長野県は平成28年度から、都市部におけるひとり親家庭の移住促進策を実施する。貧困率が54.6%(平成24年)にのぼるひとり親家庭。移住は支援につながるのか、また、県にはどのようなメリットがあるのか。狙いと展望を担当者に聞いた。○人手不足の解消に期待地方創生の総合戦略の中に組み込まれている同施策。なぜ県は、このような取り組みを始めようと思ったのか。その理由として担当者は「人口増への期待」と「人手不足の解消」をあげた。「ひとり親家庭の方に移住してもらえれば、1世帯につき親と子の分だけ人口が増えることになる」と指摘。その上で「子どもがいるということは、親が"現役世代"という利点もある」とした。県内では主に「介護職」など特定の職種で深刻な人手不足が起きている。特に過疎地では少子高齢化が進み、介護サービスの需要が高まっているものの、それを担う若い世代がいないというのが現状だ。県では、「地域内でまかないきれない人材の担い手として移住を期待している」という。しかしなぜ、ひとり親を対象にした施策としているのか。これについては、ひとり親に非正規雇用の労働者が多いことを理由にあげている。親が正社員で持ち家のある家庭は移住のハードルが高い。一方で、特に母子家庭では、親の労働形態の52.1%が非正規雇用となっている(平成23年度全国母子世帯等調査)。担当者は、「長野県は都市部に比べると生活コストが安い。県内で安定した仕事を紹介できれば、移住のハードルも下がるのではないか」と話した。○「子どもにとってプラスになる」移住をさらに施策については、県側だけでなく、ひとり親家庭にとってもメリットの多い移住支援につなげようと、具体的な内容を検討している。重視しているのは、「子どもにとってプラスとなる移住」になること。そして、転居にかかる費用面の支援だ。背景には、県内のひとり親家庭(児童扶養手当を受給)を対象に実施した実態調査の結果がある(2015年8月実施)。調査の中で「転居してもよい条件」として、「子どもにとってプラスになる」「転居費用を補助してもらえるなら」という2つの項目が上位に入ったというのだ。この点について担当者は、「自然豊かな場所で子育てをしたいというニーズに応えられる」とアピール。さらに、教育環境についても先進的な事例を紹介してくれた。一部の地域では、県内の進学塾と提携し、子どもたちがタブレットを使って遠隔教育を受けられる取り組みを実施。質の高い教育を受けられる環境づくりを進めていきたいとしている。また、「日々の暮らしはなんとかなるが、子どもの進学費用を確保するのが難しいというひとり親家庭は多い。そんな中で、転居費用を工面するのは大変なことだと思う」と現状を把握。その上で検討事項とはしながらも、就業先となる人手不足の企業に転居費用を援助してもらえるようお願いすることも考えているという。当面は住居や就職支援など、既存の移住施策を利用しながら、ひとり親家庭専用の移住相談窓口も開設したいとしている同県。「全国的に離婚率は上がっていて、地方でもひとり親は珍しくない」として、市町村と連携しながら全県でサポートをしていきたいと語ってくれた。具体的な取り組みとしてはまだまだこれからだが、ひとり親家庭の実態を把握した上でのきめ細かい支援が期待できそうだ。※写真と本文は関係ありません
2015年12月15日沖縄県はこのほど、低所得のひとり親世帯に対して認可外保育施設の利用料を補助する制度を導入した。背景には同県のひとり親家庭が置かれている厳しい貧困の状況がある。同県は何を課題と捉え対策を考えているのか。担当者に聞いた。○母子世帯割合は全国平均の2倍以上同制度は、ひとり親世帯のうち児童扶養手当を受給しているなど低所得の世帯を対象としたもの。認可保育所の利用料と同等になるように、子ども1人あたり月額2万6,000円を上限として、認可外保育所の利用料との差額分を補助する仕組みになっている。導入の背景として担当者がまずあげたのは「待機児童」の問題だ。特に那覇市では待機児童数が539人と全国3位(平成27年4月 保育所等関連状況取りまとめ)になるなど、認可保育所の不足が課題になっているという。「ひとり親世帯の入所は優先しているが、年度途中だと難しいのが現状」と指摘。せめて認可外でも、認可保育所と同じ料金で利用してほしいとしている。さらに全国平均と比べて母子世帯数の割合が高く、世帯収入が少ないことも大きな要因となっている。厚生労働省が平成23年に実施した「全国母子世帯等調査結果報告」の結果をもとに計算すると、全国の母子世帯数の割合は2.65%。一方で、平成25年の沖縄県の調査では5.46%と、調査年が異なるため単純に比較はできないが、2倍以上になっている。