人生の先輩的女性をお招きし、お話を伺う「乙女談義」。社会学者・上野千鶴子さんの第4回目は、未来へのお話。私たち女性がこれからどう生きていくべきなのか、それに関するヒントについて、語ってくれました。イヤなことにはイヤと言い、変えるのが次世代への責任。私が〈女性学〉に出合って研究を始め、さまざまな運動をするようになってから、例えばセクハラやDVは不法行為に、また痴漢は犯罪と認められるようになるなど、社会は大きく変わってきました。ただ社会は勝手に変わったわけではなく、誰かが変えてきたということを覚えておいてほしい。あなたが職場でお茶汲みをしなくてすむのは、「なんで私がやらなきゃいけないんですか?」と言って、それを変えてくれた女性がいたからなんです。でも、ということは、イヤなことにはイヤだと言っていいし、上の世代と同じように、あなたたちも変えていいんです。イヤなことをガマンして呑み込んでいたらあなたは被害者のままで居続けることになりますし、その状況を受け入れるということは、次世代に対して加害者になることにつながります。不当な差別にガマンする必要はありません。どんどん自分ファーストで生きましょう。そんな生き方が、次の世代へのバトンになるでしょう。年を取っても、“ムカつく”だけはなくなりません。私は40歳を超えた頃から、自分に限界を感じるようになりました。まず、徹夜で麻雀ができなくなった(笑)。体力も落ち、肌も衰え始め…、まあ老いを感じ始めたわけです。つまり、自分の時間や体力やエネルギーが有限であるとわかって、物事に優先順位を付けられるようになりました。あれもこれも…という欲がなくなり、自分との折り合いの付け方が上手くなる。年を取ることはいいことしかない。長生きはするものです。でも怒りという感情だけは、年を取っても収まらない。そもそも〈女性学〉は、“オヤジ~、ムカつく”という怒りから始まったものですからね(笑)。私が女の抑圧の二大原因である家父長制と資本制を研究対象にしたのも、敵の弱点を知るためでした。そうやって一つ一つ怒りの種を解き明かしてきたのに、なぜかまた、安倍国葬とか介護保険改悪とか怒りに油を注ぐ出来事が次々と起こるので、怒りのエネルギーのタネは尽きません(笑)。うえの・ちづこ社会学者、東京大学名誉教授、認定NPO法人ウィメンズアクションネットワーク理事長。日本における女性学、ジェンダー研究のパイオニア。著書に『最後の講義 完全版 上野千鶴子これからの時代を生きるあなたへ 安心して弱者になれる社会をつくりたい』(主婦の友社)など。※『anan』2023年2月8日号より。写真・内山めぐみ(by anan編集部)
2023年02月05日人生の先輩的女性をお招きし、お話を伺う「乙女談義」。社会学者・上野千鶴子さんの第3回目をお届けします。ここ数年フェミニズムが再び盛り上がりを見せていますが、それが何かをきちんと知っている人は、実は少ないのでは。専門家である上野さん、フェミニズムって何ですか?私たちが欲しいのは平等以上に、自由なんだと思います。’70年代からフェミニズムの中に身を置き、運動を見てきた私としては、当時からずっと女性が本当に欲しかったのは〈平等〉以上に、〈自由〉だったと思います。親から大学に行くことを認めてもらえず、就職といっても限られた仕事しかなく、結婚し家庭に入ることだけが“女らしい生き方”…。女性たちはそういった押し付けられた〈女らしさ〉という縛りから解放され、自由に生きたかった。よく「フェミニズム=男女平等」といいますが、平等がもし“男と同じ生き方”という意味だとしたら、私たちは別に男になりたいと思ったわけじゃない。男とか女とか関係なく、ただ、自分らしく自由に生きたい。その思いは〈女性学〉に興味を持った日からずっと変わりません。今の状態から解放され、どんな自分になりたいか。それは当の本人にしか分かりません。逆に言えば、自分を解放できるのは他人ではなく、あなただけなんです。自分を優先して生きる、そんな女子が増加中。’19年の東大の入学式で、私は入試における女性差別や#MeToo運動、そして東大内のジェンダーギャップに触れながら祝辞を述べました。