カサヴェテスについて描いた作品であるということを踏まえ、「僕が映画ファンとして観て、生まれ変わるような体験をしたのがジョン・カサヴェテスの作品なんです。だから釜山映画祭で監督から『この映画はカサヴェテスについての映画だ』と告白されたときは人生最大の衝撃を受けました。自分の人生を変えた人物を知らずに演じていたわけですから」と述懐した。常盤さんは「私は古い日本映画が好きで、特に女優さんが大好き。高峰秀子さんも好きだし岡田茉莉子さんも好きだし…でもその一方でコン・リーも大好きなんです(笑)。ここにいらしている方はおそらく多くの日本映画を観てらっしゃるかと思いますが、中国映画も素晴らしいです。その中でも『紅夢』(チャン・イーモウ監督/コン・リー主演)は素晴らしい作品」と語った。監督は「良い映画こそ良薬」と語り、映画を愛する人々で埋まった客席は温かい拍手で包まれた。『CUT』は12月17日(土)よりシネマート新宿、シネマート心斎橋ほか全国にて順次公開。■関連作品:CUT 2011年、シネマート新宿、シネマート心斎橋ほか全国にて順次公開© CUT LLC2011■関連記事:ヴェネチア、モントリオールにトロント…世界の映画祭での邦画の奮闘に期待!常盤貴子&筒井道隆が急接近!?「圭史くんに言いつける」とベテラン女優が釘をさす?西島秀俊、主演作『CUT』監督との出会いの場で「本性見せろと言われた(笑)」西島秀俊、イランの巨匠作品主演!共演の常盤貴子は13年ぶりショートヘア
2011年11月24日世界各地の秀作を集め、多くの映画ファンの支持を集めている映画祭「第12回東京フィルメックス」が19日に開幕し、東京のTOHOシネマズ 有楽座で開会式が行われ、発売から2分で完売したというチケット争奪戦を勝ち抜いた映画ファンがつめかけた。その他の写真開会式の冒頭に登場した林加奈子ディレクターは「地球上で様々な事件が起こっています。こんな時でも、こんな時だからこそ、映画を観て考え続けようと思います。現代を生きる私たちがもっと強く生きるための映画がそろいました」と述べ、映画祭の開会を宣言。続いて、コンペティション部門の審査員であるアミール・ナデリ氏、フィリップ・アズーリ氏、チョン・スワン氏、篠崎誠氏が呼び込まれた。審査委員長を務めるナデリ氏は「この映画祭とは8年の付き合いになります。私の最新作に主演した西島秀俊さんともこの映画祭でも知り合った。この映画祭は我が家のようなもの」と振り返り、「東京フィルメックスは大学のような場所。ここにはレッドカーペットも大きなパーティもありませんが、良い映画を上映することと、良い観客を育てることに全力を注いでいる。私と審査員も映画について真剣に考え、良い選択をしていきたい」とコメント。最後に「私の映画は『CUT』と言いますが、映画祭の開幕を記念して、こう言いましょう。アクション!」と笑顔を見せると客席から大きな拍手が起こった。その後、オープニング作品として韓国の鬼才キム・ギドク監督待望の最新作『アリラン』を上映。本作は『悲夢』以来、新作を発表してこなかったギドク監督が、出演、撮影などすべての作業をたったひとりで手がけた作品で、ドキュメンタリーとドラマ、そしてファンタジーが融合した意欲作。上映後にはギドク監督と観客の熱心な質疑応答が展開され、最後にギドク監督が観客への感謝の想いをこめて劇中で歌われるアリランを熱唱。約3年ぶりとなるギドク監督の新作だけあって、最後まで多くの観客がギドク監督の発言に耳を傾けていた。映画祭は、有楽町朝日ホール、東劇、TOHOシネマズ日劇を会場に27日(日)まで開催される。「第12回東京フィルメックス」27日(日)まで有楽町朝日ホールほかで開催中
