いまや世界の関心はコロナの脅威に集中しているものの、その裏ではさまざまな問題が同時に発生しているのも事実。とはいえ、ニュースではその一部しか知ることができないと感じている人も多いのでは?そこで今回は、現代の抱える闇に迫る話題作をご紹介します。それは……。予測不可能な感動作『パブリック 図書館の奇跡』【映画、ときどき私】 vol. 313記録的な大寒波に見舞われた米オハイオ州シンシナティ。ダウンタウンにある公共図書館には、寒さをしのぐために大勢のホームレスが開館前から列をなしている。そんな彼らに対して実直な図書館員のスチュアートは、寛容な態度で接していた。ところがある日、行き場を失い、命の危険を感じたホームレスたちがやむにやまれぬ事情に駆られて図書館のワンフロアを占拠してしまう。突如として勃発した大騒動に巻き込まれたスチュアートも、事の重大性を察して館長に直談判するのだった。そして、彼らは信じがたい行動に出ることに……。いくつもの“サプライズ”とともに、貧富の格差や政治的分断が深刻化するアメリカの現実をあぶり出している本作。絶賛の声が寄せられるなか、作品に並々ならぬ思いを抱いているこちらの方にお話をうかがいました。俳優で監督のエミリオ・エステベスさん!俳優マーティン・シーンと女優兼プロデューサーのジャネット・シーンを両親に持ち、弟であるチャーリー・シーンをはじめ、家族全員が俳優という芸能一家で育ったエステベスさん。80年代にはハリウッドの青春映画スターとして一躍人気を集めましたが、現在は作り手としても才能を発揮しており、今回は製作・監督・脚本・主演の4役を務めています。そこで、本作の舞台となる図書館での思い出や長年温め続けてきた念願のプロジェクトを通して伝えたい思いについて、語っていただきました。―この作品は、完成までに11年かかったそうですが、時代とともに変化していく状況などを反映しながら作っていったのでしょうか?エステベスさん確かに、その間に起きた社会情勢や出来事は反映されています。何と言っても、時間があるぶんだけ、いろいろと考えながら作れるというのはいいことでしたからね。このユーモアが実際に人に響くかどうか、笑ってもらえるか、といったことをいろいろな人に読んでもらいながら試すことができました。―脚本を書くうえで、苦労したところはありましたか?エステベスさん自ら脚本を手がけて、出演もする作品の場合、「脚本を書く時間が足りなかった」と言う人がよくいるんだけど、僕はスティーヴン・キングの教えを参考にしています。その教えとは、本をいったん書き終わったと思ったら、まず置いて、数週間経ってから再びそれを読み、そこで終わったかどうか決めるべき、というもの。僕も実際にそういうやり方をしています。時間をかけたおかげで、いまの時代に通じる作品になった―なるほど。では、11年もの歳月をかけたからこそ、描けた部分があれば教えてください。エステベスさん映画業界では「こんなに時間がかかるってことは、何か問題があるんじゃないの?」ということを言われたりするんだけど、時間が経つにつれて、より多くの人に伝わるような作品になっていると感じています。つまり、2008年に作っていたよりも、いまの時代に通じるものになったんじゃないかということです。それが、時間をかけたことのいいところだと思います。2007年に経済危機が起こって2008年はダークな時代となり、2016年にはトランプの当選でさらにダークな時期に入っていきましたが、そんなときに製作することになったのがこの作品でした。でも、いまがこんな時代になってしまうなんて思いもしませんでしたが……。―確かに、11年前といまとではあらゆる点において、大きく変わってしまいましたよね。そのなかで、ホームレスなどの生活困窮者の置かれている状況は改善されていると感じていますか?エステベスさん悲しいことに、状況が変わったとは言えないと思います。特にコロナ後は、世界的な不況に見舞われるので、予算カットの最初の槍玉にあげられるのが図書館なんじゃないかなと。僕は、シンシナティの図書館でパスポートを更新できましたが、それだけのサービスを公共図書館は与えているのに、また危険にさらされるのではないかと心配しています。子ども時代は図書館が僕のベビーシッターだった―本作は、公共図書館の元副理事が寄稿したエッセイにインスピレーションを受けたことがきっかけだったということですが、リサーチの過程で驚いたことがあれば、教えてください。エステベスさん今回のリサーチのなかで学んだのは、図書館に来る人と図書館員との会話には守秘義務のようなものがあるということ。法律で決まっているというわけではないですが、医者と患者、弁護士と依頼人の間にあるようなものに近いそうです。だから、たとえば僕がデスクで図書館員と話しているときに、誰かが何かを聞きに来たとしたら、僕はその場を離れないといけないのだとか。それくらい、彼らの間の会話というのは聖なるもので、聞いてはいけないし、他人には明かしてはいけないものなんですよ。―それは初めて聞きました。ちなみに、エステベスさんご自身にとって、図書館での忘れられない思い出はありますか?エステベスさん子どものころは、親がよく図書館に連れて行ってくれて、「遊んでいなさい」と言われていたので、僕にとっては図書館がベビーシッターみたいなところがありました。当時のことで覚えているのは、図書カードみたいにそれぞれカード式になっていた本があったり、カタログを調べたりしたこと。これは日本も一緒だと思うけど、図書館のソートのシステムに数字がいっぱいあって、そういうシステムをまず学ばないと図書館のどこにどの本があるのかわからないんですよね。確か、小学校でそういう授業があった気がするんだけど……。僕はちょっとオタクっぽい子どもだったから、「今月はこのSFの本を1冊読む」みたいなクラブに入ってたんです。なので、新しいSFが入るたびにすぐに読んでいたし、マイケル・クライトンの『アンドロメダ病原体』も5、6回読んだほど。だから、自分の学校に通い始めたころの思い出と、図書館で過ごした思い出というのは、ほぼ同じだったと言えますね。これからもみんなに声を上げていってほしい―図書館は大事な存在だったのですね。現在のアメリカについてもおうかがいしますが、人種差別などについて多くの人が声を上げている状況にあると思います。今後、どのようになっていってほしいか、思いを聞かせてください。エステベスさんまさにいま、「自分たちの声をどんなふうに使って、相手に届けたらいいのか」ということをみんなが理解しはじめているところではないでしょうか。それもあって、かつてよりも多くの人が声を上げているんだと思っています。アラブの春や香港のデモにおいても、若い人たちが声を上げていますが、沈黙することに疲弊して、本物の変化というものを求めるために自分たちが声を上げなければいけない、と考えていることの表れですよね。もちろん、その裏では経済格差がより厳しくなるところもありますが、若い人たちは「自分たちの未来は、自分たちが声を上げなければ荒れ果てて寂しいものになるんじゃないか」と感じているんだと思います。それが環境に関してでも、政治に関してででも、あるいは市民の権利を奪うような反民主的政府に対してであってもいいので、みんなに声を上げていってほしいですね。現場で印象に残っているエピソードとは?―そういう思いが、どんどんと広がっていくといいですね。また、今回の現場の様子についてもおうかがいしたいのですが、本作には、アレック・ボールドウィンやクリスチャン・スレイターといった豪華なキャストが集結しています。現場での裏話があれば、教えてください。エステベスさんアレック・ボールドウィンが何よりもすごかったのは、他の人のセリフも全部に入れて現場に来たこと。そういう人は、2度仕事をしたアンソニー・ホプキンス以来ですよ。でも、監督としてはすごく緊張するんですけどね。クリスチャン・スレイターは、今回道路に寝て、自分の“男らしさ”みたいなものを証明するシーンがあったんですけど、マイナス11度くらいのなかで準備をしてもらったんです。ただ、クリスチャンに声をかけて寝っ転がってもらったあと、しばらくして「本番にいくよ!」と合図をしたら「え?いま撮ってなかったの!?」と言われました。これまで3回一緒に仕事をしたんだけれど、これは唯一彼が怒った瞬間でしたよ(笑)。他人に対して勝手なイメージを押しつけてはいけない―そのあたりも、これから観る方には注目してほしいですね。それでは最後に、日本の観客にも本作を通じて伝えたい思いをメッセージとしてお願いします。エステベスさん僕たちは社会的に弱い立場にいる人だったり、ホームレスだったり、肌の色が違う人だったり、声なきものに対して、こういうストーリーがあるんじゃないか、と勝手に思い込んでしまうところがあります。たとえば僕の場合も、「エミリオ・エステベスはこういう育ち方をしたんじゃないか」というイメージを押しつけられたりしますからね。でも、そういうことは、誰もがやっていることだと思っています。たとえば、外を歩いているときに、自分より恵まれない方を見ると、「この人はこういうことをしたから、こうなっているんだなぁ」と思ったりすることもありますよね。でも、往々にしてそういう物語は実は間違っていることが多いので、そんなふうに他人のストーリーを勝手に作らずに、違う見方をしてほしいと思います。あとは、スマホやコンピューターを持っている方は、公共図書館の果たしている役割についても、改めて考えてほしいですね。つまり、それくらい必要不可欠な機関なんだ、ということです。そういった理由もこの映画のなかではたくさん描いているので、みなさんにもそれが伝わるといいなと思っています。勇気ある行動と希望に心を動かされる!ホームレスなどの社会的弱者の現状を描きつつ、スリルとユーモアを見事に織り交ぜて描いている本作。そこで繰り広げられる人間ドラマ、そして思いがけない衝撃のラストは、観る者の心を掴んで離さないはず。こんな時代だからこそ、声を上げることの大切さを実感してみては?エモーショナルな予告編はこちら!作品情報『パブリック図書館の奇跡』7月17日(金)より、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次公開配給:ロングライド© EL CAMINO LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
2020年07月17日いまや他人とのコミュニケーションもデジタル化が当たり前となっている時代ですが、手書きにしか出せない良さがあるのも忘れたくないところ。そこで、手紙が生み出す感動のストーリーをご紹介します。その映画とは……。おかしくて温かい『ぶあいそうな手紙』【映画、ときどき私】 vol. 312ブラジル南部に位置する街ポルトアレグレ。78歳の頑固な独居老人エルネストは、隣国のウルグアイから来て46年が経つ。老境を迎え、ほとんど目が見えなくなっていたため、人生はこのまま終わるだけだと思っていた。そんなある日、彼のもとに届いたのは、ウルグアイ時代の友人の妻からの手紙。自らの目で読むことができないエルネストは、偶然知り合った若い女性のビアに手紙を読んでくれるように頼むことに。そして、この出会いが彼の人生を変えることになるのだった……。ラテンアメリカの各映画祭で大絶賛され、高く評価された本作。地球の反対側であるブラジルからいよいよ日本にも上陸します。そこで、こちらの方にお話をうかがいました。アナ・ルイーザ・アゼヴェード監督!物語の舞台であるポルトアレグレ出身のアゼヴェード監督は、映画界で35年以上のキャリアを誇る女性監督。今回は、本作が生まれたきっかけや作品に込めた自身の思いなどについて、語っていただきました。―まずは、このような映画を作ろうと思った経緯から教えてください。監督現在、私には高齢の両親がいますが、本作の共同脚本家も同じような状況にいるので、自分の周りに高齢者が多いから、という理由がまずは挙げられると思います。そのため、彼らがどういう生活をしているか、といった問題については非常に身近なことだと感じていましたし、彼らの状況を理解するのは、さほど難しくはありませんでした。とはいえ、この主人公は78歳で、私よりもかなり年上なので、考え方は明らかに自分とは違いますよね。だからこそ、彼がどういうふうに物事を見るのか、ということについてはきちんと考えなければいけませんでしたし、視力を失いつつあるという設定に関しては細心の注意を払って描きました。―ちなみに、この主人公にはモデルがいるそうですが、その方のどのようなところにインスパイアされたのでしょうか?監督これは私の知り合いの父親でポルトアレグレに住んでいたイタリア人写真家ルイージ・デル・レの生涯から触発されたものですが、彼から感銘を受けたのは、長年会えずにいる妹に対して抱いていた思いでした。そのほかにも非常に印象的だったのは、ずっと独立心を持って1人で生活していた人が年を取るにつれてだんだんとその独立心を失い、自分の息子に依存していくようになってしまう姿。そういったことについて本人がどう考えているのか、というのも興味をひかれたところです。典型的なブラジルとは異なる魅力を見せたかった―なるほど。そのほかには、舞台となったポルトアレグレも大きな役割をはたしていると感じました。監督そうですね。今回の映画を作るにあたり、入れたかった要素のひとつはブラジル南部についてでした。なぜなら、そこにはウルグアイやアルゼンチンが軍事独裁政権だったときに迫害から逃れた人たちがたくさん住んでいるから。彼らは自主的に亡命した人たちではありますが、それでも自分たちの生まれた国の文化をずっと保ち続け、自身のルーツを大事にしながらいつかはきっと祖国に帰れると信じているのです。―そういった背景があるからこそ、ポルトアレグレは日本人が思い描く典型的なブラジルのイメージとは違うんですね。監督自身にとっては地元でもある大切な場所だと思いますが、どのようなところが魅力ですか?監督おそらくみなさんがブラジルと聞いて思い浮かぶのは、リオデジャネイロやサンパウロなどのトロピカルで楽しくてオープンないわゆる“ステレオタイプのブラジル”ですよね。でも、ポルトアレグレは、どちらかというと内省的で詩的でメランコリック。しかも、先ほども話したようにウルグアイやアルゼンチンの文化が交じり合っているので、ブラジルのイメージとはまったく違うものがあると思います。劇中でもそういった部分を見せたかったので、あえてアルゼンチンやウルグアイの曲を使うなどして、音楽や映像の色彩によって違いを出すように意識しました。人生にある興味深い瞬間を描いている―テーマに関する話に戻りますが、監督はこれまでにも“老い”を題材として作品をすでに2本制作されています。老いることに興味を持たれている理由とは?監督最初にも話したように、みな健在ではありますが、94歳の父、88歳の母、さらに113歳の祖父が近くにいるということが、私にとってはこういったテーマに目を向ける大きなきっかけになっていると感じています。それだけでなく、人には「自分がどういう老後を過ごしたいのか」ということを決めなければいけないときが必ずやってきますよね。何かを決定しなければいけないときやさまざまな制約と向き合ったときにどう対処しなければいけないかなど、人生においてはいくつもの興味深い瞬間がありますが、この作品ではそういった瞬間を見ることができると思います。―確かに、誰もが老後についてはそれぞれの思いを抱えているところですよね。監督そうですね。考慮しなければいけない条件や肉体的な問題も出てきますから。そのなかで死ぬまで適当に過ごしていくのか、もしくは残された生を精一杯生きるのか、という2つに大きく分かれますが、この映画では、そういった選択を迫られた状況で主人公が若者と過ごすうちにいろいろなことを発見する姿を描いています。つまり、自分でつくったルールだけを守って生活していた人が、「それだけが人生じゃない!」ということに気がつくわけです。とはいえ、老いと一緒に生きるというのは簡単なことではないですけどね。大切なのは、つねに前向きな気持ちでいること―一般的に年を重ねることに対してネガティブになりがちな女性が多いですが、年を取ることの素晴らしさを日本の女性たちに語るとしたら、どんなことでしょうか?監督まずは、「年を重ねることの素晴らしさ」についてですが、あるといいなと私も思っています(笑)。当然のことながら、年を重ねるなかではいろいろな制約が増えていくこともありますから。ただ、それだとしてもいいことはもちろんたくさんありますよね。そんなふうに、「いいことをたくさん味わいながら生きよう」という考えを持てるかどうかは、大きいんじゃないかなと。でも、まだ自分の番が来ていないのに、死ぬことを考えすぎてしまったりするようなことはしたくないですね。どうしたら楽しくいろんなことを経験できるか、というのを考えることが大事だと思います。―そういう考えを持っていられるかどうかが、大きな違いを生みそうですね。監督実際、私の両親は高齢ですが、どうすれば一番幸せに生きられるかを実践している人たちなので、そんなふうに前向きでいることは大切なことだと感じています。生きていれば嫌なこともたくさんあるかもしれないですけど、いいこともいっぱいありますから。そういう気持ちをみなさんにも持ってほしいですね。いくつになっても、人生には可能性がいっぱいある!年齢や環境による制約があったとしても、人生が続く限りいつでも新たなスタートを切ることはできるもの。「最後の最後まで人生はわからない」という生き方を体現する人生の先輩から、その喜びを感じてみては?美しい予告編はこちら!作品情報『ぶあいそうな手紙』7月18日(土)よりシネスイッチ銀座、7月31日(金)よりシネ・リーブル梅田、伏見ミリオン座ほかにて全国順次ロードショー配給:ムヴィオラ© CASA DE CINEMA DE PORTO ALEGRE 2019
2020年07月17日毎日、すべての家事を完璧にこなすのは重労働。とはいえ、それも愛する人のためだからできることですが、もしもその人に裏切られていることを知ったら、どうしますか?そこで今回は、夫の不倫によって人生が一変してしまう主人公が新たな一歩を踏み出す瞬間を描いた注目作をご紹介します。それは……。感動を呼ぶ『ブリット=マリーの幸せなひとりだち』【映画、ときどき私】 vol. 311結婚して40年になる夫とスウェーデンに暮らすブリット=マリー。多忙な夫のため、笑うことも忘れて家事を完璧にこなすことが自分の役割だと疑わずに過ごしていた。ところがある日、夫に愛人がいることが発覚し、スーツケース一つで家を出る一大決心をすることに。とはいえ、ほとんど働いた経験がなく、63歳になるブリット=マリーがまともな職を見つけるのは困難なこと。ようやく見つけた仕事は、小さな町のユースセンターの管理人兼子どもたちの弱小サッカーチームのコーチだった。初めてづくしに戸惑いつつも、徐々に周囲の助けを借りて笑顔を取り戻していくブリット=マリー。そんなとき、突然迎えにきた夫にある選択を迫られるのだった……。本作は、著作が世界累計1000万部を突破するスウェーデンのベストセラー作家フレドリック・バックマンの小説を映画化した感動作。そこで、本国で大ヒットとなった作品の背景について、こちらの方にお話をうかがいました。ツヴァ・ノヴォトニー監督『ボルグ⁄マッケンロー 氷の男と炎の男』 でヒロインを演じ、女優として活躍しているノヴォトニー監督。新進気鋭の女性監督としても、注目を集めています。今回は、スウェーデンのさまざまな事情から本作を通して伝えたい思いなどについて、語っていただきました。―まずは、この作品のどのようなところが、大きな反響を得たとお考えですか?監督本作のテーマは、どの時代でもどこの国でも通じることですが、存在価値のない寂しさや孤独への恐れは、誰もが共感すること。パートナーや友人や仕事などにおいて、勇気を出して自分の人生に変化をもたらそうとすれば、人は強くなれるのだと訴えかけているところが支持されたのだと思います。―演出に関して意識した部分があれば、教えてください。監督最初に登場するときのブリット=マリーは、幼少期や過去の出来事を大いに引きずっていますが、私たちもみな同じように幼少期や過去の人間関係によって形作られているものです。ただ、私は問題を抱えたかわいそうな女性が、ついに悟りを得て前向きな性格に変わり、新しい冒険へと踏み出していく、というような物語にはしたくありませんでした。むしろ、期待していたのは、ありのままの自分を好きになってくれる人々と出会うことでブリット=マリー自身が自分を受容し、その姿を見た観客も彼女を受け入れてくれることです。そのため、周囲の人々に合わせるのではなく、自分自身を受け入れ、自分に自信を持つことで前に進む女性の物語にしました。本作の根幹、そしてテーマを一言で表すと「勇気」です。人間関係は誠実さとコミュニケーションで成り立っている―なるほど。今回、彼女の人生が変わるきっかけとなったのは、夫の不倫。日本で不倫はよく取り上げられるトピックですが、 スウェーデンでもブリット=マリーのような熟年夫婦が不倫によって、妻が夫に別れを突き付けるのはよくあることなのでしょうか?監督スウェーデンの詳細な統計は分かりませんが、不倫による離婚は、世の中の多くの夫婦に影響がある深刻な問題だと思います。