アクリス(Akris)の2024-25年秋冬コレクションが、2024年4月16日(火)、東京・六本木の国立新美術館にて発表された。ランウェイには、モデルの稲垣貴子、福士リナが登場した。光で描く“フォトグラム作品”を着想源にアクリスは、1922年にスイスのザンクト・ガレンで誕生したラグジュアリーブランド。“目的を持ち自立した女性”のためのブランドとして、生地や素材、細部にこだわるクリーンで構築的なスタイルを提案している。今季のインスピレーションは、スイスの写真家、カタリン・ディアーのフォトグラム作品から。フォトグラムとは、カメラもネガも使用せず作られるアナログ画像のことだ。印画紙の上に物体を置き、光を当てることで、物体はその外形を超えて捉えられていく。オーガンジーの軽やかな舞い軽いオーガンジー素材のドレスやロングスカートには、カタリン・ディアーのフォトグラム作品をデジタルフォトプリントであしらっている。歩みを進めるたびに、たっぷりの布地がやわらかに風を抱えて、木漏れ日のように淡いグラデーションを揺らめかせる。いきいきいとしたグリーンや、夕焼けを思わせるオレンジ、色香を漂わせるピンクといったカラーリングも、フォトグラム作品の色彩をそのまま落とし込んだものだ。控えめでエレガントなシルエットコレクション全体を通して、雰囲気は控えめかつエレガント。流麗なシルエットのコートやブレザー、ベーシックなニット、贅沢に布地を使用したワイドパンツなど、洗練を際立たせる優美なワードローブが揃う。一見シンプルなそれらも、組み合わせによって個性を演出しているのが特徴で、たとえばロング丈のチェスターコートの上に、ショート丈のレザーブルゾンを重ねたルックは、長短のコントラストがスタイリングに遊びをプラスしている。異なる素材を重ねて奥行きを着こなしは全体としてトーン・オン・トーンでまとめつつ、異なる素材感のレイヤードにより奥行きをもたらしているのがポイント。ロングコート、ジャケット、ニット、パンツと、異なる素材が生みだす繊細な階調が、心地よくまとまりを見せている。雲のように柔らかいフェルトのようなニットや極上の手触りのブークレ加工されたカシミヤといった温かみのある素材には、ラッカー仕上げのレザーやスパンコールの光沢で煌びやかさを演出。足元にはメタリックなピンヒールを差し込んで、全体をエッジーに引き締めている。メランコリックな世界を晴らす温かな色彩カラーパレットは、ブラック、モカ、ケールグリーン、ディープパープル。時折、明るく官能的で温かい、アンバー、マゼンタ、ペリドット、ピュアエクリュのトーンが現れ、メランコリックな世界に光を放つ。
2024年04月19日メアグラーティア(meagratia)の2024年秋冬コレクションから、ジョージコックス(GEORGE COX)とのコラボレーションによるラバーソールシューズが登場する。ツイードを用いたラバーソールシューズメアグラーティアとジョージコックスが、初のコラボレーション。編み込みアッパーに厚底ソールを組み合わせたジョージコックスのラバーソールシューズをベースに、クラシカルなツイード素材の切り替えを施した。カラーは、ブラックとホワイトの2色を用意する。西武池袋本店で期間限定ストアなお、東京の西武池袋本店では、2024年4月17日(水)から23日(火)まで、メアグラーティアの期間限定ストアを開催。2024年春夏コレクションの新作や限定アイテムを展開するほか、上記のコラボレーションシューズを含む2024年秋冬アイテムの予約も受け付ける。詳細メアグラーティア×ジョージコックス発売時期:2024年秋冬価格:MIX TWEED RUBER SOLE 93,500円カラー:ホワイト、ブラック■メアグラーティア 期間限定ストア期間:2024年4月17日(水)~23日(火)場所:西武池袋本店 3F 南B10 イベントスペース スプリットリング住所:東京都豊島区南池袋1-28-1TEL:03-3981-0111(大代表)
2024年04月14日ミヤオ(MIYAO)の2024年秋冬コレクションを紹介。内に秘めた“何か”を表現大胆なチュール使いが目を惹く今季のミヤオ。しかしデザイナーの宮尾史郎は、視覚的な要素よりも先に「内に秘めたものを表現しようと思った」と語る。情熱なのか、愛なのか、哲学なのか、その実態を宮尾自身は積極的に追及しようとしない。“着る人と共鳴する”というブランドテーマのもと、その答えはファッションを楽しむ人々に託されているのかもしれない。たっぷりとしたチュール使いふんわりとフェミニンな表情を見せるナイロンチュールは、カーディガンやショートパンツ、スカートなど多様に用いられた。ニットカーディガンは、首周りにナイロンチュールを配したデザインのほか、フロントやスリーブなど部分的にナイロンチュールを付け加えたスタイルも見られる。チュールで生み出す大胆なフラワーモチーフまた、ナイロンチュール素材のみで製作されたトップスやロングスカートも登場。カーディガンと同じく装飾としてあしらわれたナイロンチュールは、ふんわりと立体的な花の形をかたどり、内側で燃える何かを放出するかのような、エネルギッシュな印象を与えている。フェミニンかつリラクシングに一方、フェミニンでありながらリラクシングな雰囲気を放つディテールが散見されたのも今季の特徴と言える。たとえば、リボンをあしらったワンピースやビスチェには、アセテートサテンを採用。絹のように心地良い肌触りと、絶妙な光沢感が魅力だ。また腰元のベルトをリボン結びにして着るコートは、落ち感のあるドロップショルダーに。特にショート丈のダブルブレストコートでは、肩に細かいギャザーを施すことでよりゆったりとしたショルダーラインを生み出していた。落ち着いたパレットで際立つ温度感カラーは、ブラックを中心にキャメルやブラウンなど、秋冬らしい落ち着いたパレットが主流。前述した涼しげなライトブルーのアセテートサテンのほか、情熱的なレッドのナイロンチュールに包まれたスタイルが、今シーズンのベーシックなカラーに、温度感のあるアクセントを添えていた。
2024年04月09日アクオド(ACUOD)の2024年秋冬コレクションが、2024年4月5日(金)、東京・南青山にて発表された。ランウェイには、バンド「フィアー・アンド・ロージング・イン・ラスベガス(Fear, and Loathing in Las Vegas)」のSo(ソウ)、ダンスボーカルグループ「バディーズ(BUDDiiS)」の岡本聖哉がスペシャルモデルとして登場した。魔法の世界を着想源に2024年春夏シーズンにブランド名を「アクオド」に改め、新たなスタートを切ったとき、そのテーマとしたのが、映画『アベンジャーズ/エンドゲーム』であった。そして、「florescence(開花)」を掲げた今季は、「エンドゲーム」の先にある新たな世界への到達、自己の発見を表現することを試みたという。今季、具体的に着想源となったのが、映画『ハリーポッター』、アニメ『ブラッククローバー』や『マッシュル』である。いずれの作品も、魔法をめぐる物語で共通しているといえる。いわば、魔法という新しい世界への出発である。こうした雰囲気のなか、コレクションの軸となるのは学生を彷彿とさせるプレッピースタイルであり、テーラードコート、Vネックベストやカーディガン、シャツ、スラックスなどを展開している。プレッピーアイテムを軸としつつ、カラーリングはモノトーン、デザインはミニマルという、都会的な雰囲気を基調としている。色彩感を抑制したブラックとホワイトで全体をまとめつつ、テーラードコートやミリタリージャケットはオーバーサイズ、Vネックベストやシャツはロング丈と、ミニマルさゆえにシルエットを際立てつつ、パンツは長短ともに取り入れるなど、コーディネートで丈感のリズミカルな交錯を引き出した。とはいえ、デザイン性を極度に削ぎ落とすのではなく、随所にポイントとなるディテールも取り入れいるといえる。たとえば、フォルムを変え、レイヤードを引き立てるファスナーは、ボンバージャケットのスリーブ、ロング丈のベストやフーディのサイドなど、随所に取り入れられている。また、モノトーンがベースにありながら、魔法の世界を彷彿とさせるグラフィックも、ビスチェやネクタイといった細部に用いられた。ところで、着想源として挙げられた作品は、主人公に元来魔法の力が欠けていたことで共通すると言えそうだ。それは、今季のアクオドの鍵となっていたように思われる。実際、デザイナーのチャヌは、『ブラッククローバー』の主人公アスタの「諦めないのがオレの魔法だ」というセリフに共感を覚えたという。魔法の能力を持たないアスタが、自らの努力と決意で自身の力を開花するところに真の魔法を感じたチャヌにとって、新たな世界へと赴く「魔法」とは、誰にでも潜在するものであったはずだ。
