4月2日(金)23時より放送・配信がスタートする『WOWOW オリジナルドラマ 川のほとりで』のポスタービジュアルが公開された。本作は、東京・下北沢を拠点とした劇団・東京乾電池の綾田俊樹×ベンガルの伝説的演劇ユニット“綾ベン企画”の舞台「川のほとりで3賢人」をベースに、完全オリジナルストーリーで展開されるホームレスコメディ。綾田が演じるのは、人懐っこいが、結構計算高いところがある“トシちゃん”。ちょっと女好きのロマンティストで、お気に入りの女性には洗濯ハンガーにつるして乾かした出がらしの高級紅茶でおもてなし。ベンガル演じる“BB”は、こわもてで、一見後を引かないサッパリとした男に見えるが、物に釣られて簡単に前言撤回してしまう一面も。使えそうなものを収集してはDIYするのが得意なキャラクターだ。監督は『閉鎖病棟-それぞれの朝-』の平山秀幸。平山は舞台「川のほとりで3賢人」の演出も手掛けた。脚本を担当するのは、監督の平山秀幸に加え、てっかんマスター、奥寺佐渡子、山田耕大、安倍照雄、そして阿佐ヶ谷スパイダースの長塚圭史とバラエティに富んだ面々が名を連ねた。公開されたポスタービジュアルに写し出されるのは、あまりにもリアルな年季の入ったリバーサイドレジデンス。実は、撮影のためだけに実際に河川敷に建てたセット。ビニール袋いっぱいの空き缶、木の枝に吊るしたジーンズ、サドルの無い自転車など、生活感漂う造形からは美術スタッフによる細部に渡るこだわりが見て取れる。本編撮影中の昨年、デジタルの普及が当たり前のこの時代に、自然体を追求しフィルムと自然光のみで撮影されたのがこのビジュアルだ。フィルムならではの優しく、柔らかい印象の中、生い茂る木々と河川敷を背景に佇む主演2人の姿からはどこか幻想的な雰囲気をも感じさせる仕上がりとなっている。メインコピーの「人生って、今日は何を拾おう。」を見てわかるように、本作はトシちゃんや BB たちが空き缶を拾うようにめぐり合う、ささやかだけれども、どこかあたたかい、日々の人生の発見を描いている。また、トシちゃん・BB、そして豪華な役者陣が演じる河川敷ファミリーの面々も登場するプロモーション映像が公開されている。『WOWOW オリジナルドラマ 川のほとりで』4月2日(金)23時スタート 毎週金曜日23時放送・配信WOWOWプライム / WOWOWオンデマンド全6話・第1話無料放送episode1放送終了後、WOWOWオンデマンドにて全6話一挙配信
2021年03月12日KAAT神奈川芸術劇場の新芸術監督就任会見、ならびに2021年度ラインアップ発表会が行われ、現芸術監督の白井晃、芸術参与で次期芸術監督の長塚圭史が登壇した。3月末で任期を終える白井は、KAATに携わった7年の歳月を「身に余る重責に自問自答する日々でした」と振り返る。その中で、長塚の演出作である新ロイヤル大衆舎『王将』(2017年)を東京・下北沢で鑑賞した時に「小劇場からあふれ出るエネルギーや企画力をぜひKAATでも活かして欲しい」とオファーの経緯を明かした。続いて壇上に立ったのは、4月に白井からバトンを受け取る長塚。芸術監督としてのテーマに“劇場をより開いていく”を掲げ、実現に向けた3点の新方針を打ち出した。1.シーズン制の導入新国立劇場などですでに取り入れられているシーズン制だが、その狙いを「劇場に季節感やリズムをもたらしたい」と語った長塚。4〜6月にはプレシーズンとして、実験的なトライアル公演を多数投入する。その後、初夏に恒例のキッズプログラムを配置。8月からのメインシーズンには毎年タイトルを設け、今年は「冒(ぼう)」がアナウンスされた。「飛び出す・はみ出す・突き進むイメージで“冒険心”いっぱいにやっていきたいですね」2.ひらかれた劇場を目指してKAATは今年で開館10周年。長塚は「演劇界で存在感が増してきたKAAT自身を財産に、これまで芝居を観たことのない人にも届けたい」と意気込む。手始めに、新ロイヤル大衆舎『王将』の再演を開放的なエントランス(1階アトリウム)に特設劇場を設けて行う試みを発表。タニノクロウとは『虹む街』で神奈川県民とのクリエーションを企画中だ。自身が上演台本・演出を手がける最遊記モチーフの『冒険者たち ~JOURNEY TO THE WEST~』では県内を西に向かって巡演し、「KAATを飛び出して多くの県民にお会いできれば」と笑顔を覗かせた。3.豊かな創作環境作り・劇場の未来を考える「上演がない期間もクリエーションが常に続いている劇場でありたい」という思いを込め、長塚は任期スタートとともに「カイハツ」と題したプロジェクトを始動させる。もともと“つくる劇場”を掲げていたKAATを「アーティスト同士の相互交流、国内外・新旧問わない戯曲との出会いや開発の場にできれば」として、さらなる創作環境の発展に努める構えだ。このあと、2021年度のKAATラインアップが発表された。「オリンピック前の上演がふさわしい」と長塚が懇願し、昨年度に公演中止となった『ポルノグラフィ』『未練の幽霊と怪物 ―「挫波」「敦賀」―』が持ち越されたほか、自身が演出する『近松心中物語』、2020年頭に草彅剛が主演し話題を集めた白井の演出作『アルトゥロ・ウイの興隆』再演も。心機一転したKAATの充実ぶりから、引き続き目が離せない。取材・文:岡山朋代
2021年03月05日2021年4月より、長塚圭史が白井晃の後を引き継ぎ、KAAT神奈川芸術劇場の新芸術監督に就任する。現芸術監督の白井晃は、2014年に同劇場の芸術参与に就任、2016年より芸術監督を務め7年間劇場と共に歩んできた。白井が「そのエネルギーをぜひ劇場に注いでほしい」と信頼を寄せる長塚の新芸術監督就任式と、2021年度の同劇場プログラムのラインアップ発表会がおこなわれた。白井晃長塚の芸術監督就任に際し、白井は「本当に嬉しく思っています」と喜びを表し、「(この7年間は)身に余る重責をいただいた、その重責との闘いだったと思います。就任時は開館3年の若い劇場で、“つくる劇場”を提唱してクリエーション力には定評がありましたが、より強い発信力が必要だと思いました。『劇場こそ広場である』という言葉がありますが、もっとたくさんの人に集まってもらいたいと思い、東京ではやらないようなより挑戦的で先鋭的なプログラムを企画し、おかげさまで19年度は過去最高のお客様に来場していただきました」と自身の就任期間をふりかえった。さらに「もっと面白く刺激的な作品をやらなければと思った時に、(長塚が所属する)新ロイヤル大衆舎の『王将』を下北沢の小劇場で観ました。そのエネルギーをぜひとも劇場にほしいと思い、それをきっかけにお願いしました」と長塚を任命した経緯を語り、「(予定していたプログラムの多くが中止になったため)バトンタッチをするときはここまでやっておきたいと思ったところに行けなかったのは残念」としつつ、「劇場を取り巻く環境も大きく変わらざるを得ない状況なので良いチャンスなのではと思います。この7年の間、関わってくださった全てのアーティスト・スタッフの皆さんに心から感謝します。長塚新芸術監督の船出を心よりお祝いします」と感謝と激励で締めくくった。長塚圭史続いて長塚新芸術監督より、2021年度に打ち出していきたい、という3つの方針についての説明があった。まずひとつめは、「シーズン制の導入」だ。「劇場に季節感やリズムをつくりたい、劇場がリズムをもっていると、周辺の方々により劇場という存在が浸透するのでは」と導入の理由を説明。4~6月を「プレシーズン」として実験的な公演を、夏には人気の「キッズ・プログラム」、そして秋から冬の半年間が「メインシーズン」。この「メインシーズン」は毎年テーマに沿ってプログラムを企画するとしており、2021年度のテーマは「冒」。ふたつめの方針は「ひらかれた劇場」。劇場の外からもみえる劇場1階のアトリウムに特設劇場を設置して新ロイヤル大衆舎『王将』を上演することが決定しているほか、劇場を飛び出して神奈川県内を巡演する公演も企画しているという。「まだ出会えていない方たちにもお会いできるように1階のアトリウムをもっと活用したい」と語る。3つ目は「カイハツ」プロジェクト。アイデアを練り上げたり、戯曲を研究したり「創造すること」に焦点をあて、アーティストがさまざまなアイデアをトライアルする場や機会を積極的に設けていくという。「上演をしていなくても、中ではぐつぐつと、アーティストたちが熱をもって創作をしている、そんな空間にできたら」と長塚。「大役を任せられて非常にがんばらなければと思っています。これまで10年間で築き上げられたものに大いにのっかって、動きのある劇場にしていきたいなと思います」と意気込みを語った。長塚圭史2021年度のラインアップは以下の通り<プレシーズン>■KAAT神奈川芸術劇場プロデュースリーディング公演『ポルノグラフィ』2005年ロンドン市内で起きた地下鉄とバス同時爆破事件に想を得た意欲作をKAATプロデュース公演初登場となる桐山知也が演出。作:サイモン・スティーヴンス翻訳:小田島創志演出:桐山知也出演:上田桃子内田淳子小川ゲン奥村佳恵竪山隼太那須凜平原慎太郎堀部圭亮(五十音順)2021年4月16日(金)~2021年4月18日(日)<中スタジオ>■新ロイヤル大衆舎×KAAT『王将』-三部作-伝説の下北沢「楽園」公演から4年。アトリウム特設劇場にて『王将』待望の上演決定。作:北條秀司構成台本+演出:長塚圭史音楽:山内圭哉出演:福田転球大堀こういち長塚圭史山内圭哉(以上新ロイヤル大衆舎)常盤貴子江口のりこ森田涼花弘中麻紀櫻井章喜高木稟福本雄樹荒谷清水塚本幸男武谷公雄森田真和田中佑弥忠津勇樹原田志2021年5月15日(土)~2021年6月6日(日)<アトリウム特設劇場>■KAAT神奈川芸術劇場プロデュース『未練の幽霊と怪物』―「挫波(ザハ)」「敦賀(つるが)」―第72回読売文学賞受賞作。能のフォーマットを応用し、ついえた「夢」を幻視する、レクイエムとしての音楽劇。作・演出:岡田利規音楽監督・演奏:内橋和久出演:森山未來片桐はいり栗原類石橋静河太田信吾/七尾旅人(謡手)2021年6月上旬~下旬<大スタジオ>■KAAT神奈川芸術劇場プロデュース『虹む街』演劇界の鬼才、タニノクロウが、“神奈川・横浜市のある地域、そこに暮らす人々の風景”を描く最新作。作・演出:タニノクロウ出演:安藤玉恵金子清文緒方晋タニノクロウ蘭妖子 +県民参加の皆様2021年6月上旬~下旬<中スタジオ>■KAAT DANCE SERIES 2021イスラエル・ガルバン「春の祭典』ストラヴィンスキーの作曲の根源に迫る傑作。振付・ダンス:イスラエル・ガルバン作曲・音楽監督:シルヴィー・クルボアジェピアノ:シルヴィー・クルボアジェ、 コリー・スマイス2021年6月18日(金)~2021年6月20日(日)予定<ホール>■KAATキッズ・プログラム2021『ククノチテクテクマナツノボウケン』振付家・北村明子と現代美術家・大小島真木がタッグを組み、「夏休み」をテーマに自然や生命をめぐる子ども向けダンス作品を上演。振付:北村明子舞台美術:大小島真木出演:柴一平清家悠圭岡村樹黒須育海井田亜彩実永井直也2021年7月<大スタジオ><メインシーズン『冒』>■KAAT神奈川芸術劇場プロデュース『湊横濱荒狗挽歌(みなとよこはまあらぶるいぬのさけび)』歌舞伎でおなじみの「三人吉三」をモチーフに、型破りでハードボイルドな現代劇が誕生。脚本:野木萌葱演出:シライケイタ2021年8月末~9月中旬<大スタジオ>■KAAT神奈川芸術劇場プロデュース『近松心中物語』元禄時代の二つの恋の情景が、2021年の我々に問いかけることとは? 現代演劇の金字塔に、新芸術監督・長塚圭史が挑む。作:秋元松代演出:長塚圭史出演:田中哲司/ 松田龍平、笹本玲奈 / 石橋静河ほか2021年9月上旬~下旬<ホール>※北九州、豊橋、兵庫、松本公演もあり■KAAT EXHIBITION 2021 『志村信裕 展|游動』うつし/思い寄せる。その瑞々しさと、ゆらめき/語りかける。それらが交感する世界を志村の新作映像インスタレーションを通じて展覧。2021年9月9日(木)~10月8日(金)<中スタジオ>■KAAT DANCE SERIES 2021×Dance Dance Dance@YOKOHAMA 2021『エリア50代』出演:小林十市近藤良平ほか2021年9月23日(木・祝)~9月26日(日)<大スタジオ>■KAAT DANCE SERIES 2021×Dance Dance Dance@YOKOHAMA 2021『Noism Company Niigata × 小林十市』演出振付:金森穣出演:Noism0 / Noism1 / Noism 2、小林十市v2021年10月16日(土)~2021年10月17日(日)<ホール>■KAAT神奈川芸術劇場プロデュース『アルトゥロ・ウイの興隆』白井晃×草彅剛のタッグで注目集めた話題作が待望の再演。作:ベルトルト・ブレヒト翻訳:酒寄進一演出:白井晃音楽・演奏:オーサカ=モノレール振付:Ruu2021年11月<ホール>■KAAT DANCE SERIES2021『Le Tambour de soie綾の鼓』演出・振付・出演:伊藤郁女、笈田ヨシテキスト:ジャン・クラウド・カリエール原作:三島由紀夫音楽:矢吹誠2021年12月下旬<大スタジオ>■KAATカナガワ・ツアー・プロジェクト第一弾『冒険者たち~JOURNEY TO THE WEST~』誰もが親しむアジアの古典『西遊記』をベースに、長塚圭史が書き下ろし演出する、神奈川県内の伝説を巡る冒険譚。原作:呉承恩『西遊記』上演台本・演出:長塚圭史共同演出:大澤遊音楽:角銅真実2022年2月<中スタジオ>※相模原公演、大和公演、厚木公演、小田原公演、横須賀公演ほか、神奈川県内を巡演予定。■KAAT神奈川芸術劇場プロデュース『ラビット・ホール』篠﨑絵里子×小山ゆうなの初タッグ。受け止めがたい現実を人はどのように受け入れていくことができるのか?作:デヴィッド・リンゼイ=アベアー上演台本:篠﨑絵里子演出:小山ゆうな2022年2-3月<大スタジオ>■YPAM 2021‒ 横浜国際舞台芸術ミーティング開館以来開催してきたTPAMを受け継ぎ、国際的舞台芸術プラットフォームとして装いを新たに再出発。2021年12月中旬<ホール・大スタジオ・中スタジオ>予定【提携公演】仕立て屋のサーカス4月<大スタジオ>錬肉工房6月<中スタジオ>とりふね舞踏舎7~8月<大スタジオ>劇団た組10~11月<大スタジオ>OrganWorks12月<大スタジオ>地点1月<大スタジオ>Baobab1月<大スタジオ>Co.山田うん1月<大スタジオ>BATIK3月<大スタジオ>ほか※各公演の最新情報は、劇場公式サイト にてご確認ください。
