HARE(ハレ)が、2019年秋冬コレクションを2019年3月21日(木・祝)に渋谷ヒカリエにて発表した。リバースすることで見える装いの楽しさテーマに掲げたのは「リバース」。反対や反転、裏側を示す言葉だ。物事の“裏”にある普段は気づかぬ美しさや秘密を引き出すこと、うちに秘めた繊細さや思いを表に出すこと、そして単純に服の表裏や前後を逆すること。リバースによって境界が曖昧になったファッションは、服を纏うことをより自由にし、より楽しくさせる。まず、顕著に表れたのは、表裏の境界線の曖昧さ。ジャケットは、ハーフライニングの部分がストームシールドのようにあらわになっていたり、ポケットが飛び出していたり。コートも同じようなフォルムで、トレンチコートはそのまま裏返しにしたようなデザインで、パイピング部分が装飾として生きている。その中には、リバーシブルとして機能するアイテムも存在している。ボトムスで言うと、一見クリーンなメンズスラックスは、縫い代がサイドラインのように施され、デニムパンツも裏返し風。ウィメンズのマーメイドスカートは、柔らかなシルエットを構成するパターンの縫い目が、まるでプリーツスカートかのように表に現れ、新たな魅力を発揮している。スタイリングで表現した「リバース」は、例えば、厚手のニットの上に軽やかなクロップドシャツを羽織ったルック。そして、厚手のダウンベストは、下にあわせるのではなく、MA-1の肩を落として重ねてた。通常とは逆発想のレイヤードは、見慣れたアイテムをも新鮮に感じさせる。サムライアロハとのコラボレーションランウェイ後半に登場したのは「サムライアロハ(Samurai ALOHA)」とのコラボレーションだ。着物を用いて「日本の生活美が生み出した文化に、新たな息吹を吹き込んで現代に伝えていく」というサムライアロハの活動に共感して実現した、このコラボレーションにはもうひとつのリバース=rebirthの意味を込めている。表裏を逆にしたトレンチコートの背中には、軽やかにゆれる和柄が採用された。
2019年03月24日リエカ イノウエ ヌー(RIEKA INOUE GNU)の2019-20年秋冬コレクションが2019年3月21日(木)に発表された。モデルが踊る、ミュージカルショーデザイナー・井上里英香が今回ショーの会場として選んだのは、大きなシャンデリアが下がる都内のシーシャバー。「普通のランウェイではないショーをしたい」という井上の想いから、ショーのモデルは音楽と共に踊りながら登場し、まるでミュージカルのような演出で今季の新作が披露された。着る人が主人公になるドレスリエカ イノウエ ヌーが作るドレスのコンセプトは“着る人が自分の為に着るドレス”。洋服に着せられるのではなく、着る。そんなメッセージを表現するように、ベロアやサテンで構成された光沢のある生地は、着る人の動き次第で表情を変え、リュクスな雰囲気を醸成する。モチーフで多く見られたのはフラワー。ロングドレスに乗せられた花々は、シャープなシルエットやチュール素材と相まってフェミニンさを演出すると共に、華やかさもスタイルにプラスする。一方でボリューム感のあるスリーブが特徴的なドレスのフラワーは、艶のある色気を演出する要素に。ネイビーとパープルというカラーコンビネーションもエレガントさを感じさせる。また、フラワーパターンを用いたシックな配色のドレスと、ビビッドなアクセサリーの組み合わせも新鮮だ。スタイリングの随所に明るいカラーをワンポイントで配置することで、程よいカジュアル感が生み出された。スカーフをアクセントにまた、ブランドネームをデザインしたスカーフはショーの中でも一際目を惹く存在。頭に巻かれたり、首から肩に掛けたりと、スタイリングにアクセントを加えるユーティリティーなアイテムとして存在感を放っていた。
2019年03月24日シロマ(SHIROMA)は、2019-20年秋冬コレクションを、2019年3月21日(木・祝)に渋谷ストリームで発表した。構築的な形・素材の組み合わせ目を引くのは、異素材の組み合わせで表現された構築的なパターンメイキング。起毛感のある素材や、化学繊維、ウール地など、異なる質感の素材を独自のフォルムに重ね合わせることで、重層的ながらも軽やかさを演出。開放的な屋外のランウェイ上で、風を受け空気を含むようにして、ワンピースやコートが優雅なラインを描く。分量感のあるコートに組み合わせたコルセットは、変形パターンでコートの身頃に組み込まれている。ベルクロで固定する仕様になっており、ルーズに留めてユニークなフォルムで楽しむことが可能だ。また、パンツやスカートには大胆なスリットを施すことで服に動きを与え、躍動感のあるルックを展開。揺れ動くウェアは、きめ細やかでエレガントな空気感を作り出す。その他、華やかなレース地とブラックの生地を前後で切り替えたスカートや、コルセットだけでなくアームにもバンドを巻いたコーディネート、ランダムにドローコードをあしらったドレスに重ねるようにして半身のプリーツスカートを合わせたルックなど、多彩なバリエーションのレイヤードスタイルを提示している。アクティブなアイテムもセンシュアルにMA-1や、フーディといったアクティブなアイテムも、コレクションに流れるセンシュアルな雰囲気に溶け込むようにして差し込まれた。ボルドーのMA-1は極端に襟ぐりを広くとり、丈をコンパクトにする事でブラウスのような形に仕上げている。ロングフーディドレスには、透け感のある素材で仕立てたブラトップをレイヤード。厚みのあるスウェット地と対比を描き、スタイリングに緩急を生み出している。トロピカルモチーフで意外性を繰り返し登場したのは、パームツリーやハイビスカスといったトロピカルなモチーフ。トレンチコートやバルーンスリーブブラウスの袖にはパームツリーがスパンコールの刺繍で施され、一見オーセンティックなベージュのコートには、通常はスウェットやTシャツに施されるような、ダイナミックなバックプリントをあしらい、意外性をプラスした。
2019年03月24日アクオド バイ チャヌ(ACUOD by CHANU)の2019年秋冬コレクションが、2019年3月21日(木)に発表された。ランウェイには、EXILEのネスミス、元KAT-TUNの田口淳之介、俳優ノ・ミヌらが登場した。"偽物をぶち壊す"力強さシーズンテーマは「KNOCK OUT YOUR FAKES」。フェイクニュース、コピー、偽造、詐欺...現代はさまざまな"フェイク"で溢れている。今季はそんな「偽物をぶち壊す」強さを持ったハードなコレクションを展開。偽物が永遠に追い付けない「本物」を目指して、ブランドが本当に作りたいものを生み出していく。ショーは、ダンサーのKTRらによる、激しいクランプダンスからスタート。会場が暗転すると、EXILEのネスミスがファーストルックを飾った。メタリックカラーのダウンジャケットは、アイコニックなジップが、バックスタイルやアームを縦横無尽に走っている。続々と現れるモデルたちは、ブラックを主流としたレザーのライダースジャケットや、ミリタリージャケットなどを纏っており、力強い意志が感じられるエネルギッシュなムードを放つ。そして、ブランドのアイデンティティであるジップのディテールが、そのハードな印象を一層加速させる。模倣から生まれる"新しい価値""フェイク"はネガティブなものであるが、アクオド バイ チャヌのベースにあるヒップホップカルチャーのサンプリングやリミックス、現代アートのコラージュなど、既存の模倣から新たな価値が生まれるという事実もまた確か。では本物と偽物、ただのコピーと創造の違いはどこにあるのか?今季はその境界を探ったシーズンでもある。デザイナー・李燦雨の答えは明解。「元ネタへのリスペクトがあるか」「違う文脈の物を繋ぎ合わせて新たな価値が付加されているか」もしくは「価値の転換が起こっているか」だ。『モナ・リザ』をサンプリングしたカモフラージュ柄この哲学を象徴するのが、ヒロ杉山を中心とするクリエイティブユニット・ENLIGHTENMENTとのコラボレーションによって生み出されたグラフィカルプリント。レオナルド・ダ・ヴィンチによる名画『モナ・リザ』をサンプリングしたカモフラージュ柄だ。『モナ・リザ』と言えば、コピー品が数多く出回るほど、誰もが知っているアート作品。カモフラージュ柄は、元来、敵の目を欺き身を隠すための模様であるが、現代のファッションでは個性を主張するパターンとして価値転換が起こっている柄だ。この2つを組み合わせ、この世に一つしか存在しないまさに「本物」のグラフィックを創造した。アートの額縁から着想したポケットアート作品から着想を得た額縁のディテールも、今季の特徴の1つ。額縁は、この作品を自分のオリジナルとして世に送り出す、という強い意志を表明するモチーフとして取り入れている。クリア素材を黒いパーツで縁取り、機能的なポケットに仕立て、アウターやトップスに散りばめた。モデルたちのヘアは、フェイクニュースから想像を膨らませ、世界各国の新聞紙から制作した。アクセサリーは、昨シーズンから引き続き、レディー・ガガやリアーナが愛用していることでも知られるCHRISHABANAとコラボレーション。足元にはアディダス(adidas)のスニーカーを合わせた。
