不器用で学校も休みがちだった息子現在14歳の息子は、小学1年生の時にASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如・多動症)と診断されました。小さい頃から不器用さが目立つと共に、音や匂いに対する感覚過敏があったため、集団生活では疲れてしまう息子。小学2年生~中学1年生までは学校を休みがちで、何かと心配でした。なぜ手を離す!?ブランコ流血事件といつも反対方向に動いてしまうラジオ体操息子が6歳だった時のことです。公園で息子はブランコをしていたのですが、いきなり手を離し後頭部から落ちて、地面の石にゴツン!頭から出血してしまいました。派手に出血したので慌てて病院に行き、縫ってもらいましたが、吐いたりすることもなく大事には至りませんでした。Upload By ユーザー体験談落ち着いてから息子になぜ手を離したのか聞いてみると、手を離したらどうなるかと思ってやってみたと言うので驚きました。おそらく、手を離したら体がどのような動きをするかが想像できなかったのだと思います。普段からボディイメージが弱いのではと思っていましたが、それが原因なのかもしれないと思った私。今後もケガにつながりそうで怖いと思ったので、ブランコ遊び中に、手を離すと落ちてケガをするので、離さないようにと息子に伝えると共に、他の動きについても細かく教えていく必要があると感じました。Upload By ユーザー体験談この時はまだ診断前でしたが、息子は何かが違うという違和感がありました。また息子はラジオ体操も苦手でした。いつも前屈で膝が曲がってしまいましたし、周囲と反対方向に動いてしまいます。幼稚園から小学低学年まで、運動会でラジオ体操をする時間があったのですが、その動画を撮影しながら周りとはあまりにもかけ離れた息子の動きに、かわいらしいとつい笑ってしまいました。ラジオ体操の動画を見せ本番に向けて家で数回練習しても、あまり上達は見えません。ただ、本人は体操できないことをあまり気にしていなかったのが幸いでした。家で行った不器用対策は「ともかく予習すること」このような息子だったので、初めて何かに取り組むときは、なるべく家で練習するようにしていました。蝶結びや習字、裁縫や彫刻刀などは、やり方が説明されている動画を見て授業前に自宅で予習です。物の使い方というものは対面で教えるのがなかなか難しいため、私は息子の横に座って、手取り足取り教えるなどしていました。また道具選びにも注意して、コンパスといった文房具は不器用な子どもでも使いやすく工夫したものを利用しました。息子は利き手が決まらなかったので、今もはしは右手持ち、鉛筆は左手持ちです。蝶結びができるようになったのは、小学3年生でした。不器用さはついてまわりましたが、少しずつできるようになっていく様子をみるのはうれしいものでした。Upload By ユーザー体験談息子は小学2年生~中学1年生までは学校を休みがちで、小学5年生、6年生の2年間だけ通級指導教室を利用しましたが、それ以外は通常学級でなんとか過ごしていました。中学生になってもこのまま学校に行ったり休んだりなのかなと思っていましたが、中学2年生の時に息子に大きな変化があったのです。それ絶対苦手じゃない!?母の心配をよそに中学2年生で運動部に入部した息子は……中学2年生になった息子は、なんと友人から誘われて集団競技の運動部に入部したのです。ただでさえ学校を休みがちでしたし、その上部活までできるのか不安でした。それに、不器用さがあるので運動が苦手な面があるのはもちろんですが、瞬時の判断や相手に負けない気持ちやぶつかる場面などがあるスポーツなので、争いが苦手な息子には1番不向きでは?とびっくりしました。ですが、母の予想に反して部活に入ってからの息子はどんどんいい方向に変わっていきました。まず、なぜ学校に行かなければならないのかと言わなくなり、休まず登校できるようになりました。友人関係も良好になり、休日も遊ぶ仲間ができました。Upload By ユーザー体験談当然毎日忙しくなります。そこでたまったストレスを解消し充電する時間として、下校後や部活動後にトイレにこもるようになりました。ですが、その時間を過ごせば、また学校へ行って部活ができるので、これは息子なりの回復方法、許容範囲内だと思っています。そして約2年間部活に通い続けた息子は、心身共に強くなりました。一方で、学習面でも塾を利用しながら勉強方法のコツをつかんで、中学3年生で成績が伸びました。忘れ物や整理整頓が苦手でうっかりミスが多いですが、大事なものはなくさないように意識できるようになり、家の鍵をなくさなくなりました。感覚過敏もほぼなくなったように感じます。思春期で親には塩対応ですが、これも成長の証。大きな成長をただただ目を細めて見ています。目標は一般就労と一人暮らし!きっと叶えられるよ!現在の息子の目標は一般就労と一人暮らしです。中学での大きな成長を見る限り、このまま頑張り続けてくれれば、夢ではないのではと思っています。息子は実行機能が弱く、後回し癖がある点が心配なのですが、だんだんとやるべきことを優先できるようになっていってほしいです。仲間と楽しく過ごして、自立に向けて家事や金銭、健康、時間管理の術を身につけていって人生を謳歌してくれたら、こんなにうれしいことはありません。イラスト/吉田いらこエピソード参考/カピバラ(監修:藤井先生より)ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如・多動症)と診断されていても、成長はそれぞれ違いますね。14歳になる息子さんの成長を読ませていただき、そのことを実感いたしました。なるべく、生活に支障がないようにと、できることはしてあげたい親心からいろいろサポートしても、それをしたからすぐに実を結ぶとは限りません。友人との出会い、好きな趣味との出会い、などさまざまな経験も成長の糧になることがあります。「大きな成長をただただ目を細めて見ている」とのこと、とても良いなと思いました。わが子ゆえ、気になることはあるのかもしれませんが、お子さんのペースで成長している様子を見守るのも大切ですね。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年12月07日良くも悪くも周りに関心を持たないタイプの夫わが家には二卵性の双子がいます。息子も娘もASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如多動症)のグレーゾーンです。小さい頃は初めての育児で双子、さらにワンオペで育てづらさも相まって大変でした。夫は良くも悪くも周りに関心を持たない、あまり悩まないタイプです。子どもが生まれた頃は40代前半でした。夫婦二人のときは特に問題を感じていなかったのですが、出産から1歳半くらいまでは特につらかったです……。Upload By ユーザー体験談私の妊娠が分かり退職後も財布は別々のまま。私の貯金は0に……Upload By ユーザー体験談同棲期間が長くお互い仕事をしていたせいか、入籍後も財布は別々、個々の買い物もそれぞれが負担していました。それが、私が妊娠し仕事を辞めてからも続き、医療費、食費、光熱費についても私の分は貯金を崩して支払い続けたため、当然貯金も底がつきどうにもならなくなってしまいました。それまでも何度もお金について話し合いをしようと思っていたのですが、とても言いづらく……。ここでやっと夫に切り出しました。私が妊娠し退職している状態でも、働いている時と同じように経済面の負担を求められるのは難しいこと、今の状況なら、働いている夫が全て負担してもらわないと生活ができないことを伝えたところ、「そんなもんなの?」と聞き返されました。その時の夫の様子を見る限り『自分の負担が増えるということに気づきたくなかった』という感じでした。そして「あぁ、自由にお金が使えなくなるなぁ」とボソッといいましたが、それからはもろもろのお金が夫が負担するようになりました。動き回る息子、癇癪がある娘……育てづらさがある双子育児をワンオペ対応していたら、うつ状態に時は過ぎ、里帰り出産をして家に帰ると、待っていたのは双子ワンオペでした。出産後も夫は出張と残業ばかり。私は助けもない中での経験値ゼロからの2人育児に参っていました。2人とも首座りや歩くのも早く、目が離せませんでした。しかし、言葉はなかなか出なかったので私は1人で不安に感じていました。気分転換に外に行くにしても、息子はとにかく動き回るし落ち着きがなかったので、とてもではないですが1人で2人を見ることなんてできません。ずっと引きこももっていました。そして1歳3ヶ月になって2人ともお昼寝をしなくなると、それまでの生活リズムが大きく変わりました。明け方4時半頃からずっと起きているような日も出てきて、私の睡眠不足状態で、2人の世話だけをずーっとやっていました。娘は特に癇が強く、何かあるとひどく泣き喚き、その声にも精神的に追い詰められていきました。Upload By ユーザー体験談もうほぼうつ状態だった私。出張帰りの夫が空港に着いたというメールを見たとき、それまで張りつめていたものが切れてしまい、夫が帰宅するまでベビーベッドの前に座り込んで泣き崩れていました。夫から「何をしたらいい?」と聞かれた私の答えは帰宅した夫から最初にどう声をかけられたのは覚えていません。ただ「ごめん」と言われたような気がします。そのあとに「何をしたらいい?」と聞かれ私は「ただ手伝って欲しい」と答えました。すると夫は「何に手を出していいのか分からなかった。手を出したら私に怒られると思ってた」と。ここで私は「早く帰ってこられるならお風呂、無理なら夕食後の食器洗いと、私が対応できなくくらい疲れているときは、夜中の子どもの対応をやって」と具体的にお願いをしました。するとこの日から、ワンオペ育児が変わったのです。Upload By ユーザー体験談それからの夫は子どもたちのお風呂や後片づけ、汚れ物の下洗いをやってくれるようになり、私も昼間2人を連れて児童館に行けるくらいの余裕ができました。昼間は児童館で目一杯遊び、夕方帰る前に少し食べさせて汗を拭いて着替えまで済ませると、子どもたちは帰宅後すぐに寝てくれるようになり、私も休める時間が増えました。また、娘の癇癪の回数もほんの少しだけ減った気がしました。「話さなければ分からない=話せば分かる」ということ。今は積極的に夫に話していますその日から夫へは何でも伝えるようにしました。息子が多動ではないかということ、娘の人見知りや癇癪、切り替えの悪さが気になることなどもです。その話をずっとしていたので、子どもが9歳になり検査をしてグレーゾーンと言われたときは特に驚くこともなく、それ以降も変化はありませんでした。私たち夫婦が上手くやっていくために大事なことは、私が1人で抱え込まず、ともかく夫に話すこと、お願いしたいことは具体的に伝えることでした。お金のことも、子育てのことも話さなければ分からない夫ですが、話せば分かってくれることに気づいたので、今では積極的に話すようにしています。あと片づけや汚れ物の下洗いや子どもたちの靴洗いは、今もずっと続けてくれているのでとても助かっています。そんなこんなで、今もたまには衝突することもありますが、まあまあ良好に過ごせている私たち。子どもたちと一緒に私たち夫婦もさらなる成長をしていければいいな、と思います。イラスト/keikoエピソード提供/みゆねこ(監修:鈴木先生)妻が育児などで大変なことは通常は伝えなくても理解できるはずです。それも双子ということで倍忙しいわけですから。お父様にもASDの特性があるのかもしれません。その場合、空気を読むのが苦手で、具体的に言わないと気づけない傾向にあります。さらに視覚的に訴えることも重要です。当たり前の事でもやってくれたら褒めてあげることも必要です。外来でもよくお話しするのですが「優しく・丁寧に・具体的に・肯定文で」接することが重要です。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年11月28日「作業療法士(OT)が教える発達障害との向き合い方~子どもの発達を促す子育てのヒント~」2023年9月21日(木)文京学院大学 本郷キャンパスにてメディア向けセミナー「作業療法士(OT)が教える発達障害との向き合い方~子どもの発達を促す子育てのヒント~」が開催されました。発達障害領域がご専門で作業療法士(OT)として現在も現場で活躍されている文京学院大学 保健医療技術学部学部長 神作一実教授が登壇し、作業療法士(OT)の役割や発達障害のあるお子さんへアプローチ法、また子育てのヒントについて解説、セミナーの内容を抜粋して発達ナビ読者のみなさまへお届けします。作業療法とは「心と体」を分けず、その人そのものにアプローチするリハビリ神作一実先生(以下神作先生):作業療法士というと、日本では一般の人が関わる機会があまりなく、どんなことを行うのかについて知っている人は限られるかもしれません。ここでは私が考えている作業療法とはこういう感じのことだよというものを図にさせていただきました。Upload By 発達ナビ編集部みなさんも、「楽しいことをしていたら知らないうちにできるようになった」ということがたくさんあると思います。例えば、お友達に「テニスコートが取れたから、テニスに行かない?」と誘われて「行く行く!」となったとき、テニスをすることで心肺機能を上げようとか、筋力強化をしようとか、運動の協調性を高めようと考える方は少ないですよね。ただ「テニスをして楽しむこと」を想像して「行く行く!」と答える方が多いのではないでしょうか。でも、実際にテニスを楽しんでいたら、知らないうちに筋力が強化され心肺機能は鍛えられ、運動の協調性も高くなるでしょう。これが「楽しいことしていたら、知らないうちにできるようになった」ということです。実は作業療法というのは、この「楽しいことしていたら、知らないうちにできるようになった」を治療に応用したものと言えるのではないかなと思っています。私たちは、対象者の方のやりたいことを通して今ある障害を改善すること、そして、その人が持っている障害を受けてない部分を使いながらパフォーマンスを上げることを目指してサイエンスを使いながらアプローチしています。作業療法は心と体を分けずにその人そのものにアプローチをするリハビリテーションと言えるのではないかと考えています。作業療法の対象領域は大きく分けて4つあります。1、身体障害領域:脳卒中、脊髄損傷、骨折、やけどなどを対象2、高齢期領域:認知症、フレイルなどを対象3、精神障害領域:統合失調症、うつ病、アルコール依存症などを対象4、発達期領域:発達障害(ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、LD・SLD(限局性学習症))、脳性麻痺、知的障害、筋ジストロフィーなどを対象この領域をまたがって障害が複数ある場合ももちろんあります。ただ、作業療法は人に対して、「その人がどうなりたいのか、その人が何をやりたいのか」を視点にしていますので、療育をまたがる場合でも同時にアプローチが可能です。発達障害と深い関係性がある「感覚調整障害」神作先生:発達障害のある方たちには「感覚調整障害」というものがしばしば起きてきます。感覚過敏をはじめ、刺激が入りすぎてどの刺激に反応したらいいのか分からなかったり、 反対に刺激が入らなすぎて必要な情報がキャッチできないということ。また、LD・SLD(限局性学習症)のお子さんたちの場合は、眼球運動のコントロールが悪いため読み飛ばしたてしまったりといった体の使い方、いわゆる、体や指先が不器用な状態です。感覚調整障害があると、以下のようなさまざまな困りごとがでてしまいます。Upload By 発達ナビ編集部生活への影響がとても大きいため、作業療法ではこの感覚機能に対してアプローチして感覚統合機能の問題を改善し、生活のしづらさの解消を目指します。激しい偏食があるお子さんへ作業療法士はどうアプローチする?神作先生:では、発達障害のあるお子さんに対して作業療法士がどのようにアプローチをするのかお話しさせていただきます。基本的には、お子さんの状態の確認と問題の把握をし、感覚統合機能を促すための治療プログラムを作成し実施をいたします。治療プログラムは「Just right challenge」、つまりそのお子さんにとってちょうどいい挑戦になっているかを確認しています。偏食のように一見遊びとは関係ないようなことも、実は感覚統合機能が十分発達していないという、共通の背景がある場合があります。例えば、食べられるものが5食品しかない激しい偏食がある発達障害の4歳のお子さんに対しては以下のようにアプローチを行いました。・砂遊び、絵具、のりに触れること、水遊びも嫌い・跳躍器具、ブランコは大好きだが、姿勢が保てないためすぐ降りる・ハンモックのように姿勢を保つ必要がないものであれば30分以上乗り続ける・ハンモックやブランコに乗っていると目が合う。それ以外の場面では目が合わない・一人遊びを好む・母親の膝へは自分から乗るが、大人から抱っこすることは好まない〈食事場面〉・唇に牛乳がつかないようにコップで飲む・うどん、パン、豆腐も上唇につかないように食べている・手が汚れるとすぐにおしぼりや洋服で拭く1、触覚の過敏さがある。そのため食べ物からの感覚情報が十分にキャッチできておらず、新しい食品にチャレンジすることが困難2、前庭系(ゆれの刺激)は求めている状態1、ブランコに乗りながらアイコンタクトを取る(遊んでいる人と遊びの共有)2、ブランコ、跳躍器具、ハンモックに乗り対象物を視覚的にとらえながら自分から対象物に触れる(揺れながらパンチをする、いろいろなものを握る、的当てする)3、屋外の遊具やアスレチックで遊ぶ(楽しいことをしながらいろいろなものに触れる機会をつくる)少しずつ食べられるものが増えると共に、自分から母親以外の人の手を引いて遊びに誘うことが増えてきている。このように作業療法士は介入し治療を進めました。このお子さんの場合は、感覚情報の処理状況に着目し以下を取り入れたアプローチを行っています。・大好きなゆれ刺激を楽しみながら能動的に対象物に触れる機会を作る・感覚を媒体としたコミュニケーション・大人と一緒に遊ぶことの楽しさを伝える・大人に「やってほしい」ことを伝える機会を作る感覚情報機能の改善が進んでくると、食べ物からの感覚情報をしっかりキャッチすることができるようになりますので、遊びの広がりと共に、偏食が良くなったというケースです。子どもの発達を促す子育てのヒント神作先生:作業療法士は、お子さんに対する治療的な介入もしていますが、大人が子どもにとってどんな環境となればいいのか、 どうすると子どもの発達を促す環境になり得るのかという視点でもアドバイスを行っています。そこで最後にお子さんの発達を促すヒントについてお話しさせていただきます。作業療法士はお子さんが困っている状況、親御さんが困っている状況に対しても、アプローチを行っています。ただ、「大人が困っていること=子どもが困っていること」というように本来は一致しているといいのですが、なかなかそうではなく、大人が困っていることが子どもの問題点にされてしまうこともたくさんあります。そこの見極めも、作業療法士の大事な仕事です。発達障害のお子さんたちの場合、どうしたらいいのか分からない、 人にどう接したらいいか分からない、ものをどうやって扱ったらいいか分からない、いつ終わるのか分からない……こういった状況が多々あります。当然混乱しますよね。ですので、そのお子さんは「安心できるもの」だけをやろうとするわけですが、そうするとやれる幅が狭いので「こだわり」と言われてしまったりします。ただそのようなお子さんの行動に「こだわり」というラベルを貼るだけでは問題は解決しないと私は思っています。その「こだわり」と思えるような行動の背景には、必ず何らかの理由があると思うからです。困りごとをもつお子さんに対して、日常生活の中で慣れさせる、我慢させるとか、「あなたの頑張りが足りないからいけないのよ」と言うのはナンセンスだと思っています。感覚調整障害が背景にあったとすると、そのお子さんはかなりつらい思いをしながら不快な環境の中で生活をしていることが多いです。不快な環境の中に身を置き続けたら不安も高くなりますよね。ではお子さんの困りごとに対して大人ができることはなにかというと、以下の6つがあげられると思います。Upload By 発達ナビ編集部この図は、作業療法士が保護者支援としてよく行っている内容です。お子さんにとって「人」は環境の一部でもあります。周りの大人がいい方向に変化すると、お子さんにもいい環境を提供することができると思っています。子育ての大前提として大事なのは、どんなお子さんも独立した人格を持っていて、今は発達途上で、過去から現在の積み重ねの先に未来があると捉えることだと思います。そして以下の4つを心がけることがいいのではないかなと思います。1、できないことにあまりフォーカスしない。できることに注目し、子どものできること探しの達人になる2、他の子どもとあまり比較しない。比べられても子どもはなにかできるようになるわけではない3、困っているときに子どもからSOSを出せる関係をつくる。子どもが安心してチャレンジするための安全基地に4、自己肯定感を育む。自己肯定感が高いこどもは幸せを感じやすく、問題解決の工夫ができるまずは、お子さんのことを一番知っている親御さんが自信を持っていくことが大事です。一人で頑張らなくていいですし、子育てはみんなでやればいいですし、しんどいときにはもう頑張らない、そんなことも大切だと思っています。定型発達のお子さんであっても、障害のあるお子さんであっても、親御さんの不安はずっとつきまといます。残念ながら、なくなることはありません。だからと言って、否定的に捉える必要はなくて、ありのままの今のお子さんの姿を受け入れてみるといいと思います。お子さんたちは親御さんに、「ねえねえ、見て見て」とよく言ってきますよね。そのときにきちんと共感をして、すごいね、かっこいいね、やったね、面白かったね、見せてくれてありがとうね、というようなこと言ってみてはどうでしょうか。 きっと楽しい親子関係になれるのではないかと思います。困ったときは作業療法士に相談してください神作先生:大変なことはみんなで分担して楽しいことはみんなで喜ぶ、そんなことが作業療法士が考えている子育てでもあります。何か困ったことがあったら、ぜひ作業療法士を尋ねていただければと思います。地域の保健師さんにご相談いただいて作業療法士がいるところを探してほしいとお伝えいただければ、そこから発達支援センターなどを紹介してもらえます。また、児童発達支援事業所でもどのような職種の方がいるのかホームページで調べられるところが多いです。一人で頑張らず、一緒に成長していきましょう。Upload By 発達ナビ編集部日本作業療法士協会、埼玉県作業療法士会、摂食・嚥下リハビリテーション学会(評議員)、小児保健学会、障害者歯科学会、昭和歯学会に所属。作業療法士としても数多くの経験を持ち、作業療法士や作業療法士を目指す学生のみならず、保育園や幼稚園、小中学校の教諭、保護者に対してのセミナーも多数実施。「受け入れることで自律を促す子育て」を提唱し、発達障害との向き合い方について発信を続けている。主な研究テーマとして、自食時の捕食機能に関与している口唇および上肢機能の解明を専門とする。文京学院大学(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年11月25日在胎27週930グラムで産まれた息子のねこ太Upload By 鳥野とり子在胎27週930グラムで産まれた息子のねこ太。NICU(新生児集中治療室)・GCU(回復治療室)での約3ヶ月間の入院を終え、待ちに待った家での生活が始まりました。入院中から、先生や看護師さんたちからは「自宅の雰囲気に慣れるまではなかなか寝ないかも」「最初は直母が下手だけど、だんだん飲めるようになりますよ」と言われていたけれど、いつまで経っても寝ない・飲まない・ずっと泣く、そんなわが子に違和感を感じるようになりました。