米IBMと三菱東京UFJ銀行は2月2日、コグニティブ・システム「IBMWatson」を活用した銀行・金融サービス業務の変革を検討することについて、新たに合意したと発表した。Watsonは、第三者のアプリケーションやシステムと人がより自然に交流し、大量のデータを分析し、自然言語による複雑な質問を理解し、根拠に基づく回答を提案し、意思決定を支援するシステム。同行は、Watsonの活用により、コールセンター、支店、Webサイト・バンキング・サービス、顧客向けコンサルティング・サービスなど、オムニ・チャネルにおける顧客のエンゲージメントの向上を目指す。将来的には、「顧客の資産管理や財務アドバイス」、「コンプライアンスなどの内部管理」などの分野においても、Watsonの活用が検討されている。昨年11月には、三井住友銀行がWatsonを活用してコールセンター業務における品質向上に取り組むこと、みずほ銀行がWatsonを用いてコールセンターや銀行窓口での顧客対応などでタイムリーに有益な情報を提示するシステムを構築することを発表している。
2015年02月03日三菱東京UFJ銀行は2月2日付で、IBM Corporation(以下米国IBM)が提供するWatson(複雑な質問や会話等を理解・学習し、予測することができるコグニティブ・システム)と関連技術の活用について合意したと発表した。三菱東京UFJ銀行では、従来から人工知能を活用した要素技術の研究(音声テキスト化、マイニング分析、画像解析、自動応答等)を進めるとともに、米国IBMとWatsonの金融業務への適用方法について検討を重ねてきたという。このたびの取り組みを通じて、三菱東京UFJ銀行は、オムニチャネルの実現に向け、Webサイト、コールセンター、店舗などにおける「お客さまからのお問合せへの対応」や「行員の業務支援」等にICT(Information and Communication Technology)を活用し、顧客へのサービス向上を図っていくとしている。また、将来的には、米国IBMとWatsonの更なる活用領域として、「顧客の資産管理や財務アドバイス」、「コンプライアンス等の内部管理」等の分野でも検討を深め、様々な分野で金融サービスの革新を目指していくという。三菱東京UFJ銀行では、最先端のICTを活用し、今後も更なるサービスの向上に努めていくとしている。
2015年02月03日日本IBMは1月19日、電力・ガス小売り事業を検討している企業を対象に、パーソナライズした効果的なマーケティング戦略を短期間で策定することを支援する「公益向けマーケティング戦略策定支援サービス」の提供を開始した。同サービスでは、電力・ガス小売り事業を検討している企業とIBMの研究員、コンサルタント、ソフトウェア技術者が参画する2日間の集中的なワークショップを個別に開催。電力・ガス自由化で先行する海外事例や他業界事例の紹介をはじめ、顧客属性・電力消費パターン・ソーシャルなどのビッグデータを活用した行動分析や顧客セグメンテーション、パーソナライズしたキャンペーン管理やモバイル・アプリケーションなどを実現するIBMの最新技術に関するデモを実施する。このような検討を重ねつつ、デジタル・チャネルを駆使したマーケティングと新しい顧客体験をディスカッションしていく。また、同社によると、デジタル・チャネルを活用したマーケティング戦略の策定には組織横断での共通理解が必要だという。同ワークショップでは、マーケティング戦略策定に実績のあるフレームワークを活用しコンサルタントが議論を進めていくため、意識の共有が容易で、全社的な方向性の検討が可能だと説明する。
2015年01月20日日本IBMは1月15日、米IBMが1月13日(現地時間)に発表した、同社のメインフレーム「IBM z13」の国内での発表会を開催した。同製品は10億ドルの投資を行い、5年の歳月をかけて開発した製品で、500以上の新たな特許を採用しているという。z13は最大141コアで、111,556MIPS(1コアあたり1,695MIPS)の性能を持ち、最大10TBのメモリを搭載できる。これは、前モデル(zEC12)との比較で、プロセッサー処理能力は40%向上し、約3倍のメモリ容量、約2倍の帯域幅を持ち、1台で最大8,000の仮想サーバを稼働させることができるという。さらにz13は、非構造化データ分析を可能にするためHadoopに対応。その他のアナリティクスの機能強化として、インメモリー・データベースであるDB2 BLU for Linuxによるクエリー処理のアクセラレーション、IBM DB2 Analytics Accelerator(DB2AA)の強化を行っている。そのほか、新たなテクノロジーとしては、同時マルチスレッド(SMT)の対応、KVMの新たなハイパーバイザーの採用、OpenStackの対応強化、障害予兆診断機能(zAware)のLinux対応、Open連携API(zConnect)、SMTに対応したデータベース専用エンジン、データ圧縮機能、暗号化プロセッサー性能を2倍以上強化、暗号鍵管理の強化などが行われている。日本IBM 取締役執行役員 テクニカル・リーダーシップ担当 宇田茂雄氏は、「メインフレームはレガシーなシステムと思われているが、処理量は年々増えている。従来は勘定系の利用が多かったが、現在はオープン系のLinux、Javaでの利用するケースが増え、今後はCAMSS(クラウド、アナリティクス、モバイル、ソーシャル、セキュリティの頭文字)においてメインフレームの活用が重要になり、利用が増えていく。IBMはデータのあるところで処理することが効率的だと考えており、技術がそれを実現するレベルになって来た」と述べた。そして同氏は、次世代のメインフレームを示し、そのキーになるのが人間の脳からヒントを得て開発中のニューロ・シナプス・チップだとした。日本IBM 常務執行役員 システム製品事業本部長 武藤和博氏は、「IBMは10年ぶりにメインフレームのブランド名を変更し、IBM z Systemsとした。IBMでは、CAMSSという言葉をよく使うが、z13はこういった新しい波のなかで、これまでのトランザクション処理だけでなく、クラウド、ビッグデータに対応したシステムだ。今ではインターネットに57億台のデバイスが接続され、トランザクションが急激に増えるという現象も発生する。顧客が3秒以内に応答しない場合、そのアプリを停止する割合は57%だ。これは企業にとって驚異だが、チャンスでもある。これらのトランザクションを分析することで新たな価値を生み出すことができる。そういった時代に登場したのがz13で、急増するモバイルからの要求にミリ秒で応答する。また、基幹業務、モバイル連携、アナリティクスを1台で実現できる究極のIT基盤だ。お客様の中にはコスト削減のためにダウンサイジングするという方がいらっしゃるが、ダウンサイジンが本当にコスト削減につながるのか疑問だ。z13のコストパフォーマンスはあがっており、TCOの面では、大きなメリットがある」と述べた。そして同氏は、z13の販売戦略として、デジタルテクノロジー(クラウド、アナリティクス、モバイル、セキュリティ)の強化、および、Linux on Z Systemの更なる推進を行うとした。
2015年01月15日米IBMは1月12日(現地時間)、2014年に取得した米国特許が7534件となり、22年連続で米国特許取得数において第1位となったことを発表した。同社が2014年に取得した特許のうち、3000件以上、全体の40%がクラウド・コンピューティング、アナリティクス、モバイル、ソーシャル、セキュリティ分野における発明。過去5年間、同社はこれらの戦略的成長分野において年間取得数が2倍以上に増加しているという。また、Watson関連のコグニティブ・テクノロジーなどのコグニティブ・システムの分野に関する発明において500件以上の特許を取得した。2014年の米国特許取得数のランキングは以下のとおり。IBM7534サムスン 4952キヤノン 4055ソニー3224マイクロソフト2829東芝2608クアルコム2590グーグル2566LGエレクトロニクス2122パナソニック2095同社の2014年の特許取得数は、アクセンチュア、アマゾン、グーグル、ヒューレット・パッカード、インテル、オラクルを合わせた総取得数を上回っているという。
