アラフォーになってからというもの、妙に疲れやすくなったような気がしていました。「年のせい? それとも運動不足かな?」と思っていたある日のこと。食器を洗っている最中に、立っていられないほどのだるさを感じたのです。その理由とは……?日常生活に支障が出るほどのだるさに悩む40歳の誕生日を過ぎたころのことです。いつものように食器を洗っていると、思わずへたり込んでしまうほどのだるさを感じました。熱もないし、頭も痛くない。不思議に思いながらもしばらく横になっていると、謎のだるさは治まりました。ほっとしたのもつかの間、それから毎日のように体のだるさを感じるようになってしまったのです。洗濯物を干したり料理をしたりといった日常の家事も、休み休みでないとできません。しばらくたつと、夕方以降にだけ微熱が出るようになってきました。風邪症状はないので様子を見ていましたが、「やっぱりおかしい」と思い、近所のクリニックを受診することにしました。クリニックでは原因不明クリニックで尿検査や血液検査をしたところ、血液に炎症反応が出ていることがわかりました。抗生物質を処方されて帰宅し、2週間ほど様子を見たものの不調は続きました。同じクリニックに再度受診するものの、だるさと夕方以降に出る微熱のほかには症状がなく、先生は困り顔。さまざまな検査をしましたが、結局原因はわからないままでした。クリニックではこれ以上調べられないということで、結局、市内の総合病院を受診することに。クリニックの紹介状を持って総合病院を受診したものの、なんとそこでも「原因がよくわからない」と言われてしまいます。女性医師の機転で判明!?途方に暮れていたところ、診察してくれた女性の医師が「念のため、甲状腺の検査をしてみませんか」と提案してくれました。そこで検査をお願いすると、甲状腺の数値に異常があることがわかったのです。その後さまざまな検査と通院を経て、ついた診断は「橋本病」でした。橋本病とは30代から40代の女性に多い病気で、主な症状は疲れやすさやむくみ、無気力、寒さなどだそうです。橋本病は甲状腺ホルモンが少なくなる病気で、妊娠や出産、ストレスなどが原因で発症することもあるのだとか。私の場合は一時的に甲状腺ホルモンが過剰になり、微熱の症状が出ていたようです。これまで健康診断に一度もひっかかったことがなく、自分のことを健康だと思い込んでいたのでびっくりしました。まとめ橋本病は薬で治療できる病気なので、現在は落ち着いています。立っていられないほどの疲れを感じることはなくなりました。ただの疲れだと思っていたら、病気だったなんて驚きです。今後は体調に異変を感じたときは、後回しにせずすぐに受診しようと思いました。先生によれば、橋本病になりやすい体質は遺伝するそうです。私には娘がいるので、機会を見て検査を受けさせてみようと思います。文/海野なみ※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。監修/駒形依子先生(こまがた医院院長)2007年東京女子医科大学卒業後、米沢市立病院、東京女子医科大学病院産婦人科、同院東洋医学研究所を経て、2018年1月こまがた医院開業。2021年9月より介護付有料老人ホームの嘱託医兼代表取締役専務に就任し現在に至る。著書に『子宮内膜症は自分で治せる(マキノ出版)』『子宮筋腫は自分で治せる(マキノ出版)』『膣の女子力(KADOKAWA)』『自律神経を逆手にとって子宮を元気にする本(PHP研究所)』がある。著者/ウーマンカレンダー編集室40歳を過ぎて心と体の変化に戸惑い、悩むオトナ女子を応援するメディア「ウーマンカレンダー」の編集室です。オトナ女子がおこなっているコスパ良し!時短!ズボラでもできる!リアルなアンチエイジング情報をお届け。医師解説の記事も満載!
2024年01月10日私には4人の子どもがいますが、3人目の次女と4人目の次男は乳児健診で先天性股関節脱臼の疑いがあると言われ、現在も毎年経過観察のため病院へ通っています。先生によると股関節脱臼は遺伝する可能性があるとのこと。私の遺伝かと、私もエックス線検査をして診てもらいました。特に異常はなく、安心しているとまさかの私の母が手術することに。乳児健診から見つかる股関節異常3人目の次女が1歳の乳児健診のとき、両足の長さに少し差があるからと精密検査を受けるように小児科から勧められました。2人目の長女と次女は9歳差。長男、長女のときにはなかった検査で、新しく導入されたとのことでした。次女は股関節がきれいにはまっておらず、かといって外れてもいないので抱っこの仕方に気を付けるように指導されました。そのとき、先生から「股関節脱臼は遺伝することがあります。お母さんは大丈夫ですか?」と聞かれたのです。私の検査は異常なし、ところが…私も念のため検査することになり、エックス線検査をして診てもらいました。私は異常なしでひと安心。次女は年1回、毎年経過観察をしてもらうことになりました。その後、次男が生まれ、乳児検診でまた同じく精密検査へ。次女ほどひどくはなかったのですが、同じく経過観察となりました。先生からは「股関節の経過観察は今のためだけじゃなく、将来年を重ねたときに手術しなくていいように診ているので」と言われました。すると、その後まさかの私の母が66歳で股関節を人工関節にする手術をすることになってしまいました。やっぱり遺伝?母のことがある前から子どもたちの股関節を診てもらっていたので、母が手術したことを先生に話すと「遺伝の可能性もあります。寿命が昔に比べて長くなってるから、年を取って股関節に異常が出て手術が必要になることが多くなってきています。そうならないための経過観察です」と。私にできることは、子どもたちは抱っこを横抱きではなく、縦抱きで両足がМ字になるように意識するくらい……。保育園の先生方にもお願いして、抱っこのときはできるだけⅯ字でしてもらうようにしていました。まとめ股関節が変形して手術前の母は本当に大変そうでした。今のところ異常のない私も、遺伝する可能性があるならいつかそうなるかもしれないという不安は拭い切れません。子どもたちはまだ成長過程なので、私も一緒に体のストレッチをしたり運動したりと、今予防できることをやっていこうと思います。※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。監修/中村光伸先生(光伸メディカルクリニック院長)整形外科医の知見から骨の仕組み、体の動かし方を活かした骨のトレーニングを提唱する骨の専門医。骨の強化と全身の機能回復を両立する「骨たたき」を考案。若々しい体を取り戻す「リバースエイジング」の専門家としてメディアにも多数出演。著書に『医者が考案した骨粗しょう症を防ぐ1分間骨たたき』『ひざたたき世界一かんたんな健康法』(アスコム)。著者/松田 みさと(42歳)長男と次男が15歳差の2男2女の母。仕事をしながら子育てに奮闘中。現在はライターとして、自身の体験をもとに妊娠・出産・子育てに関する体験談を中心に執筆している。
2023年11月22日ウーマンエキサイト読者の皆さま、こんにちは。突然ですが、私は人の顔を覚えるのが絶望的に苦手です。特に「ママ友」という世界ができてからはいろいろと苦労し、失敗も多くありました。逆に夫は人の顔を覚えるのが得意。いつも羨ましいなあと思っています。かなり前に一度見ただけの人を覚えている…。私からしたら考えられない! 妹のクラスメイトの保護者なんて、お迎えのときにチラッと会う程度なのに…! すごい!本当にいつも助けられていて嬉しいやらちょっと悔しいやら。こういう特技(?)も遺伝するものなんですかね…?さてさて一方次女オコメさんはというと。オコメは私に似てしまったのか、まだまだ無頓着なのか。それでもお友だちと毎回仲良くしているので問題はないですが、やっぱり遺伝するんですかね!?ちょっと心配もありつつ、面白いなぁと思った出来事でした。
2023年09月02日3児の母でブロガーのマメ子さんによる、43歳で腎がんになった体験を描いたマンガを紹介します。今回は、手術で取った腎臓の病理検査の結果や、がんは遺伝するのかどうかを聞いたときのこと。気になる結果はというと……。★前の話昨日は、退院後の初診察でした。取った腎臓の、詳しい検査結果を聞きます。初めてがんかどうかを聞く診察のときより、とにかく緊張していました。なるべく先生の言葉が聞き取れるように、予習をしてから診察に挑む……!1週間ぶりの主治医先生。「その後どうですか? 体調はお変わりないですか?」はい! おかげさまで!痛いときに飲む薬をもらったけど、結局一度も必要なく……。術後20日たとうとしている今、何もしなければ痛みは感じません(くしゃみとかしたら痛いです)。まず、取った腎臓の画像を見せてもらう。ぱっかり2つに切られて、中に腫瘍がしっかり入っていたのがわかります。なんか……アボカドみたい。写真撮りますか?って言われたけど、やめておきました。そして、検査の結果。先生、紙に書きながら説明してくれます。まず、私のがんは淡明(たんめい)細胞型という種類。腎がんで一番多い種類です。大きさは33mmで(画像から測ってもらったときは45×55mmくらいと言われていた)ステージ1、Grade2。グレードって何ですか?と聞いたところ、グレードは1から3まであって、がん細胞の異型度(正常な細胞とどれくらい異なっているかを示す度合い)を表しているとのこと。現段階でやっぱり転移は確認されていないので、今後は経過観察。腎臓には有効な腫瘍マーカーがないので、CTと血液検査、尿検査で調べるということ。転移が見つかった場合、腎がんは放射線治療がほとんど効かないため、手術か薬物療法になるということ。このがんは珍しい種類のがんではなかったし、さんざんいろいろなサイトやブログを読みあさっていたこともあり、ほとんどが聞いたことのある情報でした。ホッとしたところで、聞きたかったことを聞いてみる。淡明細胞型の腎がんは、高い割合(6〜7割?)でVHLという遺伝子の異常と関係していると聞いたけど、それは調べることはできるのか。もし私のがんがそれだったら、子どもにも遺伝している可能性があるのか?(私の頭の中を図にしました)先生の答えは、保険の範囲内で調べることはできない。それに、私のがんからVHL遺伝子異常が見つかったとしても、それが遺伝したものか、細胞ががん化したから遺伝子が変化したのかは判断できない。ただ、血縁で腎がんが多いなどのことがない限りは、遺伝によるものと考えないのが普通。そっか。安心しました。なんでそんなことが気になったかというと、実は私が入院する少し前から、長男の様子が気になっていて……。食事のとき、喉につかえる感じがして、すぐ食べられなくなってしまうことが多かったのです。このとき、いろいろながんの初期症状を調べまくっていた私は、まさか息子は喉に大きい病気があるんじゃないか??と不安になり……。ストレスなどで嚥下障害になることがあるのは知っていたけど、何しろ私が10万人に数人のくじを引いたばかりだから、「息子に限ってがんなんてない」とはとても思えず……!喉と腎臓は関係ないけど、がんが遺伝と関係があるかもしれないってことが心配でした。ちなみに喉はカメラで見てもらい、できもののような物はなく、ひとまず安心でした。----------------子どもに病気が遺伝する可能性があるのかどうか、気になりますよね。血縁で腎がんが多いなどのことがない限りは、遺伝によるものと考えないのが一般的とわかり、よかったですね。監修/窪田徹矢先生(くぼたクリニック松戸五香院長)獨協医科大学医学部卒業。千葉医療センター、成田赤十字病院で研修を積み、国保松戸市立病院泌尿器科に勤務。その後千葉西総合病院泌尿器科にて医長、部長を歴任。2017年、くぼたクリニック松戸五香を開業。日本泌尿器科学会専門医・指導医。専門医である泌尿器科および皮膚のトラブル、生活習慣病を含めた内科まで幅広く診察。メディア出演も多数あり、医者YouYuberとしての情報発信もおこなっている。著者/マメ子(43歳)2021年3月血尿と疼痛から腎がんとの診断を受け、4月21日に右腎摘出、経過観察中。3児の母。ブログ「そらマメ絵日記(腎がん経過観察中)」を日々更新中。Instagram:@sora_mameko.628
2022年12月24日こんにちは、かたくりこです。わが家の姉妹・長女こむぎ(6歳)と次女きなこ(3歳)の日常をお届けする「こむぎときなこ」の、第47回です。今回は遺伝の不思議についての話をお届けしたいと思います。長女は私に本当にそっくりで、「私の分身か!?」と思うほどなのですが、最近になって、細かいパーツが違っていることがわかりました。目の色、髪の色、耳垢の質、肌質が夫に似ていて、その他の部分は私に似ています。次女はこの逆で、顔のほとんどの部分は夫にそっくりなのですが、目の色、髪の色、耳垢の質、肌質だけ私に似ています。子どもが生まれる前は「子どもの顔というのは、きっと夫婦の中間を取ったような感じになるだろうなぁ」と思っていたんですが、うちの場合はそれぞれの特徴がパーツごとに強く出てきました(笑)しかし性格は、長女・次女とも親の私たちとはまったく違うので、環境要因の方が大きいのだろうなぁと思いました!
