「自己肯定感を育もう!」最近、子育て関連本やサイトで頻繁に目にします。理想はそうありたいけれどなかなか難しく、自己肯定感低めの私は、このキーワードが少し苦手です。しかしあるセミナーをきっかけに、“自己肯定感”の認識が変わっていきました。勘違いしていた自己肯定感8月のある週末、私は広島で開催された子育てセミナーに参加しました。講師はNHKすくすく子育ての元キャスターであり、現在はフリーアナウンサー、また「NPO法人おやこみゅ」の代表を務める天野ひかりさん。ご自身も高校生のお子さんを育てるママです。「さてみなさん、子育てで一番大切にしていることは何ですか?」まず自分の考えを書きだし、数人のグループで話し合いました。3人の娘を育てる私が大切にしていることは、それぞれの気持ちに共感し、嬉しいことも悲しいことにも寄り添うこと。他にも様々な意見が出ましたが、天野さんの答えは「自己肯定感を育てること」でした。私は子どもたちが何事も前向きに挑戦できるよう、また自信をつけられるように、様々な経験やチャレンジをさせてきたつもりです。しかし本当に子どもたちの自己肯定感が育っているのかは分からない。また自信もありません。「自己肯定感とは、常に自信にあふれたポジティブな印象がありますが、実は自分の弱い部分も含めて認められる心のことなんですよ」と天野さん。子どもに必要なのは、“長所だけでなく、欠点もそのまま認められ、愛され、必要とされること”。そしてそれこそが私たち大人が子どもに対してできる、一番大切なことなのだそう。欠点を欠点として認めるなんて意識したこともない、欠点はクリアするように努力すべきだと思っていた私は、ハッとしました。どんな自分でも親や家族から愛されていると感じられる子は、「私は私だから大丈夫!」という強い心が育ち、新しいことに挑戦したり、壁にぶちあたってもそれを乗り越えられる力をつけていきます。また相手の立場に立って気持ちを考えることもでき、ひいてはそれが“自立”につながるのだそうです。大きく強い器(自己肯定感)を育てよう自己肯定感に関してもうひとつ興味深い話を聞きました。“知識”が水だとしたら、それを入れる器が“自己肯定感”だと天野さんは言います。「器にはたくさんお水が入ったほうがいいですよね。それなら器は大きくて強い方がいい。だから知識を入れるより先に、しっかりとした器=自己肯定感を育てることが大切です」。自己肯定感(器)が育っていないのに、知識(水)を先に入れると、小さい器はあっという間に水でいっぱいになります。また弱いので時に割れたりして漏れるのだそう。これにはなるほどと、うなずく人がたくさん。私は子どもがもっと小さいうちに聞いておきたかった! と思いました。日々の実践は、言葉がけ=コミュニケーション子どもの自己肯定感を育てるために親が実践できること、それは毎日のコミュニケーション、言葉がけです。そして言葉がけもその順番が重要になるそうです。言葉がけの順番1.子どもの行動や気持ちを認める2.大人が見本を見せる3.社会のルールを説明する例えば、自分の子どもが公園で滑り台に並んでいる子ども達に割り込みをして、先に滑ってしまったとします。そういう時はまず「滑りたかったんだね」とわが子の気持ちを認め、並んでいた子どもたちに「割り込んでしまって、ごめんね」と親が謝ります(大人の見本)。そしてその後に、並んで順番を待つという社会のルールを説明するのがベスト。親自身の体裁からその場で叱ってしまったり、「ダメダメ!こら!」と一喝しがちですが、実はそこには“子ども本人の気持ちを認めてあげる”という大切な部分が抜けているのだそう(※相手や自分の命に関わる場合はすぐに「ダメ!」といわねばなりませんが)。子どもにとってはお母さんに「滑りたかったという気持ちを分かってもらえた」ということ、またどんな時もお母さんだけは味方で、自分の気持ちを分かってくれる!ということが重要なのです。では、母親自身の自己肯定感は?子どもの自己肯定感を育むにあたり、私のように自己肯定感の低い母親はどうしたらいいのでしょうか。実は子育てをして初めて自分と母親との関係、また自分の自己肯定感は育てられたのか? と悩むお母さんが意外と多いのだとか。「お母さんもそのままのお母さんでいいの。できなかったと思う自分もすべて認めてあげることです。心配しなくても子ども達はありのままのお母さんが大好きですよ」と天野さん。「ありのままの私?未熟でおっちょこちょいだけど、これが私なのか。私は私でいいんだ」と、そのままの自分を認めてみると、不思議と気持ちがラクになり、より子どもに優しく接することができるようになりました。最後に天野さんからあたたかいメッセージ。「子育てには正解はないと思います。大変だ、不安だと思ったら誰かに頼ったり、助けをお願いしていいのです。それでもまだ迷ったら、子どものためによい方ではなく、“ママが幸せを感じられる方を選ぶ”といいですよ」。つい子どものために!と、自分をおいて必死になりがちですが、母親が自分自身を大切に、そのままの自分を認めてハッピーでいることが母親自身の自己肯定感を高めることにつながります。そのままの自分を認める力と子どもの自己肯定感は同時に育むべきことだなと感じたセミナーでした。<取材協力><文・写真:ライター林未香>