また世帯年収を同調査で比べてみても、母子世帯の全国平均世帯年収が181万円であるのに対し、同県平均は155万円と低くなっている。○中国語講座も! 沖縄ならではのひとり親支援同県はこの現状にどう向き合っているのか。ひとり親を対象にした施策には、沖縄ならではの事情を考慮したメニューがそろっていた。このうちの1つが雇用面の支援として行っている「中国語講座」だ。参加者が8カ月にわたって講座を受講し、中国語検定3級の取得を目指す内容となっている。近年、クルーズ船の入港などで中国人の観光客が増加。サービス業に従事するひとり親からのニーズが高く、参加者は資格取得によって職を見つけたり、待遇改善につなげたりしているという。ほかにも自立支援のため、ひとり親世帯に対し、1年間無料で民間のアパートを貸し出すという取り組みも実施。同県では、ひとり親の持ち家率が低く家賃が自立の足かせとなっていることや、市町村が設置する母子生活支援施設の数が少ないことなどから導入された。さらには、ひとり親に対して必要な支援を組み合わせて助言をくれるコーディネーターも配置。個人の問題に丁寧に向き合う同県の姿勢がうかがえる。○子育て環境の整備に注力これだけの施策を打っていても、同県の担当者は「ひとり親世帯の状況は、切羽詰まっている」と指摘。その上で、担当者の実感として「しわ寄せが子どもたちにいっている」と答えてくれた。ひとり親世帯の子どもたちの中には、親の目が届かないところで非行に走ったり、深夜徘徊(はいかい)をしたりするケースが目立つ。「検討段階」としながらも、担当部署では学童保育の夜間の部を創設するなど、夜の子どもたちの居場所を作れないか思案しているという。地域によっても状況が異なるひとり親世帯の貧困問題。それぞれの自治体による実態に即した支援が求められている。※写真と本文は関係ありません
2015年12月14日区全体で子どもの貧困問題に向き合っている東京都足立区。このほど来年度から実施予定の「子どもの貧困対策実施計画案」を策定し、その内容について発表した。同区は何を課題と捉え、どんな対策を打っていこうとしているのか。同区の担当者に尋ねた。○全庁あげて対策を同計画案は、「全ての子どもたちが生まれ育った環境に左右されることなく、自分の将来に希望を持てる地域社会の実現を目指す」などとして足立区が策定したもの。計画が確定すれば、平成27年度から5年間にわたって実施される予定だ。同区は区が抱える4つの課題として、「治安」「学力」「健康」「貧困」をあげている。このうち、世代が変わっても貧困状態から脱却できない「貧困の連鎖」が問題だとして、その解消のために専門部署である「子どもの貧困対策担当部」を設置。部や課の枠にとらわれず、全庁をあげて問題に取り組む姿勢を示している。担当者は、「福祉や子どもの分野で対策を行っている自治体はあるが、専門の部署を持っているところは珍しいのではないか」と指摘。その上で、「子どもの貧困問題はいろんな分野にまたがる課題だ。私たちの課が横串となって政策の立案や調整を進めていきたい」と語った。○経済的貧困に加え、社会的孤立も同区の子どもたちの貧困状況はどうなっているのか。現状を端的に表しているデータのひとつが「就学援助率」の高さだ。「就学援助」とは、経済的理由により就学困難な児童・生徒の保護者に対し、学用品費等の必要な費用を援助する国の制度のこと。この「就学援助」を受けている割合が、国の平均では15.6%となっているが、同区では37.0%と2倍以上になっている(平成24年)。さらに、貧困率が高いとされるひとり親家庭に支給される児童扶養手当の受給者数も、平成26年は7,133人と20年前の約1.8倍に増加。子どもたちを取り巻く状況は深刻化している。加えて担当者が示してくれたのが「歯科検診で未処置のむし歯がある子どもの割合」だ。平成26年度の調査では、小学生の東京都平均が19.84%であるのに対して、同区は22.52%と高くなっている。区全体では減少傾向にあるが、東京都平均、特別区平均に比べると依然として高く、特別区の中でも高い状況にあるという。担当者は「中学生までは医療費の自己負担がないにも関わらず未処置のむし歯があるということは、生活習慣や家庭の状況に課題があることが推測できる」と指摘。「子どもの貧困問題は、経済的な事情だけを解消しても解決されない。子どもたちが自立できるように"社会的孤立"からも救わなければならない」と語った。子どもの貧困を課題として抱える同区。具体的にどんな対策を打っていこうとしているのか。後編でご紹介する。※画像と本文は関係ありません。