2022年10月12日株式会社ジーンクエスト(代表取締役:高橋 祥子、以下「ジーンクエスト」)は、この度、「食品栄養分野における遺伝的個人差に関する研究プラットフォームの開発」に関する研究成果が評価され、令和4年度日本栄養・食糧学会 技術賞を受賞しました。本研究成果は2022年6月10日(金)に開催された第76回日本栄養・食糧学会大会の授賞式・受賞講演にて発表しました。◆研究成果についてヒトの遺伝情報の総体であるゲノムの中の一塩基多型(SNP)は、疾患や体質などに影響することが知られていますが、近年の研究により食生活の個人差にもSNPが影響していることが判明しつつあります。しかしながら、アジア系集団、とくに日本人集団を対象とした食品栄養分野の遺伝的個人差に関する研究は殆ど進んでいませんでした。そこで、ジーンクエストでは、日本人における食や栄養応答の個人ゲノム研究を加速するため、遺伝子研究プラットフォーム「ジーンクエストリサーチ」を開発しました。これは、ジーンクエストが2013年に立ち上げた日本初の一般消費者向け大規模遺伝子検査サービスにおいて、既に取得済みの日本人ゲノムデータ活用により実現しています。そのため、研究協力者のリクルートやゲノム解析にかかる莫大なコストをかけることなく、日本人集団の食や栄養に関連する様々な遺伝的個人差の研究が可能となりました。「ジーンクエストリサーチ」を活用し、ジーンクエストと東京大学大学院農学生命科学研究科・農学部との研究グループはこれまでに、魚、コーヒー、紅茶の摂取頻度や甘みの嗜好性など、様々な食習慣に関連するSNPが存在することを論文や学会にて報告してきました。これらの研究成果は、個々の遺伝的体質に応じた栄養アドバイスである「パーソナルゲノム栄養」へ応用され、生活習慣病の予防や健康寿命の延伸に貢献することが期待されます。ジーンクエストでは「食品栄養分野」と「遺伝子」を組み合わせた研究を簡便に行うことのできる研究プラットフォームの開発を続けており、この研究プラットフォームへの参加者は日々増加しております。このプラットフォームを活用して様々な視点からの研究を推進するために、ジーンクエストではアカデミア、企業問わず共同研究パートナーと共に新たな価値の創出を目指し実現してまいります。ジーンクエストリサーチの概要図◆用語説明・SNP(一塩基多型)スニップと発音され、DNA上のたった一箇所の違いを意味しています。Single Nucleotide Polymorphismの略であり、一塩基多型と訳されます。ゲノム中には300万から1000万のSNPが存在していると考えられています。重要な遺伝子領域が作りだすタンパク質を変化させる可能性があり、生活習慣病などはSNPsが複雑に関係していると解明されてきています。<ジーンクエストについて>2014年に国内で初めて大規模遺伝子解析サービスを個人向けに展開。生活習慣病など疾患のリスクや体質の特徴など300項目以上におよぶ遺伝子を調べ、病気や形質に関係する遺伝子をチェックできるサービスを提供しています。また「ジーンクエストリサーチ」では、国内外の企業、研究者等と連携し、主に遺伝子解析キットを通じて蓄積されたゲノムデータを活用し、遺伝子多型と体質、疾患に関する幅広い研究に取り組んでおります。研究活用に関して同意が得られたユーザーのデータを匿名化し、倫理審査委員会により情報の取扱い、提携先における利用目的等の承認を受けた上で、研究活用します。今後も、共同研究パートナー企業、研究者とともに、サービスと研究のシナジーを創出し、新たな価値の創出を目指し実現してまいります。当社では、共同研究の研究者、パートナー企業様を広く募集しております。ジーンクエストリサーチURL: ■企業情報社名 : 株式会社ジーンクエスト所在地 : 東京都港区芝五丁目29番11号 G-BASE田町設立 : 2013年6月20日資本金 : 110,000千円(資本準備金含む)代表者 : 代表取締役 高橋 祥子事業内容: 個人向け遺伝子解析事業URL : 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2022年06月10日みなさんは義実家の方々とは上手く付き合えているでしょうか? 大なり小なり義実家トラブルは皆さん経験があるみたいです…。 今回は実際に募集した義実家トラブルエピソードをご紹介します!アレルギー義実家で「若い人のアレルギーというのは自分の生活の甘さから来ているものが多く、うちの孫がたまごアレルギーを持っているのは、あなたの家からのダメな遺伝が入っているからだ」ということを酒の席で酔っ払いながら説教されたときにはとてもモヤっとしました。「少しずつ食べさせたら治るよ」などと、典型的な無責任発言をされたのも腹が立ちました。(会社員)兼業主婦なのにスーパーで買ってきたお菓子を子どもにあげていたら「うちの子はお菓子は全部手作りだったわよ」と言われました。義母はずっと専業主婦で、私は旦那と同じぐらい働く兼業主婦です…。その人の環境を考えることなく言ってしまう神経がわかりません。正直言ってめちゃくちゃモヤっとしました…。もう会いたくないです。(フリーランス)こんな義両親と付き合うとなると骨が折れそうですね。せめて旦那さんだけは味方でいて欲しいものです…。以上、義実家トラブル体験談でした。次回の「トラブル体験談エピソード」もお楽しみに♪※こちらは実際に募集したエピソードを記事化しています。"
2022年04月18日アジャイル コスメティックス プロジェクト(AGILE COSMETICS PROJECT)の「白いオイル」「時計遺伝美容液」がアップデート。「白いオイル ver.1.49」「時計遺伝美容液 ver. 1.12」が、2021年10月27日(水)より新発売となる。“製品そのものが進化する”日本発のスキンケアアジャイル コスメティックス プロジェクトは、日本発“製品そのものが進化する”ユニークなスキンケアブランドだ。ユーザーからのフィードバックをもとに、スマートフォンのように次々と製品そのものをバージョンアップ。従来のビューティブランドでは考えられなかったアプローチで商品開発を行っている。そんな“他にはない”ビューティーブランド・アジャイル コスメティックス プロジェクトのアイコン製品が、二層式美容オイル「白いオイル」と、体内の時計遺伝子の働きに着目した美容液「時計遺伝美容液」。厳選した天然由来原料をベースに作られた「白いオイル」は、保湿、ブライトニングが同時にケアでき、洗顔後これ1つでOKというマルチアイテム。一方、「時計遺伝美容液」は、ストレスや睡眠時間・生活リズムの乱れなどによって、崩れてしまった肌の調子にアプローチしてくれる美容液で、朝晩のケアにプラスすることで、“肌の時差ボケ”をケアしてくれる。最新「白いオイル」で自然な明るい肌へ今回、「白いオイル」「時計遺伝美容液」と2つの看板製品が、ユーザーの声を受けてパワーアップして新登場。最新版となる「白いオイル」にはピタヤ果実エキスを加えることで、光に当たった瞬間に、自然な明るさへと肌色を整えてくれるように。「時計遺伝美容液」さらっとした後肌へ進化一方、「時計遺伝美容液」は、塗布した瞬間の吸い付くようなとろみ感はそのままに、なじんだ後はすぐにサラっとした肌になる、バランスのよい使用感へとリニューアルしている。【詳細】「白いオイル ver.1.49」30mL 7,040円「時計遺伝美容液 ver. 1.12」30mL 7,700円発売日:2021年10月27日(水)【問い合わせ先】laboratory株式会社TEL:050-5437-2448
2021年10月29日「日本では年間、約8万7,000人が乳がんと診断され、1万4,000人以上が亡くなっていますが、患者のうち約10%は進行の早い遺伝性の乳がんだと考えられています」こう話すのは、株式会社ゲノムクリニック代表取締役で婦人科医の曽根原弘樹先生。「一般的な乳がんは、厚生労働省が40代以上に推奨する2年に1度の検診でも、ステージ1の状態でよく見つかりますが、遺伝性の場合は、1年でステージ2になることがあります」発症年齢も早くなるようで、通常は30代後半から多くなるが、遺伝性だと20代でもなりやすい。「さらに、ふつうは乳房の片側だけに腫瘍ができることが多いのですが、遺伝性の乳がんは両胸に、同時にできることもあるんです」とても厄介な遺伝性の乳がん。しかし、曽根原先生は「遺伝性」だからこそ、対策できることもあるという。「この乳がんは体の設計図である遺伝子のうち、乳がんと深く関わる遺伝子が壊れている人が発症しやすい。言い換えると、壊れているかどうかを調べれば、罹患する前から発症リスクを知ることができるということです」そこで先生が始めたのが、遺伝性乳がんリスク検査サービスだ。「検査では、唾液から抽出した遺伝子を解析して異常がないかを調べます。検査期間は1〜3カ月。壊れていたら陽性で、発症リスクは最大で約70%になる。欧米の調査だと、約100人のうち1人には変異があるとの報告があります」検査では遺伝性の卵巣がんのリスクもわかるという。「卵巣がんも同じ遺伝子が密接に関与しているからです。陽性だった場合、最大発症リスクは約50%程度です」株式会社ゲノムクリニックのホームページと取材をもとに編集部が作成した発症リスクが次のとおりだ。【乳がん】一般的な日本人:9%乳がん遺伝子を持っている人:最大約70%【卵巣がん】一般的な日本人:1%乳がん遺伝子を持っている人:最大約50%アメリカではハリウッド女優のアンジェリーナ・ジョリーが同様の検査を受けて、「陽性」と判定され、’13年に両乳房の予防切除を、’15年には卵巣と卵管の切除を行っている。「彼女には、家系内に複数の乳がん・卵巣がん罹患者がいる濃厚な家族歴がありました。この検査は、医療機関でも受けられますが、対象は濃厚な家族歴のある人だけ。しかし、家族に乳がん罹患者がいなくても、突然変異で遺伝子が壊れていて、発症リスクが高い人もいる」そこで、曽根原先生は濃厚な家族歴がない人でも検査を受けられるようにした。「これまでに約50人が検査を受けましたが、全員『陰性』でした。『陽性』の判定が出た場合は、ステージ1で見つけられるよう、乳がん・卵巣がん検診の間隔を半年に1回行うことを推奨しています」さらに、曽根原先生はより多くの人が使いやすいように、サービスの利便化も図る。「現段階では、検査スタッフと対面しないと検査を受けられないので、遠方に住む人も自宅で受けられるように、唾液は郵送でやり取りして、カウンセリングは電話で行うサービスを計画しています。倫理委員会から許可が下りれば、年内にもスタートさせようと考えています(※)」早期発見できれば、生存率は高まる乳がん。一度、リスク検査を受けるか検討してはどうだろう。※現在、対面方式の検査料は3万9,500円(税別)。郵送方式の料金はまだ決まっていない。「女性自身」2020年2月4日号 掲載
2020年01月27日発達障害とはUpload By 発達障害のキホン発達障害とは、先天的な脳機能の障害で、学習面や行動面などで年齢相応の発達が見られない、または年齢相応のスキルの獲得が難しいことで起きる障害を指します。その症状は、通常低年齢の発達期において発現します。発達障害の定義は日本では平成16年に制定された発達障害者支援法によって定められており、世界保健機関(WHO)の『ICD-10』(『国際疾病分類』第10版)の基準に準拠しています。発達障害者支援法における発達障害の定義は以下になります。この法律において「発達障害」とは、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるものをいう。これらの規定により想定される、法の対象となる障害は、脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するもののうち、ICD-10(疾病及び関連保健問題の国際統計分類)における「心理的発達の障害(F80-F89)」及び「小児<児童>期及び青年期に通常発症する行動及び情緒の障害(F90-F98)」に含まれる障害であること。なお、てんかんなどの中枢神経系の疾患、脳外傷や脳血管障害の後遺症が、上記の障害を伴うものである場合においても、法の対象とするものである。発達障害はいくつかのカテゴリーに分類され、診断基準によって多少異なりますが、大きく分けて「広汎性発達障害(PDD)」「ADHD(注意欠陥・多動性障害)」「学習障害(LD)」の3つに分類されます。広汎性発達障害には自閉症やアスペルガー症候群などのコミュニケーションの障害が含まれますが、アメリカ精神医学会の診断基準である『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)では自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(ASD)という障害名に統合されています。また『DSM-5』ではADHDは注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害、学習障害は限局性学習症/限局性学習障害という診断名となります。自閉症やADHDなどの発達障害の中には知的障害が併存する場合もあります。発達障害の原因は?出典 : 発達障害にはさまざまな障害が含まれますが、身体障害などとは違い、周囲の人にとって発達障害自体がわかりにくいことから、発達障害の特性から本人ができないことやとトラブルがあった時などに親のしつけ不足や愛情が足りていないせいだ、育て方が悪いからだと思われがちです。しかし、決してしつけ不足や愛情不足、育て方が直接の原因ではないことがわかっています。現在、発達障害の医学的な原因ははっきりと解明されているわけではありませんが、多くの研究から発達障害は先天的な脳の機能障害によるものとされています。脳機能障害を引き起こすメカニズムとして、遺伝的な要因が原因の一部であると推測されています。何らかの先天的な遺伝要因に様々な環境的な要因が重なり、相互に影響しあって脳機能の障害が発現するのではないかという説が現在有力とされています。たとえば自閉症スペクトラムの関連遺伝子が数多く報告されています。ですが、さまざまな遺伝子が複雑に関連しているため、現時点では、原因となる遺伝子を完全に特定することはできてはいません。ただし、かつて広汎性発達障害に含まれていたレット障害(レット症候群)についてはX染色体上に存在する遺伝子の突然変異が原因だということが発見されました。1999年にMECP2という遺伝子が主な原因遺伝子であることが発見され、その後2004年にCDKL5、2008年にFOXG1という原因遺伝子も発見されています。そのため自閉症スペクトラム障害の概念から除外されました。現在、その他の発達障害についても関連する遺伝子や環境要因に関して、それぞれ研究が進められていますが特定には至っていません。またその遺伝子も一つではなく、複数の要因や組み合わせが存在すると考えられます。それらがさまざまな道筋をたどって発達障害の特性となって現れると言われているのです。そのため全ての発達障害のある人にあてはまる唯一の原因はないとも言えるのです。発達障害は親から子へと遺伝するの?出典 : 親から子へと遺伝する遺伝的要因はあるのでしょうか?発達障害に関しては双生児研究や家族間での一致率に関する研究が活発に行われ、遺伝子が近いほど一致率が高くなる傾向があるといわれ、これらのことから家族性があるとは言われています。