集まったのはセンター街を抜けたところにある〈渋谷カラ館(カラオケ館渋谷本店)〉。浜崎あゆみフリークとして知られる平野紗季子さんとゆっきゅん。二人が語る、初めてのayu。Profileゆっきゅん(左)1995年生まれ、岡山県出身。2014年上京と共にアイドル活動を開始。2021年セルフプロデュースによるソロ活動DIVAProjectを開始。今年、ファーストアルバムである『DIVAYOU』をリリース。平野紗季子(右/ひらの・さきこ)フードエッセイスト。1991年生まれ、福岡県出身。ayuとは同郷。著書に『生まれた時からアルデンテ』(平凡社)、『私は散歩とごはんが好き(犬かよ)。』(マガジンハウス)などがある。私にとってayuは孤独のカリスマ。(ゆっきゅん)――今日はお二人初対面なんですけれど、それぞれ私物のayuグッズもお持ち寄りいただきありがとうございます。平野紗季子(以下、平):これは2006年のa-nationの時に買ったタオルです。夏を感じます。マークをハートに変形しがちだった時期のやつですね。ゆっきゅん(以下、ゆ):ヒョウ柄のマークのショルダーバッグはありえないアクセントになるので普段使いしています。平:Tシャツも素敵だね。――まずお二人に、なぜayuだったのかというところからお伺いしたいです。ゆ:私はもう幼稚園の頃からですね。幼稚園時代には一輪車に乗りながら「NEVEREVER」を歌っていましたから。平:わ〜早熟。ゆ:7歳年上の姉がいるんです。彼女がayuを好きで。カーステレオからはいつもアルバム『LOVEppears』と『Duty』が流れていた。平:最高水準の英才教育環境だ。ゆ:だからもう自然と?気づけば歌詞が頭の中に入ってきた感じです。「TO BE」8枚目のシングル曲。2001年に12㎝ CDとして再発売。アルバム『LOVEppears』『 BEST』などに収録。/1999年リリース。当時としてはセールスが振るわなかったがファンに根強い人気のある一曲。デビュー曲「poker face」から一貫して作詞を手がけるayu。本作では“浜崎あゆみ”のスター性を信じ、走りぬいた二人の姿を切実に歌い上げる。『LOVEppears』1999年リリース。2019年には『LOVEppears / appears -20thAnniversary Edition-』も発売された。/ファーストアルバム『A Song for ××』からわずか10カ月でリリースされたセカンドアルバム。「Fly high」「Trauma」「Boys &Girls」「TO BE」など話題曲を多数収録し、ダブルミリオンを達成。ロングヘアで胸を隠した刺激的なジャケットも話題に。「SEASONS」16枚目のシングル曲。月9ドラマ『天気予報の恋人』主題歌。ミリオンセラーを達成し「第42回日本レコード大賞」優秀作品賞および作詞賞を受賞。/2000年リリース。14枚目のシングル「vogue」、15枚目のシングル「Far away」と本作はほぼひと月ごとにリリース。ジャケット写真や喪服姿のPVもひと続きとなっていることからファンの間で「絶望三部作」と呼ばれるように。平:私は、自覚しているayuにゴトっと落ちた出来事があって。小学校の4、5年生くらいの頃、モーニング娘。が好きだったんです。クラスの女子はみんな好きで、みんなで踊っていたのですが、クラスのリーダー的存在の子がゴマキ(後藤真希)が好きだった。実は私もゴマキが好きで。でも、“推しかぶり”は重罪じゃないですか。もしバレたらハブられる……とこっそり上履き袋の裏にゴマキの缶バッジとかつけていたんですけど……。ある時、紗季子もゴマキ好きらしいよ、と密告されてしまい。案の定、見事にハブられました。その孤独と絶望でいっぱいの下校中、「SEASONS」がMDから流れてきて、号泣。ゆ:あ〜!平:それまでは正直ayuかわいいな、ギャルだな、くらいの視点しか持ってなかったんですよね。それが急に「今日がとても悲しくて……」という歌詞の意味がぐっと自分のものとして入ってきたんです。ブワーッてシンクロして。「あ、ayuも悲しいんだ。こっち側にいてくれるんだ……!」って。ayuが孤独を分かち合える同志になった瞬間でした。ayuは外見的なものより内面にくる。(ゆっきゅん)「彼女の生き様をただ見届けたい、そう思ってる(平)」『Duty』。表題曲である「Duty」「vogue」「Far away」「SEASONS」など全12曲を収録。「第42回日本レコード大賞」アルバム大賞を受賞。/2000年リリースのサードアルバム。17thシングルである「SURREAL」と同時発売。累計売り上げは約290万枚。現時点で自身最大のヒットアルバムとなっている。ayuが檻にとらわれたレオパード姿を披露したジャケットも印象に強く残る。ゆ:ayuは登場した時代的なものや、本人の華やかなビジュアルもそうだし、今だと「平成ギャル」みたいな切り口で語られがちですけれど、ayuファンって全然そこだけじゃないんですよね。孤独な感情を歌っているからayuが好きなんです。例えば姉もまったくギャルではなかったし。外見のきらびやかさだけでなく内面的にayuはくる、実は。そういう人、意外と多いと思いますし、ファンはみんなそうだと思う。平:ゆっきゅんが精神にayuをインストールしたのはいつ頃?ゆ:2000年前後はテレビをつけたらayuが出ていて、CDも爆裂に売れていた。岡山にはでかいホールもないから、ライブを観たのも上京してからなので、ずっとお茶の間のファンでした。それでも歌詞が分かってきたのは、やっぱり自分自身の自我、心が芽生えてからだと思います。それこそ紗季子さんと同じように小学校高学年の頃かな。中学生の時には勉強机のデスクカバーの下に、気に入った歌詞をパソコンで打ってA4の紙にプリントして並べてたんですけど……。平:わ〜!私もやってた!ゆ:やりますよね……。それはayuだけじゃなくて、いい歌詞だなって思うものがあると、打って新しいものに更新していたんです。でも、ずっと残していたのは「SURREAL」と「Naturally」と「Life」だった。平:それも分かる!私も歌詞ノートを作っていました。ayuの雑誌の切り抜きとかコラージュして。高いホログラムの折り紙をねだり倒して買ってもらってマークに切り抜いて貼って……。ゆ:歌詞の“写経”はやっぱり通る道ですよね。ちゃんと1回、自分で書いてみたくなるんです。もちろん教科書の隅にも。平:そう、自分で書かないと。ただ歌詞カードをコピーするんじゃダメなんです。手を動かさないと入ってこない。スターダムの絶頂でも居場所を探してた。(平野)『MY STORY』。「Moments」「INSPIRE」「CAROLS」などのシングル曲を収録。自身が初めてアレンジを手がけたインスト曲も収録されている。/2004年リリース。6枚目となるオリジナルアルバム。前作から2年ぶりとなる渾身作となった。オリコンチャートでは、本作で10作目となるアルバム首位獲得を達成した。これは、女性アーティストとして史上5人目の快挙である。ゆ:歌詞を読み込んで聴いていくうちに、ayuはラブソングの人ではないなと気づきました。平:分かる。ゆ:ずっと己の孤独を歌っているんです。平:ayuは自分でも語っていますが、家庭環境が複雑なことも影響して、ずっと居場所探しの旅をしてきた。その先で居場所を見出したのがショウビズの世界。でも、それもまた安住の地ではない。ゆ:そう。歌手になりたかったわけでもない。やはり「TO BE」ですよね。「誰もが通り過ぎてく気にも止めないどうしようもないそんなガラクタを」って。自分のことガラクタって呼べてしまうayuに凄みを感じます。デビューして世間的な「成功」を重ねても、ここで歌ったような孤独をずっと抱えている人なんです。居場所のなさ。彼女の歌はその気持ちを最初から、そして今も赤裸々にさらけ出しているんです。平:終わりのない葛藤をずっと歌い続けているんですよね。2000年の初の全国ツアーのライブ映像で「ayuはここにいるんだ。いていいんだ」って口上をするんですけど、もうそれが泣けて泣けて。だって2000年ですよ。あれだけスターダムの絶頂を極めた瞬間に「ここにいていいのかな」って思う!?って。ゆ:社会に注視される存在になって、そこに自分自身との歪みが生じて。ayuは引き裂かれながらもそれを歌にしているんです。徹底して一個人として生きている。実は全然、共感を重視した作詞ではないと思います。平:分かりすぎる。もう本当にただ自分に素直なだけなので。ゆ:「ourselves」で「世界中の誰も知らないけれどたったひとりあなただけに見せている」と歌っていますが、普通の人の恋愛って「誰も知らない」が当たり前なんですよね。「世界中の人に知られている恋愛」になってしまうのはあなたがayuだからなので……。彼女の歌は彼女でしかないんです。平:私は中学2年生の自由研究で「浜崎あゆみ」をテーマに据えたんです。ちょうどayuがアルバム『MYSTORY』をリリースした頃。ゆ:でた、名盤。平:そう。もうタイトルからしてそうなんですが自伝的な超大作で。ゆ:あれはayuの大河ドラマです。平:その収録曲の中でayuは「僕は君へと君は誰かに伝えて欲しいひとりじゃないと」(「Replace」)って歌っているんです。ayuはファーストアルバムで「一人きりで生まれて一人きりで生きて行く」って歌ってたのに……。ゆ:『ASongfor ××』。平:そう。ずっと一人きりだと思ってたけどアルバム6枚目にして、やっと一人じゃないって思えたんだというのが衝撃でした。人って変われるんだって感動したんですよね。だから、自由研究では「浜崎あゆみはこの世界の闇とそこに差す一筋の光だ」と締めくくっています。彼女が傷つきながら試行錯誤して見つけたもの、生き様そのものが一筋の光になって私を照らしている。そのことにティーン紗季子はどれだけ救われたことか。ゆ:私にとってayuは孤独のカリスマです。結局不器用なところが愛おしいですよね。葛藤に次ぐ葛藤、一つの正解にはたどり着かない。曲によっては矛盾した感情も歌われている。でも、それってめちゃくちゃ人間らしい。心を使って生きていればどんな感情になる時もあるし。でもそこに「浜崎あゆみだから」という芯が通っている。矛盾があったって、不器用だっていい、そしてそれを歌っていい。自分の人生の主人公は自分でいいんだってことをここまではっきり歌ってくれた人はいないんです。平:そうなの〜(泣)。背中を押してもらってきた。大人になってからもそう。(平野)「自分の感情を歌うことは全然、大げさなことじゃない(ゆ)」ゆ:自分は誰だ、自分は孤独だ、分かってもらえない、でも君だけにはどうか……、そんな個人的な感情をこんな大々的に、たくさんの人の前で、めちゃくちゃギラギラとしたエンターテインメントとして魅せるしかなかったお姫さま。でも、それは全然大げさなことじゃないんだよって教えてくれて、救われている人がたくさんいると思います。平:だから、ayuだって戦ってるんだ、と思うと、頑張りどきが増えるんだよね。「SURREAL」の「背負う覚悟の分だけ可能性を手にしてる」には本当に背中を押してもらってきた。大人になってからもそう。ゆ:本当に、大人になってから響くこと多いです。また「SURREAL」の引用になりますが、「私は私のままで立ってるよねえ君は君のままでいてねそのままの君でいて欲しい」ってayuは言ってくれるんです。ayuが言ってくれるなら、私は私のままでいなきゃって思える。この世の中にそう思える歌があるだけで本当に幸運です。ayuが言ってくれてるから、私は自分では歌詞は書かなくていいと思ってました。平:でもayuは「DIVA ME」とは言ってくれないから。ゆ:そう。だから私が言うしかない(笑)。平:長く生きるほどayuの歌への理解が深まっていきます。例えば責任ある仕事で矢面に立って初めて「ああ、ayuが背負ってたものってこれだったのか……」とかシンパシーを感じます。ゆ:また、その背負っているものを全然下ろさないのも、ayuのすごいところですよね。平:うん。同世代の歌姫を見ても、安室奈美恵のように華々しく引退する人もいれば、人間活動を宣言した宇多田ヒカルのように立ち位置を変える人もいた。その中でayuは一歩も引かない。ハッピーエンドのその先さえ生きていく。ゆ:引かないですよね〜。ayuは私たちの始発駅であり終着駅。(ゆっきゅん)2015年、4月から約3カ月にわたるアリーナツアーで全国10カ所22公演、約17万3000人を動員したツアーの横浜アリーナ公演がパッケージ化した。/平野さん、ゆっきゅんおすすめのライブDVD『ayumi hamasaki ARENA TOUR 2015 Cirque de Minuit ~真夜中のサーカス~ The FINAL』。浜崎あゆみのライブエンターテインメントの世界をたっぷりと味わうことができる。平:2015年のさいたまスーパーアリーナでのライブでその変わらなさに号泣しました。ゆ:「Duty」からはじまるやつだ!あれは神セトリ。姉と号泣しました。平:ここ数年のayuのライブも最高らしいですね。行けてない……。ゆ:はい。いいんです。今年の4月に開催された24周年ライブにも行きましたが、ayuは本当にライブが大好きなんだなと思うし、すごくファンを大切にしているんです。平:あー行きたい!ゆ:ぜひ今度、一緒に行きましょう。今のayuをもっとみんなに見てほしい!平:再評価されるべき時はきてるよね。ゆ:私の活動の、いや、人生のライフワークのひとつがayuの再評価なので(笑)。こんなにずっと頑張って戦ってくれている人いないですから。平:ayuに救ってもらったことのある人はきっと同じ気持ちですよね。ayuの今もこれからもずっと見届けたいです。ゆ:「Far away」の歌詞に「ふたりには始発駅で終着駅でもあった」ってありますけど、ayuって私たちの始発駅であり終着駅ですよね。New Release数々のサマーアンセムを生み出してきたayu待望の夏ソング。ニューシングル「Summer Again」が配信中。また、8/17に最新LIVE DVD & Bluray『ayumi hamasaki ASIA TOUR~24th Anniversary special @PIAARENA MM~』をドロップ。(Hanako1211号掲載/photo : Koh Akazawa text & edit : Kana Umehara)
2022年08月08日モーニング娘。OGの高橋愛さんと田中れいなさん、Berryz工房OGの夏焼雅さんによるスペシャルユニット「たいやき たべたの なんで?」。歴代No.1のパフォーマンス力と評される高橋さんと、つんくさんから「抜群の音程感とリズム感の持ち主」と言われた田中さん。高い歌唱力で「グループの屋台骨」と呼ばれた夏焼さんの最強布陣で発表したのは、なんとコミックソング。テーマは“真面目にふざける”。私たちが一番楽しんだかも。「終わりの見えないコロナ禍で落ち込んでいるみなさんに、“面白い”と元気になってもらいたいと始まった企画です。この3人らしい本気を見せられたと思います」(田中れいな)コミックソングの金字塔「およげ!たいやきくん」のカバーや歌謡曲風の「愛のドンデン返し」など、様々なジャンルの曲が揃い、3人にとって新たな挑戦となった。「歌謡曲は今まで聴いたことのなかったジャンルで、かなり勉強しました。カラオケ好きの祖父の歌い方を参考に、したことなかった歌い方を。ただ、『わさびじゃないのよ鰹は』のレコーディングで“もっとセクシーに!”と言われても、面白い歌詞とセクシーが結びつかなくて、苦戦しました」(夏焼雅)「歌詞に引っ張られて恥ずかしがったらダメな曲たち。全力でやることで笑ってもらえると思って、真面目にふざけました」(高橋愛)「私は『モーニング娘。の田中れいな』ってスイッチを入れる時、声を高くする癖がついていたんですが、バンド活動を経て喉の調節ができるように。8曲とも曲調が違うし台詞もあるので、全部違うキャラクターで歌いました。『うどん!うどどん!うどどどどーん!』は少年のように、『わさび~』はキザな人。新しいれいなを見せたくて、いろんな歌い方を楽しみました」(田中)卒業後、それぞれ舞台やライブ活動を続け成長してきたからこそ、互いの歌声に刺激を受けたと話す。「愛ちゃんは毎回新たな面を見せてくれる。お芝居好きだから表情が豊かで、やり切る大切さを教えてくれました。『ケッコン!~残りものには福がある~』の台詞と『誤爆~We Can’t Go Back~』MVの全力っぷりは必見」(田中)「雅は特に『ペーパーセーブ』が素敵。ビブラートが心地よくて、新鮮な雅の歌声を聴けます。れいなは毎回いろんな挑戦をする人なんですけど、今回は特に楽しんでいるのが伝わってきます。『うどん~』の声が綺麗で、何回も聴きました」(高橋)「れいなちゃんの声は可愛いイメージがあったから、クールな歌声が素敵で。あと、ふたりは長く一緒に活動をしてきたから、ちょっとしたステップも練習なしで自然と揃う。私も必死に合わせました」(夏焼)タイプの異なる3人の化学反応と個性が輝く楽曲たちは、私たちの心を明るくしてくれる。「悩むことがバカバカしくなるくらい、振り切った楽曲ばかり。私たちが一番楽しんだと思うくらい、陽気さが詰まっています。年齢問わず楽しんでもらえるはずです」(高橋)クスッと笑える楽しい曲が満載、MVも必見。Album『ラフ・アンド・ピース』。「およげ!たいやきくん」「わさびじゃないのよ鰹は」「うどん!うどどん!うどどどどーん!」など全8曲。【通常盤(CD+DVD)】¥3,850(UP‐FRONT WORKS)たいやき たべたの なんで?ハロー!プロジェクトOGの3人によるスペシャルユニット。左から、夏焼雅、高橋愛、田中れいな。ユニット名は3人の名字の頭文字からつけられた。個人活動も精力的に行っている。※『anan』2022年5月4‐11日合併号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・山田典良田中陽子(Lila)インタビュー、文・羽佐田瑶子(by anan編集部)
