僕は休みの日にお気に入りのYouTuberのゲーム実況を見るのが趣味なのですが、最近何人かの実況者がプレイしているゲームに『デトロイト ビカムヒューマン』というタイトルがあります。このゲームの設定は、2038年のアメリカ。「人間に奴隷のように酷使されていたアンドロイド達が、そのうち感情を持ち人間に反旗を翻す」というよくある設定なのですが、登場人物に、実際の名だたる俳優さん達が演じている映像をCG化する技術を使っているので、本当にリアルで『本当に近い将来人間とアンドロイドが共存する未来が来そうだ』と思わされます。さて、そのゲームの中で、アンドロイド同士が恋に落ちたり、人間が感情を持ったアンドロイドに友情や愛情を感じるシーンが度々登場します。ここで、僕はふと思うわけです。「2038年、今から20年後に僕たちはアンドロイドと恋に落ちるようなことがあるのだろうか?」と。今回は、そんなちょっとSFちっくだけど、他人事ではない話。■気づかないうちに科学技術がすごいことになってる今、僕らの知らないところでいろいろな科学技術が進んでいて、「人間の関節の動きをほとんと再現したロボット」、「人間の声帯や喉の形、鼻腔を再現して人間の出せる音の再現に取り組む研究」、「60種類以上の表情のバリエーションを持つアンドロイド」など、「これもうほぼ人間じゃない?」と思えるほど形になってるものがたくさんあります。動画で見た方が実感できると思うので「オトナロイド」や「ソフィア人工知能」などで検索して見てください。この科学技術がこのまま進んでいけば、20年後には(あるいはもっと早いかもしれません)見た目はほとんど人間と変わらないアンドロイドが作られることは、ほぼ間違いないと言って良いでしょう。■ロボットは感情を抱くようになるのか?アンドロイド研究の第一人者であり、英国Synecticsに「世界の100人の生きている天才」で日本人最高位の26位に選出された石黒教授は、インタビューで「感情というのは最も速い通信手段」「アンドロイドに感情がないと意思疎通がしにくくなる。だからアンドロイドには言葉よりも、まず感情を与えるべきだと思う。」と答えています。(*1)ただし、当面はロボットの感情表現は「感情表現しているように見える機能」でしかありません。そもそも人間自身が人間の心とはなんぞや?を理解していないので、人間の心を模倣したような装置を作ることはできても、心それ自体を生み出すことはできないのではないかと思います。ただし、人間の心を「持ったように見える」それを見た人間はどう思うか?というのは別の問題です。■人間は無機物に感情移入する生き物である10年ほど前に大ブームになった犬型ロボットの「AIBO」。当時は今ほど人工知能もロボット工学も進んでいなかったにも関わらず、その飼い主になった人のほとんどは「AIBO」に愛着を感じていたと言います。VRの世界で女子高生と会話した時に「息づかいを感じた」(*2)という人がいるように、僕たちの脳はそこに実際に起こってないことでも、一旦「ある」と脳が認識してしまうと五感を通じてその感覚を感じてしまうようになっています。つまり、人間と見分けがつかないほどリアルなアンドロイドが人間の心を模倣した感情表現をすれば、人間には人間とコミュニケーションをしているとしか思えなくなるのです。そうすれば当然「彼女(アンドロイドです)は僕を愛しているんだ」「彼(アンドロイドです)と私は一生を誓い合った仲なんです」と主張する人は当然出てくるはずであり、僕らがそうなってしまう可能性は十分にあるのです。■大事なのは自分の心との向き合い方ではもし、僕たちがアンドロイドに恋をしてしまったらどうしたら良いのでしょうか?今でもLGBTに代表される様々な恋愛観・結婚観が認められてきているわけですから、当然未来の恋愛観・結婚観も多様化していくはずです。その時に大事なことは「自分の心といかに向き合えるか」ということだと思います。恋愛の対象がVR内にいようが機械だろうが、自分の感じた心はリアルそのものであり、そこに嘘をつくことはできません。「人と違うこと」を認め、仲間を集め、勇気を出してそのことを表明し前を向いて生きていく。そういった「生き方」を身につけていくことぐらいしか、これからの不透明な未来に向けて僕らが準備できそうなことはないのではないかと思うのです。(川口美樹/ライター)(*1)【ギズモード】「ロボットに感情は必要なのか? アンドロイド研究の第一人者に聞いた」(*2)【FULLDIVE】「VRで脳が完全に騙される『クロスモーダル現象』とは?」(ハウコレ編集部)
2018年07月17日6月21日(木)~24(日)まで、13年ぶりに横浜にもどり開催された「フランス映画祭2018」が好評のうちに閉幕。観客の声から選ばれる「エールフランス観客賞」は、結婚式でのドタバタ人間模様を描いた『セラヴィ!』が受賞した。横浜・みなとみらいホールで行われたオープニングセレモニーでは、フランス映画祭団長の名女優ナタリー・バイと、横浜出身でフェスティバル・ミューズを務めた常盤貴子が開会を宣言。『万引き家族』でカンヌ国際映画祭パルムドールに輝いた是枝裕和監督、本映画祭の特別協賛である日産自動車のカルロス・ゴーン会長も駆けつけていた。そして、満員となったオープニング作品『セラヴィ!』の上映を皮切りに、日本未公開のフランス映画、長編14本と短編1本が上映。上映会場となったイオンシネマみなとみらいには多くの観客が詰めかけ、会期中には『セラヴィ!』ほか、鬼才フランソワ・オゾン監督が登壇した『2重螺旋(らせん)の恋人』、『夜明けの祈り』『ココ・アヴァン・シャネル』のアンヌ・フォンテーヌ監督がLGBTをテーマにした『マルヴィン、あるいは素晴らしい教育』など6作品が満員御礼!会場は連日、フランス映画ファンの熱気でいっぱいとなった。上映後に行われた各回の来日ゲストによるQ&Aやサイン会も大盛況。今年は、会場での一般客の撮影を規制せず、サイン会に移動する前のロビーでは各回のゲストの撮影時間がとられるなど、観客とフランス代表団の交流の場を設ける形に。13年前の横浜時代を彷彿とさせる、横浜ならではのアットホームな映画祭が実現した。また、若い世代にフランス映画と接する場を作るべく、オープニングセレモニーのみ、横浜市民は500円で鑑賞できる割引サービスを実施。横浜市立大学、東京藝術大学、早稲田大学にて授業の一環として学生を対象としたマスタークラスも開催され、フランス映画の作り手と日本の学生たちが接する場が設けられた。横浜市立大学の学生たちは、ボランティアスタッフとして映画祭の各会場にて活躍したという。そんな中、上映時に配布したアンケートによって選ばれる「エールフランス観客賞」を、オープニング作品の『セラヴィ!』が受賞。日本でも大ヒットした『最強のふたり』の監督コンビによる、ベテラン・ウェディングプランナーをとりまく結婚式での人間模様を描いたコメディが観客の心をつかんだ様子だ。『セラヴィ!』は7月6日(金)より渋谷・シネクイントほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2018年06月27日イギリスのロイヤル・ナショナル・シアター(NT)により厳選された舞台作品を上映する「ナショナル・シアター・ライヴ」の2018年ラインアップが公開されました! その中でも、トニー賞にて3部門受賞した『エンジェルス・イン・アメリカ』のほかにも、シェイクスピアの悲劇を題材にしたものや、歴史上の事件に隠されたドラマを描いたもの、そして時代背景や現代社会を反映された舞台作品をご紹介します。 『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』2018/6/15(金)〜6/21(木)@吉祥寺オデヲンNTLive2018原題:Rosencrantz & Guildenstern Are Dead / 尺:2 時間 45 分(休憩 20 分含む)上演劇場:オールド・ヴィック劇場作:トム・ストッパード演出:デヴィッド・ルヴォー出演:ダニエル・ラドクリフ、ジョシュア・マグワイア、ルーク・マリンズ、デヴィッド・ヘイグ概要:「ハムレット」で端役の二人を主人公にした喜劇 『アマデウス』2018/7/6(金)〜7/12(木)@TOHOシネマズ日本橋ほかNTLive2018原題:Amadeus /尺:3時間15分(休憩20分含む)上演劇場:ナショナル・シアター オリヴィエ劇場作:ピーター・シェーファー演出:マイケル・ロングハースト出演:ルシアン・ムサマティ、アダム・ギレン概要:宮廷楽師のサリエリが若手音楽家モーツァルトの才能に 気づいてしまったことによる苦悩を描く。 『エンジェルス・イン・アメリカ 第一部 至福千年紀が近づく』『エンジェルス・イン・アメリカ 第二部 ペレストロイカ』2018/7/20(金)〜7/26(木)@シネ・リーブル池袋NTLive2018原題:Angels in America Part 1 : Millennium Approaches尺:3時間40分(休憩15分が2回)原題:Angels in America Part 2 : Perestroika尺:4時間20分(休憩15 分が2回)上演劇場:ナショナル・シアターリトルトン劇場作:トニー・クシュナー演出:マリアン・エリオット出演:アンドリュー・ガーフィールド、ネイサン・レイン、デニース・ゴフ、スーザン・ブラウン概要:エイズが同性愛者のがんと認識されていた80年代のNYを舞台に同性愛者とその周囲の人々を描く2部作。 『イェルマ』2018/9/28(金)〜10/4(木)@TOHOシネマズ日本橋ほかNTLive2018原題:Yerma / 尺:1 時間 40 分(休憩なし)上演劇場:ヤング・ヴィック劇場作:フェデリコ・ガルシア・ロルカ演出:サイモン・ストーン出演:ビリー・パイパー(2017年オリヴィエ賞最優秀主演女優賞を受賞)概要:子供が欲しいと切に願うが恵まれない女性イェルマの物語 『フォリーズ』2018/10/19(金)〜10/25(木)@TOHOシネマズ 日本橋ほかNTLive2018原題:Follies / 尺:2時間35 分(休憩なし)上演劇場:ナショナル・シアター オリヴィエ劇場脚本:ジェームズ・ゴールドマン音楽:スティーヴン・ソンドハイム演出:ドミニク・クック出演:イメルダ・スタウントン、トレイシー・ベネット、ジェイニー・ディー概要:取り壊し直前のワイズマン劇場に集まった、かつてこの舞台に出演していた人々たち。彼らの思いを馳せる世界を 描くミュージカル。
2018年06月18日日本からハリウッドまで、さまざまタイプの若手俳優が台頭している今日この頃ですが、その後ろには、各国のネクストブレイク候補もまだまだたくさん控えているところ。そこで今回は、現在公開中の話題作『最初で最後のキス』から、青田買い必至のイケメンをご紹介します。それは……。イタリアの新星リマウ・グリッロ・リッツベルガー!【映画、ときどき私】 vol. 170リマウくんは、本作のオーディションで2000人以上の候補者のなかから選ばれたシンデレラボーイ!インドネシア人の父とオーストリア人の母を持つハーフということもあり、どことなくエキゾチックな雰囲気が魅力です。劇中では、新たな里親に引き取られる同性愛者の男子高校生という難しい役どころにチャレンジし、映画初出演とは思えない存在感で注目を集めています。今回は、初来日を記念して、リマウくんに直撃してきました。ロレンツォはかなり個性的な青年ですが、演じるにあたって不安はなかったですか?リマウロレンツォは演じるには楽しい役だったから、難しさを感じることは特になかったよ。それに、彼は俳優にとっても、観客にとっても自由を与えてくれる存在だといえるんじゃないかな。ただ、ロレンツォには重みが必要だったんだ。それは、決して彼が重い人間ということではなくて、歪んだ社会の犠牲者であるということを伝えなければいけないという責任。そういうメッセージを届けないといけない部分に関しては難しかったといえるかな。それをうまく表現できていたかは僕にはわからないけど、みなさんに伝えられていたら成功しているということだと思うよ。撮影から3年が経過し、一気に大人っぽさが増したリマウくん。これまでを振り返ってみて、この作品に出演したことがいまの自分に影響を与えていることはありますか?リマウもちろん、それはたくさんあるよ。やっぱりこの役を演じたことで、いろいろと教えられたことがあるし、何よりも自分の世界が広がったんだ。人生において、いろいろな色やニュアンス、そして可能性をこの映画によって知ることができたから、僕はまだ21歳でこれからどうなるかはわからないけど、今後の大きなきっかけにはなったと思うよ。撮影中はご自身もちょうど役と同じくらいの年齢でしたが、実際はどんな高校生でしたか?リマウ僕は理系の高校に行っていたんだけど、反抗的なところとそうではないところとがミックスされたような高校生だったかな。映画を撮っているときは学校に行けなかったんだけど、その間も勉強に対する気持ちを持ち続けることができたから、無事に大学へも行くことができたんだ。ロレンツォも勉強ができるタイプだったけど、彼に比べると僕のほうがもうちょっとマジメな高校生だったかな(笑)。劇中でみどころのひとつは、ロレンツォがつらい状況を乗り切るために、妄想のなかでダンスをし始めるというシーン。踊っている姿もステキでしたが、もともとダンスは得意だったのですか?リマウいやいや、この作品の前はまったく踊ったことがなかったから、最初は木の棒みたいに固まってたよ(笑)。今回は、ルカ・トマシーニというイタリアでも有名なダンサーが振り付けてくれたんだけど、マドンナやマイケル・ジャクソンの振り付けもしていた優秀な人なんだ。彼のもとで1か月間練習して、やっとできるようになったくらいなんだよ。では、ご自身が困難にぶつかったときに意識的にしていることはありますか?リマウロレンツォと同じで、踊ることを想像しているかな。というのは冗談で、僕は踊らないよ(笑)!僕の場合は、未来を想像すること。つまり、「自分がどんなふうになりたかったか」というのを思い出そうとすることなんだけど、そうすると自分が変わっていくのを感じられるんだ。そういう意味でも、やっぱり夢を持つというのは大事なことだと思うよ。3歳のときにイタリアに移住したそうですが、異国で育つことに苦悩したことはありませんか?リマウ僕は生物学的にはインドネシアとオーストリアの血が流れていて、文化的にはオーストリアとイタリアという背景だから、この複雑な状況に最初は苦しんだこともあったよ。というのも、母親が移民としてイタリアに来ていたから、「イタリアは自分の居場所じゃない」という意識が強かったんだよね。でも、逆にそれが力にもなったし、そのおかげでいまでは中と外の両方から見るという2つの視点を持つことができるようになったんだ。そういう部分をうまく使えているかはわからないし、アイデンティティの問題を解決できているわけではないから自分が何者かはいまでもわからないけど、目の前には人生が広がっていて、「どんなことが起きるんだろう」と考えるだけでいまは幸せを感じられているよ。そういう心境が影響したこともあり、現在はローマ大学で哲学科に通っているというリマウくん。将来は俳優として生きていくのか、それとも哲学の道を進むことも考えていますか?リマウもちろん俳優をやっていきたいと思ってるよ。ただ、この先はどうなるかはわからないから、自分の考えとしては、まず力が続く限り両方をやっていくということ。いまは決断を遅らせているところもあるけど、そのときが来たらどちらかを選ぶつもりだよ。最後にananwebを読んでいる日本の女性たちに向けてメッセージをお願いします!リマウこれはすべての人にとって大事なことだと思うけど、僕が伝えたいのは、人生において好奇心を持ち続けて欲しいということ。たとえば、朝起きて、窓を開けたときに、「世界ってなんてすごいんだろう!」と感じられるのはとても大切なことだからね。それは、前に進んでいくうえでも、すごく力になることなんじゃないかなと思っているよ。インタビューを終えてみて……。イタリアだけでなく、国際的な作品にもどんどん挑戦していきたいというリマウくん。端正な顔立ちと知性を感じさせる話し方に、俳優としてだけでなく、いろんな可能性を感じさせられました。これからの活躍が楽しみな若手俳優として、要チェックです!不器用な男女3人が繰り広げる珠玉の青春ストーリー!自分らしさを貫くことの難しさと同時に、すばらしさも感じさせてくれる本作。青春時代に味わう初恋や失恋、そして友情が引き起こす痛みと喜びは、誰もが身に覚えがあるはず。まばゆいほどの輝きと残酷なまでの危うさを全身で受け止めてみては?ストーリースターになることを夢見るロレンツォは、里親に引き取られたことをきっかけに小さな街へとやってくる。個性的な服装で登校した彼は、学校でも浮いた存在となってしまう。そんなロレンツォが意気投合したのは、クラスのはみ出し者とされていた少女のブルーと無口な青年のアントニオ。3人一緒の楽しい日々が続いていたが、ロレンツォのある行動が引き金となり、徐々に運命の歯車が狂い始めるのだった……。心を打ちぬく予告編はこちら!作品情報『最初で最後のキス』新宿シネマカリテ、アップリンク渋谷ほか全国順次公開中配給:ミモザフィルムズ/日本イタリア映画社©2016 Indigo Film – Titanus
