教育相談とは出典 : 教育相談とは、子どもの発達と教育にかかわる問題について、子ども本人、保護者、学校の教員などに対して行われる、心理的・教育的援助のことです。教育相談というと、学校からすすめられてはじめて相談に行くことが可能となる、というイメージがある方もいらっしゃるかもしれませんが、学校からすすめられなくても悩みごとがあれば相談できます。相談できるのは、18歳までの子ども本人のほか、保護者、学校の教員など、子どもの教育・養育に関わる全ての人です。相談を受けているのは、学校や、校内のスクールカウンセラー、地域の教育相談センター、特別支援学校などです。教育相談は今、非常に広い概念として捉えられています。「何らかの問題が起こったときに悩みを抱えた人が、学校の教員や専門家に相談をすること」これが以前まで、教育相談という言葉が指していた意味合いでした。ですが、近年子どもの問題が多様化、深刻化するにつれ、教育相談に求められる役割は多岐にわたっています。求められる役割の広がりに伴い、「相談」という言葉から連想されにくい事柄についても教育相談の担う範囲とされています。教育相談の内容は、主に2つに分けることができます。一つ目は、問題を解決するために、問題を抱えた人が専門家に対して相談する、問題解決型の教育相談です。例えば・学校以外の機関が行う、匿名での電話相談サービス・特別支援学校や教育委員会が行う、発達が気になる乳幼児の保護者への子育て相談などがこれにあたります。二つ目は、問題が起こる前に、学校の教職員などによって行われる予防的な教育相談です。例えば、教師が学級活動の中で、児童生徒に対して行うロールプレイングや感情コントロールのトレーニングなどです。このように、教育相談が担うのは、問題が起こったときのみに行われる相談業務だけではありません。何か問題が起こったときに保護者や子どもが自ら課題を突きとめ、主体的に問題解決をできるように、これらの支援や活動は日ごろから行われています。教育相談の事業を通して、困りごとがあるときにも、子どもに関わる誰もが気軽に相談をできるような体制づくりが目指されています。学校を中心として、教育センターや特別支援学校、NPOなど、地域全体を通して、そのような体制づくりが行われています。教育相談ではどんな相談に乗ってもらえるの?出典 : 教育相談が取り扱う事柄はさまざまです。例えば、いじめや不登校、学習に対する不安などの学校生活に関わることから、就学や進路、子どもの発達のことなど、子どもの教育、養育上の問題に関するあらゆる内容を取り扱っています。心配ごとがあるときに、教育相談では以下のような相談を行うことができます。例えば、◇学校生活のこと・クラスでいじめにあっています。もう学校に行きたくありません。・子どもが朝になるとお腹が痛いと言って学校を休むようになりました。無理矢理、学校へ連れていった方がよいでしょうか。・学級に不登校の児童がいます。どのように対応したらよいでしょうか。◇子育てや家庭のこと・子どもが発達障害ではないかと心配しています。・忘れ物が多くて困っています。・子どもが自傷行為をしているようです。・子どもが反抗的で親の言うことを聞きません。◇就学先のこと・障害が重くても、地域の学校で学ぶことができますか。・小学校や特別支援学校に就学したあとに、転学の相談はできますか。◇情報関係・SNSに子どもの悪口が書かれています。どうしたらよいでしょうか。教育相談では、相談者の意見を尊重し、肯定的に受けとめながら、相談者にとって最適な解決方法を一緒に考えていきます。教育相談はどこで誰がしてくれるの?出典 : では、教育や養育に関する悩みごとがあり教育相談を受けたいと思ったら、どこへ行ったらいいのでしょうか。教育に関する相談を扱っているのは、学校の教職員、学校内の相談室、教育センター、特別支援学校などです。それぞれの相談先の特徴と、ご自身の悩みごとの内容に合わせて、相談先を選ぶことが大切です。出典 : 教育相談の活動で中心的な役割を担っているのが学校です。学校では、学級担任や管理職をはじめとして、養護教諭などの全ての教職員が協力をして、子どもの悩みを解決する体制が作られています。学校では、通学する児童生徒本人や保護者が教職員に対して相談することができます。いじめや不登校などの問題の他にも、子どもの気になる行動や、学習についての不安を中心に相談ができます。学校は子どもが毎日通うなじみのある場所であり、そこにいる教職員は毎日子どもに接しています。相談を行うことは、教員が子どもに対してより配慮のある対応をしてくれることにもつながります。学校における教育相談に特徴的なのは、教職員の側から子ども、保護者に対し、相談できる機会を積極的に設けていることでしょう。通称、呼び出し相談や定期相談といわれています。教職員が積極的に子どもや保護者に声をかけていくことにより、問題が起こる前に、その火種を発見でき、問題を未然に防ぐことが可能となります。学校における教育相談には、もう一つの側面があります。それは、悩みごとを抱える一部の子どものみを対象とするのではなく、全ての子どもを対象とする予防的な教育相談活動です。いじめを例にして考えてみましょう。いじめの被害者に対する心のケアは重要ですが、いじめに対して「やめてほしい」と主張をする力や助けを出すための力が必要な場合もあります。また、いじめの加害者側が高いストレスに晒されていることもあります。そのような子どもが加害者にならないようにするために、事前の予防的な教育が行われています。具体的には、授業やホームルームの中で、自分の言いたいことを適切に主張するためのアサーション・トレーニング、自分の怒りの感情をコントロールし、衝動的な行動に出ることを防ぐためのアンガーマネジメント、相手の立場になりきるロールプレイングなどが取り入れられています。出典 : 学校内に設置されている心の相談室・カウンセリングルームでは、スクールカウンセラーに相談することができます。学校の教職員に言いづらいことは、学校内の相談室で相談をするのがよいでしょう。スクールカウンセラーとは、臨床心理士、精神科医、心理学系の大学の常勤教員などの心の専門家です。また学校によっては、「子どもと親の相談員」というスタッフが相談に乗ることもあります。平成25年には、スクールカウンセラーが派遣または配置されている学校数は、20,310か所であり、平成7年に比べ、その数は約130倍となりました。これは、いじめや不登校問題の多発に注目した文部科学省が、教育相談に専門的に携わるスタッフを増やす施策をとったことによる変化です。学校内の相談室で相談をするメリットは、学校の教員とも保護者とも違う立場から話を聞いてもらえることでしょう。これらの相談員は、保護者や他の教職員とも利害関係がないために、客観的で中立な立場から冷静に話を受け止めてくれます。注意点は、相談者により話された秘密は原則として守られますが、問題解決のために事実関係の整合性を取る場合などに限って、相談から得られた情報を学級担任や管理職に共有することがあるということです。最終的な目的は問題の根本的な解決なので、相談員だけではなく、学級担任から見た子どもの姿や保護者から見た子どもの姿など、多角的な視点を用いた判断が必要とされる場合があるためです。また、相談員は外部の機関との連携を密に行っています。ですので、相談員や学校のみでは問題解決ができないと判断した場合には、児童相談所や医療機関などの機関と連携することもあります。スクールカウンセラーや子どもと親の相談員は、各学校に配置されている場合と教育委員会から派遣されて学校へやってくる場合があります。週に1~2回、学校内、あるいは学校の近くにある心の相談室・カウンセリングルームなどの場所で勤務を行っています。出典:スクールカウンセラー等配置箇所数|文部科学省スクールカウンセラーについて|文部科学省「子どもと親の相談員」について|文部科学省出典 : 教育に関する相談の受け付けを行っているのは学校だけではありません。教育相談センターや、教育センターという施設でも子どもの育ちや教育に関する悩みごとの相談をすることができます。例えば、不登校やいじめの問題について、学校が対応しきれず困りごとの解決が難しいときもあると思います。学校に言いづらい悩みごとは、学校以外の機関に相談するという選択肢があると知っておくことで、新しい問題解決の道が開けることもあります。これらのセンターは都道府県・市区町村が設置している施設であり、さまざまな専門をもつ相談員が相談に乗ってくれます。相談をすることができるのは、18歳までの子どもとその保護者、および教員です。相談には、心理相談を専門とする相談員が対応し、必要に応じて、継続的な面接やプレイセラピー、心理検査などを行います。またこれらのセンターでは、定期的に不登校に特化した相談会や、学校復帰・社会参加に向けた講演会が開かれていたりします。学校では得ることのできない情報を知ることができる場としても活用できるでしょう。相談者の状態や、何らかの事情によりセンターに来所することが困難な場合には、メールや電話でも相談をすることができます。相談内容によっては、児童相談所や医療機関などの関係機関を紹介される場合があります。例えば、相談員のみでは解決ができない、医学的な診断の必要である、また福祉的・法的な措置が必要な場合などです。また、相談の内容によっては、保護者の方にあらかじめ確認をとった上で、相談の内容を学校に伝えることがあります。というのも、学校の教職員と保護者が子どもの状況を共通理解することにより、柔軟で充実した対応を行うことができ、結果的に問題の解決への近道となることもあるためです。これらの機関は、学校や教員に対して直接的な指導を行うことはできません。ですので、以下に挙げるような対応の難しい相談事に関しては、あらかじめ相談先が断る場合もあります。・学校の運営・教員による子どもへの指導の内容・教職員の人事学校の運営や教員に対する意見がある場合には、まずは学校の管理職へ相談して、それでも解決しない場合は管轄の教育委員会へ相談を行うのがよいでしょう。出典 : 特別支援学校には、学校に在籍する子どもへの教育の他に、大切な役割があります。それが地域の障害のある子どもたちへのサポートです。この役割の一つとして、特別支援学校では、地域の子どもたちや保護者、小中学校の教職員から相談を受け付けています。以下のような相談を受け付けています。・子どもの発達についての相談・特別支援学校への入学や転学への相談・小中学校での教育についての相談相談には、特別支援学校の教員が対応してくれます。子どもの発達とその支援に関する知識や経験のあるスタッフが対応してくれるので、就学のことや、子どもの発達で心配がある場合には気軽に相談してみるとよいでしょう。特別支援学校で行われる教育相談は、就学以後の子どもに限らず、乳幼児やその保護者に対しても行われています。これは、平成23年に改正された障害者基本法を受けて、障害のある、または支援の必要な乳幼児とその保護者に対し、就学前から情報の提供の機会をより増やそうという国の動きによるものです。相談対応の他にも、特別支援学校では以下のように障害のある子どもに関わる大人や、本人を手助けするさまざまなサポートを行っています。例えば、・学校への巡回訪問・心理検査の実施・研修会の講師の派遣・授業や教材の工夫・個別の教育支援計画、個別の指導計画の作成のサポートなどです。保護者や教師など、子どもに関わる大人は、子ども発達や障害に専門とする教員やコーディネーターとともに、遊びの工夫や、子どもとの適切な関わり方などを一緒に考えていきます。教育相談にはどんな方法があるの?出典 : 相談の内容や、相談者の状態によっては、来所により話をすることが困難な場合もあります。教育相談では、来所に限らずさまざまな方法で相談をすることができます。ここではそれぞれの相談方法の特徴をご紹介します。全ての相談機関で、来所による相談を受け付けています。継続的に担当の相談員に対応してもらえるのが来所による相談の特徴です。相談者一人につき担当の相談員が一人つくことが多いので、来所するごとに、前回から変わった点や新たに加わった困りごとなど、問題解決までの間、その道のりを長期的に支援してもらえます。初回面接の際には、電話で相談内容を話した上で予約をする必要があります。電話による相談の特徴は、現在いる場所に関わらず、相談ができる点です。電話相談だけでは解決の道が見つからない場合には、実際に相談機関に来所することが可能です。匿名でも相談にのってくれる他、電話により相談員の対応を知った上で、来所による相談へ安心して移ることができます。電話相談では、相談員を指名しての継続相談は受け付けていないことがありますので注意が必要です。スマートフォンやPCの普及とともに、メールで相談を受け付ける機関が増えています。メールによる相談の特徴は、名乗らない限り、相手から相談者の身元がわからない点や、時間や場所に関わらず24時間メッセージを送信できる点です。一方、相談の返信が返ってくるまでに、ある程度の時間がかかったり、文字だけのやりとりのために、細かいニュアンスや表現が伝わりにくい場合があることには注意が必要です。機関によっては、文字数の制限があったり、メールの返信の回数制限があったりする場合もあります。詳しくはそれぞれの機関のウェブサイトをご参照ください。学校では通常、メール相談の受付は行われていませんが、教育センターや教育相談センター、NPOなどはメールによる相談を受け付けていることが多いです。学校や相談機関等に通うことが難しいお子さんを対象として、相談員が家庭・学校を訪問し、子どもへの支援や、その保護者の方との相談を進めます。学校や相談機関に通うことが難しい子どもでなければ利用できないことがあります。教育相談をしたいときには何をすればいい?出典 : 学校に相談を希望する場合には、学級担任のもとに連絡して実際相談をしますが、学校の教職員以外に相談をしたいときには、どのような手順で相談をすればよいのでしょうか。相談の流れやそれぞれの相談先の注意点についてご紹介いたします。学校の教職員ではなく、スクールカウンセラーや「子どもと親の相談員」に相談したいときの窓口は、学校により異なります。学級担任・養護教諭を通じて予約をする場合と、直接相談員に声をかける場合や、相談室の前にホワイトボードが置いてあり、誰にも知られずに予約をするシステムがある学校などさまざまです。また、通っている学校にスクールカウンセラーが配置されていない場合、近隣の学校に配置されているスクールカウンセラーに相談することになります。スクールカウンセラーが配置されている近隣の学校については都道府県教育委員会、もしくは市町村教育委員会に問い合わせ、その学校を通じて勤務されている日やスケジュール等を確認し、予約の上、相談室へお越しください。教育相談センターでは、希望する相談の方法により予約が必要な場合とそうでない場合があります。来所相談は、予約制となります。センターの業務時間内に電話で予約をとる必要があります。予約の際には、相談の概要を聞かれるので、子どもの様子や相談の内容についてまとめておくとよいでしょう。市区町村により、相談の受付時間や予約方法が異なります。1回の面接は50~90分間で相談費用は無料です。継続相談を行ったり、相談内容によっては他機関を紹介してくれることもあります。ご参考までに、東京都教育相談センターの申し込みから相談までの流れを以下に示します。申込みは、保護者からのお申込みをお願いいたします。電話相談にてご相談のうえ、お申込みください。↓初回日時のご連絡担当相談員が決まり次第、お電話等でご連絡差し上げます。↓初回面接※原則、1回の面接は50分間です。相談費用は無料です。以後、継続相談を行いますが、ご相談内容によっては、他機関を紹介する場合もあります特別支援学校での相談は、学校へ足を運んで直接相談をすることができます。FAXまたは電話で予約を入れ、相談日を設定する必要があります。詳しくは、お住まいの近くの特別支援学校のウェブサイト等をご覧ください。まとめ出典 : この記事では、教育相談を扱う機関や相談の流れや、内容などを具体的にご紹介しました。教育相談とは、悩みをもつ子ども、保護者、教員の、悩み事の解決に向けて行われる相談活動のことです。教育相談が担う役割は大きく分けて2つあります。一つ目は、問題を解決するために、問題を抱えた人が専門家に対して相談する、問題解決型の教育相談です。二つ目は、悩み事や問題が起こる前に教職員などによって行われる、予防的な教育相談活動です。物事の捉え方、人との関係づくりなどを子どもが学ぶ機会を日常的に設けることで、子ども本人が主体的に問題解決に取り組める力を育む役割があります。子どもと関わる保護者や教員は、問題が大きくなる前に、子どもから発せられるサインを見落とさないことが大切です。子どもの様子や子育てのことで少しでも心配ごとのある場合には、一人で抱え込まずに、気軽に相談にいってみましょう。悩みの解消に向けて、一緒に考え、共に解決策を探してくれるスタッフが必ずいるはずです。
2016年12月11日娘の不登校で心労が重なり…批判的な世間の目に押しつぶされそうだった私出典 : 小2から不登校の娘は現在中学2年生で、アスペルガー症候群の診断が出ています。そしてシングルマザーである私にも、アスペルガー症候群の診断があります。娘は小2の2学期から徐々に学校を休み始めたました。それに対し、学校からの電話や訪問は毎日続き、2学期の終わりには付き添い登校もしましたが3学期から完全に行けなくなってしまいました。その間の心労で私は5キロ太り、「こんなに醜くなってどこへも行きたくない」と実家のトイレで1人ボロボロ涙を流しました。近所の人やママ友からは「学校には行かせなきゃダメよ」と会えばプレッシャーをかけられ、道端で大泣きしたこともあります。一方で娘はというと、登校しようとしても校舎を見ただけで「気持ち悪い、しんどい」と震え出します。精神的に限界がきているのがわかりましたが、放課後には勉強しないことを条件に登校することができていました。そんなとき提案された入院。日常から切り離されたことによる変化は出典 : そんなとき、娘の主治医から提案されたのが入院でした。「日常から離れてリラックスするために、親子で1週間入院しませんか?」と薦められたのです。疲れ切っていた私はさっそく手続きをし、親子2人で個室の入院生活を始めました。私は付き添いなので食事は出ませんが、ソファーベッドもあり、院内にはコンビニがあるので結構快適な入院生活でした。学校には「お見舞いは先生も生徒も一切お断りします」と言っておきましたし、主治医も休養目的ということでほとんど介入してこなかったので、日常から切り離され病院という場に守られ、親子共にゆっくりと過ごすことができたのです。娘もその生活が快適だったのか、1度も「退屈」とか「帰りたい」とは言いませんでした。私も日常生活の雑事や、学校、近所の目などから切り離され、すっかり安心して娘とリラックスできました。完全に不登校になった娘。2人きりの時間が辛くなった私はとうとう…出典 : しかしその後、小学3年生になった娘は、相変わらず学校に行くことができないままでした。この頃から夜眠れなくなり、「布団に一緒に入って」と言ったり「眠れない」と言って泣いたりする日が続くようになりました。「生きてるのに疲れた。引きこもりやし、ママとケンカばかりしてるし。不登校児かって大変やねんで。しんどいし、心許せる人としかよう会わんねん。家におっても時々しんどくなったり、お腹が痛くなる。」娘はそう言い、私が怒るたびに泣いていました。娘が不登校になり、家にいる時間が増えたとき、私は仕事を失った直後でした。2人きりで閉じこもり、娘の辛い気持ちをぶつけ続けられているうちに、私もだんだんと精神的に追い込まれていったのです。そして訪れた2度目の入院。苦渋の決断だったけれど、他に選択肢は無かった出典 : あまりに2人きりの生活が辛く、娘の主治医に「この頃本気ではないけれど、死にたいってよく考える」と打ち明けると、●一時保護を利用して娘と一度離れる●支援学校の訪問指導を受けるために入院するという2つの案を出されました。どんなに辛くても一時保護だけは嫌だった私は、訪問指導付きの入院を選んだのでした。入院してすぐに特別支援学校に転籍した娘。支援学校の先生が病室へやって来て、親から離れ勉強する日々が始まりました。残念ながら娘は先生と相性が合わず、2人っきりで勉強することをとても嫌がりました。「先生と勉強したら学校に連れ戻されるんやろ。」といって、身体は拒否感から体調不良が悪化、苦しむようになったのです。その様子を見ていて私も辛かったですが、もし先生の薦めに従わず家に2人きりだったら…虐待に走っていたか、自分が完全に壊れていたのではないかと、今でも思います。このときはその選択しかなかったのだと、今でも思っています。親子関係が煮詰まったとき。入院することで救われることもある出典 : 子どもにとって入院は賛否両論あるでしょうが、不登校だった娘にはいいこともありました。入院の最中、私と初めて引き離された娘は、看護師さんや同じ境遇の患者さんと出会い、私以外の人に頼ること、思い通りにならないときは気持ちの折り合いをつけることを学んだのです。最初は泣いて駄々をこねるだけだったのに、看護師さんの仕事を手伝ったり、ちょっとお姉さんの患者さんには上手に甘えたりと、私と2人だけの世界からちょっとだけ出て、たくましくなったように思います。私が所属する親の会でも、親御さんが精神的に追い詰められているケースをよく見かけます。私もうつ状態が続いた結果、希死念慮がひどくなり母子共にとても危険な状態に何回か陥りました。そんなとき、主治医の先生は入院を勧めてくれ、結果として私の精神状態も落ち着き、娘に危害を加えてしまうことを防げました。親子だけで関係が煮詰まってどうしようもなくなったり、親が疲れ果ててしまったとき、入院というのも1つの選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。少し距離を置くことで関係が変わることもありますから。
2016年12月09日発達障害の息子にとって、とにかく大変だった幼稚園1年目出典 : 我が家には発達障害と診断を受けた6歳の男の子がいます。今でこそ多動がだいぶ落ち着き、いろいろなことが一緒に楽しめるようになりましたが、3~4歳の頃の大変さは、今となっては思い出すのも辛いレベルでした。幼稚園年少の頃、参加する全ての行事が初めてで、そのたびに荒れる息子を、私は励まし続けました。お友達にも全く興味を示さず、1年間の間に1人の名前も覚えませんでした。遠足に出かければパニックになって座り込み、結局全行程おんぶして回ったこともありました。私にとっても辛いことがたくさんありましたが、「初めてが苦手」「集団生活が苦手」な息子にとっては、幼稚園年少の1年間は一杯いっぱいだったのでしょう。息子は初めての幼稚園生活を1年間よく頑張りました。そして、ストレスが爆発した3月。息子はまるで別人のように荒れ始め…出典 : ところが、息子の気力が崩れ落ちる日は、ある日突然やってきました。3月。全ての行事が終了し、「4月から上の学年になりますよ」と繰り返し告げられる時期です。いろいろなことが大きな変化の渦に巻き込まれていくこの季節、不安定になる発達障害児が多いのではないでしょうか。学年の切り替わりという見通しの立たないイベントに、息子の不安はマックスになり、さらに慣れない環境で頑張り続けた疲れが一気に爆発することになりました。息子は幼稚園から帰宅すると突然、家のクローゼットに頭を打ち付け始めたのです。頑丈なクローゼットは陥没し、それまで落ち着いていた奇声等の自己刺激行動も復活し、とにかくあっという間に息子は別人のような振る舞いを見せたのです。「一体何が起きたのだろう…」と思いながらも、何の手立ても思い浮かばず、私は夜も眠れないほど憔悴する日々が続きました。タイミングよく訪れた発達外来での診察。医師に勧められたのは投薬だった出典 : その時期、ちょうど発達外来の診察がありました。息子が調子を崩していることは、かかりつけの先生にも一目瞭然だったようです。診察室で息子は、部屋中のものをひっくり返して脱走し、隣の診察室に飛び込みました。その後、看護師さんにつかまえられて戻ってきましたが、興奮は冷めやらず診察室で大声でわめき続けます。「先生、3月になって急にこんな感じなんです。どうしたら良いでしょうか」と先生に助けを請うと、先生は静かに言いました。「このままじゃお母さん、倒れちゃうね。そしてね、1番辛いのは本人なんですよ。お母さん、ちょっとお薬使ってみますか?このままじゃ2人とも辛いですよ」この言葉を聞き、私はショックで倒れそうになりました。わずか4歳の息子に薬を飲ませて良いのだろうか、私は大変なことをしているのではないか…そんな気持ちでいっぱいだったからです。このとき先生から処方された薬は、精神安定剤の一種でした。しかし、投薬に対する周囲の意見は厳しく…反対派の意見が刃のように刺さる出典 : その当時、私が付き合っていた発達障害児のママ友さんたちは「お薬反対派」の方がほとんどでした。薬の服用を勧める医師をまるで敵のようにみなしている方が多く、とてもじゃないけれど、息子に薬を服用させるか迷っていることなど打ち明けられませんでした。投薬に対する意見の中でも、私が1番辛かったのは「本人の意思ならいいと思うけど」という言葉でした。4歳の息子には、「本人の意思」なんて確認できないのです。「薬を飲みたいか」と聞いたら、4歳では「美味しいなら」ぐらいの回答しかできません。本人の意思ならば薬を飲ませても悪くない、じゃあ本人の意思が確認できない年齢のときは、どうしたらいいのでしょうか…。このまま、暴れ狂う息子と一緒に暮らしていくしかないの?私は誰にも相談できず、悶々としていました。溢れる子育て情報。正解がないからこそ、周囲に振り回されない意思を持ちたい出典 : 投薬について悩んでいると、ママ友だけではなく、親や教師などからあれこれと反対されることが、よくあります。ネット上にも、薬の副作用などについて、ネガティブな情報が溢れています。そんな中、決断をしなければならないのは、本当に辛いことだと思います。けれども、発達障害児を育てていたら薬だけではなく、様々な場面で外野の声に左右されます。そんなとき、いちいちその言葉に傷ついて自分を責めていたところで、何も事態は改善しません。私は投薬を迷っていたときに決めました。外野のアドバイスは、「ほどほどに」聞いておけば良い、と。そうでなければ、心が壊れてしまうと思ったのです。迷った時は、とことん納得するまで確認して出典 : そして私は、●あり得る副作用●副作用がひどいときにすぐに薬が中止できるかどうか●半永久的に飲むのではなく状態が改善したら服薬をやめることができるのか…等を、繰り返し医師に確認しました。その結果、自分で納得できる答えを得ることができました。結論から言えば、息子は服薬を1年程度したことで落ち着いたため、現在は薬の服用をしていません。けれども今後就学してから、また状態が変わる可能性もあります。また薬が必要だと医師に提案されれば、そのときまた考えようと思います。そうやって、親も周囲の声と折り合いをつけながら、育児をするしかないのだと思います。