「家族性」とは、その障害のある人がいる家系の場合、ない家系より発現しやすい傾向があるということですが、これもまだ研究段階ではっきりと確率が出ているわけではありません。家族間では遺伝による体質と、生育環境が似ているため、このような傾向が出るのではないかと考えられていますが、体質や環境要因が相互に、複雑に影響して発現するのではないかと言われています。これまでの研究で発達障害は単一の遺伝子が原因で起こる「メンデル型遺伝疾患」と呼ばれるタイプではなく、複数の遺伝子の変化が影響して起こる「多因子遺伝疾患」であることも推測されています。つまり、親の遺伝子が単純に子どもに遺伝して発達障害が起こるわけではないということです。発達障害の遺伝要因は原因の一部にすぎず、発達障害のある親から発達障害ではない子どもが生まれることもあれば、両親とも定型発達の場合でも発達障害のある子どもが生まれることもあるのです。この親から子へと遺伝する確率については、現在のところ不明です。親が発達障害だった場合で子どもも発達障害である確率も、調査によって数値がまちまちで確かな結果は出ていません。このことも、遺伝要因と環境要因の相互影響が複雑で、偶然性に左右される部分が多いことを示唆していると言えるでしょう。きょうだいで発達障害になる確率は?出典 : きょうだいや、双子の場合の発達障害児の確率についてもさまざまな研究が行われています。遺伝子が完全に一致する一卵性双生児の場合、ふたりとも発達障害をもつ割合は75~85%といわれています。もし、遺伝子のみで発達障害が出現するのであれば、100%の確率になるはずです。遺伝子が異なる二卵性双生児の場合は、5~10%と低くなります。中山 和彦・小野 和哉 (著)『図解よくわかる大人の発達障害』(ナツメ社,2010年)より引用これらの数値は報告されている様々な研究の一例ですが、このような研究から発達障害は兄弟・姉妹で発現する確率がないとは言い切れないということが分かります。また、同じ遺伝子を共有した生まれてきた一卵性双生児でも片方が発達障害であっても、100%の確率で発現するわけではないこともわかりました。きょうだいは遺伝的な要因となりうるリスク遺伝子を体質として共通してもっている可能性や同じ養育環境で成長していくことから影響を受ける「家族性」があるため、遺伝子が近い家族であるほど一致率が高くなる傾向があると推測されています。しかし、環境要因などの偶然性に左右される可能性も大きいため、例え同じ遺伝子を持っている一卵性双生児であっても、きょうだいに発達障害のある人がいるからと言って、同じく発達障害を100%発症するとも言えないのです。発達障害は男女で発現率が違うの?出典 : 医学的には、実際には発達障害の発現率は、男性の方が多いと言われていますが、割合に関しては諸説あります。またこの理由に関しても諸説あるとされています。近年、女性の発達障害についてはあらわれる症状や特性に男性とは違いがあり、発達障害の状態像にも性差があるからではないかとする説もあり、研究も進められています。以下が、自閉症、ADHD、学習障害それぞれの男女の発現率に関して現段階でわかっていることです。■自閉症男女比は3~4:1で男子に多いと考えられてきましたが、近年の調査では男女比の差は少なくなりつつあるとも言われています。理由としては、男性と女性では症状にも少し違いがあり、男性は「コミュニケーションの困難」「言語の発育不足」などの症状がより見られやすいからだといわれています。女性の場合は男性と比べて症状が表に出にくい傾向があり、自閉症であるとわかりくく、気づかないまま暮らしている人もいると推測されます。そのため、自閉症の女性は統計に十分反映されていないのでは、という可能性も指摘されており、実際のところ4:1よりは男女差は少ないとする研究者もいます。出典:岡崎祐士/総編集『ICD-10精神科診断ガイドブック』中山書店、2013年/刊■学習障害(LD)学習障害は男女どちらにも発現する可能性のある障害ですが、男性に発現する確率の方が高いことが分かっています。発表されているデータの数値は調査によってまちまちですが、その発現率は女性の約4倍であるというデータも発表されているのです。男性はその中でも読字障害になる確率が一番高いとされていて、その確率は女性の数倍とも言われています。ですが、男性に学習障害が多い理由ははっきりと分かっていません。出典:上野一彦/著 『LD(学習障害)のすべてがわかる本』 講談社,2007年/刊■ADHDADHDも男女によって発現率の違いがみられます。男女による違いは男:女の比率は4:1とされています。この比率の差は脳の働きや仕組みが男女によって異なるからではないかと推測されています。また、性別によって症状にも違いがあります。男の子は多動の症状が多く見られており、女の子は不注意の症状が多く見られています。この症状の差から女の子の場合、ADHDの症状が分かりづらいため、見逃されてしまうことも少なくありません。そのため、この4:1という男女の比率の差は実際はもう少し小さいのではないかとも言われています。ADHDであることが診断される年齢が男の子は8歳前後、女の子が12歳前後と差があります。この診断年齢の差も、女の子の場合は発達障害であることに気づくことが遅れやすいことに関係があるとされています。出典:月刊 「みんなのねがい」LD・ADHDの基礎知識独立行政法人 国立特別支援教育総合研究所 「発達障害と情緒障害の関連と教育的支援に関する研究」 2012年発達障害を診断する方法出典 : 現在の医学では妊娠中の羊水検査、血液検査、エコー写真などの出生前診断で発達障害が判明することはありません。また、出生後も遺伝子検査や血液検査といった生理学的な検査ではわかりません。これは、発達障害の原因が完全には解明されておらず、またその原因も複雑で単一ではないと考えられるためです。生理学的な検査方法を確立するのはかなり難しいとも言われています。発達障害の人の多くが幼児の頃から12歳ぐらいに何らかの症状をきっかけに専門機関を受診し、医師によって診断されます。診断は問診と心理検査・知能検査などの様々な検査を総合的に判断して行われます。その他MRIを使い脳の器質的な疾病がないかを確認する場合もあります。検査や診察は一度ではなく、何度か行われたうえで慎重に診断が下されることが多いです。医療機関では、多くの場合は、精神医学的な診断基準にに基づき、保護者や本人に問診に問診をしたり直接行動観察をしたりして、症状から判定します。アメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)や世界保健機関(WHO)の『ICD-10』(『国際疾病分類』第10版)など、国際的な診断基準の定義を用いて診断が行われます。また、必ずしも1つの障害しか持っていないということではなく、複数の障害を併発している可能性もあります。それぞれの障害の診断基準に沿って診断を下すことが基本ですが、基準の解釈には医師によってばらつきが生じることもあります。ばらつきの原因として、診察室で見ることのできる子どもの姿がその子どものすべてではないので、乳幼児期の診断はとても難しい場合があります。正確な診断のためには日常生活の様子などをくわしく医師に伝えることも大切です。まとめ出典 : 発達障害の原因を探ることは、治療法の開発・研究のためにはとても大切であり、世界中の研究者が日々、研究を進めています。その成果は少しずつ明らかになってはいるものの、いまだにわからないことも多いのが現状です。また、発達障害が発症する道筋は一つではなく、複雑な要因が絡み合っていると考えられるため、すべての人に当てはまるたった一つの原因は今後もわからないのではないかという考え方が主流となっています。そんななか、遺伝的要因が関係していると聞くと、不安を感じるかもしれません。また、遺伝するかどうかというのは本人や家族にとって大きな関心事でしょう。しかし、現段階でわかっている範囲でも「親の育て方のせい」というのも医学的に否定されていますし、発達障害の発現は様々な要因が複雑に影響しあい、いわば偶然性が大きいため、その人に発達障害があるかどうかは予測できないといえるのです。また得手不得手や特性のようなものは人間だれしもが持っています。少なくとも「遺伝のせいで発達障害が発現した」というのは正確ではありませんし、単純に親から子へと遺伝するのではないことがお分かりいただけたのではないでしょうか。目の前の子どもにとって大切なことは、どうしたら本人の困りごとが減らせるか、特性を生かしていけるかという対応方法を考えてみることです。一人ひとりの子どもの発達障害の特性は様々なバリエーションがあります。本人の成功体験を積み重ねながら、今のよりよい環境を大切にすることが重要です。保護者や支援者が一人で悩み考えるのではなく、地域の相談機関や専門家と繋がりながら解決していきましょう。
2017年01月30日質問:高血圧は遺伝するのでしょうか?父や祖父は高血圧で、父は一度心臓の手術をしていますし、祖父も高血圧の薬を飲んでいます。また、祖母、叔父、そして祖父の兄弟も、くも膜下出血を経験しています。そのため、自分は食事に気を遣い、たばこも吸いません。ただ、いつか自分も症状を患うのではないか、またその際に入院やリハビリが長期にわたるのではないかと、とても心配です。東京都:kamikiさん(28)回答:高血圧の遺伝についてお答えします。――生活習慣に気を遣いましょう高血圧のなかにはごくまれに、単一の遺伝子により発症するものがありますが、ほとんどの場合は遺伝と生活習慣の組み合わせによって発症するものです。この場合の生活習慣とは、食生活、運動の習慣があるかどうか、ストレスや飲酒・喫煙の有無といった普段の生活全般を指します。つまり、いわゆる高血圧の家系であっても、生活習慣に気を遣うことによって、多くは高血圧の発症を防ぐことが可能であると考えられています。ご相談者さまは食事に気を遣われ、喫煙もなさらないということですので、そのことは非常によいことだと思います。それに加えて、運動する習慣を身につけることができれば、高血圧を患う確率はより低くなります。高血圧を防ぐための運動としては、特に激しい運動を長時間する必要はありません。一日45分くらいの軽いウォーキングであっても、数カ月続けて行うことで、最高血圧を20mmHg、最低血圧を10mmHg以上下げる効果があるといわれています。また、ご親戚にくも膜下出血を経験された方が複数いらっしゃるということですが、遺伝という視点から言うと、こちらのほうがやや心配です。くも膜下出血の8割程度は脳動脈瘤からの出血によるものと考えられています。この脳動脈瘤の破裂によるくも膜下出血は遺伝的な体質によるもの、つまり一般よりも高い頻度で一つの家系に発生する病気です。一般的なくも膜下出血の発生率は0.015~0.02%程度と低いのですが、2親等以内にくも膜下出血の方が一人いると、2~8%前後の発生率になると考えられています。<脳ドックなどで「脳動脈瘤」がないか確認を>また一般に、動脈瘤があったとしても破裂するのは1%以下であり、動脈瘤の直径が3mm以上のもの、娘瘤があって形がでこぼこしているものは破裂の危険が高いとされています。脳動脈瘤は脳ドックなどの検査項目にもあるMRA(MRIの技術を用いて簡単に血管撮影を行うもので、造影剤は使いません)で疑いがないか見ることが可能ですので、家族にくも膜下出血の患者がおられる場合は、一度脳ドックなどを受けられて脳動脈瘤がないか確認しておかれるとよいでしょう。もし、動脈瘤がない場合は5年おきくらいの検査でよいかと思います。高血圧にかかる可能性を恐れすぎる必要はありませんが、生活習慣に気をつけて過ごされることでほかの多くの病気を予防できる可能性があります。まずはできる範囲で続けられるとよいですね。どうぞお大事に。Doctors Me(ドクターズミー)が保証している医師が回答しています
2016年12月18日質問:がんのごく初期でも何か自分で分かるようなサインはないのでしょうか?父方、母方両方の3親等以内の親族にがんで亡くなった方が複数います。皆さん気付いた時にはすでに手遅れ、というレベルでした。私自身も常に気を付けて検診も受けてはいますが、ごく初期でも何か自分で分かるようなサインはないのでしょうか?例えば、胃がんや大腸がんなどは全く無自覚のまま進行してしまうものなのでしょうか?東京都:そらまめさん(42)回答:「がん」の初期症状についてお答えします。――がんの初期症状として見られる症状親族にがんの患者さんが多いおうちを「がん家系」と呼びますね。確かにがんの中には遺伝性が強いものもありますが、ほとんどは体質(遺伝)と環境の組み合わせによって発症するといわれています。もちろん純粋に「○○がんになりやすい体質」というのもあるでしょうが、それ以外に家族の中で食習慣や運動習慣などを共有することが多いため、同じ部分に負荷がかかりやすい、ということもあるでしょう。がんの初期症状として見られる症状について、簡単にご説明したいと思います。ひと口にがんの初期症状といっても、場所により症状の出方が大きく異なりますので、今回はご質問にあった胃がんと大腸がんについて、お話ししましょう。1.胃がんもともと日本人に多いとされてきたがんですが、近年減少傾向にあります。初期症状としては、食欲不振、吐き気、胸やけ、胃部不快感、黒色便(胃からの出血の可能性があります)、体重減少、貧血などが挙げられます。症状自体、普段でもよくみられることなので、見分けがつきにくいことがありますが、何日か続くようなら胃がん、あるいは胃炎や胃潰瘍の可能性があります。2.大腸がん食生活の欧米化とともに最近増えてきているがんの一つです。本当に早期のがんは、便潜血が陽性であったり、他の病気で内視鏡検査を行って偶然見つかったりすることが多いようです。少し進行すると、便秘がちになる、便に血が混じる、便秘と下痢を繰り返す、下痢便しか出なくなる、貧血といった症状が出てくることがあります。早期の大腸がんでは自覚症状が出にくいので、40歳を過ぎたら定期的に健診を受けることが大切です。<定期検診の重要性>ご相談者さまはいつも検診も受けていらっしゃるとのこと、これは本当に大切なことですのでぜひ継続してください。多くの場合、検診を定期的にきちんと受けていれば、手遅れになるまで見つからないということはあまりありません。がんの初期症状は、自分の身に起こるとなかなかそれとは気付きにくいものです。何か変だなと思ったら、早めに受診してくださいね。Doctors Me(ドクターズミー)が保証している医師が回答しています
