「ADHD」について知りたいことや今話題の「ADHD」についての記事をチェック! (3/31)
日本公認心理師ネットワークが、2025年1月25日17時30分から19時30分まで『LD・ADHD等の心理的疑似体験プログラム in 宮崎県』というテーマでセミナーを開催します。【内容】LDやADHDなどの発達障がいのある子どもたちが日々感じている困難さや、その時の不安・焦り・苛立ちなどを体験してみませんか?このプログラムは、発達障がいの子どもが示す困難さについて、焦りや苛立ち、不安など心理的に体験することによって、日常生活で子どもが示す行動(例えば、ボーっとしている、教室をとび出す等)の背景となるものについても理解を深めます。また、その心理的な疑似体験をすることで、子どもの立場に立った支援や声かけについて考えることも目的としています。子どもたちが、日々どういう思いをしているか、実際に体験してみましょう!本プログラムは、一般社団法人日本LD学会、一般財団法人特別支援教育士資格認定協会が発行しており、様々な教育機関において実施されています。本講師は、今までに、保護者向け、教員向け(姫路・赤穂市内小学校)に、本プログラムを実施してきました。「読む」「書く」「計算する」「聞く」「話す」「不器用さ」の6つの領域について、子どもたちが日常体験している困難さを疑似体験してみましょう。※日本LD学会とは、発達障害に関する研究・臨床・教育・の進歩向上を図ると共に、LD等を有する児(者)に対する教育の質的向上と福祉の増進を図るために設立された学会です。会員は、教育、心理、医療、福祉、行政などに携わる実践家や研究者、保護者等によって構成されています。特別支援に関する研修や、特別支援教育士の資格認定も行っている学会でもあります。【講師】福井 梨乃(公認心理師・臨床発達心理士・特別支援教育士)【イベント概要】日時:2025年1月25日(土)17:30~19:30方法:対面場所:〒880-0811宮崎県宮崎市錦町1番10号KITENビル8階中会議室最寄駅:日豊本線 宮崎 西口から徒歩0分宮崎空港駅→(JR利用:10分)→宮崎駅デパート前交差点から徒歩10分参加費:5000円【持ち物】筆記用具【定員】40名(先着順)どなたでもご参加いただけます。【キャンセルポリシー】2025年1月17日23:59までのキャンセルは、返金を承ります。2025年1月18日00:00以降のキャンセルにつきましては、お席確保の都合のため、返金はいたしかねます。あらかじめご了承ください。お申込みはこちら : 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2024年11月25日小学生、中学生にスマホ(スマートフォン)は必要?まだ早い?何歳から持たせた?アンケート結果や所持率データなども今や大人においては1人に1台はほぼ持っているスマホ(スマートフォン)。ですが、いざ子どもに持たせるとなると「小学生や中学生にスマホはまだ早いのではないか、本当に必要なのか」「何歳から持たせるべきなのか」「どんな風にスマホ使用のルールを決めたらいいのか」など不安に感じることもあるのではないでしょうか。このコラムでは・「スマホの不安やトラブル」アンケート結果・何歳からスマホを持たせた?・小学生、中学生、高校生のスマホの所持率・スマホの悪影響やトラブル体験・専門家解説のスマホルールのつくり方やスマホのメリットなどをご紹介します。Upload By 発達障害のキホン今回発達ナビでは「スマホの不安やトラブル」についてのアンケートを実施しました。「スマホを持たせているが心配なことがある」が約47%、「まだスマホを持たせていないが心配なことはある」が約36%とお子さんにスマホを持たせている方、まだ持たせていない方、共に多くの方が不安を感じている結果となりました。※2024年11月22日までの結果です参考:みんなのアンケート子ども家庭庁の「令和5年度 青少年のインターネット利用環境実態調査 調査結果(速報)」では小学生の42.9%、中学生の78.7%、高校生の97.4%がスマホを利用しているという結果がでています。Upload By 発達障害のキホン参考:令和5年度 青少年のインターネット利用環境実態調査調査結果(速報)|こども家庭庁やっと所有する気になってくれたのは中3になる春休みでした。(ヒヨコさん)自宅に電話がない為、連絡手段が無く、災害等が起こった時に連絡が取れないことを考えて、中学からスマホを持たせています。(しのっぺさん)高校入学とともに家を出なければならなかったので、それを機に購入。(アールグレイさん)始まりが小5〜ガラケー。支援校高等部卒業後、スマホデビュー。(める。さん)中学入学とともに購入。(にゃこさん)発達障害や発達に特性のある子どもの課金、ゲーム・SNS依存…発達ナビ読者の方が感じたスマホの悪影響やトラブル体験。専門家からのコメントもここからはアンケートの中からいくつか回答を抜粋し、鳥取大学大学院教授で発達障害を専門とする井上雅彦先生に対応方法やコメントなどをいただきました。始まりが小5〜ガラケー。支援校高等部卒業後、スマホデビュー。(略)心配されるゲーム依存、プリカでのゲーム課金、スマホ依存、破壊と心配ごとは全てやりました。しかし全て自分の稼ぎからなので失敗重ねながら本人も学び中。知りたいことを検索したり、乗換案内やマップを使って目的地まで出かけたり買い物での電卓計算、バーコード決済、友達とのラインと便利な機能も理解して使えるようになったので持たせて良かったです。(める。さん)(井上先生コメント)理想的に活用をされていると思います。知的障害(知的発達症)がある子どもにとってスマホを活用することでスケジュールや時間管理、交通機関の利用、お金の支払いや金銭管理、コミュニケーションなどさまざまな適応スキルを補うことができると思います。一方、詐欺やフィッシングメール、悪質なアダルトサイトなどの危険性もあります。ときどき使用状況を管理したり、日ごろから相談に乗るようにし、定期的に相談をしていくと良いでしょう。中学入学とともに購入。朝起きたとたんからSNSに夢中。家族との食事よりもSNSを見ながらの食事のほうが落ち着くようです。家族の食事というものはなくなりました。また、学校のお友達とのLINEなどでは悪口を書かれたりしてもめることも。このもめたことがきっかけで登校しぶりとなってしまい、現状を把握することに苦労しました…(にゃこさん)(井上先生コメント)SNSに夢中になるというのは親としては想定外だったかもしれません。しかし、今の子どもたちは友人関係をつくっていく際に、スマホのSNSのグループは大きな影響を持ちます。その中で関係性を築くこともできれば、傷つけたり傷つけられたりといったこともおこります。傷ついてしまった場合は子どもと相談し一旦グループから離れ、SNSを見ないようにすることも一つの方法です。SNSにはさまざまな種類や機能があります。そのすべてを使うのではなく、例えばインスタグラムなどであればストーリー機能を使わない、見るだけにするなど自分にあった使い方やルールをつくっていくのも良いと思います。いま小5の息子がいます(ADHDとSLDの診断あり)。中学生になったらスマホデビューかな…とは思ってますが、正直いえば持たせたくない気持ちでいっぱいです。スマホ依存(特にゲーム依存)、紛失や破損(ほぼ確実にやらかす)、ネット虐めの当事者(被害も加害も)になったら嫌だなとも思ったり。でも短期記憶が激弱な息子にとって、上手く使いこなせれば強力な味方になることも分かるんです。自分もADHDですが、スマホの音声メモとリマインダーとアラームにどれだけ助けられてるか分からない。それだけに悩みますね…。(sacchanさん)(井上先生コメント)ゲームやSNSにハマりやすいタイプの子どももいます。その場合は最初に具体的なルールを親子でつくること、機器についているペアレンタルコントロール(親のための監視管理機能)を活用し、時間制限やアクセス制限、ダウンロード制限を行ったり、クレジット機能などが自由に使えない設定にしておく必要があります。使ってほしい機能については、具体的に操作方法を教え、生活の中で活用させることが重要だと思います。一緒に調べものをしたり、祖父母やいとことコミュニケーションをしたりしていくのもよいと思います。発達障害や発達に特性のある子どものスマホ使用のルールづくり、ネット依存問題、スマホのメリットなど専門家が回答!Q:特性のある小学生や中学生にスマホを持たせることのメリットなどが知りたいです。A:(井上先生回答)チャットGPTやAIアプリを活用することでいろいろな情報を手に入れることができます。一つのアプリからの情報だけでなく、さまざまな情報ソースを手掛かりにしてその違いに気づき、自分の考えをつくっていくことがこれからの世界で重要になってきます。チャットGPTやAIアプリの結果を鵜呑みにするわけではなく、家庭や学校でそれらを活用しながらどうやって情報を整理し、自己決定していくのかの教育が必要になってくると思います。Upload By 発達障害のキホンQ:子どもがネット依存のようになってしまい、家にいる間ほぼ1日スマホをいじっています。とりあげると暴れたり暴力に繋がってしまいます。どう対応したらいいでしょうか。A:(井上先生回答)スマホをいじると言ってもその内容によって対応方法は異なります。まず何をしているのかを親が知ることが大事です。仮にここではスマホのゲームだとします。スマホゲームだけが本人の楽しみになってしまうとそれが奪われることは本人にとって人生を奪われることに等しいと感じてしまうこともあります。また、禁止されることは本人自身を否定されることのように受け止められる場合もあります。一旦好きなように使える状況に慣れてしまった場合、強制的に取り上げたり禁止するだけでは暴力になってしまう場合もあります。また、たとえ成功しても勉強するようになるとは限りません。さらにこのことで親子の信頼関係を悪化させてしまいかねません。スマホゲームに入りびたること自体を問題にするのではなく、食事や入浴、睡眠といった生活習慣を守ること、学校を含めた外出や社会参加ができることが大切です。集団で行うスマホゲームの中には夜中でないと難しかったり、自分だけが抜けることができない場合もあります。そういったことを話し合いながら一緒にルールを考えたりスマホゲーム以外の余暇を探したりしていくことが考えられます。Upload By 発達障害のキホンQ:小学生、中学生のスマホのルールづくりに悩んでいます。一日何時間、どんな制限を付けるかなどルールが知りたいです。A:(井上先生回答)1日何時間が良いかということに対してはそれぞれの年齢や使用内容、目的などによって異なると思います。親の立場から言うと宿題のあとのちょっとした息抜きとして30分や1時間といった声がよく聞かれますが、子どもに聞くと3時間とか5時間と言ってくることが多いです。親と子どもで互いに感情的にならず、なぜその時間でなければならないのかを納得しながら目標時間を決めていくことが大切です。スマホのルールづくりには正解はありません。子どもの特性やスマホの使い方を加味した時間設定、最初からルールを決める、子ども自身がトラブルを体感してからルールを決めるなどそのご家庭に合ったルールづくりがあると思いますが、どの場合でも「子どもと親とがルールの必要性や目的を共有し、話し合ってルールをつくるということ」が非常に重要です。Upload By 発達障害のキホンスマホやゲーム、SNSなどの関連コラムはこちらから(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2024年11月23日志望校けってーい!でも母は不安…小さい頃から「生きものハカセ」を目指していたタケル(ASD・現在24歳)、高校2年生の夏にはオープンキャンパスなどにも参加して、早々に志望校を絞り込んでいました。タケルが選んだのは大阪にある小規模な大学で、希望する学科の合格予定者は6名です。たった6人……!?上位6人に入らないといけないの!?母は震えましたが、タケルは涼しい顔。「生物で100点とればいいんだよ!」と言います。そりゃそうだけどさあ……。Upload By 寺島ヒロ理学部全体では50人位採用しているらしいのですが、学部学科ごととなるとそれぐらいなんだそうです。ちなみに商学部は区分けがなく200人採用とのことでした。「お試し一人旅」で慣れよう受験でもう一つ私が不安だったのが、慣れない受験旅でタケルがパニックになって、テストがまともに受けられなかったらどうしようということでした。そこで、「3年生のゴールデンウィークに一人旅をしたい!」とかねてより言っていたタケルに、大阪の受験校を下見に行ってもらうことにしました。当時のタケルは一人で電車やバスに乗る練習はしていたものの、外泊や長距離移動は初めてでした。不安で嫌がるかな?とは思いつつ、私が「旅行計画を自分で組んで、時間がかかってもいいから自力で回っておいで」と伝えると、タケルは「大阪、一人で行ってみたかったんだ」と喜び、あっさり出発してしまいました。ちなみに宿だけは駅近に私が手配しました。好きな事には頑張れる!タケルが行きたかったところとは?さて、タケルのスマートフォンにはGPSがついています。心配で心配でたまらない夫は、ずっと片手にスマートフォンを持ってうろうろしていましたが、2日目になって「タケルのスマホが壊れている」と言いだしました。夫曰く「大阪に到着した日は、学校まで行って、近くの公園で半日過ごしてからホテルに帰ったみたい。でも今日は気がついた時にはもうホテルにいなくて、天王寺近くの公園からずっとマーカーが動かない。スマホがおかしくなったか落としたに違いない!」「どれどれ」と夫のスマートフォンを見てみると、マーカーはかすかに動いているのでした。場所は……んん?オオカミ舎?「これ、ホントにずっといるんじゃないの?動物園の中みたいだし」と、私が言うと、夫は「こんなに動かないわけはない!大体動物園に何時間もいられないでしょう?」と言います。はからずもASDとADHDの争いが勃発!?実は、わが家は私とタケル、妹のいっちゃんにはASD傾向があり、夫にはADHDがあるのです。自分自身じっとしていられない性分の夫は、たいして広くもない動物園でタケルが半日ほとんど動かないでいるなんて信じられない!何かあったに違いない!と言うのです。Upload By 寺島ヒロその後、「放っておけ」という女性陣の声を振り切り、夫が電話をかけたのですが、案の定「はい、無事です。いま動物園。昨日は自然史博物館にいた。写真撮るから充電もったいない」とそっけなく切られてしまい、いっちゃんには「な?」って言われていました。タケルは自分のペースで動物園を満喫していたのです。一人で行ってみたかったのは、このためだったんだなあ……と思いました。3日目の昼、タケルは自力で無事に帰宅しました。一人旅は楽しい!自信をつけたタケルの進化こうして大阪で一人旅を経験したタケルは、冬休みには別の大学を受験するために一人で東京にも行きました。こちらの大学は試験と面接で2日間の日程。タケルは試験前後の空き時間に、いくつかの動物園、植物園、博物館、大学の資料室、ふくろうカフェなど……予定をぎっちり詰め込み、ろくにごはんも食べずに飛び回ったそうです。親の想定外の行動範囲でびっくりしました。Upload By 寺島ヒロ今では一人でどこへでも行けるようになったタケル。しっかり下調べと準備をして、あまり人が行かないようなところへもフィールドワークに出かけます。息子の「どこでも一人で行ける」という自信の根底には、あの大阪と東京の旅がしっかり刻まれているのだと思います。執筆/寺島ヒロ(監修:鈴木先生より)「かわいい子には旅させよ」ですね。子どもに初めての経験をさせる時はどんな親でも心配ですね。しかし、失敗は成功のもと。どんどん失敗させて学んでいけばいいのです。いわゆるヘリコプターペアレント(最近ではバイシクルペアレントになってきている)と言われるように、子どもに何かあるとすぐに親が出てきて対処してしまうことは子どもの成長を邪魔することになりかねません。大阪が遠くて心配なら初めは近隣へ行かせて試すことも一つのアイデアかと思います。極端な話、コンビニでもいいのです。スモールステップで少しずつ成功体験を増やしていけば段々と慣れていくはずです。ただ、一度成功しても次に何があるかは分かりません。いざという時のためにメールなどで適宜連絡を取りながら進めていけばいいのではないでしょうか。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年11月19日"なぜか伝わらない"を"伝わる!!"に『発達障害の子どもに伝わることば』Upload By 発達ナビBOOKガイド「言葉は理解できているはずなのに、どうして通じないんだろう?」と不思議に思ったり、子育ての中でイライラを感じたことのある保護者も多いのではないでしょうか?本書「発達障害の子どもに伝わることば」は、発達障害のある子どもとのコミュニケーションのポイントについて書かれた本です。著者の川﨑総大先生(立命館大学教授)は、言語聴覚士・発達心理士として、発達障害のある子どもたちと深く関わってきました。その豊富なご経験から、私たちが誤解しているかもしれない発達障害についての知識、そもそもコミュニケーションとは何か?という根本的な考え方を紐解きながら、発達障害のある子どもたちとのコミュニケーションについて、分かりやすい言葉で具体的に解説しています。1~4章の最後には、4人の専門家が寄稿したコラムも掲載されており、発達障害に関する知識をより深めることができます。コミュニケーションとは一方的なものではなく、伝える側、受け取る側が相互に思いやりをもって楽しむもの。発達障害のある子どもの保護者はもちろん、障害の有無にかかわらず、コミュニケーションに悩むすべての人に読んでいただきたい一冊です。遊びながら認知能力を強化!『学習の土台をつくる 1さいからのコグトレ おなじのど~れ?』Upload By 発達ナビBOOKガイド『学習の土台をつくる1さいからのコグトレ おなじのど~れ?』は、繰り返し遊びながら、認知能力を鍛えていくアクティブ絵本です。本書のタイトルにもある「コグトレ」とは、児童精神科医の宮口幸治先生が、認知能力を鍛えることを目的に開発したトレーニング教材です。認知能力を鍛えることで、学習に必要な「数える」「覚える」「写す」「見つける」「想像する」力を育むことができると言われています。本書では、簡単な図形や身近な自然・乗り物などのイラストカードを使って、「かたち」を認識する力、「どうさ」を理解する力、「なまえ」を覚える力を高めます。字が読めなくても遊ぶことができるので、1歳頃のお子さんから楽しく取り組める内容となっています。その教育は本当に「こどものため」?『エデュケーショナル・マルトリートメントの理解と対応 教師と支援者が「教育虐待」を防ぐためにできること』Upload By 発達ナビBOOKガイド「エデュケーショナル・マルトリートメント」とは、教育場面において行われる子どもへの不適切な行為を表す概念です。本書では、「教育虐待」と共に社会的課題となっているエデュケーショナル・マルトリートメントについて、日本の教育環境の問題点や子どもへの影響、そして多様な事例を踏まえた具体的な対応方法を紹介しています。子どもへの身体的・心理的暴力といった従来の「児童虐待」のイメージとは異なる、「熱心な教育」「親心」といった考えに潜むエデュケーショナル・マルトリートメントの実態をとらえ、子どものSOSを見逃さないためにはどうすればいいのか丁寧に解説されています。子どもにとって本当に大切なものとは何か、そして子供の健やかな成長のために大人ができる行動とは何かを考え直すきっかけとなる一冊です。