2015年11月27日「貧困」と聞いて、どんなイメージを思い浮かべますか?ホームレス?段ボールハウス?生活保護?いずれにしても、自分にはあまり関係ないことだと思っている人が多いのではないでしょうか。本著『すぐそばにある「貧困」』(大西連著、ポプラ社)の著者である大西さんは、まだ20代。本格的に生活に困窮する人の支援活動をはじめるようになって5年。現在の活動に少なからず影響を与えたのは、学生時代の偶然の”路上”の人たちとの出会いだったといいます。そこから、「貧困とはなにか、なにが自分たちと違うのか」と考えていった先に、現在の彼と本著があります。■日本の「貧困」は相対的貧困そもそも、「貧困」ってなんでしょう?まず、貧困の中身を知っておく必要があるかもしれません。たとえば「ホームレス」とひとことでいっても、その実態は多様化しているのが現在の状況。本著によると、厚生労働省の「ホームレス概数調査」では実際に路上生活をしている「ホームレス」の数は減少しています。これは各種の支援制度や支援団体の活動の広がりが要因ですが、いまは「新しいホームレス状態」の人の数が増加し、より見えづらい形で日本社会に存在しているというのです。「新しいホームレス状態」とは、お金のあるときはネットカフェに泊まったり、脱法ハウスや安宿で生活する人たち、さらにはニート・引きこもりなど、住居喪失予備軍も含まれます。27ページに掲げられたOECD加盟国の相対的貧困率のグラフは、驚きに値します。日本の相対的貧困率は、かなり上位に位置しているのです!日本人の6人に1人がそれに当たるという相対的貧困とは、国民一人ひとりを所得順に並べたとき、真ん中の人の値に満たない人の割合を指すそうです。2012年でいうと、月に使えるお金が約10万円以下の人がそれにあたり、割合では、国民の16.1%がそれに相当します。数字でみると、「貧困」のイメージがぐっと身近になったのではないでしょうか。■女性が貧困に陥るきっかけとは人が貧困状態に陥るきっかけとしては、病気やケガなどの他に、人間関係のもつれから精神的な健康を害することもあるといいます。たとえば本著のなかでは、DV(ドメスティックバイオレンス)夫から逃れて実家に戻ったものの、今度は精神疾患のある弟の暴力に対する恐怖感から不眠、不安神経症を患い、働けなくなってしまった女性が登場します。弟の障がい年金受給のため、生活保護は受けられず、かといって、弟は年金を家に入れないので生活は苦しく、どうにも身動きがとれなくなってしまったそうです。女性の貧困を考える場合、背景にDVの問題があるという指摘があります。DVは身体的暴力だけとは限らず、精神的、性的、経済的、社会的暴力などもあります。それらが重なって、貧困に追い込まれざるを得ないのが実態なのです。「貧困」ということばだけではピンとこなかったかもしれませんが、経済的に自立していないためにDVな環境から逃れられなかったり、子どものいることが就労の不利になっていたりするなど、そういった女性の状況は想像することができますよね。*貧困とはなにか、支援とはなにか。大西さんは迷いながらも前を向いて進んでゆく、とあとがきを結んでいます。「きっと社会を変えていくことができると信じて」より多くの人が「貧困」を自分たちの問題としてとらえ、考えはじめた時、社会は変わりはじめるのかもしれません。そのためには、まず、知ることがなによりも大事だと気づかせてくれる一冊です。(文/Kinkiii)【参考】※大西連(2015)『すぐそばにある「貧困」』ポプラ社
2015年09月25日意外と知らない社会的なテーマについて、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは、「子どもの貧困」です。***物が溢れて、一見、貧困とは無縁のように思える日本ですが、実は「子どもの貧困」が深刻な問題になっているんです。貧困というと、食べるものにも困るような途上国の生活を思い浮かべますよね。それは「絶対的貧困」といい、1日の生活費が1.25ドル(約150円)以下の状態を指します。それとは別に「相対的貧困」というのがあり、これは、その国の平均的な世帯収入の半分以下の状態のこと。日本のサラリーマンの平均年収が414万円ですから、年収200万円以下の人は実は貧困の部類に入るんです。いま、日本人の6人に1人が貧困状態にあるといわれています。日本の相対貧困率はOECD(アメリカやヨーロッパの先進国が加盟する経済協力開発機構)加盟国の平均を上回り、ワースト10入りという不名誉な事態になっています。でも、先進国の貧困って、わかりにくいんですよね。子どもたちも自覚してないことも多い。「ごはん食べているし、着るものもあるし、問題ないよ」と。でも、よくよく聞いてみると、ごはんといっても1日に菓子パンやおにぎり1個だったり、お菓子でしのいでいたり。