2016年12月18日質問:疲労感が抜けません。両親が高血圧、心臓弁膜症を患っているので不安になっています。ここ2~3カ月のことですが、疲労感が抜けません。身体が重たく、自宅の階段を上るだけで息が上がり、動悸がすることもあります。そのせいで外出もおっくうになり、家族にも迷惑をかけており、そんな自分が嫌になってきました。病院に行くほどではないと思うのですが、思い切って受診した方がいいのでしょうか?両親が高血圧、心臓弁膜症を患っているので、余計に不安になっています。神奈川県:もけーれさん(43)回答:疲労感や息切れの症状についてお答えします。――「高血圧症」と「心臓弁膜症」の遺伝性について疲労感が抜けない、階段を上る時の息切れ、心配な症状ですね。健康診断は毎年受けていらっしゃいますか?今の血圧はいかがでしょうか?高血圧症を指摘されたことはありませんか?自宅でもよいので現在の血圧を確認してください。また、高血圧の一つの症状ですが、足にむくみはありませんか?すねの部分の一番骨ばっているところを親指で押してみます。指のあとが残れば、むくんでいることになります。一般に、高血圧症は遺伝的な要因が強いといわれています。目安として、両親のいずれかが高血圧症の場合は3人に1人、両親とも高血圧症の場合は2人に1人が高血圧症になるというほどです。一方で、両親とも高血圧症でない場合は10~20人に1人の割合といわれています。このように、高血圧症は遺伝的要因が強いことがわかりますが、もちろんそれだけで発症するわけではなく、遺伝的要因に生活習慣が加わって発症すると考えられています。要因となる生活習慣には、食生活の乱れなどを原因とする肥満、塩分の過剰摂取、カリウムなどの摂取不足、喫煙、アルコールの過剰摂取、運動不足などがあります。日本人の食生活は塩分が過剰になりがちなため、特に注意が必要で、肥満、喫煙に至っては高血圧のみならず心臓にも悪影響を及ぼします。ちなみに心臓弁膜症に遺伝素因はありません。以前はリウマチ熱の後遺症、細菌感染などが主な原因でしたが、抗生物質の発達で罹患率が減少しています。心臓弁膜症の発症は後天的なことが多く、原因は不明とされています。<早めに内科もしくは循環器内科を受診しましょう>最後に、ご相談の症状は心不全の症状によく似ています。現在の心機能を調べることはもちろん、高血圧症、高脂血症や糖尿病の合併がないかの検査も必要です。また、症状から、貧血の有無の確認、腎疾患や甲状腺疾患と見分けることも必要になってくるでしょう。病院に行くほどでもない、という楽観的な状態ではありません。早めに内科、もしくは循環器内科を受診し、検査を受けられてください。どうぞお大事に。Doctors Me(ドクターズミー)が保証している医師が回答しています
2016年12月18日質問:家族に脳梗塞で倒れた人がいる場合は、脳梗塞になる確率も高くなりますか?先日祖父が、脳梗塞で倒れました。あまりに突然のことでショックは大きかったです。思い返すと、曽祖父も脳梗塞で何度か倒れており、いつか自分も脳梗塞になって倒れてしまうのではないかと心配になりました。まだ20代ですし、あまり深く考えてはいなかったのですが、家族に脳梗塞で倒れた人がいる場合は、脳梗塞になる確率も高くなってしまうのでしょうか?福島県:mika5353さん(26)回答:「脳梗塞」についてお答えします。――「脳梗塞」とは脳梗塞の遺伝性についてですが、簡単にいうと「脳梗塞そのものは遺伝しないが、脳梗塞になりやすい体質は遺伝する可能性がある」ということになります。脳梗塞は何らかの理由による、脳に酸素や栄養を供給する動脈の閉塞や狭窄(きょうさく)のため、脳が虚血状態となり、脳組織が壊死してしまうことをいいます。脳梗塞の種類はいくつかありますが、代表的なものは下記の3つです。動脈硬化および血管内壁のアテロームの沈着によって動脈の内腔が狭まり、十分な血流を保てなくなる「アテローム血栓性脳梗塞」※リスクファクター:動脈硬化を招きやすい高血圧や糖尿病、高脂血症心臓から血栓が血流にのって飛んでくる「心原性脳梗塞」※リスクファクター:心房細動など心臓に基礎疾患がある場合脳の細い血管が詰まる「ラクナ梗塞」※リスクファクター:高血圧<生活習慣に気をつかいましょう>高血圧や糖尿病、高脂血症などはある程度遺伝の要素もありますし、例えば食習慣や運動習慣といった個々の家庭の生活習慣も、親から子、子から孫へと引き継がれることが多いので、どうしても家系内に多い病気、という捉え方になってしまいがちです。しかし脳梗塞は遺伝性の病気ではないので、脳梗塞の多い家系の方でも、生活習慣に気をつかうことで、多くの場合、発病を防ぐことは可能です。「いつか自分も脳梗塞になるのではないか」と思い悩む必要はありません。身近なところでは、過度の飲酒やたばこをやめ、適正体重を保ち、運動習慣をつけるといったところから心がけるとよいでしょう。Doctors Me(ドクターズミー)が保証している医師が回答しています
2016年12月18日質問:咳が増えて食欲不振、がん患者が多い家系なので胃や肺や肝臓が悪いのではないかと心配。父は昔から酒、たばこが好きで、ほぼ毎日両方を摂取しております。父は現在50代なのですが、以前に比べ咳が増えたり食欲不振なことが増えたりしていて、がん患者が多い家系ですので、胃や肺や肝臓が悪いのではないかと心配しております。考えられる病気は何がありますでしょうか。また今から飲酒・喫煙を控えることによって症状が少しは改善されるでしょうか。福岡県:やまあゆさん(25)回答:咳や食欲不振の症状についてお答えします。――症状から考えられる疾患近頃お父さまの咳が増え、食欲不振があるとのこと、ご心配ですね。また、家系的にがんの方が多いということですね。長期間の飲酒・喫煙歴があるということもあり、考えられる病気はたくさんあるのですが、まず一番注意をしなければいけないのは、ご心配していらっしゃる、がんです。体重の減少や全身の倦怠感などの症状はないでしょうか。飲酒、喫煙を毎日されるということは、口腔内のがん、食道がん、胃がん、肺がん、喉頭がん、大腸がんといった多くのがんのリスクファクターをお持ちということになります。咳の症状が続くようならまず、呼吸器内科を受診してみるとよいでしょう。呼吸器内科的な病気で疑われるものとしては、肺がんのほかに肺炎や慢性閉塞性肺疾患(COPD、主にたばこの煙が原因となって肺に炎症ができる病気)、咳喘息(気管支の慢性的な炎症で1カ月以上空咳が続くもの。大人の長引く咳の3分の1を占めているという頻度の高い疾患です)、あるいは昔の病気と思われがちですが、実は新規の感染者数が毎年一定数見られている、結核や百日咳などの可能性もあります。また、飲酒歴と食欲不振の点から、アルコール性の肝疾患などの可能性も考えられます。胃や食道等も心配ですから、消化器内科も合わせて受診されるとよいのではないでしょうか。また例えば、咳喘息とアルコール性肝障害といった、二つの病態の組み合わせという可能性もあります。もちろん、単に風邪が長引いているなど、特に大きな身体的な問題はないという可能性も大いにありますが、年齢的にも、生活習慣の点からも、急いで治療をする必要のある疾患がないかどうか、一度確認しておくことは大切かと思います。<これをきっかけに禁煙・節酒しましょう>最後に、お酒やたばこを控えることによって改善するかというご質問に関してですが、咳に関しては、たばこをやめることで気道に刺激がなくなり、多くの場合、これまでよりは減ってくると思います。ただ、完全になくなるかどうかは、咳の原因によります。しかし、病気がCOPDなどであった場合、喫煙を継続することが命取りになることもありますので、いずれにしてもこれをきっかけに禁煙をされた方がよいと思います。また、飲酒に関しては受診の結果や、これまでの飲酒量にもよりますが、最低週に2回は休肝日を設け、楽しまれるにしても少量にとどめることをおすすめします。どうぞお大事にしてください。Doctors Me(ドクターズミー)が保証している医師が回答しています
2016年12月18日質問:父が糖尿病と高血圧の既往歴あり。糖尿病などは遺伝性のものが多いと聞いたことがあり不安です。父が、糖尿病、高血圧の既往歴があり、現在も内服コントロールをしています。最近、これらの病気は心疾患のリスクも高めることを知りました。糖尿病などは、遺伝性のものが多いと聞いたことがあり、私も結婚して親になり、自分がかかる可能性の高い病気には気をつけていかなければと考えるようになりました。甘いものが大好きで、外食も多く食生活が偏りがちです。これから先、どのように気をつけていくべきでしょうか?静岡県:nocchiさん(27)回答:「糖尿病」の遺伝についてお答えします。――「糖尿病」とはお父さまが糖尿病、高血圧をお持ちで、内服でコントロール中ということですね。確かに、これらの病気は心筋梗塞など重篤な疾患を含む心疾患の大きなリスクファクターになることが知られています。お子さんであるご相談者さまも、遺伝的な面、あるいは生活習慣の面でお父さまがお持ちの傾向を受け継がれている可能性は十分に考えられ、お若いうちに気をつけていこうというお気持ちになられたことは非常によいことだと思います。さて、ご心配されている糖尿病の遺伝について、少しお話をさせていただきたいと思います。よく誤解されがちですが、糖尿病自体は遺伝性の疾患ではなく、あくまで遺伝するのは「糖尿病にかかりやすい体質」であると考えてください。2型糖尿病にかかりやすい遺伝子はいくつか同定されてはいるようですが、多くの小さな遺伝素因が複雑に組み合わさってできる「複合遺伝」の形式をとると考えられており、いわゆる「糖尿病のなりやすさ」も人によってさまざまであると考えられています。<日々の生活のなかでできることから始めましょう>2型糖尿病の発病には遺伝的な素因以外に生活習慣が大きく関係してきます。糖尿病を防ぐためには、まず肥満にならないことが大切です。BMIにして18.5~25.0の普通体重を目指しましょう。そのためにはまず、食生活の改善が必要です。甘いもの、脂っぽいものはできるだけ控え、味は薄味に調味するよう心がけます。できるだけ決まった時間に、ゆっくり食べることも大切です。野菜に多く含まれる食物繊維は肥満を防いでくれますので、一日350g(うち緑黄色野菜120g以上)を目標にします。また、肥満を防ぐもう一つの柱は、やはり運動です。運動は、カロリーを消費するだけでなく、筋肉をつけて脂肪を減らしたり、中性脂肪を低下させたりする役割もあります。もちろん、定期的に時間を決めて運動ができればそれもいいのですが、一日一万歩を目安に、少し早足で歩く、エレベーターを使わず階段を使用するといった心がけでも十分、糖尿病にかかりにくくする効果があります。お子さんもいらっしゃるということで、なかなかご自身の健康のためにまとまった時間はとりにくいかと思いますが、日々の生活のなかでできるところから始めていけるといいですね。Doctors Me(ドクターズミー)が保証している医師が回答しています
2016年12月18日質問:4人の祖父母のうち3人が脳血管疾患に。遺伝的に脳卒中などになりやすいのでしょうか?4人の祖父母のうち3人が脳血管疾患になっています。くも膜下出血が50代で一人、脳卒中が50代で一人と70代で一人です。私も身内に脳血管疾患の患者がいない人より脳卒中などになりやすいと考えておいた方がいいのでしょうか?また、脳ドックを定期的に受けるとしたら、どんな検査項目のものを、どれくらいのペースで受けておけばいいでしょうか?東京都:デルタさん(42)回答:脳血管疾患の遺伝性についてお答えします。――「くも膜下出血」の原因脳血管疾患の遺伝性に関するご質問ですね。くも膜下出血と、それ以外の脳卒中にかかられた近親者の方がいらっしゃるということですが、まず、くも膜下出血に関してお話ししましょう。くも膜下出血の原因は、脳の血管にできたコブ、つまり脳動脈瘤の破裂が約8割、動静脈奇形と呼ばれる血管の異常など、その他の原因が2割を占めるといわれています。 このうち、脳動脈瘤によるものは遺伝的な体質、つまり一般よりも高い頻度で一つの家系に発生する病気です。人口全体のなかでのくも膜下出血の発生率は0.015~0.02%程度と低いのですが、2親等以内(両親、子、孫、祖父母、兄弟姉妹がこれにあたります)にくも膜下出血の方が一人いると、2~8%前後の発生率になると考えられています。血管が二股に分かれる部分で、3層になっている血管の内膜のうち、真ん中の層に当たる中膜が生まれつき欠損している方がおり、ここに血圧がかかることにより、その部分だけふくらみが生じます。この動脈瘤にさらに小さなコブ(娘瘤といいます)ができると破裂を起こしやすくなるといわれています。ただ、動脈瘤そのものはあったとしても全体の1%以下しか、実際には破裂しないともいわれています。一般に、動脈瘤の直径が3mm以上のもの、娘瘤があって形がでこぼこしているものは破裂の危険が高いとされています。脳動脈瘤は脳ドックなどの検査項目にもあるMRA(MRIの技術を用いて簡単に血管撮影を行うもので、造影剤は使いません)で疑いがないかどうか見ることが可能です。疑わしい場合には3D‐CTA(三次元脳血管造影)などより詳しい検査を行って、脳動脈瘤の有無や形態などを確認していくことになります。<「くも膜下出血」以外の脳卒中について>一方、くも膜下出血以外の脳卒中に関しては、くも膜下出血ほどのはっきりした遺伝性はありません。しかし、脳卒中のリスクを上げてしまう高血圧、糖尿病、脂質代謝異常症などは、生活習慣病であると同時に遺伝の関与も指摘されている疾患です。特に家系的に脳卒中になる方が多い場合は、これらの病気にかからないように食生活や運動習慣などに十分留意することが大切です。最後に、脳ドックに関してですが、脳ドックは脳内の血管の異常や腫瘍の有無、脳萎縮や梗塞を調べる目的で行われています。くも膜下出血の原因となる動脈瘤の発見にはとても役立ちますから、一度は受けておくとよいでしょう。もし、脳動脈瘤がなければ、一般的に5年に一回程度の検査でよいものと思われます。どうぞお大事にしてください。Doctors Me(ドクターズミー)が保証している医師が回答しています
2016年12月18日質問:夫の父親が昨年夏に心臓のけいれんを起こして入院。遺伝の有無と予防策について教えてください。夫の父親に心疾患の持病があり、昨年夏に心臓のけいれんを起こして入院し、今はペースメーカーをつけて生活しています。現在、夫は健康体で、年一回の健康診断でも心電図に異常があったことはありません。しかし、夫の父親が患った病気が遺伝するのではないかと、とても心配しております。遺伝の有無と予防策について教えてください。島根県:トマトマさん(38)回答:心臓のけいれんの遺伝と予防策についてお答えします。――「心房細動」について義理のお父さまが昨年心臓のけいれんを起こされ、現在ペースメーカーをお使いになっているということですね。心臓のけいれんは一般に、心房細動に関して使われることの多い表現ですので、ここからは「心房細動」といい換えてお話ししたいと思います。心房細動は、心臓にある心房と呼ばれる部分がまるでけいれんのように細かく不規則に震える病気です。高齢者に多いことから、心房の筋肉の老化が原因の一つとして考えられています。心房筋に異常があると、そこから本来はないはずの電気活動が発生したり、異常な電気が伝わる回路ができてしまったりします。左心房の中にある肺静脈の周囲からは特に強い電気が発生しやすいことが知られていて、その部分から出た電気が心房の中に異常な電気の流れを起こして、1分間に300~500回にも及ぶ細かい不規則な震えを発生させると考えられています。ただ、この心房の異常な興奮(震え)は房室結節である程度調節されてから心室に伝えられますので、心室に伝えられる興奮は不規則に毎分60~200回程度となります。心室の興奮を伝える心拍数もやはり、不規則で速い脈になってしまうと考えられます。心房細動の治療はお薬によって行われることが多いのですが、効果が不十分であると考えられるときなどに非薬物治療として、高周波カテーテルアブレーション(心筋焼灼術=しんきんしょうしゃくじゅつ)やペースメーカー治療、心臓外科治療が選択されることもあります。ペースメーカーは心房細動とともに徐脈性(脈が遅くなる)の不整脈がある場合に用いられることがある治療法です。<「心房細動」の遺伝について>また、心房細動の遺伝については、心房細動は発症に遺伝子の関連もあると考えられていますが、原因遺伝子の多くははっきりしておらず、多因子遺伝も多いと考えられています。加えて、遺伝以外の因子として高齢や高血圧、虚血性心疾患のある方は心房細動になりやすいと考えられています。これらの点から、適正な体重を保ち、糖尿病・高脂血症などに気をつけ、動脈硬化を防ぐことは心房細動の予防にも役に立つといえるでしょう。ご参考になれば幸いです。お大事にしてください。Doctors Me(ドクターズミー)が保証している医師が回答しています