2015年01月14日日本IBMは1月5日、社長のマーティン・イェッター氏が取締役会長に退き、 取締役副社長のポール 与那嶺氏が代表取締役社長に昇格する人事を発表した。ポール 与那嶺氏は東京都出身の57歳。マーティン・イェッター氏は、2012年5月15日から社長を務めていた。1月5日付の人事は以下のとおり。カッコ内は前職。代表取締役社長執行役員 ポール 与那嶺氏(取締役副社長執行役員 成長戦略担当)取締役会長 マーティン・イェッター氏(代表取締役社長執行役員)なお、ポール与那嶺氏の略歴は以下の通り。2010年 5月 日本IBM株式会社入社取締役専務執行役員 営業担当-インダストリアル・通信・メディア・公益事業2010年 7月 取締役専務執行役員 営業担当-インダストリアル・通信・メディア・公益事業 兼 ゼネラル・ビジネス担当2011年 9月 取締役専務執行役員 営業担当2012年 7月 取締役専務執行役員 インダストリー営業統括本部長2013年 3月 取締役副社長執行役員 インダストリー営業統括本部長2014年 1月 取締役副社長執行役員 インダストリー事業本部長 兼 バリュー・クリエーション担当2014年 8月 取締役副社長執行役員 成長戦略担当2015年 1月 代表取締役 社長執行役員*日本IBM入社以前の職歴1979年 6月 KPMGピートマーウィック入社(公認会計士)1999年 4月 KPMGコンサルティング株式会社* 代表取締役社長2001年 4月 米国KPMGコンサルティングインク 上席副社長 兼 アジア太平洋地区総責任者2001年 8月 KPMGコンサルティング株式会社* 代表取締役会長2005年 1月 ホノルル市長特別顧問2006年 4月 株式会社日立コンサルティング代表取締役社長 兼 CEO
2015年01月05日米IBMは12月17日(現地時間)、グローバル・クラウド・コンピューティング・ネットワークに12の拠点が加わり、全世界で40のクラウド・センターに拡大したと発表した。また同社は同日、グローバルな相互接続サービスとデータセンターを展開するEquinixと、IBMのSoftLayerにおけるすべてのクラウド・サービスにおいて、ダイレクト・アクセスをEquinix Cloud Exchange経由で提供するという契約を発表した。アメリカ大陸、ヨーロッパ、アジア太平洋にまたがる世界9つの市場が対象。IBMとEquinixとの今回の合意により、米国、欧州、アジア太平洋にまたがる世界9市場(アムステルダム、ダラス、パリ、シリコンバレー、シンガポール、シドニー、東京、ワシントンD.C.)において、Equinix Cloud Exchangeを利用したダイレクト・アクセスがSoftLayerクラウド・サービスの全製品ラインに加わる。IBMは、フランクフルト、メキシコシティー、東京のIBMクラウド・センターを含む12の新しい拠点に加え、Equinixとの戦略的パートナーシップによってオーストラリア、フランス、日本、シンガポール、オランダ、米国における9つのセンターでサービスを提供する。
2014年12月19日日本IBMは、今年9月16日に発表したクラウドアナリティクスサービス「IBM Watson Analytics」の正式版の提供を、12月18日から開始すると発表した。11月からは、ベータ版を提供してきたが、今回、正式版を無償で提供するとともに、月額4,158円(税別)のパーソナルエディションエディションを用意した。IBM Watson Analyticsは、IBMが進めてきたコグニティブ・コンピューティング技術を実用化したもので、「自社の製品売上の主な促進要因はなんですか?」、「どの福利厚生が従業員の維持に最も効果的ですか?」といった質問形式の自然言語を使用し、予測分析を行いやすくする機能を提供。データの作成、予測分析、ビジネス向けの視覚的な説明などを自動化することができる。マーケティングや人事、営業担当者は、データを迅速に探し出し、余分な要素を取り除いて精製し、そこから洞察を得て、成果を予測。結果を可視化し、レポートとダッシュボードを作成できるようになるという。日本IBM ソフトウェア事業本部長のヴィヴェック・マハジャン専務執行役員は、「システムズ・オブ・レコードおよびシステムズ・オブ・エンゲージメントを融合して、そこから知恵を出すことが求められている。これが、システムズ・オブ・インサイトとなる。IBMは、Watsonで研究してきた技術をベースに、クラウド上でアナリティクス機能を提供することができ、一般的な企業にも使ってもらう環境を提供できる。これができるのはIBMだけである」とした。Watsonは、2006年に開発をスタートし、10億ドルを超える投資を行い、約2,000人のプロフェッショナルを活用するとともに、IBM Watsonグループを組織化。さらに、Powered by IBM Watsonエコシステムを立ち上げている。2011年には、米国のクイズ番組である「Jeopardy!」で、クイズ王を破るという実績を達成している。「Googleの検索では様々な回答が出るが、Jeopardy!ではひとつの回答しか出ない。その正解率は約89%である。医療分野においては、医師の判断を支援するものとして利用されている」(マハジャン専務執行役員)とした。日本IBM ソフトウェア事業本部ビジネス・アナリティクス事業部・西孝治事業部長は、「Watson Analyticsは、Watsonの基本技術だけでなく、Cognosのビジュアライゼーション技術と、SPSSの予測機能を組み合わせて提供するものである。Watsonと対話をしながら、データ分析の知見に関係なく、誰もが高い水準の結果を導き出すことができる。マーケティング、営業、財務、IT、人事などあらゆる部門で利用できるもの」とした。Watson Analyticsでは、自然言語と視覚化による分析と対話インタフェースを実現するとともに、自動実行される高度な予測分析を行い、クラウド環境により迅速な対応を可能にしているのが特徴だ。Watson Analyticsは、クラウドを通じて、ビジュアライゼーションを提供する「Explore」、予測を行う「Predict」、ダッシュボードを生成する「Author」という3つの機能を提供。500MBのストレージスペース、50の変数、10万レコードまでを利用できる無償版に加えて、パーソナルエディションを用意。同エディションでは、2GBのストレージが利用できるほか、256の変数と、100万レコード、SPSSとの連携や他のクラウドサービスとの接続を提供する。現時点では英語のみをサポートしているが、今後、日本語版を提供する予定であり、それに向けて準備中であることを明らかにした。「今後、いくつかのメニューが追加されることになるだろう。まずは、無償版あるいはパーソナルエディションを通じて利用してもらい、より高度な分析を行いたい場合には、パーソナルエディションを通じて、SPSSとの連携を行うことで実現できる」などと述べた。同社によると、9月16日の発表後、2万2,000人以上がベータ版を利用するためにサイトに登録。Watson Analyticsコミュニティには、ニュースやベストプラクティス、テクニカルサポート、トレーニングを共有する機能を持っているという。一方で、Watson Analyticsに関連するクラウドデータサービスの強化についても言及した。日本IBM ソフトウェア事業本部インフォメーション・マネジメント事業部BigData&DM製品営業部・森英人統括部長は、「これまでの非構造化データ知識ベースのWatsonに加えて、構造化データを活用したWatson Analyticsの登場に対応し、クラウドを前提とした次世代型データベースであるdashDBを発表するとともに、オンプレミスの技術をミラーリングする形で、同じテクノロジースタックをクラウド上に展開。実績のある技術をクラウド上でも活用でき、ユーザーに蓄積されたスキルの継承もできるようになる。これによって、IBMは、オンプレミスとクラウドを活用したハイブリッドクラウド環境でのアナリティクスを提案することができる」とした。また、今回の発表は、Twitterとのグローバル提携に含まれるTwitterのデータをIBM Watson Analyticsの一部として提供する計画に則ったものと位置づけている。「Twitterとの提携により、Twitterが提供するすべてのログを、IBMクラウドで利用が可能になる。また、Twitterのデータを利用して分析することができる10種類のアプリケーションを提供していく。今後は、ニュースサイトや各種データとの連携によって、IBMのクラウドに来れば、それらのデータを利用して、無償あるいは安価に利用できるデータマーケットプレイスの取り組みも行っていくことになる。これは、アップルの取り組みに似ているものである。iPhoneのような魅力的なデバイスと、iCloudのようなクラウドサービス、そして、iTunesのように欲しいコンテンツが手に入る環境を提供しているのと同じく、Watsonのような技術をベースに、クラウドとオンプレミスによるハイブリッド環境の提供、データマーケットプレイスによるサービスの提供を実現できる」などと述べた。
