年金というワードを聞くと、どうしても退職後のシニア層がもらう【老齢年金】のイメージがありますよね。実際は「年金」と一口に言っても3種類あります。【老齢年金】の他に【障害年金】【遺族年金】です。あとの2つは、特にシニアにならなくても条件に当てはまればもらい始めることになります。この3種類について、それぞれ【基礎年金】【厚生年金】がありますから、細かく言うと全6種類の年金があります。今回のテーマは、親御様が逝去され、お子様が遺族になった場合どうなるか?という内容です。お子様をお持ちの全ての方、必見です。子供の受給資格(年齢・所得)もらう年金が【国民年金(基礎年金)】または【厚生年金】のいずれであっても、子供が年金をもらうための受給資格(前提条件)は共通です。主に年齢制限、所得の制限があります。それぞれ分けて見ていきましょう。年齢要件親からすると、子供はいくつになっても子供ですよね。それは間違いないのですが【遺族年金】の制度上での子供とは、18歳に到達した年度末まで、とされています。簡単な覚え方として、高校卒業相当の年齢だと覚えればよいでしょう。もうひとつの条件は、障害等級1級または2級を受けている20歳未満の子、です。こちらもあわせて覚えておきましょう。所得要件子供の収入を証明する、とは少し不思議に思われるかもしれません。【遺族年金】をもらうためには、対象となる遺族に高額の収入がある人が居ないか、受給の手続きの時に所得を証明するものを提出する決まりになっています。小学生、中学生の義務教育より下のお子さんに関しては所得証明は不要です。高校生は、学生証の控えなどが提出義務のある書類です。義務教育後、お勤めをしている子供さんに関しては、他に提出する住民票などにマイナンバーの記載があれば所得の証明は不要ですが、マイナンバーの記載や控えがない場合は別途所得証明書などが必要です。【遺族年金】の対象者(主に、配偶者や子)の年収は850万円以下でないと【遺族年金】はもらえません。対象者には一定の所得制限があるという事です。たとえ子供が【遺族年金】の対象となる場合でも、必ず年収の証明は提出する仕組みになっています。補足・支給額の目安子供が【遺族年金】をもらう場合、その支給額は【遺族基礎年金】では一律の額が決まっています。基本額として年額780,100円(2019年度の満額・ほぼ毎年変わります)子ども一人あたりの加算額は年額224,500円(子供2人までは、一人当たりこの加算額)子供が3人の場合、基本額+年額299,300万円子供が4人以上の場合は、3人の場合の合計額に、一人当たり74,800円を加える一方【遺族厚生年金】は、生前の報酬に比例して年金額が変動するため、目安となる一律の年金額を自力で割り出すのは困難です。平均標準報酬額などを用いた複雑な計算式になる為、ご自身で計算するのではなく、年金の加入期間や直近の月収などを用いて、簡易的に計算してくれる無料のシミュレーションを活用することをおすすめします。また、シミュレーションではなくても、だいたいの年収や年齢から簡単な早見表として公表しているサイトもあります。概算として知っておく分にはこれらの活用で十分かと思います。親の条件子供が受け取る為の条件についてここまで解説しましたが、いくら子供だけが条件を満たしていても、遺す側の親が条件を満たしていなければ【遺族年金】が子供に届きません。万が一のことがあった場合、子供に然るべき【遺族年金】を残すためには、親はどんな条件を満たせば良いのでしょうか。夫、妻、それぞれが亡くなった場合に分けて解説します。保険料の未納などが無く、所定の期間を納付済みであることは【遺族年金】がきちんと遺族に支払われる大前提です。払っていないのに遺すことは出来ません。夫が死亡した場合(受取人・妻と子供)親のうち、夫が死亡した場合、遺族は子供と妻です。夫によって生計を維持されていた妻と子であれば良いので、亡き夫が自営業者であれば【遺族基礎年金】、会社員・公務員等であれば【遺族厚生年金】がその対象となります。この場合はもう少し詳細の要件があるので、追記します。会社員等の場合【遺族厚生年金】の場合は、単に夫が死亡するだけでなく「被保険者期間中の傷病がもとで、初心から5年以内に死亡した時」「1級または2級の障害厚生年金を受けられる者が亡くなった時」という条件もあります。妻が死亡した場合(受取人・夫と子供)妻が死亡して、夫と子供が【遺族年金】の対象となった場合も、子供がもらえる年金に関しては「夫が死亡して妻と子が対象となった場合」と変わりありません。親にも【遺族年金】の受給権がある場合は、子供の分と一緒に振り込まれます。補足・夫の【遺族厚生年金】についてどんな状況であっても、子供は【遺族年金】の第一の権利者です。年齢制限と所得制限に引っ掛からなければ、必ず受け取ることが出来ます。さらに、妻が遺族になった場合も比較的もらえる確率が高いです。会社員等の妻であれば、お子さんがいなくても少なくとも【遺族厚生年金】は受け取ることが出来ます。一方、夫が遺族となった場合は、かなりハードルが高く感じます。特に【遺族厚生年金】は「妻が死亡したときに夫が55歳以上である場合に、夫が60歳以降になると【遺族厚生年金】が支給される」という条件があります。例えば会社員の妻が亡くなった場合、第一の権利者である子供は【遺族基礎年金】【遺族厚生年金】のどちらももらえますが、この時に夫が55歳以下であれば【遺族厚生年金】をもらうことは出来ません。ただし、【遺族基礎年金】における「子のある配偶者」に該当することから、子供が18歳以上になるまでは、夫も【遺族基礎年金】のみもらうことが出来ます。近年「配偶者」の定義に夫も含まれるようにはなりましたが、現行制度ではまだ妻(母親)の方が優遇されている感じがします。配偶者のない親の場合(遺族が子供のみ)なんらかの理由で配偶者のない親は、全国の内で、母子家庭で123.8万世帯、父子家庭で22.3万世帯とのこと。統計によると、どちらも年々増えています。子供にとって、たった一人の親が亡くなったら…と考えると胸が痛みますが、これも大切な話なのでしっかり解説していきます。とにかく子供は守られる存在母子家庭でも父子家庭でも、唯一の親が亡くなってしまい、遺族が子供のみになった場合、生前に親がかけていた年金から【遺族年金】がもらえます。一般的に、父子家庭の父親の場合は正規雇用で働いている場合が多いので、【遺族基礎年金】【遺族厚生年金】のどちらからも子供に対して支給されます。一方で母子家庭の場合、母親が非正規パートなどの場合が多く、そうなると国民年金にのみ加入していることになり、子供には【遺族基礎年金】のみが支給されます。また、これは母子・父子ともに危惧される点ですが、お子さんを抱えておひとりでの家事も育児もなさっているとなると、多忙故に国民年金保険料の納付を忘れていることもあるかもしれません。(会社員で厚生年金を給与天引きされている方は、この限りではありません)繰り返しになりますが、子供に【遺族年金】が支払われる大前提として「親がきちんと年金保険料を納付していること」があります。未納の分は遡って納付できる期限も決まっていますので、もし未納がある場合はお早めに納付しましょう。病気があって働けなかったり、低収入で家計が苦しいなどのやむを得ない理由で年金保険料が払えない場合は、納付猶予や免除の申請をしましょう。きちんと申請をして猶予や免除の許可があれば、何も言わずに納付していない未納とは違いますので、しっかりと年金の加入期間には含まれます。理由があって納付できない場合には放置せず、年金事務所などに相談しましょう。[adsense_middle]もらえる期間子供が【遺族年金】をもらえる対象の間は、もらい続けることが出来ます。一般的には以下のような理由から対象ではなくなれば、そこで打ち切りです。18歳に到達した年度末を迎えて、制度上の「子」ではなくなった場合(年齢制限)勤労した収入が850万円を超え、さらに5年以上継続すると見込まれる場合(年収制限)親が再婚し、子供が新しい親と養子縁組をしたら「遺族基礎年金」は打ち切り子供がもらえる遺族年金・まとめ【遺族年金制度】では、子供は絶対的に優先して【遺族年金】をもらうことが出来る権利を持っています。特に義務教育のお子さんは働くことが出来ません。生計維持関係にある親が居なくなってしまうと、生きていくこともできませんから、生活費としての【遺族年金】はとても大切なお金です。そのことから、子供自身の受給要件(年齢要件と所得制限)は厳しくありません。親がきちんと年金保険料を納付していれば、子供は必ずもらえるシステムになっています。唯一の注意点といえば、年齢要件です。子供が18歳になると、基礎・厚生いずれの年金も一律打ち切りとなりますので、その後大学や専門学校への進学を希望する際の学費等の準備は予め必要であると言えます。対策として、例えば子供と生計維持関係にある親を保険契約者とした学資保険に加入する方法があります。契約者である親が亡くなったらその後の保険料の払い込みは免除となりますが、学資保険加入時に設定した保険期間満了まで保険は継続し、さらに満期金や節目の成長祝い金のような給付金もきちんと支払われます。【遺族年金】は子供に必ず届くようになっていますが、それでも足りない場合を予め防ぐために、少額でもよいので学資保険を始めとして生命保険などで備えておくことをお勧めします。
2020年03月19日近年「イクメン」という言葉が一般化しつつあり、家事や育児に関して男女の差をなくし夫婦ともに協力しあう家族のスタイルが増えてきたそうです。これは、国が推進している働き方改革の影響もあり、お子さんの居る女性が正社員としてバリバリ働くことも珍しくありません。専業主婦だけでなく、専業主夫もどんどん増えているそうです。このことから、必ずしも一家の大黒柱が男性ではなく女性の場合もありますし、一本の大黒柱が、妻と夫の協力体制で守られているご家庭も多いと考えられれます。このような近年の家族スタイルの場合、配偶者が死亡したらどうなるのでしょうか?家計を支える主な収入のある方が妻だった場合、専業主夫の夫が遺族年金をもらうことは出来るのでしょうか?今回のテーマは、かなり身近に感じる方が多いかと思います。ポイントを絞って紹介しますので、最後までどうぞお付き合いください。受給要件今回のテーマで、特に気になるのは「私の場合はどうなの?」ということですよね。ご家庭ごとの働き方や、世帯を支える収入のある人は様々ですので、こまかくご紹介することは残念ながらできません。代わりに、亡くなった方が夫の場合と妻の場合、さらにそれぞれ「自営業」「会社員」の二つの場合に分けて概要をまとめますので、是非参考にされてくださいね。遺された配偶者の前提条件(共通)【遺族基礎年金】【遺族厚生年金】いずれにも共通する前提条件としては以下の項目です。年収850万円以上だと対象外(高収入の方はもらえない)。前年の収入が850万円を超えていても、概ね5年以内に雇用契約が終わる等、長期的に年収850万円超が続くわけではない場合は受給対象とみなされる。現行制度では【基礎年金】と【厚生年金】の2種類ですが、以前は公務員の方が加入する【共済年金】というものがありました。現在では【厚生年金】と統合されています。現在、公務員の方は【厚生年金】の箇所を参考にされてください。夫が死亡した場合【遺族年金】について考える前に、共働き世帯で夫が死亡した場合、特に子供がいる場合は妻の働き方を見直さなければいけないかもしれません。夫婦で分担していた家事や育児を全て妻が一人で担うとなると、これまで通りというわけにはいかなくなることもあるでしょう。また、お子さんの有無に関わらず、精神的なショックから体調を崩す方もいらっしゃるでしょう。配偶者が亡くなるということは、金銭的な面だけではなく様々な面に関して不安が出てくる方が多いのではないでしょうか。そのことも踏まえつつ、まずは夫が死亡した場合について見ていきます。ケース1:夫が自営業の場合夫が自営業である場合、加入している年金は【国民年金】です。【国民年金】の加入者が亡くなった場合は【遺族基礎年金】のみです。【遺族基礎年金】をもらうための遺族の条件は「子」「子のある配偶者」です。つまり、お子さんのいない共働き夫婦で夫が自営業の場合、妻が受け取ることのできる【遺族年金】はゼロということになります。一方、お子さんのいらっしゃるご夫婦であれば、お子さんが18歳になった年度末までは「子」とみなされて、子供の分の【遺族基礎年金】も同時にもらえます。ただしここで注意なのは、お子さんが18歳になった年度末を過ぎたら、制度上の「子」ではなくなりますので、「子」の年金額と「子のある配偶者」の年金額は、いずれももらえなくなってしまいます。対策とポイント夫が自営業者で、もらえる【遺族年金】が何もない場合、奥様は大変心細いかと思います。少しでもご不安を軽減するために、今からでもできる対策はありますのでご安心くださいね。以下、その一例です。妻や子を死亡保険金受取人として生命保険に加入する(遺族保障のテッパン)。夫が死亡した後に、その後の事業をどうするか事前に決めておく(事業閉鎖、引き継ぎ等)。国からの遺族保障が足りない、または最初から保障がないとわかっている場合は、その後のご遺族の生活費としてどれくらい必要であるか、最低でもどれくらい遺したらよいのかを事前に把握し、予め備えておくと良いでしょう。ケース2:夫が会社員等の場合亡くなった夫が会社員・公務員などの給与所得者で、加入している年金が【厚生年金】である場合、遺族年金は【遺族基礎年金】と【遺族厚生年金】の2種類があります。この2つを同時にもらえる場合もあれば、どちらか片方だけの場合もあります。18歳未満の子供がいる場合は【遺族基礎年金】【遺族厚生年金】のどちらも対象。お子さんが18歳以上になったり、お子さんがいらっしゃらない場合は【遺族厚生年金】のみ対象。子供のいない妻で、死別した時に妻が30歳未満である場合【遺族厚生年金】をもらうことが出来る。ただし5年の受給上限あり。対策とポイントここでもやはり子供の有無はポイントになりますが、自営業者の場合と違い、何ももらえない場合は無いということがお解りいただけたと思います。この場合、少し心配になるのが、子供のいない30歳未満の妻の場合です。条件が厳しく、受給開始から5年経つと一律打ち切りになります。妻が30歳未満となると、結婚してそう時間が経っていないことと考えられますから、生命保険に未加入であったり、独身時代のまま継続している方が多いのが現実です。結婚を機に保険の見直しを悲しい状況になることは考えたくないとは思いますが、結婚を機に生命保険の新規加入や見直しをしておくことを、FPとして是非お勧めします。万が一奥様が一人遺されて【遺族厚生年金】が打ち切られても安心できるだけの金額を遺すことが出来ます。予めリスクに備えるという意味で、生命保険の正しい加入の仕方ではないでしょうか。妻が死亡した場合共働き夫婦で奥様が亡くなった場合、ご主人は今後どうなるのでしょうか。日頃から家事、育児を率先して行っている夫だったとしても、妻と役割分担していたことに関しても全て夫一人でこなすことになります。一般的に、時間外まで預かってくれる保育施設の利用やベビーシッターにお願いする等、金銭的な負担がかなり増えることが多いとの事。食事に関しても、出来合いのモノで簡易的に済ませる場合も多くなり、かえって出費がかさむことになります。ご両親や身内の方で家事育児に協力してくれる方がいらっしゃれば良いのですが、なかなかそういうご家庭ばかりではありません。ここからケース別に見ていきましょう。[adsense_middle]ケース1:妻が自営業の場合妻が自営業で【国民年金】のみ加入していた場合、18歳に到達した年度末を迎えていないお子さんがいれば、夫も子供も【遺族基礎年金】を受け取ることが出来ます。残念ながら、お子さんがいなかったり、すでに子供が18歳以上である場合は【遺族基礎年金】がもらえません。対策とポイントここで気になるのは、ご夫婦で自営業をされていた場合。お子さんがいない夫は【遺族基礎年金】はもらえません。さらに、二人で店舗経営などをしていた場合、妻が亡くなることで事業の規模縮小や、場合によっては閉店せざるを得ないこともあるでしょう。なおかつ、夫が老後にもらえるお金も【老齢基礎年金】だけ、となれば妻と死別したことにより経済的・精神的に厳しい状況が続くことも予想されます。リスクに備えるという意味で、自営業の夫婦の場合は、お互いを死亡保険金受取人として生命保険にしっかり加入しておくことをお勧めします。あわせて、老後資金対策として民間の個人年金保険や、つみたてNISA、iDeCo、国民年金基金などの加入も可能な範囲で進めておくと安心です。ケース2:妻が会社員等の場合亡くなった妻が会社員・公務員の場合、発生するのは【遺族基礎年金】【遺族厚生年金】です。ケース1の自営業者の場合にも書きましたが、【遺族基礎年金】の受給の対象者は「子」「子のある配偶者」です。つまり、18歳に満たないお子さんがいれば、夫も【遺族基礎年金】をもらえます。しかし子供が18歳以上になったり、子供がいない場合は残念ながらもらえません。では【遺族厚生年金】はどうかというと、子供の有無は関係ないのですが、夫の年齢の条件があります。妻が死亡した時、夫が55歳以上であった場合、夫は60歳以降にならなければ【遺族厚生年金】がもらえません。つまり、妻が亡くなった時に、夫が55歳以下であれば【遺族厚生年金】はもらえません。残念なことに、子供もいない場合は【遺族基礎年金】ももらえませんから、結果的に遺族保障としてもらえるものは無いという事になります。対策とポイント近年やっと遺族年金の対象者が妻だけではなく「配偶者」という表現になり、夫も対象になったとはいえ、子供の有無であったり、年齢制限が有ったりと、まだまだ夫が妻と同じような遺族保障を受けられる体制ではないとお解りいただけたと思います。このことから、事前に奥様とよく話し合い、資産の洗い出しや整理をできる範囲で進めておくと安心です。何度も繰り返しになりますが、足りない保障は民間の生命保険で補完するのも対策のひとつです。子供の有無がポイントここまで、亡くなった配偶者のケースごとに【遺族年金】についてまとめてきました。非常に大きなポイントとして「子供の有無」があることは十分にご理解いただけたかと思います。18歳以下のお子さんは、一番教育費がかかると考えられます。更に教育費という面では18歳で終わりではなく、近年は大学の進学率も高くなっています。【遺族年金】としてお子さんに支給される18歳までの期間を過ぎてもなお、大学の進学費用や一人暮らしの支援なども含めると、お子さんに関しては18歳以降も資金が必要となると考えておいた方が良いでしょう。[adsense_middle]老後はどうなる?共働きの夫婦の場合、それぞれにしっかりと収入があり、年金も滞りなく支払っていると思います。そうなると、在職中に配偶者と死別した場合、条件に当てはまれば何らかの【遺族年金】をもらうことができますよね。ここで気になるのが「ご自身の【老齢年金】がもらえるようになった場合【遺族年金】はどうなる?」ということです。退職前は気にしなくてよいご自身が退職する前、つまり在職中であれば、受け取っている年金が【遺族年金】だけですのであまり気にすることはありません。というのも【遺族基礎年金】【遺族厚生年金】はいずれも非課税扱いです。年末調整や確定申告でも、所得として申告する必要がありませんから、何も気にすることはありません。併給できる年金日本は「ひとり一年金」制度を導入しており、基本的には国民一人に対してもらえる年金は1種類のみです。種類が同じであれば基礎と厚生どちらももらうことは可能です。(例えば【遺族基礎年金】と【遺族厚生年金】は一緒にもらえます)【老齢年金】や【障害年金】をもらえるようになる場合は注意が必要です。異なる種類の年金の受給権がある場合は、年金事務所に相談に行くのが確実です。ただし、例外としてこれら3つの組み合わせは、65歳以降であれば併給可能です。【老齢基礎年金】+【遺族厚生年金】【障害基礎年金】+【遺族厚生年金】【障害基礎年金】+【老齢厚生年金】シミュレーションを活用しよう日本年金機構のねんきんネットを代表として、Web上には無料で利用できる年金シミュレーションがあります。遺族保障だけでなく、老後の年金の試算ができるものもあります。万が一に備えて早めに対策を始めることを考えると、予めどのくらいの年金額なのかは把握しておくと良いでしょう。ぜひ各種シミュレーションを活用されてください。共働きの遺族年金・まとめ今回のテーマで一番のポイントは、お子さんの有無です。また、妻を亡くした夫が年金をもらう場合は、現行制度ではかなりシビアな条件であるとわかりましたよね。現行の条件でいくと、実際どの程度の「夫」の方が遺族保障を受けられているのか気になるところです。【遺族年金】制度は、あくまでもご遺族に対する最低限の生活費としての給付額です。もらえたとしても、決して贅沢をできる金額ではありません。国からもらえる遺族保障の補強として、やはり民間の生命保険に加入する等の自助努力は必要であると考えます。その参考として【遺族年金】のシミュレーションなどを活用し、過度に保険加入することが無いようにお気を付けください。年金額だけでは足りないと推測される部分だけを、民間の生命保険で補うイメージで加入しましょう、すべてを自助努力で補う必要はありませんよ。ご安心くださいね。
2020年03月16日一般的な年金の種類として、現在では自営業者などが加入する【国民年金】と、会社員や公務員が加入する【厚生年金】がありますよね。国民年金を建物の一階部分、厚生年金を二階部分に見立てる【二階建ての年金】などのたとえによって、年金を分かりやすく説明するFPの先生も多いです。(私もよく二階建てのたとえを使います)しかし、実は数年前まで公務員の方が加入する【共済年金】というものがありました。昔は、建物で言うと三階部分があったということです。現在その三階部分である【共済年金】は消滅したのではなく、【厚生年金】と合併してデータなども全て統合されているのでご安心ください。建物の二階と三階をくっつけたとイメージしていただくのが良いでしょう。今回のテーマはこの共済年金も含めて《公務員の【遺族年金】について》です。年金をもらい始めた時期によっては【共済年金制度】の適用がされていることもあるので、一緒に内容を確認していきましょう。共済年金とは?2015年10月に、公務員等が加入していた【共済年金】は、会社員などの給与所得者が加入している【厚生年金】と一元化されました。それまでの【共済年金】にかかるデータ全般は、時間はかかりましたが厚生年金にデータ移行が済んでいます。共済年金には【退職共済年金】【障害共済年金】【遺族共済年金】の制度がありました。2015年10月以降に年金受給対象となった場合は、全て【遺族厚生年金】をもらうことになります。【共済年金】を実際にもらうための要件などは、ほぼ現行の【厚生年金】と同じ内容です。また、現在公務員の方が今後遺族補償として年金をもらう場合は全て【遺族厚生年金】の対象です。国家公務員共済年金国家公務員(主な省庁に勤務、自衛隊など)は【国家公務員共済年金】に加入していました。現在でもKKR【国家公務員共済組合連合会】が各省庁ごとに年金相談の窓口を設けています。KKRは全国でホテルや病院などを運営しており、共済加入者や年金受給者への施設優待があります。もちろん共済加入者以外の方でも利用できます。地方公務員共済年金【地方公務員共済年金】は、地方職員共済組合が窓口です。2015年以前に受給対象となった方の窓口として現在も運営されています。その他の共済地方公務員共済組合に関しては、警察共済組合、全国市町村職員共済組合、指定都市職員共済組合など、所属先団体によって細分化されていました。詳しい概要については、日本年金機構ホームページ内に「地方公務員共済組合一覧」のページがありますので、これらの詳細を知りたい方はご確認ください。(旧)遺族共済年金の受給資格まず、亡くなった方の要件として《共済年金に加入していた方が2015年9月以前に亡くなった場合》または《亡くなった方が既に老齢共済年金や障害共済年金を受け取っていた場合》です。これ以降は全て【遺族厚生年金】の対象になります。もちろん未納や滞納が多く、所定の期間加入していない場合は対象にはなりません。本来加入しておくべき期間の2/3以上は納付済であるか、免除等の申請をしていることは必須条件です。さらに受給資格についていくつかのポイントがあるので、ここからそれぞれに分けてまとめますね。亡くなった方先にまとめた条件と併せて、以下の内いずれかに当てはまらないと【遺族共済年金】はもらえません。組合員である間に初診日がある病気やケガが原因で初診日から5年以内に死亡した場合障害年金を受けている方が死亡した場合(障害等級1〜2級の共済年金か、1~3級の障害年金)配偶者公務員の遺族年金では、配偶者の要件として妻も夫もその対象となっています。ただし妻と夫で満たすべき要件が違いますので、それぞれポイントをまとめます。妻妻が【遺族共済年金】をもらうための条件は以下3つです。このうちどれかに当てはまればもらえます。18歳未満の子供がいる妻子供のいない妻簡単に言うと、子供の有無に関わらず、妻であれば【遺族共済年金】はもらえるということですね。夫夫が遺族共済年金を受け取る場合は、妻の場合よりかなり条件が絞られます。18歳未満の子供がいる場合で、妻が亡くなった時に夫が55歳以上である場合に、60歳以降になればもらえる。公務員の遺族年金・支給額の計算実際に支給される金額の計算ですが、計算の基となるのが故人の生前の給与です。その給与に対して所定の係数をかけて割り出しますが、一律にいくらというものでは全くないので、ご自身で計算するのは一苦労ですからオススメしません。目安として知りたい場合は、Web上の無料シミュレーションを活用するか(あくまで目安程度として活用くださいね)、公務員共済の相談窓口、社会保険労務士などにお尋ねいただくのがベストです。お子さんがいる場合などで【遺族基礎年金】の要件にも該当すれば、もちろん【遺族基礎年金】からももらえます。[adsense_middle]現行制度の場合現行制度の【遺族厚生年金】の支給額の計算には《平均標準報酬額》や《平均標準報酬月額》の金額が必要です。さらに加入期間ごとに2つの計算式に分けて計算をし、それらを合計した額が【遺族厚生年金】の受給額(の目安)となります。これもなかなか分かりづらく、念のため参考までに計算式を以下に紹介しますが、やはりご自身で計算するよりはWeb上の簡易シミュレーションを活用するか、年金事務所等に出向くことをお勧めします。【遺族厚生年金】=〈平均標準報酬月額×7.125/1000×平成15年3月までの被保険者期間(月数)〉+〈平均標準報酬額×5.481/1000×平成15年4月以降の被保険者期間(月数)〉×3/4旧共済年金の場合参考までに、遺族共済年金の計算式をご紹介しますが、聞きなれない言葉ばかりでなかなか分からないと思いますので、やはり支給額に関しては年金の担当窓口にお尋ね頂くのがよいでしょう。【遺族共済年金】=厚生年金相当額+賦課加算(職域年金など)+配偶者に関する加算(中高齢寡婦加算など)公務員の遺族年金・まとめ公務員の【遺族年金】は、【厚生年金】と統合された2015年10月以降の申請から【遺族厚生年金】の対象となっています。統合の背景として、年金をもらうための手続きの煩雑化や、年金制度の分かりづらさ等を軽減する目的もあったそうです。2015年から既に役5年ほど経過し、現在では随分浸透してきているようです。まとめると、現行制度では、自営業者やフリーランスは【遺族基礎年金】、公務員と会社員などの給与所得者は【遺族厚生年金】の対象です。日本は高齢化も進み、人口のバランスとしても、子供より高齢者の割合が高くなってきていますよね。いよいよ平均寿命も、あと数年後には90歳に到達するのではないかと言われています。【遺族年金制度】は、共済年金でも、厚生年金でも、ご遺族が安心して暮らしていけるための大切な生活費として、末永くもらえることのできるお金です。今回の記事を参考に試算をしてみて、もし不足分が判明したり、何か金銭的な不安があるようでしたら、お早めに遺族補償としての生命保険の活用や、老後資金対策をスタートしてみてはいかがでしょうか。最後に、年金制度全般に関するご不明点は、最寄りの年金事務所、または年金の専門家である社会保険労務士事務所までお尋ねすることをお勧めします。
