解体しながら設計を進める多くの文豪を輩出し、大小の出版社が軒を連ねる東京・文京区。建築家の間田真矢さんが夫の央(あきら)さんとともに2度目の家づくりに選んだのは、古くから印刷・製本業が盛んなこの地に建つ、築33年、地上3階、地下1階の鉄筋コンクリート造の元印刷工場。今回は、既存の造りを活かしたリノベーションに挑戦した。「10年ほど前に新築した最初の家は、子育てをするには居住スペースが狭かったため、子どもが生まれたことを機に転居を考えました。自然豊かで子どもの教育にも適した場所を探し、出会ったのがこの物件です。最初は暗くて住みづらそうかなと思いましたが、アレンジ次第で面白いものになるのではないかと思ったのです」。仕事でリノベーションを手掛けていた経験から、解体してみなければわからない点が多いことを知っていた真矢さん。「まずは壊してから考えようと思いました」と。ラーメン構造だったため、間仕切り壁を取りはらい、天井板や壁紙などをはがし、解体を進めながら、設計を行っていったという。3階のLDKは、壁を撤去してワンルームにした明るい空間。大きな開口部(正面)の下には鏡を設置し、より広く見える仕掛けも。出窓を活かした造作のソファに合わせて、ダイニングテーブルをオーダー。天井のコンクリートを一部カットし、トップライトを設置。アンティークのハシゴを上って屋上へ。キッチンには、パーテイションの役割も兼ねたオープンな食器棚を造作。外壁のシルバーのタイルとグリーンのコントラストが美しい。「既存の左官仕上げを取ってみると、新築当初の光沢のあるタイルが現れて、これは使えると思い、磨いて使用しています」と真矢さん。主に模型づくりなど作業場として使用する1階のアトリエ。躯体現しの天井は、配管を整理した“見せる配管”がアクセント。RC階段の鉄筋を活かした“緑の階段”間田邸は、地階と1階が真矢さんと央さんが主宰する設計事務所のアトリエ、2階、3階が住居スペースとなっている。住宅密集地に建つため、向かい側の住人と視線が合わないよう、家族が集まるLDKは3階に配置。現在は、光に包まれた明るい空間に仕上がっているが、当初は、隣家が迫っているため、どこから光を取り入れるかが大きなテーマだったという。「採光のために、階段室を解体して吹き抜けを造ることが効率的と考えました。はじめは、RCの階段をすべて撤去する予定でしたが、解体している途中で階段内部の鉄筋だけが残っている状態を偶然に見たのです。こんなにきれいに残っているなら、これを活かさない手はないと思いました。緑を取り入れたかったので、もともと興味のあった遺跡をイメージして鉄筋に植物を絡ませていき、“緑の階段”を作り上げました」。偶然の遭遇と斬新な発想から生まれた“緑の階段”。光をもたらすだけでなく、オブジェのような存在感も放っている。地階から塔屋までの5層を貫く吹き抜けの上部に、新たにトップライトを設置。たっぷりの陽光が入り、空気も循環するため、植物もよく育つという。「どんどん伸びる植物を見るのは楽しいですね。家の中で季節を感じられるのがよいです」。3階のキッチン。“緑の階段”を間近で見られる特等席。塔屋の上部につけたトップライトからたっぷりの日差しが入り、とても明るい。コンクリートの躯体を現しにしたLDK。木製の窓枠や家具、グリーンが程よく温かみをプラスしている。元は階段室だった場所を取り壊し、鉄筋のみ残した。「昔の建物の痕跡を残したかったこともあります」と真矢さん。塔屋までの吹き抜けを地下1階から見上げる。上部にトップライトを設置。キッチンに置かれたアイランドカウンターは、使い勝手を考えて真矢さんが設計したもの。キャスターを付けて移動自在にしたため重宝。コンパクトですっきりとしたキッチンは『SieMatic』。洗濯機(右奥)も一緒に設置し、水回りを集中させた。2階は寝室とサニタリールーム。『DURAVIT』の洗面の奥にトイレ、バスルームを配置。上部はロフトになっていて、娘さん(6歳)の遊び場としても活用。子ども部屋から“緑の階段”を見る。窓の奥に外が広がっているような錯覚も。新設した階段を3階から見下ろす。間田邸には、ケニアや北欧などを旅した際に購入した動物のオブジェがアクセントに使われている。木製のキリンは望月勤氏の作品。ワンルームを素材でゾーニングコンクリートの躯体を現しにした天井や壁、開口が印象的な間田邸。「あえてコンクリートのギザギザしたところを残し、きれいにしすぎないようにしました」と真矢さん。現場に通いつめ、職人さんに細かく指示を出して削っていったと話す。“緑の階段”に加え、コンクリートの天井をカットして造ったトップライトからもたっぷりの光が降り注ぐ。下に置かれたエバーフレッシュの葉が青々と育ち、まるで屋外のよう。新設した階段側の壁には漆喰を塗り、床にはレンガタイルを採用して屋外の雰囲気を盛り上げている。一方、LDKや寝室が配置された側は、フローリングの床に、ヒノキ合板を使用した壁など木をふんだんに使い、ゆったりとくつろげることを意識した。床材と同素材の大きなプランターに植えたグリーンもゾーニングに一役買っている。住まいながら、光の加減を見て、隅々まで光が入るよう床を削ったり、最近では、地下のアトリエから1階に上がる階段を作製したりと、今もなお続くリノベーション。「必要なものをその都度手を加えられる自由さが楽しいですね」とリノベーションの魅力を語る真矢さん。荒々しさと繊細さが同居した家は、真矢さんの自由な発想でまだまだ進化しそうだ。階段側はレンガタイルの床、リビング側はフローリングにし、ゆるやかにゾーニング。現在は、屋上に続く階段を考え中とのこと。2階の床も素材を替えることで、室内と半屋外空間との異なる雰囲気を演出。ヒノキ合板の壁でぬくもり感を演出。各階のベランダにもグリーンを添えて。設計を中心に行う地下のアトリエ。印刷物の搬出入用の穴を利用して設置した階段は、真矢さんが研究中の“デジタルファブリケーション”技術を用いて作製した。右奥にも階段があり、1階と地階の行き来には回遊性ができ、便利になったとのこと。地階から3階まで吹き抜けでつながっているため、声がよく通り、安心感もある。1階と2階をつなぐ既設の階段は、黒いモルタルを流し込んだ。ここで靴を脱ぎ、2階、3階の住居スペースへ。間田邸設計MAMM DESIGN一級建築士事務所所在地東京都文京区構造RC造規模地上3階、地下1階延床面積143.15㎡
2021年10月18日印象を決める木製窓やアンティークのドア代々木公園に隣接するハンバーガーショップ『ARMS』のオーナー、岩田卓之さん、朋代さんご夫妻。「公園近くのペット可の賃貸マンションに住んでいたのですが、そろそろ家が欲しくなり物件を探し始めました。鎌倉なども探したのですがなかなか思い描くような家は見つからず、『エンジョイワークス』に相談することにしました」そして見つかったのが、三浦半島は南葉山の約1400㎡もの広大な敷地に建つ平屋の家。「築18年の普通の家が建っていたのですが、この家を生かしてリノベーションすることにしました」印象的な木製扉はアンダーセン社のもの。「『エンジョイワークス』の設計の方とリノベーションの相談をしながら必要な個数を出していただいて、価格を抑えるために個人で安く買いました」玄関扉や室内のブルーのアンティークのドアも岩田さんが見立てて施主支給したもの。フローリングはエイジング加工されたオーク材を選んだ。他にも、タイル、照明、把手、蝶番や鋲に至るまで素材にこだわって空間を作り上げた。「現場の職人さんも含めて、チームプレーでとてもよい家を作ることができました」そして外装は杉板の鎧張りに。これからシルバーに経年変化していくのが楽しみだ。リビングを含む全ての部屋と庭をつなぐ大きなウッドデッキを設置。母屋の横にはキャンピングカーも。奥行きのある広々とした小高い斜面が岩田さんの敷地になっている。この庭が格好の犬たちの遊び場だ。かつては日本風の庭園だったが、樹木を整理し、芝生を張った。広い庭の管理用に新たに軽トラックを購入したのだそう。「今後は好みの植物を入れて、自分らしい庭を作りたいと思ってます」天井を抜いて古い梁を見せた。切妻屋根を生かした三角の天井は白に。「ソファは実家にあった母の嫁入り道具を引き継いで大事に使っています」木製の窓はすべてアンダーセン社の二重サッシ。「壁に煉瓦を貼った場所には、薪ストーブを置く予定です」2頭の愛犬も都内から一緒に越してきた。卓之さんを遊びに誘う8歳のビッケちゃん。14歳のヒニーちゃんは、この場所から外を眺めるのが大好きなのだとか。新しい可能性を秘めた三浦半島の暮らし鎌倉や葉山だけではないポテンシャルが、三浦半島にはまだまだあることを岩田邸は教えてくれる。クルマで片道約1時間半で、都内へとアクセスが可能だ。「以前は店のすぐそばに住んでいたので大変といえば大変ですが、その分、ここには都内では得られない豊かな暮らしがあります。完全にスイッチを切り替えるため、たとえば家にTVは置いていません」広い庭では犬たちが駆け回る。「実はひとつ気づいたことがあります。犬は自分ひとりで庭で遊ぶより、飼い主と一緒に散歩に行くのが大好きなんです(笑)」跳ね上げ式の木製窓もアンダーセン社のもの。窓が部屋の印象を大きく変える。下駄箱にしている棚は内側の黄色のペイントがキュート。小物はアメリカで買ったものが多いそう。玄関扉は『GALLUP』でオーダーしたハンドメイドのヴィンテージ。下駄箱にしたヴィンテージの棚も『GALUP』で。