直木賞、本屋大賞作家・辻村深月の人気小説を映画化した『ハケンアニメ!』が5月20日(金)から公開になる。本作は、アニメーションの世界の“ハケン=覇権”をとるべく作り手たちが奮闘する姿を描いた作品だが、単なる“お仕事もの・業界もの”ではなく、そこで苦闘する人たちの想いが周囲の人々や視聴者に伝わっていく様も描いている。監督を務めた吉野耕平はCMやミュージックビデオの世界でも活躍し、『水曜日が消えた』で長編デビューを果たした人物で、舞台になったアニメーションの世界を徹底的にリサーチし、愛情をもって描きつつも「アニメーションに興味がない人にも観てもらいたいです」と語る。日々、次々と放送されるアニメーション。しかし、そこで人気を得る作品はほんのひとり握りしかない。この世界の“ハケン=覇権” をとるアニメーションはどの作品なのか? 原作小説はアニメーション制作の現場で活動する人々の姿を多角的に描いており、吉野監督は映画化が決まる前から「自分で映画化してみたい」と思っていたようだ。「頭の中で映像化しながら小説を読むことが多いんですけど、この小説も読みながら“どうすれば映画化できるかな?”と思いながら読んでいました。読んでいるとアニメーションの制作現場に自分も足を踏み入れている感じがあって、ビジュアル喚起力がすごくありました。それに同じ年齢ぐらいの、他の仕事をしていてもおかしくない人たちが仕事としてアニメーションに真剣に向き合っている。その姿がすごくリアルに感じましたし、描写も展開も“地に足のついている”感じが魅力だと思ったんです」やがて願いが叶い、吉野監督は本作の映画化に参加。原作の様々な要素を丁寧に絞り込んで、脚本家の政池洋佑と脚本をつくりあげていった。「僕が参加した段階の脚本からすでに瞳監督と王子監督の対決が脚本の中心にはなっていたんですけど、その段階ではまだ瞳監督の気持ちがしっかりと描ききれていないと思ったんです。だから王子監督と瞳監督の成長をしっかりと描くことで、他のキャラクターがたくさん出てきても最後までブレずに映画にできるだろうと思いました」公務員から大手アニメーション会社に転職した斎藤瞳(吉岡里帆)は、新作アニメーション『サウンドバック 奏の石』でついに監督デビューを果たすことになったが、監督としての経験もスキルも少ない瞳のやる気と熱い想いは空回り。作品を売るためには手段を選ばないプロデューサー行城理(柄本佑)とは衝突ばかりで、チームの足並みは乱れていく。一方、瞳がアニメーションの世界を志すきっかけになった天才アニメーション監督の王子千晴(中村倫也)もプロデューサーの有科香屋子(尾野真千子)のバックアップを受けて8年ぶりの新作『運命戦線リデルライト』の制作にあたっていた。瞳の手がける『サウンドバック』と王子が手がける『リデルライト』は同じ曜日の同じ時間に放送。どちらの作品が視聴者の支持を得るのか? それぞれの作品が問題を抱えながら制作を進め、ついに初回放送がスタートする。本作ではアニメーションの制作過程が丁寧に描かれ、そこで活動する人々の日常や悩み、迷いが描き出されるが、監督は観客が自分の目でアニメ制作の世界を覗き込んでいるような語り口を選んだ。「脚本の段階で頭にあったのは『千と千尋の神隠し』です。あの映画は不思議な湯屋の世界を、観客は千尋の目線で一緒に旅していく。結果的にその全貌はわからないけど、最後のゴールまではたどり着くことができる。だからこの映画でも観客が突然 “アニメづくりの世界”に放り込まれて、瞳監督と一緒に旅していくイメージがありました。だから撮影の段階でも、瞳監督の見ているものを描こうとしましたし、彼女が話す場面では、そこにいる全員が彼女を見ている場面を入れるようにして、観客に瞳監督の視点を味わってほしい、ということを意識していました。それと前から『マネーボール』が好きだったんですよ。あの映画もブラッド・ピット演じる主人公が周囲に理解されない中で、根気よく野球チームを改革していき、そこに熾烈なトップ争いの話が入ってくる。チームリーダーの目から見ると野球はこう見える、ってことを感じられる。視点や切り取り方の面白さがあるんです」本作は物語を語る視点=瞳監督を明確にして、瞳監督と王子監督の対決と成長を映画の背骨にすることで映画としての強度を上げ、ブレのない状態で両監督を取り囲む人たちの魅力、映画ならではの日常描写の面白さ、文字や吹き出しが画面内を動きまくるモーショングラフィックを盛り込んでいった。「劇中の人物については役者さんの力が大きいですよね。それに僕自身もいろんな映像の現場で仕事をしてきていますので、それぞれの現場で様々な立場のプロフェッショナルたちを見てきたんですよ。彼らはその分野で自分の人生を切り拓いてきた人たちなわけで、そこはリアルに伝えたい。だから主人公とその人の距離感、主人公の感じる“その人との関係”をカメラアングルを工夫して描いていきました」監督が実感する“作り手が最後にできること”とは?吉野耕平監督さらに本作ではProductionI.Gをはじめとする日本のトップスタジオが劇中アニメを手がけ、老舗アニメ制作会社・東映アニメーションが業界監修を担当しているが、劇中アニメを実写に“挟み込む”だけでなく、その作品が物語の中で存在し、作り手や視聴者に伝わったり、影響を与えていく様子をしっかりと描いている。「劇中のアニメを登場させる時は“広がり”を見せなければならないので、意図的に完成した映像だけではなくて、絵コンテの段階で見せておいたり、テレビ越しに見せたりすることで、“物語の世界の中の作品”という表現をしています。撮影している段階では、どんなアニメーションがあがってくるのかわからなかった部分もあり、あれこれ準備を進めていたんですけど、その心配が結果としてうまく機能したところもあったと思います。映画の中では、そのキャラクターが美男や美女かどうかは、周囲の人のリアクションだったり、振り向いたりする様子によってわかるわけですよね? だからどんなに美形の役者さんでも“可愛くない”役ができる。『ハケンアニメ!』でも劇中アニメが登場する時には、視聴者のSNSでの反応も含め、さまざまな方法でそれを観ている人、周囲にいる人の反応とセットにして「どう受け取られているアニメなのか」を描くようにしています」おそらく本作を観た観客は劇中に登場するアニメーションを観たくなるはずだが、それは“作品を観て反応する人”が前後にしっかりと描かれているからだ。「僕は車にはまったく興味がないんですけど『フォードvsフェラーリ』を観ると、前半に車をつくっている人のドラマが丁寧に描かれていて、クライマックスは車が走ってる描写と、それを見守っている人たち、そこまでに積み上げていった感情が描かれていて、車に興味のない僕でも楽しめたんです。僕はアニメが好きなんですけど、アニメに興味のない観客もいるわけで、この映画をつくる上では、アニメそのものだけでなく、それを観ている人の感情も大事に描いてます。だから、アニメーションに興味がない人にも観てもらいたいですね」アニメーションが生み出される過程で監督もスタッフも声優もみな、それぞれに悩み、考え、完成した作品を観た視聴者は盛り上がったり、友達と感想を言い合ったり、固唾を吞んでテレビ画面に向き合ったりする。作品には誰かの想いが込められている。作品は観る人に手渡され、伝わり、広がっていく。「この映画を観た辻村さんは『私はこの作品で“フィクションに救われる人間”のことを描きたかったんだなぁ』と仰っていたように思います。瞳監督は最初、隣の部屋に住んでる男の子に自分がアニメ監督であることを伝えてないし、そのことを隠したいと思っているんですけど、話が進んでいく中で『絶対に面白いから観て』と言うようになる。彼女は最初は“過去の自分”に届けたい、自分の中で完璧なものをつくりたいと思っていたけど、物語が進む中で、自分のつくったものを現実に“届けたい相手”を見つけるんです。そういうことって映画だけじゃなくて、音楽や小説でも同じだと思うんですよね。それに実際に作品をつくっている側の実感で言うと、自分たち作り手が最後にできることは“いま、誰かが観てるといいな”と思うことぐらいなんですよ(笑)。自分がつくったものが誰かに届くことを願うしかないんです」アニメーション界の“ハケン”を目指す人たちの想いと、そこで生まれた作品は広がり、多くの人たちに伝わっていく。何かを変えていく。そのダイナミックなドラマが本作の最大の魅力だ。公開後、本作の作り手たちの想いは観客に伝わり、各地に広がっていくことになるだろう。『ハケンアニメ!』5月20日(金)全国ロードショー(C)2022 映画「ハケンアニメ!」製作委員会
2022年05月20日辻村深月さんによる原作小説『ハケンアニメ!』が、anan連載から10年を経てついに実写映画化!ここでは、スタジオえっじのプロデューサー・有科香屋子を演じる、尾野真千子さんのインタビューをお届けします。尾野真千子さん演じる有科香屋子は、スランプに陥り作品を作れずにいた王子千晴を口説き落とし、表舞台に引っ張り出したプロデューサー。「プロデューサー役でよかったと思いましたよ。みんなが絵を描いたりCGをやったり、手に職的ないろんな技術を芝居でやらなきゃいけない中、指示したり、謝ったりするだけですから。あっちだったら大変だったなと思って」そう言ってアハハと笑う。「香屋子が素敵なのは、スタッフを信頼してちゃんとその人たちに頭が下げられるところ。自分はプロデューサーという立場なわけだから、現場に対して『じゃあお願いね』くらいでもいいのかもしれない。でも、実際に手を動かす側からしたら、それってなんかちょっと腹立つじゃないですか。でも香屋子は、ちゃんとその人たちを信頼して尊敬の念を持っていて、だからこそ『お願いします』って深々と頭を下げられる。仕事相手に対して、ちゃんと敬意を持てるって素敵ですよね」しかも、ワガママな王子の気まぐれに振り回されながらも、彼の起用に懐疑的な上層部から監督を守る気概の持ち主でもある。「それはやっぱり、香屋子自身が王子に対して憧れを持っているっていうことが大きいんでしょうね。だからきっと、振り回されて当たり前、みたいな感覚もあったんじゃないですか。そういう人だとわかって仕事をお願いしているわけですし。ただ、あれだけやりたい放題やられたら、プロデューサーという立場では腹が立ったりするんですよ。それでも彼の作品に心酔しているからこそ、どうにかしたいと思う。王子を演じている(中村)倫也くん自身の、あの雰囲気というか、お芝居のせいもあると思います。何を思っての行動なのか、表情なのか、発言なのか、掴めないからこそ興味が湧く。そんな俳優さんですよね」そんな香屋子と王子には、ラストで驚きの展開が用意されている。「まー、シビれました。今回の撮影で、一番グッときたシーンといったらそこかな(笑)。ただそのとき私、お腹がとてもすいていて、結構シーンとしていた中での現場だったのに、尋常じゃないくらいお腹がぐぉーんって鳴ってめちゃめちゃ恥ずかしかったです」今回、尾野さんの登場シーンは、ほとんどが中村さんとの絡みだけれど、そんな中プライベートで香屋子と(斎藤)瞳が偶然鉢合わせるシーンが挟み込まれる。『リデル』のプロデューサーと『サバク』の監督。ハケンを争うライバル同士ながら、お互いの仕事に対するリスペクトを感じる、微笑ましい場面だ。「なぜかわからないけれど、瞳とのシーンは台本を読んだときからずっと気になっていたんですよね。1対1の場面だから、一見対決のようだけれど、お互いにリング外だから仕事のときに見せる顔と少し違う。そんな状況で、ふたりがちゃんと話をするところだからかもしれないです。撮影でも、とくに気合が入っていた気がします。吉岡(里帆)さんは、普段テレビや映画で見てイメージしていたより、フットワークの軽さというか、気づいたら近くにいるようなサバサバした雰囲気を持っていて。お芝居も素敵ですし、一緒にいて不思議な心地よさがある方でした」気取らず、壁を作らず、サバサバした…といえば、まさに尾野さん自身もそんな人では!?「私の場合、ズカズカ入っていって、気づいたらじゃなく、すでにいるってタイプですから。心地いい系じゃないやつです(笑)」自身のことをそんなふうに茶化してみせるが、今回の吉岡さんしかり、中村さんしかり、尾野さんを慕う共演者は多い。「それは声がデカいからじゃないですかね。いいことも悪いこともすぐに口に出しちゃうの。それも、みんなが聞こえる場所で。昔はもの静かでひと言もしゃべらない子だったのが、今はしゃべらずにいられない子になっていますし」そう変わっていったのは、ここまでのキャリアと立場の変化から。「自分が主役の現場なのに、今日は機嫌が悪いからしゃべりたくない、とか言ってられないじゃないですか。自分の機嫌の良し悪しを出すのは、プライベートの場だけでいいですよ。だって仕事だし、現場ではなるべく居心地いいようにって思っています。それは共演者とか周りとかじゃなく、自分が一番楽しくいるための方法なんですよね。ただ、現場でイラついたぶん、帰りの車の中では愚痴が止まらないってことはありますよ。それを聞くマネージャーは迷惑でしょうけど(笑)」尾野さんの仕事のモチベーションは、好きな気持ちとやりがい。「好きじゃなかったら無理だと思います。楽しくなかったら、そもそもやってなかったと思うし。ここまで続けてこられたのは、やりがい…つまり自分がやってきたことに対しての評価ですよね。もちろん、いい評価であれば嬉しいけれど、悪い評価だって、誰からも何も言われず、見てもらえてないのかもと思うより全然いい。その評価が、次の仕事のドアを開ける原動力になっている気がします」一時期、仕事を続けることに疑問を抱いたこともあったそう。「ちょうど20年やったときくらいかな。すでにテレビや映画に出させてもらえるようになった後で、評価もいただいていたんですけれど、何か壁にぶち当たったのか、この仕事をやっていていいんだろうかって思っちゃったんですよね。だから、事務所の人と話し合って、自主映画を作ってみたんです。自分のやりたいものを形にしたくて。いろんな場所に行って、いろんな人と出会って、カメラマンとか照明さんとかの仕事を身近で見たり話したりして。そのときに、自分がこの世界にいることをおごっていたというか、当たり前に思いすぎていたんだってハッとしたんです。人に何かをしてもらうことが当たり前になっていたことに気づいて、そこからちょっと気持ちが変わって。自分のペースでお仕事をさせてもらうようになって、また仕事が楽しくなったんですよね。なんでこの仕事が好きなのか、原点の気持ちに戻るって大事だなって思いました」最後にこの質問を。人生を変えた作品は何ですか?「全部です。毎回ね、変えてくれるの、いろんな意味で。気持ちが少し変わったり、洋服を変えてみたくなったり。そういうのって、この仕事をするうえで、すごく大事だと思っているんです。たしかに朝ドラっていうものは大きかったし、目に見えて仕事の量は変わったかもしれない。でも私の中では毎回、どんどん自分を変えられるから、毎回ワクワクが止まらない、みたいな感じなんです」映画『ハケンアニメ!』新人アニメ監督・斎藤瞳を吉岡里帆、彼女を振り回すプロデューサー・行城理を柄本佑、天才監督・王子千晴を中村倫也、王子に振り回されるプロデューサー・有科香屋子を尾野真千子が演じる。この2組、覇権を取るのはどっち!?監督/吉野耕平脚本/政池洋佑出演/吉岡里帆、中村倫也、柄本佑、尾野真千子ほか5月20日より全国公開。©2022 映画「ハケンアニメ!」製作委員会おの・まちこ1981年11月4日生まれ、奈良県出身。’97年の映画『萌の朱雀』でデビュー。吹き替えを担当した『ミニオンズフィーバー』が7月15日公開。映画『こちらあみ子』が7月に、『サバカンSABAKAN』が8月に公開予定。ワンピース¥49,500(RUMCHE/BRAND NEWS TEL:03・3797・3673)フラットシューズ¥26,400(CAMPER TEL:03・5412・1844)その他はスタイリスト私物※『anan』2022年5月18日号より。写真・MELON(TRON)スタイリスト・江森明日佳(BRUCKE)ヘア&メイク・山内聖子インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2022年05月16日辻村深月さんによる原作小説『ハケンアニメ!』が、ついに実写映画化。ここでは、トウケイ動画の敏腕プロデューサー・行城理を演じる、柄本 佑さんにお話を伺いました。主人公・斎藤瞳が監督を務める『サウンドバック 奏の石』のチーフプロデューサーである行城理は、瞳らクリエイター陣の想いや状況などおかまいなしに、宣伝サイドやスポンサーの事情を一方的に押し付けてくる存在。この役を演じた柄本佑さんは、あえて行城とアニメーターたちとの違いを意識したという。「現場からはちょっと離れたところにいる人みたいに見えたらいいなって思って、衣装合わせのときに、わりとスタイリッシュでおしゃれな感じにしたいと思ったんです。小道具とかも、普通の時計じゃなくスマートウォッチ、だったりね。こういう大勢の人が携わってる現場って、みんなが必死こいてやっているところに、綺麗な格好してちょっといいプリンか何かを差し入れに持って急に現れる人がいるんですよね。誰って特定のイメージはないけれど、スタジオの前の控室みたいなところで軽口を叩いたりして、気がつくといなくなっている…みたいな。我々現場の人間の間では、誰なんだろうねって話題になる。スーツでおしゃれ、重要人物っぽいのだけれど、どうも役割が掴めない…。そういう身近さのない人物像をイメージしました」熱い想いを制作にぶつける瞳たちとは対照的に、アニメをビジネスの視点で語る行城の姿はうさんくさく、冷徹に映ることも。「僕の出演シーンはほぼほぼ“対瞳”でしたから、撮影では、シンプルにいかにして吉岡(里帆)さんをムキーッと腹立たしくさせるかっていうところに注力して、手を緩めずにやった感じです(笑)。行城が無断で進めたカップラーメンとのコラボに怒った瞳が部屋を出ていこうとする場面で、僕が、王子(千晴)の過去の失踪にかけて『あなたも失踪ですか?』って止めるでもなく声をかける。あそこはもともと違うセリフだったんですが、本番前に何回かリハーサルをやってみて、それぐらい言っちゃった方がムカつくかなと思って。監督にそれを提案したら、『いいですね~、ムカつきますね』と喜んでくださり採用されました。じつは、そこまで監督とは行城というキャラクターについて話したりしていなかったのですが、そこで考えていた方向性は一緒だったんだなってはっきりして。でも行城の言ってることって、間違ってはいないんですよね。世の中って、情熱があれば届くみたいな甘いもんじゃない。それはその通りで、ぐうの音も出ない。セリフが自然に説得力を持たせられるように書かれていましたから、わりとしっかりハッタリかましてました。そうやって撮影を進める中でちょっとずつ人物像ができていった感じです」ただ、行城が瞳の才能を買っていて、彼女のアニメに向ける情熱を肯定的に見ているのは確か。「そうなんです。いろんなことを言っているけれど、瞳さんが声優さんの演技に納得できずに何テイクも粘る場面とか、意外に喜んでるんじゃないかと思うんですね。こんな骨のあるやつもいたのかって、行城自身も、熱くさせられているというか。誰に対しても態度は変わらない人ではあるんでしょうが(笑)、あえてムカつく言い方をするのは彼なりに鼓舞しようとしてのことなのかもしれません」劇中では、放送時間帯がバッティングすることになった『サバク』と『リデル』が覇権を争う様が描かれていく。「この作品に限らずですけれど、作品の評価って果たして視聴率だけかというとそうじゃないですよね。瞳にしろ王子にしろ、結局そこじゃないところを一番大事にしているわけで。あくまでも視聴率は結果論であって、クリエイティブって、現場で生身の人たちがいて作り上げるもので、やっぱり自分が納得できるものを作るってことが大事だと思うんです」仕事に対して、どんな信念やこだわりを持って向き合っていくかを問われるのがこの作品。柄本さん自身の俳優としてのこだわりとはなんだろう。「逆に、こだわりみたいなものを持たないということですかね、僕としては。役者という何百年も歴史があって、何万人もいる中で、これっていう正解なんてわかるわけないんです。毎回、同じ作品も同じ役もないわけで、現場が始まってみるまで自分の役がどうなるかすらわからない。経験なんてなんの肥やしにもなんねーぞってことなんです。でも、いかんせん長く続けていると、現場の進め方とかを多少知っているものだから、わかったつもりになっちゃうことがあって、それが危ない。だから僕は、毎回現場に入るときには、できるだけ経験値もこだわりも持たずに、何もないところから、この現場での最適解をみんなで探していきたいと思っています」近年、自らが監督で自主映画も撮っているが、チームを指揮する立場として大事にしているのは「嘘をつかないこと」だとか。