2020年03月13日日本の長寿化は世界的にも注目されており、特に女性の長寿化は年々目を見張るものがあります。世界の最新データによると、男女合わせた平均寿命は日本で83.98歳、アメリカで78.69歳、中国で76.25歳とのこと。更に日本の内訳として、男性の平均寿命は81.25歳、女性はさらに長く87.32歳となっています。男性と女性ではおよそ6歳の開きがあり、一般的に考えると「日本の女性は世界的にも長生きである」という事になります。ちなみに現在の日本の最高齢女性は福岡県にお住まいの方で117歳とのこと!素晴らしいですね。さて今回のテーマは《80歳以降の遺族年金について》です。データ上はほとんど女性が遺族となる場合が多いうえに、女性は長生きですので、高齢となった妻が遺った場合の【遺族年金】についてまとめていきます。今現在20代30代の女性の方は、80歳以降の話は気が遠くなるくらい先の話だと思いますが、誰にでも老後はやってきますので、その時の参考までに、どうぞ最後までお付き合いくださいね。遺族年金はいつまでもらえる?【遺族年金】は、いつから、いつまでもらえるのでしょうか?最初に紹介したデータのように、日本の長寿化が更に進み、長生きしていても年金はずっと続くものなのでしょうか。長生きしても入ってくるお金が無いと不安ですよね。簡単に言うと「【遺族年金】をもらえる条件に当てはまった時から、対象外になる時まで」ということです。以下、具体的に見ていきましょう。いつから?いつから年金スタートなのか?というと【遺族年金】の受給要件を満たして、さらに認定を受けた時からです。故人が生前どの年金に加入していたかによって、故人が満たすべき要件、遺族の要件、お子さんがいる場合はお子さんの年齢も調査対象となります。初回の【遺族年金】を実際にもらえるまでには、一般的に手続き開始から約3~4か月かかると言われています。結構長い時間がかかりますが、これはしっかり調査をした上で、間違いなく支給するために必要な時間だと思ってくださいね。いつまで?一度もらい始めた【遺族年金】に関して、年金がもらえなくなる状態にならない限りは一生受け取ることが出来ます。【国民年金】に加入していた場合、遺された家族に【遺族基礎年金】が支給されますが、ここでポイントなのが【遺族基礎年金】をもらえる範囲は【子】または【子のある配偶者】です。つまり、お子さんがいらっしゃらない場合、【遺族基礎年金】はもらえません。今回のテーマである《80歳以降の遺族年金》について検討してみると、子のある配偶者に該当しませんので、おおよそ80歳以降ではどなたも【遺族基礎年金】はもらえないということです。子供とは何歳まで?遺族年金制度全般(基礎・厚生どちらも)において、子供の概念は「18歳に到達した年の年度末まで」となっています。18歳になった年を含む年度末が過ぎたら、制度上の「子」は居ないことになり、「子のある配偶者」として【遺族基礎年金】をもらっていた人も、もらえなくなるという事です。故人が社会保険に加入していた場合故人が社会保険加入であれば、年金は厚生年金に加入していたことになります。以前は公務員など一部の業種に対して【共済年金】制度がありましたが、今は【厚生年金】に一本化されているので、【共済年金】加入だった方は【厚生年金】に関する記述を参考になさってくださいね。仕組みなども含めて、全て【厚生年金】制度に移行されています。【厚生年金】に加入していた場合は、生前の加入期間や給与に応じて【遺族厚生年金】が支給されます。《80歳以降の遺族年金》についてですが【遺族厚生年金】に上乗せで【経過的寡婦加算】ももらえる場合があります。【経過的寡婦加算】は【中高齢寡婦加算】を受給していた人が対象の加算です。それぞれの加算について、以下にポイントをまとめます。遺族厚生年金には【中高齢寡婦加算】【経過的寡婦加算】という制度もある。中高齢寡婦加算とは以下の要件のいずれも該当すれば【中高齢寡婦加算】を受給できます。生計維持関係にある夫が死亡した時点で【遺族厚生年金】の受給要件を満たしていること死別した時点で妻の年齢が40歳以上であるか、死別した後に40歳となった時点で【遺族基礎年金】の受給要件を満たす子がいることなお【中高齢寡婦加算】の支給時期は40歳から65歳までです。今回のテーマである《80歳以降の遺族年金》については直接的には関係しませんが、この後の【経過的寡婦加算】の受給要件に関連してきますので、並行して確認しておくと理解が深まりますのでオススメです。経過的寡婦加算とは以下の要件に該当する場合には【経過的寡婦加算】を受給できます。妻の生年月日が1956年4月1日以前である【中高齢寡婦加算】の受給の要件をすべて満たしている経過的寡婦加算に該当すれば《80歳以降の遺族年金》に加えて受給できるという事です。【補足】もうひとつの遺族補償【遺族年金】といえば、加入していた年金制度に応じた基礎または厚生のいずれかの年金を受け取る場合がほとんどです。しかし、お亡くなりになった原因が業務上の理由(通勤中も含む)の場合は労災保険からも遺族補償年金を受けられることになっています。国などから労災であると認定された場合に限ります。労災保険は、雇い主が全額負担で必ず従業員にかけなければならない保険なので、実際に働いている人から徴収するものではありません。労災年金に関しての詳細は、厚生労働省ホームページ内に関連のページがあるので、そちらも合わせてご確認いただくと良いでしょう。[adsense_middle]配偶者には夫も含まれる?【遺族年金】の対象になっている遺族の中で【遺族年金】をもらえる第一順位であるのは《配偶者》です。この記事の冒頭でも少し平均寿命に関するデータを紹介しましたが、女性の方が長生きであり【遺族年金】を受給できるのは女性であるというイメージは大いにあると思います。確かに、以前の【遺族年金制度】の配偶者の範囲は「妻のみ」に限定されていました。ところが家族スタイルの多様化から、2014年より、夫や妻という分け方ではなく、一律「配偶者」という括りに変更されました。妻が死亡した時の夫の年齢が重要【遺族厚生年金】をもらうためには、前提条件として「亡くなった方と生計維持関係にあった」妻、子、夫などです。生計維持関係とは、少々難しいワードですが、要は家族を養っていた方が亡くなった場合に、世帯全体の収入が無くなってしまっては困るので、せめてもの生活費代わりとして年金をもらえるようになる、というイメージでも良いでしょう。夫が【遺族厚生年金】を受け取る為にはさらに条件が二つあり、このいずれかに該当しなくては受給できません。まず一つ目に【子のある55歳以上の夫】です。もう一つは【子の無い55歳以上の夫】です。つまり子供がいてもいなくても、死別した当時に夫が55歳以上ではないと【遺族厚生年金】は全くもらえないという事です。逆に言うと、お子さんがいらっしゃらなくても、奥様が亡くなった時点でご主人が55歳以上であれば、その後は継続的に【遺族厚生年金】をもらえるという事です。ちなみに、55歳以上の夫が妻の分の遺族厚生年金を実際に受け取ることが出来る時期は、夫が60歳以降になってからです。この後に詳しく書きますが、日本の年金制度は「ひとり一年金」が原則です。異なる理由の年金を二つ同時に受け取ることは出来ません。しかし例外的にいくつかの併給が認められており、遺族年金の範囲であれば、ご自身の【老齢基礎年金】と【遺族厚生年金】であれば同時に受け取ることが出来ます。専業主婦の妻が亡くなったら?専業主婦の妻が亡くなったら、遺された夫はなにももらえないと思っている方が多いのではないでしょうか。実は、専業主婦の方が亡くなった時にも【遺族年金】をもらえることがあります。もちろん全ての方がもらえるわけではありません。では、どのような場合に遺族である夫に支給されるかというと、妻が亡くなった時点で専業主婦であったとしても、生前会社員や公務員としてお勤めをされていた場合です。その加入していた厚生年金の加入期間や、本来老齢年金として妻がもらうはずだった老齢年金額に応じて、夫に支給される場合があります。その場合の要件として【年金加入期間(または受給資格期間)が300月以上ある場合】が必須となっています。また、一つ上の項目でも紹介した通り、夫が妻の分として【遺族厚生年金】を受け取る場合には【妻が死亡時に夫が55歳以上であること】が条件です。夫が55歳以上で受給権が発生し、実際に【遺族厚生年金】がもらえるのは60歳以降になってからです。近年、随分制度改正などが行われていますが、遺族補償としてはまだまだ妻の方が手厚い印象ですね。老齢年金と一緒にもらえる?基本的には「ひとり一年金の原則」がありますから、何かしらかの年金をもらっている間に、並行して他の年金をもらうことは出来ません。ただし【老齢年金】と【遺族年金】の受給権が発生した場合の例外として【遺族厚生年金と老齢基礎年金は併給可能】です。また、今回のテーマである80歳以降の年金の話から少し外れますが、【特別支給の老齢年厚生年金】と【遺族厚生年金】は一緒にもらうことはできません。どちらか一つを選ぶことになります。【特別支給の老齢厚生年金】とは、生年月日や性別に応じて段階的にもらうことが出来る【老齢厚生年金】です。もらえる期間は60~64歳です。[adsense_middle]結局、80歳以降の受給額はどれくらい?ここまで【遺族基礎年金】【厚生年金】についてまとめてきましたが、結局いくらくらいもらえるのかというところは一番重要ですよね。故人が国民年金のみ加入していた場合の【遺族基礎年金】に関して、80歳以降にご遺族が【遺族基礎年金】としてもらえる金額はゼロということです。この場合は、ご遺族ご自身の【老齢基礎】【厚生年金】のみの受給ということになります。では故人が厚生年金に加入していた場合【遺族厚生年金】はどうなるかというと、故人の生前の給与に対して所定の倍率を掛けたものが支給されますので、一律にいくら、と金額を申し上げることはできません。80歳以降の遺族年金=《遺族厚生年金》+《経過的寡婦加算》+《労災保険からの遺族補償年金》無料のシミュレーションを活用しよう遺族厚生年金の支給額は、生前故人が働いていた時期の給与に応じて変動します。平均標準報酬月額や平均標準報酬額といった数字を基にして計算しますが、既に退職して時間が経っている場合などは分かりづらい場合もあるかと思います。そのような場合は、日本年金機構のねんきんネットの活用や、Web上に無料で遺族年金シミュレーションを利用できるサイトもあります。詳細な平均標準報酬月額などがわからなくても、だいたいの年収(または月収)などや、年金加入期間などがわかれば、簡易的に試算をすることもできます。シミュレーション以外でも、年収をいくつかに分けて遺族年金の早見表を公開しているサイトもあります。いずれも簡易的ではありますが、だいたいどのくらいの遺族年金をもらうことが出来るのかを目安として知ることが出来ます。遺族厚生年金の最高額現在、遺族厚生年金の平均標準報酬月額の上限は30等級の62万円です。その中でも故人が生前公務員だった場合の「遺族共済年金」から遺族年金を受け取る場合が、現行の遺族厚生年金制度での最高額と考えて良いでしょう。なおかつ《80歳以降の遺族年金》について考えた場合は、配偶者のみ受給のパターンになりますので、その場合の支給額は概算で年額約1,174,800円とのことでした。80歳以上の遺族年金に関するまとめいかがでしたか。【遺族年金】は貴重な生活費であることは間違いありません。いつからいつまでもらえるのか、自分の【老齢年金】と一緒にもらえるのか、という部分はどなた様も気になるところだったかと思います。80歳以降でも【遺族厚生年金】と【老齢基礎年金】が合わせてもらえる、という内容は本記事でも是非覚えていただきたいポイントです。2つの年金を受け取ることが出来れば、老後の生活費としてかなり安心材料になるのではないでしょうか。今後、日本はますます長寿化に突入します。民間の生命保険でも、長生きのための保険が新発売され、途端に売れ筋となっているそうです。それだけ皆さんの意識が「長生きへのリスク」に向いているという事でもありますよね。医療の進歩などから、病気は治る時代になってきました。つまり、まだまだ私たちは長生きする確率が高いという事です。パートナーと死別した後の人生が必然的に長くなってしまうことも十分にあり得ます。今回のテーマである「80歳以降の遺族年金」に関しても、予め概算で良いので金額を把握しておけば、その過不足に対して予め預貯金や生命保険などで備えて準備しておくことができます。日本年金機構のねんきんネットの活用や、無料のシミュレーションを基に、是非早い内から老後対策を始めてみませんか?
2020年03月10日申請窓口に書類提出へ。初めてお会いした担当の方は…娘の記録を引っ張り出し、主治医や過去にかかっていた療育センターなどにも連絡をとり、申請に必要な書類を揃えた私はいよいよ申請窓口に向かいました。過去に何度か相談をしに行ったことはあったのですが、年度が替わり人事異動があったのか、当日担当してくれたのは初めて見る方でした。Upload By 荒木まち子その方は若くて柔らかな物腰の方でしたが、お話をすると経験と知識が豊富で、頼りになる方だということがすぐに分かりました。(実際、申請手続き中に他の職員さんが質問をしに来たりしていました。)Upload By 荒木まち子申請窓口では...医師が作成した『診断書』や『受診状況等証明書』を確認した後に『病歴・就労状況等申立書』の記載内容を確認しました。Upload By 荒木まち子Upload By 荒木まち子Upload By 荒木まち子アドバイスをもとに初診日などを変更私が作成した『病歴・就労状況等申立書』の[発病したときの状況と発病から初診までの間の状況]記入欄の“呼びかけても振り返らない、指示が通りにくいなどのことから総合病院にて聴覚検査を受けたが、異常はなかった。”という箇所を見て、窓口の担当者さんは「娘さんの場合、初診日を誕生日ではなく、総合病院の受診日に変更した方が良いでしょう」とアドバイスをしてくれました。また、状況欄に書いた『厚着をし過ぎて電車内で体調を崩し、駅の救護室に運ばれたことがある』という記述から、[日常生活状況欄]の《着替え》の4段階の評価を3→4に見直しをすることも提案されました。(『病歴・就労状況申立書』裏面・赤枠の部分)Upload By 荒木まち子災害時にも有効な「ヘルプマーク」を知っていますか?丁寧に確認してもらえて安心!『年金請求書』など、記入方法がわからない部分がある申請書類は、申請時に窓口で担当者と一緒に記入することは事前に打ち合わせ済みでしたが、『病歴・就労状況等申立書』もここまで丁寧に確認してもらえると思っていなかったので私は驚きました。Upload By 荒木まち子障害年金請求を審査、認定するのは日本年金機構です。役所の窓口では書類が全て正しく整っているかを確かめる作業をしています。ですが窓口の方が「『病歴・就労状況等申立書』を読んだ審査担当者が、状況を正確に把握できるように」と内容を一緒に確認してくれたことを私はとても嬉しく思いました。また、申請窓口の方は後の消費税アップを見越して、今後に必要になると思われる『年金生活者支援給付金』の申請手続きも同時にしてくれました。最後に戸籍課で発行した戸籍謄本を提出し手続きは終了しました。全ての手続きを終えるのには一時間ほどかかりました。申請してみて実感。障害年金請求の資料はそんな早くから準備する必要はないかも一連の手続きを終えて私が感じたのは、障害年金申請資料準備は「早ければ早いほど良い」というものではないということでした。※娘の初診日は18歳より以前でしたので、「障害認定日」は20歳の誕生日の前日です。初診日、障害認定日等によっては早めに動き出す必要がある場合もあります。「障害認定日」とは、障害の程度の認定を行うべき日をいい、請求する傷病の初診日から起算して1年6月を経過した日又は1年6月以内にその傷病が治った場合においては、その治った日(その症状が固定し、治療の効果が期待できない状態に至った日を含む。)をいう。たとえば年金申請コラム第3話で書いた、“初診の医療機関が廃業していたり、カルテが破棄されていたりして『受診状況等証明書』を作成してもらえなかった場合は2番目に受診した医療機関で『受診状況等証明書』を作成してもらう。もし2番目の医療機関でも『受診状況等証明書』が作成できなかったら3番目の医療機関…と辿っていく”という規定は、障害認定日が20歳に達した日以前である場合は、障害の程度を認定する時期は一律に20歳となる。2番目以降の医療機関の受診日から障害認定日が20歳以前であることを確認でき、かつその受診日前に厚生年金等の加入期間がない場合には、初診日の医証を追加で請求者に求めずとも、20歳前の期間で請求者が申し立てた初診日を認めると新たに規定されました。5年、10年経てば制度は変わります。(逆に時代やニーズに沿って改新されなければ困ってしまいますよね)ですので、お子さんが未就園児や小学生のころから窓口に障害年金についての相談に行ったり、焦って申請書を取り寄せたりする必要はないと思います。20歳になるまでに子ども自身や子どもを取り巻く状況、困りごとなどは刻々と変化していきます。いくら別紙添付が可能とはいえ、子どもが小さいうちからのできごとすべてを『病歴・就労状況等申立書』に書くことはあまりおすすめできません。『病歴・就労状況等申立書』では1.病院や療育センターの初診日2.通院、入院歴3.投薬履歴4.障害に起因した大きなアクシデント(怪我や事故など)と、どのように対処しても改善できない現状や“申請時の”困りごとをしっかりと伝えることが大切だからです。ブログや日記などで子どもの記録を残していく場合、『日記や日々の子育て記録』と『書類に書いた方がよい内容』をカテゴライズしておくと良いかと思います。障害年金申請よりも先に意識しておきたい『子どもの情報の引き継ぎ』娘が通っていた療育センターは利用が小学生までだったので、中学進学を機に成人まで見てくれる病院に転院しました。当時はまだサポートブックなども普及しておらず、私は転院時に受けるソーシャルワーカーとの「受理面接」の為の資料として独自に娘の療育、発達検査、通院、投薬、病歴などを年表形式でまとめた『成育歴表』を作りました。子どもは成長と共に小児科や小児精神科から思春期外来や青年期精神科に移ることが多いですが、幼年期から成人までの発達障害を一貫して診てくれる医師はなかなかいないのが現状です。転院や主治医変更を意識して成育歴のような資料を予め作っておくと、『病歴・就労状況等申立書』作成時だけでなく、放課後等デイサービスやショートステイの利用等の申し込み、役所の相談窓口の担当者が代わったときなどに子どもの説明をするのに役に立つので良いと思います。次回は年金コラム最終話これまでのコラムでは主に提出する書類について書いてきましたが、次回最終話では書類についてではなく、申請作業を進めていく中で知った新事実や、改めて気がついたことについてお話しします。
2020年03月05日「年金」と聞くと、60代以降の方が受給している「老齢年金」をイメージする方がほとんどですよね。「年金=シニア世代」の印象が強くあるかと思います。しかし「年金」をもらっている方で20代の方も存在します。実は年金にはこの【老齢年金】以外にあと2つあります。【障害年金】と【遺族年金】です。この2つはシニア世代になっていなくても、条件に該当すれば若い世代で受給している方もいらっしゃいます。今回のテーマは若年層でももらう可能性のあるうちの一つ【遺族年金】について。中でもさらに【遺族厚生年金】についてわかりやすく解説していきますね。難しい言葉はなるべく使わないようにしますので、ご安心ください。年金には2種類あるここからは【遺族年金】だけではなく、少しだけ日本の年金制度自体の概要についてお伝えしましょう。なるべくわかりやすくポイントを絞って解説します。今ここで理解しておくと、【遺族年金】だけでなく【老齢年金】【障害年金】についても理解が深まります。国民年金に加入していた人の年金【基礎年金】日本に住んでいる20歳以上60歳未満の人は、必ず【国民年金】に加入して、しっかり国民年金保険料を払わなければいけません。様々な事情から払えない場合は、納付猶予や納付免除を申請することで、払えるようになったときに遡って追納することもできます(追納期間には別途定めがあります)。20歳から60歳までの40年間(480月)全額払い込むことで満額の年金額を受け取ることができますが、未納などがあるとその分だけもらえる額が減ります。まとめると、国民年金は【誰でも必ず加入していなければならないもの】です。このことから、年金制度の基礎となるという意味で【基礎年金】と呼ばれます。国民年金の保険料(掛け金)は、ほぼ毎年料率改定がありますが、仕事や属性によって金額の差はありません。掛け金は一律同額です。ちなみに令和元年度は月額16,410円です。厚生年金に加入していた人の年金【厚生年金】【厚生年金】とは、会社員や公務員などの給与所得者(勤務先から給料をもらっている人のこと)が、毎月の給与や季節の賞与などから自動的に保険料を天引きされているものです。平成27年以前は公務員の方が加入する【共済年金】がありましたが、現在では厚生年金と統合されています。つまり、厚生年金の加入対象者は会社員や公務員となります。私が行っているマネーコンサルティングでもよく質問を受けるのが「【厚生年金】に入っていれば【国民年金】には入れないの?まさか2つも加入できないでしょ?」という内容のご質問です。二階建ての年金という言葉を聞いたことはありませんか?【厚生年金】は、いわゆる二階建ての年金の「二階部分」にあたります。では一階部分は何かというと、上の項目で解説した【基礎年金】です。【基礎年金】は、とにかくどなたでも加入しなければいけないものなので、会社員などの厚生年金加入者は【一階も二階も加入し、両方もらえる】ということですね。【厚生年金】の保険料は、給料に応じて変動しますので、例えば同期入社の方でも全く同じ厚生年金保険料であることはまず考えられません。更に、厚生年金加入の一番のメリットとして【保険料が労使折半であること】が挙げられます。年金保険料の約半分は勤務先企業や団体が負担してくれているので、給与明細で確認する天引き額の倍の金額を実際には年金保険料として納めていることになります。遺族厚生年金・支給の条件それでは早速、今回のテーマである【遺族厚生年金】について確認していきましょう。基礎・厚生ともに【遺族年金】とは【故人が生前もらうはずだった年金を遺族補償として遺族に支給する】という性質があります。つまり、故人が何の年金に加入していたかによって、ご遺族がもらえる【遺族年金】は違うという事です。【遺族年金】を考える場合は「故人の要件」と「遺族の要件」をどちらも満たす必要があり、この後の項目で更にそれぞれについて見ていきましょう。遺族の考え方として、一昔前までは「遺族年金の対象配偶者は妻のみ」とされていました。しかし、家族スタイルの多様化が進む中、それではあまりにも時代に沿っていないということで、現在では配偶者である「夫」も対象となっています。ただし、まだまだ夫が受給するためには細かい要件が設けられていますので、この後の項目で解説しますね。必要な支給要件とは【遺族厚生年金】を受け取る為に必要な支給条件は以下の通りです。厚生年金被保険者が死亡した時被保険者期間中のケガや病気が原因で、初診日から5年以内に死亡した時【老齢厚生年金】の受給資格期間が25年以上あるものが死亡した時【障害厚生年金】1級または2級の受給資格のある方が死亡した時故人・遺族がそれぞれ満たす要件についてここからは、お亡くなりになった方(故人)と、遺されたご遺族がそれぞれ満たさなければいけない要件についてまとめます。いくつか項目がありますが、そのいずれかに該当すれば足ります。[adsense_middle]故人の要件故人の要件として真っ先に挙げられるのは、死亡した方が生前きちんと年金保険料を納めていたかどうかということです。上の項目でもご紹介していますが、【厚生年金】は基本的に給与から自動天引きされていますので未納ということはほぼ考えられないのですが、お亡くなりになった日にちの前に未納がなかったか等の細かい要件がありますので、以下リストアップします。以下のどちらかに該当すれば【遺族厚生年金】の故人の要件は満たしたことになります。故人の加入していた年金について不明な場合は、お住まいの地域の年金事務所などへご相談ください。死亡した日が令和8年4月1日より前であり、死亡した日に65歳未満で、なおかつ死亡した月の前々月までの1年間で保険料の滞納が無いこと被保険者が亡くなった場合、保険料納付期間が厚生年金加入期間の2/3以上あること(ただし免除期間を含む)対象者別・遺族の要件【遺族厚生年金】の対象者とは、お亡くなりになった方から生計を維持されていた(簡単に言うと、生活を共にしていた)妻、子、孫、55歳以上の夫、父母、祖父母です。対象者別に要件をまとめますので、確認していきましょう。また、遺族には年収の制限があり、遺族の年収が850万円を超える場合は残念ながら【遺族厚生年金】をもらえない決まりです。子に関しては【基礎年金】【厚生年金】いずれの場合でも次のように定義付けられています。【18歳に到達した年度末まで。または障害等級の1級または2級で20歳未満の者】いくら生計を同一としていて、同居している大学生の子供だとしても、18歳を超えていれば「子」としての【遺族年金】を受け取ることは残念ながらできません。妻妻は、再婚しない限り受給期間は一生涯です。また、年齢条件や子供の有無に関わらず、無条件で遺族年金がもらえます。ただし注意点として、お子さんのいない妻で、夫が亡くなった時に30歳未満である場合、5年間で【遺族年金】は打ち切りとなります。子・孫子の要件は一つ前の項目でもご紹介しましたが、基礎・厚生いずれも同一の基準です。子や孫の場合、18歳に到達した年度末までは【遺族厚生年金】の対象です。また、《障害等級1又は2級》の20歳未満の子も該当します。受給期間としては、それぞれ「子」の要件から外れる時までです。18歳到達の年度末までか、障害等級のあるお子さんの場合は20歳到達の年度末までです。夫・父母・祖父母夫・父母・祖父母の要件は、被保険者が亡くなった時に遺族の年齢が55歳以上である場合に、その後遺族が60歳到達後にもらえるようになります。妻や子、孫と違って、被保険者の死後すぐに受け取れるものではありません。もらえる人がたくさんいたらどうなる?例えばの話ですが、祖父母から妻、子、孫全てを支える大家族の世帯主が亡くなったとしましょう。この場合【遺族厚生年金】を受け取ることができるのは誰になるでしょうか?もちろん全員がもらえるわけではありません。実は【遺族厚生年金】をもらうことができる順番は決まっていて、すでに上位の順番の方が受け取ることになれば、後順位者は貰うことが出来ません。一番にもらう権利があるのは【子のある妻】です。次に【子】【子の無い妻】と続きます。では独身で配偶者が居ない場合はどうなるかというと【父母】【孫】【祖父母】の順で、同じく上位の方が受け取る権利があるという事になります。受給額の計算方法これまでにも解説しましたが【遺族厚生年金】は給与によってその受給額が変動します。なおかつ、加入期間を2つに分け、それぞれ所定の計算式に当てはめて計算し、それらを合算したものが【遺族厚生年金】の受給額の概算となります。計算式は以下の通りです。①2003年3月以前の加入期間:平均標準報酬月額×(7.125/1,000)×2003年3月までの加入期間(月数)②2003年4月以降の加入期間:平均標準報酬額×(5.481×1,000)×2003年4月以降の加入期間(月数)①+②の合計が、遺族厚生年金の概算となります。小数点が多かったり、計算式が複雑だったりで、なかなかこのような計算式を使って手動で算出するのも難しいかと思います。インターネット上には、無料で【遺族厚生年金】の目安額を知ることができるシミュレーションもあります。この場合は平均標準報酬額などが不明であっても、現在の月給などから簡易的に計算することができ、非常に便利です。目安として知っておく分には、このようなシミュレーションを使ってみることをお勧めします。[adsense_middle]年金は請求してもすぐはもらえない!【遺族厚生年金】をもらうためには、様々な書類を取り寄せて記入してから年金事務所に提出しますが、そこから実際に一回目の遺族厚生年金が振り込まれるまでに3~4か月程かかります。その間、提出された書類に関して、然るべき審査をきっちりしているという事です。(もちろん間が開いた分でも受給権が発生した期間については、第一回の年金振込の際に合算されて支給されますのでご安心くださいね。)被保険者の死後、葬祭費や医療費など様々な支払いが発生しているにも関わらず、収入の途絶する期間が続くのは心細いと思います。お子様の居るご遺族の場合は、今後の教育費についてもご心配なことでしょう。代表的な対策としては、一つ前の項目で紹介した年金受給額の目安を把握しておき、年金額でも足りない部分(例えば教育資金など)について予め民間の生命保険などで備えておくことが挙げられます。さらに、実際に年金が振り込まれるまでの生活費の3~4カ月分の預貯金を準備しておくことも有効ですね。【補足】遺族年金以外の支給額について被保険者が死亡した場合【遺族厚生年金】以外にも、ご遺族に支払われるお金があります。在職中であれば勤務先から死亡退職金が支給されます。また、加入していた社会保険から「埋葬費」「埋葬料」などの呼び名での一時金の支給があります。一律5万円程度を支給している場合が多いようです。遺族年金・遺族厚生年金に関するまとめ今回は、遺族厚生年金を受給する際のポイントについてまとめました。厚生年金のみ受給対象となる場合と、基礎年金も合わせて受給できる場合があります。それぞれ受給の条件が違いますので注意が必要ですが、詳細に関してはお住まいの地域の年金事務所や年金相談センター、または年金のプロである社会保険労務士の方へ個別ご相談することもお勧めです。また、今回ご紹介した計算方法についても、あくまで概算としてお考え下さい。だいたいの目安として捉えていただき、足りないと思った場合は民間の生命保険や預貯金などで早めに対策することが出来ます。万が一のことが起こってからでは対応できない場合がほとんどですので、前もって大体の額を把握しておくと良いですね。ご家族に万が一のことがあるということを仮定すること自体、不謹慎なような気がして気が進まない方がほとんどかと思います。しかし「万が一」は必ずいつかはやってきます。そうなったときに少しでも精神的、肉体的な負担を減らすことが出来るよう、遺族年金の制度や仕組みについて前もって知っておくことは非常に大切であると言えます。