いろんな反応をいただく中で目立ったのが、40代女性たちの声。彼女たちは、男を立て、子育てを優先し、自分を後回しにする〈女らしさ〉を強要する“オヤジ的社会”で、それに適応しなんとか生き延びてきた人たち。祝辞を聞いて、「私は悪くなかったと気づいて号泣した」というメッセージをたくさんもらいました。一方で10代の若い子ともオンラインで交流していますが、その世代の女子は、男が女より優れているとは全く思っていないし、不当な差別にガマンする理由がないと思っている。〈女らしさ〉の美徳が「他者ファースト、自分セカンド」とされる日本で、“自分ファースト”な娘たちが大勢育ったのは歴史上の快挙です。そしてそんな娘たちを育てたのが、今の40代、50代の女性。みんな歴史に貢献しているんですよ。うえの・ちづこ社会学者、東京大学名誉教授、認定NPO法人ウィメンズアクションネットワーク理事長。日本における女性学、ジェンダー研究のパイオニア。著書に『最後の講義 完全版上野千鶴子 これからの時代を生きるあなたへ 安心して弱者になれる社会をつくりたい』(主婦の友社)など。『anan』2023年2月1日号より。写真・内山めぐみ(by anan編集部)
2023年01月28日人生の先輩的女性をお招きし、お話を伺う「乙女談義」。今月は社会学者の上野千鶴子さんです。フェミニストとして知られる上野さんですが、実は若い頃は女性が苦手だったとか。ではなぜ〈女性学〉の道に?無気力だった20代半ばの、ある出来事がきっかけでした。第2回目をお届けします。女性と遊ぶのに目覚めたのは25歳。遅咲きでした。もともと私は女が苦手で、自分の“女性性”ともおりあいがつかず、長く同性を避けて生きていました。そんな私が変わったきっかけが、25歳で友人に引きずられ出かけた、当時京都にできたばかりの「日本女性学研究会」の集い。主婦、教員、公務員、会社員、短大卒、高卒など多様な女性が、各々抱えるモヤモヤについて思いの丈を語る会でした。そこで私は、今までどんなに親しい男でも理解してくれなかった私のモヤモヤに、初対面の女性が共感してくれるという経験をしました。男ばかりの中で生きてきた私にとって、彼女たちの優しさやチャーミングさは、驚愕。そこから人生で初めて女遊び(笑)に夢中になり、〈女性学〉に没頭。とはいえ女性学の論文が学会誌に載るとも、ましてや職につながるとも思えない。女性学は趣味にし就職するか…と思ったのですが、当時大学院卒の女の就職口は、ほぼゼロ。自分の無芸無能さを思い知らされた20代後半でした…。同じ条件の男は就職できるのに、なぜ私はできない?25歳当時、たまたま見た地方紙の人事募集には、「女性募集、経理事務。珠算3級以上、簿記経験者」とある。私は大学院卒ですが珠算3級の資格も簿記の経験もない。ちなみにホステスの求人も、「23歳まで」。でも、“私と同じくらい無能だな”と思っていた男たちは、どんどん就職が決まる。あいつが就職できるのになんで私ができないの?!と思ったときに頭をよぎったのが、「もしかしてこれは、私が女だからなのかもしれない」ということ。もはや笑うしかありませんでした。その後私は大学教員の公募に22回落ち、23回目でやっと短大教師の職を得ました。それが30歳のとき。10年ほどの在籍期間中に、関西女のリアリズムに触れることができ、今思うと、そこで私は改めて〈日本の女〉に出会ったのだと思います。ちなみに’80年代、「女の子はクリスマスケーキと同じ。25過ぎたら値崩れ」なんて言われていた時代です。その言葉、今の20代女子にはどう響くのかしら。うえの・ちづこ社会学者、東京大学名誉教授、認定NPO法人ウィメンズアクションネットワーク理事長。日本における女性学、ジェンダー研究のパイオニア。著書に『最後の講義 完全版 上野千鶴子 これからの時代を生きるあなたへ 安心して弱者になれる社会をつくりたい』(主婦の友社)など。※『anan』2023年1月25日号より。写真・内山めぐみ(by anan編集部)