最新の知識が分かりやすくまとまった一冊!『ADHDがわかる本 正しく理解するための入門書』Upload By 発達ナビBOOKガイドわが子の困った行動の理由が知りたい。どこに、だれに相談すべき?治療を受ければ落ち着くの?将来は大丈夫……?子どもがADHD(注意欠如多動症)と診断された、あるいはその傾向が強いと感じている保護者の中には、不安や疑問がたくさんある……という方もいらっしゃることと思います。本書は、発達障害のある子どもの医療に長年携わってきた榊原洋一先生の監修による、ADHD(注意欠如多動症)の基礎から理解できる入門書です。幼児期から成人期までのADHD(注意欠如多動症)の特性、相談先や治療法、家庭でのかかわり方、支援についてなど、保護者が知っておきたい情報が網羅されています。豊富なイラストや図解で、専門知識も一目で理解しやすいように工夫されている本書。ADHD(注意欠如多動症)どう向き合い、対処していけば子どもの幸せにつながるのか?初めてADHD(注意欠如多動症)について学びたい方だけでなく、改めて最新の知識を得たいという方にとっても、役に立つのではないでしょうか。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年11月18日2年生に進級して様子が変わった息子。イライラすることが増えてきて…小学2年生に進級した頃から、トールは家でも学校でもイライラすることが増えました。手が汚れているということに敏感になって、洗いすぎて手がガサガサになり、血が出てしまうこともありました。外から聞こえる車やバイクの音、冷蔵庫のモーター音などにも非常に敏感になって、怖がったりうるさいとイライラしたりするようになりました。常に何か不安な気持ちを抱えていて、些細なことに怯えているような状態でした。Upload By メイまた、それまでできていた量の宿題も、全くできなくなってしまいました。本人はやらなければいけないという気持ちがあるのに、どうしても宿題に取り組めずにイライラしていました。私もそばで見ていて、どうしたらいいのか分からないと感じていました。学校では通常学級に通っていたので、たくさんのクラスメイトと一緒に授業を受けていました。でも、授業中の物音や周りの子たちの視線が気になって急に怒ったり、授業中に立ち上がって歩きまわったり、廊下に出たりすることが増えていきました。特に音楽の授業がつらかったようです。鍵盤ハーモニカの音がとてもつらくて、うるさいと泣いていました。Upload By メイ学校へ配慮をお願いすべき?でも言い出すことができず…私は担任の先生とも何度か面談をして、学校や家での息子の様子を共有するようにはしていました。しかし、宿題や学校での過ごし方など、配慮してもらったほうがいいかもしれないと思うことはあっても、私はそれを先生にお願いしてもいいのかどうか分からずにいました。先生は30人の児童を1人で見ているのに、自分の子だけに特別に時間を使うことをお願いしてもいいのかどうか。そこまで先生にお願いしてしまうのは頼りすぎなのではないか。もしお願いして先生がそれを実践してくれたとしても、うまくいくかどうか分からないのに……。そんな不確定のものに手間をかけさせてしまうのが申し訳ないと思ってしまったのです。もしかしたら先生は、そんなこと考えずに言ってくれたらいいと思ってくださっていたかもしれません。でも私は、どうしても先生にお願いすることができずにいました。Upload By メイそんな思いもあって、「もしトールが特別支援学級に在籍していたら、もっと気軽に個別な対応をお願いしやすいのかもしれない……」と、考えるようになりました。思い切って特別支援学級への転籍について担任の先生に相談してみたところ、特別支援学級を体験させてもらえることになったのでした。特別支援学級の体験で、少しずつ落ち着きを取り戻してきた息子特別支援学級の体験は2年生の秋頃から始まりました。まだ正式に在籍していたわけではなかったので、1日のうち特別支援学級の先生の都合の良い1、2時間だけ、特別支援学級で過ごしてみることになったのです。特別支援学級では、トールが1番気になっていた教室内の物音やざわめき、周りの視線などから解放され、トールにとってリラックスできる時間になったようです。1日中気を張って過ごしていた毎日が少しずつ変わっていって、気持ちも少しずつ落ち着いていきました。一日のうちのほんの数時間を特別支援学級で過ごすようになっただけで、通常学級でのトラブルもだんだん減っていきました。Upload By メイそんなトールの様子を見て、私は3年生から正式に特別支援学級に転籍したほうが良いのではないかと考えるようになっていきました。しかし、実際に転籍するにあたっては、トール本人も私も不安がたくさんあり、とても頭を悩ませることになりました。そのことについてはまた別の機会に書かせていただきます。執筆/メイ(監修:鈴木先生より)ASD(自閉スペクトラム症)の併存症の一つに強迫症があります。一般的には潔癖症と言われるような「手が汚れるとすぐ洗う」「家に帰ると靴下や服を着替える」など、よく言えばきれい好きな面が出てくることがあります。家の鍵を閉めたかどうか、ガスの元栓を閉めたかどうかなど何回も確認しないと気が済まない確認行為も見られることがあります。症状がひどい場合にはSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)というお薬でこれらの調整は可能です。また、感覚過敏がある人の困りごとの中で、多くを占めているのが音(聴覚)過敏の問題です。クラス替えで以前より賑やかな環境下になると、登校渋りや耳を押さえる所作が増えてくることがあります。そういう場合は今回のように特別支援学級で過ごせるように検討するのも一つの案でしょう。通常学級にいても綿球などで軽く耳栓をしたり、イヤーマフのようなものを付けたりして音を減らす工夫をされている場合もあります。ASD(自閉スペクトラム症)のさまざまな併存症をあらかじめ知っておき、お子さんのサポートに役立てていくことが重要です。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年11月18日どのグループにもイマイチなじめなかった高校時代私は当時、イケイケのギャルで構成されたグループに憧れを抱きつつも、そちらにはどうしても属せませんでした。学校での成績は学年トップクラスの優等生キャラ、しかも家の生活上の縛りが厳しいというか……、私が「不良」になんかなったら、当時から不安定だった母がどれほどの大騒ぎをするかと思うと、「不良になれなかった」のです。そんなわけで、おとなしい優等生で構成されたグループに属していましたが、私はそこでもちょっと浮いていました。グループの皆は決して目立った言動はせず、いつもおっとりしていて静か。一方で私は極端な性格。先生に口論はふっかける、グループの中で唯一スカートを超ミニにしたりして制服を着崩す、ギャル風に肌を焼く、高いテンションでゲラゲラ笑ったりおどけたりする。自分はこのグループでも何か異質だ、でもかといってほかに行けるところもない、という不安が常に心のどこかにありました。優等生グループからハブにされてキレたある日、その優等生グループの皆が、休みの日にこっそり私だけ抜きにして遊びに出かけていたことが発覚。私はその一件で、自分が実はグループの皆からかなり敬遠されていたことに初めて気づき、大きなショックを受けました。私はそこでキレて「私に文句があるならはっきり言えばいいのに、こそこそ私抜きで約束して出かけるなんて! なんて不誠実なの!」みたいに怒ったと思います。いま思えばこれは一種の癇癪ですね……。当時は理解していませんでしたが、彼女らは普段の学校内で私に冷たくすることも、排除しようとすることもしなかったわけです。おそらく彼女らは、よくよく考えて相談した結果「宇樹に何か苦言を呈しても過剰反応して手に負えなくなるだけで事態の改善は見込めなさそうだ。普段の友だち関係が破綻するだろう。かといって一緒に遊びに行くのも疲れるよね……」ということになって、苦肉の策をとったのだと思います。あれは彼女らなりの最大限の優しさと視野の広い熟慮による、バランスのとれた行動だったはずなのですが、私はそれに対して激怒してしまった。今は本当に彼女らに申し訳なかったと思っていますし、その一件を経ても私をグループから追い出さずにつきあいつづけてくれた彼女らにはとても感謝しています。取り合いにも気づかない。人間関係の機微に疎かったグループからは敬遠される一方で、2人のクラスメートが宇樹の取り合いをしていた、という一件もありました。なんだか変だなと思っていたのです。普段あまり感情を荒立てることのない、冷静な理系の優等生の子2人が、私の前でなんだかムキになって言い合いをすることが多くて。何?? と思っていたある日、別の子から「なんで気づかないの? あの2人、宇樹のこと取り合いしてるんだよ」とイライラした口調で言われ、アゴが外れるかと思うほどびっくりしました。聞くに、私を取り合いしていた2人は、「優等生だけど、まじめで無難な枠から外れられないし、文系的なセンスも特にない」ことにフラストレーションを感じていたらしい。宇樹は、理系分野のことにも強い関心があり、彼女らと難しい話もできる。かつ型にはまらずエキセントリックで、校内誌に文章を投稿してファンがついたり、作文コンテストで賞を取ったりするなど、文芸のセンスもある……そういうわけで、私に憧れみたいなものを感じて、2人でどっちが私の関心を引けるか競っていたようなのです……。今となってはまあ、彼女らの立場になって考えればそんなこともあるかもなとも思うのですが、ともかくびっくりしました。なにせ、人間関係の機微に疎い。他者が相手に向ける感情に、良きにつけ悪きにつけ気づかない。優等生グループの皆から敬遠されていたのにも気づかなかったように、憧れを向けられて取り合いされていたのにも気づかなかったのですね。1対1の関係でも不器用さを発揮1対1の関係となると、やたらとどっぷり仲良くなる子がたまにいたのですが、いま思えばどの子も、多少なり生き方の不器用さみたいなものを抱えていて、共依存的な関係性になっていたと思います。一方で、ごくたまに、というか、小学校から大学まで考えて1人しかいないのですが、いわゆる陽キャで、笑いのセンスが素晴らしく、成績もよくてバランスのとれた子と、お互いに「大好き!」となることもありました。授業中に面白いボケを書いたメモを渡し合って、必死に震えながら笑いをこらえたりして、楽しかったなあ。いま思えば、この子は私の能力も性格も含め、私の良いところに惚れ込んでくれて、私のバランスの悪さも丸ごと許せるぐらいに好きになってくれたのだと思います。私は私で彼女に惚れ込んでいました。折り合いが悪いグループへの間違った接し方クラスに、いつも私には笑いどころのわからない内輪ノリでものすごく盛り上がり、大きな声でゲラゲラ笑ったり騒いだりしているグループがいました。私には当時自覚はなかったものの聴覚過敏があったので、頭にガンガン響いて不快で耐えられず、「何が面白いのかわかんない。うるさいんだけど。ちょっと静かにしてくれる?」と繰り返し言い放っていました。私にとっては事実を言っただけでしたが、こうした言い方が一般的には悪意のある攻撃ととられることがほとんどであることを、当時の私は知りませんでした。大学に進んである留学プログラムに参加したとき、本当にたまたまなのですが、上記のグループのサブボスだった子が別の学部から参加していました。そしてなんと彼女は、2週間の共同生活中ずっと、ほかの彼女のゼミ仲間(当然、私と彼女の間のことには無関係)を巻き込んで執拗な嫌がらせをしてきたのです。私にとってはまったく意味がわからず、理不尽きわまりないこと。お決まりの理詰めの大喧嘩で応酬したのですが、あまりの動揺と怒りに動悸がしてゼイゼイ息切れがしてきて、私の味方をしてくれたメンバーに背中をさすってもらったりしたのを覚えています。30歳を過ぎてASD(自閉スペクトラム症)の診断を受け、高校時代の自分の言動の何が間違っていたのかを知って理解しました。あの嫌がらせは、私が彼女にした「嫌がらせ」への「仕返し」だったのだと……。振り返って反省ばかり今の知識経験、自分や他者への理解度を持った状態で、高校時代をやり直したいと思うことがあります。当時の私にとっては、世界も他者もみんな敵で、世の中というのは自分の居場所のない冷たい場所でした。でも、30歳を過ぎてASD(自閉スペクトラム症)の診断を受け、ASD(自閉スペクトラム症)や定型発達について必死に学びつつ、トラウマ治療も受けてきた今になっては、当時の私の考え方はあまりに極端だったと思います。クラスメートにはたくさん嫌な思いをさせてしまったと思うし、自分も不必要な傷を負いました。でも、時代も時代だったし、仕方なかったかな。そう思うと少し気が楽ではありますが、ある意味、余計に悲しかったりします。今は友人に恵まれている今は、数は少ないものの、深く理解しあい、互いに高めあえる友人に恵まれています。やはりこの実現に最も大きく寄与したのはASD(自閉スペクトラム症)の診断で、次につらい環境からの脱出とトラウマ治療です。さらにここ1年ほどは言語学や発達心理学を学んだことで、定型発達の人のコミュニケーションのしかたについても深く網羅的に学ぶことができ、定型発達の人たちとも広く浅く、楽しくつきあえる場面も増えてきました。よい友人関係を作り、維持するには、何よりも自己理解、そして仕上げとして他者理解が不可欠だと感じます。長い道のりでしたが、これは歩むに値する道だったと、今は思っています。文/宇樹義子(監修・鈴木先生より)特に成績が優秀な高機能のASDの方は人間関係や感覚過敏で悩むことが多いようです。テストの成績が良いため、何か問題があっても見過ごされてしまうことも多く、周囲からは何ら病的には感じられていないのです。私のクリニックでは社会人になって初めて神経発達症を疑って相談してくるケースが増えています。SNSなどを見て自分でそうではないかと疑って来院してきます。親御さんも同じASD系統のこともあるため、今まで誰にも相談してこなかったり、その後精神科で相談しても成績が良くて大学を出ているから問題ないと言われたりといった「大人になってしまったASD」の患者さんたちなのです。その裏には実はADHDもあり、受診することでようやく治療にこぎつけられています。小児科に通っている時期に早期介入していればその後の人生が少しは良くなったのかもしれません。ただ、小児科も神経発達症専門でなければ気づかれないことも多いのです。高校生になるとどこに相談したらいいかもわからなくなります。日本では思春期外来という看板はほぼ見当たりません。人生のどこかで気づき、診断されることで初めて過去のさまざまな問題が自分の中で解決できればいいのではないでしょうか。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年11月09日「ノルマル17歳。」を神戸で観る会(所在地:神戸市、代表:長谷川祐子)は、映画「ノルマル17歳。ーわたしたちはADHDー」初の神戸自主上映会の購入型クラウドファンディングをクラウドファンディングサイト「CAMPFIRE」にて11月30日(土)まで実施しています。「ノルマル17歳。」神戸自主上映会クラウドファンディングサイト 映画「ノルマル17歳。」パンフレット■プロジェクト立ち上げの背景“東京や大阪・京都・横浜などで上映し好評だった本作品を、ぜひ神戸の皆様にも観ていただきたく、今回の自主上映の機会をぜひ実現したいと思っております。本作を通して、今一度「普通とは何か」を考え、発達障害をはじめ多くの「特性」が「普通に」受け入れられる社会をめざす一助になれば幸いです。”(北宗羽介監督からのメッセージ)「ノルマル17歳。」を神戸で観る会は、2024年8月29日から1次募集のクラウドファンディングを行い、お陰様で9月30日に目標額40万円を超える43万2900円を集めて成功しました。さらに60万円が集まれば上映会を1回だけでなく、2回開くこともできそうになりました。2回目上映会の開催に向けて、11月1日から2次募集のクラウドファンディングを始めました。■どんな映画?進学校に通う真面目な女子高校生、絃(いと)と、高校を休みがちで派手なギャル、朱里(じゅり)。ともにADHD(注意欠陥多動性障害)のある17歳。2人が出会い、互いの違いも認識しながら、同じような悩みや生きづらさを共有し、絆を深めていきます。ADHDなど発達障害を描いたエンタメ作品が増えています。ですが、「天才的な当事者のストーリーや、問題が解決してハッピーエンドというストーリーは、キラキラしすぎて、自らがおかれている現実とのギャップを感じてしまい、見るのが辛い」という意見を聞くことがありました。「ノルマル17歳。」は、等身大のADHDの女子高校生を描いたストーリーです。ラストではハッピーエンドでもバッドエンドでもない形です。当事者と関わる人に向けても、感覚的に理解を促すストーリーです。兵庫県内の発達障害の当事者・家族・教育者・支援者、雇用する企業の人々には、ぜひともご来場を呼びかけていただきたいです。県外の人々にも、上映会に向けてのサポートをお願いします。報道関係者には、ぜひとも上映会を取り上げていただきたくお願います。■リターンについて1200円 :上映会入場チケット大人1枚(子供1枚は600円)1200円 :「上映会恩送りチケット」障害のある方や介助者に無料で鑑賞していただくチケット10000円:「ノルマル17歳。」自主上映会を開く人へのサポートプラン※ほか、映画の公式グッズ(パンフレット、シナリオ)のリターンがあります。■プロジェクト概要プロジェクト名: 【ネクストゴール】ADHDの女子高校生の映画「ノルマル17歳」神戸で初上映します期間 : 2024年11月1日(金)00:00~11月30日(土)23:59URL : <上映会開催概要>日時:第1回上映会 2024年12月15日(日)昼(時間帯は確定次第発表)第2回上映会 2025年1月13日(月・祝)昼予定場所:シネ・リーブル神戸odessaシネマ1 定員85席(車椅子2席含む)(所在地: 兵庫県神戸市中央区浪花町59 神戸朝日ビルディング 地下1階)JR[三ノ宮駅]・阪急・阪神[神戸三宮駅]・地下鉄・ポートライナー[三宮駅]徒歩約10分※上映後、北宗羽介監督を招いてのトークショーがあります。<作品情報>2023年製作/80分/G/日本配給 : アルケミーブラザース、八艶劇場公開日 : 2024年4月5日公式サイト : 監督 : 北宗羽介脚本 : 神田凜、北宗羽介エグゼクティブプロデューサー: 下原寛史出演 : 鈴木心緒、西川茉莉、眞鍋かをり、福澤朗、村野武範■映画制作会社概要商号 : 八艶合同会社所在地 : 〒180-0001 東京都武蔵野市吉祥寺北町1-1-1 桜井ビル2階設立 : 2021年11月事業内容: 俳優の育成・マネジメント・プロモート、映像作品の制作・販売・配給・配信URL : 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2024年11月08日”大人の発達障害”という言葉を聞いたことはありますか?子どもの頃は困り感がなかったものの、大人になってからミスなどが増え、自身の発達障害に気づくというケースもあるようです。そこで今回は、MOREDOORのオリジナル漫画『大人の発達障害』をご紹介します。※少しでも多くの方に、このことについて考えるキッカケづくり目指して制作されました。当事者の声はさまざまです。あくまで一例として、考えるキッカケになれば幸いです。あらすじもうすぐ社会人2年目となる田所。幼少期から友人との関係も良好で、スポーツでも成果を出していました。しかし、会社で働くようになるとミスが目立ち始め、後輩からも馬鹿にされてしまいます。ミスばかりの自分に嫌気がさした田所は、会社を仮病で欠勤するように……。友人に相談すると心療内科の受診をすすめられ、勇気を出して受診してみると”ADHD”と診断が。友人の紹介で”似た感じの人”と会い、アドバイスをもらった田所は……?徐々に自分を受け入れられるように彼女からは……会社の人にカミングアウトしようと考え……信頼できる部長にカミングアウトすることに会社の人たちに”ADHD”だとカミングアウトしようと考えた田所。しかし、彼女は田所の急な提案に困惑し、話し合うことに……。その後、周囲の理解もあり職場の人たちとも上手に関わっていけるように。そして「自分のことも相手のことも知って認めて尊重する」そんな風に人も自分も大切にできるようになりたいと思うようになったのでした。”大人の発達障害”だとわかった田所、あなたの周りで同じような状況だったら、なんと声をかけますか?※この漫画はフィクションです。■監修:三崎てるひこ(臨床心理士・公認心理師)■作画:長月よーこ(MOREDOOR編集部)