2014年12月18日AppleとIBMは12月10日、新しいクラスのビジネス向けアプリケーションである、IBM MobileFirst for iOSソリューションの第1弾を提供すると発表した。両社の協業の成果である同ソリューションは、銀行、小売、保険、金融サービス、通信、行政、航空分野の顧客向けに提供され、IBMの顧客であるCiti、Air Canada、Sprint、Banorteがソリューションへの支援を表明している。また、同アプリは、iPhoneおよびiPad専用に構築され、業務用モビリティのレベルをさらに深め、社員が顧客とやりとりする場合に、より速く容易に安全に、会社のすべての機能にアクセスができ、アナリティクスが組み込まれ、中核の業務プロセスにつながる。
2014年12月15日日本IBMは12月15日、今年の6月から提供を開始したアプリを構築・管理・実行するためのSoftLayerを基盤とした同社のクラウドプラットフォーム(PaaS)「IBM Bluemix」に、シングルテナントで利用可能な「IBM Bluemix Dedicated」を追加した。これまで「IBM Bluemix」は共用のパブリッククラウド環境で提供してきたが、「IBM Bluemix Dedicated」は、サーバ、ストレージ、ネットワークなどを専有するシングルテナントとして提供される。日本IBM 専務執行役員 ソフトウェア事業本部長 ヴィヴェック・マハジャン氏は、「IBM Bluemix Dedicatedはお客様からの要求で作ってきたもので、シングル環境で、高いセキュリティ環境を提供する。Pass環境の戦略的な目玉になる」と訴えた。利用するデータセンターは、既存の北米やロンドンのほか、近日中に追加される東京の中から選択して利用できる。利用は最低1年の1カ月単位での契約で、価格は基本パックの月額約400万円からで、利用状況に応じてリソースを追加できる。また同社はマルチテナントのBluemix向けに「プライベートAPIカタログ」の提供を開始した。これはオンプレミス環境とBluemixを安全に接続するCloud Integrationサービスに新たに追加した機能により実現され、オンプレミス環境のアプリケーションの機能やデータをBluemixのカタログ上に顧客専用のアイコンとして追加し、容易に活用することができる。さらに、オープンソースのコンテナー管理ソフトウェア「Docker」を、SoftLayerのベアメタル上に構築するサービスも提供される。そのほか同社は、エンタープライズ環境においてBluemixを有効活用するため、IBM東京ラボラトリー内に「エンタープライズBluemixセンター」を新設する。「エンタープライズBluemixセンター」は、グローバルBluemix組織と連携して、国内の顧客向けにエンタープライズ環境においてBluemixを活用するための技術支援を行い、将来の拡張や協業に関する相談窓口としても機能する。同センターは、2015年第1四半期に業務を開始する予定。
2014年12月15日今年7月にエンタープライズのモビリティ分野における戦略的提携を発表した米Appleと米IBM。12月10日(現地時間)にエンタープライズ向けソリューション「IBM MobileFirst for iOS」の第一弾製品を発表した。企業のiPhone/iPadユーザーにIBMのビッグデータおよびアナリティクス機能をもたらすビジネス向けiOSアプリとクラウドサービスを提供する。Citi、Air Canada、Sprint、BanorteといったIBMの顧客が同ソリューションのサポートを表明している。最初のIBM MobileFirst for iOSには、銀行、小売、保険、金融、通信、運輸、政府機関などをターゲットにした10個のiOSアプリが含まれる。例えば、航空向けの「Plan Flight」アプリは、フライト計画やプラン、クルー名簿、地上作業員からのレポートなどをパイロットが事前にチェックできるようにし、航空会社の費用の大きな部分を占める燃料に関して効果的な判断を下せるようにする。小売向けの「Pick & Pack」アプリはシームレスで正確な受注処理で、戦略的な在庫管理を可能にする。政府機関向けの「Incident Aware」アプリは、犯罪被害の拡大を最小限に食い止めるのを支援する。犯罪に関する情報(現場のマップやビデオフィード、犯罪歴、被害者のステータス情報など)、バックアップの状況などを、警察官がiPhoneを使って素早く確認できる。「Case Advice」アプリは、ソーシャルワーカーがiPadを使ってシンプルに関連する過去のデータ、査定、ガイドラインを引き出せるようにし、従来の紙を用いたプロセスよりも効果的に各クライアントおよびケースに対応できるようにする。組織に合わせてカスタマイズできるMobileFirstアプリは、セキュアでiOSデバイスに最適化されたIBMのクラウドサービスを通じて、容易な運用・管理・アップグレードが可能。IBMのモバイル・プラットフォームとエンタープライズ・インテグレーション、IBMグローバル・ファイナンシングのリース・オプション、AppleCare for the Enterprise (IBMのオンサイトサービスを含むカスタマーサポートサービス)など、MobileFirstアプリを補完するサービスや機能も揃っている。
2014年12月11日TABLE解析に失敗しました:米IBMは12月10日(現地時間)、第3回年次調査「最高情報セキュリティー責任者調査(CISO Study)」を公開した。|table width="50" align="center"|I@001.jpg,001l.jpg||M@IBMセキュリティ製品ポートフォリオ|調査は、「組織が現在、サイバー攻撃からの防御をどのように行っているか」を目的としている。IBM Center for Applied Insightsが調査を実施しており、その結果は調査対象組織の幹部であるシニア・セキュリティー・リーダー138人に対する綿密なインタビューの回答に基づいている。調査によると、セキュリティー・リーダーの40%が最大の課題として「高度な外部の脅威」を挙げ、2番目に多かった「規制」の15%弱を大きく引き離した。また、各社のリーダーが続いて示すビジネス上の優先事項によると、組織は今後3~5年間の最優先事項として「外部の脅威」に取り組む必要があるとされ、その回答率は、「規制」「最新テクノロジー」「内部の脅威」を合わせた数字に匹敵している。また、セキュリティー・リーダーの70%が、自組織はネットワーク侵入防御、先進的なマルウェア検出、ネットワーク脆弱性スキャンに重点を置く、成熟した従来型のテクノロジーを保有していると考えていることが分かった。ただし50%が、最新セキュリティー・テクノロジーを展開することが組織にとって最も重要なフォーカス領域であると答えており、3つの最重要領域として、データ漏えい防止、クラウド・セキュリティー、モバイルとデバイスのセキュリティーを挙げ、大いなる変革が必要だとしている。外部の脅威に加え、回答者の80%近くが過去3年間にわたって規制や基準による潜在的リスクが増したと答えたことから、CISOが政府によるさらなる課題に直面していることが分かる。セキュリティー・リーダーは、政府が国家レベルやグローバル・レベルでセキュリティー・ガバナンスに対処するかどうか、また、その際に政府がどの程度透過的に進めるかについてまったく確信がない。今後3~5年以内にサイバー犯罪との戦いに向けたグローバルなアプローチに対する合意が行われるだろうと考えているのは、わずか22%にとどまる。さらに、セキュリティー・リーダーの90%が組織内で自分自身が大きな影響力を持っていることに強く同意しており、76%がその影響の度合いが過去3年間で大幅に高まったと答えている。また、71%が業務の効率的な遂行に必要なサポートを組織から受けていることに強く同意しているという結果となった。
