ある日突然、耳の聞こえが悪くなる、大きな耳鳴りがする…。そのうち治るだろう、と思って放置していると、一生耳鳴りに苦しんだり、耳が聞こえなくなる可能性がある病気があります。耳の片側にだけ聴力の異常が発生する「突発性難聴」。早期に治療しなければ聴力の回復が難しいため、はじめに異常を感じてからの対応が肝心です。突発性難聴の症状と治療法を紹介しましょう。■突発性難聴の原因とは?突発性難聴は年間3~4万人が発症し、どの年代にも起こる病気です。耳の深部にある内耳(ないじ)に炎症や何かの異常が発生して、聴力に影響を及ぼします。疲れやストレス、内耳のウイルス感染や血流障害などによるものと考えられていますが、いまだに原因は不明。内耳は複雑な器官で、詳しいことがわからない「耳のブラックボックス」といわれています。暖かくなる春に突発性難聴を発症する人が多いのは、天候や環境の変化によるストレスが多いためなのだそう。 ■突発性難聴の症状突発性難聴になると、ある日突然、・耳が聞こえなくなる・音が響いて聞こえる・めまいがするなどの異常を感じます。ほとんど患者は片耳にのみ、突発性難聴を発症。まれに耳鳴りなどの異常を感じないまま、聴力が衰えているケースもあります。低音域が聞こえにくくなることが多いので、トラックの振動やパソコンなどのモーター音が左右の耳で同じように聞こえるか、チェックしてみましょう。突発性難聴でおこる症状はさまざまですが、おもに次の症状があらわれます。異常を感じたら、すぐに耳鼻科へ行かなくてはなりません。・風邪をひいたときに感じる耳のつまり(閉塞感)がずっととれない・大きな耳鳴りがやまない■すぐに治療を開始しないと完治は困難めまいの症状があると内科に行く人がいるようですが、必ず耳鼻科で診察を受けてください。治療経験が多い、大きな病院が望ましいです。突発性難聴は早期治療しない限り、完治が難しい病気ですが、発症してから2日以内に治療を開始すれば、聴力回復が望めるのだそう。時間がたつごとに聴力回復の可能性はどんどん失われてしまいます。突発性難聴が完治する確率は、患者全体の3分の1といわれています。遅くても1週間以内には治療をはじめないと、一生耳鳴りが消えない、聞こえないなどの難聴症状が残ることになるのです。突発性難聴の治療方法突発性難聴は、副腎皮質ホルモン剤で内耳の炎症を抑える治療が一般的です。錠剤の処方で外来治療するか、症状によって最長で2週間入院して、副腎皮質ホルモンを点滴投与します。外来、入院とも治療中は安静が必要ですので、家事や育児、仕事は休みましょう。突発性難聴は完治が難しい病気ですが、早期に治療を開始すればもとの聴力を取り戻せる可能性があります。子どもにも発症するケースはあるので、おかしいと思ったらチェックして、ママが気づいてあげることが大切です。
2016年05月10日東北大学(東北大)と防衛医科大学(防衛医大)は1月18日、騒音性難聴に関する遺伝子を発見したと発表した。同成果は、東北大学 加齢医学研究所 遺伝子発現制御分野 本橋ほづみ 教授と防衛医科大学校 松尾洋孝 講師らの研究グループによるもので、1月18日付けの英科学誌「Scientific Reports」に掲載された。日常生活の中で大音を聞いたことがきっかけとなり生じる騒音性難聴は近年、内耳の酸化ストレスの増大が主要な原因であることが明らかにされてきた。このことから、内耳の抗酸化機能を強めることにより騒音性難聴を治療できると考えられるが、有効な薬はこれまでに開発されていない。今回、同研究グループは、酸化ストレス応答や異物代謝などの生体防御機構で中心的な役割を果たしている転写因子NRF2に着目。NRF2を欠損するマウスに強大音を聞かせたところ、聴力の低下が顕著であり騒音性難聴になりやすいことがわかった。また、正常のマウスにNRF2活性化剤をあらかじめ投与してから強大音を聴かせると、聴力の低下が抑制された。これにより、NRF2の働きを強めることは騒音性難聴の予防に有効であることが明らかになった。一方、強大音を聞かせた後にNRF2活性化剤を投与しても、聴力の低下を防ぐことはできなかったという。つまり、内耳が強大音により障害された後になってしまうと、NRF2の働きを強めても効果は小さいと考えられる。