「どうでもいい人の話は、気にしなくていいんだよ」〜ブルボンヌの場合〜
母は若い頃にテレビの深夜番組に出てシャバダバ言ってた人でね。その後地方都市に移り住んで歓楽街でスナックを開くっていう、深夜番組に出てた女のお決まりコースをいったような人だったんですけど(笑)、やっぱりそういう世界で生きてる人だから、綺麗だった。
授業参観に来てくれるとパッと目立ってね。男の先生からも「母ちゃん綺麗だな」って言われたり、時代ですよね。でもそれが私はうれしくって、自慢だった。オカンが出勤前に化粧をする姿を見て、かっこいいなっていつも思ってましたよ。
彼女は主婦グループともつるまなくてね。ずっとひとりでいるもんだから「いいの?」と聞いても「群れるの嫌いなのよ」とさらっと言うような人でした。
いつも堂々としていて、シングルマザーのまま私を大学まで出してくれて。母は私の誇りですね。
あの人のもとで育ったことが、私に「自分は自分でいいんだ」と思わせてくれたんじゃないかな。私も幼い頃は人並みに、自分の女性的な部分というか、やわらかさをからかわれてしょげたりもしたんですけど、でもふさぎこむほどに苦しまなかったのはオカンの影響が大きいと思います。マジョリティでないことは決して悪ではないと、彼女を見て知っていましたから。