両親が働かないから貧しい、というのならわかりますが、親が休みなしに必死に働いても年収が200万円に満たないというワーキングプア状態なのが、日本の貧困の特徴で、大きな問題なんです。とくにシングルマザーが大変。保育園が足りないから、子どもを預けられずフルタイムで働けない。契約社員やパートタイマーなので、お給料も制限されてしまう。短時間で高収入を得るには、水商売、風俗などにつくことになり、それも若いうちしか働けない。貧困や虐待が原因で、親と一緒に暮らせなくて、児童養護施設にいる子どもが約3万人もいるんです。貧困状態にある子どもは、満足に教育を受けられず、大人になっても働ける場所が限られてしまい、貧しい生活の連鎖が続きます。僕も少し協力をしていますが、NPO法人「Living in Peace」では、カード番号を登録すれば、児童養護施設に月1000円から寄付できる仕組みを作っています。世の中全体で子どもを育てるような眼差しを持てるといいですよね。◇ほり・じゅんジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2015年9月16日号より。写真・中島慶子文・黒瀬朋子
2015年09月14日子どもに良い教育を受けさせたいと思うのは、どの親も同じかと思います。しかし家庭の経済状況によって、質の高い教育を受けることも、能力や可能性を最大限伸ばし、自分の夢に挑戦することもままならない子どもも、残念ながら多数いるのが現実です。そこで国は、平成26年8月に「子供の貧困対策に関する大綱」を閣議決定し、教育支援、生活支援、保護者の就労支援、経済的支援など、あらゆる面での支援を強化し、子どもの貧困対策を総合的に推進することになりました。日本の子どもの貧困率は年々悪化しています。厚生労働省がまとめた「平成25年 国民生活基礎調査の概況」によると、平均的な所得の半分を下回る世帯で暮らす子ども(17歳以下)の割合を示す「子供の貧困率」は、平成15年は13.7%、平成18年は14.2%、平成21年は15.7%となっています。そして平成24年は16.3%(約6人に1人)と、過去最悪の数値となっているのです。「子供の貧困対策に関する大綱」内で掲げた重点施策、「学校をプラットフォームとした総合的な子供の貧困対策の推進」に対し、平成27年度の文部科学省予算案では、前年度よりも8億円以上増の21億8,200万円を計上しています。その対策のひとつとして新しく実施されるのが、「地域未来塾」と呼ばれるものです。それでは、どのような対策を国は進めていくのでしょうか。そして、この「地域未来塾」とは一体どんなものなのでしょう。教育相談の充実、学習支援の充実とは子どもの貧困対策は、経済的支援だけでなく、次の2つの支援体制をさらに充実させることで、総合的に推進していくものとされています。(1)教育相談の充実(予算額6億4,700万円(前年度予算額は3億9,400万円))福祉の専門家であるスクールソーシャルワーカーを、必要とする全ての学校で活用できるように、段階的にその配置を拡充します。現在1,466人いるスクールソーシャルワーカーを、2,247人に増やします。さらに、貧困対策のための重点加配として、600人のソーシャルワーカーを新規に配置します。(2)学習支援の充実(予算額2億700万円(新規対策分))家庭で勉強する習慣が十分に身についていない中学生を対象に、大学生や教員OB等の地域住民の協力による原則無料の学習支援を新たに実施します。現在も全公立中学校の約7%である700中学校区が学習支援を実施していますが、平成27年度は2,000中学校区、さらには今後5年間で5,000中学校区を目指すとのこと。この「無料の学習支援」こそが、「地域未来塾」です。「地域未来塾」とは何?地域未来塾は今回新設される、経済的事情などにより塾に行けないなど、家庭での学習が遅れがちであったり、また学習習慣が十分に身についていなかったりする子どもが、いつも通っている学校という場で、無料で補習を受けられるシステムです。【地域未来塾の概要】<管轄>学校支援地域本部<対象>中学生の希望者<費用>無料<どこで>学校<教える人>地域の大学生や教員OBなど地域未来塾の実施を担う「学校支援地域本部」とは、「学校を支援するため、学校が必要とする活動について、地域の方々をボランティアとして派遣する組織」として、平成20年度に設置されたものです。学校・地域・家庭が一体となって、地域ぐるみで子どもを育てていこうという主旨のもので、すでに設置されている全国の本部では、本部それぞれが、独自に工夫をこらした内容のイベントや勉強会を企画し、子どもへの学習支援の一環として取り組んでいます。平成26年度現在、公立中学校の2,814校(全体の約27%)に学校支援地域本部が設置されています。