今年5月。ひとりの若手女子レスラーが、ネットの誹謗中傷にさらされて亡くなった。一方、今とは比べものにならないほど熱狂的なブームの最中に、“悪役”を一身に背負っていたレスラーがいる。彼女はなぜ、いまだにリングから降りようとしないのか。彼女の原動力とは、一体なんだったのか―。“女”を描かせたら日本一の作家が、彼女の本質に挑む。時間無制限一本勝負のゴングが鳴った!彼女はなぜ、現役かつ悪役であろうとし続けるのか―。一大ブームの立役者に、気鋭の作家・岩井志麻子が迫った!プロレスラーダンプ松本さん撮影:森田晃博■あのダンプ松本が還暦令和2年8月9日。炎天下の、そして非常事態といっていい状況下での新木場の会場。女子プロレス界の現役にして伝説のダンプ松本が主催する、かつては仇敵、今は盟友の長与千種との、デビュー40周年記念大会が開催された。静かに、粛々と。新型肺炎感染の恐れがなければ、観客ももっとぎゅうぎゅう詰めで、飛び交う歓声も紙テープもすごかっただろう。けれどその、緊張感がありつつも落ち着いたのどかな雰囲気も、それはそれで始まる前から祝賀気分にはなれた。「みなさんとこの日を迎えられて、うれしいです」「本当に、来てくれてありがとうね」稀代の悪役レスラー、ダンプ松本。本人曰く、あの女子プロレスブームの中でも1人のファンもなく、日本中から嫌われた悪の権化。しかしダンプ松本のイベントに喜んで来る観客は、ダンプさ~ん、とはしゃいでいる。1度は引退したものの、またリングに戻った唯一無二の悪役ダンプ松本は、今日はあの恐ろしい毒々しい隈取りメイクもせず、トゲトゲのついたハードな革ジャンもまとわず、愛嬌ある童顔にみんなとそろいのTシャツでにこにこしながら受付に座っている。改めてこの催し物のチラシ、ポスターなどを見て、いろんな感慨に耽るのは当のダンプさんたちだけではない。ともに青春時代を過ごしたファンたちもだ。ダンプ松本としてリングでデビューし、実に40周年を迎える今年は、ダンプさんが還暦を迎える年でもあるのだ。何重にも、おめでたい。あのダンプ松本が還暦。60歳。何がすごいって、今も現役でリングに立つこともだが、今も日本一の悪役であり続けていることだ。ダンプ松本といえば、悪役。悪役といえば、ダンプ松本。これは40年間、不動なのだ。ここも重要だが、稀代のレスラーでありながら、「悪役レスラー」ではなく、「悪役」というだけでダンプ松本を指してしまえるなんて、他に類を見ない。正直、女子プロレスに熱狂したことはない。テレビでは見ていたが、ダンプさんと仕事の場で出会わなければ、会場に足を運んでリング脇で観戦することはなかっただろう。だから、女子プロレスのあの時代、ダンプ松本が暴れまわった時代はすごいのだ。たとえば本だって、普段は読書をしない層が買うからこそベストセラーとなるように。ダンプさんと同世代の女子ならば、特別に女子プロレスに興味がなかったのに女子プロレス人気を記憶し、人気レスラーたちは青春時代の彩りとなっているのだ。月日は流れ、こんな事態を誰も予想できなかった令和の世。今はどの会場も満員は避け、人と人との間を取り、唾液が飛ぶ行為は控えなければならない。だからプロレス会場にふさわしくない、自粛と遠慮の中で祭りは始まったが、贔屓のプロレス団体のおそろいのシャツを着たり、好きな選手の顔をプリントしたマスクや団扇を準備してきたファンたちの内心の熱気は、ソーシャル・ディスタンスを超えてきた。思いがけない、最前列の席。両脇にいるのは、かなりの格闘技、プロレスファンの編集者Yさんと、女子プロレスの追っかけから、ついに熱く女子プロレスを書く人となってしまったライターの伊藤雅奈子さん。「えっ、今日が初めての観戦ですか。ちょっと物足りない入り口かもしれないですね」熱い人たちにそんなふうに言われたが、若手の人気レスラーの試合、合間の芸人のショー、そして満を持してのダンプ松本と長与千種、彼女らと同じ時代のリングを生きた選手たちの試合が始まると、身の内が次第に熱くなってきた。■長与千種との戦い、蘇る1980年代娘よりも若い現役レスラーのはち切れそうな身体が、勢いよくロープにぶつかり、轟音を立ててマットに叩きつけられる。十分に、手に汗握れる。ダンプ松本率いる極悪同盟と死闘を繰り広げた、クラッシュ・ギャルズのひとり、かつて最高のベビーフェイス、正統派の可愛かっこいい長与選手もすっかり貫禄がつき、ダンプさんと敵対側ではなく同盟側にいるような雰囲気になっていたが、2人が登場すれば、あの熱狂の1980年代がまざまざと蘇る。リングに上がったダンプさんはあの時代のような強烈なメイクをし、竹刀を持ってはいたものの、記憶にある挑発的な叫び、恐ろしい威嚇はなく、なんだかステージの破壊神ではなく、まさに守護神の存在感を放っていた。「みんな、今日は来てくれてありがとう」若手レスラーの華麗なる技も見せられ人気レスラーの迫力あるぶつかり合いも見せてはもらったが、あのころのような流血の惨事や本気の場外乱闘、負けた側を丸刈りにするなんて壮絶な罪と罰もない。戦いの合間に、可愛い若手の発言のおバカさ、ベテランレスラーの口下手さをいじったり、会場は和気藹々とした雰囲気に包まれていた。そうしてラストは同期であり同志であり、仇敵でもあった長与さんとのトークショーだ。語り合う2人の後ろに流れるのは、ジャッキー佐藤とマキ上田のビューティ・ペアが歌い踊り大ヒットさせた『かけめぐる青春』だ。これは不意打ちで、涙が出た。レコードなど買ってないし、カラオケで歌った覚えもないのに、すべての歌詞を覚えていることに、今さらながらに気づく。台本があるのかないのか、中空に向けてOGのひとりが叫ぶ。「今日は、ジャッキー佐藤さんの命日ですよ」ダンプさんはじめ、リング上のレスラーたちも観客も、みんな辺りを見回した。「きっとジャッキーさん、この会場のどこかにいるよ」「いるいる、ジャッキーさん、かっこよかったーっ」みんな、確信した。ダンプさんもだが、会場にいる女子はダンプ松本と長与千種ファンであるだけでなく、みなビューティ・ペア・チルドレン、といっていいんじゃないか。■昔のVTRを見て照れ笑い初めてダンプ松本さんにお会いしたのは、日本テレビ系列のバラエティー番組『有吉反省会』のスタジオだった。この番組はその名のとおり、ゲストが公開でいろんな反省をする。ダンプさんと長与さんは、「ずっと敵対関係にありましたが、今は仲よしです」と反省しに来られた。はっきりいいはしないものの、ダンプさんは本当はいい人、といった反省しなくてもいい反省も含まれていた。平成生まれの若い芸能人たちはぴんと来ないようだったが、同世代の人たちはなんともいえない気持ちになった。やっぱりな、というのはがっかりでもあり、うれしさでもあった。過去のVTRが、スタジオに流れる。激しく長与さんを挑発し、リング上で攻め立てるダンプさんにどよめき、やや大仰なパフォーマンスに笑いも起きる。ダンプさんが、毛をむしった丸のままの鶏肉を叩きつけ、これは千種だよ、と吠えている場面は、記憶の中にちゃんとあった。スタジオにいるダンプさんは、あのころは絶対に見せなかった照れ笑いをする。長与さんも笑顔だ。ふたりが仲よしであることに複雑な思いを持つ同世代の女子は、ビューティ・ペアの『かけめぐる青春』を頭の中で流しながら、 VTRにはない回想シーンも見る。大きな女子プロレスブームは、2度ばかりあった。2度目のブームを作ったレスラーのほとんどが、1度目のブームのスター選手に憧れてその世界を目指していた。「いま現在の若手レスラーは諸先輩たちをYouTubeで見て憧れた人が多いです」後からライターの伊藤さんに聞かされ、それも時代だなぁとしみじみした。ともあれ1度目のブームの立役者は、なんといってもジャッキー佐藤とマキ上田のビューティ・ペアだ。闘う宝塚、当時は必ずそういわれた。リングで華麗なコスチュームの人気レスラーが歌い、踊る。客席の女の子たちがカラーテープを投げ、レスラーの名前を叫ぶ。ダンプ松本も、ジャッキー佐藤に憧れて女子プロレスの門を叩いた。そのほかにもさまざまな理由、事情があったのは後述するが、とにかくジャッキーさん人気はすさまじかった。ビューティ・ペアの前に、マッハ文朱という人気レスラーもいた。整った顔立ちにすらっとした長身、初のアイドル扱いをされたレスラーだ。■ジャッキー佐藤さんへの憧れダンプさんも中学2年生のとき全日本女子プロレス中継で見て、最初の衝撃を受けた。「試合に負けた後のリングで、泣きながら歌っていた。そのきらびやかな世界と、はかないばかりの美しさが、14歳の私の心を打ち抜いてしまった」と、スポーツ紙のインタビューで語っている。しかしマッハ文朱は、3年もしないうちに引退する。そしてダンプ松本でなかったダンプさんが高校1年生の1976年、ビューティ・ペアが空前の女子プロレスブームを巻き起こした。ダンプさんは特にジャッキー佐藤さんに憧れて、親衛隊として追っかけまくったという。4つ下の長与さんはそこまでビューティ・ペアのファンではなかったというが、同時期にデビューした2人はビューティ・ペアのいなくなったリング上で不倶戴天の敵、因縁の仇敵、として死闘を繰り広げた。ライオネス飛鳥さんと組んだクラッシュ・ギャルズは、ビューティの再来ともいわれたアイドル系の善玉、老若男女問わず人気のベビーフェイス。そんな彼女らをダンプ松本の極悪同盟は卑怯な反則技で責め苛み、不公正なレフェリーによって勝ちをもぎ取っていく。熱烈ファンは、本当にクラッシュと極悪は仲が悪く、リングを降りても闘っていると信じた。それほどまでに、レスラーたちも観客も真剣だった。『有吉反省会』放映から1年。春の終わりころ、将来を嘱望されていた若い女子レスラーがみずから命を絶った。彼女はリアリティーショーと呼ばれる、創作ドラマではなく台本なしのドキュメンタリーを謳う人気番組に出演し、わがままで気の強い役柄を望まれた。まじめで素直な彼女は、必死に応えようとした。かつてのような盛り上がりは今ひとつの女子プロレス界を、再びメジャーにしたい、盛り上げたいと使命感も帯びていた。しかしあまりにも演技が真に迫っていたため、視聴者の反感をあおった。役柄と本人が同一視された。彼女はネットで激しく誹謗中傷され、SNSも攻撃にさらされた。いろいろな、タイミングの悪さも重なった。新型肺炎によってもたらされた活動自粛により、彼女はリングで発散することも本業に打ち込んでネットの悪口雑言を忘れることもできず、金銭的な不安をも抱えるようになったのだ。そして彼女は死の少し前、悪口雑言が書き込まれる自身のSNSに、「愛されたかった人生でした」という文を綴る。彼女の衝撃的な死によって、SNSの暴走する書き込みの規制を厳しくしようという声も上がり、テレビのやらせ問題も再燃する。正直、私は彼女の死の報道によって初めて、彼女を知った。後の報道で、彼女がリングでも悪役を演じていたのを知る。そのとき、今どきの女子プロレスはこんなスタイルのいい可愛らしい子が悪役なんだとびっくりもした。ダンプ松本さん率いた極悪同盟と、あまりにかけ離れているじゃないか。あのころの悪役は歌舞伎の悪役、ヘヴィメタのメンバーみたいな毒々しい隈取りメイクをし、常人離れした厳つくゴツい巨体に、これまたthe悪党な黒いレザーにトゲトゲした鋲やチェーンがついていたコスチュームが主流だった。■日本で一番殺したい人間と言われて極悪同盟にはブル中野さん、クレーン・ユウさんらもいたが、なんといってもダンプさんだ。後のメンバーは、もしかして実はいい人かもと思わせる空気や余地を垣間見せてくれたが、ダンプ極悪大魔王にそんな慈悲や甘えを乞う隙はいっさいなし。ともあれ、『有吉反省会』は出演者も多く収録時間もそんな長くはなく、ダンプさんと同じ空間にいただけで、直接のやりとりはできないままに終わってしまった。でも伝説の人に会えた、青春時代を彩ったスターを目の当たりにできたと、満足していた。それから少したって、親しい編集のYさんに、ダンプ松本さんについて書きませんかといわれたのだ。資料もいろいろもらって読み、なつかしい時代がよみがえった。実際は2度目でも、これが初対面といっていいインタビューの場は主婦と生活社の会議室で、ダンプさんはまったく悪役ではなかった。どう見てもいい人なので、あの悲しすぎる死を遂げた若手レスラーのように、現役時代は悪役であることに葛藤があったと思ったのに。「いいえ、全日本女子プロレスの門を叩いたときから、徹底的に悪役になってやろうと決めてましたから。罵声を浴びれば浴びるほど奮い立ち、大嫌いといわれればいわれるほど高ぶりました」ふと、みずから命を絶ったあの純な若いレスラーにも、この強さがあればと泣けた。もう、どうしようもない。強靭な肉体、恵まれた体力を持つ人は、中身も同じようにタフだと勘違いされる。もちろんタフであるが、生身の身体と心は柔らかくもあるのだ。「本当はいい人なんて、絶対に思われたくなかった。だからファンサービスなんか、いっさいなし。クレーンはそれをやりたがったんで、辞めてもらったくらいです」ダンプさんはそんなだから、実家に石を投げられたり車を傷つけられたり、街なかでも罵声を浴びせられ、服を買いに入った店の人に、来ないでといわれたりした。「当時、日本で一番殺したい人間と言われてました」そんなことを言われてもなお悪役を貫ける人なんて、やっぱりダンプ松本以外はいない。今後も強烈な存在感を放つ悪役は出てくるとしても、本気で殺したい、とプロレスファンに思わせることはできないだろう。ネットなき時代にも直接的な嫌がらせや、嫌がらせを超えて犯罪といっていいこともなされてたわけだ。もちろんダンプさんは、それらに関してはとても悔しかったという。「車に傷つけられた後の試合では、さらに千種をボコボコにしました」しかしつくづく、ダンプさんは稀有な人だ。あのころはそんなこと思ってもみなかったが、内面を見てほしいだの、真の自分を知ってほしいだの、確かにダンプさんはみじんも感じさせず、表すこともなかった。とことん悪役であり、誤解を恐れずにいわせてもらえれば見世物に徹していた。自分自身にも、甘さを許せなかった潔癖な人なのだ。■落ちこぼれだった資料でも読んでいたが、ダンプさんは真に苦労人なのだった。決まっていた就職も蹴って背水の陣でオーディションに臨んだのに、落ち続ける。1979年4月1日、ついに合格。夢見た全日本女子プロレスに入門を果たしたものの、実にデビュー戦まで1年半も待つことになるのだ。「そこからさらに、極悪同盟の悪役ダンプ松本が誕生するまで、4年かかるんですよ」1980年組は長与千種、ライオネス飛鳥、大森ゆかりなど、女子プロレスを知らないといい切る人まで知っている歴史に残る華麗なるメンバーたちだが、「私と千種は、まったく期待されてなかった。完全に、落ちこぼれってやつでした」とも言い切った。女子プロレスの大ブームを担った2大スターが、元は落ちこぼれ。それは、物語の始まりとしてはできすぎだ。「私ら強くないうえに、これといった個性がなかったんだよね」それも、驚きだ。あんな個性的な2人が、個性がないといわれていた。ますます、ドラマ性を増してくる。生まれついてのスターもいるが、個性は与えられるものではなく、みずから創り出していくものでもあるのだ。「でも千種は、負けっぷりがとにかくよかった。負けてかっこいい、負け方に美学があった。潔い負け、堂々たる負け、記憶に残る負け」なるほど、負け方にも個性と魅力があるか。長与さん本人も稀有の才能だが、ちゃんと見ていて評価できるダンプさんの眼力もすごい。そして1980年5月、最初から将来を嘱望されていたライオネス飛鳥がデビューする。その間、ダンプ松本と長与千種は「辞めてしまえ」などと罵倒されていたものの、8月8日に東京の田園コロシアムで、ようやくデビュー戦を飾れた。そこから瞬く間にふたりはスター選手になっていた、のではない。「デビューから2年くらいは、私と長与千種はいじめの標的にされてましたよ」資料によると、当時は年間300試合。1、2か月、自宅に戻れないなんて当たり前だったようだ。いじめを正当化してはいけないが、ほとんど毎日が巡業、限られた空間での規制の厳しい団体行動、そりゃ何か攻撃的にいじめてストレス発散もしたくなるだろう。「巡業先で脱走して、でも、お金なくてのこのこ戻ってくる子もいれば、そのまま逃げ切る子もいましたね。私は逃げ場がなかったからな」女子プロレスが三禁、男と酒とタバコは禁止、というのはよく知られているが。酒とタバコをたしなんでもプロレスは辞めないが、男ができると辞めちゃうとのことだ。ダンプさんに聞いた話で妙に心に残ったのが、全女の松永高司社長(当時)の観察眼と鑑別法だ。「試合や練習で、それまで平気でガバッと足を開いていた子が、変に恥じらって股を閉じるようになる。