2022年05月10日フードライター・平野紗季子さんの「MY STANDARD GOURMET」。今回は韓国ごはんの店『モゴ』のビビンパ定食です。経堂にかわいい食堂ができた。その名はモゴ。韓国語で「食べて」を意味する韓国ごはんのお店だ。店主の山口泰子さんは韓国の食はもちろん、韓国文化を10数年来愛してきた人。韓国へ通い、料理を身につけ、今年の3月、自身のお店を開くに至った。韓国料理といえば辛い!のイメージが先行するけれど……「実は辛くない、滋味深いすてきな料理がたくさんあるんです」と山口さん。おっしゃる通り、モゴのビビンパはそこまで辛くない。真っ赤な自家製コチュジャンは辛さというより香り高さと深みがあって、ピカピカのナムルや、肉の味わいがぎゅっと濃厚な塩豚そぼろ(山形・平田牧場から指名買い。甘辛く味つけてはもったいないので塩味で!)と混ざれば混ざるほど、おいしさが重層的に広がっていく。この味わいの充実感、それでいて食後感は軽やかで、ランチは毎日これがいい!と前のめりになる。「野菜とお米をたっぷり食べられる外ごはんがあればいいのに」と思い続けてきた山口さん。体に負担が少なくて、栄養も満点で、豆や野菜をもりもり食べられて、ご機嫌な気持ちでごちそうさまって言える店。モゴには山口さんの理想が詰まっている。あ、帰りには、山口さんお手製の韓国民芸モチーフクッキーも忘れずに買って帰らなきゃ(実は山口さん、お菓子の名店『foodmood』出身なのです)!昼メニューからビビンパ定食(¥1,100)。たっぷり野菜と塩豚そぼろと自家製コチュジャンに、数種のおかずとスープ(この日はもやし。もやし出汁のおいしさ侮るなかれ!)付き。モゴ東京都世田谷区経堂2‐31‐20TEL:03・6680・704311:30~14:30、18:00~21:00(日曜除く)水・木曜休詳細はインスタグラム(@mogo_pap)で。ひらの・さきこ1991年生まれ。フードエッセイスト。著書にエッセイ集『生まれた時からアルデンテ』(平凡社)など。※『anan』2022年4月20日号より。写真・清水奈緒取材、文・平野紗季子(by anan編集部)
2022年04月13日ハロー! プロジェクトOGで歌手の高橋愛・田中れいな・夏焼雅による楽曲「わさびじゃないのよ鰹は」のミュージックビデオ(ショートサイズ)が、YouTube番組『M-Line Music』内で初公開された。あす2日にはフルサイズで公開される。同曲が収録されるアルバム『ラフ・アンド・ピース』は27日に発売。2021年3月、コロナ禍も2年目に入るころ、ステイホームで気分も沈みがちな毎日に「クスッと笑える楽しい曲が詰まったアルバム」を届けようというコンセプトで制作され、ハロプロOGの3人が抜擢された。同年6月には「およげ! たいやきくん」のカバーを先行配信している。アルバムには全8曲が収録され、そのうち3曲は高橋の夫であるあべこうじが作詞を手掛けた。メンバーのコメント、収録曲は以下の通り。■高橋愛久しぶりにアルバムを発売させていただくことになりました! 感謝の気持ちでいっぱいです。改めて、歌っていいなと思いました♪ 素晴らしい機会をいただけて、本当に幸せです。また、今回は旦那さんである、あべこうじ作詞の曲が、3曲入っています! 全体を通して、クスッと笑えるアルバムになっておりますので、是非たくさんの方に聴いていただきたいです!■田中れいなこのアルバムは全曲違うキャラ・歌声にしたくて考えながら作ったので、ぜひそこも楽しんでもらいたいです! 聞けば聞くほど好きになる曲がたくさんあって、中でも「ケッコン! ~残りものには福がある~」は良い人ぶってない台詞がリアルでいいなと思ってます(笑)。あんな風に思いながら結婚式参加する人いるのかな? って思うと自分の結婚式に呼ぶ人悩んじゃったり(笑)。久しぶりに自分の歌声、MVが形になって、みなさんにお届け出来るのが何より嬉しいので、たくさんの方に手に取ってもらえたら嬉しいです!■夏焼雅アルバム『ラフ・ アンド ・ ピース』は、クスッと笑える楽曲ばかりが詰め込まれてますが、めちゃくちゃカッコつけてる曲もあったりして……特に「わさびじゃないのよ鰹は」が個人的にツボ! この曲は、昭和のヒット曲「飾りじゃないのよ涙は」をオマージュした楽曲で、ロック調な音楽ですごくカッコいい。でも、みんな音楽に騙されちゃダメ!(笑)歌詞をよ~く聞いてほしい! 振り付けの中にも、しっかりラフポイント(笑いポイント)があって、鰹ダンスで口をパクパクさせている様なダンスがあったりするので、MVやイベントの際にぜひ探してみてください! どの曲も本気で歌って本気でふざけてる私たちに、なによりも注目して下さいね〜!■収録曲1.「わさびじゃないのよ鰹は」 作詞:あべこうじ 作曲・編曲:柿澤秀吉2.「愛のドンデン返し」 作詞:もりちよこ 作曲:星部ショウ 編曲:小西貴雄3.「誤爆~ We Can’t Go Back 」 作詞・作曲:星部ショウ 編曲: AKIRA4.「ペーパーセーブ」 作詞:あべこうじ 作曲・編曲:柿澤秀吉5.「およげ! たいやきくん」 作詞:高田ひろお 作曲:佐瀬寿一 編曲:鈴木俊介6.「ケッコン! ~残りものには福がある~ 」 詞:もりちよこ・星部ショウ 作曲・編曲:星部ショウ7.「うどん! うどどん! うどどどどーん!」 作詞:桑原永江 作曲・編曲:渡部チェル8.「十人十色三者三様」 作詞:あべこうじ 作曲:星部ショウ 編曲:宮永治郎
2022年04月01日高橋愛、田中れいな、夏焼雅によるアルバム『ラフ・アンド・ピース』より収録楽曲「わさびじゃないのよ鰹は」のMusic Video(ショートサイズ)がYouTubeで公開された。『ラフ・アンド・ピース』は、ステイホームで気分も沈みがちな毎日に「くすっと笑える楽しい曲が詰まったアルバム」を届けようとのコンセプトで制作されたアルバムで、ハロプロOGで歌の実力も確かな高橋愛、田中れいな、夏焼雅の3人が抜擢。アルバムは4月27日にリリースされる。併せて、アルバム収録曲の詳細も発表。さらに、明日4月2日には「わさびじゃないのよ鰹は」のMVフルサイズがYouTubeで公開される。■高橋愛 コメント久しぶりにアルバムを発売させていただくことになりました! 感謝の気持ちでいっぱいです。改めて、歌っていいなと思いました♪素晴らしい機会をいただけて、本当に幸せです。また、今回は旦那さんである、あべこうじ作詞の曲が、3曲入っています!全体を通して、クスッと笑えるアルバムになっておりますので、是非たくさんの方に聴いていただきたいです!■田中れいな コメントこのアルバムは全曲違うキャラ・歌声にしたくて考えながら作ったので、ぜひそこも楽しんでもらいたいです!聞けば聞くほど好きになる曲がたくさんあって、中でも「ケッコン!~残りものには福がある~」は良い人ぶってない台詞がリアルでいいなと思ってます(笑)あんな風に思いながら結婚式参加する人いるのかな? って思うと自分の結婚式に呼ぶ人悩んじゃったり。(笑)久しぶりに自分の歌声、MVが形になって、みなさんにお届け出来るのが何より嬉しいので、たくさんの方に手に取ってもらえたら嬉しいです!■夏焼雅 コメントアルバム『ラフ・アンド・ピース』は、クスッと笑える楽曲ばかりが詰め込まれてますが、めちゃくちゃカッコつけてる曲もあったりして……特に「わさびじゃないのよ鰹は」が個人的にツボ!この曲は、昭和のヒット曲「飾りじゃないのよ涙は」をオマージュした楽曲で、ロック調な音楽ですごくカッコいい。でも、みんな音楽に騙されちゃダメ!(笑) 歌詞をよ~く聞いてほしい!振り付けの中にも、しっかりラフポイント(笑いポイント)があって、鰹ダンスで口をパクパクさせている様なダンスがあったりするので、MVやイベントの際にぜひ探してみてください!どの曲も本気で歌って本気でふざけてる私たちに、なによりも注目して下さいね〜!<リリース情報>『ラフ・アンド・ピース』2022年4月27日(水) リリース『ラフ・アンド・ピース』ジャケット●【CD+DVD】3,850円(税込)【CD収録】1. わさびじゃないのよ鰹は作詞:あべこうじ作曲・編曲:柿澤秀吉2. 愛のドンデン返し作詞:もりちよこ作曲:星部ショウ編曲:小西貴雄3. 誤爆~We Can’t Go Back~作詞・作曲:星部ショウ編曲:AKIRA4. ペーパーセーブ作詞:あべこうじ作曲・編曲:柿澤秀吉5. およげ!たいやきくん作詞:高田ひろお作曲:佐瀬寿一編曲:鈴木俊介6. ケッコン!~残りものには福がある~作詞:もりちよこ / 星部ショウ作曲・編曲:星部ショウ7. うどん!うどどん!うどどどどーん!作詞:桑原永江作曲・編曲:渡部チェル8. 十人十色三者三様作詞:あべこうじ作曲:星部ショウ編曲:宮永治郎【DVD収録】■Music Video1. わさびじゃないのよ鰹は2. 愛のドンデン返し3. 誤爆~We Can’t Go Back~4. およげ!たいやきくん5. うどん!うどどん!うどどどどーん!■メイキング映像※収録内容は変更になる場合があります。<イベント情報>高橋愛・田中れいな・夏焼雅『ラフ・アンド・ピース』アルバム発売記念ミニライブ&お見送り会イベント2022年4月27日(水) 19:00 横浜ランドマークホール詳細はこちら:<ライブ情報>『M-line Special 2021〜Make a Wish!〜』全国ライブ開催中※出演者は公演ごとに異なります。詳しくは日程表をご確認ください。詳細はこちら:■M-line Music YouTube
2022年04月01日新次元の美容液メイクを叶えるエッセンスカラー株式会社Nコーポレーションは、スキンケア発想のメイクカラー『雅の舞 オールマイティエッセンスカラー』を、4月1日に通信販売・インターネットにて発売することを発表した。同製品は、1本で8役の多機能アイテム。アイシャドー・リップ・チークとして使用できるほか、肌の保護・保湿・ハリ・ツヤ・エイジングケアとして活躍する。エイジングケアシリーズの「nPS」成分を配合しており、メイク中もエイジングケアができる。年齢サインが出やすい目元や唇を彩りながら、素肌から美しく、若々しく立て直す美容液メイクとなっている。目元も唇もブラシタイプで使いやすい同製品は、美容成分がたっぷりと溶け込んだエッセンスに色素で色を付けた商品。天然の色素だけを使用しているので、肌に優しく安心である。メイクカラーは、なじみが良いため、マスク対策にもオススメである。メイクを落とした後の肌には、美容液を塗ったようなしっとり、ふっくら感が出る。美発色は長持ちし、使う部分を選ばないので、メイクの幅が広がる。カラーは、コーラルレッド・ブラウンレッド・テラコッタ・ブロンズベージュ・アイスシルバーの5色展開。販売価格は、各1,980円(税込み)、3本セットは4,990円(税込み)で、いずれも4月キャンペーン価格となっている。1,500本の数量限定商品のため、ご購入はお早めに。(画像はプレスリリースより)【参考】※プレスリリース株式会社Nコーポレーション※雅の舞シリーズ
2022年03月23日「安野光雅 追悼展 安野先生のふしぎな学校 安野光雅美術館コレクション」が、ジェイアール京都伊勢丹7階隣接の美術館「えき」KYOTOにて、2022年2月25日(金)から3月27日(日)まで開催される。画家・安野光雅が描く風景画や絵本を紹介安野光雅は、戦後、小学校の美術教師として勤めながら本の装丁などを手掛けた画家。終戦後、復員した後に20代前半で小学校の代用教員となった安野は、教科書が十分になかったため、教える内容や方法を自身で考えながら授業をしていた。上京後は小学校で図画工作を教えるかたわら、本の装丁や挿絵を手がけ、1961年に画家として独立。1968年には『ふしぎなえ』で絵本界にデビューし、好奇心と想像力、独創性にあふれた絵本作品や、淡い水彩で描いた風景画などを発表した。安野の代表作である『もりのえほん』や『天動説の絵本』などに見られる個性的な世界観は、幼少時代に里山で触れ親しんだ自然や、教員時代に試行錯誤した経験によって生み出されたものだ。安野の創作の豊かさは、芸術の世界だけでなく科学・数学・文学までにもおよび、多彩な著作を残している。会場では、文字や数字、風景に至るまで、安野流の楽しみ方が詰まった絵本作品や絵画を授業に見立てて紹介。「インタレスト!」を合言葉に、まるで“ふしぎな学校”に入学したかのような気分で安野光雅の世界観を堪能できる。【詳細】安野光雅 追悼展 安野先生のふしぎな学校 安野光雅美術館コレクション会期:2022年2月25日(金)~3月27日(日)会場:美術館「えき」KYOTO(京都駅ビル内・ジェイアール京都伊勢丹7階)住所:京都市下京区烏丸通塩小路下ル東塩小路町開館時間:10:00~19:30(入館締切:閉館30分前)入館料:一般 900円(700円)、高・大学生 700円(500円)、小・中学生 500円(300円)※( )内は前売料金。「障害者手帳」を提示の本人と同伴者1名は当日料金より各200円割引。※家族セット券(一般1名、小・中学生1名が入場可能)は1,000円。会期中、チケット窓口にて申し出が必要。2名同時入館に限る。他の割引との併用不可。※前売販売期間は~2月24日(木)まで。美術館「えき」KYOTOチケット窓口(休館日を除く)、京都駅ビルインフォメーション、チケットぴあ(Pコード685-872)、ローソンチケット(Lコード51925)にて販売。※状況により、作品展示やイベント内容は変更、または中止になる場合あり。【問い合わせ先】ジェイアール京都伊勢丹TEL:075-352-1111(大代表)
2022年02月17日小谷実由さんと平野紗季子さんが愛してやまない〈喫茶YOU〉。いつしか店の前には行列ができるように。その魅力を引き出した二人に思いを語っていただいた。Hanako特別編集『喫茶店に恋して。[改訂版] 』よりお届け。(左)小谷実由さん(右)平野紗季子さん――お二人は〈YOU〉の熱烈なファンだと伺いました。オムライスは今日で何回目?二人:わからないくらい(笑)。(テーブルに運ばれてくるなり、お皿を揺らして動画を撮り始める二人)平野紗季子さん(以下、平野):このトロトロ感は写真では伝わらないので(笑)。小谷実由さん(以下、小谷):「飲む」食べ物です。――好きすぎて、グッズを自主制作してしまったと聞きましたが。平野:初めて行ったときに、お店の入口のネオン管を見て、一目惚れしちゃって。小谷:ブローチにしたらかわいいね、って盛り上がったんだよね。で、〈伊勢丹新宿店〉で紗季ちゃんがイベントをやるときに、作っちゃおう、って。それから〈YOU〉のママさんに話をしに何度も足を運んだり、お手紙を書いたり。ついにOKをいただいて、代官山の雑貨屋さん〈Aquvii〉とあれこれ話し合って、デザインを形にしていったんです。最終的にはブローチのほかに、クリームソーダカラーのハンカチと、オムライスを小脇に抱えるようなバッグも作りました。平野:好きなお店は色々あるけれど、本当に惚れ込んでいないと、グッズまで作ろうとは思わない。ファンが推しのアイドルのTシャツを着ちゃう感覚と似てるのかも。フェティシズムに近いけれど、その根底にあるのは愛、っていうところが。ブローチのモチーフにもなった入口のネオン管。――なるほど、深いです。それにしても、どうしてそこまで〈YOU〉に惹かれるのですか?平野:扉の先に何があるのか見てみたくなる感じ?店主の一存でなんとでもなっちゃう感、というか。それは銀座の喫茶店全般にいえることですが。私たちが学生の頃はカフェブームで、世の中は均一化されたお店で飽和状態だったから、新鮮で。コースターのデザインとか、個性が強すぎて我が道行ってる(笑)。小谷:喫茶店に行くことが普通だった時代への憧れもあるのかも。私にとっては特別でも、少し前の世代の人たちには日常だったわけで。隣の席でドラマが繰り広げられてたりするのもいい(笑)。平野:町を重層的に見られるのがおもしろいし、お客さんとお店の距離感も独特。いい意味で放っておいてくれる。〈YOU〉のママさんも、常連さんにも必要以上に踏み込まないように心がけてるそうなんです。レトロ喫茶ブームの“火付け役”。看板メニューの「オムライス」(ドリンク付き1,300円)。卵をふわふわに仕上げる秘訣は、たっぷりと加える2種類の生クリーム。お店の個性がぎゅっと詰まったコースター――でも決して冷たいわけじゃない。平野:気にしてないようで、ちゃんと私たちを見てる。懐が深いんですよね。小谷:みんながわざわざここにやってくるのは、お料理のおいしさはもちろん、そういう心意気を心地よく感じているからなんじゃないかな。平野:あ、インスタ映えするってのも。オムライス、かわいいですもん。喫茶店でハシャいだりしないで、普通に座って新聞を読む、みたいなのが理想だけど、〈YOU〉では絶対無理(笑)。小谷:もう、撮りまくって発信しまくっちゃう(笑)。ある意味ストイックなのかもね、私たち。オムライスに次ぐ、隠れた人気メニューも。あれから3年、人気メニューにも大きな変化が。やさしく焼き上げた「オムレツサンド」(ドリンク付き1,200円)や、極厚の食パンがついてくる「自家製ハンバーグ」(ドリンク付き1,500円)も、常連からの支持を集める定番メニューに。Message喫茶YOU ママ小谷さん・平野さんのお二人がブローチやバッグなどの雑貨を作ってくださったあの後、実際にそれらを手にお店へと来てくれるお客さまの姿が多くありました。中には、「伊勢丹のイベントで買いました」とうれしそうな表情でグッズを見せてくれる方まで。なんだか、こちらまでうれしい気持ちになったのを覚えています。小谷実由私がYOUを知る前から、ずっとみんなが大好きなYOU。これからどんな流行や時代の変化が訪れても、撮影の時に見せていただいたオムライス作りの姿勢のようにスッと気持ちの良い筋の通ったお店なのだろうなと思います。あの撮影の時に言い忘れていましたが、私はレモンゼリーが好きです。平野紗季子ネオンサインもふるふるのオムライスも。これまでもこれからも大好きな喫茶店です。〈喫茶YOU〉歌舞伎座の横で40年余り。レトロかわいい世界観と看板メニューのオムライスで長年ハナコ読者の心を射止め続けてきた名店。ここ数年の人気は凄まじく、お昼時には行列が絶えない。東京都中央区銀座4-13-1703-6226-048211:00~16:00LO無休48席Profile小谷実由(おたに・みゆ)/ファッションモデル。喫茶店巡りはライフワークで、インスタ(@omiyuno)には訪れたお店の写真がたくさん。目印は#喫茶部。平野紗季子(ひらの・さきこ)/フードエッセイスト。食にまつわる執筆業のほか、菓子ブランド「(NO)RAISIN SANDWICH」の代表を務めるなど活動は多岐にわたる。(Hanako特別編集『喫茶店に恋して。』掲載/photo:HAL KUZUYA text:Hiroko Yabuki)
