また、自社ECサイト「STRIPE CLUB」では、12月1日(金)より予約販売を実施しています。オケージョンはもちろん、通勤コーデや日常のワードローブにも映える7アイテム30〜40代女性のユーザーを中心とするGreen Parksでは、卒入園を控えるママ向けアイテムのニーズに応えるべく、品質・シルエット・洗練されたエレガントなデザインで定評がある「ef-de formal」の、特別なオケージョンアイテムを今年の春に販売。ママ層を中心に多くのユーザーから好評を得て今回、第2弾のコラボが決定しました。第2弾では大切な“ハレの日”はもちろん、通勤や日常のワードローブとしても使いやすい、洗練された7アイテムを展開します。今回のコラボでは、品質やデザインのクオリティはもちろん、Green Parksだからこそ提供できる求めやすい価格で用意。オケージョン需要で人気の高いツイード調のノーカラージャケットは、ダーツ切り替えでウエストラインをすっきりさせたコンパクトシルエット。フォーマルな場面においてリッチな雰囲気に仕上げてくれるアイテムです。セットアップでも着用できるカラーレスジャケットとテーパードパンツは、前回から「より女性らしいシルエット」にアップデート。ストレッチ素材を使用し、シルエットにこだわりながらも動きやすさも重視したアイテムとなります。そのほか、1枚で着映えするワンピースや体型カバーもできるブラウス、オンオフともに活躍するプリーツスカートなど、洗練された大人アイテムをラインアップしています。大切な日はもちろん、日常を華やかさをプラスしてくれる「ef-de formal」のGreen Parks限定コレクション。この機会にぜひ、楽しんでみてはいかがでしょうか。Green Parks 「ef-de formal」限定コレクション 商品詳細・「ef-de formal ツイード調ノーカラージャケット」価格:8,490円サイズ:M/Lカラー:OffWhite/Navyクルーネックのツイード調ジャケット。ダーツ切り替えでウエストラインをすっきりさせたコンパクトシルエット。パンツスタイル、スカートスタイル、ワンピーススタイルにも合わせやすく、フォーマルな場面においてリッチな雰囲気に仕上げてくれるアイテムです。・「ef-de formal フィット&フレアワンピース」価格:7,990円サイズ:M/Lカラー:GrayBeige/DarkNavyフィット&フレアーシルエットのクラシックなワンピース。7分袖のフレアーシルエットが上品です。セットインでジャケットも羽織りやすく、ウエスト切り替え位置を高めに設定し、スタイルアップ効果もあり。・「ef-de formal ペプラムブラウス」価格:5,490円サイズ:M/Lカラー:GrayBeige/DarkNavyボリューム袖がポイントのペプラムシルエットブラウス。シルエットがキレイにでる中肉のジョーゼット素材を使用。ラウンドを付けたウエストの切り替えラインは、ウエストをシェイプ&ヒップを隠してくれるスタイルアップ効果も。・「ef-de formal カラーレスジャケット」価格:7,990円サイズ:S/M/Lカラー:GrayBeige/DarkNavyカラーレスタイプのジャケット。きちんと感があり、かつかしこまりすぎない、上品な衿元デザイン。ウエスト周りは切り替えを入れる事でラインをすっきりさせた女性らしいシルエットに。・「ef-de formal タックテーパードパンツ」価格:5,990円サイズ:S/M/Lカラー:GrayBeige/DarkNavyタック入りのテーパードパンツ。股上を深めに設定し、ウエストタックを入れることで気になる腰回りをカバー。また、センタープレスで縦のラインを強調し、スタイルアップ効果のあるテーパードパンツに仕上げています。・「ef-de formal レースクルーネックブラウス」価格:4,990円サイズ:M/Lカラー:Ivory/DarkNavy生地レースを使用したクルーネックのブラウス。生地感を生かしたシンプルなデザインは、合わせやすくかつコーディネートに華やかさをプラスしてくれます。ヒップ周りをカバーしてくれる程よい長さのある丈感で仕上げました。・「ef-de formal プリーツスカート」価格:5,990円サイズ:M/Lカラー:Sax/DarkNavy柔らかいジョーゼット素材を使用したプリーツスカート。ウエストにギャザーをプラスすることで、気になる腰回りをカバー、裾にかけてプリーツを消し、ふんわりとしたエレガントなシルエットに。Green Parks 「ef-de formal」限定コレクション 販売概要発売日 :2024年2月2日(金)EC先行予約日時:2023年12月1日(金)販売場所:全国のGreen Parks店舗、自社ECサイト「STRIPE CLUB」( )、ZOZOTOWNストライプインターナショナル(マイナビ子育て編集部)
2023年12月04日グリーン パークス(Green Parks)から、絵本作家ディック・ブルーナの「ミッフィー」とコラボレーションしたボアアイテムが登場。2023年8月10日(木)に、全国グリーン パークス店舗にて発売される。「ミッフィー」“ふわふわ”ボア素材のコラボレーションアイテムグリーン パークスの中でも人気の高い、「ミッフィー」のコラボレーションコレクションに、“ふわふわ”のボア素材を使用した新作「リラックス」シリーズが仲間入り。注目は、バッグ全体をミッフィーのフェイスに見立てたトートバッグ。ハンドル部分は、ミッフィーの耳のように“つん”と上に伸びる、ユニークな構造となっている。カラーはオフホワイトとピンクの2色を用意。まっ白なオフホワイトに、ミッフィーの刺繍をあしらった“ふわふわ”スマホショルダーは、秋コーデにぴったりのアイテム。また同じくボア素材で仕上げたポーチには、ラウンド型とスクエア型の全2種がラインナップする。新作「アクティブ」シリーズもそのほかグリーン パークスからは、お出かけに映える「アクティブ」シリーズも同時発売。袖口にミッフィーのプリントを加えたロング丈Tシャツや、カラフルな色合いの巾着、おばけミッフィーを主役にしたニットバッグなどが展開される。【詳細】グリーン パークス「リラックス」シリーズ発売日:2023年8月10日(木) ※EC サイトは12 00展開:全国グリーン パークス店舗、自社EC サイト「ストライプ クラブ」※EC先行予約日時は、8月4日(金)12:00~。予約分が無くなり次第終了。アイテム例:・ボアフェイスバッグ 4,990円・ボアラウンドポーチ 2,990円・ボアスクエアポーチ 2,490円・ボアスマホショルダー 3,490円■アクティブシリーズ ※同時発売・袖プリントロンT(フリーサイズ) 4,990円・きんちゃく 1,999円・ジャガードニットバッグ 4,490円※本商品は、株式会社ディック・ブルーナ・ジャパンとの商品化契約に基づき、株式会社グレイスが企画・製造したもの。
2023年08月07日Chap演じる実は繊細な心を持つ御曹司×Green演じる腕の良いテーラーの恋を描くタイBLドラマ「THE TUXEDO」のBlu-ray発売が決定いたしました!2023年7月26日18時よりAmazonにて予約開始いたします!(C)Q Power Public Media Co.,Ltd (C)Rock Imaging International Co., Limited Distribute■ ■予約・販売ページ ■ ■トレーラー動画1: ■ ■Blu-rayリリース情報本編2枚組/2023年8月2日(水)発売/¥8,800(税込)<封入特典>ポストカード2枚仕様:一層/COLOR/MPEG-4AVC/16:9/1080p High Definition/DTS-HD Master Audio STEREO/日本語字幕発売元:株式会社ソニー・ミュージックソリューションズ販売元:株式会社アシスト■ ■あらすじ高飛車で自己中心的な性格のナーウィーは、有名アパレル企業であるSPグループ社長の御曹司。幼い頃のトラウマから、社会恐怖症に悩まされていた。父親の誕生日パーティーに着用する最高のスーツを探すも気に入る物がなく周囲に当たり散らすなか、ナーウィーはある店のスーツと出会う。それは父親から継いだ仕事に誇りを持つ紳士的なテーラーアイウンが仕立てたスーツだった。ナーウィーはアイウンにスーツを作らせようとするが、仕立てる相手を選ぶアイウンはその依頼を断る。だが、ナーウィーのアシスタントであり、弟オープをチンピラから救ってくれた恩人のシチョンから懇願され、アイウンはナーウィーの家へ採寸へ行くことに。その初対面は最悪だったが、それぞれの複雑な家庭環境の問題や確執の狭間でお互いを知るうちに、2人はいつしか惹かれ合っていく。一世一代の大恋愛の行方は…。■ ■見どころ主演を演じるのは「Y-Destiny」「Lovely Writer The Series」出演のChapと「Lovely Writer The Series」「Our Skyy」出演のGreen。お互い様々な作品で印象を残してきた2人が初めてカプとして共演した。ナーウィーを演じるChapは身長188cm、アイウンを演じるGreenは身長180cm。高身長な2人がスーツを着こなし、物語の魅力をさらに引き出す。実は繊細な心を持つ御曹司ナーウィーと腕の良いテーラーアイウンの恋物語。アイウンの弟達やアイウンの彼女、ナーウィーの複雑な家庭環境が2人の物語をより盛り上げる。暴君ナーウィーとそんなナーウィー相手にも冷静沈着なアイウンがどう親密になっていくのか。「Golden Blood」の監督がおくる斬新なストーリーが全8話・各話約20分で描かれる。■ ■キャストナーウィー役:スパチープ・チャナパイ(Chap/チャップ)アイウン役:ポンサトーン・パドゥンギヤッティウォン(Green/グリーン)シチョン役:ウォラチャイ・シリコンスワン(Tape/テープ)オープ役:クンナパット・ピチェートウォーラウット(Pond/ポンド)アート役:パンナウィット・パッタナシリ(Garto/ガトー)ジャンジャウ役:スピッチャー・リムソンムット(Ormsin/オームシン)ターウィン役:ガンタパット・ガセームサン・ナ・アユタヤ(Ping/ピン)■ ■スタッフ監督:ポンタリット・チョートグリッサダーソーポン■ ■ソニー・ミュージックソリューションズ配給作品サイト&Twitterアカウント配給作品サイト: 公式Twitterアカウント:@rosedoramaコピーライト:(C)Q Power Public Media Co.,Ltd (C)Rock Imaging International Co., Limited Distribute 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2023年07月26日コーデスナップファッションライターのayaです♪【Green Parks】で素敵なスカートを見つけました!詳しく紹介していきます♪KBF アフリカ柄スカート出典:Instagramオリジナル柄がかっこいい、きれいなカラーのスカート。こちらは【KBF】のGreen Parks限定アイテムです。KBFには【「自分らしくいられること」を大切に、ファッションを楽しんでいる人にひとさじのスパイスを提案するブランド】と書かれてある通り、「一味違っておしゃれな柄!」とぱっと目を惹いたスカートです◎ウエストまわり出典:Instagramウエストは、サイドにボタンが2つとファスナーが付いています。くるみボタンがかわいいですね♡フロントはすっきりとした見た目でありながら、バックはゴムになっているので履き心地も快適です◎スリット入り出典:Instagram深すぎずにちょうどいいバックスリットが入っており、足捌きも◎膝の上までしっかりと裏地があるので、シアー感も気になりません。【KBF×Green Parks】で全身コーデ出典:Instagramトップスも【KBF】のGreen Parks限定アイテムの「ショート丈ミリタリーシャツ」です。柄や形が腰回りをすっきりと見せてくれるスカートなので、ショート丈のトップスと相性がいいですね◎大人のサマースタイルの完成です♪カラーバリエーションは夏らしいイエローと、こちらのブルーグリーンのきれいな2色展開。気になる方はお早めにチェックしてみてくださいね!※価格変更や、販売終了の可能性もございます。最新の商品情報は各お店・ブランドなどにご確認くださいませ。<商品情報>商品名:KBF アフリカ柄スカートサイズ:Fカラー:ブルーグリーン品番:6B32L0L0100値段:5490円(税込)<writer>aya(@aya__m412)プチプラ×シンプル着回しコーデ157cmの4児ママInstagram
2023年05月10日吹き抜けから星空も楽しめる荒木敬司さんはガーデンデザイナー、幸恵さんはフラワーアーティスト。ご夫婦ともに緑に縁の深い仕事に携わっている。そして7歳の禅くんとの3人家族だ。家は「谷戸」と呼ばれる起伏のある地形の高台に建つ。家はなんと星のカタチ!俯瞰して見るとカタカナの“オ”に近い形をしている。 この星型の家には、建物と建物に挟まれた5つの三角形の庭を含む、東西南北、様々な環境の庭がある。この環境の違う庭こそ、荒木邸が星の形になったヒミツが隠されている。オーストラリア原産の植物、暖かい場所で育つディクソニアというシダの仲間、サボテンや多肉植物、保湿のためのマットと共に地植えする食虫植物などなど、庭の環境を違いを活かした植物の実験場になっている。その育成結果が敬司さんの仕事に生かされているのだ。なんといっても高台からの眺めが素晴らしい。リビングの窓の正面に緑たっぷりな公園が見える。取材に伺ったのは冬だったけれど、四季折々の緑の変化が楽しめるとのこと。高さ約5mのリビングの吹き抜けを生かしたハイサイドの窓からは、星空も楽しめるのだそう。窓の外に公園の景色が広がる。ダイニングテーブルは敬司さんが作ったもの。サペリというアフリカ産の銘木にアイアン作家の脚を組み合わせた。複雑な星のカタチの角度が豊かな奥行き感を生む。窓の内と外、遠景の公園が、三層の豊かな緑の景色を作る。テラスの外に大谷石を敷いた。ここから見える庭はアガベを中心とした植え込み。「以前は店舗を構えていたのですが、家の居心地が良すぎて、今は家でフラワーアレンジメントの制作しています。『輪(りん)』は、ワークショップやイベントを行ったり、オンラインショップで販売もしています」幸恵さんが仕事で使うドライフラワーのストックの棚も敬司さんのDIY。下の箱はキャベツボックス。約5mある吹き抜けが気持ちいい。壁に飾っているのはアガベの大きな花のドライ。ローテーブルは敬司さんのハンドメイド。庭の鉄柵は鉄の作家さんにお願いして作ってもらったもの。光あふれる明るいキッチン星型の荒木さんの住まいは、キッチンに立つと、庭をはさんでリビングが見える。リビングのテーブルにいる家族の様子を見ながら料理ができる。リビングから数段上がったところに洗面があり、その奥にバスルームがある。お風呂に入りながら庭を眺めることもできる。星型の平面図の複雑さに加え、スキップフロアの空間の変化が楽しい。正面がキッチン、左側がリビング。幅3mのステンレスの天板のゆったりとしたキッチンは、手前がキャンティレバーになっている。窓越しにリビングが見える明るいキッチン。料理道具をかけている棚板はDIYで。食器棚はオープンに。DIYで棚板を増やしている。1階と2階の間に洗面室。右側に開いた隙間からリビングが見える。玄関はガラス戸。1階の床はモルタル。サーマ・スラブ(蓄熱式暖房)で冬は優しい暖かさ。吹き抜けを囲んでひとつにまとまる家寝室や子ども部屋に扉がなく、吹き抜けを通して、ひとつの大きな空間になっている。ドアがあるのはトイレと浴室だけ。収納にもドアがなくカーテンで仕切っているので、ものの出し入れがしやすい。「設計は前田工務店にお願いしました。友人に“きっと前田工務店が好みの家を建ててくれると思う”、とご紹介いただきました」前田工務店は、建築士、そしてカメラマンという3名体制で設計を担当。「設計図ができあがるまで、念入りに打ち合わせをしました。『魔女の宅急便』の家のような、忍者屋敷のような、吹き抜けとスキップフロアのある家が希望とお伝えしました。そして様々な環境の庭で植物の生育の実験をしたい、という希望があることもお話しました。そしてできあがったのがこの星型の家です。公園を望む高台の土地も探していただきました」古材はあえて使わなかったのだそう。「住むうちに長い時間をかけて古材へと変化する楽しみを残したいと思いました」敷地は谷を見下ろす擁壁の上にある。南側は高低差があるが、北側は敷地とフラットにつながっている。外壁は「そとん壁」と呼ばれる自然素材を使っている。2階の吹き抜け下からリビングを見下ろす。2階には2箇所、1階を見下ろせる場所があり、それぞれ違った見え方を楽しめる。階段の踏み板の隙間から見える1階と2階のドア2つはトイレ。それぞれのドアにリースを飾る。階段の下を有効活用した靴入れはDIYで製作。2階は右側に寝室、左側に子ども部屋、正面にワークスペースがある。個室や収納には扉がなく、間仕切りはカーテンのみ。2階の床は杉材のフローリング。リビングの上の橋状になった場所がワークスペース。正面に薬師池公園が広がる。新緑の季節は最高の眺めになるそう。造作デスクは正面と右側にも窓がある明るい環境。