また同研究グループは、NRF2活性化剤を投与することにより、内耳では多くの生体防御に関わる遺伝子が誘導されており、酸化ストレスの指標となる過酸化脂質のレベルが低下することを明らかにした。NRF2は、酸化ストレス障害から内耳を保護することで、騒音性難聴を防いだといえる。さらにこの結果を受けて、NRF2の量と騒音性難聴のなりやすさがヒトでも関連するかどうかを調べるため、自衛隊中央病院で健康診断を受検した602人の陸上自衛隊員の聴力検査の結果とNRF2遺伝子の一塩基多型の相関を検討した。この結果、NRF2が少なめになる一塩基多型を持つ人の方が、騒音性難聴の初期症状である4000Hzの聴力低下が多く見られることがわかった。これにより、NRF2遺伝子の一塩基多型をもつ人は、強大音にさらされる前にあらかじめNRF2活性化剤でNRF2の働きを強めておくことで騒音性難聴を予防できる可能性があると考えられる。今回の研究では騒音性難聴を取りあげたが、もうひとつの主要な感音難聴である加齢性難聴でも、内耳の酸化ストレスがその原因であるとされているため、NRF2の活性化により内耳の抗酸化機能を高めることは加齢性難聴の軽減にもつながると期待されると、同研究グループは説明している。
2016年01月19日順天堂大学と理化学研究所(理研)は3月4日、がん研究所、米・ペンシルバニア大学との共同研究により、「遺伝性難聴」の内で50%以上という最大の割合を占める「GJB2(GAP JUNCTION PROTEIN, BETA-2)変異遺伝性難聴(コネキシン26遺伝子変異型難聴)」の原因である「GJB2(コネキシン26遺伝子)」変異によるメカニズムを明らかにしたと共同で発表した。成果は、順天堂大 医学部耳鼻咽喉科学講座の神谷和作講師、理研バイオリソースセンターらの研究チームによるもの。研究の詳細な内容は、3月4日付けで科学誌「Journal of Clinical Investigation」に掲載された。聴覚障害は出生児1000人に1人の割合で発症する、先天性疾患の中で最も高頻度に発生する疾患の1つで、その半数以上は遺伝子変異を原因とする遺伝性難聴だ(さらに遺伝性難聴は、まれだが皮膚疾患など難聴以外の症状を伴う「症候群性」と難聴を主症状とする「非症候群性」に分類される)。GJB2変異遺伝性難聴は冒頭で述べたように、その中でも日本においては最大となる50%以上もの割合を占めている。GJB2変異遺伝性難聴は難病に指定されており、常染色体劣性と常染色体優性の遺伝形式を持つ「感音性難聴」で、言語発達や教育にも大きな支障をきたしてしまう。また、現時点では同疾患に対する根本的な治療法や治療薬は存在していない。そして「コネキシン26」は、内耳の細胞間のイオン輸送を行うギャップ結合の構成要素の1つであり、内耳リンパ液のイオン組成を保つことにより音の振動を神経活動へ変換することを可能とする重要な分子だ。画像1は内耳・蝸牛の構造である。画像1の右上は内耳・「蝸牛」の位置で、右下は蝸牛の断面図。蝸牛管と呼ばれる空間は高いカリウムイオン濃度のリンパ液で満たされている。左上は蝸牛管の拡大図だ。音の振動を受けた「有毛細胞」では、リンパ液中の高濃度のカリウムイオンが細胞内に一気に流入することで、振動を電気信号に変換し神経活動を生み出している。このカリウムイオンの流れを表したのが画像1の左中央で、カリウムイオンはギャップ結合により細胞間で輸送され、再びリンパ液に戻されることにより、常に高いカリウムイオン濃度を維持している。つまりイオン輸送ができなければ、このリンパ液のカリウムイオン濃度が下がり、振動によるイオンの流入が起こらないために、音から神経活動への変換ができずに聴覚障害の状態となってしまうというわけだ。画像1の左下は、コネキシンは細胞膜で6個の集合体を形成し、これが隣り合う細胞の集合体と連結することにより、中央に分子の通路を持つギャップ結合を形成する(このギャップ結合は分子量約1000以下の低分子やイオンを濃度勾配によって透過させ、細胞間の物質輸送を可能とする)。なおコネキシンは耳以外にも心筋、眼の水晶体、皮膚など、体のさまざまな場所に存在してギャップ結合を形成しており、心筋のギャップ結合は細胞同士を電気的に結合させ、同期的な興奮伝達を行っている。全身で重要な役割を担っていることから、体のさまざまなコネキシン遺伝子が変異を起こしてしまうと、多くの難治性疾患が引き起こされてしまうというわけだ。