2020年7月、認知症であることを公表した蛭子能収さん(73)。その近況や今の思い、妻・悠加さんの“介護相談”も収録した『認知症になった蛭子さん~介護する家族の心が「楽」になる本』(光文社・定価1,320円)も発売中の蛭子が、本誌読者からの相談に応える!【Q】「働きはじめて3カ月の新入社員です♪前は友だちと会うことが楽しかったのに、今は仕事のことで頭がいっぱいで会うのが面倒くさ〜い。でも、友だち付き合いがおっくうになっていくと思うと寂しいです♪」(なっちゃんさん・22歳・群馬県・会社員)【A】「『おぼえていても、いなくても』のほうが、『認知症になった蛭子さん』より面白い」(蛭子能収)ハートマークがいっぱいで、本当に悩んでいるんですかね……ま、いいか。オレにとっては理解できないけど、仕事も友だち付き合いも優先順位が上のほうで、今は仕事がちょっと勝っているんでしょうね。(マネージャー〈以下、マ〉「何かを得るためには、何かを捨てなくてはならない!いいこと言いますね」)どちらも面倒くさいものだから、テキトーにやっていればいいのに。そういえば優先順位ではないけど、最近は、オレも一応、ギャラが高い安いとかいろんな理由で重要かどうか考えて仕事しています。(マ「8月2日に出版される蛭子さんの『おぼえていても、いなくても』〈毎日新聞出版〉はエッセイだけでなく、イラストや漫画をぎっしり描いていましたね」)あ~、あれは、担当の人が、いつもアップルパイとかどら焼きとかオレの好物を買ってきてくれるので一生懸命描きました。この、どうでもいい人生相談をまとめた本(本社刊『認知症になった蛭子さん』)よりも面白いですよ♪♪♪
2021年08月02日2020年7月、認知症であることを公表した蛭子能収さん(73)。その近況や今の思い、妻・悠加さんの“介護相談”も収録した『認知症になった蛭子さん~介護する家族の心が「楽」になる本』(光文社・定価1,320円)も発売中の蛭子が、本誌読者からの相談に応える!【Q】「蛭子さんが好きで、競艇やパチンコなどギャンブルもやってみたいと思っていますが、私はのめり込みやすい性格なのでどんどんドツボにはまっていく気がして……。ハマらない方法を教えてください」(オリオリさん・26歳・東京都・会社員)【A】「ギャンブラーは、休みの日にもお金を増やそうとする働き者」(蛭子能収)18歳からパチンコ、20歳から競艇をしていて、オレの人生からギャンブルをとったら何も残らないかもしれませんね。(マネージャー〈以下、マ〉「『認知症になった蛭子さん』を読んだ人が、新婚旅行で3日連続、競艇場に通った蛭子さんを“クズすぎる!”と話していました」)えっ、そんなことあったっけ?オレはギャンブルをしてお金を増やそうとしていただけ。休みの日でも競艇場に通っていたから、自分ではすごく働き者だと思っていました。気をつけていたのは、帰りの電車賃は残しておくことと、人から金を借りてギャンブルをしないこと。これさえ守っていればハマりませんよ。それにしても、認知症になってからは賭けごとに興味が湧きません。前までは、競艇でもパチンコでもギャンブルをやらない人は、いったい何が楽しくて生きているのかまったくわかりませんでしたが、今のオレはその人たちと同じです。(マ「本当ですか?」)ええ、もうギャンブルはやりません、賭けてもいいですよ。
2021年07月26日2020年7月、認知症であることを公表した蛭子能収さん(73)。その近況や今の思い、妻・悠加さんの“介護相談”も収録した『認知症になった蛭子さん~介護する家族の心が「楽」になる本』(光文社・定価1,320円)も発売中の蛭子が、本誌読者からの相談に応える!【Q】「私は、恋愛小説を書いています。小説家になりたくて、それを目指してがんばっています。蛭子さんにその小説を読んで感想を聞かせてほしいんです。ダメですか?それなら、何かいいアドバイスを!」(苺ベリーズさん・21歳・栃木県・専門学校生)【A】「本を書こうと思うなら人がやらないことをやるべき」(蛭子能収)恋愛なんか興味ないし、そもそも字を読むのが嫌いだし……。たぶんオレがその小説を読んでも何にも感じないと思いますよ。アドバイスですか?オレが漫画を描くときに心がけていたことってありましたっけ?(マネージャー〈以下、マ〉「蛭子さんのデビュー作の『パチンコ』はパチンコ店に辿り着けない男の話で、パチンコ台が一切出てこない衝撃作でしたよ」)そうそう、とにかく、人がやらないことをやろうと思っていました。チリ紙交換のときも、みんなが行かないようなところで古新聞を探していましたし。あとは関係ないコマに毛沢東とかUFOの絵を入れたり、タイトルを不可解にしたりして、読んでいる人に「?」と思わせようとしていました。大事なのは、最後まで描き切ることですよ。あとはなんとかなりますよ。(マ「がんばって『認知症になった蛭子さん』も書き切りましたものね」)あ、オレ、その本、書いていないし読んでいません。(マ「著者がそれを言ってはいけません!」)
2021年07月12日青い空にきらきら光る海!夏を迎えるとわくわくした気持ちになりますよね。しかし、この季節に陥りやすい「熱中症」のことを忘れてはいけません。夏をおおいに満喫するには、熱中症について知り、しっかりと対策をすることが大切です。 熱中症とは?体温が上がって、カラダの水分や塩分のバランスが崩れたり、体温の調節がうまく出来なくなったりして体内の熱が放出されず、めまいやけいれん、頭痛などの症状を引き起こすことを熱中症といいます。その他の症状:筋肉のこわばり・嘔吐・意識障害など熱中症を引き起こす要因3つ熱中症は、カラダが暑さに慣れていない梅雨明けから8月に多発する傾向があります。1.環境・気温や湿度が高く、風が弱い・気温の高い日に、エアコンのない閉め切った部屋で過ごす・熱波の襲来2.カラダの状態・乳幼児や高齢者・肥満・生活習慣病などの持病がある方・過度なダイエットなどで低栄養の状態・下痢や風邪などでの脱水状態・二日酔いや寝不足などの体調不調3.行動・激しい運動や慣れない運動・ガーデニングや日曜大工など長時間の屋外作業・運動や仕事などで水分補給ができない状況(※1)熱中症を予防するには屋外で気をつけること日陰を選んで歩くようにし、こまめな休憩と水分摂取を忘れないよう心がけて。(※2)屋内で気をつけること室内でも時々温度を計り、我慢せずにエアコンを活用しましょう。(※2)気化熱を利用する「打ち水」や、緑のカーテン・すだれで日差しを遮るのも効果的です。衣服の工夫ゆったりとした涼しい服装で、カラダの熱と汗を逃がすようにすることが大切。日傘や帽子を使うのも一つの方法です。(※1)食事の工夫■水分補給のポイント人間は、軽い脱水状態でも喉の渇きを感じません。喉が渇く前にお茶や水などで水分を補うことが必要です。このとき、冷たいビールなどで水分補給をするのはNG。アルコールは尿量を増やし、摂取した以上に水分を排出してしまいます。大量に汗をかいているときは、水だけでなくスポーツドリンクのような塩分濃度0.1 ~ 0.2%程度の水分をプラスするのがベストです。水500ml、砂糖大さじ1~2、塩小さじ1/4・レモン汁大さじ1をよく混ぜ合わせたドリンクを利用するのもおすすめです。■栄養補給のポイント極端なダイエットはやめ、疲労回復に効果のあるビタミンB1とクエン酸、汗で失いがちなカリウム・カルシウム・マグネシウムなどのミネラルを上手に補給しましょう。ビタミンB1を多く含む食材:豚肉・うなぎ・玄米・納豆などクエン酸を多く含む食材:かんきつ類・酢・梅干しなどカリウムを多く含む食材:モロヘイヤ・納豆・スイカなどカルシウムを多く含む食材:牛乳・チーズ・小松菜・木綿豆腐などマグネシウムを多く含む食材:玄米・そば・絹ごし豆腐など冷たいそばに納豆や梅干し、ゆでた豚肉をトッピングすれば熱中症対策の献立になりますし、スイカでカリウムを補うのも夏ならではのよい方法です。 ウォーキングやランニングなどの軽い運動で汗をかく習慣をつけるのも熱中症予防に効果的。なるべく涼しい時間帯に行うようにして、暑さにカラダを慣らしていきましょう! 【参考・参照】(※1)環境省熱中症予防情報サイト熱中症の予防方法と対処法〈〉(最終閲覧日:2017/9/2)(※2)日本生活習慣病予防協会熱中症を防ぐための5ヵ条熱中症は軽症のうちに対処すれば怖くない〈〉(最終閲覧日:2017/9/2) 衞藤敬子管理栄養士コントラクトフードサービス大手(株)グリーンハウスに入社、社員食堂のメニュー提案や栄養指導業務を経て、2009年「あすけん」に参加。 アドバイス作成やサービス開発に携わる傍ら、年間150件以上の栄養指導やプロアスリート選手の食事サポート、セミナーなどを実施。 現在はフリーランスに転向し、幅広く活躍。
2021年07月11日2020年7月、認知症であることを公表した蛭子能収さん(73)。その近況や今の思い、妻・悠加さんの“介護相談”も収録した『認知症になった蛭子さん〜介護する家族の心が「楽」になる本』(光文社・定価1,320円)も発売中の蛭子が、本誌読者からの相談に応える!【Q】「私は、今、とってもつらく、闇の中にいます。死ぬことすら考えています。すべて父のせいです。お金には恵まれています。でも、これから先の人生を考えると……、生きていくのが嫌になりました」(匿名希望さん・新潟県・無職)【A】「死んだことがないからわからないけど、たぶん生きているほうが楽しいはず!」(蛭子能収)これまで一度も死んだことがありませんけど、オレは、死ぬよりも生きているほうが楽しいことがあると思うんですよ。でも、チャラチャラした回答はしにくいですよね。お父さんと何があったかわかりませんが、やっぱり、生きていれば楽しいことがあると思うんです。もしかしたら楽しくないかもしれないけど、楽しいと思うしかありません。それにオレは死ぬのがすごく怖いんですよね。(マネージャー〈以下、マ〉「子どものときに流れ星を見てから死が怖くなったんですよね!」)あ、そうそう!死ぬときは、流れ星のようにフッと消えちゃうのかなと……。そういえば、オレは認知症になってから、流れ星なら、もう輝いていない状態かもしれませんね。(マ「そんなことないですよ。『認知症になった蛭子さん』も出版したし、何歳になっても仕事をしたいと思えることはすごいです」)あ、そっか。じゃあ、オレは“認知症の星”になって、もっと稼がせてもらおうかな。
2021年07月05日2020年7月、認知症であることを公表した蛭子能収さん(73)。その近況や今の思い、妻・悠加さんの“介護相談”も収録した『認知症になった蛭子さん〜介護する家族の心が「楽」になる本』(光文社・定価1,320円)も発売中の蛭子が、本誌読者からの相談に応える!【Q】「蛭子さんと同じく熊本・天草生まれです。自分は、今、営業マンとして働いていますが、会社や上司から評価されていないことが、ずっと不満です。いくら頑張っても、働きぶりを見てくれません。どうすればいいですか?」(ヤッシーさん・26・熊本県・会社員)【A】「優しい評価をしてくれる人とだけ一緒に仕事をすればいい」(蛭子能収)わざわざ故郷が一緒だからと書いてきて、なにかいいことをしてもらえると期待している感じがして嫌ですね。(マネージャー〈以下、マ〉「厳しいですね、『甘ったれるな!』ということですか?」)そもそも評価するのは人だから、好きとか嫌いとかあって、それが結果になって出てしまうのはしょうがないと思うんですけどね。(マ「自分の評価があがらないのは他人のせいだと思ってしまう人が多いみたいです」)といっても、オレは優しく評価してくれる人としか仕事はしません。オレは「猫」を描いても、変な想像上の生き物にしか見えないことがあります。描き直しさせる人よりも、「わからないけど、おもしろいですね」と受け止めてくれる人が大好きです。(マ「新刊『認知症になった蛭子さん』も『おもしろい』と好評ですよ」)認知症で悩んでいる人や家族が多いから、もっとたくさん売れると期待しているんですが……。(マ「『甘ったれるな!』と言われますよ」)
2021年06月28日「だいたい40歳を境に老化現象として動脈硬化が進んでしまい、脳の血流が悪くなってしまします。脳の血流が悪くなると脳の働きも悪くなり、そうなると脳に疲労がたまってしまいます。その状態が続くと、物忘れなど認知症の初期症状を引き起こしてしまうことがあります」こう話すのは、多くの認知症患者を診てきた脳神経外科医の竹内東太郎先生。「脳の血流が減ってしまうと、脳の神経細胞のエネルギーとなる酸素やブドウ糖の供給が滞り、エネルギー不足となった脳は働きが鈍くなります。それが、脳が疲れているという状態です。疲労が蓄積すると認知症の初期症状である物忘れや頭痛、肩こり、めまい、耳鳴り、不眠などがサインとなって現れてきます。それを放置しておくと、本格的な認知症に進んでしまう危険があります」そこで竹内先生が考案したのが、自宅で簡単にできるトレーニング「OK指体操」だ。この体操は「音楽(“O”NGAKU)に合わせて健康(“K”ENKOU)になろう」という竹内先生の考えから先生自身が考案したもので、手足の指を動かすだけで脳の血流が増えるというものだ。今回は「手のパッパ運動」をはじめとする4つの手を使ったトレーニングを紹介。脳の疲れをためないためにも、生活に取り入れてみたい。■手のニギニギ運動【1】両手の手のひらを前方に向けて指をそろえる。【2】親指だけ伸ばしたまま、親指以外の4本の指を曲げたり伸ばしたりする。曲げて伸ばすのを1回として、両手同時に8回繰り返す。■手のパッパ運動【1】両手の手のひらを前方に向けて指をそろえる。指同士の側面がしっかりつくように。【2】5本の指を閉じたり開いたりする。閉じて開くのを1回として、両手同時に8回繰り返す。■手のキラキラ運動【1】両手の手のひらを前方に向けて指を軽く開く。【2】肩と腕の力を抜き、手の甲を外側に向けて回転させる。また戻す。回転させて戻すのを1回として、両手同時に8回繰り返す。■手のグッパー運動【1】両手をグーの形にして胸元に引きつける。【2】手のひらを正面にパッと開きながら、腕を前方に突き出す。指をひらくときは、折り曲げた指をしっかり伸ばす。突き出して戻すのを1回として、両手同時に4回繰り返す。音楽に合わせて手足の指を動かすことで、聴力と記憶をつかさどる側頭葉と、思考・判断をつかさどる前頭葉の反応が活発になり、脳の半分以上の領域が活性化するという。竹内先生が行っているリハビリでは童謡の『ふじの山』に合わせて体操しているが、自分の好きな音楽に合わせて楽しみながらやってみるのもいいだろう。