2014年12月11日日本IBMは12月9日、地域のリーダーに向けたイベント「IBM リーダース・フォーラム 2014 中部」を、名古屋市内のホテルで開催した。このイベントは、テクノロジーの活用を通じて、地域経済の活性化と持続的な成長に向けた取り組みについて、知見を共有することを目的にしており、今回で5回目となる。○「テクノロジーで成長の機会を」基調講演では、日本IBM 取締役副社長執行役員の下野雅承氏が、「テクノロジーで成長の機会を」と題して講演を行い、「データ」、「クラウド」、「エンゲージメント」の3つが、いまのITの大きな流れだと指摘した。データについて同氏は、「データにはこれまで慣れ親しんできたので、いまさらデータと言われても、違和感があるかもしれない。ここでいうデータとはビッグデータのことだ。現在では、620万ギガバイトのデータが毎日生成され、これはDVD 150万枚分に相当する。そして、2015年には1兆個のモノや機器がインターネットに接続され、世界中でデータが生成されるIoTの時代が来る。データは第3の天然資源ともいわれ、今後は、これらのデータから、いかに意味のあるデータを取り出すかが今後のITの課題だ」と述べた。そして、クラウドについて同氏は、「2014年にリリースされたソフトウェアの91%がクラウドを前提にしている。クラウドは、製品ビジネスからサービスビジネスへの変化の象徴だ」と語り、エンゲージメントについては、「今後、企業、政府、コミュニティ、個人がより密接につながりを作っていく。世の中はメールからソーシャルに変わり、企業と個人が強いつながりを持つようになっている。そのため、ソーシャルが企業システムと密接に連携しており、一体となって社会に影響を及ぼすようになっている。情報システムは変わりつつある」と、最近の企業ITを取り巻く環境の変化を解説した。○JR東海やブラザーが注力する事業や課題は?続いてイベントでは、東海旅客鉄道(JR東海) 代表取締役社長 柘植康英氏、ブラザー工業 代表取締役社長 小池利和氏、日本IBM 取締役専務執行役員 エンタープライズ事業本部長 薮下真平氏によるパネルディスカッションが行われた。モデレータを務めたのは、経済産業省 中部経済産業局長 井内摂男氏だ。パネルディスカッションの1つ目のテーマは、それぞれの企業が注力する事業や課題についてだ。これについてJR東海の柘植氏が挙げたのは、リニア新幹線、海外展開、名古屋駅前の再開発の1つであるJRゲートタワー、日本の人口構成の変化への対応の4つだ。同氏によると、リニア新幹線は、単なる移動時間の短縮だけでなく、開通から50年を経て劣化しつつある新幹線とリニアで、地震など災害に備え、輸送経路を2重化する意味もあるという。また、リニア新幹線の開通で、新幹線が停車する駅が増え、それらの地域の活性化にもつながると指摘した。新幹線の海外展開では、現在、米国でニューヨーク-ワシントン間と、テキサス州での話が進みつつあるという。2017年オープンの名古屋駅前のJRゲートタワーについては、「リニアが開通すればポテンシャルの高いオフィスになる」と述べたほか、今後、女性と高齢者の人口比率が高まることに対しては、「これらに対応するため、検査、監視、販売のあり方を加速度を上げて研究しなければならい」と述べた。ブラザーの小池氏は同社の課題について、「ブラザーはミシンで創業した会社だが、最近は売り上げの6割は電子機器が占める。また、8割は海外でグローバルな競争の環境下に置かれている。今後、スマートデバイスが普及すると、プリンタ事業も安閑としていられないため、新たなサービス、商品を開発していかなければならず、ソリューションビジネスに舵取りをしようと思っている」と述べた。また、企業を取り巻くIT環境の変化について、日本IBMの薮下氏は、「使い手と作り手の変化が起こっており、その象徴がアプリだ。これまではアプリケーションはコンピュータ用語だったが、今では一般用語になっている。ネットワークも、かつてはコンピュータとコンピュータをつなぐものだったが、最近では誰もが利用している。これまでコンピュータは省力化するために利用してきたが、今後は人の力の増力化に取り組んでいきたい」と語った。○今後どのような価値を提供するのか?2つ目のテーマは、今後、どのような新しい価値を提供していくかについてだ。これについて、JR東海の柘植氏は、「リニア新幹線の開通により、東京、大阪、名古屋が巨大な1つの都市になる。ストロー現象によって、大都市東京に飲み込まれてしまうのではという懸念もあるが、距離が離れているので、そのようなことにはならない。逆に、人、金、ものを首都圏から持ってこようと思っている。東京は過密になり、災害に対する脆弱性もあるので、機能の一部を名古屋や大阪に移すことで、バックアップにもなる。また、リニア技術は日本固有のもので裾野が広く、汎用性が期待できる」と述べた。ブラザーの小池氏は、「ブラザーは、いろんな事業にチャレンジしており、プリンタでもWi-Fiの追加、クラウド活用、カスタマイズ化なども行ってきた、ブラザーはこれまで培った製造業のノウハウを生かした開発を行っており、最近では新規事業として、ウェアラブルディプレイ、Web会議、スキャナのハードやソリューションにも積極的に取り組んでいる。今後は、お客さまの声を聞いて、お客様の価値を高めていく」と語った。○新しいビジネスにおける課題3つ目のテーマは、新しいビジネスにおける課題についてだ。課題としてJR東海の柘植氏はリニアの工事を挙げ、「南アルプスの25kmのトンネルや都市部の地下化など、86%が地面の中の工事だ。これらを、どう円滑に進めていくかや、水、騒音など環境にも配慮し、きちんと丁寧に対応する必要がある」と述べたほか、経営面でも、「5.5兆円という工事費も、金利や物価の変化に対応しながら、経営体力を強め、工事費用自体を下げていくことも必要だ。技術は山梨の実験線で研究をやっているので、ほぼ完成している。今後はコストダウンための実験をしていく」と語った。ブラザーの小池氏は課題として海外事業を挙げ、「海外に工場もあり、従業員の8割が海外だ。これらの人材とコミュニケーションをとり、ノウハウの共有などをいかに図っていくかが課題だ。また、グローバルからのさまざまな情報をいかに的確、迅速に製品に反映していくかも重要だ」と語った。これらの課題に対してITがいかに貢献できるかについて、日本IBMの薮下氏は、「情報を活用することで、社員の平均値や技術力を上げていくことができる。Watsonはそれを具現化するものだ。過去のデータから未来が見えるようにしていきたい」と述べた。○ITでは人が重要そして最後のテーマは、ITがいかに事業に貢献できるかについてだ。これについてJR東海の柘植氏は、「鉄道の世界はITがないと成り立たない事業だ。安全性や正確性、1時間に18本の新幹線を東京から出発させることは、ITがあるからできる。ただ、これは人とITがあいまって担保できることだ」と、ITにおける人の重要性を指摘。ブラザーの小池氏も、「ITの活用ですべてが解決されるわけでない、人がITに使われてはならない。ITの価値は、人のオーナーシップによって決まるのがポイントだ。これまでのノウハウがシステムに組み込まれることに意味がある。人がどうやってITを使いこなすかがキーになる」と同調した。さらにIBMの薮下氏も、「情報を活用し、判断するのは人だ。世界が驚愕するダイヤで新幹線を運営できているのは、JR東海の人と技術があってこそだ。IBMでは、今後、世界の成功事例を紹介することで、企業のお手伝いできると思っている」と締めくくった。
2014年12月10日IBMのコグニティブ・コンピューティング・システム「ワトソン」とミシュランで2つ星を獲得したフランス料理店「レフェルヴェソンス」のエグゼクティブ・シェフである生江史伸氏が共同でレシピを作り上げた。「コンピュータがどのようにしてレシピを作ったのか」「そのレシピをミシュランシェフはどのように調理したのか」、気になることがたくさんあるトピックだ。今回、このレシピを再現した味わう機会を得たので、詳細をお届けしたい。○学習して成長するコンピュータ「ワトソン」初めに、ワトソンについて整理しておこう。ワトソンはプログラムによるコンピューティングに加え、自然言語の処理、仮説の生成と評価、自己学習と能動的な知識の蓄積という機能を備えた技術だ。これまで、米国のクイズ番組「Jeopardy!」でクイズ王のBrad Rutter氏およびKen Jennings氏と対戦し、勝利したという経験を持つ。日本アイ・ビー・エム 成長戦略 ワトソン担当 理事 元木剛氏は、「『Jeopardy!』は過去の問題は出題されず、常に最新の出来事に関する問題が出るうえ、瞬時に回答しなくて勝てない。ワトソンを勝利に導くまで、4年間かかった。簡単なことではなかった」と語った。正確に言うと、今回、生江シェフとコラボレーションしたのは、ワトソンのベースに開発された「シェフ・ワトソン」だ。