「窓の高さとピッタリのサイズだったので、購入を即決しました」玄関の横のスチールのラックのサイドが鍵の指定席。ラックの塗装の剥げ感がとてもよい味わい。ポッテリとしたアメリカ製の食器を愛用している。約150年前のアンティークのホーローのダブルシンクは、家を建てる前に福生の『DECO DEMODE』で見つけて確保。このシンクに合わせてキッチンを作っていった。窓辺のキッチン。庭を見ながら気持ちよく料理ができる。冷蔵庫(写真右下)は業務用を選択。友人が泊まれるガレージを作る母屋の横のキャンピングカーはクレーンで吊り上げて設置。「友人が遊びに来た時にここに泊まってもらっていたのですが、雨漏りし始めたので修理が必要な状態です」クルマが大好きな岩田さん。敷地内に数台のクルマを停めている。「ゆくゆくはガレージを作りたいと思っています。ガレージの上には友人が泊まれる部屋を作りたいです。家の中も、これから薪ストーブを入れたいですし、ウッドの腰壁も作りたいし、天井に木を貼りたいとも思っています。庭にも手を入れたい。やりたいことが山ほどあるので、これからの変化が楽しみです」奥がベッドルーム。いつのまにかヒニーちゃんがベッドで爆睡。寝室のクローゼットは、通気性の高い木製扉。2面採光の明るいベッドルーム。ベッドルームからも、木製の観音開きのドアから外のデッキに出ることができる。洗面所はアンティークの黒白のタイルを貼り、NYスタイルに。洗面台はアメリカンスタンダード社のもの。鏡はヴィンテージ。トイレはテラコッタタイルのカントリースタイル。グローエ社のシャワーヘッドに、クラシックなデザインの蛇口を組み合わせた。
2020年11月09日濡れた足で歩ける土間「モアデザイン」で店舗デザインを中心に、数多くの物件を手掛けてきたインテリアデザイナーの山口大輔さん、昌愛さんご夫妻。お二人ともサーフィンにすっかり魅了され、6年前に3匹の愛犬とともに都内から鎌倉・由比ヶ浜近くに移住した。海まで自転車で約5分、サーフ天国な家だ。「当時、そろそろ家を買いたいなと考えていました。都内より、波乗りができる場所がいいと鎌倉に狙いを絞りました」サーフィンのためにリノベーションをした家なので、サーフボードの置き場と、海から上がった際の動線を確保するために、庭だった場所に土間部分を建て増しした。海から帰ったら庭でシャワーを浴び、濡れた足で土間を歩いてもまったく問題ない。ダイニングやリビングからも見ることができる美しい柄が施されたロングボードは、メキシコでアーティストにオーダーしたもの。「メキシコではバハカリフォルニアでサーフトリップもしました。美しい海とサボテン以外はなにもない場所(笑)。日本とのギャップを存分に楽しみました」サーフボードを保管している土間は、もともと庭だった部分に増築している。ロングボードの長さ分の天井高をしっかりと確保。土間は玄関からシューズクローゼットまで続いている。リノベの際、キッチンの場所は移動。濃いブルー、黒、そして階段の虎柄の壁紙、木目のキッチンとフローリング、5つのライト。リズミカルなインテリアがカッコいい。ダイニングテーブルの上の照明は、電球のデザインがすべて違っている。建て増しした玄関のモルタルの壁が、時間とともに味わいのある色に変化してきたそう。土間の奥は靴棚を設置。「鎌倉は湿気が多いのと、ここでウエットスーツも干すので、カビを防止するためエアコンを常時回しています」オリジナルな無国籍インテリア風、スタイルの家と括られる空間にはしたくなかったという山口さん。サーフィンをするための家なのだが、いわゆるサーフスタイルの家ではないのだ。山口さんのセンスに彩られた、オリジナルな山口スタイルの家だ。「さっぱりとした家より、ゴチャゴチャしているほうが好きなんです」山口さん宅には豹柄アイテムがとても多い。ラグマット、ビーチサンダル……階段に置かれたスケートボードも豹柄だ。HALOのパンクな星型スタッズの棚の上には、バリ島で買った仏像のアート、スカル、ライオン、スケッグと、様々な国の様々なテイストのものが並ぶ。階段の輸入壁紙は虎!よく見ると様々なデザインの金のロープタッセルを咥えている。手摺りは流木。1.5人掛けの白いソファやTV台など、家具はイギリスのHALOのものが多いそうだ。もともとあった出窓はモルタルで仕上げ直し、たくさんの植物を飾っている。MIX犬のパンダちゃんはHALOのソファがお気に入り。フレンチブルのサイちゃん、ポメラニアンのコトラちゃんの3匹とともに暮らす。2階は元々の間取りを活かしてリノベ1階は大きく手を入れてリノベーションをしたが、2階はもともとの部屋を活かして手を加えたという。「仕事部屋はもと和室です。無理に洋に寄せるのではなく、壁紙などで和の名残りMIXを楽しんでいます」寝室はハチ柄の輸入壁紙。甘くなりすぎないピンクの壁紙が最高。両袖の机はロイズ・アンティークスで買ったアンティーク。ベッドの脇には、犬たちのためのスロープが設置されていた。DIYで作ったのだとか。寝室にウォーキングクローゼットを作った。左右でゆるく夫婦の服を分けて収納しているのだそう。都内の事務所だけでなく、鎌倉でも仕事が進められるよう、仕事部屋を整えた。
2020年10月12日買い替えを考えていたMさん一家が11年前に購入した建売住宅をリノベーションして住み直してから1年ほど。Mさんは全面的に刷新された室内空間にとても満足しており「言うことなし」というが、当初は買い替えて別の場所に引っ越しをすることも考えていたという。しかし、映像系の仕事をされているMさんの友人たちがそれぞれ好みに合った家を建て始めたのを見て、自分たちにも同じことができるのではと考え直すことに。さらに、都心で生活がしやすいことに加え、ゆくゆくは夫婦2人だけで住むことを考えたら現状のサイズ感がちょうどいいと判断。また、奥さんが素敵にリノベーションされている家をネットで見つけたこともあり、買い替えでも建て替えでもなくリノベーションすることを決めたという。Mさんは「リノベーションでわれわれの気に入るようなものにできるとは思っていなかったんですが、妻が見つけた家がとても良い感じで仕上がっていたのでこれは可能性があるかも」と思ったという。設計は奥さんがネットで見つけた家を手がけた建築家の比護さんに依頼。そして、まず最初に現状でぜひとも改善したい点を伝えた―――「生活動線が良くない」「1階が暗くて洗面所とお風呂が必要のあるとき以外は行きたくない場所になっている」「バルコニーの床が腐ってきている」等々。壁は時間が経って味わいが出るよう漆喰仕上げに。天井も同じ意図から濃いめの色に塗った。3つのハイサイドライトデザインのテイストに関しては他の作品も含めて気に入っていたので比護さんに多くをお任せするかたちになったが、上述の改善点のほかに「居心地が良くて生活がしやすい」、さらに「時間が経って“くたびれ感ではなく味わいが出るような家”にしたい」(Mさん)と伝えた。どのように変えたのか2階部分を順に見ていこう。「もっとダイナミックに開く予定だった」と比護さんが話すのは南側につくられたハイサイドライトだ。予算の関係と暑さを心配して大きめの窓を3つつくることに落ち着いた。以前は同じ南側上部にロフトが設けられていて部屋に圧迫感を与えていたが、今はその部分に木の骨組みだけが残り、新たに開けられた窓から差し込む光が室内に十分な光を供給している。ロフトのあった部分に木の骨組みが残る。南側の上部には3つのハイサイドライトがつくられた。キッチンの奥に立つ壁の家型がとても印象的。キッチンのカウンターは映像系の仕事をされている奥さんの仕事机、子どもたちの勉強机としても使用される。右奥の洗濯スペースと浴室とキッチンがこのカウンターを中心に回遊できる。2階を特徴づける2つの壁と浴室2階で特に目を引くのが家型の壁だ。開口の上部がアール状になっていて柔らかな印象を与える。構造上必要なこの壁が家型のデザインに落ち着いたのは設計の途中段階だったという。「思っていた以上に家型のイメージが強くなりましたが、ハイサイドライトを設けた南側を空が見えるエリアにしてそれを隅のほうにまで通したかった。それで北側の天井と同じ勾配にして東側まで抜けるようにしたら結果的に家型になったということで、アイコンとして強く見せるという意図はありませんでした」(比護さん)この家型の壁の背後に鮮やかな青色の壁が見えてこれもまた2階の空間を大きく特徴づけている。この東端の壁は1階でも青色に塗られているが、これには同じ色に塗ることで1・2階の壁がつながっているかのように感じさせたいという意図があった。さらに2階に比べ1階が暗めだったので奥に鮮やかな色を見せることで楽しい雰囲気に変えることも狙ったという。1階にあった浴室は2階の東端にすえた。以前は浴室が使用時以外は誰も行かない無駄な場所のようになっていたため、使っていないときは空間の一部として中庭のような存在にできたらと、ガラス張りの部分をつくって南側のハイサイドライトから入る光によって光庭のようにも感じられるものとした。洗い場部分が広くとられた浴室。昼間はハイサイドライトから入る光で光庭的な役割も果たす。南側のハイサイドライトから浴室へと光が差し込む。浴室前から奥にリビングを見る。キッチンから見る。奥の右側に洗濯機が置かれている。キッチンと本棚家型の壁の手前にあるのがキッチンスペースだ。