またコネキシン26、「コネキシン30」は内耳ギャップ結合の主な構成要素であり、ギャップ結合の集合体(巨大なタンパク質複合体)を「ギャップ結合プラーク」と呼ぶ。なお内耳には、コネキシン26と同等のイオン輸送機能を持つほかのコネキシン分子も豊富に存在しており、コネキシン26の働きだけが低下したとしても、そのイオン輸送機能はある程度補完されることが予想されるという。それにも関わらず、なぜコネキシン26の変異を持つ遺伝性難聴患者が重篤な聴覚障害を示すのか、その原因はわかっていなかったのである。そこで研究チームは今回、コネキシン26変異がどのように難聴の原因となっているのかを調べるため、内耳においてコネキシン26遺伝子が部分的に欠損する新しい疾患モデルマウスを作成して研究を進めたというわけだ。コネキシン26変異を持つ患者は劣性遺伝型と優性遺伝型という異なる2種類の遺伝形式により発症し、類似した症状を示す。この点に注目し、2つの遺伝形式を持つコネキシン26遺伝子改変マウスにおける共通点が詳しく調べられた。その結果、2種類の難聴モデルマウスでは共に内耳の細胞から細胞へイオンを輸送するギャップ結合プラークが劇的に分断され(画像2)、大きさが27%程度にまで縮小し、それに伴いほかのコネキシンの量も33%程度にまで減少することが発見されたのである。これにより内耳のイオン輸送ができなくなり、音の振動を神経の電気信号に変換するための内耳リンパ液の組成が異常になるために難聴になると考えられるという(画像3)。この現象は胎生期から始まり、内耳のギャップ結合プラークの正常構造はコネキシン26の発現に完全に依存して維持されていることが証明された(画像4)。つまりギャップ結合プラークの集積・安定化には正常なコネキシン26が必須であり、変異または欠損があると、このタンパク質複合体は劇的に分断されてしまい、ほかのコネキシンと共に減少していくことが明らかになったというわけだ。そこで研究チームはさらに詳しく調べることにし、その結果、コネキシン26の変異により分断されたギャップ結合プラークの周囲では、分子「カベオリン1」および「同2」の量が増加し、これらが行う「エンドサイトーシス」と呼ばれる細胞膜の取り込みが過剰になることがギャップ結合崩壊の原因である可能性が示唆されたのである(画像5)。加えて、研究チームは患者と健常者のコネキシン26およびほかのコネキシンを同時にヒト培養細胞にて発現させ、ギャップ結合プラークの形状と物質輸送能の変化の解析を実施。すると、患者が持つ変異型コネキシン26やコネキシン26が欠損した状態のギャップ結合プラークは、やはり断片化されており、それに伴い物質輸送能も大きく低下していることが判明したのである(画像8)。画像8は、ヒト細胞と患者・健常者の遺伝子を組み合わせて内耳の病態を再現した際の蛍光顕微鏡画像。ヒト培養細胞に健常者の正常コネキシン26遺伝子および難聴者の変異遺伝子を内耳に存在するほかのコネキシン(コネキシン30)と共に導入することにより、内耳での病態を再現することが可能となった。ヒト遺伝性難聴で検出されているコネキシン26・R75W変異およびコネキシン26欠損状態においては、難聴モデルマウスと同様、ギャップ結合プラークが断片化していることが判明。それに伴い物質輸送能も大きく低下することが確認された。これまでコネキシン26変異型遺伝性難聴は、コネキシン26単独でのイオン質輸送能の低下が原因であると考えられてきたが、今回の研究によりコネキシン26がギャップ結合全体のタンパク質複合体を安定化させる役割を持ち、その働きが異常になった際に起こるギャップ結合複合体の崩壊によって内耳のイオン輸送能が低下することが、GJB2変異型遺伝性難聴の大きな原因になっていることが明らかになったというわけだ。現在のところ、この遺伝性難聴に対しては人工内耳や補聴器の適用があるものの、根本的な治療法、治療薬は存在しない。研究チームでは今回開発されたコネキシン26遺伝子欠損マウスを用いて、iPS由来細胞とコネキシン26の遺伝子治療を組み合わせた難聴治療実験を試行し、すでに有効な成果が得られているという。さらに、今回発見された患者の変異コネキシン26によるギャップ結合プラークの劇的崩壊現象は、培養細胞によっても容易に再現可能なため、この現象を有効性判定に利用すれば判定基準のなかった薬剤スクリーニングが可能になるとする。これらはコネキシン遺伝子の変異に起因する、心臓伝導障害(心疾患)、白内障、掌蹠角化症(皮膚疾患)などの多くの遺伝性・難治性疾患の病態メカニズム解明や創薬スクリーニングの指標としても大いに活用できると考えられるとしている。