2023年01月21日人生の先輩的女性をお招きし、お話を伺う「乙女談義」。今回から4週連続で登場するのは、日本のフェミニズムの先駆者である、社会学者の上野千鶴子さんです!第1回目をお届けします。’70年代の学生運動とananって、面白い関係があるんです。ananが創刊したのは今から53年前、その当時私は京都大学の学生で、ヘルメットをかぶった“過激派”として学生運動をやっていました。実は学生運動とananにはちょっと面白い関係があります。東京の過激派の女子大学生たちは、ミニスカートにマキシのコートを羽織り、片手でananを抱えるというファッショナブルなスタイルで御茶ノ水などの街角に立ち、公安警察の動きを見張っていたんです。女性が街角に溶け込むための小道具がananだったわけです。その後Hanakoも刊行されましたが東京ローカル。東京に行った子がお土産に買ってきてくれる雑誌を、関西で時差を感じながら読んでいたことを覚えています。ちなみに当時の私は機動隊に向かって石を投げ、短距離走が得意だったので〈逃げ足の速いちづちゃん〉と呼ばれておりました(笑)。ちなみに成人式はバリケードの中。そんな大学生活でした。マイクを持つのは男子、女子はおにぎり係…。学生運動でマイクを持てるのは男子だけ。女子の役割はというと、おにぎり作りという〈後方支援〉と、警察に捕まった男子に支援物資を届ける〈救援対策〉、そして男子たちのセックスの相手です。確かに当時は「性を解放しよう!」という性革命〈フリーセックス〉の流れもあり、性的に活発な女子のことを、男子たちは“公衆便所”という不愉快な隠語で呼んでいました。学生運動の中でも、同志だと思った男性たちからものすごい女性差別を感じていました。学生運動で、結局私たちは敗北。その後私は向上心・向学心ゼロの無気力学生に。することといえば、セックスと麻雀だけ(笑)。大学院に行ったのも、就職活動をしたくなかった、それだけの理由からです。私の20代は、将来の見通しもなく希望もない、うつうつとした時代でした。そんな上野千鶴子がどうして今のような人間になったのか…?そのお話は、また来週に。うえの・ちづこ社会学者、東京大学名誉教授、認定NPO法人ウィメンズアクションネットワーク理事長。日本における女性学、ジェンダー研究のパイオニア。著書に『最後の講義 完全版 上野千鶴子 これからの時代を生きるあなたへ 安心して弱者になれる社会をつくりたい』(主婦の友社)など。※『anan』2023年1月18日号より。写真・内山めぐみ(by anan編集部)
2023年01月14日社会学者の上野千鶴子氏(70)が6月30日、「情熱大陸」(TBS系)に出演。テレビ出演が珍しいこともあり、その特集は大きな反響を呼んでいる。女性学・ジェンダー研究の第一人者である上野氏は、4月に開かれた東京大学・入学式でスピーチを披露。その際に昨年発覚した東京医科大・医学部入試での女子差別問題にふれ「頑張ったら報われるとあなたがたが思えることそのものが、あなたがたの努力の成果ではなく、環境のおかげだったことを忘れないようにしてください」と話した。するとTwitterでは「祝辞としてふさわしいのか」という議論は起こりながらもトレンド入りするほどの反響となった。「情熱大陸」で上野氏は東大での祝辞に触れたあと、女性たちも男性たちも同調圧力に縛られているといった持論を展開。さらに「その都度、目の前にあるものにムカつくっていうことを1つ1つその時その場で言っていくことの蓄積の結果、今日の私達がある。いちいち目くじら立てて面倒臭い女になっていく」と問題定義し続ける自身のスタンスを語った。放送終了後、上野氏の「面倒臭い女になっていく」という発言に勇気をもらったという声が多数上がった。「#KuToo運動」で話題となっている石川優実さんも《情熱大陸見たぞ!面倒臭い女で居続けるよいちいち恐るよ!上野千鶴子さん最高》とツイート。さらに賛同する声も上がっている。《黙らないってほんと大切。これは女性に限らず言えること。世の中の理不尽なこと、権力者に対し、この姿勢でいることはほんと重要。