豪徳寺に突如現れた、ネパール料理専門店【OLD NEPAL TOKYO】スパイスに対する概念が変わった。野菜には様々なスパイスが調合されている。食べれば刺激的な香りや独特の風味が口いっぱいに広がってと思いきや……確かにターメリックや自家製のガラムマサラといったスパイスが口中に広がる。しかしそれは想像以上に穏やかで、むしろキュウリやカブといった野菜たちのしっかりした味わいに驚かされる。スパイスによって野菜のおいしさが引き出されている。『南瓜のタルカリ(野菜料理)』。南瓜を濃厚なスープ仕立てにし、グリーンチリのアチャールをのせて辛味のアクセントを加えているカレーも同様だ。スパイスの香り、鮮烈な味わいを楽しませつつ、そのスパイスによって肉の風味や旨味、コクをもしっかりと楽しませてくれるのだ。臭み消しのためではない。スパイスという名脇役が演出する素朴かつ複雑なおいしさの数々に舌鼓の連打だ。レンガを効果的に取り入れることで、カトマンドゥの街並みの雰囲気を演出。木材を多く使用し落ち着いた空間となっている世田谷区豪徳寺駅から伸びる商店街を1分ほど歩くと、目指す『OLD NEPAL TOKYO』が見えてくる。2020年7月にオープンした新店だ。5年前、大阪に開業して以来、人気を博し続けている【ダルバート食堂】。そのオーナーシェフの本田遼氏が東京に初出店した店である。「Khaja/カジャ」~前菜~大阪で提供していたのは“ダルバート”(豆のスープ“ダル”と、ご飯“バート”そしてアチャールやカレーがワンプレートにのったもの)のみだが、東京では単品ではなくコース仕立てで楽しんでほしいと、数種の“カジャ”からスタートする。コースの最初は「Khaja/カジャ」から始まる。カジャとは、メイン以外の軽食のようなものの総称“カジャ”は主に白ごはん以外と食べるもののことを指す言葉で、同店ではネパールを俯瞰でみたカジャを用意。たとえば取材した月はネワール族スタイルで、別の月はシェルパ族、また別の月はポカラ地方など、前菜としてカジャを用意し、様々なアチャールとのペアリングで提供してくれる。ネパールの家庭で一般的なロティ(薄焼きパン)は素朴な味わい。酸味の効いたジャガイモのアチャールと一緒に『グンドゥルックのアチャール』。周りは紅真大根、ビーツ、ピスタチオなど。よく混ぜていただく。グンドゥルックの酸味が野菜の味を引き立てるこれらもすべて“カジャ”。いただいたのは、『ヒエのロティ×じゃが芋のアチャール』、『南瓜のタルカリ×グリーンチリのアチャール』、『里芋とウラド豆のマショウラ×黒ニンニクのアチャール』、『グンドゥルック(乳酸発酵させた青菜を乾燥させて戻したもの)のアチャール』。どれも野菜の素朴なおいしさをアチャールが引き出す組み合わせ。合わせて頼んだナチュラルワインが止まらない。『ポークセクワ』。マリネ後にローストし、ネパール山椒とトマトのアチャールなどを添えて提供そしてカジャの最後に出されたのが『ポークセクワ×ネパール山椒とトマトのアチャール』、『フレッシュコリアンダーのアチャール』。セクワは現地ではスパイスでマリネした肉を串焼きしたものを指すが、【OLD NEPAL TOKYO】では絶妙に火入れしたローストで提供。こちらもネパール山椒が豚肉の甘味を引き立て、コリアンダーが豚の濃厚な旨味にさわやかな味わいを添える。なんと絶妙な味の組み合わせ! 正直、もっと食べたいのですが……とお願いしたくなるほどで、このカジャで一気にネパール料理のファンになる。「Khana/ダルバート」~メイン~こちらがコースのメインであり、ネパールの国民食でもある「ダルバート」。ごはん、豆のスープ、おかずなどをあわせてこう呼ぶついで提供されるのが「Khana/ダルバート」だ。中央に『ライス』、奥に『ダール(豆のスープ)』、『猪カレー』と『チキンカレー』、手前にじゃが芋、なす、グリーンピース、カリフラワーを使った『本日の“タルカリ”(野菜の炒め煮)』。さらに大根、りんご、フレッシュトマト、発酵させたひなのかぶ、そして『本日のアチャール』が5種と、その日の青菜の炒め物がある。