「街頭に立っていたら『あ、フリー素材の人だ!』って声をかけられますね(笑)。それにアイドル時代のファンの方が応援に来てくださったり。それも私たちが草加市と南区、別々の地域の街頭で挨拶しているのに、行き来してくれる方々もいるんです。遠方から何人も来てくれることもあって……。励みになりますし、本当に有難いですね」こう語ったのは来る4月に行われる埼玉県議選に、双子で立候補する中村みかと中村りか(共に36)。もともと“脱サラ”後に、双子のヒップホップ・アイドルユニット「Mika+Rika」を結成した2人。’14年12月には「自分たちのことをもっと知ってもらおう!」と思い、写真の肖像権や著作権を放棄し日本初の“フリー素材アイドル”に。すると、ホームページが一時サーバーダウンするほど大きな反響を呼んだ。さらに’19年2月からは“グリーンバックアイドル”としての活動もスタート。これは緑色の背景を背負った2人が企業に直接訪問し、要望に合わせてポーズをとって撮影。そして、企業側は撮影した写真を好きに切り取り、合成して広告などに使うことができるというもの。すると、その画期的なアイデアが認められ’19年にはカンヌの広告賞『カンヌライオンズ2019』Social&Influencer部門や『釜山国際広告賞2019』Promotion Use of Promo&ActivationUse of promotional部門で銅メダルを受賞。さらに『Spikes Asia 2019』Outdoor部門でも入賞を果たすなど、Mika+Rikaの名は世界に轟くこととなった。そんな前代未聞の活動を続けてきた2人だったが今年1月20日、突如Instagramで埼玉県議選に「日本維新の会」から出馬することを表明。それもみかは南第一区草加市から、りかは南第十区さいたま市南区から立候補する予定で、“双子で挑戦”という異例中の異例だ。2人は現在、議員秘書としての生活を送りながら選挙に向けて政治活動を行なっている。りか(以下・R)「朝は6時から8時30分まで駅で挨拶をしています。日中は歩いたり自転車に乗ったりしながら地域を回っていて『何かお困りごとはありませんか?』と声をかけたり。選挙カーに乗りながら街の人に『こんにちは!お疲れ様です!』と話しかけることもあります」みか(以下・M)「私もりかと同じで、朝から晩までずっと話しかけたり挨拶したりしています。ほぼ24時間、毎日必死に声を出しているので、いきなり声が出なくなっちゃって。風邪かなと思っていたんですが、病院に行ったら『声の出し過ぎです』と(笑)。アイドル時代は歌やお芝居をしていましたが、これほど声帯を休める時間がないのは初めてのことです」■“政治家転身”はコロナがきっかけりかは「地域の方とお話しているときは『困っていることがあれば何から何まで聞かせてください!』という気持ちです」と話す。人々とのやり取りのなかで、地域の問題点に気づかされることもあるようだ。R「例えばお子さんがいる世代だと『教育費がかかります』『うちは家計が厳しいのよ』という声を聞きました。お年を召した方だと『体が弱くなってきて歩けないから、この辺りにバス停があったらいいのにな』『道が凸凹してるから直してほしい』といったもの。あとは『あそこの電球切れてるよ』とか(笑)。様々な声があります」M「アイドルの時から人前で話す機会が多かったので、地域の方に話しかける時も人見知りすることはあまりないですね。私は一方的に話すのではなく対話を大事にしているのですが、これもアイドル活動で培ったものだと思います」アイドルから政治の世界に飛び込んだと聞くと、唐突な方向転換だと思ってしまうがーー。なぜ、2人は“政治家転身”を目指しているのだろうか?M「きっかけはコロナでした。もともと私たちは市のPR大使を務めていて、市政や行政と関わる機会が多く、アイドルとはいえ政治の世界に近い場所で活動していました。市長を始め市議会議員の方など地域を支える方々とご一緒する機会が多く、そんな方々の情熱や取り組みの大切さを知りました。でも、その矢先にコロナ禍になってしまって。市に関するイベントが少なくなり、タレントとして地域にできることもどんどんなくなりました。私たちはあくまでも仕事を依頼されるという受け身の立場。『もっと主体的に地域と関わりたい!』と考えていたら、日本維新の会と出会い、そこで政治家を志すようになりました」2人は「りかはTwitterで、自分が政治家としてやりたいことをツイートしているので『政治のことをすごく勉強しているんだな』と焦ることがしょっちゅうあります」「みかに『どんな活動してるの?』と聞いて、自分が取り組んでいないことだったらハッとしますね」といい、それぞれの存在が刺激になっている様子。最後に、これからの展望について明かした。「私たちはアイドル時代同様、親しみやすい政治家になりたいんです。他の政治家さんと比べて、私たちは庶民派。肩書きや地位といった看板や地盤、そして金銭の入った鞄、いわゆる“三バン”があるわけでもありません。だからこそ、庶民的な感覚で皆さんの声を届けられるような地元密着型の政治家になりたいなと思っていますね。立候補する地域が違うので、2人の間にライバル心はありません(笑)。“双子で当選”が今の私たちの目標です」
