発達障害の娘が、初めて「ことば」のお勉強にチャレンジ!Upload By SAKURA現在5歳の広汎性発達障害の娘。2歳7か月のとき初めて、言葉やコミュニケーションについて専門の先生から助言や指導をしてもらう「言語訓練」を受けることになりました。当時の娘は私の言葉もまだ通じず、話すこともできませんでした。そんな娘に「訓練」をするなんて…本当に大丈夫!?全く知識のない私にとって、それはまさに未知の世界。不安な気持ちで臨みました。名前を聞かれても答えられず、言葉のレベルは「1歳半」と言われ…Upload By SAKURA初日は、娘の言葉の発達レベルが、一般的な発達をしている子どものどの年齢に相当するのかを表す「言語年齢」を検査しました。名前を聞かれても答えられない娘を見て、私はあきらめモード…。他にも指示通りに動けなかったり、単語を言えなかったりで、私はヒヤヒヤしっぱなしでした。検査の結果、2歳7カ月の娘の言葉のレベルは『1歳半』でした。Upload By SAKURA実年齢より、1歳も発達が遅れていることがわかった娘。言語訓練の先生が「一緒に頑張りましょう!」と言ってくれたので私も強い決意をし、訓練が始まりました。絵カードを使って、「違う」という言葉の意味を教えるUpload By SAKURAUpload By SAKURAUpload By SAKURA言葉の理解出来ない娘への最初の訓練は、絵カードを使ったものでした。いろんな絵が描かれたカードが並んでいて、先生はそのカードを入れる穴が開いた箱を持っています。そして「ウサギはどれかな?」と娘に聞き、娘は選んだカードをその箱に入れます。正解したときは、箱にカードを入れることが出来るのです。しかし、違うカードを選んでしまったとき、先生は「違います」と言いながらカードを入れる穴に手で蓋をします。これを繰り返すことで、「違います」という言葉の意味を理解させていく方法でした。Upload By SAKURAUpload By SAKURA「違います」という言葉の意味がまだ分からなかった娘は、ものすごく動揺していました。なぜカードを入れさせてもらえないかを理解出来ず、怒ったり、時には先生の手を押しのけようとしたり…イライラして大声で泣き出すこともたくさんありました。泣きじゃくる娘を「かわいそう」と思っていた私。でも先生からの言葉にびっくり!Upload By SAKURAUpload By SAKURA大声で泣き叫ぶ娘の姿を見て私は、「あ~…入れたいんだよね…可哀想に…」と思いながら見守っていました。すると言語訓練の先生はニコニコしながらこう言ったのです。「いいんですよーこれでいいんですよ!今、一生懸命頑張って考えてますからねー!イライラしながら…なんで入れられないんだって戦ってますから!」これに私は驚きました。私は娘の涙を見て、「入れさせてあげたい…可哀想」とばかり考えていましたが、娘が泣いているのは「戦ってる、学んでるから」という先生の考え方に、まさに目からウロコだったのです。方法さえ分かれば、娘が前に進む手助けができる!という希望が見えたUpload By SAKURAUpload By SAKURAこのやり取りを数分続けただけで、娘はすぐに「違う」を理解しました。「違う」と言われたら、他のカードを選んでくるようになったのです。私が何度教えても出来なかったことを、数分で理解させた言語の先生!方法さえわかれば、この子も前に進める!と希望が見えました。この日から、私は言語訓練の先生に方法を聞いて家での療育もスタートさせました。現在5歳になった娘は言語訓練に通いながら、私との療育にも日々取り組んでいます。今も課題に向かって、一つずつ楽しみながらクリアしていく毎日です。Upload By SAKURA
2016年09月14日人気映画『スター・ウォーズ』シリーズに登場する、ジェダイの騎士になるための訓練を行うジェダイ・アカデミーが、お盆真っ只中の8月11日(木)、二子玉川ライズ ガレリアにて開催された。志願した12人の子どもたちは、若き騎士になるために必死でライトセーバーの特訓を受け、集まった観客から拍手喝さいを受けていた。本イベントは、12月16日に全世界公開となる『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』の幕開けを待つこの夏に、『スター・ウォーズ』シリーズに登場する勇者=ジェダイの騎士になるために子どもたちが訓練するもので、東京、大阪、福岡の3都市で行われる。題してジェダイ・アカデミーと名付けられており、本国アメリカではディズニー・ランドでショー形式のアトラクションとして開催されているほど有名だ。子どもたちは、映画の中でパダワンと呼ばれるジェダイの訓練生として、勇者の中の勇者・ジェダイ・マスターから、強力で危険な武器のライトセーバーの使い方を習った。攻撃のためというより危険が迫ったときだけに使うものだと、騎士としての精神も同時に叩き込まれる。ライトセーバーを振ったり止めたりなど、見様見真似で習得する中で、なぜかしゃがむという実技も。「相手に頭を切られたら大変だから?」と子どもから質問が飛ぶ中、マスターは「首を切られないようにするためだ」と教え、映画の中でジャンゴ・フェットがしゃがむことを知らずに切られたことについても触れたうえで、攻撃をよけるレッスンも行った。イベント終盤では、ストーム・トルーパーとともにアンチヒーローの象徴ダース・ベイダーがおなじみのテーマ曲とともに登場。真剣に訓練を重ねた彼らに向けて、「私の仲間になれ」とダークサイドへの呼び込みを開始した。すると、マスターが「フォースがついているから勝てる、やるんだ」と12人に戦いを促した。若き騎士たちは練習した通りにフォースを信じて、自分の倍以上の身長はある大きなダース・ベイダーに果敢に立ち向かった。最初はおびえた表情を見せたり、じりじりと後ずさりをしている子もいたが、恐怖に打ち勝ち次々と向かっていく勇敢な精神に、会場からは熱い歓声が送られた。『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』は今年12月16日(金)より全国にて公開予定。(cinamacafe.net)
2016年08月11日鉄道に限らず、運輸業では異常事態や非常事態に備えた訓練が欠かせない。訓練で実際にさまざまな想定事態を経験しておくことが、「本番」に直面した時に役立つことは、東日本大震災や阪神淡路大震災におけるあまたの事例を見てみれば、容易に理解できる。また、異常事態や非常事態でなくても、車両・設備・各種システムについて正しい理解と取り扱いができるようにすることも、もちろん重要である。東京地下鉄(以下、東京メトロ)は東京都江東区の新木場に、「総合研修訓練センター」という施設を開設、2016年4月から稼働を開始する。以前から、中野富士見町などに研修・訓練のための施設があったが、それらを集約するとともに設備を大幅に充実させたもので、投じられた費用は約200億円という。今回、取材の機会を得たので、この施設の詳細を紹介したい。○地下鉄に特有の難しさ言うまでもないことだが、東京メトロが運行している路線は「地下鉄」であり、その大半は地下のトンネルを通っている。地下鉄のトンネルは都市部の地下を通っているものだから、単に距離が長いというだけでなく、特有の注意点がある。例えば、地震や停電、車両の不具合といった事態が起きれば、乗客を降ろしてトンネルを通り、最寄りの駅まで誘導しなければならない。すると、トンネルがどういう造りになっていて、どんな設備があるかを理解しておかなければ、安全・確実な避難誘導ができなくなる。また、軌道・電力・信号・通信といった設備の点検・整備・交換といった作業を行うためにも、事前の学習や訓練が欠かせない。だからといって、営業線のトンネルを使って訓練を行うわけにはいかない。終電後の深夜には施設の保守点検が行われるから、その時間帯も使いづらい。地下鉄のトンネルは地面より低いところを通っているので、地上から水が流入してくる可能性も考えなければならない。東京メトロ各線、とりわけ、海抜0メートル地帯を通っている東西線では当初から、地上からの浸水を考慮した施設づくりがなされている。とはいっても、止水板の設置など、浸水を防ぐための訓練も必要だ。そして、地下の閉鎖空間であることを考えると、火災に対しても通常以上に神経を使わなければならない。前身の営団地下鉄だった頃の話だが、「駅員が交代で食事当番に立って自ら食事を作るのだが、その際の熱源は安全のために電気を使う」という話があったぐらいだ。そして、地下鉄には他の鉄道にはない、特有の施設がある。例えば、剛体架線がそうだし、銀座線と丸ノ内線は頭上にトロリー線を設ける代わりに、線路脇の第三軌条を通じて電力を供給している。事故や災害と関係ないところでは、駅務に関わる機器の取り扱いを覚える必要もある。