メニュー名を聞いているだけでお腹いっぱいになってしまいそう(笑)。ご飯は中粒米と長粒米をブレンドし使用。手前が猪カレー、奥がチキンカレー、その右隣がダール、周りには5種のアチャールが並ぶまずはダールをひと口。とろりとして、素朴ながら食欲を掻き立てられる味わいだ。ついで、そのダールを香りよいライスにかけ、あとは気分でカレー、タルカリ、サーグを加えて混ぜ合わせ口に運んでいくだけ。カレーだけならスパイシーで、タルカリも混ぜればやさしい味わいが加わるし、ザーグまで混ぜれば様々な素材の味とスパイスが幾重にも絡み合う複雑で贅沢な味わいに。そのバランス次第で、噛むたびにいろんな表情を見せてくれる。それがおいしくて、楽しくて、ワインに合って……すっかりネパール料理の虜だ。「Mithai/デザート」最後は、ネパール産ピーナッツバターのクルフィ(アイス)がデザートとして供される。アイスとその上にふられたシナモンなどのスパイスが口のかなで溶け合い絡まり合う、甘さと様々な香りの一体感にあぁ至福。あくまで“ネパール料理”の枠内で、新たな魅力を引き出すシェフの本田遼氏。「料理の文献が少なく、現地での会話を通じてネパール料理を探って行くのが難しくも楽しい」と語る聞けば、本来ネパール料理はコースでは食べられないと言う。しかしネパールに魅せられた本田遼氏は、ネパール料理、ひいてはネパールの食文化の魅力を広く知ってもらいたいと敢えてコースとして提供しているという。ネパールでは外でどれだけ“カジャ”を食べても、家に帰ってご飯である“カナ” (ダルバート)を食べる。そこに目を付け、カジャによる前菜、ダルバートをメインにというコースを構成。里芋とウラド豆のマショウラ(ベジミート)。フライ仕立てにし、黒ニンニクのアチャールを添える。黒ニンニクの香りがほどよいアクセントに「目指すのはネパールの人に『これはネパール料理だね』と言われつつも、日本の人には『ネパール料理ってこんなに美味しいんですね』というふたつの味の実現」と本田氏。そのために過剰にスパイスを使わず、余計な素材を加えず。しかし、それと同じくらい洗練された一品に仕上げることにも留意している。カジャはもちろん、手のかかるアチャールも自家製なのはそのためだ。香りのマリアージュも楽しんでほしいと、白とオレンジの自然派ワインを多数揃える。グラス800円0。他にネパールのラムなども用意また「ネパールではあまり飲まれないナチュラルワインを揃えることで、食文化の広がりの提案もしていきたい」とも。香り豊かで余韻が穏やかなナチュラルワイン、特にオレンジを含めた白は、やはり香り豊かなネパール料理と好相性で、味だけでなく香りのペアリングが堪能できる。ネパールの街かどで見かける鉄板をイメージした扉のエントランス。商店街を歩くこと数分、ムーディーに照らされた同店が佇む「いつか…できれば5年後くらいにネパールで店を出したいんです。東京で成功したネパール料理ということで、現地の注目も集めるだろうし、その店を模倣した店も増えると思うんです。それがネパール料理のレベルアップにつながれば……そうやってネパールに恩返しが出来たら嬉しいですよね」。開店して半年ながら、この味、サービス、哲学さえあれば東京での成功も、ネパールでの成功も必ず掴めるはずだ。本田 遼氏1983年、兵庫県神戸市生まれ。専門学校を卒業した後、様々な職を経験しつつ、世界を旅して回る。23歳の時に「こんなに感動した料理は初めて」というネパール料理と出合う。日本に戻り、料理人としてのスタート。2015年、大阪に「ダルバート食堂」を、2020年東京に「OLD NEPAL TOKYO」を出店。著書に「ダルバートとネパール料理」(柴田書店)がある。OLD NEPAL TOKYO【エリア】豪徳寺/経堂【ジャンル】ネパール料理【ランチ平均予算】2000円【ディナー平均予算】8000円【アクセス】豪徳寺駅 徒歩2分