2021年03月04日綾田俊樹とベンガルが出演する『WOWOW オリジナルドラマ 川のほとりで』が4月からWOWOWプライムにて放送・配信される。本作は東京・下北沢を拠点とした劇団・東京乾電池の綾田俊樹×ベンガルの伝説的演劇ユニット“綾ベン企画”の舞台『川のほとりで3賢人」をベースに、完全オリジナルストーリーで展開されるホームレスコメディ。綾田が演じるのは、人懐っこいが、結構計算高いところがあるトシちゃん。ちょっと女好きのロマンティストで、お気に入りの女性には洗濯ハンガーにつるして乾かした出がらしの高級紅茶でおもてなし。ベンガル演じるBBは強面で一見後を引かないサッパリとした男に見えるが、物に釣られて簡単に前言撤回してしまう一面も。使えそうなものを収集してはDIYするのも得意だ。監督は『閉鎖病棟―それぞれの朝―』で「第43回日本アカデミー賞」優秀賞を11部門で受賞した平山秀幸。脚本を担当するのは平山に加え、てっかんマスター(『川のほとりで3賢人』)、奥寺佐渡子(『八日目の蝉』)、山田耕大(『おしん(2013)』)、安倍照雄(『やじきた道中 てれすこ』)、そして阿佐ヶ谷スパイダースの長塚圭史とバラエティに富んだ面々が揃う。各話に登場する豪華ゲスト俳優陣が演じる個性的なキャラにも注目だ。トシちゃんとBBの少ししょっぱく、時には甘く、そして切なくクスッと笑える日々を堪能してほしい。<綾田俊樹(トシちゃん役)コメント>――舞台『川のほとりで3賢人』のドラマ化となり再び演じられることになりましたが、この作品への思いをお聞かせください。ベンガルさんとは長い。綾ベンという形で演りだしてからも、20年以上。今までは2人が交互に作、演出という形をとってきました。2017年の舞台制作にあたり、外部の作、演出を頼もうとなって、平山監督にお願いしました。ホームレスを題材に取り上げようとなって、多摩川土手に何度も通い、実際のホームレスの人達の話を聞きました。皆さん心を開き、色々面白い話を聞かせてくれました。彼らのおかげで芝居ができ上がりました。多摩川洪水の時は本当に心が傷みました。ホームレス芝居を深めようとなって2020年、平山監督演出の元、広岡由里子さんを加え、作には、てっかんマスターさんを迎え舞台「川のほとりで3賢人」が出来上がりました。自分達が作ってきた芝居がTVドラマになる、にわかには信じられない喜びです。美術、そしてその他のスタッフの方々の努力を目の当たりし、そこで演じられた自分は幸せの極みだと思います。皆様に感謝いたします。――ご自身の役どころについて、また、撮影中に印象に残ったエピソードなど教えてください。トシちゃんという爺さん、命名したのは平山監督です。ベンガルさん演じるBBとは対局的な色を出さなければと、まず思いました。物へのこだわり、話と動作のスピード、言葉遣い等。TVドラマ化でまず感じたのは、演出、美術スタッフの力でそれぞれの住んでいる小屋に色があり、キャラクターの紹介が半分出来ていること。そしてそれを上手く利用して、トシちゃんという人間の像を深めようと思いました。舞台でも、このTVドラマでも出てくるセリフ、「ホームレスは自分を語らない」これは大切なことだと思います、説明してはいけない。随分昔の話ですが、住んでいた街の駅裏に爺さんと娘が営む小さな古い焼きトン屋がありました、親父は大学教授か、物書きにしか見えませんでした。しかし誰が聞いても過去は語らず、素性は明かさずじまいで逝ってしまいました。娘もいつも文庫本を読んでいて、何も語りませんでした。我ら客達は、ああだこうだ、**に違いない、と想像を膨らませました。トシちゃんも観た人達に、過去の生き様の想像を膨らませる演じ方をしたいなと思いました。――視聴者の皆さまへメッセージをお願いします。『川のほとりで』を御覧の皆様、ひょんな事で、ベンガルさんとTVドラマのW主演ということになりました。 小劇場でやってきたことが TV ドラマになる、喜ばしい限りです。素敵なゲストの皆さん、そして、素晴らしいスタッフ、演出、カメラワーク。いい作品が出来たと思っています。 この作品の元は小劇場の芝居でした、そちらをご覧になった方は、あれがこうなったのか?と面白がられていると思います。ご覧になられていない方は、元の芝居も観たいなと思われているのではないかしら?と勝手に思っています。この作品がヒットしパート2、3が生まれることを夢見ております。応援よろしく願います。まずはたっぷりお楽しみください。<ベンガル(BB役)コメント>――舞台『川のほとりで3賢人』のドラマ化となり再び演じられることになりましたが、この作品への思いをお聞かせください。ホームレス役を演じることは、深みがあってとても手ごたえを感じました。極限状態の中、それでも生きていこうとする彼らの姿は可愛くもあり、時に面白くもあり、とても共感できる人達だと思いました。(舞台の制作にあたり)彼らに何度も取材をしましたが、皆さん家族の話はしてくれません。逃げてきたのか捨ててきたのか誰一人語ってくれる人はいません。心に深い闇を抱えている人もいるのだと思います。今回ドラマにしていただいて、そんな彼らの心のうちの葛藤が、家族が、場面のあちこちに浮かんでみえてきました。情感のあふれる異色のとても面白い物語になっていると思います。これは心に家族を抱えたホームレスの孤独なホームドラマだと思います。――ご自身の役どころについて、また、撮影中に印象に残ったエピソードなど教えてください。メークをして衣裳を着て川辺に建てられたセットの小屋の前に立つと震えが来る程の臨場感、そして見事な川のロケーション、スタッフさんの力強さに圧倒され、ただただその中に溶け込むことが私の役作りだと思いました。本当に楽しい撮影でした。ゲストの方々が楽しんでおられる姿が強く印象に残っています。――視聴者の皆さまへメッセージをお願いします。街の片隅でうずくまっている人、川辺で生活している人達。心に深い傷を背負った人にスポットを当てて芝居を作ろう。と上演した舞台がドラマ化される事になりました。毎回素敵なゲストの登場でこの深刻な設定が膨らんで謎あり不思議あり妄想ドタバタありの面白い異色のドラマになりました。川辺で暮らす人達の日々をドラマを通じて見守っていただけたらとても幸せです。<平山秀幸監督コメント>――演出をてがけた舞台『川のほとりで3賢人』のドラマ化となりますが、この作品への思いをお聞かせください。舞台のホームレス2部作「やんごとなき二人」(2017 年)『川のほとりで3賢人『(2020年 )を経て映像化の始まりは去年の3月だった。彼らの口癖は「俺たちは乞食じゃない。自活するホームレスだ!」とてつもなく自由で、とてつもなく不自由な世界。曇り空の隙間からチラッとのぞく小さな青空のような作品です。――視聴者の皆様へメッセージをお願いします。芸達者な役者さんが嬉々としてホームレスを演じてくれました。川のほとりの住人たちの甘味、苦味、旨味、渋味、そして珍味を楽しんでください。『WOWOW オリジナルドラマ 川のほとりで』WOWOWプライムにて4月より放送・配信予定(全6話)公式サイト:
2021年01月21日今週末1月8日(金)より、KAAT神奈川県芸術劇場にて『セールスマンの死』が上演される。アメリカ現代演劇の金字塔とも呼ばれるアーサー・ミラー作のこの作品。2018年、風間杜夫を主役に迎えて上演され大きな話題を呼んだ。2年ぶりの再演にあたり、演出の長塚圭史と、主人公ウィリー・ローマンの長男・ビフ役の山内圭哉のふたりに話を聞いた。初演でビフとハッピーのキャスティングがハマったことが大きな自信に長塚と、初演に引き続きビフを演じる山内は何度も作品をともにしている仲。彼らが中心メンバーを務める演劇ユニット「新ロイヤル大衆舎」は2020年6月、コロナ禍の中でいち早く観客を入れて『緊急事態軽演劇八夜』を上演し話題を呼んだ。しかし、これだけ深い信頼関係を築いている間柄でも、最初に長塚から『セールスマンの死』の話を聞いたとき、山内は戸惑ったという。「関西小劇場のちいさな劇団出身の僕が、こんな海外の名作と向き合う日が来るとは思ってもいませんでした。圭史から『ビフをやってほしい』と言われたときには『え、大丈夫?』って。でも『絶対大丈夫だから』と言われて、圭史ができるというならできるんや、と飛び込みました。初演のときは翻訳されたセリフをしゃべること自体が大変で、ずいぶん苦労しました」(山内)「主人公の息子であるビフとハッピー、このふたりの役は非常に難易度が高く、経験値が高くないとできないことは明らかだったので、ビフに山内くんを、ハッピーに菅原永二を強く推しました。確かに山内くんは翻訳劇に慣れているわけではない。けれども僕の作品では何度も劇の核となる部分を担ってもらってきたので信頼をおいていました。風間さん、(片平)なぎささんはもちろん、初演でこの兄弟のキャスティングがぴたっとハマったことは自分の大きな自信になりました」(長塚)「今回は初演の下地がある分、すこしだけ楽。稽古で前回苦労したセリフと改めて向き合い、より深く作品に接することができるのは、贅沢な時間だなと思いますね」(山内)主人公ウィリー・ローマンが死に至るまでの最期の2日間を描き、ピューリッツァー賞を獲得した今作。さまざまな名優が演じてきたこの主役を演じる風間杜夫は、「『この役をやるために今まで時を重ねてきたのではないか』という体験をした」とコメントを寄せている。「この作品、時々タイトルを間違えられるんですよ、『サラリーマンの死』って。2年前はそれがすごく嫌だった。でもこれは、どんな平凡な男にも起こりうる物語。風間杜夫さんという俳優のもつ昭和のお父さん的なイメージや大衆性……その親しみやすさが『セールスマンの死』を身近に感じさせてくれているんじゃないかと思うようになってから、嫌ではなくなりました。風間さんが主役を演じていることで、観る人もこの作品を遠いアメリカの古い話ではなく、自分ごととして捉えられているんじゃないかと思います」(長塚)「僕にとって風間さんは、稽古場で圧倒的なものを見せつけられた先輩俳優の一人です。2004年に『燃えよ剣』という作品でご一緒しているんです。そこで、風間さんは『セリフをセリフ通りに言うことはすごく大事なんだよ』ということを、体現しておられた。その姿勢は本当に衝撃で、僕にとっては風間さんはモンスターであり、師匠クラスの存在であり……。だから初演のときも緊張していましたけど、今はもっと親しく演じられるようになって、それが作品に対してすごくプラスに働いていると思いますね」(山内)暗い物語のなかでも“光”も感じてもらえたら2年前からこの作品に対峙しているふたりに、改めて名作の呼び声高い今作の魅力を聞いてみた。「いろんな社会の問題が巧妙に入り組んだ形で盛り込まれていますよね。主人公のウィリー・ローマンは資本主義社会を死ぬまで信じて、アメリカン・ドリームを掴み損ねるわけです。他に選択肢はいくらでもあるのに、ひとつの仕組みのなかだけで成功を夢見てしまった結果崩壊する。それは彼だけでなく家族もですね。そうやって老いていく男の様を、あまりにも鋭く描いていて、誰の胸にも刺さる。人間と人間が形成する社会を描いているので普遍性を保ち続けている。今だったらコロナによって『こうであらねばならない社会』の残酷さが浮き彫りになるでしょうし。すごい戯曲だな、と思います」(長塚)「70年前のアメリカの作品が、いざやってみると僕らの今そこにある物語のように感じられる。コロナで自分らの暮らしや生き方を振り返ってみたときに、この話を思い出して『ああ!』と思うことがいっぱいあるんですよ。今にビビッドに響く、本質的なものがいっぱい散りばめられている」(山内)「コロナで疲弊しているいまの僕らの精神状態に届く、胸に迫るんですよね。戯曲としては暗い、転落の物語ですが、最後にビフが何かに覚醒する、その光も描かれている。劇場を出たあと、視界が広がった感覚になるんじゃないかな」(長塚)長塚は、2019年4月から芸術参与としてKAAT神奈川芸術劇場に携わってきた。2021年4月からは、白井晃の後を継いで芸術監督に就任する。最後に白井へのメッセージを語ってもらった。「やっぱりね、白井さんは無茶(笑)。無茶なことをどんどんやってきた人だなって思いますよ。圧倒的なプログラムを作って、それを実現させてきた。そのエネルギーには頭が下がります。白井さんが土台を猛烈に作り上げてきてくれたことで新たなステップが踏み出せる。白井さんが築きあげてきたものにまた次なる角度をつけて向かっていくつもりです」取材・文:釣木文恵撮影:源賀津己『セールスマンの死』作:アーサー・ミラー翻訳:徐賀世子演出:長塚圭史出演:風間杜夫/片平なぎさ/山内圭哉/菅原永二加藤啓/土屋佑壱/智順/山本圭祐/佐野瑞稀/浜崎香帆大谷亮介/村田雄浩2021年1月8日(金)~2021年1月12日(火)会場:KAAT神奈川芸術劇場<ホール>