2024年04月08日JW アンダーソン(JW Anderson)の2024年-25年秋冬ウィメンズコレクションが、2024年2月18日(日)にロンドンにて発表された。レトロな“グランマルック”を主軸におばあちゃんのクローゼットから引っ張り出してきたような、ちょっぴりレトロで古典的な服。1970年当時の普段着を思わせるそれらを、誇張し、新たなプロポーションでキャッチーに再解釈したのが今季のJW アンダーソンだ。何人かのモデルは、グレーのカーリーヘアのウィッグを被り、深紅のルージュを引いた“グランマルック”でランウェイに登場した。“奇妙さ”を演出する極端な拡大ファーストルックでお披露目されたのは、“極太の編み目”がひときわ目を引くイエローのニットのセットアップ。親しみ深いチャンキーニットが、過剰な拡大によってユニークなショーピースへと姿を変えた。ニットが鎧のように分厚く身体を覆っているのがなんとも新鮮で、グロテスクな雰囲気さえ醸し出している。英国の伝統的なヘリンボーンのコートも、極端なオーバーサイズに。肩をずるっとドロップさせ、袖は折り返してもなお指先が隠れてしまうほど長く仕立てている。秋冬らしい厚手の素材感とオーバーサイズのフィットも、ざっくりと胸元を開くことでいささか軽やかな佇まいに。インテリアを洋服に昇華“おばあちゃんルック”のほかに、インテリアからアイデアを得たピースも視線を集めた。たとえばタッセル付きの編み込みストラップを配した赤のシアードレスは、しなやかなカーテンを彷彿とさせる1着。裾はたくしあげられ、ツイストされて、歩みとともに優雅なドレープを描いている。“ロゼット”着想のスカートで祝福ムードをコレクションに華やかな装飾を加えていたのが、風にゆらめくフリンジスカートだ。よく見るとこれは、ヨーロッパで名誉や役職を示す勲章である“ロゼット”を繋ぎ合わせたもの。花々が咲き誇るウエストから、艶やかなサテンリボンやシュリンクさせたリボンが広がり、コレクションを祝福するように空気を受けてひらひらと舞っている。
2024年04月05日ミュウミュウ(MIU MIU)の2024-25年秋冬コレクションを紹介。人生と共に変化を見せる「服」歳を重ねるごとに移り変わるライフステージや、徐々に変化していく性格、世界。人間が子どもから大人へと成長するとき、身体や内面だけでなく、着る「服」も同じように変化を見せている。デザイナー、ミウッチャ・プラダは、そのような“人生の変遷”をインスピレーション源に、生きていくなかで違った表情を見せていく「服」を、今季のコレクションの要素として取り入れた。子供時代の記憶と大人らしさの融合特に、子ども時代を思わせる服やシルエットに、大人らしく洗練されたラインを組み合わせるスタイルが散見された。幼い頃に着たパジャマのようなセットアップのシャツとパンツに、コートを羽織ったスタイルがその好例と言えるだろう。リラクシングで柔らかいファブリックと、かっちりとした印象の生地感。相反する2つの要素を自由に織り交ぜて、人生の様々な瞬間をひとつのコーディネートで表現している。また、クロップド丈のコートや襟付きのニットセーター、ラウンドトゥシューズといった“幼い頃に着た衣服”を思い起こさせるアイテムは、意図的に少女のようなバランスでコーディネートされたという。反対に、大人らしさを感じるアイテムとしては、艶やかなグローブやハンドバッグ、チェスターコートなどが登場した。子供らしさと大人らしさのモチーフは、ごく自然に組み合わされ、やはり、ひとつのコーディネートの中に年代にとらわれない複数の魅力を共存させている。ときめくようなシルエットそんななか、より一層子どもらしいあどけなさを放っていたのが、ボリューム感たっぷりのバルーンスカート。花のモチーフを大きく描き、イエローやグリーンのビビットカラーなども取り入れたスカートは、エネルギッシュで大胆な雰囲気をもたらしている。また、ネイビーやグレー、ライトブルーなど落ち着いた寒色のスカートでは、上品な光沢感のあるポプリン生地とニットを合わせるなど、異素材のドッキングが遊び心を感じさせた。繊細にきらめくフラワーモチーフ印象的なディテールは、メタリックで繊細にきらめくフラワーモチーフの装飾。首元が大きくあいたノースリーブのトップスや、ダブルブレストのニットセーターやコートなど、様々なウェアに落とし込まれた。装飾は、胸元にいくつかのフラワーモチーフをあしらったものから、ウェア全体に配したデザインまで多様。大人にも子どもにも親しみのある花のモチーフを、時にはエレガンスに、時にはポップに表現していた。ベーシックカラーにノスタルジックな色合いをプラスカラーパレットは、ブラウンやネイビー、グレーなどのベーシックな色味が中心。時折、オレンジのニットカーディガンやグリーンの花柄ワンピース、淡いピンクのタイトスカートなど、明るいカラーを纏ったスタイルが登場し、子ども時代を思い返すかのようなノスタルジックな魅力を添えていた。なおランウェイでは、年齢や性別の枠組みを超えた様々なモデルが登場していたのも特徴的。これまで若い女性に限定して用いられてきた「女の子らしさ」という言葉の意味を再定義するかのようだ。
2024年04月02日ジュン アシダ(jun ashida)の2024-25年秋冬コレクションが、2024年3月29日(金)、東京・六本木のグランドハイアット 東京にて開催された。メゾンの“あるべき姿”に立ち返るコレクション1963年のメゾン創立以来、日本のプレタポルテを常にリードしてきたジュン アシダ。「メゾンの創立60周年を経た今、改めてジュン アシダの"あるべき姿"は何かと考えた。あえてテーマは決めず、メゾンの核に触れるショーができれば。」デザイナー・芦田多恵のそんな言葉通り、今季は"高品質かつエレガント"というジュン アシダの服作りの主軸に立ち返る、原点回帰的なコレクションとなった。凛とした女性像まずは、ピンストライプを配したグレーのスーツからスタート。無駄のない細身のジャケットに、流れるようなシルエットのトラウザーを合わせたルックは、社会で活躍する凛とした女性の姿を思わせる。マニッシュな佇まいでありながら、淡いピンクの差し色とピンヒール、大きく胸元を裂いた肌見せによって、女性特有のやさしさや官能性も忘れてはいない。クラシックな色使い中盤からは、秋冬らしい深みのあるクラシックカラーがコレクションを彩った。紅葉を思わせる鮮烈なレッドや熟れた果実のようなオレンジ、稲穂のゴールドに、くすみがかったグリーンやブルー。渋さを孕みながらも、そのどれもが古臭くなく、堅苦しくなく、高品質な素材との相乗効果で洗練されたムードを奏でる。シアー素材をドッキング卓越した職人の技術に裏打ちされた、繊細な生地使いにも注目したい。中でも目を惹いたのが、肌を透かすレースと、ドット柄のシアー素材をドッキングさせたフェミニンなドレス。レース部分には、モデルの歩みに合わせて煌めくラメ糸を織り込んでおり、妖精の衣装のように儚げでロマンティックな表情を演出している。水面のような光沢を湛えてコレクションは終盤に向かうにつれ煌びやかさを増し、しっとりと光沢を湛えたサテンパンツや、メタリックな輝きを秘めたシルバーのオールインワン、そして星屑のように煌めくブラックのノーカラージャケットなどが提案された。フィナーレには、水面のような煌めきを纏ったシフォンのスリーブに、眩いばかりのスパンコールを繋ぎ合わせたアシンメトリーなドレスを披露。歩くたびにシアーなヴェールがしなやかに波打ち、うっとりするほど優雅にショーを締めくくった。
2024年04月01日ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)の2024-25年秋冬ウィメンズコレクションが、2024年3月6日(水)にパリで発表された。ルイ・ヴィトンとの冒険の旅を回顧今季のコレクションは、ニコラ・ジェスキエールが手掛けた10年間にわたる大胆なクリエーションの軌跡を讃えたもの。構築的なシルエットやトロンプルイユプリント、装飾的なディテールといったニコラの象徴的なスタイルコードを通して、これまでの旅を回顧するようなノスタルジックなルックを展開した。テクニカル素材をエレガントにスタイリングまず目を惹いたのが、テクニカル素材を用いたレトロフューチャーな雰囲気のスタイル。ウエストをキュッと絞ったナイロンのブルゾンや、シアーなポケットを備えたスカートといったスポーティーなアイテムを基調としつつ、フェザーが揺らめくグローブやクロコ調レザーブーツなどの高級感のある小物使いによって、あくまでエレガントな佇まいに仕上げている。伝統的なトランクを“トロンプルイユプリント”でトランクを描いた“だまし絵”デザインのドレスは、メゾンの伝統を讃えるかのような1着。布そのものが意思を持って主張する構築的なシルエットに、モノグラム・キャンバスや補強を施したコーナー、ビスのディテールが浮き上がり、まるでトランクそのものを纏っているかのような錯覚を引き起こす。光沢を湛えた立体刺繍2018年春夏コレクションを思い起こさせる、大胆な刺繍を施した洋服の数々にも注目したい。18世紀フランス貴族の衣装の趣を残した立ち襟のジャケットは、光沢を湛えた立体刺繍によってうっとりとするほどラグジュアリーな仕上がりに。今季はその煌びやかで格式高い雰囲気を、肌を透かすローゲージのインナーと、レザーのミニスカートによって、エッジーに寄せているのが特徴的だ。相反する要素との出会いラッフルをたっぷりとのせたボリューミーなスカートは、2020-21年秋冬コレクションからインスパイア。当時と同様、マニッシュなノーカラーのブルゾンに、ふんわりと膨らむフェミニンなスカート、そして中立的なローファーというアンバランスなスタイルによって、ジェンダーの垣根を曖昧にしている。ルーヴル美術館の中庭を会場に本コレクションの会場となったのは、パリ ルーヴル美術館の中庭クール・カレ。ここはメゾンにとってアイコニックなショー会場であり、二コラ・ジェスキエールがちょうど10年前にファーストコレクションを発表した場所でもある。アルバムをめくるように10年の旅路を振り返りつつ、またここから新たなクリエイティブの出発を決意する、そんな記念すべきショーとなった。
