皆さんは純喫茶へ行きたいと思った時に、どの街を思い浮かべるでしょうか?一日で出来るだけ多くの純喫茶と出会いたい、という時におすすめな街の一つが高円寺です。JR中央線・総武線が停車し、新宿から10分あまりと便利な立地にも関わらず駅ビルがないため、今も活気のある商店街や小さな路地にある店などが賑わい、歩いているだけで楽しい街です。私が好きだと思う街には、たいてい安くて美味しい飲食店やそこでしか買えない古着や雑貨屋、こだわりのある書店などが多いです。高円寺も例外ではなく、その条件を満たした上に、素晴らしい純喫茶も多々あります。例えば、美しいマダムのいる名曲喫茶「ネルケン」、かつて中野にあった伝説の名曲喫茶の家具や装飾品を使用し、当時の面影を醸し出す「ルネッサンス」、ふかふかでしっとりのホットケーキと威勢の良いママに元気をもらえる「コーラル」、トマトの入ったホットサンドが絶品で落ち着ける雰囲気の「BONY」、穏やかなマスターとママが営む近所の人たちの憩い場「高円寺茶房」、セットが豪華で思わず笑みがこぼれる「あろうむ」、猫や犬とたわむれることの出来る「なかむら珈琲店」、運が良ければギターをかき鳴らすマスターを見かけることが出来る「ブーケ」など。個性あふれる純喫茶たちをはしごできる天国のような街なのです。高円寺のボリューム満点な純喫茶「ごん」今回は、9種類のオムライスや空腹を満たすボリュームたっぷりの食事を頂ける純喫茶を紹介します。店名は「ごん」。「純情商店街」を駅からまっすぐ進み、しばらく歩くと見えてくる、行列の出来る肉屋のはす向かいの2階にあります。元々はクレープを食べられる店として始まったこちらは、卵の扱いに長けているマスターが繊細な手つきでオムライスを作ります。昔ながらのふわっとした9種類のオムライスオムライスはなんと9種類! ケチャップがかけられた昔ながらのプレーンオムライス、カレーオムライス、たらこオムライス、ヤキオムライス、ハッシュドビーフオムライス、クリームオムライス、あさりスープのオムライス、かに風味のトマトソースオムライス、チーズクリームオムライス、ワンプレート付きなど。毎日食べても違う味を楽しめるのです。難波里奈『純喫茶、あの味』難波さんの新刊『純喫茶、あの味』にご興味がある方はこちらから!
2017年12月22日12月に入り、2017年も残りわずかとなりました。クリスマス仕様に飾られたイルミネーションを楽しみにしている方も多いのではないでしょうか?年末に向けて買い物をすることも増え、繁華街にあるデパートを目指して出掛けることも多くなるこの季節。例えば、銀座散策を楽しんだ後でしたら、そのまま日比谷まで足を伸ばして、うっとりするほど美しい飲み物に見惚れながらひと休みするのはいかがでしょうか?銀座散策のあとは優雅に…「紅鹿舎」今回おすすめしたいのは、地下鉄日比谷線・日比谷駅からほど近くにある「紅鹿舎」。“ピザトースト発祥の店”として有名で、レジカウンターの下にあるショーケースにはお忍びでやってきた海外の著名なスターのサインが入った皿なども展示されています。大きなメニュー表を開くと目に飛び込んでくるのは、ホットケーキにパフェ、焼き立てのパイ、そしてパスタやサンドイッチにカレーなど、本格的な洋食の数々…。飲み物も含めると数えきれないほど、思わず嬉しい悲鳴をあげてしまう豊富なメニューですが、その中から是非注文して頂きたいのは「カフェ・タカラズカ」。細工の施された繊細なソーサーに乗せられて運ばれてくる、逆円錐型の小さなグラス。中には美しく青い液体と、バラの花の形をした生クリームにトッピングされたカラフルなチョコレートスプレーで彩られています。その上から、なんと店員さんがあたたかい珈琲を勢いよく注いで下さいます。すると、中に入っていたクリームがくるくると回り出し、その名の通り、まるでステージの上で踊る華やかなスターのよう。場所柄、宝塚ファンが多く訪れるこちらにぴったりの飲み物に深く感動する、ここだけの特別な味。喫煙スペースの壁画に思わずうっとり店内は分煙になっており、禁煙席が広いことも嬉しいのですが、店内奥にある喫煙席の壁面には美しい絵が描かれていますので、お手洗いに行かれるついでにちらりと覗くことをおすすめします。一度は食べたいピザトーストはもちろん、私が好きなのは「ハワイアントースト」と「プリンホットケーキ」です。「ハワイアントースト」は、厚切りのパンの上に、パイナップルとハムとチーズがトッピングされたもの。意外な組み合わせに思えますが、これがとても癖になる味なのです。そして、熱々のホットケーキの中に、プリンとアイスクリームでたっぷりな「プリンホットケーキ」は、美しい3層の組み合わせについ夢中になって食べてしまいます。魅力的なメニューがたくさんある「紅鹿舎」。一度のみならず何度も何度もこちらへ足を運んで、自分のお気に入りを見つけてみるのはいかがでしょうか?Text/難波里奈前回記事<煙草を燻らす方々の姿も純喫茶の風景の1つですが…全席禁煙を決意した「穂高」の想い>もチェック!今夏禁煙を決断したお店の方たちの思いは?
2017年12月08日朝起きて布団から出たくないと感じるようになり、本格的な冬がやってきたと実感するこの頃です。皆さまはいかがお過ごしでしょうか?外出の途中に、ふらりと立ち寄った純喫茶で飲むあたたかい珈琲が、ますます美味しい季節ですね。さて、純喫茶ととても縁があるものでありながら、苦手な方も多く、悩ましい存在である「煙草」。純喫茶をテーマとしたイベント時の質疑応答でも「禁煙席がある店を教えてください」と多く聞かれます。これだけ純喫茶に夢中な生活をしておりながら、私も煙草は吸わず、近距離で嗅ぐその匂いはとても苦手です。純喫茶以外の飲食店では必ず禁煙席を選ぶほどなのですが、それが純喫茶のこととなるとまた話は別で、恋をしているゆえの弱みのようなもので、その風景込みで愛してきたという背景もあり、自分の中で折り合いをつけられています。とはいえ、身体の事情がある方やお子さん連れの方には切実な問題であるのも確かです。そんな皆さまに、今夏より全席禁煙となった御茶ノ水の純喫茶を紹介したいと思います。全席禁煙に踏み切った、山好きマスターの「穂高」JR中央線と総武線が並走する御茶ノ水駅の聖橋口改札を出て、右手にわずか30秒ほど歩くと見えてくる「穂高」。店名が示す通り、山好きのマスターと奥様、お嬢さまにアルバイトの方々というアットホームな雰囲気がこちらの特色です。昭和30年創業、長い間どちらの席からも煙草の煙がぷかぷかと浮かんでいましたが、マスターの体調不良がきっかけで、また働く人たちの受動喫煙を防ぐため、2017年8月より全席禁煙となりました。純喫茶へ行きたくとも煙草が苦手な方たちからは喜びの声はあるものの、喫煙される常連客の中には足が遠のいてしまった方も多いそうで「前より静かになってしまいました」と二代目のお嬢さんはさみしそうに笑って話して下さいました。煙草のある風景もまた、純喫茶の醍醐味でもある今までにいくつかの純喫茶の店主たちからも、それぞれの事情をきっかけに禁煙に踏み切った話を伺いました。確固たる決断ではあったものの、しばらくの間は客足が減ってしまったり、毎日のように姿を見せてくれていた常連客たちに会えないことを寂しく思うとのこと。ただ、今まで出会えなかったような人たちがきてくれるようになったと、嬉しい側面もあるそうです。「純喫茶がとても好きで色々と行きたいのですが、煙草が苦手な場合はどうしたら良いですか?」と聞かれた時、わたしは「お店が認めているということは、その環境も込みで、そちらの純喫茶の醍醐味かもしれません。なるべく煙の少ない時間帯を見極めるなどして、自分の中で納得できる時にお邪魔しましょう」とお答えしています。「穂高」は季節を感じられる窓際の席がとてもおすすめです。店員さんたちもてきぱきと働かれていてとても居心地の良い素敵な空間ですので、煙草が苦手な方々も、吸われる方もこの時ばかりはしばし煙草を忘れて、居心地の良い「穂高」にてお好きな一杯をゆっくりと味わうのはいかがでしょうか?Text/難波里奈前回記事<焼きサンドウィッチと珈琲が絶品!マスターと楽しくおしゃべりできる純喫茶「TOM」>もチェック!映画のようなエピソードを聞きながら美味しい珈琲を楽しめる、代々木駅前の純喫茶。