個人的には、パートナーと一緒にいる時間が長いほど、不倫を続ける傾向がある気がしますが……。本作が少し変わった物語に見えるのは、40年間も一緒に過ごした夫を置いて家を出る決心をする60歳代の女性が主人公だからというのもありますが、このケースは珍しいかもしれないですね。―もし監督がブリット=マリーのように専業主婦として夫に長年尽くしたあとに、夫の裏切りを知ったら、どのような行動に出ると思いますか?監督ブリット=マリーは夫の不倫にずっと気づいていたと思いますが、私は彼女のようにそんなに長い間見て見ぬふりをすることはできないでしょうね。何とも言えませんが……。私は、すべての人間関係は誠実さとコミュニケーションで成り立っていると信じています。でも、実際のところブリット=マリーとケントの間には、そのどちらもなかったんじゃないかなと。だからこそ、結果的にブリット=マリーは夫とコミュニケーションを取ろうとはせず、家出に至ったのだと思いました。個人的にはお互いの話に耳を傾けるオープンなコミュニケーションを普段から心がけることによって、多くの問題が解決できると考えています。―本作では、ブリット=マリーが本当の幸せや本来の自分を見つける様子が描かれていますが、監督にとって人生における幸せとは?監督単純に幸せか悲しみ、成功か苦労だけの人生はありません。だからこそ、生きるうえで難しいことは、人生の浮き沈みをコントロールし、自分が安心できる場所を見つけること。私にとって幸せとは、どんな状況でも心を開いて自分らしくいられることです。―劇中で彼女が何度も口にする「1日ずつよ、1日ずつ」という言葉が日々の彼女を支えていたんだと感じました。では、監督が大事にしている言葉や信念はありますか?監督私にとっては、“Everything will be alright.”(すべてきっとうまくいく)のひと言につきますね。重要なのは、自ら声を上げること!―シンプルで素敵な言葉ですね。ちなみに、北欧ではブリット=マリーのようなシニアの女性たちの就職事情というのは、どのようなものなのでしょうか?監督スウェーデンでも、63歳の女性が就職することは簡単ではありません。なので、ブリット=マリーに起きたことは少しだけ現実離れした“映画の魔法”と言えると思いますが、人間関係に行き詰まってしまった女性にインスピレーションを与えるきっかけにはなると思っています。もちろん、ブリット=マリーはサッカーのコーチになることを望んでいなかったとは思いますが、外に出ていままでは関わらなかった人たちと出会ったことは彼女の人生にとって、とても貴重な経験ですよね。特に、40年間も一人の男性と家に閉じこもっていた彼女には、この経験を通して協力することや自分自身を振り返る大切さに気付けたのはとても良いことだったのではないでしょうか。彼女の新たな仕事は、自分とは違う人々を理解し、視野を広げる決心の象徴だと思います。なにより彼女は実際に、より幸せになることができましたから。―スウェーデンでは、女性の就業率は80%、女性国会議員の割合は日本の約4倍となっており、女性の社会進出が非常に進んでいる国と言われています。 日本はまだ課題も多いので、男性社会や家庭内でがんばっている日本の女性に向けて、アドバイスやエールがあれば、お願いします!監督もっとも重要なのは、自ら声をあげることだと私は思っています。歴史や文化の観点からみると簡単な問題ではありませんが、スウェーデン人も日本人も関係なく、現代社会において女性は対等な関係を築く力を持っているものです。うまくいかない関係があってもそれを責めるのではなく、自身の人間関係に責任を持ち、誠実なコミュニケーションを心がけることによって健全な関係性を築くべきだと思います。積極的にコミュニケーションをとれば、パートナーとの関係構築にも向き合うことができるでしょう。平等を求めることは若い世代に対して間違いなくよい影響を与えると思うので、繰り返しになりますが、声をあげることの大切さはちゃんと伝えたいですね。同じ女性として、勇気と共感を得られる!毎日同じ繰り返しに嫌気が差したり、大切な人に裏切られたりすると、「すべてを放り出して新たなスタートを切りたい!」と思う瞬間は誰にでも起こり得ることですが、自分のなかに押し込めている気持ちがあるのなら、ときには心の声に従ってみるのも大事なこと。ブリット=マリーのように、思いきって一歩を踏み出すことで、思いがけない人生の扉を開くことができるかも!?輝きに満ちた予告編はこちら!作品情報『ブリット=マリーの幸せなひとりだち』7月17日(金)より、新宿ピカデリー、YEBIS GARDEN CINEMA、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか公開配給:松竹© AB Svensk Filmindustri, All rights reservedPhoto credit: Hans Alm
2020年07月16日生きるうえで欠かせないものといえば衣食住ですが、人生をより豊かにしてくれるもののひとつといえば音楽。そこで、音楽に人生を捧げ、“日本語ロックの元祖”と言われているこちらの方にお話をうかがってきました。写真・北尾渉(PANTA)頭脳警察のPANTAさん!【映画、ときどき私】 vol. 3101969年にPANTAさんとTOSHIさんによって結成された頭脳警察は、反戦・反体制運動が激化するなか、過激な歌詞と自由なメロディで若者から圧倒的な支持を得た伝説的ロックバンド。その後、解散と再結成を繰り返しながらさらなる進化を遂げてきた頭脳警察ですが、まもなく公開の映画『zk/頭脳警察50 未来への鼓動』では、過去から現在までの長い歴史を堪能することができます。今回は、映画では語られていない裏話から音楽への熱い思いまでを語っていただきました。―頭脳警察は昨年で結成50周年を迎えましたが、まずは振り返ってみていかがですか?PANTAさん本当に月並みな答えですけど、一瞬でしたね。何とかここまでやってこれたんだなと。でも、もともとは続けようという意識はなかったんですよ。というのも、ファーストアルバムが1972年に発売中止となり、続くセカンドアルバムも発売禁止となったので、本当は社会から早く抹殺されなきゃいけなかったバンドでしたから……(笑)。でも、なぜか生きながらえて長寿グループになってしまって、本当に摩訶不思議な感じがしています。―映画を観ていても、まさに時代とともに生きてこられたバンドだと感じました。PANTAさんそうですね、本当に悲喜こもごもでしたけど、時代と重なる部分もずいぶんとありました。今回のコロナに関していえば、僕たちは去年の4月から50周年のイベントをスタートさせていて、今年の2月に終えたばかりだったので、少しでも遅かったら開催できなかったでしょうね。幸いなことに、何とか助けられたという感じです。曲とシンクロする事件が本当にたくさんあった―いろいろな危機を乗り越えながら、ここまでたどり着いたと改めて実感されていると思います。本編には映っていないところでの裏話などがあれば、教えていただけますか?PANTAさんお話できないことはたくさんありますよ、毎日が修羅場ですから(笑)。そのなかでも、振り返ってみると、思い出すのは先ほども触れたファーストアルバムが発売中止になったときのこと。東京と京都でライブレコーディングをしたんですが、ちょうど発売しようとしたときに日本中のテレビのブラウン管に映っていたのが連合赤軍によるあさま山荘事件の映像。アルバムに「赤軍兵士の詩」など、政治的に過激な曲が入っていたこともあり、発売中止となりました。そのあと、スタジオ録音に切り替えてもう一度発売しようとしたら、今度はイスラエルでの銃撃戦が勃発。1曲目のタイトルが「銃をとれ」でしたから、これも無理ですよね……。セカンドアルバムも回収騒ぎになったりして、本当にいろいろとシンクロする事件が多くありました。―かなり波乱の日々ですね。そのなかでも、忘れられない出来事といえば、どのようなことでしょうか?PANTAさん80年代のある日、あまりに巨大化したロックビジネスに嫌気がさしてしまい、レコード会社や事務所のスタッフと次のアルバムについての打ち合わせをしようってときに、ドア開けるなり、「俺、やめた!」って言って帰っちゃったこともありました。みんなポカーンとしてましたけどね(笑)。「日本には俺がいるんだ!」という自負が湧き上がった―それはみなさんのほうが衝撃的だったでしょうね……。そのあと、どうなったのでしょうか?PANTAさんそれから1週間後に、車に乗っていたらラジオからスティングが歌っていた「ラシアンズ」が偶然聞こえてきたんです。アメリカとソ連による東西冷戦を批判した曲にも関わらず、グラミー賞で歌い、しかもそれをアメリカ国民が受け入れているんですよ。そのときに、「これは負けていられないな」と思いました。というのも、実はスティングとは彼が「ポリス」というバンドで日本に来たときに、いろいろな話をしていたことがありましたから。ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンと新宿LOFTの差はあるかもしれないですけど、「日本には俺がいるんだ!」という自負がむくむくと湧き上がってきて、それ以来ずっと続けているという感じです。ただ、一度解散して1990年に頭脳警察を再結成したあと、何もやる気が起きなくなり、音楽と全然関係ない仕事をしたりして、気がついたら10年も遊んじゃったことはありましたけど(笑)。―(笑)。ちなみに、何がPANTAさんをそうさせたのでしょうか?PANTAさん再結成のときに掲げたコンセプトが、古代ギリシャの哲学者ヘラクレイトスの「万物流転」。これは「この世にあるすべてのものは、絶え間なく変化している」という意味なんですが、「実際の世の中は何も変わっていなくて、バカなことばっかり繰り返しているじゃないか」と感じたんです。そしたら、何もやる気がなくなってしまったんですよね。ところがある日、音楽仲間と沖縄で朝まで話し込んでいたときに、話題に上がったのが、ソ連の映画監督だったアンドレイ・タルコフスキーの『サクリファイス』という映画の話。そこで、「世の中は同じことばかりを繰り返しているけれど、少しずつ変わっている。いや、変わらざるを得ないんだ」という劇中の言葉を聞いて、肩からスーッと力が抜けていきました。つまり、「大きく振りかぶって新しいことをしなくても、世界が変わっているんだから、自分は同じことを繰り返していてもいいんだ」ということに気がついたんです。それ以降は、少しは良くなってほしいなという思いを込めて歌えるようになりました。そうなるまでに、10年かかってしまいましたけどね。音楽の存在に関する大きな問題と向き合っている―とはいえ、今回の新型コロナウイルスの影響によって、また心境が変わってしまった部分もあったのではないでしょうか?PANTAさんそれはありますね。すべてが過去には戻れないですし、全世界の人がみな同じスタートラインに立っているような感覚ですから。音楽業界もライブや配信に関していろいろな意見が飛び交っていますが、僕はそれ以前の問題として、「音楽をどうしたらいいのか」という大きなテーマについて考えています。―具体的には、どのような問題と向き合っていらっしゃるのでしょうか?PANTAさんたとえば、最近は「音楽はタダで聴くもの」みたいなところがあるので、根源から一度考え直さないといけないんじゃないかなと。この前、「音楽がお客さんを相手にするようになったのはいつからか」という話になって、それは単なるBGMだった宮廷音楽に人の目を向かせたベートーヴェンからなんですけど、そこから人は音楽を聴くようになり、そしてエジソンが蓄音機を発明し、レコードビジネスが始まり、CDになってからさらに音楽が大流行するわけですよね。でも、それがいまや音楽はタダで聴くものとされていて、非常に難しい立場にあると思うので、今後どういう形になっていったらいいのかなというのは、悩んでいるところでもあります。―音楽の置かれている環境はもちろんですが、いまは聞き手の心境も大きく変化してしまったところがあると思うので、作り手としてはさまざまな課題を突き付けられているのかもしれません。PANTAさんそうなんですよね。そのほかにも、たとえばミュージシャンが政治的なことを発言すると誹謗中傷されることがあり、僕も相談を受けたことがありますが、本当にそういう行為は卑劣だなと。今回の自粛警察も含めて、SNSの問題は根深いですよね。高校時代に味わった怒りがモチベーションの根幹―そんななかで、PANTAさんが思う「音楽の力」とは?PANTAさん僕が最初に出会った音楽は、スティーブン・フォスターの「ケンタッキーの我が家」。親父の親友だったメリック軍曹がハーモニカで吹いてくれたんですが、それが自分にとっては原点になっています。その後、エルヴィス・プレスリーやビートルズにはじまり、アニマルズ、さらはオーティス・レディングやサム・クックといったブラックミュージック、そして最後にはマディー・ウォーターズやジョン・リー・フッカーらのブルースと出会いました。ただ、「差別の歴史のなかで生まれたブルースを極東のケツの青いガキが歌っていいのか?」と悩むようになり、19歳になったときに自分の言葉で歌いたいと思って頭脳警察を始めたのがきっかけです。それ以来、僕が思っているのは、「音楽というのは、どんな軍隊よりも強い最高の武力である」ということ。音楽には、宗教も民族も国境も超える力があると僕はいまだに信じています。―音楽への熱い思いがヒシヒシと伝わってきますが、もし音楽と出会っていなかったら、何をしていたと思いますか?PANTAさん実は、中学生のときは将来イタリアに行って車やバイクを作る工房で働きたいと考えてました。弟子入りして、デザインの勉強をしたいなと。ところが、高校1年生のときに、バイクの窃盗事件に巻き込まれて、何もしていないのに警察に連れて行かれ、自供を強要され、なんと退学になってしまったんです。いまだったら、高校生が冤罪で捕まって退学になるなんて、信じられないですよね。本当に腹が立ちましたよ!―考えられない出来事ですが、それこそが頭脳警察を作るきっかけにもなっているということですよね?PANTAさんそうですね。だいぶ経ってから、あるパーティで当時埼玉県警の本部長をされていた方と会ったので、「あのとき俺を逮捕してくれなかったら、頭脳警察はできていませんでしたよ。警察が頭脳警察の生みの親ですね!」と言って大笑いしました。いまだったら、笑いごとではなくて、大事件ですけどね(笑)。でも、あのときに感じた怒りが根幹にあって、いまだにモチベーションとなっている部分もあるとは思います。ヒーローがいなければ自分がなればいい―すごいエピソードをありがとうございます。昨年は若いメンバーも加入されましたが、そこには若い世代に引き継ぎたいお気持ちもあると思うので、若い人たちに伝えたいメッセージがあれば最後にお願いします。PANTAさん僕から「こうしなさい!」と言うつもりはないですが、自分が一番大切にしているのは好奇心を持つこと。たとえ、自分が嫌いなものでも、わからないことがあれば謎を知りたいし、好奇心が高まると、そこに探求心が生まれますから。そうすると、行動できるようになるんですよ。あと、いまの人たちと話してみてわかったのは、彼らにはヒーローがいないということ。僕が若い頃は、こうなりたいなと思うようなヒーローがたくさんいたんですけどね。だったら、自分がなるしかないんじゃないかな。いまの若い世代がどこに価値を見出しているかわからないですが、みんながどうだからとか、流行りだからとか、そんなことは関係なくてひとりひとりで良いと思うんですよね。洋服だって、流行とか関係なく自分が着たいものを着ればいいんですよ。「自分の好きなことをする」というのは周囲へ向けた最高のメッセージでもありますが、個人がそれぞれの利益を追求することは、公共の利益にもつながると信じているので、僕もいい曲を書きたいという思いがみんなの利益につながればいいなと思っています。インタビューを終えてみて……。お会いする前は近寄りがたいような印象があったものの、終始笑顔で優しいオーラ全開のPANTAさん。音楽の歴史からご自身の体験談まで、幅広いエピソードを聞かせていただき、とても濃密な時間となりました。PANTAさんのさらなる魅力は、ぜひ映画でご覧ください!ライブの熱気を肌で感じる!日本や世界の歴史とともに歩んできた頭脳警察の50年を体感できるドキュメンタリー映画。魂のこもった音楽、そして冷めることのない情熱は、いまの私たちに新たな力を与えてくれるはずです。刺激的な予告編はこちら!作品情報『zk/頭脳警察50 未来への鼓動』7月18日(土)より、新宿K’s cinemaにて公開出演:頭脳警察監督・編集:末永賢企画・製作プロダクション:ドッグシュガー製作:ドッグシュガー、太秦配給:太秦©2020 ZK PROJECT
2020年07月15日婚活で約1000人の男性と出会い、年下夫を射止めたライター・かわむらあみりがお届けするコラム【結婚引き寄せ隊】連載第45回は、婚活していると出会う“男性”についてのエピソードです。なかでも、いまでも印象に残っている「婚活男性3選」その14をお届けします。1. 「忙しい」が口癖の男【結婚引き寄せ隊】vol. 44それは20代から30代の男女が集まる、飲み会に参加したときのこと。自己紹介もひと通り終わり、それぞれがまわりにいる人たちと打ち解けて、お酒もすすんで盛り上がってきた頃。「このお店は2時間制だから、あと1時間もしないうちに出なきゃいけない。話し足りない人がいないよう、自分から話しかけよう」と、その飲み会で一番年上だった30代半ばの男性が言いました。いや、まだ1時間あるよねと思いながらも、ちょっと強制的に誰かに話しかけにいかなくてはいけない雰囲気になり、正直なところ「このメンツではそこまでしたい人がいない……」と内心思っていた私。ですが、とりあえず、近場にいる30代前半の男性と話していると、あることに気づきました。その男性に仕事のことをたずねても「忙しいんだよね」、趣味をたずねても「忙しいから何もしていない」、家にいるときはどうしているのかをたずねても「いつも忙しいから、家とか会社とか関係ない」という返事。“忙しい人”を演出しているのか、それともこちらに気がないから、話すのが面倒で“忙しい推し”で逃げ切りたいのかどっちだろうと、ふと冷静になってしまいました。その後、その男性は他の女性と話していても、「毎日忙しい」を連発。総合的に考えて、どうやら“忙しい俺=有能でまわりからひっぱりだこの俺”をアピールしたかった様子。でも、本当に忙しかったら、この飲み会にも来るヒマないやん! と、心の中でツッコミながら、「忙しい」が口癖の男性とは距離を起きつつ、飲み会は終了。何事も、過度なアピールは逆効果だと思ったのでした。2. やたらとオシャレな店を選ぶ男それはある婚活サイトで出会った男性と、初めてふたりで会うことになったときのこと。都内の企業に務めるサラリーマンのその男性から、会う場所として提案されたのは、由緒あるホテルのカフェラウンジでした。その男性は、女性をエスコートするスマートさも持っているようで、これは婚活サイトの文面上だけでやりとりしているとわからなかったであろう、ソツのなさを発見。カフェラウンジのゴージャスさもあって、優雅な気持ちでお茶を楽しみ、「よかったら次に会うお店もボクが決めてまたご連絡しますね」と言われ、お任せすることにしました。数日後、連絡があり、指定されたのはオシャレ雑誌に載っていそうな、リゾート気分が味わえるような南国テイストのオシャレなお店。ここでもそれなりに食事を楽しんだものの、少しずつ、違和感を覚え始めたのです。それは、「ボクのセンスはスゴイでしょ」という、けっこうなドヤ顔が見えてきたこと。その男性は、なぜその店をチョイスしたのかを長々と説明する人でした。この日も無難に時間は過ぎて、後半はほとんど「はい」「そうですね」しか言っていなかった私でしたが、それが逆に良かったのか、その男性から「また次に会うお店を決めたら、ご連絡します」と言われ、店をあとにしました。よく考えてみると、その男性はこちらの食事の好みは聞いてこなくて、いかに自分がオシャレだと思っているお店に女性を連れていくかしか、頭にない様子。こちらから「こんなお店はどうですか」と言っても、「いや、それよりも、もっとイイお店知っています」と返されてしまうのですから。最初は、少しでもイイ場所に連れていこうと努力してくれているのかな、なんて思いましたが、そうではなかったんですよね。そう思うと、ちょっと違うな……と感じて、会うことも終了。その男性には、きっとなんでも「スゴーイ!」と盛り立ててくれる女性が合いそうだなと思ったのでした。3. すぐに家に来たがる男それはある婚活パーティに行ったときのこと。エリート男性が集まるという名目のそのパーティでは、いかにも“仕事がデキる感じの男性”や“小金を持っているからちょっと遊んじゃってます”という雰囲気を醸し出している男性など、いろいろなタイプの男性が参加していました。ほぼフリータイムのスタイルだったので、なんとなく近くにいる人と話す場合もあれば、目当ての人を決めてガンガン話しかけに行く人もいるなど、ざわざわとした会場は活気づいていました。そんななか、少し離れた場所にポツンとひとりで立っていた小麦色の肌の男性と目が合うと、その男性は私のところにつかつかとやってきました。その男性は、少し話すとすぐに、「じゃあこのあと、家に行ってもいいかな?」と聞いてくるのです。「は?」と、聞き間違えたかと思って聞き返すと、「きっと仲良くなれる気ががする」と言って笑っています。……怖! と思い、スーッとその場を離れて、私はトイレに行きました。仕切り直しだと思い、会場に戻ると、小麦色の肌の男性は女性と話していたかと思ったら、サーっと一緒にいた女性が離れていきました。たぶんまた家に行きたいと言って、ドン引きされて、それでポツンと状態が多いのに違いないと確信。初対面で相手の家に行きたがる発言は、距離の取り方が性急すぎて、ついていけないわと思ったのでした。婚活していると、思いがけずいろいろなタイプの人たちに会うこともあるかもしれません。くれぐれも、みなさんもお気をつけて、すてきな人を見つけてくださいね。©Johnce/Gettyimages©Koldunova_Anna/Gettyimages©Taiyou Nomachi/Gettyimages