2014年03月04日生理学研究所(NIPS)は1月29日、「突発性難聴」を発症した患者に、聞こえが悪くなった耳を積極的に活用するリハビリテーション療法で、聴力がより回復することを明らかにしたと発表した。成果は、NIPSの岡本秀彦特任准教授、同・柿木隆介教授らの研究チームによるもの。研究の詳細な内容は、1月29日付けで英オンライン総合学術誌「Scientific Reports」に掲載された。突発性難聴は急激に聴力が低下する原因不明の疾患で、日本における受療率は年間1万人当たり約3人で増大傾向が認められている。突発性難聴に対してどの治療法が有効かは判明しておらず、現在主流であるステロイド療法の有効性に関してさえ論争中だ。研究チームは、ヒトの脳活動を「脳磁計」で測定し、病気やリハビリテーションなどにより脳活動がどう変化するかを研究している。今回の研究では、突発性難聴患者に対して新しいリハビリテーション療法を行うことで、その有効性が確かめられた。突発性難聴になるとそれを発症した側の耳が聞こえにくくなるため、正常な耳ばかりを使い難聴の耳は使わなくなってしまう。そうすると、難聴の耳から入力を受けている脳の部位も活動を低下させてしまう。脳は使われないと、その機能がどんどん衰えてしまうのだ。そこで、今回の研究では突発性難聴患者の正常な耳を耳栓で塞いで聞こえにくくした上で、逆に難聴になった耳に音楽をたくさん聴かせるという「病側耳集中音響療法」で、難聴の耳とそれに対応する脳部位の神経活動の活性化が試みられた(画像1)。その結果、通常のステロイド療法に加え病側耳集中音響療法が行われた22名の突発性難聴患者の聴力は、ステロイド単独療法の31名の患者に比べて、よく回復したのである(画像2)。また、生体磁気計測装置「MEG(magnetoencephalography)」を使い、病側耳集中音響療法を受けた内の6名の脳における反応の記録も行われた。片方の耳に音を聞かせると通常反対側の脳活動の方がやや大きくなる(左右差=約0.2)が、入院時はこのような脳活動の左右差がないことが確認されたのである。しかしステロイド+病側耳集中音響療法が行われた後では、約3カ月で、健常人と同様の脳活動の左右差が認められるようになった(画像3)。病側耳集中音響療法により、難聴の耳に対応する脳部位が再活性化したのではないか、と考えられるという。岡本特任准教授は、「これまでは突発性難聴に対しては薬物療法を行い静かに過ごすことが推奨されてきました。しかし、むしろ聞こえにくくなった耳を積極的に使うことで、機能の回復を図るリハビリテーション療法が有効であること、また脳活動の回復にも繋がることを今回の研究により示すことができました。今後も、より効果的な治療法の開発に役立て行きたいと考えています」と話している。
2014年01月30日スマートフォンや携帯型音楽プレーヤーでヘッドホンを使う人が急増中と言いますが、同時に難聴になる人が増えているというニュースが続いています。そこで、聴覚の仕組みや難聴の予防策について耳鼻咽喉科専門医でとおやま耳鼻咽喉科院長の遠山祐司先生にお話を伺いました。■個人差や体調によっても難聴になりやすさが違う――ヘッドホンやイヤホンによる難聴が多くなっていると聞きますが、先生の病院でも増えていますか。遠山先生ここ1~2年、ヘッドホンで音楽を聴き続けたことによって耳が聞こえづらくなったという患者さんが増えています。以前は「ロック難聴」といってロックのコンサートやディスコの強大音で難聴になるケースがありました。今はヘッドホンやイヤホンで音楽を聴くのが習慣になっていて、突然耳が聞こえづらくなる症状で来院する人が多いんです。大きな音を聞いたあとは、誰もが一時的に耳が遠くなりますが、その後平常の状態に戻ります。また、一般的に言うと、若いうちはもとに戻りやすく、年齢とともに戻りにくくなる傾向にあります。とはいえ、個人差も大きく、その日の体調によっても影響の度合いは大きく左右されます。