2022年01月14日舞台『ピアフ』の製作発表が13日に都内で行われ、大竹しのぶ、梅沢昌代、中河内雅貴、竹内將人、山崎大輝が登場した。同作は仏歌手エディット・ピアフの人生を、パム・ジェムスが戯曲化し、2011年に栗山民也演出の元、大竹により日本で初演を迎えた。4年ぶりの5演目の上演で、初演以来ピアフの親友トワーヌを演じる梅沢に加え、ピアフを取り巻く男性に新キャストとして中河内、竹内、山崎が登場する。同作へついての思いを聞かれた大竹は「次があるとは思わないでいつもやっているので、毎日『今日1回だけ』と無我夢中でピアフの人生を3時間生きるということしかない」と心境を表す。「経験を積めば積んだだけ、愛の深さなどはわかるかなと思います」と言いつつも、「若い人との年の差が激しくなって『どうもすいません』という感じ。ねえ梅ちゃん、とても困るよね。少女なんですよ。誰も見えないですよね」と梅沢に話を振ると、梅沢は「初演(2011年)から見えてないから、10年なんてくそくらえ」と頼もしい言葉。ピアフを取り巻く俳優陣について、大竹は「うちの息子よりも若いんですよ。どうしよう。でもいいや、ピアフもそうだったから」と自分で納得していた。ピアフの恋人でボクサーのマルセル・セルダン役の中河内は「マルセルは妻子がいながらもピアフに心を寄せ愛していたという人物で、心の底からピアフを信頼して打ち解け合っていた。お互いがお互いを支え合い、やっとひとりぼっちじゃなくなるような瞬間が、2人の中にあたたかい愛としてあったんじゃないかな」と分析。ピアフが見出した歌手のイヴ・モンタン役の竹内は、ピアフについて「とても皮肉な人生だなと思います。もしピアフが本当に幸せに1人の男性を愛し切って、ここまでいろいろな苦しみがなかったとしたら、遥か遠く離れた国でミュージカル化されるくらい伝説的な歌手になっていたかな? と思いますし、苦しんだ分だけ感情がピアフの呼吸や唇に乗ってお客さんに届いたのかなと思う」と語る。「愛した男性達なしに伝説的なピアフはなかったのかな」と思いを馳せた。ピアフより20歳年下で生涯最後の恋人となるテオ・サラポ役の山崎は「愛の力は本当にすごいもので、僕が演じるテオがピアフと結婚したのが26歳の時。僕自身も26歳で、僕のこの時に、あれだけの病にもかかっている年上の方に……」と率直な感想で、キャスト陣も思わず笑ってしまう。「『僕が治す』といった言葉もあったそうで、その心意気に今からならなければいけないんだなということを、稽古に入る前から考えておりました。まとめますと、愛の力はすごい」と締めていた。そんな3人の言葉を聞いて、大竹は「役に対する思いを聞いていて『大丈夫だな』と思いました。舞台上で3時間接するわけですけど、本当の愛をお互いに感じ合わないとお芝居ができないと思うので。私も明かりとか当たってるから大丈夫だと思うし、思いっきり愛すので愛してほしいと思います」と語りかける。中河内は「いやもう、最上の愛で返しますよ。こうしてお芝居の中でも初めましてから始まり、深いところまでいくのが芝居の醍醐味でもありますし、いろいろな変化を楽しみながら感情を出し合うキャッチボールが大好きなので、大竹さんとしっかりと愛を結びたいと思います」と返し、「この期間だけは妻よりも愛していきます」と宣言。竹内も「今までのどの愛よりも強い愛で」、山崎も「(テオは)ピアフに憧れを持った状態で初めてお会いするわけなので、愛の度合いとしては僕がマックスの状態から愛を与えたいと。受け取ってもらえるように頑張ります」とそれぞれに誓った。なお、同作には俳優の前山剛久が出演する予定だったが、活動休止による降板が発表されていた。前山についてどう受け止めたか聞かれた大竹は「受け止めると言っても、お会いしたこともない方なので、わからないんです」と回答。また、故・神田沙也加さんについての思いを尋ねられると「むやみにコメントできるようなことではないので」と誠実に答えた。東京公演は日比谷シアタークリエにて2月24日〜3月18日、大阪公演は森ノ宮ピロティホールにて3月25日〜28日、福岡公演は博多座にて4月1日〜10日。
2022年01月13日フードエッセイストの平野紗季子さんが選ぶ、手みやげBEST5。平野さんが2021年心奪われたスイーツとは?旅に出かけた気分で、思いを馳せ楽しむ提案。美味しいものをプロデュースしたり、食文化事業の企画なども行う、フードエッセイストの平野紗季子さん。日本各地や他国へも出かけ、その土地のものを食べて散歩する著書もある。「今年は、自分自身が旅をしづらい分、遠方の食べ物や飲み物を取り寄せています。そこで出合い、感動したお菓子もいろいろあり、贈り物としてセレクトすることが以前よりも増えましたね」自宅にいながら旅気分を楽しめるようなものを選ぶのともうひとつ、平野さんが大切にしているのが、贈る相手に寄り添えるもの。「嫌なことがあったあの子には、気持ちが安らぐお菓子を。おしゃれなあの子には、パッケージを活用してくれそうなものを。と、相手を思い浮かべて選んでいます」手みやげBEST5ナイフを入れると縞模様が現れるときめきに満ちたケーキ。Maison HAKOSHIMA「SHIMA ジンジャーレモン」φ12~13cm¥3,000テキスタイルメーカーが開いたカフェ。「牧野伊三夫さんデザインの箱の中に、レモンのアイシングがつんやりと美しく、菱形にカットした生姜のコンフィがキラキラと飾られたホールケーキ。しっとりとした食感で、ジンジャーとカシューナッツパウダーの香りが広がります」。福岡県福岡市博多区御供所町12‐2本山ビル1FTEL:092・984・072111:00~17:00月曜休、不定休Webで購入可。みかん農家が手がける、パッケージもかわいいジュース。Tangerine「温州みかんジュース〈はるか〉」720ml¥1,750愛媛県宇和島市の愛媛みかん発祥の地・吉田町でみかんの栽培とジュースを製造する。12月は、やさしい甘みの〈南柑20号〉、1月は、まろやかな口当たりの〈ポンカン〉など、時期で品種が移り変わっていく。「とろんとしたクリームイエローの〈はるか〉は、2月頃に登場予定。甘くてじんわり苦みもあってすごく美味しいみかんジュースです。空き瓶を花瓶に使ってもかわいい」。通販のみ。ほっこりとあたたかい気持ちになるパフケーキ。コボリ洋菓子店「下野(しもつけ)カスター」6個入り¥1,300料理家・小堀紀代美さんのご実家が営む洋菓子店。「お店で一番の人気者が、今夏からオンラインで買えるように。生地はふぁーふぁーの食感で、中のクリームはとろりんとしていて、ひと口食べて大好きに!すべてをやさしく包み込んでくれる味です。がんばっている知り合いにそっと贈りたい」。栃木県宇都宮市滝谷町2‐9TEL:028・636・82049:00~19:00水、第1・3木曜休Webで購入可。手みやげにすれば大歓喜間違いなしのおやつ時間に。MY PICNIC「ホームメイド シナモンシュガー ドーナツ」1個¥350店舗を持たずメニューは1種のみ。「じゃりっ(砂糖)、かりっ(生地の表面)、すわぁー(中の生地)っとほどけて、あとからミルクのやさしい香りがふんわり残る、理想も理想のシナモンシュガードーナツ。穴を抜いた生地を使った丸いミニドーナッツが、袋に一緒に入っているのもうれしい!」。配達、アトリエ(東京都内)で受け取り時間は11:30~15:00日・月曜休Instagram(@mypicnic_tokyo)で8個から注文可。秋限定、香り高いマロングラッセを使ったサンドが登場。(NO)RAISIN SANDWICH「(NO)RAISIN SANDWICH」6個入り¥2,500上・ヘヴンリーマロン、下・レーズンサンド“レーズンは苦手だけどレーズンサンドは食べてみたい”という平野さんのアイデアから生まれたブランド。「手前味噌ですが、パティシエの後藤裕一さんレシピ監修のバターサンドは飛び抜けた美味しさ。田部井美奈さんデザインの小箱もチャーミング」。フレーバーは季節ごとに更新、今はレーズンサンドとマロングラッセ入りマロンクリームの2種入り。毎週日曜10:00~注文受付開始。通販のみ。平野紗季子ポッドキャスト番組『味な副音声』のパーソナリティ、菓子ブランド『(NO) RAISIN SANDWICH』の代表を務めるなど、食を中心とした活動は多岐にわたる。近著に『POPEYE 特別編集 味な店 完全版』(小社刊)。Instagramは@sakikohirano※『anan』2021年10月27日号より。写真・山口 明スタイリスト・野崎未菜美取材、文・池田祐美子撮影協力・UTUWA(by anan編集部)
2021年10月20日星野リゾートは、「星野リゾートアルツ磐梯」に造られたオーダーメイドパーク「Miyabi Park」と、そこで練習する鬼塚 雅選手(おにつか みやび、以下鬼塚選手)の姿を収めたドキュメンタリー作品「Get Over-鬼塚雅×星野リゾート-」を2021年9月17日から公開します。全3話のシリーズとして、順次星野リゾートの公式HP内の鬼塚雅選手特設ページで公開してまいります。2020-21シーズンは、新型コロナウイルスの影響で、海外遠征や大会が相次いで中止になりました。そのような中でも十分な練習ができるように、アルツ磐梯の中で、世界レベルのオーダーメイドパークを造成しました。本ドキュメンタリーでは、世界レベルのオーダーメイドパークの造成に奮闘する星野リゾートのスタッフと、鬼塚選手が仲間と共に切磋琢磨する姿を収めています。アルツ磐梯を拠点に練習する鬼塚選手星野リゾートは、鬼塚選手が幼少期から、アルツ磐梯を利用していたことをきっかけに、2017年7月から所属契約を締結。これまで、平昌五輪の直前にオーダーメイドパークをアルツ磐梯で造成するなど、練習環境のサポートを行ってきました。2020-21シーズンは、新型コロナウイルスの影響で海外遠征や大会が相次いで中止になりました。そこで、国内でも世界レベルのパークで練習できるよう、かつてない規模でのオーダーメイドパークの造成に踏み切りました。Miyabi Parkプロジェクトの半年間を収めたドキュメンタリー作品本作品は、全3話で構成されるドキュメンタリー作品です。オーダーメイドパーク設計についての会議や、世界レベルのパーク造成を目指すスタッフの苦悩、仲間と共に切磋琢磨しながら世界に向けて練習に励む鬼塚選手の姿など、Miyabi Parkプロジェクトの半年間のストーリーが収められています。Miyabi Park完成までの軌跡の他にも、鬼塚選手と星野リゾートの出会いや、鬼塚選手の世界にかける思いなどが、各関係者の目線から描かれます。「Get Over-鬼塚雅×星野リゾート-」概要監督:中根 篤史(なかね あつし/INDRES FORMATION FILM)公開予定日:第1話2021年9月17日、第2話2021年10月1日、第3話2021年10月13日公開先:星野リゾート公式HP内 鬼塚雅選手特設ページ[ ]{ }鬼塚 雅選手プロフィール1998年10月12日生まれ。熊本県出身。5歳のときに福岡市内の室内練習場でスノーボードを始め、小学校1年のときにアルツ磐梯で開催されたインディーパークジャムで初優勝を果たす。2015年には16歳でスノーボード世界選手権女子スロープスタイルにて大会史上最年少で優勝。2017年、2021年の世界選手権でも表彰台に上がり、3大会連続の入賞は日本人初の快挙。2017年 FISスノーボード世界選手権 女子スロープスタイル3位2017年 FISスノーボードワールドカップ 北京大会女子ビッグエア2位2017年 FISスノーボードワールドカップ メンヘングラッドバッハ大会女子ビッグエア2位2018年平昌オリンピック冬季競技会 スノーボード女子 ビッグエア8位入賞2017-18シーズン FISスノーボードワールドカップ女子フリースタイル パーク&パイプ総合優勝2018年 FISスノーボードワールドカップ 張家口大会女子スロープスタイル1位2019年 FISスノーボードワールドカップクライシュベルク大会女子スロープスタイル1位2019年 Burton U·S·Open 女子スロープスタイル3位2018-19シーズン FISスノーボードワールドカップ女子フリースタイル パーク&パイプ総合優勝2019年 AIR+STYLE 北京 FISスノーボードワールドカップ女子ビッグエア1位2020年 X Games Aspenスノーボード女子 ビッグエア1位2020年 Burton U·S·Openスノーボード女子 スロープスタイル3位2021年 X Games Aspenスノーボード女子 ビッグエア2位2021年 FISスノーボード世界選手権 女子ビッグエア3位 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2021年09月28日●転機となった『新しい波8』オーディション秘話「お笑いは一番好きな仕事で楽しいけど、天職だと思っていない。そんな才能もあると思えないですしね」。そう笑って話すのは、お笑いコンビ・ドランクドラゴンの塚地武雅、49歳。芸人としても、俳優としても、タレントとしても、間違いなく“売れっ子”である塚地だが「この仕事を天職だと思う?」と聞くと、冒頭の答えが返ってきた。ドランクドラゴンは1996年に結成され、今年で25周年。これまでの軌跡、転機となった出来事、そして50歳を前に叶えたい野望について話を聞いた。塚地は大学卒業後に仏壇メーカーに就職するも、お笑いの道を諦めきれず会社を半年で辞め、人力舎のお笑い養成所に入学。そこで相方の鈴木拓と出会い、コンビを結成する。「サラリーマンを続けていれば、お給料いただけるし、仕事はちゃんとある。人生としては問題なかった。でも、もし高校を卒業していきなりお笑いの養成所に入っていたら『お笑い以外の道もあったのでは?』と思ってしまっていたので結果的によかった」と振り返る。「お笑いの道で生きていこう」と固く決意したのは養成所内でのできごと。「養成所入って1年後に残れるかどうかを決めるオーディションがあって、ステージでネタを披露して受かったら事務所に所属できるっていう。で、そのオーディションで残れた。そのとき『コレや!』って思ったんです。最悪売れなくていいと思えたくらい、舞台に立ってウケた感じが心地よくて、それが自分の人生でほしいものだとわかった。そう僕はこれがしたかったんだと心の底から思えた」。芸人としての目標は『夢で逢えたら』のようなコント番組に出演すること。『夢で逢えたら』は1980年代後半から90年代前半にフジテレビ系で放送された伝説のお笑い番組で、ダウンタウン、ウッチャンナンチャン、清水ミチコ、野沢直子らそうそうたるメンバーがお茶の間の爆笑をさらっていった。「『なんてかっこいいんだ!』と思ったんです。力強さとパワーがあって、こういう番組に出るのが目標の1つだった。この番組にはほんまに衝撃を受けましたね」。そんな塚地にチャンスが巡ってくる。お笑い界には“8年周期説”というものがある。ビートたけしの8つ下が明石家さんま。さんまの8つ下がダウンタウン、ダウンタウンの8つ下がナインティナイン…と8年ごとにスターが誕生していることを基にしているのだが、その8年周期説をベースにナイナイの次のビッグスターを発掘しようと1992年に始まったのがフジテレビ系のオーディション番組『新しい波』シリーズ。塚地は2000年放送の第2弾『新しい波8』に参加することになるのだが……。「そのオーディション、最初は参加させてもらえなかった。僕は年齢いってからこの業界に入っていて、ナイナイさんやよゐこさんと同い年。8年後のスターを探すコンセプトの番組やから、同い年の僕はオーディションに行かせてもらえなかった。事務所の人がオーディションを断っちゃって」。落胆する中、浅草の寄席・木馬亭でライブを開催。来場したお客はわずか3人だったが、「お客さんの一人が番組(新しい波8)のディレクターだった」。そのディレクターがドランクドラゴンのネタを気に入り、『新しい波8』に呼ぶ。そして無事に参加できたドランクドラゴンは、『新しい波8』から選抜されたキングコング、ロバート、北陽、インパルスとともに『はねるのトびら』をスタートさせた。ドランクドラゴンの名は『はねるのトびら』で一気に上昇。ブレイクを果たす。当時について「深夜にユニットもののお笑い番組をやらせてもらって、ほんまについている。『新しい波8』のオーディションが転機になったオーディションですね。それがなかったら今、この場にはいないです」としみじみだ。