自動券売機、自動改札機、最近になって増えてきた可動式ホーム柵(いわゆるホームドア)などといったものが典型例だ。かつては人手によっていた業務の多くが機械化・システム化されてきているので、それらの取り扱いについて知る必要もある。○東京メトロで起きることは何でも起こせるそこで東京メトロでは、営業線を使わなくても営業線と同じ機器や設備を使って訓練を行えるように、総合研修訓練センターを開設した。敷地面積は2万7000平方メートル、延べ床面積は1万9000平方メートルある。「総合研修訓練センター」という名称の通り、事故に備えた訓練だけを行うわけではなく、日常的な教育・研修・訓練の場としても使われる。ここに設けられた主な設備・施設は、以下のような陣容である。「東京メトロで起きることは何でも起こせる」というだけに、内容の充実ぶりは刮目に値する。研修棟教室、各種教材室安全繋想館(あんぜんけいそうかん)ステップアップステーションセンター(SSC)講堂訓練線軌道設備 : 各種分岐器、軌道、ロングレール電気設備 : カテナリー架線、剛体架線、第三軌条信号保安設備 : 各種信号設備、保安装置模擬駅 : 3両ホーム×2、10両ホーム×1構造物 : 訓練線トンネル、訓練用高架橋、訓練用橋梁駅設備 : 訓練用エレベーター、訓練用エスカレーターどの分野の訓練にも言えることだが、営業用の施設や車両を使用する訓練では、「失敗して故障させた」とか「失敗して壊してしまった」ということになると困る。しかし、総合研修訓練センターは訓練専用の施設だから、失敗を許容する余地がある。もし本当に失敗したとしても、そこから、何がいけないのかを学ぶことができる。なにしろ、訓練線だけで81億円の費用が投じられたというから力が入っている。後編では、写真を主体にして、それぞれの施設を見ていくことにしたい。
2016年03月30日ブラザー工業は9日、通信カラオケの技術を応用した発話訓練システム「スピーチマイスター」を発表した。通信カラオケ「JOYSOUND」の採点機能を応用した発話訓練システム。「音声解析技術」や「採点技術」、「モチベーション維持手法」などを応用しており、スピーチ(発話)が上達するトレーニングが可能となっている。スピーチ練習では、熟練者からの直接指導や、外部の講師に指導してもらうのが一般的だが、本システムでは手本となるスピーチと練習者のスピーチを比較して採点を実行。指導者がいなくても自分の成長度合いを確認しつつ、練習を重ねられる。練習時は、練習者の発話をリアルタイムでグラフ化。練習が終了してから数秒で得点を表示する。このグラフでは、抑揚、音量、速度、滑舌、間の取り方という5項目を、手本データと比較可能。修正すべきポイントを可視化、把握できる。手本データの作成にも対応し、熟練者のスピーチを録音して真似ることで、録音データを手本とした練習が行える。ソフトウェアはWindows 7対応の専用アプリケーション。手本データや練習の履歴はクラウドサーバー上に保管され、管理者はアカウントの付与や手本データの登録などが行える。
2015年11月09日KDDIは11月5日、海上保安庁の船舶に携帯電話基地局のLTE対応無線装置と携帯電話のアンテナ、衛星アンテナを設置し、運用訓練を実施すると発表した。同日より、第十管区海上保安本部(鹿児島県)の協力の下に行われる。船上基地局は、2012年6月「災害時における携帯電話基地局の船上開設に向けた調査検討会(主催:総務省中国総合通信局)」において検討を開始。海上保安庁の協力のもとに、さまざまな実地試験を行っている。これまでは船上への設置にクレーンなどの重機を必要としていたが、無線装置を小型化したことで、作業員による運搬が可能となった。これに伴い、設置にかかる作業時間の大幅な短縮も可能とした。今回の運用訓練では、船上基地局設営にかかる時間やアンテナの耐久性などを訓練によって測定し、より実用に近い形での運用を行う。また今回より新たに、LTEによる音声およびデータ通信の試験も行う。同社は訓練を通じて、「携帯電話基地局の船上開設の早期実用化を推進していく」としている。
2015年11月06日学びの秋、スキルアップや自分みがきをしたい! と思っている人も多いのではないでしょうか。でも、専門知識や資格を取得するには、スクールに通ったり講座を受けたりとそれなりにお金がかかってしまうことも。そんなときに活用したいのが、国のバックアップを受けて費用を一部負担してもらえる「教育訓練給付金」という制度です。将来のためのスキルアップを、しっかりサポートしてくれますよ。■スキルアップの費用を国が一部負担してくれる資格取得や専門的な勉強のためには、スクールに通ったり通信講座を受講したりと、何かと費用がかかるもの。その費用を、かかった分の20%、最大10万円まで国が支給してくれるのが、教育訓練給付金という制度です。講座の種類は、簿記やTOEICなどの事務系から、これから社会のニーズも高まりそうな介護福祉士などの医療系、仕事の幅を広げるのに直結しそうなCAD、プログラミング、ファイナンシャルプランナーまでさまざま。対象講座は9,600以上にものぼるので、自分の仕事や目指す将来像にあわせて選ぶことができます。■もっと本格的に学びたい人に! 最大48万円が支給される「専門実践教育訓練給付金」昨年からは、「長い期間をかけて本格的に学びたい」という人のための、給付金の上限が高い「専門実践教育訓練給付金」という制度もスタートしました。看護師や情報処理、インテリアデザインなど、対象講座は1,800以上。講座の数は一般の教育訓練給付金より少ないものの、支給される金額は費用の40%、年間で最大32万円に。さらに、訓練修了後、1年以内に資格を取得するなどの条件を満たせば、追加で最大16万円の支給も受けられます。つまり、しっかりと勉強して支給要件をクリアすれば、最大で48万円のバックアップが受けられるということに。長期的に腰を据えてキャリアアップを考える人にはおすすめの制度です。■給付金をもらうにはどんな手つづきが必要?この給付金の対象になるのは、会社勤めで雇用保険に加入している人。会社を辞めていても、退職から1年以内なら利用できます。給付金がもらえるのは、講座の受講が修了してから。講座修了の翌日から1か月以内に、受講料の領収書や給付金の申請書、本人確認書類などの必要書類を、住んでいる地域のハローワークに提出します。給付金の対象講座は、厚生労働省の「教育訓練講座検索システム」というサイトで探すことができます。通いたいスクールが決まっている場合は、対象講座かどうかを直接問いあわせてみてもよいでしょう。■給付金制度をかしこく利用するための注意点スキルアップにとても役立つこの給付金制度ですが、いつでも利用できるわけではないので注意が必要です。1度この制度を利用すると、「一般教育訓練給付金」の場合は3年間、「専門実践教育訓練給付金」は10年間制度が使えなくなるため、受ける講座の種類やタイミングなどをよく見きわめて。また、この給付金は、受講が修了しないと支給されません。途中で挫折してしまった場合は給付金を受けとることができないので、しっかり続けられるかどうかを考えてからスタートするようにしましょう。専門的な知識やスキルを身につけることは、社内でのキャリアアップはもちろん、転職などを考える場合にも役にたちます。給付金制度をかしこく利用して、学びを深めていきたいですね。※記事の内容は執筆時(2015年10月)の情報です。
2015年11月03日絶対音感という言葉を聞いたことがある方は多いと思います。一般的な常識とは異なり、絶対音感は訓練で身につけることができるものです。絶対音感とそのメカニズムについて見ていきましょう。絶対音感は小さい頃の訓練で獲得できる絶対音感は、正確には、ある音を単独で聞いた際に、その音の高さを記憶に基づき絶対的に認識する力のことをそのように呼びます。この能力を持っている人は、ピアノの音を聞いたときにそれがドであるとかソであるとかがすぐに分かるのです。これまで絶対音感を獲得するのは遺伝的な要因か偶然性によることが大きいと考えられてきましたが、今では訓練次第でどんな人でも獲得できるという考え方が主流になってきています。実際、ある音楽スクールでは3歳ぐらいの子ども1万人ほどが、2年半程度の訓練を積むことによってこの絶対音感を獲得したという実績があります。訓練を積むことによって、5歳であれば90%以上の子どもが、6歳後半ならば50%程度が絶対音感を獲得できますが、8歳を過ぎてしまうと訓練しても獲得できなくなるといいます。絶対音感を訓練するにはピアノのように決まった音を出せる楽器を使います。バイオリンのように調弦などで音が変化してしまう楽器は向いていません。絶対音感を身につけるための訓練では、普通の音楽スクールで行うピアノなどでの訓練の他に、数分間の音感訓練を実施します。