写真家・鈴⽊親の個展「東京の⽇常の断⽚」が、東京・天王洲のアートコンプレックスにあるギャラリーKOSAKU KANECHIKAで、3月7日から4月11まで開催。Nakameguro, Tokyo, 2016© Chikashi Suzuki, Courtesy of KOSAKU KANECHIKA90年代より、エディトリアルやファッション・フォトの最前線で活躍し続ける鈴⽊親。フランスでキャリアをスタートさせた彼の活動は幅広く、ファッション、アートの境界を超えながら常に時代を代表する写真家のひとりとして注⽬を集めてきた。そのキャリアにしては、展覧会や写真集での発表が少なかった鈴⽊だが、KOSAKU KANECHIKAでは2018年に「晴れた⽇、東京」、2019年に「わたしの、東京」と2回の展覧会を開催してきた。⻑年撮り続けてきた彼の重要な被写体である東京の再解釈を軸に、写真というメディアについての再考、また写真史へのレファレンスなど、重層的なコンテクストをもつ展⽰を⾏った。続く今回の個展では、綿密なセッティングをして撮影したものではなく、どちらかというと私的、プライベートなスナップを中⼼に展覧会を構成する。それらの多くは撮影されてから、発表されないまま⻑い時間を過ごしてきた写真だ。Shinjuku, Tokyo, 2018© Chikashi Suzuki, Courtesy of KOSAKU KANECHIKA⼈間が⾒る⾵景や事物、⽇常の変化を写真に撮り始め、現実を複製することに憑かれてから久しいが、デジタルが登場してからは、写真はかなりのスピードで消費されるようになり、そのイメージは作られては過ぎ去っていくものとなった。それとは対照的に、鈴⽊が今回展⽰する、フィルムで撮影された写真は、ほとんど⼈の⽬につくことなく時間が経過したことで、新鮮な存在感をまとって私たちの前に現れる。パブリックな存在の⼈物、パブリックな存在になる前の⼈物、東京の街、⾵景や花などが、等しく鈴⽊の⽇常の断⽚として切り取られている。そこには真実が写っており、また鑑賞者が受け取り、無数に紡ぐことができる新たなストーリーの余地がある。Nakano, Tokyo, 2015© Chikashi Suzuki, Courtesy of KOSAKU KANECHIKA「写真はすべて死を連想させるものである」と、スーザン・ソンタグが「写真論」で述べているように、写真を撮るということはその⼈物や事物の運命、はかなさや無常に⽴ち⼊ることでもある。だからこそ、そこに⽣まれる哀感や郷愁にも近い感覚は美しく、また予兆も孕んだ時間の経過という要素は鑑賞者を魅了し、想像⼒に働きかける。なお、今回の個展では、意味や作為性が⽣じることを避け、これまで展覧会や写真集の発表が少なかった鈴⽊が⾃⾝でセレクトした写真、約40点で構成される。【展覧会情報】鈴⽊親「東京の⽇常の断⽚」会期:3⽉7⽇〜4⽉11⽇会場:KOSAKU KANECHIKA住所:東京都品川区東品川 1-33-10 TERRADA Art Complex 5F時間:⽕~⽊・⼟曜日11:00〜18:00、金曜日11:00〜20:00休廊日:⽇・⽉・祝⼊場無料
2020年03月04日写真を中心として活動するアーティスト・fumiko imanoの展覧会「LA☆Fumiko Imano」が、東京・天王洲のアートコンプレックスにあるギャラリーKOSAKU KANECHIKAで、10月19日から11月30日まで開催。LA☆Fumiko Imano, 2015©2019 fumiko imano Photo by Keizo Kioku Courtesy of KOSAKU KANECHIKAfumiko imanoの代表作は、35mmカメラで撮影したセルフポートレイトを切り貼りし、双子のモチーフに仕上げるフォトモンタージュのシリーズ。無邪気でノスタルジック、思わず微笑んでしまうようなユーモアあふれる家族写真風のイメージである一方で、はさみで切ってつなぎあわせたラインが、それが虚構であるとはっきりと伝えている。コンピュータでイメージを精緻に合成できる時代に、あえて手作業でシンプルにつくられるフォトモンタージュからは、その虚構をアーティスト自身が冷静に見ながらも楽しんでいる様子が感じられる。この手法には、imanoが常にアイデンティティというものに自覚的であるという背景がある。2歳から8歳までリオデジャネイロで過ごし、20代前半はロンドンで学び仕事をした彼女は、帰国後にカルチャーギャップから困難を経験していた。そんな時に自分を元気づけ、没頭できる「マジックのようなもの」として、双子のモチーフが誕生したという。彼女を支えたこの双子のシリーズのプレイフルネスは、鑑賞者にも軽やかに伝わる。LA☆Fumiko Imano, 2015©2019 fumiko imano Courtesy of KOSAKU KANECHIKA「LA☆Fumiko Imano」では、2015年出版の同名の写真集に収録されたシリーズより、27点を展示。双子がLAで自然や動物たち、LAらしいアイコニックなものをオリジナルな風景に変えていく、旅の様子のドキュメンテーションとなっている。2018年春夏コレクションよりロエベ(LOEWE)のルックブックで作品を発表するなど、ファッションとのコラボレーションでも活躍し、高く評価されるimano。同ギャラリーでは初めての個展となる。【展覧会情報】fumiko imano展「LA☆Fumiko Imano」会期:10月19日〜11月30日会場:KOSAKU KANECHIKA住所:東京都品川区東品川1-33-10 TERRADA Art Complex 5F時間:11:00〜18:00(金曜日は20:00まで)休廊日:日曜日、月曜日、祝日入場無料
2019年10月11日鈴木親の写真展「わたしの、東京」が、東京・天王洲のアートコンプレックスにあるギャラリーKOSAKU KANECHIKAで、4月20日よりスタートする。鈴木親 Roppongi, Tokyo 2018 C-print 126.0 x 100.0 cm© Chikashi Suzuki1972年生まれの鈴木親は、パリの雑誌『Purple』にて写真家としてのキャリアをスタート。90年代よりエディトリアルやファッション・フォトの最前線で活躍し続け、今や日本を代表するフォトグラファーの一人として世に名を馳せる。本展では、ミディアム・フォーマットやポジフィルムで撮影された新作のポートレートや東京の風景に加え、2018年の個展「晴れた日、東京」に続き近作の花を主体とした作品をセレクトし直して展示する。Kudanshita, Tokyo 2008 C-print 100.0 x 126.0 cm© Chikashi Suzukiデジタル・ネイチャーともいうべき現代に氾濫し、消費されては消えていくイメージとしての写真。それに対し鈴木親は、フィルムカメラで三脚を使用して撮影し、丁寧にプリントするというあえてアナログな方法を選ぶ。それにより写真は、“写真らしさ”を取り戻す。その一枚の写真が持つ凝縮された豊かさや、情緒を感じさせることで、鈴木は写真というメディアがなぜこれまで撮る人、そして見る人を魅了してきたのか? そしてテクノロジーの進化によって人間の認識がどのように変化したのか? ということについての再考を促す。【イベント情報】鈴木親「わたしの、東京」会期:4月20日〜6月1日会場:KOSAKU KANECHIKA住所:東京都品川区東品川1-33-10 TERRADA Art Complex 5F時間:11:00〜18:00(金のみ11:00〜20:00)休廊日:日・月・祝日
2019年04月11日