抱っこしていないとひたすら泣く、泣き続けるとチアノーゼUpload By 鳥野とり子「息子が退院したらドタバタするだろうな」と予想はしていました……が、私の想像をはるかに上回る大変さが待っていたのです。息子はとにかくよく泣く子で、抱っこしていないとひたすら泣き続け、放置するとチアノーゼ(顔色の変化)を起こすほどの激しい泣き声をときにはあげていました。最初は「家の雰囲気に慣れていないからかな?」と思っていましたが、いつまで経ってもこの状態は落ち着かず、「ちょっとおかしくない?」と思い始めました。赤ちゃんってよく寝るんだと思っていたのに、とにかく寝ない息子Upload By 鳥野とり子息子はとにかく寝ない子でした。昼も夜もまとまった睡眠をとることがほとんどないのです。さすがにそろそろ眠くなるだろうという状況でも全く寝る気配なし。赤ちゃんなのに、こんなに寝なくて睡眠不足にならないのか心配になるくらい寝ませんでした。当然私も睡眠不足になり、なんとか寝てほしくて赤ちゃんが寝る方法を調べていろいろ試したのですが、息子にはどれも効果がなく疲弊するいっぽうでした。そしていつまで経っても上手に直母できない事に違和感を覚え……Upload By 鳥野とり子そしてさらに大変だったのが授乳です。早産児は母乳を飲むのが下手な子が多いのですが、徐々に上手になるよと看護師さんから言われていました。しかし息子はいつまで経っても上手に直母できない。飲んでもすぐにやめてしまったり、飲み始めると寝てしまうのです。それでなくても早産児で体重が軽かったので、どうしてもしっかり飲んで大きくなってほしくて、私は搾乳をしてその母乳を哺乳瓶に入れて授乳していました。哺乳瓶なら比較的よく飲んでくれるので助かりましたが、このやり方は手間も労力もかかるのでこの頃は私の疲労がピークを迎えていました。母の勘? 頭をよぎる【発達障害】の文字Upload By 鳥野とり子私たち夫婦にとって息子は第一子なので、私が育児を経験したのは息子が初めてでした。なので育児に関する比較対象がなく、「赤ちゃんってこんなものなのかな?」「個人差あるしこういう子もいるのかも」と思っていました。でも、ここまで来るとさすがに息子の行動に違和感を感じ始め、「息子と同じような子はほかにもいるのか」「こういう場合どうするのが正解なのか」「何か障害が隠されていないか」を知りたくて私はインターネットで検索をしまくるようになったのです。実は、息子の退院直前にインターネット検索で【30週未満で産まれたり、超低体重で産まれた子は発達障害リスクが高い】という記事を目にしていたのですが、「わが子が発達障害になるわけないよね」「なんだかんだで比較的順調に退院できたから大丈夫」と思い、当時はあまり気に留めていませんでした。しかし、自宅での育児が始まり、次第に息子の行動に違和感を感じるようになった私の頭に『発達障害』という文字が浮かぶようになりました。「まだまだ赤ちゃんだし不安定な事もたくさんあるだろうから神経質になりすぎないように」と思いつつも、母親特有の勘のようなものが働いたのかもしれません。不安を払拭したくて検索魔になった私Upload By 鳥野とり子インターネットで検索しすぎるのは良くないと病院の先生や看護師さんから言われていましたが、私は自分の不安を拭う為にも検索を止められませんでした。検索で、息子の「母乳を上手く飲めない」「よく泣く」「寝ない」という行動は、発達障害がある子の乳児期にあったという体験談も複数みかけました。しかし、乳児期ということもありまだまだ発達障害かどうかを判断するには早すぎて、結局自分がスッキリできる答えはインターネット上には見つからなかったのです。この頃の私は、この状況をどうすれば良いのか知りたいというよりは「息子は発達障害じゃない」という確信を持てる情報が欲しかったんだろうなと思います。この後、2歳3ヶ月で療育につながるまでは「もしかして発達障害かも?」「いやいや発達障害じゃないよね?」という不毛な自問自答を繰り返し、とてもしんどい時期を過ごしました。執筆/鳥野とり子(監修:初川先生)ねこ太くんの乳児期の苦労、不安のエピソードのシェアをありがとうございます。生まれたばかりの時期、特に第一子だと分からないことがいっぱいで、ただでさえこれで大丈夫かと不安で、かつ母体も疲れているし、ホルモンバランス的にも不安定な時期なので本当に大変だったとお察しします。早く小さく生まれたこと、なかなか寝ないこと、母乳をなかなか上手に直接飲めないこと。不安でいっぱいになるのも自然なことだろうと思いますし、そこへ来て、「発達障害」という気配が入ってくるとますます不安になられたかと思います。いわゆる産後うつになりやすい時期でもあり、これまでよりも一層ネガティブな情報を取り込みやすくなっている状態でもあります。不安に駆られて検索し続けてしまうこともよくあることですが、いくら検索してもさまざまな情報が錯そうしていることもあり結局のところ安心する情報には出合えないものです。また、医師や看護師に相談したところで、その月齢だとはっきりしたお答えには出合えない時期でもありますね。発達障害かもしれない、いやいや違うかもしれない……というはっきりしない曖昧な状況、しかし確実に育てづらさと違和感がある気がするというご自身の感覚。それを抱えたまましばらくはお子さんの成長を見守るしかない時はあります。そうしたしんどい時期について、とりこさんは「不毛な自問自答を繰り返し」と書かれていましたが、答えの出ない疑問がどうしても頭から離れないのは本当につらいですね。何の気休めにもならないことを言いますが、それでもお子さんにとっての乳児期は二度と戻ってこない時期であり、その時期にしか見せないそのお子さんのかわいらしさや成長もあるのも本当だと思います。大変な子育て、不安な中での子育てでも、ときにはそうした面にも目が向くよう、お母さん側がどうしたら安心して子育てできそうかについて、(検索のみならず)実際の支援者につながる(子ども家庭支援センターなど子育て相談窓口経由でヘルパーさんを利用できるかなど検討したいところです)、家族で分担しお母さんが少し子育てから離れる時間を取るなど調整しながら、その時期を過ごすことができたら、と願います。2歳3歳頃になると、健診や相談をきっかけにお子さんに対しての支援機関につながりやすくなります。とりこさんは2歳3ヶ月で療育につながったとのことですが、不安なまま子育てを続けている方もいらっしゃると思います。ぜひ健診時やあるいは相談窓口に問い合わせるなどして、お子さんについての心配なことなどをお伝えいただければと思います。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年11月24日発達凸凹兄妹を育てるわが家。夫は短気で高圧的で……わが家は二人兄妹、息子は20歳の大学生、娘は17歳の高校生で二人ともADHD(注意欠如多動症)の診断を6歳の時に受けました。私自身診断はありませんがADHD(注意欠如多動症)グレーだと感じています。現在59歳の夫は性格はまじめで短気、そして高圧的な面があります。特にお酒が入ると難癖をつけてきます。今は子どもも大きくなったため、昔より関係は良好ですが、二人が小さい頃はぶつかることもよくありました。息子の幼稚園トラブル、娘の1歳半健診での指摘。その時夫は……息子は幼稚園に入ってからトラブルが目立つようになってきたタイプで、3歳の時、園で他害をしてしまい、園長先生からやんわり退園を促されました。まだ発達障害について何も知らなかった私は、園に言われるまま発達検査を受けたあと、支援センターの方に「幼稚園は辞めるべきなんでしょうか?」と質問。職員の方からは「いや、そこまでしなくてもいいのでは?」と言われたため、それを園にそのまま伝えたところ「じゃあ様子見ましょうか」となり、卒園まで通い続けることができました。その後、園で細かに対応していただいたため、息子は療育に通わず、小学校からは放課後等デイサービスを利用するようになりました。この時の夫はというと、特に何か手伝ってくれるわけでもなく、ただ私の報告を受けるのみという対応でした。「幼稚園内のトラブル」くらいにしかとらえていなかったのかもしれません。Upload By ユーザー体験談そして娘。娘はとにかく気に入ったものを手に入れないと気がすまず、欲しいものを買わないと大癇癪になってしまうので、買い物に出るのが怖かったほどでした。1歳半健診で相談したところ、「療育に行ったほうがいいかもしれませんね」と言われ見学。幼稚園入園まで療育に通うことになりました。この時、夫は単身赴任中でした。私は同居していた義母には相談をしたのですが、夫には相談しないまま療育に通うことを決めました。言うと「行く必要ない!」と反対されると思ったからです。しかし、私が怪我をして療育に送迎できなくなってしまったことで、娘が療育に行っていることが夫に知られてしまいました。そこからは「なんで黙っていたんだ」と大喧嘩になってしまいました。「そんなところ行っても意味がない」やら「幼稚園で十分」やら夫は感情的に怒ってきます。私はたいていは夫のこうした批判は、受け流すようにしていました。意見を言ってもさらに怒らせてしまうだけだと感じていたからです。ですが、この療育通いは譲れなかった。ほかは譲っても反対されても、療育だけは絶対に通うと強く主張しました。その剣幕に夫も強く言えなくなってしまったのでしょう。療育について文句を言うことはなくなりました。Upload By ユーザー体験談その後夫は発達障害について勉強してくれたみたいです。手は貸してくれませんでしたが、子どもの障害や療育についてなにか口を挟むことはなくなりました。兄が放課後等デイサービスに行くことになった時も反対することはありませんでした。これはとてもありがたいことでした。私の磨きのかかった夫対応と、父を「世に放つのはヤバい」という息子夫はお酒が入ると「お前はバカだ」「気が利かない」「だめなんだ」と難癖をつけてきます。こんな言葉を頻繁に言われるのはいやですよね。こんなときの私の対応のコツは「のまれないこと」です。夫の言い分に、私自身の気持ちが持っていかれないようにするのです。自分は間違っていないと思っていれば大丈夫でした。Upload By ユーザー体験談今も「イヤイヤ、その言葉そのままお返ししますよ」と内心思うことも多々ありますが、いさかいにならないよう適当に相槌をうちながら話を聞くようにしています。それは理不尽だと思うようなことを言われていても、自分まで気持ちを高ぶらせて言い返してもしょうがないんだからと客観的に見ている感じです。ですから、夫に「ごめんなさいね」と頭を下げることも、苦ではありません。ただそんな姿を見ている息子は、高校3年生の頃「(父親を)世の中に放つのはヤバい」と言っていました。また「なんで別れないの?」とも……。Upload By ユーザー体験談もちろん子どもの進学費用など現実的な面もありますが、今は私も夫との関わり方に慣れてきたので、昔よりはずいぶん良好な関係になっています。夫も少しずつ変わってきていて、「言わなくていいこと」を言う頻度が明らかに下がってきました。あとはもうちょっと変わってくれて、大きくなった子どもたちから「お父さんにもいい面がある」と思ってもらえたらいいのですが。子育ても終わりに近づいて、今思っていること子どもも大きくなり、子育ても終わりに近いてきたと実感しています。ですが、大人になってからも、子どもたちがそれを許せないと思うのも仕方のないことなのでしょう。夫は障害を差別することはないのですが、一方で別の面で人を下げたり馬鹿にして満足する面があるため、子どもたちがそれを許せないと思うのは仕方ありません。ただせっかくの家族ですので、うまくつき合っていけたらと思います。イラスト/星河ぱよエピソード提供/きつねうどん(監修:鈴木先生より)ADHDとASDはカードの裏表のように併存している場合が多いのです。自分の思い通りいかないとイライラして高圧的になるのは、ASDに併存する易刺激性による場合もあります。私の外来には、親御さんのうち一方がADHDでもう一方がASDという夫婦の組み合わせが多いです。その子どもたちも父派と母派に分かれる傾向にあります。ADHDの診断はチェックリストなどでも可能ですが、ASDの診断は難しく、なかなか認知もされていません。療育だけでなく、診察でさえも無駄だと、外来に1度も付き添わない親御さんもいます。ASDの濃さ・グラデーションの差によって易刺激性には差が出ます。さほど濃くなければ加齢とともに学んでいき「言わなくていいこと」も減っていくのです。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年11月22日わが家の少数派?おそらく定型発達の夫ですUpload By 丸山さとこわが家は夫と息子と私の3人暮らしです。息子と私が神経発達症(発達障害)のため、おそらく定型発達である夫は、この家では少数派な存在です。息子や私に比べて一般的とされる感覚を持っているはずの夫ですが、わが家ではその「一般的な感覚・普通の感覚」があるがゆえに苦労をすることが多いそうです。今回は、そんな夫に「息子が発達障害だと告げられた時、どう感じていたか」「どんなところに苦労しているか」などいろいろとインタビューしつつ、わが家の子育てを振り返りました。息子のコウは3歳児健診の際に発達検査を受けるように提案され、「ASD(自閉症スペクトラム症)の可能性が高い」として療育園を勧められました。夫は私からその説明を受けた際、「うすうす感じてたけど、やっぱりそうか」と思ったそうです。ショックや不安は特になかったと言います。「ASDであろう妻が普通に暮らしているのだから、息子も本人なりに工夫をしていけば何とかなるだろう」と考えて特にショックは受けなかったそうです。(当時の私はまだ未診断でしたが、夫は私のことをASDだろうなと思っていたのだそうです)Upload By 丸山さとこただ、発達検査の結果には納得したものの、療育園に行くのは「わざわざ?家では一応意思の疎通がとれているし、行かなくてもいいのでは?」と思っていたそうです。私の説明を受けて『なら行くのもいいかな』とは考えたものの、必要性はそこまで感じていなかったとのことでした。私はこれらの話を聞いて、「それくらい、コウが就学するまで夫は大きく困っていなかったのだろうな」と思いました。これは、当時夫がとても忙しく、コウとゆっくり接する時間が少なかったことも影響したかもしれません。また、実際に未就学児の頃までは大きな問題が出にくかったことからも、「夫がコウの障害を感じる機会は少なかっただろうな」と思いました。未就学児の間は周囲の子どもも幼いため関わる大人の手も厚く、コウの苦手なところが目立ちにくい時期でした。コウの特性ゆえの言動に振り回されるようになった小学校時代その後コウが小学校に入学し、未就学児までの周囲のフォローの手厚さがなくなってからは、夫も『コウと周囲の子どもたちとのズレ』を感じるようになったそうです。小学1年生の時にはすでにハッキリとズレを感じていたと夫が言うので、私は意外に思いました。未就学児の頃ほど手厚くないとはいえ、1年生は『まだ小学校生活に不慣れな学年』として学校からのフォローが多い時期だったため、大きなトラブルは目立っていなかったからです。夫は、トラブルの有無だけではなく、普段の学校生活でもコウの様子を丁寧に見ていたのだなと感じました。Upload By 丸山さとこ「コウに関して、今までで一番大変だったと感じた時期はいつ?」と夫に聞くと、「小2の後半から小5の辺りかな~」と言うので、「分かる分かる。私も同じ」とうなずきました。小学2年生以降は周囲の子どもがルールや集団行動に慣れはじめる時期です。大人のフォローが減ってくることもあり、コウにも大小さまざまなトラブルが起きるようになりました。その頃からは、夫も生活の中でコウに対して「話が通じないのは困る」と感じることが増え、ストレスが強くなっていったそうです。小学校6年生から少しずつ落ち着いてきたコウは、中学生の今、話が通じずに思い込みでパニックになることがグッと減ったと感じます。夫も「今のコウと接するのは、あの頃(小2~5)よりもずっとマシ」としつつ、今でもイライラすることは多いと言います。「分かってることなんだから、毎日のことなんだからやろうよ! となってイライラしてくる。障害だからとは分かってるがムカッとしてしまう」と夫が言うのを聞いて、今、それを素直に口にできる家族関係でいられたことは良いことなのだろうなと感じました。ムカっとするとは言っても、夫は息子に毎日キーキー怒ることはありません。私は毎日ギャーギャー怒っては、ときどき夫に止められています。そのため、今回のインタビューで夫が「さとこがコウと接しているのを見て『ああいう関わり方をできたらコウも自分も楽だろうな』と思う」と言ったのは意外に感じました。Upload By 丸山さとこ「私からコウへのどういう関わり方をよいと感じるの?」とさらに聞くと、夫はウンウン悩みながら答えてくれました。「やれ!と言って強要するのではなく、コウが自分で選んだと感じるような関わり方をしてるよね。選択肢はこれだ、今の状況はこうだっていうのを根気よく話してる」「コウの『何で』に応えてるからすごいなと思う。俺は『何でじゃないよ、やれよ!』ってイライラしてくる」とのことでした。それらの夫の言葉を聞いていた私は、「いやもうその気持ちめちゃくちゃ分かりますけど!?」と全力で同意しました。Upload By 丸山さとこ私も毎日『何でじゃないよ、やるんだよ』『何でかについては100万回説明しましたが?』と思いながらコウと接しています。そしてそれを夫に愚痴ったりもしています。夫はそれらの私のもがき方を知った上で「いい関わり方をしている」と思ってくれているのだなとありがたく感じました。理想と現実の間をアクロバット飛行している感じの毎日です最後に、「コウとの接し方について本など読んだことはある?」と改めて夫に尋ねてみると「発達障害(神経発達症)については本やインターネットで多少勉強したが(コウのことは)よく分からない」と言いました。「全然分からないわけじゃないし、ASDやADHDの特性やあるあるに関しては『コウもそうだな』と思うことはたくさん書いてある」「けれど、生活の上で困ったことに対して、本やインターネットに書いてあるようなことは既にやっていて、それでも解決していないわけで。そこを補う情報はないなと感じる」これらの夫の発言を聞いて、現役の保護者としての重みのある言葉だなと思いました。私自身も日々、同じように感じています。Upload By 丸山さとこ私の場合は、SNSなどで支援者の方のお話を聞いて「私が保護者としてブレない対応をできてないのが良くないのだろうな~!」と思うこともしばしばあります。ですが、夫と私のかわいい子どもはこの『ASDとADHDがある話が通じにくいコウ』であり、そのコウの親は夫と私のほかにはないわけで……。『話がスッと通じる息子』という幻想を追いかけても仕方がないように、『上手いこと子どもに対処できる安定した親』という幻想を追いかけても、現実的ではないのだろうなと思います。ヒートアップするお互いを「どうどう」と制しつつ、「助け合って子育てをしていきたいな」と改めて感じさせられた夫へのインタビューでした。Upload By 丸山さとこ執筆/丸山さとこ(監修:初川先生)夫さんにここまでの子育てを振り返ってのインタビューをしてみたエピソードをありがとうございます。さとこさん、夫さんそれぞれお互いへのリスペクトもありつつ、そしてお互いに共感する苦労もありつつ、素敵なパートナーシップだなと感じました。日々の子育て、そしてそこに関わる自分たちという状況から一歩引いて、俯瞰して振り返る・語り合うことができているのがいいですね。発達障害(神経発達症)がある子どもへの対応のコツなど、本やインターネットに出ている情報は助かる面もありますが、しかしいまひとつフィットしない面もあると思います。それは、同じ障害があったとしても、誰一人として同じ人がいないからです。そして、さとこさんも書かれているように、お子さんや保護者の側にうまくできる時とできない時があるなど、コンディションによる面もありますし、理想や幻想を追ってしまって実際の様子とは違うのにぐいぐい強行してしまう時もあると思います。対応のコツに関した情報などは使えそうな面は取り入れつつ、わが子のために少しカスタマイズしたり、そのような試行錯誤のプロセスごと子育てのパートナーや支援者などとまた話し合うなどを通して、ときどき冷静になって振り返りの時間を取れるとよいでしょう。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年11月20日楽しく読み書き計算の基礎づくりをーー『ワーキングメモリがぐんぐんのびる 単語メモリカードゲーム』「ワーキングメモリ」とは、目や耳から入ってくる情報を限られた時間で記憶し、統合しながら意味を理解する脳の働きのことです。ワーキングメモリに弱さがあると、学習の基礎である文字の読み書きや数の理解がスムーズに進まず、つまずきを感じやすくなります。本書は、カードゲーム方式で無理なく・楽しくワーキングメモリを伸ばすことを目的とし、ワーキングメモリ理論に基づいた教育支援の第一人者である広島大学大学院 人間社会科学研究科教授の湯澤正道先生が考案した5歳から大人までを対象としたカード教材です。カードは、本書の『音韻意識を高める単語メモリカードゲーム』に加え、『算数の基礎をそだてる数字マッチングカードゲーム』『特殊音をすばやく読む単語マッチングカードゲーム』と、全部で3つのシリーズで構成されています。カード毎に記憶機能を高める3つのゲームが収録され、親子や友達同士、支援者と遊びながら、楽しく読み書き計算の基礎づくりができるよう工夫されています。ワーキングメモリは国語や算数などすべての学習の基礎になるものですが、いったん学習が遅れてしまうと机に向かって勉強をすることに苦手意識を持ってしまうことも……。ワークシートのような勉強方式ではハードルが高いと感じている子どもも、カードゲーム方式の学習であれば取り組みやすいのではないでしょうか。家庭学習はもちろん、特別支援教育や放課後等デイサービスなど学校や支援の現場にもおすすめの教材です。理由が分かれば優しく寄り添えるーー『発達障害・グレーゾーンの子どもが見ている世界』本書は、発達障害・グレーゾーンの子どもが見ている世界をマンガで分かりやすく解説し、子どもの視点から行動の理由を探り、接し方のヒントやアドバイスがまとめられた一冊です。すぐに走り出してしまう、ルールや順番が守れない、友達を叩いてしまうなど、子どもの行動は大人からしてみれば不可解なことが多く、どう対応したらいいのか悩む保護者の方も多いのではないでしょうか。本書では、「不可解な行動にも、その子なりの理由が必ずある」と伝えています。前半では、主に3~8歳の子育てで保護者が戸惑いがちな「ナゾの行動」をいくつか取りあげ、それぞれ2つのケースを紹介。発達障害・グレーゾーンと言われている子どもも十人十色です。同じような行動であっても、その理由は子どもにとって異なることを感じられるように工夫がされています。監修は、北海道大学名誉教授であり児童精神科医の田中康夫先生。発達障害の特性を持つ子どもやその家族、さらに関係者たちと繋がり、支え認め合うことを大切にした治療で支持されている発達障害のエキスパートです。本書の後半では、行動を理解したうえで、発達障害がある子どもと向き合うときに保護者が意識したいことについても記されています。親子で優しい絵本の時間をーー『たれみみうさぎのリッキ』本書は、ヨーロッパで人気の絵本作家ヒド・ファン・ヘネヒテンが手がけた全世界でシリーズ累計300万部発行のベストセラー絵本です。25年前に刊行された本書が、この秋復刊されました。うさぎのリッキの耳は、みんなの耳とは違います。なぜかいつも右の耳だけ、ダラーンと垂れ下がっているんです。みんなが「たれみみ」と笑うので、ピーンと立った2本の耳がほしくてたまらないリッキ。いろいろな方法で耳をのばそうとしますが、うまくいきません。でも、みんなと違うことは本当におかしなことなのでしょうか?時には泣きじゃくって、時には笑い転げて、「見た目も、性格も、考え方も、それぞれ違っていいんだよ」と、うさぎたちが教えてくれる絵本です。