2022年01月31日最高の環境で元気に育つグリーン2階リビングの奥に、大きな窓と天窓からたっぷりと光が差し込むインナーテラスがある。スチール製のオリジナルサッシの窓を開ければ気持ちのいい風が通り、植物たちがうれしそうに葉を揺らす。「マンションに住んでいた頃から植物が好きで、家を建てたら温室のような空間を作りたいと思っていました。ニコ設計室に相談したところ、室内の一番日当たりが良い場所にインナーテラスを作る案をいただきました。同じ生活空間で植物を楽しむことができ、とても良かったです」と木元さん。室内でありながら屋外の良さも備えたインナーテラスは、床がモルタルなので、水やりや植え替え等の作業も汚れを気にせず行える。大きな窓は、植物がカーテンの代わりをしてくれる。天窓を開けると、暑い夏の熱気もすっと抜けていく。「天窓の網戸は紐で開け閉めできるように変更しました」「リーン・ロゼのソファは欲しかったもののひとつです。フラットになるまでリクライニングできます。夜はこのソファに座って映画を観るのが楽しみです」「入居当初は窓際のベンチに座ることができたのですが、今は植物に占領されています」と嬉しい悲鳴。風通しのよいリビングでハンモックに揺られながら読書。至福の時間だ。リビングの壁は一部モルタル仕上げとし、インナーテラスと連続性を持たせた。心地よい風が抜けるシカケ黒のスチールのオリジナルサッシと天窓を開ければ風が通る。インナーテラスには階下の納戸に通じる階段があり、その階段も風の通り道になっている。「植物は努力して手入れをすると、その分結果を出して、元気に育ってくれるのがうれしいですね」。挿し木で増やしたウンベラータは5鉢に増え、オーガスタやモンステラも大きく育った。「鉢を置く場所がなくなってきたので、吊るす場所を作る予定です。コウモリランを吊るして飾りたいです」インナーテラスには水やりに便利な水場を設けた。ガラスの花器を置いた棚はDIYで取付け。階段を降りると1階の納戸へ。スチール製のオリジナルサッシは、上部は大きく、下側が細かく分かれている。「こうすることで、道を歩く人が見上げても中の様子がわかりにくいようです」冷暖房の効率を上げたい時は、リビングとインナーテラスの間を引き戸で仕切ることができる。夜はロールカーテンを下ろす。三角の天井と梁の間にはガラスがはめ込まれている。工夫を凝らした造作キッチン「キッチンはリビングの様子を見ることができて、かつ使いやすいL字にしました」造作のキッチンの高さにはこだわりが。食器を洗ったり、食材を切ったりする場所は高く、火にかけた鍋の中を混ぜたりフライパンを振って炒めたりという作業があるコンロは低めに作って、なるべく楽に料理ができるようにしている。カウンターは高めにして、リビングからキッチンの中を見えにくくした。キッチンの上はロフトに。奥の小上がりからハシゴで昇る。グリーンの天井はDIYでペイント。キッチンのカウンターは古材を使用。ダイニングテーブルはトラック・ファニチャー。ステンレスの造作キッチンは作業しやすいように高さを高めに。コンロ部分は少し下げた。大きめの食洗機をビルトイン。壁はモノトーンのモザイクタイルに。アーチの向こう側はパントリー。冷蔵庫はパントリー内へ。炊飯器の上部の天板を無くして湯気を逃がす設計した食器棚。引き出しの中に皿を縦に収納。棚板を斜めにすることで皿のガタつきを抑える。素晴らしいアイディア!パントリーの横の丸穴から、隣の小上がりで遊んでいる子どもの様子を伺える。リラックスできる住まいに木元家は、ご夫婦と1年生の男のコの3人家族だ。「妻の通勤が便利な場所を考えて土地選びをしたのですが、なんと週5でリモートワークになりました。将来子ども部屋にする予定の部屋で、毎日仕事をしています(笑)」玄関を入って右手にあるガラスの壁の向こうが仕事部屋だ。「1階で仕事をして、2階に上がって植物の水やりをするのがいい息抜きになります。コロナ禍の隔離生活中も、緑に癒やされました。部屋の中に庭がある感覚を楽しめるインナーテラス、これからも楽しんで使っていきたいと思います」階段の壁面に作った書棚。「本がたっぷり収納できるので、作って良かったもののひとつです」3種類のタイルを使ったバスルームと洗面。斜めに貼ったバスルームの白いタイルの目地はグリーン! 「床はコルクです。冬でも冷たくないので気に入ってます」。洗面台は古材を使用。玄関の向かい側にある写真左の個室は、奥様の仕事部屋。「完全にテレワークになったので、この部屋があって良かったです」。ゆくゆくは子ども部屋にする予定。写真左側の廊下の壁面は、レッドシダーのザラザラした裏面を表に。玄関脇の納戸にキャンプ用品やストックを収納。「園芸用品もここに収納します。階段を昇るとインナーテラスなので、移動が楽です」大胆な壁紙でジャングル化したトイレ!階段下の空間を有効利用している。絵本に出てきそうなロマンチックな外観。「逆三角形の場所を造ることで、庭の面積が広くなりました」宅配ボックスとポスト、インターホンが一体になっている。外回りの植栽はご主人が手掛けた。「ゆっくりと楽しみながら造っている最中です」設計西久保毅人(ニコ設計室)構造木造規模地上2階延床面積95.84㎡
2021年12月13日株式会社ダイトク(本社:埼玉県川口市、代表取締役社長:主代 直樹、以下 ダイトク)は、2021年11月26日より新開発商品の掛時計「WALL CLOCK」をGREEN FUNDING(グリーンファンディング)サイトにて先行販売いたします。GREEN FUNDINGプロジェクトページ URL WALL CLOCK アップ画像■商品開発背景防犯カメラ・見守りカメラ製品の企画・開発・製造を手掛ける株式会社ダイトクが、新たな商品のフルハイビジョンカメラ内蔵の掛時計「WALL CLOCK」を発売いたします。要素を削ぎ落しシンプルで美しいデザイン。会社でも自宅でも、どんなお部屋にも馴染む掛時計として違和感なく設置し自然に高画質の画像を残すことを目的に開発。会議室では会議の議事録録画として活用。会社の応接室でも商談の記録映像を残せます。作業室での作業業務の見守り、社内のハラスメントなどのオフィス環境の見守りとして活用。動体検知機能付きなので誕生パーティーなどを自然に記録でき思い出として保存。お部屋の見守り、セキュリティ、監視にスマートフォン操作で大切な瞬間を簡単に高画質録画・写真撮影可能。時計としては、秒針が文字盤をすべるように連続的に動く音が出ないスイープタイプ。クォーツ時計で月差±20秒。※本製品で録画する際は「録画中」の表示をしてください■掛時計「WALL CLOCK」商品特長●Wi-Fi(無線)でもLANケーブル(有線)でもスマートフォン遠隔操作可能のハイブリットタイプ●外出先からもWi-Fiに繋いでスマートフォンで簡単操作●動体検知録画機能あり●動画録画 FHD 1920×1080px、写真撮影 1920×1080px●視野角80°●USB充電●長時間記録(SDカード128GBまで対応)。●クォーツ時計で月差±20秒●針は連続で動くスイープタイプで静音設計●フルハイビジョン録画可能●外部からスマートフォン操作ができ録画可能。●撮影範囲は約5mです。●SDカードで128GBまで対応。●電源はACアダプターで常時充電可能です、万が一停電時でも内蔵バッテリーで稼働できます●月差±20秒。●秒針は連続動作のスイープタイプで静音設計。■商品概要商品名 :掛時計「WALL CLOCK」型式 :GS-WCC-01JAN :4580383121418撮影機能 :録画・スマートフォン撮影(録画・写真)※録画は音声付きレンズ :2.0MefaピクセルCMOSレンズ解像度 :SDカード保存 1920×1080px(10FPS)スマートフォン保存 1920×1080px(15FPS)、640×480px(15FPS)動画圧縮形式 :H.264/AVC動画フォーマット:SDカード保存 MP4 スマートフォン保存 MOV記録時間 :ACアダプター接続で常時録画が可能。(停電時等は内蔵バッテリーで録画できます)本体サイズ :直径300×厚さ40mm本体重量 :約755gGREEN FUNDING :特別販売価格15,960円【先着200名】(販売予定価格22,800円)■GREEN FUNDINGグリーンファンディング概要11月26日よりで先行販売スタート掛時計「WALL CLOCK」先着1,200名様まで受付し、いち早く商品を発送いたします。先着200名は15,960円、そのあと200名は18,240円、そのあと600名は20,520円その他セット購入はそれぞれ先着20名に4個セット40%OFF 3個セット35%OFF 2個セット30%OFFでの販売。通常販売は2月予定。株式会社ダイトクは、今後もより一層サービスを充実させ、永年の防犯カメラメーカーとして培った経験をいかしてお客様の安全と安心をサポートしてまいります。■会社概要商号 : 株式会社ダイトク代表者 : 代表取締役社長 主代 直樹所在地 : 〒334-0013 埼玉県川口市南鳩ヶ谷4-8-6設立 : 1994年9月事業内容: 産業用LED照明・防犯カメラ企画製造・販売資本金 : 1,500万円URL : 【本件に関するお客様からのお問い合わせ先】株式会社ダイトクTel:048-291-8885 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2021年11月26日終の住み処は手入れが楽なほうがいい鎌倉の自然豊かな小高い丘の上に建つ平屋の家。リビングの大きな窓を開けると、広々とした明るい庭が広がる。この家はパパスホームを設立し、現在はAtelier23.を主宰する建築デザイナーの井手しのぶさんの7軒目の住まい。「子どもも独立し、暮らしをコンパクトにしたかったので、終の住処のつもりで小さな平屋を造りました」土地はネットで見つけた。「熱海や軽井沢もいいなと思ったのですが、家族や友人が居る鎌倉で土地を見つけることができました。傾斜地と書いてあったのですが、気になるほどではなく、却って少しの傾斜は水はけが良かったです。ただ雑草が生い茂っていたので、家を建て、庭を作るためには、かなり手を入れなければなりませんでした。犬と猫がいるのですが、クルマが往来する道路も近くにないですし、この環境ならのびのびと飼うことができると思いました」床はモルタル。愛犬が足を滑らせないよう、ところどころに大きなラグを敷いてある。ダイニングキッチンとリビングの間に段差をつけ、ゆるやかにスペースを分けている。暖房は薪ストーブが活躍。「火を見ていると落ち着きます。薪ストーブは煮炊きにも使えて重宝しています」幅3mの引き込み窓を全開にすると、庭と一体感を楽しめる大開口となる。高さのある天井には杉材を使用。センスのよいアンティークの家具が素敵に配置されている。「引っ越しのタイミングでこの家に収まる数に絞りました」「古い馬の置物は神事に使われたものだそうです」横長の窓の下に、アイアンの飾り棚を設けた。井手家の家族は、猫2匹と犬一匹。この子はトラちゃん。奥がブチャちゃん。「立て続けに2匹の猫を拾いました」自然素材の居心地の良い住まい家造りのテーマは、ローコスト、そして住まいの手入れが簡単なこと。「DIYで壁に珪藻土を塗ったのですが、計算するとプロに頼んだほうが安かったという失敗もありました(笑)。動物がいるので、床は手入れが楽なモルタルにしました。箒でさっと掃けば掃除が終わります。海辺に建てた前の家は窓掃除に苦労したので、この家は庭に面した窓以外は小さくしました」井手さんの住まいのほっこり安らげる居心地の良さは、珪藻土の壁、モルタルの床、杉材の天井と、自然素材で作られているからかもしれない。経年変化が楽しめるアイアンの飾り棚や薪ストーブ、アンティークの家具が自然素材の家にしっくりと馴染む。色数を絞り、玄関扉とモロッコタイルのブルーをアクセントカラーにしている。寝室は敢えて窓を小さくして明るすぎない部屋に。「朝までぐっすり眠れます」。アーチ状の開口の奥はクローゼット。寝室の壁面は、机を囲むように全面棚に。「机は大工さんに天板を切ってもらってなんとか収めました」玄関ドアはアイアンの支柱を中心に回転するように開く。「なぜか猫は狭いほうから出入りします(笑)」眺めの良い庭。ちょうど芙蓉が花を咲かせていた。庭の一角に作った畑ではレモンやイチジクなどの果樹や野菜を育てている。玄関の回転ドアを開けるとすぐにテーブルという自由なレイアウト。井手さんのセンスの賜物だ。キッチンの横に作った勝手口は、洗濯物を干したり、ゴミ出しする際に、家事がしやすい動線になっている。大谷石を使ったキッチンの引き出しは着物タンスを模して作った。「大谷石は自分で張りました」少しつづ暮らしを整える楽しみ今年に入って、動線の確保のため、I型のシステムキッチンから、コンロとシンクを独立させたスタイルにチェンジ。「I型のシステムキッチンはアウトレットで安かったので買ったのですが大きすぎました。買ってきた食料を冷蔵庫に仕舞うために、キッチンをグルリと周らなければいけないのが不便で。コンロとシンクのアイランドに変更したら、無駄な動線が減りました。使わなくなったI型キッチンは友人の家に嫁に出しました(笑)」キッチンの他にも、住みながら少しづつ暮らしを整えていった場所は多い。「リビングの家具の配置をちょっとづつ変えてみて、ようやく落ち着いたところです。今、庭の小屋を手直し中です。それが終わったらデッキも広げたいし、玄関タイルの張り替えも思案中です」「バスタブの上に読書灯を作ってもらいました。水をかけないでねと念を押されました」。バスルームの入り口のドアはインドで買ったアンティーク。「タイルは映画で見たバスルームを真似て自分で張りました」洗面台は宙に浮いたクローゼットの上に置かれたようなスタイル。八角形の鏡も素敵。片流れの平屋。ブルーの玄関扉が印象的だ。窓に腰を掛けて縁側のように楽しむ。「外観は予算重視でモルタルのまま仕上げました」「門扉は友人のアイアンワークのクリエイターに作ってもらいました」。愛猫は門扉をジャンプで出入り。
2021年11月08日解体しながら設計を進める多くの文豪を輩出し、大小の出版社が軒を連ねる東京・文京区。建築家の間田真矢さんが夫の央(あきら)さんとともに2度目の家づくりに選んだのは、古くから印刷・製本業が盛んなこの地に建つ、築33年、地上3階、地下1階の鉄筋コンクリート造の元印刷工場。今回は、既存の造りを活かしたリノベーションに挑戦した。「10年ほど前に新築した最初の家は、子育てをするには居住スペースが狭かったため、子どもが生まれたことを機に転居を考えました。自然豊かで子どもの教育にも適した場所を探し、出会ったのがこの物件です。最初は暗くて住みづらそうかなと思いましたが、アレンジ次第で面白いものになるのではないかと思ったのです」。仕事でリノベーションを手掛けていた経験から、解体してみなければわからない点が多いことを知っていた真矢さん。「まずは壊してから考えようと思いました」と。ラーメン構造だったため、間仕切り壁を取りはらい、天井板や壁紙などをはがし、解体を進めながら、設計を行っていったという。3階のLDKは、壁を撤去してワンルームにした明るい空間。大きな開口部(正面)の下には鏡を設置し、より広く見える仕掛けも。出窓を活かした造作のソファに合わせて、ダイニングテーブルをオーダー。天井のコンクリートを一部カットし、トップライトを設置。アンティークのハシゴを上って屋上へ。キッチンには、パーテイションの役割も兼ねたオープンな食器棚を造作。外壁のシルバーのタイルとグリーンのコントラストが美しい。「既存の左官仕上げを取ってみると、新築当初の光沢のあるタイルが現れて、これは使えると思い、磨いて使用しています」と真矢さん。主に模型づくりなど作業場として使用する1階のアトリエ。躯体現しの天井は、配管を整理した“見せる配管”がアクセント。RC階段の鉄筋を活かした“緑の階段”間田邸は、地階と1階が真矢さんと央さんが主宰する設計事務所のアトリエ、2階、3階が住居スペースとなっている。住宅密集地に建つため、向かい側の住人と視線が合わないよう、家族が集まるLDKは3階に配置。現在は、光に包まれた明るい空間に仕上がっているが、当初は、隣家が迫っているため、どこから光を取り入れるかが大きなテーマだったという。「採光のために、階段室を解体して吹き抜けを造ることが効率的と考えました。はじめは、RCの階段をすべて撤去する予定でしたが、解体している途中で階段内部の鉄筋だけが残っている状態を偶然に見たのです。こんなにきれいに残っているなら、これを活かさない手はないと思いました。緑を取り入れたかったので、もともと興味のあった遺跡をイメージして鉄筋に植物を絡ませていき、“緑の階段”を作り上げました」。偶然の遭遇と斬新な発想から生まれた“緑の階段”。光をもたらすだけでなく、オブジェのような存在感も放っている。地階から塔屋までの5層を貫く吹き抜けの上部に、新たにトップライトを設置。たっぷりの陽光が入り、空気も循環するため、植物もよく育つという。「どんどん伸びる植物を見るのは楽しいですね。家の中で季節を感じられるのがよいです」。3階のキッチン。“緑の階段”を間近で見られる特等席。塔屋の上部につけたトップライトからたっぷりの日差しが入り、とても明るい。コンクリートの躯体を現しにしたLDK。木製の窓枠や家具、グリーンが程よく温かみをプラスしている。元は階段室だった場所を取り壊し、鉄筋のみ残した。「昔の建物の痕跡を残したかったこともあります」と真矢さん。塔屋までの吹き抜けを地下1階から見上げる。上部にトップライトを設置。キッチンに置かれたアイランドカウンターは、使い勝手を考えて真矢さんが設計したもの。キャスターを付けて移動自在にしたため重宝。コンパクトですっきりとしたキッチンは『SieMatic』。洗濯機(右奥)も一緒に設置し、水回りを集中させた。2階は寝室とサニタリールーム。『DURAVIT』の洗面の奥にトイレ、バスルームを配置。上部はロフトになっていて、娘さん(6歳)の遊び場としても活用。子ども部屋から“緑の階段”を見る。窓の奥に外が広がっているような錯覚も。新設した階段を3階から見下ろす。間田邸には、ケニアや北欧などを旅した際に購入した動物のオブジェがアクセントに使われている。木製のキリンは望月勤氏の作品。ワンルームを素材でゾーニングコンクリートの躯体を現しにした天井や壁、開口が印象的な間田邸。「あえてコンクリートのギザギザしたところを残し、きれいにしすぎないようにしました」と真矢さん。現場に通いつめ、職人さんに細かく指示を出して削っていったと話す。“緑の階段”に加え、コンクリートの天井をカットして造ったトップライトからもたっぷりの光が降り注ぐ。下に置かれたエバーフレッシュの葉が青々と育ち、まるで屋外のよう。新設した階段側の壁には漆喰を塗り、床にはレンガタイルを採用して屋外の雰囲気を盛り上げている。一方、LDKや寝室が配置された側は、フローリングの床に、ヒノキ合板を使用した壁など木をふんだんに使い、ゆったりとくつろげることを意識した。床材と同素材の大きなプランターに植えたグリーンもゾーニングに一役買っている。住まいながら、光の加減を見て、隅々まで光が入るよう床を削ったり、最近では、地下のアトリエから1階に上がる階段を作製したりと、今もなお続くリノベーション。「必要なものをその都度手を加えられる自由さが楽しいですね」とリノベーションの魅力を語る真矢さん。荒々しさと繊細さが同居した家は、真矢さんの自由な発想でまだまだ進化しそうだ。階段側はレンガタイルの床、リビング側はフローリングにし、ゆるやかにゾーニング。現在は、屋上に続く階段を考え中とのこと。2階の床も素材を替えることで、室内と半屋外空間との異なる雰囲気を演出。ヒノキ合板の壁でぬくもり感を演出。各階のベランダにもグリーンを添えて。設計を中心に行う地下のアトリエ。印刷物の搬出入用の穴を利用して設置した階段は、真矢さんが研究中の“デジタルファブリケーション”技術を用いて作製した。右奥にも階段があり、1階と地階の行き来には回遊性ができ、便利になったとのこと。地階から3階まで吹き抜けでつながっているため、声がよく通り、安心感もある。1階と2階をつなぐ既設の階段は、黒いモルタルを流し込んだ。ここで靴を脱ぎ、2階、3階の住居スペースへ。間田邸設計MAMM DESIGN一級建築士事務所所在地東京都文京区構造RC造規模地上3階、地下1階延床面積143.15㎡
2021年10月18日グリーン パークス(Green Parks)からディズニー映画『不思議の国のアリス』とのコラボレーションコレクションが、2021年7月2日(金)より全国のグリーン パークスなどで発売される。『ふしぎの国のアリス』作中シーンをTシャツで再現『不思議の国のアリス』の名シーンやセリフにフィーチャーした今回のコレクション。ウェアや小物など、全4型のアイテムをラインナップする。Tシャツは、「アリス」と「トランプ兵」をそれぞれカレッジ風にデザイン。「アリス」には、“ALWAYS CURIOUS(いつも好奇心旺盛)”、「トランプ兵」には“HEART STOPPER(心臓が止まるほど怖いもの)”と、それぞれの作中のセリフを刺繍した。インパクトのあるバックプリントを施したTシャツも展開。不思議なクッキーを食べて大きくなってしまうアリスとそのシーンにまつわるセリフを、刺繍またはグラフィックで表現している。ダイナやヤングオイスターを刺繍した小物もまた、上品な合皮素材のティッシュポーチには、ネコのダイナ、アリスと花、ヤングオイスターをそれぞれ刺繍。淡いピンクやブルー、イエローをアクセントにした、ポップな配色もポイントだ。コンパクトになる折りたたみキャンバストートは、ティーカップのカラフルな総柄プリントが特徴的。収納時のポケットのタグには、マッドハッターのシーンより引用したセリフが配されている。【詳細】『ふしぎの国のアリス』コレクション発売日:2021年7月2日(金)販売店舗:全国のグリーン パークス、オンラインストア「ストライプクラブ」価格:・Tシャツ 各2,990円・ティッシュポーチ 1,999円・折りたたみトート 1,999円