2016年12月08日多忙な学校現場に投じられた「個別の支援」というミッション出典 : 年以上も前のことですが、日本にも発達障害の概念が広まり、学校で個別の支援についての研修がさかんに行われだした頃、大学教員である私も、研修会の講師として各地へ頻繁に出かけていました。子どもの状態を正しく評価し、その子に応じた支援計画を立て、学内外と連携し、たとえ障害があっても活き活きと生きられるように支援するのだと、学校の先生に向けて話して回っていたのです。そんな中、受講した教師の言葉が風の便りに聞こえてきました。「大学教員は新しいことをやれやれと言うが、実際に行うのは自分たち教師だ。日常業務で多忙な中、評価だ、個別の支援計画だと次々に言われたらパンクする。無責任にあれやれこれやれと言わないで欲しい」表立って口には出す人は少ないけれど、多くの現場の教員は心の中で叫んでいたことだと思います。今思えば、発達障害についてよく理解していない上に誰も助けてくれない中で、個の特性に応じた教育をと言われても、ただただ難題を突きつけられただけだったのかもしれません。現場の教員への負担の軽減や、育成体制の充実などは、今も残る課題の一つです。しかし、子どもたちのための新たな教育を開発するためには、やはり多少のストレッチというか、現場の先生たちの自己変革がなければ前進しないと思います。そして実際に、心ある教師はこの10年間にその知識とスキルを目覚ましく発展させてきています。先生たちがフランクに話せる場所が生まれると…出典 : 今回の記事では、私が関係した心ある教師たちの進化と実践を紹介したいと思います。地方の中高一貫校の教育相談担当教員に事例検討会の助言を頼まれた時のことです。2週間に1回の割合で夕方2時間くらい教育相談室に行き、学校教員と子どもたちの事例について話し合うという内容でした。参加は自由、途中参加、途中退席可で始めましたが、最初はだれも来ず教育相談担当教員とよもやま話で時が過ぎてしまったこともありました。そのうち、だんだんと若い教員が顔を出すようになりました。「クラス運営がうまくいかない」、「保護者からきつい言葉をいただいた」などと、初めはほとんど、グチをこぼすために集まっていうるようなものでした。ですが、そうした弱音も含めてフランクに吐き出せる場を続けていくと、いつしか真剣な生徒指導上の議論も飛び交うようになりました。先生同士で話せる場があれば、問題解決の根拠を見い出しやすくなる出典 : 事例検討会が軌道に乗ってきたそんなある日、赴任して間もない若い男性中学教員が会に顔を出しました。そしてクラスの女子生徒のことについて話し始めました。大柄なその女子生徒が教室の中で口論になりカッとなって木製の椅子を持ち上げ床にたたきつけて粉々にしたというのです。「もしその椅子が他の生徒に当たったらと思うとぞっとする、どうしたらよいだろうか」という相談を持ちかけたのでした。その教員は生徒との面談の内容も話してくれました。「幼稚園児の頃から体が大きく力が強かった。カッとなりやすい性格で、一度カッとなったらすぐ相手を殴ってしまうので、みんなから乱暴者と言われていた。小学校もずっとそんな調子だった。」生徒はこのようなことを話してくれたそうです。その学校は私立でした。地元では評判が良くなく受け入れられていないと感じる子が、地元の公立ではなく遠く離れた知り合いのいない私立の学校に進学するケースがよくありますが、この生徒もそのような子でした。ですが、相談してくれた担任教師自身が彼女に対して抱いている印象は、「乱暴者には見えない、自分のことをきちんと言える生徒」ということでした。普段の姿と暴力的な姿とのギャップに戸惑いを感じて、対応に悩んでしまったのです。「カッとなりやすい生徒」を多角的な視点で見てみると…出典 : みんなで良い知恵を出そうと話し合いましたがなかなか妙案が出てきません。その生徒のイメージがつかめないのです。私は教員と話し合い助言する立場ですので、直接生徒や保護者と会うことはまれでした。しかしこのケースではもう少し生徒の状態を知りたいと思ったので、私も直接面談させてもらうことにしました。一番気になったのは、カッとなったら頭が真っ白になり、自分がしたことを覚えていないということでした。もしかしたらてんかんなどの意識障害があるのではないかと疑ったのです。担任が面談を設定してくれてその生徒から話を聞きました。しっかりと話のできる生徒でした。内容はほぼ担任から聞いたことと同じでした。「カッとなってからのことは覚えていない。気がついたら目の前にばらばらになった椅子がある。でも、カッとなって自分が何かをしでかしそうになるところまでは覚えている」と、話してくれました。議論の場があったからこそ発想できた、生徒のストレスを発散させる妙案出典 : 生徒から聞き出したことをヒントにして考え、再び事例検討会に臨みました。この生徒には、・カッとなった自分を内省する力はある・しかし、ひとたびカッとなると感情を自分で抑えることは難しいという特徴が見られます。そこで、「カッとなったと思ったときは、その場を離れてストレスを発散させられるようにすれば良い」のだと話しました。すると担任教師は、「教室を出たところの階段を昇れば広い場所がある。そこに教材が置いてある。今は紙粘土がたくさんある。それを板に投げつけさせるのはどうか」と提案しました。皆もいい案だと言い、早速担任が中心となり実行させることになりました。次の事例検討会で、その後の経過を聞きました。担任が生徒に、「カッとなったら教室を出て教材置き場に行き、そこで紙粘土を気が済むまで板壁に投げつけるように」と言うと生徒は了解し、実行したとのことでした。これを行うことによって教室での暴力沙汰は無くなりました。生徒を見守るチーム体制ができ、保護者と学校の関係性にも変化が出典 : 私はこの生徒がカッとなった後に意識が無くなることをまだ気にしていました。親が正しく子どもの状態を学校に伝えないことが多いからです。そこで担任に親から直接精神的、身体的なことを聞きたいと言い、親と会う設定をお願いしました。母親が来て私と担任が会いました。母親は看護師でした。幼児の頃から乱暴だと言われていたところから話していただけました。肝心の記憶がない、意識がないということについては、脳波検査を受けたが異常はなく、てんかん等の神経学的異常は認められなかったとのことです。その話を聞いたので、「お呼びだてしてすみません。娘さんの指導が間違っていないかどうかを確かめたくて来ていただきました。お忙しいのにすみません。」と丁重にお礼を述べようとしたのですが、まだ私が話し終わらないうちに、母親がすっと立ち深々とお辞儀をし、「これまでの学校の中で一番子どもをよく見てもらっています。ありがとうございます。今後ともよろしくお願いいたします。」とおっしゃいました。問題を起こす子どもの親が学校に呼び出されると、苦情を言われていると思って嫌な気持ちになることを知っていたので、その言葉には驚きとともに安堵し幸せな気持ちになりました。「すばらしい担任ですからご安心ください。」と伝え、私は面談を終えました。担任の先生の果たした大きな役割出典 : それからひと月ほど経った事例検討会の時、担任にまだ紙粘土投げは続いているかと尋ねました。担任は、「実はもうそれをやっていない、紙粘土も乾いてしまっているし…。」と歯切れ悪く答えました。よくよく聞くと紙粘土投げを何度か行った後、カッとなって階段を上って教材置き場に向かう途中、気持ちがスーと落ち着いて教室に戻ると生徒が言うというのです。もはや紙粘土を投げる必要はないのではないか、すると、乾いた紙粘土の代わりにほかのストレス発散の手段を考える必要はないのではないかとその担任は思い悩んでいたのでした。私が「それは自分の気持ちをコントロールできるようになったという証拠。もうストレス発散は止めても良いと思います」と伝え、この対応を終わりにしました。なぜその生徒が、こんなにも早く気持ちのコントロールができるようになったのか、理由は定かではありませんが、こう推測できます。一つには中学2年生になり気持ちをコントロールする機能が成熟したことが考えられます。もう一つは担任が親身になり、対応策を考え生徒に実行させたこと自体が、生徒の自信や安心につながったことが考えられます。あるいはこの二つの相乗作用として、成熟しつつあったコントロール機能が、担任の親身な寄り添いと手段によって加速されたということかもしれません。また、子どもが落ち着いてきたことによって親子関係が良くなったり、クラスメートのからかいが減少したことも影響しているのかもしれません。いずれにしても事例研究会での相談事からはじまり、知識とスキルを発展させ、生徒の問題解決に収斂させていった担任の果たした役割は大きかったと思います。まとめ出典 : 発達障害児の概念が生まれ個別の支援が叫ばれるようになってから、教育現場では上記のような取り組みをはじめ様々な取り組みを試みています。個の教育的ニーズ(必要性)に合った教育というスローガンが空々しくならないように、教育する側も努力する必要があると思います。そのためには教師や学校に根拠に基づいて助言できる人材を増やさなければならないように思います。現在は特別支援学校に在籍する教員が各学校を回って助言する巡回コーディネータを務めていますが、さらに発達障害児童のための専門的な教員を増やすよう文部科学省も動いているようです。障害を正しく理解し正しく支援できる人が増えてみんなの知恵と力で一人一人が大切に教育される社会が作り上げられることを願っています。
2016年12月07日娘はおしゃべりが大好き!どれだけ話しても話し足りないらしく…出典 : 娘は、言語能力が突出しているアスペルガーです。言語IQは150を超えており、頭の中は常にフル回転状態なので、休む暇なくいつも話し続けています。良くも悪くも娘の大きな個性の1つとなっています。朝起きた瞬間から夜眠るまで、ずっとしゃべり続けている娘は寝言でさえ、一言二言では足りず、延々と長いセリフを喋っては怒ったり笑ったりしています。それだけ喋ったところで、娘は「まだまだ話し足りない」のだそうです。特に自分が興味を持っている分野については知識量も半端ないため、娘は話の途中で「あ~!もどかしい!私の頭の中を半分に割って覗いてくれたら早いんだけど!!」ということが度々あります。初めの頃は娘の口から飛び出したすべての言葉に対応していましたが、絶え間なく続くお喋りに疲れ果て、最近では適当に流してみたり、「この作業が終わるまで話しかけないで」とお願いしてみたりしています。1日中ペラペラおしゃべりする娘にも、言いにくい気持ちがあって…出典 : 日中ぺらぺらと話し続けている娘ですが、なかなか口にできないことがあります。それは「こうして欲しい」「あれが欲しい」という自分の気持ちです。まだ学校に通っていた頃、こんなことがありました。娘「ママ、見て。漢字ノート。」私「どうしたの?」娘「もう半分以上、書いてあるよ。」私「本当だね。」娘「…すごいでしょ?」私「すごいね、がんばった証拠だね。」娘「…」(なるほど、次のノートを用意してほしいのか…)私「言いたいことがあったらはっきり言わないと伝わらないよ?」娘「うん…。」私「して欲しいことがあるなら、ちゃんとお願いしてね。」娘「うん…。」私「欲しいものは欲しいと言わないと、手に入らないよ?」娘「…もうすぐなくなりそうだから、新しいノート用意してくれる?」私「はい、ちゃんと用意しておくから安心してね。」とっても回りくどい娘のお願い方法。これで他の人に伝わるの?出典 : こんなふうに、娘は必要なものや欲しいものを「欲しい」ということができません。オモチャやお菓子を買ってほしいとか、そういったとがめられそうなことではなく、必要な物を準備しておいてほしいという時でさえ、娘はストレートにその気持ちを表現することができないのです。「買って欲しい」と言うだけなのに、どうしてこうも回りくどいお喋りが必要なの?とイライラしてしまうこともあります。私は娘と似た思考回路を持っているので、娘が何を訴えたいのかすぐに察知することができるのですが、この話し方では、他の人には「新しいノートを準備してほしい」という気持ちはなかなか伝わらないでしょう。娘が欲しいものを「欲しい!」と言えない理由を考えてみた出典 : では娘は、どうして「欲しいもの」を「欲しい」と言えないのでしょうか。それは、私と娘が一緒にお買い物に行った時の行動に原因があったように思います。お誕生日などの節目に「欲しい物を1つだけ買ってあげるよ」とお店に連れて行くと、娘はお店の入り口にある初めに目に飛び込んできたものに強く惹かれ、「これにする!」と他のものを一切見ずにスグ決めます。そんなときに私はいつも、「せっかくお店に来たんだから、他にどんなモノがあるのかちゃんと見てから決めよう?」と声をかけていました。すると娘はひどく傷ついた顔をするのです。そうして一通りお店を見て回った後、やはり最初に決めたものを「ママ、ごめん。やっぱりこれがいい。」と選びます。どうやら私のアドバイスは、娘にとって「ステキ!これに決めた!」というキラキラした気持ちを否定されたように感じるみたいなのです。そして、「そんな商品を選んだ自分はダメなんだろうか…」というマイナスな気持ちの方が大きいのだと思います。この経験を重ねた娘は今でも、「欲しい物を否定されるかもしれない…」という警戒心が強くなり、素直に「欲しい」と言えない状態になっているのだと思います。娘の警戒心を少しでも和らげるために、今の私にできることは出典 : その後、私は娘に余計な警戒心を植えつけてしまったことを反省する日が続きました。それでも、私には私なりの子育てしかできませんので、きっと時間を巻き戻してあの時点に戻ったとしても、やはり同じようなことを繰り返してしまうような気もします。ならば、今の私にできる事は、私なりのやり方で、娘が自分の気持ちを素直に表現できる道筋を立ててあげること。それだけです。● もし自分の気持ちを素直に口にしなければ、誰にも気持ちは伝わらず、願いが叶う可能性は0%● もし自分の気持ちを口にしてみたら、どうなると思う?● ダメだと言われて悲しい気持ちになるか、OKが出てハッピーな気持ちになるか、確率は50%● 悲しい気持ちになった時は、何か別の楽しいことをして気持ちを切り替えてみよう娘が「あれが欲しい」「こうして欲しい」と思っているのに口にできずにいる時、毎回こんな風に声をかけるようにしています。ときには思い通りにいかないことも。でも、娘なりにそこは理解しているようで…出典 : この声掛けを続けていくうちに、「50%にかけてみる!」と言って自分の気持ちを伝えてくれることが増えてきました。もちろん、娘の希望が全て叶えられるわけではないので落ち込むこともありますが、それもまた自分を成長させてくれる糧になると、娘自身もわかっているようです。こうして同じ場面に遭遇した時に同じことを伝え続けると、その考えはいつしか娘の一部となり、成長と共に少しずつ変化を遂げながら彼女自身を助けてくれる財産になっていくはずです。私たち親にできることは、その財産を少しずつ増やしてあげることぐらいなのかも知れません。いつか子どもたちがしっかりと自分の足で歩けるよう、何が子どもにとって良い財産になるのか真剣に考えながら、共に歩んでいけるといいですね。
2016年12月06日子どもの成長を実感できなかった私。支えになっていたのは「プランニングシート」だった出典 : みなさんは日々の子育ての中で、子どもの成長にすぐ気付く方ですか?私は日々の子育てに追われて自信を失い、子どもの成長に目を向ける余裕がありませんでした。そんなとき私を励ましてくれたのが、保育園で作ってくれる「プランニングシート」でした。自分の子育てにほんの少し自信を与えてくれたり、気付かなかった子どもの成長を実感できたりするこのシート。どんなものなのかご紹介したいと思います。これは保護者向けに園が、発達の気になる子どもの成長や目標を記録するシートです。私の住んでいる地域では園や自治体が主体で作っていて、我が家では別園に通っていた長男と次男のどちらも作っていただきました。次男の保育園では年2回、担任の先生との懇談後に目標を設定、プランを作っています。児童発達支援で作成する「個別支援計画」よりも、もっと簡潔なもので、料金は一切かかりませんでした。「個別の支援計画」とは、乳幼児期から学校卒業後までの長期的な視点に立って、医療、保健、福祉、教育、労働等の関係機関が連携して、障害のある子ども一人一人のニーズに対応した支援を効果的に実施するための計画です。シートを見て感じる、不思議な違和感出典 : 次男の進級から半年後の10月。「そろそろ、シートの評価をしましょうか」と、担任の先生が声をかけてくださいました。久しぶりに、シートに書かれた半年前の様子を見てみると、●他人への興味が薄く独り言が多い●大人とだけ関わりを持つなどが書かれていました。「…あれ?次男の半年前ってこんな感じだっけ?」なかなか半年前の様子と、人懐っこくいつも笑顔の次男とが結びつかず、不思議な違和感を感じました。出典 : そして先生が新たに記入してくださった「今のようす」には、・お友だちと平行遊びができるようになったこと・「かして」「いや」「シーシー」など3文字程度の発語で周囲に意思を伝えられるようになったことが、書かれていました。なるほど。確かに今はこんな様子だけど、こんな風に成長したのって、たった半年の間のことなんだっけ…?そしてまた、不思議な感覚を覚えます。「あぁ息子、けっこう成長してるんだな…」と。振り返ってみれば、辛い気持ちすら封印して苦しかった日々出典 : これまでの次男との日々を振り返ってみると、園や療育での送り迎えの繰り返しで、気の休まらない毎日でした。保育園では言わずもがな、療育先でもなかなか落ち着くことができない次男。「療育先でも彼は落ちこぼれなのか」と涙したりもしました。(…いえ、実は今でもします笑)周囲からは「泣いて何になる」「できていることに目を向けろ」と言われ、「辛い気持ち」を持つことさえも禁じられた気持ちになり、孤独を感じることも。必死に頑張っている子育ての中で、「障害を前向きに捉えるポジティブさがなければ失格」みたいに思われると悲しいのです。子どものことを思って動いて泣いて、それでもいわゆる「良い結果」に結びつかない日々。やっぱり私のやり方が悪かったのか、「送り迎え」に一生懸命で何も見えていなかったのだろうか…?結局は自分の満足ためにやっていたんじゃないの?そうやって自分を責めてまた涙する日々です。無我夢中で走り続けていると、気付きにくい子どもの成長。ときどき立ち止まって振り返ってみると…出典 : そうやってがむしゃらに、自分自身でも誰のために何をやっているのかわからなくなるとき、「半年の成長シート」をゆっくり眺めてみるのです。ああ、あれができなかったのはたった半年前のことなのか。ああ、ママと言ってくれるようになったのはこんなに最近だったのか。すごく、成長したんだね。そう心から思える瞬間があるのです。子育てに頑張っている私たち。ときにはその頑張りを認めるきっかけを出典 : わかってはいるけれど、悲しくなるとき。子どもの成長、自分の毎日に納得できないとき。そんなふうにふと思ってしまうことは、誰しもあるのではないでしょうか。そんなときにはプランニングシートを見直しながら、昨日と今日の、先週と今週の、誰かと我が子を比べるのではなく、半年前の我が子と今の我が子を見つめ直してみるのはいかがでしょうか。もし、利用中の園でお願いしても作ってもらえない場合には、連絡帳ノートなどにその日できたことや頑張っていたことなどを書いておくのもいいかもしれません。半年、1年後に振り返って覗いてみると、お子さんの変化や成長にきっと気付けるはずです。先生に書いていただくのもいいかもしれません。そこには良し悪しでは測りきれないような、我が子とその周囲を取り巻く人々の、たくさんの愛情が詰まっているはずです。そして、子どもの成長を支えているのは、泣いて叫んで葛藤している私たち親の存在なのではないか?と、少しの自信と勇気が湧いてくるはずです。子育てに自信が持てず、辛い思いをしている方のヒントになれば嬉しいです。
2016年12月06日子どもが通級や特別支援級に通うこと、周囲のみんなはどう思っているんだろう?出典 : 我が家の長男は現在小学5年生。自閉症スペクトラム、ADHD、学習障害の診断を受け、小1から通級指導教室に通っています。先日、私が入っている通級学級の親の会で、1人のお母さんからこんな話題が出ました。「子どもが通級に通うために学校を休むと、友達から『どうして昨日学校来なかったの?』『通級で何やってるの?』って聞かれるみたい。友達からの関心が辛いのか、本当は通級が大好きなのに、最近は行きたくないって言い出して…」実はこのような話は通級学級の親の会でよく聞きます。通級学級で自信をつけ成長していたお子さんが、「友達にからかわれるからもう行きたくない」とやめてしまうケースも少なくないようです。親自身も偏見を恐れて隠したりごまかしたり…。私自身も、そのような葛藤を抱えながら、この5年間を過ごしてきました。私たち家族がどんなふうに子どもの障害と向き合い、周囲に伝えてきたのか?上手くいった例とその背景にあった葛藤も含め、ご紹介したいと思います。通級とは、通級指導教室とも呼ばれ、通常の学級に在籍しながら比較的障害の程度が軽い子どもが、その子に合った個別の指導を受けられる学級です。主に各教科の学習や給食は通常級で受け、通級の時間だけ移動して指導を受けます。小1の秋、通級に通うことが決まった長男。友達からいじめられたりしない…?出典 : 長男が通級に通うことが決まったのは小1年生の秋頃からでした。通級に通わせることが不安だった私は、通い始める前に学校の先生へ相談しました。「これから毎週通級に通うことで、在籍級の友だちからいじめられたりからかわれたりしないでしょうか?本人にはどのように伝えたらいいのでしょうか?」先生はこの相談に対し、「お子さんに『通級に通うのは勉強ができないからだ』などと、マイナスのイメージを持たせるのはやめましょう。本人が、通級に通うことに前向きでいることが、1番大事なんですよ。周りの友だちにも、『僕はこんなところに通っているんだよ』と堂々と言えれば、意外と周りの子どもたちも『あーそうなんだ』で受け入れてしまうものなんです。実は、偏見や疎外感って周りの大人が生み出していることも多いんです。『そんなこと聞いたらかわいそうでしょ!』と変に隠したり曖昧にしたりすると、子どもたちは敏感に感じ取ります。ですから、この通級学級に入級してくる子どもたちには『あなたは選ばれてこのクラスに入りました。ここならきっとがんばっていろんなことができるようになります』とお話しているんですよ。おうちでも、ぜひそんなふうにお子さんに伝えてくださいね。」と仰いました。出典 : この先生の言葉は、今でも私を支えています。この話に心から感動した私は、「これから私がすべきことは、長男が今の自分に自信を持てるように環境を整えることだ」と、気持ちを改めました。その後、まずしたことは「あなたはとても頑張り屋なので、○○学級に行けることになりました」と書いた賞状を作って長男に渡したことです。小1でまだまだ素直だったからでしょうか、びっくりするぐらい大喜びして、「早く行きたい!」と楽しみにしていました。そして、在籍級の担任の先生とお会いして口裏合わせをお願いしました。長男が通級に通っていることを変に隠さないでほしいこと、そして長男は通級で頑張って勉強していることを、周りの子たちに伝えてほしい、と頼んだのです。幸い、他にも同じ通級に通っている子が学年に何名かいたので、子どもたちもすんなりと受け止められたのでしょう。友達に「明日遊べる?」と聞かれても「あ~○○学級に行く日なんだ~」「そっか~じゃあまた今度ね~」という会話が日常となるほど、本人も周囲も違和感なく受け入れてくれたのでした。通級に通うことをどう伝えるか?一番悩んだのがママ友だった出典 : そして次にしたことは、「近所のママたちに伝えること」です。正直、これが私にとっては1番気の重くなることでした。でも、毎朝一緒に登校している長男が、週に1度学校に行かないのは、すぐにわかってしまうことです。近所の親の憶測が子どもの耳に入り、長男がからかわれたり、変に気をつかわれたりするよりは、私の口からちゃんと説明をしよう…!そう決意しました。そのとき心がけたのは、「発達障害だから」という伝え方ではなく「どんなことに困っているのか」をわかりやすく伝えることでした。このため、発達障害や学習障害という言葉を使わずに「うちの子、斜視で手術してるから字を読んだり黒板を写して書いたりするのがすごく時間がかかって辛いみたい。だから少人数で子どものペースに合わせてくれる、通級学級の方が勉強しやすいかと思ってね。」と、具体的に説明をしてみました。おかげで、近所のお母さんたちも「そうなの、頑張ってね~」とすんなり理解してくれ、自分の子どもたちにもそのようにお話してくれたようです。4年生になった長男は授業中、ノートがとれず…彼の姿をみた友達の一言出典 : ですがその後、長男が4年生になる頃には、少しずつ授業に出遅れるようになりました。授業中ボーっとしていたり全然ノートをとっていなかったりする長男に、「ずるいぞ、ちゃんとやれよ!」などと周りの友達からキツイ言葉をかけられることが増えていきました。長男はさぼっている訳でなく、学習障害の特性の1つで読み書きが苦手だったのですが、周囲の友達にはサボっているように見えていたようです。友達からの誤解でだいぶ傷付いた長男を見て、周りの子どもたちにも、長男のことを理解してもらったらどうだろう…?と考えました。担任の先生と相談をし、長男が通級でいない日をねらった私は、読み聞かせボランティアに行き、クラスのみんなに話をさせてもらいました。・長男は目でものを見るとき、人よりも疲れやすいこと・みんなと同じように見えていないこと・だから授業を受けているだけでとても疲れ、みんなのように上手に書き写すことができないこと・それでも、頑張って授業を受けようとしているから、応援してほしいこと一つ一つ、具体的に説明していきました。具体的な説明をすることで、子どもたちに理解してもらえた出典 : みんながどんな風に話を受け止めるのか不安でしたが、どの子も真剣に話を聞いてくれていました。後日、クラスのお母さん数人から話を聞いたところ、「あいつがそんな風に大変なの、知らなかったよ。」と家で話していたそうです。子どもたちの誤解が解け、本当に嬉しかったです。ご家庭によって、長男のことを本当のところはどう思っているのか?私にはわかりません。でも、私たち親ができることは障害やできないことがあっても、胸を張って子どもたちを見守っていくことだと思います。偏見や批判はあっても、子どもには正直に伝えていきたいですね。
2016年12月05日お出かけ大好きな凸凹兄妹。いつも一緒に楽しく計画!出典 : 我が家の凸凹兄妹はおでかけが大好き。私も時間があるときには色々調べて外へ出かけることにしています。自分の買い物に行きたいときも、途中に子どもたちが楽しめるようなスポットを用意したり、逆に子どもたちが行きたいところへ出かけるついでに、私が買い物に寄れる場所を調べたり…子どもたちと一緒に、どこに行って何をするか相談して決めています。場所だけでなく、電車の乗り継ぎも「乗り換えがあるけど早く着けるのと、ちょっと時間がかかっても乗り換えなしで行けるのとどっちがいい?」などと子どもたちに聞いてみます。こうして、おでかけするときは、できるだけ子どもたちが楽しめるよう、余裕をもって計画しているのです。いざ、お出かけ!でも数時間後、子どもたちの様子は…出典 : こうして子どもたちと一緒に計画をして、さらにかなり余裕をもたせて休憩することなども考慮しているのですが、当の子どもたちは、自分の中の1番の興味が満たされてしまうと「疲れたからもう帰ろう」と言いだします。私の心の中は「あれだけ相談もしたし、休憩も入れたのに何で?!」「せっかく出てきたんだから、もっとあちこち寄れば良いのに…」「入場料もったいない…」という不満のオンパレード!(笑)なので、「本当にもういいの?!」「ここはなかなか来られないよ?!」「あっちの方まだ見てないよ?!」と子どもたちにしつこく確認してみるのですが、子どもたちの「疲れたからもう帰ろう」が覆ることはありません。結局、不完全燃焼な気持ちを抱えながら、私1人後ろ髪を引かれつつ帰宅します。しょうがなく帰宅してみると…あれ?「疲れた」って言ってなかった!?出典 : しかし、いざ帰宅してみると…帰宅後の子どもたちは「え?!疲れたって言ってたのはどちらさまでしたっけ?!」というほど元気なのです。そんな姿を目にして「なんだよ、まだ帰らなくてもよかったじゃないか!!」という気持ちに何度もなっていた私。そこであるとき、子どもたちに「疲れたから帰るって言ったから帰ってきたのに、なんでそんなに元気なの?」と聞いてみました。理由を聞いて納得。そういうことだったんだ!出典 : すると返ってきたのは、私の予想外の答えでした。「家に帰ってくるとホッとして、元気が出てくるんだよ。」なるほど~!外だとたくさんの刺激にさらされるから、「疲れて帰ろう」となるわけなのか。私は妙に納得しました。そして、帰宅して元気になった子どもたちの横で私はというと…疲れ果てて何もできず、ソファーに横になっているのでした(笑)。「せっかく来たんだから…」という気持ちや状況にとらわれず「帰ろう」と言えていた子どもたちに対しての、自分の情けない姿に唖然としました(笑)。私よりも子どもたちのほうが、自分の気持ちや状態をきちんと理解してコントロールできていることに気づいて、「ああ、子どもたちに偉そうなことなんて言えないな…」なんて思った出来事でした。
2016年12月04日ある朝。気分の良い息子は大声で歌い出し…出典 : 子どもの純粋な発想や言葉というのは、ときどき大人をハッとさせることがあります。ある朝のこと。ずいぶんと上機嫌な息子は大きな声で独り言を言い、歌を歌いながら学校へ行く支度をしていました。その様子は、こう書き出すと和やかな雰囲気に感じるかもしれません。ですが、息子はADHDとアスペルガーの特徴を併せもっています。その場に合わせた行動が難しく、声の大きさや気持ちのコントロールが苦手。息子の歌声は私にとっては、とても耳障りで心をザワつかせるものでした。周囲の様子に気付けない息子にとって、独り言は自分だけが楽しくあればいいという気持ちのみで、口からとめどなく出続けます。歌は音量も音程も考慮されていない「騒音レベル」の代物だったのです。この騒音、穏やかではいられない…でも出典 : 確かに歌声はうるさいですが、息子は誰かを責め立てているわけでもなく、言葉遣いが目に余るほど悪いわけでもなく、支度も進んでいました。取り立てて注意する必要はないと思いながらも、私はザワザワとする心を押しつぶして食卓につきました。ふと前を見ると、私と同じように苦虫をかみ潰したような顔をしている夫が…。目配せとため息をつきながら、「しょうがない。ガマンしよう」…そのとき、私たち2人は息子の行動に対し、おそらく同じ気持ちを感じていました。そのとき、娘の呟いた一言が私達の考えを一変させた出典 : 「お兄ちゃんが笑っていて嬉しい」娘の一言を聞いてハッとしました。そうだ。息子は機嫌が良くて心地よさそう。そして、娘はそれを見て喜んでいる。私たちは、これ以上何を望もうとしているんだろう…。いつも娘は、息子に大きな声で責められると、怖くて黙ってしまいます。でも娘は兄のことが好きで、息子は妹のことが大好き。その2人が幸せを感じているこの瞬間を、私達も一緒に感じるだけでいいのかもしれない…。そんなことに気が付いた一言でした。「そうだね、お兄ちゃんが笑ってるとみんな幸せになるね」子どもたちに気付かせてもらった、家族が笑顔になる方程式出典 : 私は最初、息子の歌声を「不快」と感じていました。それを無くすため、例えば「もう少し小さな声にして」と息子に声をかけたとすると、楽しく歌っていたはずの息子にも「不快」が生じます。そこにでき上がる公式は私の「不快」+息子の「不快」=2人の「不快」です。息子への注意によって私の不快が消える訳ではないので、2人とも「不快」を感じることになるのです。しかし、娘の投じた一言は、私の感覚を根底からひっくり返してしまう考え方でした。つまり、私の「不快」を「快」にしてしまうことにより、息子の「快」も保たれたままになり、結果として2人ともが「快」になるのです。根本の見方を変えるだけで、家族全員が楽しい気持ちのままいられるということを、2人の子どもたちから教わりました。「物事の捉え方は考え方次第」と、年長さんの娘から教わるとは出典 : 言うまでもありませんが、この朝は家族全員がご機嫌に過ごすことができました。どれだけ狭い固定概念の中にいたのだろう…と、娘に思い知らされた朝でした。だからといって、毎日自分で気が付いて、聖人君子のように息子と接することができるわけではありません。ただ、1度でもそんな貴重な経験ができたことは、これから先息子を育てていく長い時間の中で、きっと役に立つときがあるだろう、と信じてやみません。