シェフ・ワトソンは、分子レベルの食材や3万件の世界中のレシピに加え、各国料理の特徴を学習して、「人間がおいしい」と感じる組み合わせを決定する。つまり、シェフ・ワトソンは専門家が過去に考案したレシピを学習することで、これまでにはなかったレシピを考え出すというわけだ。「シェフ・ワトソンは、人間にとって意味のあるパターンを人間に教えてもらうことで、成長していく。そして、人間の限界を乗り越える」と元木氏。今後は、コグニティブ・コンピューティングで用いられるエージェントがさまざまな場所に組み込まれていき、それぞれがつながって、人間と対話するモデルになっていくことが予想されるという。○ミシュラン・シェフも驚く斬新なメニューそれでは、シェフ・ワトソンと生江シェフが考案したレシピに基づく料理を紹介しよう。料理については、調理をした生江シェフが説明してくれた。シェフ・ワトソンにレシピを考えてもらうにあたり、生江シェフは「季節感を持ったフランス料理」にすべく、1つの料理につき、3つのキーワードを与えたそうだ。メニューは以下のとおりで、「」の内容は料理のテーマ、[]の内容はキーワードだ。アペリティフ「リラックス」[みかん]×[パンチ]×[休日]前菜「冬の街で凍った体を」[蟹]×[スープ]×[フランス風]蕪の料理「君の蕪」[蕪]×[ソテー]×[フランス風]肉料理「贅沢な冬」[牛肉]×[ロースト]×[冬]デザート「気分は赤と白と緑」[栗]×[パルフェ]×[クリスマス]アペリティフは、休日を過ごすように、お店で過ごしてもらいたいという思いから、3つのテーマが選ばれた。オレンジとミントの葉が相まって、さわやかな味わいだった。パンも焼き立てで、どれもおいしかった。前菜は、寒いなか、店にやってくるお客様に温まってもらうために、冬が旬である蟹をベースとしたスープをオーダーしたそうだ。トリュフ、根セロリと、日本では珍しい食材が用いられており、正に「フランス風」を体現していた。蟹の風味が濃厚で、茹でた蟹を食べるよりも、蟹を満喫できた気がした。そして、わざわざ蕪の料理を設けてあるのは、同店のスペシャリテが蕪料理だからとのこと。「シェフ・ワトソンが、われわれが得意とする蕪のソテー料理、どのように料理するのか見てみたかった」と生江シェフ。ローストした蕪が香ばしく、いろいろなソースで味わうことができた。メイン料理に牛肉を指定した理由は、「やはり、おもてなしと言えば塊肉と思った」からとのこと。さらに、冬らしさということで、ローストという調理法が選ばれたようだ。ソースは「西洋わさび(ホースラディッシュ)」をベースに作られているのだが、生江シェフは「日本ではあまり使わない食材なので、久しぶりに調理した」と語った。デザートは、見るからに華やかなパルフェだ。生江シェフは、パルフェを選んだ理由について「パルフェと言えば、一口ごとに異なる味がするデザートで、思い出深い」と説明した。そして、時期柄、「クリスマス」がテーマに選ばれたというわけだ。その名のとおり、アイスクリームに、チーズのムースに、イチゴに、メレンゲと盛りだくさんだった。そして、生江シェフはシェフ・ワトソンとのコラボレーションについて、「最初は、人間とコンピュータのコラボレーションということでおっかなびっくりだった。しかし、IBMは、パソコンなどの身近な製品を作っていることに気づき、人間とコンピュータは共存するものであると思うようになった」と説明した。また、「シェフ・ワトソンはインターネットの検索でも出てこないような、斬新なレシピを考え出した。久しぶりに"シェフ"の下で働いたが楽しかった。今回、米国の料理雑誌『「ボナペティ』のレシピがベースになっていたので、調理方法を日本風に変えた」とも語っていた。料理をする時、単にレシピが思い浮かばないだけでなく、「予算に限りがある」「冷蔵庫にあるものだけで料理したい」「家族の嫌いなものが入っていない料理を作りたい」など、さまざまなニーズがあると思う。シェフ・ワトソンなら、こうしたニーズを簡単に解決してくれそうだ。同席したプレスの方は「調理までやってくれればいいのに」なんて言っていたが、材料を提示し、調理方法を教えてくれるだけでも、かなり助かるだろう。遠い存在に思われるワトソンの身近な利用例に触れたひとときだった。
2014年12月09日米シスコシステムズと米IBMは12月4日(現地時間)、シスコのプラットフォーム「Cisco UCS Integrated Infrastructure」とIBMのストレージ「IBM Storwize」を組み合わせた新たな統合基盤ソリューション「VersaStack」を提供すると発表した。各国の認定ビジネス・パートナーから提供されるVersaStackソリューションは、クラウド、ビッグデータ、アナリティクス、モビリティの展開に向け、容易さや効率性、汎用性を高めるよう設計されている。この統合基盤ソリューションは、IBMの業務用アプリケーション向けに順次最適化されるとともに、Cisco Application Centric Infrastructure(ACI)やCisco Intercloud Fabricなど、シスコの技術と統合される。シスコのデータセンター・ソリューション担当バイスプレジデントのサティンダー・セティ氏は、「企業は、容易で効率的かつ汎用性のあるITインフラストラクチャーを求めている。VersaStackは、両社共通の顧客のITインフラストラクチャの構築や運用の効率化を支援する。また、モビリティやデータ・アナリティクスから、インタークラウド、アプリケーション特化型のインフラストラクチャまで、革新の基礎を提供する」 とコメントしている。
2014年12月05日日本IBMは12月3日、クラウド環境の堅牢なセキュリティを実現する「IBM Dynamic Cloud Security」を発表した。同社のクラウド関連セキュリティ製品・サービスをわかりやすく体系化したもので、「アクセスの管理」と「データの保護」「可視性の向上」「セキュリティ運用の最適化」という4つの領域に切り分けて顧客が柔軟にそれぞれの製品・サービスを選択しやすくした。アクセスの管理では、クラウドに接続しているユーザーやアプリケーション、デバイスを保護。アプリケーションやデータに適切なユーザーがアクセスしているかどうか管理するため、IDとアクセス権の迅速な管理やアプリケーションへのアクセス保護、特権ユーザーのアクセス保護などを支援する。データの保護では、アプリケーションの脆弱性を特定するほか、機密データを狙った攻撃に対して防御を行う。クラウドでのアクティビティをモニターしてデータに対する監査を一元化するほか、セキュリティの脆弱性についてWebアプリケーションとモバイル・アプリの双方を素早く分析。稼働環境へと移行する前に脆弱性を修正できるようにする。可視性の向上は、クラウド・インフラストラクチャとオンプレミス・ロケーション間のセキュアな接続を介して、リアルタイム分析を行う。これにより、システム全体としてユーザーやアプリケーション、ネットワーク、モバイルデバイス、その他のアセットのセキュリティ状況を把握可能となる。クラウドベース、またはオンプレミスでIBM Security QRadarを活用することを想定しており、SoftLayerやアマゾンウェブサービス(AWS)へインストールすることで、各インフラストラクチャに渡るイベントデータやフローデータの可視化ができる。最後のセキュリティ運用の最適化では、IBM Managed Security Servicesを対象として、IBMクラウドや他社のクラウドサービスについてもセキュリティ運用のサポートを行う。これにより、世界中でIBMが収集している1日数十億のセキュリティ・イベントに対する最新の相関分析を活用できる。今後は、SoftLayerをセキュリティサービスのインフラとして活用し、IBMのビッグデータ解析技術などの知見も集積した次世代のセキュリティ運用サービスを提供するとしている。SaaSやPaaS、IaaSにそれぞれ最適化した製品・サービスを提供する今回の取り組みだが、それらを包括的に運用する際の支援も含めてのサービスが「IBM Dynamic Cloud Security」となる。既存製品を新たな枠組みに最適化した上で名称変更を行っているケースもあるが、同社によると今後はこの枠組みのもとで様々なセキュリティ製品・サービスを提供していくという。IBMでは、インフラストラクチャとアプリ、データ、人といった階層に分けて製品を提供しているが、今回の4領域はそれぞれに最適化したセキュリティ製品を提供していく考えのもとに再編されている。アクセス管理領域はまさに「人」に対するセキュリティ製品であり、データの保護はアプリやデータを統合的に保護する。インフラストラクチャの領域こそ現時点で直接的な製品は発表されていないが、今後拡充するものとみられる。