2021年06月24日「OK指体操は、すでに老人ホームなどでも取り入れられ、多くの成果を上げています」そう話すのは、多くの認知症患者を診てきた脳神経外科医の竹内東太郎先生。自宅で簡単にできるトレーニング「OK指体操」は、「音楽(“O”NGAKU)に合わせて健康(“K”ENKOU)になろう」という竹内先生の考えから先生自身が考案したもので、手足の指を動かすだけで脳の血流が増えるというものだ。「だいたい40歳を境に老化現象として動脈硬化が進んでしまい、脳の血流が悪くなってしまいます。脳の血流が悪くなると脳の働きも悪くなり、そうなると脳に疲労がたまってしまいます。その状態が続くと、物忘れなど認知症の初期症状を引き起こしてしまうことがあります」音楽に合わせて手足の指を動かすことで、聴力と記憶をつかさどる側頭葉と、思考・判断をつかさどる前頭葉の反応が活発になり、脳の半分以上の領域が活性化するという。竹内先生によると、軽度の認知症の人たちにOK指体操を1年間毎日やってもらったところ、脳の血流がよくなり、認知症は進まないどころか大幅に改善されたという臨床結果が出ている。さらにOK指体操には画期的な働きがあるという。「私たちの体には代償作用という働きがあり、この作用が脳の神経細胞にもあります。老化や血流低下によってダメージを受けて機能しなくなった脳の神経細胞は、OK指体操で血流が増えることで、神経伝達ルートが新しくつくられ、認知機能をよみがえらせることができるんです。認知症は、医療の力を借りなくてもご自身の意志と努力次第で、いくらでも改善できます」今回は「手のパッパ運動」をはじめとする4つの手を使ったトレーニングを紹介。脳の疲れをためないためにも、生活に取り入れてみたい。■手のニギニギ運動【1】両手の手のひらを前方に向けて指をそろえる。【2】親指だけ伸ばしたまま、親指以外の4本の指を曲げたり伸ばしたりする。曲げて伸ばすのを1回として、両手同時に8回繰り返す。■手のパッパ運動【1】両手の手のひらを前方に向けて指をそろえる。指同士の側面がしっかりつくように。【2】5本の指を閉じたり開いたりする。閉じて開くのを1回として、両手同時に8回繰り返す。■手のキラキラ運動【1】両手の手のひらを前方に向けて指を軽く開く。【2】肩と腕の力を抜き、手の甲を外側に向けて回転させる。また戻す。回転させて戻すのを1回として、両手同時に8回繰り返す。■手のグッパー運動【1】両手をグーの形にして胸元に引きつける。【2】手のひらを正面にパッと開きながら、腕を前方に突き出す。指をひらくときは、折り曲げた指をしっかり伸ばす。突き出して戻すのを1回として、両手同時に4回繰り返す。「OK指体操を行う際には誰かと一緒に行うことをおすすめしています。年代問わず、たくさんの人に行っていただきたい体操なので、ぜひ皆さんもご家族や周りの人と一緒に行ってほしいですね」竹内先生が行っているリハビリでは童謡の『ふじの山』に合わせて体操しているが、自分の好きな音楽に合わせて楽しみながらやってみるのもいいだろう。一日3分ほどで椅子に座ったまま行えるOK指体操。物忘れが頻繁に起こる前にこの体操を取り入れてはいかが。
2021年06月24日“人生100年時代”を迎え、多くの人が長生きできるようになったのはありがたいが、“長生きリスク”が伴うことになる。特に気をつけたいのは認知症だ。’25年には、高齢者のじつに5人に1人にあたる約700万人が認知症を発症するともいわれ、年々増える傾向にあるという。介護が必要になり、長生きするほど老後のお金はかかってくる。家族や本人が認知症を発症するとその費用はさらに大きくなり、同時に認知症にかかった人の資産が凍結するといった事態も生じることになる。こうした“認知症になったときに直面するお金のリスク”について、一度きちんと考えて、いざというときに慌てることのないようにしておきたい。■役立つ「制度」を活用する認知症になる前に親の資産を管理する方法には、成年後見制度の「任意後見」と「家族信託」、「日常生活自立支援事業」などがある。任意後見は、子どもなど信頼できる相手を元気なうちに後見人として選んでおき、認知機能が低下したときからさまざまな手続きを任せる制度。後見人の不正をチェックするため、弁護士などが監督人になる。預金の引き出し時の証明は不要になるが、後見人から監督人に定期的な報告が必要となる。さらに、監督人には月1万〜2万円程度の報酬を、親が亡くなるまで支払い続けなければならない。「ランニングコストがかかるうえ、監督人への報告する手間や、一度始めたら途中でやめられない、といった点から、任意後見はあまり普及していません。その代わり、認知症の人の財産への備えとして『家族信託』を利用する人が増えています。家族信託は、元気なうちに財産などの管理を家族に託しておく制度。利用するときには、財産の管理を託す親が『委託者』になり、家や預金の一部など信託財産を決めます。財産を預かり管理をする子どもが『受託者』、信託財産から生活費などを受け取る親が『受益者』となり、委託者と受託者の間で信託契約を交わします」そう話すのは、認知症高齢者などの問題に詳しい、司法書士・行政書士の元木翼さん。成年後見制度と違い、家庭裁判所に提出する書類はなく、相続に詳しい司法書士などが書類を作成し、公証役場で信託契約を公正証書によって交わし開始するのが一般的。毎月の費用は不要だが、契約書を作成する際に司法書士などに払う初期費用(相場は信託財産の1%ほど)が必要。このほか公正証書を作成する手数料も必要だ。「たとえば、夫に先立たれて、将来自分が認知症になるかもしれないという一人暮らしの高齢女性のケースでは、女性が委託者で受益者、子どもを受託者として設定します。認知症になってからは、生活費や医療や介護費の支払いは、子どもに信託財産から払ってもらいたいと思っています。また、ある程度認知症が進んだら、自宅を売却したお金で施設に入りたいという希望を持っていました。手続きの順序としては、(1)親が持っている資産のすべてを洗い出したうえで、使う目的を明らかにします。(2)司法書士などの専門家が、家族と話し合いながら契約書を作成します。(3)その後、金融機関で『信託口口座』を開設して、信託財産を移します。また、不動産の登記も変更します。(4)委託者と受託者が公証役場に行き、公正証書を作成、そこで家族信託が成立します」受託者である子どもが不正を行っていないかチェックするための監督人を置くケースもあるが、その場合は毎月の報酬を設定する場合が多い。「本人が亡くなったら信託財産はあらかじめ信託契約で定めた人に承継されます。子どもがいない人が自分の甥、姪に遺したいという場合は家族信託に自分の意思を反映させられます。認知症になってからどのような生活を送りたいのか、といったことも含めてご家族で話し合っておくことが大切です」信託銀行などの金融機関では、認知症になってもお金の取引ができるサービスが次々と登場している。【三菱UFJ信託銀行】〈商品名・つかえて安心〉:200万円以上預けると、認知症になった本人に代わって代理人がスマートフォンのアプリを使いお金を下ろせる。使い込みを防ぐために、事前登録をした別の家族にもアプリで知らせる。〈商品名・みらいのまもり〉:1,000万円以上預けると「有料老人ホームなどの入居一時金」「1件あたり10万円以上の医療費」についてのみ払い出しができる。現金での払い出しはできない。【みずほ信託銀行】〈商品名・認知症サポート信託〉:500万円以上預けると、認知症になったときに介護費などを、直接銀行が支払ってくれたり、立て替え分を本人の口座に振り込んでくれたりする。【三井住友信託銀行】〈商品名・安心サポート信託〉:金銭信託型を選び3,000万円以上預けると、老人ホームの入居費用などの支払いを代行してくれる。本人の生活費や孫の教育費用など、用途は柔軟に対応している。「判断能力が低下したとき、高齢者施設への費用の振り込みをするタイプもあるように、用途が限られているものもあるので、親の目的に合うのかどうか、代理人になる子どもと一緒によく相談してから契約したほうがいいでしょう」また、認知症に備える保険といえば、認知症と診断されたときに一時金がもらえるタイプと、徘徊中などでのケガなどに対して給付金が支払われるタイプがある。「認知症になったときに給付金がもらえるタイプは若い人が将来に備えるのであれば保険料が安いのですが、高齢者が加入すると高いことがあります。他人にケガをさせたり、物を壊したりして法的な賠償責任を負った場合などに補償される『個人賠償責任保険』に加入しておくと安心です」「個人賠償責任保険」はクレジットカードに付帯して、数百円程度で加入できるものもあるが、最近の自治体では、認知症高齢者が事故を起こした場合の賠償金を自治体が肩代わりする救済制度を導入している。■個人賠償責任保険を導入している主な自治体〈青森県むつ市〉:「むつ市認知症SOSネットワーク(おかえりネット)」の登録者〈福島県田村市〉:「高齢者おかえり支援事業」の登録者〈神奈川県大和市〉:「はいかい高齢者等SOSネットワーク」の登録者〈東京都中野区〉:在宅で生活している65歳以上など〈愛知県大府市〉:「おおぶ・あったか見守りネットワーク」の登録者〈愛知県刈谷市〉:「行方不明高齢者等SOSネットワーク事業」の登録者〈福岡県久留米市〉:「久留米市高齢者あんしん登録制度」の登録者で、日常生活自立度2a以上など〈佐賀県吉野ヶ里町〉:「吉野ヶ里町認知症見守り台帳事業」の登録者で、日常生活自立度2a以上など〈大分県豊後大野市〉:「豊後大野市徘徊高齢者等SOSネットワーク」の登録者で、日常生活自立度2a以上などこうした制度は全国に広がっているので、親が住む自治体の制度を確認してみよう。
2021年06月23日“人生100年時代”を迎え、多くの人が長生きできるようになったのはありがたいが、“長生きリスク”が伴うことになる。特に気をつけたいのは認知症だ。’25年には、高齢者のじつに5人に1人にあたる約700万人が認知症を発症するともいわれ、年々増える傾向にあるという。介護が必要になり、長生きするほど老後のお金はかかってくる。家族や本人が認知症を発症するとその費用はさらに大きくなり、同時に認知症にかかった人の資産が凍結するといった事態も生じることになる。こうした“認知症になったときに直面するお金のリスク”について、一度きちんと考えて、いざというときに慌てることのないようにしておきたい。■「資産の凍結」を事前に防ぐ判断能力が低下してくると、お金の管理が難しくなり、財布やキャッシュカードを紛失しては、「盗まれた」と思い込むようになったり、訪問販売で不要な商品を買ってしまったり、必要のない改修工事を受けてしまうなど、「お金のトラブル」が増えてくる。そんなお金のトラブルを防ぐために大事なのが、次の「認知症になる前にやっておくべきリスト」だ。【預貯金を引き出せなくなる】→「銀行で代理人カードをつくる」銀行窓口に通帳とキャッシュカード、届出印を持参して手続きをする。約1週間で発行してもらえる。【貸金庫を開けられなくなる】→「貸金庫の代理人登録をする」貸金庫の鍵とカードキー、届出印、身分証明書を持参する。【株式を売買できなくなる】→「株式を売却しておく」金融商品は早く売却してもらう。【自動車などが売れなくなる】→「生前贈与をしておく」年110万円未満であれば、非課税で贈与できる。相続開始前の3年以内に贈与をすると相続したときに、相続税に加算されるので注意。【土地などの売買ができなくなる】→「家族信託を利用する」家族と協議し、司法書士等に信託契約書を作成してもらい、印鑑証明とともに公証役場に持参する。【クレジットカードが使えなくなる】→「家族カードを作る」加入済みのクレジットカード会社の専用サイトから手続きができる。約1週間で発行してもらえる。【公共料金を支払えなくなる】→「日常生活自立支援事業を利用する」社会福祉協議会に相談し、支援計画書を作成してもらう。利用料は1カ月で1,000〜3,000円程度。【家族が多額の賠償を支払う】→「個人賠償責任制度に加入する」物を壊した、人に危害を与えたなどの不測の事態に備えて、保険の契約またはクレジットカードの付帯サービスとして加入する。専用サイトから手続き可能。【保険金の支払いが遅れる】→「指定代理請求人を決めておく」届出書を保険証券とともに保険会社へ郵送する。手続き後、新たな保険証券が届く。子どもが親の財産を管理して、医療や介護費を支払う人もいるだろうが、基本的には裁判所などが認めた「管理権限」を子が持っていなければ、親に代わって預金を引き出すことはできない。「認知症であることが金融機関にわかると、その名義の口座は凍結されてしまいます。たとえ子どもが親の預金通帳と届出印を持って行ったとしても、金融機関の窓口では本人以外の人が預金を引き出そうとしたとき、身分証明書や委任状の提示を求められます。さらには、本人に電話をかけて『預金を下ろすのを頼んだか』といった意思を確認するケースがあるため、認知症になったら預金は引き出せないと考えたほうがいいでしょう。