2016年12月04日「障害児と健常児を比べるのはナンセンス」そう言っていた私自身が…こんにちは。『子どもも親も幸せになる発達障害の子の育て方』著者の立石美津子です。私の息子は知的障害を伴う自閉症です。2歳で診断を受けてから月日はあっという間に経ち、もう16歳になりました。診断された直後の私は、「息子が自閉症である」という事実を受け止めきれず、必死に治療法や教育法を探したり、周りと比べて落ち込んだり焦ったりしていましたが、その後は障害を受け容れ、「息子は息子のペースで育っていくのだ」と考えられるようになりました。そんな私は、障害のある子どもを持って悩む保護者たちに向けて、「障害のあるわが子と他の子と比べるのは、百害あって一利なし」などと、子育て本やコラムで「比べる病」に対する警鐘を鳴らすようになりました。けれども、そうやって偉そうに書いている私自身の「比べる病」が未だに完治していなかった……そんな事実を痛感させられた出来事がありました。子連れのハロウィーンパーティ、ちびっ子たちに混ざって16歳のわが子が出典 : <span><a class="linkclass" href="">先日、地域のハロウィンパーティに出かけた日のことです。パーティーは「子連れOK」だと聞いていたので、息子を連れて行きました。でも、16歳なんて年齢の大きい子は我が家だけ。周りはみーんな未就学のちびっこ達でした。そりゃそうです。健常の高校生なら、部活をやったり、恋人がいたり、友達同士で集まって遊んだりする年齢です。“親と一緒にハロウィンパーティーに行く”なんてことはないでしょう。でも、うちの子の精神年齢は、実年齢とは大きくかけ離れていて、巷の高校生と同じように青春を謳歌することができません。親しい友達もいません。だから、今でもこういう場に連れていくようにしていました。当日早めに会場に着いたので、待ち時間の間、私のスマホを渡して遊ばせたところ(※息子は携帯を持っていません)いつものように大好きな“トイレの動画”を見始めました。Upload By 立石美津子自閉症の子は限定された物事に対して強い執着を示すことが多いですが、息子の場合は、そのこだわりが「トイレ」に対して出ています。水を流す音を聞いただけでトイレのメーカーや種類が分かるほどですが、一度動画を見出すとのめり込んで止められなくなります。Upload By 立石美津子ハロウィンパーティーがスタートしましたが、相変わらず息子はトイレの動画を見続けていました。「このままスマホを見ることを許してしまうと、場の雰囲気を壊してしまう」そう考えた私は息子からスマホを取り上げました。しかし!ここでスイッチが入ってしまったのです。息子は涙を流してパニックを起こし、それがどんどん酷くなっていきました。「みんなが楽しんでいるのにまずいぞ」と思った私は、外の空気を吸いに連れ出したり、説得したりしましたが、息子のパニックは一向に収まりませんでした。完治したと思っていたのに…「比べる病」が再発出典 : <span><a class="linkclass" href="">ハロウィンパーティーに参加している3~5歳の子ども達は、席に座って楽しそうに食事を食べ、食べ終わると初対面の子ども同士で仲良く交流しています。それに比べて息子は……泣いて怒って、しまいには「死んでやる!」「電車に飛びこむ!」なんて叫びだす始末。息子は不安定になったとき、自分の身体を傷つける自傷行為も出るのですが、それだけでなく、「学校辞めてやる」「放課後ディを退会する」「ご飯をもう二度と食べない」「癌になる」「入院する」などと自分に向けて暴言を吐き、言葉でも自傷に走ってしまいます。息子をなだめながら、叫び声が周りに聞こえやしないかとヒヤヒヤしていた私の中に、黒い気持ちが広がってゆきました。「周りの小さい子でもお行儀よく座っていられるのに、どうしてうちの子は…」「比べる病」の再発です。16歳の自閉症の息子と、うんと歳の離れた小さい子を比べるなんて、ナンセンスだと頭ではわかってはいるのですが、凄く情けなく、悲しい気持ちになりました。この病はいつまで続く?息子を「情けない子だ」と思った私の心思い返せば私の「比べる病」が最も重症だったのは、息子が2歳で自閉症だと診断された直後の時期。健常児の姿を見ることが、私の最大のストレスでした。息子を保育園に迎えに行くと、他の親は保育士から「今日も一日楽しく過ごしていました」と言われているのに、私は担任から「今日も一日、保育室に入れず朝からずっと玄関にいます」と報告を受けます。「私が仕事であちらこちら訪問し、昼にはランチし、変化のある充実した時間を過ごしているのに、息子は朝からずっとこの状態なんだ」と思うと胸が締め付けられました。いつしか健常児とその家族に対する「羨ましい」という気持ちは、「妬ましい」→「憎らしい」と加速していき、異常な心理状態に陥っていきました。ついに私は鬱になり、外出するのも嫌になって家に引きこもるように。出典 : <span><a class="linkclass" href="">でも、そんな私もだんだんとわが子の特性を受け入れ、周りと比較することはなくなっていきました。だから「卒業できた」と思っていたのです。それなのに、息子が16歳になってもなお、“比べる病”は消えてはいませんでした。息子と周りの子を比べることは、ミスユニバースに選ばれる人と自分の体型を比べるようなもの。大富豪と自分の生活を比べるようなもの。バカげたことなのに、そんなことわかっているのですが……いつもは偉そうに子育てコラムなど書いている私ですが、この日は自己嫌悪に陥り、悲しい気持ちでいっぱいになりました。最後に主催者の方が息子に「今日は来てくれて本当にありがとう」と言ってくださいました。これに少し救われて帰路につきました。息子はすっかり疲れてしまいその夜はすぐに寝てしまいました。ハロウィンパーティーで、あなたのことを「情けない子だ」と思ったお母さんを、どうか許してほしいです。でも、でも……一体、いつ治るのかな?この病……皆さんの比べる病は完治していますか?出典 :
2016年12月03日小2から不登校の娘は現在中学2年生。漠然とした将来への不安に、つい出た言葉は…出典 : アスペルガー症候群の診断を受けている娘は小2から不登校になり、全く勉強しないまま中学2年生になりました。勉強することを頑なに拒否し、パソコンとゲームにのめり込む日々。それでも、何も考えていない訳ではなかったようで、小5の頃でしょうか…ある日、こんなことを呟いたのです。娘「私はブラック企業しか行くところがない…」それを聞いた私は答えました。私「高卒資格がないと就職は厳しいのが現実だよ」娘「働いてお金を稼げるようになりたいよ」私「ママの経験から、コンビニでバイトするのにも小学校卒業くらいの学力は必要だと思う。学校には行かなくても、高卒資格を取るにはいろいろな道があるから大丈夫よ」娘なりに、漠然とした将来への不安を感じていたようでした。その後中2になった娘は、「そろそろ勉強しようと思う」と言い出し、日記を書いたり九九を覚えたり、電子書籍として学習できる「デイジー教科書」を読んだりと、本当に勉強をし始めたのでした。そして、「高校へ行きたい。私は通信制高校で、あまり通わなくていいところに行きたい」と、現実的な希望を描き始めたのです。娘の変化に応えるように、紹介してもらった通信制高校。見学に行くと…出典 : そんな娘の様子を、中学の支援コーディネーターの先生に話したところ、「小学校からずっと不登校だった生徒が通っている学校があるんです。見学に行ってみませんか?」と誘われました。そして地元にある小さな塾のような学校に、担任の先生と見に行くことになったのです。そこはもともと本当に塾だったところで、今は通信制高校の技能連携校になっています。技能連携校というのは、通信制高校の分校のようなところで、通信制高校と技能連携校の両方に入学することで、技能連携校の方で卒業に必要な出席日数、レポート提出、試験をすべて済ませることができるそうです。私が見学したところはとてもアットホームな雰囲気で、小さな教室がいくつかあり、授業は昼から行われていました。制服もなく、生徒さんが好きなときに来て、自分のペースで学習している様子でした。出典 : 不登校だった生徒にも手厚く、1対1で小学校の勉強から教えてくれ、心配な必要出席日数も1年に6日なので安心したのを覚えています。学園長に詳しくお話を伺うと、自身のお子さんも不登校だったそうです。当時、手をあげて学校に無理に行かせようとしたらお子さんが家出し、探し回ったこと。父親である自分自身がいいお医者さんと出会い、それまでの考え方が180度変わったことなど、たくさんのエピソードを話して下さいました。学園長の話を聞いて、「ああ、ここだったら娘も安心して学べるな…」と手応えを感じ、自宅へ戻りました。通信制高校という新たな選択肢を前に、本音を話してくれた娘出典 : 家に帰って、娘が「どうだった?」と聞いてきたので、学校の様子と学園長の話を伝えました。すると娘はこう言ったのです。「そういうところだったら不登校の子も、毎日来ない子がいるのも最初からみんなわかってるやろ?だから『不登校』とか『あの子学校来ない』とかいろいろ言われなくて済むから良い。」「小学校はみんな行かなきゃいけないから来てる。だから行かないといろいろ言われる。だけど、その学校なら目的がはっきりした人が来るから、自分のペースで自分のやりたいようにできるからいいと思った」その言葉で、娘がどれだけ今まで傷ついてきたのかを思い知らされました。そして、学校という場所の本質を突いた言葉に、感心させられたのでした。親の会で知った、不登校児のさまざまな進路のかたち出典 : 娘の本音を聞いて、ふと親の会で聞いた話を思い出しました。不登校の親の会では、すでに義務教育が終わった子の親御さんが多いのですが、そこで高校進学後の話を聞くと、様々な道があることを知りました。以下は一例です。・親の希望で通信制高校に進学したけれど、スクーリングに通えずに休学中・5年遅れて高校に入学し、現在は大学に通っている・高校はやめたけれど、支援機関を通じて少しずつ働いている・自分でさっさと高校を決め、海外の大学を卒業した…通信制高校は、面接のみで入学できるところも多いので入学するのは簡単ですが、卒業するにはスクーリングができるかどうかがポイントだと感じました。学校やスクーリング会場に登校して、先生から直接指導を受けることをスクーリングといいます。通信制高校は「自学自習」が基本ですが、勉強する中でわからない部分が出てくることや、レポートをまとめようとしても、 どうしてもうまく書けないということもあるでしょう。そこで、そういった課題をスクーリングで先生と一緒に解決していくのです。子どもの進路、親はつい口出ししたくなるけれど…出典 : 本当はまだ家で休んでいたいけれど、どこにも所属しないのは不安だし、親の期待にも応えたい…という風に、自分の意思ではなく家族や世間の負い目を感じて進学した場合、つまづいてしまうことが多いようです。でも、自分の意志で立ち上がった子どもは、何年遅れても最後までやり遂げる傾向にあるようです。娘には、何年かかってもいいから、本当に自分がやりたいと思ったことを自分の意志で選んでほしいと思っています。中学を卒業したらすぐに高校に行かなくてはいけないわけではありません。これまで、自分のペースで歩いてきたのだから、これからも自分に納得できるよう、生きていってほしいな…と願っています。
2016年12月02日小児期崩壊性障害とは?出典 : 小児期崩壊性障害とは、それまで問題なく発達していた子どもが、突然、成長の過程で覚えた能力を喪失していき、知的障害を伴った自閉症のような状態になる障害です。ヘラー症候群、幼児性認知症、崩壊性精神病、共生精神病とも呼ばれるこの障害は、小児の0.005%に発症するまれな障害であり、男性に多いとされています。参考ページ:小児期崩壊性障害|ハートクリニックHPこの障害は、広汎性発達障害が含む5つの障害のうちの一つとして位置づけられます。(下図参照)広汎性発達障害が含む5つの障害とは、自閉性障害(自閉症)、アスペルガー症候群、レット障害、小児期崩壊性障害、PDD-NOS(特定不能の広汎性発達障害)を指します。Upload By 発達障害のキホン小児期崩壊性障害はアメリカ精神医学会の『DSM-Ⅳ-TR』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第4版テキスト改訂版)という診断基準により分類された障害です。しかし、2013年に出された、この診断基準の改訂版である『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)において、小児期崩壊性障害は自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害というカテゴリに包括されました。そのため、現在は小児期崩壊性障害という診断名が下されることは少なくなりつつあります。とはいえ、すでにこの名称で診断を受けた人も多いこと、行政などで小児期崩壊性障害の名称を使用している場合も多いことから、本記事では『DSM-Ⅳ-TR』において定義されている小児期崩壊性障害についてご説明します。アメリカ精神医学会の『DSM-Ⅳ-TR』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第4版テキスト改訂版)による小児期崩壊性障害の定義は以下の通りです。小児期崩壊性障害の基本的特徴は,少なくとも2年の見かけ上正常な発達の期間に引き続く,多くの領域の機能における著名な退行である(基準A).見かけ上正常な発達は,年齢に相応した言語的および非言語的コミュニケーション,対人関係,遊び,適応行動に示される.生後2年以降(しかし10歳以前に),子供は,以下の各領域の少なくとも2つにわたり,以前に獲得した技能の臨床的に明らかな喪失を示す:表出性または受容性言語,対人的技能または適応行動,排便または排尿のコントロール,遊び,または運動技能(基準B).最も典型的には獲得された技能はほとんどすべての領域で失われる.この障害をもつ者は,自閉性障害をもつ者に広く観察される,対人的およびコミュニケーションの欠陥と行動的特徴を示す(82頁参照).対人的相互反応(C1)およびコミュニケーションにおける質的障害(C2),限定的,反復的,常同的な行動,興味,活動の様式(基準C3)がある.障害は他の特定の広汎性発達障害または統合失調症ではうまく説明されない(基準D).この状態は,ヘラー症候群,幼児痴呆,または崩壊性精神病とも呼ばれてきた.参考文献:高橋三郎ら/訳『DSM‐IV‐TR 精神疾患の診断・統計マニュアル』2003年医学書院/刊小児期崩壊性障害という診断区分を定めている『DSM-Ⅳ-TR』は最新の診断基準ではありません。そのため現在、この障害に相当する症状がある場合は、別の診断名が下されることが多くなってきています。ここでは、小児期崩壊性障害に相当する症状が、別の診断基準ではどう診断されるのか紹介します。・『DSM-5』における小児期崩壊性障害『DSM-Ⅳ-TR』の改訂版であり、2013年に発行された『DSM-5』において、小児期崩壊性障害は自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害というカテゴリに変更されています。Upload By 発達障害のキホン参考文献:日本精神神経学会/監修『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』(医学書院,2014)・『ICD-10』における小児期崩壊性障害世界保健機関(WHO)が定める『ICD-10』(『国際疾病分類』第10版)(以下、本文中の表記は『ICD-10』とする)という診断基準では、『DSM-Ⅳ-TR』における小児期崩壊性障害は「他の小児期崩壊性障害」というカテゴリーに相当するとされています。『ICD-10』で言われる「他の小児期崩壊性障害」の概念・診断基準と『DSM-Ⅳ-TR』における「小児期崩壊性障害」の概念・診断基準はほとんど同じとされています。参考文献:融道男 /著『ICD-10 精神および行動の障害―臨床記述と診断ガイドライン―』2015年医学書院/刊小児期崩壊性障害の3つの特徴出典 : 小児期崩壊性障害は、1. 発症時期は2歳から10歳までの間で、それまでは明らかに正常に発達する2. 発症後、それまでの成長で覚えたことを喪失していく3. 発症後は自閉症と似たような症状を示すという3つの特徴があります。以下において、小児期崩壊性障害の3つの特徴についてそれぞれ説明します。1. 発症時期は2歳から10歳までの間で、それまでは明らかに正常に発達する小児期崩壊性障害は、2歳から10歳までの間に発症します。発症までは、言語的および非言語的コミュニケーション、対人関係、遊び、社会適応における年齢に相応した正常な発達が続きます。つまり、定型発達の子どもと同じように順調に成長していくのです。2. 発症後、それまでの成長で覚えたことを喪失していく発症後、成長の過程で覚えた能力を失います。以下の能力のうちの2つ以上を失うとされています。・言葉の使用と理解・対人的技能または適応行動・排便または排尿の機能・遊び・運動能力発症の前兆として、よく動いたり、イライラしたり、不安になったりすることがあります。また、言語やその他の能力の喪失の兆しや、周りの環境に対する興味、関心が薄くなることもあります。これらの能力が失われていく期間は、多くの場合数ヶ月で止まります。その後は、能力が失われた状態が一生にわたり続きます。しかし、脳や神経の病気もある場合には、これらの能力は失われ続けるとされています。3. 発症後は自閉症と似た症状を示す小児期崩壊性障害は発症後に、以下に説明する自閉症(『DSM-Ⅳ-TR』では「自閉性障害」)にみられる3つの特徴のうち少なくとも2つの特徴が当てはまるとされています。(1)対人的相互反応における障害・目と目で見つめ合う、顔の表情、体の姿勢、身振りなどの非言語的な行動ができない・他人と満足のいく関係を築けない・対人的ないし情緒的な気持ちのやりとりの困難・他人の気持ちの共感・理解の困難(2)コミュニケーションの障害・話し言葉の発達の遅れ、または完全な欠如(身振りや物まねのような代わりのコミュニケーションの仕方により補おうという努力を伴わない)・会話の頻度が高い場合、他人と会話を開始し、継続する能力の明らかな障害がある・常同的で反復的な言語の使用または、独特な言語・発達の水準に相応した、変化に富んだ自発的なごっこ遊びや、社会性をもったものまね遊びの欠如(3)運動性の常同症や衒奇症(げんきしょう)を含む限定的、反復的、常同的な行動、興味、活動の型・特定の習慣や儀式にかたくなな興味をもつこと・特定の対象に持続的に熱中すること・芝居じみた挨拶や身振りを繰り返すこと・複雑な全身の動きを続けるなど、型にはまった同じ運動を不自然に繰り返すこと小児期崩壊性障害の原因出典 : 小児期崩壊性障害の原因は現段階では解明されていません。現状では、脂質代謝異常や結節性硬化症など、さまざまな疾患と関連があるのではないかと考えられています。小児期崩壊性障害と似ている障害出典 : 小児期崩壊性障害と似ている障害として、小児統合失調症や認知症、この障害と同じ広汎性発達障害のひとつである自閉症が挙げられます。・小児統合失調症統合失調症は妄想や幻覚などの症状が続く疾患です。ほとんどが思春期以降の発症ですが、まれに幼いころに発症することがあります。小児統合失調症の症状にも感情的な反応の欠如が見られるなど、小児期崩壊性障害と似ている症状が見られることがあります。・認知症小児期崩壊性障害と似ている障害として、成人期における認知症があげられます。しかし、小児期崩壊性障害は、頭部外傷などの身体的な要因が原因ではないこと、技能喪失の後ある程度の回復がみられること、自閉症に典型的にみられる特徴がみられることなどの点において認知症とは異なっています。・自閉症小児期崩壊性障害にも自閉症のような症状がみられます。しかし、自閉症も発達の遅れがみられるとはいえ、一度獲得した技能を失う退行は見られない点において異なっています。小児期崩壊性障害かな?と思ったら…出典 : 上記で述べた症状が見受けられる場合、医療機関や専門家に判断してもらうことをおすすめします。いきなり専門医に行くことが難しい場合は、まずは無料で相談できる身近な専門機関の相談窓口を利用するとよいでしょう。・保健センター・子育て支援センター・児童発達支援事業所・発達障害者支援センター・児童相談所など児童相談所などでは無料で知能検査や発達検査を受けられることも多いので、児童相談所で相談するパパ・ママも多くいます。まず身近な相談センターに行って、診断をすすめられたら、そこから専門医を紹介してもらいましょう。自宅の近くに相談センターがない場合には、電話での相談にのってくれることもあります。以下のリンクにおいて全国の発達障害者支援センターを検索できます。相談窓口の情報|発達障害情報・支援センターHP発達ナビ「地域情報」: 全国の発達障害者支援センターの一覧・どの診療科にいけばいいの?小児期崩壊性障害の診療が可能な診療科は、小児科、精神科、児童精神科、小児神経科、心身医療科、心療内科、発達障害外来など、病院により様々な名前となっています。どの病院に行けばいいか少しでも迷った場合は、まずは市町村の窓口や都道府県等の発達障害者支援センター等の相談窓口に電話で相談することをおすすめします。発達障害の専門機関は他の病気に比べると少ないですが、発達障害者支援法などの施行によって年々増加はしています。以下のリンクは発達障害の診療を行える医師の一覧です。この他にも、児童精神科医師や診断のできる小児科医師もいます。担当者との相性も大切なので、納得のいく医療機関を選ぶようにしましょう。日本小児神経学会 「発達障害診療医師名簿」・ 診断・検査の流れ本人や保護者に対する問診(面接)や行動観察、家族・学校の先生による提供情報の精査などを行う他、専門機関によっては筆記や口頭質問などを通した知能検査や発達検査などを実施する場合もあります。こうした様々な情報を総合的に評価して、診断がくだされます。検査は複数回に分けて行なわれたり、慎重に経過を見ながら行われるため、一度の受診ですぐに診断されることはあまりありません。知能検査は、田中ビネー知能検査Ⅴ(ファイブ)やウェクスラー式知能検査(3歳10ヶ月〜7歳1ヶ月の幼児の場合は「WPPSI」、5歳から16歳11ヶ月の子どもは「WISC」、16歳以上の成人の場合は「WAIS」)などの検査を受けることによって検査結果がでます。特性の現れ方や発達段階などを評価するため「CARS」や「新版K式発達検査2001」、「PEP-R」などを行う場合もあります。・診断に必要な準備や持ち物初診時に必要な物として保険証、子どもであれば母子手帳などがあります。服用中の薬などがあれば、お薬手帳なども持っていくとよいでしょう。また、生育や発達歴についての問診がありますので、言葉を話し始めた時期や日常生活での困りごとなどをメモして持っていくと質問に答えやすいかもしれません。発達外来などの専門機関によっては保育園や幼稚園の連絡帳、小学校の通信簿やホームビデオなどを参考にする場合もあります。事前に問診票をプリントアウトして持参する機関もありますので、専門機関の公式ホームページをチェックしたり、予約時に電話にて必要な持ち物を問い合わせてみてください。小児期崩壊性障害は治療できるの?出典 : 広汎性発達障害のひとつである小児期崩壊性障害の根本治療はできませんが、症状を緩和するためには療育的アプローチと薬物療法の2つが効果的です。障害のある子どもが、社会的に自立できるように取り組む治療と教育のことです。自分の問題を自分で解決できるようになるには、療育によりコミュニケーションスキル等の能力を身につける必要があります。療育は何歳からでも始めることができ、なるべく早くから通うことが推奨されます。療育とは、以下のように定義されています。療育とは医療、訓練、教育、福祉などの現代の科学を総動員して障害を克服し、その児童が持つ発達能力をできるだけ有効に育て上げ、自立に向かって育成することである。出典:療育と教育の接点を考える|障害保健福祉システムHP参考ページ: 療育とは何か|LITALICOジュニアHP小児期崩壊性障害そのものを根本的に治す薬はありませんが、特定の症状を緩和するために使用することがあります。薬によって開始できる年齢や症状が決まっており、人によって副作用がある場合もあるので、主治医とよく相談し、用法用量を守って服薬していくことが大切です。薬物療法は、症状を一時的に抑えるためのものであり、症状が軽減している間に、教育や支援をあわせて行うと効果的であるともいわれています。小児期崩壊性障害の場合、障害者手帳は取得できるの?小児期崩壊性障害を含む広汎性発達障害と診断された場合、2種類の障害者手帳を取得できる可能性があります。・療育手帳小児期崩壊性障害と診断されただけでは療育手帳付与の対象とはなりません。しかし、療育手帳を申請し、知的障害があると認められた場合は療育手帳が取得できます。・精神障害者保健福祉手帳小児期崩壊性障害は発達障害者支援法第二条において発達障害に指定されていて、さらに発達障害は精神障害に含まれます。そのため、小児期崩壊性障害により長期にわたり日常生活又は社会生活への制約があると認められた場合は精神障害者保健福祉手帳を受けることができます。もし、知的障害と精神障害のどちらもあると判断された場合は、療育手帳と精神障害者保健福祉手帳を両方取得することは可能です。まとめ出典 : 小児期崩壊性障害は、発症前までは子どもが問題なく元気に成長する障害であるため、発症時にはご家族の驚きも大きいかもしれません。しかし、小児期崩壊性障害は他の広汎性発達障害と同じく、早期発見と早期療育、通院治療等を通した支援が可能です。お住まいの地域の発達障害者支援センターなどの相談窓口や医療機関では、お子さんのことだけでなく、ご家族の方のためのアドバイスも専門家からもらうことができますので、お子さんの発達の仕方に何か違和感を覚えた段階で連絡をとることをおすすめいたします。悩みや疑問を解消し、お子さんの特性を理解することで、適切な支援方法を探していきましょう。
2016年12月01日息子は来年小学生。主治医から就学に向け、言われたアドバイスは出典 : 私の息子には発達障害の診断が降りています。息子が2歳頃まで、私には気持ち休まる時間がありませんでした。多動で動き回り、癇癪で泣き続ける声にどうしたら良いのか分からず、思わず「うるさい!!」と泣いてしまったこともありました。そんな息子が、来年度いよいよ小学校に入学します。自由保育の幼稚園で先生方にしっかりと支えて頂きながらのびのび育ち、困りごとは今でも形を変えて継続していますが、大変さの度合は以前と比べものにならないほど和らぎ、6年間で別人のように成長しました。しかし、就学について発達外来で相談したとき、ずっと息子を診てくださっていた医師の先生からこんなことを言われたのです。「普通級でも支援級でも、お母さんのお考えに任せます。ただ1つだけ言えることは、小学校に上がると上からガツーンと押さえつけられるような叱られ方で、一気に二次障害に陥ってしまう子もたくさんいるんです。息子君がここまで成長できたからこそ…気を付けてあげてください。」このときの先生のやるせなさそうな顔を、今でもふっと思い出すことがあります。そして迎えた就学時健診。じっとしていられない息子の衝動性はピークに達し…出典 : そして、就学時健診で小学校に息子を連れていったとき、私はこの先生の言葉を噛みしめることとなりました。ほとんどの先生たちが来年入ってくる可愛い小さな子どもたちに、穏やかでわかりやすい指示を心がけていらっしゃいました。うちの息子は、学校に貼ってあるポスターを見て先生を質問攻めにし始めたかと思えば、教室に置いてある本を読み始め、返事もせず…という場面が何度かありました。そのとき、恐れていたことが起こりました。私が受付をする間、衝動性がありじっとすることのできない息子は、健診で使う道具をパッと手に取ってしまったのです。出典 : それを見ていた受付の先生は、大きな声で「さわるな!!!」と怒鳴りました。あまりの大きな声に、私ですらビクッとしてしまいました。息子はその先生の大きな声にパニックに。その拍子にまた別の器具を触ってしまいました。先生はさらに畳みかけるように大声で「おい!!さわるな!!!」と怒鳴りました。息子の顔を見ると真っ青。その直後、体育館の床にうずくまってしまったのです。「小学校って最悪」「ぼく怒鳴られた」「怒鳴る先生がいるなら僕は小学校なんて行きたくない」帰り道、息子は真っ青な顔をしながらそう言ったのでした。子どもの成長を阻まないで…!発達障害児と関わる先生に知ってもらいたい、3つの大事なこと出典 : 健診で起きた事件を振り返り、私は学校の先生にも知っていてほしいな、と思ったことがあります。それは、発達障害児に怒鳴っても、百害あって一利なしということです。発達障害児を特別扱いしろ、優しくしろと言っているわけではないですし、発達障害児の逸脱行動を無条件に受け入れて欲しいと思っているわけでもありません。まずは発達障害児に厳しく怒鳴ると、どんなことが起こるのか?私の息子を例に挙げ、詳しくご説明したいと思います。■1. 多くの発達障害児は耳に入る音や身体に触れられることに敏感です息子の場合は聴覚・触覚・味覚に過敏性があります。女の人の甲高い声や男の人の大声は、耳元でドラを鳴らされたかのように大音量に響いているようです。耳元で大音量で聞こえる人間の声にパニックになると、指示はほとんど聞き取れないそうです。こうなると、冷静に行動することは難しくなります。■2. 気持ちの切り替えが苦手です息子は気持ちの切り替えが苦手で、怒鳴られて不快な気持ちになってしまうと、そこからなかなか抜け出すことができません。不快な気持ちをなんとかするため、パニックになるのだそうです。また、嫌な記憶は数年経っても鮮明に残り、フラッシュバックとなって本人を苦しめ続けます。息子はこのフラッシュバックの影響で、新しいことにチャレンジしようという気持ちがなかなか起こらないようでした。■3. 極端な考え方をする傾向があります発達障害の子は極端な白黒思考の子が多いようです。息子も1度嫌なことがあると、「ここは嫌な場所だ」とか「先生に怒鳴られた自分はダメだ」という考えになり、後からどれだけ励まそうが説明しようが、辛い記憶に引きずられて一気に思考がネガティブな方向へ傾いていきます。それまで「この場所は楽しいところだ」と思えるよういろいろな準備や工夫をしていても、1回嫌な体験をしたら、その思い出は嫌な記憶になるようです。このネガティブ思考を、程よいところまで戻すためには、たくさんの励ましと成功体験が必要になってきます。怒鳴るより簡単!発達障害児に伝わる、指示のコツ出典 : 発達障害児に指示をする場合、怒鳴って言い聞かせるよりもずっと簡単な方法があります。それが、CCQというテクニックです。CCQとは、C(Calm) = 穏やかな声でC(Close) = 子どもに近づいてQ(Quiet) = ゆっくりと話してというものです。うちの息子も、このテクニックを使えばすぐに理解し、サッと指示を聞いてくれます。私たち親が発達障害児を育てる中で、怒鳴りたくなることは日に1度や2度ではありません。でも、怒鳴ったところで自分も子どもも辛いだけだとわかっているので、「どうしたら怒鳴らずに、育てていけるか?」ということに日々頭を悩ませています。子どもの笑顔と成長を促すため、必死に悩み、育ててきました。だから正直、簡単な気持ちで怒鳴らないで欲しいな…と思うのです。学校の先生、どうかパニックになっている子どもたちを、行儀が悪いと睨みつけないでください。適切な方法で指示を出せば、子どもも落ち着いて行動できるでしょう。もし指示がわからなかったとしても、穏やかに話しかけられれば、パニックになることはグッと減るはずです。子どもの成長を願うのは、親も先生も同じ。そのための方法は、1つとは限らないと思います。
