2023年10月18日、人気ドキュメンタリー番組『プロジェクトX~挑戦者たち~』(NHK)が18年ぶりに復活することが、発表されました。サンケイスポーツによると、『新プロジェクトX挑戦者たち』として、2024年4月から、新シリーズが放送されるとのことです。旧シリーズは、2000年4月から2005年12月までの約5年半にわたり放送。『戦後復興』や『高度成長』をメインテーマに、無名の人々の知られざる活躍を描き、人気を博しました。新シリーズでは、『失われた時代の挑戦』に焦点を当て、平成から令和への約30年に改めて目を向けて、現代の挑戦者たちの情熱と秘話が届けられます。ナレーションは、旧シリーズに続いて、俳優の田口トモロヲさんが担当。田口さんはNHKを通じてコメントを寄せているとのことです。田口は同局を通じてコメントを寄せ、「『プロジェクトX』の再開!?とにかく驚いています!かつての『プロジェクトX』に登場した人々の中には、家族にすら、自分の成し遂げた仕事を話さなかった人が多くいました。誰かに話すのではなく、名誉や栄光のためでもなく、自分だけの魂の誇り。そんな誇り高き無名の人々を、再び紹介出来ると思うと背筋の伸びる思いです。はたして新しい世代の方々にどう伝わるのか?不安と期待を抱いて挑みたい」と意気込んでいる。サンケイスポーツーより引用人気ドキュメンタリー番組の18年ぶりの復活に、SNSでは喜びと期待の声が相次いでいます。・令和版『プロジェクトX~挑戦者たち~』、めっちゃ楽しみだな。・これは期待。テーマ曲が気になります。・田口トモロヲさんのナレーションで『プロジェクトX~挑戦者たち~』が再開するの、マジで嬉しい!なお、MCやテーマ曲については現在検討中とのこと。SNSでは旧シリーズのテーマ曲である『地上の星』、『ヘッドライト・テールライト』を歌った、中島みゆきさんを期待する声も上がっています。これまで数々の『挑戦者たち』の活躍を描いてきた、『プロジェクトX~挑戦者たち~』。平成から令和へ時代が変わる中で、現代の『挑戦者たち』の誇りや情熱がどのように描かれるのか、期待したいですね![文・構成/grape編集部]
2023年10月18日2人兄弟を育てるゆーとぴあさん。2歳児健診で長男は言葉が遅いと発達相談を受けます。次男は言葉の遅さに加えて多動傾向があるものの、健診では問題なしとの診断に納得がいかず、保育センターの親子教室などに自主的に参加して幼稚園に備えました。入園当初こそ不安要素がいっぱいの次男でしたがすぐに幼稚園に慣れ、ひと安心。しかし、担任の先生から問題行動の報告があり、発達医療センターに行くように言われ、長男もほぼ同時期に発達医療をすすめられて、就学のため小学校の特別支援級を見学。次に受けるウィスク検査(IQテスト)でほぼ決まるという長男の就学先は、普通級という結果に。すると園長は不服な様子で次は次男の検査をすすめてきてーー。病院から兄弟2人の診察予約が取れたという連絡が入り、次男の担任の先生に報告すると安心した様子。さらに診察結果はすぐに連絡するように伝えられました。予約も診察結果も頻繁に状況確認をしてくる幼稚園。何をそんなに急いでいるのでしょうか? 医師「僕もADHDなので」ーーえ、そうなんですか? ※adhd→ADHD(一般的には大文字で表記されます)※親がADHDの場合、その子どももADHDである可能性は非ADHDの親の場合と比べると5~10倍高いと言われています。親がADHDの場合、50~80%(平均70%)の確率で遺伝するという研究結果もありますが、ADHDは遺伝要因だけで発症するわけではなく、環境要因も組み合わさるとされています。 病院(児童発達センター)を予約してから半年、診察日に兄弟2人を連れて行ったゆーとぴあさん。1時間以上の待ち時間を経てようやく診察室へ。 じっとすることが苦手な次男はすぐに部屋から出てしまうので、スマホを見せようとすると、弟ばっかりズルいと長男。次男はそういう子だから仕方ないと言い聞かせますが、いつもガマンしている長男は納得いきません。結局、次男はプレイルームで待機。 その様子を見ていた医師が、長男は自分はルールを守るのに弟は許されることに矛盾を感じており、それが長男のかんしゃくの一因になる可能性もあるため、ルールは守ったほうがいいと言われます。 ほんの数分で兄弟の状況を見抜く医師に感動するゆーとぴあさん。他に何か困っていることはないかと聞かれ、忘れ物や落とし物など注意不足の傾向があり、自分自身がそうであるため、長男は遺伝かもしれないと思っていると伝えました。 「長男くんは多分ADHDで、ママもそうなんじゃないかなと思います」発達障害の6割は遺伝だと言われていると伝えられ、なんと医師自身もADHDだと聞きゆーとぴあさんは驚くのでした。 ◇◇◇ 幼稚園のすすめにより児童発達センターの診察を受けにきたゆーとぴあさん。兄弟2人を連れてくるのは大変でしたが、医師による兄弟それぞれの特性を見抜いた適切な言葉に感動します。これまで相談しづらかった悩みについて、この先生ならじっくりと耳を傾けてくれそうなので、いろいろ話せるといいですよね。 小児科専門医の松井先生によると、「多動傾向、注意欠陥等の症状は小児科外来でもよく見かけます。ご両親も似たような性格だと感じたり、ご自身もADHDだとおっしゃる方もいらっしゃいます。医師の中にもADHDの人がいて、そういう人は新しいことに積極的に取り組まれており、それはADHDの良い面でもあります。主人公のお子さんも大変なこともありますが、良い面もあることをみてあげることが大切です。周囲の人が困ってしまったり、本人もつらい思いをするのであれば、服薬するのもひとつの手段。それで楽になれば自己評価も高くなり、周りの方も安心するでしょう」とのこと。薬などの使用も選択肢に入れて、ゆーとぴあさん親子が少しでも楽になるといいですよね。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。次の話ゆーとぴあさんの連載は、以下のサイトからもご確認いただけます。ぜひチェックしてみてくださいね。 監修者:医師 神奈川県立こども医療センター 産婦人科 松井 潔 先生 著者:マンガ家・イラストレーター ゆーとぴあ
2023年10月16日生まれた時から寝ない赤ちゃんだった娘。インターネットで検索すると「発達障害」の言葉が…わが家の自閉スペクトラム症(ASD)のある娘、しぇーちゃん(現在8歳)は、生まれた時から1時間以上はまとめて寝ない、母乳もミルクもあまり飲まない、立って揺らさないと泣き止まないという育てづらい赤ちゃんだったのですが、「手のかかるタイプなんだ」と思い子育てしていました。娘が生後1ヶ月の頃に「赤ちゃん寝ない」と検索すると発達障害関連の記事が表示されるので、早い段階で発達障害や自閉スペクトラム症という単語には出合っていました。それでも発達障害への確信に至らなかったのは、娘はかなりの人見知りで私と離れると泣き、後追いもよくしていたからです。例えテレビに夢中になっていても、私がトイレへ行くと毎回ハイハイでついてきたり、夕飯づくりで夫が面倒を見ている時も泣いて私を呼んでいました。今なら、発達障害の特性の現れ方は人それぞれということが分かるのですが、当時の私は、「人見知りや後追いがあるのだから、きっとこの子は発達障害じゃない……」と自分に言い聞かせていました。Upload By マミヤ生後10ヶ月で抱いた強い違和感。外出が怖くなり、娘と家に引きこもる日々しかし、生後10ヶ月で歩き出してから、だんだんと私の中で娘の発達に対して強い違和感を覚えるようになります。あんなに人見知りで後追いをする娘が、外へ出ると道端の石や階段やマンホールに夢中になり、私の存在など「動きを邪魔してくるモノ」という感じなのです。多動で手も繋がないし、呼んでも無視、目も合いません。帰りたがらないので毎回泣き叫ぶ娘を抱っこして連れて帰りました。家の中での娘は私にべったりなのに……外へ出ると別人のようになるのです。後から主治医の先生に言われましたが、娘は「人より物への興味が強い」という特性があるため、外では「たくさんの刺激になる物>母親」の構図になるようです。この特性は現在もしっかり残っています。なので公園に行っても「人より物」な娘はそこにいるお友達には興味がありません。むしろ公園へ行く手前のマンホールで砂を落とすことへ執着して公園へたどり着かずに帰宅することもありました。多動対策にベビーカーや抱っこ紐で公園へ向かう作戦もしましたが、信号で止まると脱出しようと暴れて泣くのでなかなか上手くいきませんでした。そして私はだんだんと娘と出かけるのが怖くなり、極力家に引きこもって日々を過ごしていました。保健師の叔母の言葉で娘の育てづらさを再認識。発達相談へUpload By マミヤある日、保健師をしている親戚の叔母さんから電話がありました。世間話をした後、叔母さんから「しぇーちゃんもあちこちお出かけして……子育て支援センターとかでお友達とたくさん関わらせたりいろんな人に会うといいよ。良い刺激になるからね」と言われました。その時は曖昧な返事をしましたが、内心「簡単に言うけど、私以外に話しかけられたら泣く、お友達に興味がない、外では多動で私の声が届かないし、帰る時は毎回泣いて帰れない……どうやって人と関わらせたらいいの!?支援センターなんてハードルが高くて行けないよ」と泣きそうでした。そして気楽に言われたことさえも「無理なこと言わないで」と思ってしまうほどの娘の「育てづらさ」を認識し、この時「娘は発達障害かもしれない……」という考えが頭をよぎりました。その後、娘は1歳半健診で要観察になりました。そこから逆さバイバイ、クレーン現象、オウム返しなどが出てきて「この育てづらさと自閉スペクトラム症の特徴、これが発達障害じゃなかったら逆に困る!」と思うほど確信を持って、娘が2歳になる前に保健所に自ら電話をかけ、発達相談の予約を取りました。保健所に連絡をして療育施設へ通所するようになってからの味方がいるような安心感、同じ仲間がいる心強さ……家にこもり親子2人でなんとか日々を過ごしていた時期を考えると、もっと早く発達相談をしたら良かったと思います。「発達障害」という診断がつくのは正直怖いという思いもありました。でも娘の現状を直視せず「この子は普通」と思い込みながらの子育てのほうが私にはつらく、娘の障害を認めてからのほうが笑顔でたくさん接することができるようになったと思います。Upload By マミヤ執筆/マミヤ(監修:新美先生より)1時間以上まとめて寝られないとは、生まれた時からとても大変でしたね。生後1ヶ月で発達障害や自閉スペクトラム症の単語に出合っていたとはさすがです。発達障害、自閉スペクトラム症などで調べると、インターネット上の記事や書籍には、いろんなタイプの発達障害・自閉スペクトラム症のお子さんの特徴が網羅的に書いてあるので、後に診断を受けるお子さんでも「すべてに当てはまる」と思われることはまずないようです。なので、「ここはうちの子に当てはまっているけど、こっちは違っているから、発達障害ではない」などと思ってしまうというのもよくあることです。それでも、お子さんをしっかり育ててよく観察をしているからこそ、やっぱり「育てづらいタイプの子どもだ」と感じられて、発達相談にアクセスできたのですね。発達障害の特性のあるお子さんは少数派ではありますので、そのことに気付かず子育てをしていると、周囲に理解してもらいづらく孤独感を感じることもあります。マミヤさんが書かれているように、発達相談・療育につながることで、仲間を見つけられて、お子さんに合った関わり方が分かり、親子の笑顔が増えたのはとてもよかったです。詳しく教えていただきありがとうございました。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年10月16日環境の変化が苦手で聴覚過敏が強い娘。避けて通りたいNO.1行事は運動会!わが家の10歳の娘は、小3から不登校を選んでいます。6歳で自閉スペクトラム症、ADHDの診断を受けた娘は、元々は「積極奇異型」で、知らない人にもガンガン話しかけていくタイプでした。しかし、幼稚園や小学校で合わない環境で無理をさせたためか過剰適応が激しくなり、周りに合わせられない自分に劣等感を持つようになりました。家庭では、ユーモア溢れる好奇心旺盛で明るい様子の娘なのですが、外では感覚過敏や不安が強くなるという面があります。そんな性格の娘なので、幼稚園の頃から行事が苦手でした。特に運動会!人が多かったり普段と違う環境が苦手であり、また聴覚過敏もあるため、運動会はできたら避けて通りたい行事NO.1でした。集団行動を重視する幼稚園に入園。初の運動会前から癇癪が激しくなり、園に相談したら…幼稚園入園の際、発達障害の知識が全くなかった私は、(就学に備えて集団行動に慣れさせるほうがいいだろう)と、多動傾向が強い娘を集団行動を重視する幼稚園に入園させました。入園直後から毎日激しく行き渋り、無理やりバスに乗せる日々。娘はさぞかしストレスを感じていたと思います。そして運動会前になると練習で疲れているのか、帰宅後にひどい癇癪を起こすようになりました。Upload By ユーザー体験談幼稚園に相談したのですが、みんなと同じようにやるということを大事にしている園だからなのでしょう、心無い言葉を投げかけられてしまいました。配慮を受けるどころか、逆に娘に練習を無理強いするような形になってしまいました。もちろん癇癪は増える一方……。そして運動会当日、娘が出るお遊戯の時間では、最初だけは少し踊っていたのですが、すぐ踊りもやめぼーっとただ立っているだけ……。(このままずっと立ってるだけなのかな……)と固唾をのんで見守っていると、急にしゃがみこんだと思ったら、園庭の砂をいじりだしました。(ああ、やっぱりお遊戯は難しかったか……)と思いました。Upload By ユーザー体験談ただ、年少さんの時はほかにも同じようなことをしているお子さんも多かったため、私自身はあまり問題に感じなかったのです。きっと来年には成長して参加しているよね、というくらいでした。特別支援学級では、教室の床にステップの足型と番号のシールを貼ってダンスを特訓その後、年中の運動会では目立ったことはなく無事に終了、年長ではリレーでの入場直前に大泣きして断固拒否!結局不参加となりました。この頃には娘に特性があるかもしれないと分かっていたので、就学相談を経て、娘は少人数で個別対応してもらえる特別支援学級に入学しました。これでどうにかやっていけるかと思ったのですが、娘は学校という場に馴染めず、入学後まもなく行き渋りがはじまり、小3からは完全な不登校となりました。聴覚過敏のため学校のどこにいてもうるさいと感じてしまうことや、触覚過敏で教科書やノートや粘土などさわれないものが多いことも、学校がつらい原因だったと思います。ただ、特別支援学級では手厚く見てくださり、小1のときの運動会前は通常学級より早くからダンスを教えていただくことができました。教室の床にステップの足型と番号のシールを貼るなどの工夫をして教えていただいたおかげで、苦手なダンスも覚えることができた娘。苦手ながらも前向きに取り組むことができ、この年が一番自信をもって臨めた運動会だったと思います。Upload By ユーザー体験談聴覚過敏も不安も強いため、運動会自体は楽しくはない様子でしたが、コロナ禍で短時間の運動会だったためどうにか乗り切りました!運動会で倒れてしまった娘。娘が書いた渾身の作文には……。小2では、前年の様子を踏まえてくださった先生から、自分の出番以外は空き教室で過ごすことを提案していただきました。これ幸いと、運動会中は私が付き添って教室で過ごし、出番の時だけ入場門に連れて行って参加することができました。無事参加できてよかったと思ったのも束の間、自分の番だけでも極度に疲れてしまった娘は、教室に戻る時にはぐったり……。そして床に倒れ込んでしまいました……。こんなに疲れてしまっていたなんて……娘にとって運動会は本当に、本当につらいものなのだと、可哀そうになりました。もっと理解しなければと、運動会に出ること自体を見直した方がいいと思いました。Upload By ユーザー体験談そして運動会後、娘は「運動会」をテーマに作文を書きました。内容は「運動会がどんなに嫌だったか」。その渾身の文章からは、本当に嫌で嫌でたまらなかった娘の気持ちが伝わてきました。先生からは気持ちがよく書けていると褒めていただきました。これもあって、翌年は運動会自体を欠席してもよいのではないかと先生とは意見が一致。(もう一生この子の運動会は見られないかも……)と思うと、寂しい気持ちがないことはないのですが、娘にとって運動会はただのつらい行事です。娘が今後運動会に参加するつらさを味わわなくていいことのほうが、よほど喜ばしいことでした。現在不登校の娘、今は親子でハンドメイド作家として活動中!小1・小2の頃は行き渋りがありながらも、担任の先生が娘の気持ちに寄り添ってくださる方だったので、休み休みどうにか学校に通えていました。しかし、小2の終わりでその先生が異動されてしまうと娘はどんどん学校に行けなくなり、小3の6月から完全に不登校になりました。現在の娘は、家で安心して過ごせているようです。そして、家にいる時間を利用して親子でハンドメイドを始めました。娘とのハンドメイドの時間は楽しく、かけがえのない時間です。今では親子でハンドメイド作家として毎月イベントに出店するようになりました!娘にとって運動会はつらい行事でしかありませんでした。小3では「運動会に出ましょう」と言われるのではないかと不安に感じていましたが、特にそのようなこともなく、親子ともにほっとしました。娘には感覚過敏や自分の特性を理解して受け入れて、自分に合う環境を選んでいけるようになってほしい。そして、自分のやりたいことを自分で見つけて、めいっぱい人生を楽しんでもらいたいと思っています。私も娘によりそい、できる限り支えていきたいと思います。イラスト/keikoエピソード参考/MIKKO(監修:鈴木先生より)ASDのお子さんは、園の発表会を皮切りに小学校では運動会の嫌いなお子さんが多いようです。特に同じことを繰り返す練習の嫌いなことが多いのですが、さほど練習していなくてもASDのお子さんは本番には強いという特徴が見られます。こういう行事が嫌いな理由の一つに大勢の人が来て見られるのが嫌という対人恐怖や視線恐怖(社交不安症)があります。日頃からクラス代表で発表したり、日直をしたりすることが苦手なことが多いのです。周りから注目されるのを嫌う傾向があります。また比較的多い理由のもう一つに音過敏もあります。特に運動会はピストルの音やスピーカーで流れる大音量の音楽やマイクのキーンという音などを特に嫌がります。おまけとして運動会後に疲れのせいか不登校になるケースも多々見られます。ただでさえ2学期は期間が長いので行事も多く疲れやすいのです。特に起立性調節障害を併存しているお子さんには馬力がないため不登校が多くみられます。運動会の嫌な子には文化祭という選択肢があってもいい時代にそろそろなってきたのではないでしょうか。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年10月14日つま先立ちはしていたけれど平均的な成長をしていた【0~3歳の頃のスバル】0~3歳の頃のスバルは、平均的な時期におすわりやハイハイをし始め、歩行や階段上りも気になる点はありませんでした。自閉スペクトラム症と診断されてから振り返ると、発達障害の特徴として耳にする『つま先立ち』をしていた時期もありました。しかし、スバルはハイハイより先にブリッジで移動していたし、おうち用のジャングルジムはかなり上手だったので、つま先立ちに関しても「人とは体の使い方が違うのね。もしかしてアスリート系かしら?体操教室に通わせなきゃ」くらいに思っていました。※編集部注:DSM-5、ICD-11訳語案では「発達性協調運動症」の名称に変更が予定されていますがこの記事では、一般的にも使われることが多い「発達性協調運動障害」の名称も合わせて使っています。