2017年11月24日皆さんは純喫茶のメニューで何が一番お好きでしょうか?私はその時々のブームがあって、かつては毎日オムライスを食べても飽きず、平日も1時間という短い昼休みを存分に利用して、勤務地から行ける範囲の純喫茶へひたすら足を伸ばして食す日々もありました。現在のブームは「ホットサンド」です。メニューには「焼きサンドウィッチ」と書いてあることも。食欲をそそるこんがりとした焼き色とさくっとした表面。そこにはたっぷりのバターが染み込ませてあり、運ばれてくるまでに漂ってくる匂いだけでおなかが鳴ってしまうほど、魅惑のメニューです。都内には好きなホットサンドを食べられる純喫茶が何軒かあるのですが、今回はその中から、代々木の駅前にあり、美味しい珈琲とマスターとの楽しいお喋りも楽しめる「TOM」を紹介します。マスターとのお話を楽しみながら…代々木「TOM」いかにも純喫茶、という内装の1階にも惹かれますが、窓が多くて開放感のある2階席がとても好きです。ほの暗くてときめく階段を上がった2階では、初代マスターがお出迎え。誰かとの打合せでこちらにやってくることが多いせいか、扉を開ける私を見つけた二代目マスターは「待ち合わせ?」といつも声を掛けて下さいます。メニューを一通り眺めて、待ちに待った焼きサンドウィッチと、この日のサービスコーヒーを注文します。楽しみに待つこと数分。初代マスターがにこやかに近づいてきて、こんな風に話しかけて下さいました。「物を書く人でもネタに困ることがありますか? もしそうであれば私がいくつでもお話をしましょう。こういう仕事をしていると、話のネタは尽きることがありませんからね」と。ある日伺ったのはこんな話でした。初代マスターの豊富な話題に聞き入ってしまう「うちは高校生をアルバイトに雇わない規則なのだけど、あるとても寒い日に、セーラー服を着た女性が店に飛び込んできて『ここで働かせてください』っていうんです。お断りする理由を伝えると『これ!』と手渡されたのは、卒業証書。『今日卒業してきたからもう高校生じゃないんです』と。思わず笑ってしまったのと、彼女が明るくて元気な良い子でしたから、雇うことにしたんです。すると、『もう1人働きたいという人がいるんですけど…』と言うんです。なんとそこに現れたのは彼女のお母さん。どうやら、お酒を飲むと暴れてしまう父親から二人で逃げようと決めていて、それがちょうど高校卒業の日だったそうで。でも、2人は雇う余裕はなかったから、お母さんの方には住み込みの別の仕事を紹介してね。娘さんは働きながら勉強して資格を取って、立派に就職したのです。それからしばらく経ったある日、彼女が僕の前に現れてね。『会ってほしい人がいます。マスターが賛成するなら結婚したい』って1人の男性を連れてきたんです。きちんとした人だったから歓迎して、2人は無事結婚して、旦那さんの故郷である広島へ行ったそうです。もちろんお母さんも連れて。お父さんはどうしたかって?『県境までは許すけどそれ以上は近づかせていないわ』って」美味しいホットサンドを頂く前に、こんな風に映画になりそうなエピソードをマスターから聞くことが出来るTOM。難波里奈『純喫茶、あの味』難波さんの新刊『純喫茶、あの味』にご興味がある方はこちらから!
2017年11月10日高級ジャム専門店「アンドジャム(&jam)」が、2017年11月17日(土)に大阪・難波にオープンする。ジャムのラインナップは、様々なフルーツをベースにハーブやスパイスを加えた「フルーツ」、淡路島牛乳と北海道産生クリームをたっぷりと使用した「ミルク」、 淡路島牛乳と北海道産生クリームに和の食材を組み合わせた「ジャポニズム」3つのシリーズを軸に展開。「フルーツ」からはストロベリーガーネット、ブルーベリーサファイア、「ミルク」からはラムレーズンパール、「ジャポニズム」からは黒ごま真珠など、その時々の食卓を彩る全16種のバリエーション豊かなジャムを用意している。また、併設のカフェでは、同店の向かいにある食パン専門の姉妹店「嵜本(さきもと)」が提供する食パンのトーストに、好みのジャム3種類を合わせたジャムトーストを提供する。それぞれのジャムを1つずつ味わうのはもちろん、ジャムを組み合わせてオリジナルのカスタマイズトーストを楽しむのもオススメだ。【商品情報】アンドジャム(&jam)オープン日:2017年11月17日(土)住所:大阪市浪速区難波中2-2-6営業時間:7:00〜19:00(カフェラストオーダー フード18:00/ドリンク18:30)定休日:不定休TEL:06-6634-6600<商品例>■フルーツストロベリーガーネット/オレンジトパーズ/ブルーベリーサファイア/ルビーローズフランボワーズ/トルマリンレモン■ミルクミルクバターパール/ピスタチオパール/ノワゼットパール/ラムレーズンパール/オペラパール/ドライフルーツナッツパール/アールグレイパール■ジャポニズム琥珀きなこ/黒ごま真珠/あずき珊瑚/翡翠抹茶価格:各680円(税込)〜<カフェメニュー>■ジャムトースト(ラインナップから好みのジャムを3種類セレクト)価格:480円(税込)■ジャム&バタートースト(インナップから好みのジャムを3種類セレクト及びバター<有塩バター・エシレバターから1種類セレクト>)価格:580円(税込)〜
2017年11月05日高級食パン専門店「嵜本(さきもと)」が、2017年11月12日(日)に大阪・難波にオープンする。約2年の開発期間を要したという同店の看板商品は、香り・甘み・口にいれた時の歯切れの良さなど、独自のこだわりを大切にした食パン。店内では、職人がひとつひとつ丁寧に焼きあげる食パンと、それに合う手作りジャムを提供する。オープン時に用意されているラインナップは、「極美(ごくび)」「極生(ごくなま)」の2種類。「極美」は、クセのない北アメリカ産の小麦を使用した、歯切れがよくもっちりした食感が魅力の食パン。卵・乳不使用のため、小麦本来の優しい香りとほのかな甘さが楽しめる。一方の「極生」は、北アメリカ産と北海道産の小麦をブレンドした生地に、淡路島牛乳や北海道産生クリーム、厳選したバターや蜂蜜の芳醇なコクを閉じ込めた一品。トーストしたりジャムを合わせたい時は「極美」、繊細な口当たりをシンプルにそのまま食べたいときは「極生」と、その日の気分やライススタイルにあわせた食べ分けがオススメだ。そのほか、12月から2018年春にかけて「極葡萄食パン」「黒糖山型食パン」「豆腐と和三盆のはんなり食パン」「マスカルポーネと蜂蜜の食パン」など、厳選した素材と食パンを組み合わせた食パンも販売される。なお、店舗の向かいにはジャム専門の姉妹店「アンドジャム(&jam)」が11月17日(土)にオープン。併設のカフェスペースでは、「嵜本(さきもと)」の食パンを使ったジャムトーストが味わえる。【店舗情報】高級食パン専門店嵜本(さきもと)オープン日:2017年11月12日(日)住所:大阪市浪速区難波中2-3-18営業時間:11:00〜18:00定休日:不定休TEL:06-6634-6800<商品例>■極美”ナチュラル”食パン価格:2斤サイズ 900円(税込)/4枚切1枚 280円(税込)焼き上がり時間:11:00/12:30/14:00/15:30■極生”ミルクバター”食パン価格:2斤サイズ 950円(税込)/4枚切1枚 300円(税込)焼き上がり時間:11:00/12:00/13:30/15:00
2017年11月05日幼い頃の思い出に直結しているからでしょうか。馴染みのある洋菓子店の包装紙を見ると、懐かしい気持ちとともに幸せな記憶がふわりとよみがえってくる気がします。ロマンチックで素敵なデザインのものが多いのですが、中のお菓子がメインのため、すぐに捨てられてしまうことも多い儚さ。洋菓子を大切に包むその包装紙の美しさに気を留めるようになったのは、おそらく「美人画」で有名な東郷青児のイラストがきっかけでした。例えば、今は無き吉祥寺の「ボア」では、2007年の閉店間際に東郷イラストの包装紙や店名の入った皿、当時の制服や伝票を、ボアを愛した人たちに販売していました。色々と買い求めたので、今も時折取り出してはうっとりと眺めています。また、現在も営業している、青い光が室内を灯す幻想的な京都の「ソワレ」では、自分への土産に東郷イラストの入ったオリジナルタンブラーを購入したのですが、自宅でも純喫茶気分を味わえるので重宝していますし、季節によって絵柄が変わるショップカードもついつい集めてしまいます。東京では、池袋駅前にビルを構え、手土産に喜ばれるアーモンドチュイルが有名な洋菓子とパンの「タカセ」、早い時間に売切れてしまうことも多いスワンシュークリームが人気の駒込駅前の「アルプス」、モンブラン発祥の地と言われ、店内にも多数の東郷の絵を眺めながら喫茶出来る自由が丘の「モンブラン」、私はまだ訪れていないのですが、久我原にある洋菓子の「フラマリオン」でも東郷イラストの包装紙を使用しています。物心ついた頃からぼんやりと好きだった東郷青児のイラストは、大人になってからさらに意識するようになり、出会えるととても嬉しく、しわを伸ばして大切に保管しています。「生誕120周年東郷青児展」で美しい作品の数々をひょんなご縁から、現在、新宿「東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館」で開催中の「生誕120周年東郷青児展」(2017.11.12(日)まで)招待券を美術館の方から頂いたので先日拝見してきました。ずっと気になっていながらも未訪問だった場所。エレベーターで42階へ上がり、ひんやりとした空間の中で見る絵は、想像以上に迫力があるものでした。特徴である色の濃淡の美しさから目が離せなかったり、包装紙などに代表される美人画のタッチとはまた雰囲気の違った絵も数多く展示されていて、とても一度ではしっかりと味わい尽くせない濃厚な内容でした。ミュージアムショップには、「池袋 タカセ」のクッキー詰め合わせや、東郷イラストのマスキングテープ、クリアファイル、ポストカードなど思わず欲しくなってしまうグッズもたくさんありました。難波里奈『純喫茶、あの味』難波さんの新刊『純喫茶、あの味』にご興味がある方はこちらから!
