●各社そろえる音声アシスタントサービスAppleは米国現地時間9月9日に、サンフランシスコでメディア向けイベントを開催するとして招待状が発送された。招待状には毎回、1行のフレーズが書かれているが、今回は「Hey Siri, give us a hint.」が選ばれていた。「Hey Siri」とは、iPhoneやApple Watchなどで、ボタン操作をせずにSiriを起動する際の言葉で、筆者もApple Watchでタイマーを起動するときに利用している。例えば「Hey Siri, 13分のタイマーをセット」という具合だ。実際に、招待状のフレーズ通りにSiriに尋ねてみると、Appleもそうされることを想定していたのだろう、その返答は、イベントの内容まで明かしはしないが、9月9日に発表があることを教えてくれた。iOS 9においてSiriは、これまで以上の進化を遂げることになる。しかも、音声アシスタントであるSiriは、ユーザーの端末でのアプリの使用状況やメール、スケジュールなどの情報を活用した候補の提案も行うようになる。○音声アシスタント競争Siriの競争相手は少なくない。GoogleはAndroidだけでなくiPhoneでも利用できるGoogleアプリの音声検索を、コマーシャルなどでアピールしている。確かに、検索と音声入力は相性が良い。YouTubeなどのアプリにも、検索窓に音声検索の機能が備わるようになり、「キーボードを使わないモバイル検索」の便利さを広めようとしている。加えて、Google Nowによるアシスタント機能と音声が結びつき、「とにかく何でも知っている音声アシスタント」になろうとしている。Microsoftは、「Cortana」をWindows Phone、Windows 10などのプロダクトに導入した。滑らかに喋る音声アシスタントは、各国のキャラクターも重視しており、中国語版では明るい好かれる声を、日本語版では礼儀正しさを強調するなど、親しみやすさを文化に応じてカスタマイズしている。Google、MicrosoftのBingと、検索エンジンを擁する企業の音声アシスタントに加えて、Amazonも、円筒形のスピーカーAmazon Echoで、音声による検索や操作などを実現している。このように、「声」を使った機能の競争はトレンドとなっているのだ。また、アシスタント性についても、競争が進んでいる。最近、こうした自分に関する情報を統合してくれる仕組みについては、Googleマップが便利だと感じている。Googleでは情報を自動的に活用する仕組みに力を入れている。例えばGmailに届いたメールを見て、自動的にスケジュールをGoogleカレンダーに入力したり、Googleマップ上に予約している時間を地点に表示してくれる仕組みが実装された。レストラン予約サービスのOpen Tableでディナーのお店を予約すると、地図上のお店の地点に印がつき、日付と時間を表示してくれるのだ。航空券の確認メールが届いていると、出発する空港の時間と便名が表示される。こうした、ユーザーの操作を減らす、もしくはユーザーがやろうとしていることを先回りして解決しておく、といった充実は、アシスタントとしての便利さをより高めてくれる。●Siri、進化のポイント○Siriなりの言い分こうした中で、iOS 9のSiriはどのような進化を遂げようとしているのか。進化のポイントは、以下の5点だ。Spotlight検索との連携強化スポーツや天気などの情報提示をより深く単位や為替の変換などの計算に対応端末内のデータ、アプリを活用した検索の対応Spotlight検索画面で、よく使う連絡先やアプリ、周辺のスポットなどを提案検索の活用強化という側面から、GoogleやMicrosoftなどと狙う方向性は近くなっているが、極力端末内で解決しようという傾向を強めているようにみられる。つまりSpotlightとSiriをより密接に連携させるということだ。例えば、これまで単位計算などは、Wolfram Alphaを活用して行ってきた。このサービスは知識エンジンと言われており、検索キーワードに対して、その言葉が含まれたページを返す検索エンジンと異なり、直接答えを提示する仕組みだ。しかしiOS 9では、このサービスに頼らず単位計算を済ませるようになる。またSpotlightの機能は、端末内のあらゆるデータを検索可能にする仕組みで、これにはアプリ内のデータや、アプリを介した検索も含まれるようになる。そのため、アプリ側の対応も必要になるが、Siriから直接、アプリの検索を活用することもできるようになっていく。○機械学習の活用WWDC15で披露されたSiriの進化で興味深かったのは、「Siriの検索候補」だ。iOS 9のテーマの1つに「インテリジェンス」があり、それを実現する方法として「プロアクティブアシスタント」、つまり先回りをして、やろうとしていることを便利にしてくれる仕組みを導入することだ。これまで音声アシスタントのインターフェイスとして「Siri」という名前を使ってきたが、Appleが披露したiOS 9では、先回りしてアシストする機能全般に「Siri」という名前を使っていた点が印象的だった。WWDC15のデモによると、ホーム画面の左端に用意されている検索画面を開ける仕組みになっており、ここに連絡すべき相手やよく使うアプリ、近隣のスポットのワンタップでの検索、最新ニュースなどがまとめられている。これらの候補は、各アプリへのディープリンクとなっており、直接情報にアクセスできる仕組みになっている。また、時間帯や場所、スケジュールなどに応じて、アプリの候補や連絡先の候補は入れ替わるとしており、朝起きてヨガアプリを利用する習慣があるなら、そのアプリが候補として現れ、ホーム画面から探さなくてもSiriの検索候補からすぐにアクセスできる。その他にも、ロック画面でのアプリの提案や、イヤホンを挿した際に音楽アプリを候補に出すなど、ユーザーの行動を学びながら操作の手順を1つずつ減らす方法を提案してくれる。●サードパーティアプリにもたらす変化○開発者も、Siriを活用できるようになるかiOS 9のSiriでは、「昨年9月の写真を見たい」「大学を卒業する頃のヒットチャートを聴かせて」といった要望も実現する。背後には、Spotlightが自然言語による検索条件の解読を行い、写真アプリやミュージックアプリが複数のインデックスによる検索を行えるようになっていることから、実現されている。これまで、SiriはAppleのみが知識や機能を与えてきた。しかしiOS 9以降、その方針は変更されそうだ。前述の通り、SiriはSpotlight検索と密接に結びついている。その検索候補には、サードパーティーのアプリの情報を活用したり、アプリのコンテンツに対するディープリンクを設定することができるようになっている。検索APIの紹介において、WWDC15のスライドでは、Spotlight検索で「Maui」(ハワイの島の名前)を入力すると、旅行予約アプリのKAYAKで、サンフランシスコ(おそらく今自分がいる場所の最寄りの空港)からマウイ島までの飛行機の便を、候補に挙げていた。