2020年03月04日いよいよ今年も確定申告が始まりました。自営業などで毎年確定申告を行っている方は一連の流れと、どのようなものが確定申告の対象になっているかご存知の方も多いでしょう。しかし、遺族年金を受給している方が、確定申告が必要か否かは、普段から確定申告をしていてもなかなかわからないでしょう。そもそも年金制度自体、確定申告が必要なのかというところも分かりづらいですよね。では実際どうなのかというと、確定申告が必要な場合も、不必要な場合もあります。本記事では、この遺族年金の確定申告について、必要な場合・不必要な場合に分けて詳しく解説していきます。どうぞ皆様のお役に立ちますように。遺族年金は非課税であるまず初めに大前提として「遺族年金は金額に関わらず全額非課税である」という事は覚えておいてください。これは、遺族年金の内、自営業者など国民年金加入者だった方のご遺族が受け取る「遺族基礎年金」の場合でも、会社員などの給与所得者が加入している厚生年金の場合に受け取る「遺族厚生年金」の場合でも、とにかく遺族年金は全て非課税です。遺族年金は非課税=所得税や住民税、相続税などあらゆる税の対象とならないということ年金と税金の関係遺族年金が非課税であることは必ず覚えていただきたいポイントです。この後解説しますが、障害年金も遺族年金と同様に非課税です。年金制度には3つの年金があります。今回のテーマである【遺族年金】と【老齢年金】【障害年金】があります。基本的に日本の年金制度は【一人一年金】を掲げており、何かしらの年金を受給していたら他の年金と併給できないことになっています(同時に発生した別の年金は、どちらか選んで受給することになります)。中には特例として併給可能な年金もありますが、基本的には【一人一年金】であることも覚えておくと良いですね。課税される年金3つの年金のうち、課税されることがある年金は「老齢年金」です。老齢年金は一定額以上であれば課税対象となります。「老齢年金」つまり老後資金としての年金はどなたでも貰う権利があります(未納などが無ければ)。なぜなら、誰だって歳を取るからです。しかし「遺族年金」「障害年金」に関しては、必ずしも全員が一生涯の内にもらうわけではありません。該当せずに一生を終える方もいらっしゃいます。付け加えて、遺族年金に関しては大人だけが対象となるわけではありません。わかりやすい例では、遺族基礎年金の場合は「18歳未満の子」も受給対象であることから、大切な家族を亡くした後の貴重な生活費として受給している遺族年金に対して、未成年の子に課税するのはあまりにも酷ですよね。イメージとしてわかりやすくするために、このようなことを頭の片隅に置いていただくと良いかと思います。非課税の年金金額によらず一律非課税となる年金は以下の通りです。遺族年金や遺族保障関係と障害年金は全て非課税と覚えていただくと良いですね。所得税・住民税等全て非課税遺族基礎年金遺族厚生年金寡婦年金、死亡一時金障害年金(基礎・厚生いずれも)勤務先団体による遺族保障としての遺族年金(この場合は所得税のみ非課税となる)所得税や住民税以外に相続税・復興特別所得税などがありますが、いずれも遺族年金には課税されません。他に収入があれば確定申告を遺族年金は非課税です。つまり所得とはみなされませんから、遺族年金以外に収入がない場合は確定申告をする必要がありません。では、遺族年金をもらっている人は、どのような場合に確定申告が必要となるかというと、年金以外の給与所得や事業所得がある場合や、遺族年金以外の年金を受け取っている場合などがあります。この場合でも、遺族年金は金額に寄らず非課税ですので、それ以外の収入について確定申告をすることになります。補足・年金受給中は源泉徴収票もらえる?ここまでに繰り返している通り、遺族年金と障害年金は所得とみなされず非課税ですから、当然源泉徴収票は発行されません。しかし、老齢や退職にともなう年金の受給がある場合は源泉徴収票が発行されます。源泉徴収票は確定申告の際の必要書類です。年金受給に関して源泉徴収票の発行があったという事は、確定申告が必要な場合かもしれないので注意が必要です。[adsense_middle]【ケース1】確定申告が必要な場合遺族年金受給者で確定申告が必要な場合とは、遺族年金以外に収入がある場合です。この場合の注意点として【遺族年金以外の収入のみを確定申告する】ということです。繰り返しになりますが、遺族年金は収入とはみなされませんから非課税です。収入とみなされないのですから、申告する必要がないということです。例えばご主人を亡くされた奥様が自営業だった場合、その事業に対する所得の申告のみをすればよいという事です。【ケース2】確定申告が不要な場合確定申告が不要な場合の代表例として【遺族年金や障害年金のみ受給していて他に収入が無い場合】です。何度も繰り返しますが【遺族年金・障害年金は非課税】だからです。課税する収入がこの非課税の年金しかない場合は、確定申告のしようがないということになります。これから紹介する2つのケースでも、確定申告が不要となります。これらはどなたも一律で当てはまる条件ではないので、年金に関するご不明点は日本年金機構のホームページでご自身でお調べになるか、お住まいの地域の年金事務所に尋ねてみるとよいでしょう。①老齢年金のみ受給の場合また、これまで解説したように老齢年金では金額によって課税される場合もありますが、老齢年金のみが収入の方で(年金以外に収入がない場合)一定の金額に満たない場合は確定申告は不要となります。金額の目安は以下の通りです。65歳未満の場合…年額108万円未満の場合65歳以上の場合…年額158万円未満の場合②確定申告不要制度を利用する場合老齢年金をもらっている人で、確定申告の手間を省くために特例として「確定申告不要制度」というものがあります。以下の条件をどちらも満たす場合は、この制度を利用できます。受け取っている老齢年金の全額が源泉徴収の対象で、その合計が400万円以下であること公的年金以外の所得が20万円以下であること非課税でも更に節税できる場合って?遺族年金は非課税ですから、遺族年金しか収入がない場合は「所得がない」とみなされます。つまり、通常の確定申告などで発生する各種所得控除が一切関係ないことになります。そもそもの所得がないことになっているので、控除(差し引く)の意味がありません。所得控除の主なものとして「基礎控除」「医療費控除」「生命保険料控除」「寡婦(寡夫)控除」「扶養控除」「配偶者控除」などがあります。しかし、遺族年金を受け取っている人でも角度を変えれば「節税ポイント」が見えてきます。ここでは代表的な2つの例をご紹介します。医療費控除と住民税等のポイントご本人が遺族年金を受け取っている方で、生計を同じにしているご家族がいらっしゃる場合、同一世帯ということで医療費控除をまとめて受けることが出来ます。おひとり分より、二人分または複数名のご家族分まとめた方がメリットは高くなりますよね。例えば、ご主人を亡くされたお母さまと、会社員の息子様の同居世帯の場合、お母さまが遺族年金以外に所得が無ければ息子様の扶養親族になることで医療費控除の面でもメリットがありますし、扶養親族になることによって息子様の所得税及び住民税の控除が発生します。つまり節税になるという事です。必ずしも同居である必要はありませんが、別居の場合は少し控除額が下がります。扶養親族の控除額子や孫の扶養親族となる場合の控除額は以下の通りです。70歳未満の同居の親族の扶養となる場合、所得税38万円・住民税28万円の控除が発生します。70歳以上で同居の親族の扶養となる場合、所得税58万円・住民税45万円の控除が発生します。別居の場合は所得税48万円・住民税38万円の控除となります。社会保険でなければ意味がない扶養親族になることで、もう一つメリットがあります。今度はお母さまに対してのメリットです。この場合の例でいくと、息子様の健康保険に加入することで健康保険料を負担しなくてよくなります。ただし健康保険に関する注意点として【社会保険加入でなければ意味がない】ということです。自営業者やフリーランスなどの国民健康保険加入者の扶養に入ったとしても、ご本人はご本人で保険料を負担する必要がありますので、あまり意味がありません。遺族年金を受け取っている人の負担を減らすには、可能であれば扶養親族になって健康保険料を削減。遺族年金と確定申告に関するまとめ遺族年金と障害年金は収入とみなされず非課税であるということは、本記事を読んで一番印象に残ったのではないでしょうか。【収入とみなされない=所得ではない=確定申告不要】とイメージで覚えると良いかもしれません。関連する情報として、老齢年金は一定額以上では確定申告が必要であることも知っておくと役に立ちますね。医療費控除や扶養控除など【控除を活用した節約ポイント】は裏技的ではありますが、決して裏技ではなく、知っておくとおかないでは差が出る豆知識です。もし該当するようであれば、是非この控除を活用しましょう。年金にしても税にしても、なかなかわかりにくいことばかりですよね。しかし、実際に一度手続きをしてみると「意外と簡単!」と思うこともしばしば。あまり苦手意識を持たず、該当する場面においては本記事のようなインターネット上の情報も参考にしながら進めてみてはいかがでしょうか。
2020年03月03日遺族年金は、老齢年金制度(一般的に「年金」と呼ばれるもの)ほどは日常的に話題になるものではありません。老齢年金は誰でももらうことができるのに対し、遺族年金は必ずしも誰もがもらえるものではないからです。また、詳細は後述しますが遺族年金に関しては女性の方が受給の幅が広いことや、受給できるターゲット層の狭さも一般的に遺族年金の認知度が低い要因であると考えられます。今回の記事では、これらの手続き方法について手順通りにまとめて解説します。是非参考になさってください。遺族年金とは遺族年金には、故人が生前どの年金に加入していたによって2種類あります。ひとつは国民全員が加入義務のある「国民年金」に加入していた場合の【遺族基礎年金】、もうひとつは会社員などの給与所得者が厚生年金に加入していた場合の【遺族厚生年金】です。国民年金加入の方のご遺族は【遺族基礎年金】の受給要件に該当しなければ他の遺族補償はありませんが、厚生年金加入だった方のご遺族は「基礎」または「厚生」のどちらか(または両方)の要件に該当すれば、どちらの年金も受け取ることが出来ます。ここからは、この受給の要件に関して、加入していた年金別に詳しく解説をしていきます。日本の年金制度には、この【遺族年金】も含めて3種類があります。一般的に「年金」と呼ばれるのは【老齢年金】のことで、老後資金としての年金です。他に【障害年金】がありますが、これは所定の障害状態に該当した場合に受け取ることができます。受給の要件故人が、生前に加入していた年金がどれであるかによって、遺族がもらえる年金は変わってきます。さらに《故人の要件》《遺族の要件》があり、このいずれにも該当しなければ受給できません。どちらかの条件しか満たしていない場合は遺族年金を受給することはできません。ここからは年金の種類別に受給要件のポイントを解説していきます。基礎・厚生ともに共通する配偶者の所得要件として「年収850万円未満であること」があります。遺族基礎年金故人の要件《故人の要件》として、「国民年金に加入していること(していたこと)」「現に【老齢基礎年金】を受け取っていたこと」などがあります。遺族の要件《遺族の要件》としては「子(18歳を迎えた年度末まで)」または「子のある配偶者」です。つまり、お子さんのいらっしゃらない配偶者や、18歳を超えたお子さんがいる場合は【遺族基礎年金】は受給できません。子供の有無が非常に大きなポイントであり、あくまでも子供の養育のための側面が強いのがこの遺族基礎年金です。遺族基礎年金の場合の【配偶者】とは、父親・母親どちらでも良いとされています。生前、生計維持関係にあった妻や夫・子であれば、この受給対象となります。遺族厚生年金故人の要件《故人の要件》として、「厚生年金の加入者だった場合」「厚生年金加入期間に初診日のある病気やケガが原因で初診日から5年以内に死亡した場合」「所定の障害年金を受けられる場合」「老齢基礎年金の資格期間を満たしている場合」があります。遺族の要件《遺族の要件》として、生計維持関係である「1・配偶者」「2・子」「3・孫」「4・父母」「5・祖父母」の順位で受給権が発生します。配偶者や子がいる場合は真っ先に受給対象者となり、配偶者も子もおらず、例えば同居して生活を共にしている(これを生計維持関係と言います)親がいる場合には、その親が遺族厚生年金の受給の対象者となります。【遺族基礎年金】よりも受給範囲が広いことが特徴です。この場合の配偶者は夫でも良いのですが、妻が死亡した時点で、夫が55歳以上の場合、60歳になった以降遺族厚生年金をもらうことになります。【遺族厚生年金】の場合、子供の有無は問題ではありません。子どもの居ない配偶者でも年金をもらうことが出来ます。ただし、夫の死亡時に30歳未満で子どもの居ない妻である場合は、受給から5年間の有期年金となります。5年経過すると【遺族厚生年金】は打ち切りという事になります。【補足】現に会社員の妻である場合若くで夫が亡くなった場合、妻と子はどうなるのでしょうか。遺族年金として受け取る額は、本来夫が【老齢厚生年金】としてもらえるはずだった金額の3/4が目安です。この場合、若くして亡くなった場合は厚生年金の加入期間が少ないため【遺族厚生年金】も少なくなってしまうのではないか、と心配される方がいらっしゃいます。しかしご安心ください。厚生年金の加入期間が25年(300月)に満たない場合でも、300月とみなして遺族厚生年金を支給する【短期要件】という特別な要件があります。この短期要件があるおかげで、厚生年金加入が25年に満たない若年層の方の遺族補償として十分に安心できる仕組みとなっています。途中でもらえなくなる場合も配偶者の死亡時には要件に該当しており長年もらっていた遺族年金も、様々な理由から途中で打ち切りとなる場合があります。最も代表的な例は「子供が成長し、18歳を迎える年の年度末を過ぎてしまい【子のある配偶者】ではなくなった場合」や「新たなパートナーを得て再婚することになった場合」などがあります。[adsense_middle]申請に必要なもの申請に必要な書類は以下の通りです。年金請求書年金手帳(紛失の場合は再発行)故人と受給権者の続柄の明記のある戸籍謄本住民票(世帯全体で故人の除票となるもの・マイナンバー不要)受給権者の所得証明(源泉徴収票など)義務教育以外の子供がいる場合は、子の所得証明(高校生は学生証のコピーなど)死亡診断書交通事故など第三者行為による死亡の場合は、それらを証明する書類(交通事故証明書など)遺族年金の振込先金融機関の通帳印鑑(実印でなくても可。スタンプ印不可)申請場所遺族年金に関する書類の提出先は、全てが年金事務所ではありません。実はこの提出場所に関しても、受給する年金が基礎か厚生かによって違います。年金事務所へ提出する場合【遺族厚生年金】の受給対象者の方は、お住まいの地域の管轄である年金事務所へ提出します。市役所・区役所などへ提出する場合【遺族基礎年金】の受給対象者の方は、市役所や区役所などの市町村役場の年金担当課に提出します。代理での提出は可能?配偶者を亡くされた後は、遺族年金の手続きだけでなく相続や遺品・財産整理など、精神的にもお辛い中でやるべきことは山積みの状況です。遺族年金の手続きに関しては、委任状などの然るべき書類を揃えることで代理申請も可能です。社会保険事務所に依頼も可遺族年金だけに限らず、年金に関する手続きの専門家は社会保険労務士です。遺族年金の代理申請に関して、親族が遠方でお願いできない場合や、間違いの無いようにプロに依頼してきっちり手続きを進めたい方などは、社労士のいる社会保険事務所へ有料で依頼することもできます。料金目安として、2万円前後~せいぜい5万円くらいで収まります。郵送での提出も可どうしても時間が無い場合などは、必要書類を郵送して遺族年金の請求を行うことも可能です。ただし、この場合に注意しなければいけない点として、もし書類の不備や訂正が発生した場合に、やりとりに時間がかかってしまうという事です。可能であれば、やはり年金事務所や市役所等の年金窓口などの提出先に持参するのが確実でしょう。年金に関する相談場所遺族年金に限らず、年金制度全般に関しての相談場所は年金事務所です。時期によっては年金事務所でも大変混雑していることがありますので、前もって予約をしてから訪れる方が良いでしょう。提出期限遺族年金は、基礎・厚生ともに、いつまでに提出しなければいけないという期限は特に設けられていません。しかし遡って申請できる時効期間は受給権が発生してから5年と決まっており、受給権が発生して5年を超えると時効により権利が消滅します。やむを得ない事情により5年を超えてしまっても、時効撤回の申し立てをすることもも可能ではありますが、当初の期間内に行うよりも遥かに時間と労力がかかる作業なので、やはり早めに提出し申請することがベストです。実際に遺族年金の受給申請をしてから実際に受給するまでに3~4カ月かかることもあります。このことから、ご自身が遺族年金の受給対象者であると分かり次第、なるべく早めに必要書類などを揃えて然るべき提出先へ提出することをおすすめします。受給開始の目安遺族年金は、偶数月の15日に2カ月分を振り込まれる仕組みになっています。しかし、遺族年金の初回分の振り込みに関しては、ここまで解説してきたような様々な書類を提出し、それを基に「故人の要件」「遺族の要件」を満たしているか等の審査が行われまず。それらを経てから受給開始となりますので、早くても申請から3か月程度、長い場合は更にあと1か月程度かかる場合もあります。初回振込が遅れても、受給権が発生している年金額に関しては後の振り込みと合算されますのでご安心ください。受給開始までの生活費の備えが肝心実際に生活費としての遺族年金をもらえるようになるまで、最大4か月程度かかるとすると、その間収入がかなりダウンすることになります。配偶者の逝去により葬儀費用や医療費など、様々な形での出費は免れません。さらに、住居費や教育費など、配偶者の生前と変わらない定期的な出費も続きます。近年では民間の生命保険での保険金支払いもスピーディになりましたので、きちんとした保障の生命保険に加入していれば、実際に遺族年金を受け取るまでの生活費として十分な一時金となるでしょう。しかし、そうではない場合は、少なくとも当面の生活費として預貯金で備えることになります。生命保険にしても、預貯金にしても、早めに万が一に備えておくことが大切です。[adsense_middle]老齢年金と遺族年金は併給できる?日本の年金制度には【老齢・遺族・障害】の3種類があります。日本では【一人一年金の原則】があり、複数の年金の受給権が発生しても、基本的にはいずれか一つを選んで受け取ることになります。同じ種類の年金は併給OK遺族年金の場合、基礎と厚生を同時にもらうことは出来ます。これは老齢年金や障害年金の場合でも同じで、基礎と厚生は併給可能です。種類の異なる年金は要注意種類の異なる年金の受給権が発生した場合は、注意が必要です。どちらの受給権も発生していますので、どちらを受け取るか選ばなくてはいけません。ここでポイントとなるのは、一度発生した年金の受給権は消滅しない、ということです。今はいずれか一つの年金を選んでも、のちに別の受給権のある年金に切り替えることもできます。選ばなかったからといって、受給権が消滅するわけではありません。併給の例外65歳以上になって老齢年金の受給権が発生した後は、一人一年金の原則ではなく例外としていくつかの併給が認められます。老齢基礎年金+遺族厚生年金障害基礎年金+遺族厚生年金障害基礎年金+老齢厚生年金複数の年金受給権が発生した場合は、年金手帳を持参のうえ年金事務所等へ「どれを選ぶと良いか」の相談に行くことをお勧めします。本当に困っている事象に対して年金制度がより役に立つ方法を専門家に相談することが安心の第一歩です。遺族年金の税務遺族年金は、基礎・厚生どちらも全額非課税です。遺族年金とは、生計維持関係にある配偶者が逝去したことによる、生活費の大幅ダウンに備えるための生活費という位置づけであるからです。遺族年金の手続き方法に関するまとめ配偶者が亡くなった場合でも、受給のための要件を満たしていない場合は残念ながら受給することができません。まずは要件を満たしていることが大前提ですが、一度受給開始した遺族年金でも途中で要件を満たさなくなれば途中で打ち切りとなる場合もあります。手続きの流れとしては、故人が生前加入していた年金制度の窓口となる然るべき提出先に提出するだけで良いのですが、大変なのは書類の取り寄せや記入です。なるべく何度も書類の取り寄せに動くのではなく、本記事でまとめている必要書類を参考に、限られた時間の中で効率的に書類を集めることが出来ればと思います。これらの必要書類や手続きの流れについては、日本年金機構の遺族年金のページにもしっかりまとめられていますので、お困りの際は是非そちらもご参照ください。また、最寄りの年金事務所や市役所等の年金担当窓口にたずねるのも確実かと思います。
2020年02月20日生活を共にしていた配偶者が死亡した場合、これからの生活や今後の事など不安に苛まれ、精神的にとてもお辛いかと思います。日が経つにつれ、現実的には金銭面での今後についても一気に不安になることでしょう。この金銭面でのサポートとして「遺族に対する年金制度」があります。しかし残念ながら、どなたにでも平等に…というわけにはいきません。この遺族年金をもらうためには、いくつかの要件を満たす必要があります。その要件を満たしていない場合は残念ながらもらえないということです。本記事では、遺族年金を受け取るにはどうしたら良いか等について、具体的な申請方法についてわかりやすく解説をしていきます。受給の条件「遺族年金」の受給の条件として《亡くなった方が満たすべき条件》と、《受給の対象となるご遺族が満たすべき条件》の2種類があります。更に、亡くなった方が生前加入していた年金が、自営業やフリーランスの加入する国民年金であるのか、会社員や公務員などの給与所得者が社会保険と同時に加入している厚生年金なのかによって、それぞれの受給の条件が変わります。対象となるお子さんの条件に関しても年齢の制限がありますので、よく確認しましょう。【共通要件】遺族の所得制限基礎・厚生どちらにも共通することとして「遺族年金」を受け取ることになる方の所得の制限があります。年収850万円を超えている配偶者(遺族)の場合は、所得制限にかかり受け取ることが出来ません。この所得の制限を調査するためにも、年金請求書とともに提出する書類として「源泉徴収票」などの所得のわかる書類が含まれています。【自営業者等】国民年金加入の場合国民年金のみ加入している自営業者やフリーランスの方は、遺族年金のうち【遺族基礎年金】のみを受給することが出来ます。亡くなった方の条件受給資格期間が25年以上ある(免除期間も含めて保険料納付済期間が2/3以上であること)死亡日に65歳未満の場合は死亡した月の前々月までの1年間の保険料の滞納が無いこと(令和8年4月1日までの特例)ご遺族の条件以下のいずれのかに該当する必要がありますが、いずれ場合も、死亡した者と同居していた等の生計維持関係であることが前提です。子(18歳を迎えた年の年度末まで。または障害等級1級か2級で20歳未満)子のある配偶者【会社員等】社会保険加入の場合会社員や公務員など給与所得者として社会保険に加入し、厚生年金をかけていた場合は、遺族年金の内【遺族基礎年金】と【遺族厚生年金】の両方を受け取る権利があります。ただし、それぞれの要件を満たす必要がありますので、どちらか片方または両方を受け取ることとなります。亡くなった方の条件厚生年金に加入していた場合被保険者期間中にの病気やケガが原因で5年以内に死亡した場合免除期間も含めて保険料納付済期間が2/3以上であること死亡日に65歳未満の場合は死亡した月の前々月までの1年間の保険料の滞納が無いこと(令和8年4月1日までの特例)【老齢厚生年金】の受給資格期間が25年以上ある場合【障害厚生年金】の1級または2級を受けられる方が亡くなった場合ご遺族の条件以下のいずれのかに該当する必要がありますが、いずれの場合も、死亡した者と同居していた等の生計を維持する関係にあることが前提です。妻子(18歳を迎えた年の年度末まで。または障害等級1級か2級で20歳未満)孫55歳以上の夫父母祖父母申請方法遺族年金の条件を満たしていた場合は、速やかに年金受給の手続きをしましょう。ここからは、必要書類や申請先について解説します。[adsense_middle]必要書類必要書類は以下の通りです。年金請求書(日本年金機構HPよりダウンロードも可能)年金手帳世帯全員の住民票亡くなった方の住民票の除票請求する方(遺族年金の対象者)の収入のわかるもの(源泉徴収票など)子供の収入の収入のわかるもの(義務教育は不要。高校生は学生証の写しなど)死亡診断書のコピーまたは死亡届の記載事項証明書年金振込先に指定する金融機関の通帳印鑑(認印可。スタンプ印不可)申請先申請先は、どの年金を受給するかによって違います。遺族基礎年金はお住まいの地域の市町村役場の年金担当窓口です。遺族厚生年金は最寄りの年金事務所です。受取方法遺族年金の受け取り方法は、指定した銀行口座へ2カ月分の合計額が振り込まれます。支給のタイミングは1年の内の偶数月(2月・4月・6月・8月・10月・12月)の各15日です。15日が土日祝日に重なる場合は、前倒しで直前の平日となります(たとえば15日が日曜日である場合は、13日金曜日に振り込まれます)。初回分が振り込まれるまでの期間遺族年金の申請手続きを済ませてから、実際に1回目の年金振込があるまで約3~4か月かかります。支給日が遅れた場合でも、受給の権利が発生した日以降の分は初回分に合算して振り込まれますのでご安心ください。収入の途絶に備えるために手続きの為には、まず様々な必要書類を集めたり記入する必要があります。遺族年金の申請手続きと並行して、配偶者の逝去に伴う様々な手続きを同時進行する場合がほとんどですので、なかなか思うようには進まない場合もあるかもしれません。先ほども紹介しましたが、遺族年金を受取るには申請してから更に3~4か月かかります。その前の段階(提出する前)にも時間がかかってしまうと、配偶者の逝去から半年~1年後から遺族年金を受け取ることになる方も少なくありません。その間の収入の途絶に備えるために、生命保険や預貯金での最低限の生活費の備えは、あらかじめしておくようにすると安心です。受給額の目安について年金の受給額に関しては、各ご家庭の家族状況などによって差があります。もちろん、受け取る遺族年金が基礎年金か厚生年金かの違いもあります。遺族年金は非課税遺族年金は全額非課税扱いです。これは金額の多寡に関わらず、どなたでも一律課税されません。遺されたご家族の生活費の要となるお金ですので、そこまで課税していては本末転倒です。ただし、老齢年金や付加年金に関しては課税されます。扶養親族になるメリット高齢の親御様が遺族年金を受給している場合、給与所得者であるお子さんの「扶養親族」とすることで、お子さんの節税になり、さらに親御様も健康保険の保険料が安くなるなどのメリットがあります。夫ももらえる?これまでは【遺族基礎年金】における定義付けとして「子または子のある妻」と限定されていました。現行では「子のある配偶者」と改正されていますが、これは近年の家族形態の多様化によるものです。必ずしも夫が一家を担う大黒柱である必要はなく、夫婦が揃って社会で活躍するスタイルが増えてきました。このことから【遺族基礎年金】では、夫も対象となります。また【遺族厚生年金】でも夫が受け取ることは出来ますが、この場合は妻が死亡した当時に夫が55歳以上で、なおかつ夫が60歳以降にならなければ受け取ることが出来ないという少々厳しい条件となっています。[adsense_middle]年金がもらえなくなる場合とは?配偶者が亡くなった当初は受給の要件に該当していて受け取ることが出来ていた年金が、途中でもらえなくなることがあります。もらえない場合に該当する一般的な例として「再婚による場合」「子どもが成長して18歳を超えた場合」があります。事実婚の場合どうなる?近年、家族形態の多様化に伴い、事実婚や内縁関係でも柔軟に遺族年金が支払われる場合があるとのことです。この場合の大前提として、戸籍上別の婚姻相手がいないことは当然ですが、離婚後そのまま同居して事実上夫婦の形態で暮らし、生計を維持する関係にある場合などが、遺族年金上の生計維持関係とみなされる場合があるようです。実際に事実婚を証明するには様々な必要書類を提出しなければいけませんが、仕事上の都合や何かしらの理由があって未入籍のまま長く夫婦同然に生活をしている場合は、遺族年金の受給の要件に該当する場合もありますので一度年金事務所などに相談に行かれると良いでしょう。シングルマザーはどうなる?シングルマザーの方でお子さんとご本人だけの生活である場合、子供にとって唯一の親であるお母さまに何かあったら遺族保障はどうなるのでしょうか。まず、アルバイトやパートなどで国民年金のみ加入している場合、遺族基礎年金の受給要件である「子」に該当すれば、お子さんに遺族基礎年金が支給されます。お母さまの要件として、直近1年以内に保険料の未納が無ければ大丈夫です。会社員や派遣社員などで社会保険加入の場合、「子」の条件に当てはまれば、遺族厚生年金も受給できることになります。この場合のお母さまの要件として、基礎年金と同様に1年以内に保険料未納が無いこと等があります。配偶者が居なくても、お子さんは守られるべき存在です。然るべき遺族保障が遺されたお子さんにきちんと支給されることになっています。どうぞご安心ください。遺族年金の受給条件に関するまとめいかがでしたか。遺族の条件や亡くなった方の要件、さらに加入していた年金がどれであるかによって満たさなければいけない内容が様々です。ご自身がどこに、どう該当して、果たして遺族年金をもらうことが出来るのか、なかなかご自身で判断できかねる場合もあるかと思います。そのような時には最寄りの年金事務所や年金相談センター、市町村役場の年金担当窓口などへお気軽にご相談されることをお勧めします。ちなみに、委任状による代理申請や郵送での申請も可能です。また、年金制度全般に関する専門家は社会保険労務士です。別途有料にはなりますが、年金関係の手続きの代行も行ってくれますので、時間短縮や正確さを求める場合は社会保険労務士に依頼することも一つの対策となります。