2024年03月31日ジュンヤ ワタナベ(JUNYA WATANABE)の2024-25年秋冬コレクションから、ホカ(HOKA)とコラボレーションしたウィメンズスニーカーが登場。チェーンをあしらった黒スニーカーコラボレーションシューズは、中綿入りアッパーが特徴的なホカのスリッポンシューズ「オラ プリモ(ORA PRIMO)」をベースにした黒スニーカー。チェーンを配した大胆なデザインが特徴的で、チェーンの交差する中心に配されたテープにはスタッズを装飾した。波打つように曲線を描くラバーソールも特徴的だ。カラーは、ブラック1色で展開される。【詳細】ジュンヤ ワタナベ×ホカ スニーカー発売時期:2024年秋冬価格:75,900円【問い合わせ先】コム デ ギャルソンTEL:03-3486-7611
2024年03月30日コム デ ギャルソン(COMME des GARÇONS)の2024-25年秋冬ウィメンズコレクションから、サロモン(SALOMON)とコラボレーションしたスニーカー「XT-6 エクスパンス プラットフォーム(XT-6 Expanse Platform)」が登場。「XT-6 エクスパンス」ベースのオールホワイト&ブラックスニーカーコラボレーションスニーカーは、サロモンの「XT-6 エクスパンス」がベース。足を包み込むようなフィット感をもたらす「SensiFit」構造を備えた快適な履き心地の1足だ。アクティブなメッシュアッパーを含む、すべてのパーツをホワイト、もしくはブラックで統一したデザインでラインナップする。大きくカーブするようなフォルムのソールは、よりボリュームのある厚底でアレンジ。存在感のあるスニーカーに仕上げている。【詳細】コム デ ギャルソン×サロモン「XT-6 エクスパンス プラットフォーム」発売時期:2024年秋冬価格:53,900円【問い合わせ先】コム デ ギャルソンTEL:03-3486-7611
2024年03月30日タオ(TAO)は、2024-25年秋冬コレクションを、2024年3月27日(水)に発表した。優しくハッピーな気持ちを「白」で表現「ハピネス」をテーマに据えた今季は、優しく前向きな気持ちを「白」のカラーで表現した。「白」という色の持つ柔らかさやイノセントなイメージ、光そのもののような明るさがクリエーションに投影されている。多彩な「白」を見せる素材使い多彩な「白」の表情が、素材使いにより引き出されている。風合い豊かなシワ感の縮絨ウールのジャケットや、刺繍を施したウールコート、繊細な花柄レースを用いたワンピース、エレガントな花柄ジャカードのキルティングコート、ハリのあるシャツなど、それぞれの持つ「白」の色合いと質感を生かしたピースが披露されている。毛糸で花の絵を描くように仕上げたエンブロイダリー生地のトップスやスカートは、柔らかな浮遊感をまとって軽快な佇まいを演出する。異素材を切り替えたパッチワークドレスは「白」でグラデーションを生み出した。また、チェック柄のマリンスーツは生地の「白」と合わせたトーンで柄を施し、“無地”であるかのようなミニマルさを見せている。「黒」の劇的なコントラストまた、「白」と対照的な色である「黒」のピースが、コレクションに劇的なアクセントをもたらしていた。白のブラウスに合わせた黒のスカートや、黒のキルティングアウターなど、コントラストを効果的に効かせることで、「白」の明るさや澄んだイメージを際立たせている。可憐な装飾中綿素材で作ったハートを逆さにしたモチーフや、布地をぎゅっと集めて立体的に象った花の装飾が、チャーミングさや可憐さを演出している。ルックの印象を華やかに変化させるつけ襟も、クロシェ編みや刺繍を施したデザインなど多数登場していた。前シーズンに続きパトリック(PATRICK)とコラボレーションしたスニーカーには、ポンポンの装飾をプラス。ポンポンは取り外し可能になっており、着こなしにあわせ服にカスタムして楽しむこともできる。晴れやかにドレスアップドレスアップした装いが、晴れやかなムードを描き出していたのも印象的だ。デザイナーの栗原たおはクリエーションにあたり、“幸福の瞬間”から連想される要素の1つとしてウェディングドレスを思い浮かべたという。ダーツやギャザーによる緩急、立体的なパターンメイキングによる分量感により、ふんわりと空気を含むように仕上げたドレスやコート、セットアップが提案されている。小花模様の浮かぶ断ち切りの中綿素材で仕立てたドレスや、幾重にも生地を重ねて仕立てたボリュームのあるスカート、オーガンザやレースなど透け感のある生地を重ねてケープのようにまとったルックが、あたたかくも神秘的な存在感をまとっていた。
2024年03月30日フミエ タナカ(FUMIE TANAKA)の2024年秋冬コレクションが、2024年3月26日(火)、東京ガーデンテラス 赤坂プリンス クラシックハウスにて発表された。テーマは“OLD BOOK SMELL”。古本のように誰かの心に残るコレクションを“OLD BOOK SMELL”と題したフミエ タナカの2024年秋冬コレクションでは、その名の通りどこか古めかしく、懐かしい香りが着想源。決してパフュームのような良い香りではなく、顔を顰めてしまいそうな、それでいて年月を経て人々の心に残るような、見た人が古本のように思い出してくれるようなコレクションを目指した。誰もが光り輝く流れ星のようにファーストルックを飾るのは、古本というからにはヴィンテージライクなものが来るかと思いきや、意外にも蛍光イエローに彩られたテーラード。ラペル上部には、ビジューを連ねた装飾を施している。この蛍光イエローは、本の中の主人公のように、誰もが必要不可欠で光り輝いている存在であることを表したもの。眩い色彩を放つ流れ星のように、コレクションを横切っていく。華やかな花柄プリントや刺繍煌めく星は、輝くほどに華やかな花へ。ブラウンやくすみピンクなど、ヴィンテージ感溢れる色合いを採用した花柄が、セットアップのシフォントップス&パンツやチュールスカートを重ねたタイツに、また刺繍としてスラックスやタイトスカートに施されて展開された。輝きを放つ“鎧”全ての人が生きていく上で身に付けている鎧は、決して悪いものではなく全てが光り輝いている。それはこれまで培ってきた経験や思考を元に形成されているのだということを、布などで余白を作らずにワイヤーを用いた骨組みで表した。まるで身体を覆うドレスのようにふんわりと揺れ、ゴールドに煌めく鎧は、ラストルックを飾るのに相応しい輝きを放つ。ワイヤーに施されたチェーンは、ひとつひとつ手作業で取り付けて制作。チェーンのタッセルが、シャランシャランと涼やかな音を響かせていた。“裏表のない”キルティングまた、「裏表のない自分」というのも、今季、ひいてはこれまで展開してきたショーも含めたテーマであると語るデザイナーの田中文江。そのテーマを示すように、リバーシブルで着用できるキルティングコートが登場。肘元から袖口にかけて、また裾もふんわりと花開くようなシルエットを形成しているのがポイントだ。