そして、この学校支援地域本部を活用し、国をあげて中学生への無料学習支援を立ち上げることになったのが、地域未来塾なのです。地域未来塾の概要についての詳細は、まだ発表されていないため、今現在、学習支援地域本部を活用して、すでに実施されている学習支援がどのようなものか、みてみましょう。【全生徒を対象とした学習支援の事例】(東京都内のある中学校の取り組み)<放課後学習支援>対象は中1~3の希望者年間約80回(学期中の週2回(2時間程度))空き教室を利用する無料指導員(教員志望の講師や大学生など)による個別指導と自習憶測の域を出ませんが、地域未来塾もこの事例に近いような内容になるのではないかと筆者は思います。これらの取り組みが成功し、どんな環境においても、子どもたちが自由に必要としている教育を受けられ、貧困に陥ることのない世の中になることを期待したいものです。コラム執筆者プロフィール 鈴木 さや子(すずき さやこ)(株)ライフヴェーラ 代表取締役/mamaTanoマネーサロン 代表/CFP(R)/1級FP技能士/住宅ローンアドバイザー/キャリアコンサルタント(CDA)家族が笑顔になれるための生活に役立つお金の知識を、主に女性向けに、セミナーやコラム記事などを通じて情報発信。保険などの商品を一切販売しないファイナンシャルプランナーとして活躍中。専門は教育費・ライフプラン・保険・住宅ローン・マネー&キャリア教育。女性の心に寄り添う個人相談にも定評がある。企業講演の他、小・中学校や地域コミュニティなどでの講演やワークショップなど、保護者や親子向けイベントも行っている。コラム監修者プロフィール 柳澤 美由紀(やなぎさわ みゆき)CFP(R)/1級ファイナンシャルプランニング技能士関西大学社会学部卒。大学時代に心理学を学び、リクルートグループに入社。求人広告制作業務に携わった後、1997年ファイナンシャルプランナー(FP)に転身する。相談件数は800件以上。家計の見直し、保険相談、資産づくり(お金を増やす仕組みづくり)が得意で、ライフプランシミュレーションや実行支援も行っている。家計アイデア工房 代表※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
2015年03月31日現在の日本では、6人に1人の子供が貧困状態にあります。筆者も子をもつ母親なので、そんなニュースを聞いた時は、耳を疑ってしまいました!「こんなに豊かな日本で?」と思ったものの、現実はそうではないらしいです。特に、ひとり親世帯の貧困率は約5割以上だといわれています。日本の場合、相対的貧困率ではありますが、深刻な問題ですよね!それでこの件について、30代の女性はどう考えているのか気になり、100人に「貧困はどれぐらい社会のせいだと思いますか?」とアンケート調査を実施。ちょっと厳しい質問でしたが、「34%ぐらいの貧困は社会のせいではない」との結果になりました。社会が悪いのは100%ではなく、66%程度ではないか、ということ。つまり、3割強は本人にも問題があると考えられていることが判明。一体なぜなのか?みなさんの、率直な意見を聞いてみましょう。■約9割の女性が「もっと努力できるはず」と回答!全体的に「本人の努力が足りないのでは?」という意見が目立っていました。多くの女性が、働けるのに働かない人が気になっているようです。そこで、貧困を自分のせいではなく、社会のせいにしてしまっているパーセンテージの多かった順にまとめてみました。[1位]:40~50%は本人に問題がある(41人)「他力本願的な人が多い!“社会のせい”と言ってしまえば楽なのかな、と思う」「働けるのに働かず、生活保護をもらって家を建てた人を何人も知っている」「多かれ少なかれ、そう考えてしまうのは仕方ないのでは?」「実際に、私がそうだから。今まで何もしてこなかった」意外にも、「自分も社会のせいにしている」という人がいましたね。お金は湯水のごとく出てくるわけではないです。もう一度、自分のできることを見直す必要があるのかもしれません。[2位]:20~30%は本人に問題がある(25人)「世の中のせいや、人のせいにする人が多すぎる」「文句ばっかりの人間もいる」「友人の旦那は、生活保護を受けながらギャンブルをしていた。働けよ!」「偽装離婚とか手当が目当てのものはやめてほしい。本当に援助が必要な人のみに手当を支給してほしい」ここでも、生活保護に関するコメントが寄せられました。働かずに生活保護をもらっていることに関しては、みんなが「許せない!」と思って見ているようです。[3位]:80~90%は本人に問題がある(6人)他に、100%と答えた人は0人で、80~90%と高いパーセンテージの人はたった6人でした。