2020年02月18日配偶者が亡くなり、これからの生活をいかに立て直していくか大変心細い状況の中で、「遺族年金を受給できる」ということは唯一の安心材料ではないでしょうか。どんなにつらい状況であっても生活は続きます。つまり生活費は日に日に減っていきます。精神的にもお辛い中で、2カ月に一度の振込日には、必ず生活費として遺族年金を受け取ることが出来ると思うと、少なくとも金銭面での不安は少し解消されるかもしれません。本記事では、この大切な遺族年金の受け取りの流れについて解説していきます。申請方法の流れ遺族年金は、老齢年金と違って誰しもが受け取る権利のある年金ではないので、該当する場合にはご自身で申請しなければ受給できません。配偶者の逝去により、なんらかの遺族年金を受給できる要件に該当するかもしれない、と思った方は最寄りの年金事務所へ相談に行くと良いでしょう。もちろん本記事のようにインターネットや書籍などで遺族年金についてご自身で調べるのも一つの手段ではありますが、配偶者を亡くした後で精神的にもお辛い中、ご自身で調べるにも限界があるのではないでしょうか。ここからは実際の申請方法の流れや必要書類について、なるべく簡潔にポイントを絞ってまとめていきます。是非参考になさってください。申請に必要な書類申請に必要な書類として、2パターンあります。まずは【ご自身で取り寄せる書類】、もうひとつは【年金事務所から受け取る書類】です。年金事務所から受け取る書類は「年金請求書」のみです。実際に年金事務所へ行き直接受け取ることもできますし、日本年金機構のホームページ内より年金請求書のダウンロードもできます。記入見本を確認することもできますので、ホームページの資料をお使い頂いても良いでしょう。【ご自身で取り寄せる書類】はいくつかありますので、以下リストにて紹介します。年金手帳戸籍謄本(提出の6カ月前までのもので、配偶者との続柄のわかるもの)世帯の全部の住民票請求者(ご遺族)の収入のわかるもの(生計維持認定のため)子の収入がわかるもの(義務教育中の子の証明は不要。高校生は学生証など)死亡診断書または死亡届の記載事項証明書受取先金融機関(遺族年金振込先)の通帳印鑑(スタンプ印不可。認印は可能)どこに申請するのか「遺族年金の受給」といっても、自営業者やフリーランス等のご遺族が受け取る年金なのか、会社員や公務員等の給与所得者のご遺族が受け取る年金なのかによって、申請および提出先が違います。亡くなった方が国民年金の加入者だった場合の申請先は「市町村役場の年金窓口」です。一方、給与所得者であり、厚生年金の加入者だった方の請求先は「お住まいの都道府県の最寄りの年金事務所」となります。申請から実際の受け取り年金請求書や取り寄せるべき書類一式を提出したら、あとは実際に振り込みがあるまで3~4カ月待つことになります。途中で進捗状況を知らせる葉書や封書が日本年金機構から届きます。またその間、書類に不備などがあれば当然修正することになり更に時間がかかりますので、なるべく最初の提出時に間違いのないよう書類を揃えましょう。以下、申請から初回の振込までの流れを順を追って解説します。受給資格の取得(配偶者逝去の翌月)遺族年金の請求(請求締め切りの期間は特にありませんが、なるべく早めが良いでしょう)日本年金機構より【年金証書・年金決定通知書】が郵送で届く日本年金機構より【年金振込通知書】【年金支払通知書】が郵送で届く第一回目の年金受取その後は偶数月の15日(土日祝の場合は前倒し)に遺族年金振込受給できる期間各種遺族年金を受け取ることが出来るのは、受給要件に該当したときからスタートで、該当しなくなれば取り消しです。最初は貰っていたのに、のちに要件に該当しなくなる場合とは、主なもので【新たなパートナーと再婚する場合】や【遺族年金を受け取っていた遺族の死亡】により中断すること等が挙げられます。加えて、遺族基礎年金に関しては子供がいるかいないかは受給するための大前提となります。そのお子さんが成長し、18歳を超えた場合には、遺族基礎年金は打ち切りとなります。いつからもらえる?遺族年金の開始時期は「配偶者の死亡した日の翌月から」対象となります。ただし、翌月からすぐに振り込みがあるわけではありません。実際には諸手続きを済ませた後、3~4カ月くらいは初回の振込までに時間がかかります。また、振り込まれるタイミングは個別に違うものではなく、全国一斉に日にちが決められており、銀行などの金融機関では「年金支給日カレンダー」をあらかじめ掲示や配布しているところもあります。支給月および支給日支給月は1年の内の偶数月で(2月・4月・6月・8月・10月・12月)、支給日は偶数月の15日です。ただし土日や祝日などで一般的な金融機関が営業していない日にちに年金振込日が重なった場合は、前倒しでの振込となります。(たとえば2月15日が土曜日である場合、前倒しの14日金曜日に年金が振り込まれます)遺族年金の認定日から実際の初回振り込みまで時間がかかっても、その間に受け取ることが出来る年金額については、初回振込分に合算して支給されます。たとえ遅れていても、年金受給の権利が発生していればもれなく受け取ることが出来ますのでご安心ください。受給できる要件受給できる要件として、亡くなった配偶者が「国民年金」「厚生年金」いずれに加入していたかによって違います。また、どちらの場合でも【配偶者】であれば夫でも妻でも良いのですが、夫の場合は少々要件が厳しい場合があります。ここでは年金制度別に、受給の要件についてポイントをまとめます。[adsense_middle]①国民年金受給の対象は「生計維持関係にある子または子のある配偶者」子の要件として18歳に到達する年度末までであること子の18歳以降はもらえなくなる妻の死亡により夫が受給する場合は、夫の年齢が55歳以上で60歳未満であること子供の居ない場合は受給不可遺族の要件として前年の収入が850万円以下であることお子さんの居ない国民年金加入のご夫婦の場合、遺族年金をもらうことが出来ません。現行の遺族年金制度では、年齢や収入に関わらず、子供の有無が大きなポイントとなっています。例えばご夫婦二人で自営業を営んでいる場合などは、配偶者の内どちらかがお亡くなりになると事業自体の規模縮小や、場合によっては廃業せざるを得なくなる場合もあります。遺族年金が無いという事は、配偶者の死後の生活費を自分で準備しておくしかありません。生命保険の死亡保障でしっかりお互いの為に資産を残すことや、事業の内容によっては損害保険への加入検討など、早めに万が一に備えておくことをお勧めします。②厚生年金受給の対象は「配偶者、子、父母、孫、祖父母」の順で順位の高い人が受給する。子供の居ない配偶者でも受給できる(ただし妻が30歳未満の場合は受給上限5年)40歳以降65歳未満の場合は中高齢寡婦加算も上乗せされる場合もある。妻が死亡した時に夫が55歳以上であれば60歳以降から受給可能。中高齢寡婦加算とは、遺族厚生年金を受給する妻にお子さんがいない場合(または18歳に到達した子がいる場合)に、40歳から65歳未満であればその期間だけ上乗せして支給されます。残念ながらこの制度は、妻を亡くした夫には適用されません。また、中高齢寡婦加算が65歳で終了した後、妻が自分の老齢基礎年金を受給するようになったら、今度は【経過的寡婦加算】という加算を受け取ることが出来る場合もあります。これも遺族が夫の場合は受け取ることが出来ません。このような遺族年金に関する諸制度に関しては、妻が遺族になる場合が未だ優遇されている面があります。受給できる金額の目安遺族年金の金額は、亡くなった配偶者が生前に加入していた年金が、国民年金か厚生年金かどちらだったかによって計算基準が変わります。なお、年金制度の違いによる受取基準は上記の通りです。ここでは年金別に金額の目安となる概要を説明します。また、年金額の一般的な計算はご自身やファイナンシャルプランナーでも行うことは可能ですが、年金に関する専門的なご質問に関しては、最寄りの年金事務所または社会保険労務士までお尋ねください。基礎年金は一律遺族基礎年金(国民年金加入者だった方)の場合は、年金受給の要件に該当すれば受け取る年金額はどなたでも一律です。基準となる額は同じなので、変動があるとすればせいぜい子供の人数によって金額が変わるくらいです。一律の金額は以下の通りです。780,100円+子の加算(第2子までは各224,500円・第3子以降は各74,800円)厚生年金は報酬により変わる遺族厚生年金の受給額は、亡くなった配偶者の年収に応じて細かく金額が変わります。基礎年金と違い、決して一律ではありません。平成15年以前とそれ以降の被保険者月数と、平均標準報酬月額(平均標準報酬額)を掛け合わせ、さらにそれぞれに対して所定の係数をかけて合算したものが遺族厚生年金の額の目安となります。この計算式は非常に複雑な為、手計算で行うのではなく、Web上に無料で公開されている遺族厚生年金の受取額を調べるための簡易シミュレーターがありますので、そちらを活用するのが良いでしょう。遺族年金がいつからもらえるのかに関するまとめ遺族年金をもらうと言っても、なかなかすぐには受給開始とならないことはお分かりいただけたのではないでしょうか。年金を受け取ることになる方(ご遺族)の生計維持関係の確認や、年齢・年収の確認、お子さんの条件など、申請してから調査し認定を受けるまでに、最低でも3カ月~4カ月は時間がかかると思っておいた方が良いでしょう。またその際でも所定の期間の分は、1回目の支払日にまとめて振り込まれますが、初回振込まで少し間が空く間の生活費に困ることがないよう、できるだけの預貯金は常に準備しておくことをお勧めします。申請先に関しても、基礎年金の請求は市町村窓口、厚生年金の申請は年金事務所と、実は細かく分けられています。もちろん年金全体に関するご相談やお尋ねは最寄りの年金事務所で構いませんが、提出先は異なるという事は覚えておきましょう。
2020年02月14日配偶者を亡くし遺族年金を受け取ることになった場合、ご遺族がご本人だけなのか子供がいるのかによって支給額が変わります。他にも、配偶者が国民年金に加入していた場合にももらえる「遺族基礎年金」か、会社員や公務員などの給与所得者で厚生年金に加入していた場合にもらえる「遺族厚生年金」なのか、あるいはそのいずれも貰える場合があるのか、など遺族年金の受給には様々なパターンがあります。本記事では、どのような状態に該当すれば、どこの年金からいくらもらえるのか、受給要件や計算方法も含めて解りやすく解説していきます。なお、遺族年金制度全般に関しては【日本年金機構】ホームページ内の遺族年金に関するページにて、解りやすくまとめられています。受給要件とは遺族年金をもらえるようになるための要件は【亡くなった方の要件】と【ご遺族の要件】の2種類があります。このどちらも満たすことで初めて年金の受給権が発生します。該当する遺族年金が基礎・厚生いずれの場合でも共通する要件として、「亡くなった配偶者と生計維持関係にあること」「生計維持関係にある遺族の年収が850万円に満たないこと」があります。そこから更に基礎・厚生で要件が違いますので、ここからは基礎と厚生に分けて解説します。ご遺族が遺族基礎年金をもらうということは、亡くなった配偶者が自営業やフリーランスなどで国民年金に加入している(していた)場合です。加入義務のある国民年金は、誰でも加入しなければならないので、会社員などで厚生年金に加入している人でも、この基礎部分の条件も満たせば厚生年金と併せて貰えることになります。よく「二階建ての年金」と言われますが、一階部分は国民全員が支払う義務のある【国民年金(基礎年金)】です。二階部分は、給与所得者が更に上乗せで加入している【厚生年金】です。つまり、厚生年金加入者は一階にも二階にも該当すればどちらも貰えるという事になります。遺族基礎年金を受給するための条件亡くなられた方の要件亡くなられた方の要件として、下記要件などのどれか一つに該当しなければなりません。国民年金に加入している(していた)こと保険料の納付について免除している期間を含めて加入期間の2/3以上の保険料を納付していること老齢基礎年金を受給する資格を保有していること保険料の納付が済んでいる期間が25年以上であること遺族の要件遺族の要件として、18歳到達の年度末を迎えるまでの子と、その子のある配偶者(夫でも妻でも可能)です。子の要件として、もう一つ【20歳到達未満で、障害等級1級・2級に該当する子】という条件もあります。お子さんが、この内いずれかに該当すれば対象となります。遺族厚生年金を受給するための条件亡くなられた方の要件亡くなられた方の要件として、下記要件などのいずれかに該当する必要があります。厚生年金に加入している(していた)こと厚生年金の被保険者期間中のケガや病気が原因で、初診日から5年以内に死亡した場合1級または2級の障害厚生年金を受給している人が亡くなった場合免除期間も含めて保険料納付済期間が25年以上であることまた、特例として【2026年3月末までに65歳未満で亡くなった場合、亡くなった付きの前々月までの1年以内に保険料の未納がなければ良い】というものがあります。遺族の要件遺族の要件としては、基礎年金よりも更に範囲が広がり【妻】【55歳以上の夫(60歳以降に受給開始)】【子】【父母、孫、祖父母】の順で、順位が高い人に要件を満たす人が居れば、その方が受給できる人ということになります。遺族厚生年金は、子供の有無に寄らず《妻》が受給権者の第一順位となっています。ただし、お子さんのいない妻が30歳未満である場合は、5年のみの有期年金となります。途中でもらえなくなる場合も配偶者と死別した段階では、上記のような要件にいずれも該当しており年金を受給していたとしても、途中で打ち切りになる場合もあります。主なものでは、【遺族である配偶者が新たなパートナーを得て再婚する場合】や【基礎年金の場合の受給要件である「子」が18歳を迎えた年度末を経過し、遺族年金の制度上における「子」に該当する人がいなくなった場合】などです。試算の仕方・方法遺族年金の詳細な金額については受給額が決定してみないとわかりません。ただし、日本年金機構ホームページ内でも計算式が公表されていますので、概算については決定前にご自身で割り出すことも可能です。受給決定前に試算することのメリットとしては、前もって受給額の概算を知っておくことで、それに対しての過不足を予め備えておくことが出来ます。例えば自営業者の配偶者の場合などで、生活費としての遺族年金が思っていたよりも少ない、またはそもそも要件に該当せず年金をもらえない場合などは、民間の生命保険や預貯金などで備えておく必要があります。試算をすることで、遺族補償を考えるきっかけになればと思います。[adsense_middle]国民年金加入者の計算方法国民年金に加入していた方の計算方法は、金額が一律であるため比較的シンプルでわかりやすい内容です。基本となる加算額+該当者が何人いるかの合計ですので、遺族基礎年金に関してはご自身でも一度計算してみると良いでしょう。780,100円+子の加算(第2子までは各224,500円・第3子以降は各74,800円)厚生年金加入者の計算方法厚生年金の加入者だった方の遺族厚生年金を試算する場合、基準となるのは《平均標準報酬月額》や《平均標準報酬額》です。報酬比例部分と言われるもので、その名の通り《報酬(給与)に比例して額が変わる》という性質のものです。ですから、算定基準がどなたも一律である遺族基礎年金の場合と違って、遺族厚生年金に関しては全く同じ金額を受け取っている方は日本中でもかなり少ないと言えます。計算式はかなり複雑ですが、こちらも日本年金機構にて計算式が公表されているものですので、参考までにご紹介します。〈平均標準報酬月額×7.125/1000×平成15年3月までの被保険者期間の月数+平均標準報酬額×5.481/1000×平成15年4月以降の被保険者期間の月数〉×3/4シミュレーションを活用しよう遺族厚生年金をご自身で試算するには、まず《平均標準報酬月額》や《平均標準報酬額》、各期間における加入月数を調べておく必要があります。毎年誕生日頃に届く《ねんきん定期便》や《ねんきんネット》などで把握することはできますが、これらが活用できない場合、ご自身ではなかなかはっきりした試算が出来ないのではないでしょうか。そのような場合には、インターネット上で簡単に遺族年金の額を試算できる無料のシミュレーションの活用をおすすめします。あくまでも目安の金額ではありますが、だいたいいくらくらいもらえるのかの参考にはなります。いくつかの項目について、簡易的に入力するだけで概算がわかりますので利用されてみるのも良いのではないでしょうか。【補足】各種加算について遺族厚生年金には、試算して割り出す受給額とは別に、該当者に特別に加算される金額があります。【中高齢寡婦加算】【経過的寡婦加算】です。ここでは、どのような条件に当てはまれば加算があるのかポイントを解説します。この加算はいずれも《妻》だけが対象となっている点は注意が必要です。残念ながら現行制度ではまだ《遺族である夫》は該当しません。中高齢寡婦加算注意点として、遺族年金について基礎と厚生のどちらも受け取っている方は該当しません。お子さんが居ない、または18歳を超えたため制度上の子が居ないことになり基礎年金を受け取れない遺族厚生年金の受給者で、夫の死亡時に40歳以上65歳未満の場合に【中高齢寡婦加算】があります。加算額は以下の通りです。中高齢寡婦加算の額=585,100円経過的寡婦加算経過的寡婦加算の要件として《昭和31年4月1日以前に生まれた妻》で、妻が65歳以降になれば妻の生年月日に応じて一定の金額が加算されます。この【経過的寡婦加算】は、昭和31年4月2日以降に生まれた妻には支給されませんのでご注意ください。経過的寡婦加算の額は以下の通りです。経過的寡婦加算の額=19,500~585,100円の間の所定の額(生年月日により額は変動する)遺族年金は金額によらず非課税遺族年金はご遺族の大切な生活費としての側面があり、2カ月に一度の振込額も決して少額ではないことから、精神的な支えとしても金額的にも大きな収入です。しかし、遺族年金(基礎・厚生いずれも)は全額非課税です。一般的に「年金」と呼ばれるのは、退職後のシニア層が受け取る「老齢年金」のことですが、この老齢年金は雑所得として課税対象となります。一方遺族年金や障害年金に関しては、年齢によらず条件を満たせば受給対象者となりますが、これらは年金年額や受給対象者の年収など一切関係なく全額非課税です。遺族年金の受給要件&計算方法に関するまとめ遺族年金は、配偶者を亡くした方やそのご家族を支える大切なお金です。生きている限り何かしらの出費はありますが、配偶者の死去により入ってくるお金が大幅にダウンしてしまうことが考えられ、この遺族年金は全ての収入の内で大きな割合を占めることになります。それだけ意味のあるお金だという事です。本記事でご紹介した遺族年金の受給額を知る方法は、あくまでも目安であり確定の金額ではありません。遺族年金に関するご相談やお尋ねは、お近くの年金事務所や市町村の年金窓口、社会保険労務士などの専門家に直接お尋ねください。ただし、詳細までは解らないにしても、概算としてお知りになる方法は本記事にて紹介していますので是非ご活用ください。誰でも利用できる年金シミュレーションも上手に取り入れながら、万が一に備えて、遺族年金以外の遺族補償も備えておくためのひとつの目安にしてはいかがでしょうか。
2020年02月13日夫や妻が死亡し、悲しみのあまり普段の生活もままならない状況が続く方がほとんどかと思います。しかし現実は非常にシビアで、いくら普段通りに生活が出来ないとしても、生活費の支払いは待ったなしです。税金や年金保険料、行政に対して支払うお金に関しては、事情を説明して猶予してもらえる場合もあるでしょう。一方で民間企業に対して支払うべきお金(家賃や住宅ローン、車のローンなど)は、ほとんどの場合そのような事情が通用しません。このような経緯もあり、遺族年金はご遺族にとって生活の要となる非常に貴重な収入源です。本記事では、この遺族年金を受け取ることが出来ない場合について解説していきます。もし「受給できない状態」に該当すると判明した場合は、早めに民間の生命保険や預貯金などで、遺族補償としての対策を打ちましょう。遺族年金がもらえない場合とは一般的に、配偶者の逝去により「遺族年金」の受給手続きを始めると思いますが、手続きの途中で「遺族年金が受給できない」と判明する場合も少なからずあります。遺族年金を受け取れない状態は、大きく分けて2パターンがあります。一つ目はご遺族ご本人が該当しない場合、二つ目は亡くなった配偶者が要件を満たしていなかった場合です。具体的で個別の詳細をお知りになりたい場合は、お近くの年金事務所までご相談ください。障害年金と併給不可の場合もご遺族や亡くなった方の要件以外に、国の制度として受給できなくなる場合もあります。非常に稀なケースではありますが、遺族年金をすでに受給中時に、障害年金を受給する要件に該当した場合、65歳未満の場合はいずれか一つを選ぶことになります。つまり併給不可ということです。ただし、選ばなかった方の年金の受給権は全て消滅するというわけではないので、65歳以上になればどちらも貰えるという事です。原則として「一人一年金」です。基本的には年金の併給はできないと思っておいて良いのですが、例外として併給可能なものがあります。65歳未満の場合は、同じ種類の年金(遺族・障害・老齢)であれば基礎と厚生をどちらも貰うことが出来ます。種類の違う年金の権利が発生した場合には、どちらを受け取るか選ぶ必要があります(一人一年金の原則にのっとる為)。ただし例外として、65歳以降になれば「老齢基礎+遺族厚生」「障害基礎+遺族厚生」「障害基礎+老齢厚生」この3つの場合のみ併給可能です。再婚した場合は打ち切り最初は遺族年金を受給していた場合でも、その後新たなパートナーと新しい人生を歩んでいく場合、元の配偶者からの遺族年金は打ち切りになります。この場合は、年金事務所に「遺族年金失権届」を提出する必要があります。再婚後もそのまま受け取ることは不正行為に当たります。必ず自ら失権届を提出しましょう。①配偶者の年間の収入合計が制限以上の場合遺族年金をもらうためには、以下のような配偶者の年収制限があります。亡くなられた方の配偶者(または子)など遺族年金の対象となる方が、年収850万円以上を生涯にわたって受給できると確定している場合、遺族年金受取不可。現段階で850万円以上であっても5年以内に下回るのであれば遺族年金受取可能。受給者の要件についてこれらの遺族年金をもらうことが出来る方として配偶者や子などがありますが、この場合大切なのが「生計を一にしていた」というところです。いわゆる生計維持関係とも言いますが、同居して家族として一緒に暮らしている場合が一番スタンダードな生計を一にしている場合です。一方、世帯主が単身赴任などで家族とは別のところで暮らしていたとしても、配偶者や子に対して生活費の仕送りをしていることや、定期的に自宅に帰ってくる等の場合は、離れていても生計を維持する関係と言えます。遺族年金は、世帯主が逝去することによる生活費の大幅ダウンを補う公的な年金です。精神的な支えだけでなく金銭的にも支えを失った配偶者やご家族に対して、しっかりとサポートをする役割のあるお金です。②亡くなった方の条件も必要亡くなった方が以下のどちらかの要件に該当していない場合、ご遺族は遺族年金をもらうことが出来ません。どの年金に加入していたかで条件が違いますので、こちらでご確認ください。遺族基礎年金(国民年金)の場合国民年金に加入している人国民年金に加入していた60歳~65歳の人既にこれまで老齢基礎年金をもらっていた方(国民年金に加入していた方)老齢基礎年金の受給資格期間を満たしている方遺族厚生年金(会社員・公務員)の場合厚生年金に加入している人被保険者期間中の傷病が原因となって5年以内に亡くなった方障害年金の受給を受けられる障害等級1級あるいは2級の方老齢厚生年金を既に受け取っていた方老齢厚生年金の受給資格期間を満たしている方亡くなった方の年金が未納だったら?年金保険料を全く払っていない場合は当然に遺族年金は貰えません。しかし、若くで逝去された場合でもご遺族に少しでも年金が支払われるように、納付に関する要件は明確化されています。被保険者の納付要件は以下の通りです。これのどちらかに該当しなければ、たとえ他の要件に該当していても遺族年金は貰えません。亡くなった日の属する月の前々月までの1年間に滞納がないこと亡くなった日の属する月の前々月までの被保険者期間の中で、保険料納付済期間と納付免除期間の合計が2/3以上であること子供の有無がポイント遺族に対する年金は2種類存在するという話はすでにお伝えした通りですが、これらの年金の受給の有無で決定的な違いは「お子さんが居るか居ないか」です。基礎、厚生のそれぞれについて解説します。[adsense_middle]遺族基礎年金の場合遺族基礎年金を受給できるのは「子」または「子の居る配偶者(夫・妻)」です。つまり「子の居ない配偶者」は遺族基礎年金をもらうことが出来ません。これまで解説してきたように、亡くなった方がきちんと国民年金を納めていても、お子さんが居ない場合は遺族基礎年金をもらえないということになります。また「子の居る配偶者」であっても、その子が18歳に到達した年度の3月末までで遺族基礎年金は打ち切りとなります。遺族厚生年金の場合遺族厚生年金を受給できるのは「配偶者」「子」「父母」「孫」「祖父母」の順ですが、配偶者が最優先です。この全員がもらえるというわけではなく、配偶者がいない場合は子、配偶者も子もいない場合は父母、といった順番で受給権者が繰り下がっていきます。遺族厚生年金は、遺族基礎年金と違って第一順位が「配偶者」となっており、つまり「お子さんのいない配偶者」でも受給できるということです。ただし死別した時点で配偶者の年齢が30歳未満の場合、遺族厚生年金は5年で打ち切りとなります。長年別居中では貰えない場合も近年、家族形態の多様化が進み、未入籍のシングルマザーや、働き盛り世代の「別居婚」、シニア層の「卒婚」など夫婦や家族のスタイルは様々です。遺族厚生年金の観点からいうと問題になってくるのは、いわゆる「別居婚」や「卒婚」といわれる「別居または別世帯での夫婦形態」の場合です。遺族厚生年金の受給要件の一つに「生計を一にしている」というものがあります。この場合の配偶者が逝去した場合に支払われるのが遺族厚生年金ですので、そもそも生前にすでに別居していたり世帯を分けて実体のない夫婦関係である場合は、生計維持関係とみなされず、たとえ籍を抜いていなくても遺族厚生年金の要件に該当しない場合があります。別居の理由が仕事上の単身赴任である場合や、親族の介護のため実家に帰っている等社会通念上正当な理由がある場合はこの限りではありません。ただし、長年別居していても籍を抜いておらず、戸籍上の夫婦である場合は、配偶者の死亡時に法定相続人として相続権は発生します。遺族年金がもらえない場合に関するまとめ遺族年金をもらう、と一口に言っても、「遺族基礎年金」なのか「遺族厚生年金」なのかによって受給できる条件が全く違います。大まかにいうと、お子様の有無は非常に大きなポイントとなりますし、受け取る側の所得の制限もあります。また他の年金との併給に関しても、一定の年齢にならなければどちらか一つの年金を選ぶ事にもなります(併給不可)。それら様々な要件をクリアして、最終的に遺族年金を受け取ることが出来ます。配偶者と死別した時点での生活環境に変更があるときは、速やかに年金事務所に届け出ましょう。