子どもが親のキャッシュカードを預かり、暗証番号を聞き、お金を引き出す人もいらっしゃいますが、それらの行為はしてはいけないことになっています」そうアドバイスするのは、認知症高齢者などの問題に詳しい、司法書士・行政書士の元木翼さん。「管理権限」を持つためには、子どもが成年後見制度の後見人になる、あるいは家族信託で、財産の管理を任される方法がある。「すでに認知症で判断能力が失われていると、家庭裁判所が後見人を選ぶ成年後見制度の『法定後見』一択しかありません。法定後見は、家族が認知症を発症した親の銀行口座からお金を引き出そうとすると、銀行から利用するように勧められるのが一般的です。家庭裁判所に家族が申し立てすると後見人が決まり、親の判断能力に応じて、後見・保佐・補助と種類が分かれます」(元木さん・以下同)■「生前贈与」の制度が資産を守ることも後見人の主な役割は、医療機関や介護保険サービスの契約をする身上監護と、預貯金などの管理をする財産管理の2つ。「現在の制度では、家族ではなく弁護士や司法書士などの専門家が選任されやすく、その場合毎月専門家に支払う報酬が必要になってきます。また、手続きが煩雑で、財産の管理に不自由を感じる人は多く、制度の利用は伸び悩んでいるのが実情です」そのような煩わしさを解消しようと、全国銀行協会は今年に入って認知症の人の預金の引き出しを「管理権限」を持っていない家族でも一定の場合にはできるように指針を発表した。全国の銀行がどのように実施するのか、詳細が決定するのはまだ先なので、当分は「代理人カード」で対応することも考えられる。代理人カードとは、親が認知症になる前に金融機関に行くと、本人と生計を同一にする親族が使えるキャッシュカードをもう1枚作ることができる。カードの発行手数料は金融機関によって異なるが、目安は1,000〜2,000円程度。また、親が貸金庫を持っている場合でも、代理人登録をすると、出し入れが可能になる。「財産管理が自由にならなくなるのは、預金の引き出しだけではありません。認知症であると判断されると、不動産、株、自動車などの資産も本人が亡くなるまでいっさいの売買などの処分ができなくなる可能性があります」子どもに現金を残しつつ、亡くなった後の相続税を最低限にしたいのであれば、親が元気なうちに「生前贈与」の手続きを行うのが得策だ。年間110万円までの贈与であれば、贈与税が非課税となる「暦年贈与」という制度を活用するとよいだろう。「株式などの金融商品も生前贈与できますが、親には認知症になる前に売却できるものは売却し、現金化してもらったほうがいいと思います。クレジットカードも『家族カード』を発行することで子どもが使えることになりますが、元気なうちに解約しておいてもらったほうが無難でしょう」注意したいのは、生命保険や医療保険など、被保険者が親になっている場合、親が認知症になると保険金や給付金を請求できなくなり、支払いが受けられないケースもあること。配偶者や3親等以内の親族などをあらかじめ「指定代理請求人」にしておくと、いざというときに本人の代わりに請求できるようになる。日常的な金銭管理(電気・ガスなどの公共料金の支払い、預金通帳や年金の管理など)には、市区町村の社会福祉協議会で扱う「日常生活自立支援事業」が使える。専門の研修を受けた生活支援員が、金銭管理や介護などの行政サービスを利用する際の手続き、日常的な見守りを行う。利用料は1カ月で1,000〜3,000円程度と比較的安い金額で利用できる。ただし、持ち家のリフォームや自宅を売却したお金で介護施設に入りたい、といった要望が出てくると、これらでは対応しきれなくなる。特に不動産の売却は困難になることが多いそうだ。
2021年06月23日いまや国民病とも呼ばれる認知症。いつか直面することになるかもしれないこの病いには、いまからできる“お金の備え”が必要だーー。“人生100年時代”を迎え、多くの人が長生きできるようになったのはありがたいが、“長生きリスク”が伴うことになる。特に気をつけたいのは認知症だ。’25年には、高齢者のじつに5人に1人にあたる約700万人が認知症を発症するともいわれ、年々増える傾向にあるという。介護が必要になり、長生きするほど老後のお金はかかってくる。家族や本人が認知症を発症するとその費用はさらに大きくなり、同時に認知症にかかった人の資産が凍結するといった事態も生じることになる。こうした“認知症になったときに直面するお金のリスク”について、一度きちんと考えて、いざというときに慌てることのないようにしておきたい。■「介護にかかるお金」を知る「親や家族が元気なうちに『どんな介護を受けたいのか』という話をしながら、もしものとき、親のお金で、医療や介護費を支払えるようにしておかないと、子どもが立て替えることになってしまい、負担が増えてしまいます」そう話すのは、介護作家の工藤広伸さん。工藤さんは、’12年から岩手県で一人暮らしの母(77)を遠距離介護しながら、認知症の祖母と末期がんの父を看取った経験がある。お金のことで苦労したのは祖母の介護のときだった。「祖母は認知症でがんにかかっていたので、数十万円の医療費が必要となり、私が立て替えることになったのです。そのとき、母にも認知症の症状が出始めていて、祖母のお金の管理ができない状態でした。途方に暮れていたとき、病院内の相談所で『成年後見制度』の利用を教えてもらい、さまざまな手続きを経て、やっと祖母のお金で医療費を支払えるようになりました。判断能力が低下すると、預貯金を家族が引き出せず、医療費などの支払いに困ることがあるというのは知っておいたほうがいいでしょう」(工藤さん・以下同)人によって個人差はあるが、若いうちに認知症を発症すると、介護は長期化する恐れがある。生命保険文化センターの調査によると、介護にかかる費用は月7.8万円、平均54.5カ月(4年7カ月)、一時費用が69万円で、総額494万1,000円かかる計算になる。仮に若いうちから認知症にかかったとすると、10年で1,000万円を超える額になるケースも。まずは、認知症の介護が始まるとどれだけお金がかかるのかを把握しておきたい。はじめに、認知症の人が受けられるサービスと、入居できる施設の種類を知っておこう。在宅で受けられるサービスには、訪問介護、訪問・通所リハビリ、認知症対応型通所介護(デイサービス)などがある。■訪問診療を利用すると医療費がさらにかかる自己負担は介護サービスにかかった費用の1〜3割となり、要介護度に応じた利用限度額の範囲で利用できる。要支援1では1カ月約5,000円。要介護1は約1万7,000円、要介護5では約3万6,000円(自治体によって異なる)となる。「認知症の人は、認知症対応型ではないデイサービスも利用できます。要介護2の母の場合、1カ月の介護サービス費は約2万円です。月曜は訪問看護師さんに来てもらい、火曜と金曜はデイサービスに通う日、水曜は訪問リハビリを受け、木曜、土・日曜はヘルパーさんに来てもらう、というように、毎日見守りを兼ねて誰かに来てもらうシフトを組んでいます」このように、利用限度額の範囲内であれば、介護サービスを組み合わせて使うことができる。また、車いすや介護ベッド、手すりなどのレンタルも利用できる。このほか、実費でおむつ代、定期的な見守りを兼ねた配食サービスや見守り機器代などがかかる。工藤さんは、さらに医療費の負担が大きいと話す。「母は24時間対応の在宅療養支援診療所がかかりつけ医で、定期的に受診するほかに、何かあったら医師に来てもらえるようにお願いしています。母は一人で病院に行くことができないので、必ず私が付き添います。帰省のための交通費と、レンタカーを借りる費用、タクシー代などがかかります」認知症の症状が進行すると、自宅に閉じこもりがちになったり、通院を嫌がるケースもあるため、医師による訪問診療を利用する家庭が多いという。仮に、医師による訪問診療を月4回、看護師による訪問看護を月8回利用する場合、医療費は月12万円。1割負担なら約1万2,000円かかり、このほかに薬代が別途必要になる。在宅での介護が限界に来ると、施設への入居を検討することになる。認知症の人が入居できる施設を見ていこう。「認知症は、症状が出始めても要介護度は軽度のことが多く、軽度のうちから入居できるケアハウスやサービス付き高齢者住宅には、『認知症になったら退去する』といった要件を設けている施設も多く、入居できる施設が限られてきます。認知症の人が入ることができる施設は、特別養護老人ホーム(特養)、グループホーム、介護付き有料老人ホームなどに絞られてきます」グループホームは、少人数で共同生活を送りながら、日常生活の介護を受ける施設。費用は施設サービス費(介護保険自己負担の1〜3割)のほかに食費、居住費、水道光熱費など、トータルで月15万〜20万円程度かかってくる。施設によっては入居一時金がかかる。特養の入居は原則要介護3以上からで、待機者も多くハードルは高い。介護付き有料老人ホームは、都心部か地方によって価格差があり、入居一時金は0〜数千万円、月額も15万〜35万円とかなりの開きがある。施設に入居する期間が長いほど、介護の費用は増える。親が所有する資産によっても、在宅か施設かの選択肢は定まってくる。
2021年06月23日2020年7月、認知症であることを公表した蛭子能収さん(73)。その近況や今の思い、妻・悠加さんの“介護相談”も収録した『認知症になった蛭子さん~介護する家族の心が「楽」になる本』(光文社・定価1,320円)も発売中の蛭子が、本誌読者からの相談に応える!【Q】「2月に69歳になりました。妻も娘も『その年で誕生日も何もないでしょう、自分でメデタイと思わないでしょう』とずっと誕生祝いをくれません。私は今でも欲しいのに……」(私はだーれさん・69・東京都・無職)【A】「誕生日なんて誰かが生まれた日なだけ。騒ぎ立てる必要なし!」(蛭子能収)誕生日や記念日とかどうでもいいですよね。誕生日なんて誰かが生まれた日なだけ。別に騒ぎ立てる必要はありませんよ。ほかの人の時間を奪って、しかも何か贈り物をもらったら、お返しするのも面倒。競艇で万舟が当たって大騒ぎすると、周りの人が「おめでとう」とご祝儀を目当てに近づいてきます。ひっそりと自分で祝っていればいいだけ。オレは誰かに何か贈った記憶がありません。(マネージャー〈以下、マ〉「蛭子さんの奥さんが誕生日プレゼントは、西友で買った1,300円のジーンズとユニクロの3割引のタグがついたセーターだけと言っていました」)あれ~そうでしたっけ?女房の誕生日は、競艇でオレがよく買う「1・2・4・6」に入っているからわりと忘れないですよ。(マ「新刊『認知症になった蛭子さん』も出たことだし、印税で何かプレゼントを贈ったらどうですか?」)だったら、「オレの介護を休める券」なんかどうですかね。(マ「いいですね、さすが大先生!」)
2021年06月21日「以前に比べ、『耳あかがたまっている気がする……』と訴える方が増えてきました。これはスマホを長時間使用するようになり、睡眠が浅くなっていることが原因だと考えられます。眠りが浅くなると、寝ている間、無意識のうちに奥歯をかみ締めてしまうことがあります。すると、耳下腺が硬くなり、平衡感覚を失ってしまうのです。それが聞こえの悪さにつながり『耳あかがたまっているのかも』と錯覚してしまうことに。耳は健康状態を表すバロメーターなのです」そう語るのは、イヤーエステティシャンの中本多紀さん。これまで2万人近くの耳をケアしてきた「耳専門家」だ。「東洋医学では古くから耳ツボ療法が行われてきましたが、実は西洋でも、ヒポクラテスが耳を使って治療をしていたことが知られています。ちなみに『耳介治療』を体系化したフランス人医師のポール・ノジェ博士は、『耳は胎児の形で、人体を投影している』と、今から50年以上前に学会で発表しています。そして現在では、世界保健機関(WHO)も耳ツボは350の病症に対し有効的だと認定しています。耳はまさに『人体の縮図』だといえるでしょう」耳には全身につながるツボが200以上もあるといわれ、その配置が胎児の形と一致する。「体に不調なところがあれば、そこに対応する耳ツボが硬くなったり、腫れてしまっていたり。場合によっては触ると痛かったりすることもあります。逆にいえば、耳ツボを適切に刺激してあげることで、体の不調を改善に導くことができるのです」■「認知症予防」に効果てきめんの耳マッサージ東洋医学では、「腎」は生命の起源であると同時に「脳をつかさどる」とされており、腎機能が低下すると、脳の老化が促進すると考えられている。耳マッサージで「腎」のツボをしっかり刺激し、脳の老化を食い止めよう。腎の機能が向上すれば、認知症の予防効果が期待できるだけでなく、体全体が活性化。疲労回復にも効果があるので、風邪が長引いたときや、ぐったりと疲れたとき、頭がぼんやりするようなときにもおすすめだ。【1】指先を耳の付け根にあてる。【2】耳全体をこするように、5〜7秒かけてゆっくり後ろに手を滑らせる。【3】そのまま耳をたたむようにして耳の穴にかぶせつつ、手を手前に引き戻しながら5〜7秒かけて耳の裏をこする。こするときは、「痛気持ちいい」と思える程度の力加減で。【4】3分くらいかけて、耳たぶ全体が温まるようまんべんなくもむ。1〜4を10回以上繰り返す。【5】中指で「腎」のツボ(耳の穴の上)を刺激する。ぐっと押してはゆるめる、を繰り返して。1日2回、朝と夜に、耳に意識を集中させながら行おう。できるだけ集中力を高めるために、静かな場所で行うと効果的。人生100年時代を「頭」も「体」も快適に暮らしていくために、ぜひ毎日の習慣に取り入れてみて。