SiriがSpotlight検索の情報を活用するならば、サードパーティーアプリの中にある情報を、Siriの返答として提供できるようになるはずだ。つまり、開発者のアプリが、Siriに対して、情報提供できるようになることを意味する。もちろん、実際にSiriから様々なアプリの情報を利用できるようにするには、アプリ開発者側の対応が求められる。しかも、ただアプリがAPIをサポートするだけではなく、どのような質問が投げかけられるか、どのような返答とディープリンクを返せば便利か、といった調整が必要になるだろう。特に、ユーザーの情報を多く保存しているサービスほど、便利に働くはずだ。筆者があらゆる書類やメモを保存しているアプリ「Evernote」で、「パスポートの更新についてのメモ」や「今日が締め切りのToDo」といった検索から、ノート単体やノートのリストが出てくると便利だろう。できれば、指示語だらけの命令、「あのとき保存したアレ」みたいなニュアンスで、「これですか?」と提示してくれるとうれしいのだが、さすがにそれは当分実現されないだろう。ただ、Siriが取り組もうとしている未来像もまた、ニュアンスに答えられるようになることかもしれない。松村太郎(まつむらたろう)1980年生まれ・米国カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト・著者。慶應義塾大学政策・メディア研究科修士課程修了。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。近著に「LinkedInスタートブック」(日経BP刊)、「スマートフォン新時代」(NTT出版刊)、「ソーシャルラーニング入門」(日経BP刊)など。ウェブサイトはこちら / Twitter @taromatsumura
2015年09月06日●発表会の主役はiPhoneではない?Appleのスペシャルイベントが9月9日(日本時間では9月10日午前2時~)に開催されることが発表された。例年のパターンからいって新型iPhoneの発表が濃厚とされる同イベントだが、今回のキャッチコピーは「Hey Siri,give us a hint.」(Siri、ヒントをちょうだい)となっている。毎回発表内容と微妙にリンクしてくるキャッチコピーだが、今回のコピーは一体何を意味しているのだろうか? 予想してみよう。○質問してもスッとぼけるSiri今回のキャッチコピーは、ストレートに読めば「Siriに聞いてみろ」だ。しかし、実際にSiriに聞いてみると「9月9日に何か発表があるらしいですよ」と煙に巻かれるだけである。とぼけ続けるSiriはさておいて、キャッチコピーの謎に挑んでみよう。まずSiriについてだが、ご存知の通りiOSに搭載された音声アシスタントだ。充電状態で「ヘイ、Siri」と呼びかけるか、ホームボタンを長押しにして起動し、ユーザーが自然言語で問いかけた質問に対し、文字と音声で答えてくれる。Googleの「OK Google」や、マイクロソフトの「Cortana」と同等のものと考えればいいだろう。このSiriだが、iPhoneとiPad、それにiPod touchには搭載済みで、iOS 9である程度機能が強化されるとはいえ、わざわざ言及するほどではない。まだ搭載されていない機器は2つあり、そのうちのひとつがMac。OS XにSiri搭載となれば、Windows Phone/Windows 10のCortanaと競合するデスクトップ/モバイル対応の音声アシスタントとしてユニークな位置付けになるのだが、残念ながらOS Xの発表はもう少し先だし、6月のWWDCでもSiriについては言及されていなかったため、その線は薄い。となると、もうひとつ残ったデバイスが怪しい。そう、Apple TVだ。●Apple TVとは○お茶の間にSiriさん参入か?読者の皆さんはすでにご存知のことかと思われるが、Apple TVはアップルが販売しているテレビ用セットトップボックスだ。故スティーブ・ジョブズ前CEOの時代から「これはホビーだ」という但し書き付きで販売が続けられており、iPhoneやiPadでブイブイ言わせているアップルの中ではほとんど採算が取れていないのに、細々と続いているプロジェクトになる。元はパソコンのiTunesライブラリや、オンラインのiTunes Storeで購入した映画や楽曲をテレビで再生するための機器で、今はライブラリがほとんどクラウド上に置かれるため、パソコンなしの単独でもコンテンツ再生用デバイスとして利用できる。独自のインターフェースを採用しているが、中身はiOSベースで動作しており、やがて登場する新型では、アプリでの拡張が可能になったり、ゲームコンソールになる、iOS 9の「Home kit」に対応したスマートホーム機器の管理が可能になる、などさまざまな噂があった。現在販売中のAppleTVが、発売以来3年以上モデルチェンジしていないこともあり、いいかげんそろそろアップデートするはず、という見込みも、また確度の高い情報筋からの噂もある。現行モデルはApple A5のシングルコア版を搭載しており、デュアルコア版A5を搭載する iPhone 4Sの半分程度の性能だが、これが新モデルでは、最新のA8になるという噂もある。こうなるとフルHDの画面でゲームをするのも苦ではなくなるし、Siriを始めとする、処理の重いさまざまな機能も実現可能になるはずだ。●Siriが発表会のキーワードに!?○リモコンに加えて音声でも操作可能に?そもそもSiriのような音声アシスタントは、リビングなど家庭でこそ使い勝手がいい技術だ。Amazonの音声アシスタント搭載スピーカー「Echo」(日本未発売)や、GoogleのNEXUS Playerは音声入力による操作が可能になっており、Apple TVもここに加わるのではないか、というのが筆者の予想だ。コンテンツの再生はもちろん、噂に上がっているHome Kitとの連動でも、音声で「Siri、子供部屋の電気を消して」や「Siri、温度をもう少し下げて」などと操作できれば、かなり便利なはずだ。「Hey Siri」の呼びかけ方が共通だと、Apple Watchや充電中のiPhoneなども反応してしまうのではないかと気がかりだが、このあたりはうまく解消する手段が用意されているのかも含めて興味深い。ということでiPhoneを差し置いてイベントではApple TVが脚光を浴びる、というのが筆者の予想だが、当たるかどうかはまったくの未知数。案外いい線をいっていると思うのだが……。