2016年12月01日少年マンガから飛び出した!?身近にいるいる、こんなタイプ!出典 : 「あわてんぼさん」…それは、目的地に着いたと思ったら2秒でいなくなり、思い立ったら即行動!後先考えずにフライング。向こう見ずで、ちょっぴり血の気も多いトラブルメーカー。見ているほうは、いつも心配しっぱなしで、ハラハラドキドキ。とにかく危なっかしくて、気の休まるヒマもありません。でもね、本当はそんな「あわてんぼさん」は、不動の人気を誇る少年マンガ「ワンピース」の、夢と冒険に生きる主人公・ルフィのように、行動力とバイタリティに溢れ、仲間思いの頼りがいのある人物なのかもしれません。そんな健全な少年マンガの王道をゆく「あわてんぼさん」のトラブルを減らすために、親や周りの人達ができる接し方のコツと、自分でも簡単にできる自己管理の工夫を、楽々かあさんこと大場美鈴がお伝えします。あわてんぼさんの短所を長所に「凸凹変換」すると…?Upload By 楽々かあさん一見、後先考えないような印象の「あわてんぼさん」は、実はめちゃくちゃ頭の回転が早いのかもしれません。「思考のスピード・オーバー」。それが「あわてんぼさん」が慌ててしまう理由のようです。時に、自分自身の思考の高速スピードに、身体や言葉がついていけず、ドンガラガッチャーン!と「自損事故」や、途中で「エンスト」したり、つい言い過ぎたり手が出たりで「衝突事故」になることも。「あわてんぼさん」はF1カーのように、ハンドル操作やブレーキングの難易度が高いのです。自分でも、頭の考えについていくのに必死で、猛スピードで目的地までの最短直線距離を突っ走り、高速道路の走行と同じく、周りが見えにくくなってしまいます。出典 : でもこれは、見方を変えれば「行動力・決断力がある」とも言えますよね。瞬間的に判断し、それを即・行動に移すことができる、頼りがいのある長所としても見ることができます。そして、「あわてんぼさん」は感情が素直に顔や態度に出やすく、お説教もどこ吹く風。ウジウジといつまでも昔のことを引きずらない、カラッとした「立ち直りの早さ」もあるようです。また、いつも動き回っていれば体力も自然とついてきます。長所を活かせば、タフで頼れるナイスガイなのです(勿論、女性もです!)。また、「うっかりさん」と「あわてんぼさん」のハイブリッド・カーのタイプは、まさに破壊と創造。持ち前の好奇心の強さと想像力、それを実現できる行動力とエネルギーで、時代の先端を切り開いていくようなパワーがあります。前回の「うっかりさん」の記事も併せてご参照下さいね。出典:Facebook記事「凸凹変換表」(初出:2015.12.25)「凸凹変換表」の無料ダウンロードは、楽々かあさん公式HPより。あわてんぼさんがスピードダウン!一旦停止できる、接し方のコツと声かけUpload By 楽々かあさんもしかしたら、エネルギッシュな「あわてんぼさん」に毎日つき合う家族や仲間達は、休む間もなく振り回されて、クタクタになっているかもしれません。実は、新幹線には新幹線の、ジェット機にはジェット機の専用ブレーキがあるように、「あわてんぼさん」にも、圧倒的な馬力に見合ったブレーキと制御システムが必要なのですが、本人の努力や頑張りだけでは、自分のエンジン出力に追いつかずブレーキをかけられないこともあります。新幹線やジェット機には、副操縦士がいますよね。これと同じように、「あわてんぼさん」がスピード・オーバー気味の時に周囲の人が、ちょっとだけブレーキの手助けをしてあげることで、スピードダウン・左右確認できると、もっと安全運転しやすくなるかもしれません。出典 : 実は、「あわてんぼさん」のブレーキを補助するのは、ちょっとした声かけで大丈夫なんです。【落ち着かせる声かけ】◇「ゆっくりでいいよ」「待ってるよ」「大丈夫だよ」「あわてんぼさん」は、穏やかでシンプルな声かけで、アクセルが緩みます。NGなのは、「早く!早く!」と急かすこと。ただでさえ頭の中は猛スピードなのに、更に急がせてしまうと、事故率がUPしてしまいます。でも、こちらにも都合がありますよね。学校の登校班には集合時刻があり、お仕事には締め切りや納期がありますから。そんなときは、◇「あと3分しかない!」→「あと3分待てる」と、伝え方を肯定的に変換するだけで、かえって効率UPできると思います。また、高速走行では視界が狭くなるのと同じで、「あわてんぼさん」は集中し過ぎると、周りに気付きにくくなってしまいます。そこで、視野を広げて状況に気づかせたり、一旦停止を促して考えをまとめます。【左右確認する声かけ】◇「ちょっとこれ見てくれる?」「今、時計は何時?」「みんな今、何してる?」「具体的に」視線を動かして視野を広げると、周りに気付きやすくなります。また、親しい人の場合、肩や頭のつむじを、軽く指でつんつん、トントンとして気づかせる、などの手も使えます。出典 : また、「あわてんぼさん」は、いいことを次々と思いつくと、相手が「わかってる・知ってる」前提で夢中で話し、先へ先へと進んで、周りがおいてきぼりになってしまうこともあります。そこで…【一旦停止する声かけ】◇「それってつまり、◯◯ってこと?」「~まではわかったんだけど、◯◯っていうのは、例えばどんなこと?」…と、助手席役の人は、時々話を復唱して要点をまとめたり、内容確認して「具体的に」立ち止まって考えるように質問してあげると、話がわかりやすくなるかもしれません。そして、事故防止に大事なのは、時々休憩させること。実は、「あわてんぼさん」は集中すると、自分自身の疲れにも気付きにくい場合があります。本人は、動いていたほうがストレスが溜まらないのですが、いくらタフでも、頑張り過ぎれば疲れが溜まります。でも、集中し過ぎていると、なかなか自分では高速道路を降りられないんです。そんな時には…【休憩を促す声かけ】◇「ちょっとおやつタイムにしようか?」「トイレ休憩、大丈夫?」「どこまでだと、キリが良さそう?」…など、感覚に訴えたり、相手の世界に話を合わせながら、時々サービスエリアに寄って休憩し、ゲージを確認して給油すれば、突然「ガス欠」になることを防げます。こんな、ちょっとした声かけと接し方で、お互いに安心・安全で快適なドライブになると思います。もう事故らない!頭の交通整理とナビで、安全運転できる身近な工夫Upload By 楽々かあさん「あわてんぼさん」が事故らないために、自分でもできる身近な工夫は、頭の交通整理とナビゲーションです。先の見通しをつけるのが苦手なところのある「あわてんぼさん」、「具体的に」ほんの少し未来を想像したり、大事なことを思い出せるようにするといいと思います。【思考の交通整理をする工夫】・思いついたことをマインドマップや、ふせんメモに書き出し、並べて配置して眺め、全体を把握する。書き出したアイデアを分類したり、一覧表にまとめるのも良い。・ふせんやリストに、メリット/デメリットなどを書き出して点数をつけ、ものごとを両面から比較検討する。【環境の交通整理をする工夫】・個室ブースやついたて、カーテン、ヘッドフォン、耳栓、PCメガネなどで、情報量を減らして、集中しやすい環境にする。・よく忘れることや間違うことに、マークやアイコンで標識/貼り紙などをして、気をつけることを「見える」ようにする。・電車やバスの車掌さんの指差し確認(指差喚呼)のように、注意/安全確認するフレーズで、(心の中でもいいので)復唱/点検する習慣をつける。(例:「持ちもの確認。カギ良し、サイフ良し、ケータイ良し」「戸締まり確認。火の元OK、窓OK、ドアOK」等)出典 : 【安全性を高めるための工夫】・すぐにいなくなる小さな子には、GPS搭載の子ども用ケータイや腕時計型の携帯端末、リード付きリュックやハーネスなど。・すぐにいなくなる大人の場合は、愛する家族やパートナーの写真等の「お守り」を、待ち受け画面など、いつも見える所に置く。【計画的に実行する工夫】・工程表や計画表を作る。スモール/ステップで「具体的な行動」にわけること、ゴールはどこか目的地を明確にするのがポイント。・「うっかりさん」同様、完成図で全体を把握したり、手順カードやマニュアルの掲示、ふせんで優先順位をつけることも有効。そして、「あわてんぼさん」の方も、時々は心配しながら見守っている家族や周りの人達に、「元気だよ」「大丈夫だよ」と伝えて、安心させてあげて下さいね。頼りになる!圧倒的なパワーとリーダーシップのある「あわてんぼさん」出典 : 仲間達の協力を得て、自分の運転上手になった「あわてんぼさん」は、もう、危なっかしいトラブルメーカーではありません。そう!「あわてんぼさん」は、そのあふれるエネルギーを効率よく活かせれば、行動力と決断力があり、それを実行できるバイタリティ、失敗してもへこたれないタフさを兼ね備え、強力なリーダーシップを持った、頼れるキャプテン・タイプなのです。そして、頭の回転スピードに行動が追いついて、本来の実力が発揮できると、自信が持てて気持ちに余裕が生まれます。すると、それまで自分のことで一杯いっぱいで気付かなかった「あわてんぼさん」の周りの家族や仲間達のことを、大事に全力で守っていけるんです。ジェット機のように多くの人たちを乗せ、飛び立てる、圧倒的なパワーのある「あわてんぼさん」。時々休憩しつつ、安全運転でよい旅を!きっとそこには、新世界が広がっているでしょう。次回の楽々かあさんコラムは「マイペース君」編の予定です。お楽しみに!参考書籍:著書「発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母の毎日ラクラク笑顔になる108の子育て法」記事で使用のイラストは、「楽々かあさん公式HP」より無料ダウンロードできます
2016年11月26日パニック障害とは出典 : パニック障害は突然の動悸やめまい、発汗とともに恐怖を感じる精神障害です。また、発作を繰り返すにつれて、「また発作が起こるのではないか」という不安と、「発作が起こる状況に対する恐怖」とを感じるようになります。パニックを回避するために、今までは出来ていたことが出来なくなったり、行けていた場所に行けなくなるといった症状も生じることがありますが、周囲からは単に怠けていると誤解されてしまいやすい疾患であると言えます。パニック障害が進行すると、うつ病を発症する可能性が高苦なるとも考えられています。この記事では、パニック障害についての基礎知識、支援や治療方法などを紹介します。パニック障害の症状の分類出典 : パニック障害は不安障害のひとつです。不安障害とは、生活に支障が出るほどの過剰な不安を感じる疾患全般をさします。不安や恐怖を、その対象に釣り合わないほど過剰に大きく感じ、状況や具体的なものに対して、過剰に不安、恐怖心を感じ、それにより様々な影響が身体と精神にあらわれ、社会生活を送ることに支障が出てしまう疾患です。パニック障害は不安障害の中で理由もなく不意に起こるパニック発作を発端とする疾患をさします。パニック発作そのものは、恐怖や緊張などなんらかの引き金があって起こりえますが、パニック障害の発作はきっかけがないのに起こるのが特徴です。繰り返し発作が起こり、検査をしても体の異常は見つからないことも多く、また昼夜問わず24時間いつでも起こる可能性があります。パニック障害は、パニック発作を発端として、また同じような発作が起きるのではないかという予期不安や、「同じシチュエーションで発作が起きるのではないか?」という場所と状況に対する不安すなわち広場恐怖の症状が現れ、悪化していく可能性があります。「パニック発作」「予期不安」「広場恐怖」というそれぞれの症状が一体どのようなものなのか以下で見ていきましょう。パニック発作とは繰り返される予期しない発作で、自覚されるきっかけが何もなく突然起こります。パニック障害の症状の中でも最も代表的なもので、これはパニック障害と診断される条件となっています。多くは強い不安や恐怖を感じます。特定の状況で生じることが多いですが、再発にはムラがあることもあります。パニック発作の主な症状として次のようなものがあります。動悸、心拍数の増加、発汗、身震いまたは震え、息切れ感または息苦しさ、窒息感、胸痛または胸部の不快感、嘔吐または腹部の不快感、めまい、ふらつき、気が遠くなる感じ、寒気または熱感、異常感覚(感覚麻痺またはうずき感)、現実感喪失、離人感(自分が自分でなくなるような感じ)、抑止力を失うなどがあげられます。予期不安とはかつて発症した症状がもう一度起きたらどうしよう、などと次の発作への恐怖を抱くことをいいます。これは一度パニック障害を発症すると、その恐怖心や不安を忘れられないという性質と関係があります。予期不安は一般的に長期間続くことが多く、約1ヶ月続くことがほとんどです。病気の急性期には、パニック発作が起こったときの状況がフラッシュバックとなって甦ることがありますが、治療が進み発作が起こらなくなると、自然に消えていきます。予期不安では、主に次のような感情があらわれます。・病気になってしまうかも?・気絶してしまうしまうかも?・死んでしまうかも?・運転中に起きたら、交通事故を起こしてしまうかも?・誰も助けてくれないかも?・発作が起きた場所から、すぐに逃げられないのかも?・取り乱したり錯乱して、恥をかいてしまうかも?・人前で吐いたり倒れたりして、恥ずかしい姿を見せてしまうかも?・他人に迷惑をかけてしまうかも?広場恐怖とは、一般名詞の「広場」の意味に限った恐怖ではなく、ここでは「パニック障害における場所に関係する恐怖」を意味する医学用語です。以前発作を起こした場所、もしくは似ているところに行くと「また発作が起きるのではないか」という恐れを抱くことです。次の特徴を持つ場所が広場恐怖になりえると考えられています。・発作が起きても、誰も助けに来れないところ・逃げたくてもすぐ逃げられないところ・発作が起きたら恥をかく、もしくは恥をかくと思われるところなど広場恐怖が進行すると、行けない場所が多くなり行動範囲が狭くなることが多くあるので注意が必要です。パニック障害の要因とは出典 : パニック障害の要因には、気質要因、環境要因、遺伝子要因・生理学的要因があります。否定的な感情や不安に対して敏感であることは、パニック障害を発症する要因の一つであると考えられています。それをもとに、パニック障害になりやすい性格がいくつかあります。・完璧主義な性格・几帳面な性格の人自分が満足いく状況でないとき、とてもストレスを感じます。また周りの人に頼らずに全てを完ぺきにこなそうとした結果、心も体もパンクしてしまいパニック障害を発症することがあります。・素直で従順な性格の人物事に対してひたむきに取り組んだものの失敗してしまい、そのまま立ち直れなくなってしまうことがあります。・マイナス思考、不安や恐怖観念が強い性格の人自分を責めたり落ち込んだりすると、ストレスや不安が溜まりパニック障害を発症しやすくなります。・利他的な性格、自分の気持ちをがまんしてしまう性格の人自分の気持ちを押し込めたり、他人のために尽くし過ぎたりすることもストレスがたまり、発症のもととなります。2013年に出版されたアメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)によると、小児期に性的および身体的的虐待の経験があると、パニック障害の要因となり発症の可能性が高まると示唆しています。また、喫煙はパニック発作とパニック症の危険要因です。パニック障害がある人のほとんどが最初のパニック発作の前数ヶ月の間に特定できるストレス因があったと報告しています。現在複数の遺伝子が、パニック障害になりやすい特性に関係があると考えられていますが、遺伝子に関連する機能に関してはまだ詳しく特定されていません。また、喘息をはじめとする呼吸器系の障害もパニック障害と関連があるといわれています。パニック障害の診断ガイドライン出典 : パニック障害は米国精神医学会の診断基準である『DSM-5』などを用いて「パニック症/パニック障害」という名称で診断されることが多いです。『DSM-5』におけるパニック症/パニック障害の診断基準は以下の通りです。A繰り返される予期しない/パニック発作、パニック発作とは、突然、激しい恐怖または強烈な不快感の高まりが数分以内でピークに達し、その時間内に、以下の症状のうち4つ(またはそれ以上)が起こる。注:突然の高まりは、平穏状態、または不安状態から起こりうる(1)動悸、心悸亢進、または心拍数の増加(2)発汗(3)身震いまたは震え(4)息切れ感または息苦しさ(5)窒息感(6)胸痛または胸部の不快感(7)嘔気または腹部の不快感(8)めまい感、ふらつく感じ、頭が軽くなる感じ、または気が遠くなる感じ(9)寒気または熱感(10)異常感覚(感覚麻痺またはうずき感)(11)現実感喪失(現実ではない感じ)または離人感(自分自身から離脱している)(12)抑制力を失うまたは”どうかなってしまう”ことに対する恐怖(13)死ぬことに対する恐怖B発作のうち少なくとも1つは以下に述べる1つまたは両者が1カ月(またはそれ以上)続いている(1)さらなるパニック発作またはその結果について持続的な懸念または心配(例:制御力を失う、心臓発作が起こる、〝どうにかなってしまう")(2)発作に関連した行動の意味のある不適応的変化(例:運動や不慣れな状況を回避するといった、パニック発作を避けるような行動)Cその障害は、物質の生理学的(例:乱用薬物、医薬品),または他の医学的疾患(例:甲状腺機能亢進症、心肺疾患)によるものではないDその障害は、他の精神疾患によってうまく説明されない(例:パニック発作が生じる状況は、社交不安症の場合のように、恐怖する社交的状況に反応して生じたものではない:局所性恐怖症のように、限定された恐怖対象または状況に反応して生じたものではない:強迫症の様に強迫観念に反応して生じたものではない:心的外傷後ストレス障害のように、外傷性出来事を想起させるものに反応して生じたものではない:または、分離不安症のように、愛着対象からの分離に反応して生じたものではない)(日本精神神経学会:編『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』医学書院:刊P207より引用)パニック障害の治療を受けるまでの流れ出典 : パニック障害かもしれないと思ったら、精神科、神経科心療内科へ受診することをおすすめします。発作の症状は、体の病気やほかの精神疾患によっても起こるので、専門の医師による見極めが必要です。治療を受けるまでの流れは以下の通りです。・体の病気がないか調べる内科的な検査をして異常がないか、脳波や脳の画像検査を行う場合もあります。・問診・パニック発作の確定発作ではどんな症状があらわれたか、どんな状況でおこったか、発作の前後の状況などを詳しく聞いて「パニック発作の診断基準」と照らし合わせ、確定診断を行います。・パニック障害の診断パニック発作の確定診断があれば、次は「パニック障害の診断基準」と照らし合わせます。「症状が1カ月以上ある」「予期不安がある」などを調べ、場合によっては他の不安障害などによらないか調べることも必要になります。・広場恐怖の有無「広場恐怖の診断基準」に照らして、広場恐怖があるかどうか調べ、あれば治療法を検討します。・問診など不安の度合い、日常生活や仕事など、またどのように育ってきたか(成育歴)を質問し、情報はカウンセリングなどの治療に生かします(守秘義務に基づく)。パニック障害の治療方法出典 : パニック障害の治療には、主に薬物治療と精神療法の2つがあります。症状や状態によって飲む量や薬の組み合わせを調整していきます。薬物療法とは薬を使って治療する、最も一般的な治療方法です。パニック障害にはパニック発作を抑える抗うつ剤と精神を安定させる抗不安剤があります。・カウンセリング病気にとってはマイナスとなる考え方やものの見方を、自分自身で変えていけるよう医師からアドバイスを受けることです。まず、ベースとなるカウンセリングが繰り返し行われ、医師あるいは臨床心理士が患者さんの本心を聞きます。病気につながる問題点を明らかにし、専門家としてアドバイスしていきます。・認知行動療法物に対する考え方・受け止め方を改善することです。少し心臓がドキドキしても「死ぬのではないか」と思ってしまうような、薬では治せない「考え方のくせ」があることを自分自身が自覚(認知)し、行動を改善していきます。不安や恐怖が発生しやすい場所や状況に身をさらし(曝露し)徐々に慣れていくことで不安が解消されるようにする行動療法(曝露療法/エクスポージャーとも呼ばれる)もあり、パニック障害にうつ病を併発した場合でもよく取り入れられる療法です。・自律訓練法自分でリラックスできる方法を身につけ、予期不安や広場恐怖などの症状をやわらげる精神療法です。刺激に対して過敏に反応しないようになり、不安や恐怖を自分でコントロールできるようになります。パニック障害とストレス障害(PTSD)の関わり出典 : パニック障害と同じ不安障害の病気にPTSD(心的外傷後ストレス障害)があります。パニック発作やフラッシュバックなど共通の症状があらわれたり、パニック障害の二次障害としてPTSDが合併する場合があったり、関係性の深い病気です。PTSDとはトラウマになるような体験によって、強いストレスにさらされたあとに、特徴的な症状があらわれる疾患です。以下2つの疾患の相関関係を見ていきましょう。・パニック発作があるパニック発作自体はパニック障害でもPTSDでも起こりますが、PTSDの発作はトラウマ体験と重なる場合のみ起こります。・フラッシュバック症状がある両方の疾患で起こり得ますが、PTSDでは事故や災害など死に直面するような激烈な記憶ですが、パニック障害ではパニックが起こったときの状況がよみがえるのが特徴です。・脳にみられる特徴が共通している両方の疾患でノルアドレナリン(不安や恐怖に関わる神経伝達物質)や海馬(情動や記憶にかかわる部位)の働きに異常や不安定さを抱えています。よって効果をあらわす薬物も似ています(SSRIなど)。PTSDのある人はパニック発作があっても、パニック障害を併発することはほとんどありません。しかし、パニック障害のある人はパニック発作の経験がトラウマとなり、PTSDに進むケースがままあります。パニック障害の体験談出典 : こちらでは、パニック障害の体験談を紹介します。実際にどのようなパニック障害の症状があるのか見ていきましょう。最初はめまいみたいな感じで、フラフラとなりました、え?何?頭の病気?と思ったとたんものすごい不安感に襲われました。そうなると過呼吸になり手足がしびれ、そして指が動かなくなる・・・そうなると、ますます不安が押し寄せてきて、逃げたい、どこに?でも怖い、誰か助けて、でも変な奴と思われる、どうしよう、どうしよう・・みたいな感じの発作です。発作がくると、あ・・・きたかもという実感はあります、でも大丈夫、数分後、やっぱりなんか変、いや落ち着け、落ち着け、あ、大丈夫、でも・・・みたいに繰り返しているうちに、あれ?おさまった、ん、もう大丈夫、よかった、ほっ・・みたいな。でもいつくるかもわからなくて、拘束されたり(美容院、電車、会社など逃げ場がないときは特に)すると余計引き起こすような気がします。私もパニック障害です。パニック障害って、とても説明が難しい病気で・・・、人によってこれは大丈夫、これはダメっていうのがあるんですよね。自分でもその線引きが分からないときがあります。電車に乗れない人もいれば、電車は大丈夫っていう人もいます。症状の重さ・種類にもよるので何とも言えませんが・・・、(中略)・・・難しいですね。パニック障害の症状があると、いろいろと融通が利かなくなって、「できない」ことが多くなってしまうんですよ。やりたくてもやれない・・・という感じで。そんな自分にもイライラしちゃって。買い物に出られないのはなんとなく分かります。おそらく、人の居る場所に1人で行くことがダメなんじゃないかと(広場恐怖)。.・・・(中略)何よりもまずは、元気になることをみつけてそれをやるのが一番かなと思います。お友達と喋ったり、実家に甘えたり。以上のことからパニック障害が、突然自分の意思と反して生じることが分かります。また症状の種類や程度は人それぞれで、臨機応変に治療を行い周囲の人は支援を行うことが大切になります。そのためにも、どのような症状が起こるのか自分で把握することが、治療する上でも重要な姿勢となっていきます。パニック障害と付き合う上で気をつけること・再発防止のために出典 : パニック障害の症状は理由がなく不意に起こることから、本人はすぐさま救急車を呼ばなければならないという気持ちになり、連絡を急ぐケースも少なくありません。パニック発作が起こったと認められたら、次のように行動しましょう。・呼吸が浅く、過呼吸になっていたら、ゆっくりと腹式で呼吸するように指導する。・窮屈な衣類を緩める(呼吸をしやすくするのと、からだの熱を逃がすためです)。・室内や車内のときは、窓をあけて外の空気を入れる。・太陽の下のときは、日陰に移動する(暑くて湿度の高いモワッとした空気はパニック発作を引き起こしやすいのです)。(パニック障害患者さんのご家族の方へ受診を勧めるときには | こころの陽だまりパニック障害情報サイト)周囲の人は突然の発作に驚くかもしれませんが、慌てずに上記の対応をして本人を安心させてあげ、症状が落ち着くのを待つことが大切です。パニック障害と付き合う上では、生活上のストレスをなるべく減らし、規則正しい生活を送ることが大切です。人間関係だけではなく、過労や睡眠不足もストレスの原因となります。回復をあせらないようにしましょう。発作が治まってもすぐに治療が終了するわけではありません。急に服薬などを止めると、再発する可能性もあります。治療をどのように、どの程度継続していくかは、必ずかかりつけの医師に相談し、独断で治療を中止しないようにしましょう。また、治療には家族をはじめとする周囲の人たちの理解と協力が不可欠です。病気や困りごとについて説明し、落ち着いて治療に臨めるようなサポート体制を築きましょう。まとめ出典 : パニック障害とは、突然の動悸やめまい、発汗とともに恐怖を感じる精神障害です。いきなりの発作に周囲の人は驚きますが、本人はいつ次の発作が起きるかと不安に駆られながら生活しています。周囲の人たちは、完治を焦らせずに、長い目で見守りながらサポートしていきましょう。パニック障害・不安障害 | 厚生労働省パニック障害 | CBTセンターリラクゼーション療法とは? | パニック障害克服・治療・治し方マニュアルパニック障害ってどんな病気? | こころの陽だまりパニック障害情報サイト
2016年11月25日親の会で偶然出会った大学の先生。その研究内容に興味津々!出典 : 読み書きが苦手なお子さんの場合、どんな学習方法やツールを選べばいいのか?悩む親御さんも多いと思います。今回は、お子さんの苦手に合わせてカスタマイズが可能な、パソコンやタブレット端末で利用できる図書の1つ「デイジー教科書」というものをご紹介したいと思います。以前、発達障害の親の会で「マルチメディアデイジー教科書」の研究をしている、大学の先生とお会いする機会がありました。私はこの研究に興味を持ち、勉強会に参加させていただくことに。これは、パソコンやタブレット端末で使う電子書籍の1つで、音声と文字と画像を同時に再生することができます。先生はこのシステムを利用し、教科書を読むことが苦手な子どもの、読んで理解する力を伸ばす研究を行っています。会場ではiPadに入れたものを体験したのですが、操作も簡単で直感的に使えるので、スマホなどに親しんでいる今の子どもたちには、とても使いやすいだろうな…と感じました。娘にも触らせると、説明書も読まずにどんどん使いこなしていましたよ。「すごい簡単」と言っていました。デイジー教科書でどんなことができるのでしょうか?その多機能ぶりがスゴいUpload By ヨーコマルチメディアデイジー教科書でどんなことができるのか、簡単にご紹介します。これは、パソコンやタブレットで教科書や一般図書を再生することのできるシステムです。その使いやすさの秘密は、①文字・音声・画像を同時に再生する②音声で読み上げる部分の文字がハイライトされる③読むスピードを変えることができる④文字の大きさ・文字色・背景色も細かく変えることができる⑤章・節へのジャンプも簡単などなど、1人ひとりの理解力に合わせ、再生方法がカスタマイズできる点にあります。娘は中1の英語と国語の教科書、1冊の絵本の英語版と日本語版を使っています。娘にディスレクシアはありませんが、小2から不登校なので、英語は読めません。しかしデイジー教科書なら、今どこを読んでいるのかハイライトで表示しながら、音声で流ちょうな発音の英語が流れてきます。また、普段聞きなれない難しい古文なども読みあげてくれるので、苦手意識を持つことなく、興味深そうに音声を聞いていました。読むことが苦手な子が使った場合、どんな効果が期待できるの?出典 : まず、読むことが苦手なお子さんには、以下のような困りごとがあるようです。・読むときの大半は、一字一字拾い読みになる・字を飛ばしたり、間違った読み方をする・読めても、内容が理解できない・授業がわからないから、学校に行きたくなくなる・紙の教科書が読めないだけで、自分は勉強ができないと思いこんでしまうデイジー教科書を使うことで、以下のような効果が期待できるそうです。・音読の困難さが軽減される・子どもが自分で、勝手読みに気をつけやすくなる・教科書に振り仮名を振るなどと言った、保護者の負担が軽減される・予習で使っていた場合、授業中につきっきりにならず、担任の負担が減る学校で使うことを認められなかった場合、自宅で活用しても出典 : 娘が籍を置いている中学校で、電子教科書の話をしたところ、先生方はその存在を知りませんでした。他の方の話を聞いていても「お宅のお子さんだけ特別扱いはできない」「教員に知識がないので」といった理由でタブレットの持ち込みを断られるケースもまだまだ多いようです。学校で使うことができれば1番いいのですが、無理なら家庭で使うだけでも大きな効果が期待できるようです。特にオススメしたいのは、授業の前に家で予習に使うことです。あらかじめ音声読み上げで内容を把握しておくことで、授業中の理解度が全く違ってくるのだそう。娘は不登校ですので、家庭学習のみに使っています。これまで、教科書を見るのも嫌がっていた娘ですが、「iPadに教科書がまとめて入っているから便利。だから勉強しやすい。」といっています。九九を覚えたり、日記を書いたりという取り組みと合わせ、週に3、4回勉強しています。利用は無料。実際に使ってみましょう出典 : マルチメディアデイジー教科書 申請方法1. 上部URLを開くと、「デイジー教科書申請フォーム」という赤いボタンがあるのでそれをクリックします。2. 申請フォームを開き、名前、メールアドレス、自分で決めたパスワードを打ち込んで登録すると、申請できる状態になります。(丁寧な説明がのっています)3. 申請理由は、「読み書きが困難なため」でOKです。保護者でも、使う本人でも申請できます。1度承認されたら、教科書の追加は簡単です。4. 申請が承認されると、約1週間以内にメールが届きます。それで手続きは終了です。ちなみに申請できる教科書は、現在の自分の学年とそれから下の学年の分です。たいていの教科書会社に対応しているので安心ですね。パソコンでデイジー教科書を使うためのソフトは、「デイジーポッド3」というものを使います。このソフトで教科書データのダウンロードから再生までできるようになっています。以下のURLからソフトをインストールしてみてください。 PC で使用する場合実際にダウンロードして操作してみました。デイジーポッド3をダウンロードして立ち上げると、申請の承認メールに書いてあるログイン名と自分で決めたパスワードを入力する画面になります。入力すると、こんな画面が出てきます。Upload By ヨーコまず、ダウンロードタブをクリックして、教科書を選んだところです。ページの左隣にチェックを入れ、ダウンロードボタンを押します。ダウンロードが終わったら、再生タブを押します。するとダウンロードした教科書の見出しが出るので、好きなところを選んで再生ボタンを押します。もちろんiPadでも同じような手順で使うことができます。iPadで利用したい方は、以下のURLをご参照ください。 / iPhone / iPod touchで使用する場合勉強嫌いでも、ツールを変えれば好きになるかも!?出典 : DAISYのホームページでは、わかりやすい動画も載っていますので、ぜひチャレンジしてみてくださいね。我が家では、マルチメディアデイジー教科書を取り入れたことによって、ちょっとした隙間時間に教科書を読むことが増えました。それがきっかけで、ノートとペンを使った学習にも抵抗がなくなってきたように思います。