2020年07月15日連載第150回目は、みんな大好きパンレシピ!パスタで定番のカルボナーラをイメージしたアレンジトーストを作ります。ベーコンと卵、チーズをパンに乗せて、トースターで焼くだけ!おいしい&見た目からテンション上がること間違いなしの一品です『カルボナーラトースト』【旬を味わう 美人レシピ】vol. 150旬食材は、アスパラガス!アスパラガスの旬は4月~7月。4月~5月は本州産が多く、6月になると北海道産も出回ります。ちなみに土をかけて日に当たらないように育てたのがホワイトアスパラガス。栄養価はグリーンのほうが高く、疲労回復に効果があります!アスパラガスに含まれるアスパラギン酸はアミノ酸の一種で、疲労回復・スタミナ増強効果があります。タンパク質の合成や、体内のアンモニア排泄を促進するデトックス効果のほか、カルシウムやカリウムなどのミネラルを細胞に届ける役割も果たします。ほかにカリウムも豊富に含んでおり、筋肉の働きを調整したり、ナトリウムの吸収を抑制し血圧上昇を防ぐ役割もあります。ちなみにカリウムが不足すると、体がだるく感じるようになり、これが夏バテの一因だといわれています。疲労回復効果が期待できるアスパラガス!暑くなるこれからの季節に嬉しいお野菜ですね材料はこちら!【材料(二人分)】・お好みの食パン:2切れ※今回は4枚切りを使用・アスパラガス:2本・卵:2個・ベーコン:1~2枚(約30g)・シュレッドチーズ:適量・マヨネーズ:大さじ1・パルメザンチーズ:適量・オリーブ油:小さじ1~2・塩:適量・コショウ:適量まず、下準備を始めます。~その1:アスパラガスとベーコンを切ります。アスパラガスは熱湯でさっと茹で、長さ3㎝幅程度に斜めに切ります。ベーコンは短冊切りにします。では、作ります! まず食パンにマヨネーズを広げます。食パンの端付近をなぞるように薄くマヨネーズを広げます。その上にチーズを乗せます。マヨネーズの上にチーズを乗せ、チーズの土手を作ります。アスパラガスとベーコンを散らします。続けてチーズの上にアスパラガスとベーコンを散らします。卵を割り中央に乗せます。卵を中央に乗せます。パルメザンチーズを散らします。全体にパルメザンチーズを散らします。トースターでこんがりと焼き色がつくまで焼きます。トースターでこんがりと焼き色がつくまで焼きます。卵をとろーりと、お好みの固さに仕上げてください。仕上げにオリーブ油を回しかけ、コショウを散らします。おいしさのアレンジポイント上にの添える具材は季節のお野菜等、お好みのものを乗せてください
2020年07月15日ベルリン在住のファッションジャーナリスト、平野秀美さんのスナップレポートです。今回は夏のバッグ。小物で夏らしさを先取りしましょう!夏バッグを自分へのご褒美に!今年は外出自粛もあり、旅行に行けないかわりに、自分の好きなものをご褒美で買う友人が周りに多いのですが、その中でもやはりバッグは人気があるようです。本日は夏にほしいバッグをピックアップしてみます!定番のディオールバッグ!夏向けにホワイトもおすすめ上品でシックなディオールのハンドバッグ、大人っぽい雰囲気を存分に楽しめます。量はそれほど入りませんが、必要最低限の荷物だけは入れられます。今年はスッキリハンドバッグを上手に活用するのがおしゃれ!やっぱりかわいい〜超ミニバッグ現在では定番となった超ミニバッグ。ハンドバッグもショルダーバッグも大人気。また多くのブランドでも発売されているので、色やデザインも自分好みにあったものを選べそうです。ただし…中に何が入るかというと、携帯も入りません。今で言うと、マスクと消毒液などを入れられるくらいのサイズかも?!たっぷり入るバッグは、仕事などでおすすめ!?私は荷物が多い人なので大きめバッグはいつだって大歓迎ですが、ここまで大きなバッグはなかなか見たことがありませんよね!最近では超ミニサイズが発売されているので、その流れに逆らった超巨大なバッグは実はなかなか探すことが難しい。人とかぶりたくないおしゃれさんや個性的なものが好きな方におすすめ!デートやプライベートにおすすめのバケットバッグコロンとした形がとってもかわいくおしゃれなバケットタイプのバッグは、徐々に人気が急上昇。海外でもバケットタイプのバッグを持っている人をよく見かけます。また、必要なものはだいたい入るサイズが実用的でおすすめ。デートやプライベートでちょっとお出かけする際に、スタイリッシュに出かけられそう。夏はやっぱりカゴバッグ!カゴバッグはサイズも種類も豊富!ピクニックには大きめが人気のようですが、意外と写真のように小さめのカゴバッグもかわいい!ただ、あまりこのサイズは見かけることがないので、探しにくいかも…。やはりカゴバッグは大きなものが人気のようではあります。小さめサイズを見つけたらゲット!物を入れるためではなく、おしゃれのためのバッグ!『off-white』(オフホワイト)の個性的なバッグのように、ファッションのポイントとしてバッグやクラッチを持つファッショニスタが多いこと!そのため、バッグは2個持ちの人もよく見かけます。バッグだっておしゃれのワンポイントとして見せたい!そんな方におすすめです。変わった形のバッグも人気あり!先ほどの『off-white』のように、こちらも形や色にこだわった丸いバッグ。ただし、こちらはバッグとしてもしっかり中に物を収納することができるので、おしゃれになおかつバッグの機能もしっかりとあるものをお探しの方には、このようにバランスの取れたバッグがおすすめ。探してみたら意外とたくさんの種類があるのに驚きます!本日は、今年の夏におすすめしたいおしゃれなバッグを紹介しました。バッグを買うなら長く実用的に使えるものが今まではおすすめでしたが、最近のトレンドはバッグの機能を果たさなくてもおしゃれに個性的なファッションアイテムとして使うものも多いようです。ぜひ世界のトレンドも参考にしてみてください。
2020年07月12日ベルリン在住のファッションジャーナリスト、平野秀美さんのスナップレポートです。今回は夏の足もとに注目して、おしゃれな靴を紹介します。夏に履きたいシューズ特集ヨーロッパのストリートスナップによる、夏に履きたいシューズ特集です。ここヨーロッパは日本より涼しいのでブーツを履いているファッショニスタもいますが、日本ではさすがに暑くて履けませんよね。それでも、おしゃれなヨーロッパのシューズコーディネイトを参考にして、日本でも応用してみてください!極厚底サンダルで超脚長効果!厚底サンダルは脚が長く見えるだけでなく、とにかくかわいい!最近はかなり厚めの厚底サンダルが販売されていますが、写真くらいの厚底がちょうど良いかも!?夏は膝上丈のスカートやワンピースに合わせると、かわいらしさアップ。脚を出して涼しげに見せるのもポイントですね。紐がかわいいストラップサンダルは大人っぽいイタリアやコペンハーゲンでよく見かけたのが、このストラップを足首に巻くタイプのサンダル。ヒールは高めではないので、歩きやすいしとってもおしゃれに見えます。また、スカートだけでなくパンツコーデもOK。足首あたりの長さのデニムなどに合わせると、大人カジュアルに見えてとってもスタイリッシュ!やっぱり定番のスニーカー!ここヨーロッパは凸凹した石畳の道が多かったり、突然土の道になったりと、日本のように道が舗装されていない場所も多いので、スニーカーがやはり歩きやすい。どんな服装にも合うので、ほとんどの女性がスニーカー x ワンピースや、スニーカー×スカートスタイルをエンジョイしています。海が遠くたって、ビーチサンダルは必需品!夏になったらかなりの人たちが愛用するビーチサンダル。本当に普通のビーチサンダルですが、おしゃれな服装に合わせてしまうところが、さすが!日本では難しいですが、職場にだってデートにだって、パーティにだってビーチサンダルを愛用している人がいて、本当におしゃれなサンダルのひとつとして使われています。夏でもクールにアンクルブーツ!ワンピースやショートスカートなどに合わせてアンクルブーツを愛用するファッショニスタも多いこと!夏なのでブーツというイメージは私にはなかったのですが、ここヨーロッパでは比較的よく見かけます。また稀にロングブーツだって履いている人がいるほど。気温や湿度も違いますが、おしゃれは個人が満足していればそれで良い!というヨーロピアンならではのファッション、参考になります。石畳が多いからなのか、ウッドサンダルをあまり見ることがないヨーロッパ。その代わりペタンコだったり歩きやすいサンダルやシューズを愛用する人が多いようです。おしゃれは足もとからという言葉があるように、足もとは意外に見られているんですよね。ぜひ、より自分らしくおしゃれしてくださいね。
2020年07月11日現在ベルリン在住のファッションジャーナリスト、平野秀美さんが、新型コロナウイルスによる自粛明けのリアルな生活をレポートします。ベルリンのいまコロナ自粛が明けて、徐々に動きつつある現在のベルリンの様子を写真とともにお伝えいたします。いまベルリンは真夏で、この時期は例年なら世界中から音楽のイベントや観光でたくさんの人が訪れ、ワイワイしています。今年は残念ではありますが、のんびり、リラックスした夏を過ごせそうです。天気の良い日はみんなボートに乗りたい!ドイツは他の国よりも新型コロナウイルスの被害が少なかったとはいえ、最近もまた患者が増え出しているというニュースがあります。実際住んでいる私たちからすると、コロナ前と現在の違いは、スーパーや公共施設、電車などでは必ずマスクをしなければいけないというくらいで、住んでいて大変だと感じることはそれほどない気がします。天気の良い日には、川沿いに出てビールを片手に話している人たちが多いです。ボートはうまくソーシャルディスタンスを守れて楽しめるアクティビティのひとつのようです。野外マーケットもオープンしています。週末には至るところで以前のようにマーケットが開催されています。屋外のため、マスクをしていない人がほとんどですが、列に並ぶ際は1.5m間隔で並ぶ必要があります。観光地はいまだに人は少なめ…海外からの飛行機がまだ少ないということもあり、観光業はそれほど盛り上がっていない様子。ドイツ国内から来る人たちが観光地を訪れている程度の人数かなと思います。今後はどんどん増えていくかもしれません。ボルダリングやスポーツクラブもスタート!私もよくやっているボルダリングやスポーツクラブは既に運営を再開していますが、今までは予約なしで自分が好きな時間に行けたのに、現在は予約をしていく必要があります。また、運動をしている最中はマスクは必要ないですが、「むやみに上半身裸になるのはご遠慮ください」というメモが入り口に書いてあったり、スポーツしない場合はマスクを着用、入り口付近はマスク必須など、今までとは異なるルールが設定されています。待望のバーやカフェもオープン!バーは23時前にクローズドする時間短縮ではありますが、待望のオープンです。また、カフェは店内での飲食が可能になっています。以前よりはまだ人が少ない印象ですが、それでもローカルバーやカフェを応援しようと、多くの人々は平日でも顔を出しに来るようです。カフェやバーでも新ルールあり!多くのバーやカフェがオープンしています。今まではカウンターまで行ってオーダーするスタイルが多かったのですが、現在はテーブルまで店員さんがオーダーを聞きに来るスタイルに変更しています。むやみにいろいろな人が席を離れないためでしょうか。また、店内に入る時と、トイレに行く時はマスク着用必須。席に着くとまず、自分の名前や住所、電話番号、いつ訪れたか、どこの席に座ったかなどを用紙に記入します。これは店員さんが保管しておくそうです。万が一のことがあった際に、連絡が来るのでしょうか。それ以外の変更点はバーやカフェでは見受けられませんでした。ドイツで定番のDIYホームセンター『BAUHAUS』!最後に、人気のホームセンター『BAUHAUS』 (バウハウス)の様子を。ここでも、人気のエリアは入る人数が制限され、エリア内での規制が張られています。特に、いつも多くの人で混み合う釘などを扱う場所はかなり制限されていました。ここベルリンでもクラスターが発生したというニュースを最近耳にしました。まだまだコロナ感染は他人ごとではない状況です。日常生活を取り戻そうと動き出していますが、個々ができる限りの注意を払って生活することがとっても重要だということを、再認識しています。
2020年07月10日いつの時代も女性たちの間で繰り広げられるマウント合戦。当事者にはなりたくないものの、他人の事情は覗いてみたいと思うもの。そこで、上流階級の女性たちの実態を描いた注目作『グッド・ワイフ』をご紹介します。今回は、さらなる裏側について、こちらの方にお話しいただきました。主演を務めた女優イルセ・サラスさん!【映画、ときどき私】 vol. 309メキシコ映画界では、実力派女優として知られるイルセさん。そこで、女優としてのキャリアにおいても大きなステップとなった本作へ出演した理由や自身が抱える思いについて語ってもらいました。―本作はメキシコ・アカデミー賞で13部門にノミネート、4部門で受賞をはたしました。イルセさんも主演女優賞に輝き、さらなる注目を集めましたが、ここまでの大きな反響を受けてどのように感じていますか?イルセさんまずは、非常に驚きました。というのも、この映画ができたとき、スタッフやキャストのみんなは、商業的に成功するにはインディーズすぎるし、映画祭で賞を獲るには商業的すぎるのではないか、と思っていたからです。にもかかわらず、多くの方に受け入れていただけたのでびっくりしましたが、賞をもらえたことで私自身も「映画人として、これからもがんばろう」という刺激になりました。―最初に脚本を読んだとき、こういった上流階級の女性たちのコミュニティに対してどういう印象を持たれたのかを教えてください。イルセさんオファーをもらったときには、原作が80年代の上流階級にいた女性たちの実際にあったエピソードをまとめている短編集であることは知っていました。なので、実は「私はまったく興味ありません」と言っていたんですよ(笑)。―それは、どうしてでしょうか?イルセさんなぜかというと、メキシコはいまでも階層社会で、人種などの差別も大きい社会。それゆえに、こういった上流階級を笑うような作品が数多く存在しており、コメディタッチの映画が多いので、真面目に撮ろうとしても、軽く見られてしまうのではないか、と思ったからです。しかも、自分が置かれている環境と上流階級にいる主人公のソフィアとでは、まったく共通点もありませんでしたから。そういったこともあり、脚本の最初の5ページを読んだだけで、私には難しいんじゃないかなと感じてしまったのです……。役を通して自分の内側を見ることができた―では、そこまで落ち込んだ気持ちを覆し、出演を決意させたものとは、何だったのでしょうか?イルセさん理由はいくつかありますが、まずはアレハンドラ・マルケス・アベヤ監督の初監督作品を観てみたら、劇中で交わされているセリフが非常によかったことがひとつ。そのときに、監督と会って話をしてみたいと考えるようになりました。それに加えて、今回のように監督、原作者、撮影監督をはじめ女性が多いチームとの仕事を断るのは、私の信条に反するように感じていたのかもしれませんね。あとは、女優としても非常に挑戦的な役であるというのも、後押しになりました。―作品が描いているテーマに、関してはいかがですか?イルセさんそこに惹かれたのも、理由のひとつになったとは思います。なぜなら、メキシコにおいて上流階級というのは、非常にマイノリティな存在。大金持ちといわれる人たちは、0.01%くらいしかいないので、一般のメキシコ人たちは、「上流階級にいる人は、どうせメキシコ社会を食い物にし、悪いことをして稼いだんだろう」という見方をまずしてしまうところがあるんです。でも、この作品ではそういったところを裁いてはいません。それよりも、上流階級の人たちはどういう人で、自分たちの危機に対してどういうふうに向き合っているのか、というのを真っ向から赤裸々に描いています。そこが面白かったのも、出たいと思った動機となりました。―なるほど。実際に演じてみて、新たに感じたことはありましたか?イルセさんこの役を演じることで、「自分の階級意識や政治的な概念といったものがどうなのか」ということに対して自分自身の内側を見ることができましたし、そういったところを通してメキシコの現実を表せるのではないかとも思いました。―ソフィアは一見強いようで、内面は傷つきやすくて弱い部分もある女性です。こういったキャラクターを演じるうえでの難しさもあったのでは?イルセさん今回は出演が決まってから撮影に入るまでに数か月間あったので、その期間中に監督と脚本についていろいろと話すことができました。出産をしたばかりだったので、子どもにミルクをあげながらでしたけどね(笑)。そんなふうに入念に準備ができたので、そこで得られたのは、ソフィアが頭のなかに常にいるような感覚。そのなかで、自分がどのように彼女を理解すればいいのか、いい悪いで彼女を裁くのではなく彼女の頭のなかにはいったい何があるんだろうか、ということを考えました。ソフィアは自分とはまったく違うキャラクターなので、最初は感情移入できないところもありましたが、そうやって徐々に共感を持てるようになっていったのです。ファッションは社会に対する自分の姿勢を示すもの―そのなかでも、彼女のどのようなところに共感するようになったのでしょうか?イルセさん彼女は夫婦の危機と経済の危機といったいくつもの危機に同時に見舞われますが、そこで途方に暮れてしまうのは、上流階級の人だけでなく、誰でも同じこと。そういったところから、共通点を見つけるようになりましたし、あとはどんなことにも簡単に負けない強さ。その2つをポイントにしながら、役作りをしていきました。―また、劇中ではソフィアのファッションも見どころですが、80年代のファッションに身を包んでみた感想を教えてください。イルセさん幼い頃は、母親がしていた80年代のファッションを批判していたこともありましたが、今回でその批判をすべて返上したいと思います(笑)。それくらいあの時代のファッションは面白くて魅力的なので、とても気に入りました。ちなみに、劇中で使われた衣装のほとんどが原作の著者であるグアダルーペ・ロアエサさんが所有していたもの。彼女はいまでこそ非常に有名な作家ですが、昔NINA RICCIで働いていたことがあり、当時は給料の代わりに洋服をもらっていたこともあったそうです。彼女は現在75歳なので、それらの服はもう着られないと思いますが、ずっと保管してあったので、借りることになりました。とはいえ、虫が食っていたところもあったので、それを隠しながら着ているんですよ(笑)。―それはすごいですね。ソフィアにとってファッションとは、彼女自身を表現するためには必要なものだと感じました。では、イルセさん自身にとってのファッションとは?イルセさん私もファッションは大好きなので、いろいろと試しながら楽しんでいます。なかでも、私にとってファッションが重要な理由は、社会に対する自分の姿勢を表すものであるところ。たとえば、レッドカーペットでどんなドレスを着るかというのだけでも、自分自身を表現する意味があるので、大事にしています。“良い妻の条件”とは?―この作品では表面的な人間関係についても描かれていますが、彼女たちの関係については、どう思われましたか?イルセさん映画のなかでは表面的に見えますが、同時に彼女たちは“痛い関係”であるとも言えます。つまり、みなそれぞれが内に深い危機を抱えているのに、誰ともわかち合えないという苦しさがあるからです。私は幸運なことに、彼女たちとはまるで正反対で、25年以上前からずっと仲のいい女友達のグループがあります。ケンカをすることもありますが、それでも友達関係でいられる団結力が私たちにはあるんですよ。―ステキですね。では、日本語のタイトル『グッド・ワイフ』にかけておうかがいします。イルセさんが思う“良い妻の条件”とは?イルセさんもし、私のパートナーである(映画監督の)アロンソ・ルイスパラシオスのお母さんに聞かれたら怒られると思いますが、まったくわかりません(笑)。―(笑)。では、ご自身が良き妻でいるために意識していることは?イルセさん私は子どもの父親である男性と一緒に暮らし、15年も付き合っていますが、実は私たちは結婚していないので、そもそも私は“妻”ではないんですよね。なぜなら、私は反逆児的なところがあるので、社会一般で認められる結婚式や結婚の手続きを踏みませんでした。なので、良い妻がどんなものかわかりませんが、たとえば祖母の世代の女性たちを見ていると、社会が決めた“良い妻のルール”というのを守っていたように思います。要するに家を守り、子どもを育てる、といったものですが、もしかしたらそういうものがいわゆる社会が言う良い妻なのかもしれません。ただ、私のなかにそういった概念がないので、まったくわからないんですよね(笑)。でも、知り合いの幸せな夫婦を見ていると、お互いに夫婦としてのルールを守り、それぞれの選択を尊重していることが大切だと感じています。異なる社会と文化でも繋がるところはある―それでは最後に、日本の女性に向けて一言メッセージをお願いします。イルセさん私がいまとても興味があるのは、日本のみなさんがこの作品を観て、どのような反応をするのかということ。なぜなら、日本の女性とメキシコの女性ではまったく異なる社会と文化のなかに暮らしているからです。でも、きっとどこか繋がるところがあると思いますし、どんな人でも人生で急に落下することはあるので、そのときに感じる強さや弱さには共感していただけるのではないかなと期待しています。ぜひ、多くの方に観ていただけたらうれしいです。インタビューを終えてみて……。クールビューティで芯の強さを感じさせますが、インタビュー中は優しい笑顔を浮かべながら、気さくに答えてくださったイルセさん。今後もメキシコ映画界をけん引する女優のひとりとして、注目し続けたいと思います。女性としての生き方を考える!セレブ妻たちが繰り広げる熾烈な争いを通して、愛や結婚、そして女性としての葛藤を描いた本作。富だけを支えに生きてきた“勝ち組女性”がすべてを失ったとき、そこで待ち受けているものとは?ストーリーメキシコシティの高級地区ラスロマスに暮らすソフィア。実業家の夫と3人の子どもとともに、美しい豪邸で満ち足りた生活を送りながら、アッパークラスのコミュニティでは女王のごとく君臨していた。そんなソフィアが見下していたのは、不倫の末に裕福な実業家の妻となった“新入り”アナの存在。友人たちがアナの豪邸を褒めているのも、気に入らなかった。ところが、歴史的なメキシコの経済危機の到来によって、ソフィアの完璧な世界が崩壊し始めることに……。胸騒ぎがする予告編はこちら!作品情報『グッド・ワイフ』7月10日(金)よりYEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次公開配給:ミモザフィルムズ© D.R. ESTEBAN CORP S.A. DE C.V. , MÉXICO 2018