2021年06月09日2020年7月、認知症であることを公表した蛭子能収さん(73)。その近況や今の思い、妻・悠加さんの“介護相談”も収録した『認知症になった蛭子さん〜介護する家族の心が「楽」になる本』(光文社・定価1,320円)も発売中の蛭子が、本誌読者からの相談に応える!【Q】「51歳で結婚(初婚です!)を考えています。職場にいるバツ1の女性が相手です。彼女も結婚を考えてくれていますが、独身生活が長い僕は、踏ん切りがつきません。うまくいくコツを教えてください」(シゲジイさん・51・大阪府・会社員)【A】「結婚がうまくいく秘訣は自分の本心を隠し続けること」(蛭子能収)あれ、最近、オレの知り合いの誰かが結婚したはずですが……。(マネージャー〈以下、マ〉「有吉弘行さんです。46歳でアナウンサーの夏目三久さんと結婚しました」)あ、そうだ!有吉さんは楽屋ではおとなしいし、すごく優しい顔をしているけど、毒舌キャラに路線を変更して、芸能界で生き残れたからすごいですよね。ちょっと計算高いというか……。(マ「新刊『認知症になった蛭子さん』も発売後すぐに、ツイッターでつぶやいて宣伝してくれた恩人ですよ」)あ、そうですか。たぶん有吉さんも、結婚生活では本音を隠していると思いますよ。オレは、昔から子どもより女房が一番です。(マ「でも本当は競艇がいちばん好きなんですよね?」)そう思っていても「女房がなにより」とずっと本心を隠し続けること大事だと思いますけどね。(マ「有吉さんに会って、本を宣伝してくれたお礼を言ったほうがいいんじゃないですか?」)いや、今はちょっと、面と向かっては恥ずかしいからいいです。
2021年06月07日立ち上がって片足を上げて、どれくらいの時間バランスを維持できるかを測ってみよう。20秒もできない、という人は注意が必要!バランス力がないと、足腰の衰えだけでなく、認知症のリスクも高まってしまうというーー。「コロナ禍では、『人のいないところに出て、マスクを外して運動をしましょう』と訴えているのですが、やはりどうしても運動不足になりがちです。高齢者を中心に幅広い年代で、体の衰えが懸念されます。さらに私が注意喚起したいのは“バランス力”についてです」こう話すのは、愛媛大学大学院抗加齢医学(新田ゼラチン)講座教授の伊賀瀬道也先生だ。バランス力とは、姿勢を維持する力のこと。いわゆる“体幹”や“インナーマッスル”とも関係している。伊賀瀬先生の研究では、片足で1分以上バランスを保てない人はバランス力が低下していて、そこから筋肉や骨密度、さらには認知機能の衰えにも影響してくるという。「高齢者の方々に、片足でどれくらい立っていられるかのテストをしてもらったところ、20秒以上キープできなかった人には、かくれ脳出血やかくれ脳梗塞を起こしているケースが多くありました。同時に、片足立ちが得意でない=バランス力が衰えている人ほど、脳に萎縮が見られる傾向があることもわかっています。片足立ちがどれくらいできるかは、脳の健康のバロメーターともいえるのです」(伊賀瀬先生・以下同)認知症を予防するためにも、バランス力を鍛え、維持するには伊賀瀬先生が提案する「1分片足立ち」エクササイズが有効だ。どこでも簡単にできるものなので、認知症リスクを遠ざけるためにもぜひ取り組んでみよう。■1分片足立ち【1】背筋を伸ばし、視線を前に向け、両足をそろえて立つ。足裏全体をしっかり床につけ、太もも前面の筋肉を意識する。【2】目は開けたまま、片足を太ももが床と平行になる高さまで上げる。ひざは90度に曲げて1分静止。反対の足も同様に行う。これを1セットとし、1日3回行う。■後ろに足上げ【1】背筋を伸ばし、イスから30〜40センチ離れて立ち、状態をやや前に倒してイスの背を持つ。【2】視線は前に、ひざを伸ばしたまま、片方の足を真後ろにゆっくり上げていく。お尻、太もも裏の筋肉を意識する。できるところまで上げたらゆっくり戻す。繰り返し10回行う。反対の足も同様に行う。これを1セットとし、1日3回行う。「最初は慣れるまで足首からふくらはぎの部分に少し痛みや張りを感じることがあるかもしれません。ですが、それは筋肉が鍛えられていないためで、続けていくうちに下半身の筋肉が鍛えられて、バランス力もついてきます」このエクササイズはテレビを見ながら、慣れてくれば歯みがきをしながら、と、“ながら”で行うのが長続きさせるための秘訣だという。「歯みがきは誰でも毎日するでしょうから、朝と晩の歯みがきタイムで2回、あと1回はテレビを見ながらなど、何かをしながらこのエクササイズを生活に取り入れてみてください」前方だけでなく、後方にも「1分足上げ」エクササイズを行うと、太ももの後ろから腰にかけての筋肉も鍛えられて、さらに効果的だ。危険防止のためにも、すぐに手をつけるよう壁やテーブルのそばで行うようにしよう。「片足立ちエクササイズは、重心がぶれないように支える“足裏感覚”も鍛えられます。これもまた若さを保つ秘訣です。40〜50代の女性は、更年期を境に女性ホルモンのバランスにより、骨粗しょう症が進行したり、筋力の低下が著しくなります。これらが進行すると認知機能にも影響が及んでしまいます。全身の健康を保つためにも、バランス力を鍛えることを心がけてください」片足立ちで、足腰と脳のコンディションを維持していこう。
2021年05月31日2020年7月、認知症であることを公表した蛭子能収(73)。その近況や今の思い、妻・悠加さんの“介護相談”も収録した『認知症になった蛭子さん〜介護する家族の心が「楽」になる本』(光文社・定価1,320円)も発売中の蛭子が、本誌読者からの相談に応える!【Q】「将来はグラフィックデザイナーになって、ロゴや商品パッケージをデザインしたいと思っています。できればオリンピックのロゴなんかも作ってみたいです。蛭子先生、なにかアドバイスをお願いします」(勘太67号さん・21・山形県・学生)【A】「オレが描いたデジタル庁のロゴ、採用してもらえませんか?」(蛭子能収)えっ、「アドバイスしろ」と言われても……。(マネージャー〈以下、マ〉「若いときは横尾忠則さんに憧れて、グラフィックデザイナーを夢見ていましたよね」)でも長崎商業高校を卒業した後、デザイナーになろうと就職した先は看板屋さん。しかも、仕事は看板の設置でしたからオレに聞かれても困るし、そもそも「先生」って言われるようなことはしてないんだけど……。(マ「この前、出版した新刊『認知症になった蛭子さん』で20冊以上も本を出してるんだから立派に先生ですよ」)でも、そんなに売れた本がないから、やっぱり先生じゃないですよ。横尾さんのように、大きな仕事をしたこともないし……。(マ「そういえば、今年9月に設置される予定のデジタル庁が、ロゴを作成するデザイナーを募集しているようですよ。作ってみたらどうですか?蛭子先生!」)え〜……まあ、国がやってるなら、採用されたらいっぱいお金がもらえそうだから、ちょっと描いてみましょうか。
2021年05月31日犬と猫と暮らしている、くうオブアマラー(@yuduki_emi)さん。ある日、愛犬を予防接種に連れていきました。車で待機していると、愛犬はこれから予防接種をされることを察したのか、無の状態になっていたといいます。投稿を見た人たちから「覚悟を決めたようだ」「悟りを開いている…」の声が寄せられた写真がこちら!予防接種待ちで『無』の状態になってるいっぬ pic.twitter.com/Mv9Gyry0AG — くうオブアマラー (@yuduki_emi) May 25, 2021 「何も感じず…何も聞こえず…」というような無の境地に入ってしまった愛犬。一本線のようになってしまった遠くを見つめる目が、なんともいえません!しかし、予防接種が終わると…。表情が一変!パッと笑顔になり、予防接種を乗り越え無敵となったようです。投稿には「差がすごすぎる」「なんて分かりやすい子」「乗り切った感がすごい」などのコメントが寄せられていました。悟りを開いてまでも乗り越えた予防接種。我慢できたことを褒めてあげたくなりますね![文・構成/grape編集部]
2021年05月26日2020年7月、認知症であることを公表した蛭子能収(73)。その近況や今の思い、妻・悠加さんの“介護相談”も収録した『認知症になった蛭子さん〜介護する家族の心が「楽」になる本』(光文社・定価1,320円)も発売中の蛭子が、本誌読者からの相談に応える!【Q】「80歳の母は認知症になってお金に対する執着が激しくなりました。『盗まれた』とか『だまされた』などと言って周囲はヘトヘトに。昔は、お金にはサバサバしたタイプだったのに……と困惑しています」(カッコー丸さん・54・新潟県・主婦)【A】「みなさん、新刊『認知症になった蛭子さん』を買ってください!」(蛭子能収)オレは認知症のことがよくわかりませんが、(マネージャー〈以下、マ〉「いやいや……」)お金にガツガツする本性が出てきただけですよ。お金に固執するのはいけないと思って、ずっと我慢してきたんでしょうね。この人の素の姿が見えたと思って、テキトーに聞いておけばいいですよ。オレは小さいころからお金への執着心はすごくあります。(マ「“認知症になっても稼いでいたい”という思いについても書いた新刊『認知症になった蛭子さん』という本も出しました」)あれ、そうやっけ?(マ「でも、思うように売れていないんですって」)え〜、それはマズいですね……。(マ「ただ、読んでくれた人からは『介護で悩んでいたが、心が軽くなった』『蛭子さんは認知症の希望の星だ』という声が届くなど、評判はとてもいいようですよ」)そういうのはどうでもいいですけど、売れないと印税が入ってこないし、困りますね。なんとかしてください。(マ「〈テキトーに〉はい、はい、頑張りますね」)「女性自身」2021年6月1日号 掲載
2021年05月24日気温が上がり始める、5月頃から気をつけたい熱中症。子どもたちは普段から外で練習し暑さに慣れていきます。最近はチームでも熱中症予防の意識が高まり、子どもの熱中症予防には様々な対策をしているところが多いですよね。一方で大人は、在宅やオフィスなどでエアコンの効いた室内で働き、運動不足、残業などで寝不足や仕事の後の飲酒など、疲労回復や体調管理が子どもたちよりできていないという状況もあります。暑熱順化できていない分、子どもたちより熱中症に注意しなければなりません。サッカーをするお子さんだけでなく、保護者も暑さから身を守るための知識をつけ、準備をしておきましょう。「熱中症予防 声かけプロジェクト」実行委員であり、筑波大学体育系准教授の渡部厚一さんに聞く「大人のための熱中症対策」。今回はお酒が熱中症に及ぼす危険性、高齢者におすすめの対策をうかがいました。(取材・文:鈴木智之)子どもの雄姿を近くで観たくなる気持ちはわかりますが、熱中症にならないようなるべく日陰を探してください(写真はサカイクキャンプより)<<前編:実は大人の方が危険!?「大人ならではの事情」で熱中症にならないために知っておきたい正しい熱中症対策■汗をたくさん書いた状態でいきなりビールを飲むのは危険夏はビールの美味しい季節。普段よりも、アルコールの摂取量が増える人も多いのではないでしょうか。渡部さんは言います。「熱中症に限らず、スポーツ活動中の大人の死亡事故の原因の一つに『体調コントロール』があります。睡眠不足でスポーツをしたり、前夜のお酒が体に残ったまま運動をしたり、暑い中に長時間いるなど、体調が良くないまま活動し、不測の事態に陥るケースです」なかでもお酒が及ぼす影響は大きいそうで、「水難事故など、夏に起きる事故の多くに、お酒が絡んでいます」と話します。酔っ払った状態で海に入ったり、BBQをして、酔っ払って川に入って流されるなど、危険な環境は身近にあります。「お酒を楽しく、美味しく飲むのはいいことですが、量をコントロールするのと、お水などでアルコール以外の水分をしっかりととることが大切です。夏の暑いときは、たくさんの汗をかいて、体内から水分が失われているので、おしっこの色が濃くなっています。その状態でお酒を飲むと、血中アルコール濃度が高まるので注意が必要です。泥酔しやすくなってしまいます」夏の暑い時期は、お酒の前に水や電解質(イオン:ナトリウム、クロール、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどミネラルのこと)を含んだ飲料を飲み、体内にしっかりと水分を取り入れてから、ビールなどアルコールに口をつける。これは熱中症対策だけでなく、体調管理の観点からも覚えておいた方が良さそうです。「日中、暑いところにいて、室内に戻ってきて飲むビールは美味しいですよね。喉が乾いた状態で飲みたい気持ちはわかりますが、理屈から言うと、脱水の状態で飲むことになるので、体に負担がかかる場合もあります。まずはチェイサー代わりとして、水で体内を潤してからのほうがいいと思います」■飲酒は脱水になりやすい!遅くまで飲んだ次の日は普段より多く水分を摂ろうまた、「お酒には興奮作用、利尿作用があり、脱水になりやすい」と注意をうながします。「前夜にお酒を飲み、翌朝に寝不足&脱水の状態で炎天下で活動すると、熱中症になるリスクが高まります。前夜に深酒した翌朝は、普段よりも多く水分をとるなどして、とくに気をつけてください」ほかにも気をつけたいのが「高齢者の熱中症」です。サッカー観戦時だけでなく、エアコンをつけていない室内で熱中症になるケースも増えており、注意が必要です。「まず、お年寄りは喉の乾きを感じにくく、体内の水分量も、年齢を重ねるにつれて少なくなっていきます。ほかにも、糖尿病などの持病をお持ちの方は脱水になりやすい傾向にあります。おしっこが出やすいので、体が乾きやすく、脱水や熱中症になりやすいのです」■電解質を含んだ飲料をこまめにとって子どもや体力のある成人であれば、暑さに慣れる「暑熱順化」も必要ですが、活動量の少ないお年寄りにそれを望むのはむずかしいので、渡部さんは「室内にいるときはエアコンをつけましょう」とアドバイスを送ります。