参考:発達障害(はったつしょうがい)|e-ヘルスネット運動会のダンスで不器用さを感じ始めた【年少の頃のスバル】幼稚園に入園してからもお絵かきや塗り絵はちょっと前衛的すぎるかなと思ったりもしましたが、遊具の階段やロープは登れていたし、個人個人の成長の差が激しい「年少クラス」という空間では、スバルの不器用さは飛び抜けて目立つものではありませんでした。最初に「おや?」と思ったのは運動会のダンスでした。右を向くべきときに右を向き、腕を上げるべきときに腕を上げていましたが、一人だけやたらと可動域が狭い感じの省エネダンスをしているように見えました。自信がなかったり、恥ずかしそうにしたりしている園児の中にはそんな風に踊る子どももいましたが、スバルの顔は自信に満ちあふれていたので違和感がありました。そして、そのダンスの中でスバルが両足ジャンプをできていない事に気がつきました。当時通っていた療育の先生から、発達障害のある子には不器用な子どもも多いと聞いていたので「これがそうなのかな」と思いました。両足ジャンプは仲良しの年長さんが何日もかけて熱い指導をしてくれたおかげで年少の終わりにマスターしました。発達性協調運動障害(発達性協調運動症)という言葉を知った【年中の頃のスバル】年中になるとダンスの振りつけはもちろん、工作やお絵かき、粘土など、出されるテーマの難易度がぐっと上がりました。使う材料や道具も増え、工程や指示も難しくなりました。得意な子はもちろん、苦手な子もなんだかんだでこなしている中、スバルだけついていけていない気がしました。芸術に正解はないので、でき栄えについては「何をつくったのか分からないけど超かわいい」としか言いようがありませんが、とにかく道具が使えないのです。筆、はさみ、縄跳び、楽器はもちろん、日常生活の中でも服のボタンやファスナー、お弁当包みなど、あらゆることにサポートが必要でした。年少の頃は年齢的に不器用な子どももたくさんいましたが、年中になってクラスメイトたちの成長に置いていかれる形でスバルのできないことが目立つようになりました。この頃、インターネットで『発達性協調運動障害(発達性協調運動症)』という言葉を知り、本を探して読みました。ダンスや縄跳びなどの協調的運動、ボールが投げなどの全身運動、ボタンやファスナーなどの微細運動がとても不器用な障害……。読めば読むほどスバルのことが書いてあるようで一人で納得しました。実際に『発達性協調運動障害』と診断され、作業療法士のリハビリに繋がるのは小学3年生になってからになりますが、私はこの時からスバルには『発達性協調運動障害』があると思って接し、幼稚園や学校にも配慮をお願いするようになりました。Upload By 星あかり「みんなと一緒がいい」【年長の頃のスバル】クラスメイトの中では、飛び抜けて不器用さが目立つスバルですが、練習を繰り返すことで年齢相応とはいかないものの、できることが増えていきました。スバルにはとにかく長い目で見て、スモールステップで成功体験を積み重ねていくことが合っているようでした。しかし幼稚園では、難しいことは先生にマンツーマンでサポートしてもらっているという状況でした。入園時には想定していなかったサポートが出現してしまい、先生へ負担をかける申し訳なさから、私は現状をどうにかしたいと思っていました。スバル自身も自分だけできないことが多い現実を目の当たりにし、「みんなと一緒がいい」と口にするようになりました。不器用を自覚したうえで、自分一人だけが先生や友達に手伝ってもらっている状況を恥ずかしがっているように見えました。それならばと考えたのが擬態作戦でした。例えば、小さいボタンつきの幼稚園指定のスモックなら、同色のボタンのない首回りがゴムのタイプに変えてしまい、飾りとしてボタンをつけました。これならスバルが自分で着られるので、生活の中のほんの一部ですが人に手伝ってもらうことが減り、喜ぶかと思っていました。しかし、スバルは浮かない顔をしていました。そして「みんなと一緒がいい」と言うのでした。ナイスアイデアだと思ったのに、もうどうしたらいいの……。ダメもとでスモックのボタンを、スバルが自分でとめられるスーパー特大サイズに変えることを提案しました。見た目が大きく変わってしまうので、どうせ「みんなと一緒がいい」と却下されるのだと思っていましたが、なんと「いいね」との答えが返ってきました。スバルの「みんなと一緒がいい」は「みんなと一緒のように見せかけたい」のではなく「みんなと一緒のことができるようになりたい」だったのです。それから擬態作戦の一環としてお弁当包みも『ハンカチで包んでいる風の巾着』に変えていましたが、元のハンカチに戻しました。そして試行錯誤の結果、見栄えは悪くなりますが四隅をマジックで派手な色に塗りました。バッテンしてくるりと間を通すのが難しかったようですが、通す部分の色が違うことで感覚ではなく目で見て通せるようになりました。その日スバルは、仲良しの先生を見つけるたびに、お弁当を包む姿を披露して回っていたそうです。見栄えの悪いハンカチを持つ格好悪さよりも、自分でできるようになった格好良さが勝ったのでした。Upload By 星あかりスバルと私の成長スバルの本当の気持ちを知ってから、見た目がみんなのものと違っても『自分一人でできた』という達成感を味わえるように工夫しました。最初から折り目をつけた折り紙、冬でも短い靴下、前と後ろが分かるように印をつけた体操服、加工した縄跳び……。幼稚園生活の全てが自分一人でできるようになったわけではありませんが、「少し工夫すれば自分でできることがたくさんある」という気づきは自信に繋がったようです。自信をつけたスバルは挑戦を怖がらなくなりました。そして、できないことに直面したときに先生や友達に「教えて」「手伝って」と助けを求めることも、目的を達成するための方法の一つと思えるようになりました。小学生になった現在も「なんでみんなと同じようにできないんだ」と落ち込むこともありますが、努力したり自分で代替案を考えたり、ときには人の手を借りベストを尽くしています。執筆/星あかり(監修:室伏先生より)スバルくんの運動発達のご様子について詳細を共有くださりありがとうございます。スモールステップで成功体験を積み重ねていくこと、とても大切ですよね。自己肯定感を育むためには、褒められることももちろん大事なことですが、実際に自分でできた!という達成感の積み重ねが不可欠です。年齢的にできてほしいことではなく、その子の発達段階で努力すればできること、あるいはちょっと難しいかなということにトライさせてあげられる環境や工夫、そして焦る気持ちをじっとこらえて見守ってあげる姿勢が大事なことのように思います。みんなと一緒のことができるようになりたい、というスバルくんの向上心を大事にして、お母さまが行われたスーパー特大ボタン作戦、本当に素晴らしいと思います。お母さまが試行錯誤してスバルくんの気持ちに向き合われた結果、スバルくんの真意を知ることができたのですね。全てを自分一人でできなくてもいいのです。代替案や工夫により自分でできること、必要な時には自分で人に助けを求めることでできることも、自立です。一人でできることを目標にするのではなく、自己肯定感、工夫を考える力、人に助けを求められる力を育むことを大事にしてあげたいですね。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年10月13日小学校入学まであと1年!加配の先生なしでやっていける?しのくんは発達障害グレーゾーンの男の子です。現在5歳で、保育園の年長クラスに通っています。しのくんは言葉が遅く、集団行動も苦手だったこともあり、年少から加配の先生がついていてくれました。しかし今年の4月、年長クラスに上がったタイミングで、しのくんに加配の先生がつかないことになりました。Upload By keikoUpload By keiko加配の先生なしで大丈夫か心配でしたが、加配の先生がつかなくても集団行動ができるようになったという先生の言葉を聞いて、しのくんの成長を感じてとてもうれしかったです‼︎来年の春からは、いよいよ小学生になるしのくん。加配の先生がつかなくても集団行動ができるようになったとはいえ、まだまだ不安な私です。就学先をどうすればいいのか分からなかったので、定期的に発達相談や療育のために通院している病院の先生に、就学に向けて発達検査の予約をお願いしたところ……。Upload By keiko「保育園で集団行動ができているんだったら、大丈夫じゃない?もう発達検査もいらないんじゃない?」と言われて「そうなの!?」と驚きました。そして先生は続けて、「もし発達検査を受けたとして、結果の数値が低くても、集団行動ができていれば大丈夫」だとも……。病院と保育園の意見が真っ二つ!途方に暮れた私は…ところが、病院で言われたことを、後日保育園の先生にも相談したところ、「保育園としては発達検査を受けてみてほしい」と言われてしまいました。病院と保育園から違う意見を言われて、どうしたらいいんだろう?と悩んでしまった私は、今度はしのくんが通っていることばの教室の先生にも相談してみました。すると、「2歳4ヶ月から検査を受けてないし、どれだけ伸びたか検査は受けてみたら?」と言われたので、就学先の参考にするために、検査を受けることになりました。約3年ぶりの発達検査。しのくんの様子は?Upload By keiko発達検査の日、しのくんは検査を担当する先生と2人っきりで教室に入りましたが、検査中2回出てきてしまいました。戻るよう促すとすぐに教室へ戻りましたが、この行動も検査対象かと思うと気が気じゃありませんでした。そして発達検査の結果、「総合指数は通常といえる範囲内だけれど、言語・社会性の面で発達に遅れが見られるので、声かけなどの支援は必要になりそう」と言われました。発達検査の結果を見て、支援者の先生たちの意見は?ただ、この結果を受けて「通常学級でやっていけるのか、それとも特別支援学級のほうが良いのか」については、ことばの教室の先生も、療育の先生も、なんとも言えないということでした。そのため、ちょうど保育園の面談を7月末に控えていたのもあって、集団生活の様子を一番よく見ている保育園の先生に相談して決めましょう!ということになりました。就学先の希望提出の締め切りは7月末、面談も7月末……。悶々としながら保育園の面談の日を迎えたのでした……。Upload By keiko執筆/keiko(監修:新美先生より)現在進行形のお話をご提供くださりありがとうございます。一般的な考え方として、保育園・幼稚園という環境の中で、年少から年中、年長と学年が上がるにつれて、環境に慣れてくることで入園当初よりも集団生活の中で落ち着いて生活できるようになり、年長頃には加配保育士の支援ニーズが下がってくることはよくあることです。これはもちろんお子さんの成長という側面もありますが、もう一方で「園生活の枠組みに慣れてきた」という面が大きい場合もあります。環境に慣れるのに時間がかかるタイプの場合、年長で落ち着いて過ごせているようでも、保育園から小学校という大きい環境の変化に直面し、小学校入学後に不安や落ち着きのなさ警戒心が悪化して、集団生活に苦労するようになるということは、決して珍しいことではありません。これを踏まえると、年長で加配保育士がつかなくなった=就学にあたっての支援ニーズが軽減したとは言い切れないと思います。このため、多角的な観点で就学に備えてアセスメントして、準備していくのがよいと思います。keikoさんが、病院の先生に「発達検査もいらないんじゃない?」と言われたのにもかかわらず、あえて発達検査を受けて、就学に向けた相談を多方面にしていったことはよかったのではないかと思います。検査の結果だけで決められるわけではないですが、いろんな観点から考えていくことで、就学に向けてどう準備していったらよいか見えてくるのではないでしょうか。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2023年10月13日発達障害の長男は、赤ちゃんのときから「寝ない子」でした。長男を産む前の私は、子どもは一度寝たらぐっすり寝るものだと思っていましたし、寝付くときも30分ぐらいで寝るものだと思っていました。しかし、いざ育児が始まると現実はあまりにも違っていたので、もしかしたら長男は「寝ない子」ではないかと感じるようになりました。そのときの私の思いや、長男が寝なかった理由などについてご紹介します。とにかく寝なくて大変だった乳児期長男は生後6カ月から保育園に入ったのですが、30分ぐらいしか昼寝をしないので保育園の先生がとても心配するほどでした。家でも授乳中には寝るものの布団に寝かせるとすぐに起きてしまうのです。1歳を過ぎても昼も夜もなかなか寝付かず、2時間近くゴロゴロ転がってばかりで全然寝ないので、私のほうがだんだんイライラ……。長男が寝ないことへのストレスと、成長への影響の不安がどんどん募っていきました。 寝なくてもいいやと発想を変えた結果1歳を過ぎてもあまりに寝ないので、疲れ果てた私は発想をガラリと変えてみました。保育園に行くために夜8時半には寝かせたかったのですが、寝る時間にこだわることをやめました。 それまでの私は、長男を寝かしつけたあとに、家事を済ませたり自分の時間を過ごしたりしていたのですが、それをすべて夕食後にすることにしたのです。そして夜10時になったら長男と一緒に寝てしまうスタイルに変えてみました。お互いに好きな時間を過ごせるようになったので、私のストレスも減っていきました。 長男が寝たくない理由とはその後しばらく経って、長男が年長のときに寝なかった理由を聞いたことがあります。理由は2つありました。1つ目は、「音とか光が気になって眠れない」、もう1つは、「起きていれば、もっとおもしろいことがありそうだから」でした。なるほどと思いました。長男は感覚過敏があり、蛍光灯が苦手です。そして音にもとても敏感なのです。起きている間は自分の興味のあることに熱中しています。私が起きていれば、長男も「何かおもしろいことを見つけて遊べる」と思っていたのでしょう。 小学5年生になった今でも、睡眠時間は少ないほうだと思います。「子どもは早く寝るもの」という大人の理想に当てはめず、長男のペースに合わせることで、私の気持ちが「寝られないものは寝られないんだ」と割り切ることができました。感覚過敏がある、発達障害という特性があることで、当時は不安を感じてしまっていたのです。寝る時間が少ないということは、理想の生活習慣を身につけるには本当は良くないのかもしれません。しかし、長男の成長を信じてやっていこうと思っています。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 監修/助産師 松田玲子著者:川本 千華発達障害の長男、兄が大好きな次男を育てる2児の母。元ピアノ講師。自身の経験を活かし音楽・発達障害に関するライターとして活動中。
2023年10月12日Upload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイ赤ちゃんなのに歩行器で暴走。危な過ぎて歩行器はすぐ処分Upload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイわが家は母である私・ワッシーナを筆頭に、家族のほぼ全員が個性いろいろな発達凸凹タイプです。それぞれの特性をキャラクター化しており、動物の顔をしています。わが家で3番目に生まれた次女リスミーは、赤ちゃんの頃は夜泣きも人見知りもせず、ベビーベッドや畳の上でよく動き回る元気な女の子でした。上の子に比べてずいぶん育てやすい子だなという印象でした。生後半年が過ぎてハイハイができるようになったので、上の子が使っていた歩行器に乗せてみることにしました。すると歩行器にリスミーを乗せたとたん、ものすごい勢いで床の上を滑り回り、椅子や壁にぶつかりました。あぜんとする私の前で、リスミーを乗せた歩行器はどんどんスピードアップして、ふすまの小さな段差に激しくぶつかり、ひっくり返りそうになりました。リスミーを追いかけていた私は、リスミーが床に投げ出される寸前で、歩行器を止めることができました。ちょっとした恐怖体験でしたので、私は慌てて歩行器を処分しました。その日以来、速すぎるリスミーの動きには気を配るようにしていました。雑踏で迷子になっても楽しそう。母はトラブルに巻き込まれないか心配にUpload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイ幼児期になるとリスミーは好奇心の強い、行動的な女の子に育ちました。ある日のショッピングセンターでのエピソードです。当時、子どもたちを連れて大型ショッピングセンターに出かけると、駐車場から出てショッピング・フロアに着くやいなや、4人の子どもたちはクモの子を散らすように、あっという間に駆け出していました。そうなると私はショッピングセンターの広いフロアを走り回って、子どもたち一人ひとりをつかまえることになります。落ち着きのない子どもたち4人全員を連れて買い物などできるはずがないのに、私は忘れっぽいので、何度でも同じ判断ミスをしてしまいます。もう二度と私一人で子どもたちを連れて買い物をしないと毎回心に誓うのですが、次の瞬間には忘れてしまうのです。その日も、いつものように走り回る子どもたちをつかまえましたが、次女リスミーだけが、どういうわけか見つかりません。途方に暮れていると館内アナウンスで迷子の案内がありました。「◯◯ちゃんと仰る3歳くらいの女の子をお預かりしています。保護者の方は~」というような内容でした。リスミーは、発音がたどたどしくて慣れない人には聞き取りができないので、違う名前がアナウンスされましたが、私はすぐに本人だと分かり、サービスカウンターに駆けつけました。すると迷子のはずのリスミーは、事務用椅子をクルクル回して楽しそうに笑っているのです。大泣きしているのではと心配して駆けつけた私はエンジョイしている様子のリスミーを見て、一気に力が抜けました。あとから聞いた話では、リスミーは自分からサービスカウンターにやってきて、スタッフの方に自分から「迷子です。お母さんを呼んでください」と伝えたそうです。この子はもしかして恐怖心がきちんと機能していないのではないか、と逆に心配になりました。大学病院で診断を受け、言語聴覚士のトレーニングを受けるUpload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイ4歳になったリスミーは、約2年後に小学校入学を控えていました。ところが私には大きな悩みがありました。リスミーはこの時もまだ言葉がはっきりせず、特に「かきくけこ」の「か行」は発音できないままだったのです。そのため私は彼女の言うことの半分も聞き取れませんでした。私は、発音のたどたどしいリスミーがこのまま小学校に入学してしまうと、からかいや、いじめの対象になってしまうのではないかと恐れました。そのため、いろいろ調べて紹介状を入手し、大学病院を受診したところ「構音障害」であると診断を受けました。私は長女ニャーイの時から心の中に持ち続けていた疑問を確認してみました。「リスミーは発達障害ですか?」と聞いたのです。すると担当医は「まだ幼過ぎて発達障害の診断はできません。リスミーちゃんの構音障害は個性です。でも何もせずに放置しておくと、成長しても発音がうまくできなくなるかもしれないので、トレーニングをしましょう」との答えでした。それから定期的に通院し、言語聴覚士の指導のもと、さまざまなトレーニングを受けました。口や舌の体操をしたり、バ・タ・カ・ラの音をゆっくり繰り返し発音したり、ストローでコップの水を吹いたりしました。幼い時から始めるほど療育は効果が高くなる!?Upload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイ通院で発語トレーニングを受けながら、言語聴覚士からは「自宅でもリスミーちゃんの言葉を聞き返したり、言い直したりは決してしないでください」と念を押されていました。家庭での指示を守りつつ、1年ほどトレーンングを続けていましたが、リスミーの発音には特に大きな変化が見られなかった、ある日のことです。