2016年12月18日質問:がんは遺伝すると聞いたことがあります。生活習慣が異なってもがんは遺伝するのでしょうか?現在、第一子を妊娠中の30歳です。夫の母がぼうこうがんに、私の母が卵巣がんになり、手術は成功したものの、転移の恐怖や、後遺症で苦しんでいます。がんは遺伝するとも聞いたことがあります。実際のところ、生活習慣が異なっても遅かれ早かれがんは遺伝するのでしょうか?愛知県:とちおとめ♪さん(30)回答:「ぼうこうがん」と「卵巣がん」の遺伝性についてお答えします。――「ぼうこうがん」の遺伝性ご妊娠中とのことで、おめでとうございます。また、義理のお母さまがぼうこうがん、実のお母さまが卵巣がんにかかられたということで、大変でしたね。がんの原因に関しては、さまざまな研究が進められていますが、子宮頸がんなどのようにウイルスとの関連がある程度明らかになっているものもありますが、多くは遺伝的なものと生活習慣の組み合わせで生じるものとされています。義理のお母さまがかかられたぼうこうがんに関しては、遺伝性のものは少ないとされており、喫煙との関連性が非常に高いといわれています。それ以外に、特定の染料を使う職業や皮革製品の製造などに携わる人の発症率が高いことも指摘されていて、職業による発がんも見られるとされています。<「卵巣がん」の遺伝性>一方、お母さまがかかられた卵巣がんに関しては、一部遺伝性があることがはっきりしています。およそ5~10%の卵巣がんは、「遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)」によるものと考えられており、BRCA1遺伝子、BRCA2遺伝子という遺伝子の変異が関与するといわれています。これらは、遺伝子検査で調べることができます。遺伝性乳がん卵巣がん症候群が疑われる場合としては、若くして乳がんを発症していること、両方の乳房に乳がんを発症すること、乳がんと卵巣がんの両方を発症すること、家系内に乳がん・卵巣がん・すい臓がん、または男性の乳がんの患者さんがいるなどといったケースが挙げられます。ご相談者さまの場合は、家系内に卵巣がんの患者さんがお母さまだけであり、ある程度お年を召してからの発症ということならば、遺伝性のものである可能性はそう高くはないでしょう。ご心配であれば念のため検査を受けてもよいかもしれません。また、卵巣がんは原因がはっきりしないものが多くを占めますが、初経(初潮)が早かった人(12歳以下)、閉経が遅かった人(55歳以上)、30歳以降に出産した人、妊娠や出産経験がない人、排卵誘発剤による不妊治療を受けた人などが、相対的にリスクが高いとされています。がんの多くは遺伝性ではありませんし、その後の生活習慣が発症に大きな影響を与えると考えられています。食事のバランスや運動習慣、生活のリズム、禁煙などに気をつけて生活することで多くは予防できると思われます。どうぞお大事にしてください。Doctors Me(ドクターズミー)が保証している医師が回答しています
2016年12月18日質問:父は動脈硬化で心筋梗塞を起こしています。この病気は遺伝するのか、これからの生活で気を付ける点を教えてください。夫が会社で受けた健康診断で、要検査と指摘されました。23歳で結婚して、約20年間で夫は13kgも体重が増加。それと比例して、血圧とコレステロールの値も徐々に上がってきています。特に大きな病気もなく安心していたのですが、今回の指摘を受け、どうすればよいか不安でいっぱいです。夫の父は動脈硬化で心筋梗塞を起こしていますので、この病気は遺伝するのか、夫はこれからの生活で何に気を付ければいいのか教えてください。神奈川県:さとみさん(43)回答:体重の増加と心筋梗塞についてお答えします。――「心筋梗塞」の遺伝性についてご主人の体重と健康診断の結果、および心筋梗塞の遺伝に関するご質問ですね。少し順番は前後しますが、まず、心筋梗塞の遺伝に関してご説明しましょう。確かに、近親者に心筋梗塞の方がいらっしゃると心配になってしまいますが、心筋梗塞そのものに関しては、特に遺伝性の病気ではないと考えられています。ただ、心筋梗塞のリスクを高める因子、いわゆるリスクファクターには遺伝性のあるものも含まれます。心筋梗塞のリスクファクターとして有名なものに、高血圧、脂質代謝異常症(かつて高脂血症と呼ばれていたもの)、糖尿病、肥満、喫煙やストレスなどがあります。高血圧や脂質代謝異常症、糖尿病にはある程度の遺伝性が認められますが、喫煙は個人の選択であり、肥満に関しても体質的なものはありますが、多くの場合、食生活や運動習慣の改善などによって解消することが可能でしょう。ご主人は現在、体重増加があり、血圧やコレステロール値の上昇も見られているということですので、少なくとも3つの要注意因子があるということになります。<まずは小さな一歩からはじめましょう>まず、これらのなかで、肥満はご本人の努力によりお薬を使わなくても解消できる可能性がありますから、肥満の解消を目指すことが心筋梗塞のリスクを下げる近道のように思います。体重が重くなると、身体を動かすのにより多くのエネルギーを要し、それだけで心臓に負担がかかり、心筋が肥大してしまいます。こうして心筋が肥大すると、冠状動脈を通じてより大量の血液を送る必要が出てきて、さらに心臓に負担をかけることになります。反対に、減量に成功すれば、こういった負担が減り、心臓を健康な状態に保てる可能性が高くなります。また結婚後、体重が増えた背景には、食事量や食事中の脂質の増加、塩分の増加といったことが隠れているかもしれません。体重を減らすためには、食事のカロリーや運動習慣に気を配るようになるかと思いますので、肥満の解消に伴って血圧やコレステロール値も下がってくる可能性も十分あると思います。一気にすべてを解消しようとすると無理なストレスがかかると思いますから、一駅手前で降りて余分に歩く、ご飯のおかわりをしないといった、小さな一歩から始めてみてはいかがでしょうか。どうぞお大事にしてください。Doctors Me(ドクターズミー)が保証している医師が回答しています
2016年12月18日質問:母が自己免疫性肝炎を発症。一般的に遺伝はしないと聞きましたが、心配しています。母が自己免疫性肝炎を発症しました。肝疾患の中でも女性に多いと聞きました。一般的に遺伝はしないと聞きましたが、詳細原因が解明されていないだけに、もしかしていつか自分も……と心配しています。アルコール摂取量を制限するなどで発症を防ぐことはできるのでしょうか?また、甲状腺の病気も合併症として起こる場合があると聞きましたが、こちらも予防策はあるのでしょうか?兵庫県:yukariさん(28)回答:「自己免疫性肝炎」についてお答えします。――「自己免疫性肝炎」の遺伝自己免疫性肝炎に関するご相談ですね。おっしゃるように、自己免疫性肝炎は40代から50代で発症することが多く、1対7の割合で女性の患者が多いといわれています。欧米と比べて、日本には少ないとされていますが、まれに若い方や高齢者でも発症する方がいらっしゃいます。原因に関しては、はっきりしたことはまだ分かっておらず、免疫をつかさどるリンパ球という細胞が肝臓の細胞を異物と認識して、攻撃してしまうことが原因ではないかと考えられています。このような攻撃が起こるきっかけとして、何らかの薬物やウイルスの感染が疑われますが、それもまだ解明はされていません。ご心配の遺伝に関しては、すでにお聞き及びのように、いわゆる遺伝病ではない、と考えられています。しかし、遺伝の心配が全くないかというと、ほかの多くの病気同様そうではなく、病因と考えられている免疫を担う遺伝子の一部が両親から受け継がれることになるため、どちらかの親、または両親に自己免疫性肝炎の患者さんがいると、そうでない方に比べて発症率は多少高くなるといわれています。ただ、家族内発症はごく一部であり、あくまでパーセンテージの問題です。<「自己免疫性肝炎」の予防>自己免疫性肝炎の予防について、発症原因がいまだに明確でないことから、予防となるような対策もこれといったものがないのが現状です。自己免疫性肝炎とほかの肝炎が同時発症して、肝臓にさらにダメージを与えてしまうことのないよう、B型・C型肝炎といったウイルス性の肝炎にかからないよう気を付けて過ごす、脂肪肝を避けるために暴飲暴食を避ける(特にアルコールの肝臓への負担はかなり大きいものになります)、薬を服用するときは体調に留意し肝機能検査をこまめに受ける、といったことが挙げられるでしょう。また、自己免疫性肝炎に伴う甲状腺の病気に関しては、現在のところこれといった予防法はありません。自己免疫性肝炎は早期診断・治療ができれば、比較的進行も緩やかで副腎皮質ステロイドによってうまくコントロールできることが多いとされています。もし万一、ご相談者さまに倦怠感や食欲不振、皮膚が黄色くなるといった症状が見られた場合は、ぜひ早めに内科専門医を受診するようにしてください。どうぞお大事に。Doctors Me(ドクターズミー)が保証している医師が回答しています
2016年12月18日質問:最近女性の方が脳動脈にコブができやすいと知りました。生活習慣でなる病気なのでしょうか?産後、睡眠不足や運動不足が否めません。もともと不摂生だったこともあり、血管や骨の老化が心配でした。遺伝的なものもあると聞いたことがありますが、最近女性の方が脳動脈にコブができやすいと知りました。子どもが生まれたばかりでまだ何年も手がかかるため、今後の自分の健康状態が不安です。家族に脳動脈瘤があると聞いたことはないのですが、生活習慣でなる病気なのでしょうか?今から気をつけられることがあれば伺いたいです。東京都:たまきさん(32)回答:「脳動脈瘤」についてお答えします。―――「脳動脈瘤」とは「脳動脈瘤」自体はかなりの頻度で見られるもので、健康な人の3~6%に見られるというデータがあります。脳動脈瘤が怖いのは、破裂した場合です。破裂する頻度は年間2%(100人の脳動脈瘤患者さんのうち、年に2人)と考えられていますが、大きな脳動脈瘤、複数の瘤を有する方、すでにくも膜下出血を起こしている方、喫煙者、女性などが破裂しやすいといわれています。<これからの生活で気を付けること>脳動脈瘤ができる原因ですが、他の病気と同様、「遺伝的な要因と環境要因」があります。家族や家系内に脳動脈瘤の患者さんがいる場合、脳動脈瘤の発症リスクは高くなります。また、環境要因としては、喫煙と高血圧、大量飲酒があります。なかには遺伝的要因もなく、喫煙もせず、高血圧がない方にも脳動脈瘤ができる場合もあります。これからの生活で気を付けることは、他の生活習慣病と同様、喫煙や過度の飲酒は控える、血圧は高くならないようにすることです。ご相談者さまのように、脳動脈瘤があるかどうかも分からない現時点では、特に心配することはないと思われますよ。Doctors Me(ドクターズミー)が保証している医師が回答しています
2016年12月18日質問:がんは遺伝するものと聞くのですが、わたしにも同じ部位に遺伝でがんができますか?先日祖父が脳梗塞で倒れました。幸い脳梗塞は軽いもので、発見も早かったので大事には至りませんでしたが、詳しく検査してみると胃がんが発見されました。ある程度進行したがんのようで、祖父は胃を全摘出する手術を受けました。がんを摘出したことにより、祖父は元気を取り戻し、今では以前より元気に過ごしております。がんは遺伝するものとよく聞くのですが、わたしにも同じ部位に遺伝でがんができるものなのでしょうか?福島県:クローバーさん(26)回答:「がん」の遺伝性についてお答えします。――「がん」の遺伝性おじいさまが脳梗塞で倒れられて、脳梗塞は軽症であったものの、検査によって進行胃がんが発見され、胃の全摘手術を受けられたということですね。短期間の間に大きな病気に二つもかかられて、ご本人はもちろんのことご家族も大変に心配されたことでしょう。ご質問いただきました、がんの遺伝性についてお答えしたいと思います。がんには数多くの種類がありますが、発生するがんの中で明らかに遺伝によるものと認められるのはわずかに約1%であるともいわれます。ずいぶん少ないように思いますが、実際には同じ家族の中で数人が同じタイプのがんにかかったという話を耳にすることも多いですよね。では、なぜ同一家系内に同じがんが多いような印象があるのでしょうか。これは、食事の好みや運動習慣をはじめとする生活習慣が、家族や親戚内で共通する場合が多いためと考えられています。多くのがんはいわゆる遺伝子による遺伝と、環境・生活習慣の微妙なバランスで発生することがわかっています。家族として生活していると、どうしても食事や運動習慣などの選択基準や好みは似通ってくることが多いものです。<「がん」の予防法について>がんのなかでも、胃がんは、スキルス胃がんと呼ばれる若年女性に多いタイプを除き、遺伝性よりも食生活やピロリ菌感染の有無の方が発病に関連が深いとされています。具体的には、塩分量の多い食事を避け、野菜や果物を多くとり(一日400g以上が望ましいといわれています)、熱い食べ物や飲み物は避け、またピロリ菌が陽性の場合はしっかり除菌を行うことで、ご家族に胃がんの方がいても多くの場合、胃がんを予防することができると考えられています。また、過度のストレスは万病の元になります。忙しい現代においてなかなか難しいこととは思いますが、できればある程度若いうちに、心からリフレッシュできるストレス解消法を見つけておきたいものです。Doctors Me(ドクターズミー)が保証している医師が回答しています
2016年12月18日質問:夫の父は心筋梗塞で40代で亡くなりました。夫も40代半ばになり、同様のリスクがあるのではと不安です。夫の父は心疾患(心筋梗塞)で40代で亡くなりました。夫も40代半ばになり、同様のリスクがあるのではと不安です。義父はヘビースモーカーでしたが、夫は学生時代に肺気胸になってから一切喫煙していません。遺伝による発症リスクはあるのでしょうか?また、食事や運動など、予防のために生活の上で気を付けることはありますでしょうか?埼玉県:flowerroomさん(44)回答:「心筋梗塞」の遺伝についてお答えします。――「心筋梗塞」の危険因子心筋梗塞の遺伝に関するご相談ですね。義理のお父さまが40代で心筋梗塞で亡くなられているということで、ご主人の心筋梗塞のリスクをご心配されていますが、結論から申し上げると、心筋梗塞という病気そのものには遺伝性は認められません。ただ、心筋梗塞の危険因子として、次のようなものが挙げられます。それぞれの危険因子を順番に見てみましょう。1.高血圧高血圧は心筋梗塞の危険因子として非常に大きなものです。高血圧は心筋に対し負担をかける上、酸素需要を増やして狭心症の発症を誘発します。また、血管内の圧力を高めてコレステロールを動脈の内壁に押し込み、血管中層に沈着させることで動脈硬化を招きます。また、動脈硬化で血管の弾力がなくなると、より血圧が上がりやすくなる、という悪循環を招いてしまいます。2.肥満肥満は脂質代謝異常症や糖尿病を招きやすく、冠状動脈の動脈硬化の大きな危険因子の一つです。体重が重いことで心臓に負担がかかり、心筋が肥大してしまいます。この心筋の肥大によって冠状動脈を通じてより大量の血液を送る必要が出てくるので、さらに心臓に余分な負担をかけることになります。運動習慣や食習慣の改善を図り、肥満はぜひとも改善するようにしなくてはなりません。3.脂質代謝異常症かつて高脂血症と呼ばれていたもので、血中の中性脂肪、コレステロール、飽和脂肪酸の濃度が多いものを言います。俗に善玉コレステロールと呼ばれるHDLが多いほど動脈硬化が抑えられ、悪玉コレステロールと呼ばれるLDLが多いほど動脈硬化は進行しやすくなります。イワシなどの青魚にはHDLが多いので、積極的に食べるようにするといいでしょう。4.糖尿病糖尿病は血管障害を合併しやすく、心筋梗塞の発症率も高いことが知られています。食事、お薬などでしっかり血糖コントロールをすること、病気のため痛みをあまり感じないことがあるので、少しでもおかしいと思ったらすぐ病院を受診することが大切です。<禁煙や運動などできるところから変えていきましょう>これらに加え、ご主人がやめられたという「喫煙」も大きな危険因子ですので、ぜひ禁煙は継続してください。また、過度のストレスや高尿酸血症、運動不足といったことも心筋梗塞の危険因子になりますので、できるところから少しずつ変えていくことが心筋梗塞のリスクを下げるカギになるでしょう。どうぞお大事にしてください。Doctors Me(ドクターズミー)が保証している医師が回答しています