2017年10月27日ワコール(WACOAL)が展開する「アンフィ(AMPHI)」と、ファッションモデル・田中里奈とのコラボレーションランジェリー第2弾が登場。2017年10月13日(金)より発売される。「LIFE IS BEAUTIFUL!(人生は美しい)」をテーマに、毎日の下着選びが幸せに感じるようなブラジャーやショーツ、キャミソールなど全8型を展開。ブラジャーは、柔らかい付けご心地で谷間をメイクをする「ビーラブディーライト」とナチュラルなシルエットで軽い付け心地の「ハネのブラ」の2型。第1弾のラブリーなデザインに代わり、今回はシンプルで大人っぽいデザインに。それぞれフェミニンなペールピンクから、清潔感のあるサックスブルー×グレー、ブラックのレースを使ったセクシーなものまで揃う。ショーツはサニタリー用も含めた4型がラインアップ。その日の気分で下着を選ぶのが楽しくなりそうだ。【詳細】田中里奈×AMPHI コラボランジェリー第2弾発売日:2017年10月13日(金)取り扱い:全国の「AMPHI」取扱いショップ、ワコールウェブストア、ZOZOTOWN価格:・ピンク ブラジャー BYL364 4,200円+税〜・サックス×グレー ブラジャー BYL364 4,200円+税〜・サックス×グレー ショーツ PYL164 2,100円+税・ブラック ブラジャー BYL464 3,900円+税〜・ブラック ショーツ PYL064 2,300円+税、PYL264 2,600円+税※店舗にてコラボ商品のブラジャーとショーツを含み、10,000円+税以上の購入者に田中里奈プロデュースのランジェリーケースをプレゼント。(無くなり次第終了)【問い合わせ先】株式会社ワコール お客様センターフリーダイヤルTEL:0120-307-056営業時間 9:30〜17:00(土・日・年末年始・祝日をのぞく)
2017年10月15日真夏のように暑い日が戻ったかと思えば、一気に涼しくなってきましたが、皆さま体調を崩されてはいませんでしょうか? いよいよ本格的な秋がやってきて、行楽には良い気候となりますね。私にとって、純喫茶巡りと同じくらい好きなのは、知らない街を散策することです。暇さえあれば路線図を眺めて、まだ見ぬ路地に思いを馳せることも。ところで、皆さんは東武鉄道東上本線の大山駅で下車したことはありますか?私はとあるきっかけでこの街を訪れたのですが、ふらふらと散策してみたところ、時間に余裕があればもっと歩き回ってみたいと思ったほど、とても味わい深い土地でした。今回はそれまで馴染みのなかった大山駅を目指す理由となった、純喫茶についてお話します。絶対見つけたくなる純喫茶「ピノキオ」大山駅から徒歩で約10分。少し遠いので初めて訪れる時は迷ってしまうかもしれませんが、歩くことがお好きな方は、移り変わる景色を眺めているうちにあっという間に到着してしまうかもしれません。だんだんと不安になり始めた頃に見えてくる真っ白な壁に赤いひさし、「COFFEE SHOP」と描かれたまあるい看板が目的地「ピノキオ」です。想像よりも広い店内は茶色の家具で統一され、落ち着いた雰囲気。現在は稼働していないそうですが、ゲーム台のある風景にぐっときます。カウンターの中には、一見寡黙な、でもお話するととても優しいマスターとにこやかなママさん。いつも忙しそうに、しかし丁寧にてきぱきと動かれています。知らないとたどり着くことのできない、閑静な住宅地の中にある「ピノキオ」を目指してやってくる人たちのお目当ては、こちらの人気メニューであるホットケーキ。手品師のマギー司郎さんによって有名となったそうで、訪れたほとんどの方が注文するそうです。まるいホットケーキはマスター熟練の技目の前に置かれた熱々のホットケーキは、まずその分厚さに驚きます。作っている過程を眺めていたら、なんと型には入れず、そのまままるく形を作って焼いていたので大変驚きました。どのホットケーキも焼き上がる頃に綺麗な形になっているのは、皆さんの笑顔のために数えきれない程のホットケーキを焼いてきた、マスターの熟練さによってなせる技です。食べ始める前には「小ぶりかも」と思っていましたが、生地はふんわりとしているようでずっしりと重く、満腹感、満足感ともにばっちりの抜群の大きさなのでした。メニューは他にもトーストやサンドイッチ、スパゲティと豊富。特に私が気になったのは、ホットケーキと同じ銅板でこんがり焼かれる厚切りトースト。難波里奈『純喫茶、あの味』難波さんの新刊『純喫茶、あの味』にご興味がある方はこちらから!