●俳優としても活躍「お笑いがお芝居を呼んできている」映画『間宮兄弟』で佐々木蔵之介とともにダブル主演を務め、日本アカデミー賞新人俳優賞のほか、各映画賞の新人賞を総なめ。ドラマ『裸の大将』が復活した際には故・芦屋雁之助さんが演じていた山下清役を引き継いだ。近年の朝ドラ、大河ドラマの活躍も言わずもがなだ。ただ、どんな俳優として栄光を浴びようとも芸人というスタンスは変わらない。「よく『芸人を辞めて俳優さんに転向しても大丈夫』と言ってもらえるのですが、そういうことじゃない。お笑いやっているからコメディ的な役が自分に回ってくる。お笑いをとるポジションとか、ダメな男の役とか、犯人役とか……。お笑いがベースにあって、そこから派生して呼んでもらっているだけなので、芸人と俳優は別物じゃない。つながっているんですよ。お笑いがお芝居を呼んできているだけ」と自身の立ち位置を冷静に語る。塚地は特撮ヒーロー作品やK-POPの大ファン。芸人・俳優以外にも、こうした趣味が高じた仕事も多い。最近では、dTVで日本独占配信されている韓国の大型オーディション番組『LOUD』(毎週土曜0:00~更新)の見どころを紹介する特別番組「『LOUD』~今からでも間に合う!見どころ大放出SP~」でMCを務めており、16年におよぶK-POP愛が抜てきを手繰り寄せた。このナビゲート番組では、朝日奈央らとともに『LOUD』の魅力を紹介。塚地は「朝日奈央ちゃんたちと楽しさを共有しているのに過ぎない。堅苦しくもなく座談会みたいな感覚がただただ楽しくって。…MCとしてはどうなのかな?」と立場を忘れて夢中になるほどK-POPに夢中だ。アイドルになりたくてオーディション番組に参加する若人の姿に、かつての自分を重ねる。「オーディションって社会の縮図みたいなところがありますからね。この子は自分っぽいなって自分を投影させて、まだまだ自分も頑張らないとなって奮い立たせられるんですよ」。ピンの仕事も絶えない塚地だが、気になるのはドランクドラゴンとしての今後だ。「数年前に、ひとつのネタ番組で60本くらいのネタを披露させてもらって。それに加えてほかの仕事もあってネタに関していうと少し疲れてしまっていた時期があった」と低迷期があったことを明かす。それでも「コンビ的な活動においては、多くの人が知らないこともまだまだある。まだ手の内を全部見せている気はしていないので、ドランクドラゴンの単独ライブはいずれやりたい」と力強く答えた。芸歴25年。「この仕事は天職だと思う?」という質問には「いやぁ思っていないかな。お笑いは一番好きな仕事で楽しいけど、天職だと思っていない。そんな才能もあると思えないですしね。僕の場合『好きこそものの上手なれ』。好きだからこそ長く続けられているだけ。だから芸人を辞めようと思ったことも一度もない。会社員は半年で辞めましたけどね」と笑い飛ばした。最後に、今年11月で50歳となる塚地に野望を聞くと「こんな体型ではあるのですが、太った体を利用してアクションを撮りたいんですよ」と声を弾ませる。「もともと中学時代から特撮ヒーローが大好き。アクションスターになりたいという夢もあったんです。今もジムに行ったり、ボクシングをしたりと体を鍛え続けている。体力がなくなりギリギリのこのタイミングでアクションヒーローになるのも、逆にいいんじゃないか。アクションヒーローになって、コンビでライブして、それから死にたいですね。興味ある関係者の方がいたら名乗りを上げてください(笑)」。■塚地武雅1971年11月25日生まれ、大阪府出身。大学卒業後、仏壇メーカーに就職するも夢を諦められずお笑い養成所の門を叩く。1996年に鈴木拓とお笑いコンビ・ドランクドラゴンを結成。2001年~2012年に放送された『はねるのトびら』(フジテレビ系)でブレイクする。映画『間宮兄弟』(2006年)でダブル主演を務め、日本アカデミー賞新人俳優賞のほか数々の新人賞を受賞。ドラマ『裸の大将』で山下清役に抜擢され、NHKの大河ドラマ『平清盛』(2012年)、『西郷どん』(2018年)、朝の連続テレビ小説『まれ』(2015年)、『おちょやん』(2020年)に出演するなど俳優としての活躍も目覚ましい。
2021年08月20日●「“K-POPという現象”に夢中に」 オーディション番組もチェック自他ともに認める筋金入りのK-POP好きである、お笑いコンビ・ドランクドラゴンの塚地武雅。とあるきっかけでK-POPグループを知り、底なしの沼にハマって16年以上。その魅力に今も取り憑かれ続けている。塚地といえば、ももいろクローバーZの大ファンであることでも知られているが、そこから見えてくるそれぞれの良さは何か。また、アイドルたちが気づかせてくれた大切なこととは。dTVで日本独占配信されている韓国の大型オーディション番組『LOUD』(毎週土曜0:00~更新)の見どころを紹介する特別番組「『LOUD』~今からでも間に合う!見どころ大放出SP~」でMCを務めるなど、アイドル好きが仕事にもつながっている塚地にインタビューした。――塚地さんがK-POPにハマったきっかけを教えて下さい。もう16年くらい前かな。現場のメイクさんと趣味の話になって、その人が「東方神起にハマっている」って教えてくれました。次の日、別の現場の衣装さんも「東方神起が好き」と話していて、2日連続で東方神起の名前を聞いたんです。それで気になって動画を見てみたら「東方神起ってすごい!」となって。そこから色んな音楽番組を見ていくと、たくさんのグループがいることを知りました。当時だとWonder Girlsや少女時代、BIGBANGとか。『なんだこれは!』と驚いているうちに気づいたらCS放送で韓国の音楽番組を4局くらい契約していました(笑)。――芋づる式にグループや番組を知っていったのですね。音楽祭があってもグループとグループ楽曲を入れ替えて披露したり、別グループがコラボしたステージだったり、ショーマンシップのようなところも魅せられたうちの一つ。きっかけは東方神起さんでしたが、固定のグループを好きになるのではなく“K-POPという現象”に夢中になりました。――塚地さんはK-POP好きが高じてK-POPや韓国アイドルにまつわるお仕事も増えていますよね。最近ですと、「JYPエンターテインメント」の代表パク・ジニョン(J.Y.Park)さんと、「P NATION」の代表であるPSYさんの2人がプロデュースを務め、次世代ボーイズグループを誕生させる韓国のオーディション番組『LOUD(ラウド)』の見どころを紹介する特別番組でMCを務めています。『LOUD』の魅力はどんなところですか。『LOUD』では「JYPエンターテインメント」と「P NATION」から一組ずつグループを作って、デビューさせる。いきなり異なる事務所から2組を同時に作る番組は他では見たことないですね。そもそもプロデューサー2人にも魅力があるから、見ていて面白いし、2人が現役アーティストという点も斬新ですね。あと、J.Y.ParkさんとPSYさんは外見だけでなく中身も重視して参加者を審査してくれるから、個人的に信頼度は厚い。もちろん、アイドルグループなので外見も重要な要素なのですが、2人はちゃんと内なるスター性を見抜く。そこもほかのプロデューサーとは違う目線な気がして、その部分は見ていて感心します。――塚地さんの目から見て、原石はいましたか?練習生の子たちの中にも、一般の参加者の中にも、気になる原石がたくさんいるので、今後どうなっていくか楽しみです。――グループだけではなく、韓国のオーディション番組のチェックも欠かさないとか。最近では、NiziUがデビューするきっかけとなった「Nizi Project」のオーディションの様子が放送されて日本で話題になりましたね。『LOUD』などオーディション番組のどんなところに面白さを感じていますか。やはりデビュー前からグループや推しの子を知れるという点が大きいですね。それでデビューした後、世間が「この子いいな」という評価を受けると「自分は前から知っているんだ」という喜びになる。TWICEがそうでしたね。初期から知っているとどんどん感情移入するし、どんどん推しの子が洗練されていく様は見られるのがいい。その子が頑張っていると「自分も頑張ろう」と返ってくるのもうれしい。僕は内気な子とか、はしゃぐけどそんなに強気じゃない子とか、「自分っぽい子」を見つけて自己投影して見る傾向にあるかな。●K-POPとももクロ「両方追っていてめちゃくちゃ楽しい」――塚地さんはモノノフ(ももクロファンの愛称)でもありますよね。ももクロに惹かれた理由はなんでしょうか。昔、ダウンタウンさんが司会をされていた音楽番組『HEY!HEY!HEY! MUSIC CHAMP』でK-POP担当として出演させてもらっていて、AFTERSCHOOLやINFINITEというグループを紹介していました。その番組である時、日本のアイドルを特集する日があって、そこでももクロと出会いました。比べるのは違うと思いますが、韓国のアイドルはスキルが高い。そこにももクロが僕の目の前に現れ、リーダーの百田夏菜子ちゃんがアメフトみたいなごっつい衣装を着て立っていたんですよ。全力で、不思議で、なんか卓越していて……。K-POPが洗練されたメジャーリーグだとすると、ももクロは泥臭い高校野球のように感じ、K-POPにはないアプローチに見えたんです。「なんだ、このアイドルは!?」とビックリしました。――確かに、ももクロは異色だったかもしれません。満面の笑みで「ちーまーなーこ(血眼)」と歌うアイドルはいなかったですしね(笑)ですよね(笑)。ももクロを見たときに「異性を意識していない、異性からモテようとしていない」と思ったんです。僕がもっと若かったらアイドルを見て「かわいい、付き合いたい」という気持ちになるかもしれないけど、結構年齢を重ねているので、「子供たちが頑張っている」「青春を思い出す」という感情になる。だからその無邪気さに魅了された感じです。でも、ももクロは、ガニ股もするし、変顔も躊躇しないでやるし、それを本人たちが楽しんでやっていて、「異性からモテようとしてない」って。それが魅力でした。――なるほど。ももクロとK-POPは全然重ならないから、両方追っていてめちゃくちゃ楽しいですよ!――アイドルを応援していく中で、アイドルから影響を受けたことはありますか?大きく変わったのは「ファンの方への対応」です。僕がお笑いを始めたとき、まぁ尖っていました(笑)。あいさつも「うっす…」みたいな。面白かったらいいと思っていた時代だったので、当時はファンへのサービス精神はほぼなかった。かつて放送されていたNHKのお笑い番組『爆笑オンエアバトル』は、お客さんが面白いと思った芸人にボールを投票して、上位の芸人のネタが放送されるという仕組みで、投票の後にボールの計量があるのですが、オンエアが決まった瞬間も「うっす…」みたいな感じでした(笑)。クールで引いているほうがかっこいいと勘違いしていたんですよね。3年くらい前、地方で営業しているときにドランクドラゴンの追っかけをしてくれていた人が「実は昔のライブ見に行っていました」と一緒に撮った写真を見せてくれたんですが、僕まったく笑っていなくて。振り返っても、言葉が少なくて塩対応だったなって……。そのファンの方は気にしてなかったとは言ってくれましたが(笑)――今の塚地さんからは想像できないです。当時は笑顔なかったですよ。でも、アイドル好きになってファン心理を理解できました。アイドルが笑顔でいることにファンとしてこんなにうれしいことはないと。斜に構えて笑顔を隠すよりも、笑顔で対応したほうが何倍もファンの方はうれしいんだ、僕もそうしようという感覚に変わっていきましたね。誰がステージに出てぶっきらぼうな奴を見てうれしいねんって(笑)。今は「どうも~! ありがとうございます! 見てくださってありがとうございます!」って満面の笑みでステージに上がっています。自分の笑顔が、どれだけ周囲の人に連鎖するのかって。それがアイドルから学んだことです。■塚地武雅1971年11月25日生まれ、大阪府出身。大学卒業後、仏壇メーカーに就職するも夢を諦められずお笑い養成所の門を叩く。1996年に鈴木拓とお笑いコンビ・ドランクドラゴンを結成。2001年~2012年に放送された『はねるのトびら』(フジテレビ系)でブレイクする。映画『間宮兄弟』(2006年)でダブル主演を務め、日本アカデミー賞新人俳優賞のほか数々の新人賞を受賞。ドラマ『裸の大将』で山下清役に抜擢され、NHKの大河ドラマ『平清盛』(2012年)、『西郷どん』(2018年)、朝の連続テレビ小説『まれ』(2015年)、『おちょやん』(2020年)に出演するなど俳優としての活躍も目覚ましい。
2021年08月18日貸し切りで1組のみ過ごせる、茶室のような空間日本を代表するトップシェフ監修の『酒の肴』大切な人に「フラワーボックス」で真心を贈る貸し切りで1組のみ過ごせる、茶室のような空間白壁にナチュラルな暖簾がひとつのミニマムな外観六本木駅徒歩4分、龍土町美術館通りにひっそりと佇む白壁の店【長谷川栄雅六本木】。暖簾の向こうには、美術館のような販売スペース。さらにその奥では1日5組限定で、極上の日本酒と日本を代表するトップシェフが監修する四季折々の『酒の肴』を楽しめます。茶室を彷彿とさせる和の佇まい店内は1組のみが約40分貸し切りで過ごせる座敷がひとつ設置さています。10畳ほどの畳敷きの和室の奥には季節の草花が生けられ、まさに茶室のような落ち着く空間。日本の伝統美に浸りながら、五感で日本酒の世界が楽しめます。1組4名までで、前日20時までの予約が必要です。日本を代表するトップシェフ監修の『酒の肴』5種類の日本酒に合わせた、四季折々の『酒の肴』を監修するのは日本を代表するトップシェフたち。シェフは数ヶ月ごとに入れ替わり、お酒へのアプローチがそれぞれ異なるため、贅沢な競演が繰り広げられます。ここからは料理とお酒の一例をご紹介します。季節ごとのマリアージュを楽しめる『酒の肴』日本を代表するトップシェフが監修する、5種類の『長谷川栄雅』に合わせたアテ=『酒の肴』の5品。それぞれの季節ごとに異なる極上のマリアージュが楽しめます。芳醇な香りと澄み渡る味わい『栄雅純米大吟醸』華やかさとなめらかさを併せ持つ味わいを目指し、無垢な旨さだけが取り出される「袋搾り」で抽出された『長谷川栄雅』を代表する一品。口に含めば芳醇な香りと澄み渡る味わいで、まさに至福のひととき。果実を思わせる気品ある香り『長谷川純米大吟醸三割五分』果実を思わせる気品ある香りが特長。旨みと甘味が調和し、柔らかく優美な味わいは食中酒としても最適です。米の存在感もしっかりと感じられ、『長谷川栄雅』の個性を体現した一品。大切な人に「フラワーボックス」で真心を贈る中村俊月氏から、その季節折々のお花をお届け華道家・中村俊月氏による、日本庭園を小箱に詰めたような「フラワーボックス」を大切な人にプレゼントできます(10日前までの要予約)。写真の2種類のプリザーブドフラワーはそれぞれ35,200円、生花なら17,600円からオーダー可能です。日本の美とその思いを込めた贈り物をぜひ。長谷川栄雅六本木【エリア】六本木【ジャンル】軽食・その他グルメ【ランチ平均予算】-【ディナー平均予算】5500円【アクセス】六本木駅 徒歩4分
2021年05月26日赤堀雅秋が1年ぶりに手がける新作のテーマは、「8050問題」。母親の死後から引きこもりになった弟とその兄、老齢の父親、さらにNPO法人の相談員たちが紡ぎ出す、濃密な人間ドラマだ。そこで作、演出、出演の3役を兼ねる赤堀と、長男役の三宅弘城に話を聞いた。M&Oplaysプロデュース「白昼夢」の公演・チケット情報20年来のつき合いながら、赤堀作品に三宅が参加するのは今回が初。三宅は「念願の赤堀作品」と切り出し、「赤堀さんの書く世界と、演出する空気感がものすごく好きで。正直、赤堀さんの作品ならなんでもいいくらい(笑)。俳優としてはナイロン(100℃)で共演したことがあるんですが、すごく真面目ですし、赤堀さんが出て来ると途端に場が生々しくなる。そういうのを体験して、ますます一緒にやりたいと思うようになりました」と、全幅の信頼を寄せる。赤堀に三宅の俳優としての魅力を聞くと、「ご本人を前に恥ずかしいな」と照れつつも、「常に前向きで、少しでも面白くするために常に何かを打破しようとしている。すごく尊敬している俳優さんです」と、こちらも信頼の強さを伺わせた。キャストは5人のみ。長男を三宅、次男を荒川良々、父親を風間杜夫、NPO法人のスタッフを赤堀と吉岡里帆が演じる。この顔ぶれを見て赤堀は、「いいキャストだと思いますよ」としみじみ。「ちゃんと舞台の上で反応し合える人たちだと思うので、その化学変化みたいなものが楽しめるのではないかと思います」と、期待を膨らませる。三宅も「皆さん一緒になって作っていってくれる、チーム感のあるカンパニーになりそうですよね。こちらも気を抜いていられないなと思います」と、背筋を伸ばす。赤堀作品に関して、風間、荒川はすでに経験済みだが、異色なのは吉岡。ドラマ『あさが来た』で共演経験のある三宅は、「『私、小手先で出来ないんです』って言うくらい、すごく体当たりで熱い子」と当時を振り返ると、赤堀は「じゃなきゃ出ないですよね、このメンツで」とニヤリ。さらに「ほんわかしたイメージがありますけど、せっかくならグロテスクな部分も引き出せたら面白いかも」と、気になる言葉も飛び出した。現段階での物語の設定は前出の通りだが、実際どうなるかは赤堀のみぞ知るところ。当の本人は「僕が一番知りたいですけどね」と笑うも、最後にこう語る。「変な手触りの芝居になればいいなと思います。抽象的な言い方ではありますけど、この5人で、等分で、混沌とすればいいんじゃないかなと思いますね」。取材・文:野上瑠美子撮影:源賀津己