「シングルマザーに限らず、社会のせいにしている人間は多数いる」「貧困は心も荒む場合が多い、他人のせいにしている人は多い」「体の事情以外で生活保護を受けている人は、全員当てはまるのでは?」どれも厳しい声ですよね。やっぱり人並みの生活を送るためには、最低限の努力は必要です。それで、多くの人が「まずはできることをしっかり頑張ってほしい」と考えていることがわかりました。ちなみに、残りの18人は「本人に問題があると思うが、どれぐらいかなのかは何とも言えない」といった回答でした。■約1割の女性が「貧困者も頑張っている!」と回答ただ、少ないながらも1割の女性が、次のような意見を述べていました。「シングルマザーの友人がいるが、彼女はしっかりと子育ても仕事も頑張っていた。一部の自己中の人のために、頑張ってるシングルマザーの足を引っ張らないでほしい!」「全て社会のせいなわけがない。自分のやったことは自分で責任を持つべきです」「報道番組で見る限り、精一杯頑張っている生きている人がほとんどだと思う」確かに、筆者の周りでも、シングルマザーで頑張っている女性はいます。でも、やっぱり実家の両親にお世話になっているケースが多く、それでも必死にお母さんが働いています。誰の手助けもなく本当に子供をひとりで育てるとなったら、金銭面・生活面共に大変なことは想像がつきますよね。もちろん、格差社会はシングルマザーだけに限らず、様々な理由で生活保護を受けなければ生きていけない人もいるのは事実。「本当に必要な人に正しく援助される日本であってほしい」と強く願います。同時に、貧困で困っている人も、自分なりの努力を続けることが大切なのではないでしょうか?現実はそんなに甘くないので……。さて、みなさんはどれぐらい社会のせいだと思いますか?(文/二葉)【調査概要】調査方法:インターネットリサーチ『簡単アンケート』調査期間:2014年12月10日(水)調査対象:全国30代の女性100名
2015年01月14日テレビや雑誌などで女性の貧困、とりわけシングルマザーの実態が取り上げられる時、シングルマザーとして生きる一人として、思うことは多い。もちろん、私自身も一例に過ぎないが、だいたいにしてメディアで取り上げられるものは、表層的な一部分にすぎない。それはそれで仕方のないことだと思う。自分自身も違う境遇にある人々のことを部分的なことしか理解していないであろうし、同じシングルマザーでさえも、すべての人の実情を知るわけでもなく、語ることもできないのだから。むしろ危惧しているのは、表層的な捉え方をされることにより、余計にその深い部分が見えなくなってしまうのではないかということ。周囲が騒ぎ立てることにより、本質が見えなくなって思考停止状態になり、むしろ議論が退化してしまうのではないかと。○「シングルマザー」といっても様々シングルマザーと言っても、状況は本当に十人十色だ。あくまで私自身が知る範囲、これまで関わってきた範囲だけではあるが、単純に離婚、死別、未婚(非婚)の3つに大きく分けられるし、その理由はおそらく皆さんが想像している以上に複雑で様々だ。そして生活実態に関しても、例えば十分な慰謝料、養育費、保険金、遺産で生活への不安のない人、母子家庭となる前から母一人でも十分に自活していくだけの生活力を備えていた人、夫の暴力から逃げるように裸一貫で飛び出してきた人など様々。また、実家暮らしや近くに親が住んでいて親に頼れる環境にある人もいれば、孤立無援で奮闘する人もいる。同じシングルマザーということで、同志的な気持ちでつながるご縁もある。特に初期の頃は、心のよりどころや思いを共有できる人がほしかったり、話し相手ほしさにシングルマザーというだけで安易に結束しやすい。でも、つきあいが深まり、お互いの背景が明らかになるにつれ、状況の違いはもちろん、価値観、倫理観(例えば同じ非婚シングルでも、妻子ある男性との子を産んだ人、パートナーが亡くなった後に妊娠が発覚した人、子の認知があるかないかも様々)の差異によって、時に傷つけあってしまうこともあり、発言に気を付けたり、お互いを気遣うがゆえに疲労したり、ストレスを抱えてしまうこともある。ただ、どんな境遇にあるにしても、シングルマザーとしての子に対する思いにはそれほど大きな差はない。どんな人であっても、子供に対しては愛情を持っているものだからだ。○我が子が"かわいそうな子"とされる苦痛シングルマザーとして生きていく上での一番の辛さは、生活や将来の不安以上に、個人的には世間の偏見や差別だ。それは、メディアが報じるシングルマザーの実態や、テレビドラマや映画で描かれる母子家庭が、幼い子を抱えて健気に奮闘するという感情移入しやすいステレオタイプなシングルマザー像が多いせいもあるだろう。その結果なのだろうか、「母子家庭=貧困」という目で見られることが多い。