2019年5月29日 16:00
英国の医学誌が話題「“座ってテレビ”が大腸がんに」は本当か
座っている時間と大腸がんのリスクの関連性について、岡教授に聞いた。
「下半身には太ももやふくらはぎなど、全身の筋肉の約70%が集まっています。筋肉には、血中の糖代謝、脂肪の分解などをする役割がありますが、それは筋肉が活動的なときに活発に働くもの。座ったままの状態ではこうした機能がほとんど働きません。また、椅子に座ると、腰と膝がL字に曲がります。この姿勢では太ももの裏側が圧迫され、その先のふくらはぎのポンプ機能が十分に働きません。下に下がった血流を上に戻す力が弱くなり、全身の血流が悪くなってしまいます。動かないことで大腸の働きも鈍化するため、これらの状態が長期化するほど、大腸がんをはじめとするさまざまながんにつながっていると考えられます」
長時間の座位姿勢と大腸がんなどの病気との関連性を示す報告は数多くされているが、そのメカニズムまではまだ十分に解明されていないという。
「座りすぎは、大腸がんのほか、腰痛や首・肩の凝り、肥満、高血圧、糖尿病、メタボリック症候群、脳梗塞など、さまざまな病気を招く危険性があります。先行研究の結果からも、1日の座位時間が8~9時間あたりから、病気になるリスクがグッと上がるという印象があります。