2024年11月07日大暴れのピーク!魔の(?)小学5年生小5になるとコチ丸は家で過ごすことが多くなっていたのですが、それでもたまに学校に行くと、何かしら事件を起こしては呼び出されました。私としては家にいてくれたほうが安心なくらいでしたが(笑)、コチ丸もどこかでは外と繋がっていなくてはという意識があったのか、完全に不登校になるということはなかったので、私もコチ丸の自由登校を尊重していました。以前のコラムに書いた、卒業式をすっかり自分のものにしてしまった事件、学校で先生が集めた葉っぱに火をつけて起こしたボヤ騒ぎ、掃除をしないコチ丸に注意した女の子に怪我をさせたことなどはほぼこの頃に起こしたものです。ボヤ騒ぎの時には「子どものいたずらでは済みませんよ」と学校から言われ、真剣に頭を悩ませました。なんと家でもお仏壇に置かれているマッチに火をつけて遊んでいて焦ったと祖父も証言しており(!)、当時は家中の火をつける物を隠しまくっていました。女の子に怪我をさせたと聞いた時にはさすがにコチ丸を強く叱り、女の子のお家にも謝罪の電話をしてなんとか許していただけました。私自身が逃げ出したくなるようなことが日々起こり、頭を下げまくることばかりでしたが、「どんな時でも馬鹿正直な姿をコチ丸に見せよう、そうしたらコチ丸には大事なことはいつか伝わる」と自分の中で決めていたのと、母子家庭だったので社会で通じる姿を父親代わりに見せていかなくてはという気持ちで乗り越えてこられました。まさかの単三電池を丸呑み事件小6のはじめに、コチ丸が「ドラムをやりたい」と言い出しました。音楽の先生に「打楽器の才能があるのでは?」と言われてその気になったようでした。(おそらく)根拠もなくちょっとした話の流れで言われただけのことだったのだと思いますが、私も若い頃にバンドをやっていて音楽が好きだったこともあり、本人が言い出したことならとドラムを習うことにしました。忘れもしない、体験レッスンを申し込んでいた前々日の夜。コチ丸が不意に私に「電池って飲んだらどうなる?」と聞くので「いや、死ぬんじゃないの?」とテレビを見ながら安易に回答をしたところ、コチ丸が「電池飲んじゃった」と言い出すではないですかー(大汗)。それも単3電池、うっかり飲み込むには結構な大きさです。慌てて緊急外来に車を走らせました。最初、医師ですら半信半疑で、「一応レントゲン撮ってみますけど……」という感じでしたが、レントゲンを撮ってみると体内にしっかりと電池が入っておりました。Upload By あき急いで内視鏡で取り出す処置をとることになりましたが、その日は食後すぐだったこともあり、食べたもので喉を詰まらせる可能性もあるため、取り出しを断念し、入院することに。そこで丸2日飲まず食わずで胃が空っぽになった状態で再度内視鏡を試してみて、ダメだった時は開腹手術を行うことになりました。体の中に電池が入っているなんて……とコチ丸の絶食期間中は生きた心地がしませんでした。それから2日間、状況が急変するということもなく、少しだけ落ち着きを取り戻してきたとき、「そういえばドラムの体験レッスンの日だった!」と思い出しました。電話でレッスン延期をお願いするはずが、なぜか私が体験レッスンを受けることになり、息子が病室で絶食生活に苦しんでいる中、私は自分が習う予定でもないドラムを叩くというカオスな体験をしました。電池は2回目の内視鏡で無事に取ることができました。「ご飯食べられるよ、良かったね」と言った私に、麻酔が切れてまだ呂律が回らない中、コチ丸の第一声が「はくはい(白米)?」だったのを聞いて、よっぽどお腹が減っていたんだなと思いました(笑)。コチ丸は小6になってもなんでも口に入れる癖があって、当時よく注意をしていたのですが聞く耳持たずでした……が、流石にこの件で口に物を入れることはなくなりました。ものすごいリスクを伴いましたが、やはり「身をもって知る」って大事なんだなとしみじみ思いました……。また、この緊急事態に私になぜかドラムを叩かせてくれたちょっと天然(?)なドラムの先生は、コチ丸とウマがあい、コチ丸は高校進学で地元を離れるまでドラムを習い続けました。とても穏やかで、できないことを無理にやらせるようなことはしない先生で、「やりたいことをトコトンやらせる」というわが家の方針に近かったような気がします。良い先生に巡り会えたことに感謝です。中学・高校生活で、ドラムはコチ丸の特技になり、武器になりました。バンドをやりたい時には大体ドラムが足りないため(笑)、重宝されているようです。ドラムを通して「誰かに必要とされること」に喜びを感じたようで、自信と自分の居場所を持つことができました。Upload By あき私立中学を受験!決め手をくれた奇跡的な縁同じく小6のはじめ頃、担任の先生との面談で「学習面もだいぶ遅れているし、授業も受けられないので中学からは特別支援学級に入ってほしい」と言われました。そこから私のコチ丸の居場所探しが始まりました。私は、中学校の特別支援学級はコチ丸には合わないだろうと考えていました。そして、コチ丸は自分に合った場所に行けば必ず化けるはず、という根拠のない自信(笑)がありました。しかし、今の時代に果たしてそんな選択肢は存在するのか……?日々ネットで民間のフリースクールや学習施設などを探していました。私はどれだけ費用がかかっても良いから、コチ丸がいつか高校や大学に行きたいと思った時にその道に戻れるよう、中学を卒業したという証明がもらえる学校が良いなと思っていました。私立中学校も早い段階から検討はしましたが、担任が言うように、学習面は小3くらいで止まっているので、なかなか難しいことも承知していました。その中で見つけたのが不登校特例校(現在は「学びの多様化学校」と呼ばれています)に指定された、ある私立中学校でした。しかし初めて聞く「不登校特例校」という言葉や、私が知っている一般的な私立中学校とはどこか違う雰囲気が伝わってくるWebサイトを見て、「ここで良いのか?」という思いがぬぐえませんでした。Upload By あき悩んでいたところに、私の会社のスタッフの知り合いで、小学校の元校長で不登校児の支援活動をされている方に偶然出会い、相談をさせていただく機会がありました。さらに偶然は続き、その方は、私が進学先として悩んでいた不登校特例校の校長先生とお知り合いでした。その方の後押しもあり、コチ丸と私はすぐに学校見学を申し込み、コチ丸も興味を持ったので毎月のように体験入学に通いました。年末、コチ丸本人にも現状を正直に伝えました。「学校の先生からは地元の中学校の特別支援学級への進学を勧められている」「中学受験は失敗する可能性もある」という話と、それぞれのメリットデメリット、そしてもし私立へ行くなら、ひとり親の家計にはとても苦しい選択だから、コチ丸も責任を持って通ってほしいということ……。コチ丸に自覚を持ってほしくてそんなふうに伝えましたが、私の中では、もし合格して通ってみてダメだったとしても、それは受け止めようという覚悟もしていました。最終的にコチ丸は、中学受験を自分で選びました。試験は、小4程度の国語・算数の学力テストと親子面談でした。コチ丸は市販のドリルを使って小4までの勉強はなんとか学び、面接の練習も行い、コロナが始まりつつあった年、希望した私立中学校に合格を決めました。そして迎えた小学校の卒業式。コチ丸の通っていた小学校は進学する中学校の制服を着て卒業式に出るのですが、一人違う制服を着たコチ丸がいました。周りの友達と楽しそうに写真を撮っているコチ丸を見て、彼なりの距離感で、この小学校でも自分の居場所をつくって生活していたのだなと感じました。大変な小学校時代でしたが、振り返ると頑張ったな、戦ったな(笑)、と思っています。コチ丸もまた、この時期があったからこそ、今自分がいる場所の大切さを知り、「もうあの頃には後戻りしない」と、学校に通い続ける強さを手に入れたのかもしれません。Upload By あき執筆/あき(監修:井上先生より)小学校時代のコチ丸さんのさまざまなトラブルから、親御さんもかなり悩まれて、コチ丸さんにあった中学の進路を決断されたのだと思います。お聞かせいただいたエピソードから、学力的な部分だけでなく、コチ丸さんの得意なこと(ドラムなど)があったことも、本人の自信や集団の中での積極性、学校に通い続ける強さなどに影響したのだと感じました。子育ての中では子どもの苦手なことについ注目しがちですが、あきさんが意識されていたように、強みの部分を伸ばしていくことが、良い結果に繋がっているように思います。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年11月07日完璧主義、こだわり、多動での登下校トラブルや不登校息子の支えになった存在についてのエピソードなど【2024年10月】「お母さんが悪い!」「もう一生学校行かない!」「多動で交通事故を起こしかねません」……。印象的なシーンも多い、特性のある子どもとの登下校中のトラブルエピソード。今月も読者の皆さんからさまざまな体験談が寄せられています。読者体験談は、読者の皆さんから寄せられた困った経験、こうしたら良かったといった経験をもとに書き下ろしている人気コラム。今回は2024年10月にお届けした読者体験談をご紹介いたします。「挨拶だけでいいから学校へ顔を出す」という約束を担任の先生していたASD(自閉スペクトラム症)の息子さん。不登校の息子さんに付き添って毎日母子登校をしていましたが、完璧主義な性格の息子さんは毎日登校中にイライラが止まらず……。その様子にとうとう我慢ができず、言ってしまった母の一言で大変な事態に。バス通学をしているASD(自閉スペクトラム症)、LD・SLD(限局性学習症)のある息子さん。マイルールやこだわりの強さがある息子さんはある日のバス通学で「こだわり」が発動し、「もう一生学校行かない!」と癇癪を起こしてしまいます。一体癇癪の原因はなんだったのでしょうか。幼少期は多動がひどく、医師からも服薬を勧められ「多動で交通事故を起こしかねない」と言われていたADHD(注意欠如多動症)、ASD(自閉スペクトラム症)の息子さん。問題なく登下校ができているのか不安になった母親が、周りに聞いてみるとなんと思ってもいない状況になっていたのです!しのっぺさんの息子さんは中学校のときにクラスメイトからのからかいが原因で一時期不登校気味になったことがありました。親友ともクラスが分かれて「俺、なんで生きているんだろう……」と思い詰める息子さん。しのっぺさんは息子さんの居場所を見つけるために奔走、そして親友との絆が息子さんを救うきっかけとなったのです。ご自身のエピソードを投稿してみませんか?『発達ナビ 読者体験談』は皆さんのご経験を基に制作されています。ご投稿いただいたエピソードは、連載ライターさんのイラスト、専門家の先生からのコメントをつけた上で掲載させていただきます。「あの時は悩んでいたけれど、今はこうなった……」など、発達障害のあるお子さんを育児している皆さんへ、ご自身の経験をお届けいただけないでしょうか。ご応募は以下の応募フォームから受け付けております。皆さんのご投稿を、お待ちしております。【現在の募集テーマ】・障害告知・パートナー(夫婦) 関係・両親(義両親)、親族関係・進学・受験関係・冠婚葬祭関連・反抗期、思春期・自傷・学習関係・不登校、行き渋り・ゲームとの関わり・不器用さについて・ママ友や、ほかの保護者の方とのエピソード・ご近所関係(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2024年11月03日”大人の発達障害”という言葉を聞いたことはありますか?子どもの頃は困り感がなかったものの、大人になってからミスなどが増え、自身の発達障害に気づくというケースもあるようです。そこで今回は、MOREDOORのオリジナル漫画『大人の発達障害』をご紹介します。※少しでも多くの方に、このことについて考えるキッカケづくり目指して制作されました。当事者の声はさまざまです。あくまで一例として、考えるキッカケになれば幸いです。あらすじもうすぐ社会人2年目となる田所。幼少期から友人との関係も良好で、スポーツでも成果を出していました。しかし、会社で働くようになるとミスが目立ち始め、後輩からも馬鹿にされてしまいます。ミスばかりの自分に嫌気がさした田所は、会社を仮病で欠勤するように……。友人に相談すると心療内科の受診をすすめられ、勇気を出して受診してみると”ADHD”と診断が。ですが急にはよくも悪くも急には変われず……。”似た感じの人”と会ってみることに…… 悩みを相談してみると……自分を理解することが大切こうすけの友人であるだいごから、「ADHDとの向き合い方」について聞けた田所。それから少しずつ自分自身と向き合うことができるようになったある日、田所は決断をして……。その後、周囲の理解もあり職場の人たちとも上手に関わっていけるように。そして「自分のことも相手のことも知って認めて尊重する」そんな風に人も自分も大切にできるようになりたいと思うようになったのでした。”大人の発達障害”だとわかった田所、あなたの周りで同じような状況だったら、なんと声をかけますか?※この漫画はフィクションです。■監修:三崎てるひこ(臨床心理士・公認心理師)■作画:長月よーこ(MOREDOOR編集部)
2024年11月03日不登校、学習の壁、転籍……リアルな体験をもとにしたセミフィクションストーリーが完結発達ナビの読者の声から生まれたセミフィクションストーリー「発達障害の子どもと私たち」全10話が完結しました。2人の主人公・小学3年生のはるきさん、小学4年生のみきさんはそれぞれの「壁」に直面、学校へ行くことができなくなってしまいました。それに対し、本人とその家族がどう立ち向かっていったのかがリアルに描かれています。各話の終わりに鳥取大学大学院教授で発達障害を専門とする井上雅彦先生からのアドバイスも掲載しています。プロローグ、そして二人のその後が描かれたエピローグとともに、「発達障害のある子どもと私たち」全10話を読み返してみませんか?「なんで僕は学校に行けないんだろう…」プロローグ~第1章はるき編完結までUpload By ユーザー体験談3歳でASD(自閉スペクトラム症)と診断を受けているはるきさんは、現在小学3年生。通常学級に所属しています。2年生までは元気に学校へ通っていましたが、3年生の5月、運動会が終わった頃から「学校を休みたい」というように。発達障害について自分で学んでいる母親は、(ここは休ませるべき)と理解はあるのですが、その後はるきさんは身体症状もでるようになってしまって……。はるきさんの気持ち、そして保護者の決断をご覧ください。私だけ勉強についていけていない――壊れそうな娘の側で保護者は……第2章みき編Upload By ユーザー体験談みきさんは5歳でASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けています。小学校3年生から勉強に難しさを感じるようになり、小学校4年生になると「クラスで私だけ勉強についていけていない」「学校へ行きたくない」と言うように。みきさんの担任の先生は頼りにならず……。みきさんの困りごとにどう対応していくべきなのか、保護者は悩んだ末、ある結論を出しました。ですが……。また、エピローグでははるきさん、みきさんのその後に触れられています。はるき、みきのその後を描いたエピローグ、そして注目の専門家コメントもご覧くださいUpload By ユーザー体験談それぞれ新しい道を進みだしたはるきとみき。そんな二人のその後に触れています。こちらのエピローグには、井上雅彦先生から中学、高校の進路の選び方について解説をいただいています。進路についてお悩みの方はぜひご覧ください。マンガ「発達障害の子どもと私たち」いかがでしたか?引き続き読者体験談をお楽しみに。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年11月01日”大人の発達障害”という言葉を聞いたことはありますか?子どもの頃は困り感がなかったものの、大人になってからミスなどが増え、自身の発達障害に気づくというケースもあるようです。そこで今回は、MOREDOORのオリジナル漫画『大人の発達障害』をご紹介します。※少しでも多くの方に、このことについて考えるキッカケづくり目指して制作されました。当事者の声はさまざまです。あくまで一例として、考えるキッカケになれば幸いです。あらすじもうすぐ社会人2年目となる田所。幼少期から友人との関係も良好で、スポーツでも成果を出していました。しかし、会社で働くようになるとミスが目立ち始め、後輩からも馬鹿にされてしまいます。ミスばかりの自分に嫌気がさした田所は、会社を仮病で欠勤するように……。友人に相談すると心療内科の受診をすすめられ、勇気を出して受診してみると”ADHD”と診断され……?彼女に伝えることに……彼女に”ADHD”だと打ち明けた勇気を出し、彼女に診断結果を打ち明けた田所。昔から田所を見ている彼女は寄り添うような優しさで受け止めます。その後は自分に向き合い受け入れながら、周囲の理解もあり職場の人たちとも上手に関わっていけるように。そして「自分のことも相手のことも知って認めて尊重する」そんな風に人も自分も大切にできるようになりたいと思うようになったのでした。”大人の発達障害”だとわかった田所、あなたの周りで同じような状況だったら、なんと声をかけますか?※この漫画はフィクションです。■監修:三崎てるひこ(臨床心理士・公認心理師)■作画:長月よーこ(MOREDOOR編集部)