2021年07月05日肌にも地球環境にも優しいオーガニックコスメへの注目度は年々高まっています。今回はその中でも、「自然の力で素肌と心・環境を美しく」を目指した新ブランド『GREEN&』に注目!2021年6月14日(月)より発売されるヴィーガンの方にも対応した新作スキンケア・ヘアケアアイテムについてご紹介します。自然や人にやさしいサステナブルなブランド『GREEN&』株式会社オージオが手掛ける『GREEN&』は、自然環境に配慮したサステナブルなブランドとして誕生しました。“人の体や自然環境に対する悪影響をできるかぎり排除していくこと”を目指しており、ブランドポリシーである『GREEN&クオリティスタンダード』には「動物由来原料は使用しない」「環境を配慮した再生可能な資源の利用を心掛ける」といった指針が8つ掲げられています。SDGsに向けても積極的に取り組んでおり、石油系合成界面活性剤を使わず、簡易パッケージを採用するなど海や陸へなどの環境に配慮しながら製品を作っているそう。ヴィーガン対応の成分配合! 青と緑のパッケージが特徴『GREEN&』は動物由来原料を使用せず、ヴィーガンの方にも対応した成分を配合。ミネラルを豊富に含んだ海洋深層水や肌にうるおいを与えるヨモギ葉エキスといった体に優しい自然由来の成分を使用しています。香りは7種類の天然製油のみで作られ、まるで森林浴をしているかのような香りに気分もやすらぎます。ボトルは、海と自然をモチーフにした青と緑のグラデーションが特徴。光の当たり具合によってはグラデーションの見え方が変わるようなデザインです。『GREEN&』の新登場アイテムを紹介!2021年6月14日(月)には、『GREEN&』からスキンケアとヘアケアの4アイテムが登場します。うるおいたっぷりな肌や髪に導いてくれるそうなので、乾燥に悩んでいる方はぜひチェックしてみてください。『セラム(美容液)』まずご紹介するのは、洗顔した後に肌になじませるスポイトタイプの『セラム(美容液)』。角層の隅々まで、肌にみずみずしさをプラスしてくれるアイテムです。【商品情報】『セラム(美容液)』価格:¥4,620容量:50mL『セラム詰替用』価格:¥4,158容量:50mL『モイストジェル(オールインワン)』肌をたっぷり保湿できるオールインワンジェルも登場。『セラム(美容液)』のあとに肌になじませれば、乾燥による肌トラブルからも解放されるはず。美容液とあわせて使えば、たった2つの工程でスキンケアが完了します。【商品情報】『モイストジェル(オールインワン)』価格:¥3,960容量:50g『モイストジェル詰替用』価格:¥3,564容量:50g『オリーブシャンプー』『オリーブコンディショナー』また、スペイン産のエキストラヴァージンオリーブオイルを使ったヘアケアアイテムもご紹介します。こちらの『オリーブシャンプー』(写真/左)は、商品名にもある通りエキストラバージンオリーブオイル配合。うるおいを与えつつも頭皮をさっぱり洗浄してくれる、ノンシリコン処方のシャンプーです。シャンプーの後は『オリーブコンディショナー』(写真/右)を使って、しっかりと髪を保湿しましょう。オイルがうるおいを閉じ込め、ツヤ髪へと導いてくれますよ。【商品情報】『オリーブシャンプー』価格:¥1,540容量:490mL『オリーブシャンプー詰替用』価格:¥1,320容量:460mL『オリーブコンディショナー』価格:¥1,540容量:490mL『オリーブコンディショナー詰替用』価格:¥1,320容量:460mLおうち時間が増えた今、自身の生活を見直して普段使っているアイテムを変えた人もいるでしょう。ぜひこの機会に、今回ご紹介した体にも環境にも優しいコスメを試してみてはいかがでしょうか。©株式会社オージオ文/Nana
2021年06月10日外を気にせず開放感のある家「東京にいる感じがしません」という上野さん。敷地を購入したときには周囲は植木畑だった。現在では畑の面積は減ったものの緑が多く、また静かな環境で「蓼科や軽井沢などの別荘地に住んでいるような感じがする」と話す。上野夫妻が設計を依頼した建築家の村田淳さんへのリクエストは大きなところでは2つあった。「ひとつは外の目を気にしないで暮らしたい。当初、コートハウスのイメージをもっていたので、外の目をあまり気にしないで生活ができて、かつ開放感のある家がいいなと」右の駐輪スペースの後ろに立つのがアズキナシ。図書室の外につくられたデッキスペースに植えられていて2階からもその緑を楽しむことができる。図書室をつくる「もうひとつは図書室がほしかったんですね。本が多いので、家族3人の本を1カ所に集めて、みんなで読める場所をつくってもらいたいとお願いしました」(上野さん)図書室をつくる思いは上野さんがいちばん強かったという。「引っ越しのたびに本を処分するのがとてもつらかったようで、この家ではちゃんとスペースをつくろうということになりました」(奥さん)上野さんも「自分の家ができたら本はすべて捨てずにとっておいていつでも読み返せるようにしたいという思いは強くありました」と話す。さらに「本はどこでも読むし寝る前に読んだりもするんですが、ゆったりと座って気持ちよく読めるスペースがほしかった」とも。半地下につくられた図書室を1階レベルから見る。庭側から図書室の外部につくられたデッキスペースを見る。アズキナシの木が見える。デッキスペース側から図書室と奥の庭を見る。半地下につくられた図書室の天井高は約3.8mある。夫妻ともに図書室のイメージとしてもっていたのはオードリー・ヘプバーンが主演した1963年の『マイ・フェア・レディ』のヒギンス教授の書斎だった。バーナード・ショーの戯曲『ピグマリオン』を原作とするこの映画では、2層分のスペースが本棚でぎっしりと埋まり、上の棚にある本を梯子を使って取るシーンがあるが、そこから梯子付きの背の高い本棚が生まれた。天井高約3.8m。設計側では住宅でこの大きさを確保するための苦労があった。「この土地は建ぺい率に余裕がないのでいろんなご要望を入れていくとどうしても入りきらない。図書室を魅力的な空間にしたいけれども、かといってほかの部屋がその犠牲になるのも良くない。それで寝室を地下にもっていくことにしました」(村田さん)本棚の上にも開口が設けられて明るい室内。対面して設けられたデッキスペース側と庭側の2つの開口の間を空気が流れ湿気の心配もない。階段下から庭の緑を見上げる。玄関から小窓を通して図書室を見ることができる。高2の息子さんはこの図書室について「作業が落ち着いてできてけっこう快適です。明るいのもいいですね」と話す。ソファの左に見えるのが寝室開口部。デッキスペースの脇に植えられたアズキナシ。半地下からの眺めしかし単に地下にもっていっただけでは湿気の問題が発生する。そこで天井高のある図書室を半地下につくりその両サイドに大きめの開口を設けて空気がこもらず流れるようにしたうえで、さらに低い位置にある寝室とつなげることにした。半地下にある図書室のソファに座ると開口からは緑と空しか見えない。このスペースの心地よさはこの緑が大きく作用していると夫妻で口をそろえていう。「窓が上にあるため、両サイドにある緑を下から見上げるかたちになります。そうすると緑の後ろに空だけ見える感じになるのでそれがものすごく気持ちがいいんです」(上野さん)濡れ縁から図書室を見る。奥のデッキスペース側の開口との間で風が抜ける。静かで落ち着いた空気感のある庭。この緑があるおかげでお隣の視線も気にならない。手前の木はオオサカズキ(モミジ)。床がルーバー状になっているのは地下との間で空気を循環させるため。その上は物干しスペースになっている。右奥に見えるのが玄関でその左に図書室がある。地下室からルーバー状の床を見上げる。左下の鉄棒は上野さんが懸垂をするために取り付けられたもの。階段室を1階から見る。2階の天井とキッチン道路側にアズキナシが立ち、奥の庭にはオオサカズキとシラカシなどが植えられているが、それらの緑は2階からも楽しむことができる。下階とはまた違う角度から緑に接することのできる2階は家型の天井がL字でつながっている。「勾配屋根の木造の2階は天井を自由につくりやすいので、空間に変化をつけるためにL字のプランのままに家型の天井をつなげてみました。家型にするとフラットな天井よりも陰影が出るし、陰の部分も時間によって表情が変わっていくので面白いのではないかと」(村田さん)リビングダイニングと一体的につくられたキッチンでは、食洗器をビルトインにするなど隠せるものはなるべく隠して表にモノが出ないようにするほか、広さについてのリクエストがあった。「2人立てるような広さにしてくださいとお願いしました。一緒に料理することも多いので、2人いてもつっかからないような広さがほしいとお伝えしました」(奥さん)リビングからダイニングとキッチンを見る。キッチンは夫婦2人で作業ができるよう広めにつくった。家型の天井を交差させた部分は少し不思議な印象を与える造形になっている。ダイニングとキッチンを見る。ダイニングからキッチン内のモノが見えないようキッチンを囲む壁の部分を高くしている。2階は引き戸で階段室が仕切られるようになっている。約24㎡あるリビングダイニング。表と庭側の2つの開口のほかにテレビの上にも開口が開けられていて室内が明るい上に天井も高めで快適に過ごせる空間になっている。キッチンからリビングを見る。右の開口からはアズキナシの木がよく見える。リビングから庭の方向を見る。オオサカズキが少し紅葉しているのが見える。アズキナシの前の室内にも緑が置かれている。“ここはどちらですか?”最後にこの家で5年ほど暮らされての感想をうかがった。「図書室がいちばん好きなスペースですね。両方に緑と空が見えてまた静かで明るい部屋なので、最高の空間かなと思っています」と奥さん。さらに2階のキッチンスペースも好きという。「キッチンに立つとちょうどアズキナシがダイレクトに見られてお気に入りの場所ですね」上野さんも自らの強い希望でつくった図書室がやはりとても気に入っているという。「しかし、僕がメインで使おうと思っていた当初の予定と違って家族に取られてしまうことが多い」と話す。3月からのコロナ禍のもとでは大学で英語の教師をされている奥さんがZoomでオンライン授業を行う際に図書室を使っているため「ほぼ使えない」状態になっているという。「Zoomでは皆さん背景を替えたりしますが、うちではそのまま室内を映しています。そうすると大きな本棚とその後ろの中庭の緑が大きな開口を通して見えるので、“ここはどちらですか?”とよく聞かれます。今は思っていたほど図書室で過ごすことができていないですが、やっぱりあそこに座るとすごく落ち着くし集中もできるのですごくいいですね」。こう話す上野さんには、世の中とはまた別にもうひとつ、「コロナ禍が早く過ぎ去ってほしい」と願う強力な理由があるように思えた。上野邸設計村田淳建築研究室所在地東京都三鷹市構造木造規模地上2階地下1階延床面積142.19㎡
2020年11月30日鮮やかな緑に覆われた住まい多摩川からほど近く、自然の趣きが残る東京・世田谷区の住宅地。鮮やかな緑のツタに覆われた外観が印象的なこの家に暮らしているのは、デザイン会社「nakanaka graphic」を営むグラフィックデザイナーの中川寛博さんと同じくグラフィックデザイナーの岸恭子さん、そして小学6年生のご長男。この家が完成したのは2015年。設計は、中川さんが学生時代に知人の紹介により知り合ったというキューボデザイン建築計画設計事務所の猿田仁視さんに依頼した。「シンプルなデザインを求めていたので、当初は外壁も単純に真っ白のイメージをしていました。ですが、白い壁だと雨だれで汚れてしまう、と猿田さんからアドバイスをいただいたので、それならば、と以前から憧れを持っていたツタのある家にしたいと思いました」(中川さん)。中川さんの要望により、家とコンクリートの間にはツタを植えるための土のスペースをつくった。完成当初は真っ白だった壁も、4年後には屋根まで届くほど成長したツルが壁面を這い上がったという。5年がたった今では白い壁が見えなくなるほどに緑で覆われている。「ツタの種類はオオイタビという常緑の植物です。最初は、うまく成長するか不安だったのですが、思い描いていた形となって嬉しいです」(中川さん)。建築家・猿田さんより「GREEN WALL」と名付けられた中川邸の外観。もともとは真っ白い壁だったが、竣工から5年が経ち、緑に覆われた完成形となった。玄関を入って、左を向くとホールとなっている。突き当たりには水回り、左には寝室がある。北側にあたる右の階段の側壁には大小さまざまな窓が設けられ、外壁に挟まれた中庭からの光が取り込める。階段下にある作り付けの本棚と机。仕事や勉強、あるいは趣味の場として使用している。階段を上がった先にある個室は、現在在宅ワークをしている岸さんの仕事場となっている。将来的にはご長男の勉強部屋として活用する予定。柔らかな光で満ちた心地よい空間以前は、今の住まいの近くのマンションで暮らしていたという中川さんご一家。ご長男が小学校入学のタイミングで家を建てようと考えていたという。「まずは土地を探し始めたのですが、なかなか良い土地と出会えず、一度は探すのをやめていた時期もありました。そんなときに近所の土地を散歩がてら探していたら、ちょうど良いこの土地が見つかりました」と中川さん・岸さんご夫妻。家づくりにあたり、建売の物件やハウスメーカーも訪ねたというご夫妻だが、自分たちの理想の住まいを追求するべく、建築家の猿田さんに依頼することになったという。「風致地区ということもあり、さまざまな制約があるなかで猿田さんが最初に提案してくださったのが、北側に外壁と挟んだ中庭のあるプランでした。制約や狭小という性質の中で、最大限に光を取り込む配慮をしていただいたので、この最初のプランから、ほとんど変更せずに現在の形となりました。北側採光なので部屋に入ってくる光が柔らかくて、すごく心地が良いです」(中川さん)。内観については、白を基調としたシンプルな空間を希望していたご夫妻。色味のバランスや窓の位置など細部まで打ち合わせを重ねて、コンパクトながらも必要な要素をしっかりと詰め込んだ理想的な住まいを実現させた。「窓からはあんまり外の家が見えないので、目線が気にならないところがすごく落ち着きます。中庭があることによって、閉じつつも開放感があるのが、この家の特に気に入っているポイントです」(岸さん)。中2階ともいえるL字型のロフト。ご長男の寝室から、ご夫妻の趣味のスペースへとつながっていく。作り付けの棚には本がずらり。同じく作り付けの机は、主に岸さんの裁縫スペース。正面からは1階全体を望むことができる。反対側には、中川さんのレコードコレクションが並ぶ。2階のリビング。北側の窓から入る光と、奥に見える天窓からのたっぷりの光によって、居心地の良い自然な明るさで満たされている。右手前にある階段を降りるとロフトへ通じる。キッチンの配置やカラーリングは、岸さんと猿田さんが相談して決めた。手前の作業台は、窓を出窓にすることで生まれた。中庭へ出るベランダは、中川さんのお気に入りの場所。変化を楽しむ暮らし主に本や雑誌の装幀のデザインをしている中川さん・岸さんご夫妻。昨今の新型コロナウィルスの影響により、現在は在宅で仕事を行なっているという。「もともと外で仕事をしていたのですが、子どもを見ることもできるので結果的に良かったと思っています。在宅ワークでも、気持ちの良い光が入ってくるので、1日中ストレスなく過ごすことができています」と話す中川さん。岸さんも「最初はくつろぐためだけの家でしたが、今は仕事場という面も持つようになりました。この先も、家がどう変化していくか楽しみです」と笑顔で語る。はじめは真っ白だった外壁が、時間をかけて緑に覆われたように、経年変化を楽しんでいく住宅として設計された中川さんご一家の住まい。「これからはツタに花を加えて、表情を変えられればなと考えています」と中川さん。変化を楽しむご一家の豊かな日々がこれからもこの住まいで紡がれていくことだろう。手がけた仕事には、ワインカタログやワインラベルのデザインも。額縁に飾られているポスターは、ワインの産地が描かれており、デザインは中川さん、イラストは岸さんが担当した。一時期、石集めがマイブームだったというご長男の石コレクションが飾られている。ご長男がお小遣いで購入したという“ニュートンのゆりかご”。1階の水回り。浴室と洗面を仕切るガラス窓によって、視線が抜ける開放的な空間に。1階にあるご夫妻の寝室。壁には小物を置くのに適した作り付けの棚が設置されている。バスルームのモザイクタイルは、建築家の猿田さんより提案されたという。「最初は真っ白のタイルを考えていましたが、このモザイクタイルはデザインも良くて、何より汚れも目立たないので、今はこのタイルを選んで良かったと思っています」(中川さん)。浴槽からは中庭を望むことができる。「窓からの景色は緑のトンネルみたいでとても綺麗です。夜には月を眺めることもできるんです」(中川さん)。週に1回は、高枝切りばさみを使い、緑の手入れをしているそう。「油断すると、すぐボウボウになってしまうので手入れが大変です」と中川さん。