それを見ると、あっ、こいつ男を知ったな、とわかった」ちょっと考えてみれば、逆のような気もするのだが。全女の社長のいうことなのだから、そっちが正しいのだろう。「でも、いじめたやつもひどいけど、すぐ逃げた子が“私は元・全日本女子プロレスにいた”というのはちょっと許せないな」そんなくすぶっていたダンプさんが、押しも押されもせぬダンプ松本になるのは、1982年の冬だ。デビル雅美率いる、デビル軍団の一員となったのだ。■長与千種を血まみれにした伝説の髪切りマッチそこから、ヒールと呼ばれる悪役に徹する強烈なプロレス人生が始まる。しかし、脇目もふらずの暴走ではなく、まだダンプさんにも迷いや悩みはあった。「弱気なところもあって、マミ熊野さんとデビルさんが仲間割れなんか始めると、止めることもできず、ただおろおろするばかりだったり」そうこうするうちに、宿命のライバルである長与千種も脱皮を始めていた。翌年の8月、劇的にライオネス飛鳥とクラッシュ・ギャルズを結成。8月にジャンボ堀、大森ゆかりのダイナマイト・ギャルズと激闘を繰り広げ、そこで大きく弾けた。あっという間に、クラッシュ・ギャルズは大ブレイク。かつてのビューティ・ペアのようにリングで歌い踊り、大きな会場を連日満杯にした。負けじとダンプさんも、1983年3月にクレーン・ユウさんと「極悪同盟」を結成。デビル軍団の一員から、極悪同盟を率いる首領になり、ダンプ松本も弾ける。「1985年8月の、大阪城ホール、伝説の髪切りマッチ。あれで千種を血まみれの丸刈りにしたときは、試合後にうちらのバスを500人以上の殺気に満ちたクラッシュファンが、殺してやるーっと取り囲んだんですよ」その試合、覚えている。今もYouTubeで、ものすごい再生回数だ。「がっしゃがっしゃバスを揺すりながら、ダンプ出てこい!殺す!なんて罵声を浴びせられたら、さすがに怖かったですよ」負けっぷりがいいとダンプ松本にほめられる長与千種は、確かにその負け方でファンを燃え立たせた。「それより頭にきたのは、リングを降りて楽屋に向かう途中、暴れようとするファンを抑える役目の警備員がどさくさにまぎれて私を殴ったんですよ」そりゃないわと憤慨するし、職務上も普通の男としても許されないことではあるが、警備員まで本気にさせた凄まじい試合、といっていいかもしれない。実際、あのころの女子プロレスは日本を巻き込んでいた。資料によれば、1985年には関東地方でテレビ中継が月曜の夜、土曜と日曜が隔週で夕方から放送されていた。視聴率も、20%超えだったという。今、こんなスポーツがあるか。さらに年間300を超える試合が各地で催され、日本中どこでも超満員だったというのだ。いま現在も女子プロレスは根強い人気を保ち、続々と魅力的な新人も誕生しているが、もはやマニアのものであるのは否めない。ずっと女子プロレスを追いかけ続ける伊藤さんも、冷静に分析する。「あのころはなかったネットに、さまざまなコンテンツ。すべてが細分化もされている。ここまで娯楽の選択肢が多様な世界になってしまうと、女子プロレスに限らず何かの分野での一極集中、国民的大ブームは、もうないでしょう」ダンプ松本は、そんな時代を生き切って逃げ切った。■本当は生きた鶏の首をハサミで…それにしても、職業が悪役。というのは、改めてすごい。昔の悪役は徹底的に悪役だったが、今のヒール、悪役を割り当てられたレスラーは一見あまり悪役に見えないどころか、あの彼女のような可愛い顔で小柄だったりもする。ファンは、あの悪役のあの華麗なキメ技が見たい、悪役のちょっと生意気な、でもそこが魅力のパフォーマンスを見たいと願い、ベビーフェイスと同じ声援を送る。だったら、本人も愛されたいと願うだろう。いや、彼女は弱くない。ダンプ松本が強すぎるのだ。ちなみに、『有吉反省会』では悲鳴と同時になんだか笑いも起きてしまった、丸ごとの鶏肉を叩きつける場面。あれを改めてご本人に伺うと、「本当は生きた鶏を持ってきて、報道陣の目の前でハサミで首をちょん切るつもりだったんです。でも、生きた鶏が手に入らなくて」そう答えられ、なんだかもう、ダンプさんのサービス精神の旺盛さと悪役に徹する一途さには、何度も圧倒されるしかないのだった。さてピークは過ぎたものの、十分にまだ女子プロレスが人気だった1987年の冬。積もり積もった不満、もつれにもつれた人間関係に悩まされたダンプさんは、所属する会社までが嫌になっていく。そうして会社に無断で1988年1月4日、後楽園大会の終了後、記者を前に衝撃的な引退表明に持ち込む。同志たる大森ゆかりも、その10日後に引退を発表した。関係者を驚かせ怒らせながらも、2月25日、そろっての引退記念の大会が行われた。川崎市体育館のリングを最後に、いったん悪役ダンプ松本は現役を退くこととなる。1988年3月から芸能界入りし、大森ゆかりと「桃色豚隊(ピンクトントン)」というユニットでCDも出した。なんと、作詞はあの芸能界随一のヒットメーカー、秋元康さんだ。大ヒットにはならなかったが、タレント・ダンプ松本は定着する。個人的には、女囚さそりシリーズで看守役を務めたダンプ松本が女優としてはいちばん好きだ。一途な凶暴さの中に、なんともいえない悲しみがあった。「プロレスラーの引退宣言は新たな序章にすぎない」と、プロレスファンの間ではいわれているというが、ダンプ松本もその例外ではなかった。■長年殺したかった父親の最期2003年、再び悪役として現場復帰する。横浜アリーナにおける低迷した全日本女子プロレス人気を少しでも盛り上げたいという思いだったという。この話もよく知られているが、ダンプさんがレスラーを志した理由の中には、苦労したお母さんを楽にしてあげたい、という気持ちがあった。どんなにつらい目に遭っても、辞めない理由のひとつにもなっていた。そしてダンプさんは本当に、お母さんに家を建ててあげたのだ。だから、いったん引退もできた。「お父さんが乱暴者で浮気者で、ぶっ殺してやりたいと、いつも思っていました」お父さんへの殺意と、お母さんへの愛。自分がひたすら突き進む、本物の悪ではないが悪と呼ばれる道。なんだかもう、一途に悪役になるしかない気もする。お父さんとはしかし、晩年に和解した。「なんかもう、朦朧としているお父さんを見舞いに行ったんですよ。この人は誰だかわかる、と看護師さんに私を指されて、ダンプ松本、って答えたんですよ」娘だ。子どもだ。ではなく。ダンプ松本。きっとお父さんは、テレビで娘を見ていたのだ。そしてひそかに応援し、誇りに思っていたのだ。「去年の8月7日。父は安らかな顔のまま、87歳で大往生を遂げました」あの新木場の会場を、思い出す。あの中にはもしかしたら、ダンプ松本を殺したいと叫び、ぶっ殺すとバスを揺さぶったり家に石を投げたりした往年のファンも交ざっていたかもしれない。彼ら彼女らは何食わぬ顔で、ダンプさんに声援を送っていたか。殺気だったファンなど見当たらず、ひたすらダンプさんの還暦と40周年を祝い、ともに青春時代を思い出していた。あの新木場の会場には、ジャッキー佐藤だけでなく、お父さんも見に来ていたのだろう。やっぱりリングに戻ってきた、ダンプ松本。やっぱり、極悪。とうにジャッキー先輩のお歳は越えてしまったが、お父様の年齢を越えても、現役の唯一無二の悪役として活躍していただきたいものだ。特別寄稿作家岩井志麻子(いわい・しまこ)1964年、岡山県生まれ。少女小説家としてデビュー後、『ぼっけえ、きょうてえ』で’99年に日本ホラー小説大賞、翌年には山本周五郎賞を受賞。2002年『チャイ・コイ』で婦人公論文芸賞、『自由戀愛』で島清恋愛文学賞を受賞。著書に『現代百物語』シリーズなど。最新刊に『業苦 忌まわ昔(弐)』(角川ホラー文庫)がある。
2020年09月27日インタビューを受ける猪狩ともか「“あのとき、あの場所を歩いていなければ……”などとは、思わなくなりました。最近は車椅子での生活が普通になってきたので」地下アイドルグループ『仮面女子』に所属している猪狩ともか。彼女は2年前、強風で倒れてきた看板の下敷きになり、脊髄(せきずい)損傷を負って両下肢麻痺(まひ)に。車椅子で活躍するアイドル、といったほうがわかるかもしれない。「この前、足を猫に噛まれてしまったんですけど、感覚がないので噛まれたことに気がつかず、かなり流血してしまったということがありまして……。そのときは“あの事故さえなければ、噛まれたことがすぐわかったのに”と思いましたね」■マイナス思考は変わらない26年間“普通”に生きてきた彼女だが、2018年4月11日、突然“普通”が奪われたーー。今まで当たり前にできていたことができなくなる。そんな状況に自分が置かれたとき、今まで見えていなかったことが見えてきたという。「私も自分が障害を負うまでは、車椅子に乗っている人がどんなことに不便さを感じているかとか、知らないことばかりだったなって。実際、身内に障害のある方はいなかったですし、ファンで車椅子の方はいらっしゃいますけど、そこまで深く私生活のことは知っているわけではありませんでしたから。知らないことが悪い、ということではないのですが、アイドルとして発信できる場所を持っている自分が、少しでも誰かの気づきになれればいいなと思います」そんな彼女、事故の真相と自らを支えてくれた言葉をまとめた『100%前向き思考ー生きていたら何だってできる!一歩ずつ前に進むための55の言葉』(東洋経済新報社)を刊行した。もともとはネガティブな人間なんです、と笑う猪狩。「ポジティブ思考になったというより、無理やりポジティブにしているというほうが正しいかもしれません。ネガティブな言葉を発していないだけで、私自身、根本はマイナスなことを考えていることはあまり変わってないわけですから(笑)」■プライベートでは……結婚したい!彼女自身、後ろ向きの発言を控えることで、言葉によって助けられてきたという。「例えば“あの人のあんなところがイヤ”と思っていることを誰かに話してしまうと、感情が言葉で加速するというか、どんどん嫌いになったりするじゃないですか。逆に、“ちょっと気になる人”と言っていたら、いつの間にか好きになってしまった、なんて経験ありませんか?(笑)言葉にすることで気持ちの方向がそっちに向かってしまうというか」このことは夢にもあてはまる、と続ける。「私、野球が大好きで、子どものころから西武ライオンズのファンだったんです。それで、アイドルになってからずっと“始球式をやりたい!”ってずっと言い続けていて。そうしたら2017年に叶(かな)ったんですよ。言葉というものは発していれば実現に近づいていくんだ、って」しかし、その言葉は使い方によって“薬”にもなれば“毒”にもなる。車椅子で活動を再開した彼女に、ネット上には「車椅子のおかげで有名になった」など心ない書き込みがーー。「タレントだから何を言ってもいい、人前に出ているんだからそれくらい覚悟しておけ、ということがあるんでしょうね。そういう人って言い返せば言い返すほど、さらに返してくるんですよ。ストレス発散みたいに思っているんでしょうね……」バラエティー番組『テラスハウス』(フジテレビ系)での炎上で、出演していた木村花さんが自殺にまで追い込まれたケースもあった。「あのニュースが出たときは“誹謗中傷はよくない”というムードになったけど、アンジャッシュの渡部さんの一件が起こったら、みんなめちゃめちゃ叩いたじゃないですか。渡部さんに対してそこまで怒っていない人も、“みんなが言ってるからいいだろう”という便乗の心理もありますよね。ストレス発散のように思っている人もいるでしょうし。何も変わらないんだな、って思ってしまいました」それでも言葉の持つ“言霊”は人の救いになると信じている。「本の中で“いつだって何度だって新しい人生は始められる”という言葉を紹介しました。私のように事故に遭うこともあるし、コロナ禍で職を失ってしまった人もいらっしゃると思います。何かがあって人生が変わってしまっても、人生は新しく始められるんですよ」12月、猪狩はワンマンライブを行い、仮面女子を卒業する。そこから始まる新しい人生について、「車椅子に乗っているからこれしかできない、ではなくマルチなタレントとして活動したいです。ドラマやバラエテイーなどにも普通に出演したいです。あとプライベートでは……、結婚したい(笑)。アイドルを卒業しますし、もういい年ですから。お相手ですか?面倒見のいい方がタイプです。私、末っ子でいろいろと面倒を見てもらって育ってきましたから。私の面倒、見ていただける方を見つけたいと思います(笑)」いがり・ともか1991年12月9日生まれ。『仮面女子』メンバー。今年12月に『仮面女子』を卒業し、ソロ活動を開始する取材・文/蒔田稔
2020年09月07日ネットで行われる誹謗中傷は、今や大きな社会問題です。芸能人や著名人は、目立つ存在であるゆえに標的になりやすく、これまでの多くの被害が報告されています。2020年9月1日、タレントの鈴木紗理奈さんはInstagramを更新。真っ白な画像とともに、自身のSNS上に寄せられた書き込みに対する苦言を投稿しました。 この投稿をInstagramで見る 鈴木紗理奈_MUNEHIRO(@munehirovoice)がシェアした投稿 - 2020年 9月月1日午前4時31分PDT衝撃的な悪質コメントがありました。反対意見などはもちろん真摯に受け止めますが、わたしは悪質なコメントには向き合いません。やめてください。言葉は時として暴力になります。(こんな私でも傷つくことがまれにあります。笑)そしてこの場はわたしがみなさんと繋がれるとても大切な場所です。失くしたくはありません。コメントの際には、一呼吸おいて良識なコメントを心がけてください。今一度リマインドしておきます。愛をこめて。munehirovoiceーより引用「ひと呼吸おいて、良識なコメントを心がけて」と呼びかけた鈴木さん。本来、ファンとの温かな交流をする場でもあるSNSで、突然『言葉の暴力』を浴びせられたら、誰だって深く傷付くことでしょう。フォロワーからは、心配の声が多数上がりました。・相手にせず、気になさらず、ブロックして報告しましょう。・嫌な人もいますが、応援してる人のほうが多いのは絶対です。気になさらずに!・大丈夫ですか?応援してます!いつも楽しみにしてます。・匿名での誹謗中傷ほど理不尽なことはないですね。相手になさらず!これからも応援してます。悪口や蔑みの書き込みをした人は、さびしさから構ってもらいたい気持ちや、ストレスを発散したい気持ちがあったのかもしれません。しかし、見ず知らずの人に対し、匿名で攻撃をするのは卑怯で許されない行為です。もしSNS上で相手の人格を否定するようなコメントを書き込みそうになった時は、鈴木さんのいうように『ひと呼吸』おいて、自分の心の問題に向き合ったほうがいいかもしれませんね。[文・構成/grape編集部]
2020年09月02日全国で、新型コロナウイルス感染症(以下、コロナウイルス)に感染した人やその家族、また、コロナウイルスに立ち向かう医療従事者などへの誹謗中傷が相次いでいます。2020年8月26日、長崎県はコロナウイルスに関する誹謗中傷を受けた被害者のため、『新型コロナウイルス感染症関連人権相談窓口』を開設しました。長崎県、30万円を限度に法的措置を支援長崎県のウェブサイトによると、相談窓口では誹謗中傷に関する解決に向けたアドバイスをするほか、法的措置をとる際、30万円を限度に県が被害者を支援するとのことです。相談員が、解決に向けたアドバイスや、内容に応じて関係機関等へ対応を依頼します。誹謗中傷等への法的措置など法律相談を希望される方には、弁護士による相談も受けられます。(1案件につき5万円まで相談料無料)※単価:30分 5千円さらに、SNSなどインターネット上での誹謗中傷等の投稿の削除や必要な調査(投稿者情報の開示請求等)を弁護士に依頼された場合、その経費の1/2(30万円を限度)を県が支援します。※インターネット以外の誹謗中傷等も対象に含みます。長崎県庁ホームページーより引用ネットパトロールも実施!悪質な投稿を県で保存長崎県によると、担当職員がネットパトロールも実施しているとのこと。悪質と思われる投稿を発見次第、県の担当職員が投稿の画像を保存しています。誹謗中傷に関する投稿の削除依頼をする際や、訴訟を起こす場合、該当する画像を県で保存できていれば、被害者に提供するとのこと。ただ、県庁ですべての誹謗中傷についての投稿を発見できるわけではないので、「ご自身でも被害対策として、書き込みの画像保存や電話の録音、張り紙の保存などをしておきましょう」と呼びかけています。誹謗中傷に対し、長崎県からのお願い長崎県は、コロナウイルス感染者へ誹謗中傷をする人に対し、このように訴えました。【長崎県からのお願い】感染者や医療従事者そのご家族の方などへの誹謗中傷等は、感染された方が行動歴を隠したりすることを助長し、さらなる感染拡大を招いてしまいます。また、医療体制の崩壊にもつながりかねません。お互いを思いやる心を持って、冷静な行動をお願いします。長崎県庁ホームページーより引用長崎県の取り組みには、たくさんの称賛の声が上がっています。・窓口ができてよかった。私の住んでいる地域では感染した家族が、誹謗中傷によって引越しせざるを得ない事態に。もっと早くからこの窓口があってもよかったと思う。・素晴らしい取り組みだ。いい仕事をするね、長崎県。全国で実施してほしい。・誹謗中傷相談窓口が開設されざるを得ないほど、悩まされている人が多いんだろうね…。相談窓口が抑止力になるといいな。長崎県が呼びかけているように、お互いを思いやる気持ちを忘れずに、冷静な行動を心掛けてほしいものですね。[文・構成/grape編集部]