2020年02月02日配偶者を亡くした方が受け取ることが出来るのが「遺族年金」ですが、この遺族年金は死別後の生活費としていただくものです。同じく老後の生活費として受け取る「老齢年金」や所定の障がい状態になった場合に受け取る「障害者年金」もあります。いずれも、なにかしらで困っている人が受け取る「生活費」としての側面がある年金ですが、これらの年金に対しては、果たして税金を払わなくてはいけないのでしょうか。今回は、特に遺族年金について税務関係を確認していきますが、わかりやすいようにその他の年金とも比較しながら解説していきます。税金のかかる年金とは?年金には3つの種類があります。一般的に「年金」と呼ばれるものは「老齢年金」です。定年退職後の老後資金として受け取るものです。他に「障害者年金」は、所定の障がい状態になった場合に受け取ることが出来ます。最後に「遺族年金」ですが、これは配偶者を亡くした方で、なおかつ一定の条件を満たした方が受け取ることのできる年金です。公的年金の税務の取り扱い公的年金等の内、老齢年金(基礎年金・厚生年金いずれも)は雑所得として課税対象になります。一方、遺族年金と障害者年金に関しては、受給する金額に関係なく非課税となります。年金は貴重な収入世帯主の逝去に伴い、その後はそれまでのような生活が出来なくなる方がほとんどです。たとえば住居が賃貸の方は、もう少し家賃の安い部屋に引っ越しを余儀なくされる場合もあるでしょう。団体信用生命保険に加入して住宅ローンを組んでいた場合でも、負債は保険により相殺され住宅が残ったとしても、たとえばそこが地域の中でも一等地だった場合などは固定資産税の支払いが生活を圧迫する場合もあります。このようなことから、遺族年金を受給している方にとって、この年金は非常に貴重な収入となっていることは間違いありません。ここからは、少しでも生活の負担を軽減することが出来るポイントをご紹介していきます。確定申告で受けられる控除遺族年金を受給しているということは、確定申告や年末調整の際に「寡婦控除」「寡夫控除」「特別寡婦控除」のいずれかを受けられる場合があります。自ら申告しなければ誰も指摘してくれませんので、案外これらの控除を忘れている方もいらっしゃいます。控除を受けることができる権利があるのに手続きを失念すると、せっかくの権利が無駄になってしまいます。ここから詳細を解説していきますので、該当する方は是非覚えておかれると良いでしょう。寡婦(寡夫)控除は27万円、特別寡婦控除は35万円の所得控除となります。所得控除とは、一定の要件に当てはまる場合、所得合計から一定の控除額を差し引くことを指します。この所得控除には上記にて紹介した寡婦控除等を含めて細かく15種類もあります。これらは、該当する場合には全てご自身で申告しなければ控除を受けられませんので、節税のためにも必ずチェックしましょう。よく知られているものでは「医療費控除」「生命保険料控除」「寄附金控除(ふるさと納税も含む)」がありますが、詳細は国税庁ホームページ等でご確認ください。①寡婦控除寡婦控除には2つの要件があり、この内いずれかに該当すれば控除適用となります。寡婦控除・条件1「夫と死別、もしくは夫と離婚後婚姻をしていない人、または夫の生死が明らかでない一定の人で、扶養親族(子以外)がいる人、または生計を一にする子があること」。つまりこの場合は、配偶者と死別した人だけではなく、離婚して子供のいるシングルマザーでも寡婦控除の対象となるということです。寡婦控除・条件2「夫と死別した後婚姻していない人、または夫の生死が明らかでない人で、合計所得金額が500万円以下であること」。この場合は条件1とちがい、子供の有無は関係ない代わりに所得の制限があります。寡婦(寡夫)控除の概念における「死別」「離婚」とは、法律上の婚姻関係にあった者との死別や離婚を指します。未入籍であったり、事実婚や内縁関係のままであったりは、これらの寡婦控除を受けることは出来ません。しかし近年、家族スタイルの多様化から未入籍でシングルマザーになる方も増えてきた背景があり、今後の法改正のポイントとなっています。②寡夫控除二つ目は「寡夫控除」です。この概要は、ほとんど寡婦控除の条件と類似していますが「妻と死別または離婚後に再婚していないこと」「生計を一にする子があること」「合計所得が500万円以下であること」の3つを全て満たす必要があります。死別だけでなく、お子さんを連れて離婚したシングルファーザーの方でも、合計所得500万円以下であれば寡夫控除を受けることが出来るということです。逆に、妻と死別をしてもお子さんがいらっしゃらなければ寡夫控除の適用外ということになります。③特別寡婦控除特別寡婦控除とは、以下の要件全てに該当する場合に受けることが出来ます。通常の寡婦控除の要件をさらに厳しくしたものというイメージで良いでしょう。特別寡婦控除は「妻」のみに限られ、夫の場合は特別な寡夫控除制度はありません。夫と死別した、または離婚した、または夫の生死が不明生計を一にする子がいる合計所得が500万円以下市民税・住民税が軽減される寡婦(寡夫)控除や特別寡婦控除を適用すると何がメリットかというと、その控除額が所得から差し引かれることにより、市民税や住民税の算出根拠となる所得自体を少なくすることが出来ます。補足・シングルマザーの場合これまでの解説の通り、未婚のシングルマザーの方は現状では寡婦控除を受けることが出来ません。あくまでも婚姻歴のあるシングルマザーの方が対象です。しかし、未婚のシングルマザーの方は2021年から個人住民税が非課税になるという制度が新たに開始されることになりました。政府としても家族の多様化をサポートする姿勢が見られます。計算上節税になるポイントここからは、計算上「節税」ということになるポイントを解説します。主に、税制上や健康保険についてまとめていますが、いずれも知られていない場合が多く、せっかく制度として設けられているものばかりなので、是非こちらでご確認ください。[adsense_middle]健康保険のポイント例えば、既に成人したお子様の世帯に入れてもらっている方であれば、健康保険のポイントとして「生計を一にしている方の扶養に入る」ことができます。ただしこれは、お子さんが国民健康保険以外に加入していることが前提です。給与所得者で健康保険組合などに加入している場合であれば、被扶養者として健康保険に加入することが出来ます。お子さんが国民健康保険に加入している場合は、被扶養者となったとしても、通常通りおひとり分の保険料を払わなくてはいけないので、おひとりで加入しても扶養親族となってもあまり意味がないと言えます。さらに、75歳以上になると加入している健康保険に関わらず、皆さんが「後期高齢者医療制度」に加入することになりますので、健康保険上の扶養親族になれるのは実質75歳までということになります。健康保険の被扶養者になるには、以下の2つの収入の制限があります。「遺族年金も含めた年間収入が130万円未満、60歳以上の場合は180万円未満であること」「被保険者(世帯主)の収入の1/2以下であること」扶養控除の場合は年収制限がありませんが、健康保険における被扶養者に関しては年収制限がありますのでご注意ください。扶養にすると世帯の節税になる上記の様に、遺族年金を受給している家族を扶養親族として迎える場合、その受け入れる側の世帯にとってもメリットがあります。扶養親族が増えるという事は「扶養控除」が発生します。扶養控除は所得控除ですので、結果として住民税と所得税の節税となります。扶養控除額扶養控除は年齢によって控除額が違います。23歳以上70歳未満の親族…38万円70歳以上の親族(老人扶養親族)…48万円(ただし同居の場合は58万円)年末調整での証明について給与所得者の場合、確定申告ではなく年末調整にて税務手続きが完了します。上記のような「遺族年金を受給している同居親族を扶養親族にする場合」は年末調整の書類にて、扶養控除や老人扶養控除を申告することで手続きは終わります。ただし、遠方に住んでいて仕送りをしている等で「別居だが生計を一にしている状態」である場合、勤務先によっては仕送りした通帳の履歴などの確認が求められる場合もあります。ここでの別居とは、親が老人ホームなどの施設に入居していて、施設での入居費用や身の回りの世話をしている場合も含まれます。義父母の場合どうなるか?遺族年金を受給している義父母がいる場合も、実の父母同様に扶養親族とすることができます。しかし、ひとつだけ違う点があります。それは「同居していること」が前提です。いくらこちらから仕送り等をきちんと行っていて、事実上生計を一にしている形になっていても、別居の義父母であれば扶養親族にはあたらない、ということになっています。非課税の年金&遺族年金の税務と節税に関するまとめいかがでしたか。遺族年金を受給している世帯にとって、年金額の多寡に関わらず非常にありがたいお金です。亡くなられた方がきちんと年金保険料を納めていたからこそ、ご遺族が2カ月に1度まとまった金額を受け取ることが出来るものです。亡くなられた方からの「天国からの生活費の仕送り」だと思えば、少しでも工夫をして大切に遣いたいと思うのではないでしょうか。今回ご紹介した節税のポイントについても、これは決して裏技や法の抜け道ではありません。正当に公になっているものばかりですので、どうぞ正々堂々と大いにご活用ください。また、一般的な税務に関してはFPでもご紹介・ご案内が可能ですが、税務の詳細、具体的な算出根拠やその理由について等、具体的な個別相談に関しては税理士までご相談ください。
2020年02月02日配偶者と死別した後、良きパートナーに恵まれ再び人生を共にする方もいらっしゃるでしょう。今後高齢化が進むのは間違いありませんから、長い人生を歩んでいくために家族がいるのは心強いものです。もし素敵なご縁があって再婚することになった場合、これまでに受け取っていた遺族年金については一体どうなるのでしょうか。今回は、再婚後の遺族年金(基礎・厚生)の取り扱いに関して、いくつかタイプ別に分けて解りやすく解説します。なお、基本となる遺族年金の概要についても触れながら進めていきます。遺族年金の概要遺族年金とは、【遺族基礎年金】と【遺族厚生年金】の二種類があります。フリーランスや自営業で国民年金のみ加入している場合は基礎年金のみを、会社員等の給与所得者の方で厚生年金に加入している場合は、基礎・厚生の二つとも受け取る権利があります。細かな受給要件の概要は、以下でポイント解説をします。受給資格者の年収制限生前、厚生年金に加入していた方のご遺族には、収入の上限の定めがあります。その他の要件も満たし、なおかつ年収850万円未満の配偶者は遺族厚生年金を受け取る権利が生じます。遺族が妻の場合、この年収制限のみに該当すれば【遺族厚生年金】を受け取りますが、ここで問題となるのが《夫が遺族になった場合》です。妻が死亡し【遺族厚生年金】の受給対象となった夫の場合、850万円未満という年収制限に加えて、夫の年齢が55歳以上の際に妻が亡くなった場合、夫が60歳以降にならなければ【遺族厚生年金】をもらうことができません。例えば若くで奥様と死別されシングルファーザーになった場合でも、年収に関係なく年齢条件に該当しない場合は一切【遺族厚生年金】が支給されないという事です。対象者まず【遺族基礎年金】の受給対象者は《子または子のある配偶者》とされています。以前は「子のある妻」に限定されていましたが、近年の家族環境の多様化を受けて改正され、現在では夫婦どちらも対象となりました。【遺族厚生年金】を受け取ることが出来る順番として、第一に「配偶者」「子」です。遺族厚生年金における配偶者は、お子さんが居なくても受給対象者となります。ただし、夫の死亡時に妻が30歳未満でなおかつお子さんがいらっしゃらない場合は、5年間のみの期間が定められています。①子供のいない妻(夫婦のみ世帯)の場合子どものいない妻が新しいパートナーと再婚する場合、遺族年金は打ち切りとなります。この場合の「遺族年金」とは【遺族厚生年金】を指します。なぜなら、遺族基礎年金の受給要件として「子」または「子のある配偶者」ですから、お子さんのいらっしゃらない場合は【遺族基礎年金】の受給対象者には該当しません。入籍の有無に関わらず、生活を共にして夫婦同然の暮らしをしている相手がいる場合(いわゆる内縁や事実婚と呼ばれる状態)は再婚とみなされます。未入籍だからバレないだろう等の問題ではありません。年金制度全体において、このような不正受給は厳しく処罰されます。この場合の受給資格者①の場合に受け取ることが出来る人は存在しません。そもそも遺族年金とは、生計維持者の死亡により同一生計だったご家族が生活に困窮しないように支給されるものです。お子さんのいらっしゃらない配偶者が新たなパートナーと再婚すれば、そこで新たな生計維持関係が発生しますから、従前の年金は打ち切りになるという事です。②子供のいる妻の場合子どものいる妻の場合、さらに2つに分けて解説します。お子さんと新しいパートナーとの養子縁組を行うか否かで、これまで受け取っていた遺族年金の支給状況が大きく変わります。子供のいる妻の遺族年金についての共通事項として【妻の年金と子の年金】を合算して、ここでいう母である妻が受け取っています。再婚すれば当然、妻は全ての遺族年金が打ち切りになります。子に関しては、新しい夫と養子縁組するか否かで、基礎年金と厚生年金の取り扱いが全く変わってくるということです。養子縁組する場合再婚し、子供と新しいパートナーを養子縁組する場合でも、基本的に子の持つ遺族年金を受け取る権利は同じで変わりません。ただしもともと基礎・厚生のどちらも受け取っていた場合、養子縁組後は遺族厚生年金のみの受給となります。この場合も当然に再婚した妻の遺族年金は打ち切りとなります。この場合の受給資格者この場合に受け取ることが出来るのは《子》のみです。ただし基礎年金部分は消滅し、厚生年金のみ存続となります。養子縁組しない場合妻が再婚し、事情があってお子さんと新しいパートナーを養子縁組しない場合(たとえば親族に預ける等)、お子さんの持つ遺族年金の権利はいずれもそのままです。つまり、母親が再婚しても新しい配偶者と子を養子縁組しなければ、お子さんの年金は再婚前と同じ状態であるということです。また、再婚すれば当然に妻は全ての遺族年金は打ち切りです。この場合の受給資格者この場合で年金を受け取ることが出来るのは「子」のみです。ただし新しい親と養子縁組をしていないことから、遺族年金(基礎・厚生)いずれもこれまで同様に受給することができます。つまり子にとっては、母親の再婚前と何も変わらないということです。③新しい配偶者が死亡した場合夫と死別した妻が子供を連れて再婚した後、新しい配偶者が亡くなった場合も養子縁組の有無により受給権が違ってきます。妻の場合、子の場合、それぞれに分けて解説します。養子縁組していた場合前提条件として、新しい配偶者が会社員で厚生年金加入・子が18歳未満であるとした場合、妻は【遺族基礎年金】【遺族厚生年金】を受け取ることになります。子が養子縁組をしていた場合は、子にも遺族基礎年金と遺族厚生年金の権利が発生しますが、合わせて母親(妻)への支給となります。養子縁組していなかった場合養子縁組をしていなかった場合は、新しい配偶者(新しい父親)の子に対する遺族年金に関してなんの権利も発生しません。妻は婚姻関係にあったので、夫の死亡に伴い遺族厚生年金を受け取ることになります。すなわち、この場合に年金を受け取るのは《妻のみ》ということです。【補足】遺族厚生年金の支給額遺族厚生年金の額は、亡くなった方の収入に応じて決まります。詳細な額は年金事務所などでご相談することになりますが、最近では、年収等のデータを入力すると、簡易的に遺族厚生年金の額を調べることが出来るシミュレーションがウェブ上で公開されています。安心できるサイトで調べてみるのもオススメです。④子供を引き取って再婚した夫が死亡した場合当初の離婚の際に、子が妻でなく夫に引き取られ、さらに夫が子供を連れて別のパートナーと再婚し、その後死亡した場合は少々複雑です。まず、既に離婚しているので当然に前妻は何の遺族年金も発生しません。元夫の死亡により受給権が発生するのは、後妻にあたる新しい配偶者と、夫が引き取った子です。この場合、後妻と子が養子縁組をしていなかったとしても、子も後妻も遺族基礎年金・遺族厚生年金の対象者となります。いずれにしても、お子さんは絶対的にその年金の権利を失うことはありません。【補足】⑤子供のみが受給者になる場合親権者不在で、不幸にも子供たちだけが遺された場合、その子供たちに対して直接【遺族基礎年金】が支払われます。遺族基礎年金を受給できる対象者として《子または子のある配偶者》です。亡くなった方から見て配偶者、お子さん達から見ると親が不在であっても、子に対する年金の権利は残ります。付随して、お子さんたちだけになってしまった場合でも、然るべき行政サービスを受けることが出来ます。再婚する場合の手続きこれまでに遺族年金をもらっていた方が再婚する場合、「遺族年金失権届」という書類を自ら年金事務所へ提出しなければなりません。再婚の際、この失権届の提出を失念してしまうと後で大変なことになります。遺族基礎年金は14日以内に、遺族厚生年金は10日以内に、お住まいの地域の年金事務所や関連の出張所まで提出しましょう。遺族年金受給者の再婚に関するまとめ遺族年金を受給している方が、新しいパートナーと再婚する場合、再婚にもいろんなパターンがありますが、全てに共通していることとして《配偶者は再婚後に全ての遺族年金受給権を失う》という事です。一方子どもの場合は、新しい配偶者との養子縁組の有無によって遺族厚生年金のみになることはあっても、全ての遺族年金が打ち切られることはありません。いかなる場合でも子どもは守られるべき存在です。また、再婚したら自動的に遺族年金が打ち切られるわけではありませんので、必ず年金事務所等へ【遺族年金失権届】を自ら提出しましょう。個別案件のご相談結果は様々です。個別のご不明点は、ご自身にて年金事務所等でご相談ください。
2020年01月31日結婚し、ともに家庭を築いてきた配偶者が逝去することは、縁起でもないので本来ならあまり考えたくないものです。しかし、万が一そのようなことになってから考えるとなると、配偶者の死後は各種手続きでの時間も必要となりますし、事務手続きと並行して考えることも多いとなると、心身ともに大変お辛いかと思います。不幸にも若くして配偶者と死別し、幼い子供を抱えたまま未亡人になる方も中にはいらっしゃいます。遺族年金制度とは、高齢者になってからの死別のみが対象ではありません。では、配偶者と死別した場合の生活保障などはどうなるのか、最低限の知識は前もって身に付けておくと安心でしょう。本記事では、配偶者と死別したその後の生活費として受給する【各種遺族年金】について、いくらもらえるか等についても解説していきます。遺族年金とは遺族年金とは、その名の通り「世帯主(正式な呼び名は生計維持者と言います)の逝去に際し遺された遺族に対し年金形式で支払われるお金」のことです。遺族年金といってもその内訳は2種類あり、一つは【遺族基礎年金】、もう一つは【遺族厚生年金】です。遺族の補償として【基礎年金】だけなのか【厚生年金】だけなのか、どちらとも受け取ることが可能かの違いがあります。この場合における受給権の算定基準となるのが、世帯主の年金加入状況です。フリーランスや自営業の方で、国民年金だけ加入していた(現在加入中)のか、会社員などの給与所得者として厚生年金に加入していた(現在加入中)のかが、遺族年金を決める大きなポイントとなります。以下、亡くなった方が【厚生年金加入】か【国民年金加入】か、それぞれについて概要をまとめていきます。年金受給は高齢者だけではない通常「年金」と聞くと、大半の方が「老齢年金」をイメージするでしょう。一般的にはそのとおりで、一定の年齢に達した高齢者の方がもらっているのが、一般的な「年金」です。しかし実は年金制度には、この老齢年金以外にあと二つの年金があります。ひとつは今回のテーマである【遺族年金】であり、もう一つは【障害年金】です。この遺族年金と障害年金に関しては、若年層であってもこれらの事由に当てはまれば、年金としてお金を受け取る権利が発生します。すなわち、老齢年金のみ一定の年齢以上に達しなければもらえない年金であり、他の二つの年金に関しては年齢問わず誰もが受給対象になり得るということです。もちろん受給するためには年金保険料を納付していること等の要件はありますが、年金には3種類あると覚えておくと良いかと思います。①厚生年金加入の場合お亡くなりになった方が生前会社員などサラリーマン(給与所得者)だった場合、ご遺族に何らかの遺族年金が支払われる要件として、ご本人(世帯主・生計維持者)が以下の要件の内いずれかに該当しなければ、ご遺族は補償を受けることができません。短期要件厚生年金に加入中である(在職中の死亡の場合)厚生年金加入中の初診日における病気またはケガが原因で5年以内に死亡した場合長期要件【老齢厚生年金】の受給資格期間が25年以上既に【老齢厚生年金】を受け取るようになった場合この長期要件のいずれかに該当する場合は、加えて以下の年金保険料の納付に関する要件にも当てはまる必要があります。国民年金加入期間の内、納付済期間が2/3以上であること(免除は納付済とみなされる)【特別措置】令和8年3月31日までに65歳未満でお亡くなりになった場合、死亡の前々月迄の1年間に保険料の滞納が無いこと②国民年金加入の場合お亡くなりになった方が、生前に自営業者やフリーランス等で国民年金のみの加入だった場合、そのご本人が以下の要件の内いずれかに該当していなければ、ご遺族は遺族年金を受給できません。国民年金加入中であること国民年金に加入していて60~65歳の日本在住であること既に【老齢基礎年金】を受け取っていることさらに、厚生年金加入の場合の長期要件で解説したものと同じ「老齢基礎年金の受給資格期間が25年以上ある」「特別措置として令和8年3月31日までに65歳未満でお亡くなりになった場合、死亡の前々日までの1年間に保険料の滞納が無い」という要件も必須です。ご注意ください。遺族の受給要件について遺族年金を受け取る為の要件として、亡くなられた方だけでなく、残されたご家族の要件もあります。亡くなった方の生前の働き方によって大きく2つに分けられます。サラリーマンの場合、自営業者の場合に分けて解説していきます。[adsense_middle]サラリーマンの場合亡くなった方がサラリーマンだった場合、ご遺族は「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」のいずれからも貰える権利があります。ただし、遺族が以下の要件を満たすことも必要です。子どもの有無に関わらず妻(ただし子供がいない30歳未満の配偶者は5年間のみ支給)高校卒業相当の年齢に達するまでの子妻が世帯主(生計維持者)である場合の夫で、55歳以上で遺族基礎年金を受給している場合上記の要件は「第一順位」の場合です。この後第一順位に該当する方がいない場合、それ以降の順位として「父母」や「孫」「祖父母」に受給権が発生することもあります。自営業の場合亡くなった方が自営業者の場合は、ご遺族が受け取ることのできる遺族年金は「遺族基礎年金のみ」となります。さらに遺族が受給できる条件として、以下の条件に該当しなければなりません。子(18歳の年度末を迎えるまで)子のある配偶者(夫または妻)お子さんの居ない専業主婦の方は注意世帯主が自営業者で配偶者が専業主婦で、なおかつ18歳未満のお子様がいらっしゃらない場合、上記の受給要件のいずれにも該当しないということになり、結果として【遺族基礎年金】は受給できません。この場合は将来の老後資金に対策として、早い内からご夫婦で話し合い備えておく必要があります。夫婦二人ともが国民年金のみに加入している場合は早めの対策を上記のようにお子さんが居ないご夫婦の場合、条件によっては遺族に対する補償が全く受けられない、ということも考えられます。例えば、ご夫婦二人で美容室や飲食店など自営業を営んでいる場合などは早めの対策がポイントです。世帯主様がお亡くなりになった後、お仕事自体の存続をどうするかも考える必要があり、さらに店舗兼住宅の場合は「お店を閉店せざるを得ない場合の住居」についても問題となる場合があります。このように、ご夫婦二人ともが国民年金のみ加入している場合は、万が一に備えて多角的なプランニングが必要です。夫が会社員の場合はWで受給できる場合あり世帯主(生計維持者)がサラリーマン等の給与所得者で、厚生年金加入の場合、遺族年金(基礎・厚生)どちらの受給要件も満たしている場合は、合わせた額を受給することが出来ます。一般的な例としては「18歳未満の子のいる妻」ですが、実際の年金受給に関しては個別条件が違いますので、年金事務所等でお尋ねください。受給の金額と受け取り方法受給の金額は、遺族厚生年金に関しては亡くなられた方の生前の給与に比例し算定されます。一方遺族基礎年金は、要件に該当さえすればどなたにでも一律同じ額が支給されます。遺族厚生年金の支給額【遺族厚生年金】の額の算出に関しては、平均標準報酬月額や亡くなられた方の年金加入期間等を基に、所定の倍率をかける等細かく計算をします。また、毎年少しずつ改定も行われており1円単位で変動していることから、遺族厚生年金の支給額に関してはご自身での計算はオススメしていません。概要を計算してみたい方は、遺族厚生年金のシミュレーションを無料で利用できるウェブサイトもありますので、そちらを利用すると良いでしょう。遺族基礎年金の支給額遺族基礎年金はどなたにでも一律です。計算式は以下の通りです。【780,100円+子の加算】★第2子までは一人当たり224,500円、★第3子以降は一人当たり74,800円受け取りは2カ月に1度遺族基礎年金、遺族厚生年金いずれも、2カ月に一度指定した金融機関への振込が原則です。また、毎年料率の改定も行われており、おおむね毎年少しずつ減っているのが現状です。妻が知っておきたい遺族年金の基本に関するまとめいかがでしたか。お子様の有無によって受給できなかったり、死別した時の配偶者の年齢などによっては途中で打ち切られることもあるという事実は、なかなかショッキングな内容だったのではないでしょうか。遺族年金の制度自体は広く知られていますが、条件によっては受け取ることが出来ない場合があることも、今回を機に知って頂くことが出来たかと思います。さらに、今回の記事を読んで遺族年金の受給要件に該当しないと判明した方は、今からでも備えをスタートすることが可能です。遺族年金に代わるような老後資産作りを早速はじめませんか。おひとりでの生活になると、これまでの生活費から何割くらい抑えれば暮らしていけそうか等も考慮する必要があります。夫婦、また家族が健康で末永く時間を過ごすことが大前提ではありますが、万が一の場合の知識を持っておくかおかないかは、その万が一が訪れたときに慌てず対応できるポイントとなります。