2024年10月25日スポーツ少年団へ入部した私たちUpload By もっつん小学校に入学する頃、タクはとてもヤンチャで常に動き回っていました。楽しいことに夢中になると、指示が耳に入らなくなって勝手な行動をしてしまう。当時はまだ気が付かなかったけど、タクはADHD(注意欠如多動症)の多動の特徴が強く出ていました。体力が有り余っているようだったので、「何かスポーツをやらせた方がいい」と周りの知り合いや先生に言われていました。私たちが選んだのは、当時熱心に新規部員募集をしていた地元のスポーツ少年団でした。うちのヤンチャ坊主が入って、チームに迷惑かけてしまうんじゃ……と心配する気持ちもありましたが、タクの強い希望と勧誘に心を動かされ入部しました。スポーツは心と身体を鍛えてくれる。今は自分勝手に動いてしまっているタクだけど、ルールや規律を学んで成長してくれるだろう。スポーツを通して少しでも落ち着いてくれたらいいなと期待を込めて、習い事を始めることにしました。入部してからしばらくは、新しい環境で身体を動かす楽しさを思う存分味わっていました。不器用ながらに必死に練習する姿を見て、集団に溶け込んでいるように見えました。練習中でも自分勝手に遊んでしまう姿に不安Upload By もっつんしばらくすると、タクのマイペースぶりが気になり始めました。注意散漫で監督の指示を聞かずに、自分のやりたい遊びやグラウンドで砂遊びや石探しを始めてしまう……。小学生に入学したばかりとはいえ、このままチームにタクを任せていたら、全体に迷惑をかけてしまうかもしれない。私はグラウンドの近くで常に練習を見学するようにしました。私が見ている前では、少しは多動が落ち着いているようでした。周りの子は親がいなくてもちゃんと練習に参加しているのにな……と気持ちがモヤモヤすることもありました。同時期に入部した同級生が、的確に指示通りに動いたり先読みして行動できる姿を見る事も、どうしても精神的負担に感じてしまいました。下調べが甘かったのが悔やまれますが、私たちが入ったチームは、お茶当番や送迎やコーチへのおもてなしなど、一般的なチームよりも保護者持ち回りの仕事が多かった印象です。それでもわが子が望んで入ったチームですし、私はできる限り練習に参加したりサポートを頑張りました。タクも少しずつですが練習についていけるようになり、その頃の私は「どうにか周りと同じように普通に過ごしてほしい」と強く思っていたので、タクの成長がとてもうれしくて多少のストレスは感じないように意識していました。合わない環境で無理に続けた習い事…私の心には傷が残りUpload By もっつんチームの保護者の役割や練習の見守りなど、私なりに頑張ってきましたが……やはりタクの注意欠如と多動の特性がだんだん目立ち始めました。練習の切り替えが一人だけ遅い、試合中にボーッとしてしまって失点する。そんな事が続き周りからの目も厳しくなっていき、チームを辞めることになりました。タク本人はまだまだ続ける気でいたようですが、チームも私も限界でした。悔しい思いも悲しい思いもたくさんしましたが、今となっては無理に続けなかったのは正解だったと思います。習い事にも向き不向きがあり、合わないかも?と思う環境で長い間過ごすのはつらいものです。そして、保護者が健全な精神で応援できなければ本末転倒になってしまいます。また、本人が楽しんで過ごせているかに加えて、周りの子や先生に過度な負担を強いていないかなど、いろいろな角度から見て考えてみることも大切だと思います。一度始めた習い事を辞めるのは気が引けるかもしれませんが、つらかったら辞めてもいい。続けることで得られるものは確かにあるけど、デメリットのほうが大きくなったと思ったら甘えかなと思わずに環境を変えるのも大切ではないでしょうか。やってみたい!ダンスとの出合いが転機にUpload By もっつんタクがスポーツ少年団を辞めてからは、週末に家族で過ごす時間が生まれました。今まで休日返上で習い事中心の生活だったので、いろいろな所にでかけたり自由に過ごせたりすることにすごく感動したのを覚えています。しかし、うちのタクは身体を動かすのが大好きで体力が有り余っている様子。放課後等デイサービスにも通っていましたが、夕方に帰宅してからも落ち着かず、「今からランニングしたい!」と言うほどでした。何かほかの習い事を始めてみるべきか……でも集団スポーツは向いていないと言われてしまったから……タクのフラストレーションをどうにか解消できる方法がないかと模索していました。転機になったのは、家族でショッピングモールに出かけた時のこと。その日はイベントが開催されていて、近くのダンス教室の子たちがステージでダンスを踊っていました。大きな音の中でそれぞれが自由に身体を動かしたり同じ動きをしたりする姿に、タクは目を奪われていました。ステージを見終わったあと、私の予想通りタクは「ダンスやってみたい!」と言ってきました。ダンスだったら団体競技でありながら個人の練習も重要。協調運動の上達にも繋がるし、これなら向いてるんじゃないのかな?と思うことができました。習い事に対して少し恐怖心を持っていた私でしたが、タクの熱意を感じ取り、その場でダンス教室の先生と少しお話しをしてパンフレットを頂きました。合う環境が人生を輝かせる!Upload By もっつんその後、教室の情報や利用者の声などをしっかり調べてダンス教室の体験に参加しました。先生とも個別に話すことができて、タクの発達障害のことを打ち明けると「ほかにも特別支援学級に在籍している子がいるし、少人数制なので心配しないで大丈夫ですよ」と心強い返事を頂きました。そして、夫婦で熟考しダンスを習い始めることに。ダンスはとても向いていたようで、自宅での自主練習も熱心にやっていました。地域のイベントステージや年に一度の大きな発表会では、一生懸命取り組みチームの絆を感じる大切な思い出もつくれました。タクにはダンスが合っていたんだなぁ……としみじみと感じました。私の経験からですが、チームスポーツをやってみたいけれど不安がある場合は、まず少人数の教室で体験して大人数の中での立ち振る舞いを覚えていくとうまくいきやすい気がします。ほかにもオンラインの習い事など、今の時代だからこそたくさんの選択肢があります。親子がポジティブな気持ちで続けられるかどうかを大切にできると良いと思います。ダンス教室は残念ながら閉校してしまい今は辞めてしまいましたが、中学になってからは部活の卓球に熱中しています。卓球もほぼ個人スポーツなのでタクには向いているようで、なかなかの腕前です。わが子が何かに熱中している姿は、とっても輝いて見えます。執筆/もっつん(監修:室伏先生より)もっつんさん、スポーツ少年団でのタクくんの頑張りともっつんさんの葛藤、ダンス教室でのタクくんのご様子など、詳しく共有してくださり、ありがとうございました。もっつんさんのおっしゃる通り、習い事は親子ともにポジティブな気持ちで続けられることがとても重要ですよね。発達障害のあるお子さんは、学校でもとても頑張られていることが多いですので、お子さんの負担になりすぎないよう、気持ちの状態や疲れ具合に応じて、休憩を取ったり、頻度を調整したりしながら、無理なく続けられる環境があると安心ですね。また、学童期は周りのお子さんとご自身を比較する力がぐんと伸びる時期です。自己嫌悪に陥ったり、自己肯定感の低下につながることもありますので、ポジティブなフィードバックを与えてくれて、お子さんが楽しめる環境で、成長を支援できると良いですね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年10月25日「ただの元気な男の子」ではなかった……!多動が強く「交通事故を起こしかねない」と言われた息子わが家の息子は現在高校1年生です。小学校1年生の6月、ADHD(注意欠如多動症)、ASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けています。息子は明るく前向きな性格ですが、幼少期は多動、衝動性が強く常に走ったり動きまわりがちでした。幼稚園の頃の息子は、自宅から幼稚園まで全力疾走で登園していました。息子の走りに追いつけず、私は自転車で並走して一緒に登園。赤信号で飛び出そうとする時は「信号をみてね!」と声掛けしていました。幸いにも声を掛ければきちんと信号を見てくれたので、道路への飛び出しはありませんでした。ただ、家ではチョウチョやトンボ、セミなどを追いかけて、窓からの飛び出し行為がありました。また、近所の公園の池にも3回程落ちたことがあります。その頃の私は、息子のことを「ただの元気な男の子だろう」と考えていました。それでも、ここまで落ち着きがないものなの?という心配も消えません……。そこで、小学校に入学した6月に専門医を受診。その場で多動の症状が強いとADHD(注意欠如多動症)と診断され、コンサータ内服の指示が出ました。心の準備ができていなかった私が「薬は飲まないといけないんですか?」と医師に聞いたところ、「多動を抑制しないと、注意散漫、多動で交通事故を起こしかねません。内服をお勧めします」と言われました。私は、医師の言葉にショックを受けながらも、薬物治療を開始しました。Upload By ユーザー体験談このような事を言われたので診断を受けたあと、私は息子が問題なく登下校できているのか不安になりました。そこで息子の2歳上になる娘に聞いてみたところ、思ってもいない状況になっていたのです。大丈夫ではなかった⁉登校する息子を全力でフォローしてくれていた6年生班長さんの存在わが家が通う小学校は、朝は班による集団登校、下校時は学童擁護員の方々が通学路で見守り、誘導をしてくれます。娘から教えてもらった集団登校での息子の様子は、やはり大丈夫ではありませんでした。「○○くん(息子のこと)がしょっちゅう道路を飛び出そうとするから、6年生の男の子の班長さんがガッチリ捕まえてガードしてくれてるよ。いつも、班長さんと手を繋いで登校してる」「6年生の班長さんが『○○くん(息子のこと)は、ちょっと注意が必要だね。ぼくが面倒をみるから、副班長と5、6年生で、下級生の見守りをしてくれないかな?』って言ってたよ」そんなことになっていたとは……。私はともかくお礼と事情を説明しなければと、ご近所にある班長さんのお宅へ行くことにしました。呼び鈴を鳴らすとお母さまが出てきてくださり、いままで息子のフォローをしてくださったお礼と、発達障害の診断が出たこと、多動の傾向が強いということをお話しました。すると途中、6年生の班長さんが出てきてくれました。彼は「僕が班長なので、任せてください!○○くん(息子のこと)は僕が面倒をみます」と笑顔で、力強く言ってくれました。お母さまも「そんなに気にしないでください。みんなで登校しましょう」と言ってくださいました。涙が出る程、嬉しかったことを覚えています。Upload By ユーザー体験談こちらのおうちは3人兄弟で当時の学年は6年生、4年生、3年生。みんな息子よりお兄さんでした。この3人のお兄さんたちはずっと息子を見守ってくれました。お兄さんたちが卒業したあとの息子は同級生の男の子と手を繋いで登校し、6年間事故なく登校することができました。下校時は優しい学童擁護員さんと手を繋いでまた私は、息子に診断が出たことを学校へ伝えました。下校についても心配があると相談すると先生は「下校見守りの学童擁護員の皆さんに伝えますね。お母さんも心配だったら一緒に下校してみますか?」と提案してくれ、私は息子の下校を見守ることにしました。学童擁護員は小学校の保護者や町内会から募っていて、主に仕事をリタイアしたおじさま、おばさまがボランティア活動として参加されています。場所ごとに担当が決まっているので、学童擁護員さんと息子は顔見知りのようでした。学童擁護員さんと息子が下校する姿をうしろから見守る私。息子は擁護員さんの言うことはキチンと聞くようで、おじさんと手を繋いで危ない場面もなく帰っていきました。息子を見てくださった学童擁護員さんはとても優しかったようで、息子はおじさんに懐き、楽しそうに下校しており、私の見守りなしでも問題ないようでした。Upload By ユーザー体験談地域の力のありがたさを痛感。そして高校では電車で登校できるように特訓して……このように、ご近所の皆さんのおかげで6年間、息子は私の付き添いなしで登下校ができました。地域の力のありがたさを痛感しました。娘も息子のことをよく気にかけてくれて、息子は恵まれていたと感じています。また、薬を内服し始めてから多動がかなり落ち着いたのも幸いしていたと思います。息子は中学校でも一人で登校することができていました。ですが、高校への登校は電車の乗り継ぎが必要だったため、合計7回、母子で高校への登校練習をしました。電車の乗り場、マナー、案内板、スマートフォンのアプリを使っての時刻表の確認など、いろいろなことを教えました。その甲斐あって、高校では自分で電車を乗り継ぎ、登校しています。Upload By ユーザー体験談そんな息子の頑張っている姿を見ていると「小学校の頃からいろいろあったけれど、日々息子も成長しているんだな~」としみじみと感じ入るこの頃です。イラスト/SAKURA※エピソード参考者のお名前はご希望により非公開とさせていただきます。(監修:森先生より)お子さんの登下校についての体験談をありがとうございます。実際、多動の傾向があるお子さんは、「興味のあるものが目に入ると安全確認をする前に駆け出してしまう」「信号をじっと待つのが苦手」といったことがあり、事故のリスクも高まってしまうことが考えられます。お母さんだけでなく、周囲の方々のあたたかい見守りもあってお子さんは安全に登下校ができたのですね。普段から周囲の方と良い関係を築いて、お礼を伝えたり、事情を説明して理解してもらうといった保護者の努力があって得られる手助けも多いことと思います。事故に遭うことなく無事に大きくなって、成長を実感されているとのこと、とっても素晴らしいですね。お子さん自身も、お母さんもよく頑張られましたね。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年10月24日就学先は通常学級?特別支援学級?特別支援学校?決め手や就学相談のエピソードをまとめてご紹介!年長のお子さんがいらっしゃるご家庭ではそろそろ次年度の就学先が決定する時期ではないでしょうか。通常学級、通級指導教室の利用、特別支援学級に特別支援学校……わが子の就学先をどこにしたらいいのか悩んだ、また今も悩んでいる保護者の方も多いと思います。今回は「就学先」についてのエピソードをピックアップしてご紹介します。就学先を選んだ決め手や就学相談の様子、就学時健診でのトラブルなど、ぜひ参考になさってくださいね。就学先を「通常学級(通級指導教室)」に決めたご家庭のエピソード3歳の時にASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)と診断を受けている七転八起さんの息子さん。幼稚園では特性に対しての理解を得られなかったため、就学に向けては親子でさまざまな準備をしたとのことです。ASD(自閉スペクトラム症)と診断をされたメイさんの娘のリンさん。幼稚園では特に配慮を受けなくても、ほとんど支障なく過ごせていましたが、母のメイさんとしては「特性なのかな?」と思う出来事も多く、就学先は特別支援学級と通常学級で悩み……。4歳でADHD(注意欠如多動症)、ASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けた息子さんは現在6歳。幼稚園の頃から困りごとが多く、就学にはとても悩みました。そんな中、就学相談で「通級指導教室は必要ない」と言われて……。keikoさんのお子さん、しのくんは発達障害グレーゾーンの男の子です。発達検査を受けたものの支援者の先生たちも発達グレーの子どもの就学先には悩んでしまい……頼みの綱の保育園の先生の思いがけない言葉にkeikoさんは固まってしまいました。ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)の診断を受けているかけうどんさんの息子さんは、通常学級に在籍しながら通級指導教室(特別支援教室)に通う道を選びました。入学後、うれしい配慮を感じながらも問題も出てきて……。就学先を「特別支援学級」に決めたご家庭のエピソード4歳の時、軽度の知的障害(知的発達症)と診断されているプクティさんの息子さん。年長になった4月から児童発達支援がスタートし、新しい環境でバタバタとしていたら……就学相談に乗り遅れた!?2歳でASD(自閉スペクトラム症)と診断されたマミヤさんの娘さん、しぇーちゃん。幼稚園での行き渋りも心配なマミヤさんは就学相談で親子共に「特別支援学級」を希望しました。年中になり幼稚園での困り事が目立つようになってきた星あかりさんの息子さんのスバルくん。年中の冬に療育の先生から「就学相談」の資料をもらい、少人数で学べる「特別支援学級」を進路の候補として考えるようになりました。見通しがたたないととても不安になってしまう、ゆきみさんの長男・けんとくん。特別支援学級就学に向けた年長向けの児童発達支援施設での相談やアドバイスは、ゆきみさんの安心感につながったそうです。ASD(自閉スペクトラム症)と知的障害(知的発達症)があるカタバミさんの息子さん・まちゃくん。療育手帳の更新で等級が軽度から中等度になり特別支援学級は無理だと思ったカタバミさんでしたが、最終的に特別支援学級を選んだその理由は……!?就学先を「特別支援学校」に決めたご家庭のエピソード知的障害(知的発達症)を伴うASD(自閉スペクトラム症)のあるみんさんの息子さん・Pくん。ほとんど進路に悩むこともなく、特別支援学校へ通わせたいと考えていましたが、それでも就学前はバタバタとさまざまな手続きがあり、とても忙しかったとのことでした。ASD(自閉スペクトラム症)と知的障害(知的発達症)のあるほぺろうくん。母親のぼさ子さんは未就学時代の早い段階で進路は特別支援学校一択と決めていました。特別支援学校入学時の持ち物や学習内容、就学準備にあたり心強かった存在などを紹介いただきました。べっこうあめアマミさんの息子さんは知的障害(知的発達症)を伴うASD(自閉スペクトラム症)があり、特別支援学校に通っています。入学にあたり「リュック」と「ランドセル」で悩んだべっこうあめアマミさん。説明会で聞いた第三のアイデアで一気に気持ちが楽になったそうです。就学時健診でのエピソード3歳でASD(自閉スペクトラム症)と診断を受けたゆきみさんの長男・けんとくん。年長になって就学時健診へ行ってみたら想像以上に健診する項目が多くビックリ!けんとくんもパニック&癇癪で大暴れしてしまい……。ASD(自閉スペクトラム症)と知的障害(知的発達症)のある息子・ほぺろうくんの就学時健診が想像以上に大変だったぼさ子さん。深く考えずに臨んだことを深く後悔し、「こうすれば良かった!」と振り返るぼさ子さんのまとめは必見です。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年10月21日LITALICO発達特性検査の検査結果レポートを見て、これはもう「本」だと思った以前、LITALICO発達特性検査が「お子さまの特性と支援のノウハウをまとめたボリュームたっぷりの一冊の“本”になります」という話をしました。今日はその、“本”のような検査結果のレポートについて、詳しくお話ししようと思います。私は、LITALICO発達特性検査では、企画段階から参画し、多動・不注意/情緒・行動/感覚/運動(くせ)の検査結果テキストの監修を担当しましたが、実際に検査結果のレポートを見たのは、開発が最終段階となった頃、サービスが発表される少し前でした。サンプルとして、レポートをプリントしたものを手に取った時、「検査結果だけど、これはもう、その子オリジナルレシピの“発達支援の本”だ」というふうに感じました。インターネット上でも見られますが、PDFをダウンロードして、プリントして綴じると、ボリュームも人によっては書籍と同じくらいのものが出力されるし、具体的な対応方法まで載っていて読み応えたっぷりで、「検査結果」というよりむしろ、その子について書かれた「本」に近いのではないかという印象でした。悩みや気になることが出てきた保護者の方へ、お子さまサポートの入門書としてこの検査結果レポートを「本」として捉えると、お子さまの発達が気になり始めた保護者の方に、とてもいいなと思っているんです。「うちの子の発達について、気がかりなことがある」「困りごとが目立ってきたり、園や学校の先生から指摘をされた」など、気になることや悩みが出てきたとき、まずはインターネットで検索したり、書店や図書館に行って書籍を探すという保護者の方も多いのではないでしょうか?その中で、「発達障害」や「ASD(自閉スペクトラム症)」・「ADHD(注意欠如多動症)」・「学習症」といった言葉に出合うかもしれません。