2020年08月27日自民党の杉田水脈議員が8月20日、ジャーナリストの伊藤詩織氏に提訴されたと発表された。伊藤氏を中傷するツイートに対し、“いいね”をしていたことで訴えられたという杉田議員。その行動に、国会議員としての資質を問う声が上がっている。15年4月、元TBSワシントン支局長の山口敬之氏と会食をした伊藤氏。ところが意識を失った状態で、性暴力の被害を受けたという。16年7月、嫌疑不十分で山口氏は不起訴になった。いっぽう民事訴訟では昨年12月、伊藤氏の供述に整合性があると認定された。東京地裁は330万円を支払うよう、山口氏に命じている。各メディアによると杉田議員は18年6月から7月にかけ、Twitterで伊藤氏に対して「枕営業の失敗」「彼女がハニートラップを仕掛け(た)」などとする投稿に何度も“いいね”をしていたとのこと。訴状には「原告を激しく中傷するおびただしいツイートに対して被告が『いいね』を押してこれを煽っている様は、原告に恐怖心さえ抱かせる」とつづられているという。杉田議員は18年6月に放送されたBBCの番組「Japan’s Secret Shame(日本の秘められた恥)」で、伊藤氏についてこう語っていた。「彼女の場合は、あきらかに女として落度がありますよね。男性の前でそれだけ飲んで記憶をなくして」「社会に出てきて女性として働いているのであれば、嫌な人からも声をかけられるし、それをきっちり断るのもスキルの1つ」さらに伊藤氏が「嘘の主張をした」ために山口氏とその家族が脅迫された、と彼女を非難していた。しかし本誌18年7月24日号で、弁護士の武井由起子氏は杉田議員の発言を問題視。「国会議員は、国民のニーズや意見をくみ取って法律をつくるのが仕事です」「その国会議員が、女性が飲酒してレイプされても、“女性の落度”と考えているのは大問題です」と語っていた。さらに「日本の刑事裁判は起訴後の有罪率が99%程度といわれており、裏を返せば、証拠が不十分で有罪にしにくい場合、起訴されない」といい、杉田議員が伊藤氏の主張を“嘘”としたことに警鐘を鳴らしていた。杉田議員は昨年12月、HUFFPOSTの取材に応じている。その際、「Japan’s Secret Shame」での発言について「刑事事件としての手続きが終わった時期ということが判断材料になっていました」「私は、彼女を貶めるつもりは決してありませんでした」とコメント。そのいっぽう、伊藤氏への謝罪はなかったという。そして今回、中傷ツイートに“いいね”をしていたことで訴訟へと発展した杉田議員。国会議員としての資質を問う声がネットではこう上がっている。《杉田水脈は国会議員である。発言や行為に対して一般人より大きな責任を問われてしかるべきだと考える。他のSNS発信に対してイイネすることは、その発信にお墨付きを与えるような行為》《国会議員は与える影響力の大きさや責任の重さが違う。「いいね」も責任が伴うのは当然だと思う》《国会議員である公人がこんな事していい訳がない》《現職国会議員が中傷ツイートに「いいね」を繰り返したことの影響力を問われている》
2020年08月20日2020年8月19日に放送された情報番組『バイキング』(フジテレビ系)で、SNSの誹謗中傷問題や、デマが拡散する風潮について特集。番組に出演するタレントのホラン千秋さんの意見が、反響を呼んでいます。ホラン千秋が誹謗中傷への対処法を明かす世界中のどこにいても、インターネットを介してすぐに情報を発信できる状況はとても便利ですが、一歩使い方を誤れば、デマを拡散させてしまう危険性があります。番組では、そういったネットやSNSの問題点について、出演者たちがトークを展開。ホランさんは、間違った情報が拡散される背景を自分なりに推測し、次のような持論を述べました。その情報が一次情報なのかどうかっていうこと。例えば公的機関から発表されているのか、当事者から発表されているのかっていうことが重要だと思うんですよ。学生時代とかでも「誰々ちゃんが何々ちゃんの悪口いってたよ」って、確かめに行ったら「いってる、いってない」みたいになるわけじゃないですか。誰かからまた聞きしたものって、基本的に盛られてたり、余計なものがついてたり、真実じゃないものが多いから、本当に確かなところから出た情報なのかどうかってのをまず自分で確かめる。それはどんなことに対しても重要だなって思います。バイキングーより引用ホランさんは、また聞きしたものではなく、確かなソースからの情報か否かを見極めることの重要さを説きます。そのうえで「確かな情報を自分で取捨選択してほしい」と訴えました。自身への誹謗中傷について聞かれると…ネット上では、連日のように行われている他者への誹謗中傷が問題視されています。公の場に出る機会の多い芸能人は、そういった被害に遭いやすいものです。番組のMCを務める坂上忍さんが「ホランさんは自分自身への誹謗中傷に対して、どうやって向き合っているの?」と尋ねると…。私はただの悪意みたいな、特になんの根拠もない悪意は別になんとも思わないんですけど。的確な指摘とかあるじゃないですか。結構、中には的確な指摘があったりするので「なるほど。それはそういう風に見えちゃったんなら申し訳ないな」っていう風に、自分の反省材料にすることはあるんですけど。ただの悪意の塊に関しては、「すごい不幸せな人なんだな」って思いながら読むようにしています。バイキングーより引用ホランさんは、的確な指摘についてはしっかり反省し、ただ悪意を持って誹謗中傷してくる人については「すごく不幸せな人なんだ」と思うようにしているのだそうです。続けて「自分は顔をさらしたうえで発言するけど、誹謗中傷してくる人たちはさらしていない。同じステージに立ってからいってほしい」とバッサリ。ネット上では、ホランさんの意見に対し、さまざまな声が上がっています。・メンタルの強さがめっちゃいい。・さすがホランさん。誹謗中傷への大人な対応が素晴らしい。・「誹謗中傷する人は不幸せな人」と思うの、それでいいと思う。誹謗中傷を受けて平気な人はいません。きっと、誰もが傷付きながらも考え方を変えることで、自分なりに対処しているでしょう。情報が飛び交う時代だからこそ、一人ひとりがその真偽を確かめ、相手の立場を想像したうえで言葉を発信するよう意識したいですね。[文・構成/grape編集部]
2020年08月20日2020年8月8日に、放送されたラジオ番組『さまぁ~ず三村マサカズと小島瑠璃子の「みむこじラジオ!」』(ニッポン放送)。番組内で、タレントの小島瑠璃子さんが、一部の週刊誌に取り上げられた熱愛報道について、事実であることを認めました。熱愛報道とともに、小島さんが東京から相手が暮らす地域へ移動していたことも明らかに。新型コロナウイルス感染症が流行中の振る舞いに、一部では批判の声も上がっています。小島さんはラジオで熱愛相手のことを「尊敬から好きになった」とコメントし、さらに一部で巻き起こった批判について「一番感染者数が少ない時期の行動だった」と発言しました。小島瑠璃子に寄せられた誹謗中傷に、三村マサカズがズバリラジオ放送後、ネット上では小島さん本人のSNSに対して、誹謗中傷のコメントが殺到。同月10日、小島さんはそういった事態を受け、Twitterで「ただの想像で、人の人格や生き方まで非難するのは本当にもう終わりにしてほしい。とても悲しい」と、苦しい胸の内を明かしました。交際報道の小島瑠璃子に誹謗中傷が殺到「本当に終わりにして」と悲鳴熱愛報道を認めたラジオ番組で、共演しているお笑いコンビ『さまぁ〜ず』の三村マサカズさんは、小島さんの投稿について次のような意見を述べています。なにがあっても守るよ。俺なりの否定もするけどさぁ。じゃないとつまんないよな。こんな楽しい世の中なのに。 — 三村マサカズ (@hentaimimura) August 10, 2020 三村さんは、小島さんに向けて「自分なりに否定もする」と伝えた上で、「何があっても守るよ」と励ましの言葉を送りました。そのコメントを受け、小島さんは次のような返信をしました。三村さん、、いつでもあったかい。ありがとうございます✨— 小島瑠璃子 (@ruriko_kojima) August 10, 2020 三村さんの行動に対し、ネット上ではさまざまな反響が上がっています。・「守るよ」って、めっちゃかっこよすぎる…。・本当に三村さんは温かくて優しい、素敵な人だなぁ。・「俺なりの否定もする」という言葉に愛を感じた。真に相手を想っているからこそ、時には厳しい発言が必要な時もあるよね。いきすぎた誹謗中傷に神経をすり減らしていた小島さんにとって、三村さんの言葉は救われる想いがしたことでしょう。小島さんのSOSを察し、メッセージを送った三村さん。2人の深い信頼関係がうかがえますね。[文・構成/grape編集部]
2020年08月12日《SNSだろうと誹謗中傷はしてはいけないし、直接傷つけるのと一緒ということが何故まだ浸透していないのだろう》8月10日、こうツイートしたのは小島瑠璃子(26)だ。具体的なことには触れていないが、《想像で、ただの想像で、ひとの人格や生き方まで非難するのは本当にもう終わりにして欲しいです。とても悲しいです》と嘆いた。7月31日、人気漫画「キングダム」の作者・原泰久氏(45)との交際が「NEWSポストセブン」で報じられた小島。その後、8月8日に「さまぁ〜ず三村マサカズと小島瑠璃子のみむこじラジオ!」(ニッポン放送)に出演。三村マサカズ(53)から交際報道を追及されると、「その通りです」と交際を認めていた。「小島さんは7月下旬、福岡県で原氏と仲睦まじく過ごす様子が報じられました。もともと小島さんが『キングダム』の熱心なファンでもあるので、2人は“ビッグカップル”として注目の的に。ただ、いっぽうでネット上では否定的なコメントも散見されました」(芸能関係者)そんななかで辛い気持ちを訴える小島に、Twitterでは仲間からの擁護が続々と上がった。ラジオで交際について尋ねた三村は《なにがあっても守るよ》とリプライ。《俺なりの否定もするけどさぁ。じゃないとつまんないよな。こんな楽しい世の中なのに》とフォローした。またタレントのIMAL(30)も、《トイレのようにジャーと流して〜〜 応援してるよ〜!!!》と絵文字を添えて励ましている。18年2月の「鴻上尚史のオールナイトニッポンPremium」(ニッポン放送)にゲスト出演した際、小島は恋愛観をこう明かしていた。「自分が周りからこの人と付き合ったらどう思われるかなとかよりも、その人の良いところを愛せるかな?とか、これさえあれば良いな!が一個ある方が良いんじゃないかな」11日には《温かい言葉をたくさん、ありがとうございました》と気持ちを切り替え、ツイートした小島。前向きに軌道修正する彼女に、温かいエールが広がっている。《こじるりさん元気だして!》《明るいのがこじるり!!大変ですが、頑張ってください。 そして、大切な人と幸せになって欲しい》《お二人の仲、応援しています》
2020年08月11日2020年7月末、人気漫画家との交際が一部週刊誌で報じられた、タレントの小島瑠璃子さん。後に、自身がMCを務めるラジオ番組で、暗に交際を認める発言をしたことでも話題を呼びました。男女ともに好感度が高い小島さんの交際報道に、ファンからは応援と祝福の声が殺到。一方で、交際が報道された際、小島さんが東京から相手が暮らす地域へ赴いていたことも明らかになっており、新型コロナウイルス感染症(以下、コロナウイルス)で外出自粛が求められている中での旅行に、一部では批判の声も寄せられていました。そうした批判の声は、小島さん自身も目にしており、同年8月10日、Twitter上で行き過ぎた誹謗中傷に苦しい胸のうちをつづっています。SNSだろうと誹謗中傷はしてはいけないし、直接傷つけるのと一緒ということが何故まだ浸透していないのだろう。想像で、ただの想像で、ひとの人格や生き方まで非難するのは本当にもう終わりにして欲しいです。とても悲しいです。— 小島瑠璃子 (@ruriko_kojima) August 10, 2020 小島さんは、交際を認める発言をした際に、一部から寄せられている批判を受け「あの頃(写真が撮られた時)は、一番感染者が少なかった時」と弁明したことも。なおも止まない誹謗中傷に「本当に終わりにしてほしい」と本音を語った小島さん。小島さんの、悲鳴にも似た訴えは反響を呼び、同情と励ましの声も寄せられています。・時代は進化し続けているのだから、それに合わせて法律も新しく追加しないといけないと思います。・誹謗中傷する人は、その言葉一言ひとことに、ちゃんと責任をもっていっているんですかね。・誹謗中傷する人は痛みが分からない人。逆の立場だったら…って想像が出来ない人。いつか、ブーメランとして戻って来るのに。ネット上での誹謗中傷は以前から問題視されており、特に芸能人は立場上、標的にされやすくもあります。しかし、立場に関係なく、故意に相手を傷つけるような行為は決してあってはならないこと。ましてや、SNS上の誹謗中傷は、これまでにもいくどとなく危険性や問題点が指摘されてきました。小島さんがいう通り「SNSだろうと誹謗中傷はしてはいけないし、直接傷付けるのと一緒ということが、なぜまだ浸透していないのだろう」と疑問を抱かずにはいられません。[文・構成/grape編集部]
2020年08月11日才津容疑者からとも子さんに続くれた脅迫メッセージ《殺す殺す殺す……》《殺しに行くよ?》《自主(原文ママ)しないじゃ殺す!おまえだ。犯人…早くしろ娘以上に怖い思いさせてやる!殺される残りのわずかな時間楽しめ》《おまえの人生、すでに終わってる。顔気持ち悪いし早く死ね!死刑》■すべての誹謗中傷者が逮捕されたわけではない今年6月半ば、千葉県成田市に住む小倉とも子さん(37)に見せてもらったスマホの画面には、目を背けたくなるような脅迫文が羅列されていた。とも子さんは、山梨県道志村のキャンプ場で昨年9月、行方不明になった千葉県成田市の小倉美咲ちゃん(8)の母親だ。事件発生から間もなく、SNS上での誹謗中傷に苦しめられてきた。冒頭の脅迫文は、「才津勝二」と名乗るアカウントからフェイスブックを通じて送られてきた。アイコンは闘犬の写真。脅迫のメッセージは昨年11月〜今年2月にかけて、10回ほど続き、その模様は週刊女性でも写真付きで報じていた(『小倉美咲ちゃんの母が独占告白、「殺人犯」とまで言われてもSNS投稿を続ける理由』記事参照)。昨年11月にとも子さんから相談を受け、捜査を続けていた千葉県警成田署は5日、脅迫文を送りつけていた男性を逮捕したと発表した。男性は、自称とび職の才津勝二容疑者(31)。とも子さんのスマホに表示されていたアカウント名と同姓同名だった。成田署から逮捕の知らせを受けたとも子さんは、電話取材にこう語った。「長い間、脅迫の恐怖と苦しみを与えられ、そのつらさにただ耐えてきた。今回の逮捕で一歩進んで安心はしたが、これはあくまで1人で、すべての誹謗中傷がなくなるわけではない 。ネットによる中傷はまだ続いているので、心から安心はできません」とも子さんはツイッターやインスタグラムなどで投稿をする度、誹謗中傷を受けている。今回逮捕された才津容疑者は直接のメッセージだったが、ブログにとも子さんの自宅や家族の写真を載せ、あらぬ憶測を書き連ねる人物も複数いる。そんな状況下、とも子さんはSNS上で「つらいです」と正直な気持ちを吐露し、「だったらSNSをやめればいい」というコメントも寄せられるが、それでも投稿を続けるのは美咲ちゃんのためだ。「美咲が戻ってこない限り、家族で笑顔のある楽しい生活を送ることができません。なので、1日も早い発見に向けて、情報提供をお願いします」とも子さんは7月上旬にホームページも開設し、情報提供を呼び掛けているが、現時点で有力な情報は得られていない。(取材・文/水谷竹秀)PROFILE●水谷竹秀●ノンフィクションライター。1975年三重県生まれ。上智大学外国語学部卒業。カメラマンや新聞記者を経てフリーに。2011年『日本を捨てた男たちフィリピンに生きる「困窮邦人」』で第9回開高健ノンフィクション賞受賞。近著に『だから、居場所が欲しかった。バンコク、コールセンターで働く日本人』(集英社文庫)など。●情報提供のお願い「美咲に似ている子を見かけたなど、些細なことでも情報を求めています!」(とも子さん)【情報提供先】大月警察暑TEL:0554-22-0110情報提供はHP(