2011年11月21日俳優の伊勢谷友介が監督を務め、辻内智貴氏のベストセラー小説『セイジ』を5年かけて映画化した『セイジ-陸の魚-』の予告編映像がこのほど公開され、物語の一部が明らかになった。『セイジー陸の魚ー』予告編動画本作は、太宰治賞を受賞した辻内氏の同名小説を、伊勢谷が『カクト』に続く監督第2作目として映画化。美しい自然を舞台に、大学最後の夏休みに自転車でひとり旅をしていた“僕”(森山未來)と、国道沿いのドライブインで純粋に生きる男セイジ(西島秀俊)とのひと夏の日々を描く。先日開催された第24回東京国際映画祭の特別招待作品に選出され、前売鑑賞券が1分で完売するほど注目を集めている本作。このほど解禁になった予告編映像では、題名にもなっている“陸の魚”が「生きることを諦めてしまった人」をあらわし、ヒロインを演じる裕木奈江や、盲目の老人役の津川雅彦によって、西島演じるセイジの人物像が浮きぼりになっていく。映像の中には美しい田園風景や、ときに暴力的なシーンが登場し、引き込まれつつも予告編映像だけでは理解できないストーリーが気になるところ。伊勢谷監督が「この作品は、人間と自然との関わりあい、大きく傷ついた人たちがどうやって次のステップに行くのかを真剣に考えさせてくれる」と話す通り、実力派俳優の西島と森山がどのように関わっていくのかが見どころになりそうだ。本作は来年2月18日(土)より公開予定で、11月19日(土)より“魚型エアフレッシュナー”の特典が付いた前売り券が販売される。『セイジ-陸の魚-』2012年2月18日(土)よりテアトル新宿他ロードショー
2011年11月14日去る10月30日(日)、閉幕した第24回東京国際映画祭。今年も世界、日本、アジアの秀作が揃い、映画好きにはたまらない1週間となりました。作品だけでなく、多くの方が楽しみにしているのが、ゲストたちのファッション。特に、オープニングを飾るグリーンカーペットは、注目の的です。ブラックのベアトップドレスで登場したミラ・ジョヴォヴィッチ、シックな黒のフルレングスを纏った榮倉奈々、仲里依紗の真っ赤なオフショルダーワンピース、黒木メイサのミニドレス、江角マキコの和装姿など、美女たちの競演に沿道に集まった観客たちも大満足の様子でした。ここ数年、ちょっと地味…という表現でくくってきたグリーンカーペットですが、今年は日本以外のアジア各国からやってきた女優が大胆だったという印象。美しいスタイルを惜しみなく披露できる露出度の高いファッションを選び、イベントに華やかさを添えていました。筆頭は、シンプルなシルエットながら、ところどころしっかり透けていたチャン・シンユーのスパンコール&シフォンのドレス。リー・タオの長いトレーンを引いたブラック&ホワイトの超ミニワンピ×超ハイヒール姿にもドキリとさせられました。意外性のある組み合わせでちょっとした驚きを与えてくれる、こうしたモード感あふれるスタイルは見ているだけで楽しいものです。自分では着られないだけに…。見ているだけで楽しくなるといえば、審査員として来日していたファン・ビンビン(『運命の子』)。昨年の映画祭では『ブッダ・マウンテン』での演技が高く評価され、最優秀女優賞を受賞した彼女は、“中国一の美女”とも呼ばれる美貌の持ち主。オープニングでは、ヌードカラーのレーストップにフリルたっぷりの鮮やかなピンクのスカート、スパンコールのハイヒールを合わせて、ゴージャスな女優スタイルを披露。タイトなトップス×ボリュームのあるボトムスの絶妙なバランスで、存在感は人一倍。上下のシルエットだけでなく、配色のバランスも大成功だったために、印象深くも上品さを失わない上級者ファッションとなっていました。会期中に見せたヌードカラーのベアトップドレスも気になるところ。胸元は深く大胆にカットされているものの、肌になじむ優しい色味と素材の柔らかさ、胸元にあしらわれたキュートな小花などが相まって、決していやらしさを感じさせません。やはり、すべてはシルエット、色、素材、デザイン、ヘア、メイクなどすべてのバランス。これをちょっとでも図り間違えると、とたんに品を落としてしまうのですから要注意です。シルエットは抑え目だけれど華やかさはある、私たちでも参考にできそうなファッションも。