「高齢者の中には『なるべくエアコンはつけない方が良い』とお思いの方もいらっしゃるようですが、現代の暑さをエアコンなしで乗り切るのは、体調管理の観点からも危険と言わざるを得ません。ですので、暑さを感じたらエアコンをつけること。そして電解質を含んだ飲料をこまめにとることですね」同様に、試合観戦に向けては、軽装を心掛け、帽子をかぶり、会場では子どもたちを間近で見たくなる気持ちもわかりますが、なるべく屋根のある日差しの当たらない風通しの良い場所を選ぶよう心がけてください。これは高齢者だけでなく保護者の皆さんも一緒です。■牛乳も熱中症予防に効果的さらに渡部さんは「牛乳を飲むのもいいですね」と教えてくれました。「牛乳には水分だけでなく、タンパク質や糖質などがバランスよく入っていて、血液中の水分を保ってくれます。高齢者の方は牛乳を飲んで、熱中症を予防するのがいいと言う先生もいるほどです」朝食時にパンと一緒に牛乳を飲む。これも熱中症対策の朝のルーティンとして取り入れてみるのもいいかもしれません。「外出するときは、体から汗を出すことが大切ですので、放熱をうながしやすい服装をしましょう。風通しの良い軽装で、日光を遮るために日傘を差したり、帽子をかぶるのもいいですね。サングラスは熱中症予防というよりも、紫外線から目を守る効果があります。服装や持ち物は、日差しを遮り、風を通すものを選んでもらえたらと思います」熱中症は気温が上がり始める、5月初旬から中旬にかけてが、最初の注意時期です。体が暑さに慣れていない時期なので、普段以上に対策を万全にして出かけましょう!渡部厚一(わたなべ・こういち)筑波大学体育系准教授筑波大学医学専門学群卒業後、筑波大学附属病院にて医師として勤務。筑波メディカルセンター病院や国立療養所晴嵐荘病院、国立病院機構茨城東病院を経て2012年より国立大学法人筑波大学 体育系に着任。筑波大学水泳部チームドクター。スポーツドクターとして世界水泳選手権大会日本代表水泳チーム(2007)、夏期オリンピック大会水泳チーム(2012)帯同。2011年より「熱中症予防声かけプロジェクト」の実行委員を務める。
2021年05月20日2020年7月、認知症であることを公表した蛭子能収(73)。その近況や今の思い、妻・悠加さんの”介護相談”も収録した『認知症になった蛭子さん~介護する家族の心が「楽」になる本』(光文社・定価1,320円)も発売中の蛭子が、本誌読者からの相談に応える!【Q】「中学、高校と陸上競技部で、目標に向かって努力すれば結果がともなうことを知りました。社会人になって先輩から、懸命に力を尽くしても報われないことばかりと言われました。努力家は損ですか?」(オリサイさん・23・愛知県・会社員)【A】「オレの好きな言葉は、印税。座右の銘は、CMです!」(蛭子能収)努力が無駄かどうかはわかりませんが、努力しているフリは大事だと思います。オレは漫画でも手を抜いていましたが、作品を編集者に出すときはすごく大変だったことをアピールしていました。それで原稿料をもらえましたから(マネージャー〈以下、マ〉「『ローカル路線バス乗り継ぎの旅』のロケで足腰が鍛えられたから認知症になっても元気。努力は報われると思いますよ」)。ギャラが出れば頑張ります。でも基本的にオレはただで頑張りたくありません。本(蛭子さんの新著『認知症になった蛭子さん』)が出て「大変でしたね」と言われますが、「まあちょっと大変でした」と答えていますが、本自体ではオレはまったく力を尽くしていません。それでも大好きな印税が入ってくるからうれしいです。もっといいのが「ちょこっと働けば、いいギャラが入る」CMの仕事です。もっと努力して、オレをCMに起用してくれる会社を見つけてきてくださいよ。(マ「努力する気が失せました!」)「女性自身」2021年5月25日号 掲載
2021年05月17日今年も暑い夏がやってきます。お子さんの熱中症対策は十分に行っていると思いますが、忘れてはいけないのが、大人の熱中症対策です。テレワークが続き、外に出る時間が減っている。ついついお酒を飲みすぎてしまう。仕事が忙しくて十分な睡眠時間が確保できないなど、大人ならではの事情が、熱中症に影響を及ぼすこともあるようです。そこで今回は「熱中症予防 声かけプロジェクト」実行委員であり、筑波大学体育系准教授の渡部厚一さんに「大人の熱中症対策」について、話をうかがいました。(取材・文:鈴木智之)夏場の熱中症リスク、子どもより大人の方が高い?どんなことに気を付けたらいいのかを聞いた(写真はサカイクキャンプより)■「息苦しさ」を感じたら熱中症の症状かも「熱中症予防 声かけプロジェクト」は2011年に誕生したプロジェクトで、今年で10年目を迎えます。官民一体となり、声掛けを通じて熱中症を予防しようという取り組みです。Webサイトには熱中症対策も含めた情報が掲載されていて、一見の価値ありです。渡部さんは呼吸器内科医として医療活動にあたり、スポーツドクターとして、水泳を中心に選手のコンディショニングなどをサポートしています。「呼吸器内科医の観点から、熱中症の症状としてよく見られるのが、呼吸の乱れです。選手から『息苦しい』と相談され、診察すると、脱水症状が原因で呼吸が苦しくなっているケースがありました。サッカーであれば、夏場の試合終盤に過度に呼吸が苦しくなるのは、代謝が亢進しているうえに汗によって脱水が生じ、体から失われた水分や電解質がうまく補給できていないことが、原因のひとつとして考えられます」■普段汗をかきなれてない人は、高湿度の日も注意熱中症は急に気温や湿度が上昇するときになりやすいと言われています。気温が30度を越えたり、体感として暑い日は熱中症対策にも意識が向きやすいですが、渡部さんは「湿度の高さにも、目を向けたほうがいい」と教えてくれました。「近頃は『暑さ指数』なども発表されますが、気温だけではなく、湿度も関係します。いわゆる蒸し暑い日、熱気がまとわりつくような、モワッと暑い日は注意が必要です」普段の生活で汗をかきなれていない人は、熱中症対策に必要な「暑熱順化」ができていないことがあります。人間は汗をかき、気化熱を発生させることで体温を下げますが、汗腺が開いておらず、体の外へ汗が流れていかないと、体内の温度が上昇したまま、下がっていきません。それが熱中症の原因にもなります。「東京五輪のWebサイトに『暑熱順化には1~2週間かかります』と書いてあるように、少なくとも1週間程度前から、暑い環境に慣れておくことが必要です。それをせず、急に暑くなった日に長時間外に出て運動などをすると、熱中症になるリスクは高まります」■水分補給ではなく、失った汗の成分を補給する感覚で「熱中症予防として、必要なのは水分補給です。暑い中でサッカーの試合を見ていると、じっとしているだけでも汗が出ます。常に飲み物を携帯して、お子さんの試合中に給水タイムなどが設けられていると思いますので、それに合わせて電解質の含まれた飲み物を飲むと良いと思います。最低でも、ペットボトル1本は持っていってほしいです」さらに、こう続けます。「汗の成分には、塩分やミネラルが多く含まれています。そのため、水分に加えてそれらの要素も補給しましょう。水分補給ではなく、失った汗を補給する感覚がポイントです」熱中症には、だるさ、頭痛、嘔吐といった熱疲労の症状や、一過性意識消失といった熱失神の症状のほかに、大量の発汗による脱水時の不適切な補正により、電解質異常、特に低ナトリウム血症に起因する有痛性の筋痙攣(いわゆる熱痙攣)が起きることもあります。これらの予兆が出たら、要注意と言えるでしょう。■睡眠不足も熱中症の大敵熱中症予防の観点からは、サッカー観戦の場所にも意識を向けたいところです。「体の外から入ってくる熱を輻射熱(ふくしゃねつ)と言うのですが、コンクリートの上で観戦するのと、芝生など、熱を吸収してくれるものの近くで観戦するのとでは、熱の伝わり方が違います。なるべく自然の中で、熱を吸収してくれるものの近くで観ることをおすすめします」サッカー観戦時、長時間外にいるだけでも体力を消耗します。そのため、体調管理に意識を向けることも、熱中症予防の観点からは大切なことです。とくに大人は不規則な生活になりがちなので、生活習慣も含めて見直す、いい機会かもしれません。「肥満者は熱中症のリスクが高いので、とくに気をつけていただきたいと思います。体調管理という意味では、睡眠不足も大敵です。自律神経系が滞ってしまいます」■朝ごはんもしっかり食べよう朝食を食べずに外に出て、暑い中で長時間活動するのも避けたほうが良さそうです。「朝食を抜くと血糖値が低いままなので、体が疲れやすくなります。また、食事をしていないと、十分に水分を摂取できていないこともあるので、その観点からも食事は大切だと思います」熱中症予防としては、規則正しい生活をして、食事、水分をしっかりとり、観戦中は日陰で見ながら、こまめに電解質の含まれた飲料を飲む。そうすることで、熱中症のリスクを軽減することができそうです。あわせて暑さに慣れることも忘れず、たまには外に出てウォーキングやランニングなどをしてみてはいかがでしょうか。汗をかき慣れておくことも、暑さが本格化する前の時期に必要なことのようです。後編では「お酒」が熱中症に及ぼす影響や、高齢者の注意点などをうかがっていきます。渡部厚一(わたなべ・こういち)筑波大学体育系准教授筑波大学医学専門学群卒業後、筑波大学附属病院にて医師として勤務。筑波メディカルセンター病院や国立療養所晴嵐荘病院、国立病院機構茨城東病院を経て2012年より国立大学法人筑波大学 体育系に着任。筑波大学水泳部チームドクター。スポーツドクターとして世界水泳選手権大会日本代表水泳チーム(2007)、夏期オリンピック大会水泳チーム(2012)帯同。2011年より「熱中症予防声かけプロジェクト」の実行委員を務める。
2021年05月17日ギャンブル好きで、空気を読まない自分本位の発言を連発。でもなんだか憎めないキャラで、お茶の間に笑いを届け続けた、あの蛭子能収さん(73)が認知症になった。「まさか」と思ったその現実に、誰よりも戸惑い、葛藤しているのは妻・悠加さん(54)だ。蛭子さんと悠加さんの出会いは03年。01年に前妻の貴美子さん(享年51)を亡くした蛭子さんが、再婚相手を探していると聞いた本誌は誌上お見合いを企画。それに悠加さんが応募したのだ。蛭子さんといえば、テレビで見せる空気を読まない独特な天然キャラで自由奔放な言動をするイメージが強いが……。交際から3カ月ぐらいたったころには、2人で佐賀県唐津市に2泊3日で旅行へ。「仕事が終わった翌朝、よっちゃんは『競艇をしたい』と言いだし、2日目も競艇場に行ってしまいました。さらに3日目の朝にも『大事なレースがあるから』とさっさと競艇に出かけてしまい、旅行中、私はホテルにずっと1人きり。さすがに帰りの車中で『どういうつもりなのよ!』と怒りが爆発しました」やりきれない表情で詰め寄った悠加さんに、蛭子さんは「前の女房は、こんなことでは怒らなかった」と言い返したという。「前の奥さんを信用するのにも、交際してから3年かかったとも言われました。私は、よっちゃんにとって気が許せる相手になるために、とにかく誠実に尽くして、それを積み重ねていこうと思いました」07年に悠加さんと蛭子さんは入籍。「よっちゃんの様子がなんだかおかしい」と、悠加さんがそう思い始めたのは17年のある晩のことがきっかけだった。「横で寝ていたよっちゃんに、突然、たたかれたのです。一瞬何があったのかわからなかったし、翌朝には本人もケロッとしていたから仕事の疲れがたまって寝ぼけたのかなあと思っていました」レビー小体型認知症の典型的な症状で、存在しないものが見える「幻視」が現れたのは、19年秋のこと。夜は1時間おきに起こされ、睡眠不足のまま過ごす日中には、幻視に加え、物忘れや時間と場所がわからなくなる症状も。蛭子さんの介護が悠加さんの心と体にずっしりとのしかかっていく。「幸いにも仕事先ではひどい症状はあまり出ていないようでした。だからこそ余計に、よっちゃんが“おかしい”のは私の前だけなのかと孤独感が募っていきました。誰かに相談しようと何度も思いましたが、タレントであるよっちゃんの症状がおもしろおかしく伝わって、芸能ネタになってしまってはいけない、と思っていたので、友達にさえ悩みを打ち明けられませんでした。すべて片づけて、いっそのこと死んでしまおうかと思ったことも……」本誌記者は、そのころの悠加さんに会っている。くぼんだ目、こけた頬。いらだちを隠せない視線を蛭子さんに向けていた。17年から3年間で、悠加さんは4回、救急病院に駆け込んでいる。ストレスからくる急性胃腸炎だった。20年7月に認知症であることをテレビで公表したのは、悠加さんの心のSOSからだった。「最初、介護サービスを利用することにひるんでいました。家族のケアを人に任せるなんて。妻である私がしっかりやらないといけない、と思い込んでいました」ケアマネジャーは、蛭子さんのためにショートステイ(短期入所生活介護)を受けることを提案。とにかく悠加さんの睡眠時間を確保することを優先させた。次第に悠加さんにも余裕が生まれ、二人の関係は穏やかなものへと変化していった。──それから半年が過ぎた。最近の蛭子さんは、週に数回、ショートステイを利用し、定期的に通院していることで、症状がだいぶ落ち着いている。混乱することが少ない昼から夕方にかけては仕事も問題なくこなせる。今年4月27日(火)には単行本『認知症になった蛭子さん~介護する家族の心が「楽」になる本』(光文社)が発売。病気は世間に公表され、悠加さん一人が抱え込むこともなくなった。とはいえ、認知症の症状はあり、悠加さんにとっては、まだまだ大変なことばかり。「心と体が健康でなければ介護はできないということを知りました。最近は、とくにソファに座ってテレビを見ている姿なんか、くまのプーさんに見えてくるんです。介護も、よっちゃんにならって私も“自分ファースト”の姿勢を持つようにしています」蛭子さんに、少し厳しい質問をしてみた。記憶力がなくなることに恐怖はないのだろうかと。「そう考えればたしかに怖いですね。ちょっとずつ物忘れはひどくなっているというか……、どんなことを忘れたかについては、忘れてしまいましたけど(笑)。でも女房がいるから大丈夫なんじゃないかな……と思いますけど」それを受けて悠加さんが語る。「そう大丈夫、よっちゃんが何もかも忘れても、私が全部、覚えておいてあげるからね!」「それはありがたいね」そう答えた蛭子さんに、悠加さんはふわりと笑いかけた。一時は自死さえも考えたという悠加さんの心の持ちようが変わったきっかけは、“自分ファーストの介護”の大切さに気づいたこと。そう、介護ではときに「蛭子さんみたいな考え方」が役に立つのだ。「女性自身」2021年5月11日・18日合併号 掲載