2020年08月06日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「ネット中傷」です。当人にとっては気にするなでは済まされません。『テラスハウス』に出演していた女子プロレスラーの木村花さんが5月に亡くなりました。インターネット上で誹謗中傷を受けていたことが原因による自死といわれており、ネット上の誹謗中傷に対し、新たな法律や厳罰化を求める声が強くなりました。でも、僕は新たな法律を設ける必要はないと思います。侮辱罪や名誉毀損罪など、既存の法律で十分裁くことができるからです。ただ問題なのは、訴えようにも、発信した相手の特定がとても難しいということ。弁護士を立て、SNS事業者や掲示板管理者などに情報開示請求を行い、発信者のIPアドレスをもとに、電話会社などに開示を求めて、住所や氏名、本人特定ができます。そこから損害賠償の請求になるので、お金も時間もかかるのです。アクセスログの保存期間は決まっているため、特定が間に合わないケースもあり、政府からは事業者に対し、情報の速やかな開示や保存期間の延長を求める動きが出ています。ほかにも、過度に人を傷つける文言は書き込めなくするなど、民間事業者にできることはあると思います。ニコニコ生放送やABEMAでは、NGワードを指定して、本人が受け付けたくない言葉をはじく機能を備えています。SNSも、ミュート機能で自分のコメント欄を表示させないようにするなど、改善はされつつあります。木村花さんには、悪質な投稿を上回る大量の励ましや応援の声があったそうです。ただ、僕も経験がありますが、1000人に1人の悪口でも、言われた本人は一日中それを引きずります。「知らないやつの他愛もない悪口だから、気にしないだろう」と思ったら大間違い。受け取り手は、実は知人が匿名で本音を漏らしているのかもしれないと、疑心暗鬼に陥ってしまうのです。木村花さんのほかにも、伊藤詩織さんやきゃりーぱみゅぱみゅさんらに対するネット中傷を見ても、女性の発言に対して、大量の批判がことさら集中する傾向があるようです。メディア・リテラシーも大事ですが、女性差別・女性蔑視など、古い価値観に基づいた社会のありようも変えていかなければいけないと思います。堀 潤ジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。3月に監督2作目となる映画『わたしは分断を許さない』が公開された。※『anan』2020年8月5日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2020年08月01日2020年7月19日に、子役出身の俳優である春名風花さんが、SNSに誹謗中傷を書き込んだ投稿者と示談が成立したことをYouTubeで報告。投稿者が315万4000円の示談金を支払うことで合意しています。ネット上での誹謗中傷が問題視される中、春名さんの訴訟は人々の注目を集めました。示談の成立に温かなコメントが寄せられる一方で、「悪口をいわれたくらいで示談金を貰えていいな」という心ない声も上がっています。そんな声に対し、春名さんがnoteにつづった言葉に反響が上がっています。『示談金の額しか見えない人』に春名風花が反論春名さんは4社のプロバイダに対し『発信者情報開示請求訴訟』を行い、投稿者の個人情報を得た後、民事・刑事の両方で訴訟を起こしていました。当初、投稿者は示談に後ろ向きだったものの、家宅捜索が始まる前に示談金による刑事告訴の取り下げを要求。投稿者の申し入れに対し、「後の人々のために1つでも多く判例を作るべきではないか」との思いから、春名さんは示談を拒否していたといいます。しかし、いろいろな人から助言を受け、「現行法では法律で裁くほうが罪が軽くなってしまうかもしれない」との考えから示談を受け入れました。すると、一部の人が示談金の額に反応。『なんの苦もなく手に入れた臨時収入』であるかのように解釈し、筋違いな侮辱や恨みの言葉を春名さんにぶつけたのです。春名さんは当事者として、苦しみと示談金について勘違いしている人も分かりやすいよう、次のようにつづりました。何を言ってるんだろう。そんなにうらやましいなら、あのとき代わってくれたら良かったのに。この金額はラクしてもらえる不労所得じゃなく、僕のこれまでの苦しみとトレードなんだから、そんなに10年ぶんの慰謝料が欲しいなら、僕と同じめにあって、10年間苦しんでみたら良いと思うんだよ。慰謝料っていうのは、誰から見てもそれだけ苦しんだんだなってことが認められた人だけがもらえるもの。それに、何度も言うけど、いくらお金を積まれても、傷はなおらないし、記憶も消えないし、一度落ちた信用も名誉も取り戻せないし、ぺこぱじゃないから時だって戻せない。これで、あの苦しかった記憶が全部消えて無くなるわけじゃないんだよ。春名風花ーより引用春名さんによると、学費を裁判費用に使ってしまったので、そのぶん奨学金を借りないといけなくなったそうです。また、警備費用や失った仕事の数を考えると、とても示談金では補いきれないとのこと。損をした分の一部を取り戻せはしても、心の傷は残ったまま。その上、訴訟後に平穏を取り戻せるかと思いきや、額だけを見てうらやましがる人の対処も必要とあっては、どうにもやりきれないでしょう。【ネットの声】・精神的な苦痛は、お金ではとても補えませんよね。・「お金を貰った」という部分しか見えない人がいることにビックリ!・「春名さんの苦労がやっと報われた」と思って嬉しかったのに、今度はそんな目に遭うなんてつらすぎ…。・「示談金が貰えていいな」なんて、人の痛みが分かっていれば口が裂けてもいえないことだよ。『有名税』という名目で見過ごされてきた、芸能人への誹謗中傷。批評とは違う暴言を許す風潮はもちろん、訴訟を起こした人への当てこすりなども、時代の変化とともに減っていくことでしょう。春名さんの言動が、その第一歩となる影響を社会に与えることを多くの人が願っています。[文・構成/grape編集部]
2020年07月24日昨年9月、キャンプ中に美咲ちゃんが行方不明になってから母・とも子さんには誹謗中傷がつきまとった。「美咲ちゃんは臓器売買で海外に連れ去られていた」「母親が殺した」「美咲ちゃんはキャンプに来ていなかった」。失意の母親にこんな追い打ちをかける人々は何者なのか。ブログ主に真意を聞くと──。(後編)「とにかく美咲が帰ってきてくれれば」と、とも子さん「SNSの誹謗中傷がひどく生活を脅かされています」山梨県道志村のキャンプ場。ここでおよそ10か月前に行方不明になった小倉美咲ちゃん(8)の母、とも子さん(37)は、報道陣に対して、そんな心境を吐露した。■「悲劇のヒロインぶるな」とも批判され山梨県警が2日間にわたって同キャンプ場で再捜索を行った5月下旬のことだ。とも子さんのインスタには事件直後から批判が殺到し、家族や親族の写真は拡散され、成田市にある自宅の写真までさらされる始末。「長女に話しかけた」とツイッターでつぶやく人物も現れ、とも子さんのプライバシーは完全に侵害されていた。「長女と会話をしましたっていうような書き込みを見ました。それを面白がった人たちが、『俺も行こうかな』と言い始めて、恐ろしすぎます。長女が縄跳びや庭遊びをするにしても心配で、ずっと見守るようにしています」そう語るとも子さんは、大金をはたいて防犯カメラを購入し、自宅に取り付けた。昨年10月半ばには、チラシ配りや情報拡散のため、知人が募金活動を始めてくれたが、台風19号が関東地方を襲来した時期と重なったことで、炎上につながった。「台風で被災者は困っているんだから、あんたなんかに募金しないというコメントがたくさん届きましたので、“美咲が無事に戻ったら、私も頂いた募金の残りを台風被災者に募金します”とSNSに投稿すると、“美咲ちゃんのために募金した人たちに失礼だ!”“募金の意図を変えたから募金詐欺だ”などと言われました」何をしても、言っても叩かれる──。これ以上、周囲に火の粉が降りかかるのは避けたい──。とも子さんはそう思い、募金はわずか5日間で終了した。こうした誹謗中傷が続く中、とも子さんを応援する「擁護派」からは、「いつまで誹謗中傷を放置するつもりなのか?」、「弁護士を雇ったほうがいい」などのコメントが寄せられた。しかし、ただでさえ美咲ちゃんのことで頭がいっぱいなとも子さんには、もはや対応できる余裕はなかった。「誹謗中傷を減らしたいのは山々ですが、もう手に負えません。投稿を削除すれば『証拠隠滅か』と言われ、『悲劇のヒロインぶるな』とも批判され、何を書いても、叩かれるんです」とも子さんたちと一緒にキャンプに参加した仲間も、ネットの標的にされた。とも子さんの長女が生まれた10年ほど前から参加していた「子育てサークル」で、その中でも特に仲のよい家族が集まって年に数回、キャンプをしていた。ところが事件後、仲間がメディアに登場しなかったことから「なぜ仲間が証言しないのか」と不審の目を向けられた。とも子さんが語る。「仲間のコメントをメディアから何度も求められていましたが、ネットでの嫌がらせや誹謗中傷がひどかったため、誰も表だって声を上げることができなくなったんです」■ブログで誹謗中傷を繰り返す人物中でも、とも子さんへの誹謗中傷の「急先鋒」として活動しているのが、「怨霊の憑依」と題するブログの管理人だ。ブログは、とも子さんの名前でネット検索すると、上位に引っかかる。公表されている管理人名は「和田隆二」だが、偽名を使っているとみられる。肩書は「霊媒師」。和田氏は、美咲ちゃんの行方不明直後からブログを立ち上げ、毎日のように更新を続けてきた。タイトルには《とも子の周りは薬物関係者》《当日美咲ちゃんはキャンプに来ていなかった》《鬼畜の夫婦》などの文言が並び、とも子さんへの憶測や偏見を生み出す書き込みで埋め尽くされている。ブログは事件の詳細を《育児疲れから次女美咲ちやんを自宅で殺し悪天候を利用し行方不明を企て、募金詐欺をした殺人事件》(2月25日付)、《美咲ちゃんの事件ですが、私は臓器販売で海外に連れ去られたと思います》(3月24日付)などと説明し、とも子さんや夫の雅さんの関与を主張している。投稿には、美咲ちゃんの写真を複数枚掲載し、写真と美咲ちゃんが同一人物ではないことを訴えたいのか、《この写真にはホクロがありません》《髪質も美咲ちやんは猫毛で髪が細い》などと説明。このほか、小倉さん一家が出かけたときの様子、とも子さんと雅さんの結婚式、美咲ちゃんの小学校入学式、誕生日、とも子さんの車……など、とも子さんの過去のSNSからごっそり抜き取った、ありとあらゆる写真が掲載されている。一体、和田氏は何者なのか。SNS被害が深刻化する中、発信する側の張本人に会ってみたいと思った私は、ブログに掲載の携帯番号にかけ、彼の家がある静岡県熱海市へと向かった。■仕事は「潜水艦のソフト開発」熱海駅から車で約15分、勾配の急な坂を上った住宅街に、古びた鉄筋コンクリート3階建てのその家はあった。人が住んでいる気配がしないほど、物静かな佇まいだ。玄関のドアは施錠され、インターホンもない。しばらくノックを続けると、中から物音が聞こえ、ドアが開いた。目の前に現れたのは黒いTシャツ姿の中年男性。年齢は事前に「30代前半」と聞いていたが、相応には見えない。あらためて自己紹介をすると、「どうぞ中へ入ってください。今から証拠の書類を持ってきますので」と、地下1階へ案内された。階段を下りると、教室ぐらいの広さの部屋に、サンドバッグやベンチプレス、フィットネスバイクが並ぶ。トレーニングルームのようだ。間もなく戻ってきた男性が、床に腰を下ろした。Tシャツにはムエタイの選手が描かれ、左上腕部分にはタイの国旗。「普段はタイにいます。今は飛行機が飛んでいないので、ここに1人でいます」床であぐらをかいた和田氏は、不敵な笑みを浮かべている。「証拠」と称する書類を並べたが、それらはいずれも、ブログに掲載された美咲ちゃんの写真をプリントしたものだ。うち何枚かを指さしながら語った。「とも子さんは美咲ちゃんの身長を125センチだと言っていますが、私のほうで測ったら110センチしかない」「美咲ちゃんの写真はホクロの位置が毎回変わっている」美咲ちゃんは保育園の文集に120・5センチと記録され、ホクロの位置が変わっていることも確認がとれない。しょっぱなから要領を得ない話が始まり、私は受け答えに困った。和田氏はブログで、美咲ちゃん事件の犯人はとも子さんだと主張している。その証拠が目の前に並ぶ書類なのかと尋ねると、「違います」と否定してから、こう続けた。「要するに私は今、タイに行けないので潜水艦探知機のソフトを作っています」和田氏はいきなり話題を変え、自身の仕事について説明を始めたようだが、質問に対する答えになっておらず、話がまったくかみ合わない。また、和田氏はとも子さんと何度も話をしているという。「とも子から頻繁に電話がかかってきて怒鳴り声や罵声を浴びせられるんですよ」とも子さんから頻繁に電話がくることが事実なら、とも子さんの電話番号を知っているはずだ。番号を尋ねると、「着信記録は無数にあるから消えているかも」と言いつつ、和田氏はガラケーを取り出し、調べ始めた。差し出された画面に表示された番号は「非通知」だった。「この非通知は間違いなくとも子からです。私はとも子の声を知っているので、話せばわかります。そのときは、とも子から『あんた証拠を持っているのか?』と尋ねられました」和田氏が示した非通知着信《6月26日18時45分》《6月26日15時53分》は、いずれも私が非通知で和田氏にかけた記録と合致していた。偶然とは思えない。そもそも、和田氏は両方とも電話に出ていないので会話が成立するわけがない。さらには「(私は)とも子さんや関係者の携帯電話をハッキングしている。違法行為をやっています」という発言まで飛び出し、メディアの前で自身を犯罪者と認めるなどもはや支離滅裂だ。■和田氏の告発状は受理されず1時間ほど話をしたが、とも子さんと事件を結びつける証拠らしきものは何も出てこない。さらに追及すると、和田氏は1枚の書類を見せてきた。差出人は、甲府地方検察庁事件管理担当。和田氏が甲府検察庁に出向き、告発状を提出したのは事実のようで、その内容についてはこう説明した。「告発の容疑は“警察の捜査妨害”です。とも子さんが警察に提出した美咲ちゃんの写真は本人とは異なっています。警察はまったくの別人を捜査してしまったので、これは捜査妨害に当たります」しかし、和田氏の書類は《告発状の返戻について》と題し、令和2年1月6日付の告発状を検討した結果が、次のように記されていた。《前記犯罪構成要件に該当する事実(いつ、どこで、どのようにして等)が具体的に特定されているとは認められません》和田氏のブログには、美咲ちゃんだけでなく、小倉家の親族の写真までもが掲載されている。プライバシーの侵害や名誉毀損に当たる可能性があるが、それでもブログを続ける理由について、和田氏はこう開き直った。「今の世の中にはジャスティス(正義)がない。とも子も旦那も美咲ちゃん事件の主犯です。名誉毀損というなら、訴えなさい。白黒つけましょう!」和田氏の家を辞した翌7月7日もブログはいつもどおり更新され、相変わらずとも子さんの家族写真を掲載している。同日は、とも子さんの慟哭の日々(前編)が綴られた本誌の発売日。ブログのコメント欄には記事を読んだユーザーからさっそく書き込みがあった。《またとも子ひとりの意見を垂れ流している》との感想をいただいたので追記しておこう。私はとも子さんの近隣宅や美咲ちゃんの通う小学校の取材もしており、いずれもとも子さんの話の整合性を確認している。また、私の経歴やメールアドレスも記載されており、特定班の動きの速度も確認できた。取材を終えた私は、和田氏とのやり取りを資料として警察署へ提出した。どちらにジャスティスがあるかはいずれわかるだろう。●情報提供のお願い「美咲に似ている子を見かけたなど、些細なことでも情報を求めています!」(とも子さん)【情報提供先】大月警察暑TEL:0554-22-0110取材・文/水谷竹秀ノンフィクションライター。1975年、三重県生まれ。上智大学外国語学部卒業。カメラマンや新聞記者を経てフリーに。2011年『日本を捨てた男たちフィリピンに生きる「困窮邦人」』で第9回開高健ノンフィクション賞受賞。近著に『だから、居場所が欲しかった。バンコク、コールセンターで働く日本人』(集英社文庫)など。
