東京大学(東大)は6月16日、これまで存在が不確かであった、電池の充電を早くする「中間状態」を人工的に作り出すことに成功したと発表した。同成果は東京大学大学院工学系研究科化学システム工学専攻の山田淳夫 教授、西村真一 特任研究員らの研究グループによるもので、6月12日に独化学誌「Angewandte Chemie International Edition」に掲載された。電池には充電状態でも放電状態でもない「中間状態」があり、これが反応中に現れることで充電を早く行うことができるとする学説については、そもそもそのような状態が存在するのか、存在したとしてどのような場合に現れるのかという漠然な議論に留まっていた。今回の研究では、電気を蓄える物質の元素の構成比や熱処理の条件を最適化することで、室温で長時間安定に存在する「中間状態」が人工的に得られることを発見し、その存在を証明した。また、「中間状態」を分析した結果、電子の並びが縞状に規則正しく模様を描き、これを邪魔しないようにイオンが自発的にその位置を柔軟に変えていることがわかった。このような状況下では、通常観測される充電状態や放電状態よりも電子やイオンがはるかに高速に移動できることも判明。これにより、「中間状態」を発現させることが、充電速度を早くする上で重要な方向性となることが明らかとなった。同研究グループは「電池の充電速度を速くするための一般的な指標が得られ、これをもとに材料の開発を行い、充電条件を最適化することで、充電時間の短縮が効率的に行われる。電池の充電時間が短縮されることで、生活の様々な局面での利便性が向上することが期待される」とコメントしている。
2015年06月17日電気通信大学は6月10日、固体高分子形燃料電池触媒劣化についてナノXAFS/TEM2次元同視野イメージングに成功したと発表した。同成果は同大学燃料電池イノベーション研究センターの岩澤康裕 センター長・特任教授らの研究グループによるもので、米化学会誌「Journal of the Physical Chemistry Letters」に掲載される予定。燃料電池はクリーンなエネルギー源として注目され、昨年12月にトヨタ自動車から燃料電池車MIRAIが発売されるなど、応用が進んでいる。しかし、その本格普及に向けては燃料電池触媒の耐久性向上など、まだまだ課題が多い。触媒の耐久性向上を実現するために、劣化の原因とメカニズムの解明が必要となるが、従来の観察手法では燃料電池が発電する時と同じ条件で観察することができていなかった。今回の研究では、兵庫県にある大型放射光施設「SPring-8」に同大学が建設した、燃料電池計測用のX線吸収微細構造(XAFS)ビームライン「BL36XU」に開発整備した2次元走査型顕微鏡XAFSシステム(ナノXAFS)と走査型透過電子顕微鏡(STEM)を独自設計のメンブレンXAFS/STEM測定セルを用いることで組み合わせて使用し、燃料電池が発電する時と同じ飽和水蒸気下で燃料電池触媒を観察することに成功した。また、同手法によってアノードガス交換の繰り返し(起動・停止の繰り返し)劣化により、カーボン担体から白金(Pt)がPt2+イオンとしてとして酸化溶出する領域と、Pt金属ナノ粒子として脱離してしまう領域があり、その違いがPt/アイオノマー比によって決まることを発見した。岩澤センター長は「発電下の燃料電池電極触媒はウェットな環境で複雑なため劣化の因子やメカニズムを直接観察する手段に乏しく、特に耐久性の向上について、これまで主に経験を頼りに議論・対応してきたが、開発したナノXAFSーSTEM/EDS同視野イメージング法は、燃料電池触媒の劣化機構解明と劣化抑制の解決に繋がる情報を提供し、今後の燃料電池車本格普及のための次世代燃料電池触媒設計の理解を深め開発を加速するものと期待される。」とコメントしている。
2015年06月11日新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は6月5日、燃料電池自動車(FCV)の本格的な普及に向け、燃料電池の高性能化・低コスト化、生産性の向上の実現に向けた研究開発プロジェクトに着手すると発表した。すでに一部の自動車メーカーよりFCVの販売などが開始されているが、本格的な普及に向けては、搭載されている固体高分子形燃料電池(PEFC)の低コスト化に向けた白金使用量の低減、車種の拡大に向けた燃料電池の高性能化、燃料電池の生産性の向上などの技術課題がいまだに存在しており、今回のプロジェクトでは、こうした課題のうち、ユーザー企業において技術開発・製品化を促進するための基盤となる技術開発を進めるという。具体的には、新たな燃料電池の開発を効率的に実施するために有効な、「燃料電池の内部構造や反応メカニズムをさまざざな手法を駆使して解析する技術」、「商用車への適用を見据えた5万時間(乗用車の10倍)の耐久性評価を可能とする技術」、「高性能化を実現する新規材料の、燃料電池への適用を可能とする設計指針(コンセプト)の創出」などの基盤的な研究開発に取り組むとしているほか、生産性を現行の10倍程度に向上させることを目指した新たなプロセス技術などの研究開発も進める計画としている。