今、書店に行くと、たくさんの発達障害関連の書籍が置かれていますよね。そうした書籍を何冊も買って、熱心に読まれたという方もいらっしゃると思います。でも、「何冊か読んで、なるほどというところもあったけれど、結局うちの子には、なんだかフィットしないな」と感じたりする保護者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。特に、最近気になることが出てきて悩み始めた、というような保護者の方だと、書籍を自分で探してぴったりの情報を得るのはハードルが高いかもしれないですね。Upload By LITALICO発達特性検査 編集部LITALICO発達特性検査は書籍と検査、それぞれの「いいとこどり」私自身、発達障害やお子さまの発達支援に関する著作が10冊以上あります。また、公認心理師として、実際に心理検査を含む臨床の現場にも立っています。その立場からすると、今回のこのLITALICO発達特性検査の検査結果レポートというのは、書籍と検査、それぞれでできたらいいなと思ったことと、それぞれでこれまでできなかったことを「いいとこどり」したようにも見えます。それぞれについて、少し説明しましょう。いろいろな発達障害の書籍を読まれている方、すごく多いと思うのですが、自分のお子さまに合うところと、自分のお子さまとは書籍に書いてあることがちょっと違うよな、ということもあると思うんですよね。先ほどフィットしないといったのは、例えば、「自閉症かもしれないな」と思って書籍を読んだけれど、うちの子はこだわりは強くて当てはまるけれども、感覚過敏性はなさそうだから、その点ではちょっと当てはまらないな、と感じるといったケースは多いと思います。発達特性は人によって違うし、困りごとの現れ方もそれぞれで違うからです。また、「そこまで強い困りではないが、傾向があるな」と感じている場合に、書籍などで使われる「障害」という言葉に違和感を覚えることもあるかもしれません。書籍は、よくあるケースや困りの強いタイプ、医学的に典型的なタイプについて書かれていることが多いと思います。もちろん、そうすることで多くの方に合う内容になりますし、よりイメージしやすくなっていると思います。でも、全ての症状や特性が強く満遍なく現れるケースはあまりありません。実際には、書籍に書かれている各障害の典型的なタイプで全ての症状が当てはまって、困っていることや程度も同じ、書籍に書かれているそのままの方法でサポートがフィットしたというお子さまは、そんなにいないと思うんですよね。一人ひとり、特性の現れ方も違いますし、困りごとになって現れることも違います。だから、本当は対応方法も人によってカスタマイズしないとうまくいかないこともあるんです。その意味では、書籍というのはどうしても、みんなが着られるようなフリーサイズの服のような情報になってしまって、その人に合わなかったり、着心地が悪いな、ということもあると思うんです。書かれている内容が、当てはまるところも一部あるけれども、ほとんど当てはまらないという人もいる。自分でも、書籍を書くときには、その点が悩ましいことでもありました。もっと一人ひとり本人に合うように書いてあげたいけれども、書籍だと、どうしても限界がありますよね。フリーサイズで書くしかない。たくさんの書籍の中から選んでもらって、さらにそれを何冊も読んだ中から、読者の方に情報を取捨選択してもらわないと、自分の子どもの特性を理解することは難しい、ということになります。自分でカスタマイズしてもらう必要があったと思うのです。それが、LITALICO発達特性検査では、質問項目に答えることで、アルゴリズムで必要な情報にカスタマイズしてオーダーメイドの「本」に仕立ててくれる。そういうイメージで捉えると、親子の困りごとに向けた「本」ができる、今までにないようなサービスだと思っています。もちろん、書籍は一般的な知識や専門的な内容を網羅的に得るために、とてもいいと思います。支援法や考え方もたくさんあるので、それぞれ読むことでヒントが得られることも当然あると思います。実際に検査を受けたあと、理解を深めるために書籍も併用していただくといいと思います。一般的な心理検査は、結果が大体A4くらいのレポート1枚にまとめられて渡されるというのが多いかもしれません。検査を実施している機関によっては、直接内容の説明を口頭でしたり、補足の内容をもらえることもあると思いますが、レポートとして詳しく伝えるというイメージではないですね。特に、結果を受けて、次の日から家庭でどう対応したらいいかという情報は、レポートだけでは、ほとんど触れられていないですし、専門家ではない保護者の方が自分で読み解いて情報を得るのは少し難しいかもしれないですね。保護者の方が読んで理解しやすくてすぐに役に立つためというよりは、専門家が評価して支援に役立てることを目的にしているということが前提にあるからです。こういった点から、保護者の方が具体的にどうするか、今できることは何かを見つけるという観点では、なかなか心理検査の結果だけでは足りないこともあるのではないか、と感じることもあります。LITALICO発達特性検査は、インターネットで気軽に受けて、その結果がフィードバックされるサービスです。名称に「検査」とついていますが、これまでの心理検査とはちょっと違って、フィードバックに重点が置かれていることが特徴です。困りごとや特性が現れる背景要因だったり、支援方法や環境調整のあり方の解説が中心になっています。つまり、保護者の方向けに、具体的なサポートに直接つながるような情報がまとめられている。そういう意味で、今までの、みなさんがイメージする「心理検査」とはちょっと違うものかもしれないですね。もちろん、その子の支援についてどうすればいいか、その子のことについてを調べるという意味での「検査」ではありますが、ある意味、一人ひとりにカスタマイズされたその子にあったオリジナルの発達支援の「本」になって現れるサービスだと思ってもらえるとイメージしやすいかもしれません。お子さまサポートの入門書としてUpload By LITALICO発達特性検査 編集部LITALICO特性検査は、サポートの出発点になるような情報がまとめられています。最近気になることが出てきて、自分のお子さまの発達に疑問があるけれども、まだ相談機関に行くまでではない、という段階の保護者の方に特によいのではないかと思っています。インターネットで受けられて、結果がすぐに分かるという意味で、とりかかりやすい仕組みです。しかもLITALICO発達特性検査は障害の有無や診断を目的としたものではないので、受検に対しての心理的ハードルも比較的低いのではないかと思っています。保護者の方には、「明日からどうすればいいか」という示唆が得られる検査であると考えていただくと、受検しやすいかもしれません。検査結果は、全体で177万文字以上のテキストから、お子さまに当てはまる内容や、お子さまに合いやすい対応方法がアルゴリズムで出し分けられて出力されます。受検される保護者の方はお子さまの日頃の様子を振り返って質問項目に答えるだけで、何冊分もの情報から、自動的にそのお子さまの特性や困っていること、対応方法について必要なところだけまとめてもらえる、というイメージです。また、お子さまの困りがどのような背景要因から現れるかが説明されているので、お子さまについて理解するのにも役立ちます。保護者の方が理解しやすいような内容や、家庭で取り組みやすい内容が具体的に解説されているので、まさに「その子の発達支援の入門書」のようなイメージで読んでいただけるのではないでしょうか?もちろん、基本的な知識をお持ちの保護者の方や、すでにサポートを長くされている保護者の方にとっても、お子さまの特性や支援を再整理していくために活用していただけます。支援者や園・学校の先生といった周りの人にも検査結果レポートを共有して、読者になってもらうといいかもしれないですね。レポートの量が多いので、全て読んでもらうのは難しいかもしれないですし、内容がそのまま個別の支援計画や個別の教育支援計画になるわけではないのですが、共有しながら何を重点的に取り組むか、教育目標をつくるための参考になると思います。話し合ったり、家庭での見立てと園・学校での見立ての同じところ、違うところ、試してよかったことや合わなかったことを共有してすり合わせるための材料としても役立つと思います。お子さまの特性理解の入門ツールとして、もっと気軽に「検査」というと、保護者の方にとっては、何かを判定されたり、周りと比べられたりするのではないかというイメージがどうしてもあるかもしれませんが、LITALICO発達特性検査は、親子にカスタマイズされた1冊の「本」を手に入れるくらいの気持ちで、もっと気軽に受検していただけるといいなと思います。ちょうど、書籍1・2冊くらいの価格です(笑)。本屋さんに行ったり図書館で自分で書籍を探してたくさん読むのがちょっと大変だな、という方にとって、よりお子さまの特性に合うよう、おすすめの内容に編集された「本」がもらえる、そんなイメージです。もちろん、LITALICO発達特性検査を「入門書」のようなものとして、さらに知りたいときやサポートが必要なときには専門家や相談機関に繋がっていただいたり、書籍を手に取っていただいたりするのがいいと思います。これまでの心理検査と書籍、実際にお子さまの支援の場面で使うには難しかったところが解決できる、それぞれのいいところが組み合わさったツール。そんな使い方をしていただくことで、この検査は親子にとっての出発点になるのではないでしょうか。少しずつ読んで具体的な方法を試したり、実際に試してからまた読み返したり、結果レポートをずっと手元に置いていただいて、受検された保護者の方にとって、愛読書となるといいなと思っています。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年10月18日幼稚園での気になる行動。特別支援学級への就学も視野に入れていたけれどわが家の長男のトールは、小学1年生から2年生の間は通常学級に在籍し、小学3年生で特別支援学級に転籍しました。トールが小学校に上がる前、特別支援学級への就学について全く考えなかったわけではありませんでした。幼稚園では、お友だちとの関わり方が苦手で、手が出てしまうなどのトラブルや、おとなしく椅子に座っているのが難しいこともありました。年長の頃、担任の先生に就学について相談すると「絶対に特別支援学級でないと無理だとは思わない」と言われました。私自身も、実際に小学校に入ってみないことにはトールがどうなっていくか分からないなと感じていました。そのため、発達検査の予約をして、その結果を参考にしようと考えていました。ところがそんな中、トールが年長の夏に夫の転勤が決まり、小学校入学の時期に合わせて別の県に引っ越しすることになりました。引っ越し先には土地勘がなく、夫の職場から通える距離で、暮らしやすい地域はどのあたりなのか……など調べるところから始めなければなりません。新しく借りる家を契約するのは引っ越しの直前になるため、トールは2月の終わりまでどこの小学校に通うかまだ決まっていないという状態でした。引っ越しのバタバタで、予約していた発達検査もキャンセルせざるを得ませんでした。いろいろなことが重なって、トールが特別支援学級に進むかどうか、あまり具体的に検討することができないまま、引っ越し先の小学校では通常学級に進学することになりました。Upload By メイ小学校生活がスタート。1年生の間は大きな困りごとはなかったが……不安を抱えた中で始まった小学校生活でしたが、小学1年生の頃のトールは、毎日を楽しく過ごしているようでした。しかし、小さな問題はいくつかありました。授業中の発表の時にまだ先生に当てられてないのに話をしてしまったり、あたりをきょろきょろ見回したり、声の大きさが調節できなかったりなどです。それでも当時は、まだ小学1年生だったということもあり、「クラスで少し行動が目立つ子」というくらいの認識でした。Upload By メイ担任の先生が発達障害に理解のある先生だったというのも大きな助けになっていたと思います。先生は、トールを先生に1番近い席に座らせて、何かと気にかけて下さっていました。トールやほかの誰かが大きな声を出した時など、本人に適切な指導はしつつも、周りの子に対しては「あまり気にせず、自分のやるべきことをやりましょう」と伝えてくださっていたようでした。周りの人たちや環境に恵まれて、小学1年生の1年間は無事に過ぎていきました。問題が出てきたのは小学2年生になってからでした。感染症の流行で休校から始まった2年生の新学期。環境の変化で息子にも影響が……!?トールが小学2年生に進級する直前、新型コロナウイルスの流行で学校が休校になりました。トールの小学校は毎年クラス替えがあるので、新しいクラスのメンバーや新しい担任の先生と顔を合わせることもなく、新学期がスタートしました。休校が明けて少し経った頃、トールが「朝起きるのがつらい」と言い出しました。「あんまり学校に行きたくないなぁ」と言うこともありましたが、長いお休み期間もあったので、学校に行く毎日に体が慣れていないのかもしれないと思いました。しかし、トールはだんだん怒りっぽくなっていきました。1年生の頃までできていた宿題も何時間もかかるようになっていき、些細なことでイライラして怒ることが増えました。Upload By メイ担任の先生から連絡も来るようになり、学校でも非常にイライラしたり、怒ったり泣いたりすることがあるとのことで、初めて2年生の担任の先生と会い、面談を行うことになったのでした。発達障害の診断はあっても、学校での支援は手探り状態トールは小学1年生の終わりに病院を受診し、ASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如多動症)の診断を受けていました。そのため、1年生の頃の様子も含めて2年生の担任の先生にも申し送りをしてもらっていました。しかし新しい担任の先生は、発達障害にあまり詳しくないとおっしゃっていて、どのようにしたらトールが学校で穏やかに過ごせるようになるか、細かく情報共有をしながら取り組んでいこうということになりました。Upload By メイこうして、学校側も私たち保護者も、お互いに手探りのような状態で始まったトールの小学校生活2年目でしたが、最終的にトールは翌年、小学3年生で通常学級から特別支援学級へ転籍することになりました。その後の特別支援学級へ転籍するまでのことは、また別の機会に書かせていただきます。執筆/メイ(監修:鈴木先生より)教育と医療の連携が重要です。自治体によって神経発達症への取り組み方は違います。各自治体の教育委員会が医師会など医療と連携できているところは、ほとんどの先生が神経発達症についての正しく詳しい知識をもっており、どう取り組んだらいいかを理解しているのです。ただし、同じ自治体内であっても、学校によって取り組み方に差が見られる場合もあります。職員会議などで神経発達症のお子さんへの接し方などを共有している学校もあれば、残念ながらそのような取り組みが十分になされていない学校もあります。学校によって差が出ないように各自治体の教育委員会が指導していくのが望ましい形ですが、そのためにはまず、教育委員会と医療がしっかりと連携していることが重要なのです。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年10月18日児童発達支援ってどんなことをするの?2歳4ヶ月でいよいよ児童発達支援施設(療育)に通所開始!ねこ太の場合は運動発達の向上を一番の目標としていたので、PT(理学療法)で体全体を使う粗大運動の発達を促したり、OT(作業療法)で手先や指先を使う微細運動の発達を促すトレーニングをしていました。Upload By 鳥野とり子そのほかにも日常生活を送るために必要な能力の獲得や、就園や就学に向けて社会性を養うといった内容も支援計画に組み込まれていて、先生やお友達と日々関わっていく中でたくさんのことを学んでいきました。通わせて良かった!児童発達支援に通い始めてから急激に成長した息子。Upload By 鳥野とり子児童発達支援に通い始めてから息子の成長スピードが一気に加速したように思います。小さかった動きはどんどんダイナミックになり公園の遊具で遊べるようになったり、不器用だった手先の動かし方もスムーズになりスプーンや鉛筆を上手に持てるようになりました。ねこ太が通っていた施設では【お買い物体験】や【クッキング】などの活動もあり、活動を通じてたくさんの人と関わることによって社会性が養われたのか、語彙が増えたり多動が落ち着いてきたりして「成長したなぁ」と感じることが増えてとてもうれしかったのを覚えています。今まで食が進まなかった息子の食事がスムーズに!Upload By 鳥野とり子ねこ太は食に興味がなかったので、この頃はごはんを食べさせるのにかなり苦戦していました。自分でごはんを食べてくれず、私がスプーンでねこ太の口にごはんを運んでいて、離乳食から幼児食への移行も苦労していた時期だったのです……が!児童発達支援に通い始めてから私が手伝わなくても自分で食べるようになりました!ねこ太の通っていた児童発達支援では給食が提供されていたので、先生やお友達と給食を食べて触発されたのではないかなと思います。そして離乳食から幼児食への移行が一気に進み、食べられる食材がぐんと増えました。これは本当にありがたかったです。児童発達支援に通い始めて一番救われたのは子ではなく親でした。Upload By 鳥野とり子児童発達支援は子どものための施設だと思っていましたが、通い始めて思ったのが親のための施設でもあるということ。実は児童発達支援に通うようになる少し前までねこ太は保育園に通っていました。ところが保育士さんが一斉退職してしまい、ねこ太を通わせることができなくなって泣く泣く退園したのです。私は仕事を辞め、日中2人だけの生活に逆戻り。発達のことにかなり悩んでいた時期なのもあってどんどん病んでいきました。そんな状態から救ってくれたのが児童発達支援の存在でした。児童発達支援に通うまでは暗闇の中を手探りで育児している感覚だったのですが、児童発達支援に通い始めてからは一緒に子育てをしてくれているような安心感がありました。一人で悩んでいた発達の悩みを共有でき、困ったことがあればその都度アドバイスを頂ける存在がどれほどありがたかったか……。児童発達支援の先生方には感謝してもしきれません。児童発達支援には肉体的にも精神的にも助けられ、児童発達支援を必要としていたのは子どもだけではなく親もだったんだなと思いました。執筆/鳥野とり子(監修:新美先生より)ねこ太くんが2歳4ヶ月から通い始めた児童発達支援施設について詳しく聞かせて下さりありがとうございます。ねこ太くんは通われた児童発達支援施設がぴったりはまったようで、体の動かし方、手先の使い方から、食事面、社会性・言葉まですごく成長したんですね。発達の偏りがある場合、環境をご本人に合うように整えて、情報量や興味の向きの調節がフィットすると、さまざまに成長がググンと見られたりしますね。そして鳥野さんもおっしゃられているように、児童発達支援施設・療育につながることで、わが子に合ったかかわり方、環境、働きかけのタイミングなどを相談できて、いっしょに成長を喜んでもらえる伴走者に出会えることもすごくいいことですよね。児童発達支援施設については、公立/民間、施設数などの状況が地域によってかなり差があり、必ずしも求めるタイプの施設に出合えることばかりではないかもしれませんが、お住まいの地域でどんなところがあるのか、探してみるのもいいかもしれません。