2020年07月17日近頃、ネット上で悪口や誹謗中傷をする『ネットいじめ』が横行しています。子供だけにかかわらず、見ず知らずの人から誹謗中傷を受けて心を痛める大人も多数いるのが現状です。いわゆる言葉の暴力といわれるものは、目に見えるものではありません。そういった言葉の暴力を受けた人に対して、「スルーしたらいいよ」と相手に絡まず無視をすればいいと助言する人がいます。しかし、それよりも大切なことがあると僧侶の吉田武士(@curry_boz)さんが説きました。心ない言葉や暴言を受けたときにまわりの人が「スルーしたらいいよ」というの、銃で撃たれたあとに「弾、避けたらいいいよ」というのと同じだから…さらに、みんなで反撃して銃で撃ち返すよりも、まず手当てしてあげてください♂— 力レ一坊主@吉田武士(僧侶Lv.9) (@curry_boz) July 5, 2020 すでに、誹謗中傷の銃で撃たれた後に「避けたらいいよ」といわれたところで、意味がありません。銃で撃ってきた相手を反撃するよりも、まずは心のケアをしてあげてほしいというのです。投稿には、多くの共感の声が寄せられていました。・本当にその通りだと思う。スルーすることも大切だとは思うけど、心の手当てをしてくれる人も欲しい。・「スルーしなよ」っていいがちだから気を付けたい。肝に銘じておく!・確かに傷はすでに負っているからね。目から鱗でした。ネット上の、見ず知らずの相手に対する誹謗中傷は許されることではありません。ですが、もし傷付いている人を見かけたら優しく心の手当てができるようにしたいですね。[文・構成/grape編集部]
2020年07月08日その霊能力のために、楽屋では霊視を求める先輩芸人たちが行列をつくることもあるという、よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属の“霊がよく見える”ピン芸人・シークエンスはやとも(28)。『ポップな心霊論』は、彼が人生で見てきた霊たちや霊現象などを紹介していくコラム連載!【誹謗中傷は気に病まなくて大丈夫です】芸能人の方の生き霊チェックをしていると「絶対に悪いものがついてると思う」と相談されることがよくあります。でも実際に霊視してみると、それはまったくの思い過ごしで。熱狂的なファンの生き霊はまだしも、悪いものなんて、ぜんぜんついてないんです。なんでそんなふうに思うのか聞いてみると、ほとんどの場合「SNSでひどい誹謗中傷を受けているから」という理由です。僕が思うに、匿名で誹謗中傷するような人って、べつに恨みや憎しみの気持ちがあるわけじゃないんですよね。これまで僕が相談を受けてきたケースでは、誹謗中傷してくる相手の生き霊が、実際についていたことなんて1度もないですもん。だから、自分の素性も明かさずに文句をつけてくる人の言葉なんて、まったく気に病まなくて大丈夫だと思います。とはいえ、無視すればいいとも思っていなくて。僕自身、SNSで誹謗中傷されることがあるんですけど、やっぱりスルーはできません。芸能人であっても、おかしいと思ったことには声を上げられる世の中にしていかないとですね。なんだかいつになく真面目な感じになっちゃいましたが(笑)。これが僕の素直な思いです。【お知らせ】はやともさんへのファンレター・心霊相談は、〒112-8011東京都文京区音羽1-16-6光文社・女性自身編集部「ポップな心霊論」係まで!「女性自身」2020年6月23・30日合併号 掲載
2020年06月21日【今週の悩めるマダム】亡くなった木村花さんが抱えていた、SNSでの誹謗中傷問題。15歳の娘も、ネットいじめの問題に悩んでいます。SNS上で悪口を言われたり、あることないことを書かれているみたいです。私はネットに疎く「見なきゃいいのに」と思いますがそういうわけにもいかないようで、どうしてあげればいいかわかりません。(埼玉県在住・40代主婦)彼女が亡くなられた後も、まだ花さんを誹謗中傷する輩がいるようですが、心ない人間というのは懲りないものですね。そういう連中が巣食う場所がSNSの世界でもあるわけです。ここに近づくか、いっさい近づかないか。この2択しかないのですが、社会的繋がりを必要としている人にとってはSNSを排除して生きることは難しいでしょう。Twitterやインスタグラムなどの各社がある程度プロテクション機能を構築し、ひどい誹謗中傷をまき散らす悪質なアカウントの割り出しをしてくれればいいのですけど、これにも限度があります。ネットいじめの問題は10年以上前からあるのに、法整備もなかなか進んでいかないのが、残念ながら現状なのです。つまり、個人個人が強くなるしかない。僕もSNS上で何度も攻撃を受けてきた側の人間です。ひどいものでしたが、だれも助けてくれないので、自力で這い上がるしかありませんでした。僕はこの通り図々しい人間でしたから、生き残ることができましたが、木村花さんはそうじゃなかった。あんなにプロレスが強い人だって、メンタルへの攻撃というのは本当に響くのです。相手は不特定多数のしかも匿名の人間ですからね。相手が分かっていれば阻止もできるでしょうが、ネットの隠れ蓑に紛れて匿名でしか人の悪口を言えない連中が相手だと、そうもいきません。誹謗中傷をしている連中というのは、実際に会ってみたら意外と人の良さそうな人間だったりするわけです。裏の心というのは恐ろしいものです。人間の中にいる悪魔と、まともに戦っちゃいけません。SNSという場所は人間の悪い本性がむき出しになる、実に恐ろしい場所でもあるわけです。攻撃側に回ることで、勝ち組の一員でいられるような優越が得られます。これが誹謗中傷をエスカレートさせるのです。そしてそのターゲットになりやすいのは、本名で生きている人たち。花さんは大変不幸なことに亡くなってしまいましたが、娘さんはまだ生きている。だから、僕が考えたSNS上の誹謗中傷に負けない十カ条を、娘さんに送りたいと思います。「誹謗中傷に負けない十カ条」1. 腹が立ってもクールにスルー2. いちいち相手にせずスルー3. 小さなことはスルー4. ふざけんなでスルー5. 抱え込む前にスルー6. 他にやること山ほどあるしで完全スルー7. 敵の思う壺にはまる前にさっさとスルー8. 時間は有限だから、申し訳ないけどスルー9. 悪口陰口誹謗中傷は即座にスルー10. だれの人生だよ、スルーでしょ!卑怯であくどい連中に、純粋に頑張っている人たちが負かされるなんて、絶対にあってはいけません。一緒に乗り越えましょう!【JINSEIの格言】人生は、他のだれのものでもありません。あなた自身のものです。よく知りもしない他人の顔色をうかがって生きる必要がありますか?あなたに与えられた、一度きりの人生です。この連載では辻さんが恋愛から家事・育児、夫への愚痴まで、みなさんの日ごろの悩みにお答えします!お悩みは、メール(jinseinospice@gmail.com)、Twitter(女性自身連載「JINSEIのスパイス!」お悩み募集係【公式】(@jinseinospice)、またはお便り(〒112-0811 東京都文京区音羽1-16-6「女性自身」編集部宛)にて絶賛募集中。※性別と年齢を明記のうえ、お送りください。以前の連載「ムスコ飯」はこちらで写真付きレシピを毎週火曜日に更新中!
2020年06月16日著名人に向けた誹謗中傷が絶えない昨今。悲しい事件も起きています。起きてしまった事件に心を痛め、誹謗中傷をなくそうと働きかける人も少なくありません。その反面、「有名税と思って耐えればいい」「SNSを見なければいい」「スルーすればいいのに」という意見を述べる人も…。ところが、そんな意見は許すまじと、投稿されたメジャーリーガーのダルビッシュ有(@faridyu)選手のツイートが話題を呼んでいます。たまーに来る誹謗中傷をスルーしただけで対処法わかってますって感じの人へ。著名人への誹謗中傷はこんな感じです。 pic.twitter.com/eFkDIGN6gG — ダルビッシュ有(Yu Darvish) (@faridyu) May 23, 2020 想像を絶する誹謗中傷の例えに言葉を失います…。目をつぶることも、振り払うこともできず、誹謗中傷に襲われ続けるだけ。「誹謗中傷はスルーすればいいだけ!」と考えていた人も、ダルビッシュ有選手の投稿を通し、誹謗中傷の実態を知ったのではないでしょうか。「群がる大群の一匹になるのはやめよう」と、1人でも多くの人が我が身を振り直してくれることを願うばかりです。[文/AnyMama(エニママ)・構成/grape編集部]
2020年06月16日複数の女性と不倫をしていたことが一部週刊誌で報じられた、お笑いコンビ『アンジャッシュ』の渡部建さん。2020年6月10日、渡部さんは芸能活動の自粛を発表。報道が事実であることを認めました。渡部さんは2017年に俳優の佐々木希さんと結婚し、第1子を育てています。渡部建の不倫疑惑をかけられた片桐えりりか、誹謗中傷を訴えそんな中、SNSや一部のメディアではなんの根拠もなく『渡部さんと不倫していたセクシー女優』とされる情報が公開されていました。元セクシー女優の片桐えりりかさんは、不倫相手の疑惑をかけられた1人。しかし、片桐さんは5年前から台湾在住のため渡部さんに会うことは不可能です。片桐さんによると、2014年に会ったことがあるものの、渡部さんが結婚して以来は一度も会っていないといいます。しかし、不倫相手の1人であるというデマは拡散され、片桐さんの元に多数の誹謗中傷メッセージが届いているそうです。「佐々木希さんに謝れ」「お前なんか死んだほうがええわ」不倫疑惑を信じた人たちから片桐さんの元に大量に届いた、誹謗中傷のメッセージ。片桐さんは一部のメッセージを公開した上で、このように注意喚起をしました。未だに佐々木希さんに謝れというDMが大量にくるんですけど、、酷いものでは死ねときます。DMは全てスクショはしてあります。あまりにもこのようなことが続くなら法的処置の準備をします。言葉に責任を持ってください。いいかげん勉強してください。 pic.twitter.com/njHrC1x9pj — 片桐えりりか (@eririka2012) June 11, 2020 同年5月23日には、プロレスラーの木村花さんが22歳という若さでこの世から旅立ちました。木村さんはネットで多数の誹謗中傷に遭っていたほか、自宅には遺書と思しきメモが残されていた点から、自ら命を絶ったと考えられています。ネットでは木村さんの件を受け、「誹謗中傷はやめよう」という意見が相次いでいたばかりでした。投稿は拡散され、多くの人から誹謗中傷を批判する声や、片桐さんを励ます声が寄せられています。・本当に酷い。木村さんの件から何も学ばなかったのか?・やっぱり誹謗中傷をする人は自分は正義であり、悪いと思っていないのでは。・心中お察しいたします。こうやって人を傷付ける人は一度痛い目に遭ってほしい。誹謗中傷行為は人の心を深く傷付け、時には死に追い込みます。そのことを、私たちは木村さんの件でも学んだはずです。これ以上苦しむ人を増やさないよう、一人ひとりが意識するべきでしょう。[文・構成/grape編集部]
2020年06月13日木村花さん(写真は本人のSNSへの投稿より)「2度とテレビに出るな」「気持ち悪い、消えろ」──。見ず知らずの人から苛烈な言葉を受けて、22年の人生に自ら終止符を打った、女子プロレスラーの木村花さん。“みんなが書き込んでいるから”と、軽い気持ちで書き込んだ言葉が積み重なって起きた今回の悲劇。ネットの世界で自分が加害者、被害者にならないためにはどうすればいいのか。◆◆◆「意見としての批判と誹謗(ひぼう)中傷の違いを示す明確な線引きはありません。どこからが誹謗中傷なのか、といったことを定義化するのは難しい」そう話すのは、アトム市川船橋法律事務所・高橋裕樹弁護士。恋愛リアリティー番組『テラスハウス』の出演者だった女子プロレスラー木村花さん(享年22)が、SNS上での度重なる誹謗中傷を受け、自ら命を絶った──。将来を嘱望されていたレスラーの早すぎる死は衝撃的なニュースとして報道され、とりわけ、そのきっかけになったともいわれるネット上の誹謗中傷に大きな関心が集まっている。■名誉毀損罪と侮辱罪に相当する「報道以降、問い合わせが増えています」と高橋さんが説明するように、「自分なりの意見として書いた内容が批判的だと誹謗中傷に相当するのか?」「出来心で書いただけの悪口だけで訴えられてしまうのか?」といった過去の自身の書き込みに怯(おび)えている人は、少なくないようだ。意見表明として書いたので誹謗中傷にはならない、そう思っていても冒頭の言葉が示すように、われわれが想像している以上にこの問題は複雑かつあいまいで、ややこしい。そもそも誹謗中傷とは何なのか?「刑法でいえば、名誉毀損(きそん)罪と侮辱罪に相当します。公然の場で事実を言って相手の評価を下げることが名誉毀損罪、同様に評価や意見を言って評価を下げると侮辱罪になります」(高橋さん、以下同)「Aさんは不倫をしている」(事実関係の証拠検証可能なもの)と言いふらし、それが事実であっても結果的に相手の社会的な評価を下げることにつながれば前者に。「Bさんって頭が悪いよね」という具合に、好き勝手に評価や意見を放言すると後者に該当するという。公然の場と見なされるSNS上で、心ない言葉を投げかけられた木村花さんのケースは、侮辱罪に相当する誹謗中傷となる。もし仮に、あなたがツイッター上でプロ野球選手に、次のようなリプライ(特定のツイートに対する返信・応答)を送ったとしよう。「つぶやく暇があったら、勝利に貢献できるよう練習しろ、ヘボピッチャー!」このプロ野球選手の成績が悪ければ、ヤジの類いとして許容されそうなものだが、「“ヘボ”は間違いなく侮辱になるでしょう。また、“勝利に貢献できるよう練習しろ”という一文も、練習をしていない選手と揶揄しているようにも受け取れるため、名誉毀損的でもあるし侮辱的でもある。この例文は、限りなく赤に近い黄色ですね」と、高橋さんは指摘する。特定の人へのヤジのような批判は、誰もが1度は口にしたことがあるはず。自覚がなかっただけで、実は赤信号を渡っていたとは、もはや他人事ではない。「有名人の場合は、イメージの問題もありますし、有名税と割り切って相手にしない人も多いようですが、言葉だけを見れば侮辱罪になりうる。政治家のスキャンダルを公にするというように公益目的などであれば名誉毀損や侮辱に相当しませんが、SNS上の罵詈(ばり)雑言はアウトでしょう」確かに、テレビなどで露出が多い芸能人たちは、その言動や行動が目につきやすい。また、キャラクターが一般人とかけ離れていればいるほど、批判もしやすい存在になる。だからといって根も葉もないことや汚い言葉が許されるということではない。ネットの中では姿の見えない、別人格になれるということも言葉が過激になる理由のひとつなのだろう。このことは一般人同士が、匿名でお互いに罵(ののし)り合っていた場合も同様だ。■「死ね」という言葉はグレー!?万が一、自分が被害者になった際は、それまでの経緯や状況をSNS上で公表しないほうが賢明とも教える。「誹謗中傷によって、精神的な苦痛を受けているという点が重視されるので、迷惑を被っていると言いながら、SNS上で経過を逐一、報告していると、楽しんでいるのではないか、注目を集めるためにやっているのではないか、と指摘され、加害者にアドバンテージを与えかねません」また、“死ね”を“タヒ”と表現するネットスラングや縦読みも、「直接的か間接的かだけの差異」でしかなく侮辱の範疇(はんちゅう)にあるという。ただし、“死ね”という言葉には意外な事実が……。「名誉毀損罪と侮辱罪は、社会的評価を下げるということを前提としています。仮に、“高橋は弁護士資格がない”と誹謗中傷されたとしましょう。この場合、事実とは異なりますし、その誹謗中傷の影響で依頼者が減る可能性があるため社会的評価を下げた=名誉毀損になります。