2015年06月05日理化学研究所(理研)は5月26日、半導体ポリマーを塗って作る有機薄膜太陽電池(OPV)のエネルギー変換効率を10%まで向上させることに成功したと発表した。同成果は理研創発物性科学研究センター創発分子機能研究グループの尾坂格 上級研究員、瀧宮和男 グループディレクターと北陸先端科学技術大学院大学の村田英幸 教授、バルーン ボーラ 博士研究員、高輝度光科学研究センターの小金澤智之研究員らの共同研究チームによるもの。5月25日(現地時間)の英科学誌「Nature Photonics」オンライン版に掲載された。OPVは軽量で柔軟という特長を持つことに加えて、半導体ポリマーを塗布することで作製できるため低コスト・低環境負荷なプロセスで大面積化が可能となる。そのため、次世代の太陽電池として注目されているが、これまではエネルギー変換効率20%のシリコン太陽電池の半分以下しか変換効率がなかった。近年、一部の企業がエネルギー変換効率10%を達成していたが、重要な技術はほとんど公開されていなかった。今回、研究チームは理研の研究チームが以前開発した半導体ポリマー「PNTz4T」を用いたOPV素子の発電層や素子構造を改造し、変換効率の向上に成功した。具体的には、半導体ポリマーとフラーレン誘導体を融合し、発電層の厚さを約300nmと従来の2倍に厚くすることで、電流密度を増大させた。一般的に半導体ポリマーはシリコンなどの無機半導体に比べてホール移動度が低く、発電層を厚くするとホールが電極に達する前に電子と再結合してしまうため変換効率が下がるが、PNTz4Tはホール移動度が高いため発電層を厚くすることが可能だった。また、PNTz4Tは上部電極方向にホールを流しやすい特徴を持つため、従来のOPV素子の陽極と陰極の配置を入れ替えた素子を適用したことも変換効率の向上につながった。今後、PNTz4Tに改良を加え、材料に適した素子構造を開発することで、実用化の目安とされるエネルギー変換効率15%の到達に大きく近づくことが期待される。
2015年05月26日日立マクセルは5月19日、マルチコプター(ドローン)市場への参入を発表した。産業用マルチコプターを手がけているエンルートと、マルチコプター用のリチウムイオン電池パックおよび充電器の開発・生産・販売で戦略的協力関係を構築する。日立マクセルは、ラミネート形リチウムイオン電池をベースに、マルチコプター向けのリチウムイオン電池パックを開発した。ラミネート形リチウムイオン電池は、高出力放電かつ優れた安全性を持つ。マルチコプター用のリチウムイオン電池では、さらに保護回路の搭載や充電時の設計改善などによって安全性を高めている。専用の充電器も新たに開発した。過電圧や短絡の保護、電池温度の監視機能、フル充電完了を知らせるLED表示機能、ワールドワイド入力対応、電安法への適合など安全に配慮した設計となっている。共同開発したマルチコプター向けリチウムイオン電池パックと充電器は、エンルートを通じて販売される予定だ。マルチコプター向けのリチウムイオン電池パックと充電器は、5月20日から幕張メッセで開催される「第1回ドローン展」のマクセルブースに出展される。
2015年05月19日Texas Instruments(TI)は、既存の電池充電回路と比較して最大60%、充電時間を削減することが可能な単一セルリチウムイオン電池向け5A対応 完全統合型充電IC「bq25892」を発表した。同製品は、同社独自のMaxChargeテクノロジを搭載しており、これによりより短い充電時間と、より発熱の少ない充電動作を実現し、機器の総合的な動作寿命の延長を可能にする。また、そのMaxChargeテクノロジと、より狭い電圧範囲のDC/DC電源経路管理を組み合わせたことで、最大入力電圧14V、最大充電電流5Aをサポート、入力電圧9Vかつ充電電流3.5A時に最大充電効率91%、最小温度上昇18℃を提供し、より迅速かつ発熱の少ない充電を行うことができるという。なお同製品は4mm×4mmの24ピンQFNパッケージですでに量産出荷中で、TI Storeや販売特約店から供給される。価格は1000個受注時の単価(参考価格)で2.50ドルとしている。
2015年05月08日新日鐵住金は4月16日、燃料電池内の基幹部品における腐食環境に対して優れた耐食性を有する特殊圧延チタン箔の製造方法を開発、トヨタ自動車が販売する燃料電池自動車「MIRAI」の燃料電池スタック内のセルを構成する部品として採用されたことを明らかにした。チタンは軽い、強い、耐食性に優れているといった機能を有する素材であり、航空機や電力・化学プラント、自動車部品、眼鏡や時計といった民生品まで幅広い分野で用いられている。同社では、1987年よりチタン箔製品の提供を行ってきており、MIRAIへの採用は、そうした高品質、高付加価値製品として評価された結果となる。なお、同社では今回のMIRAIへの採用により、将来期待される水素社会の一翼を担う、先進性の高い事業分野への進出を加速するなど、チタン製品の新たな需要分野を開拓し、適用拡大を進めていく方針としている。
2015年04月16日●高効率技術の結集でセルからモジュールまでの一貫生産を可能にした生産拠点○BLACKSOLAR生産の戦略的拠点シャープが、大阪府堺市の堺太陽電池工場の様子を公開した。堺太陽電池工場は、奈良県葛城市の葛城事業所とともに、同社のソーラー事業の中核拠点のひとつであり、報道関係者に同工場が公開されるのは初めてのことだ。堺太陽電池工場は、畳5畳分におよぶ第10世代のマザーガラスにより、液晶パネルの生産を行う堺ディスプレイプロダクツなどと同じグリーンフロント堺のなかに位置する。2007年7月に建設を決定。2010年3月には薄膜太陽電池生産ラインが稼働。2010年12月には、単結晶太陽電池「BLACKSOLAR」の生産ライン導入を発表し、2011年3月から同生産ラインが稼働。2015年6月には、「BLACKSOLAR」の新製品を発売するのにあわせて、今年3月までに4億円、6月までに10億円の合計14億円を投資。生産能力を現在の200MWから、210MWにまで拡張する予定だ。