2020年12月02日秋も深まり、東京でも木々が色づいてきましたね。今回は、東京都世田谷区の“招き猫”で有名な豪徳寺周辺を、お散歩好きのリミア編集部員が歩きます♪街をのんびり歩きながら、おいしいものを食べたり、季節を感じたり。暮らしのアイデアも見つかるかもしれません。それではお散歩にでかけましょう!世田谷区・豪徳寺駅からお散歩開始♪「招き猫の街」として有名な世田谷区・豪徳寺には、小田急線(豪徳寺駅)と、東急世田谷線(山下駅)が走ります。お寺の多い豪徳寺周辺は、自然もあれば、風情のある商店街もあり、のんびりとお散歩するのにうってつけ。それでは、小田急線・豪徳寺駅の南側にある豪徳寺商店街を歩きながら、招き猫のいる〔豪徳寺〕まで歩いてみましょう♪香りに誘われて......焼き芋専門店を発見!豪徳寺商店街に入り、ブラブラと南に進みます。おしゃれなピザ屋さんやコーヒー屋さんがあるかと思えば、昔ながらの銭湯や生活用品店もあり、生活するにも良さそうな街です。駅からのんびり5分ほど歩いたところで、どこかからたまらなくいい香りが......。香りに誘われるがままに進むと、そこには焼き芋屋がありました。その名も〔焼き芋専門店ふじ〕。奥さん、焼き芋専門店ですって!喜び勇んで店内に入ると、そこには《安納芋》や《紅はるか》をはじめ、見たこともない品種の焼き芋がたくさん。これは食べ比べるしかない!3種類の焼き芋を食べ比べ!店長さんにおすすめの種類を聞くと、一番人気はやっぱり《安納芋》で、女性に人気なのは《パープルスイートロード》と《ハロウィンスイート》とのこと。まずは安納芋をパクリ。う、うまい!濃厚な甘さが口いっぱいに広がり、食感も柔らかくてまったりしたお味。どことなく、干し芋のような風味を感じます。店長さんいわく、これから寒くなるにつれてサツマイモはどんどん蜜が出るようになり、さらに甘くておいしくなるとのこと。これは真冬にも行かなければ!続いて、紫色の《パープルスイートロード》を実食。口に入れると、うって変わってさっぱりとした甘さです!最初は味が薄いかな?と感じるのですが、食べ進めると和栗のように優しくて上品な甘さにやみつきになります。ポリフェノールもたっぷりで、たくさん食べたくなります♪最後は、オレンジ色が鮮やかな、希少品種の《ハロウィンスイート》です。こちらの品種ができたのは数年前で、市場に出て間もない最新品種だそうです。なかなか見かけないそのお芋の風味は、まさに「かぼちゃ」。名前に“ハロウィン”がついているのも納得です。なんと、カロテンが普通のサツマイモに比べてたっぷりと含まれているのだとか......!みずみずしくてとっても甘いので、パクパクと食べてしまいました。ひとえに焼き芋といってもこんなに味が違うんだ!と感動しました。こんなぜいたくな食べ比べができるのも焼き芋専門店だからこそ。豪徳寺に来てよかった〜!お店の椅子に座ってひとしきり食べ比べをしたら、焼き芋片手にお散歩再開です♪商店街をのんびりブラブラ豪徳寺は、ご高齢の方も多いらしく、商店街には昔からあるような道具屋がチラホラありました。最近、玄関の前の落ち葉が気になっていたので、道具屋に置いてあったシンプルなほうきを見かけて、こういうのを買うのもいいなあと思ったり。おしゃれなコーヒー屋の外壁にあったペイントは、DIYにも応用できそうでした♪そんな暮らしのアイデアを探しながら、しばらく歩いて行くと......。〔豪徳寺〕についた!ついに〔豪徳寺〕に到着しました!曹洞宗・大溪山〔豪徳寺〕は、幕末の大老・井伊直弼のお墓が建つお寺です。商店街や住宅街の狭い道とは違い、境内は広々。緑も多いので、どことなく空気が澄んでいるように感じます。パッと見た感じだと、招き猫は見当たらないのですが、しばらく境内を見てまわっていると見つけることができました。わっ、すごい数......!!大中小の招き猫がずらりと並ぶ光景は圧巻です。招き猫は〔豪徳寺〕発祥と言われています。かつて〔豪徳寺〕が貧しいお寺だったころ、和尚がかわいがっていた猫が、鷹狩りの帰りに通りかかった2代目彦根藩主の井伊直孝を寺に招き入れ、その直後に夕立が訪れたのだとか。そこで和尚が説法をしたところ、井伊直孝は「猫のおかげで夕立から逃れられ、良い法話も聞けた」と大変喜び、井伊家の菩提所にしたことが始まりだそうです。この招き猫は海外でも紹介されているようで、お散歩中にも海外からの観光客がお寺を見てまわっていました。