2020年07月09日婚活で約1000人の男性と出会い、年下夫を射止めたライター・かわむらあみりがお届けするコラム【結婚引き寄せ隊】連載第44回は、出会いを探していると、一定の確率で遭遇するかもしれない“ずるい男”についてご紹介。このタイプと付き合う女性は消耗してしまって危険! 最初に「この人は不誠実かも」と見極めて、ハマらなかった女性のエピソードを3つお届けします。1. 話すほどにナゾな身のうえ【結婚引き寄せ隊】vol. 45それは帰国子女のAさんが出会った、ある男性のことです。Aさんは知り合いが多い友達に誘われて、飲むことが好きな男女が集まる飲み会に参加した際、すみっこのほうでニコニコしながらお酒を飲んでいる、優しそうな男性が目に留まったのだとか。Aさんのほうからその男性のところへ行き、グラスを傾けながら、いろいろな世間話や身の上話をしていたときのこと。Aさんが帰国子女だという話になると、その男性が「ああ、俺たち気が合うねえ。俺も帰国子女」と言いだしました。「私はアメリカにいたけど、海外のどこに住んでいたの?」と聞くと、その男性は「まあ、海外ってことで」と話を切り上げます。その後も、Aさんが住む東京の街の話をすると、「ああ、それも近所かもしれない」と言い出す始末。物怖じしないAさんがどんどん男性にツッコンでいくと、「ちょっと前まで住んでた」と話が変わり、すぐに違う話に切り替えてくるのだそうです。妙だと思い、パッとそこから席を移ったAさん。しばらくして、ちらっとその男性を見ると、若い女性に囲まれて何やら楽しそう。ちょっと近くに寄って話を聞いていたAさん。なんとその男性は、さっきと同じ内容をその女性たちにも話していましたが、ツッコミもせず「へえーそうなんだねぇ」などと、和やかなムードの女性たちだったとか。しかも飲み会の後、ひとりの女性とその男性は消えてしまったそうです。Aさんのように、初対面でもおかしいなと思ったことには切り込むタイプだと、すぐに話の辻褄が合わないことに気づくはず。相手の話が作り話だったり、何かの理由で素性を隠して女性の気を引こうとする男性は、話のどこかにズレが出てきますから、そこで見極めていくことがポイントだといえるでしょう。2. いつも連絡が取りにくい彼氏が途切れたことのないBさんが出会った、ある男性のことです。さびしがり屋のBさんは、常にそばに誰かがいないとダメなタイプ。どこから見つけてくるのか、「あれ? この間と違う男性!?」という具合に、気づくといつも彼氏がいるのだそう。そんなBさんは、前の彼氏と別れて、まだ一週間しか経たないというのに、「早く彼氏を作らなきゃ」と焦っている様子。Bさんと仲の良いしっかり者の女友達は、「少しぐらいひとりでいてもいいのに」と、ちょっと心配していました。間もなく、Bさんは合コンで出会った年上の男性を気に入り、すぐに連絡先を交換しました。相手の男性もBさんを「好みだ」と言い、とんとん拍子にふたりの関係が進むと思いきや……。その男性と全く連絡が取れないのです。そのまま自然消滅かもという状況になると、忘れた頃に「スマホの調子が悪くて」と、向こうから連絡があるのだそう。でも、Bさんから連絡するとつかまらず、また絶妙なタイミングで向こうから連絡がくることの繰り返しに。その状態なのに男性から「付き合おう」という話が出て、Bさんは「OK」を出したものの、また連絡がつきづらい状態に突入。これで付き合っているというのなら、Bさんはまるで“キープ”されているような立場を疑う必要があるかもしれません。そして、最初からその男性を訝しんでいたBさんの女友達に、猛烈に交際を反対されたBさん。さびしがり屋のBさんもさすがにその男性は見送ったのだとか。寂しいときは、好意を見せてくれる男性にふらっとしてしまいそうになるかもしれませんが、あまりにも連絡が取れないなどは、すぐに飛びつかないほうが賢明でしょう。態度も含めて、自分に対して誠実かどうかを見極めたいものです。3. 急に連絡して会いたがる営業職をしているCさんが出会った、ある男性のことです。仕事の関係で知り合ったその男性とは、ときどき顔を合わせる程度でしたが、あるときCさんに「よかったら連絡してください」と言って、個人の連絡先を渡してきたのだとか。その男性に好印象を持っていたCさんは、ちょうど彼氏がいなかったこともあって、連絡してみると、さっそくデートすることに。デートではたわいもない話ばかりだったそうですが、その後も「会おう」と約束し、ウキウキしていたCさん。ですが、だいたいにおいてCさんが提案する日にちとその男性の予定が合わず、向こうから連絡がくるときは、急ながらなんとか身支度をして、短時間だけ会うこともしばしばだったそう。あるときは、夜遅くに「急に申し訳ないけど、会いたいから、家に来る?」と連絡があったことも。まだ付き合うかどうか曖昧な関係なのに、夜遅くに連絡してくることに疑問を持ったCさん。「あっちの都合で急に呼び出されるなんて、これは“都合のいい女”にされかけている」とピンときて、その男性とはキッパリと交流を断ったそうです。やっぱり、相手にだけ都合のよいやりとりがあると、その関係を見極めることが肝心だと思ったのでした。出会いを探していると、思いがけずいろいろなタイプの人たちに会うこともあるかもしれません。くれぐれも、みなさんもお気をつけて、すてきな人を見つけてくださいね。©Estradaanton/Gettyimages©valentinrussanov/Gettyimages©kupicoo/Gettyimages
2020年07月08日連載第149回目は、台湾の屋台麺料理のまぜそばをアレンジ!ネバネバ食材のオクラをたっぷり添えて仕上げます。炒めた豚ひき肉と香り高い薬味がマッチする、夏にはもってこいのスタミナ麺料理です。調味料もシンプルなので、とっても簡単にできちゃうのも嬉しい。ぜひ一度作ってみてはいかがでしょうか。『台湾風まぜそば』【旬を味わう 美人レシピ】vol. 149旬食材は、オクラ!栽培もののオクラは一年中出回っていますが、旬は7月~9月のいま。アフリカが原産地なので、暖かい気候を好み、国内では鹿児島や高知、沖縄県がおもな産地です。ネバネバ野菜として女性に人気のお野菜ですね!実は、そのネバネバは美容、ダイエットにとても効果的。オクラは女性にとても嬉しい栄養素がたっぷりなんです!そもそもネバネバ食材には、健康に良い効能がたくさんあります。代表的なものでは、疲労回復、免疫力アップ、整腸効果、消化吸収のサポートなど。オクラもまさにビタミンと食物繊維の宝庫なんです。オクラのあのネバネバの正体は、ペクチンという水溶性食物繊維。食物繊維には、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の2種類があって、両方とも腸内環境を整え美容にも健康にもよいのですが、この水溶性食物繊維は糖の吸収を穏やかにする効果があるといわれており、ダイエットにもとても効果的!さらに、ペクチンにはコレステロールを抑制する作用があるので、血糖値が高い方には積極的に摂っていただきたい栄養素です。ネバネバの健康食材、オクラ! 雨が多いとはいえ紫外線ダメージを受けやすいいまだからこそ、積極的に摂り入れたいですね。材料はこちら!【材料(二人分)】・中華麺:2玉・ゴマ油:大さじ1/2・豚ひき肉:150g・ゴマ油:大さじ1/2(炒め用調味料)・ニンニク:1かけ・ショウガ:1かけ・豆板醤:小さじ1/2~・酒:大さじ2・しょうゆ:小さじ2・きび砂糖:小さじ1・オイスターソース:大さじ1・酢:小さじ1(トッピング)・オクラ:4本・ニラ:1/2束・青ネギ:3~4本・焼き海苔:1/2枚・鰹の削り節粉:適量・卵黄:2個まず、下準備を始めます。~その1:中華麺をゆでるためのお湯を沸かします。大き目の鍋にお水をたっぷり入れ、中華麺をゆでるためのお湯を沸かします。まず、下準備を始めます。~その2:野菜は切ります。オクラは熱湯でゆで小口切りにします。青ネギは小口切りに、ニラは細かく切りわけます。ショウガはみじん切りに、ニンニクはすりおろします。では、作ります!フライパンにゴマ油とショウガを加え熱します。フライパンにゴマ油とショウガを加え熱します。豆板醤を加え炒めます。豆板醤を加え炒めます。ひき肉を加え強火で炒めます。ひき肉を加え強火でパラパラとほぐしながら炒めます。7割方火が通ったところで調味料を加えます。ひき肉に7割がた火が通ったところで炒め用調味料(酒、しょうゆ、酢、きび砂糖、オイスターソース)を加えます。強火で煮詰めるように炒めます。強火で煮詰めるように炒めます。2分程度煮詰めたところで火を消します。麺に盛り付けるタイミングで温め直します。中華麺を茹でます。中華麺を袋の表示に従って茹でます。ゆで上がったらしっかり水気を切り、中華麺にゴマ油をまぶします。器に中華麺を盛り付け、温めなおしたひき肉を中央に盛り付けます。器に中華麺を盛り付け、温めなおしたひき肉を中央に盛りつけます。ひき肉の周りに、ニラと青ネギ、オクラ等を盛り付けます。ニラと青ネギ、オクラ、鰹の削り節粉、手で小さめにちぎった焼き海苔を盛りつけます。最後に中央に卵黄を盛り付けます。ひき肉の上に卵黄を盛り付けます。おいしさのアレンジポイント今回は中華麺を使いましたがゆでうどんでも美味しく仕上がります辛いのがお好みの方は豆板醤を倍量入れて辛さを調整してください。
2020年07月07日自粛生活も緩和され、各地で少しずつ展覧会もはじまっています。久々の本連載では、東京・京橋のアーティゾン美術館で開催中の展覧会『ジャム・セッション石橋財団コレクション×鴻池朋子鴻池朋子 ちゅうがえり』をレポート。国内外で活躍する現代美術家、鴻池朋子さんの作品と19世紀フランス絵画がコラボした展示室の様子や、学芸員さんのお話もご紹介!アーティゾン美術館、再開!【女子的アートナビ】vol. 177ブリヂストン美術館を前身とするアーティゾン美術館が誕生したのは2020年1月。館名も建物も新しくなったこちらの美術館では、「創造の体感」というコンセプトのもと、石橋財団コレクションの多彩な作品群を個性的な企画展で紹介しています。1月に開催された開館記念展のあと、緊急事態宣言の発出によりしばらく休館していましたが、6月23日から3フロアで待望の展覧会がスタート。本記事では、6階展示室で開催中の『ジャム・セッション石橋財団コレクション×鴻池朋子鴻池朋子 ちゅうがえり』をレポートします!見たことのない空間が…展示室に入ると、目の前に不思議な空間が現れます。一般的な展覧会の入り口に置いてある「作品リスト」が見当たらず、また順路案内もないので、どこから見たらよいのか一瞬戸惑います。(※作品リストは展示室出口にあります!)でも、すぐに「どれを見ようかな~」とワクワクした気分に変わりました。やはり、一番気になるのが足場スロープのある大きな作品。これは何?と回り込んでみると、なんとすべり台が見えてきました。しかも、実際にすべることができるのです!こちらが、すべり台の上から見た景色。モノクロームの襖絵を見ながら一気にすべります!(急傾斜なのでけっこうなスピードが出ました…)野生のニオイが…すべり台で興奮したあとは、薄暗い展示コーナーに向かいました。ここには動物の皮が何枚も天井からだらりと垂れ下がっています。まともに歩くと、毛皮が顔に引っ付きそうになるので、頭を下げて中腰で入っていきます。これらの毛皮も作品のひとつ。害獣駆除で殺されたオオカミやシカ、熊などの毛で、鴻池さんが北海道の毛皮なめし工場から譲り受けたそうです。見上げると、天井にも作品があります。毛皮に愛しさを感じて画材にしたという鴻池さん。死んだ動物たちのエネルギーが狭い空間からびりびり伝わってきます。ほかにも、絵本の原画やさまざまなオブジェ、刺繍や映像作品など多彩なアートが楽しめます。学芸員さんに聞いてみた!あまりにも刺激的なこの展覧会、いったいどんなふうに企画されたのでしょう?その舞台裏を、担当学芸員の賀川恭子さんにおたずねしてみました。――今回の展覧会では、鴻池さんと美術館側がセッション(対話)を重ねたとのことですが、具体的にどんなふうに進められたのですか?賀川さん鴻池さんは、美術館関係者への取材やインタビューというかたちで「セッション」されました。対話を重ねながら、展覧会が構成されていくかたちでした。鴻池さんは模型に配置しながら全体をご覧になっているのですが、拝見するたびに配置が異なり、作家さんがあれこれと試行錯誤されている様子が印象的でした。なぜフランス絵画?――鴻池さんの作品と一緒に展示されているコレクション作品3点(クールベ、コロー、シスレー)は、賀川さんが選んだそうですが、なぜこれらの絵を選ばれたのですか?賀川さんフランス近代美術を専門とする学芸員として、19世紀から現代までの「森」をテーマとした企画をかねてから構想していました。「森」をテーマに当館のコレクションを選び、鴻池さんの作品と一緒に展示できれば嬉しい……と思い、最初にお目にかかったときにご提案した作品のうちの3点が、今回展示されることになりました。ざわざわしています…――すべり台の作品は、実際にすべりながら襖絵を見ることもでき、楽しかったです。この作品の誕生エピソードを教えてください。賀川さん今回展覧会の中心に襖絵を……というお話が出てから、襖絵の枚数や配置はいろいろと変わりました。スロープとすべり台の案をうかがったときには、とてもおもしろい展覧会になりそうな予感がしました。準備の段階で、施工業者さんが建具にうまく襖絵がはまるか試したり、照明実験をしたりしていたのですが、全体像が見えるのは、展示室内での施工時でした。全体がどのように見えるのか、ワクワクドキドキでした。――この展覧会では展示室を「ざわつかせること」を期待されたそうですが、一番ざわついた作品はどれですか?賀川さんどれかひとつの作品が……というのではなく、展示室の空間全体が、これまでとは異なる風景に変わっていて、「ざわざわ」しているように思います。インスタレーションの作品ですので、写真ではなく、ぜひ展示室で空間を体験していただければと思います。クレーや印象派も!6階で鴻池さんの作品を楽しんだあとは、ぜひ下の階の展覧会もご覧になってください。5階展示室では、第58回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展日本館展示帰国展『Cosmo-Eggs|宇宙の卵』、4階展示室の『石橋財団コレクション選』ではパウル・クレーや印象派の女性画家たちの作品が展示されています。アーティゾン美術館では、1枚の入場チケットで3フロアの異なる展覧会を見られるので、とってもお得。チケットは日時指定入場制なので、来館前にウェブ予約してください。また、入館前には体温測定とアルコール消毒が実施されています。エネルギーを浴びに美術館へ!おこもり生活中はネットやテレビで国内外のアート作品を見ていましたが、やはり本物の作品から放たれるパワーは全然違います。特に、鴻池さんの作品からあふれるエネルギーはかなり強く、視覚、嗅覚、聴覚など体のさまざまな器官を刺激されワクワクしました。作家さんのエネルギーを全身で浴びることができる美術館に、ぜひ足を運んでみてください。Information会期 : ~10月25日(日) 時間 : 10:00~18:00(入館は閉館の30分前まで) ※当面の間、夜間開館は中止。休館日 : 月曜日(祝日にあたる 8月10日、9月21日は開館)、8月11日、9月23日入館料(税込): 日時指定予約制一般ウェブ予約チケット ¥1,100、当日チケット(窓口販売) ¥1,500、学生無料(要ウェブ予約)※ウェブ予約チケットが完売していない場合のみ、美術館窓口でも当日チケットを販売。会場:アーティゾン美術館展示室案内 :6F 『ジャム・セッション 石橋財団コレクション×鴻池朋子 鴻池朋子 ちゅうがえり』5F 『第58回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展日本館展示帰国展 Cosmo-Eggs宇宙の卵』4F 『石橋財団コレクション選』特集コーナー展示新収蔵作品特別展示 パウル・クレー特集コーナー展示印象派の女性画家たち
2020年07月03日いよいよやってくる夏。これまでは考えられなかったマスク必須の夏を迎えるにあたって、できる限りの快適さを保ちたいところです。とはいえマスクでこもった熱を逃がすのにも限界がありますよね。そこで今回は、マスク着用時に取り入れたい夏の涼感コーデをご紹介します。イラスト・角佑宇子接触冷感効果の高いリネンシャツワンピで快適にお洋服で涼感を得るにはまず素材選びが大事です。一般的に、夏の代表的な素材はリネンとコットン。コットン素材は吸水性に優れているものの、通気性はリネンほど高くはありません。真夏並みの暑い日は吸水性だけでなく速乾性に優れているリネンを上手に活用しましょう。プラスアルファで、接触冷感加工を施しているアイテムだとなお可。ネット通販などでは「接触冷感」で検索をかけると、接触冷感機能付きのアイテムが表示されるので、そちらを参考に探してみてくださいね。アイテムとしてはシャツでもOKですが、やはり涼しさを重視するならウエスト周りを締めつけないワンピースが一押し。素材自体も軽いので歩くたびにふんわりと風が入り、涼しさを体感できるでしょう。テンセル ブラウス×スカート吸水性、速乾性に優れた夏の素材としてもうひとつおすすめなのが、テンセル素材。テンセルに似た素材でよく知られているのはレーヨンなのですが、レーヨン素材はいかんせん水に弱い性質なのでお洗濯が少々デリケート。汗をかきやすい夏は、着用時も快適でお洗濯も楽なものが良いですよね。テンセル素材のとろみ系ブラウスなら快適さもさることながら見た目にも上品さがあるので通勤ファッションにもオススメですよ。ボトムスはパンツもOKですが腰回りに汗をかきやすい方は、風がよく入って足さばきの良いスカートで通気性を高めると良いです。インナーは先述の接触冷感効果の高いものを組み合わせると涼しさアップ!黒は熱を吸収しやすいので避けよう基本中の基本ですが、黒い服は太陽光を吸収し熱がこもるので注意しましょう。黒マスクも、熱中症になる可能性もあるので避けてくださいね。吸水性、そして速乾性の高い涼しいアイテムを味方につけて今年の夏を乗り越えましょう!