シャープ 常務執行役員 エネルギーシステムソリューション事業本部長の向井和司氏は、「堺太陽電池工場は、高効率技術の結集により、セルからモジュールまでの一貫生産を可能にする生産拠点。BLACKSOLARも、高品質の量産を実現できる堺太陽電池工場だからこそ実現できるものだ」と語る。シャープは単結晶太陽電池「BLACKSOLAR」を、住宅向け製品の主力に据えている。BLACKSOLARは、バックコンタクト構造を採用することで、従来は表面にあったマイナス電極を、プラス電極とともに裏面に配置。これによって、表面の全体で受光できることができるのが特徴だ。「電極部によって発生する集光のロスを排除。セル全体で光を受けるため、従来製品では94%だった受光面積が100%になる」という。また、同社独自の微細加工技術により、裏面電極の銅配線は200本以上としたほか、120μmレベルというセルの厚みを実現。一般的な太陽電池セルに比べて約40%薄型化したという。「裏面電極に使用している微細加工技術は、一般的な太陽電池に比べて10分の1。高出力化するとともに、信頼性向上を実現している」と胸を張る。2015年モデルでは、220Wの出力が実現できるという。●日本のソーラーパネル設置家屋の半数はシャープ製○66万件の屋根パターンを蓄積シャープのソーラー事業の強みは、モジュールの強みだけではない。ソリューションという領域にまで広がっている点が見逃せない。1つめは、モジュールの設置ノウハウの蓄積だ。シャープでは、日本のソーラーパネル設置家屋の約半分にあたる約68万件の実績を持ち、それをもとにして66万件の屋根パターンをCADデータとして蓄積している。「日本の屋根を最も知っているのがシャープ。サイズが異なる太陽電池モジュールを組み合わせることで、最も効率性が高い太陽電池モジュールの配置とともに、屋根と一体化した美しい外観を実現できる」とする。また、モジュールで20年間、システム機器で15年間という長期無償保証もシャープならではのものだ。「これも、堺太陽電池工場でセルからモジュールまでを一貫生産するからこそ実現できるサービス」だと語る。2つめは、クラウド蓄電システムとの組み合わせだ。蓄電池に「クラウド」という名称が付くように、クラウド上のサーバと連携することで、時間ごとの電気料金の変化や、それぞれの地域の気象の変化を捉え、蓄電する電気量を可変するといった制御が可能になる。これから雨が降るという予報が出ていた場合には、蓄電量を多めにするといった具合だ。「クラウドにつながることで、賢く電気を使う暮らしを提案できる」と強調する。○新たな安全基準にも準拠さらに、安全性の観点からも優位性を示す。政府では、今年度から新たな安全基準として、震災対策基準を追加。電池本体に釘を指した試験や、筐体天面への加圧試験により、貫通や変形させたあとに、1時間内に発煙、発火、破裂しないことが求められるという厳しい内容になっている。「シャープの蓄電池は、新たな厳しい基準をクリアするものになっている」と、向井常務執行役員は安全性にも自信をみせた。クラウド蓄電池は、屋外タイプ、屋内タイプの2種類を用意。4.8kWと9.6kWの2種類の製品をラインアップして、ライフスタイルにあわせた提案を可能にしている。また、これまでは蓄電池を導入しようとすると、太陽電池のパワコン(パワーコンディショナー)と、蓄電池のパワコンの2台が必要であったが、これを1台でまかなうハイブリッドパワコンを用意。導入コストの削減や、パワコン間での電力ロス問題を解決できるという。●シャープ再建の柱に位置づけられる「ソーラー事業」○ソリューション比率を5割に拡大3つめには、DC家電との一体システムの提案や、HEMSによる消費電力の削減提案を行える体制を整えていることだ。シャープは、グリーンフロント堺の敷地内に、DCエコハウスと呼ぶ試験棟を設置しており、ここでHEMSやV2H(ビーグル・トゥ・ホーム)の実証実験や、DC照明やDCエアコンといった製品とのDC連携を検証しており、ここでの成果をもとに、製品を市場投入しているという。また、千葉県の柏の葉スマートシティプロジェクトにも参画し、建材一体型の結晶太陽電池を3542台納入。720kWを発電する街全体でのソーラーソリューションの取り組みも行っている。太陽電池モジュールだけのビジネスではなく、ソリューションを含めた提案活動を行う体制を整えている点は、同社のソーラー事業の大きな強みとなっている。ソーラー事業を担当する組織を、「エネルギーシステムソリューション事業本部」という名称にしていることからも、シャープがソーラー事業の軸にソリューションを置いていることが裏付けられる。同社では、現在、15~17%に留まっているソリューション事業比率を、2017年度までに約5割に拡大する計画を明らかにしている。○シャープ再建の柱に位置づけるシャープのソーラー事業は、2014年度には、赤字が見込まれている。2月3日に発表した2014年度第3四半期業績発表において、30億円の黒字見通しであったものを、50億円の赤字へと下方修正。昨年の黒字から一転して赤字となる。ソーラー事業の業績悪化の理由として、シャープの高橋興三社長は、「為替変動への対応遅れに伴う国内事業の採算悪化」、「新設住宅着工件数の減少や、産業用需要の低迷」をあげ、組織のスリム化やバリューチェーンの見直しによるコストダウンの推進、エネルギーソリューション事業のグローバル展開、欧州構造改革効果の着実な取り込みを、今後の方針に掲げた。だが、その一方で、ソーラーパネルの原材料となるポリシリコンの安定調達のために、2020年まで結んだ長期購入契約が業績悪化を招いているのではないかとの指摘もある。