2016年11月25日発達検査とは?出典 : 発達検査とは、子どもの心身の発達の度合いを調べる検査のことです。検査結果から子どもの発達の特徴が分かったり、普段の接し方のヒントを得ることができたりと、子どもの育ちに関する参考情報を得ることができます。発達の遅れや凸凹からくる困難に応じて子どもをサポートする療育支援なども、発達検査の結果をもとに計画を立てられることが多いです。一般的には、幼稚園や保育園などの教育機関で発達の遅れがあることを指摘されたり、乳幼児健診や医療機関にかかった際に、検査をすすめられることが多いです。もちろん、家庭での様子から、子育て支援センターなどの相談機関に問い合わせて検査を受ける方もいらっしゃいます。発達検査は発達障害の確定診断を行う検査ではありません。発達障害の確定診断に際しては、生育歴や行動観察などの臨床診断と、発達検査・知能検査などの専門診断の結果を経て、総合的に診断されます。よって、発達検査の結果のみで発達障害だと診断されることはありません。確定診断の判断要素として発達検査の結果を参考にしています。発達検査にはさまざまな種類が存在していることから、検査ごとに検査結果の表現方法や評価の仕方が異なります。さらに医師や医療機関ごとに取り扱っている検査も異なるため、受けたい検査がある場合は、お近くの受診機関が対応しているかどうかを事前に問い合わせるとよいでしょう。ここでは発達検査に最も使用されている「新版K式発達検査」と「乳幼児精神発達診断法」について、主に紹介していきます。発達検査って具体的にどんな検査をするの?出典 : 発達検査にはさまざまな種類があります。・新版K式発達検査・乳幼児精神発達診断法・日本版Bayley-III乳幼児発達検査・ASQ-3・KID乳幼児発達スケール・ブラゼルトン新生児行動評価法・日本版デンバー式発達スクリーニング検査など、多種多様な検査があります。この中でも現在、日本で使用されることが多い検査は「新版K式発達検査」と「乳幼児精神発達診断法」です。年齢において一般的と考えられる行動や反応と、対象児者の行動や反応が合致するかどうかを評価する検査です。検査は、「姿勢・運動」(P-M)、「認知・適応」(C-A)、「言語・社会」(L-S)の3領域について評価されます。なお、3歳以上では「認知・適応」面、「言語・社会」面の検査に重点が置かれます。検査結果としては、この3領域の「発達指数」と「発達年齢」が分かります。また乳幼児向けの検査用具には、振ると音が鳴るガラガラや積木、ミニカーといった乳幼児にとってなじみのある材料が使われています。このような検査用具を使うことによって、子どもの自然な行動が観察しやすい検査となっています。検査者は検査結果だけでなく、言語反応、感情、動作、情緒などの反応も記録し、総合的に判断します。■適用年齢:生後100日後から成人■時間:約15~60分程度■形式:1対1(検査者と被検査者)の個別式検査■料金:公的病院でおおよそ840円(保険診療・3割負担の場合)乳幼児精神発達診断法は、上記と同様に年齢と発達の度合いの比較を行い、実際の年齢とどのくらい差があるかを評価する検査です。新版K式発達検査と異なる点は、面接者が保護者に対して子どもの様子を個別に面接し、各項目について尋ねることで行われる点です。乳幼児精神発達診断法では検査した項目と月年齢を軸にした図である「発達プロフィール」を作成します。子どもに直接検査を実施する方法に比べて、子どもの状態や障害に左右されることがなく、普段の生活の状況に基づいて判断されることになります。なお「津守・稲毛式乳幼児精神発達診断法」と「遠城寺式乳幼児精神発達検査」のふたつがありますので、追って説明していきます。■津守・稲毛式乳幼児精神発達診断法「運動」「探索」「社会」「生活習慣」「言語」の5領域の438の質問項目から構成されています。適用年齢別に「1~12か月まで」「1~3歳まで」「3~7歳まで」の3種類の質問紙を用いて検査・面接を行います。なお5領域ごとに「発達年齢」が算出されます。・適用年齢:生後1ヶ月から7歳まで・時間:約20分程度・形式:母親など子どもの養育者に個別面接■遠城寺式乳幼児精神発達診断法「運動」「社会性」「理解・言語」の3領域6の質問項目から構成されています。0歳0ヶ月から検査を受けることができます。・適用年齢:0歳0ヶ月~4歳8ヶ月まで・時間:約15分程度・形式:母親など子どもの養育者に個別面接国立特別支援教育総合研究所発達検査の結果から分かること出典 : 発達検査の検査結果から子どもの発達の度合いが示された「発達プロフィール」と「発達年齢」「発達指数」などの数値結果を知ることができます。発達検査の中でも乳幼児精神発達診断法では検査項目と月年齢を軸にした「発達プロフィール」が作成されます。発達プロフィールは下記の例のように折れ線グラフのように記され、このプロフィールの発達の全般的な遅れや、発達障害の特徴を把握することが可能です。発達障害がある子どもの場合は、一定のプロフィールパターンがあることから診断の参考に使用されています。発達検査の中でも、乳幼児精神発達診断法では検査項目と月年齢を軸にした「発達プロフィール」が作成されます。発達プロフィールは折れ線グラフのように記され、発達の全般的な遅れや、発達障害の特徴を把握することが可能です。発達障害がある子どもの場合は、一定のプロフィールパターンが見られる傾向があることから、診断の参考に使用されています。また津守・稲毛式乳幼児精神発達診断法では「発達年齢」が分かります。新版K式発達検査では「発達指数」と「発達年齢」の2つの数値結果が分かります。「発達指数(Developmental Quotient:DQ)」は認知面・社会性・運動面などのいくつかの観点から発達の度合いを示していて、「発達年齢(Developmental Age:DA)」は、検査を受けた方の精神年齢を示すものです。のちにADHD(注意欠陥・多動性障害)と診断された3歳2カ月の女の子の検査結果の例です。次女の検査結果は次の通りでした。(1)「姿勢・運動領域」発達指数:96(発達年齢:3歳1ヶ月)(2)「認知・適応領域」発達指数:101(発達年齢:3歳3ヶ月)(3)「言語・社会領域」発達指数:75(発達年齢:2歳5ヶ月)(4)「全領域」発達指数:88(発達年齢:2歳10ヶ月)結果は、検査時点での発達状況を換算した『発達年齢』と、生活年齢と『発達年齢』との比率である『発達指数』で表されます。『発達指数』は、その年齢の平均を100で表されますが、実際にはある程度幅があるそうです。各項目ごとに発達指数と発達年齢が分かります。しかし、これらの数値が分かっても具体的に家庭や学校などで、どのような配慮や療育、学習を行えばいいのか分かりませんよね。そのような具体的な接し方などを示してくれるのが「検査報告書」です。発達検査には検査後にやるべきことを示してくれる「検査報告書」というものを受け取ることができます。「検査報告書」を依頼すると1. 検査結果の数値2. 検査結果からいえること3. 日常生活上配慮していただきたいことなどが記載された報告書を作成してもらえます。子どもに対して、日常的にどのような配慮をしたり、療育支援を行っていくのが良いかの参考となるでしょう。無料で「検査報告書」を発行してくれる機関もありますが、有料で発行している機関もあります。検査形態や「検査報告書」の費用は機関によって異なりますので、詳しくは受診する病院への問い合わせが必要です。「数値結果」欄は「発達年齢」や「発達指数」の数値が記載されています。「検査結果から言えること」欄では、発達の遅れの度合いや理由が下記のように詳しく記載されています。検査者が言った数字を同じ順番で繰り返す課題では、1つの数字を繰り返すことが限界である様子が見られています。このように、相手からことばのみで働きかけられる状況では、検査者のことばに注目を向けること自体が難しい、または「何が求められているのか」がわからないと考えられます。「日常生活上配慮していただきたいこと」欄も、下記のように記載されています。大人が見ている物に(次女)さんの注目を向けて貰うのではなく、(次女)さん自身が”今・現在””その時に”目にしているものや耳にしているもの、手に取っているものなどに対して、「◯◯があったね」「◯◯と聞こえるね」というように要点をまとめた簡潔なことばをつけていく。このように、大人に関心を合わせてもらうのではなく、(次女)さん自身が関心を向けている物に大人が寄り添い、ことばをかけていくことで(次女)さんにとって、把握しやすく、覚えやすい状況となるよう意識していく。発達検査と一緒に知能検査を受けるように言われたけど、なぜ?出典 : 場合によっては、発達検査と知能検査の両方を受けることを勧められる場合もあります。発達の遅れと知能の遅れの両方が疑われている場合など、子どもの発達を多角的に捉えるために使用されます。また医師による発達障害の確定診断を行う際の参考情報として、またその人に合った支援や学習指導の方向性のヒントを得ることを目的として、発達検査と知能検査などの結果は使用されます。現在日本でよく使用されているのは新版K式発達検査、ウェクスラー知能検査、田中ビネー知能検査、K-ABC知能検査などです。では、発達検査と知能検査の具体的な違いはなんでしょうか。知能検査は、知能を精神年齢、IQ(知能指数)、知能偏差値によって測定するための検査です。これに対して発達検査は、被検査者の精神年齢を示す発達年齢(DA)と、認知面・社会性・運動面などのいくつかの観点から発達の度合いである発達指数(DQ)を調べます。要するに知能検査は子どもの知能がどのくらいあるのかを計測し、発達検査は年齢と発達年齢の差がどのくらいあるのかを計測する検査なのです。子どもに発達障害がある場合は、乳幼児期からその兆候となるような特徴が表出することが多いです。しかし、発達初期の乳幼児の発達状態を、通常の知能検査によってとらえることは困難だと考えられています。なぜならば乳幼児は心理的、身体・運動的、社会的側面の発達が十分でないため、知能のみを検査によって測定することは難しいからです。発達検査の適用年齢は早いもので0歳0カ月から設定されており、乳幼児期から検査を行うことができます。これに対して知能検査の適用年齢はおよそ2歳から設定されています。両者とも、発達障害の確定診断や、その子の療養支援に役立てるために利用されますが、受検可能な年齢に違いがあることに注意しましょう。なお、どんな場合にどんな検査が適切であるかどうかの判断基準は、専門家の判断によります。発達検査と知能検査のどちらを受けるべきか、まずは専門機関に相談して判断しましょう。発達検査を受ける前にまずは専門機関で相談を!出典 : お子さんやご自身の発達検査の受診を検討する際は、まずはお住まいの地域にある身近な相談窓口に行くといいでしょう。事前に予約が必要な機関もありますので、相談機関に問い合わせてみてください。また、子どもか大人かによって、行くべき相談機関が違うので、以下を参考にしてみてください。【子どもの場合】・保健センター・子育て支援センター・児童相談所・発達障害者支援センターなど【大人の場合】・発達障害者支援センター・障害者就業・生活支援センター・相談支援事業所など自宅の近くに相談機関がない場合には、電話で相談できる場合もあります。発達検査や知能検査は、公的病院や民間病院で受けることができます。精神科や臨床心理士による検査が受けられる病院を受診するといいでしょう。「児童発達支援センター」などで受けることもできます。発達検査の受け方、費用は、検査内容や病院によって異なります。また診断書もしくは報告書を書いてもらう場合には、別途料金がかかります。こちらの料金は病院ごとに異なりますので、直接病院に問い合わせてみてください。一方、個人のクリニックや診療所で検査を受ける場合には、すべて自費での診療となります。検査は基本的に誰でも受けることができますが、特に発達に関して気になる点がないと医師が判断した場合は自費となります。こちらの料金設定も各病院ごとに設定されていますので、受診する病院に問い合わせてみてください。発達検査の結果を受けて、専門機関で確定診断を受けたい場合は発達検査を受けた機関に問い合わせるか、もしくは改めて相談機関(保健センター、子育て支援センターなど)に問い合わせてみてください。発達障害の診断はなくても療育は受られるの?出典 : 発達障害の確定診断がなくても、子どもに対して何らかの療育支援の必要性が認められた場合には、児童福祉法に基づく児童発達支援を受けることができます。児童発達支援は障害児通所支援の一つで、小学校就学前の6歳までの障害のある子どもが主に通い、支援を受けるための施設です。日常生活の自立支援や機能訓練を行ったり、保育園や幼稚園のように遊びや学びの場を提供したりといった、障害のある児童への支援を目的にしています。療育手帳や身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳を持っていなくても、障害児通所給付費支給申請を専門家の意見書などと一緒に提出し、児童発達支援利用の必要が認められれば、受給者証が市町村から発行されます。この受給者証を取得することで通所の申し込みができ、1割負担でサービスを受けることができます。発達検査によって子どもの発達の遅れや凸凹が比較的大きいと分かったけれども、発達障害の確定診断は出なかった、という場合もあります。また、発達検査は受けさせてみたけれど、確定診断を受けに病院で受診させる気持ちにはなれないといった方もおられるでしょう。実際に確定診断を受けるかどうかは、ご家庭ごとの自由な選択です。しかし、診断を受けなくても、子どもの日常生活上の困難さを緩和させるために、早期から療育支援を受けるということ、選択肢として検討してみることをお勧めします。まとめ出典 : 発達検査は、それ自体が発達障害の診断を行うものではなく、確定診断を行う上での判断要素にすることや、発達が気になる方の特性を理解して療育支援などに役立てることが目的の検査です。発達検査を受けたのちに、専門機関で確定診断を受けるか否かは、自由に選択することができます。また、確定診断を受けなくても、発達の遅れや凸凹による困難を解消するために、療育支援を受けることは可能です。また、発達検査後に発行してもらうことができる「検査報告書」も、子育てや療育のヒントとして活用することができます。発達が気になる点があれば、まずはお近くの専門機関に相談して、発達検査や知能検査を受けてみることをお勧めします。
2016年11月24日就職して3ヶ月後、自分が「発達障害かもしれない」と初めて知る出典 : 私は小学生のときに学習障害の診断を受けていました。しかし母は障害のことを私に伝えていませんでした。勉強するうえでの困難や友達関係は次第に改善されていったので、母をはじめとする周りの大人たちは、私の障害は「完治した」と思っていたようです。しかし私は会社で働き始めてから「自分が発達障害かもしれない」と気付くことになりました。学生時代、様々な困難はあったものの無事大学へ進学した私は、システム開発業の技術者を目指して勉強し、卒業後は望み通りシステムエンジニアとして就職しました。しかし、働き始めて2~3ヶ月後、早くも壁にぶつかりました。それまでの研修では特に問題無かったのですが、実際にシステムの開発作業を行い始めると、ほかの社員と関わることが多くなったためか、トラブルが多発しました。トラブルの内容は、・作業指示を他の人よりも詳細に話さないと理解できない・私の話の要点が分かりづらい・話の行間や雰囲気を察せず、上司の意図を誤解してしまうといった、コミュニケーションに関することでした。自分でもどうしたらいいのか分からず困っていると、上司から「発達障害ではないか?」と指摘されました。「発達障害」という障害の存在を知ったのは、この時が初めてでした。さらに母からも、私が過去に学習障害の診断を受けた経緯を聞き、自分のことについてもっと知る必要があると考えた私は、精神科医の元で発達障害の検査を受けることにしました。受け入れられなかった診断結果。「健常者」として生きることを選ぶ出典 : 発達障害の検査を受けることを、私はあまり深刻に考えていませんでした。なぜなら、母から「障害は完治している」と聞かされていたため、ちょっとした対処法で解決できると思っていたからです。しかし検査の結果を見て主治医が行った提案は、「今の仕事を辞めて障害者雇用で再就職する」というもの。私は大いに困惑しました。私は、「確かに仕事は上手く行ってないけれど、辞めるほどのことではないだろう」「上手く行っていないことを障害のせいにするのは、自分の苦手なことから逃げることだ」と考え、主治医の提案を受け入れられませんでした。また、家族に相談すると、「私に障害があるわけがない」と全員の見解が一致しました。こうした周囲の声もあり、私は主治医の診断を受け入れず「健常者」として生きることを選びました。そして、働いているうちに「自分が発達障害である」ことはすっかり忘れたのでした。解雇、そして再就職活動出典 : 自分が発達障害であることを忘れて仕事に励んだ日々の中では、成果を出せたときもありました。しかし、それよりも多くの失敗が続きました。会社は努力している私を見て、様子をみてくれていましたが、4年近く経っても問題である「仕事上のコミュニケーション」はうまくできないままでした。そしてついに、私の解雇が決定しました。解雇を宣告された時は、とても悲しかったのを覚えています。しかし、私はこれ以上頑張って挽回出来る見込みを自分でも感じられませんでした。また、解雇に無理やり抵抗して、会社にしがみ付いているだけの人生も嫌だと思い、解雇を受け入れました。再就職に向けた活動は難航しました。ハローワークで求人票などをチェックしましたが、「コミュニケーションに関する能力不足」が理由で解雇された私を雇ってくれる所なんてあるのかと途方に暮れ、全くと言っていいほど再就職活動は進みませんでした。私は次第に家にこもるようになりました。「このままだと精神を病む事になるだろうな」とぼんやり考えていました。人生に、絶望していました。迫りくる自分の無気力に対する不安。一か八か、わずかな希望に賭けるUpload By 穹峰蒼志引きこもり気味の日々を過ごしていたあるとき、私は1つの新聞記事を目にしました。それは、不登校で引きこもりだった少女が地球一周の船旅に出て前向きになるという内容でした。この記事を読んだ私は、家族の声が届かず、インターネットもつながらないような海の上で自分の人生を考えたいという思いと、私も長い旅を経て何かが変わるかもしれないという希望を持ちました。その船旅に出ることは私にとってやはり大博打でした。一応地球一周の船旅を企画しているツアーの中では格安ですが、それでも130万円以上の費用がかかります。貯金で払うことは可能でしたが、当時無職で再就職のあても全く無い私は、この旅で何かを得られなければただ散財するだけになってしまいます。しかし、「このままだと確実に気力を失って、死が待っている」と感じた私は一か八か賭けてみることにしたのです。世界中の人々との出会い、広がりゆく視野Upload By 穹峰蒼志Upload By 穹峰蒼志私はわずかな希望に賭けて、地球一周の船旅に出かけました。さて、地球一周の船旅と聞くと、リッチで高級、ゴージャスといったイメージを持たれる方が多いのではないでしょうか?残念ながら私が参加した船旅は、それとはかなり程遠いものです。しかし、この船旅は私も含めてほとんどの方が退屈していませんでした。というのも、乗船者自身が船内でイベントを企画する「手作り感満載」な船旅だったからです。ゴージャスでこそないものの、娯楽を自分達で作り出す過程はとても楽しいものでした。私はこの旅で、幅広い世代と交流し、世界各国を巡り様々な人々と出逢いました。「失業中」という事実に、家族や友人達との間では私は気まずさや負い目を感じていましたが、船には似たような境遇の人もいます。社会とうまく関われない人間は私だけではないのだと知り、どこか安心できました。旅を通して、国や人種や宗教の違いを目の当たりにして、私は”人間には多様な生き方がある”ということを肌で感じました。私の視野は、確かに広がり始めていたのです。同性愛者の友達のカミングアウトを聞いて、人生が変わった出典 : 船旅の中で、ついに私の人生を180度変える出来事が起こりました。ある日、同性愛者や性同一性障害の方々が自分達の事をカミングアウトする船内イベントがありました。カミングアウトをした人たちの中には、私がよくお世話になっている方もいて、私は衝撃を受けたのです。「どうして同性愛者である事を告白したのですか?隠しておけば良さそうなのに、告白するのは怖くはなかったのですか?」と私はその人に聞いてみました。それに対する答えは、「同性愛者である自分を知って離れていく人がいても仕方がない」というものでした。その人は、同性愛も含めてありのままの自分を受け入れていたのです。この出来事がきっかけで、「私は私の全てを受け入れていただろうか?」と考え始めました。そして、過去に受けた発達障害の診断についてもう一度考え直しました。今までの私は、都合の良い自分しか見ようとせず、不都合な自分のことを無視していたと気付いたのです。発達障害の診断を受けた当初、診断を認めれば出来ない事や失敗した事を障害と紐付けて、逃げることになると思っていました。しかし、本当は自分の障害と向き合わないことこそが逃げることだったのです。こうしてようやく私は、自分の発達障害に目を逸らさずに向き合う決意をしたのです。障害があることを理由に、将来の可能性を狭めないで出典 : 以前、発達障害のお子様を持つ保護者の方から、以下の相談を受けたことがあります。「子どもが将来やりたいことを、親としては応援してあげたいと思いますが、やはり難しいのでしょうか?」私は障害の有無が問題では無いと思います。障害の無い人でも、やりたいことを実現できていない人もいます。重要なのはやりたいという気持ちと、何ができるかの把握だと思います。私は以前システムエンジニアになりたくて、休日も惜しんで勉強をしました。でも仕事で十分な成果を出すことはできませんでした。もし得意・不得意分野を把握し、それらが障害の特性からくるものだと分かっていれば、不得意なことへ必要以上に時間を割かず、成長しやすい得意分野を伸ばすなど、何かしらの対応ができたかもしれません。どうか障害がある事だけを理由に、将来の可能性を狭めないで下さい。できない理由や失敗した原因を安易に障害のせいにしていると、いずれ何もできなくなってしまうと思います。でも、自分の障害上の特性を理解すれば、活路を見出せるかもしれません。障害者雇用で働くことを決意した私ですが、その道のりにも様々な困難が伴いました。しかし、発達障害を受け入れた私にとってその困難は乗り越えられないものではなく、無事に再就職してから3年半が経ちました。次回は、発達障害を受け入れながら働くとはどういうことなのかを振り返ってみたいと思います。
2016年11月24日息子の記憶の仕方は独特。それが彼を苦しめていた出典 : みなさんは楽しかった出来事などを、すぐ思い出せる方ですか?発達障害のある息子は、とても不思議な記憶の仕方をしています。「特に困ったこともなくて楽しかった」という出来事があった時、「楽しかった」という気持ちだけはぼんやりと記憶するのですが、そこで見た物、一緒にいた人、やったことなどについては、ほとんど忘れてしまうのです。一方で、「とても嫌だった」「叱られた」「辛かった」という出来事は詳細に記憶しています。それらは、何年経っても記憶から薄れることはありません。そのときの風景、周りの人の言葉、匂いや天気まで、まるで頭の中で映像が再生されたかのように明確に思いだせるのです。発達障害児によく見られると言われる、白黒思考(0か100かで極端に物事を評価してしまう)が追い打ちをかけ、嫌なことが1つでもあると、他の楽しかったことは全部無かったことになるようです。この記憶の仕方が、切り替えの苦手な息子を長い時間苦しめ続けることになります。その出来事について思い出し始めると、嫌な気分からの気持ちの切り替えがなかなかできません。「でも、楽しいこともあったよね?」と私が聞いても、残念ながら彼の記憶は嫌な思い出に支配され、楽しい記憶など全く出てこないのです。私は長いこと、息子の内面に沸き起こる、嫌な記憶のフラッシュバックに悩まされました。数年前のことを、まるで昨日のことのように責められたり、愚痴られたりすることばかりだったからです。あの頃の私は、出かけるたびに息子に嫌な記憶を蓄積させていた出典 : 過去を振り返ってみると、一時期の私の行動は、息子にとっての「嫌な記憶」を増幅させるような行動だったと思います。親として「息子にいろいろなことを経験して欲しい」と焦るあまり、様々な場所に息子を連れて行っていたのですが、出先でパニックを起こされてしまうことが何度もありました。息子は、知らない匂い、うるさい音、知らない人、雑踏などの不快な要素が重なると、真っ青になって座り込んでしまいます。そのたび私は「なんでそうなの!?」と息子を叱りつけてしまいました。いろんなことを経験して欲しいという親として当然の思いが、息子には届かない…私はいつもいつも情けなくて、怒鳴ったり涙を流したり、息子をなじったりしていたのです。すると、当然息子の記憶は「お母さんに叱られた」という風に残っていきます。そして、鮮明な嫌な記憶に苦しめられるだけではなく、「また自分はできなかった」という自信喪失へとつながっていったのです。息子を叱りつける私を見て、療育の先生から提案が出典 : そんな私と息子との関わり方を変えてくれたのは、療育の先生の提案がきっかけでした。療育ではいつも、同じグループのお友達と楽しく過ごす息子。ですが、私が先生と面談をしている間、高いところに登って飛び降りたり、大声をあげてお友達と喧嘩をしたりすることがしばしばありました。ADHDがあり、待つことや人の話を聞くことが苦手な特性から、面談が終わるのを待つことが苦痛だったのでしょう。ところが私はやはり例のごとく、「ママは先生とお話ししてるんだよ」、「静かにして」などと、声を荒げてしまったのです。出典 : そんな私の様子を見ていた療育の先生から、ある日、こんな提案がありました。「面談の時間はナシにしましょう。お母さんは相談があったら、紙に書いてきてください。」「療育を『楽しかった!』という気持ちで終わらせるのが何よりも大切なんです。最後に叱られる形で終わらせるのはやめましょう」実はこの提案は、発達障害児に何かを取り組ませる際にとても大切なことだったのです。ただでさえ状況の変化や新しいことが苦手な発達障害児です。取り組みに対して嫌な記憶を残さず、出来事を「楽しかった!」という記憶と結びつけることが息子の成長にとって必要なことなのだろうとわかった上での、先生から提案だったのでしょう。「楽しかった」という記憶の積み重ねが自信に繋がる出典 : 息子の場合、楽しかった出来事の内容自体は、ぼんやりとしか記憶できません。それでも、「楽しかった!」という"気持ち"はしっかり残っています。そして、それを積み重ねていくことが、彼にとって自信になるということもわかってきました。「よく覚えてないけど、すっごく楽しかった!!」「自分は楽しむことができた!」という気持ちです。取り組んだことに対して「楽しかった!」という記憶がたくさん残っていれば、次に新しいことに取り組むことを怖がらなくなります。昔は新しいことに取り組むたび、泣きわめいていた息子は、今となっては「あれやってみたい!」と自分からどんどん提案できる子になりました。
2016年11月24日私がいなくなってもーシングルマザーの私が子どもたちに遺したいもの出典 : 私は、子ども4人を育てるシングルマザーです。4人の子どもたちは、下は11歳から、上は18歳まで。4人中3名に発達障害や難病があり、本人に告知もしています。自分の特性ゆえに悩んだり、学校環境とうまく合わず不登校になったりもしましたが、子どもたち一人ひとりが、それぞれの方法、それぞれのペースで育っていってくれているのを見守るとともに、母である私も色々学ばせてもらっています。一方で、シングルマザーの私がいつも考えるのは、親亡き後ー私がいなくなった後のこの子たちの人生のこと。過去に出産時の事故で軽い脳梗塞も経験し、現在も後遺症が残るなか、いつ、また倒れるかも分かりません。常に「死」を意識しながらの子育て。そんな私がわが子に遺したいと思っているもの。今日はそんなお話をしたいと思います。私があなたに遺すもの: 「他人に相談する力」出典 : 私が子ども達に残したいもの。それは、「困った時には他の人に頼る、相談する力」です。人生は思いのほか短い。その人生を少しでも幸せに生きる為にも、頑張りすぎないようにすること。そのためには、上手に他の人の力をお借りすることが大事だと思っています。困ったことを誰にも相談せずに1人で解決しようとすると、もの凄く多くのエネルギーを使い消耗してしまいます。結果、体調を崩してしまう事もあるかもしれません。「自分は〇〇で困っています。助けてください。(手伝ってください)」と言えるように。子ども達には「困った時には周りの人に聞きなさい。困った時は頼っていいんだよ。」と伝えています。そのためにも、まず私から子どもたちの手本になるように実践しています。「お母さんは、風邪ひいて体調悪いからゴミ出ししてくれたら助かる。お願いできる?」「お母さん1人で外出は寂しいから付いてきてくれる?」と伝えたりして、母自らがわが子に頼ることを通して、見本を見せるようにしています。私があなたに遺すもの: 「あなたをよく知る支援者たち」出典 : 私が次に子ども達に残したいものそれは、「子どもたちの存在を知っている人たちと、支援者」です。私は、子ども達の発達障害を隠さずに、周りにどんどん伝えています。それには意味があります。発達障害のことをどんどん話して伝えていくことで、発達障害のある人への偏見を減らしていくことと、発達障害について知りたいと思う人を増やすこと、そして、発達障害のある人たちへの支援方法を知ってもらうことです。発達障害のことを伝えるのに、血液型を伝えるぐらいの感覚で伝えられるようにする事が私の希望です。それから、私がいつかこの世を去った後、子ども達が困って誰かを頼った時には、誰かが子ども達の支えになってもらえるようにと願ってのことです。いつまでも私が側で見守ることはできません。いつかの日の為にその体制を残したい。お陰様でこの地域では、子ども達の理解者は増えてきました。「気にかけてもらえている」これはとても大切な事だと思っています。私があなたに遺すもの: 「一人ひとりへの遺言書」出典 : これから私が子ども達に残したいもの。それは「子ども達一人一人に当てた遺言書」です。私は元々、文章を書くのは好きでした。幼い頃には、定期で家族新聞を書いて子ども部屋に張っていたぐらいでした。見たこと聞いたこと、感じたことを言葉にして残しておくのが好きな子でした。遺言といっても暗いものではなく、生きるための力が湧くような言葉集のようなものです。自分で生きていく上で胸に留めておいてほしいことを、一人一人の特性に合わせて、書き残しておきたいと思っています。いつか辛い時に読んでくれたら嬉しい。それは発達障害のある子ども達を育てているからこそ、私の中に心配する気持ちが大きいからこそなのでしょう。これから少しづつ、子ども一人一人に向けた言葉をノートに書いて残しておこうと思っています。私があなたに遺すもの: 「自分を認めて生き抜く力」出典 : 最後に、子ども達には何があっても自分たちで「生き抜く力」を、今から育んでいってほしいと思っています。そのためには、まず何より「自分を認めていくこと」が必要になると考えています。時に人生は、予期せぬことが起こります。私もまさか自分が脳梗塞をして、そこから鬱病になるとは思ってもいませんでした。その後にまた鬱病を再発した時には一家心中をしようかと考えてしまうほどに追い詰められました。そんな時に助けになったのは、周りの支えでした。辛いという自分を認め、「私は辛いので助けてほしい」と言えたことが良かったのです。子ども達に身につけてほしい、「生き抜く力」とは、「とにかく頑張る」ということでは決してありません。辛い時にこそ、どこかに味方は必ずいると信じられる心。そして、自分の気持ちを周囲に伝え、助けてもらいながらしなやかに生き抜いていく力を持つことが大切です。生きていれば、心配すること、不安なことは沢山ありますし、それがゼロになることはありません。だからこそ、むやみに心配したり、やみくもに頑張るのではなく、いい意味で諦めること。自分の現状をあるがままに認め、必要があれば周りに頼ってでも生き抜いていってほしい。そう願います。---子ども達と過ごせる残りの時間も先が見えてきました。だからこそ、発達障害のある子ども達の子育てを楽しみながら、子ども達に遺せるものはまだまだあると、私も生き抜いていきたいと思います。