2017年10月13日真夏のように暑い日が戻ったかと思えば、一気に涼しくなってきましたが、皆さま体調を崩されてはいませんでしょうか? いよいよ本格的な秋がやってきて、行楽には良い気候となりますね。私にとって、純喫茶巡りと同じくらい好きなのは、知らない街を散策することです。暇さえあれば路線図を眺めて、まだ見ぬ路地に思いを馳せることも。ところで、皆さんは東武鉄道東上本線の大山駅で下車したことはありますか?私はとあるきっかけでこの街を訪れたのですが、ふらふらと散策してみたところ、時間に余裕があればもっと歩き回ってみたいと思ったほど、とても味わい深い土地でした。今回はそれまで馴染みのなかった大山駅を目指す理由となった、純喫茶についてお話します。絶対見つけたくなる純喫茶「ピノキオ」大山駅から徒歩で約10分。少し遠いので初めて訪れる時は迷ってしまうかもしれませんが、歩くことがお好きな方は、移り変わる景色を眺めているうちにあっという間に到着してしまうかもしれません。だんだんと不安になり始めた頃に見えてくる真っ白な壁に赤いひさし、「COFFEE SHOP」と描かれたまあるい看板が目的地「ピノキオ」です。想像よりも広い店内は茶色の家具で統一され、落ち着いた雰囲気。現在は稼働していないそうですが、ゲーム台のある風景にぐっときます。カウンターの中には、一見強面の、でもお話するととても優しいマスターとにこやかなママさん。いつも忙しそうに、しかし丁寧にてきぱきと動かれています。知らないとたどり着くことのできない、閑静な住宅地の中にある「ピノキオ」を目指してやってくる人たちのお目当ては、こちらの人気メニューであるホットケーキ。手品師のマギー司郎さんによって有名となったそうで、訪れたほとんどの方が注文するそうです。まるいホットケーキはマスター熟練の技目の前に置かれた熱々のホットケーキは、まずその分厚さに驚きます。作っている過程を眺めていたら、なんと型には入れず、そのまままるく形を作って焼いていたので大変驚きました。どのホットケーキも焼き上がる頃に綺麗な形になっているのは、皆さんの笑顔のために数えきれない程のホットケーキを焼いてきた、マスターの熟練さによってなせる技です。食べ始める前には「小ぶりかも」と思っていましたが、生地はふんわりとしているようでずっしりと重く、満腹感、満足感ともにばっちりの抜群の大きさなのでした。メニューは他にもトーストやサンドイッチ、スパゲティと豊富。特に私が気になったのは、ホットケーキと同じ銅板でこんがり焼かれる厚切りトースト。こぶ茶があるところも地元のお客さんが多いことを想像できてほっとします。近くで暮らしている人たち、遠くからやってくる人たち。そのどちらもが混在して寛いでいるからこそ、純喫茶というものは面白いのかもしれません。今度のお休みに東上線に乗ってとびきりのホットケーキを食べに出掛けるのはいかがでしょうか?Text/難波里奈前回記事<『まるで宮殿のような美しい純喫茶「王朝喫茶 寛山」でアナログなひとときを>もチェック!初めての福井上陸で、長年恋い焦がれた純喫茶「王朝喫茶 寛山」を訪れることができました。
2017年10月13日夏の面影もすっかり消え去り、特に朝晩は秋の気配が濃厚となったこの頃ですが、皆さまはいかがお過ごしでしょうか? 私は季節を問わず、純喫茶を巡って寛ぐ日々です。さて、皆さんは「テクノロジー疲れ」はしていませんか? というのは、先日出演させて頂いたラジオ番組(J-WAVE『TOPPAN FUTURISM』ナビゲーター:小川和也さん、相楽樹さん)で話題になったことから、様々な技術が進歩して生活に根付いて便利になったと同時に、それらから離れるアナログな時間が少なくなっていることについてじっくり考える機会となりました。テクノロジーの進歩は決して悪いことではなく、恩恵を受けていることのほうが多いのもたしかです。例えば、こうやって素敵な純喫茶を気軽に紹介できるようになったこともそうです。しかし、たまには携帯電話を開くことなく、のんびりとした時間を過ごしたいもの。今回は、そんな時におすすめの純喫茶を紹介します。ずっと恋い焦がれていた「王朝喫茶 寛山」それは福井県の福井駅から徒歩数分にある「王朝喫茶 寛山」。以前からその存在は知っていたのですが、「いつか訪れてみたい」と恋い焦がれたまま早数年。ようやく訪れるきっかけとなったのが、福井新聞社が発行している「月刊FU」編集部から頂いた1通のメールでした。「誌面で福井市内にあるいくつかの純喫茶を一緒に巡ってほしい」というありがたいお誘いを受けて、初めての福井訪問。駅前にはまるで本物そっくりな恐竜たちが唸り声をあげるオブジェが並び(といってもあくまで想像の中ですが)、路面電車が走る街並みはすぐ好きになるのに十分すぎるほど、素敵な光景でした。そして、お目当てだった「寛山」に繋がる地下階段の入口には、「王朝喫茶」という気になる文字が。コトバンクによると「王朝」とは「武家時代に対して、天皇を中心とする政治が行われた時代。奈良時代と平安時代をいうが、平安時代だけをさすこともある」とのこと。「王朝喫茶」のはっきりとしたイメージを掴めないまま、地下へ。想像の何十倍も美しい店内で過ごす贅沢なひととき「王朝」の言葉の意味を頭ではなく、視界で理解してしまうような、想像の何十倍も美しい光景が広がっていたのでした。大きな壁画、まるで宮殿のようなたくさんの白い柱、シャンデリアの下で光る石像、上品な色合いのふかふかのソファ、清潔に保たれた朱色の床、そして、店内奥には壁一面に輝くステンドグラス!この眺めと美味しい珈琲があれば、携帯電話は閉じたまま、優雅で贅沢な時間が過ごせるのも納得。メニューもサンドイッチにナポリタン、クリームソーダに冷やし白玉ぜんざいまで楽しめるのです。携帯の電波が全く入らない空間で、白い柱が何本あるかを数えてみるのもアナログな作業で楽しいかもしれませんね。純喫茶以外にも魅力がたっぷりだった福井県。おやすみの日に散策に出かけるのはいかがでしょうか?Text/難波里奈前回記事<『沈まぬ太陽』ロケ地、美しい純喫茶「ゆうらく」の頼もしい後継者>もチェック!限定200個ですが、マッチを作成しました!ゆうらくに行かれた際には是非お持ち帰り下さい
2017年09月29日純喫茶経営者たちを悩ませる4つの出来事少しずつ秋を感じる瞬間が増えてきたこの頃。皆さまはいかがお過ごしでしょうか?日が暮れるのが早くなりましたが、心地良い気温の夜が嬉しく、ついどこまでも散歩したくなります。そんな時に、ふと立ち寄れる純喫茶の存在はとてもありがたいもの。しかし、昔ながらの純喫茶は年々その姿を消していくという悲しい現実が。その理由として多いのは、「店主の高齢化」「建物の老朽化」「安価なチェーン店の増加」「後継者の不在」などです。純喫茶を愛する者として、好きな店に足繁く通うことくらいしかできず歯痒いばかりですが、自分が暮らす街の純喫茶に通う方が増えることによって、その地域に根付いた純喫茶は長く続いていくのではないかと考えています。さて、今回は、閉店のきっかけになりうる懸念事項の1つ「後継者の不在」に対する不安を吹き飛ばしてくれる浅草橋の純喫茶を紹介します。 初代マスターから引き継いだ「純喫茶」の思い難波里奈『純喫茶、あの味』難波さんの新刊『純喫茶、あの味』にご興味がある方はこちらから!
2017年09月15日銀座老舗デパートの中のオアシス8月もいつの間にか終わり、本日から9月となりましたが、皆さまいかがお過ごしでしょうか?今年の夏は盆の頃に雨降りが続いたせいか、涼しい日も多く、不思議な毎日でしたね。さて、夏は食欲が出ないという声をよく聞きます。私はあまり気温に食欲を左右されることがないのですが、「食欲の秋」と呼ばれるこれからの季節におすすめのメニューがある店を紹介します。その店があるのは、銀座4丁目の老舗「西銀座デパート」の地下1階。洋服やアクセサリーなど女性向けの華やかなものたちが並ぶ館内を通り抜け、エスカレーターを下ると一番奥に「ブリッヂ」があります。難波里奈『純喫茶、あの味』難波さんの新刊『純喫茶、あの味』にご興味がある方はこちらから!
2017年09月01日ずっと訪れたかった街へ梅雨が明けたのはつい先日だったように思いますが、いつの間にか8月を迎え、夏本番となりました。子供の頃であれば、永遠にも感じるような長い夏休みのある楽しい季節ですが、こちらをご覧下さっている多くの方は、つかの間の盆休みを心待ちに、今は通学や通勤のため暑い日々を乗り切っているのではないでしょうか?難波里奈『純喫茶、あの味』難波さんの新刊『純喫茶、あの味』にご興味がある方はこちらから!
2017年08月04日本日は7月7日。七夕の日ですね。仲が良すぎるゆえ、仕事を忘れて遊んでばかりで天の神の怒りをかい、離れ離れになってしまった彦星と織姫が一年に一度だけ会えるという説話のあるロマンチックな日。デパートやショッピングモールなど多くの場所で、たくさんの人たちの願いがこめられた色とりどりの短冊をぶら下げた笹を眺めるのも風流ですよね。難波里奈『純喫茶、あの味』難波さんの新刊『純喫茶、あの味』にご興味がある方はこちらから!
2017年07月07日新橋、と聞いて皆さんはどのようなイメージを浮かべるでしょうか? よくテレビのバラエティ番組などでサラリーマンたちがインタビューされている駅前という印象が強い方も多いかもしれません。あの場所は通称「SL広場」と呼ばれ、周囲には新橋で働く方たちを支えるべくたくさんの飲食店が軒を連ねていて昼も夜も大変賑わっています。SL広場と呼ばれている所以は、新橋が日本の鉄道発祥の地として知られ、1972年に鉄道開業100周年を記念してかつて中国地方で活躍していたといわれる蒸気機関車が展示されていることからです。今回は、駅を背後にして蒸気機関車を正面に見た時に左手側に建っている「ニュー新橋ビル」の中にある純喫茶についてお話したいと思います。壁一面に光り輝く富士山を楽しめる「フジ」難波里奈『純喫茶、あの味』難波さんの新刊『純喫茶、あの味』にご興味がある方はこちらから!