2015年08月28日iOSに付属の音声アシスタント機能「Siri」は、ホームボタンを長押しするだけで、バッテリー接続時は「ヘイ、シリ」と話しかけるだけで動作を開始する優れものだ。独り言に近い状態となるため、周囲の視線は気になるものの、手を離せないときにメモをとったり電話をかけたり、まさに個人秘書に近い役割を果たしてくれる。タイマーをセットするときなど、画面をタップして操作するより断然スピーディーに処理できる機能も少なくないほどだ。だが、不意に機能しはじめることも。バッテリーをつないだ状態での外出はまれなこともあり、「ヘイ、シリ」に似た言葉で反応する心配はないが、なにかの拍子でホームボタン長押しをしてしまうことがある。ポケットのiPhoneをつまむとき、カバンに入れたiPhoneを手探りでつかむとき、「ピピッ」という効果音とともにSiriが反応した経験は誰しもあるにちがいない。Siriを誤って"起こして"しまうのはやむをえないとして、問題は「ピピッ」という起動音と、用が済んだときの「ポポッ」という終了音だ。雑然とした場所はともかく、会議室のような静かな場所では注目を集めるにじゅうぶん。あ、Siriの音だな、と思われているに違いないのだ。幸い、Siriのボリュームコントロールは、音楽再生や電話といった内蔵スピーカーを使う機能/アプリから独立している。ホームボタンを長押ししてSiriを起動し、音声入力待ちの状態で上下のボリュームボタンを押して音量調整してみよう。このとき設定した音量がSiriの起動音と終了音、Siriの声に適用されるので、Siriを目立たなくさせることができる。ところで、Siriの起動音/終了音は、マナーモードにしているかどうかに関係なく発生する。Siriを目立たせずに利用したければ、面倒がらずに前述した方法で音量を下げておこう。
2015年08月24日パラレルスは19日、Mac上でWindowsやLinuxなどのゲストOSを実行できる「Parallels Desktop」の最新版となる「Parallels Desktop 11 for Mac」の販売を開始した。それにあわせ、都内で発表会が開催され、製品の概要などが説明された。発表会は、同社のマーケティング部長である日下部徳彦氏の挨拶からスタート。続いて代表取締役の下村慶一氏が登壇し、同社のビジネスアップデートと、今回発表となった「Parallels Desktop 11 for Mac」の製品概要を紹介した。「Parallels Desktop 11 for Mac」では、MacとWindowsの長所を活かし、これまで以上に簡単な操作環境を提供し、パフォーマンスの向上が図られている。先頃Microsoftが提供を開始したWindows 10への対応はもちろん、パブリックベータ版が公開されている次期Mac OS「El Capitan」のサポートも謳われている。前述のパフォーマンスの面では、Windowsの起動とシャットダウンのスピードが最大50%高速化し、Windows内のファイルを操作する際に最大20%速度が向上、仮想マシンを中断するまでの時間も最大20%高速化している。さらに新機能である「Travel Mode(トラベル モード)」の搭載で、外出時のバッテリー持続時間が最大25%伸張している。米Parallelsのシニアプロダクトマネージャーであるカート・マッカーシー氏のデモでは、まずMac OSのクイックルック機能をWindowsに拡張した「Quick Look for Windows」が披露され、新しいCoherenceモードへの切り替えボタン、DockからのWindowsで最近使った項目の表示などが紹介されたが、今回の目玉は何と言ってもWindowsとOS X両方の環境でWindows 10に搭載されたパーソナルアシスタント機能「Cortana」が利用可能となったことだろう。Parallels DesktopがWindowsの機能をOS Xアプリケーションで利用可能にしたのは今回が初とのことで、Cortanaのデモでは、WindowsアプリでOS Xから位置データを取得(これも新機能)してみたり、「Pages」などのMac用アプリを起動するといった機能を見ることができた。日本語での利用はもう少し先になるとのことだが、現状Mac OSではiOSで提供されている音声アシスト機能「Siri」が使えないので、かなり刺激的なデモンストレーションだったと言えよう。さらに日本語版のみの機能として日本語キーボードの操作性が向上が図られている。OS X El Capitanでは日本語入力のライブ変換機能が搭載されることになっているので、これも大いに期待が寄せられる性能向上と言えるだろう。OS X El Capitanでは、正式リリースに先駆けて同OSに対応する試験的なサポートを提供しているが、El Capitanの公開後はプラットフォームをフルサポートする予定だ。また、本バージョンより、一般ユーザー向けの「Parallels Desktop 11 for Mac」と、前バージョンで登場した「Parallels Desktop for Mac Enterprise Edition」を改称した「Parallels Desktop for Mac Business Edition」、新たに加わった「Parallels Desktop for Mac Pro Edition」という3ラインでの展開となることもアナウンスされた。「Parallels Desktop for Mac Pro Edition」は、開発者、デザイナーといったパワーユーザー向けに設計されており、DockerやVisual Studio(プラグイン)、Chef、Jenkins、Vagrantなどの開発者用ツールとの統合、ゲストOSでのデバッギング、ネットワークシミュレーション機能に対応している。名称が変更された「Parallels Desktop for Mac Business Edition」は「Pro Edition」の全機能に加え、企業のIT部門担当向けにエンドユーザーの仮想マシンを制御すると同時に、新しい「Parallels License Management Portal」を使用してライセンスを運用できる一元管理機能を搭載している。Pro Editionでのデモでは、UIを使わずコマンドラインだけで操作したり、Visual Studioとの統合の解説などが行われた。その中では、ひとつのOSの中で別なOSのデバッグを行える、不安定な環境下で、ある仮想マシンがクラッシュしてもコード自体は別な場所にあるから安心して使用できる、ネットワークの帯域のテストも設定を自由に変えられるといった利便性が強調された。再登壇した下村氏は、開発者やWebのディレクターの多くが、いかに仮想化環境を使っているか知っていただけたと思うと述べ、こういった製品群の提供を行う意味や理由も理解していただければとParallels Desktopの魅力を伝え、発表会を締めくくった。