音を聞いたときに相対的な音程(音の上下方向の高さ、トーン・ハイトという)で比べるのではなく、音名に対応する特有の響き(トーン・クロマという)を聞き分けるような癖をつけさせるのです。絶対音感を持っていると、例えばオクターブが違う2つのソの音を聞いた場合でもそこに同じ特有の響き(トーン・クロマ)を聞き取ることができます。絶対音感を持っていなければ2つの音は音程の違う音にしか認識できません。絶対音感に対し、音を相対的な高低(トーン・ハイト)で捉えるやり方は相対音感と呼ばれます。たいていの人がそうであるように、相対音感であって旋律を認識することはできます。しかし、絶対音感を獲得したい場合には相対音感が邪魔になってきます。というのは、絶対音感では相対音感と違って音を1つ1つ認識することになりますから、脳の中で行われる情報処理としては相対音感よりも効率が悪いやり方だからです。このため、発育の途中の子どもが訓練するのでないと身につけることができないのです。これを裏付ける例として、自分より上の兄姉がいるなどして知能の発育が早い子どもは絶対音感を身につけにくかったり、逆に知的障害を持っている子どもの場合は9歳でも獲得できたといった事例が知られています。このように、まだ脳の発達がすんでおらず子どもの年齢が低い時にしか身につかないと言われる能力はいろいろとあり、その分野も言語、運動、数学的な力など多岐にわたります。そして習得の限界となる年齢のことを臨界期ないし感受性期といいます。この臨界期に絶対音感のような能力を身につけたとしても、それがずっと身についたままとは限りません。臨界期はそうした能力を身につけることができるだけでなく無くしてしまう時期にも当たるからです。3歳から訓練を初めて絶対音感を獲得しても、途中で訓練をやめたたために絶対音感がなくなってしまったり、また訓練を再開して取り戻したりといったことも起きる時期なのです。絶対音感のしくみとは最近になってfMRI(磁気共鳴機能画像法)などの技術が発達してきたおかげで、絶対音感のしくみも解明が進んできています。1995年、アメリカの科学誌であるScience誌に、絶対音感を持つ音楽家の左脳が普通の人の左脳よりも大きいという内容の論文が掲載されました。通常、音楽のように直感や感性に属する情報は感情をつかさどっている右脳で処理されます。しかし、絶対音感を獲得している人の場合は左脳で処理されているというのです。普通、左脳は論理、理性、言語をつかさどっている部分だと言われています。平成13年に、国立精神・神経センターで絶対音感に関する調査が行われました。絶対音感の持ち主である音楽家とそうでない学生を集めてバッハの曲を聴かせ、そのあいだ脳がどのように働いているのかをfMRIを使って撮影したのです。すると、絶対音感の持ち主では、左脳にある2つの部分が学生たちよりも明らかに機能していることが判明しました。機能していた2つの部分とは左側頭平面と左背外側前頭前野と呼ばれている部分で、それぞれ言語を処理する働きとものごとを関連づける働きを持っています。このことにより、音を耳にすると同時に音の名前が頭に浮かぶという絶対音感の音の認識を裏付けられた格好です。また、平成11年に北海道大学で行われた実験では、絶対音感の持ち主をMEG(脳磁界計測法)とよばれるやり方で調査しました。すると、絶対音感の持ち主が音楽を聴いている場合に活性する左脳の位置は、一般の人のそれよりもおおよそ1cmほど後ろ側にずれているということが判明しました。幼い頃からの音楽的なトレーニングを通じて左脳にある聴覚をつかさどる皮質が鍛えられて面積を増し、そのためにこうしたずれが生じたのではないかと考えられています。こうしたことから、生まれつき人間には耳にした音に対する絶対的なものさしが備わっていて、耳にした音程をそのまま覚えて区別することができるのではないかとされています。しかし脳や知能が発達する中で相対的なものさしを磨きはじめ、もともと持っていた絶対的なものさしを使わずに音程を区別できるようになっていくのではないかと考えられています。絶対音感の遺伝子日本では他の国々よりもピアノ教室が多くあるためか、世界の中でも絶対音感の持ち主が多いと言われています。幼い頃からの訓練によって絶対音感を獲得している人が多いのかもしれないというわけです。しかしこれとは逆に、遺伝的な性質によって絶対音感を獲得していると思われるような事例も存在するとされています。アメリカのカルフォルニア大学の調査によれば、音楽大学に通う学生のうち絶対音感を獲得している人では親族にも絶対音感を持っている人がいる割合が48%にのぼり、絶対音感のない学生では12%に過ぎなかったという結果が出ているのです。また、7番染色体上の遺伝子欠失に伴って起きる疾患であるウィリアムズ症候群の患者を調べると、絶対音感の持ち主が多いという研究結果もあります。ウィリアムズ症候群の患者は手先があまり起用ではないのですが、音感に優れていることが多いというのです。このように、絶対音感は環境や遺伝によって獲得することがあるようですが、はたしてそれを身につけることが必要なのかどうかという点も含め、音楽教育という点からも今後議論になっていきそうです。絶対音感ははたして必要か?絶対音感は、音楽を職業としている人の間では全体の5%程度、一般の人での間では1%程度いると言われます。また、作曲家や指揮者といった仕事をしている人の中には相当数いるようです。絶対音感を持っていると、たとえば音楽大学の入試などで行われる聴音試験には有利になります。また、概して空間認識や数学的な能力が高い子どもも多いと言われています。日本は世界の中でも絶対音感の持ち主が多いと言われている国ですが、絶対音感を訓練しているのもまた日本ぐらいです。音楽を音楽として鑑賞するためにはむしろ絶対音感は必要ないという意見もありますし、あまり能力が強すぎると生活の中の雑音さえ音の名前で聞き分けられてしまってうるさく感じることもあるといいます。はたして訓練してまで獲得する必要があるのかは何とも言えないところです。
2015年09月21日トヨタ自動車は1日、外部電源供給を通じた「災害に強い地域・社会づくり」を目指し、プラグインハイブリッド車「プリウスPHV」をはじめとした「非常時電源供給」について紹介するWebページを公開した。外部電源供給システムは、エコカーの代表であるハイブリッドカー(HV)の一部車種およびプラグインハイブリッドカー(PHV)、燃料電池自動車(FCV)に設定が可能で、クルマに搭載されたバッテリーからの電力供給で電化製品を動かすことができる。そのため、非常時の電源としてクルマが持つエネルギーを活用することが可能となり、東日本大震災をきっかけに、次世代エコカーを災害時に使用する動きがさまざまな自治体や企業で見受けられるようになってきた。また、近年は異常気象による土砂災害のニュースが目立ったこともあり、ライフラインが停止した際の備蓄として、「食料」だけではなく、「エネルギー」の備蓄も注目されつつある。そこで同社は、今回開設したWebページで活用事例等の情報を随時掲載していく予定だ。例えば、「プリウスPHV」の場合は、AC100V最大出力1,500Wの電力供給が可能で、合計1,500W以下であれば同時に複数の家電を使うことができる。またバッテリー容量が減ると自動的にエンジンが始動して発電するため、フル充電・ガソリン満タンの状態であれば、非常時には一般家庭約4日分(1日あたり約10kWhで換算)の電力を使用することが可能だ。同Webページは、これまでの外部電源供給システムの活用事例として、宮城県警察と豊田市立藤岡南中学校の事例を紹介。宮城県警察では、信号機の稼動や電光表示板の点灯、トラブル発生時に現場での電力使用などを目的とし、2012年にプリウスPHVを12台導入。プリウスPHVのパトカーの外部電源供給システムで信号機を点灯させる訓練も実施されている。藤岡南中学校では、東南海地震を想定した防災キャンプを実施し、プリウスPHVは灯りの確保や炊き出し用家電の電源として活躍した。その他の活動事例は、随時紹介する予定となっている。