ところが、“高橋、死ね”と誹謗中傷されたとしても、私が傷つくだけで依頼者が減るといった社会的評価に影響はないと見なされる。“死ね”という言葉は、刑事罰の誹謗中傷として扱う際は、非常にグレーになります」もっとも過激な誹謗中傷であると思われる“死ね”という暴言が、刑法の視点から考えると宙ぶらりんの言葉になるとは、知りたくなかった事実。SNS上で“死ね”と精神的に追い詰めることは、自殺教唆(きょうさ)罪や脅迫罪など別の犯罪として扱われるケースも考えられるというが、名誉毀損として扱われないとは……。「民事事件という枠の中に、刑事事件という部分が含まれていると考えてください。誹謗中傷の問題を考えるとき、このふたつを分けて考えていかなければいけません」社会的な制裁を望み告訴したとしても、侮辱罪の刑罰は、拘留(30日未満の身柄拘束)または科料(一万円未満の金銭支払いの刑罰)。加えて、刑事事件の罰金は被害者の手元にわたることはない。なので誹謗中傷を行った加害者に対し、慰謝料請求という民事訴訟を選択するケースが多くなるのだが、匿名という安全な場所から好き勝手に投石しておいて、犯罪にはならず、社会的地位も毀損されないというのは釈然としない。しかも、慰謝料請求にもハードルがある。ツイッターで誹謗中傷を受けた場合、「まずツイッター社に対してネット上の住所にあたるIPアドレスの開示を求める裁判を行うため、その費用が最低でも20万円ほどかかるでしょう。その後、プロバイダーに個人情報を求めて、相手を特定するための裁判があり、ようやくその相手に対し慰謝料請求の民事訴訟を行います」裁判を3回起こさなければ、慰謝料請求にたどり着けない──想像以上に手間とお金がかかるのだ。相手の侮辱行為が認められたとしても、慰謝料も数十万円と低くなりがちだという。「名誉というものに対して、それだけお金と時間をかけられますか?というのが現状です」リアルな現実世界に比べ、SNSが厄介な存在であることに拍車をかける。例えば、もし職場で、「お前はいつも仕事ができないんだからもっと努力しろ。あと、体臭がきついから清潔にしろ」と、毎日のように上司から言われ続けたとしよう。「この場合、上司からのパワハラにあたるので、会社に対して慰謝料請求ができます。相当額の慰謝料請求を勝ち取りやすく、相手を開示する手間もありません」SNSでの誹謗中傷に比べると、はるかに手続きをスムーズに進められるというわけだ。さらに問題点として、「ツイッターの場合、書き込みを削除すると、IPアドレスの記録は1か月ほどでなくなるといわれてます。それが消えてしまうと書き込んだ人間を特定できなくなってしまうため迅速性を求められる点もネックでしょう。相手を特定できないのにデジタルタトゥーとしてネット上に誹謗中傷は残り続ける。SNSが登場する以前とは状況が全く異なるにもかかわらず、これまでどおりの慰謝料の基準や裁判官の裁量で考えるのは妥当性に欠けていると思います」■表現の自由とどう向き合うか現在、総務省が情報開示ルールを定めた『プロバイダー責任制限法』の改善点を協議する有識者会議を設けているのは、前記のような背景があるからだ。発信者を特定しやすくできるよう、SNS事業者などが被害者に開示できる情報に、電話番号を加えるといったことが話し合われている。高市早苗総務相は記者会見で、「相手方の特定に時間がかかる。適切な刑事罰のあり方を考えなければならない」と法改正も示唆している。その一方、「表現の自由を侵害しかねない」といった声も上がる。何が意見で、何が誹謗中傷かあいまいなままでは、表現の範囲が狭まるのではないか、と。先述した「勝利に貢献できるよう練習しろ」を例に挙げれば、否定的な意見を書く際に名誉毀損的、侮辱的と見なされる可能性があるため、指が止まってしまいそうだ。「つぶやく回数以上に、勝利回数に貢献してください」これなら問題なさそうだが、批判のはずが、「なぜ丁寧語になっているんだ」と自問自答したくなる。「批判的な表現に対して、反論で対応するのが表現の自由を確保するうえで大原則です。表現内容そのものを、処罰の対象にすることは基本的には望ましくありません。ですが、ネット上の誹謗中傷ととれるものの中には明らかにやりすぎているものも散見されます。どのように折り合いをつけていくのか──、とても難しいと思います」『食べログ』や『Amazon』のレビューを見ると、訪問する意欲や購買意欲を損なわせるような書き込みがある。しかし、肯定的なレビューばかりが並んでいれば、それはもう自由とはほど遠い。ある程度の清濁は、表現の自由を考えれば許容せざるをえない。「スパイシーな批判は必要だと思いますし、言論の保護と見なされる可能性も高いでしょう。ただし、根拠のない悪口や人格を否定するような内容に及ぶと、誹謗中傷の類いになる。そこをひとつの指標として念頭に置いておいてください」コンテンツのプロバイダーや電波を使用する携帯キャリアの管轄となる総務省は、7月には制度改正の大枠を示すとしている。仮に法改正に至ったとしても、ツイッター本社は米国・カリフォルニア州サンフランシスコにある。海を越えたIT企業が、どこまで応じるかは不透明だろう。「『プロバイダー責任制限法』の改正に加え、国が“誹謗中傷とはどういったものを指すのか”といったガイドラインを提示することも必要なのではないか。そのガイドラインに従って、ふさわしくない書き込みがあった場合は、自主的に削除する、自主的に開示する、そういったルールを作ることも大事でしょう」今やSNSは、現実社会のコミュニケーションやカルチャーと密接につながっている。「誹謗中傷されたくないならやらなければいい」「そんなものはスルーしてしまえばいい」などという意見も聞こえてくるが、ファッションとしてミニスカートを楽しんでいる人に、「そんな格好をしているから襲われるのだ」とおせっかいを焼くようなもの。ファッションもまた表現の自由であって、他者から釘を刺される筋合いなどないだろう。私たちは、加害者にも被害者にもなる可能性があるSNSと、上手に向き合っていくしかない。「学校で、SNSをするうえでの望ましいマナーや使い方などを教える、といったことも本格的に議論されてもいいと思います」と高橋さんが言うように、SNSが身近になった今、“軽い出来心”で投げかけた言葉が刃にならないよう、大人も含めて学ぶ姿勢が問われている。【ネットで被害を受けた芸能人たち】以前からネット上で芸能人は謂れのない誹謗中傷に悩まされてきた。「留守は放火のチャンス」などと書き込まれ刑事告訴に踏み切った川崎希。舌がんの手術を受けた堀ちえみに対して「死ねばよかったのに」と、ブログに書き込んだ女性は脅迫容疑で書類送検された。西田敏行は「違法薬物を使用している」などと虚偽の記事を書き込まれ、ブロガーの男女3人が威力業務妨害の疑いで書類送検となった。(取材・文/我妻アヅ子)【プロフィール】高橋裕樹◎2008年に弁護士登録。少年事件や遺産問題にも強い。著書に『慰謝料算定の実務第2版』(ぎょうせい刊)がある
2020年06月12日2020年6月8日、ジャーナリストの伊藤詩織さんがTwitterに投稿されたイラストや書き込みが名誉毀損に当たるとして、漫画家のはすみとしこさんら3人に損害賠償と投稿・リツイートの削除と謝罪広告の掲出を求めて、東京地裁に提訴しました。訴状によると、はすみさんは2017年6月~2019年12月、伊藤さんとみられる女性を描いたイラストなどを投稿し名誉を傷付けたとしています。また、ほか2人については、はすみさんの投稿をリツイートで拡散したとのこと。代理人によると、2人は男性でクリエイターと医師だといいます。はすみさんは訴状に対し「風刺画はフィクションであり、実際の人物や団体とは関係がない」「今回の地裁判決により作品を削除する意向はない」と自身のTwitter上で発信していました。伊藤詩織さん「言葉を発する前に考えてほしい」伊藤さんは同日、都内で記者会見を実施。ネット上での誹謗中傷について「ひと言でいうとショックでした。尊厳を傷付けられるような攻撃でした」と語り、訴訟を起こした理由について言及しました。言葉には人を傷付け、死に追いやってしまう言葉もたくさんあります。これ以上、言葉で人を傷付けるようなことがないよう、アクションを起こしていかなければならないと思います。個人的な経験ですけど、(ネット上の誹謗中傷の)言葉を受け続けて、外を歩けなくなってしまったことがあります。変装をしていたんですけど、変装をやめて道に出たんですけど、気付いて声を掛けてくれる人は、みなさん応援してくださる方だったんですね。オフラインの世界では、面と向かって、苦しい言葉を投げかけられることはありませんでした。そういった言葉を投げかける人に対しては、その後本人の前で責任を持っていえるのかというのを、言葉を発する前に考えてほしいというのが願いです。THE PAGEーより引用「本人の前で責任を持っていえる言葉なのか、考えてほしい」と訴えた伊藤さん。ネット上での誹謗中傷については「SNSを見なければいい」といった声もある中で、次のようにコメントをしています。こういう声を受けると、孤立してしまうんですね。そういった声が一部だったとしても、声に囲まれているような気分になってしまうんですね。特にこれが若い方であったらなおさらなんじゃないかなと。私たちにとってオンラインはとても近い世界ですし、私たちにとって通勤路や通学路のような普段通る道なんですね。そこを見るな、通るなといわれるのは本当に難しくて、そういった日常の中で起きていると。それが自分の生きているコミュニティで起こってると、どこに助けを求めていいのかわからない。そこがすごくつらいところだなと。THE PAGEーより引用ネット上では、この会見を見た人たちからさまざまなコメントが寄せられました。・これを機に、ネット上でセカンドレイプを絶対許さないムーブメントに変わっていってほしい。・国の推し進めるSNS規制の参考にもなる、重要な事例になるだろう。・これは、人としての尊厳を守る闘いだと思います。伊藤さんについてネット上に書き込まれたものは70万件あり、うちTwitterの投稿は21万件に及ぶとのこと。その中から名誉棄損に当たる可能性の高い悪質な投稿を確認し、投稿者を特定次第、提訴を検討していくといいます。[文・構成/grape編集部]
2020年06月09日※画像はイメージですSNS等で数々の「誹謗中傷」を受けこの世を去った木村花さんの訃報に、悲痛な気持ちを抱いた人は多いはず。しかし、自分も気づかぬうちに誰かを攻撃してしまっている可能性は大いにあります。「誹謗中傷」「批判」「文句」「非難」の使いわけ、正しくできていますか? 現役の新聞記者(ウネリ)と元記者(ウネラ)による夫婦の物書きユニット・ウネリウネラが、その意味や使いどころについて考えました。◆◆◆5月23日、女子プロレス選手の木村花さん(当時22歳)が亡くなりました。訃報から2週間が経ったいまも、心が痛んでいます。SNS上では木村さんに対して数々の心無い言葉、「誹謗中傷」がぶつけられていました。この悲劇を繰り返してはいけません。一方で、このニュースを知り、日ごろツイッターなどで政治や社会への「批判」を行っている筆者自身が、知らぬ間に誰かを傷つけてはいないかと心配になったのも事実です。「誹謗中傷」はダメですが、「批判」は必要。では個人的な「文句」、相手に対する「非難」は?当たり前のようでいて、これらの使いわけはけっこう難しい。言葉の意味を確かめながら考えていきたいと思います。■誹謗中傷による「傷」は残り続けるまずは、「誹謗中傷」という言葉について辞書(『広辞苑第七版』)をひきます。【誹謗】とは「そしること。悪口を言うこと」【中傷】とは「無実のことを言って他人の名誉を傷つけること」根拠のあるなしにかかわらず人を悪く言うことが【誹謗】、根拠なく他人を悪く言うことが【中傷】という違いがあるようです。【中傷】が悪いのは当然ですが、この言葉に依(よ)っていくと“根拠がある悪口は許される”という誤解が生まれる余地があります。根も葉もない言説でも自分が信じこめば、(それを根拠として)相手を攻撃する権利がある、と錯覚する人がいるかもしれません。そもそも、根拠の有無に関係なく誰かを攻撃してはいけない、すなわち【誹謗】も含めてダメなのだと、頭に入れておきたいと思います。誹謗中傷を受けた側の「傷」は、一時の痛みでは終わらない。そのことの重大さを強く感じています。それは、過去に元記者のウネラも不特定多数の方から誹謗中傷を受け、10年ほど経った今でもダメージを克服できずにいるからです。防ぎようのない周囲からの力によって自分が変容させられ、受ける前と後とで世界が変わってしまったような……その前にいた世界にはもう戻れないような、断絶的な感覚を持っています。この痛みを抱え続けて生きていくのは、とてもつらく困難なことだと思います。決して大げさな言い方ではなく、自身の経験からの実感です。一方、現在も新聞記者として働くウネリはツイッター上でも情報発信を行っており、政治・社会を批判することもあります。冒頭で書いた通り、木村さんの訃報に接してまず考えたのは「自分自身が誹謗中傷をしていないか」ということです。最近のツイートを自分なりに振り返ってみます。例えば5月下旬、黒川弘務・東京高検検事長の賭けマージャンの件で法務大臣の森雅子氏が安倍首相に進退伺を出し、慰留されたという報道がありました。ウネリは以下のようなコメント付きのリツイートをしました。《上司に進退伺を出す人は、たいてい慰留されるのを期待してますよね。本当に責任を痛感してる人はすぱっと辞めるのではないでしょうか》──牧内昇平・朝日新聞 (@makiuchi_shohei) May 23, 2020■【批判・非難・文句】の境界線は?このツイートは森氏への「誹謗中傷」に当たるでしょうか。「政治家は公人だから、どんなことでも言っていい」というのは間違いだと思います。公人でも有名人でも、ひとりの人間としての存在がまずあります。その上でポイントは「内容に相手を傷つけようとする意図でなく、きちんとした批判性があるかどうか」でしょう。では「批判」とは、そして「批評」とは何か。改めて広辞苑をひきます。【批判】とは「物事の真偽や善悪を批評し判定すること」【批評】とは「物事の善悪・美醜・是非などについて評価し論ずること」この「論ずる」という部分がポイントだと思います。前述のツイートの背景には「黒川検事長が辞めるだけでこの問題を終わりにしていいのか」という意識がありました。賭けマージャンだけならまだしも、検察庁法改正案の問題、内閣による法律の解釈変更にまつわる問題もあります。森氏自身の失言もありました。責任をとって誰か閣僚も辞任するならば、やはり法務省トップの森氏でしょう。そこで先ほどのツイートをしたわけですが、結果として【批判】よりも「皮肉」「文句」の色合いが濃かったと感じています。そこは毎回、検討しなければならないところだと思いました。政権を批判する記事やツイートは「人の非難ばかりしてどうなる」「文句を言っても始まらない」などという指摘を受けることがあります。これら【非難】や【文句】といった言葉も、使いわける必要があります。広辞苑に戻ります。【非難】とは、「欠点過失などを責めとがめること」【文句】とは、「相手に対する言い分や苦情」思い当たる節があります。先日、小学生の息子から「体育の授業でマスクをしながら運動した」と聞き、こんなツイートをしました。《子どもが久しぶりに小学校に行ったら、体育の授業があり、マスク着用のまま体操をしたそうだ。結構息苦しかったらしい。今そこまでして体育をやる意味はあるんだろうか…》──牧内昇平・朝日新聞 (@makiuchi_shohei) May 18, 2020これは【批判】【非難】【文句】のどれにあたるか。例えば「学校ふざけんな」とツイートしたら【非難】に当たるでしょう。熱中症など健康面における懸念点を丁寧に指摘すれば、正当な【批判】であるはず。実際のツイートを振り返ると、その【批判】に十分な客観性があったとまでは言えず、【文句】に近い状態だったと思います。SNSにおける表現の「さじ加減」は難しいところです。特に、ツイッターは最大140字という非常に短い文字数制限があり、だからこそ大多数が気軽に見たり発信したりできるというメディアなので、あまり四角四面(考え方などが生真面目で堅苦しいこと)な内容でも伝わりにくい場合があります。誰かが発信した手短でわかりやすい【文句】によって、その問題に多くの人の目が向けられることは否定すべきではない。ただ、それに対して周囲も同じような【文句】を重ねて続けていくだけだと、誰かを傷つける【誹謗中傷】という方向に流れていってしまう心配があると思います。