引きガラスを開けると、甘く香ばしい香りに包まれました。東京都国立市に2016年6月にオープンした「BORTON(ボートン)」は、焼き菓子好きの間ではやくも評判で、千葉や大阪から足を運ぶ方もいるほどです。 BORTONは、楽しく暮らすことが好きな、若いご夫婦が営む焼き菓子屋です。1年前までは福岡に住み、東京で焼き菓子屋を始めたいと、あちこち周って出会ったがこの国立市という場所。おふたりにとって縁もゆかりもなかった土地でしたが、駅を降りたときに感じたゆるやかな街の空気感や商店街があることなどが好ましく迷わず決めたそうです。 ご主人がお菓子を焼き、サービスと店内のディスプレイは奥さまの担当で、アンティーク小物や絵本、ドライフラワーなどが上手に使われ、親しい方の家に招かれたような内装は、落ち着きます。 「BORTONのお菓子は、材料、鮮度、季節感を大事にしています。自慢はパイです。パイがおいしいお菓子屋になりたいと思ったのは、初めてパイを作った時でした。初めて作ったパイは大きくて、今まで自分が作ったどの焼き菓子よりもおいしく感じました。パイ生地はとても繊細で扱いにくく、温度にも左右されやすく、なかなか言うことを聞いてくれません。だからこそ、おもしろさがあり、日々作り続けたいと思うのです」と店主の石川大輔さん。石川さんの作るパイは、九州産、北海道産、フランス産の小麦粉を使用したオリジナルブレンドの生地に厳選した素材で作ったフィリングを詰めて、毎日1時間かけて焼き上げているそう。生地自体の味とサクサクとした食感にこだわっています。美しい光沢と何層にも重ねる繊細なパイはさくっと口の中でほどけ、ほどよい甘さに煮たりんごと、バターのリッチな風味&味わいに小さな幸せを感じます。 苺 とちおとめ&フランボワーズのタルトはザクッとして香ばしく、甘さと酸味のバランスが絶妙です。フルーツは除草剤を使わず、安全な果物を育てている福岡県の「いわくま果樹園」のもの。おふたりが九州に住んでいた時に出会った、信頼できておいしいと思える素材を使っているのもこだわりです。 コーヒー本来の酸味が味わえ、焼き菓子にとても良く合うのは、大分県耶馬渓にある「豆岳珈琲」のほし草ブレンド。 国立市は都心からちょっと離れていますが、雑貨店や飲食店など店主の個性が光る店が多いのが魅力で、わざわざでも出かけたい場所です。焼きたてのお菓子のじんわりとしたおいしさを教えてくれるBORTONは、はずせない新しい国立の顔です。BORTON東京都国立市西2-9-74-B1F11:00~18:00日・月・祝日定休Instagram: @kashiyaborton Facebook:
2016年12月18日