本書の対象年齢は3歳から。親子で過ごす絵本の時間を通じて「君は君のままですばらしい」と、お子さんに伝えてみてはいかがでしょうか。エリートなのに仕事ができない、当事者の葛藤ーー『ルポ高学歴発達障害』「ケアレスミスが多い」「人間関係がうまくいかない」など、生活や仕事上で問題を抱えることもある大人の発達障害。その中には、世の中で「高学歴」と言われる人も少なからず存在しています。世間一般の「エリート」のイメージと「障害」の実情の狭間で理解が得られず、周囲と自分を比べては落ち込み、悩みを抱えている当事者は多いと言われています。本書は、自身も発達障害当事者である著者の姫野桂さんが、高学歴の発達障害にフォーカスし「理解が得られにくい不条理」に迫った一冊です。本文では10人の発達障害当事者のインタビューを掲載。実態の見えにくい当事者の声を拾いあげると共に、大学の教壇に立つ側の視点として現役の大学教授に、医療側の視点として精神科医の取材も。大学における学習支援や、就労支援を行っている企業の取り組みも紹介されています。「高学歴」ということで、周囲から期待されるボーダーラインが上がり、理解を得られない人がいる現状を伝える本書は、今まさに苦しい思いをしている当事者にとって一助となるのではないでしょうか。それと同時に、発達障害が取りざたされる背景にある「異質であること」「非効率的であること」に不寛容な社会の姿を浮かびあがらせているようです。『自閉症児のことばを育てる発達アプローチ~ことばの6ステージ・特徴の理解と逆転の支援~』本書は、自閉スペクトラム症がある子どもの「ことばの発達とコミュニケーション」に焦点を当て、家庭でできることばの療育方法を紹介した一冊です。第1部では、「自閉症児のことばを引き出す方法」を、第2部では、自閉症児のことばの成長段階を6つのステージに分け、各ステージの特徴と支援方法に加え、逆転の発想のアプローチも紹介。6つのステージに分けられていることで、個々の成長に適したアプローチや、次に実践することなどが分かりやすく、療育の見通しがつきやすい内容となっています。著者は、自閉スペクトラム症がある娘の父親でもあり、発達支援教室で指導員を務める臨床心理士の矢幡洋先生。これまで40冊以上の著作を出版し、『数字と踊るエリ』(講談社)は第33回講談社ノンフィクション賞の最終候補にも。本書は、著者が自身の子育てを基に、子どもが興味を示し、家庭の日常の中で実践しやすい楽しいアプローチ方法がピックアップされています。子どもの発達で悩む保護者のヒントになると共に、家庭で行うことばの療育の楽しさも感じることができる一冊ではないでしょうか。LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年11月18日子どもの肥満とは?原因は?現在の日本では食事の変化や運動量の低下などにより、肥満の人が増えていると言われています。肥満は糖尿病や高血圧症、心血管疾患などの生活習慣病につながるリスクが高まることから、健康管理において肥満防止は重要な要素となっています。肥満と聞くと体重が重い人という連想をする方が多いかもしれません。しかし、肥満とはただ体重が重いだけではなく、人の身体に過剰に体脂肪が蓄積している状態のことを言います。肥満度は体重と身長の数値から求められるBMI(Body Mass Index)という数値を使って判定されていますが、同じBMIでも実際に体内のどこに脂肪がついているかでリスクが異なってきます。筋肉の内側に脂肪のつく「内臓脂肪型肥満(リンゴ型肥満)」と、皮下脂肪が多く内臓脂肪が少ない「皮下脂肪型肥満(洋ナシ型肥満)」の2つのタイプがあり、内臓脂肪型肥満のほうが糖尿病や高血圧、脂質代謝異常といった疾患を発症する可能性が高いとされています。参考:肥満と健康|厚生労働省e-ヘルスネット先ほどのBMIは成人に使われる指標で、6歳から18歳の学童期の子どもの肥満度には別の指標が用いられます。子どもの肥満度は「100 × (現在の体重‐標準体重)÷標準体重」で求められます。Upload By 発達障害のキホン「小児肥満症診療ガイドライン2017」では、「肥満度が+20%以上、かつ体脂肪率が有意に増加した状態(有意な体脂肪率増加とは、男児:年齢を問わず25%以上、女児:11歳未満は30%以上、11歳以上は35%以上)」を肥満と定義づけています。引用:e-ヘルスネット|肥満と健康上記を満たす場合に「小児肥満」だと定義しています。子どもの肥満の場合も、高血圧や睡眠時無呼吸症候群、糖尿病などの発症リスクがあると言われています。こういった肥満に伴う健康リスクが高い状態を「メタボリックシンドローム」と呼んでいて、子ども(6歳から15歳)の場合は腹囲が80cm以上などの目安が設けられています。実際には腹囲だけでなく血圧などの数値も加味して判断するため、子どものメタボリックシンドロームが気になる方は一度医療機関で検査を受けるようにしましょう。乳幼児や小学生など子どもの肥満のほとんどは、単純性肥満と呼ばれるものです。つまり、食べ物などによって摂取したエネルギーが、運動などにより消費されたエネルギーを上回っていることで生じる肥満のことです。子どもが普段摂っている食事のバランスや悪いことや、お菓子、清涼飲料水の過剰摂取によって摂取エネルギーが高くなる反面、運動不足などで消費エネルギーが少ない状態が続くことによって肥満へとつながっていきます。日本では1970年代からライフスタイルの大きな変化があり、子どもの肥満が増加しました。現在は増加傾向は収まっているものの、それでも全体の10%以上の子どもが肥満と判定されると言われています。このような原因から「子どもの肥満は親のせい?」と悩む方もいるかもしれません。しかし、きょうだいなど同じような食事内容やライフスタイルであっても、肥満になるかどうかには個人差があります。もちろん、養育者や近くの人だからできる肥満対策もありますので、後ほど紹介します。また、子どもの肥満は単純性肥満が多いですが、症候性肥満と呼ばれる何らかの病気が原因で肥満になっている場合もあります。その際は身長の伸びも遅れるのが特徴と言われています。参考:肥満|一般社団法人 日本小児内分泌学会子どもの肥満が原因で起こるさまざまな病気子どもの肥満のリスクには、成人の肥満へつながる可能性や多くの合併症のリスクなどがあります。子どもの頃、特に年長児の肥満はそのまま成人の肥満に移行しやすいと言われています。また、思春期の肥満だと体格が形成されることや肥満になりやすいライフスタイルが定着することで、さらに肥満の解消が難しくなることも指摘されています。肥満は合併症のリスクも高まると言われていますが、合併症がない場合でも体重の増加により膝や腰など身体に大きな負担がかかります。子どもの肥満には合併症のリスクがあると紹介しましたが、具体的には生活習慣病として知られる2型糖尿病や脂質異常症、高血圧などにつながる可能性があると言われています。そして、このような生活習慣病は動脈硬化を促進していき、成人してからの脳卒中のリスクを高めることも指摘されています。その他の合併症としては睡眠時無呼吸症候群や脂肪肝など、さまざまな疾患につながる可能性があります。子どもの肥満であってもこのようにさまざまな病気のリスクが高まるため、できるだけ早く肥満を解消することが大切となります。子どもの肥満と発達障害の関連性ここでは、子どもに発達障害がある場合の肥満との関連性を紹介します。発達障害のある子どもは、感覚過敏や衝動性などの特性の影響で偏食が激しいことや食事量が多すぎることがあると言われており、そのことが肥満につながっている場合もあります。アメリカの調査ですが、自閉スペクトラム症(ASD)のある子どものうち22.2%が肥満であり、定型発達の子どもに比べて肥満となるリスクが41.1%高かったという結果も出ています。別の調査によると注意欠如・多動症(ADHD)の子どもは衝動性の特性の影響により過食になる傾向があるほか、不注意の特性の影響で規則正しい食生活が難しく、そのことが肥満につながる場合があるとされています。また、発達性協調運動症(DCD)のある子どもも肥満のリスクが高い可能性があります。発達性協調運動症とは、手足や身体の動きをコントロールすることに困難がある発達障害の一つです。子ども同士の遊びやスポーツへの参加が少ないため運動量が低下することなどにより、ほかの子どもに比べて肥満のリスクが高いとされています。このように、肥満の背景に発達障害の影響が隠れていることもあるため、肥満以外にも気になる様子があるときはかかりつけの小児科や保健センターなど専門家への相談も視野に入れるといいでしょう。参考:発達障害の理解|厚生労働省参考:自閉スペクトラム症児の偏食に対する食物同時提示法の適用参考:発達障害児の肥満|京都女子大学生活福祉学科紀要第 16 号参考:DCD 支援マニュアル|厚生労働省子どもの肥満を解決するために家庭でできること子どもに肥満が見られる場合に家庭でできることを紹介します。まず、子どもは体重を維持するだけで身長の成長と共に肥満が解消されることもあります。肥満を気にして栄養を制限し過ぎることは子どもの正常な成長を妨げることにもなるため、子どもの肥満解消には摂取エネルギーを減らすのではなく、規則正しい食生活や運動によるエネルギー消費を増やすことが大事になります。まず乳児期は成長が最も著しい時期のため、多少の肥満は気にする必要がないと言われています。ハイハイや歩き始めるなど運動ができるようになると肥満も解消されていくことがほとんどです。幼児期になると、先述したように成人後の肥満へつながることも考えられるため、対策が必要になってきます。この頃の生活習慣が後にも影響するため、三食決まった時間に食べることや間食を計画的にするなど食生活を安定させ、外での運動遊びも積極的に行ってきましょう。食事は不足しがちな野菜、魚介類、豆類などを出すようにするといいでしょう。運動は子どもにさせるだけでなく、家族で一緒に遊ぶなど工夫しながら取り入れていくと効果的です。学童期の肥満は幼児期よりも成人後の肥満につながりやすいため、注意が必要です。この頃になると子ども自身も肥満対策の重要性を理解できるようになってくるため、食生活や運動について納得いくように説明することも大事です。運動もエネルギー消費の激しいものではなく、あくまで子ども本人が楽しいと感じるものにして、身体を動かす習慣をつけるようにしましょう。肥満の解消は家庭だけではなく、必要なら医療機関に頼ることも大切です。家庭ごとに事情があると思いますし、子どもにも成長の個人差や肥満の背景に障害が隠れていることもあるなど複雑な要素が絡まっていることもあります。医療機関で検査をすることで、家庭や子どもの状態に合ったアドバイスをもらえることもあります。抱え込まずにかかりつけの小児科や保健センターなどへ相談してみるとよりよい方法が見つかるかもしれません。参考:子どものメタボリックシンドローム|香川県肥満予防はなるべく早く対策をしていくことが大事肥満はさまざまな生活習慣病のリスクを高めることで知られています。子どものころに肥満だと、成人後も肥満となる可能性も高いため、なるべく早く対策をしていくことが大事です。家庭では規則的な食生活や運動の習慣をつけるなどの対策があります。ただ、肥満の背景に他の障害の影響がある場合も考えられます。つらいと感じたときは家庭だけで抱え込まずに、医療機関への相談も検討してみるといいでしょう。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年11月17日特別支援学級?通常学級?悩んだ就学問題現在6歳の息子は、4歳でADHD(注意欠如多動症)、ASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けました。幼稚園へは楽しく通っていたものの、切り替えの苦手さ、こだわり、癇癪、見通し不安など問題が盛りだくさんだった息子。小学校入学にあたっては進学先に頭を悩ませていました。最初は小人数で指導してもらえる特別支援学級の方が息子も落ち着いて過ごせるのでは?と思っていましたが、住んでいる自治体には情緒学級がなかったため療育の先生、かかりつけ医の先生に相談しました。すると、息子は新しいことを学ぶのに喜びを感じるタイプであること、学校でみんなと学びたいという気持ちが強いことから、通常学級が好ましいとみなさん同意見でした。そこで通常学級に席を置きつつ通級指導教室で感情のコントロール方法を学ぶほうが合っているのではないかということになり、わが家の希望は通常学級+通級指導教室に決定しました。そして、年長の9月就学相談へ臨んだのですが……。Upload By ユーザー体験談「通級指導教室は必要ない」就学相談でこちらの希望は聞いてもらえず就学相談は自治体の就学科の担当者1名と私(母)、2名で行いました。最初に私が通常学級に所属しながら通級指導教室に通いたいと希望したところ、以前受けた知能検査結果を見ながら「知的な問題がないので、通級指導教室は必要ないと思います」とバッサリ。そして今では通常学級でもある程度配慮が受けられるからと熱く説明されました。・声かけ・座席配慮・答案用紙にバツをつけない・癇癪の時に別室などで対応するその他の要望もできる範囲で聞いてもらえるとのこと。私が圧倒されていると、さらに続けて特別支援学級や通級指導教室には予算に限りがあると説明され、あまり人数を増やしたくない……という雰囲気をひしひしと感じてしまった私。その後も「まだ入学まで半年あるから成長するかもしれませんよ?」「就学前健診で学校側から言われたら通級指導教室を考えればいいのでは?」などと言われたため、こちらの話す時間もほぼ取れず終了してしまいました。これで通常学級に通うことが決定してしまったのです。Upload By ユーザー体験談本当にこれでよかったの?悩んだ母は電話をとった!本当にこれでよかったのか……とても悩みました。就学前健診の時に再度学校側に相談することも考えましたが、今回の就学相談で療育の先生、かかりつけ医の先生から勧められていたことがちゃんと伝わっていたのかも自信がありませんでした。このままモヤモヤしていても仕方がありません。やっぱりもう一度伝えなければと思った私は、勇気を出して電話をすることにしました。緊張しながら「先日の就学相談では通常学級を進められたのですが、やはり通級指導教室にも入りたいと思っておりまして……。就学相談をもう一度お願いしたいのですが」と話したところ、「では二次面接をしましょう」とあっさり二次面接を受けられることになりました。今度はきちんと自分の思っていることを伝えようと面接に行くと、前回とは別の方が担当でした。面接ではすでに通級指導教室に行くことを決めていたかのように話がスムーズに進み、通級指導教室が無事決定。力んでいたので拍子抜けしましたが、電話をしてよかったと本当にほっとしました。楽しみにしていた小学校。でも入学式では奇声と大癇癪を起こしてしまい……入学までは学校生活に関する絵本を読み聞かせたり、幼稚園と学校の違いを話したり、小学校がどういうところかイメージがつくようにしていました。幼稚園のようにいつも先生がついてくれるわけではないこと、自分で自分のことをしたり、みんなと同じように行動することが増えること、遊べるのは休み時間だけ、授業中は席に座って話を聞くなど息子には難しいことが多い状況だと話していましたが、その時は「できるよ」「勉強楽しみ」など前向きな発言が多くありました。また学校を見学し、学校内の雰囲気も味わってもらいました。そして迎えた入学式当日。学校を楽しみにしていた息子でしたが、初めてのことへの不安から学校に着いた途端に不機嫌になってしまいました。受付が終わると親はホールへ、子どもは教室へと離れ離れになったためその後どうしていたかはわかりませんが、入場は泣きながら先生につき添われて入場、席に着きしばらくすると奇声を上げて癇癪を起こしてしまいました。初めて見るくらいの癇癪と奇声で、私もビックリするほどでした。Upload By ユーザー体験談先生がホールの外へ連れ出してくれたので私も外に出てつき添いましたが、癇癪は全くおさまりません。支援コーディネーターの方が居たので一緒に校内を散歩させてもらい、式が終わる頃ようやく落ち着きました。この時の私は疲労困憊。もう疲れと悲しみでいっぱいでした。不安にならないようにといろいろ準備をしましたが、息子には事前の対策は効果なかったようです。もし今就学前に戻れるなら、入学式のイメージや大勢の人の中に入るということをもっともっと具体的に本人に伝えてあげたりイメージできるように考えてあげればよかった……と思っています。困りごとが多い息子が楽しく過ごせる居場所へ入学後、通常学級で実際に受けられた配慮は、座席を1番前にしてもらうこと、支援員にほぼ専属でついてもらうこと、見通しを立てられるよう予定を伝えてもらうなどでした。それでも息子は勝敗や順番にこだわって泣きわめいたり、プリントを破いたり、ときには全く関係のない子を叩いてしまうことも……。そんな息子の行動のため、授業も度々止まってしまっていたようです。Upload By ユーザー体験談学ぶことは好きだけれど、息子に集団行動は難しかったようでした。本人はみんなと勉強したいと頑張ってはいましたが、それ以上の配慮を求められる状況ではなかったため、1年生の2学期から情緒学級のある学校へ転校しました。問題行動はまだありますが、幸いにも癇癪の頻度は減り、癇癪になっても自分で切り替えができるようになってきています。勉強はゆっくりになってしまい不満もあるようですが、一方で楽しいことも増えたようで、母としてはホッとしています。就学前は就学先について悩みましたが、入った後も引き続き試行錯誤中です。今は息子が楽しいと思うことが少しでも増えていってくれればと思い、これからも息子の学校生活をサポートしていけたらと思っています。イラスト/taeko※エピソード参考者のお名前はご希望により非公開とさせていただきます。(監修:鈴木先生より)残念なことに、自治体や教育委員会は子どもファーストではなく定員・予算ファーストとなってしまう場合があるようです。神経発達症を診断できる小児科医が増えてきたためか、診断が増えると特別支援学級のニーズが高まり、受け皿が限られていることからこういう事例が増えています。しかし、あくまでも子どもファーストで教育する必要があるのではないでしょうか。理解のある市町村では特別支援学級の教室を増室して対応しています。残念ながら、その市町村の教育に関わる予算次第ということです。教員数も含めて市議会で議論する必要があります。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年11月17日やたらとエビ反りする新生児期39週3400gで生まれた息子。よく寝るタイプではないけど、ミルクをよく飲み、声を出したりモゾモゾしたり、元気いっぱいな赤ちゃんでした。そんな息子ですが、私はあることが気になっていました。それは、やたらと体を反らせること。Upload By ネコ山抱っこしていても息子は何だか力が入ってしまうようで、腕の中でよくのけ反っていました。布団に寝かせていても、仰向けで大人しくしていることはまずなく、モゾモゾしたり上向けにのけ反ったり。そして、泣くときは最大級にエビ反り。新生児期のうちから寝返りしてしまうのではないかと思うくらい、泣きながらそり返り、体ごと横向きになっていました。あまりのエビ反りに驚きましたが、初めての子育てということもあり「赤ちゃんってこんなもんなのかな……?」とあまり気にしていませんでした。保健師の新生児訪問で息子が生後1ヶ月を過ぎた頃、市の保健師による新生児訪問がありました。身体測定などをしたあと保健師さんから「何か困っていることはありますか?」と聞かれました。とりあえず発育も良好だしこれといって困り事はなく、初めての育児で分からないことだらけと答えると、保健師さんは息子を抱く私の姿を見て「もしかして抱きにくい?」と一言。すごく反り返ってしまうことを伝えると「まんまる抱っこが良いよ」とアドバイスをくれました。まんまる抱っこは、反っている状態から挑むには抵抗がありましたが、いざやってみると息子は心地よさそう……!それからまんまる抱っこを意識して抱くと、今まで反り返って抱きにくかった息子をなんとか腕の中に収めておくことができるようになりました。Upload By ネコ山反りすぎて生後3ヶ月で寝返り!首もすわっていないのに……保健師さんのアドバイスのお陰で以前より息子を抱っこしやすくなりましたが、布団に寝かせているときや泣くときは依然としてエビ反りのまま。加えて、息子は生後1ヶ月半頃から手足を激しくバタつかせる子で、首もすわらないうちからとにかく動きたがっていました。そんな息子はついに、わずか生後3ヶ月で寝返りができてしまったのです!(寝返りができる目安は一般的に生後6ヶ月と言われています)成長してどんどんと力がついてきた息子は、エビ反りをした勢いでうつ伏せになるようになっていました。しかし首すわりがまだ不完全なため、うつ伏せの状態で顔を上げることができません。「このままでは窒息するのでは!」 と、私は慌てて息子を仰向けにしました。Upload By ネコ山その日から私は息子が起きているときは一瞬も目を離せなくなりました。起きている間は繰り返し寝返りをするようになり、寝返りをする息子をひっくり返しては仰向けに戻すことの繰り返し……。窒息するのが心配でトイレに行くのも困難に……。寝返りしても首が上がらず窒息しないように、首すわりを促すと聞く遊びを取り入れてみたりと、いろいろ試してみました。結果、生後4ヶ月過ぎにはしっかりと首がすわり、寝返りしても首を上げていられるようになりましたが、その間に何事もなくて本当に良かったです。検索すると……首がすわる前に寝返りしてしまったこと、新生児期からエビ反りすることが気になり、思わずインターネットで検索すると『脳性麻痺』や『自閉症』の文字が。思いがけない文字にショックを受けましたが、1ヶ月健診も3ヶ月健診でも全く問題なしの息子。「検索結果が全員に当てはまるわけではないし」と気にしないことにしました。成長と共にエビ反りしなくなる、何だったんだろう?Upload By ネコ山それから息子は順調にずり這いやお座りをし、1歳ちょうどで一人歩きをし始めました。エビ反りは、首がすわった生後4ヶ月を過ぎた頃にはあまり見られなくなり、ずり這いやお座りをし始めた頃にはほぼなくなりました。その後1歳半健診で発達の遅れを指摘され、4歳の頃にADHD+ASDの傾向があると言われた息子。『新生児のエビ反り』とインターネット検索した時に出てきた『自閉症』という検索結果について、当時は気にしていませんでしたが「やっぱり関係あったのかなあ?」と今になって疑問に思うのでした。執筆/ネコ山(監修:新美先生より)新生児期から乳児期早期の「エビ反り」の思い出について詳しく教えて下さりありがとうございます。後に発達障害と診断される方のなかに、乳児期に反り返りが強かったというエピソードをお持ちの方は通常よりは高率にいるようです。このため、発達障害のチェックリストみたいなものに、乳児期に反り返りが強かったというようなチェック項目があったり、『新生児のエビ反り』と検索すると、「自閉症」というワードが並んだりするかもしれません。ですが、記事にも書いていただいたように、反り返りが強い=発達障害というわけではありません。もし、新生児期~生後4ヶ月の時点で反り返りが強いということで受診されても「自閉症です」などと診断されることはないと思います。反り返りが強いお子さんはどちらかというと過敏だったり、若干体の使い方が不器用だったりするお子さんが多いかもしれないですが、それも必ずしもそうではないです。記事を読んで、「そういえばうちの子もそうだったな」と思い出す方もいらっしゃると思いますが、あの時早く気づけばよかったなとか、相談した時にスルーされたことを残念に思うなど、後悔のネタにする必要は全くないです!「そういえば抱っこしにくくて大変だったよなー」などと思い出して共感していただけるといいなと思います。