最初につくられた家の模型を見て「お母さん、これなら大丈夫だよ」と娘さんが家事動線に太鼓判を押したというが、浴室、洗濯スペースとキッチンが回遊できるつくりにしたのは奥さんが仕事をしながらこなす家事の大変さを考えてのことだった。子どもたちの様子を見ながら仕事ができるように、キッチン周りのプランも検討が重ねられたという。そのキッチン近くから反対の端にかけて北側の壁に棚がつくられているほかこの家の各所に棚がつくられている。これらの棚は「おしゃれなモノをたくさんお持ちだったので、モノを楽しめるベースをつくる目的で考えられたもの」という。本棚に関しては「本もたくさんお持ちだったので本が楽しめてかつそれが生活とちゃんと重ねていけるように家の中のいろんなところにたくさんつくりました」(比護さん)。北側の壁の横幅いっぱいにつくられた棚。既存の窓と同じ高さに揃えるなどの工夫がなされている。奥さんの友だちに大好評というキッチン。作業をしながらお喋りと飲食を楽しむことができる。以前よりも生活のクオリティが上がったというMさん。「住みやすくて愛すべき家にしていただいた」とも。奥さんは「寝室も気持ちいいし1階にいる時間が増えて以前のように下に降りるのがいやではなくなった」という。ともに映像関係の仕事に携わるMさん夫妻。家から生じるストレスが解消され、「言うことなし」の状態になった現在、クリエイティブな仕事には「心を良い状態にしておくことが大事」というMさんは、奥さんとともに日々の生活の充実にとどまらず仕事への好影響を感じ取っているようにうかがえた。2階の床に開けられたネコ用の穴。青い壁が1・2階とつながっているのがわかる。グリーンの架けられたバルコニーの壁は外からの視線の遮りと内部からの抜けの両方を考慮してこの形になった。東側奥の青い壁にネコ用の階段がつくられている。玄関近くから奥(東側)を見る。床にはコルクが貼られている。映像系の仕事をされている奥さんのワークペース。壁のコーナー部のアールが左右の空間を柔らかにつなげて広がり感を出している。手前が子ども部屋で奥が主寝室。ガラス戸にしたため暗かった玄関が明るくなりまた街とのつながりも感じられるようになった。以前は階段を上がってすぐ玄関だったが、階段を道路側に少し延ばしてつくり直した。階段室が壁で囲われて扉がありまたキッチンスペースが囲われていた以前の状態と比べると、見違えるほど開放的で明るくなった。奥さんはソファに座ってハイサイドライトから見える雲の動きなどを眺めてぼーっとして過ごすのが好きだという。M邸設計一級建築士事務所ikmo所在地東京都目黒区構造木造規模地上2階延床面積86.21㎡
2020年07月15日石と木の素材感が心地よい稲村ヶ崎の海のすぐそばに建つアメリカ西海岸風のスクエアな建物が、照明器具や家電の輸入を手掛ける稲村ヶ崎の『HERMOSA』の代表、牛尾秀樹さんのお宅だ。「築8年の中古住宅を購入し、『デコデモデ』にお願いしてリノベーションしました。内外装をやり直しましたが、家のレイアウトが良かったので間取りは変えていません。ちなみに、ここはもともとショールームとして使われていた家だったようです」リビングの壁一面に施した石の壁が印象的だ。石の自然のままの凹凸を生かし、ナチュラルに仕上げられている。「ハワイのオアフ島のタンタラスの丘に行く途中に『リジェストランド・ハウス』というミッドセンチュリーの名建築があるのですが、その家をイメージしました。この1面で約1トンの石を使っています。バランス良く仕上げていただいた職人さんには感謝しています」リビング側は吹き抜けになっていて、ダイニング側の2階が個室になっている。吹き抜けに面した窓はリノベーションの際に設置。ダイニングテーブルの後の収納家具はミッドセンチュリーの家具をイメージして製作した。一昨年、リビングのソファをEMECOのものから、パシフィックファニチャーサービスでオーダーしたものにチェンジ。TV台も併せて製作。ランダムかつ立体感が感じられるように貼られた天然石がカッコいい。照明はフランスのジェルデライト。ローテーブルの脚に使っているのはスウェーデン軍のキャビネット。サイドから開閉できる。天板は床と同じ、教室の床のようなスクールパーケットと呼ばれる床材で製作ケーススタディハウスがお手本にイームズをはじめとするアメリカのミッドセンチュリー家具に惹かれ、インテリアを扱う仕事を始めたという牛尾さん。「カリフォルニアのイームズ邸には何度も訪れました。我が家のリノベーションのデザインは、ケーススタディハウスが手本になっています」中庭には屋根をかけ、シーリングファンを取り付けている。ケーススタディハウスの深い軒をイメージさせる。「薪ストーブはデンマーク製の大型のものに買い替えました。中でTボーンステーキを焼いたり、ダッジオーブンで料理したりと、楽しみが広がりました。この辺りは気候が穏やかなので、この薪ストーブと小型の石油ストーブで充分暖まります」「キッチンは扉を木目にし、把手を換えました」フルトハンザの機内で使われているカートをカスタムしたドイツ製のプロダクト。下部に冷蔵庫が収納されていて、照明のカラーがリモコンでコントロールできる。「『ハモサ』でも取り扱いがあります。人気の商品です」。隣の白い消化器は蔦屋家電で購入。「リオン社のスチールロッカーはパシフィックファニチャーサービスのものです。別注色のサンプルで、このオーシャンブルーが気に入って分けていただきました」玄関のドアには船舶用の窓を使用。ブロックは沖縄のもの。「壁はツヤのある、少しクリームがかった色にしました。このツヤ感がミッドセンチュリーのアメリカの住宅らしさを感じさせてくれます。汚れが落としやすいのも気に入っています」。2階へ上がる階段はカーペット敷に。海からバスルームに直行できるよう大改装「実はバスルームの改装に一番お金がかかっています」と牛尾さん。海からウエットスーツのままでバスルームに直行できるように、壁を抜いて新たに出入り口を作ったのだそう。「鍵を持たずに海に行けるように、鍵は暗証番号式のものにしました」そしてウエットスーツを干すためのバーも設置。スイッチプレートやドアノブなどのディティールや、ツヤ感のある壁のペイントのニュアンスなど、細かな部分にも気を配ることで、アメリカのミッドセンチュリーを感じさせる家を完成させている。バスルームと洗面所の仕切りは木製。「水に強い南洋材を使っています」。バスルームの裏口を出るとすぐにボード置き場がある。リノベーションの際、ドアもアメリカを感じさせるものに交換。「ドアノブはアメリカのものを使っています」洗面所周りの小物は、アメリカのキャンブロ社製のケースに収納。スイッチプレートにもこだわっている。
2020年04月29日全館空調を実現オーストラリアから来日して30年というマーク・ホドビーさんがご家族と暮らすのは、格式高い街並みが広がる、“城南五山”(東京)のひとつ島津山エリア。2年半ほど前、傾斜地に建つ築40年の外国人用賃貸住宅を購入し、フルリノベーションした。空が広がる高台ならではの景色を楽しんでいる。「それまでは同じ敷地に建つお隣に6年くらい住んでいました。隣人とは親しくしていて家を行き来していたので、この家の眺望の良さはよく知っていました(笑)。売却の話を聞いてリノベーションを前提に購入することにしたのです」(マークさん)設計は、近所の友人宅のリノベーションを手掛けた建築家の森吉直剛さんに依頼。ホドビー夫妻がまず希望したのは、「どこにいても暑すぎず寒すぎない家」で、全館空調にすることだった。「築年数が経っていたため、一度スケルトン状態まで解体し、内装も外装もすべてやり直しました。耐震補強をしつつ、ズレていた床レベルも調整。そして、全館空調にするには高気密高断熱が必要なため、開口部分は断熱サッシに交換し、耐熱材を隅々まで吹き付けました。さらに、温度調節だけでなく調湿機能ももった機器を設置。築40年の木造住宅のリノベーションで、全館空調を実現したのです」(森吉さん)住まわれて2年を過ぎたご夫妻は、「部屋も廊下もすべて適切な温度で管理されているので、季節に関係なく常に心地よく過ごせます」と大満足。最後まで悩んだ床暖房は、「入れない選択をして正解だった」(並子さん)という。木造2階建ての地上部分をリノベーション。屋根は太陽光パネルが取り付けられるよう補強済み。玄関ドアの脇にはブラックボードがあり、子どもたちが描いたイラストで客人をお出迎え。玄関ホール。上履きと下履きを分けられるように、墨モルタルの土間とカーペットで変化をつけた。崖側から見る。住居部分の下のスペースは、セキュリティ会社の会長を務めるマークさんの事務所。玄関脇の作業ルーム内に、全館空調機『デシカホームエア』(ダイキン)を設置。調湿換気機能付き。崖地が生み出す絶景のアウトドアリビングホドビー邸の最大の特徴は、都心の崖地という立地を生かした開放的な空間である。ご夫妻が口を揃える、「気軽に人を呼べる家」というコンセプトにもつながっている。以前は、2部屋に分かれていたリビングとダイニングだが、内壁を取り除いて広々としたワンルームにした。また、「オーストラリアではバーベキューを日常的に行うので、広いテラスは必須でした」というマークさんの希望から、リビングから続くテラス部分は倍に拡張。建具は木製の大きな窓から網戸まで壁に収納できる引込戸を採用し、ブラインドも天井のブラインドBOXに収納できるようにした。フルオープンできることで、室内と室外が一続きになり、アウトドアリビングとして活躍している。