2020年07月03日誰にでも忘れられない思い出の曲はあるものですが、特に自粛期間中は音楽に支えられていたという人も多いのでは?そこで、音楽との出会いで人生が変わった少年の実話を描いたオススメの感動作をご紹介します。それは……。各国で絶賛の『カセットテープ・ダイアリーズ』【映画、ときどき私】 vol. 308イギリスにある小さな町に暮らす16歳のパキスタン系少年ジャベド。夏のアルバイトを終え、9月からハイスクールに入学することになっていたが、同じ誕生日の幼なじみが充実した青春を過ごす姿を見て、孤独と不満を募らせる。それに加えてジャベドを悩ませていたのは、保守的な町の人たちからの移民に対する偏見、パキスタン家庭の伝統やルールから抜け出したいという思い。古い慣習を振りかざす父親に強い反発を感じていたジャベドは、いつしか人種差別や時代を反映させた詩を書いて過ごしていた。ところがある日、ブルース・スプリングスティーンの音楽と衝撃的な出会いをはたし、“自分の言葉”を見つけられなかった彼の世界は180度変わり始めることに……。2019年のサンダンス映画祭でのプレミア上映をはじめ、本国イギリスでも多くの観客と評論家を虜にした話題作。そこで、長年の思いを込めて本作を制作したこちらの方にお話をうかがいました。グリンダ・チャーダ監督『ベッカムに恋して』など数々のヒット作を手がけ、大英帝国勲章を授与されたこともあるチャーダ監督(写真・左)。今回は、アメリカの国民的アーティストにしてロック界の“ボス”とも称されているブルース・スプリングスティーン(写真・右)の大ファンであり、インド系移民としても主人公と同じ境遇だった監督に、自身の経験や作品の見どころなどについてお話いただきました。―まずは原作との出会いについて、教えてください。監督実は原作者のサルフラズ・マンズールと私は、もともと長い間友人関係にありました。なぜなら、私たちはいずれも10代でブルースの音楽と出会い、ブルースの大ファンだったからです。その後、彼が本を書くことを知り、読ませてもらったときには「これは素晴らしい本だし、私ならすごくいい映画を作れると思うけど、ブルースが乗らなければ無理ね」と伝えました。―そこから映画化までは、どのようにして話が進んでいったのでしょうか?監督幸運なことが起きたのは2010年。映画のプレミアでブルースがロンドンに来ていたので、サルフラズと私は普通のファンと同じようにカメラを手にレッドカーペットを見に行ったんですが、そのときになんとブルースがサルフランズに気がついて声を掛けてくれたのです。というのも、彼はどのコンサートでも一番前の列にいましたから(笑)。ただ、驚いたのは、ブルースが「君の本を読んだよ。実に美しい話だね」とコメントしてくれたこと。それを聞いて私は「ブルース・スプリングスティーンと映画の約束を5秒で取りつけるわ!」と思わず口走ってしまいました。さらに「この本を映画化したいの!お願い、助けて!」とまで言ってしまったのですが、なんと彼は「いい話だね。マネージャーと話して」と答えてくれたのです。そのおかげで、この映画が生まれることになりました。友人でもある原作者との作業は最高だった―奇跡的な始まりですね。その後、サルフラズさん本人と一緒に脚本を作っていくこととなりましたが、彼と一緒に仕事をしてみていかがでしたか?監督最初はサルフラズが自分の人生をベースにして書き、そのあと私が脚色を進めていくという流れになりました。もともと友達ですし、必要なことがあればすぐに聞ける環境だったので、彼との作業は最高でしたね。ただ、心配だったのは『ベッカムに恋して』と類似している物語に感じたところ。そのために、異なるテイストの作品になるような努力はしました。―ブルースさん本人にも脚本を送られたそうですが、何か感想やアドバイスはありましたか?監督マネージャーから、「僕はいいから、もう映画を作って大丈夫ですよ」というメッセージだけもらいました。映画が完成した際には、試写で何回か笑っている姿を見ることができて感動的でしたね。―劇中で使う曲に関するリクエストなどもなかった、ということですか?監督そうですね。彼からは特に意見もなく、基本的に好きなように映画を作らせてくれました。―では、監督自身が選曲にこだわった部分があれば、教えてください。監督曲はジャベドの物語にフィットするかどうかで選んだので、すごく有名な曲や使いたいと思った曲でもシーンに合わなければ使いませんでした。―なるほど。監督にもジャベドと同じように、人生に影響を与えた曲はありますか?監督それは、ブルースの「ジャングルランド」ですね。最初は映画とうまくハマらないと諦めていたのですが、曲を短くしてデモ行進のシーンと合わせて使うというアイディアを思いついたので、ブルースに曲を編集する許可をもらうために、ブロードウェイまで会いに行きました。そのときに、「演奏しているサックス奏者も感謝すると思うよ」といって承諾してくれたので、今回使うことができたのです。ブルースの音楽にはパワフルなメッセージがある―では、監督が思うブルースの曲が長年にわたって愛されている理由とは?監督まずは、いまの時代に重ねて聴くことのできるパワフルな歌詞と素晴らしい音楽であること。なかでも、劇中のジャベドも口にするブルースの歌詞で重要なメッセージは、「全員が勝たなければ、誰もが勝ったとは言えない」というものです。そこにあるのは「世界は一つ」という彼の哲学ですが、これは現代においても強いメッセージになっていると思います。そして、映画制作においては、魔法のような役割もはたしてくれました。あと、彼が歌っているのは、社会の隅っこに追いやられている人や助けを必要としている人たちのこと。だから、世界中にファンがいるんだと思いますし、彼が世界一のライブパフォーマーである、というのも大きいですよね。―ほかにも、制作するうえで苦労したことはありましたか?監督一番予測できなかったのは、イギリスの天気ですね(笑)。いつも雨が降っているし、寒くて風が強かったので、なかなか明るくて天気のいい日には撮影できませんでした。―確かにそれも大変ですね。監督自身についてもおうかがいしますが、ジャベドと同様に移民であるがゆえに、似たような経験をされたこともあったのでしょうか?監督私の作品にはすべて自分の経験が反映されていますが、それはなぜかというと、誰もが似ているところや共通点があるんだ、と世界に見せるような作品を作りたいからです。今回の主人公はアジア系のキャラクターではありますが、彼らが経験していることは普遍的なことでもありますから。私たちは葛藤から知識を得て、豊かになれる―ということは、劇中で描かれているような家族間の葛藤や親世代との価値観の違いにも悩んだことがあったということですか?監督私はそれを問題ととらえるよりも、「ギャップを祝福する」という見方をしています。なぜなら、私たちはそういった葛藤から知識を得て、より豊かになれるからです。たとえば、私の人生において運命を変えるような大きな出来事のひとつといえば、16歳のときに、人種差別に反対する運動「ロック・アゲインスト・レイシズム」の有名なコンサートに行ったときのこと。心配した両親から行かないように言われていたのですが、買い物に行くと嘘をついて参加しました。そのときに、人生で初めて、アジア系や黒人系、白人系などの人たちが一つになって反人種差別の声を上げている姿を見て、本当に感動したのです。その瞬間から私は政治的な考えを持つようになりましたが、これが私を形作ったイベントだと言えると思います。―素敵なお話をありがとうございました。それでは最後に、日本の観客にメッセージをお願いします。監督日本の文化もほかのアジア圏と同じように、親へのリスペクトを求められるところがあると思うので、自分がしたいことと、家族が自分に求めていることとのバランスを見つけていかなければいけないかもしれません。でも、私がこの映画を通して見せているのは、その両方が可能であるということ。つまり、自分の夢を叶えながら、両親を幸せにすることもできるのだ、ということです。本作の脚本と製作総指揮を務めている私の夫も日本の血が流れていますが、移民だとしても、親や言語、文化をリスペクトしながら、自分が育ってきた文化も大切にし、組み合わせることができるんだ、というのを感じてもらえたらうれしく思います。さわやかな感動に包まれる!青春時代ならではの葛藤や家族間に生まれる衝突、そして愛情といった普遍的な感情を描いた珠玉の音楽映画。ブルース・スプリングスティーンが贈る名曲の数々とともに、琴線に触れる感動を味わってみては?夢が詰まった予告編はこちら!作品情報『カセットテープ・ダイアリーズ』7月3日(金)より、TOHO シネマズ シャンテ 他全国ロードショー配給:ポニーキャニオン©BIF Bruce Limited 2019 ©Bend It Films
2020年07月01日婚活で約1000人の男性と出会い、年下夫を射止めたライター・かわむらあみりがお届けするコラム【結婚引き寄せ隊】連載第43回は、婚活中に見聞きしたエピソードです。なかでも、女性たちがいまでも印象に残っているという、付き合ったけど「サイテーだった男」のエピソード3選をお届けします。1. ほぼ「財布を忘れる」男【結婚引き寄せ隊】vol. 43バリバリと仕事をしている30代のAさんは、年下の彼氏との関係を終わらせたばかりでした。合コンで出会ったという年下の彼氏は、Aさんに一目惚れして、最初から「付き合ってください!」と積極的に向かってきて、彼氏のいなかったAさんは了承したそうです。ただ、最初のデートのときは年下の彼氏がごちそうしてくれたものの、2回目からはいつも「財布を忘れてきた」と言って、Aさんが支払ってばかりいました。経済力のあるAさんにとって、お茶や食事代を出すぐらいのことはなんてことはなかったものの、年下の彼氏が毎回「今日は絶対持ってこようと思ったのに」と言いながら必ず忘れるルーズさに嫌気がさしたと言います。次第にAさんは、「また今日もおごらされるかもしれない」と思うと、だんだんと年下の彼氏に会いたくなくなり、きっぱりと別れを告げたのだそう。「もしかして最初からヒモになりたかったのかも」と話すAさんでしたが、別れてさっぱりしているようでした。私も「財布を忘れる」男に遭遇したことがあるので、Aさんのスッキリした様子に共感。支払うか支払わないかというお金の問題というよりも、そのときの相手の性質が垣間見えることで、自分のことを大事に思っているのかいないのかが判断できます。やっぱり、大事にしてくれる人をパートナーに選びたいものですよね。2.「彼女は絶対に20代」という男30歳になったばかりのBさんは、長く付き合った30代後半の彼氏と別れたばかりでした。仕事関係で知り合ったという元カレとは、最初からお互いに好印象を抱いていて、付き合うまでも順調だったといいます。10歳ぐらい年上の彼氏は、年の離れたBさんに「これ似合うから」と言っては洋服やアクセサリーなどをプレゼントしてくれていたのだとか。Bさんも幸せなお付き合いが続き、「このままこの人と結婚できたらいいな」と考えるようになっていました。付き合い当初は20代だったBさんの、30歳の誕生日が近づいたある日。突然彼氏から「別れよう」と切り出され、ショックを受けたBさん。ですが、理由を問いただすと「……絶対に彼女は20代がいいから」と言われたそうです。そんな理由で!?と理解できなかったBさんですが、「年齢で相手を区切るような男だと見抜けなかった自分にも悔しい」と、2度とサイテー男に引っかからないと心に誓ったようです。年齢に限らず、相手の内面を見ないで、条件だけで人を判断するような人とは、関わりたくないと共感したのでした。3. 趣味の場に付き合わせる男アラフォーのCさんは、婚活で知り合ったサラリーマンの男性との関係を切ったばかりでした。出会ってすぐに意気投合したCさんと彼氏は、すぐに「付き合いましょう」という話になり、1度目のデートはイタリアンに行ったのだとか。ただ、だんだんと「行きたいところがあるんだけど」と言われ、Cさんが連れて行かれるのは彼の趣味の商品が販売されているスポーツ用品店。体を動かすことが好きで、ゴルフや山登りが趣味だとは聞いていたものの、デートとは名ばかりでほとんどが彼の趣味の店ばかりで会うことに。スポーツ用品店に行った帰りにごはんを食べると、彼はずっと趣味の話ばかりで、Cさんの趣味については一切聞いてもこなかったそうです。「いま思えば、私に興味があるんじゃなくて、自分の趣味の話を聞いてくれる相手がほしかっただけ」と話すCさんでしたが、やはり婚活のプロフィールだけでは相手のことを見抜けない点はたくさんあるなと思ったのでした。婚活していると、男女ともに、いろいろなタイプの人たちに出会うこともあります。みなさんもすてきな恋愛を謳歌してくださいね。©Ozge Emir/Gettyimages©Mixmike/Gettyimages©lostinbids/Gettyimages
2020年06月27日現在ベルリン在住のファッションジャーナリスト、平野さんのスナップレポートです。今回は暑さ回避のショートワンピスタイル!この時期の日本は暑くてジメジメ、本格的な夏に向けての梅雨の時期かと思いますが、この季節は蒸していて外にも出たくなかった記憶しかありません。ここヨーロッパも、年々気温が上がっていますが、私の家はクーラーがないので大変です。そんな時期になると増えてくるのがショート丈スタイル。ショートパンツももちろんですが、オーバーサイズのTシャツや、シャツ1枚で着こなすこともできます。夏だけでなく、実は1年中人気のスタイルなんです。今回はショート丈ファッションをご紹介します。無邪気な印象がかわいい!オーバーサイズシャツワンピースキャップにオーバーサイズのシャツ1枚にスニーカーと、至って普通のスタイルですが、ショート丈にするだけでかわいらしさアップです。ボーイッシュに決めているところが、かわいいとかっこいいのバランスを保っていて魅力的に見えます。小物や洋服のカラーもバッチリ決まってます。個性的な柄で思いっきりおしゃれ!かなりハイセンスで斬新な柄Tシャツを1枚だけで着こなしてる、スーパーおしゃれさん。Tシャツに合った反射するサングラスもまた決まってます。ショート丈の場合、ヒールを履くことに戸惑ってしまいますが、脚長効果抜群です。不安な場合は、短いスパッツなどをインナーに着ると安心です。お姉さん風!セクシーなショート丈ワンピースここヨーロッパは夏でも突然寒くなったりするので、夏も長袖を着用することも多いです。厚めの生地だからこそ、重い雰囲気にならないように、ショート丈を着用することも!背が高い方が多いので、ショート丈がさらに短く見えますが、いやらしく見えないのは、立ち振る舞いのせいでしょうか。ドキドキしちゃう…純白シャツでモテ度アップ真っ白なシャツ1枚は、実はかなりのおしゃれ上級者!白シャツは光の反射で多少透けて見える場合があるので注意が必要です。白シャツの場合は、純粋にそのスタイルだけで清楚に見えるのでほかの飾りは不要。ヒールサンダルよりスニーカーや、ぺたんこサンダルが似合いそう!夏以外も人気のショート丈!スタイルよく見える素脚を見せると健康的でいてスタイルがよく見える!全体をカバーしすぎると重く暗い印象になりがちですが、春や秋に足もとを見せるだけで、パッと明るい印象に。夏以外でもショート丈はファッショニスタが取り入れているスタイルです。デニムシャツワンピースは、1枚あれば1年中大活躍!私がオススメする定番だけどかわいいスタイルがこちら!短めのデニムシャツワンピース。デニムだからどんな色や靴でも合わせやすく、カジュアルにさらっと着れちゃうのが特徴です。シャツ1枚に抵抗がある方は、ぜひデニム生地でトライしてみてください。今年の夏にオススメの1枚着ショート丈スタイルをご紹介しました。同じショート丈でも、ミニスカートやショートパンツとはまた違う印象ですよね。またオーバーサイズのシャツ等は、上下の服の合わせなどが不要なので、サラッと着られてとっても楽チンです。ぜひ試してみてください。
2020年06月27日婚活で約1000人の男性と出会い、年下夫を射止めたライター・かわむらあみりがお届けするコラム【結婚引き寄せ隊】連載第42回は、婚活中に見聞きした、ちょっと敬遠されがちな“クセ”のエピソードを3選お届けします。1. “クチャラー”になってしまうクセ【結婚引き寄せ隊】vol. 42出会いを探している男女がたくさんいるなかで、「いいな」と思うポイントは人それぞれですよね。それとは反対に、「いやだな」と感じるポイントも人によって違います。そのなかのひとつとして、食の好みが似ているか似ていないかを相手に求める人もいるようですが、食事をするときの振る舞いについても、おたがいの相性がわかることがあります。婚活サイトで出会いを探していたAさんは、理想の条件に合う男性を探し当て、何度かメッセージをやり取りして、とても好印象だったそう。スムーズにやり取りが続き、「今度はお食事でもいかがですか」と誘われ、実際に初対面することになったときのこと。婚活サイトのプロフィール写真で見た通りの好青年がAさんを出迎え、ふたりで席について、料理が運ばれてくるまでは「この人、当たりかも!」と思っていたのだとか。ところが……。食事の際、その男性は「クチャ、クチャ」と音を立てて食べたり、口に食べ物を入れたまましゃべり続けたりする、“クチャラー”だったのです。気にならない人にはそこまで重視することではないのでしょうが、気にする人にとっては、クチャラーとの食事の時間は憂うつになるもの。最終的にAさんのほうから、その男性とのやり取りをやめたそうです。ほかにも、婚活していた男性が女性の食べ方がいやで疎遠になったという話も。とくに出会ったときの第一印象がその後を左右する場において、“クチャラー”は男女問わず、ちょっと敬遠されがちなクセのひとつといえるでしょう。2. ついネガティブなことを言ってしまうクセそれは絶賛婚活中のBさんのこと。いつも控えめなBさんは、女子会でも端っこのほうに座ってまわりの話を聞いているような慎ましやかなタイプです。そんなBさんが婚活友達に連れられ、続けて合コンに行ったけれど「まったく成果がなかった」という話をしていました。最初は、ひかえめなBさんのことだから、あまり自分のことを出せなくて疲れてしまうのかなと思っていたのですが、よく話を聞くと「つい相談しちゃうんだよね」と言います。なんだろうと思ってさらに話を聞いてみると、「今日も会社でいやなことがあった」「あまりコミュニケーションを取るのがうまくないから、こんな私なんて……」などと、グチやネガティブなことを相手に言ってしまうのだとか。「でもあんまりなぐさめてもらえない」と話すBさんでしたが、初対面の男性に、突然ネガティブなことばかり話したら、相手のテンションは下がるばかりだということをBさんはよくわかっていない様子。Bさんだけでなく男女問わず、初めて会う相手から暗い話ばかりされても戸惑ってしまいますよね。出会いの場において、“ネガティブなことを言う”のはマイナスにしかならないなと思ったのでした。3. 無意識に上から目線になってしまうクセそれは結婚相手に、エリート男性を求めているCさんが、婚活パーティに参加したときのこと。そのパーティでは、年収が高く、ハイステータスの男性ばかりが集まる場で、張り切ってCさんはパーティ会場へ出かけたのだとか。相手にばかりスペックを求めるのではなく、Cさんの場合、自分自身も高学歴で高収入、身なりにもお金をかけていました。そんなCさんを男性が放っておくはずもなく、パーティでも「いま、いいですか?」と声をかけられては話すものの、ほんの数分話すとサッと相手の男性が離れていくのだそう。「原因がわからない」と話すCさんですが、男性との会話の内容や、普段のCさんの言動からも察しがつきました。それはつい“上から目線”で話してしまうこと。男性にも、「私はという会社で年収をこれぐらいもらっているけど、あなたは?」とストレートに年収や仕事内容、家柄などまで聞いてしまうようでした。Cさん自身は堂々と自分のプロフィールをアピールできるからこそ、同じように相手も話せるものだと思って聞いてしまうのですが、それを快く思わない男性も多いものです。また逆に、好条件の男性だからといって、出会ったときに見下したように話す男性は、女性からも敬遠されがち。無意識とはいえ、“上から目線”は印象がよくないなと思ったのでした。恋活や婚活をしていると、男女ともに、いろいろなタイプの人たちに出会うこともあります。くれぐれも、みなさん素晴らしい恋をしてくださいね。©Aja Koska/Gettyimages©Estradaanton/Gettyimages©praetorianphoto/Gettyimages
2020年06月26日日々いろいろな事件や事故のニュースが飛び込んできますが、その背景には人間のさまざまな感情が渦巻いているもの。そこで、ある事件をきっかけに、運命が一変してしまう人たちの姿を描いた注目作をご紹介します。それは……。超一級のサスペンス・ノワール『悪の偶像』【映画、ときどき私】 vol. 307クリーンなイメージで絶大な人気を誇る市議会議員のミョンフェ。ところがある夜、息子が飲酒運転によるひき逃げ事故を起こし、政治家としての危機に直面してしまう。揉み消し工作を実行するも、被害者の新妻であるリョナが行方不明になっていることが判明し、見つけ出そうと動き出す。いっぽう、被害者の父であるジュンシクは、リョナが妊娠していることを知り、何としても彼女を探し出そうとするのだった。そして、“消えた目撃者”の行方を追う2人の父親は、葛藤を抱えながら、後戻りできない道へと進み始めることに……。韓国でも実力派として知られるミョンフェ役のハン・ソッキュさんと、ジュンシク役のソル・ギョングさんがダブル主演を務めた話題作。そこで、作品の見どころなどについて、イ・スジン監督にお話をうかがってきました。韓国のイ・スジン監督2013年に『ハン・ゴンジュ 17歳の涙』で長編デビューをはたした際には、巨匠マーティン・スコセッシ監督から絶賛されたイ・スジン監督。今回は、長編作品2本目となる本作の完成までの道のりや現場での様子、さらには映画作りに対する思いなどを語っていただきました。―この作品は、「韓国社会で起きている事件や事故を誘発し、選択しているのは結局人間である」と感じたところから始まったそうですが、そのなかでも「ひき逃げ」というテーマを選んだのはなぜですか?監督これまで、ひき逃げを題材とした作品はたくさん撮られているので、観客のみなさんにとっては少し食傷気味のところもあるかもしれません。しかし、本来事故というものは故意的に起きるものではないため、事故を起こしたあとの行動が非常に重要なところですよね。もし、しっかりと対処していれば、ひき逃げにはなりませんが、何もしなければひき逃げになってしまうので、この差は運転手の選択にかかってくる事件だと思っています。つまり、この映画は、大枠で見ると、人の選択に関する映画であり、人がどんな選択をするのかによって起こる物語を軸としている映画なのです。そんなふうにひき逃げには本人の選択によって、状況が大きく変わるという側面があるので、今回のテーマにしようと思いました。―劇中では、事件によって生まれる“被害者の父親”と“加害者の父親”を中心に描かれています。その点に関してはいかがですか?監督まず、私の考えとして、人間というのは、もともとは“善なる人”。つまり、ミョンフェも最初は善人であり、善人として人生をスタートしたのだと思っています。しかし、それがいろいろな夢や信念、さらに欲望を持つなかで、一線を越えてしまうんですよね。いっぽう、事件に巻き込まれてしまうジュンシクは被害者ではありますが、息子に対する愛情が強いがゆえに、ある条件と交換でリョナと息子を結婚させ、さらに時間が経つにつれて、息子の違った顔、つまり息子も加害者側の人間であったという一面を知ることになります。ミョンフェとの関係でみるとジュンシクは被害者ですが、リョナとの関係を考えると、彼もまた加害者と言えるのではないかと思ったので、そういった関係性を見せたくて、加害者と被害者という設定にしました。環境が人をどんなふうに変えるのか見せたかった―今回は、いずれも見事なキャスティングだと思いましたが、最初は意外にもハン・ソッキュさんにジュンシク役をお願いしようとしていたそうですね。ただ、ご本人がミョンフェを演じたいとおっしゃったのだとか……。監督そうなんです。具体的にキャラクターの何に惹かれているかということには触れていませんでしたが、以前からまさにこういうキャラクターを待ち望んでいたと。特に、いまこの時期に演じてみたい役だとおっしゃっていました。―ちなみに、ジュンシク役のソル・ギョングさんも実はミョンフェを狙っていたんですよね?監督もしかしたら、ミョンフェのほうが、見た人が理解しやすいキャラクターだと思ったからではないでしょうか。ミョンフェは感情の起伏がすごく大きいですが、けっこうわかりやすいですよね。逆にジュンシクのほうは感情を隠す部分がありますので、そういう意味でミョンフェのほうが感情の表現的に演じやすいと思ったのかもしれないです。―また、チョン・ウヒさんが演じたリョナも、かなりインパクトのある役どころです。彼女の登場で一気に展開も変わりますが、作品のなかで彼女にどのような役割を持たせようと意図されていたのでしょうか?監督リョナという人物を通して、私は「環境が人をどんなふうに変えるのかを見せたい」と思っていました。人の性格まで環境が作るのではないか、と思えるくらい環境は大事なものですから。だからこそ、厳しい環境で育ったリョナは本当に恐ろしい人物。まったく怖いもの知らずで、やられたら倍で返すくらいの激しいキャラクターとなりました。この映画は、前半は2人の父親の物語でどんどん展開していきますが、後半になってリョナが登場すると、そこからガラリと映画の構図が変わります。そういう作りにしたいという意味もあり、これほどまでに強烈なキャラクターのリョナを登場させる必要がありました。楽しかったけど、つらい現場でもあった―現場の雰囲気はどのような感じでしたか?監督もう撮影が終わって1年以上が経ちますが、振り返ってみるとにぎやかで楽しかったなと思います。ただ、いっぽうでは映画と同じように重みのある現場、つまり大変なつらい現場でもありました。その一番の理由は天候。本当に天気に恵まれなくて、非常に苦労したのを覚えています。―撮影は、半年間にわたって行われたそうですが、俳優たちとのコミュニケーションを取るうえで大事にしていたことはありますか?監督誰もが映画に対する強い思いを持って臨んでくれましたし、特にメインの3人は本当に情熱的だったので、コミュニケーションを取るうえで難しいことはまったくありませんでした。彼らは私にとって本当に大きな力になってくれましたし、最大の支持者であったとも思います。―そのお三方を演出するうえで、監督から具体的にお話されたことがあれば、教えてください。監督私は事前に台本の読み合わせやリハーサルに時間を多くかけるタイプなので、撮影に入る前にしっかりと話し合いをしました。みなさんベテランの方々ですし、特別たくさんの演出をしたわけではないですが、現場でのやりとりを挙げるとすれば、ハン・ソッキュさんから「この感情表現はちょっと強すぎますか?もう少し弱めますか?」と聞かれたときに、抑えた表現のほうが好きだったので、そういった要求を出したことがあったくらいです。―では、いま振り返ってみて、完成するまでで一番大変だったのは、どのあたりですか?監督まずは、先ほども話した天候。あとは、スケジュールとロケハンにも苦労しました。というのも、撮影が始まる直前になっても、撮影場所が決まっていないところが多くありましたから。そのため、撮影中も撮り終えたらすぐにロケハンに行くという状況が続き、本当に大変でした。自分自身の個性を生かして作品を作ることが大事―現在、韓国映画では多様性に富んだオリジナル作品が次々と生み出されており、評価も非常に高いですが、監督が思う“韓国映画界の強み”とは何だと思いますか?監督私自身はよくわからないですが、やはりいま指摘してもらった多様性ではないかと思います。商業映画よりもインディーズ映画のほうがよりオリジナリティあふれる傾向にあると思いますし、映画が大好きな監督の卵たちが熾烈に競い合いながら準備していることも、大きく影響しているのではないでしょうか。―「素晴らしい監督はたくさんいるが、ポン・ジュノ監督のあとに続く次の世代が育っていない」という声もあるようですが、監督はどのようにお感じになりますか?監督そうですね。ただ、誰もがポン・ジュノ監督みたいになれるわけではないですし、全員がポン・ジュノ監督みたいになってもダメだ、と私は思っています。もちろん私もポン・ジュノ監督は好きですが、映画監督というのはやっぱり本人のカラーがあり、その人にしか描けない物語、そして自分自身の個性を生かして作品を作るのが一番。そういうものを映画にするということが、大事なことですよね。―では、監督にとって映画作りのモチベーションとなっているものとは?監督実は、私はいままで「これからも映画を作り続けよう」とか「たくさんの映画を作ろう」といった大きな夢を抱いたことはありませんでした。もしかしたら、いまでもそういう夢はないのかもしれません。ただ、どんな瞬間も、どの作品でも、「いま撮っている作品が最後かもしれない」という思いで作っています。おそらく今後もそういう思いは変わらないでしょうね。この作品は、私にとって長編2本目の映画ですが、3本目を撮ることになっても、同じように「これが人生の最後の映画になるかもしれない」という気持ちで撮ると思います。次も、これが最後になってもいい思えるような映画になったらいいですね。―次回作も楽しみにしています。それでは最後に、日本の観客へ向けてメッセージをお願いします!監督観客のみなさんには、ここに登場するたくさんの人物のなかで、誰と一番自分が似ているのか、といったことをこの作品を通して考えながら観ていただけたらうれしいです。そして、選択の岐路に立たされた瞬間、もし自分だったらどういう選択をするんだろうかということを想像してご覧いただくと、より興味を持っていただけると思います。二転三転するストーリーから目が離せない!漂う緊張感に息を潜めつつ、予測できない展開に終始引き込まれてしまう本作。ひとつの選択によって人生が思いもよらぬ方向へと大きく変わっていく様、そして人間の奥底にある本性や闇を覗いてみては?衝撃が走る予告編はこちら!作品情報『悪の偶像』6月26日(金)より、シネマート新宿・心斎橋ほか全国順次公開配給:アルバトロス・フィルム© 2019 CJ CGV Co., Ltd., VILL LEE FILM, POLLUX BARUNSON INC PRODUCTION All Rights Reserved.