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年11月13日「ちょっと」「少し」が理解できない息子、2歳過ぎで支援センターへ現在8歳の息子は、3歳で自閉スペクトラム症(ASD)、ADHD(注意欠如多動症)の診断を受けました。見通し不安がある息子は数字にこだわりがあり、「ちょっと」「少し」が理解できずパニックになるため、あと何分、何回など具体的な数字を使って説明するようにしています。2歳を過ぎても言葉が出なかったこと、動作や言葉の模倣がないこと、他人が公園に入ってくると追い出そうとするなど人との距離感が独特だったことから、2歳すぎに発達支援センターへ相談に行きました。予約から面談当日までの間に言葉が出始めたので、もう支援センターに行く必要はないかと思っていましたが、こだわりが強く様子見が必要とのことで、定期的に通うようになりました。入園式もこれで安心?入園前の民間幼児教室ではまさに優等生幼稚園入園前に小集団を経験したほうがよいとアドバイスをもらい、プレ幼稚園のような民間の幼児教室へ2歳から入園前の1年間通いました。1年の半分は親子通園、後半は母子分離でした。朝の挨拶、お名前呼び、その日の活動、ダンスとだいたい流れが決まっており、お名前呼びのあとにその日の活動内容を具体的に話してくださったり、最後に次回の活動内容の告知があったので、息子は落ち着いて参加できていました。隣の椅子の子が手を動かすだけでテリトリーを侵害されたと感じ、不安がるなど人との距離感が妙ではありましたが、母子分離でさみしがることはあれど大泣きすることもなく、先生の指示を最後まできちんと聞いてから行動するので、教室では優等生扱いでした。なお、児童館での幼児クラスの活動では、部屋から出ようとする、部屋の後ろを走るなどして参加できませんでした。今思うと活動の内容、順番が毎回違うこと、お遊戯や体操が季節によって変わることから、見通しが立たず、不安だったのだと思います。でも幼児教室では模範生と言われるくらいに落ち着いていたので、入園式も大丈夫だろうと思っていました。Upload By ユーザー体験談夫婦で愕然……。入園式で、息子の人生初の大パニックそして入園式がやってきました。息子から「だいたい何分くらい?何をするの?」と聞かれたのですが、私の説明と違うとパニックを起こすだろうと思ったので、「お母さんも初めてだから何分かは分からないんだ。時計の針がぐるっと一周して長い針が6にくるまでには終わるよ。たぶん先生のあいさつ、園長先生のお話、写真撮影の3つはあると思う。ほかにもお母さんの知らないことがあるかもしれない」と幅を持たせた説明したところ、「分かった」とうなずいてくれ、入園式開始まで1人で園児席に落ち着いて座っていました。Upload By ユーザー体験談しかし、入園式には来賓挨拶や在園児の言葉などがあったのです。親としては誤差の範囲でも、息子にとっては予想外の大事件だったようで大パニックになってしまいました!式の途中から泣き出したのですが、泣くだけでなく「あと何分?」「先生のあいさつはまだ?」と何度も繰り返していました。ほかにも泣く子はいたのですが、式の途中で行われた先生との手遊びなどで落ち着いていくなか、息子の泣き声はより大きくなってしまい……。息子の横に担任の先生がかけつけてくれ、落ち着かせようと話しかけてくれたのですが、「あと『もうちょっと』だよ」など息子の望む答えではなかったので、だんだん激しく泣き、怒って先生をぽかぽかたたき始めてしまいました。Upload By ユーザー体験談私も夫も、大パニックを起こした息子を見たのはこれが初めてでした。式後半からは息子の隣に私がかけつけ、膝の上にのせ、「まだ6まで針が来ていない、先生の挨拶のほかにもお母さんの知らないイベントがあるらしいよ」と説得したことで、泣き方は多少はおさまりましたが、最後まで泣いていました。ただ、式が終わったらけろっと「やっと終わった。もう帰っていい?」とあっさりしていました。ただ私たち夫婦にとって、泣いて怒る息子の姿は衝撃的で、目を閉じてもその光景が消えることはありませんでした。一緒に困りごとを目撃した私と夫。このことで夫婦関係に変化が入園式のあと夫と相談し、医療に一刻も早くつながることを目指しました。それまで仕事で家にほとんどおらず、息子の様子をほぼ知らなかった夫は、私が話す息子のこだわりは私の気にしすぎだと思っていたところがありました。発達支援センターに定期的に通っていたことも、当初の悩みの種であった言葉の遅れが解消してからは無意味だろうと言っていました。私が息子に困りごとがあると思い込み、大騒ぎして障害児に仕立てようとしているのではないかと言われたこともありました。しかしながら入園式でのパニックを見て、息子本人が困っていることに気づき、親が手助けできることはやってやりたいと言ってくれるようになりました。受診の状況や、幼稚園とのやりとりの話について関心をもって聞いてくれ、2人でどうするかを考えられるようになり、私は心からほっとしました。Upload By ユーザー体験談児童精神科を受診し診断へ。問題なく幼稚園時代を過ごし小学生へ……その後はすぐに児童精神科を受診し、自閉スペクトラム症(ASD)の診断を受けました。幼稚園の先生方には丁寧に対応してもらったため、幸いにもスムーズに通い、無事卒園しました。そして小学校の入学式では希望者のみの前日リハーサルに参加し、当日は落ち着いて参加できました。入園式の大パニックの経験をいかすことができ、何事もなく終わってほっとしました。小学校の1年、2年生のあいだは週に2時間、通級指導教室に通い、通級指導教室の担任、通常学級の担任との3人共有の連絡帳のおかげで、ちょっとした困りごともいち早く先生方に伝えられ、即座に対応してもらえました。このことで、「困ったときは先生が助けてくれる」安心感が息子の中でアップしたこともよかったです。私の住む地域では通級指導教室は原則1年限り(延長しても2年まで)とのことで、2年生で通級を卒業しました。3年生の今は問題なく学校に通っていますが、もし困りごとが目立つようなら、再入級を打診するつもりです。「困ったことは工夫すれば対処できる!」ことを経験してのびやかに育ってほしいです入園式以前は、自閉スペクトラム症(ASD)だとしても困り感は少ないだろうと思っていました。数字に強く、文字が読めるようになったのも早かったですし、語彙も豊富でよくしゃべるし、IQも高めだったので安心していた部分もありました。ですが、入園式の様子を見て、できることとできないことの凸凹が激しいところがあると痛感しました。早めに医療とつながり、診断名がついたことで、親や本人のわがままではなくできないことがあると学校側に伝えられたことは助かりました。今も息子にはしつこいくらいに予定を伝え、一緒に確認することで、息子が誤解する余地を与えないように気をつけることでパニックを防いでいます。今後、息子には困ったときに「困っています」と自分で言える子になってほしいです。匂いに敏感で通れない場所があったりするのですが、エッセンシャルオイルを持ち歩くことで通ることができるようになりました。こんな風に困ったことがあっても工夫すれば対処できるといった経験を積みながら、自分でどうすればよいかを考えられるようになってほしいです。願わくば、自身の特性に引け目を感じないでのびやかに育ってくれればと思います。イラスト/海乃けだまエピソード参考/いこま(監修:鈴木先生)神経発達症のお子さんは「ちょっと」とか「少し」のような抽象的な表現の理解が苦手です。具体的に30秒とか時計で示すか、砂時計などを利用して視覚的に訴えることが必要となります。早めに診断することで今後の方向性もわかり、前もって対処することも可能になります。世間のASDに対する理解が広まれば、「自分はASDなので〇〇なことは苦手です」とか「具体的に話してください」などと普通に自己紹介できる社会になっていくのではないかと常々思っています。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年11月09日寝つきが悪い、激しい後追い…赤ちゃんの頃から繊細だった長女。初めての育児で悩み続けた日々現在小学6年生のわが家の長女『姉子』は、赤ちゃんの頃からとにかく繊細な子どもでした。一日のなかでも機嫌の良い時間が短く、寝つきも悪い、やっと寝たかと思ってもすぐ起きては泣き、手間暇かけてやっと熟睡に持ち込んでも、“膝のパキ音”だけで完全覚醒するような赤ちゃんでした。私は姉子が初めての育児だったので「赤ちゃんとはこういうものなんだ」と思っており、どうにかご機嫌になってくれないかと日々試行錯誤していました。そして、姉子がハイハイできるようになると、トイレも食事もできないほどに私を追いかけて来て、後追いがかなりひどかったと思います。言葉が出るのも少しゆっくりだったものの、1歳半健診の時には「姉子ちゃーん」の呼びかけに3回に1回くらいの成功率で「はい」と返事ができていました。それでも日常的に機嫌はあまり良くなく、なんで泣いているのか、なにが正解なのか、なにをすれば笑ってくれるのか……。子どもが産まれたら『いいお母さんになりたい』と強く思っていたことも重なって、私は悩み続けていました。Upload By スパ山小学1年生の冬、「発達検査を受けてみては?」と担任から急に言われて2歳3歳と年齢が上がるにつれ、夜泣きや後追いは少しづつ減っていきました。そして姉子が3歳の時に弟が生まれ、年少から幼稚園に通うようになると、「お姉さんになった」という自信をつけたようで、楽しく幼稚園生活を送っていました。年少の途中で夫の仕事の都合で転勤があり引っ越しをしましたが、転園した幼稚園でもすぐに馴染んでいたように見えました。相変わらず言葉はゆっくりだったものの、少しづつ増え、コミュニケーションがとれるようになってからは笑顔になってくれることも多くなりました。私はそんな娘を見て「ひょうきんで明るい子になったなあ」、とうれしく思っていました。しかし、小学校に入学してすぐに行き渋るようになりました。そのため、私がつき添って登校をして、校門まで先生に迎えに来てもらうという形で小学校生活をスタートしました。私は「小学生の頃は、最初はこんなもんだろう」と、のん気に思っていて、その時は何も心配していませんでした。そして小学1年生の冬、個人懇談会で担任の先生から学校での様子を聞いて、本当に姉子のことなのかと私は耳を疑いました。全体指示が伝わりにくい、少しのことで大泣きする、ほとんどのテストが白紙、授業中に教室から飛び出して校舎の外で泣いていたなど……。そして担任の先生から「発達検査(WISC)を受けてみてはどうでしょうか」と言われ、そこで初めて姉子にも発達障害があるのかもしれないと思いました(弟のハジュが既に発達障害の診断を受けていた)。まさに寝耳に水。いや、寝耳に氷水くらいの衝撃でした。正直なところ「あ、この子もか」と目の前が真っ暗になりました。そして同時に、乳児期からの育てにくさを思いだし、何となく腑に落ちる点もありました。すぐに発達支援センターへ相談に行き、2年生になってすぐWISCを受けました。結果はかなり凸凹があり、これまで相当しんどい思いをしてきたのではないかということが分かりました。私は姉子に申し訳ない気持ちでいっぱいで、今まで気づかなかった自分をすごく責めました。そして、わずかにあった母親としての自信のようなものを完全に失ったのでした。Upload By スパ山小学2年生で自閉スペクトラム症と診断。ストレスがかかり、分離不安症と睡眠障害にも……発達検査を受けた翌年、姉子が小学2年生の夏にまた転勤がありました。今度は地方から都心部への引っ越しです。姉子も、都会の小学校に転校したことで環境がガラリと変わりました。姉子は、ストレスからか眠れないことが増え、食事もとれたりとれなかったり……。学校も休みがちになっていきました。そして、引っ越しをしたことで病院も変わり、また一から診察予約をして順番待ちをすることに。発達外来の予約が取れたのは、なんと9ヶ月後でした。その頃には、姉子は小学3年生になっていました。やっと初診の日を迎え、そこからまた検査の予約を取り、2回目のWISCを受けました。やはり凸凹がある結果となり、そこで自閉スペクトラム症と診断されました。さらにコロナ禍で、学校や世の中のただごとではない雰囲気を感じ取った姉子は、登校することはおろか、外出もできなくなりました。姉子はただでさえ小柄なのにどんどん痩せていき、夜泣きをするようになりました。そんな姉につられるようにきょうだいたちも夜泣きをして、寝不足から家族全員が「ここはどこ? 私は誰?」みたいな状態で、ぼんやりした日々を送っていました(当時の記憶があやふやです)。そして、何度目かの通院で姉子は分離不安症と睡眠障害の診断を受け、投薬治療を開始することになりました。医師から診断を受けた時、私の想像をはるかに超えた不安を娘は感じているのだと知り、「この子が消えてしまうのではないか」という気持ちに襲われました。そして、「なんとかして生きてほしい、この子を助けたい」と必死でした。Upload By スパ山小学3年生で再び転勤。3つ目の小学校へ転入そして姉子は、だんだんと回復に向かい、母子登校をしつつ学校にも足が向くようになりました。声をかけてくれるクラスメイトもいて、手を振ったりできるまでになりました。食事や睡眠がとれるようになると、笑顔になることも増え、周囲の協力もあって少しずつ姉子らしさを取り戻していきました。しかし、やっと2つ目の小学校にも慣れてきたタイミングで、またもや夫に転勤辞令が出たのです。姉子は小学3年生で、3つ目の小学校へ転入しました。ここでも母子登校を続けていましたが、やはり環境の変化が与える影響は大きかったようです。すぐ家にこもるようになりました。私は、「前の学校の転入時のようになってはならない!」と思い、SNSやインターネット、役所や病院など……思いつく限りの所で相談をして情報を集めました。そして姉子と一緒に悩みに悩みぬいて、小学4年生に進級するタイミングで特別支援学級へ転籍をしました。小学6年生になった現在は4年生で特別支援学級に転籍した頃は、最初は母子登校から始めました。じっくりゆっくり姉子のペースに合わせて、『焦らずあきらめず、ときどきほんの少し背中を押す』というスタイルで、先生方にも協力していただきました。6年生になった現在では、学校の委員会活動をしたり、下級生の子どもたちの面倒を見たり、私から離れて修学旅行に行ったり(心配で私のほうが一睡もできず(笑))と、姉子の成長に驚きの毎日です。何度もぶつかった大きな壁をぶち破ってはないけれど、その壁に緩やかな階段をつくってみんなでゆっくり乗り越えてきたから今の姉子が笑っているんだなと思います。この個性にあふれる姉子と出会えたこと、どこでもなく、私のもとに生まれてきてくれたことを感謝しています。『いいお母さんとは何なのか』、それは今も分からないのですが、これからも子どもたちの一番の味方でいたいと思っています。Upload By スパ山執筆/スパ山(監修:森先生より)環境の変化には、大人だって戸惑いがあります。スパ山さんのように、役所や病院などで相談をしてできる限りの情報を集め、頼れるところは全て頼る姿勢はとても大切です。ゴールは「学校に行くこと」ではありません。お子さんが笑顔で過ごせるように、お子さんのペースを尊重しながらゆっくり環境に慣れることができるよう、まずは睡眠食事などの生活を整えていくことです。「何度もぶつかった大きな壁をぶち破ってはないけれど、その壁に緩やかな階段をつくってみんなでゆっくり乗り越えてきた」と言える子育て、大変素晴らしいですね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年11月06日医師の診断を受けるため、療育医療センターへUpload By プクティわが家の長男は、4歳の時に発達支援センターで知能検査を受け、精神年齢が約2歳遅れていることが分かりました。その際、IQの数値から「療育手帳」を申請することができると案内してもらいました。療育手帳を持っていると、今後いろいろと話がスムーズに進む場合が多いとのことだったので、さっそく申請することにしました。私たちの住んでいる自治体では、療育手帳の申請には「医師の診断書」の提出が必要でした。息子のことを詳しく診てもらいたかったこともあり、すぐに専門病院である療育医療センターに診察の予約をしました。しかし、発達支援センターや療育施設と同様、療育医療センターもとても混んでいるようで、診察の予約が取れたのは、最短で3ヶ月後だったのでした……。3ヶ月待ちの療育医療センター。いよいよ診察開始Upload By プクティ3ヶ月後、待ちに待った診察の日がやってきました。どのような診察が行われるのかドキドキしながら診察室へ……担当してくださったのは男の先生でした。診察室は特に普通の病院とは変わらず、ただ部屋の隅にちょっとした畳のスペースがありました。先生とのお話中、なかなかじっと座れずだらだらしている息子を見かねて、その畳のスペースでお絵描きさせてもらえることに。おかげで、息子はお絵描きに夢中になり大人しくしてくれていたので、私たちは先生とのお話に集中することができました。Upload By プクティ先生とのお話は、事前に記載しておいてほしいと言われていた息子に関する成長の記録と、知能検査の結果を元に進んでいきました。Upload By プクティ先生は非常に慣れているようで、息子の様子を少し見ただけで即座に判断していてすごく説得力がありました……。私たちが心配していた多動も集中力も心配ないとのことで、「好きなことへのめりこむ集中力があるのだから、集中できないことに関してはまだ楽しさを見いだせていないだけ。なので、周りが興味を持てるようサポートしていくことが必要」というお話でした。医師の診断結果は・・・?Upload By プクティそして診察の結果は、IQの低さや息子の様子から、ASDやADHDの疑いもなく、診断を出すとしたら知的発達症(知的障害)に該当するとのことでした。こうして診断名も分かり、診断書もいただき、無事療育手帳の申請をすることができたのでした。執筆/プクティ(監修:新美先生より)診断名決定と療育手帳取得についてのエピソードを聞かせていただきありがとうございます。療育手帳の取得の手順や基準は、都道府県によって若干異なることがあります。プクティさんの地域では、療育手帳取得のために、療育医療センターでの医師の診断が必須なんですね。プクティさんは、診察の日を「待ちに待った」と書いておられますから、息子さんについて有用なアセスメント、診断名が分かることに期待していたのですね。診断名が分かることで、息子さんについての見通しが持てたり、手帳を取得することで受けられる支援の幅が増えるなどメリットがありますよね。診断が出ること自体を不安に思ったり、手帳の取得を迷ったりする方もおられると思いますので、プクティさんのエピソードも一つの参考にしていただければと思います。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年11月05日水ソムリエと化した息子ですUpload By 丸山さとこある日、学校から帰ってきた中学生の息子のコウが「学校の水は、飲む場所によって味が全然違う」と言い出しました。「そんなに違うの?」と聞くと、「お母さんも一度飲んだら分かるよ」とうなずきつつ、さらに詳しく説明してくれました。「1階の水が冷たくておいしい。特に北校舎前の水道水は日陰にあるから、一番水が冷たくておいしい。においもあまり感じない。3階の水はねー、ぬるくてまずい。サビのにおいを感じるような気がする」Upload By 丸山さとここのように水場ごとの味の違いをとくとくと語るコウを面白く思いながら、私は「あぁ、よかった。コウは学校で水を飲んでいるのだな」と胸をなで下ろしました。なぜなら、神経発達症(発達障害)の感覚鈍麻によるものなのか、コウは小さな頃から喉の渇きを自覚しにくい傾向があったからです。水分をとらない息子と、熱中症の危険性にハラハラする私ADHDの特性からか何かと忘れ物が多いコウですが、その中でも特に心配になる忘れ物が水筒です。体操服であれば学校から借りたり授業を見学したりして対応することが可能ですし、箸やマスクは予備を持つことができます。宿題を忘れても授業を受けることはできます。ですが、水筒の忘れ物は健康面への影響があるため、「何とかなるだろう」で済ませることはできません。家庭でできる対策として、水筒を3本用意しつつペットボトル飲料を常備するようにしています。Upload By 丸山さとここのようにさまざまな工夫をしてコウに水分を持たせるようにしても、ほとんど飲まないまま帰って来ることはよくありました。コウも知識としては水分摂取の大切さや熱中症の危険性を理解しているのですが、「喉が渇かない」という体感のほうを優先してしまうため、なかなか水分をとることが身につかない状態でした。Upload By 丸山さとこそんなコウでしたが、8月に入り暑さが本格的になると少しずつ水を飲むようになり、「見て、水筒がほぼ空だよ!」と自慢する日も出てくるようになってきました。「あまり熱心に褒めると『褒められるために水を捨ててから帰る』などのつじつま合わせをしかねないな」と考えた私は、極力大きく褒めないよう心がけることにしました。その上で、「へ~、コウが水筒を空にするくらい、今日は暑かったんだねぇ!」などの感想を伝えるようにしました。そのかいあってか、たまたまそういう時期だったのか、コウは今年の夏から少しずつ水を飲むようになっていきました。自分で考えて対処したコウに、少しホッとしましたこうして水を飲めるようになったはずのコウでしたが、学校での生活は私には見えないため、本当に水を飲んでいるのか今までは分かりませんでした。だからこそ、「学校の水は、飲む場所によって味が全然違う」というコウの発言にはリアリティを感じてうれしく思いました。また、水筒を忘れた・中身を飲み切ったという状況に対してコウが『美味しい水場を探す』という一工夫を入れたことには、「小さなピンチがあっても楽しみながら対処している様子が見えるようだ」と感じて少しホッとする気持ちになりました。Upload By 丸山さとこ執筆/丸山さとこ(監修:藤井先生より)暑くても水分摂取をしないという相談はときどき伺います。ご自身の体調の変化に気づきにくいお子さんもいるので、喉が渇いたらよりは、休み時間に一口飲むなど、具体的に飲んだほうが良い時間を提示して対応する場合もあります。コウさんは、少しずつ水筒のお水を口にすることができるようになり、水筒を忘れたときには、学校の水道水でも対応ができるようになっていたのですね。水ソムリエと化したエピソードから、小さなピンチに対処できるようになったと成長を見つけたさとこさんの、見守り方も素敵です。コラムを読ませていただきありがとうございました。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年11月02日発達障害のある次男の中学校生活がいよいよスタート!Upload By スガカズ発達障害(ADHD、LD)のある次男はこの春から中学校の通常学級に通っています。希望していた週一回の特別支援教室(通級指導教室)にも無事に通えることになりました。次男は昔から、環境の変化が苦手です。環境の変化があるときに対人関係のトラブルが起こりやすくなります。小学校に入学してからは大人(今回の場合は学校の先生など)とのトラブルが大半で、小学校低学年の頃はかんしゃく(暴言、物にあたる)や脱走がときどきありました。そのため、「次男の特性をあらかじめ知ってもらっていたほうがトラブルを未然に防げる」と思い、次男の特性などを中学校に事前に共有しています。学校生活スタート。本人の気持ちは……?次男は小6の秋におこなった、特別支援教室(通級指導教室)の体験での自己紹介で「中学校に入ったら怒るのをなおしたい」と言っていたり、入学直前には「中学校に入ったら新しい友達をつくる」「どんな学校なのか楽しみ」と話していました。小学校卒業前から本人の情緒は比較的安定していて、中学校に通ってからも不安定になることはありませんでした。知らない人も多く小学校とは違った環境でしたが、よい緊張感をもって中学校に通い始めました。