2021年02月16日「食べるということに常に本気ですよね」と笑い合う二人は初対面。平野紗季子さんが今好きな大銀座を吉本ばななさんにご案内します。今回はその中から〈caveman〉と〈銀座 青汁サービススタンド〉の2店をご紹介します。表も裏も奥が深い銀座は一生憧れ続ける場所。左・平野紗季子さん/右・吉本ばななさん吉本ばななさん(以下、吉本):私は銀座といえば〈慶楽〉だったので、なくなってショックでした。平野紗季子さん(以下、平野):好きなお店がなくなると、その街ごとイメージが変わったりしますよね。吉本:平野さんの本を読んで、全体的に、単独行動だと感じたのですが、普段のはしごはお一人で?平野:人をお誘いするのが苦手で…。その人が気に入ってくれるかどうかなどプラスアルファが入ってくることで、自分が本当に食べたいものが濁ってくるというか。食事と会話を両立できないところもあって。吉本:分かります。本気で味わいたい時は、会話との両立は難しい。平野:ばななさんはおいしいお店をたくさんご存じですが、お店に興味を持つキッカケは何ですか?吉本:バランスですかね。あとはメニューの構築も見ます。平野:分かります。全ての思想が出ますよね、そこに。吉本:料理を食べに行っているのですが、考え方を見に行っているという気持ちも大きいので。多少でもポリシーみたいなものを感じられれば、たとえ何か問題があっても許せちゃう。平野:それと急にお店が目に入ってくる時ってありませんか?何度も前を通っている時には気付かなかったのに、ある時ふと「こんなお店あったっけ?」と。それで入ってみたら、すごくいいお店だったりすると、その帰り道は多幸感がすごい。吉本:私にもそういうお店がいくつかあるなぁ。1.自由に料理を楽しむ空気が人々を魅了する。〈caveman〉大きな窓から光が差し込む店内。モーニングは8:30〜10:00。ホテル、コーヒーショップ、レストラン、バー、ビアホールの複合施設〈K5〉。平野:私はお酒を飲まないので、私のはしごは今日のように朝から夕方という感じです。まずは朝食からスタート。〈caveman〉は古い銀行を改築して、上がホテルで下にレストランとバーがあるんです。吉本:窓の外が石壁っていうのがまたいい風景。北欧を感じます。オープンサンドはどちらも食べてみたいので半分こしましょうか。平野:そうしましょう。鶏肉・アボカド・温泉卵と、桃・モッツァレラ・エストラゴンのオープンサンド。メニューは週替わり。吉本:とうもろこしのポタージュにひげがちゃんと入っているのがうれしい。私はひげだけ茹でて食べるくらい好きなので。平野:桃とモッツァレラのオープンサンドは、エストラゴンがきいてますね。ナチュラルワインや発酵をほどこしたジュースなど、ペアリングを楽しむ提案も。〈CAVEMAN(ケイブマン)〉ノルウェーの〈MAAEMO〉でスーシェフを務めたというオーナーシェフ、黒田敦喜氏によるコースが先鋭的。「朝食だけでなくディナーも最高なんです」(平野さん)東京都中央区日本橋兜町3-503-5847-1112BREAKFAST8:30〜10:00、LUNCH12:00〜13:30、DINNER18:30〜、19:00〜、19:30〜水休(朝食・ランチは金土日のみ)30席/禁煙2.さっと立ち寄り、カウンターでぐいっと1杯。〈銀座 青汁サービススタンド〉店内に入るとすぐにカウンターがあり、テーブル席も1つ。カウンターでぐいっと飲み干して、また出かけていく人が多数。平野:〈銀座 青汁スタンド〉に行くと、オンとオフ、銀座の華と楽屋という感じのイメージです。前に黒服を着ているボーイの男の子がパッと入ってきて「青汁一つ」と言って秒で飲んでさっと出ていったんですよ。銀座の部室、バックステージっぽいなぁって。そこに生きている人の佇まいや生活を一瞬垣間見れると、グッと街の魅力が深まるんです。コップ1杯(小)350円、(大)700円。吉本:〈銀座 青汁スタンド〉は私も来たことがありますが、様々な職種の人が存在する銀座という街を支えているなって思いますよね。平野:大学を卒業した頃に初めて入ったのですが、ものすごいオーラで、ずっと気になっていて。「1杯飲んだだけで元気になった気がします」。「この青汁1杯がたくさんの銀座の人たちを支えているんでしょうね。近くに仕事で来た時には立ち寄ります」。吉本:青汁という名前がまだない時代から、ケールを種から育てて作っていたという…。そういう偏ったお店は本当にすごい。銀座でお店を長く続けるという時点で、何か特別なものがないと絶対に続かないと思うのですが、青汁だけでずっとやってきたとかそういうワザや知恵に長けたお店が意外と銀座には多いと思う。〈銀座 青汁サービススタンド〉1962年開店の青汁スタンドでは、搾りたての生の青汁を飲むことができる。「どこかに行く時、ついでに立ち寄っていた店。銀座の人たちを支える大切な場所です」(平野さん)、「久しぶりに飲んだけれど健康的な味わい」(吉本さん)東京都中央区銀座1-6-7 谷口ビル 1F03-3535-20468:30〜19:00(土9:30〜18:00)日祝休6席/禁煙Navigators平野紗季子(ひらの・さきこ)/1991年、福岡県生まれ。大学在学中に文筆活動スタート。自身のフードレーベル「HIRANO FOOD SERVICE」では食を中心に多岐にわたり活動する。Hanakoの連載をまとめた『私は散歩とごはんが好き(犬かよ)。』(小社刊)が好評発売中。吉本ばなな(よしもと・ばなな)/1964年、東京生まれ。1987年『キッチン』で海燕新人文学賞を受賞しデビュー。数々の賞を受賞し、著作は30カ国以上で翻訳出版されている。noteにて配信中のメルマガ『どくだみちゃんとふしばな』をまとめた文庫本も発売中。(Hanako1189号掲載/photo:Wakana Baba, Tetsuya Ito, mitsugu text:Maki Kakimoto)
2020年11月15日2016年から約4年にわたり、雑誌Hanakoの巻末連載として異彩を放ち続けてきた「私は散歩とごはんが好き(犬かよ)。」。大人気フードエッセイスト・平野紗季子さんの街歩きエッセイ&写真を、デザイン界の巨匠・服部一成さんが毎回異なるデザインで仕上げるスペシャルな企画です。この連載が一冊にまとまり、発売されました!最終回となる今回は、犬かよ本刊行記念スペシャル。平野さんの仕事場にお邪魔し、本のこと、お散歩のこと、連載のことなどをお聞きした一部インタビュー内容を公開します。「散歩」という最も控えめな手段で時空間のゆがみをまたぐ。本が出せて嬉しい。嬉しい買っておくれやす、楽しんでおくれやす。編集部(以下・編):ついに本が出来上がりました!平野紗季子さん(以下・平野):はい、出来ました!嬉しい〜〜。本当に出来るのかと思いました(笑)。(*編集部注:本にまとまることが決まってから、なんと1年以上かかりました!)編:実は著作は2作目(1作目は、2014年に刊行された『生まれた時からアルデンテ』〈平凡社刊〉)なのですよね。雑誌連載もたくさんされていますし、ちょっと意外でした。平野:そうなんです。一体この間何をしていたのだろう…(笑)。この連載は、いつか本にしたいね、ということで始まりましたが、なかなか変な本になりました。犬かよ犬とティーカップ犬。犬温泉ティー、かわわ。編:この「犬かよ」連載は、雑色、西高島平向島に国立などなど、多種多様な街を平野さんが歩き、平野さん自ら写真を撮り、綴ったエッセイでした。平野:はい。きわめて個人的な散歩の記録ですが、連載を始めるにあたって「Hanakoの本誌で絶対特集されないような街を描きたい」という思いがあって。第1回の五反田の回に、「すべての街は面白い」っていうタイトルをつけたんですが、なんでもなさそうな街や場所こそ歩きたい、そこで出会うもの感じるものを残したい、という気持ちがありました。編:街選びはどんな風にされていましたか?平野:自分の日常とは接点の少ない街にこそ足を運びたいと思っていたので、自分の部屋に東京の地図を貼っていたんです。行ったところに赤ペンでマークをつけていくんですが、街を俯瞰して見られるのが、よかったです。編:まさに、この本の巻頭にある地図と同じですね。平野:そうです、まさにこんな感じ。地図をバーッと見ながら、「…“雑色”って何て読むんだろう?ザツイロ?ゾウシキ?気になる…」とか、「終点の駅って、地名は知ってるけどどんな街か知らないな。よし“西高島平”だ」みたいな。気づくと同じ本が2冊。編:いちばんイメージと違った街は?平野:あ、ものすごくワクワクしたのは、勝どき。編:勝どき!平野:勝どきは豊海水産埠頭っていう海産物の冷蔵倉庫街があるんですが、そこにまぐろ問屋がやっているまぐろのお店があるんです。夕方のニュース番組でたまたま見て、行ってみたいなと。そしたら、海と流通の男の街なんですね。デコトラがバーッと並んでて、業者さんしかいなくて、映画なら夜に抗争が起こりそうな…(笑)。えらいとこに来てしまったなと思いながら、まぐろ丼を食べたあと、勝どき駅のほうに歩いていくと、今度はいきなりタワマン群が現れて。マンション広告から飛び出してきたみたいな笑顔のファミリーが歩いてるんです。そこからさらに月島方面に歩いていくと、古い木造建築やもんじゃ屋さんが並んで一気に下町の雰囲気に。作務衣を着たおじいさんが巨大な亀を連れて散歩していて(笑)。これ、徒歩でたった30分くらいの出来事なんです。パッチワークのようにつなぎ合わされた異なる時空間を徒歩でまたぐ瞬間、そのダイナミズムに、東京の街の面白さを実感しました。東京は最先端と取り残された古さがすれすれで隣接していて、その狭間にこそ魅力を感じます。だから計画的でツルピカに整理された新しいものだけの街並みでは心が動きづらいです。余白や遊びがちりばめられた、散歩のようなデザイン。服部一成さんの手書きマップ!編:連載のデザインは、服部一成さんが手掛けてくださいました。本のデザインも一冊まるごと服部さんによるものです。連載を始める際に、平野さんから服部さんとご一緒したいというご希望がありました。平野:普通、連載となるとテキストは何文字、写真は何枚、と決まったフォーマットに落とし込んでいくことが多いのですが、ルールにとらわれると街の個性を漂白してしまうような気がして。毎回デザインは自由、どこまでも大胆に、それでいて心地よいものになったらいいな…なんて思っていたのですが、そんなデザインをしていただける人を考えたら服部一成さん…と思ってしまって。私が会社勤めしていたころの上司が、服部さんのお仕事のことを「意識的無意識」と呼んでいたのですが、まさにその通りだなあと。子供のセレンディピティ的感覚と、絶対的な美意識が与える安心感みたいなものが同時にあって、誌面に平然と常識を超えていくようなエネルギーを宿してくださったと思っています。編:毎回、服部さんからデザインが上がるのをご褒美のように感じていらっしゃったとか。平野:私の言葉にならない感覚まで拾い上げてくださるので、いつも感激していました。毎回、思いがけない余白や遊びがちりばめられていて。たとえば九段下の回のときは「東京の真ん中には皇居という空虚がある」というような話が出てくるのですが、そしたらデザインの真ん中に空白を作ってくださっていて。嬉しくて笑っちゃいました。街を歩いていて突然空き地が広がったり、何かが引っかかって足を止めてしまう、あ、のハッとする瞬間が誌面にまで落とし込まれているようでした。犬かよ本、よろしくお願いいたします。編:ちなみに、本の表紙はいかがですか?平野:とても好きです。まずこの二度見不可避の正体不明さ(笑)。手書きの犬の脱力チャーミングさと、ロゴのキリッとした力強さ。この変てこなバランスが犬かよ感全開という感じで最高です。お店は、代えの利かないその人の人生そのもの。マッチやショップカード一生持ち帰る人生。編:出てくるお店のカオスさも特徴ですが、お店はどうやって選ばれていましたか?平野:私は食べることが好きですが、単に“おいしいもの”が好きっていうより、“心の動く食体験”が好きなんです。映画と同じで、ハッピーエンドでニコニコしたいときもあるし、サスペンスでドキドキしたいこともある。おいしくて感動したお店もたくさん載せているけれど、銀座の地下駐車場に忽然と現れる中華食堂でめちゃくちゃしょっぱいきくらげと卵の炒め物を食べるときの自分を見失いそうな感覚も好き。単に「街グルメ100選」という感じではなく、このドア、開けていいのかな…みたいなお店で出会えるものについても書いています。赤入れの執着で迷惑をかける。編:このドア開ける勇気出ないな、というお店も多いですよね。平野:でも開けちゃうんですよね…。あ、だから、この本に出たお店にもし行かれたとして、必ずしもハッピーな気分になれるとは限らないのでどうかご了承ください(笑)。でも忘れられない時間になるとは思います。私ずっと、「食体験は物語だ」って思っていたんです。扉の先に広がる物語を味わいにいく。でも犬かよの連載でいろんなお店に行って…喫茶店のマスターのおじいさんにつかまって、なんとなく出られなくて何時間も話したりしているときに(笑)、「ああ、お店の物語を味わうなんて傲慢な考えだった」って思ったんです。そこに息づいているのは、都合よく消費されるための物語ではなく、ただひとつきりの人生だった。食器に看板にお料理に、ご店主の歴史が刻まれていて、私はその人が人生をかけて今日まで大事に守ってきた場所にお邪魔させてもらっているんだ、と感じるようになりました。だから小さな喫茶店で腰の曲がったおじいさんが出してくれるパンケーキがレンジでチンしたやつだったとしても、愛おしい。それは、おいしさ、という基準では測れない、たしかに心を動かす味なんです。ゴリゴリにろくろ回す平野。編:図らずも、本の編集作業をしていた時期は新型コロナの影響が大きくありました。平野:残念なことに本で書かせていただいた中にもコロナの影響で閉店を余儀なくされたお店があります。多くの方がコロナの影響で傷ついていますが、飲食店のダメージも甚大です。街の色を作ってきたような小さくとも意義深い店たちが、潰えていくのは本当に苦しい。街に飲食店があるということは、単純においしいものが食べられる、という以上に、社会におけるコミュニティサービスであり、もっというとインフラの一部ではないかと思っています。街に店があることの価値は、とてつもなく大きいんです。だからこそどんな危機が迫っても、強いものだけでなく、小さくとも弱くとも、それぞれの大切な商い、そして大切な人生を守り通せるような社会を願います。(一部インタビュー内容を掲載しているため、全文は本誌をご覧ください。)平野紗季子(ひらのさきこ)謎のドヤ。なくなった喫茶店のメニュー写真とともに。1991年生まれ。小学生の頃から食日記をつけ続けるごはん好き(pure foodie)。著書に『生まれた時からアルデンテ』(平凡社)がある。 instagram:@sakikohirano服部一成(はっとりかずなり)1964年生まれ。グラフィックデザイナー。主な仕事に「キユー ピーハーフ」の広告、雑誌『流行通信』『真夜中』『here and there」のアートディレクションなど。(Hanako1187号掲載/photo:Kasumi Osada hair&make:KIKA)
2020年10月17日寺脇康文と塚地武雅(ドランクドラゴン)が多彩な女性ゲストを迎え、ミュージカル仕立ての即興劇を届ける『あなたと作る~etude The 美4』シリーズ。その製作発表が行われ、寺脇・塚地のほか、今回のゲスト4人のうち早川聖来(乃木坂46)と山口乃々華(E-girls)が登壇した。コロナ禍だからこそ行える舞台鑑賞の形を模索しようと、寺脇とTBSテレビ・安江圭プロデューサーが発案した本企画。シリーズ第1弾は無観客の配信限定で開催され、視聴者はチャット機能を通じて、出演者に演じて欲しいキャラクター設定を自由に投稿できる。その“お題”を受け取った3人は即興でミュージカルを構成。河内肇のピアノ生演奏をバックに、この瞬間だけのスペシャルな作品が幕を開ける──。「ソーシャルディスタンスを保ちながら少人数で行える演目を考えた時に、稽古期間を設けずに済む“即興劇”が思い浮かびました」「配信のチャットを使えばリアルタイムでお客さんとコミュニケーションが図れて一体感を演出できる」と企画のスタートを紹介する寺脇。ホストとしての“相棒”に塚地を選んだのは、2019年のドラマ共演時における彼の振る舞いに「塚っちゃんの生み出す感情に流れに則った真摯で切実な笑いが、僕の大切にしているスタンスに重なったから」と信頼を寄せる。これを受けた塚地は「恥ずかしさしかないなぁ!」と恐縮。しかしすぐ気を取り直し、「お客さんから設定やヒントをもらって始まるので、ぜひ積極的にチャットへ書き込んで」と呼びかける。同時に「ゲストを応援しているファンの方々は、彼女たちに演じてもらいたいキャラクター案が採用されたら一生の記念になりますよ!」「どんな展開になるか予想もつかない参加型のドキドキ感を味わってもらいたい」と笑顔を見せた。ゲストは早川・山口のほかに、今夏ハリウッド映画デビューを果たした秋元才加、声優の内田真礼が名を連ねる。即興ミュージカルには彼女たちが築いたこれまでのキャリアが反映されるというが、どんな仕上がりを期待しているか──。そう尋ねられた早川は、乃木坂46の加入前に13年ほどクラシックバレエを習っていた過去を打ち明ける。加えて「幼少期から演劇や子どもミュージカルに参加してきたので、その経験を糧にできたら」と飛躍を誓った。E-girlsメンバーの山口も「これまでパフォーマーとしてお仕事してきたので、これから挑戦したいお芝居の中に自分の強みであるダンスを取り入れたい」と続き、「独自の世界をつくっていきたいです」と抱負を述べた。配信は、10月21日(水)19時=秋元、23日(金)19時=内田、24日(土)14時=早川、24日(土)19時=山口の計4回。アーカイブは各回の翌日まで視聴できる。チケット発売中。取材・文:岡山朋代