クロージングでは、スパンコールのワンピースに黒のかっちりとしたジャケットを合わせ、ヘアもタイトにまとめて落ち着いた中にも豪華さを演出。それでも、スイングするジュエリー、ピンク色のクラッチバッグ、プラットフォームのパンプスなど、華やかなアイテムで落ち着きすぎないための小技も効いています。これからのパーティシーズン、私たちでも参考にできそうなスタイルです。いつも、大胆なカラー&ファッションで登場してくれる彼女ですが、今回は審査員と言うこともあり、ちょっと抑え気味に知的な印象を意識していたよう。それでもこの華やかさ。個人的には、今年のファン・ビンビンのファッションが好み。「派手さ」と「華やかさ」は明らかに違うのだなと感じさせてくれました。クロスボーダーな仕事が増え、年々洗練されていくファン・ビンビンのファッションを始め、アジア諸国の女優陣に触発されて、来年も東京国際映画祭でもファッション・バトルがもっと盛り上がるとよいのですけれど。日本の女優たちの、大胆なる参戦を願って。(text:June Makiguchi)■関連作品:第24回東京国際映画祭 [映画祭] 2011年10月22日から10月30日まで六本木ヒルズをメイン会場に都内各所にて開催© 2011 Tokyo International Film Festival All Rights Reserved.マイウェイ 12,000キロの真実 2012年1月14日より全国にて公開© 2011 CJ E&M CORPORATION & SK TELECOM. ALL RIGHTS RESERVED運命の子 2011年12月23日よりBunkamuraル・シネマにて公開© Shanghai Film Group Co., Ltd. Shanghai Film Studio/TIK FILMS/Stellar Mega Films Co., Ltd. /21 Century Shengkai Film■関連記事:【TIFFレポート】仏『最強のふたり』に栄冠日本『キツツキと雨』は審査員特別賞【TIFFレポート】新垣結衣、阿部寛と溝端淳平の“職務質問”に「興奮しました」【TIFFレポート】西島秀俊、“力石”伊勢谷友介も認める体脂肪ゼロの役作り!【TIFFレポート】仲里依紗、“妊婦パワー”で「日本を元気に!」宣言名匠が被災地に捧げる3分11秒の短編が東京初上映!ワークショップも開催決定
2011年11月01日開催中の第24回東京国際映画祭で、特別招待作品として上映される映画『セイジ-陸の魚-』の会見が27日に行なわれ、監督の伊勢谷友介氏が登壇。本作への思いや主演の西島秀俊、森山未來について語った。その他の写真本作は、太宰治賞を受賞した辻内氏の人気小説を、俳優の伊勢谷友介が『カクト』に続く監督第2作目として映画化。美しい自然を舞台に、大学最後の夏休みに自転車でひとり旅をしていた“僕”(森山未來)と、国道沿いのドライブインで純粋に生きる男セイジ(西島秀俊)とのひと夏の日々を描く。自作について「本質的に人間が生きることをきちんと考えさせてくれる要素がある。人間と自然との関わりあい、大きく傷ついた人たちが、どうやって次のステップに行くのか、そういうことを真剣に考えさせてくれる作品」と語る伊勢谷監督は、主演の西島、森山について「西島さんは、立っているだけで雰囲気のある方。もともと、人と違うチャンネルを持っている俳優さんだと感じていたので、監督としては何も言うこともなく演出させていただいた。森山さんは、現場まで(数日かけて泊まりながら)自転車で来たんですが、彼の中で気持ちを真っ只中に持っていく要素だったんだと思う。現場に入る前に役に対しての意見や考えもぶつけてもらい、映画が一段上になるようなアイデアも共有できたので、とても楽しい現場になった」と振り返った。「第24回東京国際映画祭」30日(日)まで開催中『セイジ-陸の魚-』2012年2月18日(土)、テアトル新宿他ロードショー
2011年10月27日