2021年05月10日65歳以上の人の約15%がかかっているという認知症を撃退できるうれしい食材があることを知っていましたか?しかも驚くことに、いずれもとっても身近なものばかり。ぜひおいしくお召し上がりくださいーー!「私はこれまで30年間で、胎児から高齢者まで、1万人以上の脳のMRI(磁気共鳴画像法)で撮影した脳画像の診断を行ってきました。そこでわかってきたのは、人の脳は100歳になっても、その人の心がけ次第でどんどん成長し続けるということなんです」こう話すのは、脳内科医の加藤俊徳先生(加藤プラチナクリニック院長)。最近、物忘れが多くなり、人の名前が思い出せなくなったと自覚している人には、驚きの言葉ではないだろうか。「たしかに脳の成長は40代でピークを迎えますが、その後の脳の健康状態も、日々の行いによって衰えを防ぐことができるのです」加藤先生によれば、脳の健康を保つポイントは三つある。「一つは脳を刺激してあげること。ふだんからいろいろなことに興味を持ち、つねに脳を活性化させるよう心がけてください。次に睡眠と適度な運動。脳に十分な酸素を供給することも大切です。そして最後にもう一つ欠かせないのが、質のよい食事。なぜなら脳と食事は密接につながっていて、認知症を遠ざけることができるからです」脳の活性化の“切り札”が、栄養素「プラズマローゲン」だ。「聞きなれない名前かもしれませんが、いま認知症に効果があることでいちばん注目されているのがプラズマローゲンという栄養素です」加藤先生によれば、米国の研究では、アルツハイマー病の患者の脳にこの栄養素が減少していることが指摘され、九州大学の報告でも、これを摂取すると認知機能が改善することが明らかになっているという。「プラズマローゲンは体内にある抗酸化作用を持ったリン脂質の一つで、神経細胞(ニューロン)をつなぐ成分になっています。脳には、木の枝のようにニューロンが張り巡らされているのですが、このニューロンの成長が脳を活性化し、認知症の予防につながります。そして、そのカギを握るのがプラズマローゲンなんです」リン脂質とは、細胞膜を形成する主な成分で、人体のリン脂質の約18%がこのプラズマローゲンとされる。脳にはもともと、この栄養素が含まれており、これが不足すると、うっかりや物忘れなどが多くなるのだとか。「うっかりや物忘れといった脳の活動が鈍くなる現象というのは、老化などにより脳の神経線維が傷つき、伝達速度が遅くなっていることも原因の一つです。プラズマローゲンは、傷ついた神経線維の細胞膜を修復してくれる栄養素。神経線維の傷が修復されれば、伝達速度も回復するというわけです」つまりプラズマローゲンが不足すると、どんどん脳の神経線維の伝達速度が落ちてしまう。これを補うことで、衰えた脳の働きを回復させる効果が生まれるのだ。「プラズマローゲンにはコリン型、セレン型、エタノールアミン型の3種類がありますが、脳に多く含まれるのはエタノールアミン型。これは動物性食品にしか含まれていません。その代表的な食品が鶏肉や魚介類です」そのなかで、とくに加藤先生が“三大プラズマローゲン食材”としてすすめているのが、ホタテ、タコ、サケだ。「今回のレシピは、加藤先生からいただいたプラズマローゲンといっしょに取りたい栄養素のリストを参考に考えました。メインの一品だけでなく、おつまみとしてもおすすめですよ」こう話すのは、料理研究家の羽賀敦子さん。栄養素のリストから参考にしたものは次の3つ。【カルシウム】骨の強化だけでなく脳細胞間の伝達経路の活性化を促進することで知られ、不足すると認知症の危険性が高まる。小松菜、シシャモ、ごま、チーズ、ヨーグルトなどに豊富に含まれる。【ビタミンB、C、E】脳にダメージを与え、老化の原因になるとされる活性酸素から、脳や体を保護するのがビタミンCとE。またビタミンBには、脳の活動を活発にし、認知症を防ぐ働きがある。これらを多く含むものとして、豚肉、にんにく、卵、アサリ、かぼちゃ、いちご、パプリカなど。【レシチン】摂取すると、脳からの命令を神経に伝えるアセチルコリンが増加。記憶力低下や物忘れの予防に効果がある。また脳の神経細胞が集中する白質の代謝を促進し、脳の神経細胞のネットワークが強化されるという。大豆、ウナギ、鶏レバー、ピーナツなどに多く含まれている。「このほかに、認知症の原因となる脳内での老化物質の沈着を防ぐ働きがあるとされる、オメガ3脂肪酸を含むエゴマオイルやイワシなどの青魚も加え、バランスを重視したレシピにしました。プラズマローゲンは生、加熱に関係なく摂取できます。サケは塩サケや切り身のサーモンなど、お好きなものを選んで調理してみてください」サケを使った羽賀さんおすすめのレシピを紹介。■認知症撃退オールスターが勢ぞろい!「サケのおにぎり」〈材料〉・塩サケ(切り身)…3切れ・ご飯…おにぎり6個分・じゃこ…60グラム・白ごま…小さじ1〈作り方〉(1)フライパンで、じゃこと白ごまを軽くいる。(2)塩サケはグリルで焼き、ほぐしておく。皮の部分はみじん切りにしておく。(3)ボウルにご飯を入れ、(1)と(2)を加えて、よく混ぜる。(4)おにぎりにして完成。じゃこと白ごまを炒めることで風味がUP。塩サケだけでは塩分が足りない場合は、適量の塩をまぶして。■小松菜のビタミン&カルシウムで脳を活性化「サケと小松菜の味噌チーズ焼き」〈材料〉・サケ(生切り身)…3切れ・小松菜…6株・エリンギ…3本・にんにく…1かけ・とろけるチーズ…3枚・A(白味噌、酒、みりん…各大さじ3)〈作り方〉(1)サケは2つに切る。(2)小松菜は4センチ大にそろえて切る。エリンギは短冊切り、にんにくはスライスにする。(3)Aを入れた耐熱皿に小松菜を敷き、エリンギをのせ、にんにくを散らす。(4)(3)の上にのせたサケにチーズを重ね、オーブントースターで10分間焼く。(5)サケに火が通り、チーズが溶けたら完成。味噌とチーズが絶妙にマッチ。オーブントースターはサケに火が通ったかを確認しながら、こまめに時間設定して。■大豆のレシチンが脳の神経細胞を強化「サケと大豆のトマト煮」〈材料〉・サケ(切り身)…300グラム・大豆(水煮)…1袋・玉ねぎ…1個・にんにく…1かけ・パセリ…1本・水煮トマト…1缶・油…適量・A(砂糖…大さじ1、コンソメ顆粒…小さじ1、ケチャップ…大さじ2)・オリーブオイル…適量・小麦粉…大さじ3・塩、こしょう…各少々〈作り方〉(1)一口大に切ったサケに軽く塩をふり、小麦粉をはたいて、油を熱したフライパンで両面を焼く。(2)玉ねぎ、にんにくはみじん切りにする。(3)鍋にオリーブオイルを熱し、(2)を入れてしんなりしたら、トマト缶とAを入れ、軽く煮詰める。(4)(3)に(1)と大豆を加え、塩、こしょうで味を調え、ひと煮立ちさせる。(5)(4)を器に盛り、葉の部分だけみじん切りにしたパセリを散らして完成。脳の栄養素といわれるレシチンが豊富な大豆やサケと相性抜群のトマトを使い、おしゃれなイタリアンに。プラズマローゲン食材を一品でたっぷり取れること請け合い。ぜひ食卓で実食あれ。「女性自身」2021年4月20日号 掲載
2021年04月30日65歳以上の人の約15%がかかっているという認知症を撃退できるうれしい食材があることを知っていましたか?しかも驚くことに、いずれもとっても身近なものばかり。ぜひおいしくお召し上がりくださいーー!「私はこれまで30年間で、胎児から高齢者まで、1万人以上の脳のMRI(磁気共鳴画像法)で撮影した脳画像の診断を行ってきました。そこでわかってきたのは、人の脳は100歳になっても、その人の心がけ次第でどんどん成長し続けるということなんです」こう話すのは、脳内科医の加藤俊徳先生(加藤プラチナクリニック院長)。最近、物忘れが多くなり、人の名前が思い出せなくなったと自覚している人には、驚きの言葉ではないだろうか。「たしかに脳の成長は40代でピークを迎えますが、その後の脳の健康状態も、日々の行いによって衰えを防ぐことができるのです」加藤先生によれば、脳の健康を保つポイントは三つある。「一つは脳を刺激してあげること。ふだんからいろいろなことに興味を持ち、つねに脳を活性化させるよう心がけてください。次に睡眠と適度な運動。脳に十分な酸素を供給することも大切です。そして最後にもう一つ欠かせないのが、質のよい食事。なぜなら脳と食事は密接につながっていて、認知症を遠ざけることができるからです」脳の活性化の“切り札”が、栄養素「プラズマローゲン」だ。「聞きなれない名前かもしれませんが、いま認知症に効果があることでいちばん注目されているのがプラズマローゲンという栄養素です」加藤先生によれば、米国の研究では、アルツハイマー病の患者の脳にこの栄養素が減少していることが指摘され、九州大学の報告でも、これを摂取すると認知機能が改善することが明らかになっているという。「プラズマローゲンは体内にある抗酸化作用を持ったリン脂質の一つで、神経細胞(ニューロン)をつなぐ成分になっています。脳には、木の枝のようにニューロンが張り巡らされているのですが、このニューロンの成長が脳を活性化し、認知症の予防につながります。そして、そのカギを握るのがプラズマローゲンなんです」リン脂質とは、細胞膜を形成する主な成分で、人体のリン脂質の約18%がこのプラズマローゲンとされる。脳にはもともと、この栄養素が含まれており、これが不足すると、うっかりや物忘れなどが多くなるのだとか。「うっかりや物忘れといった脳の活動が鈍くなる現象というのは、老化などにより脳の神経線維が傷つき、伝達速度が遅くなっていることも原因の一つです。プラズマローゲンは、傷ついた神経線維の細胞膜を修復してくれる栄養素。神経線維の傷が修復されれば、伝達速度も回復するというわけです」つまりプラズマローゲンが不足すると、どんどん脳の神経線維の伝達速度が落ちてしまう。これを補うことで、衰えた脳の働きを回復させる効果が生まれるのだ。「プラズマローゲンにはコリン型、セレン型、エタノールアミン型の3種類がありますが、脳に多く含まれるのはエタノールアミン型。これは動物性食品にしか含まれていません。その代表的な食品が鶏肉や魚介類です」そのなかで、とくに加藤先生が“三大プラズマローゲン食材”としてすすめているのが、ホタテ、タコ、サケだ。「今回のレシピは、加藤先生からいただいたプラズマローゲンといっしょに取りたい栄養素のリストを参考に考えました。メインの一品だけでなく、おつまみとしてもおすすめですよ」こう話すのは、料理研究家の羽賀敦子さん。栄養素のリストから参考にしたものは次の2つ。【カルシウム】骨の強化だけでなく脳細胞間の伝達経路の活性化を促進することで知られ、不足すると認知症の危険性が高まる。小松菜、シシャモ、ごま、チーズ、ヨーグルトなどに豊富に含まれる。【ビタミンD】不足すると認知症やアルツハイマー病になるリスクが約1.5〜2倍に高まるといわれる。しらすやきくらげ、サバ、すじこなどに多く含まれている。「このほかに、認知症の原因となる脳内での老化物質の沈着を防ぐ働きがあるとされる、オメガ3脂肪酸を含むエゴマオイルやイワシなどの青魚も加え、バランスを重視したレシピにしました。プラズマローゲンは生、加熱に関係なく摂取できるので、タコは入手しやすいボイルした足でもOK」タコを使った羽賀さんおすすめのレシピを紹介。■チーズのカルシウムが脳の伝達能力UP「タコのカナッペ」〈材料〉・タコ(ボイル)…150グラム・クリームチーズ…150グラム・クラッカー…15枚・わさび、白ごま…各少々〈作り方〉(1)タコは一口大にスライスしておく。(2)15枚のクラッカーにクリームチーズ(1枚につき10グラム程度)を塗る。(3)(2)にタコをのせ、お好みでわさびと白ごまを散らして完成。クリームチーズのカルシウムが脳の伝達経路を活性化。わさびが苦手な人はのせなくてもおいしくいただけます。■きくらげでプラズマローゲンの効果を増強「タコときくらげの春雨ピリ辛サラダ」〈材料〉・タコ(ボイル)…90グラム・きくらげ…6枚・春雨…60グラム・きゅうり…1本・A(砂糖、しょうゆ、酢…各大さじ1、ごま油…大さじ1/2、ラー油…適量)〈作り方〉(1)きくらげは水で戻し、沸騰したお湯で30秒ゆでてから千切りにする。(2)春雨は沸騰したお湯で5分間ゆでて、水気を切っておく。(3)タコはぶつ切り、きゅうりはタテ半分に切りスライスする。(4)サラダボウルに(1)(2)(3)を入れ、よく混ぜたAをかけて完成。きくらげに含まれるビタミンDがタコのプラズマローゲンをさらに補強。ラー油の量で好みの辛さに調節して。■えごまオイルとくるみでオメガ3脂肪酸をチャージ「タコとオイルサーディンのくるみあえ」〈材料〉・タコ(刺身用)…150グラム・オイルサーディン…1缶・セロリ…1本・くるみ(ロースト)…30グラム・A(えごまオイル…100ミリリットル、ワインビネガー…大さじ4、塩、こしょう…各少々)〈作り方〉(1)タコはぶつ切り、セロリはスジを除きスライス、くるみは粗みじん切りにする。(2)Aをすべて合わせ、くるみを入れて、よく混ぜる。(3)タコとセロリ、油を切ったオイルサーディンを皿に盛りつけ、(2)であえて完成。えごまオイルとくるみでオメガ3脂肪酸を重点的に補給。タコはボイルしたものを使ってもOK。プラズマローゲン食材を一品でたっぷり取れること請け合い。ぜひ食卓で実食あれ。「女性自身」2021年4月20日号 掲載
