JR高円寺駅北口ロータリーを右側に進み、1分もしない内にたどり着く『BnA HOTEL Koenji』。ここの客室は、アートの中に宿泊者が入りこめるインスタントレーション作品となっています。ホテルの1階、チェックインカウンター兼バー「フロントデスク」の壁に飾られているのも、もちろんアート作品!夜19時からは『Bar Front Desk』に変わるので、地元アーティストと会話をし、作品を鑑賞しながらお酒を飲むなんて贅沢な時間を過ごすことができます。 というのもBnAが目指すのは、アーティストや地元の人々、そして旅行者が交流できる場所の提供です。昔でいうサロンのような、コミュニケーションを循環させることで日本のアートシーンを盛り上げようとしています。1階だけでも情報がもりだくさんの高円寺ホテルですが、どのような客室になっているのでしょうか? ■日本狼が駆け抜ける部屋高橋洋平「Into the foreign」まずはライブぺインター・高橋洋平さんが手掛ける、2階の部屋。扉を開けると、暗い森のような雰囲気に包まれます。ウッドの床の上を寝室に向かって進むと…視界が開け、颯爽感が突き抜けます。部屋の奥に向かって駆け抜けるのは、日本狼。鮮やかな色彩によって描かれた狼は部屋の反対側から見てみると、走り抜けていきそうな躍動感です!じっくり作品を見ていると日本狼たちはそれぞれ表情が違い、ときにはまるで人間のような表情を浮かべていて、もうたまりません。夜、間接照明だけを灯すと狼たちが浮かび上がり、昼とはまた違った、日本狼特有の神秘性をも感じられます。 ベッドサイドテーブルには、焚火を模した照明も。 もうしまいには狼が愛おしくなり、壁画にべったり張り付きたくなってしまうのですが、これはれっきとしたアーティスト渾身の作品。じっと見つめ、作品との対話を図ってみてください。 ■アートの一部に取り込まれる部屋Ryuichi Ogino「Ten」続いては3階。2階とは全く異なる、ヴィヴィットイエローが入口から出迎えてくれます。寝室はアーティスト Ryuichi Oginoさんの世界観が十二分に感じられるような、グラフィカルな作品となっていました。先ほどの日本狼の部屋が作品の世界観に引き込まれるものだとしたら、こちらの部屋はまるで自分がアートの一部として取り込まれそうな感覚に。実はこの作品は、抽象画のようにきちんと図と地、つまりモチーフと背景が隠されているのです。壁や照明のイエローをベースに、黒と白のジグザグもしくはグルグルの文様が図として配置され、ランダムのようで統率のある空間となっていて、目に心地よささえ与えてくれます。 クッションや、フットカバー、そしてカーペットまでも!美的ルールが守られており、これがホテルの一室ではなく、アート作品なのだと改めて実感できます。 そして注目がベッドの後ろにある壁掛けの装飾です。左が「男性」、右が「女性」のシンボルを、そして真ん中のジグザグが「交わり」を表現してしまったのだとか。ちょっぴり、WOW!なエピソードです。 ■アートをもっと身近に「壁画の街」へと変わっていく高円寺二部屋は、どちらもシングルベッドが2台ついた2名用客室。宿泊費用は、時期によって13,000~20,000円ほどとシティホテルとあまり変わらないのも魅力ですね。 地方、海外だけでなく関東近郊の人にもこの高円寺のホテルをおすすめしたい理由は、BnAが近年手掛けるプロジェクトにあります。KMCP#1 by NIGAMUSHI 2016年10月よりスタートしたパブリックアートプロジェクトでは、外国に比べてストリートアートの少ない日本に、ランドマークとなる壁画を制作しています。高円寺では、杉並区、商店街、地元のビルオーナーと協力して、既に5枚ほど壁画を制作済み!今後も数を増やしていき、高円寺を日本発の壁画の街(Mural City)にしていこうというのです。 まるでニューヨークのチェルシーのような、香川県の直島のようなアート街が、東京の高円寺に誕生するなんてワクワクしませんか。 しかも『BnA HOTEL Koenji』の地下のフロアでは、毎月国内外のアーティストを招待して、作品制作から展示までが行われるアーティスト・レジデンシーが実施されています。ということは、毎月ふらりと高円寺に訪れても、「今」を感じられるアートに触れることができるのです! KMCP#4 by WHOLE9 アートの街へと変わっていく、高円寺。その大きな渦の中心にいる『BnA HOTEL Koenji』で、東京のアートシーンに参加してみませんか。 BnA HOTEL Koenji City
2018年04月08日