「目の前で行われたことに対して、何か違和感を覚えたら、その違和感に対して正直に、っていうことくらいですね。それは役者をやっているときも、そんなに変わらないかもしれないですけど」仕事を始める前から映画を観るのが大好きで、大好きな映画が作られている現場を見てみたいという好奇心で、俳優という世界に足を踏み入れた柄本さん。“好きを、つらぬけ。”は今作のキャッチコピーであるが、好きな気持ちが仕事への原動力になるのと同時に、仕事になれば、当初抱いていた好きな気持ちを持続することが難しいと感じることはないだろうか。「だから、っていうのもなんですが、僕の中で一番大事にしているのは、映画を映画館で観るっていうことかなと思います。どちらかというと、出るより観ることの方が仕事という意識が強いかもしれない。もちろん俳優が仕事ですけれど、いまだに自分の根本にあるのは、映画が好きで映画作りの仲間入りがしたかったっていう想い。その地盤が、今もこの仕事を続けさせてくれている気もするので、それをなおざりにするわけにはいかない。もちろん結婚して子供ができてっていう中で、漠然と役者さんっていう仕事を一生の仕事にしていくんだろうとは思いましたけれど、だからこそ、より“映画館で映画を観る自分”を大事にするようになった気がします」そんな柄本さんにとって人生を変えてくれた作品とは、デビュー作の映画『美しい夏キリシマ』。「あれがなければ、今自分がこうして出役をやっているかどうかもわからない。それはもう明確に。あの2か月間の撮影期間に映画作りに取り憑かれてしまったんですよね。あの作品のおかげであり、あの作品のせいでもある。むしろこっちをサボっちゃマズいという意識でいます」映画『ハケンアニメ!』新人アニメ監督・斎藤瞳を吉岡里帆、彼女を振り回すプロデューサー・行城理を柄本佑、天才監督・王子千晴を中村倫也、王子に振り回されるプロデューサー・有科香屋子を尾野真千子が演じる。この2組、覇権を取るのはどっち!?監督/吉野耕平脚本/政池洋佑出演/吉岡里帆、中村倫也、柄本佑、尾野真千子ほか5月20日より全国公開。©2022 映画「ハケンアニメ!」製作委員会えもと・たすく1986年12月16日生まれ、東京都出身。2003年にデビュー。声優参加した『犬王』が5月28日公開。来年の『シン・仮面ライダー』など公開予定作多数。6月には主演ドラマ『空白を満たしなさい』(NHK)も控える。ジャケット¥359,700タートルネックニット¥136,400(共にメゾン マルジェラ/マルジェラ ジャパンクライアントサービス TEL:0800・000・0261)その他はスタイリスト私物※『anan』2022年5月18日号より。写真・MELON(TRON)スタイリスト・林 道雄ヘア&メイク・星野加奈子インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2022年05月16日辻村深月の小説を原作に、成井豊が脚本・演出を手がけた舞台2作品を回替わりで上演する「辻村深月シアター」。そのラインアップのひとつである『かがみの孤城』は2020年夏に上演され、好評のうちに幕を閉じた。早くも再演となる今回は、同級生の悪意に傷つき家に引きこもる中学1年生の主人公・こころに田野優花がキャスティング。初日を約3週間後に控えたタイミングで原作者×脚本・演出家×主演俳優が一堂に会しインタビューに応じた。小説の登場人物と同じ1年を共有したんじゃないか、と思える魔法(辻村)──『かがみの孤城』以前にも、辻村さんの小説を成井さんが舞台化する取り組みは『スロウハイツの神様』(2017年初演)で実現しており、成井さんのつくり出す劇世界を辻村さんが信頼されているご様子は過去のインタビューで拝読していました。改めて、辻村さんが考える初演版『かがみの孤城』の素晴らしかったポイントを教えてください。辻村もう「すべて」とお答えしたいくらい。私も劇場に通って何度も観劇しました。特に嬉しかったのは、演劇ファンの友人たちから「何度も観てるみたいだけど、毎回こんなに気持ちを揺さぶられるのは大変じゃない?」という感想をもらったことです。日ごろ演劇を観慣れている人たちの期待にも十分に応えられるほど、観る人の心を揺さぶるお芝居だったんだなって。成井ありがたいお言葉ですね。辻村キャラメルボックスの作品を最初に観たのが、大学進学前、高3の春休みで、その頃から、成井さんのお芝居には、「成井さんにしかかけられない“魔法”」があると感じていました。それが、自分の小説を原作に実現したことにものすごく感動したんです。客席で周りの人たちに「すごいでしょう?この舞台の原作書いたの私なんです!」と宣言したいほど、誇らしかった(笑)。辻村深月シアターチラシ。今回は新作『ぼくのメジャースプーン』との2本立て──成井さんは、辻村さんのおっしゃる“魔法”をどうやって形にしているのでしょうか? 成井さんの手がける原作ものの舞台について、「オリジナルを尊重した姿勢が伝わる」「小説と同じ読後感を得られた」といった感想をよく見かけますが、そういった価値を観客に届けるために心がけていることは?成井素材のよさをいかに伝えるか──に尽きるんですよね。「惚れ込んだ原作を舞台にしたい」という前提があるので、もう“まんま”やるのがいちばんだけど……それは不可能。だから120分の上演時間を念頭に、エッセンスを取捨選択していきます。もう、いつも涙を飲みながらカットしてね(苦笑)。『かがみの孤城』もご多分に漏れず苦心惨憺したけれど、結果的に僕としては「これ以上は切れない」というギリギリラインの“最良”がつくれたと思っていて。でも、いつもそのくらい綱渡りなんですよ。辻村さんや原作のファンがどう感じるかは、また別の話だと思いますが。──でも、辻村さんは成井さんの“取捨選択”に信頼を寄せていらっしゃる。原作を想う成井さんの気持ちが伝わって、おふたりは相思相愛のように映っています。辻村その言葉は光栄ですし、嬉しいです。 成井さん、いつも「カットするのに苦労した」とおっしゃるんですけど……不思議なことに、どこも削っていないように見えるんです。私が「演劇で観たかった」と思うポイントが、ひとつも取りこぼさずに盛り込まれているんですよね。本当に1年間、こころや彼女が出会う6人の仲間たちと『かがみの孤城』で過ごしたんじゃないかと思えるような作品になっていて。たぶんこの「登場人物と同じ時間を共有した」という感覚が、舞台をご覧になった方の「小説と同じ読後感」という感想に繋がっているのではないでしょうか。田野さんは主人公の切実さが2階席最後列まで届く「声」の持ち主(成井)──初演をご覧になっていたら、田野さんにご感想をお聞きできれば。田野無意識のうちに影響されてしまうのでは、と思って……実はじっくり拝見していないんです。ただ初演に携わった皆さんのつくり出したものが好評を得て、今回の再演があるとお聞きして。それで主人公を務め上げる覚悟が決まりました。キャストも初演から半数以上が変わっているので、また異なるエッセンスを足して『かがみの孤城』の素晴らしさを届けていきたいですね。成井田野さんはね、初対面で「ものすごく声がキレイな子だな」と思って驚かされました。マイク慣れしているアイドル(AKB48)出身でありながら、腹式呼吸と共鳴を完璧にマスターしていることが伝わってきて。それで稽古に臨んだら、本当に響くいい声をしているんです。舞台俳優というのは、何より“声”ですから。田野ありがとうございます、励みになります。──田野さんの声のよさって、こころを演じるうえでどんな効果が期待できるのでしょうか?成井存在感ですよね。やっぱり劇団☆新感線を観に行くと、古田新太さんに釘付けになるじゃないですか。圧倒的ですよね、声と滑舌のよさが。つい目が、古田さんを追ってしまう。そういう華のある存在感が、田野さんにもあります。サンシャイン劇場の2階席最後列まで、こころの切実さが届くんじゃないかな。辻村古田さんと同じ存在感!(笑)成井あとは表現力。豊かにもなるんだけど、繊細さも打ち出せるんです。声が通る人ってボリュームを落としても客席に届くからね。中劇場より大きい場所になると、オペラグラスを使わなければ客席後方から役者の顔は見えません。この条件で再び古田さんを例に出しますけど……彼って姿かたちが見えなくても、声がよくて演技がうまいから「表情まで見えている」と錯覚しちゃうんですよね。声がいいと、後方からの見え方までカバーできる。──田野さんにも、古田さんに迫る表現力が?成井そうそう(笑)田野光栄です(爆笑)成井あと、田野さんって度胸がいいよね。頭で考えるより、その場でパッと思い浮かんだことを「やっちゃえ」って形にするタイプじゃない?田野はい!成井それがね、すごいのびのびやっているように見えて清々しいんですよ。同級生のいじめに遭っているこころはツラい役どころの一方で、『かがみの孤城』で出会う仲間たちと親しくなっていくと、だんだん本来の明るさを取り戻していく。春に彼らと知り合って、クリスマスパーティーをやる頃にはもうかなり打ち解けていてね。そのさまを田野さんがのびのび演じてくれる姿も「いいな」と感じていますよ。いじめから救われた実体験を、私だけのオリジナリティに(田野)──稽古は4月上旬に始まったそうですね。主演として参加している手応えを教えてください。田野気負わず稽古に臨んでいます。先ほど辻村さんと成井さんの「相思相愛」ぶりが話題に挙がりましたが、信頼し合っているおふたりの姿を拝見していると、この台本通りに自分がその場で感じたことを形にすれば「正解なんだ」と感じられる環境でして。本当に自由にやらせてもらっています。──先ほど「初演と異なるエッセンスを足して、『かがみの孤城』の素晴らしさを届けていきたい」とおっしゃっていました。田野さんだけのオリジナリティをどうやって主人公のこころに乗せているのでしょうか?田野私もこころと同じように、中学生の頃いじめに遭っていたんです。だから彼女に対して、親近感が湧くんですよね。当時の感情を活かせる場面もありますし。でも『かがみの孤城』はあくまでも演劇作品ですし、原作小説もあるわけだから、私情を乗せすぎることはよくない。劇世界に没入しすぎず、客観視もしながら作品のメッセージをシンプルに、ストレートに伝える。そのバランスを取るのがすごく難しいんですけど……なぜか「私ならできる」と感じてもいて。──その静かな自信はどこから来たんでしょうね? 脚本を信じて、のびのびと主人公を演じられていることの源泉に何があるのかな、と。田野(しばらく考えて)私がのびのび稽古できているのは、『かがみの孤城』という作品と、周りにいるキャスト・スタッフの皆さんを信頼しているからなんですよね。それに、自分が経験した“いじめ”を無駄だと感じていないことも大きいかもしれません。いじめに遭ったからといって、私はいわゆる「かわいそうな子」ではなかったんですよ。──自分のことを「かわいそう」と思ってはいなかった?田野はい。いじめの原因がわからず本当にツラかったですけど……「こんな目に遭ってしまう私かわいそう」と、悲劇のヒロインのように自分を受け止めることはなかったですね。そう感じられたのは、救いの手を差し伸べてくれる家族や友人が周りにいたから。そういう人たちと一緒にいて楽しかったですし、周りの人間や自分の度胸を信頼する力に繋がったと思います。そういう経験が、『かがみの孤城』で出会った仲間と打ち解けていく時にも活かされるんじゃないかな、って。──いじめを受けながらも周りの人に救われた経験を、こころに乗せていらっしゃるんですね。田野そうですね。すごく役に立っていますし、私なりのオリジナリティを発揮できるポイントのような気がしています。取材・文=岡山朋代撮影=源賀津己<公演情報>NAPPOS PRODUCE 辻村深月シアター『かがみの孤城』2022年5月20日(金) ~5月29日(日) 東京・サンシャイン劇場※『ぼくのメジャースプーン』との交互上演。新潟・りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館・劇場公演ありチケットはこちら:
2022年05月16日辻村深月さんによる原作小説『ハケンアニメ!』が、ついに実写映画化。ここでは、大手スタジオ・トウケイ動画、シリーズアニメの監督に抜擢された新人・斎藤瞳を演じる吉岡里帆さんと、デビュー作『光のヨスガ』が驚異的なヒットとなった伝説のアニメ監督・王子千晴を演じる中村倫也さんの対談をお届け!――昨年の劇団新感線の舞台『狐晴明九尾狩』でも共演していたおふたりですが、じつはこの映画の撮影が初対面だったとか。中村倫也:初めて会ったとき、ものすごい壁を感じましたよ。まあ、初対面なのにイエーイってノリでいっちゃったせいもあるけど。吉岡里帆:びっくりして、めちゃくちゃ警戒しちゃいました(笑)。中村:あそこで、デリカシーがないやつだと思われたみたいで…。吉岡:デリカシーがないとは思ってないですけどね。中村:でも、女性の危機察知能力でアラート鳴ってたでしょ?吉岡:完全にアラートは鳴ってました。まさかこんなに面白い方だとは思ってなかったので。単純に…セクシーすぎて怖いみたいなことってあるじゃないですか。中村:何言ってんだ?絶対に今、思ってないこと言ったでしょ。――中村さんは吉岡さんにどういう印象を持たれたんですか?中村:真面目で一生懸命頑張る子。吉岡:その通りです(笑)。中村:あと“どんぎつね”。吉岡:それも間違いじゃないです。――映画と舞台を経て、お互いの印象は変わりました?吉岡:変わりました。面白い方だなって。どこまでがふざけていて、どこまでが真面目なのか、境界線がわからないんですけど。あと単純に、舞台のときの座長っぷりが本当に素晴らしかったんです。冗談めかしているけれど、じつは一番真面目な方なんじゃないかと。中村:(おどけて)そうなんだよね。根が真面目なんだよね~。吉岡:(笑)。でも本当にとても気配りされるというか、カンパニー全体が楽しくやれるように皆さんに接していらして、そういう現場の向き合い方がとてもいいなあと。中村:俺の場合、里帆ちゃんに当初抱いたイメージはその通りだけど、ちょっと天然な面もあるんだなってのが見えてきたというか。真面目すぎるから全部を抱え込もうとするんだけど、それが追いつかなくなったときの里帆ちゃんの開き直りが結構好き(笑)。吉岡:いろいろ見せたくないところも、目撃されちゃっていますから…。中村:それを俺は横から見て、ニコニコしてました。――たとえばどんな場面でですか。吉岡:たぶん、新感線の稽古場でのことですよね。いのうえ(ひでのり)さんの演出があまりに緻密で、繰り返し同じ場面を稽古するので、どっかでパーンって頭がスパークしちゃったんです。中村:そのときの里帆ちゃんて、すごいわかりやすく、プレーヤーでいうところのチャプター飛ばしボタンを押してる状態になるんですよ。今、心の中で連打してるなって思いながら見てた(笑)。吉岡:めちゃめちゃ恥ずかしくて嫌なんですけど、それ(笑)。中村:でも、そういう無意識の状態が面白いんだよね。舞台でご一緒したときは、何かその魅力をうまいこと板の上に出せたらいいなって考えてましたね。――今お話を聞いていても、おふたりとも役柄と似ているな、と。吉岡:瞳って、感情を溜め込んで溜め込んで、周りの人たちからの刺激があって初めて爆発させるみたいなキャラクターかなと思うんですけど、そこは似ているかもしれません。ひとりでやっているときは冷静で理想が高くて…。でも、モノづくりってそんな簡単なものじゃなく、王子とか行城(理)にいろいろ言われて瞳が感情を出す場面とか、めちゃめちゃ自然にお芝居できました。中村さんと初対面のときに警戒心を感じたのは、何か一種の…劇中で瞳が王子に抱く強い憧れの気持ちからくる畏怖みたいなものだったのかなと。そういう存在と対峙したときに、瞳の本質的なものがバーンって出てきた。それは中村さんとだったから出てきたんだと思います。――まさにおふたりが直接対峙するシーンがそんな感じでした。吉岡:そうなんです!中村:あのシーン、めちゃくちゃいいシーンになってたよね。吉岡:王子がわざと瞳を挑発するような態度をとるんですけど、その表情とかを見ていたらクッソーみたいな気持ちになりましたもん。中村さんと一緒だと、そういうのしょっちゅうです。中村:それは普段ってこと?吉岡:普段もです!なんか私がムキーッてなるような言い方してくることありません?中村:(大爆笑)吉岡:私が悔しがるポイントがわかりすぎてて…。――戦略ですか?中村:いやいや自分ではわかんないです。芝居は全部わざとですが。吉岡:あれは天然だと思います。天然じゃなかったら…ちょっともう、勘弁してください(笑)。中村:でも王子と瞳のシーン、里帆ちゃん、泣いてましたよね。吉岡:泣く気は全然なかったんですけど、幼い頃からシビアな現実を突きつけられて育ってきた瞳は、大人になって王子の作品に出合って、救われたっていう想いがあるんですよね。そういうバックボーンを背負った瞳として、あれを作った人が目の前にいるって考えたら、震えが止まらなくなって…。中村:フフフ…(笑)。吉岡:中村さんって、人柄もだし、不思議な魅力というか引力があるんですよね。その中村さんが王子を演じたからこそ、瞳が我慢して抑えてきたものの蓋が開いたのかな、みたいな感覚がありました。中村:あのシーンをやってるときは、自分はそこまで具体的にわかってなくて。予感はあったんだけど、出来上がったものを見て、このシーン、想像を超えてきたなと思った。王子も瞳も、自分の内側からのプレッシャーと外からかけられる圧力と、いろんな負荷を感じながらあの場にいるんだよね。そんな中で瞳が、抱えていたものを吐き出してアウトオブコントロールになってく様を前にして、それまでカリスマ然としていた王子のいろんなものがほぐれて、彼自身もアウトオブコントロールになっていく。互いが互いに影響されて起こった反応だから、予想できないシーンになっていて、なんかお芝居を超えて、そこにちゃんと生きてる人間がいるなって思えて、すごくいいシーンだなと。吉岡:ですね。中村:ただ王子も瞳も、もう少し社会性は身につけた方がいい。吉岡:私も、もうちょっとうまく立ち回ろうよ、って思ってました(笑)。中村:でも、監督の吉野さんもわりとそういう人だし、世の監督っていう人はああなのかもしれない。吉岡:吉野さん、不器用ですもんね。瞳は、かなり吉野さんエッセンスが強めなので、もうこれは吉野さんそのものだ、って思っていました(笑)。中村:そうそうそう。吉野さんが思うクリエイター像って、たぶんああいう感じなんだろうね。映画『ハケンアニメ!』新人アニメ監督・斎藤瞳を吉岡里帆、彼女を振り回すプロデューサー・行城理を柄本佑、天才監督・王子千晴を中村倫也、王子に振り回されるプロデューサー・有科香屋子を尾野真千子が演じる。この2組、覇権を取るのはどっち!?監督/吉野耕平脚本/政池洋佑出演/吉岡里帆、中村倫也、柄本佑、尾野真千子ほか5月20日より全国公開。©2022 映画「ハケンアニメ!」製作委員会よしおか・りほ1993年1月15日生まれ、京都府出身。現在、出演する蜷川実花監督の映画『ホリックxxxHOLiC』が公開中。7月にはパルコ劇場にて、初の単独主演を務める舞台『スルメが丘は花の匂い』も控えている。ドレス¥59,400パンツ¥61,600(共にMM6 Maison Margiela/マルジェラ ジャパン クライアントサービス TEL:0800・000・0261)なかむら・ともや1986年12月24日生まれ、東京都出身。2014年の舞台『ヒストリーボーイズ』で読売演劇大賞優秀男優賞受賞。10月には、主演ミュージカル『ルードヴィヒ~Beethoven The Piano~』が控えている。シャツ¥66,000(ラキネス/アルファ PR TEL:03・5413・3546)中に着たシャツ¥34,100(アンデコレイテッド/アンデコレイテッド TEL:03・3794・4037)パンツ¥28,600(デザインワークス/デザインワークス 銀座 TEL:03・3573・6210)シューズ¥39,600(フット・ザ・コーチャー/ギャラリー・オブ・オーセンティック TEL:03・5808・7515)ソックスはスタイリスト私物※『anan』2022年5月18日号より。写真・MELON(TRON)スタイリスト・Maki Maruko(吉岡さん)小林 新(UM/中村さん)ヘア&メイク・北原 果(KiKi. inc/吉岡さん)Emiy(中村さん)文・望月リサ(by anan編集部)