現在、この長期安定契約では、時価水準を大幅に上回る価格で、ポリシリコンを調達しており、これがパネル生産の収益性に悪影響を与えていると見られるからだ。だが、これに対して、シャープのエネルギーシステムソリューション事業本部長の向井和司常務執行役員は、「ポリシリコンの調達量は所要数量内。しかも、モジュール全体に占めるコストはわずか数%に留まる。シリコンの厚みを薄くすることで、コスト面では吸収が可能。トータルプロセスのなかで解決できる」と反論した。もちろん、安く調達できることにこしたことはないが、その影響は軽微であることを示したわけだ。そして、「2015年度は、ソーラー事業の黒字化を見込んでいる。優位性を持てる技術は自ら開発し、差別化できるものは自ら生産する体制を取る」と、堺太陽電池工場における生産の強みを生かし、黒字化へとつなげることを強調する。「ソーラー事業は、1959年にスタートして以来、56年目を迎える事業。開発、生産、販売をしっかりと維持するとともに、事業成長に取り組む。やめる気も、売却する気もない。むしろ、シャープ再建のひとつの柱になる」と、向井常務執行役員は意気込む。シャープ再建の柱であることを示す材料はまだ不足しているが、ソーラー事業はシャープにとって重要な柱であることは間違いないようだ。
2015年04月10日東京大学(東大)などは、リチウムなどの希少元素を使用しない次世代電池の候補であるナトリウムイオン電池のマイナス極を開発したと発表した。今回の成果は、東京大学 大学院工学系研究科化学システム工学専攻の山田淳夫 教授、同大 大学院工学系研究科化学システム工学専攻の大久保將史 准教授、同大 大学院工学系研究科化学システム工学専攻の王憲芬 特任研究員、同大 大学院工学系研究科化学システム工学専攻の梶山智司 特任研究員、同大 工学部 化学システム工学科の飯沼広基 学部生、長崎大学 大学院工学研究科の森口勇 教授、同大 大学院工学研究科の小路慎二 大学院生らによるもの。同研究の詳細は「Nature Communications」に掲載された。リチウムイオン電池は、希少元素であるリチウムやコバルトを使用しており、さらなる低コスト化などを図るためにはリチウムをナトリウムに置換したナトリウムイオン電池の実現が求められている。しかし、その実現のためには、ナトリウムイオンを吸蔵・放出する化合物の対(プラス極/マイナス極)が必要であった。プラス極は、これまでの研究からナトリウムイオンを可逆的に吸蔵・放出できる化合物が多数報告されるようになっているが、マイナス極については、急速充電、長時間の電流供給、充放電の繰り返しに対する安定性などの条件を満たす化合物が見つかっていなかった。今回、研究グループは、新たにチタンと炭素で構成されるシート状の化合物を合成し、それをマイナス極に応用したところ、多量のナトリウムイオンを吸蔵・放出する特性を示し、ナトリウムイオン電池の長時間の電流供給を可能とするマイナス極であることが確認されたほか、急速充電にも対応できることが示されたという。実際にすでに研究グループが発見していた安価な鉄と硫黄で構成されるプラス極と組み合わせることで、ナトリウムイオン電池のプロトタイプを試作。長時間の電流供給が可能であり、充電・放電を繰り返すことによる劣化もないことが確認されたとする。なお、研究グループでは、今回の成果について、試作したナトリウムイオン電池はナトリウム、鉄、硫黄、酸素、チタン、炭素などの汎用元素のみで構成され、まったく希少元素を使用する必要がないものであり、この結果を受けて、低コストな電池の実用化が加速していくことが期待されるとコメントしている。
2015年04月06日ダイソンは4月6日、米ミシガン州のベンチャー企業で全固体電池の開発を行っているSakti3に1500万ドル(約18億円)を投資すると発表した。Sakti3は高性能・高安全性・低コストな全個体電池技術の商品化に取り組んでおり、すでに最新の液体リチウムイオン電池のエネルギー密度の2倍に相当するバッテリー密度1100Wh/l以上を実現している。同技術は将来的に電気自動車、再生可能エネルギーの貯蔵などへの利用が期待されており、Sakti3はダイソンのほか、コスラベンチャーズ、ベリンジア、ゼネラルモーターズ、伊藤忠商事から5000万ドル(約60億円)以上の投資を獲得している。
2015年04月06日計測技術研究所は、燃料電池(蓄電池)評価に対応した標準仕様を機能追加した大容量直流電子負荷装置「34100/34200/34300/36200/36300シリーズ」の販売を開始したと発表した。燃料電池の発電特性および蓄電池の放電特性評価で要望のあったCC+CV、CP+CVモードと太陽光発電パネル(PV)の発電評価としてMPPT(最大電力追従)モードを標準機能として新たに追加。さらにカーエレクトロニクス向けの設備で必須である非常停止ボタン(前面)ならびに非常停止入力(接点)も装備している。またPLC(プログラマブル・ロジック・コントローラ)によるリモート制御用として、外部アナログ信号(入力:3出力:2)/デジタル信号(入力:6出力;7)を追加装備し、PLC制御との組み合わせと親和性を向上した。今後大容量化されていく新エネルギーの評価用、電子負荷装置として、5kW~最大60kWまで幅広い発電素子の試験・評価や自動化に適している。なお、標準価格は172万円からとなっている。
