【医師解説】不眠症対策の悩みを解消!病院の選び方から睡眠薬まで <日本睡眠学会認定医 佐藤幹先生>
しかし、それをご本人がどう受け取るかというところで反応が大きく2つに分かれます。「ああよかった、眠れているんだ」と安心する方は不眠症がよくなることが多いのですが、「いやいや、こんなに眠れているはずがない」という方たちは治療に時間がかかるという傾向があります。
「不眠症とは何か」ということを考えるとき、検査をして睡眠のデータが悪くなければそれは不眠症ではないという考えもありますし、検査データが良好でもご本人が「眠れていない」と言っている、その主観を「不眠」というのだという意見もあります。私自身はおそらく後者が不眠というものであり、その状態をいわゆる不眠症の中核として扱うべきだろうと考えています。
睡眠のデータ自体が悪い方たちについては、まず睡眠時無呼吸症(SAS)や周期性四肢運動障害(PLMD)などの可能性を考えなければなりません。そういうものがなくて眠れていない方たちには睡眠薬を使っていくことも必要です。
しかし、実際に眠れているにもかかわらず眠れていないと思い込んでいる方たちをどうするかというところが問題です。こういった方たちは客観的には眠れているので本来ならば睡眠薬はあまり必要ないはずなのですが、その思い込みをどう治していくかというのが非常に難しいところです。