リスミー、ニャーイ、私の3人で食事をしていると、いきなりリスミーが「ぱっぱすばすば」と言いました。聞き返すことを禁じられていたので、私はとても困りました。「ぱっぱすばすば」が何を意味するのかまったく連想できず、途方に暮れて、リスミーの隣の席のニャーイの顔を必死の形相で見つめ、SOSを出しました。するとニャーイは涼しい顔で、さらっと某アニメ映画のタイトルを答えました。この映画は家族みんなで観たばかりだったので、私も覚えていました。リスミーに向かって「おもしろい映画だったね。また観ようね」と声をかけました。すると、リスミーはうれしそうに笑いました。私は会話がつながったことに胸をなでおろしました。やがて小学校入学の直前でリスミーは課題だった「かきくけこ」がしっかり発音できるようになり、小学校に通い始めました。リスミーは発音がいまいち正しくないところがありましたが、私は「これもリスミーの個性」と捉えていました。また本人も「これはリスミー語なの!」と言っています。リスミーは、成長とともに発達凸凹の特性が目立ってきましたが、思春期に入ったあたりからは、トラブルの度に自分の工夫で乗り越えることができるようになっていきました。これは、きっと、わが家で一番低年齢から福祉や医療の支援に繋がり、専門家のトレーニングを受けたおかげだと思います。執筆/ラクマ/ワッシーナ/ニャーイ(監修:森先生より)好奇心旺盛で、困ったら自分から大人に助けを求めることができる利発さがあるお子さんなのですね。良さをしっかり理解して伸ばしてあげていて素晴らしいです。構音障害も個性の一つとしてとらえながら適切なトレーニングを積み重ねてこられたので、お子さんは自信を持って成長することができたのでしょうね。トラブルを工夫して乗り越えることができるようになるためには、根本的な自信を育てながらトレーニングを重ねる必要があるのです。早くから専門家に相談することは、トレーニングを早期に開始できるという意味でも、保護者がお子さんへの接し方を学ぶという意味でも、とても良い効果があるのです。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2023年10月10日年少の運動会、突っ立っている長男現在小学6年生で発達障害グレーゾーンの長男にとっての初めての運動会は保育園でした。1~2歳児(満年齢。以降同様)は保護者との参加で、この時は一緒に楽しくできました。3歳児以降になると、かけっこやダンスがあります。長男はかけっこはなんとか走りましたがダンスはやろうとせず、ボーッと突っ立ったまま終わりました。私たち夫婦は「ははは、やってないね」「緊張してたのかな?」などと微笑ましく見ていたので特に気にしていませんでした。しかし、主任保育士に発達の遅れを指摘され、療育センターを薦められたのがこの1ヶ月後くらい(年少の秋)でした。Upload By 星河ばよ保育園最後の年、忘れられない運動会それから毎月1度、保育園の後に療育センターに通い、年長の時には月に2度通いました。保育園の頃の長男はみんなで一緒に何かをするというのがどうしても気分が乗らず(例えば保育園での毎朝の体操、朝礼で園長先生のお話を聞くなど)、その場にしゃがみ込んだりすることが多かったようです。運動会ではボーッとしているのがわが子のスタイルなんだなと、年少の頃から夫と共に見守ってきました。幸いママ友にも「どうしてやらないの?」「やれるようになるといいね」とか、担任の先生にも「長男くんがやらなくて困っています」とか言われることはなく、同様に見守ってくれたことはありがたかったです(先生は長男が療育に通っていることは知っています)。そしてとうとう年長の運動会。私はいつも通り「長男はダンス競技はやらないんだろうな」とぼんやり考えていたのですが、長男はこれまでとはまったく違っていました。みんなとおそろいのポンポンを手にし、一生懸命にダンスしていたのです。目の前の光景が夢みたいでした。たまに動きがみんなと逆だったりしたけど、「保育園最後の運動会、みんなと一緒に頑張ろう」という長男の気持ちを感じてうれしかったです。その時のダンスの曲を聞くと、今でも当時のことが鮮明に思い出されて胸が熱くなります。Upload By 星河ばよ小学校の運動会ではすっかり小学校の運動会ではボーッと突っ立っているということはなくなりました。みんなとおそろいのポンポンやフラッグを持ったり羽織を着たりして、一生懸命に動いています。そんな姿を見るたびに「うそー、保育園の頃はやってなかったのに……」と涙ぐんでしまいます。今思い返しても、保育園の先生や療育センターの先生は、気分に波のある長男に教えたり指導したりするのはきっと大変だったんじゃないかと思います。それでも根気強く導いてくれてありがたいと思いました。おわりに運動会での様子を見て、「この子はやらないんだな」と他の子と比べてあきらめていた時期もありましたが、ある時突然スイッチが入る。そういうこともあるんだなと思った出来事でした。「ゆっくりいこうよ。長い目で成長を見守っていけば大丈夫」と、あの時悩んでいた自分に伝えたいです。Upload By 星河ばよ執筆/星河ばよ(監修:初川先生より)長男くんの運動会での様子の成長の歴史をありがとうございます。運動会という行事そのものに慣れたり、何をやるのかの理解と体をどう動かせばそうなるのかの理解と実際とが一致したり。さまざまな成長によって、これまでできなかった競技に取り組むようになることはありますね。ご本人の成長もそうですが、そこに至るまでの先生方の教え方の工夫やおそらくご家庭での運動会への話題をどう出すか出さないかあたりの工夫なども相まっての変化なのかなと思います。一方で、何年経っても苦手なままなかなか取り組めないお子さんもいます。子どもがどこでどのような成長を見せるかは予測しきれないものがあります。お子さんの成長の邪魔にならぬよう、しかし、いつの日かぐっと成長するよう耕し、種をまき、過度な期待は寄せすぎず……ということを地道にやっていくことが大事ということなのだろうと思います。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2023年10月10日幼稚園に入園して最初のトラブル発達障害があるわが家の娘は現在24歳です。娘には小さな頃から変わることのない『やっかいな特性』がいくつかあります。その中のひとつに『他人のルール違反が許せない』というものがあり、それが原因で幾度となくトラブルが勃発していました。最初のトラブルは娘が幼稚園の年少の時でした。娘のクラスメイトに、じっとしていることが苦手で保育中にドアを開けて外に出ていってしまうお子さんがいました。担任の先生もそのお子さんを注視していましたが、その子は一瞬の隙をついては脱走を繰り返していました。娘はそのことが気になり止めようとするのですが、当然幼稚園児の娘が静止できるはずもなく……。結果、保育室内で娘がその子を追いかけたり、静止を嫌がるその子が娘にかみついたり、そのうちどちらかが扉に指を挟んだりと、カオスな状態となってしまっていました。しばらくしてそのクラスメイトの子が転勤で引っ越し、転園したので娘は落ち着きを取り戻しました。幼稚園年長の時も、注意をしては小競り合いに年長の運動会で、ふざけて前に出ようとするクラスメイトを娘が止めようとしているうちにお互いエスカレートし、先生が娘とそのクラスメイトを離す、という場面がありました。ほかにも、まだ幼くて周りの言うことが聞けないお友達の弟(やんちゃ系年少さん)に、娘が注意をしようとしては小競り合いを起こす、ということもありました。小学校ではもみ合いとなり備品の破損も低学年の時には、落ち着きのない児童を娘が注意した結果、もみ合いとなり学校の備品を倒して壊してしまうといったこともありました(わざとではなかったので弁償ということにはなりませんでしたが)。高学年になると娘も“注意をするのは先生”ということを理解していたので、自分から誰かを注意することはなくなりました。しかしながら特定の生徒から過度な干渉(いわゆるいじめ)があり、執拗に絡んでくる相手の行動に過敏に反応するといったことがありました。人づき合いに苦労した中学~高校の頃自分から誰かの行動を非難したりすることはありませんでしたが、苦手な人とのつき合い方に娘は苦労していました。特に押しが強い相手やしつこい相手との距離の取り方は、受動型の娘にはとても難しかったようです。学校という狭い世界の中では避けることができないケースもあり、将来のためにと親や学校の先生方がアドバイスをしたり、時には間に入って手助けをしたりしていました。社会人になってからは学生時代に比べ社会人になると周りも大人ですし、人間関係もドライになります。娘は社内でルール違反をする人が気になったこともあったようですが(特にメンタルが不安定な時)職場での困り事は自らジョブコーチに相談をしていました。周りが介入できないSNS上のトラブル入社してしばらくして娘はSNS上のトラブルが原因で体調を崩しました。どうやらSNS上で“間違った発言や行動をしていると娘が感じる人”の様子を目にして憤りを感じていたのだそうです。SNSを見なければ良いだけなのに一度気になってしまうとその人のことが気になって仕方がなくなってしまうようでした。娘はもう、親がスマートフォンを取り上げることができるような年齢ではありません。私たちは時間をかけて娘自身が理解できるように話をし、最終的に本人が納得したうえでインターネットに制限をかけることにしました。しかしながら体調が戻って一年ほどすると娘は「もう平気。今回は大丈夫だから」とインターネットの利用制限の解除を求めてきました。そして再びインターネット上のトラブルが原因で体調を崩してしまいました。「あぁ、やっぱり」これが当時の私の正直な気持でした。この時、娘はグループホームに入居していたので、相談は私よりも先に支援者にしていました。でも娘は体調不調の一番の原因がインターネットでのトラブルであるということを支援者には言っていませんでした。私は娘に言いました。「あなたは幼稚園の頃から常に“気になる人”がいて、注意しに行っては自爆していたよね? ほら幼稚園の○○君、小学校の××君、中学校の□□さん、昨年のネットトラブルの△△さん。覚えてるでしょ?」「学校や会社の避けられない人間関係は仕方ないけど、ネットは明らかに自分から見に行ってるよね。それがあなたの特性で仕方がないのかもしれないけど、今回が初めてじゃないでしょ?自らトラブルに巻き込まれるようなところに突っ込んでいくのはもうやめようよ。幼稚園や学校では先生、会社ではジョブコーチが相談にのったり指導をしてくれるよね。でもネット上のトラブルには誰も介入できないし助けることはできないよ。もうそろそろ学ぼうよ」娘は「それがなかなか難しい」と言います。このようなトラブルは娘が元気(元気すぎてハイになっている?)時に起こることが多いように感じます。まとめ障害のある子どもの子育ては本当に一筋縄ではいきません。かれらは何度も何度も同じようなことを繰り返します。やけに記憶力が良くて過去のことを鮮明に思いだしてフラッシュバックを起こしたりする一方で、過去の出来事が全くなかったかのような振る舞いをしたりもします。近くで接する親はそのたびに大きなダメージを受けます。私はこれまでも何度も言ってきたことを再び娘に言います。「世の中にはいろいろな人がいることは分かってるよね。『自分が正しいと思うこと』と『相手が正しい思うこと』が違うこともあるんだよ。あなたの物差しでジャッジして相手を変えようとすることで、自分のメンタルを崩しちゃうのってもったいと思わない? まぁこういう私の考えも、あなたに“押しつけること”はできないんだけどね」本人の意思を尊重しつつ、本人が自分の特性とのつき合い方や折り合いを身につけるまで、私たち親は根気よくつき合っていくしかないのだとつくづく思います。それでもグループホームに入居している今は、支援者の方々も娘の日々の生活について一緒に考えてくれるので、娘が自宅にいた頃に比べ親の精神的な負担は格段に減ったと感じています。Upload By 荒木まち子(監修:井上先生より)発達障害のある人たちの特性やこだわりのなかで他人のルール違反が許せないという方は少なくないと思います。頭のなかで「あの人はルールに反している」と考えるだけならよいのですが、実際にその人に対して直接行動を起こすとトラブルの原因になることがあります。ルール違反を見ないようにしても目についてしまった場合、直接相手に行動を起こすのではなく、上司や管理者に対して報告する、親御さんを含め支援者やカウンセラーに相談するなどの対処法を取れるよう本人も練習していく必要性があるかもしれません。報告や相談をしても相手の行動は変化しない場合もあるかもしれませんが、「自分は対処した」という納得が得られるように援助していくという方法です。もう1つの方法として、頭のなかに「あの人はルール違反をしている」という考えが浮かびやすい自分の特性を理解したうえで、この考えを否定せず頭のすみにおいたままにするという練習もあります。マインドフルネスなどの活用も考えられます。ご参考になれば幸いです。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2023年10月08日小学1年生:字がきれいに書けない!長女が通っている小学校では、低学年の国語の課題と言えば「字を正しくきれいに書く」ことがメインでした。しかし、長女にとってはこれがとても難しかったのです。1年生のひらがなの書き取りでは、長女の書く文字は芯がないというか、なんだかフニャフニャした字形になっていました。担任の先生にも毎回訂正をされていて、書き取り用のノートは真っ赤になっていました。でもこの時の私は、長女に知的な障害があるとは全く気づいておらず、「字はきれいな方がいいかな……」といった程度にしか考えていませんでした。Upload By 吉田いらこそこで私は長女を硬筆の習い事に通わせることにしました。長女本人の意思ではなく、無理やりだったので本人のやる気はもちろんゼロ。長女は講師の先生とお話をするのにもかなり緊張していて、数ヶ月通っても一向に上達しませんでした。ある日、硬筆の習い事に行く前につらそうな表情をしている長女を見て、なんだかかわいそうな気持ちになってきました。別に小学校低学年の今頑張らなくても、成長していけば次第に字をきれいに書けるようになるかもしれない。本人がきれいに書きたいと自覚を持ったら書き方が変わるかもしれない。そう思って私は長女の硬筆の習い事を退会させることにしました。もう行かなくていいと知った時の長女のうれしそうな顔………。本当につらかったのだなと思いました。現在中学1年生になった長女ですが、相変わらず書く文字はフニャフニャとしています。字をきれいに書くことがいいこと、きれいに書きたいと本人が思える日が来た時にはまた練習を頑張るかもしれませんが、今はまだこのような状態です。Upload By 吉田いらこ小学2年生:算数の習い事が続かない長女は4歳の頃から自学自習形式の塾に通っていました。受講していた科目は算数と国語で、最初は簡単なひらがなや点つなぎからスタートする教材でした。最初はゲームのようで面白かったようですが、だんだんと難易度が上がるにしたがって、通うのを嫌がるようになりました。長女がとくに難しく感じるようになったのは算数で、単元の難易度は小学2年生の足し算くらいだったと思います。塾だけが特に早い進度ではなく、学校の授業と同程度の進度でしたが、長女にとってはつらかったようです。とうとう、習い事の日は泣き出すようになってしまいました。ここでもう少し言い聞かせて習い事を続けていたら、もしかしたら算数を好きになっていたのかもしれませんが、小学2年生の頃に退会しました。私の中で、泣いてでも頑張らせた方がいいのか、判断がつかなくなってしまったのです。現在は知的障害の診断を受けたので「算数の習い事、そりゃあ難しかっただろうね、つらかったね」と思いますが、当時はこれでいいのかとモヤモヤしたことを覚えています。Upload By 吉田いらこ現在中学1年生の長女が通っている習い事は、バイオリンと個別の学習塾の2つです。学習塾については毎回文句を言いながらも通っています。塾には行きたくはないけれど本人の中で「中学生は勉強するもの」という認識があるので仕方なく、といった感じでしょうか。いっぽうでバイオリンは本人が希望して始めた唯一の習い事で、こちらは楽しそうに通っています。本来の習い事とはこういう楽しいものをやるべきなんだろうなと思いつつ、「もう少し勉強にも興味をもってほしいな」と親としては願ってしまいます。執筆/吉田いらこ(監修:初川先生より)長女さんの小学校低学年時の習い事についてのエピソードをありがとうございます。字をきれいに書けるようになるために硬筆を習うことで上手に書けるようになる子もいますが、お手本を見て、自分の書こうとしている升目の同じところから書き始めて、お手本と同じようにマス目の4分割したどこを線が通って、どう曲がったり止めたりして……と字をきれいに(お手本にならって)書くというのは手と目の動きを協応させたり、視覚的な認知や俯瞰する力などが問われるなかなかのマルチタスクです。単に回数をこなせば上手になるわけでもなく、いらこさんがご指摘のように本人のモチベーションもだいぶ必要だろうなと感じます。場合によっては、家で大きな紙に大きく練習したほうが上達の近道になる場合もあるかもしれません。算数や国語など教科学習に関する自学自習の塾も、繰り返して習熟する段階の内容で、かつ、繰り返して学ぶことが向いているお子さんには良いと思います。ただ、そもそもつまずきがある場合は、そこを乗り越えるのが困難なセッティングではあるので、どこかで壁にぶつかることもあるだろうと思います。習い事は本人にとって得られるだろう良きことと、精神的・体力的負担などとのバランスを見ながらご検討いただければと思います。特に低学年の時期は、学校に行って帰ってくるだけでへとへとのお子さんもいると思います。コンディションの悪い状態ではどれほどいいことをしたところで、なかなか良い時間とならない場合もあります。体力や余力のある小学校高学年くらいから始めてうまくいった方もおられます。興味関心、必要性、お子さんの状態やモチベーションなどさまざまな点からぜひご検討ください。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年10月06日子どもらしいと思っていた「好奇心」が、「周り迷惑をかけるもの」という心配事に変化していった乳幼児期現在6歳(小1)の息子は、5歳でADHD、自閉スペクトラム症(ASD)と診断を受けています。好奇心が強く真面目、こだわり強めの息子です。赤ちゃんの頃から息子は好奇心旺盛で、目についたものは触る、口に入れる、ボタンを押す、キッチンに忍び込んで粉類や米をぶち撒ける、トイレに手を入れてバシャバシャする、トイレットペーパーやティッシュを全部出して散らかす……と元気いっぱい!これも成長だと思って、周りに迷惑にならなければどんどんやって構わないと考えていた私は、息子の気の済むまでやらせていました。特別発達面について気になるところはなかったのですが、1歳半健診の時、言葉の遅れについて指摘を受けました。息子は当時5、6個程度の単語(パパ、ママ、ごはん、お水など)と、「ま」の一言でいくつかのものを表していたためです。この健診の流れで個別発達相談を受けるよう提案されたので、以降そちらに通うことになりました。その後、どんどん語彙も増えて行き、ひらがな、アルファベットすら読めるようになり意思疎通も問題なく行えていたのですが、2歳過ぎた頃から、ほかの子どもと比べると、一つの遊びに集中できず、あるおもちゃで遊び始めたと思ったらすぐ別のおもちゃで遊ぶなど、落ち着きがない様子が気になるようになりました。そして3歳以降は好奇心からか公園で知らない大人に話しかけたりしつこく質問するように。また、お友達に噛みつく出来事があったり、お友達が作ったものを壊してしまったり、息子の好奇心が「周りに迷惑をかける」ことが増えていったのです。