2015年08月19日少しずつだが、Siriのキャラクターが変化している。登場当初は、こちらからの質問に対して紋切り型の回答しかできなかったが、質問するタイミングによっては回答に微妙な変化が生じる。「○を検索」や「△△とメモ」といった明確な指示を与える場合はともかく、人間との会話に近いやり取りを行う場合、Siriの回答にはある種の"思考"を感じることが多い。Apple製品と他社製品との比較をSiriにたずねると、それははっきりする。Siriはある意味Appleの代弁者のような存在なのだから、Apple贔屓はむしろ当然だが、比較対象を変えると回答の傾向が微妙に変化するのだ。まず、iPhoneとAndroidどちらがいいかという質問に対しては、Siriは迷うことなく「Appleが好き」や「Apple一筋」、すなわちiPhoneがいいと即答する。具体的な事例を示さないため、ある意味言葉遊びのようなものだが、Androidとの比較においてはiPhone擁護の姿勢を隠そうともしない。断定的な、強めのトーンだ。BlackBerryやフィーチャーフォンとの比較では、そのトーンは低下する。Apple一筋といった強めの回答をするときもあるが、「私には決められません」や「個人的にはAppleファンです」といったやや柔らかめの回答をする頻度が高くなる。Androidのときほど、強い対抗意識が感じられない。一方、iPhone 5とiPhone 6などApple製品同士の比較となると、なんとも歯切れの悪い回答に変わる。「難しい質問です」などとお茶を濁しつつ、AppleのWEBサイトへと誘導しようとするのだ。自社製品への愛着を隠さず、強力な競合相手には対抗意識をむき出しにして、そうでもない相手には関心がないそぶりを見せる。社内製品の比較という微妙な案件に関しては、深く関わらず保身を決め込む。なんとも人間くさい"人工知能"に進化したものだ。
2015年07月31日Google検索は便利だけど、そうではない時もある。筆者が今もRSSリーダーを使っているのはFeedlyの検索機能を気に入っているからだ。例えば、WWDCの発表に関する記事をチェックする時、Google Newsで「WWDC」と検索するだけだったら数千本もの記事がリストされる。タイトルに目を通すだけでもひと苦労だ。でも、Feedlyで検索したら、自分が選んでFeedlyに登録したニュースサイトやブログの記事だけが検索対象になる。検索キーワードを追加したり、媒体で絞り込んだりすることなく、効率的に質の高い記事や関連するプレスリリースを確認できる。Googleは、それだけで何でもできる頼もしい検索ソースだ。Googleでなければ見つかりそうにない情報もたくさんある。でも、Googleをメインの検索プロバイダーとして使っていても、実際にはFeedly、Midium、Amazon、Product Hunt、Spotify、Overcast、Slack、GitHubなど、たくさんのソースから直接、日々色んな情報を引き出している。検索の多様化は、特にモバイルで顕著である。AndroidではGoogleがOSのデフォルト検索だし、iOSでもGoogleがSafariのデフォルト検索エンジンだが、Google検索よりもアプリで検索する機会がどんどん増えている。例えば、サンフランシスコでバスと電車で移動するなら、Google検索から乗り換え案内を引き出す方法でも十分だけど、乗り換え案内アプリであるCitymapperを使ったほうがより充実した結果を得られる。Facebookがモバイルでメッセンジャーを独立させたように、モバイルではサービス・機能のアンバンドリングが進んでいる。単一サービス・単一機能に絞り込んだアプリのほうがモバイルのUIでは使いやすく、そうしたアプリの増加もモバイルにおける検索ツールの多様化に拍車をかけている。ただ、使用するアプリが増えるほどに、複数のアプリを組み合わせて使うことも増える。例えば、レストランを決める時にYelpで評価をチェックして、OpenTableで予約し、Citymapperで交通手段を確認する。異なるアプリで、同じ検索を3度繰り返している。これでは、それぞれのアプリがモバイルに適した設計で使いやすくなっていても、モバイルの利用体験が良くなっているとは言いがたい。前置きが長くなったが、そのソリューションになりそうなのが、WWDC 2015でAppleが披露したiOS 9の検索のディープリンクである。デジタルアシスタントSiriも活用できるOSの検索機能のAPIをサードパーティにも公開する。つまり、アプリ側が対応すれば、アプリが扱うコンテンツもiOSの検索機能の対象になる。例えば、ホーム画面をスワイプしてOSの検索画面を呼び出し、「maui」と検索すると、シェアリングサービスのAirbnbやホテル/フライト/レンタカー検索のKAYAKなどからの結果も一覧表示される。そのうちの1つをタップすると、アプリのコンテンツページが開き、左上の「Back to Search」をタップするとアプリのコンテンツページから検索結果に戻れる。複数のアプリを横断的に検索でき、直接アプリコンテンツにアクセスできる。まだ実際に使っていないので使用感はわからないし、自分がよく使うアプリが対応してくれるとも限らない。検索に対して「アプリのおすすめ」などが出てきそうな……そんな不安もあるのだが、デモを見る限りではモバイルの利用体験を改善する機能になりそうだ。Applebotがパートナーサイトのコンテンツデータを収集しておくのか、それともパートナーが自ら検索プロバイダーになって結果を返すのか、流れは不明だが、後者だとしても今はAmazon CloudSearchやAlgoliaなど、検索プロバイダーとして検索力を磨くためのサービスが整っている。GoogleはGoogleで、5月末に開催したGoogle I/Oで機械学習とプロアクティブなデジタルアシスタントの可能性を示した。ユーザーの行動や置かれている状況を把握し、先回りするように効果的なアシスタントを提供する。Google Nowのユーザーを理解したアシスタント能力はすでにユーザーから高い評価を得ており、Googleは大量のデータ解析からユーザーに最善の結果を提供できることを示したうえで、Google NowのAPIをサードパーティに提供し始めた。Googleらしいアプローチだと思う。筆者はGoogleが嫌いじゃないし、むしろ平均以上にGoogleに個人データを提供しているほうだと思う。だから、PCにおけるGoogle検索のような圧倒的な力を、モバイルでGoogle Nowが示し、サードパーティも巻き込むことにも期待している。すでに多くの国・地域でモバイルがPCの検索数を上回っているという調査結果が出ているが、これまでのモバイル検索はPC向けの検索体験の焼き直しだった。MicrosoftはCortanaをPCにも持ち込むが、AppleやGoogle、Microsoftがしのぎを削るデジタルアシスタントを組み合わせた検索機能は、本当の意味でモバイル向けの検索体験を作り上げる取り組みと言える。Googleがモバイルでも検索の覇権を握るのか、それともソーシャル検索や多様化する検索プロバイダーが大きなチャンスをつかめるのか。個人的にはPC時代のように巨大な検索ソースに依存するよりも、無数の小さな情報ソースが緩くつながっているほうがインターネット的だと思うし、そうなってほしいと思う。いずれにせよ、サービス/コンテンツ・プロバイダーはコンテキストに応じたSEOや、自ら検索プロバイダーとして足場固めることなどを考える時期に来ている。
