2021年2月4日 15:50
加湿器の水 放置したまま使用で肺炎に…抗菌グッズ過信は禁物
「加湿器のタンク内の水を何日も交換せずに使用すると、水の中で細菌が増殖。その菌が空気中にまき散らされることで『加湿器肺炎』を引き起こす可能性があるんです」
こう話すのは、浜松医療センター院長補佐・感染症内科部長で感染症に詳しい矢野邦夫先生だ。加湿器の売り上げが増えている今冬は、加湿器が原因の肺炎が増加する可能性があると懸念する。
「加湿器肺炎は、加湿器の中で増殖したカビや細菌を吸い込むことで起こる肺炎。免疫力が落ちている人がかかる細菌性の肺炎と、健康な人でもかかるアレルギー性の肺炎の2種類があります。細菌性の肺炎は、放置された水の中で増えたレジオネラ菌などを、高齢者など免疫力が低下している人が吸い込むことで発症。重症化しやすいのが特徴です」
’18年には大分県の高齢者施設で、加湿器のタンク内で増殖したレジオネラ菌に80〜90代の男性3人が感染。そのうち1人が死亡した。
「健康な人もかかるアレルギー性肺炎は『過敏性肺炎』と呼ばれています。加湿器の中で増殖したカビなどを繰り返し吸い込むことで、肺が過敏に反応し、アレルギーを起こしてしまうのです。加湿器をつけるたびに、咳や発熱、悪寒、息切れなどの症状が出ます」