2015年03月20日東芝燃料電池システムは3月9日、山口リキッドハイドロジェン、長府工産、岩谷産業と共同で、同社が開発した次世代型の純水素型燃料電池を山口県周南市内の徳山動物園と周南市地方卸売市場に設置し、3月21日から実証試験を順次開始すると発表した。同社が開発した燃料電池は、出力700W、発電効率50%を実現。また、水素をそのまま燃料とするためCO2を全く発生させずに発電できるほか、1~2分で発電を開始することができる。今回の実験では、水素によって発電した電気を、施設の照明や空調などに利用し、発電時に作られた温水を、動物や野菜の洗浄用シャワーに利用する予定。東芝燃料電池システムは、同実証実験によって2017年までに稼働データを収集するとともに運転方法や適用メリットを検証し、さらなる効率化を図っていくとしている。
2015年03月10日GSユアサは3月3日、回生エネルギーを有効活用するシステムや電力安定化システムなどの産業用途向けに、高入出力タイプの新型リチウムイオン電池モジュール「LIM25Hシリーズ」を発売した。同製品は、同社が長年培ってきた産業用リチウムイオン電池のノウハウと車載用リチウムイオン電池の量産技術を結集し、同社従来品に比べてコストダウンを実現したもの。また、エネルギー密度や内部抵抗の改良により、高い入出力特性が求められる幅広い用途で使用が可能となったという。8個の電池セルをモジュール化しており、定格容量25Ah、公称電圧28.8V、最大充電電流および最大放電電流は600Aとなっている。使用周囲温度範囲は-20~45℃、使用周囲湿度範囲は0~90%、外形寸法はW219mm×D440mm×H128mmで、質量は17.5kgとなっている。
2015年03月04日ラピスセミコンダクタは2月17日、蓄電システムなどのリチウムイオン電池監視システムを小型化できると同時に、最大16セルの多段接続に対応したリチウムイオン電池監視LSI「ML5239」を発表した。同製品は、1つで16直列セルまでのリチウムイオン電池監視システムに対応可能。80Vという業界最高クラスの耐圧で、より高電圧のシステムを容易に構築できる。また、16直列セルの対応に加え、多段直列接続機能を使用することで、さらに多直・高電圧なリチウムイオン電池監視システムに対応でき、多セルシステムの大幅な簡略化に貢献する。さらに、パワーダウン時の消費電流を0.1μA(Typ.)と極限まで小さくしたことで、システムの低消費電力化を実現する。特に、監視インターバルの長いシステムで効力を発揮するとしている。この他、測定値は内蔵A/Dコンバータ(ADC)によりデジタル化され、SPIにより外部へ送信される。これにより、シンプルでノイズの影響を受けにくい電池監視システムを構成することができる。なお、現在サンプル出荷中で、価格は1200円(税抜き)。ラピスセミコンダクタ宮崎(宮崎市)で、5月から月産2万個体制で量産が開始される予定。また、簡単に評価を開始できる評価ボードやソフトウェアなどが用意されており、Webサイトからユーザ登録することで利用できる。
2015年02月18日カネカは2月18日、一般住宅向けスレート瓦専用太陽電池に多結晶シリコンタイプをラインアップに追加し、販売を開始したと発表した。同社のスレート瓦専用太陽電池は小分割された寸法により、寄棟など大判の太陽電池の設置が困難な屋根形状でも、効率的に設置ができる特徴を持っている。そして、今回追加された多結晶シリコンタイプは400×1000mmサイズで出力46Wを有しており、1枚当たりの出力が従来の薄膜シリコンタイプより大きく、大容量ニーズに応えることができる。また、同社のスレート瓦専用太陽電池は、独自の特殊備品によりスレート瓦に穴を新たに開けることなく太陽電池が設置できるため、漏水リスクを低減できる。さらに、都市部において増えている太陽電池に積もった雪が滑落する事故に対処するための雪止め金具を設置することができる。なお、同製品は、カネカが100%出資するカネカソーラー販売からの販売を予定している。
2015年02月18日GSユアサは1月27日、災害に強く環境負荷の小さい地域づくりやエネルギーコスト削減に最適なリチウムイオン電池一体型の太陽光発電用パワーコンディショナ「パワーソーラー III」を発表した。同製品は、出力容量4.5kWのパワーコンディショナにリチウムイオン電池「LIM50」シリーズを搭載しており、災害による大規模停電時にも安定した電力を供給することができる。さらに、深夜電力や太陽光で発電した電力を蓄電池に充電しておくことで、曇天時など太陽光による発電電力が少なくなった時には、蓄電池から電力供給をサポートすることも可能である。具体的には、リチウムイオン電池の容量は4.2/8.4/12.6kWhの3種類から選択可能。さらに、防塵・防水に関する保護等級IP34相当の自立キャビネットを使用しており、屋外に設置できる。加えて、独自技術により、蓄電池からの逆潮流を防止し、太陽光パネルからの逆潮流が可能となっている。そして、自立運転への手動/自動切換設定などの操作や、停電対応運転モード、夜間電力利用運転モード、太陽電池電力充電運転モードの切り換えをタッチパネルを採用したモニタより設定できる。なお、価格は、4.2kWhが454万円、8.4kWhが665万円、12.6kWhが887万円。
2015年01月28日トヨタ自動車はこのほど、セダンタイプの新型燃料電池自動車(FCV)「MIRAI(ミライ)」の受注台数が、2014年12月15日の発売から約1カ月にあたる2015年1月14日時点で、約1,500台になったと発表した。これは、2015年末までに約400台としていた販売目標台数の3.75倍となる。受注の内訳は、官公庁や法人が約6割、個人での購入が約4割となり、地域別では、東京都、神奈川県、愛知県、福岡県が中心となっている。同車は、将来の有力なエネルギーである水素と空気中の酸素と化学反応させ、それにより発電した電気で走る燃料電池自動車。優れた環境性能や利便性・走る楽しさも併せ持ち、モビリティの新しい幕開けを告げるとともに将来の水素社会の一翼を担い、エネルギー多様化への対応をさらに加速させるものと期待されている。