入学から1ヶ月ほど経つと、クラスにも徐々になじめるようになり、新しい友達も増えました。また、クラス担任は次男との関わり方が上手く、次男自身も担任を好意的に思っているようで、大きなトラブルもなく毎日学校に通うことができています。Upload By スガカズただ、昔から朝は苦手で、緊張感がなくなった現在は、遅刻が目立つようになりましたが……。部活動はソフトテニス部に入部しました。体を動かすことは昔から得意だったので、テニスは未経験でしたが、どんどんできることが増えていきました。週5日の練習や、休日の試合など熱心に活動しています(平日の朝は遅刻が目立ちますが試合の朝は不思議と遅刻しません)。一度だけ、体育の先生と意思の疎通がうまくいかず、泣いて授業を抜け出したことがありましたが、その際には担任が次男に事情を聞き、学校で話し合って解決することができました。授業は前向きに参加しており、小学校の頃と比べると大きな成長を感じています。初めての定期テストと、課題提出7月、次男にとって人生で初めての定期テストがありました。次男は書字障害があり、文字を書くことが困難なため、書字を含めた勉強が苦手です。ただ、小6の頃から毎月療育に通っており、そのお陰で、文字を書く困難さは改善されました。小学校の頃はノートが真っ白だったのですが、中学校では、困難さを抱えつつも努力して書こうとしているようです。次男の中学校は、普段は課題が出ないのですが、定期テストの日に、課題の提出を求められます。小学校に通っていた時は、宿題の内容を担任の先生と話し合って調整してもらっていました。ですが、中学校では課題の範囲が学年で決まっており、次男だけ調整することは難しいということでした。また、この時期の子どもは友達との時間を優先しがちなので、本人が家にいない時間が増えました。そのため、課題に取り組める時間の確保が難しかったです。Upload By スガカズ【1週間の間にこなす課題】・国語漢字20ページ・数学50ページ・英語20ページ全ての問題を解いて丸つけ間違ったところはノートにやり直して提出結局、締め切りが1週間という限られた時間で次男が課題をこなすことはできませんでした。数学、英語はなんとか提出できましたが、国語の課題は手をつけられなかったので、未提出です。また、テストに向けた復習をする時間はまったくありませんでした。そもそも私は「次男は中学校でテストを受けてくれるのだろうか?」といった疑問がありました。中学校のテストは小学校の時よりも長時間の集中力や、見通しが求められます。もともと小学校でのテストが、書字の困難さを含めさまざまな理由から、白紙のままで0点で返ってくることも珍しくなかったのです。そのため、数日間、みんなと同じようにテストを受け続けることは難しいのでは?と、私は思っていました。Upload By スガカズ期末テストは3日間あったのですが、本人は3日間乗り越えることができました。国語は白紙に近い状態でしたが、受けてくれただけで、十分だと思いました。はじめての定期テストを終えて気付いたこと・漢字にルビがふられていた→ルビふりのお願いはしていませんでしたが、学校側で学習障害(LD)の生徒向けの対応をしてくれていました。・テスト時間の延長は個別で対応ができる→後日、テスト結果を持参して療育に相談しに行った際に、テスト時間の延長ができるかもしれないという話になりました。実際に学校に質問したところ、別室に移動して受けることができるということでした。今のところ本人の当日の意向から、延長の対応はしないでテストを受けています。・プリントをホチキス留めしてプリントの順番がバラバラにならないようにする。→国語のプリントが右とじのスクラム製本だった(ホチキス留めされていなかった)。テスト中にプリントを落としてしまい、順番が分からなくなったので、問題の意味が理解できなかったから白紙に近かったのだそう。学校には、ホチキスを持参する旨を共有した。ホチキス留めをしただけで2学期の国語の中間テストは解いた問題の数が増えた。初めての課題提出で気づいたこと・課題の範囲は先に知ることはできないが、どのワークを使うのかは分かったので、得意な教科は、時間がある時に少しずつ進められるとよい→とは言っても次男の特性から、声かけが重要ですが、「先生から言われてないからやらなくてもよい」と自己判断する場面があったので、先生から「中学生は自主的にやらないといけない」と次男に伝えてもらいました。Upload By スガカズ本当によかったと思うことは、「クラス担任との相性がよい」ということです。次男が通うソフトテニス部の顧問をしているので、テスト後の部活に参加する条件が「数学の提出を完了させること」だったそうです。好意をもっている先生に言われてしまったこと、部活に早く参加したい気持ちが、本人を動かしているんだろうと思います。テストの結果にはあまりこだわりませんが、提出できる課題を少しずつ増やせればいいなと思います。執筆/スガカズ(監修:井上先生より)中学生活で初めての定期テスト、親御さんもお子さんもかなり不安だったと思います。スガカズさんも触れておられましたが、書字障害や感覚過敏など医師や専門機関の診断、所見や意見書があれば、話し合いによって解答欄の拡大や別室受検など症状に応じた合理的配慮が可能になる場合があります。また、提出物に関しても手書きではなく、パソコンやタブレット端末の活用で代替するなども考慮されるかもしれません。合理的配慮の際には、実施前に本人が納得すること、実施したあとに本人の意見を取り入れながら改善していくことが大切です。周囲の生徒と異なる支援を受けることが本人の心理的な不安につながる場合もありますので、お子さんの思いを尊重しながら本人のペースで進めていかれるとよいと思います。スガカズさんも書いておられるように教師との信頼関係も何より大切ですね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年11月01日脳のタイプ僕は、人間はさまざまな「脳のタイプ」をもっていると思っています。つまりいろいろなタイプの人がいる、ということです。当たり前だよと、言われるかと思いますが、すでに知られている「発達障害」って、そのいろいろな人のなかのあるタイプ(特性)を言っているのです。すでに1977年にトーマスとチェスは子どもの気質を研究し、平均的な子以外に、育てやすい子、気難しい子、順応の遅い子が一定の割合で存在しているという結果を出しています。子どもはあるいは人間は十人十色というわけです。でも、そのなかで、現代社会を生きていく中で、「生きづらさ」を抱えてしまう子どもがいます。その子どもたちの行動や感情表現、あるいは物の見方、感じ方、考え方や気づき方などから、いくつかのタイプ分けをして、そこに名前をつけたものが「発達障害」となりました。個性とも言えるのですが、この名前がついた脳のタイプをもつ人は、現代社会でよく理解していただき、適切な関わりをしていただくことで、生活のしにくさが、ある程度安定すると思われます。脳のタイプを理解することは、その方の生活を安定させる一歩になります。「彼を知り己を知れば百戦殆からず」というように、まずは相手をよく知ることです。ただし、脳のタイプといっても、きちんと分別できるものではなく、ここにも十人十色の混合色が混じり合います。どれほど似た者同士であっても、まさに一人ひとり異なる世界を持っています。特性としての理解Upload By 田中 康雄かといって、千差万別、いろいろだねとなると、あまりにも漠然としていて、理解と適切な対応の基本形が見えてきません。何事も基礎は大切です。そこでそれぞれの「発達障害」のタイプについての理解は重要です。このタイプは、こだわりや対人関係が苦手で、特定の感覚が鋭すぎたり鈍かったりするようです。このタイプの子どもたちと出会うと、僕は彼らの心にあるいいようのない不安感を感じてしまいます。こだわりは不安を軽くする自分の世界観であり、対人関係になじまないのも、状況が見えない不安からであり、感覚の鋭さは不安の強い自分を守る諸刃の刃のようなものと、僕は仮に理解しています。とても繊細で慎重な子どもと思うことで、こちらも無理に関わろうとか、急に距離を詰めるような関わりを控えることで、少なくとも不安を強めないようにします。Upload By 田中 康雄このタイプは、じっとしていることが苦手で、考えるまえに行動が先になり、集中注意が行き届かず、生活では注意やお叱りを頻回に受けてしまいます。本人は注意されても次の瞬間に別なことに気が移ってしまうので、周囲からすると、反省しない子と、また評判を落としてしまいます。でも、僕は、彼らがとても豊かな発想力をもち、いざというときにびっくりするほどの力を発揮することも知っています。でもそんな彼らが日々の失敗と叱責にこころを痛め、悩み、自分を責めているようにも感じます。時々、彼らの笑顔がこころから発せられていないこと、さらには笑いながら涙することにも再三遭遇しています。Upload By 田中 康雄このタイプは、知的な能力な維持しているのに、学習で獲得する「読み・書き・計算」がなかなか身につかず、学校生活がつらくなってしまいます。決して努力不足ではありません。僕が昔関わった子は、「漢字を1つ覚えると2つ忘れてしまう」と言いました。その時の寂しげな笑顔が忘れられません。Upload By 田中 康雄このタイプは、いわゆる運動神経が鈍いと言われ、昔は運動オンチと言われていました。かくよう僕がまさに運動オンチでした。この協調運動は体育の授業だけでなく、鉛筆が上手に持てない、リコーダーが吹けない、コンパスが使えないなど、さまざまな場面で不器用さを発揮します。そしてこの「できなさ」は、その子にとって「恥ずかしい」体験としてこころに植え付けられます。Upload By 田中 康雄特性の理解から、その子の思いを想像する今回監修させていただいた『発達障害・グレーゾーンの子どもが見ている世界」は、そんなタイプをもつ子どもたちが、どんな気持ちで日々を送っているかを考えてみたものです。こうした特性のない人からすると、なぜそんな感じ方、考え方をするのか、どうしてこれができないのか、きっと不思議なことでしょう。でも、こうしたタイプがある方からすると、逆に、どうしてそれができるのか?なぜそんな風に感じて、考えるのか、不思議でなりません。この本のChapter1では、そんな子どもが見ている、感じている日常を想像してほしくて、16の「ナゾ行動」にたいして、子どもの世界をそれぞれ2つほど展開しました。十人十色といっても、1つのナゾ行動に対して10も20も展開していては、本書がこの10倍以上の厚さになってしまいます。ここに示したナゾ行動の説明は一つの仮説にすぎず、こんな子もいるよ、という提案です。もっともっと、別の理由を持った子どもはたくさんいます。わが子の、保育士や教師の方なら目の前の子どもたちの、その言動の理由を想像して探ってみませんか?あるタイプだからこの言動でなく、Aくんだからこの言動、そうかBくんだからそうしたのか、と思えるようになれば、なによりもAくん、Bくんが、分かってくれたと思って、とても喜んで、安心してくれると思います。例えば、ナゾ行動8にあるような、遊びのルールが守れないというナゾ行動にも、守れないという以前に、そのルールが理解できていない場合や、分かっていても自分の思い通りにしたくて結果ルールを確信犯的に破ってしまう場合もあります。Upload By 田中 康雄Upload By 田中 康雄このようにある場面の言動を、その子はどのような理由から表出しているのか、日々の言動を観察し、あれこれと心情を想像し、こんな気持ち?あんな気持ち?と考え続ける。そうすることでその子の理解が進んでいくと、僕は思うのです。注意や叱ることの前に、「そうか、こうしたかったんだね」「もしかして、こんな気持ちだったのか」と、子どもの思いに少しでも近づき、思いを重ねようとするだけで、きっと、その子は、安心する、守られている、と感じるのではないでしょうか?脳のタイプを知ることは前提として大切です。同時に、一人ひとりの生活の癖、関係の取り方など生活から見えるその子の有り様を、重ねることで、多面的に、そしてより深く、子ども理解が進むように思います。どんなことにも、わけがある。そこに、その子の唯一無二の「思い」が隠れていると、僕は信じています。ナゾ行動に隠れた意味を考えるとき、保育士や教師の方であれば、複数人であれこれと考えてみるのも一つです。僕たち応援する大人も、みな十人十色なので、想定外の仮説が聞けるかもしれません。こうした議論は僕たちの理由を知るための引き出しを増やすことになります。分からないときは、その子に聞くのも大事です。実は、きちんと説明できるかもしれません。想像しましょう。話し合いましょう。分からないことは聞きましょう。そして、何事もよいと思ったことを試してみましょう。僕たちができることは、いつも「仮に理解している」に過ぎません。でも「実際に」支援することで、その子を理解することができるものです。その叩き台の一つが、本書の16のナゾ行動です。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年10月30日930グラムで生まれた早産児の息子の子育てUpload By 鳥野とり子在胎27週930グラムで生まれた息子のねこ太。現在小学校1年生になり、体重は少し軽めだけど身長は平均ど真ん中でスクスク成長中。ADHDグレーゾーンで特別支援学級に在籍していて、週4で放課後等デイサービスも利用しています。年齢を重ねるにつれて大きな困り事は殆どなくなりましたが、小さな困り事がいくつかあるので、学校の先生や療育の先生と相談しながらどうしたらねこ太が過ごしやすくなるのかを模索中です。息子の乳児期、私の中で膨らんでいった違和感Upload By 鳥野とり子赤ちゃんの頃の息子は【寝ない】【飲まない・食べない】子で育児に苦戦する日々でした。それでも目は合っていたし、あやしたら笑うので「これはこの子の性格なのかな?」とそこまで気にすることはなく過ごしていました。でも断乳しても離乳食を食べなかったり、夜泣きが一向に収まらなかったりと、少しずつ私の中で違和感を感じるようになってきました。発達遅滞は早産児あるあるだけど……Upload By 鳥野とり子ねこ太は運動発達が特に遅く、首すわりは生後10ヶ月頃、ハイハイをしたのは1歳を少し過ぎてからでした。出産時のNICUにいた頃から主治医に「ねこ太くんは運動発達が遅いと思う」と言われていたので、この位の発達遅滞は想定の範囲内でした。しかし、1歳3ヶ月でつかまり立ちができるようになった後はいつまで経っても歩く気配がなく、ずっとハイハイのまま。早産児健診のたびに「伝い歩きもしているしもう少し様子を見よう」「そろそろ歩けそうだから……」と様子見を繰り返していましたが、満2歳を迎えた頃ついに主治医から「さすがに遅いので、PT(理学療法)を開始しましょうか」とリハビリを勧められました。2歳2ヶ月でPTリハビリと児童発達支援の利用を開始!Upload By 鳥野とり子発達障害は支援に繋がるまでに時間を要することが多いと聞いていましたが、ねこ太は運良く希望する施設に空きがあり、主治医からのリハビリの提案から2ヶ月後にはPTリハビリを開始することができました。そして運動発達だけでなく、「バイバイの手がぎこちない」「呼んでも振り向かない」など、ほかの発達にも遅滞がありそうだったので、すぐに受給者証の申請をして児童発達施設を調べて見学に行き、4ヶ月後には療育を開始することができたのです。今思うとすごいスピードで動いたなと思います。療育を開始してひと安心かと思いきや、この頃からねこ太の特性がどんどん濃くなり多動が激しくなっていくとは、この時の私は思いもしていなかったのでした……。母も息子も日々アップデートUpload By 鳥野とり子そんな息子も現在小学校1年生。療育やリハビリのおかげで、どんどんできることが増えて毎日楽しく過ごしています。でも特性が消えたわけではないので、何か困り事が出てきたらその都度療育の先生や発達外来の先生に相談しています。初めの頃は特性に対して戸惑うことだらけでしたが、先生方のアドバイスのおかげで息子の個性に寄り添って過ごせるようになりました。それでもまだまだ至らないことだらけで、本を読んだりインターネットで情報収集をして息子と一緒に日々アップデートをしています。私は息子の発達に対してどうしたら良いのか分からないことだらけで、たくさん悩んでたくさん戸惑いました。そんな時、私はLITALICO発達ナビで知識を得たり、先輩ママさんの体験を読んで気持ちが救われたことが何度もあります。今度は私が同じような境遇の方のお力になれるようなコラムをお届けできればと思います。執筆/鳥野とり子(監修:鈴木先生より)27週930gは週数相当の発達です。決して子宮内での育ちが悪かったわけではありません。ですが、1000g未満で出生したお子さんには発達の遅延がみられる割合が多いとの報告があります。NICU医療の進歩もあり、モニターのアラーム音を下げて保育器内の音環境を整えストレスの少ない状態を保つようにしたり、適切に栄養補充したりすることで、健やかに発達・発育ができるよう試みています。なお、小児科医は発達の観点から新生児の体重よりも脳の発達の指標である頭囲を重要視します。頭囲が週数相当で正常であるかをみています。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年10月30日幼稚園では理解が得られなかった息子。就学へ向けて少しでも過ごしやすくなるよう「練習」をしました!現在は7歳の息子は3歳で聴覚過敏気味、視覚優位の自閉スペクトラム症、ADHDの診断を受けました。現在は通常学級在籍、特別支援教室に通っていて、粗大運動がぎこちないところがあるのですが、発達性協調運動症(DCD)の診断名まではつかないと言われています。幼稚園の頃は、無理解な先生が多く、「息子にほかのお子さん方と同じことを求めるのは難しいと思うんです。頑張って頑張っても頑張っても、ほかのお子さんの足元くらいにしか到達しない。ほかのお子さんの6~7割いけば十分だと思っています」とお伝えしても、「子どもはみんな同じ。特別扱いはできません。発表会等の行事も経験させたいので疲れていても幼稚園を休ませないで下さい、甘やかさないで下さい。こんなんじゃ小学校上がってからが心配です」と言われ続け、お迎えの時には、あれができないこれができないと、できないことばかり報告される日々……。できないことは息子や親の努力不足といわれつらい思いを抱えていました。Upload By ユーザー体験談そんな状態だったので、小学校では息子ができることも増やして自信をもって過ごせるように、学校側と連携がとれるように、就学へ向けて家や療育でいろいろと練習をしてきました。今回は、わが家が行ったことと、小学校入学前の校長先生との面談から1年生になった今の様子をご紹介します。就学までに一歩一歩!わが家で取り組んだ3つのこと就学までを目標に取り組んだことは大きく3つあります。トイレと着替え、そして連絡帳の書き方です。息子は年長になっても用を足すときは洋式トイレに座ってしていました。立って用を足すと、おしっこが飛び散ってしまい、濡れることに過敏な息子はパニックになってしまうからです。そこで絵を使いました。1.どの位置に足を置くかを示す2.ズボンとパンツは膝下まで下ろす(おしっこが飛んで濡れてパニックになるので)3.膝を少し曲げるこれらを毎日見せて教えてました。幼稚園では、子ども用の立ってするトイレに抵抗があったようで、大人用を特別に使用させてもらっていました。回数を重ねるごとに飛び散ることも減っていきました。Upload By ユーザー体験談年少の頃から、「自分で脱いで自分で着替え自分でたたむ」ことを毎日幼稚園で実施していたので、家庭でもそうしました。うまくできないところは手伝う、頑張ったら褒める、を繰り返しました。ただ、息子に疲れが見える時は、家庭では無理にさせませんでした。たたみ方は、幼稚園の先生が絵に描いてくれていたので、家庭でもそのやり方に合わせました。また、年長の頃からタイマーを使って着替えトライアルを開始!成功するごとにじょじょに時間を短くしていきました(例えば10分→5分)。時間内に一人で着替えができたらご褒美シールをつけ、たまったらご褒美をあげるを繰り返し、今では、一声かけたら2分で着替えられるようになっています。ただ、気分が乗らないと時間がかかりますが……。年長の冬頃からは連絡帳の練習も始めました。通っていた療育の小集団で連絡帳を書く練習をさせていただくのと、自宅でも「学校ごっこ」として、ホワイトボードに時間割を書き、それを写す、できたらご褒美ポイントをつけるといったことを遊びを通して行っていました。小学生になった今は、しっかり連絡帳を書いてこられるようになっています。就学前の面談で、校長先生に息子のことをしっかり説明そして就学前健康診断の際には、息子と私と校長先生とで面談をしました。私は準スーツのような動きやすく落ち着いた服装で参加。気合いが入って体がガチガチに固まっていました。面談には診断名が書いてある診断書と発達検査の結果を持って行き、子どもの性格、幼稚園や家庭ではこんなことに困っている、でも、こうしたらスムーズに行く、というような内容を説明しました。面談中の息子は、目を輝かせてウロチョロしながら、目新しい教室で好奇心をかき立てられて「これは何?」と質問攻めでした。そんな様子も校長先生に見て頂くことができたので、なぜ息子がこのような動きをしているのかを説明し、このようなときはこういう声かけをして頂けたら望ましい行動に移れますと、たまたまですが先生の前で普段の対応の仕方を実践でき、よかったと思います。校長先生は、うんうんと穏やかににこやかに返答してくださり、ほっと安堵しました。Upload By ユーザー体験談また、良い機会だと学校のトイレを使用させてもらいました。1度でも経験があると違うので、ありがたかったです。無事小学校へ入学。担任の先生は?支援員の先生は?校長先生には理解していただけたはずと安心していたのですが、担任の先生はどういう方なんだろうと不安でした。ドキドキしていましたが、担任の先生は息子と似たような特性がある生徒さんを受け持ったことがある方でした!先生ご自身もイヤイヤ期のお子さんを子育て中で、してはいけないことは叱るけど、なぜそれをしてはいけなかったのか、どうしてそれをしたのか、今度からどうするか、を会話するような形で息子と向き合って頂けました。フランクな会話の仕方が息子にはよかったようです。先生のおかげで、息子は、嫌なことがあっても教室を飛び出さず、先生がパッと見てすぐに見つけられる範囲内に留まるようになりました。信頼関係が構築されていたのだと思います。また、望ましい行動を楽しく行えるように、『今日のミッション』という形で導いていただけました。苦手だった運動も、楽しめるようなコツを教えて頂き、周りのお友達の動きも見て覚えられるまでに成長しました。また、支援員の先生にも恵まれました。こだわり行動でなかなか教室にスムーズに行くことができない息子を見て、「これはルーティーンだから」と発達障害に詳しくないほかの先生方にも伝えて頂き、「ルーティーンやったら行こうね!できたね!」と、毎日息子に寄り添っていただけました。Upload By ユーザー体験談たった一学期の間に急成長を遂げ、周りも驚くほどでした。やっぱり環境調整が大事だと痛感しました。先生方に恵まれた1年生。発達障害に詳しくない先生にはどう伝えればいいか模索中です校長先生も1年生の時の担任の先生も、特別支援の経験があり理解していただける方だったのでこちらの希望が伝わりやすかったですが、経験が浅い先生や、教員歴が長くても発達障害に無理解な対応をされる先生にどのように伝えていけばいいかは現在も模索中です。息子は学校で嫌な出来事があっても「仕方ない」と言い、目の前の楽しいことに切り替えて、不登校になることもなく毎日楽しいと学校に通っています。息子の子育てをしてまだ7年ですが、いろいろと嫌なことを言われ嫌なことをされ、胸がえぐられるようなつらい思いを何度もしてきました。