2015年09月01日Twitterは公式ブログで、9月1日の「防災の日」に向けて、全国の自治体に防災訓練ツイートを出すことを依頼。ユーザーにもTwitterを使った防災訓練を呼び掛けている。Twitterは今回、全国の自治体に「#全国防災訓練」と自治体名を組み合わせた「#○市災害」というハッシュタグを利用した訓練ツイートを提案したという。これに合わせて、Twitterを使った防災対策をユーザーにも勧めている。防災対策としてまず、いつも使う公共交通機関や国の防災機関、報道機関などのアカウントをフォローすることを提唱。また、「#全国防災訓練」や自分が知りたい地域を「#○市災害」で検索してフォローするほか、災害に役立つアカウントをまとめた災害情報用公式アカウント「@TwitterLifeline」のリストを紹介している。次に、自分が災害に遭ったことを想定した訓練ツイートを行うことを呼び掛けている。実際の災害では身の安全を確保し、気持ちに余裕ができたら自分の安否をツイートしてほしいとする。なお、訓練ツイートを行う際は、「#全国防災訓練」をつけて訓練であることを明示すること。災害時には、信頼できる情報源のツイートをリツイートして拡散することを推奨している。なお、リツイートする際は、ツイートをコピーして発信するのではなく、オリジナルをリツイートすること。理由として、避難場所などの情報を含め、災害時にはその情報がいつ出たかが重要となる場合があるためと説明。また、オリジナルのツイートを削除すると、リツイートしたツイートも自動に削除されるので、古い情報が拡散されるのを減らすことができるという。最後に、ハッシュダグや写真などを用いて、周囲の被災状況についての報告を想定したツイートを提唱。「(場所)は、被害なし。#◯◯市災害」「XX橋は流されてしまっています。#◯◯市災害」のように、現在地の情報を発信すると良いという。さらに、ハッシュタグ「#
2015年09月01日大日本印刷(DNP)は8月25日、情報セキュリティ部門リーダーを育成する訓練システム「TAME Range(テイムレンジ)」を9月1日より本格販売すると発表した。「TAME Range」は世界トップレベルのサイバーセキュリティ技術を持つIAI(イスラエル・エアロスペース・インダストリーズ)の訓練システム。このシステムを利用することで、高度化するサイバー攻撃に対して適切に対応・判断できるセキュリティリーダーの育成と、未知の攻撃に対応できるスキルの修得が可能になるという。この訓練では、一般的な企業のネットワークシステムを仮想化したトレーニング環境(サイバーレンジ)で行われるものがある。サイバー攻撃のシナリオは、標準型攻撃など実例に基づいており、リアルな防御トレーニングが行える。また、1チーム4人単位、最大4チームを同時に訓練できることも特徴となっており、多様なサイバー攻撃に対応できるチームを育成できる。また、セキュリティリーダーは、各メンバーの役割やタスクを設定し、情報を総合的に判断して次の行動を指示することで、指揮能力を習得できるという。制限時間内にサイバー攻撃の検知・分析・遮断・駆除を行い、リーダーによる報告までを訓練することも可能だ。訓練者の学習進捗や、達成レベルを自動判定する独自の進捗管理システムも備えている。訓練システムは、1ライセンス2億円(税別)から提供する。DNPは2018年度に売上30億円を目指すとしている。
2015年08月25日資生堂は8月20日、本社機能のある汐留オフィスにて、首都直下地震発生を想定した防災訓練を行い、初めて「帰宅困難者受入れ訓練」を、9月1日の防災の日に実施すると発表した。今回の訓練は、2015年3月に完成した同社独自の「帰宅困難者受入れマニュアル」の実効性検証を目的に、新橋駅周辺滞留者対策推進協議会の協力を得て、社外より帰宅困難者役の協力者を募って実施するという。役員や社員を対象にした「緊急対策本部訓練(年1回実施)」「安否確認訓練(年2回実施)」と、社外協力者を対象にした「帰宅困難者受入れ訓練(初実施)」を組み合わせた総合的な防災訓練となる。同社は、大規模災害発生時に新橋・汐留周辺にとどまる帰宅困難者に対して、汐留オフィスの一部を一時滞在施設として提供し、地域の混乱防止に協力・貢献することを定めた「災害発生時における帰宅困難者の受入れ等に関する協力協定」を港区と締結しており、災害時には汐留オフィスに帰宅困難者を最大220名、最長3日間受入れ、毛布や水、食料などを提供するとしている。今回の訓練では、「帰宅困難者受入れマニュアル」の実効性検証を主な目的とし、訓練を通じて明らかになった課題に対しては改善策を加え、防災対策の精度をさらに高めていくという。
2015年08月21日前編では、標的型攻撃メール訓練に潜む落とし穴について説明を行いました(【コラム】セキュリティのトビラ 標的型攻撃メール訓練のトビラ(1))。後編では、訓練に関する"ある実験"の結果や年金機構のメール文を例に、メールテストの正しい利用法について解説していきます。○問題は?こういった訓練について2011年に興味深い実験結果が報告されているのでそちらを紹介しましょう。これは、現在IBM傘下となったTrusteerが実施したものです。セキュリティ教育を受けたと判断できるユーザー100人に対し、知人がライバル会社に転職したことを知らせるメール(ビジネスSNS「LinkedIn」の通知に偽装)を100人に送信しています。そして、メール内に記述されているリンクをクリックするかどうかを調べるというものでした。7日以内にリンクをクリックした人、クリックしなかった人の結果は以下の通りです。24時間以内にクリック:41人48時間以内にクリック:52人(24時間以内から11人増)7日以内にクリック:68人(48時間以内から16人増)クリックしなかった:32人通常の訓練であればクリックをした方にフォーカスして、何かしらの教育を行うことが多いわけですが、この実験ではクリックしなかった方に「リンクをクリックしなかった理由」を訪ねています。理由とその人数の内訳は以下の3通りです。「(見逃しやスパムフォルダに入って)そのメールを見ていない」:16人「興味を引かなかったためクリックしなかった」:9人「普段からLinkedInの更新メールは読んでいない」:7人合計すると32人になります。以上の結果を踏まえると、セキュリティの教育を十分に受けたと判断できる人でも、偽物のメールであることに気付いた上でリンクをクリックしなかった人は0人であることがわかったわけです。また、それと同時に、開いた人が7割近くいたというケースが存在するということを教えてくれています。それでは、今回の攻撃で日本年金機構に送られてきた攻撃メールの内容を見てみましょう(一部伏字)。件名:「厚生年金基金制度の見直しについて(試案)」に関する意見○ ○様5月1日に開催された厚労省「厚生年金基金制度に関する専門委員会」最終回では、厚生年金基金制度廃止の方向性を是とする内容が提出されました。これを受けて、企年協「厚生年金基金制度の見直しについて(試案)に関する意見」を、5月5日に厚労省年金局企業年金国民年金基金の■■課長に提出いたしました。添付ファイルをご覧ください。(本文内にYahooボックスへのリンクが記載)これが公開アドレスに届いたわけです。公開アドレスというのは、常時不特定多数の方からメールを受け、その内容に目を通して処理することが目的とされているもののはずです。そこにこれだけの文章のものが届いた場合、果たしてどれだけの人が騙されないでいられるでしょうか。もちろん、騙されない方もいるでしょうし、常にそのように対処できるのであれば、それほど素晴らしいことはありません。しかし、現実問題として騙されてしまう人がいると筆者は考えています。さて、訓練に話を戻しましょう。筆者が知人から聞いた"実際の組織で行われた訓練の話"も紹介しておきたいと思います。その組織では各グループごとにセキュリティの窓口の役割を担う方がいるそうです。そして、訓練が行われた際に、そのグループの開封率が"窓口の人の評価"に影響を与えるのだそうです。評価に影響がある人からしたら死活問題ですよね。いつ訓練が行われるか、気が気でなかったことでしょう。そして、その人の取った行動は……。いつ行われるか分からない訓練の実施をいち早く気付くために日々メールをチェック訓練のメールを受信した時には、口頭で「今、訓練が行われているからメールを開かないように」とグループの人に通達これでは身も蓋もありませんね。ここまでの説明して来たこと全てが、訓練の行われ方について筆者が懐疑的になるポイントです。しかし、その一方で、筆者は「訓練そのものが無駄である」とは考えていません。皆さんには、世の中に存在する訓練の意義を今一度考えていただきたいと思います。例えば、火災訓練を思い浮かべてください。火災訓練と聞いて、「火事そのものを起こさないための訓練」を浮かべる方は少ないと思います。おそらく、殆どの人が「火事が発生したことを想定した避難の訓練」を浮かべることかと思います。火事が起きたときの死因として多いものとして一酸化炭素中毒があります。物が燃えることによって発生する煙に視野を奪われ、有毒ガス吸い込んでしまい意識障害を起こし、結果、逃げ遅れて焼死してしまうそうです。火災によって発生する有毒ガスが室内上部に集まりやすいため、火災訓練では姿勢を低くし、ハンカチなどを口に当てて避難する経験があることでしょう。そして、人が避難する際にパニックに陥り、ビルの出口に殺到した時の転倒などによる二次災害を避けるために、慌てずに落ち着いて行動しつつ避難経路を確認するといった行動をしますよね。