2021年04月30日65歳以上の人の約15%がかかっているという認知症を撃退できるうれしい食材があることを知っていましたか?しかも驚くことに、いずれもとっても身近なものばかり。ぜひおいしくお召し上がりくださいーー!「私はこれまで30年間で、胎児から高齢者まで、1万人以上の脳のMRI(磁気共鳴画像法)で撮影した脳画像の診断を行ってきました。そこでわかってきたのは、人の脳は100歳になっても、その人の心がけ次第でどんどん成長し続けるということなんです」こう話すのは、脳内科医の加藤俊徳先生(加藤プラチナクリニック院長)。最近、物忘れが多くなり、人の名前が思い出せなくなったと自覚している人には、驚きの言葉ではないだろうか。「たしかに脳の成長は40代でピークを迎えますが、その後の脳の健康状態も、日々の行いによって衰えを防ぐことができるのです」加藤先生によれば、脳の健康を保つポイントは三つある。「一つは脳を刺激してあげること。ふだんからいろいろなことに興味を持ち、つねに脳を活性化させるよう心がけてください。次に睡眠と適度な運動。脳に十分な酸素を供給することも大切です。そして最後にもう一つ欠かせないのが、質のよい食事。なぜなら脳と食事は密接につながっていて、認知症を遠ざけることができるからです」脳の活性化の“切り札”が、栄養素「プラズマローゲン」だ。「聞きなれない名前かもしれませんが、いま認知症に効果があることでいちばん注目されているのがプラズマローゲンという栄養素です」加藤先生によれば、米国の研究では、アルツハイマー病の患者の脳にこの栄養素が減少していることが指摘され、九州大学の報告でも、これを摂取すると認知機能が改善することが明らかになっているという。「プラズマローゲンは体内にある抗酸化作用を持ったリン脂質の一つで、神経細胞(ニューロン)をつなぐ成分になっています。脳には、木の枝のようにニューロンが張り巡らされているのですが、このニューロンの成長が脳を活性化し、認知症の予防につながります。そして、そのカギを握るのがプラズマローゲンなんです」リン脂質とは、細胞膜を形成する主な成分で、人体のリン脂質の約18%がこのプラズマローゲンとされる。脳にはもともと、この栄養素が含まれており、これが不足すると、うっかりや物忘れなどが多くなるのだとか。「うっかりや物忘れといった脳の活動が鈍くなる現象というのは、老化などにより脳の神経線維が傷つき、伝達速度が遅くなっていることも原因の一つです。プラズマローゲンは、傷ついた神経線維の細胞膜を修復してくれる栄養素。神経線維の傷が修復されれば、伝達速度も回復するというわけです」つまりプラズマローゲンが不足すると、どんどん脳の神経線維の伝達速度が落ちてしまう。これを補うことで、衰えた脳の働きを回復させる効果が生まれるのだ。「プラズマローゲンにはコリン型、セレン型、エタノールアミン型の3種類がありますが、脳に多く含まれるのはエタノールアミン型。これは動物性食品にしか含まれていません。その代表的な食品が鶏肉や魚介類です」そのなかで、とくに加藤先生が“三大プラズマローゲン食材”としてすすめているのが、ホタテ、タコ、サケだ。「今回のレシピは、加藤先生からいただいたプラズマローゲンといっしょに取りたい栄養素のリストを参考に考えました。メインの一品だけでなく、おつまみとしてもおすすめですよ」こう話すのは、料理研究家の羽賀敦子さん。栄養素のリストから参考にしたものは次の3つ。【ビタミンD】不足すると認知症やアルツハイマー病になるリスクが約1.5〜2倍に高まるといわれる。しらすやきくらげ、サバ、すじこなどに多く含まれている。【ビタミンB、C、E】脳にダメージを与え、老化の原因になるとされる活性酸素から、脳や体を保護するのがビタミンCとE。またビタミンBには、脳の活動を活発にし、認知症を防ぐ働きがある。これらを多く含むものとして、豚肉、にんにく、卵、アサリ、かぼちゃ、いちご、パプリカなど。【ヨウ素】認知機能が低下する原因の一つである、甲状腺ホルモンの異常を抑えるとされる。おもに海藻類に含まれるため、献立に一品は海藻類を加えるとよいとされている。代表的なものとして、のり、ワカメ、ヒジキ、メカブなどが挙げられる。「このほかに、認知症の原因となる脳内での老化物質の沈着を防ぐ働きがあるとされる、オメガ3脂肪酸を含むエゴマオイルやイワシなどの青魚も加え、バランスを重視したレシピにしました。プラズマローゲンは生、加熱に関係なく摂取できるので、ホタテは新鮮な刺身用がおすすめ」ホタテを使った羽賀さんおすすめのレシピを紹介。■ビタミンDの王様・しらすとのW効果「ホタテしらす丼」〈材料〉・ご飯…3杯分・ホタテ(刺身用)…6個・釜揚げしらす…100グラム・青しそ…6枚・卵黄…3個分・しょうゆ…適量〈作り方〉(1)ホタテは2〜3個にぶつ切りにする。(2)器に盛ったご飯の上に、青しそ、しらす、ホタテの順で盛りつける。(3)卵黄を中央にのせて完成。卵黄のビタミンB群と、青しそに含まれる血管の老化を防ぐβカロテンが合わせて取れるスペシャル丼。■ビタミンB、C、Eを漏れなくカバー「ホタテのマリネ」〈材料〉・ホタテ(刺身用)…9個・アサリ…9個・パプリカ黄色、赤色、玉ねぎ、レモン…各1/2個・クレソン…4〜5本・酒…大さじ2・A(オリーブオイル、ワインビネガー…各大さじ4、塩…少々)〈作り方〉(1)ホタテを2〜3枚にスライスする。(2)レモンはくし切り、玉ねぎ、パプリカは薄切りにしておく。(3)砂抜きしたアサリを小鍋で酒蒸しにし、汁とともに冷ましておく。(4)(3)から汁を取り出しAと混ぜる。(5)(1)(2)と(3)のアサリ、クレソンをざっくりあえ、(4)をかけてさらにあえてから、冷蔵庫で30分ほど冷やして完成。アサリだけでなく、ハマグリやムール貝などを加えると、よりうま味が濃厚になり、認知症予防にも効果的。■ヨウ素たっぷりのヒジキを薄味で堪能「ホタテとヒジキの煮物」〈材料〉・ベビーホタテ(ボイル)…12個・乾燥ヒジキ…20グラム・にんじん…1/3本・こんにゃく…1/2枚・だし汁…300ミリリットル・A(しょうゆ…大さじ2、砂糖…大さじ1、酒…大さじ1、みりん…大さじ2)・油…適量〈作り方〉(1)乾燥ヒジキを水で戻しておく。(2)にんじん、こんにゃくは細めの短冊切りにする。(3)鍋に油を中火で熱し、にんじん、ヒジキ、こんにゃくの順で入れて炒める。(4)にんじんがしんなりしたら、ホタテとだし汁、Aを加える。(5)弱火で、汁けがなくなるまで炒め煮して完成。認知症の要因とされる甲状腺ホルモンの分泌低下を正常に保つ、ヨウ素を含むヒジキがたっぷり取れる。味付けは薄めで。プラズマローゲン食材を一品でたっぷり取れること請け合い。ぜひ食卓で実食あれ。「女性自身」2021年4月20日号 掲載
2021年04月29日「私はこれまで30年間で、胎児から高齢者まで、1万人以上の脳のMRI(磁気共鳴画像法)で撮影した脳画像の診断を行ってきました。そこでわかってきたのは、人の脳は100歳になっても、その人の心がけ次第でどんどん成長し続けるということなんです」こう話すのは、脳内科医の加藤俊徳先生(加藤プラチナクリニック院長)。最近、物忘れが多くなり、人の名前が思い出せなくなったと自覚している人には、驚きの言葉ではないだろうか。「たしかに脳の成長は40代でピークを迎えますが、その後の脳の健康状態も、日々の行いによって衰えを防ぐことができるのです」加藤先生によれば、脳の健康を保つポイントは三つある。「一つは脳を刺激してあげること。ふだんからいろいろなことに興味を持ち、つねに脳を活性化させるよう心がけてください。次に睡眠と適度な運動。脳に十分な酸素を供給することも大切です。そして最後にもう一つ欠かせないのが、質のよい食事。なぜなら脳と食事は密接につながっていて、認知症を遠ざけることができるからです」脳の活性化の“切り札”が、栄養素「プラズマローゲン」だ。「聞きなれない名前かもしれませんが、いま認知症に効果があることでいちばん注目されているのがプラズマローゲンという栄養素です」加藤先生によれば、米国の研究では、アルツハイマー病の患者の脳にこの栄養素が減少していることが指摘され、九州大学の報告でも、これを摂取すると認知機能が改善することが明らかになっているという。「プラズマローゲンにはコリン型、セレン型、エタノールアミン型の3種類がありますが、脳に多く含まれるのはエタノールアミン型。これは動物性食品にしか含まれていません」そのなかで、とくに加藤先生が“三大プラズマローゲン食材”としてすすめているのが、ホタテ、タコ、サケだ。【ホタテ】おすしのネタやバター焼きなど、子どもから大人まで人気の二枚貝。貝柱の主成分はタンパク質で、なんと、ハマグリの倍量にもなるとか。「ホタテのプラズマローゲンにはEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)も含まれており、脳の老化を防ぐ栄養を効果的に摂取できます」またアミノ酸のタウリンやアスパラギン酸が多く含まれることも特長。これらは、脳の発達を助けるだけでなく、疲労回復や目の疲れに効果的。スマホなどで、目を酷使したときなどにも食べるとよい食材だ。【タコ】お正月の酢ダコやたこ焼きでおなじみ。「タコにはプラズマローゲンはもちろん、年齢を重ねるごとに増えてくる、シミやシワといった肌の悩みに効果があるビタミンEや、亜鉛などのミネラルも豊富に含まれている。高タンパク質で低脂肪・低カロリーの魚介類のため、肥満防止にも効果が期待できます」またタコもタウリンが豊富で、目や脳の発達を助けてくれるという。ただプリン体を多く含むため、尿酸値が高めの人は食べすぎに注意が必要だ。【サケ】ひとくちにサケと言っても、最近のスーパーでは、塩サケの切り身から、刺身でも食べられるトラウトサーモン(海で養殖されたニジマスの一種)まで、さまざまな種類が販売されているが、プラズマローゲンはそれらすべてのサケに含まれている。「サケも低カロリーかつ、老化予防に効果があるとして注目されている食材です。サケのタンパク質は消化吸収がよく、プラズマローゲン含有量はホタテやタコほど多くありませんが、魚のなかでは多いといえます。何よりサケの身のピンクの色素(アスタキサンチン)は、抗酸化作用が強く、老化の原因となる活性酸素から脳や体を守ってくれる働きがあります。そして脳の健康に欠かせないEPAやDHAも豊富に含まれています」まずは“三大プラズマローゲン食材”のなかから、とくに自分が好きなものを選んで、それを優先的に食べてみよう。より効果的に脳を老化から遠ざけてくれるはず。「女性自身」2021年4月20日号 掲載
2021年04月29日8つの食材を混ぜ合わせて冷凍保存。朝や好きな時間にお湯をかけて溶かせばできあがり!簡単に作れる脳にいい栄養たっぷりのスープを毎日の習慣にーー。コロナ禍にあって一人で過ごす時間が多くなったことから、物忘れや「頭がぼーっとする」などの症状から認知症を心配し、受診する中高年が増えているという。「ご自身で受診するならほとんどは大丈夫なケースで、むしろ自覚のない人のほうが心配です。対策のために自宅で脳トレに励む方もいますが、それよりも、必要な栄養素をしっかり取ることで認知症の予防をすることができます」こう話すのは『1日1杯脳のおそうじスープ』(アスコム)が話題の脳神経内科医・内野勝行先生だ。認知症についてはまだ解明されていないことも多いが、近年、認知症を誘引する「脳にたまったゴミ」といわれる脳内に発生するアミロイドβというタンパク質を除去することが、早期認知症に有効であることがわかってきている。そしてこれを受けて、内野先生が考案したのは、アミロイドβをためないために、1日1杯飲むだけの「脳のおそうじスープ」だ。「使う食材や調味料は普通のスーパーで買えるものばかりです。これらに含有する栄養素を効率よく、定期的に取ることでアミロイドβを除去するようにしましょう。サプリメントより安価で、必要な栄養素がしっかり取れます」脳のおそうじスープで使う食材と栄養素、基本スープのレシピは次のとおり。〈材料〉約8杯分・トマト(=リコピンなど)…大1個(200グラム)・蒸し大豆(=レシチン、タンパク質、リン)、くるみ(=α-リノレン酸)…各50グラム・桜エビ(=アスタキサンチン)…10グラム・すりごま(=セサミン)…小さじ3杯(18グラム)・ノンオイルのツナ缶(=DHA・EPA)…2缶(140グラム)・塩…小さじ1杯(6グラム)・中濃ソース(=スパイス)…大さじ1杯(6グラム)・こめ油(=γ-オリザノール)…少々〈作り方〉(1)トマトはおろし金ですりおろす。(2)蒸し大豆とくるみを保存袋(大)に入れて、くるみを砕きながらもむ。(3)(2)に(1)とそのほかの材料を入れる。(4)もみ混ぜてから平らにして冷凍保存する。大きめの製氷皿で凍らすと便利。(5)スープの素(60グラム)に熱湯150ミリリットルを注ぐ。こめ油(分量外)を少々垂らして完成。続けるコツは、時間があるときに基本のスープの素を作って冷凍庫に保存すること。あとは毎朝、湯を注ぐだけ。時間があるなら、キムチを加えてチゲ風、玉ねぎとトマトを加えてチーズで仕上げてグラタン風などアレンジも自在。「まずは毎日1杯は飲んで、最低2週間は続けてみてください。食事どきに限らず、小腹がすいたときに食べても、ナッツや大豆など腹持ちのよい具材が入っているので1杯で満たされます。毎日のスープ生活で脳をおそうじしながら規則正しい生活や適度な運動、質の高い睡眠をとることも心がけてくださいね」まずは1杯のスープから、脳のおそうじ習慣を身につけよう。「女性自身」2021年4月13日号 掲載