2019年03月24日ケイスケ ヨシダ(KEISUKEYOSHIDA)の2019-20年秋冬コレクションが、2019年3月20日(水)東京・渋谷ヒカリエで発表された。本当の自分って何?今季のスタートは、デザイナー吉田圭佑が抱いた一つの問いから。周りの人から見られる自分、こう見られたいという理想の自分。自分にまつわる自問自答の探求から得た思考、そしてプロセスそのものをファッションに落とし込んだという。本当の自分がわからないという葛藤は、モデルの顔をぐるぐるに巻き付けた包帯や、顔が半分以上かくれたフード、ストールなどの演出、小物選びに反映させた。聖歌でショーの幕開けショーの始まりは聖歌と共に。カトリック系の学校に通っていたというデザイナーの吉田は、恩師との再会をきっかけに学生時代を振り返り、ミサの時間に着目しこの曲を選んだという。力強いパワーショルダーvsセクシーピンヒール「今本当に自分がカッコイイと思うもの」を厳選したというコレクションピースは、エネルギッシュでパワフル、そして少しだけ“おどろおどろしさ”がある。特徴的なのはパワーショルダー。大きな羽根のように広がったビッグショルダーのジャケット、アウターがランウェイに姿を現す。力強さの象徴ともいえるピースが、色気を具現化したかのようなセクシーなピンヒールシューズ、ブーツとコンビネーションされている。原型を“忘れるほど”変形されたアウター“普通は嫌だ”そんな声が聞こえてきそうなほど、ほぼほぼ全てのアイテムは解体され、変形されている。ダッフルコートは、ボディを包み保温するという従来のアウターの役割からは開放され、カットアウトされエプロンのような形状に。コート類は2枚仕立てになっていて、なぜだか外側のテキスタイルがめぐりあがり、裾が後ろのネックラインにと止められている。オーバーサイズのレザーコートは、反して共布の素材が重ねられ、スカートかストールのように上半身に巻き付けられている。MA-1も同様に、同じテキスタイルが重ねられ、今度はひっくり返し裏地を見せた状態でケープのように重ねられている。トグル巻き巻きタイトパンツ個性とパワーがぶつかり合う中で、さらにパンチを効かせているのが、全面トグルボタン“巻き巻き”のピチピチパンツ。追い求めたのは個性なのか、色気なのか。それは定かではないがデザイナー吉田の追い求める、かっこいいファッションを突きつめたいという純粋な思いがそこには反映されている。
2019年03月23日BiSやBiSHのアイドルプロデューサー、渡辺淳之介が手掛けるネグレクトアダルトペイシェンツ(NEGLECT ADULT PATiENTS)の2019年秋冬コレクションが、2019年3月20日(水)に渋谷ヒカリエにて発表された。テーマは「“FAKE” ほぼだいたい偽物」だ。“MODEL”がモデルじゃないランウェイショーが始まると、予想を裏切られた。“MODEL”とわざとらしくプリントしたロゴTシャツを着た、黒子のモデルたちがトルソーを引き連れて登場する。そして、そのトルソーに着せている服を着た黒子のモデルたちのウォーキングの様子が、巨大な電子板に映し出されている。本物のモデルが目の前で歩いているのに、画面越しのモデル、つまりは偽物を見るという不思議なショー。でも、よく考えてみれば私たちの日常では、ありふれてしまったこと。画面越しに見る洋服をバーチャルで買って、購入後やっと服を手に取って、自分が身に着けるということと同じのような気もする。演出だけでなく服も、なかなかの“不思議度”だ。袖ぐり、後ろ中心などに取り付けられたジッパーは、各箇所すべて同じ長さで設定されていて、これらを繋ぎ合わせれば、形の異なる服をつくることができる仕組みだ。さらに、シャツ、ブルゾン、スウェットなど全てのアイテムが、繋ぎ合わせられるようになっている。オンブレチェックのシャツ、怪獣の絵が刺繍されたスカジャン、マルチカラーのブルゾン、ヒョウ柄のジャケット……。序盤はひとつのアイテムだったものが、後半になるにつれて入り乱れ、ドッキングされていく。このジッパーの仕組みを、ランウェイの流れで紹介している。ジッパーのデザインが生み出したのは奇抜さだけでなく、服を着ることで自分を偽るという意味合いも込めてのことかもしれない。そもそも、今回のテーマは、渡辺が最近感じていた「自分は偽物なのか」という疑問から提示した言葉だ。服を華美にすることは、自分を偽ることなのか。それが本物の自分なのか。この愉快なランウェイは、意外にも哲学的な意味で、服の意味を問うことに繋がった。
2019年03月23日HYKE(ハイク)の2019年秋冬コレクションが、2019年3月20日(水)に発表された。昨シーズンに引き続き、ランウェイ形式での発表である。ミリタリーウェアを着想源にシーズンテーマを設けず、何かしらのスタイルや古着などをインスピレーション源に新作コレクションを築き上げているHYKE。今季も前シーズンに引き続き、主に"ミリタリークロージング"を再構築したピースを展開していく。ファーストルックを飾ったアウターはイギリス軍のダッフルコートに着想を得たもの。本来男性のものであるミリタリーウェアは、緩やかに弧を描くようなボディラインや、ふっくらと丸みを帯びたスリーブを与えられることで、女性らしいスタイルへと昇華されている。裾にはアメリカ海軍などのウールブランケットを彷彿とさせるラインを印象的に配した。アウターで目を惹いたのは、ミリタリーコートの内側にあるはずのライナーを、表地で表現したピース。たとえばモッズコートのライナーはボアコートへ、フィールドジャケットのライナーは毛足の短い艶やかなファージャケットへと姿を変えている。スカートには、ブランドが得意とする美しいプリーツの他に、アメリカのウエスタンスタイルにインスパイアされたフリンジアイテムが登場。長いフリンジを大胆に起用したスカートは、モデルが歩くたびに美しく揺れ動き、躍動感のあるルックへと導いていく。この装飾はスカートだけでなく、ワイドパンツのサイド部分でも存在感を放っていた。グリーンをポイントカラーにカラーはアースカラーをベースに、ハッとするほど鮮やかなビビッドグリーンをポイントカラーとして採用。温かみのあるベージュのフィッシャーマンズセーターに、グリーンのアシンメトリースカートをスタイリングするなどして、モダンなアクセントを加えていた。ザ・ノース・フェイスとのコラボはラストシーズン今シーズンはいつも以上にコラボレーションアイテムが豊作。人気を博すザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)とのコラボレーションラインは4シーズン目、ついにラストシーズンを迎える。ランウェイでは、ダウンやマウンテンパーカーといったアウター類を筆頭に、トップス、レッグウェア、シューズなどが披露された。また、昨シーズンに続きメンズウェアも登場。秋冬では初めての展開となる。ダウンジャケットは2018年秋冬コレクションと比較すると、丸みのあるボリューミーなシルエットが印象的。ブランドロゴを控えめに配したミニマルなムードはそのままに、新鮮なシルエットへとアップデートされている。また柔らかなニュアンスを纏ったカーキも、前回の秋冬シーズンには見られなかったニューカラーだ。コラボアイテムが豊作、バッグ・シューズ・アイウェアも継続してタックを組んできたビューティフルシューズ(BEAUTIFUL SHOES)、チャコリ(CHACOLI)とのコラボレーションアイテムからは新作を発表。ビューティフルシューズとはフラットソールのアンクルブーツを、チャコリとはトートバックの新色レザーと新素材のウールを制作した。新たな取り組みとしてスタートするのは、アイウェアブランド・ジュリアス タート オプティカル(JULIUS TART OPTICAL)とのコラボレーション。ウィメンズ・メンズモデルたちが、テンプルを太めに設定した存在感溢れるアイウェアを身に着けて、ランウェイを歩いた。