上記のように頭で分かっていても、いざという時に考えているままの行動を起こすことは難しい。だからある程度、定期的に火災訓練などを行い、"慣れを養う"わけですね。これは標的型攻撃メールの訓練でも同じことが言えるかと思います。もちろん、怪しいメールに遭遇したら添付ファイルを開かず、本文中に記載されたアドレスにアクセスしないに越したことはありません。ただ、人間がすることですから、組織すべての人が常に100%そのように行動することは不可能といっても過言ではないと思います。そうとすれば、火災訓練などと同じように標的型攻撃メールが送られてくること、そして、それを開いてしまうということがありうるという前提で訓練を行う必要があるのではないでしょうか。不審なメールを受け取ったと気付いた時や、マルウェアの感染が疑われる時など、普段とは異なる事象に遭遇した時に被害が拡大するのを防ぐためには、どのように行動すべきか。迅速に関係各所に報告することができるかそもそも、その関係各所というのはどこなのか社内のマニュアルではどのように対応することになっているのか。平時にこそ確認して、異常時に備えるために行う訓練であれば筆者はとても有意義なものであると思います。よって、「開いた/開かない」「クリックした/クリックしなかった」ということにのみにフォーカスして、一喜一憂するようなものではないと思います。そうではなく、事が起こったときにきちんとした行動ができるかどうかまでの温度感をはかる。訓練を行った結果、「全体の何人が開いたか」「クリックした/しなかった」に加えて、「全体の何人が正しい行動ができたのか」をはかり、「慣れを身につける」という訓練を行う必要があるのではないでしょうか。少なくとも、訓練は騙されてしまった方を責めるために行うものではありません。セキュリティやそれを実現するための技術や知見は人を守り、安心を与えるために存在するもののはずです。決して、人を傷つけるものではないと思います。また、そのような行い方をすることによって、本当に必要なときに報告が上がってこないといった文化が出来上がり、それが被害の拡大を招く結果が危惧されます。攻撃を行う側は金銭や思想などをモチベーションに連携したり、組織的に攻撃を行ってきています。基本的に、攻撃を行う側の方が有利であり、私たちは防戦一方を強いられます。負けることはあっても勝つことはありません。そうなるとわかっているのですから、守る側の私たちも組織全体で「情報だけではなく、人も守る」という意識を持って取り組んでいかなければならないのだと強く思います。とは言え、セキュリティの専門家だけでは立ち行かない状況になっていると実感しています。守る側の中で吊るしあい、責任の擦り付け合いをしていても仕方ありません。標的型攻撃に対峙する時、悪意を持った敵は外にいます。その相手には社会全体で力を合わせて立ち向かっていくようにならなければ負けっぱなしになってしまいます。そんなのは悔しいじゃないですか。みんなで頑張りましょう。著者プロフィール○辻 伸弘氏(Tsuji Nobuhiro) - ソフトバンク・テクノロジー株式会社セキュリティエンジニアとして、主にペネトレーション検査などに従事している。民間企業、官公庁問わず多くの検査実績を持つ。また、アノニマスの一面から見えるようなハクティビズムやセキュリティ事故などによる情勢の調査分析なども行っている。趣味として、自宅でのハニーポット運用、IDSによる監視などを行う。Twitter: @ntsuji
2015年06月24日過去2回に渡って、「飛行機のシミュレータ」というと誰もが真っ先に連想することが多い、操縦訓練用のFFS(Full Flight Simulator)の話を主体として、関連する話題もいくつか取り上げてみた。ところが昨今では、操縦訓練以外の場面でもいろいろな種類のシミュレータが使われるようになってきている。飛行機とそれに関わるシステムが高度化・複雑化して、扱う側の訓練に時間を要するようになってきた一方で、できるだけ経済的かつ効率的に訓練を進めたい、という事情もあるためだ。○操縦以外のシミュレータ飛行機に関わるシミュレータというと、パイロットの操縦訓練に使用するFFSを真っ先に連想するのが普通だと思われるが、実はそれ以外にもさまざまなシミュレータがある。たとえば、計器盤に設けられた各種のスイッチを初めとする操作系の操作手順を覚えさせるのであれば、それだけのためにわざわざ大掛かりで高価なFFSを使用する必要はない。操作手順の訓練だけならモーション装置もビジュアル装置も要らないから、摸擬コックピットに実機と同じ操作系を並べて、それを操作したときに実機と同じ表示を行う計器やディスプレイを用意すれば充分だろう。さらに簡略化して、コンピュータの画面に計器盤を再現する方法もありかもしれない。これがCPT(Cockpit Procedure Trainer)。その名の通り、操作手順を訓練するための専用機材である。これの場合、操作に応じてどういう反応を返すかを制御しなければならないから、コンピュータ制御は必要になると思われる。○物理的に再現するシミュレータこのほか、実機と同じ作業環境を物理的に再現して訓練を行う機材として、軍用機で不可欠となる兵装搭載訓練装置(WLT : Weapons Load Trainer)がある。主翼や胴体と、その下面に設けられた兵装架を実物大で再現して、兵装搭載作業を実際にやりながら「身体で覚える」というわけだ。似たようなところで、整備訓練用のシミュレータもある。整備作業に必要とされる手順を覚えさせる目的で、実機と同じ作業環境を物理的に再現するものだ。整備には整備ならではの作業要領があるので、それを訓練する仕掛けがあった方がよい。実機を使わずに訓練を行えれば、貴重な実機を訓練のためにとられなくて済むので、経済的でもある。整備訓練用シミュレータの考え方は兵装搭載訓練用シミュレータと似ているが、用途が違う。整備であれば取り付けだけでなく取り外しも必要になるし、アクセスパネルの開閉も伴う。そういう環境を物理的に再現する。軍用輸送機で不可欠となる貨物揚搭作業をシミュレートする訓練機材もある。この場合、貨物室と貨物揚搭用ランプを実物大で再現する必要があるだろう。ただし、貨物室全体を再現するか、一部分を再現するかは場合によると思われる。軍用機だと、貨物の搭載作業を取り仕切るロードマスターという乗員がいる。ロードマスターは重量バランスの計算もしなければならないだろうから(本連載の第32回「飛ぶための計算(1)重量バランス」を参照)、これも計算や機器の操作を訓練する機材が要りそうだ。○コンピュータがあれば摸擬できる場合も軍用機の中でも早期警戒機や哨戒機といった類の機体では、飛行機の部分よりも、そこに搭載するセンサー機材やコンピュータ機材の方が実質的な主役である。すると、それらを扱うオペレーターを訓練する必要があるので、これまた専用のシミュレーション訓練機材の出番である。これをWTT(Weapons Tactics Trainer)と呼ぶことがある。もともとコンピュータ・ベースで動作するものをシミュレータで訓練するのであれば、実物と同じ環境をコンピュータで再現するのは比較的容易と考えられる。たとえば早期警戒機に搭乗する要撃管制官を養成するのであれば、実機で使用しているものと同じコンソールを設置して、その画面では本物と同様に、探知を示すブリップを表示させる。そして、訓練生が行う操作や指令、あるいは教官が設定するさまざまな「状況」に従って、画面の内容を本物と同様にして変化させていけばいい。その部分は、レーダーの代わりにコンピュータででっち上げる。もちろん、本物に関するデータを蓄積しておかなければ忠実な再現はできないが、コンピュータが実現している機能を再現するのであれば、ソフトウェアで完結する話だから、物理的なものを再現するよりは難易度は低そうだ。こういった、一部分の機能を切り出して特化させた訓練機材のことを、PTT(Part Task Trainer)と呼ぶこともある。○コンピュータによる学習操縦でもそれ以外の分野でも、まず座学で基本的な知識を身につけさせた上で、現物やシミュレータを使った実地の訓練に進むことが多い。その座学についても、口頭と黒板と紙のテキストを使う方法から、コンピュータを活用する方法に変化してきている。いわゆるCBT(Computer Based Training)である。特にこれが威力を発揮するのは、修得度を確認するための試験やその後の再学習かも知れない。つまり、座学をひととおりやったところで、コンピュータの画面上で試験をやる。解答を入力した結果はたちどころに集計されて、合否の判定、あるいは得意分野・不得意分野の割り出しができる。それに基づいて、再度の学習と試験の受け直しとなったり、あるいは再度のチャンスを与えるには足りないとしてエリミネートを決めたり、といった話になる。