2020年07月13日絶好のロケーションに立地「家まで続く石畳の階段を上がるところから、ワクワクしてくるのを感じました。玄関を入った瞬間、“もう、ここに決めた!”と思いましたね」と笑う、小物デザイナーの溝江里映さん。葉山の賃貸の戸建てから、同じく葉山の山の中腹に建つ一軒家へ。1〜2年かけて探し、理想の中古物件に出会った。「窓の向こうに広がる街や山の景色に、毎日癒されています」。山の傾斜に沿って建つ家は、玄関レベルからスキップフロアで上がったところにLDK、降りたフロアに溝江さんの作品を展示したギャラリーや、ベッドルームなどが。光を取り込むかのように、どの方角にも開口が設けられ、その向こうに広がる景色は、自然と一体になれる感覚を与えてくれる。吹き抜けのあるリビング。別荘風の開放感のある造り。キッチン台に腰壁が設けられた、アイランドキッチン。無垢のメープル材を使ったダイニングテーブルは、岐阜の「RITON」に出向いてオーダーしたもの。LDKの洗面からバルコニー側を眺める。開口がたくさん設けられ、どこにいても外とのつながりが感じられる。玄関を入ると現れる風景。向かいの山へと抜けるよう。家の前の小径。緑いっぱいの階段を登って辿り着く。住み継がれた家をDIYで「これまでに何組か家主が代わり、少しずつ手が加えられてきたようなんです」。ロフトのある別荘のような雰囲気の築40年程の家。住み継がれた家に、さらにDIYでアレンジを施した。「白い家にしたかったので、床や壁を塗装しました。白は作品が映える色なんです。でも、ただまっ白にするだけではなくて、オフホワイトやベージュなど、グラデーションをつけています」。キッチンカウンターも白く塗装。シンプルな空間に、窓の外の庭の緑や、溝江さんが選んだ器や雑貨が映える。「リビングでは家族がいつもゆったりと寛いでいます。夜、バルコニーに出ると星空がきれいで、天体観測も楽しめますよ」。正面には緑の深い山。その上には抜けるような空が広がっている。キッチンに立つ溝江さん。器などは「アンティークの雰囲気のある作家もの」を集めている。インスタグラムで自然に寄り添う葉山での暮らしを紹介。仕切りのない空間が開放的。白のグラデーションが陰影を与える。ロフト部分は吹き抜けに。光が四方から取り込まれ、どこにいても明るい。お気に入りのコーナー。Yチェアにゆっくり腰かける時間も楽しみ。チャーチチェアなど、1脚1脚違うイスが味わいを出している。光が差し込むギャラリーリビングに隣接した部屋は、床の一部が抜かれており、下のギャラリーまで吹き抜けになっている。「もともとこうなっていたのですが、ギャラリーに光が届けられるのが良かったです。お茶を嗜んでいるので、いずれは床を設けて畳を敷き、茶室にするのもいいかなと思っています」。はしごを上がるとロフトへ。そこには眺めのいい小さな空間が用意されている。「ロフトでは本を読んだりお昼寝をしたり。下にいる家族の様子を感じながら、ひとりの時間をゆっくり楽しむことができますね」。床板がはずされているリビング横の部屋。アンティーク雑貨やアーティストの作品をあしらって。上からもギャラリーを楽しむことができる。はしごを上がって秘密基地のようなロフトへ。ひとりの時間を過ごせるロフト。好きな作家の本などを。ロフトからの眺め。色々な居場所が用意されている。自分の表現をカタチに溝江さんの作品を集めたギャラリーは、白い空間にアンティークの家具や雑貨が彩りを添えている。「リビングなどがリラックスする場なのに対して、ここは自分の頭の中を表現する場なんです。空間のアレンジにもこだわりました」。枯れ木を使ったオブジェなど、ひとつひとつが絵になる美しさ。「どの部屋もDIYで塗装したりして、自分たちで手を加えましたが、洗面所だけはリフォームをお願いしました。いちばん自分をリセットしたい場所なので、特にこだわりたかったんです」。白を基調にしたシンプルな空間の中で、照明やドアの取っ手などには真鍮をアレンジ。さり気ないこだわりが隠されている。「ステイホームになる以前から家にいる時間は長いのですが(笑)、旅行に行くよりリラックスすることができます。好きなものに囲まれて、仕事もプライベートも満たされていますね」。パリのエスプリを感じさせる溝江さんのギャラリー。オリジナルベアの制作の他、雑貨プロデュース、セミ量産型のプロダクト品などの開発を行う。2001年Ananö設立。大切な小物をディスプレイ。繊細で美しい作品の世界観を表現。手作りのオリジナルベアは、年1回程、個展などで新作を発表。フランスでも展示会を行っていた。隣家の庭が借景になるベッドルーム。壁はすべて白く塗装した。取っ手やタオルかけに真鍮を使用。イタリアのエスプリを感じさせる洗面台はサンワカンパニー。古い洋館にあるような洗面所のキャビネット。日常的に使用するグッズを収めている。真鍮にこだわり、「TAiGA Lamp」でオーダーして作ってもらったブラケット。庭で育てたレモングラスで冷たいお茶を。ガーデニングも楽しんでいる。木漏れ日のさす庭で長男・樹輝くんと。爽やかな空気が流れる。表札も真鍮で。字体にこだわり作成。
2020年06月29日楽しみが広がるインナーテラス自然豊かな住宅街の一角に、自宅兼アトリエを構えた建築家の加藤景さん・雪乃さん夫妻。住宅を設計するときに常に心掛けているのは、長い目で見て“暮らしやすい家”というお2人。そのコンセプトを明確に表現する家が完成した。現在、4歳の陽くん、1歳11か月の直ちゃんの子育て真っただ中のご夫妻。景さんが強く希望したのは、2階に広めのインナーテラスを設けること。屋内のリビングとほぼ同じ広さで、屋根もしっかり深めに付けた。「大きなリビングを造っても長年住んでいると慣れてしまいますが、屋外にもリビングがあるとできることが広がりますよね。今は子どもが小さいのでプールを置いたり、シャボン玉で遊んだりと、主に子どもの遊び場になっています。屋根もあるので、雨の日でも外で遊ぶことができ、子どもたちものびのび楽しんでいますね」(景さん)また、雪乃さんは、「家事をしていても、目の届くところで子どもたちが遊んでいるので安心です。道路に出る心配もないですから」と。「体のいい檻ですね」と景さんが大らかに笑う。「子どもが大きくなれば、また違った使い方ができると思いますね。イメージは東南アジアのリゾートホテル。多様な使い方ができ、贅沢に寛げる時間が過ごせるのではないでしょうか」(景さん)2階のリビングから一続きになったインナーテラス。ハンモックは子どもたちがブランコのようにして遊んでいるそう。陽くんと直ちゃんがどこからか乗り物を出して遊び始めた。ウッドデッキが気持ちよさそう。来客人数や用途で変幻自在2階リビングは、設計の打ち合わせやワークショップなどにも使用。ナラ材で造作した棚には、オモチャや絵本が楽しくディスプレイされている。これらは、陽くんと直ちゃんが遊ぶためだけのものではない。小さな子ども連れの来客も多いため、その子どもたちも自由に手に取り、遊べるようにと加藤さん夫妻の心遣いである。オーク材のテーブルは、210cm×90cmの細長いタイプと、90cm×90cmの正方形タイプの2卓を造作。2つ並べると3mの長いテーブルになり、10人以上の来客にも対応可能にした。また、脚の長さも2タイプ用意し、人数や用途に合わせてダイニングテーブルあるいはローテーブルと使い分けている。「外で使用できるちょうどよいソファがなかったので自分たちで造りました」というのが、テラスのベンチ。玄関まわりに使用して余っていた杉板で製作し、雨に強い屋外用クッションを置いた。アウトドアリビングとして活用することで、さらに多くの人数にも対応できる。打ち合わせスペースとしても使用している2階のLDK。棚の高さは自由に変更可能。左側の50音は、陽くんが最近文字に興味を持ち始めたことで登場。右側に陳列されたラジコンカーは景さんのもの。「子どもたちにはミニカー同様に扱われています」と苦笑い。ミニカーが整然と並べられた棚は、雪乃さんのお父様が作製したもの。ミニチュアのグランドピアノは本格的な演奏も可能。ピアノの先生である雪乃さんのお母様からのプレゼント。ナラ材を使用した勾配天井が高くて気持ちいい。奥の階段を昇るとロフトへと続く。ダイニング側にシナ材を貼り付けたキッチンは回遊性をもたせ、来客への対応もスムーズに。ロフトは、多彩な趣味をもつ景さんの部屋として設けた。パワーソースを抜いた安全なエアガンやギターが置かれ、乱入してきた子どもたちも自由に遊ぶ。オモチャなどを修理する作業台もある。ロフトから2階リビングを見下ろす。テーブルを2つ並べると3mの長さになり、ワークショップのときなどに重宝。キッチンやバスルームは低コストに雪乃さんがこだわったのは、「2階で家事を完結できること」。キッチンに隣接する位置に洗面所、洗濯機置き場、浴室を配置し、そのまま洗濯物を干すバルコニーへと出入りできるよう、リビングの開口とは別にドアを設けた。また、家族4人分のファミリークローゼットも2階に配置した。「クローゼットは全てハンガー収納にしました。洗濯したらハンガーにかけて干し、取り込むときはそのままクローゼットにかけるだけ。たたむ手間が省けて、とてもラクです。ハンガー収納にして、子どもたちが自分で洋服を選ぶようになりました」(雪乃さん)キッチンは、『TOTO』のリーズナブルなシステムキッチンをチョイス。ダイニング側にはシナ材を貼り付け、キッチン背面の棚の扉も同素材で造作した。LD側に座る来客からは、自然素材を使ったオリジナル感のあるキッチンに印象づける。「キッチンやバスルームというのは、どんなに手入れをしても年月とともに傷んでいくものです。10年くらい経ったら思い切って入れ替えることを前提に考え、どのメーカーにもある定番サイズのシステムキッチンを入れています。そのときのお好みでイメージチェンジもでき、コストダウンにもつながりますよ」(景さん)長く新鮮に住まう、ひとつの知恵といえそうだ。定番サイズのシステムキッチンは、傷みが出てきたらすっぽり入れ替える予定。背面のキッチンカウンターは、床と同じナラ材で統一。上部の棚には食器類を、下部の引き出しには食品のストック類までたっぷり収納可能。そのためパントリーは造らず、奥のスペースには冷蔵庫と、電子レンジや炊飯器などのゴチャゴチャしがちな家電をまとめた。キッチンの隣には、トイレや洗面台、洗濯機、ユニットバスが一列に並び、家事動線もスムーズ。奥のバスルームの手前(左側)からテラスへ出入りできる。家族4人分のファミリークローゼット。衣類は、全てハンガー収納に。「友人たちからの“おさがり”で、ほとんどいただきものです」という子ども服がズラリと並ぶ。1階の和室。押し入れ(奥)の襖は付けず、和紙のブラインドを採用。全開にすることができ、通気性もアップ。コストダウンにもつながっている。家族の成長により変化する“飽きない家”景さんと雪乃さんのアトリエは1階に配置。ひのきの玄関を開けると仕事の打ち合わせスペースがあり、左側は居住スペースとなる。仕事スペースは床にコンクリートを採用し、土足で行き来できるようにした。アトリエに続くスペースは20cm床を下げ、居住スペースと趣を変えて、気持ちの切り替えを促す工夫をしている。コンクリートの下には温水式の床暖房が入っていて、冬場はその場だけでなく、家全体をもほんのり暖めてくれる。穏やかな環境に馴染んで建つ加藤邸。真っ白い外観に、玄関ポーチと屋根の軒天に用いた明るい色の杉板があたたかな個性を放っている。玄関へと続くアプローチには3か所の植栽スペースを設け、訪れる人を出迎える。「最初はガーデンデザイナーの方に造っていただき、それから自分たちでプラスしています。子どもたちの“丸いのがいい”“ピンクが可愛い”という意見も取り入れながら植えていますが、こんなにハマると思いませんでした」(雪乃さん)屋内外にあるグリーンが目に優しく、手足に直接触れて感じる自然素材が心地良い。家づくりのヒントも満載で、訪れた人に惜しみなく開放している。「何十年も住み続ける家ですから、奇をてらったものよりも飽きの来ない家が重要だと考えます。自然素材だから生まれる経年美の趣を感じながら、家族の成長に合わせてこれからどのように変化していくのか、自分たちでもわからないだけに楽しみですね」(景さん)ゆるやかな角度の三角屋根とオレンジがかった明るい杉板がアクセントになった外観。手前右側のシンボルツリーはシマトネリコ。ひのきの玄関ドアは実は既製品。ドアの色に合わせて杉板を塗り、玄関を囲むように貼り付けた。駐車スペースとしても活用。雨の日には濡れずに荷物を出し入れできる。植栽スペースのひとつ。ユーカリやあじさいなど自ら加えていった。種から植えたオルラヤ(白い花)がきれいに咲いている。玄関を開けると、可愛らしい打ち合わせスペースがある。ウンベラータの緑が心地よい。左側は居住スペース、右側がアトリエへ。「ここに手すりがあったらな」と住み始めて気づき、取り付けた。カギやハンコなどが置けたら便利と浅い引き出しにした。階段下の収納。頻繁に使う靴やスリッパ、コートなどを収納。靴を干すときは什器ごと外に出すことができる。24時間換気をしているため、臭いもこもらない。景さんと雪乃さんのアトリエ。深夜に仕事をすることもあるため、床には足音がしないコンクリートを採用。デスク前の窓は玄関前につながっていて、子どもが外から開けてのぞくことも。一段下がった奥がアトリエへと続く。緑色の壁は加藤さん夫妻で塗った。ディスプレイされた帽子とバッグは景さんが日常的に使用するもの。会社のロゴ「けい」は、看板などの筆文字を書いて彫る仕事をしている雪乃さんのお父様が作製したもの。加藤邸設計一級建築士事務所 アトリエけい所在地神奈川県逗子市構造木造規模地上2階延床面積111.38㎡(ロフト含まず)
2020年06月15日「スタイルのある家と暮らし」をテーマに情報発信する『100%LiFE』。クリエイティブな感性で暮らしと空間を楽しむ人たちのライフスタイルメディアとして2012年の7月にスタート、8周年を迎えます。そこで、今回、特別企画として、これまで取材した家の中で『100%LiFE』に集う読者の方々に人気のあった家を、テーマごと振り返ってみました。読者の皆さんが興味をもった家とは?第3回は、「グリーンを楽しむ家」、人気の10軒を紹介します。type1グリーンと暮らすとらわれない発想で、自分なりの味出しを愉しむ数々の店舗のガーデンデザインを手がけ、都内に4店舗のショップも展開するガーデンスタイリスト川本諭さん。独自のスタイルの秘訣とは。type2木への思いとこだわり自然に包まれた森の中のモダン建築芝生の向こうに別荘のような瀟洒な建物。煙突があって、平屋っぽくて。子供が絵に描くような、本当にシンプルな家がイメージでした。type3離れと庭のある暮らし豊かな緑に囲まれた世田谷モダンライフ「私はどちらかと言うと、金属とかガラスとか、ひんやりした素材が好きなんですが、家内はそれが嫌いで」と語るのはこの家のご主人。type4内と外を繋ぐグリーンルーム心地良さを求めてボタニカル・ライフ奥さまの念願であった「植物を取り入れた暮らし」。家づくりへの思いを詰め込んだ『フェイバリット』ファイルを作成し、建築家へ伝えた。type5葉山の自然を愉しむ屋根より高い樹々とともに暮らす家多忙な日々を送っている小林夫妻が造りたかったのは、しっかりと気分転換ができる海の近くの家。緑が豊かなこの場所に家を建てることに決めた。type6緑が生活の中心にある暮らし自然に包まれた鎌倉山の庭には念願のアトリエも緑豊かな鎌倉山の一軒家をリノベーションした塙 麻衣子さんのお宅。広々とした庭の一角には、念願のアトリエも完成させた。type7曲線が優しい建築家の自邸テラスの楽しみを広げる瑞々しい緑のカーテングリーンカーテンが印象的な家。イギリスの未来派モダン建築事務所で仕事をした経験を持つ、建築家の熊木秀雄さんの自邸に伺った。type8花と緑に囲まれてオリジナルの感性を家族で表現する家坂の上の陽だまりに佇む家。花生師として活動する岡本典子さんが家族と暮らす家は、いつもグリーンや花で満たされている。type9植物とアンティークを暮らしに多肉植物と共生するボタニカルガーデン真っ白な一軒家は、妻が育った家を建て替えて完成。多肉植物のアレンジを行う近藤夫妻の家は、白い器にふたりの感性が盛り込まれた作品のよう。type10自然との共生の中で庭づくりに、サックス吹き…楽しみと挑戦へと触発する家右左ずれながら仕切りのない1室空間が裏庭まで25mも続く山﨑邸。庭の緑との関係に思わず見とれてしまうこの家は、退職を機に新築したもの。
2020年06月01日庭に佇む納屋のように多摩御陵へと続くケヤキ並木の参道沿い。自然に恵まれた、神聖な空気感の漂うこの場所に、ランドスケープデザイナーの石川洋一郎さんは4年前に自邸を構えた。「この辺りは風致地区なんです。まわりの景観にふさわしい家を建てることが求められる中で、風景をつくる人間として何ができるかを考えました」。ニオイシュロランをはじめ、世界各地からのグリーンが生い茂る庭に囲まれて、焼杉の外壁の家が佇んでいる。「庭と家をセットで考えました。リビングからインとアウトをどのように形づくるかを大事にしましたね」。ベタ基礎のレベルにコンクリートを敷いた土間のようなLDKから、そのまま地続きにつながる庭は、石川さんと、ガーデンデザイナーである妻・メアリーさんがデザイン。建物の設計は「shushi architects」の吉田周一郎さんに依頼した。「イメージしたのはBURN(農家の納屋)です。作物を育てて保存するための簡素で無駄のないデザインを、石川さん家族の暮らしにどうフィットさせるか試行錯誤しました」と吉田さんは言う。コンクリート敷きの土間のような大空間のLDK。南面に大開口が設けられ、庭との一体感が感じられる。モンステラやサンスベリアなどインドアグリーンが、庭との境界を曖昧にする。玄関は左手のシューズクローゼットの奥に。正面のソファーはハンス・J・ウェグナー。外壁の焼杉をDIYで納屋のようなシンプルな箱型の家を包む焼杉の外壁は、石川さんがセレクトした。「風景に溶け込む家にすることを考えたときに、自然素材は必須でした。焼杉なら焼いて炭化させることで経年変化のデメリットを防いでくれるし、メンテナンス性もいいんです」。驚くのは、その杉の木をDIYで焼いたということ。「山梨の知り合いに間伐材を製材してもらい、自ら実加工をし、現地で焼いて乾燥させて持ってきました。コストの面もありますが、自分がやりたいことを少しずつ、手をかけて形にしていきたい。だから箱だけを建ててもらって、未完の状態で引き渡してもらいました。今も進行中なので、この家はまだ竣工していないと思っています(笑)」。住み始めた時は、仕切りもドアもない状態だったという。石膏ボードのままの壁に漆喰を塗ったり、本棚を作って空間を仕切ったり、暮らしながら少しずつつくりあげてきた。「工事中も現場に入ってDIYをしていました。建築家、工務店の理解ができないとなかなかできないことですが」。庭とダイレクトにつながるリビング。コンクリートが蓄熱して冬も暖かい。セルジュ・ムーユのウォールランプの下は、Bang&Olufsenのスピーカー。地域に向けて開かれるファサード。南面のみ杉材で、他の3面に焼杉を使った。腐食しにくく約50年の耐久性があるという焼杉の外壁は、断熱性、清浄効果も高い。光と緑に包まれる家「動物の巣のように、住まいは主(あるじ)自身でつくられるのが本来の姿です。石川さんはデザインも施工もできる本来の住まいの作り手だと感じているので、こちらは空間構成、構造、工法、断熱など性能の設計に専念して、石川さんが自ら造りあげる“ハーフビルド”にお任せしました」(吉田さん)建築家・吉田さんは、隣家を避けて明るい日差しがリビングに届くよう、南面の西側に階段の吹き抜けと2階までの開口を設けることを提案。「庭に面した南向きの大開口は、太陽が高い位置を通る夏は日が中まで差し込まず、逆に冬はリビングの奥まで差し込んでくれて、効率的です。冬はペレットストーブ1台で、蓄熱も長く続き暖かく過ごせます」。リビングの奥にあるキッチンは、石川さんがデザインし、家具職人がモルタルの天板にクルミの木の面材で造作。壁にはイタリアから輸入した大理石をDIYであしらった。「キッチンの窓から庭の景色を眺めるのが好きなんです」。というのはアメリカ出身のメアリーさん。フランス、ニースで活動していた石川さんと出会い、結婚。南仏のアトリエのように光と緑に包まれたこの家で、双子の長女サフラン(蒼)ちゃん、次女インディゴ(藍)ちゃんとともに、ここでの暮らしを楽しんでいる。階段下の空間を利用してペレットストーブを設置。木質ペレットを燃料とするため、エコ暖房として注目されている。ソーラーパネルの設備も備え、エコロジーな暮らしを追求。ダイニングキッチンも庭続きの土間に。テーブルは天板にカットした脚を組み合わせて作ったもので、今後はより大きいものに作り変える予定。大理石、モルタル、クルミの木の異素材がミックスされたキッチン。右手の食器棚もDIYで。窓越しのグリーンが美しいキッチンで。ガラスの床を介して、2階の気配も感じられる。1階の奥にあるアトリエでは、メアリーさんが教室を開いたり、子供たちが遊んだり。1階のバスルームは、モルタルを使ったシンプルで清潔感のある空間。洗面台も造作。ハリー・ベルトイアのワイヤーチェアーは、メアリーさんがかつてアメリカで使っていたもの。吹き抜けに設けた開口から、光が差し込む。ペレットストーブの温かな空気も2階へ届けられる。廊下は自由に過ごせる共用部ベッドルームのある2階もまた、未完の状態からつくっていった。主寝室に子供部屋、ゲストルーム、シャワールームがあるが、それらをつなぐのは、廊下ではなく共用部。「余白を残しておきたいし、閉じこもる空間をなるべく減らしたい。だから廊下は要らないと思いました。廊下にあたるスペースにはソファーと本棚を置き、子供たちが読書などをして楽しんでいます」。床の一部には強化ガラスをはめ込んで、1階を見下ろせるように。ガラスを通して家族のコミュンケーションが図れるほか、屋根のトップライトからの光を、1階にまで届けることができる。「2階の床は、入居してからクルミの木をDIYで張ったんです。寝室のクローゼットもクルミの木を使い、後からつくりました」。天井まで届く高さの主寝室のクローゼットは、石川さんがデザインして家具職人が造作。ベッドフレームもDIYで作成した。読書スペースの窓の先には、これからデッキもつくる予定だという。ハーフビルドは続いている。廊下の概念を覆す共用部。DIYで設けた本棚は、奥のゲストルームの仕切り代わりにもなっている。共用部に置いたソファーで読書をするインディゴちゃん。シャワールームの扉はベニヤで仮につけたもの。階段を登ると現れる一角。集成材に色を塗りDIYで作った棚を本棚に。壁にはお子さんの作品を飾る。海外のファームハウスのような主寝室。ベッドはベニヤにベンガラ塗料を塗ってDIY。クルミの木のクローゼットも石川さんがデザイン。取っ手の代わりに手をかけられる凹みをつけた。ゲストルームには小上がりを設け、琉球畳を敷いた。クローゼットと棚の裏側は共用部の本棚になっており、壁代わりでもある。ロフトのある子供部屋。柵はテーブルの代わりにも。当初なかった階段はクルミの木でデザインし、後から大工さんと施工した。いつまでも完成はない1階のキッチンの奥には、メアリーさんが開く英語教室やワークショップのためのアトリエも設けた。「近所の子供たちがやってきて、いつも賑やかなんです。2階のゲストルームにはホームステイの学生も招いています。家という垣根なく、みんなが集える場所にするのが理想ですね」。リビングから続く庭にもいずれウッドデッキをつくる予定だが、今はタープを張り、近所の人を招いてバーベキューなどを楽しんでいるそうだ。「いつ竣工するんですかって聞かれるんですけど(笑)、住んでいるとどんどん新しくやりたいことが増えてきて、いつまでも完成はないんです。庭と同じように試行錯誤していくことが、こういうところに暮らすライフスタイルだと思っています」。TREEFORTE inc.代表・ランドスケープデザイナー、石川洋一郎さん。メキシコ原産のユッカなど、庭には立派なグリーンが多数。開け放った開口から、心地よい空気が流れる。人間は潜在的に植物に癒されるという、“バイオフィリア”の仮説に納得。近所の人も気軽に訪れるアウトドアリビング。ここで過ごす時間が長いそう。石川邸設計shushi architects所在地東京都八王子市構造木造規模地上2階延床面積150㎡