2015年01月21日日立マクセルは1月13日、小型高出力の角形リチウムイオン電池「ICP382230AQS」の量産開始、および厚さ0.4mmのシート状リチウムイオン電池「045050/042550」2タイプのサンプル出荷開始を発表した。小型角形リチウムイオン電池は、高容量LCO-NCM系正極の採用と電解液やセパレータの改良により、高出力特性を実現するとともに、寿命特性、安全性、温度特性などの電池性能をより高めている。また、定格容量250mAh、サイズ3.8mm×22mm×30mmで、500mAの連続放電、1Aのパルス放電の高出力特性を実現している。さらに、30分でSOC 70%程度の急速充電に対応する他、保護回路付き標準パック「LP55A1」をラインアップしており、小ロット受注にも対応する。今後は、独自のシリコン系負極を用いた高容量技術を適用し、さらにエネルギー密度を高めていく予定としている。一方、シート状ラミネート電池は、セル厚み0.4mmで薄型カード機器への埋め込み電源などに適した2次電池である。サイクル寿命は500回を確保しており、繰り返しの充放電後も安定した放電容量を実現している。加えて、独自のゲル化技術により、漏液を防ぎ、高い信頼性を確保したという。
2015年01月14日武蔵野銀行はこのたび、低炭素社会の実現に向けた取り組みの一環として、トヨタ自動車の新型燃料電池自動車(FCV)「MIRAI」を2台導入。また、電気自動車用普通充電器を県内8か店に設置し2月より順次、供用を開始すると発表した。○導入する新型燃料電池自動車(FCV)について導入車両:「MIRAI」FCV2台(本部営業車として使用予定)特徴:水素を空気中の酸素と化学反応させて自らが発電して走行する自動車。走行中の二酸化炭素(CO2)排出量がゼロであることから究極のエコカーと呼ばれている。また、災害時には、移動電源車としての活用が可能
2015年01月14日トヨタ自動車と日野自動車は1月8日、新しい燃料電池システム「トヨタフューエルセルシステム(TFCS)」を搭載した燃料電池バス(FCバス)を開発し、1月9日から愛知県豊田市内を走る路線バス「とよたおいでんバス」の営業運行向けに提供すると発表した。TFCSは、燃料電池技術とハイブリッド技術を融合させ、燃料電池自動車(FCV)「MIRAI」向けに開発されたシステムである。今回のFCバスには、出力を高めるためにFCスタック、およびモータなどを2個搭載する他、高圧水素タンクを8本搭載している。さらに、外部電源供給(V2H)システムは、2013年11月より開始した実証試験などの結果を活かし改良しているという。トヨタと日野は、FCバスの実用化に向け、公共交通である路線バスの営業運行による実証試験を通じて、FCバスの実用性や有用性を検証し、着実に研究開発を進めていくとコメントしている。なお、燃料となる水素の充填は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)事業として、とよたエコフルタウン水素ステーションを使用するとしている。
2015年01月09日トヨタ自動車と日野自動車は8日、新しい燃料電池システム「トヨタフューエルセルシステム(TFCS)」を搭載した燃料電池バス(FCバス)を開発し、9日から豊田市内を走る路線バス「とよたおいでんバス」の営業運行向けに提供すると発表した。TFCSは、燃料電池技術とハイブリッド技術を融合させ、燃料電池自動車(FCV)「MIRAI(ミライ)」向けに開発したシステム。今回のFCバスには、出力を高めるためにFCスタック及びモーターなどを2個搭載するほか、高圧水素タンクを8本搭載している。外部電源供給(V2H)システムは、2013年11月より開始した実証試験等の結果を活かして改良が行われており、燃料となる水素の充填はNEDO事業として「とよたエコフルタウン水素ステーション」を使用する。同実証試験は、経済産業省「次世代エネルギー・社会システム実証事業」として採択され「豊田市低炭素社会システム実証プロジェクト」の一環として2010年度から進めているFCバスによる公道走行試験および非常時における外部への電力供給実証の一部であり、豊田市の協力を得て行うもの。両社はFCバスの実用化に向けて、公共交通である路線バスの営業運行による実証試験を通じてFCバスの実用性や有用性を検証し、研究開発を進めていくとしている。
2015年01月08日トヨタ自動車は1月6日、燃料電池自動車(FCV)の普及に向けた取り組みの一環として、単独で保有している世界で約5680件の燃料電池関連の特許(審査継続中を含む)の実施権を無償で提供すると発表した。今回の対応は、FCVの導入初期段階においては普及を優先し、開発・市場導入を進める自動車メーカーや水素ステーション整備を進めるエネルギー会社などと協調した取り組みが重要であるとの考えに基づくものという。特許実施権無償提供の具体的な内容としては、燃料電池スタックの約1970件、高圧水素タンクの約290件、燃料電池システム制御の約3350件といった、FCVの開発・生産の根幹となる燃料電池システム関連の特許に関しては、これらの特許を実施してFCVの製造・販売を行う場合、市場導入初期(2020年末までを想定)の特許実施権を無償とした。また、水素供給・製造といった水素ステーション関連の約70件の特許に関しては、水素ステーションの早期普及に貢献するため、水素ステーションの設置・運営を行う場合の特許実施権を、期間を限定することなく無償にするとしている。これらの特許実施に際しては、特許実施権の提供を受ける場合の通常の手続きと同様に、トヨタに申し込み、具体的な実施条件などについて個別協議の上で契約書を締結する予定としている。