2015年06月15日米Appleは6月8日(現地時間)、米サンフランシスコで開催している同社の開発者カンファレンスWWDC 2015で、iOSの次期メジャーアップデート「iOS 9」を発表した。バッテリー動作の効率性、セキュリティといったiOSの基盤をさらに強固にし、プロアクティブなデジタルアシスタント、iPadでの2アプリ分割表示、新アプリ「News」など様々な新機能を加えた。iOSデバイスを裏返しにして机の上に置いた場合、iOS 9は環境光センサーからの情報でユーザーが使用していないと判断して通知の際にもスクリーンオフを継続する。こうした電力消費の最適化によって通常の使用でおよそ1時間のバッテリー動作が延長する。さらに新たに用意されたLow Powerモードを使用すると、最大3時間の延長が可能になる。iOS 8ではOTAでのソフトウエアアップデートでトラブルが起こったが、iOS 9ではソフトウエアアップデートで必要なストレージ容量が少なくなる。また、より計画的にアップデートを実行できる。セキュリティ面ではパスコードの強化(6桁)や、2段階認証の改善が行われている。iOSのデジタルアシスタント機能Siriが、場所や時間、ユーザーの行動などを踏まえ、先を見越したアシスタントを提供する。たとえば、アプリの利用パターンからスポーツジムに入った時にワークアウト用のアプリをすぐに使用できるようにしたり、道路の混雑も考慮して次の予定に間に合うように出発すべき時間に通知を表示する。また、荷物の受け取りを知らせるメールを開きながら「車に乗ったら、これをリマインドして」と頼むと、Siriは「これ」を「メールメッセージ」だと理解し、帰りにメッセージに関する通知を表示する。自然な話し言葉で頼むだけで、Siriはコンテキストを理解してアシストしてくれる。またSiriが収集する情報が拡大し、スポーツの結果や天気予報など従来の検索ではより充実した結果が表示される。2アプリ表示によって、iPadでよりPCに近いマルチタスクを行えるようになる。2アプリ表示には3種類ある。1つはOS Xの通知センターのように、使用しているアプリの上に細長いウインドウで2つめのアプリがスライドして出てくる「Slide Over」(対応機種:iPad Air、Air 2、iPad mini 2、mini 3)。テキストメッセージに返事をしたり、メモ・アプリにメモを書き残すような簡単な情報確認や作業に適している。もう1つは2つのアプリが画面を分け合う分割表示「Split View」(対応機種:iPad Air 2)だ。Safariで調べ物をしながら、Pagesで文書を作成するなど、2つのアプリをどちらもじっくりと使う場合に適している。もう1つは「Picture in Picture」(対応機種:iPad Air、Air 2、iPad mini 2、mini 3)。ビデオ再生画面だけをフロートさせながら、別のアプリを使用できる。iPad向けには「QuickType」という新しいキーボードも用意された。入力候補を表示するバーに、カットや貼り付けなどショートカットが表示される。また、2本指でキーボードに触れて指を動かすことで、トラックパッドを使うようにカーソルをコントロールできる。「News」はニュースサイトやブログからユーザーの関心に応じた記事を収集し、読みやすいフォーマット(Apple News Format)にして表示する。オーディオ、ビデオ、インタラクティブアニメーション、写真ギャラリーなど、豊かなマルチメディア機能をサポートする。既存の標準アプリにも様々な強化が加えられる。メモ・アプリでは、フォントの変更、チェックリストの作成、手書きメモ、写真・動画の追加が可能になる。マップアプリは、バスや地下鉄、フェリーなど交通機関の情報をサポートし、徒歩を含めたルート検索に対応する(リリース時に300都市以上で使用可能、日本の対応は不明)。昨年米国で始まったモバイルペイメントサービス「Apple Pay」の英国での提供が始まる。支払い機能であるApple Payに対して、各種カードを管理するPassbookは「Wallet」という名称に変更される。iOS 9は8日にiOS Developer Program参加者向けにベータ版とSDKの提供が始まった。7月には一般ユーザーも参加できるパブリックベータプログラムが行われ、今年秋に正式版が登場する予定。対応機種は、iPhone 4s、iPhone 5、iPhone 5c、iPhone 5s、iPhone 6、iPhone 6 Plus、iPad 2、iPad (第3世代)、iPad (第4世代)、iPad Air、iPad Air 2、iPad mini、iPad mini 2、iPad mini 3、iPod touch (第5世代)。Appleは、Androidからの乗り換えをサポートする「Move to iOS」アプリを用意する。
2015年06月09日米Appleは8日(現地時間)、サンフランシスコで開催されたWWDC基調講演において、この秋に提供される「iOS 9」の機能を発表した。主な特徴は、新設計のSiriと検索機能により、ユーザーの次のアクションを先回りしてアプリや情報提供のアシストを行うことや、iPad向けのマルチタスク機能の搭載、また数々のビルトインアプリ刷新などとなっている。基調講演において、Apple ソフトウェアエンジニアリング担当副社長 クレイグ・フェデリギ氏は、新たなバージョンのSiriは以前のものより40%高速化したと説明。Siriで「昨年8月のユタの写真」と検索し、表示された画像をリマインドする、といった文脈的なリマインド機能をデモで見せた。また、利用者の活動パターンに基づき、最も関連性の高い情報を予測して探し出したり、利用者が入力する前に起動すべきアプリや連絡すべき人物を自動的にサジェストするなど、ユーザーの先を読むアシスタントとして機能。検索結果のカテゴリも、スポーツのスコアやスケジュール、動画、計算機など、より広くなった。iPad向けには新たに「Slide Over」機能により、スワイプするだけで2つのアプリを同時に画面上に表示させることが可能になる。さらにタップすれば画面を分割するSplit View機能が起動し、2つのアプリを並べて使用が可能。「Picture-in-Picture」機能では、他のアプリを使いながらFaceTimeやビデオの視聴が利用できる。これらのマルチタスク機能はビルトインアプリが対応する他、サードパーティー製アプリにも簡単に搭載できるAPIが提供される。入力・編集をアシストするShortcut Barや、Multi-Touchジェスチャー機能も追加されている。ビルトインアプリのアップデートでは、「マップ」が新たに主要都市の交通機関網と時刻表をサポートし、乗り換え案内に対応し、電車・地下鉄・バス・徒歩の組みあわせたルートを提案。飲食やショッピング関連の検索をすると、近くの関連施設を表示するNearby機能も搭載する。「メモ」は新たに指を使ったドローイングに対応する。また、チェックリストの作成や、写真を直接取り込むこと、他のアプリから重要なアイテムを直接ノートに記録することも可能。新たに追加される「ニュース」アプリは、新聞・雑誌のデザインレイアウトとインタラクティブなデジタルメディアを統合し、利用者の関心を学習して関連したコンテンツを配信するパーソナライズされた媒体となるもの。これは、カスタムタイポグラフィー、ギャラリー、オーディオ、ビデオ、インタラクティブアニメーションに対応するデジタル配信フォーマット「Apple News Format」で動作する。