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年10月16日「ママ」より先に数字を覚えた自閉症の長男ASD(自閉スペクトラム症)の長男「ハジュ」は、興味の幅は狭いものの、一度ハマると本当に夢中になります。特に数字への関心はとても強く、日々の生活でも数字に関わる場面が大好きです。今回は、そんな数字大好きハジュの日常生活で起きたちょっと困ったことや逆に役立ったこと、数字に夢中になるあまり起こったエピソードをお話したいと思います。2歳になる少し前、ハジュが、じーっとテレビのリモコンを見つめていました。ボタンを押したいのかな?と思いましたが、どうやらリモコンにあるチャンネルの数字に夢中になっていたようです。それから、床に敷いていたパズルマットの数字を見つめるようになり、どんどん数字に惹かれていきました。この頃、ハジュはまだあまり言葉を話していなかったのですが、「これはハチだよ」「これはロクだよ」と教えているうちに、「あち(8)」「おく(6)」と話し始めたんです。なんと、彼の初めての言葉は「ママ」ではなく、数字でした(笑)。Upload By スパ山数字に夢中すぎて心配…ママ友たちから「早くから数字に興味があっていいね!」とうらやましがられることもありました。でも、私は次第に心配を抱えるようになったのです。ハジュの数字への興味は、ただの好奇心を超えて、どんどん深い没頭へと変わっていきました。すると、思いもよらない困りごとが……。世の中には数字があふれているので、外出時は、あらゆる場所で足を止められてしまうようになりました。駐車場、エレベーター、看板……。数字のある場所に吸い寄せられるので、道路の速度表示を見つけて飛び出しそうになることも。青ざめながら慌てて止めた経験も一度や二度ではありません。スーパーに行けば値札に大興奮、ホームセンターではメジャーコーナーに釘付け、駐車場の数字を順番に踏んで進むこだわり。さらに、エレベーターに乗れば、一度最上階から最下階まで行かないと気が済まない。これでは、日常生活がまともに進まないと感じるほどでした。数字というものが、こんなにも日常を支配する存在になるとは想像もしませんでした。Upload By スパ山数字が大好きな長男との毎日を乗り切る方法!ハジュが数字まみれで過ごしていた頃、わが家はカオス状態。次女が生まれ、長女の小学校入学と、目が回るような忙しさでした。でも、目を回している場合ではなかったので、何とかしなければ!と、私は奮闘しました。当時通っていたグループ療育の先生や専門機関に相談したり、インターネットで情報をかき集め、試行錯誤の日々。「これは良さそう」と思ったものは、片っ端から試しました。そんな中、特にハジュに効果的だったのが、残り時間が見えるタイマーとメモ帳でした。例えば、ハジュが数字に夢中になっている時、タイマーで残り時間を見せてあげます。そして、次の予定をメモ帳に絵で描いて「ほら、次はこれだよ」と伝える。数字好きのハジュにとって、時間も数字の一部だからか、タイマーには全く抵抗がありませんでした。むしろ、タイマーを見て納得して動いてくれるのです。もちろん、外出先にタイマーを持っていくのを忘れることもあります。そんな時のために、スマートフォンにも見えるタイマーのアプリをインストール!「あ、忘れた!」と思っても、スマホさえあれば何とかなります。今思えば、数字が好きなハジュだからこそ、時間も数字で管理するというのは、彼にピッタリの方法でした。Upload By スパ山どうしても譲れない時もある現在小学4年生になったハジュは、今でも数字が大好きです。愛読書は、3歳上の姉の数学の教科書。ゲームに夢中になってもおかしくない年頃ですが、ハジュはむしろ、算数ドリルに夢中です。こう聞くと、まるで勉強好きな秀才のように思われるかもしれませんが、実際は少し違います。彼が得意なのは、あくまで「算数」だけ。ほかの教科に対しては、あまり興味がないようです。それでも、ハジュにとって算数は特別なもの。問題が解ける喜びを感じる一方で、どうしても解けない問題が出てくると、時には癇癪を起こしてしまうこともあります。さらに、もっとドリルをやりたい!と要求がエスカレートし、こちらの予定を伝えても聞き入れてもらえないことも……。そんな時は、私も腹をくくって、彼が納得するまで付き合うことにしています。夜遅くまで問題を解いていることもありましたが、算数に対する熱意を発散させることも、彼にとっては大切な時間だと思っています。Upload By スパ山普段から頑張っているハジュだからこそ、この「算数熱」が彼自身のバランスを保つ手助けになっているのかもしれません。親として、その熱を尊重しつつも、少しずつ上手に付き合っていく方法を見つけていきたいと思っています。執筆/スパ山(監修:新美先生より)自閉スペクトラム症の特性の一つに興味の偏り、興味あるものへの没頭というのがあります。ハジュくんの数字への興味、算数熱について聞かせてくださりありがとうございます。パパ、ママよりも数字から話し始めるとは、筋金入りの数字オタクですね!!!飽きることのない数字への興味が算数熱につながったのですね。ゲームより算数の問題を解くほうが楽しいなんて羨ましく感じてしまいます。この、興味の偏りの向きは、なかなか周りがコントロールできないものですよね。算数が好きになってほしいとか英語が好きになってほしいといくら思っても、周りの思うようにはならないものです。興味がありすぎてそこから離れられずに危険だったり大変だったりすることもありますが、例えばハジュくんがタイマーで時間管理をしたように……興味の偏りをうまくつかって日常を回しつつ、好きなことをとことん楽しむ時間も十分に確保して楽しんでもらうことが生活の安定につながりますね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年10月12日自閉症中2息子、将来なりたいものはある?Upload By かなしろにゃんこ。ASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如多動症)の息子リュウ太は小さい時から電車と車が大好きで、その話ばかりしているような子どもでした。中学2年生の秋に「来年度は進路を決めることになるけど、何かやりたいことあるの?」と聞いてみると「将来は、鉄道関係か車業界の仕事がしたいかな~」と言いました。ちょうどオープンスクールの時期だったこともあり、見学を兼ねて行ってみることにしました。Upload By かなしろにゃんこ。向かったのは、自宅から電車で40分、都心にある私立の高校です。見学した当時、普通科と鉄道の運輸科、自動車の整備を学ぶ機械科の3つの科がありました。その高校のオープンスクールでは、学生が作るお好み焼きや焼きそばやなどの屋台があって、老若男女さまざまな人が集い、楽しい雰囲気でした。運輸科では鉄道サービスを学ぶカリキュラムについて、機械科では自動車の仕組みをじっくり学んでいくカリキュラムについてなど、生徒の方々が丁寧に説明してくれました。実際に授業で使っている機械や道具、教室も見ることができました。Upload By かなしろにゃんこ。「もうすぐ受験なんだから」「勉強しないと!」と言われてもピンと来ていなかったオープンスクールがきっかけとなりリュウ太は進路を真剣に考えるようになったのですが、数年後にこの時どう思っていたのか本人に聞いてみました。リュウ太は「オープンスクールスクールに行く前は『もうすぐ高校受験なんだから進路を決めないと』『将来やりたいことはなに?』『受験に向けて本腰入れて勉強しないと!』とか親に言われても全くピンときてなかった。『受験』そのものがイメージできなくて、その時期が来たら流されるままになんとかするんだろうな、くらいにしか考えていなくて。まず受験って何をするのか、どんなことが待っているのかも分からないのに親が勝手に騒ぎすぎ!受験なんて経験していないから本当にリアルに感じられなかった」と話してくれました。Upload By かなしろにゃんこ。Upload By かなしろにゃんこ。そして「オープンスクールに行って学校見学をして『自分も進学したらこんな風になるのかな』とビジョンが見えたよ。興味がある学科とか学校を体感することで高校で何をやりたいか考えることができたかもしれない」と教えてくれました。Upload By かなしろにゃんこ。そうなんだ、体験していないことを親が先回りして受験だからとアレコレ勉強しろと伝えても子どもって何も分からなかったし、感じてなかったのか!とこのとき初めて分かりました。そして、言葉よりも経験が必要だったのねとも思いました。中学2年生でオープンスクールで学校を見に行ったのは思いつきからの行動でしたが、もっと早くからほかにも学校見学をしていたら意識が変わって、何か違う道も開いたかもしれませんね。Upload By かなしろにゃんこ。リュウ太は、オープンスクールで見学した高校に進学したいと決めますが、成績や提出物などの問題で内申書的に難しく、担任の先生の判断でその学校を受験することを断念。代わりに自動車整備士を目指すための専修学校を目指すことにしました。オープンスクールで行った高校に入学することは叶いませんでしたが、このことがきっかけとなりリュウ太は好きなことを職業にしたいと専修学校に進み、その後その分野で就職もしたので、結果として良かったのかもしれません。オープンスクールでの学校見学は、リュウ太の人生のターニングポイントになっていたのかな?と思う母でした。執筆/かなしろにゃんこ。(監修:初川先生より)リュウ太くんの進路選択における学校見学のエピソードをありがとうございます。大人になったリュウ太くんが言っていましたが、子ども本人にとって、「高校」「受験」「進路」「そのための勉強」など、あまりピンとこないものです。場合によっては、必要以上に恐ろしいものと受け止めてしまう場合もあります。まずは、高校というものがイメージできない場合もありますので、まさに百聞は一見に如かず、実際に高校へ行ってみたことが良かったと思います。また、本人の興味関心のある学科・コースがあったり、入りたい部活があったりするところから行ってみたのもすばらしいですね。遠出が苦手なお子さんは近くの(頑張ったら入れそうな)高校から見に行くのでもいいと思います(興味もそんなにないのに遠くの学校に行ってしまうと、緊張と疲れで“高校”全てについていい印象から遠ざかってしまう可能性もあります)。実際には、はじめに見学に行った高校には進学しなかったようですが、そういう場合もあると思います。「ここにする!」と決めきらずに、要素として見ていく(好きな学科がある、近い、入りたい部活がある、制服が素敵など)中で、次なる候補も複数見ておけると良さそうです。秋は文化祭や体育祭など、公開される行事も多い時期。ぜひ親子で見に行ってみてください。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年10月08日わが子を中心に学級崩壊?環境が変わり、席に座っていることが困難に……小3になり、コチ丸は授業をおとなしく受けられなくなってきました。新しく担任になった先生は、授業の進め方がやや一方的だったこともあり、ただでさえ興味ないことには無関心なコチ丸は、授業への興味がすっかり薄れてしまったようです。落ち着きのない性格も相まって、じっと座っていることが苦痛になったのだと思います。ある日、担任の先生から呼び出しを受けて学校へ行くと、「コチ丸くんを中心に学級崩壊が始まっている」と言われました。授業を座って受けていられないコチ丸は、授業中に教室内を歩いたり、担任の先生が授業をしている横で、教卓の上に腰掛けたりとやりたい放題で、ほかの子どもたちもつられて落ち着きがなくなってきているとのことでした。Upload By あき学校には発達障害の診断が出たことは伝えていましたが、小さな学校で特別支援学級の設置はなく、通級指導教室などの仕組みもまだ整っておらず、担任の先生は「コチ丸くんにおとなしくしてもらうしか方法がない」の一点張りでした。このままではらちが明かない!と思った私は、県の教育委員会に直接電話して現状を伝えました。すると、翌日には市に話がいき、小学校に伝わったのか、すぐに校長先生と面談をすることになりました。母子家庭の中で、コチ丸にとっても私にとっても大きかった祖父の存在その後は頻繁に学校から連絡をもらうようになり、担任の先生と校長先生とコチ丸と私で話し合いをしました。「席を立ちたい時は先生に断ってから行く」「授業1時間のうち、〇分以上は席に座る」など、ルールを決めて授業を受けるという話し合いを行いましたが、毎回守れるのは数回だけ。下手したら一度も守られることはないまま、コチ丸は教室を出ていったり歩き回ったりしてまた呼び出しを受ける……そんな繰り返しでした。学校が面白くなくなってきたコチ丸は休むことも増えていきました。実家には私の祖父が一日中家にいたので、コチ丸は祖父に面倒を見てもらっていました。祖父は昔ながらの考え方の人だったので、コチ丸が学校に行かないことを随分と心配していました。同時に、母子家庭で育ったコチ丸にとって同性の祖父の存在は大きく、祖父のことをとても慕っていました。祖父はコチ丸が中学に入った年の夏に亡くなりましたが、最後までコチ丸が学校に通えないことを案じていたように思います。コチ丸は中3になる頃には欠席もなく学校に通えるようになり、さらに生徒会長も務め上げて中学を卒業したので、あと数年生きてくれていたら自信に溢れたコチ丸の姿を祖父に見せることができたのにと思うと、今も心残りです。Upload By あき体育館で昼寝!図書館におこもり!マイペースな学校生活小4になったコチ丸は、学校に行かない日もありましたが、学校に行ったら行ったで教室を抜け出し、体育館で眠っていたり、図書館に入って本を読み漁ったり……校内を縦横無尽に歩き回って自由気ままに生活していました。この年に、学校内に特別支援学級ができましたが、コチ丸は友達の手前、特別支援学級に行くのは抵抗があったようで、所属することはありませんでした。ただフラフラと校内を歩いていると、たまに特別支援学級の先生に声をかけてもらい、ちょっとした手伝いをしたりしていたようです。またこの時期、地元の放課後等デイサービスを土曜日だけ利用してみたこともありました。当時は今ほど放課後等デイサービスも多くなく、市の外れにある田舎の学校に送迎してくれる施設もありませんでした。平日フルタイムで働いている私としては、土曜日だけでもSSTなどを受けられるなら……と思って何度か通ってみましたが、この放課後等デイサービスでは期待していたような支援を受けることはできず、私もコチ丸もそこに通い続ける理由を見つけられなかったので辞めてしまいました。何を尊重するのか?一か八かで決めた育児方法当時のコチ丸は「やりたいことしかやりたくない」という、一方だけ見たらワガママなような、でも違う視点から見たら発達障害の特徴のような、判断がつけ難い特性を持っていました。宿題は一切やらなかったし、放っておくとゲームは隠れて何時間もやっていたりするし……。叱るところなのかもしれませんが、宿題をやらない、時間割に従わない、学校へ行かない、わが家は全てOKにしました。もちろん、後々のことを考えたら将来の不安もめちゃくちゃありました。しかし、無理をさせてコチ丸が心を壊してしまうほうがつらいという思いと、好きなことだけやっていったら自分の道を見つけられるかもしれないという願いもありました。Upload By あき私がこのような考えに至った理由の一つが、コチ丸の記憶力の高さでした。コチ丸は小学校の図書館の本をほぼ全部読み漁るくらいの読書家で、歴史から生物・天体・化学まで、いろんなことに興味がありました。例えばテレビを見ていて動物が映った時に、私には「鹿か何かの仲間かな?」くらいしか分からないような動物の名前を正しく言え、さらにはその動物の特徴まで全て、テレビの解説よりも先に話してしまうということが多々あり、「頭の中はどうなってるんだ?」と驚かされました。Upload By あきまるで図鑑を読み上げるように一気に正確に話す様子をみると、親バカですが「この子は何か特別なことができるのでは?」と思ってしまい、思い込みの激しい私の性格が災い(?)して、好きなことだけとことんやらせてみよう!と無謀にも思ったのでした(笑)。その後、コチ丸は地元を離れ私立中学へ進む道を決め、中学卒業後は馬の勉強をするため北海道の高校を選び、今はいきいきと学校生活を送っています。中学生になっても「〇〇は……」の「は」と「わ」も区別がつかない、九九もまともに言えないコチ丸に、やはり多少なりとも勉強はさせたほうが良かったのか?と中学を卒業するまではハラハラしていましたが、高校生になった今、自ら勉強をするようになり、成績も上位に入っています。今になって、自分が望む進路には勉強が必要だと悟ったようです。中学受験や趣味のドラムを続ける過程で「自分の好きなことをやるためには、これだけはやらなくてはいけないということが時にはある」と、自然と気づいていったのだと思います。まだ道は半ばですが、今のところありがたいことに、母が伝えたかったことを自ら学んでくれているのかなと実感しています。Upload By あき執筆/あき(監修:井上先生より)シングルで子育てをされている中で、お子さんが「学校に行きたくない」と言われた時の混乱とショックは大きかったのではないでしょうか。その中で、おじいさんの存在は、お母さまにとってもコチ丸くんにとっても大きかったことと思います。学校の中で障害特性に配慮してもらうことが困難な場合、在宅という選択肢を選ばざるを得ないこともあると思います。子どもが不安定な時期は短期的な視点に陥りがちですが、少し離れた目線から長期的な視野で見守っていくことも大事になります。そういった意味でも、おじいさんのような方が側にいてくださったことは、大きな安心になったのではないでしょうか。同じような状況で悩まれている親御さんもいらっしゃるかと思いますが、一人で悩まずに、勇気を出して相談できる方をつくっていかれると良いかと思います。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年10月07日『マンガ発達障害の子どもと私たち』みき編が完結。はるき編、みき編のエピローグも公開。そのほかパートナーと子どもの関係や友だちトラブルエピソードなど【2024年9月】読者体験談は、読者の皆さんから寄せられた困った経験、こうしたら良かったといった経験をもとに書き下ろしている人気コラムです。今回は2024年9月にお届けした読者体験談をご紹介いたします。大反響!『マンガ発達障害の子どもと私たち』みき編がついに完結。はるき編、みき編のその後を描いたエピローグも必見です。そのほかパートナーと子どもの関係や友だちトラブルエピソードなど、ぜひご覧ください。苗さんの息子さんは特別支援学級に通っている小学校1年生。全領域DQ(発達指数)が境界域です。「夫は息子に関心がないわけではないのですが、息子との絡み方が不得手で……」とパートナーと息子さんとの関係性が悩みの種の苗さん。パートナーへの伝え方など、専門家のアドバイスも参考になりそうです。現在14歳、中学3年生のまんまゆうままさんの娘さん。11歳直前でADHD(注意欠如多動症)、ASD(自閉スペクトラム症)、LD・SLD(限局性学習症)の診断を受けました。中学校の一時期学校へ行けなくなる事がありましたが今は楽しく通えるようになりました。学校に行く「きっかけ」となった出来事とは一体何なのでしょうか?発達ナビユーザーの体験談をもとにしたセミフィクションストーリー「発達障害の子どもと私たち」。みき編の第3話です。ASD(自閉スペクトラム症)のある小学4年生のみき。学校の勉強についていけず自己肯定感は下がり「学校へ行きたくない」というようになりました。その様子を見た母は――。