でも、つらいことがあっても楽しいことに夢中になる息子です。これからはつらい思いより楽しい思いを増やしてほしい、失敗して責められる経験より成功体験『できた!』を多く積んでほしい、わくわくする気持ちを忘れないでほしい……いつもそう願っています。イラスト/吉田いらこエピソード参考/七転八起(監修:藤井先生)「できた」を多く積むことができるように、息子さんにあったペース、スモールステップで「できた」を積み重ねる工夫に溢れるコラムをありがとうございます。合理的配慮を求めることができるようになったとはいえ、小学校や園によっては、環境調整が難しいと言われる場面もあるのかもしれません。環境調整の大切さを息子さん自身の成長が示していると思います。ときには、療育先や医療機関などからの情報提供書なども用いて、環境調整について学校や園と模索されると良いと思います。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年10月28日言いたいことを文章にするのが苦手なコウですUpload By 丸山さとこ中学生の息子のコウは学校から帰った後、学校で起きたことを話してくれることがあります。その話は友達との間で起きた楽しいことや感心したこと、授業で疲れたこと、部活動で頑張っていることなどさまざまです。楽しい話から愚痴までコウの話を聞くのは面白いものですが、できれば聞きたくない話もあります。「お母さん、〇〇を学校に置いてきちゃった」から始まる忘れ物の話です。置いてきた物のバリエーションは広く、体操服・給食袋・宿題・筆箱・傘・保護者宛てのプリント・水筒などいろいろとあるのですが、先日はコウが「お母さん、ふくらはぎを学校に……」と言いよどんでいたので、思わず「置いてきちゃったの…?」と聞いてしまいました。コウに「そんなわけなくない?」と突っ込まれて「そんなわけないけどさ~!」とひとしきり笑った私。「でもね、今のは完全に『〇〇を学校に置いてきちゃった』のパターンだったじゃない?」と言うと、コウはどうも今ひとつ納得いかないようでした。後日、夫や私の母から「それは『ふくらはぎを学校に置いてきたの?』ってなるね」と言われたことでようやく納得できたコウでしたが、どう言えば伝わりやすかったのか?と考えると、すぐには思いつかないようでした。どうやらコウとしては、話している途中で言葉に詰まらなければ「ふくらはぎを学校にいる途中で小まめに揉んでいた」と言いたかったらしいのです。「学校『に』って言ったから、そのあとが上手く続かなかったんじゃない?ふくらはぎを学校『で』小まめに揉んでた……であれば伝わるんじゃないかな?」と私が提案すると、コウは「確かに!」と、うなずいていました。Upload By 丸山さとこコウは小学生の頃『てにをは』を使うことが苦手で、日常会話や作文などの学習中につまずくことがしばしばありました。ですが、コウ自身に困っている実感はありませんでした。『てにをは』を適切に使わないと相手に話が通じにくいことに、あまり気がついていなかったそうです。そんなコウも中学生になった今では「あれ?」と引っかかるような『てにをは』の使い方はずいぶん減ったと思っていたのですが、「今でもふとしたときに、こんがらがることがあるのだな」と改めて思う出来事でした。「てにをは」が苦手だと、話が迷走しがちになるようです神経発達症(発達障害)がある子どもの中には、『てにをは』の使い分けが難しい子どもがしばしばいると聞いたことがあります。今思い返すと、コウもその一人だったのかもしれません。小学生の頃のコウは、「お父さんが僕にあげてくれたの」などの不思議な『てにをは』の使い方をすることがよくありました。Upload By 丸山さとここれはコウがお父さんからビー玉をもらったときの発言だったため、「お父さんが僕に“あげる”をしてくれた」という文の組み立て方なのかな?と思いました。「”教える”をしてくれた→教えてくれた』『”遊ぶ”をしてくれた→遊んでくれた』などの文と同じパターンの考え方をしたのだと考えると、「コウなりの理屈はあるのだろうな」と感じます。ですが、コウが「お母さんにくれた色鉛筆で塗ったよ」と言って描いた絵を見せてくれたときは、「途中で文がねじれてない?」と首をかしげたくなりました。・お母さんがくれた色鉛筆で塗ったよ・お母さんにもらった色鉛筆で塗ったよという2つの文が、途中で入れ替わってしまったように感じたからです。そのため、コウから言われたときは「あれ?」と引っかかったものの、何がおかしいのかその場では分かりませんでした。Upload By 丸山さとこ会話中の発言というものは、発言そのものだけではなく『相手に関して知っている情報』や『その場の状況』も併せて解釈し、理解するものです。そのため、幼い子どもの疎い発言であっても、周囲の大人はある程度意図を汲むことができます。共にASDとADHDがある私と息子であっても、暮らしの中で共有している情報の多さから『相手が伝えようとしていること』を何となく理解できてしまうところがあります。そのため、コウ独特の言い回しに慣れるまでは、「今の言い方は何か変だな?」と思ってもどこがおかしいのは分からず、突っ込むことができませんでした。意識的にコウの発言を聞きとめるようにすることで、私も少しずつコウの話し方のどこに違和感を覚えたのか分かるようになっていきました。そうして、コウの言いたかったことをさり気なく言い直すことができるようになりました。Upload By 丸山さとこ小学生の頃のコウは指摘や注意に対する反発や混乱が強かったため、「その言い方は間違っているよ」などの強い否定を含んだ言い方は避けるように気をつけつつ、小まめに言い直すことを心がけました。「お父さんにもらったんだね」「お父さんがくれたんだね」「お父さんが『あげる』って言ったの?」などと言い直すことを繰り返すうちに、コウも自ら「今のは、『お父さんにもらった』って言ったほうが分かりやすいかな?」と考えて言い直すようになっていきました。少しずつ変化していった、コウの「てにをは」の使い方このように『てにをは』の使い方があやしかったコウですが、小学校高学年あたりから少しずつ「今のはこう言うといいかな?」と考えて言い直すようになり、中学生の今は不思議な文章をつくることもかなり減りました。「ふくらはぎを学校に……」と言いよどんでしまったのも、コウがある程度『てにをは』を理解してきたからこそだろうと思います。「ふくらはぎを学校で揉んでた」と言いたいところを「学校『に』」としてしまったことで、後に続く言葉が分からなくなってしまったそうです。Upload By 丸山さとこ「少しずつ『てにをは』を使い分けられるようになってきたのはどうしてだろう?」とコウに聞いてみると、「国語の授業で文法を習ったのは大きいと思う。ちゃんとルールがあるんだなって分かった」と答えてくれました。国語の授業で学んだ文法を使って日常生活の中で試行錯誤していくことで、少しずつパターンをつかんできたのかもしれません。執筆/丸山さとこ(監修:初川先生より)「てにをは」の難しさについてのエピソードをありがとうございます。てにをは(助詞)の使い方も難しいですが、おそらくは「主体をどこにおいて最後までねじれずに文を組み立てるか」というところで、つまずきやすかったのかもしれないですね。「お父さんにくれたお菓子」だと、最初は「お父さん」を言っているから、「お父さんにもらった」と自分をそのまま主体で語ればよいのですが、お父さんのイメージが強くなるとお父さんが主体化して「お父さんがくれた」当時の状況から「お父さんにくれた」と混ざってしまった感じがします。すぐに指摘してしまうと反発を生むということで、配慮しながら言い直すプロセスを経て、今やお互いに折々に確認しながら話されるようになったとのこと、何よりです。ただ、これはなかなか高度なやりとりだなと思うので、どのご家庭でもできるかというと、なかなか難しい面もあるかもしれません。「てにをは」の難しさが多く表れる場面はおそらく、修飾語となるときだと思いますが、何かの言葉にかけていく話し方を選ぶのももちろんいいのですが、分けて話すのも1つの道かもしれないとは感じました(「お菓子食べてもいい?お父さんがくれたお菓子」)。中学生になったコウくんは、国語で文法を習うことで、このあたりのルールが整理されてきたとのことも何よりです。国文法を系統立てて習うのは小学生ではなく中学生になってからなのですよね。ただ、学校の授業ではそこまで明示して扱いませんが、小学生用の市販の国文法テキストや作文ドリルのようなものでは、このあたりが扱われています。小学生のうちにと思われる場合は書店でそうしたものをまずは眺めてみていただければと思います(低学年用のものでも、助詞を2択から選ぶ問題などが出ていたりして、分かりやすいです)。あるいは、英文法を習う際に、自動詞他動詞、助詞の扱いを知り、このあたりがクリアされる場合もあるかなと感じました。最近は英単語をイラストや図で理解する本も出ていますが、そうしたもので理解したほうが整理されるお子さんも(中学生以降では)いらっしゃるかなと思いました。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年10月24日2人兄弟を育てるゆーとぴあさん。2歳児健診で長男は言葉が遅いと発達相談を受け、次男は多動傾向がありました。次男は保育センターの親子教室などに自主的に参加して幼稚園に備え、入園当初こそ不安があったものの、すぐに幼稚園に慣れてひと安心。しかし、次男の担任の先生から発達医療センターに行くように告げられ、長男もほぼ同時期に発達医療をすすめられて困惑します。ママ友から通っている幼稚園の園長は支援級をすぐにすすめることで有名と聞かされたゆーとぴあさん。長男の就学のため小学校の特別支援級を見学し、知能検査を受けた結果、普通級という結果に。支援級の覚悟も持っていたゆーとぴあさんは複雑な感情に。長男の検査が終わったと思ったらすぐに次男の検査のため兄弟で病院の診察をすすめられ、2人を連れて児童発達センターへ向かいました。診察を受けて医師にすぐに兄弟それぞれの性質とその対応方法についての助言をもらい、驚くゆーとぴあさん。発達障害は6割は遺伝だと話し、長男と母親(ゆーとぴあさん)はADHDで薬の服用で楽になるだろうとのこと。次男と父親は多動の可能性があり、多動は一定の年齢を過ぎると収まるので大丈夫と言ってくれました。自分は多動でないことから次男の育て方に行き詰まっていましたが、「多動の子は将来働き者」というこの言葉に力をもらったのでした。 「だから言ったじゃないですか」え、そこって大事? ※adhd→ADHD(一般的には大文字で表記されます) 児童発達センターでの診察が終わるとすぐに実施された幼稚園での面談。長男がADHD、次男が多動性障害と診断を受けたことを報告し、ゆーとぴあさんが多動の子は将来働き者になるとの言葉に救われたことも伝えます。しかし、園長は話を最後まで聞くことなく、やっぱり自分の言った通りだと得意げに担任の先生に話していました。 「だから言ったじゃないですかー」病院からの診断結果を受けて、さも自分の手柄のように話している園長を見て違和感を覚えますが、一方で長男と次男それぞれの担任からの報告、病院や検査報告を急かしてくることにずっと疑問がありました。その急ぐ理由が園長からの指示だったことに合点がいきました。 ある日、幼稚園の図書ルームにてPTAの仕事である本の整理をしていたゆーとぴあさん。これまで見かけたことのない本を見つけます。それは園児向けではなく、保護者が読むための発達障害の本でした。そこへ園長がやってきて、その本を入れたのは自分であることと、本が私物であることを話してきました。 さらに園長は自身が発達障害について勉強していることや、発達障害の子が最近増えていること、研究や考え方も変わっていることを話した上で、ひと言、「ゆーとぴあさんも読んでくださいね」はいと答えましたが、言われなくともずっと前から発達障害の本や情報を探し続けているゆーとぴあさんは、またもモヤモヤを抱えるのでした。 ◇◇◇ 病院の診察報告のための面談に幼稚園へ出向いたゆーとぴあさんでしたが、園長は兄弟の診断結果が自分の見たてと合っていることを手柄のように話すことに違和感を覚えます。幼稚園が早めに気づいて専門機関への受診をするように指導をおこなうことも大事ですが、もっと大事なのは医師の助言に救われたように、ゆーとぴあさんの気持ちに寄り添ってあげることではないでしょうか。ママの不安な気持ちにも耳を傾けてほしかったですよね。次の話ゆーとぴあさんの連載は、以下のサイトからもご確認いただけます。ぜひチェックしてみてくださいね。 著者:マンガ家・イラストレーター ゆーとぴあ
2023年10月18日2人兄弟を育てるゆーとぴあさん。2歳児健診で長男は言葉が遅いと発達相談を受け、次男は多動傾向がありました。次男は保育センターの親子教室などに自主的に参加して幼稚園に備え、入園当初こそ不安があったものの、すぐに幼稚園に慣れてひと安心。しかし、次男の担任の先生から発達医療センターに行くように告げられ、長男もほぼ同時期に発達医療をすすめられて困惑します。ママ友から通っている幼稚園の園長は支援級をすぐにすすめることで有名と聞かされたゆーとぴあさん。長男の就学のため小学校の特別支援級を見学し、ウィスク検査(IQテスト)を受けた結果、普通級という結果に。支援級の覚悟も持っていたゆーとぴあさんは複雑な感情に。長男の検査が終わったと思ったらすぐに次男の検査のため、兄弟で病院の診察予約をすすめられました。兄弟2人を連れて児童発達センターへやってきたゆーとぴあさん。診察室に入ると次男はじっとしてられず自由に動きまわり、長男はルールを守らなくても次男が許されることにイライラしています。それを見ていた医師は、2人の対応について的確な助言をゆーとぴあさんにかけてくれました。また、長男に注意不足の傾向があり自分自身もそうであると伝えると、発達障害は遺伝であることが多いと言い、2人ともADHDの可能性があり薬を飲むことですっきりすると教えてくれます。そしてなんと医師自身もADHDだと明かしてくれました。 まさか夫のことを聞かれるとは思わなかったーー 次に次男の様子を尋ねられたゆーとぴあさん。多動がひどいこと、家にいても出ていってしまうため目が離せないこと、自分が多動でないことから次男の気持ちがわからず、育て方に困っていると暗い表情で答えます。 「旦那さんはどんな感じですか?」夫のことを聞かれたのが予想外だったのか、一瞬間を置いてから口うるさいけれど働き者で家事も手伝ってくれ仕事もテキパキこなし、片づけるのが苦手なゆーとぴあさんは助かっていると答えました。 すると医師はなるほどと相づちを打ち、多分夫は多動で次男は夫に似たのだと言い、多動は一定の年齢を過ぎるとだんだんと収まるので大丈夫と教えてくれました。「多動の人は働き者なんです。だから次男くんも将来働き者になって、お母さんを助けてくれると思いますよ」 その言葉にこれまでの苦悩やつらい思い、そして報われた思いが重なり合って涙があふれます。「多動の子は働き者」この言葉がゆーとぴあさんの心の支えとなったのでした。 ◇◇◇ 同じ兄弟の発達障害でも、長男はゆーとぴあさんの性質を受け継いでいるため、子どもの気持ちにも寄り添いやすい面がありましたが、次男の多動については理解が追いつかないと告げました。その次男は家事や片付けが得意な夫の性質を受け継いでいる可能性があり、多動は一定の年齢を過ぎれば収まってくると言う医師。多動の次男は働き者となって将来お母さんを助けてくれるとの言葉に、他人はもちろん家族にも本音を吐き出せなかったゆーとぴあさんの心のこわばりが少し緩みました。これでまた歩み出せるといいですよね。次の話ゆーとぴあさんの連載は、以下のサイトからもご確認いただけます。ぜひチェックしてみてくださいね。 著者:マンガ家・イラストレーター ゆーとぴあ
2023年10月17日2人兄弟を育てるゆーとぴあさん。2歳児健診で長男は言葉が遅いと発達相談を受けます。次男は言葉の遅さに加えて多動傾向があるものの、健診では問題なしとの診断に納得がいかず、保育センターの親子教室などに自主的に参加して幼稚園に備えました。入園当初こそ不安要素がいっぱいの次男でしたがすぐに幼稚園に慣れ、ひと安心。しかし、担任の先生から問題行動の報告があり、発達医療センターに行くように言われ、長男もほぼ同時期に発達医療をすすめられて、就学のため小学校の特別支援級を見学。次に受けるウィスク検査(IQテスト)でほぼ決まるという長男の就学先は、普通級という結果に。すると園長は不服な様子で次は次男の検査をすすめてきてーー。病院から兄弟2人の診察予約が取れたという連絡が入り、次男の担任の先生に報告すると安心した様子。さらに診察結果はすぐに連絡するように伝えられました。予約も診察結果も頻繁に状況確認をしてくる幼稚園。何をそんなに急いでいるのでしょうか? 医師「僕もADHDなので」ーーえ、そうなんですか? ※adhd→ADHD(一般的には大文字で表記されます)※親がADHDの場合、その子どももADHDである可能性は非ADHDの親の場合と比べると5~10倍高いと言われています。親がADHDの場合、50~80%(平均70%)の確率で遺伝するという研究結果もありますが、ADHDは遺伝要因だけで発症するわけではなく、環境要因も組み合わさるとされています。 病院(児童発達センター)を予約してから半年、診察日に兄弟2人を連れて行ったゆーとぴあさん。1時間以上の待ち時間を経てようやく診察室へ。 じっとすることが苦手な次男はすぐに部屋から出てしまうので、スマホを見せようとすると、弟ばっかりズルいと長男。次男はそういう子だから仕方ないと言い聞かせますが、いつもガマンしている長男は納得いきません。結局、次男はプレイルームで待機。 その様子を見ていた医師が、長男は自分はルールを守るのに弟は許されることに矛盾を感じており、それが長男のかんしゃくの一因になる可能性もあるため、ルールは守ったほうがいいと言われます。 ほんの数分で兄弟の状況を見抜く医師に感動するゆーとぴあさん。他に何か困っていることはないかと聞かれ、忘れ物や落とし物など注意不足の傾向があり、自分自身がそうであるため、長男は遺伝かもしれないと思っていると伝えました。 「長男くんは多分ADHDで、ママもそうなんじゃないかなと思います」発達障害の6割は遺伝だと言われていると伝えられ、なんと医師自身もADHDだと聞きゆーとぴあさんは驚くのでした。 ◇◇◇ 幼稚園のすすめにより児童発達センターの診察を受けにきたゆーとぴあさん。兄弟2人を連れてくるのは大変でしたが、医師による兄弟それぞれの特性を見抜いた適切な言葉に感動します。これまで相談しづらかった悩みについて、この先生ならじっくりと耳を傾けてくれそうなので、いろいろ話せるといいですよね。 小児科専門医の松井先生によると、「多動傾向、注意欠陥等の症状は小児科外来でもよく見かけます。ご両親も似たような性格だと感じたり、ご自身もADHDだとおっしゃる方もいらっしゃいます。医師の中にもADHDの人がいて、そういう人は新しいことに積極的に取り組まれており、それはADHDの良い面でもあります。主人公のお子さんも大変なこともありますが、良い面もあることをみてあげることが大切です。周囲の人が困ってしまったり、本人もつらい思いをするのであれば、服薬するのもひとつの手段。それで楽になれば自己評価も高くなり、周りの方も安心するでしょう」とのこと。薬などの使用も選択肢に入れて、ゆーとぴあさん親子が少しでも楽になるといいですよね。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。次の話ゆーとぴあさんの連載は、以下のサイトからもご確認いただけます。ぜひチェックしてみてくださいね。 監修者:医師 神奈川県立こども医療センター 産婦人科 松井 潔 先生 著者:マンガ家・イラストレーター ゆーとぴあ
2023年10月16日環境の変化が苦手で聴覚過敏が強い娘。避けて通りたいNO.1行事は運動会!わが家の10歳の娘は、小3から不登校を選んでいます。6歳で自閉スペクトラム症、ADHDの診断を受けた娘は、元々は「積極奇異型」で、知らない人にもガンガン話しかけていくタイプでした。しかし、幼稚園や小学校で合わない環境で無理をさせたためか過剰適応が激しくなり、周りに合わせられない自分に劣等感を持つようになりました。家庭では、ユーモア溢れる好奇心旺盛で明るい様子の娘なのですが、外では感覚過敏や不安が強くなるという面があります。そんな性格の娘なので、幼稚園の頃から行事が苦手でした。特に運動会!人が多かったり普段と違う環境が苦手であり、また聴覚過敏もあるため、運動会はできたら避けて通りたい行事NO.1でした。集団行動を重視する幼稚園に入園。初の運動会前から癇癪が激しくなり、園に相談したら…幼稚園入園の際、発達障害の知識が全くなかった私は、(就学に備えて集団行動に慣れさせるほうがいいだろう)と、多動傾向が強い娘を集団行動を重視する幼稚園に入園させました。入園直後から毎日激しく行き渋り、無理やりバスに乗せる日々。娘はさぞかしストレスを感じていたと思います。そして運動会前になると練習で疲れているのか、帰宅後にひどい癇癪を起こすようになりました。Upload By ユーザー体験談幼稚園に相談したのですが、みんなと同じようにやるということを大事にしている園だからなのでしょう、心無い言葉を投げかけられてしまいました。配慮を受けるどころか、逆に娘に練習を無理強いするような形になってしまいました。もちろん癇癪は増える一方……。そして運動会当日、娘が出るお遊戯の時間では、最初だけは少し踊っていたのですが、すぐ踊りもやめぼーっとただ立っているだけ……。(このままずっと立ってるだけなのかな……)と固唾をのんで見守っていると、急にしゃがみこんだと思ったら、園庭の砂をいじりだしました。(ああ、やっぱりお遊戯は難しかったか……)と思いました。Upload By ユーザー体験談ただ、年少さんの時はほかにも同じようなことをしているお子さんも多かったため、私自身はあまり問題に感じなかったのです。きっと来年には成長して参加しているよね、というくらいでした。特別支援学級では、教室の床にステップの足型と番号のシールを貼ってダンスを特訓その後、年中の運動会では目立ったことはなく無事に終了、年長ではリレーでの入場直前に大泣きして断固拒否!結局不参加となりました。この頃には娘に特性があるかもしれないと分かっていたので、就学相談を経て、娘は少人数で個別対応してもらえる特別支援学級に入学しました。これでどうにかやっていけるかと思ったのですが、娘は学校という場に馴染めず、入学後まもなく行き渋りがはじまり、小3からは完全な不登校となりました。聴覚過敏のため学校のどこにいてもうるさいと感じてしまうことや、触覚過敏で教科書やノートや粘土などさわれないものが多いことも、学校がつらい原因だったと思います。ただ、特別支援学級では手厚く見てくださり、小1のときの運動会前は通常学級より早くからダンスを教えていただくことができました。教室の床にステップの足型と番号のシールを貼るなどの工夫をして教えていただいたおかげで、苦手なダンスも覚えることができた娘。苦手ながらも前向きに取り組むことができ、この年が一番自信をもって臨めた運動会だったと思います。Upload By ユーザー体験談聴覚過敏も不安も強いため、運動会自体は楽しくはない様子でしたが、コロナ禍で短時間の運動会だったためどうにか乗り切りました!運動会で倒れてしまった娘。娘が書いた渾身の作文には……。小2では、前年の様子を踏まえてくださった先生から、自分の出番以外は空き教室で過ごすことを提案していただきました。これ幸いと、運動会中は私が付き添って教室で過ごし、出番の時だけ入場門に連れて行って参加することができました。無事参加できてよかったと思ったのも束の間、自分の番だけでも極度に疲れてしまった娘は、教室に戻る時にはぐったり……。そして床に倒れ込んでしまいました……。こんなに疲れてしまっていたなんて……娘にとって運動会は本当に、本当につらいものなのだと、可哀そうになりました。もっと理解しなければと、運動会に出ること自体を見直した方がいいと思いました。