2016年11月24日それまでなんとか小学校に通っていた長男。3年生になったとたん、授業が変わり…出典 : 小学校入学直後から「学校いかれへん!」となった長男も、支援級の先生のサポートを受け、2年生からはずいぶん授業に参加できるようになってきました。しかし、小3の1学期からまた「学校に行きたくない」と主張するようになりました。付き添ってよく観察してみると、・授業の内容・授業のスタイル・支援の体制こうした進級に伴う3つの変化が絡み合った結果、ストレスが起きている様子でした。自分の意見を自覚できるようになったのはいいけれど、しんどさは変わらず出典 : 授業内容の変化で1番大きかったのが、じっくり考える問題が増えたことです。例えば算数では「筆算」がその1つ。パッと答えが出るものは得意なのですが、こつこつ積み上げ、答えを出していくことが苦手だという特性があるのです。授業のスタイルもそれに伴い班で話し合うグループワークの比重が大きくなりました。社会の「みんなで学校周辺の地図を作ろう」という単元では、それぞれが調べてきたものを持ち寄り、1枚の大きな紙に書きこんでいきます。「ここはもうちょっと北じゃない?」「違うよ」と、意見が合わないとイライラし「じゃあ、もう知らない!」やめてしまう長男。2年生の時は、あまり周りを見ずに主張していた面もあったのですが、3年生になると「自分がいたら地図作りが進まない」と廊下に出るようになりました。出典 : 自分の意見がはっきり自覚できるようになってきた影響は国語にも現れました。例えば「朝食を摂ると元気になれる」という説明文では、「朝食を摂っても学校に来たらしんどくなるよ!」ということが気になって、落ち着いて取り組めません。また、ホームルームのテーマが「運動会に向けて」の時では、みんなが「どうやったら心を1つにしたダンスができるか」と話し合っているときに、そもそも「どうして運動会をするの?ぜんぜん楽しみじゃない」という思いが抑えきれないのです。みんなの前で本音は言えないということがわかっているので、やっぱり廊下に出ることになります。ホームルームではまとめプリントに意見を書いて提出するという形での参加となりました。支援体制の変化も原因の1つだった。自立を促したい気持ちはあったけれど…出典 : 年生の時はずっと支援級の先生が付いてくださったので、私は登校後、「よろしくお願いします」と帰ることができました。授業でふと疑問に思ったことも、支援の先生にすぐ聞く事ができていたので、集中ができず授業が嫌になりかけても、面白く盛り上げつつ気持ちが途切れないようにしてくださっていたのでしょう。しかし、3年生になると支援級の先生がもう1人別の学年のお子さんと掛け持ちになり、教室にいてくださる時間が半分になりました。その結果、「できない」「わからない」があっても自分で判断して行動する必要が増えますが、1人で考えていると「やらない」方向にいってしまったようです。教室に入れない長男をそのままにして立ち去りにくいことが増え、そうこうしているうちにズルズルと付き添う日も増えてきました。知的なデコボコは大きくても、「遅れ」として見えにくい場合「中学年になったら自立の方向へ」というのは慣例であり、また予算の都合も仕方ないと思いますが、「うーん、やはり1人で過ごすことは時期尚早だったか…」と痛感したのです。それでも学びたい気持ちはあるようで…長男の「やりたい!」を引き出してくれたのは幼虫観察だった出典 : とうとうある日、好きなはずの理科も嫌と言いだしました。「どうして蝶の幼虫の観察をしないの?班で1匹、しかも学校にいる時間だけの観察なんてつまらない」というのがこのときの原因でした。とはいえ、幼虫の生態は気になっていた長男。ある日のこと、自宅の庭にやってきた幼虫を見つけ、「飼ってみようかな」と言いだしたのです。私はその一言を聞き、すかさずOKを出しました。その後、旅行にも持っていくほど熱心に観察していた長男。写真を撮り、羽化するまで自宅で飼いました。観察してわかった生態はレポートにしてまとめ、先生に見せました。「すごく面白かった。さなぎになる前に1回だけ液体を出すの、1番びっくりした!」と報告していました。好きなことは思い切りやりたいタイプの長男。風の実験では「本音では、器具が壊れるほどやり倒したい」。植物を育てるのも「種まきから種取りまでやりたい」。こうした好奇心は、教科書に載っていようが載っていまいが関係なしです。この子には、みんなとは違うやり方で学ぶのが合っているのだな…ということが、よりハッキリ見えてきました。好きなことから学ぶスタイル。それは「学校を使った」家庭学習!出典 : 学校は、こうして発見した長男の学習意欲を発揮する場となりました。たとえば、学習した内容をプリントにして持っていき、学校の先生に報告して「家族以外の人から知識を得る」「コミュニケーション力を伸ばす」機会にしてみるのです。これについて先生方はありがたいことに、「面白いことやってるね」と言って下さることが多いです。「学校に来てもしんどいねん!」とハッキリ口に出す長男に対し、交流級の先生はがっちり受け止めるタイプなので「そうか。まあでも、1日に1回は顔を出して、今やってることを教えてよ」と言います。「どうやったら学校で過ごせるか、一緒に考えていきましょう」とふんわり、でもあきらめずにいてくれるのが支援級の先生。掃除や給食など、集団行動での振る舞いは学校でなければ学びにくいことだと、私自身も感じています。そんなわけで、なんだかんだ言いながらぼちぼち通学も続けています。出典 : 学校に行っても授業に入りにくいときは、廊下においてある机で、できそうなことをやります。みんなが今どんなことをやっているかを知るというのも、学習を進めるエンジンとして活用しています。このスタイルは、学校を「使いながら」の家庭学習と言えるかもしれません。弱みと強みは表裏一体。最近の口ぐせは「学校いらん」から「どうしてみんなは『普通に』授業を受けられるんだろう?」に変わってきました。周りが見えるようになってきたのは成長だと思います。学年が進むにつれ、授業も長男も更に変わっていくはずです。支援の体制をどう希望、提案していくかも含め、多くの人を巻き込みながら、できるだけ楽しくやるようにしていきたいと思います。
2016年11月23日聞いて理解することが苦手な息子は言い間違いも多い。しかし見て理解する力は高く…出典 : 自閉症スペクトラムとADHDの診断を受けている息子は、耳から入ってくる言葉(聴覚言語)の認知が弱いため、何度口頭で説明しても正確な言葉や意味、その内容を理解するのに時間がかかります。マクドナルドをポテトナルドと言ったり、ファミリーマートをチキンマートと言ったり、聞いていてクスッと笑えるような言い間違いは息子のチャームポイントでもありますが、幼児期を脱すると困ることがたくさん出てくると思います。例えば…・話を聞いていても、内容がよく理解できない・内容が理解できないから、話をするのが面倒になる・言い間違いを指摘されるのが嫌で、話さなくなる・思っていることを相手にきちんと伝えられないなどなど、実際起こるかどうかは別として、たくさんの弊害が考えられます。一方で、視覚優位(目で見る情報の認知が強い)な息子は幼いころから目で見る言葉に興味があり、早くから文字を読むことができました。6歳になった今では、小学校3年生レベルの漢字を簡単に読むことができます。せっかく言葉が好きなのに、聴覚言語の認知が弱いせいで、それを使いこなせなくなるのはもったいないな…。どうすれば、耳から入った言葉をきちんと認識することができるのでしょうか。聞いて理解する力を伸ばしたい!解決策は突然訪れた出典 : そう悩んでいた矢先、ひょんなことから息子にぴったり合った方法が見つかりました。それは、子ども向けの映画をみんなで観ていた時のことです。息子「ママ、あの字が下に出てくるやつ、出せないの?」私「えっと、英語で映画を観るときに日本語が出てくるやつ?」息子「そうそう!あれを出してほしいの!」私「あれは字幕っていうんだけど、日本語で見てるのに出すの?」息子「うん!あれ(字幕)があると何て言ってるか僕にもわかりやすいんだよ!」なるほど!目から鱗というか、どうしてそこに考えが及ばなかったのか!と目の覚める思いでした。字幕ってスゴい!息子は自分で理解しやすい方法を知っていたようです出典 : 息子は耳から入ってくる言葉を理解するのは難しいですが、目から入ってくる文字を理解するのは得意なのです。それならば、英語で観るときに限らず常に字幕を出しておけば、息子は正確な情報を手にすることができます。そうして、今まで何回も観た映画や録画していたテレビ番組を、字幕付きで見直す日々が続きました。すると…「○○って言ってると思ってたけど、●●って言ってたんだ!」「△△って、こんな字を書くんだね!知らなかった!」「ああ、ここは悲しんでいたんだ。わかってなかったよ!」そんな感想を言いながら、息子は今までぼんやりと入っていた情報を、きちんと頭の中で整理しているように見えました。今では、全ての番組を字幕付きで表示しています。字幕を付けてから、テレビを見ている際の「今なんて言ったの?」「誰が喋ったの?」という息子の質問攻撃はぴたりと治まりました。Upload By GreenDays中には字幕のつかない番組もありますが、子ども向けにはきちんとルビを打った字幕がついていることが多いです。この機能は、ひらがな・カタカナがスムーズに読めるようになった、聞いて理解するのが苦手なお子さんには、とてもよいサポートアイテムになるのではないかと思います。テレビのメーカーによって字幕の表示方法は異なると思いますが、チャレンジしてみたい方は、一度ご自宅のテレビのリモコンや取扱説明書を確認してみてくださいね。字幕をつけてから言葉への興味がいっそう深まった出典 : 字幕をつけるようになってからおよそ2週間。息子に少しずつ変化が表れました。今まであまりなかったことですが、言葉についての質問がどんどん増えてきたのです。息子「ママ、『空想』ってどういう意味?」私「どんな字を書くか知ってる?」息子「うん、お空に想うって書いてあった。」私「そう。こんな字だったよね!」と、実際に紙に字を書きながら説明します。私「これはね、本当は起こっていないことを、頭の中の広い場所で考えることだよ。お姉ちゃんとごっこ遊びしてる時に、よく『これは嘘だけど、僕はお父さんで、会社から今帰ってきたところね~!』とか言ってるでしょ?あれも空想だよ。頭の中で考えた空想の世界を、お姉ちゃんと一緒にわけあって遊んでるってことなんだよ。」息子「へえ!そうだったんだ!じゃあママ、『もたれる』ってどういうこと?」私「それはね、自分じゃない何かに寄りかかることだよ。」息子「寄りかかる?」私「そう。例えばこんな風に、今ママは壁に背中をつけてるでしょ?これは自分で立ってるんじゃなくて、壁に『もたれて』立ってるの。どこにも体がついていなければ『もたれてない』、体のどこかが壁にくっついていれば『もたれている』っていう事なんだよ。」出典 : 息子「へぇ~!初めて知った。」私「これはどう?」(壁に体をつける)息子「もたれてる!」私「じゃあ、これは?」(壁から体を離す)息子「わかった!もたれてない!」こんな風に、1つひとつの言葉を丁寧に知りたがるようになりました。今まではその瞬間に「どういう意味だろう?」と思っていても、はっきりとした言葉として息子の頭に残っていなかったので、質問することもなく通り過ぎていたのでしょう。目で文字を見ることによって、自分の知らない言葉が何であるのかがはっきりとし、頭の中に文字が残ることにより、後からでも質問ができるようになったのです。言葉を理解する方法はいろいろ。迷ったら子どもの得意な方法で!出典 : これから先、学校の授業など耳からの情報だけで何かを処理しなければならない場面が、たくさん訪れることでしょう。それでも、耳から入ってくる言葉をあらかじめ知っているか知らないかによって、理解度は大幅に変わってくると思います。なるべく正確な言葉と意味を、息子の得意な方法で蓄積していくこと。これが、私と息子の新たな目標となりました。ADHDの息子は集中力が短く、絵本を渡すと絵に興味を奪われて高速でページをめくってしまうので、正確な言葉を覚えるには適していません。いろいろ試した結果、息子に向いているのは展開が早く、文字情報が記載されているドラえもんなどの学習漫画と、映像に字幕がついているものが合っているようです。興味のあるテレビ番組や漫画で、しっかりと言葉を覚えてることができれば、やらされている感もなく、長く続けられそうな気がします。正確な言葉を知ることは、きっと子どもの自信にも繋がると思います。耳から入る情報に弱いお子さんにもぜひ1度、テレビの字幕や簡単なマンガなどを試してみてくださいね。
2016年11月22日聴覚障害とは?出典 : 聴覚障害とは、音の情報を脳に送るための部位のいずれかに障害があるために、音が全く聞こえない、あるいは聞こえにくい状態のことです。全く音が聞こえない状態を全聾(ぜんろう)、音が聞こえにくい状態を難聴といいます。また、聴覚障害には、後天性のものと生まれつきの先天性のものがあります。先天的に難聴のある子どもは、毎年1000人に1人の割合で生まれています。聞こえの障害は、生まれつきの障害の中で、もっともよく見られるもののひとつです。そのために新生児の段階で聴覚に問題がないかどうか調べるためのスクリーニング検査を受けることがすすめられています。子どもの難聴が中軽度の場合には、重度の場合に比べてその発見が遅れる傾向にあります。というのも、中軽度の場合には、自分が難聴であると自覚することが難しく、日常生活の中で不自由が生じても、保護者に伝えることが稀であるためです。耳から情報を適切に取り入れることができない聴覚障害の子どもは、コミュニケーションや言語発達の面に遅れが生じる傾向にあります。そのために、聴覚に問題が見つかったときには、できるだけ早く治療を行うことが大切です。聴覚障害のある子どもに対しては、聞こえを改善する訓練や治療、視覚的な手段を使ったコミュニケーションの方法を取り入れることにより言葉の獲得を目指します。耳鼻科疾患分野 先天性難聴|難病情報センター聴覚障害の原因出典 : 父親と母親の遺伝子の組み合わせや、遺伝子の突然変異などにより引き起こされる難聴です。遺伝的な要因の場合には、外耳やその他の器官の奇形など難聴以外の障害が同時に出現することがあります。遺伝以外の要因には、妊娠中にかかった以下の疾患があげられます。●風疹●サイトメガロウイルス感染●トキソプラズマ●ヘルペス感染●梅毒そのほか、●早産(妊娠37週未満での出産)●出生後の頭部外傷や、幼小児期の感染症(髄膜炎、麻疹、水痘)●ある種類の薬(ストレプトマイシンという抗生物質など)が難聴の原因となることもあります。また、耳の感染(中耳炎)によっても一時的に難聴となることがあります。耳の感染を繰り返していて、きちんと治療されていないような場合、難聴となってしまう可能性があるので注意して下さい。ここで紹介したものは、聴覚障害全体の原因の約6割であり、その他の原因についてはまだ調査が行われている途中です。幼少児難聴とは?|独立行政法人国立病院機構 東京医療センター聴覚障害のタイプ出典 : 聴覚障害は、聞こえを阻害する部位によってタイプが異なり、伝音性難聴、感音性難聴、混合性難聴という3つの種類があります。タイプごとに治りやすさや治療、改善の方法も変わってきます。外耳から中耳の間で、異物などが音の通り道をさえぎることで起こるのが伝音性難聴です。具体的な原因は、以下のような場合です。・腫瘍や耳垢などにより外耳道が塞がっている・鼓膜に傷がついている・中耳に水が溜まっている・中耳が菌などに感染し、膿(うみ)が溜まっているこれらが原因の難聴は一時的なものであり、ほとんどの場合は薬を飲んだり、溜まった水や膿(うみ)を抜く治療を行うと、聞こえは改善されます。感音性難聴とは、耳の奥の内耳と呼ばれる部位に障害がある状態を指します。遺伝的な要因や、妊娠中の感染が原因のときには、このタイプの難聴が起こることが多いです。音を感知する部分、その音を信号に変換する部分に障害が起こっているために、治療や手術によって聞こえを改善することができないことがあります。そのような場合には、補聴器や人工内耳の装着により、聞こえを補うことが必要です。上記のふたつの難聴が同時に引き起こされる場合が混合性難聴です。聴覚障害はどうやってわかるの?診断は?出典 : 聴覚の障害が重い場合には、生後間もなく聞こえの問題が発見されますが、中軽度の場合にはその発見が遅れる傾向にあります。子どもの聴覚障害の場合には、コミュニケーションや言葉の発達の面に遅れが生じることがあり、それらの遅れが聴覚障害を見つけるきっかけとなることが多いようです。聴覚障害のサインとしては以下のようなものがあります。・乳児のとき、一時期は出ていた「あー」「あうあう」などの声が出なくなった・大きな音がしたときに反応を示さない・生後6ヶ月を過ぎても、相手の声の真似をしようとしない・3歳までに単語をしゃべらない・言葉の代わりにジェスチャーを使うより年長のお子さんでは、難聴のサインとして以下のようなサインがあります。・周りの子どもより言葉の数が少ない・理解しにくい言葉でしゃべったり、非常に大きい(またはか細い)声を出したりする・何度も聞き返す・授業中ぼんやりしていたり、読み書きや計算が苦手だったりするこれらの項目に当てはまる場合にも、一概に聴覚障害であると判断することはできませんが、子どもの様子を見て、心当たりのある場合には一度聴覚検査を受けてみるとよいでしょう。聴覚検査は、病院の耳鼻咽頭科で受けることができます。聴覚検査で調べることができるのは主に2つです。聞こえの程度と、どこの部位に異常があるかどうかについてです。聴覚を調べる際には、月齢、年齢に応じた検査が行われます。6ヶ月未満の子どもによく行われているのは、脳波を測定する検査です。この検査では、小さなイヤフォンで音を聞かせます。子どもの頭の上に、コンピューターに接続されている電極をつけることにより、音に反応して脳波に動きがあるかどうか確かめます。年齢が上がってきたときには、スピーカーから音を流して何らかの反応があるか調べる検査や、音が聞こえたらおはじきを取ったり、ボタンを押したりする検査を行います。耳の聞こえのチェックは、1歳半、3歳の乳幼児健診のときに行われますが、聴覚障害のある場合には、治療を施す時期が早いほど、聴力が回復しやすく、言葉の学習をスムーズに行うことができます。ですので、定期検診が来るのを待つのではなく、なるべく早い段階で検査を受けるようにしましょう。聴覚障害の等級出典 : 聴覚障害の等級分類は、聴力のレベルと、言葉がどれくらいはっきりと聞こえるかを示す語音明瞭度により決まります。聴力のレベルは音の大きさを示すデシベル(db)という単位により表されます。デシベルの数値の示す音の大きさの目安は以下をご覧ください。どの程度大きい音からなら聴き取ることができるかという測り方をするため、聴力の場合は、デシベルの値が大きくなればなるほど、耳が聞こえにくいということになります。正常聴力の場合は、0デシベル近辺であり、難聴の程度が強くなるほどこの値が大きくなります。Upload By 発達障害のキホン厚生労働省により定められている聴覚障害の等級の基準は以下の通りです。◇2級:両耳の聴力レベルがそれぞれ100デシベル以上、全聾(ぜんろう)の場合◇3級:両耳の聴力レベルが90デシベル以上の場合◇4級:両耳の聴力レベルが80デシベル以上の場合、または両耳による通常の話し声の語音明瞭度が50パーセント以下の場合◇6級:両耳の聴力レベルが70デシベル以上の場合、または片方の聴力レベルが90デシベル以上、もう片方の聴力レベルが50デシベル以上の場合上記のいずれかに該当する場合には、身体障害者手帳の交付を受けることができます。身体障害者障害程度等級表|厚生労働省身体障害者手帳とは、難聴を含め、障害のある人が取得することができる手帳です。平成23年の時点で聴覚に障害があり、身体障害者手帳を所持している人数は14万2000人です。障害者手帳を取得することで、障害の種類や程度に応じて様々な福祉サービスを受けることができます。交付を受けるためには、指定された医師による診断書と意見書が必要となります。用紙は市区町村の窓口にある用紙に記入をして申請を行います。申請から約1ヶ月程度で身体障害者手帳が発行されます。手帳の申請については、以下のページに詳しく手順が載っているので参考にしてください。身体障害者手帳の所持者数|内閣府聴覚障害の治療・改善方法先天性の聴覚障害には、治療により治すことができるものと、治療によっては治すことができないものがあります。治すことができない聴覚障害の場合には、聴力を補うために何らかの改善方法がとられます。子どもが聴覚障害の場合には、早い段階で治療を開始するのが理想的といわれています。聴覚障害の改善には、難聴の種類や聞こえの程度により、その内容が変わってきます。ここでは、聞こえの改善のための方法についてお知らせします。出典 : 補聴器は、普通の大きさでの会話が聞こえにくくなったときに、はっきりと聞くための医療機器です。補聴器が有効となるのは、音を伝える部分の障害である伝音性難聴に対してのみとなります。音を脳に伝える機能の障害である伝音性の難聴には別の改善方法がとられます。補聴器にはたくさんの種類があり、また価格によってついている機能もさまざまです。最適な補聴器を選ぶために、補聴器の相談医から販売店の紹介を受けるようにしましょう。補聴器の購入の際には、保険は適応されません。しかし、身体障害者手帳をお持ちの場合には、補装具交付申請書を市区町村の福祉関係の窓口に提出することで1割負担で購入することが可能となります。人工内耳は、機能しなくなった内耳の部分に電極を挿しこみ、音を電気信号に変えて神経に送る方法です。人工内耳をつける場合には、以下の条件を満たした上で、手術が必要となります。・内耳が原因の感音声難聴である・年齢が1歳以上である・体重が8kg以上である・6ヶ月以上の補聴器装用によっても十分に聞くことができない人工内耳の手術には、健康保険が適用されるほか、自立支援医療(更生医療)、高額医療費支給などの各種医療費の助成を受けることにより、負担額の軽減ができます。詳しくは、お住まいの市区町村のHPをご確認ください。補装具費支給制度の概要|厚生労働省自立支援医療(更生医療)の概要|厚生労働省高額療養費制度|全国健康保険協会小児人工内耳適応基準|一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会難聴の原因部位によっては、手術が行われることがあります。手術が必要なものの例としては、音の聞こえを阻害している異物の除去や、新たな鼓膜の形成、中耳の骨を人工のものに置き換える必要がある場合などがあります。耳の手術は、耳の後ろを開いて行うものと、耳の穴から原因となっている部位に治療を施す方法があります。耳の手術について | 耳鼻咽喉科専門 医療法人財団 神尾記念病院内耳の循環や血行を良くするために、血管拡張薬、向神経ビタミン製剤(ビタミンB12)の服薬が処方されることがあります。薬物による治療法の効果や必要な量・期間には個人差があるため、服薬の際には、専門家の指導を受けながら用量・用法を守りながら行いましょう。難聴、耳鳴り|慶應義塾大学病院 KOMPAS聴覚障害のある子どもの学び場出典 : 聴覚障害があるときには、どのような場所で学ぶことができるのでしょうか。子どもの状況に応じて、必要な環境を柔軟に選択していくことが大切です。この章では、それぞれの学び場の概要や特徴をご説明します。聞こえやコミュニケーションの程度と照らし合わせ比較しながら、お子さんに合う学びの場はどこか検討してみましょう。Upload By 発達障害のキホン強度の難聴のある子どもや、まったく耳の聞こえない聾(ろう)の子どもが入学することができます。入学の際には、学校教育基本法の就学基準を満たしていることが条件です。就学できるかどうかは、保護者の意向を尊重しながら、市町村の教育委員会が総合的な視点から判断して、本人の聴力レベルと、コミュニケーション能力、学力から総合的に判断されます。学校教育法施行令第22条の3による、特別支援学校の就学基準は以下の通りです。・両耳の聴力レベルがおおむね60デシベル以上のもの・補聴器等 の使用によっても通常の話声を解することが不可能、または著しく困難な程度のもの特別支援学校の授業には、国語や算数などの一般的な学習のほか、自立活動が時間割に取り入れられます。例えば、補聴器の取り扱いや音の聞き取り、語句・文・文章の意味理解やコミュニケーションの改善についてが自立活動の内容になります。1クラス当たりの人数は平均で3人であり、少人数での教育が行われています。特別支援学校への就学(入学・転校等)をご検討されているお子さん、保護者に対して、見学や教育相談に対応している学校もあります。◇聾(ろう)学校また、特別支援学校という区分の中に「聾(ろう)学校」という学校があります。ですが、厳密には、学校教育法が2007年に改正された影響を受けて、聾(ろう)学校という個別の区分はなくなりました。現在、校名の変更や休校・統廃合が進められたりすることにより、全国的に聾(ろう)学校の数は年々少なくなってきています。聾(ろう)学校という名前がついていても、その受け入れは聴覚障害のある子どものみではない学校もあります。学校名は「聾(ろう)学校」 のままですが、他の障害種別の学校と統合されたり、知的障害教育部門が設置されたりするなど、様々な形態が見られるようになっています。詳しくは直接学校へお問い合わせください。Upload By 発達障害のキホン聴覚障害が比較的軽度の場合には、難聴の特別支援学級に通うことができます。就学ができる条件は、主として聞くこと・話すことにかかわる特別な指導をすれば、通常の教育課程や指導方法によって学習が進められるような場合です。難聴特別支援学級では、原則として小学校や中学校と同様の学習指導が行われます。それに加えて、必要に応じて、音の聞き取りや補聴器の扱いなどに関する自立活動が行われます。聴覚の活用のためにオージオメータや集団補聴器、発音・発語指導のための音声直視装置などの機器が用意されていることがあります。聴覚障害の程度が軽度な場合や、その学校・学級で適切な配慮・支援を実施できる場合には、通常の学級で指導することが適当なことがあります。難聴のある子どもが通常学級で学習する場合には、教室内の音の環境や、座席の配置などに配慮をしてもらう必要があります。Upload By 発達障害のキホン「通級による指導」は、学校の通常学級に在籍している軽度の障害のある子どもに対して、決められた時間のみ、在籍する学級の授業の代わりに受けられる特別な指導のことです。通称「きこえの教室」といわれています。平均的には、週1~2回ほどで、1回あたり90分ほどの個別指導を行います。必要に応じて、グループでの指導も取り入れられます。通級指導の先生は、子どもがよりよく通常学級に適応できるよう、連絡帳や連絡会を用いて、学級担任の先生方と密に連絡を取りあいます。聴覚に障害がある人のコミュニケーション手段出典 : 聴覚に障害のある人のコミュニケーション方法には、手話、指文字、読話、補聴器、筆談などの方法があります。コミュニケーション手段をいろいろな場面や相手に応じて使い分けたり、併用したりすることによってコミュニケーションを行っています。手や指の形、動きによって、お互いの意思を伝え合う方法です。手話は、話し言葉とは異なる文法や語彙をもつ、ひとつの言語として捉えられています。手話にもさまざまなバリエーションがあり、障害の生じた時期や手話を覚えた時期によって、使用される手話も異なります。50音をすべて指の動きで表現する方法です。指文字だけを用いる場合もありますが、手話と一緒に補助的に使われることがほとんどです。母音を口の形で表しながら、子音を手の形で表すコミュニケーションの方法です。キュードスピーチは、母音を口の形で表すために、発音の勉強にも使われます。発音を1文字ずつ丁寧に表すときに使用します。習得すると、会話と同じかそれ以上のスピードでコミュニケーションをとることができるようになります。紙やボードへの読み書きによって、意思を伝え合う方法です。特別な技術を習得することなく取り入れられるコミュニケーションの手段です。ただ、文字による情報だけでは細かいニュアンスや感情が伝わらない場合があります。口話は、話し手の口の動きや表情などを見て相手が発する言葉を捉え、話し言葉を用いて意思を伝える方法のことをいいます。口話は、耳の聞こえる人とのコミュニケーションにおいては便利なものではありますが、伝わりにくい場合もあります。例えば、「たばこ」「たまご」「なまこ」など口の動きが似ていることばや、「協力」と「強力」など同じ発音の言葉などです。また、暗い場所や、相手との距離が離れている場合には、相手の口の動きがわかりくいために、ジェスチャーや筆談と併用されて使われます。聴覚障害のある子どもが周りにいる方へ出典 : 聴覚障害のある子どもは、耳から情報を取り入れることができない、もしくは取り入れにくいために、生活の中でさまざまな困りごとに出くわします。聴覚障害のある子どもに対して、どのような配慮をすればより過ごしやすくなるのかご紹介します。補聴器や人工内耳をつけていても、騒音に囲まれた場所では、相手の声が聞こえないこともあります。ですので、補聴器や人工内耳をつけていたとしても、聞こえの困難を抱えていることを理解して対応する必要があります。例えば、静かな部屋では言葉のやりとりができるのに、にぎやかな場所に行くと、相手の声が聞き取れず、急に無口になるということが生じます。音声での会話に加えて、視覚的に情報を示すことで、周囲と円滑にコミュニケーションをとることができます。そのほかには以下のような配慮が考えられます。・向かい合った状態でアイコンタクトをとり、相手が自分の顔を見ているか確認してから話し始める・文節で区切りながら、ひとつひとつの単語をはっきりと話す・複数の人数で話すときには、手をあげるなどして話し手が誰かわかりやすくする・明るい場所で話す耳の聞こえない子どものコミュニケーションの方法は、手話に限らず、さまざまです。どの手段が確実にコミュニケーションできるのか把握しておくことが重要で す。確実にコミュニケーションできているかどうかを確認するには、大人が話したことをもう一度言わせたり、質問に答えさせたりします。そのときには、指文字を使ったり、文字で書かせたりします。そのほか、子どもの実態に合わせて、具体物や絵カードなどの視覚的な情報を使い確認をしてみましょう。子どもがどのような方法を用いてコミュニケーションをとるのか知っておくことで、円滑なやりとりを行うことができます。聴覚に障害があると、音の情報がはっきりと聞こえないために、周りの状況がつかめず、場にそぐわないことをしたりすることがあります。周りが騒がしかったり、話し手の声が小さい場合には、その場の状況をもう一度伝えてあげるなどして、大人が援助してあげるとよいでしょう。その他には、クラクションや、近づいてくる車の音が聞こえないことがあります。一緒に外出する際には、あらかじめ危険な場所などを伝えておくとともに、大人が道路側を歩くなどの配慮をしてあげましょう。まとめ出典 : ここでは、子供の聴覚障害の原因、種類や障害の等級の判定、改善方法や、周りの人が気をつけておきたいことについてご紹介しました。聴覚に障害が見つかった場合には、できるだけ早くに治療、改善を行うことが大切です。生まれてくる子どものうち、1000人に1人は聞こえに障害があるというデータが示すように、子どもの聴覚障害は決して珍しいことではありません。現在は、子どもが新生児期のときにスクリーニング検査の受診が進められており、早期発見が進んできてはいます。ですが、子どもの聞こえに何か不安があるときには一度検査に行くことをおすすめします。聞こえの障害の程度が中軽度の場合には、周囲から気づかれにくいことが多く、耳の聞こえがよくない状態で長い間過ごしてきています。必要な情報を聞き取ることができないために、言葉やコミュニケーションの面に遅れが生じる傾向にあります。聴覚障害のある子どもは、耳の聞こえる子どもに比べると、言葉を覚えるのに長い時間がかかります。言葉を覚えさせようと急かすのではなく、子どもの成長の可能性を信じて待つことが、子どもの育ちを支えます。子どもに対して積極的に関わっていこうとする大人の姿勢が、子どものコミュニケーションをより豊かなものにしていくでしょう。