2014年12月04日日本IBMは11月28日、個々の顧客に合わせたリアルタイムなエンゲージメントを可能にする、クラウド・ベースのマーケティング・オートメーション・ソリューション「IBM Silverpop Engage(シルバーポップ・エンゲージ)」の提供を開始した。同ソリューションは主に、リード育成管理とマーケティング業務の自動化により、企業のデジタル・マーケティングを包括的に支援するもの。リード育成管理では、施策別の購入実績やEメールの開封、Webサイトのクリックなどの顧客行動にて施策を評価し、リードのスコアリングとナーチャリングを実施。マーケティング業務の自動化では、顧客毎にカスタマイズしたEメールの大量配信が可能なEメール・マーケティングのほか、顧客の行動に基づきパーソナライズしたコミュニケーションをオムニチャネルで実現する。また、マーケティング・オートメーションやコンテンツ・マネージメント、ソーシャルメディア連携、顧客分析といったデジタル・マーケティング機能が、リード管理育成機能と完全に統合され、またそのいずれも拡張が可能。これにより、B2Cマーケティングだけでなく、B2Bマーケティングにおけるキャンペーンの企画から各顧客に対する効果の測定まで一貫して行うことができ、セールス部門とマーケティング部門の連携した見込み顧客へのアプローチを支援する。同ソリューションの価格は、初期費用が200万円(税別)、月額利用料が25万円(税別)~となる。
2014年12月01日日本IBMは、ソーシャル、モバイル、クラウド、アナリティクスを組み合わせた包括的なアプローチによる新メールソリューション「IBM Verse(バース)」を2015年第1四半期に出荷を開始すると発表した。現在はベータ版を提供中で、まずは、2015年第1半期にSaaS版を提供し、2015年後半には、オンプレミス版を出荷する予定。なお、より詳細なサービス内容などは、2015年1月25日に米国オーランドにて行う IBM ConnectED 2015で発表する。IBM Verseは、電子メール、会議、予定表といった基本的なメールとスケジュール機能に加えて、ファイル共有、インスタント・メッセージ、ビデオ通話などを1つの画面で提供するソリューション。ユーザーが必要とする処理を優先順位付けし、適切な人や情報を迅速に選別して、業務の遂行を支援する。IBM Verseの画面上部には、今、自分にとって重要と思われる人の顔写真、その下には、相手に依頼して完了を待っているタスクリスト、さらにその下には、相手から自分に依頼されているタスクリスト表示する。また、画面左側には今後の予定が、上部の人の顔写真をクリックするとその人とやり取りしたメッセージ一覧が表示される。表示されたメッセージはさらに、今日、今週、今月など、期間を指定して絞り込みできる。さらに、相手がIBM Verseを使っていれば、返信が必要なことを知らせる「Needs Action」を設定できるほか、社員間でメールの内容を共有したい場合は、2クリックでブログに投稿できる。特徴的なのは、ユーザーの行動や傾向を分析してビジネス・ワーカーの電子メールをパーソナライズし、最も重要な業務を迅速に抽出して、優先順位付けすることで、将来的にはWatsonの技術を使い予測に基づいた提案の実現を計画している。日本IBM 専務執行役員 ソフトウェア事業本部長 ヴィヴェック・マハジャン氏は、「IBMはソーシャル、モバイル、クラウド、アナリティクスに注力しているが、IBM Verseはこれらを組み合わせたアプローチによる新しいソリューションだ。メールのやり方はここ30年間変わっていない。我々はシステムが重要なものを理解するインテリジェントによって、そのやり方を変えていく」と述べた。また、日本IBM ソフトウェア事業担当 コラボレーションソリューション事業部 理事 事業部長 田崎慎氏は、「最近、企業の従業員には情報過多という状況が起きており、莫大な情報に圧倒され対応不可能になっている。また、ワークスタイルやワークプレイスが複雑化している。 今、企業に求められているのは、フォーカスする業務は何かを見極めるセンス、もっとも重要な人と容易にコラボレーションする方法、日々の管理を取り戻す方法の3つだ。IBM Verseは、これを解決する新しいソリューションだ」と語った。同社は当初は、IBM Notes/DominoやIBM Connectionsのユーザーをターゲットに販売していくという。
2014年11月28日日本IBMは11月25日、国内における新たな事業の創造を目的に創意工夫するスタートアップ企業の支援の一環として、同社がスタートアップ企業を支援するプログラム「IBM Global Entrepreneur Program for Cloud Startups」の開始を発表した。同プログラムは、創業から2年以内、年間の売上が1億円未満のスタートアップ企業を対象に、「IBM Bluemix」をはじめとするIBMのクラウドサービス「IBM Cloud」を1年間で最大1200万円分を無償で提供するもの。既存のソフトウェアと無償提供のプログラムを組み合わせることで、スタートアップ企業が事業化を進める際に必要な統合的なITインフラとIBMの豊富な人材による技術支援を行う。加えて、他のスタートアップ企業やビジネス・パートナーなど、IBMのネットワークと連携することで、モノのインターネット(Internet of Things:IoT)やビッグデータ分析などの先進的なテクノロジーを活用してビジネス・アイデアの具体化を支援する。同プログラムへの応募はWebサイトから行え、厳正なる審査により、支援するスタートアップ企業が選出される。
2014年11月25日Alteraは11月17日(現地時間)、IBMのCoherent Accelerator Processor Interface(CAPI)を使って、POWER 8 CPUにFPGAをコヒーレント接続したFPGAベースのアクセラレーションプラットフォームを発表した。AlteraとIBMは、OpenPOWER Foundationを通じて協力し、POWER 8システムに卓越した性能および効率をもたらす、柔軟なヘテロジニアスコンピュータソリューションを開発している。FPGAによって、高速化されたPOWER 8システムは、データ圧縮、暗号化、画像処理、および検索などの次世代ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)およびデータセンターアプリケーションで必要とされる、多くの演算および処理が求められる作業に対応できるよう最適化されている。さらに、CAPIを使ってFPGAアクセラレータをPOWER 8プロセッサのファブリックおよびメインシステムメモリにコヒーレント接続させたことにより、FPGAは単にPOWER 8プロセッサの新たなコアとして認識される。これにより、ソフトウェアコードの行数が減り、従来のIOに接続されたアクセラレータと比べて、プロセッササイクルが低減したことで、開発期間を短縮することが可能になる。また、1つのFPGAで高速化されたPOWER 8サーバは、業界最高水準の効率で動作することが可能であるため、データセンターの面積を半分に縮小することができるという。なお、Altera SDK for OpenCLは、カスタムFPGAベースのアクセラレータを開発し、市場投入期間、消費電力、および性能面での優位性を得るために必要なリソースを提供する。この他、リリースされたOpenCL 2.0仕様は、プログラマがCAPIを使ってホストおよびアクセラレータでメモリを共有できる仮想メモリ機能に対応している
2014年11月19日日本IBMは、学校教育における教育内容の拡充と未来のデータサイエンティスト育成の推進を目的に、特定非営利活動法人 企業教育研究会と共同で、データ分析に関する中学生向け授業プログラムを発表した。同プログラムは、中学生が数学や統計的な手法を身近に感じながら活用できるよう、未来の学校における選挙予測を題材としたプログラムだという。両社は、「データの規模を数万件程度とすること」や「未来の学校の選挙予測を扱うこと」「デジタル教材を扱い、ゲストスピーカーを招くこと」の3つを基本方針に掲げ開発を実施。7月には、千葉大学教育学部附属中学校3年生の選択数学授業にて、1コマ45分の試験授業を行った。使用するデジタル教材には、報道番組やある種のテレビドラマに近いデザインを採用。内容は、生徒が「西暦2200年の巨大な学園の新聞部の生徒」の立場を想像し、新聞部部長から与えられる選挙予測報道に関するミッションに向かうシナリオとなる。日本IBMは、同プログラムを活用し、2015年3月までに練馬区立上石神井中学校と港区立御成門中学校、四街道市立四街道中学校にて展開し、未来のデータサイエンティスト育成を推進する予定だ。