2022年05月15日辻村深月さんによる原作小説『ハケンアニメ!』が、anan連載から10年を経て、ついに実写映画化。ここでは、デビュー作『光のヨスガ』が驚異的なヒットとなった伝説のアニメ監督・王子千晴を演じる、中村倫也さんにお話を伺いました。主人公・斎藤瞳の人生を大きく変えたアニメーション作品『光のヨスガ』の生みの親であるアニメ監督・王子千晴。この作品で鮮烈なデビューを果たし天才と謳われるも、作品への強いこだわりと突拍子もない言動で周りを振り回す。吉野耕平監督が、このキャラクターにぴったりと白羽の矢を立てたのが中村倫也さん。「僕はあんなに面倒くさくないですけどね」。そう言って、少し含みを持たせたような笑顔を向けた。「王子は、もともとの性格として人を振り回す天然な一面がありつつも、どこかで世間が自分に期待していることへのアンテナも持っている気がするんですよね。どこまで彼が需要を理解して天才然として振る舞っているのか、そのバランスは自分の中で決めずに演じていました。ただ、1作目を経ている王子と、まだ1作目を制作中の瞳とではメディアへの対応の仕方やいろんな面で差はあるだろうから、ふたりの場面では、そこの対比は意識して演じてましたね」本作自体は、アニメ業界で奮闘する人々が描かれた映画。しかし、明確な正解のないモノづくりの世界において、個々がこだわりとプライドを持ち仕事に臨む姿を、自身の環境と重ねて見たと話す。「ここに出ている人たちの持っている感覚とか感情っていうのは、僕も通過してきたことだったり、今もリアルタイムで感じたりしているもの。だから、すごく近い自分ごとのように感じて見ていました。クリエイティブの世界にいる人なら、誰しも共感する部分が多い作品だと思います。でも、こういう業界だけじゃなく、たとえば仕事でも部活でも受験でも、何か形のない目指すものがあって、それを達成するために頑張っている人であれば、この作品に励まされる部分がある気がします。僕自身が見ていてウルッときたのは、さまざまな場面で、誰かが自分のこだわりを発動したとき、それを実現させるためにサポートしてくれたり、一緒に組んで走ってくれたりする人がいるところ。チームっていいなって思ったんですよね。その、人の繋がりみたいなものも、見どころだと思います」そう伺ったら聞いてみたいのは、中村さんの俳優としての矜持。「僕らは監督からOKを出される側なんで、出されなかったらしんどいですけれど、自分としてはやるだけやるっていうだけですよ」とはいえ、舞台になれば、演出家という存在がいるとはいえ、あるところでその手を離れて俳優たちに委ねられるもの。「たしかに、舞台は演出家がいろいろ決めてくれたり整えてくれたりはしますけど、いざ本番が始まれば俳優次第。幕が開いてもなお、それぞれが勝手に芝居を上へ上へと伸ばそうとして、千秋楽が終わってもまだ反省しているくらいの探究心とか向上心みたいなものがある人たちが揃うと、いい作品が作れますよね。自分もわりと、放っておいてもそういうことをしているタイプではあります。モノづくりにおいての正解って、やる人や受け取り手の数だけあると思うんですよ。そういうものだし、そこがいいとも思うし。ただ、確実に不正解っていうのはあって、その不正解を踏まなければOK。そう考えると、OKラインは低い世界なのかもしれないですよね」それは演じた王子も同じ。「若く才能があるクリエイターが出てきて、自分の手がけた作品の裏で彼女が監督するサバクが放送されるわけです。視聴率のこともあるし、王子としては瞳は意識せざるを得ない存在ではあったと思います。ただ、サバクをシンプルに褒めていたりもして、すごくスポーツマンシップがあるっていうかフェアな人でもある。つまるところ、王子自身もずっと自分と向き合っているんです。クリエイティブって、誰かと比べてもしょうがない世界だからこそ、どれだけ上を目指してチャレンジしていくかは自分次第ですよね」同じ作品でも見る人によって、受け取り方が違うのがエンターテインメントの難しく厳しいところ。「でも、見た人それぞれがいろんなことを想像できた方が楽しい作品も多いじゃないですか。そういう場合は、あえて自分も何も決めずにやるってことありますしね」そんな中村さんに質問。どうしてこの業界に入ったんですか?「高1のときに知り合いから誘われて、養成所に入ったのが入り口なんです。当時、やっていたサッカーをやめて暇だったのと、映画が好きだったのもあって、これもご縁かなと思って。あと単純に、ちやほやされるかなと(笑)。ただ、そう思うようにはうまくいかないですよね。どんな仕事もですけれど、最初からやりたいことがやれるわけじゃないし、望むものが手に入るわけじゃないし。そういうのを経て、ちゃんと売れなきゃって思ったのは25歳くらいですかね。腐ってクズ人間になりかけたんですけど、この状況を変えるにはやるしかないなって気持ちを切り替えて今、って感じです」そして“人生を変えた作品”と出合う。それが’14年の初主演舞台『ヒストリーボーイズ』だ。「これでうんともすんともいかなかったら役者を辞めようって思ってたんですよね。そしたら観てくれた人たちがよかったって言ってくれた。自分自身も、小川絵梨子という演出家や、あのチームのみんなと舞台を作っていく中で、これまで知らなかった扉に手を触れられたような気がして。もうちょっと続けようかなって思って、今に至っている。そういう意味で、この舞台は自分にとってはとても意味のある作品でしたね」映画『ハケンアニメ!』新人アニメ監督・斎藤瞳を吉岡里帆、彼女を振り回すプロデューサー・行城理を柄本佑、天才監督・王子千晴を中村倫也、王子に振り回されるプロデューサー・有科香屋子を尾野真千子が演じる。この2組、覇権を取るのはどっち!?監督/吉野耕平脚本/政池洋佑出演/吉岡里帆、中村倫也、柄本佑、尾野真千子ほか5月20日より全国公開。©2022 映画「ハケンアニメ!」製作委員会なかむら・ともや1986年12月24日生まれ、東京都出身。2014年の舞台『ヒストリーボーイズ』で読売演劇大賞優秀男優賞受賞。10月には、主演ミュージカル『ルードヴィヒ~Beethoven The Piano~』が控えている。シャツ¥66,000(ラキネス/アルファ PR TEL:03・5413・3546)中に着たシャツ¥34,100(アンデコレイテッド/アンデコレイテッド TEL:03・3794・4037)パンツ¥28,600(デザインワークス/デザインワークス 銀座 TEL:03・3573・6210)シューズ¥39,600(フット・ザ・コーチャー/ギャラリー・オブ・オーセンティック TEL:03・5808・7515)ソックスはスタイリスト私物※『anan』2022年5月18日号より。写真・MELON(TRON)スタイリスト・小林 新(UM)ヘア&メイク・Emiy文・望月リサ(by anan編集部)
2022年05月15日辻村深月さんによる原作小説「ハケンアニメ!」が、ananで連載をスタートしたのが、2012年の10月。それから約10年の時を経て、作者をして、「小説映像化の覇権を取れる!」とまで言わしめた、最高の実写映画ができました!ここでは、大手スタジオ・トウケイ動画の、シリーズアニメの監督に抜擢された新人・斎藤瞳を演じる、吉岡里帆さんのインタビューをお届けします。幼少期の辛い記憶から、将来に希望を持てずに生きてきた斎藤瞳。その瞳が、ある日何気なく目にしたアニメ『光のヨスガ』に衝撃を受け、いつか自分もそんな作品を作りたいとアニメ監督の道を選ぶ。映画『ハケンアニメ!』で主人公の瞳を演じているのが吉岡里帆さん。「瞳は彼女のバックボーンが創作へのエネルギーになっているので、過去にどういうことがあったのかとか、ここに至るまでにどういう想いを重ねてきたのかというような見えない部分が大事だなと思いました。原作の辻村(深月)さんの小説は綿密な取材を元に描かれていて、それがとても役作りのヒントになったんです。アニメができるまでにどんな過程があって、どんな人たちが働いていて、その仕事の何が大切で、監督業がどういうことを求められているのかということも描かれていて、原作に背中を押されることも多くて。あと、瞳はひとりでいるとわりと無機質というか、自分の世界に入り込んでしまう人なんですよね。その彼女が、周りのエネルギッシュな人たちから力をもらい変化していく。そういう共演の方がたとのお芝居の中で生まれる反応を大事にしていました」その中でも最も大きく反応するのが、人生を変えた『光のヨスガ』の監督である王子千晴だ。「瞳にとっての神様ですから、最初に王子を演じる中村倫也さんに会ったとき、うまく会話ができなかったんです。あまりに王子然としているから、ずっと緊張していたし。なのにご本人は、気にせず他愛もない話をしてこられるから感情が追いつかない…みたいな」吉岡さんには、瞳にとっての王子のように強く影響を受けた存在はいるのだろうか。「毎現場毎現場、そういう人だらけの世界なので、いつも身の引き締まる思いです」劇中、県庁勤めからアニメ業界に転職してきた瞳に投げかけられる言葉がある。「どうしてこの業界に入ったんですか?」という問いを吉岡さんにぶつけてみる。「もともと京都の太秦の近くに住んでいたこともあり、撮影所でエキストラが足りないから来てほしいと頼まれて、アルバイトに行ったことがあったんですね。そのとき、こんなに大勢の人で一瞬のシーンを撮っているということに衝撃を受けて、すっごくドキドキと感動が止まらなくなってしまいました。あれは完全に恋に近いトキメキだったと思います。それで、養成所に通ったり小劇場の舞台に出たり、仲間と一緒に映画を撮ったりするうちにプロの世界に入った感じです」そうやって好きなものに夢中になっている最中に、俳優の道へと人生を大きく決定づけるような作品に出合う。「エキストラで知り合った友達が出てるからとチケットをもらって、つかこうへいさんの作品を上演している学生劇団の舞台を観に行ったんです。そこで上演されていた『蒲田行進曲』と『銀ちゃんが逝く』が本当に衝撃的で、あれが本格的に演劇やお芝居に興味を持ったきっかけだったので、人生を変えてくれた作品というと、それかもしれません。自分のプロフィール写真を撮影した瞬間から、俳優としてちゃんと誇りを持ってやろうと心に決めていたんです。ただ、これを糧に生きていこうという覚悟をちゃんと持てたのは、朝ドラ(『あさが来た』)に出られたことが大きいです。それまでは、家族も友達も本当に私が俳優でやっていくなんてあまり信じていなくて、どこかで諦めて辞めるだろうって思っていたと思います。でも朝ドラに出演したら反応が変わったんですよね(笑)。本当に俳優をやっていきたいのね、と」取材の中で発せられる言葉の数々から見えてくるのは、吉岡さんの高いプロ意識だ。「撮影現場で見せる芝居ももちろんですが、その前段階も含めて、私は仕事だと思っています。出演が決まってから本番までの間に、どれくらい準備して、どれだけ熱量を持って臨んだかが、自分の中では大事なことなんです。作品や役のために費やした時間は、必ず作品として昇華されることを、この仕事を何年もやってきてわかっているからこそ、やれるところまでやってみようって気持ちになるんですよね」そんな吉岡さんだからこそ、自分の仕事に対して強いこだわりを持ち、いい作品にするために時間も労力も惜しまず情熱を捧げる『ハケンアニメ!』の登場人物たちの姿は、深く心に刺さったよう。「働くってベースが大変なことじゃないですか。この作品には、自身の喜びだったり、業界に貢献したいというエネルギーを持って働いている人たちがたくさん出てきます。損得勘定なく、ただ面白いものを作るために働く姿を、シンプルにかっこいいと思いました。何よりグッときたのは、ひとりでは難しいことも、ひとりひとりの才能を少しずつ集約させることで実現できて、とんでもないものが完成して、それがちゃんとたくさんの人の元に届くっていう現実。そこに感動したし、今自分が仕事をしている理由もまさにそれなんですよね。だからこそ、この作品に出演できてよかったし、この映画が世に送り出されてよかったなと思います」映画『ハケンアニメ!』新人アニメ監督・斎藤瞳を吉岡里帆、彼女を振り回すプロデューサー・行城理を柄本佑、天才監督・王子千晴を中村倫也、王子に振り回されるプロデューサー・有科香屋子を尾野真千子が演じる。この2組、覇権を取るのはどっち!?監督/吉野耕平脚本/政池洋佑出演/吉岡里帆、中村倫也、柄本佑、尾野真千子ほか5月20日より全国公開。©2022 映画「ハケンアニメ!」製作委員会よしおか・りほ1993年1月15日生まれ、京都府出身。現在、出演する蜷川実花監督の映画『ホリックxxxHOLiC』が公開中。7月にはパルコ劇場にて、初の単独主演を務める舞台『スルメが丘は花の匂い』も控えている。ドレス¥59,400パンツ¥61,600(共にMM6 Maison Margiela/マルジェラ ジャパン クライアントサービス TEL:0800・000・0261)※『anan』2022年5月18日号より。写真・MELON(TRON)スタイリスト・Maki Marukoヘア&メイク・北原 果(KiKi. inc)文・望月リサ(by anan編集部)
2022年05月15日直木賞作家・辻村深月の人気小説を原作に、アニメ制作に携わる人々のドラマを描き出す映画『ハケンアニメ!』の試写会が5月8日(日)に都内で開催。エッセイストの犬山紙子が上映後のトークイベントに登壇した。映画ライターのSYOをMCに迎えて行なわれたこちらのトークイベント。犬山さんは、辻村さんによる原作小説も愛読していたということで「辻村先生にしか描けない、解像度の高い、フィクションを愛する者の叫びをどう描くんだろう? というのが最初、この映画で気になる点でした」と原作を愛するがゆえの映画鑑賞前の気持ちを明かしたが、実際に完成した映画を観て「最っ高でした!」と手放しで絶賛する。特に中村倫也が演じる“天才監督”王子がアニメイベントで自身も含めたアニメを愛する“オタク”への思いをまくし立てるシーンに触れ「あのシーンこそ、辻村先生の叫びなんじゃないかと。私も二次元を愛する人間として、金言のように受け取りました。中村さんの愛のこもった、魂のこもった演技で、セリフじゃなく『あ、本当に愛してる人が語ってる言葉だ!』と伝わってきました。私も『幽 遊 白書』の飛影だったり、『テニプリ(『テニスの王子様』)』の跡部様が心のよりどころの学生時代を送ったので、その私を不幸だったなんて言わせないと代弁してくれました」と感謝の思いを口にする。犬山さんが学生だった頃は“オタク”という言葉には現在よりもネガティブなイメージが色濃くあり、二次元やフィクションを愛するということに対し「生産性のない趣味」「現実がイヤだから、そういうものにハマるんでしょ?」などと偏見に満ちた心ない言葉を掛けられることも多かったという。「『二次元のキャラクターが好きなんて、実際に恋愛したら治るよ』と病気のように言われることもありましたが、そういう気持ちを作る側の立場からすくってくれる言葉でした」と熱く語る。映画の中では傍から見ればキラキラと輝いて見えるクリエイターたちの裏での苦労、“生みの苦しみ”もしっかりと描かれており、犬山さんも心打たれた様子。「『ゼロから(作品を)生み出すプレッシャーと言ったら…かじりついて書くしかないんだよ』というセリフも、辻村さんが小説を書くにあたって思っていることなんだろうなと。私も最近、気づいたんですが、原稿を書いていて行き詰ると、指毛をむしっているんです(苦笑)。裏側って見せられるようなもんじゃないんですよね。そこがしっかりと描かれていましたね」とうなずく。これまで数多くの漫画やアニメに救われてきたという犬山さん。「私の場合、好きな作品ができると、心にそれ専用の“部屋”ができるんです。小6で飛影に恋して『幽 遊 白書』の部屋ができたんですが、新しく別の作品を好きになっても、その部屋がなくなるわけではなく、永久に部屋が増え続けて、それらの部屋が集合体として私の中で聖域のような場所として作用するんです。『幽 遊 白書』が好きで、次に『テニプリ』が好きになって、『ハイキュー!!』、『ワールドトリガー』が好きになって、最近ではソシャゲなんですけど『魔法使いの約束』という作品がシナリオがすごくよくて…!どの部屋も私のよりどころとして存在していて、王子監督が話したように、もちろん現実逃避の側面もあるかもしれませんが、今を生きるために『あ、いまちょっとしんどい』とか『いま、あの作品の力を借りなきゃ』という時に、ドアをノックして、そこで少し休んで力をもらって、また出てくるみたいな“無敵の味方”のような存在なんです」と明かす。「好きを、つらぬけ。」というのは本作のキャッチコピーだが、まさに自身の中の「好き」を貫き続けた結果として“いま”があるとも。エッセイスト、漫画家として活躍するが「いま、ここでこうやってお話をさせてもらえていること自体、『好き』を貫いた先にあったことだと思います」と語り、子どもの頃から好きだったという「ちびまる子ちゃん」やその作者であるさくらももこのエッセイを読んだり、アニメ『耳をすませば』を見て、主人公・雫に対し「これは私のことでは?」と自らを重ねながら「学生時代から何かを描きたいという思いはずっと持っていた」とふり返る。「最初は編集者として雑誌を作ってたんですが、母の介護に回らなくちゃいけなくなって、でも家で介護しながらでも、何かを書くことができるんじゃないか?と夢は捨てなかったので、やはり『好き』という原動力に助けられてきたという思いはありますね」と語った。監督、アニメーター、プロデューサー、聖地巡礼を盛り上げようとする公務員など、アニメに携わる“仕事人”たちの姿を余すところなく描く本作。「監督だけでなく、スタッフみんなでアニメを作り上げてるんだということが伝わってくる。それって本当に尊い。全員が主役として、誇りをもって仕事をやっている“お仕事映画”であり、どの人にフォーカスを当ててもカッコいい!」と映画がひとりひとりの登場人物を丁寧に描いている点にも称賛を送る。そんな、数多くの魅力的な登場人物たちの中で、犬山さんが特に「グッと来たし、共感ポイントも多かった」というのが、尾野真千子が演じた、王子監督を支えるプロデューサーの香屋子。特に香屋子と吉岡里帆が演じる瞳がジムで顔を合わせ、一緒に銭湯に浸かるシーンに言及。「ライバルなんだけど、2人ともそこで力を得て、現場に戻っていくあの感じ――女性の描き方にシスターフッドをしっかりと感じました。(香屋子の)アニメ好きで一本、真っ直ぐな感じも好きです」と語る。映画を観終えたばかりの観客に向けての「もう一度、本作を見る際の注目ポイント」を尋ねると、犬山さんは「王子監督が瞳に対してもちゃんとリスペクトを持っているということ。ライバルとはいえ、面白いものを作る人へのリスペクトが互いにあって、それは香屋子と瞳もそうで、その描き方が美しいです」と語る。さらに、先述のアニメイベントのシーンに再び言及し「辻村先生が魂を込めて書かれたセリフを王子や瞳がドッと吐露するところに役者さんの魂も乗っています。原作の良さと映画の良さが見事に掛け算されている、後世に残る名シーンになっている。フィクション好きとして、私のように二次元のキャラクターを愛し、フィクションに救われた人間にとって、その気持ちをすくってくれるようなシーン。そのうち、DVD化されたら、しんどい時に見たいです。『ハケンアニメ!』の“部屋”ができました」と熱い思いを語ってくれた。『ハケンアニメ!』は5月20日(金)より公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ハケンアニメ! 2022年5月20日より全国にて公開©️2022 映画「ハケンアニメ!」製作委員会