2023年03月25日「まさかカンヌを受賞できるなんて考えたこともなかったです。大きなグリーンバックを背負って街を歩くから秋葉原で警察に止められるし、見た目が滑稽だから『お笑いに転身したの?』って訊かれたりして。でもこれでやっと趣旨が伝わったのかな。ほんと、やっててよかった!」こう語るのは、双子ユニット・Mika+Rikaだ。14年12月、「もっと知ってもらおう!」と肖像権や著作権を放棄し“フリー素材アイドル”になった2人。ホームページが一時サーバーダウンするほど大きな反響を呼んだ。今年2月からは「グリーンバックアイドル」という新プロジェクトを開始。それは緑色の背景を背負って、町を歩き企業に直接訪問。要望に合わせて2人がポーズをとるというものだ。撮影者は写真を好きに切り取り、合成できるという。そんな自由な発想が認められたMika+Rikaは、なんと6月に開催されたカンヌの広告賞「カンヌライオンズ2019」のSocial&Influencer部門でブロンズを受賞したのだ!Mika(以下・m)「フリー素材は、こちらがアップしたものをダウンロードしていただくという形なんです。すると『好きなポーズを指定したい!』『オーダー型はないの?』といった声をたくさんもらって。それで『グリーンバックアイドル』を始めたんです」Rika(以下・r)「グリーンバッグを背負って街を歩いたりするときに、お金の発生しない活動だからマネージャーさんを呼ぶのも悪くて。代わりにウチの母親を連れていたんですよ(笑)。荷物持ちとかカメラマンをやってもらったりして」m「親っていうとダサいから、会う人には『マネージャーです』って嘘ついて(笑)。母も『報われた!』って喜んでいます。何より、私たちを使ってくれたりSNSで広めてくださったりした方々に感謝です」カンヌだけでなく、アジアの広告賞「PR AWARD ASIA 2019」も同月に受賞。その数日後にはPR大使を務める地元・埼玉県三郷市のイベントで、市民たちとともに挑戦した“本交換数”でギネス記録を更新!Mika+Rikaはいま、世界規模でその名を轟かせている。もともと姉のMikaは商社に勤め、妹のRikaはシステムエンジニアだった。脱サラをしてまで芸能活動を始めたのは「お世話になった映画監督の死」がキッカケだという。m「大学生のとき映画に出演したしたんですが、上映が始まったすぐのタイミングで監督が亡くなったんです。その後、就職してたくさんお給料をもらったりするうちに『私はこのままでいいのかな』って……。そんななか、休みの日にたまたまRikaとステージに立ったら人事のかたに『副業は禁止だから』と指摘されて。それで監督の三回忌に『やめなきゃ始まんないしな』と思って辞めたんです」Rikaも後を追い仕事をやめた。2人はラップユニットとして13年11月にCDデビューを果たしたが、当初は順風満帆とはいかなかったようだ。m「いやぁ、全然地獄でしたよ。とにかく全然目立たなかった。1,000万回くらい後悔しました」r「三重県まで夜行バスで8時間かけて行って、やっとステージに立てるかなって時に『バックダンサーやってくれ』っていわれて。結局歌わせてもらえないどころか紹介もされず、それで終わり(笑)。でもその頃は、呼んでもらったことが嬉しかったんです」「フリー素材になる」という宣伝方法はスタッフとの会議で決まった。「余計に仕事がなくなるかも」と不安になったようだが、“フリー素材アイドル”はSNSを中心に大ウケとなった。m「ホームページの空いたスペースで自分がバナーを募集してたり、もらったティッシュの裏にRikaがいたり(笑)。ありがたいことです」r「フリー素材アイドルを始めたことでデザイナーさんや、IT系のクリエイティブ志向の方々にも知ってもらえて。今までだと知ってもらえなかった層に届いてるのがすごく嬉しいです」写真集やCDも無料で“販売”するという徹底ぶりからさらに知名度が上昇。16年11月にはXperiaのCMに出演し、テレビやラジオの仕事が舞い込んだ。くわえて2人はトークスキルを活かし、講演会にも引っ張りだこだという。r「この前も自治体の方に向けて、フリー素材を提供するプロジェクトについてお話ししました。広報誌を作るにしても、予算がないそうなんです。でも『予算がないなかでも宣伝したい』って、私たちがフリー素材を始めたキッカケと同じなんで応援したくて」m「講演会で話すうちに三郷市のかたに出会って、それがキッカケでPR大使が決まったんです。そのお陰で、ご老人やファミリーのかたにも知っていただけました。イベント司会のお仕事も、今後はもっとしていきたいな」一卵性双生児だが、「目や鼻の形、唇の薄さが違う」と話す2人。カンヌを受賞した後の“次の野望”には、こう声を揃える。「せっかく海外の賞をもらったんで、いつか世界各国にグリーンバックを背負って行きたい。世界中の人たちに私たちを撮ってもらって、使って欲しいです!」
2019年07月18日