2015年01月07日トヨタ自動車は6日、燃料電池自動車(FCV)の普及に向けた取り組みの一環として、同社が単独で保有している世界で約5,680件の燃料電池関連の特許(審査継続中を含む)の実施権を無償で提供すると発表した。この対応は、FCV導入初期段階においては普及を優先し、開発・市場導入を進める自動車メーカーや水素ステーション整備を進めるエネルギー会社などと協調した取り組みが重要であるとの考えに基づくもの。具体的な内容は、燃料電池スタック(約1,970件)・高圧水素タンク(約290件)・燃料電池システム制御(約3,350件)といった、FCVの開発・生産の根幹となる燃料電池システム関連の特許に関しては、これらの特許を実施してFCVの製造・販売を行う場合、市場導入初期(2020年末までを想定)の特許実施権を無償とする。また、水素供給・製造といった水素ステーション関連の特許(約70件)に関しては、水素ステーションの早期普及に貢献するため、水素ステーションの設置・運営を行う場合の特許実施権を、期間を限定することなく無償とする。これらの特許実施に際しては、特許実施権の提供を受ける場合の通常の手続きと同様に同社へ申し込みを行い、具体的な実施条件などについて個別協議の上で契約書を締結していく予定。同社は従来より、知的財産(特許)の取り扱いについては、オープンポリシーを基本としており、第三者からの実施の申し込みに対しては、適切な実施料により特許実施権を提供している。燃料電池関連の特許に関しては、こうした基本方針を一歩進めて無償で特許実施権を提供することにより、FCVの普及を後押しし、水素社会の実現に積極的に貢献していきたいとの考えだ。
2015年01月06日トヨタ自動車は1月6日、燃料電池自動車(FCV)の普及に向けた取り組みの一環として、同社が単独で保有している世界で約5680件の燃料電池関連の特許(審査継続中を含む)の実施権を無償で提供すると発表した。具体的には、燃料電池スタック(約1970件)、高圧水素タンク(約290件)、燃料電池システム制御(約3350件)といった、FCVの開発・生産の根幹となる燃料電池システム関連の特許を実施してFCVの製造・販売を行う場合、市場導入初期(2020年末までを想定)の特許実施権が無償となる。水素供給・製造といった水素ステーション関連の特許(約70件)については、水素ステーションの早期普及に貢献するため、水素ステーションの設置・運営を行う場合の特許実施権が期間を限定することなく無償となる。これらの特許実施に際しては、特許実施権の提供を受ける場合の通常の手続きと同様、同社に申し込みをし、具体的な実施条件などを個別協議しうえで契約書を締結する予定だという。
2015年01月06日ドスパラは、電池なしで360度の自動パノラマ撮影が行えるタイムラプス撮影回転台「DN-12110」を、同社運営の「上海問屋」で販売開始した。価格は2,999円。同製品は、一眼レフカメラやビデオカメラなどで360度の自動パノラマ撮影が行えるタイムラプス撮影回転台である。動力にゼンマイを使用しており、電池なしで利用が可能。回転方向は反時計回りで、15分刻みのガイドが付いている(60分で360度回転)。三脚などに固定できるよう、本体裏面には1/4インチネジ(メス)が切られている。また本体上部には1/4インチネジ(オス)を装備しているので、対応したスマートフォン用ホルダーを利用すれば、iPhoneなどで360度のタイムラプス撮影が行える。サイズは縦4.7×直径6cmで、重量は約180g。
2014年12月25日岡山大学はこのほど、豚糞尿由来のバイオガスを燃料とする固体酸化物燃料電池(SOFC)において、バイオガスからの炭素析出を抑制できる触媒の組成を決定し、作動温度600℃でLED電球の点灯に成功したと発表した。同成果は同大学大学院環境生命科学研究科の三宅通博 教授、岡山県農林水産総合センター畜産研究所の白石誠 専門研究員らの共同研究グループによるもので、日本セラミックス協会2015年年会で内容が発表される予定。バイオガスを燃料とするSOFCの開発においては、バイオガスからの炭素析出が作動温度の低温化に対し障害となる。同研究グループは、炭素析出を抑制できる触媒の組成を決定し、バイオガスを効率よく利用するための改質装置およびSOFC発電性能評価装置で評価をした。改質バイオガスを燃料として単セルの発電試験を行った結果、バイオガスを直接燃料とする場合より、約200℃低い600℃でLED電球を点灯することができた。また、4時間程度の発電のあいだ、炭素析出はほとんど見られなかったという。今後、長時間運転による触媒性能や発電性能の経時変化に基づき、触媒や燃料極を改良することで、バイオガスを燃料とする中温作動型SOFCの実現にさらに近づくものと期待される。
2014年12月22日キヤノンは18日、同社のスピードライトとマクロライト、関連アクセサリの使用可能電池から単3形リチウム電池を除外すると発表した。まれに電池が非常に高温になることを確認したため。対象となる製品は、キヤノン製のスピードライト、マクロライト、コンパクトバッテリーパックの全製品。そのうち20製品については、説明書に単3形リチウム電池が使用可能と記載されていても、使用不可となる。