2020年01月30日名優ソル・ギョングと“カンヌの女王”と称されるチョン・ドヨンが18年ぶりに再共演し、セウォル号沈没事故遺族の喪失と愛を描く『君の誕生日』が、6月5日(金)に公開決定。併せて日本版アートワークおよび予告映像が到着した。2000年のイ・チャンドン監督『ペパーミント・キャンディー』で新人俳優賞を総なめにし、2002年の『オアシス』、2003年の『シルミド SILMIDO』などで活躍。近年もアルツハイマーの連続殺人鬼を演じた『殺人者の記憶法』や民主運動家を演じた『1987、ある闘いの真実』が記憶に新しく、今年はハン・ソッキュとW主演する『悪の偶像』も公開されるソル・ギョング。そして、2007年の『シークレット・サンシャイン』でカンヌ国際映画祭主演女優賞を獲得し、2010年の『ハウスメイド』がカンヌ国際映画祭のコンペティション部門に選出され、“カンヌの女王”とも称されるチョン・ドヨン。韓国映画界を代表するトップ俳優2人が2001年の『私にも妻がいたらいいのに』以来、18年ぶりの共演を果たし、わが子を亡くした喪失感と、切ない愛を抱きながら生きる遺族の姿を熱演する。監督は、『オアシス』『シークレット・サンシャイン』『バーニング劇場版』などで世界を魅了する巨匠イ・チャンドン監督のもとで経験を積んだ新鋭イ・ジョンオンが務め、本作で長編デビュー。監督自身がボランティア活動を通じ、長い期間遺族と接する中で生まれた本作は、韓国全土が悲しみに包まれた2014年4月16日、修学旅行中の高校生ら300人以上が犠牲となったセウォル号沈没事故を正面から取り上げる。本年度アカデミー賞には、『パラサイト 半地下の家族』のほかに同事故を取り上げた短編ドキュメンタリー『In the Absence』(英題)もノミネートされており、いま改めて注目される題材となっている。今回解禁された予告映像では、亡くなった息子スホの近づいてくる誕生日を軸に、共に記憶し、悲しみを分かち合うことがどれだけ生きていく上での励みになるか。忘れられない傷を持つ全ての人々に寄り添う、温かな感動を予感させている。『君の誕生日』は6月5日(金)よりシネマート新宿ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2020年01月24日まずは情報収集「20歳になったら障害年金の申請ができる」ということはうっすらと知ってはいましたが、それが現実味を帯びてきたのは娘が高校3年(18才)のときです。きっかけは学校主催の保護者向けの障害年金説明会でした。講師の日本年金機構の担当の方の話によると、申請に必要な主な書類は1.医師による『診断書』2.初診時の医療機関が書く『受診状況等証明書』(初診時の医療機関と診断書を作成した医療機関が異なる場合)3.請求者(本人や保護者)が作成する『病歴・就労状況等申立書』で、その中で私が「一番大変そう」と感じたのは3.の『病歴・就労状況等申立書』(※1)でした。※1発症から現在までの日常生活状況や就労状況を3~5年に分けて記載する。「?」がいっぱい『病歴・就労状況等申立書』の記入欄には「発病日」(※2)や、「障害認定日」(※3)などといった、聞きなれない用語もありました。また、「初診日」(※4)にも細かな規定がありました。※2「発病日」・健康診断で異常が発見された場合は、異常を指摘された日・先天性疾患の場合は、症状を自覚したときまたは検査で異常が発見された日・生来性の知的障害(精神遅延)の場合は出生日※3「障害認定日」障害認定日は原則として初診日から1年6ヶ月後の日を言いますが初診日から1年6ヶ月を経過する前に20歳の誕生日が到来する場合は20歳の誕生日(正確には20歳の誕生日の前日)が障害認定日となり、その日以降に障害年金の手続きを行うことができる。一方初診日から1年6ヶ月後の日が20歳の誕生日以降に到来する場合は原則通り初診日から1年6ヶ月後の日が障害認定日となる。※4初めて診療を受けた日を記入するが、初めて診療を受けるよりも前に次のようなことがあったら、その日を記入。・健康診断で異常が発見され療養に関する指示を受けた場合は、健康診断日・生来性の知的障害(精神遅延)の場合は出生日娘の場合、どれにあてはまるのか私には判断できませんでした。Upload By 荒木まち子また「傷病名」(=診断書の病名)についても障害年金申請は審査基準が複雑で、複数の傷病がある(例:うつ病とパニック障害、知的障害と発達障害など)場合、どの病名で申請すれば良いのかなどは素人には到底判断ができそうにありませんでした。さらに「傷病があったとしても、薬などでコントロールできている(例:てんかんがあるが、薬で発作が抑えられている)場合は障害年金支給の対象外になる」など、障害年金の申請の難しさを感じました。説明会の後しばらくして別件で役所に行く機会があった私は、帰り際に年金課に寄り、障害年金の申請書をもらうことにしました。Upload By 荒木まち子早すぎた!私は「申請用紙をもらうだけ」と軽い気持ちで年金課の窓口に行ったのですが、窓口の職員さんからは娘の障害名や現在の状況など細かな聞き取りがありました。(職員さんはメモを取っていました)障害年金申請書類一式をもらうことはできましたが、職員さんに「時期が早すぎるので、20歳の誕生日の3カ月くらい前に改めて窓口に相談に来てください」と言われました。請求するときに必要な書類等 | 日本年金機構申請書のサイズの大きさにビックリ!Upload By 荒木まち子娘は20歳前の障害なので「障害認定日」は“20歳の誕生日の前日”になります。その場合、申請には障害認定日の前後3カ月以内に医師が作成した診断書が必要です。診断書作成は早すぎてもだめですが、保護者が作成する『病歴・就労状況等申立書』は早めに準備をしても大丈夫な書類です。私は少しずつ、『病歴・就労状況等申立書』の作成に取り掛かることにしました。娘が小学生以降の資料はコラムやブログを書くときに使用していたので、すぐに取り出せる場所にありましたが、産まれてすぐのときの細かな資料や記録は、娘が幼年期に作った作品やアルバムなどと一緒に『思い出ボックス』に保管してありました。何度も引越しを経験しているわが家には、以前の引越しのときに箱詰めしたままの段ボール箱があり、「思い出ボックス」もその中にありました。開けたら過去の思い出に浸ってしまうことは容易に想像ができましたが(笑)私は娘の20年分の記録を読み返す作業を始めたのでした。続く...年金受給者(老齢年金・障害年金・遺族年金)に関する届出・手続き | 日本年金機構
2019年12月06日自分がもらえる年金はいくらなのか、スマホで”最短3分”で試算できるサービス「撮るだけねんきん試算」が登場しています。公的年金は、老後や働けなくなった時、死亡したときにも受け取れます。年金受給額が分からない方は、このサービスを使って試算してみましょう。「撮るだけねんきん試算」とは?撮るだけねんきん試算とは、スマホで「ねんきん定期便」を撮影するだけで、自分がいくら年金を受け取れるか試算できるサービスです。西日本シティ銀行が、今月からサービスを開始しました。ねんきん定期便って?年1回・誕生月に、日本年金機構から年金加入状況を知らせる青いハガキが届きます。このハガキが”ねんきん定期便”です。ハガキの見方が分からない将来いくら年金がもらえるか書いていない年金額が少なくて驚いたこうした方もいるでしょう。というのも、50歳未満の人のねんきん定期便には、今までの加入実績による年金額しか記載されていません。筆者も、自分のねんきん定期便を見てみたところ”年間21万円”、月額にすると2万円弱と書いてあります。ねんきん定期便を見るだけでは、将来受け取る年金額は分からないのです。「撮るだけねんきん試算」の使い方将来の年金額を知りたいときは、3分で手軽に試算ができる「撮るだけねんきん試算」がオススメです。早速使ってみました。手順①年齢や職業を入力入力する自分の情報は、この5つです。生年月日も入力する必要がなく、30秒ほどで入力できました。年齢性別職業現在の年収配偶者、子供の年齢手順②カメラでねんきん定期便を撮影カメラ起動のボタンを押して、ねんきん定期便を撮影します。撮影したデータから必要な情報が読み取られ、自動で入力されます。カメラを使わず直接入力することもできるので、パソコンから試算も可能です。試算完了!たったこれだけで「老齢年金・障害年金・遺族年金」3種類の年金額を、まとめて試算してくれます。「撮るだけねんきん試算」をおすすめする3つの理由日本年金機構のウェブサイト”ねんきんネット”でも老後の年金は試算できます。両方のサービスを使って感じたのは、撮るだけねんきん試算の3つのメリットです。おすすめ①難しい作業は一切なし、スマホとハガキだけで確認できるスマホとハガキ(ねんきん定期便)があれば、家族の生年月日が分からなくても試算は完了します。難しい作業は一切なし、会員登録も不要です。利用登録準備するもの撮るだけねんきん試算○不要スマホねんきん定期便ねんきんネット(日本年金機構)✕必須ID、PW、メールアドレスなどスマホねんきん定期便基礎年金番号メールアドレス…などおすすめ②障害年金・遺族年金もシュミレーションできるこれも「撮るだけねんきん試算」ならではのサービスです。老齢年金障害年金遺族年金撮るだけねんきん試算◎◎◎ねんきんネット(日本年金機構)◎✕✕障害で働けなくなったとき、健康保険から受け取る傷病手当金もまとめて試算できます。障害年金は働けなくなってもすぐには貰えない遺族基礎年金は子供が成長すると受け取れなくなる厚生年金のみ・基礎年金のみといった受給パターンがあるこのように本来は複雑な障害年金・遺族年金ですが、試算をすると受給額の推移がグラフになり、どのくらい年金が受け取れるか分かり易くなっています。おすすめ③「撮るだけ」なのに、撮らずに試算もできるねんきん定期便のデータから、一人ひとりに合わせた年金額を計算してくれますが、手元にねんきん定期便がない場合も、試算ができます。ハガキが無い場合のの試算額は、これまでも現在と同じ仕事に就いていたと仮定した額です。より詳しく試算するなら、ねんきんネットも活用!手軽に年金額を知りたいなら撮るだけねんきん試算がオススメです。一方、日本年金機構のウェブサイト「ねんきんネット」では、老後の年金をより詳しく試算できます。納めていなかった保険料を払ったら、年金がいくら増えるか年金を受け取りながら働き続けたら、年金がいくらに減るか簡単・手軽な「撮るだけねんきん試算」と、いろいろなパターンの試算ができる「ねんきんネット」どちらも活用するのがよいでしょう。老齢年金額撮るだけねんきん試算○目安が分かるねんきんネット(日本年金機構)◎より詳しく分かる若いうちから年金受給額を試算する必要性は?メリットを2つご紹介年金受給額を試算することは、老後までまだ時間がある若い世代にもメリットがあります。メリット①これからいくら積み立てたらいいか分かる老後に受け取る年金額が分かると、老後に足りないお金の目安が付けやすくなります。「老後に2,000万円不足する」と言われていますが、これは全員に当てはまることではありません。それでも不安に駆られてしまうのは、自分の年金額がいくらになるか、よくわからないからではないでしょうか。自分の年金受給額が分かれば、足りない分をいくら備えたらいいのか分かり、計画的に準備ができます。年金の平均受給額は、夫婦で月額19万円?”老後2,000万円不足”の元になったデータ・総務省の家計調査年報によると、平均の年金収入は夫婦で月191,880円です(2017年)。しかし、その人の職業や年収によって年金額は全く違います。夫婦ともずっと自営業であれば、月13万円しかもらえないこともあるでしょうし、一人暮らしであればその半分、月6万円台です。平均ではなく自分自身の年金額を知って足りない金額を計画的に準備することが、老後に備えるポイントです。メリット②かしこく保険を買えるもしもの時に受け取れるお金が分かると、ケガや病気のために備えるべき金額が分かります。医療保険や死亡保険を契約する前に、公的年金の給付額を知っておきましょう。何もかも民間の保険で備えようとすると、保険料が今の生活を圧迫してしまいます。過不足なく保険で備えるためにも、年金の見込額を知ることが大切なステップです。年金試算のまとめもしもの時に、どのくらい年金が受け取れるのかを大まかに把握しておくことはとても大切です。面倒だから、今困っていないから…と備えを後回しにしてしまうことはNGです。手軽に試算できるサービスを活用して、賢くリスクに備えましょう。
2019年12月05日こんにちは、婚活FP山本です。現役会社員なら税金のことは年末調整で済みますが、年金を受給するようになると確定申告が必要になるかもしれない事をご存じでしょうか。仮に不要であっても、確定申告しないことで余計な損をしているケースも多々あるのが実情です。現役中の方も年金受給中の方も、基本的な知識は持っておきましょう。そこで今回は、年金受給者の確定申告についてお伝えします。あなたの人生に、お役立て下さいませ。そもそも年金受給者でも確定申告が必要?まずは年金と確定申告の基本についてお伝えします。そもそも日本では、基本的に「全ての利益」に対して税金が発生するルールです。これは給料でも年金でも変わらず、そして給料もそうですが、年金でも基本的に税金が源泉徴収されます。一方、いくつか例外もあり、公的年金が158万円未満の場合(65歳未満なら108万円未満)だと源泉徴収はありません。また公的年金には、給与所得控除のような「公的年金等控除」という制度もあり、年金額が158万円未満(65歳未満なら108万円未満)だと収入ナシと見なされて税金も発生しない制度です。あなたの年金額はいくらでしょうか?上記の通り、158万円が一つの境界線となります。この金額を超えているなら確定申告が必要……というより、基本的に「したほうが得」です。覚えておきましょう。年収の中に税金天引きの所得があるならメリット年金を含めて、年収の中に税金が天引きされている、源泉徴収されている所得があるなら、確定申告したほうが得なことも多いと言えます。なぜなら、源泉徴収された税金は多めに取られていることも多いので、確定申告することで返してもらえることも多いためです。なお、先ほどの公的年金等控除は、2020年から変更予定となっています。一応、年金その他の収入が1000万円以下なら、同時に基礎控除も変更予定なので税負担は変わりません。しかしそれでも「自分の場合はどうか」を確認しておきましょう。年金所得者の確定申告不要制度の要件!次は、年金所得者の確定申告不要制度についてお伝えします。実は年金所得者の場合、以下の要件を満たす時は確定申告が不要です。公的年金等の収入金額が400万円以下公的年金等に係る雑所得以外の所得が20万円以下簡単に言えば、まず年金が400万円以下で、そして給料や個人年金などが年20万円以下の場合、確定申告しなくても良い制度になります。ただし、以下の場合は確定申告が必要です。所得税の還付を受ける場合確定申告が必要な特例を受ける場合つまり……悪く言えば「損を受け入れるなら確定申告しなくていい」といった意味合いです。また確定申告は不要でも、代わりに住民税の申告が必要なこともあります。なるべく、確定申告することをおすすめしたいところです。20万円以下の対象者は年金暮らしの人?先ほどの要件で、年金が400万円を超える人は滅多にいません。しかし給料や個人年金などが年20万円以下というのは、意外と厳しい要件と言えます。給与所得控除などを差し引いて計算するにしても、多くの場合で超えてしまうでしょう。20万円以下の対象者は、実質的に「年金暮らしの人」かもしれません。必要性の面でも損得勘定の面でも、どちらで考えてもやはり確定申告は「すべきもの」と考えておくことをおすすめします。年金だけで生活できる人は限りなく少ない……ここで少し余談をお伝えします。確定申告が必要なら老後は働きたくない……などと考えた人もいるかもしれませんね。確定申告が必要なのは、基本的に「年末調整がない年金受給者」です。定年延長などで、引き続き勤め先で年末調整できるなら確定申告は要りません。ただ、定年後の就労は非正規雇用やアルバイトということも多く、必ずしも年末調整があるとは限らないのが実情です。一方、今は老後資金2000万円問題が上がっているように、定年後に働かなくていい人はかなり限られています。実質的に、働かない選択肢は中々ありません。年金だけでは中々生活できない以上、ひいては確定申告も必要になる可能性が極めて高いと言えます。余計な損を防ぐためにも、確定申告できるようになっておきましょう。在職老齢年金の見直しを含め、働くのが基本実は現在の年金は、現役世代並みに稼げる(65歳以上なら月47万円)高齢者に限り、年金額が減らされる「在職老齢年金制度」が採用されています。ちなみに対象者は、高齢在職者のうち約13%です。この制度が、2021年から見直される可能性が高まっています。つまりそれほど、国としても高齢者に意欲的に働いてほしい訳です。もはや定年まで働けばいい人生モデルは成り立たなくなっています。老後も働く前提なのですから、合わせて確定申告も覚悟しておきましょう。年金収入の確定申告の方法とは?ここからは、年金収入の確定申告の方法についてお伝えします。まず、年金(と給料)収入について申告する場合に使う必要な書類は、以下の通りです。確定申告書A(公的年金等の)源泉徴収票また確定申告では、1枚目(第一表)で所得毎の総額を、2枚目(第二表)で内訳を記載します。なお、書類作成は国税庁サイトにある「確定申告書等作成コーナー」を使うと、書き方の説明もありますからおすすめです。合わせて、必要に応じて「生命保険料控除(証明書)」なども申告・添付します。税金とは、以下の流れで計算しますから、合わせて理解しておきましょう。収入-経費=利益×税率=税金額「〇〇控除」という税金計算上の経費を増やせるほどに、最終的な税金額も安くなります。全部で14種類ありますから、他に使えるものがないかも確認しましょう。収入の金額と種類以外は通常と同じ給料は給与所得に該当し、年金は雑所得に該当します。また現役中の給料と比べ、基本的に年金額は割安です。そんな収入の金額と種類の違いはあるものの、確定申告の基本や書き方については現役の方と変わりません。経験済みなら、安心して取り組みましょう。なお、扶養控除や配偶者控除は、対象が高齢者(70歳以上)になると控除額が上がります。高齢者に優しいのが日本ですね。せっかくの優遇があるのですから、使えるなら忘れず申告しましょう。[adsense_middle]確定申告の提出の仕方と期限は?今度は、確定申告の提出や期限についてお伝えします。まず、確定申告書の提出の仕方は以下の通りです。税務署へ郵送する税務署へ持参するe-Taxを利用する(事前の申請や一定の機器が必要)また確定申告は、毎年2月16日~3月15日が期限となっています。この期間の税務署は沢山の高齢者が申告に来ていますから、持参するにしても気後れはしないでしょう。さらに最近では、土曜日も受け付けている税務署も増えてきましたから、平日働いていても大丈夫です。なお、申告が必要なのに期限に間に合わなかったり申告しなかったりすると、相応のペナルティを受ける可能性があります。余計な損を生まないためにも、ひとまず期限はしっかり守りましょう。書き方や仕方が分からない時は税務署で相談を!初めて確定申告するのであれば、どうしても分からない部分も出てくるのが普通です。そんな時は、ぜひ税務署に相談しましょう。特に確定申告の期間中は、専用の相談・作成コーナーを設ける税務署も多いです。書き方や仕方について、署員の方に相談しながら完遂しましょう。一方で、確定申告は毎年のことです。いつまでもできない、分からないままでは、それはそれで節税面などで損に繋がりかねません。なるべく早めに確定申告のことも理解していきましょう。老後資金は2000万円どころか4000万円必要!最後に、肝心なことをお伝えします。確定申告も含め、何事も年齢が高まるほどに目新しいことに困難や苦手意識を感じがちです。すると、どうしても人は避けようとしますね。お気持ちは分かるものの、確定申告を避けると労働を避けることにも繋がりかねません。一方、今は老後資金2000万円問題が言われていますが、実際には多くの場合で2000万円どころか倍の4000万円は必要です。しかし4000万円を超える資産を持つ高齢者は、全体の2割以下となっています。つまり、多くの場合で老後も働かなければならない訳です。限界まで働き、ギリギリまで貯金を減らさないようにするのが老後を生き抜く基本と言えます。そのためには、確定申告もセットで必要です。ちなみに確定申告は、例えば家賃収入や資産運用で老後対策をする際にも必須ですから、避けられないと考えて挑みましょう。尽きる直前では遅い、早くから対策を!多少なりとも貯金がある方の中には、まだまだ「いつか貯金が尽きる現実」を理解していない方も沢山おられます。実際のところ、70代~80代で貯金が尽きそうな方も多いです。尽きてから、尽きる直前になってからでは、定年直後よりもさらに諸々の対処のハードルは高いでしょう。働き口を探すのも働くのも、確定申告を覚えるのも、少しでも若いほうが有利です。70代~80代よりは、まだ今のほうが若いのではないでしょうか。どんなに周囲のサポートがあったとしても、肝心なのは本人です。ぜひ今のうちから、少しでも早くから、確定申告も含めて「未来への備え」を始めていきましょう。年金生活のためにも確定申告に慣れておこう働くにしても年金生活するにしても、どちらにしても老後は確定申告が必要になる可能性が高いです。仮に不要であっても、確定申告しない・できないのは損に繋がりやすいと言えます。人間いくつになっても成長できない訳ではありませんから、ぜひ早めに確定申告にも慣れていきましょう。
2019年11月25日「年金を受け取れる年齢が迫ってきました。しかし、周囲からは“受給を繰り下げたほうが後々楽になる”と言われたり、“死んだら終わりだから、繰り上げて60歳からもらったら”と言われたり……。いったい何を信じていいのかわかりません」(59歳専業主婦)年金の受給開始は原則65歳からだが、最大5年、受給を繰り上げたり(早めたり)、繰り下げたり(遅らせたり)することができる。“年金博士”として知られる、社会保険労務士の北村庄吾さんは、こう解説する。「年金は65歳より1カ月受給を繰り上げるごとに、0.5%ずつ減額されます。5年早めて60歳からもらおうとすれば、30%も減額された年金が生涯続きます。反対に、1カ月受給を繰り下げるごとに、年金額は0.7%ずつ増額します(繰り下げ期間は最低1年以上)。最大70歳まで繰り下げれば、42%も増える計算に」(北村さん・以下同)次の「繰り上げ、繰り下げ受給をした場合」の「受給率」と「損益分岐点」を見てほしい。損益分岐点の年齢で、年金を繰り上げ/繰り下げ受給をした場合の受給総額と、65歳から年金を受給した場合の受給総額が並ぶことになる。以降、長生きすればするほど、65歳に受給開始した場合に比べて、繰り上げ受給した場合には“損”に、繰り下げ受給した場合は“得”になっていく。【繰り上げ受給】60歳=受給率:70%/損益分岐点:76歳8カ月61歳=受給率:76%/損益分岐点:77歳8カ月62歳=受給率:82%/損益分岐点:78歳8カ月63歳=受給率:88%/損益分岐点:79歳8カ月64歳=受給率:94%/損益分岐点:80歳8カ月65歳=受給率:100%【繰り下げ受給】66歳=受給率:108%/損益分岐点:77歳10カ月67歳=受給率:117%/損益分岐点:78歳10カ月68歳=受給率:125%/損益分岐点:79歳10カ月69歳=受給率:134%/損益分岐点:80歳10カ月70歳=受給率:142%/損益分岐点:81歳10カ月「長生きリスクを考えて、よっぽど生活に困窮しているなどではない限り、繰り上げはしないほうがいい」と語る北村さん。では、年金額を増やすために、必ず繰り下げをしたほうがいいのだろうか。「無理に年金の受給を繰り下げて、生活に困窮してしまっても、意味はありません。また、妻が年下の専業主婦などの場合、夫が20年以上厚生年金に加入しているなどの条件を満たせば、年間およそ39万円の加給年金 が、妻が65歳になるまでの間、夫の年金に加算されます。しかし、厚生年金を受給していることが条件なので、受給を繰り下げると、その間の加給年金はもらえません。人によって、寿命や加入している年金の種類、夫婦の年齢差も異なりますし、繰り下げることが、必ず得とは言い切れないのです」さらに、注意してほしいのが、5年年金を繰り下げたからといって、手取り額が42%増額するとは限らないという点だ。「平均的な収入で、40年勤め上げたサラリーマンの年金額は、厚生年金と基礎年金を合わせて、約188万円とされています。しかし、国民健康保険や介護保険などの社会保険料があるため手取りは約166万円になります。これを70歳まで繰り下げると、年金額は約267万円まで増えるが、社会保険料に加え、所得税と住民税もかかるようになり、手取り額は約225万円に。手取り額でみれば、35%の増額にしかなりません」
2019年11月15日「年金は繰り下げが正解!」「いや65歳からもらうべきだ」。さまざまな意見に、多くの人も迷っていることだろう。でも、正解は“夫婦によって違う”。あなたにとっての正解はーー。「年金を受け取れる年齢が迫ってきました。しかし、周囲からは“受給を繰り下げたほうが後々楽になる”と言われたり、“死んだら終わりだから、繰り上げて60歳からもらったら”と言われたり……。いったい何を信じていいのかわかりません」(59歳専業主婦)年金の受給開始は原則65歳からだが、最大5年、受給を繰り上げたり(早めたり)、繰り下げたり(遅らせたり)することができる。“年金博士”として知られる、社会保険労務士の北村庄吾さんは、こう解説する。「年金は65歳より1カ月受給を繰り上げるごとに、0.5%ずつ減額されます。5年早めて60歳からもらおうとすれば、30%も減額された年金が生涯続きます。反対に、1カ月受給を繰り下げるごとに、年金額は0.7%ずつ増額します(繰り下げ期間は最低1年以上)。最大70歳まで繰り下げれば、42%も増える計算に」(北村さん・以下同)次の「繰り上げ、繰り下げ受給をした場合」の「受給率」と「損益分岐点」を見てほしい。損益分岐点の年齢で、年金を繰り上げ/繰り下げ受給をした場合の受給総額と、65歳から年金を受給した場合の受給総額が並ぶことになる。以降、長生きすればするほど、65歳に受給開始した場合に比べて、繰り上げ受給した場合には“損”に、繰り下げ受給した場合は“得”になっていく。【繰り上げ受給】60歳=受給率:70%/損益分岐点:76歳8カ月61歳=受給率:76%/損益分岐点:77歳8カ月62歳=受給率:82%/損益分岐点:78歳8カ月63歳=受給率:88%/損益分岐点:79歳8カ月64歳=受給率:94%/損益分岐点:80歳8カ月65歳=受給率:100%【繰り下げ受給】66歳=受給率:108%/損益分岐点:77歳10カ月67歳=受給率:117%/損益分岐点:78歳10カ月68歳=受給率:125%/損益分岐点:79歳10カ月69歳=受給率:134%/損益分岐点:80歳10カ月70歳=受給率:142%/損益分岐点:81歳10カ月「長生きリスクを考えて、よっぽど生活に困窮しているなどではない限り、繰り上げはしないほうがいい」と語る北村さん。では、年金額を増やすために、必ず繰り下げをしたほうがいいのだろうか。「無理に年金の受給を繰り下げて、生活に困窮してしまっても、意味はありません。また、妻が年下の専業主婦などの場合、夫が20年以上厚生年金に加入しているなどの条件を満たせば、年間およそ39万円の加給年金 が、妻が65歳になるまでの間、夫の年金に加算されます。しかし、厚生年金を受給していることが条件なので、受給を繰り下げると、その間の加給年金はもらえません。人によって、寿命や加入している年金の種類、夫婦の年齢差も異なりますし、繰り下げることが、必ず得とは言い切れないのです」それでは、さまざまな夫婦のケースから、“賢いもらい方”を考えてみよう。【1】会社員の夫と同年齢妻サラリーマン家庭の場合、夫が完全リタイアする65歳から受給を開始するのが基本だ。「いまは企業に再雇用が義務付けられていますし、60歳からの5年間は働くことは大前提です。収入がある間は繰り上げる必要はないですよね」65歳以降も、家計に余裕がありそうなら、年金の繰り下げを検討してもいいかもしれない。「じつは、どの年金を繰り下げるかは選ぶことができる。夫の厚生年金のみを繰り下げたり、妻の基礎年金のみを繰り下げたり。さまざまな選択ができるのです」繰り下げる場合、女性の平均寿命のほうが長いので、妻の年金から検討するのが合理的だ。要件を満たしていれば、夫が亡くなると、妻は遺族厚生年金がもらえるようになるが。「妻が基礎年金のみ受給している場合、夫の厚生年金の約4分の3が、妻の年金に上乗せされます。しかし、仮に繰り下げによって、生前に夫が厚生年金額を増額していたとしても、遺族厚生年金の算出の基準となるのは、65歳時点でもらったときの受給額です」【2】会社員の夫と年下妻妻が年下の専業主婦などの場合は、加給年金をもらえるので、厚生年金は繰り下げないほうがいい。ただし、夫の基礎年金を繰り下げても、加給年金には影響はない。「夫の厚生年金は65歳から受給して、基礎年金のみを70歳まで繰り下げると、加給年金をもらったうえで、70歳からの年金額を約33万円も増やすことができます。仮に、夫が5歳年上の夫婦の場合、夫が81歳、妻が76歳の時点で、夫婦の受給総額は4,326万8,040円となり、繰り下げなかった場合の受給総額を超えることになります」夫が85歳、妻が80歳の時点では、134万円も“得”をする。ちなみに、加給年金をもらわずに夫の厚生年金と基礎年金の両方を70歳まで繰り下げた場合、受給総額が夫の基礎年金のみを繰り下げた場合を超えるのは、夫が86歳、妻が81歳の時点だ。だが、「平成30年簡易生命表」(厚生労働省)によると、65歳男性は平均84.7歳までしか生きられない。夫が65〜70歳の間は無年金になるうえ、夫は平均よりも長生きしなければならない。【3】会社員と姉さん女房妻が年上の場合は、妻が65歳を迎えた時点で、夫は現役世代か、再雇用で働いていることになる。「夫が働いている間は、妻は年金をもらわなくても生活が成り立つ可能性が高い。であれば、受給を繰り下げて、老後に備えるという選択をすることもできます」仮に妻が5年受給を繰り下げた場合、81歳時点で“得”することになる。【4】自営業の夫婦満額の基礎年金は、65歳受給開始で月額約6万5,000円。夫婦でも13万円ほどにすぎない。「定年のない自営業者の場合は、できる限り働き、可能な限り繰り下げることが大事です」70歳まで繰り下げれば、基礎年金額は月額9万2,300円に。夫婦ともに繰り下げれば、18万4,600円。だいぶ心強い金額になるのだ。必ずやってくる老後を豊かなものにするために、あなたも年金の繰り下げを検討してみてはどう?