2021年01月04日現代アートのコレクターズミュージアム「ワット(WHAT)」が、2020年12月12日(土)、東京・天王洲にオープンする。寺田倉庫による現代アートのコレクターズミュージアム「ワット」「ワット」は、アートシティを目指した街づくりを行う寺田倉庫が手掛けた、現代アートのコレクターズミュージアム。WHAT=WAREHOUSE OF ARTという施設名称に、“倉庫を開放、普段見られないアートを覗き見する”というコンセプトを込め、現代アートシーンで活躍する作家の作品をコレクターの思いと共に展示する。一般的な美術館の常設展示よりも作品の入れ替えを多く行うことで、訪れるたびに表情を変えるのが「ワット」ならではの魅力だ。なお、2016年より保管・展示を行ってきた「WHAT」の先駆けである建築倉庫ミュージアムは、「建築倉庫プロジェクト」と改名し、同施設内で継続して建築に纏わる展覧会を開催していく。オープニング企画展では奈良美智作品も展示展示のオープニングを飾るのは、2名のコレクターが、それぞれの視点や価値観をもって収集した作品約70点を公開する「-Inside the Collector’s Vault, vol.1-解き放たれたコレクション」展。「描き初め(かきぞめ)」をテーマにした高橋龍太郎コレクションと、2000年前後の奈良美智作品を中心に紹介するA氏コレクションで、全く違う角度の2展示から現代アートの魅力に迫る。建築×文芸のコラボ展示「謳う建築」展示室1階では、オープン日から2021年5月30日(日)まで、建築倉庫プロジェクト企画展「謳う建築(うたうけんちく)」を開催する。同展は、多彩な15名の文芸家による、建築と文芸のコラボレーションが見どころだ。戦後の建築の歴史に大きな変革を及ぼした建築家・篠原一男が設計した「谷川さんの住宅」について、日本を代表する詩人・谷川俊太郎が本企画展のために創作した新しい詩を公開。また、吉村順三の住宅について詩人・蜂飼耳が、能作文徳と常山未央の建築について劇作家・長塚圭史が作詩した。その他、住宅の設計プロセスにおけるスタディ模型20点以上や、スケッチ、図面、映像なども展示する。食事&カフェを楽しみながらアート鑑賞ができる「ワット カフェ」「ワット」内には、ギャラリーとカフェが融合した新空間「ワットカフェ(WHAT CAFE)」を併設。800㎡にもおよぶ店内では、現代アート作品を常時数十点展示・販売する。また、展示内容と連動したワークショップ、アートの世界を体験できるイベント、アートファン同士の交流会なども今後実施予定。カフェスペースでは、ボロネーゼ専門店のパスタやボリュームのあるサラダなどの食事メニューのほか、ドリンクメニューも充実しており、食事を楽しみながらアーティストの作品を鑑賞できる。【詳細】ワット(WHAT)オープン日:2020年12月12日(土)開館時間:11:00~19:00(最終入場 18:00)入場料:一般1200円/大学生・専門学校生 700円/高校生以下 500円/建築模型倉庫見学(オプション) 500円住所:東京都品川区東品川2-6-10アクセス:東京臨海高速鉄道りんかい線・天王洲アイル駅「B出口」より徒歩4分東京モノレール羽⽥空港線・天王洲アイル駅「中央口」より徒歩約5分■-Inside the Collector’s Vault, vol.1-解き放たれたコレクション展会期:2020年12月12日(土)~2021年5月30日(日)会場:ワットT 展示室 1階、2階開館時間:火~日 11:00~19:00(最終入場18:00) 月曜休館(祝日の場合、翌火曜休館)入場料:一般1200円/大学生・専門学校生 700円/中高生 500円/小学生以下 無料※同時開催 建築倉庫プロジェクト「謳う建築」の入館料を含む※オンラインチケット制※障害者手帳を持っている人とその付添者1名は無料。■謳う建築会期:2020年12月12日(土)~2021年5月30日(日)会場:ワット 展示室 1階開館時間:火~日 11:00~19:00(最終入場18:00) 月曜休館(祝日の場合、翌火曜休館)※毎週火曜日16:00よりギャラリーツアーを開催。入場料:一般1200円/大学生・専門学校生 700円/中高生 500円/小学生以下 無料※「-Inside the Collector’s Vault, vol.1-解き放たれたコレクション」展の観覧料を含む※「-Inside the Collector’s Vault, vol.1-解き放たれたコレクション」展の観覧料を含む■ワットカフェ営業時間:11:00~18:00(定休日なし)住所:東京都品川区東品川2-1-11入場料:無料
2020年12月13日近藤良平、首藤康之、長塚圭史、松たか子が出演する舞台『イヌビト~犬人~』が8月5日(水)より新国立劇場にて開幕する。この4人の顔合わせは、“大人も子どもも一緒に楽しめる演劇公演”として上演された『音のいない世界で』(2012年)、『かがみのかなたはたなかのなかに』(2015、17年)に続く第3弾で、長塚の作・演出、近藤の振付、そして今回は10人のダンサーが加わって展開される。公式ホームページ() を。文:伊藤由紀子
2020年08月05日新国立劇場にて、大人とこどもが一緒に楽しめる演劇公演として8月5日より長塚圭史作・演出の「イヌビト ~犬人~」が上演される。「音のいない世界で」、「かがみのかなたはたなかのなかに」に続き、長塚、近藤良平、首藤康之、松たか子が主要メンバーとして参加。未知の感染症・イヌビト病が蔓延した街を舞台に展開する物語は、いま現在、我々が置かれている社会の状況を色濃く反映させつつ、そこに歌やダンスによる表現を組み合わせたエンターテインメントとなっている。7月中旬、総勢14名のキャストが揃って行われた稽古の場に足を運んだ。【チケット情報はこちら】主人公・タナカ(首藤)は、妻のツマコ(島地保武)、息子・カナタ(西山友貴)、愛犬と共にある町に引っ越してくるが、そこは住人たちが夜になると正気を失い、“イヌビト”と化してしまう感染症・イヌビト病が蔓延していた…。多くのシーンで登場人物たちは、マスクを着用し、距離を保ち、接触を避けながら会話するが、これらはあくまでも劇中のイヌビト病を予防するためのものであり、演出の中に巧みに飛沫感染防止やソーシャルディスタンスといった、“新たな日常”が組み込まれている。ほかにも随所で、現実の世界において新型コロナウイルスがもたらした変化や浮き彫りになった人々の実像が巧みに反映されており、ディストピア的ムードを漂わせるが、その一方で登場人物たちのセリフのやりとりや身体表現はどこかコミカル――ゾクリとするような恐怖と笑いが交錯する。稽古では、長塚が全体を演出しつつ、振付を担当する近藤が、演者たちの立ち位置や動きをどうすべきかを探っていく。ダンスの世界を主戦場とする演者が多く参加しており、彼らの豊かな身体表現も大きな見どころ。そして、圧巻は歌唱シーンでソロパートを担当する松の力強く響く歌声! 「どこだ犬コロ」「飼い主もまとめて処分しろ」「首に噛み付いてやる」など、“こどもが楽しめる演劇”としては過激で物騒にも思える歌詞が並ぶが、目で見て、耳で聴いてワクワクするようなパフォーマンスが繰り広げられる。松が演じる“案内人”(※町の事情を理解していないタナカ一家のために様々な説明や手助けをしてくれるコンシェルジュのような役割)は、物語の冒頭、客席に向かい、本作は「愛の話」だと語りかける。いままさに世界が直面する厄介な問題に正面から向き合った、コロナの時代の愛の物語はこどもたちに、そして大人たちに何を問いかけるのか――?「イヌビト~犬人~」は8月5日(水)、新国立劇場中劇場にて開幕。
2020年07月27日【宇月田麻裕コラム:宿曜占星術で読む「相性」vol.45】ふと気づいたら、同世代や年上の男性は既婚者ばかり…という女性も少なくないのでは。そんなとき、目を向けたいのは年下男性。前は子どもっぽいと思っていた身近な年下くんも、いい感じの大人の男になっているかもしれません。というわけで今回のテーマは「年上妻×年下夫カップル」。占いサイト『魔性の宿曜』を監修する宇月田麻裕先生に3組の相性を観ていただきました。年下彼氏に愛される秘訣もわかるかも?■前世や来世でも深いつながりがある関係国仲涼子(1979年6月9日)×向井理(1982年2月7日)国仲涼子さんは箕宿、向井理さんは張宿。業胎の関係です。この関係は、宿曜占星術では珍しい相性。現世だけでなく、前世や来世でも深いつながりがある関係と言えます。ちなみに現世では、親子関係に近い感じになります。2人は2012年のドラマ共演をきっかけに仲を深め、2年半後に結婚。そして2015年、2017年にお子さんが生まれました。国仲さんと向井さんは、もともと縁の深い関係であるこの相性なので、出会った瞬間に不思議なオーラに包まれたに違いありません。さて、向井さんの張宿ですが、どんなシーンでも自分を主役に押し出せる演出力があり、トークで人を魅了するリーダー的な要素も持っています。国仲さんの箕宿は度胸のよさが抜群。たとえつらいことがあったとしても、乗り越えていくパワーを持っています。また、裏表のないさっぱりとしたところもあります。そんなことにより、姉さん女房としての資質はバッチリ。向井さんが俳優として活躍できるように、そして自分の家庭を守っていくために、彼女は持ち前のパワーを使っていきます。つまり彼にとって彼女は身近にいる最強のサポーター。もし向井さんが、何かしらの問題に巻き込まれたとしても、年上の妻として、どーんとしているだけでなく、解決に乗り出してくれるでしょう。向井さんにとって、これほどのサポーターはいません。一生手放すことなく家庭を守っていってほしいものです。■仕事をする上で刺激を得られる相性小雪(1976年12月18日)×松山ケンイチ(1985年3月5日)小雪さんは房宿、松山ケンイチさんは張宿。安壊の中距離になり、この2人の関係は、宿曜占星術における相性としては最悪と言えます。ただし、この安壊は著明人カップルに多い相性でもあって、一概に悪い相性だとも言いきれません。一般的には、様々な障害や問題が発生して結婚に至らないケースも多い相性です。もちろん、芸能人カップルもその点は同じ。違うのは、仕事をしていく上でよい刺激を得られる相手となり、スパイス的な役割を果たすことがあるという部分です。さて、この2人ですが、結婚した当初は小雪さんのほうが遥かに有名でした。松山さんにとっては高嶺の花とも言える女優さん。張宿の松山さんは、一見そうは見えませんが、人に訴えかけるような話術を得意としています。それは魂が揺さぶられるほどです。また、知恵と粘り強さを用いて、理想とするところにたどり着くまで努力を重ねることもできます。その結果、数々の試練や難関を突破していくのです。結婚も同様、小雪さんという高嶺の花を手に入れるために努力を重ねてきたでしょう。2人の間にはお子さんも生まれ、松山さんは大河ドラマなど、数々の作品の主演を務めるまでの大物俳優へと成長しました。今となっては、小雪さんはよき姉さん女房。房宿はお子さんのことはもちろん、とても家庭を大事にする宿なので、旦那さんが俳優として大業を成し遂げられるように、姉さん女房ぶりを発揮しているのでしょう。