2017年06月23日寄り道したくなる荻窪「珈里亜(かりあ)」美しい紫陽花たちが彩る梅雨の季節までもう少し。だんだんと暑くはなってきましたが、夜になるまでの時間が長くなり、夕方を楽しめる5月です。18時を過ぎてもまだ外は明るく、会社や学校が終わった後、まっすぐ帰るのはもったいないような気がして、どこかへ寄り道したくなります。そんな時、私がたまに訪れるのは荻窪にある「珈里亜(かりあ)」です。難波里奈『純喫茶、あの味』難波さんの新刊『純喫茶、あの味』にご興味がある方はこちらから!
2017年05月26日寒さに背中を丸めうつむきがちに歩いていた冬が終わり、ようやくあたたかい季節が始まると、見慣れたいつもの風景さえもきらきらと眩しく映り、ふらりとどこかへ出掛けたくなります。手軽な日帰り旅行を計画した時に、私がよく訪れるのは鎌倉か熱海。どちらも片道2時間以内で行けるため「近くて遠い街」としてちょうど良いのです。まだ夏になる前の穏やかな5月には、真夏にはほとんど行くことのない海が見たくなったりも。そんな時に思い浮かべる純喫茶をご紹介します。まるで宙に浮かんでいるような純喫茶「サンバード」場所は、熱海駅から熱海銀座商店街を抜けた、海の近くにある「サンバード」。近くには、観光名所のひとつである「貫一お宮像」があります。こちらの店を遠くから初めて眺めた時、「大きな窓が一面にあって、宙に浮かんでいるみたいだ」という感想を抱きました。味のある手書きのメニューを眺めながら階段を上がり、窓際の席に腰を下ろすと、外の景色との境界線をつい忘れてしまい、まるで砂浜の延長で寛いでいるような感覚になります。いつもであれば、“マスターの聖域”であるカウンターの中をあまりじろじろ眺めることに気が引けてしまうのですが、こちらでは店名のロゴにもなっている鳥のマークや、綺麗に並べられたガラスの器たちを近くで見たくなり、マスターとの会話を口実に近づいてしまいます。一見物静かな雰囲気を醸し出すマスターは、実は、お話好きでユニークなお方。今までは夜に訪れていたためか、マスターがおひとりでいらっしゃることが多かったのですが、時間帯によっては、明るく朗らかでとても可愛らしいママとお嬢さんにもお会い出来ることも分かりました。ご家族の会話は息もぴったりで、皆さんとお話するのは楽しく、今度はもっと早い時間に訪れてゆっくり過ごしたいと思うのでした。好きな街をもっと好きになっていく幸せな連鎖「海が見える窓からの景色は、もしかしたら、夕暮れの時間帯には魔法のような色になるのではないだろうか」と思い、店の方に尋ねたところ、東向きのため夕暮れではなく、朝焼けを映すのだそう。お気に入りの純喫茶に出会えた時は「またいつか休みの日にこちらへやって来よう」そう思うだけで、日々をがんばる糧になります。お店の方たちのやさしい笑顔や豪華なシャンデリア、香りの良い珈琲、その日見た色々なものを思い浮かべて、心の中の日本地図にそんな場所を増やしていく楽しみ。好きな街をますます好きになっていく幸せな連鎖は、こんな風にこれからも続いていくのです。Text/難波里奈前回記事<仕事帰りにひとり純喫茶リレー!「4/13喫茶店の日」を楽しむための最高の5軒>もチェック!会社帰りにほっと一息つける純喫茶ばかりです。
2017年05月12日お店の方たちのやさしい笑顔に会いに…4月13日は「喫茶店の日」こちらをご覧の皆さまはご存知かもしれませんが、昨日4/13は「喫茶店の日」でした。明治21年(1888年)4月13日、東京・上野に日本初の喫茶店「可否茶館(かひいさかん)」の開業が由来と言われています。残念ながら現在その店舗は残っていませんが、200坪もの敷地に建てられた木造洋館は2階建てで、1階はシャワー室などを備え、ビリヤード・将棋などができる遊技場で、2階が喫茶室となっていたそう。可否茶館記念会によると、「庶民のためのサロンとして、また知識も学べる広場(コーヒーハウス)とすることを理念としての開店であった。」ということで、当時に生きる人たちにとって憧れのハイカラな場所だったのではないでしょうか。それから129年が経った現在、喫茶店文化は引き継がれ、さらに近年では昔ながらの喫茶店の魅力にあらためて注目している人が増えているように感じます。慌ただしい日常の中で、珈琲を飲む時間はほっとひと息つける大切なもの。さて、純喫茶愛好家としてそんな記念日にじっとしているわけにはいきません。自分なりに楽しもうと思いついたのは「ひとり純喫茶リレー」でした。平日は会社員をしているため、自由になれる時間は夜のみ。業務終了後の18時過ぎから22時までの4時間で、神田駅から神保町までの道のりにあっていつもお世話になっている純喫茶を出来る限り多く訪れようと決めました。結果は下記の5軒。今回はその様子について綴ります。「ひとり純喫茶リレー」18:00神田「エース」まずは1軒目。純喫茶に夢中になってから最も多く通っている店。いつも素敵な笑顔で迎えて下さる兄弟マスターの清水さんたち。この笑顔や「のりトースト」を求めて北から南まで全国から訪れる人が絶えない人気店です。この日は、ドーナッツ(通常は2個セットですが、特別に1個にして頂きました)とコーヒーフェアの期間だけ飲むことが出来るインドコーヒーを。18:40 神田「珈琲園」2軒目。外観の写真を撮っていたら、その様子に気が付いたマスターの八戸さんが店内から手を振って下さいました。毎日限定数で作られる大人気のコーヒーゼリーを必ず注文してしまいます。夜18時以降、2階席は全面禁煙となります。マスターのこれからの野望について伺い、わくわくした気持ちに。19:20 淡路町「高山珈琲」3軒目。細い路地にあって、入口を飾るきちんと手入れされた美しい植物たちが特徴的。まるで隠れ家のようです。髭をたくわえたダンディなマスターは物腰柔らかく、珈琲の味にもやさしさを感じます。チーズケーキやサンドイッチ類も美味しいのでおなかが空いている方は是非。20:10 淡路町「ショパン」4軒目。木曜日の夜はママに会える日。扉を開けた私をにっこりと笑顔で迎えて下さいました。この後もまだ数軒巡る予定でしたので、「アンプレス」を食べたい気持ちをぐっと抑えて、季節限定の濃厚イチゴジュースやバナナジュースと迷ったあげく、「アンオーレ」を注文。小豆とエバミルクを氷とミキサーにかけたもので一口飲むと止まらなくなってしまう美味しさです。21:00 神保町「ラドリオ」5軒目。最近では満席になっていることも多い、ウィンナーコーヒー発祥の店。色々な店のナポリタンを食べ歩きましたが、こちらの味付けが最も好み。この日は久しぶりにチキンカレーを。よく煮込まれたほろほろの鶏肉の味わいであっという間に完食。鮮やかな色が嬉しい「ざくろスカッシュ」は、アイスクリームをのせてクリームソーダにも出来るのです。純喫茶の魅力は、美しい調度品で揃えられた店内や個性あふれる美味しいメニューはもちろん、お店の方々によるところが大きいと思っています。このやさしい笑顔たちに会いに、1年365日「喫茶店の日」としてこれからも過ごしていきたいと思っています。Text/難波里奈前回記事<ここでしか出会えない!美味しいケーキをもっと楽しめる“仕掛け”が可愛い『古瀬戸珈琲店』>もチェック!かわいい動物たちに会うにはアレを注文して下さい!
