大正から昭和初期に大流行した絹の着物地のひとつで、鮮やかな色合いと大胆な柄が特徴の普段着の着物「銘仙(めいせん)」。蒐集家の桐生正子のコレクションから、選び抜いた約 50点の銘仙を紹介する展覧会が、9月30日(土)から12月24日(日)まで、東京・文京区の弥生美術館で開催される。近年、和洋をミックスさせて元気に楽しく着物を着る女性が目を引くが、銘仙はそのルーツにあたるという。ポップな色や斬新な柄は昭和初期の若い女性を虜にし、女性が社会に進出するなかで、自由な空気をまとった銘仙は女性たちの「戦闘服」の役割をはたしたのだとか。昭和30年代には洋装が定着したためほぼ生産中止となったが、2000年頃のアンティーク着物ブームで注目され、その魅力が広く知られるようになった。今回は、銘仙の大胆な柄の傾向から、4つのカテゴリーに分けて紹介が行われる。日本の伝統文様をアレンジした「Neo Classic(ネオ・クラシック)」、西洋文化の影響を受けたロマンチックな「Girlish(ガーリッシュ)」、 働く女性を意識したクールな「Geometric(ジオメトリック)」、面白柄の「kitsch(キッチュ)」という分類の名称からも、銘仙のデザインの多彩さがうかがえる。同展ではまた「織り」の技術にも注目し、大胆なデザインと色を支える様々な技や工夫の紹介にも力を入れている。同展で特に心惹かれるのは、着物スタイリスト・大野らふによるコーディネートで、大正末期から昭和初期の帯や小物も合わせて展示されること。コーディネート展示により、銘仙の魅力がより実感できると同時に、当時の女性の姿もリアルに浮かび上がってくる。伝統的な日本の価値観に西洋の文化や考え方が流入してきた過渡期に生まれた若い女性たちのカルチャーが、銘仙を通じて紐解かれることになるだろう。なお同展は、2022年8月に伊勢丹新宿店で、また9月から11月にかけて岡山県の新見美術館で好評を博した展覧会だ。今回は、弥生美術館展のための新コーディネートも多数登場する。パワーアップして東京に戻ってきた展覧会をぜひ楽しみたい。<開催情報>アンティーク着物の魅力再発見!『大正の夢秘密の銘仙ものがたり』展会期:2023年9月30日(土)~12月24日(日)会場:弥生美術館時間:10:00~17:00(入場は16:30まで)休館日:月曜(10月9日は開館)、10月10日(火)、11月14日(火)料金:一般1,000円、大高900円、中小500円美術館公式サイト:()
2023年09月05日「大正ロマン百貨店DX with 秘密の銘仙ものがたり展」が、東京・伊勢丹新宿店 本館6階 催物場で、2022年8月3日(水)から8月8日(月)まで開催される。大正ロマン着物&レトロアクセサリー集結“ロマデパ”の愛称で親しまれる「大正ロマン」にフォーカスしたイベント「大正ロマン百貨店DX」が、再び伊勢丹新宿店で開催決定。期間中は、大正ロマンの着物を中心に、ヴィンテージウェア、アクセサリー、雑貨など、ノスタルジックなアイテムが集結する。参加ブランド&ショップは全17店舗。中でも注目は、ポニアポンのロマンチックな着物シリーズだ。「夏着物 プリムラ」は、黒×白のギンガムチェックに大きなピンクの花をあしらった、乙女心をくすぐる仕上がり。汗にも雨にも強く、水洗いもできる夏向きの素材を使用しているので、暑い夏でも心地よく着用できる。ヴィンテージ雑貨やカジュアル着物を展開するチョコからは、オリジナルブランド「C.H.O.K.O」の帯が登場。ミュージシャン浅井健一とコラボレーションしたデザインで、両面使えるリバーシブル仕様となっている。また、薔薇刺繍のがま口バッグや大振りなイヤリングなど、レトロなアクセサリー類も充実。展覧会「大正の夢 秘密の銘仙ものがたり展」同時開催さらに今回は、同時開催として展覧会「大正の夢 秘密の銘仙ものがたり展」も実施。銘仙研究家・桐生正子の銘仙コレクションの中から、大正から昭和初期を彩った銘仙着物34点を展示する。【詳細】■「大正ロマン百貨店DX with 秘密の銘仙ものがたり展」場所:伊勢丹新宿店 本館6階 催物場(東京都新宿区新宿3-14-1)開催期間:2022年8月3日(水)~8月8日(月)※最終日は18:00終了。TEL:03-3352-1111(大代表)<アイテム例>・ポニアポン「夏着物 プリムラ」70,950円・チョコ「半幅帯 ライド ザ ピンク クラウド」33,000円・シュウカ「薔薇刺繍のがま口バッグ」38,500円■「大正の夢 秘密の銘仙ものがたり展」会期:2022年8月3日(水)~8月8日(月)※最終日は18:00終了。時間:10:00~20:00※「秘密の銘仙ものがたり展」への入場は閉場1時間前まで会場:伊勢丹新宿店 本館6階 催物場入場料:MIカードまたは三越伊勢丹アプリを提示。※イベントの内容は、都合により変更または中止となる場合あり。※数に限りがある商品あり。※営業日・営業時間の変更、予定していたイベントなどが中止になる場合あり。