Upload By ユーザー体験談私は息子からなるべく目を離さず、息子が行きそうだなと感じたらストップをかけ、周りの人たちに気を遣い動く日々を過ごすようになりました。先生「残念な結果になった」。撮影が入りビデオ販売が予定されていた発表会で息子が……幼稚園入園後、息子は集団行動ができず教室から出てしまったり、順番待ち、お遊戯などを嫌がって泣いてしまうことが続きました。毎日のようにお迎えの時に先生から本人の目の前でできなかったことややってしまったことの報告を受けました。迎えに行くといつもニコニコして外を見ていた息子でしたが、次第に窓際には居なくなり、帰りのお支度ができずに教室の端に残されて泣いていることが多くなりました。撮影したビデオの販売が予定されていた発表会で息子が動いたために、ほかの子どもたちの視線がそちらにいってしまい、「残念な結果になった」と先生から言われました。そして、入園して5ヶ月たった頃、年中になると補助の先生が居なくなるので登園しても職員室で過ごすことになるなど、実質退園勧告を受けるようになりました。周りに発達障害の子どもを持つママ友もいませんでしたし、保健所の発達相談で初めて「療育というのがありますよ」と教えてもらったものの、療育のリストはくれましたが詳しいことは教えてもらえませんでした。私も知識が全くなく、どう質問したら良いのかさえわかりませんでした。ひたすら『発達障害』というワードをネットで調べたところ、とにかく療育を受けさせる必要があると思いました。発達支援センターは初回面談が半年以上先、療育はどこもいっぱいで……。でも、ネットで情報を集めて、なんとか空きのあった所に申し込みました。転園先も主にネットで検索し、障害児を受け入れて加配を付けられることを条件に探し、見学と面談をしてそちらに移ることになりました。この幼稚園と療育につながり、私は発達障害への知識を得ていきました。Upload By ユーザー体験談小学校では「ほかの子と違う対応はするべきでない」と断言する担任の先生に落胆そして小学校へ入学、初めは何とか授業にも参加できていたと思っていたのですが、7月に校長、副校長、担任との面談が行われ、「癇癪を起こして授業が止まってしまう」「癇癪の原因は分かりやすいが、ほかの子と違う対応はするべきでない」と担任の先生から断言されてしまいました。面談の席での発言なので、学校側の総意なのだと解釈しました。Upload By ユーザー体験談担任からは入学直後の面談で「特別扱いできない」とも言われていましたので、私もあまり要望はしておらず、全体のルールを変えるなどの対応は不要と伝えてはいました。ですが、個別の配慮もここでは特別扱いになってしまうのかと、この発言を聞いて今のクラスはで息子を受け入れてもらえないのだと落胆しました。私は5月まで授業中に付き添いもしていました。そこでたびたび目にしたのは、先生が何度か注意しても、なかなかやめられないときは校長室まで引き摺られて行き、先生たちから怒られるという場面です。息子は、その経験からまた同じようなことをされるのではないかという恐怖を抱くようになり、学校に対する不安が強くなっています。勘違いされて怒られたこともありました。息子に対して、担任の先生は常にイライラしている様子が伺えました。もう、息子の存在が受け入れてもらえないのだなと感じました。そうこうするうちに、校長から「この学校には特別支援学級がないので、別の学校の特別支援学級を見学してみてはどうでしょうか」とすすめられました。小学校は味方の居ない場所に……。通常学級でがんばる?引っ越す?私がした決断は確かに、息子は衝動性からクラスの子どもを傷つけてしまう可能性がありますし、癇癪で迷惑をかけているということを申し訳なく思っていました。でも、癇癪を起こすのは教室だけです。自宅、療育、通級指導教室では落ち着いて過ごせていました。特性を理解してもらえない、配慮なくみんなと同じように同じことを強要されても、息子には難しかったのでしょう。公立校なのでさまざまな制限があるのもわかりますし、もちろん息子だけに対応するのは難しいことは理解しているつもりですが、面談で話を聞いてとても悲しくなりました。今住んでいる自治体の特別支援学級は情緒学級がなく、知的学級しかありません。情緒学級のある自治体への引越しも考えましたが、すぐには動くことができない状況です。息子は知的面での遅れはなく、むしろ今は勉強したいと意欲的です。できれば配慮を受けて勉強をさせてあげたいのですが、それでも今の学校にいたら、息子の味方が居ない場所で無理をすることになります。担任の先生が配慮しないと断言した以上、苦しい状況にいても成長に繋がらないと考え、本人は嫌がりましたが情緒級の特別支援学級のある自治体へ転校することに決めました。それしか選択肢がないと思いました。Upload By ユーザー体験談息子の心を傷つけてしまった……。いつか楽しい時間が記憶として残る環境に息子を置いてあげたい私は、息子の発達障害を受け入れていたつもりでしたが、どこかほかのの子と同じような経験をして成長して欲しいと言う気持ちがあり焦っていたのだろうと思います。今回、幼稚園に続いて小学校も変わるという経験をさせてしまい、息子の心を傷つけてしまいました。特別支援学級では息子の気持ちをよく考えながらのんびりと成長を見守っていけるようにしたいです。多少のことは笑顔で対応してあげたいです。将来はどうなっていくのか今は想像もつきません。私自身も不安しかありませんし、どう育って欲しいかも具体的に考えられませんが、近い将来、今までの嫌な記憶が少しでも和らいで、楽しい時間を過ごして、それが思い出として記憶に残ってくれたらと思います。穏やかに過ごせる環境に、息子を置いてあげたいです。イラスト/taekoエピソード参考/なのはな(監修:藤井先生より)貴重な体験談を読ませていただきありがとうございます。息子さん、親御さんのお気持ちが伝わってくる内容でした。発達障害があるお子さんへの合理的配慮を推進する法律が施行されたのが、平成28年4月です。しかし、障害のあるお子さんへの合理的配慮が細やかにされているかというと、まだ自治体によっては知的障害がない発達障害へのお子さんへの配慮がまだ行き届いていない様子も伺えます。主治医からの意見書や診療情報提供書などで、学校との連携をとられている方もいらっしゃいます。もし、主治医がいらっしゃる場合には、相談されるのも良いかなと思います。息子さんが少しでも穏やかに過ごせる環境が見つかることを願っています。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年10月05日療育手帳って?発達障害娘は取得できるの?中学1年生の娘は、4歳の時に広汎性発達障害(自閉スペクトラム症)と診断されました。コミュニケーション能力が低く、情報を聞き取ること、自分の考えを口に出してしゃべることが苦手な特性があります。発達障害の診断を受けている娘ですが、療育手帳は持っていません。というより、取得することができませんでした。※「療育手帳」とは、知的障害がある人に発行される障害者手帳です。自治体によっては「愛の手帳」「緑の手帳」という名前で発行されています。療育手帳を持つことで、療育や支援をはじめとしたさまざまな障害福祉サービスを受けることができます。娘は2歳から療育畑を歩いてきました。Upload By SAKURAしかし、恥ずかしながら私は、療育手帳の存在を、娘が小学生になるまで知りませんでした。放課後等デイサービスに通うために必要な「受給者証」というものが、療育手帳と似たようなものだと勘違いしていたこともあります。Upload By SAKURA小学生になると「療育手帳持ってる?」と聞かれることが増え、「あれ?持っていないとまずいものなのかな?」と思い始めました。Upload By SAKURA療育手帳の取得方法を調べてみると……療育手帳の存在をちゃんと知らなかった私は、「取れるものなら取ろうかな」とその時は軽く思いました。Upload By SAKURAあとから知ったのですが、この療育手帳の取得は、親御さんにとって、「障害を認めたことになるようで、取得を躊躇する」ということがあるようでした。Upload By SAKURA私は、グレーゾーンの時から「早く診断名がついてほしい」と思っていましたし、療育手帳の存在は、診断を受けて3、4年経ってから知りました。躊躇することはまったくなく、前向きな気持ちでした。Upload By SAKURAそれから私は、療育手帳を取るため、取得方法を調べました。しかし、知的障害がない場合、療育手帳は取得はできないということが分かりました。※療育手帳は、各自治体によって療育手帳の取得基準や、受けられるサービスが違います。Upload By SAKURAそれ以降も、療育手帳について聞かれる場面はありましたが、「娘の場合、取れないみたいです」と答えていました。その後、娘が小学6年生の時、中学に向けて発達テストを受けることになり、テスト結果と(特別支援学級の在籍に必要な)診断書をもらうため、発達外来の受診をした時、療育手帳について確認してみると……Upload By SAKURA娘は療育手帳も精神障害者保健福祉手帳も取得はできないと言われました。やっぱり……。事前に調べていたので、確認のため……という感じの質問でしたが、帰宅後、私はふと思いました。障害者手帳が取得できない=困りごとがない訳ではないのに……Upload By SAKURAじゃあ……障害者手帳を取得できない娘は……どの位置にいるのだろうか。昔……まだ娘に診断がついていないグレーゾーンの時、発達障害なのか、そうではないのかという、中途半端な位置がとても嫌でした。その時のことを思い出しました。娘は知的障害がありません。IQも通常範囲内。しかし、しゃべれば、言葉の並びがぐちゃぐちゃだし、出てこない言葉も多い。口頭の指示は、一度では絶対に聞き取ることができないし、言われたことを覚えるのもとても苦手で、すぐに忘れてしまいます。Upload By SAKURA相手の立場になって考えることが苦手で、空気が読めないため、信じられないタイミングで、とても感じが悪いことを言ってしまうこともよくあります。自分の中の感情や、思いついた言葉を頭に留めておくことができないので、叱られているのにニヤニヤしてしまったり、一人でぶつぶつと独り言を続けてしまうこともあります。Upload By SAKURA娘は発達障害ではあるけど、障害者手帳を取得する基準にない……。今まで、手帳を持っていなくて、損したことや、受けたいけど受けられない福祉サービスがあったわけではありません。しかし、娘には、苦手なこと、困りごとが多くあります。それを証明する代わりになるような手帳は、持たせてもらえないのか……と思いました。知的障害がなくても、困っていないわけではありません。どうやってもできないことがあります。娘が大きくなった時、コミュニケーション面でなにか困ったら……。Upload By SAKURAなんてことにならないか……。考えすぎかもしれませんが、言葉で説明できない娘が心配になりました。知的障害がなくても、困ってること、助けて欲しいことはあります。日常生活に支障をきたすほどのパニックがなくても、冷静に対応できるわけではありません。そのことを証明するような……それぞれの特性や、困りごとにそった手帳があるといいのになーと思います。執筆/SAKURA(監修:新美先生より)療育手帳取得にまつわる、いろいろな思いを聞かせてくださりありがとうございます。あまりいいことではないと思いますが、療育手帳や精神障害者保健福祉手帳の取得基準については、地域による違いがあったりして、なかなかコメントがしにくいところがあります。多くの自治体において、療育手帳は原則として知的障害のある方が対象ですが、地域によっては発達障害がある場合、知的障害の基準が緩和されることもあるようです。知的障害を伴わない発達障害の方の場合、コラム内の漫画にも書いてありましたが、精神障害者保健福祉手帳が取得できる場合があります。これについても地域による基準がまちまちだったり、時代によって変化してきていることもあります。発達障害特性があって、生活面で何らかのサポートが必要な場合、精神障害者保健福祉手帳は取得できる可能性は十分にあります。一般的に、義務教育年代は、障害者手帳がなくても多くの福祉サービスは、コラムにあったように受給者証があれば利用できることが多いので、必要性をそこまで感じないかもしれません。ですが義務教育年代以降、福祉サービスを利用するためには、障害者手帳が必要になる場面が多くなります。こうしたことから義務教育年代を主に担当する支援者が精神障害者保健福祉手帳の取得は重度なケースのみと認識している地域でも、成人期にはもう少し柔軟に取得できる幅が広がるということもあるかもしれません。この先義務教育年代以降、就労などにあたって、精神障害者保健福祉手帳があったほうがいいと考える場合は、改めて地域の相談窓口等に当たってみてもいいかもしれません。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年10月04日とりこさんには発達グレーゾーンの息子・ねこ太がいます。ねこ太は2021年の春に、公立の幼稚園に入学しました。今では、幼稚園でたくさんの友だちもでき、充実した日々を過ごすねこ太。しかし、ねこ太が幼稚園に入れることになるまでには、たくさんの困難が待ち受けていたのです。ねこ太の幼稚園が決定し歓喜していたとりこさん。そんなとき、市議会から電話があり、とりこさんが提出した陳情書が受理され、委員会で議題になるとお知らせがありました。委員会に出席し、陳情内容を5分間でスピーチするようとりこさんは市議会から依頼されます。陳情書の提出に協力してくれた市議会議員さんたちの後押しで、とりこさんはスピーチを引き受けることにしました!この思いが、どうか伝わりますように! 市議会委員の佐藤さんと鈴木さんがサポートしてくれるとはいえ、とりこさんはスピーチの原稿作成に早速行き詰ってしまいます。もともとは、ねこ太のために提出した陳情書でしたが、そのねこ太は幼稚園の入園が確定済。しかし、他にも同じ悩みを抱えている人がいるはず……。 とりこさんはそんな葛藤を抱えながらも、原稿を完成させることができました。 そして、委員会当日。とりこさんは緊張しつつも、今までの経緯や思いの丈を5分間でスピーチ。とりこさんの陳情を聞いた教育委員会や市議会議員からは、さまざまな意見が飛び交います。中には教育長の姿も! その内容はどれも前向きな意見ばかり。そして、議論の展開の早さにとりこさんは圧倒するのでした。 とりこさんが勇気を出して行動を起こしたことで、教育委員会で7~8年間放置されていた問題が進展しようとしています。子どもの貴重な時間のために、ひとつでも多く問題解決することを願うばかりです。著者:マンガ家・イラストレーター 鳥野とり子
2023年09月28日「まだ遊びたい!」寝る前の癇癪の原因は……Upload By ゆきみ現在小学2年生の長男けんとは、自閉スペクトラム症と3歳の時に診断を受けました。ある日の夜、けんとがごはんを食べ終え、オモチャで遊んでいました。ほどよく遊びの時間をとったあとに「あと5分でおしまいにしようね」と言ってタイマーをセット。けんとも納得していました。そして5分後……タイマーが鳴り、もうすぐ寝る時間だったので、「歯を磨いて寝る準備をしようね」と私が伝えると、「ボクはまだ、パズルと本を読むのが終わっていないんだ!」と、けんとが癇癪をおこしたのです。「え?まだそんなにやりたいことがあったの?」と、私はビックリ……。私はその時、けんととやりたいことの確認や、寝る準備を始める時間などをあらかじめ話していなかったことに気がつきました。もう寝る時間だし、何となく分かると勝手に思い込んでいたのです。明日からは、けんとが頭の中でやりたいと考えていたことを、事前に確認してみようと思いました。やりたいことを書き出す作戦!結果は?けんとは視覚優位で、文字やイラストなどでスケジュールを伝えると、スムーズに行動できることが多いです。けんとにやって欲しいこと(ハミガキ、お風呂など)と、けんとが寝る前に自分でやりたいと思っていることを全部出し合い、スケジュールをまとめて紙に書き、視覚を使って示すことにしました。まだ、時間管理が自分ではできないので、寝るまでの残り時間などを考えながら母がタイムスケジュールを管理し、促していくことに。Upload By ゆきみ次の日から早速、相談をして紙に書き出しました。「パズル」「読書」「テレビゲーム」をしたいとのこと。寝る時間を考えて、全部のことをやり終えるために……「15分ずつにしよう」と話し合いました。タイマーをかけて、鳴ったら紙にチェックを入れ、次のこと。というように順番に行なうと、本人もやりたいことがしっかりできたからなのか、全く怒ることなく、スムーズに寝る準備に入ったのです。何度か続けていくうちに、15分で終わりたくないことがあったときは、「もっとやりたい」と伝えてくることもありました。その場合は「じゃぁ、読書の時間を5分短くする?」や「読書は明日にして、その時間を使う?」などと、相談をしながらやっていきました。「やった!」を感じるボード選びを開始最初は、紙にタスクを書いて、終ったものにチェックを入れて消していく方法や、持っていた電子ボードやホワイトボードを使い、タスクを書いて消していくという方法をとっていました。ですが、続けていくうちに、けんとが自分で「やった!」と簡単にチェックできるものがあるといいなと思い、タスクボードや視覚支援の方法をインターネットで調べてみると、いろいろな種類がありました。Upload By ゆきみ・自作のタスクボード一例■ホワイトボード、マグネットシート、マグネットを購入。マグネットシートを切ってタスクを書き、ホワイトボードに貼る。ボードを「まだ」「できた」エリアに分け、マグネットシートを移動させる。■タスクが書いてある紙を準備し、ラミネート加工をして、それぞれ切り抜いて、後ろにマジックテープを貼る。マジックテープが貼りつけられるようにしてある台紙に順番に並べ、終ったものを取っていくボード(通っている発達支援施設では、この方法を使っています)。など。・市販品のタスクボード一例■タスクが書いてあるマグネットを貼るボード■ラミネートされたタスクをマジックテープで貼ってはがしていくボード■付属の紙にタスクを書き、その紙の入れ替えができるようになっているプラスチック製のボード。数個のタスクを書けるようになっており、それぞれの項目にチェックボタンがついているので、終わったらチェックを入れていきます(タスクの内容を替えたい場合は、紙を交換すれば完了)。■持ち運びができるポーチタイプのボードほかにもタスク管理ができるアプリを使用するなど、いろいろな方法がありました。わが家は市販品をリメイク!きょうだい愛用のボードが完成けんとの場合、興味の移り変わりが早く、やりたいことが短い周期で変わっていきます。固定のタスクではなく、自由に変化できるもののほうが合っている気がしました。ただ、私は工作があまり得意ではないので、市販品を購入することにしました。悩んだ結果、紙にタスクをかき、タスクが終ったらチェックボタンを変えていくプラスチック製のタスクボードに決定(内容を変えたいときは紙を取り替える)。Upload By ゆきみ本来では紙を入れる部分に、紙ではなくマグネットシートを入れ込みました。そして、ホワイトボード用のペンでタスクを書き換えられるようにリメイクしてみました。視覚で提示すると、5歳(年長)の弟も分かりやすいようで、きょうだい2人共、愛用しています。朝のお仕度ボードや、放課後のタスクボードとしても使っています。外出先でタスクボードを使用したい場合は、わが家はアプリ「やることカード」を使用しています。やることカード ( LITALICOアプリ)寝る前の時間に癇癪を起こしてしまうと、1日の締めくくりが楽しくはないですし、寝る時間も遅くなり母子共に疲れ果ててしまっていました。でも、あらかじめやることを聞いておくこの方法を取り入れてからは、寝るまでの動きがかなりスムーズになり、笑顔で1日を終われるようになりました。