2024年03月29日クリスチャン ルブタン(Christian Louboutin)は、2024年秋冬コレクションの新作ウィメンズシューズやレザーグッズを、2024年5月初旬から夏にかけて順次、クリスチャン ルブタンストアにて発売する。南北アメリカ大陸からインスパイアされた2024年秋冬シューズ2024年秋冬シーズンは、南北アメリカ大陸からのインスピレーションをデザインに投影している。例えば、リオのビーチのサンセットのようなグラデーションのラインストーンを配したサンダルは、華やかな色彩と立体感のある装飾によって存在感のある1足に。ローファー「MJ モック(MJ Moc)」にも、夕暮れのような色彩のラインストーンで彩ったモデルが登場する。チャンキーヒールのメタリックパンプスやスリングバックシューズ新型パンプス「ミニー(Minny)」もアイキャッチ。曲線的なボリュームを持たせたチャンキーヒールとスクエアのトウキャップがモダンな佇まいを演出する。艶やかなブラックのパテントレザーや、メタリックピンクカラーがラインナップする。アイコンパンプス「スポーティ ケイト(Sporty Kate)」は、軽快なスリングバックスタイルでアップデート。キトゥンヒールを組み合わせ、愛らしく履き心地も良いパンプスに仕上げた。テキサスを思わせるウエスタンブーツさらに、2024年9月にはテキサスの文化から着想を得たウエスタンテイストのシューズが勢揃いする。ポインテッドトウのブーツ「サンティア(Santia)」は、3種類がラインナップ。立体感のある装飾を施したショートタイプのウエスタンブーツ「サンティアブーティ(Santiabooty)」やサイハイブーツ「サンティア ボッタ(Santia Botta)」は、ウォッシュ加工を施したデニムの豊かな風合いが魅力だ。ブラックスエードブーツの「サンティギャグ ストラス(Santigag Strass)」には、クリスタルをふんだんに散りばめ、グラマラスな仕上がりに。メタリックな糸やガラスビーズのニードルワーク、ハンドステッチなど、クリスチャン ルブタンならではのクチュール技術が光る1足となっている。アイコンバッグ「ルビ54」に新色アイコニックなクロスボディバッグ「ルビ54(Loubi54)」も、新色をまとって登場。きらびやかなラインストーンを配したモデルや、型押しで風合い豊かに仕上げたブラウン・ブラックのカーフレザーモデルが揃う。クロスボディ・ショルダーの両方で楽しめる、チェーンストラップ付きのミニサイズも登場する。【詳細】クリスチャン ルブタン 2024年秋冬シューズ発売時期:2024年5月初旬展開店舗:クリスチャン ルブタンストア、公式オンラインブティック【問い合わせ先】クリスチャン ルブタン ジャパン カスタマーサービスTEL:03-6804-2855
2024年03月28日ケイスケヨシダ(KEISUKEYOSHIDA)の2024-25年秋冬コレクションを紹介。16年間通った立教学院が舞台今季のケイスケヨシダは、デザイナー・吉田圭佑が小学校から大学まで16年間通った立教学院が舞台。卒業した今でもなお、“大学で留年する夢を見る”ことから、茫洋とした不安や自信のなさを抱えていた学生時代を回顧したコレクションを完成させた。そして、深い思い入れのある立教大学 池袋キャンパスにて、ランウェイショーは幕を上げた。スクール ユニフォームを着想源に今季を体現するのが、吉田が学生時代に毎日着ていた制服に着想したルックだ。テーラードジャケットをはじめ、スクールセーターやパンツ、スカートといったスクールウェアを、オーバーサイズかつアンバランスにアレンジすることで、洗練されたルックへと昇華。中でも、細い身頃と太い袖を組み合わせた前傾姿勢のシルエットは、劣等感を感じていた学生時代の自身の姿を表現している。コレクション全体を通して、ネクタイやセーラーリボン、ランドセルなど学生を象徴する小物を取り入れているのも印象的。また、大学時代を共に過ごした児玉耀によるファッションブランド・フルス(fluss)とコラボレーションしたマフラーも披露された。聖歌隊や司祭服のクリスチャン要素さらに、キリスト教に基づいた教育を行う立教学院の校風を思わせるウェアも見逃せない。牧師が身に着けるブラックのマントや、首元まで隠せるサテンシャツ、ニットのロングカーディガン、真っ赤なポンチョといった礼拝堂の聖歌隊や司祭服からインスパイアされた衣服がランウェイで存在感を発揮していた。象徴的なパープル学生服に着想した、ブラックやグレー、ベージュ、ホワイトといったベーシックなカラーパレットを主に採用。そこに立教学院を象徴するパープルのサテンシャツやベロア生地のロングコート、鮮烈なレッドのセットアップなどの鮮やかな色彩が、大胆なアクセントを加えていた。
2024年03月27日ユキ トリヰ(YUKI TORII) の2024-25年秋冬コレクションが、2024年3月19日(火)に、東京・晴海トリトンスクエアにて発表された。“新しい自分”に出会える服「年齢に関係なく自分が好きなものを着て欲しい」デザイナー・鳥居ユキのそんな想いからスタートした今季は、フォーマルなモノトーンのジャケットスタイルからフェミニンな花柄ドレス、スポーティなジャージのセットアップまで、テイストの異なる多彩なスタイリングを提案。身に纏えば“新しい自分”に出会えるような、自由で遊び心に満ちたルックを披露した。奥深い光沢のブラックサテンコレクションは、奥深い光沢に心惹かれるブラックサテンからスタート。カラーにファーを配した艶やかなシングルブレストジャケットに、流麗なサテンスカートを合わせたオールブラックのファーストルックは、“強い女性像”を打ち出すモダンな佇まい。箔プリントのニットや、ビジューが煌めくクラッチバッグのみずみずしい煌めきが、軽やかなアクセントとなっている。オーガンジーが透けるパッチワーク毎シーズン人気を博しているパッチワークは今季も健在だ。とりわけ目を惹いたのが、ブラックのオーガンジーの上に、カジュアルなウォッシュデニムや、格子の大きさが異なるチェック柄のパーツを繋ぎ合わせたロングスカート。歩くとサイドのスリットからオーガンジーが透け、フェミニンな表情を演出する。“だまし絵プリント”のケーブルニットノルディック柄のケーブルニットは、よく見ると編み目がプリントされた“だまし絵”デザイン。重厚感のある見た目に反して、実際は薄手のカットソーとなっているので、本物のケーブルニットであれば着ぶくれしてしまいそうなモヘアニットベストやジレとの秋冬らしいレイヤードも、どこかすっきりと軽やかな印象だ。エレガントに解釈した迷彩エレガントなコレクションにカジュアルな風を吹き込む迷彩柄にも注目。ジャカード織の迷彩柄ニットブルゾンは、グリーン、ブラウンに加えてゴールドのラメ糸を織り込むことでスポーティーな迷彩のイメージをエレガントに再解釈。ボトムスには、シアーなシフォン素材のプリーツスカートを合わせ、さらにフェミニンに引き寄せた。“水の上を流れる花々”を表現毎シーズン、テーマを決めて展開している花柄のアイテム。今季は「フローイングフラワー」をイメージして、ロングドレスやパジャマパンツに彩り豊かなフラワープリントを施した。繊細なスパンコールを配したブルーのニットは煌めく水面を、ボトムスに配した赤や青のフラワープリントは水の上を流れる花々を思わせる。
2024年03月22日ピリングス(pillings)の2024-25年秋冬コレクションが、2024年3月18日(月)、東京・池袋の自由学園明日館にて発表された。宮沢賢治を出発点に隙間風の音がふとやむと、鐘の音が響き渡る。あたりがまばゆい光りに包まれると、ショーの幕が開けた。ピリングスの2024年秋冬コレクションの出発点となったのは、詩人であり童話作家の宮沢賢治。彼の作品や思考に見られるような、「わからないものをそのままに、不思議なものは不思議なまま楽しむ心」にヒントを得て、「創造することへのきっかけ」をコレクション内に落とし込んだ。“銀河のような柄”そんな今季のファーストルックに採用したのは、宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』を彷彿とさせるような“銀河のような柄”。宮沢賢治のことをふと考えるきっかけとなった夜行バスでの記憶をもとに、夜行バスのシートが流れ星に見えたことから採用した柄だ。夜行バスが駆け抜けるように、コレクションの幕開けを知らせるルックとして、似たような絵柄をあしらったニットを立て続けに登場させた。“気付きを促す”モチーフさて、今季大切にしているのは、定義づけたモチーフを知らしめるのではなく、見た人が創造するきっかけになるモチーフ並びにルックを提示すること。「何かに見えるな」という気づきを与え、思考を促すのだ。たとえば、ニットカーディガンなどに散りばめられたエンジェルを模した装飾は、見る者の想像力を掻き立てる。まるでエンジェルたちが浮遊しながらニットを編んでいるようにも見えるし、宮沢賢治の作品に描写される天使を元にしているのだろうと思いを巡らせることができるなど、様々な解釈が可能だ。無論、ここで述べていることが正ではない。ふっくらと歪なシルエットシルエットにも言及したい。度々登場し目を引いたのは、ウエストに大きな膨らみを持たせたパンツだ。ドレープがもたらすその形状は、「どこか嫌な布のかたまり」を表現。おさまりの悪さやわだかまりを抱えているかのような、そんなネガティブな感情を表している。なおこれらのアイテムは、前シーズンの“自分をぎゅっと包み込むようなニット”に連動して考案されたシルエットになる。力強く重厚感溢れるレザーコートデザイナーの村上亮太にとって、レザーコートは念願であり満を持した新鮮な試みとなった。重厚感のあるブラウンのレザーには、宮沢賢治の『よだかの星』に登場する“実にみにくい鳥”を焼き印であしらった。強靭な翼と鋭い口ばしまでもが再現されたアートとなっており、コート全体で力強さを放っていた。