2018年06月09日テレビ朝日が贈る土曜ナイトドラマ「おっさんずラブ」が佳境を迎えている。33歳・独身、ぼんやり冴えない春田創一が、上司の部長、できる後輩という「男」たちから突如思いを寄せられ三角関係…ならぬ、幼なじみの女子や後輩の元彼、部長の妻まで巻き込み、てんやわんや、前代未聞の展開を繰り広げる、おっさん恋愛ドラマとなっている。相手を真っすぐに想うという切実でピュアな描写が視聴者に受けたこと、さらに、メインキャストの田中圭、吉田鋼太郎、林遣都らの名演も相まって春ドラマを席巻。現在、ドラマ公式Twitterは20万、公式Instagramは30万、そして部長の公式Instagram(芸が細かい!)は47万フォロワーと、全方位で強力な支持を集めている(5月31日時点)。本ドラマの仕掛け人のひとり、脚本家の徳尾浩司は「作っているのも、撮っているのも、おっさんですからね」とニコニコと微笑みながら、ファンタジーとキュンキュンが絡み合うストーリーバランスの肝を語った。6月2日(土)のフィナーレに向け、「ロスが怖くて逆に見られない」と嘆くOL(おっさんずラブ)ラヴァーに、徳尾さんの誠実な声を届けたい。なお、本インタビューは6月2日(土)放送終了後【ネタバレあり版】と掲載される後編へと続く。――「おっさんずラブ」の高まりが最高潮を迎えています。SNSで反応をご覧になりますか?はい。僕も好きなドラマを見るとき、Twitterを眺めながら見たりするんです。自分のドラマでも同じようにしていると、流れが速いので「おお」と驚いています。ひとつひとつまで読み切れないくらいで。――「キュンキュンする」といったような声も多く見受けられます。非常にありがたいんですけど、何でなんでしょうね(苦笑)?作っているのも、撮っているのも、おっさんですからね(笑)。僕が39歳、監督も39歳・41歳・38歳で同じアラフォーおっさん世代が作っているんです。逆にプロデューサーが女性陣なので、そのバランスがいいのかもしれません。――男女チームでの違いは出るんですか?打ち合わせをしていると、男性陣と女性陣でお互いの恋愛観があり、混ざったものが作品になっている気がします。私をはじめおそらく監督陣は、直接的ですよね。例えば、好きだったら「好き」と言っちゃうし、付き合うまでの過程よりも付き合った瞬間のほうが楽しかったり、達成感がある。一方、プロデューサー陣は関係性を築くまでの過程でキュンキュンしたり、ドキドキするところを大切にしている。――ファンタジーとキュンキュンがうまく混ざっているところが特徴。共通しているところは、「男性同士の恋愛だから、こういうことが萌えるんじゃないか」という話は、一切していません。男女だった場合と同じように、恋愛を真っすぐ一生懸命やることを考えよう、というところが出発点なんです。少女漫画的な表現にも、おっさんが真摯に向き合っているのが、結果論ですが面白く感じてもらえているのかな、と。そもそも、ボーイズラブ(BL)に関して、私は全然詳しくないんです。逆に少し詳しい程度だと「それは違うよ」と、見ている方に拒絶されていたかもしれません。男性同士ということに限らず、人と人の恋愛だからこうしたい、こうなってほしい、と考えて作っていたので、それがドラマの作り方として良かったのかもしれません。――キュンとさせる要素のポイントは、どういうところですか?例えば、6話で言うと、いきなり牧が春田にキスをするんですけど、その後の台詞も「こういうことを言ったほうがいいんじゃないか」と、シーンによってその都度考えています。僕のルーツは少女漫画なんです。「週刊少年ジャンプ」も読んでいたけど「りぼん」も読んでいたし、「ママレード・ボーイ」とかもテレビアニメで見ていましたし(笑)。昔、そういったものを見てキュンとした記憶を、一生懸命掘り起こしています。――元々「おっさんずラブ」の原型は、2016年12月30日に放送された「年の瀬 変愛ドラマ第3夜」からですよね?はい。単発版でやったときは、実は春田はそんなにダメダメではないし、そこまでかわいくもなかったと思うんです。連ドラでやっていくときに、春田は部長と牧という性格の違う人たちに本気で惚れられないといけない、どうやったら好きになってもらえるんだろう、と考えて、田中さんの嗅覚でいまの春田に仕上がっているんだと思います。母性本能をくすぐるような表情とか、いろいろな要素をご本人がチャレンジして、台本にないことを入れてくださっている。台本では無愛想になっているところも「笑ったほうがいいんじゃないかな」「遊んでみたほうがいいんじゃないかな」と愛らしい春田を現場で作ってもらっている印象です。田中さんがすごく考えてくださった賜物だと思います。――おっしゃったように田中さん、共演の吉田さん、林さんらの演技も圧巻で、相乗効果を生み出しているように感じます。本当に!今回、役者さんの力がめちゃくちゃ大きいと思います。皆さんお上手なので、僕は本当にすごいなあと毎回唸っていて。第1話を見ていて「何で面白いのかな?」と考えたときに、「きっと演技がうまいからだ!」と気づきました。春田や部長が実在しているように皆が思える…、真剣さがあり、うそがないから面白いんですよね。本当に全力で演じていて、きちんと目の前の人と恋愛しているから。役者さんの演技がすごく好感を持って受け入れられている感じがします。僕は役者さんからイメージを受けて書くことが多いんです。「鋼太郎さんがこうしたら面白いんじゃないか」と書いていけば、鋼太郎さんも受けてくれるので面白いですよね。あんなシェイクスピア劇をやっている方が、全身全霊で「好きでぇぇす!!」って(笑)。――(笑)。脚本の想定を大きく超えてくるケースもありますか?台本を変えているというより、拡張してくれているという感じですよね。とにかく動きのバリエーションがすごい(笑)。ソファとかでねじりながら、というのは台本には書けないので、「このシーンでは、これくらい悶えたほうがいい」と、ご本人たちが考えてやられているんだと思うんです。例えば、靴下を脱がしてもらうところは台本に書くことではなかったんですけど、鋼太郎さんもやるし、林くんもやる。その行動があることによってさらに行間が埋まった映像になるので、立体的に仕上がるんですよね。――「おっさん」同士なので男同士の恋愛の括りとはいえ、同性愛について悩んだり、偏見を持っている人物は出てきません。あえて、でしょうか?「おっさんずラブ」では、純粋に「人が人を好きになること」を描きたかったので、それがたとえ男性同士の恋愛であっても、笑える部分があってもいいはず。そこにLGBTに関するテーマを盛り込もうというよりは、登場人物たちの真剣な恋愛模様を描く、ということに主眼をおいていました。それでも当初は見ている方に誤解を招かないように、「これをやったらまずいのかな?」ということも結構考えていました。けど、あるときから「おっさんずラブ」は性に関することで笑っているわけではなくて、ただの恋だの愛だのの話なんだと思って、書くほうも自由になったんです。3話の「会いたくて会いたくて…震えちゃった」と言う台詞も、同性同士だから面白いんじゃなくて、あの吉田鋼太郎さんが言っているから面白い、というだけだったりする。そうなると、自由になってきました。――すごく絶妙なバランスを縫っていかれていますね。バランス感覚にプロデューサーが優れているところがあると思います。「書いてください」、「演じてください」という世界の敷き方が今回は明確で、演じるほうもきっと迷わないでしょうし、書くほうもあまり迷わなかったです。「これ、書いたらまずいかな?」と思うことも、あまりなかったですから。最終回も楽しみにしていてください。土曜ナイトドラマ「おっさんずラブ」最終話は、6月2日(土)23:15~テレビ朝日にて放送。(photo / text:Kyoko Akayama)
2018年06月01日こんにちは。アートディレクターの諸戸佑美です。16歳の頃、あなたはどんな毎日を過ごしていましたか?【シネマの時間】第30回は、イタリアの地方都市ウーディネを舞台に16歳の高校生3人の恋と友情をビタースイートに描き、本国イタリアでスマッシュヒット!ヨーロッパ各国の映画祭で多数の観客賞を受賞した話題作!映画『最初で最後のキス』をご紹介致します。SNSでのイジメ、LGBT、親子関係、デートレイプ、少年犯罪など現代の若者が抱える問題に鋭く切り込み、友情、恋、絆、青春の煌めきや残酷さなど日本の若者たちにも共通する多くの出来事を、レディ・ガガなどのポップな音楽にリズミカルに乗せて、イタリアらしいカラフルでファンタジックな映像で描いています。イタリア本土では、監督と俳優たちが全国各地の高校を訪ねてティーチイン上映会を行い、実に3万人の学生が本作を鑑賞し、「リアルな自分たちが描かれている」「両親に観て自分たちの考えを知ってほしい」といった感想や意見交換が持たれたそう。観るものは、主人公の3人の高校生のみならず取り巻く大人たちそれぞれの立場によって共感し、痛みを共有し、心からエールを送らずにいられないでしょう。もし無知ゆえの残酷さというものがあるのなら、この映画を鑑賞することで、あって欲しくない現実を未然に防ぎ、幸せな未来への手助けになるのではないか、そんなことを思わせてくれる映画です。監督は『ミラノ、愛に生きる』『あしたのパスタはアルデンテ』の脚本を務めたイヴァン・コトロネーオ。アメリカで実際に起きたラリー・キング殺人事件に衝撃を受け、自ら小説『UN BACIO』を執筆し、共同で脚本を手がけ監督も務めました。ぜひこの機会に映画館でご覧ください!映画『最初で最後のキス』あらすじー不器用な僕らが誰よりも輝いていた日々。16歳のスターを夢見る同性愛の孤児ロレンツォは、愛情深い里親に引き取られ、トリノの施設から北イタリアの地方都市ウーデネにやってきます。翌朝、義母と一緒に新しい高校に行ったロレンツオは、義母が帰るやいなや上着を脱ぎ捨て、お気に入りのカラフルなファッションとパフォーマンスで堂々と学校に入っていくものの、瞬く間に浮いた存在に。隣の席になった少女ブルーは、心ない噂から“尻軽女”とレッテルを張られていますが、そんなロレンツオと意気投合。帰り道、ロレンツォは、「ゲイなんだ」と伝えますが、ブルーは、「ゲイの知り合いは初めてよ」と自然に受け入れ友達になります。一方で、ロレンツオは、兄を亡くして心に闇を抱え、クラスで誰とも口をきかないアントニオという男子が気になり始めます。バスケ部のアントニオは、バスケットボールは得意ですが、みんなから「とろい」とバカにされていました。アントニオは、密かにブルーに恋心を抱いていますが話しかけることもできません。息子ひとりを亡くしたアントニオの両親は、そんな彼を必要以上に気にかけ、過保護に守ろうとしていました。ある日、ロレンツォはブルーと相談し、アントニオを食事に誘います。お洒落をしてレストランに出かけ楽しく語らい、ウィンドウショッピングに羽目を外し、仲良くなります。若者らしくふざけて他愛のないお喋りに花を咲かせ、友情を育んでいく幸せな3人の時間。しかし、なおもひどいサイトを立ち上げ、彼らをしつこく疎外しようとする生徒たちの存在がいて……。■映画『最初で最後のキス』作品紹介6月2日(土)より新宿シネマカリテほか全国順次ロードショー公式ホームページ:onekiss-movie.jp原題:Un Bacio監督・原案・脚本:イヴァン・コトロネーオ原案・脚本:モニカ・ラメッタ撮影監督:ルカ・ピガッツィ製作:ニコラ・ジュリアーノ、フランチェスカ・チーマ、カルロッタ・カローリ編集:イラリア・フライオーリー美術監督:イヴァナ・ガルジューロ衣装:ロッサノ・マルキ音楽:ジャンルカ・コスタマーニャ振付:ルカ・トマシーニ字幕:山田香苗制作年:2016年制作国:イタリア/イタリア語上映時間: 106分/カラー/シネマスコープ配給:ミモザフィルムズ/日本イタリア映画社提供:日本イタリア映画社後援:イタリア大使館/イタリア文化会館©︎2016 Indigo Film – Titanus映画『最初で最後のキス』キャストリマウ・グリッロ・リッツベルガー=ロレンツォバレンティーナ・ロマーニ=ブルーレオナルド・パッザッリ=アントニオトマ・トラバッチ=レナトスージー・ラウテ=ステファニアデニス・ファゾーロ=サントロ先生アレッサンドロ・スペルドゥーティ=マッシモジョルジョ・マルケージ=ダビデシモネッタ・ソルダー=ニナアートディレクション・編集・絵・文=諸戸佑美©︎YUMIMOROTO
2018年05月31日ラテンの気分! 異国情緒あふれる店内が魅力メキシコ料理店「カンティーナ・リマ」は、地下鉄谷町線中崎町駅のほど近くにあります。訪れる客の3割が外国人やLGBTという同店。食事のおいしさだけでなく、趣味や人生を楽しむ自由な雰囲気も魅力のひとつです。外観も店内もラテンの空気を感じさせる色使いでまとめられた、全12席でこぢんまりとした空間は、異国情緒あふれる隠れ家のようです。自然と楽しい気分が盛り上がります。本格メキシコ料理をカジュアルに提供したいロサンゼルスとメキシコを旅する中でメキシコ料理のおいしさに魅了された店主は、渡航を重ねて現地の味や調理法を習得してきました。その後、日本にメキシコ料理のおいしさを広げたいという思いで、2006年に「カンティーナリマ」をオープン。アメリカ人やメキシコ人も納得のスパイスと食材を使用し、「ベジーメニュー」ではベジタリアンの人に合わせたメニューも提供。ベジタリアンの友人とともに楽しめるレストランです。絶品! 「こだわりトルティージャのタコス」「こだわりトルティージャのタコス(300~380円)」は、リピーターにも人気のメニュー。毎朝手ごねで作っているタコスの皮(トルティージャ)がおいしいと評判です。トルティージャはメキシコ人の主食で、日本人にとってのお米のようなもの。タコスの具は、特製のスパイスで煮込んだミンチやエビ、たらのフリッターなど7種類の中から選べます。やさしい味わいに笑顔がこぼれる! 「ケサディージャ」メキシコ料理のファストフード「ケサディージャ(780~900円)」も人気メニューのひとつです。ケサディージャはメキシコ版ピザとも呼ばれ、トルティージャにチーズを挟んで焼くスタイルが一般的。チーズのほかにミンチやビーンズ、エビなどを合わせたメニューもあり、バリエーションも豊富。トッピングしたワカモレやサワークリームと一緒にいただきたい一品です。メキシコにいるような気分を楽しもう!「カンティーナ・リマ」では、手作りならではのトルティージャのおいしさに出合えます。パウンドケーキやチーズケーキなどのスイーツも絶品と評判で、カフェタイムの利用もおすすめ。メキシカンビールやカクテルなどのお酒メニューも充実しているので、お酒とメキシコ料理を満喫しながら、異国にいるような雰囲気に浸ってみてはいかがでしょうか。「カンティーナ・リマ」はOsakaMetro谷町線「中崎町駅」から徒歩4分の住宅街にあります。ピンク色の外観が目印です。OsakaMetro谷町線・阪急電鉄天神橋筋「六丁目駅」からは徒歩4分です。スポット情報スポット名:カンティーナ・リマ住所:大阪府大阪市北区浮田2-6-13 メゾンまさみ1F電話番号:06-6376-6608
2018年05月30日経済評論家でコメンテーターとしても活躍する勝間和代氏(49)が5月28日、自身のブログを更新。女性パートナーと交際し、同居していることを公表した。ネットでは“勇気を与えるカミングアウト”だと反響を呼んでいる。 勝間さんは『プライベートな報告です』というエントリーで「今日、バズフィードで、私が女性とお付き合いさせていただいていることを公開しました」と同姓パートナーの存在を告白した。 ニュースサイト「BuzzFeed」のインタビュー記事を引用し、「同姓を好きになることはずっと悩んでいたことですし、また、お付き合いが始まってからも、人にそのことを言えないことを悩んでいましたが、その2つの事実を公開することで、私も楽になるし、周りにも同じような悩みの人のヒントになる可能性があると思ったからです」とカミングアウトを決心した理由をつづった。 記事によると、お相手はLGBTに関する情報を発信する企業を立ち上げた増原裕子さん。増原さんは宝塚歌劇団出身の東小雪さんと’15年4月に日本初の同姓パートナー条例が可決され第1号カップルになったが、’17年12月に東さんとのパートナーシップを解消していた。 勝間さんの告白にネットでは「悩む人々に勇気を与えてくれる」「素敵な人生だと思う」「記事を読んでうるっときた」と反響があがり、ツイッターでは「勝間和代のカミングアウト」という言葉がトレンド入りしている。