「これがやりたい!」という気持ちを受け入れつつ、時間やお約束を守るための方法がほかにもあるかもしれないので、これからも模索していきたいと思います。いつかは子ども自身が自分で時間も管理できるように……段階をふみながら進めていけたらなと思っています。執筆/ゆきみ(監修:初川先生より)タスクボード導入の経緯、ご家庭の事情に合ったタスクボード探し、アレンジして使っているお話。一連のことのシェアをありがとうございます。寝る前の癇癪にも心当たりのある読者の方は多いでしょうし、視覚支援の王道たるタスクボードについて巷にあふれるさまざまな情報の整理もなされていて本当に参考になることばかりでした。やりたいこと、やらなければならないこと。どちらもスムーズに行うには、タスクボードで「見て分かる」「どこまで進んでいるかが分かる」工夫をするのはとても良いですね。そしてそもそも、やりたいことをきちんとこのタスクの中に入れてくださっている、つまり本人の希望が織り交ぜられた運用であることが素晴らしいですね。そして、このやり方が板につくにつれ、「今日はもっとこれをやりたい」と交渉することもできてきているのも何よりです。癇癪のように、感情を爆発させるのではなく、交渉に至れるのも、枠組みがしっかりしているからこそとも言えます。今後、けんとくんが育つにつれ、もしかしたらこのやり方が合わなくなる日も来るかもしれませんが、「タスクボードを使って自分はタスク管理できていた」という経過がきっと次の手立てにも生きてくるだろうと感じます。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年09月25日【発達障害×子育てアンケート】不登校・行き渋りになったことがある?発達障害のあるお子さんの保護者の皆さんから「長い休み明けや日曜日の夜が近づくと体調が悪くなる」「子どもが朝なかなか起きられない」、というお困りの声をいただくことがあります。進学などで環境が変わったり、学校の行事があったりすると、そのような傾向が強くでてしまうお子さんもいるのではないでしょうか?そこで、LITALICO発達ナビではお子さんの不登校や行き渋りについて公式LINEでアンケートを実施。アンケートでは「お子さんに不登校・行き渋りはあるか?」「どんなときにあったのか?」や、お子さんが不登校や行き渋りのとき、学校の対応でうれしかった・助かったことについて伺いました。※「LINE」はLINE株式会社の商標または登録商標です。※アンケートはLITALICOの公式LINEにて!『お友だち登録』お待ちしています!Upload By 発達ナビ編集部Upload By 発達ナビ編集部不登校・行き渋りのとき、学校の対応でうれしかった・助かったことの回答「 登校渋りのはっきりした理由は分かりません。ただ、すぐ学校に相談したところ、無理に登校させなくても良いことや、子どものペースに合わせて行きましょうと言ってくださったのがありがたかったです。今も午後登校や保健室登校が多いですが、臨機応変に対応してくれます。欠席連絡もアプリ対応となったので親のストレス軽減になっています」「授業をオンライン配信してくれて、出席扱いにしてくれました。オンラインを通じてクラスの様子がわかり、登校につながりました」「発達グレーの息子が、夏休み明けから一歩も家から出られなくなりました。先生方は、まず子どもの様子を気にかけてくれたことはもちろん、分団登校から個別登校にしてくれたり、こちらのスタンスを理解して対応してくださいました。スクールカウンセリングでは、不登校の経験に対し『頑張ったんですね』と労いの言葉までくださいました」「不登校が始まった小学校ではあまり適切な対応をしていただけなかったが、中学校では特別支援学級の担任が毎週訪問して本人が興味を持ちそうなことを一緒にやってくださったり、3年時の担任は通信制高校受験のサポートを親身になってしてくださいました」「学校からは休むことに対してサボるという判断をされ、理解してもらえませんでした。しかしその事について相談したフリースクールの先生は、サボっていると言われたことに対し自己批判をする娘に『自分を守るために行かなくていい。行かない選択をしたことは勇気がいっただろうし、その判断は間違っていない』と娘を認めてくれて親子で救われました」「本人が先生やカウンセラーの先生に相談をしたので話を聞いてくれました。そして、それを親に連絡して教えてくれました。中学生にもなるとなかなか本人は親に直接話すことはなく、信頼できる先生に話すことの方が多くなるようです」LITALICO公式LINEアカウントお友達へのアンケート結果より回答期間:2023年9月3日~9月6日回答人数:2,255名※一部抜粋まとめ今回のアンケートでは、お子さんに不登校・行き渋りはあるかを聞いたところ、81%の回答者が「不登校・行き渋りがある」と回答。不登校や行き渋りがあったときで最も多かったのが「嫌なことがあったとき」、次いで多かったのが「夏休みなど長期休み明け」という回答でした。夏休みが明けて一ヶ月ほど経過した今、不登校で悩んでいる保護者の皆さんやお子さんが増えている時期かもしれません。その中でも、学校の対応でうれしかった・助かったことでは760を超えるコメントを寄せていただきました。「欠席に理解を示してくれた」「登校できた時は褒めてくれた」「オンラインで授業を配信してくれた」など、学校現場でも不登校に対する理解が深まっていることも分かりました。加えて「スクールカウンセラーの先生が対応してくれた」「フリースクールの先生が寄り添ってくれた」といった担任や学校の先生以外の大人との関わりについての回答も目立ちました。不登校の小中学生は年々増加傾向にあり、2023年は過去最多になりました。特に、発達障害のあるお子さんの場合、「学校」という枠組みや「標準」とよばれるようなものにフィットしづらい傾向があり、困りごとを抱えている中で不登校につながることがあるのかもしれません。お子さんの不登校に直面された保護者の方の多くは「子どもの将来が心配」というお気持ちなのではないでしょうか。LITALICOでは、発達ナビの記事や情報、またオンラインでの勉強会の開催など、さまざまな方法で不登校や行き渋りがあるお子さんと保護者の方をサポートしています。発達障害があるお子さんの一人ひとりの個性や特性に合わせた環境の整え方や、進路の選択肢について一緒に考える「勉強会」「個別相談」を行うLITALICOライフでは、【不登校の支援と将来の準備】に関する勉強会を開催しています。フリースクールや訪問教室など不登校のお子さんへの支援や、義務教育以降の高校進学について通信制高校など不登校に理解のある進路情報など、幅広く知ることができます。また、教育にまつわる資金など、現実的な準備についても学べる勉強会です。Upload By 発達ナビ編集部※アンケートはLITALICOの公式LINEにて!『お友だち登録』お待ちしています!(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2023年09月21日ほかの子どもとの差を感じてしまう展示物。不器用なわが子たちわが家には自閉スペクトラム症とADHDのある18歳の息子と、自閉スペクトラム症と場面緘黙、斜視がある15歳の娘がいます。二人とも1歳半健診で要観察となりました。診断らしい診断は小学校に入ってから受けましたが、下の子は幼稚園ではなく療育園に通っていました。そんな二人はそろって不器用さがありますが、それぞれ不器用な箇所は異なります。息子は粗大運動は得意なので走るのも速いのですが、手先が不器用。そして、体育ではあまり困ることはないものの、よく転びます。一方娘は手先は器用な面もあるのですが、転びまくり、ケガしまくりです。成長するにつれて多少は改善されてきていますが、それぞれの不器用さは今も継続中です。小学校の頃は授業参観の展示物を見るのをとてもつらく感じていました。絵、習字、作文の文字などが下手で、ほかの子どもたちの展示物と比べると全く違うのです。一人だけ幼稚園から成長してない子どもがいる……という印象でした。Upload By ユーザー体験談大きくなるにつれ読める文字が書けるようになったので、現在は書字に問題は感じていないのですが、当時の私はそんな未来のことまで考えられず、わが子たちと他人との差ばかり目について落ち込んでいたのです。今なら、子どもたちはちゃんと成長するよ、そんなに苦しまなくてもいいよと伝えてあげたいです。そのスプーン何もすくってないよ⁉空のスプーンを口に運ぶ息子にびっくり!息子の忘れられないエピソードは“スプーン事件”です。指先が不器用だった息子は、長くスプーンを使っていました。ですが、スプーンもなかなかうまく使えないので、食べ物をすくえないことが多々ありました。ですが、すくったつもりなのか、何ものっていないスプーンをそのままパクっと口に持っていくのです。その光景を見たときは「そのスプーン何ものってないよ!?」とびっくりしてしまいました。Upload By ユーザー体験談これくらい不器用だったので、箸が使えるようになるか心配だったのですが、これには救世主が登場しました。幼稚園の先生です。先生が丁寧に2年間、毎日毎日、とにかくゆっくり、叱らず焦らず指導してくれました。先生が見つけてくれた使いやすい箸は、ニスなどで塗られていない四角の握りやすいもの。手のサイズに合わせて長さにもこだわってくれました。これを使い「特別なお箸だよ」「きっとうまくいくね」とポジティブな雰囲気で誘ってくれ……なんと小学校入学前にお箸を使えるようになったのです!息子の不器用さを思うと、箸が使えるなんて奇跡……と思わざるをえません。幼稚園の先生には、今も感謝してもしきれないです。Upload By ユーザー体験談また、運動神経の良さに助けられている面はありつつも、いろいろとバランスが悪い息子。ただ道を歩いているときも、よく溝に落ちてしまいます。そして運動会では転ぶ転ぶ……。徒競走などでは誰かに近づくと距離感が掴めないのか転びがちです。そこから立ち上がって追い上げると、今度は自分の足につまづき転がりながらもでんぐり返しで起き上がり再度追い上げ……。だいたいいつも2位か3位争いをしていました。転ばなかったら1位になれたと思うのですが、惜しいですよね。息子も悔しそうにしていました。遠足で20回以上……頻繁に転ぶ娘。同じ場所ばかりケガをして娘は指先は息子に比べれば器用なのですが、驚くほど頻繁に転びます。遠足ではだいたい20回以上転んでいます。膝のキズが絶えません。いつも膝の同じ場所をケガした結果、その場所からクマの毛のように太い毛が生えてくるほど……!「膝を守るんだ」という意志なのでしょうか!?先生もびっくりしていました。Upload By ユーザー体験談また、転びすぎてキズがひどくえぐれてしまうと、赤く腫れあがってしまうこともあります。そういうときは、治療は半年コース。塗り薬を出してもらい半年欠かさず塗り続けます。なぜここまで転ぶのか……不思議に思っていたのですが、中学になって斜視が発覚しました。もしかしたらこれも娘の転倒に影響があったのかもしれません。二人の不器用さを克服させたい!母がチャレンジしたこと小さな頃から二人とも不器用さを指摘されていたため、私もいろいろなことを試しました。体操教室やスイミングにも行きましたが、苦手だと最初からわかっていることはやりたくありませんよね。コーチには不器用であることなど状況を伝えて見てもらっていましたが、プールでは静かにおぼれたり、何もしていないのにプールサイドから落ちたりとなかなかうまくいきませんでした。療育でも運動をしてくれるところがありますが、当時はなかなか空きがなかったため、私はよく子どもたちをアスレチックに連れて行きました。ハイハイ運動をしたり、丸太渡りやトランポリンでバランス感覚を鍛えたり……。また、100均のものを使って指先訓練用のアイテムを作り、箸で掴むゲームにも取り組みました。これらが具体的にこういう効果を上げたということは言えないのですが、遊びに取り入れて取り組めたので楽しい思い出にもなり良かったと思います。むしろ、もっとたくさんやっていればと思っています。不器用さのある2人だけど……これからも笑って元気に過ごしてほしい不器用な二人ですが、大きくなるにつれてやれることも増えています。小さい頃、私が小学校の掲示物の前で感じた切なさは、私の中ではもう吹き飛んでいます。不器用さもそれぞれですが、性格も正反対な兄妹。母としては、二人とも不器用さを苦にせず、失敗してもくじけず、笑って元気に成長していってほしいです。イラスト/星河ばよエピソード参考/梛丹(監修:鈴木先生より)母子手帳には1歳半や3歳時健診の左側に親がチェックする項目が列挙されています。最後に「子育てに困難を感じましたか」という項目があり、私はそこを一番重要視しています。普通なら「いいえ」に〇がついているのですが、私の外来に来るお子さんについては「どちらともいえない」や「はい」に〇のついているケースが多々見受けられます。それでも健診担当の保健師さんからは何もコメントのもないまま通過しています。できるだけ早期に介入し、療育を開始するのが望ましいのですが……。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年09月21日就学し支援を受けられるようにするためにはどこで誰に相談すれば良い?わが家の次男Pには重い知的障害があるので、私はほとんど進路に悩むこともなく、特別支援学校へ通わせたいと考えていましたが、それでも就学前はバタバタとさまざまな手続きがあり、とても忙しかったです。特別支援学校や特別支援学級は、急に「行きたい!」と言っても誰でも行けるわけではなく、「支援を受ける」ということになるので、そのためには各種手続きや、教育委員会の審査と判定が必要となってきます。さらに、就学先を決めるにあたり、就学相談や学校見学なども行われています。そのため、特別支援学校や特別支援学級が少しでも気になるのであれば、子どもが就学する前にまずは動いて何事も早めに調べておくほうが良いと思います。たとえば、私たちの住む自治体では、子どもの学校生活に対して何らかの不安がある人のために、子どもが年長(6歳)になった年の7月頃に「就学相談会」というものが開催されます(開催時期や名称は各自治体で異なりますので、お住まいの自治体にご確認ください)。その相談をするには、前もって予約しなければならないのですが、現在通っている園側から案内される場合もあれば、されない場合もあり、「相談会へ行きたかったのに知らない間に申し込み期限が過ぎていた……」ということにもなりかねません。私の場合、園から就学相談会の案内を受けていたので、相談会に参加することができましたが、もし知らなければ相談の機会を逃してしまうので、早めの情報収集は大事だな……と感じました。Upload By みん就学相談会では何を話せば良いの?私が参加した就学相談会では、まず面談で子どもの成育歴を詳しく確認されました。この時、子どもの成育歴や受けてきた支援内容をまとめたサポートブックを持参しました。とっさに思い出せない部分もあるかもしれないので、就学の相談をする際には、このようなサポートブックをあらかじめつくっておくか、なければ母子手帳だけでも持って行くとスムーズに話せて役に立つかもしれません。また、現在の家庭や園での状況なども聞かれることがあるので、子どもの特性や困りごと、就学を前に不安に思っていること、学校への希望なども伝えられたら良いと思います。なお、就学相談会での個人情報、相談内容などは厳正に管理され、就学決定に関する基礎情報となるということでした。Upload By みんそれから、相談会では現時点での希望を話せたとしても、希望する学校を実際に見学してみないとどんな学校なのか?どんな支援が受けられるのか?分からないことが多いと思います。たとえば特別支援学校と特別支援学級で悩んでいるのなら、両方の学校を見学しないと比較もできませんし、できればお子さんも一緒に見学や体験へ連れて行くほうが、どちらが6年間楽しく通えそうなのか?をより具体的にイメージできると思います 。Upload By みん子どもの目線に立ち、より良い環境を考え進路を決断するその後は子どもが所属している施設へ相談員が訪問し、普段の子どもの様子を見た上で、保護者と園の先生から聞き取りをする「訪問面談」や、就学する前に行われる健康診断で、身体の疾患や知的発達の度合いが検査される「就学前健診」などを経て、特別支援学校、特別支援学級、通常学級のどこで学ぶことが望ましいのか?教育委員会から総合的に判断された結果の連絡があり、その上で就学先をどこにするか?親へ最終確認がありました。わが家の場合は、当初の希望通り特別支援学校に就学することになりましたが、就学相談会や学校見学を通じて、学校生活についてより具体的なイメージを持つことができたと感じています。今まさにお子さんが就学前で進路に悩んでいる方もいるかもしれませんが、子どもは日々成長しているので、悩んで当然だと思います。また、地域や学校、その年度によって担当の先生も支援の内容も変わってくるので、希望通りにはいかないことや不安も出てくるかもしれません。実際に小学校へ6年間通うのは子どもなので、1番は子ども自身の希望、そして親は子どもの成長、様子を見ながら、小学校生活をどうサポートしていくか?を考え、進路の選択ができると良いと思います。Upload By みん実際にわが家の次男Pが特別支援学校に進学してどうだったのか?については、また別の機会にご紹介したいと思います。執筆/みん(監修:新美先生より)就学に向けてどのように動いていくとよいかについて、具体的に詳しく教えて下さりありがとうございました。就学についての相談が始まるのは、地域差もあるかもしれませんが年中の終わりから年長にかけてかと思います。ですから情報収集や見学などは、可能ならそれより前の年中の年ぐらいから動き始めるとゆとりがあるかと思います。就学の相談を始めると、通っている園、療育の先生、病院、就学担当の先生など、それぞれ意見が異なることも珍しくありません。それぞれの意見も参考にしながら、保護者の方が主体的に動かれて、ご本人にも見学、体験の機会を持ったうえで、本人らしく楽しく通える場所がどこなのかを考えて、相談していくと、保護者の方も選択していきやすいかもしれません。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年09月21日遊具で遊ぶことが苦手だったコウUpload By 丸山さとこ神経発達症(発達障害)があるコウは、体を動かすことが苦手なようです。中学生になった現在は「運動が苦手で少し不器用だな」と感じるくらいで普段は大きく気になりませんが、保育園の頃は遊具で遊べないレベルの不器用さが目立っていました。そんな動きの不器用さも相まってか、足元が狭いところや不安定なところでは慎重に歩きたがっていたコウ。高いところは特に苦手で、5歳の頃に集合住宅の1階の部屋から2階建ての家に引っ越した時は、階段を数段登ったところで「落ちちゃうよ~!」と動けなくなっていたほどでした。それくらい『動きの不器用さ・高いところへの恐怖心』があるコウにとって、公園は石や落ち葉やどんぐりを並べるところでした。公園や保育園などの子ども用の遊具は大体高いものです。おおむねどこの公園にもある3大遊具の滑り台、ブランコ、ジャングルジムで遊べないとなると、体を動かすことを促したい親としても「散歩しよう」としか言えない状態でした。Upload By 丸山さとこ散歩中に植物や水を眺めたり、樹木にかけられた樹種の名札や解説を読んだりして過ごしつつ、「この子はこういう感じなのか~。これはそういう個性なの?」と漠然と思っていました。お母さんの安全保証つき?地道な滑り台の練習開始!そんな風に散歩しては石やどんぐりを並べるだけでも、「まぁコウがそれを好きならそれでいいか……」と流していた私でしたが、療育園に通うようになってから、少し考えが変わりました。というのも、コウが通っていた療育園での粗大運動の時間(室内遊具での全身を使った遊び)は結構スパルタで、泣いても叫んでも徹底して取り組ませるスタイルだったからです。