とある【文句】を入り口にして、その背景は何なのかを考えて「論じる」方向に向かえれば、SNSのいい意味での可能性が広がるはずです。例えば、検察庁法改正案に関しては“そもそもどこが問題なのか”という点がツイッター上でも議論されました。野党議員による法案の解説が、何度もリツイートされました。これは人々の【文句】が【批判】の形で展開され、実際に世の中の変化につながった好例と言えるでしょう。■いまの社会には【批判】が足りない政府や国会では、ネット上の誹謗中傷対策に関する議論が続いています。報道によると、総務省は名誉毀損(きそん)などの権利侵害があった被害者に対して、発信者の電話番号を開示できる制度を作ろうとしています。また、自民党内では、ネット上の中傷や権利侵害への対策を検討するプロジェクトチーム(PT)ができました。PTの座長は、党女性局長の三原じゅん子参院議員です。三原氏は、自身のツイッターでこのように発信しています。《政治家として#批判(物事に検討を加え、判定・評価する事)は甘んじて受け止めますが、#誹謗中傷(他人への悪口、罵声等により名誉を毀損する事)は違います》(2020年5月25日)《政権批判を弾圧すると心配されている方が多いようですが、私たちが進めようとしていることは、そういうことではありません。#批判と#誹謗中傷は全く別のもの。#人格否定、#人権侵害をなくし、ネット上の書き込みで苦しんでいる方々を救いたい…》(2020年5月30日)三原氏の【誹謗中傷】と【批判】の意味の区別に異論を唱えるつもりはありません。注目すべきは、三原氏がこうした発言と日々の行いとを一致させられるかどうかだと思います。昨年6月、参院選前に野党が提出した首相問責決議案への三原氏の反対討論を振り返ります。《民主党政権の負の遺産の尻拭いをしてきた総理に感謝こそすれ、問責決議案を提出するなど、まったくの常識外れ、愚か者の所業とのそしりは免(まぬが)れません。(※中略)恥を知りなさい》ときの政権を批判するのは野党の仕事であり、責務です。「感謝こそすれ」「恥を知りなさい」という三原氏の言葉からは、残念ながら《政治家として#批判は甘んじて受け止めます》という姿勢を見て取ることはできません。繰り返しになりますが、【誹謗中傷】がいけないということは明らかです。その上で、改善への期待を込めた【批判】は、積極的に行われるべきです。そして【批判】をする際は、客観性を失った【文句】にとどまっていないか、もしくは相手を責め咎める【非難】に陥っていないか。自分の言葉を吟味することが重要でしょう。いまの社会には【批判】が圧倒的に足りないという印象があります。亡くなった木村さんが受けたような【誹謗中傷】に対して、同じような【誹謗中傷】や【非難】を返すのではなく、きちんとした【批判】を巻き起こして、被害者を守る。心無い【誹謗中傷】が目立たなくなるくらい、正当な【批判】で埋め尽くす。そういうことが求められているはずです。そのためにも、【誹謗中傷】と【批判】とをきちんと区別していきたいところです。この2つが一緒くたに扱われると、社会をよくするための言論そのものが封殺されてしまいます。政府や国会で検討されている誹謗中傷対策が「批判封じ」に帰結していかないように、注視する必要があります。(取材・文/ウネリウネラ)【PROFILE】ウネリウネラ◎朝日新聞記者の牧内昇平(=ウネリ)と、その妻で元新聞記者(=ウネラ)による物書きユニット。牧内昇平は2006年、朝日新聞社に入社。経済部、特別報道部を経て、現在は福島で取材活動を行う。主な取材分野は過労・パワハラ・貧困問題。著書に『過労死その仕事、命より大切ですか』『「れいわ現象」の正体』(いずれもポプラ社)。
2020年06月09日2020年5月23日、22歳という若さでプロレスラーの木村花さんが亡くなりました。自宅に遺書と思しきメモがあったほか、亡くなる前に「さようなら」などの投稿をSNSに残していた点から、ネットでは自ら命を絶ったのではないかと考える人が相次いでいます。木村さんはバラエティ番組への出演をきっかけにSNSで不特定多数から誹謗中傷を受けていたため、多くの人が誹謗中傷行為を問題視する声を上げました。スマイリーキクチ、被害を受けた中傷事件を振り返りコメント1988年に起こり、あまりの残虐性に世間を震撼させた『女子高生コンクリート詰め殺人事件』。お笑いタレントのスマイリーキクチさんは1999年頃からネットで「スマイリーキクチがこの事件に関与している」と根拠のないうわさを立てられ、長年、誹謗中傷に遭っていました。(通称:スマイリーキクチ中傷被害事件)匿名掲示板やブログ、SNSで殺人犯扱いを受け、深く心を傷付けられてきたスマイリーさん。誹謗中傷の被害者を減らすため、2020年5月30日には木村さんの件を受けて開かれた、政府の誹謗中傷対策を目的とする会合にも出席しています。「誹謗中傷は依存症だ」同年6月7日、スマイリーさんは誹謗中傷をやめたくてもやめることができない女性についての記事を引用した上で、Twitterで持論を展開。自身が経験した誹謗中傷事件を振り返りながら、このようにコメントしました。僕を9年間ネットで誹謗中傷してた人物は警察の取り調べで「あいつは殺人犯ですよ、ネット見てください」と本気で話していたそうです。一流企業に勤めている社会人です。他人に嫌がらせや攻撃をするあまり自分の心が蝕まれていた。中傷された側は傷つく、中傷する側も傷つく。中傷は依存症だと思った。@smiley_kikuchiーより引用「誹謗中傷は依存症である」と述べた、スマイリーさん。訴えられる危険があるにも関わらず、他人を誹謗中傷するために貴重な時間を使う人たちは、依存といっても過言ではないのかもしれません。誰かを攻撃してストレス発散をしなければ落ち着かないほど、心が追い詰められているのでしょうか。誹謗中傷行為は加害者と被害者どちらも傷付けていることを指摘したスマイリーさんの投稿は拡散され、多くの人が考えさせられました。・誹謗中傷することに依存するだなんて、不幸ですね…。しっかり治療するべきです。・他人を攻撃して自己を確立する…なんて闇が深いんだろうか。・なんにせよ、熱心に誹謗中傷をする人の精神状態は普通ではないと思う。自分では異常性に気付けないのだろう。被害者の立場であるにもかかわらず、加害者の傷付いた心を見抜くスマイリーさんからは、他人を思いやる優しさを感じます。きっと、不安な時は八つ当たりをしたくなってしまう人は少なくないはず。誹謗中傷の加害者になる可能性は、誰にでもあるのでしょう。加害者や被害者を減らすために、社会全体が誹謗中傷対策に取り組むべきであると再認識させられます。[文・構成/grape編集部]
2020年06月08日実業家の前澤友作さんが、2020年6月5日にTwitterを更新。ネット上で誹謗中傷を見かけた時に、どうするべきなのか持論を展開しさまざまな意見が交わされています。前澤友作「誹謗中傷を見かけたら…」同年5月23日に、プロレスラーの木村花さんが亡くなりました。木村さんは生前、SNS上で不特定多数から酷い誹謗中傷を受けたようです。ネット上では、木村さんの死を受けて多くの著名人が誹謗中傷をやめるよう訴えています。前澤さんも、分かりやすい例を交えて、誹謗中傷をやめるよう声を上げました。飲酒運転しようとする人を見かけたら、注意して止めます。止めないと周りの人まで飲酒運転ほう助で罪に問われる可能性もあります。誹謗中傷を見かけたら、僕は見過ごすのではなく止めたり注意します。場合によっては法的措置もとります。どこかで大事故になってからでは遅いので。— Yusaku Maezawa (MZ) 前澤 友作 (@yousuck2020) June 4, 2020 「もし飲酒運転をしようとする人がいたら、注意をして運転をしないよう止める」という前澤さん。誹謗中傷を見かけた際も、同じく注意をするといいます。誹謗中傷は飲酒運転と同じく人を傷つけ、時に命を奪う原因になることすらあるものです。それだけ、誹謗中傷も危険で罪の重いものだと前澤さんは訴えたいのでしょう。前澤さんの投稿を見た人たちからは、「分かりやすい」などのコメントが寄せられていました。・まさにそれ。分かりやすい例えをありがとうございます。・本当その通りだと思う。当たり前のことなのにね。・いじめを見て見ぬふりをするのと同じだと思う。誹謗中傷は、相手の心を深く傷つけるもので許される行為ではありません。もしネット上で誹謗中傷を見かけたら、見て見ぬふりをするのではなく注意をして心に傷を負う人が増えないようにしたいですね。[文・構成/grape編集部]
2020年06月06日2020年5月23日に22歳という若さで亡くなった、プロレスラーの木村花さん。バラエティ番組『テラスハウス』(フジテレビ系)での言動で、SNSでは酷い誹謗中傷を受けていたようです。木村さんは生前、Twitterに「傷付いたのは否定できない。お母さんや支えてくれたみんな、ありがとう。弱い私でごめんなさい」などの投稿をしていました。所属事務所は詳しい死因を発表していませんが、遺書とみられるメモが残されていたことを警察が明らかにしています。けみお「目に見えている世界がすべてではない」木村さんの死を受け、ネット上では、誹謗中傷をやめるよう訴える声が多数上がっています。モデルやタレントとして活動している、けみおさんも声を上げた1人。自身も、誹謗中傷のメッセージをSNSで受け取るといいます。誹謗中傷の言葉にどれだけ傷付くのか、SNSとどう向き合うべきなのかをYouTubeで語りました。わざわざ誹謗中傷を送るアカウントを作ってメッセージを送って来たり、返信をするとブロックしたり、アカウントを消したりする人がいると明かしたけみおさん。また、SNSは、その人の一瞬の幸せを切り取ったものであり、投稿からは見えない暗い部分もあると訴えました。SNS上で目に映るもの=その人の世界すべてとか、その人の人生とか、その人の性格だって思わないでほしいなってすごく思います。それは周りのお友達とか誰に対してもです。誰が上とか誰が下とかそういう話じゃなくて、みんなそれぞれ個々に何かしらと闘って毎日生きてるんです。そのうち一瞬のハピネスをキャプチャしてSNSにシェアしてるだけなんです。kemioーより引用動画は反響を呼び、大勢からコメントが寄せられています。・心の底から共感した。言葉がとても刺さりました。・すごく分かる。言葉でいうよりも、文字で見ると余計きつく感じる。・ほとんどの人は理解しているんだけど、本当に一部の人が心を傷付けているんだな。・これはSNSを使っている全世界の人が見るべき。SNSを使っていると、嫉妬心もあって誹謗中傷を送ってしまう人が中にはいるようです。しかし、けみおさんのいうようにSNSに切り取られたのは一瞬の幸せであってその裏では悩んだり苦しんだりしていることもあるはずです。けみおさんは「目に見えている世界がすべてじゃないんだってことは、いつも思っておくべきだなって私は思います」ともコメントしていました。指先ひとつで人の心を傷付けられるSNSだからこそ、目に見えているもの以外のことも考えて行動すべきでしょう。[文・構成/grape編集部]
2020年05月31日テラスハウスに出演する前の木村花さん5月24日、『テラスハウス』に出演していたスターダム所属の女子プロレスラー・木村花さん(22)の急逝が報道された。未だ死因については明らかになっていないものの、彼女の死を悲しむ声が多く上がった。■アンチがまたアンチを叩く……ここ2か月ほど、ネット上では彼女に対しての批判や、中傷とも取れるコメントが相次いでいたのには理由がある。きっかけは3月に配信された『コスチューム事件』だろう。彼女が「命の次に大事」だと言っていた試合用コスチュームを、出演者であった男性が洗濯、それを発端に彼女の感情的な部分が放送され、瞬く間に集中砲火を浴びることになってしまった。今回の急逝は“誹謗中傷”が一因となっているのでは、とも言われ、彼女が亡くなったことが報道されると、ネット上では「SNSでの誹謗中傷」についての議論が激化。過去に“アンチコメント”を送っていたアカウントを晒し者にするなど、収拾のつかない事態へとなっていったのだ。この現状を受け、著名人からもネットリテラシーについて、さまざまな意見が投稿され、サッカーの本田圭佑選手はネットラジオを更新し、「誹謗中傷をするのは本能やから」というタイトルでこう語った。《誹謗中傷で(される側が)ダメージを受けることは間違いない。でも、誹謗中傷してしまう人たちにも、それぞれの事情がある。誹謗中傷は人間に備わる本能に近い行動で、なくすことは難しい》著名人の発言は瞬く間に拡散され、“SNSでの誹謗中傷”に対し改めて意識を向ける大きなきっかけとなっただろう。■コロナによる『孤独』は人を追い詰めたコロナ禍で、人々は外出自粛や経済不安からくる、さまざまな不満が溜まっていた。そんな中、“コスチューム事件”は配信され、SNSでは木村さんに対し、いつもより過激な批判が見受けられた。木村さんへの批判に限らず、あらゆるところで何かを誹謗中傷するような発言や投稿も増えたのは、コロナによる「孤独」がひとつの要因だろう。不安と焦り、ネガティブな気持ちがSNS上でも蔓延し、心無い声に傷ついた人もいるだろう。新型コロナウイルスは人々の心も病ませ孤独へと追い詰めたのだ。大切な人に会えないこと、家の中にこもらなければいけないこと。たったこれだけのことが、私たちにとってどれだけ苦しく悲しいことであったか。緊急事態宣言が解除され、現実での「人との関わり」を実感することができるようになった今、改めて「コミュニケーション」について考え直してみてほしい。ここ数年、私たちはインターネットと本当に深く関わってきた背景がある。SNSが浸透し始めて、匿名での交友関係の構築、情報の共有などコミュニケーションを補ってくれる欠かせないツールになった。現実世界での「人との関わり」が断絶されたとき、SNSは現実でのコミュニケーションに代わるものになっていたのではないか。インターネットに身を置く時間が長くなり、SNSによるやりとりも「ほぼリアル」に変わっていったように思う。もはや現実に「会って話す」ことに代わる、ごく身近なパラレルワールドとして、私たちの生活を侵食していったのだ。■SNSの脅威とはごく一部でのみ交わされていたやり取りや情報が、さまざまなSNSを通じて模倣され、爆発的に広がっていくことを『インターネット・ミーム』と呼ぶ。ひとりの発言が、数万、数十万とシェアされていく。投稿を引用し、他の誰かが意見をのせる、それがまたシェアされる。ミームは時として、国や政治の方向性を変えるほどの実行力を持つのだ。例えば緊急事態宣言後、国民への支援が、他国と比べて日本は格段に少ないという意見が多く投稿された。布マスクを配る政策などについて不満を感じるという声も大きな流れとなり、政策批判がSNSのトレンドを連日占領。当初の限定的な給付ではなく、国民全員への現金給付制度に変更されることが発表された。最初は個人の発言でしかなかったものが、次第に世論のようになっていく。その脅威がひとりの若い女性に向けられたとしたら……。テラスハウスともプロレスとも引き離され、たったひとりで木村さんは戦っていたのかもしれない。■責めることでは何も解決しない一連の騒動で、木村さんを誹謗中傷した人々や『テラスハウス』そのものにも非があるという意見も多く散見された。しかし、リアリティーショーで意見を交わすことは、コンテンツの楽しみ方として間違っているとは言い難い。消費者のニーズに合わせてコンテンツを製作していた『テラスハウス』も、圧倒的な悪なのだろうか。人々に希望や楽しみを与える瞬間も過去にたくさんあったように思う。結局、ここでまた何かを「悪役」に仕立て上げることでは、世界は何も変わっていない。その行為そのものが、また新たな誹謗中傷を生んでしまうからだ。しかし、これだけは知っておかねばならない。たったひとつの何気ないひと言が、インターネット上では大きな波を作り出してしまう可能性がある。そのひと言が大混乱や絶望を招いてしまう危険性があるのだ。私たちはこれからも、インターネットと共に生きていく。だからこそ、発言に対し個人で「自覚」を持たなければいけない。それがひとつのインターネットにおけるリテラシー。良い面と悪い面、2つの側面を持つSNSが、平和な世界になっていくためのツールとなってくれることを願わざるを得ない。PROFILE●ミクニシオリ●フリーライター。『週刊SPA!』(扶桑社)、『mina』(主婦の友社)などで恋愛や婚活、最新の出会い事情について寄稿中。逆ナンやギャラ飲みなどの現場にも乗り込むサブカル女子。