2018年05月28日LGBTという言葉自体は聞いたことがあるけれど、あまり身近でないという方も、まだまだ多いかと思います。LGBTへの偏見は強く、実は当事者だけどカミングアウトしていないのだという人が、あなたの近くにいるかもしれません。ゲイ当事者であり、職場でそのことをカミングアウトしたというはじめさんにお話をうかがいました。LGBT関連の話は、決して遠い世界の出来事ではないということをお伝えできればと思います。マイノリティだからといって間違っているわけではない…学生時代のボーイフレンドからの影響【多様な性、LGBTの世界】vol. 10僕自身、ゲイだと自認した時期は早かったと記憶しています。しかし、ゲイ当事者であることに否定的だった面もありました。大学への進学で上京後、週末に新宿二丁目(ゲイ・タウンとしても知られています)へ足を運んでいました。普段はゲイであることを隠し、週末だけ本当の自分を出せる場に行っていたのです。そんななか、初めてのボーイフレンドができました。彼はアメリカ人の留学生で、僕とは違った価値観を持っていました。彼は、「LGBT当事者だからといって、マイノリティだからといって、間違っているわけではない」という考え方でした。僕は納得し、自分のセクシュアリティを肯定的に捉えられるように。そして、LGBTをより可視化していきたいという思いも芽生え、ゲイサークル設立や大学生向けのイベント開催などをしました。そこで出会ったのは、テレビなどで見るようなキャラクターとは違って、今まで話してきたクラスメイトのような、LGBT当事者でない人と何も変わらない人たちでした。当時、1990年代後半の話です。不本意なアウティングと、ポジティブなカミングアウトそれから社会人になり、都内のクリエイティブエージェンシーに勤めるようになりました。周囲の人への影響を考えて、ゲイであることは職場でカミングアウトしていませんでした。しかし、当時いたある同僚が、共通の知り合いを通じて僕がゲイであることを知ったようです。その同僚は社内でそれをアウティング(LGBTなどで、本人の了解を得ないまま公にしていない内容を暴露する行動)したのです。名指しはしなかったものの、たくさんの人がいるなかで、笑い者にするような表現でした。僕はとても悔しく、悲しい思いをしました。こうした状況が自分の働いているオフィスで許されているのを変えたいと思ったのです。月に1度、みんなの前で話をして良いという習慣がある、僕の会社。僕はそこで、LGBTの広告についてプレゼンテーションをしました。「LGBTを知っていますか?」という質問に対して挙手をしたのは8割程度でしたが、深くは知らないという人がほとんど。「僕自身ゲイですが、世界にはこうしたLGBTに関する広告があります」と、世界のLGBT広告の動向を伝えるとともに、ゲイ当事者であることをカミングアウトしたのです。10分程度のプレゼンテーションでしたが、資料が欲しいと言ってくれる人や、これまでの発表で一番良かったと言ってくれる人もいました。僕は、雰囲気が変わったなと感じました。カミングアウトしたことで、同僚とより打ち解けて話せるようになり、クリエイティビティも上がったと実感しています。風通しも良くなり、広告にLGBTカップルを入れるなど、今までできなかったことにもチャレンジできるように。2016年には、LGBTに関する広告を制作して海外の賞を受賞しました。マイノリティが元気だと会社も元気になると考えています。自分らしくいられることが、あらゆる発想の原動力にもなり得るのです。アウティングされたことは不本意でしたが、結果としてポジティブな方向に進みました。僕の経験は、カミングアウトしたことで、自分自身と仲間が前向きになれた一例だと思います。カミングアウトは信頼の証。僕が伝えていきたいことLGBT当事者のなかには、辛い思いをしている人もいるかと思います。特に地方だと、LGBTがほとんど認識されておらず、孤立しやすい場合も多いと危惧しています。僕は思いを伝えたいから広告業界にいます。LGBT関係の広告を見たときに、辛い思いをしている人が希望を持てたらという気持ちもあります。特に子どもはいじめに遭ってしまうこともあるかと思いますが、仕事を通して明るい未来を伝えていきたいです。当事者かもしれないという人が身近にいる方は、そっと側にいてあげられる優しさを持ってもらえると嬉しいです。もしもカミングアウトされたら、それはあなたが信頼されている証です。噂を聞いてしまった場合も、その人の立場になって考えてください。その人はカミングアウトを望んでいないかもしれません。まだまだ風当たりが強いのが現実。アウティングをしないよう、相手の気持ちを考えられる優しさが必要だと思います。カミングアウトを望んでいる場合はカミングアウトできるよう、セクシュアリティをオープンにできるような環境づくりが大切です。生徒や部下、後輩など、若い世代も生きやすい社会になるよう、LGBTへの理解が深まるよう切に願っています。僕の例がそうでしたが、マイノリティを組織が受け入れると、組織自体が強くなります。誰しもに優しく、プラスになる社会になるよう、僕自身、想いを伝えていきたいと考えています。〜LGBTのバトン〜今回は、はじめさんにお話をうかがいました。次回は、LGBTが働きやすい職場づくりに尽力している、アサコさん。彼女はLGBT当事者(レズビアン)でもあります。「LGBTは外資系の話。日本企業にはいない」といわれていた数年前、伝統的な日本企業から国際色豊かな企業に転職。性的指向・性自認は個人的かつ家庭の話なだけではなく、働く上でも密接に関わってくる話だとのこと。積極的に活動しているアサコさんの視点から、「働く」という身近なことを通してLGBTをお伝えします。Information認定NPO法人グッド・エイジング・エールズ©Rawpixel/Gettyimages©PeopleImages/Gettyimages©jacoblund/Gettyimages
2018年05月22日日本テレビ深夜の「映画天国」では、世界的にPrideパレードが実施される6月の「Pride Month(プライド月間)」に合わせ、昨年に引き続き「映画天国LGBT映画祭」を実施。地上波初登場のユアン・マクレガー主演『人生はビギナーズ』ほか、『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』『チョコレートドーナツ』の3作品を放送する。“LGBT”とは、レズビアン(女性の同性愛者)・ゲイ(男性の同性愛者)・バイセクシュアル(両性愛者)・トランスジェンダー(出生時に登録された性別と自認する性別が一致しない人)の頭文字をとった言葉。LGBTたちが「自分たちの性的指向や性自認にPrideをもとう」と奮起し、1970年にニューヨークで始まったPrideパレードも、いまではニューヨーク、サンフランシスコ、トロント、ベルリン、ソウルなど、世界各地に拡大。毎年6月に大小様々なLGBTのイベントが開催されている。「映画天国」では、昨年6月に『パレードへようこそ』など4作品を連続放送して好評を得た「LGBT映画祭」を今年も実施。LGBT当事者でもある映画ライター・よしひろまさみち氏と、NPO「虹色ダイバーシティ」代表の村木真紀氏をゲストに迎え、番組担当でトランスジェンダーの谷生プロデューサーを加えた3人が作品を解説するコーナーを作成。LGBT当事者を家族に持つこと、アイデンティティを模索すること、そして「家族」になること…など、様々な観点からLGBTを描いた3作品を放送する。■父が突然のカミングアウト!?『人生はビギナーズ』6月4日(月)深夜放送奥手な38歳の独身男性オリヴァーは、母が亡くなってから5年たったある日、年老いた父から突然、自分がゲイであると告白され、戸惑う。その父は同時に様々な人生の楽しみを探し求め、若い恋人とも出会い、ゲイの友人たちに囲まれて過ごすように…。主演はユアン・マクレガー、年老いた父親役を演じたクリストファー・プラマーがアカデミー賞助演男優賞を受賞。『20センチュリー・ウーマン』のマイク・ミルズ監督が自身の父親をモデルに描いた(2010年米)。地上波初放送。■大ヒット舞台の映画化『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』6月11日(月)深夜放送1997年よりオフブロードウェイで上演され、大ヒットした舞台の映画化作品。ロングランとなった舞台の楽曲の権利をマドンナが手に入れようとしたことでも知られる。共産主義下の東ドイツで生まれたトランスジェンダーが愛を探し求める姿を描き、サンダンス映画祭観客賞ほか多数受賞。原作・監督・脚本・主演は『パーティで女の子に話しかけるには』のジョン・キャメロン・ミッチェル(2001年米)。■ロングランヒットした感動作『チョコレートドーナツ』6月18日(月)深夜放送1970年代アメリカであった実際の出来事をもとに製作され、全米の映画祭で観客賞を総ナメにした話題作。母親に育児放棄されたダウン症の青年(アイザック・レイヴァ)を、ゲイのカップル(アラン・カミング&ギャレット・ディラハント)が里親として迎え入れ、“家族”になろうとするが…。日本では2014年に小規模公開でスタートするも、口コミで評判が広がり大ヒットとなった(2012年米)。■自身もトランスジェンダー、番組プロデューサーからコメント昨年の「映画天国LGBT映画祭」放送に「いろいろな方々から前向きな反応を頂きました」と語る谷生プロデューサーは、「とりわけ、LGBTをテーマとした良質な映画を連続放送したことについて大きな反響があったことが、映画枠を預かる者として、大変光栄に思いました」とコメント。「今年も、LGBTをテーマに含む素晴らしい3作品をお届けできることになりました。いずれも、世界の映画祭などで多くの賞を受賞した良作揃いです。LGBT当事者の方はもちろん、映画ファンの方々や、LGBTになじみのない方々にもきっとお楽しみいただける映画だと確信しています」と期待を込めている。「映画天国LGBT映画祭」は6月4日(月)26時9分~、3週にわたり日本テレビにて放送。(text:cinemacafe.net)■関連作品:人生はビギナーズ 2012年2月4日より新宿バルト9、TOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開© 2010 Beginners Movie, LLC. All Rights Reserved.チョコレートドーナツ 2014年4月19日よりシネスイッチ銀座ほか全国にて順次公開© 2012 FAMLEEFILM, LLC
2018年05月21日今年で生誕60年を迎える伝説のストリートアーティスト、キース・ヘリング(Keith Haring)の特別展「Pop, Music & Street キース・ヘリングが愛した街 表参道」が、表参道ヒルズの本館・B3階のスペース オーにて、8月9日から19日まで開催される。ポスター「National Coming Out Day…」 1988© Keith Haring Foundation Courtesy of Nakamura Keith Haring Collection.ウォーホルやバスキアなどと同様に、1980年代のアメリカ美術を代表するアーティスト、キース・ヘリング。ニューヨーク地下鉄構内の広告板に落書きをする「サブウェイ・ドローイング」というグラフィティ・アートで一躍脚光を浴びた彼は、1990年に31歳の若さで亡くなるまで、絵画や彫刻、アニメーション、レコード・カバーに至るまで幅広い作品を残した。中でもポスター・アートに注目したヘリングは、核放棄やエイズ予防、LGBTのカミングアウトを促すナショナル・カミングアウト・デーなどの社会的な作品から、アブソルート・ウォッカやスウォッチなどの商業的な作品まで、ポスターだけで100点以上を制作した。表参道で披露したパフォーマンスの写真(世界初公開) 1988Photo by © Akira Kishidaまた、「アートはみんなのもの」をモットー に、1986年にオリジナルグッズを発売する「ポップショップ」を ニューヨークに開店。1988年にはニューヨークの1号店に続き 東京・青山にもショップをオープン。当時、ストリートパフォーマンスが流行していた表参道の歩行者天国で、路上にチョークでドローイングをするパフォーマンスも行い、話題を呼んだ。本展では、その貴重な姿を捉えた秘蔵写真約30点を世界初公開。レコード・カバー「Duck Rock, Malcolm McLaren」1983 © Keith Haring Foundation Courtesy of Nakamura Keith Haring Collection.また、中村キース・ヘリング美術館が所蔵するオリジナル・ ポスターをはじめ、ハウスミュージックやパンクロックのレコード・ カバーなど、約70点を東京で初展示される。その他、会場内には「ポップショップ」を彷彿させるブースが登場し、グッズ販売も実施。アートを通して多くの人とコミュニケーションをとりたいという願望を持っていたヘリングが、ドローイングのパフォーマンスを通し、人々と言葉を超えたコミュニケーションを図った思い出のストリート・表参道で、彼が生涯をかけて送り続けたメッセージに思いを馳せてみては。【イベント情報】キース・ヘリング生誕60年記念 特別展「Pop, Music & Street キース・ヘリングが愛した街 表参道」会期:8月9日〜8月19日会場:表参道ヒルズ 本館B3F スペース オー時間:11:00〜21:00 (入場は30分前まで)※8月12日は20時、8月19日は18時まで入場料:無料
2018年05月18日いまや多くの人の日常生活に浸透している動画配信サービス。映画顔負けのクオリティで各社がオリジナル作品を発表し、しのぎを削っていますが、昨年アメリカで社会現象にもなったドラマといえば、Netflixの『13の理由』。待望のシーズン2がついに5月18日よりスタートしますが、配信直前でテンションが高まるなか、あの主要キャストに直撃してきました。それは……。写真・大嶋千尋(ディラン・ミネット、アリーシャ・ボー)ディラン・ミネット&アリーシャ・ボー!【映画、ときどき私】 vol. 163本作は、女子高生ハンナが自らの命を絶ってしまうという衝撃の幕開けから始まる話題のドラマ。2017年には世界でもっともツイートされた作品になるほど、大きな物議を醸しています。現代の若者が抱える人間関係における苦悩やSNSの恐怖などが赤裸々に描かれており、「一度見だしたら止まらない」とイッキ見する中毒者が続出中!そんななか今回お話を聞いたのは、ハンナに想いを寄せ、死の真相を追い求めようとする主人公のクレイを演じたディラン(写真・左)とハンナのかつての親友でジェシカ役のアリーシャ(写真・右)。物語には欠かすことのできない重要な役割をそれぞれが担っています。そこで、さらなる話題となること間違いなしのシーズン2を目前に控え、気になる舞台裏や本シリーズの見どころについて語ってもらいました。世界中で記録的な大ヒットとなり、いろいろな反響を感じたと思いますが、本作に出演したことで変わったことは?アリーシャ個人的には仕事のうえでも大きく私を変えてくれたシリーズだし、インスピレーションを与えてくれるような人ともたくさん会うこともできたわ。だから、そういう意味でも、人間として成熟していく助けにもなった作品といえるわね。特にこの2年は、ジェシカという役を通して、女性の権利についてもたくさんのことを学んだわ。ディラン僕もこんな素晴らしい作品に関わることができて、本当にうれしく思っているんだ。多くのことを学ぶこともできたし、この作品に込められている社会的なテーマに対して、自分の意見がより研ぎ澄まされてきたようにも感じているよ。あと、役者というのは、世界をよりよくしたりとか、誰かの命を救ったりとか、そういう仕事ではないというのがそれまでの認識だったんだ。でも、この作品を通して、少しでも世界をよくできたり、人の命さえも救えるようなプロジェクトもあるんだということを初めて知ったよ。本当にまれな経験ではあると思うけど、エンターテインメントの持つ力というものを再認識することができたんだ。作品を観ていると、誰もがクレイと同じ気持ちで心を揺さぶられ、いつの間にか隣にいるかのような感覚にさえ陥ってしまうはず。そんなふうにこの世界観にどんどんと引き込まれていってしまうのは、ディランの高い演技力があってこそ。クレイとして繊細な表現が求められるなか、役作りで意識していたことは?ディランまずは、観客にリアルなひとりの人物であると感じてもらえるように演じること。そして、大切にしていた人を失ったという痛みが伝わるように心がけたよ。特にシーズン1では、視聴者がクレイを通してストーリーを経験していくところがあるから、みなさんが自分自身を投影でき、さらに共感できるようなキャラクターであることを大事にしていたんだ。いっぽうのジェシカは、ある出来事をきっかけに大きく変わってしまうキャラクター。エピソードが進んでいくにつれて、内面も外見も徐々に変化していく様子をアリーシャが見事に体現しているのも見どころ。同じ女性としては、かなりつらい役どころだったと思いますが、演じるうえで難しかったことは?アリーシャ多くの女性、特に若い女性たちがジェシカの物語に自分を反映して見るところがあると思うから、私もとにかくリアルであることは一番気をつけたわ。そこは難しかったというよりは、一番の挑戦だったという方が近いかな。だから、毎日ナーバスになってしまって、重要だからこそ失敗したくないとずっと言い続けていたの。それから、ジェシカは自分が受けたトラウマといろいろな形で向き合って、葛藤するんだけど、そのあたりを演じるのはやっぱりすごくつらかった。でも、彼女とともにその道のりを進まないといけなかったのは、気持ちのうえではまるでジェットコースターに乗っているみたいだったわ。今回、この作品でもっとも重要なアイテムといえば、やはりカセットテープ。ハンナが死を選んだ理由がそれぞれのカセットに吹き込まれており、それを基にストーリーが進んでいくのが、本作の大きな特徴となっています。これだけデジタル化が進むなか、アナログなカセットテープを使うことで、生々しく感じられるのはハンナが残した最後の息遣い。そして、目に見えない録音データに比べてみても、受け取ったときの重みはハンナが抱えていていた苦悩の重みとかぶって見えるところでもあります。劇中でのカセットの使い方はどのように感じましたか?ディランまず、カセットテープという “物” であるという部分がデジタルな音源とは違うと思うし、それを人から人へ渡すというのは、物だからこそより難しくなるんじゃないかな。そこには、ハンナの「そんなに簡単にはさせないわよ」という思いもあったのかもしれないよね。