2022年05月08日直木賞&本屋大賞受賞作家辻村深月の大人気小説を映画化した『ハケンアニメ!』の新予告が公開された。世界中が注目する日本のアニメ業界を舞台に、最も成功したアニメの称号=「ハケン(覇権)」を手にすべく奮闘する者たちの姿を描いた、“胸熱”お仕事ムービー 『ハケンアニメ!』。一世一代の大チャンスを掴んだ新人アニメ監督・斎藤瞳を吉岡里帆、彼女のライバルとなる天才ワガママ監督・王子千晴を中村倫也、瞳を振り回す掴みどころのない超クセ者プロデューサー・行城理を柄本佑、王子の才能に人生を懸ける作品命のプロデューサー・有科香屋子に尾野真千子と、実力派俳優陣が集結している。監督は、『水曜日が消えた』の吉野耕平。さらに劇中アニメの制作には、『攻殻機動隊』シリーズなどで知られるProduction I.Gをはじめ、日本を代表するアニメプロダクションやトップクリエイター陣が参加し、老舗アニメ制作会社・東映アニメーションが監修を手がけている。一足先に行われた試写会では、“好き”を貫こうと奮闘する瞳たちの姿に共感し、思わず熱い涙を浮かべる人が続出。胸熱度99.9%、満足度97.3%、オススメ度100%(3月25日実施:スニークプレビュー試写会調べ)という驚異の数値をたたき出し、SNS上でも「新たな傑作お仕事ムービーの誕生」「アニメにかける情熱や鬼気迫る死闘に圧倒された」「ものづくりの本気が詰まっていて見応え満載」「今年ベスト候補!」と興奮の声が続々と上がっている。いよいよ今月の劇場公開に向け、本作が描くアニメ作りに愛と情熱を注ぐ “仕事人”たちの想いを体現した新予告〈アニメは世界を変える編〉が到着した。かつて王子監督の作品に魅了され、「アニメは魔法を超える力を与えることができる」ことを知り、「誰かの力になるアニメを作るため」にアニメ監督の道を歩んできた瞳。観る人の心に生き続け、世代を超えて、今へと繋がっていく。アニメの素晴らしさ物語るように映し出されるのは、『白蛇伝』(1958 / 監督・脚本:藪下泰司)、『わんぱく王子の大蛇退治』(1963 / 監督:芹川有吾 / 脚本:池田一朗、飯島敬)、『長靴をはいた猫』(1969 / 監督:矢吹公郎 / 脚本:井上ひさし、山元護久)、『太陽の王子ホルスの大冒険』(1968 / 監督:高畑勲 / 脚本:深沢一夫)、『一休さん(第一話)』(1975 / 監督:今沢哲男、矢吹公郎 / 脚本:辻真先)、『おジャ魔女どれみ(第一話)』(1999 / 監督:佐藤順一 / 脚本:栗山緑)、『ふたりはプリキュア(第一話)』(2004 / 監督:伊藤尚往 / 脚本:川崎良)と新旧の名作アニメの数々。東映動画から東映アニメーションと、脈々と受け継がれる実在の名作とのコラボレーションにより、アニメがもたらす奇跡を体現した、まさに本作ならではのスペシャル映像に仕上がっている。本映像には、アニメ監督やプロデューサー、制作現場のクリエイターや声優など、豪華キャスト演じる、アニメ作りを支えるさまざまな職種の人々が登場。「誰かの胸に刺さってくれればいい」という一心でアニメを作り続ける新人監督・瞳、「納得できないものを世に出したらおしまいなんだよ」と産みの苦しみと戦う天才監督・王子、「一つの後悔もない作品を届けたいんです」と頭を下げるチーフプロデューサー・香屋子、「リアル以外の場所も豊かにするのが、私たちの役目ですから」と筆を動かすアニメーターの和奈(小野花梨)、「私たちは負けない、絶対に!」と自らの感情をセリフに込めるアイドル的人気声優・葵(高野麻里佳)。本物さながらの臨場感溢れる制作現場を舞台に、立場も経験も違えど、それぞれに信念とプライドを持ってアニメ作りに挑み続けるプロフェッショナルたち。彼らの心情とリンクしながら次第に完成へと近づいていく、ハイクオリティな2本の劇中アニメ『サウンドバック 奏の石』と『運命戦線リデルライト』も必見だ。「届けよう」とする人々の熱い想いによって作り出されるアニメの絶大な力、何より自分自身の“好き”なものに対して、妥協せず真っ直ぐに向き合う彼らの姿には、日々を懸命に生きる誰しもが共感すること間違いなし。「ハケン(覇権)」の称号をかけたバトルの裏に待ち受ける、胸熱すぎるドラマに期待が高まる。《あなたの心に残るベストアニメ投稿キャンペーン》「アニメは世界を変える。」そんなメッセージを含んだ本作ならではの投稿キャンペーンとして、4月28日から「あなたの心に残るベストアニメ投稿キャンペーン」の募集が開始。開始するや否や、数々の名作アニメの名前が投稿され、現在投稿数はなんと1,254件(※5月1日時点)。アニメによって多くの人がその人生に影響を受けたことがわかる。また、本作の感想投稿キャンペーンでは4月14日の完成披露上映会以降、既に試写会にて本作を鑑賞した感想も次々と集まり続け、現在集まった感想は1,081件(※5月1日時点)。アニメ業界や映像業界、メディアに働く人のみならず、日々を懸命に生きる誰しもが、共感できることが裏付けされている。感想&ベストアニメ投稿キャンペーン: 『ハケンアニメ!』5月20日(金)より公開
2022年05月02日辻村深月の小説を映画化した、アニメーション業界が舞台のお仕事ムービー『ハケンアニメ!』。この度、本作の新予告<アニメは世界を変える編>が、6月30日(木)までの期間限定で公開された。本作は、最も成功したアニメの称号=「ハケン(覇権)」を手にすべく、奮闘する者たちの姿を描く物語。同職業の人々のみならず、日々を懸命に生きる誰しもが共感できるストーリーとなっている。今回公開された映像は、アニメーション作りに愛と情熱を注ぐ仕事人たちの思いを体現。その素晴らしさを物語るように、「一休さん」「おジャ魔女どれみ」「ふたりはプリキュア」など、名作が次々と映し出される。そして「誰かの胸に刺さってくれればいい」という一心で作り続ける瞳(吉岡里帆)、「納得できないものを世に出したらおしまいなんだよ」と産みの苦しみと戦う天才監督・王子(中村倫也)、「一つの後悔もない作品を届けたいんです」と頭を下げるチーフプロデューサー・香屋子(尾野真千子)、「リアル以外の場所も豊かにするのが、私たちの役目ですから」と筆を動かすアニメーターの和奈(小野花梨)など、それぞれに信念とプライドを持ってアニメーション作りに挑み続けるプロフェッショナルたちの姿にグッとくる映像となっている。『ハケンアニメ!』は5月20日(金)より全国にて公開。(cinemacafe.net)■関連作品:ハケンアニメ! 2022年5月20日より全国にて公開©️2022 映画「ハケンアニメ!」製作委員会
2022年05月02日映画『ハケンアニメ!』(5月20日公開)の完成披露試写会が14日に都内で行われ、吉岡里帆、中村倫也、尾野真千子、吉野耕平監督、辻村深月、柄本佑(映像出演)が登場した。同作は辻村深月による同名人気小説の実写化作。アニメ業界に飛び込んだ斎藤瞳(吉岡)は、監督デビュー作で憧れのスター監督・王子千晴(中村倫也)と最も成功したアニメの称号=覇権を争うことに。天才として名を馳せる王子は、プロデューサー・有科香屋子(尾野真千子)とタッグを組み8年ぶりに監督復帰を果たすことになっており、瞳はクセ者プロデューサー・行城理(柄本佑)や個性的な仲間たちと共に、汗と涙と鼻水にまみれ、アニメの頂点=ハケンアニメの称号を手にすべく奮闘を重ねる。原作者の辻村は、主演の吉岡について「映画を観る時に『吉岡里帆の映画を観るんだ』と思って観初めて、開始2分で吉岡さんだってことをわすれるくらい『瞳だ』と思ったんです。瞳の表情だし、怒り方だし、私の描いた瞳が成長していく」と絶賛。「吉岡さんの中に怒りや喜びの演技がたくさんある中で、瞳だからこういう表情をするというものを全部演じてくださっていて、こんな幸せなことがあっていいのかなと思いました」と感謝する。それを受けた吉岡は「本当に感謝しかないですし、初めて原作を読ませていただいて、自分がこの仕事をしていて心が折れそうになる瞬間とか、どうすればいいんだろうとずっと悩んでいたことの解決方法を作品が言ってくれてる。『もっと自分のこと信じていいんだよ』と背中を押されて、不安だった気持ちがほぐれていくのを感じました」と感動を表す。「瞳を演じて、みんなで1本の作品を作ると言う行為と本編でアニメを作る思いが重なって、人に映画館で見ていただける幸せを感じたし、好きなものがあればどんな状況でも頑張れるっていただいたので、これからの人生にとってもお守りになる作品になりました」と作品への思い入れを明かした。その熱量で、吉岡は「好きなものを貫く愛で溢れています。作品に思いを閉じ込めています。何かに一生懸命になったけど挫折したり悩んだりしたことのある方、そのもう少し先の希望的なメッセージが伝わってくるんじゃないかと信じています。みなさんにどうか刺さりますように」と客席に語りかけ、拍手が起きる。しかし尾野がアクリル板越しに何かを伝え、吉岡は「あっごめんなさい! もう一つだけ! すいませんうっかりしてた!」と動揺する事態に。吉岡は「この映画、エンディングを見切って最後まで観ていただきたいです。『これを言ってください』と言われてたのに忘れてた! ラスト素晴らしいオチが……オチがというか、言ったらダメなんです! もう、どうしたらいい!?」とパニック状態。「最後まで観ていただけたらわかると思います。記事に書いていただいた方も最後まで見るように書いていただけると助かります」と懇願していた。
2022年04月14日映画『ハケンアニメ!』(5月20日公開)の完成披露試写会が14日に都内で行われ、吉岡里帆、中村倫也、尾野真千子、吉野耕平監督、辻村深月、柄本佑(映像出演)が登場した。同作は辻村深月による同名人気小説の実写化作。アニメ業界に飛び込んだ斎藤瞳(吉岡)は、監督デビュー作で憧れのスター監督・王子千晴(中村倫也)と最も成功したアニメの称号=覇権を争うことに。天才として名を馳せる王子は、プロデューサー・有科香屋子(尾野真千子)とタッグを組み8年ぶりに監督復帰を果たすことになっており、瞳はクセ者プロデューサー・行城理(柄本佑)や個性的な仲間たちと共に、汗と涙と鼻水にまみれ、アニメの頂点=ハケンアニメの称号を手にすべく奮闘を重ねる。中村、尾野、柄本との共演を前に緊張していたという吉岡は「ストイックというか、怒ったら怖そうだなみたいなのとか。尊敬してる先輩方なので畏怖の念があったんですけど、3人ともめっちゃ三枚目で驚愕でした。ずっと面白いこと言ってる」と明かす。同作の撮影後、改めて舞台で吉岡と共演した中村は、映画の現場では「仲良くなれないと思った」と言われたそうで、吉岡は「それ言うの、ほんとやめてください」と苦笑しつつ、「フランクに話してくださるんですけど、王子として見ているので緊張感があるんですよ。でも(中村が)ふざけて話すから、距離感がわからなくて、そんな感じでした」と言い訳。中村は「それを言ってくれるくらいすっかり仲良くなったということで」とまとめた。尾野は吉岡について「もうちょっと堅い人かと思ってたんです、里帆ちゃんのこと。ビシッみたいな感じのイメージがあったんですよ。だけど『グミ食べます?』って、何種類も出てくるの」と撮影現場の様子を振り返る。吉岡は「グミ、すっごい好きで。尾野さん優しいし大好きになって、好きな人にグミ食べさせたいと思って持ってっていっぱい渡したんですけど、尾野さんはあんまりグミ得意じゃなかったぽくて、『そんなグミ食べるのやめなよ』と言われた」と一方通行。最後には吉岡が尾野に干し梅をあげたというが、中村は「もちろんもらってないですよ。見たこともないですよ」と憮然としていた。この日は途中から原作の辻村も登場し、作品を絶賛。中村については「すごく癖のある天才監督という設定、天才と言われながらその裏にいろんなことを持ってる人で、プロデューサーさんから『誰か希望はありますか』と聞かれた時に『叶うかどうかわからないけど中村倫也さんが演じてくださったらすごく嬉しいです』と伝えていて、1人で部屋で『やったー!』って叫んだんです」と語る。また「これだけは負けない、覇権を取れること」というトークテーマでは、中村が「この後フォトセッションといって写真を撮っていただいて、奥のムービーのカメラに向かって手を振ってくださいと言われ、各番組やWebサイトに載せる用の映像になるんですけど、そこのムービーさんのカメラに対する手を振る時のスマイル、これが覇権を獲れるんじゃないかと」と自信を見せる。「このあとやるので、これ覇権獲れるわって笑顔だったら溢れんばかりの拍手、おひねりなどお願いしますね」と客席に懇願し、実際に満面の笑みで手を振ると、大きな拍手が起こっていた。
2022年04月14日『ハケンアニメ!』のスピンオフ集『レジェンドアニメ!』について、作者の辻村深月さんにお話を聞きました。『ハケンアニメ』から『レジェンドアニメ』へ、出会った人たちが一緒に大きくしてくれた。「『ハケンアニメ!』を書き終えてから、スピンオフをいつかまた書きたいと言い続けていました。小説のご依頼が来るたびに、その機会を探っていたのですが、そうやって書いてきたものが形になって、しかも映画の公開のタイミングで送り出すことができて、とても嬉しいです」アニメ業界で働く人々の奮闘を描きanan連載時から反響を呼んだ辻村深月さんの『ハケンアニメ!』。連載スタートから10年の時を経て、実写映画版が公開されるのに先立ち、スピンオフ集『レジェンドアニメ!』がリリース。天才監督と称される王子千晴、デキるプロデューサーの有科香屋子、新人監督・斎藤瞳などハケン(覇権)を取るためにしのぎを削った面々の、ときに意外で、ときに納得しかない過去や未来のエピソードを楽しめる。「最初に書いた『九年前のクリスマス』と『夜の底の太陽』は、『ハケンアニメ!』を一緒に送り出してくれたananチームの人たちが、『こういう話が読みたい!』と言ってくれたのがきっかけになっています。私にはない発想でしたが、書いてみると『ハケンアニメ!』の裏で起こっていたとしか思えないような話になっていて。いろんな立場の人が集団でクリエイトするところに惹かれ、アニメ作りを小説の題材に選んだのですが、多くの人が関わるからこそ余白の部分がこんなにもあったことを『レジェンドアニメ!』を書きながら実感しました」王子の新人時代を描いた「音と声の冒険」は、彼の恩人であるベテラン音響監督・五條とのやり取りとともに、音響監督というアニメを見る側からは一見イメージしにくい仕事についても掘り下げている。余白から、スピンオフとしてはもちろん、独立した短編としても楽しめるほど豊かな物語を生み出すことができるのは、辻村さんのアニメに対する思いの“深化”もあるからだろう。「『ハケンアニメ!』は、ただただアニメが大好きで書いたのですが、その後、『映画ドラえもん』の脚本をやらせてもらうなど、制作に関わる機会がいくつかありました。そういった現場に行くと、私が小説で書いたことを本当にやってる!と嬉しくなって(笑)。登場人物たちの気持ちに沿って言わせていたセリフのなかにも、あとから知る感情などがいっぱいあって、なかでも音の現場により惹かれたんです。特に音全般を見る音響監督は、直接声を吹き入れたり、作曲をするわけじゃなくても、その仕事にかなり個性が出るし、経験を積まないとできない仕事なのだろうなと思いました。それを五條で描くのであれば、若いときの社会性ゼロな王子も描いてみたいと思ったのですが、私も30代から40代になったことで下の世代を見る目が変わったと思うんですよね。だから前作で五條と王子の関係をもっと書いていたら、こうはなっていなかったかもしれないし、私自身の仕事観が変わったからこそ、今回書けた人たちもたくさんいると感じています」一方、連載終了直後から辻村さんが温めてきたテーマのひとつが、今回書き下ろした「ハケンじゃないアニメ」。その期一番とされる「覇権アニメ」を争うフィールドにはいないものの、誰もが必ず通ってきたような長寿アニメを作る現場の話だ。「これも『ドラえもん』のスタッフのみなさんと会って、次に向けてバトンを渡していく姿を見られたことで、出てきた発想でした。『名探偵コナン』の元企画プロデューサーの諏訪(道彦)さんに取材を受けていただいたことも大きかったですね。『コナン』はこれまで何回も覇権を取っている作品ですし、アニメを長く続けていくことは継承なのだと感じることができました。この10年でアニメを取り巻く状況も変わってきているので、当初は瞳も王子も出てこない次世代の話を書くべきなのかなと思っていました。だけどその傍らで続いてきたものを書くことにこそ、意義を感じたんです」「ハケンじゃないアニメ」に登場するのは、『お江戸のニイ太』という30周年を迎える国民的アニメ。プロデューサーの和山は、『ニイ太』のように安定を求められる制作現場でモチベーションを保つ難しさを感じていた。そんななかOPアニメを担当することになったのが、旬の監督と目される斎藤瞳。しかし和山の過度な期待とは裏腹に、瞳は『ニイ太』をほとんど知らないことが判明。「『ハケンアニメ!』はアニメ愛の話だと、私自身も言ってきたのですが、だからといって愛を言い訳にするのもカッコ悪い。愛情とか自分の思い出などには寄りかからない仕事のしかたを、瞳を通して描いてみたかったんです。愛を押し出して仕事をするやり方ではないけれど、作品やファンに対して敬意を持っている瞳が、長く続いているアニメの現場にゲストとして加わることで、見えてくるものもあると思うのです」辻村さん自身は、愛と敬意の両方を持って仕事をする人であることを窺えるエピソードがもうひとつある。『ハケンアニメ!』は2019年に舞台化されているのだが、舞台オリジナルのキャラクターが『レジェンドアニメ!』に登場しているのだ。「私が描ききれなかったアニメーターの感情の機微などまで、原作という設計図通りに表現してくださっていたので、そのときすでに構想していた短編『次の現場へ』に彼らにも“出演”してもらいたくなって。同じように、今度は映画を通して書きたくなるものが、きっとまた出てくるんでしょうね」『ハケンアニメ!』から『レジェンドアニメ!』へ。チームで進めるアニメ制作に対し、小説の執筆は孤独な作業といえるが、辻村さんが抱いている本作の印象はちょっと違う。「自分が書いた話ではあるんですけど、取材させてもらった人が共に大きくしてくれた話なんですよね。しかも映画になることで、旅の仲間がさらに増えていく感じがあって、その人たちからもらった影響が、また原作に返ってくる。10年前、心細い気持ちで最初の取材をさせてもらったクリエイターの方たちが、今回、劇中アニメの制作に関わってくれているのも感無量です。とても幸運な小説だと思っています」辻村深月『レジェンドアニメ!』いつかの仲間がライバルになり、その逆もしかりのアニメ制作現場。おなじみのキャラクターの別の一面を楽しみつつ、再び熱い思いが湧き上がる。書き下ろしを含む6作品を収録。3月3日発売。マガジンハウス1760円辻村深月『ハケンアニメ!』アニメ業界の舞台裏を描いたお仕事小説。『レジェンドアニメ!』を読んでから再読すると、また発見が!マガジンハウス968円5月20日公開!映画『ハケンアニメ!』も待ちきれません!アニメの力を信じ、チャンスを掴んだ新人監督・斎藤瞳を吉岡里帆、彼女を振り回すプロデューサー・行城理を柄本佑、崖っぷちに立たされた天才監督・王子千晴を中村倫也、王子の才能に人生を懸けるプロデューサー・有科香屋子を尾野真千子が熱演。彼らが作る劇中アニメ『運命戦線リデルライト』と『サウンドバック 奏の石』のプロットを辻村さんが手がけ、制作にはProduction I.Gをはじめ、日本を代表するトップクリエイターが参加。声優陣も豪華!監督/吉野耕平脚本/政池洋佑出演/吉岡里帆、中村倫也、柄本佑、尾野真千子ほか5月20日より全国公開。©2022 映画「ハケンアニメ!」製作委員会つじむら・みづき小説家。2004年、「冷たい校舎の時は止まる」でデビュー。’12年『鍵のない夢を見る』で直木賞受賞。’18年『かがみの孤城』で本屋大賞を受賞。近著に初の本格ホラーミステリー長編『闇祓』。※『anan』2022年3月9日号より。写真・土佐麻理子(辻村さん)中島慶子(本)インタビュー、文・兵藤育子(by anan編集部)