2019年11月15日「今年6月、“年金だけだと老後資金が2,000万円不足する”とした金融庁の報告書が話題となりました。そして、8月末に厚生労働省が、今後の年金制度の見通しである“財政検証”を発表しました。しかし、いずれもサラリーマン夫と専業主婦の妻というモデル世帯を中心とした分析。独身で、一人暮らしの女性などは、参考にしにくくなっているのです」そう語るのは家計コンサルタントの八ツ井慶子さんだ。7人に1人の女性が生涯結婚しない時代。さらに50歳以上の離婚率は’90年から比べて、2.5倍の5.49%(’17年)にまで増えている。夫との死別なども含め、一人暮らしをしているいわゆる“おひとりさま”は現在、65歳以上女性の5人に1人にあたり(内閣府「令和元年版高齢社会白書」)、今後も増えていく見込みだ。まず、知っておく必要があるのが、将来の年金見通し。「もともと、物価の上昇などにあわせて、年金の支給額も上がっていく仕組みでした。しかし、『マクロ経済スライド』が導入され、寿命の延びなども考慮して、年金支給額の上昇は調整されるようになりました。年金は実質的に“目減り”していくのです」(八ツ井さん・以下同)もらえる金額は変わらなかったり、わすかに上がっていたりしても、物価はそれ以上に上昇していくため、もらえる年金の価値はどんどん減っていく。実際に、どれくらい減るのだろうか?「人口比や寿命の延びから、独自に年金の将来を試算してみました。10年後の’29年には、年金を受け取る65歳以上の人口は3%増加する見込みです。一方、年金の保険料を支払う20〜64歳までの人口は6.5%減ると予想されている。さらに、この20年間の平均余命の伸び率から、10年後の女性の寿命は2.5歳ほど延びると仮定。それらをふまえて計算した結果、10年後の年金支給額は、マイナス11.03%になると試算しました」わずか10年で、約1割以上の減!そんな試算をもとに、タイプ別の“おひとりさま”の年金の今後を見てみよう。「会社員として働いていた女性が現在、受け取っている年金の平均額は、基礎年金と厚生年金をあわせて10万8,776円。しかし、10年後、支給額は、現在の価値に換算して9万6,778円にまで下がってしまう見通しです(以下、10年後の予想額はすべて現在の価値における金額)」最新の家計調査によると、65歳の単身女性の月の支出額はおよそ15万円(総務省2018年「家計調査」)。現在でも4万3,000円ほどの赤字だが、10年後には5万4,643円に。仮に95歳まで生きた場合、単純計算で1,967万円の不足となる。だが、それ以上に厳しいのは、自営業者などの国民年金のみの受給者だ。10年後に予想される基礎年金の額は4万9,663円。今年10月に始まった、年収が87万9,300円以下の条件を満たせば支給される、「年金生活者支援給付金」の5,000円(満額)を足しても、とても年金だけで生活はしていけないだろう。大黒柱だった夫が亡くなった場合の専業主婦はどうだろうか?「たとえば会社員の夫が亡くなり、子どもがいなかった場合、夫がもらえるはずだった厚生年金の4分の3にあたる遺族厚生年金をもらうことができます。これは再婚しなければ一生涯、受け取れます」10年後に年金額が“減った”場合でも、平均で実質12万円の受給。それでも65歳以上の“おひとりさま”の平均支出額からは、月に3万円ほどの赤字で、95歳までの30年で累計1,147万円の不足に。専業主婦がサラリーマンの夫と離婚した場合はどうだろう。「サラリーマンの夫と離婚した場合、“離婚分割”といって、夫の厚生年金の一部を受け取れます。といっても、夫の厚生年金の半分がもらえるわけではありません。婚姻期間中に夫が払った保険料の“実績”の半分をもらえるというもの。対象は厚生年金だけです。当然、婚姻期間が長いほど、もらえる金額は増えますが、分割後に増える金額は、現在でも平均3万1,000円ほどにすぎません」10年後は、その平均が2万7,632円まで目減りするかもしれません。“おひとりさま”平均支出からいえば、月に7万9,126円の赤字で、30年だと2,849万円不足する。かくも厳しい“おひとりさま”の老後生活。しかし、これはあくまでも、平均額をもとにしたモデルケース。個人差があるので、注意してほしい。「一人暮らしは、1人あたりの生活コストが割高になります。世帯の人数が2人から1人になっても、家賃や光熱費は半分になるわけではありませんから。しかし、見直しは十分可能。まずは契約している電力・ガス会社を変えたり、携帯電話のプランを検討して、光熱費や携帯電話代など、毎月必ずかかる“固定費”を見直しましょう。削減の効果は一生涯続きます」さらに、“おひとりさま”には攻めの姿勢が大事かもしれない。「重要なのは、長く働くことです。将来への不安を、働いていない人は働き始めるきっかけに、すでに働いている人は働き続ける動機に変えてみてはいかがでしょうか」金銭的には不安が多い“おひとりさま”。でも、自分のライフプランを自分1人で決められるのも、また“おひとりさま”の特権だ。
2019年10月28日最近、「在職老齢年金」の見直しがさかんに議論されている。在職老齢年金とは、年金をもらいながら働く60歳以上の方を対象としたもので、給与と年金の合計額が、基準額を超えたとき、厚生年金が減らされる制度だ。現在の基準は65歳以上が47万円、60~64歳は28万円だが、年金の減額は高齢者の働く意欲をそぐと問題に。そこで、基準を62万円に引き上げることを中心に検討されている。経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれたーー。■年齢に関係ない基準額の引き上げを期待たとえば65歳のAさんは、給与が月45万円で、年金は月15万円。給与と年金の合計が57万円で基準の47万円を超えるため、年金が減らされています。減額は、合計57万円から基準47万円を引いた残り10万円の半額、5万円です。Aさんの年金は月10万円に。しかし、改定案どおりに基準が62万円になった場合、Aさんの年金は減額されず、月15万円のまま受け取ることができます。基準が上がり、年金の減額者が減るのはいいことでしょう。ただ、対象者はかなり限られています。現在、働きながら年金をもらっている65歳以上で、もっとも多いのは、年金と賃金の合計額が20万~24万円の方です。合計額が47万円を超えるのはかなりの高給取りで、働きながら年金をもらう方の17%、年金受給者全体の1.5%しかいません(’19年10月・厚生労働省)。それより問題は60~64歳のほうです。働いている方がたくさんいるのに、基準は28万円と65歳以上より低水準です。今回の改定議論では、65歳以上と同様、基準を62万円に上げる意見もありますが、現行のままでよいという意見が根強いようです。というのも、年金の支給は原則65歳から。今65歳未満の方がもらっているのは「特別支給の厚生年金」などに限られ、それも男性は’25年、女性は’30年に制度そのものが終わってしまうからです。ですが、今働く60代前半の方は体力ややる気がまだあるのに、年金が減額されない程度にと給料を抑えてしまうでしょう。その後、65歳以降に基準額が上がったところで、一度抑えた給与を上げるのは至難の業です。在職老齢年金を改定するなら、年齢に関係のない基準額の引き上げを期待したいものです。日本の少子高齢化は予想を上回るスピードで進行しています。今年1~7月の出生数は、前年同期より5.9%減って約52万人。このままだと、今年の出生数は90万人を下回ると言われます(厚生労働省)。働き手が減り、年金受給者が増えていくなか、国は、高齢者にできるだけ長く働いて、長く年金保険料を払う側にいてほしいと考えています。そのため、在職老齢年金の改定や、年金受給を75歳まで先送りできる制度、基礎年金の払込期間を今の40年から45年に延長する案などを検討しています。その先には、年金の受給開始を70歳に延ばしたい思惑が丸見えです。私たちは議論の行方に注目しながら、長く働ける体力作りにも力を入れたいですね。
2019年10月25日国民年金の保険料は、原則として、日本に住んでいる20歳から60歳までの人が納めなければならない義務を負っています。そのため、例えば20歳を過ぎた学生をはじめ、失業して収入のない人など、国民年金を払うのが困難な人や払えない人にも納付義務があることを意味します。最悪な場合ですと、年金を払わないことによる財産の差し押さえもあり得ることを踏まえ、本記事では年金と差し押さえの関係について解説を進めます。年金を払わないと、ただちに財産が差し押さえられるわけではない国民年金保険料を未納のまま、長い期間に渡って放置していた場合で、最悪な場合は財産を差し押さえられてしまうことになるのは確かですが、年金を払わないからといって、ただちに財産が差し押さえられるわけではありません。実際に、国民年金保険料の未納がある場合、通常は年金事務所から特別催告状が自宅へ郵送で送られ、何かしらの対応が求められます。また、日本年金機構から委託を受けた会社(アイヴィジット)が、国民年金保険料の未納になっている人に対して、電話などで納付を促すこともあります。国民年金保険料の未払いや不払いによる滞納を長く続けると危険信号国民年金保険料の未払いや不払いによる滞納を長く続けることは問題ですが、何よりも大きな問題は、年金事務所などから連絡があった場合に未対応のまま放置することです。前項では、年金を払わないからといって財産がただちに差し押さえになるわけではないことをお伝えしましたが、大まかに解説しますと、催促、督促、最終通告などのように、未納や滞納問題がエスカレートしていき、最終的に財産の差し押さえとなるわけです。年金を払えない、払わないから連絡しないは最もしてはいけないこと年金事務所などから催促や督促などの連絡が来た時に、年金を払えないためや払う気がないからなどといった理由で、連絡をしないことは最もしてはいけないことです。たとえば、経済的な理由などが原因で毎月国民年金保険料を納めるのが困難な人も多いと思われますが、このような立場に置かれている方であれば、まずは年金事務所へ相談をしに行き、納付ができない事情をしっかりと説明することが重要です。国民年金保険料の未納や滞納による催促や督促などの対応方法とは前項で紹介しましたように、国民年金保険料の未納や滞納による催促や督促などが届いた場合は、放置をせずに速やかに年金事務所へ相談をすることが正しい対応方法と言えます。当然のことながら、未納や滞納をしている国民年金保険料をすべてまとめて納付できることが望ましいのは確かですが、意図的に払わない人を除きますと、その大半は経済的な理由によるものが考えられ、全額納付はまずもって不可能でしょう。年金事務所へ相談を行い、国民年金の保険料免除申請を行う国民年金保険料の未納や滞納による催促や督促などが届いた場合は、放置をせずに速やかに年金事務所へ相談をすることが正しい対応方法です。この時、なぜ国民年金保険料を納付することができないのか、事情を説明した上で国民年金保険料の免除申請を行うようにして下さい。なお、免除方法には全額免除、半額免除などがあり、相談に行った人だけではなく、配偶者などの収入(所得)によって免除の条件が変わります。国民年金保険料の未納や滞納が多いと考えられる人とその理由国民年金保険料の未納や滞納が多いと考えられる人には、主に無職やフリーターなど収入(所得)が少ない人、自営業者やフリーランス、場合によっては学生などが考えられます。また、次項で紹介する国民年金の種別が変更になったことによる影響もあると思われますが、このように言い切れる理由には、収入の問題だけではなく、国民年金に加入している人の種別と納付方法が大きく関係しているためです。[adsense_middle]国民年金に加入している人は、大きく3つの種別に分けられる本記事の冒頭では、国民年金の保険料は原則として、日本に住んでいる20歳から60歳までの人が納めなければならない義務を負っていることをお伝えしました。そのため、上記年齢の範囲にあてはまっている人は、基本的に以下で紹介する3つの種別のいずれかに必ず該当していることになります。(例外あり)国民年金の第1号被保険者国民年金の第1号被保険者とは、後述する、国民年金の第2号および第3号の被保険者にあてはまらない人のことを指し、考えられる主な職業は以下の通りです。無職フリーター自営業者フリーランス学生など国民年金の第2号被保険者国民年金の第2号被保険者とは、会社員や公務員など、毎月の給料などから厚生年金保険料が天引きされている人のことを言います。判定のポイントとして、必ず正社員でなければならないといったことではなく、契約社員、アルバイト、パートなどといった待遇であったとしても、毎月の給料などから厚生年金保険料が天引きされている人であれば、国民年金の第2号被保険者に該当します。国民年金の第2号被保険者になる主な職業は、以下の通りです。会社員公務員契約社員・アルバイト・パート(毎月の給料などから厚生年金保険料が天引きされている場合に限ります)会社役員など国民年金の第3号被保険者国民年金の第3号被保険者とは、前項で解説した国民年金の第2号被保険者に扶養されている配偶者で、年齢が20歳以上60歳未満の人です。実務上、国民年金の第3号被保険者に該当するためには、収入要件など他の条件も満たしている必要がありますが、ここでは、大まかに主な職業を紹介しておきます。専業主婦(主夫)アルバイトやパートに就いており、給料から厚生年金保険料が天引きされていない人種別における国民年金保険料の納付方法国民年金の種別は第1号被保険者から第3号被保険者まであることが分かりましたが、それぞれの種別によって国民年金保険料の納付方法は異なります。重要ポイントは、第1号被保険者以外は、基本的に自ら国民年金保険料を納付することがないため、仮に国民年金の第2号被保険者や第3号被保険者になっている期間については、未納期間や滞納期間が発生することはないことになります。国民年金の種別変更に注意勤務先を退職した場合や年齢が60歳に達した場合など、様々な事情によって国民年金の種別が変更になることがあります。たとえば、国民年金の第2号被保険者であった人が勤務先を退職し、その人には扶養している配偶者がいたとします。この時、夫婦いずれも国民年金の第1号被保険者に種別が変更となり、種別変更届を行わなければ、将来もらえる年金額などに影響が生じてしまう点に注意が必要です。国民年金の種別変更忘れによる不整合があった場合前項の例の続きとなりますが、たとえば会社員であった第2号被保険者が退職し、第3号被保険者であった配偶者が種別変更届を行わなかった場合、誤りのあった部分についての国民年金保険料を後から納付する必要があります。(本来ならば第1号被保険者であるのにも関わらず、第3号被保険者として取り扱われていた未納部分のことです)この場合、基本的に配偶者である本人に国民年金保険料を納付する義務が生じますが、本人が納付できない場合、次項で紹介する法律上のルールに則って納付をする必要があります。国民年金保険料の納付義務についてポイントを知っておこう国民年金保険料を払わないと最終的には財産を差し押さえられることになるのですが、ここでは国民年金保険料の納付義務についてポイントを解説します。実のところ、国民年金法という法律の中には、国民年金の納付義務について規定しており、以下にポイントをざっくりまとめます。国民年金の被保険者は、国民年金保険料を納付しなければならない世帯主は、世帯に属する被保険者の国民年金保険料を連帯納付する義務を負う配偶者は、被保険者になっている他方の国民年金保険料を連帯納付する義務を負う国民年金保険料を本人が納付できない場合、世帯主や、未納や滞納状態である本人の配偶者が連帯納付しなければならないことを意味します。[adsense_middle]国民年金保険料と財産の差し押さえについて、これまでの解説をまとめます国民年金保険料と財産の差し押さえについて、これまでの解説を流れに沿ってまとめます。国民年金保険料が未納や滞納状態の場合、年金に関係する機関から特別催告状などの納付に関係する連絡がある1の連絡があった場合、速やかに年金事務所へ納付の相談へ行き、国民年金保険料の免除申請手続きを行う免除された期間について、催促や督促といった連絡が来ることはない免除申請の結果、免除された以外の未納部分がある場合は納めることになるが、本人のみならず、世帯主や配偶者も連帯納付する義務を負っている国民年金保険料を払わないことによる財産の差し押さえは、本人のみならず、世帯主や配偶者などが意図的に払わないなど、悪質な場合に十分ありえると予測できます。国民年金保険料を納付しないことによる財産の差し押さえは余程のこと国民年金保険料を納付しないことによる財産の差し押さえは余程のことであると考えられ、通常は年金事務所などから連絡が入った後に、納付についての相談をすることで解決するはずです。しかしながら、相談後のルールを破ったり、連絡を無視し続けたことが財産差し押さえという最悪な結末を迎える訳であり、いわば自業自得というしかありません。年金未納による差し押さえに関するまとめ国民年金保険料の未納や滞納が原因で財産を差し押さえられる場合とは、催促や督促といった再三の連絡に対して、応対や相談をしなかった場合であり、いわば長い期間に渡って、極めて不誠実な対応を行ったことによる結果です。国民年金保険料は、世帯主をはじめ配偶者なども未納となっている家族のものを連帯納付する義務を負っているため、年金を払わないことによる財産の差し押さえは余程のことと理解する必要があるでしょう。
2019年09月23日「『年金生活者支援給付金』とは、公的年金を受け取っている人で、年金を含めた所得が一定額以下の方の生活を支援するために、消費税が引き上げられる10月から年金に上乗せして支援金が支給される公的支援制度のことです」こう語るのは社会保険労務士の和田雅彦さん。10月から消費税が10%にアップすることで私たちの生活はますます厳しくなることが予想される。そんななか最も影響を受ける低所得者への支援という意味合いで「年金生活者支援給付金」(以下、支援給付金)が増税のタイミングで新設されるという。「給付対象者には今月中に請求書が送付される予定です。請求書に所定事項を記入し、返送することで国(日本年金機構)が審査をし、給付の決定を行います。給付対象者になると、10月以降に支給額が記載された通知書が届きます」つまり“自ら手続きをしないともらえるものももらえない”というのは、他の年金関連の申請手続きと同じということ。そこで支援給付金の仕組みと手続き方法について和田さんに解説してもらった。「まず対象となるのは65歳以上で年金が支給されている方。そして、前年の収入が年金と他の収入を合わせても老齢基礎年金の満額相当額(約78万円)以下であること。これから年金を受け取る人もこの要件に該当すれば支給されます」ただし所得が要件をギリギリ超えてしまって対象外となった場合、給付を受けた人より封入が少なくなる“逆転現象”が起こることも。「そのときは、年金と他の収入が約88万円までであれば、逆転が起こらないように、別の給付金『補足的老齢年金生活者支援給付金』が支給されることになります」また障害基礎年金、遺族基礎年金を受けている人で、給付金の受給要件を満たしている場合も支給の対象になる。厚生労働省の試算では、すべて合わせると対象者は約970万人になるという。となると、気になる支給額は?「老齢年金受給者に対する給付ですと、対象者は基本的に『月額5,000円×保険料納付済期間÷480』で計算された額が支給されます。保険料納付済期間とは、20歳から60歳までの40年間(480月)のうち、国民年金の保険料を支払った期間、会社員や公務員であった期間、あるいは会社員、公務員の被扶養配偶者であった期間です。また、保険料免除期間についても給付に反映されます」ちなみに“480月すべて支払った”場合には、月額5,000円、年間6万円が支給されることになる。「また対象は世帯ではなく個人ですので、夫婦どちらも支給対象となる場合は、それぞれに支給されることになります」対象者には9月中に請求書が送付されてくるが、どんな申請手続きが必要なのだろうか――。「請求書はハガキ形式となっており、基本的には、提出日、氏名、電話番号を所定の位置に書き込むだけです。難しくないので、書類が届いたら早く申請しましょう」支給の要件を満たす限り、一度手続きを行えば、以後の手続きは不要だが、いったん支給の要件を満たさなくなった場合は、再開には改めて請求手続きが必要になる。「認定されると10月分と11月分の給付金は、12月中旬に振り込まれます。以降、振り込みは年金と同じ口座に偶数月に行われます。ただし、ハガキ請求の到着が10月18日以降になると、振り込みも来年2月以降になってしまいます。さらに、今年中に請求すると、制度のスタートである10月分から振り込まれますが、請求が来年にずれ込むと、請求した月の翌月分からしか受け取れないので注意が必要です」「申請用紙が届かない」「自分が対象範囲内なのかわからない」という場合は速やかに近くの年金事務所に相談することと和田さん。「とにかく、認定請求をしないことには給付は受けられません。また、申請が遅れると損をしてしまいます。自分の身は自分で守るためにも、早急の申請を心がけてください」
2019年09月18日現行の年金制度では、原則として65歳になると、将来の老後生活資金にあたる老齢年金を受け取ることができます。ただし、年金は65歳になってから受け取る方法だけではなく、60歳から受け取り時期を早めて年金をもらうことや年金の受け取り時期を65歳以降に遅らせることで、増額された年金を受け取ることもできるようになっています。本記事では、これらの内、年金の受け取りを遅らせる繰り下げ受給についてポイント解説を進めていきます。国民年金の繰り下げ受給とは老齢基礎年金(国民年金)の繰り下げは、66歳から1ヶ月ごとに0.7%ずつ増額され、細かく増額率が設けられていることが分かります。年金を繰り下げすることによってもらえる年金が増えることはご理解いただけたものの、実際の年金額がいくらになるのかイメージがわかないと思いますので、次項では簡単な例で繰り下げ受給の効果を紹介します。老齢基礎年金(国民年金)の繰り下げをした場合の年金額老齢基礎年金は、20歳から60歳までの40年間においてすべて国民年金保険料を納付した場合、65歳から支給される年金額は年額で780,100円です。(令和元年9月現在)ここでは、仮に40年間の国民年金保険料をすべて納めた状態の人が、66歳0ヶ月から繰り下げした場合と70歳から繰り下げした場合の年金額を以下に紹介します。歳0ヶ月から繰り下げした場合繰り下げによる増加した年金額:780,100円×4%≒65,528円老齢基礎年金(国民年金)の年金額:845,628円(780,100円+65,528円)老齢基礎年金(国民年金)を繰り下げした場合の年金額を計算するには、年間の年金額に増額率を乗じて計算します。66歳0ヶ月から繰り下げした場合、上記表(緑枠)より8.4%を乗じて計算し、加算しますと、年金額は845,628円となり、1ヶ月あたりの年金額は70,469円となります。70歳から繰り下げした場合繰り下げによる増加した年金額:780,100円×42%=327,642円老齢基礎年金(国民年金)の年金額:1,107,742円(780,100円+327,642円)70歳から繰り下げした場合、上記表(水色枠)より42%を乗じて計算し、加算しますと、年金額は1,107,742円となり、1ヶ月あたりの年金額は約92,311円となります。厚生年金をもらえる人は、老齢厚生年金も繰り下げの対象会社員や公務員の方をはじめ、これまで厚生年金保険に加入した年金履歴がある人は、前項で紹介した老齢基礎年金に加えて老齢厚生年金も支給されます。この時、年金の繰り下げを行った場合、国民年金から支給される老齢基礎年金だけではなく、厚生年金から支給される老齢厚生年金も繰り下げの対象となります。なお、厚生年金を繰り下げした場合における増額率は国民年金と同様ですが、厚生年金を繰り下げした場合、経過的加算額が上乗せされるため、受け取ることができる年金はさらに多くなります。年金受取年齢は何歳が良いのか?65歳を基準に比較検証本記事の冒頭では、年金は65歳になってから受け取る方法だけではなく、60歳から受け取り時期を早めて年金をもらうことや年金の受け取り時期を65歳以降に遅らせることで、増額された年金を受け取ることもできる旨をお伝えしました。年金を早くもらうことを繰り上げ、遅くもらうことを繰り下げと言いますが、ここでは本来年金が支給開始になる65歳を基準に、繰り上げした場合、65歳から年金をもらった場合、繰り下げした場合の3つを比較してみます。[adsense_middle]比較検証の前提条件と比較結果比較検証を分かりやすくするために、以下の前提条件で簡易なものとします。比較検証は、60歳から繰り上げをした場合、65歳から年金を受け取る場合、70歳まで繰り下げした場合の3パターンを比較します支給される年金は、令和元年9月現在における老齢基礎年金の満額(780,100円)のみとします60歳からの繰り上げは、30%減額とし、70歳からの繰り下げは42%増額とします死亡年齢は、平均寿命とし、男性81歳、女性87歳とします上記以外の条件は、加味しないものとします男性の場合女性の場合比較検証結果は、何年生きられるかわからないため、結果論に過ぎない比較検証の結果、男性も女性も平均寿命まで生存していた場合、年金を70歳から繰り下げする受取方法が最も有利であることが分かり、女性の例のように、長生きをすればするほど総受取年金額に大きな差が生じることになります。ただし、自分自身が何歳で死亡するのか分からないわけでありますから、あくまでも比較検証は結果論であり、早くに死亡した場合は逆転現象が起こることになります。年金を繰り下げするメリットとデメリットこれまでの解説や比較検証を基に、年金を繰り下げするメリットとデメリットをまとめます。年金を繰り下げするメリット年金を繰り下げするメリットは、本来もらえるはずの年金が多くなるところにあります。前項の比較検証は、国民年金(老齢基礎年金)のみの場合で簡易的なものとなりますが、仮に厚生年金から支給される老齢厚生年金のことも考慮しますと、年金を繰り下げすることによる年金額の増加は、さらに大きなものになります。また、繰り下げした際の増額率は一生変わらないため、長生きするほどその効果が大きくなります。年金を繰り下げするデメリット年金を繰り下げするデメリットは、仮に早くに死亡をしてしまった場合、もらえるはずであった老齢年金を受け取ることができないため、結果としてロスが生じてしまう懸念があります。このほか、国民年金の振替加算や厚生年金の加給年金など、ざっくり言ってしまうと、一定条件を満たすことで保障されるその他の年金が支給されないデメリットが生じる点も挙げられます。毎年、税金を納めなければならない懸念が生じる年金の繰り下げを行いますと年金収入が多くなりますが、1月1日から12月31日までの1年間で受け取った老齢基礎年金(国民年金)と老齢厚生年金(厚生年金)は、雑所得として税金が課される対象となります。そのため、たとえば年金を繰り下げして70歳からもらう場合などで、老齢基礎年金(国民年金)と老齢厚生年金(厚生年金)をいずれの年金も受け取る場合などは、毎年税負担が強いられる可能性が高くなります。税法上の扶養控除の対象にならない懸念が生じる年金を繰り下げすることによって年金収入が多くなった場合、年金受給者である本人は税負担が生じる可能性があるほか、税法上の扶養控除の対象にならない懸念も生じます。たとえば、会社員である子供と同居をしていたと仮定し、年金収入が少ない場合、子供は親を扶養控除の対象とすることができる可能性が高く、税負担を軽減させられますが、繰り下げによる年金収入が多い場合は、扶養控除の対象外になってしまう可能性も否めません。健康保険の被扶養者になれない可能性が高くなるこちらも会社員である子供と同居をしている例で紹介しますが、年金を繰り下げすることによって年金収入が多い場合、健康保険の被扶養者になることができず、75歳になるまでは国民健康保険に加入する必要があります。(75歳から後期高齢者医療保険に切り替わるため)健康保険の被扶養者になれることで国民健康保険の負担を当然に避けられますが、世帯全体で見ますと、無駄にお金を支出してしまう懸念が生じることも否めません。年金を繰り下げする上での注意点年金を繰り下げすることによって年金が多くもらえることは確かですが、前項で紹介した各種年金制度や税金をはじめ、公的保険などの関係性も幅広い視野で見ていきますと、一概に年金が多くもらえるから得といった考えになるのは危険です。年金を繰り下げすることによって年金収入が増加する分、税負担や公的保険の負担が強いられるとするならば、それらの支出を差し引いたトータルで、年金の繰り下げを検討する必要があると言えます。以下、年金を繰り下げするその他の注意点について紹介します。[adsense_middle]年金の繰り下げ手続き後に取り消しや修正はできない年金の繰り下げをするためには、繰り下げをするための手続きをする必要があるのですが、一度繰り下げ手続きをしますと、後から取り消しや修正といった各種変更をすることはできません。そのため、年金の繰り下げ手続きを行う前は十分に考え、慎重な判断が必要になると言えるでしょう。年金の繰り下げは、遺族が代わりに行うことができない仮に、年金の繰り下げの待機中に本人が死亡してしまった場合、遺族は死亡した本人がもらうべきであった年金を未支給年金といった形で受け取ることができます。ただし、未支給年金は日本年金機構(年金事務所)に対して請求しなければもらえないほか、未支給年金の金額は繰り下げした金額ではなく、本来ならば65歳から支給されるはずであった金額となります。他の年金を受け取れる権利が発生した場合、繰り下げできない他の年金を受け取れる権利とは、具体的には66歳になる前に遺族厚生年金や障害厚生年金などを受け取れる権利を得た人のことを指し、このような人は年金の繰り下げができないことになっています。年金の繰り下げは、損得以前に老後生活ができるのかを考える年金は、老後生活をしていく上で極めて重要な生活資金であることを踏まえますと、年金の繰り下げは損得以前の問題であり、そもそも年金の支給が無い状態で老後生活をしていくことができるのかを考える必要があります。なぜならば、一度年金の繰り下げ手続きを行った場合、後から変更をすることができないからです。仮に若年者の方で、将来年金の支給が無ければ老後生活が厳しい人にとってみますと、年金の繰り下げを考えるよりも、まとまった老後生活資金を準備する対策を事前にとっておく方が望ましいと言えそうです。年金の繰り上げも考慮した長期目線の老後生活を考える年金の繰り上げは、年金を早くから受け取ることができる仕組みですが、本来もらえるはずの年金が減額されたとしても、長期目線で老後生活のお金がうまく回るのであれば、決して悪いこととは言い切れない場合もあるでしょう。もちろん、年金の繰り上げも年金の繰り下げと同じようにメリットやデメリットがあるものの、目先のメリットやデメリットだけに捉われるのではなく、ご自身や世帯にとって納得のできる有利な選択を取れることが望ましいと思われます。年金の繰り下げに関するまとめ年金の繰り下げは、損得以前に、そもそも安定した老後生活を継続して行っていけるのかを考えておく必要があります。仮に、老後生活が厳しく、年金が老後生活資金に欠かすことができないものであるならば、少なくとも年金の繰り下げをすることは望ましい選択肢とは言えず、むしろ年金が減額されたとしても繰り上げする方が望ましい場合もあるでしょう。年金の繰り上げや繰り下げといった年金の受け取り方は、ご自身が置かれている状況をはじめ、考え方や直感による影響が強いものとなりますが、配偶者との相談も含めて納得のいく年金の受け取りを実現するようにしたいものです。