2020年06月24日「東京2020オリンピック」は、来年の7月に開催されることが予定されていますが、出場を目指す選手のなかには、複雑な思いを抱えている人も多いはず。通常では想像できないほど、肉体的にも精神的にも過酷なトレーニングを積み重ねているスポーツ選手たちの実情に深く切り込んだ注目のドキュメンタリーをご紹介します。それは……。『オーバー・ザ・リミット新体操の女王マムーンの軌跡』【映画、ときどき私】 vol. 306“新体操王国”と呼ばれるロシアで代表選手として活躍し、リタの愛称で呼ばれるマルガリータ・マムーン。オリンピックに向けて、鬼コーチたちからは厳しい言葉を浴びせられ、過酷な練習に身を投じていた。なかでも、一切の妥協を許さないのは、ロシアでも伝説的な指導者とされ、数多くの金メダリストを輩出してきたヘッドコーチのイリーナ。金メダルを目指すリタは、イリーナから指導を受けていたが、それは想像を絶するような厳しい内容だった。これまでベールに包まれていたロシア新体操界の実態が、いま明らかとなる……。オリンピック種目のなかでも、人気の高い競技のひとつといえば新体操。華やかで美しい演技には、誰もが魅了されてしまいますが、その舞台裏に密着しているのが本作です。そこで、こちらの方にお話をうかがってきました。ポーランドのマルタ・プルス監督ポーランド出身のプルス監督は、米エンタテインメント業界紙Varietyで「注目すべき10人のヨーロッパ人」にも選出されたほどの俊英。子どもの頃に新体操クラブに所属していた経験もあり、新体操というテーマを取り上げています。撮影中の苦労や印象的なエピソードなどについて、語っていただきました。―本作は出演者を説得するのがかなり大変だったということですが、どのくらいの時間を費やしたのでしょうか?監督まず、許可を得るまでかかった時間は3年。リタとコーチのアミーナは、このプロジェクトに最初から興味を持ってくれていたので問題なかったのですが、そこで立ちはだかっていたのは、ヘッドコーチのイリーナでした。つまり、彼女の許可を取るのにかかった時間が3年、ということですね。―それほど交渉が難航するなかで、最終的に受け入れられた理由は何だと思いますか?監督それは、私が決して屈しない断固たる思いを持っていたからではないでしょうか。イリーナは何度もダメだと言いましたが、私は聞こえていない振りをして、彼女と会えそうな場所ならほかの国にまで追いかけていったほど。そういった絶対にあきらめない気持ちが、イリーナを説得したんだと思います。―ちなみに、その粘り強さは子ども時代に新体操を習うなかで培ったものでしょうか?監督確かに、厳しい練習に7年間取り組んできたので、それが影響しているのかもしれませんね。それは撮影が終わってから気がついたことですが、自分のなかに眠っていた頑固さを発見して私自身がびっくりしたくらいです(笑)。もっと残酷で受け入れがたい世界だと思っていた―なるほど。では、遠くから見ていた彼女たちと実際に行動をともにするようになってから、衝撃を受けたことはありましたか?監督外から見ていたときは、もっと残酷で受け入れ難い世界だと思っていましたが、間近で見てみたら、それほど悪くはないのではないかと感じるようになりました。なぜなら、選手たちは、物質的にも肉体的にもつねに安全な状況に置かれていることがわかったからです。とはいえ、コーチたちから浴びせられる言葉による心理的な抑圧感はあるとは思いますが……。でも、彼女たちは意外とそのことを気にしておらず、受け入れていたので、それには驚かされました。―イリーナの指導方法はかなり強烈に感じましたが、ロシアでも彼女のような存在は珍しいのでしょうか?監督あくまでも私はスポーツの専門家ではなく、ロシアの新体操界について知っているだけであるということを前提に聞いていただきたいのと、私の想像も含めた印象ですが、イリーナはロシアのなかでも例外的な人で、彼女ひとりがロシアの新体操界を牛耳っているように見えました。ただ、現在の新体操界において、ロシアは世界的な勝利を収めているので、ほかの国でもイリーナ的な方法が繰り返されている可能性はありますね。―正直言って、いまの日本であれだけの発言をするとパワハラ問題として取り上げられかねないと思うほどでした。監督自身は、イリーナさんの指導方法は有効だと感じましたか?監督もし私がイリーナの方法を受け入れていたとすれば、この映画は作らなかったでしょう。つまり、反対の気持ちがあったということですが、同時に完全に反対という立場でもありません。というのも、私は観客に対して、一義的な答えを出したくないという思いがあるからです。撮影中に追い出されそうになったこともあった―監督は選手の立場として、あれほど厳しい指導を受けた経験はありましたか?監督私が習っていたトレーナーは全然違うタイプでしたし、プロを目指すようなレベルではなかったので、あそこまでのつらい経験は味わうことはありませんでした。ただ、将来もし私に子どもができたとしたら、イリーナのようなコーチのもとで習わせるのは嫌ですね(笑)。とはいえ、イリーナの教え方に対しては、「なぜ、あそこまですごい成功を収めることができるのか?」というある種の称賛もあります。実際、私は撮影後に「もしこれがイリーナではなくて、ほかの方法論を持ったコーチだったら、あれほどの結果を出せただろうか?」と考えたほど。いまでもその答えはわかりません。―確かに、そこに関しては賛否両論あると思います。映画では「ここまで映していいんだろうか?」と思うような場面もありましたが、撮影を止められたことはありませんでしたか?監督「出来上がった作品はイリーナが最初に観る」という契約だったおかげで、撮影を止められたことはほとんどなかったですね。とはいえ、100日間の撮影期間において、実は2回だけ止められたことがありました。1回目は私たちがリタ以外の選手を撮っていたとき。そして、2回目は撮影を始めたばかりの頃に、撮影がリタに悪影響を及ぼすのではないかとイリーナが恐れていたときです。彼女が出場していた競技会がすごく重要なものだったので、カメラがいることで注意力が散漫になってしまうのではないかという心配があり、私とスタッフは追い出されそうになりました。でも、それ以外は大丈夫でしたね。人間の一面だけを誇張する映画にはしたくない―ちなみに、イリーナさんの素顔や別の顔を見たことは?監督実は、私も彼女の“別の顔”を探そうとしたんですが、結論から言うと、それを見つけることはできませんでした。なぜなら、イリーナは私たちを一度も家に呼んでくれることはありませんでしたし、家族と一緒にいるところも見せてくれなかったからです。ただ、私は最初の段階から人間の一面だけを映し出し、誇張するような映画にはしたくないと思っていました。つまり、彼女を悪魔のような真っ黒い性格の人間であるようには見せたくなかったのです。映画のなかでリタがいい演技をして勝利を収めたときには、イリーナが彼女を優しく抱きしめている様子が映し出されていますが、そこで彼女の多面性を表すことができたと思っています。―とはいえ、完成した映画を観たときのイリーナさんは、どのような反応でしたか?監督最初は、彼女自身が選手たちをののしるような言葉を発していた場面で映像を止めさせ、過激な表現には、「ピー」の音をかぶせたらどうか、と提案してきたこともありました。でも、観終わったときに彼女は「この映画は素晴らしい。ロシアでも上映会をしましょう」とまで言い出すほどでしたね。なぜなら、「これだけの成功を収めたんだから、これは私の指導方法が最良であることの証明になる映画だ」と彼女が感じたからだと思います。上映中の彼女の様子を横で見ていたら、自分が厳しく指導している様子を見て、満足そうにうなずいていたほどですよ(笑)。この映画を感情的に体験してほしい―さすがイリーナさんですね。リタさんの感想はいかがでしたか?監督彼女は、この映画を観ながら感動で泣いていましたし、「素晴らしい映画を撮ってくれてありがとう」と言ってくれました。そこには2つの理由があって、まずは亡くなったお父さんの最後の姿が映されていたということ。そして、体操をしていたときには自分の演技にだけ集中していたこともあって、周りで何が起きているのか気がついていなかったけれど、この映画によってそれを知ることができたからということでした。自分の経験を客観的に見ることで、自分が何をしていたのかがようやくわかった、とも言っていましたね。彼女はすでに引退していますが、いまでもこの映画を時々観ては自分がやっていたことは正しかったのだと感じているそうです。―それでは最後に、日本の観客へ向けてメッセージをお願いします。監督私が重要だと感じていることは、すべて映画に込めたつもりですが、私がみなさんに期待することといえば、この映画を感情的に体験していただきたいということ。そして、それをきっかけに人生についても考えてほしいと思っています。華麗な世界の光と影を垣間見る!本作で体感できるのは、オリンピックでアスリートたちが感じている重圧や、栄光の裏に隠された限界を超える過酷さ。その熾烈さには衝撃が走り、ときには背筋がゾッとするような場面もあるものの、人間の持つ強さや美しさも改めて感じられるはず。来年のオリンピックを迎える前に、観ておきたい1本です。驚愕の予告編はこちら!作品情報『オーバー・ザ・リミット 新体操の女王マムーンの軌跡』6月26日(金)より、ヒューマントラストシネマ渋谷、新宿ピカデリー他、全国ロードショー!配給:トレノバ、ノーム©Telemark, 2018
2020年06月24日連載第148回目は、とっても簡単、鶏肉料理。今回は、ヘルシーなささみに季節のお野菜とチーズを乗せた、ちょっとしたメインにもなる1品をご紹介します。オーブンまたはトースターで焼くだけでとっても簡単!おいしくて見た目からテンション上がること間違いなしの一品です『ささみのチーズ焼き』【旬を味わう 美人レシピ】vol.148旬食材は、アスパラガス!アスパラガスの旬は4月~6月。4月~5月は本州産が多く、6月になると北海道産も出回ります。ちなみに土をかけて日に当たらないように育てたのがホワイトアスパラガス。栄養価はグリーンのほうが高く、疲労回復に効果があります。アスパラガスに含まれるアスパラギン酸はアミノ酸の一種で、疲労回復、スタミナ増強効果があります。タンパク質の合成や、体内のアンモニア排泄を促進するデトックス効果のほか、カルシウムやカリウムなどのミネラルを細胞に届ける役割も果たします。疲労回復効果で知られているアスパラガスですが、美肌にも良い、と注目されています。アスパラガスに含まれるアスパラギン酸が新陳代謝を活発にし、たんぱく質の合成を助けるので、お肌の状態が整い、シミ、そばかすの予防にもつながります。ほかにもβ―カロテンやビタミンB群、ビタミンE、ビタミンCなどが含まれているため、お肌の保湿効果やコラーゲンの生成を促してくれます。疲労回復効果もあり、美肌効果もたっぷりのアスパラガス!暑くなるこれからの季節に嬉しいお野菜ですね。材料はこちら!【材料(二人分)】・鶏ささみ:2~3本(約200g)・塩:小さじ1/4・酒:大さじ1・アスパラガス:2本・ブラックオリーブ輪切り:適量・ミニトマト:2個・ローズマリー:適量・マヨネーズ:小さじ2・シュレッドチーズ:適量・オリーブ油:小さじ2・コショウ:適量まず、下準備を始めます。~その1:野菜を切ります。アスパラガスは根もとの固い部分を切り落とし、斜め薄切りにします。ミニトマトは小さめに8等分に切りわけます。ローズマリーは小さめに切りわけます。まず、下準備を始めます。~その2:オーブンを予熱します。オーブンを200度に予熱します。※トースターを使用する場合は不要です!では、作ります!鶏ささみ肉の筋を除きます。鶏ささみ肉の筋を除きます。鶏ささみ肉を包丁で切り込みを入れ、開きます。鶏ささみ肉の中央に切り込みを入れ観音開きにします。塩を振ります。開いた鶏ささみ肉に塩を振ります。酒を振りかけます。酒を振りかけなじませます。鶏ささみ肉に薄くマヨネーズを塗ります。オーブンシートまたはアルミホイルの上に鶏ささみ肉を置き、薄くマヨネーズを塗ります。シュレッドチーズを散らし、野菜を散らします、シュレッドチーズを散らし、その上にバランスよく野菜(アスパラガス、トマト、オリーブ)を散らします。仕上げにさらにシュレッドチーズを散らし、ローズマリーを添えます。野菜の上にシュレッドチーズを散らし、ローズマリーを添えます。オーブンまたはトースターで焼きます。200度に予熱したオーブンまたはトースターで約8分前後、こんがりと焼き色がつくまで焼きます。仕上げにオリーブ油を回しかけ、コショウを散らします。お好みでオリーブ油を回しかけ、コショウを散らします。おいしさのアレンジポイント上にの添える野菜はキノコやピーマンなど、お好みのものを乗せてください
2020年06月20日誰もが経験する思春期は、大人になったいまでも忘れられない出来事や胸がキュンとする思いがいくつもあるもの。そんな人生の“原点”を改めて思い出させてくれるオススメの新作がいよいよ公開を迎えます。それは……。韓国で異例の大ヒットを果たした『はちどり』【映画、ときどき私】 vol. 3051994年、両親と姉、兄とともにソウルの集合住宅に暮らしていた中学二年生のウニ。クラスになじめず、無気力な学校生活を送っていたが、男子学生のジワンや後輩の女の子ユリとデートをして過ごしていた。自分に無関心な大人に囲まれ、孤独な思いを抱えていたウニだったが、ある日通っていた塾に新しく教師としてやってきたヨンジと出会う。ヨンジに対して、徐々に心を開いていくウニだったが、新たな問題がウニに降りかかろうとしていた……。世界各国の名だたる映画祭で50を超える賞を受賞し、2019年の韓国の公開作品ベストテンではあの『パラサイト 半地下の家族』に次ぐ2位という高い評価を得ている本作。今回は監督・脚本を手がけたこちらの方に、作品の背景などについてお話をうかがいました。韓国のキム・ボラ監督現在38歳のキム・ボラ監督は、韓国でもっとも注目されている女性監督のひとり。本作が初の長編作品となりますが、完成までの道のりを振り返った心境や今後のこと、さらには韓国映画界のいまについても語っていただきました。―本作はシナリオだけで4年かけ、30代の多くの時間をこの作品に捧げて完成させたとのことですが、一番苦労したのはどのあたりでしょうか?監督もともと私は文章を書いたりするのが好きなので、シナリオを書くのは楽しかったんですが、気苦労のひとつは、出資会社が見つからなかったこと。政府からの支援金をもらうまでも何年もかかったので、製作費が集まらなくて本当に苦労しました。―創作活動とは別の現実的な問題のほうが大きかったのですね。監督そうですね。とはいえ、シナリオを書いているときは楽しいだけでなく、苦労した点もありました。なかでも、完成度を高めるためにディテールにこだわり、何度も修正したのは大変でしたね。なぜなら、人間というのは複雑なものなので、「善か悪か」「白か黒か」と決めつけてひとつの面しか見せないようなキャラクターや物語にしたくなかったからです。だからこそ、キャラクターを描くうえで、“ボーダーライン”をさまよっているような様子を入れることを意識しました。つまり、悪人のように見えるんだけど善があったり、善人のように見えるんだけど悪があったり、強く見えるけど弱さもある、弱く見えるけど強さもある、といった複雑な人間像であること。そこは特に苦労した点だと思います。―なるほど。本作は家族構成や両親の職業、主人公がある病気になることなど、監督自身のエピソードも数多く盛り込まれているそうですね。それらを映画として表現するうえで、葛藤したことはなかったでしょうか?監督映画というものは、クリエイターが作るものではありますが、同時に芸術作品でもありますよね。私は、映画というのは工場で作られるような作品にしてはいけないと思いますし、個人的な気持ちや考えを入れて作るからこそ、映画は芸術作品となり、美しくなるのだと考えています。ただし、今回はすべてが私の自叙伝というわけではありません。私が経験した具体的なエピソードをもとにはしていますが、それをどうやって普遍化させるかというのが非常に大きな課題でした。人を動かす軸になるのは「家族」―その問題を解決するために、何か特別な方法を取られましたか?監督物語の普遍化を実現するため、シナリオを書いているときに、韓国人だけでなく、ヨーロッパ、アメリカ、アジアという文化圏の異なるいろいろな国のさまざまな世代の方々に対してインタビューやモニタリングを行い、たくさんの意見を聞かせてもらうことにしたのです。そのうえで、そこにある共通点はなんだろうと考えましたが、結果的に「家族」というものが人の心を動かす軸になるというのがよくわかりました。そういったこともあり、本作では家族を軸に主人公のウニが成長していく姿を描いています。―ちなみに、ウニのキャラクターは監督の少女時代に近いところがありますか?監督劇中では、ユニと塾の教師であるヨンジの2人に、私の一部が反映されていると思います。とはいえ、父親や母親をはじめとするさまざまなキャラクターのなかにも、少しずつ私が入っているところがありますね。たとえば、彼氏のジワンの優柔不断さは私に似ていますし、後輩のユリがすぐに気が変わってしまうところも誰にでもある部分ですから。そんなふうに自叙伝的な要素が下地にはあるものの、あくまでもフィクションとして話を作り変えて描いています。―ただ、本作ではソンス大橋の崩落事故など、実際に起きた出来事なども描かれていますよね。監督ソンス大橋の崩落をモチーフに選んだのは、ウニというひとりの少女の内面や人間関係が崩壊していく様子と彼女が抱く喪失感を重ね合わせてみたいと思ったから。韓国は1988年のソウルオリンピック以降、「とにかく早く成長しなければいけない」という風潮があり、がんばりすぎたあまりに、ソンス大橋だけでなく、三豊(サンプン)デパートの崩壊といった象徴的な事故が立て続けに起きてしまいました。人間を無視した発展というものがどんな影響を与えるのか、といったことに対する警鐘を鳴らしている事件のようにも思えたので、この映画のなかに取り入れることにしたのです。そんなふうに個人的な出来事と社会的な事件には重なるところがあるんだ、というのも見せたいと思いました。女性監督の声が構図を塗り替えると期待されている―ウニの年齢設定に関しては、意図したところもありますか?監督厳密にいうと、ウニは私の1歳上になりますが、なぜ中学二年生という設定にしたかというと、韓国でも「中二病」という言葉がよく使われているからです。それほど中学二年生というのは、内面的にも大変な時期ですよね。たとえば、感情的に不安定な人を見ると「中二病なの?」なんて言うこともあり、中学二年生がよくないことのように受け止めている人が多いようですが、それぞれの年齢に合わせた感情の動きというのがあると思うので、その年齢のときに感情が不安定になるというのは当然のことだと私は考えています。―確かにそうですね。では、いまの韓国の映画界についてもおうかがいしますが、世界的な注目が集まり、人気実力ともに勢いをさらに増していると思います。そのなかにいるひとりとして、感じていることはありますか?監督韓国映画は、すごくうまくいっているように見えますし、実際にうまくいっている部分もありますが、実はいま韓国では反省の声も上がっているんです。―それは意外ですが、具体的にはどのあたりについてでしょうか?監督当然のことながらいい映画もたくさん撮られていますが、現在の文在寅(ムン・ジェイン)大統領の前の政権が非常に保守的だったため、その時期は画一化された作品が数多く作られていました。その結果、当時は新人監督がデビューするのはなかなか難しく、作られる映画は、まるで工場で作ったような多くの集客が見込める“超大作”ばかりになってしまったからです。ポン・ジュノ監督が『パラサイト』でたくさんの賞を受賞したことによって、「では、なぜ第二のポン・ジュノは現れないのか?」といった声が高まっています。もちろん、パク・チャヌク監督やイ・チャンドン監督など、韓国にはポン・ジュノ監督以外にも素晴らしい監督はいますが、そういった監督たちに続く次の世代が生まれていないことを反省しているのです。そんななか、去年あたりには女性監督ブームが起きたのですが、それによって「女性監督の新しい声が韓国映画界の構図を塗り替えてくれるのではないか」という希望の声もいっぽうでは聞かれています。そういう意味でも、この作品はいい時期に公開できたんだと感じているところです。―興味深いお話ですね。ちなみに、韓国は日本に比べると、国をあげて映画作りをサポートされている印象ですが、そういったシステムの良さを実感したことは?監督私はアメリカでも勉強した経験がありますが、アメリカではインディーズ映画に対する支援があまりなかったので、そういう面では韓国にはいくつものサポートがあると思います。たとえば今回は、韓国映像資料院や韓国映画振興委員会、釜山国際映画祭など、数多くの機関から支援をしていただきました。ただ、それでも足りなくてスタッフやキャストが自分を犠牲にしてがんばってくれたところもありましたが、いくつもの支援制度があることは確かですし、インディーズ映画でもサポートしてもらえるのは、ありがたいことです。なかでもよかったのは、ベルリン国際映画祭でこの作品のプレミアを行ったとき、多額の渡航費などを負担してくれたこと、それからポストプロダクションといわれる撮影後の作業に対しても支援をしてくれる制度があることでした。そんなふうに、撮影から完成、そしてプレミア上映まですべてを支援していただいたことは、本当に感謝しています。―監督は、これからの韓国映画界をけん引する女性監督のひとりになると思います。最後に、映画監督として目指していることや取り組みたい題材などがあれば、教えてください。監督まずは、自分にうそをつくような映画や私自身の魂が入っていない映画は作りたくないと思っています。「魂が込められた映画とは何か?」というのは、人生を白か黒かだけで見ることなく、現実にある小さな声もしっかりと伝えていくような作品のことです。そのほかには、女性や世間があまり目を向けないような疎外された人たちを取り上げたいとも考えていますが、そういった作品でも決して誰かを悪者にしたくはないというのは根底にあります。ちなみに、韓国の観客から「次は30代のウニを見てみたい」と言っていただいているのですが、この作品にかけた時間があまりにも長かったので、いまは少しだけ距離を置こうかなと(笑)。でも、未来のことはわからないので、この作品の続編に関しても、開かれた状態にはしておきたいと思っています。心に沁みわたる感動を味わう!世界で最も⼩さな⿃のひとつと言われ、蜜を求めるために1 秒に80 回も⽻ばたかせて⻑く⾶び続けるという“はちどり”。孤独や葛藤を抱えながらも、「希望・愛・⽣命⼒」の象徴とされるはちどりのごとく成長していく少女の姿に、共感せずにはいられないはず。そして、韓国が生んだ新たな女性監督の才能からも、刺激をもらってみては?胸に響く予告編はこちら!作品情報『はちどり』6月20日(土)より、ユーロスペースほか全国順次ロードショー!配給:アニモプロデュース© 2018 EPIPHANY FILMS. All Rights Reserved.