2024年03月21日ドレスドアンドレスド(DRESSEDUNDRESSED)の2024年秋冬コレクションから、新作のジャケットやシャツなどが登場。2024年8月末以降、全国の取扱店舗にて発売予定だ。なお、東京・中目黒では、新作の受注会を、3月20日(水)から24日(日)まで開催する。“凹凸感サテン”のテーラードジャケットドレスドアンドレスドを代表するアイテム、テーラードジャケットに、艶やかな光沢と細かなシボ感を持つ「ハンマーサテン」を用いた新作がラインナップ。流れるようなドレープ感を持つサテン素材を採用しながらも、ボクシーなシルエットの構築的なジャケットに仕立てている。展開するのは、ノッチドラペルのシングルブレストジャケットと、ピークドラペルのダブルブレストジャケットの2型。また、セットアップでも着用できる、落ち感のあるワイドスラックスも取り揃える。中綿入りのオーバーサイズシャツオーバーサイズのシャツは、エレガントなドレスシャツをベースにしつつ、中綿を封入することで柔らかな着心地を叶えた1着。襟は通常よりも硬く仕上げることで、柔らかさと硬さのコントラストを具現化したシャツとなっている。ブランド初のブリーフパンツもドレスドアンドレスド初となるブリーフパンツは、中性的なラインが特徴。表裏を反転させることで、さりげないデザイン性と、柔らかな着用感を叶えた。詳細ドレスドアンドレスド 2024年秋冬発売予定時期:2024年8月末〜9月取扱店舗:全国の取扱店舗、ドレスドアンドレスド オンラインストア展開アイテム例:・Hammered Satin Single-Breasted Blazer 125,400円・Hammered Satin Double-Breasted Blazer 128,700円・Hammered Satin Loose Tailored Trousers 40,700円・Padded Shirt 88,000円・Reverse Classics Briefs 6,820円※いずれもユニセックス展開■ドレスドアンドレスド 2024年秋冬 展示会期間:2024年3月20日(水)〜24日(日)場所:PANOF STUDIO NAKAMEGURO住所:東京都目黒区青葉台2-20-3 小谷野ビル 1F時間:12:00〜20:00※下記URLより要予約:【問い合わせ先】ドレスドアンドレスドTEL:03-6379-1214
2024年03月21日ドレスドアンドレスド(DRESSEDUNDRESSED)の2024年秋冬コレクションが発表された。今季のビデオプレゼンテーションにおいても、2022年秋冬シーズン以来に続いて、音楽はダムタイプ(DUMB TYPE)の山中透による。夢という不可能性の空間「ぼくはその罠/夢であることを知りながら夢を/つい見てしまう/自分で自分にしかける奇妙な手品に/むしろ自然に/むしろ快く/ひっかかってゆく/──鏡の中にはいり込むのだ」──今季のドレスドアンドレスドは、デザイナーの北澤武志が見た夢を着想源としているという。それならばここで、清岡卓之の詩篇「ほぐれてくる昏睡」のこの一節にあるように、鏡の中の空間へと──それが夢であると知りながら──降りていってもいいだろう。ジークムント・フロイトに従うのならば、夢とは、欲望の充足である。しかし夢の中において、充足は快楽として表出することはなく、逆に夢を見る人の抑圧、検閲を受ける。こうして否認が働くため、夢の中では、欲望は自分の望まぬものとして表れる。その人の記憶を素材としつつも、ある要素が置換を受けたり、複数の要素が集まってひとつのイメージを作ったりすることで、夢はさまざまな記憶からひとつの物語を紡ぎだす。夢が往々にして非現実的な空間を織りなすのは、このためだといえる。光沢を帯びたシルクが凝固する──時計が溶解するサルバトール・ダリ的なイマージュにも比せられる、北澤の夢。柔らかな織物が固まるという、この矛盾。それは今季、凹凸感のあるハンマーサテンを用いたテーラリングとして表現されている。ワイドスラックスであれば流麗に波打つ、この柔らかなファブリックはここで、構築的なフォルムに仕立てたテーラードジャケットへと固化されているのだ。夢とはこのように、どういうわけか相反するものがともに成り立ってしまう、言うなれば不可能性の空間である。この空間は、しかし、北澤の夢にあってはある種の温かみを帯びている。白い布団に包まれる夢──端正に仕立てられたドレスシャツは、一見するときわめてフォーマルに思えるものの、しかし中綿が閉じ込められている。襟は硬く、しかし身体を包み込むボディやスリーブは柔らかい。そこには、硬さと柔らかさばかりでなく、覚醒時のドレッシーさと睡眠時のリラクシングさという矛盾もまた具現化されている。そして、夢の中であるモチーフが執拗に回帰するかのように──あるいは、鏡の空間の中のように──テーラリングは異なる素材で反復される。シングルブレストとダブルブレストのジャケットは、ハンマーサテンばかりでなく、ハリとドレープに秀でたウールギャバジン、ほどよい起毛感を持つコットンモールスキンで繰り返される。あるいはダブルブコートにおいては、首回りのシャツカラーが、トロンプ・ルイユのように白さを添える──あたかも、2022年秋冬シーズンのシャツカラーの記憶が、突如露わになるかのように。さて、睡眠中には欲望の充足が夢として表れるものの、目覚めているあいだは、夢に代わって幻想がその役割を担うことになる。今季のドレスドアンドレスドが、空想・幻想を意味する「Rêverie」をテーマとしたのは、夢のイマージュを、身にまとう衣服として具現化することを試みたからだといえる。それではなぜ、鏡の空間へと──夢が夢であると知りながら、むしろ自然に、快く──降りてゆくのか。イマージュとは、なるほど論理的には「不可能性の空間」に湧き起こるものの、主観的には、自らの自我を示し、存在を確立するものである。ならばドレスドアンドレスドにおいて、衣服とは、目覚めたままに見る夢の謂いにほかならなかったであろう。
2024年03月20日ソウシオオツキ(SOSHIOTSUKI)の2024年秋冬コレクションが、2024年3月16日(土)、東京の渋谷ヒカリエにて発表された。記憶と変奏「good memory」と題された今季のソウシオオツキは、洗練された佇まいのなかに、その裏側を仄めかすようなノスタルジックな表情が蠢くようである。たとえば、テーラリング。コレクションの基調となるジャケットは、端正なセットインショルダーとボクシーなシルエットで仕立てつつ、ラペルには裏地とポケットをあらわにすることで、奥深く眠っていた記憶に微かに光をあてているかのようだ。内側を曝けだす──それは、文字どおり衣服の表側と裏側を反転できるリバーシブルのウェアに、いっそう豊かにあらわれているといえる。ジャケットには、シルエットを作る曲線的なパターンやライニングの切り替え、内ポケットなど、衣服の構築性を内側から支える構造上の要素が、反転というひとひらの操作によって、造形性へと転換されていることが見て取れる。記憶とは、ある時の出来事が時を経て現れるものであり、あるいは過去を振り返ってみて事後的に立ち現れるものであるというように、必ず過去と現在──そして、未来?──を架橋するという、時間のアナクロニズムに棹さすものである。だから、バルカラーコートやテーラードジャケットなど、ドレープ感のあるファブリックを用いつつ、その分量を多く取ることで、さながら余韻を残すような、リラクシングな佇まいに仕上げられている。こうして、過去から現在に立ち現れる衣服は、原型とは異なる表情を帯びよう。ダブルブレストのスーツは、ハリのあるウールから一転し、光沢とドレープに秀でたファブリックへ。ショルダーも、些かドロップさせることで、テーラリングの構築性をリラックスさせているといえる。あるいは、デニムジャケットやデニムパンツは、グラデーションを帯びた表情に仕上げ、さながら経年変化を帯びたような佇まいへと昇華した。このように、テーラリングを基調とするクラシカルな佇まいのなかに、日本的な要素を随所に見て取ることができるように思われる。着物を彷彿とさせる、ショルダーの直線的なパターンやカシュクール風の前合わせは、その例だろう。あるいは、神社のしめ縄を彷彿とさせるディテールをあしらったニットやタッセル、光沢のあるシャツにのせた極彩色の花鳥など、洗練されたウェアにアクセントを添える装飾的な要素としても取り入れられている。