2022年03月07日辻村深⽉の⼩説『かがみの孤城』がアニメ映画化。2022年12月23日(金)に公開される。ベストセラー小説『かがみの孤城』をアニメ映画化『かがみの孤城』は、累計発⾏部数160万部を突破している直⽊賞作家・辻村深⽉のベストセラー⼩説。本屋⼤賞15年間の歴史の中で歴代最多得票数を獲得し、2018年本屋⼤賞を受賞した人気作だ。2019年にはコミカライズ、オーディオブック化、2020年には舞台化されるなど様々なコンテンツで注目を集めている。そんな『かがみの孤城』がアニメ映画化。青春期独特の繊細な感情や感性をリアルに描いたファンタジーミステリーが、アニメーションとしてスクリーンに映し出される。<アニメ映画『かがみの孤城』あらすじ>学校での居場所をなくし、部屋に閉じこもっていた中学生・こころ。ある日突然部屋の鏡が光り出し、吸い込まれるように中に入ると、そこには不思議なお城と見ず知らずの中学生6人が。さらに「オオカミさま」と呼ばれる狼のお面をかぶった女の子が現れ、「城に隠された鍵を見つければ、どんな願いでも叶えてやろう」と告げる。期限は約1年間。戸惑いつつも鍵を探しながら共に過ごすうち、7人には一つの共通点があることがわかる。互いの抱える事情が少しずつ明らかになり、次第に心を通わせていくこころたち。そしてお城が7人にとって特別な居場所に変わり始めたころ、ある出来事が彼らを襲う―。果たして鍵は見つかるのか? なぜこの7人が集められたのか? それぞれが胸に秘めた〈人に言えない願い〉とは?すべての謎が明らかになるとき、想像を超える奇跡が待ち受ける―。直木賞作家・辻村深⽉が原作者原作者の辻村深⽉は、2004年『冷たい校舎の時は⽌まる』でデビュー。映画化もされた『ツナグ』で第32回吉川英治⽂学新⼈賞、『鍵のない夢を⾒る』で第147回直⽊賞を受賞。⽇本アカデミー賞を含め多数の賞を受賞した『朝が来る』や、2022年5⽉に劇場公開となる『ハケンアニメ!』など、これまでにも数々の作品が映画化されている人気作家だ。當真あみが主人公の声に&北村匠海、宮﨑あおいら豪華キャストも『かがみの孤城』の主人公・こころの声を演じるのは、當真あみ。話題の新人女優が抜擢された。また、北村匠海、宮﨑あおいをはじめ、吉柳咲良、板垣李光人、横溝菜帆、高山みなみ、梶裕貴、麻生久美子、矢島晶子、美山加恋、池端杏慈、吉村文香といった豪華俳優陣・声優陣も集結。■主人公・こころ…當真あみ学校での居場所をなくし部屋に閉じこもっていた中学生。■リオン…北村匠海サッカーが得意で、誰にでもフラットに接する爽やかな少年。■アキ…吉柳咲良しっかり者で、皆のお姉さん的な存在。■スバル…板垣李光人飄々とした、どこか浮世離れした雰囲気の少年。■フウカ…横溝菜帆幼少時から生活全てをピアノに費やす眼鏡女子。■マサムネ…高山みなみゲーム好きな皮肉屋。■ウレシノ…梶裕貴恋愛気質で惚れっぽく、マイペース。■こころの母…麻生久美子■喜多嶋先生…宮﨑あおいこころを優しく見守るフリースクールの先生。■オオカミさま…芦田愛菜オオカミのお面を被った謎の少女。「鏡の中の城」にこころを含めた中学生7人を集める、物語の鍵となる人物。■伊田先生...藤森慎吾こころの担任教師。■養護の先生...滝沢カレンこころが通う中学校の養護の先生。監督は原恵一『かがみの孤城』のアニメ映画化を手掛けるのは、“泣けるアニメーション”の名手と称される原恵一監督。『映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』『河童のクゥと夏休み』『カラフル』『百日紅~Miss HOKUSAI~』などを代表作に持ち、2018年には高畑勲、大友克洋に続き、アニメーション監督では3人目となる紫綬褒章を受章するなど、国内外で高い評価を得ている。また、制作は『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない』『心が叫びたがってるんだ。』など、名作青春アニメを多数世に送り出してきたA-1 Picturesが担当する。主題歌は優里による書き下ろし「メリーゴーランド」映画『かがみの孤城』の主題歌は、優里による書き下ろし楽曲「メリーゴーランド」。優里初の映画主題歌となる。優里は「メリーゴーランド」について、「この曲がみなさんの"一人じゃない"未来に寄り添っていけたら嬉しいです」とコメントを寄せた。日本アカデミー賞 優秀アニメーション作品賞受賞第46回 日本アカデミー賞にて、映画『かがみの孤城』が優秀アニメーション作品賞を受賞。2023年3月10日(金)に開催予定の第46回 日本アカデミー賞 授賞式にて最優秀賞が発表される。【詳細】アニメ映画『かがみの孤城』公開日:2022年12月23日(金)原作:辻村深⽉『かがみの孤城』(ポプラ社)監督:原恵一〈声の出演〉出演:當真あみ、北村匠海、吉柳咲良、板垣李光人、横溝菜帆、高山みなみ、梶裕貴、麻生久美子、宮﨑あおい、矢島晶子、美山加恋、池端杏慈、吉村文香、芦田愛菜、藤森慎吾、滝沢カレン配給:松⽵アニメーション制作:A-1 Pictures
2022年02月27日直木賞作家・辻村深月による人気小説を主演・吉岡里帆をはじめ、中村倫也、柄本佑、尾野真千子といった実力派俳優陣で映画化する『ハケンアニメ!』公開初日が5月20日(金)に決定。併せて、劇中アニメに出演する超豪華声優陣が解禁され、実写パートにも出演していることが分かった。本作の大きな見どころの1つが、劇中でハケン(覇権)を争うハイクオリティなアニメーション。吉岡さん演じる瞳が監督する『サウンドバック奏の石』(以下『サバク』)と、中村さん演じる王子が監督する『運命戦線リデルライト』(以下『リデル』)の2作品だ。すでに、「群野葵」というアイドル的人気声優という役柄で、声優・高野麻里佳が実写映画初出演を発表しているが、そのほか劇中アニメの声優陣にも錚々たるトップ声優が集結。さらに一部の出演者は、実写パートでも“声優役”として出演するなど、アニメ制作現場のリアリティを、一切の妥協なく描いている。『サウンドバック奏の石』『サバク』にて、トワコたちと共にロボット「サウンドバック」に乗って戦う、どこか影のある少年リュウイチに、「進撃の巨人」のエレン・イェーガー役の梶裕貴。同じく彼らの仲間で、熱血漢の少年タカヤ役には、「HUNTER×HUNTER」ゴン=フリークス役などで知られる潘めぐみ。ヒロイン・トワコの妹にしてしっかり者の少女マユに、「スター☆トゥインクルプリキュア」フワ役などの木野日菜。音を吸収してロボットに変形する謎の「奏の石」役に、「ヒプノシスマイク」の神宮寺寂雷役などの速水奨が決定。実力派声優たちによって命を吹き込まれた、王道ジュブナイルロボットアニメに期待が高まる。『サウンドバック奏の石』対する『リデル』では、行方不明の妹を探す主人公の魔法少女・充莉に、「Re:ゼロから始める異世界生活」エミリア役などで知られる高橋李依。1話1歳ずつ年を重ねる「成長するヒロイン」を演じている。ライバルの謎めいた魔法少女・清良には、「PSYCHO-PASSサイコパス」常守朱役などの花澤香菜。『運命戦線リデルライト』充莉に「運命を変える力」を与えるマスコットキャラクターのデルに、「魔法つかいプリキュア!」キュアマジカル役などの堀江由衣。文学好きな魔法少女・詩織に、「銀魂」猿飛あやめ役などの小林ゆう。充莉の親友にして魔法少女仲間の七菜香に、「ドロヘドロ」ニカイドウ役などの近藤玲奈。芸能活動を行う魔法少女・圭に、「東京24区」きなこ役などの兎丸七海。スポーツ万能で天然な魔法少女の悠樹に、「アイカツスターズ!」香澄夜空役などの大橋彩香。“天才監督”王子千晴(中村さん)待望の新作、という設定の斬新な魔法少女アニメを演じる豪華声優陣はさらなる話題を呼びそうだ。『運命戦線リデルライト』また、本作『ハケンアニメ!』のナレーションを担当するのは、「鋼の錬金術師」のエドワード・エルリック役などで知られる朴ろ美。細部にまでこだわり抜かれた声のキャスティングは“必聴”となっている。さらに実写パートには梶さん、潘さん、木野さん、速水さん、高橋さん、小林さん、近藤さん、兎丸さん、大橋さんが声優役として出演する。劇中アニメの声優キャスティングについて、本作で監督を務める吉野耕平は、「決定した声優陣のお名前を伺った時は『まさかこんなことになってしまうとは』と、幸運すぎて怖くなりました」とコメント。人気実力ともに一流の声優陣が集結した『サバク』と『リデル』が、映画の中でどのように映し出されるのか。ますます期待が高まる。劇中アニメ『サウンドバック 奏の石』出演者コメント◆梶裕貴(リュウイチ役)ひとつのアニメーションが完成するまでにどれだけの時間がかかっているか、どれほどのプロフェッショナルが死力を尽くしているか、それが伝わってくる作品です。声優もその一部。辻村深月先生の繊細でありつつエモーショナルな世界観がどのように映像化されるのか、僕自身とても楽しみにしています。参加させていただき、光栄です。◆潘めぐみ(タカヤ役)普段の仕事がカット割りされて撮影されていくので、シーンやカットごとで、自分の動作をつながりとして記憶しておく感覚は新鮮でした。作品一つ、その一秒、一瞬ができるまでに込められた人の想いや時間の中にあるドラマを考えると、そうした方々と共にこの役を演じさせて頂いているんだなと、改めて有難みを感じました。◆木野日菜(マユ役)声優役としての出演に最初はびっくりしましたが、普段お仕事をしている時のように自然体で出演させて頂きました。とても貴重な機会を頂きまして光栄に思います。私も知らなかったような裏側や、監督の葛藤。様々な人が関わり合って、作品を想い合ってひとつの作品が出来上がるんだと改めて強く感じました。是非ご覧下さい!◆速水奨(奏の石役)初めて実写映画に出演させて頂きましたが、いやあ、短いシーンも丁寧に様々なアングルで撮影するんですね。アフレコ現場だと、テスト、本番の二回で録り切りますから、その違いに驚きました。でも、手作り感と、演技の情熱を垣間見ることが出来、本当に幸せでした。劇中アニメ『運命戦線リデルライト』出演者コメント◆高橋李依(充莉役)「運命戦線リデルライト」主人公の充莉役、そして、アフレコスタジオでの撮影にも参加させていただきました! 「リデルライト」は、運命を変えるバイクレースに参加する物語。不思議な世界観を、時に可愛く、時に熱く描いています。劇中劇でありながら、このアニメを追っていきたい!と思っちゃう、覇権アニメのオーラを感じました!大好きなアニメ業界にスポットライトを当てていただけることが、嬉しくて光栄だなぁと思いました。そして、声優という職業の描き方もすごく最先端だったなぁと。今作を見終わった皆様は、どの職種にどんな想いを抱くのか、楽しみです。◆花澤香菜(清良役)原作の大ファンなので、こういう形で作品に関わることができて嬉しいです。アニメ制作の舞台裏で、それぞれの立場の人達が悩みを抱えながらも熱を注いでいき、作品ができあがっていく様子は、アニメのお仕事が好きな私にとってとても刺激になります。お仕事ものとしても楽しめる作品なので、ぜひたくさんの方に観ていただきたいです!◆堀江由衣(デル役)劇中のアニメのキャラクターの声を担当させていただきました。そのアニメは断片的にしか出てこないのですが、とても面白そうで全部見たくなるような作品でした(笑)近しい業界のお話でしたのでとても感情移入して見てしまい、最後はものすごくジーンとしてしまいました。お仕事だけでなく、何かを頑張っている人に共感して頂ける作品なのではないかなと思います。たくさんの方に見て頂けたら嬉しいです。◆小林ゆう(詩織役)大好きな辻村深月先生の作品に、声優として携わらせて頂く事ができて心から感謝しております。恐縮ながら以前『ハケンアニメ!』文庫本の帯を書かせて頂きました。この素晴らしい小説が映画化され、さらに出演までさせて頂けた事を大変光栄に思います。アニメ業界を描いた今作の公開がファンの1人としてとても楽しみです!◆近藤玲奈(七菜香役)劇中に登場するアニメの細かい資料がたくさんあり、実際に放送されるのではないかと錯覚するくらい、本格的な作りに感動しました。日本の誇りであるアニメーションをテーマとした映画に、声優として出演させていただけてとても嬉しかったです。アニメ業界の命を懸けた本気のアニメ作りの現場をぜひご覧ください!◆兎丸七海(圭役)声優として映像作品に出演させていただくのは初めてだったので、お話を頂いた時はすごく嬉しかったです。普段のアフレコ現場とは収録方法が違っており、それがまた面白く、声優役として演じるのも初めての経験だったのでとても楽しかったです!声優やアニメ制作関係者の舞台裏を観られる作品として絶対に楽しめると思いますので、是非劇場でお楽しみください!◆大橋彩香(悠樹役)悠樹役と、実写で声優役としても出演させて頂いて…いつもと全然違う雰囲気でのアフレコシーンはとっても緊張しました!!アニメを制作する上でスタッフの皆様にはたくさんお世話になっていますが、裏側は中々見られないので勉強になりました…!劇中アニメも設定等とても丁寧に作られているので、楽しみにしていて下さい映画『ハケンアニメ!』ナレーションコメント◆朴ろ美本作を通じて「貴方にとって『尊いもの』とは、何ですか?」と、「モノづくり」に携わる人間として、改めて問われた気がしています。この作品が孕む濃厚な熱量に触れ、そっと日常とクロスフェードさせながら世界に没入してご覧ください。『ハケンアニメ!』は5月20日(金)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ハケンアニメ! 2022年5月、全国にて公開予定©️2022 映画「ハケンアニメ!」製作委員会
2022年02月24日辻村深月の本屋大賞受賞作「かがみの孤城」が、劇場アニメーションとしてこの冬、公開されることが決定した。学校での居場所をなくし、家に閉じこもっていた中学生のこころ。ある日突然、部屋の鏡が光り始め、吸い込まれるように鏡をくぐり抜けると、城のような不思議な建物に行き着く。そこには、こころと似た境遇の7人が集められていた。城の中には秘密の鍵が隠されており、その鍵を見つけた者は、何でも願いが叶うという――。「朝が来る」「ハケンアニメ!」の映像化でも注目を集める辻村さん。「かがみの孤城」は、本屋大賞15年間の歴史の中で歴代最多得票数を獲得し1位に輝いたほか、ダ・ヴィンチBOOK OF THE YEAR2017、2021など9冠を獲得し、TV・新聞など各メディアでも絶賛された、累計発行部数125万部突破の話題作。また、コミカライズ、オーディオブック化、舞台化もされている。青春期独特の繊細な感情や感性をリアルに描いた最高純度のファンタジーミステリーである本作。この冬、子どもから大人まで、全世代が共感できる青春映画の新たな金字塔として珠玉の感動作が誕生する。『かがみの孤城』は冬、公開予定。(cinemacafe.net)■関連作品:かがみの孤城 2022年冬、公開予定©2022「かがみの孤城」製作委員会
2022年02月24日2018年本屋大賞受賞、累計発行部数125万部突破の辻村深月によるベストセラー小説『かがみの孤城』が劇場アニメ化し、2022年冬に公開されることが決定した。原作は、本屋大賞15年間の歴史の中で歴代最多得票数を獲得し1位となったほか「王様のブランチブック大賞2017」や「ダ・ヴィンチBOOK OF THE YEAR2017」など9冠を獲得し、 TV・新聞ほか各メディアでも大絶賛の話題作。2019年にコミカライズ、オーディオブック化、2020年には舞台化されるなど様々なコンテンツでメディアミックスされ注目を集め続けている。大人も子どもも夢中になるファンタジーミステリーとして幅広い世代から支持され、累計発行部数は今年に入り125万部を突破。原作者の辻村深月は、2004年『冷たい校舎の時は止まる』でデビュー。映画化もされた『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、『鍵のない夢を見る』では第147回直木賞を受賞している。その他、日本アカデミー賞を含め多数の賞を受賞した『朝が来る』や、今年の5月に劇場公開となる『ハケンアニメ!』など数々の作品が映画化されてきた。主人公は、学校での居場所をなくし家に閉じこもっていた中学生・こころ。ある日突然、部屋の鏡が光り始め、吸い込まれるように鏡をくぐり抜けると、その先にあったのは城のような不思議な建物。そこには、こころと似た境遇の7人が集められていた。城の中には秘密の「鍵」が隠されており、その鍵を見つけた者は、何でも願いが叶うという。なぜこの7人が集められたのか。鍵はいったいどこにあるのか。すべてが明らかになるとき、驚きとともに大きな感動に包まれる。『かがみの孤城』2022年冬公開
2022年02月24日島本理生さん、辻村深月さん、宮部みゆきさん、森絵都さん、この4人の直木賞作家とのコラボ企画を始動させたYOASOBI。4つの短編小説を一冊にまとめた書籍『はじめての』が発売され、これらを原作とする楽曲を順次発表していく。まさに「小説を音楽にするユニット」としての真骨頂とも呼べる企画に、Ayaseさんもikuraさんも純粋に楽しんで取り組んでいる様子です。――これまでも「小説を音楽にするユニット」として活動されてきましたが、お二人は今回の企画にどんなやりがいを感じていますか。Ayase:今回は名だたる作家さんたちに、お力を貸していただいているというのもあって、今まで以上に原作に触れてくれるリスナーも増えるんじゃないかと思っています。まさにYOASOBIの神髄みたいな企画なので、この一年をかけて、あらためて皆さんに楽しんでもらえたら嬉しいです。ikura:私も今回の企画のお話を聞いた時から、どんな作品を書いていただけるんだろうってワクワク、楽しみにしていました。――では、お二人が4作の短編を読んで感じたことは?Ayase:当たり前すぎて言うのも憚られますが、どの作品も本当にめちゃくちゃ面白かった。“はじめての”というテーマで皆さん全然異なる世界観で表現されて、それぞれのゴールに向かっていく。初めて読んだ時の鮮度を落とさないよう、最初に読み終えて感じたことはメモに書き留めました。どの曲も一番最初に感じたことをもとに音楽を作っていきます。ikura:どの作品も読み終えた時に、私は経験していないのに、心の奥底に潜んでいた自分の経験を呼び起こしてもらったような感覚がして。すごく神秘的な体験でした。私も、いつも小説を読む時のワクワク感から始まって、読み終えた後の余韻まで純粋に楽しみました。その後に「この感動を歌でも伝えなきゃ」って気持ちに切り替わりました。――第一弾となる楽曲「ミスター」は島本理生の短編小説「私だけの所有者」をもとに書き下ろされました。アンドロイドと所有者による切ない物語ですが、Ayaseさんが音楽に落とし込みたいと思った部分は?Ayase:「ミスター」に関しては、白のイメージがあって、曲調の話をざっくりすると、ちょっと’80年代のシティポップっぽいものになっています。僕は小説を読む時に常に映像として登場人物や背景を思い浮かべるんですが、「私だけの所有者」はすごく懐かしい色褪せ方をしている世界観だなと思ったので。アンドロイドの無機質さと、近未来のSF感を出したくて音を選んでいきました。――切ない物語ですが、ポップで口ずさみやすい曲調になりました。Ayase:はい。原作はわりとメッセージ性のある話だと思うし、アンドロイドと他の登場人物との関係性や事件は、時代を風刺している気も。そういうシリアスな原作を読んだ時には、僕はどちらかというとポップな曲が思い浮かぶんです。シリアスさを内に秘めたままポップな感じを出すと、アンドロイドの感情にリンクするなと。――ではikuraさんは「ミスター」を聴いて、どんなふうに歌と向き合いましたか。ikura:私がアンドロイドの気持ちになった時、すごく悲しかったんです。心の中が温かくなったつもりでも、芯の部分は機械だから、やっぱり冷たい。そこに儚さや切なさを感じて。ただ感情的に歌えばいいわけではなくて、どこかに陰や闇の部分を声色でも出せたらなと。そのバランスは意識しました。レコーディングの時は、主人公であるアンドロイドのあの子だったらどんなふうに歌うかなって考えたら、“降りてきた”感じがして。――アンドロイドまで“降ろせる”ってすごい技術ですよね。ikura:確かに、初めての経験でした(笑)。――私がこの短編小説集『はじめての』を読んで感じたのは、作家さんたちそれぞれの世界観で描かれながら、どこか通じているものがある気がしたんです。それはYOSOBIが持っているYOASOBIらしさや表現世界が、少なからず作家さんにもインスパイアを与えたのではないかと思ったんですが。Ayase:それは僕はあんまり感じなかったですね。そもそもYOASOBIらしさみたいなものを意識したことがないです。常に良い作品を作ろう、楽しくやろうってことしか考えてなくて。その結果、人それぞれでYOASOBIらしさみたいなものを感じてもらえたらと思います。『はじめての』¥1,760(水鈴社)。島本理生「私だけの所有者」を原作にした第一弾楽曲「ミスター」配信中。他楽曲も順次配信予定。3月23日には初のライブ映像作品集『THE FILM』がリリースされる。【完全生産限定盤(2BD+特製バインダー+ライブ写真集)】¥10,000(ソニー・ミュージックエンタテインメント)ヨアソビ右・Ayase(コンポーザー)と左・ikura(ボーカル)からなる「小説を音楽にするユニット」。2019年に公開した「夜に駆ける」が大ヒット。’21年に初のCD『THEBOOK』をリリース。同年、初の有観客ライブ「NICE TOMEET YOU」を日本武道館で2日間開催するなど勢いはとどまるところを知らない。Ayaseさん・ニット¥105,600パンツ¥87,450(共にKIDILL×rurumu/Sakas PR TEL:03・6447・2762)靴¥19,800(PG/PRAYGROUND TEL:03・5738・1872)ネックレス¥15,400(JieDa TEL:03・6427・8464)ikuraさん・シャツ¥28,600パンツ¥27,500(共にPHEENY TEL:03・6407・8503)ベスト¥23,100(F/CE.(R)/F/CE. Flagship Store Tokyo TEL:03・6452・5867)靴¥39,600(MANA/コンコルディア TEL:03・5829・6611)ピアス¥26,400(LEVENS/Comcode Showroom TEL:03・6804・3108)※『anan』2022年2月23日号より。写真・澤田健太スタイリスト・藤本大輔(tas)ヘア&メイク・YOUCAインタビュー、文・上野三樹(by anan編集部)