Upload By 丸山さとこその特訓風景を見ている内に「このままでは遊具を見ただけで泣き叫ぶようになり、公園の前を歩けなくなるのではないか……?」と心配になった私は、近所の公園でコウと滑り台の練習を始めました。滑り台のてっぺんで座ったコウの体を私の両手で挟むように支えながら、コウに安全性を説明しました。「絶対にゆっくりしか滑らないので安全です」「怖くないようにします」「怖すぎたら途中でも抱き上げて中断できます」Upload By 丸山さとこそうして実際に途中で抱き上げたり滑り台の途中で止めたりして『コウが嫌だと思えばいつでも安全に中断できること』を証明すると、コウは「本当かな……?」という表情をしつつも練習につき合ってくれました。コウが泣かない程度の地道な練習を続けたところ、意外にも数日で滑れるようになりました。「やったー」と言い、跳ねてうれしそうにニコニコするコウに「もう1回滑る?」と聞くと「滑らない」とのお返事で、その素っ気なさにコウらしさを感じつつ家に帰りました。Upload By 丸山さとこ次の日もすんなりと滑れたため滑り台は克服できたのかと思いきや、ほかの滑り台は完全拒否でした。私から見れば『大体同じ高さで同じつくりの滑り台』も、コウにとっては『全く別の滑り台』だったようです。「ほかの滑り台はどんな感じかな?調査しに行こう」とコウに言いながら(これまた無理のない範囲で)いくつかの公園を回って複数の滑り台にチャレンジしていき、1ヶ月経った頃にはベーシックな形の滑り台であれば大体滑れるようになりました。こうして、ブランコ、はしご、ロープの遊具などを少しずつ克服していったコウは、休日に市内の大型公園へ行くと喜んで遊ぶようになりました。喜んで遊ぶといっても、年齢相応の動きではありません。膝程度の高さであっても必ず何かにつかまりながらソロリソロリと降り、階段は一段ずつ足を揃えて登るなど、『動きの不器用さ』はその後も目立ちました。動きの不器用さは今でもあるけれどUpload By 丸山さとこ中学生になった現在のコウも、歩く姿を遠目に見て「多分コウだな」と分かるような歩き方をしています。それでも、あの時に遊具で遊べるようになったことは、親子共に「練習してできるようになることもあるんだな」という微かな自信になったと思います。それと同時に、「練習しても(少なくともその時点では)どうにもならないこともあるんだな」という『現状の受け入れ』の土台も整ったような気がします。『〇〇ができるのなら□□もできるだろう。〇〇ができないなら□□もできないだろう』という見通しが立たない育ち方に親子で翻弄されながら、そのときどきにできることを試していきたいなと思います。Upload By 丸山さとこ執筆/丸山さとこ(監修:鈴木先生より)球技などの運動が苦手で不器用なお子さんは、発達性協調運動症と診断されることが多いです。発達性調教運動障害があるお子さんへの支援は、病院のリハビリなどでは感覚統合訓練をOTと呼ばれる作業療法士さんが実施しています。また、私のクリニックでは音楽療法の中に感覚統合も含めてトレーニングと評価を行っています。病院へ行けない場合は、公園の遊具やアスレチックなどでトレーニングすることもできますので、親子で楽しみながら取り入れてみることもお薦めですよ。もし、お子さんの様子が気になる親御さんがいらっしゃいましたら、今後きちんと向き合うためにも、ASD、ADHD、発達性協調運動症など具体的な診断、医師の診察を受けられることも視野に入れられてはいかがでしょうか。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年09月19日2人兄弟を育てるゆーとぴあさん。2歳児健診で長男は言葉が遅いと発達相談を受け、親子教室に通います。次男は言葉の遅さに加えて多動傾向があるにも関わらず、健診で問題なしと言われたことに疑問を抱き、後日保育センターに相談して長男と同じ親子教室に通うことにしました。それでも次男が心配で、同時にほかの施設の教室にも参加させ幼稚園に備えました。入園式は制服を身につけるのを嫌がり、抱っこしていないと走り出してしまう状態で通園に不安を覚えます。予想に反して次男はすぐに幼稚園に慣れたものの、先生から次男の問題行動の報告を受け、発達医療センターへ行くように言われます。さらになんと長男まで発達医療で診てもらうように言われ、就学のため特別支援級の見学に参加するように予定を組まれてボーゼンとするのでした。帰宅して夫に長男について、幼稚園での面談の報告をすると、見学して息子に合っていれば支援級でも構わないのではと冷静な返答。数日後、義理の叔母が家に押しかけ長男が支援級に入ることになったのかとまくし立てます。長男の発達障害は母親のゆーとぴあさんが原因なのではと、不躾で勝手な決めつけでものを言う義理の家族に怒りと悔しさを募らせるのでした。 お父さんってもしかして? ただ質問しただけなのにーー 義理の叔母の言葉が引っかかり、図書館で大人の発達障害について調べるゆーとぴあさん。専門書に発達障害は遺伝するという記述を見つけます。自身が発達障害であるならば、両親のどちらかも発達障害の可能性があるのかもしれません。 それを確かめるべく、母親に聞こうと実家を訪ねて質問します。すると母は、ゆーとぴあさんは少し変わっているので発達障害かもしれないと思っていたと笑って答えますが、加えて遺伝なのかと聞くと途端に険しい表情に。 「亡くなったお父さんって発達障害だったのかな?」「うちのお父さんはそんなんじゃない!」 すぐに発達障害のせいにする最近の人の風潮に怒りをあらわにします。相談のつもりで聞いたのに、逆ギレのような受け答えをされてゆーとぴあさんは呆気に取られるのでした。 ◇◇◇ 息子の未来を考えるために相談したかっただけなのに、「発達障害」に対する世代からくる考え方の違いからか、議論の入り口にも立てない状態でした。ゆーとぴあさんの発達障害の可能性はすぐに受け入れましたが、父の可能性は受けつけず逆ギレした母。もちろん不確定の要素で、責めているわけでもないのに、子どもとしてこの状況はあまりに悲しいですよね。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 ※ADHDについてADHDの症状は最終的な神経経路で起こるとされ、原因は様々とされています。乳児期の外傷、分娩時の問題、妊娠中の薬物や飲酒、遺伝的な可能性等が記載されていますが、原因がわからないことがほとんどです。ADHD以外に自閉症スペクトラムの症状がある場合は、精神科や小児神経科等で診察を受けてみるのもよいでしょう。 ゆーとぴあさんの連載は、以下のサイトからもご確認いただけます。ぜひチェックしてみてくださいね。 監修者:医師 神奈川県立こども医療センター 産婦人科 松井 潔 先生 著者:マンガ家・イラストレーター ゆーとぴあ
2023年09月15日4つの商品化候補についてアンケートとモニターを実施!発達ナビ×フェリシモC.C.Pコラボ商品企画第5弾では、発達ナビの「みんなのアンケート」や、教員、放課後等デイサービスのスタッフの方にお集まりいただいたオンライン座談会を経て、4つの商品化候補が生まれました。月実施「発達ナビみんなのアンケート」・プリントやお手紙を色別で仕分けできる「カラフルトレイタイプの収納BOX」・あちこち置くのをストップ!「いったん置き場収納ラック」・玄関先や鞄など、色んな所に貼って忘れ物防止!「貼ってはがせるタスク管理シール」・いつでもどこでもタスク管理!「文字が書けて簡単に取れないリストバンド(紙製)」これらの候補について、さらに検討を深めるため、6月には追加アンケートを実施しました。また、7月には、オンライン座談会に参加いただいた教員、放課後等デイサービスのスタッフ、臨床心理士などの支援者のみなさんに、サンプルのモニターをしていただきました。実際に放課後等デイサービスなどの現場でお試しいただくなど、リアルなお声をいただき、大変参考になりました。 アンケートやモニターにご協力いただいたみなさま、ありがとうございました!「カラフル収納BOX」と「タスク管理リストバンド」の商品化が決定!今回商品化が決定したのは、以下2つのアイテムです! アンケートやモニターをしていただいた方のお声といっしょにご紹介します。Upload By 発達ナビ編集部プリントやドリル、紙類などを、どこに収納したかを視覚的に分かりやすく、探しものが楽にできるように引き出しを色分けした収納トレイです。素材は紙製(段ボール)で、A4が入るサイズの引き出しが3段、トレイの深さは約5cmを想定しています。引き出しの中にミニトレイを入れるかどうかも検討中。アンケートの声「いいな」と思うところ・色分けされていると書類を見つけやすい(山口県 ぽむさま)・A4サイズが入るところ(東京都 むさぼうさま)「もう少し、こうだといいな」と思うところ・お母さんに渡すポスト的な大きな段があり、宿題、提出物が入るといいかなあと思います。いろいろなグッズでカラーがあふれて疲れるので統一感のあるカラーがあればいいな(兵庫県 梛丹さま)・紙製の引き出しのケースが、使っているうちに出し入れしにくくなる可能性があるので、スムーズなまま引き出しができるといいなと思っています(東京都 むさぼうさま)モニターいただいた方の声・放課後等デイサービスで運用する場合、高校生、中学生、小学生で引出しを分けて使えるとは思った。色で分かれているので何色の引き出しに入っているという指示が伝わりやすい。工作で使う材料や折り紙を入れて使用したい。引き出しの中のミニトレイは、ビーズなど細々したものを入れるのには便利(東京都 雨琴さま)・子どもの学校のプリント類を入れて使用。深さはこのままぐらいがちょうどよい。上に物を載せると段ボール素材のためたわんでしまいます。しっかりした作りならよいなと思いました(島根県 モンタナさま)Upload By 発達ナビ編集部タスクを書き込める紙製のリストバンドで、腕に巻いておくことで、うっかり忘れを減らす努力をサポートします。簡単に取れないような仕様やバンドそのものを失くさない工夫を検討中です。アンケートの声「いいな」と思うところ・リストバンドだから手に書かないで済む(兵庫県 梛丹さま)・メモ帳に書いただけでは忘れがちな予定やメモを書いて移動できるのはよいと思います(鳥取県 甘太郎さま)「もう少し、こうだといいな」と思うところ・言葉を省けなかったりメモの書き間違いが多いので、記入部分の幅(横じゃなくて縦幅)を広げてほしい(福岡県 ちほさま)・耐水性があるといい。他人に見られない工夫があるといい(山口県 ちほさま)モニターいただいた方の声・研修時に学習メモを記入しました。罫線がなかったので縦書きにしたり横書きにしたり自由度があって便利でした(東京都 雨琴さま)・職場の子どもたちに、忘れ物防止、タスク管理(着替えやオムツ替え)、宿題の内容を記入して使用してもらいました。タスクの量や字の大きさを工夫して書いてくれていましたが、お子さんによっては大きい文字や詳しく書かないといけない場面では、スペースが少なく感じられたようです。感覚過敏のお子さんは最初はこわがっていましたが(どんどん締まるような気がして)、すぐに慣れたようでした。服に合わせて選べるカラー、カワイイ柄や好きなキャラクターなど、カスタマイズできると喜んでつけてくれそうです(京都府 にゃあんさま)2024年春発売予定。お楽しみに!「カラフルトレイタイプの収納BOX」は、引き出しが色分けしてあることで、視覚的に区別がつき、整理整頓がしやすくなるという点に期待を寄せていただきました。一方で、段ボール素材のため、壊れやすいのではと心配するお声もありました。紙製の軽さと扱いやすさを活かしつつ、丈夫に仕上げていきたいと考えています!「文字が書けて簡単に取れないリストバンド(紙製)」については、いつもはやることをペンで手に書いておくという人が複数いましたが、リストバンドなら、手に書かなくても済む!と肯定的なご意見をいただきました。これから、感覚過敏のお子さんへの配慮や、ファッションになじみやすいデザインの検討を含め、発売に向けて準備していきます。発売は2024年3月中旬ごろを予定。より生活に役立つアイテムをお届けできるよう、検討を重ねていきます。完成を楽しみにお待ちください!※それぞれクリックすると発達ナビのサイトから株式会社フェリシモのサイトに遷移します(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2023年09月15日2人兄弟を育てるゆーとぴあさん。2歳児健診で長男は言葉が遅いと発達相談を受け、親子教室に通います。次男は言葉の遅さ以外に加えて多動傾向にも関わらず、健診では問題なしと言われたことに疑問を抱き、後日保育センターに相談して長男と同じ親子教室に通うことにしました。それでも次男が心配で、同時にほかの施設の教室にも参加させ幼稚園に備えました。入園式は制服を身につけるのを嫌がり、抱っこしていないと走り出してしまう状態で通園に不安を覚えます。予想に反して次男はすぐに幼稚園に慣れたものの、お迎えで毎日のように先生から次男の問題行動の報告を受け、発達医療センターへ行くように言われました。さらになんと長男まで発達医療で診てもらうように言われて驚くのでした。次男と長男、ほぼ同じタイミングで発達医療の受診をすすめられました。長男はかんしゃくを起こしたりやすぐに泣いたりすることはありましたが、これまで幼稚園から何も言われてこなかったのに、2人いっぺんの相談に釈然としません。先生は特別支援級の見学日程が決まっているので、まずは参加と半ば強引に決め、突然のことで気持ちが追いつかないゆーとぴあさんは戸惑いを隠せません。 子どもの問題を一方的に母親のせいにする無礼な叔母 帰宅して、先生からの話を夫に報告すると、まず見学してみて支援級が合っていればそれでもいいのではと冷静に受け止めていました。 しかし数日後、義理の叔母が家に突然やってきて、長男の支援級が確定事項かのように話し、不躾に兄弟の特性に踏み込んできます。それだけでなく、長男の先天性の病気である「仙尾部奇形腫※」は、母親のゆーとぴあさんが変なのではと言うのです。 無礼な言葉にムッとしつつも、軽く受け流そうとするゆーとぴあさんに障害があるからじゃないのかとハッキリ切り込んできました。 その夜、夫にまだ受診前の未確定事項を言わないようにと訴え、心の中では子どもの問題はすべて母親のゆーとぴあさんと決めつける義理の家族に割り切れない怒りと悲しさを覚えるのでした。 ※「仙尾部奇形腫(せんびぶきけいしゅ)」とは、仙骨の尾骨先端にできる奇形腫瘍。新生児でもっとも頻度が高く、約4万出生に1例の割合で発生するといわれている。組織型は基本的に良性で、摘出術により予後は良好であることが多い。 ◇◇◇ 子どもの体の問題をなぜか母親のゆーとぴあさんが原因と決めつけ、土足でものを言う叔母の無礼な言葉は信じられないですね。夫がいても、子育てはゆーとぴあさんだけのほぼワンオペ状態で、子どもについての悩みに一番心を痛めているはずです。まず夫は、細心の注意を払ったうえでわが子のことを親族へどこまで告知するかを考え、ゆーとぴあさんにも相談してほしいですよね。 ゆーとぴあさんの連載は、以下のサイトからもご確認いただけます。ぜひチェックしてみてくださいね。 著者:マンガ家・イラストレーター ゆーとぴあ
2023年09月13日最近よく耳にするようになった、「発達障害」という言葉。町田粥さんの初コミックエッセイ『発達障害なわたしたち』は、当事者による当事者へのインタビューがベースになっていて、そもそも発達障害とは何なのか、日常でどんなことに困っているのかを明るく解読している。インタビュアーは限りなく本人に近いキャラクター、マンガ家のM(エム)ちださんと担当編集のK成(ケーなり)さん。ふたりは同時期に発達障害の特性のひとつ、軽度のADHD(注意欠如・多動性障害)の診断を受けている。当事者もそうでない人も、大人の発達障害について明るく語ろう。「自分が発達障害だと言われたら、いろんなリアクションがあると思うのですが、私はショックや動揺ではなく『面白い!』と思ったんですよね。劣等感に繋がっていた部分を説明できるようになって救われもしたので、そういう気持ちになれる人はほかにもいるはずだと思いました」ふたりの事例から始まり、登場するゲストはMちださんの妹、ADHD寄りのASD(自閉スペクトラム症)の特性のあるマンガ家のカメントツさん、性別で見ると圧倒的に少ないASD傾向の女性など。「子どもの頃からの困り事を軸に、解決するためにどんな動きをして、今どうやって過ごしているのか、それぞれ順を追ってお聞きしました。カメントツ先生の“辛い人は『辛い』って言っていいし、辛くない人は『辛くない』って言っていい”という言葉が印象的で、たしかに大変かどうかは周りが決めることではない。その人と向き合った聞き方をしなければいけないと感じました」発達障害の特性のある人たちが、日々の困り事を減らすために欠かせないのが、家族や職場など周りの人たちの理解やちょっとした配慮であることも、本作は教えてくれる。たとえば衝動の強い人は、いわゆる失言や余計なことをしてしまいがちなのだが、本人に悪気がないことを知っておくだけで、受け取り方が変わってくるだろう。得手不得手の差が激しいという傾向も、周囲の理解さえあれば、組織内で大きな力を発揮することにも繋がっていく。「正しい知識がないと、当事者にどう接したらいいかわからないと思うのですが、ネットの情報は結構偏っていたりすることも監修の先生への取材を通して知りました。なので間違った知識や偏見を、丁寧につぶしていくつもりで描いています」連載中から本作への反響は大きく、このテーマへの関心の高さや、他人事ではない感じもうかがえる。「2巻以降、お話を聞きたい人がすでに何人かいて、『実は私も…』という声も多くいただいています。そういった繋がりから、さらに話が広がっていくかもしれないですね」『発達障害なわたしたち』1軽度のADHDと診断されたマンガ家と担当編集者が、さまざまな症状の当事者にインタビュー。発達障害について、ポジティブに考えるきっかけになる一冊。祥伝社1034円。©町田粥/祥伝社フィールコミックスまちだ・かゆマンガ家。『マキとマミ~上司が衰退ジャンルのオタ仲間だった話~』でデビュー。著作に男のみの歌劇団を描いた『吉祥寺少年歌劇』など。※『anan』2023年9月6日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・兵藤育子(by anan編集部)