Upload By ユーザー体験談そして運動会後、娘は「運動会」をテーマに作文を書きました。内容は「運動会がどんなに嫌だったか」。その渾身の文章からは、本当に嫌で嫌でたまらなかった娘の気持ちが伝わてきました。先生からは気持ちがよく書けていると褒めていただきました。これもあって、翌年は運動会自体を欠席してもよいのではないかと先生とは意見が一致。(もう一生この子の運動会は見られないかも……)と思うと、寂しい気持ちがないことはないのですが、娘にとって運動会はただのつらい行事です。娘が今後運動会に参加するつらさを味わわなくていいことのほうが、よほど喜ばしいことでした。現在不登校の娘、今は親子でハンドメイド作家として活動中!小1・小2の頃は行き渋りがありながらも、担任の先生が娘の気持ちに寄り添ってくださる方だったので、休み休みどうにか学校に通えていました。しかし、小2の終わりでその先生が異動されてしまうと娘はどんどん学校に行けなくなり、小3の6月から完全に不登校になりました。現在の娘は、家で安心して過ごせているようです。そして、家にいる時間を利用して親子でハンドメイドを始めました。娘とのハンドメイドの時間は楽しく、かけがえのない時間です。今では親子でハンドメイド作家として毎月イベントに出店するようになりました!娘にとって運動会はつらい行事でしかありませんでした。小3では「運動会に出ましょう」と言われるのではないかと不安に感じていましたが、特にそのようなこともなく、親子ともにほっとしました。娘には感覚過敏や自分の特性を理解して受け入れて、自分に合う環境を選んでいけるようになってほしい。そして、自分のやりたいことを自分で見つけて、めいっぱい人生を楽しんでもらいたいと思っています。私も娘によりそい、できる限り支えていきたいと思います。イラスト/keikoエピソード参考/MIKKO(監修:鈴木先生より)ASDのお子さんは、園の発表会を皮切りに小学校では運動会の嫌いなお子さんが多いようです。特に同じことを繰り返す練習の嫌いなことが多いのですが、さほど練習していなくてもASDのお子さんは本番には強いという特徴が見られます。こういう行事が嫌いな理由の一つに大勢の人が来て見られるのが嫌という対人恐怖や視線恐怖(社交不安症)があります。日頃からクラス代表で発表したり、日直をしたりすることが苦手なことが多いのです。周りから注目されるのを嫌う傾向があります。また比較的多い理由のもう一つに音過敏もあります。特に運動会はピストルの音やスピーカーで流れる大音量の音楽やマイクのキーンという音などを特に嫌がります。おまけとして運動会後に疲れのせいか不登校になるケースも多々見られます。ただでさえ2学期は期間が長いので行事も多く疲れやすいのです。特に起立性調節障害を併存しているお子さんには馬力がないため不登校が多くみられます。運動会の嫌な子には文化祭という選択肢があってもいい時代にそろそろなってきたのではないでしょうか。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年10月14日【幼稚園年少の頃】運動会で何をやるのか分からない現在幼稚園年長の息子はADHD+ASDの傾向があり、5歳の時にグレーゾーンと医師から言われています。そんな息子は年少クラスから幼稚園に入園し、先生方のサポートのおかげで楽しく園で過ごせているようでした。そして、幼稚園に入園して初めての運動会の季節がやって来ました。息子は年少の頃から集団行動が苦手で口頭指示が通りにくかったので「みんなと一緒に行動できるのかな……?」と不安もありました。でも、親としては初めての運動会をとても楽しみにしていました。しかし運動会の日が近くなっても、息子はなんの競技や演目をやるのか教えてくれません。Upload By ネコ山結局運動会の1週間前になっても息子に聞いても分からず、しかたなく幼稚園の先生に聞くとダンスと徒競走をやることが判明。また入場行進では、担任の先生か補助の先生が息子と手を繋いでくれるとのことでした。3歳の頃の息子は目についた興味のあるものに突進していました。運動会の行進中も列から離れて行きかねないので、手を繋いでもらえて助かるなと安心しました。Upload By ネコ山【幼稚園年少】初めての運動会当日がやってきた!息子にとって初めての運動会の日がやって来ました。朝、息子に「運動会頑張ってね!」とエールを送りましたが、反応が薄い。果たして息子は今日が運動会ということが分かっているのだろうか……。運動会が始まると、手を繋いでもらいながらニコニコで入場する息子。徒競走も元気いっぱいに走り切っていました。しかし、年少クラスのダンス演目ではほとんど踊らず、足元の砂をいじっていました。少しがっかりはしましたが、迷子になったり急に走り出したりしていた未就園児の頃の落ち着きのない息子を見てきた私としては「その場を離れなくてエライ‼︎」と心の中で拍手喝采でした。Upload By ネコ山【幼稚園年中】運動会前、荒れる息子年中クラスに進級し、2度目の運動会の季節が来ました。この頃は落ち着きのない姿は大分薄れ、こだわりや癇癪、切り替えの悪さが目立つ時期で、息子の接し方に大変苦労していました。例えば、幼稚園でも自由遊びの時間が終わると癇癪を起こしたりなど……。運動会の練習が始まると、息子自身も練習がキツいらしく、日に日にイライラするように……。家や幼稚園で、ちょっとしたことでも癇癪を起こすようになりました。夏休み前までは自由に遊べていた時間に、毎日毎日したくもない運動会の練習をしなくてはならない。指示されたことをやるよりも、自由に自分の考えたことを形にすることが好きな息子にとって、運動会という行事は苦行だったのかもしれません。そんな息子の様子を見ていたので、年中の運動会はどうなるのか……まさかボイコットしたりしないよね……!?と不安でした。【幼稚園年中】不安で迎えた運動会当日とうとう不安な運動会の日が来ました。朝、息子に「お母さんたち応援してるよ!」とエールを送りましたが「……うん」と、生返事が返ってきました……。運動会が始まると、昨年とは違い一人で入場行進する息子。しっかり集団行動している姿に成長を感じましたが、その表情は暗く……。それからもダンスや徒競走、年中クラスの競技をそつなくこなす息子でしたが、閉会まで終始無表情でした。また、競技の入れ替えに伴い園児が移動する機会が多く、切り替えが苦手な息子にとってはイライラポイントが貯まるようでした。癇癪を起こさず、ずっと我慢していた息子でしたが、運動会閉会後は年中さんのお部屋で大爆発していたようです。どうやら運動会は楽しめなかったようですが、やることはやっていた息子。とても偉いと思います。Upload By ネコ山もうすぐやってくる、年長の運動会は……??昨年の年中の運動会での経験から、年長になった今年も、運動会の練習時期は荒れそうな予感がしています。しかし、年中の頃と比べて切り替えが格段に上手になってきていることや、息子から「今日はダンスをやった」とダンスの振りを見せてくれたり、運動会の話をしてくれたりするので、もしかしたら今年は息子も運動会を楽しめるかもしれません。年長クラスになると運動会での競技や演目が増えるからか、降園後は疲れをみせている息子。幼稚園最後の運動会に向けて、見守っていきたいなと思います。執筆/ネコ山(監修:室伏先生より)年齢ごとの運動会のエピソードと、息子さんの成長のご様子を共有してくださり、ありがとうございます。ADHDやASDの傾向があるといっても、困りごとや苦手なことはお子さんによって違いますし、年齢によっても変化していきます。その中で、できていないことにばかり目が向いてしまい、焦りや不安が募ってしまうことも少なくないと思います。年少さんの時の息子さんはダンスは踊らなかったけれど一生懸命その場に留まり、年中さんの息子さんは楽しめなかったけれど一生懸命競技をこなされたのですね。いろいろなストレスがありながら、一生懸命頑張られた息子さん、素晴らしいです。そして、きっと不安などもあったでしょうに、息子さんのできていることに目を向けられて、あたたかく見守られてきたネコ山さんのお気持ちが素晴らしいと思いました。今年こそは、息子さんが心から運動会を楽しめるよう、私も応援していますね。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年10月11日発達のゆっくりな息子に、母としての自信を失い、育児の楽しさも感じられなくなっていた頃自閉スペクトラム症(ASD)・ADHDと診断されている長男ハル(高1)がまだ1歳半だった頃のことです。当時の私は、言葉や運動面の発達がゆっくりで、落ち着きのないハルの育児に悩み、母としての自信をすっかり失くしていました。自信が持てない中でも、もちろん毎朝「今日も頑張らなきゃ」と気持ちを保とうと必死でしたが、次第に「どうしたら“子どもを可愛い”って、純粋に思えるんだろう」と、そんなことすら分からなくなっていきました。母としてハルに何ができるか、家の壁にリストを書いて貼ったり、自分だけで試行錯誤する日々。そもそもこんな私を、ハルは「ママだ」と思ってくれてるのだろうか……。心の中では自信が持てぬまま、毎日の育児は忙しく怒涛のように過ぎていきました。Upload By 安田ふくこ2歳で運動面の発達が進むも、今度は多動に振り回され……2歳になった頃、ハルは歩くことも走ることも急激に上達してきましたが、今度は少しでも目を離せば、道路などへ飛び出していってしまうようになり、私は常に神経を尖らせていました。危険がなく、人になるべく迷惑のかからない動き回れる場所を日々必死に探し、落ち着きないハルの行動を制して、周囲にはペコペコ謝りながら日々を過ごしていました。外遊びや買い物から帰宅しても、何度も私を呼んでは手を引き、電車のおもちゃやブロックで一緒に遊びたがるハルに付き合って、家事はちっとも回らずにたまる一方……。Upload By 安田ふくここんな調子でハルに振り回されていた私とは対照的に、仕事から帰宅してすぐにソファに座り、テレビを鑑賞しながらリラックスしてお酒を飲んでいる夫。ついイライラして「家にいられる時間は、もう少しハルと遊んであげてよ」と不満をぶつけたことがありました。ですが、その頃の夫は仕事のことで頭がいっぱいだったので、「じゃあ俺はいつ自分を休めることができるんだよ!?育児とか家事とか……ふくこは母親ならできて当たり前なことを、なんでそんなにできないわけ?俺だって仕事が大変なんだ!」と、夫婦で言い合いになってしまいました。そんなことがあったって、当然次の日の朝は来る。毎日「今日私はハルに何ができるか」を考え、ただ頑張るしかありませんでした。2歳8ヶ月で2語文を話すように。息子に初めて「パパ」と呼ばれた夫は……転機となったのは、ハルが2歳8ヶ月を過ぎた頃。この頃になって、やっとハルは2語文くらいしゃべるようになったのです。意思の疎通がしやすくなるし、私はもちろんうれしかったのですが、夫はそれ以上にうれしかった様子でした。ある日、私に向かって、「こんなこと言ったら叱られるかもしれないけど……ハルに『パパ』って言われて、正直やっっっと『父親としての実感』が湧いてきた。多かれ少なかれ、男ってこういうところあるよな。いや~本当申し訳ない!」などと言ってきたのでした。私もその頃は夫の気持ちを優先しなければと思っていたし、夫も素直に気持ちを打ち明け謝ってきたので、どこかモヤっとしつつも笑っていましたが……。Upload By 安田ふくここのセリフは、今だったら怒ってしまうかもしれません!私だっていくら体は母親になったといっても、初めての妊娠は分からないことや怖いことだらけでした。毎日どんなに気をつけて過ごしていたか。さらに子育ては全然育児書通りになどいきませんでしたし、発達に遅れがあればなおさら悩みます。当時はインターネット検索もほとんどできず、今のように情報もないまま、私は自分の育児が正しいのか不安でいっぱいになっていました。そんな私に対して無自覚でも追い詰めるようなことを言ってきたにもかかわらず、夫ときたら……「今頃ようやく父親の実感って……遅いだろ!」と過去に戻ってツッコミたい気分です(現在は遠慮なくツッコんでます)。言葉の発達が進み、だんだんと育児の楽しさを感じられるように。でも、同年代の子どもとの発達の違いには気づかず……周囲からは遅れながらも、2語文以上おしゃべりができるようになってからは、以前よりもずっとハルが何を考えて行動してるのか分かるようになりました。「◯◯、行ってみたい」「□□、好き」と言われれば好みもすぐ分かるし、「△はイヤよ!怖いからぁ」と言われれば、次からは避けることもできる。そうはいっても、じっと黙って意味不明なときも多かったですが……そんなときは「ハルは何を考えているのだろう?」と一緒に考えました。うれしそうなハルを見て「よかったねぇ」と言えば、「ママ、ありやとう(ありがとう)!」と満面の笑みを返してくれる。そんなやり取りだけで心がとても温かくなり、初めての育児に対して抱いていた孤独感は、少しずつ薄れていきました。ですが、ママ友など周囲とのお付き合いを自ら遠ざけていたため、ほかのお子さんと比較して苦しむことも少なく、ハルの成長を喜ぶことができていた反面、『微妙な』会話のキャッチボールのしづらさや、こだわりの多さなど……ハルと同年代の子どもたちとの違いに、私はなかなか気づいてやれませんでした。幼稚園に入園。周囲との違和感を感じたけれど、「よくある個人差」と言われ……幼稚園は、「とにかく外遊びが好きなハルには、園庭が管理されてて広い所がいい。ほとんど私としか過ごしてなかったから、たくさんの先生や友達と出会えると良いだろうな!」そう考えて、先生も生徒も人数が多く、園庭が広くてステキな園を選びました。入園前の三者面談ではハルの発達について特に指摘はありませんでしたし、入園してからも先生側からは何も問題視されていませんでした。ところが、ハルが幼稚園に入園してしばらくすると、私は周囲との違和感を感じるようになりました。他害や暴れるなどの内容は一切なかったのですが、噛み合わない一方的な会話をしたり、みんなで自由遊びをする時間になると1人でウロウロしていたり、スキー教室での靴の履き方など(つまりいつもと違うことがあると)、なかなか覚えられなかったり……。夫や実母に相談しても、やはり「子どもなんて皆そんなもんでしょ。コミュニケーションはうまく取れなくて当たり前。障害だなんて……考え過ぎだよ!」とその時も言われました。園の先生や保健師さんに相談しても「そうですか?うーん、発達に遅れなど特にないと思いますけど。子どもには、みな個人差がありますし!」としか返されませんでした。この当時は私自身も、周囲からそう言われれば「また……私の考え過ぎだ」と思ってしまったのです。Upload By 安田ふくこ発達に関して、どこまでが『個人差』で、どこからが『障害』なのか。それはハルが大きくなった今でも、自問することが多いです。幼稚園では目立った困りごともなく、集団行動もできていたハルは、幼稚園を卒園して地元の公立小学校の通常学級に入学しました。私は違和感を感じながらも「小学校もきっと大丈夫だ」と自分に言い聞かせていました。しかし……恐れていた通り、小学校に入学したハルには、大きな試練が待っていたのです。ハルの小学校生活については、また別の機会に書かせていただきます。執筆/安田ふくこ(監修:初川先生より)ハルくんの幼児期の様子、そしてハルくんの子育てに奮闘されるエピソードをありがとうございます。ふくこさんも書かれている通り、母親は妊娠中から分からないことが多々立ち現れ、そのたびに不安になったり、どうにか対処してやり抜いたり。母としてわが子にどうしたらよいのかを(これも個人差はあるとはいえ)ずっと考えながら生活していますね。お子さんと過ごす時間が長く、お子さんの成長を小さな目盛りで見つけられる良さがある反面、それは、周囲の同年代のお子さんたちとの差にも気づくほどの観察眼を持つということでもあり、特に、教科書通りの発達・発育とは違う経過をたどるお子さんを育てている場合はそのあたりがつらく感じてしまうことがありますね。そういうとき、もっとも身近なパートナーたる夫という存在には、その不安などを一緒に抱えてもらえるだけで、気になること自体はすぐに消えずとも、また頑張ろうと思えることもありますが、しかし、ふくこさんの場合には、ハルくん幼少期はそのあたりが共有できなかったのですね。私は読んでいて夫さんに軽くイライラしたり、横からツッコミを入れたくなる気持ちになったりしましたが、ただ、同じような境遇で孤軍奮闘しながら頑張っている読者の方々もいらっしゃるのではと思いました。今まさに幼児期のお子さんを育てている読者の方にお伝えしたいところで言うと、さまざまな不安や懸念に対して、ご家族や園の先生などと相談などされる際に、特にご家族に対してなどは「障害」という言葉を出さずにその不安や懸念、また「ほかのお子さんとの違和感」を語られたほうが、もしかしたらうまく伝わりやすい面もあるかもしれません。それほど未だに「障害」という言葉の持つ威力やそれぞれの理解、イメージには差があり、その言葉自体が相談によって安心する繋がりを得ることの障壁になる面もあるかもしれないと感じます。また、園の先生や支援職の人の「大丈夫」「気にするほどではない」といった言葉が安心につながることもありますが、大丈夫だと思えないから相談しているのにという前提を振り返ると、意外と安心につながらなかったりしますよね。子育てこれで大丈夫、この子の育ちこれで大丈夫と思えないからご意見をうかがっているわけで……。大丈夫と思えない母の気持ちに寄り添いながら、一緒に子育てを見守ってくれる(大丈夫という言葉で終わらずにその後も不安になったら、違和感を感じたら都度話せる)関係の人が見つかるといいなと思いました(これは支援職である私自身への自戒の言葉でもあります)。お子さんの様子を細やかな目盛りで見てくださっている養育者の方の気づきは、とても意味のある、そして大切な気づきだと思っています。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年10月07日子どもらしいと思っていた「好奇心」が、「周り迷惑をかけるもの」という心配事に変化していった乳幼児期現在6歳(小1)の息子は、5歳でADHD、自閉スペクトラム症(ASD)と診断を受けています。好奇心が強く真面目、こだわり強めの息子です。赤ちゃんの頃から息子は好奇心旺盛で、目についたものは触る、口に入れる、ボタンを押す、キッチンに忍び込んで粉類や米をぶち撒ける、トイレに手を入れてバシャバシャする、トイレットペーパーやティッシュを全部出して散らかす……と元気いっぱい!これも成長だと思って、周りに迷惑にならなければどんどんやって構わないと考えていた私は、息子の気の済むまでやらせていました。特別発達面について気になるところはなかったのですが、1歳半健診の時、言葉の遅れについて指摘を受けました。息子は当時5、6個程度の単語(パパ、ママ、ごはん、お水など)と、「ま」の一言でいくつかのものを表していたためです。この健診の流れで個別発達相談を受けるよう提案されたので、以降そちらに通うことになりました。その後、どんどん語彙も増えて行き、ひらがな、アルファベットすら読めるようになり意思疎通も問題なく行えていたのですが、2歳過ぎた頃から、ほかの子どもと比べると、一つの遊びに集中できず、あるおもちゃで遊び始めたと思ったらすぐ別のおもちゃで遊ぶなど、落ち着きがない様子が気になるようになりました。そして3歳以降は好奇心からか公園で知らない大人に話しかけたりしつこく質問するように。また、お友達に噛みつく出来事があったり、お友達が作ったものを壊してしまったり、息子の好奇心が「周りに迷惑をかける」ことが増えていったのです。Upload By ユーザー体験談私は息子からなるべく目を離さず、息子が行きそうだなと感じたらストップをかけ、周りの人たちに気を遣い動く日々を過ごすようになりました。先生「残念な結果になった」。撮影が入りビデオ販売が予定されていた発表会で息子が……幼稚園入園後、息子は集団行動ができず教室から出てしまったり、順番待ち、お遊戯などを嫌がって泣いてしまうことが続きました。毎日のようにお迎えの時に先生から本人の目の前でできなかったことややってしまったことの報告を受けました。迎えに行くといつもニコニコして外を見ていた息子でしたが、次第に窓際には居なくなり、帰りのお支度ができずに教室の端に残されて泣いていることが多くなりました。撮影したビデオの販売が予定されていた発表会で息子が動いたために、ほかの子どもたちの視線がそちらにいってしまい、「残念な結果になった」と先生から言われました。そして、入園して5ヶ月たった頃、年中になると補助の先生が居なくなるので登園しても職員室で過ごすことになるなど、実質退園勧告を受けるようになりました。周りに発達障害の子どもを持つママ友もいませんでしたし、保健所の発達相談で初めて「療育というのがありますよ」と教えてもらったものの、療育のリストはくれましたが詳しいことは教えてもらえませんでした。私も知識が全くなく、どう質問したら良いのかさえわかりませんでした。ひたすら『発達障害』というワードをネットで調べたところ、とにかく療育を受けさせる必要があると思いました。発達支援センターは初回面談が半年以上先、療育はどこもいっぱいで……。でも、ネットで情報を集めて、なんとか空きのあった所に申し込みました。転園先も主にネットで検索し、障害児を受け入れて加配を付けられることを条件に探し、見学と面談をしてそちらに移ることになりました。この幼稚園と療育につながり、私は発達障害への知識を得ていきました。Upload By ユーザー体験談小学校では「ほかの子と違う対応はするべきでない」と断言する担任の先生に落胆そして小学校へ入学、初めは何とか授業にも参加できていたと思っていたのですが、7月に校長、副校長、担任との面談が行われ、「癇癪を起こして授業が止まってしまう」「癇癪の原因は分かりやすいが、ほかの子と違う対応はするべきでない」と担任の先生から断言されてしまいました。面談の席での発言なので、学校側の総意なのだと解釈しました。Upload By ユーザー体験談担任からは入学直後の面談で「特別扱いできない」とも言われていましたので、私もあまり要望はしておらず、全体のルールを変えるなどの対応は不要と伝えてはいました。ですが、個別の配慮もここでは特別扱いになってしまうのかと、この発言を聞いて今のクラスはで息子を受け入れてもらえないのだと落胆しました。私は5月まで授業中に付き添いもしていました。そこでたびたび目にしたのは、先生が何度か注意しても、なかなかやめられないときは校長室まで引き摺られて行き、先生たちから怒られるという場面です。息子は、その経験からまた同じようなことをされるのではないかという恐怖を抱くようになり、学校に対する不安が強くなっています。勘違いされて怒られたこともありました。息子に対して、担任の先生は常にイライラしている様子が伺えました。もう、息子の存在が受け入れてもらえないのだなと感じました。そうこうするうちに、校長から「この学校には特別支援学級がないので、別の学校の特別支援学級を見学してみてはどうでしょうか」とすすめられました。小学校は味方の居ない場所に……。通常学級でがんばる?引っ越す?私がした決断は確かに、息子は衝動性からクラスの子どもを傷つけてしまう可能性がありますし、癇癪で迷惑をかけているということを申し訳なく思っていました。でも、癇癪を起こすのは教室だけです。自宅、療育、通級指導教室では落ち着いて過ごせていました。特性を理解してもらえない、配慮なくみんなと同じように同じことを強要されても、息子には難しかったのでしょう。公立校なのでさまざまな制限があるのもわかりますし、もちろん息子だけに対応するのは難しいことは理解しているつもりですが、面談で話を聞いてとても悲しくなりました。今住んでいる自治体の特別支援学級は情緒学級がなく、知的学級しかありません。情緒学級のある自治体への引越しも考えましたが、すぐには動くことができない状況です。息子は知的面での遅れはなく、むしろ今は勉強したいと意欲的です。