2022年02月20日5月に公開となるアニメ制作の舞台裏を描いた映画『ハケンアニメ!』から仕事人たちの熱き姿を描いた新場面写真が公開となった。辻村深月の小説を映画化した本作は、日本のアニメ業界を舞台に、もっとも成功した作品の称号・覇権(ハケン)を手にすべく奮闘する人々にフォーカスした“お仕事ムービー”。新人監督の斎藤瞳を吉岡、スター監督の王子千晴を中村倫也が演じ、プロデューサーの行城理と有科香屋子に柄本佑と尾野真千子がそれぞれ扮する。政池洋佑が脚本を手がけ、『水曜日が消えた』の吉野耕平が監督を務めた。主人公の斎藤瞳(吉岡)は、地方公務員からアニメ業界に飛び込んだ新人映画監督で、監督デビュー作がヒットする。一方、過去にメガヒット作品を生み出し、天才として名を馳せる王子は、プロデューサー・有科香屋子(尾野)とタッグを組み8年ぶりに監督復帰を果たす。自身がこの業界を目指すきっかけとなる作品を生み出したスター監督・王子千晴(中村)と覇権を争うことになった瞳は、クセ者プロデューサー・行城理(柄本)や、個性的な仲間たちと共に、熾烈な“闘い”に身を投じていくこととなる。今回、公開された場面写真には、ライバルとして覇権を争う瞳と王子が、それぞれに真剣な眼差しで作品に向き合い、机にかじりつくように筆を取る姿が。その姿からはそれぞれが1点の妥協も許さないほど、自身の手掛ける“作品”に情熱を込めるその様子が窺える。覇権を取るため、日夜熾烈な闘いを繰り広げているのは監督だけではない。瞳が手掛ける『サウンドバック 奏の石』を担当するのは、敏腕プロデューサー・行城。瞳から鋭い形相を向けられている彼だが、担当作品をヒットさせるためなら何でもするという気概の持ち主で、たびたび瞳を翻弄する。王子の才能に人生を懸ける、『運命戦線リデルライト』のプロデューサー・有科と王子の間にもまた、”何か”があるようで、有科は思わしげな表情で1点を見つめている。それぞれの監督とプロデューサーの間には、どのようなドラマが待ち受けているのだろうか?瞳と王子、覇権を手にするのは、果たして……。アニメ業界に身を置く彼らの織りなす、本気のバトルと展開される熱いストーリーに想像が膨らむ場面写真となっている。『ハケンアニメ!』5月全国公開(c)2022 映画「ハケンアニメ!」製作委員会
2022年02月07日アニメーション業界で奮闘する者たちを描いた、辻村深月の小説の映画化『ハケンアニメ!』。この度、吉岡里帆を始め、中村倫也、柄本佑、尾野真千子に続き、脇を固める追加キャストが発表された。アニメーション業界を舞台とするお仕事映画とあって、本作では主人公・瞳(吉岡さん)や王子(中村さん)らアニメーション監督、行城(柄本さん)や香屋子(尾野さん)らプロデューサーのほか、様々な業種の人たちが登場。表舞台に出ることの多い監督・声優だけでない、アニメーターや編集、宣伝マン…作品を、業界を盛り上げるために不可欠な人々の姿が、しっかりと描かれている。今回発表されたのは、そんな瞳たちと共に業界を盛り上げる心強いキャラクターたち。秩父を盛り上げようと奮闘する市の観光課職員・宗森周平を工藤阿須加。劇中アニメ「サバク」と「リデル」に参加する作画スタジオ「ファインガーデン」所属の人気アニメーター・並澤和奈を小野花梨。瞳とは何かと衝突する、「サバク」の主人公・トワコ役を務める声優・群野葵を、「ウマ娘 プリティーダービー」に出演する声優・高野麻里佳。「サバク」の制作会社「トウケイ動画」の制作デスク・根岸を前野朋哉。同じく「トウケイ動画」の宣伝マン・越谷を古舘寛治。根岸と越谷は、仕事柄一緒にいることも多く、2人でドライな行城を目の敵にしているが、それぞれアニメーション制作にかける熱い思いを秘めている、という役どころ。「サバク」の脚本・シリーズ構成の脚本家・前山田を徳井優。「ファインガーデン」の社長兼アニメーター・関を六角精児が演じる。そのほか、「サバク」の作画監督・河村を矢柴俊博、カット毎に撮影されたデータを絵コンテに準じて繋ぎ合わせる「サバク」の編集・白井を新谷真弓、「リデル」担当演出・田口を松角洋平、フィギュア会社の企画担当・逢里哲哉を水間ロン、視聴率が高いアニメを放送することが命題の「リデル」放送局の重役、星をみのすけ、アニメショップの店員役で前原滉が出演することも分かった。▼追加キャストコメント・工藤阿須加僕が演じさせて頂いた周平は、アニメに対して、地域に対してみんなに寄り添って楽しんでもらうために尽力してる誠実な人なんだなと感じました。僕自身、アニメが大好きなので今回この作品に携わらせて頂けて嬉しかったですし、ロケ場所も素敵で楽しく撮影する事が出来ました。・小野花梨天才アニメーターということで、まずは先生にアニメの基礎となるイラストを描く基礎から教わるところから始まりました。私が何気なく繰り返した鉛筆の動かし方をプロは絶対にしないよと教えて頂いた事がとても印象に残っています。どうしたら普通のアニメーターではなく天才と呼ばれるようなアニメーターに見えるのかを先生と相談しながら作る作業が非常に勉強になりました。普段はポケッとしていて冴えない女性ですが、作画やアニメに対する想いが強い頼もしい女性です。愛情たっぷりの並澤和奈を演じる事が出来てとっても楽しかったです!・高野麻里佳群野葵役、高野麻里佳です。普段声優として活動している私ですが、この度は「声優・群野葵」役として実写で出演いたしました。実写の演技が右も左もわからないまま飛び込んだオーディション。面接会場のような空間で1人、自身の体を使った演技を見ていただくのは声優現場とは全く違う緊張感がありました。ただ、いただいた資料を見た時、私は葵ちゃんの気持ちがわかる気がしたんです。「アイドル的人気で主役に起用された若手声優」葵の、逞しさや悔しさ。一人の役者として、そんな葵ちゃんを精一杯表現してあげたいと思いました。声優やアニメを作るスタッフさんは、いわゆる裏の技術職で、スポットを当てていただくことはあまりありませんでした。映画内で、多くの人が思い思いの情熱をアニメに注ぐ様を目の当たりにして、世に出たアニメ作品たちがどうして輝いているのか、納得させられました。それだけでなく更に輝きを増して見えるような、声優としても身が引き締まる作品になっています。群野葵としては、吉岡里帆さん演じる斎藤瞳監督との熱いアフレコシーンに注目してほしいです!アニメ好きの皆様、映画好きの皆様、ぜひ劇場でお会いしましょう!・前野朋哉様々な人が集まり、モノづくりするんだからドラマチックなのは必然。関わった人間の数だけ強い「オモイ」があるのです。今回はアニメを作る過程に加え、その作品を世に送り出す『宣伝』という仕事にもスポットが当たります。知れば知るほど、今後作品の見方も豊かになるはず。昨今の映像業界は人材不足です。この映画をご覧いただき、「オモイ」が生まれたのなら、あなたも一緒にモノづくりしませんか?・古舘寛治アニメについての映画だからアニメ部分がとても重要だと思うけど、宣伝ポスターがとてもカッコ良かったのでアニメ好きだった子供心をくすぐられました。まだアニメ部分は観れてないので楽しみです。アニメ業界も労働環境は過酷なのだと知り、日本はどこもそうなんだな~としみじみ思ったのを覚えています(笑)・徳井優大御所のシナリオライター役でしたが、何故かしら撮影時の記憶はやたらとお菓子を食べてたこと(笑)とにかくやたらと。原作を読むまで知りませんでしたが、アニメの現場は本当にたくさんの人が関わっている。単純にそのことに感動しました!そして、そのことが映画を観たお客様にも伝わることを願っています。・六角精児今回、アニメの製作現場の世界を芝居を通して垣間見ることが出来、つくづく「人を楽しませる」事の大変さを教えられた気持ちです。この映画でより多くの人に苦難の先の喜びの尊さが伝われば幸いです。『ハケンアニメ!』は2022年5月、全国にて公開予定。(cinemacafe.net)■関連作品:ハケンアニメ! 2022年5月、全国にて公開予定©️2022 映画「ハケンアニメ!」製作委員会
2021年12月21日2012年に『anan』で連載スタート。そして2022年5月、ついに実写映画化となった、辻村深月さんによる『ハケンアニメ!』。アニメ制作に携わる人たちに取材し、現場の空気や熱量をリアルに描きます。ここでは、映画化に寄せて辻村さんと吉野耕平監督のインタビューをお届け。“働く人”として、“作り手”として、同世代の2人が作品に込めた想いとは?辻村さんスペシャルインタビュー:世界が変わるほどのアニメとの出合い。高校生の時、『少女革命ウテナ』で受けた衝撃を今もよく覚えています。何にも似ていない新しさがあって、これがオリジナリティというものかと度肝を抜かれました。高校生という多感な時期にこの作品に出合えたことは幸せだったと思います。他にも『新世紀エヴァンゲリオン』や『絶対無敵ライジンオー』など、成長過程で寄り添ってもらった名作がたくさんあります。『ハケンアニメ!』でも一生モノのアニメとの出合いを通じてこの業界に入ったという話がありますが、私自身そういう出合いをしたから今も小説家をやっているのだろうと思うし、そういう人たちをこの作品で描きたかったんだろうなと思います。映画化のお話をいただいた時、プロデューサー・須藤泰司さんの「ものづくりに関わる人間として、この小説を映画にしたい」という気持ちをすごく感じたんですよ。その熱量に打たれておまかせしますとお返事したんですけど、その後も何かが決まるごとに、まるで身内のような熱量で報告してくれて、原作者のことも一緒に映画を作る仲間として引き入れてくださって、あたたかい現場だなと感じました。私はといえば、俳優さん、声優さんが決まるたびに悶絶していました(笑)。子どものころから憧れていた声優さんもキャストにいらして、しばらくしてから涙が出てきました。アニメに関しては、ここまで作ってくださったことに対する感謝しかないです。劇中でも言っているように、覇権をとるようなアニメであるということを大事にしてくださって。スタッフのお名前を見た時は、なんて贅沢なんだろう!って。しかもみなさんそれぞれ自分の色がある方たちなのに、王子や瞳だったらどう作るだろうと創造性を寄せてくださったところも、プロのクリエイターだなあと感動しました。『ハケンアニメ!』を書いた時、アニメ監督さんやプロデューサーさん、アニメーターさんに取材させてもらったんです。今回、映画化にあたり吉野監督が同じ取材先にも行かれたと伺って、10年ぶりの里帰りみたいで、感激しました。つじむら・みづき小説家。2004年「冷たい校舎の時は止まる」で第31 回メフィスト賞を受賞し、デビュー。’12年『鍵のない夢を見る』で直木賞を受賞。’18年『かがみの孤城』で本屋大賞を受賞。最新作はホラーミステリー『闇祓』。吉野さんスペシャルインタビュー:監督とはなんだろうと考えた作品。『ハケンアニメ!』は、実は映画化のお話をいただく前から好きで、映像化してみたいと思っていた作品でした。『エンドローラーズ』という作品で葬儀業界を取り上げてから仕事ものに興味を持ち始めたんですが、アニメが好きなのでアニメの現場を描いた作品って何があるのかなと思って探していた時、『ハケンアニメ!』に出合ったんです。この作品はいろんなことがすごくニュートラルに描かれているところがいいですよね。アニメ業界って特別な世界だと思われがちだけど、実はすぐ近くでがんばって働いている人たちなんだということがわかるというか。上司やクライアントの急な指示に振り回されるとか、そういう“あるある”が働く人目線で書かれているのが面白いなと思いました。映画化にあたって気をつけたのは、特別な仕事の人々の物語にはしないということ。疲れたらコンビニ菓子をかじって乗り切って、帰ったらまた洗濯物洗えてなくて、みたいな。帰りの電車ですぐ横に座ってる人の話、くらいの空気を大事にしたいなと思いました。業種は違えど僕も映像業界の人間なので、映画版の瞳監督には経験がかなり込められています。編集画面を見ながらブツブツ言うけど、言葉足らずでいまいち伝わらずキーッてなるところとか(笑)。監督としては、誰よりもその作品に長い時間をかけるということを一つの拠り所にしています。映画の現場って、監督を立ててくれるんですよ。だけど「監督だから従う」ではなくて、この人はここまで考えてるんだなと信頼してもらえるようになりたいんですよね。それに、監督がスタッフに無理をさせるために普段やさしくするとか、そういうのって一見魅力的に映るけど、どこかズルいなと思っていて。作品のために必要だからやる、それをスタッフに命じるのは監督の責任なので。だから瞳がぎりぎりで変更をかけるシーンも、スタッフを囲い込むのではなく、あくまで瞳がそうしたいからやる、という形にこだわりました。そこは吉岡里帆さんとも「監督ってなんだろうね」と深く話し合いました。よしの・こうへい映画監督、脚本家、CM ディレクター、CG アーティスト。『君の名は。』では回想パートのCGと空間デザインを担当。昨年、初の長編作品『水曜日が消えた』が公開。ミュージックビデオやCM、アニメなど幅広く活動中。『ハケンアニメ!』2014年に刊行された『ハケンアニメ!』(小社刊)を原作とした実写映画。監督/吉野耕平脚本/政池洋佑配給/東映2022年5月公開。情報解禁に先駆けYouTubeに予告編がアップされ、ネット上でも話題に。アニメ『サウンドバック 奏の石』特報アニメ『運命戦線リデルライト』特報※共にYouTube「東映映画チャンネル」内。©2022 映画「ハケンアニメ!」製作委員会※『anan』2021年12月8日号より。取材、文・尹 秀姫(by anan編集部)
2021年12月03日アニメ業界を舞台とした、辻村深月さんによる『ハケンアニメ!』。2012年に『anan』で連載がスタートした本作が、2022年5月についに実写映画化!監督をはじめ、キャラクターデザイン、メカデザインと人気実力ともに兼ね備えたメンバーが集合しました!ものづくりの現場の熱が伝わるアニメが完成。2作のアニメが覇権を争う『ハケンアニメ!』のキモはなんといってもアニメの出来。「劇中のアニメが面白く見えるようにというのは原作でもかなりこだわって書いたので、アニメのクオリティに関しては映画化にあたって一番期待したい部分でした」と辻村さん。映画の中でアニメの映像が登場するのはほんの5分程度。とはいえ、その数分の映像のために監督からキャラクターデザイン、音楽に至るまで、シリーズアニメを立ち上げるのと同じくらいの労力が必要だった。そこで、アニメの映像を作るためにはプロットがあったほうがやりやすいだろうと、映画で全編使われるわけではない全12話分のプロットを辻村さん自ら書き下ろした。それだけの熱い想いを受け取って、映画およびアニメ制作スタッフが燃えないわけがない。しかも今回、2本のアニメを作るのは原作同様カラーの違う2つのアニメスタジオ。社のプライドを懸けて映像作品を作り上げる様は、まさに『ハケンアニメ!』で描かれるトウケイ動画とスタジオえっじのバトルそのもの。アニメの制作現場を舞台にした物語なだけに、登場人物と重なる部分もあったとか。「アニメ監督は美しくていいものを誰かに届けたいと思ってアニメを作っているような気がするのですが、瞳もそうなのだと思います。『サバク』を作りながら、自分も瞳とシンクロして奮闘したような気がしました。アニメは大勢のクリエイターや制作陣が関わって作るところが難しいところでもあり、面白いところでもあり…。その大勢が、ひとつの方向を向いて突き進むと奇跡のような作品が生まれる、そんなふうに思うんです」(監督・谷 東さん)【トウケイ動画】敏腕プロデューサー行城が新人・瞳監督を抜擢。『サウンドバック 奏の石』(通称サバク)を制作。吉岡里帆/監督:斎藤 瞳、柄本 佑/プロデューサー:行城 理【スタジオえっじ】香屋子の念願だった王子監督とのタッグ。『運命戦線 リデルライト』(通称リデル)は7年ぶりの新作。中村倫也/監督:王子千晴、尾野真千子/プロデューサー:有科香屋子『サウンドバック 奏の石(かなでのいし)』(トウケイ動画)監督:谷 東、キャラクター原案:窪之内英策、メカデザイン:柳瀬敬之瞳監督のこだわりをリアリティある画で。『サウンドバック 奏の石』、通称サバクは窪之内英策さんが描く写実的な描写の中に、メカデザインの柳瀬敬之さんによる巨大ロボットが映り込む、異質の組み合わせが絶妙なコントラストを見せるアニメ。「サバクはレイアウトと密度と今人気がある写実に近いキャラが鍵だと思って制作しました。窪之内さんとは前に『アニ×パラ』で組ませていただいていて、その時に近い体制で画作りを考えました。劇中アニメなのに辻村先生から全12話分のプロットが届いて、あまりの分量に笑ってしまったほど。どうしようと思っていたら今度は実写の監督である吉野監督からサバクの1話脚本と大量のイメージボードが届いて、お二人の熱意に背を押されました」(谷さん)辻村さんが考えたプロットは、単独でアニメシリーズになりうるほどの企画だったそう。「とはいえ、今回はあくまで『ハケンアニメ!』の劇中内アニメ。映画に必要な要素は何かを第一に考えることを心がけました。音を生み出すことではなく、失うことを代償にパワーを得るというのがサバクの大きな特徴。代償、喪失といったテーマ性に、作り手であるトウケイ動画の制作陣がどう立ち向かい、葛藤するのか、その結果をぜひ見たいと思いました」(アニメ『サウンドバック 奏の石』プロデューサー・原田拓朗さん)STORYのどかな田舎町を突如襲った巨大ロボット。少年少女たちは平和を取り戻すために、奏の石を叩き戦いに身を投じる。「なんでも、あげる!」と誓って。その戦いが、トワコから何を奪っていくのかも知らずに――。斎藤瞳が初監督を務める、誰しもが一度は夢中になった、王道ジュブナイルロボットアニメーション。たに・あづまアニメ監督・演出家。主な監督作品に『テルマエ・ロマエ』『若おかみは小学生!』など。NHK『アニ×パラ』第2弾「パラ陸上競技」も手掛けた。くぼのうち・えいさく漫画家、アーティスト。主な著作に『ツルモク独身寮』『ワタナベ』『ショコラ』など。イラストやキャラクター原案など多岐にわたり活躍中。やなせ・たかゆきメカニックデザイナー。『機動戦士ガンダム00』『DEATH STRANDING』等に参加。アニメ、ゲーム、模型を中心に幅広いデザインを手掛ける。『運命戦線 リデルライト』(スタジオえっじ)監督:大塚隆史、キャラクター原案:岸田隆宏天才・王子監督らしく表現方法に工夫を。伝説のアニメ『光のヨスガ』でアニメの常識を塗り替え、天才と謳われた王子千晴監督の7年ぶりの復帰作という劇中内設定。魔法少女・充莉が自らの魂の力で乗るバイクを変形させて戦い、ライバルたちとレースで競い合っていく。1話ごとに1歳年を取るという驚きのストーリー設定がある。写実的なサバクとは対照的に、アニメ的なキャラクターデザインと表現、そして何より王子監督が「今度こそヒロインを殺したい」と宣言していたラストの展開に注目を。「リデルのプロットを読んで、辻村先生のアニメ愛を感じました。もしこれを実際のシリーズとして制作するとしたらと考えて、お腹が痛くなりました(笑)。とにかくサバクに負けないようにと闘志を燃やしましたね。期待を裏切らない、ではなく期待を超えること、100%ではなく120%であること、それを再認識しました」(アニメ『運命戦線 リデルライト』プロデューサー・松下慶子さん)リデルは天才と謳われた王子監督の最新作にふさわしい映像でなければいけないという課題があった。そんな高いハードルを越えたのが大塚隆史監督。「正攻法のサバクに対して奇想天外な表現で攻める天才・王子監督らしく、あまり普通では見られない表現を心がけました。天才の特異性が伝わればいいなと思います」(大塚さん)STORY主人公・充莉は、行方不明になった妹を探す最中に、この世をそして大切なものを守るための戦いに参加することに。6歳で始まり、1話ごとに、1年ずつ時が経過していく。バイクレースでの激しいバトルが見どころの王子千晴監督7年ぶりの新作魔法少女アニメ。「責任もって、愛してよ」の流行語を生む。おおつか・たかしアニメ監督・演出家。『プリキュア』シリーズほか、映画『ONE PIECE STAMPEDE』など多数の作品で監督を務める。きしだ・たかひろアニメーター、キャラクターデザイナー。『ハイキュー!!』『魔法少女まどかマギカ』など多数の作品でキャラクターデザインを担当。つじむら・みづき小説家。2004年「冷たい校舎の時は止まる」で第31 回メフィスト賞を受賞し、デビュー。’12年『鍵のない夢を見る』で直木賞を受賞。’18年『かがみの孤城』で本屋大賞を受賞。最新作はホラーミステリー『闇祓』。『ハケンアニメ!』2014年に刊行された『ハケンアニメ!』(小社刊)を原作とした実写映画。監督/吉野耕平脚本/政池洋佑配給/東映2022年5月公開。情報解禁に先駆けYouTubeに予告編がアップされ、ネット上でも話題に。アニメ『サウンドバック 奏の石』特報アニメ『運命戦線リデルライト』特報※共にYouTube「東映映画チャンネル」内。©2022 映画「ハケンアニメ!」製作委員会※『anan』2021年12月8日号より。取材、文・尹 秀姫(by anan編集部)