2024年03月19日チョノ(CHONO)の2024-25年秋冬コレクションが、「楽天ファッションウィーク東京(Rakuten Fashion Week TOKYO)」期間中の2024年3月16日(土)にオンライン形式で発表された。私のスタンダードは何か?今季掲げたテーマは「MY STANDARD」。あらゆるスタイルやカテゴリーが存在する中で“私のスタンダードは何か?”を探し求めた。無限大の選択肢があるこのファッションの世界では、ひとつの正解に辿りつくのが正しいとは限らず、探し求め続けることが大切なのではないか。そしてその先には、きっと自分にとっての至高のスタンダードがあるはずだからと。エレガンスへの熟考全体を俯瞰してみれば、決して派手に取り繕うのではなく、あくまで日常のありのまま、自分が好きなもの、気になるものを少しずつ取り入れたような印象を受ける。その中でまず目を留めるべきはエレガントなスタイルへの熟考。チュールテープとグロッシーな糸を組み合わせたファンシーツイードは、フーディー付きの軽いコートとふんわり広がるフレアのスカートのセットアップに仕立てられ、エレガントとカジュアルの“いいとこどり”を叶えた。また、タフタや二重織の生地には、オスカー・ワイルドによる短編小説「幸福な王子」に着想を得た宝石とツバメのモチーフをあしらって、遊びごころを加えた。エレガントなドレス、あるいはパディングのボリューミーなマフラーといったラグジュアリーを基盤にしているから、可愛すぎることはなく、程よくチャーミングな女性像も滲ませている。クラシックがもつ魅力の探求思い切りヴィンテージ、あるいはクラシックに振り切ってみるのはどうか。モノトーンのコントラストを意識したワンピースは、スカラ刺繍のカフやパールによって、そのムードを醸し出す。チュールでもパニエでもなく、スカートにレイヤリングされたフェザー調のジャカードは、新鮮な提案のひとつだろう。マニッシュなスタイルへの挑戦マニッシュなスタイルへの探求も忘れることなく、リラックスなシルエットのダブルジャケットとセンタープレスが効いたワイドパンツのスタイルも展開。使用した凹凸感のある星のトッド柄のファブリックからは、ほんのり愛嬌も感じられた。また、繊細で透け感のあるシアージャガードを用いたフェミニンなセットアップは、襟を立てたジャカードによって“かっこよさ”がプラスされている。
2024年03月19日ハイク(HYKE)の2024-25年秋冬コレクションが、楽天ファッション・ウィーク東京(Rakuten Fashion Week TOKYO)期間中の2024年3月15日(金)に発表された。40年代のアーミースタイル服飾史や古着などをデザインソースとして、テーマを設けずにコレクションを展開するハイク。今季は、1940年代から50年代に見られた米軍のシャツやパンツ、ジャケット、ヴィンテージのトレンチコートなどを着想源に、ハイク独自のエッセンスを加えたコレクションを提案していく。フェミニンに昇華特徴的なのが、ミリタリーウェアをフェミニンに昇華させている点。かっちりとした生地とミリタリーカラーを用いながら、ウエストベルトでボディラインを際立たせたり、ベアトップのビスチェでレイヤリングを叶えることで、エレガントなムードを演出している。また柔らかな生地をたっぷり使用し、空気をはらんだようなロングワンピースや、ミリタリーパーカーの上にボア付きニットを重ねたルックも登場した。ビューティフル・シューズとのコラボもビューティフル・シューズ(BEAUTIFUL SHOES)によるコラボレーションアイテムも必見。スクエアトゥのミュールサンダルと、前シーズンで披露されたサイドゴアブーツの筒丈を長くアップデートした新作が展開される予定だ。また、ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)とコラボレーションしたトレイルランニングに特化したプルオーバーパーカーやトラックパンツ、チャコリ(CHACOLI)とのレザー製ナップサックなども散見された。ベーシックトーンに彩りをカラーパレットは、ブラックやホワイト、グレー、ミリタリーカーキといった落ち着いた印象のベーシックトーンを採用。歩く度に揺れるオレンジニットのセットアップや、温かみのあるレッドコーラルのロングコートがコレクションに彩りをもたらしていた。
2024年03月18日マリメッコ(Marimekko)の2024-25年秋冬コレクションが、2024年3月15日(金)に、東京国立博物館 表慶館にて発表された。マリメッコ初、東京でのコレクション発表フィンランドを代表するデザインハウス・マリメッコが、ブランドを代表する定番柄「ウニッコ」の誕生60周年に合わせて、東京コレクションに初参加。ベーシックで実用的なシャツやドレス、デニムをキャンバスに、マリメッコらしい豊かで大胆な柄をのせて、喜びに満ち溢れたコレクションを展開した。60周年を迎える「ウニッコ」柄が主役ショーは、DJの生演奏による陽気な音楽と共に幕開け。まずは本コレクションの主役である「ウニッコ」柄のピースがランウェイを彩る。単に「ウニッコ」といってもその表現方法は実に多様で、たとえば花のモチーフを立体的に貼り付けたスカートや、花を大きく拡大して配したニット、あるいは小花柄のようにプリントしたパファージャケットなど、バリエーション豊かな手法で解釈された。ミニマルな服に楽し気な柄をのせてノースリーブのミニドレスやノーカラーブラウス、ストレートデニムなど、シルエットは全体を通して至極ミニマル、かつ実用的な印象。だが窮屈さは一切なく、その大胆な柄使いによって、ワークウェアがむしろ無邪気で楽しげなムードを醸し出している。ハリ感のあるヘビーウェイトのジャージードレスに「ウニッコ」柄を目一杯描いたルックはまさに、"個性的でありながらタイムレス"を体現したルックと言えるだろう。“揺れる”幾何学柄円を斜めに並べたような幾何学柄のワンピースも目を引いた。この円のモチーフは、胸元に配した何層もの縦のプリーツによって、角度によって歪んで見えるのがユニーク。モデルの歩みに合わせて柄が揺れ、トリックアートのような視覚効果を生み出している。穏やかなカラーパレットカラーはホワイトとブラックをベースに、秋冬らしいボルドーやベージュ、くすんだペールブルーといったカラーを織り交ぜているのが特徴。あくまで落ち着いたパレットにまとめられており、会場である表慶館の伝統的かつクラシカルな雰囲気と違和感なく溶け合っていた。「ウニッコ」モチーフを配したレザーバッグ最後に、コレクションを彩るバッグにも注目。今季は「ウニッコ」モチーフを立体的に配したレザーバッグが、スクエアシルエットのポシェットとミニサイズのバゲット型で登場した。
2024年03月18日サポートサーフェス(support surface)の2024-25年秋冬ウィメンズコレクションが、2024年3月15日(金)に渋谷ヒカリエにて発表された。サポートサーフェスが開拓する「かわいい」デザイナー・研壁宣男は、コレクション製作にあたって事前にテーマを掲げない。作業を終えた後に自然とそれは浮かび上がってくるのだそうだ。今季のキーワードは「KAWAII!?-Adorable」。しかし、端正なシルエットを得意とするサポートサーフェスはこれまで、「かわいい」ではなく、「綺麗」や「かっこいい」といった形容詞が似合うスタイルを提案してきたように思われる。現に研壁は「かわいい」という言葉が苦手であると明言していたが、今季のルックは、首周りに寄せたギャザーやドレープを効かせたアイテムなど、全体を通してフェミニンな印象だ。研壁は今季の製作を振り返り、はじめて、自身が苦手な「かわいい」に向かって挑戦していたことに気づかされたという。生地感のある優雅なシルエットシルエットは一貫して優雅な表情を見せている。前述したギャザー使いはファーストルックで登場したシャツのほか、ワンピースのウエストラインでも見られた。また袖周りにたっぷりと生地感をもたせたパフスリーブのトップスやワンピースも多く登場。フリルやドレープをともなったスタイルが続き、女性らしい雰囲気を纏っていた。ボディを包み込むような優しいシルエットは、ボトムスにも落とし込まれている。たとえばスラックスは、ゆとりのあるサイズ感で、どんな体型でも馴染むようなデザインに。バルーンスカートは、ウエストバンドの下部にテキスタイルを大きく寄せた、樽型のようなフォルムが目を惹いた。新しい形でボリュームを持たせ、気品のあるラインを作り出している。洗練された無地のファブリックが続くなか、中盤ではフラワーモチーフがお目見え。ブラックの花柄は、ワンピースとスカートに落とし込まれた。ナイロンチュールにフロッキープリントを重ねるなど、細かい工程を踏んだ素材で、ふんわりとした質感ながら時折パリッとした表情を見せる。このように今季のサポートサーフェスが提示する「かわいい」は、単なるかわいいとは一味違う。ギャザーやフリルは確かにフェミニンな要素を与えているが、身体を包み込む優雅なスタイルに押し上げる要素となっている。また、愛らしい花柄も、ブラックのワントーンで統一し、シックな存在感を放つモチーフへと昇華させていた。着用する人のために研壁は、素材感、着心地をいちばんに追求してクリエーションを行っていると語る。また秋冬シーズンに欠かせないアウター類は、“極寒の冬”という短い期間だけに限らず、秋冬の季節を通してできるだけ長い間着れるようにと、ノースリーブのウールコートやジャケットも揃えている。「それは着用する人の満足度のために」という一文で締めくくられたインビテーションのように、研壁の服作りに対する想いを感じさせる。
