【医師解説】うつ病と不眠症の原因・対策・改善 <日本睡眠学会認定医 佐藤幹先生>
「うつ病」と不眠は切っても切れない関係
脳にストレスがかかると生理的には覚醒度が上がるため、多くの例では不眠がつきまとうことになります。しかし、最近はうつ病で過眠を訴えて来る方もいらっしゃいます。精神的なストレスが、様々な形で睡眠の異常として表現されるのです。
精神的な疾患がある場合には、睡眠だけを取り出してよくするということはできません。脳の状態全体をよくしていき、日中からのストレスを取り除くことによってようやく夜眠れるようになります。あるいは夜の睡眠をよくすることによって日中のストレスを少なくしていくことにもつながります。睡眠薬を上手に使い、夜にゆっくり休むことができると、日中の抑うつ気分も少なくなります。そのため、うつ状態の時には、睡眠薬は積極的に使うことが推奨されています。
不眠とうつ病の関係についてはさまざまな方向から研究されています。たとえば不眠があるとうつ病がどれくらい再発するか、その逆にうつ病がよくなって不眠が残っていない人はどれくらいうつ病が再発していないか、また不眠が最初にあってうつ病になる人がどのくらいいるのか、といったことについて検討されています。今のところまだ結論は出ていませんが、どうやら不眠とうつ病は互いに移行するものだと考えられています。