2020年04月06日森の景色を楽しむ「緑の多いところ」に的を絞って土地探しを始めたAさん夫妻。Google Earth(グーグルアース)で奥さんが緑をたよりに見つけた敷地は、Aさんの実家に近くAさんがもともと気に入っていたエリアだった。実際に見てみて購入を即決したのは裏側が森のような豊かな緑に面する敷地だった。「窓を開け放ってこの景色が楽しめそうだというのがいちばんの決め手」になったという。正面に見える森はAさんが子どものころに遊んだことのある場所で、そのころとまったく変わってないという。ふたりに大事なことから家づくりではまず設計を依頼した保坂猛建築都市設計事務所との打ち合わせからスタート。奥さんは「“このような家にしたい”みたいな具体的なことはまったく言わなかった」という。Aさんは「安全で居心地が良くてこの家にいることで人間関係が充実する。そして空間に触発されて自分の発想や考え、行動とか雰囲気の幅が広がるような家をもちたい」と希望を伝えたという。これに加え、自分たちの現在の暮らし、今までどう生きてきたのかこれからどう生きていきたいのか、そして自分たちの好きなこと、大事なことについてじっくりと話をして伝えていったという。ダイニングの上にはトップライトがある。木漏れ日のような光が時間が経つにつれて変化していく。キッチン側からカフェコーナーでくつろぐ夫妻を見る。ふたりの時間への投資「よくよく考えてみて、結婚してからふたりで一緒に過した時間が人生の中でいちばん大事だったねっていう話になった」と話すのは奥さん。「家を建てること自体がそのふたりで過ごす時間への投資だというような考え方で始まっているんですね。そしてそこからふたりだけで閉じずに人間関係を構築していって物事に対する感じ方、感覚も含めて広げていけるようにしたい。保坂さんのクリエイティビティ、創造性に触発されて自分たちの人生が変わっていく。そこにものすごく期待しました」夫の保坂猛さんとこの家の設計にかかわった恵(めぐみ)さんは「おふたりが大切にしているもののひとつに“食べること”があるんですが、そうした大事にしていることから2人の関係と時間を築き上げていく。それを何よりいとおしく思っている人たちなんだというのが話をしていてわかったので、ふたりの距離感をうまく建築の中に取り入れていければと思いました」と話す。さらに「料理をつくったりおしゃべりをするスペースのほかに、ふたりで茶を飲むスペースがあり、また自分たちが大事にしている本を読む空間もある。そうした中で、ふたりの距離感がつねに自分たちでつくることができる。そして、同じ方向を見ているときだけではなく、別々の方向を見ているのにふたりの距離感がとても近かったりするような空間をつくることができればと思いました」とも。玄関側の廊下から見る。突き当りの右側に階段、すぐ右手にはテレビのあるスペース、さらにその奥にはウォークンインクローゼットがある。キッチンの上にもトップライトがつくられている。キッチンのシンクはL型でこれが使いやすいという。奥さんが自身のお父様にすすめられて始めた土鍋料理。料理が楽なうえに不思議なほど味がおいしくなるという。ふたりが多くの時間を過ごすというカフェコーナー。2人にちょうどいいサイズにテーブルがつくられている。専用につくられた棚に収まった土鍋。いろいろな種類のものを教えられてどんどん増えてしまったという。壁のような大きな引き戸を開けると料理に使う調味料や缶詰、お酒などを収納した棚が現れる。奥が玄関。この廊下ですでに洞窟の中にいるような感覚がある。森との関係をつくる設計では、室内をそうした方向でつくり上げるとともに、この室内が目の前に広がる森のような景色とどのような関係をつくっていくかも大きなポイントになった。「プライバシーを確保しつつ、緑とか光や陰、風を感じられる家。あと季節の移ろい、時間の移ろいによって、同じ場所なのにいろんな顔をもつ家に住みたいということを最初にお伝えしました」とAさん。「箱根のポーラ美術館の雰囲気が好きで、あのような静かなたたずまい、森の中にあるみたいな雰囲気が好き」なことも伝えたという。保坂さんはこの森のような場所の、人工的につくられた公園にはない「(自然の)原初的な感じ」に着目した。その原初的なものを全面ガラスにしてすべてが見えるようにするのではなくて、あたかも洞窟の中からその原初的で美しい自然をうかがうようにできないかと考えたという。美しい場所に出ていく楽しみ、見る楽しみが生まれるような空間をつくる。そこで軒を延ばしてあえて室内から見える景色を絞り込んだ。その軒はまたそのような眺めをつくるだけでなく、斜めにつくられていて雨の日には片方の端から雨が流れ落ちるようになっている。そうすることでその端の部分以外では軒からはほとんど雨が落ちてこないという。「自分の目の前には雨が落ちないでその先に雨がさーっと降っている。これがとても幻想的で、自分のいる場所と向こうの世界はつながっているのに違う世界のような感じがするんです」と奥さん。さらに、夜の「月の光を受けた景色も幻想的で、窓の外が全面青白く光る」のだという。「窓があって、緑が見えるオープンなお風呂に入りたい」とリクエストした浴室は、奥さん曰く「露天風呂のよう」。浴室とベランダを見る。2階の奥さんの部屋も開口の部分で風景が絞り込まれている。階段を上がると奥さんの部屋、手前右側に浴室がある。幸せの意味が分かるようになった引っ越しをされてから1年半ほど。Aさんはこう話す。「思い描いていた、暮らしたかった生活がほんとに目の前にあるという感じですね。自分でも想像できてなかった、あっこういうものを求めていたんだという空間が目の前に広がっている感じがして毎日まったく飽きないです。いつも新たな発見があり新たな感動があって、2人の大事にしていたお茶の時間だとか食の時間だとか自然を眺める時間だとかがすべて楽しめる空間になっていて大満足です」奥さんは「幸せということの意味が分かるようになりました」と話す。「小さなことを積み重ねていく。それがほんとに幸せということなんだって。この家から得た幸せを考えるとものすごく良い投資だったなと思います」「小さな幸せがいっぱいある」というこの家での暮らし。この幸せの感覚は室内空間のつくりに加え、森のような場所に対面することで人間のもつ原初的な感覚が解き放たれるなかでも深まっているのではないか、そのように思われた。お気に入りの場所でお茶をしながら森を見るAさん夫妻。月夜の晩にはあたり一面が青白く光って幻想的な風景になるという。ピクチャーウインドウでもある開口にダークな色合いのフレームがフィットしている。屋根の中央部分に開けられているのは浴室の開口。屋根が斜めに切られているため、雨が降ると右の端の部分に雨水が集まって落ちるという。道路側から見る。建物の左側に既存の地下駐車場があり、そこに荷重をかけられなかったため、これを避けて配置計画を行った。A邸プロデュースザ・ハウス設計保坂猛建築都市設計事務所所在地千葉県市川市構造木造規模地上2階延床面積61.83㎡
2020年03月11日緑が近くにある環境を求めてファッションディレクターであり料理家としても活躍する内山しのぶさんが、2匹の愛犬と家族と暮らすのは、等々力渓谷の近くに建つ2階建ての家。この家が完成したのは2001年のこと。「緑に囲まれて暮らしたい」「当時の愛犬・チャイがのびのびと過ごせるように」と願い、東京のオアシス・等々力渓谷に近く、四季の自然を感じる環境に惹かれ、建築をオーダーした。「桜、ハナミズキ、マキの木が元から植わっていて、それが素敵だったんです。家を建ててからミモザも植えたので、春はピンクと黄色で息をのむほどに綺麗なんですよ」。設計をお願いしたのは、日影良孝建築アトリエの日影良孝さん。「日影さんとは長い付き合いの友達で、趣味やライフスタイルをわかってくださっているから、安心してお任せできましたし、どんな家になるかとても楽しみでした」。この家の間取りはシンプルだ。1階に寝室やバスルーム、書斎などのプライベートなスペースをまとめ、2階はフロア全体を開放的なリビング・ダイニングとした。そして、緑に囲まれたのびのびとした暮らしを生み出しているのが、リビングにつながる約16畳のウッドテラスだ。家を建てた時に居たチャイちゃんも、現在の愛犬・ルウルウちゃんとロンちゃんも、このテラスが大好きで、自由に駆け回ったり日向ぼっこを楽しんでいる。外観の3本のシンボルツリーは20年前よりだいぶ大きくなった。2階のテラスには外からも上がれるようになっていて便利。駐車場の屋根としての役割も併せ持つ。テラスでくつろぐロンちゃん(取材時4カ月の男の子)。見晴らしの良いテラスは、ルウルウとロンちゃんお気に入りの場所。暮らしに馴染んだ明るいリビング2階に上がると、そこはたっぷりの光と窓外の緑を心地よく感じる空間が広がる。南東のコーナーはL字型の掃き出し窓になっていて、開け放つと外のテラスと一体化する。視線がすっと抜け、室内でありながら空間の制限を感じないのは、設計の妙だ。しのぶさんは「本当に気持ちの良いリビングで、冬も太陽の光がたっぷり入るので暖かいんです」と笑顔で話す。また、内山さんは家づくりの打ち合わせ時に、好きな建築家として吉村順三氏の本を日影さんに見せ、理想とする空間を伝えたという。それを受けた日影さんは、シンプルで洗練されたデザインを追求。壁や天井の「白部」と床や建具の「木部」のバランスにこだわり、吉村順三氏が愛した暖炉をリビングに設置した。温もりや安らぎを感じるインテリアは、ほとんどが20年前の竣工時より前から長く大切に使い続けているもので、家具に合わせて設計。毎日の暮らしにしっくりと馴染んでいる。「犬の脚に負担をかけないように」と、床は無垢のカラマツに。20年の時を経て、味わいのある飴色になってきた。ルウちゃんとロンちゃんは、窓際の特等席でゆったりくつろぐ。リビングからは、ウッドテラスのグリーン、そして3本のシンボルツリーを望むことができ、四季の移ろいを感じられる。木製建具にはラワンをチョイスして、明るい雰囲気に仕上げた。リビングの一角には、白いポルトローナ・フラウのソファやジョージ・ネルソンのベンチを配したくつろぎコーナーが。白い梯子を登るとロフト。奥はキッチンになっている。ルイス・ポールセンの照明はヴィンテージ。20年前からずっとリビングを照らし続けている。奥の鏡は目黒通りのアンティークショップで見つけたもの。ローテーブルとして使っているネルソンベンチには花やキャンドルを飾り、インテリアの一部に。花の匂いを嗅いでいるのは、好奇心旺盛な4カ月(取材時)のロンちゃん(男の子)。白を基調としたモダンなデザインの暖炉。炉台は耐火性に優れたトラバーチンという石材。冬には火を入れて、揺れる炎や薪のはぜる音でリラックスする。アットホームな料理教室をスタート大手出版社の女性誌の編集長を歴任してきたしのぶさん。3年前に会社を辞め、今はフリーランスでEコマースや編集の仕事をしている。「これから迎える60歳から先の人生を考えた時に、何か軸がほしいと思ったんです。それで思い切って会社を辞め、自分らしく生き生きと過ごすにはどうしたら良いか考えました」そこで頭に浮かんだのが料理だった。『編集長のお家ごはん』(世界文化社、2013)というレシピ本を上梓したほど料理好き・もてなし好きのしのぶさんは、退社後に中国伝統医学を取り入れた薬膳料理、マクロビオティック、オーガニックなどについて勉強。調理師の免許を取得し、2018年の6月から自宅で月に2回の料理教室を開催している。「この家があったことが、背中を押してくれた部分もあると思います。この家を訪れる方は皆さん『居心地が良い』と言ってくださるので、生徒さんを迎えるのにもいいかなと思いました」。編集者として忙しい日々を送ってきたしのぶさんが教えるのは、素早く簡単につくれるけれど、おしゃれで、体に優しい料理。さらに2019年には国際中医薬膳師の資格も取得し、「体にパワーをくれる・体を整えてくれる食材を、シンプルな料理法で美味しくいただく」ことをテーマとしている。生徒さんからは「料理教室の日の翌朝は体の調子が良い」と、うれしい感想が届いている。また、友達の家に遊びに来たようなアットホームな雰囲気も特長で、教室が終わった後もゆったりとくつろいでいく人が多いという。慣れ親しんだ自宅で新たな挑戦を始めた内山しのぶさん。この家はこれからも、住まい手と愛犬たち、そして訪れるゲストを心地よく包んでくれるのだろう。ダイニングテーブルは、以前の住まいの時から愛用している「IDEE」のもの。手前のテーブルは、教室を始める際に買い足した。シャンデリアはオランダのブランド「moooi」のもので、料理教室を始めるにあたり、新しく購入した。白を基調としたキッチンは、緑が見える窓もあって明るい。ミーレの食洗機、AEGのオーブンなど、しのぶさんが厳選した機器がおさまる。壁面はモザイクタイルにしてあり、素材のグラデーションが楽しい。ガスコンロは、フランスの老舗キッチン機器ブランド「ROSIERES(ロジェール)」のもの。4口あって使わない時は蓋ができるので、とても使い勝手が良いそう。中医学薬膳料理教室SHINOBUTEIお問い合わせインスタグラム shinobutei内山邸設計日影良孝(日影良孝建築アトリエ)所在地東京都世田谷区構造木造規模地上2階建延床面積87.01㎡
2020年03月09日アメリカの“The Black List”など、映像化されていない脚本を対象とした評価および映画製作マッチングの日本版プロジェクトとなるWEBサイト「Green-light」が、4月よりスタートすることが分かった。Green-lightは、脚本家が掲載者として脚本を投稿し、製作者(プロデューサー、監督ほか)が閲覧者としてそれらの脚本をファイルとしてダウンロード、閲覧ならびに評価することができるWEBサイト。気になる脚本家に対しては、製作者からサイト外で自由にコンタクトが取れるものとなる。すでに類似サービスが複数あるアメリカでは、2005年からサービス開始された最大手の“The Black List”が有名。初年度の掲載作品からは『JUNO/ジュノ』が映画化されヒット、アカデミー賞脚本賞を受賞した。その後も『スラムドッグ$ミリオネア』『英国王のスピーチ』『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』など、“The Black List”掲載作品から多くの名作が誕生しており、これまでに400本以上が映画化され、それらの作品の世界興収は合計260億ドルにのぼるという(The Black List 公式発表より)。Green-lightでは、脚本家個人のデスクに眠っている数多くのヒットコンテンツのアイディアを脚本コンテストなどのクローズドな時間と場ではなく、コンテンツ業界内で常時アーカイブされるプラットホームとなるべく現在制作中。映画/ドラマプロデューサーや監督たちのアイディアのネタもととして、またはほかの企画での脚本執筆者を探す場として、様々な意図に活用され、新たな脚本家人材に機会が行き渡る環境を目指していく。本プロジェクトのビジネスモデルはアメリカの“The Black List”と同様の形となり、閲覧者/掲載者共に会員制のサービスで、閲覧者側は映画/ドラマの製作実績のあるプロデューサーや監督その他を対象とした承認制で無料で利用することができ、掲載者は月額会費制で誰でも自由に脚本を掲載できる仕様。脚本家(掲載者)向けの月額費用の価格設定については後日サイト上で発表されるという。製作者会員は、映画・ドラマ等映像コンテンツにおけるプロデューサー/監督/俳優/俳優マネジメント/出資者といった、製作に関わる方が対象。本日1月22日より製作者会員の事前登録がスタートする。「Green-light」は4月、プロジェクトスタート。(text:cinemacafe.net)