あと、製作のブライアンが言っていたのは、タイムレスな資質をこの作品にもたらしたいということ。つまり、現代の物語なんだけど、80年代の懐かしいような感じも入れたかったということなんだ。そうすることで、いろいろな年齢層の方に見てもらえるようにもなっているから、そういう意味でのカセットでもあったと思っているよ。とはいえ、おふたりの世代だとカセットテープにはなじみはないですよね?ディランそんなことないよ、僕はカセットを聴いて育ったよ!アリーシャ私もよ!ディランというのも、お母さんの車でカセットテープをよく聴いていたからね。でも、さすがにクレイみたいにウォークマンを使ったことはないけど(笑)。本作ではそのカセットをめぐって、キャラクターたちの心がざわめき、新たな騒動へと発展していくため、キャスト間にもつねに緊張感が走っていたはず。とはいえ、インスタなどを見ると、とにかく仲の良さそうなキャストたち。信頼関係はどのようにして築いていきましたか?アリーシャどういうふうに仲良くなっていったかというと、キャスティングが決まったとき、信頼関係を築くために出演者全員が部屋のなかで円になって、倒れるのをお互いに受け止め合うみたいなことを……やってません(笑)!というのは冗談で、最初にキャスト全員でディナーに行ったりしたし、撮影が始まってからは昼も夜も一緒にご飯を食べるようにしていたわ。題材がタフだからこそ、お互いに自分のもろさをさらけ出さなければいけなかったし、そのおかげで信頼関係を作っていけたんだと思う。それにみんなオープンで正直で誠実なメンバーばっかりだから、自然に絆が出来て仲良くなったのよ。でも、世間の人たちは「本当に仲がいいの?」って信じてくれなかったりもしたんだけどね(笑)。本当にすばらしい仲間なのよ!そのなかでも、役柄とイメージが一番違うと思う人がいれば教えてください。ディラン・アリーシャそれはもちろん、ブライス役のジャスティン!ディラン演じているときは、ものすごく悪役として信じられるんだけど、カットの声がかかると「これほど優しくてステキな人はいない!」ってくらいの人物なんだよ。では、最後にこの作品を観るべき理由を13個でなくてもいいので、教えてください!アリーシャ実は前に一度、観るべき理由を13個挙げるように頼まれてすごく大変だったことがあったわ(笑)。ディランじゃあ今回は僕が挙げるとして、まず主人公たちはヤングアダルトと呼ばれている年齢層だけど、彼ら世代の物語だけではないので、年齢に限らずに観てもらえるシリーズだということ。決して上から目線ではなくて、同じ目線に立って共感できるそういうシリーズであること。あと、扱われているトピックにはすごく重要なものがあるのでそこを見て欲しいということ。そして、同時にエンタメ性もちゃんとあり、ミステリーやスリラーとしてのバランスも素晴らしいので、そういった理由も含めて、ぜひ観てもらいたいと思っているよ!インタビューを終えてみて……。役柄としてはお互いに難しい立場にあるディランとアリーシャですが、実際のおふたりはとってもチャーミングで仲良し!つらいテーマを描いている題材だけに、戦友のようなところもあるのかもしれませんが、そんな彼らが体当たりで演じている姿には思わず釘づけになってしまいます。シーズン2は、さらなるカギを握るキャラクターとなっているようなので必見です!他人事では済まされない衝撃に打ちのめされる!10代の若者だけでなく、大人の社会においても同じような問題を抱えている人は多いもの。ミステリーとして見事な展開を見せつつも、いじめや自殺、性的暴行、LGBTなどさまざまな社会の闇にまっすぐと向き合っている本作。いまの時代に観るべき理由、そして多くの支持を得ている理由に、誰もがたどり着けるはずです。そして、まもなくスタートするシーズン2は、さらなる波乱の予感!まだシーズン1を観ていないという人は、いまのうちにチェックを忘れずに。ストーリー女子高生のハンナが自ら命を絶った2週間後、同級生だったクレイのもとにある謎の箱が届く。なかに入っていたのは、ハンナの肉声が録音されたカセットテープが7本。そこには、ハンナが自殺するに至った “13の理由” が吹き込まれていたのだった。カセットを聞き始めたクレイは、ハンナが経験した衝撃の事実を知ることになる。いったい、なぜハンナは死を選ばなければならなかったのか。知られざる真実が次々と明らかにされることに……。息をのむシーズン1の予告編はこちら!シーズン2を待ちきれない人はこちら!作品情報Netflixオリジナルシリーズ『13の理由』シーズン1:独占配信中シーズン2:5月18日より全世界配信開始
2018年05月17日キース・ヘリング生誕60年記念 特別展「Pop, Music & Street キース・ヘリングが愛した街 表参道」が、表参道ヒルズ 本館B3F スペース オーにて開催される。期間は2018年8月9日(木)から8月19日(日)まで。キース・ヘリングとは1980年代のアメリカ美術を代表するアーティスト、キース・ヘリング。ニューヨーク地下鉄構内の広告板に落書きをする《サブウェイ・ドローイング》でその名を轟かせたへリングは、1990年に31歳でこの世を去るまで、絵画、彫刻、アニメーションなど幅広いアート作品を残した。キース・ヘリング生誕60年記念 特別展キース・ヘリング生誕60年記念 特別展「Pop, Music & Street キース・ヘリングが愛した街 表参道」では、山梨の中村キース・ヘリング美術館が所蔵するオリジナル・ポスターやレコード・カバーなど約70点を東京で初展示。さらに、彼が表参道の路上にドローイングする姿を捉えた貴重な写真約30点を世界初公開する。オリジナル・ポスターやレコードカバー展示は「Pop」「Music」「Street」「POP SHOP」の4カテゴリーで構成。「Pop」コーナーには、多様な作品を手掛けてきたヘリングが、特に力を注いだというポスター作品を並べる。核放棄、反アパルトヘイト、エイズ予防、LGBTのカミングアウトを促すナショナル・カミングアウト・デーといった社会的な作品から、アブソルート・ウォッカやスウォッチといった商業的な作品、展覧会やクラブ・イベントの告知まで、オリジナル・ポスター58点を展開する。また、「Music」では、ヘリングがデザインしたハウスミュージックやパンクロック、ヒップホップのレコード・カバー13点を展示する。表参道でドローイングする姿を捉えた写真"アートはみんなのもの"をテーマに、オリジナルグッズを販売する《ポップショップ》を1986年にニューヨークでオープンしたへリング。1988年には東京・青山に《ポップショップ東京》をオープンし、ストリートパフォーマンスが流行していた表参道の歩行者天国で、路上にチョークでイラストを描くパフォーマンスを披露した。「Street」では、彼がこの時、路上にドローイングする姿を捉えた写真約30点を世界初公開する。《ポップショップ》を再現したグッズブースまた、会場内には《ポップショップ》を再現したブース「POP SHOP」が登場。世界中から集めたキース・ヘリンググッズを販売する。【詳細】キース・ヘリング生誕60年記念 特別展「Pop, Music & Street キース・ヘリングが愛した街 表参道」期間:2018年8月9日(木)~8月19日(日)時間:11:00~21:00(入場は閉場30分前まで) ※8月12日(日)は20:00まで 最終日8月19日(日)は18:00まで。場所:表参道ヒルズ 本館B3F スペース オー(東京都渋谷区神宮前4丁目12番10号)入場:無料【問い合せ先】総合インフォメーションTEL:03-3497-0310
2018年05月17日浜崎あゆみ(39)が5月6日、東京・代々木公園野外ステージで行われたイベント「東京レインボープライド2018」で自身初のフリーライブを開催した。 同イベントは性的少数者(セクシャルマイノティ)が差別や偏見にさらされず、前向きに生活できる社会の実現を目指したイベント。マイノリティの権利を訴えるパレードや、ステージでのパフォーマンスや支援企業などによるブースを楽しむこともできる。 3月、ブランド「DEFEND PARIS」とのコラボ商品としてLGBTをモチーフにしたTシャツとキャップを発表した浜崎。その際、自身のInstagramで「日本はどうしてこんなにもマイノリティへの理解がなかなか進まないのだろう」とコメント。さらに「LGBTの人達に関するセクシャル・マイノリティしかり、女性が男性社会で権力を持ち発言しようものならマイノリティオピニオンだ」と日本の現状を嘆いている。 6日のステージには、抽選により選ばれた1,000名が参加。ステージの外にも多くのファンが詰めかけた。予定時刻より30分遅れるなか、“あゆコール”を受けて浜崎は登場した。 代表曲「Boys&Girls」含む全7曲を披露した浜崎はステージ上で、「あまりこういう機会もないので、こうしてお誘いいただけたことがとても光栄なんですけど、ここにはたくさんの仲間たちもいるし、知り合いの姉さんたちもいます」と発言。約20年前のデビュー当時を回想し、「生きるのがつらくなって悩んだ際に新宿2丁目に通っていた」と明かした。続けて「マジョリティが勝ち組で正しいということはない」とし、呼びかけた。 「生きるのに肩身が狭くなったり諦めたりする瞬間があると思いますが、この日のことを思い出してください。ずっとずっと自分に誇りを持って、進み続けていってほしいと思っています」 さらに浜崎は、こう語った。 「私もマイノリティのひとりとして、みなさんと一緒にこれからも一緒に歩ませていただきたいと思っています」 浜崎の“一緒に歩む”という姿勢に、ネットでは絶賛の声が上がっている。 《マイノリティーに対しての真摯な気持ちを肌で感じました》《このイベントに心から賛同する気持ちと感謝の言葉、彼女みたいな人がこうして行動してくれることがどれだけ力になるか!》《浜崎あゆみがここまで明確なメッセージを送ってくれるとは想像もしていなかったので尚更嬉しかったな》 浜崎の同イベントへの出演は、大きな反響を呼んでいる。女装パフォーマーであるブルボンヌ(47)は浜崎のステージに対し、「how beautiful you areで涙が止まらなくなった自分に驚きました。ありがとう」とTwitterでコメント。さらにASIAN KUNG-FU GENERATIONのボーカル後藤正文(41)も「レインボーパレードで浜崎あゆみがフリーライブとか本当に素晴らしいなぁ。こういうの普通の世の中になってほしい」と希望を語っている。 2日間にわたり開催された同イベント。会場の来場者数は2日間でのべ14万人を記録し、12年より開催されてきたなかで過去最高を記録。パレード参加者も、7000人近くに及んだという。
2018年05月07日本年度アカデミー賞にて作品賞・主演男優賞ほか4部門にノミネートされた注目作『君の名前で僕を呼んで』が4月27日より公開。17歳と24歳の青年の恋の痛みと喜びを描き、世界中の人々を魅了した本作の魅力をおさらい!あらすじ1983年夏、北イタリアの避暑地で家族と夏を過ごす17歳のエリオは、大学教授の父が招いた24歳の大学院生オリヴァーと出会う。一緒に自転車で街を散策したり、泳いだり、午後を読書や音楽を聴いたりして過ごすうちに、エリオのオリヴァーへの気持ちは、やがて初めて知る恋へと変わっていく。眩しすぎる太陽の中で、激しく恋に落ちるふたり、しかし夏の終わりとともにオリヴァーが去る日が近づいてくる――。原作小説を巨匠ジェームズ・アイボリーが見事に脚色今作の原作は、エジプトで生まれたアンドレ・アシマンが、少年時代を過ごしたイタリアでの思い出を元に描いた同名小説。『胸騒ぎのシチリア』で高い評価を得たルカ・グァダニーノが監督を、『日の名残り』『モーリス』など数多くの作品を手がけたジェームズ・アイボリーが脚本を担当するなど、豪華製作陣で作り上げられた。アイボリーは見事、本年度アカデミー賞脚色賞を史上最高年齢(89歳)で獲得。今作はすでに続編の構想も存在し、監督は原作者のアシマンとアイデアを出し合っているんだとか。続編は今作とは年代、作風も変わってくるとコメントしており、本作公開前から続編の期待値も高まりつつある。なお、劇中にはアシマン自身もカメオ出演。今作の印象的なラストシーンについて「原作の本当の真意を、到底私には想像もつかないし全く予期せぬやり方で、見事に捕らえていた」と大絶賛を贈っている。アカデミー賞にノミネートされたキャスト陣今作の主演を務めたのは文字通り、ため息が漏れてしまうほどの美男子アーミー・ハマーと、今作で華々しい主演デビューを果たしたティモシー・シャラメ。特にティモシーは今作でなんと、初主演にしてアカデミー賞主演男優賞にノミネートされるなど、キャストの演技にも注目したい作品だ。エリオ役/ティモシー・シャラメ本作の主人公である17歳のエリオを演じるティモシー・シャラメは、今作が主演デビューではあるが、幼少期から様々なコマーシャルに出演するなど、キャリアは豊富。海外ドラマ「ロー&オーダー」や「ロイヤル・ペインズ~救命医ハンク~」、「HOMELAND/ホームランド」などに出演してきた。映画では『インターステラー』にて、ケイシー・アフレックが演じた役の少年期を演じており、まだどこか幼い彼の表情を見ることができる。今作に向けたキャスト復習作『クーパー家の晩餐会』皆が秘密を持つ一族が集まるクリスマスパーティーでの顛末を、感動とユーモアを交えた群像劇。ダイアン・キートン演じるシャーロットの孫・チャーリーを演じており、『君の名前で僕を呼んで』では見ることのできない、がさつで反抗期真っ盛りだしの少年を演じている。脇役ではあるものの、彼の違う一面を見たい方にはぜひ見てほしい作品。オリヴァー役/アーミー・ハマーエリオの父、パールマン教授のアシスタントとして、別荘にやってきた博士課程の学生・オリヴァーを演じるアーミー・ハマー。日本では『ローン・レンジャー』や『コードネーム U.N.C.L.E.』での出演によって広く知られるようになった。劇中では24歳の学生を演じているが、実際は2児の父親でもあると同時に、その美貌とは裏腹にハードな役を演じることも。今作に向けたキャスト復習作『フリー・ファイヤー』2組のギャングが銃取引のために倉庫に集まるも、ひょんなことから交渉が決裂。泥沼の銃撃戦が繰り広げられるという、アクション・コメディ。アーミーは今作で、顔の半分ほどもある髭をたくわえたナルシストを演じており、正直アーミーと言われてもピンと来ないほどの変貌っぷりを見ることができる。今作ではアーミー(に限らず)は、作中の3分の2をのたうち回って過ごす始末なので、ファンは心の準備をしてから見たほうがオススメ。アート系には異例の吹き替え上映も!今作では、いわゆるアート系作品には珍しい、吹き替え上映も決定している。基本的に吹き替え上映がある作品は、アニメかシネコンで上映されるような大きな作品がほとんどだけに、今回のようなケースは異例といえる。気になる吹き替えを担当するのは、エリオを「おそ松さん」で松野トド松役や「ハイキュー!!」菅原孝支役を担当している入野自由。オリヴァー役を『スター・ウォーズ』シリーズのカイロ・レンや「ゴールデンカムイ」尾形百之助役などのほか、俳優としても活動をしている津田健次郎が担当。ちなみに予告編のナレーションを行うのは、『PSYCHO-PASS サイコパス』槙島聖護役や、『曇天に笑う』金城白子役など、数多くのアニメ作に引っ張りだこの櫻井孝宏が担当しており、吹き替え版の予告編も公開されている。海外版の予告から吹き替え版まで…ファンの期待にこたえる予告編公開前から多くのファンからの期待が集まる今作は、まずはじめに海外オリジナル予告に字幕をつけた予告編が公開され、その後、日本版の予告が公開されるという手順が踏まれた。これは昨年度アカデミー賞作品賞を受賞した『ムーンライト』にも見られた宣伝戦略だ。日本版予告編には北イタリアの避暑地を訪れていたエリオと、彼の父親で教授のアシスタントとしてやってきたオリヴァーの出会いから始まる。エリオの母親の「オリヴァーのことが好きでしょ」という言葉や、まばゆい光の下の恋の喜びだけでなく、夜のとばりの中でやがて感じる恋の痛みの予感が、美しい風景や登場人物の鮮やかな表情と合わせて描かれていく。そして映像のラストには、ベッドに横たわり、愛おしげに見つめ合う2人に「君の名前で僕を呼んで。僕の名前で君を呼ぶ」とささやくオリヴァー。この邦題に込められた切なさが炸裂するシーンだ。世代も、性別も関係なく、誰もが経験したことのある恋の痛みと喜びを思い出させてくれる映像に仕上がっている。主題歌を務めるスフィアン・スティーヴンスがアカデミー賞ノミネート!今作の主題歌を担当したスフィアン・スティーヴンスは、アメリカ・ミシガン州出身のソングライター。レコーディングでいくつもの楽器演奏を一人でこなすほか、ユニークなアイデアを元にアルバムを作るという、話題に事欠かないアーティストである。予告編でも使用されている、書き下ろしの「ミステリー・オブ・ラブ」はアカデミー賞歌曲賞にノミネートされるほど、美しくも切なく、儚い2人の恋を彩る名曲。サウンドトラックにはこの主題歌を含め、3つの楽曲が収められている。750枚の写真が収録された豪華版パンフレットが販売される!今作では通常のパンフレットとは別に、公開初日から一部の劇場にて2,000部限定で豪華版バンフレットの販売が決まっている。豪華版にはティモシーとアーミーのオフショット、撮影したものの本編には収録されなかった未公開シーンのカットなど計750枚以上に及ぶ写真を収めた、ファンにはたまらない1冊となっている。賞レースを席巻し、批評家からも絶賛される今作。最近LGBTの作品が評価されることが増える中、今作では誰しもが体験する初恋を、非常に丁寧に、かつ美しく描いている。それだけに、偏見を持たずに多くの人に見てもらいたい作品といえるだろう。『君の名前で僕を呼んで』は4月27日(金)より公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ムーンライト 2017年3月31日よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開© 2016 A24 Distribution, LLC君の名前で僕を呼んで 2018年4月27日よりTOHOシネマズシャンテほか全国にて公開© Frenesy, La Cinefacture