2014年11月13日日本IBMは11月12日、同社のパブリック・クラウド「SoftLayer」を、企業が安心かつ効果的に利用できるよう、システム構成・運用機能設計・セキュリティ情報などを業界・業務別にまとめた「業界業務プロファイル」11種類発表した。「業界業務プロファイル」は業界特有の要件に対応し、アセット化された設計を再利用するため、企業はシステムの構築・保守運用にまつわるコストを抑えつつ、最適なクラウド環境を迅速に構築し、短期で業務を開始できる。例えば、「金融プロファイル」は、FISC安全対策基準とベンチマークを実施した結果を加え、顧客の拠点との安全な接続方法、占有の物理サーバといったシステム構成パターン、個人情報管理、監査対応、ログの保存といった運用機能設計パターンを提供する。特徴としては、金融が厳密なセキュリティが要求される業界であることを踏まえ、顧客専用の物理サーバとファイアウォールを提供している点が挙げられる。また、「ハイ・パフォーマンス・コンピューティング(HPC)プロファイル」は、実績のあるアーキテクチャ・デザイン、最新CPUへの移行支援といったシステム構成パターン、膨大なファイルを高速転送するインフラ運用といった運用機能設計パターンを提供する。「業界業務プロファイル」の中には、同社のソフトウェアのほか、パートナーが提供するソリューションと組み合わせたものもある。
2014年11月12日みずほ銀行と日本アイ・ビー・エム(以下日本IBM)はこのたび、次世代チャネル構築を目的に、音声データをテキスト化する音声認識技術、およびIBMの保有するWatsonテクノロジーや関連技術を組み合わせて、コールセンターや銀行窓口での顧客対応などでタイムリーに有益な情報を提示するシステムを共同で構築することに合意したと発表した。Watsonテクノロジーとは、質問や対話に基づいて、タイムリーに的確な回答を導き出すためのコグニティブ・コンピューティング(情報を分析し、学習や推論を行い、アクションに結びつける、といった人間の認知的活動の実現を目指したコンピュータ技術)の基盤。学習機能を備えており、経験を重ねる中で自律的に回答の精度を高めていくことができる。みずほ銀行は、内外の環境変化に対応して機動的に新たなビジネスを創出していくため、4月に「インキュベーション室」を設置し、次世代チャネルを起点とする新ビジネス創造、およびオムニチャネル化によるサービス向上を検討しているという。その中で、音声認識技術、およびIBMが推進するコグニティブ・コンピューティングの基盤であるWatsonテクノロジーを組み合わせたシステムを構築することにより、音声から得られる新たな情報と既存取引情報や最新金融情報との融合、情報分析力の飛躍的向上、より深度ある顧客ニーズの把握、あらゆるチャネルにおけるOne to One かつタイムリーなサービス提供の実現を目指し、このたびのシステム構築合意にいたったとしている。みずほ銀行と日本IBMは、システム構築合意の第一弾として、みずほ銀行のコールセンター業務に同件システムを導入し、照会に対して的確かつスピーディーに回答ができるような体制を構築するとしている。みずほ銀行は、引き続き顧客との接点がオムニチャネル化することを視野に入れ、次世代に向けたチャネルの高度化を図るとともに、新たな商品・サービスの開発に取り組んでいくとしている。日本IBMは、蓄積された実績と最先端の技術を通じて、顧客の成功を長期的に支援していくとしている。
2014年11月12日ロータスビジネスコンサルティング(LBC)は11月11日、SAPジャパンの中堅中小企業向けERP「SAP Business One」を、日本IBMのクラウドサービス「SoftLayer」上で提供する「Cloud One for SAP Business One」を発表した。提供開始は2015年1月7日予定で、価格は月額2万4800円(税別、1ユーザー当り)になる見込み。SAP Business Oneは、中堅中小企業の業務に最適化した標準機能を持ち、短期間で導入できるERPシステム。今回発表したCloud One for SAP Business Oneは、そのSAP Business OneをSoftLayer上で利用できるサービスだ。LBCは同サービスを早期に利用可能するため、勘定科目や税コードといった標準機能を事前設定し、サービスを申し込んだその日から利用できるとしている。ヘルプデスクサービスは日本語、英語、中国語、韓国語に対応。英語のヘルプデスクは24時間、365日対応し、マニュアルなど関連文書は日本語と英語で提供するという。
2014年11月11日日本IBMは11月8日、外部からの通信を識別および制御し、企業システムへの脅威や不正侵入を防止する侵入防御システム(IPS:Intrusion Prevention System)製品に、新ラインアップとなるハイエンドモデル「IBM Security Network Protection XGS 7100」を追加したと発表した。同製品は既に提供している次世代IPS製品が実装するSSL暗号化通信の解析、Webアプリケーションのアクセス制御、ならびに悪意のあるIPアドレスをデータベース化した情報をもとにアクセス制御する機能などきめ細かい侵入防御対策を行う。それに加え、膨大な通信量の中から高速に脅威を検知する高いスループットを実現する。従来から実装する各種機能と合わせて、データセンターや大規模な企業ネットワークを支える10GBのネットワークを保護できるように設計。最大4つのネットワーク・インタフェース・モジュール(NIM)のインストールが可能で、10GBのネットワーク・インタフェースを最大4セグメント、または1GBのネットワーク・インタフェースを最大16セグメント保護する。保護可能なスループットは毎秒20GBに対応。これにより、顧客の業務スピードを減速せず、堅牢なセキュリティーを提供する。また、利用するネットワーク機器の規模に合わせて柔軟に変更することができるフレキシブル・パフォーマンス・ライセンスを4段階に拡張し、パフォーマンスや帯域に合わせた導入、ならびに導入後そのままの筐体でシステムを拡張することが可能になる。提供方法は、機器を含むアプライアンス形式となり、最小構成の参考価格は1738万500円(税別)から。11月12日よりIBMおよびIBMパートナー経由で出荷が開始される。さらにIBMでは、この提供に合わせて、IBM Security Network Protectionの全モデルに適合する最新のファームウェア(Firmware 5.3)の提供を開始。最新版においては、「オープンソースの不正侵入検知システムであるSNORTが侵入を認識するために定める検知ロジックのカスタムシグネチャをそのまま活用できるSNORT互換への対応」「パフォーマンス、インタフェース、プロトコル分析モジュール(PAM)の統計などのアプライアンスの稼働状況の監視」「米国連邦情報・技術局(NIST)によって公開された要件(NIST 800-131A)への対応」等の機能拡張が行われた。
2014年11月10日米IBMとスペインの石油ガス会社であるRepsolは10月31日(現地時間)、コグニティブ・テクノロジーの利用について世界初の共同研究を行うと発表した。両社は、特に油層採掘の最適化と油田の新規獲得におけるRepsolの戦略的意思決定の強化を目的とした、2つのコグニティブ・アプリケーションのプロトタイプを共同で開発していくこととなる。例えば、エンジニアが新規獲得する油田について検討する場合、大量の論文や報告に加えて、地震探査データや油層、設備、採掘などのモデルの確認を行う必要がある。コグニティブ・テクノロジーは、何十万もの論文やレポートを分析して即座に支援を提供し、そのデータをすぐに優先順位付けして特定の決定につなげることができる。これによって、最善の決定を行う上でより円滑に概念モデルや地質学的モデルを構築し、潜在的なリスクや不確実性を明らかにし、トレードオフを可視化して、仮説を探ることができるようになるという。両社が開発を目指す2つのプロトタイプ・アプリケーションでは、コグニティブ・コンピューティング機能を利用して、Repsolが将来の油田獲得におけるリスクや不確実性を低減できるよう支援するとともに、既存の油田の産出量を最大化できるようにすることを目指していく。IBMは「どちらも、Repsolをはじめとするすべての石油・ガス企業のグローバルな事業展開において、効率と有効性に大きな影響を及ぼすことが考えられる」とコメントしている。