2017年04月14日忙しい日常の隙間にふと出来た自分だけの時間、誰かと約束をしておしゃべりをする時間、初めてお会いする方と仕事に関する打合せの時間。それぞれ色々な場面で純喫茶を利用することがあると思います。そんな時、飲み物の他に何か注文しますか?苦い珈琲に合う濃厚なチョコレートケーキ、爽やかな紅茶と頂きたいふんわりしたチーズケーキ、空腹であったならサンドイッチも…。思わず笑みがこぼれてしまう可愛い純喫茶今回は、思わず笑顔がこぼれてしまうメニューのある店を紹介したいと思います。JR中央線・総武線の御茶ノ水駅“聖橋口改札”を出て、明大通りを神保町方面に向かって坂を下ります。神田駿河台下交差点に差し掛かる少し手前、有名なカレー屋「エチオピア」や学生さんご用達の洋食屋が並ぶ通りの二階にその純喫茶が現れます。右手側上方向に見える鳥のイラストが可愛らしい看板が目印。横にある細くて急な階段が入口です。壁に描かれた不思議な絵や、「不思議の国のアリス」を思わせる陶器の人形たちに気を取られて転んでしまわないよう、足元にはお気をつけて。このお店だけで出会えるかわいい動物たち扉を開けると濃い茶色の家具で統一されたシックな空間が広がります。壁一面の大きな棚には色とりどりのコーヒーカップがずらり。カウンター席に座ると、自分好みのカップを選べるそう。店内の至るところにも陶器で作られた素敵なオブジェが飾られ、珈琲を待っている間もつい気になって周辺をきょろきょろ。そして、こちらで是非注文して頂きたいのは、自家製のシュークリーム、もしくはシフォンケーキ。他にもケーキのメニューはいくつかありますが、なぜこの2つをお薦めするかというと、この店のためだけに作られたという、他にはない特製の可愛らしいお皿に盛り付けられるから。リスやうさぎ、猫などの可愛らしい小動物たちが、まるでケーキを眺めるようなポーズでお皿の上に立っているのです。中には意外な動物もありますが、何種類かあるどれが運ばれてくるかを想像して待っているのも楽しく、何度見ても思わず「かわいい!」と声が出てしまう一品です。ついお皿にばかり気を取られてしまいますが、きちんと美味しいケーキたち。チーズ入りの濃厚なカスタードクリームは絶品で、いくつでも食べられてしまいそうなシュークリーム。時間によっては焼き立てが食べられることも。1人の時や誰かと一緒の時はもちろん、初めてお会いする方が甘いものをお好きならば、「ケーキを食べながら話しませんか?」とお誘いするのはいかがでしょう?マスターの淹れてくれる美味しい珈琲とママの作る絶品シュークリームやシフォンケーキはもちろん、運ばれてきたかわいい動物たちが緊張した雰囲気を一気にやわらげてくれるのではないでしょうか。Text/難波里奈前回記事<仕事帰りにひとり純喫茶リレー!「4/13喫茶店の日」を楽しむための最高の5軒>もチェック!会社帰りにほっと一息つける純喫茶ばかりです。
2017年03月31日皆さんは47都道府県のうち、どちらの土地に行かれたことがありますか? 私は現在までに34都道府県を訪れていました。逆を言えば、13県はまだ訪れたことがないので今後の楽しみとしています。昨年の秋頃にたてた「2017年は和歌山、鳥取、鹿児島へ必ず行こう」という目標も思いのほか早く叶い、12月には和歌山へ訪問してきました。とはいえ、一度訪れただけではまだまだ分からない魅力を探りたいので、再訪したいと考えています。そんな調子で、2017年は1月に大阪、2月には熱海と広島、と順調に旅ができて嬉しく思っていたところ、さらに福井新聞社の方から素敵なお誘いを頂き、先日初めて福井を訪れてきました。大変申し訳ないのですが、今まで「福井へ行こう」と積極的に思ったことがなく、なんとなく勝手なイメージで電車の乗継ぎが大変で時間がかかりそう、と思っていたことも原因かもしれません。しかし、「福井」と「純喫茶」を同時に耳にした時、以前写真で見た衝撃的な内装の店が脳裏に浮かびました。その店の名前は『王朝喫茶 寛山』。壁の一面を光らせる大きくて美しいステンドグラスのある純喫茶です。…が、今回はその前日に思いがけず出会えた『マロン三世』という純喫茶についてお話します。思わず色々注文したくなってしまう純喫茶東京駅から新幹線で米原駅へ、そこから特急しらさぎに乗り換えて目指すは福井駅。のはずでしたが、急遽“めがねのまち”として有名な鯖江駅で途中下車をしました。急がない旅であれば、思いついたままに行動するのはとても楽しいことです。駅から歩くこと10分程でしょうか。車道に面した一軒家が現れ、『マロン三世』と書かれた大きな看板を見つけました。建物に近付き入口周辺を観察していると、窓の向こう側にいらっしゃる方と視線が合い、にっこりと笑いかけて下さいました。店内はカウンター席とテーブル席に分かれ、ゆったりとした配置です。テーブル席のソファは腰掛けると深く沈み、もうこのまま立ち上がりたくないと思ってしまうほどの座り心地の良さ。メニューを一通り眺めていると、とても笑顔の素敵なやさしそうなママが注文を取りに来て下さいました。まずは、クリームソーダとフルーツワッフルを注文。楽しそうに談笑する、窓際の高齢男性たちのやり取りを微笑ましく眺めていた時に運ばれてきたクリームソーダを目にして、思わず声を上げてしまいました。一般的な緑色を想像していましたが、こちらでは青色だったのです。窓から差し込む夕暮れ時の光がグラスに反射して、泡もキラキラと弾けている様子に感動。ワッフルも瑞々しい果物がふんだんに乗せられ、思わず笑顔に。この日は朝からほとんど何も口にしていなかったこともあり、ナポリタンとアマランサスコーヒーも追加注文。「驚異の穀物」と呼ばれるアマランサスの粉が入った珈琲は、飲み進めていくと底の方にとろみがあり、初めての食感でした。ナポリタンはなんと下に卵焼きが敷かれた鉄板タイプ。注文した全てのメニューに想像を裏切る嬉しい驚きがあったのでした。すっかりこの店のファンになってしまい、今度福井に来るときはこちらへ寄ることが大きな目的になるだろう、と思ったのでした。Text/難波里奈
2017年03月17日乃木坂46の生駒里奈、衛藤美彩、齋藤飛鳥が13日、都内で行われたはるやま『スラっと スラテクノスーツ』新CM発表会に出席した。スーツメーカーのはるやま商事は、燃焼系ビジネススーツ『スラテクノシリーズ』を新発売。それに伴い、新CM「スラテクノスーツ 燃焼系スーツ」編が16日から全国で放映され、イメージキャラクターに乃木坂46の生駒ら3人のメンバーを起用した。生駒、齋藤、衛藤の3人が出演したCMは、多忙なサラリーマンのカロリー消費を応援する、という内容となっている。新商品を着用しながらステージ上に登場した生駒ら3人。生駒が「今回は3人で撮影するということを聞いて、前回はフレッシャーズのCMだったのでどうなるかと思いましたが、機能性もすごいスーツで私たちがいい感じで出来たらなという気持ちで撮影に臨みました」と新CMの撮影を振り返れば、衛藤は「私は男性と一緒のポーズを決めるシーンがあり、いい意味でプレッシャーがあって緊張してました」とコメント。燃焼系スーツと言われる新商品について齋藤が「スラテクノということで働く方には最適だと思います。着てみるとストレッチが効いているし動きやすく、気分的な問題か分かりませんが燃焼するスイッチが入りますね」とすっかり気に入った様子だった。スーツ姿で登場した3人だが、スーツ姿のお互いの印象を問われた生駒は「美彩先輩は上司で感じですね。飛鳥ちゃんと私は就活生」と語りつつ、「握手会が昨日あったんですけど、同い年の子たちがスーツで来ていて、私は『就活できない分、頑張ってね』て言いました。就活生だったらスーツ着て会社を回っていたんだろうなと思ったので、今日着られて嬉しいです」と笑顔。続けて「私は普通にパソコンを打てないし、そういう仕事は出来ないと思いました。こっち(芸能界)で正解でしたね」と安堵した表情だった。