東側に開いたこのテラスで過ごす時間がお気に入りというマークさん。日の出を眺めたり、朝食を取ったり、コーヒー片手に読書したり、昼寝したり・・・と、テラスを満喫している。「そのままキャンプ用のテーブルを出して、ここで仕事をすることもありますよ(笑)」明るく開放的なLDK。目の前には東京・品川の街並みが広がる。四季折々の緑も楽しめる。フルオープンのサッシを開け放てば、LDKとテラスが一体化し、より開放的に。バーベキューグリル(右)は日常的に大活躍。ダイニングの椅子は広島の家具屋でオーダーしたもの。照明はイタリアの『ルミナベッラ』。強化ガラスを用いた手すりが視線を遮らず、景色を堪能できる。屋根もあるため、多少の雨でも大丈夫。人が集まるアイランドキッチンテラスと対面に配したキッチンはアイランドをセレクト。『キッチンハウス』で出会ったヴィンテージ風の木目のキッチンは、並子さんのイメージ通りだったという。「キッチンは家族や招いた人たちが囲めるタイプがいいなと思い、アイランドにしました。カウンター付きということもあってキッチンまわりには人が集まってきます。キッチンからの眺めも最高で、料理をしていても楽しくなりますね(笑)」(並子さん)つい先日も子どもから大人まで30人近くが集まり、バーベキューパーティをしたという。「大人たちはテラスやキッチンまわりでお酒を飲みながらおしゃべりしていて、子どもたちは暖炉の前のソファで遊んでいる・・・。大人も子どももそのときの気分で自由に寛げる居場所があり、それぞれが心地いい時間を過ごしているのが、見ているこちらも嬉しくなりますね」(並子さん)ヴィンテージ風の木目のキッチンを引き立たせる、ピュアホワイトの壁側収納も『キッチンハウス』でオーダー。オーブン料理が得意な並子さんのリクエストで、ミーレのオーブンが2つ。ワイングラスは専用のラックをつけて収納。「地震のときも安心です」(並子さん)食器洗い機もミーレ。「大型なので、フライパンやボウルなどまで入り、とても便利です」(並子さん)キッチンの奥はパントリー、サニタリールームと続く。水回りの動線を考え、回遊性をもたせた。手前の冷蔵庫は マーベ。前面にあるカスタムディスペンサーからウォーターフィルターを通した氷と水が出る。元は外国人用の賃貸住宅だったため、各ベッドルームにシャワールームがあるだけでお風呂はなかった。「老後を考えて、1階で生活が完結するようにお風呂を造りました」(並子さん)キッチンから玄関へと回遊できるようになっている。左の赤いタオルウォーマーはタオル以外も乾かせて重宝しているとのこと。2階のマスターベッドルームに併設したウォーキングクローゼット(左)と書斎。奥はトイレになっている。2階のマスターベッドルーム。左側の窓はリノベーションのときに設けた。ここからの眺めも絶景。減築して生まれた吹き抜け「パチパチという音や薪が燃えるにおい、また炎を見ていると癒されますね」という並子さん。広いリビングのアクセントにもなっている暖炉は、もともと設置してあったものを再利用。もとの壁は取り除き、耐震補強をしてレンガ調タイルを貼って仕上げた。リビング上部の吹き抜けは今回設けたもの。2階の一室を減築し、吹き抜けにしたことで光を取り込み、より明るく開放的な空間となった。1階と2階で会話をすることも楽しく、子どもたちが2階で過ごしているときでも気配を感じられるのが良いという。築40年の木造住宅を大々的にリノベーションし、マークさんご一家の生活スタイルに合わせた空間が誕生した。「今後は屋根に太陽光パネルをつけたり、新鮮な飲料水も確保できる貯水タンクを設置することも考えています。災害の多い日本では、ライフラインは自分たちで支えるようにしなければいけないと思いますからね」(マークさん)既存の住宅からあった暖炉。大きなソファは『IKEA』。家族4人で、だれが寝そべるか、取りあいだそう。吹き抜け部分。既存の梁をそのまま生かし、空間のアクセントに。斜めに入る光が心地よい。2階の寝室をひとつ減築して吹き抜け(右側)を造った。天井まで延びた書棚には子どもたちの楽しい本が収納されていた。インターナショナルスクールに通う花ちゃん(14歳)と海くん(12歳)の部屋。仕切るのはブラックボードの板で、遊び心満載。花ちゃんの部屋。勾配天井を生かし、可愛らしい空間に変身。海くんの部屋から花ちゃんの部屋を見る。2人ともラグビーに夢中とのこと。設計一級建築士事務所森吉直剛アトリエ所在地東京都品川区構造木造規模地上2階延床面積224㎡
2020年02月17日平屋ならではの一体感に魅せられてこの鎌倉のお宅は、濵さんにとって3軒目の平屋の住まいなのだそう。1軒目が横浜市内の平屋、2軒目が鎌倉の賃貸の平屋、そしてここが3軒目。「すべてを見渡せるのが平屋の魅力です」約築60年の建物のリノベーションは建築家の宮田一彦さんにお願いした。「鎌倉の物件を探していた時にグーグルマップ上に『宮田一彦アトリエ』という案内が出てきたんです。検索するととても素敵なリノベーションを手掛けてらしたのですぐに連絡致しました。この物件の下見にも一緒に行っていただきました」約築60年の家は10cmほど傾いていたそうだがジャッキアップして直し、土台の下にコンクリートを流し込んで床下全体に土間を打ち、断熱材をしっかり入れた。底冷えのない暖かく過ごせる家にしてもらったのだそう。そして、以前のオーナーがリフォームでアルミサッシに替えたほとんどの窓を、木枠のものに交換。「6連の木枠の窓がオークションに出ていたのを見つけてリビングの窓を交換することができました。障子は新しく作っていただきました。建具も大部分をネットで見つけてます。トイレのドアは、もともとあった建具を移動して使いました」「キッチンの白いタイルは、宮田さんに昭和っぽくなりすぎるかもと心配されたのですが、おばあちゃんちのような台所を目指していたので狙い通りに仕上がりました(笑)」ひとつひとつの道具が美しい。ステンレスの天板によく似合う。リンゴ箱を重ねた棚の上に鍋敷きや鍋つかみなどを並べて。ガスコンロは壊れたらいつでも替えられるように独立型を選択。明るく眺めのいいキッチン。濵さんのお宅は目の前に一面の緑が広がり、周囲からの視線はまったく気にならない。キッチンの棚の下段はリンゴ箱にキャスターをDIYでつけた。引き出しにはプラスティックのケースも。「プラスティックは素材的に最初はどうかなと思ったのですが、使ってみるとそれほど違和感ありませんでした。左側のはFOUND MUJIで、右の棚の収納に使っているのは近くのケーキ屋さんが移転するときにいただきました」。真ん中のコールマンのクーラーボックスの中にはぬか床が!イメージは"おばあちゃんちの台所”キッチンは壁で少し囲って天井を下げ、独立した小部屋のようにした。「白い飾り気のないタイルを選んで、”おばあちゃんちの台所”を目指しました」最近はキッチンの天板とガスレンジが一体になっているものが多いが、あえて独立型を選択。”壊れても簡単に交換できる”を最優先にしたそう。「キッチンに棚を作っていただこうかとも思ったのですが、住みながら少しづつ変えていくのもいいかなと思い、リンゴ箱やワインの箱にキャスターをつけて引き出しを作って楽しんでいます」「天井ははがして状態を見てから、ラワン合板を貼ることに決めました。耐震補強のため、新しい柱や壁も追加しています」。テーブルの上のライトはイサムノグチ。正面奥が子ども部屋。本棚はリンゴ箱。「足りなくなったら同じサイズのものをいつでもネットで買い足せます」。上のロフトには漫画コーナーも。ミシンを載せたテーブルの下の柳行李には、趣味の裁縫に使う布地がぎっしり入ってるのだそう。「柳行李の収納力の高さには驚かされます」緑豊かな抜群の環境以前のオーナーが増築した部分も同時にリノベーションした。寝室や洗面バスルームは主に増築部分を使っている。洗濯物を乾かすためのドライルームも作った。「鎌倉は湿気が多いのと、僕らが共働きということもあって、洗濯物を干しながら乾かせる場所を造りたかったんです」濵さんの住まいは、道路から外階段を20段ほど上がった場所にある。緑たっぷりの庭と、庭の横の斜面も敷地の一部なのだそう。「手入れを怠るとどんどんジャングル化します(笑)。テラスにイスを出して外にいる時間が増えました。今まではアウトドア派ではなかったのですが、俄然興味が出てきました」洗面所は天窓をつけたので気持ちのいい明るさ。建具はネットオークションで。「鎌倉彫の手鏡は祖母が彫ったものです」庭で使うためのアウトドア用チェアがドラム缶の中に入っている。子ども用の小さな下駄箱がかわいい。寝室とウォークインクローゼットを仕切っているカーテンは、なんと布オムツをはいで作ったのだそう。透け感が美しい!外壁は杉無垢板の押縁仕上げと漆喰左官仕上げに。「吉村順三建築をイメージしました」。屋根はガルバリウム鋼板で葺き替えた。濵 邸設計宮田一彦(宮田一彦アトリエ)所在地神奈川県鎌倉市構造木造規模地上1階