紅葉も見ごろです〔豪徳寺〕の見どころは、招き猫だけではありません。ひっそりとした境内で静かな時間を過ごしながら、秋は紅葉を楽しむこともできますよ。特に、11月下旬が紅葉の見ごろだそうです♪おわりに焼き芋に、紅葉も楽しめるお寺。豪徳寺は秋のお散歩にぴったりの場所でした♪豪徳寺駅から〔豪徳寺〕までは、徒歩10分程度とそこまで遠くないので、ちょっとした時間にお散歩するのもおすすめです。また、東急世田谷線の宮の坂駅からは4分程度と近いので、宮の坂駅から豪徳寺駅の方へ向かうお散歩ルートも良いかもしれません。それでは、次回のお散歩をお楽しみに♪〔焼き芋専門店ふじ〕●住所東京都世田谷区豪徳寺1-7-11●電話03-6413-7215●営業時間10:00〜19:00●定休⽇不定休(HPに記載)焼き芋専門店ふじ〔曹洞宗大渓山豪徳寺〕●住所東京都世田谷区豪徳寺2-24-7●電話03-3426-1437●イラスト・写真・書き手宇治田エリ
2017年11月23日子連れでお出かけできる場所を探すのはなかなか大変。おむつ替えができるトイレや子どもが自由に動けまわれる広々したスペースがなかったり…。そこで、秋にぴったり、おいしいパン屋さんにも立ち寄れるお出かけコース(豪徳寺から二子玉川駅編)をご紹介します。【1】豪徳寺広々とした敷地内には、1000匹を超えるであろう招き猫の置物がずらり! 招き猫発祥の地と言われるほど、パワースポットとしても知られています。井伊直弼のお墓がある寺としても有名です。営業時間 9時00分~17時00分施設情報 東京都世田谷区豪徳寺2-24-7↓徒歩または世田谷線宮の坂駅を使って移動【2】松陰神社前駅駅の北と南に分かれてある商店街は、古くから店を構える八百屋さんや飲食店が並びます。ぶらぶらとお散歩しているだけでも楽しいエリア。施設情報 東京都世田谷区若林4-21-16 松陰神社商店街マップ ↓徒歩で移動【3】Boulangerie Sudo(ブーランジェリー スドウ)ホスピタリティが高いと噂のベーカリー。店内、外にも席があるのでイートインも可。営業時間 9:00~19:00(火-土曜日)施設情報 東京都世田谷区世田谷4-3-14定休日 日曜・月曜・他 詳細はブログにて Boulangerie Sudo ↓徒歩で移動【4】西太子堂駅東京急行電鉄世田谷線。ベビーカーもOKな平面駅です。東京都世田谷区太子堂4-10-3↓徒歩で移動【5】Les Cinq Sens(レ・サンク・サンス )パリの老舗店で10年以上パン職人をしていたフランス人のデリアン・エマニュエルがグランシェフを務める本格的なパン屋さん。子どもも安心して食べられる手づくのおいしいパンがずらり。営業時間 8:00~21:00施設情報 東京都世田谷区若林1-7-1 Les Cinq Sens公式ホームページ ↓徒歩または世田谷線西太子堂駅を使って移動【6】三軒茶屋駅東京急行電鉄田園都市線。三茶パティオ口を利用すれば、ベビーカーでも段差なく移動可能。施設情報 東京都世田谷区太子堂2-15↓電車で移動【7】二子玉川駅今一番子連れに優しい場所と言っても過言ではない二子玉川駅。駅に直結しているショッピング施設二子玉川ライズにはベビールームやキッズトイレ、授乳室などが充実。周辺レストランも子連れで楽しめるので安心。東京急行電鉄田園都市線。施設情報 東京都世田谷区玉川2-21-1↓徒歩で移動【8】玉川高島屋S・C 玉川タカシマヤ2015年9月8日に、世界一おいしい朝食として知られる「bills」がオープンすることでも知られる高島屋。ファッション、グルメともに、近年のショップの充実ぶりには目が離せません。ベビーカーの貸し出しも行っているため、お買い物も楽々。施設情報 東京都世田谷区玉川3-17-1 営業時間 10:00~20:00 二子玉川高島屋S・C 木々に囲まれた豪徳寺に、おいしいパンやショッピング。1日たっぷり子連れで遊べる今回のコースをあなたも楽しんでみませんか?情報提供元 日々の子連れおでかけを楽しくする 口コミコミュニティ「cozre」
2015年08月27日