2019年03月23日サポートサーフェス(support surface)の2019年秋冬コレクションが、2019年3月20日(水)に表参道ヒルズ「スペース オー」で発表された。「Pure form」をキーワードに今季のコレクションのキーワードとなるのは「Pure form」。デザイナー研壁宣男は洋服作りの上で、“ピュア”な形を追求したいという想いからこの言葉を思いついたという。洋服の原型を崩さないシンプルなデザインでありながらも、細部へのこだわりは惜しみなく。そんな研壁の丁寧な洋服作りが伺えるワードローブが、ランウェイに姿を現した。シンプルな服に隠された“複雑”なディテールモデル達が纏うのは、タートルネックやワンピース、ロングコートなど、日常に溶け込む“リアルクローズ”。けれどその佇まいはラフな雰囲気とはかけ離れていて、会場に流れる生演奏の優雅なメロディのように、上品で柔らかな空気を纏っていている。その気品を作り出しているのは、洋服の細部に施されたディテールだろう。ニットを細かく詰まんで、緩やかなラインを作りだしたり、ワンピースの胸元にドレープをたっぷりと取ったり。またオールブラックのコートには、絶妙なシワ加工を施して動きのある表情を作りだしている。同じファブリックで異なる表情を作るまたファブリックにも拘りを光らせる。レザーのように見える、かっちりとした素材のジャケットやパンツ、スポットライトを浴びて滑らかな光沢をみせるロングワンピースは、全て東レのウルトラスエードという生地が基になっている。着心地の良さだけでなく、エコな素材としても知られるこの生地に可能性を見出した研壁は、ワードローブに合わせた複雑な加工を施して、異なる表情を引き出しているのだ。コートに現れた“円”のモチーフまたそんなウルトラスエードを使用したロングコートは、よく目を凝らしてみるとインビテーションのデザインにも起用された円形のモチーフがあしらわれている。一見エンブロイダリーのように見えるこの模様だが、これも苦労の末に作り出した賜物。通常のパンチング加工よりも遥かに細かい複雑な加工で、極小の穴を複数連ねて描き出しているのだ。光の加減によって浮かびあがるこの特徴的なモチーフが、シンプルなワードローブに特別な意味を与えている。計算された煌めき深いグリーンや柔らかなオレンジ、アイボリーなど、マットな色合いがランウェイを埋めていくが、ショーの終盤には、そこにキラキラと輝く“煌めき”が加わっていく。眩い光を放つスパンコールは、ブラウスやスカート、ドレスに登場。そこに一切の“けばけばしさ”を感じさせないのは、やはりそれも計算尽くしたデザインだからだろう。オールブラックで纏めたルックでは、トップスの右半身を中心にスパンコールをあしらっている。雨が窓を伝うような流線的なスパンコールのラインは、儚さすらも感じられるものだった。
2019年03月23日タエ アシダ(TAE ASHIDA)の2019年秋冬コレクションが、2019年3月20日(水)に東京・六本木のグランド ハイアット 東京にて発表された。今季は、“多様性”をテーマの中心に据え、時代の変化に基づく社会の流れ、人そのものや行動の多様化にフレキシブルに順応できるファッションを表現している。多様性に順応する“多様化されたファッション”今シーズンのスタイリングは、アーバンティックなスタイリングがある一方で、エスニックなスタイリングもある。ナチュラルな素材もあればハイテクな素材もある。シルエット、素材、ディテール、どれをとっても多様性に溢れている。そして、メンズルックの提案が、より一層“多様性”を強調している。メンズルックが登場ファーストルックで登場したのもメンズルック。パープルのフェイクファーを用いたオーバーコートに、デニムパンツ、そしてナイロンパーカーをあわせ、1つのルックの中でカジュアルとラグジュアリーを交錯させた。序盤を象徴するピクセル化されたボタニカル柄のグラフィックは、今季のキープリントのひとつで、ピンクとパープルまたはパープルとイエローの色合いで登場している。今季はカラーパレットもベーシックからヴィヴィットまで様々だが、それよりもなおファブリックの多様性は心を躍らせる。自然を象徴するアニマル柄は、“多様性”を表すために欠かせなかった。中盤以降から展開されたヒョウ柄は、フェイクファーコートとして、あるいはシースルートップスへ落とし込んだ。はたまた、シワ加工の民族調のメンズパンツにあわせたシャツには、ピーコックの羽根、可憐なスカーフ柄のワンピースには、自由に舞う蝶やトンボを描いている。そして、ナイトシーンを想起させる黒いロングドレスにも、同じニュアンスを組み込み、フェザーをビジューとともにをあしらった。ファブリックとスタイリングに見る自由な表現ダマスク柄やベルベットは重厚感を与えるものとして、メンズ・ウィメンズともにアウターに採用。特に、ベルベットのセンシュアルな光沢は、メンズジャケットに色気をも漂わせる。これらはアニマルモチーフとは対照的に都会的な印象を与えるものだ。ミラーボールのようなスパンコールのタイトドレス、アコーディオンプリーツがなびくトレーンを引くほどのロングドレスなど、その表現は多岐にわたる。流れる時代に添うファッション時代の多様性にも触れた今季のランウェイには、スポーティーなエッセンスを加えたモダンなスタイルもあれば、アーバンティックなジャケットスタイルもある。そして後半を印象付けたドレス群はファッション史の銘品を顕著に受け継ぐものたち。スタンドカラーのシースルーブラウスとハイウエストミニスカートまたはスラックスの組み合わせ、スパンコールで煌めくエンパイアラインのドレスなど、クラシックな装いにも目を向けている。
2019年03月23日リョウタムラカミ(RYOTAMURAKAMI)の2019年秋冬コレクションが、2019年3月20日(水)に発表された。母の"めちゃくちゃ"な服作りから着想今季のインスピレーション源は、2017年秋冬シーズンまでデザイナー村上亮太と共にコレクションを作り上げていた母親・村上千秋の洋服づくり。ブランドのクリエーションに携わることが無くなった後も、大好きな洋服づくりを続けている母。「でも、技術や知識が無いから、めちゃくちゃな作り方をするんです。たとえば裏地の作り方が分からないから、同じ形の洋服を二着作って、それをくっつけちゃったり...。」と村上は口にする。正しい仕立て方なんて分からない、でもただ純粋に、がむしゃらに"カワイイ"と思ったものを完成させる。そんな母親のピュアな洋服づくりに着想を得て完成させたのは、「悪夢」のようなコレクション。「ファッションは夢ぐらいふわふわで無責任なものでもいいのでは。」という気付きを、村上なりに洋服に落とし込んだ。また今シーズン、ランウェイに登場したメンズウェアにもその哲学が反映された。二着を繋ぎ合わせたアウターテーラードジャケットやダブルブレストのコートは、前述の母親の裏地作りにインスパイアされたのだろうか、二着の異なるアウターを繋ぎ合わせたかのように、ストライプ×プリンス オブ ウェールズや、ブラック×ブラウンのバイカラーで表現されている。本来ならば端正な顔立ちのアウターが、ユーモアたっぷりに個性を主張している。"カワイイ"を詰め込んだニットウェア母親がずっと作り続けているニットウェアは、今季の特徴的なアイテムの1つ。ただしそのフォルムやディテールは通常のセーターとはかけ離れていて、だらしなく伸びてしまったような首回りや袖、フロントに張り付けられたポケットなどが目を惹く。仕立てはめちゃくちゃにも思えるが"カワイイ"を追及することには妥協がない。ニットウェアには、かぎ針編みのフラワーコサージュやうさぎのアップリケのような装飾が散りばめられた。