2022年07月30日東京都心から日帰りでも行ける秩父地方は、江戸時代から温泉や札所巡りに多くの人が訪れてきました。最近では温泉だけでなく、わらじカツなどのグルメや、神社を目当てに行く人も急増中のスポットでもあります。そんな秩父で誕生し、2013年に伝統的工芸品に指定された「秩父銘仙」をご紹介します。秩父駅から徒歩5分!アンテナショップ内にある〔逸見織物〕出張所「秩父銘仙」は、大正~昭和初期の女性たちが普段着やおしゃれ着として夢中になった織物。カラフルで美しい織物は、時を超えてパスケースやストールなど、日常使いにも取り入れやすい小物として登場しています。秩父の街を歩けば、現代女性も思わず手に取りたくなる、かわいい銘仙小物が目に飛び込んできます。とりわけめずらしいのは、秩父で90年以上の歴史をもつ老舗織元の3代目・逸見恭子さんがオープンさせた〔逸見織物〕の出張所。「秩父銘仙」を使って、好みのアイテムをオーダーできるめずらしい工房です。店内には伝統的な柄物のほかにも、恭子さんが作る、和のモチーフを現代的にアレンジしたポップな柄の銘仙が所狭しと並びます。ランチに活躍しそうな小型トートのほか、ストール、小物入れにも使えるがま口やポーチなど、秩父旅行の記念に買って帰りたくなるアイテムがいっぱい!着物の生地というと高額なイメージを持たれがちですが、ヘアクリップやパスケースなど、1,000円以下の手ごろな価格で購入できるものも少なくありません。入り口には織り機が置かれており、予約制ですが、秩父銘仙の手織り体験もできるそう。どんなものをつくる?自分だけのオーダーメイドにチャレンジ〔逸見織物〕の出張所では店内に陳列されたアイテムを購入できるだけでなく、銘仙を使ったオーダーメイドも受け付けています。「オーダーというとむずかしく感じるかもしれませんが、店内の小物を元にして『ここをこんなふうに作ってほしい』といったふうに依頼いただいても」と恭子さん。たしかにそれならば、ゼロから考えてお願いするよりもずっとかんたん!気に入った既成品を元に注文すれば、色の組み合わせやデザインに自信がなくてもイメージが湧きやすいですね。今回、取材時にオーダーしたのは、おでかけ時に持ち歩くお財布やペットボトル、コンパクトデジタルカメラ、化粧ポーチが入るスクエア型のショルダーバッグ。壁に並べられていたポーチに使われていたグレー×グリーン×オフホワイトのドット柄を使い、作ってもらうことにしました。オーダーでは銘仙ならではの注意点も。「ショルダーバッグのように体に接するアイテムを作るときには、銘仙は外側だけに使用するのがおすすめです。使っているうちに擦れて生地が切れてしまうんですよ。お直しも承っていますが、『帆布を内側に銘仙を外側に』というのが長持ちする組み合わせです」。使う布が決まったら、あとは大きさを決めます。既成品のショルダーバッグよりひと回り大きなサイズがほしかったので、規制品を採寸してもらい、好みのサイズになるよう3~5センチほど足してもらいました。恭子さんがその場でデザインを書き、サイズや色をすり合わせたらお店での作業は完了です。完成品の到着はオーダーしてから1ヶ月前後♪宅急便で届いたショルダーバッグは、こんなふうに仕上がってきました。表面に銘仙、裏面は紫色の帆布を使用しました。海外旅行をするときにも携帯できるよう、ファスナーもつけてもらいました。内ポケットやマチもしっかりあるので収納力も抜群です。しっかりとお店で完成形をすり合わせているので、望み通りのかばんが仕上がり、大満足の結果に。完成品の到着は作るものにもよって異なりますが、ショルダーバッグでおよそ1ヶ月。スタンダードな手さげかばんであれば最短40分で仕上がるとか。旅の思い出を、特別な形で残したい人はもちろんのこと、着物や和柄が好きな人、自分だけの小物作りができるお店を探している人におすすめのお店でした。世界にひとつだけのオリジナルができるので、父の日や母の日、誕生日など大切な人への贈り物をオーダーするのもよさそうです。【逸見織物出張所】●住所:埼玉県秩父市本町3-1秩父ふるさと館1階●電話:0494-23-7300●営業時間:11:00~17:00●定休日:水曜日逸見織物アンテナショップの詳細はこちら!●ライター・写真大浦春堂社寺・トラベルライター、編集者。雑誌やWEBマガジンへ社寺参りに関する記事の寄稿を行う。著書に『御朱印と御朱印帳で旅する全国の神社とお寺』(マイナビ出版)のほか、『神様と暮らすお作法(協力:三峯神社)』(彩図社)、『神様が宿るお神酒』(神宮館)、『おいしいお詣りスイーツ』(講談社)などがある。