2018年04月27日4月28日から5月6日まで東京・代々木公園ほかにて開催される、日本最大級のLGBT関連イベント「東京レインボープライド2018」。このイベントの目玉企画として歌手の浜崎あゆみ(39)が最終日の5月6日にスペシャルライブを行うと発表され、話題を呼んでいる。 さっそくツイッター上では、イベント参加者から歓喜の声が――。 《キター!この日を夢見ていました!》《今年の東京のレインボープライドすごいな…》《大トリに浜崎あゆみが出演するなんて。夢のようやなあ》 新宿二丁目のゲイバーに勤務する20代の男性は、浜崎のイベント参加についてこう語る。 「もともと二丁目好きで知られる浜崎さんですが、これまでLGBT系のイベントに出ることはありませんでした。この豪華すぎる初の試みには、二丁目界隈も大盛り上がり。ゲイには彼女のファンも多いですしね。今夜はお店のカラオケで『浜崎あゆみメドレー』を熱唱したいと思います」 昨年5月17日、浜崎は自身のインスタグラムにこんな“二丁目愛”を綴っていた。 《デビューしたばかりの頃から新宿2丁目が大好きだ。私の青春時代は2丁目で過ごした想い出で埋め尽くされている。狂ったように忙しかったあの頃、仕事が終わってごはんを食べるのも、飲みに行くのも、ボロボロになって泣きに行くのも、嬉しいことがあってお祝いをするのも、いつだって2丁目だった》 「彼女が通っていることで有名な新宿二丁目のお店を知っています。そこのママは、デビュー間もない頃から現在までずっと浜崎さんのことを支えてきたといいます。今回のイベント参加は、そんなママへの恩返しだったのでは」(前出の男性) 《日本はどうしてこんなにもマイノリティへの理解がなかなか進まないのだろうという事。(中略)だったら私はマイノリティーの一部として発信し続けようじゃないの。少数派である事イコール弱者ではないと。多数派イコール強者ではないと。楽しんだモン勝ちよ!笑って笑っていきましょう!》と宣言していた浜崎。デビュー20周年、ついに叶った恩返しだった――。
2018年04月20日しゅんかさんのセクシュアリティである ”パンセクシュアル”、”トランス女性” とは【多様な性、LGBTの世界】vol. 9”パンセクシュアル” と聞いてもピンとこない方もいらっしゃるかもしれません。”パン” には ”全ての” という意味があります。平たくいうと、”性別の枠を超えて人を愛する” といった意味合いです。女性が男性に、男性が女性に、といったように異性に恋愛感情を抱くのが異性愛者です。異性愛者のことを ”ストレート” と呼ぶこともあります。いっぽう、同性に対して恋愛感情を抱く方たちは同性愛者です。いわゆる、”レズビアン” や ”ゲイ” です。また、異性にも同性にも恋愛感情を抱く方もいらっしゃいます。こうした方たちは”バイセクシュアル”と呼ばれます。生物学的には ”男性” と ”女性” の2つの性で語られることが多いですが、実はこうした性は複雑です。体が女性で心が男性である方はFemale to Male(FTM)、体が男性であり心が女性である方はMale to Female(MTF)と呼ばれます。生まれた体と心の性が異なる方を、”トランスジェンダー” といいます。また、”男性でも女性でもない” と感じる方もいらっしゃり、そういった方は ”Xジェンダー” と呼ばれています。”男性”・”女性” だけでなく、こうした複雑な性の垣根を超えて全ての人を愛する立場の方が ”パンセクシュアル” です。しゅんかさんは、このパンセクシュアルにあたります。バイセクシュアルとパンセクシュアルの明確な違いについて疑問に思う方がいらっしゃるかもしれません。双方の言葉は、それぞれできた背景が異なります。しかし、大きな差はそこにありません。どちらかだと自認していればそちらのセクシュアリティであり、なかには「自分はバイセクシュアルであってもパンセクシュアルであってもどちらでも構わない」と考えている方もいらっしゃいます。自分の心と向き合って、セクシュアリティを自認しているのです。また、”トランス女性” という言葉も聞き慣れないかもしれません。トランス女性とは、前述したMTFのことで、体は男性で心は女性に生まれ、現在は女性として生きている方のことです。逆にFTMの方はトランス男性といいます。英語では "trans woman" といい、トランス女性はその直訳です。"トランスウーマン" や "トランスジェンダー女性" と呼ぶこともあります。"trans woman" は、"transgender woman" を省略してできた言葉で、LGBTの理解が深まっている国では当事者もポジティブな意味合いで使っています。日本では、セクシュアリティをトランス女性という言葉で説明する方々はまだまだ少ないでしょう。今回お話をうかがったしゅんかさんがトランス女性という言葉を使用する理由は後述します。聞き慣れないかもしれませんが、よりLGBTを知る機会になればと思います。パンセクシュアルでありトランス女性であるしゅんかさん。ここからは、彼女の体験談と思いをお話します。LGBT当事者だと自覚した大学生時代、初めてカミングアウトしたきっかけ私がハッキリとLGBT当事者だと認識したのは大学生の頃です。それまでも違和感は少しありました。例えば、体毛が濃かったり声が低かったりといった男性らしい体つきに抵抗感があったのです。しかし、大学生になるまでは、トランスジェンダーという言葉を知りませんでした。違和感がありながらも、自認する機会がなかったのです。さらに、恋愛対象に関する知識がなかったため、パンセクシュアルだという認識もありませんでした。大学生になって、トランスジェンダーという言葉を知りました。二次性徴に対する違和感があったことから、「私はトランスジェンダーなのかもしれない」と思うように。改めて幼稚園の頃の写真を眺めてみると、女の子たちと一緒に遊んでいることが多いなと感じました。当時は意識していなかったのですが、幼少時の写真や二次性徴のときに覚えた違和感からトランスジェンダーを自認しました。恋愛に関しても、それまでは女性を好きになっていたのですが、大学生になって初めて男性を好きになりました。バイセクシュアルという言葉も知り、「私はバイセクシュアルなんだ」と認識したのです。後述しますが、パンセクシュアルだと自認するようになったのは26歳のときです。この頃は、バイセクシュアルだと思っていました。LGBTについては、テレビで見かけるようなキャラクターのイメージが強く、私自身なんとなく良いイメージを持っていませんでした。父がLGBTに対してネガティブな発言をしていたこともそういったイメージを後押ししていたのかもしれません。自分がLGBT当事者だと認識したものの、それは恥ずかしいことなのではと感じてしまっていました。なかなか人に話す勇気が出ませんでした。そんなとき、叔母を通じて20年以上会っていなかった従姉妹と再会することに。再会してからとても仲良くなり、いろいろな話をしました。その会話の中で、私は自然と自分のセクシュアリティをカミングアウトしていたのです。従姉妹は偏見などを持っておらず、温かい言葉をかけてくれました。従姉妹に受け入れてもらえたことが嬉しくて、「自分らしく生きていけそう」と思えたのです。それがきっかけで、身近な人からカミングアウトしていくように。会社の人にも話し、ありがたいことに、たくさんの人が受け入れてくれました。LGBTの知識を得たきっかけ、自分自身のセクシュアリティについて周囲の人にカミングアウトしてきましたが、両親へのカミングアウトが一番勇気がいりました。そんなとき、LGBTのコミュニティに行ったことがないなと思い、そういった仲間たちが集うというカフェに足を運んでみました。そこで偶然出会ったのが、現在私もLGBT活動をしている団体「認定NPO法人グッド・エイジング・エールズ」の代表者たちだったのです。LGBTに関するさまざまな知識を聞き、「OUT IN JAPAN」という写真を通じて自身のセクシュアリティをカミングアウトするという活動も知りました。そういった話をしていくなかで、両親にカミングアウトする勇気ももらいました。さらにその日、ほかの人たちとも話をしました。そのときにパンセクシュアルという言葉を知り、まさに自分の性的指向だと思いました。”性別の枠を超える” といった意味合いが、男性・女性だけでなくトランスジェンダーなども含まれているため、自分自身を説明するのに合っている言葉だと感じたのです。それからは、自分のセクシュアリティをパンセクシュアルだと紹介しています。LGBTのなかでも、社会や当事者コミュニティからのバイセクシュアルやパンセクシュアルへの偏見は、ゲイやレズビアンに比べて強いように感じます。環境的に言いにくかったり、ときには"バイフォビア(バイセクシュアルに対して嫌悪感や恐怖感など負の感情を抱くこと)"を持っている人もいたりします。理解が深まっていないなか、バイセクシュアルやパンセクシュアルであることをカミングアウトしにくい当事者もいるのです。カミングアウトする人が少ないと、可視化が進みません。私は、「誰もが、どんな性の人を好きになっても良いな」と考えています。当事者にもよりポジティブに捉えてほしいという思いがあり、積極的にパンセクシュアルだと公言しているのです。また、私はMTFと言われるのがあまり好きではありません。MTFの ”M” には ”Male(男性)” という意味があります。女性として生きようとしているのに、”もとの性別” を明記しているようだからです。個人的には、今を生きていくうえでもともとの性別は重要ではないと考えています。だから、私自身を紹介するときはトランス女性だと言っています。とはいっても、MTF、FTMと自己紹介する方は尊重しています。それぞれの考えがあり、それぞれの表し方があって良いのだと思っているのです。”こうであるべき” ではなく、”こうしたい” という意志を尊重し合える社会へ「OUT IN JAPAN」の活動に刺激を受け、少しでも私に手伝えることがあれば、とLGBT当事者として活動を始めるようになりました。私が強く感じるのは、今の社会では ”こうあるべき” という考えが当たり前になっていることです。例えば私は研究職に就いています。それは、私自身追い求めるのが好きだからです。しかし、「せっかく大学院まで行ったのだから」という理由で研究者になっている方も見かけます。やりたくないのに研究者になっているのは、「ここまで勉強したら研究職に就くべき」といった考えが少なからずあるのではと感じています。そうした ”こうあるべき” という考えは、いろいろなところに見受けられると思うのです。私は、”こうしたい” というそれぞれの意志を尊重し合える社会になるよう望んでいます。実は、両親へのカミングアウト後、父とはあまりうまくいっていません。母は歩み寄ってくれ、正直に話せるようになりました。でも、カミングアウトしたことを後悔していません。ずっと嘘をついているよりは良かったのではないかと思うのです。父とも理解し合える日がくるよう努めています。”こうあるべき” が強い社会だからこそ、窮屈なことも多いのではないかと思います。これはLGBTに限ったことではありません。みんなそれぞれがいろいろな面で違っているのです。多くの人と違うから排除するのではなく、違っているからこそ一緒にいると楽しいと感じられるのだと思います。さまざまな人が ”こうしたい” という意志を持ち、それをお互いに尊重できる社会。さまざまな人が自分らしく生きられる社会になるよう、力になれればと活動しています。〜LGBTのバトン〜今回は、しゅんかさんにお話をうかがいました。次回は、ゲイ当事者であり、学生時代もLGBTの社会運動を行ってきたはじめさん。1990年代後半、ゲイサークルを設立したり、大学生向けのイベントを実施したりしていたそう。都内にあるクリエイティブエージェンシーに勤める彼は、2015年に社内プレゼンの機会を使って同僚にカミングアウトしたそうです。認定NPO法人グッド・エイジング・エールズの一番新しいメンバーであり(2018.4.1現在)、LGBT当事者の若い世代がありのままに生きていく手助けができれば、という思いを持っています。学生時代の活動や、会社でのカミングアウトについて、当事者としてのリアルな毎日をお届けします。Information認定NPO法人グッド・エイジング・エールズOUT IN JAPAN©FotoCuisinette/Gettyimages©kieferpix/Gettyimages©Jovanmandic/Gettyimages©skynesher/Gettyimages”パンセクシュアル”、”トランス女性” という言葉をご存知でしょうか? 徐々に認知度が上がってきていると感じるLGBTですが、まだまだ聞き慣れない言葉があると感じる方は多いようです。今回お話をうかがったのは、パンセクシュアルでトランス女性のしゅんかさんです。工学分野の研究者として働きながら、LGBT当事者としても活動を続けています。「さまざまな人が自分らしく生きてほしい」。そう願う彼女の思いを聞いてきました。よりLGBTを身近に感じられるよう、耳を傾けていただければと思います。
2018年04月15日IVAN(34)と野村祐希(23)の熱愛を4月8日、スポーツニッポン紙が報じた。IVANの所属事務所は「プライベートは本人に任せています。仲のいい友人と聞いています」と話したが、いっぽう野村の所属事務所は「事実です」と認めている。2人は知人の紹介で知り合ったという。 IVANは13年、自身がトランスジェンダーであることをテレビ番組で告白。今年3月には、数年前に性別適合手術を受けたと明かしている。 いっぽうで野村は「水戸黄門」の柘植の飛猿役で知られる野村将希(65)を父に持ち、兄はJリーガーの野村政孝(26)。野村自身も抜群の運動神経を誇り、16年には「究極の男は誰だ!?最強スポーツ男子頂上決戦」(TBS系)に初出演ながら準優勝に輝いた。また昨年3月、土屋太鳳(23)が自身のブログに野村との2ショットを掲載。2人は、幼馴染の関係にあると明かしている。 ファンからは祝福の声が上がっている。 《IVANと野村祐希の熱愛がかなり嬉しい!》《IVANさんおめでとうございます…!!》《周囲がプレッシャーを与えずに暖かく見守っていくべきでしょう!》 またIVAN側が「仲のいい友人」としつつも、野村側が交際を認めていることについて好意的な意見が上がっている。 《まだまだLGBTに理解がない日本で、IVANとお付き合いしてます!!と宣言した野村祐希男前すぎ》《IVANがおそらく彼氏を守ろうと交際をぼかしているのに対し、彼氏の方ははっきり交際を認めてるのはちゃめちゃに格好良くて一気に好きになった》《本当野村さん素敵だと思います!芸能界にいながらしっかり認めて真剣にお付き合いされてるみたいで本当希望が持てます》 熱愛報道の数時間後、IVANは自身のInstagramを更新。ブライダルウエディングドレスのショーに登壇したことを明かし、自身の花嫁姿を披露した。野村との交際については触れなかったものの、「#みんなからのあたたかいコメントちゃんと読んでます #ありがとう」とコメントしている。