2016年11月21日PDD-NOS(特定不能の広汎性発達障害)とは?出典 : とはPervasive Developmental Disorder Not Otherwise Specifiedの略で特定不能の広汎性発達障害のことです。自閉症スペクトラム障害やアスペルガー症候群などの、他の広汎性発達障害の特徴がみられるが、それらの基準を満たさない場合に診断される障害です。この障害はアメリカ精神医学会の『DSM-Ⅳ-TR』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第4版テキスト改訂版)という診断基準により分類されたものです。しかし、2013年、この診断基準の改訂版である『DSM-5』(『精神障害のための診断と統計のマニュアル』第5版テキスト改訂版)において、PDD-NOSは自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害というカテゴリに変更されています。そのため、現在はPDD-NOSの診断名が下されることは少なくなりつつあります。とはいえ、すでにこの名称で診断を受けた人も多いこと、医療機関などでPDD-NOSの名称を使用している場合も多いことから、本記事では『DSM-Ⅳ-TR』において定義されているPDD-NOSについてご説明いたします。Upload By 発達障害のキホンこの障害は、発達障害の1カテゴリーである広汎性発達障害が含む5つの障害のうちの一つとして位置づけられます。(上図参照)広汎性発達障害が含む5つの障害とは、自閉症、アスペルガー症候群、レット障害、小児期崩壊性障害、PDD-NOSを指します。この広汎性発達障害という発達障害のグループの特徴として①対人関係・社会性の障害②コミュニケーションの障害③特徴的なこだわりや興味の3つが挙げられます。『DSM-Ⅳ-TR』によるPDD-NOSの定義は以下の通りです。対人的相互反応の発達に重症で広汎な障害があり、言語的または非言語的なコミュニケーション能力の障害や常同的な行動・興味・活動の存在を伴っているが、特定の広汎性発達障害、統合失調症、失調型パーソナリティ障害、または回避性パーソナリティ障害の基準を満たさない場合に用いられるべきである。例えば、このカテゴリーには“非定型自閉症”――発症年齢が遅いこと、非定型の症状、または閾値に達しない症状、またはこのすべてがあるために自閉性紹介の基準を満たさないような病像――が入れられる。引用:高橋三郎ら/訳『DSM‐IV‐TR 精神疾患の診断・統計マニュアル』2004年医学書院/刊という診断区分を定めた『DSM-Ⅳ-TR』は最新の診断基準ではありません。そのため現在、PDD-NOSに相当する症状がある場合は、『DSM-Ⅳ-TR』以外の診断基準で診断をされることが多くなってきています。ここでは、PDD-NOSに相当する症状が、別の診断基準ではどのような名称なのか紹介いたします。・『DSM-5』におけるPDD-NOS『DSM-Ⅳ-TR』の改訂版であり、2013年に発行された『DSM-5』において、PDD-NOSは自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害というカテゴリに変更されています。Upload By 発達障害のキホン・『ICD-10』におけるPDD-NOS世界保健機関(WHO)が定める『ICD-10』(『国際疾病分類』第10版)(以下、本文中の表記は『ICD-10』とする)という診断基準では、『DSM-Ⅳ-TR』におけるPDD-NOSは非定型自閉症、他の広汎性発達障害、広汎性発達障害,特定不能のものという3つのカテゴリーに相当するとされています。Upload By 発達障害のキホン参考文献:神尾陽子/著『DSM-5を読み解く』2014年中山書店/刊PDD-NOSの診断基準出典 : は、1.広汎性発達障害にみられる症状がある2.広汎性発達障害に含まれる他の障害カテゴリー基準に当てはまらず特定できないという2つの条件をどちらも満たすものです。そのため、一言にPDD-NOSといっても、その症状は一人ひとり異なります。また、症状の程度は他の広汎性発達障害のなかでは比較的軽いと一般的には言われています。以下において、PDD-NOSの2つの条件についてそれぞれ説明いたします。1.他の広汎性発達障害にみられる症状があるPDD-NOSを除く4つの広汎性発達障害にみられる症状の特徴として以下の3点があります。・対人関係・社会性の障害人とのかかわりにおいて、お互いが快適に過ごすための振る舞いが難しく、良好な対人関係を築きにくいこと。・コミュニケーションの障害話し言葉や、表情や身振りなどのコミュニケーション能力において、なんらかの障害がみられること。たとえば、一方的な発話、独り言、言外の意味の組み損ねや話題の偏りやお決まりのフレーズなどが例に挙げられます。・特徴的なこだわりや興味特定の習慣や儀式にかたくなな興味をもつことや、特定の対象に対して持続的に熱中すること。参考ページ ペック研究所HP2.他の広汎性発達障害の基準に当てはまらない以下において説明する、4つの広汎性発達障害の基準を満たさない場合、PDD-NOSに分類されます。・自閉症自閉症は、目や耳から脳に入ってきた情報を「意味のあるまとまったこと」として認知することを苦手とします。原因は脳の器質的な異常によるもので、遺伝病ではありませんが、染色体異常や遺伝子異常などの遺伝的素因が強く、先天的に発症するという考え方が有力です。具体的な原因遺伝子はまだ解明されていません。詳しくは以下の記事をご覧ください。・アスペルガー症候群アスペルガー症候群(AS)は対人コミュニケーション能力や社会性、想像力に障害があり、対人関係がうまくいきづらい障害で、知的障害や言葉の発達の遅れがないものを言います。明確な原因は現在もわかっていませんが、何らかの脳機能の障害と考えられています。詳しくは以下の記事をご覧ください。・レット障害レット障害(レット症候群)は、ほとんどが女児に見られる脳障害で、少なくとも6ヶ月の正常な発達の時期を経た後に、重度の精神および運動の発達的後退がみられます。この障害の原因はX染色体上の遺伝子異常(MECP2、CDKL5、FOXG1)であることが1999年に解明されています。このため、『DSM-Ⅳ-TR』の改訂版である『DSM-5』では、自閉症スペクトラム障害から除外されました。参考ページ:レット障害|ハートクリニックHP・小児期崩壊性障害2~5歳頃まで健常な発達をしていたが、言語の理解や表出能力の退行が始まり、退行が終わったあとは自閉症と類似した症状を示すようになる障害です。原因はほとんど解明されていません。脂質代謝異常(コレステロールの蓄積)、はしかやウイルスの脳への感染、遺伝性疾患などとの関連がある可能性を指摘されています。参考ページ:小児期崩壊性障害|ハートクリニックHPPDD-NOSの発現時期出典 : 広汎性発達障害の子どもを持つ親が、言語能力の遅れやこだわりなどの症状から何らかの疑いを持つ時期は、3歳未満が多いとされています。また、1歳半健診や3歳児健診などの乳幼児健康診査で広汎性発達障害を含む発達障害に関する何かしらの指摘があり、その後医師の診断により判明することもあります。中には子どもの頃に気づかず、大人になってから広汎性発達障害と診断された方もいます。不安障害やうつ病などの気分障害・睡眠障害などのいわゆる二次障害と呼ばれる症状や状態となり、その検査を通して広汎性発達障害に気づく人もいます。PDD-NOSの原因特定不能の広汎性発達障害(PDD-NOS)は、その名の通り特定の原因は不明とされています。現段階では正確な原因は解明されていませんが、脳機能の障害により症状が引き起こされるといわれています。その脳機能障害は、先天的な遺伝要因と、様々な環境要因が複雑かつ相互に影響し合って発現するというのが現在主流となっている説です。また、かつて言われたような親のしつけや愛情不足といった子育てのしかたによるという説は、医学的に否定されています。PDD-NOSかなと思ったら…?出典 : 上記で述べた症状や特徴などが見受けられる場合、専門家に判断してもらうことをおすすめします。ですが、いきなり専門医に行くことは難しいので、まずは無料で相談できる身近な専門機関の相談窓口を利用するのがおすすめです。また、1歳半や3歳児健診などの乳幼児健康診査がある場合は、医師や専門家もいるのでその際に相談してみるのもよいでしょう。子どもか大人かによって、行くべき専門機関が違うので、以下を参考にしてみてください。【子どもの場合】・保健センター・子育て支援センター・児童発達支援事業所・発達障害者支援センター・児童相談所など【大人の場合】・発達障害者支援センター・障害者就業・生活支援センター・相談支援事業所など児童相談所などでは無料で知能検査や発達検査を受けられることも多いので、児童相談所で相談するパパ・ママも多くいます。まず身近な相談センターに行って、診断をすすめられたら、そこから専門医を紹介してもらいましょう。自宅の近くに相談センターがない場合には、電話での相談にのってくれることもあります。以下のリンクにおいて全国の発達障害者支援センターを検索できます。発達ナビ地域情報|発達障害者支援センターの施設一覧・どの診療科にいけばいいの?PDD-NOSの診療が可能な診療科は、小児科、精神科、児童精神科、小児神経科、心身医療科、心療内科、発達障害外来など、病院により様々な名前となっています。どの病院に行けばいいか少しでも迷った場合は、まずは市町村の窓口や都道府県等の発達障害者支援センター等の相談窓口に電話で相談することをおすすめします。大人になって検査・診断を初めて受ける場合には、精神科や心療内科、大人もみてくれる児童精神科・小児神経科や精神科など専門の医療機関を受診することが一般的ですが、大人の発達障害を診断できる病院はまだ数が多くありません。上記の相談機関で紹介してもらえるほか、医師会や障害者支援センター、発達障害者支援センターなどでも調べることができます。発達障害の専門機関は他の病気に比べると少ないですが、発達障害者支援法などの施行によって年々増加はしています。以下のリンクは発達障害の診療を行える医師の一覧です。この他にも、児童精神科医師や診断のできる小児科医師もいます。担当者との相性も大切なので、納得のいく医療機関を選ぶようにしましょう。日本小児神経学会 「発達障害診療医師名簿」発達ナビ地域情報|病院(発達障害の診療可)の施設一覧・ 診断・検査の流れ本人や保護者に対する問診(面接)や行動観察、家族・学校の先生による提供情報の精査などと、専門機関によっては知能検査や発達検査などを実施する場合もあり、筆記や口頭質問などの検査が行なわれ、様々な情報を総合的に評価して診断されます。検査は複数回に分けて行なわれたり、慎重に経過を見ながら行われるため、一度の受診で診断されることはあまりありません。知能検査は、田中ビネー知能検査Ⅴ(ファイブ)やウェクスラー式知能検査(3歳10ヶ月〜7歳1ヶ月の幼児の場合は「WPPSI」、5歳から16歳11ヶ月の子どもは「WISC」、16歳以上の成人の場合は「WAIS」)などの検査を受けることによって検査結果がでます。特性の現れ方や発達段階などを評価するため「CARS」や「新版K式発達検査2001」、「PEP-R」などを行う場合もあります。・診断に必要な準備や持ち物初診時に必要な物として保険証、子どもであれば母子手帳などがあります。服用中の薬などがあれば、お薬手帳なども持っていくとよいでしょう。また、生育や発達歴についての問診がありますので、言葉を話し始めた時期や日常生活での困りごとなどをメモして持っていくと質問に答えやすいかもしれません。発達外来などの専門機関によっては保育園や幼稚園の連絡帳、小学校の通信簿やホームビデオなどを参考にする場合もあります。事前に問診票をプリントアウトして持参する機関もありますので、専門機関の公式ホームページをチェックしたり、予約時に電話にて必要な持ち物を問い合わせてみてください。PDD-NOSは治療できるの?出典 : 広汎性発達障害のひとつであるPDD-NOSの根本治療はできませんが、症状を緩和するためには療育的アプローチと薬物療法の2つが効果的です。療育とは、障害のある子どもが社会的に自立できるように行う、治療と教育を組み合わせた発達支援の取り組みのことです。自分の問題を自分で解決できるようになるには、療育によりコミュニケーションスキル等の能力を身につける必要があります。療育は何歳からでも始めることができ、なるべく早くから通うことで、その子に合った学び方や人との関わり方を見つけやすくなります。療育とは医療、訓練、教育、福祉などの現代の科学を総動員して障害を克服し、その児童が持つ発達能力をできるだけ有効に育て上げ、自立に向かって育成することである。(出典:療育と教育の接点を考える|障害保健福祉システムHP)療育とは何か|LITALICOジュニアHP広汎性発達障害そのものを根本的に治す薬はありませんが、特定の症状を緩和するために使用することがあります。薬によって開始できる年齢や症状が決まっており、人によって副作用がある場合もあるので、主治医とよく相談し、用法用量を守って服薬していくことが大切です。薬物療法は、症状を一時的に抑えるためのものであり、症状が軽減している間に、その子の課題に応じた支援を行い、自分に合った学び方や人との関わり方の獲得を促していくと効果的であるともいわれています。PDD-NOSの場合、障害者手帳は取得できるの?出典 : 障害者手帳の取得により、就職時に障害に応じた配慮を受けやすくなったり、税金面での控除や医療費助成を受けたりすることができます。・療育手帳PDD-NOSと診断されただけでは療育手帳付与の対象とはなりません。しかし、療育手帳を申請し、知的障害を有すると認められた場合は療育手帳が取得できます。・精神障害者保健福祉手帳精神神経症状をともなう発達障害は、精神障害者保健福祉手帳の交付対象となります。そのため、PDD-NOSの症状によって、長期にわたり日常生活又は社会生活への制約があると認められた場合は、精神障害者保健福祉手帳を受けることができます。もし、知的障害と精神障害のどちらも有すると判断された場合は、療育手帳と精神障害者保健福祉手帳を両方取得することは可能です。まとめ出典 : 特定不能の広汎性発達障害)も、他の広汎性発達障害と同じく、早めに症状に気づくことで、療育や通院といった専門的な支援につながりやすくなります。お子さまの発達に何か違和感を覚えた段階で、お住まいの地域の発達障害者支援センターなどの相談窓口に連絡を取ることをおすすめいたします。専門家や支援機関のアドバイスも参考にしながら、子どもの課題に応じた支援を受け、その子らしい学び方、過ごし方を身につけることを応援していきましょう。
2016年11月21日学校の授業についていけなかった長男。一体何に困っているのだろう…?出典 : 現在小5の長男は、「読む」「書く」「計算する」などが特に苦手な、「学習障害」と診断されています。6歳のときにADHDを疑われた経緯でWISKⅢなどの知能検査を受けましたが、そこでは「項目ごとの凸凹が激しい」という指摘を受けたものの、IQは平均以上と言われました。なので「通常級で大丈夫でしょう」ということで、通常級に入学したのですが、本格的な学校の授業が始まると、・音読がつっかえつっかえで、読み飛ばしがある・ひらがな、カタカナ、漢字がなかなか覚えられない・字を書くのにとても時間がかかり、マスをはみだしたり形を間違えていたりする…などといった困りごとが徐々に現れ始めました。読み書きは練習すればできると思っていた出典 : 授業で失敗を繰り返しながらも、なんとか頑張ろうとするので、学校から帰ると疲れてぐったりすることが増え、そのうち「ぼくはダメだ、最低だ」とパニックのように大泣きする日々が続きました。IQは問題ない。興味のあることなら1度見たり読んだりしただけで覚えてしまうほど記憶力の高い長男。…なのに、どうして「読む」「書く」がこんなにできないんだろう?私たち親は、長男が学習で困る理由がわかりませんでした。できるようになるのに時間がかかるだけ?それなら少しずつでも練習させるしかないのだろうか?そう思い、泣いて嫌がる長男に「量を減らしてもらってるんだから、がんばりなさい!練習しないとできるようにならないよ!」と、きつく叱りつけて勉強をやらせることもありました。そして、先生からの突然の指摘。疑いもしなかった視力の問題に私は…出典 : そんなある日のことです。通級学級の先生にこう言われました。「この子は、目の動きがよくないように見えます。本を読むときも目で文章を追えないので、読み飛ばしをしているように思います。1度、視覚認知の検査をしてもらってはどうでしょうか。」え!?視覚に問題があるの?先生の指摘を受けた私はドキッとしました。実は長男は上下斜視で、就学前に2回外科手術をしているのです。そういった経緯で半年に1度は眼科で検診を受けているのですが、「視力は順調に育ってます」と言われ、何の心配もしてこなかったので、まさか…という気持ちでした。先生からのこうした指摘には、正直半信半疑ではありました。でも、長男を少しでも楽にしてあげたい一心だった私は、病院を調べ受診することを決めたのです。長男を助けたい一心で、視覚発達支援センターを受診出典 : ネットの口コミや、かかりつけの療育病院の先生の情報をもとに受診したのが、千葉県浦安にある「かわばた眼科」の「視覚発達支援センター」でした。そこで詳細な検査をしていただいた結果、次のようなことがわかりました。・ひとつのものを両眼でとらえることが難しく、立体視(ものの浮き上がりや奥行きを感じる機能)ができていない・動いているものを目で追ったり(追従性眼球運動)、一点から一点に視線をジャンプさせて交互に見たり(衝動性眼球運動)などの、基本的な眼球運動に迷いが多く正確さに欠ける・手と眼の協応(眼からの情報と連動して手を動かす能力)や空間認知(空間におけるものの位置や方向を認知する能力)に苦手がある特に学習に関して、眼球運動に迷いが見られることは「読む際の文字の重ね読み、行の飛ばし」につながり、眼と手の協応の苦手は「枠内にバランスのよい文字を書く」「手先をコントロールして工作などの課題を行う」ことの困難につながるのだそうです。また、空間認知の苦手さは「漢字の偏とつくりの位置を覚える」「算数の筆算で数字の桁を間違えずに計算する」などの困難につながります。その他にも、読み書きに必要な視機能や視覚認知機能の多くに落ち込みが見られ、「読む」「書く」ことの苦手につながっているとのことでした。出典 : 正直、これらの診断結果には思いもつかなかったことばかりで驚きました。目の機能というのは「視力」としか考えていなかった私ですが、こんなに細かく様々な機能があって、それらのうち少しでもうまく働かないと、こんなに学習が困難になるんだ…。でも同時に、ホッとしました。もちろん、長男の問題は視覚認知だけではなく、ワーキングメモリの未熟など、他にもあります。それでも原因がわかったことで、長男の辛さを少しでも楽にしてあげられる対策が立てられるのではないか?と思ったからです。かわばた眼科視覚発達支援センター支援センターで紹介された「ビジョントレーニング」。一体何をトレーニングするの?出典 : そして、支援センターから提案されたのが「ビジョントレーニング」でした。からだの情報源である眼は、脳の活動全般に多大な影響を与えます。よって、眼は脳の一部が外に出ている器官であるといえます。ビジョントレーニングではこの眼の諸機能を鍛えることによって脳を活性化させるとともに、集中力・判断力・情報処理能力など、様々な能力を高めていきます。ビジョントレーニングは欧米で約80年の歴史があり、学習障害(LD)や注意欠陥多動性障害(ADHD)の子供たちの改善・克服からプロスポーツ選手のパフォーマンス向上に至るまで、多くの人々の能力向上に用いられています。鍛えたい機能によっていろんなトレーニング方法がありますが、ここでは長男が支援センターから勧められ、行ってきたトレーニングをご紹介いたします。長男が使っていたワークテキストはこちらです【視覚発達支援ドリルシリーズ】これらのトレーニングは小4から始めました。もともと書くことに苦手意識のある長男。ワークをすること自体が苦痛な様子だったので、先生に相談をし、宿題の代わりに家庭学習としてワークを認めていただきました。少しずつ現れ始めた、ビジョントレーニングの効果Upload By みくたくママUpload By みくたくママUpload By みくたくママUpload By みくたくママ始めてから1年ほどで、普段の書字にも成長がみられるようになりました。Upload By みくたくママUpload By みくたくママ現在、「書く」という負担を減らすため、タブレットによるビジョントレーニングアプリを使っています。出典 : 努力だけでは補いきれない困難さもある。「なぜ苦手なのか」を調べ、子どもに寄り添って出典 : ただ「読むのが苦手」「書くのが苦手」と思っていた頃には、練習をしなくては上達しない、と思っていました。ですが、なぜ苦手なのかを知らずに、ただただ苦手なことを練習させても、子どもにとっては苦痛でしかありません。通級の先生から聞いたお話があります。「通級に来る保護者に話を聞くと、みな『漢字を書けるようにしてください』『計算できるようにしてください』と結果ばかりを求めてくるのね。でも大事なのは、『なぜ苦手なのか』を知ること、そこから始めなくてはいけないの。だから、私たち通級の教員はまず観察や分析を通してそれをつかみ、それをもとに対策をたてる。時間がかかるものなのよ。1番大事なのは、子どもに寄り添うこと。子どもだってがんばってるもの、どうしてできないかを理解し、どうしたらできるようになるかを教えてあげるのが、私たちの仕事なのよ。」子ども1人ひとり、きっと原因はちがいます。なぜ苦手なのか、観察したり場合によっては病院や療育機関の検査を利用して調べてみることをお勧めします。調べることで、どうしたらよいか?道が見つかると思います。
2016年11月21日精神障害者保健福祉手帳とは?出典 : 精神障害者保健福祉手帳とは、所持している人が一定程度の精神障害がある状態であることを認定するものです。精神障害のある方が自立し、社会参加を積極的に行えるよう、様々な制度やサービスの利用をしやすくすることを目的にしています。精神障害者保健福祉手帳は1995年10月に制定されました。療育手帳、身体障害者手帳より比較的新しくつくられた制度です。各都道府県と政令指定都市によって発行され、平成24年度末の統計で69.5万人を超える人が交付を受けています。精神保健及び精神障害者福祉に関する法律精神障害者保健福祉手帳の交付者数l 内閣府精神障害者保健福祉手帳は、療育手帳や身体障害者手帳と比べて受けられる制度の条件が厳しかったり、サービス自体が限られている場合があったりすることで、取得するべきかどうか悩んでいる方も少なくはないようです。しかし、精神障害者保健福祉手帳制度は、取得することで様々なサービスや割引・給付が受けられるようになるほか、教育を受けたり就労するにあたり配慮や支援を受けやすくもなる、とても便利な制度です。高機能自閉症などの発達障害である場合、知能指数が判定基準を上回るために療育手帳の交付が認められない場合があります。その際にも、自閉症の症状による日常生活の困難度合いが大きかったり、二次障害としての精神障害が現れていたりするときは、精神障害者保健福祉手帳を取得できる可能性があります。精神障害者保健福祉手帳交付の対象となる疾患出典 : 精神障害者保健福祉手帳は、何らかの精神疾患により、長期にわたり日常生活又は社会生活への制約がある方を交付対象としています。対象となる精神疾患には、次のようなものが含まれます。・統合失調症・非定型精神病・そううつ病・てんかん・中毒精神病・精神遅滞を除く器質精神病・高次脳機能障害・精神神経症状をともなう発達障害発達障害に関しては、世界保健機関(WHO)の『ICD-10』(『国際疾病分類』第10版)において精神疾患のカテゴリーに含まれていることもあり、精神障害者保健福祉手帳の交付対象となっています。しかし、二次障害による精神症状の有無など、交付判定に細かい基準が設けられているため、詳しいことはお住まいの市区町村に相談することをおすすめします。また精神障害者保健福祉手帳を受けるためには、精神疾患があると診断された日から6ヶ月以上経過していることが必要になります。『ICD-10精神科診断ガイドブック』 2013年 中山書店/刊精神障害者保健福祉手帳の区分と判定基準は?出典 : 精神障害者保健福祉手帳の区分は3つに分けられており、1等級から3等級まであります。・1級....精神障害であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの(概ね障害年金1級に相当)・2級....精神障害であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの(概ね障害年金1級に相当)・3級....精神障害であって、日常生活若しくは社会生活が制限を受けるか、又は日常生活若しくは社会生活に制限を加えることを必要とする程度のもの(概ね障害年金3級に相当)みんなのメンタルヘルスl厚生労働省実際に日常生活などにおいてどのような問題を抱えている場合に、精神障害者保健福祉手帳の交付対象となるのか、詳しい判定基準を紹介します。◇1級:精神障害によって、常に誰かの援助がなければ生活を送ることが難しいと感じられる状態です。例えば外出や食事の用意、入浴などの身の回りのことを一人では行うことができません。◇2級:誰かの助けがなくても一人で外出したり、障害者自立支援法に基づく就労支援、小規模作業所などに参加して単純な仕事をしたりすることはできます。しかし、予想外の出来事の発生など、少なからず本人がストレスを感じる状況に直面した場合には対処しきれない傾向があります。日常生活では食事をバランス良く用意するなどの家事をこなすために、誰かのアドバイスや助けを必要とし、部屋の片づけや身の回りをきれいに保つことを一人で行うことを難しいと感じる傾向があります。◇3級:一人で外出したり、障害者自立支援法に基づく就労支援や、小規模作業所などに参加したりすることができます。それに加えて一定の配慮がある職場では、一般就労ができる場合もあります。しかし、本人が過大なストレスを感じる状況に直面してしまった場合に一人で問題を解決することが難しい傾向があります。これらの判定基準はあくまで目安です。申し込みをしてから各都道府県・政令指定都市と市の精神保健センターでの審査があり、そこで何級に当てはまるかが初めて決まります。例えば判定基準が2級に当てはまっている上に、医師から2級相当の症状があると診断された場合でも、2級の精神障害者保健福祉手帳を取得できるとは限りません。その後の精神保健センターでの審査で3級と認定されてしまう場合も少なからず発生してしまう場合があります。不安な場合はかかりつけの医師や自治体に相談しましょう。精神障害者保健福祉手帳の障害等級の判定基準について精神障害者保健福祉手帳のメリット①保育・教育・就労面の援助出典 : 精神障害者保健福祉手帳を所持していることにより、様々なサービスへの申請や利用のやりとりを円滑にすることできます。保育、教育、就労面での援助を受ける上で、精神障害者保健福祉手帳はいわゆる“パスポート”のようなものだと言えるでしょう。◇保育園への入園自治体によっては、子ども本人や保護者が精神障害者保健福祉手帳を持っている場合や、精神障害者保健福祉手帳を持っていて介護が必要な家族がいる場合に、入園の優先順位が高くなり、入園しやすくなることがあります。◇特別支援学校への入学特別支援学校への入学を希望する場合、出願の際に子どもの障害の程度を証明するものとして、精神障害者保健福祉手帳の写しの提出が必要になる場合があります。精神障害者保健福祉手帳の所持者は、特定求職者雇用開発助成金や障害者トライアル奨励金、障害者雇用奨励金などの支給対象となる場合があります。加えて、就労移行支援を利用したい場合に、障害があることを示す資料として提示することができます。就労移行支援を利用することができれば、スタッフによる支援を受けながら、精神障害による症状や困難も踏まえて自分に合った仕事をさがすことができます。また、精神障害者保健福祉手帳の所持者は、一般枠での雇用枠だけでなく、障害者雇用枠への求人応募ができるなど、就労の可能性が広がります。精神障害者保健福祉手帳のメリット②各種サービス・割引を受けられる出典 : 精神障害者保健福祉手帳の提示で様々なサービスが受けられます。以下に代表的な割引やサービスをご紹介します。精神障害があり、日常生活を送る上で支障がある方への支援を行っている事業です。市区町村が地元の事業所と協力して提供しているサービスとして、ホームヘルプサービスなどがあります。