2020年01月22日建築家に土地選定の段階から相談20年住まわれた東京・江東区を離れ、昨年世田谷区内に家を建てたUさん夫妻。「以前の自宅の目の前が再開発地域にあたり、タワーマンションの建築計画が入っていたんです。それを機に移ることにし、土地を探しました」(夫)家を建てるにあたり、夫が以前勤務していた会社のオフィスデザインを手掛けた建築家の庄司寛さんに依頼。土地選定の段階から相談した。通勤や地盤などを考慮し、出会ったのがこのY字道路に面する三角形の敷地だった。「庄司さんに“この土地、どう思いますか?”と見ていただいたら、庄司さんがサラサラと家のイメージを描いてくださってね。それが、20代の頃、2人で留学していたときに住んでいたシアトルのコンドミニアムと重なって、懐かしい気持ちになったんです」(妻)スキップフロアや高い天井の開放的な雰囲気が当時と重なり、ともて気に入ったという。仕上がった家は、その最初のイメージどおりだと話す。Y字道路に面する。角地に建つため、道を曲がってくると、大きな開口を設けた片流れの外観が目に飛び込んでくる。玄関前の三角スペース。妻が育てているバラがお出迎え。ガレージの奥には、近くを走る電車が時折見えるという遊び心も。2階のリビングダイニング。奥行のある、明るく広々とした空間。三角形の敷地の個性を活かす「土地のポテンシャルを最大限に活かすことを考えました」とは建築家の庄司さん。三角形の土地でできるだけ長く取れる軸線を意識したという。北東側にとれた軸線に沿って奥行のある建物を配置。南西側に目線が広がるように大きな開口やベランダを設けた。また、奥に向かって徐々に下がっている高低差のある土地であるため、傾斜を活かすスキップフロアを採用した。三角形の土地ゆえに、所々に残った三角形の部分は、玄関の前庭、寝室前の中庭、バスルームから見える坪庭、裏の勝手口などとして無駄なく活用。敷地の個性によって生まれたスペースが、生活に豊かさをもたらした。また、「今回家を建てるにあたり、老後を意識しました」と話すご夫妻。災害等のときに避難しやすいよう寝室は1階に配置し、階段の段差は20cm以内を希望した。さらに、1階は割れにくい強化ガラスを採用し、ライトは自動やタイマーで灯るようにするなど、防犯面にも配慮した。寝室脇の中庭は、妻のリクエスト。四季折々の花が植えられている。1階の寝室。南側の窓から、1階とは思えないたっぷりの日差しが入る。寝室の隣の部屋。近々、妻が営む事務所が移転してくる予定。玄関から見る。階段の段差は低めに設定。数段降りた奥がサニタリールーム、その奥が勝手口へと続く。バスルームは開放的なガラス張りにこだわった。ホテルライクなバスルームがお好みの夫のリクエスト。坪庭(奥)を眺めながらゆったりとくつろげる。階段下は収納になっている。換気扇付きの猫用トイレ(左奥)も設置。勝手口には、裏のシンボルツリーとしてトネリコを植えた。大勢が集うワンルームUさん夫妻は広島県の出身で、高校の同級生。当時、夫が所属していた吹奏楽部の先輩や現役生までつながる後輩たちとともに、毎年夏にコンサートを開いているという。「年に数回、その仲間たち20数名や留学時代の友人たちがうちに集まるため、大きなワンルームを希望しました」(夫)広々とした2階のリビングダイニングは、その人数をもてなすにも十分な広さ。「人を招くのが大好き!」という夫が中心になって料理をふるまうとのこと。普段は中華料理に凝っているというが、パーティのときはイタリアンが多いそう。「けっこうイケますよ」と妻も太鼓判を押す。ダイニング脇のキッチン(右)は動線を考えた造り。中華料理に凝っている夫の希望もあって、火力の強いガスレンジに。自然と窓に向かって並んで座ることが多いというお2人。華奢でシンプルなテーブルは庄司さんのデザイン。イスは『柏木工』のもの。2階もスキップフロアになっている。勝手口の上にあたる(奥)部分にはサービススペースを設置。広めに設計した2階のトイレ。うっすらと透けたガラス張りがお洒落。階段状に設えた収納は無駄のない造り。裏のキッチン側に収めるものによって、階段側の収納部分の厚みが異なる。音楽が趣味のお2人。クラシックを中心としたCDコレクションが。パーティ用のグラス類もたっぷり収納。愛猫たちも満足この家に暮らし始めて1年半。「私たちももちろん気に入っていますが、猫たちが1番喜んでいるかも」と笑うご夫妻。スキップフロアは猫にとって楽しく、ベランダへと続く猫用扉により、外へも自由に行き来できる。また、1年中たっぷり日差しが降り注ぐ2階のリビングは猫にとっても快適空間。季節によって異なる変化を敏感に感じ取り、心地よい場所を見つけてはお昼寝や日向ぼっこをしているという。愛猫たちとともに過ごす何気ない時間を楽しんでいるお2人。今後は植栽にも力を入れていきたいと話す。「四季を意識した花木を少しずつ植えてきて、やっと根付いてきました。イングリッシュガーデン風の庭に憧れているので、少しずつアレンジしていきたいですね」(妻)『柏木工』で購入したソファで過ごすひとときは、お2人のお気に入りの時間。奥の開口が道路側。夜は、天井の梁が幻想的に光り、外から見ても美しい。2階のウッドデッキ。低めの手すりがポイント。左下が猫の出入り口。下には、寝室前の中庭がある。キッチンの下に設けた猫の出入り口。ご夫妻が留守のときでも自由にベランダと行き来できる。下から上に調節できるブラインド。道路からの視線と日差しを避ける。先代猫のリリくんとトームくん。日本画を学んだ妻の妹さんの作品。U邸の猫たちは皆、捨て猫や保護猫だった。現在飼っているモモちゃん(5歳、メス)。もう一匹の黒猫のハナちゃん(6歳、メス)はシャイな性格で一瞬しかお目にかかれなかった。モモちゃんを描いた妹さんの作品。御覧のとおり、そっくり!U邸設計庄司寛建築設計事務所所在地東京都世田谷区構造木造規模地上2階延床面積105㎡
2019年12月16日窓から開ける景観を活かして「子どもが生まれたこともあって実家に近い鎌倉で探していたのですが、この土地を見て即決しました」。都心のマンションに暮らしていたインテリアデザイナーの新谷憲司さんが、緑深い鎌倉の山の中腹に一軒家を構えたのは約1年半前。曲がりくねった坂道を登っていく途中に、焼スギの外壁に囲まれた瀟洒な家が現れる。「この場所を見て、ここに3階建ての家を建てたらおもしろいものができるな、と思いました。森に囲まれた平坦ではない土地なので、フロア毎に違う景色が開けてくるイメージが思い浮かんだんです」。“坂から登ってくる家”をスケッチで描いて建築家に相談。間取りなど自分で考えたものを基にプランニングを進めた。坂の途中に建つ焼スギの外壁の家。鎌倉の静かな森に、寄り添うように佇む。ガレージにはストレージも。庭の手入れも楽しみのひとつ。庭を眺める作業スペース1階から3階まで、それぞれの開口が違った景色を切り取る箱のような家は、フロア毎に違った雰囲気を持つ。「1階は何かができるスペースにしたい、と考えました」。外から土間のようにつながったモルタル敷きの空間に、仕事場、DIYスペース、水まわりを設置。2階につながる階段には、壁一面に書棚を造作した。「本棚は前に住んでいたところの1.5倍欲しいと思っていたんです。オフィスは都内にあるのですが、ここでも仕事ができますし、このスペースがあることで生活に余裕が生まれますね」。大きな開口の向こうには庭の緑が広がり、外からの光を室内に運び込む。「もともとここには昭和30年代の古屋が建っていて、庭には古い大木もありました。その木を残しながら、この場所で育ちやすそうな木を調べて、新たに植栽したんです。今は育っていくところを見守っています」。豊かな自然を切り取る1階の開口。まわりを散策してはどんな木が育っているのかを研究したそう。モルタルがクールな水まわり。洗面には実験用のシンクを使用。窓からの景色が心地いいバスルーム。緑を眺めながらの朝風呂も。土間のような1階のスペースでは、仕事をしたり、本を読んだり、庭を眺めたり。仕事机の向こうのDIYスペース。有孔ボードにツールを吊るす。古道具屋で見つけたという、時代を感じさせる背負子が風情たっぷり。薪ストーブありきで考えた広々とした2階のLDKは、大人数で集まることの多いライフスタイルに合わせて設計。3方向の開口から眺められる緑と、黒を主体としたインテリアがコントラストを生んでいる。「最初は箱のような家にしようというだけで、イメージは決まっていなかったんです。その後、長野の中川村に薪ストーブを見に行って、具体的になっていきました。薪ストーブからデザインしたと言ってもいいですね」。夫婦ともに外せなかったというイエルカワインの薪ストーブの黒に合わせて、キッチン台に黒皮鉄をあしらい、ダイニング側には大きな黒皮の壁を立てて空間のアクセントに。「天井も最初は木を現していて山小屋風だったのですが(笑)、黒く塗装しました。黒い家にするつもりは当初なかったのですが」。書棚のある階段側は、黒いアイアンの柵が仕切りになっている。工業的なマテリアルを使いながら、どこか和の意匠も感じさせるのが落ち着くところ。「考えたのは日本家屋の再構築です。和の曖昧なものを現代的に解釈して取り入れられたらと」。細かなところに和の素材を用い、“交換”により繕っていく、そんな日本の昔の暮らしも踏襲されている。書棚をバックにしたリビングは、バルコニーや開口からの光で陰影が美しい。夜はスポットライトとウォールランプでほのかに灯す。ソファーはデイベッドのようなサイズ感で造作したもの。黒皮鉄をあしらったキッチン&ダイニング。引っ越し前から持っていたザ・コンランショップのダイニングテーブルがきれいに収まるように設計した。現しにした天井を黒く塗装。キッチンは大勢でのパーティーにも対応できるよう2列に。2階キッチンの開口は、道行く人の目線と同じ高さになっている。長野県上伊那郡中川村にあるイエルカワインの薪ストーブが鎮座。これ1台で冬もエアコン要らず。料理好きな憲司さんがキッチンもデザインした。使い込んだ調理器具がずらりと並ぶ。黒皮鉄の壁の前でブルテリアの谷氏と。イスはアルミニウムを原材料としたネイビーチェア。アイアンのフェンスは藤沢のさいとう工房にオーダー。書棚との組み合わせが独特の世界観を構築。オリジナルで考案したワゴン式収納。奥の方の食器も楽に取り出せる。2階の凹凸のある床はフレンチパイン。階段〜3階は無垢のナラ材で。吹き抜けが温かな空気を運ぶ「吹き抜けは戸建てならではのものですから、絶対に設けたいと思っていました。光が下に落ちていく具合も計算しました」。3階の南側に設けたスリットから入る光が、2階のLDKに届く。吹き抜けを介して、それぞれのフロアの気配も感じることができる。「3階の居室にも仕切りをつくるつもりはなくて、真ん中を解体できるクローゼットで仕切っているだけなんです。建具などもほとんど使っていないので、実はローコストで建てられましたね」。薪ストーブを炊けば、真冬でも3階まで暖かい空気が流れる。居心地のよさからか、自宅で過ごす時間が長く、鎌倉に来てから外食することなどもほとんどなくなったそう。「最寄りのコンビニまで10分、レストランも早く閉まってしまったりと、決して便利ではないですが、ここに来て暮らしを楽しむようになりました。デザインを考えるのも楽しかったし、今は終わっておもちゃを取り上げられたみたいで(笑)。これからはDIYで少しずつ変えていくのが楽しみですね」。手すりには竹をDIYで取り付けた。スリットから光が差し込み、吹き抜けを介して家族の気配が伝わる。クローゼットも以前の1.5倍の容量に。現在は妻・朋子さんの仕事机などを置いている部屋。こちらの開口からは崖が望める。「入居当初は朝、鳥の鳴き声がうるさいくらいで…」というベッドルーム。鎌倉の空気にしっくりとなじむ家。バルコニーではハーブなどを育て料理にも活用。新谷邸設計・建築アーク・コンストラクトインテリアデザインa3所在地神奈川県鎌倉市構造木造SE工法規模地上3階延床面積120㎡
2019年12月02日正面にスチールの骨組みと緑山田邸を訪れてまず目を引くのは、その外構部分だ。スチールで組み上げられた骨組みに階段が組み込まれ、それらの間から緑が顔を出す。そしてその背後にある住居部分が半ば隠れていてその全体像をつかむことができない。設計したのはこの家に住む建築家の山田紗子(すずこ)さん。この家は夫と息子、そして自らの両親とともに暮らす住まいとしてつくられたものだ。「環境さえつくれば家はどんな感じであってもある程度いいものになるのではないかと楽観的に考えました。なので、その環境の部分――外構というか庭というか――をいかにつくるか、そして家のほうはそれに向かっていかに生活できるようにするかが出発点となりました」と話す。「適度に都市と細かくつながりながら見え隠れしているようなあり方が面白いのではと思った」(紗子さん)。玄関周りの外壁面を正面から見る。2つのテラスを結ぶ階段がダイナミックに宙を飛ぶ。そして「土地の広さが109㎡ほどなので、その半分は庭にしないとそのようにはならないだろう」と、まずは敷地の半分程度を庭にあてて残りを住居のために使うことに。外構部分のテラスと階段についてはこう説明する。「住居部分のボリュームスタディを進める中で、地上3層プラス半地下にすることでようやく求められている居住空間を収めることができたのですが、その3層に対してどのように緑を配置しても、上の方のレベルでは庭にアクセスできない。それでは外構が借景のような感じになってしまうので、テラスを張り出して、さらにそのテラスに行くための階段をつくろうということになりました」反時計回りに階段が地上の1層目につくられた書斎の前のテラスを経て最上層へのテラスへと至る。外構部分の緑とスチールがプライバシーを守るバッファ的な役割も担っている。階段がぐるりと円弧を描いて最上層のテラスへと至る。地上1層目につくられたテラスから最上層のテラスの方向を見る。最上層に設けられた寝室とテラス。このテラスは夫のマサシさんのお気に入りの場所。マサシさんは「緑に水をあげたりなどの手間はかかありますが、気持ちのいい生活の場がそういうものをぜんぶ押しのけている」と話す。自由な空間スチールの骨組みと緑が無造作に混在しているように見える前庭を横切って内部に入ると、こちらもまた庭に劣らぬおおらかな自由さのようなものが横溢した空間が現れる。この自由さの印象は、表層部分をきれいに仕上げてソフィスティケートされた空気感をつくり上げるのではなく、その真逆を行くような、素材の即物的ともいえる扱い方や一見無頓着そうにみえる素材の混在のありようなどから受けたのだが、紗子さんが設計しながら考えていたのは次のようなことだったという。「あまり計画的にきれいにゴールを決めてしまうよりも、生活の中で必要だと思ったことや欲求にたいしてぱっと動けるような設計のアイデアを考えて積み上げていくほうが面白いし、永続的に使っていける家にもなるのではないかというイメージがありました。またある意味、即物的にやっていくほうが、住みながら住まいと住んでいる人が対話しているような部分も生まれるし、建築自体も変わっていって、住んでいる人もまたそれにかかわることができるのではないかと」室内に“外部”が入ってくるような感覚をつくり出すべく、主寝室の壁に外壁と同じガルバリウム鋼板を使用した。ダイニングとキッチンを見る。天井は骨組みだけでなく配線なども表に出して視覚的にわかるようにしている。外を見ながら料理ができるキッチン。この配置は家族皆で料理ができるようにするためのものでもあった。即物的なあり方とモノの混在即物的ともいえる扱いには「モノとモノがどう組み合わさってつくられているのかがわかるにほうがいい」という紗子さんの考え方も反映している。「建物の骨組みがつねに見えているほうが、何によって囲われていて何によって守られているのかが体感できて特に子どもにとってはいいのではないか」。この考えは2011年の震災の体験も踏まえてのものだという。「震災の時に見えないものに対する恐怖みたいなものを強く感じて、自分を支えているものがいったいなんなのか、どこからきているのかがわからない現代の生活に対して、もうちょっと可視化していけないかと」一見無頓着な素材の混在については「基本的に外も中もモノがなるべくバラバラに混在しつつ一個に成り立っているような状態をつくりたかった」と話す。たとえば階段の手すりが左右同じ素材だと、一個にまとまりすぎてボックスのように確固とした存在になってしまう。そう見えないように、なるべくモノがただそこに集まってきて、結果的に階段になっているくらいの存在感であってほしいという思いがあったという。左は高さ4mあるスチールの開き戸を開けた状態。今夏の朝と夜はだいたいこのように開けていたという。「朝と夜、25度くらいに下がった時にこのドアを開けると家の暖気がぜんぶ逃げていってすごく涼しかった」(紗子さん)という。リビングを見下ろす。階段の手すりにスチールパイプを使ったのには「なるべく外の風景とつながるように」との思いもあった。即物的にモノとモノがただ組み合わさって出来上がっている状態をつくるべく現場に通って直接職人さんと話し合ったという。ドアの前に斜材設計に関して夫のマサシさんからのリクエストはほぼゼロだったというが、マサシさんは「ドアの前に木材が斜めに入ると聞いて、そこは“ホントに?”と思った」という。しかし「実際住んでみると些細な問題で、ドアの前に木の斜材が入っていても生活にはなんの支障もない」と話す。。さらにこの家では「場所の区別がないかもしれない」とも。「場所がすべてひとつながりになっているような感じで、かつ個室が互い違いに置かれているので、家全体に家族の気配が下から上まで感じられるようになっている」このように語るマサシさんのお気に入りは最上層の寝室前に設けられたテラスだ。「あのテラスで椅子に座ってお茶飲んだりとか、ヨガマットを敷いて本を読んだりして」適度に外のざわめきを感じながら過ごすのがいいという。リビングでくつろぐ山田さん夫妻と息子さん。奥の書斎前に座っているのは紗子さんのお母様。山田邸は2世帯住宅だが、もともと一緒に暮らしていたため、「2世帯」であることは設計時には特にテーマとはならなかったという。リビングの奥から見る。玄関から見上げるとダイナミックな風景が目に入る。リビング方向を見る。左は開き戸を開けた状態。開けることで中を外へとぐっと誘導するような空間の質が生まれる。玄関部分を見下ろす。半地下につくられた紗子さんの事務所。手前は設計途中につくられたこの家の模型。事務所側から玄関と紗子さんのお父様の寝室を見る。原始の生活?「人が自由になれるきっかけみたいなものが家の中にあるだけでいい」とも住宅設計の理想を語る紗子さんの好きな場所は地上の1層目につくられたリビング。「設計中からたぶんここがいちばん気に入るだろうと思っていたんですが、その通りになりました。ダイニングは木のいちばん上のような場所にいてパーンと外に開け放たれた感覚がありますが、リビングのほうは少し森の中にいるような空気感で、適度な暗さもあって居心地がいいですね」ソフィスティケートされた空間を追求しがちな現代住居とは反対方向を向いているように思える山田邸での生活は「原始の、自然の中での暮らしの感覚に近いのかもしれない」とふと思い至ったが、この家の自由さのようなものをはらんだ居心地の良さからそのように思えたのかもしれない。紗子さんお気に入りのリビングスペース。2、3年後に緑のボリュームが増えるとさらに森の中にいるような空気感が増すだろう。山田邸設計山田紗子建築設計事務所所在地東京都世田谷区構造木造規模地上2階+地下1階延床面積138.5㎡