面倒くさい何かでいることで社会は前進する》《怒ることが出来ないのが今の女性。私はとことんこの現状と戦い続ける》今年6月、上野氏は本誌に登場し半生を振り返っている。48年7月に生まれた上野氏は京都大学文学部に入学。その後「モラトリアム」で大学院へと進んだが、そこで転機が起こる。日本女性学研究会で“女性学”と出会ったのだ。「それまで女性学って、日本では影も形もありませんでした。77年から78年にかけて、そうした民間の団体が出てきたんです。ただの仲よしクラブじゃないですから、研究プロジェクトを組んで勉強会をやる。調べると、次々と疑問や怒りが湧いてくる。月経用品や出産の歴史など、毎日が発見の連続、誰もがパイオニアでしたから、こんなにおもしろいことはなかった。なにより集まった女性たちが自立していて、大学以上に刺激的でした」82年に「セクシィ・ギャルの大研究」で著者デビューした上野氏は、30代を迎えてまもなく京都の平安女学院短期大学の専任講師となった。しかし「まだ女性学の看板は掲げられなかった」と話し、“悔し涙”エピソードを明かしている。「最初は大学の自主講座からで、本当に苦労しました。新しいカリキュラムを作って、予算を立てて教授会に提案しなきゃならない。男性教師から、『女性学、それは学問ですか?』と言われて流した悔し涙は、今でも忘れません」歯に衣着せぬ姿が印象的だが、「私だって、初めから強くはなかった。打たれて、打たれて、ここまで来たんだから」とも語った上野氏。93年には東京大学文学部に招かれ、現在は同大学の名誉教授だ。MeToo運動を例に挙げ「一人一人の力」の大切さを語っている。「最近よかったのは、#MeToo運動で年長の女たちが、二度と同じ悔しさは若い世代に味わってほしくないと『ごめんなさい』を言いだしたこと。昔は『みっともないこと、やめなはれ』でしょ。長い時間をかけて変化をつくったのは一人ひとりの力」そして上野氏は本誌の読者に、こんなメッセージを送ってくれた。「大切なのは、自分の人生の主役になるという生き方。たとえ結婚して母親になったからといって、脇役になるわけじゃない。自分の人生は自分で決める」
2019年07月02日「私が、物議をかもしては、WANのアクセス数の増加に貢献しております、理事長の上野千鶴子でございます……フェミニズムは、日本の美しい伝統を破壊し、家族を壊し、少子化を推し進めた戦犯と言われまして、私のような“おひとりさま”は生産性のない非国民でございます(笑)」5月18日午後、京都の同志社大学で開催された女性支援のNPOであるWAN(ウィメンズ・アクション・ネットワーク)の創設10周年記念シンポジウムの冒頭で、挨拶に立った上野千鶴子さん(70)。小柄な体に、いまやトレードマークの真っ赤に染められた髪の毛がよく似合う。毒あり、ユーモアあり、そして問題提起を含む話しぶりで、一瞬にして会場の女性たちのハートをつかんでしまった。日本の女性学やジェンダー研究を牽引し、近年は介護分野のエキスパートとしても知られる。研究のかたわら、ベストセラー『おひとりさまの老後』や、かつてのアグネス論争のように、出版や発言のたびに議論を呼び、論客として、学会だけでなく一般でも有名だ。その上野さんが社会に投げかけた真骨頂ともいうべきスピーチが、この1カ月ほど前にもあった。4月12日に日本武道館で行われた東京大学の入学式。東大名誉教授としてステージに立った上野さんの祝辞が、またも日本中で賛否両論を巻き起こしたのだ。「男性の価値と成績のよさは一致しているのに、女性の価値と成績のよさとのあいだには、ねじれがあるからです。女子は子どものときからかわいいことを期待されます……だから女子は、自分が成績がいいことや、東大生であることを隠そうとするのです」女性差別が明らかとなった東京医科大学の不正入試問題や、自ら切り開いてきたフェミニズムの歴史を織り交ぜながらの祝辞は、力強く、こう結ばれた。「フェミニズムは、弱者が弱者のままで尊重されることを求める思想です……。未知を求めて、よその世界にも飛び出してください。異文化をおそれる必要はありません。