2019年09月15日老後資金2,000万円が不足する問題のニュースが金融庁から発表されたことをきっかけに、将来の老後資金や年金破綻の懸念が多くの人の頭をよぎりました。政府(国家)は、この金融庁の発表について誤りだと指摘したものの、次いで経済産業省では老後資金が3,000万円不足するといった発表をした経緯もあり、どの情報が正しいのか、わけが分からなくなっている人も多いのではないでしょうか。そこで本ページでは、これらの内、年金破綻に焦点を当て、FP目線の考えを紹介していきたいと思います。将来、日本の年金制度が破綻する可能性はあるのか現状においても、支給される年金が少ないという多くの声が上がっている中で、これまで以上に将来の年金支給金額が減少することは、若年者の老後生活は相当厳しいものになると予測する考えとつじつまが合うのではないでしょうか。当初、100年安心と言われた年金制度の定義は一体どうなってしまったのか、首をかしげたくなります。消費税の増税によって、すべての国民が支出に対して負担増になる消費税の税率が10%に増加することによって、今後すべての国民は支出に対する負担増が強いられることになりますが、消費税が10%に上がる前の時点で、10%の消費税率が終わりではないといった議論がなされたことがニュースになりました。つまり、若年者が老後年金生活を迎える時には消費税がさらに多くなることも十分予測でき、そのようになりますと、現在よりもなお将来の老後生活は相当厳しいものになるでしょう。自助努力による老後資金対策が左右する時代年金制度が破綻する可能性が極めて低いと考える理由を紹介しましたが、やはりこれからの老後資金や老後生活を考えていく上で重要なのは、自助努力による老後資金対策になると言えます。現在高齢者の方々が現役世代であった時代のように、お金を預金へ預け入れていれば多くの利息を得られる時代ではなくなっており、預金でお金を寝かせておく時間的なロスは避ける必要があります。では、老後資金対策は、どのように行うのが良いのでしょう。[adsense_middle]個人型確定拠出年金(iDeCo)を活用した老後資金対策個人型確定拠出年金(iDeCo)は、預金・保険・投資信託といった金融商品を自由に組み合わせて自ら資産運用をするもので、まとまった老後生活資金を節税しながら準備することができる私的年金制度のことです。個人型確定拠出年金(iDeCo)は、現状まとまった老後資金を準備するには極めて優良な制度と言えます。つみたてNISAを活用した老後資金対策つみたてNISAは、2018年(平成30年)1月から新たに始まった少額投資非課税制度のことで、金融庁が指定した投資信託またはETF(上場投資信託)を毎月一定金額ずつ買付して資産形成する方法です。つみたてNISAは、まとまったお金が手元になくても少額から始められる特徴があり、無理なく老後資金の準備をしやすいメリットがあります。小規模企業共済を活用した老後資金対策小規模企業共済とは、経営者や会社役員の方などが、廃業や退職時の生活資金のために積み立てる制度のことを言い、会社員や公務員で言うところの退職金制度です。小規模企業共済は先に紹介したiDeCoやつみたてNISAと異なり、基本的に誰でも加入できるものではなく、加入対象が限られているものの、小規模企業共済を老後資金対策として活用できることは確かです。小規模企業共済の詳細については、以下、中小機構のWEBサイトを見て確認されてみることをおすすめします。年金制度の破綻や崩壊、経済の低迷を考えるよりも自助努力をする方が賢明年金制度の破綻や崩壊、経済の低迷を私たち一個人が考えても、残念ながら自分自身の老後生活が豊かになることはありません。これまで以上に厳しい老後生活が強いられることが十分予測できる中で賢明なのは、やはり、先に紹介した制度を賢く活用した自助努力に尽きると筆者は考えます。国が国民に対して、老後生活は自分自身で準備してといった丸投げの批判も多いものの、不満を言っても何も変わらないわけであり、自分や家族は自分たちで守る考えを持つことがこれからの時代に必要なことと言えそうです。年金制度の繰上げ受給についても知っておこう現在、国民年金や厚生年金は原則として65歳から支給されることになっておりますが、65歳になる前に年金を受給することもでき、これを年金の繰上げ受給と言います。繰上げ受給には、全部繰上げと一部繰上げの2つの方法が設けられているものの、いずれの繰上げ受給を行ったとしても、本来ならば65歳から支給されるはずであった年金額よりも少なくなってしまう点に要注意です。繰上げ受給した年金は一生変更できない仮に、年金を繰上げ受給するための手続きを行い、実際に年金の支給を受けた場合、以後死亡するまでに支給され続ける年金額は減額され続けた金額となり、一生変更することはできません。繰上げ受給をした場合、長生きをすることでトータルの受取年金が少なくなる、障害年金や遺族年金といった他の年金の支給などに大きな弊害を生じさせるデメリットもあるため、繰上げ受給の請求は慎重に検討をする必要があります。なお、年金の繰上げ受給における注意点については、以下、日本年金機構のWEBサイトで詳しく解説されております。年金破綻の可能性に関するまとめ年金破綻の可能性は極めて低いと思われる一方、年金破綻の防止策として、若年者が将来支給される年金額は現在よりもさらに少なくなると見積もっておくのが無難でしょう。また、消費税の増税など負担の強いられる要素が様々なところで発生する懸念も考慮しますと、若年者の方はもちろん、老後生活に不安のある人は早急な対策が求められることになります。ご自身の懐具合と将来を考慮し、貯蓄・資産運用などできるところから始める必要があると言えます。
2019年09月15日年金は、将来の老後生活を考える上で欠かすことができない重要なお金です。しかしながら、将来支給される年金の見込み額は、これまで支給されてきた平均的な年金額よりもさらに少なくなることが予測されており、会社員(サラリーマン)や自営業者をはじめ、夫婦共働き世帯にとっては関心の高い問題だと思われます。そこで本記事では、将来の年金はいくらもらえるのかについて、ポイントや考え方について紹介していきます。年金がいくらもらえるのかを知る前に受給資格期間を要チェック上記は、平成31年度に50歳未満の人に対して送付されるねんきん定期便の例となりますが、裏面の受給資格期間(赤枠箇所)が120月(10年)以上になっていれば、将来年金の支給が受けられる受給資格期間を満たしていると確認することができます。なお、こちらは参考情報となりますが、ねんきん定期便を破棄や紛失した場合などで、古いものしかないといった人もおられる可能性も考慮し、平成30年度分の書式が違うものも紹介しておきます。年金の受給資格期間を満たせていない場合仮に、年金の受給資格期間を満たせていないことが確認できた場合、このまま放ったらかしておきますと、将来年金が1円たりとも支給されず、これまで支払ってきた年金保険料がすべて無駄になってしまいます。国民年金や厚生年金は、将来、どのくらいもらえるのか将来いくらくらい年金がもらえるのかは、ねんきん定期便の裏面にある、これまでの加入実績に応じた年金額(赤枠部分)を見ることで確認できます。なお、ここで言う年金の加入実績に応じた年金額とは、65歳から支給される現在の年額であり、たとえば30歳の方であれば、今30歳の方が年金の支給を受けた場合に1年間で支給される年金額といったイメージになります。国民年金と厚生年金は、基本的に併給される前項で解説したねんきん定期便にある、これまでの加入実績に応じた年金額に記載されている(1)老齢基礎年金は、国民年金から支給される年金のことを指し、(2)老齢厚生年金は厚生年金から支給される年金のことを指しています。このように、国民年金と厚生年金は年金の履歴によってそれぞれ計算され、どちらの年金も一緒に支給が受けられることになるのですが、これを併給(へいきゅう)と言います。年金の支給は、原則として偶数月の15日に2ヶ月分まとめて支給されるこちらは参考情報となりますが、原則として65歳から支給される年金は、偶数月の15日に前月と前々月分の2ヶ月分がまとめて支給される仕組みになっています。たとえば、10月15日に30万円の年金が口座へ振り込まれたとした場合、年金の内訳は、8月分15万円、9月分15万円といったイメージです。このような年金制度の仕組上、仮に年金の支給を受けている人が死亡した場合、必ず未支給の年金が発生することになるため、遺族の方は、この未支給の年金を請求してもらい忘れのないように心がけておきたいものです。年金の繰上げ受給について減額された年金は生涯に渡って受け取ることになり、65歳以降も減額された年金額が戻ることはないため、繰上げ受給の請求は慎重に行う必要があります。繰上げ受給をすると国民年金と厚生年金の両方の年金額が減額される本記事中において、国民年金と厚生年金は基本的に併給され、どちらの年金も支給されることを紹介しましたが、繰上げ受給をすると国民年金と厚生年金の両方の年金額が減額されます。前項の解説の通り、減額された年金額が元に戻ることは一生ないため、国民年金と厚生年金の両方の年金額が減額される影響は、長い目で見るとかなり大きなデメリットになってしまいます。なお、一度繰上げ請求した後に取消しをすることはできないため、解説が重複しますが、繰上げ受給の請求は慎重に行う必要があります。繰上げ受給をして長生きすると、損をする自分は何歳まで生きるのか誰にも分かりませんが、仮に繰上げ受給をして長生きすると、65歳から年金の支給を受けた場合に比べて損をしてしまうデメリットが生じます。なお、参考までに、年金を繰上げ請求した場合と繰上げ請求しなかった場合における受給総額が同額となる年齢を紹介しておきます。繰上げ請求した年齢60歳の場合:76歳8ヶ月繰上げ請求した年齢61歳の場合:77歳8ヶ月繰上げ請求した年齢62歳の場合:78歳8ヶ月繰上げ請求した年齢63歳の場合:79歳8ヶ月繰上げ請求した年齢64歳の場合:80歳8ヶ月たとえば、繰上げ請求した年齢が60歳の場合で、76歳8ヶ月を超えて長生きした場合は、65歳から年金の受給を受けていた方が得であるといった見方になります。障害年金や遺族年金の支給に影響が生じる場合がある障害年金や遺族年金は、65歳から支給される老齢年金に比べて支給金額が多く、受給者にとって有利になる場合がほとんどですが、繰上げ受給をした場合、障害年金や遺族年金の支給に影響が生じるデメリットがあります。ざっくり言ってしまいますと、障害年金や遺族年金の支給を受けられる条件を満たしていたとしても、繰上げ受給をしたことによって、これらの年金の支給が受けられないことがあるということです。一般的に考えますと、デメリットは大きくなると言えます。繰上げ受給をする前は、年金事務所や専門家へ相談するのが望ましい年金の繰上げ受給は、年金が早くもらえるメリットがあるものの、それ以上のデメリットが極めて多いことが分かりました。実際のところ、先に紹介したデメリットのほかにも、専門的なデメリットが多数あるため、仮に年金の繰上げ受給を検討している方は、年金事務所や専門家である社会保険労務士などへ相談するのが望ましいと言えます。将来いくら年金がもらえるかを知るには将来もらえる年金額がいくらなのかをより正確に知るためには、毎年、誕生月になると郵送されるねんきん定期便を確認したり、ねんきんネットを活用するのが確実です。なぜならば、国民年金の納付履歴、免除履歴、未納履歴や厚生年金を計算する上で必要な平均標準報酬月額、平均標準報酬額、年齢、性別などは、すべての方で異なるためです。そのため、ねんきん定期便やねんきんネットの見方や活用方法を知る方が、楽でより確実な方法だと言い切れます。
2019年09月14日国民年金の保険料は、原則として20歳から60歳までの40年間において、日本に住んでいるすべての方が納めなければならないことが法律(国民年金法)で決まっています。つまり、国民年金には納付義務があることを意味しますが、仮に国民年金を納めない場合、実のところ、老後の年金問題だけに関わらない数多くのデメリットが生じてしまいます。そこで本記事では、国民年金を払わないデメリットを中心に解説を進めていきます。国民年金保険料を払わない主なデメリット国民年金保険料を払わない主なデメリットとして、滞納者および未納者本人が障害や死亡といった状態になった場合において、国民年金から支払われる障害基礎年金や遺族基礎年金の支給が受けられない懸念が生じます。また、原則として65歳から支払われる老後生活資金にあたる老齢基礎年金も支払われない懸念が生じるため、国民年金保険料を払わないことに対するメリットは一切なく、デメリットしかありません。国民年金の支払いが滞納や未納の場合、具体的にどうなるのか令和元年度(平成31年4月~令和2年3月まで)における国民年金の保険料は、1ヶ月あたり16,410円となっており、無職の人や低所得の人からしますと、国民年金を納めるのが義務だと分かっていても、中々納められない人も多いのが現状です。実際、国民年金の納付について滞納や未納がある場合、日本年金機構から督促状が郵送で送付されたり、日本年金機構から委託を受けているアイヴィジットという会社から自宅へ電話が来たりします。国民年金保険料を滞納や未納の場合の対応方法国民年金保険料を滞納や未納にしている場合、日本年金機構(年金事務所)から督促状やアイヴィジットから電話が来ることをお伝えしましたが、これらの場合の対応方法をそれぞれ紹介します。日本年金機構(年金事務所)から督促状が届いた場合日本年金機構(年金事務所)から督促状が届いた場合は、督促状に書かれている内容を一度確認し、必ず年金事務所に電話連絡をするようにして下さい。この時、時間を設けて一度年金事務所へ足を運ぶことになる場合もありますが、重要なのは、なぜ未納や滞納になっているのか理由を説明した上で、国民年金の納付免除手続きを取ることです。なお、国民年金保険料の免除制度につきましては後程解説を進めます。アイヴィジットから電話が来た場合アイヴィジットから電話が来た場合、電話が来た時点で日本年金機構(年金事務所)に電話連絡を済ませているのであれば、すでに電話連絡をして今後の対応について相談することになっている旨を伝えることで足ります。日本年金機構(年金事務所)とアイヴィジットの情報伝達にはタイムラグが生じるため、すでに日本年金機構(年金事務所)に電話連絡を済ませた後であったとしても、重複して同じ内容の問い合わせが来ることも多々あります。そのため、とても不快な思いをしてしまうことも十分考えられますが、冷静に対応しておくようにしたいものです。国民年金保険料の免除制度とは国民年金保険料の免除制度とは、無職や低所得をはじめ、勤務先の倒産や解雇などによる失業によって、国民年金の保険料を納めるのが経済的に難しい場合に行う手続きです。国民年金保険料の免除制度を活用しますと、国民年金の保険料が滞納や未納といった取り扱いにはならず、納付が免除される取り扱いになり、以下のようなメリットが得られます。[adsense_middle]督促状や電話連絡による催促が来ない日本年金機構(年金事務所)から国民年金保険料の滞納や未納に対する督促やアイヴィジットからの催促などによる電話連絡は、あくまでも国民年金保険料の滞納や未納がある場合となります。したがって、国民年金保険料の免除制度を活用したことによって、これまでの年金納付履歴に未納期間がない場合は、これらの連絡が来ることはありません。国民年金の免除期間は、受給資格期間に反映される国民年金保険料の免除制度を活用しますと、国民年金が免除された期間について受給資格期間に反映されるメリットがあります。受給資格期間とは、年金の支給を受けるために必要な期間のことです。一例として、老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金が支給されるために必要な国民年金保険料の納付要件について、以下に紹介します。なお、納付要件の紹介において、国民年金保険料の免除に関するものだけを紹介し、すべての納付要件ではないことをあらかじめ申し添えておきます。老齢基礎年金:国民年金保険料を納付した期間、または、免除された期間が10年(120月)以上あること障害基礎年金:初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の2/3以上の期間について、保険料が納付または免除されていること遺族基礎年金:死亡した人が、保険料納付済期間(保険料免除期間を含む)が、加入期間の3分の2以上あること国民年金保険料の滞納や未納期間は、受給資格期間に反映されない前項の解説より、国民年金の免除期間は受給資格期間に反映されるため、仮に老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金が支給されるための要件を満たした場合にお金を受け取ることができます。その一方で、国民年金保険料の免除申請をせず、国民年金保険料の滞納や未納をしていた場合、その期間は受給資格期間に反映されないため、免除申請を行っていた方が得策であることが分かります。国民年金の免除期間は、将来受け取る年金額に反映される実のところ、国民年金の免除期間は将来受け取る年金額に反映されることになっており、具体的には、原則として65歳から支給される老齢基礎年金を受け取る際に、2分の1が受け取れる仕組みになっています。大まかな例となりますが、仮に20歳から60歳までの40年間において、すべて全額免除の取り扱いとなった場合、1年間に支給される老齢基礎年金は、年額390,100円(令和元年度)となります。なお、滞納や未納は年金額に反映されません。国民年金保険料の納付猶予制度についても知っておこうこれまで国民年金保険料の免除制度について解説を進めましたが、国民年金の滞納や未納を防ぐための制度として、免除制度のほかに国民年金保険料の納付猶予制度があります。国民年金保険料の納付猶予制度とは、年齢が20歳から50歳未満の人で、本人と配偶者の前年の所得が一定金額以下の場合、申請をすることによって、国民年金保険料の納付が猶予される制度のことを言います。国民年金保険料の納付猶予制度が承認される一定金額とは国民年金保険料の納付猶予制度が承認される一定金額には計算式が定められており、以下の計算式によって計算した金額の範囲内であれば、国民年金保険料の納付猶予が承認されます。(扶養親族等の数+1)×35万円+22万円なお、計算式にある扶養親族等の数とは、源泉徴収票や確定申告書に記載されている扶養控除を適用した人数のことを指しており、いわゆる税法上の扶養人数となります。したがって、0歳から15歳までのいわゆる年少扶養親族は、扶養親族等の数に含まれない点に注意が必要です。国民年金保険料の納付猶予制度は受給資格期間に反映されるが、年金額に反映されないこちらは、国民年金保険料の納付猶予制度における注意点となりますが、仮に国民年金保険料の納付猶予制度を活用した場合、納付猶予を受けた期間について、受給資格期間に反映されるものの、将来受け取る年金額に反映されません。次項で解説を進めますが、納付猶予を受けた期間は追納と言って、免除などの承認を受けた期間の国民年金保険料を後から納付しなければ、将来の年金額に反映されることはありません。追納申請をすると、納付書で後から国民年金を納付することが可能国民年金保険料を払わない場合、基本的に将来支給される年金額も増加しないため、このような事態を避けるために、免除や納付猶予を受けた期間の国民年金を後から納付することができる追納制度が設けられています。実際に追納をするためには、年金事務所に対して追納の申請手続きをする必要があり、この手続きを行うことによって後日納付書が自宅へ郵送され、その納付書で国民年金を納付する流れとなります。[adsense_middle]国民年金の保険料を追納する際の注意点国民年金の保険料を追納する際の注意点として、追納することができる期間が10年以内の期間に限られていることが1つ目の注意点として挙げられます。たとえば、平成30年4月の国民年金保険料を追納する場合の期間は、令和10年4月末日までといったイメージです。2つ目の注意点として、3年度目以降に追納をする場合、追納するべき国民年金保険料に時間が経過したことによる加算額が上乗せされることが挙げられます。これによって、本来納めるべき国民年金よりも多くのお金を納付しなければならなくなるため、早めに追納されることが望ましいと言えます。国民年金を追納した場合、税金の所得控除が適用できる国民年金の追納を申請し、郵送された納付書で国民年金を納めた場合、その納めた金額は、所得税や住民税を計算する上で控除される社会保険料控除として適用できます。たとえば、平成30年度に免除を受けた国民年金保険料が60,000円あったとし、この60,000円分の国民年金保険料を令和元年に追納したとします。この時、令和元年度の年末調整や確定申告時に60,000円分の社会保険料控除が適用でき、これによって納めるべき所得税や住民税が軽減されるメリットが得られます。年末(12月31日)近くに国民年金保険料を追納した場合の注意点通常、毎年秋ごろになりますと、日本年金機構より社会保険料控除証明書が自宅へ郵送され、1年間に支払った国民年金保険料の金額などが記載された葉書を受け取ります。これを年末調整や確定申告の際に添付して社会保険料控除の適用を受けますが、仮に年末(12月31日)近くなど、すでに社会保険料控除証明書が届いてからの追納は、同証明書に追納後の金額が反映されていません。そのため、このような場合は追納後に受け取る納付書の控えを添付することで、適用忘れをすることなく社会保険料控除が受けられることになるため、いつ追納しても大丈夫だと言えるでしょう。国民年金保険料の免除制度と猶予制度まとめこれまで、国民年金の保険料を払わないデメリットと滞納や未納を回避するための方法として、国民年金保険料の免除制度および国民年金保険料の納付猶予制度、追納制度について解説を進めました。本記事で解説した様々な制度があることによって、情報が上手く整理できない場合も考えられるため、以下、それぞれの制度を活用した場合における国民年金の受給資格期間と年金額の反映効果についてまとめます。年金を払わないデメリットは一目瞭然前項の表を見ると、国民年金保険料を滞納や未納のままにしておくデメリットは一目瞭然であることが確認できます。国民年金は、老後生活資金にあたる老齢基礎年金だけではなく、障害や死亡といった場合に一定要件を満たすことで支給が受けられる障害基礎年金や遺族基礎年金もあり、年金を払わない効果は、国民年金で保障が受けられるすべての年金に対してデメリットしか与えないことが分かります。国民年金保険料を滞納や未納にしている場合は、年金事務所へ相談を国民年金保険料を滞納や未納にしている場合は、できるだけ速やかに年金事務所へ相談をし、国民年金の免除制度や猶予制度が適用できないか対応をすることが得策です。一時的に免除や猶予の対応を受け、お金に余裕ができた時に少しずつ追納していくことが、将来の老後資金対策や配偶者および子供のためになることをしっかりと理解しておくことが極めて重要であると言えます。年金を払わないデメリットに関するまとめ国民年金保険料を払わないデメリットは数多くあります。実際のところ、それぞれの人が置かれている状況は全く異なりますが、例えば既婚の場合における未納のデメリットは大きいと考えられ、配偶者や子供がいる状態での障害状態や死亡といったリスクを生活保障の面で支える働きが国民年金にはあります。国民年金は、老後生活資金だけに特化したものではありませんので、広い視野で将来のお金や物事を考え、どうしても年金を納めることができない場合は、免除申請や納付猶予といった制度を上手に活用するようにしたいものです。
2019年09月09日年金だけでは老後の生活は成り立たないというのはもはや常識に。でも、このまま嘆いているだけでいいのか。もう、今さら働けないと思っている人にこそ読んでほしい、50歳から始める仕事探しーー。「金融庁が『老後2,000万円足りない』と発表して以来、『将来、年金をどれだけもらえるのか?』は、最大の関心事かと思います。でも、ただ手をこまねいているのではなく『65歳までに、いくら貯蓄できるのか?』を考えて、50代から世帯の年収を増やしていくべきです。50歳からはじめても、年金受給までに『1日数時間で1,000万円の貯蓄』も可能ですよ」こう話すのは、老後のライフプランニングに詳しいマネーセラピストの安田まゆみさん。でも「1日数時間で1,000万円の貯蓄」って、いったいどうやったら稼げるのだろう?「いえいえ、難しく考えることはありません。時給1,000円で1日3時間×週4日働くと、15年たてば約900万円の収入になります。そして1日4時間働けば、15年で1,200万円稼げます。ここで大事なのは、『いかに効率よく、つまり極力負担が少なく、無理なく続けられる仕事を選べるか』なんです」(安田さん)安田さんによれば、主婦が「無理なく続けられて、1,000万円貯蓄できる」仕事とは、おもに「家から出ずに働く」「主婦力を生かした仕事」「財産を働かせる」の3つに分類できるという。ここでは「家から出ずに働く」について、仕事選びのコツと心構え、そして注意すべき点を安田さんが解説。合わせて2人の実例を紹介。■家から出ずに働く「いざ、会社や店舗で働き始めたあとに、嫌な上司や先輩がいることに気づくなんてことはけっこうあります。もとよりメンタルが弱くて、なにも言えなくなってしまう人や、そもそも、人と一緒に仕事するのが苦手だという人もいます。そんな場合は『在宅ワーク』を選ぶべきでしょう」(安田さん)仕事の受注も、人と会うことなくスマホで進められる。在宅ワーク・プラットフォーム「シュフティ」などに登録し、クライアントからの仕事を受ければ、一度も直接会話することなく受注から納品、入金までを完了できる。「結婚前の仕事が『事務職』だった人や『パソコンを使っていた』という人も少なくないでしょう。文字入力の単純作業や商品レビューの作成など、SEなどの専門的な知識はなくても対応できる仕事はあります」(安田さん)【実例1】「パソコンは触れるだけ」でも月15万円稼げた/Aさん・40代・専業主婦「息子が私立大学に合格し、学費も含めてまとまった収入が必要になりました。夫は年収500万円ほどですので、私もパートで足しにと思っていたのですが、「インターネットで稼げる」という雑誌記事をたまたま目にしたんです」40代専業主婦のAさんは、資格などはなかったが、結婚前の職場では事務作業でパソコン操作することはあった。現在の業務内容は「ウェブ情報収集作業」で、1日3〜4時間ほど。平均月収15万円、年収は180万円ほどになるという。「仕事を始めて2年、PCでの作業が長時間だとつらいこともありますが、だいぶ慣れてきたので、継続して続けられそうです」【実例2】“好きなこと”の延長でストレスなく稼ぐ/Bさん・52歳・専業主婦「会社員の夫は年収750万円で、私は専業主婦です。息子2人はすでに社会人になり、子育ても終わったので、趣味を生かせる仕事がしたいと思っていました。若いころから文章を書くのが好きだったので、クラウドソーシングのサイトでネット記事をライティングする仕事に登録したんです」現在52歳のBさんは練習で書いた文章を添付して応募し、何度か「不採用」に泣いたものの、現在は軌道に乗り、月額平均で5万円ほどの収入になっている。「1日にかかる時間は3〜6時間とまちまちですが、好きなことなので無理なくできています。これなら65歳を過ぎても、やる気がある限り、続けられそうです」そんな在宅ワークだが、クライアントの顔が見えないため、報酬の未払いなど金銭トラブルが起こることがある。また悪徳業者の中には、受講料をとって資格を取らせて、仕事を発注しないという例もあるのでご注意を。仕事の探し方としては、ネットで情報収集をしつつ、同時に主婦友やママ友などの口コミも参考にするべきだという。「そうして多重構造で情報収集しておいて、比較検討することが大事。そのうえで、最終的に登録するのがスマホでも、友人・知人の紹介での面接でもいいんです。そして、仕事がつらい、続かないと思ったら、辞めてしまってもいいんです」(安田さん)老後のお金は不安、でも嫌なことをしてまで働きたくない……。そんな“わがまま”を押し通そう。
2019年09月07日