2020年10月01日小学生時代から食日記を書いていた平野紗季子さんは、筋金入りの食&お店マニア。彼女の文章には、愛する食や店にまつわる喜怒哀楽が溢れていて、独特の読後感が残ります。今まで想像もしなかったところに、私の本が届いているのが嬉しい。――2冊目の著書、『私は散歩とごはんが好き(犬かよ)。』の完成、おめでとうございます!ありがとうございます!今回の本はムックなので、書店だけではなくコンビニに置いていただいていることにちょっとびっくりしています。うちの近くのコンビニでこの表紙を見たとき、明らかに他の雑誌とは違う異彩を放っていて不安になったのですが…(笑)。でも翌日行ったら無事に売れていたので、ホッとしました。――もともとブログで発信していらした平野さんが、雑誌で連載したものを本という形にまとめたのは、初めてですよね。そうなんです。ブログやインスタで何かを発信すると、コメントや「いいね」などでリアクションをたくさんいただくんですが、今回の本は、SNSなどでつながっていない、その向こうにいる人たちに届いているという実感があります。その一例が、作家の吉本ばななさんが、ご自身のブログにこの本のことを書いてくださったこと。まったく面識もないばななさんが、この本をどこかで見かけて購入し、読んでくださったそうで。そのように、思いがけない方の目に触れるっていうのは、本ならではの喜びだと思います。――平野さんが“食日記”をつけ始めたきっかけは?当時福岡から一家4人で東京に引っ越してきまして、“おのぼりグルメ”的に、父が気になるレストランに家族で週末に出かける時間がすごく好きだったんです。レストランのドアを開けると素敵な空間が広がっていて、みんな笑顔で楽しく会話をしながら、今まで味わったこともない美味しいものを食べる。うちの両親はものすごく仲が良かったわけでもないんですが、レストランで食事をするときは、すごく穏やかになるんです(笑)。本当にレストランは、夢のような場所だった。でも家に帰って、寝て、翌朝起きたら、昨日の夜の素晴らしい感動は何一つ形として残ってなくて、しかもお腹もすいている。それでどうにかしてこの感動を残したいと思って、食日記を書き始めました。その後、ブログなど形を変えながら、中学、高校とつながっていき、大学生のときに書いていたブログを見た編集の方から、「本にしませんか?」とお声がけをいただき、1冊目の本につながりました。――小学生のときから、食と、今の仕事に一直線だったんですね。言われてみれば確かに。高校生くらいから食文化に関わる仕事をしたいと思ってはいて、でもそれが、お店をやることなのか、料理を作ることなのかはよくわからなくて。大学に入る前、食の経営者などの話を聞く大人向けのスクールとかに通ったりもしてました。名だたる飲食の会社の社長さんたちと並んで、レストランジャーナリストの犬養裕美子さんが講師の回があり、そこで“食にまつわる文章を書く”仕事があることを知ったんです。それで、私もやりたいと思い、犬養さんに“修業させてください!”って、お手紙を。――すごい行動力!犬養さんへの憧れの気持ちをしたためた熱い手紙と、自分で書いた文章をまとめたポートフォリオみたいなものを送ったんですよ、今思うとはりきってます(笑)。――犬養さんはなんと?「修業はできません」と(笑)。でも、「あなたはあなたで素晴らしいものを持っているから、自分の道を見つけて、自分なりの職業を早く名乗っちゃいなさい」みたいなことが書かれた返信をいただいて…。大人の方が真摯に対応してくださったことはもちろん、その言葉に本当に励まされました。――改めて今、店で素敵な食に巡り合うことの魅力とは何ですか?私にとって外食は、映画を観に行くようなもの。扉を開けた先にはワクワクする空間が広がり、一歩足を踏み入れるだけでドキドキ、アドレナリンが出てしまう。お店のインテリア、スタッフの方の佇まい、隣の席の方の会話、お料理などの味、そしてお店を出た後に振り返りたくなるあの気持ちまで…。私はそれを“食体験”と呼んでいるのですが、もはやそれは総合芸術です。お店ごとに味わえるその感動を、いろんな方と分かち合いたい。それが私がこの仕事をしている理由な気がします。雑誌『Hanako』での連載をまとめた『私は散歩とごはんが好き(犬かよ)。』(小社刊)が好評発売中。毎回1つの街と、そこにある食をテーマに散歩をし、そこで出合ったあれこれを紹介する内容は、さながら“街と食文化のフィールドワーク”。これでもか!と詰め込まれた情報量は圧巻!読み応えたっぷりです。¥1,600ひらの・さきこ1991年生まれ、福岡県出身。小学生時代から食日記をつけ続け、大学在学中にブログが話題に。2014年にエッセイ『生まれた時からアルデンテ』(平凡社)を発売。現在は、雑誌やウェブなどで食にまつわる連載多数。また、プロデュースするお菓子「(NO) RAISIN SANDWICH」も大好評。Instagramは@sakikohirano※『anan』2020年10月7日号より。写真・清水奈緒インタビュー、文・河野友紀(by anan編集部)
2020年09月30日麻布 香雅堂から、ミナ ペルホネン(minä perhonen)のテキスタイルを使った“におい袋”が登場。2020年9月12日(土)から東京・東神田の「ミナ ペルホネン エラヴァ(minä perhonen elävä) Ⅰ」にて発売される。自然素材100%のにおい袋麻布 香雅堂は、1983年に麻布十番にオープンした香木・香道具専門店。スティックタイプのお香やかおり袋、香炉などさまざまな香りアイテムを通して“和の香り”を提案している。今回は、自然素材100%にこだわり、革新的な和の香りをデザイン。40年以上ハーブや精油に携わってきた「クリスタル・ティー」運営の永光幸子と共同で、調香・開発を行った。選べる2種の香りラインナップは2種類。「白檀+フランキンセンス」の香りは、オマーン産のフランキンセンスに、オーガニックのコリアンダーやプチグレンレモンオイル、無農薬のレモンリーフなどをブレンドし、白檀を加えた。一方、「白檀+イランイラン&カモミール」の香りは、白檀をメインとしながらも、マダガスカル産のオーガニックイランイランエクストラスーペリアオイルや、厳選したカモミールオイルを合わせることで、爽やかで落ち着きのある香りに仕上げている。ミナ ペルホネンのテキスタイルがサシェにまた、中村夏実と林礼子によるユニット 「textile n+R」とのコラボレーションのもと、ミナ ペルホネンのテキスタイルでサシェ=西洋のにおい袋を製作。中身の香りは、「白檀+フランキンセンス」または「白檀+イランイラン&カモミール」から好みの香りをチョイスできる。【詳細】麻布 香雅堂 新作“におい袋”・マリアノ・フォルチュニ 大 7,600円+税(香り10g含む)、小 5,400円+税(香り5g含む)・ミナ ペルホネン 大 6,800+税(香り10g含む)、小 5,200円+税(香り5g含む)発売日:2020年9月12日(土)場所:ミナ ペルホネン エラヴァⅠ(minä perhonen elävä) Ⅰ住所:東京都千代田区東神田1-3-9■企画展「ミナ ペルホネンとフォルチュ」会期:2020年9月12日(土)~9月22日(火)11:00~19:00※開催期間中は無休場所:ミナ ペルホネン エラヴァ Ⅰ住所:東京都千代田区東神田1-3-9問い合わせ先:TEL 03-6825-3037※会期初日の9月12日(土)11:00~14:00はアポイン制。予約申込み:9月4日(金)11:00~電話にて受付。ミナ ペルホネン エラヴァ Ⅰ TEL:03-6825-3037
2020年09月05日「テセウスの船」の“みきお”役で話題をさらった柴崎楓雅が、「東京タラレバ娘」「花咲舞が黙ってない」の脚本家・松田裕子書き下ろしのリモートドラマ「あなたの夢叶えますガチャ~同じ顔編」で一人四役を演じている。有名脚本家たちがオリジナル脚本を書き下ろしたリモートドラマが見られるチャンネル「ドリプラチャンネル」。これまでに、お金を入れると会いたいけど会えない、会いたいと願う相手と画面上で会話ができる魔法の機械を題材に描いた「あなたの夢叶えますガチャ~アイドル編」、記憶喪失の男がネットを使って「僕が誰なのか知ってる人いませんか?」とSOSを出す「私は誰ですか?」が配信されている。そして第3弾となる今回は、脚本家・松田裕子が「テセウスの船」で話題沸騰の天才子役・柴崎楓雅のために物語を書き下ろし。監督は、長編自主映画『俺たちの世界』が第29回ぴあフィルム フェスティバルにて審査員特別賞を含む3賞を受賞し、その後も『サムライ・ロック』『なつやすみの巨匠』『兄友』など幅広いジャンルを手掛けている気鋭の中島良が決定。「テセウスの船」にハマっていたという脚本の松田さんは、「『みきおだ!』とテンションが上がりました。あの恐ろしい罪を犯す役をやりきっていた彼のもっと色々な顔を見てみたくて、このストーリーを書きました。1人で4役をしっかり演じ分けている恐るべし12歳をぜひ観ていただきたいです!」と絶賛。その柴崎さんは初の一人四役に、「それぞれの性格を想像し、声のトーンや動きに変化をつけました。セリフが多かったので声色を変えながら覚えるのは大変でしたが、観て頂けたら嬉しいです」と、しっかりとしたコメント。演出・中島さんは、「柴崎楓雅くんには4役を演じ分けた上で、さらに一面的なキャラクターでなく奥行きがあるようにしたかったので、難しい言葉で感情や表現の仕方を説明することも多かったんですが、彼は難しい言葉は知らなくても意味がわかると『やってみます!』と言って、ザッツライトな芝居をしてくれるのです!末恐ろしい子!!(怖)とびっくりしました」と、その才能に震撼したことを明かしている。ストーリーお金を入れると、会いたいけど会えない、会いたいと願う相手と画面上で会話ができる魔法の機械がある。話している相手は本物なのか、現実なのか夢なのか、信じるのはあなた次第......!「あなたの夢叶えますガチャ~同じ顔編」は6月23日(火)よりYouTubeドリプラチャンネルにて第1話配信中。(text:cinemacafe.net)
2020年06月23日「まじめで誠実な役が久しぶりすぎて自分に近いのに戸惑っています(笑)」中河内雅貴撮影/山田智絵カッコいいダンスを踊らせれば右に出る者なし。歌も演技も、幅広いジャンルで魅せてくれるオールラウンド・プレーヤーの中河内雅貴さん。強い眼力のためか、これまで濃いキャラクターを演じることが多かったが、ブロードウェイ・ミュージカル『モダン・ミリー』では久々のさわやか系青年、ジミー役に挑戦する。■クラシカルな作風にワクワクしっぱなし「久しぶりなんですよ、ハッピーなミュージカルも、まじめな好青年を演じるというのも。でも、実はプライベートの自分にかなり近い役なんです!周りからも“普段のまんまでイケそうじゃない?”って言ってもらっているんですけど、これが意外とやりづらくて。“普段の自分って一体どんなんだ?”(笑)。自分と向き合うところから稽古を始めました」1920年代、モダンガールになるという夢を抱いてニューヨークに出てきたミリーと偶然出会うのが、人のよさそうな青年ジミーだ。「快活な性格とか、一見、女たらしに見えて、実際はいたってまじめで誠実というところが似ているなと自分でも思うんです。いや、本当に(笑)。ミリーを好きになったジミーは猛アタックを開始しますけど、僕も惚れたとなったら自分から行きますしね。この近さが、逆にすごく難しい。舞台で役を演じるときって普段のままではなく作り込むことが多いんですが、この役はそういう作り込みがいらないような役。これまで苦悩する役や無念にも殺される役など、オラオラ系っぽいものを多く演じてきたから、それに慣れちゃって(笑)。どう演じればいいかわからず、戸惑っています」きっとなじんだら、とびきり素敵なキャラクターができあがりそう。「ジミーはある秘密を持っているんですが、それをほのめかすのか、出さないのか。いろいろ悩みますね。彼のいいところは、生まれた環境にとらわれず、自分の生き方がちゃんとできているところ。いつも人を大事にしていますし。それって人間力だと思うんです。怖いもの知らずの行動に出るのも、自分に自信があるからできることなんじゃないかな。何も考えていなさそうに見えてちゃんと考えているし、野性的なところも持っていて、感覚も鋭い。ギャップ萌えできる人物だと思いますね」王道でクラシカルなミュージカルはもともと好きな分野だけに、ワクワクしっぱなしなのだとか。「自分が出ていないところの振りなども楽しみです。ミリー役の朝夏まなとさんは明るく元気で、役にぴったり。ほかのキャストも、演じるキャラクターの個性が強く面白いので、不安要素が自分しかない(笑)。ジミーの歌うナンバーが、ほかの曲に比べてけっこう長いんですよ。“アレ?”っていうほど(笑)。でも、その中にもミリーに対する思いなど素敵な歌詞が書かれていますしメロディーも美しいので、楽しんで歌いたいと思います」■「出会った全作品が僕にとっての転機」広島県で生まれた中河内さんの運命が大きく変わったのは、15歳のとき。「母にすすめられて受けたワークショップでダンスと出会い、衝撃を受けました。これしかないと思って。そのときの講師の方がやっているダンススタジオに入るため、単身、長野に引っ越したんです。東京へ出てきたのは20歳のとき。夢を持って都会に出てきたあのときの僕は、まるで『モダン・ミリー』のミリー(笑)。だからミリーの気持ちはすごくわかります。自分が“やりたい”と言って広島を出たので、“どうしても負けられない”という強い思いに燃えていましたね。今もですけど(笑)」もしもダンスと出会っていなかったら?「想像もつかないですね。僕はじっとしていることができない性分なので、座ってデスクワークとかは無理。すぐにソワソワして身体を動かしたくなっちゃって、30分も座っていられないので(笑)。ダンスと出会う前、小さいころの夢は警察官だったんですよ。正義感が強んです」ダンサーから俳優へと視野を広げ、出会ってきた作品は「どれも欠かせないもの」と振り返る。「僕の人生って不思議で、全部の作品がターニング・ポイントと言えるんです。初めてのオーディションで受かって、初めて歌とお芝居を披露したミュージカルで、何もできない自分が悔しくて“頑張ろう”という気持ちを強くしたことに始まって。近年になっても『ジャージー・ボーイズ』のときは実力派ばかりのなかで、自分の苦手とする歌を猛特訓していただき考えがチェンジしましたし。昨年出演した『ヘンリー五世』も、あのカンパニーの中でお芝居できたことで常に刺激を受けてました」熱血な兄貴分というイメージどおり後輩のことも考えながら中河内さんのストイックな挑戦は止まらない。「僕は“自分にしかできないことを模索しながら人生を歩まないと損だ”と思うんですよね。自分はこの世界にひとりしかいないから。役者人生、山あり谷ありでいいと思うんですけど後輩たちには山ばかりでなく“こういう人生もあるよ”って谷のところも見せていかなきゃと思っています。そして今は、吉田鋼太郎さんみたいになりたいと思うようになりまして……。鋼太郎さんはお話をしていても舞台を拝見しても、すごく面白くて深くて、本当に素敵な方だなと思います。人間力がめちゃくちゃ高くて、その根本に技術があるから、説得力が違うんです。いつか僕も、そういう役者になりたいとひそかに思っています」なかがうち・まさたか1985年8月23日、広島県生まれ。2000年からダンス、バレエを始め、’04年にはニューヨークにダンス留学。’06年、ミュージカル『テニスの王子様』の仁王雅治役で人気を博す。主な出演作に『中河内雅貴ワンマンショウ~ある男に関するレシピ集~』、ミュージカル『ALTER BOYZ』『ジャージー・ボーイズ』『ウエスト・サイド・ストーリー』、彩の国シェイクスピア・シリーズ『ヘンリー五世』など。7月よりミュージカル『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』に、2021年3月『アリージャンス~忠誠~』に出演予定。ミュージカル『モダン・ミリー』1967年にジュリー・アンドリュース主演で製作されたミュージカル映画を、2000年に舞台化。ブロードウェイらしいクラシカルなソング&ダンスにユーモア、ファッショナブルな衣装も加わって、とびきりハッピーな傑作として大ヒット。トニー賞作品賞ほか5部門を受賞した。問い合わせ先:東宝ナビザーブ 電話03-3201-7777。東京公演は4月7日~26日、シアタークリエで上演。以後、愛知、大阪、大分、佐賀にて全国公演。詳しい情報は公式サイト()へ。取材・文/若林ゆり