2016年12月18日こんにちは。心理食育インストラクターのSAYURIです。空気が乾燥し始めると症状が強くなると言われるアトピー性皮膚炎。自分にアトピーがあると、「子どもに遺伝したら……」と不安になる人も多いようです。そこで今回はNPO法人予防医療推進協会の理事でアトピーアドバイザーとして全国で公演活動や2,000人を超えるメルマガ会員さんにアトピー情報を発信している、桑野やすし氏にお話を伺いました。●アトピーは遺伝するってホント?桑野氏によると、『「アトピーは遺伝するのか?」については、いくつもの研究・調査があるようですが、概して「遺伝する 」と言ってよいでしょう。研究によって幅がありますが、片親がアトピーの場合で30〜50%程度、両親ともアトピーの場合で50〜80%程度の子どもがアトピーになると言われています。日本皮膚科学会の『アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2016年版』にも、アトピー素因の一つとして“家族歴”が記載されていますね。遺伝が重要なファクターだと認識されているということです。僕自身3か月の息子がいますが、いずれ彼にもアトピーが発症することを覚悟しています。今できることとしては、3つあると思って実践しています』とのこと。以下に桑野氏が実践している対策法をご紹介します。●子どものアトピー発症に備えた対策●(1)保湿をこまめに丁寧に乳幼児期の子どもの肌は非常に乾燥しやすいので、カサついていたらすぐに保湿。化粧水と乳液の組み合わせで行っています。離乳食が始まったら、食事前に口の周りにワセリンを塗って、食品が口周りの皮膚に付着しないよう保護する こともお勧めします。●(2)動物園や牧場へ行く家畜などの動物が身近にいる環境で育つと、アレルギーの発症率が5分の1になるという研究があります。さすがに家畜は飼えませんが、動物園や牧場へは連れて行ってあげようと思っています。●(3)親の食卓での振る舞いを見直すアトピーの子どもさんの多くは早食いで姿勢が悪い。そうすると消化・吸収に負担がかかります。ですから、姿勢良く、ゆっくり食べるという習慣を身に着けさせる ことが大切。そのためには、ご両親がそういう食べ方を実践する必要があるわけです。子は親の姿を真似しますからね。一口ごとに箸を置いてよく噛み、食事中は席から立たない。落ち着いた食卓を築いてください。●親が心の準備をしておくことも大切また同氏によると、親の心の準備も大切とのこと。桑野氏がこれまで数多くのアトピーのお子さんを見てきた中で、アトピーの子どもを持つ親のメンタルについても以下のようにお話しされています。『アトピーのお子さんを抱える家族を見ていると、多くの場合、子どもよりも親の側に心理的な不安定さが見え隠れしています。親が自分を責めていたり、わが子を過剰に“かわいそう”に感じていたり、周囲の目が気になってアトピーであることを隠そうとしていたり。そういう心の“ぐらつき”があると、それは子どもにも伝わります。そうすると、ストレスの影響で症状が悪化・長期化する こともありますし、親子関係にしこりを残す ことにもなりえます。「アトピーになってもならなくても、この子に幸せがたくさん降り注ぐことを祈っていよう」というくらいの心の準備をしておきたいですね。遺伝する確率が高いということは、“準備ができる”ということです。お子さんがいる方も、これからという方も、今からできることがあると思います』----------いかがでしょうか。自分がアトピーであったり子どもにアトピーがあったりすると、どうしても不安やつらい気持ちが大きくなりがちですが、桑野氏のアドバイスによって少しでも心が軽くなればと思います。【取材協力/アトピーアドバイザー・桑野やすし】・アトピー改善アドバイザー 桑野やすし オフィシャルブログ●ライター/SAYURI(心理食育インストラクター)●モデル/神山みき(れんくん)
2016年11月17日乳がん闘病中のフリーアナウンサー・小林麻央が7日、自身のブログを更新し、遺伝性の乳がんではないことを明かした。「遺伝子検査」というタイトルで更新した麻央は、「私が遺伝性の乳癌だと断定したようなことが一部で言われていたようなのですが」と書き出し、「私は、乳がん 卵巣がん症候群の遺伝子検査をした結果、BRCA1 BRCA2の変異はともに陰性で、遺伝性の乳癌ではありませんでした」と報告した。そして、「乳がんを経験していた母は、ずっと胸のうちで『私のせいではないか』と自分を責めていました。そして、妹も乳がんとなると、姉は、相当不安があったと思います」と家族の気持ちを察し、「私は、娘のことも、とても心配で、私のせいで将来もし、、、と苦しい気持ちになりました」と長女の麗禾ちゃんを心配する思いを明かした。さらに、「ここまで、不安や心配があっても、遺伝子検査の説明を聞き、実際、検査を受けると決め、採血をしたまでは、それほどまでの怖さを想像していませんでした」と伝え、「けれど、結果を待つまでの間にどんどん現実を知ることの怖さがつのっていきました」と告白。「遺伝子検査は想像以上にセンシティブなことだと分かりました」とつづった。
2016年10月07日知的障害の原因は?出典 : 知的障害とは、発達期までに生じた知的機能障害により、認知能力の発達が全般的に遅れた水準にとどまっている状態を指します。単に物事を理解し考えるといった知的機能(IQ)の低下だけではなく、社会生活に関わる適応機能にも障害があることで、自立して生活していくことが困難になります。知的障害は発達期の間に発症すると定義され、後天的な事故や認知症などの病気で知能が低下した場合は含みません。この発達期とはおおむね18歳までを指しますが、知的障害は障害の状態を指すため、障害が現れる道筋は人によってさまざまで、具体的な発現時期も人により異なります。知的障害の原因は十分には解明されていない状況ですが、主な要因は病理的要因・生理的要因・環境要因の3つの面から分類できると考えられています。病理的要因は、病気や外傷など脳障害をきたす疾患で、これらの合併症として知的障害が一緒に起きることがあります。この中にはてんかんや脳性まひなどのほか、ダウン症などの染色体異常による疾病も含まれます。一方、特に疾病などがなくたまたま知能水準が知的障害の範囲内にあるといった場合、生理的要因と呼ばれます。環境要因は、直接の原因となるわけではありませんが、脳が発達する時期に不適切な環境であることで知的障害の症状が悪化したり、脳の発達が遅れる原因になったりすると言われています。上記のように知的障害の原因は一つではなく様々な要因が考えられますが、人によってもさまざまです。脳障害を引き起こす疾患や要因すべてが知的障害の原因となりうると考えられ、また知的障害を発症する道筋も人によります。知的障害を引き起こす病理的要因の中には、遺伝的要因による遺伝子や染色体の異常による疾患もあります。染色体異常が原因のダウン症や、遺伝的要因と環境要因の相互影響によって発現すると言われている自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害の人の中には、知的障害が併存する場合も少なくありません。近年、遺伝子研究が進み、2006年には脆弱X症候群(FXS)と呼ばれる遺伝性の知的障害があることがわかりました。2014年には知的障害の原因となる遺伝子変異についての研究結果も発表されました。しかしながら、知的障害の原因は遺伝的要因以外のものも数多くあります。また、遺伝のメカニズムは複雑で、遺伝的要因といわれる上記のような疾患でも、必ずしも知的障害を発症するとは限らないのです。また遺伝的要因の中には突然の遺伝子変異によるものがほとんどであるという研究もあります。知的障害は親から子どもへ遺伝するの?確率は?出典 : 知的障害の要因の中には、まれに親から子に遺伝するメンデル型遺伝疾患と呼ばれるタイプの疾患もあります。たとえば、脆弱X症候群はX染色体上の一遺伝子の突然変異によって起こります。その突然変異による遺伝情報は親から子どもへと何代も受け継がれると言われています。しかしながら、知的障害にはさまざまな要因があり、遺伝だけが全てではありません。親から子どもへ遺伝するかどうかという確率に関しても今のところ確かなデータがありません。遺伝子は父親や母親、祖父母などから引き継がれるものもあれば、突然変異によって生じるものもあります。親や家族に知的障害があるからといって必ずしも遺伝するとは限りません。実際に知的障害のある両親から障害のない子どもが産まれるケースや、知的障害のない両親から障害のある子どもが産まれるケースも報告されています。前述の脆弱X症候群に関しても遺伝情報の保因者であっても知的障害を発症しない場合もあるのです。そのため、遺伝の確率が高い・低いに関わらず、知的障害を発症する可能性はどの家族でも十分にあると言えるでしょう。脆弱X症候群(Fragile X Syndrome) の治療支援研究サイト知的障害などを発症する原因の一つが遺伝子の新たな変異であることなどを解明し、研究成果を科学誌に発表しました(愛知県HP) Low IQs Are Just Bad Luck浜渦辰二「ケアの臨床哲学 ー障がいとそのケアー (8)知的障害」 2013年きょうだいで知的障害になる確率は?出典 : 知的障害と言っても様々なレベル、合併症などがあるため、きょうだいで知的障害になる確率に関しても今のところ十分には解明されていません。きょうだいで知的障害になる家族もいれば、知的障害のあるのが兄姉だけ・弟妹だけという家族もいますし、親が知的障害であっても知的障害のない子どもが産まれる家族もいます。上記でお伝えした遺伝性の脆弱X症候群(FXS)のように遺伝性の疾患もあるため、必ずしもきょうだいそろって遺伝しないとは言い切れません。しかしながら、生まれたその人に知的障害が発現するかどうかは、わからないのです。知的障害は男女で発現率が違う?出典 : 知的障害の男女発現比率は1.5:1とされ、男性の発現率が高い傾向にあります。また、脆弱X症候群(FXS)では男性が約1500人に1人、女性が約2500人に1人発現し、知的障害の症状も男性が重度で女性は軽度と言われています。しかしながら上記でも述べたように脆弱X症候群は大規模な研究調査が行なわれていませんし、日本人男性の脆弱X症候群は1万人に1人とも言われ、日本人だけで考えると発現率も変わってきます。他に知的障害はダウン症などの染色体異常が原因となる可能性もあります。ダウン症の場合、男女の発現率は男性がやや多いもののほぼ差はないとされています。男性が多い理由としては様々ありますが、そもそも出生比率自体、男性が多いためという考え方もあります。女性でも知的障害となる可能性ありますし、知的障害となる原因も様々です。一概に知的障害は男性が多いとは言えないでしょう。厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト「知的障害(精神遅滞)」内閣府「 平成26年版障害者白書(概要)第3章障害者の状況(基本的統計より)」脆弱X症候群の一般人口中での頻度(脆弱X症候群(Fragile X Syndrome) の治療支援研究サイト)知的障害を検査する方法はあるの?出典 : 妊娠中の段階で子どもが知的障害であるかを検査する方法はありません。出産後、子どもが成長してから障害に気付くことがほとんどです。ダウン症などの染色体異常に関しては、出生前診断も可能ですが、ダウン症だからといって必ずしも知的障害があるとは限りません。出生前診断は現在受診できる病院や受診条件が限られています。もし受ける場合は、今後のことについて十分に話し合ってから決めることをおすすめします。出生後、知的障害を検査する方法としては知能検査や発達検査を用います。児童相談所などでは無料で知能検査や発達検査を行なえる場合がほとんどです。子どもが幼い場合には保護者である親が質問に回答したりします。その他、ダウン症やてんかんなどの障害の併存が考えられる場合は、他にも検査が用いられることもあります。まとめ出典 : 今回、知的障害の遺伝性や男女の発現比率についてお伝えしました。知的障害には様々な要因があり、まだ解明されていないことも多くあります。遺伝性の脆弱X症候群(FXS)も最近になって研究が始まったばかりです。知的障害の原因や確率を知りたい方もおられるとは思いますが、知的障害の子どもが産まれた場合でも向き合っていけるよう準備しておくことも大切です。最近では障害のある人に対する、社会の支援体制も整備が進んできています。まだまだ支援が行き届いていない部分もあるかもしれませんが、支援を受けながら子育てすることもできますし、知的障害の子どもがいる先輩パパ・ママも多くいます。知的障害について心配な場合は、遺伝外来や支援センターなどに相談してみることをおすすめします。参考書籍:栗田広・渡辺勧持/訳『知的障害定義、分類および支援体系』2004年,日本知的障害福祉連盟/刊参考書籍:日本精神神経学会/監修『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』医学書院/刊参考書籍:有馬正高/監修『知的障害のことがよくわかる本』講談社/刊