所得の状況は別にして、自分自身に向けられるそうした目線は甘んじて受け入れられたとしても、世間から我が子が"かわいそうな子"という烙印を押されることはどうしても受け入れ難いもの。私自身も、子供には決してそうした負のレッテルを貼らせまい、何より本人に自覚させてはならないと、両親が揃った家庭の子以上に愛情を注いで必死だった頃があった。今にして思えば、それは少々自意識過剰だったかもしれない。子供が小さい時は、家族連れで賑わうような場所へ母子だけで行くのが辛かった。きっと周囲の人は誰も気になど留めていないのに、自分で勝手に卑屈になっていくのが嫌になり、親切に手を差し伸べてくれる人に対してまで、心を閉ざしていた時期もあった。○身代わりがいない辛さ一方、シングルマザーならではの悩みとしては、やはり単純に身代わりがいないこと。夫がいるママ友が「夫が家事や育児を手伝わない」と愚痴っている。しかしシングルマザーの場合は、育児は自分1人でするものだと割り切っているので、夫婦間の役割分担で不満を募らせるシーンがないのは、逆に気楽だったりもする。家事にも育児にも誰も口出しはしない。部屋が散らかっていようとも、単に自分の居心地が悪いだけの話で、誰にも咎められることはない。ただ、自分が病気になった時はかなり辛い。だいたいにして子が病気をもらい、それが自分にもうつる。子が元気になり始める頃に、自分自身が発症して一番辛い時期と重なるというパターン。子供がインフルエンザの疑いで保育園から呼び出しがあり、急いで医者に連れていく間に、自分自身も体調の異変を感じ取っていて、子供を診てもらったついでに「私も絶対かかってると思うんです! 」と必死で医者に懇願。"保険"として処方が可能な漢方薬を出してもらったこともある。案の定、翌日には私が発症。子供は特効薬により順調に回復し、お腹を空かせてぐずっていても、私自身は台所に立つことができないというどうしようもない手詰まり感。とはいえ、それでも漢方薬と気合いでなんとか乗り切ったものだ。ママの中には、仕事の帰りが遅く、夫が家庭にあまりいないことを嘆いて「我が家は母子家庭状態」と自虐的に言っている人もいる。きっと悪気はなく、つい口から出てしまった言葉だとはわかっているけど、真の母子家庭世帯はやはり傷ついてしまう。本当の母子家庭を経験していないから、そんなことを軽く言えるのかもしれないなと。シングルマザーにしてみれば、家にいなくてもそれなりに稼いできてくれる夫がいるだけいいと思う。万が一自分に何かあってもとりあえず身代わりがいるだけでもありがたいと思う。(次回へ続く)※写真は本文と関係ありません。
2014年03月28日こんにちは、恋愛ライターの佐々木月子です。いまや1人暮らしの女性の3人に1人が貧困女子。貧困女子とは、年間の可処分所得(税金などを引いた後の、自由に使えるお金)が125万円(※)未満の人のことだそうです。そんな事情のせいか、近ごろ「お金がないから恋愛できない」という女性が増えています。「だって、デートに着ていく服なんて買えないし。美容院も行っていない」「そもそも出会いの場所に行くお金がない」「栄養バランスが悪いから、肌荒れしていて、男性に会う気になれない」。恋愛は本来、お金なんてなくても男女2人が揃えばできるものですが。現実問題として、お金がないと、女子的に困ることはたくさんありますよね。一方で、恋愛や婚活にお金を使いすぎて貯金ができない「婚活貧乏女子」も増えています。そこで今回は、意外と気づいていない「恋愛コスト」を見直して、恋愛と貯金の両方を手に入れる方法を探ってみたいと思います。(※)厚生労働省の国民生活基礎調査('10年)のデータを基に、国民1人あたりの可処分所得の中央値に満たない人を「貧困状態」と定義■女性の恋愛・婚活コストに各差が! まずは、女性が1ヵ月に使う「恋愛のためのお金」を計算してみました。※洋服代などは、1年でかかる金額を12カ月で割っています。※「もっと使っているわよ! 」という方もいるとは思いますが、あまりに高額な例は除きました。※右はじのカッコ()内の金額は、これくらいの金額をかける女性が多いという目安です。