人間が生きていくところでなら、どこでも生きていけます」話題作を次々と送り出し、論争では“不敗神話”を持ち、学生からは「いつ寝てるの」というワーカホリックぶりを驚嘆される強い女性。そんな上野さんの研究者としての第一歩は、“かわいい”ことを求められた少女時代に、母の姿を見て思った「主婦ってなんだろう?」というシンプルな疑問だった。「父は内科の開業医でした。家庭ではワンマンの亭主関白で実は小心者という、典型的な日本の家父長ですね。それを専業主婦の母が耐えつつ支え、父方の祖母が同居で嫁姑問題もあって。私は、5つ年上の兄と、2つ下の弟にはさまれた一人娘で、ねこっかわいがりされました。いわばペット愛ですね」1948年7月12日、富山県に生まれた上野さん。活発で、超がつくほど好奇心旺盛。夏休みの課題で、家の前の道路に小銭を置いて物陰から人間観察したことも。10歳の正月、父が兄と弟に将来の話をしていたので、上野さんも自分について尋ねた。父は、「チコちゃんは、かわいいお嫁さんになるんだよ」。瞬間、私は期待されないんだ、と疑問が浮かんだ。「えっ、お嫁さんって、お母さんのようになるってこと?これが私の将来だとしたら、あまりに割に合わないと。母は、私たちに『離婚したいけれど、お前たちがいるからできない』と愚痴りました。そうやって自分の現在の不幸の原因を、子どもに負債として背負わせる普通の日本の母でした」中学に上がるころには、疑問はより鮮明になっていた。「おまけに、母と気の強い祖母との同居は35年続きました。でも、私は孫娘として祖母にもかわいがられました。一人ひとりは悪い人でなくても、長男の嫁や姑、家父長という立場にはまると、こうなる。まして母と父は、恋愛結婚でしたからね。だから、自分の夫選びの間違いの責任を誰にも転嫁できない。それで『結婚相手を間違えた』と子どもたちに言い、私はジーッとその様子を見て思った。『お母さん、夫を代えても、あなたの不幸はなくならないよ』。よしっ、私はこの構造にはまらないでおこうというのが、私の女性学の原点です」WANのシンポジウムの翌日の夕刻。京都は鴨川沿いにある中華料理店のテラス席に、上野さんと関西在住の元ゼミ生らが集まり、ミニ同窓会が開かれた。上野さんが定年より2年早く東大を退職したのが’11年3月、翌月にはWAN理事長に就任し、その後も、執筆や講演などで多忙な日々を過ごしており、今日も十数年ぶりの再会という顔ぶれも。かつての研究室でそうだったように、この日も上野さんはぎりぎりまで教え子たちと談笑し、日曜最終の新幹線で帰京。翌日も早朝からスケジュールをこなしたという。「体にいいことは、何もしてません(笑)。温泉とスキーは好き。今年もスキーは40回行きました。仕事場のある八ヶ岳にホームゲレンデがあって、シーズン券をシニア割で利用して、朝8時半のリフトオープン待ちで、1時間滑って、パッと帰るんです」取材の最終のポートレート撮影中も、話は尽きない。「最近よかったのは、#MeToo運動で年長の女たちが、二度と同じ悔しさは若い世代に味わってほしくないと『ごめんなさい』を言いだしたこと。昔は『みっともないこと、やめなはれ』でしょ。長い時間をかけて変化をつくったのは一人ひとりの力。私、いつも若い人が就職したら、『お茶くみ、コピー取りは誰がやってる?』と聞くの。ところで、おたくの編集部はお茶は誰が入れてる?個人個人ね。そう、よかった!」70代を迎えなお好奇心は健在、いや、ますます旺盛だ。
2019年06月17日4月12日に開かれた東京大学・入学式での上野千鶴子氏(70)の祝辞が話題を呼んでいる。上野氏は日本を代表するフェミニストの1人であり、「女性学」や「ジェンダー研究」の第一人者だ。上野氏は祝辞の冒頭で、昨年発覚した東京医科大の医学部入試での女子差別に言及。“息子は大学まで、娘は短大まで”という親たちの考えにもふれ、「社会に出れば、もっとあからさまな性差別が横行しています」と指摘した。さらに「がんばってもそれが公正に報われない社会があなたたちを待っています」と話した上野氏。