2016年08月29日医学的に知的障害の発現時期は分かっているの?出典 : 知的障害とは、発達期までに生じた知的機能障害により、認知能力の発達が全般的に遅れた水準にとどまっている状態を指します。単に物事を理解し考えるといった知的機能(IQ)の低下だけではなく、社会生活に関わる適応機能にも障害があることで、自立して生活していくことに困難が生じる状態です。知的障害は、知的機能および適応行動(概念的、社会的および実用的な適応スキルで表わされる)の双方の明らかな制約によって特徴づけられる能力障害である。この能力障害は、18歳までに生じる。(AAMR,2002)。(栗田広・渡辺勧持/訳『知的障害定義、分類および支援体系』2004年,日本知的障害福祉連盟/刊p17より引用)知的障害は発達期の間に発症すると定義され、後天的な事故や認知症などの病気で知能が低下した場合は含みません。この発達期とはおおむね18歳までを指しますが、知的障害は障害の状態を指すため、障害が現れる道筋は人によってさまざまで、具体的な発現時期も人により異なります。知的障害を引き起こす原因についても出生前の胎児期に発現する先天的な場合が多いと言われていますが、出産後に発現する・成長段階に後天的に発現する場合まで人によって様々です。症状は成長するにつれて明らかになり、だんだんと家族や周りの人が知的障害の症状に気づくことが多いです。乳幼児期にはことばの発達や園での集団への参加の様子などから特性が目立つようになると言われています。ですが、軽度の知的障害は見た目からは判断しにくいため、見過ごされてしまう場合もあります。知的障害の原因は?出典 : 知的障害の原因は一つではありません。脳障害を引き起こす疾患や要因すべてが知的障害の原因となりうると考えられ、また知的障害を発症する道筋も一つではありません。原因不明の知的障害の人も多いとされていましたが、最近になって原因解明の研究が進んでいます。2014年にも脳内タンパク質の遺伝子変異が知的障害の原因の一つとなるという研究が発表されました。知的障害の原因は十分には解明されていない状況ですが、主な要因は病理的要因・生理的要因・環境要因の3つの面から分類できると考えられています。病理的要因は病気や外傷など脳障害をきたす疾患で、これらの合併症として知的障害が一緒に起きることがあります。この中にはてんかんや脳性まひなどのほか、ダウン症などの染色体異常による疾病も含まれます。一方、特に疾病などがなくたまたま知能水準が知的障害の範囲内にあるといった場合、生理的要因と呼ばれます。環境要因は、直接の原因となるわけではありませんが、脳が発達する時期に不適切な環境であることで知的障害の症状が悪化したり、脳の発達が遅れる原因になったりすると言われています。中日新聞 「脳内タンパク質の遺伝子変異、知的障害の原因に」 2014年知的障害を引き起こす病理的要因としては、主に以下のような病気・けがが挙げられます。・感染症によるもの(胎児期の風疹や梅毒、生後の脳炎や高熱の後遺症など)・中毒症によるもの(胎児期の水銀中毒や生後の一酸化炭素中毒など)・外傷によるもの(事故や出産時の酸素不足など)・染色体異常によるもの(ダウン症候群など)・成長や栄養障害によるもの(代謝異常や栄養不良など)・その他(早産、未熟児、仮死など)病理的要因を考え、もしその要因が治療可能であれば、知的障害を最小限に抑えることができるかもしれません。また、その要因が及ぼす影響を予防したり、支援の方向性を検討したりできます。参考:宮本信也・武田一則/編著『障害理解のための医学・生理学』(明石書店/2010年刊)浜渦辰二「ケアの臨床哲学 ー障がいとそのケアー (8)知的障害」 2013年時期によって発現する原因は変わります知的障害の原因はどのように発現するのでしょうか?出生前・周産期・出生後の3つの時期ごとにご説明します。この中には、まだ詳しい原因やメカニズムがわからないものもあれば、医学の進歩で一部原因が解明されたり、発症を防げるようになったものもあります。胎児期に発現する遺伝子変異や染色体異常といった先天的な原因が知的障害を引き起こす場合があります。また、まれに知的障害の素因となる遺伝子が親から子へ伝わることもあります。下記は胎児期に発現する知的障害の素因としてよく知られている疾病です。・先天性代謝異常(フェニールケトン尿症・メープルシロップ尿症など)・ダウン症・脆弱X症候群(FXS)・脳内タンパク質の遺伝子変異などダウン症などの染色体異常が原因の場合、出生前検査などでその可能性がわかる場合もあります。また胎児期はお母さんのおなかの中で身体や脳などの器官がつくられる大切な時期です。この頃にお母さんを通じて感染症や薬物、アルコールなどの外的要因が胎児に影響したり、お母さんの代謝異常などで栄養不足になったりして脳の発育が妨げられ、知的障害を引き起こす原因となる可能性もあります。出産前後の事故などによって脳に障害が現れることがあります。母体の循環障害、へその緒がねじれるなどで赤ちゃんの脳に酸素がいかなかったり、出産時に頭蓋内出血が起こったりして脳に障害が残る場合があります。また低体重や早産などにより、脳が未発達のうちに生まれることも原因の一つとなる可能性があります。これらの出産前後のトラブルは周産期医療の進歩や充実によって少なくなってきています。脳が未発達なうちはけがや病気の影響を受けやく、乳幼児期の感染症や頭部の外傷などが原因になることがあります。日本脳炎や結核性髄膜炎、ポリオ、麻疹、百日咳などに感染し重篤化して脳炎になると知的障害を引き起こす場合がありますが、予防接種により感染の危険を減らすことができます。また乳幼児期に栄養不足だったり、不適切な養育環境に置かれることで脳の発達が遅れることもあります。フェニールケトン尿症は出生後すぐの新生児マススクリーニング検査の対象疾患となっており、そこで自動的に検査されます。疾患が見つかったらすぐに食事療法によって血液中のフェニルアラニンを一定の範囲にコントロールすることで、発症を予防することができます。知的障害は遺伝するの?出典 : 知的障害の原因はさまざまですが、一部に遺伝性の疾患によるものがあることもわかっています。ですが、それは単純に「親から子に遺伝する」ということではありません。そもそも「遺伝子的な原因」とは、どのようなものなのでしょうか?■染色体の異常私たちの身体は60兆を超える細胞から成り立っていますが、細胞一つ一つの核の中には染色体があります。本来ヒトには23対46本ある染色体がありますが、細胞分裂がうまくいかず数や構造に異変が起こることがあります。染色体は遺伝子を乗せたDNAとタンパク質が集まったもので、たくさんの遺伝子情報がコードされているため、これらに異常があると障害の原因となる可能性があるのです。例えばダウン症は21番染色体が1本多く、脆弱X症候群はX染色体長腕末端部に異常があることがわかっています。■遺伝子の変異遺伝子は4つの塩基配列の組み合わせによって遺伝情報を表しています。その並び方に変異が起きるとその遺伝情報をもとに作られる物質がつくられなくなってしまいます。それが知的障害を引き起こす脳機能障害の素因となりえるのです。脆弱X症候群(難病情報センターHP)知的障害の原因は人様々ですので、遺伝を原因としない場合もありますし、まれに脆弱X症候群(FXS)をはじめ単一遺伝疾患(メンデル型遺伝疾患)など、原因となる遺伝子が親から子に伝わることで知的障害が発症する場合もあります。ですが、親が知的障害の原因となる素因を持っていても、それが子どもに必ず遺伝するわけではありませんし、遺伝しても必ず発現するとは限りません。つまり親が知的障害だからといって必ず子どもが知的障害になるわけではないのです。また、遺伝子の変異は誰にでも起こりうるものですし、遺伝性疾患のほとんどは正常な遺伝子や染色体が突然変異を起こすことによります。知的障害の合併症・併存症知的障害は脳の障害と関わりのある他の疾病と一緒に起こる場合もあります。以下に代表的な合併症・併存症をご紹介します。■てんかんてんかんは、神経細胞の過剰な放電によって発作を繰り返す慢性的な脳の病気です。様々な種類がありますが、ウエスト症候群やレンノックス・ガストー症候群などの難治性のてんかんは、知的障害を伴いやすいと言われています。また、知的障害の程度に比例して合併率も高くなります。てんかんの合併率は、重度知的障害で50%前後、中等度知的障害で40%前後、軽度知的障害では10%前後とされる。宮本信也・武田一則/編著『障害理解のための医学・生理学』(明石書店/2010年刊)p36より引用■脳性まひ脳性まひも知的障害を伴う場合のある疾患です。脳性まひは出生前、出生直後の周産期に受けた脳のダメージが原因で運動障害が起こります。てんかんと知的障害、脳性まひの3つを合併する場合もあります。■発達障害自閉症の場合、知的障害を伴う人も少なくありません。ことばの遅れや構音障害を伴う場合もあります。知的障害のある人でADHD(注意欠陥/多動性障害)のような症状が見られる人もいます。その場合、知的障害のある人にADHDの併存を認めるときは、精神年齢に対して過剰であるかどうか注意する必要があります。このように知的障害の場合、他の発達障害の症状がないかどうか、慎重に判断する必要があります。■その他の障害上記のほかにも、原因となる疾患によって、聴覚障害・視覚障害など様々な障害を合併することがあります。■二次障害(併存症)知的障害のある方に見られることの多い二次障害として、うつ病などの気分障害や不安障害があります。「できない」ことを注意されるなどして自己肯定感が下がったり、マイナス思考におちいったりすることが原因となることがあります。このような二次障害を防ぐためにも、早期に障害に気づき、その人にあった対応方法や支援につなげることが大切になってきます。有馬正高/監修『知的障害のことがよくわかる本』(2007年,講談社/刊)知的障害を検査する方法はあるの?出典 : 出生前に知的障害を検査する方法は現段階ではありません。羊水検査でその可能性を検査できるダウン症に関しても、知的障害の程度や可能性は出生前には確実にはわかりません。ダウン症・脆弱X症候群などの染色体異常は出生後の遺伝子検査で診断が確定することができます。フェニールケトン尿症については新生児マススクリーニング検査で検査が行われます。しかしながら必ずしもこれらの疾病=知的障害ではありませんので、羊水検査や遺伝子検査で異常があったからといっても知的障害であると断定するものではありません。また知的障害があってもその程度は人によって様々です。知的障害を検査する方法としては知能検査や発達検査を用いるのが一般的です。知能検査は、様々な種類があり使用する検査は病院などによって異なりますが、「WPPSI」「WISC」・「WAIS」や「田中ビネー」など標準化された知能検査や社会適応能力検査を用いて、知的障害の診断を行います。幼児期の子どもは知能検査や発達検査を受けたり、保護者が質問の回答や記入を行ったりします。検査機関によっても異なりますが、知能検査は正確な結果を得るため、通常1年に1回など期間をあけて測定します。また、知的障害は他の障害や疾患を合併していることもあるため、様々な検査が行われることもあります。てんかんがないか脳波を調べたり、脳の器質的な異常がないか調べるためにMRIをしたりといった、生理学的な検査を行うこともあります。知的障害の治療法はあるの?出典 : 知的障害は環境調整や療育・トレーニングによって改善することができると言われています。その他、代謝異常などの病気が原因の場合は、治療によって改善することもあります。しかし、現在のところ知的障害の直接的な治療法として薬や手術といった医学的治療法はありません。治療法は確立されていませんが、対応法を変えることによって大きな変化があります。例えば発達支援として療育プログラムを利用し、本人にとってよい環境で学ぶ機会をつくることで、成長を促すことができます。また、通う学校においてもその子にあった支援が得られるとよいでしょう。成人後は就職支援なども受けられ、社会人として働いている知的障害のある方も多くいらっしゃいます。扶養手当などの経済的支援も進んでいるので、それらを利用して、お子さんが過ごしやすい環境を作るように心がけましょう。ご家族はカウンセリングやペアレントトレーニングなどを受けることもできます。ペアレントトレーニングとはその名の通り、親に対する子育てトレーニングです。知的障害について理解し、子どもにどう接すればいいのかを学ぶことで、今後の生活と向き合いやすくなります。また、知的障害のあるお子さんをもつ親同士のつながりをつくったり、周りに相談したり、協力しながら子育てを進めることも大切です。疑いがある場合は、専門機関を受診しましょう出典 : 現在知的障害の原因として、染色体異常や先天性感染症などが考えられていますが、それらに当てはまらないものの原因は不明とされています。遺伝する確率や治療法も解明されていませんが、療育や経済的支援は進んでいますので子育てしやすい環境は整いつつあります。しかしながら軽度の知的障害に大人になるまで気づかず辛い思いをされる方も多くいます。早めに気づけるよう、お子さんを気がけるようにしたり、知的障害かもと思われた場合は専門機関での診断をおすすめします。専門機関は、児童の場合、各市区町村の保健センター、子育て支援センター、児童発達支援事業所等をさします。大人の場合は発達障害者支援センター、障害者・生活支援センター、相談支援事業所へ行ってみましょう。知能検査や発達検査は児童相談所や療育センターでは無料で行なえる場合もあります。まずは身近な相談センターに行ってみて、障害の疑いがある場合には発達を専門とする小児科、小児神経科など専門医を紹介してもらいましょう。以下は発達障害を診療できる医師の一覧です。参考にしてみてください。日本小児神経学会 「発達障害診療医師名簿」参考書籍:栗田広・渡辺勧持/訳『知的障害定義、分類および支援体系』2004年,日本知的障害福祉連盟/刊参考書籍:日本精神神経学会/監修『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』医学書院/刊参考書籍:有馬正高/監修『知的障害のことがよくわかる本』講談社/刊
2016年08月04日医学的に広汎性発達障害(PDD)の発現時期は分かっているの?出典 : 広汎性発達障害(Pervasive Developmental Disorders:略称PDD)は、コミュニケーションと社会性に障害があり、限定的・反復的および常同的な行動があることを特徴として分類される発達障害のグループ です。世界保健機関(WHO)の『ICD-10』(『国際疾病分類』第10版)の診断カテゴリでは、このグループには自閉症、アスペルガー症候群のほか、レット症候群、小児期崩壊性障害、特定不能の広汎性発達障害という5つの障害が含まれています。広汎性発達障害は、なんらかの先天的な遺伝要因と様々な環境要因に起因する何らかの障害が脳が発達する時期に起こり、それが成長段階で「広汎性発達障害」として発見されるとされています。要は先天的な素因によって起こる発達障害の一つとして医学的には捉えられています。広汎性発達障害は親のしつけや育て方の問題で広汎性発達障害が起こっているわけではないことがわかっています。広汎性発達障害は、だいたい3歳までの幼児期に何らかの症状が現れると言われています。広汎性発達障害の子どもをもつ親が、言語能力の遅れやこだわりなどの症状から何らかの疑いをもつ時期についても3歳未満が多いとされています。また、1歳半検診や3歳児検診などの乳幼児健康診断で広汎性発達障害を含む発達障害に関する何かしらの指摘があり、その後医師の診断により判明することもあります。中には子どもの頃に気づかず、大人になってから広汎性発達障害と診断された方もいます。不安障害やうつ病などの気分障害・睡眠障害などのいわゆる二次障害と呼ばれる症状や状態となり、その検査を通して広汎性発達障害に気づく人もいます。姫路心療内科 前田クリニック 「発達障害とうつの関係」埼玉県総合教育センター 「自閉症の理解と支援自閉症とは」広汎性発達障害の原因は?出典 : 現段階では正確な原因は解明されていませんが、脳機能の障害により症状が引き起こされるといわれています。その脳機能障害は、先天的な遺伝要因と、様々な環境要因が複雑かつ相互に影響し合って発現するというのが現在主流となっている説です。なお、広汎性発達障害という診断名は、アメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神障害のための診断と統計のマニュアル』第5版テキスト改訂版)の診断基準では自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害という診断カテゴリに変更されています。