2019年10月30日“感覚が似ている”中古物件との出会い中央線の荻窪駅から歩いて10数分ほどのところに、小林大介さんと菜穂子さんご夫妻が暮らす住まいがある。元々、高円寺の戸建ての賃貸物件に暮らしていた二人。その頃から中央線沿線に絞って物件を探していたという。「中央線の気どっていない雰囲気が好きなんです。夫婦そろって戸建で育ってきたので、マンションという選択肢はありませんでした」と大介さん。しかし、なかなか理想の物件と出会うことがなく、探しはじめて3年後、ようやく出会った物件は築約40年のリノベーション済みの住宅だった。元々の住人であるイギリス人のご夫妻とレトロな趣きが好きという感覚が似ていると感じたご夫妻。「それまでに10軒以上を見ていましたが、内見したときに、実家に帰ったような落ち着きをおぼえました」と振り返る。そして内見当日に、購入を決めたという。「旗竿地は住んでみたら、周りの目線が気にならないし、明るすぎないので、かえって良かった」と菜穂子さん。その言葉通り、カーテンをつけずに風通しの良い開放的なリビング。菜穂子さんが目指すリビングのイメージは「昭和の応接間」。ベロア生地のソファーがアクセント。前の住人による手作りの照明。ホームセンターで部品を集めて作ったという。庭には梅や金木犀、椿が植えられている。生活に庭仕事が加わったことで、以前より季節の移ろいを感じられるようになった。お気に入りの家具とともにこの家の築年数は40年以上だが、前の住人によって床は張り替えられており、ほとんどの窓が二重サッシになっている。照明や冷蔵庫、エアコン等も残していってくれたため、住むにあたって、改修をしたのはトイレのみ。「元々、住みやすくリノベーションされていたから、ほとんど自分たちはいじっていないんです。手を入れたのは、階段や2階廊下の壁をDIYで漆喰にしたくらい」と大介さん。すでに自分たちの好みに近く、ベースがある程度出来上がっていたことも購入の決めてのひとつだった。「持っていたアンティークの家具や民芸品の雰囲気がこの家にしっくりきた」と話すのは菜穂子さん。「家具を、これはここかな?と配置するのが楽しかったです」と笑う。お気に入りの家具や民芸品が飾られるダイニングルームは、小林ご夫妻にとって特にお気に入りの場所となっている。和室の名残を残してリノベーションされたダイニング。ちょうど良いほの暗さと、窓越しに見える庭の緑がお気に入り。骨董屋で見つけたというアンティークのテーブルの脚に、後日福生の古道具屋で購入した天板を載せた。椅子はあえて揃えずにそれぞれ形の違うものを選んだ。この部屋で金魚を眺めながら作業をするのがお気に入りという大介さん。特に夜は、かすかな水音がとても落ち着くそうだ。カメラマンという仕事柄、地方や海外へ行くことの多い大介さんが各地で買ってきた民芸品、菜穂子さんが趣味で集めた鉱物などが飾られている。たっぷりとした作業スペースが特徴的なキッチン。冷蔵庫にも、大介さんが各地から買ってきたご当地マグネットがぎっしり。心地良い風と光が入る家小林さん邸は、玄関からリビング、ダイニング、キッチン、洗面所まで、どの部屋も窓から入る光で自然な明るさに満ちている。また、窓を開けはなつと、心地良い風が家中をかけめぐる。「緑が見えて、風が入ってくる感じが前の家にはなかったですね。一日のうちに光の入り方がどんどん変わって家のあちこちに陰影ができるのも、風情があって気に入っています」。風や緑、光のある暮らしがこれまでの生活との大きな違いと大介さんは語る。内見の際、実家の玄関を連想し好印象を持ったというゆとりのあるエントランス。玄関からリビングを見る。すりガラスに差し込む光が玄関スペースを自然な明るさに。右手に見える階段の木の格子が和モダンな雰囲気を作る。夫妻が洗面所に取り付けたのは、益子の骨董屋で見つけたという大きな鏡。鏡面に印刷された三桁の電話番号が歴史を感じさせる。心からくつろげる家この家に暮らし始めて約5カ月。落ち着きを感じるレトロな佇まいは二人の生活にぴったりと寄り添い、菜穂子さんは「仕事で忙しい日々が続いても家に帰ってくると心からくつろげます」と頷く。「以前住まれていたイギリス人のご夫妻も、この家を気に入り、愛情を持って手をかけていたからこそ、この味わいが生まれたのだと思います」と話す大介さん。今後は、庭に縁側をつくったり、リビングの扉をオーダーしたりしてさらに手をかけ、大切に住みついでいくつもりだと、楽しみな計画を教えてくれた。2階の廊下は屋根の形状を活かした勾配天井となっている。元々は砂壁だったが、大介さんが漆喰で白く塗り替えたことで雰囲気が大きく変わったという。奥に見えるのは、シンバルを加工したというユニークな照明。前の住人によりリノベーションされた2階の洗面台スペース。柱を現しにした真壁づくりの寝室。「かわいらしいシャンデリアと天井の杉板がお気に入り」と菜穂子さん。ご夫妻共通の趣味である麻雀の卓を中心に据えたプレイルーム。周りを大介さんの趣味の漫画がずらりと囲む。
2019年10月14日動線を考えた家づくり中野駅至近の便利な場所に建つ鉄骨3階建ての戸建てを購入したYさんご夫妻。リノベーションはランドスケーププロダクツに依頼した。「ランドスケーププロダクツが運営するインテリアショップ『プレイマウンテン』が大好きで、よく通っていました。そのランドスケーププロダクツが個人宅のリノベーションを手掛けていると知り、すぐにコンタクトをとりました。デザイナーの片山貴之さんは、ざっくばらんに会話をする中で、好きなものややりたいことを的確に拾って形にしてくださいます。インテリアを含め、思い描いていたイメージ以上の家になりました」なかでも、Yさんが大切にしたことのひとつに、“動線”があったそう。「たとえば、波乗りから帰ってウエットスーツをどこで洗って、サーフボードをどこに置くか。脱いだ洋服はどこに仕舞うか。家に帰って鍵をどこに置くか。そんなふうに動きを考えながら間取りを決めていく過程がとても楽しかったです」もともとは外階段で上がった2階に玄関がある家だったが、動線を考え、外階段を外して1階に玄関を作り直したのだそうだ。「とても暮らしやすい家になりました」1階はもともと倉庫として使われていたのだそう。玄関のモルタルを奥まで伸ばし、土間のように使えるスペースに。オーク材を貼った壁面に自転車ラックを設置。階段は新設した。1階に、サーフィンから帰ってきてすぐにウエットスーツやボードを洗えるシャワーブースを作った。「砂をここでしっかりと落とします」玄関脇に鍵などを収納できるBOXを作った。「家に帰ってきてここに鍵をしまう。出かけるときはここから持ち出す。動線を考えて、必要なものを考えました」木+鉄の経年変化を楽しむ広い空間を作ることができる鉄骨造の建物の良さを生かし、2階に広々としたリビングとキッチンを作った。「天井の内装材をはがしてみたら、鉄骨が見えたので天井は現しにしてもらいました」階段も鉄骨造の質感を生かしたデザインにして、インテリアにアイアン+ウッドの統一感をもたせている。「鉄や木など、時間とともに自分たちと一緒に育ち、味わいを楽しめる素材が好きです。キッチンの白ラワン材の面材は、かなり赤っぽく変化してきました」床は無垢のオーク材を使っている。ヘリンボーンやパーケット、乱尺張りなど、リビングや寝室、廊下で張り方を変えて楽しんでいる。ソファやローテーブルはランドスケーププロダクツが制作。床材は無垢のオーク材のオイル仕上げ。ブラインドはハンターダグラスのものをチョイス。柔らかな光を室内に取り入れながら、外の建物からの視線は遮ることができる。窓枠の下にはナラ材を張った。アアルト、タピオ・ウィルカラ、フリッツ・ハンセン……お気に入りのイスを一脚づつ並べている。ダイニングテーブルもランドスケーププロダクツのオリジナル。天板は3階の書斎の床材に使ったヘリンボーンのオーク材。キッチンの吊り戸棚やアイランドキッチンの腰板は、白ラワン材の突板を使っている。キッチンの天板は熱い鍋などもそのまま置けるステンレスに。「ヒースタイルを使ってみたいとも思いましたが、そこは敢えて引き算のデザインにして、シンプルな白のタイルにしました」お気に入りのものを飾っている棚とたっぷりの緑の組み合わせが美しい。「ここに越す前は植物には興味がなかったのですが、いまはすっかりハマっています(笑)」「普段なかなかTVを見る時間がとれないので、風呂に入りながらTVを見たいという希望がありました。ならばユニットバスのほうがいいだろうということになり、片山さんにメーカーのショールームまでお付き合いいただきました」水槽の中にはペットのナマズくん。「空腹の時に餌をねだる姿が可愛いです」居心地が良すぎて外出したくない!?3階には、寝室、書斎、ゲストルームの3部屋がある。「寝室の壁の一部にオーク材を張りました。ベッドのヘッドボードとしての役割も兼ねています」使い勝手や素材感など、細かな部分までこだわって作ったYさんの居心地のいい住まい。「居心地が良すぎて家から出たくなくなります。3階に冷蔵庫を置きたいとも思ったのですが、これ以上便利すぎるのは良くないと思いやめました(笑)。ゆっくり家に居たいと思える住まいを作ることができて、これ以上の幸せはないです」北側斜線制限のため斜めになっている壁が、巣ごもり感のある寝室になっている。テラスにはたくさんのグリーンが。2階から3階への階段は既存のものを使った。美しいデザインのアイアンの手摺り。玄関を1階に移動したので、1階から2階への階段は新設した。3階のゲストルームは、いつでも友人が泊まれるように、美しく整えられている。(建築家クレジット)ランドスケーププロダクツ所在地東京都中野区構造鉄骨造+RC造規模地上3階