2021年12月03日2012年に本誌『anan』で連載がスタートした『ハケンアニメ!』。アニメを愛する辻村深月さんが、アニメ業界で働く人々を描いた本作は、創作に関わる人たちの苦悩と幸せ、働くことの大変さと喜びが丁寧に描かれ、おおいに共感を呼びました。2022年5月、ついに実写映画版が公開!創作と仕事のリアル…。見事に詰め込まれた作品。企画スタートから足掛け7年、『ハケンアニメ!』の実写映画化がついに実現!大勢の人が関わるアニメ制作の現場は、監督といえども思い通りにいかないことばかり。そんな『ハケンアニメ!』の物語を、『水曜日が消えた』の吉野耕平監督が映画という形で新たに表現。実は吉野監督は、映画『君の名は。』にCGアーティストとして参加した経験を持つ。同世代でもある辻村さんと吉野さん、2人のクリエイターがアニメ制作の現場を取材し、アニメと本気で向き合って誕生した『ハケンアニメ!』。劇中アニメのすごすぎるクオリティとともに、公開を楽しみにしてください!アニメ制作現場の熱量をこの4人が体現!作品のすべての責任を担う監督と、監督を支えるプロデューサー。何もかも異なる2組の激突を熱く、生きいきと演じる4人をご紹介します。トウケイ動画敏腕プロデューサー行城が新人・瞳監督を抜擢。『サウンドバック 奏の石(かなでのいし)』(通称サバク)を制作。吉岡里帆/監督斎藤 瞳天才・王子監督との覇権争いだが負けるつもりは毛頭ない。内なる闘志を秘めた凛々しさと、新人らしい初々しさの対比に注目を。柄本 佑/プロデューサー行城 理敵に回すと憎らしいほど手強く、味方にいると頼もしいけど何を考えているのかよくわからない、つかみどころのない行城を好演。スタジオえっじ香屋子の念願だった王子監督とのタッグ。『運命戦線 リデルライト』(通称リデル)は7年ぶりの新作。中村倫也/監督王子千晴天才ではあるものの、実は自分で天才っぽさを演出している泥くさい一面を持つ。そんな王子の独特なかわいさを見事に表現。尾野真千子/プロデューサー有科香屋子「自分の尊敬するクリエイターを守る」という気概を持つ香屋子は包容力の塊。王子を見守るやさしい眼差しは、香屋子そのもの。辻村深月さんが撮影を見学。スタジオ、絵コンテ、作画風景…。物語が現実に動きだしています。見学日当日、撮影現場の入り口には、リデルとサバクの美術さんが作ってくれたリアルな垂れ幕とポスターが。それに迎えられた辻村さんは、「あれを見た時、『あ、これ、私が書いた!』と興奮しました。私の頭の中にだけあったものを、こんなにもたくさんの人たちが形にしようとしてくれて、頭の中にあった姿以上のものを再現してくださっていて、すごく幸せだなと感じました」映画を撮影するにあたって、東映アニメーション所属の梅澤淳稔(あつとし)さんが監修を務め、アニメ制作現場のリアルな再現にこだわった。「それぞれの場面での登場人物の心の動きや作業している仕草が現実に沿っているか。また机や棚などの配置や作業道具の置き方など、アニメ業界を知らない方にも登場人物たちが今何をしているのかわかりやすく、かつ業界の方にも『あれなら納得』と言っていただけるように心がけました。アニメ制作の工程で、『なぜ今この作業をしているのか』『この時点で何を思っているのか』や、専門的な道具の使い方などはレクチャーしましたが、出演者のみなさんの理解力と呑み込みの早さには本当に驚きました」(梅澤さん)最近はアニメ業界にもデジタル化の波が。王子監督は手描きで、瞳監督はデジタルで、という対照的な2人の制作スタイルがセットでも表現されている。つじむら・みづき小説家。2004年「冷たい校舎の時は止まる」で第31 回メフィスト賞を受賞し、デビュー。’12年『鍵のない夢を見る』で直木賞を受賞。’18年『かがみの孤城』で本屋大賞を受賞。最新作はホラーミステリー『闇祓』。『ハケンアニメ!』2014年に刊行された『ハケンアニメ!』(小社刊)を原作とした実写映画。監督/吉野耕平脚本/政池洋佑配給/東映2022年5月公開。情報解禁に先駆けYouTubeに予告編がアップされ、ネット上でも話題に。アニメ『サウンドバック 奏の石』特報アニメ『運命戦線リデルライト』特報※共にYouTube「東映映画チャンネル」内。©2022 映画「ハケンアニメ!」製作委員会※『anan』2021年12月8日号より。取材、文・尹 秀姫(by anan編集部)
2021年12月02日直木賞作家・辻村深月による、アニメ業界で奮闘する者たちを描いた小説の映画化『ハケンアニメ!』。この度、本作劇中アニメのクリエイター陣が発表され、各作品のアニメ場面写真も解禁となった。主演の吉岡里帆をはじめ、中村倫也、柄本佑、尾野真千子といった実力派キャスト陣による珠玉のドラマはもちろんのこと、本作の大きな見どころの一つが、劇中で覇権を争う2作のアニメーションのクオリティの高さ。現在、東映映画YouTubeチャンネルで特報が配信中の「サウンドバック 奏の石」(斎藤瞳監督)と「運命戦線リデルライト」(王子千春監督)は、その出来栄えがアニメファンを中心に話題を集めている。吉岡さんが演じる斎藤瞳が所属する「トウケイ動画」と、中村さんが演じる伝説の天才監督、王子千晴が所属する「スタジオえっじ」、カラーの異なる2本のアニメを制作するのは、いずれも人気実力ともに日本を代表するトップクリエイター陣だ。吉岡里帆:瞳は王道!ジュブナイルロボットアニメ瞳が監督する「サウンドバック 奏の石」を手掛けるのは、「テルマエ・ロマエ」「若おかみは小学生!」などで知られる谷東(たにあづま)監督。キャラクター原案を担当したのは、「ツルモク独身寮」「ワタナベ」「ショコラ」などの作品を手掛けた漫画家・アーティストの窪之内英策。メカデザインは、「機動戦士ガンダム00」シリーズや「マジンガーZ/INFINITY」などで知られるメカニックデザイナーの柳瀬敬之が担当。主人公トワコと仲間たちが、のどかな田舎町を突然襲った巨大ロボットから平和を守るため、音を奏でて戦うというストーリー。窪之内氏の写実的で繊細な人物描写と、柳瀬氏がデザインした、吸い込む音で姿が変わる巨大ロボットのコンビネーションで描く、王道ジュブナイルロボットアニメーションが誕生した。中村倫也:王子、ポップなキャラデザとパワフルな作画に注目対して王子監督が生み出す「運命戦線リデルライト」の監督は、「プリキュア」シリーズほか「ONE PIECE STAMPEDE」などで知られる大塚隆史監督。キャラクター原案は、「デュラララ!!」「ハイキュー!!」「魔法少女まどか☆マギか」などで知られる岸田隆宏が務めた。魔法少女・充莉が自らの魂の力で乗るバイクを変形させて、ライバルたちとレースで競い合うというストーリー。最大の特徴は主人公たちが1話ごとに1歳年を取るという設定。そこに、ポップで可愛らしいキャラデザとパワフルな作画のギャップが加わり、天才・王子の世界観が表現された。原作者の辻村さんも、小説ではアニメが面白く見えるようにこだわりを持って執筆しており、今回の映画化にあたり最も期待していた部分がアニメのクオリティだと語る。さらに辻村さんは劇中アニメの制作にあたり、映画で全編使われるわけではないエピソードを含む各12話分のプロットを自ら書き下ろし。単独でアニメシリーズになりうるほど高い完成度を誇るプロットに、映画スタッフやアニメパートスタッフも感激し、現場全体が熱意に満ちた状態で渾身の劇中アニメ制作が進められた。なお、本作の原作本の出版元・マガジンハウスの雑誌「anan」の12月1日発売号にて、本作のアニメクリエイター陣のインタビューが掲載中となっている。『ハケンアニメ!』は2022年5月、全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ハケンアニメ! 2022年5月、全国にて公開予定©️2022 映画「ハケンアニメ!」製作委員会
2021年12月01日直木賞作家・辻村深月の小説『ハケンアニメ!』が実写映画化。2022年5月20日(金)に公開される。主演は吉岡里帆。辻村深月の小説『ハケンアニメ!』を実写映画化原作小説の『ハケンアニメ!』は、直木賞作家・辻村深月がアニメ業界の舞台裏を描いたお仕事ドラマ。本屋大賞にもノミネートされた人気小説が、7年の時を経て実写映画化される。アニメの頂点【ハケンアニメ】の称号を手にいれろ!物語の主人公は、地方公務員からアニメ業界に飛び込んだ斎藤瞳。瞳は、監督デビュー作で、憧れのスター監督・王子千晴と覇権を争うことに。王子は過去にメガヒット作品を生み出したが、その過剰なこだわりとわがままぶりで、監督降板が続いていた。そんな崖っぷちの王子を8年ぶりに監督復帰させるべく、プロデューサーの有科香屋子は、人生を懸けた大勝負に出る。瞳は、クセ者プロデューサー・行城理や、個性的な仲間たちと共に、汗と涙と鼻水にまみれ、アニメの頂点【ハケン(覇権)アニメ】の称号を手にするべく、熾烈な“戦い”に身を投じていくのだが...。吉岡里帆がアニメ業界で奮闘する新人監督に主演を務めるのは、『音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!』『見えない目撃者』などで幅広い演技を見せてきた吉岡里帆。その他、中村倫也、柄本佑、尾野真千子ら実力派俳優陣が集結した。主人公・斎藤瞳...吉岡里帆アニメが持つ力を信じ、チャンスを掴んだ新人監督。目標に向かって努力するも、不器用がゆえ壁にぶち当たる日々の中で、それでも懸命に前に進む。王子千晴...中村倫也かつて伝説のアニメを世に打ち出し、天才として名を馳せるが、その後はヒット作を出せず、もう後がない崖っぷちの天才監督。行城理...柄本佑仕事はできるが超クセのある性格で、瞳を振り回す敏腕プロデューサー。有科香屋子...尾野真千子かつて「伝説の制作進行」と呼ばれた、王子の才能に人生を懸ける名プロデューサー。アニメ業界を支える人々に多彩なキャストその他にも、多彩なキャストが出演。アニメの顔として表舞台に出ることの多い監督や声優だけではなく、アニメーターや編集、宣伝マンなど...アニメ業界を盛り上げるために不可欠な人々の姿がしっかりと描かれる。宗森周平役...工藤阿須加アニメの企画で秩父を盛り上げようと奮闘する市の観光課職員。実直な青年。並澤和奈役...小野花梨劇中アニメ「サバク」と「リデル」に参加する作画スタジオ「ファインガーデン」所属のアニメーター。“神作画”で話題の人気アニメーターとして、瞳たちから頼りにされる。群野葵役...高野麻里佳「サバク」の主人公・トワコ役を務める声優。アイドル的人気で支持を集めており、監督の瞳とは何かと衝突することも!?演じるのは、「ウマ娘 プリティーダービー」「デジモンアドベンチャー: 」で知られる人気声優・高野麻里佳。俳優として、自身初の実写映画出演を果たす。根岸役...前野朋哉「サバク」の制作会社「トウケイ動画」の制作デスク。越谷役...古舘寛治「トウケイ動画」の宣伝マン・越谷役。根岸と越谷は仕事柄一緒にいることも多く、二人でドライな行城を目の敵にしているが、それぞれ実はアニメ制作にかける熱い思いを秘めている。前山田役...徳井優「サバク」の脚本・シリーズ構成の脚本家。関役...六角精児「ファインガーデン」の社長兼アニメーター。河村役...矢柴俊博「サバク」の作画や画面作りを統括する作画監督。白井役...新谷真弓カット毎に撮影されたデータを絵コンテに準じて繋ぎ合わせる「サバク」の編集。田口役...松角洋平アニメ表現をより効果的に見せる事を担当する「リデル」担当演出。逢里哲哉役...水間ロングッズの王道・フィギュアを生み出すフィギュア会社の企画担当。星役...みのすけ視聴率が高いアニメを放送する事が命題の「リデル」放送局の重役。アニメショップの店員役...前原滉『水曜日が消えた』吉野耕平が監督監督は、新海誠監督のアニメ映画『君の名は。』にCGクリエイターとして参加し、中村倫也主演の映画『水曜日が消えた』で長編映画デビューを果たした吉野耕平。また、老舗アニメ制作会社・東映アニメーションが監修を行い、変化の激しいアニメ業界の“今”のリアリティを徹底的に追求した。劇中アニメはProduction I.Gらが制作劇中アニメ『サウンドバック 奏の石』『運命戦線リデルライト』の制作には『攻殻機動隊』シリーズなどで知られるProduction I.Gなど、日本を代表するアニメプロダクションが参加。スタッフ、声優キャスト共に、劇中アニメとは思えぬ豪華な布陣となっている。■劇中で吉岡里帆が演じる瞳が監督する『サウンドバック 奏の石』監督:谷東『テルマエ・ロマエ』『若おかみは小学生!』キャラクター原案:窪之内英策『ツルモク独身寮』『ワタナベ』『ショコラ』メカデザイン:柳瀬敬之『機動戦士ガンダム00』シリーズ、『マジンガーZ/INFINITY』声優キャスト:梶裕貴、潘めぐみ、木野日菜、速水奨■中村倫也が演じる王子が生み出す『運命戦線リデルライト』監督:大塚隆史『プリキュア』シリーズほか『ONE PIECE STAMPEDE』キャラクター原案:岸田隆宏『デュラララ!!』『ハイキュー!!』『魔法少女まどか☆マギか』声優キャスト:高橋李依、花澤香菜、堀江由衣、小林ゆう、近藤玲奈、兎丸七海、大橋彩香主題歌はジェニーハイの新曲「エクレール」主題歌は、小籔千豊、くっきー!(野性爆弾)、新垣隆、中嶋イッキュウ(tricot)、川谷絵音(ゲスの極み乙女。/ indigo la End)から成るスペシャルバンド、ジェニーハイ。川谷絵音が作詞・作曲/編曲を手掛け、新曲「エクレール」を書き下ろした。楽曲タイトルは、吉岡里帆演じる主人公・斎藤瞳の好物としてたびたび劇中に登場する「エクレア」をモチーフにしている。映画に出演している人気声優陣が参加しているのも、新曲「エクレール」の見逃せないポイント。ゲストボーカルとして高野麻里佳が歌うほか、梶裕貴、潘めぐみ、高橋李依、花澤香菜といった面々も掛け声で参加している。映画『ハケンアニメ!』あらすじテレビアニメの年間制作本数300本以上、マーケットは2兆円を超えるとも言われるアニメ業界。今や世界中が注目する日本のアニメ業界だが、その制作現場では、最も成功したアニメの称号=「覇権(ハケン)」を取るため、日夜熾烈な闘いが繰り広げられている。そんな世界に飛び込んだ斎藤瞳は監督デビュー作で、憧れのスター監督・王子千晴と覇権を争うことに!過去にメガヒット作品を生み出し、天才として名を馳せる王子は、プロデューサー・有科香屋子とタッグを組み8年ぶりに監督復帰を果たすのだ。瞳は、クセ者プロデューサー・行城理や、個性的な仲間たちと共に、汗と涙と鼻水にまみれ、アニメの頂点【ハケン(覇権)アニメ】の称号を手にすべく、奮闘を重ねるのであったー。【詳細】映画『ハケンアニメ!』公開日:2022年5月20日(金)原作:辻村深月「ハケンアニメ!」(マガジンハウス刊)監督:吉野耕平脚本:政池洋佑出演:吉岡里帆、中村倫也、柄本佑、尾野真千子制作プロダクション:東映東京撮影所配給:東映
2021年11月28日女優の吉岡里帆が、映画『ハケンアニメ!』(2022年5月公開)の主演を務めることが25日、明らかになった。同作は辻村深月による同名人気小説の実写化作。アニメ業界に飛び込んだ斎藤瞳(吉岡)は、監督デビュー作で憧れのスター監督・王子千晴(中村倫也)と最も成功したアニメの称号=覇権を争うことに。天才として名を馳せる王子は、プロデューサー・有科香屋子とタッグを組み8年ぶりに監督復帰を果たすことになっており、瞳はクセ者プロデューサー・行城理や個性的な仲間たちと共に、汗と涙と鼻水にまみれ、アニメの頂点=ハケンアニメの称号を手にすべく奮闘を重ねる。主演の吉岡は、アニメが持つ力を信じチャンスを掴んだ新人監督・斎藤瞳役で、目標に向かって努力するも不器用がゆえ壁にぶち当たる日々の中で、懸命に前に進む姿をひたむきに演じる。かつて伝説のアニメを世に打ち出し、天才として名を馳せるが、その後はヒット作を出せず、もう後がない崖っぷちの天才監督・王子千晴役には中村倫也が決定。仕事はできるが超クセのある性格で、瞳を振り回す敏腕プロデューサー・行城理を柄本佑、かつて「伝説の制作進行」と呼ばれた、王子の才能に人生を懸ける名プロデューサー・有科香屋子を尾野真千子が演じる。豪華俳優陣が揃い、2組の「アニメ監督×プロデューサー」が覇権をかけて火花を散らす。監督は、映画『君の名は。』(16年)にCGクリエイターとして参加、数々のCMやPVを手掛ける注目の映像作家で、中村倫也主演の映画『水曜日が消えた』(20年)で長編映画デビューを果たした吉野耕平が務める。また老舗アニメ制作会社・東映アニメーションが監修を行い、変化の激しいアニメ業界の“今”のリアリティを徹底追求した。劇中アニメ『サウンドバック 奏の石』『運命戦線リデルライト』の制作には『攻殻機動隊』シリーズなどで知られるProduction I.Gをはじめ、日本を代表するアニメプロダクションが参加。実はこのアニメ2作品は、本情報解禁に先駆け、YouTubeに予告編がアップされ、ネット上では“謎のアニメーション”と話題となり、1週間で併せて10万を超える視聴数を記録している。特報映像も公開され、劇中アニメ『サウンドバック 奏の石』と『運命戦線リデルライト』の映像をバックに、吉岡演じる瞳が「アニメは魔法を超える力を与えることができる!」と真剣な表情で訴えかけるシーンからスタート。瞳、王子、行城、香屋子がアニメ制作に奮闘する姿と、慌ただしい制作現場の風景がテンポよく描かれる。そして「2022年 覇権を手にする アニメは何か!?」のテロップが現れると、新人監督の瞳が天才監督の王子に「私、負けません。全部勝って、覇権を取ります!」とまさかの勝利宣言。不敵な笑みを浮かべる王子、驚いた顔の行城、香屋子のアップが映し出される。併せてティザービジュアルも解禁。「瞳×行城」チームは『サウンドバック 奏の石』、「王子×香屋子」チームは『運命戦線 リデルライト』と、それぞれが作っているアニメのメインキャラクターを背負い、真剣な表情で正面を見据える4人の姿と、「覇権を掴め。」「己を超えろ。」のキャッチコピーが配置されたビジュアルに仕上がっている。○吉岡里帆 コメント公務員出身の新人アニメ監督、斉藤瞳を演じさせて頂きました。1本のアニメが生まれるまでの軌跡と、アニメーター達の死闘を描く今作。日本の宝とも言えるアニメーション作品ですが、その裏では想像の何倍も何十倍も地道な作業が繰り返されています。アニメーター達の底知れない才能が日夜コンテとなり原画となり動画へと昇華されていく…素晴らしいアニメを見た時、抑え切れない感動を覚えるのと同じようにそんなアニメ作品を作る人々の想いに触れた時きっと今までにない感動が届くと撮影をしながら毎日思っていました。どうぞ『ハケンアニメ!』をよろしくお願い致します!○中村倫也コメント王子千晴役、中村倫也です。台本を読みながら何度も「ある、ある。」と、この職業独特の〝クリエイター熱〟に頷いてしまいました。覇道に足を踏み込みながらも、悩み多き、王子という人間を演じることができて幸せです。きっと多くの人が、魂を削りながら仕事への情熱を注ぐ彼らを見て、日々を生きるエネルギーを受け取っていただけると思います。監督・吉野耕平の世界を乞うご期待!!○柄本佑 コメント行城はクセが強めなのですが同時に人間臭くもあるヤツだと思い現場に臨みました。吉野監督は線が細く声が小さく、挙動不審なところがありますがその見た目からは想像できないほど頑固で芯の通った男らしさがありました。アニメ業界を生きる骨太な人間ドラマが時に軽妙に、時に深刻に描かれます!是非楽しみにしていて下さい!○尾野真千子 コメント希望、夢、憧れ、進むべき道、そんなキラキラした物語の中にいました。久しぶりに恋なんかしたりして。妖精のような吉野監督とのやりとり楽しかったです!どんな風に繋がっていくのか楽しみです!○吉野耕平監督 コメント本作は、もともと自分が映画化したかった原作企画を、逆に監督オファーを頂くという幸運に恵まれた作品でした。ちょうど自分自身が長編第一作目を撮った直後の、新人監督としての記憶も生々しいこの時期に、同じ新人監督の物語を描けたことの幸運と、さらに、素晴らしいキャスト・スタッフと共にその作品に挑めたことの幸運を、今は噛み締めています。様々な映像ジャンルを横断した、この作品ならではの共演をぜひお楽しみいただければと思います。願わくばこの作品が、スクリーンの向こうの誰かの幸運な出会いにつながりますように。幼い頃からずっと憧れてきたアニメの世界と、この作品を通じて関わることができたのは、本当に一生の幸運でした。○辻村深月(原作)コメント『ハケンアニメ!』は私の小説の中では最も映像化が難しいタイトルだと思っていました。理由は、作中に登場する二本のアニメ。「その期の覇権をとる」と言われるようなクオリティーのアニメを現実に映像内に再現してもらうのはまず無理だろうと諦めていました。だけど──今回、素晴らしいスタッフとキャストの皆さんの力を借りて実現しました。私の描いた王子が、香屋子が、瞳が、行城がここにいる。彼らの作るアニメがここにある。劇場で彼らの軌跡を目撃できるのが、今から楽しみでなりません。(C)2022 映画「ハケンアニメ!」製作委員会