2024年03月18日コウタグシケン(Kota Gushiken)の2024-25年秋冬コレクションが2024年3月12日(火)、渋谷ヒカリエ「ヒカリエホール」にて発表された。初開催となるショーのテーマは「整理整頓」“Take knit easy!(気楽に行こう)”をモットーに、糸の新たな可能性を紡いでいるニットウェアブランド・コウタグシケン。2019年秋冬コレクションのデビュー以来、『モナリザ』やゴッホの『星月夜』など美術作品をデザインソースとするユニークなデザインと、自然体かつ抜け感を演出する編み手法で注目を集めている。そんなコウタグシケンのショーが初開催。今季のテーマはパリでの展示会に向け、目まぐるしく日々を過ごしたデザイナー・具志堅幸太が、この半年で唯一行った「整理整頓」だ。学生時代からの過去作品を振り返り、自身が苦手な整理整頓に取り組んだ“organiseid well”のコンセプトのもと、ブランドの自己紹介となり得るコレクションを展開する。芸人・ピースの又吉&好井がステージ上へホールに足を踏み入れると、“まるで展示会の会場”のようなステージが目に留まる。ショーは、芸人・ピースの又吉直樹と好井まさおとの電話からスタート。2人がステージ上へと現れ、“現在進行形の電話である”と観客は知ることとなった。そして、ステージにて開催されている今季の展示会へ参加し、2人のテンポの良い漫才とともにニットウェアを紹介していく。過去の自分との対峙今季のムードを体現しているのが、過去の自分を見つめ直し、再解釈したルックたちだ。たとえば、具志堅が大学の卒業制作として手掛けた“モナリザ”モチーフのニットウェア。モナリザを色濃く描いているのが特徴の定番モチーフだったが、今季はニットの配色と合わせ、明るいグリーンをメインに淡い色合いでまとめている。イギリスの伝統的なファッションブランド・ジャミーソンズ(Jamieson’s)とコラボレーションしたセーターも、前シーズンに続いて登場。袖と襟口以外は裏地を使用するという、斬新なフェアーアイル柄セーターをベストへとアップデートさせた。またブランド設立当初から創作してきた、“ざっくり編み”の鮮烈なレッドニットはポンチョへ変身。トップスとして着るのはもちろん、セーターやコートの上からすっぽり被るスタイリングも可能だ。1つのアイテムで多彩な着こなしを楽しめるのが、コウタグシケンの人気の理由といえるだろう。思いのままに具志堅が「最も挑戦的だった」と語るスカジャンは、“オーガナイズしきれなかった”ウェアの1つだ。自身の思いの矛先が向くままに、ニットを自在に編み上げて完成したという。イタリア製のキラキラ輝く糸を用い、表はブラック×ベージュ、裏はロゼカラーのリバーシブル仕様なのもポイントだ。さらに、1940年代のスーツを着想源にしたダブルジャケットとパンツのセットアップも披露。ニットならではの厚い生地感と、温かみのある雰囲気を纏うことができる。アーカイブ作品とともにカーテンに投影された今季のルック画像を見ていると、「グシケン…シケン…」のノイズが段々大きくなり暗転。カーテンが開き、コウタグシケンのアーカイブ作品が多数吊るされたステージにて、バンド・酩酊麻痺の歌唱が始まり、ライブ終了に伴いショーも幕を閉じた。
2024年03月18日メアグラーティア(meagratia)の2024年秋冬ウィメンズ&メンズコレクションが、2024年3月15日(金)に東京・表参道ヒルズ「スペース オー」にて発表された。自然界のヴァイタリティ花を人々に重ね、花の変化する様をインスピレーション源とするメアグラーティア。"Vitality"をテーマに掲げる今季は、どんなに悪い状況下でも根を張る植物や人間の生命力を衣服に投影した。蔦や花が蔓延るランウェイにて、自然界のパワーを感じる力強いコレクションを展開する。生気を感じるレッド今季のムードを象徴するのが、生気を感じる鮮やかなレッドを取り入れたルックだ。たとえば、ブラックの厚手ニットの左胸部分にグレーの心臓モチーフをあしらい、赤の毛糸で鮮烈に流れる血を表現。また、ボルドーのロングシャツをレイヤードしたルックは、着る者に生温かな雰囲気を纏わせている。さらに、ニードルパンチで仕上げた赤と黒のグラデーションマフラーやグローブも存在感を放つ。一方で、ジャケットの裾や袖口など、生命の繊細さを表した“ほつれ”のディテールも散見された。雑草の生命力“アスファルトに生える雑草”のようなオリジナル柄も印象的。昔のデニムジャケットに見られるパッチワークに着想を得て、ジャカード織りで作り上げたジャケットやパンツ、スカートがコレクション全体を引き締めていた。どんなに暑くても、踏みつけられても、空に向かって生える雑草は、生命力を体現しているといえるだろう。コレクションのラストを飾るのは、関根が最もこだわったというツイード生地のコート。アーティスト・風弦(whogen)による、圧巻のライブパフォーマンスで幕を閉じた。
2024年03月18日ヘオース(HEōS)は、2024-25年秋冬ウィメンズ&メンズコレクションを2024年3月15日(金)に発表した。記憶を集めて“自分だけの鎧”を作る“SPEAK MY LANGUAGE”=「自分の言葉を話す」がテーマの今シーズン。自分の過去を懐かしく振り返り、向き合った時にふと浮かび上がる人生で最も美しい瞬間や、今思えば危うかった不安定な時期などを凝縮。タバコの煙のように曖昧で断片的な記憶を繋ぎ合わせ、哀愁、歓楽、ロマンスなど様々な記憶の中の要素を寄せ集めていくことで“自分だけの鎧”を形作っている。時の経過を感じさせるディテール散見されたのは、記憶を辿っていくときのロマンを彷彿させる佇まいだ。かっちりとしたスタンドカラージャケットのセットアップは、裾を断ち切りにすることで粗野さを与え、ライダースジャケットは深いシワを刻んだ質感で時の経過を感じさせる。また、レトロな佇まいのダブルブレストコートや、編み地が大胆に緩んだニットなどもまた、長い時間の流れを連想させた。絢爛な素材使いまた、輝かしい瞬間を思わせるような絢爛な素材使いも印象的だ。幾何学模様のジャカードセットアップや、光沢を放つベルベットのプリーツパンツ、艶やかなブラックドレスなどが登場している。中でもアイキャッチだったのがジャカード素材。華やかな模様を織り込んだロングコートには、赤く輝くベルベットのパーツをあしらいアクセントをプラスした。また、フロントにジャカード地の切り替えを施したニットベストや、青い花のコサージュが凛とした表情で彩る、灼けたような色味のジャカードコートも披露されている。リュクスなボリューム加えて、身体を覆うボリュームが装いの華やかさを後押ししていたのも印象的だ。きらめくラメニットのショールをはじめ、柔らかな起毛感が有機的なグリーンのニット、丸みを帯びたベルベットのブルゾンなど分量感のあるアイテムときらびやかな素材を掛け合わせたアイテムが目を引く。流れるような仕立てのベアトップドレスにもざっくりと巻くストールを合わせ、存在感を加えている。ショーのラストを飾ったのは、リュクスなファーのガウンをまとったルック。草花を思わせる繊細な柄のベアトップとワイドパンツのセットアップに、ふんわりとしたファーガウンがゴージャスなムードをもたらしていた。
2024年03月18日ミスターイット(mister it.)は、2024-25年秋冬コレクションを2024年3月15日(金)に発表した。デイリーウェアにクチュールの要素を"HAUTE COUTURE FOR EVERYDAY LIFE"を掲げた今季。コートやジャケット、白シャツ、デニムパンツなどのデイリーウェアをベースにしつつ、ミスターイットの得意とするクチュールライクなエッセンスを織り交ぜたピースの数々が展開されている。構築的な仕立てベーシックなコートやテーラードジャケット、シャツワンピースはケープを重ねた二重構造に仕上げ、ドレスはペプラムとドレープを効かせるなど構築的な仕立てが目を引いた。デニムパンツは裾にボリュームを持たせ、脚の後ろでギュッとギャザーを寄せることでドレッシーな印象に仕上げている。しなやかなシルエット一方、柔らかくしなやかなデザインも散見されている。ナチュラルなベージュのオーガンザを重ねたスカートや、アウターの裾から長く伸びるチュールのトレーンなど、透け感のある素材で軽やかに仕上げたルックが登場。スモーキーなレッドのポンチョも、身体に馴染みつつ流れるような佇まいを見せる。また、白シャツには曲線的な前立てを重ね、裾のラインも曲線的に。後ろ裾にはたっぷりと生地を使い、歩くとふわりと空気を含むようなシルエットが優雅な余韻を残していった。華やかさをもたらすスカーフアイコニックなスカーフを用いたルックも多数登場。日々の着こなしにポイントとして用いられるスカーフが印象的に取り入れられることで日常の風景を思い起こさせ、スカーフが"毎日の中で華やかに装う"というテーマを象徴する役割を果たしていた。ベージュのジャケットに切り替えとして差し込まれたり、コーディネートのアクセントとしてタイツに柄を落とし込んだり。様々な柄を配置したスカーフのドレスや、落ち着いた色味のスカーフを用いたジャケットもまた、存在感を放っていた。立体ハートや三つ編みなどプレイフルにこの他にも、遊び心あふれるディテールが特別感を演出する。多くのルックで胸元を飾っていた“COUTURE RHYTHM”ロゴ入りのバンドは、どこか装いに緊張感をもたらすパーツとして機能していた。また、立体的なハートを連ねたドレスやストールはインパクトとともにプレイフルなムードを漂わせ、襟から伸びる三つ編みはベストやドレスの後ろ姿をチャーミングに装飾。洋服をかけたハンガーをバッグに見立てたチェーンバッグも、コーディネートのアイキャッチなアクセントとして用いられていた。