――ヘッドホンによる難聴は耳のどこを損傷しているのでしょうか。遠山先生聴覚は、音の振動によって鼓膜(こまく)がたわみ、それが耳小骨(じしょうこつ)を通って内耳(ないじ)の内リンパ液をふるわせることから起こります。そしてリンパ液の振動が神経に伝わり、脳へと音を感知する仕組みになっています。ヘッドホン難聴はこの内耳の部分が損傷を受けて発症します。今の医学では、この部分を手術で治すことができないため、保存的加療(服薬や点滴など)をします。■後ろから自転車が近づいてきたことが分かる音量にする――では難聴を防ぐには、どのくらいの音量で聞けばよいのでしょうか。遠山先生例えば、ヘッドホンで音楽を聴きながら歩く場合、「後ろから自転車が近づいてきたことが分かるかどうか」が一つの目安になります。音によって聴覚が損傷を受ける「音響外傷(おんきょうがいしょう)」の一つに「騒音性難聴」があります。これは鉄工所や解体作業場など、慢性的な騒音が原因で難聴になるケースです。労災では勤務場所の騒音レベルは85デシベル以下と規定されています。この85デシベルという音量は、工事現場や電車の騒音と同じレベルで、ヘッドホンで音楽を聴く場合でも、音量がおおよそ85デシベル以下なら問題はないといえます。その目安が後ろからきた自転車に気付くかどうかです。ちなみにロックのコンサートやディスコの音は110~120デシベルで、120デシベルを超えると、人は不快になりうるさいと感じます。火薬類の爆発は140デシベルほどあり、衝撃が大きすぎて、耳の奥から耳全体が痛くなります。■ヘッドホンで音楽を聴く時間はCD一枚程度に――ヘッドホンを使うときに気をつけたほうがよいことを教えてください。遠山先生「ヘッドホン難聴」を防ぐには、耳が疲れたなと思ったら休ませることが肝心です。さらに、聞く時間はCD一枚程度にとどめておくのが無難です。また、ヘッドホンは耳にはめ込むタイプのものよりも、耳全体を覆う形の方が負担は少ないです。あと、寝るときにヘッドホンで音楽を聴きながら眠る人がいますが、それは耳を疲れさせるので止めおきましょう。――よく分かりました。ありがとうございました。若くても耳を酷使しすぎて、難聴を引き起こすこともあるのは本当のようです。ヘッドホンで音楽を聴くときは音量や時間に十分に気をつけましょう。監修:遠山祐司氏。耳鼻咽喉科・気管食道科専門医。医学博士。とおやま耳鼻咽喉科院長。とおやま耳鼻咽喉科TEL: 06-6923-4187大阪市都島区御幸町1-9-1地下鉄谷町線都島駅から徒歩7分藤井空、庄司真紀/ユンブル)
2012年02月08日子宮頸がん・ヒブワクチン接種費の半額負担に山口県長門市は、子宮頸(けい)がん予防ワクチンと乳幼児の細菌性髄膜炎を防ぐヒブワクチンの接種費用を助成するため、「すこやかながとワクチン基金」を設立、来年度から接種費用の半額を助成するとのこと。これは、朝日新聞が報じたもの。基金の設立を働きかけた市内の医療法人社団成蹊会岡田病院の岡田和好院長らが4日、市役所を訪れ、南野京右市長に原資として病院が500万円、成蹊会職員一同(290人)が30万円を寄付したという。病院開設50周年を記念して寄付をしたという岡田院長は、「地域医療に役立ててほしい」と話しているという。国内で承認されている両ワクチン、若年接種が効果的子宮頸がんは20~30代の女性に多く、国内で年間約1万5千人が発病、約3500人が死亡している。また細菌性髄膜炎は、5歳以下の子どもが罹り易く、国内で年間約600人が発症し約5%が死亡、20~30%に難聴やてんかん、発育障害などの後遺症が残るとされる病気だ。いずれのワクチンも国内で承認され、子宮頸がん予防ワクチンは小学生から中学生の間に、ヒブワクチンは乳幼児の頃に接種すれば効果的といわれている。一般の医療機関で接種できるものの、現時点では保険の適用がなく、任意接種となっており、費用は子宮頸がんワクチンが計3回接種で約4~6万円、ヒブワクチンは計4回接種で約3万2千円という。現在、全国的に接種費用の公的負担の動きが出てはいるが、長門市では来年度、市の持ち出しも含め、中学3年生の女子約170人と乳幼児約1400人を助成対象にするといい、子宮頸がん予防ワクチンへの助成は県内初、ヒブワクチンへの助成は宇部市に次いで2例目とのことだ。
2010年10月07日