CBTの利用が広まってきたため、航空関連の教育・訓練を行う現場では、教室に椅子と机を並べるだけでは済まず、さらにパソコンをズラッと並べることが多くなっているようだ。もちろん、そのパソコンではCBT用のソフトウェアが動作しており、LANを通じて教官用のコンピュータや学習データ管理用のコンピュータと連接する。そのCBTを活用する座学に始まり、シミュレータ訓練から実機訓練まで、何をどのように、どれくらいの時間をかけて学習させるかという訓練シラバスを組み立てて、所要の機材一式を揃えて納入と設置を行い、さらに必要とあらば教官の育成まで担当する。納入して運用を開始した後には、メンテナンスやアップグレード改修も必要になる。こういった、訓練に関わるソリューションをひとまとめにして提案・受注して、据え付けたら直ちに使えるような形で納入するのが最近の趨勢だ。いわゆる「ターンキー・ソリューション」というやつである。○執筆者紹介井上孝司IT分野から鉄道・航空といった各種交通機関や軍事分野に進出して著述活動を展開中のテクニカルライター。マイクロソフト株式会社を経て1999年春に独立。「戦うコンピュータ2011」(潮書房光人社)のように情報通信技術を切口にする展開に加えて、さまざまな分野の記事を手掛ける。マイナビニュースに加えて「軍事研究」「丸」「Jwings」「エアワールド」「新幹線EX」などに寄稿しているほか、最新刊「現代ミリタリー・ロジスティクス入門」(潮書房光人社)がある。
2015年05月04日エアバス(本社: 仏トゥールーズ)は4月30日、シンガポール航空と共同で設立する飛行訓練施設「エアバス・アジア・トレーニング・センター(AATC)」の建設が開始されたことを発表した。シンガポールに新設されるこの訓練センターは2016年第一四半期に開業する予定で、エアバス機全機種のタイプ・レーティング訓練やリカレント訓練を提供する。訓練センターはシンガポールの法人企業としてエアバスが55%、シンガポール航空が45%を出資。9,250平方メートルの広さを持つ最先端の訓練センターは、セレター・エアロスペース・パークに位置し、トゥールーズやマイアミ、北京に置かれている訓練施設に続き、世界で4番目のエアバス飛行訓練センターとなる。最終的に施設には合計で8基のフルフライト・シミュレーター(A350 XWBが4基、A380が1基、A330が1基、A320が2基)が設置される。また、大規模な教室設備も備え、年間1万人以上の訓練生に訓練コースを提供できるようになる。新設される訓練センターの開業に先立ち、現在はチャンギ空港近くにあるシンガポール航空の訓練センターで一時的に訓練コースを提供している。その施設にはA380のシミュレーターを1基とA330のシミュレーターを2基備え、訓練センターの教官は始め、エアバスとシンガポール航空から迎え、その後は新たな雇用を行う予定となっている。訓練センターは合計で約50人の教官と25人のサポートスタッフの雇用を見込んでいる。エアバスは、トゥールーズ、マイアミ、北京の飛行訓練センターを置くほか、ハンブルクとバンガロールにエンジニアリングおよびメンテナンス訓練センターを設置。また、他会社と契約を結び、そこの施設でエアバスの訓練コースを提供している。AATCはアジア太平洋地域の航空会社からの訓練生を歓迎しており、AATCが提供する全ての訓練コースは、トゥールーズ、マイアミ、北京の訓練センターと同一のものとなる。
2015年04月30日シート類で衛生ケア東日本大震災が起こった3月11日を目前にしたこの時期は、非常時のアイテムを見直す人が多いが、美容用品についても一考してみたい。2月26日、資生堂は「もしもに備え、知って得する美容情報」を発表した。非常時には水不足に陥ることが予想され、お風呂に入れず自分の体臭が気になりがちだ。同情報では、シート類を活用した衛生ケアをすすめている。拭く順番がポイント!上から下へまず、念頭に置きたいのが、便利なシート類は非常時には貴重品であるということだ。いかに効率的に拭くかがポイントとなる。拭き取る順番としては上から下が基本で、顔、首やわきの下などを済ませた後に、足の汚れを拭く。途中で汚れが気になったらシートを裏返して使えば、1枚のシートで体全体を拭くことができる。非常時に役立つアイテム非常用持ち出し袋に、是非用意したいのが「水のいらないタイプのシャンプー」。また、マスクで隠せない眉毛には、削らなくてよい「くり出し式の眉ペンシル」が便利だ。外出先で避難をすることも想定して、持ち歩きバックの中身にも気を遣いたい。ボディシートなど拭き取りシートの他、ハンドクリームやリップクリームなどの保湿剤もあると安心だ。(画像はプレスリリースより)【参考】・資生堂 ニュースリリース
2015年03月01日大日本印刷(DNP)はこのたび、2月5日に実施された「平成26年度東京都・豊島区合同帰宅困難者対策訓練」において、池袋駅周辺に設置したデジタルサイネージで情報発信を行い、大規模災害発生時の帰宅困難者を一時滞在施設へ誘導する訓練に協力することを発表した。これにより、大規模災害を想定した緊急時の情報発信手段として、DNPが共同で運営する東武百貨店池袋店の9面マルチビジョンと、ダイドードリンコのデジタルサイネージ一体型自動販売機を活用し、池袋駅周辺に滞留する帰宅困難者に向け、緊急災害情報や一時滞在施設情報等を発信。滞留者を生まないよう、円滑に一時滞在施設へ誘導する。DNPは、停電時にも継続運用可能で、自然エネルギーを活用した省エネルギー型のデジタルサイネージや、危機管理・情報共有システムとデジタルサイネージを組み合わせた災害時緊急対応システムを提供する。公共施設や公園、学校などの避難指定場所や、人々が多く集まる街中、商業施設などへ緊急情報発信機能を備えたデジタルサイネージを設置することで、安全・安心なまちづくりに貢献していく考えだ。
2015年02月06日多摩動物公園は2月10日、「動物脱出対策訓練」を実施する。○ユキヒョウの脱出事故を想定し、脱出動物の捕獲訓練など実施災害などの緊急事態に備えた「動物脱出対策訓練」は年に1度、同園と上野動物園で交互に行なっている重要な訓練。2015年は、多摩動物公園での開催となる。今回は、ユキヒョウの脱出事故を想定し、来園者の避難誘導および脱出動物の捕獲訓練などを、警察署や消防署の協力のもとで行う。なお、訓練時間中は来園者の訓練エリアへの立ち入りを制限する。訓練予定は、「地震により倒木があり、ユキヒョウ舎の運動場ネットが破れ、1頭が脱出」→「園長が非常配備態勢発令、対策本部設置。避難誘導、警察署・消防署へ連絡。場内の安全確認と応急処置」→「脱出したユキヒョウはレッサーパンダ舎付近へ逃走」→「さらにコアラ売店前付近へ逃走し、捕獲作業中の捕獲隊員1名がユキヒョウと接触。救護を要請」→「その後インドサイ舎方面へ逃走。さらに正門方面へ」→「昆虫坂下でユキヒョウは捕獣網に阻まれ、捕獣網内をうろつく」→「動物病院車が到着。麻酔銃(実物ではない)を発射。麻酔効果を確認し、捕獲!」という流れとなる。実施日時は、2月10日 14時~14時45分(小雨決行)。天候や動物などの状況により、変更や中止になる場合がある。場所は、多摩動物公園 アジア園ユキヒョウ舎から正門付近一帯(東京都日野市程久保7-1-1)。
2015年01月26日「失業した時の保険」というイメージが強い雇用保険。でも、雇用保険の仕組みの中には、資格を取得するなど個人の能力開発に対してお金を支払ってくれる「教育訓練給付金」という制度がある。今年の10月から教育訓練給付金制度が拡充したので、この機会に一度、内容をチェックしてみよう。「教育訓練給付金」とは、厚生労働大臣が指定する教育訓練を受講し、修了した場合に、掛かった費用の一部を本人に支給する制度だ。平成26年10月から、従来の枠組みを引き継いだ「一般教育訓練の教育訓練給付金」と、拡充された「専門実践教育訓練の教育訓練給付金」の2本立てになった。○一般教育訓練の場合は最大10万円一般教育訓練の教育訓練給付金がもらえるのは、下記の表の通り2パターンある。給付金は受講費の20%で上限は10万円。受講費が10万円を超える場合は、戻ってくるお金は10万円まで。戻ってくるお金が4,000円を超えない場合は支給されない。初めて利用する人受講開始日までの間に、雇用保険の一般被保険者であった期間が通算1年以上の場合以前、利用したことがある人前回の受講開始日から今回の受講開始日までの間に雇用保険の一般被保険者であった期間が、通算3年以上の場合。さらに、前回の教育訓練給付金受給から今回の受講開始日までに3年以上経過している場合○専門実践教育訓練の場合は最大年間48万円平成26年10月1日から中長期的なキャリアアップを支援するため、「専門実践教育訓練の教育訓練給付金」が始まった。受講前に中長期的なキャリア形成支援のためのキャリア・コンサルティングを受け、受講開始日の1カ月前までにハローワークで所要の手続きなど、一定の要件を満たした人が対象。