2023年09月05日発達障害っ子の災害対策!わが家の防災ノウハウ大公開!私は、もともと「何かあったらどうする?どうなる?」と考える性格。いざというときに、持ち出すものに迷ってぐずぐずしないようにするため、お薬手帳や、保険証、病院の診察券は常にまとめて、持ち出しやすいようにしてあります。Upload By 寺島ヒロバラバラな場所で被災したらわが家の凸凹きょうだいは、現在、兄タケルが大学院生、妹いっちゃんが通信制の高校生。比較的家にいることが多く、くっつき合って暮らしているので、もし地震などがあってもお互いを探し合うことはあまりないかもしれません。しかし、頻度は低いですが、タケルはフィールドワークで1人で遠くに出かけることもありますし、いっちゃんも友達と遊びに行くこともあります。もしそういうときに大きな災害に遭ってしまったら、不安でその場から動けなくなったり、逆に慌てて動き回ったりして危険かもしれないなと思います。位置情報が分かるアプリを活用集団で被災したときは、指示されたことを理解できなかったり、何か手伝いを任されてもうまくできなかったりして、ほかの人に迷惑をかける可能性もあります。そういうことも考えて、一刻も早く合流できるよう、いつも持っていスマートフォンやタブレットに家族全員がお互いの居場所が分かるアプリを入れています。わが家で使っているアプリは、そのスマホやiPadがある場所を「だいたいこの辺にあります」と地図上で表示してくれるものです。普段から「動けなくなった!」などのSOSを受けて探しにいくときも便利に使っています。お出かけのときには必ず障害者手帳をまた、バラバラに被災したとき、身元を分かるようにするため、出かけるときには障害者手帳を常に携帯するようにしています。もちろん、帰ってきたら「元の位置」に戻すようにします!避難所暮らしはどうなる?災害復旧がすぐにできない場合は、避難も考えないといけません。しかし、わが家の凸凹きょうだいは、基本1人になりたい時間が長いので、ほかの人と一緒の環境で寝泊まりするのは難しそうです。特にタケルは緊張が高まるとしゃべり続けてしまう可能性も高いですし、一緒にいる方々に迷惑をかけてしまうかもしれません。基本的には自宅避難基本的には家でできるだけ粘ろうと思っているので、乾物や缶詰はいつも1週間分ほど買い置きしてあります。Upload By 寺島ヒロまた、避難のための移動や、避難所暮らしが難しい場合に簡易寝所として使うため、何がなんでも自家用車(軽ですけど)を維持しようと思っています。わが家の家計においては、本当に大きな負担ではあるのですが……日ごろの送迎にも使いますし、車があると夜間の時間を有効に使えるというのもありますから、なんとか頑張っています。普段からちょっと気をつけていること災害対策というわけではないですが、地域での繋がりをつくるために、ちょっとだけ心がけていることがあります。それは、地元の夜中のコンビニに行くこと。夜中に行くと店番しているのは大体経営者家族の誰か、つまり、元々地域に住んでいた人だったりするんですよね。特に深夜でもお酒を販売している店は、ずっとその地域で塩屋や酒屋を営んでいた一家の可能性が高いのです。特に仲良くなろうと意気込むことはないと思うのですが、ときどき買い物に行って丁寧に会話して「この辺に住んでいるのだな、子どもになにか障害があるみたいだ」と覚えておいてもらえるようにします(行き帰りの夜道には気をつけて!)。もちろん助けてもらうことばかり考えるわけにはいかないので、こちらも近くのお店の人や、人の顔は覚えるようにするし、地域のイベントの手伝いを頼まれたら引き受けたりもします。地味ですが、こういうことがいざというとき、お互いの助けになるんじゃないかなと思って、日ごろから心がけています。執筆/寺島ヒロ(監修:新美先生より)災害時のための備えについて教えて下さりありがとうございます。とても具体的な内容で、分かりやすく、わが家でどのような対策が必要かについて考えるきっかけにもなりました。災害時という「普段と違う状況」というのは、発達の偏りがある人にとって、通常よりもさらにストレスがかかりやすい状況で、実際にその時はそれなりに苦労することが予想されます。それでも、一人ひとりの特性にあった対策を立てておいて、いざというときにも乗り切っていくしかないですね。お子さんが成長して行動範囲が広がっているなら、GPSを使った位置共有アプリなどを設定しておくのはとてもいいですね。突発的な出来事がおきるとパニックになって連絡がすぐにとれないということもあるかもしれません。災害時は電話が繋がりにくくなることがあるかもしれないですが、位置共有アプリならデータ通信が生きていれば場所が特定できてお互いに安心ですね。避難所生活が、発達の偏りのあるタイプの人にとって可能かどうかは、その方の特性にもよりますが、他者との距離が近く人が多くざわざわしている避難所には入れない方もいると思います。自家用車や、テントなどを活用することを考えて準備しておくことは大事ですね。また、非常事態では、口頭でいろいろ説明するとかえって不安が増しやすく、書いて見せて伝えたほうが伝わりやすいという方もいます。筆談セットなどを用意しておくのもオススメです。寺島さんのご家族は、家族一人ひとりが災害時に備えて準備したり、役割を分担したりしているのはとても素晴らしいです。この記事を読んで、わが家ももう少しいざというときのための対策をしておかなければいけないと反省しました。ありがとうございました。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年09月04日発達障害の姉と妹は仲良し姉妹わが家には3歳差の仲良し姉妹がいます。自閉スペクトラム症、ADHDがある姉(現在中1)は、小1~小3は通常学級(小1は加配あり)、小4~小6は特別支援学級(情緒)、中学進学後も特別支援学級(情緒)に引き続き通っています。普段は素直で優しい姉ですが、こだわり強め、癇癪頻発、また特性から1日中しゃべり続けていることもあります。記憶力が良いため昔のことをよく覚えていて、特につらく悲しい記憶が抜けない面があります。以前交流級の男子数名からいじめにあったことがあり、学校へ行くことが怖く現在は不登校を選んでいます。妹(現在小4)は、周りをよく見ていて常に気配りできる子どもです。いつも自然に姉の面倒を見てくれていて、声かけのタイミングや話の聞き方は療育の先生より上手と思えるほどです。二人の関係は良好です。妹が姉のやりたいことを優先してくれることもありますが、妹が対戦ゲームをしたいときなどは、姉を誘って一緒に遊んでもらうこともあります。姉は話を聞いてもらいたいタイプなのですが、脈絡なく話してしまったり、話が飛び飛びになったりもするし、聞き取りにくいことも多々あります。それでも妹は相づちを入れつつ「ちゃんと聞いているよ」という姿勢で姉との会話を楽しんでいるようです。このように妹は話の聞き方一つにしても、親以上に姉への対応が上手だなと感じています。それは4歳の頃から自然に身についていったように思えます。Upload By ユーザー体験談4歳から自然と身についていた姉への「声がけの仕方」妹は小さい頃から”周囲の人を助けたい”と思う性格のようで、園や学校のお友達が困っていると自然と手助けをしていましたし、姉のフォローもいつもすすんでしてくれています。姉は話しかけられても気づかないことが多いのですが、妹は4歳くらいの頃から、姉に話しかけるときは姉の視界に入る場所に移動して名前を呼び、一旦注目させてから話すということを自然と行っていました。普段私がそのように話しかけている様子を見て、自然に習得したようです。妹が年長くらいになると、出かける際、姉に「〇〇(姉の名前)、□□(場所)に行きます。あわてないで準備します」などと姉に声がけをするようになりました。姉のパニックや癇癪に事前に気づいてくれるまた、妹は姉のパニックや癇癪に対して、落ち着くまでそっとしておいたほうがいいときと声がけをしてあげたほうがいいときの違いを感覚的に掴み、対応してくれます。それも妹が4歳頃から自然と行っていたように思います。姉がパニックや癇癪を起こしたときは、落ち着くまで待つのが1番の対応になります。妹はそのときも何も話しかけずただ待っています。そして、おさまったタイミングで、「落ち着けてよかった」など声をかけて、パニックや癇癪を起こしたことは責めません。ちゃんと落ち着けたタイミングを見極められていることもすごいことだなぁと思います。また、姉がパニックを起こしそうになる状態に気づくのがとても早く、先生がそれに気づかず進めていると、「〇〇(姉の名前)大丈夫?ちょっと休む?」と絶妙なタイミングで声をかけています。妹の声かけがもう1分遅かったら癇癪を起こしていただろうと思うことが何度もありました。癇癪を起こしてしまうと長いし、本人も周りもつらいので、一瞬の表情の変化や動きで気づいて助けてくれる妹にはとても助かっています。また姉も「ありがとう、ちょっと休みたいな」と妹の声がけだと素直に応じられることが多いです。Upload By ユーザー体験談姉のパニックを最小限に抑えてくれる妹のすばやい状況理解と対応以前療育施設で、姉と妹だけ別の部屋に案内されたときの話です。案内された部屋には、学校の机と椅子があり、その部屋に案内された時、一瞬姉の動きが止まりました。瞬時に妹はその動きに気づき「やばい!」と思ったそう。やはり姉が癇癪起こす直前の状態、体が強張る様子になっていました。いじめられて不登校になった姉は、学校を思い出させる机と椅子がとてもつらく、耐え難いものでした。療育の先生はそのことを知らなかったということもあり、異変の理由に気づきませんでした。私は、姉が学校の机と椅子が嫌なことを妹には話していなかったのですが、妹は姉が学校を連想したのかもしれないとすぐ気づき、部屋に入る前に「このお部屋は学校みたいだから〇〇(姉の名前)は苦手みたい」と療育の先生に教えてくれました。また姉には「この部屋はいやだよね。無理しなくていいと思うよ」と穏やかに声をかけていました。Upload By ユーザー体験談その後、妹が姉にその後の予定を話し、落ち着かせようとしてくれました。姉も一旦落ち着きかけたのですが、少しパニックになってしまったため、その日の療育はそのまま終わってしまいました。ですが、あのまま案内された部屋に入っていたら、1週間は荒れていたと思います。妹の気づきと素早い対応のおかげで、その日1日荒れる程度で済みました。これからも仲良し姉妹で!姉は少しでも過ごしやすいように、妹には好きを優先してほしいこのように妹には姉だけでなく、私もとても助けてもらっています。ただ、優しすぎて自己主張が苦手な面がある妹。いつも負担や我慢ばかりさせているかと思うと、親として申し訳ない気持ちもあります。ですので、母と妹2人で出かけたり、ぎゅーっと抱きしめることは欠かせません。Upload By ユーザー体験談親としては、二人がこれからも仲良し姉妹でいてもらいたいというのが何よりの望みです。姉は、素直で優しい部分はそのままで、気持ちのコントロールを徐々にできるようになってもらい、悲しみばかりに囚われず少しでも過ごしやすくなってもらいたいです。妹は……いつも自分の気持ちよりも相手のことを優先しがちなので、もっと自分のやりたいこと、好きなことを優先できるようにになってもらいたいです。サポートには本当に助かっていますが、妹には妹の人生があると思うので、その部分は我慢をさせないように親としても注意して見守っていきたいです。また妹は、家では姉をサポートし、学校では特別支援学級の子をサポートしているようです。本人も人を助けたい思いが強く、大人になったら姉の通う療育施設の先生になろうかなと話しているので、療育の先生になって支援が必要な子やその家族の支えになる存在になってくれればと思っています。イラスト/カタバミエピソード参考/naco.(監修:森先生)とっても良い妹さんですね。お母さんから妹さんへの配慮も、大変素晴らしいと感じます。発達障害のある子どもが成長するためには、親だけでなく家族全員の協力が得られるとより良いですよね。親だけではケアできない部分もあり、同年代のきょうだいからケアしてくれることは、とっても助かるでしょう。ただし、パニックや癇癪の対応は、大人でも疲れてしまうこともあるくらい大変なことです。「きょうだい児」がどんなに優秀でも、親はそれに甘え過ぎないことが大切です。「きょうだい児」にも、安心して家族に甘えたり、ときに反抗したりすることも必要です。「きょうだい児」とのコミュニケーションも大切にして、ときに親と2人っきりで甘えられる時間を意識的にとってあげること。「お世話をしてくれるから」でなく、「その子自身を愛している」こと、「その子のやりたいことを応援している」ことを、これからも今の調子でしっかりと伝えられるといいのではないかと思います。
2023年08月31日NHK、NHKプロモーション主催、『NHKバレエの饗宴2024』が2024年1月27日(土)にNHKホール(東京都渋谷区神南2丁目2-1)にて開催されます。チケットはカンフェティ(運営:ロングランプランニング株式会社、東京都新宿区、代表取締役:榑松 大剛)にて10月7日(土)10:00より発売開始です。カンフェティにて10月7日(土)10:00よりチケット発売開始 公式ホームページ 注目のバレエ団、ダンサーたちが集結する夢の饗宴!!日本を代表するバレエ団やバレエダンサーがカンパニーの枠を超えて一堂に会する「NHKバレエの饗宴」。クラシックからコンテンポラリーまで、舞踊芸術の魅力が詰まった豪華なステージは、見る者を美と感動の世界へと誘います一夜限りの“夢の饗宴”をお楽しみください。<演目・出演>(五十音順)○金子扶生&ワディム・ムンタギロフ:『くるみ割り人形』からグラン・パ・ド・ドゥ振付:ピーター・ライト(イワノフ版に基づく)音楽:チャイコフスキー出演:金子扶生(英国ロイヤル・バレエ団プリンシパル)、ワディム・ムンタギロフ(英国ロイヤル・バレエ団プリンシパル)○新国立劇場バレエ団:『ドン・キホーテ』第3幕振付:マリウス・プティパ、アレクサンドル・ゴルスキー改訂振付:アレクセイ・ファジェーチェフ音楽:ミンクス出演:米沢唯、速水渉悟ほか○東京シティ・バレエ団:『L’heure bleue』(ルール・ブルー)振付:イリ・ブベニチェク音楽:バッハ、モーツァルト、ボッケリーニ出演:岡博美、平田沙織、植田穂乃香、折原由奈、石塚あずさ、吉留諒、沖田貴士、福田建太、岡田晃明、林高弘○中村祥子&小㞍健太:『幻灯』(改訂版)振付:小㞍健太音楽:リヒター※この作品は録音音源を使用いたします。出演:中村祥子(Kバレエカンパニー名誉プリンシパル)、小㞍健太ほか1演目を上演予定<指揮>井田勝大<管弦楽>東京フィルハーモニー交響楽団公演概要『NHKバレエの饗宴2024』公演日時:2024年1月27日(土)午後4時45分開場/午後5時30分開演(終演時刻未定)会場:NHKホール(東京都渋谷区神南2丁目2-1)【アクセス】・山手線原宿駅から徒歩10分・渋谷駅から徒歩15分・駐車場はありません。渋谷区役所前公共地下駐車場をご利用ください。■チケット料金S席:13,800円A席:10,800円B席:6,800円C席:3,800円U-25席:1,800円(全席指定・消費税込)※就学前のお子様の同伴、入場はご遠慮ください。※車いす席は1人あたり13,800円(税込)です。付き添いの方も有料となりますので、ご入場される人数分の車いす席のチケットをご購入ください。車いす席はカンフェティのみの取り扱いとなります。※出演者の病気や怪我、そのほかやむを得ない事情により演目、出演者が変更になる場合がございます。公演中止の場合を除き、チケットの払い戻しは行いませんので、あらかじめご了承のうえチケットをご購入ください。■主催NHK、NHKプロモーション■協力チャコット■放送予定「クラシック音楽館」日曜午後9時~ (放送日未定)<Eテレ>「8KNHKバレエの饗宴2024(仮)」 (放送日未定)<BS8K>※放送日時は決まり次第、ホームページなどでお知らせします。■問合せ03-5790-6438(午前11時~午後5時/月~金※祝日除く)※NHKプロモーション内「NHKバレエの饗宴」公式ホームページ NHKホームページ 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2023年08月25日幼稚園からあった登園渋りが、小学校になりよりひどくなって…現在10歳の息子は、4歳で自閉スペクトラム症(ASD)、ADHDの診断を受けています。息子は感覚鈍麻があり刺激が欲しくて多動になるタイプです。小学校入学後に服薬を開始したため衝動や多動はだいぶ落ち着いていますが、基本的に落ち着きがなく、一度にたくさん指示があると処理しきれずに「もういい!」とキレることが多々あります。幼稚園でも入園直後から登園渋りはあったのですが、年中から療育に行くようになると息子にあった声掛け、対応ができるようになったこともあり、少しずつ成長することができました。進学にあたっては就学相談を行い、学校とも相談をしたのですが、入学予定の学校に情緒級がなかったこと、通級指導教室は別の学校へ移動して受けるということを息子が「疲れるから嫌だ」と拒否するのが予想できたので避け、結果通常学級となりました。そして、入学後間もなく、登校渋りが始まってしまいました。登校渋りの原因1:ゲーム依存ゲーム時間、寝る時間を守ってくれず…息子の登校渋りの原因は大きく分けると2つあると思います。1つ目はゲーム依存でした。幼稚園の頃、友達の家で見たオンラインゲームを「やりたい!」とずっと言っていた息子。ゲーム依存の危険性も理解していたのですが、時間を守ることを覚えたり、友達と約束をして楽しくプレイするのは成長になるかと思い、あるシューティングゲームを1年生のゴールデンウィーク前に解禁しました。ですが、これが間違いでした。それまで慣れない小学校への登校で疲れていた反動もあってか、ゴールデンウィークに過度にゲームにのめりこんでしまった息子。寝るように言っても寝てくれず、生活リズムは大きく崩れました。学校に行くようになったら朝起きてくれるだろうと思っていたのですが、ゴールデンウィークが終わり登校する日の朝、「嫌!行かない!」とベッドで癇癪を起こしたのです。Upload By ユーザー体験談「どうして?」と聞いても、本人はうまく気持ちを言語化できないのもあり、「全部が嫌になったんだ!」と声を上げるばかり。1日休ませてみたところ、翌朝も同じように癇癪を起こしたので、遅刻して登校させてみたりと、なんとか意地でも学校に行かせるという状態になってしまいました。寝る時間を約束しても、ゲーム時間を制限しても、時間がくると駄々をこねまくり、毎回こちらが疲れてしまいました。ここで私が面倒になって、長時間ゲームをやらせていました。でも、ボイスチャットで友達とギャグを言い合いながらプレイする姿が本当に楽しそうで……。そんなに楽しいなら……と思ってしまう面もあったのは否めません。登校渋りについてはスクールカウンセラーさんに相談していたのですが、6月、ゲームのシステムがアップデートをし、本人が目指していたステージのクリアが課金をしないと難しくなりました。さんざん課金をお願いされたのですが、私も夫もそこは許可しなかったところ、「飽きたらから辞めた」とあっさりそのゲームからは引退。その後は別のゲームを始めたのですが、前のようにはまることもなく、時間もそこそこコントロールできるようになりました。ただ、学校で嫌なことがあるとゲームに依存しがちになってしまうので、そこは前のように依存しないように注意して見ています。登校渋りの原因2:友達トラブル運動会で「また、分からなくなっちゃったの~?」と揶揄される息子2つ目は友達とのトラブルで、これが最大の原因であり今も頭を悩ませているものです。切り替えの苦手さや不注意の特性からの失敗をクラスメイトによく注意され、それが嫌だと言っている息子。1年生の運動会での玉入れ競技のとき、その場面を実際に見る機会がありました。玉入れが終わり数を数える場面で、息子は玉を持たなくていいのに手に玉を持ってしまいました。すると、それに対してクラスメイトの男の子が「また、分からなくなっちゃったの~?」と揶揄していたのです。先生から言われていたことを忘れてしまっていたこと、また、やることの切り替えがスムーズにできなかったことが原因の失敗だと思います。「今は玉は持たなくていいんだよ」という声掛けなら問題ないのですが、男の子の言い方からはバカにされたようなニュアンスを感じた私は、(今までもよく友達に注意されると言っていたけれど、こういう言い方だといじめに発展しかねない……)と不安に感じました。そして即、教頭先生や教育支援センターに相談し、なるべくクラスの様子を見に行ってもらえるようお願いしました。Upload By ユーザー体験談「こんな特性持って生まれてきたくなんてなかった」「俺のことなんだからほっとけよ!」と叫ぶ息子このようなトラブルがありましたが、1、2年の時は先生の対応も手厚く、だいたいは登校できていたと思います。ですが3年生になると「学校なんて行かない!」と本格的に不登校になってしまいました。本人が落ちついているときに改めて「学校に行きたくない理由は?」と聞いてみたところ、「クラスメイトに注意されるのが嫌なのが1番の理由。それがなければ学校は案外楽しいので行けるよ。勉強嫌いだけど。好きな教科もあるし」と言う息子。でもその後興奮して、「俺はもう一万回はクラスの子から『遅い!』とか『早くしろ』とか、『どうしようもないな!』って言われてきた!