2018年04月09日カナダは国際的な先進国であると同時に、スローライフ先進国でもあります。カナダの食料自給率は約220%(日本の食料自給率が約40%)で、ダントツの1位!国土面積は世界第2位(ちなみに1位ロシア、3位アメリカ)にもかかわらず、人口は約3619万人で日本の関東地方ほどしかいないというのだから驚きです。カナダの首都、オタワを散策すると、人々の生活にスローライフが根づいていることが実感できます。ダウンタウンの中心にある〔マーケット・オーガニクス〕1826年からの歴史があるオタワの公設市場〔バイワード・マーケット(ByWardMarket)〕の一角にある〔マーケット・オーガニクス〕は、ヘルシー志向のカナダ人御用達のスーパー。ビーガンやオーガニックの食材をはじめ、オーガニックコスメの種類も豊富なので、ちょっとしたお土産探しにもおすすめです。ここで見つけたのが〔グリーン・ビーバー(GreenBeaver)〕のコスメライン。シャンプーやリップ、ボディクリームに歯磨き粉など、種類もさまざま。そしてなにより、ビーバーのイラストがかわいい!カナダのオンタリオ州に拠点を置き、微生物学者のアランと農業業界で働いていた妻のカレンが創設した環境に配慮した会社で、製品はオーガニック認証機関であるEcoCertの認証を受けています。【マーケット・オーガニクス(MARKETORGANICS)】●住所:126YorkSt,Ottawa,Ontario●電話:613-241-6629●営業時間:月~金9:00~20:00、土9:00~18:00、日11:00~17:00●URL年代のヒッピー文化から続く〔ハーブ&スパイス・ショップ〕〔マーケット・オーガニクス〕からタクシーで5分ほど、バンクストリート沿いにある「ハーブ&スパイス・ショップ(Herb&SpiceShop)」は、オタワのオーガニックショップの草分け的存在。道を挟んで食品店とコスメ店の2軒を構えています。コスメショップには、〔グリーン・ビーバー〕や〔パープル・アーチン(PurpleUrchin)〕など、カナダ製のオーガニックコスメも充実。ビタミン剤も豊富にそろっていて、こちらを目当てに訪れるお客さんも多いのだとか。食品店では、フレッシュなオーガニック食材のほか、メープルシロップや紅茶、コーヒーなど、日本にお土産として持ち帰れる商品もたくさん。店内ではフレッシュジュースコーナーもあったので、その場でいただきました。店の入口ではLGBTフレンドリーなレインボーフラッグを発見。このあたりはLGBTの人たちに人気のエリアとあって、個性的なショップもたくさんあるのだそう。時間があったら散策歩してみるのも楽しいと思います。【ハーブ&スパイス・ショップ(Herb&SpiceShop)】●住所:375BankSt,Ottawa,Ontario●電話:613-232-4087●URLオタワで食べ歩きたい人気スイーツ疲れると甘い物が食べたくなる!ということで、観光の合間に訪れたい地元のスイーツ情報をご紹介します。オタワで誕生した有名スイーツといえば、自由が丘にも出店している〔ビーバーテイルズ(Beavertails)〕です。本店は〔バイワード・マーケット〕の一角に位置しています。真っ赤な外観もかわいいですよね。〔ビーバーテイルズ〕は街のいたるところで見かけて、いつも人だかり。ひとりで食べるには大きいかもしれない……。と一瞬とまどうのですが、ビーバーのしっぽのようにのばして作ってあるせいか、意外にもペロリといけます。ホールウィートを使った生地に、香ばしいシナモンがマッチしておいしい!ぜひ試してみてください。ビーバーテイルズ(Beavertails)ギフトにもおすすめのスイーツが、6世代にわたって伝統の味を伝えているドイツ北部のメッペン発祥のチョコレートショップ〔ストゥーブ(STUBBE)〕のチョコレート。1845年にドイツで創業し、1989年にハインリッヒさんがカナダのオタワに移転。現在はハインリッヒさんがオタワ店で、息子のダニエルさんがトロント店でチョコレートを作っています。お店の女の子たちもみんなかわいい!人気のトリュフを味見させてくれました。店舗の奥では、ショコラティエがせっせとチョコレートを作っていました。とても楽しそうで、本当にチョコレートが好きなんだなぁというのが伝わってきます。〔ル・コルドン・ブルー・オタワ校〕とコラボして新しい味を探求したり、カカオ農園とパートナーシップを組んでクーベルチュールを開発したりと、新しいことにもどんどん挑戦しているお店。きっとすてきなチョコレートがみつかるはず!お店にはイートインコーナーもあります。【ストゥーブ(STUBBE)】●住所:375DalhousieStreetOttawa,Ontario●電話:613-241-1040●営業時間:火~土10:00~18:00、日12:00~17:00●定休日:月●URLユニークなお土産もインパクトのあるお土産にぴったりなのが、ブーランジェリーの〔LeMoulindeProvence(ル・ムーランド・プロバンス)〕で売っている《オバマクッキー》。アメリカのオバマ前大統領が立ち寄ったことから、オバマ氏の名前が付き、大統領が変わった今でも発売されています。クッキーのカラフルな色に驚きますが、味わいは素朴。カナダ首相のジャスティン・トルドー氏のクッキーもあって、こちらは写真プリントも!ちなみに、ドナルド・トランプ氏のクッキーはありませんでした。クッキーのほかにも、パンやデリコーナーもあるので、店内でカフェを楽しむのもおすすめです。【LeMoulindeProvence(ル・ムーランド・プロバンス)】●住所:55BywardMarketSquareOttawa,Ontario●電話:613-241-9152●営業時間:7:00~19:00●URL自然との暮らしを大切にしているカナダではエコロジーという考えが徹底されています。スーパーなど、お店によってはショッピングバッグがチャージされることもあるので、エコバッグを持参するのがスマートです。●取材協力オンタリオ州観光局●ライター美濃羽佐智子●写真村尾昌美
2018年04月08日メジャーリーガーのロッカールームで繰り広げられるドラマを描いた「Take Me Out 2018」が現在、東京・DDD青山クロスシアターにて上演中。本作は2003年のトニー賞で演劇作品賞など2部門受賞した作品で、日本では2016年12月に初演され、今回はその再演となる。前作に引き続き翻訳は小川絵梨子、演出は藤田俊太郎が手掛けるほか、キャストは栗原類、味方良介、小柳心、Spi、章平、吉田健悟、竪山隼太、田中茂弘が続投。さらに今作から玉置玲央、浜中文一、陳内将が参加する。【チケット情報はこちら】物語は、メジャーリーグの黒人プレイヤー・ダレン(章平)がメディアを通して「自分はゲイである」と告白することから始まる。ダレンの告白に理解をみせる者、差別する者、拒絶する者、さまざまな人間が現れるが、スタープレイヤーのダレンは「自分のアイデンティティに苦しんでいる子供の励みになれば」と意に介す様子はなかった。しかし、二軍から上がってきた抑えの投手・シェーン(栗原)がインタビューで語った言葉がある事態を巻き起こす――。メジャーリーグチームのロッカールームという野球だけが共通項の人間が集まる閉鎖的な空間で、人種、LGBT、宗教、教育、家柄…などさまざまな要素が絡み合い、登場人物たちの正義や価値観、考え方、性質が浮き彫りになっていく作品。客席が舞台と地続きで両側から覗き見るような構造は、登場人物の感情の揺れが「今ここで起きていること」として生々しく感じられ、客席までロッカールームが広がってくるような感覚にも陥る。再演ということもあり、深みを増した芝居も魅力。新キャスト続投キャスト関係なく、キャスト一人ひとりの芝居がより繊細に、そしてより明確にこの世界をつくりあげており、伝えることへの強い意思を感じた。ダレンの会計士・メイソン役の玉置は、作品の中では唯一野球の外側にいる人間であるメイソンがダレンにもたらすものをくっきりと鮮やかに見せ、それがダレンの心の動きをも際立たせる。また、ダレンのチームメイト・キッピー(味方)のくせものぶりも見事。キッピーが上手に隠すさまざまな“意図”を、小劇場ならではの繊細な芝居によって初演以上にしっかりと伝えていた。また今回は作品の舞台が2003年であること――2001年にNY同時多発テロが起き、イラク戦争が開戦したという時代背景を意識すると、台詞の端々に込められたものもより深く理解できるはず。公演は5月1日(火)まで。チケットは発売中。取材・文:中川實穂
2018年04月03日華やかなメジャーリーグの世界。そのバックステージを舞台に、根強く残る社会的、民族的マイノリティへの偏見や差別を描いた舞台『Take Me Out 2018』。人種やLGBT問題に切り込んだ傑作が再演。日本ではなかなか理解しづらい人種や宗教間の問題。しかし‘16年の日本初演時、それを映像や字幕、国旗といった舞台装置を駆使したり、各キャラクターの出自や民族性を俳優の声のトーンや立ち居振る舞いで見せるといった緻密な演出により、明快に描き出した藤田俊太郎さん。高い評価を受けた本作が、再びその手で再演される。「格差も貧困も人種も関係なく、誰もがスター選手になれるのがスポーツの世界。普通なら出会わないはずの出自も価値観も違う人々が、野球の名の下に集まりロッカールームという場を共有する。僕らが実感するのは難しいシチュエーションですが、脚本自体が素晴らしいのはわかっていましたから、そこに込められた面白さをちゃんと全部伝えたかったんです」作品は‘03年3月にアメリカで初演されたもの。そこから15年が経ち、LGBTなどのマイノリティへの理解が深まってきている。そんないまだからこそ、初演を踏まえつつも、「戯曲の書かれた時代性を明確にして描きたい」そう。「‘03年3月は、まさにイラク戦争が開戦した時期。アメリカには同時多発テロの不穏な空気が残っていたし、まだ同性婚も認められていなかった。そこをきちんと描くことで、それぞれの人物の立場や関係性がくっきりし、セリフがより芯の通ったものになる気がしています」さまざまな社会問題にクローズアップしながらも、「これは愛の物語だと思うんです」と話す藤田さん。「作品は時代を映す鏡だという言葉がありますが、多様性が叫ばれるいま、違う価値観を持った他人同士が出会い、愛を育むことがどんなに大変か。それがこの作品の中にはあらゆる形で織り込まれているんです」丁寧に戯曲と向き合おうとする姿勢の根本には、引きこもりから、高校を中退したかつての経験がある。「ある時、突然、友達とどう話していいかわからなくなってしまって…。でも、社会復帰して、いろんな道を模索した結果、演劇ならば他者と繋がれるんじゃないかと気づいたんです。だからこそ、台本や翻訳の意図が観客にきちんと伝わっているか、つねに敏感でありたいんですよね」‘16年の初演舞台より。撮影:岡千里周囲から高い尊敬を集めていたメジャーリーグのスタープレーヤーが、シーズン開幕前に自らゲイであることをカミングアウトした。そこからチームに不穏な空気が流れ始める。3月30日(金)~5月1日(火)渋谷・DDD 青山クロスシアター作/リチャード・グリーンバーグ翻訳/小川絵梨子演出/藤田俊太郎出演/玉置玲央、栗原類、浜中文一、味方良介、小柳心、陳内将、Spi、章平、吉田健悟、堅山隼太、田中茂弘全席指定8800円(税込み)チケットスペースTEL:03・3234・9999ふじた・しゅんたろう1980年生まれ。秋田県出身。故・蜷川幸雄の下で演出助手を経て演出家に。‘16年に演出したミュージカル『ジャージー・ボーイズ』で、読売演劇大賞優秀演出家賞を受賞。※『anan』2018年4月4日号より。写真・土佐麻理子インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2018年04月01日性に関してあなたは、自分で決めるという意識を持っていますか? 例えば、それは避妊の有無。性交渉を行う際に、男性側がコンドームを持ってくるもの・着けるものだと思い、相手任せにしてしまっていませんか? 自分はあまり乗り気ではないのに、夫から求められ断るとなんとなく可哀想だからセックスしてしまう。そんな経験はありませんか?思い当たるという人は、ひょっとすると、性の自己決定権が希薄なのかもしれません。性の自己決定権=セックスに関する選択の自由だけではない「性の自己決定権とは、性に関して自身の意思をもって行動できる権利のこと。WHOも定めており、健康の定義に照らし合わせて、性別、思想、信条、宗教、年齢、婚姻状態に関わらず、個人やカップルのものだと定義されています。男性にあって女性にないはずはなく、LGBTも同様です」そう話すのは、産婦人科医で一般社団法人性と健康を考える女性専門家の会・会長の早乙女智子さん。性の自己決定権の中身は性交にかかわることだけではなく、誰を好きになるか(異性、同性など)、どういう自分でいるか(性自認との一致、不一致)、いつどのように子どもを持つかもたないかなど、性差と生き方に関する選択の自由について、改めて広く明文化されています。日本の女性は性の自己決定権が希薄であり、また、社会全体も軽視しているとも早乙女さん。それは、出産や分娩、避妊にも大きく影響を及ぼしていると指摘します。「女性の性の自由さという観点でみれば、日本という国はまだ堕胎罪が残っており、母体保護法で免責さえされているものの、扱いとしては女性と堕胎をした医師のみが罰せられ、関わった男性は不問です。中絶方法も制限されており、手動の真空吸引法が認可はされましたが、古いやり方の手術が残っておりリスクがあります。世界では60カ国以上で中絶ピルが使用されており、その使用は年々増加しています」よりリスクの少ない中絶方法や手術法が世界では行われているにもかかわらず、日本ではこうした方法が容認されないこと。また、導入に関しての議論や行動が遅いこと。もし、女性の性の自己決定感や生き方に対して考え、十分に議論されてきたならば、母胎への健康被害も減らすことができるのです。「避妊法も、世界ではLARC(long acting reversible contraception:長期間作用型可逆的避妊法)としてIUS(intra uterine systems:子宮内避妊システム)やインプラントが第一選択ですが、日本ではインプラントはなく、第二選択とされる注射法、膣内リング、パッチ法などもなく、第三選択のピルかコンドームが主流となっています。コンドームよりも第一選択、第二選択の避妊法の方が避妊の失敗率は低いのですが、これらについて議論することも、産婦人科内部でさえ少数派。医療界でもマイナーという実状です。世間一般に知られていないのは、女性の性の人権がないことに他なりません」性の自己決定権が薄い理由は古い価値観に原因も女性の性の自己決定権の薄さが、社会全体にあり、その影響が命が生まれる産婦人科にも大きく影響を及ぼしていることはよくわかりました。しかし、どうして女性の性の自己決定権が薄くなってしまったのでしょうか。「避妊・中絶の領域の観点では、戦後諸外国より早く人工妊娠中絶が合法化されたために、その時代の方法が長く根付いたという点もひとつの要因として挙げられますが、風土もあるのでしょう。日本が先進国だと思っている人もまだ多いようですが、かなりの情報交換が日本語だけで行われており閉鎖的。例えば、ピルの認可は世界で最後の11カ国に残った1999年でしたが、その時でさえ日本の女性団体はピルは要らないと言っていました。今でも総論賛成・各論反対で自分はピルは嫌という医療職、教育関係者もたくさんいます。そういう人は、コンドームでは避妊が不十分であることや、世界はもっと先を行っていること、それは技術だけではなく、概念と共に進んでいることを理解していないと思われます」前述の避妊法IUSは、コンドームよりも避妊失敗率が低く、女性が使用できる点も見逃せません。女性ができる避妊法の選択肢が増えれば、性の自己決定権の強化につながるはずです。「生き方という観点では、平成も終わろとしているなか、働かなくても『専業主婦』で優雅に暮らせた“昭和ノスタルジア”な価値観を抱き続けている女性も多いように見えます。これからの時代、男性だって明日どうなるかわからないのです。結婚・出産は、女性のキャリアの終着地ではありません。自分の人生をどうしたいのか。きちんとキャリアを考えること。そうすると、避妊に関しても自分の意見を持てるはずです」よりよい技術や手法を模索すること。枠にあてはめず、自分の人生と向き合うこと。いずれも共通するのは、古い価値観からの脱却。性の自己決定権を身につけるには、今のままでよいのかと、疑問を抱く姿勢がまず大切なのかもしれません。(文・団子坂ゆみ/考務店)