■お互いにオアシスになれる友達夫婦常盤貴子(1972年4月30日)×長塚圭史(1975年5月9日)常盤貴子さんは心宿、長塚圭史さんは胃宿。友衰の遠距離になります。この相性は趣味も感性も合うため、友達夫婦として楽しい時間を過ごせます。2人は2005年に交際をスタートして2009年に結婚。2012年に一度、危機が訪れたようですが、それを乗り越えて現在に至ります。お子さんはいませんが、友達夫婦のような関係で、仲睦まじい関係が続いているみたいです。常盤さんの心宿は人の心をつかむのが得意。ただし心の奥には、実は繊細さ、もろさを秘めています。一方、長塚さんの胃宿は強い宿でエネルギッシュ。常盤さんとはかなり違います。胃宿は底知れないエネルギーを持ち、自ら道を切り拓いていける宿。ですから、常盤さんのほうが年上と言えども、その強さを持った彼に頼ることのほうが多かったと思われます。繊細な感性を持つ常盤さんは、安心感を得られ、守られているという感覚があるのでしょう。それは女優業にも大きな影響を与えています。相談に乗ってもらい、安心を得ながら仕事を続けていくことができるのです。対する長塚さんは強い人。その強さを持って、演出・劇作家などの仕事をこなしていけます。そんな彼が唯一、翼を休められる場所が常盤さん。お互いにオアシスになれる存在であるこの2人は、程よい距離をキープしつつ、これからも仲睦まじい姿を見せてくれるはずです。■年下くんとあなたの相性は?年下夫の成長をサポートしたり、あるいはエネルギッシュな年下夫からパワーをもらったり…。こうして見ると、年下くんとの結婚も魅力的ですよね。あなたと好きな人の場合は?占いサイト『魔性の宿曜』で相性をチェックしてみてはいかがでしょうか。プロフィール宇月田麻裕皇室関係の家庭で育つ。学生時代から東洋・西洋の占いに関心を持ち、特に宿曜経の研究を積み重ね、「宿曜占星術」の若き第一人者として知られるようになる。現在、開運研究家、タレント、作家としてマスコミで活躍、読売新聞日曜版連載、TBSテレビ「はやドキ」(ぐでたま占い)を監修中。
2020年06月29日女優の常盤貴子(ときわ・たかこ)さんが、2020年6月14日にインスタグラムを更新。美しすぎるドレス姿を披露し、話題になっています。常盤貴子のドレス姿に「本物のお人形さんみたい」この日、常盤貴子さんは「金子國義(かねこ・くによし)さんの世界を美STでやらせていただきました」というコメントとともに、フォトグラファー・下村一喜(しもむら・かずよし)さんの投稿をリポスト。美容雑誌『美ST』の撮影時のショットを公開しました。 View this post on Instagram A post shared by 常盤貴子 (@takakotokiwa_official) on Jun 14, 2020 at 3:23am PDTレースの手袋や胸元がちらりと覗くドレスが大人の色気満点で、常盤貴子さんの魅力をぐっと引き出しています。同日には真紅のドレスを着たショットも公開し、この投稿にも「素敵」「セクシー!」と絶賛の声が寄せられました。 View this post on Instagram 赤いなぁ〜。 @kazuyoshi_shimomura @be_story_official A post shared by 常盤貴子 (@takakotokiwa_official) on Jun 14, 2020 at 3:24am PDT・素敵な写真をありがとう。世界観が貴子ちゃんにぴったりだね。・本物のお人形さんみたい!すごくきれいです。・黒も赤も似合ってる!めっちゃセクシーですね。完璧すぎる美貌でファンだけでなく、スタッフをも魅了している常盤貴子さん。これからも抜群のビジュアルと表現力で幅広く活躍してほしいですね。常盤貴子の現在に「キレイ」との声が続出!夫・長塚圭史との結婚生活について聞かれると…」[文・構成/grape編集部]
2020年06月15日KAAT神奈川芸術劇場の2020年度ラインアップ発表会が行われ、同劇場芸術監督の最終年度を迎える白井晃、2019年から参与を務める長塚圭史のほか、本年度の公演に携わるクリエイター計10人が登壇した。【チケット情報はこちら】冒頭で白井は「大きく揺らぐ過渡期の日本で“忘れられがちだが大切なこと”に着目する、社会的な題材のプログラムを前半に揃えました」とコメント。その筆頭として、白井は自身の演出作『アーリントン〔ラブ・ストーリー〕』、音楽家の清水恒輔が「発展しすぎた資本主義が現代に通じる」と述べた『メトロポリス 伴奏付上映会 ver.2020』、演出家・桐山知也によるリーディング公演『ポルノグラフィ』の3作品を紹介した。白井いわく、「シーズン後半はKAATの10周年企画が続きます」──。自身が1995年に青山劇場の10周年記念で演出した音楽劇『銀河鉄道の夜』、芸術監督の就任後に取り組み続けたブレヒト劇の集大成となる『コーカサスの白墨の輪』、任期ラストを飾るミヒャエル・エンデ原作のオペラ『モモ』に懸ける思いを語る。地点×KAATの第3弾企画に新作『君の庭』を書き下ろす松原俊太郎は「今回は法廷劇」と構想を明かした。谷賢一はベストセラー『サピエンス全史』に想を得た『人類史(仮)』で「ヒトの起源を探りたい」とひと言。日韓共同製作に定評のある多田淳之介は『外地の三人姉妹(仮)』でチェーホフ劇の翻案に臨む思いを「日韓の芸術交流を粛々と進める」とした。長塚は『セールスマンの死』再演に対して「新作の消費より1本をゆっくり見つめ直して」と呼びかける。岡田利規からは「ザハ・ハディドと高速増殖炉もんじゅを主人公に据えた夢幻能『未練の幽霊と怪物』をつくる」という映像コメントが到着。ギリシャ悲劇をもとにした新作現代劇(作:瀬戸山美咲)に挑戦する杉原邦生も映像コメントで「大スタジオより広いホールをどう活用するか」と思いを巡らせた。なお、野村萬斎の演出版が2018年に多数の演劇賞を獲得した『子午線の祀り』もラインアップされている。サン=テグジュペリの名著『星の王子さま』をダンス化する森山開次は「哲学的な言葉をどう身体表現で見せるか」を課題に掲げ、小野寺修二は「“わからないけど魅力的なもの”に好奇心を向けさせる作品を」としてルーツのパントマイムに立ち返る点を強調。現代美術家の冨安由真は「現実と非現実の境が曖昧になるインスタレーションを」と意気込んだ。キッズ・プログラムは2本。昨夏、山本卓卓によって上演された『二分間の冒険』は全国7会場の巡演ツアーとして復活。初の子ども向け作品に挑戦する松井周からは映像コメントが到着し、「白石加代子さん演じる認知症の老婆が子どもと記憶を探す物語」である『さいごの1つ前』が紹介された。就任当初から「事件を起こせる劇場でありたい」と目指すKAAT像を設定し、2020年度もラインアップに落とし込んだ白井。ラストイヤーの芸術監督ぶりから目が離せない。取材・文:岡山朋代
2020年02月07日KAAT神奈川芸術劇場プロデュース『常陸坊海尊』が、12月7日に同劇場ホールにて開幕した。【チケット情報はこちら】『近松心中物語』で知られる劇作家・秋元松代が1964年に発表した戯曲を、KAATの芸術参与に就任した長塚圭史が演出する本作。主君・源義経を裏切って逃亡した自らの罪を償うため、不老不死の琵琶法師となってその武勇を伝え歩いた──とされている常陸坊海尊の伝説を背景に、戦争で生じた格差や差別に苦しむ弱者の“生”が描かれる。物語は、東京の少年・啓太と豊が東北の疎開先へやって来たことから始まる。2人は海尊の妻と称するイタコのおばば(白石加代子)に出会い、その孫娘・雪乃(中村ゆり)の美しさに惹かれていく。両親を亡くした啓太はおばばに母の姿を重ねて依存し、やがて消息不明に。16年後、東京で成人した豊(尾上寛之)がかつての疎開先で再会したのは、雪乃によって魂を抜かれ、廃人同然の姿に変わり果てた啓太(平埜生成)だった──。疎開児や彼らを引率する教員の視点を通じて、おばば・雪乃をはじめ、東北の雪国に暮らす人々の奇妙な風習が淡々と綴られる1・2幕に対して、3幕は因縁の再会によって物語が加速する。それらを彩る堀尾幸男のシンプルな舞台美術は、静謐さを湛えながらも饒舌だ。白石は、老女ながら山伏の男ですら狂わせる魅力を持ったおばばに1997年以来の再挑戦。時に妖艶に、ユーモアを交えながら役を立ち上げる。特に、啓太に甘く囁きかける媚態は見どころのひとつ。中村は、サディスティックな魅力で啓太と豊を翻弄し、少女時代と成長して巫女になった雪乃を見事に演じ分けた。3幕のみの登場ながらも、平埜は存在感を見せる。「生きながら死に腐れる」現状に絶望する啓太が、海尊との交感によって生気を取り戻すラストは圧巻だ。同じ疎開児ながら、啓太と異なり平穏な人生を歩む豊を演じた尾上も、雪乃との再会で彼女に抗いようもなく惹かれてしまう感情を切々と表現した。上演時間は、190分(休憩含む3幕)ほど。神奈川公演は12月22日まで。その後、2020年1月11日(土)・12日(日)に兵庫・兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール、16日(木)に岩手・岩手県民会館 大ホール、25日(土)に新潟・りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館 劇場と巡演する。チケット発売中。取材・文:岡山朋代
2019年12月09日今年4月にKAAT 神奈川芸術劇場の芸術参与に就任した長塚圭史が、同劇場で手がける最新演出作『常陸坊海尊(ひたちぼうかいそん)』が本日12月7日より開幕する。この作品は、蜷川幸雄の演出で繰り返し上演された『近松心中物語』の劇作家・秋元松代の代表作で、1964年の発表当時、演劇界に衝撃を与えた戯曲として知られている。1997年には蜷川演出で上演されているが、長塚が「恥ずかしながら今回初めて読んだ」と明かすように、観たこと、読んだことがある人は多くはないかもしれない。タイトルの“常陸坊海尊”とは、歌舞伎の『勧進帳』にも登場する伝説の人物。源義経の忠臣として武蔵坊弁慶らと共に都落ちに同行するが、義経最期の場である衣川の戦いを目前に主を見捨てて逃亡。その後、不老不死の身となり、自らの罪を懺悔して、源平合戦の次第を琵琶法師となって人々に語り聞かせたとされている。秋元はこの伝説を背景に人間の“生”や“性”、そして格差や差別といった問題を描いている。物語は戦時中、少年・啓太と豊が東京から疎開先にやってきたことから始まる。ある日ふたりは、常陸坊海尊の妻と名乗るおばばと暮らす美しい少女・雪乃と出会う。その後、烈しくなる戦争で両親を失った少年たちは雪乃に魅かれていくが、啓太は母への恋しさから、おばばに母の姿を重ねていく。そして、16年後、成人した豊は、疎開先で消息を絶った啓太と再会するが……。海尊の妻と称すおばば役は、蜷川版にも同役で出演した白石加代子。その白石も「一筋縄ではいかない作品」と言うが、長塚との信頼関係から今回、自ら出演を希望している。また、おばばの孫で、その魔性で男たちを翻弄する雪乃には中村ゆり。そして疎開児童の啓太に平埜生成、豊に尾上寛之。ほか個性豊かな実力派キャストに加え、音楽は、ソロプロジェクトFPM(ファンタスティック・プラスチック・マシーン)をはじめ、DJ、プロデューサーとして国内外で活躍する田中知之が担当。田中が舞台音楽を手がけることにも期待が集まる。「生半可な劇ではない。しかし、険しい道の先にはきっと眩い光があるという確信に突き動かされる。これは現在の私たちの社会に痛烈に響く現代劇です」と話す長塚。初演から半世紀余を経た名作は、演劇界にふたたび衝撃を与えるか。12月22日(日)までKAAT 神奈川芸術劇場 ホール、1月11日(土)・12日(日)に兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール、1月16日(木)に岩手県民会館 大ホール、1月25日(土)に新潟市民芸術文化会館 劇場にて上演。文:伊藤由紀子