2021年11月25日吉岡里帆、中村倫也、柄本佑、尾野真千子という、実力派俳優陣が出演する映画『ハケンアニメ!』が来年公開されることが決定。ティザービジュアルと特報映像も到着した。いまや世界中が注目する日本のアニメ業界だが、その制作現場では、最も成功したアニメの称号=「覇権」を取るため、日夜熾烈な闘いが繰り広げられている。そんな世界に飛び込んだ斎藤瞳は、監督デビュー作で憧れのスター監督・王子千晴と覇権を争うことに。天才として名を馳せる王子は、プロデューサー・有科香屋子とタッグを組み、8年ぶりに監督復帰を果たす。瞳は、クセ者プロデューサー・行城理や個性的な仲間たちと共に、その称号を手にすべく奮闘を重ねる――。本作は、「ツナグ」「朝が来る」の辻村深月による、アニメーション業界で奮闘する者たちを描いたお仕事ドラマで、本屋大賞にもノミネートされた同名小説が原作。主演を務める吉岡さんが演じるのは、新人監督・斎藤瞳。目標に向かって努力するも、不器用がゆえ壁にぶち当たる日々の中で、それでも懸命に前に進む姿をひたむきに演じ、新たな一面を魅せる。また、かつて伝説のアニメを世に打ち出し、天才として名を馳せるが、その後はヒット作を出せず崖っぷちな天才監督・王子千晴を中村さん。仕事はできるが超クセのある性格で、瞳を振り回す敏腕プロデューサー・行城理を柄本さん。かつて「伝説の制作進行」と呼ばれた、王子の才能に人生を懸ける名プロデューサー・有科香屋子を尾野さんが演じ、2組の監督とプロデューサーが火花を散らす。初映像となる特報では、劇中アニメーション「サウンドバック 奏の石」と「運命戦線リデルライト」の映像をバックに、瞳が真剣な表情で訴えかけるシーンからスタート。そして、制作に奮闘する姿、慌ただしい制作現場の風景がテンポよく映し出されていく。熱い思いと熾烈な争いが垣間見える、熱血感溢れる映像だ。『ハケンアニメ!』特報映像監督は、CGクリエイターとして『君の名は。』に参加、CMやPVを手掛ける映像作家で、『水曜日が消えた』で長編映画デビューを果たした吉野耕平。また、東映アニメーションが監修を行い、変化の激しいアニメ業界のいまのリアリティを徹底追求。特報でも登場する劇中アニメーション2つの制作には、Production I.Gをはじめ、日本を代表するアニメプロダクションが参加。また、今回の発表に先駆け、YouTubeにはこの2作品の予告編がアップされており、1週間で合わせて10万を超える視聴数を記録し話題となっていた。そしてティザービジュアルでは、瞳×行城チームは「サウンドバック 奏の石」、王子×香屋子チームは「運命戦線 リデルライト」と、それぞれが制作するアニメーションのメインキャラクターを背負う、真剣な表情の4人の姿が描かれている。▼キャストコメント吉岡里帆公務員出身の新人アニメ監督、斉藤瞳を演じさせて頂きました。1本のアニメが生まれるまでの軌跡と、アニメーター達の死闘を描く今作。日本の宝とも言えるアニメーション作品ですが、その裏では想像の何倍も何十倍も地道な作業が繰り返されています。アニメーター達の底知れない才能が日夜コンテとなり原画となり動画へと昇華されていく…素晴らしいアニメを見た時、抑え切れない感動を覚えるのと同じようにそんなアニメ作品を作る人々の想いに触れた時きっと今までにない感動が届くと撮影をしながら毎日思っていました。どうぞ『ハケンアニメ!』をよろしくお願い致します!中村倫也王子千晴役、中村倫也です。台本を読みながら何度も「ある、ある。」と、この職業独特の“クリエイター熱”に頷いてしまいました。覇道に足を踏み込みながらも、悩み多き、王子という人間を演じることができて幸せです。きっと多くの人が、魂を削りながら仕事への情熱を注ぐ彼らを見て、日々を生きるエネルギーを受け取っていただけると思います。監督・吉野耕平の世界を乞うご期待!!柄本佑行城はクセが強めなのですが同時に人間臭くもあるヤツだと思い現場に臨みました。吉野監督は線が細く声が小さく、挙動不審なところがありますがその見た目からは想像できないほど頑固で芯の通った男らしさがありました。アニメ業界を生きる骨太な人間ドラマが時に軽妙に、時に深刻に描かれます!是非楽しみにしていて下さい!尾野真千子希望、夢、憧れ、進むべき道、そんなキラキラした物語の中にいました。久しぶりに恋なんかしたりして。妖精のような吉野監督とのやりとり楽しかったです!どんな風に繋がっていくのか楽しみです!▼劇中アニメーションの特報映像「サウンドバック 奏の石」「運命戦線リデルライト」『ハケンアニメ!』は2022年5月、全国にて公開予定。(cinemacafe.net)
2021年11月25日直木賞作家・辻村深月による、アニメ業界で奮闘する者たちを描いたお仕事ドラマで、本屋大賞にもノミネートされた大人気小説『ハケンアニメ!』(マガジンハウス刊)が発売から7年の時を経て遂に映画化。2022年5月に公開(配給:東映)されることが決定した。また本作の映画化決定のニュースに併せて、ティザービジュアル・特報も公開に。さらには、キャスト・監督・原作者からコメントが届いた。テレビアニメの年間制作本数300本以上、マーケットは2兆円を超えるとも言われるアニメ業界。今や世界中が注目する日本のアニメ業界だが、その制作現場では、最も成功したアニメの称号=「覇権(ハケン)」を取るため、日夜熾烈な闘いが繰り広げられている。そんな世界に飛び込んだ斎藤瞳は監督デビュー作で、憧れのスター監督・王子千晴と覇権を争うことに。過去にメガヒット作品を生み出し、天才として名を馳せる王子は、プロデューサー・有科香屋子とタッグを組み8年ぶりに監督復帰を果たすのだ。瞳は、クセ者プロデューサー・行城理や、個性的な仲間たちと共に、汗と涙と鼻水にまみれ、アニメの頂点【ハケン(覇権)アニメ】の称号を手にすべく、奮闘を重ねるのであった。主演を務めるのは、数々の映画やドラマに引っ張りだこの人気俳優・吉岡里帆。アニメが持つ力を信じ、チャンスを掴んだ新人監督・斎藤瞳が、目標に向かって努力するも、不器用がゆえ壁にぶち当たる日々の中で、それでも懸命に前に進む姿をひたむきに演じ、新たな一面で魅せる。また、かつて伝説のアニメを世に打ち出し、天才として名を馳せるが、その後はヒット作を出せず、もう後がない崖っぷちの天才監督・王子千晴に、多彩な演技力で人々を魅了し続ける中村倫也。仕事はできるが超クセのある性格で、瞳を振り回す敏腕プロデューサー・行城理を、演技力と個性で近年ますます活躍の場を広げる柄本佑。かつて「伝説の制作進行」と呼ばれた、王子の才能に人生を懸ける名プロデューサー・有科香屋子に日本を代表する実力派俳優・尾野真千子。豪華俳優陣が揃い、2組の<アニメ監督×プロデューサー>が覇権をかけて火花を散らす。監督は、映画『君の名は。』にCGクリエイターとして参加、数々のCMやPVを手掛ける注目の映像作家で、中村倫也主演の映画『水曜日が消えた』で長編映画デビューを果たした吉野耕平。また、老舗アニメ制作会社・東映アニメーションが監修を行い、変化の激しいアニメ業界の“今”のリアリティを徹底追求した。劇中アニメ『サウンドバック 奏の石』『運命戦線リデルライト』の制作には『攻殻機動隊』シリーズなどで知られるProduction I.Gをはじめ、日本を代表するアニメプロダクションが参加。また、実はこのアニメ2作品は、本情報解禁に先駆けて、YouTubeに予告編がアップされ、ネット上では“謎のアニメーション”と話題となり、2週間で併せて10万を超える視聴数を記録している。徹底的にこだわり尽くした劇中アニメにもぜひ、注目してほしい。本作初の映像解禁となる特報は、軽快な音楽に載せ、劇中アニメ『サウンドバック 奏の石』と、『運命戦線リデルライト』の映像をバックに、吉岡演じる瞳が「アニメは魔法を超える力を与えることができる!」と真剣な表情で訴えかけるシーンから始まり、瞳、王子(中村倫也)、行城(柄本佑)、香屋子(尾野真千子)がアニメ制作に奮闘する姿と、慌ただしい制作現場の風景がテンポよく描かれる。そして、「2022年 覇権を手にする アニメは何か!?」のテロップが現れると、新人監督の瞳が天才監督の王子に「私、負けません。全部勝って、覇権を取ります!」とまさかの勝利宣言。不敵な笑みを浮かべる王子、驚いた顔の行城、香屋子のアップが映し出される。 アニメ業界で働く者たちの熱い想いと、覇権を取るための熾烈な争いが垣間見える、熱血感溢れる仕上がりとなった。併せてティザービジュアルも公開。<瞳×行城>チームは『サウンドバック 奏の石』、<王子×香屋子>チームは『運命戦線 リデルライト』と、それぞれが作っているアニメのメインキャラクターを背負い、真剣な表情で正面を見据える4人の姿と、「覇権を掴め。」「己を超えろ。」のキャッチコピーが。覇権を賭けた熱い闘いが、これから繰り広げられることを想像させるビジュアルに仕上がっている。映画『ハケンアニメ!』は2022年5月公開。■映画『ハケンアニメ!』特報映像<アニメ予告>・『サウンドバック 奏の石』特報・『運命戦線リデルライト』特報<キャスト・スタッフコメント>■吉岡里帆公務員出身の新人アニメ監督、斉藤瞳を演じさせて頂きました。1本のアニメが生まれるまでの軌跡と、アニメーター達の死闘を描く今作。日本の宝とも言えるアニメーション作品ですが、その裏では想像の何倍も何十倍も地道な作業が繰り返されています。アニメーター達の底知れない才能が日夜コンテとなり原画となり動画へと昇華されていく…素晴らしいアニメを見た時、抑え切れない感動を覚えるのと同じようにそんなアニメ作品を作る人々の想いに触れた時きっと今までにない感動が届くと撮影をしながら毎日思っていました。どうぞ『ハケンアニメ!』をよろしくお願い致します!■中村倫也王子千晴役、中村倫也です。台本を読みながら何度も「ある、ある。」と、この職業独特の〝クリエイター熱〟に頷いてしまいました。覇道に足を踏み込みながらも、悩み多き、王子という人間を演じることができて幸せです。きっと多くの人が、魂を削りながら仕事への情熱を注ぐ彼らを見て、日々を生きるエネルギーを受け取っていただけると思います。監督・吉野耕平の世界を乞うご期待!!■柄本佑行城はクセが強めなのですが同時に人間臭くもあるヤツだと思い現場に臨みました。吉野監督は線が細く声が小さく、挙動不審なところがありますがその見た目からは想像できないほど頑固で芯の通った男らしさがありました。アニメ業界を生きる骨太な人間ドラマが時に軽妙に、時に深刻に描かれます!是非楽しみにしていて下さい!■尾野真千子希望、夢、憧れ、進むべき道、そんなキラキラした物語の中にいました。久しぶりに恋なんかしたりして。妖精のような吉野監督とのやりとり楽しかったです!どんな風に繋がっていくのか楽しみです!■吉野耕平(監督)本作は、もともと自分が映画化したかった原作企画を、逆に監督オファーを頂くという幸運に恵まれた作品でした。ちょうど自分自身が長編第一作目を撮った直後の、新人監督としての記憶も生々しいこの時期に、同じ新人監督の物語を描けたことの幸運と、さらに、素晴らしいキャスト・スタッフと共にその作品に挑めたことの幸運を、今は噛み締めています。様々な映像ジャンルを横断した、この作品ならではの共演をぜひお楽しみいただければと思います。願わくばこの作品が、スクリーンの向こうの誰かの幸運な出会いにつながりますように。幼い頃からずっと憧れてきたアニメの世界と、この作品を通じて関わることができたのは、本当に一生の幸運でした。■辻村深月(原作)『ハケンアニメ!』は私の小説の中では最も映像化が難しいタイトルだと思っていました。理由は、作中に登場する二本のアニメ。「その期の覇権をとる」と言われるようなクオリティーのアニメを現実に映像内に再現してもらうのはまず無理だろうと諦めていました。だけどーー今回、素晴らしいスタッフとキャストの皆さんの力を借りて実現しました。私の描いた王子が、香屋子が、瞳が、行城がここにいる。彼らの作るアニメがここにある。劇場で彼らの軌跡を目撃できるのが、今から楽しみでなりません。映画『ハケンアニメ!』2022年5月公開
2021年11月25日「閉じ込めた記憶や時間や骨…。ずっと忘れられていたものが、あるきっかけで呼び起こされる。そんな思いを込めたタイトルに牽引されて、書けた部分も大きかったですね」辻村深月さんの『琥珀の夏』は、残酷な真実が描かれながら、慰撫されるような余韻が残る。物語は、弁護士の近藤法子が〈ミライの学校〉という団体の事務局を訪れたところから始まる。〈ミライの学校〉は、学校教育に疑問を感じていた有志が集い、運営されていた。ある事件をきっかけにカルト集団と批判されたその団体施設の跡地で、女児の白骨死体が見つかったのだ。法子もそのニュースを知り、「自分の娘と孫が〈ミライの学校〉に入ってしまったまま連絡が取れない、白骨死体は孫なのではないか」と案じる吉住夫妻の代理人となった。対応した団体の担当者は、「うちは無関係です」とけんもほろろ。だが、法子の胸の内はざわつく。法子は小学校の4年生からの3年間、〈ミライの学校〉の夏合宿に参加していたことを思い出す。“見つかったのは、ミカちゃんなんじゃないか”。ミカは、当時クラスになじめず孤独だったノリコを、〈友だち〉と呼んでくれた子だった。「法子を弁護士にしたのは、自分の過去を見つめ直してもらうときに、個人としてより、仕事として“関わらなくてはいけない”ようにするのがいちばん自然なのではないかなと思ったからです」いい思い出もある〈ミライの学校〉がカルト的だと言われることに違和感を覚える法子でさえ、調べ、記憶を掘り起こすうちに、自分の中にある無意識なバイアスに気づく。物語の重要なキーとなるのは、大人と別々に暮らす子どもの自立を促す〈学び舎〉や、願いを叶えてくれるという〈泉〉、子どもの自主性を育むという名目でなされる〈問答〉、〈内部の子〉と〈麓の子〉の距離感…。大人になった法子が、数々の思い出とそのころの気持ちを、リアルに細やかに掬い上げていくのも読みどころ。「以前は、大人が子どものころを振り返る形で書くときには、“子ども時代”を別の何かのように見ていた感覚があったんです。それが『かがみの孤城』やこの『琥珀~』を書いた近年、子どもの時間と大人の時間は分断しているわけではないな、子どもの時間の地続きに、私は私のままあるのが大人の時間なんだ、ということが、作家としても私個人としても実感できるようになってきて。すると、実は記憶はとても恣意的なものなのだなと感じたんですね。ならば、自分が真実だと思っていたものにもう一歩踏み込んだらまた違うものが見えるのではないか。あらためて、記憶というものを検証してみたいという気持ちもありました」また、読者から反響が大きかったテーマのひとつが“育児/教育”だ。「現実の中でも多々ある違和感を、〈ミライの学校〉を通じて書きました。子どもが自分の方を見てほしい時期に、親はもっと大きな理想や理念に夢中。子どもの未来のためと言いながら、親が我が子の未来をないがしろにしてしまうとか。よい活動とされていることも、その本当の主体に“子ども”はいるのかなど。そういうことも今回とことん向き合って書いてみたいと思いました」実際、幼いころのミカが両親と離ればなれの寂しさに耐えかね、夜中にこっそり朝一番の水を求めて泉に向かう場面は、胸が痛む。終盤に、読者がそれまで見ていた風景を一変させるようなサプライズが仕込まれている。だが、この名シーンは、さらなるクライマックスへの布石なのだ。辻村深月、恐るべし。「ミステリー的にも大事に書きたかったシーンです。私自身もそこがゴールだと思っていたら、ここがスタートだったのかと(笑)」500ページ超の大作だが、ついページを繰る手が逸る。傑作だ。つじむら・みづき作家。1980年、山梨県生まれ。2004年メフィスト賞を受賞しデビュー。’11年『ツナグ』で吉川英治文学新人賞、’12年『鍵のない夢を見る』で直木賞を受賞。本屋大賞受賞作『かがみの孤城』が文庫に。『琥珀の夏』白骨死体の少女は誰か。事故か他殺か。動機は。守れなかった子ども時代の自分と友を、大人になった本人たちが代わって守る――。ミステリーとしてのリーダビリティも備えた、贖罪の物語でもある。文藝春秋1980円※『anan』2021年7月14日号より。写真・土佐麻理子(辻村さん)中島慶子(本)インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2021年07月13日50周年記念映画『STAND BY ME ドラえもん 2』が公開中。大のドラえもん好きで、映画の脚本も手掛けたことがある小説家の辻村深月さんが、お気に入りエピソードと共にその魅力を語ります。マンガも、アニメも、劇場版も。幼少期から今までずっとドラえもんを愛してきた、作家の辻村深月さん。今年50周年を迎えたドラえもん。これだけ長く愛されてきた理由を伺うと、まずは物語としてとても面白く、読んだり見たりすると元気になる、作品としての圧倒的な魅力がある、と語ります。「特にそれは、原作のマンガを読んだときに強く感じます。たった10数ページの長さにもかかわらず、起承転結がしっかり詰まっていて、しかも少しシリアスな作品でも、最後の1コマでちゃんと笑いに落としてくれる。どれも物語のお手本のような構造なんです。ほとんどのお話が、日常の中でのび太が感じた小さな不満や望みがきっかけになり、ドラえもんがひみつ道具を出し、話が展開していくわけですが、ひみつ道具によって生み出されるさまざまな“不思議”や“異世界”が、日常のすぐ隣にある、という設定も魅力的。例えばそれは、タイムマシンの入り口が偉い博士の研究室ではなくのび太の学習机の引き出しだったり、畳の裏が宇宙につながっていたり…。誰もが子供のときに妄想したであろう、“あったらいいな”な世界が描かれているところも大好きです。私の好きなお話の『天の川鉄道の夜』で描かれる夜空をSLが駆けるというシーンは、そんなドラえもんの世界観の象徴的なエピソード。きっぷにハサミを入れるとSLが迎えに来てくれるという展開も、ロマンが溢れていて心が躍ります」また、大人になってから読み返すと、幼い頃には読み取れなかったメタファーやメッセージに気が付くことも多々ある、とも。「子供のときはただただ展開が面白かったマンガでも、今読むと、ひみつ道具の持つ強い社会性や、風刺、また“こんな意味があったのか!”と驚かされることがたくさんあります。最近改めて、強くそう思ったのが、『おそるべき正義ロープ』と、『悪魔のパスポート』の2つ。『おそるべき~』は、自分の正義が絶対で、他人の正義は許さない、という、昨今の世の中の風潮にとても近い物語。また『悪魔の~』は、どんな悪いことでも許されてしまう権力を持ったらどうなるか…という内容です。いずれのひみつ道具も、最初はのび太がいい気になって使うのですが、途中で罪悪感に苛まれたり、道具の持つ怖い側面に気が付いたりして、自ら濫用を止めようとします。寛容さや、“過ぎる正義”とは何か、考えさせられる名作だと思います」日常にある不思議の面白さと、SF的な恐怖が共存する物語。『天の川鉄道の夜』ドラえもん20巻スネ夫からSLに乗った自慢話を聞かされ、「僕もSLに乗りたい~」と泣きつくのび太。断られたものの、ドラえもんがうっかり落としたSL型宇宙船のきっぷを勝手に使い、裏山に鉄道を呼ぶ。のび太たち4人と車掌だけを乗せた鉄道は、宇宙に向け出発するが…。正義が暴走すると、手がつけられなくなる…!!『おそるべき正義ロープ』ドラえもん23巻「いつでも俺が正しい!」と暴力を振るうジャイアンに泣かされるのび太。そこでドラえもんは、悪者は絶対許さないという、つる草のサイボーグ〈正義ロープ〉の種を蒔く。罪の重さで縛られ方が変わるというこのロープ、果たして街の平和が保たれるのか?!悪いことへの憧れと罪悪感。その戦い、どちらが勝つ?『悪魔のパスポート』ドラえもん13巻欲しいマンガが我慢できず家のお金を盗もうとしたのび太に、ママは「泥棒!ろくなものにならない!」と激怒。「ならば世界一の悪人になってやる」と宣言。どんな悪いことでも許されるひみつ道具〈悪魔のパスポート〉を使い、悪事(でも規模は小さい)を重ねる。ドラえもん全45巻藤子・F・不二雄22世紀からやってきたネコ型ロボットのドラえもんと、勉強もスポーツも苦手なのび太くんの物語。’70年より連載がスタート。絵のかわいらしさに悶絶!各¥454(小学館)©藤子プロ・小学館つじむら・みづき小説家。1980年生まれ、山梨県出身。『映画ドラえもん のび太の月面探査記』(’19年)の脚本を担当。現在、原作映画『朝が来る』が公開中。『STAND BY ME ドラえもん 2』原作:藤子・F・不二雄監督:八木竜一脚本・共同監督:山崎貴声の出演:水田わさび、大原めぐみ、かかずゆみ、木村昴、関智一、宮本信子、妻夫木聡全国東宝系で公開中。※『anan』2020年12月2日号より。(by anan編集部)
2020年12月01日