2019年11月13日山林付きの土地を購入神奈川県鎌倉市の眺めの良い高台で暮らす黒沢征佑喜(まさゆき)さん一家。以前住んでいた東京都三鷹市周辺から土地探しを始め、予算の都合と自然豊かなのびのびと暮らせる環境を求めて徐々に南下していった。探し始めて2年近くが経ち、ようやく出会ったのが、この山林付きの住宅地。「この土地を見たとき、ここだ!と思いましたね。裏に山林があって、眺望も素晴らしくて。裏山っていろいろなことができそうじゃないですか。ツリーハウスを建てたり、ジップラインやスラックラインを設置したり。自宅でキャンプが楽しめるような、アウトドアライフを満喫できる家が夢だったんです」と目を輝かせる征佑喜さん。庭の手入れや山林の造成を徐々に始め、裏山に何を設けるか、目下構想中である。自然環境豊かな高台に建つ。西側に開けた大きな窓が気持ちいい。裏の山林。「まずは、石段を造り、その上に小屋を建てたい」と征佑喜さん。2階部分に設置した回廊と帯状に張った杉板で個性的な外観に。斜面に建つため、高い土台が必要だった。屋上をアウトドアリビングに「屋上がなければ家を建てる意味がない、というくらい屋上は必須でした(笑)」と征佑喜さん。念願の屋上にはルーフテラスを設け、2階のLDKからそのまま階段でつなげたことで気軽に出られる空間となった。リビングとほぼ同じ広さで約20畳のルーフテラスは、アウトドアリビングとして大活躍。ゲストを招いてバーベキューをしたり、テントを張ってキャンプをしたりと、まさに家にいながらにしてアウトドアライフを楽しんでいる。丹沢山系から富士山までが一望でき、自然環境に恵まれたこの地では、季節や天気の移ろいにも敏感になるという。広々としたルーフテラス。テントを張ってキャンプ気分を味わったり、日差しの強い日はタープを張って寛いだり。周囲の住宅よりも一際高い位置にあるため、近所の視線も気にならない。右側の階段を昇ると屋上へ。視線が抜けて開放的なスケルトン階段は、1階まで光を届け、排熱効果にも一役。腰掛けるのにもちょうどよい和室。ゲストを泊めるために設けたが、現在は征佑喜さんの部屋!?プラモデルなどの塗装を行う道具が揃う。「窓もあり、換気にも好都合だった」と征佑喜さんのお気に入りの場所。自ら一部(左側)に床材を敷き、塗装をする趣味の部屋にしてしまった征佑喜さん。朔くん(6歳)の好きな「ゾイドシリーズ」も征佑喜さんが塗った。自然の恵みを活かした設計土地探しから手伝ってもらったという「HAN環境・建築設計事務所」は、太陽や風、緑、土など自然の恵みを取り入れる“パッシブデザイン”に基づく設計を行っている。その考え方に、黒沢さん夫妻が興味を持たれたことがきっかけで設計を依頼した。黒沢邸の特徴ともいえる2階のリビングをぐるりと囲むように設けた回廊は、パッシブデザインの工夫のひとつ。強い西日をやわらげ、すだれをかけることでさらに日差しを遮断することができる。また、1階から屋上に続く階段の吹き抜けにより、排熱効果も抜群。季節によって異なる日差しの角度を計算して窓を配置し、採光や通風も考え抜かれているため、エアコンに頼らず、四季を通して快適に過ごせる。さらに、裏の山林の緑も生活にさりげなく取り入れている。2階のLDKにつながる階段脇に大きな窓を配すことで、階段を昇りながら、またキッチンやリビングからいつでも裏山の緑が目が入ってくる。「この土地の特徴を最大限に活かしてもらいました」とご夫妻も満足気である。リビング側からDKを見る。天井はあらわしにし、化粧材を加えてデザイン性を高めた。裏の山林が見える階段脇の窓。建築家・伊東豊雄デザインの照明が、リビングから見たときにちょうど中央にくるよう考えられている。2階のLDKを囲むように設置した回廊。ぐるぐる回遊でき、子どもたちも楽しそう。自分流の家事動線で「生活感が出すぎないように隠す収納にしています」とは妻の香織さん。キッチンまわりは、食器や調理器具、冷蔵庫に至るまですべて扉内に収納。急な来客でも苦労せず片付けられるという。また、アイランド型のキッチンとダイニングテーブルを横並びにしたのも香織さんの案。「テーブルに料理を並べるときなど、いちいち回り込まなくてよく、最短距離で動けて便利です」。また、香織さんの希望でキッチンの奥に洗濯室を設けた。洗濯機を1階のバスルーム脇ではなく、2階の洗濯室に置くことで、物干しスペースやキッチンにも近く、効率的に家事ができる。「洗濯物を持って2階に上がるのも、衣類が乾いているため軽く、苦ではありません」とのこと。香織さん自身が動きやすい家事動線を徹底的に考えた造りになっている。また、空間の有効活用にもこだわった。斜面に建つ黒沢邸は土台を高くしたため、その空間を利用して床下収納を設置。壁の一部をくり抜き、本棚も3つ取り付けた。「今年の正月から春にかけて、床下収納部分にフローリングを貼り、“隠れ部屋”を造りました。子どもたちとよく籠って、本を読んでいます」と征佑喜さん。自分たちらしく心地よい生活を求めて、コツコツと手を加え、楽しんで暮らしている黒沢さんご一家。自然の恵みをたっぷり受けた健康的な笑顔であふれていた。アイランドキッチンとダイニングテーブルは横並びに配置。北欧ビンテージ家具屋で購入したダイニングチェアは形は異なるが座面の生地を統一した。キッチンまわりの物は扉内にすべて収納。「すぐに片付けられて便利」と香織さん。キッチン奥の洗濯室。空ちゃん(9歳)はよくお手伝いしてくれるそう。洗濯室から続く回廊の南側は洗濯干しスペース。LDKからは、干した洗濯物が見えないようになっている。1階のサニタリールーム。洗濯機がないため、すっきり。間取り図に要望や疑問を付箋に書いて貼り、設計事務所と何度もやりとりした。2階から見下ろす。階段の真ん中で、朔くんがよく本を読んでいるという。壁をくり抜いて造作した本棚。本棚の右奥が子供部屋。奥の寝室の下が地下収納で、階段をずらして入る。地下収納をDIYした“隠れ部屋”。読書に心地よいスペース。黒沢邸設計HAN環境・建築設計事務所所在地神奈川県鎌倉市構造木造規模地上2階延床面積88.38㎡
2019年10月21日2世帯を左右にわける芳賀邸は2世帯住宅。芳賀さん夫妻から出された要望は「子世帯の建物とは離してほしいけれども、どこかでつなげてください」というものだった。「よくある世帯が上下で分かれるつくりには音の問題とかあるのでしないでくださいって言ったんですね」と話すのは奥さん。「あと目線が合わないようにしてくださいとお願いしました」その要望通り、芳賀邸は左右に分かれて2階部分に設けたブリッジによって連結されている。2つの棟がずれて配置され、かつレベルの違いもあって目線が合いにくくなっているが、このレベル差は最初のプランではなかったものという。2世帯を連結するブリッジ下に庭へのアプローチがつくられている。地形をつくる「最初のプランでは直接目線が合わないようにしたいということで子世帯のリビングは2階にしていたんですが、途中でリビングは庭に面してほしいという要望が出てきた。1階にしたら当然目線が合ってしまうので、それで丘をつくって子世帯の建物自体の高さを上げることを思いつきました」(建築家の岸本さん)そこで、2棟をつなぐブリッジの下の部分まで傾斜を上りそこから今度は庭に向かって下がるようなかたちで新たに小さな丘のような地形がつくられ、この地形と2つの建物とが一体化するように計画が練り直された。小さな丘状になった部分を上っていくと徐々に風景が変わりもう少し進むと庭が現れる。左が子世帯のリビング。丘の最高地点から子世帯前に広がる庭を見る。親世帯と同様に開口部分に巡らされた縁側。「縁側に出て食事をしたりしたい」との希望から途中で付加された。親世帯の建物前からアプローチ方向を見る。右上が子世帯の建物。親世帯の開口外部には縁側がつくられている。この新たにつくられた起伏によって、庭は道路側からは直接見ることができなくなったが、敷地に奥行きをつくり出し、さらにはその奥に何かあるという雰囲気をつくり出すことになった。庭の奥側の緑には手を入れていないが、建物に近い側の緑は配色にも気を遣って新たに配置されたもの。奥へと人を誘うように、また奥行き感が増すように、アプローチ部分からの流れが巧みにデザインされた。子世帯の建物前から親世帯と庭を見る。親世帯1階のコーナーにつくられたベンチ付近から庭を見る。玄関からこのコーナー部分までタイルの床と簾天井が続く。手前の柱は構造的な役割およびDK部分とベンチ付近のスペースを分節する役割をもたせられている。親世帯の開口部分に縁側が巡らされている。平屋の屋根部分にはウッドデッキが張られて大きめのテラスとなっている。対照的な2つの建物建物の方の設計コンセプトはまず2つの建物の性格を変えることだった。岸本さんは「親世帯はどちらかというと暗がりのある空間、そして子世帯のほうは対照的にオープンで明るい空間としました」と説明する。奥さんは当初、親世帯の空間の暗さに少し抵抗があったようだが、いまは「まったくOK」どころか「帰宅のときはウキウキしながら家に入ってくる」ほど気に入っているという。親世帯の玄関は庭に面した空間と比べかなり暗めだが、入って左右に長い空間になっていて、右へ行くと2階上る階段とともにDK、和室へとつながる。そして左手はそのままダイレクトにDKへ。この部分は床にタイルを張り、天井に簾を使用していて玄関からずっと外部的な空間が回り込む仕掛けになっている。そしてその終点となるコーナー地点には大きめの開口に接してL字形のベンチが設けられている。芳賀さん夫妻がともにお気に入りの場所は開口近くに設けられたベンチ付近という。壁には和紙が貼られている。DKと和室を見る。和室が小上がりになっているためちょっと腰かけることもできて便利という。右が親世帯の玄関扉。入って右に進むと階段やDK、和室に、左へ行くとDKに至る。壁に沿ってベンチが設けられている。子世帯の玄関ホール。右上の窓の建具は以前の家のものを活用している。いっぽうの子世帯のほうも玄関のつくりが特徴的だ。広い土間的空間は天井が高くつくられていてギャラリー的な空間でもある。玄関入って右手には幅広の階段が設けられていてそれを上ると庭に面したLDKへと到る。LDKは親世帯以上に庭に面した開口が大きく取られていて、そこから下部に位置する庭への眺めは緑を十二分に満喫できる格別のものだ。明るい空間にアイランドキッチンをうまく配したつくりもこの空間の心地良さを増幅させている。子世帯のリビングから玄関を見る。家形の空間の部分に幅広の階段がつくられている。キッチンの近くにウェブデザイナーをされている奥さんの仕事場が確保されている。コーナー部分に大きく開けられた開口に沿って木のベンチがつくられている。ここからの庭を見下ろす眺めは格別だ。壁・天井には珪藻土が塗られている。大きめにつくられたアイランドキッチンがこの空間の中心的存在となっている。丸鋼(断面が丸い棒状の鉄筋)を使ったデザインがこの明るくてオープンな空間に軽快感をもたらしている。住み始めてから1年と数カ月。奥さんは庭へと向かって丘状にせり上がる庭へのアプローチ部分を見るのがお気に入りという。「住めば住むほど気に入ってきました」という内部空間ではコーナー部分に設けられたベンチのあたりが「この家でいちばん気持ちが良くて気に入っている」と話す。芳賀さんが「ここから庭を見るのはすごく気持ちがいい」というのも奥さんと同じベンチのあたり。ベンチに座って庭を眺めることが多いという。起伏のある庭に緑が巧みに配置された景色はめったにあるものではない。この家の心地良さは家のつくりと庭への眺めがセットになっているのである。子世帯の軒下にはビカクシダが付けられた流木が吊り下がる。植物は息子さんが趣味で育てている。子世帯の縁側に鉢に植えられたディッキアが並ぶ。温室から親世帯部分につくられたテラスを見る。親世帯の2階の壁にも息子さんが育てる植物が掛けられている。右が温室で外壁にはガルバリウム鋼板が張られている。2世帯をつなぐ温室内には息子さんが育てる植物が並ぶ。道路側から芳賀邸を見る。左に子世帯、右に親世帯の建物が配置されている。芳賀邸設計acaa所在地神奈川県横浜市構造木造規模地上2階延床面積211.65㎡
2019年08月26日大屋根が印象的な斬新な外観文教都市・浦和の閑静な住宅街。戸建てが建ち並ぶ中、ひときわ大きな屋根が目に飛び込んでくる。小さな家型の平屋と、白くシンプルな2階建ての家を大きな切妻屋根でつないだ斬新な外観である。Yさんご一家がこの家で暮らし始めて2年が過ぎた。「中古物件を購入したため、ここには古い家が建っていました。取り壊して建て替えるにあたり、建築家を探し、出会ったのが井上玄さんです。井上さんの作品は、シンプルで格好よく、奇抜すぎないところが気に入りました。年齢も近く、家族構成も似ていたので、生活のイメージが伝わりやすいかなと思い、設計を依頼しました」。自宅で仕事をするYさんがまず出したリクエストは、仕事場と居住空間を分けたいということ。また、敷地が三方道路に面しているため、庭から子どもが道路に飛び出す危険性を懸念し、子どもが安全に遊べる場所がほしいと伝えたという。その要望を受けて井上さんが提案したのは、仕事場と居住空間を離して配置しつつも大屋根でつなぎ、2階に半屋外空間を造るというもの。これは、子どもたちが自由に遊べる庭であり、ダイニングと一体となったアウトドアリビングでもある。この半屋外空間は地上から約2mの位置に設置し、壁は視線を遮る最低限の高さに設定。開口を3つ設け、風と視線が抜けるようにしたことで、街に対して開放的でありながらプライバシーも程よく守られた心地よい空間となった。「こういう家は全く想像していなかったので、専門家の発想力はすごいと思いました」と、井上さんのアイディアにYさんも脱帽だったようだ。ピンクのレンガタイルが美しい家型の部分はYさんのオフィス、奥の白い家がYさん夫妻と2人の息子さん(7歳、5歳)が暮らす住居スペース。大きな屋根の下に登場したアウトドアリビングは2階に位置する。隣家の緑も借景に一役。玄関を開けると、土足で上がれる階段がある。昇りきったところからアウトドアリビングに出ることができる。アウトドアリビングへの出入り口手前、階段脇にあるシューズクローゼット内に洗面台を設置。部屋に入る前に手が洗えて衛生的。譲り受けたレンガタイルピンクのレンガタイルが印象的な家型の平屋部分はYさんの仕事場。「雑誌を見ていて、このレンガタイルを使いたいと井上さんに相談したら、そのレンガタイル会社の社長と連絡を取ってくれて会わせてもらえたんです。交渉の末、“中途半端に余っているものなら売ってもいいよ”と譲ってもらえることになり、オフィス部分や住居スペースの一部に使っています。全部レンガにするよりも、ポイントに使うことで、かえってかわいい感じに仕上がりました」。2階のダイニング・キッチンとアウトドアリビングの床は、譲り受けた白化粧タイルで統一。大屋根裏の軒天と屋内の天井はロシアンバーチ材を使用し、床とともに一体感を演出している。グリーンで彩られたオフィスへのアプローチ。シンボルツリーのアオダモは、夜にはライトアップされ、美しい葉の影が軒天に映し出される。色関係の仕事をするYさん。仕事柄、照明は大事とのことで、オフィスをはじめすべての照明は専門家にお任せした。作業台として使用しているのは、カール・ハンセン&サンの「PK52」。オフィスの扉は井上さんのデザイン。ドアに取っ手や鍵穴がなく、まるで窓のよう。フレームに手をかけて開ければよいのだが、どうやって開ければいいか、迷う人がほとんどだそう。フィンランドのガラスアーティスト、オイバ・トイッカのロリーポップシリーズがズラリ。バードシリーズ(右)は、住居スペースにも大小の鳥たちが置かれていた。オフィスにはミニキッチンやトイレ(左)も完備。右奥の階段から住居スペースへ。ダイニングから一続きのアウトドアリビング。床は白化粧タイルで統一。ダイニングテーブルは自作、ダイニングチェアはカール・ハンセン&サンの「CH88」。子ども用の椅子は、最初茶色だったストッケの「トリップトラップ」をYさんがペインティングした。ホコリをためない部屋造り「ホコリがたまりにくく、掃除がしやすい家というのもテーマのひとつ」というYさん。各部屋、ホコリ対策も万全である。家具はなるべく造作にし、ファブリック類は極力使用していない。キッチンには、吊り戸棚を設けず、キッチンボックスを造作。収納する家電のサイズを全て図り、ぴったり収まるようにした。2階のダイニングから、存在感を究極まで抑えた極薄の鉄の階段を上がると、2.5階にあたるリビングフロアに。ホコリがたまりやすいソファを避け、フリッツ・ハンセンの「PK22」や柳宗理の「バタフライスツール」を置いた。ダイニング同様、レザーや木にこだわり、さりげなく名作たちを配置している。また、掃除機がかけやすいフローティングタイプの壁面収納には扉を付け、エアコンも収納の中に。ホコリ対策を徹底している。畳の小上がりは、子どもたちがゴロゴロできるスペース。「最初、和室のキッチン側の建具はなかったのですが、住み始めてから心臓が飛び出るくらい危険だと感じ(笑)、慌てて自身がデザインしたものを取り付けてもらいました」。真っ白でシンプルなキッチン。カーブを描いた入り口がかわいらしいキッチンボックスには、冷蔵庫をはじめとした家電から食材、食器、給湯器類のリモコンまで収納。天窓からの光がスツールを美しく照らしていた。ダイニングからリビングへ上がる階段は、「できるだけ薄くしたかった」と踏板に鉄を使用。蹴込み部分は強度のためにやむなく半分設置した。手すりは1本のラインでつながっているようなイメージに。2.5階のリビングから2階を見る。床の白化粧タイルと天井までの大きな開口が明るい空間を印象づける。Y邸の家具は木とレザーが中心。奥の窓からシンボルツリーがのぞく。腰掛けるのにもちょうどよい和室の小上がり。無印良品の家具の上に設置された建具は、Yさん自らデザインしたもの。収納は扉を付け、ホコリの侵入を防ぐ。エアコンも収納し、使用するときには扉を開けられるようになっている。動線を考え尽くしたスキップフロアキッチンから数段降りた1.5階には、サニタリールームと家事室がある。このフロアはテラスの物干しスペースと同じレベルでつながっているため、洗濯後、すぐに干すことができて便利。また、洗面台の下には、以前から使用していた衣装ケースのサイズに合わせた収納を設置。洗濯物を取り込んだら、作業台でたたみ、そのままケースに収納と、家事動線に無駄がない。また、「こういうのがあったらいいな、という妻の発想から生まれました」というのが、サニタリールームと家事室をしっかり仕切ることができるパネル。シーツなど大きな洗濯物を乾燥させるときには閉め切ったほうが効率もよい。また急な来客時などは家事室の目隠しとして重宝しているという。家事室の下には、約8畳の床下収納室がある。「仕事で使用する資材をたっぷり置けるスペースがほしい」というYさんのリクエストだったが、期待以上に広いスペースが確保でき、プライベートのものも充分に収納できるという。さらに、半階下の子ども部屋は将来2つに区切ることを想定。現在置かれたベッドには、転落防止のためにかわいらしいパネルが張られている。これはYさんがDIYしたもの。大きな板をホームセンターで購入し、カーブを描いたデザインに切断。淡い色を塗り、子供らしく楽しい雰囲気を盛り上げている。そして、奥の階段を上がるとYさんのオフィスにつながる。居住スペースとの程よい距離感がYさんも気に入っているという。洗面室から洗濯機などが見えないように置いた。右側のドアから大屋根の下に出ることができ、物干しスペースに。奥の下がったところが物干しスペース。壁により、道路から洗濯物が見えない設計に。夏は子供のプールスペースとしても活用。サニタリースペースと家事スペース。作業台を広くとっている。作業台の下には衣類を収納。衣装ケースのサイズに合わせて造作した。洗面室と家事室の間のパネルを閉めると、完全に仕切ることができる。約7畳の子ども部屋。将来は2部屋に区切れるようにしている。ベッドまわりはYさんがDIY。仕事で使う資材を中心に収納した、床下収納室。高さ140cmで約8畳のスペースは広々とした空間。子ども部屋がコンパクトなため、子ども部屋の前に約3畳のウォークインクローゼットを設置。遊び場がたくさんあり、子どもたちも大喜び。家まわりもオシャレに美観にこだわるYさんは、エクステリアも妥協しなかった。玄関前の駐車スペースには、直径を変えた円を描き、その隙間に芝や花を植えた。また、人通りの多い道路側には季節によって表情が変わる花木をセレクト。Yさんの街へ緑を提供する視点や遊び心が、道行く人の目を楽しませている。「近所の方に、いつも楽しませてもらっていますよ、と声をかけていただくと嬉しくなりますね。2階のテラスもそうですが、子どもと一緒に植物の名前を覚えたり、グリーンを植えて育てたりする時間は豊かな気持ちになれます。これからもそんな時間を大事にしていきたいですね」。Y邸のインターホンは最低限のボタンのみ表に出したデザイン。表札もシンプルにかっこよくと、Yさん自ら彫った。トイレにも木をさりげなく使い、アクセントに。照明が美しい。2階のテラスまわりにはプランターが置けるスペースを確保。水をあげると、下の植栽にもかかるようになっている。幼稚園や駅に向かう人が行き交う道路側の植栽。花などを話題に近所の方たちとのコミュニケーションの場でもある。三方道路に囲まれた敷地。駐車スペースに施した円が軽やかな気分にさせてくれる。「福島の田舎育ちなので自然が大好き」というYさん。グリーンに囲まれ、読書やティータイムを過ごしてリフレッシュ。Y邸設計株式会社 GEN INOUE所在地埼玉県さいたま市構造木造規模地上2階延床面積138.61㎡