2019年12月07日「僕、キザなこととかできないんですよ。夜景の見えるレストランでロマンチックな言葉をかけるみたいな。むしろ、親しい関係だからこそ雑な物言いになっちゃうし、そのほうが、居心地がいいというか。思いを伝えるべきときに、ちゃんと言葉にできれば、ふだんから照れくさいやりとりをする必要はないのかなって」真っすぐな瞳で恋愛観を語る間宮祥太朗(26)。映画『殺さない彼と死なない彼女』(11月15日公開)では、孤独な高校生の不器用な恋心を見事に表現した。「原作が、ツイッターで“泣ける4コマ漫画”として話題になったものなんですけど、正直はじめはピンときてなくて。でも読み始めたら、いつの間にか心をつかまれていたんですよね。ぜんぜん泣かせにきてるわけじゃないのに、自然と心の中に入ってきて、内側から揺さぶられるというか。映画でも、その温度感は大切にしたいから、身構えずに見てもらえたらいいなって。だから、告知とかで“絶対泣ける!”って、あんまり言わないでほしい(笑)」自身の高校生活について聞いてみると、ある印象的な出会いがあったと語る。「高校生のときにはもうこの仕事を始めてたんですけど、正直、熱が入っていたかというと、そうじゃなくて。まだ、すべてが手探りだったし、ずっと続けていく覚悟もなかったし。でも17歳のとき、長塚圭史さん演出の舞台に出させてもらって、初めて芝居を追究する楽しさを知ったんです。役者を続けたらおもしろいんじゃないかって感じたことを、いまでもよく覚えてますね」そんな間宮に、いくつか質問をしてみた。最近ハマっていることは?「ゲームばっかりやってます。昨日もオフだったんですけど、一日中やってましたね。友達と飲みに行くのも大好きなんですけど、いまは誘われても『今日は“狩り”に行くから!』って断ってます(笑)」いま、挑戦してみたいことは?「キャンプをやってみたいです。まずは道具を一式そろえるところから始めないといけませんけどね。アウトドアも好きで、たまにログハウスみたいなところに泊まりにいったりもするんです」恋愛で難しいと思うことは?「女性からの“答えを求めていない相談”ってあるじゃないですか。実はただ話を聞いてほしいだけだったっていう。僕、そういうときになかなかうまい返しができないんですよ。思ったことをなんでもズケズケ言っちゃうタイプだから(笑)」
2019年11月18日戦後を代表する劇作家、秋元松代の代表作『常陸坊海尊』を舞台化。長塚圭史が演出を手がける。そこで22年前にも出演し、前回と同じくおばば役に挑む白石加代子に話を聞いた。【チケット情報はこちら】本作について、「自分にとってとても大事な作品」と話す白石。その想いが強いだけに、再び出演することには迷いもあったそうだが…。「ちょっと欲が出たというかね(笑)。圭史さんが演出をなさるのに、自分が出ないのは許せないという気持ちになって。圭史さんとは過去3作ご一緒していますが、本当に信頼出来る方。こういう世の中で、あんなにぶれない方はなかなかいませんから。筋をかっちり通していて、またそこが魅力的で。力のある演出家さんだってことはよくわかっていましたので、ぜひ参加させていただきたいと思ったんです」“常陸坊海尊”とは、主君である源義経を裏切った罪を償うため、庶民を救う仙人になり、本作では750年間も生き延びたとされる人物。白石演じるおばばは海尊の妻と名乗る女性で、ミイラとなった海尊を守りつつ、イタコとして東北の山中で暮らしている。「おばばは750年間も生きたと言われる海尊を、自分の夫としていたんだと言い張っている人。これはほとんど『常陸坊海尊』という芝居の核と言えますよね。ただ劇中のおばばは、ごくごく普通の、日常生活を送っているおばあちゃん。だけどものすごく色気があって、常に男を虜にしている。そう、すごくモテるの(笑)。脚本に書いてあるから役づくりもしなくていいですし、そこはとってもラクチンなんです(笑)」そんなおばばの前に、疎開して来た少年・啓太が現れたことで、物語は大きくうねり始める。「イタコとしておばばは、啓太の死んだお母さんを呼び出してあげるんですよ。そこは前回ちょっとやり足りなかったところでもあって。とにかくね、怖いイメージは絶対に出さないようにネ(笑)。だってお母さんだもの。ただ…おばばにとって一番大事なのは、やっぱり海尊。海尊というのは、民衆の苦しみや悲しみをずっと引き受けて来た、一種の癒し、宗教的な救いですね。そのためならおばばは何でも犠牲にする、切り捨てていく。そこは情に流されちゃいけないと思っているんです」そして啓太は自ら海尊になるわけだが、白石はいま本作を上演する意味を、そのラストに見出す。「あの時の啓太の追い詰められ方、苦しみ。それこそ現代の人が抱える、いろんな問題とオーバーラップするんじゃないかと思います」公演は、12月7日(土)~22日(日)までKAAT神奈川芸術劇場 ホール・神奈川にて上演。その後、1月11日(土)・12日(日)は兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール・兵庫にて上演。10月5日(土)からの一般発売に先駆け、ただいま先行抽選申込受付中。取材・文:野上瑠美子
2019年09月20日歌舞伎の演目のひとつに『桜姫東文章』という作品がある。盗賊に襲われながら、その男の肌を忘れられない桜姫と、当の盗賊である権助、そして桜姫を死んだ恋人の転生と信じる僧の清玄という3人の、奇妙な縁と因果を描いた物語だ。長塚圭史さんは10年前、この題材を現代の南米に変えた戯曲を、コクーン歌舞伎のために書き下ろした。公演は成功を収めたが、じつはそこで発表された南米版の前に、陽の目を見ることなく忘れ去られた戯曲がもう一本あった。それが今回上演される『桜姫~燃焦旋律隊殺於焼跡(もえてこがれてばんどごろし)~』だ。どんな荒唐無稽も真実に見せる演劇の無茶を楽しみたい。「たまたまこの戯曲を見つけた劇団スタッフに、上演しようと言われて10年ぶりに読み返したんです。当時、(故・中村)勘三郎さんたちを想定して書いたので劇団で演じるにはハードルは高くはある。でも、これを楽しめたらきっと僕らにとって大きな前進になると思ったんです」こちらの舞台は敗戦後の日本。「それまで信じてきたものが崩壊して、何を信じていいかわからない朧(おぼろ)のような時代。それでも人々は貧しいなか生き延びようとしていて、こういう時代なら『~東文章』のような荒唐無稽な物語が生まれても不思議じゃないと思ったんでしょうね」長塚さんにとっては、10年前の自分と向き合う作業でもある。「当時考えていたのは、歌舞伎を知らない人でも楽しめるようにということ。それで、どんな荒唐無稽も演劇的ミラクルとして取り入れられる仕掛けとしてメタ的な構造を用いています。生に執着するあまり心中できなかった『~東文章』の物語の中にいる清玄と、ヒロインになりたくてその物語に縋りつき桜姫になろうとする女、そして彼らと関係のない戦後という時代に、どうにか生き延びようとする権助の3人が、ある瞬間に重なり合う。俺、面白いことやろうとしていたんだなって(笑)」その“荒唐無稽”こそ、長塚さんが信じている演劇の醍醐味でもある。「僕がピーターだと名乗れば、観客がそう信じてくれるのが演劇の魔法。僕が『~東文章』を好きで嫌いなのは、作者と観客の都合で物語の整合性がどんどん無茶苦茶になるところなんですが、いまは、信じて語れば真実を引き寄せる演劇の無茶をとことん楽しみたいと思っています」ながつか・けいし1975年5月9日生まれ。東京都出身。阿佐ヶ谷スパイダースを主宰し、脚本・演出を手掛けるほか、俳優としても活躍。今年4月にはKAAT神奈川芸術劇場の芸術参与に就任。『桜姫~燃焦旋律隊殺於焼跡(もえてこがれてばんどごろし)~』一昨年、演劇ユニットから劇団へとリスタートした阿佐ヶ谷スパイダースの第2弾作品。戦後の日本、僧の清玄が支援する孤児院に、自分の生きる場所を疑うひとりの女がいた―。9月10日(火)~28日(土)吉祥寺シアター原作/四代目鶴屋南北『桜姫東文章』作・演出/長塚圭史出演/大久保祥太郎、木村美月、坂本慶介、志甫真弓子、伊達暁、ちすん、富岡晃一郎、長塚圭史、中山祐一朗、中村まこと、藤間爽子、村岡希美、森一生、李千鶴前売り5500円当日5800円ほか(すべて税込み)阿佐ヶ谷スパイダース TEL:070・4136・5788(月~金曜12:00~18:00)※『anan』2019年9月11日号より。写真・土佐麻理子インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2019年09月10日阿佐ヶ谷スパイダースの新作公演、長塚圭史作・演出による『桜姫〜燃焦旋律隊殺於焼跡(もえてこがれてばんどごろし)〜』が9月10日、東京・吉祥寺シアターにて開幕する。四代目鶴屋南北が手がけた歌舞伎の人気演目『桜姫東文章』を原作とした長塚作品と聞いて、十年前、2009年に上演された、故・中村勘三郎、大竹しのぶ、白井晃らが出演した舞台『桜姫〜清玄阿闍梨改始於南米版(せいげんあじゃりあらためはじめなんべいばん)〜』を思い出した人もいるだろう。本作は、その十年前の公演の際に長塚が書き上げていて、上演されなかったもうひとつの『桜姫』である。長塚に話を訊いた。「書き上げたといっても、推敲する前の段階でしたけど。それがさまざまな理由で採用されず、南米版を新たに書くことになった。それ以降、こっちの『桜姫』についてはすっかり忘れていたんです。だってこれに執着していたら次の作品が書けないから、切り替えていかないとね。僕は、過去のことを忘れる能力に長けているので(笑)」埋没していた未発表作品を掘り起こしたのは、当時、推敲前の戯曲を読んでいた劇団員で演出助手の山田美紀だ。今、形にするに至った経緯には、一昨年に阿佐ヶ谷スパイダースが“劇団”として再始動したことも関わりがあるようだ。「このような過去のプロデュース公演などで、自分の中で心残りのあるものにもう一度、スポットを当ててみる。そうした試みを劇団でやってみたらいいなと思っていたんですよね。以前の僕には、次から次へと新作を書き飛ばす……といった時代があった。それらをもう一回見直して、きちんと作品化する。その時も作ってはいたけれど、書きあがったらすぐに短期間で立ち上げる……といったことをしていたわけだから。もうちょっと冷静になって作り上げたい、ずっとそう考えていたんですね」奇しくも今回、2006年に長塚が書き下ろした戯曲『アジアの女』の再演が重なっている。「自分がかつて書いたものを眺める機会が続きました。恥ずかしさもあるけど、やっぱりその時の思考、エネルギーは面白いし、どちらも僕にとっては転機となった作品。考えてみたら、原作モノを扱って書いたのは『桜姫』が初めての経験でしたね」十年前の自作を改訂していく作業は「自分を疑うというより、信用してみる」感覚だったという。「原作の『桜姫東文章』自体が荒唐無稽で、これを現代劇にするにはどういうやり方がいいんだろう?と自分なりに考えた痕跡があって、それを見つめるのが面白いですね。当時は、演出は串田(和美)さんがやるんだから演出家が勝手になんとかやればいいと、僕も乱暴に書いていて(笑)。とんでもなく荒唐無稽なことを書いているから大変なんですけど、なんだかあの時の串田さん、勘三郎さんと対話しているような気もして、面白いんです」稚児白菊との心中に失敗して生き残った高僧清玄は、後に出会った高貴な生まれの桜姫を白菊の生まれ変わりと信じて執着する。桜姫は、かつて自分を凌辱した盗賊・権助に焦がれ、再会して夫婦になるも女郎として売られることに……。この奇天烈な原作を、長塚は戦後占領下の東京を舞台とした物語に移し替え、大胆に改稿。不思議な楽隊に導かれるようにして嬉々と堕ちてゆく美しき桜姫、彼女を追いかける聖人・清玄、運命に巻き込まれていく極悪人・権助ほか、生への執念をたぎらせた人々が痛快に絡み合うドラマとして再生した。その展開の鮮やかな飛躍に、長塚圭史の真髄が覗く。「今、立ち稽古をやっていて、荒唐無稽でムチャクチャだし、ほとんど血まみれだったりするんだけど、そんなに違和感がないんですよね(笑)。鶴屋南北が書いたこの突拍子もない世界と、相性がいいのかもしれない。歌舞伎についてアドバイスをいただいた国文学の先生によると、いわゆるその時代の世相をアレンジして歌舞伎は作られていると。それはどうしたって現代劇には通用しないから、だったらもう思い切って変えてしまう。カブいていいわけですからね。意外と違和感なく、工作を作るように人物の関係性をつなげて、立ち上げていっていますね。その中で、僕が戦後という時代にしたかった思いは何なのかが、段々と明確になって来ています。清玄は、白菊とともに死ねずに生き残った生命力、そして後に殺されても幽霊になってまで桜姫に纏い付く生命力がある。桜姫は、私の人生はこれじゃない、もっとスリリングに、ドラマチックに生きたいと願う、その熱量はつまり生きることへの渇望です。獣みたいな権助は、戦争でおそらく人を殺して来ている。彼はもう理屈じゃなく、人を殺してでも生きていくしかない。そんな彼らの思いは、戦後の、本当だと思っていたことが全部嘘になってしまったあの時代、ひっくり返ってしまった世の中を、どうにか生き抜こうとするエネルギーに繋がっていくんじゃないかと思うわけです。やっぱり人を殺してでも僕らは生きたい、そういう理不尽な生き物なんだと。そのことに僕らは向き合って生きていくしかない、今、そんなことを思いながら稽古をしています」物語の鍵を握る“楽隊”、その音楽を、数々の長塚作品を支えてきた強力な助っ人、荻野清子が手がけている点にも注目だ。「荻野さん、最高ですよ。楽器は、ウクレレとクラリネットと段ボールの太鼓とピアニカ。そんな編成で本当に楽隊になるのかな、どうなることやら……と最初は思ったんだけど、やっぱり楽譜が良ければなるんですね(笑)。素敵な曲を作ってくれて、ある種の見世物小屋みたいな光景が楽隊に重なる……そんなイメージの広がりを見せています」桜姫を演じる藤間爽子をはじめとする若手の面々に、中村まこと、村岡希美などの巧者が混ざって、14名の劇団員キャストで放つ新作舞台。熟考して積み上げた芝居、全員の生きるエネルギーの結実を、ぜひ見届けたい。主要スタッフも劇団員である。どうやら阿佐ヶ谷スパイダースの“劇団員”は今後も増え続けていくらしい。「今も増えていて、幽霊みたいに(笑)精神だけは共にしている、って人もいる。僕が認識できるのは100人程度だと思うので、100人くらいの集団で、公演によって伸び縮みしながらやっていけたらと思っていますね。ただ、劇団って閉じていく傾向があるので、閉じないように、でもいたずらに肥大しないで……と、試行錯誤してやっていくしかない。今回みたいな荒唐無稽な作品に劇団の皆が頭を使って、必死になって考えている光景はいいな〜と思って(笑)。これからも、劇団でしかできない公演をやっていくつもりです」取材・文:上野紀子