2019年07月29日祖母の家を仕事の拠点に海も山も近く、別荘地としても名高い神奈川県三浦郡葉山町。高台の一角に、大きく育った庭の木々に隠れるように平屋建ての日本家屋が建っている。古いガラスの建具を開けて出迎えてくれたのは、書籍や雑誌などのデザインを手がけるトリゴニアデザイン事務所の高橋快さん。葉山で生まれ育ち、3年ほど前から葉山を仕事の拠点にしている。高橋さんが事務所として使っているのは、父方の祖母が生まれてから亡くなるまでずっと暮らしてきた築90年の家。「実家が同じ敷地内にあるので、小さい頃から四六時中祖母の家で過ごしていました。おばあちゃん子だったんです」と笑う。3年前、長年勤めていた会社から独立した高橋さん。事務所を構えるにあたり、愛着ある祖母の家の、亡くなった祖父が書斎にしていた部屋をリノベーションして使おうと思い立った。「ノートパソコンがあれば仕事はどこでもできるので。ここを拠点にすれば、おばあちゃんにも会いに来られるし、とにかく静かでいいなと思って」と振り返る。祖母やご両親に相談すると、喜んで了承してくれたそうだ。大きく育った庭の木々が、築90年の平屋を囲む。屋根の形に沿った勾配天井が印象的。開口部は全てアルミサッシから木製の古建具に入れ替えた。写真正面が最初に購入した“隅丸”の古建具。祖父が使っていた重厚な机はそのままに。机上には高橋さんが骨董店で買い求めたお気に入りのモノが並ぶ。書斎だった四畳半を事務所にリノベーションが始まる前、病床についた祖母は、高橋さんら家族に生まれ育った家の歴史を話して聞かせてくれたという。「この家は90年前に、広島生まれの祖祖母が広島から馴染みの職人さんを呼んで池子(逗子市)に建てたそうです。その後、池子の土地が米軍に接収されて、祖祖母の兄が住んでいた葉山に引っ越すことになって。気に入った家だったので、また広島から職人さんを呼んで解体して、この場所に移築したんだそうです」。解体・移築を経て長い歴史を刻んできたこの家には、高橋さんだけでなく家族みんながそれぞれ思い出と愛着を持っているという。そのためリノベーションにあたって「手を入れる部屋だけが別物のようにならず、古い部分と違和感なく馴染むようにしたい」というのが高橋さんの想いだった。骨董やアンティークが好きなこともあり、まず古材や古建具扱う葉山のお店「桜花園」を訪れた高橋さん。そこで、ガラス入りの古建具に一目惚れしたという。「“隅丸”という角が丸くなっている加工がとても気に入って、まだプランが何も決まっていないのに買ってしまいました」と話す。以前のリフォームでアルミサッシに替えられていた開口部に、この古建具を付けたいと考えたが、すぐにつまずいてしまったという。「数軒の住宅メーカーに問い合わせてみたら、できないと断られてしまったんです。アルミサッシから古い木製建具に変えるには、大工さんの技術がいるということを知りました」。写真正面は押入れだった空間。写真右手に外から直接出入りできる扉を新たに設けた。廊下との境界にも、“隅丸”の古建具を。ガラス越しに廊下の奥まで見通せる。暗くジメジメした部屋が生まれ変わるそこで高橋さんは、古家修繕を手掛ける知人の北川さんに相談。リノベーションのプランを提案してもらうとともに、湯河原の伝統構法を得意とする工務店「杢巧舎」を紹介してもらった。「杢巧舎の職人さんが暑い中すごく丁寧に仕事をしてくださって、ありがたかったです」と高橋さん。北川さんの提案で、壁には漆喰を塗り、天井材は剥がして梁をあらわしに。勾配天井によって、江戸間の四畳半という実際の面積以上に広く感じられる空間となった。また、押入れだった場所に本棚やカウンターを造作し、読書などを楽しめるスペースに変更。座った時の目線の高さに新たな開口部をつくり、風通しや視線の抜けにも配慮した。そうして出来上がったのは、家族が口を揃えて「暗くてジメジメした部屋だった」と話すかつての印象から一変した、明るく居心地のいい空間だ。また、印象が大きく変わったにもかかわらず、高橋さんが願った通り、手を入れていない部分と違和感なく調和していることも大きなポイントだろう。「大工さんが作業を急いでくれて、おばあちゃんが亡くなる前に仕上がりを見てもらうことができたんです。おばあちゃんが『まさかこんなになるとは思わなかった』と喜んでくれたことが嬉しかったです」(高橋さん)。ご両親も空間の変わりように驚きつつ、とても喜んでくれたそうだ。廊下側から事務所スペースを見る。床の色も手を加えていない廊下と調和している。事務所横のトイレもリノベーション。「行きつけの蕎麦屋さんのトイレを参考にしました」と高橋さん。手洗いカウンターは古材の一枚板。廊下にある手洗い場は既存のまま。水栓金具や金属製の流し台がレトロな雰囲気。庭に面した壁に不思議な扉が…?扉の正体は、雨戸を出し入れしやすいように大工さんが造作した開口部。新設した出入り口には、湯河原の旅館で部屋の扉として使われていた古建具を。部屋番号が残っているのがかわいらしい。都内と葉山を行き来する平日は主に都内のマンションで過ごし、週末に葉山の事務所に来ることが多いという高橋さん。「とにかく静かで鳥の声しかしないから、こっちに来ると集中できますね。2つ拠点があることが、プラスに働いています。緩急がついてリラックスしながら仕事ができるようになりました」と生活の変化を実感している様子だ。祖母が大切に住んできた家をこれからにつなげるためのリノベーション。90年もの長い間、家族の思い出が刻まれてきた家は、事務所というもう一つの役割を得て、新しい時を刻んでいく。客間は既存のまま。照明を取り替えた以外は手を入れていない。客間にはモダンなソファが鎮座。連結する洋館に置いてあったものだが、不思議なほど和室の雰囲気に合っている。縁側越しに庭を見る。「祖父と祖母が好きな植物を次々植えていったので、整っていない森みたいな庭です」。床の間には、高橋さんのお母さまがしつらえた紫陽花が飾られていた。この客間で祖父と祖母が結婚式をした当時の写真が残っている。客間の隣の洋間。こちらも既存のままで、床は絨毯敷き。
2019年07月08日自然と人が集まるアイランドカウンター築年数不明のトタン貼りの建物が残る再建築不可の旗竿地。ここに住むためにはこの古家を生かさなければならない。それでも購入に踏み切ったのは、小学2年生のお嬢さんの学区を変えることなく、中目黒という便利な街に住み続けられることが理由だったそう。「『フィールドガレージ』の原 直樹さんに建物を見てもらったところ、大丈夫というお墨付きをいただいたので思い切ることができました。基礎から作り直さなければならないほど建物が傷んでいたので、実際の工事は想像以上に大変だったそうです」元々の家がとても暗かったので、リノベーションはなにより明るい家にするのが目標だったそう。開口部を大きく確保し、吹き抜けを作り、光を1階まで届けた。2階のリビングの中心は大きなアイランドカウンター。「料理好きな夫の身長が高いこともあり、アイランドカウンターを思い切った高さまで上げました。天板に肘をつきながら立ち話をするのにちょうどいい高さです。来客はなぜかソファに座らず、カウンターの周りに集まって話をします(笑)」キッチンは2階に。三角屋根がかわいい。アイランドカウンターの腰板の面材はヴィンテージオーク。古い柱を残しながら、新しい梁を入れて耐震補強している。山本貴緒さんは、ここでイギリス人の夫イアン・ギビンスさんと、小学2年生のあおちゃん、ダックスフントのマカロンと、シーズーのココと暮らす。キッチンの戸袋には古い家の建具をリメイクして使っている。調理道具や食器は、料理上手なイアンさんがセレクトしたものが多いそう。「不思議と植物がよく育ちます。前に住んでた家から持ってきた植物がすぐにボーボーになりました(笑)」右はあおちゃんが描いたアクリル画。「元気が出る色合いの花に、ミツバチがとまっています。とても気に入ってます」。左側はお母さまにもらったフジコ・ヘミングの作品。吹き抜けから明るい光が注ぐ1階玄関旗竿地の細い通路を通って玄関ドアの引き戸を開けると、広々とした土間が現れる。細い通路と広がりのある玄関。そのメリハリのある対比が、山本・ギビンス邸をより魅力的に見せている。以前の家はとても暗かったという一階の玄関は、吹き抜けから光が降り注ぐ、明るく広いスペースへと変わった。住まいのあちこちで使われている古い建具や板や箱などは、もとの家で使われていたものを救出し、新しくデザインし直して生き返らせたもの。年月を経たものならでの深みが、綺麗にリノベーションした住まいに温もりを与えている。広々とした玄関の土間。吹き抜けから明るい光が射し込む。左側の棚は、以前の家にあった木箱を積み上げて壁に固定して制作。L字の廊下の先に寝室がある。古い建具を生かし、温かさの感じられる明るい廊下。リノベーションする前はこの辺りが特に暗かったのだそう。2階のリビングと書斎の間の室内窓には、対で古いガラスを入れた。書斎の窓は、吹き抜けをはさんで眺めの良い通路側に面している。断熱材をしっかり入れて快適な住まいに古い戸建て住宅にありがちな悩みが、寒さ。その問題を解決すべく、断熱工事やペアガラスなどを積極的に採用し、とても暖かで快適な住まいに仕上がった。平屋の家を増改築した建物は構造的にも不安定だったが、しっかりと耐震補強も施した。「元のオーナーはここでクリーニング店を営んでいたようです。作業場があった形跡が残る土間をリノベーションして、1階奥の寝室にしました。きちんと床を張り、床下にはしっかり断熱材を入れていただいたので、気持ちよく過ごせます。再建築不可でなければ取り壊していただろう建物を、考えていた以上に快適で素敵な住まいにリノベーションしていただき、『フィールドガレージ』さんには感謝してもしきれない気持ちでいっぱいです」寝室の奥はウォーキングクローゼットに。引き戸には古いガラス戸を。天井の古い梁がとてもよい雰囲気。高窓から洗面所に明るい光が射し込む。ブルーのタイルをアクセントに。タオルもブルーでコーディネイト。旗竿地の築年数不明な建物をリノベーション。玄関は引き戸に。曇りガラスから光が室内に取り込まれる。通路脇に植えた植物がぐんぐん成長中。山本・ギビンス邸原 直樹(フィールドガレージ)所在地東京都目黒区構造木造規模地上2階延床面積111.37㎡