Apple Payには、小売業者発行のクレジットカードやポイントサービスに対応する「Discover」機能が搭載される。PassBookが新たに「Wallet」アプリとなり、Wallet内でカードを管理する仕組みとなる。また、7月から英国でもApple Payの提供が開始される。iOSの基盤については、バッテリー消費の最適化により持続時間が標準で約1時間長くなり、さらに延長できる低電力モードも追加。また、より小さな空き容量でソフトウェアをアップデートしたり、「Install Later」機能で使用していない時間にアップデートを行える。パスコードの強化やOSレベルでの2段階認証搭載で、デバイスやApple IDへの不正アクセスをより難しくする。デベロッパ向けのAPIでは、サードパーティー製アプリへのディープリンクへの拡張検索機能、ゲーム開発向けのGameplayKitとModel I/O、またゲームプレイを記録するためのReplayKit、自動車メーカーのCarPlayアプリ開発サポートなどの他、新たなHomeKitプロファイルやHealthKitデータポイントが提供される。iOSおよびOS Xのためのプログラミング言語SwiftはSwift 2にアップデートされ、新機能とパフォーマンス改善を提供。また、Swiftのコンパイラと標準ライブラリは今年後半にオープンソースとして利用可能になる。iOS 9ベータソフトウェアとSDKは、iOSデベロッパプログラムのメンバー向けに即日提供開始。パブリックベータプログラムは7月より提供される。iOS 9のリリースは2015年の秋となる。対象機種は、iPhone 4S以降、第5世代のiPod touch、iPad 2以降、iPad mini以降となっている。なお、今回発表されたうち、一部の機能は地域や言語を限定して提供される可能性がある。
2015年06月09日米Appleは19日(現地時間)、Apple Watch用OS初のアップデート「Watch OS 1.0.1」をリリースした。今回のアップデートにより、Siri、スタンドアクティビティの測定、室内自転車および室内ローイングワークアウトのカロリー計算、屋外ウォーキングおよび屋外ランニングワークアウトの距離とペース、アクセシビリティ、サードパーティーアプリの機能およびパフォーマンスが向上する。また、新しい絵文字の表示に対応したほか、ポルトガル語(ブラジル)、デンマーク語、オランダ語、スウェーデン語、ロシア語、タイ語、およびトルコ語の言語サポートが追加された。Apple Watch用OSをアップデートするには、Apple Watchのバッテリ残量が50パーセント以上かつ電源に接続されている状態で、Wi-Fiに接続したiPhoneとApple Watchが通信圏内にある必要がある。
2015年05月20日Siriを呼び出す方法は、iOS 8で見直しが行われた。iOS 7までは、耳もとにiPhoneをあてるだけでSiriに命令できるようになる機能(「耳にあてて話す」スイッチ)が用意されていたが、iOS 8で消えた。その代わり、iPhoneが電源に接続されているとき「ヘイ、シリ」と呼びかけるとSiriを起動できる機能(「"Hey Siri"を許可」スイッチ)が追加されている。一長一短あるが、クルマを運転しているときなど手を離せない状況で使いやすくなったことは確かだ。この「ヘイ、シリ」を利用したSiriの呼び出しは、利用する状況を選ぶ。声でSiriを呼び出せるのは便利だが、命令に対するリアクションを必ずSiriが読み上げるため(音声フィードバックを無効化できない)、周囲の目があるときは利用しにくいのだ。この点、目立たず使えた「耳にあてて話す」のほうが使い勝手がよかったといえる。「耳にあてて話す」スイッチがないiOS 8は、ボタンを長押ししてSiriを呼び出すと音声フィードバックがある。この点、「ヘイ、シリ」のときと変わらないが、それは初期設定のときの話だ。設定を見直せば、スピーカーから音声フィードバックを聞こえなくすることはできる。手順はかんたん、「設定」→「一般」→「Siri」→「音声フィードバック」の順に画面を開き、「ハンズフリーのみ」にチェックを入れればいい。これで、Siriに命令したときの音声フィードバックはなくなり、静かにSiriの回答を確認することができる。ただし、ヘッドホンやBluetoothヘッドセットを接続しているときには、そこから音声フィードバックが聞こえるので注意すること。「ハンズフリーのみ」にチェックするとiPhone内蔵スピーカーは使われなくなるが、Siriの音声そのものが無効化されるわけではないからだ。
2015年05月01日音声アシスタントの「Siri」は、いまやiPhoneにとって欠かせない機能のひとつ。人前で使うことに気恥ずかしさはあるにしても、手が離せないときのメモ、天気予報の確認、インスタントラーメンをつくるときの3分タイマーなど、いつの間にかSiriで用事を済ませている場面はあるはず。iOS 8のいま、より流ちょうに会話をこなすようになり、以前より違和感が減ったというユーザも多いことだろう。電話をかけることも、Siriが活躍するシーンのひとつ。連絡先に登録済の人物であれば、「○に電話」などと話しかけるだけで電話することができるので、「電話」アプリを操作するより断然スピーディー。会話が目的なだけに、他の処理に比べ話しかけることへの抵抗が少ないこともSiriにマッチしている。しかし、なにかの拍子にSiriが誤作動してしまうことがある。以前と比較すると減ってはいるが、Siriに話しかけて通話を開始する「音声ダイヤル」は、携帯電話としての利便性を考慮してかそのままになっている。知らぬ間にダイヤルを開始していた、という報告がなくならないのは、この音声ダイヤルが初期設定で有効にされていることが原因だ。だから、Siriによる誤ダイヤル予防には音声ダイヤルの無効化が効果的だ。ロック解除しないかぎり声でダイヤルを命令できなくなるものの、Touch IDに対応したiPhoneであればロック解除は数秒あればじゅうぶん、ダイヤル開始までの時間はほとんどかわらないはず。Siriを無効化する必要はないので、利便性も低下しない。Siriの誤ダイヤルに困ったら、Siriはオンのままで音声ダイヤルはオフ、これがお勧めだ。