2019年09月04日長塚圭史の作演出で、2006年に上演された『アジアの女』。本作が吉田鋼太郎演出、石原さとみ主演により新たに生まれ変わる。そこで昨年の『密やかな結晶』に続いての舞台出演となる石原に、本作にかける想いを聞いた。【チケット情報はこちら】舞台は大災害に見舞われたある町。晃郎と麻希子の兄妹は、家が半壊してもなおそこで暮らし続けていた。石原が演じるのは、かつて精神を病んでいたが、現在は回復傾向にある妹の麻希子。「優しい役をやりたかったんですよね。そして映像では出来ない役。麻希子は人に尽くすことで自尊心が保たれているような女性で、自分のお兄ちゃんのことも助けてあげたいと思っている。だからこそ生きていけるというか。大きな災害があった時に、役に立つとか立たないとかではなく、この人が存在しているだけで自分に価値があると信じることが出来る。なんかそれってとても根本というか、究極であるような気がします」そんなふたりの生活が一変するきっかけとなるのが、書けない作家・一ノ瀬の登場。「一ノ瀬との関係性というか、会話の仕方や笑顔の度合い、接する時のテンションってすごく難しいと思います。一番見えないからこそ、一番ワクワクするのかもしれないですけど。今までの麻希子だったらきっと、一ノ瀬のような新しい異物を拒否していたと思うんです。でも最近になって、やっと受け入れられるような精神状態になってきて。ただ空いていた穴が大きすぎた分、どっぷり信じ込んでしまうというか。人の、信じる気持ちの強さって一定の部分を超えると怖いんだなと思いますよね」本作に触れた観客の中には、8年前の東日本大震災を想起する人もいるかもしれない。だが石原はこう考える。「すごく複雑ですけど、私としては震災って言葉を言いたくはないんです。私がそれを発することで、想像が狭まってしまうのが嫌だなと。もちろん吉田さんがどう演出されるかはまだわかりません。でも私は架空の世界として観てもらえると嬉しいですし、そうやって想像する人もいれば、違うものを想像する人もいればいいのになって思います」「観客にどんなメッセージを届けられたらと思う?」という質問にも、石原はこう返した。「メッセージはないです。敢えてないものを選びましたし、私は人によって捉え方の違う作品、答えが出ない作品が好きなので。だからこそ、観た人の心や頭のどこかに何か引っかかるものがこの舞台にあれば、たぶんそれが正解なのかなって思います」本公演は9月6日(金)から東京・シアターコクーンにて。チケットぴあでは8月24日(土)10時より立見券を発売。取材・文:野上瑠美子
2019年08月21日長塚圭史の作・演出により2006年に上演された『アジアの女』。本作が吉田鋼太郎の演出・出演で新たに甦る。そこで吉田とともに、出演者のひとりである山内圭哉に話を聞いた。【チケット情報はこちら】ふたりの初共演作となった『悪魔の唄』(2005年)を始め、これまでも多くの長塚作品に参加してきた吉田と山内。吉田は「分かりづらい、容赦ない、観たあとの酒がまずい(笑)。でもそこが好き」と独特の切り口で長塚作品を語る。一方山内は、「今も子供のように演劇を扱っているというか、演劇を自由なものとして無邪気に遊んでいる。そこはホンマに面白いなと思います」と、長塚と親交の深い山内ならではの視点でその魅力を話す。物語の舞台は大災害が起きたアジアのどこかの国。半壊した家に住み続ける晃郎(山内)と麻希子(石原さとみ)兄妹のもと、書けない作家・一ノ瀬(吉田)が訪ねて来る。吉田が「この芝居を語る時、3.11のことを無視はできない」と話すように、舞台上の景色に東日本大震災を重ねる観客も多いだろう。書かれた当時は震災前だが、長塚はそこに何を見ていたのか。「この物語に登場するのは明らかに未来のない、死ぬしかないような人たち。つまり世界は終わっているのに、彼らの日常はそれほど変わっていない、そんな不条理さがあって」とは吉田。すると山内も「だから変にリアルに思える瞬間があるんですよね。圧倒的な虚しさが常に敷かれている中であっても、実際に生きていくってそういうことなのかな」と推察。さらに吉田は、「結果そこに希望を見出すかどうかは、演出する人間によってどちらでもいいのかもしれません」と思案の表情を浮かべた。実力派のふたりにとっても大きな難題をはらんだ作品だが、演出も担う吉田が本作を選んだ1番の理由とは?「石原さとみちゃんとやるからには、彼女がとんでもなく活躍出来るホンがいいと思ったんです。しかもザ・ヒロインではない、今まで彼女がやったことがないような役。その点『アジアの女』の麻希子はいかようにも出来る役ですし、何しろ僕は圭史のファンですから。1度圭史ワールドというものをつくってみたい、そんな希望があったんです」と笑う。そんな吉田の演出を受けることを、誰よりも望んでいたのが山内。「鋼太郎さんの劇団(AUN)に出してくれってお願いしたこともあるくらい。僕ら世代にとってはホンマにおってありがたい先輩ですし、ひとつひとつを大事に、稽古に臨んでいけたらと思います」と意気込みを見せた。公演は9月6日(金)から29日(日)まで、東京・シアターコクーンにて。取材・文:野上瑠美子
2019年08月16日石原さとみ主演の舞台『アジアの女』が、2019年9月6日(金)から9月26日(日)まで、東京・渋谷Bunkamuraシアターコクーンにて上演。演出は吉田鋼太郎が務める。「おっさんずラブ」の吉田鋼太郎が演出ドラマ「おっさんずラブ」の俳優・吉田鋼太郎が、盟友・長塚圭史の戯曲を演出。これまで演者として長塚圭史の作品に携わってきた吉田鋼太郎が自ら、2006年に長塚が書いた戯曲を立体化していく。主演・石原さとみ主演は、映画『忍びの国』『シン・ゴジラ』の石原さとみ。4年ぶりの舞台となった、2018年上演の「密やかな結晶」では、東京・富山・大阪・福岡など全国をまわって公演を行った。舞台『アジアの女』では、酒浸りで家から出ない兄と二人暮らしの妹・麻希子を演じる。大災害によって壊滅した町で、半壊した家に住み続ける、石原さとみ演じる麻希子とその兄・晃郎。かつて編集者として活躍していた兄も、今ではその姿を想像できないほど自堕落な生活を送っている。精神を病んでいた麻希子であったが、次第に回復し「ボランティア」と称した売春組織元締めの鳥居と出会うことで、新しい生活を始めることに。純粋さと狂気のハザマの生活の中で、ついに家を出る決心をした麻希子の先に待つものとは…。吉田鋼太郎も出演兄・晃郎役には、ドラマ「獣になれない私たち」映画『空母いぶき』の山内圭哉。編集者だった頃から晃郎と関係のある、書けない作家一ノ瀬役は、演出・吉田鋼太郎が自ら担当する。麻希子の生活を変えるきっかけとなる、売春組織元締めの鳥居役には水口早香。そして、家を出る事が出来ない晃郎、麻希子を見守る巡査・村田役には、『映画 賭ケグルイ』の矢本悠馬が選ばれている。あらすじ大災害によって壊滅した町で半壊した家に住み続ける兄と妹。兄、晃郎は酒浸りとなったが、かつて精神を病んでいた妹、麻希子はむしろ回復しつつある。書けない作家一ノ瀬が現れ、元編集者の兄に「物語を書かせろ」と迫る。麻希子に思いを寄せる巡査の村田は、家を出ない兄妹の世話を焼き見守っている。純粋さと狂気のハザマにいる麻希子。麻希子は「ボランティア」と称した売春組織元締めの鳥居の誘いに乗り、生活のため働きだす。ついに家を出る麻希子、出る事が出来ない晃郎、麻希子をモデルにした物語を書き出す一ノ瀬・・・作品情報舞台『アジアの女』期間:2019年9月6日(金)~9月26日(日)会場:Bunkamuraシアターコクーン住所:東京都渋谷区道玄坂2丁目24-1チケット料金(全席指定):S席=9,800円、A席=7,800円、コクーンシート=6,500円※すべて税込み。チケット一般発売日:6月1日(土)抽選先行予約は4月27日(土)10:00~5月6日(月・祝)23:59※チケットぴあ、イープラス、ローソンチケット、Bunkamuraチケットセンターの各プレイガイドでもチケット取り扱い予定。作:長塚圭史演出:吉田鋼太郎出演:石原さとみ、山内圭哉、矢本悠馬、水口早香、吉田鋼太郎【問い合わせ先】ホリプロチケットセンターTEL:03-3490-4949(平日10:00~18:00/土10:00~13:00/日祝・休)
2019年04月19日9月上演の石原さとみ主演舞台「アジアの女」から、全キャストによるキービジュアルが公開された。大災害によって壊滅した町で半壊した家に住み続ける兄と妹。兄・晃郎(山内圭哉)は酒浸りとなったが、かつて精神を病んでいた妹・麻希子(石原さとみ)はむしろ回復しつつある。書けない作家一ノ瀬(吉田鋼太郎)が現れ、元編集者の兄に「物語を書かせろ」と迫る。麻希子に思いを寄せる巡査の村田(矢本悠馬)は、家を出ない兄妹の世話を焼き見守っている。純粋さと狂気のハザマにいる麻希子。麻希子は「ボランティア」と称した売春組織元締めの鳥居(水口早香)の誘いに乗り、生活のため働きだす。ついに家を出る麻希子、出ることが出来ない晃郎、麻希子をモデルにした物語を書き出す一ノ瀬…。本作は、長塚圭史が2006年に執筆した戯曲を、盟友・吉田鋼太郎が演出し、石原さとみを主演に迎え、初の座組みが実現。山内圭哉と石原さんが兄妹役で出演し、吉田さんが作家役、ほかにも矢本悠馬、水口早香が出演する。今回到着したキービジュアルでは、出演者5人全員が集結。ビジュアルテーマは「退廃的な世界にある神聖な場所」。ドレスをまとった石原さんを囲むように、4人の共演者たちがポーズをとっている。また、まとっているドレスは女の精神の危うさを表現。人間のもろいの心を揶揄するようなガラスの破片と、それをつなぎとめる屈強な金属との不均衡さが、作品世界を感じさせる。なお、本舞台のチケットは4月27日(土)から抽選先行予約が、一般発売日は6月1日(土)より始まる。舞台「アジアの女」は9月6日(金)~29日(日)Bunkamuraシアターコクーン(東京・渋谷)にて上演。(cinemacafe.net)
2019年04月16日2019年9月に、石原さとみさん主演舞台『アジアの女』の公演が決定。長塚圭史さん作、吉田鋼太郎さん演出・出演による舞台で、夢のコラボレーションが実現し話題です。全キャストのキービジュアルも解禁。出演者や見どころなど、公演概要をまとめてご紹介します。舞台『アジアの女』の見どころ吉田鋼太郎さんが、盟友でもある長塚圭史さんの2006年に書いた戯曲を演出し、主演に石原さとみさんを迎えた本作。石原さとみさんは、これまでにない役柄に挑戦。吉田鋼太郎さんとの初共演にも期待が高まります。また、アートディレクションは現代装飾家・デザイナーとして活動する京森康平さん、衣装・美術はファッションブランドFUGAHUMの山本亜須香さんが手がけます。舞台『アジアの女』キービジュアル出演者5人全員による、物語からインスパイアされたキービジュアルで、 テーマは「退廃的な世界にある神聖な場所」。ひとり神聖な存在である女と、女との関係の中で混沌とした世界を見据えている4人の人物が入り混じった世界を表現。ドレスは女の精神の危うさを表現し、人間のもろさを揶揄するようなガラスの破片と、それをつなぎとめる屈強な金属との不均衡さが作品世界を感じさせます。舞台『アジアの女』キャスト詳細石原さとみ/麻希子役・コメント「この舞台に出たい、このセリフを言いたい、このお芝居を勉強したい、この空気を味わいたい、という完全に欲の塊の作品です」「お客様に沢山の想像と深読みを楽しんでもらえるような空気や時間になりますように。がんばります!」石原さんは今回、4人の出演者との共演で絶対に成長できると確信しており、ワクワクした気持ちが伝わってきます。・プロフィール2002年ホリプロタレントスカウトキャラバンにてグランプリを受賞。映画『わたしのグランパ』でデビューし第27回日本アカデミー賞新人俳優賞などを受賞。7月にTBS系列のドラマ『Heaven?~ご苦楽レストラン~』で主演を務める。