2020年03月30日芸人としても役者としても評価が高い、岡村隆史と塚地武雅NHK大河ドラマ『麒麟がくる』で岡村隆史演じる菊丸が話題を集めている。公式サイトによると菊丸は、《神出鬼没で、敵か味方かわからない》三河出身の農民。2月9日放送の第4話では、主役で長谷川博己演じる光秀のお供として登場し、軽妙な演技が印象に残った。その行動ぶりから、単なる農民ではないのではとみる視聴者もいて、今後も活躍しそうな気配だ。一方、フジテレビ「オトナの土ドラ」枠で放送中の連続ドラマ『パパがも一度恋をした』で、亡くなった妻が、なぜか「おっさん」の姿となって帰ってくるという役どころで、自身初の“ヒロイン”を演じるのが、ドランクドラゴンの塚地武雅。見た目は完全におじさんなのに、小澤征悦が演じる夫のもとに帰ってきた、“妻”という役どころを、コミカルに演じている。■過去には大物芸人も役者で活躍以前から芸人が役者としてドラマや映画に出ることはあるが、最近また“芸人役者”の活躍が目立ちはじめている。「岡村さんは、かつて映画『岸和田少年愚連隊』や『無問題』で主演を経験し、ヒットさせています。ほかにも『踊る大捜査線シリーズ』や『妖怪大戦争』、『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』でも印象に残る重要な役どころを演じました。塚地さんは、役者としてブレイクした『間宮兄弟』と、あとはなんといっても『裸の大将』シリーズですね。味のある存在感はほかにないと思います」と、ある芸能記者は言う。もちろん、この2人だけでなく、お笑い芸人またはお笑い出身者の役者としての活躍は、過去を振り返れば大物もいる。「大物だと、竹中直人さんや片岡鶴太郎さんに伊東四朗さん。監督も務めるビートたけしさんもそうですよね。吹越満さんは劇団WAHAHA本舗に所属していましたし、石井正則さんはお笑いコンビ、アリtoキリギリスのボケ担当、ラーメンズの片桐仁さんなんかも、いまや俳優として欠かせない存在ですよね。原田泰造さん、山口智充さん、友近さんに、大地真央さんとのCM、“今野、愛はあるんか?”で有名な今野浩喜さんも大活躍です」(同芸能記者)さらに時代をさかのぼれば、今はジャンル的に少なくなったが、いわゆる『喜劇映画』にお笑い芸人やコメディアンの主演作は数多く存在する。テレビが娯楽の中心になる以前の昭和中期には、クレージーキャッツやドリフターズの映画が何本も公開された。森繁久彌さんや渥美清さんもコメディアンの経験がある。■そういえば宮迫も……なぜ芸人は演技仕事でも成功することが多いのか。あるテレビ関係者がこう分析する。「お笑いの方は、コントや舞台などで、ネタや設定に応じた役柄を演じることが多いですからね。何かになりきることが得意なタイプは、芝居の世界にも入りやすいのではないでしょうか。それから、『吉本新喜劇』や『松竹新喜劇』など、自前の喜劇公演で演じる機会があることも、演技力の向上につながっていると思います」しかし、ダメな例も存在する。「例えばコントのキャラそのまんまだったり、舞台などの演技そのままだったりすると、悪目立ちになってしまい、かえって邪魔になることもあります。例外的に旬の人気芸人を投入する場合は、流行のギャグを一発入れるだけのワンポイント起用という場合もありますが、基本的にはいかにその作品の空気に違和感なくなじめるかが大事。そこを間違えると、すぐネットでたたかれてしまいますから(笑)」ところで、これまで4つの映画賞で最優秀新人賞などを受賞した経験のある、演技派芸人の一角を担ってきた、宮迫博之はどうだろうか。「宮迫さんの演技力は高かったはずですが、YouTubeを始めるタイミングをはずしてしまったのか再びアンチが騒ぎ出したため、地上波だとまだまだ反発が大きいのでは。役者仕事はもちろん、彼自身の露出が厳しい状態です。でも、映画やネット配信でのドラマあたりで声がかかれば、といったところでしょうか」(同)今後も期待される、芸人役者の活躍。「この芸人、こんなに演技うまかったんだ!」または、「この役者さん、元芸人だったのか!」というのが理想の姿だろうか。<取材・文/渋谷恭太郎>
2020年02月22日ベルギー王室御用達のショコラティエ、ピエール マルコリーニさん。日本に度々滞在する彼が今もっとも学んでみたいことは「茶道」だと言う。フードエッセイストの平野紗季子さんと共に茶の湯のお稽古を体験しに出かけてきました。そこにあるフィロソフィーや受け継がれてきた伝統に感動する。ーPIERRE MARCOLINI左・Pierre Marcolini/2015年にベルギー王室御用達の栄誉を授かった、同国を代表するショコラティエ。日本では銀座本店のほか6店舗を構える。銀座本店東京都中央区銀座5-5-803-5537-001511:00~21:00(土~20:00、日祝~19:00)無休右・平野紗季子/フードエッセイスト。学生時代に立ち上げた食ブログが注目を集める。著書に『生まれた時からアルデンテ』(平凡社)など。弊誌で「私は散歩とごはんが好き(犬かよ)。」連載中。インスタグラム:@sakikohirano訪れたのは、港区のとある茶室。都会のビル群の中にあるとは思えない静寂な空間。案内され、露地を通り茶室に向かうと、自然と心が穏やかに清められていくよう。まずは茶室のしつらえを拝見し、本日初対面のピエールさんと平野さんは他愛ないおしゃべり。平野さんがベルギーを訪れた際に出かけたというレストランの話で盛り上がります。「そこのシェフは私の友達だよ。うれしいね」とすっかり打ち解けた様子。今日のお稽古では、先生によるお点前の一連の流れを学びます。一人ずつ、順番にお茶をいただき、茶道の基本的な作法や振る舞いを教えてもらいます。まず、菓子をいただきます。「〝お菓子をどうぞ〞と亭主が申しましたら、次客に〝お先に〞と行の一礼をするんですよ」という先生のお言葉に「わかりました」と、平野さんにきちんとお辞儀をするピエールさん。この日の菓子は高輪にある〈玉川屋惣八〉の玉菊。この日の菓子は菊の練り切り。練り切りを「新鮮な味わい。マジパンのような風味と食感だね」とじっくり堪能するピエールさん。「なんというお菓子ですか?」と先生に質問も。「秋ですから、玉菊という銘のお菓子をご用意しました」という説明に「なるほど、季節をとても大切にしているのですね」とニコリ。風炉(湯を沸かす道具)から湯を汲み、お茶を点てていただく。先生の洗練された無駄のない所作に見入る。続いて、お茶をいただく。茶筅を取り、茶を点てる。茶道のお茶は薄茶と濃茶の2種類。最初は薄茶のお点前を。茶筅(ちゃせん)で細かい泡を立てた柔らかな口当たりは、チョコレートとの相性もいい。茶碗を手にしたピエールさんは「香りがすごくいいね」とひと言。「Merci pour le thé(お茶を頂戴いたします)」と一礼。茶碗の正面を外すために手前に2回まわす作法もしっかりこなし、次は同じ流れで平野さんが一服を。茶道のお稽古、二人はどう感じたのでしょうか?茶道というひとつの“道”を改めて感じることができました。ーSAKIKO HIRANO和気あいあいとお稽古を楽しむ二人。ピエール:「茶室を訪れるのはこれで2度目ですが、時が止まったかのような特別な感覚に魅了されます。とくに今回は、茶道のもっとも大事な所作をしっかりと教えていただき、そこにあるフィロソフィーや世紀を超えて受け継がれてきた伝統にとても感銘を覚えましたね。」平野:「お茶会は何度か経験はありますが、今回は格別でした。ピエールさんとご一緒したことで、決まりごとだと思っていた作法のひとつひとつの意味を改めて知ることができたと思います。一杯のお茶をいただくために、ここまで深い考えや振る舞いがあるというのはすごいこと。やはりひとつの〝道〞なんだなという〝茶道〞の学びを実感する時間になりました。」「お先に頂戴します」と一礼する作法もしっかりと。「目を合わせて、気持ちをお伝えするのが大事です」と先生。ピエール:「紗季子さんと共に茶の時間を持てたこともとても素晴らしかったです。彼女の所作は美しかった。私も見習わなければと思いました。また、他者を敬う所作というのかな、一礼をして、目が合い、微笑みあう時間というのは素晴らしいものだね。」平野:「そう言っていただけて光栄です。ピエールさんはとてもチャーミングな方。存在がチョコレートのひと粒のようです。チョコレートを感情の言葉で表そうとすると真っ先に「幸せ」という言葉が浮かびますが、ピエールさんはそれを体現されているようなお方。こんな素敵な人が作るチョコレートはおいしいに決まっているよね、と思いました(笑)。」ピエール:「うれしいですね。」平野:「学びをとても大切にされている姿勢にもとても刺激を受けました。」茶碗など歴史ある道具にも惹かれるというピエールさん。お茶をいただいたあとには、点前に使われた茶道具を拝見できる。棗(なつめ)や茶(ちゃしゃく)もじっくりと手にとって。ピエール:「学ぶことはいくつになっても大切なことだと思いますよ。僕のことを〝マエストロ〞や〝メートル(達人)〞だと呼んでくれる方々がいるけれどその呼び方はあまり好きじゃないんです。到達した人と呼ばれるより、僕はいつまでもひとりのアルチザン(職人)でありたいと願っている。そのためには、やはり日常的に学ぶことを忘れてはいけないと思うんです。実は今日も、ここへ来る前に合羽橋へ行ってきたんですよ。そこで、砥石を研ぐ方法を教えてもらった。日本流のね。砥石は以前、買って持っていたんだけど、まだまだ上手に使えていなかったから習おうと思っていたんです。学ぶべきものは、いくつになってもいろんな場所にたくさんあると思う。紗季子さんは、今、何か習っているものはあるの?」平野:「私は今、ヨガの教室に通っているんですよ。」ピエール:「わかったよ!だから、あんなに美しいお辞儀ができるんだね。僕には到底、真似できないよ!」平野:「じゃ、今度はストレッチを一緒に習いに行きましょう(笑)。」ピエールさんに選んでいただきました。お茶会に合う〈ピエール マルコリーニ〉のチョコレート。1.Pierre Marcolini Grand Cru「茶会に持っていくなら、まず僕の代表作を」と真っ先に選んだのがこちら。「抹茶の存在感に負けない、こだわりのカカオをブレンドしたビターガナッシュ。抹茶とチョコレートという個性と個性のぶつかり合いは新鮮な驚きを与えてくれるはず」2.Palet Or Lait「ミルクチョコレートの中にはバニラ風味のミルクガナッシュとキャラメルソースが入っています。抹茶の苦味とクリーミーな口当たりは、甘いミルクチョコレートとよく合うはず。キャラメルの塩味もいいアクセントになります」3.Pavé de Tours Lait「お茶は実は、ゴマなど油分のあるものとも相性がいいんですよ。ヘーゼルナッツとアーモンドのプラリネのナッツ感は抹茶と一緒にいただくと絶妙のハーモニーが楽しめます。ビスケットフレークの食感も心地いいアクセントに」(Hanako1178号掲載/photo : Yurie Nagashima text & edit : Kana Umehara translation : Yuko Hitomi)
2019年12月03日お笑いコンビ・ドランクドラゴン塚地武雅(48)が11月25日、自身のTwitterを更新。誕生日でもあったこの日に、公式のアカウントであることを示す認証バッジがついたと報告。ファンからお祝いのメッセージが殺到している。48歳の誕生日を迎えた25日の午後、塚地は「…えっ?!自分のアカウントを良く観たら…ツ、ツ、ツイッターの認証バッジが?!うわぁ!!ありがとうございます!!!」と青いチェックマークの認証バッジを発見したと報告。これは芸能人、スポーツ選手、政治家など影響力のある著名人につくもので、Twitterの認証済みアカウントとして信頼性を表している。これまで認証バッジの代わりとして、自ら青いハートマークをつけていた塚地は「ツイッター社さんからの誕生日プレゼントや~。皆さん、やりましたよー!!!!遂に付きましたー!!!!!」(原文ママ)と喜びを炸裂させている。このツイートは26日14時の時点で、2,600件を超えるリツイートと、3万3,000件を超える“いいね”が押され、注目を集めている。ファンからは「おめでとうございます!」「ハートの効果があったのかな?」「最高の誕生日プレゼントですね!」とお祝いのコメントが多く寄せられている。
2019年11月26日新感覚の“食体験”を届ける「カミングスーン(COMINGSOON)」が、新生渋谷パルコ1階にオープン。オープニングイベントは、フードエッセイスト平野紗季子による「ヒラノ フード サービス(HIRANO FOOD SERVICE)」だ。開催期間は、2019年11月22日(金)から11月28日(木)まで。ROCKETの新感覚“食体験”スタンド「カミングスーン(COMINGSOON)」は、ROCKETが新たに手掛ける「食」のニューススタンドとして誕生。ギャラリースペースとミニキッチンを併設した空間では、ファッション、アート、音楽などさまざまな分野で活躍するクリエイターが代わる代わる登場し、「食」をキーワードにしたクリエイションを自由に発表していく予定だ。フードエッセイスト平野紗季子が第1弾オープニングを飾るのは平野紗季子。雑誌『Hanako』『POPEYE』などで連載を持つ人気フードエッセイストが、ここでしか味わえない限定フードを展開する。数分で即完売“幻のレーズンサンド”期間中は、3つのフードブランドが代わる代わる登場。フードの他、それぞれのフードブランドをイメージしたTシャツやボールペン、グラスなどの雑貨も販売される。スタートを飾るのは、「レーズンは嫌いだけれどレーズンサンドを食べてみたい」という平野紗季子の願いから生まれた洋菓子ブランド「(NO) RAISIN SANDWICH」。過去にオンラインで発売した際には、数分で完売した“幻のスイーツ”だ。今回は、定番レーズンサンドに加えて、季節の果実をサンドした“ノーレーズンサンド”5種を加えたスペシャルボックス「(NO) RAISIN SANDWICH ベストコレクション」を限定で展開する。「スワン&フラミンゴ」シュークリームまた、11月24日(日)からは、スワン&フラミンゴモチーフのシュークリームが登場。「BIRD WATCHING」が手掛けるのは、サクサクのシュー生地にレモンチーズクリームをサンドした「レモンチーズクリームスワン」と、“スワンシューをピンクに塗ったらフラミンゴになるのでは”というユニークなアイデアから生まれた「ラズベリーフラミンゴ」だ。さらに、卵たっぷりのカスタードが詰まったプチシュー「ひよこ」も発売する。“おにぎり感覚”の絶品「中華ちまき」ラストは、平野紗季子が愛する中華ちまきの「ちまき山脈」。ミシュラン一つ星を獲得する中華レストラン「Mimosa」のオーナーシェフ南俊郎を中心に発足した、ちまきと中華のスナック屋台が「カミングスーン」で初お披露目。おにぎり感覚で食べられる絶品「中華ちまき」に加え、中華クレープ「春餅(チュンピン)」、オリジナルのフォーチュンクッキーなど、食欲を刺激する中華圏ストリートフードがラインナップする。【詳細】「カミングスーン(COMINGSOON)」オープン日:2019年11月22日(金)住所:東京都渋谷区宇田川町15-1 渋谷パルコ1FTEL:03-6809-0964 ※11/19~※会期中無休・入場無料■平野紗季子のフードインディーズレーベル「HIRANO FOOD SERVICE」会期:2019年11月22日(金)~11月28日(木) 10:00~21:00<スケジュール>・「(NO) RAISIN SANDWICH」期間:11月22日(金)~11月23日(土)・「BIRD WATCHING」期間:11月24日(日)~11月26日(火)・「ちまき山脈」期間:11月27日(水)~11月28日(木)
2019年11月11日今回、ご紹介する作品は、ユーモアあふれるミステリードラマ『死亡フラグが立ちました!』。本作でバディを組んだ、小関裕太さんと塚地武雅さんにお話をうかがいました。写真・角戸菜摘 文・田嶋真理 スタイリスト・SATOSHI YOSHIMOTO(小関裕太さん) 森下彩香(ニューメグロ衣装/塚地武雅さん) ヘアメイク・SHUTARO(vitamins/小関裕太さん) 田中裕子(塚地武雅さん)【イケメンで観るドラマ&映画】vol. 50意外にも初共演! 相性ピッタリなバディを好演動画配信サービスU-NEXTとカンテレがタッグを組み、宝島社『このミステリーがすごい!』大賞の関連作品をドラマ化する、『このミス』大賞ドラマシリーズ。第1弾のタイムトラベルミステリー『時空探偵おゆう 大江戸科学捜査』、第2弾のダークエンタテインメント『名もなき復讐者 ZEGEN』に続く第3弾は『死亡フラグが立ちました!』(※)。前2作とは、まったくテイストの違うユーモアあふれるミステリーです。※死亡フラグとは、登場人物の死を予感させる伏線のこと。登場人物が死を予感させる言動を行うことを“死亡フラグが立つ”という。本作は、都市伝説ライター・陣内が破天荒な天才・本宮とバディを組み、完璧な殺し屋・死神の正体に迫っていく物語。陣内役の小関裕太さん、本宮役のドランクドラゴンの塚地武雅さんが初共演とは思えないほどの相性ピッタリなバディを好演。さらに、死神に敵討ちを誓う、ぶっ飛びとんがり頭のヤクザ松重役として寺脇康文さんが脇を固めています。ーーふたりで演じるシーンが多かったと聞きました。共演する前と後で、お互いの印象に変化はありましたか?塚地さん もちろん、小関くんのことは知っていて。なんとなく、クールで寡黙というイメージを抱いていました。仲良くなれるのかな? という気持ちを抱きつつ、現場に入ったのですが、顔合わせの初日から小関くんが気さくに話しかけてくれ、自然体で演じることができました。さらに、鼻歌を歌うという共通点があって、僕の鼻歌を小関くんに横取りされたこともありました(笑)。小関さん 僕は良い意味で変わりませんでした。もともと塚地武雅さんが出演されていた『はねるのトびら』が好きで観ていましたから、楽しくて優しそうな方だなと思っていました。お芝居の面では、『ハンサムスーツ』(※塚地武雅さんの主演作)が大好きで、映画館へ観に行ったことがありまして。幼いころから影響を受け続けている、大きな存在でした。この作品で共演が決まった後、石原さとみさんに「塚地武雅さんってどんな方?」と聞いたら、「すごく素敵で優しい方。お芝居も素敵で、しっかりしたお芝居をされる方なの」と答えてくださって。「しっかりしたお芝居」という言葉を聞いたとき、僕はお芝居に厳しい方なのかなと勝手に解釈していて、ものすごく緊張してしまったんです。ところが、実際に本読みでお会いしたら、僕が小学生のころから抱いていた優しいイメージそのままで。お芝居もナチュラルで面白くて何でも受けてくださる。石原さんがおっしゃっていたことはこういう意味だったんだとわかりました。ーー小関さんの大絶賛コメントを隣でお聞きになって、いかがですか?塚地さん (大照れしながら)いや~、本当に……石原さとみさんのコメントもぜひ書いてください(笑)。