2017年03月13日寒さの中にもどこか春を感じるようになったこの頃、皆さまいかがお過ごしでしょうか? もう少しすると、淡いピンク色の花びらが水色の空を舞うお花見の季節ですね。さて、お花見、といえばテレビなどの影響か、私は真っ先に京都を思い浮かべます。しかし、美しい景色には皆が集中するため、総じて賑わうもの。せっかく花見を楽しんだのなら、このまま珈琲を飲みながらのんびり過ごしたいと思っても、混雑した街中でひと息つける場所を確保するのは大変なことでしょう。そんな場合、桜の季節に限らず、年中観光客で賑わう祇園界隈で、わりと空席を見つけやすいおすすめの純喫茶を紹介します。祇園に佇む、高級感溢れる純喫茶店は四条通に面しているのに「知らなかった」という人が多いのは、眩しい天然石が並ぶ宝石店の中を抜けて、二階へ行く仕組みになっているから。そのため、祇園の真ん中という便利な立地にありながら、静かで高級感あふれる空間が保たれているのかもしれません。店内に入るとまず目に留まる、まるでシャボン玉のような透明で大きな丸い形の照明。木の板が何枚も連なった素晴らしいデザインの壁から、柔らかな明かりが照らしてくれます。そして、ゆったりとした低めのソファにひとたび腰をおろしてしまえば、その座り心地のよさになかなか離れられなくなるでしょう。もし窓の近くの席に座れたなら、祇園の街を眺めながら寛ぐのも楽しいです。メニューは定番の珈琲やアイスクリームなどの他に、京都らしく宇治抹茶を使用したプリンやパフェなども揃っています。そして、こちらのクリームソーダはブルーベリーソーダを使用した紫色の珍しいもの。実に美しい色合いで、店内のインテリア(えんじ色の絨毯、ベージュ色の椅子、茶色を基調とした壁)にすっと馴染みます。爽やかな味わいのレモンゼリーと珈琲のセットも珍しく、喉越しよくつるりと食べられるので、これからの暑くなる季節におすすめです。なんと3階に上がると、社長も「美味しい」とおすすめして下さった蕎麦屋(ぎおん石 祇園店)があるので、おなかが空いたらそのまま食事に赴くのも良いかもしれませんね。Text/難波里奈
2017年03月03日皆さまは、日帰り旅行をされることはありますか?宿泊するより慌ただしいのはたしかですが、思い立った時にすぐに出掛けることができ、かつ荷物が少ないので手軽なところがおすすめです。急な休みができたら、ふらりと出掛けたい場所として浮かぶのは、熱海か江の島です。熱海は一見遠いように感じますが、東京駅から新幹線に乗ってしまえば“こだま”でも片道40分ほど。窓の外を眺めたり、今日はどこへ行こうかと考えているうちにあっという間に到着してしまいます。つい先日も趣味の合う旧くからの友人と、よく晴れたあたたかな日曜日に熱海へ出掛けてきました。テーマは「日帰り逃避行」。私はいつも通りの身軽な格好でしたが、新幹線のホームで待ち合わせた友人は、レトロな柄のワンピースにトレンチコートを羽織り、大きな旅行鞄を持っていたので、なんだか長い旅に出掛けるかのようで気分も盛り上がりました。事前に作った旅のしおりを眺めながら、あれこれ話しているうちに海が見えてきて、いつもより気持ちもふわりと浮き立ちます。旅先で真っ先にするのは、近くの純喫茶でひと休みしながらその日の計画を練ること。昼食はどこで食べよう、純喫茶は何軒巡れるかしら、あのクラシックのシャンデリアの下で写真を撮ろう……。地元の人たちも入り混じった純喫茶で珈琲を飲みながら、はやる気持ちを落ち着かせます。さてこの日は、レストラン フルヤ(昼食)→ ホテル ニューアカオ(見学)→ 純喫茶 田園 → 純喫茶 くろんぼ、というコースを巡りました。訪れたいところはたくさんありますが、旅は少し名残惜しいくらいがきっとちょうど良いのでしょう。日が暮れてきて、でもまだ帰りたくない気持ちでソワソワしはじめた頃に訪れたのは、1冊目の書籍『純喫茶コレクション』からお世話になっている「くろんぼ」。特徴的なイラストに点る灯りに営業を確認してほっとし、地下への階段をするすると。重厚な石たちに囲まれた、でもどこかあたたかなイメージの店内は清潔に保たれ、カウンターにはママが活けた大きくて美しい花が。思わず目を惹かれ、花の名前を尋ねました。すると、「今日はコデマリよ。本当に花が好きでね、その時の直感で決めるの。季節によっても気分によっても欲しい色は違うでしょう?」と笑顔で教えてくれました。「少し前にもね、あなたの本を見て、遠くから来てくれた人がいたわよ。それで私のことを気に入ってくれたみたいで、またその後も来てくれたのよ。嬉しかったわぁ」と、ママは訪れる人たちのことをよく覚えていて、とても嬉しそうに話して下さいました。尽きない会話の中には、ぴりっと身の引き締まる人生論やこんな話も。「夏でも冬でもね、まず起きたら部屋の窓を全部開けるの。海が見えるから、今の季節に人が歩いていると、あぁ昨日よりあたたかいんだなって知るの」と情景がくっきりと浮かぶような、季節に寄り添った暮らしをしているママを羨ましく思いました。しかし、そんな気持ちを見透かされてしまったのか「でも観光で来るくらいがちょうどいいってこともあるかもしれないわよ。また来てね」といたずらっぽく笑うのでした。1年中ほぼ休むことなく営業し、夕食をとる時間だけ店を閉めるそう。ここを目指してくる人たちにいつまでも元気で出迎えてほしいと願い、駅までの夜道を軽い足取りで進むのでした。Text/難波里奈
2017年02月17日身近であるゆえに後回しにしてしまう、というのは意外と多いのではないでしょうか? 見慣れたものへの安心感、なくなるはずはないという勝手な信頼感…。純喫茶にも同じことが言えるのですが、閉店してしまったらもう二度と訪れることはできないので、後悔しないためにも気になった店へは早めに訪れたほうが良いと考えるようになりました。そこで最近まで近さゆえに、なかなか足を運べずにいた純喫茶にさっそく出掛けてきました。それは地下鉄東西線の茅場町駅にある「珈琲家」という店です。現在、日本橋で勤務しているため、その気になれば徒歩で訪れることも可能なのですが、初めて行こうと思い立ってから10年近くが経っていたのでした。改札を出て歩くこと2、3分。目当ての店名の看板が視界に入りました。どうやら地下にあるようで少し緊張します。店内の様子が見えないため、席数はどのくらいだろうか、どのくらい混雑しているのだろうか、店主は気難しい人ではないだろうか、色々な不安や期待と一緒に階段を降ります。扉の向こうに見えたのは、可愛らしいデザインの赤い椅子たち。夕方遅くの訪問でしたので、先客も少なく、一番奥の端というとても好きな席を確保できました。水を運んできて下さった男性も、カウンターの中にいる女性もやさしそうな笑顔でほっとします。この日のお目当ては「とんでもないほど分厚い」と噂に聞いていたホットケーキ。飲み物は何にしようかとメニューを眺めると、<アレンジコーヒー>の欄にフランス風、オランダ風、アメリカ風、北欧風、イタリア風、アイルランド風と思いがけない楽しげな文字たちが。迷ったあげく、今回は「オランダ風」を注文。ココア入りの珈琲の上に生クリームが浮かべられたものでとても美味でした。それぞれ味の説明がされていますが、直感で頼んでみるのも面白いかもしれませんね。そして、お待ちかねのホットケーキが運ばれてきたのですが、この日一番の驚きの声を上げてしまいました。なんと直径は7インチレコード程もあり、1枚4㎝ほどの厚さです。1枚から注文可能ですが、おなかが空いていたので欲張って2枚注文してしまいました。もし、自分が手のひらサイズの大きさであったなら、ここで眠ってみたくなるほどふかふかで、圧倒的な存在感があります。思わず「すごいですね」と運んできてくれた男性に声を掛けると、「型で焼くわけではないので、どんどん大きくなってしまって」と笑顔。まずはたっぷりのバターで、2枚目はシロップを染み込ませながら美味しく完食。帰り際の「ビーフシチューも美味しいよ」という誘惑に近々の再訪を誓い、小麦粉とバターとシロップの甘い幸せにすっかり満たされたままあたたかい気持ちで帰りの電車に乗るのでした。Text/難波里奈
2017年02月03日「ひとり純喫茶」をご覧下さっている皆さま、新年はもう純喫茶に行かれましたか?私は元旦に新宿三丁目にある、24時間営業の「珈琲貴族 エジンバラ」を訪問しました。こちらの名物は、店員さんが珈琲とミルクを高い位置から注いでくれるカフェ・オレ。カップに到着するまでの時間、空気を含んでミルクがやわらかくなる効果があると聞きますが、何よりもその圧倒的なパフォーマンスを見ているだけで楽しいのです。純喫茶へ行く理由はいくつか挙げられますが、人によって様々だと思います。例えば、店内のインテリアや建築に興味がある方、美味しいメニューや珈琲を求める方、個性あふれるマスターたちとの会話がお目当ての方…。色々な要素が組み合わさって楽しいひとときは成り立つもので、私もその時々の気分によって訪れる店を決めています。1700軒訪れた中で、初めて出会った「仏像のある純喫茶」さて、そんな私が新年早々に選んだのは、念願だった「店内の様子がかなり特殊である」純喫茶。大阪で暮らす知人たちから話を聞いて以来、気になって仕方がなかった「篝(かがり)」です。「かがり」とは、かがり火を焚く時に使用する“鉄製のカゴ”を指し、こちらの天井にも吊るされています。さらに、このお店を表す最も強烈なキーワードが「店内の至るところに仏像がある」ということ。全国1700軒ほどの純喫茶を訪れ、数えきれないほど個性的な店と出会いましたが、仏像があるお店は初めてでした。大阪の新大阪から御堂筋線でなんば駅へ行き、そこから千日前線に乗り換えて玉川駅へ。駅から少し歩き、商店街に入ると目当ての「篝」が見えてきます。難波里奈『純喫茶、あの味』難波さんの新刊『純喫茶、あの味』にご興味がある方はこちらから!