・主な出演作品『シン・ゴジラ』『地味にスゴイ! 校閲ガール・河野悦子』『アンナチュラル』『高嶺の花』吉田鋼太郎/一ノ瀬役・コメント「石原さとみという稀有な才能を持った女優を筆頭に素晴らしい俳優陣と仕事が出来ることがとても楽しみであり、また、重責であるとも感じております」吉田さんの演出によって、ドラマや映画とは違う石原さんの一面が見られそうで楽しみです。・プロフィール1997年に劇団AUNを旗揚げ。蜷川幸雄演出のシェイクスピア作品に多数出演。読売演劇大賞優秀男優賞、紀伊国屋演劇賞個人賞、芸術選奨文部科学大臣賞受賞。・主な出演作品『ヘンリー四世』『東京センチメンタル』『おっさんずラブ』『グッドワイフ』山内圭哉/晃郎役・コメント「元はと言えば鋼太郎さんと自分を引き合わせてくれたのは長塚でした。幸せな公演です。大事に丁寧に演じたいと思います。劇場へお越し下さい」山内さんは吉田さんと共演して以来、常に吉田さんと芝居をしたいと思うようになり、今回二つ返事で出演をOKしたとのことです。・プロフィール中島らもが主宰する劇団リリパットアーミーを経て、2001年より「Piper」に参加。現在、劇団☆新感線『偽義経冥界歌』に出演中。・主な出演作品『民王』『あさが来た』『HOPE〜期待ゼロの新入社員〜』『獣になれない私たち』矢本悠馬/村田役・コメント「俳優を始めて8年目、駆け出しの頃とても小さな役で舞台には出演したことはありますが、精神的に今回の作品は、舞台初挑戦というつもりで挑みたいと思ってます」最近の出演作ではコミカルな役の印象が強いですが、矢本さんが吉田さんと石原さんとどのような化学変化を起こすか楽しみです。・プロフィール2003年、映画『ぼくんち』で子役としてデビュー。2011年より大人計画に研究生として参加し、2012年に研究生と共に「劇団こまつな」を旗揚げ。・主な出演作品『ちはやふる』『君の膵臓をたべたい』『半分、青い。』『今日から俺は!!』水口早香/鳥居役「稽古初日には緊張も興奮もしていると思いますが、思い切り飛び込むつもりで、今の自分の全てを尽くしたいと思います。」憧れの俳優の方々と共演される、水口さんの演技にも注目です。・プロフィール小劇場を中心に多数の作品に出演。東京芸術祭2018『野外劇 三文オペラ』でのパフォーマンスで注目を集めた。舞台『アジアの女』あらすじ『アジアの女』は絶望の果てに、どうしたら無力な自分や愚かな社会に期待できるのか、全ての愚か者たちに期待し紡いだ戯曲。劇中の大地震は関東大震災がモチーフになっています。“大災害によって壊滅した町で半壊した家に住み続ける兄と妹。兄、晃郎(山内圭哉)は酒浸りとなったが、かつて精神を病んでいた妹、麻希子(石原さとみ)はむしろ回復しつつある。書けない作家一ノ瀬(吉田鋼太郎)が現れ、元編集者の兄に「物語を書かせろ」と迫る。麻希子に思いを寄せる巡査の村田(矢本悠馬)は、家を出ない兄妹の世話を焼き見守っている。純粋さと狂気のハザマにいる麻希子。麻希子は「ボランティア」と称した売春組織元締めの鳥居(水口早香)の誘いに乗り、生活のため働きだす。ついに家を出る麻希子、出る事が出来ない晃郎、麻希子をモデルにした物語を書き出す一ノ瀬・・・”出典:舞台『アジアの女』公演概要タイトルアジアの女日程2019年9月6日(金)~9月29日(日)※東京公演のみキャスト石原さとみ山内圭哉矢本悠馬水口早香吉田鋼太郎スタッフ作:長塚圭史演出:吉田鋼太郎美術:秋山光洋照明:原田 保音響:角張正雄衣裳:早川すみれヘアメイク:大和田一美演出助手:井上尊晶技術監督:福澤諭志舞台監督:川除 学会場Bunkamuraシアターコクーンチケット販売【抽選先行】2019年4月27(土)~5月6日(日)【一般発売】2019年6月1(土)料金S席:9,800円A席:7,800円コクーンシート:6,500円イベント情報イベント名:舞台『アジアの女』催行期間:2019年09月06日 〜 2019年09月29日住所:東京都渋谷区道玄坂2丁目24−1Bunkamuraシアターコクーン電話番号:03-3490-4949
2019年04月15日演出家・劇作家・俳優の長塚圭史が4月1日よりKAAT神奈川芸術劇場の芸術参与に就任する。その記者懇談会が開かれ、同劇場の芸術監督・白井晃と共に取材に応じた。今回の就任について白井は「神奈川芸術文化財団には今まで“芸術参与”という役職はなかったのですが、この度、制度を整備していただきました」と説明し、その理由を「ひとつは、私の芸術監督の任期が2020年度までになっているので、それまで芸術面で私の仕事のサポートをしていただくことが目的です。もうひとつは、2021年度からの新監督就任を見据えての準備期間です」と話した。長塚は「(これから着手する)2021年度からのプログラムを一緒に作っていくという大きな狙いもあるのですが、それと同時に劇場にとってのインフラを整えていく力になれたらと考えています」と意気込む。それに向けてまずやるべきは「散歩かな」と笑い、「この街がどういう場所なのかよくよく見つめる時間が持てたらと改めて思っています。そしてこの場所にちなんだことを、長期的な展望の中でつくりたい」を語った。白井は長塚を「数少ないよく話す演劇人。私にとってよきパートナーでもありますし、相談相手でもあります」と話し、この抜擢の理由を「1番大きいのは、彼が僕より18歳も若いことです。私が経験してきた演劇的な経験と、長塚さん世代が経験されてきたことは違う。演劇観というものが徐々に変化していることを肌で感じており、そういう意味で長塚さんの若い視点が必要になると思いました。僕はこの劇場に“事件を起こしていきたい”と思ってやってきましたが、その事件を起こすためには馬力が必要です。今までが芸術監督ひとりでの1輪駆動だったとするならば、2輪駆動にして2年間走って、その状態で長塚さんに(芸術監督を)お渡ししたいという思いがあります」と述べた。自身が演劇で積んできた経験がこの新しい任務にどう活かされるかの問いに長塚は「僕は、習慣的になって慣れ親しんで忘れてしまうことに対していつも危機感を抱いていて、“このままじゃダメだ”と思ったら、それは時に乱暴なやり方でも、つくっては壊し、壊してはつくって、どうにかやってきました。そういう思い切りの良さを携えながら、まずは参与をまっとうし、その先に繋げていきたいと思います」と答えた。長塚はこれから2年間、芸術参与の任務を遂行する。また、同劇場で12月に上演される「常陸坊海尊」の演出を手掛ける。取材・文:中川 實穗
2019年03月27日新国立劇場の2019/2020シーズンラインアップ発表記者会見が1月17日に行われ、昨秋より演劇部門の芸術監督に就任した小川絵梨子より“個人と全体“をテーマにした新シリーズ「ことぜん」やロンドンのロイヤルコート劇場とのコラボレーションによる劇作家ワークショップの開催など新たな試みが発表された。【チケット情報はこちら】シリーズ「ことぜん」は「個人と全体、個人と国、個人とイデオロギーを持った集団との間に起こる軋轢などを切り口にしている」というコンセプトで「“自己責任“の問題だったり、疑似右傾化みたいなことは何なのか? を考えるきっかけにしたい」と語る。Vol.1では、同劇場初登場となる五戸真理枝を演出に迎えてゴーリキー作の『どん底』を上演。Vol.2は権利上の関係でこの日、タイトルは発表されなかったが、同じく新国立劇場初登場となる瀬戸山美咲を迎える。そして掉尾を飾るvol.3では、小川自らの演出で『バグダッド動物園のベンガルタイガー』で知られる劇作家ラジヴ・ジョセフによる『タージ・マハルの帝国警備隊(仮)』が上演される。この他、フルオーディションによる企画第2弾として千葉哲也演出で宮本研の戯曲『反応工程』が上演されるほか、子どもも大人も楽しめる作品として、小山ゆうなを演出に迎えた作品、長塚圭史(作・演出)×近藤良平(振付)による新作が2作連続で上演となる。小川が力を込めて語ったのは、ロイヤルコート劇場とのコラボレーションによる劇作家ワークショップの企画だ。小川が同劇場を表敬訪問した際に話が出て、実現に至った。ロイヤルコート劇場の現役作家が1年の間に3回に分けて来日し、日本の若き劇作家とともに新戯曲を作り上げていく。小川は「劇場が作品を発表するのは当然ですが、作品を“作る”機能を大事にしていきたい。新しい作品を作ることができる“場所”を作ることに価値が生まれるし、それをさらに若い世代に渡せるように、私の任期中に(仕組みや場所を)作っていけたら」と同プロジェクトに対する強い思いを口にした。また、歴代最年少で同劇場の演劇部門芸術監督となった小川は「若い観客の獲得」も自らに課せられた仕事であると語る。とはいえ、若い人気俳優のキャスティングといった1回限りの即物的な施策ではなく「あくまでも私の好きなテイストを守りつつ、“作品の力”をつけていけるようにしたい」と今後に向けた意気込みを語った。取材・文・撮影:黒豆直樹
2019年01月25日「“連ドラの女王”常盤貴子さんが17年ぶりにドラマの主演を務めます。ちょうどクランクインしたばかりです」(TBS関係者)常盤貴子(46)が来年1月放送の『グッドワイフ』(TBS系)でドラマ復帰する。「18年前に彼女が木村拓哉さん(46)とW主演し、民放連ドラ歴代5位の最終回視聴率41.3%を記録した『ビューティフルライフ』と同じ日曜劇場枠。今作は米国の大ヒットドラマのリメイク版で“家族のため一度は辞めたものの16年ぶりに復帰する女性弁護士”役。“返り咲き”のイメージが重なり、彼女に白羽の矢が立ったそうです」(前出・TBS関係者)そんな常盤は放送開始と同時期に、プライベートでも夫・長塚圭史(43)とともに“新生活”をスタートさせるという。「常盤さんは現在、都内の高級住宅街に新居を建築中です。約200平米の敷地内に地上3階、地下1階の豪邸。今年3月に着工しましたが、工事はそろそろ後半戦を迎える状態です」(夫妻の知人)芸能プロ関係者はこう語る。「常盤さんは新居の費用を夫に頼らず、すべて自分で出したそうです。土地を購入した2年前は違う家が建っていましたが、解体費用も彼女が支払ったそうです。本来なら年内完成予定でしたが、彼女がこだわり抜いて建てているため、完成は来春になる見込みです」近くの不動産会社によると、土地だけで約2億円以上。「天井の高さは3メートルもあり、贅沢なつくり。二世帯住宅にもなる間取りですね。3階部分と屋上は木造になりそうで、総建築費も約2億円。合計4億円ほどの豪邸になります」常盤は将来的には自分の両親をこの新居に呼び寄せることも考えているという。「常盤さんのご両親は現在70代。今後を見据えてバリアフリー設計にしているそうです」(前出・知人)前出・芸能プロ関係者は言う。「もともと、俳優だけではなく、脚本も演出もこなす彼の才能に惚れ、結婚を迫ったのは常盤さんのほうだと聞いています。お金にはならなくとも、自分の経歴や成果につながる仕事だけに集中してほしいと願い、妻として常にそれを心がけているそうです。夫婦間で決めているのは、“自分の時間を大切にして意見をハッキリ言う”こと。フランス・ソルボンヌ大を卒業した義父・長塚京三さん(73)の教えでもあるとか。常盤さんも『それが自分を守ることになる』と話しています」結婚10年目、今回の豪邸建築が常盤の“フランス流”良妻スタイルなのだろう。
2018年11月14日長塚京三(73)が10月9日、JR東海のCM「そうだ 京都、行こう。」25周年記念ポスター展オープニングイベントに出席した。同CMシリーズの第1作目からナレーションを務めている長塚だが、今月13日から放送される新CMをもって卒業。各スポーツ紙によると長塚は「企業のCMをしているという意識は薄くて、皆さんの京都に対する思いを、コピーの力を借りて代弁していたに過ぎない」と25年間を回想し、「とっても気持ちよくやらせて頂きました。いい仕事に携われました。ありがとうございました」と感謝の気持ちを述べたという。長く愛された長塚の声――。Twitterでは《長塚さんの「そうだ、京都行こう」聞くと京都に行きたくなるのに。。。もう聞けなくなるの残念だ。。》《長塚さん、長い間素敵なナレーションありがとうございました》《ええ!?長塚さんやめちゃうの??長塚さんのナレーションがあってこそあのCMの世界観が完成するのに。。。》と惜しむ声が上がっている。また長塚の卒業に伴い、ネットでは『後継者は誰がふさわしい?』といったやりとりが行われている。「声のトーン的に考えると、やはり長塚さんの息子さんである圭史さん(43)が一番人気のようですね。いっぽうで長塚さんの持ち味であった『大人の雰囲気にピッタリ!』ということで玉木宏さん(38)を推す声も。長塚さんのように25年続ければ貫禄はさらに増し増し。ファンはその変化を堪能したいようですね。また松重豊さん(55)や遠藤憲一さん(57)といった円熟味のある演技に期待する声も上がっています」果たして、誰が選ばれるのだろうか?