2019年06月26日数十年後にかっこよく国産スギの外壁に包まれた、清々しい佇まい。たまプラーザで眼鏡店を営む矢田大輔さんは、それまで住んでいた築50年の家を、昨年秋にリノベーションした。「妻の祖母の家だったんです。かつてここで営んでいた町工場の名残りのある昭和の家が、全く違う雰囲気に生まれ変わりました」。経営する眼鏡店「Local」の店舗デザインを担当した「MOBLEY WORKS」の鰤岡力也さんに、この自宅も依頼。「学生時代からの付き合いでもあり、完全に信頼しているのでほとんどお任せでしたね。リノベーションするからには、鰤岡さん以外には頼みたくない、と思っていました」。矢田さんが唯一希望したのは、「10年、20年経ってもかっこいい家がいい」というもの。「“お前が死んだとき、オヤジいい家造ったな、と子どもが言ってくれるような家を造ってやる”。なんて、鰤岡さんは言っていましたね(笑)」。多摩のスギと張り方の構造にこだわった外壁は、湿度の高い日本の風土に適応。次第に色が変わっていく経年変化も楽しみのひとつ。施工はすわ製作所。リビングからダイニングを見る。ルーバーの衝立の左端は、リノベーションにあたって唯一残した柱。リビングからダイニング方向に向けて、床を斜め張りにしたことで、空間に奥行きが生まれた。床にはDIYでオイルを塗布。ソファーはジェルデのライトに合わせてデザインしてもらったもの。見通しのいいLDK無垢の床に漆喰の壁。シンプルだが細部の意匠にこだわった、広々とした1階のリビングダイニングを、心地よい風が吹き抜ける。「日本の風土にあう、理にかなった家だと思います」。例えば外壁は、防水シートを施した上にルーバーを縦横に張り巡らせ、すのこ状にしたもの。中に空間があくことで、風が通り抜け湿気を防いでくれる。「細かなところに何かと手間がかかり、大工さん泣かせだったと思います。玄関の籐を使った靴箱など、職人が減って行く今、あえて挑戦しているところもありますね」。1階は緩やかにつながったワンルーム。仕切りのない空間は、床の張り方で変化がつけられている。「玄関から入ってきたときに広がりを感じさせるように、リビングは斜めに張っています。ダイニングはまた雰囲気を変えて寄せ木張りに。すべて鰤岡さんのアイデアです」。そのリビングとダイニングの間には、あえて階段を設けている。「子どもが大きくなっても、必ず家族と顔を合わせて出入りしてほしい。そんな気持ちで階段の位置にはこだわりました」。リビングにいてもダイニングにいても、階段を通る家族と必ず目を合わせる。そのような意図で設けられた階段は、メモリーとして唯一残した柱とともに、家族の成長とつながりを見守り続けている。扉の枠の縁の加工や幅木の処理など、細かいところにこだわりが。照明は鰤岡さんからの結婚祝い。籐を用いた通気性のよいシューズボックス。奥にはアウトドアグッズなどを収めるクローゼットを設置。風と光が通り抜けるリビング。L字型のソファーは家族みんなで寛げる。キャビネットは米軍払い下げのもの。階段の上は吹き抜けになり、ここから家全体の気配がわかる。あえて設けた垂れ壁は、床の変化とともに空間を緩やかに分けるためのもの。アイアンの手すりは、グリップ感にこだわって加工した。キッチンをアクセントにキッチンは妻・康恵さんの希望でコの字型に。「眼鏡店の内装に合わせてモスグリーンを選びました。私の身長に合わせてオーダーしたので、使いやすいです」と康恵さん。大きなシンクや、火力の強いハーマンのコンロを使用することなどをリクエストして、鰤岡さんがデザインした。キッチンの奥にはパントリーが併設され、2方向から出入りできて動線もよい。「長い時間を過ごす1階にはお金をかけて、2階の寝室は素材だけにこだわりました」。蝋をつけて焼いたアイアンの手すりがついた階段をあがると、3部屋のベッドルーム。2階はもとの家の間取りを活かし、シンプルに設定した。「階段の上が吹き抜けなので、冬も1階でストーブをつけるだけで上まで暖かいんです。夏は夏で、風通しがよいので涼しいんです。真夏までエアコンはいらないくらいです」。モスグリーンのキッチンが、シンプルな内装のアクセントに。ダイニングの床は市松模様の寄せ木張りで変化をつけた。人造大理石の天板のキッチンには、収納もたっぷり設けた。白いサブウェイタイルに、目地はグレー系を選択。テラスとつながった明るいダイニング。テーブルは6〜7人でも囲めるサイズのものを鰤岡さんにオーダー。キッチン裏のパントリーは、洗面側からも入ることができる。子ども用に使っていたキャビネットを収納に。洗面にはクラシカルなシンクをセレクト。蛇口の経年変化も味を出す。バスルームはシンプルなグレーに統一。サブウェイタイルが雰囲気を出す。オクタゴン(八角形)がかっこいい取っ手。ドアの端にもベニヤを張りすっきりと見せている。細かなパーツも選び抜いたもの。カーキっぽいグレーは、お店のカラーとシンクロさせている。大切な思い出とともに「生活感のない感じにはしたくなかったですね。思い出のある大事なものが、さり気なく置かれている、そんな空間に味が出ると思うんです」。ともに50〜80年代のアメリカの、オーセンティックなものに惹かれるというご夫妻。ガラスのキャビネットには、子どもたちの思い出の品を大切に飾っている。「イームズのロッキングチェアは、長男がお腹にいるとき、妻のために買ってきたんです。1個1個のものに思い出がありますね」。家族で寛ぐ青いソファーは、バスケットボールをやっていたという、大輔さんの体格に合わせて、家族全員が腰かけられるよう造作した。「座り心地がいいので、夜、みんなでゆっくりTVを観る時間が増えました。昼間は部屋から素足でテラスに出ておやつを食べたり、ビニールプールで体を冷やしてはまた家に入ったり。子どもたちも家での思い出を増やしていってくれるといいですね」。メンテナンスしながら長く使い続けてほしいというメガネへの思いのように、この家も長く受け継がれいきそうだ。お子さんが初めてはいた靴や、生まれたときの時間でとめた時計など、思い出を大切に飾る。右の額は、康恵さんのお祖父さんが制作したシルクスクリーン。大輔さんの思いの詰まったシェルチェアで。ご夫婦のメガネがずらり。「Local」では、矢田さんがセレクトした輸入もののメガネを扱う。広々としたテラスで読書をする長男・夏奏君と長女・かのんちゃん。アウトドアでの読書タイムも楽しい。
2019年06月17日1階は居心地のいいカフェに改装町田の住宅地に建つ築約50年の古民家は、見附春佳さんの祖母の持家だったのだそう。「もともと美容院として建てられた家だったそうです。その家を祖母が購入したのですが、祖母が亡くなった後は父が管理を任されていました。彫刻家の親戚が作品の保管場所として使っていたのですが、やはり人が住まないともったいないということになり、私が住むことになりました」見附さんがこの家に住むに当たり、『無相創』 にリノベーションを依頼した。「世界観が大好きで、『無相創』にはずっと通っていました。今回、自分の家をまるごとお願いすることができてとても幸せです」1階を念願のブックカフェ『403.notfound』に、2階を住居にリノベーションした。リノベーションにあたり、1階は見附さんが作りたかったブックカフェにした。カフェスペースと調理場は、古い電車の窓のような、持ち上げて開くスタイルに。金色の金物も美しい。2階をプライベートな空間に2階がプライベートな空間。階段を上がり、手前にリビングとベッドの空間、奥がダイニングキッチン、窓の外には広いテラスが続く。「親戚が使っていた家具は手放すことも考えたのですが、いい感じに収まったので有り難く使わせていただいています。『無相創』さんがラックを作ってくださり、また照明器具もつけてくださいました」リノベーションにあたり、外断熱にしてペアガラスも導入。「驚くほど暖かく、快適な住まいになりました!」2階がプライベートスペース。左官の下地材で仕上げにした壁がいい雰囲気を作っている。「ガラスの見本を見せていただいて、その中からこのストライプのものを選びました」チェストの後ろをベッドスペースとしている。「光が天井に当たるハーフミラー電球は、明るすぎないのでベッドの上の照明としては最適でした」窓には遮光のロールスクリーンを採用。奥の部屋がダイニング。「その先のベランダは父母がDIYで板を張りベンチを作って、居心地よくしてくれました」トレイにまとめたお茶のセット。「このランプシェードは母のハンドメイドです」隅々まで丁寧に作り込んだ家1階のお店部分は、古材やアンティークを使用。照明器具はすべて『無相創』のオリジナル。壁は珪藻土、電気の配線には銅管を使っている。隅々まで心を配り丁寧に仕上げることで、居心地のいいセンス溢れる空間に仕上がっている。ブックカフェをオープンさせる前は、ソムリエの仕事をしていたという見附さん。『403.notfound』では、美味しい焼菓子とコーヒー、そして自然派のワインをいただける。「ワインバーは敷居の高いお店が多いので、ひとりでふらりとワインを飲める場所を作りました。ぜひ気軽に遊びにいらしてください」ひとつひとつ違う椅子。ひとりになれるスペースがお店のそこここに用意されている。いろんな場所に座ってみたくなる。「アンティークスイッチを使いたいとお願いしたら、まさかの1箇所に10個!ひとつひとつ違う表情のスイッチがとても気に入っています」デザインの違う照明はすべて『無相創』のオリジナル。地球儀のモビールが素敵。リノベ前の家の窓の形をそのまま残している。「私もこの家の前を通って通学していました」「親戚が使っていた畳敷きの小上がりにカーペットを敷きました。靴を脱いでリラックスしていただけます」お店の入口のドアは、フランスのアンティーク。見附邸米原政一( 無相創 )所在地東京都町田市構造木造規模地上2階延床面積85.8㎡読みたくなる本がお店のそこここにある。外断熱+ペアガラスに変えてとても暖かく快適な家になったそう。