できれば配慮を受けて勉強をさせてあげたいのですが、それでも今の学校にいたら、息子の味方が居ない場所で無理をすることになります。担任の先生が配慮しないと断言した以上、苦しい状況にいても成長に繋がらないと考え、本人は嫌がりましたが情緒級の特別支援学級のある自治体へ転校することに決めました。それしか選択肢がないと思いました。Upload By ユーザー体験談息子の心を傷つけてしまった……。いつか楽しい時間が記憶として残る環境に息子を置いてあげたい私は、息子の発達障害を受け入れていたつもりでしたが、どこかほかのの子と同じような経験をして成長して欲しいと言う気持ちがあり焦っていたのだろうと思います。今回、幼稚園に続いて小学校も変わるという経験をさせてしまい、息子の心を傷つけてしまいました。特別支援学級では息子の気持ちをよく考えながらのんびりと成長を見守っていけるようにしたいです。多少のことは笑顔で対応してあげたいです。将来はどうなっていくのか今は想像もつきません。私自身も不安しかありませんし、どう育って欲しいかも具体的に考えられませんが、近い将来、今までの嫌な記憶が少しでも和らいで、楽しい時間を過ごして、それが思い出として記憶に残ってくれたらと思います。穏やかに過ごせる環境に、息子を置いてあげたいです。イラスト/taekoエピソード参考/なのはな(監修:藤井先生より)貴重な体験談を読ませていただきありがとうございます。息子さん、親御さんのお気持ちが伝わってくる内容でした。発達障害があるお子さんへの合理的配慮を推進する法律が施行されたのが、平成28年4月です。しかし、障害のあるお子さんへの合理的配慮が細やかにされているかというと、まだ自治体によっては知的障害がない発達障害へのお子さんへの配慮がまだ行き届いていない様子も伺えます。主治医からの意見書や診療情報提供書などで、学校との連携をとられている方もいらっしゃいます。もし、主治医がいらっしゃる場合には、相談されるのも良いかなと思います。息子さんが少しでも穏やかに過ごせる環境が見つかることを願っています。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年10月05日息子のハジュは3歳の時に自閉スペクトラム症と診断されました現在小学3年生のわが家の長男ハジュ、赤ちゃんの頃はとてもよく眠る子でした。お腹が空く時間になってもまったく目覚める気配がなく、よく起こして授乳をしていました。あるとき、何度起こしても目を覚まさないため、寝ているにもかかわらず授乳をしてみたら……口からミルクがダバー。あとになって分かるのですが、ハジュには感覚鈍麻があったようで空腹や満腹の感覚がかたよっていたのかもしれません。そして、いつも上機嫌!あやさなくてもニコニコとよく笑い、誰もいない場所に向かって笑っていることもあったので妖精さんでも見えているのかな?と思っていました(のんきな母)。夜泣きもそれなりにありましたが、基本的によく寝る子どもだったので、とても育てやすく感じました。今思えば、いつもニコニコしているので呼びかけに反応していると思い込んでいたのかもしれません。Upload By スパ山まるで爆弾!?急な癇癪、吐くまで泣き続けた1歳を過ぎた頃なんか変だな?と思ったのは1歳を過ぎた頃でした。3歳年上の長女が1歳だった頃に比べて、意味のある言葉は何も話さないし、指さしもしないことに気がつきました。そして、何か気に入らないことがあると、激しく頭を壁や家具にぶつけたり、地面へ叩きつけたりしていました。しかも、何が気に入らないのかが親にはさっぱり分からない。まるでいつ爆発するか分からない爆弾を抱えているようでした。スイッチも解除方法もわからない!吐くまで泣き続けていました。「誰か爆発物に詳しい方はいらっしゃいませんかー!?」と叫び出したいような状況でした。かかりつけの小児科の先生に予防接種のついでに相談したところ「まあ、男の子はいろいろ遅いって言うから」と言われ、「なるほど男の子とはそういうものなんだ」と思っていました(のんきな母再び)。Upload By スパ山遅れて受けた1歳半健診……療育と出合う転勤族のわが家は、1歳半健診のタイミングと引っ越しがかぶり、現住所でも転居先の健診日でも、1歳半では受けることができませんでした。ようやく受けることができたのは、ハジュが1歳11ヶ月の時でした。そして健診の日。健診会場にいるのはほとんどが1歳半の子どもたち。お膝に座って絵本を読んだり、「かして、どうぞ」とお話する子どもまで……!えっと、確認ですがみなさん生まれて1年と半年ってことでOK?と混乱する私。いっぽうで息子のハジュは広い会場に大興奮!端から端まで走ったり、机に上ったり。落ち着かせようとしても、空を舞う竜のごとく腕の中を通り抜けてあっという間に廊下へ!!長女も1歳半健診は受けていますが、明らかにハジュは何かが違う……感じたのでした。健診で診察をしてくれたお医者さんが「え!?もうすぐ2歳!?一個も言葉出てない!?」と驚いたように話したことで、「男の子はいろいろ遅い」説は一体なんなんだ!?みんなこうじゃないの!?と、どんどん不安になっていきました。そして心理士さんと面談し、療育と出合うことになったのでした。Upload By スパ山やっと出た自分の言葉!3歳の頃3歳になったハジュは、グループ療育に通いつつ、地域の幼稚園に入園しました。この頃は、石や砂、粘土、ビーズなどを口に入れるようになり、加配の先生についてもらい、危険のないように園生活を見守っていただきました。そして幼稚園入園後、ずっと喃語状態だったハジュが「(は)い!」と返事をするように。みるみる言葉が増え、不明瞭だったり、オウム返しだったりしながらも、受け答えできるようになってきました。数字も大好きになり、「おかあさん」より先に1~100を言えるようになりました。いっそのこと私の名前を数字に改名したかったです。そして初めておしゃべりらしい言葉が出たのが「今日の給食なんだった?」に対しての「すっぱらっちぃ(スパゲッティ)」です。はい、もう耳を疑いました。大号泣です。(あまりにもうれしくて「スパ」を取って現在のペンネームにしました。そしてしょっちゅうスパゲッティが食卓に登場)Upload By スパ山現在は特別支援学級へ現在ハジュは、地域の小学校の特別支援学級の3年生です。相変わらず数字が大好きで、お友達もたくさんでき、元気に過ごしています。私も、信頼できる先生や、SNSを通じてママ友と出会うことができ、みんなから支えられてひとりじゃないんだなと思うことができました。こんな私たち家族の日常をお届けし、「自分だけじゃないんだ」と少しでも共感してもらえるような記事を書いていけたらと思っております。そして、あわよくばクスっとしていただければ幸いです。執筆/スパ山(監修:室伏先生)ハジュくんの乳児期から現在に至るまでの成長のご様子を、お母様のお気持ちを交えて共有くださり、ありがとうございました。発達障害を抱えるお子さんの多くは、乳児期には特性が分かりづらいことが多いです。乳児期を過ぎると、違和感やあれ?と思うことが増えていくのですが、親御さんは、療育や診断に繋がり見立てや診断がつくまで、不安や戸惑い、迷いなどを感じられ、診断がついてからは落胆や見通しがたたない先々への不安など、さまざまな想いを抱えられると思います。それらを乗り越えて、頑張られている親御さんのお気持ちやその変化、そしてハジュくんの成長の様子や、毎日を楽しく過ごすハジュくんの今を共有くださることは、多くの親御さんにとって安心や励みになることと思います。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年10月03日好きなことには過集中!やるべきことには注意散漫!Upload By 丸山さとこ現在中学生の息子コウには、ASDとADHDがあります。ADHDの特性によるためなのか、意識的に集中力をコントロールして物事に取り組むことが苦手です。趣味に関しては過集中して寝食を忘れて取り組むいっぽうで、宿題など『意識的に集中しなくてはいけない作業』では、雑談を始めたり消しゴムをコロコロ転がしたりして気が散ってしまいがちです。コウは書字が遅く疲れやすいため、小学校の宿題では漢字の書き取りなど『書く量』の多さで苦戦していました。高学年になると書き取りノートのマスの数も増えるため、3~5行書いたところでコウの気持ちが折れてしまうようになりました(日によっては5文字程度で力尽きてしまいます)。そんな様子を見ていた私は「苦手な作業だし、集中しづらいのも無理はないのかな」と思っていました。ところが、中学生になった今、コウは「宿題は嫌じゃない」と言います。なぜなら、中学校の宿題はプリントが主体のため、小学校の宿題に比べて書字の量が少ないからです。実際、コウは宿題を進めながら「興が乗ってきた!」と言うこともよくあります。そんなときは、数分で宿題を終えることも珍しくありません。でも、宿題が進まない日ももちろんあります。進まないなかでも、グニャグニャしながらも頑張って机に向かっているコウを見ていると、「集中できるか否かは、コウ本人にとってコントロールが難しいことなのだろう」と感じています。宿題が、出せないままに、はや中2……(五七五)Upload By 丸山さとこ私は実家が遠方にあるため、夏休みと冬休みはコウをつれて1~3週間と長めの帰省をしています。その間は私の外出中などは、私の母がコウを見ていてくれることがあるのですが、先日帰省した際は「コウ君宿題してるみたいだけど、さっきから伸びたり縮んだりしているだけで全然進んでない」と母から報告の電話を受けて笑ってしまいました。グニャグニャしながら机に向かい、伸びたり突っ伏したりを繰り返しているコウの姿が目に浮かぶようでした。Upload By 丸山さとこそんなコウの宿題風景を前にしても、最初私の祖母だけは「こっちに来たときくらいノンビリしたらいいよ」と言っていました。ですが、滞在して数日たつと、そんな祖母まで「コウ君、宿題しなくて大丈夫かね?」と言うようになりました。コウの周りの大人たちがつぎつぎとしびれを切らしていくのを見ると、「コウの宿題を見ていて焦るのは私だけじゃないんだ!」と、少し面白くなりました。それでも、コウの宿題への取り組み方や集中力のなさを『やる気や真面目さの問題』にはしたくないと私は考えています。というのも、コウは小学校高学年の頃『宿題が進まない』現実と『宿題は絶対やらなければいけない』という考えと、『宿題は苦痛なのでやりたくない』という思いとの板挟みに合い、気持ちが不安定になったことがあったからです。ときには「宿題をできない僕はダメなやつだ」と絶望して泣くこともありました。そんなコウが、中学生の今「宿題は嫌いじゃないよ。やるのも出すのも忘れちゃうけどね!」と笑って言えるようになったのは、長い目で見れば良い変化なのではないかと思います。Upload By 丸山さとこ「集中力の補助線」を利用しながら試行錯誤している毎日です中学生になった現在も相変わらず宿題に集中できないコウですが、私に説明しながら解くことで集中の取っ掛かりをつくったり、雑談をしながら進めることで『気が乗らないことに取り組む苦痛』を和らげたりするなど、コウができる工夫は増えてきました。今はそうして私を集中力の補助線にしているコウですが、だんだんとそれをアイテムや自分自身への声かけで代用するようになっていくのではないかな? と思います。タイマーをかけて「よし、やるぞ!」と気合を入れたり、私に向かって動画配信者風に解説をしたりしながら宿題を進めるコウの姿を見て、頼もしく感じています。Upload By 丸山さとこ執筆/丸山さとこ(監修:藤井先生より)「集中力の補助線」という表現がとても良いですね。コウくんにとって、さとこさんの声かけが、集中力の補助線になっているのですね。自治体、学校によっては宿題がないところも出てきています。自主学習といって、お子さんが興味あることに取り組み、家庭学習を行うことを主体にしているようです。学校からの宿題には取り組めなくても、興味あることの延長線上の学習なら取り組めるお子さんもいます。宿題を極端に嫌がる場合には、宿題の内容の工夫について、学校と相談すると良いと思います。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年10月02日アトピー性皮膚炎とは?原因も解説アトピー性皮膚炎とは、皮膚の上層にかゆみを伴う湿疹が慢性的に繰り返し生じる病気のことです。乳幼児期に生じて成長と共に症状が落ち着くことが多いですが、まれに成人してからも症状が表れる場合があります。アトピー性皮膚炎の原因は遺伝などが挙げられていますが、まだ明確にはなっていません。さまざまな要因が絡んでいると考えられており、花粉症や喘息のある子どもや、家族にそのような症状のある子どもに発症することが多いことが分かっています。発症すると皮膚に赤みのあるぶつぶつができたり、乾燥して皮膚がむけたりといった症状が表れます。強いかゆみが伴うため、子どもが皮膚をかいてしまうことで、症状が悪化することも多くあります。アトピー性皮膚炎によるかゆみがあることで、子どもが夜眠ることができなくなり、身体の成長に影響が出たり、日中の園や学校での活動に影響が出ることも考えられます。また、顔に症状が表れている場合は、白内障などの合併症を発症することもあります。そのため、早めに病院を受診し、適切な治療で症状を改善させていくことが大切です。参考:アトピー性皮膚炎(湿疹)|MSDマニュアル家庭版参考:アトピー性皮膚炎|国立成育医療研究センターアトピー性皮膚炎と発達障害の関連性発達ナビでは「わが家の「アレルギー事情」アンケート&エピソード募集!」としてアレルギーについてのアンケートを募集いたしました。今回はその結果をご紹介いたします。(2023年9月5日~9月7日までに実施/発達ナビ会員65名が回答)Upload By 発達障害のキホン「子どもに発達障害があり、なんらかのアレルギーがある」と答えた方が77%と一番多い結果となりました。多くのご家庭が発達障害とアレルギーに関して悩んでいるようです。参考:わが家の「アレルギー事情」アンケート&エピソード募集!実際にアトピー性皮膚炎がある子どもは、ADHD(注意欠如・多動症)などの発達障害を併存していることが多いと言われています。参考:アトピー性皮膚炎診療ガイドライン 2021|日本皮膚科学会発達障害のある子どもは感覚過敏などの特性が見られることが多く、アトピー性皮膚炎のかゆみに対して強い力でかいてしまうことがあります。そのことで、皮膚の傷が深くなり、治りが遅くなることもあると言われています。そのため、アトピー性皮膚炎に発達障害が伴う場合は、子どもの特性に合わせた治療を行うことや、心理療法も組み合わせて行っていくことが大事と言われています。もし、アトピー性皮膚炎のほかに発達で気になることがある場合は、受診時にそのことも伝えるようにしましょう。アトピー性皮膚炎の症状とは?これは初期の症状?代表的な症状も解説アトピー性皮膚炎は乳幼児期に発症することが多く、通常は生後4ヶ月未満から症状が表れてきます。症状は早期(急性期)と慢性期(後期)といった時期によって異なっています。早期では、赤いじゅくじゅくとした発疹や水泡が生じ、1~2ヶ月続きます。慢性期では、かゆい部分をかくことによって皮膚が固くごわごわした状態になります。年齢によって症状が表れやすい箇所が異なっています。乳幼児では顔から頭皮、首、手、足と広がっていき、年長の子どもや成人の場合は特定の場所に繰り返し表れ、特に首の前面、肘の内側、膝の裏が多いと言われています。また、アトピー性皮膚炎には合併症が多いことでも知られていて、先ほど紹介した白内障のほか、掻いた傷口から細菌が入ることで感染症を引き起こすこともあります。ほかにも、アトピー性皮膚炎のある方が単純ヘルペスウイルスに感染すると、通常よりも重い症状が表れると言われています。参考:アトピー性皮膚炎(湿疹)|MSDマニュアル家庭版アトピー性皮膚炎の治療方法とは?ステロイドを使うの?アトピー性皮膚炎の症状を改善するためには、ステロイドなどを用いた治療やスキンケア、悪化要因の除去などを行っていきます。アトピー性皮膚炎の治療では、ステロイド外用薬を用いた薬物療法がよく行われます。主にコルチコステロイドという種類のステロイドの軟膏を直接患部に塗っていき、皮膚の炎症を抑えていきます。コルチコステロイドには副作用もあるため、子どもの様子も見ながらほかの治療法に変更することもあります。ほかの治療法としては、光線療法といって紫外線を照射していく方法や、内服薬、注射などを用いた治療法があります。治療は基本的には家庭で行っていきますが、症状が重い場合には入院する場合もあります。アトピー性皮膚炎の症状の改善や予防のためには、適切なスキンケアをしていくことも大事です。ここでいうスキンケアとは、皮膚を清潔にすることと保湿することを意味しています。皮膚を洗う際には専用のせっけんを使用し、拭くときはごしごしとせずに軽くたたくように水分を取り、まだ湿っているうちに保湿剤を塗っていきます。スキンケアをする際には以下のような点を心がけていきましょう。・皮膚を洗う際に洗浄力の強いせっけんは避ける・入浴は1日に1度にする・皮膚を拭くときはごしごしとこすらずに、軽く叩くように水分を取る・皮膚が湿っているうちに保湿剤を塗るアトピー性皮膚炎には症状を悪化させる「悪化因子」と呼ばれるものがあり、それらを取り除くことも予防や改善のために大切です。悪化因子にはダニやカビ、ほこり、ペットの毛、ストレス、風邪による体調不良などがあり、子どもによって何が因子となるか異なっています。日常生活における悪化因子を取り除くには、以下のような対策が有効と言われています。・熱湯を使って寝具を洗う・ぬいぐるみやカーペットといったほこりなどが付きやすいものを取り去る・ペットを飼わないようにする、飼っている場合は部屋を分けるなど子どもから遠ざける・子どもがよく過ごす場所に空気清浄機を設置する・湿気の多い場所に除湿器を設置する・子どもの精神的なストレスを減らしていくこのように、アトピー性皮膚炎ではステロイドなどの薬物療法、スキンケア、悪化因子の除去を行いながら症状の改善を目指していきます。参考:複数科間の連携によるアレルギー診療アトピー性皮膚炎を例として|小谷 信まとめアトピー性皮膚炎は皮膚にかゆみを伴う赤みのある湿疹などができる病気で、子どもに多く見られます。合併症が多いことでも知られており、皮膚をかくことで傷ができてほかの感染症や白内障などを発症することがあります。また、発達障害と併存することもあり、その場合は感覚過敏の特性などによって、強くかいてしまうことも考えられます。アトピー性皮膚炎は治療を行うことで症状を改善させることが可能な病気です。子どもに皮膚の赤みなど気になる症状が見られたら、早めに病院を受診するようにしましょう。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年09月27日発達の遅い息子をワンオペ育児していた私。のちに産後うつに……現在中学1年生の息子は、7歳の時に自閉スペクトラム症(ASD)、ADHDの診断を受けました。息子は乳幼児期から発達の遅れが目立ちました。まとまって寝ない、抱っこを海老反りして拒否する、両親やほかの人がいても気にならないのかコミュニケーションを一切とらない……など、さまざまな問題がありました。おとなしいけれど、育てづらい……そんな印象です。この時期、私はワンオペ育児で心身ともに疲弊しており、のちに産後うつと診断されました。当時はどんどん感情が麻痺していく中、息子はこのままで大丈夫なのか、どうすればいいのかといろいろな支援施設を訪ねる日々でした。Upload By ユーザー体験談生後半年頃から成長曲線から外れ発育相談へ。「体重を増やせ」と言われるも、離乳食を食べてくれない息子Upload By ユーザー体験談生後半年頃からでしょうか。身長や体重が成長曲線に沿って増加しなくなりました。発達もおすわりまでは順調でしたが、はいはいから少しずつ遅れていき、1歳になっても立たず、喃語も出ません。「ちょうだい」「どうぞ」などというやりとりもできず、体の成長とコミュニケーションの発達に遅れが出ているのではと感じていました。そんな中、一番気になっていたのは離乳食が進まないこと。1歳になっても7ヶ月目くらいの食事しかとらず、手づかみ食べもなし。親がスプーンで運んだものしか食べませんでした。心配になった私は、まずは近くの公民館の発育相談に行きました。主に、体重や身長が増加しないこと、離乳食が進まないことを相談しました。その次は保健センターの発育相談に行き、同様のことを説明。最終的には保健所の発育相談にも行きました。どこに行っても言われたのは「とにかく体重を増やすこと」でした。これは私が頑張らなければいけないと、必死で離乳食作りをしましたが、本人は食への興味が無いようでなかなか進みません。いくら時間をかけて作っても、全然食べてくれないこともありました……。私は心も体もどんどん追い詰められていきました。1歳半健診より前にやることになった発達検査Upload By ユーザー体験談当時、私は定期的に保健師さんの訪問を受けていました。公民館、保健センター、保健所などで相談したことを話したところ、その保健師さんから離乳食だけでなく発達の遅れが気になるとの指摘を受けました。離乳食の遅れも、発達が関係していることかもしれないと言われた私は、1歳半健診が間近に迫っていたものの、それより少しでも早く発達が専門の支援員さんに息子を見てもらいたいと、保健センターを受診。そしてそこで『発達が半年ほど遅れている』ことが分かったのです。発達や発育の遅れを指摘されても、このときの私は悲しいとか悔しいとかそういう感情がわいてきませんでした。やっぱりそうなんだというくらい。すでに感情が麻痺してしまっていたのだと思います。発達検査の後に受けた1歳半健診では……ほかの子より半年遅れていると分かったことで、私は覚悟しました。1歳半健診でほかの子をみたら、息子との違いにびっくりするだろうことを……。実際に健診に行ったら、ほかのお子さんは元気に歩き回ったり、お友達と仲よさそうに遊んでいたり、自分の水筒を自分で持っていたり……。なにより、何らかのおしゃべりをしていたので、そのすべてができない息子と比べると、まるで別の世界にいるようでした。本当に別の世界の出来事……、周りのお子さんとの違いに、もはやショックを受ける気力すらありませんでした。Upload By ユーザー体験談そして受けた1歳半健診は、すでに発達の遅れを指摘されていてフォローアップが済んでいるということで、淡々と終わりました。いろいろな方の支えてもらい育児をしている……そんな状況が私を前に向かせてくれるようにその後の私は、いろいろな方から受けたアドバイスを実行するだけで精一杯。発達支援につながり、教えてもらったアドバイスを実行したりさまざまなことをやりました。ただ、それまでワンオペでしたが、ほかの方と一緒に息子を育ててもらっている……という気持ちが私を慰めてくれました。今、子どもは2歳過ぎまで話をしなかったのが嘘のようによく話をします。ただ、今もコミュニケーションの発達には難があります。これから先も社会にどのように関わっていけるのかは未知数です。これからも息子が少しでも社会に関わっていけるように、いろいろな方の支えを受けながら、育児を頑張りたいと思います。イラスト/吉田いらこエピソード参考/ころぼっくる(監修:鈴木先生より)母子手帳には1歳半や3歳時健診の左側に親がチェックする項目が列挙されています。最後に「子育てに困難を感じましたか」という項目があり、私はそこを一番重要視しています。普通なら「いいえ」に〇がついているのですが、私の外来に来るお子さんについては「どちらともいえない」や「はい」に〇のついているケースが多々見受けられます。それでも健診担当の保健師さんからは何もコメントのもないまま通過していることが多いのが現実です。できるだけ早期に介入し、療育を開始するのが望ましいのですが……。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年09月27日