2020年05月31日2020年5月23日、プロレスラーの木村花さんが22歳という若さでこの世を去りました。バラエティ番組『テラスハウス』(フジテレビ系)への出演をきっかけに、以前からSNSで不特定多数から誹謗中傷を受けていた木村さん。家には遺書とみられるメモが残されていたほか、SNSに「誹謗中傷に傷付いたのは否定できない。お母さんや支えてくれたみんな、ありがとう。弱い私でごめんなさい」などの投稿をしていました。木村さんの訃報は世間に大きな衝撃を与え、多くの人がネットでの誹謗中傷行為をとがめています。カズレーザー、誹謗中傷について持論を展開同月31日に放送された情報番組『サンデー・ジャポン』(TBS系)では、今回の件について特集。ゲストであるタレントのダレノガレ明美さんによると、多い日は1日で千通ほどの誹謗中傷メッセージが来ることがあるといいます。番組に出演するたびに「消えろ」「死ね」「国に帰れ」といった匿名のメッセージが何百通も寄せられるのだとか。誹謗中傷の対処法について尋ねられたお笑いコンビ『メイプル超合金』のカズレーザーさんは、「誹謗中傷は絶対になくならない」と断言しました。カズレーザーさんはこれまでも、着眼点の鋭いコメントが話題となっています。カズレーザーのインスタが面白い!相方・安藤なつの結婚に「令和の奇跡」誹謗中傷がなくならない理由として、カズレーザーさんはSNSの非対称なシステムを指摘しました。たとえばフィルタリングかけたりとか、汚い言葉を制限したりすることは法的な根拠があればできると思うんですけど、SNSを運営する側がそれ(誹謗中傷)をあまり制限してないのと。いったら新しい悪口なんてノータイムノーリスクで簡単に生み出せるので、多分、制限する方法はほぼないと思うんですよ。多分問題なのは、(藤田)ニコルがさっきいった『指殺人』って言葉があるように、誰かを傷つけることができるけど、その代わり誰かをバズらせたり、賛同を表明することは簡単にできるんですよ。『いいね』っていう形で。その代わりマイナスの感情とか範囲を表明する方法がリツイートとかメッセージっていう方法しかない。そもそも、非対称なシステムな所がほぼ問題があって。サンデー・ジャポンーより引用Twitterの場合は『いいね』という肯定的な評価ボタンしか存在しないため、批判をする時はコメントをするほか手段がないと指摘したカズレーザーさん。なくならない誹謗中傷から逃げる方法として、「宣伝の関係でSNSをやめることはできない人以外はやめてもいいということを声を大にして伝えたい」と力説しました。また、リアリティを売りにした番組への出演が誹謗中傷に発展したことについて、このように持論を展開しています。もちろん熱を持って見てた方なら誹謗中傷しちゃうこともあるだろうし。これ(放送を)止めたところで多分、新しい方法で誹謗中傷する方はまあ無限に出てくると思うんですよ。でも若い子とか、まだ未成熟な子に対して作ってる番組なんで。いったらですけど。その視聴者を「お前らがまだリテラシーが足りないんだ」っていうのは、ちょっと間違ってるなと思います。そこは作り手がもっと配慮するべきだと思います。サンデー・ジャポンーより引用「視聴者が未熟だからいけない」「バラエティ番組をリアルに受け止めるな」といった視聴者批判の声も相次いだ、今回の騒動。視聴者だけでなく、配慮が足りなかった番組側にも責任はあるとカズレーザーさんは述べました。ネットでは多くの人からカズレーザーさんの意見に共感する声が上がっています。・カズレーザーさんはやっぱり頭がいい人だと思う、発言の一つひとつが的確だなあ。・本当にそれ。視聴者みんなが「リアルにとらえちゃいけない」って分かってれば悲劇は起きなかった。でもそれは難しいから配慮が必要。・この件を見る側だけの責任にするのはおかしい。SNSの非対称さも同意。悲しいことに、きっと今後もネットでの誹謗中傷はいろいろな形で行われていくのでしょう。木村さんのように心に傷を負ってしまう人を少しでも減らすため、情報を発信する側や受け取る側の意識改革が求められています。[文・構成/grape編集部]
2020年05月31日2020年5月23日に、女子プロレスラーの木村花さんが22歳という若さで亡くなりました。警察によると、自宅には遺書とみられるメモが置いてあったといいます。バラエティ番組『テラスハウス』(フジテレビ系)に出演していた木村さん。番組内での言動をきっかけに、以前からSNSで不特定多数から誹謗中傷を受けていました。所属事務所は、詳しい死因を明かしていないものの、誹謗中傷によって木村さんの心が傷付いていたのは確かです。木村さんの母親であり、元女子プロレスラーである木村響子さんは同月31日にTwitterを更新。「娘の旅立ちを見送った」と報告しました。花の旅立ちをみんなで見送りました本当にかわいい顔をして寝ていたのですべてが嘘みたいで実感がありませんがたくさんのひとが花のことを愛してくれていてその想いは絶対に花に届いているしだからきっと花は今 さみしくないはずですこれからもずっと花を愛してあげてください pic.twitter.com/ypxUl92y8f — 木村響子 (@kimurarock) May 30, 2020 木村さんの逝去後、ネット上では誹謗中傷をやめるよう訴える声が多数上がっています。一部では、誹謗中傷を送った加害者を必要以上に責める人もいるようです。これに対して響子さんは、「ヘイト(憎悪)のスパイラルをやめてほしい」とお願いをしました。皆さんに お願いがありますどうか 花のことでご自分を責めないでください他の誰かを 責めないでくださいなにかを 恨まないでくださいヘイトのスパイラルを止めてくださいもうこれ以上 こんなことが起こらないように花が望んだやさしい世界に少しでも近づけるように— 木村響子 (@kimurarock) May 30, 2020 「自分や他人を責めないでほしい、恨まないでほしい」と強く訴える響子さん。投稿にはさまざまなコメントが寄せられています。・やるせない気持ちでいっぱいです。響子さんも、どうか自分を責めないでくださいね。・誹謗中傷を送った人が許せず、同じ気持ちにさせたいと思いました。でもそれを花さんは望んでいないと思ってぐっと我慢しました。・人を責めたところで変わらないですよね。どうか優しい世界になってほしい。誹謗中傷をした加害者を、また別の人が中傷する行為はよい方向には進まないことでしょう。誰かを責めるよりも、一人ひとりがネットでのモラルを意識するほうが、誹謗中傷をする加害者は減っていくのではないでしょうか。[文・構成/grape編集部]
2020年05月31日元AKB48でモデルの小嶋陽菜が30日、YouTube公式チャンネル「HARUNA KOJIMA’s cat nap」を通じて、ネット上での誹謗中傷について語った。小嶋は、登録者数30万人突破を記念して、「【Q&A】こじはる質問コーナー」の動画をアップ。その中で、あるファンから「嫌なことを言われたりされた時はどうしてますか?」という疑問が寄せられた。これに対して「うーん……」と考え込み、「この年齢になってこの立場になると、嫌なことを直接言って来たりする人もいないかな。昔は全然あったよ。直接嫌なことされたり、裏でいろいろ言われたりとか。今はもうさすがにないかな」と苦い記憶を思い浮かべた小嶋。そして、「ネット上ではあるじゃないですか」と話題を移し、「みんなあると思うんですけど、ネットで何か言われても全く気にならない。全く目に入らないというか。大体、的を射てない。自分が信頼している人とかに言われたらすごくショックだけど、全く何も思わないです。的を射てたり、自分に非があったり、自分が『あれ、失敗したな』と思ってたことを言われたり書かれたりしたら気になるし、『ダメだったな』と落ち込んだりするけど、大抵のことは気にならないです」と結論付けた。ここで動画は、「この撮影は少し前に撮影したものなので、今の気持ちを追加しておきますね」と文字のみの画面に切り替わる。SNS上での誹謗中傷が改めて問題視されていることを受けて追加で編集したようで、「SNSは直接知り合いじゃなくても世代や国をも超えて意見や考えを伝えられ、簡単に繋がれるとても貴重な場だと思っています」とした上で、「けど、簡単に意見が伝えられるから、自由な場だからと言って人の気持を簡単に扱い考えるのは違うと思います。直接の知り合いに伝える時と同じ気持ちとマナーを持って接することが必要だと思います」とメッセージ。「SNSのフィードは自分を表現するものだし、自分自身を映すものだと思っているので、美しくしておくことを心がけています」と普段から気をつけていることも明かし、「ソーシャルでのマナーが本来の人としての価値観へと移行する今、私自身のSNSやYouTubeも更に見直していこうと思っています」と切実な思いをつづっている。今回の「【Q&A】こじはる質問コーナー」は約25分の動画で、「YouTubeをはじめたきっかけは?」「ブランドを立ち上げたきっかけは?」「結婚願望は?」「尊敬する人は?」「稼ぎまくれていいなぁ」など、20の質問に答えている。
2020年05月31日人気恋愛リアリティー番組に出演していた女性など、著名人のSNSに寄せられる誹謗中傷に関して、連日のように報道されていますね。匿名性の高いSNSでは、たとえ相手が有名人でなくても、誹謗中傷は日常茶飯事。怖いことに、このような誹謗中傷はストーカーを生み出すきっかけとなるのです。今回は、そんな心理について解説します。■最初はただの暇つぶしSNS上で誹謗中傷する人の多くは、使命感にかられて書き込んだわけではありません。最初はほんの暇つぶし、たぶん、その程度の気持ちです。なぜそんな「軽い気持ち」が「ストーカー心理」に成長してしまうのでしょうか。本当にどうでもいい相手なら、そもそも言葉をかけません。意見を書き込むというのは、相手に対して多少なりとも「興味」あるいは「好意」があるからです。「好意」なら、誹謗中傷はしないのでは?と思うでしょう。「愛憎」という言葉があるとおり、「愛情」と「憎悪」はとても親しい関係にいます。人間は、アンビバレンツな感情(両価感情)を同時に抱けるのです。ただ、ここでいう「愛情」とは、厳密にいえば「恋愛感情」とは異なります。それは「自分にかまってほしい」「自分が満たされたい」と願う、「自己愛」なのです。好意がある、あるいは嫌悪感を抱いた相手に対して、最初は軽い気持ちで「悪口」を書き連ねます。賛同する人が現れると味方を得た気がして、後押しされるように感じます。さらに個人を特定できないSNSという世界。そうなったとき「理性のストッパー」が働かなくなる人が、残念ながら一定数いるのです。相手に対して「何をやってもいいのだ」と勘違いし、悪質な行為を継続的にやり始めます。■ストーカー心理の目覚め陰口程度の悪口ならば、多少傷つくもののスルーしたほうが得策。しかし、内容が人格否定や個人の生活への干渉といった過激な内容になると、脅威を感じますよね。ここで「こういうことは止めてください」と注意したら、どうなるでしょう。残念ながら、悪口を誹謗中傷する人の多くが喜びます。自分の言葉に対して「反応を引き出せた」ことがうれしいのです。リアクションしてほしい人にとって、必ずしも喜びや賛美といったプラスのものでなくても構いません。むしろ恐れ・脅威・怖気といったマイナスのリアクションのほうが、自分の言葉で相手の感情をコントロールしている、と感じられます。「相手を支配している」という錯覚に陥ることができ、一種の興奮を覚えるのです。獲物を追い、相手が恐れおののく様を見て楽しむ。これはまさに「ストーカー心理」といえるでしょう。■所有欲に変貌ストーカー心理の厄介なところは、ほうっておくとさらに加速し、やがて被害者を「自分のものだ」と錯覚し始める点です。自分の都合で泣いたり笑ったりしている、相手を支配しているんだという妄想が、やがて自分だけが支配したい、という願望に変換されます。これが所有欲となり、相手が自分の意に沿わないことをすると理不尽さを感じるのです。さらに、相手を傷つけてでも「教育」しなければ、と思い込みます。意外かもしれませんが、ストーカー気質な人は依存性が高く、自己価値を認められません。精神的に自立できないからこそ、つながりに執着し、支配でもってつなぎとめようとするのです。始末の悪いことに本人は「悪ふざけ」程度の気持ちで、「ストーカーしている自覚」がありません。そこにあるのは未熟な自分を徹底的に認めようとしない、己を省みることができない、「エゴイズム」なのです。■まとめ関心がある相手に自分の言葉を届けたい。最初はそれだけの気持ちだったはず。いつか暴走を始め、やがて相手を殺しなかねない犯罪となるのです。書き込んだ言葉は、いつか自分に跳ね返ってきます。十分に注意してくださいね。
2020年05月30日俳優の高畑充希さんが、2020年5月29日にInstagramを更新。同月現在、世間で注目を集めている誹謗中傷の問題について触れ、自身の考えを明かしました。高畑充希「日々理不尽と闘っている」同月23日に報じられ、世間に衝撃を与えた、プロレスラー・木村花さんの逝去。木村さんは生前、SNS上で不特定多数から酷い誹謗中傷を受けていました。実際に会ったこともない著名人に対して、テレビ番組で見たイメージをもとに中傷をする行為は許されないものです。しかし、多くの著名人がそういったつらい経験をしているといいます。高畑さんも誹謗中傷にあった1人です。高畑さんは、自身の体験をもとに、次のような考えを明かしました。※画像は複数あります。左右にスライドしてご確認ください。 この投稿をInstagramで見る 高畑充希(@mitsuki_takahata)がシェアした投稿 - 2020年 5月月29日午前6時01分PDT最近よく考え事をします。時間があるって良いなあ、と、こういう時に思うのですが。最近は、誹謗中傷について、考えていて。今、多くの人が考えているテーマかもしれないのですが、私はなんだか久々に、麻痺させていた傷口を、プチプチっと開かれる感じがしました。mitsuki_takahataーより引用高畑さんは、世間で誹謗中傷が問題視されている現状を受け、自身も時々受けていることを告白。実体験について「最初は驚いた。道を歩いていたら突然通り魔に刺されたようで、動揺している間に心は死んでいた」とつづりました。そして後から気付きました。あ、沢山の人に知ってもらえるようになったタイミングと、急に刃物が飛んできだしたタイミングと一緒だ!と。人には好き嫌いがあります。私だって自分のこと、好きな部分も有れば、嫌いな部分もある。内面も、造形も。だから、10人の人が私の存在を知っていて、そのうちの1人が私のことを嫌いだとして。1万人の人が私の事を知ってくれるようになったら、当たり前に、嫌いだと感じる人も増える訳です。当然じゃん!簡単な算数じゃん!と思えたのは、最初のショックから少し経ってからのおはなし。mitsuki_takahataーより引用高畑さんは「実際に触れ合ったわけではなく、何かしらの媒体を通して作られた自分に対する誹謗中傷には、反論ができない」という、アンフェアな状況に苦しさを感じるといいます。そのため、言葉の刃を向けてきた相手には「この人には他愛のないような話をする親しい人はいないんだ」とあわれむことで、傷付くことを回避しているとのこと。結局何が言いたいのかというと、いつもテレビで微笑んでいるあの人も、ワイドショーで嫌われ役を担っているあの人も、あなたの苦手なあの人だって。みんな見えないところで日々理不尽と闘っておるのです。カッケーな!って。無条件リスペクト、です。mitsuki_takahataーより引用最後には、そういった誹謗中傷をかき消してしまうほどの愛情を届けてくれるファンに対し、感謝の気持ちを述べた高畑さん。長文でつづられた投稿に対し、ネット上ではさまざまな反応が寄せられています。・一つひとつの言葉が心に刺さりました。・その通り。言葉はよく考えてから使うべきだと思います。・かっこよくて凛とした、高畑さんの考え方がとても好きです。ずっと応援しています!飾り気のない真っ直ぐな言葉で自身の想いをつづった高畑さん。今回、こうして誹謗中傷にまつわる持論を述べるにも勇気が必要だったことでしょう。インターネット社会の一般化にともない、自分の意見や考えを世界中に伝えやすくなったからこそ、言葉の持つ影響力を今一度見つめ直し、正しい使い方をしたいですね。[文・構成/grape編集部]
2020年05月30日