「専門的・実践的な教育訓練」として指定された講座に通うと、受講費用の40%(年間上限32万円)、さらに資格等取得し、被保険者として雇用されるまたは雇用されている場合には、20%が追加支給される。つまり最大で合計60%、年間上限48万円まで給付される。ただし、一般教育訓練と同様に戻ってくるお金が4,000円を超えない場合は支給されない。専門実践教育訓練の教育訓練給付金がもらえるのも、下記の通り2パターンある。なお、詳細は厚生労働省のホームページを参照していただきたい。初めて利用する人受講開始日までの間に、雇用保険の一般被保険者であった期間が通算2年以上の場合以前、利用したことがある人前回の受講開始日から今回の受講開始までの間に、雇用保険の一般被保険者であった期間が通算10年以上の場合。さらに、前回の教育訓練給付金受給から今回の受講開始日までに10年以上経過している場合○訓練受講を支援するための給付も専門実践教育訓練の教育訓練給付金を受給できる人のうち、受講開始時に45歳未満で離職しているなど、一定の条件を満たす場合には、訓練受講をさらに支援するため、「教育訓練支援給付金」が支給される。こちらは平成30年度までの暫定措置だが、資格をとって転職したいと思っている人にとっては経済的な支えになるはず。支給申請の詳細については、住まいの地域を管轄するハローワークで確認できる。○「指定講座」の確認を忘れずに!「一般教育訓練の教育訓練給付金」「専門実践教育訓練の教育訓練給付金」ともに、給付の対象になるのは厚生労働大臣が指定する講座。同じような講座でも、事業者やコースによって指定講座でない場合もあり、その場合は給付金対象とならないので、必ず「教育訓練給付金の指定講座であること」を確認しよう。一般教育訓練の教育訓練給付金の指定講座は、近くのハローワークで一覧表が閲覧できるほか、教育訓練講座検索システムでも検索可能。また、専門実践教育訓練の教育訓練給付金の指定講座一覧はコチラ。○お金が戻ってくるのは"受講後"なお、一般教育訓練の場合、給付金が支給されるタイミングは"講座修了後"であることもポイントだ。出席率や成績など講座ごとの「修了の認定基準」を満たして、初めてハローワークで給付金の申請手続きを始めることができる。一方で、専門実践教育訓練の教育訓練給付金は訓練期間中6カ月ごとに申請を行い、教育訓練中から支給を受けられる。また、一口に"受講費"といえども、一定のルールがある。例えば、受講に必ずしも必要ではない補助教材やパソコンの費用、スクールまでの交通費などは対象にならない。こういったお金を含めて計算し受給しようとした場合、「給付金が支給されない!」などということもあり得るので申請は正しく行おう。※本文と写真は関係ありません○筆者プロフィール : 楢戸 ひかる(ならと ひかる)1969年生まれ大手商社勤務を経てフリーライターへ。中学生と小学生の男児3人を育てる主婦でもある。生活に役立つ情報を「主婦er」にて更新中。また、長期投資を始めた日々の記録をメルマガ「主婦が始める長期投資」で配信中。メルマガ申込みは「主婦er」より。
2014年11月28日CAは通常、訓練を経て乗務環境や内容が変わってくる。JALの場合は、新人訓練の後に国内線で乗務し、1年後に国際線移行訓練を受ける。その2年後にあるファーストクラス訓練を経て、全ての業務をこなせるCAになる。特に国際線には国内線にないサービスが多々あるため、国際線移行訓練はあらゆる訓練の中でも、ひとつの“関門”になるそうだ。そこで今回、国際線移行訓練現場を取材し、「体験」もしてみた。○茶の心がおもてなしに通じる!?JALのCAはまず、新人訓練として新入社員研修を2日間、国内線専門訓練を34日間、OJT実機訓練を2週間受ける。その1年後の国際線移行訓練は20日間、またその2年後にあるファーストクラス訓練では、4日間という育成キャリアが定められている。つまり、全ての業務ができるようになるには4年かかることになる。特にJALでは「心の教育」に力を入れており、目指すおもてなしのベースは「茶道の精神」にもあるという。茶道の心得を示す標語「和敬清寂」や「利休7則」を、実際の乗務現場と照らし合わせることで、CAのサービス向上を図っている。「利休7則」を例にすると、「夏は涼しく、冬は暖かに」であれば、季節を感じられるミールサービスや機内アナウンスなどが挙げられる。また、ボーイング787のような日本の四季に合わせた色彩でのお出迎えもそのひとつだ。ファーストクラス訓練では、この「茶道の精神」に立ち返るカリキュラムが用意されている。○キャビンとギャレーで異なるポイント今回取材した国際線移行訓練では、主に3つの訓練を行う。その前に、そもそも国内線と国際線では、どのように業務が変わってくるのかを考えてみよう。大きな違いはミールサービスであるが、そのほかにも、外国人への対応、税関や出入国管理などのCIQサポート、免税品の機内販売などがある。そこで、20日間に及ぶ訓練の半分は座学に、残りはミールサービスと英語の教育に割り当てられている。ミールサービス訓練は、新ビジネスクラスシート「スカイスイート」のモックアップを用いて実施する。この日、訓練を受けていたCAの訓練生は全員で24名。訓練生は12名の2グループに分かれ、1グループに対して3名のインストラクターが指導に当たっていた。12名の内、2名はギャレーを、4名はキャビンを担当し、残りの6名は乗客役になる。キャビンでは乗客への声かけのみならず、お手拭きの出し方やカトラリーの並べ方ひとつをとっても、細かいチェックポイントがあるようだが、インストラクターはその都度声をかけることはしない。まずは実際にさせ、その後に「問題はなかっただろうか」を考えさせる時間を与えていた。また、「この料理に合うワインは何ですか?」と質問する乗客に対して的確に答えられるよう、料理に対する知識も必要になってくる。そのキャビン以上に混雑するのがギャレーだ。キャビンでスムーズにサービスができるよう、ギャレーでは状況を判断して先に先に準備をしなければならない。また、ミールの中には、健康面や宗教に配慮したスペシャルミールもある。キープしておいたミールが分からなくなったり、新旧のミールカートが混ざったりしないよう注意が必要となる。訓練では2名体制で当たっていたが、実際の機内では1名が担当している。○おもてなしはCAたちのチームプレーからミールサービス訓練の最後には、訓練生とインストラクターが訓練を振り返ってブリーフィングを行う。この時、国際線移行訓練のまだ3分の1の段階だったこともあり、訓練中にはミスがいくつか見受けられたよう。キャビンでは、乗客にあやふやな知識で対応しないことや、乗客をスキップしていないかなどの指摘があり、ギャレーでは残りのミールの確認とともに、カートを置く位置など安全面への徹底が求められていた。今回の訓練生のひとりだった澤津菜月さんは、2012年入社でニューヨーク線乗務を希望している。その澤津さんが訓練の中で難しいと思ったことは、メニューの説明だったという。「細かい説明を求められた時、自信を持って答えることができませんでした。また、座学を通じて覚えたことは頭に入っているものの、どのような言葉でお客様にお伝えすればいいのか悩むこともありました。こうしたことは経験を通じて、一つひとつ学んでいきたいと思います」と答えてくれた。限られた時間とスペースで最高のおもてなしをするために、CAたちはこうした訓練を通じて知識や技術の向上を図っている。そしてもうひとつ、この訓練の取材を通じて感じたことは、CAたちの「チームプレー」だった。通常機内では、ギャレー担当はギャレーから出てキャビンサービスをすることはない。そのため、私たちはギャレー担当のCAをサービス中に見ることはないが、機内で受けるサービスの一つひとつが、こうしたCAたちのチームプレーからなっていると思うと、サービスを受けるのがちょっと楽しくなってこないだろうか。