2020年06月19日恋愛において迷いが生じていると、「あのとき、あの恋が違う結末を迎えていたら?」と振り返らずにはいられないもの。そんな誰もが経験したことのある思いを描いた話題作が、“愛の国”フランスからいよいよ上陸します。それは……。幻想的な世界へと誘う『今宵、212号室で』【映画、ときどき私】 vol. 304大学教授のマリアは、夫リシャールとパリで2人暮らし。結婚して20年が経ち、いまではすっかり“家族”になってしまった夫をよそに、マリアは密かに浮気を重ねていた。ところがある日、その事実がバレてしまい、怒ったリシャールと距離を置くために、マリアは家の向かいにあるホテルの212号室へと逃げ込む。窓越しに夫の様子を眺めていると、マリアのもとに20年前の姿をしたリシャールと元カレたちが次々と登場。ついには、夫の初恋の相手までがやってくるのだった。はたして、不思議な一夜の行方とは……。本作は、主人公のマリアを演じたキアラ・マストロヤンニがカンヌ国際映画祭である視点部門最優秀演技賞を受賞し、注目を集めた作品ですが、今回はこちらの方に、見どころなどについてお話をうかがいました。フランスのクリストフ・オノレ監督映画監督としてのみならず、演劇やオペラの演出家、さらには絵本作家としても幅広い才能を発揮しているオノレ監督。そこで、夫婦や愛について描いた本作に込めた思いや舞台裏について、語ってもらいました。―まずは、独創的なストーリーをどのようにして生み出したのかを教えてください。監督私がこの映画を作ろうと思ったきっかけは、3つあります。1つ目は、私自身がパートナーと長く暮らすなかで、カップルとしての自分たちの共同生活を振り返ったとき、そのなかで関係性がどんどん変わっていくのを感じたからです。なので、とても自伝的な作品でもありますね。2つ目は、キアラ・マストロヤンニの存在。私は随分前から彼女とまた一緒に仕事をしたいと思っていました。実際、その間に何度かそういう話もありましたが、最終的にはどれも着地しないまま。でも、今回は彼女のいまの姿、つまり40代である彼女をすぐに撮りたいという気持ちがあったので、作品を実現させました。そして3つ目は、ここ数年演劇を中心に仕事をしてきたので、それらの演出で培った演劇的技法を使って映画を撮りたいと思ったから。演劇ではリアリズムを大切にしてきましたが、この映画は自然主義に反するようなマジカルな作品にしたいというのが狙いでした。キャスティングに関して最初は言い出せなかった―なるほど。そのキアラの相手役を務めたのは、実生活で元夫であったバンジャマン・ビオレです。元夫婦だった2人に、危機に陥る夫婦役を演じさせるようというのは、なかなかすごいキャスティングだと思いますが……。監督いま話したように、キアラは絶対でしたが、バンジャマンの起用に関しては、最初は考えていませんでした。ただ、何人か名前は挙がるものの、この役に合った俳優がなかなか見つからないという状況が続いていたのです。そんなとき、私のなかでバンジャマンを思いついたのですが、以前彼らが婚姻関係にあったことを知っていたので、私もすぐにはキアラに言い出すことができませんでした。ところがある日、この役について話をしていたら、キアラから「実はシナリオを読んだときに、夫役はバンジャマンがぴったりだと思っていたの」というふうに言ってきたのです。そのおかげで、彼に決定しました。―とはいえ、オファーされたバンジャマンさんからも、すぐにOKはもらえたのでしょうか?監督それもとても簡単でした。というのも、バンジャマンはフランスではとても有名な歌手ですが、彼のフランス国内のコンサートに時々キアラが参加したりしてましたから。そんなふうに、2人は離婚してからも、芸術の面ではまだ一緒に仕事をしていましたし、今回の物語がフィクションであるということもあって、彼がこの映画に参加することに問題はなかったようです。この作品では矛盾する愛と嘘を描いている―ちなみに、現場でのおふたりの様子は?監督キアラは撮影中に、よく1人で笑い転げていましたよ。なぜなら、劇中のマリアとリシャールの夫婦関係が、実際の彼らの夫婦関係とは真逆だったから(笑)。そういったこともあって、妻が何人も愛人を連れてくるようなシーンを見ながら、キアラは少しあざけるように、でも楽しそうに笑っていました。―もしかしたら、キアラさんのなかに、当時の復讐のような気持ちが少しはあったのかもしれないですね(笑)。監督そうですね。あと、特に彼女がウケていたのは、バンジャマンがキッチンで料理や洗い物をしたり、洗濯物を洗濯機のなかに入れたりするシーン。なぜなら、彼は実生活では絶対にこういうことをしない人だったからとのこと。だからこそ、自分の元夫が家事をしている姿を見て、大笑いしてましたね。―それを知って観ると、違うおもしろさもありますね。この作品を観て、誰もが過去を振り返ったりすると思いますが、監督自身もこの作品を通して昔の恋愛を思い出すこともあったのでは?監督もちろん、これまでの自分の恋愛における失敗やいくつかの忘れられないとても大切な恋愛、なかでも精神的にとても繋がりが強かった関係について考えることはありました。特に、一緒に住んでいるカップルのなかには、愛という真実があり、同時にある程度の嘘というのもあります。今回、私はこの矛盾する愛と嘘というのをこの映画では描きたかったのです。―そこには、ご自身が経験されたことも脚本に反映されているということですか?監督そうですね。映画作家として、ある程度自分が経験したことや自分が知っていることから物語を構築していくことは多いですから。この映画では長く続く愛情を映し出していて、主人公の女性がどのように変わっていくのか、その反応を追っていますが、最終的には彼女は“あること”を受け入れるのです。恋と愛における一番の違いとは?―同じ女性として、興味深いところでした。また、劇中では、たくさんの恋とひとつの愛が描かれていますが、監督が思う恋と愛の違いとは何でしょうか?監督これは、とても難しい問題ですよね。ただ、「恋と愛で価値が違う」とは思っていません。たとえば、40年以上も一緒に暮らしている妻がいる男性が、ふと出会った女性に恋をして、隠れてキスをしたとします。たった1回でもその瞬間というのは、人生に深く刻まれるくらいの強さを持っているかもしれませんよね。そういう強さは、恋でも愛でも変わらないですが、「これがあるからこそ生きていける」と思えるのが本当の愛。恋には、愛のように人を変えてくれるような何かはないのではないでしょうか。つまり、瞬間的に楽しいと感じることはあっても、愛ほどに他人の人生や生活を変える力はない、というのが私の考えです。―素敵なお話ありがとうございます。それでは最後に、これから観る方に向けて一言メッセージをお願いします。監督読者の方のなかには、おそらくパリをとてもロマンティックな街の象徴だと考えている人が多いと思いますが、実際はパリの愛の物語も、東京の愛の物語も似ているもの。つまり、どこの愛の物語でも、残酷であると同時に魔法のようなものだということです。そういったところもぜひご覧ください。恋が導く愛の結末に胸がときめく!まるで大人のためのおとぎ話のともいえるような“愛の魔法”が詰まったラブストーリー。数々の恋があったからこそ、愛の意味を知ることができたマリアとともに、真実の愛とは何かを探してみては?マジカルな予告編はこちら!作品情報『今宵、212号室で』6月19日(金)より、Bunkamuraル・シネマ、シネマカリテ他全国順次公開!配給:ビターズ・エンド©Les Films Pelleas/Bidibul Productions/Scope Pictures/France 2 Cinema
2020年06月18日婚活で約1000人の男性と出会い、年下夫を射止めたライター・かわむらあみりがお届けするコラム【結婚引き寄せ隊】連載第41回は、婚活していると出会う“男性”についてのエピソードです。なかでも、いまでも印象に残っている「婚活男性3選」その13をお届けします。1. 携帯電話を気にしすぎる男【結婚引き寄せ隊】vol. 41それは飲み会で知り合った男性と、初めてふたりでお茶をすることになったときのこと。IT関連の会社で働いているという、すらりとした長身のその男性は、待ち合わせの場所に早めに到着して、待っていてくれて好印象でした。ただ、お店に入る前にまずポケットから携帯を取り出したその男性は、何かをチェックしているのか画面を見たあと、席についてから自分の目の前に携帯を置きました。本来食事中は携帯電話を見ない、テーブルには置かないのがマナーだと思っていた私でしたが、仕事柄何かの連絡が入る場合は、携帯は欠かせないもの。そういった急ぎの案件でもあるのかもしれないと、とりあえず携帯のことは気にしないでいようと、そのままその男性と時間を過ごしていました。ですが、お茶を飲んでいる間も、ふたりで話している間も、チラチラと目の前の携帯を見る男性。正直、初めてふたりで会うというときに、断りもなしに携帯ばかり気にされていると、こちらのテンションも下がります。もう何度目?というぐらい携帯を何度もその男性がチラ見するので、思い切って、「仕事の電話が入るの?」とたずねると「あ、全然!」という返事。そのわりに携帯ばかり気にしていて、これはもうないな、と即座に心のシャッターを閉め、それからその男性とは疎遠に。仕事柄や緊急性のある連絡待ちがあるなら、まだ理解できるものの、ほぼ初対面の相手とデートするときに携帯を何度も見るのは、気がない証拠。もしただ単にクセだとしても節度がなく、人のふりみて我がふり直せじゃないですが、自分自身もうっかりマナー違反をしないよう、気をつけようと思ったのでした。2. 手をつなごうとしてくる男それはあるパーティでのこと。20代から30代の男女が集まり、みんなでおいしくごはんを食べるという趣旨の内容でした。一応“婚活パーティ”とは銘打っているものの、本気で結婚しようと思う人ばかりではなく、ちょっと恋活したいぐらいのノリの人も集まっているような感じの場所でした。受付順にグループ分けされて、男性3人、女性3人で、軽くごはんを食べながら飲んでいると、となりのグループのひとりの男性からの視線を感じました。ふとその視線のほうに振り向くと、20代であろう雰囲気の男性と、目が合いました。パーティが終わり、解散となったときに、目が合ったとなりのグループにいた男性が、「これからどこか行くんですか」と話しかけてきました。今日は帰宅することを伝えると、「じゃあ、駅まで一緒に帰りましょう!」と力強く言われ、それほど距離もなかったのでとりあえずふたりで駅に歩くと、なんか手が当たるなと思っていたらその次、がっつりと手をつなごうとしてきたのです。不意にパーソナルスペースにガッと入ってこられ、初対面のその男性に手をつながれそうになって、ゾッとした私は、もういいやと思い一気にダッシュしてサッサとひとりで電車に乗りました。その場のノリでくる男性は、同じようなノリの女性ならいいのでしょうが、真面目な結婚を目指していた私にはちょっと厳しいなと思ったのでした。3.「きれいな感じですね」という男それはある飲み会でのこと。30代の男女が集まり、仕事のことや趣味のことなどをざっくばらんに飲みながら話す、フレンドリーな場所でした。参加者はそれぞれ会社勤めの人ばかりで、飲み会だからといって気合を入れている服装の人もおらず、等身大で飲めるような雰囲気。はじめに隣りの席になった男性は、話していると「それにしてもきれいな感じですね」と、褒め言葉を口にし、ただのお世辞とはいえ悪い気はしません。ただ、その後、席替えをしてその男性の隣になった女性にも、同じく「きれいな感じですね」と褒め言葉が聞こえてきました。さらにその後も別の女性にも……。その男性の心のなかでは、“とりあえず女性を褒めておけ”というポリシーがあるようで、リップサービスがデフォルトだったのです。でも本心ではないため、きれいな“感じ”と必ずふんわりとした言葉……。結局その飲み会からは一組もカップルは誕生しませんでした。でもまあ、リップサービスでも、けなされるよりは褒められるほうがいいよね、と思ったのでした。婚活していると、思いがけずいろいろなタイプの人たちに会うこともあるかもしれません。くれぐれも、みなさんもお気をつけて、すてきな人を見つけてくださいね。©SolStock/Gettyimages©Mixmike/Gettyimages©PeopleImages/Gettyimages
2020年06月17日映画やドラマ漬けの生活を送っている人にとって、過去の名作をじっくり鑑賞するのというのは楽しみ方のひとつですが、いっぽうで新作を待ちわびるときのドキドキ感も何にも代えがたいもの。そんななか、話題のアニメ『泣きたい私は猫をかぶる』がいよいよNetflixにて全世界独占配信スタートとなります。そこで、本作についてこちらの方にお話をうかがいました。主演を務めた女優の志田未来さん!【映画、ときどき私】 vol. 303新進気鋭のアニメーションスタジオとして注目を集めている『スタジオコロリド』の最新作は、かぶると猫に姿を変えることができる不思議なお面を手にした中学生の少女とクラスメイトの少年との物語。劇中で志田さんは、「ムゲ」というあだ名で呼ばれている主人公・笹木美代の声を担当しています。今回は、アニメファンであり、『借りぐらしのアリエッティ』や『風立ちぬ』などでも声優を務めた経験のある志田さんに、作品の魅力や見どころについて語っていただきました。―まずは、脚本を読んだときの印象から教えてください。志田さんお面をつけて猫になり、好きな人に会いに行くというストーリーだけで、気持ちがワクワクしました。しかも、日常の風景がありつつ、ファンタジーな要素もあるので、すごくおもしろい作品になるだろうなと思いました。―演じられたムゲについては、いかがですか?志田さんすごく明るいけど、ちょっと空回りしている部分もあるのかな、と最初は感じました。でも、実は登場人物のなかで一番大人な考えを持っているキャラクター。想いを寄せる日之出に対する気持ちがまっすぐなところも、すごくステキだなと思います。―そんなムゲと志田さんの声は見事にリンクしていたと思いましたが、演じるうえで意識したのはどのあたりですか?志田さん収録の前に、1日リハの時間を作っていただいたので、そこで監督から「声を作りすぎないように」など、いろいろなアドバイスをいただけたのはよかったです。あとは、普段の私は声が低めなので、少し若々しい女の子の感じを出すように意識して演じました。いままでにない難しさを感じることもあった―今回は、ムゲが変身した猫の太郎のパートも演じられていますよね。これまで声優のお仕事をされたなかでも、動物の役は初めてだったのでは?志田さん台本をいただいたときは、まさか自分が声を入れるとは思ってもいなかったので、リハのときに、監督から「猫の声も練習してきてね」と言われて初めて知り、すごく驚きました(笑)。家でもかなり練習しましたが、かなりハードルは高かったです。―その際、何かを参考にして練習されたのですか?志田さん猫の映像を見たとかではなく、これまで声のお仕事をしたときと同じように、自分の声を録音して聞く、という方法で練習しました。とはいえ、最初に「ニャー」と言ったときは、緊張と恥ずかしさから、正直これでいいのかなと……。でも、監督から「いいね」と言っていただけたので、よかったです。―猫の声以外にも、苦労したシーンはありましたか?志田さんムゲが家族に対して感情を爆発させるシーンがあるんですけど、そこは「もう猫のままでもいいや」と思ってしまうきっかけであり、大切に演じなければいけない場面だったので特に難しかったです。声に感情を乗せるという意味でも、1人で感情を爆発させなければいけないという意味でも苦労しましたが、それを時間内に収めなければいけない難しさも同時にありました。何度か録り直したあと、最後は映像なしで自分の気持ちに向き合って録るという方法にも初めて挑戦したほどです。―これまで声優としていろいろな役を演じてきた志田さんでも、それほど苦労したシーンだったんですね。実際に完成した作品を見たときのお気持ちはどうでした?志田さん映像がとにかくきれいなので、どのシーンも印象的だなと感じました。そのなかでお気に入りを挙げるなら、日之出が太郎を抱きかかえるシーンで見せる崩れた笑顔。本当にステキで、すごく好きです。感謝や好きな気持ちを表すのは大切なこと―日之出くん、カッコイイですよね!ちなみに、日之出くんのようなタイプの男の子がもしクラスにいたら、気になりますか?志田さんなりますよね(笑)。日之出は大人びているように見えて、実はそうではなくて、いろんなことに葛藤があって迷っている子ですから。あと、ムゲに見せるクールな感じと、太郎に見せる優しい顔の表情にもギャップがあって、かわいいなと思います。―ただ、日之出くんのように、なかなか思っていることを口に出さない男性というのはどうですか?志田さん私は自分のことでいっぱいいっぱいですし、気持ちを察したりとかもあまりできないので、できれば口に出してほしいなと思います。やっぱり言葉にしないとわからないこともありますから。―そういう意味でも、この作品で思っていることを口に出すことの大事さを改めて感じましたか?志田さんそうですね。ムゲのように本当は違うのにマイナスの方向に受け止めてしまったり、自分のなかだけで考え込んでしまうこともありますが、感謝を伝えたり、好きだという気持ちを表すことの大切さを今回、改めて感じました。―ムゲも一見言いたいことを言えているようで、本当に言いたいことは言えない葛藤を抱えていました。志田さんは言いたいことは言えるタイプですか?志田さん私も中学生のときはムゲのように言えなくて、モヤモヤが自分のなかで募って、家族に当たってしまうこともありましたが、いまは結構言いたいことは言えてると思います。―年齢や経験を重ねたのもあると思いますが、そういうふうになれたきっかけはありますか?志田さん自分が思っていることを言ったことによって、必ずしも嫌われるわけではないと考えられるようになったことがきっかけだったかもしれません。学生のときはみんなからわがままだと思われるのが嫌で言えなかったんですけど、周りの人たちが自分に対してしっかりと愛を持って接してくれていることがわかったので、それからは自分の気持ちもきちんと出せるようになりました。家族や友達と話しているときに幸せを感じる―それはステキな気づきですね。ちなみに、学生時代はどんな子でしたか?志田さんムゲのようにやんちゃな子というよりも、わりと淡々と目の前のことをこなしていくような感じだったかなと。忙しかったのもありますが、おそらく自分のやりたいことがまだあまりわかっていなかったのかもしれないですね。そのあと学校を卒業して、学生という肩書に甘えられなくなってから、心境が変わったところはあったと思います。―なるほど。それでは、タイトルの『泣きたい私は猫をかぶる』にかけておうかがいしますが、志田さんが泣きたいときはどうやって乗り越えていますか?志田さん私は泣きたいときは、泣きますね(笑)。こんなに悲しくてつらいんだというのを誰かにわかってもらいたい気持ちがあるので、家族の前で泣くことはあります。―それを家族が受け止めてくれることで、嫌な気持ちも解消されるんですね。志田さんそうですね。もともとすごく泣き虫だというのもありますが、誰かにわかってもらえて、言葉をかけてもらえれば安心できますし、それによって周りに支えられていると感じられて、自分自身の気持ちを持ち上げることもできるので、あまりひとりで抱え込んだりはしないです。―では、ムゲのようにお面で何かになれるとしたら、何になりたい?志田さんいまは鳥になって空を飛びたいです。自由に動き回りたいので(笑)。―確かに、空なら何の心配もないので鳥はいいですね!そんなふうに、こういう状況だからこそ、心境の変化があると思いますが、いま一番幸せを感じる瞬間は?志田さんなかなか会えない家族や友達とテレビ電話をしているときに感じます。これまでは、必要なことがあるときに連絡するのが多かったですが、最近は今日あったことを話したり、近況報告をしたり。そういうことを言い合えることが幸せですし、目の前にはいなくても、つながっている感じがするのもいいですよね。家にいる時間で自分を知ることができた―そうですね。そのほかに、ストレスが溜まったときにしていることといえば何でしょうか?志田さんあまりストレスは溜めないほうなのですが、天気のいい日にベランダに椅子とテーブルを置いて、外でご飯を食べて、カフェのテラス席にいるような気分を味わったりしていました。そういうことが、もしかしたらストレス解消につながっているのかもしれないです。―体を動かすのもお好きだそうですが、健康のために心がけていることはありますか?志田さん友達がトレーナーをしていて、筋トレメニューを送ってくれたので、それを一生懸命黙々とひとりでこなしています(笑)。そうすると、けっこう汗をかきますし、家の中にいても運動している感覚にはなりました。―運動は大事ですよね。新たに始めたことやハマっていることもあれば、教えていただきたいです。志田さん掃除を念入りにするようになりました。いままで手行き届かなかったぶん、意外と汚れてるところがあったので……。おかげで家がすごくきれいになって、居心地もよくなりました。あとは、いままでまったくしてこなかったお菓子作りを始めました。ケーキやクッキーを焼いたりしていますが、いつかオシャレなお菓子を作れたらいいなと思うので、もう少し極めてみようかなと。そんなふうにいままでできなかったこともできるようになったという意味では、自分を知れる時間になったと感じています。多くの人の癒しとなる作品であってほしい―それでは最後に、作品を楽しみにしている方々へ向けてメッセージをお願いします。志田さん今回は劇場での公開が延期になり、Netflixでの独占配信となりましたが、映画は観てくださる方がいてはじめて完成するので、もともとの公開日に近い日程でみなさんにお届けできることをうれしく感じています。しかも、日本だけでなく全世界での配信。海を越えてひとりでも多くの方にご覧いただけるのは、光栄なことでもあります。人と人とのつながりや人の優しさ、愛といったことについて描いているので、みなさんにとって癒しになればいいなと思いますし、大切な方と一緒に観ていただきたい作品です。あとは、映像のきれいさとムゲが猫になったときのかわいさも、ぜひ楽しんでください。インタビューを終えてみて……。癒し系の笑顔が印象的で、どんな質問も気さくに答えてくださる志田さん。今回苦労したという猫の声は、誰もがキュンとしてしまう悶絶級のかわいさです。さすが志田さんと言わずにはいられないほど、はつらつとしたムゲの声とのギャップとともに、ぜひ注目してみてください。日常生活で沸き起こる感情に共感!思春期だけでなく、大人になっても、泣きたいときやすべてを投げ出したくなってしまうときはあるもの。そんなときにこそ、自分に素直になって、相手に気持ちを伝える大切さを教えてくれる本作は、きっと新たな一歩を踏み出す勇気を与えてくれるはずです。ストーリーいつも明るくて、陽気な中学二年生の美代。空気を読まない言動で周囲を驚かせ、クラスメイトからは「ムゲ(無限大謎人間)」というあだ名で呼ばれていたが、実は周りに気を使い、自分の感情を抑えて日々を過ごしていた。そんなムゲが、熱烈に想いを寄せるのは、クラスメイトの日之出賢人。毎日果敢にアタックをするも、まったく相手にしてもらえないままだった。ところが、ムゲにはある秘密があった。それは、かぶると猫に姿を変えることができるというお面で猫の太郎となり、日之出の家に通っていること。そんな生活を楽しんでいたムゲだったが、徐々に猫と自分との境界があいまいになってしまうことに……。引き込まれる予告編はこちら!作品情報Netflixアニメ映画『泣きたい私は猫をかぶる』6月18日(木)より、Netflixにて全世界独占配信出演:志田未来花江夏樹小木博明山寺宏一監督:佐藤順一、柴山智隆脚本:岡田麿里企画:ツインエンジン制作:スタジオコロリド製作:「泣きたい私は猫をかぶる」製作委員© 2020 「泣きたい私は猫をかぶる」製作委員会