2019年03月23日ジョウタロウ サイトウ(JOTARO SAITO)の2019-20年秋冬コレクションが、2019年3月20日(水)に発表された。ランウェイには俳優の早乙女太一、敦士も登場した。テーマは「邪魔しないで。」今シーズンのテーマは「邪魔しないで。(UNOBSTRUCTIVE)」。キモノはもっと自由で、格好良い。人々の着物に対する固定観念にモノ申す、渾身の42ルックを披露した。グラフィカルな模様で伝統着をモダンに伝統的な着物を自由に楽しむために取り入れられたのは、グラフィカルなパターン。ダイナミックで鮮やかな模様は、ジョウタロウ サイトウが得意とするものであるが、その存在はよりモダンなムードを増しているように感じられる。たとえば丸、三角、四角で構成された格子柄は、今季の特徴的なパターンの1つ。時にはローズとブルーの美しいグラデーションと共に、時にはクラシカルな花柄と組み合わされ、着物の上で表現される。その他にもウォールペイントのようにカラフルな模様や、ワイルドなアニマル柄、鏡面を思わせるパターンなどが採用され、クールでアヴァンギャルドな雰囲気を醸し出していた。無骨なデニムを上品に楽しむ着物の素材としては珍しい、デニムを起用したピースも目を惹く。ブラックデニムとブルーデニムを切り替えることでコントラストを効かせたピースには、前身頃やバックスタイルに大きな花柄を配した。デニムの無骨な印象と、着物が持つ上品な魅力が、見事に融合している。友情出演した俳優・早乙女太一は、ブルーデニムにイエローでアクセントを加えたアニマル柄の一着を纏った。江戸時代の羽織りから着想した新作「ロウコート」新しい和装アイテムとして提案されたのは、メンズモデルたちが羽織るコートジャケット「ロウコート」だ。江戸時代に牢屋の取締りをした牢名主(ろうなぬし)の羽織ものをイメージしている。時代劇でもお馴染みの伝統着を、薄く軽やかな紋紗や、内側に花柄をあしらったリバーシブルタイプなど、多彩なバリエーションでモダンに昇華した。
2019年03月23日エマリーエ(EMarie)のエマ理永は、AI(人工知能)とコラボレーションした2019-20年秋冬コレクションを、2019年3月20日(水)に東京大学生産技術研究所で発表した。AIと共生するクリエーション、ファッションの未来を探るエマ理永は、AIと共生する“未来のファッションの可能性”を模索するため、人間の知能と人工知能を組み合わせてクリエーションを行う「ニューロインテリジェンス」を研究するRIKEN AIP、UTokyo IIS&IRCNとともに、今季のコレクションを製作した。AIにエマ理永のアーカイブコレクションを500体学習させて生み出されたデザインを、エマリーエのドレスに落とし込んだ。AIの生成するイメージをドレスにAIを介在させたことによって浮き彫りになるのは、人間ならではの“先入観”が無いこと。無意識に好みや思想を介入させる人間の視点とは全く異なるベクトルから生み出されたプリントは、形容しがたい不思議な感覚を見る者に与える。デジタルなモザイクパターンのプリントは、確かな既視感を与えながらも、色の組み合わせや配置などは抽象的だ。色鮮やかなプリントは、抽出されたAIの画像を立体に起こしたエマ理永のドレスに乗せられることで、華やかさを増した。オーガンザなど、シャイニーな素材を用いて仕立てたドレスは、流線形の装飾やドレープを生かした切り替えが施されたり、パニエとクリノリンを使いフューチャリスティックなフォルムに仕立てられたりすることで、独創的なオーラを放つ。抽出画像をもとにしたパターンメイキングAIの抽出した画像から形を起こしたドレスは、複雑な造形が織り成す優雅さが印象的。幾重にも重ねられたフリルは構築的なシルエットを生み出し、布を巻き込むようにして作られた装飾はダイナミズムをもたらす。ショーのラストに登場したウエディングドレスにも、同様のプロセスが用いられた。自然界のイメージが新たな美を創造さらに、エマ理永とAIのクリエーションに自然界のイメージを組み合わせたピースも登場。グラデーションのシースルー素材にプリーツを施し、緩やかなシルエットに仕立てたドレスは、青々とした植物のイメージを組み合わせて生成されたデザイン。AIの機械学習によって選択された自然界の美しさが、既存のエマ理永のコレクションには無かった、新たな発想のドレスへと導いた。植物の他、貝のフォルムをラーニングして仕立てたドレスも登場。波打つような白の装飾や、シェルの立体感を表現している。
2019年03月23日パーミニット(PERMINUTE)の2019年秋冬コレクションが、2019年3月20日(水)に渋谷ヒカリエで発表された。リアルとイマジネーションから見る超現実世界デザイナー半澤慶樹が10歳の頃に出会った、絶滅した生物をCGで描いた作品からインピレーションを得た今季。その中で、今は実在しない生物は、今では確認しようのないものではあるが、事実が分かり得ないものだからこそ持っている良さがあるのではないかという疑問を抱き、リアルとイマジネーションの狭間にある、極めて現実的な空想世界に思いめぐらせた。レトロなチェックと花柄のレイヤード。スリーラインの入ったジャージーワンピース。クロシェニットのトップスやスカート。ベースは極めて現実的なもので、ベーシック、あるいはフォークロアなワードローブを基本に置いている。そこで見えてくる服の本質の追及は、ライナーが飛び出したポケットや、コルセット風のドレスのウエスト、シーム部分があらわになった裏返しにしたようなディテールに感じられる。過去を振り返る一方、デジタル化された非現実的なデザインも存在している。例えば、コートには、ファーの代替品として、電磁波を流すパットを全面に配した。日常言語への問いかけからスタートした服作りそして、今季もっとも大きな疑問符を投げかけたのは「土着のものにこそ生命感が宿るのではないか」ということ。思考のなかで尽きぬ、架空の土地で使用されている言語はどんなものだろう。文字という存在はどこから生まれたのだろう、という問いかけだった。服の製作にあたっては、デザインではなくフォントから考え始めたという。そして、文字の存在を突き詰めたときに見えたのは神通力の話で、元を辿れば人間ものですらないではないのではないか?と新たな疑問を浮かべた。遠い過去を見る一方、現代では、AIによる自動筆記などデジタル化が進み、手で文字を書くという所作すら減ってきている。アナログを経て、今また再び人間の手から離れようとしているのだ。追想で出会ったアナログの記憶は、服に顕著にあらわれた。シアーなホワイトワンピースには、人間の文字と密接にかかわってきた鉛筆を装飾としてあしらっている。しかし、インナーとして中に透けているトップスには、対照的なニュアンスを意図するデジタルフォント。1着のなかで現実とイマジネーションが共存している。
2019年03月23日アンリアレイジ(ANREALAGE)が、2019-20年秋冬コレクションを2019年3月19日(火)に渋谷ヒカリエにて発表した。今まで「光」を追い続けてきたデザイナーの森永邦彦が、2019-20年秋冬コレクションから新しい“実験”をはじめている。フランス・パリでも2019年2月に発表した同シーズン。テーマは「ディテール(DETAIL)」だ。ディテールとは何か――「光」という現象的なことを追い続け、デジタルな服を提案してきたアンリアレイジにとって、今季提唱した「ディテール」というテーマでのコレクションは、180度逆の極めてアナログな試みだろう。一方で「神は細部に宿る」という言葉があるように、森永は自身の服作りの中で“ディテール”を大切にしてきた。だからこそ、ディテール、つまり細部にフォーカスし、拡大化することは、その言葉自体の概念を覆し、自分が信じてきたものを裏切ることでもあると森永は話す。コートのボタン、ブーツのジッパー、ダッフルのトルグ、モッズコートのフード、ジャケットのポケット……すべてがデフォルメされ、通常ならデザインとして存在しないはずのものが、“ディテールを見落とすな”と言わんばかりの大きさで主張している。今季のアンリアレイジでは、ディテールはシルエット、さらには服そのものを構成した。この極端なデザインには、普段、通り過ぎてしまうようなちっぽけなことに価値を見出せたら――という森永の想いが込められている。ディテールの巨大化から気づくものは何か――服という三次元のものを二次元である画面上で見ることが多くなってしまった現代に、森永はその画面では感じることのできない服のスケール感を感じてもらいたいとも思った。服は立体感、動き、素材感があってこそのもの。しかしながら画面から伝わる洋服は、悪く言えばその人の空想・想像の限りだ。ディテールをデフォルメし、強調することは、現代人が見落としそうになっている服の良さを強調することでもある。MA-1の袖はベアトップのワンピースとなり、トレンチコートはエポレットや襟が肥大化されている。ニットはざっくり過ぎるほどのローゲージを採用していて、レザージャケットはまるでポンチョのようなフォルムだ。さらに新たな試み、日本で魅せたメンズウェアの提案パリでの発表時とは大きく異なり、今回のランウェイでは新たにメンズウェアを提案。ウィメンズが300%の拡大率であるのに対し、メンズは150%の拡大率で製作したという。メンズモデルが着用するワードローブは、比較的ウィメンズよりアンバランスな印象は薄いが、そんな中、拡大化せず素直に“ディテール”を感じさせるブランドの真骨頂、パッチワークのテキスタイルは目立って見えた。しかしこれは、素直に捉えるべきものではないはずだ。チェック柄やレザーなどマルチなファブリックからなるシャツ、パンツ、ブルゾン、ジャケットといった過度にファブリックの多様性を見せたアイテム群は、素材を再認識させるための、誇張された“ディテール”表現のようにも感じられる。