2018年03月26日パリでは、毎日のように多くのエキシビションが開催されています。今現在、公式に発表されているものだけでも232展。比べて東京全域で157展。パリは東京23区と同じくらいの大きさなので、そう比べただけでも、いかに多いかが分かるかと思います。 ジャンルも、アート、ファッション、写真、彫刻、建築…etcと多岐に渡り、毎日たくさんの人達がどこかの展覧会や美術館へ訪れ、観光客だけでなく、住んでいる人たちにとっても身近な存在です。私も東京に住んでいた頃からエキシビションは好きでしたが、今より少し遠い存在だったような気がします。それは、アートそのものや美術館、それらと一般の人々の間に、少し距離があるからかもしれません。フランスでは、アートやカルチャーが教育に適したメディアだと考えられ、国からの大きな支援があるという背景もあるのかもしれませんね。 日本ではなかなかお目にかかれないようなものも多く開催しているので、時々この場をお借りして、その様子をお伝え出来たらいいなと思います。 さて、先日、昨年の11月に急逝したAzzedine Alaïa の回顧展 “Je suis couturier ” へ行ってきました。この展覧会は2007年に、アライア自身が創設したアズディン・アライア・アソシエーションが主催しています。開催場所は、4区にある彼のアトリエ兼住居。スマホで場所を検索したら、BHV(日本でいう東急ハンズのようなお店)のすぐ裏手というからちょっと驚き。というのもこの周辺は賑やかなエリア。私の勝手なイメージではエキシビションが行われる場所というのは、伝統的なオスマン建築が立ち並ぶ閑静なエリアや、サンジェルマン周辺を想像していたから。 実際に訪れてみると、通りからちょっと奥まった場所に位置する展示会場。喧騒は影を潜め、静かな空間が広がっていました。 この展覧会のタイトルにもなっている、アライアの有名な言葉。 “ JE SUIS COUTURIE " - 「わたしはクチュリエ」。 Couturier (クチュリエ)とは、デザインを描いて、自分でパターンも引き、裁断も縫製も全ての工程を行うデザイナーのことを言います。バレンシアガを創設したクリストバル・バレンシアガも、数少ないクチュリエの一人だったと言われています。 アライアが生前望んでいた、マレの自宅に自身の財団を作ること。この思いに触れて、彼がこのマレ地区を心から愛していたんだと知りました。マレ地区と一言で言っても場所によってさまざまな色がありますが、マレ全体で見て共通して言えることがあります。それは、自由な精神に富み、新旧と異文化が織り混ざったミックスカルチャーであるということ。 トレンド感が高くて新しいお店や人気のレストランが集まる場所でもありますが、中世の名残がある歴史地区であり、ユダヤ人街でもあり、LGBTカルチャーの中心でもあるのです。アライアはチュニジア出身の移民でしたし、異文化やマイノリティーに対して寛容なこのマレ地区が好きだったんだろうな、と。 アライアの生涯は、モードのみならず、アート、演劇、音楽、建築など、あらゆるカルチャーへの愛と情熱に溢れていました。彼のこれまでの作品や収集家として集めたたくさんのコレクションは、アズディン・アライア財団が保管し、今後も展示活動を行なっていくそうです。そして、モードの世界における若き才能への奨学金提供にも力を注いでいくことも述べられていました。 展示作品は1981年から2017年までの、主に白と黒のドレスにフォーカスされ、選りすぐられた41点のコレクションで構成されています。 80年代に発表されたギリシャ風のミニドレス、同時代を彩ったボディコンシャスなアイコン的作品。 2017 FW 最後のオートクチュール・コレクションで発表されたドレス。 レッドカーペットでしかお目にかかれない様な、圧倒的な曲線美で存在感を示すドレス。無駄を排除し、デザインとシルエットだけで、ここまで力強い表現が出来るのかと感銘を受けました。また、服が究極の肉体美そのものを表現しているかのようでした。 全作品、どれもこれも息を呑む美しさに、魅了されたひと時でした。 この完璧とまで言える美しさを表現するために、多くの人々が関わり合い、そこに指揮をとる人が居て、着る人が居て、観客が居る。多種多様な構成要素から一つの作品が出来上がる様は、まるで映画のようだと感慨深く思ったのです。アライアの作品には、そんなドラマ性があり、観る人の胸を打つ力があります。 さらに、アライアは生前、「私は、細かいディテールや装飾、色などに支障をきたされない何か...美しく、永遠であり続けるものを愛している」と言っていました。彼の作品を見て、それは彼の美学そのものだと強く感じました。生涯、自身がひたすらに追求し続けたもの、彼の人生と生き様を作品を通じて見た気がします。 Azzedine Alaïa “ Je suis couturier ”開催期間 現在~6月10日(日)会場 18 rue de la Verrerie, 75004, Paris開館時間 11:00~19:00 (毎日)
2018年03月06日絶縁状態のまま亡くなった弟の結婚相手が、ある日、突然会いにやって来た。その相手とは、外国人で、しかも男だった―。LGBTを扱ったことでも話題となった田亀源五郎さん作の人気漫画『弟の夫』が、NHKでドラマ化される。亡き弟の結婚相手は男で外国人!風変わりで心温まる家族の姿を描く。佐藤隆太さん演じる折口弥一の“弟の夫”マイクを演じるのは、元・大関でタレントの把瑠都さん。初の連続ドラマで演じるのが、ゲイだと聞いたときは、驚いたそう。「英語版の原作を読んで、作者の田亀先生にお会いすることになったんです。役者経験が少ないしゲイ役に不安があったけど、先生は『把瑠都さんの人柄がマイクそのものなので、ありのままを出してください』って。それでかなり気が楽になりました」実際、マイクと把瑠都さんは、性格的に似ているところが多い。「ゆったりしてて、マイペース。お酒も好きです(笑)」明るい性格の把瑠都さんは最初から出演者やスタッフに自分から声をかけ、あっという間に人気者に。リハーサルが済むとすぐに「本番、本番!」とせかすフリをして周囲を笑わせるなど、ムードメーカーだった。「最初は自分がどこまでできるのか、ワクワク、ドキドキ。監督もきっと、私ができるかドキドキしてたんじゃないかな?(笑)撮影していた1か月間は、本当に楽しかった!佐藤さんとは、子育ての話、共通の趣味の魚釣りの話、いっぱいしました。ドラマの中で、弥一さん(佐藤さん)がつくる料理がおいしくて。カメラがまわってないところでもいっぱい食べました。マイクはヒゲが生えてる役なので、カレーがヒゲにつかないように、ものすごく気を付けました(笑)」演技では、日本語の発音について苦労もあった。「おじさん」と言おうとすると、どうしても「オジイサン」という発音になってしまい、何回も撮り直しをした。「オジイサン…、オジイサン…(つぶやくように練習)。もう…、言えない!(笑)難しいよ!」男手ひとつで娘を育てる折口弥一(佐藤隆太)のもとに、弟の夫だったマイク(把瑠都)が訪ねてくる。マイクは弥一の家に滞在することに。NHK BSプレミアムにて、3月4日から毎週日曜10:00~10:49、連続3回放送。ばるとタレント。元・大関。好きな動物は猫。怪力で有名で、高校生のときには、200kgのイノシシを山から担いで下りてきたことも。初めて覚えた日本語は「もう少し安くしてください」。※『anan』2018年3月7日号より。写真・内田紘倫(The VOICE)スタイリスト・ISHIKAWA SHOHEIインタビュー、文・古屋美枝(by anan編集部)
2018年02月28日年齢を重ねていくと、愛する人との別れや耐え難い困難に見舞われたという経験もしたことがあるはず。そこで、自分らしく生きることの大切さと女性としての強さを感じさせてくれる映画をご紹介します。それは……。魂を揺さぶる感動作『ナチュラルウーマン』!【映画、ときどき私】 vol. 145チリ、サンティアゴ。ウェイトレスとして働きながら、ナイトクラブで歌っているマリーナ。トランスジェンダーというセクシャリティと向き合いながらも、年の離れた男性の恋人オルランドと仲良く暮らしていた。しかし、マリーナの誕生日を祝った夜、オルランドが急死してしまう。最愛の人を失った悲しみに打ちひしがれるなか、マリーナはトランスジェンダーであるがゆえに、周囲から容赦ない差別と偏見を浴びせられることに。2人で暮らしていた部屋からも追い出され、葬儀にも参加することを許されないマリーナにとって唯一の願いは、愛する人に別れを告げたいという思いだけだった……。観る者の心をつかんで離さない本作は、すでに各国の映画祭や賞レースをにぎわせていますが、今回はヒロインを演じたこちらの方にお話を聞いてきました。それは……。唯一無二の女優ダニエラ・ヴェガ!劇中で圧倒的な存在感を放っているのは、マリーナ同様に自身もトランスジェンダーであるダニエラさん。まもなく行われるアカデミー賞授賞式ではプレゼンターにも選出され、話題となっているところです。そこで、本作出演のきっかけや女性たちに伝えたい思いなどを語ってもらいました。これまでにいくつもの賞を受賞していますが、先日発表されたアカデミー賞では外国語映画賞にノミネートされたことでも注目を集めている作品。ここまで反響のある作品になると思っていましたか?ダニエラ考えたことはなかったので、ものすごく驚いているけれど、同時にとてもうれしく思っているわ。脚本の段階から監督の相談に乗っていたそうですが、そもそも出会ったきっかけは?ダニエラ共通の友人から「セバスティアン・レリオ監督がチリのトランスジェンダーについて知りたがっている」と言われて初めて会ったのよ。でも、脚本のために会うというのは知らなかったから、最初の1年半くらいはただ話していただけだったわ。そのあと、出演して欲しいと監督から言われたときはいかがでしたか?ダニエラまったく予想もしてなかったからすごく驚いたわ。だけど、言われた瞬間に「はい」と返事していたわね。なぜなら、女優として挑戦だと感じたからよ。とはいえ、この役を演じるのは人生のなかでも難しい作業だったそうですが、一番難しさを感じたのは?ダニエラどこがというのがわからないくらいすべてが困難だったわ。でも、私は困難を困難と思わないくらい挑戦することが好きなの。だから、難しいと思うときもあったけど、それと同時に楽しかったし、そういうときにはいいものが作れるというのがわかるものなのよ。役作りをする際に意識していたことはありますか?ダニエラ私はマリーナを演じるにあたって、自分が考えた3つの柱というのがあったの。それは、尊厳と反逆性と打たれ強さ。これをベースにしながら、マリーナの人間性やキャラクターをどんどん積み上げていくようにしたのよ。なぜなら、この3つの要素というのは、男性女性に関係なく、誰にでもあるもの。あとは、それをどういうふうに人生のなかで使っていくかということだと思っているのよ。だから、各シーンでどのように自分の感情を出していくかを意識したわ。そうすれば、観ている人にとっても感情的に深いところまで旅ができるような映画になると思っていたからなの。マリーナは愛する人の死を乗り越えようと強さを見せますが、その源となっていたものは何だと思いますか?ダニエラそれは彼女がどうしてもしなければならないこと、自分がしたいことがあったから。つまり、オルランドに別れを告げるという目標のためよね。人は悲しみよりも目標のために強くなるということもあると思うの。特に、マリーナは尊厳と反逆性を持っている女性だから、それらによって強くなれたということもあるんじゃないかしら。そんなふうに強くありたいと思う女性に対してアドバイスするとしたらどんなことですか?ダニエラ私は「こうしなさい、ああしなさい」というメッセージを出す立場ではないと思うので、みなさんにしたいのは、「幸せになるために何をしてますか?」という問いかけだけよ。なぜかというと、人生は一度だけよね。だから、その一度きりの人生を生きようと思えば、強くもなれるはずよ。観客にはこの作品からはどんなことを感じ取って欲しいと思っていますか?ダニエラそのときに浮かんだいろんな疑問とかが映画のおもしろさであって、できれば答えは自分で見つけて欲しいと思っているわ。観客は自分で想像できるものでもあるから、こちらがすべてを言いたくないというのもあるの。「もしこれがこうなってなかったら」とか、「もしキリストが死んでなかったら」みたいなところからみんな映画を作っていると思うので、映画を観るときにはそういうところを楽しんで欲しいわね。女性としての生き方を描くいっぽうで、現代のトランスジェンダーの現状についても突きつけられる本作。日本でもトランスジェンダーに対する見方は徐々に変化していますが、現在のチリの状況を教えてください。ダニエラいまは国全体として、すべてのことにおいて移行期。というのも、大統領が変わったばかりで、中絶法も少し前に許可されたくらいだし、男女平等などのジェンダーに関しての法整備というのも非常にゆっくりしているのよ。だから、LGBTの権利だけでなく、夫婦同等の権利とか、女性と男性の給与格差をなくすとか、そういうことすべてに関して、国としてこれから変わっていくのだと思うわ。印象的なセリフが多いなか、「困難で人は強くなる」という言葉は、まさにマリーナの生きざまそのものでもあり、心に残るシーンのひとつ。ご自身も同じように困難を乗り越えて強くなった経験はありますか?ダニエラ困難で人は強くなるというのは、私だけでなくてみんなも同じだと思うわ。なぜなら、難しいことがあるから人はみんな成長していくのよ。トランスジェンダーであってもなくても、女性はみんな困難に常に立ち向かっているわよね。だから、できることといえば、視野をどんどん広げて、自分が幸せになるために何をするのかというのを考えることだと思うわ。ひとそれぞれ困難の乗り越え方は違うものだけど、私の場合は、より幸せになるために何をするかということだけでなく、プロとして自分がどう生きていくかということと、芸術を通して人としてどう成長していくかということ考えているのわ。最後に日本の観客に向けてメッセージをお願いします。ダニエラまずは、みなさんにこの映画を観て頂いて、どうしたら共感や思考の範囲を広げることができるか、というのを考えて欲しいと思っているの。なぜなら、そうすることによって、同時に自由になれるからなのよ。私はこの映画と一緒に世界中を回り、たくさんの人と会うことができたけど、みんな違う言語を話していても、映画を通すことですごくわかりあえるということがよくわかったわ。つまり、さまざまな動機で人は変革できるんだということに気がついたの。この映画は私にとっては多くの可能性を開いてくれたし、芸術的にも自分のなかにたくさん贈り物をくれた作品だから、参加することができていまはとても幸せに感じているわ。ありのままで生きることの美しさを感じる!愛する人を失う悲しみや困難を乗り越えようとするマリーナの姿に共感し、心をつかまれる本作。人生において、どんな “向かい風” が吹いたとしても、そこに立ち向かう強さは誰のなかにもあるものだと教えてくれるはず。あなたのなかにも自然とこみ上げてくる思いを感じてみて。胸が熱くなる予告編はこちら!作品情報『ナチュラルウーマン』2月24日(土)、シネスイッチ銀座、新宿シネマカリテ、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国公開配給:アルバトロス・フィルム©2017 ASESORIAS Y PRODUCCIONES FABULA LIMITADA; PARTICIPANT PANAMERICA, LCC; KOMPLIZEN FILM GMBH; SETEMBRO CINE, SLU; AND LELIO Y MAZA LIMITADA
2018年02月20日’17年10月、米国ハリウッドの大物映画プロデューサー・ワインスタイン氏によるセクハラ疑惑が報じられたのを受け、女優のアリッサ・ミラノが、同様の被害を受けたことの女性たちに向けて、「#MeToo(私も)」を合言葉に名乗りを上げるようツイッターで呼びかけた。 これに応え、有名スターたちだけでなく一般人も続々と行動を起こし、やがて世界的なムーブメントになった。 日本にも瞬時に波及。「#MeToo」運動をきっかけに、政界、教育界、スポーツ界から元NHKの看板アナウンサーの事件まで、押さえ込まれていたセクハラ告発が噴出。長らくセクハラ後進国に甘んじていた社会が、「絶対にNO」と認識を変えた。 「私は、日本でまだ『セクハラ』という言葉が誕生する以前の『性的嫌がらせ』と呼ばれていた時代から、この問題に深く関わってきました。最初は、’89年のセクハラ裁判の第1号となった福岡セクハラ訴訟でした」 そう語るのは、大阪大学人間科学研究科教授の牟田和恵さん。“セクハラ”誕生から30年。意識改革はどこまで進んだのか。牟田さんに話を聞いた。 「その後もおよそ30年の間、少しずつ社会状況は変わりつつあるとはいっても、まだまだ被害を口にできず、自分を責め続け、我慢している人が多い現実を思えば、現在もセクハラを取り巻く状況は課題が山積みのままです。そんなとき「#MeToo」の世界的な波及によりセクハラへの意識が高まり、女性たちが『悪いのは自分じゃないんだ』と自覚し、声を上げ始めたことはうれしい驚きでした」(牟田さん・以下同) 世界経済フォーラムが毎年発表するジェンダー・ギャップ指数では、日本は’13年には136カ国中105位、’16年も144カ国中111位と、先進国でも順位が低いままだ。 「これらの解決策としては、社会にもっと決定権を持つ女性が増えることが重要だと思います。最も期待するのは女性議員ですが、それは企業の管理職でも、メディアでも同じことが言えるでしょう」 今後は、女性の権利はもちろんだが、LGBTや高齢化社会のなかでのお年寄りなど、弱い立場の尊厳や権利が守られる社会にしていかなければならない、と牟田さん。 「セクハラに対する第1の防衛法は、ふだんから“シミュレーション”をしておくことでしょう。ただし、現実問題として、最初から思うようにサポートしてもらえるとは限りません。大事なのは、あきらめないこと。世の中は確実に変わりつつあります」 ’99年施行の男女雇用機会均等法改正法で、企業はセクハラの防止に配慮することが定められた。 「その後、セクハラ防止規定や相談窓口が設けられています。また、会社外にもセクハラ問題に詳しい弁護士が大勢います」 同時に、日本中に性犯罪・性暴力の被害者に対して総合的な支援を行うワンストップセンターが開設されたという動きもある。 「必ず、あなたをいろんなかたちで助け、支えてくれる人はいますから、あきらめないで声を出し続けてほしい。いちばん避けるべきは、我慢してしまうことです。その場ではトラブルを回避できたようでも、その後も被害が繰り返されると、自分を損なう気持ちが澱のようにたまっていくのです」 それに打ち勝つためにも、常に情報を集めておくことが大切だと牟田さんは言う。 「ニュースをチェックしたり関連本を読んでもいい、セクハラ問題に関心をもって情報を集め、もしものときに駆け込める場所や相談できる人を想定して、準備しておくことです。そうしてシミュレーションすることこそが、自分をセクハラから守ることになります。ふだんから『自分を大切にして生活する』ことを考えてください」