2018年08月23日日本デザインコミッティーと経済産業省関東経済産業局が連携し、埼玉県秩父と栃木県足利の事業者が「銘仙」を服地として復活させるべく発足したプロジェクト「スタイル*メイセン(STYLE*MEISEN)」の展覧会が、松屋銀座7階デザインギャラリー1953にてスタートした。明治時代に生まれた銘仙は、糸にプリントした後に織る「ほぐし織」という高度な技法を使ってできる染織。大正から昭和初期にモダンな柄で一斉を風靡した着物であったが、戦後の日常着として需要がなくなった着物とともに産地が衰退し、現在は織元が数社残るのみとなっている。展覧会の開催初日にはトークショーが行われ、同プロジェクトのデザイナーとして起用されたまとふ(matohu)の堀畑裕之と関口真希子、秩父銘仙「逸見織物」の逸見恭子、足利銘仙を手がける足利市「ガチャマンラボ」の高橋仁里の4人が参加。銘仙と「スタイル*メイセン」の2つをテーマにトークを行った。高橋「足利では約20年くらい前に銘仙を作る事業者が絶えてしまいましたが、最近では洋装化を目指す取り組みが出てきています。服として使うような幅で織るために織機も変わってきているのです」逸見「秩父では、細々とではあるが途絶えることがなく続いてきました。織機なども昭和初期のものが残っています。また、現在残っているのは10社足らずだが、新しく起業し、取り組みをスタートしたところもあるります」堀畑「プロジェクトを進めるに当たって、銘仙という音を残しながら、新しいスタイルを作るという意味でブランド名を『STYLE*MEISEN』としました。英語表記にしたのは、日本だけでなく世界へ発信するためです」関口「ヨーロッパのラグジュアリーブランドの中にも銘仙に興味があるというところはあるし、イタリアでは銘仙の雰囲気をプリントで表現しているところもあるが、本当に銘仙の技術が残っているのは秩父と足利だけ。海外に出て行くことにも大きな意味があるのです」堀畑「高橋さんと食事をしたときに聞いた、銘仙をフランスに持って行った話が印象に残っています」高橋「国内がこういう状況なので、足利や桐生の事業者は海外に直接営業し始めています。プリントではなく、銘仙の本物の技術なら海外でも上手くいくのではないかと、各国を回ったが海外のメゾンからも『こんなにすごい技術があるなら、完成度を高めてどんどん持ってきてくれ』と言われました。また、その一環でもともと銘仙と同じものがあったリヨンにも行きました。そこでは、ほぐし織りの技術を機械化しようとしていましたが、実際ポリエステルではできてもシルクでははできないのです。そのため、ウズベキスタンやパキスタンから手織りの技術の高いものが入ってきているということでした」堀畑「リヨンで作られていたものはマリーアントワネットやポンパドール婦人なども愛し、ヨーロッパでも一世を風靡(ふうび)した生地。だから、銘仙も単に日本の伝統技術だから守らなければいけないという意識ではなく、世界の歴史の流れの中で位置づけ、取り上げるべきだと思います。世界中で愛されたのはかすれた生地に手のぬくもりを感じたから。プリントで再現したものとの違いはすぐに分かります」高橋「実際にできたものを見て、感慨深かったです」逸見「とても斬新で感動しました」関口「堀畑は秩父、私は足利と取り組みました。秩父は花や植物、足利は幾何が得意だったけど、無理なお願いもしたと思います」堀畑「典型的な柄から離れてオリジナルなものを作りました。まとふは着物の柄を服にすることをタブーとしていますが、今回も服地になることをイメージし、全く新しいもの、現代の人の心に響くものにしようと思って作りました」関口「普通の銘仙にはないような鮮やかな色もあります」堀畑「普通の銘仙を知っている人が見たら、『これが銘仙か』と思うぐらい、横糸などの設計も変えています。メイセンという名前ですが、全く新しいものが生まれたと思います。じっくり触ってみてほしいし、ここで着ることはできないが、鏡もあるので自分に当てて見てほしいです。また、2週間限定ですが、会場のすぐ裏にはポップアップショップもあるので着たいと思う人はオーダーすることもできます」高橋「今後もプロジェクトを継続し、関係事業者が増えて、地域が盛り上がればと期待しています」関口「もともと銘仙の手法には興味がありましたが、今回のプロジェクトで布としての可能性を探り、勉強することができました。