2019年03月22日ユキ トリヰ インターナショナル(YUKI TORII INTERNATIONAL)の2019年秋冬コレクションが、2019年3月19日(火)に恵比寿ガーデンプレイス ガーデンホールにて発表された。女性たちの日常にみるエレガンスの在り方まるで女性のある日常を見てるかのようなユキ トリヰ インターナショナルのランウェイ。今季のスタートは、統一感のあるカラーパレットに異素材のコントラストで魅せた。ベロアの滑らかなスカートには、首元にファーをあしらったクロコ調のカクテルジャケットをスタイリング。クリーンなシャツにはコンパクトなニットとさらに編地の異なるニットカーディガンを羽織っている。ランウェイが盛り上がると、温かみのあるファブリックが登場しはじめる。グラデーションカラーのモヘアニットは、ランダムヘムのフリンジが揺れるスカートと合わせて、カジュアルとエレガンスを両立させている。ダブルフェイスのコートは、ポケットにファーを取り付けて遊び心とラグジュアリー感をプラス。秋冬ならではあたたかみがありながら、軽やかで柔らかなムードだ。そしてその可憐なエッセンスは、女性らしいツイード素材を迎え、より優美な印象へと昇華していく。後半になるとマルチプリントが登場し、プレイフルなムードを感じられるようになる。まるで本物のビジューを転写したかのようなプリントは、カラフルでプレイフルな一方、やはり高級感を忘れさせない。幾何学模様に見るクールな印象は、女性の新しい一面を表現しているようだ。最後に登場するのはパーティーシーンを想起させるルックの数々だ。総レースのドレスの袖には繊細な動きを見せるフェザーを配したり、レースの中に煌めきをレイヤードしたり、多角的に表現。そして最後に登場したサテンのワンピースは、アコーディオンプリーツによって、動きがより印象深くなった。日常の何気ない瞬間も、特別な瞬間も、どんな時にも忘れないエレガントで洗練されたスタイルは、毎日を特別にしてくれるのだと、このランウェイが教えてくれた。
2019年03月22日マラミュート(malamute)は、2019-20年秋冬コレクションを、2019年3月19日(火)に渋谷ヒカリエで発表した。「風景」と「個性」デザイナー・小高真理が日に日に移り変わる渋谷駅を歩いているうちに考え付いた、「ランドスケープ」が今季のテーマ。自然と人工的な物が発展を繰り返し、作られていく風景の特性を考えることは、人間の個性を考えることに似ている、とふと思い至ったという。加えて、SFスリラー映画『ガタカ』に描かれていた、遺伝子操作によって管理されたディストピアや、ジム・ジャームッシュの映画『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』に登場する、何千年もの時を超え、ありとあらゆる時代の好きな物に囲まれながら、書物もiPhoneも自分のものにして生きるヴァンパイアもインスピレーション源に。人の個性は遺伝子によって決まるのか、はたまた環境で作られるのか。時系列を超えて、過去の情報を取りに行けるネット社会の中で何を選び取っていくのか。「風景」から思い巡らせた壮大な問いを、そのままコレクションに投影した。形や概念にとらわれない自由な発想登場したウェアはスーツからジャージまで様々。しかも、意外性のあるディテールを付随させることで、既存の概念にとらわれない、幅広いアイテムの在り方を見せた。例えば、マスキュリンなスーツのジャケットの肩の部分にはフリルをあしらうことで、フェミニンな要素をプラスしている。また、ジオメトリックなノルディック柄は、ニットセーターではなくスポーティーなジャージに落とし込まれている。わずかに退廃的なムードを漂わせたアンティーク調の花柄セットアップは、見た目とは裏腹にストレッチを効かせたアクティブなハイゲージニットで仕立てられている。しなやかなドレープと落ち感が、スカートのアシンメトリーな造形に調和し、独創的なエレガンスを描く。着方も自分次第ノルディックフックをあしらったウールのホワイトニットストールは、フックのかけ方次第でポンチョにもなる。ポンチョとして着ると、直線的なパターンが身体のラインを際立たせ、ユニークなフォルムを形作る。擦り切れたタペストリーのようなニットジャカードの大判ストールは、切ってもほつれないウールの特性を生かし、自由な発想でカットして楽しむことが可能だ。また、ニットの袖にはファスナーを施し、開け方によって表情を変えられるような仕様に。自分の得たいスタイルを自ら取りに行ける可能性を、アイテムそのものに含ませた。クッションやソファのような服収縮させ、シャーリングを施したキルティング地のコートは、立体感のある仕立てで身体を丸ごと包み込む。それは服を“着ている”というよりも服に“埋もれている”かのようで、クッションのような肌触りが、シェルターの中にいるような安心感を演出する。かすれたようなダメージ感のブルーのドレスは、ヴィンテージライクな雰囲気が魅力。ディストピアの中にある布張りのソファがイメージソースとなっている。
2019年03月22日ノーマティーディー(NOMA t.d.)の2019年秋冬コレクションが、2019年3月19日(火)に表参道ヒルズ内スペースオーにてインスタレーション形式で発表された。多彩なテキスタイル遊びで魅せた2019年秋冬コレクション大胆かつ自由なテキスタイルの表現はブランドの真骨頂だ。特に目を引いたフラワーモチーフは、今シーズンを象徴するものとして登場している。レーヨンのなめらかなビッグドレスは、大柄フローラルプリントによって彩られた。前身頃にボリュームのあるハンド刺繍施したオープンカラーシャツは、ブランドの定番ではあるが、今季のフラワープリントとしっかりマッチ。ストリート感の中にロマンティックな要素を垣間見る1着となった。フランネルのセットアップは大判のチェック柄、そしてリバーシブルのダウンジャケットは片側がマルチストライプの切り替えになっている。ディテールにでさえブランドの個性は読み取れて、パーカーから延長された前掛けのようなヴィヴィッドピンクのトップス裏には、クラシックなスカーフ柄を潜ませている。手に持った小さなバッグにはポーター(PORTER)のアイコニックなナイロンを採用した。カラーパレットは、馴染みのいいベイクドカラーをメインに、時折刺激的な色合いが混ざり合う。スタイリングに見たレイヤーの多彩さも特筆すべき点で、カラーパレットやテキスタイルのそれぞれの個性が混ざりあい、魅力は増している。個々のベーススタイルは、カジュアルウェアがメイン。キルティングブルゾン、フィッシャーマンのようなベスト、タイダイ染のスウェットセットアップなど、アウトドアやスポーツシーンさえも想起させるアイテム群が揃った。そしてこれらは全て性差を問わないスタイリング。着る者によって変わるシルエットの変化やニュアンスの変化も着る楽しみのひとつだ。