2018年02月17日「オプラはアメリカ国内でカリスマ的な存在です。日本でいえば黒柳徹子さん、上沼恵美子さん、さらにジャーナリストとしての素質もあるため安藤優子さんを足して3で割ったイメージでしょうか」 アメリカの現地事情に詳しいデーブ・スペクターさんがこのように評する人物とは、オプラ・ウィンフリー(64)。1月12日、優れた映画やテレビドラマに贈られるゴールデン・グローブ賞の受賞スピーチで、オプラは力強くセクハラや差別問題に言及。国民や有権者から「彼女を次期大統領に!」という声が一気に高まり“時の人”となった。 現地メディアCNNが世論調査を実施したところ、現大統領トランプ氏の支持率42%に対し、オプラの支持率は51%と上回る結果に。現在、“純資産30億ドル(およそ3,000億円)”ともいわれるオプラ。彼女はどのような人生を歩んできたのか。 オプラが生まれたのは、’54年1月29日。黒人差別の激しかった、ミシシッピ州の貧しい農村に育った。出生時、母親のバーニタ・リー、父親のバーノン・ウィンフリーはともに10代。両親が未婚のまま、オプラは母に引き取られる。 母親からの愛情は深くなかったが、祖母からは“読み書き”を厳しく教えられた。小1のときには、すでに小3の学力があったといわれるほどだった。そんなオプラを苦しめたのは、劣悪な家庭環境だった。家には何人もの親戚の男性が出入りし、くりかえし彼女をレイプした。 オプラへの性的虐待は繰り返され、14歳のときに妊娠。だが、わずか生後2週間でこの世を去った。トラウマに苦しめられたオプラを救ったのが、バーノンだった。押し付けられるようにして父に預けられたことが、彼女にとって“転機”となる。 「バーノンは教育熱心で、夕食前には新しい言葉を5つ覚えさせたり、読書をすすめ、毎週レポートを書かせたりしていたそうです」(在米ジャーナリスト) その教育もあり、オプラは超優秀な学生に。高校時代に参加したスピーチコンテストの演説ぶりが認められ、全額奨学金を受け、テネシー州立大学に入学した。 「学生ながらローカルラジオでニュースを読む仕事をしていたオプラですが、大学2年生のとき、夕方のニュース番組に司会者として出演依頼を受けました。“最年少かつ最初のアフリカ系アメリカ人司会者”といわれています」(前出・ジャーナリスト) 大学卒業後は、メリーランド州ボルチモアのローカルニュース番組の司会に。 アメリカは日本と違って、テレビ局がアナウンサーを新卒で雇ったりはしません。地方局で下積みをして、徐々に人口の多い都市の放送局へのし上がっていく。エモーショナルな語りをする彼女の番組テープは関係者に出回り、’84年、異例の早さでイリノイ州シカゴのトーク番組に抜擢されました」(デーブさん) 彼女が引き継いだそのトーク番組は、当時かなりの低視聴率。しかもライバル番組は、全国区の知名度があるタレントが司会を務めていた。 「オプラはニュースを伝える際、女性目線の考え方を投げかけ、怒りや喜びの感情をあらわにしました。コアな視聴者層は、昼間に家庭にいる女性。そこでニュースの話題も、それまでセレブのゴシップに重点をおいていたのを、家族や恋人との関係、体重の悩みなど多くの人が抱える問題を多く扱うように。時には自分自身がレイプされたことを告白するうそのない彼女に、多くの視聴者が感情移入したのです」(前出・ジャーナリスト) 放送わずか1カ月で、視聴者数はライバル番組に並び、数カ月後には10万人もの差をつけた。’85年には番組名を『オプラ・ウィンフリー・ショー』とし、1時間に拡大。同番組では、それまでタブー視されていた虐待や不倫、薬物依存、人種問題やLGBTに関しても積極的に切り込み、視聴者を増やし続けた。 「トーク番組は’11年に終了しました。約25年もの放送期間の間には、トランプ氏も出演しています。マイケル・ジャクソンが出演したときの視聴者数は6,000万人以上。名物の書評コーナーで紹介された本は、必ずベストセラーになるなど、数々の伝説を残しました」(前出・ジャーナリスト) 今回の世論調査の結果は、その影響力が衰えていないことの証しでもある。
2018年02月09日3月11日(現地時間)にロンドンで授賞式が開催される、「ブリティッシュLGBTアワード」のノミネーションが発表された。この賞ではLGBTの活動家や、LGBTでなくても彼らの権利向上のために貢献した人を表彰している。今年の「Celebrity Straight Ally」(ストレートのセレブでLGBTの支持者)賞にノミネートされたのはハリー・スタイルズ、デビッド・ベッカム、ニック・ジョナス、アリアナ・グランデら10人。ハリーは常々LGBTコミュニティーを支持すると公言しており、万人の平等を訴えている。「LGBT+ Celebrity」(LGBT+のセレブ)賞にはカーラ・デルヴィーニュ、デミ・ロヴァート、サラ・ポールソン、一昨年カミングアウトし昨年同性婚したコルトン・へインズらがノミネートされた。多くの部門の中、「Best Destination」(最高の目的地)賞にはデンマークのコペンハーゲンやスペインのマドリードなどとともに日本の東京もノミネート入りを果たしている。それぞれの部門の勝者は「ブリティッシュLGBTアワード」の公式ホームページで行われる一般投票によって決まる。「Evening Standard」によれば、授賞式の主催者はLGBTの代表的存在であるエルトン・ジョンやケイトリン・ジェンナーをVIPとして招待することを計画中だという。また、リッキー・マーティンは「インターナショナル・アイコン」賞の受賞が決定しているため、出席する可能性が高そうだとのこと。(Hiromi Kaku)
2018年02月08日日本では、”LGBT”とくくられることが多い、セクシュアル・マイノリティ。徐々に認知度も上がっており、さまざまな活動を見ることがあります。このセクシュアル・マイノリティですが、海外では ”LGBTI” や ”LGBTIQ” と呼ぶことが多いです。”LGBTIQ”は、”Lesbian(レズビアン)”、”Gay(ゲイ)”、”Bisexual(バイセクシュアル)”、”Transgender/Transsexual(トランスジェンダー/トランスセクシュアル)”、”Intersex(インターセックス)”、”Queer/Questioning(クィア/クエスチョニング)” の頭文字を取ったもの。どういった表現にするか多くの議論があるなか、今回は、KUROさんからお話をうかがいました。彼は、”I” にあたるインターセックスでもあり、”G” にあたるゲイでもあるのです。当事者として活動する彼の思いとは。インターセックス、KUROさんが抱える ”クラインフェルター症候群” とは【多様な性、LGBTの世界】vol. 8インターセックスとは、性分化疾患ともいいます。性染色体や生殖器、解剖学的な性の発達が多くの人とは先天的に異なる状態です。これは、さまざまな症状を持った、おおよそ70種類の疾患をまとめた総称であり、どのような状態であるかは人それぞれです。前述した通り、性染色体や生殖器など身体的な特徴を表すものであり、生まれたときの身体の特徴で男性か女性かにわけにくかったり、曖昧であったりもします。また、インターセックスは身体的特徴に注目したものなので、生まれた身体と性自認が異なる ”トランスジェンダー” や ”性同一性障害” とは異なります。そのなかでも、KUROさんが抱えているのは ”クラインフェルター症候群”。男性の性染色体はXY、女性の性染色体はXXですが、KUROさんの性染色体は1本多く、XXYです。XXXYのように、Xの数が2つ以上多いという方もいらっしゃいます。ただ、診断の機会があまりないため、なかなか気づきにくいという面もあります。男性不妊のうちのひとつ、無精子症の原因になるので、不妊症の検査で判明するという方が多いようです。クラインフェルター症候群は、さまざまな症状を包括した名前です。一般的には、第二次性徴が完全に起きないことが多いですが、程度は人によって異なります。髭や体毛が少なかったり、手足が長かったりすることが多いようです。これは、第二次性徴から胴体の成長が止まって手足が成長することが原因です。KUROさんのように性染色体がXXYである子どもは、男児660人に1人の確率で生まれてくるといわれています。”男性らしくない男性” に見られたり、”どこか幼さが残った男性か女性” のように見られたりすることも。心臓に先天性の異常があったり、広汎性発達障害といった、社会的に生活を送りにくいとされる障害を伴う方もいらっしゃいます。また、体が弱くて病気にかかりやすい部分もあり、社会的にも身体的にも困ることがあるといいます。ここからは、KUROさんの体験談をお話します。まずは、当事者の声を聞いて ”知る” ところから。聞き慣れない単語かもしれませんが、”知る” ことが当事者の辛さに寄り添う第一歩になるのです。32歳のときに、僕自身がクラインフェルター症候群であることを知った僕の場合、第二次性徴が完全に起きなくて、髭は生えず体毛が薄かったです。見た目が男性らしくなく、とても悩んできました。実は、23歳のときに肺気胸を患ったのですが、肺に8か所も穴が空いてしまったのです。そのときにも、クラインフェルター症候群だと医師が気づくことはありませんでした。そして、32歳のとき、会社の健康診断で血液が異常に少ないと診断されたのがきっかけで、今まで感じてきた違和感を知人に打ち明けたのです。そこでたまたま教えてもらった ”当事者グループ” の人たちに話を聞いてみて、自分と同じ悩みを持った人がいるのだと知りました。泌尿器科で染色体検査をするようすすめられ、そこでクラインフェルター症候群だと初めて診断が降りたのです。知る機会がほしい、もっと認知されてほしい。当事者として感じてきたこと僕自身、当事者であるにもかかわらず、クラインフェルター症候群やインターセックスについての知識を教えてくれるものがあまりなかったように感じます。生きていくなかでさまざまな苦悩がありながらも、原因がわからないということが多いのです。僕は男性の体に生まれましたが、”男性らしくない男性” に見られることがストレスになっていました。親から「男らしくしなさい」と言われたり、社会からどう思われているかを過剰に心配してしまったりしたからです。”中性的" で、"女性にも見られることがある外見" から、公衆トイレや銭湯を利用したときに、ほかの利用者から苦情を受けることもよくありました。クラインフェルター症候群発覚後も、専門の病院がないことで非常に苦労しました。体力がなく、体調も崩しがちだった当時。当事者グループの人たちから併発しうる病気を教えてもらったときに、骨粗しょう症が気になりました。そこで骨密度を調べてもらいにいったのですが、かなり低くなってしまっていたのです。医師からは男性ホルモン治療をすすめられていましたが、男性ホルモン治療を受けると急に ”男性らしさ” が出てきます。ずっと一緒に生きてきた自分の体が変わってしまうのが怖くて、その治療に踏み切れずにいました。骨粗しょう症発覚もあり、どんどん悪くなっていく体調に不安を覚えるように。女性ホルモンのほうが骨密度を上げるという情報もあったため、僕は女性ホルモンでの治療を望みました。しかし、戸籍と反対の性ホルモン治療を受けるには、性同一性障害(GID)の診断書が必要になります。僕は、”女性化” したかったのではなく、長年ともに過ごしてきた体を変えずに、健康的な生活を送りたいと考えていました。希望した女性ホルモンの治療を受けるため、ジェンダークリニックに通い、GIDの診断書をもらおうとしました。しかし、”女性化” の意志が全くなかったので、診断書はもらえませんでした。骨密度や体調を改善したい。だけど、診断書がもらえない。そういった状況に焦りを覚えました。そして、自分で女性ホルモンを個人輸入し、自己判断で使用してしまうように。結果、骨密度は上がりました。しかしながら、胸が出てきて服に困るようになってしまったのです。そんなとき、良い病院に巡り会って、男性ホルモンに切り替えるようアドバイスされたのです。泌尿器科の病院で男性ホルモンの治療をしたいと伝えても、「うちは専門じゃないから他の病院に行ってください」と言われることがよくありました。でも、専門の病院がないというのが現状。どこに行ったら良いのか途方に暮れてしまいます。結果的に僕は、男性ホルモンで治療を続けています。治療を始めてから7年が経ちますが、ここまでくるのに長い道のりだったと感じます。さまざまな人を受け入れられる社会に。認知度と理解を高めたい現在は、認定NPO法人グッド・エイジング・エールズで、インターセックスとゲイの当事者として活動しています。インターセックスについての勉強会も行っており、認知度と理解を広げられたら、と考えています。僕以外の当事者と話していても、大変な思いをしているのだと肌で感じます。”中性的” な外見からいじめに遭ったり、「生まれたことが悪いんだ」と思っている人までいるのです。また、僕同様、自己判断でホルモン治療を行ってしまう人もいます。専門の病院がなく、当事者への情報も少ないのが現状です。自己判断はとても危険なので、専門の病院ができるよう望んでいます。LGBTの認知度は徐々に高まっているように思いますが、インターセックスについてはまだまだ低いでしょう。当事者自身、発覚するまでに時間がかかり、悩んでしまうという事実もあります。LGBTはもちろん、インターセックスについてもより認知度が上がり、理解される社会を強く望んでいます。さまざまな人が笑顔でいられるために、僕自身、活動を続けていきたいと思っています。〜LGBTのバトン〜今回は、KUROさんにお話をうかがいました。次のお話は、パンセクシュアルでトランス女性の、しゅんかさん。工学分野の研究者で、認定NPO法人グッド・エイジング・エールズでは ”OUT IN JAPAN” の受け付けなどをしています。大学生の頃、バイセクシュアルでトランスジェンダーだとはっきりと自認したそう。26歳のときにパンセクシュアルという言葉を知り、”パン” に ”全ての” という意味があるのだということも知ったそう。”性別の枠を超えて人を愛する” といったステキな言葉だと感じ、まさに自分の性的指向に合致していると思い、それからはパンセクシュアルだというように、自分のセクシュアリティを紹介しているそうです。Information認定NPO法人グッド・エイジング・エールズ(C)NataliaDeriabina/Gettyimages(C)wutwhanfoto/Gettyimages(C)monkeybusinessimages/Gettyimages(C)jacoblund/Gettyimages
2018年02月03日「3,216ページのすべてに目を通した4年間……。辞書作りに、少々飽きたところです(笑)」 そう語るのは、『広辞苑改訂の責任者である、岩波書店辞典編集部の平木靖成さん(49)。“国民的辞書”といわれる『広辞苑』が、10年ぶりに大改訂。内容を見直し、“第七版”として発刊された。 ’55年に発刊された『広辞苑』は、今年63歳!日本でもっとも売れている半面、日本一クレームの電話がかかってくる辞書と言われる『広辞苑』。還暦を超えて、どんな変化を遂げたのだろうか――。 「第七版の改訂作業がスタートしたのは’13年末。日本語として定着した言葉、これからも使われていくと思われる言葉を選びました。あらたに加えた言葉は1万語ですが、約10万語の候補のなかから選び抜きました」(平木さん) 新規に収録されたのは「自撮り」「LGBT」や「東日本大震災」「安全神話」「ブラック企業」など。世相を映した言葉だという。 「その結果、第六版から140ページ増えましたが、厚さは変わっていません。製本機械の限界である8センチという厚さに収まるように薄い紙にしたうえで、言葉の意味の説明の字数を削り、表現を磨く作業を続けたからです」(平木さん) 入社2年目から、辞書作りひと筋。三浦しをんの小説『舟を編む』(光文社文庫)の、辞書編集部員である主人公のモデルともいわれる平木さんは、辞書の話になると、少年のように目を輝かせた。 言語学者で杏林大学の金田一秀穂教授(64)は、辞書作りの大変さについて次のように語る。 「いろんな辞書を作っていた父(国語学者の故・金田一春彦氏)は『愛』という言葉がいちばん大切だと話していました。普通の人は、辞書の最初のページに出てくる『愛』を調べて、その説明が、その人にぴたっとハマると、喜んでくれるはず、と。そこで父は一生懸命、愛について考えていました。でも『愛とは何か?』と言われたら、膨大な説明が必要。ページ数が限られているなか、すべて書くわけにはいかないから、いつも頭を悩ませていました」 第七版の執筆者の1人として名を連ねている、日本語学者の顔をもつ自称“辞書芸人”で漫才コンビ「米粒写経」のツッコミ担当・サンキュータツオさん(41)は、こう続ける。 「『広辞苑』といえども『恋愛』という形のない概念には“正しい意味”や“正しい用法”が存在しないということです。それでも、限られた文字数のなかで、誰もが納得できるように、客観的に解釈をしようとします。そこには、書いた人の情熱や人間味が必ずにじみ出るものです。たとえば学校の先生に『恋愛とは?』と聞くと、『するもんじゃない』という人もいれば、『最高よ』という人もいます。なかには『若いころは気をつけなさい』という先生がいるかもしれません。それと同じように、辞書で『恋愛』をひくと、辞書を作った人それぞれの“恋愛観”が見え隠れするのです。なかでも、何度も見直しを経て、多くの編集者や読者によって磨かれた『広辞苑』の解釈は、単なる言葉の“意味”を超えた、恋愛で迷ったときの“道しるべ”になるかもしれません」 愛に迷い、多様な意見が乱れ飛ぶネットの中に答えを見つけようとしても、心は揺れ動くばかり。『広辞苑』の研磨された「愛」や「恋」の解釈に、肩の力が抜けたり、勇気づけられたりする人もいるかもしれない……。 「愛」とは何かを問い続け、「恋」の意味に翻弄された人たちが、磨き上げた言葉がずっしり詰まった「広辞苑」。――どうりで重いはずだ。
2018年02月01日