2015年03月27日先日のApple TVの値下げとHBO Now発表に続き、Apple自身がTV放送のサブスクリプション配信サービスに参入するという話題が出ているが、同社はさらに踏み込み、いよいよ噂の「"真"のApple TV」リリースに向けた動きを見せつつある。従来のApple TVハードウェアそのものの機能を大幅強化し、単体でSiriによる音声制御やHomeKit連携による家電制御など、より"モダン"なハードウェアやOSの機能を踏襲していくようだ。同件はBuzzFeedでJohn Paczkowski氏が関係者の話として報じている。先日の発表会ではApple TVの価格の99ドルから69ドルへの値下げが発表され、より値頃感が高くなっている。だが実際にApple TVのハードウェアの中身を鑑みれば、若干の構成変更によるアップデートこそあったものの中身自体はここ3年間変化しておらず、さらに「内蔵ストレージの最小限化によるストリーミング動作専用」という現在のコンセプトにつながるモデルが発売されてから実に5年近くメジャーアップデートが行われていない。当初はTV接続可能なストレージ内蔵メディアプレイヤーの性格が強かったApple TVだが、現在では搭載プロセッサも最低限のネットワーク通信とメディアプレイバックが可能な廉価バージョンが採用され、とにかくコストを押さえ込む方向で提供が行われている。これを"よりモダンなOS"と"より強力なハードウェア"で模様替えし、いま再び「Appleが考えるリビングルーム向けのメディアボックス(STB)」として機能するよう改修が進んでいるというのが、前述Paczkowski氏の伝える関係者の話だ。同氏の記事でも伝えているように、現在Apple TVには今年後半にもスタートするといわれるTV配信サービスに加え、Apple TV向けのApp Storeとアプリ実行環境の提供に向けたさまざまな準備が進んでいるといわれる。前出のように、現状のApple TVにはこうしたリッチなアプリ実行環境を望むべくもないため、何らかの形でハードウェアの改修を行うことが必須となる。少なくとも最新のiPadクラスの性能が必要になるとみられるため、本体価格も従来の69~99ドルではなく、一気に400~500ドル前後の水準まで上がる可能性が高くなると考えられるが、こうした値上げ等を経てもなお購入に踏み切るだけの価値を見出せる工夫をAppleには期待したい。なお新ハードウェアの登場時期だが、可能性としてはTV配信サービスのスタートするといわれる今秋が最も高いと考えられる。いままでであれば「発表即発売」でも問題なかったが、今回はアプリ対応も含めサードパーティの協力が必須になるとみられ、実際の発売とサービス開始まで期間を置く可能性が高いと筆者は予想する。そのため、6月開催とみられるWWDCで製品と基本コンセプトを発表し、実際の提供は9~10月となることも考えられるだろう。いずれにせよ多数の関係者が存在することもあり、WWDC前後には何らかのリーク情報が出てくる可能性が高いと考える。
2015年03月24日暦の計算は面倒なもの。1週や1月といった単位であれば苦はないが、月をまたいだ20日後とか50日後となると、カレンダーを横目に指折り数えてしまう人も多いはず。100日後、150日後あたりになってくると、数え間違いも出てくる。計算しようにも公式があるのやらないのやら……そう度々あるタスクではなし、場当たり的にやり過ごしてはいないだろうか。iPhoneには「カレンダー」という文字どおりの暦アプリがあるが、相対的な日時指定はあまり考慮されていない。iOS 8になってから、週番号の表示が可能になり(「設定」→「メール/連絡先/カレンダー」の画面にスイッチがある)、年初から通算した日数を求めることは容易になったが、「4月12日から100日後」や「10月28日から150日後」といった計算に手間取ることに変わりはない。「○日後」が何年何月何日なのか知りたい場合は、Siriに訊ねることが近道だ。ホームボタンを長押ししてSiriを起動し、「今日から○日後は何曜日」と話しかけてみよう。話しかけた日が2015年3月6日であれば、「2015年6月14日日曜日です」と、年月日に曜日を添えて答えてくれるはずだ。このとき、「今日から○日後は」と「何曜日」を省略してしまわないことがコツだ。省略しても年月日を正しく計算したうえで答えてくれるものの、「2015年6月14日はなにも予定がありません」と予定の有無がチェックされてしまう。曜日を確認できたほうがなにかと有益なので、「今日から○日後は何曜日」というフォーマットを使うことがお勧めだ。
2015年03月09日自宅で見る映画と劇場で見る映画は、迫力がまるで違う。スクリーンの大きさは言うまでもなく、側面や背後にまで設置された大型スピーカーが出す音は大迫力、重低音は腹に響くほど。座高の高い人が前席に陣取ってしまう不幸に時折見舞われるものの、そこでしか得られない没入感が映画館にはある。映画を見たいと思い立ったとき、WEB検索するのもひとつの方法だが、ちょっと待ってほしい。検索エンジンはいろいろ、映画関連の情報サービスもいろいろ。Safariのアドレスバーに「映画」と入力して検索したところで、期待した情報が得られるとはかぎらないのだ。結論からいうと、Safariのアドレスバーで「映画」と検索すると、現在地近くで上映されている映画のリストが表示される。見る映画が決まっているのならば、この方法がベストかもしれない。しかし、ランキングを見て高評価の映画を見ようというのならば話は変わってくる。映画のランキングが気になるのならば、Siriに訊ねてみよう。ただし、「映画を検索」と命令してはいけない。ここ日本では、現在地近くで上映中の映画に関する情報が反映されず、iTunes Storeで扱っている映画がリストアップされるだけだ。訊きかたは「ヤフーで映画を検索」、これでいい。検索エンジンにYahoo! を指定することで、上映中/公開予定の映画の人気ランキングが15件ずつ表示されるYahoo! JAPAN独自のサービスを利用できるからだ。現れた映画のタイトル下には、「予告編を探す」や「レビューを探す」、「上映館を探す」というリンクも設けられているので、これから見る映画を探すにはもってこいといえる。
2015年01月27日平成の世となり間もなく26年目が終わろうとしているが、いまだに「和暦・西暦変換」に慣れない人も多いのではないだろうか。覚えやすい方法としては、平成○年に「88」を足し、その下2桁が西暦の下2桁(20○年)になるというものがあるが、88かどうか自分の記憶をうたがうことも。昭和の場合も同様で、足す数字が25なのかどうか自信がなくなることもある。そんなときは、とりあえずSiriに質問してみよう。手順はかんたん、ホームボタンを長押ししてSiriを起動し、「昭和63年3月2日」や「平成13年6月6日」などと和暦の日付を口にすればいい。そうすれば、『カレンダー』が把握しているその日のイベントを調べ、確認のために日付を西暦に変換したうえで答えてくれる。過去にかぎらず、「平成32年」など未来の日付も調べられるところがポイントだ。この機能、曜日を調べる目的にも利用できる。たとえば、「昭和63年3月3日は何曜日」と質問すると、その日付と曜日を西暦ベースで答えてくれる。こちらも未来の日付に対応しているので、数年先のゴールデンウィークの曜日を調べるといった使い方も可能だ。ただし、過去の元号で完全対応しているのは昭和まで。大正や明治、慶應や嘉永といった元号で日付をたずねても、対応する西暦ベースの日付/曜日は答えてくれない。自分や家族の誕生日の西暦/曜日は調べることができても、歴史上の出来事までは対応しきれないので、昭和/平成限定の西暦変換機能と理解しておきたい。