2019年03月22日コトハヨコザワ(kotohayokozawa)が、2019年3月19日(火)に、2019年秋冬コレクションを渋谷ヒカリエで発表した。“ナイトアウト後”の楽し気なムードをコレクションにショーの始まりの合図と共に、会場に現れたのは今季のコレクションを思い思いに纏ったモデル全員。腕を組んだり、肩を寄せ合って上機嫌に歩く彼女たちの演出は、夜通しガールズナイトアウトを楽しんだ“後”の楽し気な様子を表現したという。身体はクタクタだけれど、気分はハッピー!そんな楽し気な空気をのせたモデル達のランウェイが、ポップな音楽と共にスタートした。“夏”のムードを感じるニット今季のコレクションを、年末を過ごした南国のタイでアイディアを練ったというデザイナーの横澤琴葉。その夏らしいムードは、ワードローブにも反映されていて、特に秋冬の定番ニットがその好例だろう。ブラックの水着を纏っているように見えるニットセーターは、胸元の谷間まで表現したセクシーな一着。また胸元のポケットにサングラスをかけているように見えるトロンプルイユのニットパーカーも登場した。温かな素材なのに“季節感”を感じさせない、デザイナーの遊び心を感じさせるシリーズだ。タイのグラフィックで彩るワードローブまたタイで見つけたグラフィックを入れた、Tシャツやスカート、パーカー、ワンピースなども登場。もともと何の絵柄だったのか?タイ語でどんなメッセージを綴っているのか?観客たちの中でその本当の意味を見いだせた者は恐らくいないだろう。しかし、レッドやブルー、グリーンなど、複数のポップな色合いで描かれたグラフィックは、コレクションの楽し気な雰囲気とマッチしていることは確かなのだ。コレクションを彩るプリーツまたランウェイで散見されたのは、細かいプリーツを施したワードローブ。一枚でさらりとワンピースを着るモデルもいれば、上から同じくプリーツを施したベストのようなものを纏っているモデルもいる。レイヤードすればするほど、異なる表情が顔を出し、プリーツ素材の面白みが引き出されていく。日常の“モノ”を取り入れた洋服づくり再びコレクション全体を通して感じられたのは、洋服作りの楽しさ。前シーズン、日常の愛用品を使用したコレクションを発表した横澤だが、彼女の“これも洋服にしたら面白いかもしれない!”というポジティブな姿勢は、今季も健在だった。アトリエで余ってしまった布を使用した豊富なリメイクジーンズは、全て一点物。また女性のブラジャーに見立てた、セクシーなバッグなども登場した。
2019年03月22日シュシュ/トング(SHUSHU/TONG)は、「愛してるって言わなきゃ殺す」をテーマにした2019年秋冬コレクションを2019年3月19日(火)に渋谷ヒカリエにて発表した。少女の複雑な心を表す“カワイイ服”テーマになった刺激的な言葉は、戸川純の曲「好き好き大好き」の歌詞からインスピレーションを得たもの。少女が抱いた「好き」なのに「殺す」という、愛と憎悪の表裏一体の想いをデザインに落とし込んだ。“好き”はとびきりの可愛さで「好き」の部分はとびきり可愛く。ロマンティックなAラインやトラペラーズライン、フレアワンピースのシルエットをベースに、フラワーモチーフや煌めくビジューが、溢れんばかりの愛を伝える。スカートにランダムに配された、まるで花のようなギャザーは、穴のあいた部分をギュッと閉じ込めるようにして、2つのリボンを結んで作ったものだ。そこから生まれた大胆なフォルムと、に忍ばせた繊細なチュールが、不安と幸せが往来するような“恋心”を思わせる。“憎悪”はあくまで控えめに好きという気持ちが1番だから、憎悪の感情は表に出しすぎるわけではなくさり気ない部分に表現している。スカートやパンツのヘムは切りっぱなし。パッチワークで配された抽象的な花柄も、それぞれ端が解れていて、荒っぽさが残っている。ハンドペイント風のギンガムチェックもまた、色がかすれた乱雑な雰囲気だ。ブルーやホワイトといった優しいカラーパレットが愛を示すならば、その反対にブラックとレッドの過激なコントラストが憎悪を示す。あどけなさを感じさせるはずのキルト生地のワンピースは黒のベルベットによってダークな印象にシフトした。ただカワイイだけではない、そのフェミニニティは、少女の恋心に見るダークファンタジーへと巻き込んでいく。
2019年03月22日ティート トウキョウ(tiit tokyo)は、2019年秋冬コレクションを2019年3月18日(月)に渋谷ヒカリエで発表。ランウェイには小松菜奈も登場した。夜にかかった虹を歩む物語夜を迎え、1日の終わりに流れる穏やかな時間だからこそ聞こえてくる様々な音。今シーズンはその繊細な音に目を向けた。掲げたテーマは「Voice」。明るく賑やかな昼間には気づくことのなかった、夜のささやかな音が集まることで生まれたドラマティックな物語は、ゆっくりと綴られていく。物語の舞台は虹の上。この世界にはたくさんの住人がいて、身長が高い人もいれば、低い人もいる。これまでのティートの提案にはなかった男性モデルの存在は、その空想の世界をリアルに近づけている。虹の上に広がる新しい世界とその住人水彩の滲みを繊細に表現したスエード、陰のある色とりどりの花柄プリントは、この架空の世界がもつ朧気な雰囲気を匂わせる。そして、ハンドニッティングでつくったカラフルなニットの数々は、物語の朗らかな1ページを感じさせた。ワンピースやワイドパンツなどで見る揺れるようなシルエットがある一方で、対照的なキルティングの硬質的なテクスチャーで構築するAラインのコートやジレも登場する。パッチワークのようにつなぎ合わせたファーのポンチョは、まるで跳ねるような躍動感で、この物語をラグジュアリーかつプレイフルに彩っていく。柔らかな空気感は同じでも、表現するものは“夜に聞こえる音”と同じく多様性に溢れている。そしてそれが、この世界の住人の個性を示しているみたいで面白い。そして、足元は刺激的なネオンカラー。カーキのオールインワンとグリーンのティアードスカートには爽やかなブルー、クラシックなストライプのペンシルスカートには目の覚めるようなグリーン、真っ白なワンピースと柔らかなベージュのシアーワンピースには弾けるようなオレンジをあわせて、虹色に負けないほどの存在感でこの物語の1ページを綴っていた。小松菜奈が前シーズンから引き続き登場前シーズンでもティート トウキョウのランウェイを歩いた小松菜奈。今季もまた登場し、“虹の上の物語”の登場人物となった。水彩画のような淡いブルーのワンピース、幻想的なバラ柄のロングドレス。たっぷりのラッフルをあしらったブラウスといった3つのルックで虹の上を歩いた。
2019年03月21日ザ ダラス(THE Dallas)の2019-20年秋冬コレクションが、2019年3月18日(月)に発表された。会場は、昭和初期に邸宅用に建てられ、現在はフレンチレストランとして運営されている西洋館ミュージアム 1999 ロアラブッシュ。アンティークの芸術品など、こだわりの調度品が並んだ雰囲気のよい空間だった。“人々の感情を動かしたい”テーマは「エモ(EMO)」テーマは、感情を意味する「エモ(EMO)」。情報が萬栄するネット社会の現在、人々は感情を表に出せていないのではないか、本当の自分の感情を見失っているのでは、“エモイ”という言葉一つで気持ちの動きを処理していないか…そういった現代社会に対する問いへの答えとしてとデザイナーの田中文江が掲げたキーワードだ。目指したのは、ファッションで人々の感情を動かすこと。田中の熱い思いは、サプライジングな演出で見て取れた。美しいオペラが流れ“洋館らしい”趣のある雰囲気で観客を出迎えていたのに、ショーの開始と共に流れるのはリズミカルなサウンド、フィナーレにかけては“なんとかなるさ”の意味のフレンチミュージック「ケセラセラ」を流して、意表をついた選曲で感情を揺さぶる。“洋館に似つかわしくない”パンチの効いたファッション&ヘアメイク装いやヘアスタイルも、アニマル柄やファーののったボリュームヘアなど“洋館に似つかわしくない”パンチの効いたスタイルが多かった。ザ ダラス初のフレグランスを着想源にまた、今季はザ ダラス初のフレグランスを同時に発表。1年以上かけて作り上げたオーガニック パフュームの名は、ダンテ神曲からとった「深い森」。ここからイマジネーションを膨らませて、暗い森でもたくましく生きる物の代表として、ヒョウが選ばれ、レオパード柄の装いが生まれたという。パワーショルダーでたくましくコレクションでは、アニマル柄だけでなく力強さを感じさせるピースが目立った。特に、パワーショルダーのトップス。肩パット入りのカットソーは重量感のある肩が印象的であり、起毛のトップスも斜めにカットアウトすることでピンと張ったショルダーを作っている。チェック柄のテーラードジャケットは、エナメルレザーをショルダーにアタッチすることで、力強さを表現している。アクセは大ぶり&重ね付けザ ダラスならではのアクセサリー使いは印象的。流れるような大振りのピアス、W使いのブレスレット、ジャラジャラと動き回るフリンジリングなどが、強さの中に色気や女性らしさを運んでいた。