2019年07月01日ライフスタイルと両立する家「100年経っても色あせない家をつくりたいと最初にお伝えしました」。こう話すのはKさん。「シンプルで普遍的なものであり、かつ、家具なども含めた自分たちのライフスタイルと両立する家にしたい」。そんなことも最初の打ち合わせ時に建築家に話をしたという。奥さんが「それと“ガレージがほしい”“家族の気配が感じられるつくりにしたい”あと“開放的な間取りにして、できたら風の流れも意識してつくってほしい”というのもはじめにお話しをしました」と補足する。1階のリビング。テラスの右手にダイニング・キッチンがある。西海岸の空気感も感じられる室内の素材は素朴で素材感の感じられるものが選ばれ、また、さまざまな素材を使いながらも全体としての調和が図られた。設計者にとって施主のライフスタイルを考慮するのは家づくりにおいて必須だが、Kさんは自身、経営する会社でファッションを軸に食や住も含めたライススタイルの提案を行っていて人一倍ライススタイルへの思いは強い。そこで建築家の井上さんはこのKさんの「生活の中に入っていって」設計のための事前調査を行ったという。「井上さんは、僕がどんな本を読んでどんな曲を聴き、またどんな絵を飾っていてどんな食器で食事をしているのかをすべて調べた上で、それを彼の中で進化させたものを提案してくれて」1階リビング。左手にテラス、奥には階段室がある。ベイマツの梁とスチール梁との組み合わせ・対比がデザイン的にとてもうまくきいている。リビングの壁に設置された棚にはKさんがアメリカを中心に世界各地を旅して集めた種々さまざまな小物が置かれている。テラスに開かれたL形プラン「家もものづくりなので設計者と施主がセッションしていかないとダメだと思う」とも話すKさん。夫妻との“セッション”を重ね、徐々に現在のL字形の平面の周りに4枚のコンクリート壁を置く案が出来上がっていった。テラスに面した部分だけは全面開放に近いつくりとし壁は設けていない。コンクリート以外の部分で木造を多用し、木の梁にさらに鉄骨の梁を組み合わせた特徴的ともいえるつくりも、K夫妻とのセッションを経て井上さんが導き出したものだ。「西海岸のカジュアルなファッションを扱うところから仕事をスタートされていて、Kさんがそういう世界観がお好きだというのはわかっていました。ただその一方で以前うちの事務所でつくったコンクリート住宅のテイストもお好きということで、それにライススタイルも考えあわせたうえで提案をしました。Kさんから見せていただいた写真の中には西海岸の住宅のものも当然ありましたね」奥にこの部屋のために製作されたオリジナルスピーカーの置かれたリビング。天井をやや低めに抑え落ち着いた色合いのこのスペースはしっとりとした大人の空間。居心地の良い距離感「部屋の間の仕切りがなくて行き来がスムーズ」(奥さん)というのはオープンなスタイルが好まれる西海岸らしい部分かもしれない。リビングとダイニング・キッチンのある1階ではテレビボードの壁以外にはスペースを仕切る要素がない。この壁はダイニングとリビングをゆるく仕切っていて「なんとなくいることはわかるみたいな感じの居心地の良い距離感」(奥さん)をつくり出している。コンクリートでつくられた1階のテラスがまた「行き来がスムーズ」という感覚をつくり出すのに大きく寄与している。リビングとテラス、またダイニングとテラスの間で気軽に出入りすることができ、テラスを経由してのリビングとダイニングとの行き来もとてもスムーズなのだ。「とってもいいですね、あそこは」と奥さんが話すこのテラスは、もちろん、配置、スケール感、緑との関係などがしっかりとつくりこまれていて家族5人がのんびりとくつろげるスペースとなっている。ダイニング・キッチンから緑の美しいテラスを見る。緑はSOLSOのプランニングをもとに実際に畑で実物を見て選んだものが植えられている。ダイニングからリビングを見る。中からも行き来できるが、テラスを通っても気軽に移動できる。井上さん(左)とK夫妻。緑に囲まれたテラスでの集まりは自然と話が弾む。リビングからテラスを見る。ダイニング・キッチン部分の梁がそのまま外へと突き出して庇の下まで続く。手前はイームズのラウンジチェアとオットマン。Kさんはここで音楽を聴くことも多いという。左の収納には冷蔵庫が入っていて、テラスにいても気軽にビールを取り出せて便利という。ベンチ回りは数人で話をするのに小さくも大きくもなくちょうどいいスケール感。リビングの上は主寝室とウォークインクローゼット。右に置かれているのがアカプルコチェア。ダイニングからテラスを見る。リビングからテラスを見る。テラスのベンチの後ろには道路に下りる階段が設けられている。帰宅後のクールダウンにこの家に住み始めてから1年ほど。Kさんが「あそこが僕の指定席です」と指差したのはテラスに置かれたアカプルコチェア。「いつも夜の11~12時くらいに帰ってきてあのチェアに座って30分くらい音楽を聴きながらクールダウンするんですが、そのひと時がとてもいいですね」奥さんも「気に入ってるのはやはりテラスですね。夜は夜で、リビングのソファのところからテラスの緑を見ているとほっとする」と話す。また「緑も心地いいですけれど、光の変化というものもあって都心のわりには四季を感じ取ることができて気に入っています」とも。ダイニングからキッチンとテラスを見る。キッチンとテラスの間では食べ物、飲み物のやり取りが容易に行える。コンクリートの壁は出目地になっていて、光の当たり具合でさまざまに表情を変える。「壁そのものがアートになっているって素晴らしい」とKさん。1階の階段近くの壁にかけられているのはイームズがデザインした「レッグ・スプリント」。裏に照明が仕込まれている。階段途中からイームズのアームシェルチェアを見下ろす。開口を通して見える緑もSOLSOのプランニングによるもの。トイレもミニギャラリーとの思いで置くものすべてに気を配っている。2階の階段上はトップライトになっていて1階に下る階段を明るく照らす。2階。左手奥に主寝室。右に子ども部屋が3つ並ぶ。このうちは最高だよねKさんも「このテラスは都心にいながら鳥のさえずりも聴こえるし、太陽も空も見えるし、スノーインサマーの花が咲いたりと、そういった日々の変化も含めていいですよね」と話す。「3日にいっぺんは“このうちは最高だよね”って言っている」というKさん。建築好きの友人がたずねてきたときに「あーっ、アメリカの解釈ってこういうものもあったんだね」と言われたそうだ。アメリカのデザインやライフスタイルをそのまま移入するのではなく、井上さんとのセッションを経て、さらに家具や小物、さらに照明などで自らの世界観も表現してここにしかないオリジナルな空気感を創り出したKさんにとって、思わず膝を打った言葉だったのではないだろうか。地下1階の玄関側から奥のギャラリーを見る。正面が玄関、左にガレージがある。階段の厚みは「もう少しシャープにしたい」というKさんの希望で少し薄くした。夜にはネオン管を使ったアート作品で「すごく色気のある空間になる」という地下1階奥のギャラリースペース。「ここでお茶を飲みながら話をしてから1階に上がってまた違う空間を楽しんでもらう」というストーリーも考えられたという。玄関入ってすぐのギャラリースペース。ギャラリースペースの外部には大きなサボテンが置かれていて意外性の演出も。Kさんが「アメリカの普通の家のガレージみたいにモノをいっぱい突っ込んでおもちゃ箱にしてある」という地下1階のガレージ。地下2階の書斎。ゲストルームとしても使用できる。道路から見た外観。コンクリート、石、木の素材感の対比が生きている。右に白い花が咲いているのが見えるのがスノーインサマーの木。右の木の部分が地下1階のガレージ。テラスで話し込むKさん(右)と井上さん。K邸設計井上洋介建築研究所所在地東京都世田谷区構造RC造+S造+木造規模地上2階地下2階延床面積297.92㎡
2019年06月24日運河沿いの物件を求めて東京の下町、門前仲町の運河沿いにひっそりと建つ5階建ての小さなビル。このビルを自宅兼事務所として住んでいるのが、アトリエハコ建築設計事務所を営む七島幸之さんと佐野友美さんご夫婦。二人で事務所を構えておよそ15年目。世田谷から門前仲町に自宅と事務所を移して2軒目の住処だ。「このあたりを散歩していて貸しに出ているのを見つけたんです。良かったのは、賃貸だけど改装してもいいという物件だったことです。ここはそもそも舟屋さんだったみたいです。その後いくつかの会社が入ったりしていたみたいですが。それまで住んでいたマンションが事務所を兼用するには使いにくかったこともあり、これはおもしろそうだね、と借りることにしました」。1階の入り口と、七島さんの仕事場。右側の天井高は2mほどと低い。左側は吹き抜け。吹き抜けからの見下ろし。2人分の仕事スペース建物は、1フロア20㎡に満たない広さの空間が5層になっている。入り口を入ると吹き抜けのある七島さんの仕事机と吹き抜けに目いっぱいの高さで備え付けられた本棚に圧倒される。「狭いけれど、この吹き抜けの高さがあるのが気に入って借りました。本棚は大工さんにつくってもらって。天井が全体的に少し低いのですが、吹き抜けもあるし窓も多くて光が入ってくるので圧迫感は少ないです」と佐野さん。2階は佐野さんの仕事場。ちょうど目線の高さに桜の木の葉と運河がみえる。「ここにいると気持ちよくて仕事がはかどらないんです」と笑う佐野さん。吹き抜けの開口で階下の七島さんの仕事場とゆるやかにつながる。「このぐらいの距離感がお互いにちょうどいいんです」。入り口から奥を見る。左側の天井高が低いため、高低差をさほど感じない。階段周りは白く塗装して明るく。フロアごとに使い方を決めて3階から上はプライベートのフロアになる。こちらも桜の木と運河が目の前に臨めるリビングダイニングスペース。舟底天井の和室だったこのスペースは天井をはがした。というのも、キッチンを窓側から奥に移動するのに配水管を通し一部床上げしたため。一段床が下がっているキッチンカウンター奥の作業スペースに立つと、自然とカウンター向かいに居る人や景色とちょうどよい高さ関係になる。「水が近くにあるので少し涼しいんですよね。桜もここだけ咲くのが遅いんです」。ベランダには景色を楽しめるようテーブルを置いている。「ここでごはんを食べたり、友人を呼んでお花見をするときに使ったりしています。お花見の時期、窓も開けて楽しんでいると、通りかかった人が飲食店と間違えて来ることもあるんです」。4階は寝室と浴室。大工に合板で洗面台をつくってもらい、自分たちでタイルを張った。障子は元々あったものを残して、やわらかく光を取り入れている。5階は納戸として使っているが、見晴らしのいいテラスで思い切り洗濯物を干せる。元は和室だった3階のリビング。ベランダにはテーブルを。キッチンカウンターのガスレンジは作業スペースをとるために設置方向を工夫した。もともと台所があった場所の壁のタイルはそのままに。4階寝室のトイレは古い建具をそのまま利用。布団の下を収納に。左はOSB合板で仕切ったウォークインクロゼット。障子を開ければ見晴らしのいい景色が広がる。自分たちでタイルを張った洗面台。4階で洗濯し、5階のテラスで干す。この建物に新たに設置した風呂場。コンパクトだが、浴槽は普通サイズを縦方向に入れているので、湯船にはゆったり浸かれる。数字にこだわらず、工夫する仕事でも狭小住宅を手がけることが多いという二人。「東京で家づくりを考えると、その後の暮らしが不安になるぐらい高い土地を買わなければいけないですよね。でも、何LDKだとか、何平米だとかっていう数字にこだわらなければ、いくらでもやりようはあると考えています。この家はその実験台。自分たちで日々の生活を工夫しながら実践しているんです。打ち合わせで施主の方がここに来られると、みなさん安心した表情で帰っていかれますね」。階段の上り下りの不便さや、断熱ができずに少し寒かったりするこの家と、バランスを取り合う二人。家の中を探検するような、発見する楽しみのある暮らしぶりが伺えた。運河と桜の木を見下ろせる、気持ちのいいテラス。外観。木々の緑がカーテン代わり。
2019年06月10日時間とともに植物と建物が一体となる世田谷区内の緑道と車道が交わる角地に建つ、構造設計士の多田脩二さん、由喜さんの住まい。建物から溢れるような植栽が緑道の緑と一体になり、この一角が大きく豊かな緑の空間になっている。建物の各層から緑がこぼれる立体庭園というコンセプトの住まいは、外から中の様子は伺えないが、一歩建物の中に入ると、外とつながる広々とした空間が広がる。設計は建築家の新関謙一郎さん。実は多田邸は、脩二さんよりも由喜さんが積極的に住まい造りにかかわったのだそう。「夫の仕事が忙しく、週末の家族サービスといえば夫が構造設計に関わった物件のオープンハウスに行くことでした。中でも、新関さんの設計した建物は、中に入ると外観からは予想できない広がりがあって、その空気感やデザイン性が素晴らしく、いつかは新関さんの設計した建物に住みたいと思うようになりました」美しい緑は、作庭家の長濱香代子さんが手がけた。竣工から5年目の今年、土を替えるなどの植栽の手入れを行ったそう。「長濱さんは、埼玉の農家の方と一緒に土作りからしっかり行っているので、手をかけなくても植物が生き生きと育ちます」緑のプランターが建物の各所に設けられていて、上下の位置を少しづつズラすことで、それぞれの場所で雨と光が当たるようになっている。「植栽のプランターは鉄筋コンクリートの構成の一部になっていて、梁の役目も果たしています」竣工5年目の多田邸。年月とともに緑のボリュームが変化していく。緑道の樹々と一体となった建物。緑に歓迎されながら洗い出しの階段を昇り、2階の居住スペースのあるテラスへ。新関さんの設計らしい物語性のある階段。窓を開け放てば、内と外がゆるやかにつながる。開放感が感じられる住まい。最上階は、低い窓の外に屋上の緑が広がる。茶室にいるかのような落ち着く空間。最上階の屋上の緑。ベンチの後ろのコンクリートのスラブの中にも深型のプランターがセットされている。最上階のプランターにはアガパンサスが植えてある。水やりはタイマーがセットされた潅水ホースで行うので手間がかからない。こだわり抜いたキッチンの設計由喜さんはご自宅で料理教室「こゆきの食卓」を開催していることもあり、キッチンの設計には細かな部分までこだわった。「調理器具や食器の数が多いので、効率よく収納できるよう引き出しの大きさを考えました。調理器具には電気を使うものが意外と多いです。後で困らないようにあらかじめコンセントの位置や数にもこだわりました」キッチンのカウンターの高さは92cm。「背の高い方や男性でも使いやすい高さです。たくさんの方が楽しく集まれる空間を創っていきたいと思っています」奥のI型キッチンの天板とカウンターテーブルは共にコンクリート打ち放し。ガスコンロはカウンター側に作った。長女の大学2年生の美久璃さん。そして弟が2人の5人家族。収納力抜群のキッチン。引き出しの高さは、あらかじめ収納したいものの大きさを測って決めたのだそう。モルタルのカウンターテーブルの裏側にもコンセントを設置。テーブル越しにも緑が見える。スタッキングできるグリーンの椅子はアンティーク。「テーブルは友だちからのお下がりのロイズ・アンティークスです」コンクリートの打設に立ち会い、頑丈な家に3階のバスルームは、まるでリゾートホテルにいるかのような非日常空間。煤を混ぜた黒いモルタルで壁や浴槽が作られている。「新関さんと沖縄のリゾートの仕事をご一緒させていただいた時、バスルームが素晴らしかったので、我が家にも作っていただきました」半地下には脩二さんの事務所がある。「以前は住まいと事務所が別々だったので、経費の面では一体になって良かったかもしれません」そして2階から4階が住居スペースの、計4層の建物になっている。「当初は木造で作ることも考えたのですが、4層はやはり難しく、RCで造ることにしました。しっかりした躯体を作りたかったので、コンクリートを打設する際は現場に来て、自分も手伝いながらコンクリートが密になるようにしっかり打ちました。コンクリート内の気泡は少ないほうが頑丈な建物にになるんです」頑丈な躯体と、年月とともに変化を見せる植物。これから先、さらに素敵な家になっていくに違いない。2階の浴室。床は玄昌岩、壁や洗面カウンター、浴槽は、煤を混ぜたモルタルに防水加工を施してある。幅広の水が滝のように流れる水栓。緑道に面した事務所のエントランス。「この入口はほとんど使っていないので、どんどん葉が茂ります(笑)」脩二さんの事務所。天井高3mのたっぷりとした空間。天窓からコンクリートの壁に落ちる光が美しい。約1m下げて半地下の事務所空間を作った。
2019年05月29日SABONの「Green Valley Series」毎年、初夏にだけ出会うことができる「Green Valley Series」が、2017年5月18日(火)SABONにて販売をスタート。フレッシュな青りんごとすずらんの花を思わせる香りが爽やか。深呼吸をしたくなるような、心地良い香りだ。ボディケアアイテムは、Shower Oil 3,400円(税込み)、Body Scrub 5,500円(税込み)、Sorbet Body Gel 4,000円(税込み)、Shower Gel 2,100円(税込み)、Butter Scrub 5,500円(税込み)、Bath Foam 3,300円(税込み)の6種類。Shower Gelは、表参道本店のみで購入可能。Butter Scrub、Bath Foamは、表参道本店、六本木ヒルズ店、自由が丘店、梅田阪神店、京都烏丸店、銀座松屋通り店、大丸神戸店のみで販売。ハンドケアアイテムは、Hand Soap Glass Bottle 3,200円(税込み)と、Hand Cream 1,800円(税込み)の2アイテム。ホームアイテムは、Aroma 6,000円(税込み)、Fabric Mist 3,000円(税込み)の2アイテムが登場。数量限定の贅沢キット「Green Valley Early Summer Kit」初夏限定のGreen Valley Seriesを、全身で楽しむことができるスペシャルキット「Green Valley Early Summer Kit」も、2017年5月18日からSABON 全店で販売をスタート。キットには、Shower Oil、Body Scrub、Sorbet Body Gelの3アイテムが入っている。販売価格は12,000円(税込み)。(画像はSABONより)【参考】※SABON
2017年05月22日