昨年4月にベスト盤をリリースし、“新章”のページを開いたHilcrhyme。ライヴメンバーとして6人のパフォーマーを正式加入させるなど、アグレッシブに邁進。現在は総勢8名のライヴメンバーで【LIVE A NOVEL】ツアーの真っ只中にいる彼らが、2013年の第1弾として『想送歌』をリリース。これはメ~テレ50周年特別ドラマ『ゆりちかへ ママからの伝言』(1月26日21:00~テレビ朝日系)の主題歌として書き下ろされたもので、生きる意味や大切な人への想いが胸に迫る、大きな愛を歌ったバラードだ。この曲に込めた想いはもちろん、今後のHilcrhymeについてなど、胸の内をTOCが打ち明けてくれた。Excite:全国ツアーが始まりましたね!TOC:すごく盛り上がってますね。観に来てくれたみんなが「ヤバい」って言ってくれるし、スタッフや音楽関係者からも評価が高くて。前のツアーから6人のダンサーチームがライヴメンバーとして参加してくれてるんですが、その連携や一体感が増しましたね。「Hilcrhymeのライヴは2人じゃなく8人だ」ってことを実感できると思います。Excite:新曲「想送歌」もライヴで披露したり?TOC:その可能性は十分ありますね。この曲はレクイエム=葬送曲という言葉からインスパイアされてタイトルを思いついたんですが、“想い”を“送る”、“残す”ということを歌っています。Excite:スペシャルドラマ『ゆりちかへ ママからの伝言』(1月26日21:00~テレビ朝日系)の主題歌として書き下ろした曲だそうですね。TOC:余命を宣告された母親が、それでも1日でも長く生きようとする姿や、子供のために何を残せるかって一生懸命に考えた結果、手紙という形に行き着く…。それがいずれ1冊の本になることで、想いは残っていくんです。ドラマを見て、想いと同じくらいに大切だと感じたのは、“死”でした。人はいつかは死ぬし、避けられない。そういったことを、濁さずにそのまま歌詞に書きました。Excite:ドラマの世界観を大切にしたと。TOC:ドラマありきでこの曲は作ろうと思いました。とういのも、(ドラマの)プロデューサーさんの熱意がすごくて、是非、Hilcrhymeに書いて欲しいって言ってくださったので、その想いに応えたかった。その人が出した要望が「ネガティヴなものにして欲しくない」というもので、死という結末が待っていても、ドラマはあくまでも見終わった後にポジティヴに感じてもらえるように作っているから、曲もそうあって欲しいと思いますね。Excite:ドラマの映像を見て曲を作るのは初めてだったとか。TOC:イメージしやすいので作りやすかったですが、一方で、あとは曲ができれば完成すると思うと、ハードルが高いなって(苦笑)。作詞するときはいつもテーマを先に考えて書くんですが、今回はそのテーマが既にある状態。ドラマ=テーマだと思って主題歌を書き下ろしました。かといって、誰からも共感してもらえる曲を作るというアティチュードは変わっていないから、ドラマを見ないと分からない曲にはならないという自負もあります。Excite:KATSUさんとはどんな話を?TOC:今回は曲の方向性が明確だったので、KATSUに「こんなテンポの、こんな感じの曲にして欲しい」って自分がプロデュースしていくような感じで作っていきました。Excite:二人とも職人気質だから、とことん突き詰めそう。TOC:それはありますね(笑)。お互い注文を出されたものに対して、最善を尽くす。相手をオッと思わせたい気持ちもないわけじゃないけど、それが強いといい結果にはなりませんね。ケース・バイ・ケースですが、いいときもあれば、トゥーマッチのことも(笑)。Excite:リリックで特に気に入っている箇所は?TOC:ドラマ中で描かれている“死”を、ネガティヴではなく、でも隠すことなく言葉にしたいと思ったんですが、それって難しいことなんです。だから、どうすればいいだろうってずっと考えてました。それで、3番のメロディにビートを乗せて、同時に言葉を考えていったんですが…。<やがて来る避けられない別れ/願う あなたの幸せを>って普段考えているような言葉が出てきたとき、“死”をリアルにさらっと書けたなって思いましたね。もう会えなくなっても、ずっと(心に)居るよということはきっと伝わると思うし、僕らも音楽がそういうものであって欲しいと思っているので、3番は気に入ってますね。Excite:つい避けがちなテーマも真っ正面から取組んだと。TOC:だからかもしれないけど、その部分は自分で歌うときにもぐっと来ますね。31歳になって、親しい人との別れも経験してるから、歌ってるとそういう想いが浮かんでくるんですよね。「人は2度死ぬ」って言葉を聞いたことがあるんですが、亡くなった人を思わなくなって忘れてしまった瞬間、本当にそうなるのかなって…。Excite:配信では既に「想送歌」連日1位と絶好調で。TOC:素直に、もう、嬉しい、だけです。何よりも「ありがとう」って気持ちが大きいですね。ランキングって何のかんのいって、やっぱり気にならないと言えばウソになります。連日(デイリー)1位って聞くと、「ああ、こういう感じ、久しぶりだな」って(笑)。「春夏秋冬」や「ルーズリーフ」を出した頃は…嫌なヤツに思われるかもしれないけど、どこか当たり前って思ってて。けど、その後に、当たり前なんかじゃないって身をもって知った。だから1位の意味も、有り難味も全然違います。感謝を忘れずにいたいなって思いますね。Excite:ミュージック・ビデオはどんな作品ですか?TOC:今回は新しい監督さんにお願いしました。歌詞を書くときは男女の関係をイメージしたんですが、監督の捉え方は違ってて。ミュージック・ビデオの目線が子供からのもので、その視界がちょっとぼんやりしてたり、自分が歌うリップシーンも時おりはさみながら、物語的なシーンでは家族愛を描いていたり。なんて言ったらいいかな…、1回見ただけじゃすぐに分からない感じもあるんです。強烈で刺激的な何かはないけど、何度も見返せる素敵な作品になりましたね。クセになるタイプの映像です。新しいクリエイターさんと出会うと刺激になりますね。監督が違うとこんなに違うんだなって思ったし、これからもいろんな方とやってみたいなと思いました。Excite:カップリング曲の「Welcome Back」はどんな気持ちを歌っていますか?TOC:今年はヒルクライムと並行して、ソロもやっていこうと思っているので、その想いを書いたんです。昔、地元の友達と出会ってラップを一緒にやりはじめたけど、いつしか別々にやるようになって。けど、昨年あるきっかけからまた一緒にやる機会に恵まれたんですね。アンダーグラウンド、インディペンデントなシーンでやってる仲間から「おかえり」って言ってもらえたりもしたんですよ。Excite:そう言ってもらえないこともありますよね。TOC:そうなんですよね。そこに対する想いや葛藤は、メジャーデビューしてからもずっと自分の中にあったんですね。今の自分は好きだけど、昔の自分を否定するつもりも全然なくて。メジャーフィールドとインディーフィールドの違いはあるだろうけど、そこで自分がやること=ラップするってことは変わらない、自由でいいんだって思ったんです。Excite:ある種の宣誓みたいな曲ですか?TOC:そうかもしれない。「想送歌」も自分がやりたいことだし、「Welcome Back」で書いているようなこともやりたい。我がままで欲張りなんですよね、きっと。(取材・文/橘川有子)■作品情報New Single『想送歌』発売日:2013年1月23日・CD+DVD(初回生産限定盤)UPCH-9838 / ¥1,680 購入する ・CD(通常盤)UPCH-5786 / ¥1,260 購入する ・ Hilcrhyme オフィシャルサイト
2013年02月15日