2020年06月17日ベルリンに住むファッションジャーナリスト平野秀美さんが、ロックダウン中にロンドンからベルリンに帰宅した、貴重な体験の現地レポートです。2020年5月末に、ロンドンからベルリンへ。私は現在ドイツのベルリンに住んでいますが、家族に会いにロンドンを訪れた後にロックダウンとなり、そのまま3月からロンドン生活を体験することになりました。ビザの関係で3か月以内にベルリンに戻る必要があったため、5月末にロンドンからベルリンに戻りました。その際の移動レポートです。ロンドンの中心地・リバプールストリート駅付近もガラガラのロックダウン期間ロンドンには約3か月程滞在していましたが、本当にこの3か月間は人がほとんどいないロンドンを体験しました。中心地を離れると、ロックダウン期間であっても食材などのお買い物はできたため、人気(ひとけ)はありました。しかしロンドン中心地ではお店も閉まり、住んでいる人もほとんどおらず、ゴーストタウン化していました。実は3か月滞在の間、滞在していた家族のお家が引っ越しをしなければならず、ゾーン2というエリア(中心地から30分程離れた場所)から、中心地に引っ越してきました。ロックダウン期間中でも一応引っ越しは許可されています。見学はNGなので、お家探しは完全インターネットで、大家やエージェンシーが写真と動画を送ってくれる流れでの契約でした。また、この時期は中心地に住んでいた世界各国から来ていた学生や、仕事で訪れていた人たちが次々と帰国してしまったため、中心地の家賃が20%~30%程安くなっていました。駅前には、こんな注意書きが!空港に行くためにリバプールストリート駅に行くと、駅前にはこんな注意書きがありました。本当にお出かけが必要か、移動する際の注意事項などが書かれています。リバプールストリート駅は人が少ない朝ということもありますが、やはり構内は人が少ないです。通常、普通に歩くことが難しいほど人がぎっしりいる駅です。信じられません。電車も少なめにはなっていますが、空港までの電車は20分に1本の間隔でありました。通常とそれほど変わらない印象です。ロンドンからベルリンへは、今回はスタンステッド空港から!私がベルリンへ帰国する5月末頃は、ライアンエアー (Ryanair)が3日に1便のみとかなり少ない状態で、空港に到着するとやはり人は少なめ。それでも人は全くいないわけではない感じでした。ロンドンからベルリンへ、ライアンエアーを使用する際は、今回に限らずビザチェックをする必要があります。今回は、普段のような簡単なチェックではなく「なぜベルリンに行くのか」などを詳しく聞かれました。また、5月頭に飛行機のチケットを買う際は、購入前にVISAやIDの番号を入力する必要がありました。これは、今までに見られなかったことです。当時の段階では、必要な移動のみが許可され、旅行や気軽な移動はできない状態でした。ドイツへの入国はドイツ人、またはEUでドイツに行かなければならない理由がある人、または仕事で入国する必要がある人、またはドイツに住んでいる人のみが入国許可されていたようです。この用紙に滞在先などを記入する必要があります私が利用したライアンエアーのみか、それとも全ての飛行機や入国する人が対象なのかは不明ではありますが、今まで記入したことのない、この用紙を必ず印刷し、記入する必要がありました。メールで1日前に印刷するようにメッセージが来たのですが、私は飛行機に乗る直前に配ってくれていたものを使用しました。記入した用紙は、飛行機を降りる際に必要です。また、写真に写っているビニールの手袋は、荷物検査前のチケットをスキャンする段階で、ひとりひとりに渡されました。手袋は、飛行機に乗る前から降りるまで使用するので、持っておくことが必要でした。また、ロンドンのどこの空港も、荷物検査は本当に長蛇の列なのですが、この時は私しかいませんでした。本当にこんなことがあるなんて驚きしかないです。空港内を見渡しても人がいない、お店も閉まってる!たまに人を見かける程度で、ほとんど人がいません。お店も開いていないのと、私が保有しているプライオリティーパス(Priority Pass)を使用できるラウンジ(Lounge)に行ってみましたが、もちろん閉まっておりました。当然ですよね。どこからこんなに人が現れた!?ベルリン行きの飛行機はすごい人!どこを見渡してもほとんど人がいなかったのですが、ゲートに向かうと、ベルリン行きのゲートの前には行列ができていました。こちらの写真は飛行機に乗る手前の段階。けっこうな人数ですが、私はこれでも前のほうに並んでいました。飛行機内もけっこう埋まっているロンドンはまだまだロックダウン期間中だったため、できるだけ移動をしないよう注意をされていましたが、ビザの期限があるため、ベルリンに戻る必要があり、今回飛行機に乗ることにしました。機内はガラガラかと予想していましたが、まさかの半分以上が埋まっている状態に、みんなが驚いていました。マスクは必須で手袋も機内に入っても必要でした。機内食販売などはなかったと思います(朝早くて機内では寝てしまって…)。まず飛行機を降りると警察が待機さて、今までにはない経験でしたが、飛行機を降りると、複数の警察官(polizeiと書いてあったので警察かと思われます)がパスポート、ID、重要な書類をしっかりとチェックしていきます。私の場合は、ビザを見せて問題なく通過です。またバスに乗って入国審査のあるところまでいくとき、本来バスも満員になるまで乗せますが、今回は15人程乗って次のバスを待つという感じで、できるだけ密集しないように気を遣っていました。が、降りたそこはもう密集地帯…。ロンドンで絶対2mの距離を取っていた生活から、突然数センチ間隔の列で待つことが、少し違和感を感じてしまいました。一応2m間隔でと記載はされているものの狭い入国審査で2m間隔で並んでいたらどんだけ行列になってしまうか。そのため、みんな密集して並んでいました。入国はビザがある人やドイツ人、理由がある人はすんなりできますし、逆に当時は理由がない限りチケットを購入できないので、入国審査は比較的早く進んでいた印象でした。その後のベルリン生活は、2週間はアイソレーション!空港からは友人にお願いし、自宅まで送ってもらい、2週間の隔離期間には同居人に食材を買ってもらって生活をしていました。2週間後、外の世界に出てみると、そこはもう別世界!ロンドンのロックダウン期間中のゴーストタウンとは打って変わり、ここベルリンは、全く何もなかったかのように、人々が普通に暮らしています。ベルリンの中心に流れているカナルには、多くの人がボートに乗っています。2m以上の距離を離れてそれでいて楽しめるなんて、ちょうどいいアクティビティですよね!今後はどんな生活が待っている!?ベルリンに戻ってきて3週間、ここは公共施設などはマスク必須ですが、それ以外では自由。ただし、クラブなどはまだオープンしておらず、バーも23時には締めなければならないという規制が引かれていますが、徐々に解除されていくと思われます。また、ロンドンも6月15日から一部のショップがオープンし、大行列で並んでいる人たちをインターネットで見ました。アウトレットなども再開し、大勢の人が並んでいたようです。まだまだコロナの影響は消えてはいませんが、徐々にもとの生活のように活気が戻りつつあります。とは言え、以前の生活とは違う点もあり、今後の生活は柔軟に対応する必要がありそうです。また、今後も海外の生活レポートをお伝えいたします。
2020年06月17日梅雨の時期に活躍するレインブーツ。最近は、ブーツよりも晴雨対応のシューズが通年使えると人気ですが、それでも1足は持っておいたほうが便利!しかし、レインブーツに合わせたお洋服の着こなしって……難しくありませんか?ブーツのフォルムによっては野暮ったく見えるなど、着こなしの正解がわかりにくいアイテムです。そこで今回は、ダサ見えを回避するレインブーツコーデをご紹介します。イラスト・角佑宇子ロングブーツ×フレアスカートかつてロングブーツが主流だった頃は、パンツをブーツインするコーディネイトが多かったですが、今は丈の長いフレアスカートにロングブーツを組み合わせるスタイルが人気となっています。もちろん、パンツ×ロングブーツの組み合わせも定番といえば定番なので、今取り入れていても問題はありませんよ!より、最新のスタイルを意識したい場合は鮮やかな色のフレアスカートにロングブーツでクラシカルに着こなしてみましょう。トップスはサマーニットやプルオーバーでシンプルなものを選んで。また、雨の日は冷えやすいのでデニムジャケットなどでしっかり防寒対策を。ボトムスにボリュームが出るため、ジャケットはショート丈のほうがバランスが取れてスタイルアップにつながります。ショートブーツ×アンクルパンツレインブーツ然り、ここ何年もロングブーツよりショートブーツを取り入れている方が非常に多いです。お洋服のトレンド自体がロング丈でゆったりしたシルエットがほとんどなので靴は必然的にコンパクトでミニマルなデザインを求められているのかもしれません。さて、そんなショートブーツですがここはあえてアンクル丈のパンツを組み合わせるのが周りと差をつけるオシャレな着こなし。スカートを組み合わせるのも悪くはないのですが、凡庸なコーデという印象があります。それよりは、カットオフデニムに黒のレインブーツを組み合わせたマニッシュコーデや黒パンツに黒のショートブーツを合わせたモードスタイルだと洗練された印象になりますよ。レインシューズはどうしても見た目にボリュームが出やすいので色は控えめにするほうが取り入れやすいです。雨の日でもオシャレに自信を持って梅雨のジメジメも、雨でお気に入りのお洋服が濡れるのも嫌ですけれど、それでもオシャレはやっぱり楽しみたいですよね。季節に合わせていろいろな着こなしに挑戦できると思えば、雨の日の憂うつ気分も吹き飛ぶかも!?まずはオシャレをしたくなるような、素敵なレインブーツを探してみてくださいね。
2020年06月14日ジメジメと気分が沈みがちな梅雨。雨で服が濡れたり、ボトムスに泥が跳ねたり……。お洋服はいつも以上に気を使わないといけないのが嫌ですよね。完全防備!とまではいかずとも、せめて水濡れ、汚れが気にならなないストレスフリーなボトムスを選びたいところ。今回は、そんな雨の日に最適なボトムスの選び方についてご紹介します。イラスト・角佑宇子ネイビーor黒のアンクル丈パンツ雨の日は足を冷やさないようにとフルレングスのパンツを選びがちですが、実はその反対でフルレングスパンツはあまりおすすめできません。というのも、フルレングスだと裾の水濡れはどうしても避けられないうえに、裾が乾くまで時間がかかり逆に足が冷えてしまいやすいのです。その点、アンクル丈パンツであれば丈が短いので裾の水濡れを防ぎますし、足首自体が濡れてもタオルで拭けば余計な冷えを起こしません。素材は滑らかな手触りのポリエステルがお洗濯もしやすくおすすめ。色は黒やネイビーだと泥ハネも目立ちにくいです。一見、避けてしまう真っ白なパンツも意外にOK。泥ハネは目立ちますが、色物の服と違って漂白剤が使えるのでお手入れに面倒さがないです。雨の日のスタメン服の1つにぜひ。ナイロンタフタの柄スカート外出時に思わぬ泥ハネをしてしまっても気にならないのアイテムといえば、やはり柄スカート。柄のおかげで汚れが目立ちにくいので、無地のスカートを取り入れるより安心です。ただし、注意したいのは素材。できれば撥水加工のある素材でかつお洗濯にも強い素材が良いでしょう。そうした点を兼ね備えているのが「ナイロンタフタ」という素材です。ナイロンタフタはナイロン素材なので、雨に非常に強いです。かつタフタという織り方は光沢が上品でかつ薄くて軽い。スカートとして取り入れるのに申し分のない素材なのです。雨に強い素材の柄スカートとしてぜひ「ナイロンタフタ」で検索をかけてみてください。たくさんのアイテムが出てきますのでご参考までに!ボトムス選びに気をつけて!逆に多くの方が雨の日に良さそうと思って失敗してしまうアイテムが、シフォンやチュール素材といった薄くて柔らかい素材のボトムス。サテンスカートも同様におすすめしません。これらはナイロンタフタと違って撥水加工がなければ、水がすぐに染みます。かつ薄い素材なので肌にぺったりとくっついてしまうので体が冷えやすくなるので気をつけましょう。このほか、色移りの激しい濃い色のアイテムも失敗を招きやすいので気をつけましょう。雨の日を快適に過ごすために水に強い素材をぜひ選んでくださいね。
2020年06月13日現在ロンドン在住のファッションジャーナリスト、平野秀美さんから、2020年夏のスタイル、ファッショントレンドレポートです。今回は、梅雨が明ける前にチェックしておきたい、夏の大人おしゃれなサマースタイルを、ファッショニスタのファッションテクニックとともに紹介します。ショートパンツにジャケットは、今年の大人おしゃれの代表スタイル!日本の夏はとにかく暑い!ヨーロッパよりも本当にムシムシした感じがしてとにかく暑いので、ショートパンツは日本では超おすすめです。しかしショートパンツと言えば、若い子が着るズボンという印象も否めませんが…。実は、ヨーロッパでは中途半端ショート丈などがとっても人気。またスニーカーでカッコよく着こなしたり、サンダルで上品に着こなしてもオッケー!このスナップのように、さらに涼しげなジャケットをトップに持ってくると、落ち着いた大人のサマースタイルに変身!定番中の定番!Tシャツにデニムボトムスセレブやインフルエンサー、モデルだって、やっぱり一番手っ取り早く、気軽に着こなせちゃうTシャツやデニムズボン、スカートは大好き!小物で自分らしさを出してもよし、シンプルにさらっと着こなしてもよし。ただし注意すべきは、Tシャツはインすること。外に出してしまうと、だらしない印象になるので、そこだけは注意して!淡いピンクカラーは、女子力アップ&涼しげな印象に今年も人気になるであろう淡いピンクカラー。女性にも人気ですし男性にも人気。ただピンクだからとかわいさをアピールしすぎるのは逆効果。ピンクにざっくりとしたハットや、スニーカー、緩くカジュアルなヘアスタイルを合わせて、印象をかわいすぎないようにするのもポイントです。全身ホワイト&真っ赤なリップで大人の魅力全開!こんな大人になりたい…と思える上品なデキる女性のスタイル。夏は真っ白またはアイボリーのワンピースに真っ赤なリップで凛々しい女性のスタイルを着こなしてみたいですね!やっぱりこの組み合わせも好き!ブラック&ホワイトインフルエンサーの中でも人気のブラックとホワイトの上下の組み合わせ。白黒はっきりしているので、ポイントカラーは不要。こちらもトップスはインするか、またはショート丈のトップスで全体をスタイリッシュに見せています。やっぱり見逃せない!大人の柄オールインワンは今年注目!なかなかオールインワンを着る機会がないかもしれませんが、ヨーロッパでは柄ものオールインワンはとっても人気。特に夏はデニムよりもシルクや麻、コットン系が人気のよう。柄は自分が好きなものでオッケー!サングラスで外国風セレブのような着こなしで、今年の夏はエンジョイしたいです。今年注目の、夏にまねしたい着こなし11選をご紹介しました。彼女たちのように、さっぱりとスタイリッシュな大人おしゃれを楽しんでくださいね。
2020年06月13日現在ロンドン在住のファッションジャーナリスト、平野秀美さんから、ロックダウンが徐々に解除されつつある6月のロンドンの様子が届きました。イギリスでは6月1日より徐々に人と会うことが許されてきていますが、完全にロックダウン解除というわけではないようです。そのため、中心街に人は戻りつつありますが、以前のロンドンとは比べものにならないほど、まだまだ人が少ない状況です。また、今後旅行に関しても許されますが、イギリスに入国してから14日間はアイソレーション( Isolation)をしなければならず、旅行業界は困難な状態が続きそうです。それでは、そんなロンドンの今をご紹介しましょう。まずは、ある変化が起きたウォールアートから。ステイポジティブ!NHSに感謝するロンドン観光地のイラストNHS (National Health Service) とは、イギリス政府が運営する国民保険サービスで、基本的に税収によって賄われており、支払い能力にかかわらずほぼ無料で利用可能です。もともと人材が少ないと言われているなか、このコロナ禍でNHSで働く人たちは国民のために休まず働いているヒーローとなっています。毎週木曜20時にはイギリス中で拍手をし、NHSへの感謝の気持ちを表しています。スーパーやホテルや宿、バスなど、ありとあらゆるサービスがこの期間にNHSへの優先時間を設けたり、割引きや無料で提供したりしていました。ウォールアートも、ロンドンの至るところでNHSへの感謝のコメントを見かけるようになりました。ステイストロング!みんなに勇気を与えるメッセージ最近のウォールアートでは、マスクをしているイラストを本当によく見かけます。またイラストだけではなく、添えてあるメッセージも、見る人々に勇気を与えてくれます。「Stay Strong」「Stay positive」など、今もなお自由な生活を制限されているイギリスですが、ひとりひとりに伝わる強いメッセージが印象的です。ゴリラズのキャラクターがインパクト大!イギリスを代表するミュージシャン『ゴリラズ 』( Gorillaz)のキャラクターがピースをするインパクトあるイラスト。街に人はそれほどいませんが、『ゴリラズ』ファンの私は思わず嬉しくなるウォールアート。Tシャツにメッセージが書かれており、今ではよく聞くIsolationという単語も使用されています。ロンドン中心地のリバプールストリート駅続いては、かつて毎日混雑していたリバプールストリート駅の様子です。ロンドンを訪れたことのある人であれば、一度は通っている可能性が高い、中心地の駅です。5月末の写真ではありますが、電光掲示板の時刻表を見ている人たちはまばら。床には2m範囲で立つようにと、丸いマークが描かれています。スターバックスの前にはしっかり2m間隔のマークが!こちらはスタバ前の道路です。撮影当時はオープンしておりませんでしたが、カフェの前で待つ人のために、チョークで書かれた2mの範囲のマーク。とてもわかりやすくてこういうのは助かりますよね。最後に…金融街も街は本当に人がいない!最後は、人通りのない金融街です。学校も再開するなど、以前の生活に向けての準備が少しずつ進められていますが、知り合いの勤める会社は、来年までオフィスはオープンしないと宣言していますし、弁護士事務所もメールでの対応で各自処理できているようです。これらのことから、以前の生活に少しずつ戻ることを楽しみにしているいっぽうで、今までとは異なる新しい社会生活も準備しているように感じます。もうしばらく続く我慢の先に、どんな日常が待っているのか、思いを馳せながら日々を過ごしたいと思います。
2020年06月11日