以下の各症状の中には、自閉症スペクトラム障害の概念から除外されたものも含まれています。しかし、行政や医療機関で広汎性発達障害の名称を使用している場合も多いこと、すでにこの名称で診断を受けた人も多いことから、本記事では『ICD-10』の診断カテゴリに準拠して広汎性発達障害の名称でご説明します。以下の図で広汎性発達障害に含まれている各症状の原因について、それぞれご紹介します。Upload By 発達障害のキホン自閉症は脳の機能障害が原因と考えられていて、これには複数の遺伝子が関わっており、最近では父親の高齢化で自閉症の確率が高まるという研究報告や、妊娠時の体内環境の要因などが関連すると言われることもあります。しかしながら、これらは全てはっきりしたメカニズムが分かっておらず、医学的根拠については解明されていません。アスペルガー症候群も自閉症と同様に脳の機能障害である可能性が高いとされていますが、その全てが解明されている訳ではありません。小脳や脳内物質の異常、環境ホルモンやウィルス感染、成長環境での心理的要因など国内外で様々な研究が進められており、アスペルガー症候群の原因について医学的な裏づけを研究している段階です。レット障害(レット症候群)はほとんどが女児に見られる発達障害です。レット障害についてはX染色体上に存在する遺伝子の突然変異が原因だということが発見されました。1999年にMECP2という遺伝子が主な原因遺伝子であることが発見され、その後2004年にCDKL5、2008年にFOXG1という原因遺伝子も発見されています。女性の性染色体はXX型、男性はXY型であるため、レット障害は女児に多いと考えられています。また、男児の場合、遺伝子の異常で流産や死産してしまう可能性が高いですが、男児のレット障害も少数ながら報告されています。レット症候群|難病情報センター小児期崩壊性障害(CDD)はヘラー症候群とも呼ばれますが、その原因は現段階では解明されていません。今まで話していた子どもが言葉を話さなくなるなど精神発達の退行が症状として現れますが、脳や神経系の感染症などを発現後に小児期崩壊性障害となるケースも多く、脂質代謝異常や結節性硬化症など、さまざまな疾患と関連があると考えられています。特定不能の広汎性発達障害(PDD-NOS)は特定不能とあるように、特定の原因は不明とされています。一部では遺伝要因と環境要因による相互作用ではないかと考えられています。自閉症やアスペルガー症候群の診断基準には当てはまらないが、その特徴を一部持っているという場合に診断されることが多いです。広汎性発達障害は親から子どもへ遺伝するの?出典 : 広汎性発達障害は先天的な遺伝的要因が関与している可能性が高いと言われています。双生児研究や家族間研究が盛んに行われてきました。以下のようなデータがあります。広汎性発達障害の一卵性双生児における一致率は70~90%であり、その遺伝率は90%とされている。よって広汎性発達障害は遺伝因子がその発症に大きな役割を果たしていると考えられている。(橋本亮太、安田由華、大井一高、福本素由己、高村明孝、山森英長、武田雅俊「モデル動物を用いた発達障害病態解析」 2009年より引用)一卵性双生児の場合、基本的な遺伝子情報は同じです。その一卵性双生児間で一人が広汎性発達障害である場合、もう一人も広汎性発達障害であるという確率が90%と高いことは、遺伝的要因が影響していると言われている根拠の一つとなっています。一方で、一致率が100%でないということは、遺伝以外の要因があることも示唆しているのです。つまり、広汎性発達障害は遺伝的要因が関係している可能性がありますが、必ずしも単純に親から子どもへ遺伝するというわけではありません。また。遺伝する確率や詳しい原因については研究段階で、発現するメカニズムなどは解明されていないのが現状です。障害のある親から障害のない子どもが産まれる場合もありますし、親族の広汎性発達障害のない場合でも障害のない親から障害のある子どもが産まれる場合もあります。きょうだい間でも上の子が広汎性発達障害だったからといって、下の子も必ず広汎性発達障害になるとは限りません。広汎性発達障害を検査する方法はあるの?出典 : 羊水検査やエコー写真などによって、出生前の妊娠中の段階で広汎性発達障害を検査する方法は今のところありません。原因遺伝子が確定されているレット障害(レット症候群)に関しては、出生後に遺伝子検査ができる場合もあります。しかし、その他の広汎性発達障害については、出生後も血液検査や遺伝子検査といった生理学的な方法で検査することはできません。一般的に子どもになんらかの症状や特性が現れてから、様々な心理検査や知能検査、保護者(親)に対する問診、子ども(本人)の行動観察、学校や家族からの情報提供などによって診断が行われます。診断基準は主にDSM-5やICD-10などが用いられます。診断はさまざまな情報や検査の結果から総合的に行われ、経過を見ながら慎重に行われます。レット症候群の遺伝子異常について|NPO法人レット症候群支援機構HP広汎性発達障害の治療法はあるの?出典 : 根本的な原因が解明されていないため、薬や手術などによる根本的な治療法は存在しません。一般的には環境調整や療育(りょういく)と呼ばれるトレーニングを行い、家庭での対応や専門機関による療育などによって子どもが自立して生活できるよう支援していきます。また、パニック症状やてんかん発作、感覚過敏など一部の症状に対して薬物療法が行なわれる場合もあります。療育は何歳からでも始めることができます。コミュニケーションの取り方がわかったり、療育の遊びを通して友達ができたりする子もいます。ストレスを抱えがちな親にとっても療育の場は相談できる場所であり、同じ悩みをもつ親同士の交流の場所ともなっています。療育の効果は個人差があり、子どもに合った療育が必要となりますが、子どもにとっても親にとっても療育は心の面でもサポートにもなると言えるでしょう。まとめ出典 : 広汎性発達障害の原因は遺伝的要因が有力とされていますが、必ずしも単純に遺伝するという訳ではなく、詳しい原因やメカニズムはいまだ解明されていません。一方で親の子育て方法が原因と言う心因論も誤りです。遺伝かどうか、原因は何かを探るだけではその子の生きやすさにはつながりません。その子が生きやすい環境を作ることがもっとも大切なことです。また、最近では3歳未満で診断されることも多いですが、見た目にも分かりづらいことから大人になるまで広汎性発達障害と気づかなかった方もいます。広汎性発達障害と気づき、療育などの適切なサポートを受けることは本人にとっても親にとっても大切なことです。少しでも気になることがあるようでしたら、専門機関での相談を受けてみてください。
2016年08月01日自閉症とは?Upload By 発達障害のキホン自閉症は先天的な発達障害の一つで、社会性と対人関係の障害、コミュニケーションや言葉の発達の遅れ、行動や興味の偏りの3つの特徴があると言われています。世界保健機関(WHO)の『ICD-10』(『国際疾病分類』第10版)では広汎性発達障害というカテゴリーのもと、自閉症という障害名が使われています。一方、2013年に発行されたアメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神障害のための診断と統計のマニュアル』第5版)において自閉症のという障害名は廃止され、自閉症スペクトラムの障害名のもとに統合されました。そのため、今後自閉症という名称での診断は少なくなることが予想されますが、自閉症という名称は現在も一般的であり、また発達障害者支援法などの法律や文部科学省・厚生労働省などでも使用されています。以上をふまえ本記事では、下記の文部科学省の定義で示されるような概念における「自閉症」についてご紹介します。自閉症とは、3歳位までに現れ、①他人との社会的関係の形成の困難さ、②言葉の発達の遅れ、③興味や関心が狭く特定のものにこだわることを特徴とする行動の障害であり、中枢神経系に何らかの要因による機能不全があると推定される。自閉症の原因は何?出典 : 様々な議論が交わされていますが、自閉症の原因はいまだ特定されていません。しかし、何らかの生まれつきの脳機能障害であると考えられており、しつけや愛情不足といった親の育て方が直接の原因ではないことがわかっています。脳機能障害を引き起こすメカニズムとして、遺伝的な要因が原因の一部であると推測されています。何らかの先天的な遺伝要因に様々な環境的な要因が重なり、相互に影響しあって脳機能の障害が発現するのではないかという説が現在有力とされています。関連する遺伝子や環境要因については、現在さまざまな研究が進められていますが特定には至っておらず、また複数の要因や組み合わせが存在すると考えられます。それらがさまざまな道筋をたどって自閉症の特性となって現れると言われているのです。そのため全ての人にあてはまる唯一の原因はないとも考えられています。自閉症は親から子どもへ遺伝するの?確率は?出典 : 自閉症に関しては、双生児研究や家族間での一致率に関する研究が活発に行われ、遺伝子が近いほど一致率が高くなる傾向があるといわれています。このことからも、現段階で医学的な根拠はありませんが、自閉症の発現に何らかの遺伝的な要因が関係している可能性が高いと考えられます。ですが、これまでの研究で自閉症は単一の遺伝子が原因で起こる「メンデル型遺伝疾患」と呼ばれるタイプではなく、複数の遺伝子の変化が影響して起こる「多因子遺伝疾患」であることも推測されています。つまり親の遺伝子が単純に子どもに遺伝して自閉症になるわけではないということです。自閉症の遺伝要因は原因の一部にすぎず、自閉症のある親から、自閉症ではない子どもが生まれることもあれば、両親とも定型発達の場合でも自閉症のある子どもが生まれることもあるのです。遺伝する確率については、現在のところ不明です。親が自閉症だった場合で子どもも自閉症である確率も、調査によって数値がまちまちで確かな結果は出ていません。このことも、遺伝要因と環境要因の相互影響が複雑で、偶然性に左右される部分が多いことを示唆していると言えるでしょう。きょうだい(兄弟・姉妹)で自閉症である確率は?出典 : きょうだいに自閉症の人がいる場合はその弟妹も自閉症である確率はあるのでしょうか?きょうだい間での自閉症の一致率に関しては、以下のような報告があります。一卵性双生児のうちの1人が自閉症の場合に、もう1人も自閉症である割合は、報告によって差がありますが91~96%、二卵性では0~24%と、大きな開きがあります。兄弟姉妹では、1人が自閉症と診断された場合その兄弟姉妹が自閉症である割合は一般よりも高く、5~10%くらいと言われています。(服部 陵子/著『Q&A家族のための自閉症ガイドブック―専門医による診断・特性理解・支援の相談室』明石書店,2011年/刊P.19より引用)医学的にはっきりした結論は出ていませんが、遺伝子配列が同じ一卵性双生児で一致率が高いことから、やはり遺伝的要因の関与が推測されます。一方で遺伝子配列が一致しても100%発現するのではないこともわかりました。これは遺伝要因と環境要因の相互影響説の根拠の一つとも言われています。また、きょうだいに自閉症の人がいる場合、一般より発現率が高くなる傾向があると言われていますが、遺伝的要素が強かったとしても、必ず自閉症が現れるわけではありません。兄・姉の特徴の全てがそっくりそのまま次に産まれてくる子どもに伝わるとは限りません。きょうだいだけでなく両親や祖父や祖母に顔が似ていたり、遺伝子の突然変異により両親にはない特徴が子どもにみられたりなど、受け継がれる要素や表れ方はさまざまです。もし、きょうだいに自閉症の子どもがいても、本人はそうでないこともあります。またきょうだいに自閉症のある人がいなくても自閉症の子どもが生まれてくる可能性もあるのです。つまり生まれてくるまで自閉症かどうかはわからないのです。自閉症は男女で発現率が違う?出典 : 調査によって数値にばらつきはありますが、自閉症は男性の発現率が女性に比べ高い傾向があると言われています。男女比は3~4:1で男子に多いと考えられてきたが、近年の調査では男女比の差は少なくなりつつある。(岡崎祐士/総編集『ICD-10精神科診断ガイドブック』中山書店、2013年/刊P.587より引用)男性と女性では脳の構造が違うことや、染色体の違いから、男性の方が自閉症の発生率が高いのではないかという説もありますが、原因はまだはっきり分かっていません。一方、男性と女性では症状にも少し違いがあり、男性は「コミュニケーション能力が低い」「言語の発育不足」などの症状がよりみられるといわれています。ところが女性の場合は男性と比べて症状が軽いので、自閉症であるとわかりくく、気づかないまま暮らしている人もいると推測されます。そのため統計に反映されていないのでは、という可能性も指摘されています。そのため、実際のところ4:1よりは男女差は少ないとする研究者もいます。自閉症を検査する方法はあるの?出典 : 現在の医学では妊娠中の羊水検査、血液検査、エコー写真などの出生前診断で判明することはありません。また、出生後も遺伝子検査や血液検査といった生理学的な検査ではわかりません。これは自閉症の原因が完全には解明されておらず、またその原因も複雑で単一ではないと考えられるためです。生理学的な検査方法を確立するのはかなり難しいとも言われています。自閉症の人の多くが幼児の頃から12歳ぐらいに何らかの症状をきっかけに専門機関を受診し、医師によって自閉症だと診断されます。診断は問診と心理検査・知能検査などの様々な検査を総合的に判断して行われます。その他MRIを使い脳の器質的な疾病がないかを確認する場合もあります。検査や診察は一度ではなく、何度か行われたうえで慎重に診断が下されることが多いです。自閉症の原因はまだ解明されていない出典 : 現在の医学では、自閉症の原因は完全には解明されていません。自閉症については現在研究がさまざまな角度から盛んに行われ、検査法や治療法を含め原因の解明が切望されています。その中で、遺伝要因と環境要因の相互影響説といった輪郭がおぼろげながら見えてきたといえます。遺伝するかどうかというのは本人や家族にとって大きな関心事でしょう。また遺伝的要因が関係していると聞くと、不安を感じるかもしれません。しかし、現段階でわかっている範囲でも、自閉症の発現は様々な要因が複雑に影響しあい、いわば偶然性が大きいといえるのです。少なくとも「遺伝のせいで自閉症が発現した」というのは正確ではありませんし、単純に親から子へと遺伝するのではないことがお分かりいただけたのではないでしょうか。また「親の育て方のせい」というのも医学的に否定されています。自閉症は早期に症状に気づき、早期に療育や環境調整といった支援を始めることで、本人の生きづらさがかなり緩和できることがわかっています。個々のケースにとって原因をあれこれと追及し悩むことは、子どもの成長や支援にとってはあまり有益ではないかもしれません。周りや本人が適切な対処法を学ぶことによって、どうすれば本人にとって生きやすい環境が作れるかを考えていきましょう。参考書籍:鷲見聡/著『発達障害の謎を解く』(日本評論社,2015)参考書籍:服部 陵子/著『Q&A家族のための自閉症ガイドブック―専門医による診断・特性理解・支援の相談室』明石書店,2011年/刊
2016年07月18日