一同大爆笑ーー塚地さん演じる本宮は、女性にモテて、頭が良くて、けんかが強いというハイスペックなキャラクターです。しかも初の濡れ場を経験されたとか。塚地さん まぁ、普段通りに演じれば……。一同大爆笑塚地さん というのは冗談で(笑)。すべてにおいて、一生まわってくることがないと思っていた役が来て、本当に驚きました。キレイな女優さんたちが次々に僕のところへやってくるんですよ。ドラマの中とはいえ、モテているわけですから、幸せでしょうがなかったです。小関さん 塚地さんが女優さんに「お前」と言う姿は、本当にかっこいいんです。塚地さん 壁ドン、顎クイ、膝ドン、股ドン、耳つぶ……ひととおりぜんぶやりました(笑)。ーー塚地さんは、特撮ヒーローやアクションスターがお好きだそうですね。その知識はアクションシーンを演じるうえでプラスになりましたか?塚地さん 僕は特撮ヒーローとジャッキー・チェンで育ちました。子どものころは田んぼでバック転をするほど身軽だったんですが、この業界に入ってから太り出して。数年前に、キックボクシングをはじめたんです。本作では、僕がキックボクシングをやっていることを知ったアクション監督の方が、ムエタイをベースにした殺陣をつけてくださって。アクションの前後は笑えるようになっていますが、アクションはカッコよくできたと思っています。ーー今回、小関さんに濡れ場は?小関さん ありません。塚地さんの濡れ場を見守る役どころでした。とてもリアルに演じる女優さんたちでしたので、目を合わせることができずに赤面してしまいました。ーー恋愛ものにたくさん出演されている小関さんでも、濡れ場で赤面することがあるんですね。小関さん 朝起きると、僕が上半身裸で、高橋メアリージュンさんが隣にいるということはありましたが……。塚地さん それはプライベートの話だよね?一同爆笑小関さん 違います!(笑)(※Amazonオリジナルドラマ『東京アリス』劇中シーンでのお話です)。僕がこれまでに演じた濡れ場と言えるものは、それくらいなんです。ーー小関裕太さんがモテないオタク、塚地さんが万能なイケメンという設定は、おふたりのファンにとって新鮮な驚きがありそうですね。最後に、本作のイチオシの見どころをお願い致します。小関さん 塚地さんと演じたシーンは、アドリブが多いんです。どこからがアドリブなんだろうというところにも注目しつつ楽しんでいただけたら、嬉しいです。そして、このシリーズには必ず佐藤二朗さんが特別出演されているんですが、今回の出演シーンでは本来のセリフを喋る前に2分間ほどアドリブ合戦がありました(笑)。そのほかにも濃いキャラクターがたくさん登場していますから、ぜひ見逃さないで欲しいですね。塚地さん とにかく、登場するキャラクター全員がボケとツッコミをやるんです。シーンごとに盛り上がりがある、コメディの手数が多い作品でありながら、ミステリーの軸もしっかりとある。ほかにない作品に仕上がっていると思いますので、笑いながら推理していただきたいです。インタビューのこぼれ話小関裕太さんと塚地武雅さんはとっても良い雰囲気で、おふたりのバディ愛をひしひしと感じる取材現場でした。小関裕太さんを介した、石原さとみさんと塚地武雅さんの恋の行方にも注目!?Information『死亡フラグが立ちました!』カンテレ 10月24日(木)より放送開始(毎週木曜 24:25~)U-NEXT 10月25日(金)より配信開始(毎週金曜 10:00~)出演:小関裕太、塚地武雅、寺脇康文ほか小関裕太さん 衣裳協力:ニット¥39,000(ジョン メイソン スミス/ヘムPR TEL:03・6721・0882) パンツ¥16,000(アバハウス/アバハウス原宿 TEL:03・5466・5700) そのほかのアイテムは、スタイリスト私物
2019年10月24日和田雅成撮影/山田智絵、ヘアメイク/Emiy舞台『刀剣乱舞』をはじめとする多くの2.5次元舞台に出演し、大人気の和田雅成さん。今やその枠に収まらず、ストレートプレー、テレビドラマ、映画など活躍の幅をぐんぐん広げていて勢いが止まらない!10月9日からは舞台『ハリトビ』に主演。その新作舞台と芝居にかける熱い思いを語る姿からは、誠実でまっすぐな人柄がうかがえる。今回は、男気があってチャーミングな素顔ものぞけるロングインタビューをお届け!■自分と親父との関係を改めて考えた「針飛び」とは、レコード針がレコード盤の傷にひっかかって、再生音が途切れること。レコードを聴いたことのなかった和田さんはその言葉を知らなかったそうだが、『ハリトビ』というタイトルを聞いて、すぐに「面白そうな作品だな」と思ったという。「キャストは僕を含めて5人だけなんですけど、僕がいちばん年下でほかはベテランの方たちとだけでやる舞台は初めてなので、すごくいろいろなものを吸収できそうな現場になると思っています。演劇人としての先輩で、人生の先輩でもある方々との共演で、1回、自分が追い込まれてもいいのかなって思う舞台ですね。『泪橋ディンドンバンド3』という舞台でご一緒した宮下貴浩さんとは、プライベートでもすごく仲よくしていただいているので、心強いです」本作は、10年以上、別々に暮らしていて音信不通だった父親が他界し、その父が営んでいた古びたロック喫茶『ハリトビ』を処分するために、和田さん演じる息子が店を訪ねてくるところから始まる。そこで、一癖も二癖もある店の従業員や常連客、友人などと接していくうちに、父の知られざる一面を知っていく……という物語。「親父と疎遠になっているというところで、まず僕と違う。今回演じる秋島光弘という役は、僕とぜんぜん違う人間なんだろうなと思うので、とにかく台本を読んで、彼が抱えているものや、音信不通で別々に暮らしている理由とかをしっかり掘り下げて役を作っていかないとなと。でも役を生きるうえで、自分の人生と重ね合わせる部分は大きいので、自分と親父との関係を改めて考えたりはします。親父は、今は僕の出る舞台も見に来てくれるんですけど、大阪で芸能活動を始めたばかりのころは、親父と兄貴が大反対していて。母親だけは応援してくれて、支援もしてくれていたんですけどね。20歳のころはリアルに親父とこのまま疎遠になるのかなって一瞬、思うこともありましたし、そのときに抱えていた気持ちを、もっともっと自分の中で今の気持ちにしていって、台本の感情や言葉に乗せていければいいのかなと思います」原作のある2.5次元舞台とオリジナルのストレートプレーの舞台、どちらにも意欲的に取り組んでいる和田さん。芝居に臨むときの心持ちや役作りに違いはあるのか──。「役を生きるという意味では変わらないと思います。役作りのうえでは、2.5次元はビジュアルの部分も含めてヒントが多いですよね。ミュージカル『薄桜鬼』だとアニメや新選組の資料があったり、舞台『刀剣乱舞』にしても原作のゲームや実在している刀がありますし。お客様の理想というものも絶対にあると思うので、そこも大事にしたいですし。でも、『ハリトビ』のようなオリジナル作品の場合は、役の人生やキャラクターをイチから自分で決めて作っていくんですよね。2.5次元とは違う面白さと難しさがあるので、僕はどちらも好きです。ストレートプレーの素敵なところは、やっぱり会話だと思うんです。『ハリトビ』でも、物語の世界で生きて、リアルな人と人との会話を演じたい。僕の中でしっかり実感できるものを、見ていただきたいです」■つらいときも無理しなくなったので、今、すっごいわがままです(笑)9月5日の誕生日に28歳を迎えた和田さんは、どんなプライベートを過ごしているのだろう。ここ数年で、心境に変化があったようで……。「普段の僕は、基本は笑っていたい人間。読書したり静かに過ごす時間も好きだし、バラエティー番組を見て笑う時間も好きだし、友達と一緒にしゃべっている時間も好きだし……。なにかしら自分が楽しいと思えることや好きなことをずっとやり続けていたいって思うんですよね。なんか“それが人生じゃない?”って、思うんです。もちろんつらいこともありますけど、つらいことすらも僕らは糧にできる職業だから、最近はつらいときも無理しなくなりました。以前は、人前だと明るく振る舞っていたんですけど、もうつらいときはつらいって表に出しています。俳優の職業病かもしれないですけど、つらさを出す人間の役がきたときに、その感情を知らないのは嫌だなっていうのもありますし。最近はそうやって自由に生きていて、なんでも心から楽しんでいます。だから、たぶん今、すっごいわがままです(笑)」大阪生まれの大阪育ち。ファンからは、たこ焼きが上手で「関西弁の陽気なお兄ちゃん」的な楽しい素顔も愛されている。和田さん自身が“自分を関西人だな”と思うのはどんな瞬間か尋ねると、意外な返答が。「話の最後に“いや、知らんけどな”ってつけるところです。最近、後輩の役者の子たちに芝居のことを相談されたり、質問されることが多くなったんですが、自分の経験から答えたりするときに使います。例えば“今は頭で考えすぎずに、等身大の自分でやったほうがいいんじゃない?いや、知らんけどな”って感じですかね。お前の好きにしたらいいんだよっていう意味でもあるし、それが正解か不正解かはわからないけど、もしかしたら、そこに正解があるかもしれないから1回やってみたらっていう提案でもある。“知らんけどな”って、ホントに無責任な意味で使う関西人もいますけど、僕のはそうじゃないですよ(笑)。あとは、“やっぱり関西人やわ”って言われるのが嫌いっていうのが、逆に関西人らしいところなのかもしれないです。ドラマ『サクセス荘』でも、僕がみんなの話にツッコんだり、いろんな発言を拾っていくと、共演者から“さずが、関西人だね”って言われるんですよ。いや、関西人じゃなくて、俺やから!って(笑)」■今、僕のことをなんでも知っているのは鯛ちゃん2.5次元舞台で同世代の俳優と共演する機会が多い和田さん。友達は少ないほうだというが、心を許せる大切な友人たちとは有意義な時間を過ごしている。「椎名鯛造とは、とにかく気が合うんですよね。今年、一緒に東北にも行ったんですけど、一緒に旅行できる数少ない人です。初共演は2016年の舞台『刀剣乱舞』虚伝 燃ゆる本能寺の初演ですが、そのときはあまり話す機会がなくて。でも、お互い気になっていたので、再演で一気に仲よくなりましたね。再演の大阪公演のときに、“お前のこと知りたいから、一緒にご飯に行きたいんだけど、いい?”って誘ってくれて。鈴木拡樹さんと3人でご飯を食べました。仲のいい鯛ちゃんと拡樹さんのご飯に、僕も入れてくれたのがうれしかったですね。そこから、もっと鯛ちゃんのことを知りたいと思いましたし、好きになりました。『刀ステ』再演の後、共演することが多くなって、プライベートでも2人で遊びに行くようになったんです。鯛ちゃんは子どものように心がまっすぐで嘘がつけない人。今、僕のことをホントになんでも知っているのは鯛ちゃんです。昔から仲がよくて、今でも会うのは、秋元龍太朗とか、鯨井康介。鯨ちゃんとは今晩もご飯に行きますよ(笑)。龍は“ゴリゴリの演劇”が好きで、話すと違った感性が生まれてくるので面白いです」■殺陣が面白くてしょうがない!最近の休日は遊ぶよりも、スキルアップが楽しい様子。好きなことにはとことん一途な男なのだ。「予定が合えば殺陣(たて)を習いに行ってます。『刀剣乱舞』の殺陣師・栗田(政明)さんという方との出会いで、殺陣そのものが大好きになったんです。栗田さんに教えていただいて、殺陣での心の持っていき方みたいなものが変わって、面白くてしょうがないんです。早乙女太一さん・友貴さん兄弟の殺陣の映像を見て勉強したり、自宅で木刀を振ったり槍を回したりもしてます。息抜きは、バラエティー番組を見ることですね。お笑いが好きなので、『アメトーーク!』『テレビ千鳥』『しゃべくり007』……ほとんどのバラエティー番組は録画してます。でも結局それも、今やらせていただいているニコ生の番組(和田雅成公式チャンネル『りんりんのたこ焼き屋さん』)やバラエティーに出させてもらう機会があるときの、アイデアのストックにするために見ているところもあります。好きなことのためだから、楽しいんです」10月からドラマ『Re:フォロワー』(ABCテレビ、テレビ朝日)がスタートし、11月には舞台『おそ松さん on STAGE~SIX MEN’S SHOW TIME 3~』(あましんアルカイックホール、舞浜アンフィシアター)の公演と今年も年末までスケジュールはびっしり。順調な俳優人生を歩む和田さんに今後の目標を聞くと、迷うことなく答えてくれた。「朝ドラが大好きなので、いつか出たいというのはずっと言い続けています。ちょっと偉そうですけど、自分がそこにいるイメージが想像できているといいますか。朝ドラは自分の中ではひとつの目標です!」■舞台『ハリトビ』10月9日~10月20日@シアターサンモール【公式サイト】わだ・まさなり◎1991年9月5日、大阪府出身。2012年、俳優デビュー。以降、舞台を中心に活動。舞台『K』、舞台『刀剣乱舞』シリーズ、舞台『弱虫ペダル』シリーズ、舞台『おそ松さん on STAGE~SIX MEN’S SHOW TIME~』シリーズ、ミュージカル『薄桜鬼 志譚』土方歳三篇に主演するなど、人気の2.5次元作品に出演。今年は『サクセス荘』『REAL⇔FAKE』『Re:フォロワー』と連ドラに立て続きに出演。11月~12月は舞台『おそ松さん on STAGE~SIX MEN’S SHOW TIME 3~』に出演する。(取材・文/井ノ口裕子)
2019年10月02日俳優の向井理が10日、東京・渋谷のBunkamuraシアターコクーンで行われた主演舞台『美しく青く』の初日前会見に、作・演出の赤堀雅秋、共演の田中麗奈とともに出席した。劇作家・演出家・俳優の赤堀雅秋が作・演出を手掛ける本作は、震災から数年が経った集落が舞台。それぞれの日常を取り戻そうとするも、繰り返される獣害に悩まされる自警団の男たちやそのまわりの人々の姿を通して、人間の不毛な営みと日常の愛おしさを独自の視点から描く。向井は「稽古期間は長かったわけではないですけど、濃密な稽古期間を経験できました」と手応え。「明日本番ということで変に気合いが入りすぎないように、自分がコントロールできないくらいにならないように、心を整えて明日を迎えられたらと思います」と意気込みを語った。向井が演じるのは、猿害対策に奔走する自警団のリーダー・青木保で、その妻・直子を田中が演じる。向井は自身の役どころについて「一生懸命生きている人」「逃げたりするのも人間の側面。そういう誰にでもある衝動を抱えながらちゃんと生きている普通の人」と説明し、見どころを聞かれると「猿が出てきます」と一番のポイントに挙げて笑った。また、赤堀との初タッグについて「すごく細かいですけど、思っていたより優しいです。ガンガン演出はされるんですけど、丁寧で、そんなビビることもなく、キャッチボールしやすい人」と印象を語り、「その通りだなと思うことが多くて、もっともっと違う視点でお芝居を構築していかないといけないなと思いました」と刺激を受けているようだ。舞台『美しく青く』は、7月11~28日に東京・渋谷のBunkamuraシアターコクーン、8月1~3日に大阪・森ノ宮ピロティホールにて上演。
2019年07月10日中村獅童念願の企画、オフシアター歌舞伎『女殺油地獄』が、ついに5月11日(土)、その幕を開ける。歌舞伎では初となる倉庫と新宿歌舞伎町での公演。演出の赤堀雅秋とともに、創作真っ只中の稽古場で話を聞いた。【チケット情報はこちら】『女殺油地獄』といえば、これまで数々の名優によって演じられてきた近松門左衛門の傑作。借金で首が回らなくなった放蕩息子の与兵衛が、金欲しさがゆえに親身にしていたお吉を殺めてしまう。獅童は「今起きてもおかしくない事件」と表し、「赤堀さんは日常を切り抜くのが非常に上手な演出家さん。これも殺しは殺しですが、どこかその人たちの日常というか、気づいたら殺人鬼になってしまったような……。そういった日常を淡々と見せていければと思っているんです」と続ける。赤堀も「表現する場所が演劇だろうが、映画だろうが、今回であれば歌舞伎だろうが、僕がやっているのはただ単に人間を見せていく、目の当たりにしていただくということだけ」と、歌舞伎の現場でも普段と変わらぬ姿勢を貫く。さらに「だからものすごく地味だと思いますよ」と笑い、確かに稽古風景を見ても、派手な仕掛けやアクションは皆無。ただ通行人役の俳優に対しても、「エキストラみたいな芝居をしないで」と声をかけるなど、すべての登場人物を生きた人間へと変化させていく。注目の共演者には、大人計画の荒川良々が歌舞伎に初参加。荒川と歌舞伎の相性について、「めちゃくちゃいいと思いますよ」と赤堀も太鼓判を押す。「ただ古典と言われるものも、もとは歌舞伎俳優さんがゼロからつくり出したものですよね。その点、荒川くんもまず“荒川くん”という素材がそこにあって、彼がお客さんに対して何をやったら1番面白いかをゼロから考えていく。そのつくり方は歌舞伎であろうが、普段とまったく変わらないと思います」獅童にとって荒川は長年の友であり、待望の歌舞伎初共演。荒川の稽古場での様子について、「全然違和感がないんですよ。白稲荷法印というインチキ祈祷師の役で、もちろんひとつの型はあるんですが、それをあの人が自分なりの捉え方で演じた時のインパクトがものすごくて!」と驚きを隠せない。さらに赤堀も「だからこれを機に、普段歌舞伎を観ない人にむしろ来て欲しいですね。こんなに面白いものだとか、こんなにゾクゾクするほどカッコいいものだとか。僕らが歌舞伎の入り口になれたら、それはすごく嬉しいことだと思います」と期待を寄せた。公演は5月11日(土)から17日(金)まで、東京・天王洲アイル 寺田倉庫、5月22日(水)から29日まで(水)東京・歌舞伎町 新宿FACEで上演。チケットは発売中。取材・文:野上瑠美子
2019年04月26日