2014年01月24日ANAは、今後の副操縦士の養成にMulti-crew Pilot License(以下MPL)を取得する訓練を導入する。その基礎訓練をLufthansa Flight Training GmbH(以下LFT社)に委託し、2014年夏より開始する。○訓練期間も大幅短縮にMPLはエアラインの2人乗り航空機の操縦士に特化した新しいライセンスであり、2006年にICAO(国際民間航空機関)で規定され、日本においても2011年に法制化、翌2012年から施行された。ANAでは2009年よりMPL訓練の導入を検討し、基礎訓練から実用機訓練まで一貫して効果的な訓練が可能になると判断した末に、このほど導入を決定した。訓練を委託するLFT社は、ANAのジョイントベンチャーのパートナーであるルフトハンザドイツ航空の訓練を担うグループ会社。エアラインの運航ノウハウを積極的に訓練に取り入れることにより、世界の訓練会社の中でも最先端かつ最高品質の訓練を提供している。また、LFT社はMPL訓練を修了した副操縦士を400名以上輩出するなど、MPL訓練に関して世界でも最大規模の実績を有している。このLFT社とANAは互いの訓練ノウハウを出し合い、1年以上にわたる共同開発を経て、ANAのMPL訓練プログラムを作り上げた。今回ANAが導入するMPL訓練プログラムでは、エアラインの操縦士に求められる高品質な航空機の操縦操作能力の習得に加え、運航をチーム力で支える能力やスレット&エラーマネジメント等のエアラインの運航に必要な業務遂行力も集中的に修得する。そのため、訓練品質を大きく向上させると同時に、効果的な副操縦士養成が可能となる。また、訓練効率を向上させることにより、従来方式と比べて大幅に訓練期間を短縮することができる。
2013年12月11日エミレーツ航空(本社:アラブ首長国連邦・ドバイ)は総工費5億AEDディルハム(約138億円)をかけ、パイロット訓練学校「エミレーツ・フライトアカデミー」を設立することを発表した。○ゆくゆくは他会社の訓練も対応エミレーツ・フライトアカデミーは、ジュベル・アリ地区にある新空港ドバイ・ワールド・セントラル内に2015年に完成する予定。40ヘクタールの敷地には、1.5kmの専用滑走路、管制塔、訓練用の航空機が用意され、専用の空港名コードがつく。施設内には、教室、学生寮、フライトシミュレーター、飛行訓練設備を完備する。職員体制は150人以上で、400人の訓練生を同時に受け入れることができるように設計されており、年間約160人の卒業生を見込んでいる。フライトアカデミーの訓練では、生徒が入学して間もない段階から高速ジェット機を使用した高度なジェットオリエンテーションを受けることができ、副操縦士の資格をより安全かつスムーズに取得できるようになる。開校後はまず、エミレーツの“国家パイロット候補生プログラム”の専用訓練所として運営し、その後、他の航空会社から飛行未経験のパイロットを受け入れて、徐々に訓練生数を増やしていく予定。ボーイング社が発表した“2013年ボーイング パイロット・技術者予測(2013 Boeing Pilot & Technician Outlook)”によると、今後20年間に世界中で50万人近くのパイロットが必要となり、そのうち4万人が中東で必要となると見込まれている。同アカデミーは、世界的に高まる次世代パイロットへの需要に応え、急成長する航空産業を支えていくという。
2013年11月22日一般社団法人 全日本動物専門教育協会は、11月1日、東日本大震災チャリティーイベント「第9回全国トリミング・家庭犬訓練競技会」を開催する。同競技会は、同日10時~16時、東京武道館 大武道場(東京都足立区綾瀬 3-20-1)にて開催。「トリミング」「家庭犬訓練」「デザインカットコンテスト」の3部門の競技で技術を競い合う。昨年は総出場者数が200名を超え、熱気あふれる戦いが繰り広げられた。トリミング及び家庭犬訓練部門は「学生の部」と「一般の部」に分かれ、それぞれで審査される。デザインカットコンテストは、学生と一般の区別なく競い合うため、技術だけでなくセンスも重要なポイントとなる。さらに今回の競技会は、3部門のチャンピオンに総額50万円の賞金が授与される(同協会会員限定)。参加料金は、各種目、一般者が8,000円、同協会の個人会員は6,000円。定員は「トリミング部門」が100名、「家庭犬訓練部門」が150名、「デザインカットコンテスト」は30名となっている。参加申し込みは、同協会エントリーページから。申込期限は10月21日までで、各部門、定員に達し次第締め切りとなる。なお、当日の入場・競技の見学は無料。同協会では、「どなたもお気軽にご来場ください」と呼びかけている。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年09月28日東日本大震災から1年となる11日、首都圏では多くの鉄道会社が、大地震を想定した列車の停止訓練を実施する。9日には東武鉄道や江ノ島電鉄、関東鉄道、多摩都市モノレールが概要を発表し、訓練を行う私鉄・地下鉄は15社以上となった。各社の停止訓練の概要については別表参照。列車によっては、駅間で急停止する可能性もあり、該当する路線に乗車する際は利用者も注意が必要だろう。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年03月10日東京メトロ、京急電鉄、小田急電鉄、京成電鉄、新京成電鉄、北総鉄道は8日、大地震を想定した全列車の一斉停止訓練を11日に実施すると発表した。首都圏では、他にも京王電鉄、西武鉄道、東急電鉄、相模鉄道、都営地下鉄などが訓練の実施を発表している。東日本大震災から1年が経過するのを受けて実施される今回の訓練は、地震発生時に安全に列車を停止させること、地震による被害を最小限にとどめることなどが目的。11日10時より、東京メトロと都営地下鉄、西武線、京急線、京成線、新京成線、北総線で一斉停止訓練を実施。続いて地震発生時刻である午後2時46分に、京王線、東急線、小田急線、相鉄線でも停止訓練が行われる。なお、埼玉高速鉄道も11日午後2時46分に、列車の停止手配訓練を実施するとのこと。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年03月09日非常時に頼りになるのは、夫やきょうだいよりも、親と自分自身――。朝日新聞社の働く女性向けサイト「ジョブラボ」が1~2月に実施したアンケートで、昨年の東日本大震災で身内の安否確認にかかった時間や、帰宅時に困ったこと、震災後に持ち歩くようになったものが明らかになった。働く女性にとって、非常時に本当に頼りになる人は親と自分というシビアな結果も。「非常時に次の人たちをどれくらい頼れますか」と7つの選択肢を挙げ、「とても頼れる」「頼れる」「あまり頼れない」「全く頼れない」のいずれかで回答(有効回答数=1,058)。「とても頼れる」と答えた割合が最も高かったのが、「親(義理も含む)」の34.2%。「パートナー(夫や恋人)」が33.4%で続いた。「とても頼れる」と「頼れる」を合わせた時に最も割合が高かったのは、「自分」で74.8%。「親(義理も含む)」は62.6%、「パートナー(夫や恋人)」が57.5%だった。「きょうだい(義理も含む)」は53.1%と過半数に乗ったが、「近所の人」は32.5%、「友人・シェアハウスなどの同居人」は30.2%と、身内以外は頼りにできないと考える傾向が強かった。「帰宅時に困ったこと、大変だったことは」という問い(有効回答数=524)で、「特にない」と答えた人を除き、最も回答者が多かったのは「混雑していて、なかなか進めなかった」の29.4%。「寒かった」が22.7%で続いた。「最も安否を確認したかった人の安否確認ができるまで、どのくらいの時間がかかりましたか」という問い(有効回答数=878)では、1時間以上と答えた人が6割に。そのうち「3時間以上」という人が35.0%、「1日以上」という人も3.5%いた。被災したかどうかにかかわらず、大震災後に持ち歩くようになったもの、サービスについて尋ねたところ(有効回答数=1068)、最も多かったのは「懐中電灯・LEDライト」で3割弱。2割強が「非常食・飲料水」「携帯電話の充電器や予備バッテリー」と答えたが、4割弱は「特にない」と答えるなど、震災発生当日の気持ちとその後の備えに差があることがわかった。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年03月08日東日本大震災からちょうど1年となる11日、首都圏の各私鉄などで大地震を想定した訓練の実施が発表されている。京王電鉄については本誌既報の通りだが、西武鉄道、東京急行電鉄、相模鉄道、東京都交通局(都営地下鉄)も同様の訓練を行う予定だ。東急電鉄では、大規模地震発生時を想定した異常時訓練として、午後2時46分から約1分間、東急線の全列車が一斉に停止。車内アナウンスや駅構内放送による注意喚起、運転再開に向けた構造物や設備の点検訓練、保守無線機による通信訓練もあわせて行われる。東横線渋谷駅では、同時刻に駅施設からの避難誘導訓練も行われるとのこと。相模鉄道も11日午後2時46分、全列車の一旦停止訓練を実施。事前に車内放送にて案内が行われ、一旦停止後はすみやかに運転を再開する。西武鉄道の一旦停止訓練は11日10時から約1分間、西武線全線全列車において実施。都営地下鉄も11日10時から約1分間、列車停止訓練(都営大江戸線は次駅停止訓練)を行う。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年03月07日