「がんばったら報われるとあなたがたが思えることそのものが、あなたがたの努力の成果ではなく、環境のおかげだったこと忘れないようにしてください」として、こう呼びかけた。「あなたたちのがんばりを、どうぞ自分が勝ち抜くためだけに使わないでください。恵まれた環境と恵まれた能力とを、恵まれないひとびとを貶めるためにではなく、そういうひとびとを助けるために使ってください」上野氏は「ようこそ、東京大学へ」と結んだ。努力が報われたことで得たものを、他者に還すよう新入生に語りかけた上野氏。Twitterでは「上野千鶴子」がトレンド入りするほどの反響を呼び、賛同する声が上がっている。《「努力が許された今までの環境は当たり前に得られるものでなく1つの特権だ」という示唆は新入生にとって意義深いと思う》《上位の大学に限らず入るには周囲の環境によるものがとても大きい。それを知らない人が多すぎる。そして大学では知る事自体ではなく考えられてその先に行く力をつける場だと思う》《大学新入生が何をどういった方向で学んで考えればよいのかよくわかる。もちろん東大以外の大学新入生にも役に立つ》自らの足元を見つめ直すのも、いいかもしれない。
2019年04月13日ジャパニーズホラーのレジェンド・中田秀夫が演出を手掛け、6月3日(土)からスタートの石田ひかりと今井翼が共演する新ドラマ「屋根裏の恋人」。この度、石田さん演じる本作の主人公・西條衣香の姑役で出演する高畑淳子のベリーダンス姿が公開された。西條衣香(石田ひかり)は、夫・誠(勝村政信)の父の死をきっかけに、義父が残した鎌倉の洋館に、家族で引っ越してきた。義父の後妻・千鶴子(高畑淳子)に強く勧められたためだ。同じ敷地内の別棟とはいえ、自分とは違ったタイプの派手で開放的な姑と同じ敷地内で暮らすことに不安はあったが、長年の夢であったフラワーアレンジメント教室を自宅サロンで開けること、一家四人が広々と過ごすことができる念願の住居に夢を膨らませていた。洋館の庭で行われた引越しパーティーの日。キッチンで慌しくしていた衣香のもとに突然、昔の恋人・瀬野樹(今井翼)が現れた。そしていつしか西條邸の屋根裏に住みつくようになり、衣香を翻弄する。本作で高畑さんが演じるのは、石田さん演じる主人公・衣香役の姑・西條千鶴子。ベリーダンスの講師をしており、名声を好み派手なタイプの女性。勝村政信演じる衣香の夫で、血の繋がらない息子・誠を溺愛している…という役どころだ。へそ出しのベリーダンス衣装を今回披露した高畑さん。着用した感想は、「騙されたと思いました(笑)。最初この話をいただいたときは、肌は露出しません、衣装も工夫しますとおっしゃっていたのですが…。いざ、衣装合わせの日にいろいろ着させていただくと、不思議に肌を隠す衣装はしっくりこなかった。妙に隠すと、変なんです。いさぎよくお腹を出す衣装の方が、千鶴子らしいんです」とコメント。また、本作のために減量も行ったようで、「あまり醜い物をお見せするのも悪いので(苦笑)、3週間で5kg落としました」と明かしている。今回は役だけでなく、ベリーダンスにも挑戦しているということで現在練習中だという高畑さん。自身の踊りについては「27点ぐらい…(苦笑)」と厳しい点数を付け、「とても難しいです。まず、馴染みのない音楽なので音が取れないんです。昔ドラマで、習いごとがとても好きなお母さん役を演じたことがあり、ベリーダンスに挑戦したのですが、あまりにも難しくて断念しました。それぐらい取っ掛かりとして難しいダンスだと思います」と苦戦している様子。また本作について、「平日はお仕事や家事などで、自分をどこか抑制している方が多いと思います。でも、土曜の夜ぐらいは、人間本来の持っている姿を映し出す、このドラマを見て、“ハラハラエロエロ”して開放的な気分を味わっていただきたいと思います。また、私が演じる千鶴子を見て、こんな意地悪な人にはなりたくない、と反面教師にしていただければ幸いです(笑)」とコメントを寄せている。「屋根裏の恋人」は6月3日より毎週土曜日23時40分~東海テレビ・フジテレビ系全国ネットにて放送(全8話予定)。(cinemacafe.net)
2017年05月15日