2019年03月21日ジェニー ファックス(Jenny Fax)の2019-20年秋冬コレクションが、2019年3月18日(月)に発表された。ファーストルックはバルーン型ワンピースファーストルックを飾ったのは、ふっくらとした丸みのあるバルーン型のワンピース。通常より内側に設定された袖も相まって、どこかシュールなフォルムが生まれている。足元には今回のショーで一貫して起用した、ボーダーのレッグウェアとクリア素材を用いたサンダルを合わせた。続いて目を惹いたのは、ウエストがずり落ちてしまったかのようなディテールを持つデニムスカート。ミニスカートには、露になったショーツのようなボトムがレイヤードされている。ワンピースやオールインワンはミニ丈ボトムスやワンピース、オールインワンなどはミニ丈が主流で、ロングジャケットの裾を変形させたような仕立てのロンパースや、シャツにレーシーなミニスカートを縫い付けたワンピースなどが続々とランウェイを彩る。異素材ミックスを楽しむスタイリングコーディネートは異なるムードの素材を掛け合わせるミックススタイルを楽しんでいる様子。ハードなケミカルウォッシュのデニムスカートには、レーシーなジャケットを合わせたり、温かみのあるニット素材のフード付きポンチョには、光沢のあるサテンのスカートをスタイリングしたり...といった具合だ。ラストは"赤ちゃん"風ドレスやウェディングドレスショーが終盤に差し掛かると、光沢感のある素材で仕立てられたフード付きドレスが登場。フードは顔を覆うマスクのようになっていて、"赤ちゃん"を思わせるちょっぴりミステリアスなキャラクターが、にっこりと笑みを浮かべている。ラストを飾ったのはウェディングドレスを彷彿とさせる純白のマントドレス。モデルの頭上ではクマのカップルが結婚式を挙げている様子だ。フィナーレには結婚行進曲が響き渡り、どこか不可思議、だけど女の子の大好きなものが詰め込まれた、ジェニー ファックスのショーが幕を閉じた。
2019年03月21日クルニ(CULLNI)の期間限定ショップ「クルニ 4デイズ リミテッドショップ(CULLNI 4DAYS Limited SHOP)が2019年9月20日(金)から23日(月)までの期間、中目黒・パークギャラリーにオープンする。「クルニ 4デイズ リミテッドショップ」は、店舗を持たないブランドであるクルニが半年に1度オープンする期間限定のショップ。店頭では、クルニの2019-20年秋冬コレクションのアイテムを中心に、幅広いラインナップを用意する。クルニの2019-20年秋冬コレクションでは、シンプルな色使いとゆったりとしたサイズ感で、デイリーのスタイリングにおいてレギュラーアイテムであり続けられるようながアイテムが多数登場。カットソーやニット、ジャケット、コートなど万能に活躍する一着が揃う。【詳細】クルニ 4デイズ リミテッドショップオープン期間:2019年9月20日(金)~23日(月)オープン時間:12:00~20:00会場:パークギャラリー住所:東京都目黒区青葉台1-15-2 AK-3 ビル B1
2019年03月21日アオイワナカ(AOI WANAKA)の2019年秋冬コレクションが、「Amazon Fashion Week TOKYO」初日の2019年3月18日(月)に渋谷ヒカリエで発表された。女性たちにとっての「休日のご褒美」前回、はじめて「Amazon Fashion Week TOKYO」に参加し、その後、子育てに奮闘するママから仕事に忙しいキャリアウーマンまで、たくさんの女性たちが展示会に足を運んでくれたという。そしてデザイナーの和中は、展示会に訪れてくれた人たちを含め、あらゆる女性の日常に寄り添う服を作りたいという想いをもった。今季のテーマは「休日のご褒美」。和中のあたたかな気持ちをカタチにしたシーズンだ。リラクシングなシルエットがベースとなり、秋冬コレクションらしからぬしなやかなワードローブがメインとなった。例えば、パンツは4タックの超ワイドタイプや、裾にギャザーの寄せたジョガーパンツのようなデザイン。スカートやワンピースは、軽いテクスチャーやアシンメトリーなカッティングで、エレガントな中にもリラクシングなムードを欠かさなかった。ディテールには、ご褒美感を盛り込む一方で、実用性を蓄えている。カフスは長めに設定して、フリルのようあしらったり、あえて肘あたりで二段階に袖を切り替えて、パフスリーブのように転換。あえて腕まくりすることで生まれた、スリムとボリュームの対比的なフォルムの袖は、カジュアルなプルオーバーやパーカーでさえ特別感を演出する。また、実用的な部分を取り上げるならば、多様に用いられたポケットがそうだ。ワイドパンツやサファリジャケットがその好例。ハーネスで取り付けた取り外しできる小さなバッグは、荷物の多い女性のためのちょっとした気遣いから生まれている。もちろん素材も、あらゆる女性たちへの想いから。メインに採用したウルトラスエードは、シルク素材と見まがうほどの軽やかさと滑らかさだが、洗濯も可能という機能性に溢れたファブリック。ニットはローゲージのカジュアルなものがある一方で、シースルーが混合する多彩な編地も採用している。そして、ひと際ラグジュアリーなレース素材は、女性たちの日常をひと際“特別な日”にするドレスとして登場している。
2019年03月21日サトコ オザワ(SATOKO OZAWA)の2019-20年秋冬コレクションが発表された。ヴィンテージの調度品から着想サトコ オザワは、デザイナー小澤聡子によるウィメンズウェアブランド。小澤は世界各地の古い調度品を収集するコレクターでもあり、彼女のプライベートなコレクションをデザインベースとした、大人の女性のためのウェアを提案している。プレゼンテーション形式で発表された最新コレクションにも、そんな小澤が重視し続けている"古き良き物を現代的な視点から解釈する"アプローチが反映された。たとえば繊細なプリーツスカートに採用された、オレンジやブルー、イエローといった色彩が織りなす鮮やかなマーブル模様は、古い書物の背表紙からインスパイアされたもの。シャツに飾ったゴールドのボタンも、重厚感のある花瓶から着想している。"1点もの"を扱う「リクチュール」から発想小澤が手掛けるもう1つのブランド「リクチュール」の本格始動も、今シーズンのクリエーションを紐解く上で欠かせないトピックの1つ。「リクチュール」は、小澤のプライベートなコレクションを再構築した"1点もの"を展開するブランドだ。祖母から母、そして自分へと受け継がれたミンクのファーコートとフランスの軍服をドッキングしたアウターや、祖母が愛用していたレーシーなセットアップをアメリカのミリタリーセーターと組み合わせたトップスなどを取り揃える。メインブランドとなるサトコ オザワにも、この「リクチュール」のクリエーションから発想したアイデアを落とし込んでおり、バックスタイルに上品なレースをあしらったブラウスは、その象徴とも言えるアイテム。ジャケットをリメイクする際、背中にアーム部分を切り貼りすることによって生まれたユニークなディテールを、大人の女性がデイリーに纏うことができる可憐なブラウスの装飾へと昇華した。
2019年03月20日ミューラル(MURRAL)の2019-20年秋冬コレクションが、東京・六本木で2019年3月16日(土)に発表された。テーマは「エバー グリーン(EVERGREEN)」。自然の景色が洋服と出会うと…自然への温かい思いが感じられるキーワードを掲げた今季。ミューラルが発信するテーマはファッションの世界に落とし込まれ、自然モチーフの洋服たちを誕生させた。雪が一面に降り積もる白銀の世界、寒空の下懸命に枝を伸ばす木々。そういった生命力を感じさせる冬の景色が、プリントになって登場している。キラキラ、チラチラ…角度によって表情をコロコロと変えるシャイニーな素材の上で表現されることで、自然のモチーフはより力強く映り、生命力を感じさせる。スポーツスタイルをMIXフェミニンで儚く、ちょっぴり毒々しい。そんな従来のミューラルのイメージを崩すようなパワーをコレクションピースからは感じられた。スポーツ、マスキュリンなど、男性的な要素の強いテイストがパワープッシュされている。スナップボタン付きのプルオーバーアウターやキルティングのロングコート、4つのポケット付きベストなどは、いますぐに冬の雪山へ冒険にいけそうなアクティブなピース。ミディ丈のスリムスカートもキルティング素材で仕立てられ、同素材のウエストポーチとコーディネートされている。ストレートパンツにはドローコードを取り付けて、躍動感をプラスした。海や森を想起させる寒色パンツスーツゆったりとしたスラックスをセレクトしたパンツスーツは、自然由来のカラーリングで。木々の生い茂る森、穏やかな海や空を想起させるグリーンやブルーで染め上げられている。異素材MIXで個性を引き出すまた、異素材をミックスさせることで、洋服の個性を際立たせるアプローチも見られた。首の辺りやショルダーラインにカッティングを入れて変形させたスウェットトップスには、光沢素材をパッチワークすることで、よりユニークに。トレンチコートも一部分に、ジャカードの柄を差し込むことでクラシカルなスタイルを回避。カットソーなどシンプルなトップスには、ニットのアームウォーマーをコーディネートすることで、ベーシックから脱している。