2019年03月27日煙突との出会いが始まりだった吉祥寺の賑やかな商店街から1歩入ると、そこは閑静な住宅街。以前は鍼灸院だった築20年程の3階建て鉄筋コンクリートの建物を、2世帯で暮らす戸建てにリノベーション。住人は店舗のディレクションや空間設計を手掛ける鈴木善雄さん、舞さんご家族と、舞さんのご両親の引田ターセンさん、かおりさんのご夫婦だ。「結婚した当初は、いつか古い物件を改装して暮らせたらなと考えていましたが、義父母からいい物件があるから一緒に住まないかという話をいただいて。訪れてみると、1階に暖炉のある住宅でした。煙突のある家なんて、東京ではなかなか建てられないけれど、ここならずっと自分が憧れていた薪ストーブも設置できるだろうと」そう語るのは、新木場で複合施設「CASICA」のディレクションを手掛ける鈴木善雄さん。1階はご両親の住居、2階はゲストルーム&作業場、3階を鈴木さんご家族の住居に。2世帯それぞれの、思い思いのリノベーションが始まった。ヨーロッパの古い照明に、日本の古道具の作業台など、年代を感じさせるインテリアが味わい深い3階。昨年11月、新木場にオープンした複合施設「CASICA」は100%LIFEでも掲載。「CASICA」「スタンダード トレード」にリノベーションを依頼。ホテルのように洗練されたシンプルで居心地のいい1階。古家具を独自に再構築鈴木さん家族が暮らす3階のフロアは、3LDKだった間取りを70㎡ほどのワンルームに変更。荒々しい古材を敷いた床に工業的なペンダントライト、日本の古い家具などがあしらわれた空間は、おふたりが手掛ける店舗の世界観のよう。「何風というのではなく、好きなものを選んで、縛られることなく構築したいんです。インダストリアルと和家具が合わないわけではないし、トルコのラグもあればアメリカのソファなど、国も色々とミックスしていいと思っています」。リノベーションは、善雄さんと大工仲間達とDIYで少しずつ着手していったそう。壁づけのキッチンは、和箪笥や小引き出しなどをパズルのようにはめこんだ棚に目を奪われる。「日本のものをどう現代的にアレンジするか、と常に考えています。畳からイスの生活になった今、和箪笥は床の上じゃなくてもいいですよね」。斬新なアイデアの溢れる空間を彩るのは、仕事の買い付けで見つけた古道具だったり、全国を車で旅する中で出会ったものだったり。愛着のあるものたちが、素朴な素材感が活かされた空間に味わいを加える。「キレイすぎると落ち着かないんです」と善雄さん。キッチンという境を設けず多様性のある空間にしたかった、という暮らしの中心にあるダイニングテーブルで。南北に開口があり光が通り抜ける。床には室内用ではないインドネシアのチーク材を張った。キッチンには、少しずつ集めた古家具などをパズルのようにはめ込み、独創的な棚をアレンジ。抜けのあるワンルームにスケルトンにした空間に、あえて1カ所仕切りを設けたのはアトリエ。「鉄加工ができる友人に頼んで、窓枠を作ってもらい、わざと錆びさせてガラスをはめ込みました」。現在は仕事部屋にしているが、保育園に通うお子さんがもう少し大きくなったら、いずれ子供部屋にする予定だそう。「壁は後からいくらでも作れるので、最低限に。ベッドルームにも仕切りは設けませんでした」。床と同じ古材を面材にして、壁一面に収納を設けたベッドルームは、サンルームからの明るい日差しで満たされる。「ここに暮らすようになって、グリーンを育てるのも楽しくなりました」。薪ストーブが鎮座するリビングで、家族で語らう暖かな時間も偲ばれる。「1階には両親がいることで、一緒に食事をしたり、息子を見てくれたり、たくさんの時間を共にするようになりました。仕事の話も夫も交えて色々と話せる関係なので、いつもたくさんの刺激をもらっています」と舞さん。LDKの一角に仕切りを設け、アトリエを設置。ガラスの窓を光が通過する。現在、仕事部屋にしているアトリエは、いずれは子供部屋にする予定だそう。リビングに隣接したベッドルーム。壁のように見えるよう、床と同じ素材で収納を設けた。南側のサンルームは植物がよく育つ。お子さんの遊び場にも。ESSE社の「THE IRONHEART」が置かれたリビング。クックオーブンなど機能も充実。チェーンソーと斧で薪割りをしているそう。北欧テイストの1階「早期リタイア後がこんなに充実するとは思っていませんでした」。と語るのは、舞さんのご両親、引田ターセンさんとかおりさん。人気のパン屋さんとギャラリーを営みつつ、2世帯での暮らしを楽しんでいる。140㎡ある1階は、3階と打って変わって、北欧テイストで統一されたシンプルでナチュラルな空間が広がる。「以前からおつきあいがあって、家具のデザインなどが好きだったスタンダードトレードさんにリノベーションをお願いしました」。薄い緑の混ざった珪藻土の壁、オークの天井や家具、麻混の絨毯の敷き詰められた床。穏やかで居心地のよい空気が流れる。「私たちが求めたのはやりすぎない、主張しないインテリア。和でも洋でもなじんで、ずっと使い続けられるテイストが好きなんです」。1階は床面積140㎡の広々空間。暖炉のある山小屋風の空間だったのを、北欧テイストに。コンクリートの冷たい躯体に、木とガラスで温もりを加えた。ハンス・J・ウェグナーのテーブル、フリッツ・ハンセンのイスなど、内装に合わせて家具もセレクト。吉祥寺で「ギャラリーフェブ」、パン屋さん「ダンディゾン」を営む、ターセンさんとかおりさん。普段はキッチンとリビングの間の空間で仕事をすることが多いそう。ワンルームを半オープンの仕切りと床の段差が緩やかに分ける。人の集まる居心地のいい家に鍼灸院だった南側のスペースは、外構の緑とルーバー状になったガラス窓から光が差し込む、明るいベッドルームに。暖炉のある広々としたLDKは、大人数でパーティーを開いたり、何人かで料理をしたりも可能な余裕のスペースを確保した。「婿の誕生日会には40人くらい集まりましたよ。キッチンはアイランドにシンクを入れるかどうか悩みましたが、オープンなキッチン台にして正解でした。お料理を運んだりするのを、みんなが手伝ってくれるんです」。一部分には仕切りを立てて、キッチン内すべてを見せないよう細かな計算も。「家は私たちにとって充電をするところ。明るくて風が通って、“ああ、家に帰りたい”と思えるような快適な場所にしておきたいですね」。その願いが結集した1階には、家族や友人たちが集まってくる。個性の違う2つのフロアのそれぞれの生活を、コンクリートの堅牢な建物が包み込んでいる。明るい日差しに包まれるベッドルームには、ウォークインクローゼットを設けた。ベッド脇のステップは、年を取った愛犬用。ベッドルームの入り口。ルーバー状になったガラス窓から光が差し込む。パーツにこだわり、イタリア製のグレーのタイルを貼ったバスルーム。微妙な陰影が奥行きを出す。余裕の幅を確保したキッチンでは、普段おふたり一緒に料理するそう。キッチン台の黒の面材がアクセントとなっている。パントリーにキッチンまわりのものを一括に。以前は勝手口だったところを塞いで、ガラスブロックを採用した。窓辺には、「ギャラリーフェブ」でもかかわりのある陶芸家・内田鋼一や、ガラス作家・イイノナホの作品を飾る。十字型のガラスをはめ込むようオーダーしたドア。玄関にあるイイノナホの照明がガラス越しに見えるのが、かおりさんのお気に入り。約100坪の敷地に建つ、鉄筋コンクリート3階建ての建物。元オーナーとは知り合いで、縁あってリノベーションが実現。
2019年02月18日今トレンドのリノベーションデザインを厳選100社から探せる!リノベーションに特化したギャラリーサイト「Renovation Gallery」がオープン。東京・神奈川・千葉・埼玉など首都圏中心の物件を直感的に検索可能になっている。もっと楽しく、もっと便利に。“デザインにこだわった”リノベーションができる世の中に。・もっとシンプルに、もっと直感的に、デザインが探せる。見比べられる。・掲載されているデザイン実例はどれもこだわりのある一級品ばかりで、見ているだけで楽しい。・何より、訪れる度に新鮮な驚きと発見がある。ワクワクする。物件を探す際はもちろん、インテリアに悩んでいる人やクリエイティブなアイディアを求めている人にもおすすめのサイトだ。お問い合わせ: Renovation Gallery
2012年06月04日