2014年10月31日米Twitterと米IBMは10月29日(現地時間)、企業や組織が顧客・市場・トレンドを把握し、ビジネスにおける意思決定の伝達手段を変革する、パートナーシップを締結したと発表した。これにより、Twitterのデータが、IBMのクラウド・ベースのアナリティクス、顧客エンゲージメントのプラットフォーム、コンサルティング・サービスと組み合わせられる。両社は、提携の下、3つの領域に注力する。1つ目の領域は「Twitterデータとクラウド上のIBMアナリティクス・サービスとの統合」で、IBMはTwitterのデータを、特定のクラウド・ベースのサービスの一部として提供する予定。サービスの例としては、コグニティブ・サービス「IBM Watson Analytics」、アプリケーション開発者がデータ・サービスをアプリケーションに埋め込めるようにするクラウド・ベースのデータ精緻化サービスがある。2つ目の領域は「エンタープライズを対象としたデータを多用する機能」で、業界や職種を問わずビジネスでの意思決定を向上させるのに役立つアプリケーションを提供する。共同で提供する最初のソリューションでは、顧客エンゲージメント・ソリューション「IBM ExperienceOne」とTwitterのデータを統合して、営業、マーケティング、カスタマー・サービスの専門家が感情や行動をマッピングし、顧客とのエンゲージメントを深めてサポートできるようにする。3つ目の領域は「専門的な企業向けコンサルティング」で、IBMグローバル・ビジネス・サービスの専門家がTwitterのデータにアクセスし、コンサルティング・サービスを提供する。あわせて、両社は共同で業界に特化したソリューションを開発する。
2014年10月31日日本IBMは10月29日、ビッグデータを活用するアナリティクスにおいて重要となる膨大なデータを、効率的・経済的に保管するストレージ製品「IBM FlashSystem V840」と「IBM Storwize V7000/V7000 Unified」「IBM TS1150」を新たに発表した。IBMのソフトウェア・デファインド・ストレージは、Elastic Storageをはじめとするソフトウェアに、フラッシュやディスク、テープといった特長の異なるストレージを組み合わせることで、変化するデータの価値に応じた効率的な保存と迅速な洞察の獲得を支援するという。「IBM FlashSystem V840」では、膨大なデータのリアルタイム処理を加速するため拡張性を強化。最大クラスター構成(コントロール・エンクロージャー 8ノード / AE1ストレージ・エンクロージャー20台)では、容量を800テラバイト、処理能力を250万IOPSまで拡張できる。また、データ圧縮エンジンを2機搭載することでリアルタイム圧縮処理を従来比で2倍に高速化し、実効容量1.6ペタバイト(2分の1圧縮時)、120万IOPSを実現した。ハードウェアでの暗号化(AES256対応)では、データのセキュアな保護を可能とする。「IBM Storwize V7000 / V7000 Unified」は、コスト効率や使いやすさ、信頼性を兼ね備えるディスク・ストレージ「IBM Storwize V7000 / V7000 Unified」の第2世代機。リアルタイム圧縮の性能を従来比2倍に向上したほか、新たに6TBのディスクドライブに対応し、同じ設置面積で従来比1.5倍のデータが保存可能となった。また、搭載するすべてのドライブに対し暗号化を行い、データをセキュアに保護する。「IBM TS1150テープ・ドライブ」は、従来比2.5倍となる10TBの大容量と、44%高速な最大360MB/秒(非圧縮時)の転送レートを実現する「IBM 3592第四世代 テープカートリッジ」に対応したテープ・ドライブ。「IBM Linear Tape File System」を活用することで、テープに保管されたデータにアプリケーションから直接アクセスでき、データの利用と長期保管における利便性とコスト効率の向上が期待できる。また、「IBM Security Key Lifecycle Manager」により、「IBM TS1150 テープ・ドライブ」を使用するストレージの分散環境全体の暗号鍵を容易に生成・管理することが可能だ。導入価格は、それぞれ最小構成で、「IBM FlashSystem V840」が3322万8400円~、「IBM Storwize V7000 / V7000 Unified」が855万円~、「IBM TS1150テープ・ドライブ」が798万7800円~となる(いずれも税別)。
2014年10月30日日本IBMは10月28日、銀行・保険・証券などの金融機関向けに「金融機関向けIBMマイナンバー対応ソリューション」を発表した。同ソリューションは、金融機関が個人顧客や法人顧客、従業員のマイナンバーを取得し管理・保管する機能や、セキュリティー機能などを提供する。金融機関の個々のシステムや業務アプリケーションを改修することなく、マイナンバー対応処理に必要な共通機能が利用できるほか、法改正などにより、マイナンバーの適用範囲が拡張された場合にも、柔軟な対応が可能だという。「マイナンバー取得機能」では、業務運用やサーバー間のメッセージのやりとり、ネットワークの伝送まで、多様なレべルで暗号化を実施し、十分なセキュリティーを確保。既存システム上で稼働させつつ、営業店システムなど他の業務アプリケーションとは別に運用するため、既存システムへの影響を最小限に抑えることができる。マイナンバーの取得は、企業の担当者が、営業店の店頭や営業職員・渉外員顧客訪問先において、Webやタブレットを活用し対面で行うという。「マイナンバー管理・保管機能」は、顧客から取得したマイナンバーを、登録・更新・消去といったライフサイクルに合わせて一元的に管理するもの。登録済マイナンバーの目的外利用の制限や、マイナンバーへのアクセス権限・履歴管理を確実に実施する。また、IBM不正検知技術を活用し、アクセス権限を付与された人の内部不正を防ぐ機能も搭載する一方、既存のホストシステムや分散システム、バッチ処理・オンライン処理などの業務アプリケーションから、登録されているマイナンバーへのスムーズなアクセスも実現する。「マイナンバ-セキュリティー機能」では、ハードウェア情報を読み出そうとする不正行為に対し機器自身が防御する機能や、キーなどの重要情報の漏洩を防ぐソフトウェアの機能、管理・運用局面での各種ツールなどを利用し、システム全体として統制する強固な暗号化技術を活用する。同技術は、ホストシステム・分散システムのどちらでも提供可能で、すでに導入している金融機関では、少ない追加投資で対応できる。同社の暗号化技術は、政府がマイナンバー管理に求める基準などのほか、FISC(The Center for Financial Information Industry Systems)の安全対策基準にも準拠するという。「金融機関向けIBMマイナンバー対応ソリューション」は、11月末日より販売開始し、価格は個別見積もりとなる。
2014年10月28日米IBMと米マイクロソフトは10月22日(現地時間)、両社の企業向けソフトウェアをMicrosoft AzureとIBMクラウドで連携して提供することを発表した。具体的には、WebSphere Liberty、MQ、DB2などの主要なIBMミドルウェアをMicrosoft Azure Virtual Machinesサービスで利用できるようにするとともに、Windows ServerとSQL ServerをIBMクラウドで提供する。IBMのクラウド型アプリケーション開発プラットフォーム「IBM Bluemix」では、関連ツールと共にMicrosoft .NETランタイム環境を連携して提供する。まずは、.NETの運用プレビュー版が限定的に提供される予定。ハイブリッド・クラウド展開をサポートするため、IBMは、Windows Server Hyper-V上で実行されるIBMソフトウェアのサポートを拡大する。また、ハイブリッド・クラウド環境でのソフトウェアの展開・構成・ライセンス管理の自動化を実現するため、IBM PureApplication ServiceをMicrosoft AzureとIBM SoftLayerの両方で利用できるようにする予定。
2014年10月23日