2019年03月19日バルマン(BALMAIN)の2019-20年秋冬コレクションが、フランス・パリで2019年3月1日(金)に発表された。変形したリメイク風ウェアが主役特徴的なのは、リメイク風に作られたユニークなピース群。ライダースジャケットは、肩の辺りをまるっと抜かれ、ボディとアームが離れている。エレガントなツイードのノーカラージャケットやテーラードジャケットは、ボディの途中でカットアウトされクロップド丈に。厚手のVネックニットはアームの一部が切り裂かれ、完成されたシルエットが壊されている。シースルー素材からのぞく素肌切り裂かれ、くり抜かれ、出来た“何もないスペース”には、シースルー素材を差して空間を埋める。オーガンザやビニルなどの透明素材は、本来見えるはずではない華奢なウエストや二の腕を透かしてみせ、女性らしさを香らせるのだ。ルーズなボトムスでラフにこれらの“未完成”なウェアと並んで提案されたのは、ルーズなボトムス。ボディコンシャスでタイトフィットという、従来のバルマンのイメージとは相反するボトムスは、コレクション体にラフな空気を運んでくる。特に多用されたのは、テーパードのデニムパンツ。淡いライトブルーや、オーバーダイでほぼホワイトになったものなど、明るいカラーのデニムがピックアップされ、中にはダメージ加工を施したものも登場した。足元にはフラットサンダルを組み合わせ、いい塩梅に気の抜けたスタイルを演出している。落ち着きのあるカラー×華やかシルバーブラック、ホワイト、そしてデニムのブルー。カラーパレットは落ち着きのあるラインナップ。そのゆとりを埋めるように、スパンコールやスタッズ、ラメ糸などで、キラキラと輝くシルバーカラーを散りばめ、華やかさを投じている。
2019年03月17日ラコステ(LACOSTE)の2019-20年秋冬コレクションが、フランス・パリで2019年3月5日(火)に発表された。新クリエイティブディレクター ルイーズ・トロッターのデビューショーである。会場は、パリの老舗テニスクラブ・ド・パリ。ヘリテージをアレンジ今季のラコステは、ブランドのヘリテージを様々なテイストにアレンジ。お馴染みの”ワニロゴ”ポロシャツやテニススカート、Vネックのテニスセーターなど、ラコステを代表するピースの数々が、素材、ファブリックを変えて新しい形で登場している。ポロシャツがワンピースにアイコニックなポロシャツは、温かみのあるニット素材でワンピースに変身。襟元はデフォルメされて大きくなっていって、ボディと異なるアクセントカラーがあしらわれた、ストライプニットの襟が取り付けられている。オーバーサイズの手編みテニスニットVネックのテニスニットは”優等生スタイル”からストリート風に転身。肩の落ちたドロップショルダーで、身幅はたっぷりととった手編みのオーバーサイズニットになって登場している。胸元のワニロゴは、刺繍で立体的に描かれ、糸の伸びたアンフィニッシュな姿で、遊び心をプラスする。テニススカートがドレスにテニススカートは、ロング丈にアップデート。シルクやクレープなど軽やかな素材を使ってスカートを仕立て、ラコステのイニシャルであるLで作った幾何学模様やワニ柄など、ポップなパターンを配した。ワニのレザーグッズまた、ラコステの人気者ワニロゴは、レザーグッズに。立体的に表現したワニのクラッチバッグは、茶目っ気たっぷり。首から下げたワニのモチーフは、キーリングネックレスである。ラコステに伝わる伝統を巧みに調理した今季。進化したスポーティーウェアと交わるのは、テーラードやトレンチコートなど、クラシカルな装いだ。厚手のウールやニットなど、重量感のあるファブリックを使ったウェアを交えたコレクションは、スポーツを起源に持つブランドであることを思わず忘れされるほど、シックな一面を持っている。
2019年03月14日エルメス(HERMÈS)の2019-20年秋冬ウィメンズコレクションが、2019年3月2日(土)に発表された。「星空」をイメージランウェイの向こうには、キラキラ、チカチカと輝く無数の光があった。星降る夜を想起させるロマンチックな空間で発表されたのは、星の瞬く夜空の似合う女性をイメージした新コレクションだ。星の輝きをファッションに落とし込んだら…そんなピュアなアイデアから生まれたのが、スタッズシリーズ。クルー・ド・セル、ラウンド型、ピラミッド型と3種類のスタッズを大小様々なサイズで並べることで、夜の空を詩的に表現する。ペンシルスカートでエレガントにスタッズがのるのは、もちろんエルメスが誇るレザーだ。ロング&リーンの進化系として生まれた、少し短め丈のスリムなシルエット。今季のアイコニックなフォルムを作り上げた、レザーのペンシルスカートは印象的。メダルのリボン装飾から着想したジャバラリボンをあしらったブラウスや、ジョッキーのユニフォームからヒントを得たシャープなシャツなどと組み合わせ、光沢のあるラッカーヒールのブーツをコーディネートして、上品なスタイルを作り上げる。レザーのダウン&ショートパンツでフレッシュに今季、ナデージュはこのペンシルスカートを始め、レザーに注力したという。レザーを薄くし軽量さを追い求めたダウンジャケット、エルメスには珍しいショートパンツ、刺子をして波打つ動きを加えたスカートなど、新しいアイデアが宿るピースは、レザー製だ。「馬着」モチーフのシルクスカーフから生まれたピースメゾンのアイコニックなシルクスカーフからは、「馬着」をモチーフにした柄をピックアップ。シルクに銀糸を交えて光沢を与えたブラウスや、「馬着」柄をデフォルメさせたシルクトップス、またその柄の中から3本ラインなどのディテールを取り出しプリントで表現したレザーコートなどが登場している。
2019年03月10日日本ブランド「シクラス(CYCLAS)」が、パリコレクション公式スケジュールにて、2019年3月5日(火)に2019年秋冬コレクションを発表した。パリコレ公式スケジュールデビューシクラスは、2016年シーズンよりスタートしたクリエイティブディレクター小野瀬慶子による日本のファッションブランド。これまでパリコレクション期間中に、プレゼンテーション、ミニショー形式なので新作を発表していたが、今季は公式スケジュールにてランウェイショーを開催した。会場はパレ・ド・トーキョー。相反する要素を持つ現代女性へ知的で大胆、フェミニンでありながらも男性的な要素を持つ。相反するキーワードを並べ現代女性の姿を描いてきた、小野瀬慶子。パリショーでもこれまで同様に、素材・シルエット・カラーリングなどにこだわりを効かせ、相反する要素を共存させたモダンな女性像を描き出す。シンプルの中に異素材でアクセントを一見シンプルなウールのロングコート。大人の女性に相応しいエレガントなアウターであるが、ここに異素材をミックスすることで遊びを加える。ウエストのベルトは、毛足の長いファーやハードなレザーで仕上げることで、枠にとらわれないアグレッシブな姿を表現する。コントラストの効いたスタイリングまた、コーディネートでも素材のコントラストを強調させたものが多かった。ニットトップにテクニカル素材のアウター、シルクのブラウスに起毛のVネックトップなど。ファブリックのテクスチャー、光沢などで対峙させるだけでなく、ベーシックカラーに、サフランイエローやバイオレット、ライトグリーンなどの鮮やかカラーを投じて、面白みを加えているものもあった。アイテムは、男性的なピースはフェミニンに、女性的なピースはマニッシュに仕立てているものも見られる。トラウザー&白シャツという紳士定番のスタイルも、白シャツをロング丈にしスリットを入れてチュニック風にアップデート。ライダース風のレザージャケットも、アームラインを丸くし、淡いベージュカラーで仕上げることで甘さをプラスしている。シルエットはロング&ボリューム。ゆったりと着られるリラクシングなサイズ感が気分だ。シューズもフラットフォームや太いヒールのパンプスで、履きやすさにこだわったものが多い。スパンコール、ファーなど、シューズでは敬遠されがちな個性的なファブリックを使っている点も興味深い。
2019年03月08日