2024年03月18日ミキオサカベ(MIKIO SAKABE)の2024-25年秋冬コレクションが、東京・国立競技場代々木第一体育館で発表された。ファッションが紡ぐ“物語性”ここ数シーズン、装飾を抑えたミニマムなコレクションを展開してきたミキオサカベだが、今季は打って変わってデコラティブなムードに。「プロダクトとしての機能性だけでなく、個人の記憶や思い入れと紐付く“物語性”を表現したい」というデザイナー・坂部三樹郎の思いから、装飾的でモードなファッションが数年ぶりに復活した。プレーンなルックからスタートまず登場したのは、ホワイトを基調としたプレーンなルック。これは先シーズンまでのミニマムなイメージを踏襲しつつ、今まで発表してきたアイテムを進化させたもの。“経年劣化”からインスピレーションを得てショルダー周りにほこりのようなディテールを施したジャケットなどがその一例だ。極端なシルエットと装飾「ファッションで物語を見せる」という坂部の言葉通り、ショーが進むにつれてアイテムの雰囲気ががらりと変化していく。個々のアイテムに向ける“ミクロ”な視点よりも、コレクション全体の流れを強く意識した“マクロ”な視点でクリエイションを展開する姿勢は、今季も健在のようだ。中盤に入ると、極端なまでにシルエットを誇張した存在感のあるルックが次々登場した。たとえば、引きずるほど裾を長く伸ばしたロングドレスは、袖も“超ロング丈”に。肩回りのシルエットもふっくらと立体的に強調して、身体と洋服のミスマッチさや違和感を際立たせる。グラウンズ(grounds)とコラボレーションした“ぷっくり厚底”のスニーカーもまた、誇張されたクリエーションを加速させる。スパンコールや光沢素材で煌びやかにさらに色調も、後半に向けて秋冬らしいマスタードやブラウン、ブラックといった重厚感のあるトーンへと移行。そんなダークトーンを活かして、ジャケットやパンツには夜空に輝く星のようなスパンコールたっぷりと装飾した。このほかにも、光沢素材をストライプ状に配したピエロ服のようなセットアップや、シルバーの星が煌めくパンツなど、煌びやかなアイテムが多数お目見え。モデルたちの顔に施されている、“ミラーボール”のようなメイクアップも印象的だ。ドラマティックな物語のフィナーレ次第に派手に、過剰になっていく衣装たち。ドラマティックな物語のフィナーレを飾るのは、プリーツにフリル、異素材ドッキングと、デコレーションの要素をこれでもかと詰め込んだボリューミーなドレスだ。たっぷりと布を湛えたスカートは、歩みとともに風を孕んで、コレクションのラストに相応しい存在感を放っていた。
2024年03月17日ミューラル(MURRAL)の2024-25秋冬コレクションが、2024年3月14日(金)に東京の代々木体育館にて発表された。削ぎ落とした先に浮かび上がる“純粋さ”ミューラル 2024-25秋冬コレクションの出発点となったのは、“純粋とは何か?”という漠然とした問い。それに対して、デザイナーの村松祐輔と関口愛弓は、“削ぎ落とした先に、浮かび上がってくるもの”であるという1つの答えを、衣服をもって提示する。夜のやさしさに包まれる純粋さを追い求める中で、ミューラルは“夜”に出会ったという。必要なものだけが存在し、必要な明かりだけが灯される夜。そんな夜を題材にした作品として、キース・ジャレットによるピアノソロアルバム「The Melody At Night, With You」がある。妻・ローズへの愛情と慈しみに満ちた彼の調べは、人間が持つ“愛する人と共にありたい”というまさに“純粋”な想いを呼び起こす。愛する人と共にこうした思考の中で、コレクションのテーマとして「WITH」が掲げられた。純粋な夜の中に浮かび上がる清らかな感情。その輝きは、デコラティブな装飾ではなく、無駄なものを削ぎ落とし洗練させることによって表現される。闇夜をうつしてファーストルックは、まっさらな濃紺の空をうつしたかのようなネイビーブラックのロングコートと端正なテーラードのレイヤードスタイル。生地の素材感や仕立てのクオリティが引き立つシンプルな品々だが、コートの中間部分には霞みがかったライトブルーやイエローのパターンが施されている。闇夜に灯されたあたたかな光が、周囲をほんのりと照らす様を彷彿とさせた。月の光が揺れる夜の暗さだけでなく、明るい部分にフォーカスしたルックも登場。流線的なドレープ調のドレスは、光沢感のある白いマテリアルが無垢な清光のように輝く。同じくホワイトカラーのアイテムでは、複数の箇所にボタンが配され、かけ方を変えれば異なる艶めきを魅せるであろうシャツやドレスが並んだ。記号的な温もり夜は空だけにあるものではない。夜景からは、人間の手による建築物の影が浮かび上がってくる。その形は無機質でありながら人間にしか作り出せないものでもあり、やはりどこか温もりのようなものが感じられる。そうした夜の人工物に見られる記号性は、キルティングによって再現。やわらかな立体感のあるベルベット素材をベースに、幾何学的なパターンを刺繍することで、相反する要素を一体の中に同居させた。これらは、スタンドカラーのアウターやフェミニンな印象を醸すキャミソールワンピース、ノーカラーのショートジャケットとして提案された。
2024年03月17日クイーン アンド ジャック(Queen&Jack)の2024年秋冬コレクションが、2024年3月14日(木)に渋谷ヒカリエにて発表された。イタリア南部世界遺産の街、マテーラでの記憶を着想源に今季のクイーンアンドジャックは、イタリア南部世界遺産の街、マテーラで見聞きし、食した記憶が着想源。マテーラには、幾重にも重なるようにして岩山を削って造った洞窟住居や洞窟レストランが点在する。そんな、クラシックさとモダンさが融合した、歴史ある街のユニークで幻想的な光景を、ブランドが得意とするスクール・スタイルにのせていく。なお今季は、新たにデザイナーに就任した富塚尚樹によるファーストコレクションとなる。“制服”をキーワードにコレクションには、“制服”という枠組みの中、スクールをモードへというコンセプトに沿うルックが登場。制服の定番スタイル、セーラー服を特徴づけるセーラーカラーは、ジャケットやロングコートなどにオン。チェック柄が目を引く、袖をレザーで切り替えたロングコートには、袖と同じくレザー素材のセーラーカラーを配した。またもともと軍服を起源としているPコートは、その原点に立ち返るかのようにミリタリー要素を強めているのが特徴。カーキにゴールドのボタン、ウエストには太めのベルトを配し、厳格で重厚な空気感をもたらした。イタリアの高級素材×チェック柄スクール・スタイルに欠かせないチェック柄にも注目したい。ツイードやウールにのせて、コレクションを華やぎをプラスした。たとえば、厚みのあるシャギービーバーの2層構造のスカートにはライトブルーをベースとしたチェック柄をあしらっている。またペプラムを配したかのようなブレザーも展開され、そこへあしらわれたチェック柄がどこかポップささえ感じさせた。ちなみに、チェック柄というと英国が有名だが、今回はイタリア・マテーラが着想源であること、またロロ・ピアーナ(Loro Piana)やカルロ・バルベラ(CARLO BARBERA)といった、メイド・イン・イタリーの高級素材を採用していることから、どこか英国らしいチェック柄とは一味違った印象に仕上げたかったと飯塚は語る。マテーラの石畳をキルティングで表現マテーラで歩いた石畳は、キルティングで表現。淡いブルーのキルティングに花の刺繍が施され、ふんわりとした裾とパフスリーブが印象的なドレスやジャケットとなって展開された。りんごをモチーフにさて、マテーラで食べたものすらもインスピレーション源となった今季のクイーン アンド ジャック。果たしてどのように表現されたのか、それはラストルックを見れば明らかとなる。マテーラのとある日、りんごのデザートを食べたことから、モデルに王林を迎え、りんごをモチーフにしたルックを作り上げたのだ。肩は焼きりんご風に、また首元にはりんごの皮を表すリボンを添え、“りんご尽くし”の1着に仕上げた。
2024年03月17日