2014年12月18日ロジテックINAソリューションズは11日、据え置きで利用する電池レスのAndroidタッチPC「LT-H0310/SE」を発表した。12月中旬より発売する。価格はオープン。業務用のAndroid端末となり、卓上用のスタンドが付属する。VESAマウントに対応しており、卓上以外にも壁掛けや埋め込みなど、用途に合わせて柔軟に設置できる。画面サイズは10.1型で、解像度は1,024×600ドット。450cd/平方メートルの高輝度パネルを採用する。タッチパネル液晶は、Android OSのシステムバーを非表示とすることで、全画面化も可能だ。電池レス設計のため、ブレーカーと連動しての電源オンオフなども行える。CPUにはCortrex-A9(1.5GHz)を採用し、1GBのシステムメモリと4GBのストレージを内蔵。インタフェースは10BASE-T/100BASE-TX対応有線LAN×1、USB 2.0×1、microUSB×1、SDHCメモリーカードスロット(32GBまで対応)など。3W+3Wのステレオスピーカーと加速度センサを搭載し、本体サイズはW260×D25×H163mm、重量は1.2kg。OSはAndroid 4.1.1で、無線LAN機能やGPSはオプションとなる。
2014年12月11日コベルコ科研と日本自動車研究所(JARI)は12月8日、2次電池の開発並びに協定規則R100.02 Part2の評価項目にも対応した2次電池の安全性評価事業において、11月1日付けで相互協力契約を締結したと発表した。次世代型エネルギー利用社会の構築を目指した取り組みが輸送機メーカーを中心に進められており、その技術的中核の1つである2次電池の安全性評価体制の充実が強く求められている。また、自動車分野では、電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)、燃料電池自動車(FCV)などの次世代自動車のさらなる普及が期待されており、その主要技術の1つが自動車用蓄電池システムで、その安全性を厳格に規定する動きが世界的に高まっている。すでに、国連欧州経済委員会自動車基準調和世界フォーラム(WP29)においても、電気自動車などの安全性に係る協定規則の改正などが行われており、これを受けて日本国内でも、電気自動車などの安全性の向上を図るため、R100.02に対応した道路運送車両の保安基準の細目を定める告示などの改正が行われた。これにより、2016年7月15日以降に型式を取得する車あるいは、電気自動車の改造に関しては、2次電池安全性の試験が義務付けられることになり、自動車メーカーや電池メーカーの間では、この安全性評価試験を一括して委託できる体制が日本国内で整うことが強く望まれている。一方、電力、一般産業、住宅など自動車以外の分野においても、高性能の定置型2次電池の実用化に向けて、安全性を的確かつ迅速に評価することでより一層開発力を高め、また、最終的には実機レベルでの安全性を確認するための評価サービスの提供が望まれている。今回、このような社会的ニーズに応えるために、2次電池に用いられる材料の分析から、電池の設計・製造、高性能計算機による性能シミュレーション、中・小型電池の限界性能、安全性評価など、2次電池分野の評価、分析技術で幅広い専門サービスメニューを持つコベルコ科研と自動車全般の評価技術と設備を保有するJARIが相互協力関係を結ぶに至ったという。これにより、11月から国内では初めて協定規則R100.02 Part2で要求されるすべての評価試験項目を、設備を相互補完することで一括して受託できるようにした。さらに、試験時に排出されるガスの処理設備も完備しており、安全でかつ環境に配慮した試験を実施することができる。また、コベルコ科研は関西、JARIは関東を本拠地としており、この両社の協力により、供試電池のハンドリング、技術打ち合わせ、立ち合い試験などでも地理的利便性が向上したとしている。コベルコ科研とJARIは、この協力スキームを広く国内外のメーカーに活用してもらうことで、2次電池産業・自動車産業の発展に貢献していくとコメントしている。
2014年12月10日岐阜大学は12月2日、微生物燃料電池により、豚の糞尿などを含む畜産廃水からリンを回収することに成功したと発表した。同成果は、同大 流域圏科学研究センターの廣岡佳弥子准教授、市橋修特任助教らによるもの。微生物燃料電池は、微生物が有機物を分解する時に出る電子で発電する電池である。廃水処理に適用した場合、廃水中から有機物を除去すると同時に電気エネルギーを回収できる。さらに今回、研究グループは、この発電に伴う化学反応を利用して、電極にリンを付着させて回収できることも突き止めたという。微生物燃料電池は、水槽内に電極が2種類あり、それらが電気回路でつながった構造になっている。水槽内に廃水を入れると、微生物が有機物を分解する過程で電子を電極に流す。これにより、電気が発生する仕組みとなっている。微生物燃料電池を利用した廃水処理システムが実用化すれば、発電しながら廃水を処理できるため、従来の方法に比べ省エネとなる。将来的には、処理にかかる以上のエネルギーを回収できるようになることも期待できるとしている。なお、同技術を実用化するには、大規模化とコストという2つの課題がある。現在の微生物燃料電池は、実験室レベルの小さなサイズが主流となっており、世界最大サイズのものでも一般家庭の浄水漕にも満たないサイズに留まっている。研究グループでは、より大規模な発電施設を構成すること、および低コスト化を目指し、10~20年後の実用化に向けて研究を進めていくとコメントしている。
2014年12月04日