■出会いのためのコスト(恋愛活動費)・パーティやイベントの参加費 0円~8,000円(3,000円)・出会い系サイトの登録・利用費 0円~5,000円(2,000円)・結婚紹介所の登録・利用費 0円~38,000円(23,000円)※入会金や月会費など1年間在籍したトータル費用を月割りで計算・飲み会参加費 0円~4万円(3,000円×月2回=6,000円)・通信費(携帯料金) 1,000円~2万円(5,000円)・目的地までの交通費 1,000円~1万円(3,000円)■デートのためのコスト(恋愛維持費)・飲食費 0円~4万円(2,000円×4回=8,000円)・レジャー費(映画やスノボなど) 0円~2万円(2,000円)・プレゼント代(誕生日やクリスマス、お土産など) 0円~1万円(2,000円)■愛されるため(? )のビューティコスト・化粧品代 500円~2万円(3,000円)・洋服・靴代 500円~2万円(5,000円)・下着代 0円~1万円(2,000円)・ヘアサロン代 200円~2万円(5,000円)・ネイル代 0円~2万円(300円)・まつ毛エクステ代 0円~2万円(5,000円)・エステ代 0円~5万円(1,000円)・ビタミン剤やサプリ 0円~1万円(1,000円)驚くことに、最も出費の多い「がんばりすぎ女子」はトータルで最大36万1,000円の出費となってしまいました! (※月額です)実際には、エステにお金をかける人は飲食費を削っていたりするので、この金額のようにすべてにコストをかけるケースはレアだと思いますが「けっこうな年収があるのに、貯金ができない。何にお金を使っているんだろう? 」という人は気をつけてください。収入があるのに貯金ができない女性は、結婚相手として不安を持たれることもあります。右はじの()カッコ内は、「キラキラ女子」のわりと標準的なコストですが、それでも積み重なるとトータルでなんと7万6,300円! こうして一覧にしてみると、思ったよりもコストがかかっていることに気づきます。ここからイベント費と出会い系・結婚相談所の費用をマイナスすると4万8,300円。さらに飲食費やレジャー費が男性持ちの場合は3万2,300円。まつ毛エクステ、エステ、サプリ、ネイル、プレゼント代をマイナスすると2万3,000円。節約ポイントはいろいろとありそうです。そして、お金をかけない「節約女子」の恋愛コストは3,200円という結果に。「洋服はフリーマーケットやオークション、ファストファッションのみ」「100円ショップの化粧品を使っている」「髪の毛は半年~1年に一度カットするだけ」と、できる限りのコストカットを実行しないと、この金額にはなりません。でも、出会いのチャンスを広げたり、楽しいデートをしたりと考えると、もう少し恋愛活動費がほしいところ。今のあなたにとって、大切なのは「美を磨く」ことなのか、「出会いのチャンス」を増やすことなのか、それとも「楽しいデート」なのか。そこを見極めて、かけるべきコスト&節約するコストを見直してみましょう。幸せな恋愛も、輝くビューティも、いざというときのための貯金も、バランスよく手に入れられるといいですね。(佐々木月子)
2013年04月02日DIESEL(ディーゼル)は、世界中の貧困撲滅を目指して設立した「ONLY THE BRAVE FOUNDATION(オンリー・ザ・ブレイブ・ファウンデーション)」の2012年秋冬モデルの限定Tシャツとブレスレットを発売する。「DIESEL for ONLY THE BRAVE FOUNDATION」は、ディーゼルの限定アイテムを毎シーズンごとに発表し、その収益が寄付されるコレクションである。今シーズン限定Tシャツには、”WE BELIEVE IN A BETTER WORLD”のメッセージがプリントされ、ブレスレットはユニセックス仕様のデザインに仕上がっている。「ONLY THE BRAVE FOUNDATION」の活動は、学校や病院などさまざまな施設の整備や、マラリア対策を行うなど、村の人々の生活基盤の改善に取り組むことへの支援を2009年よりはじめ、今後も新たな水源や、インターネットの導入、村民が収入を得るためのビジネスチャンス創出などを進めていく。同プロジェクトは、2015年までにアフリカにおける極度の貧困を解決することを目標としている。【「ONLY THE BRAVE FOUNDATION」ウェブサイト】※サイト内は全て英語です元の記事を読む
2012年10月25日若年層の現状と展望現在アメリカでは1億2000万人以上の若年層が保険に加入できないでいるが、保険制度の改革によって2014年までに加入できるようになりそうである。Photographer: graur razvan ionut医療保険の拡充今回の保険改革では低所得者層のための医療保険制度が拡充される予定である。これにより貧困レベルの133%以下の収入しかないとされる720万人の若年層がこの保険に加入できるようになる。ただ不法移民は当然このような恩恵を受けることが出来ず、その数は180万人と見積もられている。保険会社にとってのメリット中年層にくらべて健康的な若年層の健康保険の加入は保険を提供する側としても保証金を払うリスクが少なくなるという点で重要な役割を果たすことになる。
2010年10月13日