「発達障害の子どもと私たち」みき編の第4話(最終話)です。学校の勉強につまづき、つらい思いをしているみき。保護者とみきは自閉症・情緒障害特別支援学級へ転学を希望したのですが、判定委員会の結果は「不可」。転学できないと知ったみきは、「今のクラスだったらもう学校に行けない!」と泣きじゃくり……。1話から4話まで、マンガ発達障害の子どもと私たち「みき編」の一気読みはこちらから!発達ナビユーザーの投稿を元にしたマンガ「発達障害の子どもと私たち」。3歳でASD(自閉スペクトラム症)、4歳で知的障害(知的発達症)と診断を受けている小学2年生のはるきさんは、今は「元気をためる期間」だと学校へ無理に行くことを辞めました。ASD(自閉スペクトラム症)の小学4年生のみきさんは、通常学級の学習についていけず、知的障害特別支援学級へ転籍しました。 二人はその後、どのように過ごしているのでしょうか?今回はエピローグ、そして中学校、高校進学について専門家からのコメントをお届けします。ご自身のエピソードを投稿してみませんか?『発達ナビ 読者体験談』は皆さんのご経験を基に制作されています。ご投稿いただいたエピソードは、連載ライターさんのイラスト、専門家の先生からのコメントをつけた上で掲載させていただきます。「あの時は悩んでいたけれど、今はこうなった……」など、発達障害のあるお子さんを育児している皆さんへ、ご自身の経験をお届けいただけないでしょうか。ご応募は以下の応募フォームから受け付けております。皆さんのご投稿を、お待ちしております。【現在の募集テーマ】・障害告知・パートナー(夫婦) 関係・両親(義両親)、親族関係・進学・受験関係・冠婚葬祭関連・反抗期、思春期・自傷・学習関係・不登校、行き渋り・ゲームとの関わり・不器用さについて・ママ友や、ほかの保護者の方とのエピソード・ご近所関係(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2024年10月06日無理に登校はせず、家で過ごすことにしたはるき、希望が叶って知的障害特別支援学級に転籍したみき。二人のその後は?発達ナビ読者の体験を元にした「マンガ発達障害の子どもと私たち」。1章はるき編、2章みき編と無事完結しました。3歳でASD(自閉スペクトラム症)と診断を受けたはるきは、小学校3年生の運動会が終わった5月の下旬頃から「学校を休みたい」というようになって、不登校に。最初は受け入れていた保護者も、長引く休みに焦るようになりました。一方、5歳でASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けているみき。就学相談では通常学級判定となり、通級指導教室に通いながら楽しく学校へ通っていましたが、小学校3年生から勉強につまづきが見られるようになり、小4の「学習の壁」によって登校渋りがでるように。集団授業は難しいのではと思った保護者は、みきが希望する特別支援学級への転籍を希望したのですが、結果は……。1章、2章については、以下記事からまとめ読みができます。今回は、そんなはるきとみきのその後をお届けします。専門家による進学についての解説も併せてご覧ください。マンガ「発達障害の子どもと私たち」エピローグUpload By ユーザー体験談Upload By ユーザー体験談子どもの笑顔を指針に、これからも歩んで行く発達ナビユーザーからの体験談を元にしたストーリーマンガ「発達障害の子どもと私たち」エピローグいかがでしたか?はるきは、学校へ行くことはできていませんが、家でも笑顔が増えるとともに放課後等デイサービスという居場所を増やして元気に過ごしているようです。みきは、知的障害特別支援学級でお友だちもでき、楽しく登校できるようになりました。みきにあった環境を見つけられたようです。笑顔が増えてきたはるきとみき。ですが、これから中学校、高校と将来のことを考えると心配はつきません。発達障害があるお子さんの進路の選び方について、鳥取大学大学院教授で発達障害を専門とする井上雅彦先生に解説いただきます。中学、高校の進路の選び方について【専門家解説】中学でどの学級に在籍するかについては、高校の進学が関係してくるため、注意が必要になります。例えばみきさんの場合、中学でも知的障害特別支援学級を希望される場合、入学前から高校を受験することを前提に教育課程を組んでいただくようお願いする必要があります。知的障害特別支援学級では、一般的に各教科の指導というよりは、自立活動を中心にカリキュラムが組まれることが多いため、そのため、通常の高校への進学は難しくなるケースもあると思います。自閉症・情緒障害特別支援学級や病弱・身体虚弱特別支援学級の場合は、こうした心配はありません。地域によっても多少の違いがあるので、中学校に就学する時点で、高校の進路についてもある程度相談しておくことが必要ではないかと思います。参考:3.特別支援教育に関する学習指導要領等|文部科学省教育課程の編成について2特別支援学級Upload By ユーザー体験談「発達障害の子どもと私たち」最後までお読みいただきありがとうございました。【マンガ発達障害の子どもと私たち】(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年09月26日トラブルが多かった1年生。2年生からは特別支援学級へUpload By もっつんタクは小学校に入学してから、トラブルや教室からの脱走が多発していました。スクールカウンセラーとの面談の末に、2年生に進級するタイミングで特別支援学級に転籍をしました。転籍に向けて1年生の終わり頃から、何度か特別支援学級の教室を見学したり、担任予定の先生とお話しをしたりしたので、不安は少なかったです。少しだけ気に掛かっていたことは、今まで同じクラスで学んでいた友だちや保護者の受け止め方でした。憶測でいろいろと言われてしまうんじゃないかと不安な気持ちがありました。噂などを未然に防ぐために私が行ったのは、1年生の年度末保護者懇談会で「2年生から特別支援学級でお世話になることになりました!」と堂々と宣言することでした。そのためか、周りの保護者の方からの理解もスムーズだったと思います。お友だちとの関係については、先生が「タクは2年生から苦手な教科を別の教室で受けることになったよ。でも今まで通り給食や休み時間は一緒に過ごせるからね」と分かりやすく事前に説明をしてくれました。先生が自然にフォローしてくださったおかげで、何の違和感も無くクラス移行ができたと思います。タク本人に至っては、全く心配は無く特別支援学級で授業を受けることを楽しみにしていました。教室の後方にクールダウンスペース。特別支援教育ならではの配慮Upload By もっつん2年生になってからのタクは、学校での問題行動がぐっと減りました。授業中の教室から突然逃げ出してしまうということも、特別支援教室ではほとんどなくなったそうです。これは少人数で見てくれていることと、タクがソワソワ落ち着かない状態になった時に先生が早い段階で気付いてくれて声かけをしてくれていたからだと思います。授業参観をした際には、教室の後方に低い棚があってその後ろにはマットが敷かれていました。そこはクールダウンスペースとなっており、気持ちがソワソワしてしまった時には先生に伝えてからその場所で静かに過ごすことができます。落ち着いて授業に参加できるようになったら、自ら机に戻ってまたすぐに勉強を再開することができます。実際にクールダウンスペースを利用しているクラスメイトを見たこともありますが、すごく良い取り組みだなぁと感動しました。自分の気持ちの状態を自覚して行動ができるように、さまざまな工夫がされているんだと思いました。落ち着いて過ごせる時間が長くなったことで、給食や交流学級での授業中もトラブルを起こすことが減っていったのだと思います。量より質。達成感を重視した宿題Upload By もっつん特別支援学級になってから大きく変わったことは、勉強の中身です。タクの場合は使っている教科書は通常学級と同じものでしたが、授業の進むスピードがバラバラでした。得意な教科はどんどん先に進んで、飽きさせないようにさまざまな応用問題を準備してもらっていました。逆に苦手な教科については、過剰に精神的負荷がかからないように細かく分けて授業をしてもらっていたようです。苦手な課題を終わらせたら、残り時間は好きな工作をやっていいなどルールを明確化していたとのことです。タクは、SLD(限局性学習症/学習障害)の中のディスグラフィア(書字表出障害)の傾向が強くあります。黒板の文字をノートに写すのがとても苦手で、マスの中に文字を収めることがなかなかできません。そんなタクの特性に合わせて、板書が必要最低限で済むようなプリントなどを使って授業を行ってくださいました。宿題の漢字では、(右利きのタクに合わせて)左のマスに先生がお手本を書いて、それを見ながら右側に記入できるように毎日工夫してくださいました。記入は1回のみでOKで、一番下のマスまで書く必要はないと説明を受けました。最初の頃は「これじゃ簡単すぎないかな?こんなに甘やかしたらどんどん文字が書けなくなってしまうんじゃないか……」と心配になることもありました。しかし長い目で見ると、これが当時のタクにとっての適量の宿題だったんだと納得です。量をこなすよりも、出された課題を最後まで終わらせるという成功体験が必要だったのです。また、今まではとにかく文字に強い苦手意識を持っていたタクですが、文章問題を音読してもらうことによってスムーズに計算を始めることができるようになりました。汚い字でも読めない字でも全否定しない先生の存在が、タクに自信を与えてくれたのだと思います。忘れ物を減らす工夫を、先生と考えるUpload By もっつん1年生の授業ですでにつまずきを感じていたタクですが、3〜4人ほどの少人数クラスで授業を受けることにより、細かく手厚いサポートのおかげで学力が追いつきました。勉強以外の面でも、変化が見られました。教室移動などの際に忘れ物が多いタクでしたが、先生の提案により学校内用のバックを使うことになりました。中身が透けて見えるタイプで、教科書と筆箱がぴったりとおさまる小さめのものです。このバックのおかげで移動教室の際にも、忘れ物や置き忘れが劇的に減っていきました。周りの大人も本人も頑張りました!Upload By もっつん小学2年生から特別支援学級に転籍したタクですが、本人にとってとてもプラスの結果となりました。転籍の打診をされた時は、私自身は正直とてもショックでしたが……間違いなく転籍して正解だったと思います。一人ひとりに合わせたペースで授業をしてくれて学力も伸び、刺激が多い学校生活の中で安心できる場所になりました。学年が上がる度に少しずつ集中力も付いて、交流学級で受ける授業が増えました。低学年の頃は「変わったやつ」だと言われることもありましたが、今では「変わってるけど面白いやつ」にキャラ変できた!!と本人も言っています。特別支援学級に転籍という未知の道でしたが、先生たちのおかげで良い学校生活が送れたと思います。そして何よりも、少し変わり者で面白くて優しいタク本人の努力の結果だと思います。タクは中学3年生になった現在でも特別支援学級に在籍しています。長い学生生活で、親から見てつらい場面や、やるせない出来事もありましたが、心身共に成長できたのは支援のおかげだと思っています。執筆/もっつん(監修:初川先生より)通常学級に入学したタクくんが2年生から特別支援学級に転籍してみてのお話をありがとうございます。転籍を勧められるとショックを受ける保護者の方は多くいらっしゃいますが、実際移ってみるとお子さんがいきいきと過ごし、楽しそうに学習するようになったなど良い変化を目の当たりにされることも多いように感じます。転籍にあたって、1年時のお友だちや保護者の方へどう説明しようかと悩まれたもっつんさん。学年末の保護者会で自らそこをお伝えされたとのこと、勇気のいることだったと思いますが、私は最適解だったと感じます。もっつんさんが心配されたように、変な噂が出ることやそれによって同じ学校でこれからも過ごしていくタクくんにとって何らかネガティブな影響が出てしまうのは避けたいところです。保護者の方に直接お話できる保護者会という機会を活かすのはとても良い方法だと思います。子どもたちへの説明は、担任の先生とご相談の上、担任の先生からなされるのもとてもよかったですね。先生の説明の仕方も発達段階に合った良い説明だと思います。さて、特別支援学級での学びのいろいろについてもご紹介ありがとうございます。少人数だからこそ、個々人の得意不得意に合わせやすかったり、そもそもさまざまな障害・つまずきとそれへの対応に長けた先生も多くいらっしゃったりする環境です。具体的にタクくんに対する個別的な支援の実際をうかがうと、細やかに工夫いただいて、これは心強かったろうと思いますし、タクくんにとっても安心して学ぶ環境になったろうと思います。難しいことに困難を伴いながら頑張らせてもなかなか伸びなかったり、あるいは途中で心が折れたりしてしまうものです。自分にとって、しっかりと手応えと達成感を得られる課題から、成功体験を積んで学習をスモールステップで積み上げていくこと。学校生活において学習時間はなかなかの比重があります。その時間でしっかりとお子さん本人が手応えと達成感を得ながら取り組める環境になったことが、本当によかったなぁと感じます。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2024年09月26日ADHD(注意欠陥多動症)・ASD(自閉症スペクトラム症)の就学児童における原始反射の残存度と、3ヶ月の運動介入による変化を明らかにする研究を実施株式会社Gotoschool(本社:東京都渋谷区、代表:松本 哲)は、早稲田大学スポーツ科学学術院・広瀬統一教授との共同研究テーマ「神経発達症児童の原始反射と社会性発達の変化」について、『第74回日本体育・スポーツ・健康学会(2024年8月30日、全面オンライン開催)』にて研究発表を行いました(発表者広瀬統一教授)。Gotoschoolは「あきらめを、チャレンジに」をミッションに、「人々の眠れる可能性の顕在化」をビジョンに掲げ、児童福祉法に基づく児童発達支援、放課後等デイサービスである「子ども運動教室LUMO(ルーモ)」において、医師監修による独自の原始反射統合プログラムを通じて発育発達をサポートするサービスを提供しています。本研究の背景には、神経発達症(発達障がい)の児童の増加があります。文部科学省の調査によれば、この10年で通常の学級に在籍する特別な教育的支援が必要な児童や生徒は6.5%から8.8%にまで増えていることが明らかになっています。神経発達症児童の行動上の特徴には、原始反射の残存が関係している可能性が報告されていますが、特に就学期以降の情報は限られています。また、原始反射の統合方法である運動介入についての研究も、進んでいません。広瀬統一教授とGotoschoolは、医師からADHD(注意欠陥多動症)・ASD(自閉症スペクトラム症)と診断された就学期児童の原始反射の残存度と、3か月の運動実施による原始反射の変化と対人応答の変化を明らかにすることを目的に、共同研究を行いました。この結果、先行研究同様ADHD・ASDの就学児童には、生後24ヶ月程度で統合されると言われる原始反射がいくつかの項目で高い割合で残存していることが示されました。3ヶ月の運動介入の結果では、ATNR(非対称性緊張性頚反射)の残存度が、ASD児童において有意に低下することがわかりました。運動のみの介入であってもATNR統合の効果が期待できる可能性が示されたことになります。ATNRは手と足、目と手など、異なる動きをする身体の各部位を連動させる協調性に関わります。残存度が高いと、神経系全体のコントロールが難しくなることが指摘されており、手と目の協調とバランスが低下するといった先行研究もあります。同じく改善のみられた指対立(掌握反射)とは、手の母指と他4指とが向き合う動作です。指対立が困難だとつまんだり握ったりする行為が阻害され、不器用さにつながります。また、社会性発達対人応答尺度は3か月間で低下傾向を示し、ADHD児童において有意に低下しました。本研究の結果は、3ヶ月という期間であっても、運動介入が発達神経症児童、特にASD児童の原始反射の統合や、ADHD児童にみられる社会性発達対人応答などの特性の軽減に影響を与えることを示しています。後は1年以上の長期的変化の観察や、対象群の設定・原始反射の段階的評価基準の検討をすることによって、その詳細をいっそう明らかにしていきたいと考えています。研究概要■方法:医師による診断があるASD(15名)・ADHD(13名)8~12歳の男女児童が対象。1~2回/週(平均1.4回)、1時間/回の運動プログラムを12週間実施。原始反射残存度のテスト・SNSs(微細神経学的徴候テスト)・社会性発達対人応答尺度(対人行動、コミュニケーション、反復/情動行動などの症状を測定する検査。保護者が担当)を実施。■結果:社会性発達対人応答尺度に関して、ASDの児童群の総得点は70点と中等度の重度を示し、12週後に改善は見られたが統計学的有意差はなかった。ADHDの児童群の総得点は120点後半と極めて高い重度を示し、12週後に統計学的有意に改善が見られた。特に精神病理一般に大きな改善が見られた。研究開始時、原始反射では、ATNR、ランドゥ、ガラント、指対立(掌握反射)の残存度が高かった。12週後、ATNR四つ這いとATNR立位、指対立が有意に改善していた。原始反射残存では、SNSsもASD群の方がADHD群よりも多く陽性が見られた。■考察:課題①今回の研究でも先行研究と同様に24ヶ月程度で統合される原始反射が、就学期においても残存していることが示された。課題②運動介入によって原始反射残存度が改善した先行研究のHemispheric-based training(運動・生活習慣・栄養へ介入した包括的なプログラム)とAM同じような項目について、同程度の改善が示された。本研究は包括的なプログラムではないにもかかわらず改善した事は、運動の影響があるものと考える。ADHD群の対人応答尺度がより大きく変化したことは、初期値がかなり高かったことがあると考えられる。最後に協調運動の陽性率と変化に関して、片足立ち・踵歩行のアクセサリームーブメント(AM)・前腕回内外とAMの陽性率が高く、ATNRや指対立と似たような改善が見られた。先行研究においてもATNRの残存度が高いと手の協調とバランスが低下する、AMが神経筋系全体の抑制機能を反映するという報告がある。ATNRの統合が前頭葉、前頭前野の発達・協調運動・抑制機能の関係を今後検討する必要がある。今後は1年以上の長期的変化・対象群の設定・原始反射の段階的評価基準の検討をしていく必要がある。早稲田大学スポーツ科学学術院・広瀬統一教授のコメントスポーツ科学の領域から子どもたちの教育やスポーツに関わる立場から、神経発達症のお子さんを取り巻く環境に大きく3つの課題があると感じています。・神経発達症がどういうもので、どんな特性を持っているのかについての社会的な理解が不足している・神経発達症の行動特性自体が運動あるいは遊びやスポーツによって和らいでいく可能性があることが認知されていない・専門的に支援するための総合的なプラットフォームが確立されていない今回の研究結果では、ADHDのお子さんの社会性対人応答尺度、いわゆる行動指標と言われるものが、3ヶ月後には低下していました。様々な運動を継続的に行うことで症状が和らぐ可能性が示されたと考えています。これまで言われてきた運動の効果を反映した結果として、ポジティブに捉えています。ここからさらに長いスパンでみたときには以下2つの課題があると考えています。