ホームヘルプサービスとは精神障害があり支援を希望している家庭にホームヘルパーが伺い、掃除、洗濯、調理などの家事援助をしたり、買い物の付き添いなどの身体介護および通院などの付き添いの外出介護などを行ったりするサービスです。これらのサービスを受けるために必ず精神障害者保健福祉手帳を持っている必要はありませんが、所持していることで、申請を比較的スムーズに行えるようになる傾向があります。しかし、申請方法やサービスは市区町村によって異なる場合があるため、お住まいの自治体に問い合わせることをおすすめします。精神障害者居宅生活支援事業の実施についてl 厚生労働省居宅生活支援やその他のサービスについてl 大阪府松原市精神障害者保健福祉手帳の所持に加え、ある一定の条件を満たしている場合は、以下の各種サービスで利用料の割引・減免が受けられる場合があります。◇NHK放送....受信料の全額又は半額が免除されます。◇公共交通機関の運賃割引・減免....バス、電車、タクシーなどの公共交通機関は精神障害者保健福祉手帳を提示することにより割引、減免になる場合があります。しかしJRや航空運賃の割引の適用を受けることはできなかったり、自治体によって制度が異なるため注意が必要です。◇携帯電話の割引....docomo、au、softbankなど携帯会社による料金の割引制度があります。ハートフレンド割引l Softbankスマイルハート割引l au KDDIハーティ割引l docomo◇公共料金の割引・減免....水道代などの公共料金の基本料金が減免される場合があります。条件や割引金額は自治体によって異なる場合があるため、確認することをおすすめします。水道料金等の減免l 横浜市健康福祉局精神障害者保健福祉手帳の区分によっては、医療機関等で診療を受けた際の医療費の一部が助成対象となる場合があります。現在、主に該当する人は1級の精神障害者保健福祉手帳を所持している方です。災害発生時に1人で避難することが難しい障害のある方に対して、身の安全を確保するための「災害時要援護者支援制度」を実施している自治体が数多くあります。精神障害者保健福祉手帳の区分などの条件を満たせば、この制度の対象者となることができます。遊園地やプール、映画館などのレジャー施設には、精神障害者福祉保健手帳を持っていると無料になったり割引が受けられる施設があります。また、利用がスムーズになるよう配慮やサービスを受けられる場合があります。上記のサービス以外にも自治体によって様々な支援策があるため調べてみるのもよいでしょう。障害者手帳で行こう!l 一般社団法人シンシン精神障害者保健福祉手帳のメリット③税の減免・控除や給付に役立つ出典 : 精神障害者保健福祉手帳は、金銭面でのサポートを受けるためにも有効です。精神障害者保健福祉手帳を持っている人が対象になりうる主な制度をご紹介します。精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている人で障害の程度が1級と表示されている人は特別障害者、2級または3級と表示されている人はそれ以外の障害者として障害者控除の適用を受けることができます。年末調整や確定申告時に忘れずに申告しましょう。◇所得税の控除納税者本人が障害者であるときは、障害者控除として27万円(特別障害者のときは40万円)が所得金額から差し引かれます。控除対象配偶者又は扶養親族が障害者のときは、1人当たり27万円(特別障害者のときは1人当たり40万円)の障害者控除等を受けられます。控除対象配偶者又は扶養親族が特別障害者で、納税者またはその配偶者もしくは納税者と生計をともにする親族のいずれかと常に同居しているときは、障害者控除として1人当たり75万円が所得金額から差し引かれます。◇住民税の控除住民税の場合、障害者控除は26万円(特別障害者に該当する場合は30万円)を控除することができます。◇相続税の障害者控除相続人が障害者である場合は、85歳に達するまでの年数1年につき10万円(特別障害者のときは20万円)が障害者控除として相続税額から差し引かれます。◇自動車税・軽自動車税の減免、自動車取得税の減免精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている方が使用する車について、本人が1級の手帳を持っているなどの一定の条件を満たす場合は、申請により自動車税・自動車取得税の減免を受けることができます。◇預貯金が非課税の対象となる(マル優、特別マル優)精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている人が銀行などの350万円までの預貯金、貸付信託、公社債、公社債投資信託などで受け取る利子などについては、一定の手続を要件に非課税の適用を受けることができます。これをマル優、特別マル優と呼び、預け入れ等の際に金融機関の窓口などに確認書類として手帳を提示して確認を受ける必要があります。◇特別障害者手当精神または身体に著しく重度の障害があり、日常生活において常時特別の介護を必要とする特別障害者に対して手当が給付されます。主に特別障害者の負担の軽減や、福祉の向上を図ることを目的にしています。重度の精神障害者保健福祉手帳を持っている人については、特別障害者手当受給申請時の診断書の提出を省略できる場合があります。特別障害者手当は、精神または身体に著しく重度の障害がある在宅の20歳以上の方に支給されます。目安としてはおおむね身体障害者手帳1、2級程度及び重度の精神障害が重複している方、もしくはそれと同等の疾病・精神障害のある方です。支給額は月額26,830円ですが、病院又は診療所に継続して3ヶ月を超えて入院されている方、施設等に入所されている方は支給されません。また、所得制限があり、申請者の所得が所得限度額を超える場合や、受給者の配偶者・扶養義務者の所得が所得限度額以上であるときは、手当は支給されません。特別障害者手当l 厚生労働省精神障害者保健福祉手帳の交付によるデメリットはあるの?出典 : 精神障害者保健福祉手帳は、療育手帳、身体障害者手帳より受けられるサービスや支援策が少なく限られている場合があります。また、周囲の理解が得られないかもしれないという不安から、精神障害者保健福祉手帳を所持していることを知られたくないと考える人や、取得することをためらう人も少なくないようです。ですが、精神障害者保健福祉手帳を所持していることを職場や身近な人に伝えなくても、受けられるサービスはたくさんあります。精神障害者保健福祉手帳は2年おきに更新し続けることにより、一生を通して様々な割引やサービスを受けることができますが、手帳を取得してから特にこれらのメリットを感じないと判断する場合、更新時に返還することもできます。手帳の返還手続きを行ったのちは、登録されている生年月日や交付番号は削除されるなどの多くの配慮がなされています。そのため、精神障害者保健福祉手帳を取得するデメリットは、実際のサービス利用等に関しては比較的小さく、周囲の理解が得られないなどの心理的・社会的な懸念によるものが中心となると言えます。不安な人は、手帳を所持していることをどこまで周囲に伝えるかを、身近な人やカウンセラーなどに相談してみると良いでしょう。精神障害者保健福祉手帳の申請方法は?出典 : 精神障害者保健福祉手帳は、病院で精神疾患があると診断された日から6ヶ月以上経過して、初めて申請することができます。病名変更や転院がある場合には医師にご相談ください。提出された書類を審査し、2ヶ月程度で発行されます。診断書記述料は病院によってそれぞれですが、一定の金額を助成してくれる制度がある自治体もあるため確認してみるとよいでしょう。障害者手帳交付診断料支給要綱l 秋田県横手市Upload By 発達障害のキホンステップ1:区市町村の障害福祉担当窓口の方に申請したい旨を伝え、説明を受けて必要書類の様式をもらいます。Upload By 発達障害のキホンステップ2:申請に必要な書類を揃えて役所の窓口に行き、申請します。必要書類の一つ、障害者手帳用診断書には2つの条件があるため注意してください。・医療機関での初診日から6ヶ月以降に作成されていること・作成日が申請日から3ヶ月以内のもの年金証書の写しの提出が必要になるのは、精神障害による障害年金もしくは特別障害給付金を受給している場合に限ります本人の写真は縦4cm×横3cm、脱帽・上半身で撮影します。申請した日から1年以内に撮影したものに限ります。裏面には氏名・生年月日を記入する必要があります。平成28年1月よりマイナンバー制度が開始したため、個人番号(マイナンバー)や身元確認のできる書類が必要となりました。身体障害者手帳には個人番号(マイナンバー)は表示されません。精神障害者保健福祉手帳l 東京都福祉保健局精神障害者保健福祉手帳制度の注意点出典 : 精神障害者保健福祉手帳は取得後も定期的に更新が必要です。更新は2年ごとにあり、有効期限の3ヶ月前から申請できます。その際には新規申請のときと同様の必要書類と、現在交付されている手帳の写しが必要となります。また有効期限内に精神障害の状態が悪化したり、障害年金の等級が変更となったりした場合には、障害等級の変更を申請することができます。精神障害者保健福祉手帳l 山口県岩国市まとめ出典 : 精神障害者保健福祉手帳は所持している人が、一定程度の精神障害がある状態にあることを認定するものです。精神障害を抱えている人が自立し、社会活動に積極的に参加できる暮らしやすい社会を実現するために、手帳を持っている方々には様々な支援策がもうけられています。精神障害者保健福祉手帳は1級から3級まで区分が分かれており、受けられる支援は区分や自治体によっても異なります。療育手帳や身体障害者手帳と比べて支援がまだ不十分な面もありますが、早期に精神障害者保健福祉手帳の交付を受けることで、いち早く適切な支援が受けやすくなります。外出がしやすくなったり、生活がしやすくなったり、金銭面での割引や給付などの社会の援助やサービスが受けられることも魅力です。記事を読んで興味や必要を感じたら、お住まいの福祉事業窓口に相談しに行ってみてください。
2016年11月20日「発達障害の特徴」って言われても…息子に当てはまってるのか、全然わからない!出典 : 発達障害という言葉を初めて聞いたとき。「もしかしたらこの子も…?」と考えた私は、「発達障害の子どもの特徴」と言われるもののチェックリストに息子の行動が当てはまるかどうかを確かめてみました。例えば、「こだわりが強い」。…「こだわり」?「こだわり」と聞いても「こだわりの逸品」というフレーズくらいしか思いつかなかった私は、「息子にはんなもの無い無い!」とまったくピンときませんでした。それから、「回転するものが好き」。…「ぐるぐる回ること?」いやぁ、子どもってぐるぐる回りたがる時期みんなあるよねー?他には、「環境の変化に弱い」。劇的に環境変わったのは、息子が3歳のときの引越しくらいかな?うーん、そのころはまだ小さかったしなぁ…他には幼稚園入園?母子分離も全く平気だったし、これもあてはまらなそう。などなど、「発達障害の特徴」と実際の息子の行動とをどう重ねて良いやら分からず、診断云々の前にこんなところでいきなりつまづいてしまいました。そんな私が「発達障害って、こういうことだったんだ!」と腑に落ちるきっかけとなったある2冊の本をご紹介します。発達障害って言われても、どうもピンとこない!そんなときに出会った2冊の本出典 : まさか!うちの子アスペルガー?―セラピストMママの発達障害コミックエッセイアスペルガー症候群と診断された息子さんがいる、佐藤エリコさんのコミックエッセイです。この本の中のある1ページに、「そういうことだったのか!」と納得したのです。Upload By Chie私もまさにコレでした(笑)。本当にこのお母さんと同じように、車輪を回す息子の様子を特におかしいとも思わず見ていました。発達障害の子どもの特徴として、「回転するものを好み、回転するものをじっと見つめる」などと書いてあるのをよく目にしますが、まさか息子の遊びがそういう表現・言い回しでチェックリストの中に存在するとは思いもしなかったのです。出典 : ベンとふしぎな青いびん―ぼくはアスペルガー症候群 (あかね・新読み物シリーズ)こちらの本は、物語のような読み物になっています。うるさいことが苦手、突然新しい家へ引っ越すことへの不安、限定されたモノへの興味や情熱、深い知識…この本を読んで、発達障害のある本人の考え方や目線、行動の意味などが本当によく分かりました。そして、周囲の大人たちの接し方など参考になるのはもちろん、お話としてもとても微笑ましく読みやすい内容です。アスペルガー症候群のある主人公のベンが遭遇した困難を息子に当てはめて、「こんなことが起きたらどうする?」と息子に尋ねることで、やっと息子の行動の意味や、実はこんなことも苦手だったのかと気づくことができました。もっと早く気づけたかも…そう思うこともあるけれど出典 : これらの2冊の本はどちらも「アスペルガー」に焦点を当てたものになりますが、息子の主たる診断名は「ADHD」です。ですがこうして調べてみると、「ADHD」も人それぞれで、アスペルガーや他の発達障害の特徴も息子の場合は多く持っていることがわかります。私はこうしてこの2冊を読んで初めて、息子の行動が発達障害の傾向に重なることを見出していきました。普通の育児書や母子手帳、健診時の問診票にも、「発達障害の特徴」として抽象的な表現ではなく、もっと実感として手に取るように分かる書き方がしてあったら、もしかしてずっと前に気付いて疑うことができたのでは?と思ったものでした。「発達障害」ということにとらわれ過ぎるのも良くないと私は思うのですが、発達障害って結局どういうこと?と実感が湧かず、わが子の姿と重ねられずに悩んでいるときには、こうした本もオススメですよ。
2016年11月20日「どうしたら一緒に遊べるの?」わからなくて独りぼっちだった幼児期出典 : 私と娘は親子揃ってアスペルガー症候群です。娘の診断をきっかけに、私も42歳で診断を受けました。今回は、私の学生時代を振り返りながら、その特性ゆえに友達作りで苦労したお話をご紹介します。私の母に言わせると、私は昔から友達ができない子どもだったそうです。幼稚園は1年しか行きませんでしたが、入園したとたんにつまづいてしまいました。いつの間にかクラスの子たちは打ち解けて自然に遊んでいるのですが、どうしたらああなれるのかもわからず、「一緒に遊ぼう」の一言が言えなくて、1人で遊ぶことが多かったのを覚えています。というか、仲良く友達と遊んだ記憶がないんですよね。先生は厳しい人で、松ぼっくりを蹴って遊んでいたら「松ぼっくりさんがかわいそうでしょ!」と怒られたことを覚えています。どうして松ぼっくりがかわいそうなのかいまだにわかりません…。幼稚園が楽しいとは、1度も思ったことはありませんでした。自分の言いたいことが言えない…!キレると拳で反撃していた小学生女子出典 : 小学校に入ってすぐに、印象的な出来事がありました。女子数人に次々に悪口を言われたのですが、悔しくて言い返そうとしても頭が真っ白になって何も思いつかないのです。悔しさのあまり、思わずその子たちを突き飛ばすと、帰りの会で「先生、ヨーコちゃんが○○ちゃんを突き飛ばしました」と言われました。先生は真相を確かめずに「ヨーコちゃんは謝って下さい」と言いました。私は悪口で何倍も心にパンチを受けたのに…。このときの「ごめんなさい」で、「女の子なんて大嫌い!!」「もう女の子とは関わらない!」と私の心は決まりました。それからはできるだけ男の子を相手に遊んでいたのですが、男子からもからかわれたりすることが多く、言葉で言い返せない私は暴力を振るうようになりました。気が付けば弟子入り志望の下級生が出てくるほどのケンカ常習犯に。友達が殴られたときも、問答無用でその男の子を投げ飛ばし、先生に追いかけられてトイレに逃げ込んだことを覚えています。でも、いつもそういうことばかりしていたわけではありません。一応女の子のグループにも入っていました。でも、仲間外れや分裂を繰り返し、自分たちだけにしかわからない言葉でしゃべったり…女の子同士の独特の付き合い方には、嫌悪感しか感じられなかったです。だから小学生時代もいい思い出はほとんどなく、卒業できてホッとしたのを覚えています。部活に没頭した中学校時代。他者との価値観の違いにはドライに対応出典 : 中学では剣道部に入り、すっかり武道の面白さに目覚めた私。なぜかと言えば、型から入り型で終わる武道は、アスペルガーである私の特性にとても合っていたのです。仲間と協力し合わなくても完結するのが、心地良かったですね。一緒に部活に入った子たちとも、最初は仲良くなって中学生らしく長電話を楽しんだりしていたのですが、部活に対する熱意の違いでいつの間にかぎこちなくなり、ライバル関係になってしまいました。昔から、人間関係が辛くなってきたらバッサリと切ってしまうか、自分から去っていくかのどちらかの方法ばかり選んできました。我慢してまで守りたい人間関係ではなかったし、修復する方法もわからなかったのです。友達は一応いたけれど、失って立ち直れなくなるほど執着を持ったことはありませんでした。キレやすさは相変わらず。でも、ルールに縛られずに過ごせた高校時代出典 : 高校は自由な校風で私服通学でした。同じ中学から進学した子はほとんどおらず、地元の狭い世界から解き放たれ、やっと一息ついたという感じでした。高校ではテニス部に入り「普通の子らしく」頑張っていましたが、先輩からの理不尽な嫌がらせにキレて、1年の夏休み明けには退部してしまいまいました。頭にきても手を出すことは中学でやめたのですが、カチンと来たときに言葉で相手に気持ちを伝えることは、いまだに苦手です。「なんでやねん!」と毎回思いますし、悔しい気持ちもあります。こうなると、行動に出るまでです。「黙って我慢する」「服従する」という言葉は私の辞書にはありません。大人になってもその傾向は変わらず、理不尽だと思ったら怒ってやめる、ということを繰り返してました。だんだん少しは「我慢する」ようになりましたが、それでも私の我慢の許容量は人よりはるかに小さいのです。出典 : 高校2年生から、学校の中にいるのが嫌になってしょっちゅう抜け出すようになりました。居場所は近所の喫茶店や、大きな公園、パチンコ屋。同級生と話すより、喫茶店のママやマスター、公園にいる路上生活の人と話したり、パチンコ屋の閉じられた世界に身を置く方が楽しかったのです。高校は3年間同じクラスで担任も一緒でした。担任の先生は途中から登校していつの間にかいなくなる私を気にかけ、親と話したり、私と話す時間を取ってくれました。「お母さんがしっかりしているからこの子は大丈夫」と親に言ってくれ、私が下手な嘘をついても、何もかも見抜いていながら泳がせてくれた先生には本当に感謝しています。もし当時、世間体やルール重視の指導をされていたら、私はきっと高校を中退していたことでしょう。大学生になり、始めて知った「人と付き合う楽しさ」出典 : 地元を離れ、他府県の大学に入った私。最初は友だちもできず寂しくて「別の大学に入り直そうか」と思ったくらいでしたが、軽音楽部に入ってから毎日が楽しくなりました。部活では、個性的な仲間と無理することなく打ち解けることができましたし、そこで初めて「しゃべり方が怖い」など、私の欠点を真っすぐに指摘してくれる人にも出会うことができました。下宿先では、夜通し友達とまじめな話をしたり遊びに行ったりと、「学生らしい」生活を堪能して、初めて人といることの楽しさを味わうことができたように思います。ありのままでいられる人間関係だってある。不登校の娘にも知ってほしいこと出典 : きっと、大学くらいになると友達付き合いが成熟してくること、友達も大人になって「ちょっと変わった子」の私と向き合う余裕ができたからなのでしょう。だからもし叶うことなら、娘にも大学に行って、友達とバカなことをしたり羽目を外す楽しさを味わってほしいなぁと願っているのです。大学時代の、成熟していながらも何事にも縛られない付合いって、この時期にしか味わえないものだと思うから。
2016年11月18日息子の障害は言えない…周囲からの批判的な目に怯えていた私出典 : 皆さんは、子どもに発達障害があるとき、入園予定の幼稚園や保育園、習い事などで、障害についてカミングアウトしますか?私は必ず、「うちの子は発達障害があります」という話を、一番最初に言います。けれども3年前、息子に診断が下りたばかりの頃、私は息子に何をやらせるにも、発達障害ということを周囲に隠していました。その理由は、「発達障害と知られたら断られるかもしれない」「周りから差別されるかもしれない」「私の育て方が悪いと言われるかもしれない」といった恐怖心があったからでした。そして、息子の特性が絶対にバレないように…ということに集中し、常に気を張っていました。ただでさえ息子が発達障害であるとわかり、自分自身がそれを受け入れるのに必死になっているときです。その上他人からこれ以上傷付けられたら、自分がどうなってしまうかわからなかったのです。私は、私と息子を守るため周囲に診断の結果を隠していました。でもそれは、私たち親子を逆に傷つける結果になったのです。障害を隠して入会したトランポリン教室。しかしパニックを起こした息子は先生に叱られ…出典 : 私は診断名や特性を隠したまま、近所のトランポリン教室に息子を連れていきました。発達障害の子にはトランポリンが良いと聞いていたからです。ところが、息子は連れていくたびにパニックになりました。プロ仕様のトランポリンは、かなり高く飛ぶことができるのですが、重力不安のある息子には異常な恐怖だったようです。そこで、先生が息子の体を支えて一緒に飛ぶようにしてくれたのですが、息子は触覚過敏があるため、他人に身体を触れられることをひどく嫌います。終いには苦痛のあまり、ぎゃーぎゃーと泣き出してしまったのです。こうして息子は、パニックになるたびに先生に叱られていましたが、それも仕方ない話です。息子の特性がわかっていなければ、この様子はただの我儘な子にしか見えないからです。先生に「ちゃんとやりなさい!」と叱られるたびに、息子はパニックになって部屋中を駆け回り、物を割ったり落としたり。教室内では、「とんでもない問題児が来たよ…」という冷えびえとした視線が突き刺さりました。ある日息子が大暴れし、教室を辞める決意をした私。思わず口から出た本音に先生は出典 : 回目のトランポリン教室で、息子は先生から身体を触られた途端にパニックになり、大暴れした拍子に鼻血が出て止まらなくなってしまいました。1時間のレッスンのうち、50分以上を鼻血の処置をしながら息子をクールダウンさせる時間に費やしました。私は頑張っていた心がポッキリと折れ、帰り際に先生に教室を退会する旨を伝えました。「この子にはとても無理そうなので退会させて頂きます。実はこの子、自閉症スペクトラムの診断がおりてまして…。ここで一緒にやらせて頂くのは難しかったようです。すみませんでした。」そう私が謝ると、先生は「えっ!」と驚いた顔をし、そして言ったのです。「どうして最初に自閉症スペクトラムだと教えてくださらなかったのですか。知っていれば、ちゃんと対処法がわかったのに。うちの教室、自閉症の子をたくさん見た経験あるんですよ。声のかけ方だって、変わってきたのに。」私はそのとき始めて診断名を隠していたことで息子のことも自分のことも無用に傷つけ、先生にも迷惑をかけてしまっていたということに気付きました。入会前にカミングアウトしていれば…!!私はそのとき、初めて自分のミスに気付いて、涙が止まりませんでした。そのときにはもう、息子はトランポリン教室に恐怖心を持っており、これ以上続けることができない状態になっていました。断られる恐怖はまだある。しかし、障害をオープンにすることで合う場所もきっと見つかる出典 : トランポリン教室での失敗を踏まえ、今では幼稚園や習い事に入るときだけではなく、小さなイベントや病院での診療などのときでも、必ず「この子は発達障害があります」ということを最初にお伝えするようにしています。それでも、「断られたらどうしよう」という怖さはいつもあります。でも、断ってくるところに無理して参加させても、もっと傷つくことになるだけだと思うのです。利用サービスの中には、他の子と区別をせずに指導する習い事もあります。けれども、息子がパニックになったときなどに、指導者があらかじめ「この子はこういうことでパニックになりやすい」と知っていてもらうことで、私も息子も十分救われるのです。傷付くことを怖がって隠していても、もっと傷付くことはたくさんあります。それよりも、カミングアウトしても「大丈夫、一緒に頑張りましょう」と言ってくれる人や環境を見つけることの方が、発達障害児の育児はずっと実りあるものになります。
2016年11月17日私が抱いていた不登校のイメージは、ネガティブなものだった出典 : 皆さんは「不登校」という言葉にどのようなイメージをお持ちでしょうか。私はとても暗いイメージを持っていました。人の目を気にし、暗い部屋でじっと息を殺して暮らしているような、そんな勝手な想像を漠然と抱いていました。しかし実際に子どもたちが「不登校」になり、家で過ごす様子を見ていると、その言葉のイメージとのギャップに戸惑いを覚えるようになりました。不登校の様子は以下の記事をご参照ください。子どもたちの様子に「不登校」という言葉は似合わない学校や幼稚園に行かなくなってから、子どもたちはとてもよく笑うようになりました。毎朝必死で登校し、疲れ果てて帰宅していた頃には1度も見たことのなかった、のびやかな笑顔です。こんなに明るい「不登校」があったのか!と、自分でも驚いています。現在2万5千人ほどいると言われる小学生の不登校児。もちろん、その家族の数だけさまざまな過ごし方がありますので、私が抱いていたイメージのようなご家庭もあるのかも知れませんが・・・。実態を知らずに勝手なイメージを抱き、それを固定させるのは本当によくないな、と自分に言い聞かせています。とにかく、とても明るく家で過ごしている子どもたち。私たちは、学校や幼稚園に行かずに家で過ごすことをマイナスイメージの強い「不登校」ではなく、ポジティブなイメージの「ホームスクール」と呼ぶことにしました。不登校児童生徒数の推移(文部科学省)それでも娘の不安は尽きないようで…出典 : 小学3年生の娘が学校に行かなくなって初めの半月ほどは、何も言わずにやりたいことをやらせてみました。読書が好きな娘は1日中本を読み、人目が気にならない時間帯に庭で遊び、自由を満喫していました。学校へのストレスが原因でチック症状がたくさん出ていたので、自由に過ごすことで少しでもそれが軽減されればと思っていたのです。そうしているうちに、娘が自分から「お勉強をしなくてもいいのかな?」「お友だちはどんどん先へ進んでいるのに」と言うようになりました。それならばと、国語・算数・理科・社会・音楽・図工・体育の7教科を毎日30分ずつ時間を決め、勉強することにしました。これは、元来自由時間を過ごすことが苦手な娘には、とても良いやり方でした。「何をしてもいいよ!」と言われると、何をすればいいのか決められず、ただただぼんやりとした時間が過ぎていき、娘自身もそれに焦りを覚えていたからです。30分ごとに鳴るアラームに合わせて予定表を確認し、「よし!次は社会だからあの本を読んでみよう!」「あ、次は体育だからDVDを観ながらダンスをするね!」とくるくる動き回る娘は、本当に楽しそうでした。ルールに厳しいアスペルガーの娘。「ホームスクール」は特性への対応を学ぶいい機会に出典 : ある日、図工の時間に「絵の具で絵を描きたいけどいい?」と尋ねられました。私「もちろん!それがホームスクールの醍醐味だからね!」娘「でも、絵の具を使ったら30分で終わらないと思うんだけど・・・」私「それだったら、予定を変更してみてもいいんじゃない?やりたいことが見つかったら、思い切りやったらいいよ。ここは学校じゃないから、絶対にスケジュール通りに動かないといけないことなんてないんだよ。臨機応変にね!」娘「わかった!」娘はその後の予定を2つキャンセルし、たっぷり1時間半、画用紙に向かって絵の具で絵を描き続けました。こうして、たとえ予定を立てていても、やりたいことが見つかった時には少しずつ予定を変更しながら毎日を過ごせるようになりました。出典 : 「急な予定変更に弱い」「決めたルールは頑なに守る」という特性を持つアスペルガーの娘ですが、これを機に「まあいいか!」と割り切れる瞬間が少しずつ増えてきたように思います。今はまだ、自分で決めたスケジュールの変更を許せるようになった段階。これが少しずつ広がって、他人の都合でスケジュール変更が行われた時も、怒ったり泣いたりせずに「まあいいか!」で乗り切れるようになってくれればいいな…と思います。時間を自由に使えるのも、ホームスクールならではの良さ出典 : そうこうしているうちに、「今日は1日絵を描いて過ごしたい」「今日は1人になって読書に専念したい」「今日はずっとアイロンビーズをやりたい」と言うようになり、いつの間にか30分区切りのスケジュールを立てることはなくなってきました。学校に行かなくなってすぐは、学校のお友だちに遅れないように、学校の進捗に合わせて勉強しておかなくては!という意気込みが私にも娘にもあったように思います。でも最近は、せっかく思い切ってレールを踏み外したのだから、学校の進捗にこだわることはなく、思い切り好きなことに没頭するほうが人生が豊かになるんじゃないかな?と思うようになりました。ただしテレビやゲームといった、誰かが作ったものを一方的に受け止めるようなものに時間を費やすのはもったいないので、ゲームは1日30分、テレビも決まった時間に親と一緒に観るようにしています。今は芸術の秋・読書の秋ということで、1日中LaQで何かを作ったり、本を見ながらひたすら新しいおりがみに挑戦したり、アイロンビーズであらゆるモチーフを作ったり、テーマを決めて図書館で借りた本をたくさん読んだり、同じ映画を何十回も観たり・・・。そんな風にしながら毎日を過ごしています。勉強もしないと!という気持ちは、漢字検定に挑戦したり、算盤や学研などの習いごとに通うことで解消するようにしています。まだまだわが家のホームスクールは始まったばかり。これからどんな風に変化していくのか、私自身の楽しみでもあります。 (ラキュー)ルールから外れて1番不安なのは子どもたち。だからこそ、楽しい時間を大切にしたい出典 : 不登校になって、どのように過ごせば良いのかわからない、というお声をよく耳にします。わが家では「子どもの笑顔が引き出せることかどうか」を最優先に考えています。その時にやりたいことが見つからなければ、「こんなのがあるけどやってみる?」「こんなイベントがあるけど行ってみる?」と声をかけ、子どもが興味を持ったものだけを一緒にやってみるようにしています。そうすることで、少しずつではありますが、子どもたちの世界を広げていくことができるのではないかと思います。そして、親子が一緒に没頭できる何かを見つけることができれば、喜びを共有できる瞬間や会話が増え、子どもは「この家にいていいんだ」「学校に行かなくても楽しんでいいんだ」「お母さんは私の気持ちを分かってくれるんだ」という安心感に包まれて過ごすことができるようになるのではないでしょうか。子どもだけに合わせるのではなく、親も一緒に楽しめる何かを見付けることができるといいですね。
2016年11月15日