2019年09月30日「褒め上手」なお母さんを見ると、ステキだなあと感じます。子どもは褒めて伸ばす! なんて話も聞きますし、私自身もなるべく子どもの褒めポイントを探す毎日ですが、わが子の場合、どうひねり出しても褒め言葉が見つからないシーンのほうが多く…。たとえば運動会でビリになった、習い事のサッカーでコーチに叱られた、ほかの子よりも自分優先、などなど。それでも「褒めたい!」と思った時、みなさんはどうしていますか? そこで同じような状況でどんな褒め方をしているのか、ママたちの声を集めてみました。■ママの魔法の言葉が取り除いた子どもの不安Aさん(33歳)の息子さん(9歳)は小学校のクラブチームに入っていて、毎週楽しそうに野球をしています。でも、1カ月くらい前から、浮かぬ顔で練習から帰ってくるようになりました。そしてある日、突然「うまくできなくなった」と泣いて訴えたのです。くわしく話を聞いてみると、新しく教えてもらったことがなかなかできず、試合でも今までの力が出せなくなり、エラーを連発するようになったそう…。コーチやチームのメンバーから注意されることも増えて落ち込んでしまったようです。最初は時間が解決するかもと見守っていたAさんでしたが、状況が変わらないので「試合のときだけ新しいことはいったん忘れて、今までできていたことだけ考えてごらん」と伝えたそう。すると試合中のミスが減ったといいます。そのタイミングで「良かったね。いつもうまくできていたもんね」「できないことは、ゆっくりゆっくり何度もやっていけばちょっとずつできるようになるよ」と話したそう。新しいことをするとき、それができなかったときは、大人でも心に不安やプレッシャーがわいてくるもの。子どもならなおさらです。Aさんの言葉はその恐怖をやわらげてくれる、やさしい言葉だと思いました。■子どもに完璧を求めない、おばあちゃんの一言Bさん(34歳)には小学2年生の娘さん(8歳)がいます。Bさんが最近気になっていたのが娘さんの字。学校では毎週漢字テストがあるのですが、書けるはずの漢字がバツに。その理由は「雑に書きすぎて読めない」から。Bさんが注意して書かせるとうまく書けるのですが、1人になるとゆっくり書くのが面倒になり「雑すぎて読めない字」に変化! 「本当は書けるのに…」と、はがゆい気持ちになってしまう親心、わかりますよね…。そこで、ご自分のお母さんに思わず愚痴をこぼしてしまったBさん。すると「あなたが見ているときは書けているんだから、上出来!」とサクッと言われたそう。その言葉でBさんは気が楽になり、娘さんがまたテストでバツをもらっても「あら、残念。でもママが見てれば書けるもんね!」という言葉がけをするようにしました。娘さんの字にまだ変化はないようですが(笑)、親子の間のモヤっとした悩みは少し解消できました。 ■知らず知らずにはってしまった、わが子への“レッテル”「先月も担任の先生に相談しにいって…」と話すCさん(36歳)。息子さん(8歳)は、とにかくわんぱく! 好きなことには熱中するものの、気に入らないとすぐにほっぽりだしたり、人の邪魔をしたりで親にも先生にも怒られるシーンが多いといいます。注意を受けると、その場では「ごめんなさい」と言うものの、改善の兆しは見られず…。ママが心配になってしまうのもよくわかります。Cさんはこれまで、息子さんを叱るのではなく、褒めて育てるように意識してきたそうです。叱られることが必然的に多いなら、それを上回るくらい褒めちぎって(Cさん、ステキ!)きたとか。それでも、なかなか変わらない息子さん。何か良い方法はないかと子育てに関する本をよみあさったり、いろいろ相談したところ「子どもにレッテルをはらない。新たなレッテルをはる必要もない」という考え方に行きついたといいます。自己中心的、乱暴、わがまま…。ほかの人からそう言われ続けると「ぼくはそういう人間なんだ」と子どもは暗示にかかってしまうものなのかもしれないと気付いたのです。それは、いちばん子どもの身近にいるママも同じです。それをペリッとはがし、決めつけることをせずに子どもと接する重要性を知ったCさんは、「自分に正直でいいね」「好きなものを好きっていえるのはすごいよ」など、これまでとは違うアプローチで褒めるようになったといいます。褒めることが効果的なのは百も承知! さまざまなママに話を聞いていくと、どんな言葉で褒めるかというより、どうやって褒める方向にもっていくかが、新しい褒めて育てる道につながるのではないかと感じました。ちなみに運動会で息子がビリをとったあと、どう言葉をかけるかいろいろ考えてみましたが、そもそも苦手なかけっこにおいて「次は勝てるよ!」「もうちょっとだったね」など、やる気をひきだす必要があるのかどうか…。同じく運動が苦手な私が運動会で楽しかった記憶を呼び起こしたら、それは手に汗にぎりながらした応援でした。だから「〇〇がたくさん応援したから、白組が勝てたね!」と言えば、それで良かったように思います。そのままを認めてあげるような褒め方は、ママの気持ちもぐっと楽になるのではないでしょうか。
2017年10月22日