・長期的に運動を継続すれば同じように改善し続けるものなのか・一定の閾値があって、それ以降は改善しにくくなるものなのか私は、改善しないとは思っていません。より個別化された運動プログラム、場合によっては生活習慣も含めた包括的な対応が必要になるかもしれませんが、その先の広がりも期待できるという意味で、様々な症状の改善への可能性を感じています。児童発達支援や放課後等デイサービスといった支援を提供する事業所には、5つの領域(①健康・生活、②運動・感覚、③認知・行動、④言語・コミュニケーション、⑤人間関係・社会性)を包括的に支援することが求められています。これらの支援に対して遊びや運動の貢献度は高いと考えていますが、さらにその周辺の要素もしっかりと把握してく必要があります。例えば栄養、睡眠などの生活習慣、そして、親・兄弟、周囲の子どもや大人たちとのつながりも大事です。これらを包括的に支援できる環境を整えていくことが大事だと思います。神経発達症といってもさまざまなケースがあります。子どもたちに限らず大人に対する事業所すべてにも、遊びや運動の導入、そして生活習慣やひととのつながりを含めた包括的な支援を期待したいと思います。広瀬 統一早稲田大学スポーツ科学学術院 スポーツ科学部教授1997年早稲田大学人間科学部スポーツ科学卒業後、東京大学大学院総合文化研究科に入学し、さらなる研究を重ねた。2006年からは早大に戻り、現在は教授として教鞭をとる。ジュニアからユース世代のサッカー選手のフィジカルコーチとして、ヴェルディ川崎(現東京ヴェルディ)、名古屋グランパス、京都サンガで活動。06年より日本サッカー協会フィジカルフィットネスプロジェクトメンバーに就任し、08年からはサッカー女子日本代表フィジカルコーチとして女子サッカー選手のサポートを行ってきた。また、スポーツ外傷・障害予防とコンディショニングをテーマに、若年層から成人まで幅広い年齢層を対象に研究を行っている。アップルシード・エージェンシーは株式会社GotoschoolのPR活動をサポートしています株式会社Gotoschool | 障がい者への療育事業と就労支援 : 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2024年09月24日受験生になりきれない?相変わらずマイペースなコウですUpload By 丸山さとこ神経発達症(発達障害)がある息子のコウは現在中学3年生です。いよいよ夏休みを迎えたコウを1ヶ月半見守ってきましたが、「いつもよりは勉強しているといえばしているかな?」くらいの感じで受験生の夏は終わりました。とはいえ、宿題をおおむね8月前半までに終えたことには、例年との大きな違いを感じました。なぜなら、コウは宿題を出さないことに定評がある学生生活を7年間続けていたからです。コウにも、これまでに宿題を出していた時期はありました。宿題の量が少なく簡単だった小学1年生の時と、担任の先生が提出物一覧表を毎週配布してくださっていた小学4年生の時の計2年間です。それ以外の学年では中学2年生に至るまで「宿題を提出しない丸山コウ君」として職員室で名を馳せてきた彼の『宿題未提出問題』の根深さは、相当なものでした。中学2年生は本人なりに頑張りを見せて、先生方からも「波はあるが、以前よりは出せている」と評価を受ける程度には宿題を提出できるようになってきました。それでも未提出の多さが内申点の足を大きく引っ張っている状況でした。宿題を提出して成績を上げたいコウが考えたこと成績表を見るたびにコウ本人も「成績を上げたい。そのためには宿題を提出しないとね」と言って意欲を見せていましたが、具体的な対策はなかなか定着しにくく困っていました。そうこうしている内に中学3年生になり、「1学期の時点で内申点を少しでも上げられなかったら、もう志望校を変えなければいけない」という段階にきてしまいました。私や夫が宿題のチェックをしようにも、コウが持ち帰り忘れたり提出を忘れたりしていてはどうにもなりません。いよいよ困り果てていた1学期上旬のある時、学校で身体測定を終えたコウが「体重が増えていたから、ADHD(注意欠如多動症)治療薬の量を増やせるかもしれない。病院で相談してみたい」と言いました。Upload By 丸山さとこコウは小学4年生からADHD(注意欠如多動症)治療薬を服用しています。幸い大きな副作用は現れず、体重に合せて服用する量を増やしていました。その過程で、コウは『体重が増えてくると薬の効果が薄くなっていくこと』や『服用量を増やしていくとある時点で効果がハッキリ感じられるようになること』を実感していました。そのため、コウが薬の増量を希望したのは彼なりに経験を踏まえて考えたことなのだろうと思い納得しましたが、コウが自分から増量を明確に希望したことは初めてだったため少し驚きました。さまざまな環境調整を行った上で服薬を開始し、コウ本人も納得して続けている治療薬ですが、たまに吐き気や怠さなどの副作用もあります。私自身もADHD(注意欠如多動症)治療薬を服用しており、薬による負担があることは実感しています。薬を服用することで、私もコウも「人からの話が入りやすくなる」「パニックになりにくくなる」などのメリットは感じていますが、それは服薬により全てが解決するような目覚ましい効果ではありません。そのため、改めてコウに「薬の服用は負担が大きくない?」と聞いてみると、コウは「負担はあるけど、飲んだほうがずっと楽だから」と答えてくれました。Upload By 丸山さとこコウは「飲まないと頭が疲れるんだよ。学校は人が多いし、その分考えることも多いからね。授業に集中したいし、宿題も忘れたくないからね」と理由を伝えてくれました。私は『中学校はコウにとってそれくらい負担の大きい環境なのだな』と改めて思いつつ、『薬の増量を初めて希望するくらい、彼なりに受験に対して真剣な想いがあるのだな』と納得しました。マイペースでも、コウなりに受験を意識しているそうですそうして、コウの受験への真剣さを感じて『一見マイペースな受験生にしか見えないけれど彼なりに頑張っているのだろうな』としみじみしたところで、夏休みはあっという間に終わってしまいました。高校入試まであと半年もないのだと思うと、時間の流れの早さに驚かされます。私は『どのような結果になろうと子どもの自主性に任せて見守る親』になる度量が全くないため、夏休みの間何度もコウに「受験勉強するか志望校を変えるか、どちらかにしない?」と言っていました。Upload By 丸山さとこそんな私ですが、コウが彼なりに頑張っているのだろうということは分かります。そして、その頑張りは中学3年生になるまではどうしてもできなかったのだろうということも、これまでを見ていると何となく分かります。これからも受験当日までマイペースなコウに対してハラハラそわそわすることはたくさんありそうですが、それをできるだけコウにぶつけず、たんたんと声かけを継続できるように心がけていきたいです。Upload By 丸山さとこ執筆/丸山さとこ(監修:室伏先生より)さとこさん、受験生になられたコウくんのご様子や成長の過程を詳しく共有くださり、ありがとうございました。コウくんは、ご自身の特性や状況をよく理解し、向き合われているのですね。ADHD(注意欠如多動症)のお薬について、内服を悩まれている親御さんも少なくないことと思います。内服薬での治療は、根本的な治療ではなく、あくまでも対症療法です。つまり、内服している期間に困っている症状を抑える効果はありますが、ADHD(注意欠如多動症)の症状を根本的に治すというものではなく、何らかの理由でお薬の内服を中止した場合にはまた症状が目立ってくる可能性があります。もちろん、内服期間中の成長や、環境調整・生活の工夫などにより、内服前に困っていた症状が内服中止後目立たなくなることもあります。対症療法と聞くと、幼少期に開始した薬を、生涯にわたり内服をしなければならないのかと不安に感じてしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、成長に従って、またご本人のおかれている環境の変化から、内服が必要な状況ではなくなり、中止される方もたくさんいます。内服のメリットは、症状が一部緩和され、ご本人や周囲の困難や、生活の負担が軽減するということがありますが、ニ次障害を防ぐということも重要なメリットの一つです。ADHD(注意欠如多動症)の方は、叱責を受けやすい、勉強に集中ができなくて成績が上がらない、友達関係がうまくいかない、などの失敗体験が積み重なって、「自分はだめなんだ」と自己肯定感が低下してしまうことがあります。このようなつらい気持ちが続くと、抑うつ、不安障害、暴力暴言、引きこもりなどに繋がってしまうことがあります。これを二次障害と呼びます。思春期は、周りからの評価が気になったり、自分自身を見つめ直したり、人間関係における悩みも強くなる時期ですので、生活上のお困りだけでなく、気持ちの面にも配慮して投薬を検討できるとよいと思います。デメリットの一つに、副作用があります。副作用は薬剤によっても違いますが、コンサータでは不眠や食欲低下、体重減少、ストラテラでは嘔気、頭痛、眠気、食欲減少、インチュニブでは、眠気、頭痛、立ちくらみなどをよくお伺いします。思春期は生活の変化に伴って睡眠リズムが崩れがちになったり、起立時の血圧変動による立ちくらみが増える時期です。長期に内服を継続している方で、これまでに副作用がなくても成長の過程で生じてくることもあります。もう一つのデメリットとしては、お薬を内服していることで、ご自身の発達症、特性に気づき、それに悩んでしまう可能性があるということです。これは必ずしも悪いことではありません。ご本人の発達段階にもよりますが、ご本人の特性について話し合う良い機会にもなりうるでしょうし、ご自身の特性について理解していくことは、今後の人生を生き抜いていく上で大きな力になることと思います。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年09月23日マンガ「発達障害の子どもと私たち」2章みき編が完結!マンガ「発達障害の子どもと私たち」は発達ナビ読者の体験談から生まれたセミフィクションストーリーです。特性による困りごとに、ストレスを感じ学校へ行けなくなってしまう子ども、そしてそんな子どもが幸せに、笑って過ごしてもらえる環境を求め続ける家族。それぞれの家族の決断は?プロローグはこちらからご覧いただけます。身体症状が出て不登校になった1章はるき編に続き、みき編も完結しました。5歳でASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けたみき。小学校入学の際、就学相談で通常学級へ進学するか知的障害特別支援学級に入るか悩みましたが、IQが入級基準以上だったため通級指導教室へ通いながらの通常学級判定に。小学校2年生までは問題なく登校できていたのですが、小学校3年生から勉強に難しさを感じるようになり、小学校4年生になると「学校へ行きたくない」というほどに……。また、みきの担任の先生はそんなみきの困りごとにどう対応していいのかも分からない様子。保護者はどうすればいいか悩んだ末、ある結論を出すのですが……。「今のクラスだったらもう学校行けない!」転籍を希望した結果は?「みき編」を完結まで一気読み以下関連リンクから全4話を一気にご覧いただけます。はるきとみきのその後は……?次週二人のエピローグをお届け無理に登校はせず、家で過ごすことにしたはるき、そしてみきのその後については次週公開のエピローグでご紹介します。お楽しみに。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年09月19日DQ(発達指数)が境界域の息子は何につけても「ママがいい!」。パパは……?わが家には特別支援学級に通っている小学校1年生の息子がいます。息子は全領域DQ(発達指数)が境界域で、医療機関での診断はまだ受けていませんが、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)の特性があると感じています。もうすぐ7歳になりますが、何につけても「ママがいい!」と言いがちです。そして夫は、それをいいことに、息子と積極的に関わりたがらない傾向があります。こういうことは子どもの発達に関係なく多いだろうとは思いますが、わが家の場合は、そこに息子のこだわりの強さも加わり、夫、私、息子のそれぞれの関係性や役割が固定化されてしまっているのが悩みです。関心がないわけじゃないけれど……夫は息子との絡み方が絶望的に下手夫は息子に関心がないわけではなく、「お風呂に入れてやって」「宿題をみてあげて」など、こちらが頼んだことはやってくれます。特別支援学級の先生と私とのやり取りが書かれた連絡帳を読んでいたり、私が息子の様子について話すと真面目に耳を傾けてくれていたりもします。ただ、残念ながら、息子との絡み方が絶望的に苦手なんです。息子が機嫌良くしゃべっている時に、小さな子どもには分かりづらい皮肉っぽい言い回しでコメントしたり、息子の言い間違いのあげ足を取ったり……。息子がごっこ遊びをしているとき、夫がクスクス笑いながらその様子をのぞき見していることがあるのですが、息子はそれを非常に嫌がり、「ごっこ遊びは絶対にママとしかしない!」と決めてしまっています。Upload By ユーザー体験談「笑われる=バカにされている」と思ってしまう息子息子は、非言語コミュニケーションが苦手なので、「笑い」を誤解しがちな傾向があります。彼の中では「笑われる=バカにされている」という図式が強固なので、こちらが息子の発想のユニークさに笑ったり、息子の行動がほほえましくて笑ったりしたとき「今、僕のことバカにしたでしょ」と言って怒ることもしばしば。私は、「違うよ、○○くんが面白いことを上手に言ったから、思わず笑っちゃったんだよ」「その踊りがかわいくて、すてきだなぁと思って、ニコニコせずにはいられなかったの!」などと、人が笑うのはバカにしているときだけじゃないことを、そのつど説明していますが、夫との距離は開くばかり……。Upload By ユーザー体験談もっと息子に寄り添った接し方をできないの?批判に弱い夫にどう言えばいいか……夫に対して「もっと息子に寄り添った接し方はできないのかな~」と思いはしますが、そこを突くとまずい予感がして、何も言えていません。夫は物腰が柔らかく、一見聞く耳を持っているようにみえるのですが、実はプライドが高く、批判にかなり弱いタイプだからです。会話が弾まないなら弾まないで、一緒にどこかに出かけたり、外遊びをしたりしながら仲良くできればいいのですが、息子はかなりの外出嫌い。知らない所へ行くことや、長時間の移動が苦手です。なので、外出先は近場の公園やショッピングモールに限定されがちです。また、夫は休日の仕事が多く、息子はじいじ(私の実父)に遊んでもらうこともよくあるのですが、じいじは根っからの子ども好きなので、結果、息子はじいじになつき、夫とはさらに距離が生まれている感もあります。Upload By ユーザー体験談今はこれでいいのですが、本当は私ももっと仕事がしたいので、夫にも積極的に息子への関り方を学んでほしいです。それに、父も私も今は健康ですが、人生、先のことはわかりません。夫だけになったら、息子はどうなるのか……。こうしたことを考えると、夫と息子の心の距離がもっと近づいていてくれると助かるのになぁと思わずにはいられません。夫へどのように声がけをしていくか……これが今の課題です。Upload By ユーザー体験談イラスト/keikoエピソード参考/苗(監修:井上先生より)お父さんは育児にまったく無関心なわけではなく、連絡帳を読んだり、頼まれたことに協力などはしているので、ご自分では「できることは頑張っている」という認識なのかなと思います。それだけにお子さんへの接し方についてはプライドを傷つけないように伝えてみてはどうでしょうか。例えば「最近、友達や先生に皮肉っぽく言われたことをすごく気にしているから、ストレートにいいところを褒めてあげてほしい」のように「最近〇〇な感じだから××のようにしてくれると助かる」といった言い方などです。また、子育ての方針について違いがある場合には、主治医や専門機関に相談するときに夫婦で一緒に行って話を聞いたりするとお父さんも納得しやすいかと思います。心の距離についても今はもどかしい気持ちもあると思いますが、子どもも日々成長し、どこかのタイミングでお父さんと共通の趣味ができ、急に距離が縮まる場合もありますので、育児に協力してもらいながら長い目で見守っていきましょう。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年09月17日小4「学習の壁」の苦悩…『マンガ発達障害の子どもと私たち』みき編がスタート!そのほか不登校や登下校トラブルエピソードなど【2024年8月】発達ナビでは発達ナビ読者から寄せられた「困った経験」「こうしたら良かったといった経験」などを読者体験談としてお届けしています。今月も、読者の皆さんからさまざまなエピソードが集まりました。そのエピソードをもとに漫画コラム化!8月は大反響のあった『マンガ発達障害の子どもと私たち』はるき編に続き、小4の「学習の壁」で悩む【みき編】がスタートしました。そのほか「不登校」や「登下校トラブル」の体験談なども紹介いたします。小学4年生のみきさんは5歳でASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けました。就学相談では通常学級判定となり、通級指導教室に通いながら楽しく学校へ行っていました。ですが、小学校3年生から勉強につまずきが見られるようになり……。専門家による「勉強の苦手さの背景にある書字困難」についての解説もぜひご覧ください。「学習の壁」にぶつかり、終わらない宿題に涙を流すようになったみきさん。「学校へ行きたくない」という娘の姿に母は苦悩しますが、学校公開でのみきさんの様子を見てある思いが芽生えます。専門家による解説「心理面の支援と通常学級の中での特性にあわせた支援」では担任・特別支援教育コーディネーター・通級指導教室の先生との連携についてなど参考にしたいアイデアも詰め込まれています。小4から不登校になりASD(自閉スペクトラム症)、反抗挑戦性障害(反抗挑発症)の診断を受けた現在中学1年生の息子さん。完全不登校となってからは家庭内での他害といったトラブルも多く、どうしたら外へ気持ちを向けてくれるか、中学校はどこへ進めばいいか悩みは尽きずで……。小学1年生の3学期にADHD(注意欠如多動症)、ASD(自閉スペクトラム症)と診断を受けた14歳の息子さん。小学1年生の運動会前から、登校班での登校渋りが始まり、なんとか登校するようにさせていたのですが、ある朝、担任の先生から「学校に通報があった」と連絡があり……!?ご自身のエピソードを投稿してみませんか?『発達ナビ 読者体験談』は皆さんのご経験を基に制作されています。ご投稿いただいたエピソードは、連載ライターさんのイラスト、専門家の先生からのコメントをつけた上で掲載させていただきます。「あの時は悩んでいたけれど、今はこうなった……」など、発達障害のあるお子さんを育児している皆さんへ、ご自身の経験をお届けいただけないでしょうか。ご応募は以下の応募フォームから受け付けております。皆さんのご投稿を、お待ちしております。【現在の募集テーマ】・障害告知・パートナー(夫婦) 関係・両親(義両親)、親族関係・進学・受験関係・冠婚葬祭関連・反抗期、思春期・自傷・学習関係・不登校、行き渋り・ゲームとの関わり・不器用さについて・ママ友や、ほかの保護者の方とのエピソード・ご近所関係(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年09月14日