2018年10月11日近年、映画やテレビドラマなどで活躍が目立つ俳優・吉沢悠が、3年ぶりに舞台にカムバック。今秋上演の主演舞台『華氏451度』について話を聞いた。【チケット情報はこちら】原作は、1953年にアメリカの作家レイ・ブラッドベリによって書かれたSF小説。急速に発展する情報化社会の中、本がテレビやラジオに取って代わられることに危機感を覚えた作者が未来世界に真っ向から取り組んだもので、1966年にはフランスの巨匠フランソワ・トリュフォー監督によって映画化もされている。2016年にストリンドベリ原作の『夢の劇』を舞台に立ち上げた白井晃(演出)×長塚圭史(上演台本)が再びタッグを組み、挑む今回。吉沢は、本の所持や読書が禁じられた社会で隠匿されていた本を焼き尽くすファイアマンのひとり、ガイ・モンターグ役を担う。原作を読み、「今のインターネット社会に置き換えて考えられるようなことがユーモアも交えつつ描かれていて、ハッとさせられた」という吉沢。その後、映画版にも目を通し、今は長塚による準備稿と向き合う。「原作が持つ空気感や世界観がしっかりと描かれた台本だと思います。それでいて、原作とも映画ともちょっと違う部分もあって。解釈や演出の仕方で様々に形を変える題材ですね。白井さんと長塚さんがどんな舞台に仕立ててくださるのか、僕自身、早く知りたいです。ほんと、どんな舞台になるのか想像つかないんですよね……。って、事前に考えすぎて頭でっかちにならないようにしないと(苦笑)」初となる白井の演出作で演じるモンターグは、「それまで模範的に生きてきたのに、ふと法に対し疑念を持ったことをきっかけに、反体制へと足を踏み入れてしまう」という役どころ。同役を掘り下げる稽古期間中には40歳の誕生日を迎える。「今回“3年ぶりの舞台ですね”と皆さんに言っていただくんですが、自分では“3年”という実感があまりなくて。それくらい瞬間瞬間を生きてきたのかも。30代は先々のビジョンに対していろいろと考えを巡らせ、焦りを感じることも多かった。でもこれからは、目の前のものや自分の置かれている状況をしっかりと味わい、生きていきたいなと。不安もありますけど、それ以上に楽しむ。まずはこのタイミングで巡り合えたこの作品に、じっくりと取り組みたいと思います」。舞台本編はもちろん、役者・吉沢悠の進化が目撃できそうで、楽しみだ。公演は神奈川・KAAT 神奈川芸術劇場で9月28日(金)から10月14日(日)まで。チケットの一般発売に先駆けて、プリセールを実施中。受付は7月12日(木)午後11時59分まで。取材・文:兵藤あおみ衣装提供:nest Robe CONFECT、45R
2018年07月11日演劇のみならず映像でも40年以上にわたって第一線で活躍しながら、この4月にはミュージカルに初挑戦するなど、常に驚きを与えてくれる風間杜夫。今年はさらに、自身にとって大きな挑戦となる舞台が待つ。アメリカを代表する劇作家アーサー・ミラーの『セールスマンの死』である。長塚圭史の演出によって上演される近代戯曲の名作にいかにぶつかっていくか。日本でも名優が演じてきた作品に、演劇魂を奮い立たせている。【チケット情報はこちら】『セールスマンの死』は時代も国も越えて上演され続け、今も多くの心を震わせている作品だ。主人公は、60歳を過ぎてかつての辣腕セールスぶりに精彩を欠いてしまったウィリー・ローマン。彼の死に至る最後の2日間を描いた物語には、「今に通じる生きることの困難さや家族の問題が、見事に表れている」と風間も語る。「人が介在しなくても買い物ができる今。セールスマンなんていう言葉は死語になっているのかもしれません。でも、夢を持って誠実に取り組んでいた仕事を突然失う残酷さや、息子たちの人生が上手くいっていないというような家族の問題は、今の時代にも変わらずあることだと思うので。立派な男ではないかもしれないけれども、ウィリー・ローマンの人生とその苦悩は、演じがいのあるものだと思うんです」出演依頼があった当初は、ためらいもあったそうだ。だが、「自分もこんな骨格の太い大きな芝居をやる年齢になったんだ」と覚悟を決めた。「これまで僕はどの役も、自分のなかにある共通項を探ってそれを大きく膨らませて演じてきました。でも、このローマンという役はそのやり方では抗しきれないくらい、一筋縄ではないかないのではないかと思います。改めて“役作り”ということをやっていかなければならないでしょうね。戯曲を何度も読んで、いろんな課題を見つけて。演劇の初心者に返る気がしてますよ(笑)」。キャリアを積んでなお困難なことに挑戦するのは「元気でいたいから。安心してラクなほうへいっちゃうとガクッときて使い物にならなくなっちゃうよ」と笑わせる。学生演劇からスタートし、様々な伝説の舞台を作ってきた人だ。「この舞台も若い人たちに観てもらって、後々、“お前、風間杜夫のセールスマンの死、観てたか?”って語られたいです(笑)」。69歳になった風間杜夫の熱、感じておかなければいけないのではないだろうか。公演は11月3日(土)から18日(月)まで、神奈川・KAAT 神奈川芸術劇場ホールにて。その後、愛知、兵庫を巡演。神奈川公演のチケット一般発売に先駆けて、プリセールを実施。受付は7月20日(金)午前11時から27日(金)午後11時59分まで。取材・文:大内弓子
2018年07月09日映画『スリー・ビルボード』の脚本・監督としても注目される、マーティン・マクドナーの最新舞台『ハングマン』がついに日本上陸。『ウィー・トーマス』(2003、2006年)など過去4度マクドナー作品を手がけてきた長塚圭史が演出を、小川絵梨子が翻訳を手がける。5月12日・13日の埼玉公演を経て、5月16日、東京・世田谷パブリックシアターにて東京公演が開幕した。【チケット情報はこちら】物語は1963年のイングランドにある刑務所から始まる。殺人犯のヘネシーのもとへとやって来た、“ハングマン=絞首刑執行人”であるハリー。しかし冤罪を主張するヘネシーに、「せめてピアポイントを呼べ!」とライバル視しているハングマンの名前を挙げられたハリーは、逆上し強引に刑を執行してしまう。そして死刑制度が廃止となった2年後。ハリーが営むパブに、ムーニーというどこか怪しげな男がやって来て…。マクドナーらしい、乾いた笑いと驚くほどの残酷さが同居した本作。物語の主な舞台となるハリーのパブは、そんな空気に満ち満ちている。ハリーはハングマン時代のプライドを大いに引きずり、常連客は常に酒に溺れ、その中には警部の姿まで。そんな彼らにとっての怠惰な日常は、ムーニーという男の出現により崩れ去る。しかもそれが暴力的な恐怖ではなく、ただじんわりと、しかしはっきりと不気味であるということが、とにかく恐ろしい。この舞台のカギを握るムーニー役だが、今回演じた大東駿介は、これまでのベストアクトと言える出来栄え。一見するとただの好青年だが、ちょっとした言葉のトーン、目線、流暢な話しぶりなどに、裏の顔が見え隠れする。また田中哲司演じる傲慢で不器用なハリー、初舞台の富田望生演じる内気な“周囲いわく暗い”ハリーの娘、シャーリーも強い印象を残す。ほかにもキャスト陣には演劇界の個性派がこれでもかとズラリ。一分の隙もない劇空間を生み出している。開幕直前にはマスコミ向けの囲み取材が行われ、田中、秋山菜津子、大東、富田、羽場裕一、長塚が登場。長塚は作品について、「マクドナーの戯曲の中でも一番激しい、毒々しい作品」と表現。見どころを聞かれた田中は、「あるんですよ、すごいのが…」と言葉を濁す。「予測不能な、すさまじい展開をしていくので、見どころを言っちゃうともったいない」と続ける長塚の顔には、はっきりとした自信が伺えた。長塚の言葉通り、まさに“すさまじい展開”を見せていく本作。観る者のモラルが試される2時間45分だ。東京公演は5月27日(日)まで。その後、愛知、京都、福岡を周る。取材・文:野上瑠美子
2018年05月17日今年のアカデミー賞で大きな話題をさらった映画『スリー・ビルボード』。滑稽で残酷な物語を、ヒリヒリするほどの生々しさとユーモアで描き出したこの作品で監督・脚本を手がけたのは、劇作家として世界的な評価を受けるマーティン・マクドナー。その最新作『ハングマン』が、長塚圭史さん演出で日本初上陸。「マクドナーの戯曲を読むと、すべての登場人物の造形が本当に素晴らしく、おかしみを感じさせると同時に、辛辣な皮肉が込められているんですよね。しかも、その人間模様が織りなす様を面白がりながらも、結末まで辿り着くと僕らの心にアイロニカルなものを残していくんです」日本でマクドナーの名前が広く知られたのは、’03年の舞台『ウィー・トーマス』。自身も過激で凄惨な場面を喜劇的に描いてきた長塚さんの演出は、その戯曲と親和性が高く大評判に。以降’07年までの間に3作の演出を手がけたが、なんと今回、約10年ぶりの邂逅。「マクドナーが5年ぶりに書いた新作戯曲で再会させてもらえたのはありがたい」と話す。「僕自身、しばらく別の方向性の作品に夢中になっていたので、こういうタイプの芝居を作るのが久しぶり。稽古が始まって、いま、非常に鮮度高くやれています(笑)」舞台は、イングランドで死刑制度廃止が施行された1965年前後。絞首刑執行人(ハングマン)のハリーを巡り、物語が展開されていく。「初演されたイギリスでは、死刑制度はすでに博物館的な遺物なんですよ。ただ、歴史的には死刑を進んでおこなってきた国なわけです。倫理的にどっちにつくのか…僕には、マクドナーが、芝居を観て笑っている観客のことも皮肉っているように思えるんです。さらにブラックなのは、この作品が、死刑制度が存続する日本で上演されることですけど(笑)」毒々しさと笑いとをブレンドし、巧妙に構築された「非常に頭のいい戯曲」ではあるけれど、「あまり理知的に作りたくない」と話す。「戯曲を正確にやると、英国的なスマートな芝居になりすぎちゃう気がしているんですよね。僕はもっと大真面目に馬鹿やってる作品にしたいんですよ。もっと過剰にいろんなものを盛り込んで、グチャグチャになればいいなと思うんです」ながつか・けいし1975年生まれ。劇作家、演出家。旗揚げ以来、ユニットとして活動してきた阿佐ヶ谷スパイダースを昨年、劇団化。新作公演『MAKOTO』は8月9~20日に上演。絞首刑執行人のハリー(田中哲司)は、冤罪を訴える容疑者の刑を執行した。2年後、死刑制度は廃止されたが、かつての事件の真犯人らしき男がハリーの前に現れて…。5月16日(水)~27日(日)三軒茶屋・世田谷パブリックシアター作/マーティン・マクドナー翻訳/小川絵梨子演出・出演/長塚圭史出演/田中哲司、秋山菜津子、大東駿介ほか全席指定8500円(税込み)ほかパルコステージTEL:03・3477・58585月12日~13日に埼玉公演が、6月には豊橋、京都、北九州公演あり。※『anan』2018年5月16日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2018年05月14日