2017年01月20日あけましておめでとうございます。昨年も『ひとり純喫茶』をご覧頂き、本当にありがとうございました。2015年11月から連載をはじめて早いもので1年あまり経ちました。こうして純喫茶のことを綴る場所があるというのは大変ありがたいことです。今年度も引き続きよろしくお願い致します。難波里奈『純喫茶、あの味』難波さんの新刊『純喫茶、あの味』にご興味がある方はこちらから!
2017年01月06日2016年も終わりに近付き、色々と慌ただしくなる時期ですが、皆さまはいかがお過ごしでしょうか?忙しいながらも、クリスマスに冬休み、大晦日、元旦と行事も目白押しな楽しい季節でもあります。街のいたる場所では木々が煌びやかな照明でデコレーションされ、思わず寒さに首をすくめ、下を向いて歩きがちな冬の景色を鮮やかに彩ります。有名な観光スポットに出掛けるも良しですが、人気の場所は混雑しているのが難点です。そんな「人混みは苦手、でもクリスマス気分は味わいたい」という方におすすめしたいのは、あたたかい珈琲を頂きながらクリスマスツリーを眺めることのできる「純喫茶 ヒスイ」です。「昭和」を味わえる、美術館のような趣き場所は和歌山県和歌山市駅周辺。私は大阪のなんば駅から南海電鉄の特急サザンに揺られて向かいました。のんびりした街並みを散策するも一興ですが、「建築物としても素晴らしい」という事前情報を頂いていたので、つい早足になって向かってしまいました。緑色の文字で「純喫茶 ヒスイ」と書かれた看板と、まるで洋館のような外観は期待を裏切りませんでした。入口には“自家製生ケーキ付”とコーヒーセットを知らせるボードが。メニューサンプルは色の濃いガラスの向こう側にあり、ぼんやりとしか見えないところも魅力的です。扉を開けて中に入ると、まず視界に入るのは可愛く飾り付けられたクリスマスツリー。隣には貴重な大型のコーヒーミルが並べられています。現在は開放されていませんが、かつては多くの人で賑わったであろう二階へ上がるための階段が。手摺の美しい鉄細工や大きなシャンデリアに目を奪われながら奥へ進むと、思わず言葉を失ってしまうほどの豪華な吹き抜けが現れます。一階席がある右側と、数段下がった半地下の座席がある左側。一本足の椅子は橙色と黒色の2種類があり、座る場所によって見える景色が違うので、どの席にしようかしばし迷ってしまいました。吹き抜け部分にはまるで神殿のような柱が立っていて、頭上には大きな輝くシャンデリアが。ぐるりと360度うっとりする美しさで、時間が止まって、しばらくここに閉じ込められてしまいたいと思うほど。「もともとあった建物を改装したのではなくて、この店を始めるために一から作った。大阪の心斎橋にあった好きだった純喫茶を真似してね」とは、ご高齢ながらもお元気そうなマスターのお言葉。尋常ではないこだわりを感じられる数々の細工が施されたこの素晴らしい空間を、たった珈琲一杯の値段で味わえるなんて…。やはり純喫茶は素晴らしい“昭和美術館”である、と今までに何百回、何千回と感じた思いをまたもや噛み締めるのでした。Text/難波里奈
2016年12月23日皆さんが純喫茶で過ごす時間は、だいたいどのくらいでしょうか?長居するように思われる私ですが、実は平均して30分程です。店内にいる時は、たいてい何もせずひたすらぼんやりして過ごすことが多いので、一杯の珈琲をゆっくりと飲み干した頃合いで、自然に立ち上がり店内を後にすることが常です。しかし、それは「ある場合」を除いてのこと。というのは、好みの漫画が本棚に多数並んでいた時は、つい時間を忘れて過ごしてしまうこともしばしば。例えば、ここのところ頻繁に足を運んでいる、練馬駅にある「アンデス」などがそうです。地下鉄大江戸線から、地上にあがってすぐ目の前。30秒もかからずに行けるので、雨の日や風の日にも心強い存在です。一面が広い窓に囲まれている、二階にある店内には、日中は光が差し込み、夜も信号の灯りに照らされた通行人たちを眺めることができる、開放的な空間です。窓と反対側の壁をぐるりと囲む棚には、漫画や雑誌、小説など様々なジャンルの本が天井に届くほど高く積まれています。まるでここは大人の図書館のようで、好きな漫画を片っ端から読んでも通い続けたくなる楽しみがあるのです。私が好んで読むのは、純喫茶の定番である「ゴルゴ13」や「黄昏流星群」「人間交差点」など。豊富なメニューの中には、東京ではなかなかお目にかかれない“鉄板ナポリタン”もあるので、空腹時に訪れたいところです。ただし、混雑する昼時は鉄板が足りなくなるため、普通のお皿で提供されるのでご注意を。他にも気になるメニュー名として「日焼けパフェ」に「シェフマリオ」などが。通常のチョコレートパフェは白いバニラのアイスクリームが乗っていますが、日焼けパフェにはいったいどんなアイスクリームが…?何が出てくるのかは、注文してからのお楽しみに。「アンデス」という店名から分かるように山登りがお好きだというマスター。「ここでガツンと儲けて、いつかはアンデスへ旅をしたいってずっと思っていてね。でもきっとずっとここで働くのだろうなあ」と冗談を交えながら、優しい顔で笑います。実はこちらの鉄板ナポリタンを有名にしたのは、漫画家のあだち充先生。今でもたまにいらっしゃるそうで、店内にはお店宛に描かれた絵も飾られています。絵の横には『コーヒーとナポリタンは注文すれば出て来たが、作品のアイデアは「アンデス」のメニューに無かった…』と思わずくすりと笑ってしまう一言。訪れた時には探してみることをお薦めします。Text/難波里奈
2016年12月09日「いつも純喫茶では何を注文しますか?」「必ず食べるメニューを教えて下さい」という質問をたまにいただきます。だいたいの場合、店の看板メニューともいえる珈琲は注文しますが、食べ物のメニューに関してはその日の気分によってまちまちです。ケチャップたっぷりの熱々ナポリタンやマスターこだわりのスパイシーなカレー、ふんわり卵で巻かれたオムライス、冷たいアイスクリームと美しい色合いのソーダ水を交互に楽しむクリームソーダ、レトロな飾り付けにうっとりときめくプリンアラモードなどなど。純喫茶へ行く度にどちらを食べようか迷ってしまうので、胃袋がいくつあっても足りない…と思ってしまうほど。そんな豊富な純喫茶メニューに迷ってしまった時、よく注文していたのは「ホットケーキ」です。誰もが幼い頃に一度は食べたことのあるような、懐かしく親しみのある味。そして、運ばれてきた時の見た目になんともいえない幸せな気持ちになるところも、私が心惹かれるだけでなく、多くの人から人気がある秘密ではないでしょうか。綺麗なまんまるも、少しいびつな形も愛おしい…。今回は、誰かと一緒に分け合って食べたくなる、ホットケーキのある店を紹介します。錦糸町の南口から歩くこと数分。夜になるとネオンが輝き出す街並みの一角にあり、長い間近隣の人たちを癒してきたであろう純喫茶「ニット」です。今ではすっかり名物になった、驚くほど分厚くて美しいホットケーキを求めて、遠方からもたくさんの人がやって来るそうです。注文してから運ばれてくるまで約20分。もし誰かと一緒ならば、銀色のトレイで提供される太麺を使用した、ナポリタンも一緒にいかがでしょうか。他に、少し変わったメニューとして、かに雑炊やおにぎりセットなどもあります。表面カリッと中はふわふわ、美しいホットケーキ白いシャツと黒いパンツの制服に身を包み、素敵な声でもてなして下さる感じの良いボーイさん。彼が運んでくれるホットケーキは本当に美しくて、何度見ても思わず感嘆の声をあげてしまうほど。セルクル(形)に入れられてじっくり焼かれたホットケーキは、表面はカリッとしていて、その厚さにも関わらず中はふんわり。最初はバターだけで味わい、その後にシロップ(こちらでは透明のもの)を好きなだけ染み込ませて。焼き立てのホットケーキみたいに艶やかで、素敵な洋服をお召しのママさんは、品があっていつもにこやか。閉店間際にはレジにいらっしゃることも多いので、ホットケーキやナポリタンの美味しさの秘密について、伺ってみるのはいかがでしょうか?Text/難波里奈
2016年11月25日