更に発展させ、まとふでも新しい銘仙を提案したいし、それによって銘仙を知らない若い人たちが新しい素材として再発見してもらえればと思っています」堀畑「日本の伝統をそのまま続けるのは伝承。本当の伝統とは新しいものを生み出していくことだと思うし、そのためにもプロジェクトを続け、新しいメイセンを提案していきたいです」プロジェクトは始まったばかり。日本の素材が世界のトップブランドから評価される中で、今後の展開も注目を集めそうだ。なお、同展は2月21日まで、松屋銀座7階デザインギャラリー1953で開催されている。【展覧会情報】「STYLE*MEISEN展」会期:1月25日~2月21日会場:松屋銀座7階デザインギャラリー1953住所:東京都中央区銀座 3-6-1時間:10:00~20:00(2月16日は18:30まで、2月21日は20:30まで)
2017年01月28日経済産業省がバックアップして、秩父と足利の事業者が主体となり「銘仙」を服地として復活させるプロジェクト「スタイル*メイセン(STYLE*MEISEN)」が発足。1月25日から2月21日まで、松屋銀座7階デザインギャラリー1953にて展覧会を開催する。「銘仙」は明治時代に生まれた染織で、糸にプリントした後に織る「ほぐし織」の高度な技法で有名。大正から昭和初期にモダンな柄で一斉を風靡した着物であったが、戦後の日常着として需要がなくなった着物とともに産地が衰退し、現在は数社が残るのみとなっている。同プロジェクトのデザイナーとして、東京コレクションにおいて日本の美意識をファッションに落とし込むことで定評のあるmatohuが銘仙を新しくテキスタイルからデザインし、現代的なスタイルの洋服ブランドとしてディレクションした新ファッションへと昇華させた。同展覧会開催初日は会場にて17時から17時45分まで参加無料のmatohuデザイナーと銘仙メーカーとのトークイベントも予定されており、銀座松屋7階イベントスペースでは2週間限定の予約受注会も行われる予定だ。【展覧会情報】「STYLE*MEISEN展」会期:1月25日~2月21日会場:松屋銀座7階デザインギャラリー1953住所:東京都中央区銀座 3-6-1時間:10:00~20:00(2月16日は18:30まで、2月21日は20:30まで)
2017年01月22日まとふ(matohu)が企画・デザインする、織物・銘仙の企画展「STYLE MEISEN」が、2017年1月25日(水)から2月21日(火)まで松屋銀座7階・デザインギャラリー1953にて開催される。「銘仙」とは大正から昭和時代にかけて一世を風靡した平織りの絹織物。横糸は1色のみだが、縦糸にさまざまな絵柄をプリントしさらに故意にずらすことで、独特なかすれが生まれる。この独特な味わいが当時の女性たちを虜に。価格もクズ繭から紡ぐ糸を用いているため安価で爆発的な人気品となった。着物人口が縮小した現在、この「銘仙」も忘れ去られようとしている。そこで本展では、まとふの堀畑裕之・関口真希子が現代への復活を試みる。和装から洋装へと発展した「銘仙」の新しい美しさを堪能してみて。【イベント詳細】第731回デザインギャラリー1953企画展「STYLE MEISEN」開催期間:2017年1月25日(水)〜2月21日(火)時間:10:00〜20:00 ※最終日20:30分閉場入場料:無料会場:松屋銀座7階・デザインギャラリー1953住所:東京都中央区銀座3丁目6-1企画・デザイン:matohu(堀畑裕之、関口真希子)■第55回デザインサロントーク日時:1月25日(水) 17:00~18:00会場:松屋銀座7階・デザインギャラリー1953出演:matohu(堀畑裕之、関口真希子)、秩父銘仙事業者、足利銘仙事業者参加費:無料申し込み:不要定員:着席可能20名程度※人数の多い場合は立見。※開催時間10分前より会場へ案内。
2017年01月20日アール・デコ様式のモダン着物コレクションを紹介する書籍『大正着物』(2,800円)が3月24日に発売された。同書で紹介される銘仙着物は、江戸時代後半から昭和初期までの日本人の間で親しまれていた絹織物の一種。当初は実用性重視の地味なものが多かったが、大正時代以降に若い女性の間で大流行したことで、様々な柄があしらわれた。同書ではそんな銘仙着物のコレクションを、図版や説明を交えながら272ページに渡りフルカラーで紹介。「甃に四季花文様」「銭形文様」「鈴蘭文様」など、歯切れのよいレトロ感覚が楽しい個性豊かな作品がそろった。
2015年03月26日