もう生きるのが嫌だし、こんな特性持って生まれてきたくなんてなかった!俺のことなんだからほっとけよ!」と爆発していました。Upload By ユーザー体験談さらに、「お母さんやお父さんだって、特性がなければもっと俺のことを自慢できたし、俺だって、特性がなければ●●君みたいなしっかりした子みたいにやれたし。お母さんもそんな子どもが欲しかったでしょう?」とも……。息子には少しでも生きやすい方法を身につけてほしい……、親ができることは何でもしたい……そんな思いの中、私は再度学校に相談をすることにしました。中学まで引き継げる支援を。息子を支えるチーム体制ができ、母の負担が減りました私は担任の先生に面談をお願いし、「通常学級が合ってないのかもしれません」と伝えました。すると先生は「注意されることが苦痛であるならば、環境調整で原因を取り除くことによって改善できるはずです。授業そのものは本人にも楽しんでいる様子がありますし、発言も見られます。もっと頑張れる子だと思います」と言われました。そして先生方は以下の対応をしてくれることになりました。・なるべく叱らない・おおげさなくらいに応援して、課題ができたらほめる・不注意があったら先回りして配慮をしておくUpload By ユーザー体験談また、教育支援センターに相談したところ、巡回相談をしてくれることになりました。そして、心理士さん、言語聴覚士さん、作業療法士さんの中で1名(日によってどなたがが参加されます)、学校に配属されている発達障害のある子どもと保護者をつなぐベテランコーディネーターの方、担任の先生と私の4人で、どうして息子が学校に行けないのか、行けるようになるためにどのような支援が必要かを話す場が設けられました。「学校でできる工夫」「家でできる工夫」「それをもとに変わってきたこと」小さな目標をたて、それができているか確認、見直しをしています。息子の行動の説明やアドバイスをまとめた資料をくれることもあります。感覚鈍麻がある息子は、高いところからジャンプすることで、自分の体の感覚をつかむ訓練になるのでそういった遊びをするといい、などです。一緒に考えていただけるようになって私の負担が少し減りました。小学生のうちに息子の困りごとを減らすとともに、中学校生活での必要な支援をまとめておくことで、息子の助けになればと思っています。特性を抱えて生きるつらさを感じている息子に寄り添っていきたい息子は明るく根は素直で、悪いことをしたら謝れる子どもです。ユーモアもあるので、最初の友達作りに問題はありません。ただ、頑固さや切り替えの悪さなどから、その後の継続した関係が難しいようでなかなか仲の良いクラスメイトができません。息子が特性を抱えて生きるつらさを感じている現在、息子の気持ちに寄り添うことが私のつとめだと思っています。ですので、不登校を許容したい気持ちもあるのですが、それよりも今は周りの助けを借りて本人の困りごとを取り除き、環境調整をしていくことが最優先です。100人いれば子育ても100通りですよね。他の子どもと比べてしまったり、今も何かあるたびに落ち込んだり、疲れてしまうこともありますが、「息子には息子にあった子育てをしよう!」と思っています。イラスト/吉田いらこエピソード参考/翠ママ(監修:藤井先生より)100人いれば子育ても100通り、息子さんには息子さんにあった子育てを、との言葉に強く共感いたしました。この言葉の意味を頭では分かっていても、どうしても実行できないことが親子だからこそあると思います。見守る、寄り添う、その子のペースを大切に、と言われてもできません、と話される親御さんは多くいます。私自身も子育て中なので、そのお気持ちはよくわかります。それでも、100人いれば100通りの子育てというのはとても大切だと思います。そこにたどり着くまでに時間はかかるかもしれませんが、一人で子育てを抱え込まず、いろいろな人に相談することで、視野が広がり、お子さんのペースを大切にする視点に立つことができるようになります。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年08月24日【発達障害×子育てアンケート】家庭での勉強に関してお困りごとがありますか?発達障害のあるお子さんの保護者の中には、「子どもがなかなか勉強に取り掛かろうとしない」「宿題に時間がかかってしまう」、そんな悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか?夏休みには宿題が多く出されることもあり、家庭での勉強法について気になっている保護者の方もいらっしゃることでしょう。そこでLITALICO発達ナビでは、家庭での勉強法について公式LINEにてアンケートを実施しました。今回のアンケートでは、家庭学習での困りごとはあるか?また、具体的な困りごとや工夫していることについてなど、みなさまから回答をいただきました。※アンケートはLITALICOの公式LINEにて!『お友だち登録』お待ちしています!Upload By 発達ナビ編集部具体的な困りごとの内容、家庭で工夫していることの回答「難しい漢字や、算数の文章問題が苦手で癇癪を起こしがちです。カーッとなってるときは手がつけられないので、自宅では本人ができるとこだけやって直しはせず(直そうとすると余計に怒るので)、翌日学校では落ち着いているので先生に教えてもらったり直していただいたりしています」「間違えると適当になり、ひどいと紙をぐちゃぐちゃにしてしまうこともあるので、勉強のときは横について一緒にやっています」「集中力がなく、気が散るタイプなので、自分自身で集中できないことが多い。自分でできるようになってほしいので、少しずつ本人に任せてみていますが、気づかせてできていないと一度パニックになって、落ち着いてからじゃないと進まないので、なかなか難しいです」LITALICO公式LINEアカウントお友達へのアンケート結果より回答期間:2023年8月1日~8月3日回答人数:1,578名※一部抜粋「だいたい始める時間と終わる時間を決めてしまい、はかどらなくても終わりの時間が来たら思い切ってやめてしまう。あまりにもはかどらなかった次のときはやる量を決めてやる」「宿題が終わったらゲーム解禁にしてあります。あとは終わったらオヤツとか。いくつもあるときは、せめて一つだけでも終わらせよう! と声をかけ、自分で選んだものだけでも終わらせるように促します」「気持ちが落ち着くとあっさりできる場合が多いので、一旦勉強はやめて、遊ぶなど本人の好きなことをやって、再開できるまで待っています。ただ、遊ぶ時間が長くなりがちで『そろそろ』と声をかけて、子どもも『そうだね』となる日と、『うるさい』と言われる日があり、再開するまで時間がかかり、一体いつするの? と思うと、親はハラハラ、イライラしてきます」LITALICO公式LINEアカウントお友達へのアンケート結果より回答期間:2023年08月1日~08月03日回答人数:1,578名※一部抜粋まとめ今回のアンケートでは、お子さんの家庭学習で困りごとはあるかをお聞きしたところ、多くの回答者が「困りごとがある」と答えていらっしゃいました。全体の4割近くの方が「勉強になかなか取りかからない」、次いで多かったのが「誰かが見ていないと進まない」という回答でした。保護者の方の多くが、ご家庭で勉強に向かわせる困難さを感じていました。また、癇癪を起こす、気が散るなど、発達障害の特性とも捉えられる困りごとも寄せられていました。家庭学習の具体的な困りごとは多種多様で、工夫して対処できているご家庭もあれば、「このまま勉強をしなければどうなるのだろう……」といった、お子さんの将来に対する不安を抱えている方も多くいることが分かりました。さまざまな困りごとがある中で、子どもの得意・不得意を整理しながら一人ひとりに合った対策を考えることが大切になります。進路や将来の就職、自立に向けて、子どもの個性を伸ばす学びの環境を整えることも必要なのではないでしょうか。LITALICOでは、お子さん一人ひとりに合った環境を整えるサポートのサービスをLITALICOライフが担っています。LITALICOライフでは、実際の障害に合わせた環境の整え方や、どういう対策が必要かを一緒に考える「勉強会」「個別相談」を行っています。お気軽にご相談ください。LITALICOライフでは現在、【ADHD向け個性にあった小学校・中学校選び】に関する勉強会を開催しています。子どもの困った行動への対処法や、ADHDがある子どもの事例を通じて、小学校から高校までの進路についてどのような選択肢があるのかを知ることができます。Upload By 発達ナビ編集部※アンケートはLITALICOの公式LINEにて!『お友だち登録』お待ちしています!(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年08月22日息子が発達ゆっくりのため、娘ももしかしたら…?娘が産まれる少し前から息子の発達が気になっていた私……娘が産まれてすぐ、まだ産院に入院していた頃から、娘ももしかしたら発達ゆっくりさんではないかと心配していました。娘は息子と同じく産院ではすごくよく眠る赤ちゃんでしたが、息子と違った点は母乳の飲み方が上手かったこと。私自身も2人目の育児で慣れてきていたのもあるかもしれないのですが、息子のときには感じなかった力強さを感じました。しかし退院してから『抱っこしていないと眠らない、眠ってもすぐ起きる、そして物音に敏感な赤ちゃん』に豹変した息子のことがあったので、「もしかしたら、退院してから娘も豹変するんじゃ……」と不安を抱えていました。しかしいざ退院してみると、娘は入院中と全く変わらず母乳をよく飲み、よく寝る赤ちゃんでした。全く手がかからなかったので「え、2人目育児ってこんなに楽なもんなのか!?私、母としてのスキル爆上がりしてる!?」なんて勘違いするほどでした。(笑)Upload By 海乃けだま反応が返ってくる!!育児を心の底から楽しめていた時期生後2ヶ月頃になると、娘はあやすとよく笑うようになりました。息子のときには全くと言っていいほど反応がなかった"いないいないばぁ"にもニコニコ笑ってくれるではありませんか!!「こ……これがもしや……いわゆる定型発達児の反応なのか!?」あやすとすぐに反応を返してくれる娘に「めちゃくちゃ可愛いやんけーーーー!!」と親バカが炸裂し、"娘ももしかしたら……"という心配は吹き飛んでしまいました。(笑)息子のときにはしなかった寝返りも5ヶ月頃には自らしていて、それからもハイハイやつかまり立ち、離乳食の手づかみ食べやスプーン食べもすんなりと進み、10ヶ月頃には単語や指差しも出てきました。育児書に書いてある目安どおりの順調な発達に「娘は定型発達に間違いない!!」と思い込むようになりました。Upload By 海乃けだま順調に思えた発達。落ち着きのなさが気になり1歳半健診で相談するも…1歳1ヶ月頃になると、娘はひとり歩きができるようになりました。しかしこの頃、娘の成長を喜ぶ反面、少し気になることも出てきていました。腰がすわった頃から横抱きよりも縦抱きを好んでいた娘ですが、ハイハイができるようになった頃から、娘は抱っこされること自体を嫌がるようになっていたのです。ひとり歩きが安定してくるようになると、さらに落ち着きのなさが目立ち始めたので、1歳半健診で保健師さんに一応相談してみることにしました。健診をひと通り終え、落ち着きのなさ以外には特段困っていることもなく、発達の遅れも見られなかったので、保健師さんからは「様子を見ましょう」と言われました。保健師さんのその一言に「落ち着きはないけれど、診断されるほどじゃないのかもしれない」と少し安堵しました。Upload By 海乃けだま様子見と言われながらも、兄と比べて意思疎通ができていたため、発達の凸凹を受け入れたくなかった入園までの日々…1歳半健診後、定期的に保健センターの保健師さんから、娘の発達についての確認の電話がありました。その頃の娘はというと、2語文がなかなか出ずに少し心配していたものの、2歳を過ぎた頃から爆発的に言葉が出てきたこと、そしてASDの息子と比べて意思疎通も容易だったため、様子見のまま発達相談はせずにいました。正直なところ、息子にASDの診断が出たばかりだったので「息子だけじゃなく、兄妹2人とも発達障害だとしたら……娘にも診断が出るのは耐えられない」と受け入れ難い気持ちばかりが大きくなっていました。しかし、このまま幼稚園に入園して「きっと大丈夫だろう」と思う反面、「もしも集団生活についていけなかったら……」という気持ちは常に頭の隅にありました。娘が2歳半を過ぎた頃にまた保健師さんより連絡があり、発達教室のお誘いがありました。最初は断ろうと思いましたが、「一応通っておこう」と考えなおし、発達教室に参加することにしました。発達教室での娘は、落ち着きのない一面はありつつも、保健師さんの話を聞いてちゃんと動けているように感じました。「落ち着きはないけれど、このまま幼稚園にも行けそう……行けてほしい!」揺らぐ気持ちは変わらないまま、娘が定型発達であってほしい思いだけが強くなっていきました。Upload By 海乃けだま体験入園で園長先生から言われた言葉。娘への後悔…発達教室が終わり、保健師さんに発達検査(新版K式発達検査)をしてもらうことになりました。検査の結果は"年齢相応の発達指数"でしたが、保健師さんから「1対1で行う検査ではこの数値だけど、娘ちゃんには意識が逸れやすいところがあるから、集団生活だと娘ちゃんの持ってる力を発揮しづらいかもしれない」と言われました。それでもなお、私の中では、娘は定型発達であると信じたい気持ちが先行し、保健師さんの言葉を素直に受け入れることができませんでした。そんな矢先、娘の入園予定の幼稚園で、満2歳児向けの体験入園が始まりました。「何事もなく過ごしてほしい……」と祈るような気持ちで娘を体験入園させましたが、そんな私の思いとは裏腹に、娘は先生のお話中に教室を出て行ってしまったり、絵本の時間におままごとのおもちゃで遊び出したり……明らかに集団行動が苦手な様子でした。そんな娘の様子を見ていた園長先生から「海乃さん、息子さんのことでよく知ってると思うから言わせてもらうんだけどね(息子もその幼稚園に転入予定であったため、園長先生には事前に息子がASDであることを伝えていました)、娘ちゃんはどうかな?療育を受けたほうが今後の娘ちゃんのためにもなると思う」とすすめられました。園長先生からの言葉に、今までわが子2人に診断が出てしまうことが受け入れられなくて、娘の発達に期待を寄せ過ぎ、娘の発達凸凹な部分を見て見ぬふりをしてきてしまった自分を悔やみました。その体験入園の日の帰り道、泣きながら保健センターの保健師さんに電話し、児童精神科への紹介状を書いてもらいました。医師による診察の結果、娘は神経発達症(ADHDと軽度の自閉スペクトラム症)と診断されました。幼稚園入園前の3歳9ヶ月のことでした。現在、娘は幼稚園に通いながら、週1日療育園に並行通園しています。何にでも興味があり積極的に楽しむ娘は、幼稚園も療育園も、どちらも「行くー!!」と全力で楽しんでいます。Upload By 海乃けだま執筆/海乃けだま(監修:鈴木先生より)一般的に乳幼児健診などで保健師さんが「様子を見ましょう」という場合は、経過観察のみとなることが多いため、お子さんの発達に気になる点があれば、できるだけ早期にかかりつけ医に相談するのがお勧めです。病名告知は医師にしかできません。「わが子は定型発達で、障がいがあってほしくない」と思うのは、親御さんの自然な感情だと思います。それでも、お子さんの発達の特性がなくなるわけではありません。今回のケースのように悩んだ末、集団の中に入ってから他児との違いに気づき、専門医を訪れる親御さんもいます。今回、娘さんは3歳で神経発達症の診断がつきましたが、早いほうです。お子さんの発達のつまずきに悩み続けている親御さんが就学前に専門機関へ繋がれるようにするため、5歳児健診が少しずつ全国に広まりつつあります。できるだけ早期に診断して受容し、将来に向けて家族や保健師・教員・かかりつけ医等と一緒に考えて歩んでいくことが、お子さんのためには重要なのです。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年08月16日周囲の子どもとの差に悩んでいた2~3歳頃しのくんは、2歳を過ぎても意味のある発語がなかったことから「ことばの教室」に通うようになり、3歳になる頃には集団行動ができないということで療育センターに通うようになりました。言葉の遅れと集団行動の苦手さにくらべると、運動面での大きな困りごとはなかったのですが……当時の私は、ほかのお子さんと比較しては落ち込んだり悩んだり……ということが多く、しのくんが2歳の頃は、特に「ジャンプができない」ことに悩んでいました。知り合いの特別支援学級の先生に相談したところ、「ジャンプとスキップができることは、運動面の発達の状態を知る一つの目安になる」と聞いた私は、あわてて家庭用のトランポリンを買い、毎日しのくんとジャンプの練習をすることにしました。Upload By keiko練習の成果なのかは定かではありませんが、3歳を過ぎてジャンプができるようになったしのくん。しかし私は、今度は4歳を過ぎても「ブランコに乗れない」ということが気になりだしました。しのくんの隣で、夫がブランコのこぎ方を見せながら教えていたのですが、どうしてもうまくできず、最終的には夫や私の膝の上に乗ってブランコ遊びを楽しんでいました。Upload By keiko年長になってもブランコに乗れない…その理由は?しのくんはこの春から年長になりましたが、いまだにブランコには乗れません。いよいよ運動面での遅れが心配になってきたため、療育センターでの作業療法の時間を半年に1回から2ヶ月に1回に増やしてもらうことにしました。まず、療育センターの作業療法士の先生に、しのくんがブランコに乗っている様子を実際に見てもらうことになりました。しのくんははりきってブランコに乗りましたが、自分でこごうとしたとたん、バランスを崩してブランコから落ちてしまったのです!Upload By keikoその様子を見た作業療法士の先生は「しのくんは頭で考えてから、体が動くタイプ。また、同時に複数の動作を行うことが苦手な特性がある」と教えてくれました。・ブランコが上手くこげないのは、鎖を持つ手に意識が集中しているから。・ブランコから落ちてしまうのは、逆にこぐ動作に集中してしまい、鎖をつかむ意識がおろそかになってしまうから。ということがブランコに乗れない原因のようです(ちなみに、しのくんは、なわとびも上手く跳べないのですが、これも、ブランコに乗れないのと同じような理由なんだそうです)。さらに、作業療法士の先生は「宙に浮く感覚はすごく大事なので、椅子型ブランコに乗って練習するといいよ」とアドバイスしてくれました。スモールステップで取り組んでいくことに作業療法士の先生にいただいたアドバイスをきっかけに、無理に自分でブランコをこぐ練習をさせるのではなく、まずはしのくんを椅子型ブランコに乗せて、後ろから押して宙に浮く感覚に慣れてもらうことにしました。今後は、しのくんの特性をしっかり理解し、ほかのお子さんと比べず、しのくんに寄り添って行動したいと思います。Upload By keiko執筆/keiko(監修:鈴木先生より)療育センターでの作業療法は、感覚統合訓練かと思われます。重力不安や前庭機能の低下などをやわらげる訓練方法で、作業療法士(OT)の人がきちんと講習を受けて訓練する必要があります。訓練した結果を評価する必要があるからです。ASDのお子さんの場合、体の動きを制御する脳のはたらきの違いが、動きのぎこちなさに影響しているとも考えられています。また、バランス感覚の悪さもあるため、片足立ちが苦手なお子さんはスキップやケンケンも苦手です。このような不器用さを訓練するのがOTの行う感覚統合訓練なのです。さまざまな感覚を刺激する公園の遊具やアスレチックの遊びもよいとされています。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年08月15日