2021年04月28日ナビゲーターを務める“ゴンちゃん”こと権頭喜美恵さんの第一声で、この日の放送も始まった。3月26日金曜日、ここは北九州市のコミュニティFM「エアステーションヒビキ」(88.MHz)のサテライトスタジオ。一面ガラス張りのスタジオに、穏やかな春の日差しが差し込んでいる。「今日は暖かいですね」「3月ももうおしまいですからね」ゴンちゃんの言葉に、サポート役の小島成裕さんが相槌を打つ。と、すかさず高齢の女性の声が割り込んできた。「うちの男衆は皆、3月生まれやけん。アニキやらおったらせわしいて。口うるさいけんね」酒井清子さん(87)だった。レギュラー出演者の女性トリオ「あめちゃんず」の1人だ。ちなみに「あめちゃんず」の由来は「キャンディーズ」だとか。酒井さんのおしゃべりをやんわりかわしてゴンちゃんは続ける。「さ、今日も生放送でお届けしてまいります。まず、自己紹介からいきましょう。中村さん」しかし、呼びかけられた中村文子さん(90)は、ヘッドホンを装着したまま身じろぎもしない。「うちの兄は来たことないでしょ」と、またまた酒井さん。「そうですかねぇ」と、さらりと受け流しながら、ゴンちゃんは中村さんの目の前で手を振った。ハッと中村さんは覚醒!手を振り返して、姿勢を正す。中村「はい。中村文子と申します」ゴン「何歳ですか?」中村「は?90歳(笑)」ゴン「ここではいちばん年上のお姉さんですねじゃ、天神さ~ん」ところが、天神ツキミさん(88)は、呼ばれたことに気づかない。中村さんが「天神さん」とささやいて、彼女の肘を軽く突ついた。それまで天神さんは小声でブツブツ独り言を繰り返していたが、突然、スイッチが入ったように高々と片手を上げると、大きく張りのある声で話し出す。天神「はーい!昭和8年2月5日生まれ、天神ツキミでございます。よろしくどうぞ」ゴン「今日も元気ですね」天神「元気バリバリ!」あめちゃんずの3人は、アルツハイマー型認知症を患って、同じグループホームで暮らしている。お話しするのが大好きで、全く脈略のない話が飛び出し、同じ話題がループし続けたりするけれど、3人ともに短期記憶に若干の難ありだから、そんなことは問題なし。互いの言葉に「それ初耳よ」とばかりに「へえ~」と感嘆の声をあげ、ケラケラと乙女のように笑い合うほほ笑ましいやりとりが、リスナーの心をつかんでいる。3人合わせて265歳!月1回、第4金曜日午後1時から1時間の生放送。あめちゃんずは現役バリバリのラジオパーソナリティだ。「ラジオ@オレンジカフェがスタートしたのは’19年1月。いまのメンバーに落ち着いたのは、去年の春ぐらいからですね」と、話す小島さんは、あめちゃんず3人が暮らす認知症対応型共同生活介護施設「グループホームもやい」の管理者だ。あめちゃんずの生みの親はといえば、ゴンちゃんこと権頭さん。権頭さんは、社会福祉法人・「もやい聖友会」の理事長で、スタジオがある特別養護老人ホーム「銀杏庵穴生倶楽部」は同法人が運営している。「特養(特別養護老人ホーム)を建てるときに思ったんです。特養を地域と普通につながっている場所にしたいなって」施設に来るのは、入居者と職員、たま~に家族、年数回のボランティア慰問のみという、従来の特養の暗く寂しいイメージを払拭すべく、権頭さんは、建物の1階にラジオ・スタジオとカフェ、5階に貸しスペースや学習室を作った。スタジオ完成は12年。コミュニティFM局から放送枠を買い取って、FM放送を開始した。そんなとき、グループホームの入居者が権頭さんにこう言った。「私ね、まだ、元気だから、働きたいんよ」「みなさん、お仕事をして、やっぱり社会とつながっていたいんだな」そう改めて痛感したとき閃いた。「認知症のおばあちゃんたち、ラジオに出ないかな」と――。そうして、レギュラーに落ち着いたのが、現在のあめちゃんずの3人なのだ。放送では終始、三人三様のキャラクターが光っていた。同じことを何度も繰り返したり、脈絡がなかったり。でも3人の会話はとても楽しそうで、そこがリスナーの心を和ませる。現代の日本において、認知症は、介護される世代にも介護する世代にも、最もおそれられているといっても過言ではない。だが、認知症になっても、それは決して絶望ではない。意思は通じないかもしれない。でも「楽しい」と思える瞬間は共有できる。仲間とも、家族とも、あなたとも、そんな絆が確かにある――。「女性自身」2021年5月4日号 掲載
2021年04月26日3月26日金曜日、ここは北九州市のコミュニティFM「エアステーションヒビキ」(88.2MHz)のサテライトスタジオ。一面ガラス張りのスタジオに、穏やかな春の日差しが差し込んでいる。「みなさま、こんにちは~。『ラジオ@オレンジカフェ』の時間になりました」ナビゲーターを務める“ゴンちゃん”こと権頭喜美恵さんの第一声で、この日の放送も始まった。パーソナリティは、3人。酒井清子さん(87)、中村文子さん(90)、天神ツキミさん(88)。3人で、パーソナリティトリオの「あめちゃんず」だ。3人は、アルツハイマー型認知症を患って、同じグループホームで暮らしている。3人合わせて265歳!月1回、第4金曜日午後1時から1時間の生放送。あめちゃんずは現役バリバリのラジオパーソナリティだ。あめちゃんずの生みの親はといえば、ゴンちゃんこと権頭さん。権頭さんは、社会福祉法人・「もやい聖友会」の理事長で、スタジオがある特別養護老人ホーム「銀杏庵穴生倶楽部」は同法人が運営している。「特養(特別養護老人ホーム)を建てるときに思ったんです。特養を地域と普通につながっている場所にしたいなって」それから、ひらめいたという。「認知症のおばあちゃんたち、ラジオに出ないかな」と――。メンバーいちのおしゃべり上手で、時おり毒を吐く酒井さんは、昭和8年生まれの87歳。「生まれたのは北九州の若松ね。父は戦争で硫黄島に行って亡くなった。やっぱ泣いたよ、私は」ときには過去と現在が交錯する。「戦時中はこのあたりも空襲はあったよ。ここのスタッフが『ここから逃げなさい』って言ってくれるけん、それで逃げた」母も早くに他界。年の離れた兄が親代わりだった。「でもね、ここは楽しいよ。親のおらん私たちでも丁寧に扱ってくれるしね。幸せと思ったね。父もおらんで、兄と姉と3人だったから、(幼少期は)寂しかった。その点、ここは、いい人ばっかやから。ラジオも楽しいね。私、バカ言うのが好きなんよ。冗談とかがね」一方、天神さんは、自分のことを「テンコ」と呼ぶ。「テンテンテン鞠、テン手鞠♪って歌があるじゃないか。テンコは鹿児島の田舎、川辺郡(現・南九州市)川辺町上山田で生まれました。何歳ですかねぇ。もういい年よ。顔のよかオゴジョって言われよったよ、私は。別嬪さんちゅうこと。それが今は誰一人としてほれてくれる人も、『おまえかわいいのう』と言ってくれる人もおりません!」ラジオでのことを聞くと、すでに記憶にないようだった。「は?私がなんでラジオやる?おしゃべりは多いと。黙っといたら寂しいでないかい。日は長いし、誰もしゃべってくれる人がおらんと『ああ、寂しい』ってなるからね。そうするとボケがくるんだよ。ある程度、年を重ねたら、独り言でもいいから、小さな声でしゃべったり、歌ったりせんとね。しまいにはもう何が何だかわからんことなって、ションベンしかぶるわ!」お姉さんキャラで、世話好きの中村さんは、いつも柔らかな笑みが絶えない。「生まれたのは昭和5年6月3日。だからもう90歳!」と、90歳に力をこめた。生まれは愛媛県。学校を出た後、紡績工場や製鉄会社の電話交換手などをして懸命に働いたという。「働きづめやった。こっち(福岡県)に来て、戦争の真っ最中に国鉄に勤めよってね。切符切りしよったの。みんなが疎開してくるやろ。それを区別せないけんから、貨車から飛び降りよったしね」話の後半は、理解不能。でも、そのままを受け止めればいい。何度も繰り返した言葉は、「楽しい」だった。「ラジオ?楽しいよ。私ね、なんでも参加するの。散歩も楽しい」権頭さんは言う。「あめちゃんずの3人は、ラジオに出るようになって、とても前向きになった気がします。お話も上手になった。聞いている人を意識するようになったからですね。『何が何だかわからない』と言っていた人が、『何か面白いこと言わな』『笑ってくれたらいいな』と、考えているのが伝わってくる。進歩してる。すごいことです」ラジオの生放送を終えた後、近所の公園を出演者5人で散歩した。「ここはええね。明るくて、桜もきれいで」少し前に足首をひねった酒井さんは車いすだが、車いすを押す権頭さんに盛んに話しかけている。中村さんと天神さんは、小島さんに手を引かれ、のんびり歩いた。「あめちゃんずのラジオを通して、認知症になっても、一緒に会話を楽しめるんだよということをもっと皆さんに知ってほしいですね。認知症=不幸せと思ってほしくないんです。認知症を患ったからといって、何もできないわけではない。まして怖い人でも、迷惑かけるばかりの厄介者でもない。一緒にいるだけで、ほっこりした気持ちにさせてもらえる。癒されるし、優しい気持ちにさせてもえる。そのゆったりとした優しい時間を1人でも多くの方に味わっていただいて、正しい認知症の姿を知ってほしいと思っています」と、権頭さん。「あめちゃんずの皆さんには100歳を目指していただきたいですね。3人で、300歳で、ラジオでおしゃべり。そのときどんな会話が飛び出すか。楽しみでしょうがないです」そろって眩しそうに満開の桜を見上げるあめちゃんず。3つの笑顔が明るい春の日に輝いていた――。「女性自身」2021年5月4日号 掲載
2021年04月26日「父の日記には『電車を乗り間違えた』『講演の途中で話すことがわからなくなった』といった記述がだんだんと増えていきました。認知症の専門医である自分が、認知症かもしれない……という恐怖や心配は、父の心にあったと思います」そう語るのは、認知症専門医の長谷川和夫さん(92)を父に持つ、南高まりさん(59)。長谷川さんは、聖マリアンナ医科大学名誉教授で、認知症研究の第一人者。当たり前のように使われていた「痴呆症」という呼称を改めることに尽力し、認知症診断の物差しとなる「長谷川式簡易知能評価スケール」を開発した人物だ。そんな長谷川さんが『僕も認知症なんです』と明かし、世間を驚かせたのは’17年10月のこと。以後も長谷川さんは、進行していく症状を受け入れながら、認知症にまつわるさまざまな情報を発信し続けている。長谷川さんの活動をサポートしている長女のまりさんは、“父の記憶に残せるように”と、『父と娘の認知症日記』(中央法規出版)を今年1月に出版。長谷川さんの日記や写真を基に、60年の歩みをまりさんの視点で綴っている。「父は国際会議や学会のために、世界中を飛び回っていました。そんな多忙な中、歯医者さんに連れていってくれるのは父の役割で、帰りに一緒に飲んだホットココアの味は今でも忘れられません」そんな優しい父の“異変”に家族が気づいたのは、’15年ごろ。「私は当時、精神保健福祉士の資格を取るために学校に通っていたんですが、それを父に話したら、すごく喜んでくれて。でも、学校の先生に『娘が通っていますからよろしくお願いします!』と電話までかけてしまったんです。よく認知症の人は感情を抑えられなくなると言いますが、父の場合も怒りっぽくなったり、反対に大げさに喜んだりすることがありましたね」講演に招かれると、長谷川さんはひとりで出かけていたが、冒頭のような“症状”を思わせる言葉が日記には増えていく。これからも元気でやっていけるのだろうか……そんな不安が的中したのは、’17年6月だった。「講演に向かう途中だった父は道に迷い転倒し、右肘を粉砕骨折してしまったんです。それでも会場に向かい、骨折していることを周囲に気づかれることなく講演をやり遂げたそうですが、私は“なぜ肝心なときに付き添っていなかったんだろう”と非常にショックを受けました」そんな大ケガを負ってもなお、まりさんが長谷川さんの活動をサポートし続けたのは、「自分が話すことで人様の役に立てることがあるはず」という強い思いが、長谷川さんにあったからだ。もし家族が、自分が、認知症になってしまったら……そんな不安を抱える人は多い。「父は認知症になる以前から、近所の『カムイ』という珈琲店に行くのが楽しみで、私もよく一緒に行きました。店主は父のことをよく理解してくださっているので、ひとりでも安心してくつろげる場所だそうなんです。そして40年以上父が通ってきた理髪店の『トリム』さんは、父がひとりで行けなくなると送迎までしてくださって。認知症になってから『支えてください』とお願いするよりも、当たり前の生活ができているころからつながりをつくっておくということが大事なんだと思います」最後に、長谷川さん自身が、こんなメッセージを寄せてくれた。「少し前まで、社会は認知症の人に対して“そっちにいればいい。僕たちはこちらで生活するから”というような囲いをつくってしまっていました。現代は、その囲いをとっぱらわないといけない時代といえるでしょう。でも、支えがあるうちは安心して生きていける。一対一で対等な関係で話ができるときは、いつでもうれしいし、楽しいんですよ」今ある絆を大切にすることで、未来への不安を振り払えるかもしれない。「女性自身」2021年4月6日号 掲載
2021年03月29日