また、のどの渇きにも気づきにくくなるうえ、いちいちマスクを外して飲むのも面倒だからと、水分補給の機会が減りがちになります」
気温のほかに、熱中症の大きな要因の一つであるのが“湿度”だ。
「じつは、気温がそれほど高くなくても、湿度が高いと熱中症のリスクが高まります。体温は汗が乾くときに下がるのですが、湿度が高いと汗が乾きにくいため、熱がこもりやすくなってしまうためです」
春の雨が降ったあと、急に湿度が上がって蒸し蒸しするときなどは、いっそうの警戒が必要になる。
では、どんな症状が出たら熱中症を疑うべきなのか。
「体に熱がこもると、脳への血流が悪くなってしまうので、立ちくらみやめまい、頭痛などが起こりやすいです。こうした症状が出た場合は涼しい場所で体を休め、しっかり水分を取りながら首のまわりを冷やすなどしましょう。ひどい頭痛や吐き気、嘔吐、意識がもうろうとする、などの症状が表れた場合は、救急車を呼ぶことが大切です」
熱中症の怖いところは、そこから心筋梗塞を引き起こすこともある点だ。「心筋梗塞は冬場に発症することが多いのですが、熱中症が増える時季にも起きやすくなります。
それは、脱水状態が心筋梗塞や脳梗塞の一因となる“血栓”をできやすくするからです。