2014年12月24日ちょっとした機能だけれどありがたい、便利に使える機能のひとつに「時計」アプリの「タイマー」を挙げることができる。カップラーメンをつくるとき、ストレッチングするとき、子どもの勉強に付き合うとき……いつも手もとにあるiPhoneだけに、思いついたらすぐタイマーをセットできるのはうれしいことだ。しかし、タイマーには落とし穴がある。秒単位で時間を指定することができないのだ。「時計」の「タイマー」タブで指定できるのは1分から23時間59分までの1分刻み、単位として秒は用意されていない。これでは、微妙な時間管理が求められる半熟たまごや温泉たまごを安心してつくることができない。絶妙なゆで加減を求めるのならば、タイマーにセットする時間は10分でも11分でもダメ、10分30秒でなくてはならないのだ。そんなときは「Siri」に頼もう。「時計」の「タイマー」では秒単位の設定はできないが、Siriに「タイマーを○秒にセット」などと話しかければ、なんの疑問ももたずに秒単位でタイマーをセットしてくれる。50秒や30秒など、1分未満でタイマーセットすることも可能だから、機能的には手動設定を上回ると言っていいだろう。あまり役には立たないが、ごく短い時間の測定にもこの方法が利用できる。指定できる時間の最小単位は秒となるため、10秒や5秒、極端なところでは1秒でタイマーをセットすることも可能だ。そうすると、命令した次の瞬間にはアラームが鳴り始めるので念のため。
2014年12月23日説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりでも正しく理解していないことがあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、「iPhoneを充電中のSiriはひと味違う、ってどういうこと?」という質問に答えます。***iOS 5で登場した「Siri」は、ふだん話す内容を解釈してさまざまな処理を行ってくれる音声アシスタント機能です。2012年3月に日本語対応して以降も、認識可能な語いが増え、発音も滑らかになるなど、機能の改善が続けられています。9月に公開されたiOS 8からは、「Hey Siri(ヘイ、シリ)」と呼びかけることで、iPhoneに触れることなく命令できるようになりました。iPhoneがロック状態でも反応するため、完全にハンズフリーで利用できるところがポイントです。車の運転中など手を離せないときでも、スケジュールを確認したり電話をかけたりさまざまな処理を行うことができます。就寝前にアラームをセットするときも、離れた位置から呼びかければいいのです。ただし、「Hey、Siri」という言葉に反応するのは、iPhoneを電源につないでいるとき(充電中)のみです。電源につないでいないときには、「Hey、Siri」と呼びかけたところで反応はありません。「Hey、Siri」と呼びかけるときも、「Hey、Siri、明日の天気は?」といった具合に続けて命令しなければなりません。「Hey、Siri」のあとに間を空けてしまうと、「すみません、聞き取れませんでした」とエラーになります。この「Hey、Siri」から始まる命令を受け付ける機能は、Siriの設定画面で許可を与える必要があります。充電中なのに反応がない場合は、「設定」を起動して「一般」→「Siri」の順に画面を開き、「"Hey、Siriを許可"」スイッチがオン(緑色)になっていることを確認しましょう。
2014年11月11日説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりでも正しく理解していないことがあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、「Siriに調べてもらった曲を後で購入することはできますか?」という質問に答えます。***iPhoneの音声アシスタント機能「Siri」は、iOS 8から楽曲データベース「Shazam」との連携がサポートされました。音楽が流れているとき「この曲の名前は」などとSiriにたずねると、かなりの精度で曲名/アーティスト名を答えてくれます。Siriに聴かせる時間は数秒程度あればじゅうぶんなため、テレビの挿入歌を知りたい、喫茶店で偶然耳にした曲の名前を知りたい、といった場面で役立ちます。その曲がiTunes Storeで取り扱いがある場合、Siriが表示した画面から購入手続きへ進むことができます。その場でダウンロードできるわけですから、迷わず購入できるほど気に入った曲と出会ったときにはかなり便利な機能といえます。もっとも、曲名/アーティスト名が判明したとしても、ダウンロードは他の曲を聴いてからというユーザが多いのではないでしょうか。となると、せっかくSiriが調べてくれた結果も、あまり役立たないことになります。しかし、そこはAppleのこと、抜かりありません。「iTunes Store」アプリを起動し、右上のリストボタンをタップしてみましょう。iOS 7までは「ウィッシュリスト」と「プレビュー」の2つだったタブに「Siri」が加えられ、そこにSiriで検索に成功した曲が表示されているはずです。そこから購入手続きを開始するもよし、曲をプレビューするもよし。iTunes Storeで取り扱いがあるかぎり、いつでも購入することができますよ。
2014年10月09日説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりでも正しく理解していないことがあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、『クルマの運転中に「Siri」を呼び出せる?』という質問に答えます。***8月現在、Siriを起動するにはホームボタンを数秒間押し続けるか、iPhoneを耳にあてるしかありません。iPhone対応リモコン付きのイヤホンを接続し、中央部分を押し続けて起動する方法もありますが、どのみち手作業が必要になるため、ドライブ中など完全ハンズフリーが要求される場面では安全にSiriを起動することができません。春に発表されたiOSの車載システム連携機能「CarPlay」には、ハンドル上のコントロールボタンを押し続けるとSiriを起動できるしくみが用意されています。この方法を使えば、運転中でも手もとを見ることなく安全にSiriを起動できますが、CarPlay対応車を用意する必要があるため、クルマを買い替えるかカーナビゲーションシステムを入れ替えるタイミングでなければなりません。ところが、今年の秋にリリースされる予定のiOS 8では、Siriが音声による起動に対応します。iPhoneがスリープ中でも「Hey、Siri」と声をかければSiriが起動するので、安全性の面でも問題なさそうです。人前では恥ずかしい掛け声ですが、プライベートな車内であればどうということはないはず。あと数ヶ月待てば、質問の意図にピッタリの新機能を利用できるのです。ただし、AppleのWEBサイトで公開中の「iOSのヒント ベータ版」によれば、Siriを音声で起動できるのはiPhoneが電源に接続された状態のときだそうです。クルマから電源をとるか、用意しておいたポータブルバッテリーとiPhoneを接続しておきましょう。
2014年08月17日